衆議院

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第3号 平成16年10月26日(火曜日)

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平成十六年十月二十六日(火曜日)

    午後二時五十一分開議

 出席委員

   委員長 小林 興起君

   理事 岩屋  毅君 理事 高木  毅君

   理事 仲村 正治君 理事 池田 元久君

   理事 大石 尚子君 理事 渡辺  周君

   理事 赤松 正雄君

      奥野 信亮君    嘉数 知賢君

      瓦   力君    北村 誠吾君

      小西  理君    坂本 哲志君

      寺田  稔君    浜田 靖一君

      古川 禎久君    御法川信英君

      武正 公一君    津村 啓介君

      中野  譲君    本多 平直君

      前原 誠司君    松本 剛明君

      村越 祐民君    佐藤 茂樹君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 好平君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省河川局次長) 土屋 彰男君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    石井 健児君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     小西  理君

同日

 辞任         補欠選任

  小西  理君     石破  茂君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

小林委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、平成十六年の台風及び新潟県中越地震災害によりお亡くなりになりました方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、負傷された方々を初め、避難生活を続けておられる方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地において懸命に救助活動を続けられておられますボランティアの皆様並びに自衛隊を初めとする政府関係者諸君に心から感謝と激励を申し上げます。

 ここに、お亡くなりになりました方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 御起立をお願いします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

小林委員長 黙祷を終わります。ありがとうございました。御着席ください。

     ――――◇―――――

小林委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官増田好平君、内閣府政策統括官柴田高博君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君、国土交通省河川局次長土屋彰男君及び海上保安庁次長石井健児君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。

岩屋委員 自由民主党の岩屋毅でございます。

 まず、ただいまも委員長からお話がありました、たび重なる台風被害、あるいはこのたびの新潟中越地震によりましてお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げ、また、被災をされた皆さんに心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、きょうは国の安全保障の問題につきまして、さきの大臣の所信を受けて質問をさせていただきたいと思います。

 両大臣あるいは副大臣、政務官の皆さんにおかれましては、御就任まことにおめでとうございます。

 ただ、お祝いを申し上げるのがはばかられるくらい国の外交、安全保障、非常に重要な課題を抱えておるわけでございまして、ぜひとも全力を尽くし、誤りなきを期していただきたい、こう思いますし、私どもも全力で支えさせていただきたいというふうに思っております。

 そこで、まず新潟中越地震でございますが、自衛隊においては初動をしっかりやっていただいたというふうに私は評価をしたい、こういうふうに思っておりますが、現段階で、もう初動の態勢については結構でございますから、自衛隊が今どういう態勢でどういう活動を行っておるのか、概略を教えていただきたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 新潟県中越地震に係る対応につきましては、地震の発生後直ちに航空機による発災地の被害状況の偵察を行ったほか、二十三日の二十一時五分、新潟県知事からの災害派遣要請を受けまして、昨日までに延べ人員にして約四千五百名、車両約三百四十両、航空機につきまして約九十機により、人命救助活動や給食、給水支援活動、食料等救援物資の輸送等、国民の生命財産を守るため迅速な災害派遣活動に努めているところでございます。

 具体的には、村全体が孤立していました山古志村の被災地の方々を昨日夕刻までに全員ヘリコプターで救助をするとともに、被災民の方々に炊事車による給食活動を行うなど、合計約千三百六十名の方の救助、食料については二十七万食、毛布について約一万三千枚の輸送等、陸海空各自衛隊が全力を挙げて活動を行っているところでございます。

岩屋委員 初動から始まって、自衛隊はしっかり対応していただいているというふうに改めて評価をさせていただきたいと思います。ただ、テレビ等の報道を見ておりますと、いまだに露天で夜を過ごさなくちゃいかぬという方々の姿も見受けられます。必ずしも現地の市町村、公共団体と自衛隊間の連絡がうまくいっていないところもあるのかなという感じもいたしますので、ぜひともそこはしっかりと連絡調整をしていただいて、足らざる点を早急に補っていっていただきたい。

 それから、自衛隊は余り目立つことをせずに黙々と仕事をするということだろうと思いますが、自衛隊がどういう活動をしているのかということについては、適宜現地においても広報体制をしっかりとっていただくようにお願いをしておきたいと思います。

 続きまして、けさの閣議で、防衛庁長官、テロ特措法に基づく基本計画の変更を決定されたというふうに伺っておりますが、この問題についてちょっとお伺いしたいと思います。

 実は、私は、この秋にインド洋に派遣をされております海自の皆さんを視察させていただきました。今津副長官も一緒に行かせていただいたわけでございますが、当時、今津国防部会長というお立場で行かれたわけでございますが、行ってみて、自衛隊の皆さんの整々たる、粛々たる立派な活動ぶりに大いに感動を覚え、また誇らしく思って帰ってきたところでございます。

 ただ、日本を遠く離れたインド洋での活動でございまして、艦艇に対する補給活動ということで、国民の皆さんの目には残念ながらちょっと見えにくい活動でございますので、今般の基本計画の変更、延長ということについて、国民の皆さんにしっかりと説明責任を果たしていただく必要があろうか、このように思います。

 そこで、この我が国からの海自の派遣がテロとの闘いにどういう貢献をしてきたのか、そのことについて防衛庁長官から簡単に御説明をいただきたいと思います。

大野国務大臣 自衛隊がテロの撲滅のために縁の下の力持ちという役割を果たしている、目立ちませんが立派に果たしていると私は思っております。

 今回、なぜ必要か、これを説明しろと。今、九月十一日のテロの脅威を地球からなくしていく、これが一番の問題であります。しかし、どういうふうにすればこの九月十一日の脅威がなくなっていくのか。これは、テロ組織アルカイダなりタリバンなりの組織を分断して、その主な人物を撲滅していかなきゃいけない、と同時に資金面も断っていかなきゃいけない、物資の面も断っていかなきゃいけない、こういうことであります。

 現在、そういう意味で、具体的にもうちょっと説明しろということでありましたら、ことしの例えば四月からだったですか、具体的に申し上げますと、乗船して検査する、これは日本の護衛艦がやっているわけじゃありません、外国の船がやっているわけでございますが、この回数が、四月からでございますと、もう五百回に上っているんですね。そのぐらいやはり必要性がある。実際に検査してみるといろいろなことが発見される、こういう状態でありますから、まだまだ九月十一日のテロの脅威というのは撲滅していく、追放していくには時間と労力が要るんじゃないか、こういうふうに私どもは分析して、今回、テロの基本計画につきまして延長したわけでございます。中身はよろしいですね。

岩屋委員 今回変更された基本計画の特徴といいますかポイントの一つに、新たに艦載ヘリ、艦艇搭載ヘリの燃料の補給それから水の補給、こういうことがございます。なぜその必要があったのか説明していただきたいと思いますし、念のために、確認のために聞きますが、艦載ヘリに対する燃料の補給が武力行使との一体化ということには当たらないということについても明確に説明をしていただきたいと思います。

大野国務大臣 まず、ヘリコプター燃料につきましては、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリー、パキスタン、こういう国から要請がありました。それからもう一つ、水についてでございますけれども、これはパキスタンから具体的な要請がありました。そういうことを踏まえまして、今回、従来の艦船用燃料にあわせまして、海上阻止活動参加部隊の運用に必要な艦艇搭載ヘリコプター用の燃料それから水についてということが加えられたわけでございます。

 これが武力行使と一体となる可能性があるんじゃないか、おそれがあるじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、この点は、ヘリコプターに直接日本の給油艦から補給するわけじゃない、相手の船にまず給油をして、ガソリンを供給して、そして相手の船からヘリコプターにする、ここが大事なポイントでありまして、水にしろヘリコプター用燃料にしろ、相手の船に供給する、こういうことが基本的にきちっとなっております。

岩屋委員 インド洋に行っている艦艇に搭載されているヘリというのは恐らく攻撃ヘリではなくて哨戒ヘリ、こういうことでございましょうし、直接我が補給艦からホースをつなぐわけではない、こういう御説明でございまして、了解をいたしました。

 ところで、この新しい任務に一体どのぐらいの費用がかかるのか。やってみなくちゃわからぬということかもしれませんが、現段階でどのぐらい見積もっておられるか、聞かせてください。

今津副長官 岩屋議員は私の後に自由民主党の国防部会長に就任をいたしたわけでありまして、国防の自民党の若きエースとしてぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 お尋ねの、今般、協力支援活動としての艦艇搭載ヘリコプター用燃料及び水をOEF・MIO参加部隊に対して新たに調達して補給することといたしました。必要となる経費につきましては政府として適切に措置することになるものと考えておりますが、現在精査中であります。防衛庁としては、艦艇搭載ヘリコプター用燃料については約一千四百万円、水については約百万円、合計でおおむね一千六百万円、これは来年の三月三十一日までですが、と見込んでいるところであります。

岩屋委員 艦載ヘリ用の燃料で大方千四百万円、水で百万円ぐらいだろう、こういうことでございます。艦艇用の燃料に比べると、そういう意味ではそれほど多額ではないということですが、国民の貴重な血税を使うということでございますので、そこはしっかり報告をしていただきたい、こう思っております。

 私も現地に行ってみて、確かに地味な、地道な活動ではありますけれども、今防衛庁長官からお話があったように、テロとの闘いという意味ではまだまだ継続する必要がある活動だ、こういうふうに認識をさせていただいたところでございます。ただ、自衛隊というのは、出すのは簡単でございますけれども、なかなか引くのが難しい、大変だということだろうと思います。そういう意味では、これはいつまでも続けるというわけにもいかないんでしょう。どこかで節目というものをきちんとつくっていかなくちゃいけない。

 一体、政府として、どういう状況が出現すればといいますか、どういう条件が整えば、この不朽の自由作戦、大方目安がつくのか、自衛隊の撤収ということが考えられるのか。やはり政治としては目安を持っていなきゃいかぬ、こう思うんですが、政府としての考えを聞かせていただきたいと思います。

増田政府参考人 お答えいたします。

 いつまで活動を続けるかという点でございます。まず、当然のことながら、この活動はいわゆるテロ特措法に基づいて行われておりますので、この法律の要件なり、それからそのもとでの基本計画の枠組みのもとで行われていくということは当然のことでございますけれども、そもそも法律の目的は、いわゆる九月十一日のテロによってもたらされている脅威があるという前提で、これを除去するということとの絡みで現在の活動を行っているわけでございますので、この脅威が除去されれば、まさにテロ対策特措法の目的というものが達成されたものになるということで、このテロ特措法に基づく対応措置を終了することになろうと思っております。

 では、何が脅威が除去されたと見るかということは、先ほど防衛庁長官からも若干お触れになりましたけれども、まさにアルカイダとかタリバンの主要幹部の拘束状況であるとか、テロ組織やテロリストのネットワークの規模とか、その拠点の縮小や破壊の動向等というようなものを総合的に勘案して判断する必要があろうと思っております。少なくとも、今の段階においてまだいわゆるテロとの闘いというものは続けられておりますし、今後とも続ける必要があろうという段階であろうと思っております。

岩屋委員 今の段階で続けるべきだというのは私も了解しているというか理解をしているんですけれども、御案内のとおり、アフガンでは曲がりなりにも大統領選挙が実施されて、政治プロセスが着実に進んでいる。国民の皆さんも、見ておって、いつまで日本の自衛隊はあそこに行くんだろうと素朴な疑問も持っておられるだろうと思います。やはり政府において、今おっしゃっていただく必要はありませんが、どういう段階に至れば我が方の撤収を考えるということについては、しっかりと目安を私は持っておいていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 続いての課題は、イラク支援法に基づく基本計画の変更ということでございますが、ここへ来て、非常によくないニュースが飛び込んでまいりまして、非常に心配をしております。それは、御承知のとおり、去る二十二日、現地時間の二十二日夜ということだそうでございますが、自衛隊のサマワの宿営地に不発ロケット弾が一発飛び込んできたと報道されておりますが、まず事実関係について簡潔に説明してください。

大古政府参考人 お答えいたします。

 現地部隊におきましては、現地時間にいたしまして二十二日の午後十一時ごろ、日本時間にいたしますと二十三日の午前五時ごろということになりますが、何らかの爆発音及び飛しょう音を確認したところでございます。その後、部隊としては必要な退避措置をとったということでございます。

 本事案を受けまして、翌朝、宿営地内及び周辺の捜索を行いましたところ、現地時間の十月二十三日の午前六時半ごろでございますが、宿営地内南端の空き地において信管がついていない不発弾のロケット弾を発見した、一発でございます。なお、このロケット弾は宿営地の北の方向から発射されたものと思われます。

 本事案におきまして、現地部隊の人員、装備等には異常がないことを確認しておりますけれども、いずれにしましても、現地部隊において引き続き安全確保に細心の注意を払いつつ活動を実施してまいる所存でございます。

岩屋委員 今の説明にもありましたように、わざわざ信管を外して一発撃っている、そういう意味では極めて政治的な意図を持ったアタックなのかなというふうに感じるわけでございます。このこと一つをもってまだ全体状況を判断するわけにはいかないと私は思いますが、この段階でサマワの治安状況を政府としてどういうふうに判断しているのか、見解を聞かせていただきたいと思います。

今津副長官 サマワにおきまして、本年四月、そして八月、自衛隊の宿営地付近で迫撃砲あるいはロケット弾と見られる事案が今回を合わせて計七回発生し、その後、宿営地付近での事案は発生していなかったんですが、六回発生していたんですが、今回で七回。また、八月以降、現地の武装集団とオランダ軍との間の衝突とかムサンナ県警察幹部に対する攻撃、さらには自衛隊が実施をした道路の復旧に関するモニュメントの爆破と見られる事案等、注視すべき事態が生じております。

 一方、こうした一連の事案が直ちに現地部隊による人道復興支援活動に影響を及ぼしているものでもなく、また、現地治安機関による治安確保への努力も続けられているところであります。

 防衛庁としては、イラクの治安情勢については、全般として予断を許さない状況が継続しており、また、依然としてサマワについてはイラクの他の地域と比べれば比較的安定しているが、テロなどの可能性を否定することはもはやできない、このように考えております。いずれせよ、最近サマワで生じている一連の事案も踏まえつつ、現地の情勢について予断することなく、引き続き細心の注意を払っていかなければならない、そのように考えております。

岩屋委員 今も副長官のお話にありましたように、今まで通算で七回目ぐらいの攻撃ということでございますが、これをもって必ずしも組織的、計画的、継続的な攻撃であるとみなすことはできないと私も思います。ただ、今もお話がありましたように、極めて注意深く状況をこれから見詰めていく必要があろうかというふうに考える次第でございます。

 さて、この基本計画の延長といいますか変更についても、これから政府で案をつくられるわけでしょうが、オランダ軍が三月ぐらいには撤退をするのではないかという話もございます。治安を担当しているところがどうなるのかというのがわからない段階で基本計画を延長するというのは、これは国会でも、あるいは国民の皆さんにおかれても、なかなか理解が得られにくいのではないかな、こう思いますが、このサマワ周辺における治安担当の問題について、政府として今どういう対策を講じておられるのか、聞かせてください。

町村国務大臣 イラクの基本計画の検討に当たっては、先ほどお話ししたとおり、いろいろなことを考えなければいけない。法律の規定、国際情勢、日本として果たし得る役割をよくよく考えて判断をしていくべきことであろうと思って、現時点で、今どうこうということを決めたわけじゃございません。

 その際に、今岩屋委員御指摘のようなオランダとの関係、あるいは地元ムサンナ県、これは警察等があるわけでございますから、こうした活動を、全体を調整するのは今イギリスの担当ということになっているわけでございまして、イギリス、さらにはイラクも今暫定政府がある、こういうところともよく相談をしていく必要があるだろう。

 いずれにしても、オランダもいない、何もいないという状態での延長というのは、これは多分あり得ないことであって、そういう意味の力の空白というものを生じさせないような私ども外交努力はしていきたいと考えております。

岩屋委員 この基本計画は、たしか十二月十四日に切れるということでございますので、外務大臣の御説明は了といたしますが、基本計画を延長するまでに政府としてしっかりやっていただかなくちゃいかぬことがあるんだと思います。その治安担当をどうするかという問題について、しっかりと外交レベルで御努力をいただいて、国会や国民にきちんと説明をできるようにしておいていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 さっきの問題と同じですが、私は、イラクもいよいよ来年一月には国民議会の選挙をするというふうに聞いておりますが、徐々にではありますけれども政治プロセスが進んでいる。これはアフガン以上に時間のかかる復興支援ということになろうかと思いますが、とはいえ、ここも、では、いつまで自衛隊がつき合うのか、どういう環境が整えば撤収ができるのか、このことについてもしっかり目安をやはり政府として持っておいていただかなくちゃいかぬ、こう思いますので、お答えはさっきと同じようなことになろうかと思いますのでもう結構ですが、これについてもしっかり政治の側で目安を持っておいていただくようにお願いをしておきたいと思います。

 それから、長官にはお願いしますが、私ども、この間クウェートまで行って、国境近くまで行って、サマワの部隊の皆さんに来ていただいて激励をさせていただいたんですが、状況が許せば、できるだけ早く、防衛庁長官、現地に行っていただいて、自衛隊の諸君を激励していただきますようにお願いをさせていただきたいと思います。

 さて、時間もありませんので次に行かせていただきますが、防衛計画の大綱についてでございます。さきに、安全保障と防衛力に関する懇談会、安防懇の報告書が出されたところでございまして、いよいよそれを受けて政府で防衛計画大綱の策定の作業が開始されたというふうに承知をしております。これについて何点かお聞きしたいと思います。

 私は、今日の国家財政の前で、たとえ防衛費であろうとも聖域であってはならないというふうに考えている者の一人でございまして、そういう意味では、前大綱にうたわれておりました合理化、効率化、コンパクト化、この方針は今後とも堅持をしていただきたい、こう思っております。

 しかし、事は国家国民の安全にかかわる問題でございますから、これはまず、我が国の防衛力がどうあるべきかという理念、考え方が確立をした後、初めて数字の話になるんだと思うわけでございます。

 新聞紙上、いろいろな数字が躍っておりますが、バナナのたたき売りのようなわけにはいかないわけでございまして、防衛庁としてしっかりとした考え方で取り組んでいただかなくちゃいかぬ、我が国の自主防衛力の強化ということが今般の大綱策定において図られなければいけないと私は考えておりますが、この大綱策定に向けて、防衛庁としてどういう点がポイントだ、重要だとお考えになっておられるか、長官からお伺いしたいと思います。

大野国務大臣 おっしゃいますように、防衛に対する基本的な理念、これをきちっと固めていく、当然のことであります。

 つきましては、まず第一に申し上げたいのは、新しい安全保障という切り口で考えますと、安全保障の新しい世紀、二十一世紀というのは、例の九月十一日の事件で起きた、つまり安全保障の国際環境がどんどん変わっていっている。したがいまして、背景といたしまして、まず第一には、我が国に対する本格的な侵略事態というものが起こってくる可能性は低くなってきたのではないか、ただし、テロや大量破壊の恐怖、脅威というのは本当に深刻に考えていかなきゃいけない。ミサイル防衛の問題、それからテロリストにどう対応するか、こういう問題であります。

 したがいまして、今、我が国の防衛に対して基本的な点をきちっとしろと言われますと、まず、脅威の対象は本当に多様化している、このことは申し上げなきゃいけないと思います。

 そこで、この今回の安防懇の報告書にも基づいて、いろいろ今安全保障会議で議論が始まったところであります。過去二回議論をさせていただいております。

 そこで、今後の防衛力の問題でありますが、第一点、テロや大量破壊兵器などの新たな脅威や、平和と安全に影響を与える多様な事態に対して実効的に対応する。それから二点目として、我が国を含む国際社会の平和と安定のための活動に主体的、積極的に取り組めるような必要な体制を整備していく。つまり、今までは国際貢献、日本が国際貢献という考え方であったわけですけれども、この点は安防懇の報告書は大変示唆に富むものだと私は思います。世界の平和は日本の平和なんだ、日本の平和も世界の平和につながっていくんだ、こういう考え方でございます。

 このために、本格的な侵略事態にも配慮しつつ、従来の整備構想や装備体系について抜本的な見直しを行い、適切に規模の縮小等を図っていく、これによりまして新たな安全保障環境に実効的に対応していく、このような防衛力を構築するというわけであります。

 新たな防衛計画の大綱の策定につきましては、以上の昨年十二月の閣議決定の考え方にのっとりまして、今月四日、先ほど申し上げましたけれども、安防懇の報告書が出ております。

 こういう問題を含めまして、今後、安全保障会議の場で政府として検討が進められてまいるわけですが、防衛庁といたしましても、今申し上げましたような観点、このような新たな安全保障環境に対応する防衛力の構築のために、こうした検討に積極的に参加してまいるつもりであります。

岩屋委員 今長官がお触れになった中にミサイル防衛という話が出てきましたが、これが我が国の防衛力を構成する一つの柱になっていくんだろうと思います。

 しかし、この問題は前から指摘されておりますが、今度の安防懇の報告書の中にも出ておりましたが、これから装備はだんだんと整っていくんだと思いますけれども、装備はあっても法制がないことでございまして、これは安防懇の中にも何か具体的な提言もあったやに聞いておりますが、このミサイル防衛の法制について今後どうしていかれるおつもりか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

大野国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。

 飛来してくるミサイルについてさまざまなケースを想定しなきゃいけないわけでございますが、防衛出動を含め、自衛隊の行動に関する現行の法的枠組みで対応できるか、仮に対応が困難な場合には、考え方の一例として、防衛出動や対領空侵犯措置などの現行の自衛隊の行動の類型を参考としつつ、やはり弾道ミサイルの特性を踏まえて、新たな法整備について検討を進めていかなければいけない、このように思っているわけでございます。

 なお、この法整備についての検討でございますけれども、関係省庁とも連絡をとりながら鋭意進めているところでございますが、現時点でこの法整備の時期、中身についてはお答えできる段階ではございません。

岩屋委員 ミサイル防衛と、私はもう一つ日本が獲得すべき能力の一つに最小限の敵基地攻撃能力があるのではないかというふうに思っております。

 これは確認をさせていただきたいんですが、敵基地攻撃能力を獲得することは、過去の答弁にあるように、これは専守防衛の範囲内であるというふうに考えておりますが、それでよろしいかどうか、それだけお答えいただきたいと思います。

大野国務大臣 先生御指摘のとおり、専守防衛というのは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する、その態様も自衛のための必要最小限度にとどめる、保有する防衛力も自衛のための必要最小限度のものに限る、これは憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢のことでございます。

 従来から、我が国に対して急迫不正の侵害が行われた、その手段として我が国国土に対し、誘導弾、ミサイル等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えばミサイルによる攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことは法理的には自衛の範囲に含まれる、可能という見解でございます。お説のとおりでございます。

 ただ、敷衍いたしますと、このような見解と、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使、その態様も自衛のための必要最小限度にとどめるなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢という専守防衛の考え方とが矛盾するとは考えておりません。従来より政府としてもこのような考え方を示しているところでございます。

岩屋委員 どうも政府が説明するとややこしい説明になるんですが、要は、専守防衛の範囲内だということだと了解したいと思います。

 しからば、その大綱策定に当たって、その能力を獲得するという研究を始める用意がございますか。

大野国務大臣 政府としては今申し上げたとおりの見解でございますが、従来から申し上げておりますとおり、日米安保体制の枠組みもございます。敵基地を攻撃することを目的とした装備を保有するということは考えておりません。

岩屋委員 これはまた議論したいと思いますが、私は、打撃力を全部米軍に依存するということでは、これから日本の将来の防衛は本当にそれでいいのかというふうにいつも思っておりまして、このことについてはまた機会を改めて議論させていただきたいと思います。

 時間がなくなってきたので、あと、自衛隊の国際貢献活動を格上げして主要な任務にするというのであれば、当然、自衛隊法の改正、あるいは必要とあらばPKO法の再改正、あるいは新法の制定、こういう作業もやっていっていただかなくちゃいかぬし、ヨーロッパのPKO活動を見ておりますと、立派な訓練センターをみんな持っておって、現地のキャンプと全く同じものをそこにつくって、しばらくそこで訓練して出ていくというぐらいの念の入った作業をしておりますので、ぜひ今度の大綱の中に、PKO専用部隊とは言いませんが、訓練センターみたいなものをつくっていただきたくお願いさせていただきたいというふうに思っております。

 さて、最後の時間で、町村外務大臣に米軍再編問題について聞かせていただきたいんですが、正直、この問題については政府の司令塔がよくわからないんです。政府の中で、どういう形で、だれが責任者で今協議を進めていただいておるのか、簡潔に説明してください。

町村国務大臣 従前から、官房長官、外務大臣、そして防衛庁長官、もちろん最終的には小泉総理ということになるわけでございますが、よく連絡をとりながらやってきている、こう理解をしております。私も、閣僚になってから一カ月弱でございますから、その間に大野大臣とは何度かお話し合いもしておりますし、細田長官とも話し合っております。

 いずれにしても、政府部内、よく緊密な連携をとりながらきちんと対応していこうと思っております。

岩屋委員 この問題については、当初、大臣の皆さんの発言がそれぞれぶれたということでしょう。政府の統一見解がさきに出されたわけですね。

 ただ私は、正直、最初に町村外務大臣がおっしゃった考え方の方が正しいんではないか、極東条項ということにとらわれずにまず柔軟に発想して、これからの日米安保は世界の中でアジアの中でどうあるべきかというところから議論を始めるというのが正しい物の考え方だと思っておったんですが、なかなかそれでは国会がうまくいかないということだったんでしょうか。統一見解が出されました。

 それによれば、再編はこれまでの安保の枠内で行う、極東条項の解釈の見直しはしない、司令部が具体的にどのような活動を行うかについてはさまざまな可能性があり得るので一概には言えないと。何を言っているのかわからないような、一概に言えないということは、一まとめには言えない、ひっくるめては言えないということは、場合分けすれば言えるということなのか。どういうケースだったら極東条項上問題があって、司令部が何をする場合だったら問題がないという解釈なのか。ちょっとこの統一見解、余り私は正直感心しないのでございます。

 この町村外務大臣の当初のお考えは変わったんでしょうか。

町村国務大臣 私の発言、言語不明瞭であったがゆえにいろいろ先生にも御迷惑をおかけしたかもしれませんが、私は最初から同じことを言い続けているつもりであります。

 今委員御指摘のように、議論を始める段階からもうこれとこれとこの制約条件を課してという議論はやはりおかしいのであって、まず本来、日本、極東、そしてアジア太平洋地域、その中で日本が果たせる役割、アメリカが果たせる役割、どういうふうにしたらば平和な地域社会をつくることができるかということを考え、そして、それに必要な米軍の再編成なり、また、自衛隊であれば今防衛大綱という形での議論が進んでいる。

 もちろん、最終的には、現在あります安保条約、あるいは既にさまざまな極東条項等々あるわけでございまして、それとの整合性をきちんととっていくということは当然だろうけれども、最初からそういう枠をはめた議論でやってしまうと、必要な答えが出てこないおそれがあるという趣旨のことを私は述べたまでであって、安保条約その他を一切無視して、それはもうないものとして結論を出そうというほど私は乱暴なことを言ったつもりではないことは、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。

岩屋委員 大臣の答弁も理解をするんですけれども、私は、四十四年前の極東という言葉と現在の極東という意味は違ってきて当然だ、このように考えておるわけでございます。

 したがって、これから米軍の再編がどういう形で決着するかわかりませんが、四十四年前の政府統一見解をもって後ろ向きな説明をするというのは、私は余り適当ではないんではないかと。安防懇の報告書の中にもありますように、むしろ、新たな日米安保共同宣言を発出するなり、安保を改定しろとまでは言いませんけれども、新たなガイドラインを示すなどして、前向きに未来志向の説明を国民や国会にきちんとすべきではないか、こういうふうに思っておりますし、時間がなくなりましたが、本当はSACOの見直しも勇気を持って私は必要とあらば進めるべきだと思うし、地位協定はいつも運用改善、運用改善と言っておりますが、これは日米安保を強化するためにも、本当の信頼関係をつくるためにも、必要とあらば地位協定の改定もやるべきだ、私はこう思っておりますので、ぜひそういう大きなパッケージの再編問題の処理をしていただきますようにお願いをし、いま一度外務大臣の御見解を承って、質問を終わりたいと思います。

町村国務大臣 大変貴重な御意見、御指摘をいただいたと思っております。

 安保条約、確かに大分前にできたものでございますけれども、しかし、やはりそれがあったがゆえに戦後の日本の平和と安定が保たれてきたという厳然たる事実もあるわけでございます。そして、安保条約にかかわる問題についても、例えば周辺事態法、さらには国内的には有事法制等々の整備が進んでまいりました。

 また、この安保条約とは、広い意味では日米の関係ということですけれども、条約という範囲とはまた別の形でこれは国会でもいろいろな御議論があったわけでありますけれども、PKO法が通り、さらにはテロ対策、アフガン対策という法律も通り、イラク特措法も通ったということで、安保条約があるからそうした国際的な日米同盟をしっかりと保っていくことができないかというと、それはそういうことはないだろう、こう思っております。

 ただ、今委員御指摘のようないろいろな新しい事態もあります。私は、そういう意味で、今直ちに安保条約改定ということを私ども考えているわけじゃございませんけれども、新しい時代に即応した形での、お互いに日米間で一つの共通の認識に達するという、それがどういう形をとるかは別にいたしまして、今回の再編成議論を通じて、もし一定の共通認識が持てるようになれば、それはそれで政治的な形として国民にしっかり説明をしていく義務と責任があるんだろう、かように考えております。

岩屋委員 終わります。

小林委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 大野長官とは、何年か前ですか、周辺事態法の論議があって、衆議院で修正が加わりまして、我々提出者として参議院に答弁者として回りましたときに、まだ防衛庁長官にはなられていなかったんですけれども、非常に安定感のある、そういう答弁をされる方だなと感心をいたしていた次第でございます。いつかは防衛庁長官になられるだろうな、そう思ったんですが、なられた途端にちょっと舌が滑ったというか、そういうことで先週いろいろ騒がせておりましたけれども、ぜひ頑張っていただきたいなと。

 また、町村大臣は、前任者のことをどうこう言うわけではございませんが、役人答弁を超えた、政治家としての答弁をぜひお願いしたいな、そのように思う次第でございます。

 まず、いろいろ安保論議に入ります前に、今回の平成十六年新潟県中越地震並びに累次の大規模風水害で亡くなられた皆様に対しまして心から御冥福をお祈りしますとともに、被災された皆様方に対してお見舞いを申し上げたいと思います。

 最初に、災害派遣のことで確認も含めて決意を聞かせていただきたいと思うんですけれども、今回、土曜日二十三日の五時五十六分に起こりまして、私はこれは与党だから褒めるわけではございませんが、阪神・淡路大震災のときに比べますと、防衛庁・自衛隊の態勢のとり方、初動の対応というのは非常に早かったんではないかな、そういうふうに感心をしている次第でございます。特に、六時には防衛庁で災害対策室を設置されて、あと六時三十二分ぐらいから随時、各自衛隊が情報収集ということで出動されているわけですね。阪神・淡路大震災のときは県知事から四時間後に要請がありまして、実質それからという部分もありましたから、それに比べると非常に早いんですが、これは阪神・淡路大震災の教訓を非常に生かしているなという感じはするんです。

 そこで、一つ二つ確認をさせていただきたいんですけれども、聞くところによると、あの阪神・淡路大震災の後、防災業務計画を修正されたということもお聞きしているんですが、今回の派遣は自衛隊法の八十三条二項ただし書きの自主派遣なのかどうかということですね。それが一つと、ことしに入って、この地震も含めて災害派遣が非常に多かったと思うんですけれども、要請による派遣は何件で、自主派遣による災害派遣というのは何件なのかということをまず確認させていただきたい。

 もう一つは、今もなお本当に多くの被災者の皆さんが困っておられるわけでございまして、人命救助、救出活動、また人員、食料等の物資の輸送、さらには給水活動、これはもう自衛隊は得意でございますけれども、こういうものに本当に持てる力をフルに発揮して、自衛隊挙げて全力で取り組んでいただきたいなと。

 というのは、阪神・淡路大震災のときに、私、何回か救援物資も持っていきましたし、自衛隊の拠点にも激励に行ったりしました。第三師団というのが王子公園に拠点を構えていたんですけれども、そのときに、それまで神戸の地というのはどちらかというと自衛隊を敬遠する空気があったんですね。ところが、王子公園の金網とか塀とかいろいろなところに、自衛隊さんありがとう、自衛隊の皆さんありがとういうて、住民の皆さんがみんなマジックや筆で手書きでばんばん紙を張っておられる姿を見て、自衛隊の苦労、また流した汗というのが実っているな、そういうことを感心したわけでございます。

 今回の中越地震でも、自衛隊の頑張りというのは多くの住民の皆さんに必ず伝わっていくと思いますので、ぜひそのあたり、災害復旧対策等についての防衛庁長官のまず御決意をお聞かせいただければありがたいと思います。

大野国務大臣 まず佐藤委員に、自衛隊に対して大きな励ましの言葉をちょうだいしました。ありがとうございます。

 一、二点、事実関係の問題がありますので、それを先にさせていただきますと、委員おっしゃるとおり、自衛隊法八十三条第二項ただし書きの規定によっております。それから、ことしに入っての災害派遣の内訳でございます。自主派遣なのか、あるいは要請による派遣なのか。十月二十五日現在、合計で申し上げまして、自主派遣が九十八件、それから要請による派遣が三百七十六件、合計四百七十四件、災害派遣をいたしております。

 今回の新潟の地震につきましては、午後六時ごろだと思いますけれども、私のところに連絡がありまして、対策室を立ち上げるということでございましたので、私の方からは、万全を期するように、そしてまた、出だしは情報収集に全力を挙げるように、こういう指示をいたしました。その後、知事からの派遣要請もありましたけれども、今自衛隊がやっておりますことは、もちろん人命救助問題、例の孤立地域から人をヘリコプターによって救出するという作業、それから炊事車を出して食料供給、おつくり申し上げるということ、それからもう一つは、農水省等と連携しながら食事、食料を供給する、あるいは毛布を輸送する、こういう仕事をしております。

 いずれにいたしましても、できることはもう一生懸命頑張ってやる、これが私どもの姿勢でございます。

佐藤(茂)委員 まだまだ一刻を争う、そういう状態だと思いますので、ぜひ引き続き力を入れていただきたいなというふうに思います。

 その上で、先ほど岩屋議員が最後の方に質問されましたけれども、在日米軍の再編につきまして、何点か確認をしながら質問させていただきたいと思います。

 一つは、先ほども話がありましたけれども、十月二十一日の参議院の予算委員会だと思うんですが、政府統一見解というのを防衛庁長官が読み上げられたわけでございます。先ほど来ありますように、前段の部分と後段の部分で果たしてつり合いがとれているのかどうかというのは、非常にわかりにくい表現になっているわけですね。「一概に申し上げることはできませんが、」と言いながら、最後には、「極東条項の見直しといったことは考えておりません。」そういうことになっているわけでございます。

 それで、確認でまず両長官、大臣にお聞きしたいわけでございますけれども、この全体の意味するところは、今回の在日米軍再編の問題に関する日米協議では、日米安保条約の極東条項とその解釈を定めた昭和三十五年二月の政府の統一見解、これを変えずに対応する、そういうことをきちっとここでもう一度あらかじめ日本の国の姿勢として明確にしたんだということと受けとめてもいいのかどうか、もともと発端となりました防衛庁長官にまずお聞きしたい。

 続いて、町村外務大臣。先ほどの答弁で同じ質問の部分ははしょっていただいたらいいと思うんですけれども、先ほども引用されましたけれども、那覇での、「頭からまず、極東条項ありきだと非常に狭い議論になる。今はまだ、頭を柔らかくして広い視野で議論することも大切だ」、そういうことを述べられた。その真意と、パウエル国務長官も、総理と外務大臣に会われた後、インタビューで、要するに、今度の司令部が、任務がどうなるのか、どこへ行くのか、将来のことはすべてこれから協議する問題だ、そういうふうに述べられているんですね。

 そういう会談も踏まえながら、町村大臣にお聞きしたいのは、その沖縄での発言の趣旨と、また、在日米軍がどのような司令部であれば日本として受け入れ可能なのか、どのような司令部であれば受け入れることはできないと今の段階で考えておられるのか、所見を伺いたいと思います。

大野国務大臣 まず、二十一日でございましたか、参議院の予算委員会で統一見解というのを申し上げました。このことを繰り返しません。

 繰り返しませんが、先ほども外務大臣がおっしゃっておりました、法律と、もう一つは日本の安全を考える、世界の安全は日本の安全なんだ、日本の平和は世界の平和につながるんだ、目的から考えていく、理念から考えていくということ、これが私は大変大事なことだと思っています。その上での、安保条約なり極東条項についてどういうふうに考えるのか、こういうことでございます。繰り返しませんが、従来の見解を変えるつもりはない、これが統一見解でございます。

 そこで、またわかりにくい答えになるかもしれませんが、一般論であったとしても、我が国の施設・区域を使用して指揮統制を行う司令部が具体的にどのような活動を行うかについては、さまざまな可能性があります。そこで安保条約第六条との関係を一概に申し上げることはできないのでありますが、いずれにせよ、今次の在日米軍の兵力構成見直しは現行の安全保障条約そして関連取り決めの枠内で行われることは当然であり、極東条項の見直しは考えていない、こういうことでございます。

町村国務大臣 今大野長官が言われたことを前提にしながら、踏まえながら、私の真意といいましょうか、発言の、考え方のお問い合わせがありました。

 結論は、今大野長官が言ったとおりであります。

 ただ、今、日米間でどういう状態にあるかというと、それはいろいろな議論をするから、時として個別の議論が出てくることはありますが、主として、現状は、どういう観点で米軍の軍事体制の見直しをやるのか、これはもう既にいろいろな講評もあるわけですけれども、その物事の考え方であるとか、あるいはアジア太平洋地域における米軍の役割、日本の自衛隊の役割、どういうことなんだろうか、あるいはその地域の軍事情勢、政治情勢をどう見たらいいのかといったようなことを、かなり基本的な考え方について意見交換をしているという段階であるわけでありまして、したがって、どういう司令部なら受け入れられて、どういう司令部ならだめでというような話をしているわけではないわけであります。

 ただ、現状はそうやってかなり、余り事前の制約を置かずに自由な議論をしているというときに、まず何々ありきという枠をはめるような議論では、必要なことがもしかしたら議論されなくなってしまうかもしれない、それでは本末転倒ではないかということを申し上げたので、安保条約なり極東条項なり、こういったものを一切無視して物事をどんどん進めていいといったようなことではなくて、そこの最終的な結論は今防衛庁長官が申し上げたとおりだということに尽きるわけであります。

佐藤(茂)委員 これから戦略対話に臨まれるということで、非常に広い議論から始められると思うんです。

 そこで一つ、今回なぜこういう事態がいろいろ揺れ動く話になってきたのかというところを私なりに分析しますと、小泉総理もパウエル長官のときにこういう表現で言われているんですけれども、日米安保条約は日本と極東の平和と安定のためにある、世界全体について日米が協力して取り組むことが重要だ、そういう立て分けをされているんですね。

 要するに、安保条約に基づく日米間協力と世界的規模での日米同盟関係、この両者というのが常にあって、それをずっとこれからもやっていくんだという趣旨のことをパウエル長官に言われたわけでございますが、しかし、この両者にはやはりかなりギャップがあって、今回具体的に名前が出た米陸軍第一軍団司令部の座間移転案というのは、そのギャップが端的に出た議論ではないのかなというふうに私自身はとらえているんですね。

 政府は、今後、在日米軍の機能をどのようなものとしてとらえて、今の言葉で言うと、安保条約に基づく日米間協力と、もっと世界の中での、世界的規模での日米同盟関係を具体的にどのように調和させていくお考えなのか、抽象的で申しわけないんですけれども、外務大臣にお聞きをしたいと思います。

町村国務大臣 お答えもやや抽象的にならざるを得ないのをお許しいただきたいと思います。

 先ほど、小泉総理のパウエル国務長官との話を引用されましたが、そういう基本的な頭の整理をしているのは、それは事実でございます。

 そして、現実に安保条約がある中で、先ほど岩屋議員の御質疑にもお答えをいたしましたが、私どもは、やはり国際平和協力のためということでPKO法をつくり、そしてさまざまな具体的な活動を展開し、さらにはアフガン、さらにはイラクという形で、国会の御審議を経た上での法律を通して、これは広い意味のまさに日米同盟ということでやってきているわけでございます。そういう意味で、私どもは、この日米同盟という考え方、あるいは安保条約が現に存在するということと、世界規模で、グローバルな安全保障という課題でアメリカと協力をしていくということについて、大きな矛盾があるというふうには実は考えておらないのでございます。

 ただ、先ほど委員が言われた、米軍の司令部をどうするかという話、これは本当に、先ほど大野長官が言われたように、どういう機能を持つ司令部なのかとか、それが実際にどういうコントロールを米軍に対してするのか、あるいは日本との関係はどうなるのかということについて、まだ具体の話にはなっていないものですから、何となくそこにすき間があるような印象を持たざるを得ない面があることは委員の御指摘ではわかるのでありますが、現実まだそこのところまでの詰まった議論にはなっていないんだというふうに御理解を賜れば幸いでございます。

佐藤(茂)委員 実はこれに関してはほかに聞きたいことがあるんですけれども、時間が二十分でございますので、大分予定していた質問を飛ばしまして、今回の米軍の再編協議と防衛大綱の考え方についてお聞きをしたいんですけれども、外務大臣とパウエル長官の話でも、これから数カ月かけて精力的にやっていくんだ、まず戦略対話からやって個別具体の話はそれからだ、そういう話になりましたね。

 しかし、今、我が国の安全保障政策全体を見ていったときに、一つは我が国独自の努力と、もう一つは日米安保条約に基づく米軍の抑止力というものがいわば車の両輪となって日本の防衛というのは成り立ってきているわけです。これからのこの協議の結果、万が一にも米軍の抑止力が変わるような、具体的に言うと、米軍の一部が撤退するとかそういうことも十分結論として考えられると思うんですけれども、その結論が出るのが、具体的に今から協議を始められて、一部報道には来年の五月とも、五月かどうかわかりませんけれども、来年の春ぐらいなのかもわかりません、そういう段階で結論が出されようとしているにもかかわらず、今、先ほどからありました安防懇のそういう答申というか結論が出たからといって、年内に防衛大綱をきちっと進められるということに対してタイムラグがあるんじゃないのかと。

 要するに、在日米軍がどうなるのかということが、我が国の防衛にとっては、これからまだ防衛大綱にも非常に影響を与えると私自身は思うんですけれども、しかし、そういうものを、果たして結論も待たずに防衛大綱をやることによって在日米軍の再編のものが本当に反映されるのかどうか、全面的に反映されることに懸念があるのならば、もう少しこの防衛大綱の策定については時間を待ってもいいのではないか、そういうふうに私自身は考えるんですけれども、防衛庁長官の見解を伺いたいと思います。

大野国務大臣 御指摘の点は理解しますけれども、アメリカのトランスフォーメーション、これもやはり、新たな国際環境、安全保障の国際環境が変わってきている、ここから出発しておるわけでございます。日本の防衛大綱、新しい防衛大綱につきましても、やはり新しい環境ということで、そのあたりの新しい安全保障の環境に即応して、対応して考え直していこう、こういうことでは共通点があるわけでございます。

 したがいまして、この十二月までに防衛大綱をつくる、そして中期防衛力整備計画をつくる、こういう作業を今やっているわけでございまして、その中でいろいろな戦略対話がアメリカとの間で行われ、具体的な問題が今アイデアの段階ですけれどもやりとりされているということでございます。

 その基本方針は、何遍も申し上げておるのでありますが、そういう中で、新しく対応していくという中でアメリカの抑止力を維持していく、そしてまた、沖縄を初めとして、米軍の区域・施設があるところはやはり住民に御負担をかけるわけですから、そういう意味で負担を軽減していく、この二つのプリンシプル、原則で検討していくということで、私は御懸念のようなことにはならない、このように思っております。

佐藤(茂)委員 今の答弁ではちょっとまだ納得できないんですけれども、時間が参りましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。

小林委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。同僚議員のお許しをいただきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、台風二十三号を初め、風水害、また、このたびの新潟県中越地震におきましてお亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、被害に遭われた方、被災された方々に対して、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。また、政府として全力を挙げてこの対応に乗り出していただきたいということを、これから質問も含めてお願い申し上げたいと思います。

 さて、まず防衛庁長官に質問をさせていただきたいんですが、初動態勢については累次改善がなされて、私は、防衛庁に関して、ここは安全保障委員会ですので他のことを申し上げることはいたしませんが、自衛隊についてはかなり早い動きがなされたのではないかというふうに思っておりますし、その頑張りについては心から敬意を表したいというふうに思っております。

 私も、国会議員にならせていただきましてから、地震や、地震といいましても、阪神・淡路大震災あるいは鳥取県西部あるいはいろいろな風水害に視察に行かせていただきましたけれども、忘れがちなのは、自衛隊員の皆さん方だけじゃありません、地域の自治体の職員の皆さん方、消防、警察、ボランティアの皆さん方、本当に一生懸命やっておられるわけでありますが、自衛隊の皆さん方に対しては、何か体力が無限に続いて、そして強靱な精神力を持っているという前提に基づいて、使い減りしないのではないかというような前提で話がされる場合が多いわけでありますが、自衛隊員の皆さん方も人の子でございますので、相当な疲労、ストレスというものがたまっているんじゃないかと思っております。

 そういう意味では、特に、たび重なります自然災害の出動において、自衛隊員のメンタルケア、ヘルスケアというものをどのように考えておられるのか。特にローテーション、これをしっかりやっていただくということが私は大切だと思いますが、防衛庁長官として、その点についてはどう留意をされて、そして万全な対策をとられているのか、そのことについて、まず御答弁をいただきたいと思います。

大野国務大臣 ただいま温かい御配慮でございます。

 今、人員の確保につきましては、中部方面それから東北、これもあわせて考えていくようにしております。それから、国、日本全体で四万人規模の自衛隊隊員の皆さんが待機してくれる、十分なゆとりを持った人員配置ということでやりたいと思っています。メンタルヘルス、メンタルケアにつきましても十分配慮してまいります。

前原委員 特に大切なのは、頻繁にローテーションをするということ、一人の隊員に過重な負担を与えないということが私は重要だと思いますので、そのことについては十分留意をしていただきたいと思います。

 その中で、今度は一つ具体的な要望をさせていただきたいんですが、私は地元が京都でございまして、京都でも今度の台風二十三号では、北部地域、これは宮津とか舞鶴、そういったところで由良川がはんらんをいたしまして、大変な被害が出ました。テレビ等で、バスの上に三十七名の方が取り残されて、そしてそれが幸いにも無事に救助していただくということで助かったわけでございますが、ただ、一つ一つ検証していかなくてはいけないと思います。

 今回の中越地震にいたしましても、夜のいわゆる救出作業について、本当に今の態勢でいいのかということをもう一度考えていただかなくてはいけないと思います。特に、この中越地震でも、やはり明るいうちでないとなかなか危険だと。もちろん二次災害の危険がございますので、その辺については慎重にやっていただかなきゃいけませんが、それは昼夜関係なく二次災害については極めて注意をしなくてはいけないことでありますが、台風二十三号、舞鶴のバスの乗客の方々の救出作戦にいたしましても、夜が難しかったと。風が強かったという部分もございますけれども、災害救助をやっていくためには、やはり夜に動けるための暗視装置といったものを含めた機材というものが不足をしているのではないか、十分に行き渡っていないのではないかというふうに思います。

 今後ますます、地震列島でありますし、ことしのように台風がこれだけ日本列島を通過するということになったときには、自衛隊の皆さん方は、当然ながら本体業務については国土防衛でございますけれども、この災害救助というものも極めて大きな役割を果たしていただかなきゃいけないわけでありまして、そういう意味で、一刻一秒を争う人命救助のためには、夜をも徹してやっていただくということがこれから必要になってくると思うわけでありますが、この暗視装置を含めた、夜の捜索活動をやっていくために今どういう問題意識を持っておられるのか、そのことについて防衛庁長官から御答弁をいただきたいと思います。

大野国務大臣 早い救助活動、これはもう当然大事なことであります。昼夜を問わず、早急に救援態勢を整える。今回、やはり今、前原委員からそういう指摘がございました。

 やはり今回のオペレーション、全力を尽くしてまいりますけれども、また、こういう点は反省しなきゃいけないんじゃないか、こういうことがございましたら、どうぞお届けくださいますようにお願い申し上げます。

 今後、そういう問題につきまして、暗視装置を含めて検討し万全を期したい、このように思っております。

前原委員 やはり一回一回、こういう災害が起きるということは望ましいことでは決してありませんが、起きたときの教訓を一つ一つプラスに考えていただきまして、ぜひそういった態勢整備については努力をしていただきたいと思いますし、我々、野党の立場でありますけれども、そういうものについては与野党関係なく協力をしていきたい、このように思っております。

 さて、きょうは内閣府から林田副大臣、御苦労さまでございます、台風二十三号と中越地震にかかわる問題両方あわせてお伺いをしたいと思いますが、時期が時期だけに、寒さの問題、食料の問題等々、あるいは水、生活用品、こういったものの不足が特にある地域には集中をするということで、それがまた報じられておりますし、きょうの本会議でもそういった議論がなされたわけでございます。初動が早くても、実際そういう対応が後手に回ればまたそれに対してのいろいろな苦しい立場に、それでなくても家が崩壊したり家が流されたり、あるいは身内の方がけがをされたり亡くなられたりという方々でございますので、非常によりつらい思いをされる部分があると思いますが、今、食料不足、毛布あるいは生活用具等の不足というものについて、どういう現状把握をされていて、どういうふうに内閣府としては対応されようとしているのか、そのことについて答弁をいただきたいと思います。

林田副大臣 今委員御指摘のとおり、二十三号、半径八百以上ということで超大型ということになっておりましたけれども、そういう台風が終わった後、今般の中越地震でございます。先ほど明るいうちの被害という話がございましたけれども、中越地震につきましては、ちょうど夕刻、もう既に現地では暗くなっていたのではなかろうかと思います。

 そういう中でああいう事態が起きまして、早速、当然危機管理センターに局長級クラスを招集いたしまして、まず初動態勢ということで情報把握、それには、先ほどお話ございましたように、防衛庁から自衛隊、あるいは海上保安庁それから警察庁、それぞれ関係省庁がいち早く現地に赴いたわけでございます。

 内閣府といたしましても、先遣隊を二十三日中に派遣いたしまして、まず地元の県、市町村の要望、どういう物資が実際どういった形で不足しているのか、あるいはそういうことをいかに的確に把握するか、その情報収集に努めたわけでございます。

 その後、明くる日には、我が担当大臣、村田大臣が現地に赴きまして、それぞれまた生の声を聞いていただく。その中で、実際に、具体的には長岡の市長さんあたりから、まず当日の食料、五万食ないし六万食が足らないということでございますし、それ以降につきましては、二十万食以上のまず食料確保、まず食べ物だということが要請されまして、すぐさま我々は、留守部隊と言ったら失礼ですけれども、対策本部を設けまして、各省庁それぞれ局長級クラスに集まっていただいて、それぞれつかさつかさで、持ち場で対応していっておるつもりでございます。

 そのほか、毛布等々それぞれございますし、今第三回の対策本部もやっていますし、また、毎日五時過ぎにはそれぞれまたその日その日の締めをやっていきたい、万遺漏なきよう対応してまいりたいと思っております。

前原委員 大変な状況の中でお仕事をされていることについては敬意を表しますが、情報収集をしっかりやられて、そして遺漏なきように最善の努力をしていただきたいと思います。

 その中にありまして、きょうの本会議でも質疑が出ておりましたけれども、台風二十三号の被害、そしてまた中越地震、激甚災害指定を早期に指定していただくということがやはり復興のはずみというものにつながると思いますし、また、その地域の方々の勇気にもつながると思います。

 きょうの本会議答弁では、その被害額を精査してということでございましたけれども、これは早く、そんな細かな数字まで積算がすぐできるわけありませんので、ここはあらかたのことで激甚災害に指定をして、そしてすぐさま、災害指定をしたことによって、取り決めることについて何でもやっていくという姿勢が私は必要だと思いますが、この激甚災害指定について御答弁をいただきたいと思います。

林田副大臣 御案内のとおり、激甚指定というのは本激、局激というのがございますが、本激になりますとオール・ジャパンで対応されるという形でございますけれども、いかんせん、現行法によりますと、今委員御案内のように、いわゆる被害額の査定というのがまず大事でございます。

 これには確かに現地の方でもいろいろな努力はしているようでございますけれども、なかなかそれには時間がかかるということでございます。地方公共団体から被害状況につきましての把握とともに、査定に間に合わないという生の声も、実は私、現場に行って聞いてきております。

 そういう意味合いでは、担当部局には、今先生おっしゃいましたような精神と申しますか、そういうのを含めてやるようにということを言っておりますが、結果として、指定に至るまでは、申しわけございませんけれども、最終的には、おおむね被災が起こってから二カ月ぐらいかかるのではなかろうかと思っております。極力努力いたします。

前原委員 二カ月といったら、かなり長い期間ですね。このことについては、最善の努力、短縮をする努力をしていただきたいというふうに思います。

 それから、国土交通の蓮実副大臣にかかわる話かもしれませんが、今回の台風や地震で、かなりの数の家屋が損壊をしたり、また、その中には公営住宅というものも含まれておりますが、やはりまずは住むところの確保ということが何よりも重要なことになってくると思いますが、公営住宅あるいは一般の住宅の再建支援はどのように考えておられるのか。

 一般の住宅については、これは林田副大臣かもしれませんが、あわせて仮設住宅の必要性というものも出てこようかと思います。これについてはどういう段取りといいますかお考えを持っておられるのか、あわせて両副大臣から答弁をいただきたいと思います。

林田副大臣 御案内のように、山古志村みたいに全村二千名以上の方が離村せざるを得ないという形の場合もございますし、当然、その地域地域で自分の住むべき家屋を失った方が多数おられます。

 そういう中で、当然、公営住宅がどのくらい今保存量としてあいているのかどうか、これの確認も必要ですし、また、恐らくそれでは足らないだろうということで、先ほど申しました現地のいろいろな調達物資というか希望物資の中にも当然仮設住宅というのも入ってきております。

 しかし、御案内のとおり、これから豪雪の地帯に、雪の冬の時代に建てるわけでございます。いろいろな面は、これは国土交通省でなさっていると思いますけれども、我々も、仮設住宅の確保については、近隣あるいは全国に展開してでも対応してまいりたいというふうに思っております。

蓮実副大臣 住宅の問題でありますが、公営住宅の場合は、被災した公営住宅の復旧につきましては、今後、地元地方公共団体の具体的な復旧計画を出していただいて、そして補助の実施等、国としてできる限りの支援をしていただきたい。なお、激甚指定がされれば、二分の一の補助にプラスかさ上げをするということになっております。

 また、一般住宅の問題でありますが、これは被害を受けた方々に対しては、低利の災害復旧についての住宅融資を行っていきたい。また、住宅金融公庫の住宅ローンを返済中の場合、これは返済方法の変更等による支援を実施していきたいというふうに思っております。

前原委員 水害また地震等でかなりの農林水産業に対する被害が出ているというふうに思っておりますが、例えば天災融資法の早期の発動とか、あるいは再保険金の早期支払いということが地方自治体から要望として出されていると思いますけれども、農林水産副大臣、こういったものへの取り組み、ぜひ前向きにとらえていただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。

岩永副大臣 お答えをいたします。

 特に、今回の二十三号については、茨城、和歌山、広島、岡山等から農作物の被害が大変多く発生しております。特に、農地、農業用施設、林地、林道、水産業に大変大きな被害が出ております。この間も、先生の地元の京都、兵庫にうちの常田副大臣が行きました。そして、広島、岡山へも私が行ったところでございます。

 それで、京都から出ている我々に対する要請は、やはり治山林道、農地の農業施設の復旧を早期にしてほしいということ。それから、今お答えありました激甚災害の早期指定。それから、特にハウス等が相当やられておりますので、やはり農業共済等を早期支払いして、そしてハウス等の建てかえに早く寄与したいということ。京野菜だとか黒大豆だとか小豆の被害が大変大きかったようでございます。

 それで、今お話がございました天災融資法でございますが、災害の方は十号、十六、十八、これはワンセットにして、そして大体農作物の被害が一千億以上でなきゃだめだ、こういうことでございます。ただ、二十三号だけは離れておりますので、その二十三号がうまく天災融資法にかかるかどうか、一千億の災害になるかどうかというようなことを今調査しているわけでございますが、今のところ二十三号だけでは百七十七億の被害が来ているんですが、これからどんどん調査が進むにつれて来るだろう、このように思っておるわけでございます。

 経営資金が〇・八%でございますので、そこへ県、市町村の上積みをしていくなり、また、返済をしたいけれども今までの借金がようけある、そのことのための期間延長をしてくれ、こういうような話がございますので、そういうことについては積極的に対応していきたい、このように思っております。

前原委員 今のお話で、二十三号だけ台風が離れているということでありますけれども、累次の台風の被害があって、そして最終的にこういう大きなものが来ているわけで、それを時期が離れているからということで別個にカウントするというのは私はいかがかと思いますし、非常に冷たい行政としての原理原則主義ではないかと私は思いますが、その点はやはり包括して、その年に起きた災害でトータルとして見ていただくということでぜひ御検討いただきたいと思いますが、その点、もう一度御答弁ください。

岩永副大臣 私個人としても、先生と同じように、うちの事務当局に要請しておるわけでございますが、かなり天災融資法の適用については厳しい規約があるようでございます。

 できるだけひとつ前向きに私も取り組んでいきたい、このように思いますが、まだ全体の災害の調査が進んでおりませんので、この二十三号、まだほんのこの間でございますが、全体固まりましたらまたその時点で考えていきたい、このように思っております。

前原委員 この自然災害に対する質問は最後にさせていただきたいと思いますが、国土交通副大臣にお伺いしたいと思います。

 地元のことで恐縮でございますが、一級河川の由良川がはんらんをいたしました。お隣の兵庫県豊岡の円山川というのは堤防が破堤をしてああいう被害になったわけでありますが、由良川は破堤をしておりません。破堤をしていなくて、いわゆる計画水量といいますか、一番最高に見積もった水量を完全にオーバーフローする、そういう量があったということでありまして、私が聞いておりますのには、昭和二十八年以来の出水だ、つまり五十年ぶりの大雨だというふうに伺っております。

 そういうことになりますと、やはり一級河川でございまして国の直轄河川でございますので、そもそもの抜本的な改修というものがこの由良川においては必要だ。五十年に一回、こんな大雨が出ている一級河川であれば、私はそれはやはり国の責任は問われてしかるべきだというふうに思います。

 そういう点から、抜本改革をやってもらいたいということと、あともう一つ、二級河川でございますけれども、大手川というのがこれまたはんらんをいたしました。これについては、河川の激甚災害対策特別緊急事業などの早期の採択によって、何とかこの河川整備を国のバックアップもしていただいてしっかりやっていただきたいということをこの二つの河川についてお願いをしたいと思いますが、国土交通省としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

蓮実副大臣 由良川の問題でありますが、河川整備計画は、学識経験者や地域の意見をよく聞いて、平成十五年八月に作成しております。

 下流部と上流と中流とありまして、御承知のとおり、下流部では平たん地が非常に狭いんですね。ですから、地形的な条件を考慮して、緊急かつ効率的に洪水から守るというために、集落を守る輪中堤を整備する計画をしております。

 中流部では、綾部市や福知山市の市街地を守るために、これは連続普通堤防を整備することにしております。今大分できていますが、抜けている部分をすることになります。堤防整備に当たっては、下流への流量増加に対する上下流のバランスを考慮するために、下流部の輪中堤整備の進捗と整合性を図りながら進めていくことにしております。

 下流部については、国や京都府、関係市町、これは福知山と舞鶴と宮津と大江町ですが、これで構成する由良川下流部水防災対策協議会、これは平成三年に設置しておりますが、優先度や実施箇所を決めておりまして、現在、大江町千原・尾藤地区と舞鶴市水間地区の二地区において、輪中堤の整備を進めることにしているところでございます。

 また、中流部については、昭和四十年から綾部市の域で堤防整備に着手し、一部を除いて綾部市域はおおむね完成をしております。また現在、福知山市域の戸田地区において堤防整備に着手をしております。

 今後とも、地元と合意調整を図りながら、河川整備を積極的に進めていきたいというふうに考えております。

 また、二級河川の大手川の問題でありますが、台風二十三号の襲来に伴いまして、宮津市を流れる大手川がはんらんをし、市内に約二千戸の床上、床下の浸水被害が生じた報告を受けております。今回の大手川の甚大な浸水被害に対しまして、河川管理者である京都府において、再度災害防止の観点から改修計画を現在早急に検討していると聞いております。国土省としては、京都府の計画がまとまり次第、協議しながら速やかに対処してまいりたいというふうに思っております。

前原委員 政府参考人で結構ですので、今副大臣が御答弁をされた由良川の件ですけれども、整備計画が整えば今回の水量でもこういった洪水は起きないんですか。起きないということであれば今のお答えでいいと思うんですけれども、その水量が五十年ぶりの出水でございますので、今の整備計画でそれがクリアされるのかどうか、そこが一番大きなポイントなんです。そこを私はお聞きしているわけです。

土屋政府参考人 今度の洪水をもたらした降雨がどのくらいの降雨かということについては、また今後精査しなければならないと思っているところでございますけれども、今の段階でわかっている状況におきましては、今回の降雨に対しまして、ただいま持っております計画が完成すれば、いわゆる破堤等の状況は生じない……(前原委員「破堤はしていないんです、由良川は」と呼ぶ)破堤防というんですか、輪中堤でございますので、堤外にあふれることはあふれますけれども、いわゆる人家に対する甚大なる被害が生ずるということはないような状況になろうと思っているところでございます。

前原委員 もう一度降雨量を精査していただいて、そして今回の降雨量、それ以上も可能性としてあるわけで、せっかく整備をしていただくのですから、もう一度根本的に見直していただいて、このような大きな被害、今さっきおっしゃったように三市一町にまたがる非常に大きな被害が出ました、今回は。したがって、ぜひこれを根本的に見直していただきたいということを要望させていただきたいと思います。

 それでは、台風、震災関係はこれで終わりですので、国交副大臣は海洋権益の問題で質問が残っておりますので、それ以外の方々は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 続きまして、防衛庁長官に、サマワでのいわゆる砲弾の着弾について質問させていただきたいと思います。

 十キロほどの射程距離だというふうに、北側から飛んできたというふうな説明をいただいておりますけれども、信管がなかったために爆発することはなかったということでありますが、先ほど岩屋理事からも質問がありましたように、何かのメッセージかもしれないし、もし爆弾、信管というものがついていれば大きな被害が出た可能性があるということでございます。今まではそばに落ちたことはありましたけれども、やはりこういう自衛隊のいわゆる宿舎内、敷地内に着弾をしたというのは初めてだと思いますが、これを受けての安全対策、どのように考えていかれるのか、そのことについて御答弁いただきたいと思います。

大野国務大臣 今回の、サマワにいます自衛隊の宿営地の中にロケット弾が落ちた、おっしゃるとおり信管がついておりません。どういう意図かまだ十分わかりません。しかしながら、我々としては現地の治安当局とも十分連絡をとって、どういうことであったのか、背景について十分把握をしなきゃいけない、このように思っております。

 今回の教訓でどういうふうにやっているか。というよりも、むしろ我々は安全対策をきちっとやっております。これは、監視塔もございますし、夜間のそういう調査をするのもやっております。しかしながら、やはり宿営地に対して迫撃砲なりロケット弾などによる攻撃の危険性が、今回もそうでした、全くないと言えないわけでありますから、宿営地の建設をするに当たりましてはとにかく危険性をもう一番小さくしていかなきゃいけない、こういうことでやっておるわけでございます。

 それから、今申し上げましたように、適切な監視態勢も当然やっていることでございます。また、万一攻撃された場合にどういうふうに対処をするか、これも訓練をしているわけでございます。

 しかし、この詳細を御答弁するということは、宿営地の隊員の安全にかかわることでございます。生命、身体の防護をするためのいわば手のうちを見せてしまうということになりかねませんので、この詳細、どういうふうにやっているのかということにつきましては、お答えは勘弁していただきたいと思います。

前原委員 自衛隊員の身辺にかかわることについては詳細な答弁は結構です、それは。

 それ以前の問題として、防げるのかといったら、防げないと思うんですね。防げないということになれば、先ほど申し上げたように、爆弾等が、それがついているものであれば被害が出る可能性がある、人的被害の可能性はこれはあるというふうに今考えておられるのかどうなのか、そのことについて御答弁ください。

大野国務大臣 今回、宿営地の中に落ちたロケット弾ということに限定させていただいて……(前原委員「いや、そうじゃなくて今後の話」と呼ぶ)今後の話ですね。それにつきましては、先ほどから御説明いたしておりますけれども、建物の問題、監視の問題、十分やっております。

 だけれども、ある意図を持って巨大な破壊力を有するものが、仮にですよ、仮に飛んできた、こういうことになれば、安全確保の見地から大変問題であります。

 したがいまして、今現在どういう情勢にあるのか、今現在は、何のためにあのロケット弾が宿営地に落ちてきたのか、なぜ信管がついていなかったのか、こういう問題をきちっと把握して今後の対策を考えていかなきゃいけない。

 しかし、おっしゃるとおり、今の状況の中で、昼間であろうと何であろうと、やはり猛烈なる爆発力を持った、巨大な爆発力を持ったものが飛んできた場合、このことについてはどう考えるのか、これはもう安全の確保の問題になってまいります。そういう仮定の問題として、ちょっと答えにくいところがございます。

前原委員 いや、仮定の問題じゃなくて、実際に自衛隊員がそこで活動しているわけですね。人的被害の可能性もあるわけですよ。その場合に、私がこれから質問したいのは二点ありまして、法律の要件を整えているかどうかという問題と同時に、法律の要件が整えられたけれども、人的被害があってもイラク特措法の前提条件というものは整っているというふうに考えるのかどうなのか。つまり人的に被害が出る可能性があるわけですよ、当然ながら。防ぎようがないですから、一〇〇%。じゃ、そういう人的被害が仮に出たとしても、このイラク特措法の前提条件は崩れていないというふうに考えるのかどうなのか。その点の判断は、先ほどのテロ特措法での岩屋理事の質問と同じように、常にどういう基準で撤退をするのかしないのか、そういうことも含めて、一番の指導者である防衛庁長官、考えておかなきゃいけない問題ですから、そのシミュレーションをしっかりと、どういうふうに考えているのか。人的被害が出た場合においては法律の要件が整っていると考えるのか考えないのか、まずその点、御答弁ください。

大野国務大臣 まず、法律自体の問題であります。これは戦闘地域ではなくて非戦闘地域、これはもう委員御存じのとおりであります。これは憲法上の、法律上の問題であります。

 それからもう一つ、特措法自体の九条では、やはり、総理大臣並びに防衛庁長官というものは隊員が安全に活動できるようにしなければいけない、こういう配慮義務がございます。その配慮義務に照らして、どの程度の問題をおっしゃっているのか、具体的に、起こる前にそれはもちろん考えておかなきゃいかぬことであります。だから、その点はきちっと対応していきたいと思っております。

前原委員 それは答弁になっていないですよ、長官。つまりは人的被害が出る可能性はあるわけです、先ほど御自身も認められたわけですから。人的被害が出たときに法律の要件を整えると考えるのかどうなのか、そのことを聞いているんです。

大野国務大臣 これは配慮義務を最大限尊重してきちっと対応してまいりたいと思いますが、具体的にどういう場面の人的事故なのか、こういうことがわかりませんと、ちょっとお答えしにくいんですね。

 安全は絶対確保する、この気持ちはもうきちっと持っておりますけれども、具体的にどういう状態の中でどういうふうになっていくのか、治安の維持というもの、治安の安定というものと照らし合わせてどういうふうに考えていくか、その点は真剣に考えております。

前原委員 いやいや、答弁になっていないんです。防衛庁長官は、もちろん、日本国として今イラクに自衛隊を派遣して、その任務を日本国として果たすという役割と同時に、働いている、活動している自衛隊員の安全をどう守っていくのかということに最大の責任がある立場の方ですね。それで私は質問しているわけです。

 あれは警告的な意味があったと思いますよ。つまりは、いつでも攻撃することができるんだと。したがって、先ほど話をさせていただいて防衛庁長官も認められたように、人的被害が出る可能性があるわけです。あったときに、法律の要件は整っているか整っていないのか。安全確保の役割と、あとは先ほどおっしゃった非戦闘地域、戦闘地域の問題、その両面からあわせて、そういう人的被害が出たときには法律の要件を整えると考えるんですかということです。

大野国務大臣 非常に難しい問題でございますけれども、第一の要件は、戦闘地域はだめだ、これは憲法の要請する問題であります。

 第二の、治安というものをどう考えるか、これは非常に難しい問題なんですね。

 例えば、先ほどの繰り返しで恐縮でございますが、ロケット弾が信管なしに打ち込まれた。これは一体おどしなのか警告なのか何だろう。これも背景がよくわかりません。この点については、やはり的確な情報収集をして、イラクの治安当局とも連携をとらなきゃいけない。しかし、サマワのムサンナ県の警察当局が宿営地に来たときの話では、そういうことはないということを言っています。

 そういう仮定の問題というか、それはもちろん起こるかもしれない問題ですよ。しかし、抽象的にお答えする、一般論としてお答えするというのは物すごく難しいわけでございますので、そこは御理解をちょうだいしたい。しかし、私たちは安全確保の責務を負っている、このことは断言して誓わせていただきたいと思います。

前原委員 ということは、では一つだけお答えください。そういうことが決してあってはいけないと思いますし、望んでいるわけでももちろんありません。ないように万全を尽くしていただきたいと思いますが、しかし、先ほどから議論しているように、その可能性があるわけですね。そういったときには、今までの防衛庁長官の答弁からすれば、人的被害が出た場合は法律の要件が整わなくなる場合もある、そういうことでよろしいんですね。

大野国務大臣 結論から申し上げますと、そういう場面もあろうかと思います。

 ただし、抽象論、一般論でお答えするのが物すごく難しい問題である、この点は御理解をちょうだいしたいと思います。

前原委員 誤解を避けるために改めて申し上げますけれども、そういうことがないことを心から望んでおります。また、安全には万全を期していただきたい、立場は違いますけれども。しかし、今長官おっしゃったのは、何かがあったときには法律の要件が整わない場合もあり得ると。これは非常に重い問題でございます。

 また、そういう警告が発せられた中で、十二月十四日期限切れ。これ、簡単に延長していいんですか、防衛庁長官、この延長問題については。こういう状況、今、先ほどおっしゃったように、どういう意図かわからない、背景かわからない、警告かもしれない、おどしかもしれない、その中で、十二月十四日、果たして延長をそのまましてよろしいんですか。

大野国務大臣 御存じのとおり、十二月十四日、基本計画の期限切れでございます。これを延長するかどうか、治安の問題だけに限って申し上げたい。

 それは、一つはそういう今の治安情勢をどう判断するかという問題でございますけれども、その治安の情勢をどう判断するか。ロケット弾が宿営地に落ちてきた、それは何の意味を持つんだろうか、こういう問題もあります。一体、そういう犯罪的集団あるいはテロリストが現に存在してねらっているのか、何かよくまだ背景がつかめていないというのが現状でございます。

 そういうことで、そういう要素はありますけれども、やはり我々は、理念として、テロには絶対屈しちゃいけない。そしてまた、自衛隊が一生懸命頑張っているイラクの人道復興支援、民生の安定、そしてまた、イラクが復興の道に着々とついていく、こういうことは大変大事な問題であります。そういう問題を念頭に強く置いて、そして今申し上げたような治安の問題をどう判断していくか、これが大事なことであります。

 御存じのとおり、サマワというところは……

前原委員 もう長くはいいです、だから。長官、要は、長官御自身の意見としては、十二月十四日、基本計画が切れるわけですね、それで、延長されようとしているのかどうなのか。それは、御自身の意思として延長すべきだと思ったのかどうなのか、その点だけ御答弁ください。

大野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、これから十分検討して、遺漏なきように決定していきたい、このように思っています。

前原委員 遺漏なきように決定をするというのはどういう意味ですか。ちょっと済みません。

大野国務大臣 わかりにくいと思いますので、「遺漏なき」は取り消します。

前原委員 とにかく、拙速な決断だけはやめていただきたい。確かに、それは政府としては決定されたことは重いわけでありますけれども、同時に、非常に難しくて大切なのは、状況判断をして撤退をするという判断も極めて私は大切だというふうに思いますし、ましてや、隊員の生命にかかわることが現実のものとして起こりつつある。このことは、防衛庁長官は、だからこそそのことをしっかりと閣内で言われる立場にあるということを私は申し上げて、このことについてはまた同僚議員も質問すると思いますので、譲りたいと思います。

 一つ、今津防衛庁副長官にお尋ねしたいと思います。

 この間、御一緒させていただきまして、まだ副長官になられる前でございましたけれども、愛知万博の予定地、建設中のところを見させていただきました。我々の視察の目的というのは、極めて多くの方々が来られる予定である愛知万博においてのいわゆるテロ対策が果たして万全なのかということについての目的であったと思います。

 まず、その視察をされて、テロ対策、特にNBCなどのような大量破壊兵器を使ったテロに対して、一日十五万人を想定するような方々が来られるわけであります、そういう方々がたくさん来られる、想定されるような万博で、見られた形として、現段階、テロ対策は十分と思われたかどうか。まず、その観点から御答弁いただきたいと思います。

今津副長官 九月だったと思うんですけれども、議員と一緒に万博予定会場の瀬戸市へ行ってまいりましたが、来年の三月から六カ月間で千五百万人ぐらいを目標にしてお客さんが集まってくる、まことに大きなイベント、そのテロ対策はどうなっているかということを議員と一緒に視察をしてきたわけであります。

 会場は、率直に言いまして、三カ所の入り口があると。ですから、第二会場も含めますと四カ所になりますし、また、周りが森というんでしょうか、公園の中ですから森に含まれていて、起きてはならないテロ攻撃、しかしゼロ%とは言えない。そういうものに対しては、やはりこの際しっかりと対策を練って臨むべきだ、そのことが、テロ攻撃をたくらむ人がいるとすれば抑止力にもなっていくだろう、そんなふうに考えました。

 もちろん、警備については警察が第一義に考えていくことでありますけれども、日ごろ、防衛庁も警察と十分に連絡をとってこういうことには対処していく、いろいろな相談をしておりますので、万全を期していきたい、このように思っております。

前原委員 特に、化学兵器、生物兵器などが使われるテロについては、可能性はないとは言えないし、先般行われましたアテネ・オリンピックにおきましても、アメリカのいろいろなシステム、またパトリオットまで配備して、空中から、あるいは会場内の出入りする人に対しての極めて厳しいチェック体制というものがとられたというふうに聞いております。

 これは、安全対策というのは、なきゃないにこしたことはありませんけれども、私は、プラスに考えると、これほど多くの方々が来られる中で、しかも、まさにテロなどの危険性というものがいろいろな国である、また、日本も自衛隊をイラクに派遣していることによってテロ組織から名指しをされている、おどしかどうかは別にして、名指しをされている以上、こういう大きなイベントがあるときに、まさに先ほど副長官が答弁されたように、他の省庁と協力をして、日本の危機管理、特に大量破壊兵器、テロなどのいわゆる抵抗力といいますか、いわゆる拒否力というものを高めるいいチャンスだと私は思うんですね。そんなむちゃくちゃお金がたくさんかかるような話じゃないと私は思っております。

 そういう意味では、アテネ・オリンピックよりはかなり長い期間行われます。アテネ・オリンピックは短期間でしたけれども、長期間にわたります。逆に、長期間にわたるということは、今からそういった対策を講じて、仮に開催日に間に合わなくても、徐々にそういった危機管理能力というものを上げていく、レベルアップをしていくということになると私は思います。

 現地を視察されて、またその後に運よくというか副長官になられたわけですから、ぜひリーダーシップを持って、このことはおれが責任持ってやるというぐらい、何かあったらおれの責任だと、そこまで言いませんけれども、それぐらいの気持ちで、やはり私は、愛知万博のみならず、こういうときにこそ日本のテロ対策のレベルを高めておく、そしてまた、そういうシステムをしっかりと持っておくということが大切だと思いますが、そのことについての決意をお述べいただきたいと思います。

今津副長官 日本でも化学兵器の攻撃があったんですね。サリン事件がそうですよね。ですから、起きないと思っていたことが突然起きる可能性というのはやはり否定できないわけでございます。

 そういう意味で、万博の警備については、財団法人二〇〇五年日本国際博覧会協会、これが主催者でありまして、警察当局と連帯をして安全の警備を図っていくということになると思いますけれども、もちろん防衛庁としてもできるだけのことをやっていく。

 議員がおっしゃったとおり、いろいろな先例に倣って、今回はいい機会なので、ひとつレベルの高いテロ対策というものを研究して、いろいろな外国のいろいろな例もあるようですから、そういうものも研究して、しっかり国民の皆さん方が安心できるような体制をつくっていきたいと思います。

 それから、委員長にお許しいただいて、一言だけつけ加えさせていただきたいと思います。

 先ほどのいわゆるサマワの自衛隊の方々の、非常に厳しい状況になってきたということについて、一言だけ私から意見を言いたいと思うんです。

 第一陣は、私の地元の第二師団が行ったんです。番匠幸一郎という人が群長で、帰ってきたときに私は聞いたんです。日本人だから無事に帰ってこられたのか、あるいはサマワという土地だったから無事に帰ってこられたのかと私が聞きましたら、番匠群長は、目をかっと開きまして、我々はあらゆるときのことを想定して、そしてすべてに全力を尽くして努力をしてきた、そして訓練をしてきた、その結果が我々が全員無事に帰ってきたことにつながったというふうに自信を持って言っていたんです。

 私は、日本の自衛隊の方々のそういう崇高な誇りと自信、そして努力というものを信じているところでございます。

前原委員 今付言されたことについてはそのとおりだと思いますが、だからこそ、そういった自衛隊員が人的被害に遭わないように努力していただくと同時に、そういうものの可能性の中で、どう総合的に、外交的なものを含めて判断をしていくのかということもぜひやっていただきたいということを先ほど申し上げたわけでございます。

 先ほどの愛知万博のテロ対策については、ぜひリーダーシップを発揮していただいて、また後で見に行きたいと思いますので、どれだけレベルアップされたのか、検証させていただきたいと思いますので、ぜひ努力をしていただきたいと思います。

 次に、米軍再編に絡んで質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど岩屋理事、佐藤委員のお話を伺っておりまして、考え方はほとんど一緒だと私は思いました。

 どういうことかといいますと、安保条約が改定されたのは一九六〇年ですね。一九六〇年のときに、これは私、きょう一部ですけれども、全部この日米安全保障条約等特別委員会の会議録というものをうちのスタッフの人に取り寄せてもらって、全部は目を通しませんでしたけれども、ある程度のところでは目を通しました。

 あのときの極東のイメージというのは、やはり冷戦の真っただ中、あるいは冷戦のよりきつくなっていく時代における自由主義陣営をどう守っていくかということの、その範囲を極東としてとらえていた。だから、統一見解として、これは昭和三十五年の二月二十六日だったと思いますけれども、フィリピン以北、そして台湾、そのときの中華民国、それから韓国を含める、こういうことで極東の定義ができたわけですね。

 つまりは、あのときの安保条約というのは、まさにソ連という脅威があって、そしてドミノ理論、共産主義化というものの脅威があった。日本のみならず、共産主義化を防ぐために極東条項というのを設けて、そしてその共産主義化を防ぐ、あるいは侵略を防ぐための施設・区域の提供という形で第六条というものがあった。

 今は完全に変わりましたよね、その状況は。もちろん、冷戦がすべて終わったとは言いません。アジアにおいては、まだその残滓というものがある。また、その残滓というものは極めて深刻なものである。朝鮮半島しかり、中台問題しかりだと思います。

 しかし、その当時の六条が想定していた極東というものについては、私は大きくその戦略環境なりが変わったんだというふうに思うんです。したがって、その変わった環境の中で、いまだに当時の極東という議論を前提として、その解釈の中に当てはめようとすること自体おかしいんじゃないですか。私はその考え方に立つべきだと思います。

 先ほど、枠を設けずということを町村外務大臣もおっしゃいました。その最初の議論はいいんだけれども、最終的には、統一見解で、いわゆる条約の極東に関する考え方は変わりませんということで落ちついている。これは全くもって時代に即した安保条約になり得ないし、もし外務大臣や防衛庁長官が日米関係は本当に大切だとおっしゃるんであれば、そういう足かせをはめることの方が将来の安保体制、日米同盟関係においてよりマイナスになるようなことを、二人がまさに外務大臣や防衛庁長官のときにされることになるんじゃないですか。

 だからこそ、一九九六年に橋本、クリントンの間で安保再定義というのをやって、冷戦構造対応からアジア太平洋の地域の安定のための公共財としての日米安保に再定義したんじゃないですか。本来であれば、あのときに条約改正も含めて新たな安保体制というものを構築すべきだったんじゃないですか。

 その点について、私の今申し上げたことについて、両大臣から御答弁をいただきたいと思います。

町村国務大臣 大きな時代の変化について、今前原委員がお触れになりました。私ども、そこの時代認識といいましょうか変化、確かにアジアにはまだまだ冷戦構造が、朝鮮半島、中台関係、残っているという認識、それに加えて新しい脅威というものがまた出てきているという中で、どう日本の、あるいは極東の、さらにはアジア太平洋の平和と安全を確保していくかという問題意識は、多分それは変わりがない、多分それはすべての委員においても変わりがないんだろうと思います。

 今、再定義というお話がありました。当時から、再定義か再確認かという議論がありました。そのころの橋本総理あるいは高村大臣の答弁は、これは再確認だということをかなり何度も言っております。

 それは何かというと、確かに冷戦は終わった、さはさりながら、この日米安保体制そのものがアジア太平洋地域の中で果たしている役割、平和と安定の確保のための重要な役割というのは、それは変わっていないんだということで、安保条約の重要性の再確認をしたというふうに私は理解をしております。

 ただ、当時とは確かにおっしゃるように状況も変わってきております。例えば、十万人の前方展開軍事要員から成る現在の兵力構成を維持する必要があるというあたりも、今の再編成の議論の中で変化を来していたり、あるいは先ほど申し上げたテロ等々の変化というものもある。こうしたものを踏まえて、今私どもはこの再編成の議論をしているということであります。

 しかし、だからといって、自動的に安保条約を変えなければいけないとか、この平成八年の橋本・クリントンの共同宣言を自動的に変えなければならないということではないだろうと思っております。

 ただ、いろいろ議論していく中で、もしそういったある種の政治的な意図表明というものが必要である、私は安保条約の改定にまで至るとは思っておりませんけれども、何らかの両国の政治的意図の表明ができるということがもし合意に至れば、それはそれであるかもしれないとは思っておりますが、今あらかじめそれを想定しながら作業しているというわけでもございません。これはあくまでも議論の結果出てくるものではなかろうか、このように考えております。

大野国務大臣 大きな国際的な安保環境の流れ、これにつきましては前原委員と全く同じように考えております。だからこそ、アメリカはトランスフォーメーションをやる、それから日本は新しい安全保障環境に対応して防衛大綱を見直そう、こういうことであります。その中で今度のトランスフォーメーションにまつわる議論が出てまいっておりますが、さきにも申し上げましたとおり、まず理念というものがあって、そしてもう一つの、条約とか法律とかそういう問題があるわけですね。

 我々、やはり今申し上げたような大きな国際的な安保環境の変化に対応して物事を考え、議論していく、これが大事なことであります。その点は前原委員も御賛同いただけると思いますけれども、現在の、例えば世界の中の日米同盟、これはもうよく言われることでありますが、この極東条項ということに絞って見ますと、やはり安保環境に即応したどういう対応が必要か、これが議論されて、それから個別の問題が出てくる、そのときにどう考えるかという問題が出てくるのかもしれません。しかし、再々申し上げておりますように、安保条約それから極東条項についての解釈を変えるつもりはありませんということを申し上げておる次第でございます。

 ただ、問題のポイントは、今大臣もおっしゃったように、今のところ、日米安保共同宣言についてどうのこうのということは議論しておりませんけれども、将来そういう場面が来るかもしれません。しかし、いずれにしましても、極東条項について言いますと、在日米軍が施設・区域を使用する際の目的を規定しているわけでありまして、グローバルな課題について日米同盟のもとに協力をする、その妨げにはなっていない、このように理解しております。

前原委員 町村大臣、簡単に御答弁いただきたいんですが、先ほど再定義じゃない、再確認だとおっしゃいましたね。そうしたら質問いたしますが、再定義の必要性はないんですか。あるいは、新たな共同宣言を日米間でまとめる必要性はないですか。

 先ほど、お話では、流れによってはそういう新たなものがあるかもしれないということでしたけれども、二カ国で議論していくのに、日本が政治的な意図を持たないとそういう話にはならないと思うんですね。

 私は、先ほど、戦略環境は大きく変わったんだという認識を共有してもらえるのであれば、また、トランスフォーメーションというのは何で出てきたのかというと、一番大きなのはやはりアメリカのRMAですよね、軍事技術の進歩、そしてまた脅威の変化。対称的なソ連という脅威、国から、非対称的な国になった。さまざまな変化の中で、今の日米安保が果たすべき役割がある。当然ながら一九六〇年の安保改定のときとは違う状況で、一九九六年が再確認、安保はまだ必要だねということでしかないのであれば、そういった状況を踏まえて再定義なり新たな共同宣言を出す必要性があるんじゃないですか。

町村国務大臣 安保条約の存在が今委員言われたようないろいろな環境変化にとって何か非常に妨げになるというのであれば、これはもう積極的に変えていくという努力をするのは当然のことだろうと思いますが、今私どもは、安保条約そのものが、そうした今の新しい事態に対応するために、別に妨げになっているどころか、むしろきちんと、やはりそれはそれで平和と安定維持のために機能している、こう思います。

 そして、今お尋ねの再定義かあるいは新しい共同宣言かということ、今それを目指して作業をしているわけではございません。よりよい平和を構築するためのいろいろな自衛隊のあり方あるいは米軍のあり方を議論していく中で、もしそういう一つのものが出てくればそれはあるかもしれないと申し上げたので、別に、もう定義を新しくつくろう、新しい共同宣言をつくらなきゃならないんだということを前提に置いて作業をしているわけではございません。

前原委員 安保が妨げになっているどうのこうのという話を今されましたけれども、妨げになっているのを解釈で変えてきているんですよ、言ってみれば。先ほどの一九六〇年の日米安保の特別委員会の議事録を読むと、事前協議についてはまさに、ちょっと読んでみましょうか、時間も足りないですけれども、どういう議論がなされてきたのか。一つだけ事前協議について、じゃ、岸総理の答弁を披露しますと、

  事前協議の場合に、しばしば申し上げておるように、米軍がいわゆる戦時出動する、戦時行動するという場合の事前協議を受けて、日本側としてこれを承認する場合もあるし、また、拒否する場合もあるということはしばしば申し上げております。その一つの標準として、一体この安保条約において極東の平和と安全ということを規定しておるということは、要するに、日本の平和と安全を守るのがこの条約の主たる任務であって、それとうらはらをなすような、それと非常に密接な関係を持っておる極東の平和と安全がやはり確保されなければいけない、それでなければ日本の平和と安全が守れないという趣旨であるからして、この事前協議の場合において、われわれの平和と安全に直接密接な関係のある極東の平和と安全の確保のために米軍が出動するという場合はやむを得ないけれども、そうでない場合においては、やはりこれは拒否していくことは適当である、また、政府もそういう考えであるということは最初から私どもが考えておることでございます。

と。つまりは、事前協議を出す場合の岸・ハーター交換公文に想定してあるのもやはり極東なんですよ、行動自体は。つまりは、先ほど私が申し上げたように、日米安保改定時の第六条が想定している戦略環境というのは、要は、共産主義大国ソ連があって、あるいは中国もそういう国になってきた、いかにその共産主義化を抑えていくかということ、あるいはその侵略を抑えていくかということで極東の問題があったわけですよ。

 では、違う観点から質問いたしましょう。

 移動という概念を使いますね。まあ、大野防衛庁長官は移動をわざわざ殊さら強調してこのごろおっしゃっているのでおかしいなと僕は思っているんですが、じゃ、在日米軍は、移動すれば事前協議なしで世界規模で動いていいんですか。在日米軍基地にある米軍は、移動すれば全世界のオペレーションに参加していいんですか。

大野国務大臣 基本的に防衛庁の立場から申し上げることではないとは思いますけれども、移動という概念を、概念というか、移動という概念を使っていることは事実でございます。

 ただ、それが全世界に広がっていくのかどうか、こういう議論はやったことがありません。

前原委員 外務大臣、同じ質問。

町村国務大臣 移動した後どこに行くか、どういうオペレーションにつくか、それは安保条約の関知しないところでございます。

前原委員 防衛庁長官は、どこまででもやれるかどうかということはわからない、決めていないということでした。

 今の外務大臣の答弁も含めて、このところはしっかりしてもらわなきゃいけないんです。つまりは、移動してどこへ行くかわからないと。でも、皆さん方の先輩の、前の前の前のもっと前、総理大臣の岸さんが、先ほど申し上げたように、やはり出動、事前協議というものを極東に限って考えておられる。でも、それが状況として変わってきたわけですね。

 今の答弁では二人とも不十分ですよ。つまりは、在日米軍は移動という概念を持てば全世界規模で行動できるのかどうなのか、それは政府として統一見解を出してもらいたい。先ほどおっしゃった、どこまで想定しているかわからない、全世界とまでは言えないという、そんなあやふやな答弁じゃなくて、では、もしその移動にしても範囲があるんだったら、範囲を出してもらいたい、極東と同じように。

町村国務大臣 これは、もう既に再三の答弁の中で政府が何度も申し上げているところですが、改めて申し上げますが、事前協議の対象となる「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」に言う「戦闘作戦行動」とは……(前原委員「そんなのはわかっている」と呼ぶ)まあちょっとこれは聞いてください。直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指しています、したがって、米軍の運用上の都合により米軍の部隊等が我が国から他の地域に移動することは事前協議の対象となるものではありませんということで、今申し上げたように、どこに行くか、あるいはどういう部隊なのか、そこは事前協議の対象ではないということを再三申し上げております。

前原委員 再三質問しております。もう十一年国会にいて、何度も質問しています、このことについては。

 では、今のは、他の地域だったら、世界全体、どこへ行ってもいいんですか。それを聞いているんですよ。

町村国務大臣 いいということであります。

前原委員 世界全体、どこへ行っても移動という概念であればいいということになれば、第六条の趣旨は完全に骨抜きですよね。つまりは、この六条をもう一遍皆さん方読んでください。要は、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」移動という概念を設ければ、世界全体、どこへでも行けるということの趣旨ですか、これが。おかしいじゃないですか。

 それで思いやり予算を使うんですか。思いやり予算というのはまさに日米安保の枠内ですよ、思いやり予算というのは特別協定だから、地位協定の。その基地を使ってどこへでも行けるというのは、安保条約の枠外じゃないですか。なぜどこへでも行けるということになるんですか。

町村国務大臣 仮に、米国の軍隊が一切日本の平和と安全に寄与していないということであるなら、話は別かもしれません。しかし、現実に在日米軍というのは我が国の平和と安全のために働いている、寄与しているということでございますから、そのために必要なホスト・ネーション・サポートをすることは何ら問題がありません。

前原委員 でも、移動してどこへ行ったかわからない、何をしているかわからないということを御自身がおっしゃったじゃないですか。そうしたら、日本の平和と安全に寄与しているかどうかわからないじゃないですか。矛盾しているじゃないですか、答弁として。

町村国務大臣 軍隊というのはいろいろな機能を持っているわけですね。日本のために働く場合、それから移動してさらに他の任務につく場合、それを全部すぱっと割り切るわけにはいかないわけであります。これはかつて高村大臣がそのような答弁をしたわけで、多分これは前原議員とのやりとりかもしれません。

 いずれにいたしましても、そこのところはもう既に確立した議論ができ上がっている部分だと私は思っております。

前原委員 いや、確立していっているのは、それは抜け道をどんどんどんどん積み重ねていっただけで、それがいいかどうかという議論では全くないんですよ。

 つまりは、少なくとも私は今町村大臣がおっしゃったことを初めて聞きましたよ。移動という概念を使ってどこへ行ってもいいということ、そして結果的には、日本の平和と安全にかかわるかどうかなんということはわからない、どこでオペレーションするのか移動したらわからないということは、安保条約の第六条のこの日本の平和と安全に寄与しから逸脱しているじゃないですか。それに施設・区域を貸して、安保条約違反でないとなぜ言えるんですか。おかしいじゃないですか。

町村国務大臣 これはもう本当に何度も何度も議論もされているし、今たまたまこの資料を見ると、一九七五年、参議院の予算委員会での議論でも、米軍がアメリカのいろいろな必要に応じて日本の領域から去っていくということ、その去っていった後で、それがアメリカ本土に戻るものであるのか、あるいは中東方面に向かうものであるのか、あるいはアフリカに向かうものであるのか、そういうところは安保条約の関与するところではございませんで、これは単なる移動であるというふうに解釈をしております、この答弁と全く同じことを申し上げております。

前原委員 ですから、私が知り得る限り、移動だったらどこへ行ってもいいというのと関知しないというのは全く違うんですよ。

 つまりは、移動という概念を使えばどこへ行ってもいいということは、でも、町村さん、川口さんじゃないので政治家同士で話をしますけれども、本来、この第六条を見られて、先ほど妨げになっていると思わないとおっしゃったけれども、この第六条を文字どおり読めば、大きな妨げになっているから、そんなわけのわからない拡大解釈なり政府の統一見解でごまかしてきたんじゃないですか、移動ということで。そう思われませんか。全く思わないんだったら全く思わないで結構ですよ。

町村国務大臣 この一九七〇年、七五年ですけれども、これは三十年前のことです。三十年前にどれだけ軍事的な性能が高かったか低かったか、相当確かに上がっていると思います。当時だっていろいろな移動があったはずであります。今急に長距離運航能力が上がったわけでも何でもない。そういう意味で、一九七五年と今日と、急に何か状態が変わったとか、そういうことではないと私は思っております。したがって、例えば七五年の例を出しましたが、当時の答弁は現時代においても有効だ、こう思います。

前原委員 くれぐれも、日米の外相会談で、一九七五年とそういう兵器の水準が変わっていないということは言わないでください、日本の恥になりますから。大きく変わっていますよ。物すごい勢いで変わっていますよ。それだから、トランスフォーメーションをやっているんじゃないですか。そういう認識を持たないで、一九七五年の答弁のまま、やはり川口さんがバッジをつけていなかったからだというのではなかったということは私ははっきりわかりましたよ。やはりこれは……(町村国務大臣「ちょっと何か誤解しておられますよ」と呼ぶ)誤解じゃないですよ。全然誤解じゃない。

 私は、新たな議論を喚起したいんです、政治の中で。足を引っ張る議論をしようと思っているのではない。合わないからけしからぬじゃないかという議論をしているんじゃなくて、合わないのは当然だという話をしているわけですよ。時代が変わったんだから、戦略環境が変わったんだから、RMAが起きたから、脅威の対象が変わったから。だから、その議論を安保条約の中でしましょうと。なぜそれを、しかし、踏み出そうとされたんですよ、二人とも。だけれども、それがちゃんと整理できていなくて、統一見解というところで落ちついて、また袋小路に入るような議論をしているわけです。それは私は、政治家としていかがなものか。それは、お二人のまさに大臣としての良心にかけて、この時代に大臣をされているということを使命感を持って、私はもっと議論をしていただきたい。ちょっと、うなずいておられるから、防衛庁長官。居眠っていたんだったら、それでも結構ですけれども。

大野国務大臣 居眠っておりません。前原先生の御高説、拝聴いたしておりました。

 新しい時代にどうやって新しい考え方で臨むか、この議論は大いにやっていただきたいし、やるべきだと思っております。私が個人的見解といってせんだっての予算委員会で申し上げたのは、いわば火つけ役になってしまったかなとは思っておりますけれども、しかし、従来の解釈はこうですよ、そこで、内閣それから外務省、防衛庁、相談してつくったのが、あのとき申し上げた統一見解でございます。時代の使命感というのは十分持っているつもりでございます。

前原委員 統一見解でオーケーというのであれば、私は使命感を持っておられるとはとても思えない、そのことは申し上げておきます。

 時間が、この問題についてはかなり長い議論があると思いますので、またさせていただきたいと思います。

 せっかく小此木副大臣が来られていますので、質問をさせていただきたいと思います。

 日中で、今、いわゆる中間線の議論、東シナ海の中間線の議論というものが、きのうも議論が平行線、物別れに終わったということでありますが、経済産業省というよりも、私は中川大臣の発言というのは非常にこの点については共感を持っているところが多いんですけれども、小此木副大臣も含めて、ぜひそういった政治家としての発言をしていただきたいと思うんです。

 今、この問題については、いわゆる探鉱という形ですね、今、段階は、日本がやっているのは……(発言する者あり)探査。この中には、おっしゃるように探査と、あとは試掘も探鉱の中に入ると私は聞いております。経済産業省からそういう説明を受けております。

 試掘というものを、やはり私は、中国が、だって資源があるということで開発しているわけですから、当然ながら探査をすれば資源はありますよ。中国が空振りして巨額の費用を投じてやっているわけがないし、また、それで他国との契約あるいは民間会社との契約もするわけがない。あるわけですよ。あった場合に、日本としては、探査で終えるのか、あるいは試掘も行うという結論をするのか。開発と言っているんじゃないんですよ、開発はまた別の話ですから。試掘も私はやるべきだと思うんですが、副大臣の御答弁をいただきたいと思います。

小此木副大臣 お答えをいたします。

 今、まず、中国の東シナ海に関するガス田開発についての情報提供を中国側には求めているところでありますが、前原委員今おっしゃったように、きのう協議がありました。これは中国側から求められたものでありますが、納得のいく答えがなかったということは非常に遺憾に思い、憤りさえ私自身は感じておるところでありますし、それは新聞報道にもあったところであります。

 日本といたしまして、今、物理探査というものを進めておりまして、これは冒頭の前原委員の質問でも災害の話がございましたが、あの地域でやはり台風が来ておりまして、十月までには終わる予定でありましたが、来年の一月ごろまで延びる、一月ごろまでには終わるだろうということでございます。

 開発と言うまでもなく試掘というお話がありましたが、政府といたしましては、今、物理探査をしっかりと進めて、中国にはその情報提供を求めながらも、試掘に関する考えは今のところございません。基本的に、国連の海洋法条約ですか、こういったものに対して日本の主権的な権利等が侵害されないようにこれからも対処していきたい、こういうふうに思っております。

前原委員 最後に町村外務大臣に伺いたいんですが、日本の立場というものを改めて明確にここで示していただきたいと思うんです。

 つまりは、沖縄トラフまでが中国の排他的経済水域であるということを中国は主張しているわけであります。日本は中間線をとって、そこで線を引くべきだということを言っています。主張をしています。今後、その考え方に一切変わりがないのかどうなのかということをまず申し上げたい。

 あともう一つは、国連海洋法条約に、二国間で、あるいは当該関係国でしっかり話をしろということが書いてあって、私は、それが中国のねらいじゃないかと。つまりは、話をして、別にまとめる気はない、話をしているということで、結果的にはちゃんと国連海洋法条約にのっとっている、その項目の義務は果たしたよということで、最後はみずからの権益というものをかなり物理的な形でも押し出してくるのではないかと私は思います。

 そのことも踏まえて、一番初めの質問でございますけれども、日本としては中間線というものを譲るつもりは全くないという意思を外務省として持っているのかどうなのか、その点は、ここははっきりと中国に届くような大きな声で私は発言をしていただきたいと思います。

町村国務大臣 委員御指摘の、中間線で境界を画定する、この考え方にはみじんも揺らぎはございません。

前原委員 時間が来ましたのでこれで終わりにいたしますが、先ほどのトランスフォーメーションの話で、私は、時代とともにその解釈を変えるのではなくて、やはり本当に日本の安全保障の観点から、どうすれば日米関係をうまくマネジメントできるかということを真剣に考えていただきたい。本当にそれは、ためにする議論は私は全くするつもりはありませんし、どうすればこれから、アジア太平洋地域においてまだまだ不安定な要因があります。朝鮮半島、また中台、あるいは私は中国が脅威とは思いませんけれども、あれだけ大きな国がこれだけの経済発展をしていて、そして資源も、エネルギー、食料、輸入国に転じている。不確定要素がある以上、私は、日米関係というものは、本当にうまく、ほかの関係国とも協議をしながらマネジメントしていかなきゃいけないと思います。そのときに、一九六〇年の条約解釈の中で何とか国会の議論を取り繕おうとすることが果たして長期的に見て日本の国益につながるのかどうなのか、その点をしっかりと、私は、責任あるお立場にあられるお二人にはぜひ考えて発言をし行動していただきたい、そのことを改めてお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

小林委員長 次に、本多平直君。

本多委員 民主党の本多平直でございます。

 私からも、今回の一連の水害でありますとか台風で被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げますとともに、現場で御活躍をされています自衛官の方々に、安全保障委員としても心から敬意を表したいと思います。

 さて、まず私からは、きょう閣議決定でテロ特措法基本計画がまた延長されたようでございますけれども、このテロ特措法に基づいてインド洋を中心に派遣をされておりますこの艦隊、日本の三隻、四隻の船でございますが、これ、そろそろ撤収もめどに入れるべきではないかという趣旨で御質問をさせていただきたいと思います。

 あの九・一一のテロの直後、アメリカの行動というのには私も一定の、国際法上とかいろいろあるんでしょうけれども、それはまた日本の国内法上の問題もいろいろあるんですが、ああいう行動に出るということは、あの九・一一のテロの大きさから考えても心情的に理解をして、その直後のああいう法律での派遣ということになったと理解をしておりますけれども、それから三年がたちました。

 日本の自衛隊の本体業務というのは、もちろん日本の防衛でございます。日本の補給艦でありますとか護衛艦の数のうち、例えば補給艦に関して言いますと、三隻、四隻のうちの一隻をインド洋にずっと、ああいう緊急事態であります、短い期間でありますと理解はできたのでございますが、三年にもわたって日本からあけている。このことが日本の防衛に本当に支障を来していないのか、そのことをお答えいただきます。

大野国務大臣 確かに、おっしゃるとおり、三年間にわたって補給艦をインド洋に派遣している、一体この問題が日本の防衛についてどういう影響があるんだろうか、御懸念の表明でございます。

 一定の練度を保った艦艇一隻を国内に確保しつつインド洋にもう一隻派遣しているという状態でございますけれども、最新の補給艦、これは「ましゅう」というそうでございますが、昨年度末に就役して、派遣可能となりました。このように、補給艦の派遣ローテーションが緩和されるということになろうかと思います。

 しかしながら、お説の点、いつまで続けるんだ、これはもう私、再々答弁しておりますから繰り返しませんが、補給艦についてのみ申し上げれば以上でございます。

本多委員 今の御答弁でございますけれども、やはりこういうことを想定しないで計画を立てて、船がこれだけ要るということで財務省ともせめぎ合って予算をとって、我々の税金を使って船をつくっているわけです。それがこういう長期にわたって海外に出て、それで支障がないと言われてしまいますと、本当に今後の防衛計画、いろいろ立てていくときも、議論に影響が出てくると思いますので、まずはこの観点しっかりとこの議論の前提に置いていただきたいと思っています。

 さて、私、このテロ特措法のやっている行動そのものというよりも、この行動についての、余りに我々に情報を明らかにしないことが、我々民主党は、例えば海外に自衛隊を出すことを一〇〇%だめというような方針をとっておりませんので、今後どういう派遣がいいのか悪いのかを判断するときに、これだけ情報を出さない、どこにいるのか、どこにいるのかというか、どこの国に寄港をしているのかすら明らかにしない派遣の仕方が本当に正しいのかという観点で質問させていただきたいんです。

 私は、もちろん、こういうものですから、軍事行動の一種ですから、どこの港に何時何分に入るとか、もっと言いますと、一歩譲りますと、どこの港、どこの町まで言わなくてもいいんです。しかし、どこの国、国家に寄港をして油を受けているのかとか、隊員の方は休んでいるのかとか、そういうことまで明らかにできないのはいかがな理由によるものでしょうか。

大野国務大臣 説明責任の問題でございます。

 この問題、我々としましては、説明できる限度ぎりぎりは説明させていただきたい、このように思っております。

 お尋ねの具体的な案件、どこの国に寄港して、どういうふうな活動しているんだ、これが全然説明できていないじゃないか、こういう問題でございますけれども、防衛庁のホームページには、ある程度のことは載せております。しかしながら、問題として、寄港地とか補給を実施した場所等、活動の細部を明らかにしてしまいますと、やはり部隊の安全という問題が出てまいります。また、我が国と協力している国に対してその関係を尊重していかなきゃいけない、こういう問題も出ております。

 したがいまして、委員せっかくのお尋ねでございますけれども、従来からお答えを差し控えさせていただいているわけでございます。やはり安全に、そしてまた協力し合っている国々との関係を尊重しながら、本当にこういう貢献をしていくということが大事である、このような認識でございます。

本多委員 今、二点お答えになったと思います。寄港している国との関係と安全という観点だと思いますが、ちょっとためにするような質問をするかもしれないですけれども、この船というのは港に入っているわけですよね。見えないんですか、その国の方からは。

大野国務大臣 見えないか見えるかということになりますと、きちっと見えます。

本多委員 まず、その国の多くの市民の方には見えているわけですよね。もし日本をねらおうという不届きなテロリストがいたとしたら、その方たちも当然、我々はどこの国に入っているかも知らされていませんが、どこの町に行っているかぐらいの情報は知っているわけですよね。どうですか。

大野国務大臣 問題の本質は、多くの国々に情報が伝達されるのか、それとも、ある寄港している港の一部の市民が明確に見るのか、これはやはり区別して考えなければいけないんじゃないか。

 そういう意味で、多くの国々、広範な地域の人々にその情報が伝達された場合は、やはり何らかの問題が起きる可能性はある。これは何かというと、安全の問題でございます。これが一つ。もう一つは、先ほど申し上げました国との約束事でございます。寄港している港を持っている国との約束事でございます。

本多委員 今の答弁は全く納得がいきません。その町の方が知るということは、一般の市民ですから、どこにどう、今このインターネットの時代、伝えることもできるわけです。

 それでは、もう一つ質問させていただきます。これは、イラクの方は同じように大変な危険の中でやっていただいているわけです。私たちには、どこの病院でありますとか、どこの道路でありますとか、どこの学校を直しているとか、細かく教えていただいているんです。そのこととの関連はどのように御説明になられますか。

今津副長官 六月に、先ほど岩屋議員の方からも話がありましたけれども、実は私も現地へ行ってきているんですよ。イラクの場合とインド洋の場合とは、全く作業が違うと思うんですよね。インド洋の場合は、テロリストだとか武装集団だとか、そういう人たちのいわば資金源を断つとか、テロ行為をできないようにするようなことが目的であって、どこに船がいるかとか、どういうふうに待っているかとかという作戦そのものが知られることで、行動そのものが狂ってしまう、こういうおそれがあるわけです。

 議員、実は私もあなたと同じように、もうそろそろインド洋も三年たって、目的を達したのではないかなというふうなことを考えたときもあったんです。それで、現実に、では自分で見てみようと思って行ってみましたら、まことに、先ほど大臣の方からも御報告がありましたけれども、実は、そういうテロリストの行動だとか、あるいは麻薬などの資金源を稼ぐためのそういう不穏な動きだとかというのは、一向に減っていないんですよ。むしろふえている状況の中で、もし日本の船が撤退をしたときに、いわゆる作戦そのものが壊れてしまう、そういう状況も考えられるわけで、今のところ、これはやはりきちっとやっていくということが、日本が国際社会の中においてテロリストに対する明快な姿勢を示すということにつながっていくというふうに思いますから、ぜひ御理解をしていただきたいと思います。

本多委員 撤退云々の話は皆さんが御判断になることですので、私、今そこのところは残念ながら質問をしておりません。軍事行動ですから、秘密が多くて結構なんです。どこの町に、いつ、どの船が入るなどということは、私聞いてはおりません。しかし、どこの国家に我が自衛隊が行っているのかということも隠したまま、インド洋もペルシャ湾もどこにいるかはそれも言えません、そういう行動に――では、一歩譲りましょう。

 短期間ならそういうこともありますが、三年間にわたって我が国の自衛隊を置いているということは私は全く納得がいかないので、ねちねちと質問をさせていただきたいんですが、いろんな議員の方がこれは行かれているんですよ。皆さんの前の幹事長の山崎先生、大臣も親しいのかと思いますが、何か戻ってきてから自民党の総務会で、私は国の名前も教えていただいていませんが、ある国の港、町の名前を堂々とおっしゃられたそうですが、これは事実関係はいかがでしょうか。

大野国務大臣 まず、先ほど二つ理由を申し上げました。一つは、寄港地の町の人はみんなわかるじゃないか、こういう問題であります。もう一つは、国同士の約束事で言わない、こういうことでございます。

 現実からいいますと、第一点の町の人はわかるじゃないかということもありますけれども、それより大事なのは国際的な国同士の約束、こういうことであります。

 それで、今お尋ねの問題は、山崎前幹事長の話でございますけれども、報道はたしかされていたと思いますが、報道の内容については承知いたしておりますけれども、私は、直接は聞いたことはありませんが、報道されているということは知っております。

本多委員 防衛庁として、国会に国の名前も説明できないのに、特例ですよね、現地を見ていただこうということで、与党の幹事長ということで、特別に船に、ほかの野党の議員も行っていますけれども、見せた。当然、どこに行ったかということは言わないでくださいと言われているそうです、ほかの野党の議員なんかによると。それを軽々に、自民党の総務会というのはかなりオープンな場ですし、壁の外には記者さんもいるところで町の名前も言ったということが、日本経済新聞の記事に載っているわけです、町の名前も。

 これに関して、防衛庁としては、正式に抗議は与党の幹部ですからしにくいでしょうが、ちょっと今後は言わないでくださいというようなことを言いに行ったんでしょうか。

大野国務大臣 何党の議員がこういう発言をしたということについて、我々防衛庁の方からどうこうということは言えないとは思いますけれども、私は、原則に従って、行かれる議員の皆様にぜひともお願いしたい。こういう問題があれば、先ほどから申し上げておりますように、国会議員がそういう機会を得て訪問をした場合には、どうか寄港地あるいは補給を実施している場所等については、部隊の安全を害する、もう一つは国際的な約束事、これに反するわけでございますから公表しないこととしていることについて、ぜひとも国会議員の皆さん初め訪問される皆様に、言わないように、公表しないようにということで御理解をちょうだいしたい、このことはこれからも注意していきたいと思います。

本多委員 もし、まだ山崎先生に言っていないんでしたら、今度また政府の役職につかれていますので、しっかりと言って、いや、私、本当にふざけて言っているんじゃないんですよ。国会に教えてもらっていないことを、それだけ国会にも言えないような隊員の安全ですとか相手国との関係があることを平気で言っていて、そのまま新聞にも載って、何にもおとがめなしなのかというのは、全く国会としては許せない話です。

 それから、事実としてですが、この総務会で結構もめたそうなんですね、そんなところまで行っているのかということで、言われた先生が、自民党にも賢明な先生がいらっしゃいまして、ではどういう理由なんだという議論になって、この新聞によりますと野呂田先生らしいですが、野呂田先生は納得せず、党執行部が再調査することになったと。つまり、何でそんなところまで行っているんだと具体的に地名の議論になって、再調査することになったということは、当然、防衛庁にその依頼が来ているんでしょうか。その経緯はどうなっていますか。

大野国務大臣 寡聞にして、私、御指摘の報道の内容は承知しておりますけれども、お尋ねのあった、自民党から、この活動範囲、海上自衛隊の艦艇の活動範囲に関する再調査について具体的な依頼があったということは伺っておりません。

本多委員 何か総務会長がなあなあでおさめたということなんでしょうけれども、それだったらそれでいいです。

 先ほど副長官がわざわざ御答弁をいただいた点でちょっと話がずれてしまったんですが、イラクも危険なのは一緒だと思うんですよ。だったらサマワを言わないわけにはいかないと思いますが、あえて病院ですとかかなり細かいポイントを複数回言っているわけですよ。一回言っているわけじゃなくて、病院であるとか学校の名前まで、我々としてはありがたいですよ、情報をできるだけ出してくださいと言っている立場からすると。

 そうすると、どちらかというと、この整合性は明らかにないということをまず認めていただけますか。ちょっと整合性はないでしょう。イラクの方が今、事実上大変危険な状態にある国で、それとペルシャ湾岸の国のどこかということで、どちらももちろん言わない方が隊員の安全性は高いと思います。ですから、私たちも本当に危険が及ぶんだったらしようがないなと納得いたしますが、今、普通の人が普通に暮らしている湾岸の国々の名前の方も隊員の安全にかかわって、サマワ周辺の具体的な橋の名前とか病院の名前は安全にかかわらないというのは、全く、次の議論に行くために、まずこれは整合性がないということは認めていただけますか。

大野国務大臣 全く局面が違います。テロ特措法の場合はテロ退治のためにやっているわけですね。ところが、イラクの方は、まず非戦闘地域、これは憲法上の要請、非戦闘地域、しかも治安が安定しているという条件の中で人道復興支援をやっている。人道復興支援ですから、治安の安定した状態の中でやっている、その安定確保は我々の責任でやる、こういう組み立て方でございますので、局面が違います。このことは御理解いただきたいと思います。

本多委員 局面が違うのはよく理解した上で、隊員の安全という観点では一緒ではないかという観点で申し上げましたが、私の理解は今の御答弁では承服はできません。

 隊員の安全ということよりも、先ほどから何か長官の御発言を聞いていても思うのは、どうも約束をしたと。つまり、言うな、うちの国で寄港をするとか、うちの国で給油をするということを言ってくれるなという約束をしているということで理解してよろしいのでしょうか。

大野国務大臣 まず、テロ特措法の方の問題点だと思いますけれども、もちろん二つ理由があるんですよ、二つ理由がある。しかしながら、船が寄港していればその船の姿が見える、このことにつきましては、私は、国際的に情報を伝達するのか、一部の者が持っているか、こういう違いはあることは御認識いただきたいし、それから、そういう情報が流れますとやはり広範にわたっていろいろな脅威が出てくる可能性は大きくなる、このことは御理解いただきたいと思います。

 大事なのは国同士の……(本多委員「約束があるのかないのか」と呼ぶ)約束があります。これは当然でございます。

 それから、先ほどちょっと私、テロ特措法の場合とイラク特措法の場合で、非戦闘地域、イラクだけあるような印象を与えたかもしれません。それはどちらも非戦闘地域であることは誤解を避けていただくために申し上げます。

本多委員 確認ですが、その約束というのは、私がいろいろな情報から考えるところ、複数の国に行っています、寄港しているのは。一応確認のために聞いておきますが、その複数のすべての国とそういう言わないでくれという約束をしているのか。ごめんなさい、これは通告していないので、もしわからなかったら構いません。すべての国とその約束をしているのか、それとも、一、二の国としていて、ついでに面倒くさいから全部言わないことにしているのか、どちらなんですか。

大野国務大臣 この問題は、面倒くさいから全部というわけではありません。寄港地のあるすべての国からそういう依頼が来ております。公表するなという依頼が来ております。

本多委員 私、日本政府の判断で隊員の安全でやっているとしたら、寄港する港ではなくて、寄港する時間でもなく、国の名前も言わないというのは非常に納得がいかないのですが、まあ相手国がそう言っているということは、全部の国から言っているという長官のお言葉ですから、それはそうなんでしょうということで理解をいたしますが、余り隊員の安全安全ということを言うといろいろな矛盾も出てまいりますし、自衛官の方への指示もどうなっているのか。つまり、元気でやっていますというのが、消印ばっちり押して絵はがきが届いているんですよ。

 それも、つまり、国会に隠しながら、本当に隠すんだったらちゃんと隠さなきゃいけないし、それから、陸上の軍事オペレーションでしたら隠そうと思えば隠せるんでしょうけれども、港に大きな船を入れているようなものを言わないという約束をするのがその相手国にとってもどういう利益があるのかないのか、私ももうちょっと考えてみますけれども。

 要は、私も別に、具体的なペルシャ湾岸の国名を知ったから、いきなりそこの国が安全であるとか安全でないとか、あんなところへ行くべきであるとか行くべきでないというようなことをすぐ議論できるといって、こういうことを言っているわけではございません。

 ただ、これだけ長期にわたって日本の自衛隊を海外に派遣しているときに、今回の法律の枠組み、余りにも粗くて、それから、そもそもこんな、相手国が要請したからといってどこに行っているかも国会にも言えない、そんなような約束でこれだけ長期にわたって派遣するのはいかがか、そういう観点での質問でございますので、そこのところは御理解をいただきたいと思っています。

 同じような質問をほかの議員の方も過去にされていまして、〇二年五月十七日にテロ特で、今川さんという議員がいろいろこういうやりとりをした後に、役所の方、当時の北原運用局長という方ですが、活動終結後に示すのはいいのかということに対して、活動終結後にお示しをするのは当然でございますというような答弁をしております。

 これは確認をさせてください。私は、何月何日どこにいたとかという細かいことまではいいですが、あくまでこだわるんですが、相手国の要請があったって、それは危険性とかいろいろなことだと思いますので、終結した後にはどこの国に行っていたかぐらいは我々に明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

大野国務大臣 終結した後でございますが、第一の安全の問題はこれで終わりになります。それから第二は、約束事ですから、当然のことながら相手国の了解を得て発表する、こういうことになります。相手国、例えば寄港の問題であれば、寄港した港のある国の了解を得て発表するという段取りは必要かと思いますが、相手国もそれはまさかノーとは言わないと私は思います、もう終結後ですからね。

本多委員 きちんとそこのところは情報の公開をぜひしていただきたいと思っています。

 もう一点、このテロ特措法では重大な論点がありまして、たまたま同時期にというか、おくれてイラク戦争が勃発したことで、一般常識として、新聞報道などありますし、最終的に私たちも行ってみるわけにはいきませんので確認できませんが、イラク戦争に派遣をされた船も、あの辺を通っているときには海上パトロールもするわけですから、事実上、いわゆる不朽の自由作戦というこのインド洋でやっている作戦も兼ねている、兼ねているときには、まあその船に給油することはいたし方ないという答弁を他の委員会でされていますが、それはそのとおりでよろしいでしょうか。

大野国務大臣 我々は、テロ特措法に従いまして油をある国に給油する、それはテロ退治のためにやっている、こういう理解でございますから、相手との信義関係だと思います。その船が例えばさらにイラクの方で活躍するような場面で利用されましたら、これは信義違反でございます。私は、そういう信義違反になるような状態は起きていない、このように信じております。

本多委員 私は、そういう答弁をするから日本の安全保障の議論がおかしくなるんだと思っています。あの時期にあそこでたくさんの外国の船が活動しているときに、逆に、活動がダブっていない方が、特に米軍に関しては、おかしいと考えるのが自然ではないですか。

大野国務大臣 これは、せっかくのお尋ねでございますけれども、アメリカなど協力支援活動対象国との間に交換公文というのがあるんですね。交換公文できちっと明記されております。先方との協議の場でテロ対策特措法の趣旨に基づいてきちっと説明して、先方もこれで了解はいたしております。

 したがいまして、我が国の支援というものは、このような確かな信頼関係のもとで行われているわけであります。我が国が提供した物品がテロ対策特措法の目的に合致しないで使われている、これはもう国際信義に反することであります、交換公文に反することであります。そのようなことはないと信じております。

本多委員 信義上ということで、お互いに、防衛庁長官も確認ができないし私も確認ができない、それは相手国を信用するしかないという実態であるということだと思います。

 私が申し上げたいのは、こういうふうに長期にわたって、当初の目的は九・一一直後ということで非常にわかりやすかったんですけれども、長い間活動していますと、そこで別な戦争も起きるわけですよ、まさにこの例のように。そのときに、私は疑いを今でも持っております、残念ながら。そういうものが軍事行動だと思います。その船が、そんな、こっちの都合で、日本の法律の都合で、何とか作戦、何とか作戦と分けて活動していた方がおかしいような気はしますけれども、まあ長官の答弁を尊重しても、こういう疑いを持たれるような状況が発生してくるわけですよ。最初つくったときにはそんな戦争はなかったけれども、別な戦争が出てくる。こういうことを避けるためにも、やはり小まめにこういう派遣はしっかり見直していくべきだという主張をしているわけでございます。

 もう一点なんですが、ちょっと法律的な話になって、これは私も事前のレクチャーのときにはよくわからなかったんですが、今、主にアルカイダ対象ですよね、テロ特措法の対象は。このアルカイダ、イラクの報道を見ていますと、アフガンで当時活動していたアルカイダそのものなのかアルカイダ系なのか、私はそこの区別がはっきりはわかりませんが、よくアルカイダ系の方々がイラクでも活動しているという報道があります。

 これは、実態の議論ではなくて法律の議論をしたいので、あえて仮定の話で申しますが、アフガンであの九・一一に関連をしていたアルカイダが、陸路イラクに移っていろいろ活動をしている、妨害活動をしている。そうした場合、テロ特措法でイラク国内の九・一一関連テロリストを抑制する行動に給油をしたりすることは可能でしょうか。(大野国務大臣「ちょっと最後のところ、もう一回」と呼ぶ)このテロ特措法に基づいて、イラク国内に移動してきた九・一一関連のテロリストに対していろんな行動を行う米国等の軍隊に給油等をすることは可能でしょうか。

町村国務大臣 後で長官が答弁されると思いますけれども、イラク国内で活動をしていると言われるアルカイダ系といいましょうか、その関連組織、その詳細は正直言ってよくわからないところがあります。ですから、それらの組織とアフガニスタンを本拠地とするアルカイダの関連性、あるようでないようで、これはアメリカでもいろんな報道があり、いろんな分析があり、必ずしもはっきりしないということを前提にして防衛庁長官がどう判断をされるかなということだろうと思います。

大野国務大臣 理屈としてはそういう先生のおっしゃったような理屈も成り立とうかとは思いますけれども、やはり二〇〇一年九月十一日のテロ攻撃にもたらされている脅威の除去をイラクの方で目的にしているとは考えにくいんですね。したがいまして、我が国がテロ特措法に基づいてイラク国内の米軍等の活動を支援することは、ちょっと直ちには考えにくいな、理屈の問題としては、そういうことがあっていいのかなと。

 アルカイダ、タリバンの残党がイラクに残っている、それを追放する、こういう観点からいいますと、そういうことも理屈としてはあろうかと思いますが、やはりこのイラク特措法の場合は、イラクの復興や安定ということが法律の趣旨、目的であります。(本多委員「イラク復興の法律のこと聞いていないですよ、テロ特でやる場合」と呼ぶ)ですから、法律の目的に照らせば、私はやはり先生御指摘のようなことは考えにくいな、こういうことであります。

本多委員 外務大臣からも御答弁いただいたんですが、余り私、実態の話をしたつもりはなくて、法律理論上の話をしただけなので。逆に私も、変な、やぶ蛇なことを言いたくなくて、できますよなんて言われたら困ったわけで、法律上、読めばできるんだろうなと思ったらできないというお答えなので、何か法律上はおかしいけれども、個人としては安心をいたしましたが。

 要は、二つの戦いが同時に起こっちゃって、私たちは別な法律で出たんだけれども、それは、これだけ長い間一つの法律を延長、延長でやっていますと、こういうおかしなことがたくさん起こってくるんじゃないですか、そういうことを申し上げたいのでございます。

 それで、ちょっとイラクのことの方も伺いたいと思います。

 先ほど自民党の先生やうちの民主党の前原議員とも議論をしていただきましたが、宿営地の中に信管が抜かれていたとはいえ砲撃されるというのは非常に重大な事態だと思っています。

 私は、もちろん、民主党はそもそも派遣自体に反対ですから、いわゆるいついかなるときでもどちらかといえば撤退すべきだという立場でございますから、皆さんとそういう立場から話してしまうと議論がかみ合わないのでございますけれども、そうじゃなくて、皆さんの立場に立って議論をあえてさせていただきますけれども、撤退のタイミングというのを、これは細田長官が、これは別に期限延長の話に全く関係ない、さっきの前原委員との答弁でもそんなことをおっしゃっていましたが、一発撃ち込まれたから撤退というのは皆さんの立場からしたらあり得ないというのはよくわかります。しかし、十分検討の材料にするということは当然だと思うんですが、いかがでしょう。

大野国務大臣 先般の、ロケット弾を宿営地内に撃ち込んできた、これにつきましては、たびたび申し上げておりますけれども、信管がなくて、なぜ信管がないんだ、なぜ撃ち込んできたんだ、こういうような背景を十分把握する必要がありますけれども、現在の状況でいいますと、あの場合には全く安全であった、これは直ちに撤退を考える材料にはならない、これはもう私どもはそう思っております。

本多委員 総合的に判断をしていただければと思いますけれども、大変危険な状態になっている。私がなぜこのようなことを申し上げているかというと、皆さんの立場に立って、我々はそもそも派遣反対でございますが、もしも、私もそんな事態を、前原委員も何度も申し上げたとおり、そんなことを望んでおりませんが、自衛隊に人的な被害が出るようなことになって撤退というのは、まさに皆さんが考えている目的からも非常にまずいんじゃないか、日米関係の信頼からも、そういう事態になって、ああ、わあと国内でも騒がれて、それは私は騒がせていただきますが、そのときには。

 しかし、そういうのを受けて何かすごすご撤退というようなことではなくて、私は、落ちついているとは思いませんが、そういう被害が起こる前のある時期を、法律で何カ月かでとか何年とかで決めた期限をきっかけにきちんと撤退というようなものを、一区切りつけるというようなものを検討するというのは、軍事部隊を出している立場としては常に考えるべきだと思うんですが、いかがでしょう。

大野国務大臣 御存じのとおり、イラク人道復興支援特措法は時限立法になっております。たしか四年間で、十九年に期限切れとなります。その中で、一年たって十二月十四日という節目を迎えるわけでございます。

 我々は、今おっしゃったようなことを十分に念頭に置いて、治安の維持、復興の道のり、これを十分検討して決定していかなきゃいけないわけでございます。

 治安自体についていいますと、予断を許さない、こういう状態であることはもう委員十分御承知のとおりでありますけれども、サマワというのは、イラク全体からすれば治安は安定している方である。それが、ロケット弾を撃ち込まれて、これは初めてのことですから、これはそのこと自体が撤退の要因にはならないとしても、いろんな場面を想定して今後十分検討していきたい、このように思っております。

本多委員 わかりました。それでぜひ検討してください。しっかりそういう、引くときの方が大事だということは長官おわかりだと思います。

 いろいろ伺いたいことは残っているんですが、きょうはできなそうなんですが、要は、一つこのことはお認めをいただけるのかどうか。つまり、皆さんは、イラクとテロ特、両方にわたってお伺いをしたいんですが、外務大臣も含めてなんですが、それぞれ役割があるわけですね、テロリストの封じ込めへの給油であるとか、例えばサマワでいうと給水という。そのこと自体にはまたもちろん価値があるんですけれども、この二つの派遣は、私なんかは若干違う立場なんですが、皆さんからすると、皆さんの言うところの日米同盟というか日米関係に対して、重大な象徴的な意味がある、そういう理解でよろしいのかどうか、両大臣から御答弁をいただけますか。

町村国務大臣 先ほど前原委員からも、やや角度は違いますけれども、同じような御趣旨のあれがございました。

 私ども、幅広い日米同盟関係、これは軍事関係のみならず経済関係、文化面、いろいろなものがあるわけですが、なかんずく重要な関係が、特に今自衛隊、米軍、そういう関係であるわけであります。今委員お尋ねのような、広い意味の日米同盟としての、その一つのあらわれとしてのイラクあるいはアフガンへの日本独自の判断に基づく協力であるかどうかというお尋ねであれば、それは、さようでございますという返事を申し上げるのが妥当だと思います。

大野国務大臣 外務大臣おっしゃったとおりでございますけれども、私は、二〇〇一年九月十一日のテロ、これは領土を持っていない相手ですよ、テロというのは。領土を持っていません。国籍がありません。しかも、世界貿易センターに突っ込んでまいりましたけれども、その世界貿易センターの中にはいろいろな国籍の人がいるんですね。日本人も犠牲になられました。そういうことを考えますと、テロというのはやはり人類共通の敵ではないか。そうだとすれば、テロ撲滅、追放のために何らかの役割を果たしていくべきではないか。こういう問題が一つあろうと思います。その中で、日米同盟、世界の中の日米同盟、この役割を十分果たしていかなきゃいけない。もちろん、役割分担はあります。しかしながら、世界の中の日米同盟、こういう観点からこの問題に対応していきたい、こういう趣旨でございます。

本多委員 ちょっと私の求めていた答えではもちろん、もちろんというか、残念ながらなかったんですが、私が申し上げたかったのは、皆さんの日米同盟に対する考えを聞きたかったというよりも、今回、皆さんの立場からすると、僕、多分に象徴的な、答弁しなくてもいいんですが、象徴的な意味もあったんだと思うんです。これだけきちんと現地に人を、私はそういうのが、ずるずるアメリカに従ってやることが常にいいとは全く思わないんですが、今回、そういう象徴的な意味は、イラクの方もこれだけ危険なところにしっかり出すし、かつテロ特も三年にわたって協力をしてきたわけです。ですから、私は、象徴的な、皆さんが求めているような意味はある程度果たしたということは考えた上で、撤退については考えていただきたい。

 それで、私、この質問をするときにいろいろ議事録を見ていまして、外務政務官になられる前の小野寺委員の、これは当時の石破長官に、これはイラクに限っての話だと思うんですが、いい質問を見つけて、この考えに基づいて政務官としても大臣を補佐してお仕事していただきたいなというふうに思って、あえてこの質問をもう一回。石破長官への質問の最後の言葉として、今の小野寺政務官は「最後に一言。仕事というのは、ある年限があって、それを目標に一生懸命やるから仕事ができると思います。ぜひ、今回のイラクの人道復興支援、自衛隊の活動もある年限をそろそろ考えて、それまでに私たちは復興を実現する、」そういう考え方で、飛ばすといけないんでしょうかね、「お互いにそういうやりとりも必要かと思います。」こういう石破長官とのやりとりをされています。お越しいただいていますので、引き続きこういう考えで取り組んでいただけるかどうか、政務官に答弁をいただきたいと思います。

小野寺大臣政務官 お答えします。

 全く考えは変わっておりません。政治家個人として言わせていただければ、仕事というのは、やはり一つの成果、その年限があってそれで初めてやる気も起きるし、また、現在頑張っていらっしゃる自衛官の皆さんもしっかりと仕事ができるというふうに思っています。

本多委員 ぜひそういう観点で、特にイラクの方は、水がしっかり飲めるようになれば撤退の時期だという石破長官の以前の答弁もございます。それから、テロ特の方はなかなか難しいんです。テロの根絶などということはあり得ませんが、今後十年、二十年にわたって、今のインド洋だけの枠組みでやれるわけがない。別な枠組みでテロとは闘っていかなきゃいけないわけですから、どこかできちんと区切りをつける方向で御検討いただくことを心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。

小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十五分散会


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