衆議院

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第6号 平成17年4月8日(金曜日)

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平成十七年四月八日(金曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 小林 興起君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 高木  毅君 理事 仲村 正治君

   理事 池田 元久君 理事 大石 尚子君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      石破  茂君    奥野 信亮君

      北村 誠吾君    近藤 基彦君

      佐藤  勉君    坂本 哲志君

      竹下  亘君    寺田  稔君

      額賀福志郎君    浜田 靖一君

      古川 禎久君    三ッ林隆志君

      御法川信英君    大出  彰君

      城井  崇君    武正 公一君

      津村 啓介君    中野  譲君

      西村 真悟君    松本 剛明君

      村越 祐民君    佐藤 茂樹君

    …………………………………

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊佐敷眞一君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   横山 文博君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   大井  篤君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  西川 徹矢君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  嘉数 知賢君     三ッ林隆志君

  瓦   力君     近藤 基彦君

  中谷  元君     佐藤  勉君

  額賀福志郎君     竹下  亘君

  本多 平直君     大出  彰君

  前原 誠司君     城井  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 基彦君     瓦   力君

  佐藤  勉君     中谷  元君

  竹下  亘君     額賀福志郎君

  三ッ林隆志君     嘉数 知賢君

  大出  彰君     本多 平直君

  城井  崇君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)


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     ――――◇―――――

小林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官伊佐敷眞一君、防衛庁防衛参事官横山文博君、防衛庁防衛参事官大井篤君、防衛庁長官官房長北原巖男君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、防衛庁人事教育局長西川徹矢君、外務省大臣官房審議官西宮伸一君及び外務省大臣官房国際社会協力部長神余隆博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小林委員長 これより質疑に入ります。

 本日は、特に弾道ミサイル防衛に係る事項を除く部分について質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 本日は、弾道ミサイルの部分以外ということで御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、昨年の十月の安保委員会、大臣も御記憶かと思いますけれども、私の方より給与法の問題について若干御指摘をさせていただきましたので、実はその宿題がまだ残っているわけでございます。

 つまり、簡単におさらいをしますと、八月の人勧を受けまして、この人勧は据え置きということで、給与変動は一切なしというふうなことでございましたが、その際、一般職で、教育職の俸給表が廃止になったわけです。これは、国立大学の法人化に伴いまして、この一般職の方の教育職がなくなった。しかし、防衛庁においては、教育職の適用対象者がいたわけですね。したがって、そこは防衛庁の職員給与法で手当てをいたしまして、経過措置としてとりあえず据え置きの水準で置いたと。

 今回それが行(一)、行政職の第一の俸給表に振りかわるわけでございますけれども、この振りかえ措置によってなるだけ給与変動が出ないようにしてほしい。これはもう、人勧は当然据え置きでございますから、その趣旨からいっても、変動を少なくするということで、前回西川局長の方からも、そのときの御答弁で、俸給月額の改定は行わないという確固たる方針がある、若干でも俸給月額が上昇するということは本年の人勧の趣旨にそぐわない、したがって、そういう趣旨を踏まえて対応していくというふうな御答弁もいただいているところでございますけれども、今回の俸給変動は一体どういうふうになったのか、お答えをいただきたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 先般の改正の際に先生御尽力賜りまして、いろいろ御配慮あるいはいろいろな御指摘も賜りまして、宿題という形で残っておりました。

 ただいま御説明のございましたように、その段階では一般職の方が廃止されたのでございますが、行政職へかえるということで、ことしの四月の予算措置で対応していただくということでございます。

 結論的に申しますと、これにつきましては、変更前に受けておりました年収の額、これをなるべく彼ら一般職員の方の水準を原則として維持できるような範囲で、もし出るようなことがあってもできるだけ最小限にという気持ちでやっておりましたが、ただ、具体的に、個々の職員について一人ずつこの人は何級、何級とやりましたので、個々の号俸というのはちょっと異なりますので、これは平均で言わせていただきますと、平均としては一月当たり一人千四百円の差になりました。これは一番近いところをとった結果でございますので、このあたり、御了解いただければというふうに思っております。

寺田(稔)委員 ただいま千四百円のアップになるというふうなこと。千四百円といいますと、確かに、直近のブラケットに合わせて、なるだけ近いところに合わされたんだと思います。しかも、公務員ですから現給保障がありますから、ちょっとでも低いブラケットに合わせられないということだと思いますけれども、千四百円といいますと、年額でいうと三万円のアップになるわけですよね。これは当然、月額がアップしますと、期末・勤勉手当の基礎額も全部アップしていきますから、年額でいうと約三万円のアップになるわけで、これはやはり人勧の趣旨からいっても、今回、人勧自体据え置きなんです。この三万円のアップとなりますと、これは年俸ベースでいいますと約〇・五%のアップになるわけなんですね。最近、過去数年の人勧は、もう御承知のように、ポツ一台の本当に微細な微調整、ファインチューニングでございますので、人勧の趣旨からいくと、やはりなるだけこういうふうな変動はない方がいいわけでございます。

 ここはぜひとも、今回行(一)への切りかえですから、しかも該当するものがないという職員もあろうかと思います。約七十二名の教務職員が対象になるわけでございますけれども、ぜひここは、今後ともこういうふうな事態が起き得るわけですね。防衛庁だけでも今三つの俸給表があります。これからさらに情報本部が拡充していきますと、情報職の俸給表もできるかもしれない、あるいはまたミサイル防衛ということを考えますと、緊急・動態職というふうな新たな職種もできるかもしれませんね。したがって、こういう職種間の異動というのは常に起こり得るわけで、ここら辺については十分に、今後変動のない形で御研究、御検討をいただきたいと思いますけれども、これは当然やっていただけますよね、西川局長。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の御指摘にもございましたが、先ほど申しました、各個人に号俸を割りつけた際、それをおりますとマイナスになるというところのぎりぎりをやってまいりました。

 趣旨は十二分に踏まえまして、今後とも、こういう機会がありましたら、改編に当たりましては十分な配意をしていきたい、こういうふうに思っております。

寺田(稔)委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 これはまさに意図せざるいわば給与アップに当たるわけでして、これは本来の趣旨からいっても当然おかしいわけですから、やはりそこはきちっと考えていくというのが、人事教育局長としては、その任務としてお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、本題の、今回の防衛庁設置法、自衛隊法の改正でございます。

 今回は、この新大綱に基づきまして、多機能弾力的な防衛力を効率的かつ重点的に整備をしていくということで、大々的な部隊改編も盛り込まれているところでございます。特に、伊丹に本部があります第三師団、あと山形にありますところの第六師団、さらには第一四旅団の新編というふうな非常に大きな部隊改編を伴っているわけでございますけれども、それによって当然自衛官の定数も変わってくるわけでございます。

 今回、陸上自衛隊の定数については、十五万七千八百二十八名から十五万六千百二十二人に削減をされるわけでございますけれども、今回改編になります第三、第六師団の定数が一体どういうふうになっていくか、あるいは第二混成団を廃止して新たに新編されますところの四国の部隊、一四旅団の新編の定数についてはどういうふうになっていくのか。まず、この定数について御説明いただきたいと思います。

飯原政府参考人 改編後の定数でございますが、第三師団の場合は、常備自衛官を千百人減じまして六千四百人。それから、第六師団は、常備自衛官千五百人の減、即応予備自衛官千四百人の減で、やはり最終的には六千四百人。それから、第一四旅団は、常備自衛官を八百人増員いたしまして二千八百人というのが定数でございます。

寺田(稔)委員 今それぞれ定数のお答えがございました。三、六両師団については、スリム化、コンパクト化、かつ、いわゆる従来型の、冷戦型の装備をなくしていって機動性を高めていく、コア化を進めていく中で、軽装甲機動車でありますとかあるいはUHヘリの配備等で人員も減っていく、これは十分是認をされるところでございます。

 ここで今回、非常に大きな目玉となってきますのが、逆にふえていく、まさに大臣の地元中の地元、善通寺に司令部がありますところの一四旅団の新編になろうかと思います。

 実は私も、数年前、四国に財務省時代勤務をした経験がありまして、四国四県つぶさに回らせていただきました。四国の特徴としては、非常に海岸線が長い、しかも島嶼部が多いわけでございます。離島振興法上の離島も多々ございます。そしてまた非常に大きな災害の多発地帯でございます。昨年も非常に大きな水害、集中豪雨がございましたし、また阪神・淡路のときも、香川県や徳島県の活断層、実際かなり動いております。また、古くは南海大地震もございました。

 ということで、ここに部隊を拡充することは、災害出動が本来任務となった今や、非常に重要なことだというふうに思うわけでございます。かつて徳島の勝浦町でも、善通寺の部隊がなかなか来なくて三時間も山火事が延焼してしまったということで、被害が拡大をした非常に苦い経験もあるわけでございます。さらに、それに加えまして、戦略上も非常に重要な位置づけになってきつつあるわけですね。

 といいますのは、旧ソ連の脅威が消滅をして、今我が国の周辺事態の脅威として、現実的に考えますと、やはり朝鮮半島の有事、あるいはまた台湾海峡の有事というのが想定をされ得るわけでございますけれども、そうしたときに、この四国の部隊というのは非常に重要な後方支援、かつ兵たん部隊として重要な位置づけがさらに高まってくるということになろうかと思います。現に、米軍もそうした重要性に着目をして、四国をオレンジルートに設定をしまして、かなり現実的なオペレーションを四国の地においてやっております。地形が非常に朝鮮半島に似ているというふうな地政学上の特徴もありまして、米軍の低空飛行の問題も起きてきているわけでございますけれども、そうした中での四国の部隊の改編、新編でございます。

 実は、防衛庁資料によりますと、新たに新編をされます一四旅団の部隊編成というものが示されているわけでございます。この防衛庁の資料によりますと、まず善通寺にあります司令部、次に普通科連隊、特科隊、高射隊、戦車隊、偵察隊、施設隊、通信隊、そして最後に、ロジスティックを担当します後方支援連隊、こういうふうな九つの隊の編成になっておりますが、大臣も御承知のとおり、非常に重要な一つの隊が欠落をいたしております。つまり、四国の部隊というのは戦略機動隊なわけですね。より機動性を高めるための飛行隊という非常に重要な部隊がこの防衛庁資料では欠落をしております。

 しかしながら、当然、飛行隊は整備をしていかなければならない。しかも、今回新たな駐屯地の新設ということが徳島の那賀川町において行われる、こういう新たな駐屯地の新設もございます。

 ぜひこの具体のスケジュールを示していただかないと、やはりこの戦略機動隊としての一四旅団の新編を考えますときに、かつ、先ほど言いましたような戦略的な重要性を考えますと、早期に飛行隊と那賀川の駐屯地の部隊整備の具体のスケジュールを示していただく必要があろうかというふうに思うわけでございますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

大野国務大臣 寺田先生から御指摘いただきました第二混成団、まさに香川県のそれも私の選挙区の中の善通寺にございまして、私も大変なじみの深い第二混成団でございます。これが十七年度中には、御指摘のとおり第一四旅団になる。

 そこで、一四旅団としての役割というのは機動性を持ってやれ、こういう御指摘でございました。機動性という点におきましては、例えば普通科連隊を新設する、あるいは場合によっては軽装甲機動車を導入していく、これは大変大きなポイントだと思っております。それも、今は全く装甲車を持っていませんから、これを七十台持っていく、こういうことになっておりますので、かなりの機動力が出てくると思っています。

 問題は、御指摘の飛行部隊でございますけれども、飛行部隊につきましては、この十七年度中ではなくて、徳島におきまして導入をする、こういう計画を持っております。恐らく数年ぐらいかけて着々とそういうことを築いていくのではないか、このように思っておりますし、また機動性という意味では、善通寺に全部集中するのではなくて、愛媛には既にございますけれども、あと高知県、徳島県に新たに駐屯地をつくっていく、こういうことも考えておるわけでございます。

 全体としては、防衛局長からも説明がありましたけれども、人数で言いますと、現在二千十一人でございますが、十七年度改編後はここが二千八百二十六人になる、こういう予定になっております。

寺田(稔)委員 今、大臣の方より数年以内に飛行隊の整備も行うと。ぜひこれは早期にやはり地元調整をやられて、具体のスケジュールを示していただくということが、特に、どこに飛行隊を置くか、そしてまたどこに施設中隊を置くかというのは、全体の隊の編成上も、戦略機動隊としての体をなすためには非常に重要でございます。実際、徳島なんかは、今飛行隊がないがために八尾から飛行隊が来たりしておりますので、そこらの具体のスケジュールも早期にお示しをいただきたいというふうに御要望いたしたいと思います。

 次に、もう一つの大きなテーマでありますところの統合運用の整備の問題でございますが、今回新たに統合幕僚監部が設置をされまして、統合幕僚長が今度新設になるわけでございます。この統合幕僚長、新たに防衛庁設置法の二十三条においてその役割が規定をされておりますけれども、これまでの統幕会議の調整権者としての役割から、新たに指揮権者、すなわち指揮者たる防衛庁長官を補佐して一元的に指揮命令系統のラインに入る、自衛官としては最高位の位がこの統合幕僚長でございます。

 そのような位置づけになったときに、実際この部隊運用は、すべてこの統合幕僚長の指揮監督下のもとに各幕僚長が置かれることになろうかと思いますけれども、実際、この統合幕僚長がそういうふうな部隊運用において最高位ですべての権限を振るうというふうなときに、各三幕の幕僚長のそのときの役割、及び、また統合幕僚副長が設置をされるわけでございますが、この統合幕僚副長の機能、役割について、それぞれ御説明をいただきたいというふうに思います。

大野国務大臣 統合幕僚長は、言うまでもございませんが、部隊運用に関して軍事専門的見地から一元的に長官を補佐する、これは御指摘のとおりでございます。

 そこで、各幕僚長はどうなるんだ、こういう御質問でございますけれども、各幕の監部からは、要するに運用に関する部分だけはすべて統合幕僚長の方へ参ります。したがいまして、運用以外の部門は相変わらず残っているわけでありまして、それを例示的に申し上げますと、人事あるいは基礎的な教育訓練、そして防衛力の装備、こういう問題がやはり陸海空の各幕の仕事になって残るわけであります。したがいまして、そういう問題につきましては陸海空の各幕僚長が長官を支える、こういうことになるわけであります。

 なお、副幕僚長は、当然ながら幕僚長を支える、こういう役割になっております。

寺田(稔)委員 今、大臣よりお答えをいただきましたが、そうしますと、各幕僚長は司令官でなくなるわけですよね、部隊運用時には。すなわち、いわゆる基盤的業務でありますところの人事でありますとか教育訓練、部隊装備を行うわけで、この司令官のラインから一切外れてしまうというふうな位置づけになるわけでございます。

 そうなりますと、統合運用という観点からすべての部隊運用権が統合幕僚長に集約をされるということは、これは統合運用ですから、しかも、それは統合運用だろうと単独運用だろうとすべて集約をされるというふうな理解でございますので、それはそれで一つの姿かと思いますが、その外されたところの各幕僚長は運用以外の基盤的業務のみを行うというふうな位置づけに逆におとしめられるわけでございます。そういったようなときに、実際この統合運用を実効ある形で行うためには、やはり日常的な基盤業務についても各幕と統合幕僚監部が十分な連携、連絡をとらなければ当然機能しないことは論をまつまでもないわけでございますね。

 すなわち、部隊装備品の調達一つとりましても、実際の運用ニーズというものをつかんでいないと実際のスペックも決めることができないのは当然でございます。また、教育訓練面においてもそういったような実際のオペレーションを念頭に置いた教育訓練をしなければならないわけで、いかにそこの両者の連携を図っていくかというのが今後の大きな課題になろうかと思いますが、やはりこの統合運用を実のあるものにするためには、教育訓練の具体のプラン、統合運用に向けたプランを早期に策定していく必要があろうかと思います。また、実際の運用面についても、いわゆる後方業務でありますところの車両整備工場の運用でありますとか、あるいは弾薬の整備等についても、当然、一体的、統合的な運用を念頭に置いて運用を行っていくということが、実戦に有効に役立つ部隊運用を行うためには必要不可欠かと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

大野国務大臣 御指摘のところは本当にこれから真剣に考えていかなきゃいけないポイントだと思っています。

 まず、統合的に運用するわけですから、ふだんはやはり訓練をきちっとしておかなきゃいけない、いわゆる一般的な問題として統合運用の訓練をやる。それから、個別の対象について、ここにゲリラが起こった、こういう個別の問題でもきちっと対応するような訓練をやっていかなきゃいけないし、またもう一つは、やはり情報とか通信とか、これは寺田先生御存じのとおり、ちょっと今システムがばらばらですから、こういうところも将来統合していくようにやると同時に、そういう情報の共有、通信の連絡、これは一番大事なものですから、そういうことをきちっとやっていかなきゃいけない、それから教育におきましても、そういうような統合ということを念頭に置いた教育をやっていかなきゃいけない、こういうことがこれから課題となってまいると思います。

 さらに、ふだん絶えずお互いに連絡し合う、こういう問題も必要となってまいります。システム上はそういう連絡の土俵というのはまだつくっておりませんけれども、私は、運用の上でやはり三幕が日常きちっと連絡し合うような運用をやっていくべきじゃないか、十分検討させたいと思っています。

寺田(稔)委員 まさに今大臣が言われたとおりなんですね。三幕が非常に縦割りになっていて横の連携がない、特に言われたCOE、情報の共通基盤の点でもそうでございますし、C4Iについてもそうでございます。ぜひ、この部隊運用以外の日常業務について、三幕の垣根の努力をするようにしていただきたい。

 あと、もう時間が参りましたので、せっかく副長官がおいででございます。一言で結構でございますけれども、この統合情報の問題、情報本部を今回特別の機関として長官直轄化されるわけでございますけれども、統合情報の機能と役割について一言お願いをいたします。

今津副長官 情報本部が特別の機関として、統合運用とのかかわり合いでございますけれども、新たな脅威や多様な事態への対応を初め、各種事態において防衛力を効果的に運用するためには、高度な情報能力の保有とその十分な活用が不可欠でありまして、自衛隊部隊の統合運用に必要な情報支援についても情報本部が責任を持ってこれを行うことは当然であると考えております。

 簡単に申し上げました。

寺田(稔)委員 ありがとうございます。ぜひ、統合運用の実を上げるような情報運用をよろしくお願いいたしまして、質問の方、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小林委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。おはようございます。

 きょうは、防衛庁設置法の一部改正法案、ミサイル防衛を除くということで、今、寺田委員の方からも統合運用ということについて最後に御質問がございましたけれども、私の方もその問題に関連して、実際の一つの具体的な場面というか具体的なケースとしての去年の暮れに起こったインドネシア・スマトラ沖大地震並びにインド洋の大津波、こういう事態に対しまして、国際緊急援助隊法の法的根拠に基づきまして、最終的に一月の初めですか、十二月末、先遣隊も入れれば約二カ月余りですか、自衛隊の皆さんの大変な活躍があったわけですが、そのことについて、その周辺の問題を少しお伺いしたいと思います。

 今申し上げましたように、自衛隊は国の基本的な防衛という観点、領土、領海、領空という領域保全の役割、これはいや増して重要なことでありますが、それに加えて、今申し上げましたような世界の各地におけるところの大変な、大規模な災害に対する対応、同時に今、御承知のように、イラクそしてインド洋における人道復興支援、また原油の燃料の給油といったこういうふうな仕事にそれぞれ千人ずつぐらい従事しておられるという、大変に大事な仕事を国際平和協力活動という格好で自衛隊の皆さんが行われているわけであります。そういう点で、国際平和協力活動の一環という観点、これは国民が自衛隊に期待する大きな要素の一つだろうと思うんです。国の防衛という観点は実際に起こるということがないにこしたことはないわけでありまして、そういう意味では、災害に対する緊急援助活動という活動に対してどう取り組むか、これは非常に大事な問題だろうと思うんですね。

 それで、災害は忘れたころにやってくるという言葉はよくあるんですが、災害は忘れなくともやってくるという感じで、実は、先ほど申し上げました去年の暮れの大変なあの大災害があって、そしてその後、私の地元兵庫の神戸で国連の防災世界会議が行われて、兵庫で行われましたので頭に兵庫とついているわけですけれども、兵庫行動枠組という二〇〇五年から二〇一五年までの約十年間さまざまなそういう活動に対する大事な取り決めというのを決めたわけですが、その直後に、今度は三月末に二回目の大変大きな地震がありました。

 冒頭、この問題につきまして、外務省の方に、この二回目の地震についての現地インドネシアからの要請があったのかなかったのか、そして先ほど申し上げました世界防災会議は、大変に、時節柄、日本じゅう、また世界じゅうの注目を集めたわけですけれども、その会議の所産としての兵庫行動取り決めの中の決められたことというのがこの二回目の地震の対応として生かされたのかどうか。本当に急というか、ほとんど時間がなかったために生かされなかったのではないかという懸念もあるわけですけれども、その辺について、冒頭、外務省から御説明を願いたいと思います。

西宮政府参考人 お答えいたします。

 現地時間で三月二十八日の深夜、これは日本時間ですと二十九日の未明になりますが、委員御指摘のスマトラ島沖の二回目の地震ということがございました。

 本件につきましては、二十九日に、インドネシアの国家災害管理調整委員会より我が方在インドネシア日本大使館に対しまして、緊急援助物資の供与、それから医療チームの派遣が要請された次第でございます。これを受けまして、政府は二十九日中に約千五百万円相当の緊急援助物資の供与、それから国際緊急援助隊の医療チーム、これは十一名でございますが、この派遣を決定いたしまして、医療チームは三十日に出発して現地で活躍されている、こういう状況でございます。

赤松(正)委員 去年の暮れの、それこそ何十万という単位の死傷者を出したあの災害がもし仮になくて、今回の第二回目のやつが一回起こっていたら、これも自衛隊の出動というような形に恐らくはなったんだろうと思うんですけれども、非常に小さい単位の要請があったわけですね。

 それで、二つ目の質問に対する答えは、じゃ、神余さんですな。

神余政府参考人 二つ目の質問にお答え申し上げます。

 本年一月の国連防災会議におきましては、小泉総理の御提案を踏まえまして、インド洋津波特別セッションが開催され、インド洋地域に津波の早期警戒システムを構築することが呼びかけられたわけであります。

 このセッションにおきましては、我が国は、インド洋地域における津波早期警戒メカニズムの構築に向けまして、国際機関を経由する支援及び二国間の協力により、その持てる知見と技術を最大限提供する用意がある旨表明いたしました。また、インド洋地域において津波早期警戒メカニズムが本格的に運用されるまでの間、暫定的な措置として、この地域の諸国の求めに応じて、現時点で利用可能な観測データから得られる津波警戒情報を既存の情報通信網を通じて提供する用意がある旨表明いたしました。

 その後、我が国気象庁は、この会議の結果を踏まえまして、津波暫定情報の提供について、ユネスコやアメリカと共同いたしまして準備を進めてきたところであります。

 先月二十九日のスマトラ沖で発生しました二度目の大地震の際には、我が国気象庁から、地震の発生時刻、震源の位置、地震のマグニチュード及びインド洋の沿岸に対する津波到着までに要する予想時間を含みます津波監視情報を、インド、インドネシア、マレーシア、モルディブ、モーリシャスなどなどインド洋沿岸諸国に対して、緊急的にファクスにより連絡いたしましたが、津波情報の暫定的な提供がこのような形で行えましたことは、国連防災世界会議、兵庫行動枠組の議論を踏まえた最初の実践として評価できるものと考えております。

 また、この兵庫におきます防災世界会議の議論を踏まえまして発出されました兵庫宣言、これは災害を受けやすい途上国の災害対応能力の強化を国際的な協力を通じて行う必要性に言及しておりますけれども、会議直後の二月下旬には、国連防災戦略主催のインド洋周辺国の行政ハイレベルを対象とした研修が東京と静岡において実施されております。各国より高いレベルでの出席が得られました。これらの関係者は、帰国後、それぞれ各国にて防災当局の責任者として、今回の二回目のスマトラ地震におきまして、研修で得られました知見を活用できたのではないかというふうに考えております。

赤松(正)委員 今御報告いただいたように、本当に兵庫の例の行動枠組というものが非常にいい形で、直後の今回の二回目の地震に対して対応できた。残念ながらといいますか、多くの人が亡くなったわけですけれども、第一義的にはこの兵庫の国連防災会議というものが大きな役割を果たしたということは、内外に大いに宣揚していっていいことだろうとも思います。

 そこで、今回のこの法案に関する統合運用という部分でのお話に入ってまいりますけれども、今回の地震、津波、この大津波に対して、自衛隊に外務省を通じて要請があって、現地にも派遣をされた。

 この問題の当初、一般的に懸念をされたことにつきまして、何が懸念されたかといいますと、十数カ国の各国の軍隊が現地に行った。そういう中で、国連の調整というものが望ましいというケースでありながら、実質的には米軍がかなり素早い行動を起こして、さまざまなリードをしていったということが報道等を通じてありまして、あるべき姿からいけば、これはおかしいというふうな指摘があったようですけれども、その後どういう経緯を経て、実質的にどう落ちついていったのか。

 最終的には、日本の場合は、もちろん日本のそれこそ統合幕僚会議のメンバーの調整というもので、現地の要請を受けて、三自衛隊に適切な対応があって動いたというふうに承知しておりますけれども、若干その経緯というものを御説明願いたいと思います。

大野国務大臣 今回振り返ってみますと、赤松委員御指摘のようないろんな問題があったと思います。

 やはり、当初はコアグループでやるのかな、しかしながらやはり国連だ、こういうような動きがあったと思います。その中で、私の見るところでは、やはり定型的な調整の枠組みはなかったのではないか、このように思っております。

 それはどういう意味かといいますと、援助、救援に来るのは、各国自衛隊とか軍隊とかありました、それからNGOの人たちがありました、それから国際機関の人たちもありました。そういう方々、それぞれのプレーヤーが必要に応じ、他国と、あるいは国際機関と相談しながら、調整しながらやっていった、こういうように私には見受けられます。

 そして、その中で、赤松委員もおっしゃいましたような、例えば機能別に分けてみますと、空輸活動を見てみましょう。空輸活動ですと、これはタイのウタパオ空港でやっておりましたけれども、そこではいわばいろんな調整が行われているわけでありますが、国連、国際機関、各支援国等が、やはりどちらかというと米軍が主体的になって空輸調整会議をやり、そこで援助物資をどうするか、こういうような相談をやっていたようにも見受けられます。支援各国軍、国連合同の兵たんセンター、そしてまた国連人道問題調整事務所、国際赤十字、こういうことで空輸調整会議を実施しておったということでありますけれども、どちらかというと米軍が主導していた面もあったのではないか、このようにも見受けられます。しかし、全体として、定型的に国連がやったとか、どこの国際機関がやった、あるいはどの国がやった、こういうような現象ではなかったと私は思っています。

 なおまた、日本だけの問題として申し上げますと、例えば、ヘリによる援助物資の空輸でございますけれども、国連人道問題調整事務所あるいは国際移住機構及び支援各国が援助物資を提示して、輸送スケジュールを調整した上で、空港をどういうふうに使っていくか、これはインドネシアの軍隊が行って、そして日、米、豪、シンガポールの空輸部隊がそれぞれ援助物資を輸送した、こういうことでありますし、また、ワクチンの予防接種を見てみましても、国連児童基金、インドネシア保健省及びアチェ市保健局からの依頼があって、そしてそこで、アチェ市内においてそれぞれが実施した、こういう格好であります。それぞれのプレーヤーが主体的ではあるけれども、いろいろ各国連機関あるいは各国と相談しながらやった、これが実態だろうと思っています。

赤松(正)委員 この問題、後で日本の対応についての課題を聞きますけれども、国際社会にとってもこういうケースは二度とあってはいけないわけですが、やはりいろいろな角度で検討、検証を加えて、国連にもしっかり提言をしていくというふうなことがなければいけないなという感じがいたしますね。

 日本は、こういう三自衛隊が本格的な形で、国際緊急援助活動という格好でインドネシアに出向いていって、千人にも及ぶ人たちが活動したということについてはまれなる経験だったと思うんですが、さまざまな課題等、検証が進められていると思いますけれども、そのあたりについて手短にお願いしたいと思います。

大野国務大臣 私は早速、各自衛隊が崇高な使命を果たして帰ってまいりまして、そして反省すべき点は反省して検討してほしい、そして、次のこういう事件、あってはならないことでありますけれども、万一起こった場合には、それに備えて迅速に行動できるようにやってほしい、こういうことを言いました。他日、その会議も開きました。

 いろいろな課題があろうかと思います。

 まず、では簡単にということなので途中経過は飛ばしますけれども、一つは、迅速に行動する、これがやはり大切なことだと思っています。しかし、迅速に行動する前に、何といっても、先遣隊を派遣して、ニーズは一体どこにあるんだろうか、こういう問題をきちっと処理しなきゃいけないし、あるいは安全性はどうか、こういう問題もきちっと見てこなきゃいけない、その先遣チームをまず派遣した、これに何日間かはかかっております。

 それからその次に、やはりどういう装備を持っていったらいいのか、これも検討しなきゃいけないことでありまして、その検討にも時間がかかっております。それから、一番時間がかかったのは、例えば待機部隊は、陸でございますと北海道にありました。それから、海上自衛隊は呉でございます。ヘリは東部方面から出した、こういうことでありますので、それを一体として運用していくのにちょっと時間がかかり過ぎたかな、こういう反省はいたしております。

 そういうことがないように、それぞれの部隊をどういうふうに統合運用していくか。今回は自衛隊といたしまして初めて統合調整という考え方でやりました。これは本当にすばらしい経験ではなかったかと私は評価しておりますけれども、今後、そういう課題、いいところはいっぱいあるんですけれども、反省すべき点との御質問でしたので反省すべき点だけは申し上げましたが、感謝されている面も数多くあることを申し添えさせていただきたいと思っています。

赤松(正)委員 そのことはよくわかっております。大変に感謝されているということはわかった上で、今長官がおっしゃったように、実際に現地に行く、そして行って医療活動に取り組むに当たって若干の時間がかかった。これについては、さらに一層、こういうケースの場合はそんなにないかと思いますけれども、三自衛隊の統合的な運用についてはしっかりと日ごろの対応というものが大事だろう、こんなふうな感じを強く抱くわけであります。

 時間が迫ってまいりましたので、最後に、よく言われることで、かつての自衛隊が、存在する自衛隊から今度は機能する自衛隊、この言い方はわかりやすいんですが、何だか昔の自衛隊は全くただ存在しているだけみたい、当の本人がいなくなりましたけれども、よく石破前長官がそういう言い方をされているわけですが、言ってみれば、先ほどの寺田委員の質問の最後のくだりにもありましたが、そういう統合幕僚会議という名前からして、会議とついているわけですが、それが統合幕僚監部という格好になって、指揮をする人間の軸としての統合幕僚長という格好が生まれる。そういう形で、今申し上げた過去は過去として、これからの時代に向けてどこがどう具体的に変わっていくのかということを国民に向けてわかりやすく大臣の方から説明をしていただきたいと思います。

大野国務大臣 まず第一に、国際安全保障環境が変わった。つまり、テロを例にとりますと、テロというのは、抑止力があっても、アメリカのように抑止力が世界一大きいところでも攻めてくるわけであります。そして、そういうテロの攻撃に遭えば、あのニューヨークの貿易センターには日本人も大勢いて、そして命を失う、これは国際的に、地球上に住む人間にとって共通の敵として対処しなきゃいけない。これが一つ。ですから、国際協調というのは大変重要な問題になってきている、そういう面を一つ考えなきゃいけないと思います。

 それから、抑止力じゃなくて、ゲリラとか何か起これば、直ちに対処していかなきゃいけない。この典型的な問題が、今回の法律でも御審議いただきますBMD防衛であります。こういう科学技術の発達によって、本当に新しい脅威が出てきた、これに対してどうやっていくんだろう。存在するということも大事ですけれども、存在するよりも、とにかく、どういうふうに突然ミサイルが飛んでくるかもわからない、それにどう対処する、テロにどう対処する、それを国際的にどういうふうにやっていこうか、そういうことで、迅速性が大変要求されると思います。今までのような統合会議で議論した上で議長が調整するというのではなくて、やはり統合幕僚長が一括して迅速に三自衛隊を有機的に有効に使っていく、このことが大変大事な問題となってくるのではないか。それと同時に、やはり国際的に安全保障環境をよくしていく、こういうことが大事なんじゃないか、このことを私は申し上げたいと思います。

赤松(正)委員 ありがとうございました。終わります。

小林委員長 次に、大石尚子君。

大石委員 民主党の大石尚子でございます。

 本日は、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の中で、弾道ミサイル防衛に係る事項を除く部分の審議に入っているわけでございますが、この質疑に入るに先立ちまして、実は、法律案の提出の仕方について、防衛庁長官と意見を交換させていただきたいと思っております。

 先ほど寺田委員がちょっとお触れになりました法案、これは、さきに、去年の秋の臨時国会のときに、この委員会には防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案というのがかかってまいりまして、御記憶も新しいかと思うんですけれども、そのときに、私どもの松本委員が質問に立たれまして、総務委員会にかかった一般職給与法の一部改正、それと寒冷地手当法を抱き合わせたために、それがめぐりめぐって私どもの安全保障委員会に、関連、関連でこちらに付託されて、しかも日切れ法案扱いになりまして、これに対して、法案の提出の仕方がおかしいということで、松本委員から大変抗議を申し入れました。

 特に、総務の副大臣にもお越しいただいて、そして今井総務副大臣は、「今質問もございましたように、当委員会でもタイトな日程になったという抗議のお話をいただきまして、真摯に受けとめさせていただきたい、」という答弁をして帰られたわけでございます。

 ですから、この法律案の出し方というのは、今に始まったことではなくて、特に今通常国会の二月十六日の予算委員会で私自身も取り上げさせていただきましたときに一部引用させていただいたのですけれども、これは昭和五十二年、大変さかのぼりますけれども、その五十二年の五月二十四日の内閣委員会で、これは防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正案についてという議案に関して、これは今の自民党の国対委員長、中川秀直委員が質問に立っておられまして、そしてどういうことかと申しますと、「この防衛二法と言われる法律案は、」「全く無関係ということはないかもしれませんが、基本的には関係がない。こういった関係のない法律を一緒の一部改正案として出すことについて、私は大変望ましいことではない、」しかもこの後に、「これは行政府が立法府の審議権というものに、こういう一本の法律にして出してくるという法案提出の形によって容喙をしてくることになるのではないか、」容喙というのは難しい言葉なんですけれども、横から余計な口出しをするという意味の容喙でございます。そういう指摘をなされておられまして、これに対して法制局長官は、こういうことは過去においてもしばしば御指摘をいただいたと。それで、このときに三つの条件を挙げられて、この条件を使ってさきの予算委員会では官房長官が、あの法案の取りまとめはこういう条件を満たしたときに取りまとめているはずであるという御答弁をなされて、これは防衛庁長官も後に使っておられるわけです。この源泉をたどると、どうもここの内閣法制局長官の答弁が今ずっと使われているようでございます。

 それで、このときに中川委員は、私もすごく同感して、私も問題意識に持っていることで、こういうことを指摘していらっしゃるんですね。まとめて法案提出するということは、採決を一回で賛否をとるというわけになりますので、「法案の採決のときは一本で行われるというようなことは、これは法案の出し方で採決の仕方が決まってくるのでございますから、これは行政府が立法府の審議あるいは採決といったようなものに事実上制限を加えてくることになりはしないか。」と指摘されているわけでございます。

 それで、このとき当時の三原防衛庁長官はこういう答弁をなさっております。「確かに私ども自身、いま先生御指摘の点については今後の一つの課題として受けとめてまいって研究をすべきかなという受けとめ方をいたしておるところでございます。」という答弁でございますが、このとき中川委員は、「いま大臣がおっしゃった御答弁の線で今後は十分御注意を願いたい、」と締めくくっておられるわけでございます。

 今回のこの防衛庁設置法等の一部を改正する法律案というのは、主に三つの問題の法案をくくっております。その中にミサイル防衛の問題が入っている。そこで、私どもは、既に本多平直委員が本会議で指摘させていただきましたように、これは分けて出すべきではなかったか、特にミサイル防衛の問題と、それから陸海空、三自衛隊を統合する問題でございますとか、あるいは自衛官の給与の問題等々、これは本質的に問題が違います。特に防衛庁内部の問題、全部内部といえば内部かもしれませんが、ミサイルディフェンスの問題は大変国民も関心が高い。したがって、少なくともこれを全部くくって一括の採決で済ますというようなことは、国民の意思決定をする上に、私ども国民にかわって立法府で一つの意思を決定していく上に、大変あいまいな、おかしな結論を出しかねない、そういう事態が十分にございます。

 そこで、私どもは最初から法律は分けて提出してほしいということをいろいろなチャンスに言い続けてまいったわけでございますが、今回は二月の十五日の閣議決定でとにかくこういう形で法案が提出されて、でもこの質疑だけはこうやって切り離してしていただけるようになったわけですけれども、本会議の本多平直議員の御質問のときに防衛庁長官は、中身は省きますけれども、三つの条件、こういうことを基準にして法律はまとめるときはまとめていると。それで、「本法律案に盛り込まれた政策は、いずれも平成十七年度予算に関連する統一的なものであることから、ただいま申し上げた基準に沿って法案を提出させていただいた」、この予算に関連しているからくくっているという御答弁なんですけれども、それはないでしょうと私どもは思うんです。

 いろいろ私は述べさせていただきましたけれども、今のこういう経過をお聞き取りくださって、それでまた今後の法律の提出の仕方、どういうふうな御意見をお持ちか伺わせてくださいますようにお願いいたします。

大野国務大臣 ただいま大石先生から大変御示唆に富むお話をちょうだいいたしました。また、いろいろな歴史的な背景も御説明いただきまして、私自身も勉強させていただいたところでございます。

 本会議のとき申し上げましたのは、先ほど大石委員が御引用いただきました、いわば内閣法制局長官の三条件といったらいいんでしょうか、一つは、法案に盛り込まれたものが政策的に統一的なものである、趣旨、目的が同じである。二つ目、法律案の中身が相互に関連している、一つの体系をつくっているじゃないか、こういうもの。それから三番目に、できる限り同じ委員会の所管に属する事項に関するものであることが望ましい。こういうふうなことを申し上げて、その上で、先ほど大石委員がおっしゃいました平成十七年度予算に関連してということで御説明を申し上げたわけでございます。

 したがいまして、政策が統一的なもので法案の条項が相互に関連していることから一本の法律で一覧的にお示し申し上げ、一体として御審議いただきたい、こういうようなことを申し上げたことでございます。

 ただ、大石先生が今まさに御指摘のとおり、今回の法案に盛り込まれたこと、今私が申し上げたような観点はあると思いますが、確かに別の切り口から見れば、一つはミサイル防衛、もう一つは統合運用ですよね。もう一つ挙げれば、私はやはり情報本部を長官直轄にする、これも問題点の一つではあろうかと思います。

 したがいまして、通常の例えば組織の編成、例えば第二混成団を旅団化するとか、あるいは給与をどうする、それから定数をどうする、大事なことです、こういう問題も大事なことですけれども、そういうような、いわばいつもやらなきゃいけない仕事というのではなくて、いわば時代の変化に沿って、やはりミサイル防衛は新しい防衛の問題だという観点からきちっと考えていく。それから、統合運用というのも、やはり運用の仕方について根本的に考え直すわけであります。そういう意味で大変重要な問題が含まれている、こういう御指摘は、私は今本当に胸にしみ渡って聞かせていただきました。

 そういうことで、私は、今大石委員から大変御示唆に富むお話を承りましたので、今後の法律案提出につきましては、今おっしゃったような観点から、単に形式的にやるというのではなくて、中身を本当に眺めながら一つ一つ考えていかなきゃいけない、大変貴重な御示唆をありがとうございました。

大石委員 ただいま防衛庁長官から御答弁いただきましたけれども、本当に考えれば考えるほど、何でミサイルと三自衛隊の統合問題等々が関連のある問題としてくくられてくるのかな、こういうことだと、防衛庁に関する、防衛庁が提出してくる法案というのはみんなまとめちゃってもいいんじゃないかなという、同じになってしまうのかしらという感じになりかねないわけでございます。

 ですから、大変くどいようでございますけれども、この法案の質疑に入らせていただく前に、今回のような提案の仕方は二度と先例としない、今後は中身をよく検討した上で、形をくくることなく、しっかりと国民に説明できるような提案の仕方をしていくということで、もう一回御答弁いただけませんでしょうか。

大野国務大臣 中身で勝負、こういうふうに申し上げたいと思います。中身をきっちり見分けて、単にこういう形式的な切り口があるからというのではなくて、本当に新しい時代の要請に基づいて出てきているものであります。これは、本当に我々国会議員がみんなで議論して、国民を代表する者が議論して決めていかなきゃいけないものだ、こういうことをきちっと今胸におさめましたので、今後はこういうことがないようにさせていただきたいと思っております。

大石委員 ぜひそのようによろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは次に、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の弾道ミサイル防衛に係る事項を除く部分の質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず、三つの自衛隊を統合運用していく体制を強化していくという問題、これに関連いたしましてお尋ねいたしたいと思います。

 ここに法律案があるのですけれども、この法律案の、特に新旧対照条文のところを見ていきたいと思います。お手持ちでございますね。

 今回、三つの自衛隊を統合運用していこうということでございますけれども、その統合というのは、これは世界的な軍の運用の流れであるように聞いております。しかし、その過程で、例えばカナダ、三軍同じ制服を着せてしまった、そうしたらなかなかうまく運用できなくて、結局はもとの三色の制服に戻したというような失敗例もあるやに聞いておりますが、我が国で三つの自衛隊を統合していく目的というか理想のあり方というか、私は、決して深いおつき合いではございませんが、三つの自衛隊とおつき合いさせていただく中で、例えば、インド洋に行ってみたりペルシャ湾に行ってみたり、あるいはカンボジアに行ってみたりゴラン高原に行ってみたり、あるいは空の方のお話を伺ってみたりする中で、三つの自衛隊というのはすごく文化が違う、任務の特殊性からだと思うんですけれども、大変それぞれ仕事のしぶりも違うし、それからもちろん運用の仕方も違うし、特色が全然違うわけでございます。

 ですから、その三つの特色を大いに生かしながらジョイントさせていく方向へ統合しようとしていらっしゃるのか、できればその三色をまぜ合わせて、それで共通項を見定めながら三つの自衛隊をこれから教育訓練していこうと思っていらっしゃるのか、理想的な姿をどこに求めていらっしゃるのか、まず伺わせてくださいますようお願いします。

大野国務大臣 やはり私は一番大きな問題というのは、迅速に行動する、効率的に行動する、このことだと思っております。統合調整あるいは統幕会議ということで、やはり会議を開いて議長が調整するということになります。したがいまして、時間的に若干時間がかかる、こういう問題は避けて通れません。

 統合運用となれば、統幕長がすべて、陸のこの部分を海のこの部分と有機的につないでいこう、こういう場合もありましょうし、それから、全体として新しく、陸海空のそれぞれの自衛隊のこの部分をとって新しい統合運用部隊をつくろう、こういう場合もあろうかと思います。いずれにしましても、この三つの自衛隊が有機的に結合して有効に対処していく、これが一番の問題かと思っております。

 それから、三軍の特色を残すのか生かすのか、これは非常に難しい問題じゃないかと思っています。私は、やはりこの三軍のそれぞれの特色はなければいけない、しかし、それが有機的につながっていくこと、これをまず直前の課題として見詰めて検討してやっていかなきゃいけないのではないか。こういう意味で、統幕長にすべて運用に関する権限を与えて、それぞれの三幕僚長には運用以外の問題を指揮監督してもらう、こういう体制でございます。

 その運用以外にも一緒にやったらどうか、こうなりますと、一軍の方、カナダのような一つの軍隊の方向に進んでいくわけであります。

 ただし、三つの自衛隊の中で、先ほども申し上げましたけれども、情報とか通信とか、システムが全く違うところは一緒にしていかないとお互いに有機的に結合していかない、こういう問題が残っております。ただ、まずは有効に迅速に素早く対処能力を持っていく、そして、恐らくこれからもう一段階いろんな意味で検討する機会があるんじゃないか、そのときに今先生のおっしゃったようなそれぞれの特色とかあるいはこういうものだというものをどう考えていけばいいのか、こういう問題も真剣に考えていかなきゃいけない問題だと思っています。

大石委員 最後のところがちょっとよくわからなかったんですが、今のところはとにかく三軍、軍とおっしゃったから私も軍と言ってしまいますけれども、三軍の特殊性を、三自衛隊の特殊性を生かしながら有機的に運用できるようにしていきたい、決して三軍の特色をまぜ合わせて一つの軍をつくろうと思っているのではないというふうに理解させていただきたいと思います。

 それで将来ともよろしいのでございますか。

大野国務大臣 まず、軍という言葉を使ったとすれば取り消しをさせていただきたいと思います。自衛隊は軍隊ではない、私はそのように思っております。

 それからもう一つ、特色を残すのかどうか。その場合に、共同で訓練するとかそういう問題がいっぱいあります。抽象的に、頭の体操みたいなものですけれども、特色を残すかどうかということを今考えるのではなくて、今の段階では迅速に行動していく、ただし、それぞれの特色は残しておいて、そしてその中で、一緒に訓練をしたり、こういうことは大事なことですということを申し上げました。

 それから、将来、その特色について何か反省すべき点があれば、検討すべき点があれば、陸の自衛隊はここはこうしたらどうかというような問題が出てくれば、私はその段階で検討すべきものだと考えております。

大石委員 私自身は、やはり三自衛隊の特色はしっかりと押さえながら、なおかつお互いに理解し合って、持ち味を尊重し合って、効率よく、ともに働くときは頑張っていけるような体制に自衛隊が育っていってくださったらいいのではないかと思っております。

 それでは、新旧対照条文の二ページというところに幕僚長のことが書いてございます。「統合幕僚長たる自衛官は、自衛官の最上位にあるものとする。」「幕僚長は、長官の指揮監督を受け、幕僚監部の事務を掌理する。」そういう二項、三項があるのでございますが、この統合幕僚長とそれから陸海空の幕僚長の位置関係というのは、上下の関係になるのでございますか。

大野国務大臣 この問題でございますけれども、上下関係というよりも、組織的に申し上げますと、運用については統合幕僚長が一元的に責任を持って一元的に長官を補佐する、その他のことについては、つまり基礎的な教育とか人事とかあるいは装備、こういうことにつきましては各幕僚長が、陸幕長、海幕長、空幕長が長官を補佐する、こういう位置づけでございますので、ラインの中で上下関係という議論は当たらないのではないか、このように思っています。

大石委員 自衛隊の中の最高位にある方が統合幕僚長であって、その下に三幕僚長が位置するのではない、そこは任務を分けて、統合運用、運用部門は統合幕僚長に、その他のというと、これは防衛庁からいただいた資料を読ませていただければ、「部隊運用以外(教育、訓練、防衛力整備等)」という、そういうお仕事の各三自衛隊の長は各幕僚長になられる、そういうことになるようでございますね。

 そうすると、統合幕僚長に事故あるときは、それにかわって防衛庁長官の指揮を執行されるのは、これはどうなさるおつもりでございますか。

 この法律にもあるんですけれども、法律によりますと、いわゆる統合幕僚副長というポストができて、統合幕僚長が、例えば外国にいらしたとか病気になられたとかというときは、この統合幕僚副長という方がその任に当たるということに読めるんですけれども、それで間違いございませんよね。

大野国務大臣 まず、統幕長と統幕副長との関係でございます。

 副幕長の役割は、統合幕僚長を助ける、統合幕僚長に事故があるとき、または統合幕僚長が欠けたときはその職務を行う。例えば、国内出張という場合には、これは統合幕僚長が職務をとります。それから、統幕長が外国へ行った場合、こういう場合には副幕長が代行する、こういうような考え方でございます。

大石委員 そうすると、統合幕僚副長という方とそれから三幕僚長、陸海空の幕僚長、この位置関係というのは、全く横並びになるのでしょうか。それとも、やはり三幕長の方が階級が上になるのでございますかね。

大野国務大臣 先ほども申し上げました、任務によって仕分けております。統合幕僚監部というのは運用について全責任を持っている、それから、各幕僚監部は運用以外の、例えば基礎的教育、人事、装備、そういうところに責任を持って、そしてその責任において防衛庁長官を補佐する、こういう役割でございますので、先ほど申し上げました統合幕僚長と三幕僚長の関係と全く同じになってくるわけでございます。

大石委員 そういたしますと、政治的決断はもちろん防衛庁長官がなさる。それで、その決断に基づいて、軍事指揮権は統合幕僚長が握ると考えてよろしいんでございますか。

大野国務大臣 指揮権は防衛庁長官でございまして、統合幕僚長がこれを補佐する、こういう立場でございます。現場でどうするかという問題ではありません。全体として、構成は、あくまでもシビリアンでございます防衛庁長官が責任を持って行う、こういう体系になっておるところでございます。

大石委員 当然、シビリアンコントロールの立場からそういうことになってはいるのですけれども、実際に、では、防衛庁長官が全部隊を直接指揮なさることはないので、その指揮権と言っていけなければ、防衛庁長官の指揮を執行する権限、これは統合幕僚長が握る。それで、統合幕僚長の下に三幕僚長がいらっしゃらないわけですから、その次の任務に当たる方は統合副幕僚長と伺いました。

 そうすると、例えばの話、今、アフガニスタン・オペレーションで、インド洋並びにアラビア海、あちらの方に海上自衛隊が補給活動に行っております。この運用の命令を今後お出しになるとした場合に、例えばそこじゃなくてもいいんです、海上自衛隊を運用しようと決断なさったときに、統合幕僚長が陸の方であっても空の方であっても、その方から直部隊へ命令を伝える、海上幕僚長はそのときはライン外になる、そういうふうに理解できるのですけれども、したがって、運用においては三幕僚長は蚊帳の外になると理解してよろしいわけですね。

大野国務大臣 たびたび申し上げておりますけれども、運用につきましては、陸幕長、海幕長、空幕長は、蚊帳の外という言葉は使いたくありません。これは自衛官ですので、全部一体となってやっているわけですが、運用の責任というのはあくまでも統幕長であり、そして全体の責任、指揮権は防衛庁長官にある。しかし、現場で、こういうことをやりなさい、こういうことをやりなさいという指示は統幕長から出ていく、それは防衛庁長官の指揮下に入って統幕長がやっていく、こういうことでございます。

大石委員 今回の法律を私読ませていただいて、あれ、大丈夫かしらと思ったんですけれども、要するに、三自衛隊の長たる幕僚長率いる三自衛隊、こちらの方はいわゆる私つくる人側でございます。要するに、自衛隊員を教育して、訓練して、維持して、それでいろいろ日常の防衛力を整備していく、そのつくる人とそれから使う人とを完全に分ける。それで、統合幕僚長以下幕僚監部、そちらの方がいわゆる自衛隊を使う人側でございます。

 そうすると、ここで、言葉は悪い言葉になるからいけないかもしれませんが、現在の三幕僚長から運用権を、悪い言葉を使えば、剥奪しちゃう法律のように思えるんです。

 それで、今度、先ほどの文章に返りますと、十ページに「統合幕僚長とその他の幕僚長との関係」というのが書いてあるところがあるんです。ここには、全部読むのはちょっと控えさせていただきますが、「第八条第二号から第四号までに掲げる隊務に関し必要な措置をとらせることができる。」と。いわゆる統合幕僚長側は三幕僚長に、要するに、今度はもっとこういうふうに部隊を訓練してくれないかとか、あるいは、こういう教育の仕方をしてほしいとか、そういうような必要な措置をとらせることができるとなっているんです。しかし、今度、幕僚長側から統合幕僚長に対して、統合幕僚長の任務を三自衛隊の最高の位置にある幕僚長として助言したり、それから、統合幕僚長の任務を補佐したりするという言葉はどこにも見当たらないわけでございます。

 そうすると、統合幕僚長と三幕僚長の任務、それが完全に、私つくる人、私使う人で分かれる。こういう形で、統合幕僚長になる方は陸海空のどなたかでございますから、そうすると、その方が陸なら、海と空の運用というのは必ずしもお得意ではない、そういう状態の中で、この三つの幕僚長の権限がえらくさま変わりしてくるのがこの法案でございますので、私、そういう形で、自衛隊というのはもちろん部隊であり人でございますから、しかも、三つの文化を持ったそれぞれの部隊を運用していく、それが本当にこういう法律のあり方でスムーズに運用できるのか。ねらいは一元化して効率よくというねらいでしょうが、ねらいとは違った形にさま変わりしていくのではないかと大変心配いたしております。特に、運用権のない三幕僚長に、一体だれがその職に魅力を感ずるのかなと。これは、私どもシビリアンがこういうことを言っては行き過ぎだろうとは思いますけれども、運用権があってこそ命だろうと思うんですね。自衛隊というのは、存在することに意味があった時代じゃなく、石破前防衛庁長官も機能する自衛隊にするとおっしゃっているんですから、機能するというのは運用することだと思うので、そこのところの、自衛隊の命の部分がこちらに集約されていく、それで本当に残された側の方がうまくこれから動いていけるのかしら、また、全体の運用がスムーズにいくのかしら、それを心配いたしておるんですが、御意見を伺わせていただけますか。

大野国務大臣 陸海空それぞれの幕僚監部の間の問題でございます。

 そういうような、それぞれの幕僚長が、あるいは幕僚監部が責任感と使命感を持って国の守りについてもらいたい、このお気持ちは十分わかります。そういう問題と同時に、いかに今、日本の国の安全保障を守るんだ、安心と安全を国民の皆様にお届けするんだ、これがやはり我々政治家として一番考えなきゃいけない問題ではないかな。

 その場合に、統合幕僚長といたしましては、何か事が起こった場合、状況をきちっと把握して、そして速やかに判断をして、そこに何と何が要るんだろう、こういうことをきちっと指示をしてやっていく、こういう問題が、やはり国を守る、現在の安全保障環境がどんどんどんどん変わっていく中で大事なことだと私は思っております。と同時に、先生のおっしゃったような、三幕僚長にそれぞれ責任と自覚を持って頑張ってもらいたい、こういうお話も十分わかるわけでございます。

 したがいまして、お互いのコミュニケーション、意思をどうやって深めていくか、こういう問題は、私は、きちっと運用の面におきまして考えていかなきゃいけないと思っています。

 なお、九条の二という大変ポイントの御指摘でございますけれども、九条の二というのは、例えば運用面についてはすべて統合幕僚長が責任を持ちますけれども、運用面以外の面、例えば装備について申し上げますと、装備の責任者はやはり各幕僚長、陸幕長でございます。そこへ統合幕僚長が、それでは緊急の場合、臨時的な場合、本当に付随的な場合、こういうものをという指示はできる、そういうふうに御理解をいただければいいと思っております。

大石委員 時間になってしまいました。統合時代の自衛官をどう教育していったらいいか、つくり上げていったらいいかという問題を御質問させていただくつもりでしたが、時間がなくなってしまいました。

 それで、最後に一つだけ、このえらい運用権限を掌握される統合幕僚長の人事について伺いたいと思うんですけれども、今まで、統幕議長の人事をはたから見ておりますと、陸の次は海とか空とか、陸、陸、陸とかそういうのはなくて、見ていると、三自衛隊が持ち回っていらっしゃるような人事でございました。

 しかし、この法案が改正されたとしたら、その後の統合幕僚長人事というのは本当に人を選ばないと、これだけの三自衛隊の運用がスムーズにいくかどうか、大変分かれ目になってくると思いますので、少なくともこの人事権におきましては、だれを選ぶかということは本当に適材適所で選んでいただいて、三自衛隊の持ち回りで決めるようなことはないと理解しておりますが、それでよろしゅうございましょうか。

大野国務大臣 統合幕僚長の職責につきましては、大石先生御指摘のとおり、極めて重要であります。自衛隊の最高のポジションにつくわけでございます。いざという場合には判断力、状況を判断して、どういうふうに部隊をつくり上げて、そしてそれをどういうふうに動かしていくか、すべてこの統合幕僚長にその責任がかぶさってくるわけでございます。

 したがいまして、そのような職責にふさわしい者を選ぶ、これが第一の問題でございまして、陸とか海とか空とか、そういうことにとらわれては絶対いけない、このように思っております。

大石委員 時間になりましたので、これでおしまいといたします。ありがとうございました。

小林委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。

 大変重要な法案を、私どももじっくり御審議をいただくようにお願いをしてまいりましたが、せめて、しかるべき数の方に聞いていただきたいと思っておりますので、おそろいになるまで待ちたいと思いますが。

小林委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

小林委員長 速記を起こしてください。

 松本剛明君。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。

 改めて、大変重要な法案だと私認識をしておりますので、提出をされている政府を支える与党の皆さんの真摯な審議に対する態度を要求させていただいて、質問に入りたいと思います。よろしくお願いします。

 それではまず、この法案ですけれども、昨年、一昨年から、安全保障と防衛力に関する懇談会、官房長官のもとに設置をされたと理解していますが、その議論、そして防衛大綱、中期防、そして先般、国会で審議をされました十七年度予算、そしてこの法案というふうに私はつながっていると理解をしておりますが、そういう関係の理解でよろしゅうございますでしょうか。長官、よろしいですか。安保懇からの一連の流れだという私の理解ですが、そういう理解でよろしいでしょうか、こういうことです。

大野国務大臣 まさに松本委員の御理解のとおりでございます。

松本(剛)委員 先般、そういうことの前提に立ってということだというふうに思います。総理にも本会議においでをいただいて、大綱、中期防について本会議で、そしてまたこの委員会で審議をさせていただきました。

 しかし、これはむしろ御提案というふうに御理解をいただいた方がいいと思うんですが、大綱、中期防は国会での審議、採決案件ではない。予算と法案は国会で当然審議、採決をされるわけでありますが、実態としては、防衛力、また装備等を含めて、一年で整うものではないわけでありまして、装備等に至っては数年かかって用意されるものもあるわけでありますから、そういうことを考えますと、大綱、中期防というのがむしろ大変重要だということになると思います。

 現実に予算も、既に支出が決まっているものというのが毎年の予算の中には大きなウエートを占めているわけでありまして、そういうことを考えますと、ぜひ、この大綱、中期防というのを、これからどういう形で決めていくのか。特にこれからは大変政治主導が求められるということを考えますと、私も、今の枠組みの中でどういう形にするというのが適当なのかということはあれですが、やはりこの大綱、中期防からしっかり国会で審議をするべきものにしていくことの方が政治主導にしていきやすいのではないかというふうに思っておりますが、御所見がありましたら承りたいと思います。

大野国務大臣 松本委員御指摘のとおり、一連の流れの中で決まっていくわけであります。したがいまして、この出発点である大もとの政策、これは大変重要だと思っております。

 現在は、防衛大綱あるいは中期防衛力整備計画、これにつきましては国防に関する重要事項として、設置法に基づき安全保障会議に諮った上で政府が責任を持って決定している、こういう位置づけでございます。いわば政策として決定している。もちろん国権の最高機関であります国会におきましても、この点は、十分報告を行っておりますし、十分御議論をいただけるものと思っております。

 そういう問題でございますから、国会で十分御議論をいただければと思っております。

松本(剛)委員 あえてこういうことを申し上げましたのも、今回の大綱、中期防の議論では、昨年の秋だったと思いますが、例えば大綱の陸上自衛隊の人数で、私も報道で知る限りでありますが、防衛庁案、財務省案というものが飛び交って、十六万人、十二万人とかいう数字が飛び交ったりいたしました。そして、そういう数字が飛び交う中で、いわばそれぞれの省の官僚の皆さんの折衝の中で、結果的に足して二で割るということにはなりませんでしたけれども、そういう数字が飛び交って数字が決まってきているという感があります。

 恐らく、当然、与党から政府に入っておられる皆さんは、その議論の報告等を聞かれたであろうと思いますし、また、与党の政策担当部門についても、恐らく責任ある方々には報告が行くなり、しかるべきときにはしっかりと説明があって了承されていることだとは思いますけれども、やはり国会に出てくる案件ということであればこそ政治家がきちっと力を発揮できる部分がある。これが、官僚の中とまでは言いませんが、政府の部内だけで決まってしまうものであるがゆえに、むしろ今回のこの大綱とか中期防が決まる過程では本当に政治主導が発揮されたのかということを、私は実は大変懸念を持っております。

 特に、安保懇とか大綱、中期防、中期防はそれほど安全保障の戦略環境については記載はありませんけれども、こういった記載の部分を読む限り、かなりこれから手を入れなければいけないところがいっぱいあるというふうに、素直に読めば読めるはずであります。

 ところが、大綱、中期防の議論は、人数とか装備を幾ら減らすのか、中期防の金額は幾らにするのかという、まさに金額交渉みたいなことだけがあたかもひとり歩きをしているように、少なくとも私たちには映ってまいりました。そして、結果として、かつてない形で中期防が削減をされたということが大きくクローズアップされる。

 これは、中身との関係で私は大変危惧を持っておりまして、その意味でも、恐らく与党の中の合意をとられる場合も、国会で審議、採決をされるものと閣議決定で終わるものであれば、やはり国会に出て与党として責任を持たなきゃいけないという場合に政府に対して言える力と、閣議決定で終わる場合では、私は違うのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがお感じになっていますか。

大野国務大臣 まず、防衛大綱、中期防あるいは具体的には松本委員は陸上自衛隊の定員問題、こういうことを例に挙げられながら、政治主導ということは一体どこへ行ったんだ、こういう御指摘でございます。

 わかりやすいという意味で、陸上自衛隊の定員問題について発言させていただきますと、この問題がああいうふうに財務省案とかあるいは防衛庁案とか、こういうことで流れて出ていく、これは、興味本位では大変おもしろいかもしれないけれども、私は土俵外の、まことに望ましくない現象だと思って、そのことは財務省にも申し上げたところでございますし、防衛庁内にも注意を促したところでございます。

 そういう問題につきまして、定員問題につきましては、最終的には政治家として、私も政治家の一人として、財務大臣と一対一、全く官僚を入れない中で決めさせていただいておるところでございます。

 その他の問題につきましても、いわば安全保障会議で随分議論している。ただ、安全保障会議の中身は出ていきませんので、あるいは見えにくいところがあるかもしれません。しかし、問題点につきましては安全保障会議の中で随分と議論させていただいたことを記憶いたしております。

 ただ、最終的に先生の、松本委員のお考えは、こういう問題は国会でもう少し、今のように、議論するけれども形式的じゃなくて、もうちょっと深い議論をやるべきじゃないか、これはもう、どうぞひとつ国会の委員会の皆さんで御判断いただいて、そして御議論をいただきたい、このように思っております。

松本(剛)委員 私たちは、ぜひやはり国民の生命財産、そして国土を守る安全保障の問題については建設的な議論が国会でできるようにいたしたいというふうに思っておりますし、今申し上げたような大きな枠組みというものそのものについて、しっかりとやはり国会で議論をする形をとってまいりたいというふうに思っています。

 一点、それに関連して、中期防というのは、金額の上限というんでしょうか、これが示されます。これを変えるとなると、改めて安全保障会議にかけるなどきちっとした手続が求められるわけでありますが、どの程度の積み上げをされてこういう形になるんでしょうか。

 つまり、発表されている中期防の文章を読むと、いろいろやらなければいけないことがある。装備については幾つか数字が入っておりますけれども、結果として唐突に数字が出てくるように私には感じられますし、逆に、そういうふうになっているがゆえに、減らせだふやせだという交渉の余地が出てくる感じもしなくはないわけでありまして、この辺のところは具体的にどのような積み上げをされて、これも財務省との折衝を恐らくされている、間違いなくされているというふうに思いますが、どういう形で取引、取引といったらあれですね、やりとりをされているという形になるのか、お考えをお示しいただきたいと思います。

大野国務大臣 もし具体的に一つ一つどういうふうに積み上げてきたかということになりますと、参考に……(松本(剛)委員「あるのかないのかという発想でいいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。

 それでは、中期防につきまして申し上げますと、やはり防衛に対する考え方が変わってきた、つまり、機動力、展開力を高めていく。つまり、それはどういうことかといいますと、戦車等を減らして装輪装甲車をふやしていく、こういう考え方でございます。そういう考え方で装備の問題は考えておるということであります。

 それからもう一つは、人件糧食費の問題あるいは弾道ミサイル対応の問題、こういう問題があるわけでございまして、人件糧食費の問題はきちっと積み上げで出てくるし、それから弾道ミサイルは何年計画でどういうふうにやっていくということで決まってくるわけでございます。

 そういう意味で、かなり積み上げ方式をやった上で決めていくわけでございますけれども、基本は、やはり防衛大綱における新たな安全保障環境の認識、これが一番大事でありますし、それにどうやって対応していくか、新たな脅威や多様な事態に対してどういうふうに対応していったらいいのか、そして国際平和協力活動等に適切に対応し得る防衛力、このことを効率的、合理的に考えていく、こういう考え方でやっているわけでございます。

 ただ、そういう意味でいいますと、やはり厳しい財政事情、これも背景にあることはもう申すまでもないことであります。しかしながら、基本的には防衛大綱の考え方に基づいて、装備についてはこう変えていこう、糧食費についてはこういうふうにもう決まっているんだ、それからミサイル防衛、新たな問題はこうだ、こういうような積み上げが基本でございます。

松本(剛)委員 基本的に積み上げだということで、ぜひしっかりと御議論をいただきたいというふうに思っております。

 現実に、大臣は財務省の御出身でもあるということで予算編成の過程もよく御存じであろうと思いますし、今長官であり、これまでも防衛の問題についてお取り組みをされてきた中であろうというふうに思いますが、予算編成の過程で、財務省側から、北海道の部隊は減らせだとか護衛艦はどれぐらいにしろだとか、そういう話が出てくるというのは、私はおかしいのではないのかな。

 財務省は、予算をしっかりという意味で、おっしゃったように、財政的にこれはこれ以上は今本当に出せないからここまでに抑えられないか、こういう金額的な話は財務省から出てきて当然だろうというふうに思います。しっかりとやはり国の国防、安全保障、戦略環境を考えたらこれが必要である、その調達をもう少し合理的にやることによってコストダウンができるとか、そういうことはまた庁内でも御検討いただく必要はあるんだろうというふうに思いますが、どうもこの大綱、中期防の議論のあり方というのは、結果として、大変に我々を取り巻く戦略環境が変わっている中で、こういう形での議論になった結果、例えば陸海空のバランスなどもひょっとしたら我々は見直さなければいけない時期に来ているのかもしれないし、そういうことも余り議論されないまま、この大綱が何となく、これも結局削れと言われて、こっちもあっちも少しずつ削った、言葉が悪いですけれども、そういうふうに見えかねないような議論の推移になっていたのではないかなということで、私からはそのように感じられますので、これを変える方法としては、やはり政治がもっと力を発揮できる枠組みというのをぜひお考えいただく必要があるというふうに思っております。

 前原委員の方からも御質問で申しましたけれども、米軍のトランスフォーメーションについて、2プラス2、大臣も行かれて、この数カ月の間で一つの議論が出てくるという話でございました。我が国の安全保障は、米軍との、アメリカとの安全保障というのが大変大きな柱の一つであることは間違いありませんので、そこがいわば動くということは、当然また我が国の防衛のあり方について大きく見直しをすることが必要になることもあるかもしれないというふうに思いますので、そうなるとまたこのような議論をしなければいけない時期がひょっとしたら近くあるのではないかと思って、あえてこのようにお願いを申し上げているところでございます。

 今、我が国を取り巻く戦略環境に伴ってというお話がありましたので、一、二、具体的な点でお話を申し上げてまいりたいと思います。

 一つは、先ほど申し上げたように、安保懇のところから幾つか出てきているんですが、安保懇のところには、これは政府が直接おやりになったわけではなくて委員の方の答申ということになると思いますが、むしろ対潜水艦戦から島嶼対策、MDへというような言葉が報告書の中にございました。しかし、現実には、昨年も中国原潜による我が国領海侵犯があったように、島嶼への侵略の対策が必要であること、MDへの侵略の対策が必要であることは私も認めますが、対潜水艦戦からということで、対潜水艦戦を減らすという方向は違っているのではないかなというふうに思っております。

 現実に、御案内のとおり、中国はむしろ外洋海軍化を進めていると言っても過言ではないと思いますし、潜水艦については、ロシアのキロ級潜水艦などの購入が続いているんではないかというふうに私は承知をしている中で、我が国の固定翼哨戒機、これは機数を減らす方向にあるんではないかというふうに見えますけれども、その辺のところ、書いてある戦略環境の問題と行われようとしている政策というのがどのようにつながっているのかということを少しお話しいただきたいと思います。

大野国務大臣 まず、その前に、いわば防衛の問題というのは、財政から入るべきか、それとも国を守るという体制から入るべきか、こういうお話がありました。

 これは議論するまでもないことでありまして、国を守るため、国民の皆様に安心をお届けするためにこれが必要なんだという発想法から入っていくべきである。そして、厳しい財政事情の中で、その中で効率化できるところはやっていこう、こういう姿勢で私は今回の安全保障会議の議論もさせていただいておりますことをまず申し上げたいと思います。

 それから二番目に、しかしながら、防衛大綱等で書いております中国とかあるいは北朝鮮とか潜水艦問題とか、いろいろあるのに現実を見ているとおかしいじゃないか、減っているじゃないか、こういう議論でございます。

 そこで、なるべく短く申し上げたいと思いますが、我々は、安全保障環境の問題から入りますと、総論ですけれども、まず中国についてはこういう動きがあるから注意はしていきましょう、ただし脅威とは言っておりません。北朝鮮については不安定要因となっているということを言っているわけでありまして、私は、中国につきましても、やはり仲よくしていかなきゃいけない国である、しかし防衛力を見ますと、防衛費につきましても一〇%以上毎年伸びている、それが十七年間も続いている、あるいは潜水艦の侵入の問題がある、こういうことであります。

 そこで、そういうことはちょっとおいておいて、島嶼防衛にいたしますと、御指摘のとおり、潜水艦の問題、それからP3Cの問題、こういうのがあります。このP3Cにしましても、八十機から七十機に減らしていく、これはどうしたことか、こうおっしゃるわけでございます。

 しかしながら、この問題について申し上げますと、平時における警戒監視、島嶼部に対する侵略等の多様な事態への対応時における哨戒、警戒監視等に必要な機数を算出いたしておるわけでございまして、従来の体制でいいますと、従来の体制は本格的侵略事態に際して我が国周辺の海域を一日一回の対潜水艦哨戒を実施し得る体制ということで、考え方としては、新しい体制のもとでは、これまでのような本格的な侵略体制を考えるんじゃないんだ、本格的に侵略事態を考えるというか基本としたものではないんだ、平時の警戒監視を含む多様な事態への対応を基本としているものであります。したがいまして、例えばP3Cは減っていくけれども、現在と同様な監視態勢はとれます、現在と同様の周辺海域の警戒監視態勢は維持できます、こういうような考え方でございます。

 そういうことで、他にも一つ一つお答えさせていただきますと時間をとりますから、一例で御説明いたしました。

松本(剛)委員 大臣にお言葉を返すようでありますが、先般領海侵犯をしたのはかなり古い潜水艦だというふうに言われておりますが、ロシアの新しい潜水艦を買われる。我々は強く反対をし、これはストップをするように求めていかなければいけないと思いますが、ヨーロッパからの武器購入ということも言われているわけでありまして、ヨーロッパから直接お買いになるということもさることながら、やはりビジネスでありますから、売るロシアの側からすれば、中国にとって選択肢がふえるということは、ロシアから行くものも性能が上がったり価格が安くなったりする可能性もある。そういう意味でも大変大きな危惧を抱いております。

 これも、私も先般、対潜水艦戦哨戒のお話を具体的にいろいろお聞きしてまいりました。新しい形になって音が静かになれば、一つの哨戒機でカバーできる範囲は大幅に小さくなるということであります。当然そうだろうというふうに思います。そうなってくると、むしろどんどんどんどん近代化を進めているわけでありますし、どちらかというと穏やかに物を書くことを進めておられる政府のこの大綱の文書でも、中国は、「海・空軍力の近代化を推進するとともに、海洋における活動範囲の拡大などを図っており、」と書かざるを得ないぐらい、明らかな動向があるわけであります。その一翼をやはり潜水艦が担っていることも、これまた明らかだろうというふうに思います。

 先ほど中期防のところから申し上げたように、やはり何にめり張りをつけるべきなのかというのが、率直に申し上げて私には少なくとも見えていない。その一例が今申し上げたような対潜戦の問題だ、このように思っております。

 空の問題も、空軍力が大変重要であることは言うまでもありませんが、時間が限られてまいりましたので、次に、この法案の情報本部の設置に関連して、政府の情報の問題について二、三議論を進めたいと思いますので、大臣、よろしくお願いをいたします。

 今回、法案で、直轄の情報本部を設置されるということでございますが、防衛庁において陸海空それぞれ情報を収集する部門があり、それをきちっといろいろな形で安全保障に関する情報を一元的に管理されようということは私も望ましいことであろう、このように思っておりますが、先般の潜水艦の領海侵犯問題でもあったように、言うなればさらに上の、政府全体としての情報の問題について、閣僚としての大臣の御所見を承ってまいりたいというふうに思っております。

 私自身は、この情報の問題については二つ課題がある、このように思っておりまして、政府部内全体でいかに情報を共有するか、俗に縦割りと言われる弊害があちらこちらにあるというふうに言われておりますが、情報をどういうふうに政府部内でしっかり共有していただくかということと、それから我が国の情報収集能力全体をどのように向上させていくか、二つの方向で課題があるんだろうというふうに思っております。

 いわば、今回設置いただく防衛庁内の情報本部のもう一段上の問題を少し議論させていただくというふうに御理解をいただけたらと思いますが、まず、安全保障に関する例えば情報ブリーフィングのようなものというのは、長官には例えばどのぐらいの頻度であるんですか、月に一遍とか週に一遍とか、お聞きをしたいと思います。

大野国務大臣 緊急情報でございますと、時間構わず夜中でも電話がかかってまいります。それから、緊急情報でございますと、直ちに、昼間であれば関係の職員が私のところへ来て、こういうことが起こった、こういうふうな問題がある、こういうことは常に情報を入れてくれております。

 それからもう一つは、毎週一回、必ずイラクの問題、あるいは、インドネシアの救援活動は終わりましたけれども、その活動をしている最中は、インドネシアの活動状況、あるいはインドネシアでいいますとGAMがどういうような活動をしているか、こういう周辺情報は必ず入れてくれております。

 それを中心として、国際安全保障環境の問題は週に一回は必ず私のところへ、週に一回ですけれども。そのほか緊急の情報は必ず入るようになっております。

松本(剛)委員 緊急か緊急でないかという判断も含めて、やはりもう少し頻度を高く、日本の安全を預かるという意味ではきちっと入るような、そして、それに見合うような情報が提供されるような体制を、情報本部設置を機会にぜひ大臣からお考えいただきたいと思います。

 ちなみに、総理にはどのぐらい入るというのはどなたにお聞きしたらいいんですか、安全保障について。

伊佐敷政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、内閣情報官は、定例の報告といたしまして、総理に毎週一回ブリーフィングを実施しております。定例の報告以外にも、重要な情報や急を要する情報があります場合には、二十四時間体制で総理に随時速報しているところでございます。

 報告の内容は、内閣の重要施策に関する情報全般にわたりますけれども、その中心は外交、安全保障関係の情報でございます。内閣情報調査室がみずから行った情報調査活動の成果のほか、各省庁から集約した情報の分析結果等も報告してございます。

松本(剛)委員 何分ぐらい総理におやりになるんですか。

伊佐敷政府参考人 内閣情報官の定例ブリーフは、おおむね二十分から三十分でございます。

松本(剛)委員 週に一遍二十分から三十分で、どんな情報がお話しされているのかな、しかも全体の中の外交情報のその一部だというお話でございましたので、大変心配に思います。

 今ちょうど各省庁から上がってくる情報というお話がありましたが、私が知る限りでは、もちろん今お話があったように緊急、臨時なら開くんだということでしょうが、官房長官をトップとされる内閣情報会議は年に二回、その下となるんでしょうか、事務の官房副長官が主宰をされる合同情報会議が毎月というふうにお聞きをしておりますが、そういう認識でよろしいんでしょうか。かつて参加をされた方に非公式にお話をお聞きしたら、あれは顔合わせと言う、こういう話もありましたけれども、ちょっとお聞きをしたいと思います。

伊佐敷政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣情報会議は年二回開催されております。合同情報会議は隔週で開かれておりますので、二週間に一回開かれております。合同情報会議は、御指摘のとおり、事務の副長官をヘッドとした関係省庁局長クラスの会合でございます。

松本(剛)委員 各省庁からの情報の集約については、本会議での本多議員の質問に対して細田官房長官が、「各省庁が収集した情報のうち重要なものは、内閣情報調査室を通じて迅速に内閣のもとに集約され、総合的な評価、分析を行う仕組みが既に構築されているところ」、このように御答弁をいただいておるんですが、この内閣情報調査室というもの、かなり各省庁の出向の方で構成されているんではないかと思いますが、おおむねの人数、構成を教えていただけますか。

伊佐敷政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣情報調査室は、平成十七年四月一日現在、約百七十名の体制でございます。

 構成は、内調プロパーの職員が約七十名、警察庁からの出向派遣者が約四十名、公安調査庁からの出向派遣者が約二十名、防衛庁からの出向派遣者が約十名、そのほか外務省、総務省、消防庁、海上保安庁、財務省、経済産業省等から若干名を受け入れております。

松本(剛)委員 今おっしゃった内閣情報調査室というのが各省庁から情報を集められる権限というのは、何か法的にあるんでしょうか。

伊佐敷政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房内閣情報調査室から関係省庁に対して情報提供を求めることにつきましては、法的な権限として明確に規定したものはございませんが、内閣の最高意思決定方式であります閣議決定により、各省庁は緊急事態が発生するおそれのある情報等を把握した場合には内閣情報調査室に直ちに報告することとされております。

 また、いわゆる情報コミュニティーと言われる情報省庁間におきましては、先ほど先生御指摘の内閣情報会議や合同情報会議の場等を通じまして緊密な連絡を保っておりまして、必要な情報は内閣のもとに集約され、政府としての対策に反映されているものと考えております。

松本(剛)委員 政府参考人の方を詰問申し上げるつもりはありませんが、緊密にとおっしゃって、せいぜい隔週なわけですよね。

 情報コミュニティーというお話がありましたけれども、率直に申し上げれば、今の各省庁の御所管の範囲であれば専門でずっとおやりになっている方もあるでしょうけれども、合同情報会議また内閣情報会議の参加の役職者のお顔ぶれを見たら、当然人事異動もあるわけでありまして、本当の情報コミュニティーが形成をされていないのではないかということを私は大変懸念を持っておるんですが、内閣としては、一応この情報会議、合同情報会議のメンバーがおおむね情報コミュニティーという構成だという理解でよろしいんでしょうか。

伊佐敷政府参考人 先生御指摘のとおり、内閣情報会議、合同情報会議の構成メンバーを情報コミュニティーのメンバーだというふうに認識しております。もちろん、必要に応じましてそれ以外の省庁からの参加を求めるということもございまして、そのような事例も事実ございます。

松本(剛)委員 大臣にも、閣僚の一人として、今お話をお聞きいただいて、政府の情報の問題というのは御認識をいただいておるのではないかというふうに思います。

 情報コミュニティー、本当に相互信頼のあるものが形成をされているのかどうか、共有の実効性がどこまであるのかという課題があるのではないかと私は思っておりますし、今お話があったように、緊急の情報は必ず持ってこいというふうに決めてあるというお話でありましたけれども、もっと根本的に内閣に情報を集約されるのであれば、やはりその権限を認める法律を含めた体制が必要ではないかと思います。同時に、もちろん国家公務員としての守秘義務はありますけれども、機密を扱うとなれば逆に機密保持のシステム、法体制というのも必要ではなかろうかと思いますし、また、情報活動の範囲とか要領とか、また逆に監視、評価をだれがどうするのかという体制なり法規とか、課題はたくさんあるのではないかと思っております。

 私たちは、実は、緊急事態の基本法の制定と緊急事態に関する体制整備の一環として、政府における情報体制、私たちは仮称で内閣の情報委員会のようなものということを提言させていただいております。私たちなりに考えて提言をさせていただいて、イギリスにJICという組織がありますが、これに準ずるものを想定して考えておりますが、いろいろ私も調べておりましたら、報道で見ただけですので事実そういうものがあったのかどうかわかりませんが、何年か前に自民党内で情報の改革チームというのが、町村大臣をトップとされる検討チームが、やはりイギリスのJICをモデルとしたような、そのときは内閣情報調査室の改革が必要ではないかということを提言されたと聞いております。余り公式には発表されていないというふうにお聞きをしていますので、真偽のほどはここでもうお尋ねをいたしません。町村大臣のお顔を見たら聞きたくなったかもしれませんが、残念ながらきょうおいでになりませんが、恐らく方向は同じだろうというふうに思いますので、私どもが緊急事態法制に関連をして御提案をさせていただいているものをぜひ真摯にお取り上げいただき、内閣の中でも御議論をいただきたいと思っております。

 総理は、総理でいらっしゃると同時に自衛隊の最高指揮官でもあるという意味で、安全保障については特に大きな責任を有しておるというふうに思いますので、政府においてそういう形でお進めをいただくことをお願いいたしたいと思っております。

 情報収集、分析能力の向上についても幾つかお聞きをしたいと思っておりますが、時間も少しずつ残り少なくなってきております。

 一つだけ少し具体的なことをお聞きしますが、情報といったときに、画像情報、信号情報、人的情報とかさまざまな分け方がありますけれども、先ほど申し上げたいわゆる安保懇の議論の経緯というのを拝見したときに、我が国は人的情報、ヒューミントが空白であるということが指摘をされ、これを考え直さなければいけないという言葉が議論の中に載っておりました。

 委員のどなたかがおっしゃった発言が多分掲載をされているんだろうというふうに思いますし、報告書には載ってきておりませんけれども、一つ事実の指摘として大変重たいものがあるのではないかというふうに思いますが、これを受けとめて、どちらにお聞きをしたらよろしいでしょうか。内閣ですか、それとも長官の方からありますか。

大野国務大臣 まさに情報というのは新しい時代に最も大切なものであると思います。この情報につきましては、お互いに省庁間の垣根を乗り越えて情報を共有するという問題と、それからもう一つは、何が秘密なんだ、何が広報で国民の皆様に知っていただくか、この仕分けをきちっとやっておかないと、情報というのは大変有害になる場合もあるし、こういう問題はきちっと頭の中に基本的に入れていかなきゃいけないと思っています。

 そこで、収集の問題でありますが、収集についてはいろいろな情報源がありますけれども、特に松本委員はヒューミントの問題に触れられました。私も、人間の情報、これは本当に重要な情報、我々が組織からとれるような情報でなくて、本当に物事の根底にある大事な大事な情報であるというふうに思っております。したがいまして、人的情報手段の有効活用を今後検討して、この問題は進めていかなきゃいけない。私は、安保懇にも書いてあるように、そういう思いを同じくいたしております。

 そこで、ヒューミントの情報収集の強化のあり方でございますけれども、現在、防衛庁といたしましては、当然のことながら、在外公館に駐在いたしております防衛駐在官によって情報はとっておりますし、また、今度は情報をもらう相手方でございますけれども、企業、地域、情報専門家等から不断に情報収集に努力している。

 ただ、この情報、新しい時代に最も大事な要素の一つになってきますから、今後とも、今、松本委員御指摘のようなヒューミントを含めて、ヒューミントが一番日本はおくれているんじゃないかという議論もありますけれども、ヒューミントを含めて情報収集に的確に対応していく、一番大事なことだと思っています。

松本(剛)委員 一部には人的情報というと何か非合法であったり超法規的なようなイメージを持っている方もいらっしゃるようでありますけれども、今おっしゃったように、決してそういうことではないというふうに思いますので、衛星等の画像情報も含めて、幅広い情報の収集の体制をしっかりとっていただきたいということを申し上げたいと思っております。

 それでは、統合運用についてお聞きをしようと思いましたが、既に与野党の議員からいろいろ議論も出てきていたようですので、この点については、御準備をいただいていたかもしれませんが、恐縮ですが割愛をいたしまして、あと残り時間で二、三の点だけお話を申し上げて、質疑の時間を結びたいと思っております。

 一つは、先ほど申し上げたように、大綱、中期防等をずっと読んでいきますと、たくさん課題があると思うんです。これを一つ一つやはりしっかりと、しかも早く取り組んでいただくことが必要だろうというふうに思っておりまして、大規模・特殊災害等への対応という言葉がありますが、これについては、広い意味での対応という意味で、いろいろな脅威、緊急事態について国としての対応が必要だというようなことも大綱の中にも議論もありました。

 これについては、私ども、先ほど申し上げた緊急事態に関する基本法で一元的に危機を管理できるような危機管理庁の設置についても御提案を申し上げておりますので、これについてもぜひ長官の頭の中に入れておいていただいて、内閣の中において御議論いただきたい。これは、大変恐縮ですが、こちらから要請だけさせていただきたいというふうに思います。

 もう一点、内部部局のあり方について検討という言葉が中期防の中に出てまいります。

 途中まで、私ども議論に加わっておりませんので承知をしておりませんが、防衛参事官制度とか、これについての議論が漏れ伝わってまいりました。事実が漏れ伝わってきたのかどうかは残念ながら確認はできませんけれども、この点について、内部部局のあり方の検討という中に含まれておるのかどうか、そして、大臣としてもし御所見をお述べいただけるのであれば、お聞かせ願いたいと思います。

大野国務大臣 いわゆる参事官制度でございますけれども、この問題、確かに一つのテーマとして取り上げて、今検討している段階でございます。

 たびたび申し上げて恐縮でございますが、新たな安全保障環境のもと、新たな脅威、多様な事態に実効的に対応する、このためにはやはり迅速かつ適切なアドバイスが必要である。広い視野から基本的にアドバイスをする、こういう視野が必要でございます。こういう意味で、シビリアンコントロールを行う防衛庁長官に対する今後のあるべき姿、あるべき補佐体制の姿、これをきちっと議論していくことは大変大事であると思っております。

 それでは、現状、参事官制度があるのにどうなっているんだ、こういう問題でありますが、私は、少し運用上考えてもらいたい、こういう指示をいたしております。参事官制度そのものを根幹から変えるという考え方ではなくて、参事官制度という幅広い基本的な視野から長官を補佐していく、この仕事は大変大事なことだと思いますが、この運用においてやはり考えていくべきではないか。

 こういうことで、今後、防衛庁が一体となって迅速かつ適切に長官を補佐できるようにするために、事態対処時における具体的な補佐体制等についても検討していきたいなと。いわゆる広い視野から基本的にアドバイスができる体制、これを目指して今検討しているところでございます。

松本(剛)委員 時間が参りましたので、二点だけ申し上げて終わりたいと思います。

 今お話があったように、シビリアンコントロールという言葉については、さまざまな定義とか、人によって使い方がさまざまだろうというふうに思いますし、背広と制服という言葉がいいのかどうかわかりませんけれども、そういう関係というのもさまざま言われておりますが、もちろん、しっかりと長官、総理のシビリアンコントロールをきかせていただきながら、制服の皆さんの専門的能力も上手に活用していただくという体制をしっかりとっていただきたいというふうに思っております。

 国際業務の本来任務化についてもできたら議論をしたいと思っておりましたが、時間がなくなりました。

 私は、前の石破長官に、これだけ外へ出さざるを得ないという政治判断をするのであれば、やはりそれに見合った法的位置づけと予算、体制をおとりになるべきではないかということを長官と議論させていただいた記憶があります。ただ、これからもし法案の中に本来任務化をお考えになるのであれば、やはり私は、国防が第一、そして国際協力はその次といったような優先順位を明らかにされることも必要ではないかなということをこの御質問の機会に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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