衆議院

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第10号 平成17年5月12日(木曜日)

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平成十七年五月十二日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 小林 興起君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 高木  毅君 理事 仲村 正治君

   理事 池田 元久君 理事 大石 尚子君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      石破  茂君    奥野 信亮君

      嘉数 知賢君    北村 誠吾君

      坂本 哲志君    寺田  稔君

      西銘恒三郎君    浜田 靖一君

      古川 禎久君    御法川信英君

      城井  崇君    武正 公一君

      津村 啓介君    中野  譲君

      西村 真悟君    本多 平直君

      松本 剛明君    村越 祐民君

      佐藤 茂樹君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  堀内 文隆君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   大井  篤君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   林  景一君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  額賀福志郎君     西銘恒三郎君

  前原 誠司君     城井  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  西銘恒三郎君     額賀福志郎君

  城井  崇君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)


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     ――――◇―――――

小林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官堀内文隆君、内閣官房内閣審議官大石利雄君、防衛庁防衛参事官大井篤君、防衛庁防衛局長飯原一樹君及び外務省国際法局長林景一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川禎久君。

古川(禎)委員 おはようございます。自由民主党の古川禎久です。

 早速質問に入らせていただきます。

 今回、多機能弾力的な防衛力を整備するためにということで、統合運用体制の強化と組織の見直しということが図られております。今回、私は、ちょっと視点を変えまして、医官というものに光を当てて御質問をさせていただきます。

 私の知人で、地元陸上自衛隊の駐屯地がございますが、その幹部がおります。その方から伺ったエピソードなんですが、日米共同演習、ハワイで行われた演習に立ち会った際に気づかれたことでございます。

 作戦の展開の最中に、軍を、兵を引く場合に、それは大変危険な局面に当たるのだと。しかしながら、負傷者が中に出たという想定で、その負傷者を後方に下げるために、そのために全軍が一たん全部引くんだというような訓練を米軍がしておった。それを見て、その私の知人、自衛隊の幹部が、カルチャーショックといいますか、大変驚いたという話でございます。

 旧日本軍の体質と申しますか、よく言われることですが、精神主義に傾いて、兵たんであるとかあるいは後方支援というものの重要性を、なかなか認識が欠けておったのではないかというような、そういうことがよく言われておるわけですけれども、そういう兵たん、後方支援に対する重きの置き方というものが米軍というものは非常に違うな、重きを置いているなということを痛感されたそうで、それを私に語って聞かせてくれました。

 私も、その話を聞いて、一抹の不安といいますか、感じまして、今回、医官についてちょっと調べさせていただきましたところ、我が国の自衛隊の場合には、自衛官の定数に対しまして医官が約三%ほどであるということでございます。用意された定数も十分に満たしてはおらない。ところが、米軍を初め各国の部隊を見ますと、ほとんど一〇%前後で医官がいるということでして、三%と一〇%、これはもう明らかに差があるわけでございます。

 そもそも医療というのは部隊の活動と一体不可分であると思われますし、全体の三%ということは、これは、医療それから兵たんというようなものを基本的に軽視する、視点に欠けているのではないかなという心配をするわけでございます。

 聞くところによりますと、早期退職者、これが非常にふえておるということで、防衛医大を卒業して医官に、義務年限として九年ということなんですが、この九年の年限を待たずして、三〇%もの方が早期退職をしておられるという憂うべき状況にあるということを聞いております。

 なぜこのようなことになるかということなんですが、いろいろお聞きしてみたり調べてみたりしますと、これは防衛の医官に限らず、医療の現場、一般の医療でもそうだということなんですが、僻地等の医療の現場ですと、なかなか臨床の機会に恵まれない。それによって、自分の腕を磨く、研究をする機会がなかなか得られないということに対する不安とか不満、そういうものがあって、なかなか勤まらない、あるいは志望する人がふえないというような状況があるということでございまして、恐らくこの医官におきましてもそのような傾向があるのではないかということを想像するわけです。

 ただ、今回、スマトラ沖あるいはインド洋でも、医官の活躍の場というのは、これ即現場での活躍ということでございまして、災害派遣、国際平和協力活動、それから国際緊急援助活動など、今、その重要性はますます大きくなってきていると言っていいと思います。災害医療ですとか有事医療というような救急医療、そういう臨床機会をどんどんふやしてあげることはできないか、例えば自衛隊病院の運営の仕方についても改善をしていただく余地はないのかなということを思うわけでございます。

 この医官の処遇改善につきましては、防衛庁におきましても検討中であるというようなことを報道等でお聞きしたことがございますけれども、現在、どのようなことになっておりますでしょうか。どうぞ、現場で働く医官が意欲を持って活躍していただけますように、前向きな、温かい、検討状況の御報告をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。

大野国務大臣 まさに古川委員御指摘のとおりでございます。

 我々の悩み、それは、自衛隊の諸君のいわば後ろから支援してくれる医官が早期退職をしていく。御指摘のとおり、確かに九年目までに約三〇%が退職しております。それから、十四年度までに約五〇%、半分やめてしまう、こういう状況になっております。特に、最近の例で申しますと、平成十六年でございますが、任官している者が六十五人、退職している者が何と七十八人、十三人減ってしまっているんですね。これは驚くべき現象であるし、また、我々、真剣に考えていかなきゃいけない問題であります。

 そういうことで、我々も何とかこの医官の退職を食いとめていかなきゃいけない。問題点は何にあるんだろうか。私、防衛庁長官に就任して、ある早い段階でこのことを指示いたしました。問題点は二つあるのではないか。

 一つはやはり、防衛庁関係の病院の患者さん、ほとんど防衛共済の皆さんですから、自衛隊の皆さんが多い。そうすると、どうしても症例が偏ってしまうということになってしまいます。一つはやはり骨折という症例。これはもう骨折の専門家にはなれるわけですね。しかし、ほかの症状というと余りない。中には冗談まじりに、水虫については専門家になれる、こんな話が出るぐらいで、どうも、ほかの症例をもっともっと診てもらう、体験してもらう、そしていいお医者さんになってもらうという経験を積んでもらう必要があるのじゃないか。

 そこで、まず調べますと、全体で防衛庁関係の病院は十七ございますけれども、その中で一般の患者さんを受け入れている病院は、わずか四つしかないんですね。もっともっと、ほかの防衛庁関係病院も一般の患者さんを受け入れるようにすべきじゃないか。そのためには、地域医師会の御理解が必要です。その辺を十分お願いしながら、何とか一般患者を受け入れていくような方向で検討してくれ、こういう指示を既に数カ月前に出してございます。今、一生懸命事務方で努力をしてくれておりますし、医師会にも接触、お願いに行っている、こういう状況でございます。

 それからもう一つは何だろうかな。それは、そういう一般患者を受け入れするとなると、やはり先進医療器具というのも必要になってまいります。したがって、そういう面は予算でまたお願いしなきゃいけない、こういう問題かと思っております。

 そしてもう一つ、二つ目の問題として、やはり私、調べてみますとどうも将官ポストが医官の場合はやや少ない、このことが一つ問題かなと思っております。将来励みを持って頑張ってくれるような将官ポストをひとつ要求しようじゃないかということで今準備を進めているところでございます。

 何といっても、自衛隊関係の病院、ベッド数はありますから、ここへもっともっと一般の患者さんを受け入れたい。ベッド数で見ますと、一般の病院ですとベッドが埋まっている率が約八三%、自衛隊病院ですと約四七%ということですから、もっともっと一般の患者さんに来てもらえるように努力する、そして将官ポストを考えていく、この二つを考えて指示しているところでございます。

古川(禎)委員 ありがとうございました。

 今、大きな組織の改編というものも行われている最中でございます。ぜひ、そのような前向きな方向で、御検討と手を打っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、一昨日の委員会でも取り上げられておりましたけれども、去る五月一日午前八時、北朝鮮が東海岸から日本海に向けミサイルを発射いたしたとの情報がございました。また、五日、ニューヨーク・タイムズは、米国国防省関係者からの情報ということで、北朝鮮が地下核実験へ向けた大規模な準備を進めているというようなことでございます。そして昨日、北朝鮮は実験用原子炉から使用済み燃料棒を取り出す作業を完了したということを表明いたしました。

 この十日余りの間に随分慌ただしいなと思うのであります。一部には、従来の瀬戸際外交ではないかというような意見もありますけれども、いずれにしましても、今回核実験を行いました場合には、国連安全保障理事会におきまして経済制裁について協議をするべきだと私は考えております。

 さて、この北朝鮮の有する現在の核開発の状況あるいは運搬能力等につきまして、実際今どの程度の能力を保有していると見ておられるんでしょうか。すなわち、日本に対する現実の脅威がどの程度であるかということを教えていただければと思っております。よろしくお願いします。

飯原政府参考人 北朝鮮のミサイル及び核開発の現状に対する防衛庁としての認識でございますが、基本的に、累次申し上げておりますけれども、北朝鮮、極めて閉鎖的な体制をとっておりますので、私どもとして間近で見るというような形で明確なアプローチができないために確たる情報を持ち得ない状況にあるのは御理解いただきたいと存じます。

 一つ、ミサイルではノドンミサイルを実戦配備しているであろう。ただ、核開発につきましては、核開発を始めてからかなりの期間を有しておりますので、その期間を利用してかなりの程度核開発が進展している可能性を否定することはできない。また、最近ですが、北朝鮮が核兵器を持っているということをみずから表明した。ただ、その間で、ではそれをミサイルにつけて運搬できるかどうかということにつきましては、そこに兵器とまた核弾頭との間で技術的なかなりの違いがございますが、そのあたりにつきましても確たる情報を持ち得ているわけではございませんが、全体的に言いまして、北朝鮮の核開発がかなり進展をしているという可能性は否定し得ないというのが私どもの認識でございます。

古川(禎)委員 核の開発について、わからないと。仮に持っておったとしても、実際それを弾頭化して起爆できるところまでいっているかどうかわからないということですが、一方で、生物あるいは化学兵器の場合は、これは確実にあると言われております。

 いずれにしても、精度が高くないノドンであっても、それを東京とか大阪というような我が国の大都市に向けて撃たれた場合には、これは、精度が低いということをもって脅威を打ち消されるわけでは到底ないわけでございます。

 ただ、北朝鮮が核を保有して相当程度それを高度化していると仮にしましても、そしてその北朝鮮が我が国に対して核攻撃をしかけたとしましても、これは、米国のいわゆる核の第一撃で北を壊滅できる、いわゆる核の傘というものがあるんだと私は思っています。日米安保が空洞化していない限りにおいては、いわゆる相互確証破壊、MADの核抑止理論に照らせばそのようなことになるだろうと。

 では一方で、中国はどうだろうかということで心配をしております。十六年度の防衛白書を見てみましたら、ICBM、大陸間弾道弾約三十基、新型ICBMそれからSLBM、潜水艦発射弾道ミサイル、これも開発を進めていると。また中距離弾道ミサイル、これは当然我が国を含むアジア全域を射程に入れておるわけですけれども、これは百十基、短距離弾道ミサイルも約四百五十基ということでございます。

 もちろん、米国の保有するそれに比べますと、数は、規模は劣るというものの、確実にその配備数を増しておって、同時に、有人宇宙飛行に成功するというぐらいの技術力の急速な向上というものもあるわけですので、これは大変脅威であると私は思っております。

 この米国大陸を射程におさめることのできるICBMそれからSLBM、この二つの核、これによって、相互確証破壊、MADの理論が現実化していくことは想像できないことではないと私は思うわけであります。かつての米ロの関係と同様に、今後米中の関係においてもそのような構造が成立していくのではないか。だとするならば、我が国にとっての中国に対するアメリカの核の傘というものは、実はほころびが生ずる方向で、穴が開きつつある方向にあるのではないかというふうに思うわけであります。

 私は国防の基本というものは抑止力にあると思います。抑止力というものは、我が国を攻めてきた敵対国に対しまして現実的にそれに報復をする力、攻撃をする力と言っていいと思います。だとするならば、具体的に、報復する力を持ち、そしてその意思もあるんだよということを明確にメッセージすることによって初めてその抑止力というものが機能し得るのではないかと思うわけでございます。

 これまで、国防論議の際に専守防衛という言葉がございました。専守防衛というとどうしても、イメージからいきまして、とにかく外国への攻撃力は持たずに、日本の国土に攻めてきたものに対する迎撃、迎え撃つ、押し込んできたものに対して押し返す、ですから、結果的に本土決戦しかあり得ないということになると思うんですけれども、そんなイメージといいますか錯覚といいますか、ちょっと過剰な、遠慮がちな考え方に支配されておった嫌いがあるのではないかなというふうに感じているわけですけれども、今回のミサイル防衛というものは、純粋に防御的な、かつ他に代替手段のない唯一の手段ということでの狭義のミサイル防衛だと思います。すなわち、飛んできたものを撃ち払うという限定的なものであるということなんですが、しかし、私が申し上げたいのは、広い意味でのミサイル防衛といいますか、もっと積極的な抑止力、すなわち、攻撃力というような本質的な要素を包含する意味での抑止力というものをやはり備えるべきではないかというようなことを申し上げたいと思うんです。

 敵対的な国家がミサイルを例えば日本に向けて現実的に撃ってくる場合、これがもう明示されておって、これは我が国に対する攻撃に着手をしたと認められるような場合に、これは自衛権の発動ということで対処し得るのだと思いますけれども、しかし、日米安保によりまして我が国はその機能を米軍に依存している状況にあると思っています。しかしながら、米軍も完璧ということはありませんで、いろいろなケースにおいては十分な対抗ができないことも十分考えられるのではないかと思います。ですから、その意味では、我が国もある程度は独自の通常兵力を保有するべきではないかと私は思っておりますし、それこそが先ほど申しました国防の基本である抑止力を持つということになるんだと思うんです。

 私は、今回、北朝鮮、いろいろ慌ただしい状況になっておりますけれども、このような東アジアの状況の中で日本が核兵器を保有するべきだとは思っておりません。しかしながら、北朝鮮や中国を射程圏内におさめるような長距離ミサイル、通常弾頭の長距離巡航ミサイル、こういうものは主権国家として持つということを検討することは許されるのではないだろうかと私は思っております。

 その点につきまして、長距離巡航ミサイルの配備の是非について我が国としてどういうふうに考えておられるか、御所見を賜りたいと思います。

大野国務大臣 古川委員の方から、抑止力も報復力のある抑止力を持ったらどうかと。まさにおっしゃるとおり、今装備を考えておりますBMD構想というのは、純粋に防御的な抑止力であります。撃ってもむだですよという抑止力ですね。撃ったら仕返しがありますよという抑止力ではありません。そういう意味で、今こういう国際情勢の中でその点をどう考えるんだ、大変な問題提起だと私は思っております。

 この問題は従来から議論されておりますけれども、敵基地攻撃をどう考えるかという問題として議論されておりますが、我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その手段として我が国国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の措置をとること、つまり、誘導弾等による攻撃を防御するのに他の手段がないと認められる限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことは法理的には自衛権の範囲に含められ、防衛出動が下令されている場合に自衛隊がかかる攻撃を行うことは可能である、これが従来からの見解でございます。

 しかしながら、今古川委員御自身もおっしゃったとおり、日本の防衛の考え方、これは日米安全保障条約のもとにおいて、専守防衛を基本とする、こういうことであります。したがいまして、日米間でやはりそこに役割分担がある、私はこのように思います。

 この役割分担とは何か。我々としては、敵基地攻撃というのは、法理論的には今申し上げた意味で可能でありますけれども、敵基地攻撃を目的とした装備というのは考えておりませんし、そのような攻撃を目的とした長距離巡航ミサイルというようなものも考えておりません。

 御存じのとおり、日米防衛協力のための指針を読んでみますと、自衛隊というのは、主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行う。アメリカの方は、自衛隊の行う作戦を支援し、米軍は自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する、このように書いてあるわけであります。米軍は、日本に対し必要な情報を提供するとともに、必要に応じ、攻撃力を有する部隊の使用を考慮する、こんなふうに書いてありまして、そこに役割分担がある。

 法理的にはそういうことは可能だとしても、今の政策として、私はそのようなことは考えるべきことではないし、そのような装備も持つべきではない、このように思っておるところでございます。

古川(禎)委員 ありがとうございます。

 テロの蔓延、大量破壊兵器の拡散、弾道ミサイルの拡散、劇的に世界の安全保障環境が変化をしてきておる中で、そして米軍もいわゆるトランスフォーメーションということで地球規模での再編成を行うという、今大きな転換期にあると思います。日本が戦後置かれてきた状況というものもまた変わってきておるんだと思います。

 その意味では、これまでの時代の考え方にある意味余りとらわれ過ぎずに、次の時代、この東アジアを安定させていくために我が国がいかに貢献できるかということを素直にもう一度議論し直すことができるようなそういう国防の論議というものが望まれると考えております。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

小林委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 前の方が予定より早く終わられたので、びっくりして飛んでまいりましたけれども。

 一昨日の当委員会におきましては、イラクにおける日本人の拘束事件、並びに北朝鮮の核実験疑惑のことがありましたので、それを中心にしましたので本来用意しておりましたこの法案の中身についての質問ができませんでした。きょうは三十分時間をいただきましたので、じっくりとやらせていただきたいと思います。

 それで、今、巷間、修正協議等の話がいろいろと報道されているわけですが、一つは、国会の関与についてこの法案をどう考えていくのかということが一つのポイントになろう、そのように思うわけでございますが、事前に与党との協議の中で、我々は、第五項に国会報告を盛り込むべきであるということで、そのとおり政府の方で修正をしていただいたわけでございます。

 これをどう考えるかということなんですが、第六章の自衛隊の行動、幾つかございます。第三条の自衛隊の任務で大別されるのでは、二つ大きく分かれるわけですね。一つは、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することのための第七十六条の防衛出動、こういう本来任務と、それともう一つは、第三条第一項の公共の秩序の維持の活動、こういうように大別されるわけです。

 この第六章の自衛隊の行動の中には、防衛出動とあわせまして、そのほかの公共の秩序の維持に当たる行動というものがずっと書かれているわけですが、その公共の秩序の維持の中でも、第七十八条の命令による治安出動のみが国会の承認を必要としているわけでございます。

 これをまず前提に置いた上で、今回の弾道ミサイル破壊措置というのは、防衛庁長官も言われておりますが、公共の秩序の維持の活動の中でも、いわば警察権の行使である、そのように防衛庁長官はたびたび答弁をされているわけですが、そういう点で見ていきますと、私は今回の弾道ミサイル破壊措置というのは、防衛出動や命令による治安出動と違いまして、我が国の防衛とかそういうことよりも、現に我が国に落ちてくるミサイルをただ破壊するだけの行為であるということが一つですね。破壊しなければ、人命であるとか、また国民の財産に影響を与えてしまう、そういうものに対して、ただ破壊をしよう、さらに、それは瞬時の行動であって、極めて不可逆的な、そういう行為である。

 そういうことから考えますと、私自身も、今回のこの法案につきましては、国会報告で十分であって、国会の事後承認というのは必要ではない、そのように考えるわけですが、まず、政府の考え方として、この国会の関与について、命令による治安出動のような事後承認というものを必要とされなかった理由は何なのかということが一点。

 それと、今回、弾道ミサイル防衛というのは、新たな脅威ということで、新たな自衛隊の任務ということで入れてきたわけですね。しかし、これから新たな脅威というのは今後もいろいろ考えられるわけです。例えば生物化学テロに対してどう対応していくのかとか、また、ゲリラ・コマンドーに対してさらにどういうように対応していくのかとかいろいろなことが考えられると、そのたびにまたこの国会の事後承認という議論がいろいろ出てくるかと思うんですけれども、今、現時点で考えておられる国会の事後承認を必要とされる場合と国会の事後承認を必要とされない場合、その判断基準を政府としてどういうように考えておられるのか、やはり明確にこの時点でされておいた方がいいんではないかな、そのように思うんですが、以上二点、御答弁をいただきたいと思います。

大野国務大臣 一言で言いますと、やはり国民の権利義務に大きな影響を及ぼす行動であるかどうか、これは非常に大きなポイントであると私は思っております。また、その行動が他国の財産、人命に影響を与えるものかどうか、こういう点も配慮していかなきゃいけない。やはりそういう、人命にどの程度影響を与えるのか、権利義務にどのような影響を与えるのか、こういうポイントだと思います。

 今回のミサイル防衛についての考え方でありますけれども、これは、ほっておけば命も財産も被害に遭ってしまうわけですね。絶対にこれはやらなきゃいけない行動であります。やらなくてもいいことではありません、絶対にやらなきゃいけない行動であります。そして、今佐藤委員もおっしゃったとおり、不可逆的な行動であります。そういう点。

 そして、この行動は一体どういう行動なのか、その特性を見てみますと、一つは、撃ってきたものを迎撃して落下させる、こういうことでありますし、もう一つは、やはり、落下させるという意味で、絶対に国民の生命財産を守らなきゃいけないという背景がある。必要かつ当然の行動である、必要かつ当然の措置である、こういう問題があります。それからもう一つは、相手国の領域内で生命あるいは財産に損害を与えるものではない、こういう特性があるわけであります。

 その中で、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、国民に対する私権の制限とかそういう観点から考えますと、国会の関与を必要とする防衛出動あるいは治安出動などのような他の自衛隊の行動に比べまして、今申し上げましたような国民に対する私権の制限、こういう意味ではもう本当に限定されているわけであります。

 したがいまして、以上のようなことを考えれば、私は、今回の措置は、事前であっても事後であっても、事前ということはあり得ないのですけれども、事後であっても国会の承認を要するまでの必要はない、このように思っております。

 なお、国会への報告でありますけれども、この点はやはり、自衛隊が、武力行使とまでは言いません、武器の行使とまでは言いません、実力を行使する行動であります。そしてまた、特に八十二条の二の第一項のケースでいいますと、やはりそれが武力攻撃事態につながっていって、防衛出動下令につながっていく可能性がある。こういうことを考えれば、やはり私は、国会への報告はきちっとしておくべき筋合いのものだろうな。そこに私は報告とそれから承認の違いがあるのではなかろうか、このように思っております。

佐藤(茂)委員 そこで、我々も修正のときにこのことはあえて触れなかったんですけれども、政府答弁としてきちっと残していただきたいんです。この第五項に国会報告というものを入れさせていただきました。「速やかに、国会に報告しなければならない。」ということなんですけれども、これは、通常の国会開会中の際、さらに国会閉会中の際、そしてさらに衆議院解散の場合、こういう三種類にそれぞれ分かれると思うんですけれども、ここで言う「速やかに、」というのは、それぞれの状態のときに、弾道ミサイルが飛んでくるというような事態が起こった場合にどういうタイミングで報告をされるのか、御答弁をいただきたいと思います。

大野国務大臣 国会開会中であろうとも国会閉会中であろうとも報告をする、当然のことであります。報告の仕方は、内閣総理大臣から衆参両院の議長に対し文書により報告させていただきます。それから、衆議院が解散中の場合であっても、参議院議長に対して内閣総理大臣から文書により報告をいたします。

 それでは、どういうタイミングでやるのか。これはもう直ちにというか「速やかに、」と書いてあると思いますけれども、速やかにさせていただくということでございます。

 この報告に基づいて国会でどのような審議を行うか。これは国会の方で考えていただきたい、決めていただきたいと思いますし、また、国会への報告も、形式的にならずに、これはもう本当に、きちっと、可能な限り具体的に報告をさせていただいて、そして国会で十分御議論をいただけるようにしたい、このように思っております。

佐藤(茂)委員 それで、今、事後承認の件で、私権の制限というのは極めて今回限定されているんだ、そういうお話がございましたので、本来時間をかけてやりたかった質問を最後にちょっと回しまして、果たして、この弾道ミサイルへの対処によって、その対処することによって国民生活がどれだけいろいろな意味で制限されるのか、そのことについてちょっと明確にこの委員会で御答弁をいただきたいと思うんです。

 例えば、四月五日の東京新聞では、防衛庁が関係省庁との協議を開始したというように言われております。それは、例えば、今回の弾道ミサイル防衛によってPAC3が民間航空機を誤射する危険を避けるための飛行禁止区域の設定であるとか、これは国土交通省とやる。さらに、弾道ミサイル探知に使用する強力なレーダー波について、電波障害が避けられないということで、これも総務省とどういう対応をするのかということを検討を開始したと。

 要するに、武力攻撃事態なら特定公共施設法に基づいてこういうことができるということになっている。しかし、今回のこの破壊措置というのは有事に至る前の段階ですから、その有事に至っていない段階で、そういう市民生活に深刻な影響が出る可能性もあるので検討を開始されたということなんですね。

 これは実は、多分自由民主党さんにもそうでしょうけれども、我々公明党にもこの法案を出された過程ではそういう話にはなってなかったんですけれども、四月に入ってそういう報道がある。

 これは具体的に検討されてきたと思うんですけれども、これはやはりこの委員会で、そういう本当に弾道ミサイル等への対処によって国民生活を制限する可能性のある事項があるならすべて明らかにして、そして国会に詳細な説明を行うべきであるというふうに思うんですが、ぜひ、検討されていることがあるなら、また、実はこういう課題が考えられるんだということがあるなら、明らかにしていただきたいと思います。

大野国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 一般論として申し上げますと、今回のミサイル運用に当たりましても、市民生活の影響が生じる可能性はあります。それは何か、こういう問題であります。その点を一つ一つ申し上げたいと思うんですが、こういう個々のシステム、一般論としてですが、個々のシステムを運用する場合には、まず各種の規制法、それから安全基準、これはもう遵守していかなきゃいけない、当然のことであります。それから、新しいシステムの導入や法整備を行う場合には関係当局と十分調整をしなきゃいけない、これも当然のことであります。

 そこで、具体的にBMDシステムについて申し上げたいと思うんですが、これは、まず民間航空機の航行の安全や電波障害、この関係はきちっとしておかなきゃいけない。

 そこで、イージスの場合でございますけれども、イージスの場合は、公海上の運用でございますから、基本的に飛行禁止区域の設定をする必要はない、また、電波障害の関係で整理の必要性は極めて低い、このように考えております。

 ただし、PAC3システムの場合におきましては、我が国の領土の中で展開するものですから、ここのところはやはり、レーダーの関係でいいますと、そしてまた発射の関係でいいますと真剣に考えておかなきゃいけない問題であります。

 まず、飛行禁止区域の設定が考えられますけれども、この点は必ずしも必要となるものではないのではないか、このように思っております。ところが、電波障害の方は、これはかなり真剣に考えておかなきゃいけない問題であろう。そこで、電波監理当局と十分調整の上、やっていかなきゃいけない、このように思っております。

 関係省庁間の調整でございますけれども、関係省庁間でいろいろな調整をやる枠組みがありますから、その枠組みの中でやっていく必要があります。

 具体的に、武力攻撃事態や緊急対処事態の設定が行われた場合には特定公共施設利用法を基本として調整を実施する。これはしかし今回の問題ではありませんけれども。

 平時における対応、これは今委員もおっしゃいましたが、例えばどういうふうな優先をやっていくかということで特定公共施設利用法の問題がありますし、想定外の、この特定公共施設利用法の考えている枠外の問題も出てくるのではないか。そういう場合には、今次の法制においては、総理の承認を得た上、閣議決定をした上で対処していくことといたしております。

 そういうことで、調整を十分図った上、保護法益を守る、そして国民の生活、安全、こういう観点から、各般にわたる問題でありますから、調整を十分行って万全を期していかなきゃいけない、このように思っております。

佐藤(茂)委員 今るる述べられたとおり、私が提示した飛行禁止区域の設定と電波障害、今検討しているのは二つだけですか。ほかはほとんど余り市民生活に影響ないというように今の段階では考えておられるのか、ちょっと明確にお答えいただきたいと思います。

大野国務大臣 具体的に国民保護法制との関係でどういうふうに考えていくか、こういう問題も真剣に考えていかなきゃいけない問題であります。例えば、ターミナルコースで撃ち落とした場合、その破片が飛散した場合どういうことになるのか、そういう点も含めて考えていかなきゃいけない。国民保護法制の問題があると思います。

佐藤(茂)委員 それで、要は、これはほかのことに関連するんですけれども、長官、これは多分お答えできると思うんですけれども、国民保護法制とか、これは武力攻撃事態のときの対応なんですね。今言われました特定公共施設利用法もまさにその枠組みなんです。

 これはまさに最初の段階から言うておりますが、有事に至っていない弾道ミサイル破壊措置というのは、平時の、まさに警察権の範疇に入るそういう行動なんですね。しかし、その行動をとることによって有事のときを設定したそういう法律を今回準用しなければいけない、そういうふうに考えておられるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

大野国務大臣 まず、武力攻撃事態が生起している場合には、もちろん今申し上げたような国民保護法制等でございます。それから、そういう場合でない場合は、やはり、自衛隊法に基づく災害派遣とか、法律的にはそういう整理になろうかとは思います。

 私は、やはり国民の生命財産の安全、これが一番でありますから、あらゆるケースを想定して法律の根拠はきちっとしておかなきゃいけないと思いますけれども、そういう意味で、国民保護法制のような考え方を持って対処していく。法律的に申しますと根拠法令は自衛隊法、災害派遣、こういうことになろうかと思います。

佐藤(茂)委員 そうしたら、これはまだ検討中ということなんで、具体的に関係省庁ともう少し詰めをした段階でいろいろ自衛隊法以外でも関連するものが出てくれば法律を変えないといけない、そういうことが必要になってくると。

 私は、しかし、本来こういうものは詰めた上で、破壊措置の新しく法を設定するときとともに、これは例えば、いろいろいつも出されますけれども、関連法の改正というものはセットで出されるべきものじゃないかと思うんですけれども、しつこいようですが、防衛庁長官の答弁をいただきたいと思います。

飯原政府参考人 その点についてでございますが、私ども、事務レベルで想定できる事態は想定した上で、法案作成自体の過程の中で関係省庁と調整をいたしまして、八十二条の二の事態におきまして、必要な法律改正をするものがあれば、その限りではそれに盛り込んだということでございます。

 ただ、より具体的なところは、現に、私どものやり方として、制服を巻き込んだ実際の訓練等は、法律が作成、つまり法的根拠が明確になってからやるということ、それから、兵器の具体的なものは、御承知のとおり、まだいわゆる契約発注中でございますから、それが具体的にどういうものになるかは我が国に到着してからということでございますので、当然、今回法律を通過させていただいた後、しかるべき段階を追ってより詳細な検討をしていくということでございます。

大野国務大臣 一言だけ正確を期する意味で申し上げたいと思うんです。

 国民保護法制をどういう場合に適用できるか、この問題でございますけれども、必ずしも武力攻撃事態発生ということではなくて、緊急事態であると内閣が判断すればできますので、閣議を経た上で国民保護法制を適用できる、こういう根拠があるということを申し添えさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 私は野党でもないので、これ以上この件については質問いたしません。

 もう一つ、ぜひきょう明らかにしておきたいのは、今回のこの法案、私も四月一日の本会議であえて質問させていただいたんですけれども、ポイントは今回の八十二条の二の第一項と第三項ですね。二段構えに今回破壊措置がなっているわけですが、この二段構えをどういうように明快に我々の側としては理解するのか、政府の側でいうとこの二段構えの仕組みをどういうように明快に説明できるのか、これが一番大きなポイントであろう。

 そういうことで、私も四月一日の本会議のときにあえて質問をここの部分についてさせていただきました。そのことに対して当時防衛庁長官がどういうふうに答弁されているのか。議論の前提として同じ共通認識に立たないといけないと思うので、あえて読ませていただきます。

 私が質問したのは、「二点目に、第一項の、弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれがある場合と、第三項の、事態が急変し、第一項の内閣総理大臣の承認を得るいとまがない緊急の場合の違いがわかりにくいという指摘があります。」と。だから、その事態の違いが国民にわかるように、具体的にどういう事態を想定されているのか、御答弁いただきたいということ。

 そうすると、その違いについてでありますということで、具体的に説明をされました。そのときの答弁をあえてもう一回言いますと、防衛庁長官は、

  第一項の飛来のおそれは、国際情勢、発射の示唆及び部隊の動き、ミサイルの発射の準備状況といった軍事的動向を総合的に分析、評価し、政府全体で判断するものであります。

  具体的な例といたしましては、意図は不明ですが弾道ミサイルの発射に向けた具体的な兆候がある場合や、諸外国が弾道ミサイルの発射を具体的に示唆した場合などが考えられます。

これが第一項ですね。

  他方、第三項の緊急の場合とは、我が国に弾道ミサイル等が飛来するおそれがあると判断していない状況下、事態が急変し、総理の承認を得るいとまがなく我が国に向けて弾道ミサイルが飛来する緊急の場合に限るものであります。

  具体的な例といたしましては、ミサイル発射実験を行うとの情報のもと、イージス艦などのレーダーを用いてその実験を監視していた場合や、ある国の内政が不安定な状態にある場合に、当該国に対し継続的に監視を行っていたところ、弾道ミサイルが我が国に向けて飛来する場合などが考えられます。

こういう御説明であります。

 正式に本会議で言われているのはこのとおりだと思うんですが、そこでお聞きしたいのは、この第一項、第三項で具体的な例として言われていることは一般的にいくと極めて似通っていて、違いがどこにあるのかわかりにくい。例えば、第一項の例として二つ言われています。「意図は不明ですが弾道ミサイルの発射に向けた具体的な兆候がある場合」、「諸外国が弾道ミサイルの発射を具体的に示唆した場合」、この二つを言われているんですが、第三項では、「ミサイル発射実験を行うとの情報のもと、イージス艦などのレーダーを用いてその実験を監視していた場合」。

 要するに、発射に向けた具体的な兆候がある場合、発射を具体的に示唆した場合というこの第一項の例と、第三項のミサイル発射実験を行うとの情報を得て動いている場合と、一般的にいくとほとんど同じように兆候じゃないのか、そういうようにとれるんですが、ほとんど同じではないかととらえられても当然だと私は思うんですけれども、そこはどう違うのか、違いをわかりやすく御説明いただきたいと思います。

大野国務大臣 違いを申し上げます。

 第一項の場合には、今申し上げたような、佐藤委員おっしゃったような事例があって、ほとんどもう可能性が高い、非常に高いという場合であります。それを「おそれ」ということで表現しております。そのおそれを判断するのは一体だれなんだろう、これは政府であります。政府の判断はどうやってやるか、これは閣議でやります。ここに、おそれは閣議で判断してやるんだ、こういうことが一つ違います。

 そういうふうに、おそれの判断をしたということは、それは地域の名前も出てきます。相手国の名前も恐らく出てくると思います。それから、どういう状況になっているということも出てくると思います。部隊の展開、ブースターが立ち上がったとかどうとか、そういう問題でございます。それから国際情勢、相手国の意図、こういうものが出てきます。ほとんどこれはもう間近に本当に武力攻撃事態になってくる可能性、蓋然性が高いな、こういうことでおそれの判断をする。それを政府がやる、内閣、閣議で決定する、これであります。

 二番目の場合には、実験しているけれども、ひょっとすると誤射があるかもしれない。だから、そういうおそれはない場合であります。おそれがない場合に、しかし、そういう安全ネットを張っておかないと、せっかくゆとりがあるのに、ゆとりというか、そういうイージス艦が配備されておるのに命令がない、こうなりますと、大変これは、せっかくこういうシステムを導入しながら万全な態勢がとれない。したがって、あらかじめ包括的に命令を下しておく。ただし、その命令というのはきちっと、こういう場合にはこうなってこうですよと、こういうことであります。

 しかし、その例として挙げた場合、例えば実験しているとかそういう場合でありますけれども、それは一つの例でありまして、我々が申し上げておりますのは、本来ならば、平時であっておそれがない場合でも、二十四時間、三百六十五日、本当は見張っている、これが国民の生命財産に対する我々の努力じゃないか。しかし、それは能力的にできない。だから、これは命令を下して期間を区切って、そして、あらかじめ下した命令でやっておこう。どういう場合に命令を下すかということで、ある程度そういうような事象があったときが命令を下す場合に頭の中に入っている、こういう意味で例を申し上げているわけです。

 したがいまして、一つは、おそれがある、おそれがないと言い切ってもいいかと思います。おそれがないのに、いきなり事態が急変してミサイルが出てくる、こういう場合であります。もう一つは、おそれの判断はきちっと内閣で決めるんだ、こういうことであります。こっちは、そういうことを内閣で一つ一つのケースについて決めるのではなくて、包括的に、こういう場合にはあらかじめ長官の下した命令で緊急対処要領に基づいてやっていいですよ、ここが違いだと思っております。

佐藤(茂)委員 ただ、今言葉をいっぱい使われたんですけれども、例えばミサイル発射実験。具体的に北朝鮮を例にとりましょう。そうしたら、彼らがミサイル発射実験をしますよと言ったときに、中国やロシアの方に飛ばすわけはないので、ミサイル発射実験をやりますよと言ったときには、どう考えても、近くの韓国には弾道ミサイルを飛ばしても意味がないですから、日本かあるいは太平洋、さらにはその向こうのアメリカ、こっちに向けて飛ばしてくることは間違いないわけでありまして、もうミサイル発射実験をするという段階で、当然これはこっちに飛んでくるおそれがある、そういう判断を当然されるべきものであって、そう考えていくと、何も第三項で置いておくのではなくて、そのミサイル発射実験をするという情報自体を得たときには、当然、この第一項の、これはこっちに飛んでくるおそれがある、そういう判断をすべき問題じゃないんですか。今、長官の説明だと、それはおそれがないんだ、そういうようなことになるというのは、どう考えてもおかしいと思うんですけれども。

大野国務大臣 おそれを判断するのは政府全体でございます。その判断の根拠を先ほど具体的に申し上げましたけれども、例えば、某国が実験と言った場合は、それは実験じゃなくて本気なのかということもその中に含まれているわけです。総合的にいろいろな情報をもって、これはおそれである、某国がどうした場合はおそれになる、某国がこうした場合はおそれにならない、こういうのは総合的に判断していかなきゃいけない。

 まさに佐藤委員おっしゃったとおりの問題は生じてまいりますけれども、我々は、どの国から何が撃ってくるということは今現在答弁できませんので、ここは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、政府全体として総合的に判断する、そして国民の生命財産を絶対何が何でも守っていく、こういう姿勢で取り組んでまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 もう時間が来ましたのであれですけれども、一昨日もお聞きしておりまして、この条文というのは、やはりいかに国民にわかりやすいものにしておくかということが大事だと思う、自衛隊法というのは。ところが、野党の長年この分野に携わっておられた防衛責任者の同僚議員でも、読んでも意味がよくわからないという趣旨の話をする。例えば「あらかじめ、」はどこに係るのか。そういうものは国民全部が抱かれる疑問だと思うんです。

 今やりとりをした中でも、特にこの第一項の事態の認識と第三項の事態の認識を、結局長官の答弁だと、内閣に任せてください、そういうところに尽きるわけですね、最終的には。そういう法案で、果たして我々立法府として責任を果たしたことになるのか、そういう疑問を残しながら、きょうは質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小林委員長 次に、村越祐民君。

村越委員 大変すばらしい佐藤委員の質疑の後で非常に重責を感じておりますが、よろしくお願いいたします。民主党の村越でございます。

 直近何回かのこの委員会での議論というのは、主にイージスシステム、ミサイル防衛のシステムの中でもイージスシステムにフォーカスされた議論が非常に多かったような印象を私は受けておりますので、私はPAC3の話を中心にきょうはさせていただきたいと思います。

 まず、長官、一般論として、システム全体の中でPAC3の運用をどのようにお考えになっているのか、もう一度、一般論を御説明いただきたいと思います。

大野国務大臣 PAC3の運用をどう考えるかということは全体のシステムとの絡みかと思いますけれども、委員十分御存じのとおり、全体のシステムからいいますと、まず、ブースト段階を終えてミッドコースでイージスの攻撃を行う、そして最後のターミナルコース、恐らく高度十数キロ、そしてまた半径数十キロという範囲でペトリオットPAC3の迎撃を行う。こういうふうに、ミサイル攻撃に対しましては二重の防御装置になっているということでございます。

 二重の防御装置になっておりますけれども、PAC3、高射群の場合は、機動的に展開していく、移動していく、状況に応じて適切な位置に配置する、こういうことを主眼といたしております。

 それからもう一つ、統合運用との絡みがあろうかと思います。二重防御、あるいは多層防御と言っていいのかもしれません。BMDシステムの運用に際しましては、やはり、イージスの海上自衛隊、それから航空自衛隊がやっておりますPAC3、この両方を一元的にやっていかなきゃいけない、こういう問題があります。そこで、これらをつないでいく、情報をつながなきゃいけない、運用をつないでいかなきゃいけない、そういう意味で、一元的な指揮統制や情報共有を図るための指揮統制通信システムを整備していく、これも課題になっております。それから、もちろんそれを全体として運用していくための組織、この組織の問題は、統合任務部隊ということを組織するということでございます。

 このような組織面、それから運用面、装備面、こういうものを通じて、二重防御のシステム、そして、PAC3はターミナルコースでやるわけですから、二重防御の後の部分において弾道ミサイルを迎撃する、こういう役割を担っているわけでございます。

 そういう意味で、本当にミサイルというのは撃ち落とさなきゃ国民の生命財産に多大な被害を与えるものですから、二重で、とにかく落ちてくるものを迎撃していく、こういうシステムの重要な一部を担っているのがPAC3でございます。

村越委員 PAC3というのはあくまでシステムの中で二重の後の、二段階目の部分で、あくまで一体のものなんだという御答弁だったかと思います。

 それでは、先日、盛んに我が党の前原委員と長官が八十二条の二の解釈に関していろいろ議論されていたかと思うんですが、いま一度確認をさせていただきたいのは、大臣の答弁によりますと、八十二条の二の一項というのは蓋然性が高い場合、三項というのは蓋然性が低い場合というような話をされていました。あるいは、一項は危機の認定がある場合、三項は危機の認定がない場合というような尺度も言われているわけですけれども、もう一度整理をしていただいて、どのようにこの一項と三項を理解すればよろしいのか、御教示いただきたいと思います。

大野国務大臣 先ほども公明党の佐藤委員の御質問でお答えを申し上げております。

 一項というのが、これは基本であり、原則であります。なぜ基本であり、原則であるか。それは、我が国に向かってミサイルが飛んでくる可能性が極めて高い、その情勢を、そういう判断を、例えば国際情報、その国の意図、それから軍事的にブーストがどうした、部隊の展開がどうした、こういうあらゆる角度から考えて総合的に判断して、政府全体としてやっていく。したがって、閣議決定の「おそれ」であります。

 それから、それが原則でありますが、おそれだけではなくて、いついかなるときにミサイルが撃ち込まれる可能性、やはりそういうことに対しても構えておかなきゃいけない、そういうことも考えておかなきゃいけない。可能性は低いと思いますよ、おそれがないわけですから。しかし、そういうことも考えておかなきゃいけない。

 そこで、おそれはないけれども、事態が急変して、そしてそういうふうにミサイルが飛んでくるというようなことになった場合には、やはりこういうルールを守って、こういう緊急対処要領で迎撃してください、迎撃しろ、こういう命令を長官がしておかなきゃいけない。その緊急対処要領につきましては、内閣総理大臣の承認を得てから防衛庁長官があらかじめ下しておく、こういうことでございます。

 この趣旨は、せっかく部隊がいろいろな任務についているのに、命令がないと、事態が急変して、そしてそういう場合に撃てなくなる、これではいけません。やはり、おそれはないけれども事態が急変する可能性だって否定しちゃいけない。あらゆる角度から、私はやはり、ミサイル防衛に対して国民の生命財産を守っていく、この姿勢を崩してはいけないと思います。

 先ほども申し上げましたが、おそれを認定、判断する、それは一項で、閣議できちっとやる。おそれがあるとは判断していない場合でも、やはり実戦部隊が任務についている、そういう場合には、事態が急変した場合にちゃんと備えて撃てるように命令をあらかじめ下しておく、この違いでございます。

村越委員 それでは、もうちょっと具体的に教えていただきたいんですが、例えば、九八年にテポドンが飛んできたわけですね、それで三陸沖に着水をした。そのときに、「みょうこう」というイージス艦が日本海沖に事前に出ていっていたわけですね。それで、SPY1レーダーですか、それを先方に集中させて察知したというような事例があったかと思うんですが、この場合は一項のケースに当てはまるのか、それとも三項のケースに当てはまるのか、どちらなんでしょうか。それとも単に訓練で出かけていっていたのか、どうなんでしょうか。

 仮に大臣がそのときに御在職であったとして、どのような判断をされたのか、どのような命令をお出しになったのか、大臣にお答えいただきたいと思います。

飯原政府参考人 九八年の事実のところでございますが、御承知のとおり、イージス艦の一般のレーダーの使用の仕方ですと、弾道ミサイルは十分な把握ができません。ということで、一定の情報に基づきまして、発射される可能性のある地点にあらかじめレーダーを集中させていた。ただ、その場合に、弾道を計算した結果、我が国に飛来するという弾道ではなかった。ただ、追跡の結果、一カ月後に報告を出しましたが、そのような形で太平洋に着水をしたということでございます。

大野国務大臣 つまり、いろいろな情報を集めて、そして、我が国の方角に飛来してくる、こういう情報がある。それからもう一つは、相手国がどういうふうに意図表明しているか、国際情勢がどうなっているか。私は、仮にも我が方の方角に向けて撃たれる可能性があるとすれば、そして国際情勢を考えて、もし当方に撃たれる、日本の方向に撃たれる可能性があるとすれば、それはおそれとして判断してもいいのではないか、私はこのように思っております。

 ただ、実際に日本の上空を飛び越して太平洋に落ちたわけですから、それは撃てません。これは日本の領土に、領域に落ちてこないと撃てないわけですから、実際にはそれは撃っておりませんけれども、もしそのような、もし仮にそれが本当に落ちてくるかこないかわからない段階であるとすれば、私はやはり一項の閣議の承認も得てもいいぐらいの話ではないかと思いますけれども、それはその時々の、今申し上げたような国際情勢、相手国の意図、こういうことも総合的に判断していかなきゃいけませんので、一概には言えないと思います。

 一概に言えないけれども、何しろ国民の生命財産を守るということが一番の責務ですから、そういう蓋然性が高いとすれば、私は、そういう報告をきちっとして、そして政府全体で議論して、きちっとそういう命令を出してもいいケースに当たるのかなという気がします。

 だけれども、そのときの情勢がどういうふうになっているか、検証してみなきゃわかりませんよ。しかしながら、私が申し上げたいのは、とにかくそういう可能性、我が国の方角に向かってくる可能性があって、落ちるかどうかわかりませんよ、それは。実験であって、先ほども議論がありましたね、相手国が実験と言った場合どうなんだという議論がありましたけれども、そのぐらい私は国民の生命財産を大事にしていきたい、このように思っています。

村越委員 国民の生命、身体、財産はぜひ大事にしていただきたいんですが、確認しますけれども、九八年のテポドンのケースは一項に当たるんじゃないかというお話で、なおかつ、本土を通り越してしまえば、仮に領海であってもミサイルは発射しないということでよろしいでしょうか。確認のため、御返事だけいただきたいと思います。

大野国務大臣 したがいまして、ちょっと考え方を変えまして、今後ああいうケースが出てきたらどうだろう、こういうふうに申し上げてもいいかと思います。

 今後ああいうケースが出てきたら、私は、ちゅうちょなくこういう状況でありますと説明をして閣議で決定してもらいたいなと思います。そういう意味で、私は、一項の命令を出させていただきたい、このように思います。

村越委員 一項の命令をお出しになって、SM3もPAC3も撃たないということかと思います。(大野国務大臣「あと、失礼します」と呼ぶ)お願いします。

大野国務大臣 そこで、命令はやはり、そういう態勢で撃ち落とせということでありますけれども、ここは先ほど申し上げましたので割愛しましたが、実際は、ある程度たちますと、方角とかあるいは速度とか高さとかいうことで、日本の領域へ落ちてくることがわかりますから、そのわかった段階では撃ち落とす、これが遠方へ飛んでいくという場合には撃ち落とさない、これがいわば我が国の考え方でございます。

村越委員 では次に、もうちょっと具体的な質問をさせていただきたいんですが、八十二条の二の三項のケースの場合ですね。つまり、先日の前原委員の質問に対してたびたび名ピンチヒッターとして登場されている飯原局長の答弁で言うところの、兆候がない、むしろ観測に行っただけだというような場合について、PAC3を配備するんでしょうか、しないんでしょうか。大臣、端的にお答えいただきたいと思います。

 三項のケースの場合、要するに船だけ出ていて蓋然性が低い場合、認定ができるとまでは言わない場合、PAC3を展開というか配備されるんでしょうか、しないんでしょうか。

大野国務大臣 私は、命令というのは双方に出すべきものだと思います。この辺は十分、今内部で議論している段階であります。

 そういう意味で、やはりミサイル防衛というのは総合的に運用していく、イージスとPAC3と総合的に運用していくというのが本来の筋であって、これをばらばらにするという考え方もなきにしもあらずですよ、そういう議論があります。そういう議論がありますけれども、今後検討させてください。

 私はどちらかというと、どちらかというとというよりも、むしろ、もう日本の生命財産の保護のため一体として重層防御をやるべきだ、こういう考えで、今内部で議論をいたしておるところでございます。

村越委員 まさに、大臣の最初の、イージスとPAC3、SM3とPAC3の一体論、それから、仮に現状で蓋然性が低いとしても急変するおそれは否定してはいけないんだというお話、あるいは、先日理事会を通じて出していただいた緊急対処要領の骨子案の中で、二番の「措置の対象とする弾道ミサイル等の範囲及びその破壊方法」の「(2)方法」のところにPAC3ということが……(発言する者あり)失礼しました。民主党に出していただいた資料で、PAC3ということがちゃんと書いてあるわけですから、八十二条の二の三項の場合にPAC3は配備しないとなると、ちょっとおかしな話になってしまうわけです。ですから、大臣の今の答弁で首尾は一応一貫していると思うんですが。

 それでは、具体的なPAC3の運用方法に関してもっと細かい話を聞きたいんですけれども、このPAC3を、ちゃんと迎撃ができるように、フットプリントですか、その守備範囲にきちんとすき間なく並べていくにはどれぐらいの時間がかかるんでしょうか。

 例えば、既に第一高射群、入間には配備が決定しているということなので、そのケースに基づいて答弁をしていただければと思います。つまり、第一高射群には習志野、入間、武山、霞ケ浦の各高射隊があるわけですけれども、それらの高射隊に発射機を展開するにはどれぐらい時間がかかるのか。逆に言うと、十分ぐらいでミサイルは飛んでくるわけですから、十分で一体どれだけPAC3を動かしていけるのかということを教えていただきたいと思います。

飯原政府参考人 それは、結論を申しますと、法案成立をしていただいた後に具体的な検討をしなければいけないと思います。

 なぜかといいますと、まず、レーダーのあるものと、それから発射機を展開するわけですが、その間をどう結ぶかですね。例えば、無線を使えば障害の建物があっては難しいので、じゃ、有線で結ぶのか。それから、どういう展開地があるのか。それについて、どういうものがまさに八十二条の二の事態で確保できるのかどうか。そうしたものを、まず一つのプランをつくる、それでまた各関係機関とも協議をする。それから道路事情もあるでしょう。そうしたことをすべて、それこそ現場に命じて、そのあり得べき想定を置いて、その結果出てくるものが、こういう事態であれば何分ぐらい、それから夜間であればとか昼間であればとか休日かとか、いろいろな事態があると思いますが、それは、法案成立後、至急検討を開始したいということでございます。

村越委員 ちょっと、法案が通った後に検討を始めるとか各関係機関と協議をしますとかということが余りに多過ぎるんじゃないかと私は思うんですね。やはり先にそれをちゃんと議論してシミュレーションしてからでないとだめなんじゃないかというふうに思うんです。

 もうちょっと細かい話を聞きたいんですけれども、例えば、このPAC3をきちんと実効性を担保した形で運用していくためには、もちろん基地から外に出す場合があり得るわけですね、これはもうさんざん御答弁されていると思うんですが。そのときに果たして国有地だけで足りるのかというと、もちろん民間地を使う場合が出てくるかと思います。

 例えば、ここに「高射部隊の配置状況」という紙があるんですけれども、仮に千歳の第三高射群とか三沢の第六高射群に残りの二つのPAC3のシステムを入れるとした場合、千歳なんかの四つの高射隊というのは、千歳、千歳、長沼、長沼というふうに二カ所にしかないわけですね。第六高射群の三沢にしても、八雲、車力、車力、八雲というように二地点にしか高射隊がないわけで、到底、千歳の地域だったり三沢の地域はちゃんと守れないわけですから、いろいろなところに出ていかざるを得ない。

 そのための、民有地にミサイルの発射機だったり、あるいはレーダーだったり指揮の車だったりを展開するための具体的な手続というのは、どういうふうに進めていかれるんでしょうか。これもまだ検討課題で、法案成立後、関係機関と協議をして決める予定なんでしょうか。ぜひお聞かせいただきたいと思います。

飯原政府参考人 御承知のとおり、PAC3は移動性がございます。ですから、その移動性を最大限に生かすためには、これは理想論ですけれども、展開可能な、できるだけ広い範囲をカバーできるように用地を確保して、できれば連絡に無線よりは、さっき言った建物の障害等ありますから、有線をあらかじめ配備すれば一番いいわけです。

 ただ、そのために全国各地にあらかじめ民有地を借り上げていくのかどうか。それはなかなか難しいとすれば、国有地なり自衛隊の用地でどういう使えるものがあるのか。これは全体の、そういう八十二条の二事態を想定して、また、現にまだPAC3が実際に入ってくるのに時間がかかりますので、その実態を、米軍は実際に実戦に応用していますから、その経験も踏まえて、これは今後、現地の実態、実態に、まさに御指摘のとおり、砂漠のようなところですと大体想定がつくわけですが、一般論で地形、建物の状況、周りの電波の使用状況、全部個別にやらなきゃいけませんから、今後、法案成立後に、また現場の制服組を入れまして、関係省庁とも協議をしていくべき課題であるというふうに認識いたしております。

村越委員 民有地を想定しているということであれば、急いでシミュレーションをした方がいいんじゃないでしょうか。

 もう一つ、各論なんですけれども、フェーズドアレー・レーダーというのを持ち出す場合があるかと思うんですが、このレーダーがもたらす弊害というのがいろいろ指摘されていると思います。人体に悪影響がある、あるいは携帯電話なんか電波障害が起こり得る、いろいろな弊害があるという話ですね。

 何かアメリカのどこかに、イージスシステムのSPY1レーダーそのものを地上に置いて実験しているところがある。その当該自治体の周りは全部テレビが実験中は映らなくなるとか、あるいはイージス艦に乗っている人たちには染色体異常が起こるとか、いろいろなことが言われているわけです。

 こういったレーダーを民有地に持ち出した場合、レーダーをびゃあっとやって、そのことで出てくる弊害というのは防衛庁として検討をされているんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

大井政府参考人 お答えいたします。

 ペトリオットシステムの電波使用でございますが、自衛隊法の百十二条の規定がございまして、総務相の承認を得て使用するということになっているわけでございます。その承認のもとで適切な立入禁止区域の設定を行うなど、ペトリオットシステムの安全性には十分配慮しているわけでございます。

 電波等の障害の問題でございますが、私どもといたしましては、規則によりまして、レーダー装置の前方百二十メートル以内及び作動角度範囲内の区域には立ち入らないというような措置を講ずるということでございます。

村越委員 では、その百何十メーター以内に立ち入らなければ全然問題はないということなんでしょうか。それで検証もしていないということなんでしょうか。

 よくわかりませんが、余り時間がないので、次の話をお聞きしたいんです。

 このPAC3なんですけれども、国土から国土の上空にミサイルを撃つわけですから、そこに仮に民間機がそのとき飛んでいた場合、非常に困ったことになるわけで、誤射を避けるために飛行禁止区域を設定するだとか、あるいは離着陸を制限するだとか、事前にそういった作業をしておく必要が出てくると思うんですが、そういったことを考えておられるのか。その際の、仮にやる場合の根拠というのは何になるのか、教えていただきたいと思います。

飯原政府参考人 当然でございますが、PAC3自体は、レーダーとワンセットの、不可分の関係のシステムでございますので、当然、撃つ前に上空は十分監視をした状況にございますので、特段、上空の飛行禁止区域という法的な制限を設けたり、それから民間機の離発着を強制的に制限したりということをしないでも、民間機の安全を確保することが十分可能なシステムであるというふうに認識しております。

村越委員 それは、入間の場合、例えば近隣に、習志野とか入間とかなわけですから成田とか羽田とかそういう飛行場があるわけで、そこはもう数千便とかという感じで飛行機が一日飛んでいると思うんですね。そういった状況でも何ら特段の制限を設ける必要が本当にないんでしょうか。

飯原政府参考人 そこは、PAC3ミサイルを撃って、飛来する弾道ミサイルに当てるというところまでは全く、それは私どもそういう必要はない、そういう法律的に強制的に飛行区域に制限を設置したり離発着を制限する必要はない。

 ただ、事実問題として、現に飛行機が飛んでいる、その上空でミサイルとミサイルがぶつかるわけですから、これは事実上、その破片がどういう影響を与えるかという問題はございますが、そういう状況でミサイルを発射するということは、それはまた極めて難しい判断になろうかと思いますが、そういう問題でございます。それは法律上の問題というふうには理解いたしておりません。

村越委員 そうだとすれば、隣で飛行機が飛んでいる状況の中で、PAC3を打ち上げるケースが往々にしてあるということなんだと思います。

 もうこれでやめますが、では、例えば横田基地もあると思うんですね。米軍の飛行機も飛んだりおりたりしていると思うんですが、そことの絡みなんかはどうなるんでしょうか。素朴な疑問がありますので、教えていただきたいと思います。

飯原政府参考人 繰り返しでございますが、PAC3を発射してそれで弾道ミサイルを破壊するという行為において、具体的に航路帯の制限を法律的にお願いしたり離発着を法律的にお願いする必要はございません。

村越委員 また次の質問、お伺いしたいんですが、ちょっと費用に関する質問をさせていただきたいんです。

 PAC3というのは、基本的に、既に我が自衛隊が持っているPAC2を改造してPAC3にするというお話なので、ぜひ、PAC2の一式の調達価格が幾らなのかということと、PAC3の調達価格あるいは改造価格が幾らなのかということと、PAC3の弾が一発幾らなのかということを教えていただきたいと思います。

大井政府参考人 お答えいたします。

 まず、お尋ねのありましたPAC2の地上装置でございますが、一高射群当たりのペトリオットPAC2地上装置の価格でございますが、これは昭和六十年から整備をしてきているものでございますが、今までの改修経費などを加えますと、約八百六十億円ということになっています。一高射群当たりでございます。

 他方、PAC3の地上装置でございますが、同じく一高射群当たりのPAC3地上装置の価格でございますが、これは、先ほど先生御指摘のあったとおり、既存のペトリオットシステムを改修するということになっておりますので、その改修する経費といたしましては、約四百六十億円ということになります。

 それから、PAC3ミサイルの単価でございますが、実は、ミサイルの購入の総額については表に出しているわけでございますが、従来から、幾つミサイルを持っているのか、幾つ弾薬を持っているかということについては、原則公表しないことになっております。したがいまして、単価を申し上げると、割り算をすると数量が出てまいりますので、恐縮でございますが、そこら辺は控えさせていただきたいというふうに思います。

村越委員 どうしてそれは公開しないことになっているんでしょうか。教えていただきたいと思います。

大井政府参考人 従来から国会等でもお答えしていると思いますけれども、PAC3ミサイルを含む弾薬でございますが、これは自衛隊の装備、能力の発揮に不可欠なものでございまして、この調達数や保有数を公にすると国の安全が害されるおそれがあるということで、非公表にしております。

村越委員 ちょっとまた長官にお伺いしたいんですが、先日、前原委員との議論で、公表をめぐっていろいろやりとりをされていたと思います。

 私も速記録を読ませていただいて、なかなか難解な速記録で解釈が非常に難しかったんですが、一つ思ったのは、長官のおっしゃる公表というのは、要するに、三項のケースの場合公表するかしないかというお話だったと思うんですけれども、長官のおっしゃるその際の公表というのは、三項の状態にあるかどうかを公表するかしないかというお話で、前原委員の公表というのは、弾が飛んできたかどうかということをそもそも公表するかしないかということでお話しになっていたんじゃないかと私は解釈をしました。ですから、若干議論のレベルが違うお話なのかなと私は思ったんですけれども。

 私は、いずれにせよ、これは公表した方がいいと思います。というか、公表せざるを得ないと思うんですよね。つまり、八十二条の二の三項の場合、長官は先ほど御答弁されましたが、PAC3を恐らく展開することになるわけです。その際、民有地にPAC3のシステムが出ていくことが往々にしてあり得るわけです。その際に、ミサイルの発射機であるとかレーダーであるとか、その指揮をするための車であるとかというのが自衛隊の高射群からぞろぞろ出ていくわけですから、これは大変物騒なものであるわけですから、公表するとかしないとかへったくれもないわけで、大変な混乱になると思うんですね。

 そういった影響が市民生活に及ぶのにもかかわらず、それでも公表しないとおっしゃるんでしょうか。

大野国務大臣 まず、公表の問題でございますが、公表するのは、閣議決定をするものはすべて公表ということになります。この中身は明らかでございます。一項それから三項の緊急対処要領。三項の場合、公表しないのが、命令をいつ下したか、これは公表は勘弁してほしい。なぜならば、いつからいつまでというふうにやってしまいますと、ひょっとすき間ができてしまう可能性がある、それは敵に対して手のうちを見せることになるからである、こういうことはかえって国の安全のためにふさわしいことではない、こういうことであります。

 それから、中間は飛ばしまして、事後は必ず国会に報告する、これも公表でございます。

 しからば中間の、つまり迎撃をした時点でどのような問題が起こるか。私は、迎撃をした瞬間、当然のことながら、ミッドコースで撃ち落とした場合は、ほとんど国民の生活に影響がないと思います。しかしながら、ターミナルコースで撃ち落とした場合には、ある程度被害が出る可能性は否定できません。したがいまして、迎撃した途端に、何らかの手段でそれをお伝えすべきだ、これはやはり国民保護法制の世界の中で対応してもらいたいな、このように申し上げているわけであります。

 そこは公表すべきである、しかし、公表の手段としてどうするかという問題が残るわけでございます。そういう議論をずっとやらせていただいたと思っております。

村越委員 あと、期間を外すとか外さないとかという議論もあったと思うんですけれども、もう時間もないですから、これは到底追っかけ切れないので、また別の機会か、あるいはほかの委員の諸先生方が触れるかと思うのでやめておきますが、あと何問か通告をさせていただいているので、将来的な運用に関してもちょっとだけ触れておきたいんです。

 情報収集がMDシステムを運用するに当たって非常にかぎを握っているわけです。なおかつ、残念ながら、今アメリカから情報を提供してもらうことに過度にミサイル防衛システムが依存しているような嫌いがあると思います。当然、日米同盟あるいは日米関係というのが我が国外交の今後も基軸になっていく、非常に大事にしていかなければいけないというのは、余り否定する人はいないと思うんですが、仮に日米同盟が現在のような状況でなくなった場合、このミサイル防衛システムの実効性、有効性というのはそのまま担保できるんでしょうか。できないとすれば、どのような改善点が考えられるのか、教えていただきたいと思います。

大野国務大臣 日本の安全保障政策の基本は、日米安全保障条約でございます。そのもとで専守防衛という政策をとっているわけであります。したがいまして、この日米同盟、これは、今もトランスフォーメーションの仕事をやっておりますけれども、ますます強化していかなきゃいけない。

 御存じのとおり、世界の中の日米同盟とすら言われております。さらに、世界の国際環境、安全保障環境を見ますと、やはり国際的な共同作業で抑止力を発揮していく、紛争の未然防止をやっていく。特にテロ対策なんかそうであります。海上交通の安全の問題もそうであります。そういう意味で、私は、御質問の仮定とされた、日米同盟が悪くなった場合という仮定の御質問には、お答えする気は全くありません。

 ただ、御質問をこういうふうに解釈させていただきます。日本独自でやれるのかどうか、こういうふうに解させていただきますと、日本独自で自己完結的に運用し得ます。例えば情報収集に関しましても、基本的には、みずから持っているセンサーがございます。これからの情報をもとに運用することができます。また、そういうことで、自分だけで運用できるかというと、きちっとレーダーも持っていますし、それぞれの情報力を持っていますから、できます。

 しかし、今まさに御指摘のあったとおり、例えば早期警戒情報、これは大変有用なものでありますし、そういう意味で、ミサイルの運用につきましては、やはり私は、国際協調、日米の共同作業によってやっていくことが一番望ましい形である、このように申し上げたいと思います。

村越委員 時間が来ましたので終わりますが、大臣今答弁されたように、本来、主権国家、独立国家なわけですから、自己完結的な運用というのをやはり考えるべきなんじゃないかなと思います。

 それから、PAC3の運用なんですけれども、あれを外に出したら、もうちんどん屋以上に目立つわけですから、一項の事態であろうと三項の事態であろうと、これは絶対公表すべきだと思います。一項であろうと三項であろうと、告知、公表すべき必要性というのは、僕は変わりがないと思います。それから、PAC3を表に出したときの影響とか効果というのをもうちょっときちんと政府は研究、公開をすべきである、このことをぜひ私は強く指摘させていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

小林委員長 次に、中野譲君。

中野(譲)委員 民主党の中野譲でございます。

 外務大臣がちょっとお時間がタイトということなので、防衛庁と外務省にかかわる質問からちょっとさせていただきたいと思うんです。

 私も前回、このMDシステムについていろいろ質問をさせていただいて、非常に防衛庁長官は率直にお話をされるものですから、論議をしていて私もおもしろいことはおもしろいんですが、びっくりさせられることが非常に多いんですよね。きょうの質問でも、与党の議員さんの質問の中でも、どうもちょっとこれはよくわからないという部分も随分出ている。そして、前回の前原大臣、将来のですね、私たちの前原委員、そして今の村越委員も質問している中で、どうも随分わからないところがある。その中で検討しないといけないところが随分あるという中で、では、本当にこれは基本的な質問で申しわけないんですが、なぜそんなに成立を急いでいるんですか。

大野国務大臣 さまざまな点でまだ検討をしなきゃいけない問題点は、議論を通じて明らかにさせていただいております。

 しかし、このBMDということは、これから配備計画を決めているわけでございます。また、日米の共同研究から開発、そして共同生産ということもにらんでやっているわけでございます。こういうふうに既に発足しているBMDのことを今からきちっとやっておく、これはもう当然のことであります。その骨組みはきちっと今からつくっておいて、その骨組みの中で、この部屋のこの飾りはどうするか、こういうことは今から検討していこう、こういう姿勢でおるわけでありますから、やはり私は、もう装備は始まっているわけですから、今からきちっと決めて、そして、今もうお金を使って、将来にわたって八千億円から一兆円かかるわけですよ。そういうことについて責任を持って、こういう考え方でやるんだ、こういうことを法律で明快に示しておく。

 それは、この細部をとりますと、ちょっとまだ御不満なところがあろうかと思います、詰めが甘いぞと言われるところがあるかもしれません。しかし、その詰めの甘いところは、今申し上げましたように、今後、床の間のところをちょっとどうするとか、そういう考えできちっと詰めていく。しかし、家の格好、柱、大黒柱、これはきちっと決めておく、当然のことだと思っております。(発言する者あり)急いでやらないと、既に、もう一度繰り返します。(発言する者あり)違います。ちょっとお待ちください。

 問題は、これはもう既に八千億円から一兆円を使って始めようとしている、始まっている仕事なんです。しかも、これが将来の日本の、これからの日本の安全保障にとって大変大事な問題。大変大事な問題は何か。それは、テロ対策であり、ゲリラ対策であり、科学技術、軍事力の進歩によってミサイル防衛もやっておかなきゃいけない、こういうことはもうわかり切っていることなんです。それを、お金も使い始めている、そういうことで、なぜ、どういう家ができるのか、わからないか、このきちっとした骨格はお示しする必要があると私は信じております。

中野(譲)委員 いや、これは認識が随分違うわけで、私の認識でいくと、その骨格とか家の骨組み自体がどうもぼろぼろじゃないのかなという感覚なわけですよ。

 それで、今そういうことをおっしゃる。私たちもミサイル防衛の必要性は認識はしているんですよ。ただし、それを、例えば一年、二年とか延ばせという話じゃなくて、今週、来週で成立させるとかそういう話なのかという話ですよ。何カ月間かもう少し細かい議論は必要じゃないんですかという話をしているわけです。

 一応政府の方から出されていますこの法律案なんですけれども、「弾道ミサイル等」と書いてあるんですが、「等」というのは、例えばどういうものが入るんでしょうか。

飯原政府参考人 一つ例を申し上げますと、衛星の打ち損ないみたいなものが考えられます。

中野(譲)委員 例えばほかに何かありますか。「等」ですから、多分何か複数普通はあるのかなと。

飯原政府参考人 まず、「弾道ミサイル等」の「等」の意味は、何が具体的にと全部羅列するのはちょっと……(中野(譲)委員「いや、例えばです」と呼ぶ)

 何が言いたいかといいますと、弾道軌道を描いてくるような性格のもの、こういうことですから、物理学的に弾道を描いて我が国に飛来するおそれがあり、かつ我が国国民の生命財産に被害を与える可能性がある。つまりそれは、典型はミサイルですが、衛星の打ち損ないも最終的にはミサイルと同じような物理学的性格を持って落ちてきますので、これも対象に入る、そういうことでございます。

中野(譲)委員 ほかに何か例はあるんですかね、弾道軌道を描くものというので何か。

飯原政府参考人 同じように物理学的弾道軌道で落ちてくるものとしては、例えば、今地球上を回っています衛星ですね。(中野(譲)委員「衛星は聞きましたよ」と呼ぶ)いやいや、衛星がだんだん落ちてくるとか、それから、まあまあちょっとあり得ないかもしれませんが、スペースシャトルみたいなものが弾道軌道を描いて間違って落ちてくるとか、操縦ミスとかメカニカルフェーリアですね。いずれにしても、弾道軌道を描いて我が国に飛来し、我が国の国民の生命財産に被害を及ぼすおそれがあるものということでございます。

中野(譲)委員 今、宇宙空間にある衛星とかスペースシャトルが弾道軌道を描いて我が国に落ちてくるのかどうか僕はよくわからないんですけれども、そういうことはあるんですか。

飯原政府参考人 つまり、動力がなくて、あと地球の引力に引きつけられる形で落ちてきますから、これは弾道軌道でございます。

中野(譲)委員 恐らく余り理解をされていないということだと思いますけれどもね。

 もう一つ、八十二条の二の三で、これは日本語の問題なんですが、長官、「いとまがなく」というんですが、いとまというのはどういう時間帯の話ですかね。いとま。

大野国務大臣 第一項の総理大臣の承認をとるいとまがない、こういうことでありますから、弾道ミサイルが飛来してきますね、それから安全保障会議、閣議を開いてというわけにはいきませんね。当然、そういうゆとりがない、そんな時間的余裕は全くない、こういう意味でいとまがないという言葉を使っております。

中野(譲)委員 そうすると、時間的には、いとまがないというのはどのくらいの時間ですか。例えば一時間以内なのかとか、飛んできているということは、数分ですか。

大野国務大臣 今委員御質問になった点は、まさに弾道ミサイルの特性の問題でありまして、発射されて、千三百キロ、ノドン級でありましたら十分程度で日本へ着弾する、こういうことになります。十分の間で閣議を開けるか、こういう問題になりますので、そういう意味で、あらかじめ緊急対処要領をつくって長官があらかじめ命令を発している、こういうことで、いとまがないわけであります。

中野(譲)委員 先ほど村越委員の質問の中で、私も前にPAC3の配備の関係で、例えば入間からどこかに部隊を移動するときにはどのくらい時間がかかるんですかという質問をしましたら、最低でも数時間はかかるでしょう、物によっては多分何日という間隔でかかるでしょうと。

 八十二条の二の三では、いとまがないというのは、事態が急変をして、発射がされて十分マイナス何分かで、数分の間に落ちてくるわけですよね。これはPAC3、移動できないんじゃないんですか、長官。

大野国務大臣 PAC3というのは事前にいろいろな情報をもとにして配置、配備しておるわけでございますけれども、三項の場合は、そういう兆候もなければ情報もない、こういう状態でございます。したがいまして、イージス艦が主役になる。

 しかしながら、ペトリオットPAC3の場合には、やはり人口、経済その他、社会活動が集積している都市を中心に配備する、こういう考えでございます。いとまという点では、御指摘のとおり移動のいとまはありません。

中野(譲)委員 繰り返しになるんですけれども、いとまがないんですよ。それで、入間とかどこかの自衛隊基地にPAC3があるわけですよ。配備をするときに、例えば首都圏のどこかを守るとかというときに、情報がなくて、イージス艦はそのときにたまたま日本海にいるのかどうかわかりませんけれども、PAC3を移動する時間があるということは、これは八十二条の二の一の段階ですよね。情報がある程度とれていてと。八十二条の二の三の場合は、そういうことが何もできないんですから、これはPAC3を配備できないんじゃないですか。どこに落ちてくるかもわからないし、ミサイルは。そこはどういうふうにお考えになっているんですか。

飯原政府参考人 それは、むしろ法律的な問題というよりは実際の問題、つまり、一項の場合ですと閣議決定をするわけですから、それから当然、部隊に事前に準備した配備を、PAC3の点、できます。

 ただ、三項の場合、いろいろなケースがあると思いますが、大臣の申し上げておりますのは、PAC3も、使える限り、レーダーの照準が合って、その中に映ってきたという状態があれば、それを撃ち落とす、破壊するということは当然すべきでありまして、その可能性を否定するべきではない、こういうことでございます。

中野(譲)委員 つまりは、この八十二条の二の三については、そのときにイージス艦がどこにいるのか、またはPAC3がどこにあるのか、飛んでくるミサイルがどこに目がけて飛んでくるのかというところの組み合わせで、守れる場合もあれば守れない場合もあるという理解でよろしいんですよね、長官。

大野国務大臣 三項の場合、イージス艦につきましては、かなり広範な範囲を守れるわけでございます、半径数百キロメートル。それから、PAC3の場合は半径数十キロと言われております。したがいまして、非常に範囲が狭くなっている。御指摘のとおり、PAC3の場合には、配置それから移動、いきなり事態が急変した場合には移動できませんから、そういう意味ではおっしゃるとおりでございます。

中野(譲)委員 イージス艦についても、そのときどこにいるかわからないときに、五分、十分でイージス艦が移動できるわけじゃないですから。インド洋にいたときには、大臣御存じのように、三週間かかるわけですよね、帰ってくるまで。どこかで米軍と一緒に共同の訓練をやっているときにも、数日、十日以上の日程をかけて戻ってくるときには、私は、八十二条の二の三については、ほとんどある意味絵にかいたもちにならないかなというところを危惧しているわけでございます。

 ただ、それはそのときに、しようがないじゃないか、とりあえずこういうような精神論でミサイル防衛をつくっていくんだということで、法律ありきで考えていることも私はよく理解をさせていただきました。

 防衛庁長官、二次災害を私この間お聞きをしたんですが、例えば、万々が一という言葉をよくお使いになりますけれども、イージス艦で大体は落とすんだ、落とせなくてすり抜けてきて、それをPAC3で撃つんだと。PAC3で撃ち損なう場合も万々々が一あるわけですよね。または、撃ち落としたときに破片が飛び散って、中にはそれは数百キロぐらいの重さになるものも落ちてくるでしょう。それによって、例えば国民の生命財産に被害が及ぼされた場合には、補償はどのように対応するんですか。

大野国務大臣 まず、補償の問題をどう考えるかということでありますけれども、弾道ミサイル等に対する破壊措置というのは、いわば国の公権力の行使でございます。したがいまして、損害賠償ということでいいますと、国家賠償法に基づき整理していくという考え方であろうかと思います。

 具体的に、それでは国家賠償法でどう言っているのか、こういう問題でありますけれども、国の「公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたとき」、こういうことであります。それに該当しなければ、国としては賠償責任は負わないというのが原則であるということであります。

 損失補償の問題もあろうかと思いますが、憲法二十九条三項には、御存じでございますけれども、このように書いてあります。「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」こういうふうに書いています。この適用を検討するのかなということでございますけれども、この憲法二十九条三項の規定というのは、社会的に受忍すべきものとされる制限の範囲を超えて特別の犠牲を課する場合には正当な補償を要することとしたものというふうに解釈されております。

 弾道ミサイル等に対する破壊措置がとられた際に私人に生じた被害がこのような特別の犠牲であるか否か、これは大変難しい問題でありまして、個別具体的な事例ごとに判断をしていかなければいけないのかな、このように思っております。

中野(譲)委員 そうすると、今の長官の説明ですと、被害に対しては、日本国政府がこの憲法二十九条の三に基づいて補償するかしないかを検討するという考えでよろしいわけですよね。確認だけお願いします。

大野国務大臣 ミサイルというのはどういうものでしょうかということを基本的に考えていただきたいと思うんですね。ミサイルというのは、相手方を撃ってくるものであります。それによって生ずる被害の問題を議論しているわけであります。日本の国としましては、防衛庁といたしましては、これを落とさなければ本当に被害が国民の生命財産に大きな影響を与えてしまう、それを例えばターミナルコースで落とした場合に、破片が落ちてきて、それが被害を起こしたらどうか、こういうことを議論しているわけであります。私は、やはり国民への被害は専ら相手国の行為によるものである、このことを念頭に置いておかなきゃいけないんじゃないかな、このように思っております。

 弾道ミサイルに対する国の措置というのは、いわば本当に受動的なものなんですよね。飛んでくるから落とさなきゃどうしようもない、やるべきことをきちっとやらなきゃいけない、こういう行為であります。相手国の弾道ミサイルの発射等の行為の結果として日本へ来る。そして、その破片が落ちてくる、その破壊行為の結果として国民に損害を与える。しかし、よく考えてみたら、相手国の問題なんですよ。そこをどう考えていくのか。

 このような被害に係る補償については、やはり個別具体的な判断が必要で、法律であらかじめどういうふうに定めておくというのは極めて難しい問題ですよね。そのことは十分御理解いただきたいと思います。したがって、私どもは、この損失補償につきましては、規定を置く、このようなことは考えておりません。

中野(譲)委員 外務大臣にお聞きをしたいんですが、今の話だと、相手国から来ているものに対して日本の法律が適用されるかという話をされているようでございますけれども、普通に考えれば、相手国がミサイルを撃ってきて、それで日本国の二次的な被害が出たときには、通常であれば相手国に損害賠償等を請求するのではないかと思うんですが、外務大臣のお立場はいかがですか。外務大臣のお立場、いかがですか。外務大臣のお答えを。

    〔委員長退席、高木(毅)委員長代理着席〕

林政府参考人 恐縮でございますが、法律の技術的な側面だけちょっと最初申し上げさせていただきたいと思います。

 ミサイルによる被害ということでございますけれども、基本的には、これは合法的にミサイルが我が国に向けて発射されるということは考えられないという前提で申し上げますけれども、当然のことながら、そういうミサイル、これは故意または過失によってミサイルが我が国に対して発射される。その結果、これはミサイルの迎撃プロセスを経るか経ないかは別にいたしまして、我が国が被害をこうむったという前提で今お話しなさっていると思いますけれども、そういうことであれば、これは国家による不法行為、国家あるいは国際主体による不法行為が行われたというふうに認識できるんだろうと思います。

 そういう場合には、これは、国際法の問題といたしましては、国家責任あるいは国際責任を追及するということが一般国際法上の考え方でございます。これは、相手国に対しまして、これこれの被害があった、不法行為に基づくものであるのでしかるべく損害を賠償するというようなことが求められるということでございます。

 もちろん、状況によりましては、その国家が、相手国が被害を受けた国民に対しまして直接その損害を補償するといったことも当然考えられないことではないわけでございます。そういう場合には、国家責任ということになるかどうかというのは別の次元の話、我が国の国家主権を侵害したとかそういった次元での国際責任というのはございますが、事損害賠償、個人の方の損害についての取り組みということについて言えば、その国家が直接対応するということも考えられる。それがなされないということであれば、国家が出てきて、国家対国家の関係におきまして国際責任を追及するというのが通常のあり方でございます。

中野(譲)委員 防衛庁長官、いろいろな場合が考えられると言うけれども、飛んでくるミサイルはどこの国から飛んでくるのかわかるわけですから、先ほど憲法がどうのこうのという、日本の国内法の前に、当然のことながら相手国に対して賠償責任を追及するというのが我が国の立場だと思うんですよ。そこはまず最低限御理解をぜひしていただきたいと思います。

 では、外務大臣、例えば、この例えばという国で、仮想の国として北朝鮮という名前がよくMDの構想の中で出てくるんですが、北朝鮮からミサイルが飛んできまして、それによって二次災害が出ました、それに対して、当然のことながら、外務大臣としては、北朝鮮に対してその補償を求めていくということになるわけですよね、今のお話からすれば。

 いや、外務大臣。法律の話じゃないから。まず外務大臣。法律の話じゃないから。

林政府参考人 これは当該ミサイルというものがどういうものかということにもよりますが、基本的には不法行為である。先ほど申し上げたような被害が生じたということであれば、我が国は北朝鮮を国家として承認しておりませんので国家責任という言葉が適当かどうかわかりませんが、それは国際責任という形で追及する。これは、外交交渉を通じて相手の責任を追及していくということになろうかと思います。

中野(譲)委員 細かいテクニカルな話をしているわけじゃないんだから、そのくらい外務大臣が答えたっていいんじゃないですか。外務大臣、考え方としてはそれでよろしいんですよね、当然のことながら。

町村国務大臣 今国際法局長が答弁したとおりでございます。

中野(譲)委員 外交交渉をしている中で、北朝鮮というのは、随分と今の与党政権も御苦労されているようでございますが、仮に賠償責任を請求しても払うか払わないかよくわからないし、払うにしてもどのくらい時間がかかるかよくわからない。

 ただ、その中で、被災をされた方は、例えば物損の被害が出たりとか人的被害が出たときには、その場でまずもって必要なお金というものが出てくると思うんですが、これはどこがどのように立てかえるなりカバーをするのかというのは、それはどういうふうに防衛庁としてはお考えなんですかね、この法律の関係からいくと。

飯原政府参考人 そこは大臣からお答えを申し上げましたとおり、究極的にはまず当然不法行為をなした外国の責任を追及すべきわけですが、それができない場合等に、例を申し上げますと、まさに有事法制の審議のときに、戦時補償をどうするかという議論がございました。つまり、我が国の国家主体としての違法行為ではないけれども国民に損害が生じた、これを分担するのかどうか、これは事が起きた後の立法政策の問題というのが一般的な考え方だろうというふうに考えております。

中野(譲)委員 ちょっとこの話は、恐らくこのまましていてもらちが明かないのかなと思います。

 先ほど、民有地は想定をしているような発言があったんですけれども、PAC3が配備をされるときに、民有地はその想定の中に入るんですか。

飯原政府参考人 当然私ども、PAC3の能力を最大限に発揮できるのはどういう場所が望ましいかという見地でまず検討していきます。ただ、具体的に、最終的に、当然その場所には、たまたまそこが民有地である可能性もございますから、民有地を最終的に手当てするという方策をとるかどうか、これは今後検討課題だと思っております。

中野(譲)委員 前回、私の質問の中で、大野防衛庁長官は、民有地は想定していないという発言をされたんですが、想定していないということは、民有地は借りないということじゃないんですか。

大野国務大臣 確かに私は、民有地を想定していないということを申し上げました。一番は、自衛隊の基地、各方面に展開されております。それから、仮にその他に展開しなければならない場合におきましては、例えば公共の土地等を使うということでありまして、現在はそういう民有地を借りないということでございますけれども、お尋ねは、民有地を借りるとすればということで、今局長が……(中野(譲)委員「借りないんですよね」と呼ぶ)今のところはそういうことを想定しておりませんということをこの間申し上げました。それで、民有地を使うとすればそれはそれなりにいろいろなことがあるだろうということを今お答えしたと思います。

中野(譲)委員 ごめんなさい、繰り返しになるんですが、想定をしていないわけですね、今のところは。ということは借りないということじゃないんですか。(大野国務大臣「借りた場合はということです」と呼ぶ)いや、借りた場合といったって、想定していないんだから借りないんじゃないですか、そこは。

飯原政府参考人 今申し上げましたとおり、理論的には、特定の場所について民有地が、一つの発射台を置いた方が性能をフルに発揮できるというケースは想定されます。ただ、それを、そういう手段をとるかどうかは、最終的にはその時点で長官まで上げて政治的御判断をいただくということになろうかと思います。

中野(譲)委員 その場で政治的判断をするというんだったら、想定をするということじゃないですか、可能性としては。大臣は想定していないんでしょう。想定していないということは、否定ですよ。余りへ理屈言うのはやめてくださいよ。大臣、どうなんですか、そこは。いや、想定するんだったら想定するというふうに答えていただいた方がわかりやすいんですよね。

大野国務大臣 想定はいたしておりませんけれども、もし仮に、どうしてもそこが将来必要だという場合にはその土地を契約で借りる、こういうことを申し上げているわけで、現状では想定いたしておりません。しかし、将来、どうしてもその土地が必要だ、民有地が必要だということになれば、これも万々が一という言葉を使わせていただきますけれども、そういう場合には契約して借ります、こういうことを申し上げているわけで、したがって、可能性としては、まずそういうケースはない、このように私は思っております。

中野(譲)委員 可能性のない話を、万々々が一とかいう話をされる。そうしたら、万々々が一借りるような場合は、これはどの法律に基づいて借りるんですか。

飯原政府参考人 民法上の契約ということになろうと思います。

中野(譲)委員 自衛隊が部隊展開をするので土地をお借りするのが民法上の賃借でいいという理解でよろしいわけですか、そうすると。

飯原政府参考人 一般的に、米軍の基地等も民法上の契約をベースに借りているケースがあるということでございます。

中野(譲)委員 民法上借りるというのは、事務所を借りるとか、土地を駐車場に使うから借りる、そういうのはわかるんですよね。これは部隊展開をするわけですよね。そうしたら、多大な被害等が出る可能性もある場合には、民法上の契約でカバーできるんでしょうか。

飯原政府参考人 当然そこは民法上の契約の内容になりますが、条項の中に、最終的には当然、お返しするときはもとの状態に戻してお返しをする、損害が仮に生ずれば損害賠償をするということになろうかと思います。

 あくまで仮定の話でございます。

中野(譲)委員 またもやびっくりをしましたけれどもね。

 イージス艦の配備計画で、十九年から一隻ずつふやしていくという中で、日本全国北海道から沖縄まで守るには三隻必要ですねという話は、もう前からそういう話は委員会の中であると思います。ただ、現状としては今イージス艦は、要はミサイル防衛システムができていないわけですよね。それで、三隻ができ上がるのが平成二十一年とか二十二年とかそのあたりだと思いますが、それまでの期間、ミサイルが飛んでくるかもしれないというときにはイージス艦の数が足りないわけですが、どのようにそこは補っていくんでしょうか、防衛庁長官。

大野国務大臣 配備完了前にミサイル攻撃に遭った場合にどうするか、こういうことでございます。

 弾道ミサイル対処につきましては、たびたび繰り返して申し上げておりますとおり、やはり日米の共同関係、協力関係が極めて重要でございます。そういう意味で、さまざまなレベルでアメリカとの間でも協議を行っておりますし、もし仮にそういうことが起こり得る状況がそれこそ国際状況その他でありました場合には、協議をして、その辺を米軍に補完してもらう、こういうことも考えておかなきゃいけないと思います。

中野(譲)委員 法律の成立は急いでいまして、今現実としてイージス艦が足りないときにイージス艦を貸してくれという話を米軍とするわけですよね。それはもう当然今始めていらっしゃるという認識でいいんですか。具体的に、日本海に三隻ないと北海道から沖縄まで守ることができないんだ、ただ、三隻がそろうまでのこの五年なり六年の間、助けてもらわないとMD構想の第一段階として国民の生命と財産を守ることができないんだということを、そうするとしっかりと政府は、米国政府に対してもうその辺のお話は始めていらっしゃるということでよろしいわけですよね、長官。

大野国務大臣 このような場合にこのようにやってほしい、このような具体的議論はもちろんやっておりません。ただし、御案内のとおり、2プラス2の会合におきましても、自衛隊及び米軍の役割、任務、能力等について、例えば弾道ミサイル防衛における協力の進展といった最近の状況ぶり、発展、成果等を考慮した上で、継続して協議していく、このようなことを決めているわけでございます。

 そういう中で、具体的に、申し上げましたような、こういう場合にはこうだということはまだ議論に入っておりませんけれども、それぞれ役割分担等の中で議論していく、こういうことでございます。

中野(譲)委員 このような場合にこうだどうだとかというんじゃなくて、二重構えということをずっと防衛庁長官おっしゃっていらっしゃって、イージス艦とPAC3、この二つで日本の国土、生命財産を守っていくんだという話をされているわけですよ。

 そのときに、第一段階のイージス艦のシステムで万々が一にすり抜けた場合にはPAC3がある。第一段階のイージス艦のところで最低三隻要るというときに、うちはないんだから、当然、そこはおたくのをお貸しいただけますよねという話は具体的にしないんですか。だって、あれやこれじゃなくて、それしかないじゃないですか。イージス艦が必要なんだから、イージス艦、そのときには日本の国土を守るために貸してくれますよねということは具体的に話をしないんですか。言っているんじゃないですか、これは。その辺は防衛庁長官、どうなんですか。

大野国務大臣 繰り返しになりまして恐縮でございます。

 今後の問題として、アメリカと、ミサイル防衛につきましては本法律の内容も踏まえまして密接に連絡調整を図ってまいりたい、このように思っています。そういうことを今これから協議していこう、こういうことでございます。

中野(譲)委員 要は、枠組みだけ決めて、中身は後から全部ついてこさせるみたいな話になっているようでございますけれども、私はこれは非常に危険だと思うんですよ。

 もうちょっとその辺のところ、まずは、今現状がどういう現状であって、国際情勢がどういう情勢であって、我が国の持ち得るシステムがどういうシステムであるかというところを含めて、ないところは何がないんだ、そのときにはどういうところからお借りをしますからこういう法律を今通さないといけないんですというんだったらわかるんですよ。でも、そうしたらもう、ずぶずぶにこれはすり抜けてミサイルがぼんぼん飛んできてもしようがないという話に私はなっちゃうと思うんですよね、法律はあっても、これは絵にかいたもちであって。

 先ほどの補償の問題についてもう一点、ちょっと先ほど私聞き忘れてしまったんですが、飛んできたミサイルを撃ち落とした結果米軍基地に被害が及んだ場合、この場合は、その損害に対しては日本政府は何かかかわりを持つのか、または持たないのか。その辺のところはどのように……。

 短くお願いしますね。持つか持たないかですから。

    〔高木(毅)委員長代理退席、委員長着席〕

林政府参考人 もちろん、これは状況によりますけれども、一義的には我が国が責任を負うような状況ではない。これは外国におけます、恐らく、米軍ですから、国有財産に対して第三国から加害が行われたというケースでございますので、米国と当該国との間でその損害賠償請求といった話がなされ得るということではないかと思います。

中野(譲)委員 そのときに、例えば米軍基地で、米軍が被害を受けたときに対する相手国に対する報復については、それは米軍の関与するところであって日本国の関与するところではないという考え方でよろしいんでしょうか。

林政府参考人 ちょっとその報復とおっしゃる意味が必ずしもよくわからないんですが、米軍基地に対して武力攻撃がなされたと観念されるような攻撃がなされたということを前提におっしゃっておられるのであれば、その場合には我が国の領域に対して武力攻撃が行われたということと我が国は考える、これはもう安保国会以来ずっと申し上げていることでございますけれども、その場合には我が国としても武力攻撃に対する反撃を行うということになろうかと思いますし、その場合には当然、安保条約第五条に基づきまして日米共同対処が行われるということでございます。

 たまたま、そうではない事例、武力攻撃ではない、単なる事故によってそういうものが落ちたということであったとすれば、それは事故に対する加害についてどうやって国家責任、国際責任を解除するのかという外交交渉のレベルの話ということになろうかと思います。

中野(譲)委員 米軍基地で被害が及ぼされたときに、例えば米軍基地内で働いている日本人にも人的な被害が出た、かつ米軍の施設に対して物的、人的な被害が出た場合には、この相手国との交渉というのはどのように日本国と米軍との間ではやるんですか。

林政府参考人 それはちょっと余り具体的でございますので実際の状況を見て判断せざるを得ませんが、日本人が被害を受けたという限りにおきましては、これは米軍基地であろうとも我が国の領域でございます。我が国の領域におきまして我が国の国民が被害を受けたということには変わりはございませんので、我が国といたしましては、そのことにつきまして損害、これは個人に対する補償がなされないという前提でございますけれども、その場合には国家責任、国際責任を相手国に、我が国がその分については請求する。そのときに一緒に交渉するのか個別に交渉するのか、それは状況によって違うと思います。

中野(譲)委員 どういう状況においてでも、被害を受けられたときに、我が国としては相手国に対して損害賠償の請求をするというときに、これは例えば去年でしたか、中国のサッカーの試合のときに公用車が壊されて日本政府が立てかえをしていると思うんですが、立てかえをして公用車を直して、相手国、中国政府に払ってくれと言っても払ってもらえないという状況がずっと続いている。この間の日本大使館の被害についても、町村大臣が謝罪と賠償ということを中国政府に言いながら、かつウィーン条約に基づいて請求をしながら、なかなか払ってもらえないというような状況がある。その中で、例えば北朝鮮からミサイルが飛んできて我が国に多大な損害を及ぼされたときに、北朝鮮に賠償請求をして払ってもらえるのかもらえないのかというところは、これはある程度お考えになればわかる話だと思うんです。

 そのときに私はぜひ政府に考えていただきたいことは、それでは、困っている人がいる、例えば大野防衛庁長官の家が被災をしたというときに、家を直さないといけないとか、御家族に何かけががあったときに、御家族が病院に行ったときにお金を払わないといけない、そのときに国としてはどういうふうに、国民の生命と財産ということをずっと防衛庁長官はおっしゃっていますから、どういうふうに考えるかというところをもうちょっと、防衛庁そして外務省、内閣官房含めて政府としてしっかりとした考えを持っていただきたいということだけ最後に申し述べさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小林委員長 次に、本多平直君。

本多委員 民主党の本多平直です。

 最初に、先ほどの村越委員と大臣とのやりとりをもう一度確認させてください。

 北朝鮮が発射した弾道ミサイル、計算機で計算をしましたら、着弾地の予定地は三陸沖の公海だという場合、このミサイルを本法で防衛、迎撃することは可能ですか。

大野国務大臣 まず、我が国の領域に落ちてくるということを確認した上で迎撃ミサイルを発射する、こういうことでございます。これは必ずそうしなきゃいけないという原則でございます。

本多委員 質問にお答えをください。この計算時では、着弾地は三陸沖の公海です。この場合、発射ができますか。

大野国務大臣 公海に向かって落ちてくるものには発射いたしません。

本多委員 わかりました。それを確認したかったので、次の質問に行きたいと思います。

 私は、国会の事後承認、事後承諾をぜひつけていただきたいというお願いをしたいと思っております。

 それで、今まで議論の中で、要らないんだというお話はよくわかりました。まあ、そう心配しなくても、要らないんだよということはよくわかったんですが、逆に、あると困りますか。別にこれ、事後承諾という手続があって何か困るか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

大野国務大臣 あって困るかと言われますと、大変お答えしにくい質問でございます。

 しかし、国会の行動あるいは各法制度の整合性、こういうものはきちっと我々国会議員としても、あるいは政府としても見ていかなきゃいけない問題じゃないか。

 例えば、防衛出動の場合、治安出動の場合、海上警備行動の場合、領空侵犯の場合、いろいろな問題があります。その中で、性格に応じて、例えば今回のミサイル防衛というのは、やはり国民の生命財産を守るために絶対にやらなきゃいけない必要かつ当然の措置でありますし、そういう措置をとるために、飛来してくるミサイルを撃ち落とす、こういう行動であります。

 その行動によって何が起こるのか、これをきちっと見ていかなきゃいけないわけであります。まず一番目は、やはり飛んでくるミサイルを破壊する、こういうことであります。(本多委員「質問に答えてください」と呼ぶ)答えていますよ。

 それで、相手国の領域、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、公海とか相手国の領域における人命を傷つけるわけでもありません。さらに、日本国民の私権に対する制限をどう考えるか。この点を見ますと、防衛出動等の事例と違いまして、やはりこの私権に対する制限というのは著しく小さなものになっております。

 そういう意味からいたしまして、私が申し上げているのは、法律、自衛隊の行動について、あるいは自衛隊行動以外の場合もそうですけれども、整合性が必要だ、いろいろな行動に対する整合性が必要である。その整合性をどういうふうに見ていくかというポイントとして、今申し上げましたように、質問に答えてくださいとおしかりを受けましたけれども、実はそれがポイントでございまして、私権の制限があるのかどうか、こういう問題を軸にして考えていくべきだ、このように思っております。

本多委員 今、私権の制限が小さいから国会承認まで要らない、事後承諾まで要らないんじゃないかという点と法律の整合性という二点をおっしゃられましたので、その後半からまず反論したいと思うんです。

 法律の整合性は確かに必要なんです。きれいな法律の方がいいんです。しかし、これは実は石破前長官が先日の委員会質疑でもおっしゃられましたとおり、我が国の防衛法制は、いろいろな事態に継ぎ足し継ぎ足しでしてきたことで、建て増しを重ねた温泉旅館のようになっているわけです。これは別に、それはもちろん最初から全部きれいな法体系でつくれれば、それは私たちもいずれそういうことを考えたいと思いますけれども、現実にそうなってきているわけです。

 そこで、明らかなマイナスが出ない限り、確かに、領空侵犯のときにもない、それから海上警備行動のときにもない。しかし、ないから、入れて困るのだったら、何か行政上困ることが出るのだったら、それは入れちゃ困るという話になりますが、法律の整合性なんて、そんな、見て汚いというだけの話ですから、ぜひそれは入れて、実害がないのでしたら、きちんと、若干シビリアンコントロールの手続を簡素化しているわけですね、今回。ですから、事後の方は、ちょっと厳重過ぎるけれども、国会の承認をする、これで何か不都合がございますか。法律の整合性というのはそんなに大事ですか。

大野国務大臣 どういう場合にどういう国会のかかわり方をするのか、これはある程度整合性を持って議論すべき問題だと私は思います。そうでなければ、その基準、物差しがなくなってしまって、そしてその中で、こういう場合は絶対やらなきゃいけない場合でも、例えば多数決をもって、やらなきゃいけないものをやらないでいい、こういう決め方をすることになってしまう可能性だってある。逆のケースもあり得るんですね。

 そういうことを考えると、やはり私は、ある程度頭の整理としては、こういう場合は承認だ、こういう場合は報告だ、こういう場合は報告要らないよ、こういうあらあらとした基準、物差しは持っておくべきだ、このように思っております。

 しかし、この問題はどうぞ御議論いただきたいと思いますが、私どもは、国会の中でも、やはり国会というのは国民の皆様に責任を持つわけですから、多数決をもって、こういう場合やらなきゃいけないというものをやらなくていいよというわけにはやはりいけないんじゃないでしょうか。そういう意味で、整合性というのは必要だと思います。

 それからもう一つは、やはりこういう問題を議論する場合に大変大事なのは、そういうふうに国会のかかわり方ということを十分議論して、そしてその結果、我々は大事なことだと思っています。本当に国会に報告するということで提案させていただいておりますが、報告の中身、これはきちっと具体的にさせていただきますので、国会の中で十分御議論をいただければ、その御要望はある程度達成できるのではないか、このように思っておるところでございます。

本多委員 報告でも達成しようと思えばできますけれども、承諾というのがあれば委員会が開かれるわけですよ。報告だけでそれを議論できるかどうか、そのときの与野党の状況はわからないので、これはぜひともしっかり国会承諾の手続を入れることで、私はマイナスはないと思っています。

 法律の整合性のことですけれども、整合性をそこまでおっしゃるなら、私は一点伺いたいのは、なぜ領空侵犯や海上警備行動には国会への報告がないのに、この場合だけ国会への報告が入っているのですか。

大野国務大臣 この場合、国会への報告ということをさせていただきましたのは、大きく言いまして二つ理由があると思います。

 一つはやはり、これは必ず自衛隊が持っている、私は武器という言葉でいいと思いますが、実力という言葉を使いましょう、実力を使わざるを得ない、使わなきゃ撃ち落とせないんです。だから、実力を使うということであります。

 そして、第二の理由としましては、やはり、ミサイルが飛んでくる、これは防衛出動下令前でありますけれども、防衛出動下令前にミサイルが飛んでくれば、可能性としては防衛出動につながっていくことになりはしないのだろうか。そういう意味で、やはり報告をしておく、このことは私は必要だ、このように思っています。

本多委員 大変いい答弁をいただきました。

 要は、今の大臣の御答弁は、この八十二条の二項の措置は、海上警備行動や領空侵犯とやはり違うんだ、武力を使うという非常に防衛出動に近い、ぎりぎりのところまで寄った行動であると。ですから、報告というのをわざわざ、ほかのどこにもないわけです、自衛隊法には国会への報告なんという言葉は。それがここだけに載っているわけですから、私は、ここに国会の事後承諾というのがついても、決して法律の整合性上何の問題もないと思っております。(発言する者あり)

 そしてもう一点、大臣はおっしゃっていないんですが、後ろの自民党の方から声も出ているので、あえて私、議論を提起したいんですが、もう撃っちゃっているものは効果がないんじゃないかとおっしゃるんですね。

 私もいろいろ調べてみたんですが、憲法の八十七条に予備費の支出というのがあるんですね。予備費を支出した場合、国会は事後に承諾をするというのは、実は憲法に書いてあるんですよ。ところが、予備費というのはゼネコンさんとかにもう払っちゃっているわけですよ、いろいろなお金を使ったら。つまり、例えば野党が頑張って不承認になったとしても予備費を取り戻せない。つまり、我が国の法体系には、政治的に、もう払っちゃって取り戻せないけれども、事後に国会がおかしいと言うことで、今後同じようなことが起こらない、そういうことを担保する仕組みが憲法にあるんですね。

 ですから、今回ここに、もう撃っちゃったから関係ないという議論は関係ないと私は思うんですが、いかがですか。

大野国務大臣 私は、撃ってしまって後戻りはできない、いわば不可逆的であるという御説明を申し上げたことはあります。

 しかし、この予備費の問題と違いますのは、予備費というのは、使途を明細にしておく、いわばトランスパランシー、透明性が必要なんですね。その透明性を確保するために、国会で事後で承認する、こういう行動は絶対に必要な行為であります。

 ミサイルの場合は、飛んできたミサイルを撃ち落とさなければ国民に被害を与える、こういう意味で、必ずやらなければいけない行為であります。そしてまた、これは当然のことでございます。ところが、予備費の方は、ここにこれだけの金を必ず使わなきゃいけないんですか、こういうことすら言えるわけであります。

 したがいまして、もしミサイル防衛について国会でいろいろ御議論があるとすれば、私は、内閣の信頼の問題、こういう問題につながっていく問題である。いわば内閣不信任決議、こういうことで考えるべき問題であって、しかしながら、これは飛んできて日本の領域に落ちることはわかり切っているわけですから、そのことを撃ち落とすこと、これは内閣の責務でございます。これを私は果たしていく。そのことについてもし御疑問なりなんなりあれば、これは事後承諾とかそういう問題じゃなくて、内閣に対する信頼感の問題として処理していくべきカテゴリーの問題だと思っています。(発言する者あり)

本多委員 何かやじにも答えたいんですけれども、どうしたらいいのかわからないんですが。

 いろいろ出て、私も基本的に、実はそんな、本当にミサイルが飛ばされてきて皆さんが一項か三項で発射した、それが国会に報告されました、ここまで報告されるわけですね。おかしいというケースはほとんど、大臣のお好きなお言葉で言うと万々が一にもないと思っているんですよ、そんなことは。

 しかし、ただ、今私たちの議論の中で、例えば計算機が間違っていて、本当は三陸沖に落ちるものを何らかの間違いで撃ち落としてしまった。そのせいで北朝鮮が、我々が正当に太平洋に向けて撃ったものを、我々の大切な財産を途中で何とかしたとか、いちゃもんをつけて言ってくる。いろいろなおかしな万々が一のケースを想定して、ほとんどの場合は私たち民主党も皆さんの発射を承諾させていただきますよ。しかし、システムとしていろいろな間違いが起こったり、今回はましてや、閣議決定とか普通の手続を飛ばすということを政府を信頼して認めているんですから。

 私たちはさらに、皆さんがつけているおかしな「期間」というところも外して、この法律をより確かなものにしようとしている。であるからこそ、しっかりと国会で承諾ぐらいさせていただいてもいいんじゃないかという主張でございますので、ぜひしっかりと政府としても与党としても御検討をいただければと思います。

 私は、きょう伺ったところ何ら、もちろん、なくてもいいという御主張は一つそれはそれで立ちます。私たちも政府を信頼したり、シビリアンコントロールをそこまで徹底しなくていいやという考えに立てば、なくてもいいという論の立て方もあり得ますが、私たちはあってもいいんですから。あってもよくて、面倒くさいし法律的にも汚いけれども、これは少しシビリアンコントロールをしっかり徹底するんだ、そういう意味で、ここまで徹底するんだということで置いても、ミサイルは事前に撃てるわけですから、撃った事後にしっかり、本当におそれがあったのか、いろいろなことを国会で議論をして承諾しない、そういう政党があって承諾しないということがあれば、それはそれで反省を政府がすればいいわけです。

 皆さん、軽々しく内閣不信任不信任とおっしゃいますけれども、それはもちろん不信任するときはさせていただきますよ。しかし、ほかの政策では、例えば郵政民営化はしっかりやってほしいと。しかし、このミサイル防衛は、今回撃ったのはちょっと早まって計算間違いがあったんじゃないか、そういうケースもあり得るわけですから、内閣は信任してこのケースはおかしいということもあり得るわけですから、すべて内閣不信任でやれというのはおかしな主張だと思います。

 それでは次に、八十二条の二の三項の「期間」の話をさせていただきたいと思います。

 この期間というのが、実は最初の説明では、かなり以前からの法案の説明では、シビリアンコントロールを徹底するためにも出しっ放しじゃいけないでしょうという話だと思っていたので、何となくは納得をしておりました。しかし、先日の大臣の答弁を聞いていますと、実はイージス艦の運用でどうしても穴が出るんだ、命令を出しても撃てない時期が出るから、この期間というのを区切るんだという御説明がありましたけれども、それはそういうことでよろしいんですか。

大野国務大臣 期間という一点に絞って議論させていただきます。

 なぜこういうことをやったのか、その背景。

 まず第一に、イージス艦が、例えばいろいろな要務で日本海なりに配備されている。そのときに、ミサイルが飛んでくる。ミサイルが飛んでくるのは、兆候がない場合に事態が変わって飛んでくる、こういう意味でございますが、そういう場合に、命令がないと撃てないわけですよね。ですから、そういうような問題を考えれば、基本原則は一項でございますが、一項を補完しておかなければ大変万全を期することにならない、これが一つ。

 それから二番目。申し上げましたように、やはり二十四時間、三百六十五日というのは理想なんですけれども、どうしても今の能力の限界があります。そういう意味で、やはり期間を定めておかなきゃいけない、こういう問題があります。

 そして三番目に、命令をあらかじめ出しておく、ずっと出しっ放しでいいのかどうか。その問題は、例えばイージス艦の何艦に命令を出す、イージス艦連合司令官に出しておく、イージス艦の艦長に出しておく、いろいろなケースがあると思いますけれども、一人一人に自覚を持たすと同時に、一人一人に対してこういうことですよという長官としての命令を出しておく、こういうことを考えると、やはり期間は定める、そして期間を定めるときの命令については公表をしない、こういうふうにさせていただきたいと思っております。

本多委員 実は、この期間を、三百六十五日、二十四時間、イージス艦で守れないということを大臣が認めているわけですね。

 では、ちょっと伺いたいんですけれども、例えば、本当に守るんだったならば、PAC3のことは今回抜きましょう、三地域しかないわけですから。PAC3のない地域もあるわけですから。しかし、なぜイージス艦ぐらい、せっかくここまでお金をかけるなら、大体これは技術的に不可能なのではなくて、イージス艦の数をふやせば可能なわけですよ。

 皆さんのマックスの運用にしたときでも、ゼロになる、つまり、迎撃可能なイージスがゼロになる可能性の時期があるから期間と書いているんですよね。そうじゃなければ、我々の主張のように、我々は期間という部分を取ってくれと主張しているわけですけれども、期間の部分を取るべきじゃないかと思うんですが、なぜイージス艦をちゃんとお金をかけて数を配備しないんですか。

大野国務大臣 御理解いただきたいのは、主役はあくまでも第一項でございます。第一項の場合は……(本多委員「イージス艦をなぜ配備しないんですか、お金をかけて」と呼ぶ)だから、これを申し上げている。聞いてください。(本多委員「時間があるんですから」と呼ぶ)

 第一項が主役なんです。第一項がなぜ主役か。もうくどいようですけれども、兆候がある、おそれがある、だから蓋然性が極めて高いんですよ。そういう兆候がない場合のことを三項で規定しているわけであります。兆候がないわけです。だけれども、兆候がない場合でも、たまたま警戒監視に当たっているイージス艦がその近辺にいる、存在している、そういう場合に、三項を設けておかないと命令が出せない、命令が出せなければ迎撃できません。だから、そういう意味で、第一項の基本原則を補完する意味でそういうことを決めているわけでございます。三項の場合は、蓋然性が、つまり兆候がない、おそれがない、こういう場合であるということをまず御認識いただきたいと思います。

 その中で、では、いかに厳しい財政事情の中でイージス艦を配備していくか、こういう問題であります。

 そこで、今、四隻についてそういう装備をやろうとしておるわけでありますが、あと二隻計画をする予定であります。計画しております。その二隻についてどうするか、これからの問題として、やはり今先生がおっしゃったような観点からも十分検討していかなきゃいけない。この問題はもちろん、これからの日米共同の研究とか開発とかこういう問題にもかかわってくるかもしれませんけれども、やはりあと二隻、合計六隻というようなことを考えておりますので、この点は、私はやはり将来の問題として、先生の御心配の点、考えておかなきゃいけないと思います。

 以上で、期間をなぜ定めるか、こういう点は御理解いただけたと期待いたしております。

本多委員 基本的に、兆候があるときはしっかり対応するけれども、兆候がないときはなかなか難しいという正直なお答えだったと思います。

 では、現実はそうだとしましょう。予算のことも皆さんあるんでしょう。しかし、そうだとしても、期間という言葉を法律に書いちゃうのはどうなのかという思いがあるんですよ。つまり、飛んできたらいつでも撃てるようにしておいて、しかし、実はたまたま、能力的にいろいろ、ドックに入っていた、それから訓練に参加して太平洋へ行っていた、おまけにもう一隻はインド洋に行かされていた、こういう日本海にいないというときでも、これは残念ながら命令を履行できなかっただけであって、撃てるような仕組みをつくっておくというのは決して悪いことじゃないんじゃないか。

 なぜこういうことを言うかというと、今ここで、国会で北朝鮮にこういうことを言っていいのかどうかわかりませんけれども、三百六十五日、二十四時間じゃない、三百六十五日、二十四時間じゃない、本当にそんなことを言っちゃっていいのかなと思うんですが、それは現実なんでしょう。しかし、それを法律の文言に書いて、守れる期間があるよ、守れない期間もあるよ、命令が出ている期間もあるよ、兆候がないときですよ、こんなことを公の法律に書くというのはどういうものでしょうか。

大野国務大臣 第三項をよくお読みいただきますと、「期間を定める」と書いておりますから、いつからいつまでということは書いておりません。ですから、それを決めますけれども、その命令を公表するとなるとそれがわかってしまう、手のうちを示すことになってしまうわけであります。したがいまして、いつからいつまでだということは表に出ません。我々は、なるべくそのすき間は小さくしていきたいとは思っています。

 だけれども、問題は、たびたび申し上げて恐縮ですが、たまたまそのときに現場近くにイージス艦がいて、命令がないと撃てないわけですから、そういうイージス艦に命令をあらかじめ包括的に出しておいて、我が国に飛来することが確認できれば撃ちなさい、こういう命令を長官から出しておく、これはまさにミサイル防衛、装備を一〇〇%使いこなしていく、万全を期する態勢ではないでしょうか。

本多委員 私、皆さんの法制のとおり通ったときに、この期間を公表しちゃ困ると思いますよ、当然。しかし、私の主張はそうじゃないんですよ。期間なんて条項は外したっていいんじゃないんですか、外したって何か支障は出ますか、こっちを聞いているんですよ。別に期間の公表の話じゃないです。

大野国務大臣 問題点といたしまして、先ほど幾つか申し上げました。その一点だけ、繰り返しになりますが、申し上げたいと思います。

 それは何かというと、このイージス艦、この艦隊、この司令官、こういうふうに個々にやっていく場合があると思います。イージス艦であれば、出航してから帰ってくるまで、それは何カ月とは申しませんけれども、そういうことに対して命令を下す、こういうことであろうかと思います。例えば、そのイージス艦が戻ってきてどこかドックへ入っておるのに出しっ放しというわけにはいきません。きちっとした命令を出す、そしてそれがやはりシビリアンコントロールの一層の確保につながっていく、私どもはそういうふうに考えております。

本多委員 私とは考えが違うんですね。法律上で期間に穴があるというようなことを宣言するような法律の立て方は、実効上、ドックに入っている間は迎撃不可能なのかもしれないけれども、それは可能だという法体系にしておく方が私はよりいいのではないかと思っております。

 それで、例えばさっきの期間の公表の話なんですけれども、余り自信を持っていろいろなことをおっしゃらない方がいいと思うのは、つまり、期間をもちろん非公表にするんでしょうけれども、イージス艦の出入りなんというのは、別に専門のスパイがいなくても、大きな港に入っているか入っていないか、それから、インド洋に行っている船の情報は公開されているわけですし、相手側からすると、もし本当にやろうとしたら私たちが手が薄いときにやるわけですよね。ですから、それは実は、本当に隠しおおせるような、大きな船の運用ですから、これはしっかりやらなきゃいけない。

 私、実は、こういうことを言っていると、ではイージス艦をどんどん買えという方向にだけとられても困るんですけれども、それは私は一つの選択肢だと思います。中途半端がいけないと思っているわけですよ。皆さん、一兆もかけて国民の安全を守ると、テレビ番組ですごい威勢のいいことを長官も言われたようですが、こう言っていながら、実は、詰めていくと、PAC3は三つだけ、そしてイージス艦も実は日本海にゼロのときがある。これでは、せっかく一兆円かけているのが、抑止だって穴がぼろぼろあると国会で、北朝鮮が聞いているわけですよ。これはわかっちゃう。こんなのじゃなくて、やるならやる。

 しかし、私たちは、もうちょっと信用できるものかと思っていたら、どんどんどんどん、随分といろいろ穴が出てくるわけですよ、こうやって審議をしていくと。ですから、この方向で果たしていいのかというのは常に検討を、ミサイル防衛を全否定するわけでは当然ありませんけれども、この中途半端なままでいいのかということについては今後も厳しく指摘をさせていただきたい。

 期間の問題も、済みません、繰り返しになりますけれども、外すことで何か問題が生じるとは余り思えません。そこは見解の相違だと思っています。

 もう一点、確認なんですけれども、全部イージス仕様に改修したときに、私、前からインド洋へ派遣しているのを早く戻して国土防衛をやってくれと言っていたんですが、あれはインド洋から戻したいからあえて言っていたようなところもあったんですが、実はだんだん不安になってきたわけですよ。

 つまり、日本海にイージスがゼロになることがあり得るようなときに、前原委員との議論もありましたけれども、まさかそういう事態で海外にお手伝いに行くことはあり得ませんよね。

大野国務大臣 今お尋ねの点は運用の問題になろうかと思います。運用については万全を期する、これは当然のことでありますし、それから、本来任務とそれから災害救助あるいはテロ特措法に基づく活動、こういう問題も考えておかなきゃいけない。やはりミサイル防衛というのは、日本の領域に対する攻撃でありますから、これは第一の問題として考えておかなきゃいけない、こういうことでございます。

本多委員 イエスと言っていただいたんだと私は当然思います。日本を守れない可能性があるときにインド洋に行くなどということはあってはいけない、高い税金をかけてやっている装備ですから、私はそう思います。

 そして次、ちょっと一点、これは簡単な修正なのでぜひお願いしたいんですけれども、緊急対処要領のイメージ案を私たちにも示していただいています。私たちも、これは中身まであらかじめ書けなんということは言いませんが、これは大事ですよね。緊急対処要領で事前委任するので、法律に書いたからどうということもないんですけれども、ここまでもう出ているんですから、例えばこの項目案、こういうことは緊急対処要領に書きますよぐらい、もちろん、等を入れておいてもいいですよ。つまり、項目の案ぐらい法律に書いておいた方がより丁寧だと思うんですが、いかがですか。

大野国務大臣 緊急対処要領の項目なりとも法律に書け、こういう御指摘、御提案でございます。これは、私は、例えば領空侵犯の場合どうなんだろうか、海上警備行動の場合どうなんだろうか、具体的な対処ぶりまで法律に書いているかな、こういう問題とあわせて考えていただきたいなと。

 領空侵犯の場合の具体的な対処要領はもちろんあります。それに沿って行動しているわけであります。そこまで書くことがいいのだろうか。いいのだろうかという意味は、並びの法律の整合性とともに、もう一つは、手のうちを明かしてしまう、こういう問題もあるわけでございます。それで、手のうちを明かすという意味は、項目その他概要のところはきちっと書いてあります、しかし、詳細な軍事技術的なことはやはり別の問題になってくる、こういう意味であります。

 したがって、私は、整合性の問題等を考えれば、やはり法律で書くべきことは書いてある、そして、対処要領というのは、そういう意味で考えれば法定化する必要はない。大事なことは、やはり飛んできたら撃つんだ、それともう一つは、法律上一番大切なことは、シビリアンコントロールをきちっと確保していくことだ、この二点が確保された法律でございますので、私は、これで十分である、このように思っています。

本多委員 これでよくないんですね。これは政令で定めるわけですよね。普通にこういう政令を定めると信じていますが、これは場合によっては、緊急対処要領の、政令を皆さんがいじればいいわけですから、本当にこの項目すら書かなくなる可能性があるわけですよ。

 私は別に軍事技術を書けと言っていません。だから、ここの項目ですよ。緊急対処要領の対象となる緊急の場合がどのような場合か、対処措置の対象及び破壊方法の対象は何か、方法は何か、防衛庁長官の命令の執行の仕方はどうなのか、行動の範囲、こういうことを定める緊急対処要領を定めると、ただそれだけ書いて丁寧にしてくださいというお願いなので、これはぜひお願いします。

 それで、整合性、整合性というのはもう崩れているわけですよ。国会への報告というわけのわからないのが一個ついているせいで、領空侵犯と海上警備行動とは明らかに違うということは認めているわけですから。いいんですよ、報告はあって当然なんですよ。政策論としては、国会への報告があって、私は承諾まで欲しいですが、国会への報告はあっていいんだけれども、余り整合性、整合性とおっしゃらない方がいいということです。そこはぜひお願いをしたいと思います。

 それで、もう時間が余りないんですが、一項の命令が発令されたときにきちんと公表してくださいとお願いをしています。これに対して大臣は、閣議決定しているからいいじゃないかと。そうかなとも思ったんです。しかし、ちょっとよくわからないんですけれども、閣議決定されたことというのは必ず公表されることに法律か何かで決まっているんですか。閣議というのは一応非公開ですよね、見たことがないので。どうなんですか。閣議決定事項は必ず公開されるとどこか法律に書いているんですか。

大野国務大臣 法律上の問題はチェックさせていただきますが、閣議決定事項というのは必ず官報に掲載されますので、官報をもって公開されている、公表されている、このように御理解いただければと思います。

本多委員 もちろん、普通はそうなんだと思います。しかし、皆さんが安全保障上のこれは何かがあるからといって判断をされて、たまたま今回のそれは載せなかったとしても、法律上のそごは多分ないはずなんですね。

 つまり、閣議というのは非公開のところでやって、この命令は出したけれども隠そうというか、ですから、私たちは、大臣のお言葉のように万々々が一のことを考えて、きちんと、一項の命令が発令された場合には、公表という表現でもいいです、国会への報告という観点でもいいので、これをぜひしっかりと入れていただく、これもぜひお願いをしたい。

 私たちは別に政府を全面的に何か疑っているというわけではないですけれども、シビリアンコントロールを今回一個緩めるわけですから。つまり、三項なんかの場合は委任を大きくしているわけですよね、普通の防衛出動などに比べると。ですから、それに対応する措置というのを少し慎重に深目に私は設けるべきではないか。

 一点なんですけれども、閣議決定で公表されるからいいじゃないかとおっしゃっているんですけれども、私が実は本会議で質問したときの大臣の答弁と若干これは矛盾するんです。私はこう聞いたんです。つまり、北朝鮮はそんなつもりじゃなくいろいろやっているのに、一項が発令されて、何か日本が我々のミサイルを警戒した態勢に入ったぞ、閣議決定をしたぞ、こうなったら、北朝鮮を逆に刺激するようなことはあり得ませんか、そういう可能性はないですかといったときに、相手国への影響はないと本会議で答弁されているんですね。これは、でも、公表するということは、あり得るんじゃないんですか、そういう可能性は。

大野国務大臣 どこの国とは申しませんけれども、一項の場合です、閣議決定をした場合に、弾道ミサイル破壊をするための態勢をとっている、これは極めてパッシブな態勢なんですよね。北、失礼しました、某国を攻撃するというシグナルではございません。飛んできたら落としますよというシグナルなんですよ。これが何で相手を刺激するんだろうか。

 もちろん、この弾道ミサイルというのは、極めて受動的な、パッシブな抑止力であります。したがって、飛んできたら撃ち返すぞという報復的な抑止力ではありません。そこのところは、私は、国際的な報復力というのがあるのではなかろうかというふうに思いますけれども、このようないわばパッシブ、受動的な自衛隊の構えが、安全を守るための構えが相手国を刺激し事態を悪化させるとは到底思えません。

本多委員 誤解のないように言っておきますが、私たちは公表しろという立場です。しかし、こういう一項の命令の発令というのは実は非常に重くて、私は、今の大臣の答弁は違うと思います。

 なぜかというと、北朝鮮という我々が相手にしている主たる対象は、合理的な判断をする、そういう国じゃないんですよ。あくまで我々はこれは防衛のためにやっているんだけれども、一項なんかが発令されたら、ただでさえそれは非常に何か緊迫した状況に、必ず火をつけるというわけではなくて、火をつけたりする可能性もあるから慎重にやるべきだ、そういうことですから、本会議場で、相手国への影響はないとか、こういう断言をしちゃいけないと思っているということです、相手がああいう国ですから。断言をすべきようなことでなくて、相手への影響がないようにしたいとか、そういうふうに発言をすべきことではないかと思います。

 最後に、私は、これは想像というか、人から御指摘いただいたことで、私は確証を持っているわけではないので、大臣の御感想を伺いたいんですけれども、どうしてここまで自民党さんは、もちろん予算のことはあるんでしょうけれども、非常に中途半端なものを入れているのかということの想像なんですけれども、一つは、アメリカから無理やり言われて買わされちゃったというよくあるパターンですね。これは別に答弁を求めません。そういうことはしばしばあって、ないよりあった方がいいだろうし、役に立つかもしれないから、一応ぎりぎりの予算のところで買っておこう、こういうことも一つ想定としてはあると思う。これはこれで、役に立つ以上、それは検証するのはなかなか難しい。

 しかし、もう一個の想像は、何でこう兆候がわかるわかると断言されて、「報道二〇〇一」では、百発中九十八から九十九当たるというのは、これもどこかで謝っていただかないといけないと思っていますけれども、こういうこともおっしゃられていますが、何でそんなに兆候察知の自信があるかというと、今、実は、北朝鮮が我が国にミサイルを撃つ可能性が非常に高い事態というのは、アメリカが何かの理由で先制攻撃したときに、それへの対応として、つまり、もうアメリカに攻撃されるおそれというのはないわけですよね、もう既に攻撃されているわけですから。その反撃というか嫌がらせとして日本に一発撃ってくるという可能性が非常に高い。このときはもちろん、そういう事態が発生しているんだから兆候は察知できるし、イージスも万全の態勢がとれると思う。

 だからこの程度でいいんじゃないかという話にも結びつくんですが、こういう発想というのはお持ちでやっているんですか。

大野国務大臣 まず、ミサイル防衛、なぜだという、これは答えを求めませんと言いますけれども、一言だけ言わせていただきたいと思います。

 これは、国際安全保障環境が変わっております。ゲリラとかテロという脅威も考えなきゃいけない。軍事科学力の進歩によりましてミサイルという防衛もやっていかなきゃいけない。このことは、私は、某新聞の世論調査を見ましても、ミサイル防衛オーケー、支持する、これが六七%たしかあったと思うんですね。三人に二人がミサイル防衛に理解を示してくれている。それは、国民がここまでやはり安全とか安心に対して関心を払うようになったんだろう、こういうふうに私は理解しております。きちっと安全保障環境の変化に応じてやるべきことをやっていこう、こういうことでございます。

 それからもう一つ、確率が極めて高いと数字的に申し上げたことがお気にさわったようでございますけれども、やはりこの問題は、過去の実験値を見ましても極めて高いわけですね。(本多委員「九十九じゃないですよね」と呼ぶ)九十九というか、そういう数字は別にしまして、極めて高いわけです。だから、高いということで、イージスもPAC3も、過去の実験値を踏まえて非常に高い。これは、官房長官談話の中でも、確率は極めて高い、こういうことであります。

 そして、そういうものでありますから、やはり私は、今現在この法律を通していただいて、こういう考え方でやるんですと。少し詰めなきゃいけないところもあります。それはもう、正直に申し上げて、少し詰めなきゃいけないところもある。しかし、こういうことを日本の国として、新しい安全保障環境に備えて、日本の国民の安心と安全を絶対にお届けします、こういう強い覚悟を示さなきゃいけない、こういう時期であると思っております。

 そういう問題であると同時に、配備が決まるのは、もう年数が決まっていますから、その時期に至るまでに法律を通していただいて、ぜひとも通していただいて、その時期に至るまでに、これは訓練という問題も出てくるわけです。法律でいろいろな整備を全部細かいところまで詰めを行って、そしてそこで法律を通して、それから訓練だというと、やはりこれは高い税金のむだ遣いになってしまうわけであります。

 そういう意味で、私は、安全保障環境、そして国民の御支持、それから今の厳しい財政事情の中で目いっぱい安心と安全の期待に対してこたえさせていただく、こういう気持ちをあらわしたものとしてぜひともお受け取りいただきたい、このように思っております。

本多委員 先制攻撃の件をお答えいただいていないんです、アメリカの。

大野国務大臣 済みません、簡単にもう一遍お願いします。

本多委員 大臣が兆候がわかる、わかるとおっしゃっているのはなぜかなといろいろ考えたら、一つの仮説として、実は私いろいろ考えたんですけれども、北朝鮮のミサイル、本当に今撃ったらアメリカにやられちゃうわけですよね。だから、北朝鮮はそれでやってこないと私は思っているんですよ。

 では、どんなときに北朝鮮がやるのかなといろいろ考えたら、アメリカがいろいろな事情で北朝鮮を先制攻撃した、そのとき同盟国である日本に一発、混乱を目的として、最後に、壊滅を恐れる必要はないから反撃をしてくる場合があり得るんじゃないか。こういう発想に立つと、つまり、その戦略に乗ってしっかり日本をそのために守っていこうとすると、もちろんこれは防衛兵器ですけれども、大臣のおっしゃるとおりに、純粋防衛とは言い切れなくなるし、それはアメリカとの戦略との絡みでは一〇〇%そうとも言い切れなくなるし、そういう可能性はどうお考えですか。

大野国務大臣 大変絡み合った複雑な問題でございますけれども、BMDシステムというものは、御指摘の北朝鮮というような特定国の情勢等を前提としたものではありません。御指摘のようなBMDシステムの導入と北朝鮮情勢ないしアメリカにおける北朝鮮への対応との関係を前提とした御質問でございますけれども、そういう前提をした御質問には答弁を差し控えさせていただきたいなと思います。

 さはさりとて北朝鮮問題でありますけれども、私は、北朝鮮のさまざまな動きというのはやはり東アジア全域にとって安全保障上極めて重大な問題だ、こういうふうに認識しておりますし、やはり東アジアの不安定要素である、このように認識しております。

 この北朝鮮をめぐる安全保障上の問題につきましては、引き続き、米国、韓国を初めとする関係国、六者協議もございます、こういう中で解決を図っていかなきゃいけない問題でありますし、北朝鮮に対し国際社会の一員として問題解決に向けた誠意ある対応をするように働きかけていく、こういう姿勢をとり続けて、そしてこの問題が解決に向かっていくように努力してまいりたい、このように思っております。

本多委員 最後に、きょうは質問の中でも幾つか私たちとしては前向きに提案をさせていただいているつもりでありますので、与党の皆様、そして政府の方でも、ぜひ修正協議にしっかり前向きに応じていただいて、よりよい法案をつくれるように私たちも頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 以上で質問を終わります。

小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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