衆議院

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第2号 平成17年10月7日(金曜日)

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平成十七年十月七日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 高木  毅君 理事 寺田  稔君

   理事 仲村 正治君 理事 神風 英男君

   理事 長島 昭久君 理事 赤松 正雄君

      安次富 修君    大塚  拓君

      嘉数 知賢君    北村 誠吾君

      田中 和徳君    中谷  元君

      額賀福志郎君    福田 良彦君

      宮路 和明君    山内 康一君

      内山  晃君    細野 豪志君

      前田 雄吉君    渡辺  周君

      佐藤 茂樹君    辻元 清美君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  河野 敏明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  井貫 晴介君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月七日

 辞任         補欠選任

  山崎  拓君     田中 和徳君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     山崎  拓君

    ―――――――――――――

十月五日

 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長飯原一樹君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、防衛施設庁建設部長河野敏明君、外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、外務省アジア大洋州局長佐々江賢一郎君、外務省北米局長河相周夫君、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君、外務省国際法局長小松一郎君及び水産庁増殖推進部長井貫晴介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。

岩屋委員 自民党の岩屋毅でございます。

 改選後、初の委員会質疑でございます。どうぞ両大臣、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、防衛庁長官、冒頭からちょっと嫌な話で恐縮なんですが、これはやはり指摘をしておかざるを得ない。このところ、海自、空自で薬物汚染事案が相次いでおりまして、私は非常にけしからぬことだというふうに思っております。せっかく防衛庁・自衛隊の活動が国民の皆さんから評価され、支持をされているときでもありますし、海外においても多くの隊員が頑張っていただいているというときにこういう事案が相次ぐというのは、本当に綱紀の緩みはまことにけしからぬことだと思っております。

 既に事件の真相は、司直の手によって今解明がされているという最中だと思いますので、事案の詳細についてここで聞くことはいたしませんが、真相が明らかになった暁には、これはもう厳しい対処をしていただかなくちゃいかぬ、このように思っておりますが、防衛庁長官のお考えといいますか、対処方針を冒頭に聞いておきたい、こう思います。

大野国務大臣 ただいま岩屋委員のお触れになった事件でございます。

 自衛隊の活動というのは国民の信頼の上に成り立っている、私はそのように思います。したがいまして、今回、海上自衛隊におきましては、七月以降、七名の者が大麻取締法違反により逮捕されました。そのうち五名は既に起訴されております。また、一名は不起訴になっております。また、航空自衛隊においても、先月二十八日に一名の者が覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕されております。このような事件、私は、本当に国民の自衛隊に対する信頼感、これを裏切るものである、こういう思いで、本当に重大に、かつ深刻に受けとめておりますし、遺憾の意を表させていただいております。大勢の、ほとんどすべての自衛官が高い士気と厳正な規律のもとで任務に邁進し、今、岩屋委員お触れになりましたように、内外で高い評判を得つつある段階でございます。

 現在、この問題は捜査当局によりまして解明中でございます。私は、この進展状況も見きわめながら、調査結果に基づきまして厳正に処分を実施したいと思いますし、また再発防止のために知恵を絞って万全を期してまいりたい、このように思っております。

 既に自衛隊では、この事案に基づきまして、例えば海上自衛隊各部隊、各機関を対象として四万七千名に薬物乱用防止のための個人面接及び隊内における所持品の調査をやりました。それからまた、薬物事案特別調査チームを設置しております。また、聞き取り調査も進めております。

 そういう対策を既に講じておりますけれども、私は、全容が解明した暁には二度とこのような事案が起こらないようにやってまいりたい。そのために私、個人的に今思いますのは、やはり教育の問題。薬物というのはこういう害があるんだ、国民の信頼を裏切るものだ、こういうことをまず教育したいと思いますし、また服務規律といいましょうか、服務教育といいましょうか、集団生活でありますから、この集団生活を指導する鬼軍曹、優しい鬼軍曹ですね、こういう組織的な問題も考えていかなきゃいけないな、万全を期してまいります。

岩屋委員 実力組織の隊員ですから、薬物はどんなケースでもけしからぬわけですが、とりわけ自衛隊においては厳しく厳正に対処をしていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。

 それでは本題に入りたいと思いますが、さきの両大臣の所信を含めたあいさつに基づいて、基本的な事柄を、短い時間ですが幾つか伺っていきたい、こう思います。

 まずは我が国の安全保障環境についてでございます。

 一つ、世界の安全保障環境が決定的に変わったというのは、やはりテロという問題があると思いますね。インドネシアでも、また、さきのロンドンでも相次いで起こっておりまして、これはテロの脅威というのが一つあろうかと思います。もう一つは、地政学的に我が国の眼前には事実上の分断国家が今なお存在をしている。南北朝鮮の緊張あるいは台湾海峡の緊張、こういう地政学的な要素があろうと思います。

 そんな中で、さきに久方ぶりに六者協議が開かれました。会合の目的は、平和的な方法による朝鮮半島の検証可能な非核化ということであったわけでございます。その中で、北朝鮮は、すべての核兵器及び既存の核計画を放棄すること、並びに核兵器不拡散条約及びIAEAの保障措置に早期に復帰するということを約束したわけでございます。これは地域の安全保障環境にとっては大きな前進だと私は思いますけれども、ただ、北朝鮮のこれまでの外交ぶりといいますか、見ておりますと、必ずしも信用できるのかという懸念も正直持っているところでございます。

 今回、北朝鮮の姿勢を外務省としてはどう評価しているのか、また六者協議の今回の成果を受けて今後二国間の交渉をどのように進めていくおつもりか、外務大臣からお聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 委員御指摘の先般の六者会合、共同声明でございますが、そこで書いてありますように、北朝鮮はすべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な放棄を約束ということでございます。私は、それ自体の意義は重く受けとめるべきだと思っております。

 また、これはいわば目標を書いた文書でございますから、今度は、次の十一月からの会合でその目標に向けてどういうふうに具体的にそれを実行、実現していくのか、そこを決めるところが実は大変難しい話し合いになるんだろうな、こう思っておりますので、目標をまず決めた意義はあると思いますが、後、それをどう具体に実行していくのか、ここのことをしっかりと取り組まないと絵にかいたもちに終わってしまうおそれ、今まで何度かその絵にかいたもちを私ども見ているわけでございますので、今回、そうならないような形にすべく、関係国とも協力をして、しっかりと取り組んでいかなければいけないと思います。

 そんな中で、今度、では日朝間の対話をどうするのかということでありました。今までは平壌宣言に基づきということで日朝間の話し合いが行われたわけでありますが、今回、改めて関係国の認知というのは変ですが、認識する中での日朝国交正常化に向けての動きということが触れられたわけでございますから、関係する国々もまた、今回の日朝正常化に向けての動きというのは重要な意味があるんだということをそれぞれの立場で認識をされたということであります。

 したがって、拉致問題を初めとして、核、ミサイル、これらを包括的に解決した上で国交正常化ということが平壌宣言で触れられているわけでございますから、それに向けて、現状、いつどこでどういうレベルでということは、事務的なやりとりをしている段階でございますからまだはっきり決まっておりませんが、できるだけ早くその機会が持てるように努力をしていき、また再開後にはしっかりとした交渉をやっていきたいと考えております。

岩屋委員 大臣がおっしゃったように、せっかく事が久方ぶりに動き出したわけでございますので、拉致問題に絡めて、ともすれば強硬な制裁論というのが国内でも浮上しがちなんですが、私はいたずらに我が方から緊張を高めるというのはいかがなものかなと思っておりまして、この機会をぜひ活用していただいて、早期の日朝間の交渉を再開していただくように御努力をいただきたい、こう思います。

 防衛庁長官には、こういった状況に加えて、中国の相変わらず不透明な軍事の近代化また増強というものがございますし、その中国は海洋権益、極めて執拗な取り組みを今なお続けているという問題がございます。さらには大量破壊兵器の拡散の問題もあるわけでございまして、そういったものをひっくるめて、我が国を取り巻く安全保障環境、この段階でどういうふうに認識しておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

大野国務大臣 まず新しい安全保障環境でございます。テロ、ミサイル、大量破壊兵器、こういうものがすぐ念頭に浮かび上がってくるわけでございます。

 その中で、日本の周辺国、中国でございますが、岩屋先生今お触れになりましたように、まず軍事費でございます。予算上十七年間連続で一〇%以上の軍事費の伸びを見せております。さらに、GDP比でいいますと軍事費が一・五%、こういうことでございますが、一番肝心な問題は、今おっしゃいましたような透明性の問題であります。

 実は、透明性の問題でいいますと、恐らく外国からの調達あるいは研究開発費等、これは軍事予算に含まれていないのではないか、このような説もあるわけでございまして、そういうことで申し上げますと、私が参加しましたシャングリラ・ダイアログ、六月にシンガポールでありましたが、そこでの話を総合しますと、やはり実際の軍事費は二倍から三倍になっているんじゃないか、こういう説もあるわけであります。

 中国の軍事の近代化は我々として十分注目していかなきゃいけない。しかし、隣国でございます。我々は決して中国という国を脅威とは見ておりません。やはり仲よくしていかなきゃいけない国である。しかし、やはり注目はしていかなきゃいけないし、透明性をまず確保してもらいたいな、こんな思いでございます。

 長くなりますので、その他はちょっと割愛させていただきますけれども、北朝鮮の問題は町村外務大臣がお触れになりました。全体として、やはりテロとかミサイルとか大量破壊兵器、島嶼防衛、こういうものについては十分と警戒していかなきゃいけない、このように思っております。

岩屋委員 今大臣がおっしゃったようないろいろな要素を総合的に見て、残念ながら、我が国を取り巻く安全保障環境というのは決して大きく改善されたなどということではなくて、いまだにたくさんの緊張をはらんでいるということだと思います。そのことを念頭に置いていただいて、国防政策に遺憾なきを期していただきたいと思います。

 先に進ませていただきますが、いよいよ来週からテロ特措法の延長について特別委員会でまた審議が始まるわけでございますが、本委員会におきましても伺っておきたい、こういうふうに思います。

 両大臣のさきのごあいさつの中でも、外交政策にしろ国防政策にしろ、国民の皆さんの理解と支持が不可欠だ、このようにおっしゃっておられます。今回のテロ特措法の延長についても、私どもが国民の皆さんに説明責任を負っているのは、一体この活動がどういうテロとの闘いに貢献をなし得たのか、そして、なぜ継続をする必要があるのか、なぜ日本の自衛隊じゃなきゃいけないのか、こういうことをしっかりと説明する責任を私どもは負っている、このように思うわけでございます。

 私は今、党の国防部会長も拝命をしておりますが、正直、部会の議論の中でも、そろそろもうこの活動はいいんではないか、こういう御指摘もなくはありませんでした。したがって、このことについて、しっかり当委員会においても説明をしていただきたいと思うのでございます。

 海上阻止活動というのは、大きな事案が発生していないというのは抑止がきいているというふうに評価もすることもできるわけでありまして、問題が起こっていないじゃないか、事件がないじゃないかということを理由に活動が必要ないということには私はならない、こう思っておるんでございますが、なぜこの海上阻止活動が今後とも必要であるのか、なぜ我が国の自衛隊でなければこの阻止活動に当たる艦船に対する補給活動がなし得ないのか、この点について明確に説明をしていただきたいと思います。

大野国務大臣 インド洋におきます我が国海上自衛隊の活動でございますけれども、なかなか国民の目に見えにくいところがあります。これはアメリカのラムズフェルド国防長官の話をかりますと、本当に冷戦にも比べられるような長い、忍耐強い努力が必要な闘いである、辛抱強さが要るんだ、こういうことであります。しかも、日本の活動というのは、直接掃討作戦に加わっているわけではなくて、間接的な後方支援である、非常に国民の目から見えにくくなっている。このことは、私どもは心して国民の皆様に御説明申し上げなきゃいけないと思っています。

 したがいまして、まず必要性、ニーズはあるのだろうかどうだろうか、それからその結果、どういう役割を果たしているんだ、このことを説明しなければいけないと思っておるところでございます。

 現在何らかの形でこのテロ対策に参加している国は合計約八十カ国あります。洋上で活動しておりますのが七カ国、日本の活動はそのうち油の補給、水の補給でございます。出始め、四年前と比べますと、油の供給量でいいますと約八分の一ぐらいになってきております。しかしながら、一定期間の間で何回補給しているんだ、こういうことになりますと、ほとんど変わらぬ回数を補給している。それだけやはり各国から評価されているわけでありまして、私も在京大使の皆様から、関係する大使から高い評価と感謝の念をちょうだいしております。

 一例で申し上げて恐縮ですが、最近、海上自衛隊の練習艦隊がフランスのブレストに三隻寄りました。そのときに、いつも油をもらっているからありがとうということで、今度はフランスの方から日本の練習艦が油をもらいました。量で比較しますとたしか五%ぐらいでございますけれども、そういう触れ合いができ上がってきている。これは本質論ではありませんけれども、そういうこともあります。

 そこで、このニーズという面で見ますと、まだまだ終わっていない、まだまだ八十カ国、海上で七カ国の国が参加しているというニーズは確かにあるわけでございまして、じゃ、実績は一体どうなんだ、こういう問題になってまいります。

 日本の実績じゃなくて多国籍軍の海上行動がやった実績でございますが、これまで麻薬で六千キロ以上の麻薬を捕獲しております。麻薬というのはもう説明するまでもありません、テロ活動の資金源になっているわけですから、これは大変大きな問題でありまして、末端価格でいいますと五百億円以上じゃないか、こんなふうに言われております。それから小銃五百丁以上、それから拘束した人員でいいましても五十人以上、こういう実績がございます。

 私は、この日本の海上自衛隊の補給活動、給水活動がこういう成果に、後方から支えている大きな力になっていると確信しておるところでございます。

 それから、日本でなきゃできないのか。そのお答えの前に私が申し上げたいのは、やはり、テロを阻止する、テロを撲滅する、こういう活動というのは国際協調の中でやっていくべき問題である、こういうことの認識がまず重要じゃないか。国際協力の中でテロを撲滅していこう、こういうことでありますが、その中で、日本の補給技術というのは大変高いものがあります。

 どういうことかといいますと、例えば、補給というのは、海上で船が並んで、補給艦と補給を受ける艦艇が並んで数時間走りながら油を供給するわけですから、大変な技術が要るわけでありまして、日本の海上自衛官も我々の技術は世界一なんだ、こういう誇りを持ってやっております。そういう意味では、私は、各国、今海上では三カ国が補給活動をやっておりますけれども、その三カ国の中でナンバーワンを占めるのが日本の海上自衛隊の補給技術じゃないか、こういうふうに思っております。

岩屋委員 この問題に関連して、防衛庁長官と外務大臣にあと一点ずつ簡潔に質問させていただきたいと思いますが、今回の改正の最大のポイントは、延長期間を二年じゃなくて一年にしたというところなんだと思います。これは選挙中でしたか、総理がもうこれはやめてしまってもいいんじゃないかという発言をしたやに、真偽のほどは私は確認しておりませんが、そういう報道も流れたりいたしまして、政府部内でも多分いろいろな議論があったんだろうな、こう推測をしているわけですけれども、二年を一年にした、その最大の理由は何でしょうか。

大野国務大臣 先ほど申し上げましたように、この海上自衛隊のインド洋での活動というのは、なかなか国民の目に見えにくい。ニーズは何だ、実際に役立っているのか、このことを私どもはやはり毎年、一年ぐらいの期間で、二年ということじゃなくて、毎年国民の皆さんに認識していただきたい。国民を代表する国会の皆さんで十分御議論いただいて、実際にこのテロ退治に海上自衛隊は役立っているんだ、こういう意識を持っていただきたいな、そういう議論をしていただきたいな。さらに、言ってみれば、その間に国際情勢も変化するかもしれない。一年ぐらいの期間で御議論いただくのが適切ではないか、こういう思いで一年とさせていただきました。

岩屋委員 事態の推移をきめ細かく見るために期限を一年間にしたと。これは了解するんですが、毎年毎年というふうに今長官はおっしゃいましたが、私は、自衛隊の海外での活動というのは、基本的にはできるだけ期間を短く限定して、任務を完了したら速やかに国内に戻ってきた方がいいと常に考えておる者の一人でございますが、アフガンの政治プロセスなど報道されているのを見ますと、かなり順調に進んでいるようにありますので、この活動もできるだけ早く終了できればいいな、こう思っているんですが、アフガンの政治状況や治安状況について、外務省としてはどういう認識でおられますか。

町村国務大臣 アフガニスタン、昨年新しい憲法ができ、大統領選挙が行われ、九月十八日に国会の下院と県議会選挙が行われたということで、これらも若干のトラブルはあったらしいですが、総じて順調に進んだということでございますから、政治プロセスの方は順調にいっておりますので、このままうまくいけば十二月には議会が開会をされ、統治機構の基本は整うということになるんだろう、こう思っております。

 ただ、治安情勢の方でありますが、これはなかなか不安定な状態が続いているということで、特に、パキスタンと国境を接する南東部は依然として懸念すべき状態が続いているんだということのようであります。

 また、社会情勢ということでいうなら、GDPの六割が麻薬関連という信じられないような構造になっているわけでございまして、これらが依然としてまだ健在でありますし、非合法の武装集団の解体の問題とか、法の支配の徹底といったような課題がまだまだ残っているということかなと思います。

 したがって、日本政府としても、今後、復興と安定の達成のために引き続き支援はしていかなければいけないな、かように思っております。

岩屋委員 さっき申し上げましたように、自衛隊は任務を大方終えたらできるだけ早く戻すということを前提に、政府はやはりいろいろなことをこれから考えていっていただきたいということを申し添えておきたいと思います。

 それから、もう一点だけ。私どもの党の中の議論でも、これ以上派遣延長を行っていくということであれば、こういう特措法を細切れに延長していくということではなくて、本来、国際貢献のための一般法があるべきではないかという議論が大勢を占めました。私もそう思っておりますし、今後、党の部会でも勉強していきたいと思っております。また、民主党の前原代表も同趣旨の発言をされておられるようでございますが、この一般法の必要性について、現段階で政府としてどう考えておられるか、防衛庁長官。

大野国務大臣 昨年末策定されました新しい防衛大綱の中で、一つの大きな目玉はやはり国際平和協力活動であります。国際平和協力活動を進めることによって平和を構築していこう、こういうことであります。

 そういう意味でいいますと、私は第一に、やはり冷戦構造終結後の民族的、宗教的紛争、その他さまざまな地域紛争がありますが、その地域紛争がまた広がって、そしてかなり大規模な紛争になってくる、このことを未然に防止するということは大変必要でありますから、そういう意味での国際協力。

 それから二番目に、やはり国際テロというのは、いわばテロリストというのは非国家主体ですから、各国が協力してこれを撲滅していかなきゃいけない、そういう問題がありますし、それから、いろいろな問題を国際的に地球の全面で見ておりますと、紛争を国益というとらえ方で見るよりも、ジャスティフィケーションというか、妥当性という物の見方で見て、そういうことはやはり国連とか国際協力の中で収拾していく必要がある。そういう意味で、私はやはり国際平和協力活動というのはこれからの日本の一つの大きな大きな使命であろうと思っております。

 おっしゃるとおり、いろいろな法律を時限立法でつくっていく、特措法でつくっていく、この考え方でやってまいりましたけれども、私どもはそういうことじゃなくて、やはり一般法でこの問題を解決していけないかな、こういう強烈な問題意識を持っているわけでございます。

 現在、この国際平和協力法のあり方につきましては内閣官房が中心となって検討いたしておりますけれども、やはりその場合の大きな大きな問題というのは、集団的自衛権の問題を含めた武力行使の問題であります。そういう問題をきちっと議論した上で、国会での御議論を十分していただいて、私はやはり一般法に進めていくべきではないか、このように思っています。

岩屋委員 党の方でも成案を得るべく精力的に勉強を重ねてまいりたい、こう思っております。

 さて、時間がなくなってしまいましたので、ちょっとミサイル防衛についても聞きたかったんですが、これは済みませんが省かせていただきまして、最後に海洋権益の問題について、ちょっと簡単に質問させていただきます。

 先般、外務大臣、日中間の実務者協議といっていいんでしょうか、そういう会合を持たれたようですが、事実上は物別れ、すれ違いに終わったのではないかというふうに私は感じております。これはやはりリスクマネジメントというのは必要だと思うんですね。だから、早く実務者レベルではなくて閣僚級の協議を持って、衝突回避というか、そういう手だてを講じておかなきゃこれは大問題に発展するおそれもあるのではないかと心配をしておるんですが、この問題について、外務大臣、どういうふうに進めていかれるおつもりか、聞かせてください。

町村国務大臣 九月三十日、十月一日、協議をやりました。事態の緊急性ということについても認識を共有できているかな、こういうことで、協議の開催の頻度をふやそうではないかということを提案し、一致をいたしました。したがって、次回会合は十月中のできれば早い時期に、こう思っております。同じ共同開発といっても中身が全然違うものですから、まだすれ違い状態であります。

 閣僚レベルの協議を早くやったらどうかというお話でございました。そのことも私どもは何ら否定するものではございませんので、次回の協議等の結果を踏まえて、必要に応じて、中国側と閣僚レベルの協議も視野に入れて今後取り組みを進めていきたい、かように考えております。

岩屋委員 問題を大きくしないように、速やかな対処をしていただきたいと思います。

 もう最後、一つしか質問できなくなりましたので、防衛庁長官に。

 この問題に関連して、やはり北朝鮮に対する対話と圧力ではありませんが、中国に対しても対話と備えが私は必要ではないかなと思っておりまして、実は、今超党派で、民主党の先生方とも海洋権益に関する立法ができないかという勉強をしているんですが、最悪の場合に、我が国の艦船の安全を確保するために護衛艦も派遣することができるという立法をするという考えについて、防衛庁長官はどういうふうに考えておられるか、最後に聞かせてください。

大野国務大臣 言うまでもないことでありますけれども、現状の体制というのは、一義的には海上保安庁が海の平和と安全を守る、そしてそれを自衛隊、海上自衛隊がバックアップする、こういう体制でございます。そして、自衛隊の方は、警戒監視のためには艦艇を現場海域に派遣することは十分可能なことでございます。要は、各関係省庁が情報をともにし、情報を共有して、連絡を密にしながら行動していく、こういうことが一番大切なのではないか。

 我々としては、護衛艦を派遣するというような、これは海上警備行動をとろうと思えばとれるわけでありますし、法体制は整っておりますので、例えば試掘とか、そのための安全確保のために自衛隊の護衛艦を派遣するような特別な立法、法整備ということは今考えておりません。

岩屋委員 我々も、国会においてもしっかりこの問題についても勉強を続けていきたいと思いますので、政府においてもしっかりと研究をし、体制を整えるようにしていただきたいと思います。

 終わります。

浜田委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは二つのテーマについて二十分間お聞きしたいと思いますので、きちっと、余りそれは答えられないとかと言わないで、お願いしたいと思います。

 一つ目はイラクの問題です。もう一つは、日米間におけるいわゆるトランスフォーメーション、米軍再編に関する協議の状況についてであります。

 まず一点目、イラクのお話であります。今、岩屋委員の方からアフガンの話がありましたが、この問題と同時に極めて重要な問題として、イラクの自衛隊の派遣のこれからの取り扱いといいますか、出口をどうしていくのかということについていろいろな手だてを講じていく必要がある、そういう観点からお話をしたいと思います。

 まず第一点、一般的に、今イラクをめぐって、イギリスやオーストラリアがサマワの地から撤収するというふうな報道がある。そのことについて、幾つかの見方というか、そういうものが出ておるわけですけれども、まず第一義的に、その報道の真偽といいますか、非公式、公式にせよ、そういったふうな打診、お話、そういうものがあったかどうか、お願いします。

町村国務大臣 九月二十九日から十月三日まで、ロンドンで、イギリス、オーストラリア、アメリカ、日本、これはイラクの南東部で活動をしております多国籍軍関係者、定期的にというか、随時やっているわけであります。したがって、今回がもとより一回目ということではございません。意見交換、情報交換の場というのがございまして、そこでイラクのさまざまな状況について議論をしたことは事実でございます。

 ただ、報道されているように、そこでもう撤退が、方針が出されたとか、そういうことはございません。もちろん、これは軍の関係者ですから、常にいろいろなケーススタディーといいましょうか、それはやることは当たり前のことであろうと思っておりますけれども、報道にあるように、イギリスがあるいはオーストラリアが撤退を決めたということは、事実に反することであります。

赤松(正)委員 私は、この問題は、よく防衛庁長官がサマワについて、ほかの地域と比較して安定している、比較的安定している、こう言われますよね、私は行ったことないんですが、そのとおりだろうと思います。ということは、イギリスやオーストラリア、サマワの地を守る外国の軍隊、そのことの必然性、必要性というものも当然、今大臣おっしゃったように、いろいろなケーススタディーをやっている、こんなに平和、こんなに安定している、おれたちがいなきゃいけないのかというような話、そういうことは当然私はあっていい。つまり、撤収するのは、危険だから、いなくなっちゃったら危険だというのではなくて、むしろ全く逆に、非常に平穏な事態が続いているがゆえに、これはイラクの国軍でいいんじゃないのか、こういう話の方が非常に自然にすとんと落ちるんですが、このことについて、後で御答弁いただくときにそれについての見解を述べていただいてもいいんですが、私はそんなふうに思うんです。

 いなくなるから、ほら大変だというんじゃなくて、それぐらいに、ほかと比較すれば安定している、だから私は、米軍の再編じゃなくて英豪軍の在イラクのいわゆる再編、どこをどこに置くのかということについて、彼らだって、より効果的に自分たちの軍を配置するというのは当然考えるわけですから、サマワにどれだけ人数がいるか私は承知しておりませんけれども、こんなに置くということは余り効果的じゃないんじゃないのかということは、当然あって、必然ではないか、そんなふうに私は思っています。

 だからどうかということですけれども、私が思いますのは、イラクにおける日本の自衛隊の皆さんの活動というのは、やはりこの二年ですか、非常に着実な進展ぶりをしてきた。本当にすごい成果を上げておられると思うんです。

 私どもの神崎代表が、仮に撤退するとしたら四つの条件があるというふうなことを申し上げて、小泉大臣も非常に大事な視点だというお話がありました。これは、撤収するどうこうというよりも、四つのうちの一つにあります人道復興支援という仕事が全部終わったときというふうな項目が非常に私は大事だと思うんですけれども、いわゆる戦闘地域、非戦闘地域だとか、あるいは日本の陸上自衛隊の皆さんの安全が確保できなくなるという次元の話ではなくて、むしろ仕事として一区切りつくという、ついてきかけているという方が私は大きいと思う。したがって、これはぜひ、どこかですぱんとやめてどうというのではなくて、うまく日本のイラク・サマワにおけるプレゼンスというものをしっかりと貫いていくということが大事だ。

 そこで、この間、八月の初め、今から思うと解散五日前だったんですけれども、テロ特で大野大臣とやりとりしたことを思い出していただきたいんですが、要するに、ウンムカスル湾の、チグリス・ユーフラテスの河口における、いわゆるしゅんせつ、それに伴う機雷除去、この問題について私は質問しました。

 今回について、ちょっと申しわけない、正確に質問通告していないんですが、この問題について、あのとき大臣はそういう要請がないとおっしゃいました、要請がないと。国際社会においてそういう要請が仮にあったら、それはまあ別途考えるというような趣旨の御答弁でした。現実は、その時点で、あの八月三日の時点では、全然事情を承知していないとおっしゃっていました。

 私が質問して、その後事情を調べられたのかどうか、そして、それはまだ、急に言われてわからないというならそれでもいいんですが、ぜひここでお答えいただきたいのは、仮にサマワにおける今の自衛隊の仕事が一段落すると仮定しますね。では次にどうするかといった場合に、先ほど岩屋委員との質問のやりとりにもアフガンとのことでありましたけれども、今の特別措置法、イラク特別措置法における規定からいきますと、自衛隊の仕事は、それ以外は何もできないということでいいのか。あるいは、先ほど言った、この間の答弁では、機雷除去なんという仕事はできない、今の特別措置法ではできない、仮にそういう要請があったら、それは新たな特別措置法をつくるのか、どういう手だてを講じたらそういう仕事ができるのかというポイントが一つ。

 それから、もう一つは、次々と言って申しわけないんですが、外務大臣、つまり、自衛隊が今サマワでやっている仕事というものの次に来るものというのは、結局、ODA、外務省の皆さんが今もう既にイラクで展開している、そういうODAを中心とすることにつながっていくのか。それとも、その間に何か、ODAの仕事というものと今サマワで行われていることとの間に何かできることはないのか。その辺のことをイラクの撤収、出口を探るという行為の中で検討されておるのかどうか。いや、全然そんなことは検討していませんならそれでもいいんですが、どういうふうに今のイラクにおける事態というものを、日本が果たしていく役割という観点の中で次に来る仕事というのは何を考えておられるのか。何も考えていない、それは後は当然ODAの仕事になるんだというんならそれでもいいんですが、その辺のお考えを聞かせていただきたいと思います。

大野国務大臣 まず、機雷の除去等の問題でございます。前回御質問以来、私どもには新たな情報、新たな要請は全くありません。

 それからもう一つは、どういうふうな対応ができるのか、こういう問題でありますけれども、具体的な要請に基づいて検討してみなければいけないと思います。したがいまして、例えば、今の特措法でできるのかできないのか、どういう仕事なのか、これは鮮明にしていかないと、私は今この場でお答えするわけにはいかない、このように思っております。

 それから、撤退の問題、ちょっとお触れになりまして、後でついでに答えろ、こういうお話でございました。国際社会全体として大きな問題点は、やはり今の政治プロセスがどう進んでいくのか、そして、まさに赤松先生御指摘のように、イラクの治安部隊が、治安組織がみずからの治安を守るだけに育っていっているのか、バトンタッチができるのか、こういう点が非常に重要なポイントだと私は認識しております。

 そして、もう一つだけ加えさせていただきますと、自衛隊が人道復興支援活動をやっていること、このことがはね返って治安をよくしている、こういう面もあることを私は特に申し上げたいと思っております。

町村国務大臣 今、自衛隊の活動、それに政府の無償資金協力というのがいわば車の両輪ということで支援をやっているわけでございます。

 いずれの日にかイラクの治安も回復し、平和な状態になり、多国籍の軍隊もいなくなり、普通の国になれば、それはODAということになっていくんだろうと思います。それも無償というよりは、むしろイラクの状況、発展度合いからすれば有償資金ということになるんだろうと思いますが、その間をうまくつなぐものがあるのかという問題、指摘であったかと思います。大変にこれは重要なところでありまして、実は、国連でも今、平和構築委員会という、要するに紛争後どうするのかということについて国際的にも取り組みをしようではないかということになっております。

 では、日本が今何ができるだろうか。例えばアフガニスタンでは、こうやって一応政治プロセスが始まっておりますので、今、各地区ではPRTと称して、要するに軍人さんと民間の開発に当たるあるいは援助に当たる人たちが組み合わせになってチームをつくって、主として郡部というか地域に出かけていく。したがって、どういう形か、私も現場を見たわけじゃありませんけれども、軍人さんの警護をある程度受けながら必要な開発行為をやっていくということがあるのであります。私は、これは一つのいい形なのかなと思うのでありますが、残念ながら、今の法律のもとではそれができる仕組みがございません。したがって、一挙に今度はODAに行ってしまわざるを得ないんですね。

 そうすると、これは残念ながら、今の治安状況では、直ちに民間人あるいは技術者、エンジニアの方々がどんどん入っていくという状況にはない。まして、NGOの方々が入っていくことも非常に難しいという状況ですから、今、遠隔地、アンマンでODAの調査のヘッドクオーターをつくって、現地の人を使いながら調査をし、いずれ、その結果がまとまって、先方からの正式な要請があればODAを出していく。しかし、それはかなり遠隔地といいましょうか、目に見えないじゃないかという話に必ずやなってくるんですね。

 さあ、そのときにどうするのかなということはいろいろ今知恵をひねらなければいけないというんですが、やはり目に見える貢献という形で、いずれそれは自衛隊だって撤退するということは当然、いつまでも無限にいるわけじゃありませんから、あるんでしょう。その段階、シームレスにとよく国際的には言う、継ぎ目なくそうした支援活動をどうやるのか。今の日本の法制のもとでは、継ぎ目なく活動するというのが率直に言ってなかなか難しい状態にあるということであろうか、特にああした危険、不安定な地域ではということだろうと思います。

赤松(正)委員 今、外務大臣から答弁ありましたように、なかなかシームレスでいくのは難しいという率直な御意見がありました。

 私は、先ほどというか、八月に述べたこともあるように、日本の商社等においてもそういうさまざまなイラクにおける日本ができることという観点で、民間でもいろいろ考えているわけでありまして、日本がただずっとサマワにおける今のような状況を続けていくということに安住しているのではなくて、もちろん安住しておられないと思いますけれども、先ほど来、知恵をひねるという話がありました。総理大臣も、日本が主としてどういう役割を果たすことができるかという点を踏まえながら総合的に判断をしたい、こういう判じ物みたいなことをおっしゃっていますが、ぜひとも、私が申し上げたような点も踏まえて、いろいろな可能性を探りながら、どうつなげていくかということをこの十二月十四日までの段階、しっかりとお互いに考えていきたい、そんなふうに思います。

 次に、日米の米軍再編をめぐる協議に関する点でありますが、時間がもう五分になってしまいましたので、かいつまんで申し上げますけれども、実は、この問題について大野長官あるいは町村外務大臣がどういう発言をしておられるのか、つぶさに、正確に、きちっと掌握したわけじゃありませんが、いろいろな新聞報道だとか、あるいは国立国会図書館、権威のあるこういう国会図書館の「調査と情報」、こういったものも見ました。しかし、なかなか確たることは出ていない。

 一方で、大野長官は、新聞報道について、ある委員がそれをもとに質問したら、ほとんど新聞報道はうそ、でたらめだということをおっしゃっている。ちょっと正確に言うと、「報道はすべて大間違いだと言うと言い過ぎになりますけれども、まだまだ何も決定していないという状況でございます。」こう言っておられて、四月二十六日の時点では、例えば、日本からもやはり提案すべきことをきちっとアメリカ側に訴えていこうじゃないかということで、基地の共同使用の問題、管理権の問題、そしてもし遊休施設があるとすればこの遊休施設についても洗い直しをしていこう、こんなふうなことをおっしゃっている。

 それで、でたらめが多いということは、大臣だけじゃなくて、私たちが通常接触する日米交渉に当たっている当事者の方もそう言うんです。これは、こういう権威ある「調査と情報」の中には、その報道をもとにしたことが書いてある。だから、やはりこれは、きちっと、残念ながら時間が短くなっちゃって余りきちっと言えないかもしれませんが、こういう場を通じて積極的に現状を言っていただくことが大事だと思うんですね。

 それで、私は四つの切り口があると思うんですね。これで、その四つの切り口でいいのかどうかの確認を含めて現状を、国民の皆さんに訴えていただけることの範囲で言っていただきたい。

 一つは、この米軍再編といった場合に、一言で言えば、これは総理がよくおっしゃる、私たちもそう認識しているんですが、いわゆる抑止力の維持強化、同時に、日本の基地負担の軽減。この一つの命題があって、その中に、それを構成する要件というのは私は四つあって、一つは、アメリカの具体的な配置変化。これが一つ。

 それから、もう一つは、それに伴って日本に求める機能の強化。日本が果たす役割、そういう機能部分における強化。

 三つ目は、さっき大臣の発言を引用しましたけれども、いわゆる日本の基地、在日米軍基地で不要なものがあるかどうか、そういう不要なものについてはしっかり返還をしていこう、そういう側面、日本側から見た基地のありよう。

 四つ目は、財政的な問題、いわゆる特別地位協定の話でございますけれども、いわゆる一般的に思いやり予算と言われているものも含めて、そういう財政面的負担というものをどうするのか。

 今言った四つ、上二者はアメリカ側からの意向、下二つは日本側の意向、こういうことを踏まえて交渉しておられるんだろうなと新聞報道を見ている普通の人間は思うんです。それはすべて大間違いでしょうか。

大野国務大臣 まず、四つに分析していただきまして、ありがとうございます。

 私は、今回の中間報告に向けてどういう作業をやっているかといいますと、まず、日本とアメリカで協力して日本の安全、極東の平和と安全を守っていこう、この協力体制であります。そのことが一つ。それを役割分担、任務、能力、インターオペラビリティーというような単語であらわしております。

 今、日米安全保障条約を読んでみますと、日本が基地を貸すんだ、アメリカはその基地を使って日本と極東の安全を守るんだ、こういう書き方でございますが、これはアメリカの人間と日本の基地の協力関係じゃなくて、本来、今それを議論しておりますのが、お互いに人間同士で協力し合いながらやっていこう、そこに基地の共同使用とか共同運用とか、あるいは、例えばインドネシアの地震等が起こった場合には、災害等が起こった場合には共同で対処していこうじゃないか、同じく情報も共有していこうじゃないか、こういう、両方がお互いに頑張っていこうという要素が私は大事な要素であると思います。その要素を支えるために今おっしゃったような切り口があるんだ、このように思っております。

赤松(正)委員 済みません、時間が来ましたから、一点だけ。遊休基地があるのならという大臣の六カ月前の発言、ありましたか。

大野国務大臣 遊休施設につきましても、今話し合っております。そして、個々のことについては、今の段階で明示することは御勘弁いただきたいと思います。

赤松(正)委員 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。どうぞよろしくお願いいたします。

 時間が限られておりますので、端的に、普天間基地の移設問題に絞ってお話を伺いたいというふうに思います。

 御案内のとおり、今世界的な米軍の再編が行われております。その中で、我が国の在日米軍基地、これの再編協議が日米間で進められている。その原則は、小泉総理も再三おっしゃっているように、抑止力の維持と地元負担の軽減、この二つの柱でやっていくんだと。

 しかし、ここへ来て、この普天間基地の移設問題が、これも大うそと言われるのかもしれませんが、新聞記事によりますと、この移設問題が非常に困難な状況に陥っており、この問題が解決されないので再編協議そのものが暗礁に乗り上げている、こういうことであります。

 私がじかに聞くところによると、米政府も相当フラストレーションがたまっている、このように承っておりますが、そこへもってきて、昨日の朝日の朝刊ですけれども、ラムズフェルド国防長官が来日を見送る、こういう衝撃的な記事が載っております。中国や韓国は行くんだけれども、日本は素通りする。そして、この記事によれば、普天間基地の移設問題で打開が見込めないから長官は来られないんだ、日本に対する再考を迫るメッセージだ、こういう分析なんですけれども、防衛庁長官、何が起こっているんですか、解説をいただきたいと思います。

大野国務大臣 まず、公明党、赤松先生の御質問にお答えしましたが、今度の中間報告というのは二つの問題があります。

 一つは、先ほど申し上げました役割、任務、ケーパビリティー、能力等の問題であります。これは、いかに日米両方が協力して日本並びに極東の平和、安全を守っていこうか、そこで共同の基地使用の問題等々が出てきている。この方は順調に議論が進んでいるわけでございます。それから、それを支えるために基地をどう再編していくのか。共同使用というようなことになりましたらまた基地のあり方が変わってくる。こういう問題であります。

 そういうことで、大方の意見は大体出てきておりますけれども、まだまだ、今先生がおっしゃったように、普天間の飛行場を早く移設しなきゃいけない、この命題につきましてはなかなか進んでいない、これが現状でございます。

 そして、我々はやはり、沖縄を中心とする基地のある町の負担を軽減するためには、SACO合意で決められた普天間の移設、もう十年たっているわけですからね、これがいまだにできていない。このことも反省しながら、ベストな案は何だろうか。本当は、今の辺野古をそのまま続けていく、これがSACO合意の延長でありますけれども、これがとんざしているものですから、やはりほかにも選択肢を探っていかなきゃいけない、こういう努力をしております。

 そういう努力をしておりますけれども、その点については今なかなか合意点に達していない。最後の努力をやってまいりたい、このように思っています。

長島(昭)委員 長官からおっしゃれるのは最大限そこまでなのかなとも思います。

 これは直接話法で、ちゃんとクオーテーションがついて、防衛庁の守屋次官や、あるいは交渉相手である米国のローレス副次官が発言をしている記事があるんですね。これまでうそとはもちろんおっしゃらないと思うんですが、それに基づいて言いますと、二つの案が出てきている。

 一つは、辺野古ライトと言われているらしいですが、辺野古の沖合に今まで海上施設を建設するという、それをもう少し浅瀬の側に寄せてきて、九九年の閣議決定では二千メートルの滑走路を持った施設ということだったんですが、これを千三百メートルまで縮小してやれないか、これがいわゆる縮小案と言われているものですね。

 もう一つが、普天間ジュニアと呼ばれているらしいですが、内陸型の、陸上型の、要するに、キャンプ・シュワブの中に小高い山があるわけですけれども、その丘の部分に陸上の施設をつくる。これも、伝えられるところによると、千三百メートルの滑走路を持つものだと。

 これは逃げられるといけないのできちっと言っておきますけれども、まず、守屋次官は三日の午後の記者会見で、一つは、きれいな海を壊したくないという県民の強い思いがある、だから、辺野古沖の浅瀬を埋め立てる案では地元の同意が得にくいと。そして同時に、政府が米軍のキャンプ・シュワブの陸上に移設する案を主張していることを記者団にはっきりおっしゃっているんですね。だから、まずこの案がどういう案であるのかというのを伺いたいのが一つ。

 それから、それに対して、これはちょっと前後しますけれども、九月の二十九日、上院の公聴会に出席した後の記者会見でローレス副次官が、日本側が示した陸上案を拒否したということをはっきり言っている。そして、縮小案についてどうかと聞かれたら、もちろんイエスだ、軍事機能がより増強される一方で地元との衝突が少ないと評価した、こういうふうになっているんですね。

 どうもこの日米の衝突がラムズフェルド長官の来日を阻むというか、今、日米間の交渉を暗礁に乗り上げさせてしまっている原因ではないか、こういうふうに私どもは観測しているわけです。

 長官、一点、アメリカ側が反対しているにもかかわらず、陸上案をある意味で後押しをしている、これを提示し続けている。今回も大古防衛局長もその案を示した、こういうふうに伝えられておりますが、陸上案、これも実は突然出てきているんですね。さっきSACO合意というふうにおっしゃったけれども、SACO合意を受けた九九年の閣議決定では、辺野古の沖合に二千メートルの滑走路を持った軍民共用の飛行場をつくる、こういうふうにはっきり書かれているんだけれども、それがうまくいかないから妥協案ということで二つ出してきて、そのうちの一つの陸上案が今言ったような形なんですね。しかし、アメリカが相当抵抗している。それにもかかわらず出してきている、その理由は何ですか、メリットは何なんでしょうか。ぜひ国民の皆さんにわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

大野国務大臣 まず、今のトランスフォーメーション日米協議が実質的に合意点に達しないという問題があることは事実でございます。したがいまして、ラムズフェルド長官も、実質ができていないところへ来るわけにはいかない。こういうことで、必ずしもそれが、その事実そのことをもって日米間に溝ができたというふうには私は全然受けとめておりません。

 それから第二点は、先ほど私がSACO合意の延長線にあると言ったのは辺野古沖の今の滑走路のことでございます。今建設をしようとしている問題であります。それではなかなか進まないからというので新たな選択が始まっている。あの辺野古沖の滑走路というのは、まさにSACO合意のときの苦渋の選択でした。今それが進まないから、また苦渋の上に苦渋を重ねた選択をしているんですね。

 それぞれ、私の言葉で言わせていただくと、ナゴライトと陸上、こういうふうに申し上げましょう。そのほかにも幾つかのアイデアがまだあります。しかし、その二つが出ましたので、二つで申し上げますと、それぞれについてメリット、デメリットがあります。お互いにそこは誤解がないように十分議論していこうじゃないかということで最後の議論を今やっているところでございまして、我々は、やはり今までの辺野古沖の滑走路づくりの反省に立って、十年たってこんなことがないように、やはり今一番大事なときだから、よりベターな選択をしようじゃないか。その場合に、ベターな選択をする上で、それはメリット、デメリット、両方ともあります。それを十分にお互いに理解しながらやっていこう、こういうことでやっているわけであります。そういうふうに御理解いただければ幸せでございます。

長島(昭)委員 今のは説明になっていないんですね、長官。

 これはぜひ、ここまで情報がリークされているわけですから、きちっと説明する責任があると私は思いますよ、長官。その内陸案のどこがメリットなのか。その説明をぜひしてください、ここで。どういうふうにアメリカ側を説得しているのか、どういう項目で。

 私たちは、普通に、今まで基地問題、ずっと見てきた者からすると、SACOの延長線ということから考えれば、辺野古の縮小案の方がよほどSACOの最終報告の延長線にあるように見えるんですね。アメリカ側もそのように理解をしている。しかも、地元の名護の岸本市長も縮小案なら仕方がないかというような発言もされている。そういうのを全部吹っ飛ばして、この陸上の案がかくかくしかじかで非常に有効なんだ、軍事的にも、地元の皆さんの反対に対する調整の問題も、それから日本の国にとっても沖縄県の皆さんにとっても、かくかくしかじかで説得力があるんだということをぜひ国民の皆さんにわかるように説明していただかないと、そういう責任があると思いますよ。

大野国務大臣 先生御指摘のとおり、説明責任はあります。しかし、今交渉中の話であります。相手方がおります。地元に対する、地元との関係で、地元の反応の問題もあります。今詳細に申し上げることはできませんけれども、やはり我々は、建設の工期の問題、それから安全性の問題、騒音の問題、自然環境の問題、いろいろな問題、総合的に考えてどっちがいいのか、こういう議論をしているところでございます。

 これ以上のことは御勘弁いただきたいと思います。

長島(昭)委員 では、今言った工期の問題、安全性の問題、自然環境の問題、少し私の方からサジェスチョン申し上げたいと思います、僣越ながら。

 陸上案は極めて困難な条件をクリアしなきゃならないと私は思いますね。

 まず、沖縄県は完全に拒否をしていますね。それから、地元の名護市長も拒否している。現行案でも十年かかった。そのほとんどは地元との交渉ですね、調整ですね。それを全部白紙に戻して、さらに一から地元との交渉を始める。これは工期の問題も含めて、かなりこれから時間がかかりそうな気配ですね。それから、米側が拒否している。

 それからもう一つは、射撃訓練場があるんですね、今陸上案で言われている場所には。この射撃訓練場を移設しなきゃならないんですね、もしそこにヘリコプターの基地をつくるなら。この射撃訓練場はちょっとやそっとの規模じゃないんですね。車載の機関銃、車に載せる機関銃、それを下から上に撃ち上げる。相当な射界、射撃のエリアを必要とするんですね。もう長官には釈迦に説法ですけれども、レンジ4と呼ばれている都市型の非常に小さな施設の移設一つとっても、相当時間がかかってごった返しているわけですね。

 それから、ヘリの運用も、私はヘリコプターのパイロットに聞いたんですが、背景に山があるところで非常に危険だということですね。それから、市街地の騒音問題も、これはアメリカ側が再三言っているようですけれども、解消しない。しかも、北部振興策の一環で出てきた国立の高専、高等専門学校があるんですね。それがもうすぐ間近にあるんですね。こういう環境にある。

 それから、陸地における環境問題は何かというと、これは意外と、海の場合、ジュゴンという話がありますけれども、陸地にも希少生物が随分すんでいる。海上にまさる反対運動が起こるんだ、こういうふうに、守屋次官は記者会見の中で、海上の反対運動はひどいんだ、陸上はそれほどでもないんだというような言い方をされているようでありますが、陸上だってこれは大変なことになりますよ。例えばあの基地に入るゲートを全部反対派が封鎖したら、これは建設の資材すら運び込めないような状況になるわけですね。

 私は、こういういろいろな障害がある中を仮に押し切って政策変更するというんだったら、これは一番恐れているのは、私は反対派に火をつけることになりかねない。来年は、これは余計なことかもしれないけれども、一月には名護の市長選挙があるわけですね。こういうこともぜひ視野に入れてこの問題を処理していただかなきゃならない。

 そういう中で、私は、どうしてもわからないんです。この陸上案に、長官初め防衛庁の皆さんが固執しているという言い方が適切かどうかわかりませんが。

 そこで、先ほどSACOの話が出たんですが、そうすると、長官の認識では、この陸上案というのはSACOを進めるものではないという認識なんですか。つまり、SACOの延長上にない、そういう御認識ですか。

大野国務大臣 まず、いろいろな角度から問題を分析していただきまして、本当にありがとうございます。

 そういう議論をやっていかなきゃいけない。自然環境の問題、どういうふうな問題があるんだ、騒音の問題、どうあるんだ、高専の問題をどうするんだ、いろいろな問題がありますから、それを我々はしっかり頭に入れて、固執するとかそんなことじゃなくて、何が一番ベストなんだろう、こういう意味で今検討しているわけでございます。

 それから、SACOの延長線なのかどうかということになりますと、これはもう解釈の問題でございますけれども、私は、やはりSACOの気持ちを酌んでSACOの合意の延長線上にあるのが、今建設をしようとしている、環境調査、ボーリング調査をやっておりますあの辺野古沖、これがなかなかうまくいかないから、やはり選択肢を考えて、よりベターなものを探していこう、こういう意味では、SACOの延長線上と私は考えてもいいのかもしれないけれども、やはり新しい時代の日米の協力関係、これを支えるもの、いわば米軍再編成のもとで抑止力を維持し、負担を軽減していく、この考えのもとで新しく見直していこう、こういう視点があろうかと思います。

長島(昭)委員 いや、これが解決しなかったら負担は軽減されないんですよ、長官。普天間はずっとそのまま維持されているままですよね。

 それで、SACOの延長線上で考えられなくもないというふうにおっしゃったんですが、それはちょっと私も聞き捨てならないといいますか、SACOにはこう書いてあるんですね。原文でいきましょうか、SACOのプロセスで三つの案が検討されました。ヘリポートの嘉手納飛行場への集約、いわゆる嘉手納統合案ですね。それからもう一つは、キャンプ・シュワブにヘリポートを建設する、これは今の陸上案に似たようなアイデアだと私は思います。そして、三番目が海上施設の開発及び建設。この三つを検討した結果、「海上施設は、他の二案に比べて、米軍の運用能力を維持するとともに、沖縄県民の安全及び生活の質にも配慮するとの観点から、最善の選択であると判断される。」こういうことなんですね。

 陸上案というのは、ここで退けられた案である上に、今申し上げたように、沖縄の県民の安全及び生活の質に配慮し、運用能力を維持するようなアイデアにはとても見えないんですね。だから、私たちは、非常にこれは、何でこういうアイデアが、ほこりをかぶったアイデアが今出てきたのか。これはぜひ国民の皆さんにも一緒に考えていただきたいんですけれども、ここは本当に注視をしていきたい、こう思うんです。

 しかも、このSACO合意を受けて、沖縄県はすったもんだがあったんです。九八年の二月に、前の大田県知事が県内移設受け入れ拒否、こういうことで、一時は北部振興策も全部、沖縄振興策も全部とんざした瞬間がありました。しかし、その後、今の稲嶺県政になって、条件つきで普天間基地の県内移設を受け入れる、こういうことになり、九九年の閣議決定、先ほど申し上げました十二月の閣議決定によって、日本とアメリカと沖縄県と、そして地元の名護市、すべての当事者が合意した形で、現行の辺野古沖合案が実行に移されることになったんですね。これらすべての当事者の積み重ねられてきた合意を、今回、防衛庁が提示をした案がある意味で吹き飛ばすような格好になっている。

 外務大臣、こういう今の状況を、日米安全保障条約をある意味で所管をする責任者として、外務大臣はどのように御認識をされているか、どのようにとらえておられるか、ぜひ問題を、問題関心といいますか、大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。

町村国務大臣 いろいろな経緯の中で、既にどのくらいになりましょうか、二年半以上日米間で議論が行われてきております。私も、昨年の九月、外務大臣を拝命してからずっとこの議論をやっておりますから、当然、前大臣の時代もこの議論があったわけでございます。

 いよいよ議論も最終的に大詰めの段階に来ておりますし、論点も限られてきている、こう思っております。その一つ一つについて、今、具体のことを申し上げられる状態にはないので、私は具体のことは申し上げませんけれども、いずれにしても大きな命題、抑止力を維持しながら基地所在地の負担をできるだけ軽減していこうという、ある意味では二律背反的な命題をどう解決していくのかということで、非常に幅広い議論をやってきて、それを今ぐっと絞ってきて集約段階にある、できるだけ早い機会に中間取りまとめもやりたい、こう思っているところでございます。

 今、委員から貴重な御指摘をいろいろいただきましたし、大野長官もお考えを述べられました。そういったことをすべて踏まえながら、できるだけ早いうちに日米間でまず中間的な意見集約をそろそろやらないといけない時期にまさに来ている、こう認識をしております。

長島(昭)委員 町村大臣、前任の大臣よりももう少し詳しく今まで御答弁いただいてきたと私は印象深く思っているんですが、もう少しきちっと答えていただきたいんですが、今言った、SACOの延長ではないようなアイデアが出てきて、日米交渉が今このように決裂寸前にまでなってしまっているんですね。

 聞くところによると、外務省は米側と同じように、浅瀬案でもやむを得ないだろう、こういう見方をとっている、こういうことですね。

 私は、この普天間移設がなかったら、小泉総理流に言えば、普天間移設なくして在日米軍再編なしだと思いますよ。それから、普天間はすべての再編につながる再編の本丸だと思いますね、私は。しかも、この程度の移設ができなくて、本当に在日米軍の再編ができるんですか。私は、だから申し上げているんですよ。民主党はこう言いました、もっと大事なことがある、郵政特もいいけれども、総理にぜひここへお出になっていただいて、本当に総理の口から、この大切な日米安保の根幹にかかわる問題について肉声を伺いたい、私はこう思うんです。

 大臣、もう一度大臣の御所見を伺いたいと思います。

町村国務大臣 昨年のヘリコプターの事故を見るまでもなく、普天間の移設、これは今回の再編成論議の中でまさに最も重要な課題の一つである、こう私どもも位置づけております。

 委員、何か決裂直前だと、何か太平洋開戦前夜であるかのごときの御発言がありましたが、私はそう思っておりません。これはさまざまな議論、もっと本当にいろいろなアイデアがあった、それからだんだん絞られてきている状態でありますから、それは確かに議論自体は激しく日米間で議論したり、あるいは政府の中で議論したりすることもありますが、私は、さっき申し上げたように、そろそろ決着をしなければならない段階に来ている、こう思っておりますので、日米間の意見の合意を見ないという事態は全く考えておりません。

長島(昭)委員 そろそろなんですが、大臣、相当時間がかかっているんです、これは。私が知っている限りでも、そもそも九六年の、普天間返還が決まったあの橋本・クリントン会談で発出された日米安保新宣言の中に、兵力構成については不断に見直していくんだ、こういう文言がありますね。そこから本来は、いろいろな国際情勢の変化に従って日米間は議論を積み重ねていかなければならなかったんですね。しかし、そういう努力が余りなされなかった。

 そして、二〇〇一年に九・一一が起こった。そして同時に発出されたアメリカのQDR、四年ごとの国防政策見直し、この中で初めてトランスフォーメーション、こういう言葉が出た。だから、日本側から見れば、そのころから世界的な米軍の再編があるということは予測できたんですね。

 しかも、二〇〇二年の十二月に、2プラス2で、これはもうはっきり言っているんです。新たな安全保障環境における日米両国の防衛体制を見直す必要性を踏まえて、両国の役割、任務、兵力及び兵力構成を議論する。これはさんざんこのとき以来議論を重ねてきているわけですね。

 しかも、おととしの十一月に、ラムズフェルド長官が日本に来られた。そこで沖縄を視察された。そのときに、普天間を見て、何と危険きわまりない基地だ、これは何とかしなければいかぬ、こう言った。これは物すごいモメンタムだと思いますよ。しかし、その後は何をしたか私はわかりませんが、その後、さっき外務大臣がおっしゃった、普天間の、沖縄国際大学にヘリコプターが墜落した事故があった。こういう事故やあるいはモメンタムがありながら、議論に議論を重ねて今日までずるずる来てしまったんです。

 特に、去年の九月、私は交渉決裂というのは何も大げさに言ったつもりではありません。あのときも、去年の秋には結論を出すという話になっていた。しかし、日本側がちょっと待ってくれ、こういうことで、翌年の四月にしましょうと、パウエル長官が来られて、ことしの四月までに何とかまとめましょうか、こういうふうに仕切り直しをしました。

 そして、ことしの二月に、共通の戦略目標で合意をして、さあもうそろそろ出てくるんだろう、こう思ったら、これはアメリカ側から言わせればですよ。日本側からは、何となく今までの議論の積み重ね、そして出てきた案は、今までの議論の延長線というよりは、何かあさっての方向から球が飛んできた。これはびっくりしない方がおかしいじゃないですか。外務大臣。

町村国務大臣 私は、寡聞にして、去年の九月にもう取りまとめが行われる直前であったという話は聞いておりません。そこまで議論が煮詰まったとも理解をしておりませんし、そういう資料もございません。

 ただ、私が去年の九月の終わりごろに大臣になりまして、いろいろな様子を聞いてわかったことは、余りにも各論が先行し過ぎている、これでは真っ当な議論にならないのではないかと思ったものですから、もう一度、別に何もそれまでの議論をひっくり返すという意味ではなくて、もう一度出発点、要するになぜこれをやらなきゃならないのかという共通認識、戦略目標をはっきりし、その上で、それぞれの日米が果たすべき役割、任務は何なのかということを明確にしながら、その全体像の中で具体の議論をしていこうではないかということをパウエル長官に申し上げ、そして、そういう議論に沿って、ことしの二月の2プラス2でまず共通戦略目標ができた。

 そこからすぐ一、二カ月でできるなんていうことを私どもゆめ思ったことはございません。実際にまだロールズ・アンド・ミッション、要するに役割、任務もようやっと今ここに来て文章化できるような状態になってきましたし、さまざまなケーススタディーがあります。実際に、普天間の移設先だって、相当いろいろなアイデアがそれは出てきたんです、あえてどこを何カ所とは申し上げませんけれども。

 そういう議論をだんだん積み重ねてきて、ここはアメリカが一方的にいら立っているという報道がありますけれども、それは甚だおかしな報道であって、彼らの検討に非常に時間がかかっている部分だってあるんです。我々の検討より時間がかかっている部分もあるんです。幾ら日本から資料を要求しても、それはもうちょっと待ってくれ、あと三カ月待ってくれといって、議論が延び延びになってきている部分も相当程度あるんです。それはしようがないんです。お互いに詰めて議論をやっていけば時間がかかる。

 何も僕らは、いたずらに議論を引き延ばして、後になればなるほど日本が有利になるとかあるいはアメリカが有利になる、そういう性格のことではないんですね。お互いの必要性、お互いが平和と安全のためにどういうことができるのかということで議論するのであって、何かアメリカがどんどん提案して、一方的に日本がノーと言ったり何か球を散らしている、そんなことではないんです。日本からも提案し、それを検討するので少し向こうも時間が欲しいと言って、どうしてもそこで二カ月間、ある程度そのテーマについては議論が中断せざるを得ないとか、いろいろな状況があって今日こう至っているのであって、新聞を見ると、何か日本が専らおくらせてアメリカがいら立っているという報道ばかりが先行しておりますが、日本だってアメリカ側の反応が遅いのでいら立っている部分だって実は相当あるんです。それはだからお互いさまで、そんなことを言い合ってもしようがないので、しっかりとした議論を積み重ねて今日、今ようやっと大詰めの段階に来ているんだ、こういうふうに私は理解をしておりますので、ぜひその点は先生も御理解を賜ればと思います。

長島(昭)委員 私が一番恐れているのは、このきょうの琉球新報の記事なんですね。今回、この協議がもし決裂といいますかうまくいかなかったら、普天間は現状固定なんですね。米海兵隊としては、協議が進まなければ今の普天間にそのまま居座り続ける、こういうことになりかねないんですね。私はこれを一番恐れているんです。

 だからこそ、日本側からはっきりとした政治的なイニシアチブが必要なんですね。私はそう思っています。つまりそれは、小泉総理がやはり表へ出てきてきちっとこの問題について決着を図らなければ、これはアメリカ主導になりますよ、最終的には。つまりは、居座るか、ラムズフェルド長官流に言えば、いてほしくないところにはおれたちはいるつもりはないといって全面撤退するか、このどちらかですよ。全面撤退すれば、それは沖縄の皆さんはせいせいされるかもしれませんが、日本の安全保障上、もしアメリカが全面撤退されたら、これは大変なことになりますよね。

 そういうことがありますから、今外務大臣からお話がありましたように、私もやはりもっと大きな話から詰めていかなければならぬと思うんです。つまりは、この二月に共通の戦略目標で合意しました。そしてその後、その合意に基づいて、任務、役割あるいは日本の能力、兵力構成、こういうものを議論して、それが多分中間報告に出てくることになると思いますから、そしてその結果、基地がどのように再編成されるかという話になるんですね。

 最後に一つだけ、この基地の再編協議の中に、自衛隊におられる制服組、いわゆる軍事専門家の人たちのアイデアがあるいは関与がどの程度あるかということを防衛庁長官からお話をいただきたいと思います。

大野国務大臣 この問題は、当然ながら、防衛庁内局それから防衛施設庁、そしてまさに今御指摘の制服組、三者が情報を共有しながら同じ方向に向かって進んでいかなきゃいけない、こういう問題でございます。これまでも、制服組に限って言えば、その場に応じて知恵をかり、いろいろ協議をやってまいっております。

 しかしながら、これはやはり私は、全体として、形の上でもきちっとこの会議の構成員をつくるべきだ、こういう意味で、最近指示をいたしまして、防衛庁長官を中心として、内局、防衛施設庁、それから統幕議長、三幕長、そろって情報を共有して今後のことを検討していく会議をやろう、こういうことを考えております。

長島(昭)委員 私は、ぜひ委員長に御提案をしたいんですけれども、これだけ非常に重要な問題ですから、ぜひ在日米軍基地再編問題で集中審議をしていただきたい、そして、この場に制服組の皆さんも出席をして、もっと中身の濃い大きな議論をぜひ国会でやっていきたい、こういうふうに思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

浜田委員長 理事会で協議させていただきます。

長島(昭)委員 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 民主党の細野豪志でございます。

 約一年ぶりにこの安全保障委員会に帰ってまいりまして、初めに質問の機会をいただいたことに感謝申し上げたいというふうに思います。

 早速ですけれども、これは防衛庁長官のごあいさつということになるんでしょうか、先日聞かせていただいて、多分通常国会はもう少しきちっとしたものを出していただけるんだろうなと思いますけれども、若干あっさりしているなという思いを持ちながら聞かせていただきました。

 自衛隊の平和協力活動については、テロ特、イラク特の議論について方向性が出ていますが、ここはまあまあ方向性はこういうことなんだろうと。また、トランスフォーメーションについては、今長島委員の方から質問がございまして、これはこれでもう少し深く議論をしていく必要があるだろうというふうに思いながら聞いておりました。

 一つだけ、ちょっと簡単にで結構なんですが、防衛庁の省への移行の問題なんですが、これについては政治の場において議論されるべきである、国会にこれは政府からすると丸投げをしているようなそういう答弁になっているんですが、簡潔で結構ですが、省へ移行することのメリット、それは長官としてはどのようにお考えになっているのか、まずお伺いしたいと思います。

大野国務大臣 メリットというよりも、私は、やはり日本の姿勢、安全保障問題、平和を守る、平和活動をやる、そして世界の平和のために貢献していく、こういう姿勢の問題じゃないか。

 つまり、最近、平和協力活動というのは非常に大事になってまいりました。その平和協力活動、いわば政策問題に入ってくるわけであります。庁といいますと、特定の事業を実務的にこなしていくというような響きでございます。まるで代理店みたいな響きがある。これでは困る。やはり一つの省として、法案提出権もある、予算提出権もある、そういう省としてどういう政策を実行していくのか、こういうことを国内外にそういうメッセージを伝えていく、これは大変大事な問題でございます。

 細かな議論は、先生今簡単にとおっしゃいましたので省きますけれども、私は、日本が安全保障にこれだけ大事な問題として取り組んでいるんだ、こういう姿勢を内外に示すことが一番大事だ。世界各国を見渡しましても、防衛をつかさどっている機関が庁という国はどこにもございません。

細野委員 私も、地元にたくさん自衛隊の基地を抱えておりまして、そういう方々とも議論する機会が比較的多いものですから、省の設置については一定のメリットがあればやっていくこと、また対外的に、庁より省の方がはるかにある意味でそういう意味での重みがあるんでしょうから、そういう部分は認めつつも、ちょっと逆に、庁から省になればすべて問題が解決するかのようなその議論も若干乱暴かなと思いながら、できれば民主党内でもこれから議論をしていきたいというふうに思っています。

 では、もう一つだけ。今、庁の状況にあって、実務的にこれは困ったなというところは長官としておありなのかどうなのか、これも簡潔で結構ですが、お答えいただきたいと思います。

大野国務大臣 現状の中で最善を尽くしております。したがいまして、そういう苦情は申し上げないことにいたします。

細野委員 わかりました。この問題はこの辺にしておきます。

 次も、これは内閣府の担当大臣にお伺いした方がよろしいんでしょうか、ちょっと本題があるものですから簡潔にお答えをいただきたいんですが、緊急事態基本法について、政府での検討状況を教えてください。

江渡大臣政務官 お答えいたします。

 お尋ねの基本法につきましては、昨年五月二十日に、与党と民主党の間で、緊急事態基本法(仮称)でありますけれども、骨子について了解がなされ、本年七月二十八日には、同法についての協議の経過についての合意文書に三党の責任者が署名したものと承知しているところでございます。また、本年八月三日には、緊急事態基本法(仮称)に関し、三党から官房長官に対し、三党とよく調整しつつ政府から可及的速やかに提出することなどについて申し入れがあったものと承知しているところでございます。

 政府といたしましては、このような点を踏まえ、必要があれば三党とよく調整しつつ、適切に対応してまいりたい、そのように存じております。

細野委員 これは我々としては、安全保障の政策としては最も重視をしているものの一つなんですね。

 一昨年、有事法制、民主党も協力をして法律をつくりました。去年は国民保護法制。一番足らざるは、やはりそういう法律を運用する上での体制だろうという思いがありまして、私どもから申し出て三党合意をきちっとつくっていただいたという経緯があります。

 確認したいんですが、では、次期通常国会には政府から緊急事態基本法をきちっと出していただけるということでよろしいですね。

江渡大臣政務官 今委員のお尋ねの緊急事態基本法につきましては、その提出の形式や時期を踏まえまして、与党と民主党の間の検討状況を踏まえながら適切に対応してまいりたいと思っております。

細野委員 これは、もちろん議員立法でできればやりたいという思いもあるんですが、現実的には、例えば危機管理庁というような組織をつくる場合に、防衛庁と警察庁と消防庁とまた地方自治体でどう調整していくのか、組織をどうつくるのか、そういういわゆる内閣府の組織内での議論がかなりこれは煮詰まっていかないと最終的にできないという部分があるんですね。

 適切にという話でございますが、政府としては、これは議員立法でやるべきだ、そういうふうにお考えという意味なのか、それとも、政府提出を考えられている、積極的に考えている意味なのか、そこについて御答弁いただきたいと思います。

江渡大臣政務官 お答え申し上げます。

 基本的には政府として提出したいとは考えておりますけれども、その辺のところも踏まえながら、今、議論を尽くしているところでございます。

細野委員 政府として出したいという表示がございましたので、期待をしたいと思います。

 通常国会、長いようで、実際には予算もありますし、四月以降の議論でどこまで詰まるかという議論もありますので、必要があれば我々も協議に出ていくことはやぶさかではありませんので、これは与党の皆さんへもお願いでございますが、政府からそういう答弁があったということを我々としてはしっかりと踏まえてこれからやっていきたい、そんなふうに思っています。

 続いて、先ほど岩屋筆頭理事の方から御質問もありましたが、中国の問題について少し質問させていただきたいというふうに思います。

 中国の防衛費が非常に多額で不透明であるというような、そんなお話が防衛庁長官からありました。この間、アメリカの議会で、こういう「中華人民共和国の軍事力」というレポートが出ていまして、これは当然長官も目を通されたと思うんですが、私も、邦訳が出てきたのでこれに目を通しました。

 そうしますと、これは非常にはっきり一つ一つのことが書かれておりまして、例えば「要旨」のところを見ますと、「人民解放軍の戦闘能力は、東アジア地域で活動する近代的な軍隊を持った他諸国に対して、かなりの脅威になるだろう。」と書いてあるんですね。近代的な軍隊かどうかというのは、自衛隊の場合は軍隊に入るかどうかという議論はあるんですが、恐らくここでは、そういうところは捨象して、日本も含めた東アジアの近隣諸国において間違いなく脅威になるだろうと書いてあるんですね。

 大臣、先ほど脅威ではないと言い切られたんですが、これは近隣諸国なので気を使ってという面もおありだと思うんですけれども、どれぐらいこの中国の問題に対して日米間で協議をしているのか。例えば軍事費についても、ここについては具体的に、二倍から三倍、金額とすると九百億ドル。日本円にすると、これは六兆円から七兆円ぐらいになるんでしょうか。日本が出している中国側の数字よりは倍以上という数字になりますよね。こういう数字を出してきている。

 しっかり日本側として情報をとって、米軍と協力をして、米国とも協力をしてある程度の備えができているのかというところが、情報量の違いと、御答弁を聞いていると、若干不安になるんですね。中国側の問題についてどういうことを想定して日本側としては今防衛力の整備をしているのかということについて、おっしゃりにくい面もあるかもしれませんが、もう少しお答えをいただければなというふうに思うんですが。

大野国務大臣 まず、日本とアメリカの協力関係でございます。

 その協力関係の中で、いざ鎌倉となったらどういうふうにやっていこう、こういう協議はもう日常茶飯のごとく継続的にやっております。その中身を申し上げるというわけにはいきませんし、中身を申し上げるということは敵に手のうちを明かすようなことになりますからこれは絶対言えないわけでありますが、私は、中国という問題に限って言っているわけではありません。一般論として、こういう脅威があったらこういうふうにやっていこう、こういう協議はやっているわけでございます。

 その上で申し上げますけれども、私は、中国を脅威と思っていない。しかし、先ほども岩屋議員にお答えいたしましたけれども、やはり今中国の軍事力の近代化、軍事予算の伸び方、透明性の問題、そして、やがては、今現在の軍事費は三兆一千八百億円ぐらいで、このまま一〇%以上で伸びていきますと、恐らく五年ぐらい先にはもう日本と同じような水準になるだろうし、透明性の問題からいって、三兆一千八百億円が倍になれば、倍だとそれは今既にもう追い抜いている、こういう状況をはっきりと認識していかなきゃいけない。注目すべきでありますが、脅威ではないし、また、仲よくしていかなきゃいけない国である、このように思っています。

細野委員 日本の場合は防衛費五兆円ですが、人件費が四割以上を占めるんでしたか。それを考えると、もう既に日本の防衛費を装備面においては凌駕しているというふうに言っても過言ではないと私は思いますよ。それも踏まえてぜひ対応していただきたい。

 特に、私が、中国のある意味でのこれから圧力という意味で考えると、島嶼防衛の部分についてはもう少し防衛庁が前面に出るべきではないか、そんなふうに思っています。

 具体的にさまざまな情報が最近出てきておりまして、例えば先島諸島の警備においては陸上自衛隊の駐屯を考える、また、尖閣諸島の防衛においては海上自衛隊が海上保安庁よりもむしろ積極的にこれはしっかり防衛していくべきではないかという考え方が防衛庁の中でも相当強く出てきているし、具体的な検討も始まっているというやに聞いておりますが、これについての長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

大野国務大臣 まず、新しい防衛大綱、もう委員お読みいただいていると思いますけれども、島嶼部に対する侵略に対しましては、部隊を機動的に輸送、展開して迅速に対応する、実効的な対処能力を備えた体制を保持していく、こういうことが書いてありますし、また、新中期防におきましても、輸送・展開能力等の向上を図り、島嶼部に対する侵略に実効的に対処し得る。やはり、今から島嶼防衛というのは大変大きな問題になってくるわけでございます。

 そういう意味で、第一混成団編成がえの問題、こういうことを具体的に考えておりますけれども、平時にどういうふうに考えるのか。この問題は先ほども議論させていただきましたが、一義的にはやはり海上保安庁の責務でございます。海上保安庁で足らざる部分は海上自衛隊がバックアップ体制をとっていく。その意味は、やはり常時、関係官庁、省庁が、情報の共有から始まって、いかなる場合にどういう体制をとっていくか、常時連絡、協調していかなきゃいけない。

 海上自衛隊の場合は、P3Cにしても多数持っております。したがいまして、哨戒監視、警戒活動というのは大変能力を有しているわけでありますから、必要に応じ、やはり情報をどんどんどんどん海上保安庁に差し上げていく。こういうことから始まって、きちっとこの連携体制をふだんからとっておく必要がある、このように思っております。

細野委員 検討されているということでございますので、その検討状況を見守りたいと思いますが、私も、ことしでしたか、尖閣諸島と、あと海洋権益上の係争になっている水域を見てまいったんですけれども、やはり海上保安庁があの広い水域を、しかもあの少ない予算で守るというのは相当大変なことでございまして、海上自衛隊としてのこれからのあり方、陸上自衛隊も含めて、島嶼防衛の問題についてはもう少し前面に出るべきだということは一つ指摘をしておきたいというふうに私は思います。

 あと、これは委員長にお願いなんですが、先ほどのトランスフォーメーションの議論を聞いていても、また日本の自衛隊のこういう問題を聞いていても、また日米間の協力関係という話が出ていても、必ず、この安全保障の問題というのは、これはなかなか軍事上の機密でという話が出てくるんですね。前々から私、理事をやっていたころから感じておったんですが、本当に、そういうきちっとこの中で議論をしなければならないけれどもオープンにできない問題については、限定をしてということで結構でございますけれども、秘密会をきちっとして、そして、それに関しては守秘義務を課して、国会議員にも罰則を設けるぐらいの、それぐらいのことをしないとこの議論はなかなか深まらないと思うんですよね。ぜひこれは、可能性も含めて、理事会で協議していただきたいというふうに思います。

浜田委員長 理事会で協議させていただきたいと思います。

 どうぞ質問を続けてください。

細野委員 残り十分ほどになりましたので、海洋権益の問題に話を移していきたいと思います。

 まず、先日行われた日中間の実務者協議ですが、防衛庁長官にまず質問をさせていただきます。

 日本側から、中国側に対する資源開発について幾つか発言がある中で、これしかペーパーにないものですから概要を見ておるんですが、「中国海軍の活動に関し、日中双方が東シナ海を「協力の海」としようとしていることと整合的でないと懸念を表明。」と非常に漠然とした表現をなされているんですが、「中国海軍の活動」というのは具体的にどういうことを指しているのか、これをお答えいただけますでしょうか。

今津副長官 近年、我が国の近海において中国の海軍艦艇の航行が行われておりますけれども、これらの海軍艦艇の中には、何らかの訓練と思われる活動や情報収集活動、海洋調査活動を行っていると考えられるものが確認されております。これは、平成十一年ぐらいが、防衛庁が航行を確認したものでありましても二十七隻ぐらい、平成十二年が十五隻と多かったんですが、その後少し少なくなりまして、また平成十七年、ことしになりましてから十隻ということで、かなり数がふえていることを確認いたしております。

 九月九日の午前九時ごろ、海上自衛隊のP3Cが天外天ガス田付近を航行する中国海軍のソブレメンヌイ級のミサイル駆逐艦一隻と、それからジャンフー・ミサイルフリゲート二隻、そして計五隻の艦艇を確認いたしております。海上自衛隊がソブレメンヌイ級駆逐艦を確認するのは、本年一月東シナ海において確認して以来二回目のことでございます。

細野委員 一部の報道によると、その艦艇から日本のP3Cが照準を合わされたという報道がありますが、これは事実でしょうか。

今津副長官 私も新聞では見ましたけれども、確認はいたしておりません。

細野委員 明らかに、東シナ海の係争水域のちょうど中国側、中間線より中国側に若干入っていて、日本の権益も侵しているかもしれないと言われている地域において中国海軍の活動が活発化しているんですが、これに関しては、ここで「整合的でない」、そういう非常にやわらかな表現があるんですが、これはしかるべき、きちっと当然外務省としてもやるべきでしょうけれども、防衛庁長官としても中国側にきちっとおっしゃっているという認識でよろしいんですね。

大野国務大臣 我々中国との防衛交流を促進したいという意味で努力をいたしておりますが、なかなかそういう面で意思疎通ができていないというような状況でございまして、今の問題点については確認していない、こういうことでございます。

細野委員 確認をしていないというのは、当事者ですからね、確認されていないことはないんでしょうが、事実関係は。

 少なくとも、防衛庁としても、この問題に関しては中国側に抗議すべきだと思います。こういう資源開発の問題にひっかけて向こうも出してきているわけですから、その場でおっしゃるのも、もちろんそれは一つ機会だと思います。これから日中関係を考えたときに、潜水艦の問題もそうでしたし、不審船、不審船は北朝鮮を中心ですが、さまざまな懸案があるわけですから、それについてきちっと抗議をできるような、そういう体制をつくっておかないとこれからむしろ懸念は拡大していく、特に海上においては拡大していくということは間違いないと思いますので、ぜひそのことは要望しておきたいと思います。

 時間もなくなってきたので、当事者である局長にもきょう来ていただいていますので、共同開発を日本側として提案したというんですが、どういう共同開発を提案したのか、御答弁いただきたいと思います。

佐々江政府参考人 お答えいたします。

 九月三十日と十月一日に日中協議というものが行われたわけでございますが、その際に、我が方から三点から成る提案をしております。

 第一は、白樺、中国名では春暁でございますが、それから楠、中国名では断橋でございますが、これらの中間線をまたがる構造を対象に共同開発を行うということ。それから第二点目は、それ以外の水域につきましては、中間線の西側は中国、東側は日本がそれぞれ試掘や開発を行うことについて、日中双方が異議を唱えない。そして第三に、共同開発について日中間で最終的な合意が得られるまでの間は、中国側は白樺、中国名春暁ガス田、それから樫、中国名の天外天のガス田等について開発作業を中止する。この三点を内容とする提案をしております。

細野委員 これも局長にもう一度確認をしますが、この共同開発の提案の中には、日本側が今試掘権を設定したこの鉱区は入るんですか、入らないんですか。

佐々江政府参考人 日本側では、先生御承知のとおり、いまだ試掘について具体的な形でこれが行われているということはないわけでございますが、基本的に我々が提案しているのは、現在中国側で試掘が中間線にまたがって行われている可能性があるということを中心に、我々としては、この中間線にまたがるものを基本的に対象にすべきであるという提案でございます。

細野委員 つまり、共同開発を日本側が提案しているわけですが、日本側の試掘の問題は、違うエリアで、ちょうど中間線の本当にきわどい線においての共同開発を提案した、そういう理解でよろしいわけですね。それを前提で申し上げればそれで結構です。

 それを前提で申し上げると、これは経済産業副大臣にお伺いしたいんですが、これはもう周知の事実ですが、まさにそこで開発が行われ、炎が上がり、それがまさに商用開発されて運ばれようとしている中において、試掘の問題がずっと日本側の、どうするのかという議論になってきているわけですよね。ここは本当に、日本側としてまずはきちっと日本側の主張に基づいて権益の確保をしていく、これは当然のことだと思うのですが、副大臣、これは逃げずに、もちろん民間企業がやることだということなんですが、現実的には日本側が何らかのそれに対する警護活動をしていかないととても掘れるような領域ではない、領海ではないというのは明らか、海であるというのは間違いないですから、今の時点での経済産業省としてのお考え方を聞かせていただきたいと思います。

小此木副大臣 お答えをいたします。

 細野委員はこれまでもこの問題について、当初中川大臣とも経産委員会でも議論はされてきたというふうに思いますし、その中で、やはりこの問題については国としても慎重な対応をしてまいりました。しかし私も、この委員会の中でのお答えだというふうに思いますけれども、この問題に対する選択肢の大きな一つに、試掘をするということは妨げないというお答えをしたというふうにも思います。

 そして、慎重な対応をしてまいりましたが、試掘権というものをずっと出願に対して許可してこなかったわけでありますけれども、ことしになって許可をしてまいりました。民間企業というお話がございましたけれども、その民間企業である帝国石油が試掘をするという具体的な計画は聞いておりませんけれども、しかし、そういう実施をする場合は、国とともにいろいろな協議を想定しながら協議をして対処していこうというふうな思いでおります。

細野委員 試掘の意思は、私は実際には民間の会社ではなくて国がやるべきものだと思います。

 実務上の問題は別にして、ぜひ政府として取り組んでいただきたいということをお願いして、済みません、せっかく杉浦副長官に来ていただいているので、最後に法整備の問題について、先ほど長官からは必要性は感じないというお話がありましたが、現実的には日本の国内法というのは、科学的調査とは何なのか、また資源調査とは何なのかという定義が国内法にないんですね。要するに、何が違反行為かというのが書かれていない中でここまで権限を侵されてきたという現実があるんですね。

 今与党の皆さんとも協議をして新しい法整備をしていますが、政府としてぜひ取り組んでいただきたい。この部分について、積極的な御答弁をいただきたいというふうに思います。

杉浦内閣官房副長官 細野委員の御質問でございますが、今経済産業副大臣が申されたとおり、試掘は民間企業、試掘権者が一義的に行い、許可の条件の中に、行う場合は政府と相談するという条項が入っておりますから、実際、なさる場合には、こちらと相談されることになると思います。

 現時点において、そういう試掘の計画があるというふうには伺っておりませんが、将来、試掘をなさるという場合には、当然御相談があると思います。政府としては、その時点の状況を踏まえながら、経産省、外務省、防衛庁、海上保安庁等、政府が一体になって適切に対応していきたいと考えております。

 法整備の点ですが、現時点でそれが必要であるという見きわめはついておりません。現時点ではいたしておりません。また、先生がおっしゃったように、民主党あるいは自民党でも議員立法で検討されているように伺っておりますので、これは立法府の動きでございますが、そのお話の進行状況を伺ってまいりたいと思っております。

細野委員 どうもありがとうございました。

浜田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党の辻元清美です。

 先ほどから出ております普天間米軍基地の整理縮小に伴います日米の米軍再編の問題につきまして、防衛庁長官を中心に御質問したいと思います。

 実は、私は一九九六年に当選いたしまして、九年前でした。十二月二日にSACOの合意ができた三日後に当安全保障委員会が開かれまして、私が国会議員になりました初質問が、このSACOの問題についての初質問だったんです。その後、九年間、ずっとこの問題についてはフォローし、そして先日も辺野古の現場に行ってまいりました。一体どうなっているんだろうということを自分の目で確かめたいと思い、調査にも行ってまいりました。

 さて、九年たったんですけれども、やはり沖縄の県民の皆さんは、なかなか進展しないということで、非常な怒りと失望というものがあるというふうに受けとめて帰ってきております。そういう中で、この間、非常に緊張した状況が続いている中での当委員会であるというように理解しています。

 さて、そこで、防衛庁長官、先日の御発言で、沖縄県民の過重な御負担を軽減するために頑張っていきたいというような趣旨の御発言をされました。この過重な負担の軽減という中身、どのように御理解されているんでしょうか。

大野国務大臣 九六年からずっと安全保障問題、いろいろ御熱心にお考えいただきまして、ありがとうございます。

 今回、我々が取り組んでおりますトランスフォーメーション問題、言うまでもありません、一番は抑止力の維持、そして、それに伴って地元、特に沖縄の負担の軽減を図っていく。負担じゃなくて、やはり日米協力し合いながら日本、極東の平和と安全を維持していく、この面もある、このことをまず申し上げたいと思います。

 その上で、まず、SACO合意によりますと、沖縄の負担というのは、日本全体の基地の七五%が沖縄に集中している、こういう現状はやはり打破していかなきゃいけない。仮にあのときのSACO合意を着実に達成したならば、例えば日本全国全体の基地の七〇%ぐらいになるはずでございます。まだまだSACOの延長線上で努力していかなきゃいけない問題があります。一例でいいますと、北部訓練場の早期返還の問題が大きな問題として残っているわけであります。

 それから今、今回のトランスフォーメーションで、これは具体名を言うのは御勘弁いただきたいのでありますけれども、やはり基地の統合とか共同使用とか、こういう問題で考えていかなきゃいけない、こういう問題があります。したがいまして、基地を共同使用する、お互いに一緒の場所でいろいろな運用を考えていく、こういう問題から出てくる問題であります。

 さらに言うなれば、騒音とか、それから危険性の問題、こういうこともあるわけでありますから、総合的に考えて、単に基地だけの問題じゃなくて、基地の面積だけの問題じゃなくて、危険性とか安全性とか自然環境の問題とか、いろいろな問題から総合的に考えていくべき問題であると考えております。

辻元委員 今、自然環境という話が出まして、辺野古に参りまして、私は、本当に美しい海で、あそこに基地をつくるというのはちょっと悲しい、人間として悲しい気分になりました。そういう中で、辺野古の縮小案ということも今出てきているという話も出ていましたので、まず辺野古の問題から検証したいと思うんです。

 防衛庁長官は、こういう裁判が行われていることを、ジュゴン裁判と言われていますけれども、御存じかどうか、まず伺いたいと思います。

 これは、辺野古沖に施設を建設することについて、日米の環境保護団体、日本人、そしてジュゴンも原告になって、ラムズフェルド国防長官を被告として、サンフランシスコの米連邦地裁に裁判が提訴されました。これは、ラムズフェルド長官はかなり意識されていて、僕はジュゴンに訴えられている、先日、小池環境大臣がワシントンに行かれたときにそういう発言をされたということなんです。

 なぜかといいますと、これはアメリカ連邦法の歴史保護法に基づいて争われることになるんですけれども、アメリカでは、米国以外においても、米国と同様の制度で指定されたものに対して、米国政府の事業が悪影響を及ぼす場合には、担当部局は、その事業に同意するより前に悪影響を防止し、または軽減するために当該事業の影響を考慮しなければならないと定められていて、アメリカの国内であかんことは海外でもあかんやないかというような、はっきり言いましたら、そういうような法律だと私は理解しています。

 この日本のジュゴン、日本のというか沖縄のジュゴンが、このアメリカで言う歴史保護法に基づくものに指定されるかどうかというところが一つの争点でした。

 ラムズフェルド国防長官の方は、海上施設の建設は日本政府が行っていることである、米政府が直接関与していないということと、それから、ジュゴンがこれに当たるのかという争点を出して却下の申し立てをしたんですが、先日、三月二日にサンフランシスコの地裁は、ジュゴンは沖縄県民にとっての文化財、歴史的な重要性からこのアメリカの法律が適用されるということで、この裁判が始まりました。ラムズフェルド国防長官の却下の申し入れが拒否されたんですね、棄却されました。

 これは、アメリカでもこの裁判の行方というのは非常に注目されております。この裁判そのものへの証拠開示がこれから進んでいくわけですけれども、この裁判の行方次第では非常に大きな、辺野古ライトの問題も含めてなんですけれども、影響が出ると私は思うんです。

 この裁判そのものについては御存じだったでしょうか。

大野国務大臣 ジュゴン裁判というのは報道で存じておりました。その後、勉強させていただきまして、今、辻元先生がお述べになった粗筋については理解しておるつもりでございます。

辻元委員 これは、アメリカの国内でもちょっと静かに火がついていると言ったらおかしいんですけれども、弁護士やそれから環境団体が非常に注目しております。なぜかといいますと、既にアメリカの連邦最高裁の非常にこういう厳しい判決が前に出ております。

 それは、国内の問題だったわけですが、一九七八年六月十五日に、アメリカの連邦最高裁の裁判において、これはテネシー川に百億円以上の経費をかけたダムをつくろうとしたんですけれども、おおむねこのダムができかけていたときに、十センチほどの小さなスネールダーターという絶滅危惧種が発見されてこの公共事業はストップしたという判決がアメリカの中で出て、これ以降、この判決は非常に重く受けとめられているわけです。こういう、連邦最高裁は、種の絶滅はどのようなコストがかかろうとも防止しなければならないというのが連邦議会の明確な意思である、絶滅危惧種は連邦政府の主要な任務よりも優先順位が高いという判決が出ております。

 ジュゴンが果たしてこれに当たるかどうかというところもまた一つの裁判の争点になるかと思うんですが、水産庁の方に聞きたいんですけれども、ジュゴンは絶滅危惧種と言われるものであるかどうか、お答えいただけますでしょうか。

井貫政府参考人 水産庁が一九九八年に編集いたしました日本の希少な野生水生生物に関するデータブックにおきまして、ジュゴンについては絶滅危惧種と評価されておるところでございます。

辻元委員 ジュゴンも絶滅危惧種であると。

 私は今回、SACOの合意で、先ほど防衛庁長官がちょっと反省という言葉を述べられた中には、やはり環境との共生や地元住民の皆さんの感情を考えたときに、ちょっと無理があったなというお気持ちを察しながら、反省という言葉をお聞きしておりました。

 これはアメリカ国内でも、これからこの裁判が始まっていく中で、結局、先ほど申し上げましたように、歴史保護法に基づいて国内の基準が外国に適用される場合、このジュゴンというものについてもそれが適用されるということが裁判所では認定され、裁判が始まる。一方で、アメリカの中では先ほどのような判決も出ております。

 ということになりますと、この裁判そのものの行方によっては、この辺野古の今までの案も、それからいわゆるリーフ案と言われるものについても、これは中断を余儀なくされる可能性があるというところまで私はきちんと見越しておかないといけないと考えていますが、防衛庁長官、いかがですか。

大野国務大臣 今のジュゴン裁判でございますけれども、原告が日米の環境保護団体等でございまして、等の中にジュゴンが入っている、ジュゴンが原告のお一人だと。いや、おもしろいなと思って、興味深いなと思っておりますけれども、何しろアメリカの裁判でございます。アメリカの裁判について、私としては、やはりいろいろな考え、所見を述べるということは差し控えさせていただきたいな、このように思っています。

辻元委員 それは、よく係争中のことにつきましてはというのは、どういう判決が出るかわからないのでなかなか今言えないと。どういう判決が出るかわからないんですよ。

 これは、今ここに私はその判決文というか、この間ラムズフェルド長官の棄却されたものを持っていますが、まさしく原告は沖縄ジュゴンなどと書いてありますね。下にラムズフェルドと書いてあるわけですね。

 私はやはり、この辺野古、それから辺野古ライトというのは無理があると思いますし、先ほど民主党の議員の方がおっしゃって、いろいろ質問されていましたけれども、シュワブの中にというのもかなり無理があると。

 これは、SACOのこの合意のときにも一つの焦点になったのは、住民の理解が本当に得られるのかという点でした。それは、沖縄の負担を軽減する、しかし、辺野古の沖合に新しいものができるじゃないか、そうすると、これは負担軽減というより新しい基地、それも、あの美しい海の上にコンクリートの塊でつくるということですから、新しい基地ができる、負担の軽減と違うやないか、それから、ほかに持っていくといったら基地のたらい回しやないかという議論が、SACOの合意のあの時点でもかなりそういう意見が出たわけです。

 そういう中で、自治体選挙は確かに私も、岸本さんや稲嶺さん、大田さんの選挙などのときも現場に行っていました。ただ、辺野古の場合は、住民投票では、これはノーという住民の意思も示されたわけなんですね。ですから、もとからやはり県内に移設していくということの無理が今噴出してきているように見えます。

 その中で、小泉総理がこういう発言を先日予算委員会でされました。これは辺野古の皆さんについてです。「地元の実情、そして座り込みをしている方々の強い阻止の決意、御苦労を私もよく理解しているつもりであります。」そして、もう一つ、これはある講演で、小泉総理がこういう発言をしています。これは昨年の十月一日、東京都内の講演ですけれども、沖縄以外の都道府県のどこに持っていくか日本政府は考えて、自治体に事前に相談しなきゃいけないことがあるかもしれないと。やはり、なかなか中でというのは難しいというような認識はお持ちだと思うんですね。

 特にこの辺野古の、防衛庁長官も辺野古に行かれたかどうか、辺野古の海を見られたかどうか。地元の住民の皆さん、この方々、小泉総理も座り込みをしていらっしゃる方々という、わざわざこれはここを指して発言していますけれども、こういう地元の感情についてどのように受けとめていらっしゃるのか。

 私は、先ほど反省という言葉の中に、やはり環境と地元の皆さんへの配慮についてのお気持ちが込められていたと思いますね。ですから、そこはいかがかを最後にお聞きし、先ほどの裁判については、非常にこれから世論が盛り上がっていく可能性もあるというところを重々ちょっと検討していただく価値があると私は思っております。いかがでしょうか。

大野国務大臣 まず申し上げたいのは、米軍が日本に駐留している、このことでございます。

 これは、日米安全保障条約に基づきまして、米軍は日本とともに日本の安全を守ってくれている、平和を守ってくれている、こういう存在でありますから、大変大きな抑止力になっている、このことは十分認識していかなきゃいけない。その上で、やはり実際に基地のあるところには大変な御負担をおかけしている、このことも我々は十分配慮していかなきゃいけないわけでございます。

 その場合に、この駐留しているアメリカ軍と地元の皆様がいつもけんかばっかりしている、相反した行動ばっかりしている、これは大変不幸なことじゃないか、私どもはそれを少しでも解消していきたいがために、やはり地元の皆様に十分御説明をして、地元の御理解を得られるような基地にしていかなきゃいけないなと。

 なかなか難しい課題でございますけれども、そういう意味で、先生がおっしゃったようなあらゆる側面、自然環境のことを特におっしゃいましたけれども、騒音とか自然環境、あるいは危険性とか基地の大きさとか、あらゆる要素を勘案して、せっかくSACOの合意の延長線上で辺野古沖の案ができたわけですけれども、振り返ってみると、十年たってまだなかなか進んでいない。こういうことも反省していかなきゃいけない。あれが十分進んでいけば、あの普天間飛行場の移設問題が昨年急に浮かび上がってくることはなかったわけですから、そういうことも反省しながら、あの苦渋の選択は辺野古だった、しかし、今まさに、もう一つ苦渋を抱えながら、今先生もおっしゃったような意味でもよりよき選択をしていきたい、このように思っています。

辻元委員 終わります。

浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時八分散会


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