衆議院

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第3号 平成18年3月16日(木曜日)

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平成十八年三月十六日(木曜日)

    午後三時八分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 寺田  稔君 理事 仲村 正治君

   理事 吉川 貴盛君 理事 神風 英男君

   理事 長島 昭久君 理事 佐藤 茂樹君

      安次富 修君    小里 泰弘君

      大塚  拓君    北村 誠吾君

      笹川  堯君    高木  毅君

      谷川 弥一君    福田 良彦君

      宮路 和明君    山内 康一君

      山崎  拓君    細野 豪志君

      前田 雄吉君    渡辺  周君

      田端 正広君    赤嶺 政賢君

      保坂 展人君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        金田 勝年君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   外務大臣政務官      山中あき子君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  藤岡 文七君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   西山 正徳君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     笹川  堯君

  辻元 清美君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川  堯君     石破  茂君

  保坂 展人君     辻元 清美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(在日米軍再編問題)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に在日米軍再編問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府沖縄振興局長藤岡文七君、防衛庁防衛参事官西山正徳君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛施設庁長官北原巖男君及び外務省北米局長河相周夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。

仲村委員 私は、常日ごろ、確固たる安全保障政策の確立は独立国家存立の基本であり、その立場に立って、日米安保条約は我が国の平和と安全、安定に不可欠であるということは、私の信念ともいうべきことであります。同時に、その平和と安全、安定を維持する負担は、全国民が公平に負担すべきことは至極当然のことであります。しかし、日米安保条約に基づく在日米軍基地は、一体どうなっているのか。

 ここに在日米軍関係のグラフを持ってきました。日本全国の面積は三十三万七千八百六十三平方キロ、沖縄県の面積は二千二百六十九平方キロ、全国の面積の〇・六%です。これはもう虫眼鏡でなければ見えないぐらいですね、沖縄の面積というのは、〇・六%。そこにどれだけの米軍基地があるのか。全国の在日米軍基地の七五%です、七五%。こんなに沖縄に米軍基地があるということをぜひわかっていただきたい、このように思っております。

 しかも、沖縄の米軍基地は、昭和二十年に米軍が上陸して占領し、勝手気ままに基地をつくり、戦後六十一年間、しかも沖縄が本土に復帰して三十四年もなるが、今もって占領当時の延長線上のままであります。この現状を外務大臣そして防衛庁長官はどのようにお考えなのか、その所感をお聞かせください。

麻生国務大臣 今、円グラフをもってお示しをされましたけれども、地理的条件も、そういう地政学的な見地等々いろいろなこともあったとはいえ、沖縄に非常に基地が集中しておるという事実は私どもも強く認識をしているところでありまして、そういった意味で、基地の軽減の負担ということに関しましては、非常に重要な問題だと心得ております。

額賀国務大臣 私の地元の茨城県の潮来市の出身の政治家で、自民党幹事長をなされた橋本登美三郎先生という方がいますが、昭和三十九年、池田内閣の後、佐藤政権が生まれたとき、内閣官房長官をしておりました。佐藤政権ができた当初から沖縄返還を目指したわけであります。そして、結果的に沖縄返還をなし遂げていくわけでありますけれども、その負担をどういうふうに縮小していくかということは歴代政権の悲願であったわけであります。そして、日本の独立をどうやって獲得していくかということだったと思います。そういう経緯を私も先輩の皆さん方から聞かされておりますので、仲村先生がおっしゃることはよくよくわかります。

 したがって、今度の米軍再編においても、抑止力を維持しながら、沖縄を中心にして負担をどう軽減していくかということが最大の焦点であります。しかも、その焦点として、普天間の全面返還を目指そう、それに伴うさまざまな、土地の返還とか、負担を軽減していこうということで、私どもも、仲村先生と一緒に、共通の認識に立ってこの協議に参加をしているつもりであります。

仲村委員 今回の米軍再編が、パッケージで七千人の海兵隊のグアムへの移駐、嘉手納基地以南の相当程度の基地の返還をすると言っているので、それが実現すれば沖縄の負担が大幅に軽減されると思うので、大いに期待というか評価をしたいところであります。

 それでは、具体的に発表されている点について質問します。

 まず、那覇軍港の全面返還についてであります。那覇軍港は、既に五年前、浦添地先に移設をするということで、現在の那覇軍港は返すというふうになっているところでありますけれども、今回、あえて那覇軍港の全面返還ということが言われております。これは、現在の那覇軍港も返還して、そして浦添に移設する施設も要らない、こういうことであるのかどうか、これを明確にしていただきたいと思うのであります。

 次に、キャンプ・キンザー、牧港兵たん基地の全面返還も言っておりますが、これも代替施設なしで全面返還をするということであるのか、加えて、いつまでにそこを返還するのか、はっきりしていただきたいと思います。

額賀国務大臣 基本的には、SACOの計画、合意というものは生きております。そして、那覇軍港については、できるだけ早く、返還を加速化させるということで、SACO合意に記されていると思っております。

 今回、米軍再編に伴って、その那覇軍港の返還を加速させる、全面返還をお願いしたいということを強調すると同時に、今仲村先生がおっしゃったように、我々は牧港等六施設について返還要求をして、今、日米間で協議の大詰めの段階を迎えているということでございますので、いつまでにということまでまだ決まっておるわけではありませんが、そういう返還要求で、全力投球で交渉中であるということでございます。

仲村委員 ちょっとよくわからないんですが、那覇軍港は、移設条件つきで返還ということで昭和四十八年に決まった。そして、三十年間もう全く動かなかった。ようやく、那覇市長が保守になり浦添市長が保守になって、それを浦添地先に移すといって作業を進めている。那覇軍港の全面返還というのは、現在の那覇軍港もそして移設する施設も返す、こういうことなのかよくわからないので、その辺はぜひ明確にしていただきたい、このように思っております。

 私のきょうの質問の最重点の問題は、普天間基地をキャンプ・シュワブ沿岸に移設決定した点についてであります。そのやり方はまるで、戦後六十年間、米軍が容赦なく押しつけてきた占領政策によって、県民に有無を言わさず沖縄に基地をつくった方法と全く同じ手法で、沖縄県民に新たな危険な基地を押しつけようとすることにほかならないのであります。

 それは、米側でさえ、この沿岸案は周辺集落や住民の安全が担保できないということで、昨年十月中旬に米側は強く辺野古海上の浅瀬案を主張したが、日本側が聞き入れないため、ラムズフェルド国防長官はそれに不快感を示して訪日を取りやめた、こういう報道もなされていたところであります。また米側は、十月六日から二十日まで沖縄に来て、辺野古の海上の浅瀬案がよいとしきりに言っていた。それは、去年十月二十日と十月二十一日の新聞報道に明確に示されております。さらに、直接日本側と交渉に当たっていたローレス副次官も最後まで海に出すべきだと主張したが、とうとう折り合わずに、ローレス氏は業を煮やして米大使館に戻り、夜遅く当時の大野長官に電話して、もう沿岸案でいいや、そのかわり責任を持てと捨てぜりふみたいなことを電話で言ったと報ぜられております。

 このようなことを考え合わせると、この沿岸案というのは日本側の何名かの役人の主張であったとしか思えない。本当に政治家がそのようなことを考えたのかなと私たちは疑問を持たざるを得ないのであります。

 名護市も、何が何でもつくらせないと言っていないのです、海に出して安全を担保すべしと言っているのであります。それでも日本側が沿岸案を見直す考えはないか、政府が自己主張を通すために県民の安全を無視してもよいということであるのか、明確に答えていただきたいと思います。

額賀国務大臣 もうこれは仲村先生がお地元でございますから、一番よく承知をしているわけでございますけれども、橋本・モンデール会談で普天間の全面返還が行われることになり、その後、地元の皆さん方の御意見もあって、基本計画をつくるまでに六年間ぐらい月日を経過いたしました。その後、このSACO案について、実施に移すためにいろいろ環境調査、ボーリング調査等々を行おうとしたけれども、結果的には実施に至ることができなかった。そうしたときにヘリの墜落事故が起こって、これはあわや一大惨事になりかねないということで、この普天間の一日も早い返還をなし遂げなければならないということで、当時協議をしていた米軍再編と自衛隊の改革の協議に伴い、従来のSACO案の普天間返還を一日でも早く実現するための新しい知恵として再び日米間の協議の課題に持ち上がって、米側は縮小案、日本側は陸上案を主張していましたけれども、最終的にキャンプ・シュワブの陸上案と海上を併用した今の沿岸案で日米間で合意をしたということでございます。

 私どもは、この原則に従って、今、日米間の協議を行うと同時に、名護市を初め沖縄県民の皆さん方の御理解を得るために誠意を持って話し合いを行っているところである。もちろん、沖縄の場合は、この普天間問題だけではなくて、嘉手納の騒音の防止のために訓練移転の問題もあるし、先ほど話題になりました、嘉手納以南の土地の返還等々、さまざまな問題について総合的に議論をしているところであります。

 私どもは、地元の皆さん方の納得を得ないままこの問題を処理することはありません。全力投球で地元の皆さん方に説明をし、納得ができるような形のために全力投球をしているということでございます。

仲村委員 ぜひ、民主国家としてのきちっとした手続を経てこの仕事をやっていただきたい。私たちが沿岸案はだめだと言うたびに、いや、現行案だ現行案だと、全く聞く耳を持たない状態でありますので、私はここで声を荒げてそのような質問をしたわけであります。

 また、二月十三日、シーファー駐日米国大使は沖縄での講演で、沖縄側から新たな提案があれば検討することもやぶさかでないと言ったのです。しかし政府は、直ちにこれを否定して、あくまでも沿岸案でいくという考え方を表明し、さらに、頻繁に関係者がしばしば沖縄に来て、あたかも泣く子をすかすかのように振興策をちらつかせるようなこそくな説得をしていますが、どのような振興策でも安全にはかえられないということをしっかりわかっていただきたい。

 私は、ここではっきり、安全が担保されない限り私たちはこれを受け入れるわけにはいかない、この点を強く申し上げておきます。今新たな基地をつくろうとするところは、海も山も沖縄県民のものです。政府の強権的手法に屈することがないことをはっきり私はここで言っておきます。

 ハワイで現在日米間の最後の詰めの作業をしているようですが、必ずしもスムーズにいっているような感じはいたしません。ローレスは、最終合意を2プラス2で地元に押しつける形にしたくないので、外務・防衛担当閣僚の2プラス2開催を拒否する、こういうふうに言っているわけです。これは、米側が、いかに日本側の考えが地元から反対されているかを示したものだと思っております。

 これについての所感をお聞きしたい。

額賀国務大臣 今仲村先生がおっしゃるように、昨年の中間報告に基づいて、さまざまのテーマについて最終合意を目指して大詰めの協議を続けていることは、先生のおっしゃるとおりでございます。

 我々は、政府で考えたことを押しつけるのではなくて、地元の皆さん方の意見を聞いたり要望を聞いたり、あるいは、日本の安全保障上、防衛上の立場、それから主体的な意見、そういうことを踏まえて日米間で激しくやりとりをしているということでございます。ですから、簡単にアメリカの言うとおり納得するわけでもないし、自分たちの言い分についてきっちりと物を言っているから、激しい論争になるのは当たり前のことでございます。

 そういう中で日米同盟の言ってみればよさというものが生まれてくるのだろうというふうに思っております。日本の言い分を押しつけるだけでもいけないし、アメリカの言うことを聞くだけでもいけない。そういう中で、日本の安全と地域の安全というものを確保するために全力投球をしているということでございます。その話し合いの骨格は、昨年十月の2プラス2の中間報告がその中心をなすものである、その上に立って詳細を詰めているということを御理解いただきたいというように思います。

仲村委員 私は、何も自分の考え方を述べているのではないのです。これはちゃんと新聞報道で出されているのですよ。最終合意を2プラス2で地元に押しつける形にしたくない、外務・防衛の2プラス2開催を拒否する、こういうふうにローレスが言っているということをぜひわかっていただきたいと思うのであります。

 次に、嘉手納基地の航空機の離発着回数を、七万回を四万回に減らし、その分、本土の各自衛隊基地に分散移転するという点についてであります。分散移転を予定している基地所在市町村のほとんどが反対と言っているのですが、果たしてその同意が得られるか、答えてほしい。

 さらに、アメリカのローレス副次官は、嘉手納基地のF15の訓練の分散移転について、日本は訓練を相当減らすと言っているが、米側は、訓練の減少は考えていない、日本側の間違った情報や未熟な内容が地元に流れ、誤解や批判を招くことを懸念している、こういうことを言っているのであります。これについて日米間の考え方に大きなそごが感じられるけれども、この点についてはっきりしていただきたいと思います。

額賀国務大臣 これは、嘉手納基地の騒音等の負担をできるだけ最小限にしていくために、この嘉手納の訓練をどういうふうに分散していくかということが一つであります。もう一つは、分散することによって、アメリカ及び日本の抑止力の機能が失われていくこと、縮小していくことでもいけない。だから、日本の国内の中で移転をして訓練がなされていく、あるいは日米の間で共同訓練をしていく、そういうことによって抑止力を維持しながら沖縄の負担を軽減する方策を探っているというのが本当の姿なのでございます。

 もちろん、訓練移転について、はい、わかりました、いらっしゃってくださいというところはどこもありません。しかしながら、日本全体の安全保障を分かち合っていくために、各基地の皆さん方に我々が先頭に立ってお願いをし、そして今、説得を試みているところであるということでございまして、決して日米の間で問題意識が食い違っているとか歩調が乱れているとかということはありません。

仲村委員 私が言っているのは、皆さんは、嘉手納基地の騒音を減らすために本土の各自衛隊基地に移設をすると言っているけれども、アメリカは、日本が考えているほど嘉手納の基地負担は減らない、間違った考え方をしている、こういうことを言っているのですよ。それはぜひしっかり、皆さんが私たちに発表したこととアメリカが言っていることは違っているということを私は指摘しているわけであります。

 次に、海兵隊七千人、最近は八千人とも言っておりますが、グアムへの移転、移駐という経費、これについて、私たち沖縄県民にとっては、びっくりというか、本当に跳び上がるような朗報だと思っております。なぜか。それは、沖縄で米兵が起こす事件、事故、犯罪が大幅にそのことによって減少すると思うからであります。

 そこで、その七千人あるいは八千人の移駐はいつまでに実施完了するのか。その点について、沖縄県民の立場からすると、五年以内には完了しないと、何のための米軍再編であったかということを言いたいのであります。

 次に、その移転の費用について、今月七日から十一日までに日米間で話し合われ、米側は、八十億ドルとか百億ドルとかで、ざっと一兆円とも言われている。しかも米国は、日本側にその七五%以上の負担を求めていると言われております。日本はそれにどのように対応していかれるつもりであるのか、また、その負担について法的な根拠があるのかないのか、それを負担するとすればどうすればいいのか、この点についてはっきりしていただきたい。

 今お尋ねしたのは、七千人の移駐を五年以内に完了できるのかどうか、そして、その移転費用について、アメリカの要望にこたえられるのかどうか、その点であります。

額賀国務大臣 中間報告において、海兵隊司令部をグアムに七千人移転しましょうということで合意がなされたわけでありますが、その後、最終報告に向けて協議している過程で、アメリカ側が八千人グアムに移転してもよいということで、今度は八千人の基礎の上に立って今協議が行われているということは、先生のおっしゃるとおりでございます。

 我々も、できるだけ早く移転が完了するように努力をしたいというふうに思っております。アメリカ側に任せておくと二十年も三十年もかかるということでは、海兵隊移転がうたわれても何の効果もない、沖縄県にとっては縮小にならないということでありますから、その際は我々の負担が生じても、できるだけ早く沖縄海兵隊のグアム移転を実現していくことが沖縄県民あるいはまた国全体のプラスになることではないかという考え方で、日米間で協議をしているわけでございます。

 そして、先般、我々は政府において、このグアム移転等々につきましては、資金的な、財政的な支援も含めて、今後この中間報告を実現するためにやっていこうということを閣議決定いたしておりますので、そういう方向で今、財政の問題、どういうふうに負担をしていくかということについては話し合いが行われているところであります。

 集中的にこの議論をしておりますから、実際に具体的な数字が出ておりますけれども、それは、アメリカ側の要求であったり、あるいはまた、日本側としては日本側の立場、それから日本側のスタンスというものがあるわけでございまして、詳細について今はっきり述べることはできませんけれども、我々は、負担を最小限にしながらこのグアム移転を実現させるために精力的に議論をしているところである、仲村先生のおっしゃるように、短期間にこれを実現していくためには一定の負担が必要であるという認識を持っているところであります。

仲村委員 先ほどお聞きしたように、アメリカは、八十億ドルとかあるいは百億ドル、その七五%を日本に負担しろと。一兆円の七五%、七千五百億円。これはもうとてつもない、気が遠くなるような予算であります。それを出す法的な根拠があるのかないのかということをお尋ねしたんですが。もしそれが決まったらどういうふうな対応をされるのか。

 それからもう一つ、もう時間だそうですので……

浜田委員長 時間なので、済みません、よろしくお願いします。

仲村委員 はい。

 今、これだけの経費をかけて移転させるわけですよ、七千人か八千人。それで、私は、国際情勢が緊迫して、ドンパチが起こってまた沖縄に戻ってくるということがあっては絶対にならない、一たん移転させれば二度と沖縄に帰ってこないということをしっかり約束していただきたい。この二点をお尋ねいたします。

額賀国務大臣 今まさに、どれくらいの負担がかかるかについて日米間で真剣に議論をしているところであって、まだ決まっているわけではありません。したがって、それをどういう手法で対処するかということについても、これはまだ議論の過程でありますので、今申し上げる段階にはないということをぜひ御理解いただきたいというふうに思っております。

 一方、海兵隊がグアムに移転するということは、それは、日本の防衛と地域の安定、あるいはまたアメリカがこの日本を守るため、あるいは地域の安全のための戦略に基づいた一つの考え方であるというふうに認識をしているところであります。(仲村委員「いやいや、ドンパチが起こっても絶対に戻ってこないという約束をしてほしいということです」と呼ぶ)

 ドンパチが日本で起こった場合には、これは日米で、同盟関係で日本の国民と国家の安定に努めなければなりません。そういう仮定の状況について今の段階できちっと申し述べることはできませんけれども、日本の安全と地域の安定は日米同盟関係と日本の防衛力でなされているということをはっきりと我々は認識しなければならないというふうに思います。

仲村委員 どうもありがとうございました。

浜田委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 私も、同じく米軍基地再編問題についてお尋ねしたいと思います。

 先般、十二日の日でしたか、岩国における住民投票で、岩国市側が受け入れるということについて非常に反対が多数であったということで、大きなニュースになりました。

 こういう国の安全保障に関することを住民投票にかけるのがいいか悪いか、そういう議論はございますが、それはそれとして、しかし、国の安全保障という政策と地域の民意、ここのバランスというのはやはり大事なことだということは、この投票結果を見ても明らかだと感じます。

 したがって、防衛庁長官、これは大変難しい問題で、非常に悩ましい事案だと思いますが、今後、この岩国の問題については、今までも努力されて、説明会等やってこられたと思いますけれども、どういうふうに誠意ある対応をしていくのか。もしここがしっかりしなければ、全体計画、いろいろな形で、連鎖反応といいますか、いろいろな影響力が出てくることを心配するわけでございまして、そういった意味で、防衛庁長官の御決意をお願いしたいと思います。

額賀国務大臣 先般の岩国市における住民投票の結果については、田端委員と同様の認識を持っているところであります。

 ただ、質問の仕方が、あれは、空母艦載機の移駐について賛成か反対かということの設定でございますから、私どもはやはり、この日米同盟関係というものが日本の安全、地域の安全にとってどれだけ意味を持っているのか、そしてまた、国全体でこの安全保障の体制というものはつくり上げていかなければならないということについてしっかりと説明をしていかなければならないし、米軍再編に伴って、負担の軽減と、それから日本全体の安全保障を維持していくためにどういう話し合いが行われているかということについても、いろいろと話をしなければならないというふうに思っております。

 それから、従来の岩国基地の騒音等の負担を軽減するためにその滑走路を一キロメートル沖合に出していることでございますから、仮に空母艦載機が来たとしても、今度、いわゆるうるささ指数の七五以上の地域というのは従来の千六百ヘクタールから三分の一の五百ヘクタールに縮小されるということ、あるいはまた、住宅防音措置を受けている家屋というのは一万七千世帯から四千世帯に縮小されていくというように、従来の負担からすれば相当軽減されていく中で今度の岩国市に対する新しい負担をお願いしているということをよくよく説明していくことが大事だというふうに思っておるところであります。

田端委員 ぜひ、誠意ある対応で、地域の皆さん、地元の皆さんに理解をいただくよう、汗を流していただきたいと思います。

 今仲村先生からも御質問があった普天間の問題も基本的にはやはり同じだ、私はこう思っております。つまり、普天間が閉鎖されて海兵隊がグアムに移って、そして沖縄における負担が軽くなるという意味では、これはもう普天間という問題は大変大きな問題であるわけですが、しかし、逆に言うと、今度、ではどこに持っていくかという意味で、辺野古沖のこの案が果たしてどうかというところで、今大変悩ましいことになっているわけであります。

 SACO案で辺野古の沖合ということになっていたわけでありますが、しかし、それがなかなか進んでいなかった。そして、昨年の十月でしたか、2プラス2の中間報告においてキャンプ・シュワブ沿岸という案が出てきたわけでありますが、しかし、この案がまたいろいろな意味で悩ましいことになっています。例えば豊原集落とか久志集落とか、その近くにあるものですから、飛行経路が住宅に近くなるという意味で、地域では大変心配なさっている。稲嶺知事も、前の沖合案が不可能なら、さらに超不可能な案が出てきた、こういう言い方もされているようでありまして、そういった意味で、この地域の皆さんにとれば、安全性確保、危険回避、こういう問題は、まさに今回のキャンプ・シュワブ沿岸案というものに大きく問題提起されているわけであります。

 それで、私は、これらのことが、三月末という一つの期日が迫っているものですから、今、地元との話し合いがどういうふうに進んで、どういう経緯になっているのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 今我々は、名護市あるいはまた沖縄県につきましては、日米の協議についてその報告をする傍ら、地域の皆さん方からいろいろな質問を受けたりしておりますので、そういうことについて丁寧に文書で返答をさせていただいたりしておるところでございます。

 また、私も、知事さんとか市町村長さん、あるいは地域の方々が東京に来られたときとか、そういうときに公式、非公式にお会いして、いろいろな意見を聞かせていただいたりしているところでございます。そして、防衛庁の立場、政府の立場というものを我々も説明させていただいたりしているところであります。

 私は、従来のSACO案が結果的に実現の日の目を見ることができなかった。これから同じところで海上でやる場合に、それから環境調査だとかいろいろなことをやっていくと十数年かかるかもしれない。そうすると、十数年間何もしなくていいのかということになるといかがなものかということで、今度の沿岸案というものが生まれてきたわけでございまして、今度の日常のヘリの訓練というのはほとんど海上で行われるわけであります。計器飛行といって、天気が悪いときに小型の輸送機等が陸の上空を飛んで離発着が行われるということでございますけれども、ほとんど北に向かって離発着が行われていくわけでありますから、私は、住民に対する負担というのは最小限に抑える形で計算がされているというふうに思っておりますので、この中間案の原則に基づいて、残る二週間余りですが、全力投球で地元の人たちと話し合いをさせていただきたいというふうに思っております。

田端委員 今回の普天間基地の移設は、ここが今回の再編問題のかなめだと私は思っているんです。これがはっきりしなければ、すべてほかのところにも影響して、いろいろな意味で日米間が変なことになるんじゃないかということを危惧しているわけでございます。

 実は私、昨年、この辺野古のところへ行ってまいりました。ちょうどボーリングしてやぐらがまだあるときだったんですが、あれはたしか四つだったと思いますけれども。そして、やぐらを挟んで反対派の地域の人と施設庁の関係の人とがにらみ合っている、こういう中でずっといろいろな行動がありましたが、そういうときに感じたことは、しかし、ここは非常に自然のすばらしいところであること、そして、例えばジュゴンとかサンゴ礁とか、これはもうなくてはならない資源だ、一目見てこう感じました。ちゅら海と言いますけれども、本当に美しい海だということを実感したわけであります。

 そういう意味では、まさに地元の人の思い入れというのが大変あるんだろうということを、現場に行って私は感じたわけです。両大臣は恐らくもう何回も行かれているんだと思いますけれども、これはやはり、そういう意味では、現地というのは非常に自然というものを大切にした地域であるということがよくわかりました。

 それで、実は今回、そういう中で、三月の八日ですか、地元名護市の末松助役が、平島、長島を除く案ということを修正的にお述べになりました。そして、滑走路を南西の方に移動した海上案、こういう、少し修正した、ずらしたことをおっしゃっているようであります。これは、私は一つの考え方だと思いますし、非常に地元の意思もあり、しかし、国の安全保障という大きな立場も考えられた提案ではないかと思います。

 しかし、残念ながら、三月末という期限があって、今言われている修正案というべきこの案が、地元案と言っていいんでしょうか、今度逆に、アメリカとの折衝とかいろいろなことがあるんだろうと思います。これはいいんだろうと思いますが、しかし、三月末という時期、こういう非常に時間のない中でこの問題が提起されているわけです。この辺のところについて、防衛庁長官の御見解を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 先般の名護市の市議会において末松助役から、従来のSACO案から今の沿岸案にかけてのエリアでつくってもらったらどうだという修正案が出たということは承知しておりますけれども、実際に、具体的に政府がその案について説明を受けているわけではないのであります。したがって、これに公式に私がコメントするのがいいのかどうかということになってしまいますので、ちょっと控えさせてもらった方がいいのかな、こう思っております。

 ただ、従来のSACO案と今の沿岸案を総体的に比較してみますと、従来のSACO案は、太平洋上のど真ん中に出て、深さ四十メートルぐらいのところを埋めていかなければならない、防波堤もつくっていかなければならない、工事は難航をきわめる、金もかかるということがありますが、今の沿岸案は、陸上から入っていく、そして工事がしやすい、工事費もそんなにかからない、工事期間も短くて済む。それから、辺野古案のようにサンゴ礁をつぶすことはない。若干藻場については影響がありますけれども、今度、市の方でお示しになった案だと、相当藻場をつぶしていくことになると思います。しかし、政府が出している中間案のこの沿岸案は十ヘクタールから十四ヘクタールぐらいで最小限に抑えているとか、そういう総体的に見て、我々は、住民の安全、環境等々から考えて日米の間で合意をさせていただいたということはぜひ御理解をしていただければありがたいというふうに思っているところであります。

田端委員 長官、そういう意味で、三月末という期日は大変重いんだろうと思いますが、やはり地域の意思、気持ちということを考えれば、少し延期とか、何か柔軟な考えというのはおありなんでしょうか。

額賀国務大臣 これは、日米間で三月末を最終合意の目標にしているわけでありますから、日米間の協議も、さまざまのテーマがあったけれども、大詰めの協議を迎えている。同時に、地元の皆さん方にも我々は誠意を持ってしっかりと説明をし、地元の言い分も聞きながら納得がいく形をぜひつくりたい。その原則は、中間報告に基づいてやらせていただきたいということでございます。

田端委員 私は、対アメリカということはございますが、やはりこの辺野古沖のここが決着しないと、これは全体に影響するものですから、ぜひ、丁寧に、慎重に、そして地域に誠意を持って取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。

 麻生大臣に、同じ質問になるかもわかりませんが、グアム移転の問題について、先ほども議論があったところでありますが、百億ドルという大変な金額、その七五%ということをおっしゃっているようでありますが、これはなかなか難しい問題だと思います。

 きのうの毎日新聞でしたか、きのう各紙出ておりましたが、米当局者発言要旨として、「グアム移転は二〇一二年までに実現したい。しかし、普天間飛行場の移設をまず軌道に乗せなければならない。移設問題が動きだすまでは、海兵隊のグアム移転は実現しない。また、移転資金拠出がなければ移転しない。」こういうふうに明確にアメリカ側は言っているようであります。

 そうしますと、もうますますこの普天間移設とグアム移転、これが二重に絡んで大変大事なポイントになっているわけでありますが、しかもそこにまたお金が絡んできた、こういうことであります。

 この日米の交渉の中で、現行の地位協定あるいは特別協定の中にはこういったことは記されていないと思いますが、もしこういうことになれば新たな特別協定みたいなものをつくる必要があるんではないか、こういう思いがいたしますが、どういうふうにお考えになっているんでしょうか。

麻生国務大臣 田端先生、二つだと思いますけれども、一つは、いわゆる南部の方から北部の方に移転をするという話がまずは決まらないとどうにもならぬというのは、まず確かです。そこは、もともとは人口密集地のところから、少なくとも人口がそんなに過密なところではないところに移転をする。危険は、言っておきますけれども、密集地の方が過疎地の人と、一対一で見れば人の命は軽重ありませんので、その意味では同じですけれども、人身事故が起きる確率が減ることは確かですから、そういった意味では、過疎地に移していくというのは、基本的には、私どもとしては正しいであろうと思っております。

 ただ、問題は、今、グアムに移転、家族を含めて約一万七千とか八千とかいう数の移転ということになりますと、これは、先ほどの仲村先生の御意見にもありましたように、事は早ければ早いほど、基地の負担は軽減されることははっきりしております。したがいまして、沖縄米軍としては別に今のところにずっといててもちっとも困らぬわけですから、私どもの方はそれは困るということで移転という話になっておりますので、その移転を促進させるためには、今のままだと十年先か二十年先かわからぬというのでは私どもも非常に困難をきわめますので、移転の費用に当たりましては、その一部を負担するというようなことは考えておかないかぬだろうなと思っております。

 ただ、問題は、その額、内容、支払い方法等々につきましては、これはいろいろなことが考えられるのでありまして、私どもも、その額もまだ定かに決まっているわけじゃありませんし、内容もよく明確に決まっておりませんので、今の段階からこの法律でこうしますとか、いや、それは適用するものがないからこの法律を新たにつくりますというようなことを、今この段階で申し上げられるような段階にはございません。

田端委員 時間がありませんので終わりますが、非常に時間的制約の中で、しかも、地域の皆さんにも理解していただかなきゃならない、しかし、日本の国の安全保障政策であるという、大変難しい問題が何重にも、幾重にも絡まった今回の問題だと思います。

 しかし、私は、ぜひ地域の皆さんに対するスタンスをしっかりと置いていただいて、今後とも粘り強い汗を流していただくようお願い申し上げて、終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 まず冒頭に、この米軍再編のための集中審議を開催していただきました、御尽力いただきました浜田委員長初め与党側の理事の皆さんに、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 本件は、我が国の安全保障に直結をし、日米同盟の根幹にかかわる問題でありまして、しかも、この後詳しく議論をさせていただきますが、相当な税金が投入される可能性があるという意味で、国民への説明責任をきちっと果たしていただかなければならない大変重要な問題だというふうに思います。

 三月末の日米間の最終合意までにこのような委員会審議が本委員会で開かれるかどうか、こういう機会がまたあるかどうかについては非常におぼつかないところもありますので、きょうは、まず最初、総括的な質問から入りたいというふうに思います。

 第一番目、この再編協議の進め方についてであります。

 最近、安倍官房長官がこうおっしゃっていますね。地元の合意が得られなくても、日米両政府で在日米軍再編の最終報告をまとめる、こういう御発言をなさっていますが、これは明らかに順序が逆だと思うのですね。説明を尽くして、そして、地元の皆さんもある程度納得された上で日米合意をするというのが筋だと思いますけれども、ぜひ、防衛庁長官、この場で、そういう手法はとらないというふうにしっかり言明をしていただきたいと思います。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 これは、安倍長官の御発言をよく見ますと、この問題について地元と精力的に話し合いをしている、他方で日米協議を促進しているというような話をしているわけでございまして、政府の立場は一貫しておりまして、地元の理解、地元の説明をきちっとした上で、納得した上でこの問題の解決を図るということが基本的な姿勢であるし、我々は一貫してその形で地元に対して説明をしてきているというのが本当のことでございます。その上でこの問題の解決を図っていきたいというふうに思っております。

長島(昭)委員 そうしますと、今、田端委員の方からも御質問がありましたけれども、仮に、地元の理解がもう少しで得られそうだ、しかし三月末日を迎えそうだということであれば、アメリカ側に対して、少し合意の期限をずらしてほしい、こういうこともあり得るということなんでしょうか。

額賀国務大臣 私は、話し合いをしている、外務大臣とともに責任者であります。三月末までに結論を得るために最大限の努力をするつもりであります。

長島(昭)委員 ストレートにお答えいただいていないのですけれども、ぜひこの順番を逆にしないでいただきたい。

 なぜかというと、もし仮に強行されることになれば、つまり、頭越しにアメリカ側との合意を先にして、それから地元にもう一度持ち帰るということになると、やはり地元の皆さんの反発はそれだけ深くて大きいものになるということだと思いますので、そこはぜひ順番を取り違えないでいただきたい、こう思います。

 それから、第二番目は、グアムの経費負担の問題です。

 これもぜひ外務大臣にお答えいただきたいのですが、前回、私、この場所で、グアムの移転費用、立ち退き料という説明では申しわけないけれども承服できないと。

 その後、恐らく参議院も含めて委員会などでいろいろな説明をなさってこられたと思うんですけれども、政府の説明ぶり、どんな形で国民の皆さんの納得を得られる説明をなさっておられるのか。この委員会でぜひ議事録にとどめたいと思いますので、もう一度改めて、グアム移転費の性格というか意味づけについて説明をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 表現が、立ち退き料が品がなかったかもしれませんけれども、基本的には、今沖縄にあります在沖縄米軍の移転の件を促進するということは沖縄の負担の軽減につながる、これが第一であります。

 その軽減を負担させるに当たって、兵隊、家族含めて約一万七千、八千ぐらいの人が在沖縄から移転をするというのは、そこにおります軍人、家族の絶対量が減りますので、したがって、事故等々、いろいろな事件の起きる確率は減ることになります。そこを考えていきますと、それをなるべく早くというのが沖縄の希望。

 傍ら、在日米軍の方は、別に今移転する必要はないわけですから、何も今すぐ移転しなくてもいい、金もないと。時間をかけてずうっと十年、十五年、二十年ということになると、沖縄としてはなかなか納得がしがたい。そうすると、私どもとしては、なるべく早く移転をしてもらうためには、ある程度の経費を負担するという態度、姿勢というのが必要なのではないか。

 問題は、その中身につきまして、この間、ボウリング場とかいろいろ出ておりましたけれども、その内容に関してまで私ちょっと詳しく知りませんけれども、今から詰めねばいかぬところだとは思いますが、その負担の仕方が、いわゆる真水で出すのかローンでやるのか、またはいろいろなやり方が考えられるところであろうと存じます。

 したがって、その経費の支払いの方法また内容等々につきましてはこれ以後さらに詰めていく必要があろうと思いますが、基本的哲学は、沖縄の負担をなるべく早く軽減させる、それが主たる目的でありますので、それに伴って、一連の負担を私どもとしてはある程度覚悟しておるというように御理解いただければと存じます。

長島(昭)委員 もう繰り返しはいたしませんが、もう少しこの地域の安定、安全というものを考えた説明ぶりをしていただければありがたいと思っています。

 今外務大臣いみじくもおっしゃった、内容がよくまだわからぬ、こういう話なんですが、北米局長、ぜひお答えをいただきたいんですが、まだ内容がわからないんですか。十月三十日に日米合意をして、経済的な負担のやり方について考えると合意文書に書かれていて、もう四カ月以上たっていて、報道はもう幾らでもなされていて、まだ内訳が外務大臣ですら判然としないというのは、これは交渉担当者として問題だと思うんですが、いかがですか。内訳をそろそろ明らかにしていただきたいと思います。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 十月末に中間的な取りまとめをやった、その中で、今話題になっています、七千もしくは今八千に及ぶかという海兵隊のグアムへの撤退、移駐という問題がございまして、日本側として、資金負担その他適当な措置を検討するということを言っておるわけでございます。

 それ以降、幾つかの場で米側から、一体どういうプラン、どういうそれに伴う経費が必要になってくるかというのは、段階的な説明はございます。ただ、まだ経過途中ということでございまして、今この場で、この内訳として、こういうものについてこういう額が必要なんだと確定的に申し上げる状況にはまだ至っていないということで御理解いただければと思います。

長島(昭)委員 この間の米軍再編の議論は、いつもこういう政府側の説明なんですよ。つまり、今地元の皆さんがフラストレーションを感じているのは、地元に対する説明もない。それから我々国会に対しても、今言ったように、協議中ですから確たることは申し上げられません、この繰り返しなんですね。

 だけれども、新聞によると、去年の十月のあの合意の後は三十億ドルと言われていた。年明けになったら七十六億ドルになった。最近は百億ドルですよ。これはオークションをやっているんじゃないんですから。どんどんどんどん金額が協議のたびに上がっていく、これはどういうからくりなんですか。

 そろそろ、我々と情報をシェアして、日本政府としての、あるいは日本国の納税者としての意見をアメリカ側に伝える、そういう姿勢が必要だと思うんですけれども、いかがですか、もう一度。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 本件資金負担に関しましていろいろな報道がなされているという事実は私どもとしても承知しておりますけれども、その報道自体、いろいろな推測に基づいたものかというふうに思っております。

 そして、まさに経過措置、いろいろな米側との協議の過程の中で、やはりかなりの大規模な施設を必要とする。これは、基本的に言えば、司令部が移るわけでございますので、その司令部の施設も要る、また、家族を含めて動くわけでございますから、その生活に関連する住宅等々の施設が要るということでございますけれども、具体的に一体どれだけのものが要るか、そして、それについてどれだけの経費がかかるかということを積算するのは必ずしも容易なことではない。その中でいろいろな議論がなされている。その議論をできるだけ早く最終的に確定をして、その中でかちっとした形での議論を進めていきたいというふうに思っている次第でございます。

長島(昭)委員 前回も申し上げましたけれども、何とか日本側が負担の軽減を求めていて、それならば、ではこれもつくってくれ、あれもつくってくれと向こう側から足元を見られてやられてはしないか、そういう国民の皆さんの不安や不信感があるということをぜひ認識していただきたいし、やはり同盟の安定的な維持のためには、強化のためには国民の支持というのが絶対ですから、そこはやはり外さないでいただきたいというふうに思います。

 それで、十二日の日経新聞に、日本の負担三兆円を見込む、米軍再編について、こういう記事が出てまいりましてびっくりをしたんです。しかも、この報道によりますと、長官、防衛費からこの三兆円というのが捻出されるというような説明になっているんですね。

 三兆円もの経費を防衛予算から捻出するということは、その分、正面装備も削られる、あるいは隊員の皆様の給料も減らされることになりかねないわけなんです。これを見ると、普天間代替施設の建設費が約一兆円、それからグアム移転費が九千四百億円ですから、これも約一兆円、そういう積算の根拠になっているんですけれども、こんな話になっているのかどうか。そして、こんな規模で防衛費に手をかけるようなことになるのかどうか。

 もっと言えば、例えば沖縄の基地再編についてはSACOという特別の協定を結びました。SACOの別枠で、防衛費とは別枠で出していましたね。今回のように全国、これはネーションワイドでやるわけですから、全国版のSACOと言っても過言ではないと思うんですね。

 ですから、これは防衛費から出すのではなくて、やはり別枠でこういう予算を組んでいく必要があると思うんですけれども、その辺の防衛庁長官としての御見解をいただきたいと思います。

額賀国務大臣 これは長島さんと手を組んでしっかりと話し合いができるんじゃないか、こう思っておりますが。

 今、防衛庁の予算というのは、人件費も含めて五兆円弱なわけであります。そして、我が国の周辺というのは、もう御案内のように、非常に不安定な要因がある。そういう中で我々が国民の安全と地域の安定を図っていくために、これ以上装備等の予算を減らすわけにはまいらない。まして、弾道ミサイル防衛について新しい体制をしいていこうとしているときである。そういう流れの中でそういう新聞記事が書かれているとすれば、その書いた人は極めて偏狭的な視点に立って書いているにすぎないと思っております。

 これはやはり政府を挙げて取り組むべき問題である。しかもなおかつ、このグアム移転に限らず、全国的な基地の縮小、再編というものを考えていくわけでございますから、防衛予算とは別に、新SACO方式で考えるのが適当であるというふうに思っております。

長島(昭)委員 ぜひしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 さて、ここは安全保障委員会ですから、私、負担の軽減の話だけするつもりはありません。抑止力の維持というものも、我が国の安全保障を考えたら大変重要なポイントだと思うんです。

 ここから先はちょっと仲村先生には耳をふさいでいただきたいんですが、沖縄から海兵隊がグアムに移転することは、沖縄の負担が減るという観点からは、これは非常にハッピーなことだと思います。先ほど外務大臣もおっしゃったように、総勢で一万七千、八千人、家族も含めてグアムに移転する、これは画期的なことだというふうに思うんですが、抑止の観点から本当に大丈夫なんだろうかという一抹の不安はあるんです。ここはぜひ国民の皆さんに対して説明責任を果たしていただきたいと思うんです。

 それはどういうことかというと、沖縄の海兵隊というのは、年間で約百回ぐらい海外訓練に出動するんですね。私が海兵隊関係者から直接聞いたところによると、ある月、ある時期は、半分以上の海兵隊員が沖縄から出払うという瞬間があるそうですね。しかも、二〇〇四年の夏から年末にかけて、ちょうどイラク戦争の一番激しい時期ですけれども、31MEU、沖縄の海兵遠征部隊二千二百人、それから3MEF、海兵遠征軍の三千五百人、計約六千人が出払っていた時期があったわけです。私は一度、以前、この点について、抑止は大丈夫か、こういう質問をさせていただいたんですが、それは残りまだ一万人ぐらいいるわけですから大丈夫だ、こういう話であったし、また、グアムとかで別の航空機やそういうもので補てんをするというような説明がありました。

 しかし、今回、司令部機能という、そういうときにずっと残っている人たちが七千人、八千人グアムに移転するわけですから、そうすると、今申し上げたような空白の期間というのが今後、非常に継続的に生ずる可能性があるのじゃないか。これを、どの国とは特定しませんが、ああ、あんなに、もぬけの殻じゃないかということで、抑止がきかない、そういう瞬間がこれから出かねない。

 この点について、防衛庁長官は、抑止の観点から、今回のグアム移転について、本当に大丈夫だという保障といいますか、その辺の手当てはどうなっているのか。いや、そこは自衛隊で補てんするんです、自衛隊の役割をもう少し増してその分の穴埋めをするんだ、こういう見解も一理あると思うんですけれども、その辺のところ、防衛庁長官としてどういう政策を持っておられるのか、ぜひ国民の皆さんに説明をしていただきたいと思います。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 基本的には、日米同盟関係を維持していく中で、日本の安全と地域の安定を保っていくということが軸になっているわけであります。この米軍再編において、我々は、抑止力の維持をする傍ら、負担の縮小を図っていくということで、日米のそれぞれ陸海空の司令部機能の情報の共有あるいは運用等々を図っていくことになっております。一方で、ミサイル防衛の体制をしいていく。

 そしてまた、アメリカはアメリカの戦略で、ハワイ、グアムそして日米同盟関係、この機動的な対処の中で、日本の安全及び地域の安全、安定、あるいはまた中東からアジアまでの不安定の弧に対する対応というものを考えているだろうというふうに思っております。

 技術力、輸送力等々の急進歩の発展等々と日米同盟関係の強化ということから、いささかの心配もなくこの体制をつくっていくことが我々の仕事であろうというふうに思っております。

長島(昭)委員 時間があればもう少し突っ込んだやりとりをさせていただきたいんですが、次に進みたいと思います。しっかり、ぜひ抑止の観点を忘れずにやっていただきたいと思います。

 最後は、普天間の問題です。

 先ほど来、仲村先生、田端先生からお話ありましたように、普天間基地の移設が滞っている、大変な難渋をしている。これは政府の立場も私もわきまえているつもりですが。先日、新しい島袋名護市長さん、沿岸案なら話し合う余地はない、沿岸案の話をするんだったらもう会議はいいということで、施設庁長官ですね、三十分の予定が十五分で終わっちゃった、こういう報道がありました。

 一方で、先ほど田端先生の方から御紹介がありましたが、名護市として修正案というものを市議会で説明をされた。さっき、防衛庁長官、自分はまだそれを正式に提案を受けていない、こうおっしゃったんですけれども、しかし、全くトータル・ノーではなく、何とか日米安保体制のために歩み寄ろう、そういう姿勢を地元の方がいろいろな政治的リスクを抱えながら示していただいているんですから、それは提案が来るのを待っているんじゃなくて、そんなのが聞こえてきたけれどもどうなんだといって、ぜひ真摯に向き合っていただきたい、こう思うんですね。

 一方、小泉総理は、政府案を変えるとまた問題が起きる、何とか政府案でまとめてほしい。そんな硬直したやり方で本当にまとまるか、僕は非常に不安でいっぱいなんです。

 麻生外務大臣は、これは外務委員会の審議でしょうか、米軍も日本政府もそれから地元も少しずつ譲歩すべきだというような発言をされたかと思います。ですから、政府もぜひ譲歩していただきたい。

 それから、これはまた、仲村先生が先ほどお触れになりましたが、アメリカのシーファー大使、先月那覇で講演して、よりよい考えが出てきたらそれを採用する可能性もある。つまりは、アメリカ側はかなり柔軟なシグナルを送ってきていると私は思うんですね。

 そうすると、外務大臣も意外と柔軟、総理は別として、何か防衛庁だけが沿岸案で頑張っちゃっているような、防衛庁が余り頑張り過ぎて日米合意がもしまとまらなかったらこれは大変なことになると思いますね。もしまとまらなかったら例えば特措法とか、そういうふうになったら本当に沖縄の政治がめちゃくちゃになると思うんです。

 防衛庁長官、ぜひ柔軟にこれは対応していただきたいと思うんですが、修正の余地が場合によってはあるのかどうか、ぜひお答えいただきたいと思います。

額賀国務大臣 今、この問題については、日米間の問題というよりも、これは日本の国内の問題でありますから、我々と沖縄県、名護市との間での問題であるというふうに思っております。

 したがって、私は何も、先ほど、末松助役が話された提案について、報告は聞いていないとは言いましたけれども、名護市の人たちと全然話し合いをしていないわけではありません。さまざまのルートを通じて、沖縄市民の皆さん方がどういうことを考えているのかということについては逐一情報を入れ、そしてまた、地元の皆さん方がどういうことを望んでいるのか、そういうことをよくよく考えながら最終的な合意を取りつけてまいりたいというふうに思っておるところであります。

 ただ、基本的に、中間報告の骨格を変えるわけにはまいらないということであります。

長島(昭)委員 今微妙な表現をしていただいたと思うんですね。骨格は変えないと。シーファー大使は概念的合意という言い方をされていますね。つまり、あそこで出た、大浦湾にちょっと突き出たようなあの図が、我々も拝見しましたけれども、寸分たがわずあそこにどんと来るというのではなく、いわば概念的な合意なんだ、骨格なんだ、今こうおっしゃったので、ぜひこれ、最後の瞬間に額賀長官が、前は大野長官だったんですけれども、当時まだ長官ではなかった額賀長官がセーブといいますか入られて、日米交渉の最後の取りまとめに尽力されたのはよく存じ上げておりますけれども、言ってみれば、額賀長官があそこで何とか十月三十日の取りまとめまで持っていった。だったら、それを長官がある意味で撤回をして、よし、この修正案でいこうと、日米合意のために、あるいは沖縄の、名護の地元の人たちのためにこれを翻しても、だれも非難する人はいないと僕は思うんですよ。ですから、ぜひ、これは実現することが目的なんですから、そこはやはり大胆に動いていただきたいと私は思うんですが、いかがですか。

額賀国務大臣 当時、日米の間でなかなか歩み寄りがなかったものですから、党の立場で日米の歩み寄りを促す言ってみれば助言をしたことは確かでありますけれども、先般、小泉総理ともこの問題について話をしました。小泉総理は、政府案を原則に、きっちりと実行可能な案をつくらなければいけない。ですから、この中間報告に基づいた基本線、その上に立って地元の皆さん方に対して説明をし、納得いくまできっちりと対話をしていく。上から、きちっとこれでやれということはしません。

長島(昭)委員 実行可能な案ということなんですね。さっき防衛庁長官は、田端先生の質問に答えて、沿岸案、今の政府案のメリットについてかなり詳しくおっしゃっていただいたんです。しかし、その実行可能性ということを考えると、デメリットも考えないといかぬと思うんですね。

 私、ちょっとデメリットを考えてみたんです。

 まず、地元が総スカン。これは、名護の市長が、その沿岸案だったらもう聞きたくないと言っているわけですね。

 それから、海上は難しい、こう言うんですが、これは沖縄の関係者から聞いたんですが、いやいや、陸上も大変なんだ、抗議活動が、海に出なくて歩いて行ける、おじいちゃんもおばあちゃんも抗議活動に参加できると。これを排除してやるというのは容易なことじゃないと思いますね。

 それから、海洋の環境破壊が非常に少なくて済む、こういう話なんですが、実は、陸上部分の環境破壊というのもあるんですね。これは、大浦湾は実はウミガメの産卵地でありまして、あそこに物をつくるということになると、これのまた環境問題も出てくる。それから、さっき長官もおっしゃった、藻場の一部を埋め立てることになる。

 それから、集落の問題。これは、防衛事務次官、守屋さんが、何か報道によれば、沿岸案の飛行経路は十軒ぐらいしかかからないから、そんなの大丈夫だというような発言をされていますが、これは認識が甘いという気がするんです。

 それから、正面に観光スポットがありますね。年間二十五万人以上が宿泊する観光施設がある。そこも騒音にさらされる可能性がある。

 ですから、こういうことを一つ一つチェックして、例のSACOのプロセスの中で一回立ち消えた経緯がある案なんですね。それをもう一回防衛庁が持ち出して、今回こういうことになっているんです。

 こういうデメリットがある中で、さっき長官がおっしゃった、工期が短縮できる、あるいは環境への影響が軽微だから、本当に十年、十五年はかけられないんだ、とにかく急いでやらなきゃいかぬのだと。私もそう思いますよ、普天間のあの危険な状況を一日も放置することはできませんから。

 そういう意味では、一日も早いところに政府が工事をしていきたいというふうにおっしゃるのはよくわかるんですが、今挙げたようなデメリットをではどうやって克服されるのか、少し説明していただければと思います。

額賀国務大臣 お答えいたします。

 まず、地元の反対というものがあるということでございますけれども、地元の皆さん方の御意見については、私は、だから、できるだけ負担を最小限にするために努力をしたいということを申し上げているわけでございます。

 海上の困難というのは避けられていると私は思っております。それは、陸の上から工事を進めていくことによって、工事はしやすいことは確かでしょう。

 また、海岸の環境破壊ということについては、これは、どういうことをやっても、環境破壊を全部ゼロにして仕事をするというわけにはいかない。これもまた、環境破壊の程度を最小限にする形を追求していかなければならない。しかもなおかつ、実行が進まなければだめだということでございますから、総合的に考えると、一番負担が少なくて被害が少ない案が沿岸案ではなかったのか。

 そういうことについて地元の皆さん方と今話をしているところでございまして、地元の皆さん方も、キャンプ・シュワブの沿岸に基地をつくってはいけないとは言っていない、そういうのが大半の人の意見であると私は承知しております。だから、地元の皆さん方の意見を率直にお聞きし、そして、これまでの経緯、これからの名護市、これからの沖縄全体のこと、そういうことを語り合いながら、納得できる形をつくり上げていかなければならないというふうに思っております。

長島(昭)委員 トータルで、総合的にいいアイデアだ、こういう話をおっしゃったんですが、私は個人的には、総合的に一番いいアイデアは、実は、外務大臣いなくなっちゃったんですけれども、嘉手納に持っていくのが一番いいと。つまりは、環境アセスメントの必要もないし、それから、既存の米軍の施設内につくるわけですから、これも問題ないわけですね、山を削ったり海を埋め立てたりする必要がないし、環境破壊も生じない。外来機がこれから削減されるわけですから、そういう意味では、全体の騒音が嘉手納で低減されれば、私は、十分嘉手納の余地もある。

 これはもう長官よく御認識されていると思いますが、九六年のSACOのときに、最初、嘉手納への移駐ということがあった。しかし、米空軍が反対をした。だけれども、あの九六年の状況と、今、ラムズフェルド長官のもとで四軍の統合が進んでいる、基地も統合しよう、いろいろな統合作戦の中で、空軍がそんながたがた言ったって、一緒に使えばいいじゃないかと一言でこの嘉手納に海兵隊のヘリコプターが移駐されても、これは十分日本側から提案する価値のあるテーマだというふうに私は思っていたんですけれども、今そうなっていないので残念です。

 外務大臣、今、いらっしゃらないうちに、実は嘉手納の移駐の問題をお話ししたんです。外務大臣は、三年前の一月に沖縄で講演をされて、移設先については、常識的には米軍の嘉手納基地だろうな、こういうふうにおっしゃった経緯があるんですね。だから、私、前からこの問題をぜひ政府に真剣に考えてもらいたかったんです。

 これは、前回私が紹介した海外基地見直し委員会の最終報告のレコメンデーションの中にも、嘉手納への統合というふうに言っているんですね。ですから、日本側からこういう創意工夫を発揮したアイデアをぜひ出していただきたかった。これは今さら言ってもしようがないんですが。

 最後に、防衛庁長官、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、本当にあと二週間しかない、そういう中で、この普天間の問題が動かないと、トータルパッケージとして米軍再編が動かないことになるんだろうと思うんですね。そういう意味では、まさに先ほどかなめという御発言がありましたけれども、このかなめである普天間基地の移設問題、ぜひ柔軟な姿勢で最後は着地していただきたい、こう思いますので、最後もう一度、修正の余地も含めて、御決意のほどをいただきたいと思います。

額賀国務大臣 この米軍再編全体を成功させるためには、普天間の全面移転をしなければなりません。代替施設をつくっていくことを実行可能な形でまとめる必要があると思っていることについては、長島委員と共通の認識を持っております。しかもなおかつ、あと二週間ぐらいしか時間がないということも切実に考えております。

 そういう中で、しっかりと、日米の同盟、地元の皆さん方の理解を得る形で最終合意ができるように最大限の努力をすることをお約束させていただいて、答弁にかえさせてください。

長島(昭)委員 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 米軍再編問題について聞きますが、よく、米軍再編はパッケージだと言われております。十月の日米合意に盛り込まれた「統一的なパッケージ」という文言について、政府は、地元の自治体からの質問に対する回答の中で、「個々の案件が全体として抑止力の維持と地元負担の軽減の実現を図るという意味であり、すべての案件の実施が関連していることを意味するものではなく、それぞれの案件について実現を追求していくものである。」このように述べております。

 これは間違いありませんね。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

額賀国務大臣 それぞれの地域、それぞれの基地については、それぞれの問題を抱えておりますから、それぞれ、そこの地域に合った解決策を考えていかなければならないわけであります。米軍再編全体を成功させるためには、それを全部解決していかなければならないということであります。

赤嶺委員 具体的に聞きますが、そうなりますと、普天間飛行場の移設と海兵隊のグアム移転について、それぞれ実現を追求していくものということで、これも間違いありませんね。

額賀国務大臣 当然、我々は、普天間の全面返還を最大の目標にしておりますから、これを追求すると同時に、沖縄の負担を軽減していくために、海兵隊司令部のグアム移転も目標にしているわけであります。

赤嶺委員 ですから、それぞれ実現を追求していくということで間違いありませんね。

額賀国務大臣 間違いありません。

赤嶺委員 パッケージという場合に、普天間の沿岸案が実現できなければ海兵隊の削減もできないよという言われ方をしてきましたし、例えば、在日米国大使館のケビン・メア安全保障部長はこう言っています。普天間飛行場の移設は再編全体とパッケージだ、移設が実現しないなら沖縄駐留海兵隊の七千人削減など負担軽減もあり得ないと述べておりますが、政府はそのような立場はとっておられないわけですね。

額賀国務大臣 普天間を全部返還させるためには、普天間の持つ機能を分散移転させているわけでございますから、それが全部機能していかなければ全面返還をつくることはできませんので、そういう意味では、みんな連関性を持っているわけであります。

赤嶺委員 ばくっとした連関性の話を私聞いているんじゃないんですよ。

 例えば岩国と厚木の艦載機、これは密接な連関性を持っておりますよね。あるいは嘉手納のF15の移設、あるいは空中給油機の鹿屋への移設、普天間との関係、密接な関連があります。どちらも抜きにしては考えられない。

 そういう意味での関連性はあるんですか、ないんですか。

額賀国務大臣 そういう意味の関連性は全部持っているわけであります。日本の防衛、地域の安全保障、日米同盟関係、そういう意味では、すべて関連性のないものはないわけでございます。しかもなおかつ、同時に抑止力を維持し、負担を軽減するということでありますから、これは、関連性がない対象というのは一つもありません。

赤嶺委員 先ほど、別々に実現を図るということでしたよね。今の答弁だと、いや、すべて関連がありますよということになると、私があえて聞いたのは、厚木の艦載機と岩国というのは密接な関連があります、普天間の空中給油機と鹿屋とは密接な関連があります、それと同じような意味で、普天間の移設と海兵隊のグアム移転は関連しているんですか。どこが関連しているんですか。

額賀国務大臣 普天間は海兵隊の拠点であり、訓練場であり、そして今度、海兵隊が八千人グアムに移転をする。その場合、八千人が、どういう機能を持った方々が移転をするのか、司令部としてもどういうところから移転をしていくのか、すべて関連はあるわけでございます。

 ただ、グアムの移転という形においては、その形をつくり上げていくためにはどういうふうにすればいいかということについて、例えばできるだけ早くグアムに移転してもらいたいために日本側が一定の資金的な負担をしなければならないとか、そういうことについては、実現方を図っていくために一つの目標を貫いていかなければならないということで申し上げたところでございます。

 もともと、その移転の経費についても、基地の負担を最小限にしていくという意味でのことでありますから、このグアム移転と海兵隊というものは連関性があるわけであります。

赤嶺委員 統一的なパッケージということについての今の長官の説明を聞いていても、全く理解できない状態です。

 では、関連して、海兵隊のグアム移転の問題について聞きますが、八千人だとアメリカの側から言われているということを長官もおっしゃいました。つまり、沖縄の海兵隊は何人いて、そこから八千人削減して何人になるんですか。

額賀国務大臣 約三万人ぐらいで、今度、八千人と九千人の家族で、一万七千人が移転をするということであります。

赤嶺委員 海兵隊が三万人とおっしゃいましたけれども、今度の協議の中でアメリカの側からそういう説明があったんですか。政府はどうやって三万人という認識を持っておられますか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 今大臣のおっしゃった三万人というのは、家族を含めた数字ということでございます。今回の協議の過程でアメリカから聞いておりますのは、沖縄にアサインされている海兵隊の職員は一万八千人である、中間報告の時点では、これから七千人削減するという話で承知しております。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 一万八千人というのは、今度の協議の中でアメリカ側が説明したわけですね。

 そうすると、それから八千人引いたら残りは一万人ということで理解していいわけですか。

大古政府参考人 八千人ということであれば、そういうことになります。

赤嶺委員 いやいや、私が言ったから防衛局長がそう言うことじゃなくて、アメリカからそういう明確な説明があるわけですね。残りは一万人ですよと、沖縄に残るのは。

大古政府参考人 まず削減数については、中間報告段階では七千人でございましたけれども、現在、八千人の可能性について日米で議論しているところでございまして、まだ最終的に固まったという数字ではございません。

 いずれにしても、先ほど申しましたように、沖縄の海兵隊は一万八千人アサインされている、現実の人数とはまた別だと思いますけれども、これから七千人なり八千人削減される、こういうことで理解しております。

赤嶺委員 現実の人数とは別と言うんですが、そうすると、現実に今幾らいるんですか。現実、幾らいるんですか。

大古政府参考人 ただ、今、イラクに沖縄の海兵隊も派遣されていると承知しております。具体的な人数は、日々動いていますし、承知しておりませんけれども、本来沖縄にアサインされている人数は一万八千人だというふうにアメリカは説明しております。

赤嶺委員 つまり、海兵隊というのは、先ほどの議論にもありましたけれども、沖縄にどれだけいるのか、実際に今幾らいるのかというようなことがはっきりつかめない。だから、八千人という数字を出されて、それはどうなのかということについて、全く実感できない。

 では、嘉手納以南の土地の返還と海兵隊のグアム移転は密接に関連をしているということは、これは米軍再編の共同文書の中にも書かれているわけですが、嘉手納以南の土地、那覇軍港、キャンプ桑江、そしてキャンプ瑞慶覧、牧港補給基地、さっき長官は六つの施設と言いましたが、貯油施設は貯油施設ですから、これらの施設に海兵隊が今どのぐらいいて、この土地が返還されたらどのぐらい減るんですか。これは大事な日米協議の一番中心でしょう。負担の軽減、目玉と言うんだから。ちゃんと答えてよ。大臣、答えてください。これは一番中心でしょう。

大古政府参考人 まず、面積についてお答え……(赤嶺委員「いや、面積は聞いていない、海兵隊員がどのぐらいいるか」と呼ぶ)それはちょっと、確認してお答えいたします。

赤嶺委員 こんな大事なこともわからないで、八千人削減だ八千人削減だ、七千人が八千人になったと。結局、実態が実際どうなのかという問題なんですよ。ちょっと、こんなことも明確にできないまま日米交渉をやっていて、八千人と言われたら八千人と日本に持ち帰って言うようなあり方、まず、交渉のあり方としていかがなものかなと私は思いますよ。

額賀国務大臣 今数字をどの程度把握しているのかどうかも含めて、調査をして後で御連絡をさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 調査をして連絡するということですから、しっかり調査をして報告していただきたいと思います。

 今度は、では、嘉手納基地以南の三つの基地に絞って聞きます。

 まず、那覇軍港ですが、先ほどの質問にもありますが、那覇軍港の返還というのは、もう既に一九七四年に返還が合意されたんですよね。それで、一九九六年にSACOで返還を加速すると言われて、今日、浦添埠頭地区の上に移設の上、返還を加速させるため最大限の努力を継続する、これはSACO合意の文言であります。

 今回の那覇軍港の返還というのは、そのSACOの合意のときと何が違うんですか。

額賀国務大臣 だから、SACO合意は、米軍再編の問題で新しい展開にならない限り生きているわけでございます。その意味では、那覇軍港の返還の加速化をさらに強めるということでございます。

赤嶺委員 つまり、SACO合意と何も変わらないということですか。那覇軍港は浦添埠頭に移設する、県内移設ということですね。SACO合意と変わらないんでしょう。

額賀国務大臣 米軍再編の中で那覇軍港の返還も要求しておりますけれども、SACO合意は生きておりますから、SACO合意が変換されない限り、これは従来どおりの認識でございます。

赤嶺委員 つまり、SACO合意が変わらなければ、あの那覇軍港は浦添埠頭に行く。嘉手納以南の施設の返還と言うけれども、嘉手納以南に那覇軍港が残るじゃないかという話になるんですけれどもね。

 次に、キャンプ桑江について聞きますよ。

 キャンプ桑江は、今度出ているわけですが、SACO合意ではどれだけの土地を返還するということになっていましたか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 キャンプ桑江につきましては、先生御承知のように、大部分の返還につきましては、SACOの最終報告におきまして、海軍病院がキャンプ瑞慶覧に移設され、そしてその残余の施設がキャンプ瑞慶覧等に移設された後に、これが先生御質問の九十九ヘクタール、返還することになっております。

赤嶺委員 この間、私、毎日新聞を含めて本土紙を見て、嘉手納以南の土地、全面返還、キャンプ桑江とあるものですから、どういうことだろうと。

 キャンプ桑江というのは、今施設庁長官がおっしゃったように、九十九ヘクタールSACO合意で返還されている。向こうの総面積というのは百七ヘクタールですからね。結局、今度返還だ、全面返還だと言われている残りというのは八ヘクタールなんですよね。何で八ヘクタールSACO合意のときに残していたんですか。

北原政府参考人 御指摘の八ヘクタールでございますが、これは、平成七年の北側部分の返還合意におきまして、普天間飛行場の運用上不可欠な施設として送油管の移設が条件の一つになっておりまして、当該送油管の移設敷地として残されたものでございます。

赤嶺委員 SACO合意のときに、普天間飛行場のための必要不可欠な施設として送油管は残ったということですが、今回、送油管を撤去するわけですよね。普天間というのは、SACO合意で返還が決まっていたんじゃないんですか。あのときには返還されずに、何で今度はこの送油施設返還ということになったんですか。どういう筋でそんな話になるんですか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 私が今申し上げましたように、この八ヘクタール、これは平成七年のときの合意でございまして、SACOの以前のものでございます。

赤嶺委員 それで、その後、SACOがあって、普天間施設の返還というのが言われながら当時ずっと放置していて、今度米軍再編で、さあ嘉手納以南の土地の返還だといって、桑江の全面返還と打ち上げた。中身をあけたら、九十九ヘクタールは既に返還されていて、残りは八ヘクタールだと。県民はこれを聞いて、ああ負担が軽減するという思いになりませんよ。

 SACO合意のときに、牧港の補給施設は国道の拡幅のために必要な部分は提供しましょう、返還しましょうというのがSACO合意でした。今度、牧港の補給基地が返還という話が出ているんですが、その機能はどこかグアムに持っていくんですか、それとも県内ですか。牧港補給基地、いかがですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 牧港補給地区については、今いろいろ協議していますけれども、まだ具体的内容は決まっておりませんが、返還に応じて一定の機能代替はするということで考えているところでございます。

赤嶺委員 いや、はっきり答えてください。それは県内で機能の代替施設が必要だということですね。そうじゃないということですか。

大古政府参考人 補給地区の機能上、やはり県内に代替地を求めるということになる可能性が高いと思っております。

赤嶺委員 長官、那覇軍港が七四年に返還合意されて今日まで返還が実現しなかったのは、それは県内移設条件つきだからだったんですよ。もう三十年過ぎても、当時も返還だと言ったわけですよね、三十年たってまだ返還されていないんですよ。

 今回、牧港補給施設返還だと言っている。今の防衛局長の説明を聞いたら、県内に機能を移設すると。これでは沖縄から基地は減らないじゃないですか。基地の負担の軽減にならないじゃないですか。どうやってこれが、嘉手納以南の土地の返還なんて大々的に言ってほしくないですね。

 そして、それがパッケージだと言わんばかりに、沿岸案を受け入れなければすべてだめになるよというようなことを、海兵隊のグアムへの移転も含めて、中身が雲をつかむような話。雲をつかむような話で対米交渉で負担の軽減と言われても、にわかには信じられないというような状態にあることを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

浜田委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 麻生外務大臣に伺います。

 沖縄にいるアメリカ海兵隊七千人あるいは八千人、これは、沖縄の基地負担軽減策のため日本側がアメリカ側にお願いをしたと昨日の外務委員会で照屋議員に答弁をされておりますが、実は、アメリカの世界戦略の中で、グアムの基地強化のためではないですか。

麻生国務大臣 見解が違うと思いますが、基本的には、米軍の沖縄からの撤退は、沖縄の基地の負担の軽減を願っておる私どもとしては、当然のこととして、七千人が千人ふえて八千人であろうとも、そういった形で米軍の抑止力を維持しつつ撤退をしてもらうというのは沖縄県民の希望でもあろうと存じますし、しかもそれがなるべく早くということを考えたときには、アメリカにそれをやってもらうのを促進するというのが私どもの立場というふうに御理解いただければと存じます。

保坂(展)委員 見解の相違は残しながら、今、抑止力と麻生大臣はおっしゃいましたけれども、沖縄県民の、基地、特に戦闘部隊の隊員が沖縄に滞在していることによって数々の事件が起きています、過去にも現在も。この戦闘部隊の大半が残る。そういう意味では人数は減るかもしれない、しかし、県民の負担ということは変わらないんじゃないですか。戦闘部隊自体が残るということに対してどう考えていますか。

麻生国務大臣 今の言い方をちょっと伺いますが、戦闘部隊員だけが問題を起こしておるから、その戦闘部隊が残るのは全然基地の軽減にならないというように考えておられるということでしょうか。

保坂(展)委員 戦闘部隊だけがとは言いませんけれども、やはり戦闘部隊が中心になって問題を起こしている。これは、アメリカ大使館の安保部長のケビン・メア氏も、抑止力については、戦闘員は残し、普天間飛行場の機能は維持して抑止力は低下させないんだ、こう言っていますよね。ということは、戦闘員そのものは残る。その戦闘員が事件を起こしてきたことが多いわけですから、その部分の不安は消えない、こう思うのですが、いかがですか。

麻生国務大臣 戦闘部隊員だけが問題を起こして、ほかの人は全然問題を起こしていないような感じは私は全然いたしておりませんから、そこは見解が全く違います。

 それから、少なくとも、問題が起きるというのは、兵隊の絶対量が減るというのは大きなことだと思っておりますので、私どもは、一万七千人、三万人のうちの半分以上そこの海兵隊が減るということに関しましては、少なくとも軽減の負担にならないという感覚は私にはありませんので、少なくとも、そういった方々が減っていくということに関しましては、軽減の負担になると感じないですかね。私は感じると思いますが。

保坂(展)委員 戦闘員そのものをまず移転してもらうということは考えなかったのかということです。

麻生国務大臣 抑止力の維持が私どものもう一点の条件でありますから。

保坂(展)委員 まあ見解の違いを残しながらですが。

 移転費用の問題が先ほどから出ております。この移転費用の問題について、麻生大臣の答弁で、積算根拠をアメリカ側が日本側に示すような段階にまだ至っていない、こう答弁されております。先ほどから出ているように、あと二週間、今月末が期限だとすれば、政府としては、いつまでにこの積算根拠を示せ、こういうふうにアメリカ側に提示しているんでしょうか。

麻生国務大臣 基本的にはなるべく早くということしか言いようがありませんので、一万七千人からの部隊の移動ということを考えました場合に、グアムの基地に移動する、その家族を含めて一万七千ということになりますと相当な数だと思いますので、私どもとしては、その経費につきまして、どのような形でするのか、また、その内容、支払い方法等々、負担の比率含めてなかなか詰めができていないということで、なるべく早く結論を得たいと思っております。

保坂(展)委員 移転費用について、百億ドル、そして日本側の負担は七十五億ドルだと報道によって流れてきておりますが、麻生大臣、これは事実ですか。

麻生国務大臣 報道でそのようなことが流れておるのは存じておりますけれども、まだ交渉中の段階でありますので、その内容をここで申し上げるわけにはまいらぬということです。

保坂(展)委員 あと二週間でこれだけ大きなことを決めなければいけない。今、国会での審議、やりとりをさせていただいています。例えば日本政府が四〇%だ、五〇%だ、こういう報道もありますけれども、最終的に米側と決着する前に、国会に対して、あるいは国民に対して必ず説明しますか。

麻生国務大臣 交渉の内容でございますので、今まだ交渉の経過をなかなか御報告できないということでありまして、最終的には、私どもが政府として決めさせていただいた後、その後、そのことにつきましては、いろいろな形で国会に御報告するのは当然だと存じます。

保坂(展)委員 時間がございません。合意だけして、細かいところは積み残し、こういう心配はありませんか。

麻生国務大臣 それは細目にわたっていろいろ詰めますので、これだけ大きな形ですから、細目二十五円違っていますよと言われても、それは役所的には二十五円でも違いは違いですから、二十五ドルでも。そういった意味では、細目の定義がちょっと不明確ですから正確にはお答えできませんが、きちんとしたものができ上がるように努力はいたしますが、細目という言葉に関しましてはちょっと、なかなかお答えはできない、難しいかなというように存じます。

保坂(展)委員 二十五億、いや、二十五円と今おっしゃいましたか。これは百億ドルあるいは何十億ドルという話ですよ。それについて合意をしたときに、あるいは合意をする以前に、今申し上げているのは、国会なり国民なりに対してきちっと説明をなさいますかということです。

麻生国務大臣 私どもとしては、まず、二十五億じゃなくて二十五円と申し上げましたので、勘違いしないでくださいね。二十五円の違いでも……(保坂(展)委員「そんなこと聞いていないですよ」と呼ぶ)いや、こだわりますよ、細目と言われたから。細目ですから。予算ですから、細目。

 そういった意味では、きちんとした数がどれだけそろえられるかというのは、これは役人としては最大限努力をするところだと存じますが、私どもとして、大筋合意ができ上がるか、今一番の瀬戸際のところに来ていると思っておりますので、いろいろな意味で、私どもとしては、できる限り、そういったものが期日前にできて、御報告ができるように努力をいたしたいと存じます。

保坂(展)委員 それでは、合意の前に報告をするということで聞いてよろしいですか。

麻生国務大臣 努力をいたしますと申し上げました。

保坂(展)委員 そうしないこともあるんですか。

麻生国務大臣 努力をすると申し上げた以上のことはございません。

保坂(展)委員 額賀長官に、大変な額の負担ですね、いわば撤退そしてグアム移転の費用、この法的な根拠は現在ございますか。あるかないかでお答えください。

額賀国務大臣 先ほど外務大臣も申し上げておりますように、まだ額も決まっていない。では、それをどういうふうに負担していくかという手法についても議論中である。ただ、はっきりしていることは、米軍基地が国内移転する場合は我々が負担をする、そして沖縄の負担を軽減するためには、我々が負担をしながらも、できるだけ早く負担を解消した方がいいという意味で、一定の負担を考えた方が我々にとってはプラスではないのかということで議論をしているということでございます。

保坂(展)委員 額賀長官に続いて聞きますけれども、中間報告の直後に申し入れに行かせていただきました。そのときに、閣僚は、地元との調整を完了することを確約するという取り決めがございますよね。ただ、先ほども出ました安倍官房長官の会見などで、日米協議が調い次第、それが最終合意だと。つまり、地元の頭越しに、調整を図られることなく、合意を得ることなく日米政府間で決めてしまう、こういうことを非常に懸念しておりますが、いかがですか。

額賀国務大臣 政府の立場は、国民の皆さん方に対しましてよく説明をし、納得を得ることが大事である、その上で今度の最終合意をつくっていきたいということは基本的な考え方であります。官房長官もそういう趣旨の発言を一貫してされているというふうに理解しております。

保坂(展)委員 先週の日曜日、岩国で民意が示されました。五〇%を超える投票率の中で、反対という方が大変多かったということはもう御存じのとおり。

 この民意ということについてどう受けとめるかということなんですが、振り返ってみれば、SACOの合意も、九五年の沖縄における少女のあの悲しい事件、これがきっかけになって、沖縄県民の怒りがうまくSACO合意を突き動かしていったということもございます。あるいは、今日に至るまでキャンプ・シュワブ沖にではどうして移設がかなわないのかといえば、やはりそれ以前に名護市民投票もありました。民意というものがやはりこういった米軍再編についても大きな意味を持つわけですね。

 この岩国の結果、そして今、方々の基地を抱える町の住民の皆さんの民意について長官はどう考えているか、それを尊重するのかどうなのか、いかがですか。

額賀国務大臣 安全保障の問題とか防衛の問題というのは、全体的な枠組みの中で考えていく必要があるというのが基本的な考え方であると思います。

 岩国の住民投票については、空母艦載機の移駐に賛成か反対かということでございます。我々は、同盟関係というものがいかに岩国市民、山口県あるいは日本の安全のために貢献をしているのか、安全、安心であるから日常生活が営まれるし経済活動ができる、そういう流れの中で全体的に考えていただければありがたいということを市民の皆さん方に誠意を持って説明をして、理解をしていただくように努力をしたいというふうに思います。

保坂(展)委員 先ほども紹介されましたけれども、シーファー大使が沖縄で二月に講演した際に、もし沖縄県民が反対し、もっとよい案があるのであれば真摯に耳を傾ける、その結果よい考えが出てきたらそれをとる可能性もある、こう言っているわけですね。

 恐らくアメリカ側も、基地を抱える住民の民意というもの、非常にここは神経を配らなければいけないということはわかっていると思うんですが、三月末という期限にどうしてもこだわりたい、これを柔軟に延ばして、合意を徹底的に図るというところまでやはり持っていくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 我々は、三月末までに最終合意を図りたいということで日米合意があり、今、地域の皆さん方といろいろとお話し合いをしているわけであります。地域の皆さん方も、ただ反対のための反対ではないというふうに思っております。

 したがって、では、こういうことであるならば賛成して、もろ手を挙げて、みずからが先頭切ってこの問題を解決するということがありますかと言っているわけであります。しかし、なかなかそういう具体的な対案というのはありません。そういうことについてきっちりと話し合いができれば、話し合うつもりでございます。しかし、実行可能で、しかもなおかつ抑止力を維持し、しかもなおかつ負担を軽減することでなければならない。そして、日本全体、地域全体の日米同盟と日本の安全保障にとって我々が納得できる形をつくっていかなければならないということもまたその前提にあります。そういうことです。

保坂(展)委員 ぜひ、政府が決めた結論を住民に理解していただく、これを説得するだけのそういう対話では結論は出ないということを申し上げて、終わりたいと思います。

浜田委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 十分間のお時間をとっていただいた委員長に感謝を申し上げたいと思っております。

 時間が十分しかないので、内容は濃ゆく、答弁は短くひとつお願いします。

 麻生大臣、ちょっとこれを見ていただきたいのですけれども、これは、今、沖縄で歴史家がつくった、日本の歴史と琉球の歴史と朝鮮の歴史とあるんですね。中身を読むと、後で見ていただくとわかるんですけれども、沖縄の、琉球の歴史というのはなかなか奥深いのですよ。

 それで、この中で、一四三二年に琉球が、日本政府と明と、仲たがいをしているものの間に入って会わせるという歴史があるんですけれども、今沖縄は、地理的概念から、とにかく米軍基地を置くのにはいい地域だという表現が多いですけれども、歴史的にもおもしろいところがいっぱいあるんですね。下地幹郎も、元気だという評価をされるとまあそうかなと思うけれども、知的だとか哲学的だと言われるとうれしくなる場合があるわけですね。

 そういう意味でも、沖縄の評価というのを違う点で一個やるという意味では、この沖縄で中国との外相会談なんかをやられたらどうでしょうかね。

麻生国務大臣 私の立場からすると、別にどこでもいいですよ。中国に行くのもいい、日本に来るのもいい、沖縄に行くのもいい。私どもとしては、会うということになりますれば、これは双方で話をするのであって、私が、長島さんのところに行くから葉山の、逗子のマリーナで会おうというわけに、行けるかといえば、それは、呼びつけた、来させたとかいうような、何となくそういった話ではなくて、沖縄という場所は、一つの場所としてはいいところじゃないですかね。

下地委員 沖縄と言ったら中国が来るかもしれませんからね。

 それで、一つだけ。

 もう十年たっているんですよね、額賀大臣。十年たって、撤去可能な基地から千五百メートルの埋め立てに変えろ、これを沖縄が言いましたよ、地元の業者ができるから。その後、稲嶺知事が出てきて、二千六百メートルの飛行場に変えろと言って、もう十年たちましたね。沖縄の案が、どんどん言ってきて、できていないというのが現実ですね。八年からSACOが始まってからずっと、北部振興に四百三億、基地所在市町村に六百億、沖縄振興特別費に六百億、SACO関連で百九十億、梶山先生がつくった交付金で六百九十億、SACOがうまくいくために、基地周辺事業だけでも四千億近くお金を使っているんですね。

 十年の時間を捨てて、沖縄県民が一番危ないなと思っているこの普天間の基地が四千億の金をかけてできていない。言ったら、大体五年たったらみんな変えろと言うよね。公共事業でも五年ですから。だけれども、今沖縄ではまだ、沖合でいいという人がいるわけですね。これはおかしいと僕は思うんですね。

 それと、それを明確にしないところに政府に問題があると思うんだけれども、十一年の十二月二十八日にSACOの閣議決定をしましたけれども、あれをやはり破棄しなきゃだめですね。これをびしっと破棄して、新たなものの閣議決定をする。こういうふうな、何で変えるのか、十年たって四千億かけてもできないからこういう理由で変えるんですよということを明確に言えば、もっとわかりやすくて理解すると思うんですけれども。

 閣議決定を変えるつもりがあるのか、それと、新たな閣議決定をやるつもりがあるのか、このことをまずお願いします。

額賀国務大臣 私どものなかなか言いにくいことをずばりと言っていただいて、もちろん、米軍再編が、日米の間で協議がまとまり、地元の皆さん方にも納得いく形をつくることができれば、閣議決定をさせていただきます。

下地委員 それで、この基地の再編で、私たち、二つの効果を出さなきゃいけないんですね。安保上の効果も出さなきゃいけない。まずは、日米同盟の維持強化というのが一点。それと二つ目には、やはり専守防衛でありますから、日本の安全保障を守るというのが二点。それと、もうアメリカの経済も日本の経済もアジアが中心になっていますから、一国主義ではなくてブロックで、アジア全体でも安全保障が保てるのかというのをやらなきゃいけないですね。

 その後、これと同時に、バランスよく、沖縄の基地負担軽減、過重な負担軽減というのをやらなきゃいけないんですけれども、沖縄の過重な基地負担軽減といったら五つあって、一つは、やはり兵力を出すことですよ。

 先ほど八千人出ていくと言うけれども、何で八千人出ていくのに反対するのかわからない。それと同時に、戦闘部隊が行くというけれども、戦闘部隊は残って本部機能が行く、これが一番いいんですよ。戦闘部隊は今でも百回以上海外に行っているんだから、実際はもう沖縄に海兵隊はいなくなりますから。本部機能を残して戦闘部隊を出すといったら、これはうそ。本部機能を出して戦闘部隊がいるという方が、将来的には沖縄の負担軽減になるということね。これはもう一回きちっと明確にやった方がいいと思いますね。

 それから、返還も、二千百三十五ヘクタールですから、これは相当に土地が返ってきますから、沖縄の人で怒る人はいませんね。これは二重丸ですね。

 三番目の嘉手納の騒音は、これは鹿屋だとか新田原に行くというのも、それも僕はいいと思うんです。沖縄の人は喜ぶと思いますね。

 しかし、もう少しやってもいいね。第四十四戦闘中隊がありますけれども、これはグアムに移転しても僕は大丈夫だと思うんですね。自衛隊が那覇空港に今度はF15を持ってきますから、沖縄の米軍と航空自衛隊で七十五もF15は必要ない。五十機あれば抑止力には十分だと専門家は言っていましたから。自衛隊がF15を那覇基地に持ってくるんだったら大丈夫じゃないかなというふうに思いますね。

 あとは、普天間基地の移設の問題がありますけれども、これに関してはとにかく、もうあれこれ言いませんけれども、ただ、僕の考えは、海はもうできるだけ埋め立てない方がいい。これをしっかりと守ってやった方がいい。沖合もだめ、浅瀬もだめ。今の政府案で、大体、固定翼が四機しか来ないんだから。そういう意味で、やはりしっかりと私はその問題について考えた方がいいと思いますね。

 もう一個、あと、沖縄の人が二つ悩みがあることがあるので、これだけ質問してやめたいんですけれども、一つは、日米地位協定がありますから、今度のこの再編の中で、地位協定の改定の公設機関をつくるというふうなことをぜひ、協議の中に公設の協議の機関というものを入れてもらいたいというのが一点。

 それと、もう一つは麻生大臣に、フィリピンとの関係が大事だと思うんですね。先ほど長島先生が言った抑止力という言葉がありましたけれども、グアムとフィリピンと沖縄のこの抑止力が非常にトライアングルとしていいと思いますから、大型の火器訓練をフィリピンでやるというふうなことが、これを協議にかけると、非常にその抑止力にもなるし、沖縄の負担軽減にもなるというふうに思っていますけれども、この二つを少しお答えください。

麻生国務大臣 地位協定の方につきましては、これはたびたびこれまでも答弁をしていますので、これまで運用改善ということでやってきて、ここをさわりますと、世界じゅうやらないかぬとかいろいろな難しい問題を抱えていますので、ちょっと今、これに人を割いてこの問題だけまた全然別にやるというのは、先方も望まぬし、こちらも人手も足らぬし、これは長期的には考えないかぬ問題であるとは思いますけれども、今この段階でやるというのはちょっといかがなものかと思っております。

 もう一点のスービックとクラークの話、フィリピンの話ですけれども、この点につきましては、これは一考に値する話だと思いますが、これは我々だけでもなかなかうまくいきませんので。グアム、フィリピン、沖縄、ここは確かに流れとしては、それこそトライアングルになっていて結構なことだというような感じはしますけれども。

 ただ、先生、これは、地元もかつてと違って、米軍帰れ、ヤンキー・ゴー・ホームの時代ではなくなったのが現地の事情、フィリピンの事情だということは知っております。ただ、直ちにこれで基地を受け入れるという雰囲気でもまだないと思いますので、受け入れられるのは訓練までかなという感じがしないでもありませんので、いろいろな意味でこれは検討に値する話だとは思います。そういたしますと、さらに沖縄にいる兵隊の絶対量がその分だけ何割かまた減ることになろうと思いますので、一つのアイデアとしては参考になろうかと存じます。

下地委員 最後になりますけれども、長島委員が言っていましたけれども、とにかくお金を使うということが国民から理解されないんじゃないかとかということを言われますけれども、沖縄の現状を見たら、そんなことを思う国民はいませんよ。七五%も六十年間沖縄に基地を負担させておいて、お金を払ってでもいいから沖縄の負担を安くしろと言ったらこれを国民が反対と言うなら、僕は、これはもう本当に問題だと思いますね。だから、堂々と、自信持ってお金を使って沖縄の負担を軽減してください。お願いします。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会


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