衆議院

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第5号 平成18年4月18日(火曜日)

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平成十八年四月十八日(火曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 寺田  稔君 理事 仲村 正治君

   理事 吉川 貴盛君 理事 神風 英男君

   理事 長島 昭久君 理事 佐藤 茂樹君

      石破  茂君    小里 泰弘君

      大塚  拓君    瓦   力君

      北村 誠吾君    塩谷  立君

      高木  毅君    谷川 弥一君

      中川 泰宏君    西銘恒三郎君

      平口  洋君    福田 良彦君

      武藤 容治君    山内 康一君

      山崎  拓君    川内 博史君

      平岡 秀夫君    細野 豪志君

      渡辺  周君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   外務副大臣        金田 勝年君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 木寺 昌人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 杉山 晋輔君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     西銘恒三郎君

  小里 泰弘君     中川 泰宏君

  福田 良彦君     平口  洋君

  宮路 和明君     塩谷  立君

  内山  晃君     平岡 秀夫君

  細野 豪志君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  塩谷  立君     宮路 和明君

  中川 泰宏君     武藤 容治君

  西銘恒三郎君     安次富 修君

  平口  洋君     福田 良彦君

  川内 博史君     細野 豪志君

  平岡 秀夫君     内山  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  武藤 容治君     小里 泰弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(在日米軍再編問題)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に在日米軍再編問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛施設庁長官北原巖男君、外務省大臣官房審議官木寺昌人君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、外務省大臣官房参事官杉山晋輔君及び外務省北米局長河相周夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。

仲村委員 私は、さきに政府と名護市が合意した普天間基地の代替施設のV字形滑走路について、今さら何を言うかと思うかもしれないが、去った沖縄戦で雨あられのように飛び散る砲弾の中に生き残り、そして戦後六十年間、全在日米軍基地の七五%の危険な米軍基地と隣り合わせの中で暮らすことを余儀なくさせられた沖縄県民として、今回、県民に有無を言わさず押しつけてきた防衛庁長官も守屋事務次官も、いつまでその職にとどまるかわかりませんが、なぜ沖縄県民だけがいつまでも十字架を背負わなければいけないのかという怒りは、あなたたちには知る由もないと私は思っております。

 今回名護市と合意したからといって、決してこれで一件落着ではなく、むしろこの新基地建設については、これからさらに二つも三つも四つも山を越えなければならない話だ。そのために、私はあえて今回の合意についてただしておきたいと思うのであります。

 去年十月の中間報告で普天間基地はキャンプ・シュワブ沿岸に移すことが発表されたとき、当時の岸本名護市長は、沿岸への移設は反対である、現行の沖合埋め立てのバリエーションの範囲なら検討すると、強く沿岸案に反対をしたのであります。その後を受けて市長に当選した島袋市長も、岸本前市長と同様、沿岸案は反対として市長に当選をし、当選後の議会の三月八日に、市として受け入れ可能な範囲は、現行案が陸から二・二キロあるのに対して、陸から四百メートルの範囲であると議会に示し、政府に対してもその考えを強く主張し続けてきたのであります。その最低条件は、飛行ルートが陸地にかからないことだと主張した。

 その詰めの話し合いのため、市長は三月中旬から四月上旬にかけて十回近くも上京し、防衛庁との話し合いに呼び出されては帰り、呼び出されては帰りの繰り返しで、島袋市長の精神的疲労は察するに余りあるものがありました。そのような状況にもかかわらず、防衛庁幹部は、島袋市長は答えを持ってこない、約束違反だとか二枚舌だとかと言って、市長の人格を侮辱、軽蔑するような発言を新聞で報道されるなど、全く常軌逸脱の高圧的態度で市長は押しまくられたのであります。

 そして、ついに四月七日の夜、キャンプ・シュワブ沿岸にV字形滑走路をつくることに合意させられたのであります。それはまさに島袋市長の追い詰められた苦渋の決断として、私は、不本意ながらも市長の決断を尊重せざるを得ません。しかし、私は今まで、名護市の受け入れられる条件である海に出すべきだという主張をし続けてきたので、今回の合意に対して、ただただむなしい気持ちであります。

 しかし、この問題は、これですべて終わったわけではありません。第一に、滑走路の長さについて、名護市長は千三百メーターしか認めないと言っています。それに対して守屋次官は千八百メーターと言っております。次に、名護市長は、今回の合意した施設については使用協定の締結を絶対条件としているのであります。

 この二点について、名護市長の要求にこたえるべきだと思うが、防衛庁の考えをお聞かせください。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 私も、沖縄県民が第二次世界大戦、そして戦後、占領軍が昭和四十七年までおりまして、返還されてからまだ、我々は戦後六十年と言っておりますけれども、沖縄県民にとっては三十四年目であります。そういうことの実態をよく承知しております。

 佐藤政権ができたのは昭和三十九年です。最大の政治課題は沖縄返還でありました。私の政治的な師匠の橋本登美三郎先生は、当時官房長官を務めておりまして、沖縄返還に最大のことをやっておりました。そういう思いをよくかみしめながら、そしてまた、我々の橋本総理が普天間返還をいたし、十年たっている。そういう歴史的な流れの中で、今回の米軍再編、あるいはまた沖縄問題の解決の方向が探られているというふうに思っておりまして、それは仲村先生と同じ思いを持っているという気持ちでございます。

 今先生がおっしゃったことにつきましては、島袋市長とは誠意を持って率直にいろいろ話をいたしました。お互い、市民あるいはまた国民から信託を受けた政治家として、腹を割り、私は国の立場から、そして島袋市長は市民の立場から、率直に意見交換をいたしました。

 その上で共通の認識を持ったことは、一つは住民の安全を考えるということ、環境も考えなければならないということ、最終的には、言ってみれば辺野古、豊原、安部地区の上空を飛ばないことが最低守ってもらわなければならないことであると。そういうことの積み重ねの中で、あの二本の滑走路による普天間代替施設の建設についての合意を見たわけであります。沖縄最大の悲願は普天間の全面返還である。それの成果を上げるために名護市民の皆さん方には負担をかけるわけでありますけれども、我々も、市民の皆さん方、市民を代表する市長さんと率直に話し合ってその合意を見たものと思っております。

 滑走路については、昨年秋の中間報告に一千八百メートルというふうに滑走路とオーバーランを含めて書かれておりますので、それについては、政府の案のまま、変更されておりません。今後、具体的な形で、名護市あるいは沖縄県の皆さん方と協議をしていく形で正式に決定されていくということでございます。

 それから、協定を結ぶということについても、これは前回の流れを踏襲して、名護市とそういう形をつくっていくということで合意をいたしております。

仲村委員 次に確認せねばならないことは、新しくつくる基地で、現在米軍が普天間基地で行っている訓練についてそっくりそのまま全部やれることになるのか、それとも、キャンプ・シュワブの新基地では、今までの普天間基地で行っていた訓練のうちこれこれはやれなくなる、あるいはさせない、こういうことがあるのか、明確に答えてください。

額賀国務大臣 普天間の全面返還を早期になし遂げるためにはどうしたらいいかということで、昨年の年初であったと思いますが、普天間の持つ機能を分散させることによって普天間の返還を早める道はないのか。それがあの市街地のど真ん中にある危険を回避する大きな選択ではないのかということから、一つは、給油機能については本土に負担してもらえないか、あるいはまた有事の際の緊急時の滑走路の使用についても、これは沖縄県外の本土で機能を代替することができるのではないか。そういうことから、今度は、代替施設においては、普天間の機能が全部そっくりそのまま移転されるのではなくて、ヘリの訓練が普天間の機能として残されていくというふうに理解をしておりますし、そういうふうに制限されているものと思っております。

仲村委員 今回のV形滑走路で、(パネルを示す)北風のときはVの左側から侵入して着陸する、離陸のときはVの右側から飛び上がる、逆に南風のときはVの右からおりてVの左から飛ぶ、こういうことになるわけでありますが、これからすると、これはヘリだけの話じゃないと思うんです。

 そういうことで、私が、なぜ今まで普天間基地でやっていた訓練が全部できるのか、あるいはできなくなるのもあるのかということを聞いているわけでありますが、守屋次官が滑走路は千八百メーター必要だと言っている。米軍が現在普天間基地で行っている軍事訓練を今までどおりやれる条件整備だと言わざるを得ないのであります。

 現在、普天間基地では頻繁に固定翼機がタッチ・アンド・ゴーをしているんです、タッチ・アンド・ゴー。このV形でこれができるはずはないわけですよ。皆さんは着陸のところと離陸のところを別々にしているわけですから。

 そういう意味で、私は、固定翼機がもしここでタッチ・アンド・ゴーをやるということであれば、これは絶対に許せない。なぜかというと、これはやるおそれがあるというのは、守屋次官が千八百メーターの滑走路が必要だと言っていることであります。その点、はっきり私は、このタッチ・アンド・ゴーをさせない。

 今、普天間基地で一日に三時間もそのタッチ・アンド・ゴーをずっと繰り返しているんですよ。そして、ヘリの場周経路をこの線で囲ってありますけれども、米軍の飛び上がったヘリは、町じゅうぐるぐるぐるぐる旋回飛行しているんです。あのヘリのコトコトコトコトとする頭に響くような音、これが一日じゅう響き渡っている。その抗議を年に何回やっているかわかりませんよ、その抗議を。全くそれをやめようとしない。だから、私が今、普天間基地でやっているのをそのままやれるのかどうかということを確認しているのは、その点があるんです。

 本当に、責任を持ってタッチ・アンド・ゴーはさせない、そしてヘリの旋回飛行は絶対にさせないということが約束できるのかどうか、答えてください。

額賀国務大臣 普天間で米軍がどういう訓練をしているかについて、米軍の内部のことでございますから、私が一々コメントすることが適当であるかどうかと思っております。

 しかし、この普天間の代替施設においては、場周の滑走路はメーンの滑走路、陸側の滑走路を使うわけでございます。したがって、小型機も確かに三機ございますけれども、それは連絡輸送用に使っているわけでございますので、先生がおっしゃるような訓練がなされているということも聞いておりませんし、米軍がどういう形で今後対応していくかについてまだ具体的に話をしているわけではありません。

仲村委員 これが、今普天間基地で行われている、ヘリコプターが周辺の町の上空を回っている図面なんです。毎日こういうふうに町の上空を旋回飛行しているんです。そして、この滑走路におりるかと思ったらまた飛び上がっていく、いわゆるタッチ・アンド・ゴー、これの繰り返しなんですよ。

 だから、私は、この点だけは、今皆さんが決めたV形滑走路で絶対にできない。そのために守屋次官は千八百メーター必要だと言っていると思いますので、そういうことをさせないという約束をきっちり守っていただきたい。

 そして、次に、私たちが最大に懸念していることは、もう既に嘉手納基地にオスプレーを配備するという発表がなされているんです。(資料を示す)このように、オスプレーが。これは、これができましたら必ずこのオスプレーがここに配備されるということなんですが、私は、これも絶対にそこに配備させないという約束ができるかどうか、この点をはっきり答えていただきたい。

額賀国務大臣 お答えします。

 その新聞はいつの新聞でございますか、私は読んではおりませんけれども。米軍にそういう確認をしておりますけれども、日本でそういうことを考えているということについて、我々のところに連絡があることはありません。全くありません。それだけきちっと御報告をさせていただきたいというふうに思っております。

仲村委員 これは四月十五日の新聞です。琉球新報です。それに嘉手納にもオスプレーを配備すると。ですから、新しい沿岸基地にオスプレーが配備されることは間違いない、こういうふうに私は思っているわけであります。

 最後に、沖縄の海兵隊八千人をグアムに移動させることは、今回の沖縄米軍基地の整理縮小とは全く関係のないアメリカの兵力移動政策である、私はこのようなことを指摘したい。

 なぜなら、全世界の米軍兵力の展開状況は、陸軍が四十九万三千四十一人、海軍が三十六万五千七百四十七人、海兵隊が十七万七千三百三十八人、空軍が三十六万二千七百七人で、合計百三十九万八千八百三十三人だと言われておりますが、ブッシュ大統領は二〇〇四年八月十六日の演説で、十年間で海外駐留兵力を六万から七万、自国領土に帰還させる計画を発表したんです。だから、今回の八千人のグアム移転、これも、二〇〇四年八月十六日のブッシュ大統領が六万人から七万人を自国に帰還させるという計画の一環であります。

 そうすると、(パネルを示す)世界各国から全部アメリカの領土内に帰ってくる。日本が今回これを負担するということになれば、世界各地のこの移動軍隊は各国が負担するのかどうか。全くわけのわからない、理由の立たない話だと私は考えているのであります。

 どういう法律の根拠を持って日本がこれを負担しなければならないのか、はっきり答えていただきたい。

額賀国務大臣 沖縄の県民の皆さん方は、基地の負担の削減、軽減を図っていくということは悲願であるというふうに受けとめております。稲嶺知事も、嘉手納以南の土地が返還されること、海兵隊八千人、家族を入れると一万数千人の方々がグアムに移転されるということについては評価をされております。

 そういう意味においては、私は、沖縄におけるそういう負担を軽減していくために一日も早く実現方を考えていくことは、県民の皆さん、日本全体の負担を少なくしていく上で自然の姿ではないかなというふうに思っております。

 したがって、2プラス2中間報告の上においても、あるいはまたその後の閣議における決定においても、負担を軽減していくために資金的な手法を考えていきたいということを述べているわけでございます。どういう手法で、どういう形でやるかということについてはまだ確立されているわけではありませんので今言える段階ではないのでありますけれども、何らかの資金的な支援をしながら、一日も早く負担の削減をしていくことが県民のプラスになるというふうに思っておりますし、それはまた同時に、日米同盟関係の信頼にもつながっていくことになるというふうに思っております。

仲村委員 さっき示しましたとおり、世界各地に米軍は百三十万人の軍隊が配置されている、そのうち六万から七万は十年以内に自国に帰す、こういうふうに言っているんです。その一環なんですよ。確かに、私たち沖縄としては八千人の海兵隊が減るのはありがたい話ですよ。しかし、これは国としてどういう法律の根拠でそれを負担しなければならないのか。日米地位協定にもないし、ホスト・ネーション・サポートでもこれはできるはずはないわけです。

 私は、どういう根拠に基づいて、どういう法律に基づいてこれをやらねばならないのか、全くわけのわからない話だ、こういうふうに思いますので、これは、国民の税金をそのようにアメリカの軍事政策のために使ってはいかない、こういうことを申し上げたいと思います。その理由をはっきり示していただきたい。

浜田委員長 仲村先生、時間が来ておりますので、よろしくお願いいたします。

額賀国務大臣 今お話し申し上げましたように、具体的にどういう形で、どういうやり方でということがまだ確立されておりません。そういう形がまとまれば、きちっと国会においても国民の皆さん方にも報告をし、理解をしてもらわなければなりません。

 同時に、我々は、日米同盟がこの北東アジアあるいはまた太平洋地域においてもこのプレゼンスが大事であり、信頼関係をきちっとしていくことが我々の安全保障にとって不可欠のことであるという視点からも考えていかなければならないというふうにも思っているわけでございます。

仲村委員 終わります。

浜田委員長 次に、西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきました委員長初め理事の先生方の皆さん並びに委員の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、早速質疑を始めたいと思います。

 米軍再編は、地球規模で、アメリカの意向で、常に効率的にと申しますか、いろいろな書物等を読みますと、大きな意味では米国自身の予算の制約もあり、あるいは科学技術の進歩等もあり、地球規模で米軍の再編が行われている。

 ヨーロッパ地域と違って、私どもの北東アジア地域は、朝鮮半島に予測がしがたい北朝鮮という国があり、あるいは最近は、二十一世紀の台頭、インド、中国があるわけでありますが、これから中国が無視できなくなる、いろいろな感情はそばに置いておいても、中国の軍事の動向を見ていかなければならないのかなと。

 また、沖縄は地理的に過重な米軍基地の負担をしておりますが、私どもは、我が国の安全のため、北東アジアの、武力紛争のない、戦後六十年続いているこの状況を永続させるためにも、日米同盟は不可欠であるという認識に立っております。

 こういう中で、いかにして沖縄の過重な負担を減らしていくのかという形での我が国と米軍との交渉があったものと思っております。

 私は、地元の名護市長が必ず防衛庁長官と合意に達する、握手をできる日が来るであろうというふうにずっと見ておりました。選挙で選ばれた者同士の決断によって今回の基本合意書が交わされたわけでありますけれども、正直言いますと、二本の滑走路というのは予想外ではありました。しかし、基本合意書が結ばれております。少々逐条的になりますけれども、この基本合意書の中の項目を、まず冒頭、質問したいと思います。

 基本合意書の項目三番目で、「防衛庁と沖縄県、名護市及び関係地方公共団体は、」「継続的に協議をし、結論を得る」という文言になっております。

 名護市と関係地方公共団体は合意に達したと私は理解しておりますけれども、沖縄県も含めた協議会を立ち上げていくのか。私は、予算委員会のときにも長官にお伺いいたしましたが、協議会のような場で、オープンで、関係者が一堂に会して会議をどんどん進めていくというのが望ましいと考えておりました。

 今回の基本合意書の三項目に記されているところで、沖縄県も含めた協議会を立ち上げていくと理解してよろしいのでしょうか、お伺いをしたいと思います。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 今の合意書の中で、沖縄県それから名護市、関係市町村、地方団体と継続的に誠意を持って協議するということがうたわれております。当然、沖縄県も含めて今後の対応について協議をしていくことが大事であるというふうに思っております。最終合意を得た上で稲嶺知事、沖縄県にはよく説明をする、あるいはその前においてもよく説明をする、そのことを経ながら、そういう協議会の設置を考えてまいりたいというふうに思っております。

 しかもなおかつ、沖縄県だけではなくて、全国の基地のある市町村長さん、地方団体あるいは県等々もそれぞれの問題を抱えているわけでございますから、そういう協議会の中でお互いに率直な意見交換をしていくことが大事であるというふうに思っております。

西銘委員 稲嶺知事は、県の立場、知事の立場で、率直に今回の合意書についての態度は反対を表明しておりますけれども、例えば海兵隊のグアム移転等、あるいはトータルな沖縄県の基地の負担軽減等を見ながらこれからどういう判断をされるかわかりませんが、知事御本人は協議は続けるということを表明しておりますので、どうぞ長官、沖縄県も含めた協議会を立ち上げて議論を進めていただきたいと思います。

 次に、この合意書の四項目でありますが、先ほど仲村先生の質疑の中にも出ましたけれども、「政府は、」「使用協定を締結する」という文言があります。

 これは、我が国政府と在日米軍のトップとの協定になるのか、あるいは日米両政府間の協定になるのか。その協定の実効性という点では、地元名護市も非常に心配をしております。平時と有事ということもあろうかと思いますが、普天間の事例を見ますと、県民は、米軍は自由自在に飛び回るという印象を強く懸念しております。

 そういう意味では、この使用協定の実効性をいかに担保していくのか、協定は、どことどこの形で協定を結んでいくのか、この辺をお伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 先般、名護市あるいは周辺の関係団体と合意をした際に、稲嶺知事と二、三時間、率直に意見交換をいたしました。一つは、稲嶺知事は、地元の皆さん方の合意は尊重するということでございました。それから、日米安保条約は政府の専管事項であるという認識を持っていると。これまでの知事としてのさまざまな経緯もあるし、県の立場としてはスタンスを変えない、しかし、引き続いて協議をしていきたいということと受けとめております。したがって、我々は、腹蔵なく沖縄県の執行部の皆さんや多くの方々と率直に話し合うことができるというふうに思っております。

 その上に立って、この合意書の使用協定の話でございますが、これは、ここに書いてありますとおり、「平成十四年七月二十九日に合意した「代替施設の使用協定に係る基本合意書」を踏まえ、使用協定を締結するもの」というふうになっておりまして、この平成十四年の七月の基本合意書というものは、安全対策及び騒音対策あるいは環境対策等々について決められているというか、協議をしていくことになっているわけであります。これは政府と地方団体との間の協定であり、それを踏まえて、日米地位協定に基づく、米軍に対してきっちりと物を言っていく、守らせていく、そういう形をとることになると思っております。

西銘委員 ただいま長官の答弁ですと、政府と地元市町村という答弁かと思うのでありますが、そうしますと、日米両政府間での使用協定ではない、あくまでも政府と地元市町村との協定というふうに考えてよろしいんでしょうか。

額賀国務大臣 そのとおり、そういうふうに受けとめております。その上で日米間できっちりと話し合いをしていくということになります。

西銘委員 地元の名護市が懸念をしているのはその辺のところではないか、政府と地元市町村との協定では実効性が担保されないのではないかという懸念が強いと思います。ですから、その辺は、在日米軍のトップと防衛庁になるのか、地元の協定がそのまま平行移動した形で、米軍と政府、あるいは米軍と防衛庁という形で協定を結べる方策をぜひとも考えていただきたいと思います。これは強く要望をしておきたいと思います。

 三点目でございますけれども、基本合意書の五項目で、「閣議決定を行う際には、」という文言があります。

 今現在生きている閣議決定に対して、これからスケジュールとして新たな閣議決定がなされるのではないかと思いますけれども、この新たな閣議決定と在日米軍再編の最終合意、そしていわゆる2プラス2の開催も含めて、時系列的にどういう、いつごろを想定しておられるのか、お伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 もう西銘委員御承知のとおり、今、米軍再編について、普天間の代替施設の建設というのは最大の課題でありましたけれども、これに関連して、先ほど来話が出ている海兵隊のグアム移転に伴う問題が残っております。これについて大詰めの協議をしているわけでございまして、それが終わるといわゆる最終合意も迫ってくるということになると思いますので、それに向けて今全力投球をしているということでございまして、まだ何月何日にこれがきっちりとしますというふうに言える段階ではないので、御理解をいただきたい。

 その上に立って、そういう2プラス2、閣議決定等々のオーソライズされていく段取りがつくられていくものと思います。

西銘委員 順序としては、最終合意、2プラス2の開催、その後に閣議決定がなされるんでしょうか。それとも閣議決定がなされた後、そこら辺の順序はどうでしょうか。

額賀国務大臣 地元との一定の理解の上に立って最終合意がなされ、それが日米間で最終合意という形でオーソライズされることが大切であり、その上に立って、日本政府としてどういうふうに実効あらしめていくかという段取りを考えるということだと思います。

西銘委員 普天間飛行場のそもそも論といいますか、普天間飛行場の、市街地のど真ん中にある、この危険性を除去すること、このことが県政の大きな課題でありました。

 そこで、お伺いしたいのでありますが、暫定的な対応として、あるいは緊急措置として、キャンプ・シュワブの陸上沿岸部にヘリパッドを優先的につくるということが、日米間あるいは地元との間で話し合われたことがあるのでしょうか。うわさとして耳に入ってきたりすることもあるものですから、こういう暫定的な対応が話し合われたことがあるのかどうかという点でお伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 話の段取りとしては、四月の七日に代替施設についてようやく市長さんとの間で合意をし、市の方でも議会の方々とか区長さんとか地元の方々に説明をなさっている途中であり、一方でまた、我々も米国側に説明をし、大方の納得を得たという段階でございますから、そういう委員がおっしゃるようなことが議論されたということは聞いておりません。

西銘委員 次に、海兵隊のグアムへの移転についてお伺いしたいと思います。

 この移転に係る費用負担については、仲村先生が指摘をされた懸念も当然だと思います。ですけれども、私は少し視点を変えて、この在沖海兵隊の八千名、プラス家族を含めますと一万数千名の移転というのは、稲嶺知事もこの海兵隊の移転は評価をするという発言をしておりますけれども、むしろこの時期に、少々費用はかかっても一気に移転すべきではないか、県民の負担軽減という立場からぜひ移転を強力に推進してほしいという立場でありますが、法的な根拠といいますと、かなり、どうなるのかなという点を懸念します。

 私は、むしろ、今国会中あるいは一日でも早くこの根拠法といいますか、費用負担の根拠となる法案を国会に提出すべきではないか。金額については触れることはないと思いますが、最小限必要な部分を出してでも海兵隊のグアム移転を進めていくという立場を明確にすべきだと思いますが、長官のお考えを聞かせてください。

額賀国務大臣 先ほど来お話がありますように、私も西銘委員と共通の思いを持っておりまして、沖縄県民は、できるだけ負担を軽減してほしいというのは悲願である、そういう要請、流れの中で、この米軍再編というものをどういうふうに位置づけて抑止力を維持しながら負担を軽減するかということが、我々に課せられた仕事であるというふうに思っております。

 米国は米国でアジア戦略があるでしょう。しかし、我々は、日本の安全とこの地域の安定を確保しながらその米国の戦略に思いをいたし、と同時に負担を軽減する作戦をとるのが賢明であるというふうに思っております。それは、今後五年、十年、二十年先を考えても、大きな流れの中でそういう負担の軽減を図っていく端緒を開けばいいのではないかというふうに思っているわけでございます。

 その意味では、できるだけ県民の皆さん方の負担を減らしていくために一定の国民の皆さん方の負担をお願いしても理解してもらえるのではないか。かつて湾岸戦争のときに、一兆円の税金で御負担をさせていただきました。そして、今イラクの人道復興支援をやっておりますけれども、ODA等、無償、有償入れますと五千億円の援助をしております。

 今回は沖縄県民の直接的な負担の軽減に結びつくことでございます。国民の皆さん方に誠実に訴えることによって理解をしていただけるのではないか。そういうことを、しっかりと順序立てて、わかりやすく説明していかなければならないというふうに思っているところであります。

西銘委員 ぜひ強力に根拠法を進めていただきたいと思います。

 時間もなくなりました。最後になりますが、東シナ海の石油ガス田の開発について、この北東アジアの安全保障、エネルギーの安全保障という視点で、一問質疑をしたいと思います。

 先般、中国が我が国の主張するEEZを含む海域を航行禁止とすると公示して、それが間違いだったという報道もなされておりますが、このことは国際法上非常に大きな問題ではないかと私は考えております。日中間の局長協議の中でも尖閣諸島周辺の海域を共同開発しようという提案をしてきていることも含めて、非常に意図的で、したたかだなという印象を強く持っておりますが、外務省の見解を伺いたいと思います。

浜田委員長 西銘委員、時間が来ておりますので、よろしくお願いします。

金田副大臣 お答えをさせていただきます。

 昨日の深夜、十七日の深夜、中国の外交部より我が方の在中国大使館に対しまして、中国交通部海事局が発出しました御指摘の航行通告につきましては、作業範囲に関しまして技術的な誤りがあったという旨の説明がありました。

 我が国は、日中間の境界画定は中間線により画定すべきという立場でありますけれども、修正後の中国側航行通告の作業範囲は中間線の中国側に位置するということになります。

 しかしながら、仮に中間線の中国側でありましても、中国は他国の権利義務に妥当な考慮というものを払う必要はある、このように私どもは考えております。

 以上であります。

西銘委員 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 まず、今、沖縄の先生お二人から普天間飛行場の移設問題について中心に御質問がありましたので、私もその件を先にお伺いしたいと思うんです。

 過日のこの移設をめぐっての、防衛庁と名護市長並びに宜野座村が基本合意に達せられて、その中で額賀防衛庁長官みずから何回も協議をされて合意に達せられた御苦労に対しまして敬意を表したいと思うんですが、次の段階として、沖縄県の、特に稲嶺県知事との協議というのが大きな課題になってこようかと思います。

 先ほど御答弁でも言われておりましたけれども、四月八日の日には稲嶺知事は四点ほど長官に述べられたと思うんですが、私は、その最後の四点目の、沖縄県は今後とも政府と協議を継続するんだ、この点というのをぜひ尊重していただいて、これからぜひ政府としても粘り強く誠意を持って県と協議して、沖縄県側の合意に達していただきたいな、そのように思うわけでございます。

 そこで、今るる御質問がありましたけれども、額賀長官がどういう今後の手続を頭の中でイメージされているのかということをぜひもう一度明確に御答弁いただきたいと思うんです。特に日米間の最終報告と閣議決定、それで沖縄県の合意。先ほど西銘先生は、その上で、その前後に協議会を設けるという話をしました。この辺の三点プラス協議会の位置づけですね。

 どうされるのかということを、ぜひ今考えておられることを教えていただきたいと思いますのは、九九年、平成十一年の今の閣議決定がされましたときには、閣議決定は十二月二十八日でございました。SACOの最終報告というのはもうそれ以前に日米間では合意されているんですね。この日米のSACOの最終報告についていろいろやりとりがあって、この九九年、平成十一年は、十一月二十二日に、まず沖縄県知事が、軍民共用で使用期限を十五年にすることなどを条件にされて名護市の辺野古沖移設を受け入れる、そういう表明をされた。その沖縄県の合意を受けて、今度は、その約一月後の十二月二十七日に名護市長が同じく受け入れることの表明があって、翌日に閣議決定、こういう手続がとられておるわけですね、平成十一年のときには。

 今回の場合は、その前に名護市また宜野座村との基本合意が先にできてしまったわけでございますが、日米間の最終報告と閣議決定とそして沖縄県側との合意、さらに協議会の設置、こういうものをどういう形できちっと手続的に今位置づけようとされているのか、まず防衛庁長官の見解を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 お答えいたします。

 判こを押したようにすべて今からきちっと枠が決まっていっているというわけではなくて、これはそれぞれまだ、沖縄県との協議もあるし、それから最終合意もまだ決まっているわけではないし、日米の間でも全部合意をしているわけではない。

 そういう中でどういうふうな段取りをしていくかということでございますけれども、一つは、やはり稲嶺知事さんも、今度の米軍再編に伴う今まで報道されているもの、あるいは、まだ決定されていないけれども、方向づけとして、海兵隊の移転とか土地の返還とか、一定の評価をすると言っておられます。そういうものがきっちりと最終報告の中で決められていく、そういう状況を確認した上で、知事としてはお考えをお決めになるのではないかという私の推測もあります。しかし、その点については、逐一よく御説明をしながら、お互いに連絡をとり合って、対応にずれが起こることがないようにしたいというふうに思っております。

 したがって、最終合意あるいはまた閣議決定、そういうことをにらみながら知事との間の協議をするということが大事ではないかというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 いや、率直に申し上げて、私がお聞きしたかったのは、前回もやはり、名護市にしろ沖縄県にしろ、閣議決定の前に受け入れの表明という形で何らかのこの件に関して合意をされたこと、そういうものを表明されたことに基づいて政府としての閣議決定がされているわけですね。

 だから、今回も、日米間の最終報告についてどう見られるかというのは推測の域を出ませんが、何らかのやはり沖縄県側の、確かに、今回のこの再編の中で沖縄県の負担が軽減される全体像を見たときに、合意されたという、そういう意思表示というようなものがどういう形になるかわかりませんが、それがあった上でのやはり閣議決定をしなければいけないんじゃないのかな、そういうふうに私は思うんですが、そのあたりについての防衛庁長官の考え方をお聞きしたいわけです。

額賀国務大臣 合意書の中にも、閣議決定をする前に沖縄県を含めてよく協議をしていくということも入っておりますので、だから、最終合意とか閣議決定とか、そういうことの段取りを考えていく過程で知事さんとの間の話し合いをしていくことが適切であろうというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 それで、先ほど西銘先生の御質問で、地元との協議会というのを、これは予算委員会から長官は答弁されているんですけれども、これはそういう一連の手続を終えた後というイメージをされているのか、そういう場を、協議会を設けてもいいということであるならば、日米間の最終合意の前からそういうものを設けるという御意思もあるのか、確認でちょっとお聞きをしておきたいと思います。

額賀国務大臣 関係閣僚会議というのはもうスタートしているわけでありますから、その場で、関係自治体、市町村長さんとの協議を設けることも確認されているわけでございますので、それは最終合意に至る過程でそれぞれの自治体の皆さん方にはいろいろ報告しておるんだけれども、実際問題として、さらにそれを実効あらしめるため、あるいは地域のことについていろいろと協議をしていくということになるわけでありますから、その最終合意の後にそういう関係協議をどういうふうにしていくかということが決められていくのが適切ではないかというふうに思います。

佐藤(茂)委員 続いて、日米間の協議の問題、特に沖縄のアメリカ海兵隊のグアム移転問題を中心にお聞きしたいわけです。

 報道が先走っておりまして、具体的に我々国会の方に、こういう場においても協議の中身というのが語られることはなかなか少ないわけでございますが、ぜひちょっと確認で、十三、十四と日米間の審議官級協議が行われました。この協議で、これは最終決着じゃなくても大筋合意を含むものとして、一体何が合意されて、何が合意に至らなかったのか、これはまず具体的に御答弁をいただきたいと思います。

額賀国務大臣 全体的にまだ最終合意に至っていないわけですから、協議の途中であることは間違いないのでありますけれども、確かに私も、どうしてこんなに報道がぽんぽんと出てくるのかなというふうに思っている、間違っていることもたくさんあるわけでございますけれども。

 先生のおっしゃることについて御説明を申し上げさせていただくとすれば、例えば普天間飛行場に所在する空中給油機KC130については、岩国飛行場に移駐する、生活拠点とする、しかし、実際の訓練については鹿屋基地とかグアムとか、ローテーションで岩国以外のところで展開をすることを考える。それから厚木飛行場に所在する輸送機のC2、二機あるわけでありますが、これは岩国に持っていく。岩国飛行場に所在する海兵隊のヘリコプターCH53D八機はグアムに移駐する。あるいは横田空港について、民間の乗り入れのために制限区域を緩和する。それから基本的な管理権とかそういうことの返還については、返還をする方向で継続的に協議をする。あるいはまた移転の経費については引き続いて協議をしている。残された課題については、大体そういう話し合いの方向性ができたということでございます。

佐藤(茂)委員 続いて、グアム移転の問題で、今経費については引き続き協議するということなんですが、各紙とも報道が先んじておりますけれども、今回のこの交渉の場で、日本側からグアム移転費用の負担について、従来からの融資方式に加えまして、日本の一般会計から一定程度の財政支出にも応じる考えがあるんだということを米国側に伝えた、そういう報道が各紙とも一斉に出ております。

 これは、実際にそういうことをアメリカ側にお伝えになられたんでしょうか、御答弁いただきたいと思います。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 今この問題はまさに大詰めの協議をしている段階でございまして、具体的にどういう形で、どういう積算根拠に基づいて、どういうお金を出すかということについてまさに協議をしている最中でございますので、私から話す段階ではないということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

佐藤(茂)委員 今の答弁で、ほか何点か用意しておりましたが同じ答弁だろうと思うので、あえて聞かせていただきますと、我々国民から見ても、また国会議員から見ても、そもそもという疑問を感じる数字がございます。それは、アメリカ側の要求する七五%というこの数字が一体どこから出てきているのかということですね。彼らの言う根拠は何なのかということを、何回も交渉されておりまして、額賀防衛庁長官みずからもローレス国防副次官にもシーファー大使にも何度もお会いされている。要するに問題は、七五%というのは、各紙世論調査しても、とても日本側では受け入れられない、そういう世論も圧倒的に多いんですね。

 アメリカ側が交渉の中で、この七五%というのはこういう数字なんだ、どこから出してきたんだ、どういう論理また根拠に基づいて七五%日本が負担すべきだと主張されているのか。また、そのことを多分やりとりの中で問い詰められていると思うんですけれども、アメリカ側がどう言っているのかをぜひ御答弁いただきたいと思います。

額賀国務大臣 七五%とよく報道されておるわけでございますけれども、その根拠については我々も確認をしているわけではないのでありまして、そういう話し合いを今しているわけではありません。

 我々は、一つ一つについてどういう形で我々が協力できるのかということを話し合っているわけでございます。大ざっぱに何%負担するとか、そういう形の話し合いをしているわけではありません。

佐藤(茂)委員 ということは、防衛庁長官の今の答弁だと、七五%要求してきているという報道がもうずっと既成事実のようにこの一カ月ぐらい流れている、その報道は間違いである、そういうことですか。端的にお答えいただきたいと思います。

額賀国務大臣 逐一この問題についてお答えする段階ではないと思っておりますけれども、私は、アメリカ側の対応が、そういうしゃくし定規で我々と交渉しているというふうには思っておりません。

佐藤(茂)委員 そういうことであるならば安心しました。

 それで、どうも報道を見ておると、アメリカが、この際、要するに海兵隊のグアム移転問題に便乗してさまざまな項目を、これも関連があるんだ、これも関連があるんだ、そういう理屈をつけて無理な要求をしてきている可能性が非常にあるわけですね。

 今回、日本経済新聞だけが一貫して報道しておったのが、日本側がそこの部分を精査して圧縮を求めた。具体的に書かれているのは、アメリカ海軍、空軍施設の整備費までは負担できない、そういうことを言われて反論して、ここの部分を圧縮しろと。こういうことが事実であるとするならば、私は、そういう姿勢というのはどんどん貫いてもらいたいな、そのように思うんです。

 こういうグアム移転費の圧縮まで含めて今アメリカ側に求められているのかどうか、お答えいただきたいと思います。

額賀国務大臣 かわりに先生に交渉をやってもらいたいぐらいだと思いますけれども。

 核心に触れる部分でございますから余り答えることができないのは申しわけないのでありますが、今まさに話し合いをしている最中でございますから、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

佐藤(茂)委員 そこで、この交渉の視点で、当然主張されていると思うんですけれども、大事なことは、私は、今回のアメリカ海兵隊のグアム移転問題をどういうようにとらえるかということがきちっと日米間で一致を見られなければ数字の話まで行かない。ここを、もう一回原点に戻って、2プラス2の中間報告でももう一回お互いに読み直して見ていただきたいと思うんです。

 私は、今回の問題というのは、確かに、アメリカ軍基地が集中する沖縄の負担を減らす、そういう目的がありますし、海兵隊がグアムに移っても、移転する海兵隊というのはグアムで日本の防衛のためにそういう機能を担い続ける。そういう点からすると、日本としてもある程度の応分の負担は覚悟しなければいけないだろう。

 しかし一方、そもそも、この問題というのは、アメリカ軍の再編、トランスフォーメーション、変革・再編という大きな流れの中から出てきた話であるという意味合いが非常に強いわけですね。沖縄の海兵隊をグアムに移転させてグアムの基地機能を強化するということは、今回のQDR、二月に発表しましたけれども、これも、太平洋の戦力を強化するんだ、そこへシフトするんだ、そういうことで、例えば潜水艦も六割持ってきましょう、空母も六隻以上維持します、そういうことまでしっかりと明記された一連の流れと合致するわけであります。

 そういうことから考えると、アメリカの戦力転換にも合致し、アメリカの国益にもかなうメリットがある、そういう移転なんだということをぜひアメリカにも強く主張しながらの交渉をすべきだと私は思うんですが、防衛庁長官の、そういうことも主張されているのかどうかも含めて、見解を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、これはアメリカの戦略にもかなうものであり、と同時に、日本にとっても、日本のシーレーンだとか、アジア太平洋地域のプレゼンスがこの地域の安定に役立っているという視点からすれば、アメリカにもプラスだし、日本にもプラスになっている。だから、アメリカもきっちりと自分の戦略にのっとってこのことを行っているということを認識してもらわなければならないということは先生のおっしゃるとおりであり、我々も当然そういうことは指摘しておるわけでございます。それが、ある意味では日米同盟の戦略的な共通の目標につながっているということにもなると思っております。

佐藤(茂)委員 時間が参りました。アメリカとの協議、さらに沖縄県を初め各地元自治体との協議、粘り強く続けていっていただきたいことを期待いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内博史と申します。

 きょうは、委員長そして与野党の理事の先生方にお許しをいただきまして発言をさせていただく機会をいただきましたことに感謝申し上げます。

 時間も限られておりますので、早速質問を始めさせていただきたいというふうに思います。

 私は、この間の額賀防衛庁長官、そしてまた麻生外務大臣の日米間の協議に関する御努力、抑止力の維持と地元負担の軽減という閣議の決定方針に基づいて協議を重ねられてきたこと、特に、抑止力を維持することと地元の負担を軽減するという背反する目標を二つ同時に達成するよう御努力をされてきたことに関しては、深く敬意を表するものであります。

 しかし、他方、結果として、では抑止力の維持あるいは地元負担の軽減というものが最も最適な形で図られているのかということを検証するときに、私なりのスタンスで申し上げれば、やや疑問を感じざるを得ない。なぜならば、私は、在沖縄の海兵隊をすべてグアムに移すことが可能であったのではないか、今回八千名ということでございますが、在沖縄の海兵隊をすべてグアムに移すことが可能だったのではないかという観点から本日の議論を進めさせていただきたいというふうに思います。

 まず、その前に、先ほどの基地の使用協定のことについて若干疑問が残っておりますので、確認をさせていただきたいと思います。

 政府と地元の町村との間で使用協定を結ぶ、その後、日米間においてそれが努力をされるように、実現をされるように協議するということでございましたが、具体的には、その日米間の協議の結果というのはどういう文書に反映されるのかということを教えていただきたいと思います。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、この使用協定につきまして、そもそも、平成十一年の十二月二十七日に当時の岸本市長さんが受けたときに、住民の生活の安全といいますか、環境を保護する、それを一番保障するのが使用協定を政府と名護市の間でつくることであるといった趣旨のことを受け入れ表明のときにあわせてなさったわけですね。それを受けて、今、七月二十九日の基本合意があり、そのときに、この使用協定について結ぶようにしますといった関係閣僚のサインがあるわけでございます。その中に、先生ごらんのように、政府は、この協定を締結するに際しまして、米側と合同委員会合意を取りつけるといった趣旨のくだりがあるわけでございますので、今回、四月七日の日に名護市と大臣の間でサインをした基本合意書、その中で引用している十四年の七月二十九日の使用協定に関する合意、これを踏まえてということになっておりますので、私ども、政府と名護市が合意をしたら、それについてアメリカと協議をし、日米合同委員会合意を取りつける、そういうプロセスになると考えております。

川内委員 そうしますと、日米合同委員会の中で、飛行経路や基地の運用時間について政府間で協議をし、そして文書を取り結ぶという理解でよろしいでしょうか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 私ども、先ほど申しました十四年七月二十九日のサインしたものがございます。その中に、先生メンションされました飛行経路の設定だとかいろいろ入っております。そして、今回、うちの大臣と名護市長がサインした基本合意書にはあれを踏まえて云々ということがございますので、そういった点を考えながら、その内容についてまた基本的な方針を決めていく、そのように考えております。

川内委員 政府と地元の町村が取り結ぶ使用協定、さらにそれを踏まえて日米間で協議をする日米合同委員会合意、これは米国という相手があることでしょうから、すべてこちら側の言い分が通るとも思えないわけでございますから、地元の町村の皆様方の思いというものを十分に反映して合同委員会の協議に臨んでいただきたいということを、これは陳情というかお願いをするしかないわけでございます。

 ただ、他方、では、日米合同委員会合意に法的な拘束力があるのかという課題になりますと、日米合同委員会の合意には両国政府間を拘束する法的拘束力は残念ながらないということも一方では事実ではないかというふうに思いますが、私の今の認識に間違いがあるかどうか、もう一度施設庁長官にお答えをいただきたいと思います。

河相政府参考人 今、日米合同委員会における合意についての位置づけ、性格についての御質問でございますので。

 今後、この普天間の代替施設をめぐって、どういう形での協議を行っていくか、どういう取り決めをやっていくかということは、先々いろいろ米側とも話していかなくてはいけない。それに先立って、地元の方々の御要望、お立場というのも踏まえていくということでございますが、日米合同委員会で合意をしたこと自体につきましては、これは、合意をした以上、それは日本側もそうでございますが、同時に米側、米軍においてもそれを守ってもらうということがこの合意の性格であるということで理解をしております。

川内委員 いや、北米局長、私は何も、守らなくていいんだということを申し上げているわけではなくて、当然に日米両国政府は、その合同委員会合意にあらわされていることについて努力をしなければならないし、努力をするわけでありますが、しかし、国際約束という意味における合同委員会の合意の位置づけを見るならば、国際約束としての法的拘束力、要するに完全に米軍の行動を縛るものではないという位置づけをお尋ねしているわけでございますから、もう一度明確に御答弁をいただきたいと思います。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 合同委員会での合意、これは、米軍が日本の領域内においていろいろな活動をしていく、それに当たっていろいろルールを決めていく必要があるということで、種々の合意をつくってきておるわけでございます。

 そういう中で、合意の中身によって御指摘のように性格が異なるものもある、合意によっては例えばお互いに努力をするというような規定をしているものもあるということで、広い意味でいわゆる一般国際法上の国際約束に当たるのかどうかというと、そこは若干性格が違うものもあり得ようかと思いますが、私どもの立場としては、米側においても決めたことはきちっと守ってもらうというのが原則的な考えでございます。

川内委員 今、国際約束とは合同委員会合意は性質を異にするという御答弁があったわけでございます。だからこそ、アメリカ側にも守ってもらうようにするんだということであれば、私ども民主党は、日米合同委員会で合意した事項で、完全に両国政府がしっかりと守っていかなければならないという認識を共有されるものについては、日米地位協定という形で法的拘束力を持たせるように地位協定を改定すべきであるということを従来より主張を申し上げてきているわけでございますから、政府におかれましても、完全に米国政府あるいは米軍にそれを守らせるのであるということであれば、地位協定の改定、あるいは地位協定に加えていく、合同委員会合意を格上げしていくという御努力もされたらいかがかというふうに御提言を申し上げておきたいというふうに思います。

 では、この件はこれまでにいたしまして、次の課題でございます。

 抑止力の維持そしてまた地元負担の軽減、これが目標であったわけでありますが、抑止力の維持とは何か、抑止力とは何に対する抑止力なのか。さらには、地元負担の軽減、今回の日米両国政府で認識を共有されている事柄については、ある一部の地元では負担が減る、しかし一部の地元では負担がふえるということになっているわけで、この地元負担の軽減という、この地元というのは何を指す言葉なのかということをあわせて御答弁いただきたいと思います。

塩崎副大臣 これまで、抑止力というものは、政府答弁で、あるいは質問主意書などで、一般論でやや教科書的ではございますけれども、「侵略を行えば耐えがたい損害を被ることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすもの」ということを言っているわけであって、今回の抑止力の維持というのは、この抑止力自体を減殺させないということを意味しているということでございます。

 それから、地元というのは、当然のことながら、米軍施設・区域の所在地ということでございます。

川内委員 そうすると、抑止力を維持し、そしてまた地元負担、米軍基地がある地域すべての負担を減少させていく、地元負担を減少させていく、減らしていくということであれば、今回の、例えば岩国とか、例えば私の地元の鹿屋であるとか、あるいは築城、新田原等々の地域というのは負担がふえるわけでございまして、地元負担の軽減という閣議の方針に合致しているのかというと、若干違うのではないかということも言えるのではないかというふうに思います。

 そこで、先ほど私が冒頭に申し上げた、在沖海兵隊、沖縄の海兵隊をすべてグアムに移転させることが交渉の経過の中で十分にできたのではないかということを論証していきたいというふうに思います。

 まず、先ほどからも折に触れて先生方から指摘をされておりますけれども、二〇〇六年の二月、ことしの二月に発表された、ラムズフェルド国防長官が米国議会に提出したQDR二〇〇六という文書がございます。四年ごとの国防計画の見直しというものであり、大分分厚いものでございますけれども、このQDR二〇〇六について、防衛庁長官それから外務大臣、両大臣に、この文書に対する御見解、評価というものを聞かせていただきたいというふうに思います。

額賀国務大臣 今川内委員がおっしゃることについては、米国の戦略において、アジア太平洋地域を重視する戦略転換、その中で機動的にどういうふうに対応していくかということであると思っております。

 しかし、日本を取り巻く環境というものを考えた場合、この北東アジアについて急激な変化を起こすことがどういうことになるのかということを考えた場合、グアムに海兵隊を全部移転することが正しい選択なのかというと、私は、やはり機動性、展開能力、いかようにも対応していくためには、一部実力部隊を地政学的に沖縄に従来どおり置いておくことは、日本の安全にとっても地域の安全にとってもプラスになるのではないか。

 安全保障の政策というのは、やはり急激な変化というのは望ましいと思っておりませんで、どこかに変化が起これば新しい変化が生じてくるのは歴史が証明していることでございますから、そこはよくよく慎重に、平和、安定を構築していく方向で戦略転換をしていくことが望ましいというふうに思っておりまして、一部転換をすることは、日本の抑止力の維持をしながら負担を軽減するということにマッチしているのではないかというふうに思っております。

麻生国務大臣 今、カドレニアル・ディフェンス・レビューと称する、通称QDRについての評価の御質問があっておりましたけれども、これは、四年ごとですから二〇〇一年にしたんだと思いますが、九・一一の後を受けまして、いわゆるアメリカの安全保障環境というものを再チェックするということを反映したものだと思います。

 一番がテロとの闘い、二番が米本土の防衛、三番が戦略的岐路にある国々の選択肢形成の支援、四番目が大量破壊兵器に対処する、四分野を焦点として定めているんですが、テロなんかのいわゆる今までと全く違った非対称的な脅威に対処するための能力向上、簡単に言えば特殊部隊の増強ということをこれは挙げているので、そういったものの必要性を強調しておるというように理解をしております。

 私どもの考え方として、この種の現状は確かに、何となく宣戦を布告して正面切ってというような戦争というものに比べて、そういったものが圧倒的に落ちて、今、テロ等々、ある日突然にという話が非常に多くなってきておる現状にありましては、国防計画というのが現状に合って見直されるということは、これはいいことなのではないかと思っておりますので、いわゆる世界の平和とか安定とかいうものにとりまして、これは安定に資するというように、私どもはそのように考えております。

川内委員 このQDR二〇〇六の四十五ページにこのような記述がございます。ちょっと長くなりますが、読み上げさせていただきます。

 制度化された大規模戦力からより多くの作戦能力を前線に集中させる将来型戦力への移行が可能となるだろう。また、これによって、冷戦時代の駐留戦力から遠征作戦に適合した将来型戦力への移行も補強されるだろう。将来の統合戦力は徐々に支援のための小規模な現地プレゼンスのみを残して、受け入れ国の施設を利用するようになっていくだろう。これにより、大規模な施設基盤を備えた昔ながらの作戦基地を海外に維持する必要性が薄れるとともに、非対称的脅威、これはテロのことを言っているんだと思いますが、非対称的脅威に対する戦力の露出が低下するだろう。

 このようにQDR二〇〇六で、海外の大規模な基地は減らしていく、そして展開力を重視するんだということを述べております。

 ですから、額賀長官の意見に私は賛成であります。急激な変化は安全保障上好ましくはないと。したがって、日米安全保障条約という日本の現在の安全保障にとって死活的に重要な二国間条約は当然に維持されるべきであります。しかし、この間の沖縄が受けてきた数々の苦難を考えるときに、少なくとも、米国も国防総省が発表する文書の中でこのように考えているのであれば、グアムに海兵隊の基地を移転してもらう。

 すなわちそれは、さらにこのQDRの他の部分にもヒントになるものが書かれているんですが、例えばこのQDRの二十一ページに、テロリストのネットワークは、ムスリム世界を急進的、神政的な圧制のもとに支配しようとして、この辺は私は異論がありますが、アメリカはこう言っているということですが、脅迫、プロパガンダ、無差別の暴力を用いる。これらのネットワークは米国やムスリム世界の国々を含む同盟国、協力国の彼らに対抗する意思を疲弊させることも意図していると、明確にこのQDR二〇〇六はテロとの闘いを対象にしている。そして、そのテロはムスリム世界を想定している。

 そしてまた、特に今回、この二〇〇六には不安定の弧という言葉はなくなったわけでございますが、ムスリム世界につながる不安定の弧、この前に発表された、二〇〇一年に発表された不安定の弧に沖縄より、より近いのがグアムでありますから、そういう意味では、グアムに海兵隊を集中させて、そこから出動する。そしてまた、北東アジアあるいは日本海の防衛については、既に運用が始まっているミサイル防衛システム、あるいは日米間で開発の合意をしているミサイル防衛システムもあるわけですから、そういう形の中で十分に安全保障の空白というものが消せるのではないかというふうに私は考えておりまして、そういう意味では、このQDR二〇〇六というのは大変に示唆に富んだ米国政府が出された論文である、文書であるというふうに思うんです。

 こんなことを両大臣にお聞きするのは甚だ僣越でありますが、このQDR二〇〇六の全文を防衛庁長官、外務大臣はお読みになられたかどうかということをお尋ねいたします。

額賀国務大臣 全文を読んでいるわけではありませんが、要点は読ませてもらいました。アメリカの戦略と日本の戦略は共通するものもありますけれども、日本の戦略は日本の戦略もあります。

麻生国務大臣 全文九十二ページあったと思いますが、その九十二ページの分を、私どもの役所で全文を訳したことはありません。全文を訳したのは、多分これは防衛庁が訳したと思いますので、防衛庁の分はそちらに手渡しはしてあると思いますが、私のところに来たのは英文で来ました。英文で来て、今言われたところの、一番肝心なところをさっき長々と読まれたんですが、あそこのところは一番おもしろい表現だったと思えて、あそこだけは記憶があります。

川内委員 これはぜひ、防衛庁でも外務省でもいいんですけれども、日米関係は日本にとって非常に重要な関係だというふうに政府もおっしゃっていらっしゃるわけですから、その米国政府が発表された文書ですから、訳を広くウエブサイト上に発表していただいて、これは日本の政府が勝手に訳して勝手に発表するわけですから、アメリカは公式に発表している文書ですから、その文言の解釈について協議を米国側とする必要はないと私は思うんです、協議をする必要が出てきたら協議をすればいい話で。他方、我々国会議員やあるいは市民の皆さんが日本の安全保障を議論するときにこのQDR二〇〇六というのは非常に大事な資料だというふうに思いますので、ぜひ訳をウエブサイト上にアップしていただきたいなというふうに思うんですが、いかがでしょうか、どなたか。

額賀国務大臣 川内委員の御指摘をよく踏まえて対応します。

川内委員 この二〇〇六で書かれていることから、私は私なりの主張をさせていただいているわけでございますが、そもそも、この米軍再編について、昨年の十月、共同声明、共同文書が発表されたときに、在沖縄の海兵隊について、県外移設あるいは国外への移設というものを日本からアメリカに申し入れをしたかということに関して、防衛庁長官並びに外務大臣の間でその発言ぶりに若干そごがあったように私は記憶しているんです、もし間違っていたら大変申しわけございませんが。

 そこで、もう一度ちょっと確認をさせていただきたいんですが、在沖縄の海兵隊のすべてを国外あるいは県外に移設することを日本側として、日本の政府として、米国政府に対して協議をされたことがこれまでの間あるかどうかということに関してお答えをいただきたいというふうに思います。

額賀国務大臣 この問題、私が長官になる前、自民党の安保調査会長をしているときに、ローレス副次官と会ったときに、七千人の海兵隊をグアムに移転する用意があるという話を聞いたことがありましたけれども、当時、私は交渉する立場ではありませんでした。その後は、長官になってからは、この七千人あるいは八千人のグアム移転を、どういうふうにスムーズに移転をしてもらうかという環境づくりをすることに力を注いできたわけであります。

 私は、こういうことを端緒にして沖縄の負担の軽減を図っていくことができるのではないかというふうに思っております。

麻生国務大臣 私も同じく、七千人のところからスタートしたところから外務大臣を拝命したんだと記憶します。

 その上で、今言われましたように、七千が八千人にふえて、いろいろ移転ということが進むことになりました。まことに喜ばしいことだと思っていますが、今言われたように、先ほどの川内先生の額賀長官に対する質問と私に対する質問と重ねて、それから自分でされた質問の内容と合わせると、答えがそこに出ているんだと思いますけれども。

 少なくとも、QDR二〇〇六によれば、その中を見ていただくと、いわゆる軍事技術の進歩という言葉、一言で言えばそういうことになるんですよね。その技術進歩が急激な勢いで進んでいくと、先ほど言われたようなことは可能になり得る。すなわち、そこには大部隊を置く必要はなくなるような、スピードがアップされる、大量に物が輸送できるようないわゆる技術が進む等々のことが起きますと、今言われたようなことになり得る可能性があり得るということは事実だ。私も、技術の進歩というのはそういうものだと思っております。

 ただ、今の段階でいくかといえば、先ほどの額賀長官のお話ということになるんだと思いますので、そこらのところの技術進歩についての認識を含めて、額賀長官とそんなにそごを来しているという感じはございません。

川内委員 もちろんこのQDRは将来的なことを含めて書いてあるということは事実だと思いますが、ただ、米軍あるいは米国政府の方針として、大規模、恒久的な海外駐留に頼る軍隊から、小規模な海外基地を活用する遠征型の軍隊に変えていく。すなわち、これは輸送機の増強あるいは高速輸送船の導入などによって既に裏づけられている。さらには、従来型の作戦を重視する軍隊から非対称脅威に対処できる軍隊へと、これは統合軍という形で、あらゆる軍をパッケージにして動かしていくということによってあらわされているということだというふうに思うんですね。

 こういう米国政府あるいは米国軍の方向性に沿う形で今回の米軍再編を、日本の中における再配置を考えるときに、普天間を辺野古にもう一度移設するということをチャレンジして、今後、五年かかるのか八年かかるのか十年かかるのかわかりませんが、それだけの時間をかけて滑走路を二本つくるということが果たして合理的な結論であったのかということは、私は、検証されてしかるべきなのではないかというふうに思っているからこそ、このようなことを今さらながらのように申し上げているわけでございます。

 このQDRの中には、米国政府も、国防省は、議会や同盟国等からこれ以外の観点や革新的な提案が提示されることを歓迎する、それらの観点や提案は、本QDRが提示している考えに基づくものであってもいいし、より望ましい代案を提供するものであってもよいと、意見をどんどん言ってくれというふうに言っております。

 さらには、私、米国というのはさすがだな、最近のイラク政策の失敗とかは全然評価しませんが、ある意味すごく大したものだなというふうに思っているのは、こんなことを最後の部分で言っているんですね。長い戦いにおける勝利は、究極的には、米国及びその国際的パートナーによる戦略的コミュニケーションに依存している、効果的なコミュニケーションは、言葉と行動の両方における一貫性、正確性及び透明性の重視を通じて、敵味方同様に信用性及び信頼を築き、維持しなければならないと。

 こういうふうに、外交努力、言葉を通じた平和の構築ということに関しても、国防総省でさえしっかり、そのことが一番重要なんだということを結びの部分で語っているということにおいては、我が国政府もしっかりと米国政府と、これまでも十分に協議をされていらっしゃると思うが、今後もさらに一層協議の深化をされるように望むところであります。

 そういう意味では、先ほどから議論に出ておりますグアムの移転軽費について、日米安全保障条約並びに日米安全保障条約に裏づけられた日米地位協定に基づいて、今まで我が国政府は施設・区域あるいは米軍に資金を提供していたわけでありますが、今回、グアムに移転をするに当たって、地位協定に根拠を持つ資金の提供というものはできないわけでありますから、そういう意味では、もちろん外交は政府の専権事項であるし、日米安保条約も専権事項である。しかし、他の地域に区域・施設を移す場合に、国民の代表者が集まる国会の意思を問うということは当然にしなければならないことであるというふうに私は考えます。

 そういう意味では、グアムの移転軽費については法律の形でしっかりと国会の意思を確認するということを、最後に防衛庁長官から御答弁いただきたいというふうに思います。

額賀国務大臣 お答えいたします。

 川内委員御指摘のとおり、これは地位協定とか特別協定によって資金の手当ての根拠をなし得るものではないというふうに思っております。したがって、どういう形でこれを実現していくかについて、今まさに協議中でありまして、まだ確定したわけではありません。したがって、申し上げる段階ではありません。決まればしっかりと国会に御報告をして、民主党にも御理解を得たいというふうに思っております。

川内委員 終わります。ありがとうございます。

浜田委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、この委員会で質問をさせていただく機会をいただきましたこと、大変感謝しております。

 せんだって予算委員会の分科会で外務大臣には質問させていただきましたけれども、私の地元が岩国だということを途中で気づかれたということでございますので、最初に申し上げさせていただいておきたいと思います。

 私は、今回の米軍再編問題について言えば、検証しなければならない点が大きく二つあるのではないかというふうに思っております。その一つは、日米安保条約の適用範囲を逸脱するようなものになってはいないか。もう一つ、自衛隊の側から見ると、自衛隊の役割が変質させられようとしてはいないのか、この点がまず第一点だと思います。第二点は、基地を抱える地元との調整について、地元の意見というものがどれだけ酌み取られているのだろうか、あるいは酌み取るように政府として努力しているんだろうか。この二つの点が検証しなければならない大きな点だと私は思います。

 きょうは、ちょっと時間の関係もありますものですから、二番目の点の、地元との調整の問題について先に取り上げさせていただきたいというふうに思うわけであります。

 そこで、私がちょっと感じているところは、地元自治体との調整というのがどうもなおざりにされているのではないかというような危惧を持っているということであります。

 その一つは、例えば、地方自治体の首長との協議というのが誠意を持って行われているんだろうかどうだろうかという点。それからもう一つは、自民党の国会議員や県会議員に対して情報リークが行われ、その情報リークによって地元を混乱に陥れているのではないだろうか、こんなような問題意識を私は持っていますので、この点についてまず質問させていただきたいというふうに思っております。

 最初に、先月の一日に予算委員会で、私、外務大臣に対しまして、岩国市の住民投票の問題についてちょっとお聞きいたしました。そのときは、住民投票が行われる前でありましたから、まだ結果がわかっていなかったわけでありますけれども、私の方から、住民投票の結果については外務大臣からもアメリカ側に伝えていただくことをお願いしたいというふうに申し上げまして、大臣から「当然だと存じます。」というふうに答弁をしていただいておるわけであります。

 まず、この点について、どのように伝えていただきましたのでしょうか。そして、それに対してはアメリカ側はどういうような対応、反応であったかということについて、大臣から答弁を求めたいと思います。

麻生国務大臣 平岡先生御指摘のありましたとおりに、岩国市におきます住民投票の結果につきましては、これはもう報道等によりアメリカ側も十分に認識しているところではありますけれども、在日米軍の兵力再編のあり方について地元に厳しい意見があるということにつきましては、日米間の協議、あれ以後たびたびございましたけれども、随時米国に伝えております。私の方からも大使に伝えたり等々いたしております。

 米側の対応はどうだったかという御指摘でしたけれども、基本的にアメリカとしては、地元との関係でありますのでこれは日本側の国内調整の問題ということになりますので、先方もそういう認識のもとに、日本政府の判断にゆだねるということにしつつ、在日米軍の再編というものが日本の政府によって引き続き精力的に取り組んでもらえることを心から期待しているというのが向こうの答弁ということになろうと存じます。

平岡委員 そのときの質問でも大臣には申し上げましたけれども、ラムズフェルド国防長官が二〇〇四年の九月二十三日の米議会の上院軍事委員会で、アメリカの部隊というのは、要求され、歓迎され、必要とされるところに配置すべきであるということを明確に言っているわけでありますから、日本側がしっかりと地元との調整の状況というものを伝えていけば、場合によっては、この地元の意見というものはもっともっとアメリカ側にも反映されてくる、アメリカ側にも理解されてくるというふうにも私は思いますので、その点は今後とも引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。

 そういうふうに申し上げますのも、実は、住民投票の結果を踏まえて、当時の岩国市長、現在、合併によりまして岩国市長選挙が行われている最中でありますから市長が存在していないわけでありますけれども、当時の岩国市長が、先月の十六日に外務大臣とかあるいは防衛庁長官に面談を求めて上京しているわけであります。そのとき、私は報道でしか知りませんでしたけれども、どうも室長クラス、課長クラスよりも下の人が応対をするだけで済ませられてしまっているというような報道だったんですけれども、両大臣としては、どういうお考えのもとにそういう対応を指示したのか、そういう対応にされたのか、その理由をお聞きいたしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

麻生国務大臣 これは三月十六日の話ですか。(平岡委員「だったと思うんですけれども」と呼ぶ)

 三月十六日に、井原さんと言われたと思いますが、今、前市長か現市長かちょっと、この間選挙になっていますので。前市長が本省にお見えになるという日は、日程表を見ていただいたらわかると思いますが、その日はたしか、この委員会、昼間は本会議、これで昼飯もなくなった記憶がありますので克明に覚えているんですが。何かあって、そしてその後、また午後は委員会ということになりましたので、要請がございましたけれども、私としては基本的に日程がつかなかったものですから、四方という日米地位協定室長、このことに関して最も詳しいのが対応させていただいております。

 先方の方も、偉い人に会うのを目的とされるというようには思えませんでしたね、私の感じでは。少なくとも、私ども、前に井原さんという方には、知らない人じゃありませんから、何回もお目にかかって、実務というものを非常に大事にしているというように伺いましたので、一番詳しいのはこれが一番詳しいと思いましたので、四方というのが対応したと記憶をいたします。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 当時は、今外務大臣がお話を申し上げましたように、午前中は参議院の外交防衛委員会、昼は衆議院の本会議、午後は本会議終了後直ちにこの衆議院の安保委員会ということで、ほとんど終日国会に拘束されておりまして、私どもも、私はお会いしようと思っておったんだけれども、そういうことで時間がとれませんでした。

 したがって、防衛庁では、一番やはり地方のことに詳しい施設課長等々がお会いをして、いろいろな意見を聞かせていただいているというふうに思っております。

平岡委員 いろいろな事情があったので、決して会わないという気持ちを持っていたというわけではないんだというようなお話がありましたので、それはそれとして額面どおり受けとめさせていただきたいと思います。

 せんだっての予算委員会の分科会でも、私の方から、地元との調整についてはしっかりと誠心誠意を持って事に当たっていただきたいということでお願いをいたしましたら、木村副長官が、当時、「額賀長官が時に言う、誠心誠意を持って事に当たっていきたい、こう思っております。」ということで明確に答弁していただいておりますから、しっかりと、地元との調整ということについては、誠心誠意を持って私は当たっていただきたいというふうに重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 そこで、先ほど言いました地元との調整がなおざりになっているんじゃないかということの二点目の話としてちょっと指摘させていただきたいと思います。

 報道によりますと、今月の十三、十四日に開かれた日米外務・防衛審議官級協議で、第一に、普天間飛行場の十二機の空中給油機KC130を岩国基地に移駐する、二番目に、岩国基地の大型輸送ヘリCH53D八機をグアムに移す、三番目に、厚木基地の空母艦載機、C2A輸送機二機を岩国基地に移すということが合意されたというふうに報道されていますけれども、これは事実でしょうか、外務大臣。

麻生国務大臣 四月の十三、十四日に行われました在日米軍兵力態勢の再編に関する日米の審議官クラスというのにおきまして、岩国飛行場に関して、今御指摘のありました点で、一、普天間飛行場に所在する空中給油機KC130十二機を岩国飛行場に移転すること、ただし、KC130はローテーションで海上自衛隊鹿屋基地やグアムに展開すること、二、現在厚木飛行場に所属するC2、いわゆる低騒音機二機、いわゆる通常の輸送機を、空母艦載機とともに岩国飛行場に移駐すること、三、現在岩国飛行場に所在する海兵隊ヘリコプターCH53D八機を在沖縄海兵隊司令部とともにグアムに移駐すること等々について、基本的な考え方については合意をしております。

 政府としては、今申し上げたように、できるだけ早く最終的な取りまとめを行うべく、引き続き日米で協議をしておるというのが事実だと存じます。

平岡委員 今大臣が言われたことの内容については、地元自治体にいつ、どのように説明をされましたでしょうか、防衛庁長官。

北原政府参考人 御答弁を申し上げます。

 今の基本的な考え方の概要につきましては、私どもからは、四月十五日の午後、現地の広島防衛施設局から山口県等関係地方公共団体に対しまして御連絡を申し上げたところでございます。

 なお、私どもといたしましては、今後、できるだけ早く改めて地元の皆様に御説明をさせていただきまして、御理解を得るべく努力をしてまいりたい、そのように考えております。

平岡委員 これまで、中間取りまとめのときもそうだったんですけれども、新聞報道で報道されてもなかなかその事実関係を認めようとしないで当局はやってきて、いや、そんなことはありませんよと言ってみて、しばらくたったらやはりそうだったということがいろいろあったわけでありまして、報道の関係と実際起こっていることの関係というのは必ずしもはっきりしないという中で、今回報道があって、その後、地元自治体に対して今言われたような説明が行われたということなんです。

 他方、どういうことが起こっているかというと、これも報道なんですけれども、地元自治体に説明される前の十四日の夜に、まさに先ほど私が言いました岩国市長選挙との絡みの中で、ある立候補者の総決起集会において中川秀直衆議院議員と福田良彦衆議院議員が、先ほどの点について言いますと、大型輸送ヘリの移駐の問題について披露するとともに、三番目の厚木基地の空母艦載機と二機の岩国基地への移駐についての事実関係が報道陣に説明されたというようなことになっているんですよね。

 私は、こういう、地元自治体に説明する前に何か情報がリークされるような形で地元の人たちに伝えられるというのは、地元の人たちにとってみれば極めて不可思議な話だというふうに思うんですよね。

 これは一体どういう経緯でそういうふうな、国会議員から地元の人たちに対して情報リークが行われたんですか。これは、外務大臣、どうしてそういうことが起こったんですか。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎副大臣 地元の御理解を得るということが一番大事でありまして、それぞれ状況状況に応じていろいろな方々に御相談申し上げるということをやっているわけでありまして、その中で、関係する国会議員の方にお話をする、御相談をする、御説明をするということも入ってくるわけでございますが、個別のやりとりにつきましては、特にやりとりを申し述べるということは差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 少なくとも私も地元の関係国会議員だと思っているんですよね。少なくとも私には何の一言もなかったですよ。別にそれを私は根に持っているわけじゃないんですけれども。

 私が言いたいのは、この地元との調整というのは一体だれが責任を持ってやるのかということを考えたときに、公表する前に、あるいは公表した後でもいいのかもしれませんけれども、地元関係者に最初に説明をし、そして意見を求めていくのは、やはり地元自治体の首長であったり地元自治体の責任者であるということじゃないかと思うんですよね。

 それを何か、ある意味じゃ選挙絡みでそういうことをしたとは私は思いませんけれども、そういうやり方というのが、やはり地元自治体というものを、地元の人たちというものを、協議というものをなおざりにしている政府の一つの気持ちのあらわれじゃないかというふうに私は思うんですね。こんなことをやはりやってほしくない。しっかりと地元自治体と誠心誠意協議をしてほしいというふうに思います。

 そこで、実はこういうこともそのときに言われておるのでございますけれども、この総決起大会で福田良彦衆議院議員は次のことが合意されたというふうに話したそうです。米軍岩国基地の民間空港再開に伴う空港用ターミナル建設用地として基地敷地を提供することに米軍が同意したというふうに言ったそうでありますけれども、このことについては、事実ですか。このことというのは、そういうふうに米軍が同意したということについては事実ですか。

額賀国務大臣 私は、今委員がおっしゃるように、福田議員に対してそういう話をしているわけでもないし、それから、今、この民間空港の移設に伴っての用地についてはまさに協議中でございます。私は、一番の責任者として、最終的にきっちりと決まらない前に人に言うことはありません。

平岡委員 私は、そういうふうに合意されたということは事実かということをお聞きしたので、今の話は、合意していない、まだ協議中であるということだということですね。

 それともう一つ、そのときに同じく、安倍官房長官と協議し、民間空港の百五十億円を国が持つ用意があるということが明らかにされたというふうに発言しているようですけれども、このことについても、発言された内容、つまり百五十億円を国が負担するということについても、そういうことは決まったんですか。

額賀国務大臣 今協議中であって、決まってもいないし、そのお金のこと等について私が言うはずありません。

平岡委員 額賀長官が言っているというんじゃなくて、安倍官房長官がそういうことを言われたということが事実なのかということは、それはだれにもわからないかもしれませんけれども、合意されていないと。つまり、合意というのは、百五十億円を国が負担するということについては政府の中では決定されていないということだということを今言われたわけですよね。

額賀国務大臣 安倍長官がそういうことを言われたということも承知しておりません。

平岡委員 私が聞いたのは、安倍官房長官が言ったか言わないかじゃなくて、民間空港のものとしての百五十億円の負担を国が決めたのかという点については、決まっていないということだということでいいわけですね。

額賀国務大臣 きちっと決まっているわけではありません。

平岡委員 そういう状況で、きょう、安倍官房長官が言われたというふうにあったので、安倍官房長官にも来ていただいて、その辺はどういう真意で言われたのかということを確認しようと思ったんですけれども、何か他委員会だから官房長官は出られないということだったので、副長官に来ていただきまして、どうも済みません。

 この民間空港百五十億円の国庫負担について、多分官房長官が決定する権限は持っておられないようなんですけれども、安倍官房長官は本当にそういうことについて協議をして、そしてその国庫負担の意向を示されたんでしょうか。どうでしょうか。どういうふうにお聞きになっていますでしょうか。

長勢内閣官房副長官 御指摘の市長選挙の立候補予定者の総決起集会でございますか、そこで、福田議員の発言につきまして報道があったということは承知をいたしておりますが、福田議員に確認もいたしましたが、そのような発言はしていないというふうに伺っております。

 岩国基地内の民間空港施設の建設については、昨年の日米安全保障協議委員会、2プラス2で出されました共同文書において、民間航空の活動を支援するために必要な追加的施設を整備するということが規定されておりますし、それに基づいて、今お話があったように、現在、日米間でその具体的な内容を協議しておるところでございます。

 もう一方、在日米軍の兵力構成見直しに関して、昨年十一月十一日に「具体的措置の的確かつ迅速な実施を確保するための方策に関し、総合的な観点から必要な措置を講ずることについて検討する。」、こういう旨の閣議決定をいたしておりますので、政府としては、この閣議決定の趣旨に基づいて、岩国基地の民間空港再開に当たっては、今後、山口県、岩国市等の計画や要望を伺った上で、国としてできる限りのことを検討していきたいと考えておるところでございます。

 いずれにせよ、今後の対応については政府として決定することになりますので、安倍官房長官はそういうお立場でございますから、その役割も大きいということは言えると思います。

 なお、地元選出の福田議員が地元の案件について安倍官房長官と御相談をされるということは、一般的によくあることでありますし、何ら問題はないんじゃないかなと思います。

平岡委員 だから、私はそこを問題にしているわけじゃなくて、そういうふうに話が出ているから、そういうことが決まったんでしょうか、どうでしょうかということを聞いているのであって、決まっているなら決まっていると言っていただければそれでいいし、決まっていないなら決まっていないということで、それでいいんです。

 だから、今の話だと、そういうことは決まっていないということを今言われたということでいいわけですね。

長勢内閣官房副長官 今、先ほど来大臣も御答弁されているように、交渉中でありますから、決まっておりません。

平岡委員 そこで、実は私も、この岩国飛行場における民間航空の活動を支援するために必要な追加施設等の整備についてどういうふうな検討がなされているのかということについては、質問主意書でも出させていただいておりまして、三月十七日付の答弁書で、この件については、「現在、日米間でその具体的な内容を検討しているところ」であるというふうに答弁書の回答をいただいているところでありますけれども、それから一カ月以上たったわけでございます。

 その検討結果、検討状況というのはどういう状況になっているんでしょうか、防衛庁長官にお伺いいたします。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいまの件、先生から質問主意書もちょうだいいたしております。それで、この件の民間空港に係ります追加的な施設につきましては、今なお日米で検討中でございますので、我々といたしまして、日米間で一定の方向性といったものが得られました場合には速やかに地元に御説明を申し上げたい、そのように考えております。

平岡委員 協議の過程の中で地元との間でいろいろな情報交換があるというのは当然のことだろうと思いますけれども、それがどの段階でどういうふうに公表されるのか、明らかにされるのかという点については、やはり本来地元との調整で、当事者になっているのは政府と地元自治体の責任者であるということを十分にわきまえて調整を行っていただきたいというふうに私は思います。

 そこで、もう一つちょっと気になることがあるのでお尋ねいたします。これも岩国市選出の自民党の県会議員さんが言っておられるようでありますけれども、空母艦載機の受け入れをすれば五千億円ぐらいの地元振興策が講じられるというふうに何か言っておられるそうでございます。そのような地元振興策が決まっているんでしょうか、あるいはまたそういうことが検討されているんでしょうか。防衛庁長官にお伺いいたします。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 今まさに我々は日米交渉の最中でありまして、大詰めの交渉でありますが、それについて結果が、大体方向性が出そうなところについては地元の皆さん方によく説明をしております。と同時に、説明をするときに、地元の皆さん方からさまざまな要求とか要望も承っております。

 したがって、これから最終合意を見た上で今後地元との対応措置を考えていくことでありまして、今の段階で、お金のことを考えているような段階には至っておりません。これから地元の皆さん方といろいろと総合的に協議をしていこうという段階だというふうに思っております。

平岡委員 私が本当に次元の低い話のようなものをここで取り上げたのは、やはり地元との調整のときに、変な情報があたかも責任者のような人たちの口からいろいろなことが言われて、もう地元は混乱してしまって、一体何が何やらわからないというような状況に陥っている、まさにそういう状況にあるということをぜひ理解していただきたい。そういう意味でも、やはり地元自治体の責任者との調整といいますか、協議というものがいかに重要であるかということを改めて認識していただきたいというふうに思うわけであります。

 そこで、ちょっと質問の順番を変えさせていただくのですけれども、先ほど同僚の川内議員の方からQDR二〇〇六について質問がありまして、その中で書かれている話として、大規模な海外の基地についてはもう余り必要はないんだというような話の中で、在日米軍の再編問題についても、グアムに持っていくということがやはり検討されていいんじゃないか、それができるんじゃないかというような話がありました。

 その流れの中で私もちょっと質問したいと思います。原子力空母の問題であります。

 原子力空母の受け入れというのが二〇〇八年に行われるというようなことで決まったというふうに報じられていますけれども、私が理解するところ、横須賀基地に原子力空母が配備されるということについては、昨年の十月二十七日に米国側から通知があり、十月二十八日に日本政府が了解をしたということですね。それでよろしいですね。

麻生国務大臣 昨年の十月二十八日、アメリカ政府はキティーホークをニミッツ級の原子力空母と交代させることを決定した旨の発表を行っております。これでよろしいでしょうか、今の二十八日ということは。

平岡委員 新聞によれば、米側は二十七日にそういうことを伝えて、日本政府は二十八日に受け入れを表明した、つまり了承した、こういうふうになっているんですけれども、そうじゃないんですか。

河相政府参考人 事実関係にも関連いたしますので、私から御説明させていただきます。

 米側から、二十七日、日本側に内報はございました。そして、二十八日にそれを米側が外部に対して公表したということでございます。

 この原子力空母の交代というものにつきましては、米側が日本側に通報してきたというものでございまして、基本的に、日本側がそれに対してイエス、ノーということを問われている問題ではないというのが私の理解でございます。

平岡委員 私の理解というのはどういう意味なのかちょっとわかりませんけれども、政府としての理解なんだろうとは思いますけれども。

 一つの問題として見れば、岸・ハーター交換公文で事前協議の対象になるものに何があるかということについていえば、合衆国軍隊の、在日米軍ですね、装備における重要な変更というものは事前協議の対象になるというふうになっているんですけれども、まさにこの原子力空母を横須賀に配備するということについては、これは重要な変更に当たるんじゃないですか。つまり、事前協議の対象になるんじゃないですか、どうですか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 安保条約のもとで、藤山・マッカーサー口頭了解というのがございます。そのもとの一つで、「日本政府は、次のような場合に日米安保条約上の事前協議が行なわれるものと了解している。」とございまして、その中で「装備における重要な変更」という規定をしておるわけでございますが、これは基本的に、核弾頭及び中距離、長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設については事前協議の対象となるということでございます。

 この横須賀に来るであろう原子力空母は、推進力は原子力でございますけれども、核弾頭及び中距離ミサイルの持ち込みというものに該当するものではございませんので、事前協議の対象にはならないものでございます。

平岡委員 そういう理解でいいかどうかというのはちょっと、きょう検証するつもりはないので、また後日と思いますけれども。

 そこで、先ほどの話について、川内議員との関連をちょっと言いますと、これは孫引きなので正確ではないかもしれませんけれども、米軍の星条旗新聞がこの原子力空母の横須賀母港化についての話をして、そのほかにもいろいろな選択肢があって、全部で四つの選択肢があるんだというふうに言っているそうであります。一つは空母ケネディの配備、これは通常型の空母ですね。二番目が今来ている空母キティーホークの艦歴の延長、三番目が原子力空母受け入れへの日本に対する説得、四番目がグアムその他への空母の移転、こういう話なんですね。四番目のグアムその他への空母の移転というところが一つの選択肢であるとするならば、私は、今回の厚木基地から岩国基地への空母艦載機五十七機の移駐の問題については、グアムへ移転してもらえば何の問題もなくて、地元との関係では大歓迎じゃないかというふうに思うんでありますね。

 そういう意味で、この四つの選択肢があるという中で、私は、米軍再編の中間取りまとめの発表が十月の二十九日に行われたのに、その直前である十月の二十七日に内報があり、十月の二十八日に正式に公表されたという、何かある意味では物すごく意図的な決め方をしているというふうに思うんですよね。

 防衛庁長官、どうですか。こういうような話についていうと、むしろグアムへの空母の移転ということを米軍再編の中であわせて検討すべきではなかったんですか、どうですか。

額賀国務大臣 先ほど、井原市長さんが防衛庁に来たときに面会をしたのは施設課長と私言いましたけれども、ちょっと間違いだったので訂正をさせていただきます。施設庁の施設企画室長等々がお会いしておりますので、御理解をいただきたいというふうに思っております。

 今の点でありますけれども、中間報告が二十九日に出まして、我々はその後、この米空母の後継艦についての話を聞いたりしたわけでございますけれども、私は、日本における空母の存在というものは、やはり日米安保条約の信頼関係を構築する上で、あるいはまた日本の安全保障、それからこの地域の安定を考えていく上で、日本にあることがそんなに問題であるとは思っておりません。米国がグアムを中心として太平洋戦略を展開しようとする考え方をとっていることは承知しておりますけれども、お互いに日米同盟関係を、どういうふうに信頼関係をつくっていくかということが大事な視点であると思っております。

平岡委員 私もそのこと自体を否定するものじゃないんですけれども、これだけ空母艦載機をどこで受け入れるかということについてなかなか難しい問題になってきているということは事前にも想像できたんだろう。そういうことを考えたときには、グアムにその空母を持っていく、しかも原子力空母ということに今度なりそうなわけでありますから、原子力空母ならやはりグアムに持っていってもらう、空母艦載機もグアムに持っていこうというふうなことも当然あったんだろう。そういう考え方を要するに封じ込めるために、中間取りまとめの直前にアメリカ側が、この原子力空母を二〇〇八年から横須賀に持ってくるんだということを一方的に通知してきたということではないのか、それを日本側が受け入れてしまったのではないか、この疑念を今指摘しているわけであります。まあこれは疑念でありますから、これから何らかの形で時がたてば少し明らかになってくるかもしれませんけれども、そういう問題があるということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 原子力空母についてもう一点だけちょっと確認しておきたいんですけれども、きょうの新聞を見ますと、アメリカ側から合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクトシートというものが日本側に提出されて、これは日本政府から横須賀の市長さんの方にも手渡されたというふうに報道がされています。しかし、ここに書いてあること、かなりある意味では専門的なことも書いてあります。それから、私が聞いております地元の人たちの危惧といいますか、おそれというものが必ずしもこの文章で解明されているものではないというふうに私は思います。

 そういう意味でも、日本側の専門家からこのファクトシートについての検証をぜひ行っていただきたいというふうに思うんですけれども、外務大臣いかがですか。それをやっていただけますでしょうか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、昨日、シーファー在日米大使より麻生外務大臣の方へ、原子力空母の安全に関するファクトシート等々、それとあわせていろいろな説明がなされたわけでございます。

 この内容につきましては、御指摘のとおり、横須賀市それから神奈川県の方に昨日お伝えをしたところでございますが、政府の関係部局の中でもこれについて十分目を通していきたいというふうに考えているところでございます。

平岡委員 いや、私がお願いしたのは、ちゃんとした専門家に、このファクトシートに書いてあることが、地元の人たちが持っている不安というものと引き合わせてみて、ちゃんとこたえたものになっているのか、中身が正確なのかということについて専門家に検証させてください、日本政府の責任でやってくださいということを今お願いしているんです。その点について答えてもらえませんか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省のみならず、関係する省庁にしかるべく専門家の方がおられるわけでございますから、そういう方々とも情報を共有して検討していきたいというふうに考えているところでございます。

平岡委員 この点の質問は、ちょっと事前通告できていなかったので、今ここで前向きな発言をすることはなかなか難しいのかもしれませんけれども、関係省庁で当然チェックするのは当たり前として、さらに、外部の専門家も含めて、しっかりとした検証を行っていただきたいということを御要望申し上げておきたいというふうに思います。

 そこで、最初に問題提起をした部分の、日米安保条約の適用範囲を逸脱するんではないか、あるいは自衛隊の役割が変質させられようとしているんじゃないかという点についての質問する時間が本当になくなってしまったのでありますけれども、ちょっとポイントの部分だけ質問させていただきたいというふうに思います。

 極東条項との関係の問題ですけれども、これも先日の三月一日の予算分科会で質問させていただいて、答えてもいただいているんですけれども、実は、多くの人たちは、ちまたの人たちは、今回のキャンプ座間の在日米陸軍司令部の問題については、米陸軍第一軍団司令部が座間に移転してくるんだというふうに評価しているというか認識しているんですね。これは数多い報道機関でもそういうような位置づけで表現をしております。

 しかし、この前質問したときも、これは第一軍団司令部の座間移転じゃなくて、あくまでも在日米陸軍司令部の改編が示されただけなんだというふうに説明をされているんですね。ただ、この改編の中身は一体何なのかということが中間取りまとめの文章を見てもよくわからない。中間取りまとめではこういうふうに書いてありますね。「改編された司令部は、日本防衛や他の事態において迅速に対応するための追加的能力を有することになる。」と。

 他の事態というのは一体どういう事態なのかということもはっきりしていないということで、私は、この改編という言葉で何か、今まで作業していたことを、ちょっと問題があるから言葉を変えてみようというような形になってしまったんではないか、こんなふうに思うんですけれども、この改編の中身というのは一体何なんですか。この問題について、極東条項に抵触するおそれのある改編が行われるというようなことはないんでしょうか。この点について外務大臣に質問したいと思います。これはあらかじめ通告しているんです。

麻生国務大臣 今、他の事態についての御質問だったというように思いますが、この改編後の司令部のいわゆる中核的任務というものは、あくまでも日本国の防衛及び極東の平和と安全の維持ということになりますが、このような中核的な任務に加えて、いわゆるこの司令部は、日本防衛以外の緊急事態に対応するため、必要に応じて日本の外に移動し、移動先において米軍の行動を指揮するとの他の任務をあわせ持つことが考えられるということがその背景だと思っております。

 この司令部が具体的にどこに移動するかにつきましては一概に述べることは不可能ですけれども、例えば先般のスマトラ沖の大地震のときもそうでしたし、インド洋津波の被害に際しましても、沖縄にあります第三海兵機動展開部隊司令部がタイのウタパオ米空軍基地に移動、現地で指揮統制活動を行った例というのがあります。したがいまして、改編後の在日米軍司令部がこのような任務を負うこととなった場合には、同様に米軍の間で移動するということは考えられます。

 なお、日本に駐留する米軍が運用上の都合によりまして日本から他の地域に移動し、他の任務につくことが日米安保条約との関係で問題を生ずるものでないということは、これまでも累次説明をしてきているとおりだというように御理解いただければと存じます。

平岡委員 ちょっとまたその答弁については検証してみたいと思いますけれども、最後に一問、防衛庁長官にお伺いします。

 今回の米軍再編に伴って自衛隊の役割と任務というのはどのように変化しようとしているのかについてお聞きしたいんです。これも事前に通告してありますので。

 今まで自衛隊というのは基本的には専守防衛の組織であるということであったというふうに認識していますけれども、その考え方から、この米軍再編の中においては、これまで矛の役割をするのは米軍だというふうに言われていましたけれども、その矛の役割をする米軍の支援、補完、この中間取りまとめの中で使われている言葉で言えば、司令部間の連携向上、あるいは相互運用性の向上というような言葉の中で、自衛隊が、矛の役割をする米軍にある意味では取り込まれるような形で矛の役割を果たしていくようなことになっているんではないかというふうな疑念があるわけでありますけれども、この点について、防衛庁長官の見解をお聞きしたいと思います。

額賀国務大臣 お答えします。

 基本的には変わっておりません。自衛隊は、憲法に基づいて、自衛権に基づく行動と国際平和協力活動を展開することが自衛隊の活用の範囲であります。他国の侵略に対しては、そこはアメリカに盾の役割を果たしてもらい、日本が矛の役割を果たす、その基本的な考え方は変わっていません。

 ただ、テロだとかあるいはまたミサイルだとか新しい脅威に対して、どういうふうに日米同盟関係が協力して日本の安全を守っていくかということについて変化を生じているということであります。

平岡委員 以上で終わります。

額賀国務大臣 今、盾と矛を逆に言ったそうでありますから、訂正しておきます。

浜田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党・市民連合の辻元清美です。

 私は、アメリカの海兵隊普天間飛行場移設問題について質問をしたいと思います。

 まず、事実関係からもう一度確認させていただきます。

 防衛庁長官、普天間の何を移設する、代替の施設を建設しようとしているのか、その何をというところを具体的にお答えください。

額賀国務大臣 もうこれはよく言われていることでありますが、普天間の機能は、ヘリの訓練、それからヘリに対する空中給油機能、そして有事、緊急時の滑走路の活用ということでありますが、このうちのヘリの訓練についてキャンプ・シュワブの沿岸に移設するということでございます。

辻元委員 今おっしゃったヘリについて、私も普天間の米軍基地における部隊編成などを見ました。

 そうすると、ヘリの訓練ということであれば、なぜ千八百メートルの長い滑走路が必要なんでしょう。ヘリですと、そんなばあっと滑走路を行かなくても飛び上がるわけですね。なぜですか。

額賀国務大臣 プロペラ機とか固定翼機が、人員とか輸送用の固定翼機も飛ぶことがあります。したがって、中間報告においては千八百メートルの滑走路をつくるということで明記してあるわけであります。

辻元委員 固定翼機は、今調べてみますと、空中給油機などは別に行く予定になっておりますので、先ほど長官は三機とお答えになりましたね、固定翼機については。たった三機の固定翼機のために滑走路二本、千八百メートルをつくろうとしているわけですか。

額賀国務大臣 固定翼機三機が普天間から移動してまいりますけれども、そのほかに新しい固定翼機がこのキャンプ・シュワブに配置されているとは思っておりませんけれども、連絡用としてそういう固定翼機も使うし、それから、全体的に、オーバーランを含めて千八百メートルの滑走路が適当であるということで日米合意がなされていることでございます。

辻元委員 どう考えても、普天間の固定翼機の機能を考えても、この滑走路が必要なのか。

 一つは、そうしたら普天間の話に移りますが、先ほど、普天間の中でタッチ・アンド・ゴーなどの訓練が行われていることについて、日本政府としては関知していないというような御答弁だったと思うんですが、そのとおりでいいんでしょうか。関知していないんですか。

額賀国務大臣 普天間飛行場において、現在、今おっしゃるのは固定翼機についてのタッチ・アンド・ゴーでございますか。固定翼機についてのいわゆるタッチ・アンド・ゴー訓練が行われているかどうかということについては、米軍の運用そのものでありますので、直接的に私は承知しているわけではありません。

辻元委員 私は、うちの事務所で、きょう宜野湾市の市役所の基地渉外課に連絡して確認してみました。そうしますと、土日を除くほとんど毎日このタッチ・アンド・ゴーが行われているということなんですね。それで、防衛庁とか外務省に私も問い合わせましたけれども政府としては知らぬと言っておると言ったら、かんかんに怒っていましたよ。これが今の実態なんですよ。

 結局、地元の声とか地元の現状と言いつつ、政府としては知らんぷりという姿勢じゃないですか。そんなもの、タッチ・アンド・ゴーをやっているというのは地元の人も皆知っているし、それを知らないと言う。こういう姿勢であるならば、千八百メートルの滑走路二本つくって、そこでタッチ・アンド・ゴーしようが何しようが、いや、政府としては米軍のやっていることですから関知しませんという姿勢になることにつながるじゃないですか。いかがですか。

額賀国務大臣 千八百メートルの滑走路については、そういう小型輸送機等々のニーズもあるし、オーバーランを含めた千八百メートルの滑走路をつくるということで中間報告で合意されているわけでございます。

辻元委員 今の質問に答えていただいていないと思います。普天間の現状についてもそういう御認識なんですよ。

 それで、V字形の滑走路をつくるとおっしゃいますけれども、今のタッチ・アンド・ゴーが行われた場合、V字形では全く対応できないというのは、これは素人でもわかる話だと思います。そういう中で、それこそ、V字形だなんだって、あたかも何か解決策のように見えますけれども、今のような政府の姿勢であるならば、じゃ、今度もしも、私たちは反対していますけれども、押し切ってつくったとしても、いや、その中で行われていることは知りませんということであるならば、何のための地元の意見を聞くであり、何のための合意なんですかね。そう思われませんか。いかがですか。

 今私が言っていることを理解していただけると思いますけれども、おかしいと思いませんか。何でその二本、V字形で要るんですか。タッチ・アンド・ゴーが行われている。では、最初、タッチ・アンド・ゴーはしませんというような答弁をされたりしていましたけれども、それでも、やっているかやっていないかも知りませんというような答弁で、全く矛盾していると思います。矛盾しているようなことをつじつまを合わせてつくろうとしている。

 これも答弁は一緒だと思いますから、先ほどのオスプレーの話もちょっとここで確認しておきたいんですね。

 今まで、これはいわゆるDODと言われるアメリカ側の運用ですね。九七年に、「日本国沖縄における普天間海兵隊航空基地の移設のための国防総省の運用条件及び運用構想」というもの、これはもう政府の方も、一時は、こんなもの、あるのは存在も知らないというような対応でしたけれども、それから随分時間がたっていますので御確認されていると思います。その中にこういう言葉が出てきますね。滑走路の基準は、MV22オスプレーを第一に考慮し、定められている、海上施設はまた、固定翼機用に転換する飛行場であり、飛行場には固定翼機の滑走路基準であるA級に基づく安全許可が要求されていると出ています。

 オスプレーの配備については、本当にアメリカから、一回も今まで協議していないんですか。

額賀国務大臣 政府としては、協議をしておりませんし、日本に対する配備が計画されているということを聞いておりません。

辻元委員 もう一度お伺いします。一九九六年の十二月にSACO合意がありました。その九六年の夏ぐらいからこのSACO合意に向けて日米でさまざまな問題についての協議が始まったと承知しております。その一九九六年の夏ごろから、八月ごろだったと思いますが、今日に至るまで、オスプレーの配備について、米国から打診または提案または日本側と協議したということは一切ないと考えていいんですか。

額賀国務大臣 私は承知しておりません。

辻元委員 私は承知しておりませんということは、日本政府としてそういうことはないという認識でよろしいでしょうか。

額賀国務大臣 最近、米政府に確かめましたところ、日本に対する配置の具体的な計画はないということであります。

辻元委員 最近というのは、いつ、どなたに確かめたんでしょうか。どの協議で出た話でしょうか。

額賀国務大臣 当然、そういう質疑等もありましたから、確認したわけでございます。

辻元委員 質疑というのは、日本政府から確認したんですか、それともアメリカから申し出があったんでしょうか。

額賀国務大臣 日本で確認をしたわけであります。

辻元委員 そうしますと、最近確認するまでは一切話が出てきていなかったというふうに認識してよろしいですか、今回が初めてと。

額賀国務大臣 私が長官になってから確認したわけでありまして、それ以前のことは全部ひもといて確かめたわけではありませんが、そこは確認しておりませんので、私が答えるわけにはいきません。

辻元委員 事務方でお答えできる方、今まで、九六年の夏ごろからずっとこれは協議が始まっておりますけれども、このたび初めてであるならば、いつその協議をしたのか、初めてしたのはいつかということ。

大古政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のオスプレーの問題につきましては、SACOの時点でも、米側として日本にオスプレーを配備する計画はないということで確認しております。

 それから、その後、累次の機会に再確認しておりますけれども、最近では外交ルートを通じて、二月でございますけれども、外務省の方が確認したという経緯がございます。

辻元委員 確認の結果、先ほどの御答弁で、ないということですか。

 この千八百メートルの滑走路なんですよね。オスプレーは固定翼機のような機能も果たします。何のためのこの千八百メートル、二本滑走路要るのかなと疑問が消えません。

 関連してもう一つ質問したいんですが、二〇〇五年の「日米同盟 未来のための変革と再編」の中にこういうくだりがあります。「格納庫、整備施設、燃料補給用の桟橋及び関連施設、並びに」とずっとありまして、「その他の航空支援活動は、代替施設のうち大浦湾内に建設される予定の区域に置かれる。」とあるんですが、このうちのこの「桟橋及び関連施設」と書いてある「関連施設」というのは、具体的にアメリカからどのような説明を受けているんでしょうか。

額賀国務大臣 今御指摘の点につきましては、「大浦湾内に建設される予定の区域」には、「格納庫、整備施設、燃料補給用の桟橋及び関連施設」というふうになっております。その「関連施設」という意味ですか。(辻元委員「はい」と呼ぶ)

 これは「その他の航空支援活動」ということではないんですな。(辻元委員「関連施設は」と呼ぶ)「関連施設」のことですな。(辻元委員「はい」と呼ぶ)

 これは恐らく、管制塔とかそういうことですかね、駐機場とか。

辻元委員 そのようなあいまいな答弁では困るんです。「桟橋及び関連施設」となっているわけですよ。

 さてそこで、大臣、ここにマスタープラン・オブ・ネービー・ファシリティーズという、これはもう御存じだと思います。一九六六年に、大浦湾及び辺野古崎に、大きな飛行場とそれから軍港と両方を兼ね備えた大きな基地を、沖縄の米軍の中核基地としてつくりたいということをアメリカが考え、つくったプランです。最近では、このときに関係したアメリカ側の元大尉が証言もしております。

 防衛庁長官はこれの存在、御存じでしたか。どうぞ見てください。ここに桟橋、桟橋というか軍港とか複合施設のプランが書いてあって、そっくりなんですよ、今のに。御存じですか、これの存在は。

額賀国務大臣 V字形ではありませんね。

 そういう話があるということは聞いたことありませんが、具体的にそういう資料を見たことはありませんでした。初めて見ました。

辻元委員 この九七年に出している、アメリカ側がSACO合意に基づいてどういう計画でいこうかという、先ほど一部オスプレーのところを御紹介しましたけれども、ここにも、一九六六年の調査に基づき、滑走路の方向とか風向とかそれから水深などを調べたので計画を進めていこうというようなくだりがあるわけですね。

 私は、長官御存じだと思うんですけれども。防衛庁は知っているんじゃないですか、この存在を。事務方はどうですか。

大古政府参考人 詳細には承知しておりませんけれども、過去にそういう計画があったということは承知しております。

辻元委員 この中身について、防衛庁では中身を検討してみたとか、そういうことは、じゃ、詳細な中身を知らないということですから、他国のことだし無視しているということですか。

大古政府参考人 防衛庁といたしまして、御指摘の計画を詳細に検討したことはございません。

 いずれにしても、今回の代替施設につきましては、御指摘の計画とは関係ないところでございます。

辻元委員 先ほどの滑走路の問題、それから大浦湾側の桟橋の問題、これは軍港に使えるということになるんじゃないですか。桟橋と書いてありますけれども、軍港としても使えるんじゃないですか、大浦湾は非常に水深が深いですから。いかがですか。

額賀国務大臣 今度この普天間の移転についてのことを考えているときに、そういうことを全く考えたことはありません。桟橋は給油用の施設であると思っています。

辻元委員 桟橋と軍港というのは結局同じ機能を持つように私は思うんですけれども、いかがでしょうか。長官、違いがあるんでしょうか。

額賀国務大臣 だから、ヘリ等々の給油用の桟橋であるというふうに認識しております。

辻元委員 先ほど、タッチ・アンド・ゴーのときに、普天間の基地の中でどういう訓練をされているかなどについては、米軍のことで承知していないという答弁だったわけですよ。

 そうすると、今回いわゆる辺野古崎案というのは、ヘリポートと言われていて、普天間のヘリの訓練の移設であると言われているわけですが、大きな千八百メートルの滑走路を二本つくる。そして結局、燃料補給用といいながら、私は軍港機能だと思います。同じだと思います。これをつくる。

 この一九六六年にアメリカが、非常に地理的にも好条件なところに飛行場と大きな軍港をあわせ持った基地というのは沖縄の中にないわけです、ですからそれをつくりたい、これとぴったり重ね合わされるんですよね。

 ですから、私が懸念しているのは、ヘリポートといいつつも、結局は、軍港そして大きな滑走路を持った総合的な米軍の新しい基地にしようとしているのではないかと。その私の意見についてはいかがですか。

 というのは、先ほど、普天間の中でさえ、タッチ・アンド・ゴーの中でさえ、周りの住民はみんな知っているのに、何かわかりません。そうであるならば、これをつくってしまったら、複合的な基地にされていても日本政府としては関知できなくなるんじゃないですか。沖縄は、半世紀近く新しい基地はつくってきていないんです。今度初めて滑走路、要するに飛行場と軍港を併設した総合的な米軍基地を新しくつくるというような解釈も成り立つんじゃないですか。ヘリポートの代替だといいながら、実はそこに今回のアメリカの意図、日本政府との協議の肝があったんじゃないかと思いますが、いかがですか。

額賀国務大臣 辻元先生、想像たくましいですね。私どもは、普天間飛行場の機能の三分の一をキャンプ・シュワブに移転するという形でこの仕事をさせてもらっておりますし、桟橋については、燃料補給用の施設であるというふうに認識しております。

辻元委員 終わります。引き続きまたやります。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 名護市と宜野座村それから政府が合意をして、額賀防衛庁長官に初めて質問する機会を得ました。本当に委員会での議論がないまま、マスコミ等でいろいろ報じられている。それから、きょうの与党議員の質問にもありましたように、米軍基地の運用に対する非常な不信感、そういうのが大きな問題になっていくだろうと思うんです。

 それで、私、今回の合意の案について、合意したことについてちょっと聞いていきたいんですが、ここに防衛庁からいただいた図があります。V字形ですね。そして、ヘリが場周経路で飛ぶ場合には、このV字形の両方を飛ぶというような赤い線が引かれております。両方飛ぶんですよね。そういう説明になっています。

 ということは、ヘリが有視界飛行をする際にも両方の滑走路を使用するというのが今回の合意ですね。

額賀国務大臣 これは、メーンの滑走路は陸側の滑走路であり、海側はサブの滑走路であるという位置づけになっているわけでございます。

 場周経路は、この楕円形の枠内で訓練をするということになっているわけでございます。

赤嶺委員 ですから、メーンとサブでV字になっている。そのメーンとサブの両方を飛ぶように赤い線が引かれているわけですから、両方飛ぶわけですよね。そういうことでしょう。メーンだけを使うと赤い線は引いていないですよ。いかがですか。

額賀国務大臣 だから、離陸する場合、サブを使う場合があるかもしれませんが、飛行経路としてはメーン滑走路を使うというふうに承知しています。

赤嶺委員 有視界飛行のヘリは、そうすると、どういう場合に海側のサブ滑走路を使うか、あるいはメーンはどういう場合に使うか、そういうメーンとサブでどういう使い分けをするんですか。

額賀国務大臣 メーン滑走路を中心にして着陸し、そして、有視界飛行における飛行経路はメーンを中心に展開していくというふうに了解しています。そして、サブの場合は、最初に離陸する場合に使うということはあるわけでございます。

赤嶺委員 着陸用にはサブは使わないということですか。そういうことですか。

額賀国務大臣 ほとんどの場合、着陸はメーンの滑走路を使うわけでございます。

赤嶺委員 どうもV字形というのは、やはり夢に浮かんできただけのことがあるなという感じで今聞いておりますが。

 名護市の側は、できるだけ海に近くという要望がありました。あるいは海だと。今長官がおっしゃっているのは、メーンというのは陸側の話ですよね。サブを使えば、より海に近くなる、より住宅地に遠くなる、騒音の被害も少なくなる。何でサブを使わないんですか。

額賀国務大臣 着陸する場合は、ほとんどこの地域は北東の風が吹いているということですから、着陸用としてメーンの滑走路をつくったということでございます。

 したがって、我々が最も大事にしたことは、地域の皆さん方の要望が、それぞれの住居の上空を飛ばないでくれということが最大の要請でございましたので、地元の要請にこたえるために、こういうメーンとサブの滑走路をつくり、住居の上空を飛ばないようにしたということなのでございます。

赤嶺委員 全く説明がよくわからないんですよね。

 主な風向、これは一年間に、三百六十五日、こういう風向きというのはどのぐらいあるんですか。

浜田委員長 北原施設庁長官。(赤嶺委員「何で、長官が合意したんだから、施設庁長官じゃないでしょう」と呼ぶ)委員長が指名したんだから、やってください。その後。

北原政府参考人 御指名ですので、御答弁させていただきます。

 北東からの風は、私ども三カ年等にわたりまして随時調査をしておりますが、全体の約七〇%を占めております。

赤嶺委員 そうすると、風向きによってメーン、サブ、使い分けするわけですか、いかがですか。

額賀国務大臣 今施設庁長官が、ほとんど、七〇%は北風であるということでございました。恐らく計器飛行という場合は、その三〇%の中の天気の悪い日だと思います。そうでないときはほとんど有視界飛行で、訓練をしているのは、このメーン滑走路を中心にして展開しているものと思っております。

赤嶺委員 サブを使えば、より海に近くなり、より集落から遠くなり、名護市の側が求めていた騒音もメーンよりはサブを使った方が軽減されるんじゃないか、海側だから。今長官は風向きと言いましたけれども、有視界飛行というのは天気がいいときの話ですよね。有視界飛行に限定した場合に、別にメーンを使おうとサブを使おうと何の支障もないじゃないですか、ヘリの運用形態からいえば。だから、メーンもサブもどちらも使っていいわけでしょう。

額賀国務大臣 もちろん最初に離陸をする場合は、海側の滑走路を使ってもいいわけですし、それはメーンを使ってもいいということになるわけでございます。

 したがって、我々は、メーンの滑走路をつくることが、基本的に通常の有視界飛行の上で住居の上を一番通らないで飛行訓練ができる、飛行経路が確保されるということでこの二本の滑走路をつくったということでございますから、メーンとサブを使い分けることはできますけれども、着陸はメーンが中心でなければならないというふうになっています。

赤嶺委員 違うんですよ、長官。長官が合意して私が長官に説明するのも変ですけれども、メーン、サブ、住宅地上空というのは、あくまでも計器飛行における進入経路の場合なんですよ。私が今言っているのは有視界飛行なんですよ。有視界飛行であれば、メーンを使ってもサブを使っても、どちらも住宅地上空、着陸の場合でもサブを使っても同じなんですよ、影響はないんですよ。であれば、名護市の側は、海か陸かといった場合に海側を求めていた。サブを使った方が地元の要求に、騒音の軽減という要求にこたえることになったんじゃないかということについて説明できないようであります。

 それで、米側は二本の滑走路を同時に使うことはないんですか。

額賀国務大臣 今米国側とは最後の調整をしておりますけれども、おおむねこの案に同意を示しているわけであります。

 今赤嶺委員がおっしゃっているメーン滑走路が一番上空を飛ばないということは、この辺野古岬も宜野座村の松田地区においても、滑走路で、おりていく場合あるいは有視界飛行で常時訓練をする場合においても、メーン滑走路の方が住居の上を飛ばないという角度になっているわけでございます。

赤嶺委員 計器飛行の場合だったら今の説明なんですよ。有視界飛行というのは全部海側を飛んでいるわけでしょう。(額賀国務大臣「そうです」と呼ぶ)そうしたら、メーンを使おうとサブを使おうと同じなんですよ。だから、アメリカ側は二本滑走路を同時に使うことはないんですかと。このことについてアメリカと明確な話し合いをしていますか。

額賀国務大臣 米国側とは、メーンを中心に使うということで話し合いをしております。

赤嶺委員 ヘリは、メーンもサブも有視界飛行の場合には使えるようになっている。あくまでも住宅地上空という話は計器飛行の場合であり、両方同じような条件下で使える。

 そうすると、滑走路が一本の場合には二機編隊だったかもしれない、二本だったら四機編隊になることもあり得る、そういうようなことはないと言えますか。

額賀国務大臣 そういう運用については、当然、二機同時に離発着をしたり同時に着陸をしたりすると危険性は増すわけでございますから、そういう運用について、これからきっちりと協議をして決めさせていただきたいというふうに思います。

赤嶺委員 これから協議って、だから、長官、沖縄の実態を何も知らないで、何かこれで安全が確保されたかのように説明するから、与党の議員からも極めて厳しい指摘を受けるんですよ。沖縄の基地を体験した人間からは今のような長官の発言は出ないですよ、絶対に。

 それで、長官は先ほど、米軍基地の問題について、与党の西銘議員の質疑に対してこのように答弁をしておられます。新しい基地の運用について、今後日米間で協定を結ぶのかどうかについて、協定は地元との間で結び、日米間では日米地位協定に基づき米軍にきっちり守らせていく、こういう答弁をしておられました。

 日米地位協定上、政府がアメリカ政府に対し、地元との間に結んだ使用協定を守らせる、こういう権限があるんですか。あるんだったらそういう根拠を示してくれますか。

額賀国務大臣 まず何といっても大事なことは、基地のある地域の皆さん方の協力を得ることが大事でありますから、政府としては、名護市と使用協定を結ぶ、その上に立って、地位協定に基づく日米合同委員会等でその地域の問題についてよく説明をし、守ってもらう努力をするということであります。

赤嶺委員 私が聞いたのは、日米地位協定において、そういう日本の法律を遵守するという根拠があるんですか。いかがですか。

額賀国務大臣 先ほども外務省で答弁をしておりますけれども、国際条約的にきっちりとした形というのは難しいと思いますけれども、お互いこれは、我々が地域の皆さん方と約束したことについては米国にも守ってもらわなければならない、そういうことについてしっかりと米国側と協議していくことは大事である、守らせることは大事であると思います。

赤嶺委員 つまり、米側は日米地位協定に基づいて守る義務がある、遵守する義務があるということでいいんですね。

河相政府参考人 地位協定の運用に関連することですので、私から補足的に説明させていただきます。

 日米地位協定のもとで、御存じのように日米合同委員会という場がございます。ここでは、地位協定に基づく米軍のいろいろな運用に関して日米の政府の代表者間で協議をする、そこで日米で合意をしたことについては米側にきちっと守ってもらうということが基本的考え方でございます。

赤嶺委員 守ってもらうというのは地位協定のどこにあるかといいますと、第十六条ですよ。第十六条というのは遵守義務じゃないんです。尊重義務なんですよ。尊重するというだけなんですよ。尊重すると言って、結局、夜間飛行はやらないけれども運用上必要だから飛ぶとか、住民生活は全部破壊されているじゃないですか。低空飛行訓練はやらないと言いながら低空飛行訓練をやっている。それでも米側は、どんなに市民生活を破壊するようなことをやっていても、いや、地位協定を守っています、なぜ守っていますか、尊重ですからと。遵守と尊重では、沖縄の基地の運用では実態が全然違うんです。違うと思いませんか。

河相政府参考人 地位協定の運用に関連することでございますので、私からとりあえず、まず答弁させていただきます。

 今御指摘の地位協定十六条、これは日本の国内法の尊重義務のことでございます。私が先ほど申し上げましたのは、日米合同委員会の場で日本側と米側が合意した事項については米側にもきちっと守ってもらうということを申し上げたところでございます。

赤嶺委員 日米合同委員会合意であればなおさらですよ。遵守なんかしませんよ。そういうぐあいに受けとめませんか、長官、沖縄の基地の実態を見て。

額賀国務大臣 基地の存在しているところでさまざまな苦情を聞くことがありますけれども、日米同盟関係が、信頼関係、そしてその必要性等々から考えてみて、政府としては米国側にきっちりと守ってもらうように最善の努力をするのは当然であると思っていますし、そういう努力は欠かせないものと思っております。

赤嶺委員 守らせる努力をしてきて守れないから沖縄の基地問題があるんです。そこのところをぜひ認識していただきたいと思うんですよ。

 それで、もっといろいろ聞きたいことがありますので移っていきますが、今度配備されるヘリの機数です。滑走路が二本になることによって、配備されるヘリの機数、これがふえることはありませんか。

額賀国務大臣 機数がふえるとは聞いておりません。

赤嶺委員 それでは、今、平時の場合の話を聞いてきたんですが、今度は、周辺事態の場合など緊急事態がある場合に、いわばメーン、サブというのはそのときでも使い分けるのですか。

額賀国務大臣 具体的な事態がどういう形になっているのか、そういうことをよく見きわめなければ、今の時点で判断することは難しいと思います。

赤嶺委員 周辺事態というのはちゃんと皆さんは法的にも想定しているわけですから、しかも長官は、メーンとサブで住民に迷惑をかけないようにしているとおっしゃった当事者ですから、長官としてはどんなふうに考えているんですか。その場合でもメーンとサブを使い分けるということですか。

額賀国務大臣 周辺事態というのは、我が国の安全に影響を及ぼす事態、あるいはまた武力攻撃につながりかねない事態、そういうある意味では緊急事態であります。そういうときには、日本の国民の安全と地域の安定のためにどういうふうに判断するか、そしてまた日米同盟関係はどういうふうに作用していくか、作用させていくか、それはそのときになって判断するわけであります。

赤嶺委員 そのときにはメーン、サブという使い分けも通用しなくなるわけですね。基地がある地域というのはそういう問題に直面するわけです。

 次に、滑走路で運用できるのは本当にヘリだけなのかという質問が先ほどから続きました。戦闘機の運用はしないということなんですが、これは政治判断で戦闘機の運用はしないということであって、技術的にも向こうは戦闘機の運用はできるのかできないのか。この点、いかがですか。

額賀国務大臣 日本の自衛隊の基地において、戦闘機の滑走路は大体二千五百メートルあります。恐らく、千八百メートルでは長さとしては十分ではないんではないかと思います。

赤嶺委員 そういう説明を受けたので、私もいろいろな本を当たってみたんですよ。そうすると、米軍の戦闘機というのは、新しい機種というのはもっと最新鋭になって、いろいろ滑走路の着陸とか離陸とか書いていないんですが、F14トムキャット、これの最小離陸滑走距離は四百二十七メートル、それから最小着陸滑走距離は八百八十四メートルと書いているんです。技術的に運用できないというのはどういう意味ですか。

大古政府参考人 いわゆる滑走路の長さについては、飛行機の離陸距離の何倍かの安全係数をもって運用すると聞いております。ということでございますので、離陸距離の短い飛行機もございますけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、千八百の施設では、航空安全上の観点から、ジェット戦闘機の離発着を行うには短過ぎるということで判断しておりまして、これは米側もそういうふうに言っているところでございます。

赤嶺委員 今の答弁がいかに根拠の弱いものであるかというのはもうはっきりしていると思うんです。

 それで、普天間飛行場ですが、普天間飛行場は、空母が沖縄近海に来たときに空母艦載機がタッチ・アンド・ゴー訓練をしているんです。これは通告もしてあります。先ほど知らないという話でしたけれども、普天間飛行場での空母艦載機のタッチ・アンド・ゴー訓練、その都度、苦情も那覇防衛施設局に寄せられていると思います。知らないという話ではありません。状況はどのようになっているんですか。

浜田委員長 赤嶺先生、時間が来ておりますので、よろしくお願いします。

北原政府参考人 御指摘の点でございますけれども、私どもといたしまして、タッチ・アンド・ゴーの訓練につきましては、アメリカの運用にかかわるということでございまして、承知をいたしておりません。

赤嶺委員 沖縄の米軍基地の実態を何も知らない額賀長官が、これが安全だと言って頭越しに地元県民に押しつけたことがはっきりしたと思います。しかし、県民の七割から八割は今度のV字形に反対であります。名護市で反対が一番強い、そういう世論調査の結果も生まれています。必ずこの案は失敗するということを指摘しまして、質問を終わります。

浜田委員長 次回は、来る二十日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十七分散会


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