衆議院

メインへスキップ



第13号 平成18年12月8日(金曜日)

会議録本文へ
平成十八年十二月八日(金曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 笹木 竜三君

   理事 前田 雄吉君 理事 遠藤 乙彦君

      安次富 修君    石破  茂君

      大塚  拓君    大前 繁雄君

      瓦   力君    北村 誠吾君

      高木  毅君    浜田 靖一君

      福田 良彦君    宮路 和明君

      山内 康一君    山崎  拓君

      渡部  篤君    内山  晃君

      神風 英男君    津村 啓介君

      長島 昭久君    東  順治君

      赤嶺 政賢君    菅野 哲雄君

      辻元 清美君    下地 幹郎君

      西村 真悟君

    …………………………………

   国務大臣

   (防衛庁長官)      久間 章生君

   防衛庁副長官       木村 隆秀君

   防衛庁長官政務官     大前 繁雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月八日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     渡部  篤君

  辻元 清美君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  渡部  篤君     石破  茂君

  菅野 哲雄君     辻元 清美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、防衛庁防衛参事官小川秀樹君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、防衛庁運用企画局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長増田好平君及び防衛施設庁長官北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田雄吉君。

前田委員 おはようございます。民主党の前田雄吉です。

 きょうは、防衛庁職員の給与法の改正について質問させていただきます。

 私は、省への昇格に当たって、防衛庁職員の皆さんの給与も、一般職に準ずるというものではなくて、独自の給与法の体系をつくられた方がいいんではないかということを思います。さもなければ、今のように一般職の俸給表を準用してそして手当で調整する、後ほど手当の話もさせていただきたいと思いますけれども、非常にその手当もあいまいな部分が出てしまうということで、防衛庁独自の、防衛省の給与体系を早くつくられた方がいいというふうに私は思いまして、そうした趣旨で質問をさせていただきます。

 まず初めに、このたび提出されました防衛庁職員給与法改正案における重要なポイントとして、広域異動手当の新設が挙げられております。この広域異動手当には、異動前後の任地との距離が六十キロ以上三百キロ以内、もしくは三百キロ以上という支給基準が定められております。まず、この六十キロとか三百キロという数字の根拠がどのようになっているのかということをお聞きしたいと思います。

 一般職給与法の審議の過程で、人事院の谷総裁が十一月二日の総務委員会における答弁で、「公務員の異動のパターンを考慮いたしまして、ブロックをまたぐ全国的な異動、それから、県は越えましてもブロック内の異動、こういうことを念頭に置きまして二つの区分を設けました。」こう述べられておるわけであります。

 ここで言うブロックの考え方ですけれども、私は、一般職の職員と我が国の防衛を担う防衛庁の職員、特に自衛官の間では異なるんではないかというふうに思います。もともと、自衛隊の部隊を見ましても、方面隊とか地方隊とかいった分け方がなされていまして、陸海空それぞれに違った区分を日本全土しているわけでありますね。さらに、公務員の異動パターンと一口で言っても、先ほど申しましたように、国防上の要請等で、自衛隊と他の公務員とではパターンが違ってくるのは当たり前ではないでしょうか。

 そこで、これらの点をかんがみると、広域異動手当の支給について、これは防衛庁独自の基準を設けてもよかったんではないかと私は思いますが、長官、いかがでございましょうか。

久間国務大臣 確かに、こうして一般職の給与と別に法律をつくって出しているというのは、本来は別が合理的だというような考え方も根っこにはあるんだと思います。

 しかしながら、現実問題として、自分で給与体系を、自衛隊のものをつくって、あるいは防衛庁の職員の給与体系をつくってということになりますと、ちょうど人事院みたいな組織がまた要ることになるかもしれませんし、なかなかそこはできないので、もうずっと公務員の給与体系に準じてやってきておりますから、私は、御提案としては一考に値すると思いますけれども、現実問題としてはなかなかそこまで踏み切れない、そういうことも御理解賜りたいと思うわけであります。

 そういう中で、確かに異動にしましても、自衛隊の場合だったら部隊から部隊に、例えば空自で見てみますと、岐阜の各務原から宮崎の新田原に行く場合とかあるいは小松に行く場合とか、公務員の場合だったら、東京の本省で、それから出先に行く、あるいは九州なら九州の局採用でなった人は九州の管内を動くとか、異動の仕方が違うのも事実でございます。

 だから、先生の御指摘も私もうなずけるわけでございますが、やはりそういうところを考えますと、今、公務員の体系に沿ってやらざるを得ないという現実を考えますと、公務員の方では、いわゆる大手といいますか全国規模で動くような企業の給与水準と、地域だけで採用されている企業との賃金格差を見てみて、それだけ差があっているじゃないか、片一方は高いじゃないかと。そうすると、その分は結局、広域異動を伴うような会社についてはそれだけの分をやはり上乗せしてやらないとバランスがとれないということから、公務員の給与について、そういう広域異動という知恵を出してそれをカバーしているということも考えられますので、やはりそうなりますと、それにこちらの方も準じた扱いをせざるを得なかったという点について、ひとつ御理解を賜りたいと思うわけであります。

前田委員 では、事務方で結構ですので、六十キロ、三百キロの根拠を教えていただきたいと思います。

増田政府参考人 お答えいたします。

 まさに今大臣から御答弁いただきましたように、基本的に、私どもが今回の給与法でお願いしております六十キロ以上また三百キロ以上という区分については、一般職に準じてお願いしておるわけでございます。その根拠と申しますのは、もちろん異動のパターン等が一般職と自衛隊なり防衛庁で違うことは事実でございますけれども、基本的に、ブロック内もしくは全国異動というものについては、自衛隊においても、先生が先ほど言われましたように、陸上自衛隊であれば方面隊と全国異動、それから海上自衛隊であれば地方隊と全国異動、また防衛施設局であれば施設局と全国異動というような形でありまして、そういう区分につきましては一般職に準じてよろしいのではないかということで、このようにお願いしている次第でございます。

前田委員 とにかく、なかなかそうした人事院等の組織をつくるのも大変だということで一般職に準ずるという長官の御答弁でしたけれども、それにも増して、やはり自衛官の皆さんは日夜危険な任務に当たっているわけでありますので危険手当的なものが加算されているということであると思いますけれども、私は、もともとの給与ベースにそうしたものを含めて、他に比べて自衛隊は給与的にも魅力があるということになれば、募集にも非常にプラスではないかというふうに思います。

 昨年の例を挙げますと、実は、私がきのう、おととい質問案を出しましたら、自衛官は四・八%ダウンだと言いましたら、それは違う、それは一般職だ、自衛官は五%ダウンだというふうに言われまして、ベースについては、去年は五%ダウン、そしてことしは据え置き。その一方で、防衛庁、特に施設庁OBが先般来の談合問題でいい目をしている。非常に、そんな談合で無駄な税金を使うんだったら、日夜一生懸命汗を流してみえる隊員の皆さんのベースを上げたらどうかというふうに思います。

 これは隊員の皆さんの士気にもかかわるし、そして募集にもかかわる話だと思いますので、私は、くどいようですけれども、ベースを上げて、魅力ある自衛隊、働きがいのある自衛隊をつくられた方がいいのではないかというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。

久間国務大臣 今先生が、OBがいい思いをしているとおっしゃいますけれども、天下りとかでいろいろ批判がありましたけれども、それは非常に限られた人であって、職員にしてもそうですし、特に自衛隊の隊員なんかにしても、全国たくさんの者がやめた後そんなにOBとしていい思いをしているなんて、そういうような風潮が広がりますと大変迷惑をかけますので。

 私は、そういうことはないのであって、みんな、やめた後でも後の経済的な問題をどうするかということについて非常に気になりますので、そういうことも含めて、若年でやめた場合、あるいはまた若年じゃなくてもやめた場合の後の処遇の問題をどうするか、いろいろな研究会を内部でつくって今検討も始めたところでございますので、どうかひとつ、OBはいい思いをしているんだというふうな、余りそういうことを言われますと、まじめに、職務に忠実に一生懸命やりまして定年を迎えて、それで子供たちがまだ大学にも行っているのにという人たちもたくさんおられるわけでございまして、そういう人たちは自分でまた一生懸命職を探して生活をやっているわけですから、何かやめたOBが、今までやめた人たちがみんないい思いをしているんだというふうに言いますと、現在の若い隊員初め皆さんにも大変違ったメッセージを与えることになりますので、ひとつよろしくお願いいたします。

前田委員 もちろん、先ほど申し上げたように、談合にかかわったOBですので。この表の、後でまたお話ししますけれども、きょう資料でお配りしたような、談合にかかわったOB、こうした人たちについてです。もちろん、私も身の回りで小牧基地がありますので、隊を除隊されて、やめられてからなかなか苦労されている皆さんも多いという現状は私も痛感しておりますので、この方たちをどうするのか。この方たちが早期に退職されて、現場で本当に汗を流されて、体力的にもう続かないんだということでやめられていくのが若年定年制のゆえんであると思いますので、そうした皆さんについてはもちろん私も理解しております。

 そして、特に私は、憎むべきは、談合して、公益法人に天下って、それからまた中堅ゼネコンに入って、最後まで税金で生活保障がされるような、そうしたOBの話を間違っているということで言っているわけでありますので、私もその辺は強く申し上げたいと思います。

 そして、防衛庁職員の給与等の改定は、例年、一般職の国家公務員の給与改定の例に準じて行われておりますけれども、ところで、防衛庁の職員の中でも自衛官については、この一般職の公務員と異なって、階級別の俸給表が適用されております。また、自衛官は国民の生命と財産を二十四時間守るために常時勤務体制をとっていることから、超過勤務手当等の相当額の本俸への繰り入れが行われております。さらに、他の公務員にはない特殊な任務に対して支給されるさまざまな手当が設けられているわけであります。

 先ほど来私が言っておりますように、こういう給与体系の防衛庁職員の特殊性にかんがみて、これはやはり、幾ら長官がなかなかコストがかかって人事院のような組織をつくるのが大変だと言われても、私は、独自のシステムをつくられた方がいいというふうに思います。それは、先ほど来の長官とのやりとりで私もわかるところがありますので。

 では、またさらに話を進めさせていただきますけれども、日本郵政公社等を除く国家公務員の定員は、定員数六十一万人であります。そのうち自衛官が二十五万人ということで、およそ四割を占めているわけであります。確かに、一般の国家公務員の給与というのは給与関係閣僚会議で決められております。官房長官が主宰されて、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣という閣僚が入られて決められているわけでありますけれども、今度防衛庁から省になるわけでありますので、しかも国家公務員の四割を占める自衛隊でありますので、私は、ぜひ新大臣は、この給与関係閣僚会議へ参加されて、今の自衛隊の現状をしっかりと給与体系の中に主張されるべきではないかというふうに思うんですけれども、長官、いかがでございますか。

久間国務大臣 階級制がとられておったり、あるいはまた危険手当といいますか、そういう身の危険とか、そういう形でいきますと、似ている職種としては、国家公務員というか全国的な規模でいきますと、海上保安庁が比較的似ているんだと思います。それと、あとは、ちょっと違いますけれども、警察官なんかもあります。ただし、警察は大多数が地方公務員という形になっているものですから若干違っていますけれども、そのいずれもがやはり国家公務員の扱いに準じてやっておる。自分のところでやろうとするとなかなか、違ったところの特殊性を強調することもできるけれども、それが正当かどうかをまた説明しなければならない、そういう問題も出てまいりまして、そういう意味で、非常に難しい点もあるんじゃないかと思います。

 防衛庁が省になりましても現在の仕組みはほとんど変えないということで従来から言っておりますので、省になったからおれを関係閣僚会議に入れろというようなことを言うのも、時期としていいかどうか。その辺も踏まえながら、しかしながら、今おっしゃったように、公務員の中で四割を占めるウエートの、しかもそういう特殊性をどうこれから先担保していくか、そういうことについての意見を出す、そういう機会は何らかの形でやはり持っておかなきゃいけない、そういうのは、おっしゃる意味もよくわかりますので、これから先研究してみようと思います。

 しかしながら、防衛庁が省になったからそうだと言いますと、それはちょっとどうかなという感じもいたしますので、それはまた別で、防衛庁の時代でも同じことが言えたわけですから。それは、省になったからということじゃなくて、やはりそういう四割を占めるところの意見が反映されないのはおかしいじゃないかという意味で、これから先、何かの形で考えてみたいと思います。

前田委員 僕は、反対に、このときを逃したらなかなか言いにくいんではないかというふうにも思いますけれども、ぜひ、多くの自衛官の皆さんの気持ちを主張できるような場にしていただきたいと思います。

 そして、少子化社会における自衛官の確保に話題を移させていただきます。

 近年、我が国における合計特殊出生率は低減の一途をたどっておりまして、これは平成十七年には一・二六まで落ち込んでいる。少子化は、若年人口の減少、労働力の不足をもたらしておるわけであります。国力の低下にもつながる。これは国を挙げて取り組まなければいけない課題であると私は思っておりますけれども、特に、省への移行に際しまして、国際平和協力活動の本来任務化、自衛隊の業務範囲も拡大しておりますので、一人の隊員の方に対する負担も非常に多くなるのではないかというふうに私は懸念しております。そうなると、またなかなか募集が難しくなるんではないかという危惧をしております。

 少子化対策として、一方で少子化があるわけでありますので、人材確保、どのようにされるのかというお考えを伺いたいと思います。

久間国務大臣 私は、防衛庁長官に就任する前から、この少子化問題が非常に将来、特に自衛隊にとっては大変なことになる。しかし、自衛隊だけではなくて、危険な仕事であります海上保安庁、消防署、あるいは警察、そしてまた、こういうことを言っちゃなんですけれども、いわゆる刑務官、こういった職種も、最近麻薬中毒患者を随分扱っているものですから、もうとにかく看守している方がノイローゼになりそうだというふうな、そういうことからなかなかこれも大変ですから、これはやはり日本国籍を持っていないといかぬわけでございますから、まさに外国労務者というわけにはいかぬわけですから、最後まで。そうなってくると、少子化になったら本当にゆゆしきことになる。

 そういう中で、どうやって確保していくか。これは知恵を絞らないといかぬというふうな思いでございまして、これは内部でもよく言っているわけであります。

 だから、今の若年で、確かに筋力、体力を伴う仕事なものですから、ずっと若年定年といいますかそういうのをやはり合理的に考えなきゃなりませんけれども、自衛隊の職種の中でも、そうでない、筋力を使わない、あるいは常時訓練でやらなきゃならないということでもない職種もありますから、そういうこととの組み合わせの中でこれをどうやってやっていくのか。その辺についての研究会をみんなでやって、部外の有識者も入ってもらいまして、今、公務員の中で特に自衛隊の隊員についてのあり方検討会みたいな形を起こしているところでございまして、先般も、その有識者の皆さん方に初めての会合を持ってもらいました。これから、そういうふうなことの中で、自衛隊の定年制も含めて活用の仕方についての議論をしていこうと思いますから、今おっしゃったことは十分に心していきたいと思っております。

前田委員 本当に我が国の安全保障にかかわる話でありますので、この少子化対策もぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 そして、今長官のお話の中にもあったように、自衛官は、危険な任務に当たっておるということで、その分手当が加算されているわけでありますけれども、去る十一月十七日の新聞報道によりますと、実際の勤務形態に関係なくて職務によって一律に支給される自衛隊のいわゆる配置手当を見直すように財務省が防衛庁に要請されたと言われておりますけれども、まず、これは事実でしょうか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 まさに、当然のことながら、予算要求をして、予算折衝を防衛庁また財務省との間で行うときに種々の議論が行われることは事実でございます。そしてその中で、当然のことながら、今先生御指摘の配置手当の問題について、こういう角度から考えたらどうかとかいうふうな議論が行われていることも事実でございます。

 私どもとしても、そういう議論に真摯に対応しながら、必要なものは必要である、見直すべきものは見直すべきであるというふうな形で調整を進めているところでございます。

前田委員 今申し上げました配置手当なんですけれども、航空自衛隊の航空手当、海上自衛隊の乗組手当、陸上自衛隊の落下傘隊員手当等がありますね。実際には航空機や護衛艦に乗り込まなくても支給されるんですね。ですから、私は先ほどから、手当でこういうふうにするんじゃなくて、もともと危険手当も含めた額の給与体系をつくるべきではないかというふうに思っているんです。

 実際に、毎日新聞の報道によりますと、例が一つ書いてありますけれども、戦闘機に搭乗する空自の二佐の場合、月給三十九万五百円、これと別に二十三万八千円を操縦回数にかかわらず受けられるということが書いてあります。この上乗せ手当は合計年間四百三十億円に達するということも書いてあります。

 私は、この手当が間違っているというのではなくて、本当に危険な任務であるので、もともとの魅力ある給与体系をつくるべきではないかというふうに思っているわけでありますけれども、何回も何回も同じような話なんですけれども、長官はいかがお考えでしょうか。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

久間国務大臣 こういうのは本当に難しいんですね。例えば、私も百里の基地に前行ったときに聞いたんですけれども、スクランブルで、不審機が入ってきたということでアラームが鳴るでしょう。そうしたら、待ち構えていてぱっと出ていく、その行った人の血圧は物すごくぐんと上がるわけですね。それはもう、いざとなったら、場合によってはどういうことになるかわからないという危険な感じですよね。それに飛び乗って出ていくわけです。

 それで、そういうようなのがいつあるかわからないという形でずっと待っているわけですけれども、例えばロシアがもう非常に来なくなったときなんか、ほとんどなかったということもありますけれども、だから、ない状態が続いていると、行っても行かなくても危険手当が出ているというようなことを言われるし、行ったごとにやるとすれば、敵機が来たときの方がたくさんもらえるという格好になるわけですから、それがいいのかどうか。

 そういうことを考えますと、今先生がおっしゃったように、そういうのを込みでやってしまってもいいんじゃないかとなりますが、今度は、そうやりますと、各いろいろなバランスをとっていくのがまた難しくなってきて、それで今みたいな形に落ちついているんだろうと思うんです。

 だから、制度をつくるときには、そういうようなことを一つ一つ考慮しながら平均的にどうしたらいいのかということでやらなければなりませんから、そういう点で今の体系ができ上がっているとすれば、それを変えてやろうとすると、それだけの説明が本当にきちんとできるかなということまで踏み切ってやらなければなりませんから、なかなか勇気が要ることでございまして、そういう点も踏まえて、従来から現在のものを踏襲しているという実態について、それにかわるような方法がまだ見つかっていないという点もひとつ御配慮を賜りたいと思うんです。

前田委員 私は、ぜひこの機会に検討会で給与の制度設計をしていただきたいと思います。それが隊員の皆さんのやる気にもつながると思いますし、また募集にもつながると思いますので。

 私は、きょうここでこれだけは申し上げたいというものがありまして、それは自衛隊生徒制度の見直しであります。これは平成十九年度の概算要求に掲げられておりまして、総人件費抑制、総人件費の改革の中の一つとして挙げられております。

 この自衛隊生徒制度というのは何かと私も非常に研究したわけですけれども、自衛隊生徒制度というのは中学校卒業者を対象に採用している制度でありまして、陸上自衛隊生徒、少年工科学校、海上自衛隊生徒、第一術科学校、航空自衛隊、航空教育隊生徒隊ということで、中学校を卒業して、やる気のある生徒さんたちが給料をもらいながら、また高校の授業を受けたければ通信教育も受けられるということでありますので、私は非常にいい制度ではないかと思うんですね。それから兵器も、最新の装備を扱うためには専門的な知識と技術の習得が必要でありますので、それができる。しかも、これが人気がなければ別ですけれども、私、実際この学校に入る倍率を調べましたけれども、何と十五倍はあるんですね、五千八百七十九名受験されて三百九十三名合格、採用ということで。

 私は、せっかくこんなに多くの若い力が我が自衛隊にと言われているわけでありますので、先ほどの少子化対策にふさわしい、しかもこれからミサイル防衛等兵器の最新化が進んできますので、そうした専門技術者を育成する、しかも少子化の中で募集にも非常に力を発揮するこの自衛隊生徒制度を、反対にそんな概算要求で飛ばすのじゃなくて、ぜひ存続していただきたいと思うんですよ。これは、なかなか経済的に難しい子供さんたちもこれで勉強できたりしているわけであります。

 安倍政権が再チャレンジとかそうした格差是正と言われるんだったら、こうした生徒制度をぜひ存続していただきたいと私は思うんですけれども、長官、いかがお考えでしょうか。

久間国務大臣 今までも大変そういう役割を果たしてきたわけですけれども、空と海については、これから少子化が始まるときに、パイロットとかあるいは整備等、そういうのも含めて、やはりかなりの高度な知識といいますか、そういうのも要求されてまいりますので、やはり高校生以上のレベルでやる方がいいのかなという思いもします。

 だから、そこで、海、空と数が多い陸とでは若干違ってまいりますので、その辺で差を設けながらやっていく方がいいんじゃないかということで、海と空については一応十九年度で打ち切って、陸については続けていく、そういう方向でたしか検討してきたと思いますけれども、ちょっと事務方から具体的なことについて答えさせたいと思います。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今大臣からおっしゃっていただいたことを補足いたしますと、まさに総人件費改革の検討の中でこの生徒制度についての検討を行いまして、結論といたしましては、海と空につきましてはやめるということでございます。まず、年間の採用数がそれぞれ五十名程度であるということと、それから他の任用制度、いわゆる曹候補学生であるとか曹候補士とか一般二士からの代替可能性というものが十分にあるのではないかということで、十九年度の採用を最後に、以降の募集は行わないこととしたところでございます。

 他方、陸上自衛隊生徒につきましては、陸曹の中核を担う人材の源泉として大きな役割を担っているという点を考慮し、また年間約二百五十名を採用しておるということで、他の制度で代替することは難しいのではないかという観点から、存続することといたしたところでございます。

 ただ、自衛官の身分、三士でございますけれども、身分につきましては、長期間専ら教育訓練のみに従事するという点を考慮いたしまして、二十年度以降の募集をめどに、防衛大学校の者は学生という身分でございますので、学生の扱いにしようということで考えておるところでございます。

前田委員 ぜひ、私は、こうした若い力が自衛隊を理解して、しかも技術を身につけられるような、そんな道は必ず残していただきたいというふうに思っております。

 さらに話を続けさせていただきますけれども、先ほど来挙がっております若年定年制であります。

 八月八日に額賀前長官が明らかにされましたように、自衛隊の後方支援職種の若年定年制を廃止して、定年を六十五歳にするように検討ということが報道で流れました。これについて、事実かどうなのかということも含め、また、一般職の国家公務員の定年は六十歳でありますので、それとの不均衡はどのようにお考えなのかということを伺いたいと思います。

増田政府参考人 今先生から御指摘の額賀前長官の発言でございますけれども、これは、いわゆる防衛力の人的側面、マンパワーというものにつきましては、まさに防衛力を構成する物と人という意味では極めて重要な要素でございますので、先ほど久間大臣からもおっしゃっていただいたように、急速に進む少子化を考慮すれば、現状のままでマンパワーの確保はなかなか難しくなるんじゃないかという問題意識から、例えば六十歳を超える定年延長についても、一つの選択肢としてあるのではないかという認識を示されたものと考えております。

 防衛庁といたしましては、先ほど来大臣からも御指摘いただいておりますように、内部に防衛力の人的側面についての抜本的改革に関する検討会というものを大臣をヘッドに設けまして、このような点も含めて検討をしていきたいというふうに思っているところでございます。

前田委員 若年定年制でありますけれども、もともとが、制服の隊員の皆さんの隊の精強さを保つためということでつくられておるわけであります。当然体力がもたないということで早くに退職される、それに即した制度であったと思いますけれども、これがどうも、事務職の再就職のフォローに利用されたのではないか、それが官製談合を生んだのではないかというふうに私は考えます。そうじゃないと言われるかもしれぬですけれども、官製談合の元凶がここにあったんではないかというふうに私は思います。

 きょうは、今資料でお配りしました資料一、これは、五十年代半ばから官製談合が行われてきた、特に技術審議官、建設部長、建設企画課長、半ばからというので、私が要求したのは半ばのちょっと後ろの五十七年から要求しましたけれども、この氏名の一覧があります。どこへ再就職されたかという表を出してもらいました。こうした皆さん、さきに出されました調査委員会による六月十五日の報告書の中にも書いてありますように、こうした技術審議官等、この三役のことを技術審議官等と言われると書いてありますけれども、等の間で代々引き継がれてきていたというものであります。

 これは建設総額で大体毎年二千億円前後。では、談合が行われなかったら、一般競争入札だったらどのぐらいの率になるのかというと、長野県のケース等もありますけれども、七五パーぐらいになったとか、予定価格の八〇%程度としましても、資料二を見ていただくとわかりますように、これは本年度に入って、前回、私が会計検査院の検査報告で挙げさせていただきました談合事案、三月二十日でありました、それ以降を見ても、九九%を超えるものとか九五%を超えるものとかがあるわけですよ。

 私は、そうすると、一五%以上は確実に税金が無駄遣いされているのではないかというふうに思います。二千億円掛ける一五パー、そうすると、毎年三百億円国民の皆さんが損をしている、余分に税金を取られている。この資料三にありますように、一人頭大体OBの年収の七十倍、八十倍の仕事を配分していた、割り振っていたわけでありますので、例えば一千万円だったら八億円ですよ。そうした額が、官製談合していたOBのために税金を無駄遣いされている。こうした無駄遣いがあったら、よっぽど汗を流している隊員の皆さんの給与に反映させた方がいいですよ。

 北原長官、いかがですか。特に三月二十日以降こんなに、九九パーとか、九〇%を超える落札率の方が非常に多いじゃありませんか。これは談合じゃないかどうか調査されましたか。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

北原政府参考人 前田先生に御答弁を申し上げます。

 ただいま先生御指摘になりました平成十八年度執行状況百十件、これは、先日私どもから提出をさせていただいたものでございます。

 それで、先生今、落札率が高い、それが談合を繰り返しているんではないかといった御趣旨の御質問かと思いますけれども、高い落札率をもって直ちに談合があるということは一概に断定はできない、そのように考えております。

 この点につきましては、私どもの工事費の算定に当たりまして、大きく三つの背景、考え方がございます。それは、積算要領それから労務単価を定めて運用しておりまして、資材単価は市場単価を採用している。しかも、これらの要領等につきましては、公表いたしますとともに市販をしている。それからさらに、当該工事に関します主要な資材などの数量についても公表しているといったところでございまして、入札参加業者は発注者側と同様の積算を行うことは可能である、そのように考えております。

 しかし、さはさりながらでございますが、私ども、今回の大変な事態を起こしてしまいました。そして、十八年度、まだこれからも契約が続くわけでございますが、百十件やっております。

 そこで、この百十件につきまして、私どもは再発防止策に基づいたことをやってきたわけでございますが、これも、さはさりながら、今後、この十八年度に続く大きないろいろな契約がございますので、また、この百十件について、今日まで談合情報その他は私どもは接しておりませんけれども、私どもといたしまして、大事なことは、いろいろな枠組みをつくっても、今度はそれを実際に運用していく私を含めて現地の各局の職員、これが本当に緊張感を持ってやらなければだめだ、厳正かつ公正な気持ちでやらなければいけないということで、繰り返しになりますが、談合情報には接しておりませんが、この百十件について、私どもは今後のことを考えて調査をいたします。そのように命令をしたところであります。

前田委員 国民の血税でありますので、ぜひ厳格に調査していただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私は、防衛庁職員給与法については、これは一般職と同様の改正を行うものであり、賛成であります。

 そこで、きょうは、起こっている問題について幾つか取り上げたいと思いますが、最初に、「あさしお」の問題であります。

 十一月二十一日、日南市沖で、海上自衛隊の練習潜水艦「あさしお」とパナマ船籍のタンカーが衝突事故を引き起こした件について、海上幕僚監部は中間報告を発表いたしました。

 それによりますと、ソーナー員によるタンカー船の信号探知、さらに水中電話機によるスクリュー音の探知をそれぞれ艦長に報告したということになっています。これは、水中電話機によるスクリュー音の探知もソーナーの信号探知も、衝突した船について艦長に報告した、そういうことですね。

山崎政府参考人 両音とも、ソーナー員及び当直員は艦長の方に報告をいたしております。

赤嶺委員 そうすると、艦長は、ソーナー員から二回にわたってその探知した中身の報告を受けているわけです。にもかかかわらず、それを遠ざかる船舶というぐあいに誤って認識した。しかもその後、タンカー船の存在を認識しているわけですね。認識しているにもかかわらず、それは衝突するほど危険ではないと、またそこでも誤った判断をしているわけですね。

 ソーナー員の報告を二回誤って判断し、自分でタンカー船を目撃したけれども、これは衝突するほどの距離ではないと誤って、三回も誤って判断する。これは何でそんなことが起きるんですか。

山崎政府参考人 まず、ソーナー員自体が、遠ざかる船と同一の方向にありました近づく船舶について、違う船であるという認識が若干おくれた。ただ、いずれにしましても、気づいた時点でまた再び艦長の方に報告をいたしております。艦長の方は、その報告を受けた時点では、現在いろいろ聴取をしておりますが、聞いた覚えがないという話を今しております。

 その後に、引き続きソーナー員及び水中電話を聞いております当直員の方から報告をいたしまして、艦長は、直前に近づく船舶があるという認識をいたしましたけれども、その近づく船舶が衝突をするほど近くにあるという認識をいたさなかったというふうに聞いております。

赤嶺委員 いや、だから、ソーナー員は気づくのがおくれた、しかし、気づいたときには艦長に報告した、その報告を聞いていなかったという話なんですか。それで、水中電話でまたスクリュー音に気づいて報告した、それでも艦長は気がつかなかったんですか。さらには、艦長は、目撃したけれども、このぐらいの距離だったら大したことはない、衝突しないだろうと思った。こんなことがなぜ起こるかと聞いているんですよ。

山崎政府参考人 九時四十七分に、本件、潜水深度から露頂深度の方に深度変換を図りまして、衝突が起こりましたのは四十九分でございます。その二分の間に今申し上げたようないろいろな事象が複雑にふくそうして起こったわけでございまして、艦長が、報告を受けたにもかかわらず聞いていた記憶がないみたいなことを証言しておるんですが、その理由についてなかなかまだ特定をするに至っておりません。

 なお、艦長の方は、衝突した船舶を目撃したわけではございませんで、露頂深度に近づいた時点で潜望鏡を海上に出そうとして、潜望鏡の先端についております電波探知機が衝突をしましたレーダー波を非常に近くにとらえまして、急速潜航を決断したというふうに聞いております。

赤嶺委員 目撃じゃない、存在を認識したということで中間報告書の中には書いてあるわけですけれども、私は、艦長の責任は極めて重大だと思います。

 これに加えて、艦長が誤った判断をした、そのときに哨戒長が進言すべきところをこれがなされていなかった。艦長は聞いた覚えがないというわけですが、そうすると哨戒長は聞いていたわけですね。聞いていたにもかかわらず、進言すべきところをこれがなされていなかったということなんですね。これも、何で哨戒長は進言しなかったんですか。

山崎政府参考人 まず、艦長は、当初の報告について記憶にないという証言をしておりますけれども、最終段階に至って、その報告については受けたという証言をしておりますので、全く最後の最後まで報告を受けていないという話ではないわけでございます。

 それから、哨戒長につきましては、当然、艦橋におりまして艦長と同じ報告を全部受けておりますので、その意味においても、艦長と同様に、推測でございますけれども、御判断をしていたのではないかというふうに考えております。

赤嶺委員 哨戒長も誤った判断をしていた、そうなってきますと、これは、いわば安全を確保すべき最大の責任者である艦長も哨戒長も、その職責について全く無自覚だったとしか言いようのない信じられない事態ですよ。組織としてやはり機能していなかったんじゃないかというぐあいに指摘されると思うんです。

 私はやはり、今回のように船舶がふくそうしている海域で訓練する、こういうことは、今のような組織のあり方であれば、今後も同じような事故があり得るということではないかと思いますが、いかがですか。

久間国務大臣 そんなにふくそうしている、錯綜しているところでもないわけですけれども、しかしながら、逆に言えば、あの程度のところで訓練をせずに訓練にならないわけですから、訓練すること自体を非難するわけにはいかぬと思います。

 それよりも、今言われたように、本来起こるべきことのない、そういうような錯誤をなぜしたか。そういうことについての上司の責任というのはやはり非常に重いわけでありまして、ここが、初めての艦長ならいざ知らず、もう二回もやっているわけですから、それがゆえに逆に誤信があったんじゃないか。あれは去っていく船の音なんだ、心配要らぬよというような調子で、そういうような過信をしてしまうということの人間の陥りやすい問題点があるんじゃないかと思います。

 これを教訓にして、そういうようなことがないように、組織的にもどうやってこれから先それを確保していくか。そうしないと、これは幸いにして人身事故がなかったですけれども、えひめ丸のハワイ沖での事故みたいに、事故というのはいつあってもおかしくないわけでありますから、今度はたまたま貨物船の被害も、向こうのあれもそれほどでもなかったし、こちらの方も人身もなかったし、双方にとって人身事故がなかったというのは不幸中の幸いですけれども、もう二度とこういうことのないように、本当にやはり組織としてきちんとやっていかなきゃならない。そのときに、今おっしゃられたように、報告を受けた艦長が誤判断をしてしまうと取り返しのつかないことになる、そういうのをどうやって防ぐか、その辺についてはやはり研究をしなきゃならないなと思っております。

赤嶺委員 「あさしお」は練習潜水艦ですよね。艦長や哨戒長というのは教官の立場にあるわけですよね。安全を確保するすべについてすべてを熟知しておかなきゃいけない立場、そういうような人たちが教官として乗っていたにもかかわらず、こういう事故を引き起こしてしまった。再発防止に努めると言いますけれども、やはり私は、今の説明を聞いた限りでは、こういう事故は避けられないんじゃないかということを厳しく指摘しておきたいと思います。

 次に、日米間の審議官級協議、これについて聞いていきます。

 報道によりますと、日米両政府の外務、防衛当局による審議官級協議が十二月四日から開かれたということであります。今回の審議官級協議はどんな問題が議題になったのですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 十二月四日に行われた日米防衛・外務当局の会合におきましては、本年五月の2プラス2の結果を踏まえまして、在日米軍の兵力態勢の再編に関するこれまでの成果及びその進捗状況について意見交換を行うとともに、今後とも、その着実かつ迅速な実施に向けて引き続き緊密に協議していくことで意見の一致を見たところでございます。また、本件会合の機会におきまして、ミサイル防衛に関する日米協力についても議論を行いまして、かかる協力をさらに強化、加速化すべく検討を行うことが確認されたところでございます。

赤嶺委員 一致を見たということでありますけれども、今回の協議で、キャンプ・シュワブ沿岸部につくるV字形滑走路について、米軍機の着陸ルートに設置する進入灯を二カ所に限定するということで基本合意したとのことでありますけれども、報道で繰り返されておりますが、それは合意に至ったのですか。

大古政府参考人 進入灯の問題につきましては、周辺地域上空の飛行を回避する観点からV字案が考案された考えに基づきまして、日米間で調整を行っているところでございます。日本側の意向につきましてはおおむね米側から理解が得られているところでございますが、まだ調整中でございまして、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 日本側の考え方に米側は理解を示したがまだ調整中と。合意していないんですか。

大古政府参考人 細部についてはまだ調整中でございます。

赤嶺委員 細部というのはどんなことを言っているんですか。

大古政府参考人 地元の市街地の上空を回避するという観点からV字案ということでやっておりますので、その意味で、飛行形態に応じて進入灯も必要であるというのが日本側の考えでございます。ただ、米側にも運用上の観点からの考え方もございます。そういう中で、V字案の考案された考え方に基づく日本側の意向についてはおおむね米側から理解が得られたというふうに考えているところでございます。

 ただ、滑走路全体の建設計画について全体的にまだ細部を調整中でございまして、そういう意味で、細部については説明を控えさせていただきたいというふうに申し上げているところでございます。

赤嶺委員 日本側が説明しただけの話になっているような気がいたします。

 それで、進入灯について伺いたいんですが、進入灯は着陸ルートに限定すると日本側が説明したとのことですが、米軍機は進入灯が設置されていなければ着陸できないのでしょうか。

大古政府参考人 進入灯につきましては、基本的には、夜間に着陸するような場合におきまして着陸帯に誘導するものでございます。

赤嶺委員 進入灯はそういう機能を持っていることはわかります。米軍機は進入灯がなければ着陸できないんですか。

大古政府参考人 基本的にこれはヘリコプター飛行場でございますけれども、例えば天候が悪くて計器飛行するような場合につきましては、通常の固定翼と同じように飛行場の滑走路に沿って徐々に高度を低下して着陸いたしますので、そういう際におきましては、夜間において進入灯が必要であるというふうに理解しております。

赤嶺委員 それでは、米軍機は進入灯がなければ着陸できないということですね。

大古政府参考人 固定翼が着陸する場合につきましては、天候条件によりますけれども、基本的に大体二割ぐらいではないかと言われておりますけれども、天候が悪くて計器飛行するときに必要でございますので、米側のヘリの運用としてはどのような天候下においても離着陸できるということが必要でございますので、そういう意味で進入灯の整備が必要であるということでございます。

赤嶺委員 それではさらに聞きますが、進入灯がなくても米軍機は着陸できるんですよね。

大古政府参考人 先ほど来申し上げていますように、有視界飛行ということであれば必ずしも進入灯が必要だということにはならないかと思います。

赤嶺委員 いやいや、夜間とかそういうときもですよ。

大古政府参考人 夜間につきましては、基本的には滑走路自体に着陸を誘導するようなライトが当然つくということにはなるかと思います。

赤嶺委員 そうなんですよね。滑走路自体に着陸を誘導する装置が設置されるわけですから、夜間で進入灯がなければ着陸できないというようなことではないと思うんですよね。いかがですか、それでいいわけですよね。

大古政府参考人 ただ、夜間におきまして天候が悪くて計器飛行を行う場合については進入灯が必要であるというふうに理解しております。

赤嶺委員 進入灯があれば安全だという支援施設ということだろうと思うんですよね。しかし、米軍は、普天間飛行場でも進入灯というのは一カ所しかないですから。そういう状態なんですよね。

 それで、その設置する進入灯はどのくらいの長さなんですか。

大古政府参考人 そこは米側とも調整中でございますので、まだ長さが決まっているということではございません。

赤嶺委員 進入灯は海上に設置するわけですが、海上においてどんな方法で固定するんですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 そうした点について、まだ今ここで御答弁できる状況にはございません。

赤嶺委員 政府は、特に久間長官は、これまで緊急時に限って双方向の着陸を容認するという方針を示してきたわけですが、この点は今回の審議官級協議で取り上げたんでしょうか。

大古政府参考人 どういうふうな運用をするかということについては、先ほどの外務、防衛当局間会合におきまして種々議論はしております。

赤嶺委員 久間長官は、緊急時の場合はどういう方向からでも着陸することはあり得ると私に答弁いたしました。緊急時がいかなる場合を指すのかということが、実際には基地を抱えている現場では極めて重要になってきます。緊急時がどういう場合なのか、これを改めて明確にしていただきたいと思います。

久間国務大臣 緊急時がいかなる場合かというのは、もうまさに緊急の場合でありますから、いろいろあると思いますから、それはなかなか一概に言えないと思います。要するに、緊急に着陸しなければ危険が伴うというようなときですから、油が切れてしまったとか、あるいは機材が故障してしまったとか、とにかくそれは一概に言えないんじゃないでしょうか。

 ただ、言えることは、だれが見てもこれは緊急時じゃないじゃないかと言われるような、非難されるようなことに、そういうのに使われないように、その配慮だけはすべきだと思います。

 しかし、緊急時だという説明がつくような場合はこういうケースの場合だけだとか、大体、緊急時に着陸するのに前もってそれを了解するとかしないとかいうのはおかしいのであって、緊急時には了解していなくてもおりますよ、パイロットは。だから、そういうようなものと思っておればいいんじゃないでしょうか。

赤嶺委員 長官は一概に言えないということでありますから、大体こんなのはあらかじめ決められる話じゃないだろうということでもありますから、ちょっと、個々具体的に少し事務方に事務的に説明していただきたいというぐあいに思います。

 宮古の下地島がありますよね。下地島では、給油を目的としてたびたび米軍機が空港を使用しているわけですよ。フィリピンに行く途中だからといってやるわけですね。

 ところが、さっき燃料切れというお話が長官からありましたが、今回の場合は、同じ基地内にある滑走路をどのように使うかという問題です。ですから、給油目的が緊急時に入ることはないと思うんですが、この点、いかがですか、同じ滑走だから。

大古政府参考人 今回のいわゆる審議官級協議におきまして、米側との間で、緊急事態にはどういう方向で離着陸をするかというようなことで合意したということはございません。そういう意味で、日米間で今、緊急事態について、具体的にこういう場合が緊急時だということを議論して確認しているということはございません。

 いずれにしましても、久間長官の方からおっしゃっていますのは、人命にかかわるような事態におきましてという議論をしているということでございます。

赤嶺委員 米側はどれが緊急事態であるかということを一切明らかにしていない、それも話し合っていない、しかし日本側はこういうことだと。

 私、今具体的に聞いたのは、下地島はとにかく民間飛行場ですよ。それを米軍機が地位協定に基づいて使っている。それは給油目的だと言っている。最初は自然災害だとかいろいろな緊急の事態の場合と使い始めて、今はもう日常的に使っているわけですよね。

 ですから、普天間飛行場については、同じ滑走路の使い方の問題だから、給油を目的として使うということ、これは緊急時に入りませんねということを念を押して聞いているんですが、いかがですか。

大古政府参考人 給油で立ち寄るというような場合につきまして、もともと目的地との関係で、航続距離の関係で途中で給油するということであれば、それは最初から予定された行為でありますので、そういうものを普通は緊急時とは言わないと思います。

赤嶺委員 もう一つ聞きます。

 武力攻撃予測事態、周辺事態、あるいは武力攻撃事態、これは緊急時に入るんですか。

大古政府参考人 先ほど言いましたように、今回の審議官級協議におきまして、普天間代替施設における運用に関連して、緊急事態について、双方でこういう場合が緊急事態だということで確認されたということはございません。ただ、一般的な緊急事態という意味でいえば有事とかいうのは含まれると思いますけれども、この代替飛行場の運用に関連して、緊急事態の言葉を日米間で決めているということではございません。

赤嶺委員 一般的にはそういう有事の事態も緊急時に入るということですが、それでは、周辺事態や武力攻撃予測事態や武力攻撃事態、その事態を想定して訓練をする、そういう場合は、双方向からの着陸を認める訓練、認めるんでしょうか。長官、何か御意見がおありのようですが、いかがですか。

久間国務大臣 いや、しかし、随分といろいろなことを想定されるなと思って、非常に感心しながら聞いておったところであります。

 訓練でありますから、いろいろなことを想定しながら訓練をやるんでしょうけれども、日常の訓練の場合は、方向性が決まった形でそこを使うということで決めているわけですから、そこは決めたとおりの訓練の仕方をすると思います。

 緊急事態の場合には違うということですから、日常の訓練の場合は緊急事態が発生していないわけですから、それをもってそういうことはあり得ないことじゃないかと思っております。

赤嶺委員 いろいろなことを想定して質問しているとおっしゃいますけれども、沖縄の基地を日ごろ見ていたら当然出てくる疑問だけを私思い浮かべてやっているんです。大体、緊急時といって使い始めたら、もう日常茶飯事になっていくという経験をいつでもやってきているものですから。

 そうしますと、今の長官の答弁では、有事を想定した訓練は、双方向の着陸は認めないということでいいんですね。

久間国務大臣 有事を想定した場合の緊急時ということになりますと、例えば、この方向から行ったら敵機がおるというときは後ろに回らなきゃならないわけですから、そういうような回る訓練をわざわざあそこでするかどうかですよね。

 だから、反対方向に行って着陸しなきゃならない訓練をするというのは、緊急時の場合は、有事の場合だったらそれはあり得るわけですよ、そちらの方向に敵機がおる場合は逆の方向から進入して着陸せざるを得ぬ場合があるわけですから。有事の場合はまた別だと思いますけれども、日ごろの訓練のときにそういうことをやるかというと、私はそれはないと思います。

赤嶺委員 有事の際はとにかく双方向の着陸があり得るんだと。四月に名護市長、宜野座村長と合意したときに、何でそのことを説明していなかったんですか。

久間国務大臣 有事の場合は我が国が武力攻撃されている場合ですから、その場合は、日ごろのいろいろなことを超えるようなあらゆるものを利用しながら対処しなきゃならないわけでありまして、そこはまた、有事の場合のことについて平時の今いろいろ議論すること自体が無理だと思います。

 やはり有事の場合はあらゆる可能性を持ちながら、我が自衛隊だってそれはやるわけですから、米軍の施設であっても我が自衛隊が使うことだってあるわけですよ。今だったらないわけです、それは。しかしながら、有事のときは何をするかわかりません。とにかく、我が国を防衛するためには全力を挙げて戦うのみですから。

赤嶺委員 武力攻撃事態もさることながら、予測事態もありますし周辺事態もある。我が国が攻撃されている事態に至るまでの長期間の事態というのが存在し得るわけですよ、今までの政府答弁からして。何かあたかも、今爆撃があるときだけは何でもやるんだという話じゃないわけですよ。いずれにしても、全然説明してなかったわけですね。説明してなかったのに、ここに来てそれは当然だろうというような政府のやり方というのは、とても納得させられるものではないと思うんです。

 それで、長官が十一月三十日の参議院の外交防衛委員会で、現在の普天間飛行場の危険性の除去について聞かれて、今より危険度を下げるよう努力したい、利用の度合いを変える方法について知恵を出していきたい、このように答弁されておられます。利用の度合いを変える方法というのはどんなことですか。

久間国務大臣 だから知恵を出していきたいと言ったわけでありまして、要するに危険性が幾らかでも減るようなことに、仲井真さんは知事選のときにそういうことをおっしゃっておるということで、きょうも新聞報道も出ておりましたけれども、危険性を除去するようなことに努めたいと言っておられるわけですから、私たちもそれにこたえて、何かいい知恵がないかということをこれからいろいろと検討してみたいと思っております。

赤嶺委員 何かそういう危険度を下げることについて今回の審議官級協議で話し合いましたか。

久間国務大臣 それは話していないと思います。今の審議官級協議では、とにかく普天間飛行場を返還する、そのために、その前提として今度の新しい施設をつくる。つくって移してしまえば危険性は除去されるわけですけれども、仲井真さんはそれをできるだけ早くしたいとおっしゃっているわけですから、そのために何かいい知恵がないかなということを私は十一月三十日のときに言ったわけであります。

赤嶺委員 具体的な方針がないままこれから知恵を出していくと言われますが、実は、日米両政府の間では知恵を出してきたんですよね。ある意味では出し尽くしたんですよ。

 沖国大のヘリの墜落のときにやはり普天間飛行場の危険性の除去について検討されて、一つは整備体制を強化する、もう一つは場周経路を見直す。場周経路を見直すために現地で調整会議まで、沖縄現地と防衛庁、外務省、米軍、調整会議まで持たれていた。そういう場周経路の見直しの検討をしてきたと思うんですよ。この検討はどうなりましたか。

北原政府参考人 十六年の八月十三日に、先生御指摘の、沖縄国際大学にヘリコプターが墜落をいたしました。その原因究明等々行われたわけでございまして、そして、今先生御指摘の危険性の除去といった観点から、場周経路等について日米間で今協議をしているところでございます。時間がかかっておりますけれども、今現在協議中でございます。できるだけ速やかにお示しできるように努めてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 施設庁長官、これは余りにもひどい答弁ですよ。しかし、現地調整会議という形でやってきたんですよ、二年間。今まで結論も何も出ていないんですよ。出しようがないんですよね。

 ところが、九月二十八日の報道によりますと、現地調整会議では、現状の場周経路をほぼ維持する内容で事実上合意している、もう変えられないと。これ以上変えようがないんだということで現地では合意して、日米の実務レベルの協議は既に終了しており、あとは日米合同委員会にかけるだけだと。現地でいろいろやってきたけれども、何の妙案も見つからなかった、知恵も見つからなかった、これが現状じゃないですか。そういうことじゃないですか、施設庁長官。

北原政府参考人 新聞報道については承知をいたしております。

 現在、先ほど御答弁申し上げましたが、私ども、事故原因についての報告書が発表になりまして、その中で、今先生御指摘の点等について日米で今協議を鋭意やっているところでございます。したがいまして、我々といたしまして、普天間基地の危険性の除去といった観点から、日米間で現在なお協議をしているところが現状であります。

赤嶺委員 現地の調整会議では結論が得られなかったものが、もう場周経路の見直しのしようがないということで危険性が放置されている。宜野湾市の伊波市長も、米国内の基地の使い方に照らして、米国内では禁止されているゾーンに保育所や学校や公共施設、商業施設がたくさん立ち並んでいる異常な状態、そういうものを、何かあたかもこれから日米間で協議すれば知恵が出てくるかのような態度は、県民をごまかすものだと私は思いますよ。今までかかって結論が出なかったものが何でこれから出るのかということについては、本当にこれは県民をごまかすものだということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。

木村委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。

 最初に、提案されております防衛庁の職員給与に関する改正案については賛成の立場であることを申し上げておきたいと思います。しかし、今般の人事院勧告における官民給与の比較方式が変更されたことについては、公務員のみならず、働く者総体の賃金抑制に連動しかねない問題点であるということを指摘させていただきたいと思います。

 また、防衛庁におきましては、情報漏えい対策を実施したはずですが、今般新たに、自衛隊員の私物パソコンから内部データの漏えいが発覚いたしました。また、今も議論ありましたけれども、先月には、海上自衛隊の練習潜水艦とタンカーの接触事故がありました。これらについて、国民の目に見える形で、原因を明らかにし、徹底した対策を講ずべきであるということを指摘し、質問に移ります。

 最初に、九月に報道されていますが、防衛庁が、退職自衛官のために現行の公務員共済制度に上乗せする形で新たに恩給を支給する仕組みを検討していると一部マスコミが取り上げました。この報道は事実なのでしょうか。そのような検討がなされているかどうか、お答え願いたいと思います。

増田政府参考人 お答えをいたします。

 私ども防衛庁といたしましては、先ほど来御答弁させていただいておりますけれども、防衛力の人的側面についての抜本的改革を行うために、大臣を委員長とする検討会を設けて、検討を行っているわけでございます。

 検討の具体的な対象としては、また、なぜ検討をしているかという点でございますけれども、それは、まさに今少子化、高学歴化が進行しまして、自衛官の募集環境の見通しが厳しくなっておる。それから、いわゆる自衛官のライフサイクルの変化、そういう情勢にかんがみまして、若年定年制のあり方、給与体系、定年退職後の生活も含むライフサイクル、それから退職後の経済的な問題などについて幅広く検討を行っていこうとしているところでございます。

 まだ現在の段階では、問題点の整理を実施している段階でございまして、具体的な方向性についてめどが立っているわけではございませんけれども、検討項目の一つとして、自衛官の退職後の経済的措置のあり方についてを検討対象としていることは事実でございます。

菅野委員 今検討がなされているということなんですけれども、私は、これらの措置というものは現代版の軍人恩給制度、そういうものにほかならないと思うんです。

 それで、今議論されておりますけれども、防衛庁の省昇格、あるいは自衛隊の海外活動の本来任務化と相まって、自衛隊を本当に軍隊と位置づけようとする動きの一環であるというふうに、長官、思えてなりません。年金制度に多くの国民が不満、不安を抱えている中、自衛官だけを対象にした新たな制度を検討し始める、こっそりつくっていこうなどというのは許すことはできないということを私は指摘しておきたいというふうに思っています。

 次に、イラク情勢について質問いたします。

 アメリカの中間選挙で与党・共和党が敗北しました。結果としてラムズフェルド国防長官が更迭されたのは周知のとおりですが、そのラムズフェルド前国防長官が更迭前に、イラク政策の転換を促す機密メモを作成していたとされています。また、米国の超党派でつくるイラク研究グループが、六日、米軍戦闘部隊の二〇〇八年三月をめどにした撤退を含む報告書をブッシュ大統領に提出いたしました。これらは、米国のイラク政策に誤りがあり、その転換を促す動きと見るのが自然でありましょう。

 防衛庁は、これら米国内の最近の動きをどのように認識していますか。また、米国での対イラク政策変更は我が国の対イラク政策にどのような影響を及ぼすのか、お答え願いたいと思います。

久間国務大臣 米国がイラクに対してどういう政策を今後とっていくか、これはまた注意深く見守っていかなければなりませんが、それについて日本として今はコメントする立場にはないわけであります。

 特に防衛庁としては、今、イラクに確かに空自を派遣しております。これは、国連から要請のあったイラク復興支援について、従来やっておった、それに引き続いて、陸自は撤退しましたけれども、空自については、国連の職員あるいは多国籍軍が人道復興支援のために必要とする物資あるいは人員の輸送を行っているわけでございますから、国連がどういう政策を要求してくるか、それによって私たちは対処することでありますので、国連から引き続きそういうような要請があるのかどうか、あるいは、イラクの状況からいって国連は違った任務を日本に要請してくるのか、これもまた注意深く見守っていく。

 私たちは、今、法律があって、その法律に基づいて実行しているわけでございますので、法律が延長されるかされぬかも含めて、そういうようなことを見守っていきたいと思っております。

菅野委員 アメリカは、イラクに自衛隊を送るときに、ブッシュ大統領と一緒になって日本がこういう政策をとってきたのは事実だというふうに思っています。そういう中で、アメリカが再来年三月にも撤退していこうという今の動きに、日本政府としては、この委員会で一つの方向性は示すべきだというふうに私は思うんです。

 今長官は国連がどういう要求をしてくるのかというふうに言われていますけれども、今、イラクの国内はほとんど内戦状態であるというふうに報道されています。日本がイラクに自衛隊を送るときに決断したのは、非戦闘地域であるということを強調してイラクに自衛隊を派遣したのではないでしょうか。

 それでは、今、現状起こっているイラクの状況を防衛庁長官としてどのように認識しておられるんですか。その認識いかんによってはこれからの政策というのは変わってくるんじゃないですか、後でも議論いたしますけれども。

久間国務大臣 イラクについては、私は非常に心を痛めております。しかしながら、自衛隊が今活動しておりますバグダッドの空港については、少なくとも治安状況は一応守られておるわけでありまして、自衛隊が活動する区域は戦闘地域になっているとは思っておりません。

 しかしながら、それと同時に、イラク自体が今、内戦状態と言うかどうか、これもまたいろいろな評価の仕方はあると思いますけれども、政府対反政府の形のそういうような内戦ということよりも、むしろ治安が非常に悪くて、宗派対立等によるそういう抑えを、イラク政府、あるいはまたイラク政府にかわって、あるいは一緒になってやっておる米軍も含めて、その治安を維持することができないような状況になってきているんじゃないかな、そういうようなことは非常に痛ましいことだなと思っております。

菅野委員 アメリカの三大ネットワークの一つであるNBCテレビが、今のイラクの情勢を内戦であると規定して、米国内でも大きな議論を呼んでいることは事実であります。

 今、防衛庁長官は、バグダッド空港はもう戦闘地域ではないという表現をしていますけれども、それじゃ、ことしの八月にイラク特措法の基本計画を変更して、航空自衛隊のイラク駐留が延長されました。本日の閣議決定でさらに駐留延長が求められるものと私は承知しておりますが、この間、航空自衛隊によるバグダッドの輸送はどんな状況だったのか、これは説明していただきたいと思います。

山崎政府参考人 基本計画を変更いたしまして、航空自衛隊がバグダッドとエルビルまで飛行を実施しておりますけれども、その間、航空自衛隊の航空機自体に対して安全上の問題あるいは危険な状況が生じたということは一回もございません。

菅野委員 バグダッド空港に航空自衛隊がどれくらいの輸送業務を行ったのか、回数等を含めて答弁を願いたいというふうに思います。

山崎政府参考人 航空自衛隊は、平成十六年三月以降本年十一月三十日までの間に、合計四百二十一回飛行を実施しております。

 バグダッド等について、個別具体的に何回飛行したかということにつきましては答弁をちょっと差し控えさせていただきたいんですが、おおむね大体週一便程度、バグダッドそれからバグダッド経由エルビルに飛行しております。

菅野委員 実際には、新聞報道で、今内戦状態に陥っているバグダッド、イラクのバグダッド空港に三十五回航空自衛隊が離着陸しているという報道が一部でされています。

 今答弁を差し控えさせていただきたいということなんですけれども、それじゃ、今イラクで輸送活動を行っていますけれども、米軍兵士を含めた多国籍軍あるいは武器弾薬類は含まれていないんでしょうか、ここでもって含まれていませんと自信を持って言えるんでしょうか、お答え願いたいと思います。

山崎政府参考人 輸送している対象としては、当然、米軍を含む多国籍軍の人員等を含んでおります。それから、武器弾薬につきましては輸送しておりません。

菅野委員 再度、バグダッド空港にも航空自衛隊が離着陸しています。あの地域で物すごい人たちが、二百人にも上る人たちが亡くなっている事実が生じているんですね。

 それで、どうしても、私は今現状のイラクというのは内戦状態であって、政府が自衛隊を海外派遣するときに非戦闘地域ということを強調して今日まで来ているわけですが、今日の状態によっても、長官、イラクというものは非戦闘地域であるといまだに考えているんですか。

 それは、空港は確かに非戦闘地域かもしれません。ただし、自衛隊をイラクに派遣するときに、イラクの南部の地域全体が非戦闘地域だからという説明でもって派遣していったわけですから、空港一カ所が戦闘地域ではないという、こんな詭弁は通用しないというふうに私は思うんですけれども、答弁願いたいと思います。

久間国務大臣 サマワ地域は戦闘地域でなかったので、あそこなら大丈夫だということで行きました。今は、バグダッド空港は戦闘地域でないから、大丈夫だから航空自衛隊はそこで活動しております。

 今の空港は、治安状況が悪くなって、あるいはまた戦闘地域になったらそこはやめざるを得ないわけですから、ところが今はそういう状況にないわけで、もし菅野先生が私と一緒に行こうと言われたら、私は同行します。それぐらいの気持ちで、あそこは大丈夫だというようなことは言えると思います。

菅野委員 空港はという議論はしていなかったと思うんですね。イラクの南部地域、サマワの周辺は非戦闘地域だから自衛隊が行っても安全なんだと。それで、バグダッド空港には当初、先ほどの答弁で、三百回以上航空自衛隊が輸送業務に携わったというのですが、これは南部地域でのみの輸送なんです。ことしの八月に変更して、それでバグダッド空港まで輸送業務を行うということを基本計画として示したから、それ以降、三十四回バグダッド空港におり立っているんです。

 前は、自衛隊を派遣するときに、バグダッド周辺は非戦闘地域じゃないから行かなかったんじゃないですか。それが、今のこういう内戦が起こっている中で、新たにバグダッドに行くということ自体を認めるわけにはいかないというふうに私は思うんです。このことをどう認識しているのかという質問をしているんです。

久間国務大臣 バグダッド全体がどういう状況かということについては、若干、バグダッドの中でも非常に激しいところも出てきております。あの当時と比べるとかなり、そういう意味で、安全だと言い切れる地区が狭くなってきているのは事実かもしれませんが。

 少なくとも、航空自衛隊はそういうことで出ていきましたが、そのとき以後、航空自衛隊が活動している地域は戦闘地域でないから、やはり法律要件にも適合しておりますからそのままやっているわけでございまして、だから、ここが先生のおっしゃるように戦闘地域になってしまえば法律要件を欠くわけですから、そうなると考えますけれども、今はそういう状況にないということで、そういう状況でなければ、自衛隊を預かる私としては、法に基づいて粛々とそれを実行するだけであります。

菅野委員 それでは、来年の七月三十一日に、自衛隊のイラク派遣の根拠であるイラク特措法自体が期限切れを迎えます。期限切れに合わせて航空自衛隊を撤退させるのか、それとも特措法の延長を図るおつもりなのか、今のイラクの現状を踏まえてどう考えておられるんですか、答弁願いたいと思います。

久間国務大臣 今それをここで言うような状況にないというのは先ほども答弁したとおりでございまして、これから先、国連がどういう要請を日本にしてくるのか、自衛隊みたいな、ああいう危険なところも顧みず行くような、そういう組織体でもってやらざるを得ないのか、あるいはまた、それ以外の方法で復興支援がやれるのかどうか、そしてまた、イラクの状況がそれまでにどういう形で、悪化するのかいい方向に向かうのか、そしてまた、それに対して国際社会が全体としてどういう動き方をするのか、そういうのを総合的に判断しながらそれは決められることであり、法律についてはこの立法府で議論をされるわけでありますから、そういうような議論を見ながら、私たちは、防衛庁、そのときは省になっているかもしれませんけれども、そのときの組織としては、決まった法律に基づいて仕事をするだけであります。

菅野委員 立法府で議論したときに、イラクの現状は非戦闘地域であるから自衛隊を派遣するんだ、これで押し切ったんじゃないですか。私どもは、イラク全体が戦闘地域なんだ、だから自衛隊の派遣はおかしいですよということを主張して、その対立が、非戦闘地域だ、非戦闘地域だということで押し切ったんじゃないですか。それを、今の現状は内戦状態だというふうな状況になっても、なおかつ非戦闘地域と言い続けるんですか。

 そして、国際社会全体が今どういうふうになっているということを申し上げると、英国が来年に数千人規模で軍隊を撤退させます。イタリアは既に撤退を完了させました。韓国、スウェーデンも来年度中に撤退を模索しています。今、日本だけが撤退の見込みさえ示せず、ただ米国につき合っている、こんな現状じゃないですか。

 大臣、今の現状を踏まえて、将来早急に航空自衛隊をイラクから撤退させるという方針を内外に示すべきだというふうに私は思うんです。このことに対する見解を求めます。

久間国務大臣 あのときもいろいろな議論がございましたけれども、我々は、戦闘地域には出さない、非戦闘地域であればそこで活動できるんだということで、そしてサマワの地区は非戦闘地域であるということで、出しました。またバグダッド空港についても、非戦闘地域であるということで、我々は出しました。

 そして、その後、サマワに行った陸上自衛隊も、事故もなく、これは奇跡だと言われましたけれども、事故もなく帰ってきたわけであります。そしてまた、今、空自もバグダッド空港で引き続き活動をしております。

 だから、戦闘地域でないからこそ出せたのであり、また、戦闘地域でなかったからこそ大きな事故も死傷者もなく帰ってこられたのだと思っておりますから、私たちがあのときに、戦闘地域ではありません、サマワは違いますというふうに言ったのは間違っていなかったと思います。だから、今、バグダッド空港についても同じことが言えるわけであります。

 それと、各国がどういう動きをするかというのは、だから、私たちは今、特措法に基づいて来年の七月三十一日までその期限があるわけでありますから、そういう時点が迫ったときにどう判断していくのか。

 私は、そういう意味で、今ここで、シグナルを早目に出して撤退するとか、あるいはまた法律を改正してさらに引き続いてやりますとか、そういう決断をするような場面に至っていないということを言っているわけであります。

菅野委員 わかりました。

 長官、きょうの新聞報道に、きのうの参議院の委員会での長官の発言が大々的に取り上げられています。「政府の立場として戦争を支持するような法律をつくったわけでもなく、自衛隊がそれに基づいて出て行ったのではない」、こういう発言をしていますよね。これはどういう意図で発言されているのか、この委員会においても答弁していただきたいと思います。

久間国務大臣 共産党の委員の方から、イラクでのアメリカ軍を、戦争に行っているアメリカ軍を支援するために自衛隊が行っているんじゃないかということを言われましたので、そうじゃないと。我々は、戦争が終わった後のイラクの復興のために、国連からの要請があって、決議に基づいて法律をつくって行ったのであって、アメリカの戦争を支持するための法律をつくって、それに基づいて出したんじゃないということを強く言いたかったわけであります。

 ただ、私が若干ちょっと不勉強だったのは、小泉総理が記者会見されたときに閣議決定を行っておった、最初の第一回のときは閣議決定がなかったんですけれども、第二回目のときには支持をするということの閣議決定がされておったというのを私は閣内にいなかったので知らなかったものですから、政府として公式に決めたのかどうかということをそのときに言ったのは、私の不勉強といいますか、それは間違っていたということは言えると思いますけれども。

 ただ、そのやりとりの中で、イラクに行っている自衛隊が戦争を支援するために行ったかのように言われるのは心外でありますということを強調したかったわけであります。そしてまた、イラク特措法も戦争を支援するための法律かのように言われることが心外だったわけであります。そこのところだけは御理解いただきたいと思います。

菅野委員 今の長官の答弁をよしとするわけじゃございません。不勉強だからということで逃げるというのは、これはいかがなものかというふうに思いますし、本当に問題発言だということを指摘しながら、今のイラクの現状は本当に復興支援に値するのかどうかも含めて、私は日本政府としてしっかりとした方針を持って撤退を決意するよう強く申し上げて、私の質問を終わります。

木村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.