衆議院

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第3号 平成19年3月23日(金曜日)

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平成十九年三月二十三日(金曜日)

    午後三時十四分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 北村 誠吾君 理事 寺田  稔君

   理事 中谷  元君 理事 内山  晃君

   理事 笹木 竜三君 理事 遠藤 乙彦君

      石破  茂君    大塚  拓君

      大前 繁雄君    瓦   力君

      高木  毅君    西銘恒三郎君

      松本 洋平君    御法川信英君

      山内 康一君    山崎  拓君

      神風 英男君    津村 啓介君

      長島 昭久君    前田 雄吉君

      赤松 正雄君    赤嶺 政賢君

      日森 文尋君    下地 幹郎君

      西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛大臣         久間 章生君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   総務副大臣        大野 松茂君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   外務大臣政務官      松島みどり君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        小澤 俊朗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新保 雅俊君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   富田 耕吉君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  辻元 清美君     菅野 哲雄君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  菅野 哲雄君     辻元 清美君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  仲村 正治君     西銘恒三郎君

  浜田 靖一君     御法川信英君

  福田 良彦君     松本 洋平君

  辻元 清美君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  西銘恒三郎君     仲村 正治君

  松本 洋平君     福田 良彦君

  御法川信英君     浜田 靖一君

  日森 文尋君     辻元 清美君

同日

 理事仲村正治君同日理事辞任につき、その補欠として北村誠吾君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月二十三日

 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案(内閣提出第二七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案(内閣提出第二七号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事仲村正治君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に北村誠吾君を指名いたします。

     ――――◇―――――

木村委員長 次に、ただいま付託になりました内閣提出、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。久間防衛大臣。

    ―――――――――――――

 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

久間国務大臣 ただいま議題となりました駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 駐留軍等の再編を実現することが、我が国の平和及び安全の維持に資するとともに、我が国全体として防衛施設の近隣住民の負担を軽減する上で極めて重要であることにかんがみ、駐留軍等の再編による住民の生活の安定に及ぼす影響の増加に配慮することが必要と認められる防衛施設の周辺地域における住民の生活の利便性の向上及び産業の振興並びに当該周辺地域を含む地域の一体的な発展に寄与するための特別の措置を講じ、あわせて駐留軍等の使用に供する施設及び区域が集中する沖縄県の住民の負担を軽減するとの観点から特に重要な意義を有する駐留軍のアメリカ合衆国への移転を促進するための国際協力銀行の業務の特例及びこれに対する政府による財政上の措置の特例等を定める必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、住民の生活の安定に及ぼす影響の増加に配慮することが必要な駐留軍等の再編が行われる防衛施設の周辺地域の市町村に対し、住民の生活の利便性の向上及び産業の振興に寄与する事業に係る経費に充てるため、駐留軍等の再編の実施に向けた措置の進捗状況に応じ、再編交付金を交付することができるものとします。

 第二に、駐留軍等の再編による影響が著しい再編関連特定周辺市町村を含む区域について、再編関連振興特別地域として指定され、当該地域の振興を図るため再編関連振興特別地域整備計画が決定された場合には、当該計画に基づく事業について、その要する経費に係る国の負担・補助割合の特例等を設けます。

 第三に、駐留軍等の再編に伴いアメリカ合衆国において実施される事業で駐留軍のアメリカ合衆国への移転を促進するために必要なものに係る資金の貸し付け等を国際協力銀行に行わせるとともに、これに対する政府による財政上の措置を講ずることができるよう、国際協力銀行法の特例を設けます。

 最後に、駐留軍等の再編に当たり、国は、駐留軍等労働者の雇用の継続に資するよう技能教育訓練その他の適切な措置を講じます。

 そのほか、関係法律の規定の整備を行うものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

木村委員長 次に、国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府国際平和協力本部事務局長小澤俊朗君、外務省大臣官房審議官新保雅俊君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、防衛省防衛参事官富田耕吉君、防衛省大臣官房長西川徹矢君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君、防衛省人事教育局長増田好平君及び防衛施設庁長官北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 民主党・無所属クラブの津村啓介でございます。

 まず最初に、本日閣議決定をされました弾道ミサイル等に対する破壊措置に関する緊急対処要領につきまして、御質問を差し上げたいと思います。

 これは、今月の二十九日、航空自衛隊の中部航空方面隊第一高射群入間基地にPAC3が初めて配備されることに伴いまして、その運用についてのルールを定めたものということだと思いますけれども、この緊急対処要領におきまして、防衛大臣の命令がまず期限つきとなっているかと思います。

 この事案の性質上といいますか、大変緊急性を要するものでもありますので、この期限つきとしていることの理由ということを少し詳しくお聞きしたいのですが、大臣、お願いいたします。

久間国務大臣 これは多分、法律上も書いてありますから、法律をつくるときにも議論があったんだと思いますけれども、やはり部隊には確かに常設をしてずっと置いているわけでございますけれども、二十四時間ずっとそれを動かしておきますと、その態様、そういう問題からも問題があるし、やはり、これはもういとまがなくて緊急の場合に出す命令でございますから、そういう意味では、期限を付してやることの方が合理性があるというふうに判断されて、立法過程においてそういうような法律になったんだと思っております。

津村委員 逆に言いますと、これは、常時権限を委任しておくと、シビリアンコントロール上何か懸念があるということですか。それとも、それとは別の理由ですか。

久間国務大臣 私は、必ずしもシビリアンコントロール上の問題じゃないと思います。

 といいますのは、シビリアンコントロールというのは、どういう場合に発射できるか、それを制度的にきちんと定めておくわけでありまして、期限が長いからといって、無期限であるからといって、シビリアンコントロールがきかないというようなことでは、これはいけないわけでありまして、そういう場合であっても、シビリアンコントロールというのは、どういうときにどういうふうにするかという基準をきちんと明確にして、それに基づいて部隊が行動するという、それが大事であります。これは、そういうことよりもむしろ合理的なほかの理由で、先ほど言いましたように、常時ずっと稼働しながら動かしておくというのがいいのかどうか、そういうことから、期限を定めてやる方が合理的だ、そういう判断で立法されたんだと思っております。

津村委員 私は、もしシビリアンコントロールのことを御配慮になっているということであれば、それはそれで慎重に議論するべきとは思うんですけれども、逆に、それとは切り離して、ずっと二十四時間その状態にしておくのがいいのかどうかというお話であれば、これはもう少し技術的といいますか実務的にお話を詰めて伺いたいというふうに思います。

 過去、北朝鮮からミサイルが発射されたとされる事案が、これは私が承知する限りですが、九三年、九八年、〇六年と、その都度何発か撃たれていたりもしますけれども、おおむね三度に分けてそういうケースがあったわけです。過去のケースですので検証が比較的しやすいのかなというふうに思うんですけれども、この過去の事案のケースに、もし、この緊急対処要領、今のMDシステムが日本に備わっていたとして、あのケースというのは、防衛大臣は命令を出すような条件が満たされていたケースですか。

久間国務大臣 この命令を下令するかどうかは、そのときの情勢、部隊における態勢等を総合的に勘案して判断する必要があり、過去の弾道ミサイル、三回ほどあっているわけですけれども、この事案について今私が確たることを申し上げることはできないわけでありますけれども、私は、あの事例について言うならば、今みたいなPAC3があったとしても、少なくとも今度のPAC3で対応できるようなことではなかったんじゃないかと、過去の場合は。

 やはり偵察衛星で、早期管制システムで発見して、それから常時情報が送られてきて、そしてそれを受けた形でそれを迎撃するという形になるわけでありますけれども、あの時点のものは、今ここで確たることを申し上げることはできません、その当時、私はこういう立場にもございませんから。

 しかし、総じて言えば、そのときの総合判断でしょうけれども、そういう判断だったかどうかとなると、私は多分、私が防衛大臣だったとしたら下令しなかったろうと思っております。

津村委員 それは大変不思議でして、その三回ともの詳しい状況は私も必ずしも承知していないんですけれども、例えば昨年のケースですと、七月の独立記念日のときですかね、発射されたわけですが、その約二カ月ほど前からミサイル発射の準備を北朝鮮が始めているやに当時言われていたわけで、そのときに、確かに結果としてはこっちの方に飛んできたわけではありませんけれども、もしあのとき、入間基地から、例えば、練馬なのか市谷なのかわかりませんが、そういう下令をするべき、ああいうときこそしなければ、いつするのかなと。

 逆に言うと、物理的に入間基地からどこかに展開するにしてもある程度時間がかかるわけですから、結果的にはあのときは日本海に飛んだかもしれませんが、それがどこに飛ばされるかわからなかったわけで、どうしてあのときが命令するケースに当たらないのかというのがよくわからないんですけれども。

久間国務大臣 そのときの状況が、私もその場にいませんのでわかりませんが、結果から見てみましたときに、まず、それほどの、我が国に対する武力攻撃事態じゃないわけですから、内閣総理大臣の承認を得て事前にやるという、そういう事例でもございませんし、また、上から落下物が落ちてくるという形で、いきなり落下するおそれがある、そのいとまがないという形で、こういう対処要領でやるという状況でもない、そして、ミサイルの発射実験をやるという情報だけは伝わっておるというような、そういう状況でございまして、そういうことを考えますときに、あれを撃ち落とせという命令を果たして出したかどうかとなりますと、私はそういう状況でなかったんではないかと今推測をするわけでありまして、その場に居合わせませんので、私自身、緊迫感というのが欠けているのかもしれません。

 しかし、結果として振り返りましたときに、例えば、ロシアの海域に向けて発射して、ロシアの方には電波での連絡等があったやに伺ってもおりますし、そうなりますと、我が国としてあれを、成層圏に行って、動き出した途端に撃ち落とせという命令を果たして下すような状況だったかどうかといいますと、私は違うんじゃないかなという、そっちの判断の方が当たっているんじゃないかなという蓋然性が強いような気がしますが、それは私自身が間違っているのかもしれません。そのときは、私は防衛庁長官の立場でございませんから、今ここで、それについてどうだったかということを私は判断する立場にはございません。

津村委員 過去の出来事ですので、その当時、その立場になかったのはもちろん承知しておりますが、当時の記録といいますか、どの時点でどういう情報が当時の長官に上がっていたかということは事後的にはもちろんチェック可能だと思うんですが、そういうシミュレーションといいますか、前回のあのケースはどうだったという事後的な検証は大臣はなさっていないということですか。

久間国務大臣 今、いろいろな情報が、過去ですから、わかっていますけれども、また、どういうルートで、どういうふうにわかったのかということになると、いろいろ問題がございますからそれは言いませんけれども、とにかく今言えますことは、あのときにミサイルを撃ち落とせという、そういう判断をする状況ではなかったんではなかろうかというような感じがしているということを申し上げるわけでありまして、それ以上のことは申し上げるわけでもありません。

津村委員 ネガティブなお答えではありましたけれども、はっきりとお答えいただいたので、次の質問に行きたいと思います。

 今後の配備計画につきまして、四年間で十基地ですか、幾つかの部隊に配備計画が既にある、四年後には配備が完了するという言い方をされています。射程距離といいますか、正確には防護範囲というんですかね、かなり限られていますので、それは日本全国というわけには、なかなか物理的にも予算的にもいかないのはわかるんですけれども、これは四年間で十五ですか十六ですか、部隊の配備が完了した時点でこれはもう十分ということなのか、それとも、これはあくまでも第一段階であって、その後もさらにPAC3の配備を続けていくお考えなのか。現時点での見通しを聞かせてください。

久間国務大臣 現在のところは、二十三年度までに四高射群に全部で十六の配備をするという、そこまでの計画でありまして、それから先の計画は持っておりません。

津村委員 そこの対象なんですけれども、首都圏、それから中部、京阪神、北九州というのがたしかあったと思いますけれども、これは私もちょっと専門知識がなくてわからないんですが、情報収集のためのレーダーを守る必要はないんですか。

久間国務大臣 レーダーを守るためには、またほかのいろいろなシステムでもやっておるわけでありまして、私どもが今SM3並びにPAC3で防備をしようとしているのは、いわゆる弾道ミサイル、ノドンならノドンを念頭に置いて考えているわけでありまして、そういう意味では、それらの攻撃に対しては、どこをねらってきたとしても、今言います十六基とそれからイージス艦に積んでおりますSM3、これで対処できるという、そういうような考え方であります。

津村委員 ただ、十六基、どちらかというと首都圏よりも西の方だと思うんですが、レーダーがたしかこの夏、米軍との関係で新しく配備されるのが三沢基地ですか、あるいは佐渡島にも新しいレーダーが配備されるということですけれども、こういったところがまず最初に攻撃を受けたら、その後もうPAC3が全部使い物にならなくなるんじゃないですか。ミサイルに関しての情報を最初にとらえるところを最初に破壊されてしまったら、後のPAC3が無力化するんじゃないですか、そういう質問です。

久間国務大臣 確かに、我が国のそういう防御用の監視用のシステムといいますか、通信システム等については二十三年度までに整備するということになっておりますから、現在の段階でいいますと、米軍の三沢基地にあります、車力駐屯地にありますXバンドレーダーその他、それは非常に有効でございますが、やはり全部が完備いたしますと、我が国の独自のそういうシステムで我が国としては対処できる、そういうような考え方をとっておるわけであります。

津村委員 わかりました。

 そして、当面の話をさせていただきます。

 入間基地に二十九日から配備をされるということでありますが、先ほど北朝鮮の話をさせていただいたのもその関係なんですけれども、実際のところ、入間基地からの半径十五キロとも二十キロとも言われていますが、半径二十キロということであれば、例えばこの国会議事堂や皇居はそこに入らないわけですよね。

 それはもちろん、防衛大臣の撃ち落とせという命令が発せられてから、一定の時間の間に展開をするということなんだと思いますが、やはりそこは物理的に時間がかかるわけで、一般に言われているように、ミサイルそのものが発射されてからは十分間しか時間がない。ただ、その事前の準備段階で、ある程度もちろん時間がかかっているわけだから、その間に展開するということなんだと思うんです。

 そこは、先ほど、北朝鮮のときには二カ月前からそういう意味では準備の兆候があったのに、それは適当でないということで発令されなかったようなケースだったとさっきおっしゃったわけで、冒頭おっしゃられたように、常時は権限は委任しないし、そしてこの間の北朝鮮のようなケースでも、これは下令しない、命令を発するケースじゃなかったと事後的に検証されている。そして、入間基地から皇居まで、あるいはこの国会議事堂、どこを中心に守るかということもまたお考えがあるんだと思いますが、これは実務的にちゃんと回るのかなということが大変心配なわけです。

 実際にその場になってみないといろいろなことがわからないということもあるとは思うんですが、PAC3一基、今、二十九日から入間基地に配備をしたとして、それを展開する、展開し得る範囲というのは、一体どのあたりまで守れるのか。また、これは入ってくる情報にもよるんでしょうけれども、首都を守る際の展開先としてはどういう場所を想定されているんでしょうか。

久間国務大臣 正直申しまして、十九年度末だったのを十八年度末に前倒しして配備したわけでありまして、それは、一年でも早い方がいい、一刻でも早い方がいいということでやったわけでございますけれども、どの地域で展開して、どういうふうな運用にするかについては現在検討を行っているところでございまして、これから先、具体的な展開先など、運用の詳細について詰めていこうと思っておりますが、今、この場でどういうような検討をしているかについてお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。

 とにかく、入間に配備して緊急対処要領をつくった、運用については今いろいろと検討を行っている状況だ、そういうふうに正直に理解していただければ、その段階だということでございますので、これから次々と各年度ごとに入ってまいりますので、それをどういうふうに運用するか。その辺、地域がダブるのかダブらないのか、そういう点も踏まえながら、これから先、検討を行ってまいります。

津村委員 一部の報道では、例えば市谷とか練馬の駐屯地を想定しているという報道もあります。そのあたりになれば、確かに、どこをもって首都圏というのかわかりませんけれども、都心中心部がおおむねカバーできるということなのかもしれませんけれども、報道等によれば、民有地との交渉なりということは多少時間もかかることなので、当面想定しているのはそういった展開先だということが報道されていますが、将来の全体像をお聞きしているわけではありません。

 二十九日から配備される入間基地のPAC3について、極端な話をすれば、四月、五月、六月の直後にも、いつ何が起きるかわからないわけですから、そうした場合、当初の展開先としてどういったところを想定しているのか。こうした報道も踏まえて、現在の状況を教えていただきたいということです。

久間国務大臣 これがまだ一基入ってきたばかりでございますから、日本としては十分な体制ができていないわけでございまして、将来、四高射群、四隊ずつで十六基、これが入って、かなりの部分がカバーできるわけでありますから、今の段階でどこに展開するか、どういう運用をするかということになりますと、不十分な手のうちでそれをやらなきゃならないわけでございますから、その辺については、今検討していることについても遠慮させていただきたいと思うわけであります。

津村委員 お答えできることとそうじゃないことがあるのは理解するんですけれども、実際に、ただミサイル防衛という、言うなれば画期的な、新しい防衛システムというものが我が国に初めて実際に稼働可能な状況で導入されるわけですから、それが一体どの程度のものなのかということ。機密に触れない範囲で、しかし、明らかに計算可能な範囲ではお聞きしておきたいという意味で伺うんです。

 一基で最も広い範囲を守れたとして、大体、半径が何キロかということなんですが、最大どのぐらいの人を守ることができるんですか。日本の全体の中で、どのぐらい今回のPAC3一つで守ることができるんでしょうか。

久間国務大臣 対外的には数十キロと言っております。

津村委員 これは事前に、きのう通告をさせていただいているので計算していただいていると思っているんですが、半径数十キロであればどのぐらいの人が守れるんでしょうか。

久間国務大臣 それは、守るところにどれだけの人が住んでいるかということと、それからまた、向こうが撃った場合にどういう兵器を積んでいるか、これによって守れる人数というのは違うわけでありますから、だから、そういう点では、どれぐらいの人数を守れるかというのは、なかなか数字として申し上げるのはできないんじゃないでしょうか。

津村委員 私がきのう少し詳しくレクで申し上げたつもりなんですけれども、今後、PAC3をSM3とのバランスの中で何基ほど、平成二十三年以降配備するのが最終ゴールなのか、どういったところを目指していくのかということを議論する上でも、例えば、首都全体をカバーするためにはどのぐらいの基数が必要なのかとか、あるいは実際に緊急で配備をする場合、展開する場合には交通規制等もしなければいけないんでしょうけれども、そういうときのルールはどういうふうにしていくのかとか、そういう実務的なことをしっかりと詰めておかなければ、シンボルとしては意味があるかもしれませんけれども、なかなか実務的に詰めた議論が国会の場でしていけないのかなというふうに思うものですから、あえて計算してみましょうという質問をしているわけです。

 その場合に、私がお聞きしたのは、展開可能な防護範囲内に住んでいる人口がどのぐらいなのかということをお聞きしているのであって、そのミサイルがどういう性質のミサイルだったというところまでの想定はお聞きしていません。つまり、人口でどのぐらいカバーできているのかということをお聞きしているんです。それは恐らく、どこに配備するかというときに必ず、頭で、判断材料になっているはずだと思いますし、そうでなければおかしいと思うので伺っております。

久間国務大臣 その防護するところは、同じ首都圏といっても、東京都と、またその近くの神奈川県とか千葉県とか埼玉県とか、そういったところでも密集の度合いというのは違うわけでありまして、だから、その辺で何人と言われても答えは出てこないんじゃないかという感じがするわけですね。

 そして、先ほど先生は二十三年以降、まででどうかと言われましたけれども、我々の計画としては、最初の二十三年度までに、十六基で、大体SM3とPAC3と二つ合わせれば全部がカバーできるということでやっておるわけでありまして、それを二十二年度までに完備させるから、二十三年以降はそれでほとんどのところがカバーできるという計算でこの数字をはじき出したわけであります。だから、それまでの間は随時やっていきますので、それによってやはり違ってくるわけで、カバーできない部分というのがあるわけですね。

 そのときに、おれのところは後回しかというふうにおしかりを受けることもあるかもしれませんけれども、それはやはりやむを得ない点があるわけで、人口が多いところという限定、そこからやっていくということも申し上げるわけにはまいりません。だから、そういう点で、どれぐらいの人口かと言われましても、ちょっとお答えしかねるということであります。

津村委員 それは、私は、シビリアンコントロールというのは、文官統制ではなくて議会の、国会の議論でどういう民主的コントロールをしていくかということだという議論がありますけれども、やはり、当然想定し得る、しかもそれほど計算の複雑でないことについてきちんとここで話していただくことが非常に大事なことだと思うんですね。

 五年間で十六基を配備するのが目標だということはもう所与のものとしておっしゃるわけですけれども、それが果たして十分かどうかということも含めて議論していかなければなりませんし、五年たった後にさらにまた検証していかなければいけない、常に議論していかなければいけないと思うわけです。

 今、その出発といいますか、最初のスタートに当たって、一基当たりどの程度の面積ないし人口をカバーしていけるのか。それが十六基だったら、実際の日本のどの範囲までがカバーし得るのか。それは、逆に言うと、発射されるタイミングにさかのぼって、何日ぐらい前からこれは命令をでき得るのかとか、いろいろな要素が絡んでくると思うわけですけれども、実際のPAC3という防衛システムの能力というものをきちんと我々は知らなければ、十六基で十分かどうかということも判断ができない。もしかしたらもっと必要なのかもしれないし、もしかしたらそんなに要らないのかもしれないし、やはりそこは国会で議論していかなければいけないわけですから、一基当たりどれだけ守れるか教えていただかないと、いや、それは言えませんということでは、何基配備したらいいのか判断ができないじゃないですか。

久間国務大臣 入間に続いて次をどこに入れるかも実はまだ決まっていないわけです。そういうときに、一基で数十キロということは外向けに言っておりますけれども、今度は入間に入りますけれども、どれだけの人口をそれでカバーできるかというのは、先ほど言いましたように、なかなか言いにくいんですね。

 だから、そこのところはひとつ、十六基そろってしまうと日本全体を一応カバーできますよというふうに外向けに言っているわけですけれども、それまでの間に、では、次は西の方に置くのか、中部に置くのか、近畿に置くのか、いろいろなことをこれからやっていくわけでありますので、先生の言われるように、人口のたくさんあるところからカバーしろというふうなことになるのか、あるいはもっとほかの観点からそこに配備することになるのか、それはいろいろな決め方があるわけでありますから、その辺は、余り人口にとらわれてもらいますと、何か人口の多いところから優先的に置いていくんだというふうなことになりかねない議論になっていきますので、そういう点も踏まえてひとつ御理解賜りたいと思うわけであります。

津村委員 またお聞きしようと思います。

 時間が余りありませんので、少し飛ばして、もう一つ御質問を差し上げます。

 イラク特措法の延長期間二年という話が与党の方で合意されたという話も伝わっておりますけれども、先般、米軍の方とお話もあったということです。イラクの話に大分飛びまして、ごめんなさい。

 イラク特措法の延長期間を二年とすることに、その二年というものの根拠、なぜ二年なのかということが一つと、それからまた、秋に期間が参りますテロ特措法の延長について現時点でどういうふうに大臣がお考えになっているか、お聞かせください。

久間国務大臣 御承知のとおり、テロ特措法につきましては、これはテロとの闘いでありましたから短期間ということもあったんでしょうけれども、期間は二年でありました。それに対して、イラクの復興のために日本の自衛隊が出ていくということについては、復興は時間がかかるだろうということで法律上も四年になりました。

 そして、テロ特措法は、二年のものを延長するときに一年になったわけであります。イラク特措法についても、一年という話も一部ではございましたけれども、私は、さっき言ったような趣旨からいって、イラクの復興という観点からいきますと一年は短いんじゃないかな、そういうことを個人としては今でも思っております。しかしながら、これは政府として、内閣官房で法案をまとめられて、我々も含めてそれに賛同して出すことでございますから、最終的にどういう案に落ちつくかというのは私の一存で決めるわけではございません。

 ただ、私の立場からいきますと、法律をつくりましたとき、そのときは党におりまして、私は関与しておりましたからよく知っておりますが、イラク特措法については四年が必要なんじゃないかということでつくった経緯がございますので、私の思いとしては、テロ特措法が一年だからこれも一年でというのは、ちょっと法律の目的、趣旨が違うから、それは別でいいんじゃないかなという思いを個人としては持っております。

津村委員 済みません、二つを一緒にすればいいという意味で言ったわけではないんです。それぞれ、なぜイラクは二年なのかということと、ことしの秋に、テロ特措法の延長について今の時点でどうお考えになっているかということをお聞きしました。

久間国務大臣 これまた、そのときの状況ですから、テロ特措法についてはまだ期限も来ておりませんので、そのときに内閣官房としてどう判断されるか、これもやはりぎりぎりまで、判断を決めるまでには時間がかかるんじゃないかと思っております。

 イラクの特措法につきましては、先ほど言ったように、法律の趣旨からいって、四年ということでやったこともございまして、せめてその半分ぐらいの延長をしてもらいたいな、そういう思いがいたしております。

津村委員 どうやら時間が来ております。本当は、下村副長官そして大野副大臣に、今回ミサイル防衛が配備されますが、それを国民にどういうふうに周知するのか。本当に短期間、短時間での対応が必要となるケースと思われますので、以前から国会でお一人、お二人の方が、防災行政無線をどういうふうに活用するのかとか、あるいは消防庁等を通じて、国民保護計画、今市町村で、昨年の秋の時点では〇・三%しかまだ計画ができていないということもあったようです。

 先ほど久間大臣が言われたように、当初の予定を一年前倒しして今回ミサイル防衛が配備をされたということで、それは賢明なお取り組みだと思うんですけれども、ほかの省庁なり市町村の対応がついていっていないと、これはもう実際には十分機能しないということではいけませんので、防衛省の取り組みにその他の省庁もあるいは市町村もしっかりとついていかなければいけないというふうに思っております。

 きょうはもう御質問しませんけれども、国民保護計画の今後の整備のあり方とか、あるいは防災行政無線が、まだ七〇%ですけれども、これがきちんと整備されていくのかということをこれからも国会の場でチェックさせていただきたいということだけ申し上げて、本当に申しわけありません、お呼び立てして御質問できませんでしたけれども、終わります。

木村委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 情報公開に定めるところによりまして、だれでも、外務大臣及び防衛大臣に対し、それぞれの省の保有する行政文書の開示が請求できることになっております。その中で、情報公開法に定める不開示情報に該当する情報を除き開示されることとなっております。私は、現在、テロ対策特別措置法とイラク復興特措法に基づき、インド洋派遣海上支援活動及びイラク復興支援活動の中で、航空自衛隊のC130輸送機が継続して輸送活動任務についていることと、海上自衛隊の補給艦が活動していることについて質問したいと思います。

 あえて申し上げることではありませんけれども、情報公開を踏まえた御答弁をいただきたい、こう思っております。よろしくお願いします。

 それでは、アフガン情勢についてお尋ねをしたいと思います。

 アフガン情勢は、NATO軍が主体となりまして形をとっているようでありますけれども、現在、どの国がどれくらいの兵力を派遣されておられるのか、またどのような状況下にいるのか、情報をお持ちであれば詳細にお尋ねをしたいと思います。

山崎政府参考人 二〇〇六年一月現在でございますが、二十七カ国、約十六万一千人でございまして、そのうち米国が十四万五千人でございます。それから英国は七千百人でございます。

 以上でございます。

内山委員 NATO軍の主力部隊というのは、どこの国でございましょうか。どういうふうに展開していっているか教えてください。

山崎政府参考人 御承知のように、ドイツ、フランスはイラクの方に兵を派遣しておりません。したがいまして、主として、大国として、NATOとして派遣をしておりますのは、英国それから米国でございます。そのほか、デンマークが五百四十等でございます。あとは、新興国たるポーランドが約九百人、あるいはその他、リトアニアが百二十人、スロバキアが約百十というところでございます。

奥田政府参考人 アフガニスタンについてのNATO軍の御質問かと思いまして出てまいりましたけれども、アフガニスタンにおきましては、NATO軍、NATOが指揮するいわゆるISAFというところに三十七カ国から約三万五千人が参加をしておるということでございます。

 その重立った参加国でございますけれども、NATO加盟国は二十六カ国すべてということでございまして、それから、NATOの非加盟国というのがございますけれども、そこは、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、フィンランド、オーストリア、スイス、アルバニア、アゼルバイジャン、クロアチア、マケドニア、アイルランドの計十一カ国が参加をしておるというふうに承知しております。

内山委員 現在、アフガニスタンの南部のカンダハル地区その他の都市ではやはりタリバンの勢力が盛り返しておりまして、国民もタリバンに大変協力的である、こういう情報もございます。

 現在、アフガニスタンには米国が増派を発表しておりますけれども、他の国では、先般、オーストラリアを除いて、何カ国が増派を予定しているのかお尋ねしたいと思います。

奥田政府参考人 アフガニスタンにおいて増強、今後増派をしようとしている国でありますけれども、一つはアメリカでございます。アメリカは、先月、大統領の発表といたしまして、三千二百名の兵士の駐留を四カ月延長させることによって同規模の増強を確保するというふうに表明しております。

 それから、英国も、先月、約千四百名の兵士を増派するというふうに言っております。

 それから、ポーランドでありますけれども、ポーランドは、昨年の十月に一千名の増派を決定して、今これを実施していると承知しております。

 あと、ブルガリア、ハンガリー、クロアチア、デンマークが、それぞれ今後増派をする計画があるというふうに言っております。

内山委員 この増派の目的というのは一体何なんでしょうか。それをお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、アフガニスタンの治安の回復、カルザイ政権の統治がきちんとした形でのオーダーというか秩序の回復というのが基本的な目的というように御理解いただいてよろしいと存じます。

内山委員 逆に言うと、アフガニスタンが、タリバンが勢力を盛り返しておりまして、それに拮抗しなければならない兵力を集めているということになるんでしょうか。もう一度確認したいと思います。

麻生国務大臣 今、南部のカンダハルの話をされておられましたが、この地域は、基本的には、パキスタンとの国境沿いの東部それから南東部、南部、ここらのところは、今に至るもパシュトゥン族等々、お詳しいんだと思いますが、パシュトゥンの地域というのは、今言われましたような感じで、もともとタリバンの強いところではありましたけれども、そういった勢力のいまだ強いところだと理解しております。北部、西部というところと大分状況が違うというように理解をしております。

内山委員 なぜそんなことをお尋ねしたかといいますと、テロ特措法に基づいて、自衛隊の補給艦によります洋上給油をしているわけですね。この洋上給油の効果が本当にあるんだろうか、こういう疑念がやはりありますので、お尋ねをしているわけであります。

 洋上給油の実績についてお尋ねをしますけれども、補給している相手の主要任務、こういったものがわかっておるんでしょうか、尋ねたいと思います。

久間国務大臣 それは、テロとの闘いで各国から行っている部隊のうち、海上阻止行動をやっておる、それに対する補給でございますから、それは効果はあっておると思います。

内山委員 では、艦艇の海上阻止行動というのは、具体的にどのように行って、どういう実績を把握されていますでしょうか。

山崎政府参考人 これは、哨戒している艦船が不審船を発見いたした場合に無線照会等を行いまして、現場海域におきましてどういう物資を積んでいるかということを問い合わせいたしまして、不審船であるというふうになりました場合には、例えば、現場において乗り組みをして積み荷を検査するというようなことを行っております。

内山委員 そうしますと、今までそういう不審船とか、そういう臨検などという実績があるんでしょうか。ありましたら、具体的な数でお尋ねをしたいと思います。

山崎政府参考人 これは、イラクにおける活動もそうでございますけれども、テロにおきます海域での活動についても、各国軍、軍事作戦の一種と見ておりまして、我々友好国ないしは同盟国に対しても、実を言うと、なかなか数字を開示していただけない部分がございます。

 我々が承知を、把握をしている範囲内では、ちょっと古うございまして恐縮でございますが、二〇〇五年の無線照会数は、その前年に比べて約六五%減少をしている。これは、具体的には、約四万一千回の前年のケースに比べて、約一万四千回の無線照会の回数になった。その結果、例えば麻薬等でございますが、発表されている限りにおきましては、その年に約二万六千ポンド以上、末端価格五百億円以上の見積もりの麻薬等を没収しているという発表を受けております。

内山委員 イラク攻撃のためのペルシャ湾に展開中の米国の艦船等に給油をしているという、便宜を図っているような事実はございますでしょうか。

山崎政府参考人 そのようなことは一切ございません。

 給油をするたびにも確認をしておりますし、各国との間で協定を結んでおりまして、テロ対策特措法の要請を受けましてきちんとした協定を結んでおりますので、その範囲内で給油をしておりますし、各国ともそれは了承をしております。

内山委員 そうしますと、艦艇の区別というのは、こちらはアフガニスタンですよ、こちらはイラクですよ、こういう洋上活動をするときに、活動している艦艇の区別を把握して給油をなさっているということでしょうか。

山崎政府参考人 これは、補給をいたしますときに大まかに、給油をする統制あるいは調整をしている司令部におきまして調整をいたします。そういうところにおいても、我が方の給油目的それから法的な範囲について説明をして了解をいただいておりますし、また、個別的に各艦船に給油をいたしますときに、その給油を受ける艦船の目標等を確認いたしまして給油をしている次第でございます。

内山委員 「ましゅう」型補給艦が補給物資を、艦艇用燃料とかヘリ燃料、水等があるわけでありますけれども、この「ましゅう」型補給艦に積み込む補給材料というのはどこの国から今購入をされているんでしょうか。

山崎政府参考人 これは、購入先は、ア首連、アラブ首長国連邦の港から購入をしております。

内山委員 それでは、主に洋上補給活動を行っております区域、場所、緯度、経度、こういったところはどの辺で活動を行っているんでしょうか。

山崎政府参考人 正確に経度、緯度を定めて給油をしているわけではございませんで、テロ特措法の目的にかなう相手国艦船であれば給油をするということでございますが、当然、給油をする範囲内についてはインド洋、特に、今申し上げましたように、当方の補給艦が油を補給しております港から出て給油をするわけでございますので、インド洋の西方寄りということが主とした給油の地域でございます。

内山委員 ペルシャ湾では行っていないんでしょうか。もう一度、お願いします。

山崎政府参考人 行っておりません。

内山委員 補給を受けています外国艦艇の食料なんかは、どうやって外国の艦艇は調達しているんだろうか。やはり、燃料給油は受けたとしても、ずっと港に戻らないということはあり得ないと思うんですが、御存じであればちょっと教えていただきたいんですけれども。

山崎政府参考人 お答えする前に、私、ちょっと誤解がありまして、実施要項で給油をする緯度、経度は定まっておりますが、先ほど申し上げたように、給油の主体的な地域においては、インド洋西側でございます。

 それから、各国の艦艇がどこから食料等を補給しているかということについては、私どもは、詳しいことは承知をしておりません。

内山委員 これは、洋上給油、燃料を給油されても、そこの乗組員の食料を補給しなければ継続できないだろう、こう思うわけでありまして、やはり、食料を補給するために港に入るのであれば、港で燃料の補給ができないんだろうか、こんなふうに考えて質問をしているわけでありますけれども、その事実をおつかみになっていなければ、それはそれで結構でございます。

 それでは、津村委員と同じような質問になるかもしれませんが、イラク特措法の二年延長についてということでお尋ねをしたいと思います。

 イラク特措法、自衛隊の派遣の根拠になります、この七月三十一日に期限が切れると思います。二年の延長を固めて近く改正法案を国会に提出、四月末の安倍総理の訪米までに衆議院をどうやら通過させる予定ではなかろうか、こんなふうに言われておりますけれども、二年延長するための本当の理由が何なんだろうかと非常に疑問に思うわけでありまして、現在、国連関係の物資や人員を輸送している関係で、国連からは感謝をされているようであります。多国籍軍の物資や兵員の輸送、そして国連の経費を浮かせるためだけの活動では、本来の目的から外れてしまっているのではなかろうか、日米同盟のためが本来の派遣の目的だと思うんですけれども。

 三月二十一日にペース統合参謀本部議長と会談した久間大臣は、国民に説明して理解を得たいと強調、これに対しペース氏は、航空自衛隊のイラクでの空輸支援活動について、必要不可欠であると述べておられます。両氏はイラク復興支援特別措置法の延長が必要であるとの認識で一致したと報道されておりますけれども、なぜ必要不可欠なのか、大臣の考えをお尋ねしたいと思います。

久間国務大臣 最初、国連からも要請されて、イラクの復興とそれから平和、安全確保支援活動のために法律をつくって出ていったわけでございますが、やはり現在でもそのときの状況とは全く同じでございまして、復興のためには日本としてもできるだけのことをしたい。しかし、民間ではなかなか行きにくいけれども、自衛隊ならそういう空輸もできる、そういう中で自衛隊が空輸活動をやっておるわけでございます。

 これに対しては、国連もですけれども、多国籍といいますか、各国からも大変感謝されている。そういう中で、私たちとしては、やはりこれは引き続き、まだイラクの状況が復興に向けて、あるいはまた治安の回復に向けて今一生懸命各国が努力している、国連も努力しているならば、それに対してやはり支援は続けるべきじゃないかというような、そういう観点から必要だと思っておりますし、私どもがそういうことを国民に説明すれば、国民の皆さん方も、今ここで、はい、日本はやめたという形で帰ってくることとどちらを選択するだろうかと思うと、続けた方がいいんじゃないかと。

 そのときに、四年の法律をそのまま四年延長するかというと、まあ、二年ぐらいで様子を見たらどうか、そういう判断に傾くんじゃないかなと思って、続ける必要があるんじゃないかという考え方と、もし続けるとすれば二年ぐらいの延長が適当じゃないかな、そういう考え方で党内等の調整を進めておるところであります。

内山委員 日米同盟というだけでは、なかなか理解しがたいんじゃなかろうかと思うんですね。イギリスも撤退をする、そしてアメリカもいつ撤退をするかわからないという状況になっているんじゃなかろうかと思うんですね。そういった中において、日本だけが二年、こんなふうなことでいいんだろうか、こう非常に思うんです。自衛隊のC130輸送機の任務、今ヘリコプターも撃墜をされたりして、非常に厳しい状況になっているかもしれませんけれども、きょう、C130の輸送している中身、どんなものを積んでいるかという要求をしていたんですが、資料が中身に関して届いていないんですけれども、どうでしょうか。

山崎政府参考人 これは、恐縮でございますが、累次御質問のたびにお答えをしておるわけですが、多国籍軍の貨物あるいは人員の数については、要員の安全、あるいは各国軍ともやはり軍事作戦ということであろうかと思いますが、一切公表をしていないということ等を踏まえまして、当方も公表を控えさせていただいております。

 ただ、大まかに言えば、各国の人道復興支援活動の物資、あるいは陸上自衛隊の、もう引き揚げましたけれども物資等、あるいは国連の人員、それから人道復興支援活動の物資等でございます。

内山委員 以前に、前田雄吉議員のところに黒く塗りつぶした資料、防衛省の方からいただいた資料を私もちょっと拝見しましたが、これはやはり不開示情報ということになるんでしょうか。

山崎政府参考人 実際問題として、先ほど私が述べましたような理由によりまして不開示にさせていただいております。公表を控えさせていただいておりますが、先ほど申し上げましたように、物資の重量等につきましては、平成十六年三月以降、総計約四百八十回を空輸しておりまして、物資の輸送量は五百十五・七トンでございます。

 それで、陸上自衛隊の派遣部隊が撤収をして以降、国連支援等を始めておりますが、それを含めた七月十七日以降の総計は百三十五回、三十九・八トンの物資を輸送しております。

内山委員 いろいろ砂あらしがあったりして飛べない日もあろうと思うんですけれども、天候による稼働率というのはどのようになっていますでしょうか。わかる範囲で、一カ月どういう日数があるか。

山崎政府参考人 恐縮でございます。稼働率という形で今把握をしている資料は持ち合わせておりませんが、まさに天候等によりまして、週おおむね一回程度をバグダッド、それから、週おおむね一回程度をバグダッド経由エルビルまで、そのほかにつきましては、週二ないし三回程度をアリ・アルサレムというクウェートの基地からタリルというイラクの基地まで空輸をしております。

内山委員 飛行回数に関しては航空自衛隊のホームページに出ているわけでありまして、三年間で四百八十回、こういう数値でございまして、三年で四百八十回、これは三機行っているわけでありますから、一年に直しますと百六十回、それを三機で割りますと一機当たり五十三回、一年で五十三回。一年は五十二週ですから、週に一回の飛行回数ということでありますけれども、何か、鳴り物入りで行った割には非常に飛行回数が少ないんじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。

山崎政府参考人 先ほど申し上げましたように、陸上自衛隊の撤収以前につきましては、当然、陸上自衛隊に対する空輸支援というのが主でございまして、勢いやはり、陸上自衛隊の撤収あるいは新規部隊の搬入等につきまして物資を運ぶということで、ならしてみますと、ちょっと回数的には少のうございます。

 ただ、それ以降、国連等の支援を始めた以降につきましては、先ほど言いましたように、おおむね月に十七から二十回程度の空輸を実施しておりまして、必ずしも少ないということではないと思います。

内山委員 現在、クウェートからバグダッド、エルビルの空港に多国籍軍の物資や部隊を輸送していますけれども、両空港には、ロンドンとかウィーンとかから民間商業便、航空貨物便が飛んでいる現状がありますね。自己完結型の自衛隊だから活動できるという状況では今なくなっているんじゃないかなと思うんです。必要性が少なくなっているんじゃないかなと思うんです。大臣、その辺はいかがでしょうか。

久間国務大臣 クウェートは、これは比較的安定でございますから、民間機も飛んでおります。クルドの地区のエルビルも、これまた比較的イラクの中では安定しているというふうに聞いております。

 しかし、やはりバグダッド空港というのは、バグダッド空港は一応事故、事件というのは起きていませんけれども、バグダッド市内は非常に状況は悪い。空港については一応確保されている。そういう中でございますけれども、やはりなかなか難しい、そういうような状況の中で自衛隊が空輸していることについて、国連とか各国が非常に感謝しているということじゃないかと思います。

 だから、バグダッド空港も民間機でどんどん行けるようになりましたら、もう自衛隊じゃなくても民間機でも行けるということになろうかと思いますが、我が国としては、そういう状況でもない。また民間機をやったときには、では我が国としては資金的に援助するのか、自衛隊を引き揚げるために資金的に出すのかとか、そういうことはあるかもしれませんけれども、今の状況では、真ん中のバグダッド空港は、やはり必ずしも民間機がどんどん離発着しているという状況でないので、やはり自衛隊は非常に感謝されているんじゃないかなと思っております。

内山委員 費用対効果でいえば、航空自衛隊が一年間、隊員、飛行機を持っていって膨大な費用がかかると思うんですけれども、こういう費用も含めて、日本の対イラク支援の内容も見直した方がいいんじゃないか。航空自衛隊の派遣にかかる経費を経済復興に回した方が費用対効果が高いのではないだろうか。対イラク支援は、日米同盟に関して象徴的派遣が目的であれば、見直した方がいいんじゃないか。

 今、くしくもバグダッドの空港の安全性についてお話をされておりましたけれども、やはり民間の飛行機がこういう形で航空貨物便まで行くようであれば、その行く費用を、自衛隊が行っている費用、資金的に応援した方がよりイラクのためになるんじゃなかろうかと思うんですけれども、いかがですか。もう一度、大臣。

久間国務大臣 もうどんどん民間機が離発着するようになりましたときには、そういうようなことになろうかと思いますし、そのときは、国連からも、むしろもっと金銭的に応援してもらった方がいいというようなこともあるかもしれませんが、今は、日本の自衛隊として応援してもらいたいという要請が来ているわけでありまして、各国からもそういう要請がございますし、また、イラクの副大統領ときのう私もお会いしましたけれども、やはり航空自衛隊が今非常に活躍してくれている、感謝するということを言っておるということは、逆に言えば、そういう費用対効果だけでなくて、非常に危険な状況であるから民間機がなかなか行かない、そういうことじゃないかなと思っております。

内山委員 でも、民間機は商業機が飛んでいるという現状の情報を得ていますので、やはりもう転換する時期に来ているんじゃなかろうか、こう思うわけであります。

 外務大臣にちょっとお尋ねをします。

 イラク特措法延長、安倍総理の訪米土産にしようと考えているんじゃなかろうか、こういう報道もありますけれども、イラク復興のためには、大変国費が膨大に使われているわけでありまして、その辺を大臣、お土産でいいのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 余りついていけない発想ですけれども、お土産という感覚はありません。

内山委員 外務大臣のそういうお考え、わかりました。

 それでは、テーマをかえまして、自衛隊員の特別手当、危険手当につきましてお尋ねをしたいと思います。

 現在、アフガン、イラク関係の各特措法に基づいて海外に行っております。また、国連平和維持活動、PKOとして、ゴラン高原の平和協力業務、陸上自衛隊が四十五名派遣されております。今回新たに、停戦監視要員として六名の方がネパールに出られますけれども、それぞれのそういう方の特別手当の支給基準というのはどうなっていますでしょうか、お尋ねをします。

増田政府参考人 派遣されます隊員に対する手当につきましては、それぞれの活動の状況等に応じて手当が決められているところでございます。

 例えば、イラクに派遣された部隊に勤務する者については最高額で二万四千円というものが支給されております。それから、過去でございますけれども、カンボジアで最初にPKOに参加したときは二万円というような形で、あと、もちろんそれぞれの程度に応じていろいろな段階がございますけれども、最高額と申せばそういう段階でございます。

 なお、ネパールに派遣される隊員への手当についてはまだ決められておりません。現在、検討中のところでございます。

木村委員長 内山晃君、時間になりましたので、簡潔に願います。

内山委員 もう一点、最後にお尋ねをしたいと思います。

 イラクからの帰国、帰還しました自衛隊員のケアについてどうされているか、お尋ねをしたいと思います。

 防衛省が、国際平和協力業務が本来任務となりまして、海外でこれから活動することがふえることに対しまして、海外から帰国しました隊員のケア、どういう仕組みをとられておりますでしょうか、お尋ねをしたいと思います。

木村委員長 増田人事教育局長、簡潔に願います。

増田政府参考人 まず、帰国いたしますときに、クールダウンと申しまして、例えばイラクの場合ですと、陸上自衛隊の場合、サマワを出てクウェートに着いたところでクールダウンという形で、ホテルに滞在させてクールダウンをする、それから、健康診断もそこでいたします。それから、帰ってから三カ月程度をめどにまたメンタルヘルスといいますか、健康診断をいたしまして、チェックをしていくというようなことをとっているところでございます。

内山委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 本日、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案が本会議で趣旨説明されまして、当委員会に付託になったわけでございます。昨年五月の2プラス2の合意を受けまして、いよいよ米軍再編も動き出すわけでございますが、地元負担の軽減、そしてまた抑止力の維持の観点から、当委員会でも審議を深めなければならないわけですが、それに入ります前に、若干の点、御質問をさせていただきたいと思います。

 本年の一月九日より防衛庁が防衛省に移行をいたしました。そのことによりまして、新たな体制のもとで、自衛隊の隊員の皆さんが自信と誇りを持って我が国の国防の任務に当たる、そしてまたさまざまな国際協力活動あるいは貢献活動に当たることとなったわけでございます。

 そうした中において、いわゆるシビリアンコントロールの問題、すなわち、文民統制の点についてお伺いをするものであります。すなわち、防衛庁が防衛省となったことによりまして、新たな枠組みの中でこの文民統制というふうなことも考えていかなければならないわけですが、今回の省移行によりまして、シビリアンコントロールの点については一体どういうふうに変化をしていくのか。

 実は、この点につきましては、前の国会、そして当委員会におきましても審議がなされ、それぞれ御答弁をいただいたわけでございますが、この点について、確認的にはなろうかと思いますが、再度、大臣から、この文民統制の点につきまして、お答えをいただきたいと思います。

久間国務大臣 これは、これまでもシビリアンコントロールというのはあったわけでございますし、しっかりしておったわけでございますから、基本的には変わっておりません。

 強いて言えば、専任の防衛大臣ができたわけでございますので、そういった意味では、国の防衛に関する事務に専任する主任の大臣である防衛大臣を置いたということが、シビリアンコントロールでは、非常に重みを増した、そういうような問題はあろうかと思います。それとまた、形式的に言いますと、国際平和協力活動とか周辺事態への対処を安全保障会議のいわゆる諮問事項としたということも、これまたシビリアンコントロールの一環だと思います。

 しかしながら、それは基本的にはそれほど変わっていないわけです。むしろ、私たちが注意しなければならないのは、防衛庁が省になったということで、非常に意識が高揚することはいいわけですけれども、それがシビリアンコントロールをないがしろにするような方向に行かないように、心の持ち方をしっかりしておかなければならない、そういうことが大事だというふうに認識しておりますので、防衛庁が省になったのを機会に、我々としては、一層シビリアンコントロールについては意識を払っていくというようなことでやっていきたいと思っているところであります。

寺田(稔)委員 今、大臣がお答えになられたように、ぜひシビリアンコントロールの強化ということについて努めていただきたいわけですが、今の大臣の御答弁でも、基本的には変化がないけれども、ある意味で重みが増したというか、すなわち、内閣における位置づけが、庁から省になることによりまして、これまでの内閣府の一機関から、一つの独立省として格上げをされたわけですから、その主任の大臣たる防衛大臣が担っている防衛の任務、したがって、閣内における位置づけの上昇によって、よりこのシビリアンコントロールが強まった。

 すなわち、シビリアンコントロールというのは多面的な側面があるわけでございますけれども、一つは国会による統制、そしてまた内閣におけるその位置づけ、議院内閣制のもとですから、当然、それは、私は高まったというふうなことで解釈をしてよろしいかと思うのですが、再度、確認的にお伺いするわけですが、シビリアンコントロールがその意味で高まったというふうなことでよろしいか、お答えをいただきたいと思います。

久間国務大臣 そういうような見方もできると思います。ただ、余り高まったと言いますと、今まではシビリアンコントロールがきいていなかったということの裏返しになりますので、私たちとしては余りそれを強調しにくい点もございます。

 しかしながら、先ほどから何回も言っていますように、防衛庁から省になった、そういうような面で、しっかりしなければならない、そういうような重みが増してきた、そういうような気持ちで、これから先も気を引き締めていきたいと思っております。

寺田(稔)委員 次に、今回の省移行に伴いまして、いわゆる国際平和協力活動の本来任務化ということも行われました。

 自衛隊のこれまでの国際貢献活動は国際的にも非常に高く評価をされております。そして、そういった評価が高まれば高まるほど新たなニーズも発生をしてくるわけでございます。ネパールに対しましても、国連からの要請によりまして、これはPKO活動という位置づけでございますが、ニーズが高まった一例かというふうに存ずるわけであります。

 このように、国際活動が本来任務化をされる、そのことにより、国際的な評価の高まりとともに、一層派遣ニーズも高まってくる。そうすると、いろいろな局面で派遣要請が来るわけでございます。国連あるいは有志連合あるいはまた多国籍軍、あるいは各国政府から正式要請が来る場面もこれからますます高まってこようかと思いますが、そうしたときに、一体どういうふうな局面では派遣をし、あるいは、一体どういうふうな場面では逆に派遣を控えるのかというふうな基準づくりも、当然のことながら、これから必要となってくるわけですが、そういうふうな正式要請が政府間で来たときの派遣の基準については一体どのようにお考えなのか、御教示をいただきたいと思います。

久間国務大臣 本来任務になったから、これから先、出ていくといいますか、そういうニーズがふえてくるということではなくて、国際的ないろいろなニーズが高まってきたからやはり本来任務として位置づけた、そういうふうに私は認識しているわけでありまして、本来任務にしたからどんどん出ていけということじゃなくて、世界的にそういうような要請が高まってきて、自衛隊の位置づけとして、それが本来任務としてやることの方が適切であるというふうに考えて、そこで法律が改正されたというふうに私は理解しております。

 それと、判断基準でありますけれども、判断基準はそんなに変わるわけじゃございませんで、むしろ、そういうふうに国連その他から要請があったときにすぐ対応できるように、そういう部隊といいますか、そういう準備は、態勢はとっておく必要がありますけれども、やはり、内容を見ながら、そのときそのときで、その与えられた状況の中で適切に判断していくことが従来と同様に必要じゃないかなと思っております。

 しかしながら、これから先、そういうニーズが高まってまいりますと、比較的こういう場合はすぐ行くというような形の一つの基準がその中でだんだん形づくられていけば、それも一つの基準になってくるんだろうと思いますけれども、今はまだ、急にそういうような状況がすぐ出てきたというわけではございませんので、むしろ、要請があったときにすぐ対応すると同時に、それに対してどうするかをそのときそのときに適切にやはり判断していきたい、そう思っているところであります。

寺田(稔)委員 今大臣から、そのときそのときの適切な対応、すなわち総合的な判断ということになろうかと思いますが、例えば、PKOの派遣についてかんがみますれば、PKO五原則という原則が、これはPKO法でも確立をしているわけでありまして、この五原則を満たすことが派遣の必要条件にはなってくるわけであります。

 しかし、では五原則を満たせば常に派遣をするかというと、必ずしもそうはならないわけでありまして、五原則を満たしたときに、それでもなおかつ派遣をしないという選択肢があり得るのか、お伺いをしたいと思います。

久間国務大臣 それはあり得るわけでありまして、派遣をすると決める前にはまず五原則に合致しているかどうかを判断いたしますけれども、やはりそのときの部隊の運用、今出ていっている陣容その他いろいろな情勢を判断しながら、今回は遠慮させてもらいますというふうなことを防衛省としては言う場合もあるわけでありまして、これはPKO事務局を中心とする内閣府の方で決められることでありますけれども、我々としては、五原則はどうなっているか、そしてまた、現在の部隊の運用上それだけの余裕があるかどうかとか、そういうことを判断しながら、それは適切に判断してまいりたいと思っております。

寺田(稔)委員 そうした派遣ニーズの高まりとともに、海外で活動するあるいは駐在をする自衛官の数も現実に増してきております。ちょうど先々週も、私の地元で、ゴラン高原に派遣をされます地元の部隊の隊員の皆さんを木村副大臣とともに見送り、そして激励を行ったわけでございます。

 ゴラン高原は、現在、イスラエルとシリアの兵力の引き離し、非常に重要な任務を負っております。そうした中で、我が自衛隊は後方支援活動としてカナダの部隊のもとで輸送業務を担っているわけでございまして、そういうふうな重要な業務をこれからますます担ってくる。また、例えば東ティモールにおけます施設隊の活動、そしてまた、さまざまないわゆる文民活動に対する自衛官としての支援も行っていく、ネパールの場合はそういったようなケースに当たろうかと思いますが、いろいろな態様でもって活動が広がってくるわけであります。

 実際、停戦後も、武装解除の段階、そしてまた兵力引き離しの段階、さらには民生支援の段階、そしてまた施設建設を初めといたします復興段階と、さまざまなステージにおいてそうした派遣ニーズは常に発生をしてくるわけでございます。

 例えばアフガンの地においても、現在、ISAFを中心とした部隊が活動をしている、そうした中で治安の維持と武装解除が行われている。我が国自衛隊は、洋上補給という形でこの支援をしていく。今回、新たにPRTが組成をされて、このPRTに対しては我が自衛隊は参加をしないわけでございますが、そういういろいろな局面において、一体どういうふうな基準で、またどういうふうなステージで自衛隊が関与していくかというふうなことについては、今後も十分議論をしていかなければならないというふうに考えております。

 そういう中で、隊員が私の地元からもゴラン高原に派遣になったわけですが、そうした隊員の家族に対するケアというのもまたこれは重要な施策の一環となってくるわけですが、そうした隊員の家族に対するケアは今後どのような方針で充実をさせていかれるのか、お伺いをしたいと思います。

増田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 まさに今先生から御指摘のとおり、派遣された隊員が安心して職務に専念できるためには、日本におります家族に余り心配がいかないようにするということが非常に重要だと思っております。

 そういった意味で、施策としては大きく言えば三つに分かれるのかなと思っております。まず、基本的にそういう留守家族を支援する体制の整備、そして、そういう体制の整備をした上で、日本にいる留守家族に対するいろいろなケア、それから最後には、留守家族と現地におります隊員との通信の手段を講じてあげるというふうなことであろうと思います。

 若干具体的に申し上げさせていただきますと、まず支援体制の整備でいえば、それぞれの幕僚監部、また方面総監部、また海上自衛隊でいえば地方総監部等々で、それぞれ家族支援センターとか家族支援本部とかいうようなものを設けて支援の任に当たっているところでございます。

 その上で、留守家族に対するケアとしては、基本的に、例えば、留守家族に電話をして状況の確認をするということであるとか、それから現地の部隊でビデオレターのようなものをつくってもらって、それをまた御家族に配付する、それから、現地の部隊が冊子のようなものをつくって、例えばイラク便りとかいうふうな形でそういう雑誌をつくって、それを御家族の方にお渡しするというようなこととか、それから、あえて言えば、共済組合制度の活用というような意味で貯金なり貸付金の事務を代行してあげる、また、基地内の売店等の利用もどうぞというふうな形でやっておるというふうなことがございます。

 それから、本人、隊員と家族の通信につきましては、例えば、衛星携帯電話を設置して、一回十分程度、一週間に一回程度会話ができるというようなことをそれぞれの行っている部隊との間でやっております。最近は、少し向上させまして、そこにいわゆる画像が入るテレビ携帯電話とかテレビ電話というふうなものも設置をいたしまして、そういう通信が充実できるようにしていきたいと思っているところでございまして、またこれからもそういう点で充実に努めてまいりたいと思っております。

寺田(稔)委員 ぜひともそういう家族のケア、これから非常にそういう機会もふえてまいります。今局長が言われた衛星携帯電話についても、私も留守家族の方々と意見交換を行った際に、非常に好評でございました。衛星の空き時間をうまく活用して地球の裏側と通信を行うというふうなことでありますけれども、ぜひそういう隊員のケア及び家族に対するケアについても十全な体制をとっていただきたいというふうに思います。

 次に、いわゆる今回の施設庁の不祥事によりまして防衛施設庁の解体が決まったわけでございますが、改めまして、今回のこの不祥事に対する大臣の御見解及び再発防止策の実施についての大臣の決意のほどをお伺いいたしたいと思います。

久間国務大臣 防衛施設庁にかかわる談合事案というのは本当に残念なことでございまして、昨年六月に、防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策に関する検討会、こういうものを防衛省においてつくりまして、これで取りまとめられました再発防止のための各種の措置を今着実に実施してこういう再発防止に万全を期して、国民の皆さん方の信頼を得たいということで努力しているところでございます。

寺田(稔)委員 今回の防衛施設庁の廃止と防衛本省への統合により、新たに地方企画局という組織が、これはまだ仮称でございますが、できることとなっております。また、経理装備局の組織も改編をされるわけですが、地方自治体と連携をして防衛行政を推進していくというこの地方企画局の役割は極めて重いものとなってまいります。特に、これから審議が行われますところのいわゆる米軍再編法案にいたしましても、地方自治体との緊密なる連絡、協調なくしてその法律の実施はあり得ないわけでございますが、そうした地方企画局の役割、極めて重要であると考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま先生御指摘のように、米軍の再編あるいは多様な事態、こういうものに対して実効的な対応をしていくということは喫緊の課題になっておりますが、このようなさまざまな政策課題に適切に対応していく、このためにも、地方公共団体を初めとする地方との緊密な関係というものを構築するということは大変重要である、先生御指摘のとおりだ、こういうふうに我々考えております。

 今回の防衛施設庁の廃止、統合、この過程にありまして、我々もこの点、先ほど御指摘ございました地方企画局という、仮称でございますが、内部部局に新たな局を一つ設けまして、ここに、従来の施設行政のみならず、防衛省の地方との関係にかかわる政策の企画立案、これを一元的に行わせるということを目指して局を設ける、こういうことを考えていまして、これによりまして、防衛省が地方公共団体と一層連携して防衛行政を推進、そして地元調整あるいは対米調整をより効果的に実施できるような体制を整備できる、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

寺田(稔)委員 その地方企画局とともに、経理装備局に新設をされます施設整備課、これと施設技術官、これもまだ仮称でございますが、このセクションにおいて予算の適正な執行を確保する体制を確立していく必要があるわけです。そのことがまさに不祥事の再発防止にもつながっていくわけですが、大臣官房におけます担当審議官並びに参事官とともに、こうした予算の適正執行を担保し、チェックをしていくための十分な体制、これを築いていかなければならないわけですが、今回の組織改編によって、すなわち、特に経理装備局におけます施設整備課を中心としたセクションによって十分なチェック体制が確立できるものというふうにお考えか、御所見をお伺いいたしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、寺田先生御指摘の、内局の経理装備局に新設します施設整備課あるいは施設技術官、いずれも仮称でございますが、これにつきましては、建設工事の実施に関する事務のうち、内局という形で主に企画立案的な事務を担当させる。この一方で、実務的な事務につきましては、装備本部を今回新たに改編します。改編をいたしまして、装備施設本部という形でここに実施させる。こうして、セパレートに分けてそこを担保する。

 その上で、今回は、さらにその実効性を担保するという形で、先生御指摘のように、内局に、また監査担当の防衛参事官及び大臣官房の審議官を設けまして、そしてまた、特別な機関という形で、防衛監察本部、五十名ほどの体制で、非常に高位な人間を置きまして、一つの横断的な、そして重畳的なチェック体制を持っていって、その再発の防止等を図っていきたい、そしてその事務の一層の公正、透明性を図りたい、このように考えておるところでございます。

寺田(稔)委員 ぜひともそのチェック体制の構築に向けて遺漏なきを期していただきたいというふうに思います。

 今回の組織改編に伴い、地方における組織も大幅に変わることになるわけです。既に、いわゆる地連が地協に変革をされたわけですが、防衛施設局の方も、装備本部の地方支部と統合される形で新設をされます地方防衛局という組織が新編をされる。この地方防衛局の組織が地方行政全般の、地方におけます防衛行政の拠点として、まさに地方との接点を担う地方防衛局というふうな組織に成りかわるわけでございますが、まさにこの地方防衛局が地方とのコンタクト、まさに先ほど言いましたようなさまざまな、米軍再編を中心といたします政策の地方における拠点化として活動するふうな組織になる、そういうふうにする必要があるというふうに考えますが、御所見をお伺いいたします。

西川政府参考人 寺田先生の御質問にお答えいたします。

 これは先ほどの問いでも、地方との関係についてお問いがございましたが、これにつきまして、お答えしましたように、やはりさまざまな政策課題というのが、現在、地方抜きにしては進められないというふうなことを考えておりますので、我々といたしましては、地方にこういう地方防衛局をつくるということは大変重要なことである、こういうふうに考えておりまして、こういう考えのもとに、今回の施設庁の廃止、統合に際しまして、施設庁の地方支分部局、これを地方防衛局という形にしまして、これも、施設行政に係る機能だけではなく、少し広げて、防衛政策あるいは地方との調整、協議など、地方における防衛行政全般についての拠点としての機能を果たそうという格好で再編をしているところでございます。

 これを今後とも充実して対応していきたい、このように考えておるところでございます。

寺田(稔)委員 ぜひこの組織を有意なものにしていただきたいと思います。

 ともすれば、地連が割かし地方においてはプレゼンスが高い、地連の陰に隠れて施設局は非常に影が薄い存在、特に地方住民にとって見えづらい組織だったわけですが、やはりここは、そうした非常に重要な業務を担うわけでございますので、今回新編されます地方防衛局をぜひとも地方における核として、十分に組織改編が行われんことを望みまして、私の質疑を終えたいと思います。

木村委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 金曜日の夕刻、遅くまでの質疑、大変にお互いに御苦労さまでございます。

 外務大臣にいっぱい質問したかったんですが、大事な御用事があるということで、五十分に出なきゃいけないという話でございまして、といって、今質問しないでお帰りいただくのもちょっと悪いので、ちょっとだけ質問させていただきます。

 それは、かねて当委員会でいろいろ議論になったかもしれませんし、外務委員会でも議論になったんでしょうが、麻生大臣が再び外務大臣になられて、冒頭の外相施政演説で、いわゆるアメリカが言っていた不安定の弧というのに対応する形で自由と繁栄の弧という言葉を使われて、四本目の日本外交の柱だと。日米同盟、そして国連、国際協調、そしてアジア重視、それに加えて四番目の自由と繁栄の弧。ちょっと何か、おさまりが悪いといいますか、新たに、三つに一つ加えるというよりも、何か三つ全体を覆うということなのかなと。

 あるいは、アメリカが不安定の弧と言っているんだから、それはいわゆる軍事的側面が結構強い。中東から日本に至るまでの地域を、どちらかといえばそういう軍事的に不安定な側面の地域を、アメリカが、私風に言わせますと、新しい、ニュー・パクス・アメリカーナだと思うんですけれども、そういうやり方としての、言ってみれば不安定の弧に対して、麻生外務大臣は強い自己主張をしたいという思いで、自由と繁栄の弧、その裏返しとしての、非軍事的側面、経済とか文化とかあらゆる、日本の持っているすべてのパワーを注ぎ込んで、この地域に日本は貢献するぞ、そういうふうな思いを込めてやっておられるのかなと、いろいろ思いは錯綜するんですが、決定版の自由と繁栄の弧に対する麻生外務大臣の思いを、時間がほとんどありませんけれども、簡潔に聞かせていただければありがたい、こう思います。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

麻生国務大臣 軍事的には、確かに治安とか秩序からいいますと、不安定の弧という表現は決して間違っていないと思います。ただ、考えようなのであって、それらの地域は、今、間違いなく、この十年、十五年ぐらいの間に、歴史の古い国もいっぱいあるんですが、明らかにこれまでのくさびから離れて、独立もしくは新しく自分の道を歩み出したという国々だと思っております。

 ただ、スタートしたばかりのところもありまして、かなり歩き方としては頼りないところがありますので、我々としては、そこらのところをぜひ、我々のやった経験を生かして一緒にやってみる気はありませんかというのが、我々が振り込んでおる、振り込んでおるなんというとマージャンぽいな、提示しておる話であります。

 例を一つ具体的に申し上げた方がよろしいと思います。

 今、多分中近東で最大の問題はパレスチナそれとイスラエル、これが多分中近東の不安というのを、ずっともとをたどっていきますと、イラクとかイランとかいろいろ言いますけれども、もとのもとは多分これはイスラエルとパレスチナということになろうと存じます。そのパレスチナに対して、我々としてはここで、パレスチナの問題、失業率四三%、先がない、国としてはいわゆる国か国じゃないかわからぬというところでありますが、仮に独立したとしても全然食う方法がありませんので、少なくともまずは、イスラエルが成功した大きな理由は、最初に農業が非常に成功したというのが五十年前ぐらいの話なんですが、ぜひ、イスラエルでできてパレスチナでできないはずがないだろうがと。だから、パレスチナもこれをやってみる気はないかと。

 でき上がるものはトマトとかいろいろなものができるんですが、日本は今トマトはかなりなものをイタリアから輸入したり、あちこちから輸入しておるのが実態なんです。そういう意味では、同じような気候で立派なものができるし、付加価値をくっつけようと思えばできるので、これをやる気はないかと。これをやるということは、余りコンピューターを使うと、いわゆる技術を使うとかいうようなものとは農業は違いますから、ただ働くのよと、働いてもらってやってもらう。

 できたものが、これは、できただけではだめで、売ってちゃんと金を回収せにゃいかぬというところのためには、出ていくためには道路が要りますので、出ていくためにはジョルダン渓谷を抜けていかないと出られませんので、そこのところはジョルダンに道をあけてくれと。そこで物を売らせてもらうならそれでもいい。しかし、もっと高いんだったら、そこから飛行機で出す。いろいろなことが考えられるので、そこらの販路はこっちもまた考える。買うのも、ヨーロッパで売れると思いますが、どうしてもと言うんだったら日本が買ってもいい、イスラエルから買っていますから、あの辺から、イスラエルに限りませんけれども。そういったことを考えて振り込んだら、向こうがぼっと乗ってきて、それから話が始まりました。

 ただ、イスラエルという国がそれを保障してくれないとどうにもなりませんので、イスラエルに対しては、これを我々がやるが、ジェリコならジェリコの近くでやるが、それに当たってはそちらもこれに妙なことはしないこと、これが条件、安全保障をしてくれと。それからジョルダンは、これを出すように、道をあけてくれるようにさせてくれと。

 その他のかんがい用水路等々というのは、日本の技術支援なりなんなりやるからというので、これができるというところが、我々としていわゆる繁栄の弧の一つのプロジェクトとしてこれが成功したら、イスラエルとパレスチナの間に信頼関係が生まれますし、パレスチナの人にとっては将来に対する希望が出ますので、やはり絶望と貧困がテロの温床だと私はかなりそう思っておりますので、それをなくならせるためにはどうしても希望が要りますので、その希望と新たな生活の糧と、この二つを組み合わせる手口がないかなと思って、去年いろいろ考えて、ちょっとあることから思いついて、こういった話をやらせていただいておるという、その一つの例です。

 これが、我々日本ができる非常に強みのところだと思っております。現場のその人たちの目線に合わせて仕事ができるというのが、日本がこれまでODAとかいろいろな形で、海外青年協力隊を含め成功してきた背景というのは、現場で現地の人と一緒に働けるというのが、我々日本人の持っている最大の強さかなという感じがしておりますので、そういったものが、たまたまちょっと繁栄の弧と重なった中にそこがありましたので、これと思って、今一つのプロジェクトとして、ほかにも幾つかありますけれども、このプロジェクトとして立ち上げさせていただこうと思っております。

 こういった発言させていただく機会を与えていただきましてありがとうございました。

赤松(正)委員 ありがとうございました。何となくわかりました。どうぞ行ってください。外務大臣ありがとうございました。

 さて、防衛大臣に、きょうは私いろいろな思いを込めてこの過去の、実は今皆さんのお手元に「我が国の国際平和協力業務の実績」という資料をお届けさせていただきましたが、このいわゆる国連PKO、先ほど、今委員長席に座っておられる寺田さんからもありましたが、国連PKOのことについて、ちょっとしっかりと大臣の答弁をいただきたいと実は思っているんです。

 それはどういうことかといいますと、これは、一から十九までのミッション、アンゴラ国際平和協力業務あるいはカンボジアの国際平和協力業務、これはほぼ同じ時期に始まったわけですが、今日の十九番目の東ティモールの国際平和協力業務、これは残念ながら、東ティモールは一たん終わっていたのがまた再びということなんですが、そして先ほどの御質問にもあって、二十番目あるいは二十一番目の国連PKOの話が今閣議決定を待っているという段階のようですが、それは後にするとしまして、冒頭に、ちょっときょうはぜひとも大臣にお聞かせいただきたい考え方、取り組み方、ぜひ前向きの御発言をいただきたいということで質問するわけです。

 つまり、私の質問の背景にありますのは、実はきょうここに座っておられる皆さんもみんな共有していることだと思いますが、あの、いわゆる一九九〇年代冒頭の湾岸戦争ですね。私は、今のイラク事態というのは、とらえ方として、話はちょっと飛びますが、十三年戦争論というとらえ方をすべきだと。

 つまり、あの一九九〇年のイラクのクウェート侵略から端を発して、言ってみれば二〇〇三年、今から四年前の三月二十日の時点までワンパックでとらえるべきで、あの時点で突然アメリカが先制攻撃したんじゃない、時々空爆がありましたから、十三年続いたものを終わらせるための攻撃であったんだ、そういうとらえ方をしなくちゃいけないというふうに言い続けてきているわけですが、それは本題じゃないので置いておきます。

 つまり、湾岸のときから今日、先ほどどなたかのやりとりで大臣がおっしゃっていましたけれども、国際社会において、日本のPKOに対する、つまり国際平和協力活動に対するニーズが非常に高まってきている、こういうお話がございました。そういうことも含めて、言ってみれば、私ははるけくも来たかなという思いがするわけです。

 私の先輩たち、私は平成四年の時点、一九九二年の時点ではまだ代議士になっておりませんでした、落選中でございましたから。そのころから、もう今日まで十五年間、本当にあのときに、自由民主党、公明党、当時の社会党もあるいは民社党もいろいろな政党を含めて、どうするんだという、この湾岸戦争に対する日本の取り組み方が、いろいろな思いが錯綜し、いろいろな法案が出ては消えたりしました。

 最終的に、この国際平和協力活動、国連平和維持活動、PKOに日本が取り組むということが、やはり今一番日本ができることだということでやってきて、取り組んで、今日まで十九のミッション、十五年間、米印でつけているところは、国連のPKOのもとに行ったのではなくて、PKOの法のもとに行っていますけれども、いわゆる人道復興支援の部分が米印ですから、多少の性格の違うものが一緒になっておりますが、PKO法のもとで派遣されたものが全部で十九、こういうことでございます。

 前置きを随分と言わせていただきましたけれども、私がきょうここで大臣にぜひとも言いたいと思いますことは、今日までこういうふうな国連PKO活動に日本が取り組んでくるということについて、私どもは大変に思いが強いもので、この一連の国際平和協力活動、国連PKOについて、しっかりと歴史と伝統、PKOにどう取り組んできたか、そうした歴史的な資料、こういうものの取り組んだすべてのものをしっかり一括して保存し、オープンに皆さんに見てもらう、内外の皆さんに見てもらう、そういういわゆる、仮に命名するとしたならば、PKO資料歴史センターというふうなものをつくったらどうだということがあるわけです。

 実は、この考えのもともとには、一九九二年のこのPKOを出す前の段階で私どもの公明党の先輩が、アジアにPKO共同訓練センターをつくったらどうだという提案をしました、日本ではなくて、アジアに。

 これは、そのときの物の考え方というのは、アジアのどこかの地域にPKOの派遣する訓練センターをつくって、日本も含めてアジアの人たちがそこに集まって、そこからPKOに出ていくというふうなものをつくったらどうかという提案だったんですが、その後の約十五年の歴史の中で、私もしばしば発言をさせていただいて、ここにいらっしゃる中谷委員が元大臣だったときに私が御質問をしまして、非常にいい答弁をいただきましたけれども。

 要するに、中谷さんとかあるいは高村外務大臣とか、あるいは大野功統元防衛庁長官、それぞれに私はたびたび国連のPKOに対する日本の取り組みの歴史と資料というものをしっかりと保存するものが一方に、もう一つは、PKO訓練センター、日本の自衛隊がPKOに参加されるという、その訓練センターというものを一緒にして置いたらどうだということを言ったり、あるいは、片方は片方でもいいんですけれども、ばらばらでも。いずれにしても、そういうふうな提案をずっとし続けてきたんですが、結論的に言いますと、今の時点ではまだそれが実現していない。

 ただ、この三月二十八日に防衛省の方で、国際活動教育隊、これはたしか大野さんが大臣のころに予算案の中に、こういう国際活動教育隊をつくりたいんだけどという話があったことを私は覚えているんですけれども、この国際活動教育隊というものが、私としてはPKO訓練センター、PKOに参加する自衛隊員を訓練する、そういう機関というかものである、こういうふうに私は今思い込もうとしているんですが、そういうとらえ方でいいのかどうか。

 今、この三月二十八日にオープンするとする国際活動教育隊というのは概略どういうものであってということが一つと、そして、私が今るる申し上げてきたような、それって私たちが言っていた国連PKO訓練センターじゃないのかと言っていいのかどうか、まずその辺のこと、二つについてお聞かせください。

久間国務大臣 赤松委員の気持ちはよくわかります。私も本当に、はるけくもここまで来たかな、そういう思いで、今、PKOで国際平和協力業務で外国に出ていくことについては何ら抵抗ない。私の目の前で牛歩戦術が行われた、あのときの光景を私はまざまざと、今でも目をつぶればまぶたに浮かぶぐらいですから、本当にここまで来たな、そういう思いがいたしております。

 それと、いろいろな失敗した例の中でも、東ティモールにも私自身、中谷先生がちょうど大臣で行けなかったものですから、私がかわりに党を代表して、おたくの田端先生だったと思います、あるいは浜田先生、一緒に行って、フマキラーを持って、デング熱にやられたらかなわぬということで、一生懸命フマキラーをまきながら行った、そういう思いもございまして、あの当時と比べると今は大変環境が変わってきて、もう本当に国民も、それはそうだということで、この間も本来任務にしてもらったわけですから、これから先もPKOはますますそういう意味では出やすくなるし、出なければならないだろうというふうに思っております。

 十三年前の湾岸戦争のときの、あの話もまさにそうでして、あのときはお金だけ出して、一人当たりたばこ一本一円ずつ値上げして、税金をそれだけ突っ込んだにもかかわらず、我が国は人を出さなかったばかりに、日本は国旗も上がらなかった、そういう思いもいたしておりまして、そういう点では、やはり人を出すということがいかに大事かということを痛感しておりますから、イラクでもやはり、自衛隊、はい、さようならというわけにいきませんよというのが私の今の気持ちでございます。

 ただ、今おっしゃられましたPKOにつきましては、その訓練センターも含めて、我が国の場合、先ほどの先生のずらっと一覧表を見せてもらっても、ほとんど自衛隊が行っております。しかしながら、その反面、またPKOに文民警察官として行かれて途中で亡くなられた方もいらっしゃいます。最近ではまた、NPO、NGO、そういったところも一緒に参加しておられるし、だから、むしろ各国も軍とNPOが一緒にやった方がいいんじゃないかというような評価もあっております。

 そういうことで、我が国の場合は自衛隊は自衛隊として派遣しておりますけれども、やはり、防衛省じゃなくてPKO事務局が窓口になっておる、だから、いろいろなデータから保存資料から、それもPKOのそういう事務局でやっておる、そういうような行政の組織上の問題もあって、先生のおっしゃるようにストレートにすっといってないんじゃないかなと思うわけであります。

 私は前から言っておったんですけれども、PKOに出かけていった自衛隊の部隊等についても、今までは、PKOの部隊を出すときに、海とか空の場合は、一つの部隊がそっくりまとまってすっと行きます。海の場合でも、一つの輸送艦が輸送艦として行くわけですけれども、帰ってきてもそのままその部隊としては残っておるわけです。ところが、陸の場合は、方面隊で募集をかけた形でいろいろな、エリートと言ってはいかぬですけれども、そういう向いている人たちを集めて派遣する、帰ってきたら、それがまた散っていくわけですね。そういうことでいいのかなという思いがございました。

 だから、今度の場合も、まず国連からの要請があったときにすぐ対応できるように、長くなって結構ですか、国連からの要請があったときにすぐ対応できるような、そういう訓練をしておこう、あるいは、今まで行った経験を一つにまとめて、そういうふうに使おう、そういうことから、陸上自衛隊の教育の一つの部隊としてそれをつくろうとしておるわけでありまして、自衛隊の中でも陸上自衛隊の部隊をそこでつくろうとしておるわけでございますから、今言われるPKO訓練センターとは若干趣旨が違っておるわけですね。

 先生のおっしゃるようなものは、また別途、これから先、こういうのがきっかけとなって煮詰まっていったら、それはそれで非常にいいんじゃないかなと思っております。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

赤松(正)委員 大臣、私は、訓練センターの件と歴史資料センターの件、二つ考えていて、一方の訓練センターの方が防衛省が考えておられるものかなというふうに思ったんですが、今のお話を聞いていると必ずしもそうじゃない。

 ぜひ御検討いただきたいのは、今おっしゃった訓練センターの方は、今のは陸上自衛隊の教育機関だということですから、それを発展的にそういう形にするのは、僕は防衛省の大臣の判断でできることだと思うんです。もう一方の歴史資料センターについて私ずっと勘違いしていまして、これは防衛省にお願いしようと思ってずっと言ってきた経緯はあるんですけれども、大臣がおっしゃるように、こっちの方はやはり国際平和協力本部、内閣府の所管かな。つまり、内閣全体で、日本全体で考えていただかないと、この問題はうまくいかないんじゃないかというふうに実は思っているわけですね。

 だから、そういう点では、訓練センターとそれから歴史資料センター、つまり、もっとわかりやすく言うと日本版ピアソン・センター、カナダには、訓練センターは国防省のもとに別途あって、そしてまた一方でそういうピアソン・センター、私は行ったことはないんですが、いろいろ勉強はしてみましたが、ピアソン・センターなるものを日本につくるということによって、今日までの大変な日本の苦労、一生懸命取り組んできたPKOに対する思いというものを内外にしっかり宣伝することができる。日本だけがしっかりやってきたんだぞというのじゃなくて、日本の国民の皆さんだって、十五年前から今日に至るまでのことをだんだん忘れかけている。

 現実に私が思ったのは、イラクの場合に、民主党の皆さんが、あのときにPKOならいいと言われたんですね、いみじくも。確かにそういう側面はありますよ。そして、某新聞が、PKO法ができたときに大反対した新聞社が全然賛成した。

 それで、イラクの事態でPKO、それはPKOができれば苦労しないよとあのとき私は思いましたけれども、そういうこともひっくるめて、いろいろなPKOについての日本の取り組みを一望のもとにできる、そういうセンターが必要だ。いろいろな人、アジアの人に来てもらったり、アジアの中にそういうものがありませんから、それをぜひ内閣を挙げて取り組むべきだ。だから、防衛省ができる訓練センターの方は、これは防衛大臣が中心になってこれからも考えてほしい。もう一方の方は、ぜひとも内閣を挙げて取り組んでいただきたい。答弁してくださるのですね。いい答弁してくれなければ、答弁してもだめですよ。では、どうぞ。

松島大臣政務官 本来、外務大臣が答弁したかっただろうと思うんですけれども、今、日本人及びアジア人のということを言われましたので、一言つけ加えさせていただきます。

 麻生大臣が昨年八月の政策スピーチで、平和構築者の寺子屋をつくることを提唱いたしました。

 外務省は、来年度から、日本人だけではなしに、日本人とアジア人の文民を対象といたしまして、内外の講師などから実践的な知識や技術を習得する研修を開始することにしております。残念ながら、歴史を振り返るセンターではございませんけれども、研修の場を日本人とアジア人がともに、それは文民を対象でございますけれども、学んでいく、技術を習得するという研修を来年度から始めてまいりたい、そんな人材を育成していく、そういうわけでございます。

 そして、先ほど言われました、関係省庁が一緒になって取り組むということについて申しますと、昨年十二月に、平和構築分野の人材育成の関係省庁の取り組みを強化し、政府一体として取り組んでいくために、平和構築分野の人材育成に関する関係省庁連絡会議が内閣に設置されましたこと、そして、外務省も一緒になってやっていきたいということを申し述べさせていただきます。

赤松(正)委員 それは、似て非なるものじゃなくて、似なくて非なるもので、全然私が言っていることと違うと思いますね。

 では、最後に大臣に。

 今言いましたように、熱い熱い思いを込めて取り組んできたこの十五年、これからも続きますよ、これからも続きます。そういったものを含めて、ぜひとも、PKO訓練センター、そしてもう一つは歴史資料センターのようなもの、イメージとしては日本版ピアソン・センター、こういったものがぜひ必要であるということについての私の意見に対しまして、内閣の重要な位置を占めておられる久間防衛大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

久間国務大臣 先ほど言いましたように、自衛隊は自衛隊で、今までは、集めて、帰ってきたらみんな各部隊に散っていく、これでいいのかと。やはりその部隊をまとめて活用することも必要だということで、陸上自衛隊はそういうことで始めましたけれども、今度は民間も含めて、PKOと自衛隊とがどういう連携をするかとか、そういうのも必要でございますから、やはり今の縦割り行政の制度の中で乗り切ろうとしますと、どこかが、あるいはどこかに委託する格好の、そういうような持ち合いというのが必要でございますから、陸上自衛隊のやったのが非常に効果が出てくるようだったら、そこに民間人も含めて一緒にやってくれということで委託する制度もあるでしょうし、あるいは、海外もひっくるめてPKOのセンターをつくるように外務省がもしやってくるなら、そっちの方はそっちでやりながら、こことどう連携をとるかというような、そういうこと、やはりこれはひとつ前向きで私たちも研究していきたいと思っております。

赤松(正)委員 ぜひ、お互いにいろいろ知恵を出し合ってしていきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

木村委員長 次回は、来る二十七日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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