衆議院

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第5号 平成19年3月29日(木曜日)

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平成十九年三月二十九日(木曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 北村 誠吾君 理事 寺田  稔君

   理事 中谷  元君 理事 内山  晃君

   理事 笹木 竜三君 理事 遠藤 乙彦君

      石破  茂君    大塚  拓君

      大前 繁雄君    瓦   力君

      木村  勉君    篠田 陽介君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      高木  毅君    長島 忠美君

      西銘恒三郎君    浜田 靖一君

      広津 素子君    福田 良彦君

      宮路 和明君    山内 康一君

      山崎  拓君    若宮 健嗣君

      神風 英男君    津村 啓介君

      長島 昭久君    平岡 秀夫君

      前田 雄吉君    前原 誠司君

      赤松 正雄君    赤嶺 政賢君

      菅野 哲雄君    辻元 清美君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   防衛大臣         久間 章生君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   内閣府副大臣       平沢 勝栄君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   会計検査院事務総局第二局長            千坂 正志君

   会計検査院事務総局第三局長            高山 丈二君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 正司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊原 純一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (国土交通省航空局飛行場部長)          小野 芳清君

   政府参考人

   (気象庁観測部長)    柏木 啓一君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石川 裕己君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            石橋 幹夫君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   辻   優君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     若宮 健嗣君

  大塚  拓君     長島 忠美君

  仲村 正治君     西銘恒三郎君

  山内 康一君     篠田 陽介君

  山崎  拓君     木村  勉君

  神風 英男君     平岡 秀夫君

  前田 雄吉君     前原 誠司君

  辻元 清美君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  木村  勉君     山崎  拓君

  篠田 陽介君     山内 康一君

  長島 忠美君     杉田 元司君

  西銘恒三郎君     鈴木 淳司君

  若宮 健嗣君     広津 素子君

  平岡 秀夫君     神風 英男君

  前原 誠司君     前田 雄吉君

  菅野 哲雄君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     大塚  拓君

  鈴木 淳司君     仲村 正治君

  広津 素子君     安次富 修君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官原田正司君、外務省大臣官房参事官伊原純一君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、国土交通省航空局飛行場部長小野芳清君、気象庁観測部長柏木啓一君、海上保安庁長官石川裕己君、海上保安庁警備救難部長石橋幹夫君、防衛省防衛参事官辻優君、防衛省大臣官房長西川徹矢君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君及び防衛施設庁長官北原巖男君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長千坂正志君及び会計検査院事務総局第三局長高山丈二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 米軍再編法案の質疑に入りたいと思います。

 先週金曜日に本会議の質疑をさせていただくことができまして、そのときに、再編に向けての日本政府としての姿勢について、幾つかの観点から質問させていただいたんですけれども、なかなか十分な御答弁をいただけなかったものですから、きょうそのフォローアップをさせていただきたいと思います。

 その前に、きょうは下村副長官、そして平沢副大臣にお越しをいただきまして、お忙しいところありがとうございます。

 冒頭で、焦点となります普天間の移設問題について少し議論をさせていただきたい、こういうふうに思います。

 申し上げるまでもなく、この普天間基地の移設はSACO以来十年越しの課題でもあるわけですけれども、今回の在日米軍基地の再編では最も重要なピースの一つでありまして、これがもし動かなければ、八千人のグアム移転もないし、ほかの部分の米軍再編もなかなか難しい、負担の軽減もなかなか実現ができない、こういうことでありますから、政府を挙げて今取り組んでおられるということだというふうに思いますが、これが政府を挙げてとなると、いろいろ省庁にまたがるものですから、大臣によってお話のニュアンスが違ったりして、少し混乱をしている部分があると思いますので、きょうは少し整理をさせていただきたいと思っています。

 バックグラウンドを最初に確認しておきたいんですけれども、仲井真さんという新しい知事さんが就任をされて、ことしの二月の知事の記者会見ではこうおっしゃっています。この普天間移設、辺野古の岬に、辺野古崎に移転をするその合意案についてなんですけれども、こう言っていますね。日米両政府が苦心してまとめてきたもので、あれ以上のものをつくるのは実際問題としては大変だろう、V字案を基本にするのは間違っていない、こういう言い方をされています。それから、ことしの年頭の会見では、県としては地元が合意できるならば滑走路は一本でもV字形でもいいと、沖縄県知事として非常に柔軟な姿勢を見せております。

 それから、名護の島袋市長さん、去年、V字案で政府と基本合意を交わした方でありますが、この方が今おっしゃっているのは、V字案を基本としながらも、ちょっと修正を加えてほしいんだと。南西沖合に三百五十メートル、少し移動できないものか、こういう言い方をされているわけです。

 そこで、今、この修正案をめぐって、普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会、過去三回開催をされたというふうに認識をしておりますけれども、この名護市から提案をされている修正案をどう扱うかということが、協議会の中では議題になっていないんですけれども、外で議題になっているんですね。

 例えば、久間大臣は意外と柔軟な姿勢を見せておられまして、ことしの一月九日の発言でありますが、三日には、これは余りもう言いません、V字案じゃなくて一本でいいという話をされましたが、その後、その発言について九日に、政府同士が、つまり日米の政府同士が合意すればびた一文まけないと思ってしまう人は頭がかた過ぎると。私もそう思います。まさに率直におっしゃっておられますね。それから、米国は根回しをもう少し勘案してほしいというような発言も一月二十七日になさっておられます。

 それから、きょうは平沢副大臣にお見えいただいておりますが、高市沖縄担当大臣は、名護市から出ております微修正案、ちょっと沖へ、この修正案を協議会で議論しようと、ことしの一月二十二日の記者会見でおっしゃっています。それに対して、きょうは下村副長官お見えですが、塩崎長官はその翌日の記者会見で、名護市修正案は協議会の議題にはなじまない、こういう言い方をなさっておられますが、この修正案をどう扱うかについての政府の統一見解をぜひここでお示しいただきたいと思っています。

 一言申し上げますと、もし仮に、名護市から提案のあるこの修正案について、この協議会で議題にしないというのであれば、協議会は一体何を議題にしようとされているのか、単なる政府の説明会で終わりなのか。つまりは、びた一文まけない、こういうことでありますから、とにかく説明をし続けて、相手が折れるまで延々と説明をしよう、こういうことなのかどうか。まず、一番の責任者である防衛大臣からお話をいただきたいと思います。

久間国務大臣 いろいろと本当に御心配をかけております。

 今委員がおっしゃられましたように、今度の米軍再編のキーポイントというのは、やはりこの普天間の移設ができるかどうか。これができませんと海兵隊のグアムへの移転もないわけでありますから、ほかの問題も空振りになる可能性もございますので、一番のキーだと思っておりまして、我々も全力を挙げているところであります。

 選挙のときに、現行のV字案では反対だとか、いろいろな意見もございましたけれども、その後ずっといろいろな折衝を重ねてまいりまして、あのV字案を決めるときに、地元の名護市の意向等も大分酌みながら、人家の上空を飛ばないという形で、苦肉の策といいますか、これがやはり一番いい案だということで決めた経緯等については県当局においても御理解いただいてまいっておりまして、基本的には、V字案というのはかなり練られた、考えられた案だなということについて関係者の意向が大体集約されつつあるわけでありまして、その点は大変いいことだと思っております。

 あとはいろいろ細かい点になるわけでございますけれども、やはり一長一短がございまして、いろいろな配慮をしなければなりませんから、沖合に出すとか、南西方面、あるいはこちらにずらすとか、いろいろなことがありますけれども、どれがいいのか、一長一短あるだけに、やはり政府同士でアメリカと決めているV字案を基本としながら、地元の意見も聞きながらやっていこうと思っておりますので、今の段階で、例えば修正案を、もし出してきたのを協議会に上げて、またそこでけんけんがくがく、そこはこういうマイナスがある、プラスがあるというようなことを言うのがいいのかどうか、そういう点もございまして、今、協議会に正式に上げないままにいろいろな意見のすり合わせをやっている、そういう状況でございます。

 だから、その辺の状況の中で、これから先、推移をしていこうということになるんじゃないかなと思っておりますから、V字案を基本としながら、意見をよく聞いていくというのが今の政府の立場でございます。

長島(昭)委員 重要なことをおっしゃっていただきました、一長一短あると。いろいろな案があって、もちろんV字案を基本としながらも一長一短があるということは、つまり、複数のアイデアの中で、ある種、最後の意見集約を図っている、そういうことですよね。だったら、協議会の中で意見集約を図ったらいかがですか。そういうことをなぜしないのか。だったら、その協議会の中でやる議論というのは、意見集約を図るための議論以外の何をしようとされているんでしょうか。

久間国務大臣 アメリカと日本との政府同士で交わしておりますV字案の基本的な案、これが一つの基本になっておるわけでございまして、それについては、名護市も含めて、最初にそういうことを提示したときのいきさつもわかっておるわけでございますから、これをまた、その当事者でありました名護市が修正案として改めて出すということになりますと、前決まっているものを一応否定する格好にもなりかねないことになりまして、それならこういう修正案もというようなことでまた振り出しに戻るような、そういう印象を与えたらいけないものですから、そこのところは非常に苦慮しているところでございます。

 そういう中で、V字案を基本としながら、地元の意見をよく聞きながら調整を行っていきます、そういう姿勢でこれから先も臨んでいこうと思っております。

長島(昭)委員 去年の四月七日に当時の防衛庁と名護市の間で取り交わした基本合意書にも、建設場所は〇五年十月二十九日に日米合意した政府案を基本としてと書いてある。そこについては、争いは恐らくないのだろうと思うんですよ。ですから、それを基本として、よりベターな案にみんなで議論していこうとしているのに、それを協議会の議題にしないというのは、私は筋が通らないと思うんです。高市大臣は、その辺は非常にリーズナブルなおっしゃり方をされているんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。

平沢副大臣 今、大臣から答弁がございましたように、あくまでも日米間でV字案が合意されたわけでございまして、この合意をもとにいたしまして、地元の皆さんの声も聞き、そしてよく説明して理解を賜りながら、この普天間飛行場の移設、そして返還を実現してまいりたい、こういうふうに考えております。

長島(昭)委員 副大臣、大臣は、意見を聴取する場が協議会だ、だから協議会でそういう修正案があるんだったら出して大いに議論しようじゃないか、こうおっしゃっているんですが、今の副大臣の御答弁は、その大臣の御発言を修正するんですか、撤回するんですか。

平沢副大臣 今まだ協議している段階ですので、いろいろな意見があろうと思いますけれども、あくまでも日米で合意したV字案というのは、これが基本であることは間違いないわけでございまして、この案を基本にしまして、協議会の場でいろいろと御説明もし、御理解も賜りたい、このように考えております。

長島(昭)委員 平沢副大臣、いつもよりもちょっと歯切れが悪い気がするんですけれども、イエスかノーかでお答えください。高市大臣は、その修正案を協議会で議題にしよう、こうおっしゃっている。それは今でも生きているんですか、もうそれは撤回されているんでしょうか。

平沢副大臣 高市大臣が言おうとしたことは、地元の皆さん方の御意見はいろいろとお聞きをしたい、しかしながら、あくまでも日米間で合意したV字案を基本としてやりたい、こういうことだろうと思います。

長島(昭)委員 いや、お答えになっていないんですよ。基本としてというのはもうみんな合意しているんです。その修正案を議題にのせるかのせないかというところを焦点に今私は御質問させていただいているんです。そこはどうなんですか。

平沢副大臣 協議会の場ではいろいろな御意見を出すのは、これはあり得ると思います。しかし、政府としては、あくまでも日米間で合意したV字案を基本としてやる、こういうことを高市大臣は言おうとしたんだろうと思います。

長島(昭)委員 そうなんですよ。議題にのせて大いに議論しようというのが高市大臣のお立場なんですよ。それはよくわかるんです。それはやはり沖縄を向いておられるから。

 ところが、官房長官のお立場は、沖縄というよりはむしろアメリカを向いたような気がするんです。官房長官はこうおっしゃっているんです。正式な会合ではなくて、そういう修正協議みたいなものは議事録の残らない非公式の懇談会でやろう、こうおっしゃっているんですが、そこはそういうお考えなんでしょうか。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 政府の基本的な立場として、次回の協議会の議題等につきましては、今後の取り組み、進捗状況等を勘案しつつ、沖縄県及び関係地方公共団体、さらに政府部内でよく相談した上で決定されることになると考えております。

 政府としては、昨年五月一日の日米安全保障協議委員会の際に発表された、再編実施のための日米のロードマップにおいて日米間で合意した案を基本として、地元の切実な声に耳を傾け、よく説明して理解を得ながら、一日でも早い普天間飛行場の移設、返還を実現してまいりたいと考えております。

長島(昭)委員 こういう御答弁をいただくと次に進めなくなるんですよ。

 では最後に、この話題はもうこれで最後にしたいと思いますが、久間大臣、久間大臣は、さっき御紹介しましたように、政府同士が合意すればびた一文まけないと思ってしまう人は頭がかた過ぎる、こうおっしゃった。守屋次官が仲里副知事との会談で、政府案を変更することはできない、こうおっしゃったんですけれども、こうぴしゃっとやったんですけれども、守屋次官は頭がかたいんでしょうか。

久間国務大臣 役人というのは、現段階で決まっていることを実行していくのが役人でありますから、政府案が一応アメリカと合意して決まっていますと、それを変更するということ、そういうようなことについてはできないと言うのが、筋論としてはそうだと思います。

 我々政治家としては、さはさりながら、やはりこれから先、これは基本案であるけれどもどうやって意見を集約していくか、そういう中での落としどころというか、そういうのを見ながら、最終的にはまた協議会で決めていかなきゃなりませんけれども、やはり今、先ほどから話がございますように、協議会でまだメンバーの中でもいろいろ意見が違うときには、政府と向こうじゃなくて、向こうの中でも意見が違う、そういうことだってあり得るわけですから、そういうときには、懇談会という形で議論をしながらすり合わせをしていって、最終的にどうするかということを決めていく、これは政治的な手法としてあるわけであります。

 そういう段階のときに、決められた内容について、これは変更はあり得ますよというようなことを、政府の高官といえどもそれはなかなか言えないんじゃないでしょうか。だから、今決まっている内容でこれは変えられませんと言うのは、一応筋を通している話だろうと思っております。

長島(昭)委員 官僚の立場ではそれでもいいということなんだ、今そういう御答弁だと思いますが、大臣、政治家の立場として、今いろいろな意見があって、一長一短があるんだから、全く修正をしないということではないと理解してよろしいんでしょうか。

久間国務大臣 修正という言葉が非常にひとり歩きしてしまいますので、私は最近は修正という言葉を意図的に使っていないわけであります。

 先ほどちょっと言いましたけれども、日本で修正論議が始まったとなると、そうしたらアメリカだっておれたちも修正だというふうな、そういうことにもなりかねないので、幅がどんどん広がる可能性があるわけであります。だから、基本合意をしているその中で、早く実行できるようにするにはどうしたらいいか、その辺の知恵を今出しておるわけでありますから、そういう点でこれから先の推移をぜひ見守っていただきたい。

 言えますことは、私たちとしては、一日も早く日米だけではなくて地元も含めて合意をして、環境アセスが終わって早く着工にこぎつけたい、そういうふうに思っておるわけでございますので、その辺の今の状況についてもぜひ御理解賜って、後押しをしていただきたいと心からお願いをするわけであります。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 環境影響調査を少し前倒ししてやって、いろいろ騒音の状況などをモニターしてから、その修正の有効性について、修正と言っちゃいけないのかもしれませんが、今ある案をどういうところに落としていくかということについて、やはり地元の理解をさらに得ていくような努力、そういう真摯な努力をぜひ政府の皆さんでしていただきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いします。両副大臣、結構でございます。

 さて、本題に、本題というとさっきのも本題なんですけれども、私の本会議質疑のフォローアップをしていきたいと思うんです。私は本会議質疑におきまして、ちょうど日本が五十五年前に独立を達成した日の二日前に、当時の連合軍の最高司令官だったリッジウェー大将が日本国民に向けて発したメッセージを少し引用させていただきました。覚えておられない方もいらっしゃるといけないので、ポイントだけ申し上げますと、彼はこう言ったんです。

 米軍が日本に駐留するのはたった一つの目的、すなわち、日本が外部からの武力攻撃に対し固有の自衛権を行使するための有効な手段を持たぬ期間中、日本を防衛するための暫定的な取り決めをしようというのである。だから、日本が直接及び間接の侵略に対して自己を防衛する力ができたとの自信を持つようなときが来れば、米駐留軍が撤退することも期待できるわけである。私は、その日が余り遠くないことを望んでいる。米国は、海外のどこであれ、不必要に長くその軍隊の駐留を引き延ばすことを欲してはいない。こう言っているんですね。

 つまり、日本が自衛のための努力を十分にやって、そして自信がついたら駐留軍なんて必要ないと彼は言ったわけです。それで、アメリカは不必要な軍隊を長く駐留させたままにしておこうとは思っていないと。私は非常にリーズナブルな発言だなというふうに思っているんです。

 これが五十五年前の占領軍の責任者の発言ですけれども、五十五年たって、御案内のとおり、まだ四万三千人の米軍が駐留している、そしてその駐留軍の経費として二千億円以上の税金が毎年投入されている。

 この状況について、半世紀以上たった段階で、さっき言った、まだ日本は自衛というものに対して自信が持てない、そういう状況なのか。それから、不必要な軍隊は置いておかないというんですから、まだまだ米軍が駐留する必要性を残しているのかどうか。そのことについて、独立国の政治家として防衛大臣がどのような御見解をお持ちなのか、改めて伺いたいと思います。

久間国務大臣 私が前回、十年前に防衛庁長官に就任する直前に、橋本・クリントン会談がありました。そして、そのとき確認されたのは、米ソの対立がなくなって、ソ連の脅威というのがかなりなくなってきたときに、東西冷戦がなくなったときに日米安保体制を維持する必要があるのかどうか、あるいはまた、その安保体制に基づく現在の米国の駐留が必要かどうか、そういうことが議論されたわけであります。

 そして、世界的には確かにデタントになってまいりましたけれども、アジア太平洋地域を眺めたときに、北朝鮮の問題、あるいは中国と台湾との台湾海峡を挟む問題、こういうのを考えたときに、やはり日米安保体制は必要である、そういう再確認をいたしました。そして、そのためには新しいガイドラインを決める必要があるということで、私が就任した後、新ガイドラインの取り決めを行って、指針の見直しをまた行ったところであります。

 そういう意味では、そのとき再確認した状況の中で、米軍のプレゼンスというのは、アジア太平洋地域の全体の平和と安定が続いてきておる、戦後六十年間これだけ安定が続いてきたのには、日本に駐留しているという日米安保体制の中核がやはり必要なんだというような、そういう再認識を改めてしました。

 しかし、そのためには日本とアメリカとの役割、任務、能力、そういうのをこれから先どういう形でやっていったらいいのか、日本はどういうような点に協力ができるのか、あるいは自分自身の力をつけるのか、そういうようなことをやりながら、アメリカとしてはどういうサポートをするのか、そういうことについてよく協議をして、連携を深めていこうというようなことでスタートしたわけであります。

 その後、テロの問題とかいろいろな問題が起きてまいりまして、単に国と国とがぶつかり合うだけではなくて、見えない敵といいますか、不確定要素も非常にふえてきた、そういうようなことから、最近では、さらに日米間の連携のあり方について、もう一度、いろいろな役割、任務、そういうことについての検討をしながら連携を強めていこう、そういう動きを今しているところでございます。

 私は、そういう意味では、あのとき占領軍が、その直後に司令官が言われた言葉というのはわかりますけれども、今の日本においては、これから先ずっと、未来永劫とは言いませんけれども、これから長期にわたって日本の平和と安定を図っていくために独力でやることがどうかというようなことになりますと、米軍の駐留がやはり必要なんじゃないかと。そして、そのためにいろいろな経費を出しておりますけれども、それをむしろしない場合の国民の不安と比べた場合には、その方がまだいいんじゃないかということで国民も納得してくれているんじゃないかな、そういうふうに思っております。

長島(昭)委員 大臣、日米安保体制が必要であるということについては我々も疑いないんです。その日米安保体制を支える仕組みをどうするかということについては、いろいろな意見があるんだろうと思うんです。それは、駐留を認めるやり方もあるだろうし、駐留しないで、何かあったときには有事来援という形で来てもらうということも場合によっては必要かもしれない。

 地域の安定というのをおっしゃいました。我が国の防衛という問題と地域の安定という二つの問題、もちろん重なり合う部分は当然のこととしてあるわけですけれども、地域の安定のために仮に日本への米軍の駐留が必要だというのであれば、それに対して日本がコストをこんなに負担することが本当にフェアな役割分担なのかというところについては、かなり国民の間にも今疑問が広がっている部分があると思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

久間国務大臣 地域が安定しておるということが、また反射的利益として日本が非常に安定することにもなってくるわけでありますから、地域全体が不安定だと困るわけであります。

 それで、よく言われますのに、例えば東南アジア方面に行ったときに、第七艦隊は日本にちゃんとおるのかというようなことをいろいろな方々からよく言われます。いや、ちゃんとおりますよという話をするわけですけれども、そういう意味では、原子力空母が今度、今までの既存の空母にかわりまして横須賀に入るというようなことを考えましたときに、やはりこれが不必要か必要かというのは判断せぬといかぬわけでありまして、我々としては、原子力であろうが何であろうが、空母を横須賀に、母港として置くということは、私は、非常にこれは地域の安定のみならず日本の安定にも寄与しているというふうに思うわけであります。

 そうしますと、空母がおる以上は、艦載機が離発着の訓練をするというのはどこかでやらざるを得ないわけでありますから、それについてはどこかでしなければならない。しかし、そういうときに、日本国内のいろいろな問題を総合的に考えたときに、現在の厚木でやっているのがいいのか、もう少しこれをほかの地域でやることが、日本全体として見た場合には負担をより和らげることになるんじゃないか、そういうようなこととか、あるいは、海兵隊が即戦力として沖縄におるということはあるけれども、その部隊の全部がおる必要があるのかどうか。

 司令部機能がグアムならグアムに移っておったとしても、いざというときには、そこの司令部機能が働くことによって、また応援部隊を出すことによって、とにかく日本の安定に寄与する、日本の防衛に役立つというようなことなら減らしてもいいんじゃないかというようなことから、海兵隊を八千人移動する。

 そういうようなことになるなら、これは日本にとっても非常にありがたいというようなことで、ありがたいと同時にちゃんと抑止力は働くというような、そういうことを考えますと、グアムに移転するのについては日本としても応分の負担はしようというような、そういう組み合わせの中で、今回の米軍再編をうまく利用してと言うと語弊がありますけれども、それと同じように歩を合わせて、米軍の海兵隊の沖縄での駐留を減らすということに、我々としても非常にそれをお願いした次第でございます。

長島(昭)委員 海兵隊のグアム移転については後で詳しくやります。

 今、防衛大臣がいろいろ説明をしていただいて、大分深い議論になったなということを私も感じるんですけれども、私も、米軍のプレゼンスというのは地域の安定のための国際公共財みたいなものだと思っています。そういう地域の安定のための国際公共財を日米で支えていく、あるいは日本がある程度、経済大国ですから、そういう意味では応分の負担をそれにする、これは日本国民もある程度は納得すると思うんです。

 しかし、今こういうレベルでやらなきゃならないのかというと、そこはまた話が別なんです。だからこそ、この前大臣は私の質問に対してこうお答えになりました。みずからの防衛力のみでは自国の安全が脅かされるようなすべての事態には対処できない場合があるんだ、そういう場合があるから在日米軍の駐留による抑止力の維持が必要であります、こういう説明をされている。ここの部分がやはり大きいので、沖縄を含めて日本の国民の皆さんに、税金の負担も含めて、かなり大きなウエートの負担をお願いせざるを得ない、そういう事情が恐らくあるんだろうと思うんです。

 ここで伺いたいんですけれども、みずからの防衛力のみでは自国の安全を脅かされるような事態というのは、一体どういう事態を想定されているんでしょうか。

久間国務大臣 御承知のとおり、日本の場合は、昔からそうですけれども、盾と矛の場合、盾については一生懸命守る、しかし矛については、攻撃してきたのを反撃はするけれども、相手まで攻め込んで、その矛で相手を貫くというような、そういうことまではできない、そういう縛りの中で日本の自衛力というのはつくられておるわけでありまして、非常に限界があるというのは事実でございます。そういう意味での、やはり日本は矛の部分をアメリカに非常に頼っているという、もう時間がたちましたけれども、先生に言わせると五十五年、六十年たちましたけれども、今でもその原則は、原理は変わっていないんじゃないかというふうに思っております。

 そして、では、それがまずいのかといいますと、私は、国民の世論も含めて、その方がトータルとしては、経費的にも安いし、日本に対する警戒心を各国に持たせない意味でもいいんじゃないかというような、そういう世論形成もでき上がっているんじゃないかなというふうに思うわけで、日本が盾と一緒に矛までも十分備えて、それを有することの方がいいのかどうかになったら、そういうことがいいんだという方もいらっしゃいますけれども、それは一議論あるんじゃないかなというふうに思っておるわけです。

長島(昭)委員 大分議論が深まってきたと思うんです。私は、今回の米軍再編あるいは日米同盟関係を今後どうやってマネージしていくかというテーマについては、二つのアプローチがあると思っているんです、今少し大臣もお話しいただきましたが。

 私は、有事のリスク、平時のコストという言い方をしているんですね。今までの仕切りというのは、有事のリスクはアメリカが、そのかわり平時のコストは日本がということで、かなり基地の負担、あるいは思いやり予算も含めて駐留経費負担をやってきた。ですから、ちょっと紹介していただいたように、有事のリスクの部分について日本が少し役割を拡大していくかわりに、平時のコストを減らしてほしい、基地を減らしてほしい、あるいは駐留軍経費も減らしてほしい、こういうアプローチが一つ。

 それから、今、一議論あるとおっしゃった。そういうのはまだまだちょっと、国民の皆さんの間にも、あるいは周辺諸国の懸念もこれありで、そういう有事のリスクについての相互補完的な役割を十分に日本は担っていけないから、そのかわり、平時のコストはかなり大きくなる。今回だって、アメリカ軍の、後でやりますけれども、グアムへ海兵隊が移転する、その移転先の問題まで面倒を見てあげるぐらい、非常に思いやり深いコスト負担を強いられている。

 こういう二つのアプローチが私はあると思いますけれども、大臣のお立場からすると、これは前者のアプローチではなく、つまり、日本の役割を拡大していって、要らなくなった部分、アメリカと日本との役割が重なっている部分について、さっきリッジウェーの言葉を紹介しましたけれども、重なり合う、この不必要になったアメリカの部分を撤退してもらうというやり方よりも、日本が担い切れない部分を、アメリカに有事のリスクを担ってもらって、日本の平時のコストは相変わらず耐えて、引き続き引き受けていこう、そういうアプローチでいかれる方が政治家としていいと思っておられるのか、もう一回確認させていただきたい。

久間国務大臣 いや、今までどおりということじゃございませんで、やはり、そうはいいながら、お互いの統合運用とかいろいろな形の中で、日本がもう少しこれはやるべきだ、あるいはやりたいというような、そういう分野も結構最近はふえてはきていると思うんです。

 例えば、情報収集から、あるいはその情報の伝達のシステムから、あるいはまた何かあったときのための共同訓練といいますか、そういう形での、今まではアメリカ軍だけの共同訓練だったのが、日本も一緒になって共同訓練をやっているという、日本有事の場合における対応の仕方については、かなり日本自身も踏み込みながら拡大をしていっていることはありますし、それについては国民自身も認めてくれているわけであります。

 そこまでは、従来よりは、控え目だったのが、もう一歩出ていっているということは、それは私は現実にあろうかと思いますが、基本的に、さっき言ったように、アタックの部分についてはやはりいまだ壁がありますので、それはまた、日本がするよりもアメリカに頼った方がいいというのがありますので、その辺において、やはり我々としては、アメリカに対するある程度のいろいろな負担というのはやむを得ないんじゃないかなと思っておるわけです。

長島(昭)委員 今、日本の役割を拡大していく上で壁があるというふうにおっしゃった。その壁は何ですか。憲法の壁ですか。

久間国務大臣 憲法というよりも、日本が近隣諸国に対して今非常にいい友好関係が、まあ北朝鮮を除けば非常に友好的な雰囲気がある中で、日本が矛までも持つんだぞというような、そういう姿勢を持っていくこと自体がいいかどうかという判断の壁が一つあります。

 それと同時に、攻撃されたときにしか武力行使をしないということで、周辺で何か起こっても武力行使ができない、そういう憲法上の制約もあります。

 いろいろな意味で日本はそういうような制約がございますけれども、私は、その制約そのものが悪いと言っているわけじゃなくて、そういう制約があるから、日本はやれる限度が決まっているし、それがまた、今の日本を取り巻く近くの国際環境の中では、それはまあまあ、かえっていい方向に機能しているんじゃないかな、そういう思いもございますから、その壁を取っ払ってぐっと出ていくような方向をとることがいいという理論、理屈にはなかなかくみしがたいという、これは私の個人的な感じです。

長島(昭)委員 安全保障のジレンマというのがありますからね。こっちが努力すれば、向こうはそれを見てまた努力するというジレンマは、もちろん、慎重な久間大臣ですから、そういうことも頭に置いてお話をされているんだろうと思うんです。

 しかし、数年前の大臣としての御答弁ならそれで恐らくいいんだろうと私は思うんですけれども、防衛研究所で出している戦略概観、これは、私は政府公刊物の中で一番頼りにして読んでいるんですけれども、かなり踏み込んで書いてありますよ。それは、中国や北朝鮮あるいはロシアの最近の非常に急速で大規模な軍備拡張というか増強路線というものを非常に克明に、意図も含めて書かれている。そういう状況があることを、国民の皆さんはある程度、肌で何となく認識をされている。

 と同時に、アメリカ側の基地の負担あるいは平時のコスト、こういうものが重く重くのしかかってきている。ほかの政策分野に比べて、相対的に何となくそこの部分は重いんじゃないか、こういう二つの意識が相まって、やはりそこは固定的に考えないで、もう少し可変的に考えていく必要があるだろうと思います。

 その点で、さっき盾と矛というふうにおっしゃいましたけれども、これも恐らく、戦後のいろいろな要因の中で、日米の間で決まった役割分担だろうと思うんです。つまり、それは、日本側から好んでそういう役割分担を引き受けているというよりは、その力関係、冷戦期の情勢、いろいろな情勢の中で、おれは盾、おまえは矛、こういう分担になったんですが、そこも固定的に必ずしもとらえる必要がないし、憲法上の制約とおっしゃいましたけれども、自衛権に基づく自衛力の整備については制約はないんだろう、私はこういうふうに思いますよ。

 ですから、その点も含めて、私は、もう少し柔軟な考え方をすることによって、やはり平時のコストを少しずつ減らしていく努力をする、政治家として我々はしていかなきゃいけないんだろう、こんなふうに思っています。

 そこで、私は、抑止力について、今のと関連でお尋ねをいたしました。私は、負担の軽減とともに、今回の米軍再編の柱である抑止力の維持について、我が国の役割は一体何ですか、そういう質問をさせていただきましたが、どうも大臣の御答弁が不明確だったので、もう一度、抑止力の維持に関する我が国自身の役割について御説明をいただきたいと思います。

久間国務大臣 その前に、今おっしゃられましたように、中国、ロシア、これが経済的にも発展して、その資金力をバックに、やはりかなりの、二けた台の国防費の伸びがあっている。ロシアについても、最近、一時は横ばいだったのが、ぐっと出てきている。しかも、兵器についても、装備についてもかなり近代化が進んでいる。これはもう事実であります。

 それだけに、かといって、日本の今の置かれた経済力あるいは財政状況、そういう中で、日本がそれに負けるな負けるなという形でやっていくだけの、そういうようなことができる状況かというと、それはできないので、我が国としては、従来決めております防衛計画の大綱に従って粛々とそれは整備していくけれども、やはり、米軍とのきずなをしっかりつないでおくことによって、いざというときにはそれに頼らざるを得ないという状況がますます強くなってきているということも、国民の皆さん方にわかっていただきたい。中国、ロシアの軍の近代化が進めば進むほど、日米安保の重要性というのが、単に重要であるというだけではなくて、もっとその度が強くなってきているということも理解していただきたいと思うんです。

 そういう意味では、我が国の抑止力としては、やはり、アメリカとの関係でもそうですけれども、従来から防衛計画の大綱に従ってこれをやりますよというふうに決めておった、それをやるということと同時に、最近、脅威の多様性というのが深まってきて、テロとかいろいろな形での多様性が高まってきておりますから、それに対応するような、そういう練度を高めたりあるいは体制づくりをしていく。これについては、それに一生懸命取り組むことがいろいろな意味での抑止力の向上につながるということで、防衛計画の大綱でもそういう変化については触れてありますけれども、さらにそれがこの近年非常に強まってきているから、次の大綱の改正をやるときには、そういう視点からももう一回見る必要があるんじゃないかなと思っております。

長島(昭)委員 大臣、今のお話は、脅威の多様性というお話をされましたけれども、それは対処ですよね。テロとか何か起こったときに、そういうことに対して対処する即応能力の話を今されたと思うんですけれども、それでは、抑止力というのは大臣はどういうふうにお考えになっているんですか。抑止力とは何ですかという、抑止というものの定義、大臣、どういうふうにお考えですか。

久間国務大臣 これは、むしろ長島委員から教えてもらわないといかぬかもしれませんが、例えば、核の傘というのは、核兵器を日本は持たないけれども、他国が日本に対して核兵器で攻撃をしたときには日米安保条約に基づいてアメリカが核を使いますよというような、これはやはり向こうが核を使うことに対する一つの抑止力だと思うんですよ。しかし、それは日本は持たないわけですから、そういう意味では抑止力にはなっていないわけですけれども、日米安保条約というのがそういう点で間接的ではあるかもしれませんが抑止力になっていると思うんです。

 だから、抑止力という言葉は、直接日本がそれを持っていなくても、ある意味では、制度でそれが担保されているというようなことがあれば、それが抑止力になるわけでありますから、相手がこれだけの装備を持っているからそれに匹敵するような装備をこっちが持つとかいうようなことではなくて、総合的な対抗力といいますか、それによって相手が武力攻撃をしかけてこないような雰囲気づくりをどうやってつくるかというのが一番の抑止力じゃないかなと思っておるわけです。

長島(昭)委員 抑止力は雰囲気じゃないんですよ、大臣。抑止力というものの定義は、相手が攻めてきたら、それに比べるぐらいの力でやり返す、だから向こうがそれに対して思いとどまる、これが抑止の論理ですよ。

 だから、さっき大臣が、核の報復力を持つことによって、相手が核攻撃をしてきたら、それに対して三倍ぐらい返す、そういうことで微妙な均衡が成り立ってディターされるわけですよ。抑止される。だからディターランスということなんですよ。ですから、抑止力の核心というのは打撃力なんですよ、打撃力。全体として日米安保体制が抑止力になっているというのは、それは非常にうまい言い方だなと私も思いましたけれども、実は打撃力なんですよ。

 今大臣がおっしゃった、日本はそういう意味では抑止力への寄与というのはなかなか難しいというような言い方をされたように聞こえたんですけれども、そうしますと、今回の米軍再編の二つの柱だった負担の軽減と抑止力の維持。負担の軽減はアメリカにやってもらうんですね。抑止力の維持も、日本はなかなか貢献するのは難しいからアメリカに全部やってもらう、こういう話なんですか。だとすれば、ある種つじつまが合うんですよ、これだけの負担をさせられるつじつまが。だって、全部アメリカ側にお願いするんだから。そうじゃないんでしょう。日本だって抑止力の維持について何がしかの役割を分担しようという意思があるんじゃないんですか。

久間国務大臣 先ほど打撃力と言われましたけれども、打撃力というふうに決めつけるんじゃなくて、相手方がそういう攻撃をしても、自分たちはそれ以上のマイナスをこうむるということがあれば、打撃というようなことだけで、力同士で比べるのではなくて、仕組みとか制度ででもそれは言えるのであって、非常にその国の、今度は経済がだめになってしまうとか、いろいろな意味でのことがありますから、抑止力というのは国際間の取り決めその他によって縛られてしまっているから、ここの国を攻撃したらそういう形で非常にマイナスがあるぞというときは、そういう取り決め自体が抑止力になることだってありますから、打撃力というふうに定義してしまうことが果たして妥当かどうか、もう少し幅があるような気がします。

 その議論はさておくといたしまして、今回の場合、米軍が減ったとしても、何かあったときにはすぐ対応できるというようなことが可能であれば、それは抑止力は維持されている、そういうふうに私の方は感じるわけであります。海兵隊が八千人グアムへ移っていくけれども、いざというときには残った海兵隊が対応しながら、あるいはまた、すぐ応援があって、それに変わらないぐらいの対抗力ができているということになれば、それは打撃力と言いかえてもいいですけれども、そういうのがあればいいと私は思うのです。

 そういうことを考えながらグアムという場所を選んだというふうに思っておりますから、そういう点では、私は、抑止力の維持も念頭に置いてああいうような決定、一万八千のうち八千人を移転させるというようなことになったんだと思っておりますから、それは抑止力は維持されたというふうに理解しております。

長島(昭)委員 今の御説明はわかるんですけれども、日本側からどういうプラスの貢献をしているんですか、抑止力の維持について。

 グアムに下がるときのアメリカ側の論理はよくわかりましたよ。しかし、日本として、さっき大臣は非常にうまい表現をされました、日米安保体制というものの信頼性そのものが相手に攻撃を思いとどまらせるアセットというか抑止力になっているんだ、こういう説明でもいいと思いますけれども、そういう場合に、では、どういう部分について日本は日米安保体制の信頼性を高め、そして、全体として抑止力の維持につながるような役割を果たしているんでしょうか。

久間国務大臣 日本の自衛隊と米軍の陸海空それぞれとのいろいろな連携が最近非常に密になってきておりますから、そういう点では、日本の自衛隊の能力といいますか、みずからを守る能力も向上しているということも踏まえながら、米海兵隊がグアムに行ってもいいということになっているわけです。

 やはり、一時的なそういうような減があったとしても、一時的というかこれから先減があったとしても、日本の自衛隊も米軍から見て日本の防衛のためには信頼に足りるというような判断があればこそ、その部分が移っていってもいいと判断したんだと思いますから、そういう点では、やはり日本の自衛隊の後押しといいますか、能力の拡大といいますか、そういうのがないといけないと思いますし、私は、最近のこの十年間の動きを見ていてそういうふうに感じられると思うわけであります。

長島(昭)委員 大臣、私は、これは実はこれからの課題に残されているんだろうというふうに思っているんです。

 というのは、日米合意の中で十五項目、先日、中谷委員も触れておられました。その中に幾つかあるんですよ。それは、例えば空中給油とか高速輸送船による海上輸送とか、これはまさにアメリカの打撃力を補強するものなんですね。こういう貢献が日本が仮にできれば、それは、さっき私が言った、一番中核的な概念である打撃力をまさに補完するという日本の努力につながるんだろう、こういうふうに思っています。これは実はこれからの課題なので、きちんとやっていかなきゃいけないと思います。

 それから、もう時間がなくなりましたけれども、八千人の沖縄駐留の海兵隊がグアムに移転をする、その後の空白をどうやって埋めるかという話。今ちょっと説明をされたように思いますけれども、例えば、今まで政府は、冷戦が終わった直後にも、もう冷戦が終わったんだから沖縄の海兵隊は要らないんじゃないかという議論が起こったときに、国際情勢の変化というものを見定めなきゃいけないんだ、見きわめなきゃいけないんだ、まだまだ不安定な国際情勢だということを理由に、これはもう減らすことができませんという説明をずっとしてきたんですね。

 今回、八千人という兵力を沖縄からグアムに移動させる、つまり、沖縄から見れば削減されるわけですね。何か状況の変化、今、日本の努力というお話も多少されましたけれども、国際環境の変化、そういう八千人のグアムからの移転を、削減を可能にするような国際情勢の変化というものがあったんでしょうか。

久間国務大臣 十年前、新ガイドラインをつくるときに、やはり沖縄の海兵隊は五千人なら五千人の規模で訓練をせぬといかぬから、そういう意味では今の一万八千人の体制は必要なんだということをあえて強調した私でございますから、それが現時点になって、八千人が向こうに移っていって、では一万人でいいのかというのは非常に答えにくい点もございますけれども、やはりその後の状況を見ておりますと、日米間のいろいろな連携が非常にスムーズにいってきている。

 我が国としても、私は、あのときにも、空中給油機を入れることについて最初はなかなか認めてもらえませんでしたが、一年後の、二年目の防衛庁長官のときにやっと予算上認めてもらってそれが入ってきて、そしてその後、空中給油の訓練等もやれるような状況になっていきましたので、やはりそういうこの十年間のいろいろな変化の中で、自衛隊に任せることによってかなりの部分がまたバックアップされる、そういう思いもあればこそ、八千人が移っていっても大丈夫だ、そういう判断にアメリカ自身もなったわけでしょうし、我々も、それなら沖縄の海兵隊を減らせるような、そういうタイミングになったというようなことで、今回の米軍再編に踏み切ったということであります。

長島(昭)委員 日本側の努力についてはもう一回改めて詳しく議論したいと思いますが、この空白を埋め合わせる努力というのはアメリカ側もこれまでしてきた実例があるんですね。

 例えば、九〇年、九一年の湾岸戦争のときには、在沖縄の海兵隊が二千人派遣されました。その後、予備役二千人を沖縄に持ってきて補充しています。それから、私、以前この委員会でも質問したことがあるんですけれども、二〇〇四年にやはり三千人規模で沖縄から行ったときに、これは空白はどうなんだと質問したら、それはグアムに空軍、海軍力を増強していますから、全体として抑止力は大丈夫なんです、こういう話をしています。

 しかし、今回は八千人ですからね。しかも、恒常的に今までいた、つまり、戦闘部隊というのは出たり入ったり出たり入ったりしている部隊ですけれども、司令部要員八千人というのは、ある種、目に見えて継続的に抑止力の中核を担っていたそういう部隊ですよ。その八千人をグアムに移動させるわけですから、相手と言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、抑止の対象になるような国や組織から見ると、やはりこれはかなり大きな穴があいているんです。

 ですから、遠藤委員も二十七日の質疑の中でこのことを深掘りして聞いておられますけれども、それに対して防衛大臣はこう答えているんです。米軍自身が判断したのは、これは日本の判断も言っていただきたいところなんですけれども、米軍自身が判断したのは、我が国を取り巻く環境その他からいって、司令部が移動しておっても、最近のいろいろな輸送体系あるいは通信、そういうようなことからして機能的には十分機能し得るという答弁をされているんですけれども、もしこれが本当であれば、では、陸軍はなぜ司令部を前へ出してくるんですか。

久間国務大臣 陸軍と海兵隊とは、若干アメリカの使い方が違うんじゃないかなという思いがします。これは私は専門家ではありませんからわかりませんが、日本におります米軍の陸軍というのは、どちらかというと今まで後方支援部隊で、輸送その他、そういうような部隊でありましたから、第一線の部隊でなかったわけです。そういう点で、もう少し、日本に司令部を持ってきておくことによって、そして、向こうはしかも師団単位ではなくて旅団ぐらいで機動的に動かせるような、陸軍はそういう動きをしている、そうすると、司令部を置いておくことによって、米国本土からいろいろとさっと動かせることができるというような判断をしたんだろうと思います。

 逆に、海兵隊の場合は、戦闘部隊といいますか、第一線部隊が行ってしまうということに対する不安がいまだに残っておって、司令部ならいいんじゃないか、そういうようなことを総合的に判断したんだろうと思います。

 米軍の判断でございますから私がそれに対してどうだこうだと言うことはできませんけれども、何か結果を見ておりまして、そういうような動きの中で、今度、海兵隊の第三機動展開部隊というんですか、その司令部をグアムに置いておってもいいというふうに判断し、また逆に、日本の今まで後方支援の部隊だけだったけれども、そういうような陸軍の使い方ではなくて、司令部機能を座間に持ってきて陸上自衛隊との関係をもっとよくしていった方がいいというふうな判断をしたんだろうと思っております。

長島(昭)委員 大臣、前回も私、かみついたんですけれども、米軍の判断あるいはアメリカの判断だ、そのようだと、何か他人事なのが、私本当に気になるんですよ。つまり、日本の安全を守るための重大な、抑止力の重要な一部分をアメリカが担っているんですよね。つまり、これは我が国の平和と安全にかかわる問題ですよね。つまり、防衛大臣として日本側はどう考えるかという話を、私はぜひこの委員会では伺いたいんですよ。だのに、今、司令部は、海兵隊についてはアメリカがこう説明した、陸軍についてはこう考えているから心配ない、私は、こういう議論はぜひ大臣にはしていただきたくないので、我々日本としてこういうふうに考えて、このことについては了としたというような御説明をぜひ今後していただきたい。そうしないと、もう納税者が納得しないというように思います。これが一点。

 それからもう一つ。これも遠藤委員の質問に答えて、これは大古局長の御答弁なんですけれども、グアムに移転した後も海兵隊として日本の防衛の任務は残るというふうに聞いておりますと。これも聞いておりますなんですよ。万が一のときに日本に駆けつけるような場合におきまして、やはり司令部要員ですと、重たい装備品がないということで、比較的早く移動できるとか、こういう話なんですけれども、もし装備品の重い軽いが問題であるならば、事前集積したらいいじゃないですか。装備の事前集積、ヨーロッパでもやっています、ディエゴガルシアにもあります、グアムにもあります。集積船という、それを洋上で運用する仕組みもあります。こういうものを沖縄に持ってくれば、戦闘部隊も含めて沖縄には海兵隊が張りついていなくても大丈夫な状況がもしかすると生まれるかもしれない、その点いかがですか。

久間国務大臣 重い軽いで、それで判断するだけじゃありませんで、やはり司令部というのは日本のもちろん安全保障のことを考えておりますけれども、それと同時に、もう少し司令部としては幅広くいろいろなことを考えるんだろうと思います。そういう点で、司令部はやはりグアムに置いておいて、この太平洋地域をいろいろな意味で司令部としては眺めておるといいますか、そういうような一面もそれはあるんだろうと思います。

 やはり、米軍の運用に関することでございますから、我が国の自衛隊の問題についてならばこうだああだということを断定的に言えるわけですけれども、こういうふうに聞いているとか、こういうふうな考えだろうと思われるとか、それはやむを得ない話だろうと思います。

 ただ、自衛隊と米軍との間では、さはさりながら、お互いが連絡をとり合って、どういう考え方で、いざというときはどういうふうに動くのか、それはやはり緊密に連携をとっていかなきゃならない、それは思っております。

長島(昭)委員 これは、米軍再編の議論の根本にかかわる問題なので、ぜひ日本政府としての主体性というものをきちんと発揮して、アメリカに対しては、言うべきときは言う、拒否すべきことは拒否するし、文句を言うときは文句を言う、しかし信頼に足るような、そういう同盟のパートナーとして自助努力をきちんとやっていく、そういう当たり前な同盟関係を築いていけるように、大臣にはリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案の審議ということでございます。

 当然のことながら、この法案を審議するに当たっては、その前提条件となっている米軍の再編問題についてしっかりと議論をしておかなければいけないということだろうと思います。特に、今回の米軍再編について言えば、将来にわたる我が国の安全保障政策、そのもとにおける日米安保条約、そして自衛隊の役割といったような重要な課題がやはりこの中に含まれているというふうに思いますので、しっかりと議論をしたいのではありますけれども、ほかに今回この法案について相当議論しなければいけないところがたくさんあるので、今回はちょっと省略をさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、私自身としてみれば、日本の将来、あるべき安全保障政策の方向性というものを考えたときには、やはりアジア地域の中において、相互にそれぞれ信頼関係を築き上げていく中で、アジア地域における地域的な安全保障というものを確立していくということが非常に重要ではないかというふうに思っております。

 いずれは、例えばEUの憲法条約の中でも考え方が盛り込まれているように、その域内ではお互いに武力行使をするような事態というのは想定しないでも済むような、そういう状況というのを北東アジアの地域でもつくり上げていくという方向性を考えたときには、今回の米軍再編、その中における在日米軍と自衛隊のあり方というものについては、私は方向性がちょっと逆の方向に向いているのではないかというふうに思って、心配はしております。

 ただ、今の国際情勢にかんがみたときに、すぐに私が考えているような方向性のものが実現できるとも思いませんので、この議論については中長期的な議論としてこれからも考えさせていただきたいというふうには思いますけれども、先ほど言いましたように、重要な法案の中身がいろいろありますものですから、きょうは省略をさせていただきたいというふうに思います。

 冒頭に、この法案についての私の率直な感想をまず述べさせていただきたいというふうに思います。

 私は、いろいろなところでも申し上げてはおりますけれども、今回の法案というのは、在日米軍基地を抱える地域の住民の間で亀裂を深めさせていくことにつながっていくような内容となっているということについて、大変危惧をしております。

 特に、私は在日米軍の岩国基地がある町で生まれ育った者の一人として、そういう地域が、こういう法案で、本当にお互いにけんかしなければいけないような状態になっていく、お互いに不信感を募らせていく、こんなことになることだけは何としても避けたい、何としても防ぎたいというのが正直な気持ちでございます。そういう気持ちを持って質問させていただくことをまず冒頭に申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 法案の中身に直接入る前に、周辺事情的な話として確認をしておきたいことが幾つかありますので、まずその点を聞かせていただきたいと思います。

 米軍再編の費用負担の問題であります。

 米軍再編に伴う費用というのはかなりの額があるんだろうと思います。一説には三兆円を超すとの政府試算があるというのが報道されたこともありますけれども、いまだに、政府の方としてはこれぐらいなんだということが、どうも私の方でははっきりと示されているというふうにちょっと理解していないものですから、この場で、米軍再編に伴う費用負担、その中で日本がどの程度の負担をするのかというようなこと、特に、今回の特措法案でいろいろな措置がまた講じられるということになるわけでありますけれども、そういう負担も含めて大体どれぐらいのものがかかるというふうに見込んでおられるのか、その点をまず最初にお聞かせいただきたいと思います。

久間国務大臣 これは、米軍再編で、例えば目玉になっておりますグアムへの移転にしましても、あるいはキャンプ・シュワブの、普天間基地の移転にしましても、なかなか全体設計がまだできていないわけでございまして、総額を示すことができないわけであります。

 あるいはまた、各地方自治体に対して交付金を出すことにしておりますけれども、今度の米軍再編に伴って負担が増加する市町村がどういう事業を考えるのか、そしてまた、それを受けて、県がどういうような事業を国に上げてくるのか、そういうことについてもこれから先決まっていきますので、米軍再編について幾らかかるのかと言われましても、私はその総額を示すことはできない。方向性を示す、そういう法律であり、そういう方向性についての今御論議をしていただいておる、そういうような点で御理解いただきたいと思うわけであります。

平岡委員 幾らかかるかわからないけれどもとりあえずは合意してほしい、その後ちびちびとやっていきますよ、こういうような話なのかもしれませんけれども、ちびちびとやっていく段階になったら、今度は、いや、それは総論として、方向性としてもう既に合意されている話ですから、それに基づいてやっているんですよ、こういう話になってくるわけですよね。

 我々としては、やはりこれは、今何千何百何十何億円とかいう細かいところまで明確に示せとは言えませんけれども、言えないだろうと思います、確かに言われるとおり、だけれども、大体これぐらいと。政府試算では三兆円という言葉も報道されたこともあるわけでありますから、二兆円から三兆円だとか、三兆円から五兆円だとか、大体それぐらいの規模はやはり示していただかなきゃいけないと思うんですよね。どうですか、大臣、どのぐらいの感じを考えておられますか。

久間国務大臣 グアムへの移転につきましては、やはりアメリカの方も、日本はどこまで出すんだというようなこともありますから、これは、上限としてはこれぐらいは真水として出しますよというようなことについて、あるいはまた、融資も含めて百二億ドル、これぐらいはかかりますよということは、やはり国と国との関係でございますから、言っているわけでございますけれども、これとても、ではそんなにかかるのか、そういうような意見がございます。

 先般も予算委員会でいろいろな比較をされまして、住宅建設にしても少し高過ぎるんじゃないか、少しじゃなくてかなり高過ぎるんじゃないかというような指摘もあっているわけでございますから、これから調査費を組んで、いろいろな設計をやっていって、アメリカにおける建設のコストが実際どうなのか、それをハワイの場合はどうなのか、グアムだったらどうなのか、そういうことについて精査して積算したいと思っておりますので、そういう点で、なかなか金額は出せない。

 三兆円というのもひとり歩きしておりまして、ローレスさんが三兆円と言ったときに、私が、あなた、あれは何で三兆円という数字を言ったのかと言ったら、いや、アメリカの議会に対しても何か言わぬといかぬですからね、もう大まかに言ったんですよということだったものだから。

 とにかく、米軍再編といっても、いろいろな意味で、例えば嘉手納以南の土地が返還された場合でも、そこの住宅を全部取り払ってきれいにして……(平岡委員「ちょっと答弁長いので、短くお願いします」と呼ぶ)そういうことについても考えますと、トータルとしての積算は、本当に、正直言って、できないわけであります。

平岡委員 トータルとしての積算ができないんだったら、我々もトータルとして、今回の法案についても判断ができないと言わざるを得ないですよね。だから、トータルのものが大体どれぐらいかとやはりちゃんと示すべきだと私は主張したいと思います。

 特に、予算委員会で何かいろいろ言われたと言われていますけれども、やはりこういう問題は、しっかりとまず最初に全体像を示して、不退転の決意でこれをやるんだということを示す、それが安倍内閣の、闘う政治家としての内閣じゃないかと私は思うんですよね。

 それを、今何か、何ぼかわからぬ、幾らになるかわからぬというようなことで、ぐどぐどぐどぐど言って、とりあえずこの法案を通してもらったら、それで後は好き勝手にやるんだ、そういうようなやり方になるとしたら、これは言語道断だと私は思いますね。

久間国務大臣 そこはちょっと考え方が違うんじゃないかと思います。

 数字がそういうふうにできないけれども、こういう形で米軍再編をやっていく。そのときに、我が国としてはこういう形で地元に対しては助成をしますよ、グアムに対してはこうしますよ、あるいはそういうことを方向として示して、これでやりますという姿勢を示しているわけでありますから、その姿勢がけしからぬというならともかく、姿勢はいいけれども、金額がわからぬからそういう姿勢をとること自体がおかしいというふうに言われますと、金額が決まるまではこういうのを出せないということになるわけですから、それはやはり私は逆じゃないか。こういう姿勢でいきますよ、そしてそれについては予算はこれから先積算していきますということで、そしてそのときに、予算について高い安いというのはまた議論していただくということになるんじゃないかと思います。

平岡委員 いや、大臣、私は何も何千何百何十何億円ぐらいかかるとか、そんな細かいことまで出せと今言っているんじゃないんですよね。三兆円ぐらいだとか五兆円ぐらいだとか、それぐらいのところで、大体このぐらいかかるんですよという話をまず示すべきではないか。そうしないと、幾らかかるかわかりませんということだけで、枠組みの方を先につくってくださいというのは、これは闘う政治家としての安倍内閣の姿勢としては不十分だと私は思いますね。

 これは、押し問答して時間をとっていても仕方ないので、私はそれはおかしいと。だから、ある程度の概略な数字でも結構でありますから示していただきたいということを私は強く要望したいというふうに思います。

 次に、米軍再編に伴う費用というものについては、日本側とアメリカ側が負担するということが、当然グアムのケースなんかでもあるわけでありますし、また、日本の中で行われる場合でも何かあるのかもしれません。

 まず、グアムの話というふうに特定しないで、一般的な考え方で結構でございますけれども、米軍再編に伴う費用について、日本側が負担するあるいはアメリカが負担する、その負担の考え方というものについてはどういうものなのかということをちょっと教えていただきたいと思います。

久間国務大臣 日本国内での移転については、これは、施設の整備等については日本側が負担することになろうかと思います。

 ただ、移転に伴います運用の経費についてはそれぞれが負担するわけでございますけれども、日本側の主張で、例えば嘉手納なら嘉手納の共同訓練を日本本土内でやってもらうというような、そういうことに伴います場合には、それぞれをアメリカと決めながらやっていくという形になろうかと思います。

平岡委員 今、国内はということで国内の話をされたので、国外についても基本的な考え方があるのであろうと思いますけれども、国外といえば多分、グアムへの移転の話しかないだろうと思いますので、グアムの話にちょっと。

 では、グアムについては、どういう考え方に基づいて費用負担というのが考えられていくのかという点についてお話しいただきたいと思います。

久間国務大臣 グアムにつきましては、米軍の海兵隊を沖縄から向こうに移ってもらうということで我々も主張して、そのとおりになるわけでございますから、海兵隊の移動に伴います分については日本も応分の負担をするわけであります。

 そして、それを、全体としてどのぐらいかかるかということで、大ざっぱに言いまして百二億ドルですか、それぐらいが上限として考えられる。そのうち日本とアメリカがどれだけ持つかということで、日本側は六十億ドルぐらいを負担しよう。しかしながら、そのうちのいわゆる家族住宅といいますか住宅については、あるいはインフラの整備については回収可能であるから、これは融資でやろう。そうしますと、二十八・八億ドルですか、二十九億ドル弱が日本の真水としてこれはやろう。それは何かというと、司令部の建物とかあるいはまた隊舎とか、こういうような融資になじまないものについては、これはまた真水で出そう、そういうようなことで大まかな分担を決めているところであります。

平岡委員 今、交渉した結果としての話をされたので、私はその原則を聞いたんですね。日本側の費用負担というのはどういう原則に基づいて行われているんでしょうか。どういう考え方に基づいて行われているんでしょうか。何かそのお考え方、あるんでしょうか。

大古政府参考人 沖縄におります海兵隊が八千人グアムに行くに当たって、庁舎とか隊舎が必要でございますので、その部分。それから、九千人の家族についても、家族住宅についてはグアムに建設するということでございますけれども、これに関連して、住宅については、家賃収入その他で回収が可能なので、これについては融資で行う。それから、直接沖縄から移転するに当たって、隊舎、庁舎はすぐに必要になりますので、その部分については融資という方法で回収を図る仕組みがございませんので、これらについては、いわゆる真水としての財政支出二十八億ドルということで日米間で合意した経緯がございます。

平岡委員 今のは、逆に言うと、日本側が費用負担をすることになったものについて、どういうふうな形でやるのか、真水でやるのか、融資でやるのかというその仕分けの考え方であって、私が聞いているのはその前の段階の話ですよ。全体としての費用というのがあって、そのうち日本側が費用負担するというものは、どういう基準で、どういうものについて費用負担するという考え方に基づいてしているのかと。

 だから、逆に言えば、さっき言った住宅の話だって、回収が可能なものについては日本側が負担をする、それは、なぜならば、融資という方式で可能であるから、それは日本側が負担するんです、だから、回収が可能なものについては日本側が負担するという結果として住宅については日本が負担するんだという説明ならわかるんだけれども、逆ですよね。

 だから、私が言っているのは、もっと基本的な、日本とアメリカの費用負担の考え方、どういう基準で分けているのか、ここをちょっと答弁してください。

大古政府参考人 お答えいたします。

 今回グアムに海兵隊が移転するに当たって、日本政府の要請により米側が応じたという経緯がございます。国内移転のような場合については、日本政府が基本的にその建設費等を払うという仕組みになっておりますけれども、グアムに行くに当たって、海兵隊の部隊の勤務環境それから家族住宅のような生活環境、これに直接必要なものについては、日本政府としても一定の財政負担をしようということで考えたところでございます。

 ただ、他方、海兵隊が移転するに当たって、いろいろ作戦運用施設とかもあるかと思いますけれども、それについては米側が独自に負担するということになったところでございます。

平岡委員 ちょっと今のは、生活環境については日本側の負担と言われましたけれども、司令部庁舎とか隊舎というのは、これはどういう位置づけになるんですか。

大古政府参考人 沖縄にいる部隊がグアムに行くに当たって、勤務環境上、直接必要なものという理解でございます。

平岡委員 その是非はまたちょっと議論させていただきたいと思いますけれども、そういう考え方でやったんだというのを、ちゃんと資料でまたいただきたいと思います、考え方ですね、基準。

 それで、さらに言うと、これは、結果としては先ほど久間大臣が言われたような費用負担になっているわけでありますけれども、今回、そのうちの融資とか出資の分については何か法的根拠を与えようということでこういうのができましたね。ただ、財政支出そのもの、真水の支出、これ自体は一体どういう法的根拠を持っているんですか。

 これは、私の理解でいけば、つくったものは、要するに日本政府が日本の国有財産として保有されるのか、それともアメリカの国有財産になるのか、その辺のところはよくわかりませんけれども、常識的に言えばアメリカの国有財産かな。となると、日本はアメリカの国有財産になるようなものを日本の国費でつくってあげる、こんなものは、私は法律的な根拠がなければできないんじゃないかというふうに思うんですよね。そういう意味でいくと、特に、今回の法案は別にして、真水でこれを負担するという法的根拠はどこにあるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。

大古政府参考人 ODAなどにつきましても、必ずしも法律の根拠がある場合だけではなく、予算措置で実施しているというふうに認識しておりますけれども、今回のグアム移転に関連いたしましては、このような経費を日本が分担することについて、財政法等では明示的に禁ずる規定はないというふうに理解しているところでございます。

平岡委員 これはODAですか。アメリカに対するODA、政府開発援助として支出するという位置づけですか。

大古政府参考人 これはもちろん、ODAという性格のものではございませんけれども、今私が答弁しましたのは、常に予算上の支出について法的な根拠が明確にあるものだけではないので、その一例としてODAを例示したものでございます。

平岡委員 私は、この真水で支出する分についてもぜひ法的根拠を明確にしてやるべきだというふうに思いますね。予算で計上したからそれでいいんだという考え方じゃないと思います、これは。つくったものはアメリカの国有財産になる、そういうものを我が国の真水、税金でつくってさしあげるわけです。それを、ただ単に予算で計上したからそれでいいということじゃないと思いますね。大臣、どうお考えになりますか。

久間国務大臣 これはもう、財政法については先生の方が専門家でありますから、そういう外国に日本が全額出してつくるということは、今までだってあったわけでありますし、ODAに限らずそういうことはあるわけでありますから、それは、その予算を国会で審議して認めていただければそれは出せるという現在の法の仕組みじゃないでしょうか。

平岡委員 久間大臣もそういうお立場に立っているから今の話かもしれませんけれども、自民党総務会長時代に、アメリカの領土に日本の税金で米軍住宅を、まあ、これは米軍住宅じゃ今度はなくなりましたけれども、真水部分は例えば隊舎とか学校等生活関連施設なんかになりましたけれども、米軍住宅を建設して、米国の国有財産にするのはおかしいと強く批判をしているというふうに報道されていますよね。考え方、変わったんですか。

久間国務大臣 私は、米軍住宅については、それがやはり個人で使用されるんだから融資でいいんじゃないかということを言ったわけでありまして、隊舎とか教場とかこういうものについては、言うなれば日本にあったものが向こうに移っていきますので、移っていくのに伴って向こうに必要となる施設について、どっちがそれを負担するか。アメリカのものだからアメリカが負担するということになるのか、あるいはまた、こちらから移っていったために、それによって生じた必要なものであるから日本側がやはり負担するんじゃないかというようなことで考えますと、例えば、厚木にあるのを岩国に移した場合には、それは日本が負担しているわけでありまして、それと同じように、今度は沖縄にあるのを向こうに移すために必要になったということを出すわけですから、それは可能だと思います。

 ただ、個人住宅について、未来永劫にずっとそれが、個人として使われることになるので、そこについてはどうなのかなという思いがありましたので、幸いにそれは融資という形でやっておりますから、それはそれの整理の仕方としてよかったんじゃないかなと思っております。

平岡委員 米軍住宅は個人として使われる、それは当たり前ですけれども、例えば国家公務員宿舎、これも別に、住宅として使われていますけれども、日本の国有財産ですよね。当然そこは、国家公務員が勤務をするために使わなければいけないという意味においては、司令部であろうが学校等の生活関連施設であろうが、私は、性格的には全く変わらないと思いますね。そういう意味においては、私はちょっと、久間大臣が今説明された話は決して納得できる話ではないというふうに思いますけれども、この議論ばかりしていても、時間が余りないので、もう一つこの関係で明確にしておきたいと思うんです。

 先日、防衛省の方から説明資料をいただきまして、何でグアムの費用を日本が負担するんだというような問題について、こういうふうに、わざわざ線を引っ張って強調してあるんですね。「今回は海外に移転しますが、海兵隊の任務には依然として我が国の防衛が入っています。」こう書いてあるんですよ。日米安保条約のもとで我が国に対する防衛義務を負っているのは在日米軍だけであって、例えば、今までグアムにいるような米軍が日本を防衛する義務がないという形で日米安保条約はできているのかなというふうに私はちょっと不思議に思ったんですけれども、私の理解というのはおかしいんですか。

久間国務大臣 いや、むしろその言い方の方がちょっと私は気になるわけで、説明資料の方ですね。

 要するに、沖縄にある分を、こちらからお願いして向こうに移ってもらうので、それに伴って必要な経費については我が国として応分の負担をせぬといかぬのじゃないかと。そのうちどういうふうな負担をするかというのは、する以上は相手と決めるわけですけれども、相手は、来るために、いろいろなことはあるけれども、この分についてはそちらで持ってくれよ、おたくの方から移転ということで話があるんだからということで、そういうふうに絞り込んで、真水の部分については決めたんだというふうに思いますので、向こうにあって、日本の防衛のためにやっているんだから日本で負担せよという理屈ではないと思います、それは。

平岡委員 まさに、私は久間大臣の感覚が正しいと思いますね。条約上の解釈としても正しいと私は思いますね。

 そういうことを、こういうような防衛省が出した資料に基づけば、アメリカ軍は、別にどこのアメリカ軍はどういう義務を負っているかというのは条約上は区別されていないわけでありますから、アメリカ軍が日米安保条約のもとで日本を防衛する義務があるのであれば、あらゆるものを日本が負担しなければいけない、ある意味では根拠になってしまう、そんな非常に変な話になってしまいますね。私は、ある意味では、国民に対して虚偽の説明をすることにもなりかねない話なので、ちょっとこれは、説明の仕方としては十分に注意をしてほしいと言っているのだけれども、おかしいんじゃないかということで、抗議を申し上げたいと思います。

 時間がないので、いいです。いやいや、説明はもう要らない。本当に時間がないので、ごめんなさい。

 今回の米軍再編についていえば、抑止力の維持ということと地元負担の軽減ということで、先ほど抑止力の維持についてはいろいろ議論がありましたけれども、地元負担の軽減ということ。考えてみると、この地元負担の軽減というのは、既存の基地があるところについて、今非常に負担が大きいからそれを軽減していきましょうということですよね。違うんですか。

久間国務大臣 それは、そういうことであります。

平岡委員 しかしながら、そういう考え方に基づいてやっても、今度、例えば名護市の話であるとかあるいは岩国市の話であるとか、政府の説明によれば、国全体としては負担は軽減されたけれども、地域によっては負担が大きくなってしまったところがある、こういうような話ですね。その負担が大きくなってしまったと思われるところに対して、何らかの措置を講じていこうというのが今回の特別措置法案であるというふうな理解でいいのでしょうか。

久間国務大臣 負担が大きくなったから何らかの措置を講ずるんじゃなくて、負担が大きくなるにもかかわらず米軍再編に協力していただく、そういうような市町村に対しては何らかの負担をやはり国としてすべきではないか、そういう考え方であります。

平岡委員 今のあれは、私は物すごく気になりますね。では、協力をしないということならば、こういうものについては何も支援もしないけれども、協力しないということなら、わかりました、ではあきらめて別のところを考えます、こういう理解でいいですか。

久間国務大臣 別のところを考えるかどうかは別としまして、米軍の再編を円滑に行うために、今度のこの法律で国としては応分の負担をしようというようなことを決めているわけであります。

平岡委員 それでは、それをどういうところに対してやるんですか。どういうところに対してそういう支援をするんですか。

久間国務大臣 米軍の再編を、国全体の立場として、うちの方は負担がふえるけれどもやむを得ない、しかしながら、うちとしても、こういうような事業を行うことによってそういう痛みを幾らかでも和らげよう、そういうようなことを考える市町村があるならば、そういう市町村に対して負担をしていこうということであります。

平岡委員 私は、負担がふえるところに対して、ふえるということに見合った支援をしていく、援助をしていく、補てんをしていく、そういう考え方がやはり基本だと思いますね。

 だから、受けるのなら出すけれども、受けないなら出さないとかという話になったら、では、受けなければ来ないんだな、要するに、米軍再編に伴う負担の増加というのはそもそも来ないんですねということで、私はそれでまたぐちゃぐちゃになってしまうような気がするんですね。この話は、後でもっと個別に議論をしていきたいというふうに思いますので、とりあえずおいておいて。

 それで、地域の、地元負担の軽減の中で、軽減という考え方のもとで米軍再編が行われているわけですけれども、地域的には負担が増加しているところもある、それに対しては何らかの措置を講じていく、大まかに言えばそんな仕組みの中で、負担の軽減というものとしてはどんなものを考えておられるんでしょうか。

久間国務大臣 いろいろなことがあろうかと思いますけれども、一番はっきりするのは、やはり騒音あたりが一番はっきりするんじゃないでしょうか。それ以外でも、個別には、議論するといろいろな問題があろうかと思います。

平岡委員 いや、私が言ったのは、負担というのはどういうものを考えるかじゃなくて、負担の増加、影響の増加に対して、それを救済していくというか、補てんしていくというか、何らかの措置を講じていくという、その措置としてはどういうものが考えられるんでしょうかと。今回の特別措置法案の書いてあることも多分そうだろうと思いますけれども、今回の特別措置法案に書いてあることでおしまいなんでしょうか、それとも、それ以外のものが何かあるんでしょうかということを聞いているんです。地元負担が増加するところについて、トータルに政府としてはどんなことを考えているのか。その話として、この法案以外に、法案はこれから議論しますから、法案以外に何か考えていることはあるんですか。

久間国務大臣 これはあくまで円滑に行うために、市町村がいろいろ計画を立てる場合の、それを対象にするということでございまして、この法案以外のものについては、少なくとも、我々の念頭には今のところないわけであります。

北原政府参考人 大臣の御答弁に補足をさせていただきます。

 本法案については、大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。それから、これまで、この国会で御理解をいただいて成立しております、いわゆる防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律などが既に施行されております。

 したがいまして、私どもといたしましては、防衛施設の設置、運用で生じます障害の防止、軽減などを図るために、障害防止工事の助成ですとか、住宅防音工事の助成、あるいは民生安定施設の助成などをその法律に基づいて実施してきているところでございますので、我々といたしましては、この法律に基づき、適切に対応していくことになると思っております。

平岡委員 ちょっと地元的な話になって恐縮ではありますけれども、地域的にいうと、例えば岩国なんかでいけば民間空港としても使いたいという要望があって、これが認められるか認められないかというのは、例えば受け入れなければ認められないのじゃないかと。つまり、これは地元負担の増加に対する見返り措置である、そういうふうに主張している人たちもいるわけでありますけれども、例えば岩国基地の民間空港共用というのは決してそういう、影響が増加することに伴う見返り措置として考えているものではないというふうに理解していいんですか。

久間国務大臣 これは見返り措置じゃないわけであります。しかしながら、国として、これを認めてもらえば、民間空港として使うかどうかというのは、一つにはやはり民間会社、航空会社等が積極的に乗り入れをするかどうかもございますから、そういうときに地元の市と一緒になってそれをバックアップする、そういうことはございますけれども、これは、法的効果じゃなくてまた別のサイドからの配慮になるんじゃないかなと思っております。

平岡委員 別の配慮というのがどういうものなのかというのはちょっとわかりにくいところもありますけれども、そこはちょっときょうは、余談的な話なのでとりあえずおいておいて、時間がないので法案の中身について入っていきたいというふうに思います。

 この法案について、私は、大きな問題の一つというのは、この法律によって政府に与えられる権限というのが余りにも白紙委任的になっている、政府のさじかげんで幾らでも意地悪もできれば頭をなでることもできる、こういうことになってしまっているというふうに思います。

 例えば、この法律の中には政令委任規定が物すごくあります。政令委任規定については、我々の党の部門会議でも、政令委任の中身がどんなものになるのか、法案審議が始まるまでにちゃんと出してくれ、そうしないとこんな白紙委任的な法案では審議できないというふうに申し上げてきたわけであります。いまだに提出されていないということで、大臣、この点についてちゃんと、法案審議を今やっている最中でありますけれども、すぐに出して、この法案審議のために使えるようにしていただきたいと思いますけれども、どうですか。

久間国務大臣 この法律は、原子力発電なんかの場合の、電源立地のときの法律を大体参考にしながらつくっておりまして、あの法律でも我々のこの法律と同じように政令委任になっておりまして、だから、そういう点では、白紙委任と言いますけれども、ある程度のいろいろな基準というのは示しておりますが、そういうことで、従来の法律とそんなに変わるわけではございません。特別にこれが白紙委任のための法律だというふうに言われますと、いや、従来もそういう形で、参考にした法律もそうなっておりますということを申し上げる次第であります。

平岡委員 私の質問に答えていないので、私は、政令委任がどういう中身になっているのかというのを出してくれと言っているんですよ。それは出せないんですか。政令委任をしている中で、どういうことが政令に書かれるのかということを至急出してくれ、法案審議のために出してくれと言っているんですよ。その質問に対しては答えていない。

 ちなみに言うと、原子力発電なんかの電源立地のときの政令委任というのは、例えばその原子力発電を受け入れるか受け入れないかというのは、ある意味ではその地域が判断できる仕組みになっているんですよ。判断できるから、地方自治体はお互いの交渉の中で、受け入れましょう、受け入れないことにしましょうとやるから、ある程度、政府は白紙委任されていると言われているかもしれませんけれども、交渉の過程の中ではそれぞれ意見が反映される。

 今回のは違うんでしょう。もう政府が閣議決定した以上は絶対にやるんだ、絶対にやるという中で白紙委任されてしまう、これはおかしいでしょう。受け入れるか受け入れないかの自由があるなら、白紙委任されていても交渉の過程の中である程度はコントロールがきくけれども、これはもう交渉の余地なんかないんだというのが政府の姿勢じゃないですか。私は、そういう中で白紙委任的になっているのはおかしいというふうに言っているんですよ。だから、大臣の理解はちょっと間違っている。これは原子力発電なんかの電源立地の話とは全く違うんだということをまず認識してほしいと思います。

 それはともかくとして、大臣に私が聞いたのは、政令委任されている事項について、政令の中身がどういうものになるのか、これを国会の審議のために、審議をする前の、審議の前提としてちゃんと出してほしいということを言っているんです。この質問に対して答えてください。

大古政府参考人 政令につきましては、法案の成立後三カ月を超えない範囲で政令で定める日から施行しますので、その施行に合わせて具体的に政令をつくっていきたいと思っております。

 ただ、御審議の過程でなるべく、どういうふうな考えで政令をつくるかということは説明していきたいと思いますし、先生御要望の、政令で委任しているところについてどういう考えで政令をつくっていくかということについては、可能な範囲で御提出したいと思っております。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

平岡委員 可能な範囲で提出されるものがどんな中身なのかというのは、ちょっと見てみなければ、我々としてそれでこの法案の審議に十分なものであるかどうかというのはわかりません。

 確かに、言われるように、法律ができ上がってからでないとできない部分も技術的にはあるだろうと思うんです。しかし、基本的な部分は今なければ、本当に先ほど言った、政府に白紙委任するという話になってしまうわけですから、そこは、基本的な考え方はしっかりと示していただきたい。まずその資料を出していただいた上で議論をさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、ちょっと法案の中身に入ったときに、これは非常にたくさんの概念が出てきて、今いろいろ抽象的に説明をしてあるんですね。例えば、私がこの法案の中での再編関連特定防衛施設として指定される可能性のあり得るものを示してほしいというのを質問主意書で出したんですよ。そうしたら、返ってきた答えがありますけれども、返ってきた答えというのは、何か条文をそのままひっくり返して、こういうものが再編関連特定防衛施設であるという定義規定をそのまま質問主意書の回答でよこしてきて、こんなのは本当に私から見たら失礼千万ですよ。

 私が聞きたいのは、こういう定義規定に基づいてつくられた再編関連特定防衛施設というものとして指定される可能性のある具体的なものを示してくれと言っているんです。どういうものが、どういうところが指定されますか。答えてください。

大古政府参考人 お答えいたします。

 実際の再編関連特定防衛施設の指定につきましては、法案成立後、防衛大臣が関係機関の長との協議を経て指定することになりますので、現段階で確定的にはお答えできないということはまず御理解いただきたいと思います。

 ただ、例えば指定の要件として……(平岡委員「指定の要件は要らない」と呼ぶ)指定の要件もございますので、例えば、普天間飛行場代替施設が建設されることとなるキャンプ・シュワブとか、原子力空母への交代が行われる横須賀海軍施設などはこのような、住民生活に及ぼす影響の増加が大きい、こういうふうには認識しているところでございます。

平岡委員 シュワブの話はされましたけれども、私、ほかにもいろいろあるんだろうと思うんですね。

 だってこれは、再編関連特定防衛施設というのは何なのかと書いてあるのは、「駐留軍等の再編として、駐留軍若しくは自衛隊の部隊若しくは機関の編成が変更され、又はそれらが新たに配置されること。」こんなものはもう既に決まっているわけですね。「駐留軍等の再編として、他の防衛施設に所在する駐留軍又は自衛隊の部隊又は機関が訓練のために新たに使用すること。」これも決まっているわけですね、中身は。それで、最後に加わっているのが、そういう事由によって「その周辺地域における住民の生活の安定に及ぼす影響の増加に配慮することが必要と認められるもの」。ここがある意味では判断の余地があるけれども、こんなものは、影響の増加が出てくる可能性があるところとないところといったら、そんなのわかるじゃないですか。わからないで今やっているんですか。

 そういう意味では、これの定義規定に基づいて、こういうところが可能性がある、指定されるかどうかというのは、最後、この法律に基づいて指定するわけですから、その指定するときにちゃんと決めてもらえばいいんですけれども、指定される可能性としてはこんなものがあるんだということがどうして今示せないんですか。

大古政府参考人 この特定防衛施設につきましては、まさに今回の法案でお願いしていますように、法律上の手続を経て決めるものになってございます。そのものについて、ここが候補だとかそういうことは、現段階でお答えするのは困難であるということでまた御理解いただきたいんですけれども……(平岡委員「いやいや、これは理解できない。ちょっと大臣、大臣」と呼ぶ)

久間国務大臣 先ほど例として挙げました岩国の飛行場とか、あるいはキャンプ・シュワブの今度移設されますいろいろなもの、これは割とわかりやすいんですけれども、それ以外にも、いろいろ付随して、ほかの地区で米軍再編に関連して移っていくものがやはりあるんじゃないかというようなことから、こういうような形でそれを政令で必要に応じて定めていこうというようなことでございますので、大きく言ったら、今みたいな例として、イメージとしてはそれを考えていただいて結構だと思いますけれども。

平岡委員 大臣、ちょっと申しわけないんですけれども、本当に、これは物すごく隠しているんじゃないかというふうな疑いを持たれるんですよ、今のような答弁をされると。

 私は、これは客観的に、大分決まっているものが既にあって、例えばこういうもの、だけれども、最後に指定するという行為がありますから、指定されるまでは決まったものだとは私も思いません。だけれども、大体これぐらいの範囲の中で考えられていくんだ、場合によってはそれ以外のものが入ってくる可能性もあるという前提ではあったとしても、今、大体考えられるものとしてはこんなものがあり得るんですよということがどうして示せないのか。そんなに難しい話じゃないんだと思いますよ。何か隠したいことがあるんですか。

久間国務大臣 別に隠すわけじゃございませんけれども、先生にいつかもお答えしましたが、例えばNLPをどこでやるかなんというのは、二〇〇九年の七月に候補地を出すことになっておりまして、こういうものは関連施設になってくるわけでありますけれども、そういうものについては、その時点にならないと決まらないという点もございます。

 そのほかにも、いろいろ、やはり今の段階ではなかなか言えないようなことだって、まだ候補地として決まっていないようなこともあるかもしれませんので、そういう点では、なかなか網羅できないというのもぜひ御理解賜りたいと思います。

平岡委員 何も私は、全部網羅してくれ、一つも漏れちゃいけませんとか、これから一つもふえてはいけませんとか、そんなことを言っているんじゃないんですよね。今現時点で考えられる、この法律の対象となる可能性のある、いろいろなこういう、再編関連特定防衛施設であるとか、あるいは再編関連特定周辺市町村であるとか、あるいは再編関連振興特別地域であるとか、こういうところとしての可能性がある、こんなところが今可能性としては現時点では考えられますよというものをどうして出せないのかということを言っているんです。出せるんじゃないですか。

久間国務大臣 だから、最後の方で、そういうふうに、今度の再編に伴う防衛関連施設であって、住民の負担の増につながるものということでかなりの部分が読めていけるわけでありますから、そこでやはり指定すればいいわけでしょうから、だから、決まった段階で指定していけばいいんじゃないかと思って、かなりいろいろな読み方が、住民に迷惑かけるなというような、そういうものについては指定できることになっておりますので、そこでかなりのことをカバーできるようにしてやる、そういうふうに理解していただいた方がいいと思います。

平岡委員 ここで押し問答していても仕方がないので、私、これは出せるはずですから、出していただくことを要請したいと思います。委員会として出してもらうように要請すること、委員長、よろしいでしょうか。

寺田(稔)委員長代理 理事会にて協議いたします。

平岡委員 本当に今までの審議を通じて思うんですけれども、何か隠そう隠そうと。つまり、政令の話でも、すべて、政府は勝手に物事がこれからできるようにしよう、国会のコントロールが及ばないように自分たちだけでやろうというような、そういう姿勢が感じられて、私はすごく嫌な感じがしますね。その嫌な感じがする一つの典型的なのが、再編交付金ですよね、再編交付金。

 再編交付金については第六条に規定されておりますけれども、この再編交付金については、大体、総額どのぐらいのものをどういうところに出していくというふうに考えておられるのか、この点をまずお聞かせいただきたいと思います。

大古政府参考人 その点についても、法案成立後、関連の政令等をつくる段階で検討しますし、省内にも省令等で基準はつくりたいと思っていますけれども、そういう中で、全体として幾らぐらいになるかとかということになりますならば、ちょっと現時点でお答えはできないということを御理解賜りたいと思います。

平岡委員 今の答弁、ちょっとひどいじゃないですか、政令をつくる段階で決めていきたいと。政令をつくる段階で全額はどのぐらいかというのがわかるけれども、今はわかりませんということですか。何かちょっとひどい答弁だぞ、それは今。

大古政府参考人 恐縮でございますが、政令をつくる段階で、省令等でも、このぐらいの負担があればこの程度の金額だというような基準をつくっていきたいということでございます。

平岡委員 なぜ今できないんですか。政令をつくる段階ではできて、なぜ今そういう基準というものをある程度示せないんですか。

大古政府参考人 基本的には、法的根拠があって基準を我々はつくりますので、一定の勉強はしておりますけれども、現段階で責任持ってその点についてはお示しできないということでございます。

平岡委員 大臣、これは大臣が答えてください。この法律は公布されたらどれぐらい後に施行されるんですか、大臣、答えてください。

久間国務大臣 三カ月以内に政令で定める日から施行することになっております。

平岡委員 三カ月以内に施行するというときには、政令はできているんですよね。三カ月たてばできる話が、今この法案の重要な法案審議をするときに示せないというのはおかしいじゃないですか。そんな法案審議というのはやはり国会軽視ですよ。どうですか。

 こんな話は局長に答えてもらう話じゃない。国会軽視をしているという、これは省全体の問題ですよ、政府全体の問題ですよ。大臣、どうですか。

久間国務大臣 この法律が通って、どの市町村がその対象になるのか、その市町村がどういう事業を行おうとしているのか、そういうことをやはり調べていかなきゃなりませんから。

 それで、上がってきたのをその都度政令で加えるという手もあろうかと思いますので、その時点ではっきりしていればそれですけれども、それ以外の市町村からも、恐らく市町村からすぐには出てこないんじゃないかと私は思うんです。だから、法律が施行されても、その後、やはり市町村からいろいろな事業が上がってくる、あるいはまた、それを受けて県を通じてまた事業として上がってくる、そういう中からいろいろ指定していくことになろうかと思いますので、法律の施行後直ちに、市町村名を初めとして、すぐ事業名までが出てくるということではございませんので、金額については、そう簡単には決まっていかないんじゃないかなと思っております。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

平岡委員 大臣、金額が決まるとかいう話をされましたけれども、ちょっと話がかみ合っていないと思うんですね。それは、ことしの、来年度予算の五十一億についてどこにどうやるかという話は確かにそうなんですよ。私が聞いているのは、総額どのぐらいの再編交付金というものを考え、どういうところに交付するというふうに考えておられるのか、そのことを聞いているんですよ。

 もうちょっと議論がかみ合うように答弁してもらわないと、時間がもったいないじゃないですか、本当に。

久間国務大臣 本当にわからない点が多いものですから、それでかみ合わないわけでありまして、総額が幾らになるかというのは、その市町村なりなんなりがどういう事業を考えるか、そういうこととの絡みもありまして、これから先総額が幾らになるかというのは、本当に今の時点ではわからないわけでありますので、正直に、わからないものですからそういう答えをしているわけであります。

平岡委員 交付先もわからない、どれだけの金額になるかもわからない、そういうことで、とにかくこの法律を通してくれというような姿勢というのは、ちょっと我々は国会としてなかなか承服できない気がしますね。ちょっとまた、これは時間がかかってしまうのであれですけれども。

 そこで、この法案第六条のところには、再編交付金について言えば、進捗状況及びその実施から経過した期間に応じ交付されるんだというような規定があって、その進捗状況の一つに、防衛省からの説明によると、再編、つまり政府案を受け入れた場合が第一段階であるというふうに説明をされているようですけれども、それは、政令でそういうことを書くということがもう決まっているということですか、どうなんですか。

大古政府参考人 現時点で政令で書くことが決まっているということではございませんけれども、この交付金の執行に当たって、やはり地元からの受け入れがない段階で交付金を交付することは困難であるということで考えておりまして、そういう意味では、進捗状況に応じて交付するという意味で、第一段階としては、地元の市町村長さんなりの受け入れ表明があるということを要件と考えたいと思っているところでございます。

平岡委員 多分それも、六条の「政令で定めるところにより、」という、政令で定められるのだと思いますけれども、先ほど、提出していただく政令の内容の事項について、ちゃんとそれを説明した資料を出してください。

 それを前提に、では、地元市町村の受け入れ表明、具体的には何を指すんですか。

 例えば、私個人でいえば、岩国の厚木からの空母艦載機については、受け入れはあくまでも反対です。しかし、我が国は法治国家でありますから、私が反対だからといって、非合法な手段によってこれを防止するということは、私は多分できないだろうなと思っています。そういう意味では、反対のための姿勢は貫くけれども、あくまでもそれは合法的な範囲内でしかありません。

 これは、受け入れの表明になるんですか、ならないんですか。

久間国務大臣 これは、首長さんが受け入れの表明をしてもらうのが一番手っ取り早い話でございます。しかし、そういうような表明をされない場合であっても、その市議会がいろいろな決議をするとか、あるいはまた一定の請願を採択するとか、そしてまた、事実上いろいろなそういうものを受け入れたと思われるような動きがあるとか、いろいろなことがあって、我々としては、それをもって、その市町村はこの法律の趣旨に従って米軍再編の円滑な運営に資する方向で動いているということが確認されれば、私はそれでもいいような、そういう感じがいたしております。

平岡委員 だから、それこそ本当に、政府のさじかげんで物事が決まってくるというふうに私は言っているんですよ。

 私は、もっとちゃんとした、客観的な基準に基づいて客観的に判断していくという、その姿勢をこの法律の中でちゃんとしていかなければ、本当に政府は、あるときはあめを振りかざし、あるときはむちを振りかざし、いろいろなことを、地方公共団体に対して意地悪をやってくる。今回の岩国市の市役所新庁舎の建てかえに関する補助金の取り扱いなんかは、まさにその典型的な例ですよね。

 そんなことをしていたら、本当は、今まで私は岩国に住んでいて、基地に対する感情というのはそれは個人的にはいろいろありますけれども、それは物すごく私は協力的な地域だったと思いますよ、そういう地域を台なしにしてしまう、そういう問題があるんですよ、これは。現に私は、毎週帰ったときに、毎週この問題で皆さんから、本当にこれはどうなっているんだろうかというふうに言われているんです。

 そういう事情を、大臣、しっかりと認識していただいて、政令をつくるときに、どういうものをつくるのかということをしっかりと私は監視していかなければいけない。そのために、政令をしっかりと前もって審議の前提として出していただくということを重ねてお願いしたいと思います。大臣、よろしいですね。

久間国務大臣 政令をつくるときには、今言いましたように、この法律の目的達成といいますか、米軍再編が円滑に行われるために非常に資することになっているかどうか、その辺については十分配慮していこうと思いますから、形式的なことだけにとらわれないようなそういう表現の仕方があるかどうか、それについてもよく考えていきたいと思っております。

平岡委員 だから、政令をつくるときには、当然の当たり前の話なんですけれども、国会で審議するに当たって、どういう仕組みになるのかということを国会議員がちゃんと、国会が判断できるものになっていなければ、これをつくって、後で政府の方が勝手に何か地方公共団体いじめをするような仕組みができ上がったら、我々はもう顔向けできないですよ。

 だから、法案審議の前提として、例えば第六条の政令というのがどういう中身のものなのか、このことをちゃんと示していただく、このことを大臣に重ねて要請したい、重ねて約束していただきたいということで今聞いているんです。いいですね。

久間国務大臣 予定政令の表現の仕方については、我々としても十分審議にこたえていこうと思っております。

平岡委員 そういう前提として物事を考えたときに、何かこれは、報道では防衛省の首脳と書いてありましたけれども、ある人に聞いたら守屋事務次官だそうですけれども、来年度予算に関連して、来年度は岩国市とか名護市には再編交付金は出さないということを早くも何か自分で決められて、何の権限があって彼がそんなことを言うのか私は知りませんけれども、こういうことも報じられていますけれども、それは事実ですか。

久間国務大臣 私はそういうことは聞いておりませんし、まだ今の段階で、政令も決まっていない段階で、どの市が該当するとかしないとか、そんなことを言えるわけじゃないわけでありますから、それはもう、法令上もそういうことはあり得ません。

平岡委員 だから、法令上もあり得ないことが語られているから問題にしているんですよ、我々は。そういう事実はなかったんですか。法令上もあり得ないということではなくて、事実があったのかなかったのかを聞いているんですよ。

 私は、いろいろ直接的な情報もいただきましたけれども、公表されたものとしては、二月十日付の西日本新聞の中に、守屋さんとは書いていません、防衛省首脳が交付金については名護市と岩国市には支給しない考えを示した、こういうふうに書いてありますけれどもね。

 大臣、こういう事実はなかったんですか。

久間国務大臣 本年二月十日付の報道において、防衛省首脳が、再編特措法案に基づく新たな交付金制度について、普天間飛行場の移設先である名護市は交付金の支給対象とならないとの認識を示したとの報道があったと承知していますが、他方で、委員が指摘されている守屋次官の発言がいかなるものであるかは特定できず、今の先生の質問にお答えすることはできないわけであります。

平岡委員 事実があったかなかったかというのを証明するというのはなかなか難しいのかもしれませんけれども、大臣もいみじくも言われたように、そんなことは法令上もあり得ないということなので、私は、この報道が事実としたら、あるいは私が聞いた話が事実だとしたら、これは守屋事務次官に対して厳しく抗議申し上げたいというふうに思います。

 ちょっと予定した質問が四分の一も終わらない状態で質問時間が終了しましたけれども、これからしっかりとまた質問させていただきたいというふうに思います。

 しかし、先ほど言いましたように、大前提として、私は、政令委任事項が余りにも多くあり過ぎて、一体何をしようとしているのか、どういうふうにしようとしているのか、全然わからない。こんな状態でこの法案を成立させることには絶対反対ですし、私自身は、この法案、冒頭申し上げたような問題点があるということなので、今、一人で黙々と修正案をつくっておりまして、いずれ民主党の皆さん方の賛同を得て、そしてこの委員会の皆さんの賛同を得て修正をさせていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

木村委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原です。

 米軍再編の法案を議論する前提として、今の日本の防衛、そして同盟関係のあり方、そして何が足りないのか、あるいは周辺環境の変化あるいは財政状況の制約を含めて、どういった防衛力整備をこれから行っていくのかということを、まず前提に大きなお話をしていきたい。そして、それを踏まえた上で、再編の問題そしてまた具体的な装備等々の問題に入っていきたいというふうに思っております。

 防衛大臣、まず、日本が備えるべき脅威、リスク、中期防というものがございますが、五年ごとにそういうものが整備をされて、また防衛大綱というものもあるわけでありますけれども、日本の今置かれている環境、もちろん、刻々と変化をしているものがある。しかし、国としては、存在している国は、周辺諸国においてはそれほど大きな変わりはない。

 しかし、中国のように、極めて多くの人口を抱えている国が経済成長を平均一〇%で遂げていて、そしてその裏づけとして、防衛力、軍事力の増強も行っている。また、ロシアも、先ほど長島委員に対して大臣がお答えをされておりましたけれども、ロシアの防衛力の増強というものも、また最近、オイルマネーも含めて顕著になってきている。相変わらず、北朝鮮の脅威、核の問題というのはある。

 こういうことでございますが、今、日本が備えるべき防衛力整備の主な柱、防衛大臣として、安倍内閣を支えていかれるに当たって、何を防衛力の柱、防衛力というか、脅威とかリスク、こういうものに対処するための防衛力整備としてやはり柱があると思うんですね。それは今どういうふうにお考えでございますか。それに基づいて少し議論を組み立てていきたいと思います。

久間国務大臣 確かに、他国の軍事力が増してきた場合には、それに応じてやらなきゃいけないという点はありますけれども、我が国の場合は、やはり、我が国が武力攻撃をされたとき、最低限、我が国としてどれだけのことをしてそれを守るか、そういうようなことで、必要最小限のものは持たなきゃならない、余裕があればもっと持っていいかもしれませんが。

 そういうようなことで、それを念頭に置いて、これまでも、実力に応じて、防衛大綱で、そしてそれを受けた形で中期防衛力整備計画でやってきた。そして、それ以外の分については日米安保条約でアメリカに頼ってきた。そういう構図をとってきておりましたから、私は、基本的には、現在もそういうような流れの中で、方向の中でやっておる、そしてそれが我が国としての現在の精いっぱいの努力である、そういうふうに思っているわけであります。

前原委員 今、武力攻撃を受けた場合、必要最小限度ということ、そしてさまざまな制約、それは憲法上の制約かもしれません、あるいは財政上の制約かもしれませんが、さまざまな制約の中で、できないところについては日米同盟体制の中でカバーをしていく、こういう話でありました。

 では、武力攻撃を受ける場合というのはどういうものが想定されるのか、どういう危機が想定されるとお考えですか。

久間国務大臣 他国の軍事力が増強したからといって、私は武力攻撃を受けるというふうには思わないわけでありまして、むしろ、そういう緊張状態があるかどうかということも一つの要素になろうかと思います。

 ただ、私たちがやはり気をつけなきゃならないのは、今はなくても、将来そういうことになるようなおそれがあるかどうかとか、そういうのも絶えず視野に入れておかなければなりませんから、そういう意味で、ある一定の防衛力の整備というのは、どんなに緊張状態が緩和されたとしても、そこはやはり避けて通れないというようなことで従来やってきたと思いますので、これから先も、そういうようなことから、最低限の防衛力の整備はやはり必要であるというふうに思っているわけであります。

前原委員 具体的に、今の他国の軍事力増強がすなわち攻撃につながるとは限らないということでございますが、しかし、今御答弁されたように、今はなくても将来的なものを考えてあらゆる準備をしておかなきゃいけないということ。

 きょうの前半の議論のテーマは、では、そのニーズと制約要件の中でどこまで防衛力を整備するのかというところの議論を私は詰めていきたいと思っています。

 それで、足りない分は日米安保。では、日米安保で、アメリカが米軍再編をやっている中で、アメリカはどういう考えでいるのか、日本はアメリカに対して何を頼むのか、そして、頼むだけでは同盟関係はうまくマネジメントできないので、日本は何をアメリカに対して行うのか、やはりそういった組み立てが私は必要だと思うわけです。

 今おっしゃったところでいうと、他国の軍事力がすなわちすぐさまは危機につながらないにしても将来的にあり得るということであります。しかし、日本は、北半球の、朝鮮半島が上にあって、中国大陸、ユーラシア大陸が上に控えている。そして、大宗は海に囲まれていて、そして、領土の面積だと世界で五十九番目、しかし、排他的経済水域、領海を含めると世界第六位。非常に広いものをカバーしなきゃいけないわけでありまして、今おっしゃった、何を想定して、あるいはどの国を想定して防衛力を整備するかということは必要だと思うわけです。なぜなら、そんな、ほかのところを考えずに、ある一定の防衛力整備をしたらそれで済むのかという話になるわけですね。

 そうしたら、具体的に申し上げましょう。

 これはもう衆目一致するところでありますが、北朝鮮のミサイルあるいは核兵器、そういったものがあるからMDをやっているわけですよね。そういうものがなければ恐らくMDという話になってこない。それは、やはり北朝鮮のミサイル、核の開発、大量破壊兵器の開発という現実的な脅威があるから、それに対して対応しなきゃいけないということで、MDを日本の防衛力整備としてやっているわけですね。それについては我々も賛成をしている。北朝鮮の脅威というのでMDをやっている。

 では、ほかの防衛力整備の中で、どういった国のどういう危機を想定して考えるんですか。例えば、昔の中期防であれば、大規模侵略、着上陸侵攻を阻止するという考え方の中で、昔の防衛大綱も含めて、累次の中期防でそういう考え方があったわけでありますけれども、現中期防ではこう書いてありますね、見通し得る将来において、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下していると判断されていると。つまりは、本格的な侵略事態というのは、昔から比べると可能性は低下している、だから防衛力整備を変更するんだ、考え方を変えるんだということが書いてある。

 そうすると、今の危機というのはどういうものかということをもう少し具体的に示していただけますか、何が危機で、それに対して備えるのかということを。

久間国務大臣 前原委員と私とは考え方がちょっと違うのかもしれません。

 例えば、ミサイル防衛についても、今でこそ盛んに言われるようになりましたが、北朝鮮の問題が出てまいりましたから。私は、十年前、防衛庁長官のときに、ミサイル防衛についての共同研究をしようじゃないかということで、アメリカから申し入れがありました。そのときは、ステップ・バイ・ステップでいきましょうよと。今はまだガイドラインを決めることが先で、それに基づく新指針を決めていく方が先ですから、そして周辺事態の問題もありますからということで話をしました。

 そのときから私の念頭にありましたのは、ミサイルを国が撃つというようなことになった場合は、その国だって、生きるか死ぬかの、日本の場合だったらアメリカが後ろにあるわけですから、そういうことがあるけれども、テロリストに渡ったときには、非常にこれが抑止できないんじゃないか。それで、テロリストがそれを使う場合に対して全く無防備というのはおかしいから、ミサイル防衛システムについては、可能であるならば研究して、開発して、配備したい、そういう思いがあって、あのとき取り組んだわけであります。

 そして、それがずっと研究段階から発展してきて、今日、曲がりなりにも精度もかなり高くなったということで配備されることになりましたが、北朝鮮の問題がそれと並行するような格好でぐっとクローズアップされてきたわけです。だから、そういう意味で、特定の国ということよりも、やはりそういう、日本に万一何かあったときにどう備えるかということは絶えず念頭に置いておかなきゃならない。

 そういう点では、昔の基盤的防衛力といいますか、そういうような考え方がやはり根っこにあって、我が国の場合は、今、確かに、着上陸作戦をしてくるような、そういうことはないかもしれぬが、やはりシーレーンを通ってずっといろいろな船舶が中東からこっちまで来ていますと、これから先の我が国は、どういうような事態に、何を考えなきゃならないか。そういう事態が発生したときに、そのとき慌てて艦船を整備しようと思っても一朝一夕にはできないわけですから、やはり計画的に、現在の防衛計画の大綱に沿って整備しておくというのは必要でございますので、そういう点で、何か具体的な危機を念頭に絶えず置きながら対処しようとするよりも、むしろ、その国としての規模からいって最低これぐらいの基盤的な防衛力は整備しておく必要がある、そういう考え方で対処しようと私自身は思っていますので、若干その辺は違うのかもしれません。

前原委員 いや、違うんじゃなくて、それは、お立場からそう答えをつくらないと失言をしてしまうと。いや、はっきり言ってそうですよ。

 十年前からそういうミサイル防衛の話があった。もっと前でいえば、一九八〇年代から、米ソ冷戦のときにアメリカはSDI構想をやってきて、いわゆる大陸間弾道弾をどう撃ち落とすかという構想をやってきて、その流れでこれは来ているわけですから、言ってみれば、それほど、このミサイル防衛というのは昔からある話、今からいうともう三十年近く前から始まっている話。私が大学時代にSDI構想というのが上げられて、そして、そんなもの実現するのかなというふうに思っていた。

 しかし、巨額の費用を投じ、そしてまた現実にミサイルの発展もしていく中で、そういう防衛力整備、ミサイル防衛というものが現実に配備されるようになってきた。昔は技術的に確立しないとも言われていた、しかしながら、それが今ステップ・バイ・ステップで技術的にも確立するようになってきた。

 考え方が違うんじゃないんですよ。例えば、これはおわかりいただけると思いますが、十年前もそう考えていたのは、それはそれとしてうそはついておられないと思いますけれども、予算という制約がある中で、では何を重点的に防衛費で配分をしていくかということについて考えれば、ミサイル防衛がこれほど整備を着実に進められてきた大きな背景というのは、やはり北朝鮮ですよ。

 北朝鮮が、ミサイルを配備し、ノドンミサイル、そしてテポドンということを開発していって、ノドンミサイルは日本の国土をすべて射程に置いている、二百発以上あると言われていますね。そういうことを国民も知っているから、このミサイル防衛に対してお金を使うことについては、それはいいんじゃないかという話になっている。これは、もし北朝鮮がそういうものを持っていなかったとすれば、それは、もともとロシアは旧ソ連からありますよ、中国もある。中国だって日本を射程にしている東風初めミサイルは持っている。

 だけれども、日本政府あるいは旧防衛庁、今の防衛省が、ここまでミサイル防衛というものについて着実に予算をとりながら、ほかのものは始末してでも予算をつけてきたというのは、やはり北朝鮮のミサイルの開発そして配備というのがあったからこういうものがなされてきたと私は思いますよ。

 したがって、基盤的防衛力整備とおっしゃったけれども、基盤的防衛力も、可変的なものあるいは状況依存、つまりパラメーターが入るんですよ、常に。ミサイル防衛で申し上げれば、北朝鮮というパラメーターが入る。そして、将来的に考えれば、やはり周辺国の防衛力増強度合いというのも基盤的防衛力整備の中のパラメーターに入れていかなきゃいけない。つまりは、絶対的な、普遍的な基盤的防衛力整備というのはない。

 やはりそこは相対的なものとして基盤的防衛力整備もやっていかなきゃいけないというときに、では、その相対的なものとして、私は北朝鮮の話をしましたけれども、今はなくても将来あるかもしれないということになれば、大臣のお考えで、基盤的防衛力整備だったらどういうものがあり得べき危機なのか、中期防で書いてあるのは、着上陸侵攻の可能性は減ってきている、では、どういうものに対する脅威に対応するための防衛力整備をしていくのかということは、ちゃんと防衛大臣として説明されないと私はいけないと思いますよ。

久間国務大臣 いろいろな緊張状態を余りあおるのもいかがかと思いますけれども、海なら海を想定していきますと、これから先、各国が海軍力の増強等をやってまいります場合に、思わぬ衝突だってないわけじゃありませんから、そういうときにちゃんと対応できるかどうかということを考えながらこちらとしても整備しなきゃいけないというのは、それはわかります。しかし、余りそれを強調しますと、何か知らぬ、いろいろなところで、島をめぐってあるいはまた地下資源をめぐっていかにも衝突が発生するかのような印象を与えるということは、国民に違ったシグナルを送るわけであります。

 今、我が国は、北朝鮮とはちょっと国交がありませんけれども、ほかの各国とは、防衛交流を通じながら、あるいはまたいろいろな機会に、もう少しオープンにして、手のうちを明かして、どうですか、お互いが猜疑心を持つというのが一番よくないことですよというようなことを語りかけながらやっておりますので、特定の国を意識して防衛力の整備を進めているというような状況にはないということを強調したいわけであります。

前原委員 おっしゃっていることもわかります。つまりは、日本は、人口減少社会に入って、莫大な借金を抱えていて、そして少子高齢化が進んでいる。皆さん方からお預かりした税金をどのように使っていくのかということの中で、先ほど御答弁もありましたけれども、防衛力整備にそれほど、シーファー大使はもっと防衛費を上げろということをおっしゃいましたけれども、私も、今の日本の置かれている状況を考えれば、できるだけ各国との信頼醸成をする中で平和的な環境をつくり上げて、借金もあるし、そしてまた人口構成も考えれば、もう少し社会保障あるいは教育、そういったものにお金を使っていかなくてはいけないし、防衛力というもののみにお金を使っていくということについては極めて問題があると思います。

 したがって、向こうがこれだけ防衛力を整備したんだからこちらもやらなきゃいけない、そういう単純な思考ではいけないとは思いながらも、ただ、それプラス、しかしその周辺国、明確におっしゃらなくて結構ですよ、島とか地下資源とおっしゃったので大体わかりますけれども、先ほど私が申し上げた中国一つとってみても、十九年間連続ですかね、十八年かな、一〇%以上の防衛費の伸びを行っていて、しかも領土に対する考え方が違うわけですよ。我々は、尖閣は固有の領土だと思っているけれども、向こうは向こうで自分の領土だと思っている。実効支配は我々がしている。それによってまた、排他的経済水域とか大陸棚の問題も考え方が違ってきているわけですね。

 そうなると、向こうは衝突じゃない、具体的に申し上げますと、中国は衝突じゃないと思っていても、こちらが手を抜いて力の空白になるようなものをつくっていけば、そうしたら、尖閣を占領したって向こうは反撃してくる力はないなと。あるいは、排他的経済水域、今は中間線の中国側で何とかぎりぎり、地下ではつながっているものを吸い上げているかもしれないけれども、まだ自制心を保って中国は排他的経済水域の中間線の中国側でいわゆる開発を行っている、生産を行っている、しかしそれが、我々が力の空白、真空とも言えなくても真空状態に近いようなことになってくれば、つまり、向こうの軍事力増強にある程度合わせた軍事力増強、後でお話しする米軍との協力も含めてでありますが、そういった努力をしてこなければ、間違ったシグナルを送る、あるいは向こうが間違ったふうに解釈する。そして、これは、いわゆる力で、いわゆる主権、実効支配というものを行うことも可能であるということになり得ると私は思うんですね。

 その意味で、違った観点から質問しますが、今の日本の主権というものは少なくともしっかりと守るというものが、一つの、絶対的なとは申し上げませんが、基盤的防衛力整備の考え方であるべきだと私は思いますけれども、その点についてはいかがですか。

久間国務大臣 それは全くおっしゃるとおりでありまして、それと、今の状況でそういうことがないということに、そういう状況下ではないというふうに判断しても、国内の政治情勢の中でそういうようなはけ口を、対外的にいろいろな敵をつくることによって国内をまとめるということは、過去の歴史においてはたくさんあったわけでありますから、そうなったときに、こちらが、空白じゃないにしても脆弱だと見られると、それが利用されることがあるわけでありますから、そういうことのないように、必要なものはこちらもちゃんと備えておかなければならない、それはもうおっしゃるとおりだと思います。

 それをどの程度するかは、そのときそのときの政治情勢、経済情勢、いろいろなことで決まるかもしれませんが、私どもは、そういう点では、これから先も引き続き、我が国の防衛力の整備については最大の関心を持ってきちっとしていかなきゃならない、そういう姿勢は持っているところであります。

前原委員 少し今の議論を詰めて、具体的にお話をしたいと思うのであります。

 では、今大臣が御答弁されたように、我が国の主権、領土、領海、領空、排他的経済水域、そういうものはしっかり守っていくんだ、こういう御答弁、それでよろしいんですね。そういう前提で考えて、しかし、考え方の違う隣国がある。もちろんうまくつき合って、良好な関係を、外交も含めてやっていかなきゃいけない、あるいは防衛交流も含めてやっていかなきゃいけない、それはもう全くおっしゃるとおり。

 ただ、そういう、こちらは脆弱であるとか、真空までいかなくても力の空白というものがあいたように見せるということは非常によろしくない。しかし、向こうは大幅な海軍力、空軍力の増強をやっているということの中で、こちらもやはりしっかりと、それに対応したある程度の、日本独自の努力と、そしてアメリカとの協力関係、そういうものをしっかりつくっていかなくてはいけないと思うわけであります。

 まず、制空権ということについて考えたときに、F4の後継機の議論をこの中期防の中でやらなきゃいけないですね。具体的には、これは平成十九年度中にということの機種選定であったような話だったと思うんですが、恐らく来年にずれ込むんですかね、機種選定は。今どういうふうにそれは、F4の後継機については、現中期防で決めて予算化しないと間に合わなくなりますけれども、そのぎりぎりのタイムリミットはどう考えておられますか。

久間国務大臣 その辺の、時間との関係についてはまた事務方から聞いてもらっていいですけれども、今アメリカとヨーロッパの方に調査団を出しているのも、やはり次期のそういう後継機を決めていかなきゃならない、そういう状況にあるというのはおっしゃるとおりでございまして、そういう方向で動いているわけであります。

前原委員 事務方で結構ですので、タイムリミット、つまりは、いつまでに機種選定をしなきゃいけないのかという、そのデッドラインを教えてください。

大古政府参考人 F4EJの後継機でございますので、その耐用年数の関係から、平成二十一年度に着手しなきゃ対応できないということになります。そういう意味では、予算的には、平成二十年の八月に概算要求をするとすれば、それまでには機種選定を決める必要があるということになると思っております。

前原委員 ですから、来年の概算要求、来年というか平成二十年度ですね、平成二十年度の概算要求には間に合うように機種選定はしなきゃいけない、こういうことであります。

 私は、これは戦闘機じゃありませんが、艦船について言えば、やはり日本はイージス艦を買ってよかった。一隻は非常に高いし、メンテナンスもかかりますけれども、いろいろな将来を考えておいて、そういう能力の高いものを買っておく必要性というのはやはりあったというふうに私は思うわけですね。ですから、そういう意味では、このF4の後継機についてももちろん、今専門家の方々がいろいろな機種選定をされているというふうなことを聞いておりますし、今この場で大臣の具体的なお考えを聞くというのは、仮に腹に持っておられてもそれはなかなかおっしゃれることではないというふうに私は思いますけれども、しかし、少なくとも、イメージとしては、先ほど申し上げたように、中国あるいはロシアというのが経済成長を背景に軍事力を増強する。ロシアも、石油の価格が上がったことによって財政黒字である。

 実は、この間、二月の二十六日に小松の基地に視察に行きまして、スクランブル発進がまたふえてきていると。冷戦時期から減って、そして中国向きがふえて、一定の、ある程度の推移をしていたのが、またふえてきていると。どこの国だと聞いたら、ロシアなんですね。ですから、またロシアの活動が日本海近辺でかなり活発になってきている。そういうことを基地司令はおっしゃっておりました。

 そういう意味では、やはりいいものを、私は、第五世代、ステルス性のあるもの、そしてまた超音速、そういうものを持っておかないと、そういった周りの国々、別に事を構えるというわけじゃないですよ、何度も申し上げますけれども、事を構えるということではないけれども、こういうものは十年、二十年、また一遍買ったらこれは長く使うわけですよね。そういうふうなことを考えたときには、やはりよりいいものを今のうち買っておくという発想が必要だと私は思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたい。

久間国務大臣 いいものを買えればそれにこしたことはないからいいんですけれども、いいものというのはまた値段的にも高いわけでありますから、これから先の我が国の環境がどうかということも念頭に置かなければならないと思います。財政力の問題、財政再建の中で、今、ミサイル防衛その他も新たに加わってきて、大変厳しい状況にありますから、そういう状況の中で、いいものというのは高いものでございますだけに。

 それと、もう一つ考えなきゃならないのは、防衛産業の場合は、それの民間に及ぼす影響といいますか、民生部門に及ぼす影響も非常に大きいわけでありまして、そういう点では、ライセンス生産等が可能かどうかとか、そういうのも長い目で見たときには大変大きいわけであります。

 例えば、今、日本で、たしかアメリカの旅客機の四六%ぐらいの部分を日本で生産しておりますね、民間機の。あれなんかも、やはり最初、いわゆるライセンス生産でやっていたうちの翼について、我が国で開発した機材を使い始めたということから我が国が非常にそれが伸びていった、そういう経緯もございますから、そういうのも一方ではまた、これは防衛産業じゃありませんけれども、防衛の立場じゃございませんけれども、国としては考えなきゃならない。いろいろな意味で、そういういろいろな要素を加味しながら、これから先のそういう機種選定等については絡まっていくんだということも御理解賜りたいと思います。

前原委員 後で質問しようと思っていましたが、武器輸出三原則のことも絡んでくると私は思うんです。

 今おっしゃったことは大事なことです。つまりは、国内の防衛産業基盤をどうある程度維持しておくか。つまりは、ライセンス国産等々を行って、まあそれは、理想は国産ということ、これはなかなか非現実的。今までライセンス国産というのをやってきて、我が国の防衛産業の基盤をある程度は維持してきたということでありますが、しかしながら、いいものについては価格が高いということで、それと、ライセンス国産にすればもっと一機当たりの単価が高くなる、こういうことが想定されるわけですよ。私が申し上げているのは、単に輸入するというのと、ライセンス国産でそれをつくるというものについて言えば、ライセンス国産の方が一機当たりの値段は物すごくはね上がってくる、こういうことになるわけですね。

 ですから、いいものを買う、でも大臣、そのライセンス国産も含めて、防衛産業基盤というのをしっかり持たなきゃいけないということをおっしゃいましたけれども、ただやはり、戦略環境の変化、あるいは将来、未知の日本の置かれる状況、そして、先ほどもお話をさせていただきましたけれども、とにかく日本の主権は守るんだ、制空権あるいはいわゆる領域、制海権も含めて、そういうものはしっかり守っていくんだということであれば、当然ながら、いいものを買っておかないと、向こうは第四世代から四・五、第五というのに来るのはもう目に見えているわけですから、そういう意味では、やはりいいものを買わないと、そういった、先ほど守るとおっしゃった日本の主権が守れなくなるんじゃないですか。そこはやはり一つの大前提として押さえて機種選定は考えなきゃいけないんだと思いますが、いかがですか。

久間国務大臣 それはもうおっしゃるとおりで、やはりいいものを持っておかないと、相手の性能よりもこちらが、同レベルならともかくとして、数段落ちるんじゃまた困るわけであります。

 それと、先ほど、国産じゃない、外国のものを買った方が安い、ライセンス生産だったら高いと言われましたけれども、一つには、やはり、研究開発に物すごく金がかかっている、その段階に日本は参加していない、そのために、後できた部分を高く買わされるという点もあるわけで、これから先のそういった装備についてやはり研究開発段階で一枚かむということが、武器輸出三原則で今禁じられておりますけれども、果たして妥当なのかどうか。どっちみち外国から買うわけですから、研究開発の段階で加わっても、日本がその買ったものを外国に売るわけじゃないんですから、私は、それはもう少し考える時期に来ているんじゃないかなという思いもいたしております。

 いずれにせよ、これは今度のF4の後継機については間に合いませんけれども、これから先の姿勢としては、そういうこともこういう場でいろいろと議論してもらいながら研究していくことが大事なことじゃないかなと思っております。

前原委員 まさに、それは後で議論しようとしていたことです。

 この武器輸出三原則、これは久間大臣の方が大先輩でいらっしゃいますし、その経緯はよく御存じだというふうに思いますけれども、何で武器輸出三原則というのかというと、初めは、国連決議があった場合、対共産圏、それから紛争中の国、この三つには武器を売っちゃいかぬというだけだったんですね。それがだんだんハードルが上がってきて、すべての武器が輸出がだめという話になって、あげくの果てには、海外で自衛隊が訓練するときにもこれは武器輸出に当たるんじゃないかという議論が国会の中であったという話で、本当に、どんな国会議論をしていたのかなというふうに私は思うわけであります。

 それはもちろん、武器輸出三原則はもっと厳密に、厳しくすべきだというお考えの方もおられるでしょう。ただ、この武器輸出三原則というものは、今おっしゃったように、もうこれはF4の後継機には間に合わないんです、今おっしゃったって。この武器輸出三原則を見直しをして、そして制度設計を変えた上で入っていかなきゃいけない。例えばF35、ジョイント・ストライク・ファイターなんかも、欧米で共同開発をやっていますけれども、ああいうものに入れてなかったというのは、私はやはり残念なことだと個人的に非常に思っております。

 そういうことを考えると、先ほどの、いいものを持つべきだ、しかしコストの問題がある、そして国内の防衛産業の基盤をどう維持していくかという問題もあるということを考えた場合には、行き過ぎた武器輸出三原則、つまりは当初の三原則に一たんまた戻すということも、私は、うちの党内にもいろいろ議論はあると思いますよ、しかし、やはりしっかりこれは議論をしないといけないし、決して我々がむやみやたらに武器を売るような国になるという話ではない。やはり当初の精神の武器輸出三原則に戻すということはしっかり議論しないと、先ほど申し上げた財政上の制約、そして周辺環境の変化の中でいいものを持っておかなきゃいけないということ、そしてまた、防衛力整備というのは金もかかるし時間もかかるということを考えたときには、これは本当に大きなボトルネックになっているというふうに私は思います。

 先ほど御答弁されましたけれども、私は本則に戻すということも含めて見直すべきだと思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

久間国務大臣 おもしろい話でございまして、これは、本則に戻すと言われますけれども、そもそも本則がなくて、佐藤内閣時代に、東西冷戦の中でとにかく共産圏にやらないというふうに決めておったのを、三木内閣当時になって、要するに死の商人にならないというような趣旨からやったことに非常に縛られ過ぎてしまって、今日に至っておる。

 私が防衛庁長官のときに、とにかく新聞記者も一緒になって掃海艇で湾岸に行くという話のときに、ガスマスクを持っていくのが武器輸出三原則でできないという話になりまして、そんなばかな話があるかと言ったんですけれども、これも武器だからだめだということになって、結局、持っていって持って帰るから輸出じゃない、そういう理屈のもとに持っていったわけであります。

 あるいは外務大臣が、とにかく地雷の除去で、カンボジアでこれを手伝おうというときに、自衛隊がそれをすることについてはやはりいろいろな意味で難しいから、自衛隊のOBさんがNPO法人としてやる。しかしそのときに、自衛隊が日本国内で使っているものを持っていってやるなら、それは非常に使いなれているしいいじゃないかという話になったけれども、これは武器だからだめだとなって、その後いろいろな議論の中から、地雷除去のための地雷探知機は、これはいいということに、外されました。だから、ケース・バイ・ケースで、いろいろ外してもいっているわけです。

 あるいは、私はよく言いましたけれども、中国で、昔の化学爆弾といいますか、遺棄爆弾があるでしょう、それについて除去するために、その工場を建てて爆破させて処理する、その施設については、持っていかなきゃ日本は手伝いをやれないじゃないかという話をしましたら、それについては、一応武器じゃないという形で、武器じゃないといいますか、外してもらいましたけれども、何かそういうこと一つ一つのケースをとってみても、必要以上に身動きがとれなくなってしまっている。

 しかも、これは法律じゃなくて、官房長官談話でそれをやっているわけでありますから、こういうような形で、仮にこれは、逆に縛る格好になっていますからいいのかもしれませんけれども、緩めるんだったら、緩めたり縛ったりするのを、そういうような官房長官談話でやること自体の仕組みそのものが、武器輸出三原則という今の、みんな金科玉条にしておりますこれ自体の決め方そのものが、果たして今までのこういうやり方でいいのだろうか。ここまではいかぬならいかぬと、むしろきちっとするべきであって、もっと緩くするなら緩くするという、法律とかなんとかならともかくとして、全く官房長官談話一つでそれができるような仕組みそのものが、果たして法治国家としての日本の中でいいのかなという疑問を前から持っておりました。

 しかしながら、我々は政府の一員でございますから、従来から政府が踏襲しているその制度について、それはそれで機能しておりますだけに、現在はそれを踏襲しているわけであります。

前原委員 でも、機能はしていないんですよ。機能しているとおっしゃったけれども、機能していない、問題は起きているわけですね。

 やはりこれは、大臣、政治家として見直すべきは見直すと、さっきおっしゃったわけですから、そこはしっかりと、本来の、本則という言い方はおかしいのかもしれません、官房長官談話でいろいろ縛っていっているわけですから。ですから、私なんかの考え方は、武器輸出三原則と非核三原則とかそういうものは、将来的には安全保障基本法みたいなものをつくってその中に書くというのがいいと思っていますけれども、今の官房長官談話で縛っている武器輸出三原則については、やはりこれは見直す必要があると私は思います。

 その点、どう思っておられるか。先ほどおっしゃっていますが、もう一度しっかり答弁してください。

久間国務大臣 現在はあの談話で機能しておるわけでありますから、それを私は踏襲しております。

 今の政府としては、現段階であれをまた変えるという予定はございません。

前原委員 えらい急に慎重になりますね。

 いや、だから、今はそれはそうですよ。今は、防衛力、先ほど議論したとき、さっきと全然違うじゃないですか。

久間国務大臣 先ほどからるる言いましたように、そういう意味では、問題点としてはいろいろな問題点があるということを述べたとおりでございます。

 しかしながら、今政府の方針としてあの武器輸出三原則を、官房長官談話を変える用意があるかどうかとなりますと、まあ、河野談話じゃありませんけれども、談話としてあるいは官房長官談話としてでもそれが制度的に機能しておるとなると、現在その制度を受けて動いておるわけでございますから、内閣の一員としては、その中で行動しておるわけであります。

前原委員 それはそうでしょう。それは当たり前の話で、ただ、私が聞いているのは、今後見直していくべきだと考えておられるかどうかですよ。今のものは、それは尊重しないと、閣内のメンバーですから、それはそうでしょう。だけれども、先ほど御自身で、いろいろな不都合がありますねとおっしゃったでしょう。だから、それを見直していくべきだと考えておられるかどうかですよ。

久間国務大臣 それは官房長官の談話でありますから、官房長官に聞いていただかないといけない。防衛大臣にそれを、人の談話を変えるか変えないかと聞かれても、その談話は、その当事者がそういうふうに言って、しかも内閣としてはそれを一応踏襲しておるわけでありますから、それ以上の答弁はできないわけであります。

前原委員 大臣、そんな守りに入らないで、変えるべきことは変えると。我々、いつでも政治家も大臣もやめるという気持ちでやはりやらないかぬですよ、変えるつもりでね。だから、そこはそんな守りに入っちゃいかぬですよ、大臣。

 ですから、官房長官談話だから自分が言えないとかそういうのは全くおかしな話で、今、私、憲法六十六条はおかしいと思っているんですよ、閣議決定というのは全員で決めなきゃいけないというのはおかしいと思っていますが、大臣は閣議の発議ができますから、議論することも。先ほどの問題意識を持っておられるのであれば、しっかりとそういうものを見直していかないと、それは日本の将来のため、安全保障のため、ぜひ先ほどの答弁を忘れずに頑張っていただきたいというふうに思います。

 これ以上詰めたって恐らく同じ答弁しかされないと思いますので、もう一遍、ちょっと大きな話に戻ります、きょうの米軍再編の話を含めて。

 もう一度整理します。私が申し上げたかったのは、日本が備えるべき脅威、リスクというのはどんなものがあるんだと。先ほどもおっしゃった、北朝鮮を含めてのミサイル、それから、可能性は低くなったといってもやはり本格的侵攻はあるかもしれない、こういうものにちゃんとやはり備えなきゃいけない。それから、島嶼侵攻、そして排他的経済水域をどういうふうに守っていくか、こういうようなこと。

 それから、あとは、これは今から議論をする、アメリカがトランスフォーメーションをやっていることの大きなポイントになってくると思いますけれども、大量破壊兵器の開発、拡散、そしてテロ、また、それが結びつくことの脅威、こういったものをどのように、防衛という枠だけのみならず、例えば、入管でしっかりやるとか、海保で水際でしっかりやるとか、そういうことも含めて、しっかりとそういうものをやっていかなくてはいけない。

 恐らくそういうぐらいかなと私は思うんですね、防衛大臣としてしっかりと考えておかれなければいけないことについては。

 そこで、日本の考えるべき問題としてはそうだ、ではアメリカはどうなのか。これは予算委員会でもちょっと議論させていただきましたので、余り重複は避けたいと思います。

 私の申し上げたかった趣旨は、アメリカが九・一一テロの前からトランスフォーメーションというのをやっていて、これはラムズフェルド長官が国防長官になられたときから、常に米軍再編というものを考えていかなきゃいけないと。それはやはり、ソ連の崩壊、そしてならず者国家というものを含めた、対称的な脅威から非対称的な脅威へ変わってきたということ、そしてまた、先ほど申し上げた大量破壊兵器が結びついて、それがテロ組織なども安全保障上、防衛上の脅威になってきた、それに対応しなきゃいけない、こういうこと。

 それから、RMAというのがあって、これはアメリカのみならずいろいろな国でRMAが起こってきて、そして前方展開とか、あるいは運搬手段の開発、あるいは技術の飛躍的な進歩というものもあって、先ほど事前集積の話も出ていましたけれども、別に基地を前線に置いておいてそこで対応しなきゃいけないということではなくて、できるだけ本土に近いところに置いておいて、そして隊員の安全を守ると同時に、デリバリーの能力が上がったことによって即応展開というものもしっかり可能になっていくということが、RMAの背景で防衛力の整備の変化も出てきているというところがこのトランスフォーメーションで大きいんだろうというふうに私は思うわけであります。

 そこで、私が思うのは、米軍再編というものと基地再編を混同していないか。つまりは、米軍再編で行われる基地再編と日本の都合で基地再編するもの、あるいはSACOというものがうまくいかなかった、つまり宿題がそのまま残っていてそれをこの中に入れてきているもの、私、三つカテゴリーがあると思っているわけですよ。

 実際問題、米軍再編で基地の再編を行いましょうということと、それから日本の都合、これは例えば厚木の艦載機を岩国に移すというのは典型的な例だと私は思います。これは別に米軍再編のニーズに基づくものじゃなくて、やはり厚木の危険性、騒音問題というものがあるし、岩国の沖合展開ということの中で、そっちに移した方が、岩国にとっては負担増になりますけれども、しかし、トータルとして考えれば、より危険を減少させ、そしてまた安全性も向上させる、こういうことになるというふうに思うんですね。あとは、先ほど申し上げた普天間の問題、これは私もずっと関心を持ち、また、これには関与した時期もありましたので、非常に思い入れのある問題でありますが、できていないわけですね。だから、そういうものが混在をしていて米軍再編という話になっているということ。

 ですから、ここは一たん、米軍再編という言葉で一くくりにせずに、米軍再編にかかわるもの、それから日本の都合で、例えば訓練移転なんかもそうですよ、これはやはり嘉手納の負担軽減ということが、沖縄の負担軽減というのがかなり大きな話になる、それからSACOの宿題、こういうものに整理して議論した方がいいというふうに私は思いますが、これは少し分けていただけませんか。

久間国務大臣 全体的な米軍再編の問題は、アメリカの米軍の再編の一環でありますから、我が国にとっては、米軍再編が行われるに当たって、言うなれば駐留米軍の再編もあわせて行ういいチャンスが来たということで、沖縄の、先ほど言いましたけれども、SACOで合意しておった内容を、この際、こちらもちゃんとやるから海兵隊もグアムに八千人行ってくれというふうに言って、向こうの方もそれに乗ったということでございますから、米軍再編に機を合わせて駐留米軍の再編を我が国としては申し入れをしたというふうに理解していただければいいと思うんです。

 それと、いわゆる厚木のものが岩国に行くのは、簡単なようでございますけれども、厚木でやっているのは非常にうまくいかないけれども、要するに、空母が日本にはいなきゃならない。そうしたときに、やはり艦載機の離発着の訓練をやる。ところが、三宅島がうまくいかなくて硫黄島でやったけれどもうまくいっていない。だから、それもどこかでNLPをやらなきゃならない。それは我が国として準備しますから、岩国に移ってくださいと。

 やはり、向こうの米軍再編あるいは駐留米軍の再編に絡ませた形で、こちらとしても負担の軽減を図るいいチャンスだと思って、そしてそれをとらえたわけでありまして、今度出しておりますのは、米軍再編の法律じゃなくて、駐留米軍の再編に伴って負担を増加する、あるいはまた日本が負担をする、それについての法律を出している、そういうことでございますから、ばらすんじゃなくて、むしろそういう形で、駐留米軍についての、そこに視点を当てて今度の法律もつくっているし、考え方として日本は出している、そういうふうに理解してもらった方がいいと思います。

前原委員 なぜ私がそういうことを申し上げるかというと、だれが負担する話なのかということを明確にするためなんですよ。米軍の都合という言い方をするとちょっと突き放した言い方になるかもしれませんが、米軍再編によって日本における基地再編もしていきたいということ、米軍からの要請がある場合ですよね、一つは。

 それと、日本が、いわゆる米軍再編をまさにお願いする場合。先ほど申し上げた厚木から岩国、艦載機の移転というのはそれに当たるんだというふうに私は思います。そしてまた、普天間を危険な空港だからということで違うところに移すというのも、これは日本が一義的に負担をすべき話だというふうに私は思っております。

 ただ、私は、この間の予算委員会でも申し上げましたけれども、だれが負担をするのかということを考える上で、先ほど申し上げた米軍の都合、米軍のニーズによっての基地の再編と、我々が求める基地の再編というものは、おのずとだれが一義的に金を払うかというところで変わってくると思うんですよ。だから仕分けをした方がいいということを私は申し上げているわけです。

 その上で、今まで累次答弁をされてきていますが、グアムの移転費用について申し上げれば、私は、もちろん、日本が要望したということをおっしゃっていますけれども、アメリカのトランスフォーメーションの中での考え方が違って、つまりは引く環境は整っている中で、言ってみれば、日本からも話があったし、だけれども、自分たちは余り金を払いたくないから日本から言ったということにしておこう。簡単に言えばそういう話だ、外交交渉だ、そう私は思うんですよ。

 ですから、そこは今後のトータルの資金負担をどうするかということも絡めて、少し明確に、どちら側が要望して行うことなのか、どちらのニーズで一義的に行うものなのかどうなのかということを仕分けしておかないと、負担の問題で、今後、国民の理解の得られないケースが出てくるのではないか。

 ですから、私は、今回のグアム移転についても日本が負担をし過ぎだとはっきり言って思いますよ、正直言って。政府の立場としてはどう考えられるかわかりませんが、私は、もちろん日本が全く払わなくていいというふうには思いませんよ。思わないですけれども、ただやはり、先ほど申し上げたアメリカの九・一一テロの前から、アメリカは米軍再編、トランスフォーメーションということを常にやっていて、この間予算委員会でも申し上げたように、これはもうこれからも常にやっていくんだ。つまりは、世界環境の変化、アメリカがどこに利益を考えるかどうかによって、常に米軍再編は日常茶飯事のこととして考えていくんだというのが、やめられましたけれどもラムズフェルドの言葉だったわけですよ。

 ということを考えたときに、話をもとに戻しますが、どちらが負担をするかというのは大事な問題。日米同盟関係というものを維持していくために日本が譲歩したと見えたら、それは日米同盟関係に対して中長期的に非常にマイナスですよ。そうなると、しっかり日本の立場も主張する中で負担が決まったという形にしなきゃいけない。だから、私は、そういう仕分けをすべきだというふうに考えているわけです。

 もう一度お尋ねしますが、二つ。

 グアムへの海兵隊の移転の問題というのは、アメリカのニーズにも合っていると思われませんか、トランスフォーメーションの。それが一つと、あとは、もう一度御答弁いただきたいのは、きっちりそういう意味での仕分けをする、どちらが一義的に負担をするべきかどうかの問題について仕分けをするために、カテゴリーを示すということが大事だと思います。

 この二つを御答弁ください。

久間国務大臣 先ほどから何回も言っていますように、グアムへの移転というのは、アメリカとしてもそれなりの理屈があって移動するわけで、我が国としてはそれに乗じたといいますか、そういう形でやっているわけでありますね。

 だから、額賀大臣のときに、ラムズフェルドさんとかなりの激しい交渉の中でその負担割合が決まったというふうに伺っておりますけれども、やはり私は、決めた決着の仕方というのは、割とそういう中では知恵を出したんじゃないかと。全体が百二億ドルで、そのうちの六割を日本が負担するかのように言われておりますけれども、日本が真水で負担するのは二十八億ドル、アメリカはそれよりも多い三十一億ドルですか、あとは融資、出資でやっているわけで、そして、融資、出資については、将来返ってくるというような形でJBICを使ってやるという形ですから、一見、六割というと非常に多いように見えますけれども、そのうちのかなりの部分は、家族住宅については融資でやりますから、融資の分は長期で返ってくるわけでございます。

 そういう意味では、両方の交渉ですから、交渉によって、決まるときにどういう決まり方が妥当だったかどうかというのは、後になるといろいろ議論はあるかもしれませんけれども、私は、かなりの理屈といいますか、お互いの応酬の中で、二十八億ドルと三十一億ドルに真水の部分で財政資金について決まったというのは、まあまあ一つのいい決着だったんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 だから、それが高いか安いか。これから先、またその真水の部分についてはいろいろ下げていきますし、向こうも下げると思いますけれども、そういう中で、六〇%というところだけが非常に、日本が多く負担しているようですけれども、これは日本の国内における資金状況の中から、融資でやって返ってくるということならば国民も理解してもらえるんじゃないかなと思っているわけです。(前原委員「後半の部分の答弁は。二つ質問したんです」と呼ぶ)

 だから、それも、負担の割合については、そういうことで、私は、妥当な割合だったんじゃないかなと。それは融資の部分がかなり入っていますから、融資の部分を考えますと、私は、二十八億ドルと三十一億ドルというのはいい、最後は向こうの方が持つ形になったと。

前原委員 二つ目はちょっと違う質問をしたんです。つまりは、各種、米軍再編というか基地再編にかかわるところがありますよね。私が申し上げているのは、そのグアムの話の中身ではなくて、先ほど申し上げた厚木から岩国へ移すとか、そういう話、あるいは航空総隊司令部を府中から横田に移すとか、そういったすべての仕分けをして、どちらが一義的に負担をすべきかというところの議論のための仕分けをした方がいいと。それで、だれが一義的に負担をするかということを明確にしないと、やはり国民も納得できないし、予算を決める我々も納得できないし、ひいては日米関係の足元を崩すことになるということを私は申し上げているわけです。

久間国務大臣 そういう意味で、国内のものについては、いずれにしましても、在日米軍については、地位協定といいますか日米安保条約でこちらが提供することになっていますから、どこでも、一〇〇%日本が負担するわけですね。しかしながら、グアムへ行くについては、先生がさっき言われたように、若干違うんじゃないかということがあって、それで、向こう側が幾ら持つか、こちらが幾ら持つかという交渉になったわけでありますから。

 これは例え話で悪いかもしれませんけれども、例えばここに建物があった、もう大分古くなった、そういうことで、こちらは、もうのいてくれと言って、向こうも、では古いからのこうかというような形でのいた場合に、その移転経費については、では移転するあなたが全部持てというのと、いや、出ていってもらうんだからこちらも幾らかは出しましょうというような形でやるかは、そこはやはり交渉だと思うんです。

 そういうような交渉を結局、額賀大臣とラムズフェルドさんとでやって、決着したのがさっき言ったような数字だったというふうに思っておりますから、私は、前原委員が言われたような意味もあって、国内の移転と違って国外だから、そこはお互いの交渉によって決着した、そういうふうに理解しているわけであります。

前原委員 先ほど一つ大事な答弁をされたと私が思うのは、アメリカもそういうニーズがあって、日本がそれに乗じてということをおっしゃった。これはやはり確認しておかなきゃいけないんです。ここは担保しておかないといけないことなんですよ。

 なぜならば、これから、日本の国内にある米軍基地が本国に戻るケースというのは出てくると私は思うんですよ、もちろん周辺環境の変化によりますけれども。そのときに、これは一つの前例になるわけですね、このグアムへの海兵隊の移転という問題について。ですから、ここはしっかりとした外交交渉の中で、国民が理解し、また、それがひいては日米関係というものをしっかりとマネジメントしていくことにもなると私は思います。

 先ほどお話をしましたように、日本として負担する割合がどのぐらいなのか、そしてアメリカ側が負担すべき割合はどのぐらいなのかということの中で、もちろん定性的、定数的に、何対何ということには分けられないと思いますけれども、少なくとも、しっかりと、向こうのニーズもあって出ていくんだから、こちら側はそんなに負担はできないと。

 先ほど、六割だけれども真水は二十八億ドルだということをおっしゃいましたけれども、ただ、この融資にしたって、どうなるかわからないという不確定要素はあると私は思いますよ。この間麻生外務大臣は、ほかの発展途上国じゃないんだからアメリカは大丈夫ですよという答弁をされておりましたけれども。

 ただ、長期にわたってそういう日本のかなりの税金を投入して、結果としては六〇%を負担するというのがこういう形になっているわけですから、そこは、今回のグアム移転については日本の負担が重過ぎるという感覚を私は持っているということは申し上げておきたいと思います。つまり、前例として、そこは、しっかり押さえておくところは押さえてもらわなきゃいけないということを申し上げているわけです。

 それとあわせて、今話が出ましたけれども、日本国内に移転するときは地位協定に基づいて全部日本が出しますよということではないと私は思うんです。つまりは、今後、アメリカ側から要望が出てきて、日本がわかりましたと、それを毎年度予算に入れるということなら別ですよ、それは。別ですけれども、きょう私が質問したかったことにもかかわってくるわけですけれども、日本の主権ということをどういうふうに考えていくのかということなんです。基地のあり方の問題と、そして、私は何度も国会で質問しておりますけれども、航空管制の問題。

 やはり、戦後六十年余りがたって、占領された土地をそのままアメリカがいわゆる管轄をしていて、三沢なんかは二%しか日本の自衛隊は使えない。共用部分が三八%ぐらいあったと思いますけれども、あとは米軍だと。ほかの一〇〇%米軍が使っているところなんというのは、米軍が、米兵が警備して、そして治外法権的なものになっているということ。これは、やはり私は根本的に見直していかなければいけないと思うんですね。

 そして、航空管制も、横田の航空管制権がかなり返ってきたとはいえ、それでもまだ、日本の首都の上空を他国の軍隊が管制しているということは、これは常識的に考えておかしな話であって、主権国家、独立国家としては恥ずかしいという感覚を私は持っています。

 横田、そして岩国、あるいは嘉手納、そしてまた先ほど申し上げた基地の管轄権の問題。こういう問題はやはり、ですから、日本が金を出すべきじゃないということではないんですよ。ですから、日本が管理して、そしてそれをアメリカに貸す。それは、ひいては、少しきょうは具体的には詰められませんでしたけれども、日本だけでやることの足らない部分について日米同盟関係で埋めていくんだということのコストだから払うんだと。それはいいんです。いいんですけれども、少なくとも管轄権はすべて日本が主権を回復して、そういう意味で、主権回復できていないと私は思うんですよ。航空管制、そして基地の管轄権。これはやはり一義的に日本が管理をして、そしてアメリカにそれをいわゆる提供するという形に変える意思を持たないと、六十年以上たってこの状況が続いているというのは私は恥ずかしいというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

久間国務大臣 航空管制につきましても、大分、アメリカといろいろな話のやりとりの中で、例えば沖縄につきましても、航空局の方に全体としては返してくる、その予定がちょっとおくれているようでございますけれども、そういう方向の中で、ただ、嘉手納の部分と、あるいは今の普天間、今度はキャンプ・シュワブになると思いますけれども、その部分については向こうがする、そういう形で大体整理がついてきているようでございます。

 そういう点ではかなり、今言われたようなことで少しずつ、委員から言われればちょっと遅いんじゃないかと言われますけれども、これは自衛隊というよりも航空局の方で一生懸命、我々も間に入って、米軍と合同委員会等で話し合いが進められておるようでございます。

 それから、先ほど、国内でのものはこちらが全部と言いましたけれども、例えば、今度嘉手納の共同訓練を全国に展開する、六カ所に展開するものについては、これはやはり、一対三、四分の一と四分の三ということで、うちの方が幾ら持つか、向こうはということで決めたわけでありまして、全部こちらが持つというわけではありません。それは、運用に関するものについては、原則、向こうが持つけれども、こちらからお願いした分については、応分の、ふえた分については持たなきゃならないだろう、そういう認識のもとでやっておりますので、主権は主権としてやはり主張していきたいと思っております。

前原委員 時間が来たので終わりますが、一言だけ。

 今の私の質問は、ステップ・バイ・ステップで進んでいるからいいということではなくて、やはり将来的に、これはどのぐらいのタームで考えるかは別ですけれども、そういう航空管制とか管轄権というのは日本が持つべきだということでこれからも進めていく、今のロードマップで、それでいいんだということではないということの確認ですよ。それだけ、簡単に、そうだということを御答弁ください。

木村委員長 時間になりましたので、簡潔に願います。

久間国務大臣 前任者がまとめたロードマップ、今はそれに基づいて一生懸命やるだけでございまして、これから先、必要なことについては、また必要なら2プラス2等で議論をしていきたいと思っております。

前原委員 終わります。

木村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十六分開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。内山晃君。

内山委員 身内がだれもいなくてとても寂しいところでありますけれども、午前中とはまたちょっとバッターの質が違ってまいります。私は事務的なところを淡々とお尋ねを申し上げていきたいと思います。

 まず、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案の中身につきましてお尋ねをしていきたいと思います。

 第一章「総則」、第一条の「目的」のところでありますけれども、二行目に「防衛施設の近隣住民の負担を軽減」と書いてありますけれども、この負担の軽減とは何かということをお尋ねしたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 この負担を軽減ということにつきましては、米軍再編によりまして、防衛施設における航空機の離発着回数が減少し、騒音が軽減されたり、それから、防衛施設が廃止されまして、これまで利用できなかった大規模な土地の利用による地域の活性化が促進される、このようなことを意味しております。

内山委員 同じく三行目の「駐留軍等の再編による住民の生活の安定に及ぼす影響の増加」とは具体的に何でしょうか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 この住民の生活の安定に及ぼす影響の増加につきましては、米軍再編により、防衛施設における航空機の離発着回数が増加したり、それから、防衛施設の機能が強化されることによりまして、住民生活を営む上でのマイナスの影響が増加し、安定した暮らしが阻害されるというようなことを意味しております。

内山委員 同じく三行目の「防衛施設の周辺地域における住民の生活の利便性の向上及び産業の振興」とは具体的に何でしょうか。

大古政府参考人 まず、お尋ねの、住民の生活の利便性向上、これにつきましては、住民がその地域において生活を営むに当たり、よりさまざまな便益を享受することができるようになることを意味しております。

 それから、産業の振興につきましては、その地域において農業、林業、水産業、工業、商業といった諸産業が新たに展開されたり、現に行われている事業がより盛んに行われたりすることなどを意味しております。

内山委員 そこにずっと立っていていただいてもよろしいんですけれども。

 今お答えの中で、利便性のことを、さまざまな便益ということがありました。それをより具体的にちょっと教えてください。

大古政府参考人 お答えいたします。

 これは一例でございますが、例えば米軍の部隊が来ることによって周辺の道路が混雑する、そのようなときに、道路を広くして渋滞が起こらないようにするとか、それから、さまざまな公共施設、例えば学校施設とかございますけれども、そういうものがふえるとか、そういうことをさまざまな便益ということで申しております。

内山委員 同じく五行目の「駐留軍の使用に供する」、飛ばしまして「沖縄県の住民の負担を軽減するとの観点から」とは具体的に何でしょうか。

大古政府参考人 この沖縄県の住民の負担を軽減するとの観点につきましては、現在、沖縄県におきましては在日米軍基地のおよそ七五%が集中しておりまして、人々の生活や地域の発展に大きな影響を及ぼしてきているわけでございますけれども、この米軍再編によりまして、沖縄米軍施設の返還が促進されたり住民生活が安定するとともに、これまで利用できなかった大規模な土地の利用による地域の活性化が促進されること、これを意味しております。

内山委員 四ページの「基本理念等」の三条の2というところで、「周辺地域の住民の福祉の向上に寄与」とはどのようなことでしょうか。

大古政府参考人 お尋ねの、住民の福祉の向上に寄与につきましては、住民がその地域において生活を営むに当たりまして、よりさまざまな便益を享受することができるようになること、それから、さまざまな障害の防止、緩和措置により生活の安寧が確保されるというようなことを意味しております。

内山委員 同じく、「駐留軍等の再編に対する幅広い国民の理解が得られるよう配慮されなければならない。」「幅広い国民の理解」とはどういう理解でしょうか。

大古政府参考人 お尋ねの、幅広い国民の理解につきましては、再編により負担が軽減される住民のみならず、再編により負担がふえる住民、このほか、その他の多くの国民から米軍再編に対して理解が得られることを意味しております。

内山委員 第四条の「再編関連特定防衛施設の指定」について、「住民の生活の安定に及ぼす影響の増加」とはどのようなものを指しますか。

大古政府参考人 その点につきましては、例えば、米軍の航空機が移駐することによって騒音がふえるとか、それから、米軍の軍人数がその基地に多くなることによって周辺の道路の混雑がふえるとか、そういうようなことを意味しております。

内山委員 再編関連特定防衛施設とは何を意味するんでしょうか。再編関連特定防衛施設そのもの。

大古政府参考人 その点につきましては、米軍の再編により飛行機がふえることによって騒音がふえたり、そういうことの施設について言っているところでございます。(内山委員「もっと詳しく、ちょっと教えてください」と呼ぶ)はい。

 米軍の再編によりまして住民に対する影響が増加するものということで考えております。影響の増加については、先ほどから述べておりますように、飛行機が来ることによって騒音がふえるとか、それから、米軍の軍人数がふえることによって周辺の地域の道路が込んだり、いろいろ廃棄物がふえたり、そういうようなことを意味しております。

内山委員 四条の頭に「防衛大臣は、」として、「再編関連特定防衛施設として指定することができる。」と。これは防衛大臣が指定するということになっているんでしょうか。

久間国務大臣 再編関連特定防衛施設というのは、著しい影響がある場合でございまして、これは防衛大臣が特に指定する形になろうかと思います。

内山委員 具体的に、著しいというのはどういう状況でございましょうか。

久間国務大臣 まだ具体的に決まったわけではございませんけれども、今イメージとして考えられますのは、先ほども言いましたけれども、岩国への移設とか、あるいはキャンプ・シュワブ等への移設、これらについては、ほかの防衛関連施設と違って、特定防衛関連施設になるんじゃないかなと思っております。

内山委員 四条の2というところに、「防衛大臣は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議する」というふうになっておりますが、この「関係行政機関の長」はどういう者でしょうか。

大古政府参考人 その点につきましては、地方自治を扱います総務省だとかというようなところを想定しているところでございます。

内山委員 第五条の「周辺地域をその区域とする市町村(政令で定める範囲内のものに限る。)」とはどのような範囲を指しているんでしょうか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 その点につきましては、基本的に当該基地が所在する市町村の、隣接する市町村ということになりますけれども、その場合においても、例えば航空機が移駐するような場合につきましては、その隣接市町村にどの程度騒音の影響が行くかとか、それから、米軍基地の出入りに当たりまして、その隣接市町村についてどれだけ米軍の車両が通るだとか、そういうような予想をして考慮することになると思っております。

内山委員 ただいまのことで、範囲というのはだれがどういうふうに決めるんでしょうか。

大古政府参考人 基本的には防衛大臣が決めることになりますけれども、その範囲についても政令等の中で基準をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。

内山委員 第六条の「再編交付金」について、「予算の範囲内において、政令で定めるところにより、」とありますけれども、どのような政令を定めるんでしょうか。

大古政府参考人 どういう場合に交付するかという基準が基本的にこの政令ということになるかと思っておりますけれども、例えば、騒音がどの程度あればどの程度の交付金になるかとか、それから周辺の道路の混雑状況とか、そういうようなこともろもろにつきまして、点数化なりを考えた上で基準をつくりまして、そういうことで考えているところでございます。

内山委員 この政令というのはいつできるんですか。今もう手元にできているんですか。

大古政府参考人 この政令につきましては、法律が成立後、施行自体が三カ月を超えない範囲で政令で定める日から決まります、その時点に合わせて関連の政令は整備していきたいと思っておりますけれども、現時点で政令案があるというわけではございません。

 ただ、午前中の審議の中で、平岡先生の御質問に対して、政令としてどういうものを考えているかというようなことについては可能な範囲でお示ししたいということで申し上げたところでございます。

内山委員 可能な範囲でお示しをということは、いついただけるんでしょうか。この理事会でということだったんでしょうか。

大古政府参考人 この審議に参考として間に合うように、早く整理した上で、関係省庁とも早急に調整した上でお示ししたい、こういうふうに思っております。

内山委員 範囲がわからなければ、やはり議論の仕方も違ってくるわけでありまして、これが出てこなければ審議が進まないということでありますので、ゆっくりと出していただいて結構でございます。

 第七条の一についてお尋ねをします。

 「当該再編関連特定周辺市町村の区域に対する影響が著しいものとして政令で定める場合に該当」、ここでも政令が出ておりますけれども、政令で定める具体的な内容について。

大古政府参考人 この点につきましては、「特定周辺市町村の区域に対する影響が著しいもの」ということでございますので、今回の米軍再編のなにを勘案しまして、基本的には大規模な航空機の移駐を伴う場合を想定しているところでございます。

 あと、米軍人の基地に対する増員の数が多い場合もありますけれども、これは基本的には、今回の米軍の再編の中では、大規模な航空機の移駐を伴う場合に、伴ったらもう生じますので、基本的には、先ほど申しましたように、大規模な航空機の移駐を伴う場合を政令で定める場合として想定しているところでございます。

内山委員 第十一条の「再編関連振興特別地域整備計画に基づく事業のうち、」ここでも政令が出ております、「政令で定めるものに要する経費」とは何でしょうか。

大古政府参考人 この点につきましては、政府から助成する率を特別に上げるものとして、法案の別表に道路整備とか港湾整備とか七つの例が例示してございますけれども、このほか、地域社会への影響の内容とか程度を考慮しまして、速やかに実施することが必要なものを想定しているところでございます。

内山委員 同じく十一条の2に、「政令で定めるものに要する経費に充てるため政令で定める交付金を交付する場合においては、政令で定めるところにより、当該経費」と政令が三つも出てくるんです。政令というのは魔法の言葉でしょうか。この辺をきちっと出していただかないと、条文が読めない。

大古政府参考人 そこのところでは、政令の考え方をお示しするときにわかりやすく御説明したいと思っていますけれども、各種交付金の中で、実際は、特定の事業に対していわゆる補助金みたいな形で補助する場合がございます。それについてきちんと整理する上でこういう表現になっているということで御理解いただきたいと思うんです。

内山委員 ここで政令というのは三つ出てまいりましたけれども、それぞれの政令がきちっと出てくるわけですね。

大古政府参考人 先ほど申しましたように、現時点で政令案ができているというわけではございませんけれども、それぞれ、法案に書いてございます政令の考え方としてどういうものを考えているかにつきましては、わかりやすくお示ししたい、こう思っております。

内山委員 先ほど冗談を言いましたけれども、やはりその辺は早急にこちらの方に資料を出していただきたい。そうしなければ、法案審議が進みません。それでよろしければ、出さなくて結構です。

 それでは、テーマをかえまして、駐留軍等で働く労働者に係る措置についてお尋ねをしたいと思います。

 独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構を通じた技能教育訓練を例示するのみで、その他の具体的な措置について一切触れられておりません。法案の中で明記されていない駐留軍等で働く労働者の今後はどのような形になるのか、お尋ねをいたします。

北原政府参考人 駐留軍等労働者の皆さんの今後の問題については、先生御指摘のように、大変大切な問題でございまして、閣議決定でもその安定雇用に最善を尽くすといった趣旨のことが書かれております。

 それで、現在、全国で大体二万五千四百人ほどいらっしゃるわけでございますが、その方々につきましては、第二十五条にもございますけれども、極力技能訓練その他の適切な措置を講じて、安定雇用、雇用の継続に資するようにしてまいりたいと思っております。

 ただ、「技能教育訓練」ということはここで書いてありますが、「その他の適切な措置」というところにつきましては、まだトータルとしてこの再編の計画が固まっておりません、詳細が。したがって、二万五千四百名に与える影響の度合いということもまだ明確でございませんので、まだ具体的にはここで、これからそういった状況を踏まえながら適切に国として責任をとってまいりたいと思っております。

内山委員 個別の事例でお尋ねをしたいと思いますけれども、在日米軍再編で、空母艦載機部隊の岩国基地への移転が決まった米海軍厚木基地で働く日本人労働者が苦境に立たされている、こういう報道もあったやに聞きます。厚木基地では、空母艦載機の岩国基地移転に伴い、米軍人軍属約千九百人が移る見込みで、日本人従業員が働く職場が大幅に縮小、廃止される見込みと見られています。

 厚木基地にかえて、現在駐留軍等で働く労働者の数は何人になるのか、その数が米軍再編成によって何人に削減されるか、お答えをいただきたいと思います。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 岩国基地への空母艦載機の移転のロードマップがあるわけでございますが、現在厚木基地で働いておられる皆さんの数は約千八十名でございます。そして、その千八十名を含めまして、本土、沖縄トータルといたしまして、駐留軍等労働者の皆さんの数は合計で二万五千四百名でございます。

内山委員 基地従業員の労務契約は、所属する組織が通勤距離外に移動する場合、転勤を希望しない従業員は解雇と定められています。しかし、防衛施設庁によると、基地従業員の給与を日本政府が負担することになった八七年以降、実際に解雇された従業員は全国で三名と聞き及んでおりますけれども、これは正しいでしょうか。小規模な組織の移動や改編ではありませんので、近隣の基地へ配置転換などで対応できないだろうと思うんですが、どうでしょうか。

北原政府参考人 人数につきましては、先生がおっしゃいました三名でございます。

 それからさらに、先生も言及をされました現在の日米間で締結しております労務提供契約には、確かに、現在の所在地から通勤距離外に移動が行われる場合において、転勤を希望しない従業員は解雇されることになっております。

 ただ、我々といたしましては、極力、解雇ということではなくて、ぎりぎり配置転換等を求めて努力をしてまいりたいと思っております。

 そうした中で、今回の再編におきますどのような雇用上の影響が出るかといったことは、先ほども申し述べましたが、まだ米軍再編に係ります詳細な計画が策定されていない段階でございますので、明確なことは申し上げられない状況でございます。

 それで、いろいろ努力をして、なおかつ余剰がどうしても出てしまうといった場合には、もちろん、配置転換による雇用の継続、それからこの法案で今御審議をいただいております技能訓練その他適切な措置を講ずることとしておりますが、それでもやむを得ず離職を余儀なくされるといった事態が生起した場合には、現在ございます駐留軍関係離職者等臨時措置法の規定に基づきまして、防衛施設庁あるいは厚生労働省等々関係機関とも一体となって適切に対応してまいりたい、そのように考えております。

内山委員 できる限り配置転換等で解雇に至らないような形で対応していただければ、こう思います。

 それでは、テーマをかえまして、再編交付金につきましてお尋ねを申し上げたいと思います。

 今回の法案では、米軍施設などを受け入れる市町村を対象に、工事の進捗状況に応じまして再編交付金を配分する新制度の導入をうたっております。このことは、再編計画を受け入れた自治体だけに再編交付金として交付するということであります。

 再編交付金は、まず政府案を受け入れる、次に環境影響評価に着手する、そして着工、最後に再編実施の四段階で関係市町村に交付されるわけでありますけれども、政府案を受け入れた市町村に対し、段階的にあめを与えていく。今回の再編交付金の新制度をつくりました理由についてお尋ねをしたいんです。

久間国務大臣 これは、やはり再編がスムーズにいくために、負担が増加する市町村に対しては国として何らかの対応をしなければならないだろう。そのときに、市町村によっていろいろな受け入れの仕方もあるでしょうし、その進捗の度合いも違うでしょうから、それを早く円滑に実施するためにはこういうふうに段階を追ってやることがいいんだろうということで、これはたしか電源開発でも同じような手法をとっておると思いましたので、それを参考にしてつくったわけであります。

内山委員 久間大臣は、米軍施設を受け入れない自治体には交付金を支給しない方針を明言されております。交付金は基地負担をみずから受け入れる市町村の貢献にこたえるものだ、受け入れ反対の市町村に交付するのは法の趣旨になじまないと強気の姿勢を示しておられますけれども、再編交付金というあめでも受け入れを拒否する自治体に対しましてはどのように対応されますでしょうか。

久間国務大臣 これは、地元自治体から申請があった場合に交付するわけでありまして、午前中の答弁で言いましたけれども、はっきりと受け入れを反対しているところについては交付金を交付するというわけにはいきませんけれども、反対、賛成の意思表示はなくても事実上受け入れをしてもらった場合にはどうするか、その余地はまだ残っておるわけでございまして、そういう中で、受け取らない、交付金そのものを拒否するということは考えられないと私は思っております。

内山委員 確認でございますけれども、再編に反対する自治体に対しては一切の交付金を支給しない、こういうことでよろしいんでしょうか。

久間国務大臣 反対という形で言われますと、再編を進めるために法律をつくって国の税金を出すわけですから、反対そのものは、こちらとしては、そういうことを考えますと、なかなか出すわけにはいかないわけでございます。

 ただ、何回も言っていますように、今まで例えば反対というようなことを表明しておったが事実として受け入れていった、そういうケースも事実上はあるわけでありまして、そういうときにどう判断するかはまた別の問題じゃないかなと思っております。首長が一人、選挙のときに反対と言ったからそれで反対かというと、そうではございませんで、その自治体として受け入れをとにかく認めるか認めないかの事実行為もあるわけでありますから、その辺については配慮の余地はあるんじゃないかなと思っております。

内山委員 防衛省の資料に、米軍再編特措法案に関する資料で再編交付金という資料があります。十九年度の予算でこれらの市町村に再編交付金を五十一億円交付する、こういう計画がありますけれども、この中で、千歳、三沢、百里、小松、新田原、築城、こういったところのそれぞれの個別の金額というのが算定されているんでしょうか。

北原政府参考人 今回御審議をいただいております法案をお認めいただき、そして政令を定めていく中で、具体的な市町村に対してどの程度ということが決まってくると思っておりまして、現時点では、具体的にどの町に幾らとかそういうことは決まっておりません。

内山委員 今名前を読み上げましたところでこの五十一億円というのを分配するような形になるんですか。答弁をお願いします。

北原政府参考人 具体的な積算の詳細等については今ここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、ただ、我々といたしまして、これまでのSACO交付金その他の所要の交付金のあり方等々を勘案いたしまして、五十一億円というものについて予算要求をしたところでございます。

内山委員 この法案の中に書いてあるわけじゃないですか。この積算の根拠がなかったら審議できないじゃないですか。おかしいですよ。

大古政府参考人 十九年度予算におきます五十・五億の計上に当たりましては、米軍再編に伴う負担の増加の程度、再編措置の進捗状況等を勘案の上、一定の積算を行っております。ただ、具体的な交付額の算定の仕方につきましては、本法案の国会での審議を経た後、関連の法令等を定めた上で、その時点における再編の進捗状況等も勘案して確定することになります。

 現在、いろいろ関係する市町村との関係で、米軍再編支援に理解だとか協力を求めている状況でございます。こういう状況下で十九年度予算の積算内容を示すことにつきましては、実際の交付の時点において無用の混乱を惹起しかねませんので、この場で明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

内山委員 五十一億円という数字を挙げたからには、やはりそれなりの根拠があるわけじゃないですか。そして、今申し上げた地域の皆さんだってどうなるか非常に気になっているところだと思います。きちっとその辺は内訳を明示しなければ要らぬ混乱を招くんじゃないんですか。それをきちっと明示してくださいよ。

大古政府参考人 先ほど申しましたように、五十・五億は一定の見込みで積算を行ったものでございます。ただ、現実に、これは法案成立後に特定防衛施設を指定して、その関連の市町村も指定した上で、しかもその時点における事業の進捗状況を踏まえまして、交付する際にはその時点で改めて検討いたします。

 そういう状況下で、現時点で積算の内訳を示すことにつきましては、先ほども言いましたけれども、やはり無用の混乱を惹起しかねませんので、この場で明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

内山委員 今のお言葉ですけれども、無用の混乱というのはどのようなことを想定されていますか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 交付金につきましては、客観的な基準を設けました上で、米軍再編に伴う影響の度合いを勘案して、それから事業の進捗状況を踏まえた上で毎年度の交付額を市町村ごとに決めます。ただ、これは、各市町村にとってはできるだけ多くしてほしいという期待がございます。

 他方、我々は、財政的な制約もありますので、客観的な基準で支出はしますけれども、必ずしも地元の要望どおりに払えるわけでもございませんので、そういう意味で、この場で明らかにしますと無用の混乱を惹起しかねないということで御説明しているところでございます。

内山委員 適正にそれぞれのところに支出をされないんじゃないかと何か危惧をするわけでありますけれども、そういう中で見えないところで配分を決めるような、若干の決めをつくってそこでなんというお話が今ありましたけれども、こういうところは物すごく重要なことですから、ぜひその基準を明らかにしてください。つまびらかにしていただかないと、ここの交付金の関係も先に進まないということになります。後ほど必ずやってくださいね。いいですね。

 では、時間がありませんので、次のテーマに移りたいと思います。

 それぞれ、例えば嘉手納飛行場から、千歳、三沢、百里、小松、新田原、築城、こういったところにいろいろ飛行機が訓練移転のために行くわけですけれども、この費用というのはどんなふうな形になるんですか。

北原政府参考人 訓練移転につきましては、十八年度補正予算で築城の分、それから、御審議いただきました十九年度予算でいわゆるタイプ1、これを年十二回計画をいたしております。それから、もう少し機数が多い、いわゆるタイプ2といったものについては三回実施したいと思っておりまして、十九年度予算につきましては、ちょっと今資料を見ますが、四億程度だったと思いますが、計上しております。

内山委員 厚木から岩国に空母艦載機五十九機が移駐をいたしますけれども、その費用はどのような形になりますか。

大古政府参考人 米軍の厚木基地から岩国に移駐する場合の経費でございますか。これについては、施設の建設費については地位協定に従って、基本的に、ロードマップ上、特段の明記がない限り日本政府の負担になりますけれども、移動に伴う経費、運用経費のようなものについては米軍の負担だということになっておりまして、米軍の負担がどの程度になるかについては我々も承知しておりません。

内山委員 岩国に行きますと、いろいろ何か格納庫をつくったり、そういった費用というのはどうなるんですか。

北原政府参考人 岩国移転に伴いまして必要な施設整備等につきましては、日本側の負担になっております。

内山委員 そういった費用はどのくらいになるんでしょうか。

北原政府参考人 今まさにマスタープラン等を米側と協議中でございまして、その詳細がまだ決まっておりませんので、全体として幾らになるかといったことは御答弁できる段階にございません。

内山委員 あと二問ほどお尋ねをしたいと思います。

 それでは、普天間からキャンプ・シュワブへの移転費用というのはどのような費用になるんですか。

北原政府参考人 いわゆる普天間代替施設につきましては、まさに今、日米また関係者の間で協議をしているところでございまして、トータルとしてどの程度見込まれるのかといったことにつきましては、まだこの時点では御答弁できる段階にはございません。

内山委員 それはいつごろ出てくるんですか、そういう費用の。

北原政府参考人 具体的にいつごろということは、今ここで確たることは申し上げられませんが、ただ、ロードマップで二〇一四年というターゲットが切られておりますので、それまでにしっかりとこの普天間代替施設ができるようにということで今考えているところでございます。

内山委員 沖縄からグアムへ移転の海兵隊の移転費用、何か七千億とかと聞いていますけれども、こういった費用はどういう形になりますか。

大古政府参考人 その点につきましては、沖縄の海兵隊がグアムに移転するに当たり、八千名の海兵隊が移転するわけですけれども、そのために必要な庁舎、隊舎等につきましては、二十八億ドルのいわゆる真水による負担を日本側が負担する。それから、九千人の家族が移転することになりますけれども、このための住宅については、融資なり出資金で、三十億ドルちょっとでございましたけれども、これについても日本政府が負担するということで、日米間で合意を見ているところでございます。

内山委員 米軍再編成に伴う費用の総額というのは幾らぐらいになるんでしょうか。

木村委員長 大古防衛政策局長、時間になりましたので、簡潔に願います。

大古政府参考人 この点については、累次申し上げていますとおり、まだ米軍の移設等に伴う建設計画の細部が固まっておりません。日米間で協議中でございまして、現時点で総額をお示しすることは困難であるということで御理解いただきたいと思います。

内山委員 では、この費用の総額や何かは、いつ国会で審議をするということになるんでしょうか。それだけ明言をしてください、大臣。

久間国務大臣 来年度の予算で調査費が計上されておりますから、それに基づいて実施設計とかそんなのをやりまして、金額が固まってきた段階で全体像が明らかにされまして、それを受けた形で、予算という形で国会に出てくる、そういうふうな段取りになろうかと思います。

内山委員 時間が来ましたので、終わります。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは法案について聞いていきますが、今回の法案は、グアム移転経費の負担の仕組みと、再編による基地強化を受け入れた地方自治体に対する交付金の制度をつくるのが主な内容になっています。

 そこで、グアム移転経費をめぐっては、昨年四月の額賀防衛庁長官とラムズフェルド米国防長官との合意、それに続くロードマップで、沖縄の海兵隊司令部の八千人、その家族九千人をグアムに移転して、移転経費百二・七億ドルのうち六十・九億ドルを日本側が負担することで合意した、これに間違いないですね。

久間国務大臣 概算でございますけれども、それを上限として負担するということを決めました。

赤嶺委員 それでは、そういう合意がありましたけれども、いろいろな疑問が生まれてきています。

 私は、昨年も同じ問題を取り上げたんですけれども、米太平洋軍は昨年の九月、グアム統合軍事開発計画をホームページで公開して、グアムに新設するのは司令部だけでなく、地上、航空、後方支援の実戦部隊から成る一万人規模の海兵旅団であるということを明らかにしています。そのうちの司令部というのは、二千八百人を占めるにすぎないわけですね。実戦部隊はさまざまな場所から移転すると明記しております。これは今回の移転計画の根幹にかかわる問題だと思うんですよ。その根幹の問題で、日本側とアメリカ側の説明が全く食い違っているわけですね。

 先日、二十三日の本会議で、私、久間大臣に質問いたしました。この点を質問いたしましたら、大臣の御答弁は、御指摘の太平洋軍の計画はアメリカ政府が公式に決定したものではないと承知しており、またその内容についてアメリカ側から説明を受けたわけではないため、その内容につきコメントする立場にはありませんと答えられました。ということは、計画が存在すること自体は認めるんですね。

大古政府参考人 御指摘の計画のところでございますけれども、その点につきましては、アメリカ側から、アメリカの太平洋軍におきまして、グアムにおける将来的な軍事体制の計画を策定しているとの説明は受けておりますけれども、この計画については、あくまでも太平洋軍限りの概念的なものである、米政府としての正式な、具体的な計画を示すものではないという説明を受けているところでございます。

赤嶺委員 今、計画の存在は認められました。それは概念的なものであるかどうか、概念的なものであるという説明を受けていると、計画についての説明という話もありました。確かに、この計画は、グアムにおける基地建設の選択肢を示すために作成されたもの、公式決定でないというのも当たり前です。

 しかし、その選択肢を示すために、米太平洋軍は、陸や海や空や海兵隊の司令官など関係者に聞いて回っているんですよ。聞き取りをやっているんですね。これは統合計画の中に出てきます。そして、基地建設の前提になる、どういう部隊の配置を考えているのかというのを調査してまとめたものだと。陸海空海兵隊の各司令官に聞いて、そして、これからグアムに基地をつくるんだが、どういう部隊の配置をあなた方は考えているのか、こう聞いて、それでまとめているわけですね。そして、まとめた上で、去年の七月十一日には、米太平洋軍司令官の承認を受けて、公表をされているわけです。

 アメリカ側は、地上、航空、後方支援の実戦部隊から成る旅団、これをつくることを念頭にグアムでのそういう計画を進めているということではありませんか。

大古政府参考人 御指摘の計画につきましては、先ほど申しましたように、米軍の正式な計画ではなく、太平洋軍限りの概念的なものであります。これが米太平洋軍の公式サイトに掲載された経緯がございますけれども、これについては、米側の説明では、そのような概念的なレベルの情報が公式サイトに掲載されたのは時期尚早であったと説明を受けております。

 いずれにしましても、日本政府といたしましては、沖縄の海兵隊の八千人をグアムに移転する、これについては具体的なところを日米で今協議しておりますけれども、そのために必要な情報をアメリカから聴取しておりますけれども、グアムの将来的な計画というのは、米側にもいろいろな考えがある中で、まだ決まったというものは聞いておりませんし、それについて今具体的に個々に確認しているということではありません。

赤嶺委員 概念的な計画であるにせよ、米軍はグアムに旅団をつくることを念頭に進めているということじゃないですか。いかがですか。

大古政府参考人 先生のお尋ねは、あくまでも沖縄の海兵隊の八千人の移転との関係で聞かれていると思うんですけれども、我々が承知していますのは、沖縄の八千人は司令部要員を中心にしてグアムに移転する、旅団レベルということになりますけれども、引き続き、初動対処できる部隊として、沖縄には旅団レベルの部隊が残るということで我々は承知しておるところでございます。

赤嶺委員 今の点が今度の米軍再編の根幹中の根幹ですよ。

 しかし、それは、合意しているところでありますと言ってみたって、では、グアムにどういう基地をつくるか、いわばそれを各司令ごとに意見をまとめて、そして統合計画を出した、発表した、米太平洋軍司令官もそれを承認している、その中には旅団をつくるとある。考えていることがちょっと違ってきているんですね。そのことについて、アメリカ側に問い合わせて、説明を求めるべきではありませんか。

大古政府参考人 グアムに、今沖縄におります第三海兵機動展開部隊が移転するということで、日米間で協議した上でそういうふうに措置されていまして、米側とも、米軍再編の関係ではいろいろ協議の場は今でも続けておりますけれども、米側からこの計画に変更があったという話は全く聞いておりません。

赤嶺委員 ですから、根幹中の根幹にかかわる問題だから、米軍が言ってくるのを待つのでなくて、計画の中にそういう計画が存在していることもあなた方は認めているわけですから、これはちょっと違うんじゃないんですかというような確認をアメリカ側にやるべきじゃないですか。

大古政府参考人 先ほど来申し上げていますように、先生の御指摘する計画というのは太平洋軍限りのものであるということでございますので、そういうことは確認しております。

 ただ、いずれにしても、今、日米でロードマップで合意しています沖縄の海兵隊の八千人をグアムに移転する計画、これについては変更があるとは全く聞いておりません。

赤嶺委員 太平洋軍の計画の中に、グアムに旅団をつくるという計画が今出されている、そういう計画の存在は認識しているわけですね。

大古政府参考人 先生の御指摘の点は、必ずしも我々も認識しているわけではございません。

 ただ、いずれにしても、先生の御指摘は、八千人が旅団に転用されるのではないかというような御議論……(赤嶺委員「いや、僕はそこを言っていないでしょう。さっきから、そういう計画があるかどうかを認識しているかと言っているんです。先走りしなくていいですよ」と呼ぶ)済みません、わかりました。

 そこの点については、我々も、そういう計画があるというふうに認識はしておりません。(赤嶺委員「何の認識だ。八千人の変更があるという認識はしていないということですね」と呼ぶ)

木村委員長 きちっと答弁をしてください。

 また、赤嶺委員におかれては、答弁の終わった後に発言を続けてください。

大古政府参考人 グアムに先生の御指摘する旅団をつくる計画があるという話だと思いますけれども、その計画があるとは我々は認識しておりません。

赤嶺委員 計画の存在は認めていて、だれが読んでも旅団をつくると書いているのに、旅団をつくるという認識はしていないと。

 それでは、ちょっと聞き方を変えていきますけれども、ただ、私、これは文書になって、長島先生も取り上げられた、そして訳されて、私たちも手に持っているんです。

 ですから、委員長、こういう合意の根幹にかかわる食い違いが出てきている以上、これは理事会できちんと説明を求めるべきだと思います。こういうことについて、あいまいなまま、認識していませんと言って、法案審議を進めるわけにはいかないと思いますので、これは理事会でもきちんと検討してくれますか。

木村委員長 後ほど理事会で協議させていただきます。

赤嶺委員 では、別の角度から聞いていきますけれども、米軍は既に、グアムでの基地建設について環境アセスメント作業に着手したと聞いています。その内容について説明してくれますか。

大古政府参考人 米側は、グアム全体にいろいろな整備計画がございます。その関連で、昨年の秋ごろから、いわゆる環境アセスの手続に入っているというふうに聞いておりますけれども、先般、沖縄の海兵隊のグアム移転も含めまして、いわゆる環境アセス上の手続としての計画通知の公表というのをやったと承知しております。これにつきましては、こういう計画があるというのを住民に公表して、これから環境影響評価書の作成を開始するということを公表するものだというふうに承知しています。

 今後の予定といたしましては、来月初旬にもグアムなどで説明会を行うというふうに聞いておるところでございます。

赤嶺委員 環境アセスの作業に着手した、その内容についても、どういう基地をつくるのかというようなことを含めて公表しています。官報で示していると思いますが、そこにはどういうことが書いてあるんですか。

大古政府参考人 この計画通知につきましては、先ほども申しましたように、三つの事業についての環境影響評価の開始ということで公表しておりますけれども、その三つにつきましては、沖縄の海兵隊のグアム移転のほか、米海軍の原子力空母のグアム海軍基地への一時寄港、それから三点目につきましては、米陸軍弾道ミサイル防衛タスクフォースのグアムへの配備に関しての関連のものだというふうに承知しております。

赤嶺委員 海軍と、弾道ミサイルと、沖縄からグアムへの移転ですね。

 その官報、これはインターネットでもとれるものでありまして、手元に持っているわけですが、ここには、米国政府は、三月七日付の官報で、米海軍が環境アセスメント作業に入ることを公示した、そこでは、沖縄からグアムへの司令部、航空、地上、後方支援部隊の移転に伴う環境への影響を評価するための作業に着手する、こう述べているんですね。

 つまり、司令部だけじゃないよ、航空部隊も地上部隊も、後方支援部隊の移転に伴う環境への影響を評価するための作業に着手するんだよ、こう書いてあるんじゃないんですか。書いてありますでしょう。

大古政府参考人 この計画通知につきましては、沖縄の海兵隊のグアム移転の関連で、沖縄から、司令部のほか、航空部隊、陸上部隊及び兵たん部隊というふうに記述されているのは事実でございます。

 ただ、我々の日米間の話し合いの中では、司令部要員を中心ということで聞いておりまして、他に一切陸上部隊、航空部隊がないという説明ではございません。これについては、今後、米側が検討して細部が固まるというふうに承知しております。

 他方、この計画通知上は、八千名の軍人と九千名の家族が沖縄から来るというふうに記載されているというふうに承知しております。

赤嶺委員 既に、いわば、去年の七月の統合計画は米太平洋軍の概念的なものを書いたものだと。これですよね、百ページ余りにわたるわけですが。ところが、環境アセスというのは、もう旅団を、実戦部隊もグアムに置くんだ、そのための環境アセスをやるんだということになっているわけですから、この段階とは明らかに違うんですよ。

 ですから、公報で明確にグアムに実戦部隊も置くよというぐあいになっていたのなら、今局長が、いやいや、司令部を中心に陸上、空軍、何とかと言って、今まで司令部が八千人移るんだという説明であったわけですから、これは何なのかということで米側に明確に問い合わせをして、国会に説明すべきじゃありませんか。

 負担の軽減だとか、米軍再編の中心問題でこんなあいまいなこと、何をやるかわからない、だのにグアムへの移転費は日本政府は求められているというんじゃ、これは本当に審議になりませんので、きちんと今の、官報で掲載されている、実戦部隊をつくる問題について、これは何なのかということをアメリカに問い合わせるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

久間国務大臣 これから先、アメリカがグアムでどういうような部隊の増強をしていくのか、この辺はアメリカはアメリカとしてのいろいろな計画があるかもしれませんが、いずれにしましても、私どもは、沖縄から八千人が移っていく、そしてその中には、第三海兵機動展開部隊ですか、それの司令部も移っていく、そういうことで八千人が移っていくという、それをやってくれたわけでございまして、私たちは前から沖縄の負担の軽減を願っておりましたので、それがそれだけ移っていくならば応分の負担をしようということで、三千五百戸の住宅については、融資の形でございますけれども、出資、融資の格好でそれを負担する、そしてまた、真水の分としては司令部の庁舎あるいはまた隊舎あるいは教場、そういったものをやるというようなことで計画を立てているわけでございます。

 それ自体は変わらないわけでございますから、私どもはこの計画に従ってやっていきたい、そう思っているところであります。

赤嶺委員 大臣も、米軍はグアムに実戦部隊もつくるという計画が進んでいる、こういう環境アセスの公報でも出ているという認識はございますね。

久間国務大臣 私はそこまでつまびらかに知っているわけじゃございませんけれども、アメリカが何らかの意味でグアムの機能を強化しようとしている、航空兵力あるいはまた潜水艦等、そういうのを含めてグアムを強化しようとする動きがある、まだそれは概念的なものであるかもしれませんけれども、そういう動きがあるということ自体は聞いております。

 しかしながら、私たちは、そういう全体的なことよりも、海兵隊が八千人とにかくグアムへ移転するという、そこに着目して計画を立てておるわけでございますから、それについてはアメリカ側から何ら変更の話はあっておりませんので、私は、それ自体は、既に決められたロードマップに従って、額賀大臣とラムズフェルド長官との間で取り交わされましたそういうような覚書に基づいて計画を立てているところであります。

赤嶺委員 沖縄の海兵隊の司令部というのは二千人とちょっとなんですよ。そういう司令部を中心にグアムに移転する八千人だと言われても、全く、沖縄の海兵隊の実情を知っている人間からすれば、これは何なんだという疑問が起こるのは当然ですよ。アメリカがグアムでやることは何かわからないんだが八千人は変わらない、しかし沖縄には二千人程度の司令部しかいない。

 私、グアムでも、この計画を中心的に推進していますバイス統合グアム計画室事務局長に質問しました。バイスさんは沖縄の海兵隊の司令官としてもおられた方ですから、グアムにUDPをつくるのかと言ったら、つくるとおっしゃっていましたよ。結局、ローテーションで行ったり来たりする。一方で、沖縄ではその実戦部隊のための辺野古の基地をつくろうとする。それでやっていくような、これはちょっと納得できないですよね。このあたりのきちんとした説明がないまま、法案質疑を本当にできるのかというような思いであります。根幹の問題をあいまいにすることはできない。

 それで、今住宅の問題もおっしゃいましたので、住宅についても引き続きちょっと聞いていきたいんですけれども、家族九千人を移転するというわけですが、現在沖縄の海兵隊の家族は八千人しかいません。移転後は、家族がいなくなるどころかマイナス千人になってしまう。これもるる取り上げてきたんですが、この問題については米側に確認したんでしょうか。

大古政府参考人 この点は、従来から申し上げていますように、八千人がグアムに移転するということでございますけれども、現在沖縄にいる海兵隊の数につきましては、定数で一万八千人である、これから八千人削減してグアムに移転するということで聞いております。

 あと、家族の数につきましては、八千人の米軍人が、標準的なものとして、その家族の数として九千人を出したということでございまして、現実に、今いる沖縄の海兵隊の八千人が、九千人の家族がいるということではございません。

赤嶺委員 九千人いないんだが九千人分の住宅をグアムにつくろうというお話ですよ、そうなると。アメリカ側が計算したら九千人になっていますからと。それで、海兵隊も沖縄に定数で何名いるというようなお話をされても、これは本当に今、沖縄県民の負担の軽減ということで、負担の軽減になるんだからこの法律を通せと言っているのに、その中身がこんなにあいまいで、こんなことではやはり審議は進まない。本当に明確な説明を求めていきたいというぐあいに思います。

 それで、法律との関係でも出てくるんですよ。国際協力銀行がこの法律に基づいて出資や融資を行うことができるのは、グアムにおける在沖海兵隊の司令部とその家族のための施設整備に限定されるんですか。

大古政府参考人 グアム移転の関係では、日本側も一定の分担はいたしますけれども、日本側の分担は、あくまでも、沖縄におります海兵隊の移転に伴って直接必要となる庁舎、隊舎、学校等の生活関連施設、それから家族住宅、基地内インフラということに限定しているところでございます。

赤嶺委員 ですから、それは海兵隊司令部とその家族に限定されるというぐあいに理解していいですね。

大古政府参考人 沖縄からグアムに移転する米海兵隊八千人の移転に必要なものに限定されるということでございます。それから、家族については九千人ということで考えているところでございます。

赤嶺委員 この特措法の第十六条について、国際協力銀行は、駐留軍移転促進事業に係る出資や融資を行うことができるということに規定しているわけですが、駐留軍移転促進事業が何を指すか。これは、「駐留軍等の再編に伴いアメリカ合衆国において実施される事業で駐留軍のアメリカ合衆国への移転を促進するために必要なものとして政令で定めるものをいう。」と、ここでも「政令で定めるものをいう。」となるわけですが、その「駐留軍等の再編」、これについてどんな定義づけがあるかというと、第二条で、昨年五月のロードマップの合意内容に限定しているわけですね。

 ですから、ロードマップというのは、沖縄の海兵隊の司令部の移転について合意したものだというぐあいに思いますが、そして、そういうものに国際協力銀行が出資や融資を行うことができる対象というのは、在沖海兵隊司令部に限定されているのではありませんか。

大古政府参考人 JBICは、この法案がお認めいただければ、新たに設置される事業会社等に出資したり融資したりということがJBICの業務の特例としてできるようになります。

 その意味で、基本的にこれは、今回の沖縄の海兵隊のグアム移転に伴って直接必要となります家族住宅、それから基地内インフラに限定されますので、先生御指摘のように、例えば司令部庁舎については、日米合意上はいわゆる真水の財政支出ということで考えておりますので、直接JBICが司令部庁舎に対して融資するとかそういうことは想定され得ないところでございます。(赤嶺委員「司令部庁舎ではないですよ。司令部に限定されるのですね、司令部要員の方に」と呼ぶ)ロードマップの合意上は八千人ということでございまして、第三機動展開部隊の司令部要員等が中心であるということではございますけれども、司令部要員に限定されるということでは必ずしもないと思っております。

赤嶺委員 そうすると、実際にアメリカが今グアムでやろうとしている実戦部隊も含めていくということですよね。地上、航空、後方支援の実戦部隊、これらの施設の準備にも国際協力銀行が出資や融資を行うということになっていくんじゃないですか。

久間国務大臣 どうもさっきからかみ合っていないようですけれども、私たちはロードマップで書かれている内容に従って行動しているわけでありますから、このロードマップでは、「兵力削減とグアムへの移転」ということで、八千名の第三海兵機動展開部隊の要員とその家族約九千名はいついつまでにという形で書いておりまして、「移転する部隊は、第三海兵機動展開部隊の指揮部隊、第三海兵師団司令部、第三海兵後方群司令部、第一海兵航空団司令部及び第一二海兵連隊司令部を含む。」こういうふうになっています。この内容を対象として八千名というふうに理解しておりますので、今度のJBICの対象も、これに伴いますいわゆる家族住宅といいますか、それについては対象になるということであります。

赤嶺委員 ですから、ロードマップに書かれているのは、「第三海兵機動展開部隊の指揮部隊、第三海兵師団司令部、第三海兵後方群司令部、第一海兵航空団司令部及び第一二海兵連隊司令部を含む。」と、「司令部」ということになっているわけですよ。そして、「沖縄に残る米海兵隊の兵力は、司令部、陸上、航空、戦闘支援及び基地支援能力といった海兵空地任務部隊の要素から構成される。」こうなっているわけですよ。

 ですから、今まで、司令部が移転すると。私は、司令部は二千人ちょっとしかいないと。中身を知らせろと言ったら、今、国際協力銀行は、ロードマップでいうならば司令部だけだけれども、それではアメリカが今グアムで予定している実戦部隊にもお金を出すということになるじゃないですか。その実戦部隊は、海兵隊の統合計画や官報によりますと、それは沖縄から来る、いろいろなところから来るということになっているわけですよ。ですから、沖縄の負担軽減のために金を出すんじゃなくて、グアムにおける海兵隊の基地強化のために金を出そうという話になるじゃないですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 八千名の移転につきましては、司令部要員を含むということになっておりまして、先ほど申しましたように、司令部要員だけに限定されるということではございません。

 次に、日本側が分担する部分につきましては、この八千人の移転に伴って直接必要になる司令部庁舎とかということでございますので、例えば、アメリカが独自に整備します実戦部隊用の作戦運用施設、これについては日本は分担することはありません。

赤嶺委員 引き続きこの問題は追及していきたいと思います。

 法案に関連して、具体的な動きが出ている普天間の問題について聞きます。

 防衛施設庁は、この間さまざまな調査や設計の入札に着手してきました。その中には環境現況調査が含まれ、那覇防衛施設局は二十七日、調査に必要な公共用財産使用協議書を沖縄県に提出しております。

 防衛施設庁長官に聞きますが、環境アセス法との関係において、この環境現況調査をどのように位置づけているんですか。

北原政府参考人 御答弁を申し上げます。

 先生が今言及されました、私どもの、二十七日に出した、協議を行います現況調査、これは、普天間移設を行うために必要となる各種のデータを得るために、私ども防衛省がみずからの所掌事務に基づきまして、環境影響評価法に基づく調査とは別個に行うものでございます。

赤嶺委員 環境アセスとは別個に行うものだという御答弁でしたけれども、この点についても引き続きちょっと追及していきたいと思いますが、もう時間がありませんので。

 現在、入札作業に入っているものの中に地層調査がありますよね。地層調査がありますけれども、これは何ですか。

 その地層調査の中にはボーリング調査も含まれているんですか。

北原政府参考人 キャンプ・シュワブ沿岸域海上における地層調査、これはボーリング調査とかそういうものは含まれておりません。船上からの調査であります。

木村委員長 赤嶺政賢君、時間が来ておりますので、簡潔に願います。

赤嶺委員 どんな調査かというのを説明してくれと言っているんですが。

木村委員長 北原防衛施設庁長官、簡潔に願います。

北原政府参考人 小型船舶で音波を出しまして、ソナーを出しまして、それの反響で地層を調べる、簡単に言うとそういったものであります。

赤嶺委員 終わります。

木村委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄であります。

 私は、当委員会の皆さんと、グアム島の米軍基地を視察してまいりました。持ち時間も短いので、米軍沖縄海兵隊のグアム移転を中心に質問してまいりますが、その前に、法案の基本理念に関して伺いたいと思います。

 法案の第三条二項は、「駐留軍等の再編に対する幅広い国民の理解が得られるよう配慮されなければならない。」としています。多大な負担を生み出す米軍再編について、沖縄県を初めとした基地周辺で暮らす方々の理解を得るための義務あるいは努力義務を課すのではなく、なぜ配慮規定にとどめたのでしょうか。新たな負担が強要されるのに、国民の理解を得る配慮だけをすればいいというのは、余りにも無責任ではないですか。大臣、お答えください。

久間国務大臣 国民の理解を得るように国に対して義務づけたわけでありますから、配慮するというのは、やはり、配慮しなければならないというふうに法律で書かれておりますと、それはかなり重いものでありまして、配慮して政府としては行動しなければならないということでございますから、私は、かなり重い義務規定を課した、そういうふうに思っております。

菅野委員 今回の米軍再編、基地周辺の自治体や住民の頭越しでアメリカと合意して、結果的に、負担の軽減どころか負担のたらい回しと基地機能の強化、加えて莫大な財政負担が押しつけられたとしか国民の目には映っていないのではないでしょうか。なぜもっと米軍の海外移設が進まないのか、なぜ日米地位協定の改定を政府が主張しなかったのか、多くの人が疑問を抱いています。そのときに、やはり配慮だけをすればいいという態度に、私は理解、納得することはできません。

 そういう点で、大臣、配慮されなければならないのではなくて、国民の理解を得るための義務を果たさなければならない、ここまで努力義務というものを政府に求めるべきだというふうに私は思うんです。配慮されなければならないというのは、もう政府は見切り発車できますよという中身じゃないでしょうか。全体の合意を得て進めていきますという決意として内外に明らかにすべきだというふうに私は思うんですが、再度答弁をお願いします。

久間国務大臣 そんなに大きい違いはないと思うんですね。国民の理解を得なければなりませんというのと、国民の理解を得るように配慮しなければなりません、あるいは努めなければなりませんというのは、やはり政府の姿勢をきちんと法律で方向づけたということでありますから、そういう努力をしながらやりなさいよということでありまして、やはり理解を得るという言葉自体も、かなり主観的な問題がありますので、これもちょっとあいまいな点もあるかもしれませんけれども、しかし、少なくとも、そういう理解を得るように政府としてはやらなきゃなりませんよということを法律ではっきりと規定したということは、私は非常に前進じゃないかと思っておるんですけれども。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

菅野委員 わかりました。大臣の決意として、今も答弁がありましたけれども、理解を得られるように精力を傾けて努力してまいりますという決意が表明されておりますから、そうしっかり受けとめさせていただきたいと思います。

 次に、海兵隊のグアム移転について質問いたします。

 米軍が日本の国外に施設や住宅を建設するに当たり、日本が経費を負担する根拠は、日米安保条約にも日米地位協定にもありません。また、米軍再編で、ドイツの米軍の一部がルーマニアなどに移転しますが、ドイツが移転費用を負担するなどという話は聞いておりません。移転経費の負担そのものが問題だとまず指摘させていただきます。

 そこで、今回、日本の出資、融資によって、家族住宅約三千五百戸がグアムに建設されるものと承知しています。住宅はグアムの米海軍通信所周辺に建てられる予定ということでした。私も直接この目で見てきたところです。広大な基地内に建設する住宅ですから、土地取得費用や地代が新たに発生することはありません。この際、日本側が住宅建設に出資または融資する二十一億三千万ドルは、最近のレートに換算すると約二千五百億円、住宅一戸当たりの費用は実に七千万円を上回ります。幾ら資材、労働力の調達が難しいとはいえ、現実離れした数字です。なぜ一戸当たり七千万円以上もかかるのか、国民にわかるように説明してください。

久間国務大臣 これについてもたびたび言っておりますように、これはアメリカ側の見積もりであって、我々は、これから先調査をして、そしてその費用等についても精査をして、アメリカと協議していくわけであります。そしてまた、資材の単価につきましても、確かに海上の島ですから、運んできたり、あるいはまたコストもかかるかもしれませんが、まとめて入れるということになればもっと安くなる可能性もあるわけでありますし、そして、労務者についても安い労働者を、アメリカの場合はなかなか難しい点もありますけれども、期限を区切って使うことができるならば安くなるわけでありますから、それは日本にとってもですけれども、アメリカにとってもコストを下げるということは非常に大事なことでありますから、双方がそういう努力をすることによってかなり下げることができる。

 ただ、後になって金額が上がった場合に、安く言っておいて上がった場合には、アメリカもやはり国内的にも説明がつかないから、やはり目いっぱいの、そういうような高目の数字を出したんじゃないかな、そういうふうに思っておりますから、これからいかに下げていくかが私たちの努力の、またアメリカもその努力をすべきだ、そういうふうに思っております。

菅野委員 現地でそういう話も聞きました。ただ、例えば沖縄で住宅をつくる場合とグアム島でつくる場合の差が、倍以上も差があるという状況は、私は、幾ら見積もりといえども、余りにも乖離しているんじゃないかと。それでは、現地に行く前に、住宅施設がどういうところに建てられるんだろう、山林を開発して、そして住宅建設するんじゃないのかというふうな思いを持って行ったんですが、米軍の通信所内につくるということをおっしゃったときに、現地を見たときにもうすっかり整地になっているという状況を考えたときに、幾ら何でも、土地代はかからない、幾ら物資の輸送がかかるといっても、沖縄とグアム島の距離というものを考えたとき、離島という条件を考えたときに、かからないんじゃないか。今大臣は精査していきますというふうに言われておりますから、私は、ここの議論というのは今後ともしっかりと行っていかなければならない点だということを申し上げておきたいというふうに思っています。

 それで、先ほども赤嶺委員も議論していましたけれども、海兵隊員及び家族の移転人数について、これも、八千人と九千人がグアム島に移転すると言われて、合わせて一万七千人の海兵隊がグアム島に移転するということで言われております。これも、沖縄に、先ほども、定数として米海兵隊が約一万八千人の定数、その定数の中から八千人が移転するのであるというふうに説明を受けたんですが、今までの説明であれば、沖縄に一万人の海兵隊が残るという説明が正しいというふうに思うんです。

 ところが、沖縄県の調査だと、海兵隊員の数は実際には約一万二千五百人程度、家族も八千人には満たない。これは昨年の九月ごろの数字だと報道されています。この沖縄県の調査をもとに計算すると、実際にグアムに移転する海兵隊の数は二千五百人どまり、家族に至ってはマイナスになってしまいます。この数字が事実ならば、移転経費も大幅に違ってしまいます。

 この問題は昨年の段階から指摘してまいりましたが、防衛庁は、海兵隊員八千人、家族九千人の移転という数字は米国が示したものだとの一点張りでした。沖縄に駐留する海兵隊員及び家族の正確な数字について、防衛庁として正確に把握しているんでしょうか。この場で明らかにしていただきたいと思います。

大古政府参考人 今、米軍の方針として、地域ごとの軍人の数については公表しないということになりましたので、現在沖縄に海兵隊が何人いるかについては、恐縮でございますが、答弁を差し控えたいと思います。

 先生御指摘のとおり、今唯一数字がありますのは沖縄県のホームページでございまして、これは昨年の段階でございますけれども、一万二千五百二十人、沖縄県の方としては在沖米軍から平成十七年九月末に聴取したということでありますけれども、具体的な状況についてはちょっと承知しておりません。

 ただ、今回の八千人の移転という関連で申しますと、先生からも御指摘がありましたように、本来、米側として、沖縄にいる海兵隊の定数、本来の人数は一万八千人ということでございまして、これから八千人がグアムに移転するということでございます。ただ、定数である以上、いろいろ訓練の都合とかで一時的に今沖縄にいなくても、いつかは帰ってくる数字でございまして、そういう意味で、恒常的にある数字に対して八千人を削減するということで、今回、日米間で整理したものでございます。

菅野委員 沖縄の沖縄県知事公室対策課というところで、在沖米軍からの聴取によってということでホームページに載っています。これは沖縄県として責任を持って公表している数字であるというふうに私は思うんですね。そうしたときに、一万八千人と八千人の関係、それから家族の九千人との関係、ここをしっかりと精査しておかなければ、グアム島への移転経費というものがおかしな形になっていくんじゃないのかというふうに私は思うんです。

 というのは、先ほども赤嶺さんがおっしゃっていました。二千五百人しか沖縄から移転しないのに八千人分の米軍住宅を建てさせられるというふうな見方も一面的に、一方でできるわけですから、本当に沖縄の基地の軽減という観点を貫徹するのであれば、ここの数字というものをしっかりととらまえておくというのが、日米で協議しておくということが現段階では必要なんじゃないのかなというふうに思っています。

 ぜひ、この沖縄のホームページを見てとらまえていますから、この一万八千人と一万二千五百二十人との関係をしっかりと精査すべきだということを申し上げておきたいというふうに私は思っています。

 今回、新政策金融機関に統合される国際協力銀行を使って出資、融資するスキームがつくられています。ところが、現行の国際協力銀行法は、輸出入などの促進、国際金融秩序の安定、途上国経済の安定という三つに業務が限定されており、先進国アメリカの住宅建設に融資などできません。そこで政府は、特例措置を無理やり法案に盛り込んだのでしょう。しかし、これは国際協力銀行のあり方を根本的にねじ曲げるものです。今後、特例さえ設ければ、だれにでも何にでも融資できるという悪政を招くことになりかねません。

 民活の導入というのであれば、なぜ出資、融資を全面的に民間銀行にゆだねないのですか。将来的に回収不能や不良債権化するリスクが存在するからではないのですか。この点についてお答え願いたいと思います。

久間国務大臣 融資、出資で確実にもうける、あるいは確実に回収できる、そういうことになれば、民間銀行でも乗ってくるかもしれませんが、五十年ですからね。政府金融機関でないと、住宅金融公庫でもやはり三十年ですよ。あれだって、民間銀行で三十年の住宅金融をやっているのはなかなかいないんです。だから、我が国の場合、民間銀行を誘って果たして乗ってくるか。そういうことを考えますと、確実にするためには、政府系の金融機関でありますJBICを利用するのが、やはりこれしかないんじゃないか、そういう考え方で、こういう形でとらえたわけであります。

 それと、先ほど先生がおっしゃられましたけれども、一万八千人の定数を今度八千人移して一万人にするということは大変大きいわけであります。これは確かに定数ですから、現在どこかに訓練に行っているとか、あるいはまたどこかの方に展開しているということになると、一時的には少ないかもしれませんけれども、一万八千といいますと、一万八千人分のそういうような宿舎から何から全部用意しているわけですよ。今度はそれを削って、一万人で済むわけですから。思いやり予算とか言われますけれども、あの言葉自体、私は余り好きではありませんが、あれにしても、一万八千人を前提として予算も組まなければなりませんが、これから先は一万人を前提として組めば、これから何年駐留するかわかりませんけれども、ずっと未来にわたってその分は削減されるわけでありますので、そういう意味では、一万八千人のうちの八千人が移っていくというのは、大変私にとっては、沖縄にとってもいいことではないかなと思っております。

菅野委員 私は、一万人に減るということに対して異議を唱えているんじゃないんです。一万二千五百二十人しかいないのに一万人残して、グアム島に実際に行く人は、二千五百二十人しか行かないんじゃないですかと。この八千人と二千五百二十人との乖離というのをどう考えているのかということの議論をしているわけですから。

 大臣、逆に言うと、三千五百戸の住宅は要らないんじゃないのかというふうに、日本が負担するべき住宅ですよ、そのことを議論しているんであって、勘違いしないでいただきたいと思う。

 そういう意味では、今後精査していただきたいということを強く申し上げて、これからもこの部分は議論しなければならない大きな課題だと思っています。

 私も昨年、行革推進の委員会に出て、このJBICの問題を議論いたしました。新政策金融機関の貸付残高のGDPに占める割合を平成二十年に半分以下にすることを基本方針として行革推進法は定めているわけです。にもかかわらず、今回、国際協力銀行に対して新たに二千五百億円もの出資、融資をさせる。これはもう行革推進法の趣旨や目的を逸脱したものと言わざるを得ないと私は思うんですね。

 それで、官から民へといって福祉や公共サービスを削っておきながら、アメリカの求める財政負担には法の趣旨をねじ曲げてこたえるという方向ですから、国際協力銀行に巨額の出資、融資を新たに負わせることは、私は、行革推進法の理念、この行革推進法の理念を私どもすっかり受け入れた、よしとしたわけじゃないわけですけれども、でも、昨年成立した行革推進法のこの理念に反すると思うんですが、この指摘をどう思いますか。

久間国務大臣 今回の場合は、確かに一金融機関で判断すべき問題ではなくて、本来国がすべきところを民活事業をやって、民活事業で代替する。その民活事業を民間銀行ではやれないから、こういうような手法をとってやるということでございますから、確かに、今までの一連の流れの中で見るとちょっと異質なものかもしれません。

 しかし、これ以外に方法があるかというと、私はなかなかないんじゃないかなと思って、これは実は、私自身が今のポストではなくて総務会長時代に、こういうような手法を使ったらいいということで進めた経緯がありまして、これしか方法はないんじゃないかと。しかも、住宅については回収できるんだから、あるいはインフラについては回収できるんだから、そのかわり、回収させるのに時間がかかるから何かやるべきだと。そのときにJBICを利用するしかないんじゃないかということで、そういう思いであのときいろいろなサジェスチョンをした経緯もございまして、私は、もっといい方法があれば逆に教えていただきたいと思いますけれども、これしかなかなかないんじゃないかなと思っております。

菅野委員 大臣、私どもは、こういう今の法体系でもってグアム島の米海軍基地それから空軍基地を強化していく、そういう方向というものを了としたわけじゃないんです。アメリカ軍に一日でも早く沖縄からみずからの意思で撤退していってほしいということを言っているんですから、だから、JBICを利用してこういう制度をつくることに対してもおかしいと言っているんです。

 大臣、そこを一歩譲っても、それでは、この法案の十七条一項は、「資金の貸付けに係る業務であって無利子のものについては、」「政府からの無利子の貸付けを受けた金額を超えて、これを行ってはならない。」とされています。この条文は、国際協力銀行が事業主体のSPEに無利子で融資できることを示している。

 御存じのように、アメリカの現状は、政策誘導金利が五・二五%、長期利回りでも五%に近い高金利水準となっています。融資額六・三億ドルの金利設定は一体どうなっているんでしょうか。国民が持ち家を取得するのに、三十年、四十年のローンを組んで四苦八苦しております。このときに無利子、低金利で融資することは、本来アメリカ側が負担するはずの金利負担を日本国民の税金で賄っていることになりませんか。お答え願いたいと思います。

久間国務大臣 基本的に、本来アメリカが負担すべきものをというふうに、そういうふうに理解しておられるので、そこのところで意見が食い違っているんですね。

 これは我々は、沖縄における海兵隊を向こうに八千人移動させる、そういう絶好のチャンスだから応分の負担をしようという形で踏み出しておりますので、そういう観点に立てば、それについて、長期ではあるけれども、低利融資の形でやるならばそれは確実に返ってくる。元金は長くなれば少ないけれども、金利もそれだけ低利でやるならば、向こうの住宅手当その他で十分返せるということで回収が可能であるというような、そういう計算が成り立つということであります。だから、その出発点で、これは本来日本がするべきかどうかというそこでの判断が違っておりますから、かみ合わないのじゃないかなと思っております。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

菅野委員 質問を終わりますけれども、大臣、かみ合わないということを言いますけれども、関連自治体や住民の頭越しに合意して再編協議してまいりました。そして、国民負担となる再編経費の総額さえ明らかにしていない。こんな状況が今生み出されて、法案を提出したから審議して成立させてくれというのは、私は強行以外の何物でもないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

木村委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 大臣、長時間にわたり御苦労さまでございます。

 時間が二十分しかないので、答弁は三十秒で、中身のある答弁をひとつお願いしたい。

 今度の法案を審議するときに、私は、法案の中身の問題も大事でありますけれども、全体的なこの国の安全保障論というのは、沖縄の基地問題とか全部含めて考える。そして、視点は四つ。まず日本側の視点も大事、アメリカ側の視点も大事、沖縄側の視点も大事、東アジア全体の安全保障論も大事というふうな四つの視点で、感情的な部分だけではなくて考えていくのは、僕は非常に大事なことだと思うんです。

 それで、副大臣にちょっとお聞きをさせていただきたいんですけれども、尖閣近くの公海でアメリカの艦船が、その中には日本人は一人も乗ってなくて、横には日本の船も全くない。日本そのものも戦時下みたいな状況じゃなくて、第三国にこの艦船が襲われたというふうになった場合に、日本は対応としてどういう対応ができるのか。もちろん、集団的自衛権がないから自衛隊は行けませんよね。その後、アメリカの在日米軍が事前協議の必要があって行くのか、事前協議がなくても行けるのか。事前協議は今まで、戦後日本の中で行われたことがあるのかということをまず一点お願いしたい。

岩屋副大臣 親愛なる下地先生にお答えをさせていただきたいと思います。

 そういうことを一般的にお答えすることは必ずしも適切でないというふうに思うんですが、ただ、その上で申し上げれば、今のお尋ねでは米軍の艦船が襲われたということですから、実際には米軍の自衛権が発動されるということになっていくんでしょうけれども、その場合は、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文に基づく我が国と米国との事前協議の主題となる戦闘作戦行動に該当する可能性があるというふうに思っておりまして、この戦闘作戦行動というのは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものでございます。

 仮に、個々のケースにおいて、米軍が我が国の施設・区域から発進する際の任務あるいは態様がかかる行動に該当する場合には、米国は我が国と事前協議を行う義務を有しているということでございます。

下地委員 これは事前協議が必要なんですよね。

 それで、事前協議をやるといったら、第三国が米艦船を攻撃した後に、日本が事前協議を閣議決定して、本会議とか議会は後でも、承認でもいいというけれども、この事前協議をやって在日米軍が出ていくことを認めたら、第三国は間違いなく日本もターゲットにしますよ。私は、こういうふうな意味では、事前協議を行うという意味は実質上の開戦を意味することになると思うんですね。だから、簡単に、閣議決定が行われてスピーディーに物ができるというふうなことを断定はできないんじゃないかと思うんです。

 私は、そういう意味では、今回アメリカが、集団的自衛権が日本にないときに、アメリカの視点で考えた場合に、日本に一番近い、アジアに近い自分の国のグアムに原潜が集中してくる、そして米軍の航空戦闘能力がグアムに集中する、そして今度の海兵隊が来るとかというのは、まさにアメリカは、日本の集団的自衛権だけじゃなくて、みずから完結できる力を持つということになる。

 みずから完結できる力をアメリカが持てば、日本の安全保障上は、私は専守防衛という概念からは非常にいいことだと思いますよ。アメリカが力を持ってアジアに抑止力を持つということは非常に大事だと思いますね。これはそれで僕はいいと思うんです。だから、沖縄の基地の削減だけではなくて、そういう意味でも僕はこれはいい案だと思うんです。

 もう一つやはり必要なのはシーレーンですよ。今中東から来る油の八九・二%がシーレーンのフィリピン海峡を通ってきますね。今、年間二百三十九件、海賊船の問題が起こる。この海賊船の問題が起こるものの四〇%がシーレーンのフィリピン海峡で起こるわけですよ。これは日本の命綱みたいなところですね。

 私は、ここのグアムがきちっと今の形で進んだら、フィリピンとの関係というのは物すごく大事だと思うんですね。だから、今、もう一回私たちはオーストラリアと2プラス2をやるとか、大臣は、大臣になられてすぐタイに協議に行ったとかいうこともありますけれども、フィリピンとの防衛協議というのは一番大事なことじゃないかなと僕は思うんですね。

 だから、隣国でもあるし、この前三月に、僕はフィリピンの国防大臣と話をしたら、非常に日本とも、日米の安保条約だけじゃなくて、私どもとも協議をしっかりやりたいと。そして、僕は、できたら大臣が行って協議をして、さまざまな、これから長い時間をかけてやることも検討してもらいたいし、フィリピンの国防大臣を呼んで協議をする、こういうふうなことを小まめにやられたらどうかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

久間国務大臣 フィリピンとの防衛交流は大事だと思っておりますし、また、フィリピンとの関係では、大野防衛庁長官のときにフィリピンの国防大臣と、たしか向こうに行って会っていると思います。タイは、今までほとんど会っていないんですよ。そういうこともありまして、この間、タイには行きました。この間はマレーシアの国防大臣とも、向こうから来てもらってお会いしました。

 だから、今おっしゃったようなことは、防衛交流はやはり必要で、いろいろな意味で、特に海賊行為等については注意をしておかなければなりませんので、私どもも、そういうようなことは念頭に置きながら、防衛交流といいますか、トップ同士だけではなくて、制服も含めたそういう交流の機会はふやしていきたいと思っております。

下地委員 ぜひお願いします。

 もう一つですけれども、今、海兵隊の第三遠征軍がグアムに行くんですね。そして、ヘリコプターとその補給部隊は沖縄に残る。KC130は岩国に行く。強襲揚陸艦は佐世保に行く。集積艦はグアムに行く。でも、これは、即応能力がないと言っても過言ではないんですね。これは私が言うんじゃなくて、海兵隊そのものの中にも、何でこんな再編するんだろうか、おれなんかを嫌いなら嫌いだと言え、その方が私たちは楽だと言っている声がありますね。

 岩屋先生も特に若いころに言われたと思いますけれども、友達でいようねとか、これからも長いつき合いをしましょうねと女の人が言ったときには、もう二度と顔を出すなと言っているようなものなんですよ。それと同じように、私は、そういう意味でも、こういうふうな状況をほったらかしにするんじゃなくて、もう一回、日本の中でできることを考えた方がいいと思う。

 僕は、一点目には、今度、那覇軍港はSACOで決めた移設がありますけれども、こういうふうな那覇軍港を米国だけが使えるんじゃなくて、海上自衛隊もちゃんとそこに行って共同使用をする、これも非常に大事なことだと思いますよ。

 そして、今、北海道に行って練習している航空自衛隊の者も、アメリカが使っている射爆場を何で沖縄にいる航空自衛隊が使えないんだろうか。射撃場に関しても、全部九州に行って練習をするけれども、何で海兵隊が使っているものを共同使用でできないんだろうかとか。

 私は、特に、下地島パイロット訓練飛行場なんかがありますけれども、あそこが日米共同で使えるようになったら、大臣、さっきの答弁の中で、負担といったら何ですかと言ったら、騒音だと最初に申し上げましたね、さっきの話を聞いていると。これは、もうそれをやるだけで、艦船が沖縄の近海を通るときに、三万回ぐらい嘉手納基地で練習をするんですよ。これが下地島に行く、そして訓練を下地島でやると、嘉手納は一万五千回か二万ぐらいで、もう騒音は本当に減りますよ。

 今、アンタッチャブルな世界でだれもしゃべらないけれども、そういう意味では、新たな再編の中でもう一回仕組みづくりを考えるということが僕は必要だと思うんです。

 それで、会計検査院が来ていると思うんですけれども、下地島パイロット訓練飛行場は、こんなに二千億近くのお金も、当時は百八十億を使ってやっているけれども、今でも使われているのか、会計検査をしているのかどうなのか。

高山会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、多数の国の機関や出資法人が実施しているさまざまな事業あるいは国庫補助事業について、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から多角的に検査を実施しております。

 委員御質問の下地島空港につきましては、ただいまの御議論を十分に念頭に置きまして、民間パイロット養成強化等の目的に沿って有効に利用されているかどうかなどについて、適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

下地委員 まいりたいということは、やるという意味ですかね。やって、ちゃんと報告してくださいよ。そうしたら、おのずとあの空港の実態がわかってくるはずですから、そのことをしっかりやってもらいたいと思いますね。

 それと、もう一つですけれども、もう時間がないのであれですけれども、今、沖縄の基地問題、辺野古の問題をやっていますけれども、なかなか難しいですね。頭ごなしだと言っていますけれども、私が調べている範囲では、平成十七年十月から十八年の四月七日までに二十三回、沖縄と協議していますね。さまざまな協議をしているけれども、頭ごなしと言うんですね。これは与党の国会議員が頭ごなしと言うわけですから、これは非常に政治的な意味合いがあると僕は思うんです。だから、稲嶺さんが勝っても、八年間やってもできなかった。それは与野党とかの問題を抜きにして、やはりデリケートな問題で、沖縄の人に移るか移らないかで決断しろと大臣が言っても、それはなかなか難しいというふうに思いますね。

 だから、私は、ここはもう大臣が、せっかくだから泥をかぶって決めたらどうか。そして、今度のものはパッケージだから、辺野古の問題が動かないとグアムは着工できない、グアムが動かないと間違いなく基地が返ってこない、基地が返ってこなかったら沖縄の経済はよくならない、沖縄の経済がよくならなければ、百九十七万の所得は、東京が二・三倍だから、この所得の差は、返らないと私たちはどうにもならない。

 だから、二十年後に評価を受けるという気持ちで、ここは国が決断する。こういう今度の時限立法になっているわけだから、その時限立法になっているとおりに、この十年間の、米軍基地をやるための埋蔵文化財の調査だとか埋立許可だとか建築許可だとかこういうのは淡々と進める。もう十年間のおくれを、また同じように、口説いた口説かないの、一ミリ動いた、十センチ動かないの、こんな話をいつまでやっていても前に進まない。だから、そこは、みずから政府が安保問題は自分の問題だと決めて、やるというふうに決めたらどうかと思うんですけれども、大臣、答えにくいはずだけれども。

久間国務大臣 とにかく、十年前にキャンプ・シュワブのあそこの現地に行って、ここは非常に有力な候補地の一つだと言ったのがぱっとテレビに出まして、それでキャンプ・シュワブというのが表に出たわけですけれども、あの当時、ここしかないというふうな考え方でやって、うまくいかなかったその後の経過を知っておりますだけに、今度このポストにつくに当たりましても、私自身はかなりの決意でやったわけであります。

 幸いにして仲井真さんが勝たれましたので、私は今、もし頭ごなしにやったというふうにとられたとしたならば非常に遺憾でありますけれども、今先生がおっしゃったように、何回となくやっておったというのもまた聞いておりますので、その辺も踏まえながら、粘り強くやっておりますので、いろいろな事情はありますけれども、どうかひとつ結果を見ていただくように、私自身も腹を決めてやっておりますので、これから先、ぜひ御支援方をお願いしたいと思うわけであります。

 ただ、先ほど下地島の話をたまたまされましたから言いますが、あれも、私が防衛庁長官のとき、藤井さんが運輸大臣のとき、せめてスクランブルだけでもあっちでやったらどうかということで両省で合意したことがございますが、これは沖縄県が管理しておりまして、それと沖縄県議会が、民間しか使わせない、そういう決議を議会でやっておりますから、国がこれを使うということがなかなか頭ごなしにできない、そういう事情がありまして断念した経緯もございまして、気持ちとしてはよくわかります。

下地委員 そういうふうに使いたいという気持ちでいけば、私は、沖縄県議会も、今の議会構成からすると多くの人が賛成してくれると思いますから、やはりどうしたいという方向性を国が出すことが大事かなと思いますね。

 もうあと二問です。

 グアムに行ってきたんですけれども、九五%のグアムの人が賛成だと言って、委員会であるんですけれども、九五%という数字は北朝鮮でもありませんよ、こんなの。今いろいろな声がありますよ。情報がなかなか届いていないというのが今向こうの人たちの声なので、しかも、大臣がいつもずっと言っている、沖縄の負担があるからグアムに行ったんだというふうなこともありますので、僕は、グアムの人の声にもっと耳を傾けた方がいいと思いますね。

 与党の大物なんかが行っても、委員会で行っても、議会で会っていない。ゆっくりと行って、私はこの前、議会で一時間講演してきましたよ。話をしてきて、やはり向こうの人たちの声を聞くというのが大事だと思う。それと、やはり歴史、文化のある自分の土地を国家の安全保障という崇高な目的のために提供する人たちの声は、やはり真摯に受けとめた方がいいと思いますね。私は、これからもグアムとの関係を仲よくすることは大事だと思っていますから、彼らには非常に感謝の気持ちを持って、沖縄と同じように彼らにはいろいろなことを話しながらやっていくべきだと思っています。

 四月に来るそうですよ。全部の日本の基地を回って、沖縄の基地も見て、皆さん賛成派ですから、だからもっと大事にした方がいいと思って、そのときはぜひ会って、感謝の気持ちで激励していただければ、彼らは非常に新たな気持ちで頑張れると思いますけれども、そのことを一個だけお願いします。

久間国務大臣 もちろん、私たちもこの計画を進めなきゃなりませんから、向こうの方が来られましたら、遠慮なく日本の基地も見ていただくと同時に、私たちも真摯にいろいろな意見は聞いてみたいと思っております。

下地委員 事実関係だけ一個聞きたいんですけれども、私は、軍人がうそをつくというのはだめだ、政治家が軍人を使ってうそをつかすというのもだめだと思っているんですね。この前、仲井真知事が尖閣を見に行くとみずからおっしゃった。みずからおっしゃった後、中国が抗議を行った。中国が抗議を行ったら、仲井真知事は延期をして行かないということをお決めになった。お決めになった最大の理由は、南西混成団の副司令が、きょうは天候が悪いから、飛んでも視界が見えないからだめですよというふうなことを、このアドバイスを受けて、飛ばない、延期だということが決まったというふうに新聞記事に載っていましたね。

 これは、私は、いろいろな角度で天気図を見て、いろいろ見たら、それは飛行機が飛ばないような状況ではない、雲の高さからして全部飛ばないような状況じゃない。本当に南西混成団の司令官は、飛ばないでいいですよというアドバイスをしたのかどうなのか。それで、そのときにP3Cは飛んだのか、飛ばなかったのか。通常の尖閣の視察行動をしたのかどうなのか。これは明確にやってもらいたいですよね。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、十三日の午後飛びたいということは三月初めごろから入っておりました。これにつきまして、当日、知事の方から、いわゆるうちの南混団の司令官の方に天候がよくないため視察を延期したい、こういうような話がございまして、それで当方としては予定を取りやめた、こういうことでございまして、こちらから出したということじゃございません。(下地委員「最後のところ」と呼ぶ)当日は、P3Cは飛んでおります。

下地委員 もう一回聞きます。こちらからは言っていないんですね。

西川政府参考人 こっちからは言っておりません。

下地委員 海上保安庁、向こうの当時の十三日の天候、飛行機が飛ばないような天候なのか、自分の監視している船から島が見えなかったほど視界が悪かったのか、お願いします。

石橋政府参考人 海上保安庁、尖閣諸島周辺海域におきます巡視船が観測した当時の天候状況は、天気、曇り、風、北寄りの風、風力三ないし五、これは秒速にして三・四メーターから十・八メーター、風浪、北寄りの風浪、波高一メーター前後、海上視程十キロから二十キロでございます。(下地委員「どうなのかと一般の人がわかるように言わなきゃ。これではわからない。天気はどうだったのか」と呼ぶ)天気はそれほど悪くありません。(下地委員「十キロ、二十キロは見えたのか、見えないのか」と呼ぶ)視程十キロ、二十キロは見えています。

下地委員 気象庁、これは飛行機は全部飛んでいるね。欠航便は、与那国便も一個も飛行機はない。雲の高さ四百五十メートル、台北から那覇に行くものも台北から東京に行くものも、一つも欠航がないけれども、天気がよかったんでしょう。

柏木政府参考人 お答えいたします。

 平成十九年三月十三日の十時から十四時までの尖閣諸島上空は、気象衛星観測によりますと、高さおよそ二千メートルより下層に雲が存在する状況であったと判断されます。また、石垣島の気象レーダーによりますと、尖閣諸島の周辺には雨は観測されておりません。

 気象庁が入手可能なデータからは、尖閣諸島上空の高さおよそ二千メートルより下の雲の状況が把握できないため、尖閣諸島の上空において地上何メートルの視界がとれる状況であったかということについてはわかりません。

下地委員 あなたはそんなことを言うけれども、自分が出してきた資料からすると、与那国の横の気象台は四百五十メートルの雲の高さだと言っているのに、P3Cが目視ができる高さは百五十メートルで、P3Cは飛んで目視をしていると言っているわけ。雲の高さは二千メートルじゃなくて百五十メートル以下だったら視界が悪いということになるけれども、横の与那国は四百五十メートルの雲の高さがあって、そういうふうな状況の中で、プロが見てその高さで何でこんな答弁しかできないのか。もういいよ、もう終わっちゃっているから。

 最後になりますけれども、しっかり、ちぐはぐするような答弁はだめですよ、そういうのは本当に。海上保安庁もそういうふうにちゃんと答えている、防衛省も答えているんだから。特に予報官のあなた方がちゃんと答えないと、本当はだめなんですよ。

 それで、最後になりますけれども、その後、書いた新聞社に通知を出して、あなたが書いたことはうそかどうか県で確かめると言ったら、仲井真知事は、自衛隊が言ったという記事には間違いありませんという記事を新聞社に送っている。官房長が言っているのがうそか、向こうが言っているのがうそか、これは確かめる必要があるよね。県民にうそをついているかどうかも、やっているんだから。それを確かめる気持ちはありますか。

西川政府参考人 我々の方としては、そういう申し入れは一切しておりません。その新聞はまだ見ておりませんので、それはそういう情報があるなら、ちょっとまた今後見させていただきます。

木村委員長 下地幹郎君、時間になりましたので、簡潔に願います。

下地委員 終わります。

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十六分散会


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