衆議院

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第6号 平成19年4月3日(火曜日)

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平成十九年四月三日(火曜日)

    午後三時九分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 北村 誠吾君 理事 寺田  稔君

   理事 中谷  元君 理事 内山  晃君

   理事 笹木 竜三君 理事 遠藤 乙彦君

      新井 悦二君    石破  茂君

      大塚  拓君    大前 繁雄君

      瓦   力君    浜田 靖一君

      広津 素子君    宮路 和明君

      矢野 隆司君    山内 康一君

      山崎  拓君    神風 英男君

      津村 啓介君    長島 昭久君

      前田 雄吉君    石井 啓一君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      照屋 寛徳君    下地 幹郎君

      西村 真悟君

    …………………………………

   防衛大臣         久間 章生君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   富田 耕吉君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  千田  彰君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     新井 悦二君

  仲村 正治君     矢野 隆司君

  福田 良彦君     広津 素子君

  赤松 正雄君     石井 啓一君

  辻元 清美君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     高木  毅君

  広津 素子君     福田 良彦君

  矢野 隆司君     仲村 正治君

  石井 啓一君     赤松 正雄君

  照屋 寛徳君     辻元 清美君

    ―――――――――――――

四月三日

 米軍再編特措法案の廃案を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第七四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官梅本和義君、防衛省防衛参事官富田耕吉君、防衛省大臣官房長西川徹矢君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁施設部長渡部厚君及び防衛施設庁建設部長千田彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾君。

北村(誠)委員 自由民主党の北村誠吾でございます。

 質問に入ります前に、過日、徳之島におきまして、離島救急患者輸送の任務の途上にあり、不慮の事故によって殉職をされた陸自ヘリ搭乗員四名の方々に心から哀悼の意を表し、関係の方々にお見舞いを申し上げたいというふうに存じます。

 さて、質問であります。

 今般の在日米軍の再編に伴う影響等々いろいろありますけれども、単刀直入にお尋ねをいたしますが、沖縄における再編の進行によって、駐留軍等でお仕事をなさっている労働者、こういった方々に影響が当然に、グアムへの移転等々によって、あるであろうと思いますけれども、どういうふうな移動があるというふうにお考えであるか、現状においておわかりのところで、削減される、あるいは移動がこのようにあるというところをお教えいただきたいし、余剰の人員等が出たとき、そういった方々に対してはどのような処置を考えておられるのか、まずその二点につきまして御説明を願います。

久間国務大臣 沖縄の米軍の海兵隊関係で約四千六百人ぐらいの労務者がおりますけれども、米軍の再編によってどこがどういうふうに動くのかはまだ詳細な計画が出ておりませんので、何らかの影響が出てくるし、そうなりますと、転職といいますか、やはりかなりほかの方向に振り向けなきゃならないというのはありますけれども、今の段階ではまだ具体的な数字はつかめておりません。

北村(誠)委員 これからいろいろな移動がある、動きがあることによって出てくる方々に対する対応というものに真摯に取り組んでいただきたいというふうに希望します。

 さらに、次の質問でありますけれども、防衛省は、今言う労働者の削減や、それから軍用地等の土地の返還に伴いまして、人の移動によるそれぞれの収入の変化、所得の変化、あるいは、軍用地の返還等に伴い、借地料その他関連の、沖縄に入っておった、沖縄の収入といいますかそういったものが、土地の返還、軍用地の返還等によってどのような大きな影響というものがあるか、どういうふうにそこを把握しておられるか、御説明願いたいと思います。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

久間国務大臣 これは、返還されるわけでありますから、その分の地代等がその人たちに入ってこなくなる、それはもう十分考えるわけであります。

 しかしながら、それと同時に、返還の土地についてどういう振興策を講じていくか、それがまさに、これから先、沖縄の振興を図っていくキーポイントでありますから、それらをやることによって、米軍の借料としては入ってこなくなったけれども、ほかへの転換が可能になって、それが沖縄の振興につながっていく。そういう方向で活用されるように、私たちも、ほかのまた政府の関係機関と協力をとりながら、また県とも一緒になって、そういうような方向に努めていかなければならない、そう思っているところであります。

北村(誠)委員 今大臣御答弁のとおり、まさに政府を挙げてこれまでも取り組んでこられたところでありますけれども、政府全体、そして沖縄県、関係の市町村、そしてまたそれぞれ関係の地主の皆さんあるいは沖縄の企業、産業界の皆さん、一体となって沖縄の振興策というものを図っていかなければならない大変大事なところに差しかかっておりますし、今審議をしております法案というものの大切さも痛切に感じるところであります。

 さて、今回の法案は、米軍の再編に伴いまして負担が増加する市町村を再編関連の特定市町村ということに指定をいたしまして、当該市町村に再編交付金を交付するなどの措置を定めるというものでございます。

 この再編関連特定市町村に指定される区域の範囲、これはどのような基準で定めるのか、また、交付金の交付額の算定方法はどのようなものであるのか、まず、それをお答えいただければと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 まず、再編関連特定市町村の指定の関係でございますけれども、これについては、まず、政令で定める範囲内の市町村ということになってございます。これについては、再編関連の特定防衛施設が所在する市町村のほか、例えば、航空機の新たな配備が行われ、騒音が生ずることとなるような場合につきましては、所在市町村に隣接する市町村等となることを検討しておるところでございます。

 それから、この市町村の具体的な指定でございますけれども、この政令で定める範囲内の市町村のうちから、再編の実施が周辺に及ぼす影響の程度等、個々の地元市町村の状況を考慮いたしまして、当該市町村において住民生活の利便性の向上等に寄与する事業を行うことが再編の円滑かつ確実な実施に資するために必要であるという点に基づいて判断することとしております。

 それから、交付額の算定方法の関係でございますけれども、これにつきましては、まず、米軍再編に伴う住民生活の安定に及ぼす影響の増加の程度等を考慮するということがございます。それから、二点目といたしまして、米軍再編の実施に向けた措置の進捗状況に応じて交付するということもございます。

 まず、影響の程度でございますけれども、これについては、例えば、防衛施設面積自体が増加するか否か、どのような施設整備を行うか、どのような装備が配備されるのか、どのような程度の規模の人員が増加するのか、それから、訓練移転の場合につきましては、どのような内容の訓練を行うのかという点について基準を設けまして、交付金の算定に当たりたい、こういうふうに思っているところでございます。

 それから、進捗状況に応じた交付金の関係でございますけれども、再編が実施された場合の交付額を上限額といたしまして、進捗状況に応じて段階的な交付額を設定する制度とすることを検討しております。

 具体的な進捗状況の各段階につきましては、一例でございますけれども、地元市町村が再編の実施を受け入れた段階、二番目といたしまして、環境影響評価に着手した段階、三点目といたしまして、施設整備工事に着手した段階、それから再編が実施された段階というふうな各段階が考えられると思っておるところでございます。

北村(誠)委員 丁寧に答えていただいて、ありがとうございます。

 この点を私がお尋ねするのは、交付金を交付するに当たって、やはり地元との調整ということが大変必要だろうというふうに思うわけですね。

 そういった際に、もう大臣も既に、私より以前に質問をされた諸先輩の皆さん方の答弁の中で十分触れておられたと思いますけれども、すべての事項を法律でできるだけ定めておこうということは、心がけとしては大変必要なことだと私も思いますし、そういう努力は必要だと思います。

 しかし、具体的に、この基地というものの所在あるいは存在、あるいは基地における住民に対する負担とか、あるいは、その基地の所在によっていろいろな障害を受けるというふうなことがあるわけでございますから、それを、はっきりと結果が出ていない状況の中で、あらかじめの準備をしておこうということになると、余りにも確定的に法律というもので決めてしまえば、それこそ押しつけというふうなことになるのではないかなというふうに私は考えます。

 ですから、丁寧に関連の自治体と協議を進めて、地域の実情を十分に勘案した、そういった政令となるように図っていくということが肝心ではないかと思いますけれども、重ねてのことになりますが、この考え方、方向としてそのとおりであるかということを御確認願います。

久間国務大臣 確かに法律で法定するのが一番はっきりするわけですけれども、なかなか、法律でそこまでやっておりますと、またその都度、こういうものが出てきたというときに法律を改正しなければならない点もございます。

 したがいまして、政令で定める場合でも、やはりだれが見ても不公平だとかそういうことにならないように、それはもちろん、一つの一定基準を内部でつくって、こういうふうな形でやりましたというようなことを、やはりこういう委員会とかあるいはまた広く一般に言いながら政令を定めていくことの方が柔軟性があるんじゃないかと思っておるわけです。

 例えば、飛行機だったら、一応頭の中にありますのは、五十機以上が増加するとかいうようなこととか、まあ、それだけそろって移ってくるとなったら大変だなというような、そういうことがきちんとカウントされるような基準を示しながら、これについては特別扱いしますよというようなことにしていこうというふうに思っておりますけれども、どうしてもやはり政令にゆだねざるを得ませんので、そこのところについては御理解賜りたいと思うわけであります。

北村(誠)委員 もちろん、現在の沖縄の負担というのは大変重いものであるというふうに私も思っております。ですから、在日米軍の問題全体を考え、また、日米同盟の利益を受けております我が国全体の問題として受けとめる必要があるというふうに思うわけで、そういった意味でも、この米軍の再編に基づく訓練の移転や土地の返還あるいは積極的な施設の共同利用というものを進めるべきであろうというふうに思うわけでございまして、この特措法を成立させて、それら関連の施策の円滑な実施に資するようにすることが大変必要であろうと私も考えます。

 しかしながら、米軍が所在することによりまして、その地域には利益とともに有形無形の負担が生じている、重ねてのことでありますが、そのように思います。私の地元でございます長崎県の佐世保にも、御承知のとおりアメリカ海軍の基地がございます。このことは日常肌で感じております。

 また、米軍再編のための施策を推し進めるに当たりまして、これまで生じておりました地域に対しては、いろいろな障害等々について、新たな負担を強いられる地域に対しても、一定の配慮、すなわち、今審議をされております交付金のような財政配慮だけではなくて、負担の受け入れに対して、地域関係者、関係国民に対して敬意を表するというような姿勢を政府が国民を代表して常に示していく精神的な配慮というものもきちんととっていく必要があるのではないかというふうに思いますが、大臣におかれては、重ねてのお尋ねになりますけれども、そういった点はどのようにお考えですか。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

久間国務大臣 今回の再編によって負担が増加する、そういう市町村に対して、もちろん、我々としても最大限の配慮と同時にまた謝意を表するわけでありますけれども、それだけではなくて、従来から、米軍施設があることによって、やはりそういうものがない地域と比べたら負担を受けておられる、そういった地域に対しても、私どもは、これまでもまた別のいろいろな手当てによってあるいは予算措置によってやってまいりましたけれども、単に予算措置を講じておるというだけではなくて、そういうことを受け入れてもらって従来から粛々と摩擦なくやってきておるということは、その地方自治体の日ごろの御努力のたまものでございますから、そういうことについては十分敬意を払って、これから先も、この問題に限らずいろいろな面で、政府としては、敬意を表すると同時にいろいろな点で相談に乗っていくといいますか、そういう姿勢は必要だろうと思いますので、これから先もそういう点については努力したいと思っております。

 佐世保について今言われましたけれども、佐世保については、今度の米軍再編に直には関係しませんけれども、いろいろな点で御配慮を賜ってきておることは、常々、佐世保市当局に対しましても、私からも謝意を表しておるところであります。

北村(誠)委員 ありがとうございます。市民にかわりまして、いつも心にかけていただいておりますことにお礼申し上げます。

 次に、随分話題になっております岩国飛行場のことについて、念のため、確認の意味も含めてお尋ねをさせていただきます。

 この滑走路沖合移設事業、これはこれまでどういった経緯をたどり、どういう目的でこの事業が行われたのか。恐らく、二十年前後の期間を実質的にはかけての事業であったろうというふうに思うんですけれども、この岩国の沖合移設というものの事業目的、また最終的には、この移設事業が完成をし、そして米軍の再編の一環として厚木から岩国に艦載機が移転をする、それらも含めて岩国の沖合移設事業というものの完成、終了と認識すべきものなのでしょうか、ここら辺の整理をしていただければというふうに思います。

北原政府参考人 北村先生に御答弁を申し上げます。

 先生今御指摘の岩国飛行場の滑走路移設事業でございますが、これは、この飛行場の運用上また安全上並びに騒音上の問題を解決していこうといった観点から、平成八年度から工事に着手しておりまして、現在の滑走路をいわゆる沖合へ約千メートルほど出す工事でございます。順調に事業は進んでおりまして、平成二十年度には完成をしたいということで今努力をしているところでございます。

 それから、先生御指摘の厚木からの空母艦載機の移転等でございますが、これにつきましては、平成二十六年度までにこれを完了するということを考えております。したがいまして、現在、必要な施設整備につきまして、最初に申し述べました滑走路の沖合移設事業に伴う施設整備との関係も含めまして、当該事業に影響を与えないよう、今、米側と協議を進めているところでございます。

北村(誠)委員 その岩国に関連しまして、あくまでも新聞の報道でありますから、正確でない部分もあるんじゃないかと思って大臣にお尋ねをいたしますけれども、二月九日に久間大臣と岩国の市長さんが会われた。

 その会われた際に、岩国の市長さんの方から、米軍再編問題に関して国と協議機関を設置してほしいという市長さんからの要望があったということでありますけれども、どうも新聞の報道は、大臣の方がそれをどちらかというと断ったというふうな報道の仕方があったので、私は、これまでこの法案の審議等々大臣のいろいろな説明や答弁をお聞きしても、新聞に報道しておったように大臣が断ったというふうなことは考えられないのではないか、新聞が正確に報道してくれていなかったんじゃないかというふうに思いますから、そこら辺、大臣の真意というものを、新聞が報じますと非常に、それがもうまさに正しいというふうなことで伝わってしまいますから、大事なところなので、よろしくお願いします。

久間国務大臣 協議機関というものを形式的につくるような話も確かにありました。しかし、そのときに私が市長さんに言いましたのは、沖縄の場合は、市町村の数も、例えば名護だけではなくていろいろなところも関係しておりますから、それでまた県も一緒になって関係しておりますから、協議機関という形でやらざるを得ないのかもしれないけれども、岩国の場合は、もう遠慮なくいつでも、話があると言われたら私はいつでもお会いしますので、わざわざ協議機関をつくらぬでもいいんじゃないでしょうか、そしてまた施設局も、必要ならいつでも呼んでもらえば岩国の市の方にも行きますし、また岩国の市長さんの方が局長に会いたいと言われればうちの方はいつでもやりますので、そういう形式的なことよりも、もっと、意思の疎通を欠かさぬようにしょっちゅうお会いしましょうよという話をしたわけでございまして、決して、拒んだとか拒否したとかそういうようなことではございませんで、まあそうですねと言って帰られたような感じでございました。

北村(誠)委員 御答弁を聞けばなお安心するわけですけれども、まさに私が見た新聞の報道は、まるで大臣の今の真意とは逆の報道をしてあったように思いますから、ぜひ、常に大臣の真意というものが伝われば、大いに岩国市民、また岩国、山口県関係者にもプラスということがさらに多いのではないかというふうに思いますので、そこら辺はよろしくお願いします。

 それと、今度の艦載機の移駐を引き受ける岩国、特に艦載機のFCLPという離発着の訓練を受け入れなければならぬのじゃないかというふうに深刻に受けとめて、市長さんは何かそれを非常に心配しておられるというふうなまた報道でありますけれども、明らかに岩国ではこのFCLPは実施しないというふうに久間大臣も申されたし、それは昨年の委員会での答弁においてなされたと思いますし、安倍総理も地元での記者会見においてそのように、同趣旨のことを申されておると私は理解しています。

 また報道で恐縮ですけれども、二月二十六日、岩国市長が広島防衛施設局長と会談した際に、このFCLPを実施する恒常的施設に関する候補地の選定や日米協議の進捗状況について明確にするようにというふうに市長が求めたところ、施設局長は、アメリカ側と協議中と従来どおりの回答を繰り返した。

 これでは、岩国市において、特に市議会が大変前向きな決議をされたやに聞いておりますし、いろいろな努力によって理解が進んでいるという実感を大臣もあるいは関係の皆さん方も得ておられるんじゃないかと思いますけれども、しかし、今私が申し上げたようなことでは、せっかくの状況づくりが整ってきておるのを台なしにしてしまうんじゃないかなというふうに危惧するわけです。

 ですから、政府一体として地元との誠実な協議が重ね重ね求められているというふうに思うんですけれども、大変しつこいですが、大臣、今私が述べたところにつきまして、所感があれば、お聞かせをいただきたい。

久間国務大臣 私がやりませんと言ったのは、NLP、要するに夜の訓練についてはやらないということは明言したわけですけれども、昼間の離発着訓練については、そのときはたしか余りはっきりしたことは言わなかったと思います。

 今、いずれにしましても、そういう離発着の訓練をする場を、あと二年後の夏までに候補地をきちっと米側にも示して、そしてここでやりたいということを言おうと思っておりますが、そういうような絡みもございまして、どの程度までそれをやるかですけれども、少なくとも夜間の訓練についてはやらないということは、この委員会で平岡先生の御質問に対して私は答弁したわけであります。

 詳しいことはまた施設庁の方から聞いていただきたいと思います。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 大臣が先般国会でも御答弁されておりますが、まず、誤解があるといけませんので、ちょっと整理させていただきますと、大臣が答弁されましたNLPは、今北村先生が御質問されました、いわゆるFCLPの一部でございます。

 それで、現在、大臣並びに私どもといたしましても、岩国市長さんからこれまで数次にわたりまして、恒常的な、今申しましたいわゆるFCLP施設をどこにつくるんだといったことについて、特に岩国でやるんじゃないかとか、そういった御指摘がありましたので、大臣も私どもの事務方も、それを岩国に求めることはございません、そういうことを明確に御答弁しているところでございます。

 それは、今先生最初に、二月二十六日の私どもの広島局長と岩国市長の会談の報道につきまして言及がございました。まず、この二月二十六日に行われましたのは、先ほど、私どもの大臣と井原市長、二月九日の会談を踏まえて行ったものでございまして、また、このFCLPにつきましては、その場でも、従来の大臣並びに我々政府がお示ししている考え方を、すなわち岩国にはFCLP施設を求めない、そういったことは明言しているところでございます。

北村(誠)委員 ちょっと僕は頭が悪いので、整理がつかないんです。

 北原長官、もう一遍確認してください。FCLPの一部であるNLP、夜間離発着訓練。岩国においては、NLP、夜間離発着訓練をやらない、そういうふうな認識でいいんですか。

北原政府参考人 空母艦載機の離発着訓練、これは、今現在、基本は硫黄島でやっているわけでございます。これは暫定的でございます。それで、それを、先ほど大臣が御答弁申しましたように、二〇〇九年の七月またはその後のできるだけ早い時期に選定するといったことが、ロードマップ上、目標とすることが定められているわけでございます。

 それで、いわゆるFCLPの中の一部の夜間の発着訓練、NLPでございますが、これと岩国の関係でございますが、これにつきましては、空母艦載機が行って岩国でNLPをすることはございません。ただ、現在、例えば厚木で、空母艦載機がいるわけでございますが、基本は硫黄島でやっておりますけれども、低騒音機、E2Cみたいなプロペラみたいなもの、それは厚木でもやっておりますので、それにつきましては、空母艦載機等が移駐した後もこれは岩国でも行いますといったことは申し上げております。さらに、硫黄島が天気が悪いような場合は、岩国と三沢それから厚木等は予備の基地になっておりますので、そういった場合には行います、そういうこともあわせ申し上げております。

 ただ、現実の問題として、ちょっと正確な資料を今持っておりませんが、たしか平成十三年かそこら以降、岩国が予備基地としてNLPで使われたことは結果として今ございません。

北村(誠)委員 わかりました。

 では、最後の質問をさせていただきます。

 米軍再編の一環として、横須賀の基地が、一応平成二十年の八月の配備ということに聞いておりますけれども、原子力空母とキティーホーク、通常型の空母の交代ということがあって、いろいろな努力によって横須賀市民も市長も理解をされて、その受け入れということがまとまったというふうに聞いております。大変、関係の皆さん方の努力を多とし、よかったなというふうに私は述べさせていただきたいというふうに思いますし、それによっていろいろなことが生じるものに対しては十分の対応をしていく、そのためにもこの法律は必要ということになるのであろうと思います。

 その報道の中の一つに、アメリカ側が、原子力艦艇の入港時、例えば、佐世保におきましては原子力潜水艦等がよく入港します、そのとき、起きないということではあっても、万々一の事故のために、そういう原子力艦艇の事故があったときにということで、備えあれば憂いなしといいまして、事故はないというふうに信じておりますけれども、そういうおそれをして、佐世保市民、市長を初め、そういった基地の関係者の訓練に、原子力艦艇の部分に関する分についても、事故があったときに備えて一緒に訓練に参加してくれないかというふうなことを年来呼びかけてきております。

 そのことについて、横須賀においては、空母の配備とともに、アメリカ側もその点について理解を示して、そのようなことが可能になりつつあるやに聞いておりますけれども、その辺について、わかる範囲で結構ですから、お答えを願えればありがたいと思います。

久間国務大臣 横須賀は米原子力空母の母港となるわけでありますけれども、佐世保の場合は母港ではございませんで、これまでも原子力空母が寄港したことはございますが、今のところ単なる寄港地でございます。

 そういう意味では、横須賀は、原子力空母が母港になって、そこに載っている艦載機が厚木から今度は岩国にも移るとか、そういうことにもなるわけでございまして、そういう意味ではこの法律との関連性がございますけれども、佐世保については、そういう意味ではこの法律とも直接的な関連がないので、米軍再編に伴う、佐世保がその整理対象になり得るかというと、私は、それは非常に難しい、ならないというふうに答えることの方が正しいんじゃないかなと思っております。

北村(誠)委員 どうもありがとうございました。終わります。

木村委員長 次に、大塚拓君。

大塚(拓)委員 自由民主党の大塚拓でございます。よろしくお願いいたします。

 法案の質疑に入る前に、去る三月三十日、先週の金曜日でございますけれども、入間に配備されましたPAC3についてちょっとお伺いをしたいと思っております。

 入間に配備されたPAC3は、基本的に首都の防衛を担うという位置づけになっておるというふうに聞いておるわけでございますけれども、しかしながら、入間から、例えば首相官邸までを直線距離でとると三十七キロあるということでございます。基本的に首都機能を防衛するというためには、もっと首都に近い、都心に近いところに配備、展開されているということが基本的には望ましいんだろうということは、マスコミ等々でも報道されているところでございます。

 一方で、基本的に弾道ミサイルの防衛というものは、大体事前にインテリジェンス等によって兆候というものがわかるものであろう。弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれがあるとまでは言えなかったとしても、事態が緊迫してきているというときには、緊急事態対処要領に従ってあらかじめ破壊措置というものを命令することもできるということになっておりますので、大体の場合においては、これは時間的な余裕を持って対処できるということになっているのかと思います。

 ただ、やはりレアケースかもしれませんけれども、急に事態が緊迫してくる、急激に事態が緊迫してくる、全く想定しないタイミングで急速に事態が進展するということもないと言い切ることはできないのかな、こういうふうに思うわけでございます。

 一例を申し上げれば、どこかの国と何らかの外交交渉をしているというときに、交渉の最中に、事前には想定していなかったけれども、いきなりその国がミサイルの発射準備を始めた、そういう兆候を急につかんだ、こういうケースもあろうかと思うわけでございます。

 こういう場合に、現状ですと、入間から都心まで、車でがあっとPAC3を運んでいくことになるわけですけれども、時間帯にもよりますけれども、入間から、例えば市谷あたりまで来ようと思うと、大体二時間ぐらいかかるのかと。さらに、発射態勢を整えるまでに、移動の前後の時間を合わせて大体二時間ぐらいかかる、こういうふうに言われている。そうすると、大体四時間というものが、そういう兆候をつかんでから実際に展開が完了するまでにかかる。これを例えば緊急車両で先導したりしても、いずれにしろ、二時間プラス移動時間というものはかかってくるんだろうというふうに考えております。

 こういう点を考えるとやはり、今幾つか候補地として名前が挙がっているようなところがございますけれども、例えば市谷とかそういう、より都心に近いサイトに事前にあらかじめ展開をしておく、そういう態勢を整備していくということも今後は必要になっていくのかなというふうにも考えておるわけですけれども、大臣の御所見をお伺いできればと思っております。

久間国務大臣 まず、委員に御理解いただきたいんですけれども、我が国の全体を防御するためには、イージス艦に搭載するシステム、SM3のシステムと各高射群に置くPAC3とがそろって初めて完備するわけでございまして、今のPAC3だけでは、まだその過渡期でございますから十分なことができない。

 そういう意味では、これだけだったら、首都圏に置いてもそれを全部カバーすることはできないわけです。だから、やはり入間に置いて、入間の第一高射群が、置いたPAC3のいろいろなことを検証したり検討したりするのには、そばに置いておいてやるのがいいということで置いているわけでございます。

 これを、将来、今みたいな情報収集によって首都圏がどうだということになったときにどう展開するか、これはまたこれから先いろいろと研究しながら、展開の仕方等もやっていきますけれども、それをあらかじめ、どういうふうに展開する、どこに展開するということをまた申し上げるようなこともちょっと、いろいろと差しさわりがありますけれども、PAC3の運用についても、そういうような柔軟性といいますか、それは考えておかなきゃならないとは思っております。

 しかしながら、とにかく首都圏にPAC3を常時必ず置いておくんだ、そういうことに私はならない。むしろ、首都圏の防御もどうするかを含めながら、今言ったSM3とPAC3の、首都圏を中心とする地域の防御体制をどうとるかはこれから先の検討課題だと思っておりますし、ある程度の検討は進んでおりますけれども、ここでつまびらかに言うような状況でないし、ましてや、現段階では、PAC3、まだ一基入っただけでございまして、これから先、SM3とPAC3が逐次、二十二年度末ぐらいまでに整備されてくる、そういうような状況の中で、どういうふうにそれを、イージス艦もどう配備するか等も踏まえながら検討していくものになろうかと思っております。

大塚(拓)委員 ありがとうございます。

 PAC3の配備、SM3の配備が進む中で、急な事態に接したときにどたばたすることのないように、あらかじめぜひ検討を進めていっていただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 それでは、法案の質疑に移りたいと思います。

 今回のグアムへの海兵隊の移転に伴って、日本側が、これは上限ということですけれども、財政支出で二十八億ドル、それから出資、融資等で三十二・九億ドル、これは将来的には返ってくるお金ということですけれども、この負担をするということになっております。これについて、もともと米軍の再編計画の中でグアムへの海兵隊の移転というのは考えられていたところではないか、日本側が負担する必要があるんだろうか、そういう指摘も一部であるというふうに認識をしております。

 しかしながら、GPR、グローバル・ポスチャー・レビューを全部実施していくというのに大体二十年ぐらいかかるというふうに言われている中で、日本とか沖縄の戦略的重要性であるとか、あるいは、大変利便性の高いサイトである、米軍にとって非常に居心地のいい場所であるということを考えると、イラク戦なんかも長引いて大変アメリカの財政も逼迫しているという中で、GPRの中で、優先度の高い、プライオリティーが高いところなのかなという疑問を私としてはちょっと持つところでございます。

 すなわち、沖縄は居心地いいわけですし、現状でそんな問題があるというわけではないわけですから、アメリカに自主的に、米軍再編の中で海兵隊の移転ということを任せておくと、これは二十年というサイクルの中で限りなく後ろの方に行ってしまうのではないだろうか、そういう懸念も持つわけでございます。

 一方で、日本サイドとしては、やはり沖縄県民が長年耐えてきた苦難というものがあるわけでございまして、これを一刻も早く解消したい、こういう思いがあるわけでございますから、ここはやはり日本政府の意思として、主体的にこの財政支出というものを負担していくということが必要なのではないかなというふうに考えておるわけですけれども、そこについて御所見があればお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 それはもうおっしゃるとおりでありまして、わかりやすく言えば、米国の方が、うちも、行く行くは少し減らしてもう少し違うところに、グアムならグアムに持っていってもいいんだよなというような、そういう雰囲気を言えば、うちの方としては、それなら急いでやってくださいよ、うちの方もそれは応援しますから、できるだけ早く行ってくださいよと言いたくもなるわけですし、それは、沖縄の皆さん方から見れば、負担の軽減をと前から言っているわけですから、渡りに船とばかりに、政府としても、その話をやはりしたくなるわけであります。

 現にアメリカの方は、それを全部自分の方でやっていくならゆっくりやりましょうということになりかねないわけですから、そういう点では、今度の米軍再編にうまく乗じて八千人の海兵隊を減らすということは、我が国から見れば渡りに船だと、私は前から答弁でここで言っているわけでございまして、そういう意味では、我が国としても応分の負担はしてでもそうしたいということで、その辺で、額賀大臣のときに、ラムズフェルドさんといろいろとやり合いながら負担の上限を決めたところであります。

大塚(拓)委員 まさに、これは一刻も早くやっていかないことには、沖縄国際大学のケースのようなことがまた起きないとも限らない、その中で死傷者が出る。そうすると、日米同盟そのものに響いてしまうということもあると思うわけですから、やはり応分の負担をして、一刻も早く、二〇一四年までに確実にこの状況を解消していこうということが必要なんだろうというふうに思います。

 さて、今回の海兵隊移転のための事業の中で、JBICを活用した民活事業というのが非常に重要な役割を担うことになっているわけでございます。この出資とか融資の比率というのはまだ流動的ということですけれども、これは、まずこの法案の中でJBICに授権をしなければ何も始まらないということで、まだ今流動的なのは当然だというふうに考えておるわけでございますけれども、この中で、やはり民活事業ですから、リスクとリターンのバランスがとれた、民間にとって参入する魅力が十分にある、そういうスキームに仕立て上げていかなければいけないんだろうというふうに思っております。

 十分に魅力的なスキームというものができれば、当然それに伴ってJBICの出資の比率、リスク負担比率というものも自然に下がっていく、民間がその分カバーしていくわけですから。そうすると、それはひいては、我が国の財政の負担も減るし、国民の負担が減るということになると思いますので、ここをどうやって魅力的なものにしていくのかということだと思っております。

 この中で、やはり、民間の創意工夫というものを最大限活用するために、柔軟なスキームというものを準備しなければいけないのかなと。民間が、ここでコストを抑えたいな、ここで収益を上げていきたい、こういうふうに思ったときに、それに柔軟に対応できるような制度設計をしていくということが重要だと思うわけですけれども、政府としては、そのためにどういう制度設計を考えられているのかというのをお伺いしたいというふうに思います。

久間国務大臣 これは、我が国だけではなくて、アメリカの方もできるだけ財政支出を少なくしたい、そういう思いもありますから、これから先、どういう形でやったら総コストといいますか、下げることができるのか。

 そのときに、民活事業、アメリカではもう既にハワイ等でもやっておるようでございますけれども、そういうのを、特に家族住宅等についてはどういう形で取り入れたらいいのか、どういうような会社をつくって、それも一社にするのか、幾つかのグループで、地区で分けて競い合わせるのか。あるいは、事業そのものについても、日本でやった方が安上がりするのか、あるいはまた、いろいろな、公募型で、グループをつくらせておいて競わせた方がいいのか。これが、まさにこれから先の両国でのいろいろな交渉の中で、安くする方法について研究していくというようなことだろうと思うんです。

 それと、民活でありますから、JBICの仕組みを、一応我々としては法的な仕組みをつくりますけれども、民間だって参入できやすいような、そういうような余地を残しておきますと、そこはまた民間の金融機関等も場合によっては出てくるかもしれませんので、そういう可能性についても、やはり検討する余地を残しておいて、検討していったらいいんじゃないかなと思っております。

大塚(拓)委員 JBICのスキームでも、出資とか融資とか保証をいろいろ柔軟に組み合わせることができるようになっていると思いますので、その辺を活用していっていただきたいということと、あと、ハワイのお話で、米海軍と陸軍で少し何か状況が違うというような話もちょっと耳にしておりますので、その辺もいろいろ調べて、米軍との交渉材料なんかにもしていっていただければいいのかなというふうに考えております。

 民活ですから、基本的にコストをどうやって下げていくかというのは民間の創意工夫だということは先ほど申し上げたわけですが、ただ一方で、民間業者の創意工夫だけではいかんともしがたい、政府がサポートしていかなければコストが下がらない、構造的に下がらなくなっているというような部分もあるのかなというふうに考えております。

 例えば、今回事業が行われるグアムというのは、非常に規模の小さい島でございますから、大体人口が十六万人ということでございますので、工事をしようと思っても十分な労働者というものを確保することは恐らく地元だけでは難しい、あるいは、資機材を調達しようと思っても、グアムだけで十分な資機材を調達することは難しいということがあるんだと思います。

 そうすると、恐らく、こういうところでコンソーシアムを組んだ民間業者が必要以上にコストをかけずに事業を実施していくためには、例えば労働者を海外から入れてくる、例えばフィリピンの労働者を入れてくる。そのためには、やはりテンポラリーワーキングビザみたいなものがタイムリーに出てこないといけない。そうしないと工期もおくれてしまうということになると思いますので、そうすると、そういうところはやはり米国政府のタイムリーなビザの発給という支援が必要であると思いますし、恐らく資材調達なども、米国製に絞られてしまうと柔軟な運用というのができなくなってくる、そういうことになると思います。

 こういった点について、米政府に対して、これまでどのような働きかけを行ってこられたのか、また今後どういうふうに働きかけていかれるつもりなのかというのを聞かせていただければと思います。

久間国務大臣 これは、私が、防衛庁長官に就任する前に、自民党の総務会長をしているときに、米政府の高官が来られましたときに、今まさに委員が言われたようなことを言いました。しかも、これを短期間のうちにやり遂げるわけだから、非常に労務者が少ないところでやってくると、米国がやろうが日本の企業がやろうが、ワーカーが限られてくると非常に高くなる。だから、もう期限を切ってのそういうビザを出してやるぐらいのことを考えてもらわないと、双方にとって非常にこれは難しいですよというようなことを言いまして、確かに考えてみる必要はありますねとそのとき言って、帰られました。

 それから、今言われましたような資材の納入等についても、何かいい知恵がないと、とにかく本当に四年間なり五年間の間にあれだけの工事をばあっとやるわけでございますから、非常にコスト高になってしまうということは考えられますので、そういう点でも、特別の事業、そういうような配慮をする必要があるんじゃないか。

 だから、その後もいろいろ言っておりますのは、例えば、その後、仮にそういうワーキングビザをやったときに、働くワーカーについて最低賃金法の適用があるんじゃないかとか、そういうことについても考えないかぬ。ところが、そういうことについても、何か、これは特別の事業だという認識で切り抜ける方法も、場合によっては考えなきゃいかぬのじゃないか。そこで契約するならそうですけれども、そういう雇用者を連れて下請として入ってくるとか、いろいろなことを考えながら、コストを下げるようにしてもらわないと、アメリカも日本もどっちもが、短期間にこれだけのものがどんと来るというのは、言うなれば、オリンピック前の建設工事の高騰と似たようなものですよというようなことを私は提言したことがございます。その気持ちは今でも持っております。

大塚(拓)委員 これは継続的にずっとあることではなくて、まさにワンショットの事業でもありますし、恐らくそういうビザの問題等々は米国に財政負担を強いるものでもないわけですから、ぜひ大臣には頑張って交渉していただいて、事業コストが下がるように努力を続けていただければというふうに思います。

 今、コストを低減するという話をしたわけですが、同時に、目に見えるコストだけではなくて事業リスクというのも一つのコストであろうと思うわけでございます。要するに、確実に回収できるのかというところだと思います。

 これも聞いたところによりますと、米国政府というのは、事業そのものに保証をつけるということはどうもしないようである。恐らく、事業そのものに保証すると、それは財政上そのまま一〇〇%でカウントされてしまうということになっているので、事業そのものを保証するということはしないということでございますが、一方で、ハワイの、先ほども例に出ておりました民活事業においては、ロックボックスアカウントと呼ばれている、いわば給料の天引きシステムですね。米軍がアカウントを管理してあって、そこに振り込まれたものは、個人の軍人が自由に使うことはできず、そのまま家賃の支払いに充てられるというようなスキームを活用して、家賃収入の回収を確実にしているというふうに聞いております。

 今回の事業におきましても、米軍が直接事業を保証しないんだったら、こういう天引きのシステムなんかを活用して、民間事業者の回収リスクというものを局限していくということが必要だと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

久間国務大臣 これはもう既に、ハワイだけじゃなくて日本でも、そういうような、レンタル・パートナーシップ・プログラムという形でうちの佐世保なんかではやっております。米軍は保証はしないけれども紹介するという形で、司令官が立ち会って、でき上がったらこの兵隊さんが入りますよということをそこで約束するわけですね。そうしますと、その人のものは確実に口座に入ってきますから、そういう形にすることによって、いわゆるいろいろな危険負担を、リスクを少なくするということで回収のコストも安くなっておるわけですから、きちんとそれが返ってきています。

 佐世保も非常に住宅戸数が、国の方で提供しているのがいろいろな用地買収等でおくれましたから、民間のを借りているのが結構多いわけですね。そういうときに、そういう民間の建てたのを住宅手当で返していく、そういうのがもう既に動いております。

 そういうことを考えましても、これから先、いろいろなことについて、どういうふうにしたら一番かたく回収されるか、これについては抜かりのないようにしていかなきゃいかぬと思っております。

大塚(拓)委員 ありがとうございます。

 ここで、安全保障というもののスコープをちょっと広げた質問をしてみたいと思うわけです。

 私は、通貨とか財政というのも安全保障を構成する非常に重要な要素だろうというふうに考えております。私だけじゃなくて、これはもう周知のことといえば周知のことですけれども、例えば、今、米国の軍事優位というものがドルの基軸通貨体制というもので初めて成り立っている。ドルが基軸通貨だから、米国の財政がどんなに赤字になっても、それを何とかファンディングすることによって軍事支出というものをカバーしているということになっているというのは周知の事実だろうというふうに思うわけです。

 翻って、我が国がどういう状況になっているかと見ますと、財政面で、外国為替資産特別会計、外為特会というものがございますけれども、これで、過去、円高対策で介入を無制限に結構繰り返してしまった結果、相当なドル資産というものが積み上がっているという状況になっている。二〇〇六年の三月時点で、外為特会にある外貨準備が八十九兆円ある。これは非常に無視できないリスクだろうというふうに思うわけでございます。特に、今、ドルが実効為替レートで見ると非常に高値圏で推移しておりますから、何かのきっかけで暴落していくということも、ないとは言えない。そうすると、我が国の財政を直撃していくということになるわけです。

 そういう中で、では、たまってしまった八十九兆円をどういうふうに処理しようかと考えても、結局、市場でドルを売却していくと、それが引き金となってドルの暴落というものを招きかねない。結局、これまで長くドルの基軸通貨体制というものを支えてきたのがそもそも我が国の財政だということも考えたときに、どうやって解消するかというのが非常に悩ましい問題になっていたということだと思うんです。

 これに対して、これもちょうど三月三十日でございますけれども、日経新聞によりますと、財務省が、政府によるドル建ての支払いというものに、この外為特会に積み上がったドルの準備金というものを充てていくという仕組みを発表しております。

 これは、従来、ドル建てで外国の政府なんかに支払いをしようとすると、政府に限らず外国に支払いをしようとすると、民間の銀行で円からドルに両替してそれを送金する、こういうことになっていたわけですけれども、政府の中にたまっているドルをそのまま直接使っていくということで、両替の手数料というものが削減できますというのが表向きの説明にはなっておるわけでございます。

 基本的に、今回の措置によって、外為市場で直接ドルを売るということをせずに、市場で売却することなく、これは財務省の計算によると毎年大体五千億円ぐらいの準備金というものを減少させていくことができるだろうと。この五千億円の構成というのは、例えば外務省の職員に対する支払いであったり、あるいは国連とかそういうところに対する分担金の支払いであったり、あるいは自衛隊による装備品の購入、こういったものの支払いに活用していくことで、ドルの下落リスクというものを局限しながら我が国の財政リスクを減少させていくことができる。

 私は、これは非常にいいスキームだと思っておりまして、積極的に活用していくべきだろうというふうに考えておるわけです。

 今回の海兵隊のグアム移転でも、ドル建ての支払いというのは結構出てくるわけでございます。ほかにも、装備品の購入でこの財務省の計算に入っていない部分もあるようなのでございますけれども、こういったところで、この財務省の新しいスキームをぜひ防衛省でも積極的に活用していっていただきたいなというふうに考えておるわけです。

 いずれにしろ、両替手数料というものも数億円という単位で節約できますので、活用すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

久間国務大臣 全くおっしゃるとおりでして、私は前に、例えば、韓国の日本の大使館に行っている人が、日本から送るときは銀行でドルにかえて送って、向こうでわざわざまたドルをウォンにかえて使うというような、そういうことをやっている。これは、その手数料も、あるいは売買の値段は買いと売りとでは違うわけですから、もったいない話じゃないかというようなことをかねてから言ってきておりました。

 だから、さっき、いわゆるたまっているドルを上手に使う、そのスキームができるということは大変いいことだと思って、私も、その発表を見ながら、やっとこういうことになったかと思ったぐらいですから、これから先も、そういう知恵も大いに生かしていった方がいいんじゃないかなと思っております。

大塚(拓)委員 ぜひ、大臣というお立場を最大限活用して、このスキームを利用していただきたいというふうに考えています。

 最後に、海兵隊が今回移転することに伴って、抑止力というものに影響があるんじゃなかろうか、こういう議論も一部であるかと思うんですけれども、これについては、私は、余り今回については懸念をしていないんです。今回、移転の対象になるのが司令部要員が中心であって、日本の戦力投射のハブとしての重要性というものも損なわれるものではないというふうに考えておるわけです。

 ただ、これは、十年、二十年というスパンで物事を見たときに、例えば、さらなる沖縄の負担軽減をしようというときに、より一層海兵隊を削減する、こういう話が出てくることもあり得る、そういうものがアジェンダになることもあり得ると思うんですが、そうなると、そのときに、今度は、では、その穴をどうやって自衛隊で埋めていくんだろうか、こういう議論も必然的に出てくるんだろうなというふうに考えております。

 こう考えると、やはり、今後、次期防とかを考えていく中で、例えば島嶼侵攻に対する対応能力であるとか、あるいは、特に私が重要だと思っていますのは中央即応集団、こういったもののキャパシティーというものを、これまで考えてきたのとは一段違ったレベルで、より拡充していくということを考えていく必要があるのかなと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 やはり日米の関係でも、日本の自衛隊がどこまで対応できるか、その能力、役割、分担、そういうことについても詰めながら、やれるものについてはその能力を高めていく必要があろうと思っております。

 今言われましたように、そういう意味で、今度、各方面隊と別に中央即応集団というのをつくったのも、いざというときに、島嶼攻撃その他があったときすぐ対応できるような、そういう部隊の編成が必要じゃないかという流れの中ででき上がったわけでありまして、今度、そこの中にまた連隊を設ければ、それだけまた連隊の能力も高めていくことによって十分対応できるようなことも可能だと思います。

 今直ちには難しいので、抑止力を十分残してもらいたいということは言っておるわけでございますけれども、自衛隊で代替できることについては自衛隊で代替する、そういう意気込みを我が国としても持つ必要があるんじゃないかなと思っております。

大塚(拓)委員 アメリカ側を見ても、例えば先般発表になった第二次のアーミテージ・リポートなんかを見ても、やはり行間からひしひしと、日本に自分でできることはやってほしい、こういうニュアンスを強く感じます。アメリカに言われるまでもなく、やはり日本は日本で、できることはしっかりやっていくという心構えが必要だと思います。

 いずれにしましても、今回の米軍基地再編に絡めまして考えましても、自衛隊の能力というものをしっかり向上させていくことが、ひいては米軍基地の地元に対する負担というものの軽減につながっていくんだ、こういうことにもなろうかと思いますので、ぜひ今後も、米軍とも平仄を合わせながら、しっかりと防衛力の整備を進めていっていただきたいということをお願いさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 北原防衛施設庁長官に、前回に引き続いて、普天間の問題について聞いていきます。

 前回、環境現況調査について、アセスとは区別されるというぐあいに答えられました。現在着手しようとしている環境現況調査、これがアセス法に基づく調査とは別個に行うものというわけですが、今回の現況調査の内容はどういうものですか。これは、サンゴの調査に限定されるんですか。

北原政府参考人 赤嶺先生に御答弁申し上げます。

 私ども、現況調査を行いたいということで、今、県の知事さんの方に許可を申し出ているわけでございますが、その内容につきましては、先生御指摘の、海域のサンゴも含まれますが、そのほか、海藻草類、それからジュゴン、海象などの調査がございます。それからまた、陸域での大気、騒音、振動、動植物などの調査を行うことといたしております。

赤嶺委員 そうしますと、今後、環境アセスに基づいて手続に入ります。その場合に、今挙げた調査項目以外で別途実施することを想定しているものがありますか。

北原政府参考人 今先生御指摘ですが、今やろうとしている現況調査は、私どもがみずからの所掌事務に基づいて、環境影響評価法に基づく調査とは別個で行うものでございまして、その中身については先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。

 それで、今後、環境影響評価法等の手続、これにつきましては、今、方法書を作成しているところでございまして、まだ今作成中でございますので、環境影響評価法等に基づく手続並びにその内容等については、今まだ申し述べる状況にはございません。

赤嶺委員 ですから、今回調査したもの以外に、方法書の中で調査項目を想定しているのがあるんですか。

北原政府参考人 方法書につきましては、今作成中でございます。したがいまして、その中身等について今申し上げる状況にはございません。

 今申し上げることができますのは、協議書を自主的な判断で出しました、その内容等について申し上げることはできますが、今後、環境影響評価法、所要の手続の中で中身を詰めていく、そういうことになります。

赤嶺委員 今やろうとしている現況調査はアセス法の手続に基づくものではない、方法書は今検討している最中だと。

 それでは、環境アセスの手続に入ったときに、今やった現況調査と同じような調査を再びアセス法に基づいて行うんですか。

北原政府参考人 御指摘の点でございますけれども、今、これから現況調査を許可を得て行おうとしているところでございますが、今回行う結果の取り扱いにつきまして、環境影響評価の手続の中でどのように扱っていくか、取り扱い等につきましては、沖縄県ともこれからよく調整をしてまいりたい、そんなふうに考えております。

赤嶺委員 ですから、去年の十二月二十五日に開かれた協議会で、守屋事務次官が環境アセスについて説明して、環境アセス法に基づく環境現況調査というのは、あらかじめ調査手法について公告縦覧をして、県民の意見も聞き、そして県知事の意見も聞き、定めていく調査手法までやるんだということを言っているわけですよね。それと違う調査をやるというんですが、今やった環境現況調査というのは、アセス法に基づいて手続が開始されたときに、同じような調査を、調査手法も公告縦覧に付してやることはあるんですか。

北原政府参考人 環境影響評価の法律に基づく手続というのは、方法書を作成し、今先生がおっしゃったように、公告縦覧等々あり、そして環境現況調査等があり、そしてまた準備書、あるいは評価書と、一定の手続を踏んでいくわけでございます。

 現在やろうとしているものにつきましては、この法律に基づくものではございませんで、私どもの防衛省の所掌事務に基づく調査でございますが、まだ今県知事に許可を願い出ている状況でございまして、その結果の取り扱い等につきましては、これから県御当局とも十分調整をしていく、そういった状況であります。

赤嶺委員 いやいや、その取り扱いについては今後県当局と調整していくというのは、これはちょっとお話にならないんですよ。

 つまり、環境アセス法では、環境現況調査をやる場合は、その調査方法まで含めて県民に公告縦覧をし、県知事の意見を聞いて決めるというのを守屋事務次官が去年の十二月にわざわざ説明をして、議事録にも残っているわけですよ。

 今やる環境現況調査というのはアセス法に基づかないものですからと言っているわけですから、では、今やった調査の中身というのは、アセス法に基づいて手続が進んだときにはまた同じ調査をやるんですか、やらないんですか、どうするんですかということですよ。

北原政府参考人 繰り返しになりますけれども、今これからやるものは、私どもが自主的な判断で行うものであります。環境アセス法に基づくものではございません。そして、今これからやろうとし、またこれから結果が出るものにつきましての取り扱いにつきましては、今後、環境影響評価の手続の中で沖縄県ともよく調整をしていくといったことになります。

赤嶺委員 それでは、アセス法に基づく手続が進んだときに、環境現況調査を実施する必要がなければやらないということもあり得るわけですか。

北原政府参考人 今この時点で、仮定の御質問にお答えすることはできません。

 ただ、今私どもがやろうとしておりますことは、繰り返しになりますけれども、防衛省の所掌事務に基づいて、いろいろ調べておこうということで現況調査を行うものであります。

 したがいまして、その結果等について、その取り扱いを今後どうするか等につきましては、これから沖縄県とも十分調整をしてまいりたい、そういうことが今申し上げるぎりぎりのものでございます。

赤嶺委員 まさに、いろいろ取り繕って、環境アセス法の前倒しで、しかも、アセス法に基づけば現況調査の調査のやり方まで含めて公告縦覧しなければいけないのに、皆さんは、アセス法とは違う調査をやるんですといいながら、その項目は大体今までのアセス法の方法書に記載されていたものと同じような中身で、前倒しだと思うんですが。

 それで、さらに聞きますけれども、どういう海域で調査を行うんですか。

北原政府参考人 私どもが今考えておりますのは、名護市の字嘉陽から名護市の字久志に至る間の地先、面積的には三千九百二十五平米でございます。

赤嶺委員 この範囲というのは前回の沖合移設案が方法書で盛り込んでいた海域と同じですか、それとも違うんですか。

北原政府参考人 私どもは、前回の範囲等も参考にしながら、現在、私どもといたしまして、政府案を基本に考えておりますので、そうしたことを考えてこの範囲を定めたところであります。

赤嶺委員 ですから、前回と同じ範囲ですか、違うんですかということを聞いているんですよ。

北原政府参考人 詳細につきましては、今協議書を提出しておりますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、範囲が全く同じということはございません。なぜならば、前回の念頭に置いていた普天間代替施設、それから今現在考えておりますV字案といったことの違いがあります。

 そうした中で、我々といたしまして、防衛省の所掌事務から、今申し上げたような範囲で必要な現況調査をしようということで、今申し入れをしているところであります。

赤嶺委員 何でわかり切ったことをきちんと答弁しないんですか。さっき施設庁長官は嘉陽から久志までと言ったわけでしょう。それは、前回の沖合案の範囲と同じ範囲か違うのかということを聞いているだけですよ。もうこれ以上時間を長引かせるようなことをされてもあれですから言いますが、前回はどこまでだったんですか。それで、今回どこまでですか。

北原政府参考人 現在出しております協議書につきまして、その中身を今県知事がしっかりと御検討いただいております。そうした中で、前回とどうだということにつきましては、全くあらあらの言い方をさせていただければ、前回と比較しますと、いわゆる宜野座の方向が短くなっている、それは言えます。

赤嶺委員 前回は宜野座の松田方面のところまで、今回は久志というわけですから、範囲が小さくなっている。そうすると、今皆さんの態度としては、日米両政府が合意したV字案に基づいて調査を行うということであって、名護市が求めているV字案の沖合への移動は入る余地はない、このように理解していいですか。

北原政府参考人 先生、現在私ども政府といたしまして、また名護市も合意をしておりますのは、政府案のV字案を基本としてといった点につきましては、御承知のように、そもそもさかのぼりますと、十月二十九日のL字案から、上空は飛ばないでくれということを、名護市また宜野座村の御意向を踏まえて、四月七日にV字案になっておるわけでございまして、今ここで御指摘をいただいております調査につきましても、そのV字案を基本として、それに必要な調査を幅広く行おうとしているものであります。

赤嶺委員 そうすると、皆さんの今の調査の海域の中では、名護市の沖合への移動が入る余地はあるんですか、ないんですか。

北原政府参考人 先生の御質問に直接お答えすることは差し控えさせていただきたいんですが、私どもが知事に御提出をした協議書がございます。そして、そのときには、私どもは名護市長の同意も添付して、提出をしているところでございます。

 それから、これを提出した後、知事がコメントを出されていらっしゃいます。それによりますと、同調査、今回の調査でございますが、同調査については、名護市辺野古沿岸域の広い範囲で調査されるものであり、名護市の考えにも対応できるものであります、そういったことを明確にコメントで発表されていらっしゃるところであります。

赤嶺委員 名護市長や県知事の発言を取り上げておりますが、私、ここで一言言いたいんですが、広い範囲でV字形を目的として環境現況調査をやるというのであれば、その事業をやる事業主体は環境アセスをやらなきゃいけないんですよ。環境アセスをやるのであれば、方法書をつくり、環境の調査のあり方についてもきちんと県民の意見、知事の意見を法の手続に基づいて聞き、確定しなきゃいけないんですよ。確定した上で環境現況調査をやらなきゃいけないんですよ。それを、あなた方は、V字形をつくるための海域調査だということを今お認めになったんだけれども、やらないでやるという、まさに法を踏みにじるようなやり方で基地をつくるのかということを一言言いたいんですが、さらに聞きたいことがありますので聞いていきます。

 今おっしゃいました公共用財産使用協議書、出してほしいと。どんなものを出したか。資料要求をいたしましたら、一枚紙が出てきました。ここに持っております。

 出したのは一枚紙ですけれども、その紙の下に「備考」と書いて、「関係書類」「(1)利害関係人等の同意書」「(2)位置図、航空写真」「(3)調査概要」「(4)平面図」「(5)使用面積求積表及び算定根拠」とあります。

 これらの書類についても出していただきたいんですが、いかがですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今先生御指摘の協議書に添付をさせていただきました関係書類につきましては、今この場でも御答弁をしてまいりましたけれども、これから沖縄県と協議が行われるわけでございます。それからまた、必要な調査を円滑に行っていく必要があるといったこと等から、御提出することは差し控えさせていただいているところでございます。

赤嶺委員 これは皆さんがお決めになった皆さんの公文書ですから、当然情報公開の対象じゃないんですか。何でこれが出せないんですか。

北原政府参考人 繰り返しになりますけれども、これから沖縄県と協議が行われるわけでございます。それからまた、円滑にこの調査を実施していく必要がございます。そうしたことから、今申しましたような関係書類につきましては、御提出することを差し控えさせていただきたい、そのように考えております。

赤嶺委員 円滑に調査をしていく必要があるからこの協議関係書類を出せないというお話ですが、何で出したら円滑な調査ができなくなるんですか。

久間国務大臣 現況調査につきましても、公共財産の使用許可を今県にお願いしているわけです。それには、どなたが同意してくれたかということも添付して出しますし、それと同時に、どこにどういうふうな機材を置いたかというのを出すわけでありまして、それが、協議が調ってしまった場合にはこれまたどうなるかは別問題として、今協議している段階でそれを余り具体的に出すことについては、やはり県と国との関係だけではなくて、いろいろなまたリアクションもあると思いますから、その辺については御理解していただきたいと思います。

赤嶺委員 どんなリアクションがあるんですか。

久間国務大臣 前回、私は防衛庁長官をしておりましたが、やめた後、環境調査をしようとしましたら、海底に建てたやぐらにとにかく乗り込んできて、そこにおる人すら引っ張りおろして妨害をされた、そういうことがございます。妨害と言わないんじゃないかというような話もございましたけれども、あれは明らかな妨害ですよ、調査をしようとする。そういうようなこともありましたから、もう今度は用心に用心を重ねてやろうと思っております。

赤嶺委員 底意があらわれたというか、環境を調査する場合は調査の方法まで含めて県民の意見を聞かなければいけない、特に事業をするわけですから、事業をする側が広大な自然に手を加える場合には環境アセス法に基づく手続が求められる、これが基本ですよね。リアクションがあるからそれをやらないんだとか、そんなの許されますかね。

久間国務大臣 私たちは、環境アセス法に基づくアセスをやるときには、ちゃんと県にそれを出して、県との了解のもとできちんとした法の手続に従ってやりますから、それをやらないときはやらないと指摘してください。今の段階は現況調査をやろうということでやっておるわけですから、逆に我々としては現況調査のデータを欲しいわけであります。

赤嶺委員 どういう調査になるか、アセス法でさえ、その方法については県民の意見を聞くことが求められているのに、今皆さんはどんな調査をやるか知らせないで自然に手を加えようというわけですから、大臣、前回と同じ結果になりますよ。前回も、結局あのボーリング調査というのは、環境アセス法に基づく手続が必要じゃないか、そんな法の手続も無視してやるとは何事だ、違法な行為をしているのは政府の側だということですよ。どうですか。

久間国務大臣 前回のときも、環境アセス法に基づくそういう法的手続をとって調査に入る、それ以前のところでストップされたわけですね。だから、今回は少なくともそういうことはしてもらいたくないわけです。

 だから、我々は現況調査をやっていますけれども、それと当時に、また県と協議しながら、環境アセス法に基づく方法書をちゃんと提示して、そしてまたそのときには法の手順に従って調査をやりますから、そういうようなこともぜひ、今の段階でまた前回と同じようなことをするぞというようなことを言われますと困るわけでありまして、ああいうことはやはりやっちゃいけないことなんですよ。やぐらまで上って引きずりおろしてボーリング調査をさせないなんということは法のもと以前の問題でありますから、そういうことは絶対今度はしてもらっちゃ困るという思いも非常に強いわけでありますから、こういう場をかりてその気持ちを伝えたいと思います。

赤嶺委員 前回の事前調査も、事前調査という名前でいわば環境への影響を与える調査をやっている、法令違反をしているのは政府だというのが県民の声であり指摘であり、そして、そういう行動に対して七割、八割の県民が支持をしたんですよ。あなた方のようなやり方が環境アセスの精神に基づいて許されるはずはないということを指摘しておきたいと思います。

 それでは、法案について聞いていきます。

 今回の法案のもとになっているのが、昨年四月の額賀防衛庁長官とラムズフェルド米国防長官の合意であります。改めて合意の内容について聞きますが、司令部庁舎、これは何をどれだけつくる合意ですか。

大古政府参考人 御質問の司令部庁舎につきましては、沖縄の海兵隊がグアムに移転するに当たって直接必要となる庁舎ということでございます。ただ、その規模等につきましては、今後日米間で協議いたしますので、現時点で固まったものがあるわけではございません。

赤嶺委員 いやいや、八千人移る、司令部庁舎をつくるわけですから、例えばどういう規模の建物を何棟つくるか、幾棟つくるかというのは合意としてはどうなんですか。

大古政府参考人 司令部の庁舎につきましては、まず、司令部といたしまして、第三海兵機動展開部隊の指揮部隊、第三海兵師団の司令部、第三海兵後方群の司令部、第一海兵航空団の司令部、それから第一二海兵連隊の司令部等があると思っておりますけれども、具体的にこの八千人について、どういう司令部の要員なりがグアムに移転するかについては、米側としてもまだ検討中でございます。

 そういう状況下で、司令部の庁舎につきましても、どのような規模のものが何棟建つかについては今後日米間で協議されるということでございまして、現時点で具体的に固まったものがあるわけではございません。

赤嶺委員 何か、今まで皆さんの、司令部中心に八千人移転するというお話を聞いてきたわけですが、そこのグアムにつくる司令部庁舎、これは何人の司令部要員が使用するという想定ですか。

大古政府参考人 先ほどから申していますように、司令部要員を中心として八千人の要員がグアムに移転するわけですけれども、具体的にどの司令部の何人がグアムに移転するかということについては今後米国で検討されますので、先ほど来から答えていますように、司令部の庁舎についての規模等は現時点ではわからないということでございます。

赤嶺委員 建物の規模もわからないのに何で金額が出るんですか。

大古政府参考人 一定の前提を置いた上で米側で見積もったものでございますけれども、いわゆる司令部の庁舎それから隊舎等につきましては、二十八億ドルを上限といたしまして日本から財政支援をするということで日米間で合意を見たところでございます。

赤嶺委員 米側が見積もったものというわけですから、米側にはその見積もりの根拠はあるわけですね。

大古政府参考人 米側の見積もりを採用していますけれども、今後具体的に実施していくに当たりましては、細部的な、さらに詳細な見積もりをいたしまして、日米間で協議して、日本政府としてもさらに精査して実際の財政支出は決めるということになると思っております。

赤嶺委員 米側には見積もりはあるけれども国会には説明できない、それで、法律だけはちゃんとそういう枠組みの法律が出てくるという、非常に摩訶不思議というか、本当にこんなことで国会の審議というのが耐えられるのかなという感じがいたしますよ。

 真水について聞きますけれども、二十八億ドルとありますが、そのうち司令部庁舎には幾らかかるんですか。

大古政府参考人 いわゆる財政支出の真水の部分につきましては、庁舎、隊舎それから教場というところを考えてございますけれども、これは上限として二十八億ドルということで日米間で話し合っておりますけれども、具体的に庁舎幾ら、隊舎幾らということについては、今後、日米間で協議した上で決めていくということで考えております。

赤嶺委員 では、司令部庁舎、教場もそれから隊舎も、どういう施設をどれだけつくるのかというのは今説明できないんですか。

大古政府参考人 その点については、今後、日米で協議した上で、日本政府としても精査した上で決定していきたい、このように考えているところでございます。

赤嶺委員 まだ理解できません。できないんですが、もっと聞きたいことが山ほどあるものですから、移ります。

 学校等生活関連施設とありますね。これは何をどれだけつくるのか。そして、学校等、等の中に含まれるのは何ですか。

大古政府参考人 その点につきましては、沖縄からグアムに移転するに当たって直接必要となる生活関連施設ということでございまして、学校とかが含まれるとは思っておりますけれども、その細部についても、今後、日米間で協議していくということになっております。

赤嶺委員 等の中身というのは、まだ何も決まっていないんですか。

大古政府参考人 今後、具体的に日米間で協議していくことになっております。

 ただ、いわゆる娯楽施設のようなものにつきましては、日本におきます提供施設整備でも新規に採択することは今控えておりますので、そのようなものについては日本の分担に含まれていないというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 つくるものを聞いているのであって、今何か娯楽施設などは国内でも控えているからという答弁じゃないですよ。これははっきり言えないんですか。

大古政府参考人 学校とか、米軍人もしくは家族が沖縄からグアムに移転するに当たって直接必要となる生活施設ということでございまして、先ほど来申し上げていますように、具体的には、今後、日米間で協議した上で細部を詰めていくということで考えています。

赤嶺委員 本当に、去年の四月に渡されたあの一覧表以外は何もわからぬというような状況です。

 家族住宅、これも聞いていきますが、家族住宅はどういう住宅をどれだけつくるんですか。

大古政府参考人 沖縄からは、八千人の要員の移転に伴いまして、平均的に九千人程度の家族がグアムに移転するということで聞いております。その関係で、住宅の戸数としては大体三千五百戸ということでございますけれども、その具体的規模等については、今後、日米間で協議して細部を詰めていくということになります。

赤嶺委員 今まで繰り返し国会の審議の中でも取り上げられてきたんですが、三千五百人分で二十五・五億ドルということになると、一戸当たり八千万円以上になってしまう。

 私、この間、グアムにも安保委員の皆さんと一緒に行ってきたわけですが、グアムの現地の相場からいってもこれは高過ぎると思うんですが、久間大臣はどう考えますか。

久間国務大臣 それは、先般の予算委員会でも指摘がされました。

 確かに、現在ぽつんぽつんと建っているのと違って、三千五百戸を四年間で一遍に建てるということによる、まあ、割高というのはあるかもしれませんが、それにしても、ちょっと高いんじゃないかなという印象を受けております。いずれにしましても、これは精査をすることにしておりますので、そのときにまた判断していただければいいし、我々としては、安いようにこれから先努力をしようと思います。

赤嶺委員 もうやはり一戸当たり八千万円というこの積算は高過ぎると大臣もお認めになって、精査していくというわけですから、精査した上で、はっきりした数字を出して国会の審議にかけるべきじゃないですか。

久間国務大臣 今回は、そういう金額を決めるための法律じゃないんですよ。

 こういう仕組みでやりますよという、そういう内容を決めて、そして、これに基づいてアメリカとこれから協議していって、そして具体的に数字が決まってくるわけです。そうすると、それを予算として編成して皆さん方に審議してもらうわけですから、そういう前提の仕組みそのものがけしからぬと言うかどうかの話ですからね。これによって金額が決まるわけじゃない。

 しかしながら、そうはいいながら、アメリカだって、日本はどれぐらいまで持ってくれるのかということの、議会に対してこういう仕組みでいきますよという説明を向こうは向こうでしなきゃならない。だから、日本としては、上限は二十八億ドルまでは真水で出しますよ、あとは出資、融資で出しますよ、そういうようなことで、全体としては百二億ドルが上限ですよと。そして、その分については、アメリカもこういうふうに応分の負担もするし日本も応分の負担をする、出資、融資は日本側のJBICを使いますよ。そういう仕組みをつくろう、そういう法律だというふうに理解していただければいいと思います。

赤嶺委員 出資、融資についてはまた次回に聞いていきますけれども、今大臣がおっしゃったように、上限を決めてある、一戸八千万円の住宅もつくれるんだよとアメリカの議会で説明されてごらんなさいよ。どんなふうになるかね。(久間国務大臣「精査する」と呼ぶ)精査するというのであれば、枠組みをつくって精査するといってみても、国会での審議では全く問題点が明らかにならないまま、そういう国民の税金が使われるということになりますから、やはりきちんと精査して、国会に出した上でこの法案は審議すべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

木村委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 北原長官にお伺いをいたします。

 米軍再編で、在沖海兵隊の軍人八千人、その家族九千人のグアムへの移転が日米両政府によって合意されました。グアム移転経費の日本側負担七千一百億円も決まりました。

 関連して、長官に尋ねます。

 グアムへつくる家族住宅ではなくて、一九九六年のSACO最終報告で、全体計画として総戸数何戸の米軍用家族住宅をつくることになっているのか、お教えください。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

北原政府参考人 照屋寛徳先生に御答弁申し上げます。

 先生御指摘の、SACO最終報告におきますいわゆる住宅統合でございますが、これは、当初の全体計画といたしましては千八百戸を予定しておりました。

照屋委員 長官、そのための総予算は幾らぐらい予定をしているんでしょうか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 家族住宅の建設、またその統合につきましては、その性格上、私ども、今現に居住していらっしゃる住宅地域のどの地域から移設するのか、あるいはどこへといったことなどを含めまして、アメリカ側との調整を踏まえて、これまでどうしても段階的にこれは進めざるを得ない性格を持っているところでございまして、全体としてどのぐらいになるかといったことにつきましては、現時点では確たることは御答弁できないことを御理解賜りたいと思います。

 ただ、これまで私どもが、この住宅統合につきましては、平成十年度から支出してまいりまして、本年、平成十九年二月までに支出した金額は約二百七十億円となっております。

照屋委員 千八百戸つくるということですが、二〇〇六年度までに完成したのは何戸か、あるいは現在着工中の戸数はどれぐらいあるのか、お答えください。

北原政府参考人 御答弁を申し上げます。

 完成いたしましたのは六百二十二戸でございます。それからまた、現在工事中あるいは建設工事準備中のものが百四戸でございまして、百四戸を含めますと、トータル七百二十六戸でございます。

照屋委員 ロードマップで、先ほど申し上げたように、海兵隊の家族九千人の移転が決まりました。しかも、平成二十六年までに移転をするということになっておりますので、あと七年しかない。それで、これからも沖縄において米軍用家族住宅をつくり続ける必要があるのか。一たんSACOの最終報告で決まったからつくるんだということではいけないと思いますが、長官、どうでしょうか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 照屋先生御承知のように、昨年五月一日の2プラス2で承認されました米軍再編のロードマップには次のような記述がございます。嘉手納以南の土地の返還に関してでございますけれども、「SACOによる移設・返還計画については、再評価が必要となる可能性がある。」そのようにされているところでございます。

 したがいまして、今後の家族住宅の建設計画につきましては、先生御指摘の在沖米海兵隊それからその家族がグアムへ移転する、グアムにおいて住宅の整備を行うこととしているわけでございますので、そうした点を十分踏まえまして、その必要性について再評価を今しているところでございます。

 いずれにいたしましても、先生御指摘の沖縄における今後の住宅整備につきましては、グアムへの移転等を十分認識いたしまして厳格に対応してまいりたい、そのように考えております。

照屋委員 ところで、長官、あるいはこれは大臣かもしれませんが、二百七十億円既に投じた、国民の税金でつくってあげた家族用住宅は米国の資産となるわけですね。グアム移転後、不要になった沖縄における米軍用住宅は、グアム移転に伴って、あるいは嘉手納以南が返還された場合、その家族用住宅などの資産は政府が買い取ることになるんでしょうか。

北原政府参考人 照屋先生、若干誤解があるかと思いますが、私が先ほど御答弁申し上げました、これまで支出して二百七十億円を投じた家族住宅でございますが、これは、我が国がつくって提供しているわけでございまして、我が国のもともと国有財産であります。それを貸しているといったものでございます。

照屋委員 その使用料、賃料はきちんと回収できているんですか。

北原政府参考人 現在、例えば沖縄で家族住宅を提供しておりますが、それは我が国が地位協定に基づいて提供しているものでございまして、したがって、沖縄等で使用料は徴収はしておりません。

照屋委員 この問題はまた後ほど聞きたいと思います。長官、もう結構でございます。

 あと、大臣にお伺いします。

 去る三月二十九日の当委員会において、久間大臣は下地幹郎議員の質問に対し、下地島空港について、自衛隊機によるスクランブル使用の合意がなされていたとの重大発言がありました。同時に、久間大臣は、沖縄県議会で民間にしか使わせないとの決議があり、合意を断念したとの発言もありました。

 久間大臣のかかる発言は重大な誤りだと指摘をせざるを得ません。下地島空港を軍事利用しないといういわゆる屋良確認書は、当時の琉球政府、現沖縄県と政府との約束であって、県議会決議とは一切関係がございません。久間大臣は、当委員会におけるさきの答弁で、屋良確認書に表明された政府の約束に言及されないのはなぜでしょうか、また屋良確認書を守る意思はありますか、お尋ねします。

久間国務大臣 若干私の言い方もまずかったかもしれません。というのは、私と当時の藤井運輸大臣とはそういう点で合意しておったと。両省で、私は両者でと言ったんですけれども、後で議事録を見てみましたら、両省でというような、そういうような議事録になっておりましたから、私と藤井さんの間では、藤井さんの方も内部でいろいろな意見を聞いて、私の方も内部でいろいろな意見を聞いて、下地島に持っていくことがいいんじゃないかということで、二人の間ではそういうような意見の一致を見ておったということを言ったわけで、政府同士で、政府レベルでそういうことを決めたわけじゃございませんので、政府レベルで決めますときには、総務大臣も、昔の総務庁長官ですね、総務大臣も関係しております屋良確認書というのは、それは確かにあるわけであります。

 しかし、それは、琉球政府になりましてからは、沖縄県知事がそれの当事者でありますから、沖縄県知事が県議会の皆さん方の意見を聞いてオーケーすればできることでありますので、だから、そこまでまだいかなかったということでございます。そのときの雰囲気は、雰囲気というよりも、先生も御存じでしょうけれども、あのときの沖縄県知事さんは大田知事さんですから、なかなかうんと言ってもらえるような状況にはなかったというのも事実であります。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

照屋委員 大田知事の時代というのはどういうことをおっしゃったのかちょっとわかりませんが、いずれにしても、大臣は、そうすると、下地島空港を自衛隊が使用しよう、使おうというもくろみを持っていらっしゃるんでしょうか。

久間国務大臣 私は、これから先、緊迫してきてスクランブルをかけなければならないような状況が出てきたときには、下地島空港は非常にいい場所にある飛行場だと今でも思っております。

照屋委員 いい場所にあるとあいまいな御答弁でしたが、要するに自衛隊が使いたい、こういうことでしょうか。

久間国務大臣 諸般の事情が許せば、沖縄県、議会、関係地元市町村、そういったところの状況が許されるならば、使うことについてはやぶさかじゃない、そういうふうに思っております。

照屋委員 恐らくそれは、宮古島の住民を含めて、伊良部町を含めて、今の大臣の御答弁には県民も驚くと思います。

 それでは、この問題はさておいて、米軍再編問題やいわゆる米軍再編促進特措法との関連で、沖縄戦についての久間大臣の認識を尋ねます。

 防衛大臣として沖縄戦をどのように認識し、総括し、受けとめているかは、沖縄戦が六十二年前の過去の出来事として無関係なものではありません。沖縄における基地問題を考える出発点は沖縄戦であります。

 沖縄戦の実相についてはさまざまな見方があります。ありったけの地獄を集めたような戦争であったと言われる悲惨な沖縄戦を体験し、また追体験する沖縄戦を知らない世代にとっても共通していることは、沖縄戦の終わりとともに沖縄における米軍の軍事基地形成が始まり、今日に至っているということではないでしょうか。

 沖縄戦の戦史研究者や多くの学者、そして沖縄戦の生き証人たちのほとんど一致した意見は、沖縄戦は国体護持のための捨て石であったということであります。軍民混在の戦場と化した沖縄戦、戦闘員よりも非戦闘員が多く死傷した沖縄戦、さまざまにとらえられる沖縄戦の実相に照らし、久間大臣は、初代防衛大臣として沖縄戦の実相についていかなる認識をお持ちか、明確な御答弁を求めます。

久間国務大臣 かつての戦争で我が国唯一の地上戦が行われた沖縄というのは、そういう意味で、大変悲惨な状況に置かれたというのは私たちもよくわかっております。しかし、沖縄の方はその悲惨な状況を言われますけれども、あるいは非戦闘員がたくさん死んだと言われますけれども、東京大空襲、あるいは大阪空襲、そして私の長崎、あるいは広島、そういったところでも圧倒的たくさんの人が亡くなったわけであります。

 それよりも沖縄の場合問題なのは、私は、沖縄がその後占領されて、しかもずっと長いこと占領下にあって、そしてそれが日本に、本土に返ってきてもアメリカ軍が依然として基地として使っておる、そういう状況がずっと続いているというところに、本土の皆さん方と比べたときに決定的な違いがあっているんじゃないか、そういうような思いがします。沖縄の戦争が悲惨だったからというならば、長崎で原爆の落ちた人、その遺族を含めて、その後遺症まである人、そういった人の悲惨さについても同じように語ってもらいたいという気持ちを私は持っております。

 だからそれは、その地域その地域の人の思いはいろいろあろうかと思います。しかしながら、現在見たときにどうかというと、その後のいろいろな歴史的な状況の中で、沖縄の人が、七五%もの基地を沖縄に集中されてしまっている、そういうところに私なんかは非常に思いを強く持つわけであります。

 悲惨な点については、東京の大空襲で、焼夷弾で焼けて死んだ人たち、家族を捜し求めた人たち、そういう人たちから逆に話を聞きますと、どんなに悲惨だったか、そういうような思いもありますから、私はあえてよそのところは言いませんけれども、そういうふうに戦争というのを二度と起こしちゃならないという気持ちは、そういう意味で、沖縄だから言うんじゃなくて、日本のあちらこちらでそういう悲惨な目に遭ったから、戦争というのはこういう結果を招いたんだ、そういう思いが非常に強いということを、この際言わせていただきたいと思います。

照屋委員 確かに東京大空襲も、広島、長崎の原爆による悲惨な悲劇も胸が痛むものであり、今大臣が言ったような状況は何も沖縄戦だけじゃありません。

 ところで、かつての沖縄の人々は日本軍のことを友軍とも皇軍とも呼んでいたようです。皇軍すなわち天皇の軍隊。沖縄戦では、友軍、皇軍と信じていた旧日本軍によって筆舌に尽くせぬさんざんな目に遭いました。米軍の砲煙弾雨から命を守るために隠れたガマを追い出された者、沖縄の方言を使用しただけでスパイとして虐殺された者、さまざまな形態の旧日本軍による住民虐殺の証言が残されており、いまだに証言を語り継ぐ者が大勢おります。沖縄県民があの悲惨な沖縄戦から学んだ教訓の一つが、軍隊は住民の命を守らないという厳然たる事実であります。そのことは現在行われているイラク戦争でも明らかであります。

 久間大臣は、沖縄戦における旧日本軍の住民虐殺の事実について聞いたり読んだりしたことがあるでしょうか。また、大臣は旧日本軍による住民虐殺をどのように認識し、いかなる所信をお持ちか、尋ねます。

久間国務大臣 今、防衛省の防衛大臣として、旧軍のことについて私が言及する立場にはございませんけれども、まだいろいろと過去の史実においても、いろいろな究明の仕方がまだされていない点があるかもしれませんが、防衛省の所管しております防衛研究所の研究記録では、そういうような、軍がやったということは残っておりません。しかしながら、ほかではそういうような記録があるという話は聞いたことがあります。

 いずれにしましても、戦争がもう負ける寸前になって、狂気のさたになったときにどういうような行動が行われるのか、これについては、平時のときと違った一つのまた動きがあることもないわけじゃないわけでございますので、私たちは、そういう意味でも、そういう悲惨な状況に二度とならないように、とにかく、沖縄だって、あれが反撃して勝ち戦になっておればまた違った評価になったのかもしれません。

 とにかく、あの硫黄島でもそうですし、どこでも、もう全滅する寸前における人間の行動というのには本当に理解しがたい行動だってあり得るということは、私は一人間として考えるわけでありまして、先生のおっしゃったようなことがなかったとは私は申しません。

照屋委員 大臣に私は幾度となく言っておりますが、私自身は、昭和二十年、アメリカ軍のサイパンにおける捕虜収容所で生まれました。捕虜が産んだ捕虜であります。ところが、沖縄に生まれた私の同級生で一番悲惨なのは、墓の中で生まれた、あるいはガマ、自然ごう、岩陰、避難先のヤギ小屋で生まれた者などいっぱいおるんです。これが沖縄戦の実相なんですね。

 最後に、大臣に聞きたいのは、我が国で唯一の地上戦が展開された沖縄戦。だから、空襲や原爆の被害ともまた違うんですね。沖縄戦前夜の皇民化教育と、戦陣訓や軍の強制命令の存在、沖縄戦の実相の中で、歴史的な事実として証明され、語り継がれているのが、軍の命令による集団自決あるいは集団死と呼ばれるものであります。いわゆる軍命により追い詰められ、集団による自死に追いやられた事件であります。

 私は、いわゆる集団自決の個々のケースについて、その存否の有無についての判断や見解を大臣に問うつもりはありません。文部科学省は、二〇〇八年度から使用される高校教科書の検定結果を去る三月三十日に発表しました。文科省による検定意見で、高校日本史教科書から沖縄戦における集団自決の軍の強制が削除、修正されました。

 久間大臣、沖縄戦では集団自決が多発しました。米軍上陸前から、住民に捕虜になる恐怖を与え、軍保管の手りゅう弾をいざとなったら死ぬようにと配った事実は、日本軍の関与を示し、自死させる直接的な強い力が加わった何よりの証拠であります。集団自決における軍の強制命令の存在という沖縄戦の真実と実相をゆがめてはいけません。歴史の真実に率直でない者は歴史の過ちを繰り返すことにつながります。防衛大臣としての沖縄戦における集団自決と軍の命令についての認識と見解を尋ねます。

木村委員長 時間が過ぎておりますので、簡潔に願います。

久間国務大臣 先ほども言いましたように、私がかつての軍のことについて言及するわけにはいきませんけれども、いずれにしましても、これから先、自決があったのは事実でございますから、そういうような事態にならないように、我々としては十分、未来へ向かって、過去のいろいろな反省の上に立って努力していかなければならない、そう思っております。

照屋委員 終わります。

木村委員長 次回は、来る十日火曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十五分散会


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