衆議院

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第9号 平成19年5月15日(火曜日)

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平成十九年五月十五日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 内山  晃君

   理事 笹木 竜三君 理事 遠藤 乙彦君

      安次富 修君    大塚  拓君

      大前 繁雄君    瓦   力君

      北村 誠吾君    笹川  堯君

      高木  毅君    浜田 靖一君

      福田 良彦君    宮路 和明君

      山内 康一君    山崎  拓君

      津村 啓介君    長島 昭久君

      平岡 秀夫君    前田 雄吉君

      赤松 正雄君    赤嶺 政賢君

      辻元 清美君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛大臣         久間 章生君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山浦 耕志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  下川眞樹太君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  山本 庸幸君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  別所 浩郎君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 佐々木達郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  千田  彰君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  御法川信英君     北村 誠吾君

五月十五日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     笹川  堯君

  神風 英男君     平岡 秀夫君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川  堯君     石破  茂君

  平岡 秀夫君     神風 英男君

同日

 理事御法川信英君四月十三日委員辞任につき、その補欠として仲村正治君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月十日

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

四月十九日

 在日米軍再編関係経費並びに在日米軍再編特措法案反対に関する請願(菅野哲雄君紹介)(第八九三号)

 同(重野安正君紹介)(第八九四号)

 同(辻元清美君紹介)(第八九五号)

 同(日森文尋君紹介)(第八九六号)

 同(横光克彦君紹介)(第八九七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に仲村正治君を指名いたします。

     ――――◇―――――

木村委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山浦耕志君、内閣官房内閣審議官井上源三君、内閣官房内閣参事官下川眞樹太君、内閣法制局第一部長山本庸幸君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際協力局長別所浩郎君、外務省国際法局長小松一郎君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長西川徹矢君、防衛省大臣官房技術監佐々木達郎君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君、防衛省人事教育局長増田好平君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁施設部長渡部厚君及び防衛施設庁建設部長千田彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、基本的な我が国の安全保障政策について聞こうということで考えてはおりますけれども、その前に、先月二十三、二十四日の決算行政監視委員会で、私が安全保障問題に関して質問した事項で、まだちょっと十分な回答が得られていないという部分もございますので、その点をまず先に確認させていただいた上で、安全保障の基本的な問題について入っていきたいというふうに思います。

 最初に、例の防衛施設庁の入札談合問題でありますけれども、先月二十四日の決算行政監視委員会でも質問を申し上げました。昨年の十一月七日の安保委員会で官製談合事件について審議をし、そのときに、公正取引委員会の方から、しっかりと調査をしていくんだ、そういうお話がございまして、二十四日の決算委員会の方で、どういう進捗状況なのかということをお聞きいたしました。まだ調査中であるということでありましたので、できるだけ早くその調査を終えて、調査結果を我々に報告してほしいということを申し上げましたけれども、その後どのようになっているのかについて答弁を求めたいと思います。

山田政府参考人 現状について御説明させていただきます。

 現在、公正取引委員会といたしまして最終的な措置をとるための事前手続の段階にございます。既に、関係人に対しまして排除措置命令の内容等について通知したところでありまして、さらに、関係人から求めがあれば当委員会の認定した事実を基礎づけるために必要な証拠について説明をしているところでございます。

 今後、これらの通知等に対します関係人からの意見の提出を受けまして、公正取引委員会としての措置について決定することとしております。

平岡委員 この前も同じような答弁をしておられるわけですけれども、今、関係人からの意見の提出を受けましてというふうに言っておられるんですけれども、この意見の提出の期限というのはいつになっているんですか。

山田政府参考人 事前通知をいたしまして、その関係人に対しましていろいろな証拠等の説明をいたします。それで、関係人からの意見の申し出というか、説明についての申し出が非常に多い状況にございますけれども、今のところは、最終的には六月一日が提出期限……(平岡委員「いつですか」と呼ぶ)六月一日でございます。

平岡委員 六月一日が意見の提出期限ということであるならば、それ以前には難しいということなのかもしれませんけれども、その意見の提出がされたら可及的速やかに調査結果が出るようにやっていただいて、前も言いましたけれども、国会が終了する直前に結果が報告されるということではなくて、十分な国会審議の時間の余裕があるようにしてほしいというふうに私は個人的には思っておるので、できるだけ早く調査結果をまとめていただくように要請をいたしたいというふうに思います。

 そういうことで、よろしいですか。

山田政府参考人 公正取引委員会としては、できるだけ速やかに手続をとっていきたいと思っております。

平岡委員 できるだけ早くやっていただくために、公正取引委員会の方、帰ってもらって結構ですから、少しでも時間を節約していただいて、頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、米軍再編特措法の関係で岩国基地問題について質問いたしました。この関係で少し残っておる話がありますので、ちょっと質問させていただきたいと思うのであります。

 実は今、岩国は大変な状況になっているんですね。どちらかというと容認をして、国と協議をすべきだというような方々が署名運動を開始されておられますし、逆に、市長の方は、昨日記者会見をして、十九日には、「井原勝介の決断 草の根大集会」というのを開くというような形で、この中身は私もよくわかりませんけれども、多分これまでの国の対応について抗議をするようなことも含めて集会が行われるんではないか、こんなことにもなっているわけであります。

 五月十七日にこの委員会で、参考人として来ていただいて、井原市長の考えていることなり、あるいは国に対してのいろいろな問題等考えているようなことなり、いろいろここでお話があるんだろうというふうに思います。

 何回も何回も久間大臣には、今本当に地元が大変な状況になっているということをぜひ現状をよく認識していただいて、的確な対応をとっていただくということをお願いしたいというふうに申し上げておりまして、これは通告外であるんですけれども、この関係についてちょっと質問させていただきたいんです。

 実は、委員会の外ではありますけれども、私も、久間大臣あるいは防衛施設庁の幹部の方々に、岩国市と防衛施設庁との間の協議を、これは受け入れ容認とか、あるいは受け入れ反対とか撤回とかということ等を前提としないで、率直にいろいろな、わからないところもあるし、確認したいこともあるだろうということなんで、ぜひやってほしいということをお願い申し上げておったところ、前向きに検討しようじゃないかというようなお話を大臣からも防衛施設庁の幹部の方からもいただいておるんですけれども、ちょっと聞きますと、どうもそういう協議が行われていないというふうにも聞いているんです。

 どうですか。そういう協議は行われていないんですか、行われているんですか。どうでしょうか。

久間国務大臣 いや、そういうことはないと思いますし、私は、いつでもいいですよと言っておりました。こちらの委員会とか、いろいろな都合がある間はだめだけれども、その時間を外しさえすればいつでもお会いしますよと。また、施設庁もそうですし、出先の施設局でも結構ですからと。そういうことを言っておりますので、市長さんの方からむしろそういうような申し出をされて断られたというんなら今言われるのもわかりますけれども、そういうことにはなっていないんじゃないでしょうか。

 このごろ、二つに割れた形の対立軸がむしろ非常に意識的につくられているような空気が双方であるような気がして、私はどうも余りいいことじゃないなと思って、先生と同じような気持ちで、何かもう、賛成、反対というふうなそういうことじゃなくてもいいから、もっと上手に、どうやったら市の発展のためにつながるかというふうないろいろな角度から双方いろいろ話し合ってもらえばいいし、施設局なり施設庁なりその間にもし私が立てることがあるならば立ってもいいというぐらいの気持ちでおりますので、そういうことのないようにこれから先も努めてまいりますから、どうか、もし市の方に会われる機会がありましたら、遠慮なく言っていただきたいと思います。

平岡委員 大臣の言っておられることは、まさにそうあってほしいというふうに私もお願いしたことでありますけれども、ちょっと、防衛施設庁長官も手を挙げて、今答えたいというふうに言っているのは、多分、大臣のおっしゃられていることと現実とがそうなっていないということについて説明をしたいということなんだろうと思いますから、施設庁長官に答弁をお願いしたいと思います。

北原政府参考人 平岡先生に御答弁申し上げます。

 私ども、久間大臣の統括のもとに、この再編問題について、懸命にロードマップに従って、これを着実に実施するように今努力をしているところでございます。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、直近で大臣が岩国市長と会われたのは二月九日でございます。そして、そのときに、今大臣が御答弁されたような趣旨を市長さんに言われました。これを受けまして、私ども施設局では、二月二十六日に、現地において市長と局長の会談を設けております。その後も、四月十九日には、今度は部長クラスによる協議を実施しております。

 これまで国として、市御当局に対していろいろ御説明もしてまいりました、御質問にも答えてまいりました。そうした中で、さらにどういった点が必要なのか、わからないのか、そういった点を明らかにしていただきたいということで、きょう現在まで協議は続いておりますので、我々は、大臣のもとに一体となって今やっております。

平岡委員 私も、直接この記者会見に立ち会ったわけではないのでありますけれども、昨日の市長の記者会見ではこういうふうに言っていると報道されています。今、再編とその関連する問題について、さまざまな誤った情報が飛び交い、市民の間に不安が高まって、いろいろな意見が出ている、こうした混乱の中で再編問題を考えていくのはよくないというふうに前置きして記者会見をしたということのようなんですね。

 まさに、誤った情報が飛び交っているのは、ある意味では、防衛施設庁と岩国市との間の協議が円滑に進んでいないということの一つのあらわれなのかもしれないというふうにも私は危惧をします、そうではないのかもしれませんけれども。ぜひしっかりと、今言われましたように、賛成、反対とかというような前提に立つということではなくて、お互いにわからないことはしっかりと情報公開をする、あるいは確認をする、その作業はしていただいて、正しい情報のもとにいろいろな協議ができるようなことにしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 そこは前置きの質問でありますけれども、せんだっての決算委員会で質問したときに、例の岩国市庁舎の建てかえ経費の補助の問題、平成十九年度は岩国市では三十五億円の補助金を期待していたところがゼロ査定になってしまったという問題について、防衛省側の説明では、米軍再編の枠組みの中で対処していくんだというふうに言われたということで、具体的にはどのような仕組みでやるのかということを私から質問したところ、久間大臣と防衛施設庁長官との答弁に少し食い違いがあるというか、食い違っていないのかもしれませんけれども、ニュアンスがちょっと違っておりましたので、よく相談して回答してほしいということでお願い申し上げておりましたので、どういう仕組みの中でこの岩国市役所建てかえ経費補助金問題については対応していくことになるのか、その法的な枠組みを御説明いただきたいと思います。

久間国務大臣 それは、私の方にちょっと責任があったかもしれません。

 といいますのは、SACO合意に基づいてKC130を岩国に持ってくるということで市庁舎の補助についてはスタートしたわけでありまして、そして、初年度、二年度と二カ年間、予算を要求して、予算を補助したわけであります。その後に米軍の再編問題が起きてまいりまして、KC130はいろいろなほかの地区に展開する、そして、厚木にあった艦載機が岩国に来る、岩国にあった自衛隊機がまた今度は厚木の方に移るというような、そういうような一連の動きが変わってまいりました。

 そのために、米軍再編と非常に密接な関連にございますから、先生自身もかつて大蔵省におられたからわかると思いますけれども、予算を編成しようとする場合には、その辺の整理をしなければならないわけでありますから、そういうようなものがどういうふうに推移するかというのを見た上でしか補助金は出せないじゃないか、そういうような判断から、補助金の申請、申請といいますか、概算要求をとめまして、そして、予算の編成までにどういうふうに推移するか見守ったわけでございますけれども、その辺の整理ができなかったわけであります。

 したがいまして、政府としては、もうロードマップでそういう新しい方針を決めておりますから、その一環として、今までの経緯も踏まえながら、岩国に対する補助をどういう形でなら続けられるかということを考えますと、SACOの合意というのは、これは予算補助でございましたので、これを今後やろうとしたら、米軍再編の問題が一応片づいておくとなりますと、その延長線にのっとって、SACOの合意の分を補助事業として行っていく、そういう形になるわけでございます。

 そういう意味でも、一日も早く解決をして、従来の内容も含めた形で岩国市に対する助成ができるようにしたいというふうに今考えておるところであります。

平岡委員 ちょっと明確にしておきたいんですけれども、今言われたのは、米軍再編円滑化のための特別措置法の枠組みの中でやるのではなくて、今までのSACO関連予算と同じような予算補助という枠組みの中で行うということだということとして答弁されたということでいいでしょうか。

北原政府参考人 大臣が御答弁された趣旨は、今先生が概略をおっしゃった趣旨でございます。

平岡委員 この問題についても、大変地元では、一部の市会議員の方々は市長の責任を問うような決議もされましたけれども、多くの市民は、これは国がけしからぬ、約束をしたことを守らないのはけしからぬ、これからは国が信用できぬというぐらいの感情が非常に強くなっているということを、改めて私の方から大臣にお伝えさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、岩国ばかり取り上げて恐縮ですけれども、残っておりますのでちょっとだけやります。

 実は、決算委員会の方で、これは国土交通省の方に聞いた話なんですけれども、国土交通省は、いや、それは事業実施主体である防衛施設庁の問題であるというふうに答弁をされたことがあるので、防衛省としてどうされるのかということを確認させていただきたいということでございます。

 申し上げますと、今、米軍岩国基地については沖合移設事業というのをやっていまして、公有水面の埋め立てをしているということでありますけれども、当初の計画では、ただ単に沖に移設して、現在ある米軍の基地の機能をそのまま沖にするだけだという、これは騒音の問題であるとか、あるいは事故が起こった場合にその事故が大きくならないようにというような、そういうことからやるんだということだったんですけれども、その後の話としては、今問題となっている厚木基地の空母艦載機の岩国基地移駐の問題とか、あるいは岩国飛行場の軍民共用といったようなものについて、具体的な話が閣議決定レベルでも出てきているというようなことでございます。

 そうなったときには、この岩国基地の沖合移設事業については、公有水面埋立法の枠組みの中で、埋立地の用途または設計の概要の変更とか、あるいは埋立地の利用計画の変更といったような位置づけになるのではないか、これについて国土交通省としてどう考えるのかというふうに言ったら、いや、それは防衛施設庁が事業主体でありますから、防衛施設庁から申請が出てこない限り我々としては判断できないんです、こういう話を言われたわけです。

 そこでお聞きするのは、防衛施設庁としては、いつ、この公有水面埋立法の枠組みの中での免許の変更とかあるいは変更の承認に関する申請を行うことになるのか、この点を明確にしていただきたいと思います。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 私ども、先生御指摘のように、岩国の沖合移設事業を実施するに際しましては、公有水面埋立法に基づきまして、平成七年九月に、航空機騒音に係ります環境影響予測を含む公有水面埋立承認願書を提出いたしまして、今御指摘の山口県における御審査、あるいは当時の建設大臣並びに運輸大臣の認可をいただいて、平成八年十一月に山口県知事から御承認をいただいたところでございます。

 そして、その御承認をいただいたときに、山口県知事からは、私どもの公有水面埋立承認願書に添付いたしました図面を、これは今先生御指摘の点でございますが、用途等を変更する場合には山口県知事等の承認を受けることといった通知をあわせていただいているところでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、今後、岩国飛行場の再編に絡みます施設整備につきましてのマスタープランができ上がりましたところで、山口県初め関係機関等に対しまして内容を十分御説明いたしまして、適切に対処してまいりたい。その時期については、まだ申し上げる状況にはございませんが、近々と考えているところでございます。

平岡委員 今マスタープランの作成の話がありましたけれども、実は、私もその地域住民の一人でありますので、広島防衛施設局の方から現地説明をされる機会にも行きましたら、このマスタープランというのは岩国だけじゃなくて、米軍再編に絡んでいる防衛施設があるところについては、マスタープランというふうに呼ぶかどうかは別として、いろいろな計画がつくられているというふうに聞いておりますけれども、岩国については、平成十八年度中を目途に包括的なマスタープランを作成する予定なんだという説明が現地説明会で行われておりました。しかしながら、いまだにそうしたものができていないということも聞いておりますけれども、一体いつになったらこのマスタープランというものができるのか。

 この点について、近々とかというような表現で言われましたけれども、十八年度中につくると言っていたものが、十九年度に入ったら近々と言うのでは、私にとってみれば、今までは明確に期限が示されていたのに、この段階になってきたら全く期限が示されないという変な状況が生じてきているというふうに思いますけれども、一体いつまでにそのマスタープランをつくるということで今進めておられるのか、明確にお答えいただきたいと思います。

北原政府参考人 御指摘のとおり、私ども、地元に説明するに当たりましては、本年三月までに包括的なマスタープランをお示ししたいということでやってまいりました。そして私ども、その間、日米間で鋭意協議をしてまいりました。

 そして今、きょう現在、私がこの場で申し上げることができますのは、先ほど近々という言葉を使用させていただきましたけれども、我々としては、さらに相当期間かかるといったことではございませんで、まさに近々、間もなく、地元を初め……(平岡委員「ちょっと、数字を。二、三カ月」と呼ぶ)具体的な数字を申し上げることはできませんけれども、今先生が三カ月云々と言いましたが、そのように期間がかかるとは到底考えておりません。もう少し早く、速やかに御提示してまいりたい、そのように考えております。

平岡委員 時間をとめてもらえますか、ちょっと。(久間国務大臣「いや、どうぞどうぞ、質問してください」と呼ぶ)いいですか。

 私が質問しているときにそういうやりとりをされると、私が質問していいのかどうかわからないので、明確に、答弁するなら答弁する、時間をとめてほしいのなら時間をとめてくれと言っていただきたいというふうに思います。

 そういうことで、やはりよくわからないなという印象がすごく強いんですね。何か隠しているんじゃないかとか、地域住民にとってみれば、国の対応というのがどうもよくわからないというか信用できないという、そんな雰囲気が出てきつつあるということを私は大変心配しておりますので、しっかりと、情報公開なり説明なり、していただくことはやっていただきたいというふうに思います。

 そこで、安全保障問題についての話でありますけれども、時間の都合で、質問通告したのとは逆の方から入らせていただきたいと思います。

 武器輸出三原則についての話でありますけれども、防衛大臣が二日にアメリカで行った講演の中で、武器輸出三原則に関して、これは見直しだと言ったら、何か見直しじゃないというふうに答弁されていたようなので、見直しなのかあるいは関連しての発言なのか、それはともかくとして、発言があったというふうに報じられているのでありますけれども、まず、その発言の内容とか趣旨、意図は後で聞くとして、武器輸出三原則というのは、そもそもどういうものであって、何のために、どういう趣旨のもとにあるのか、この点についての大臣の認識を私はまずお聞きいたしたいというふうに思います。

久間国務大臣 この武器輸出につきましては、平和国家としての我が国の立場から、国際紛争等の助長を回避するために、こういう武器輸出はしないという政府の姿勢を表明して、そして、それにのっとって慎重に対処してきている、そういう立場であります。(平岡委員「そもそも、どういうものですか」と呼ぶ)政府の方針として、官房長官談話で姿勢を示しておるというものであります。

平岡委員 いや、そもそも、その武器輸出三原則の内容というのは何ですか。

久間国務大臣 これはそのときそのときで変わってきておりまして、かつての佐藤内閣時代は、共産圏向けの場合、あるいは国連決議により武器の輸出の禁止がされている国向けの場合、国際紛争中の当事国またはそのおそれのある国向け、こういうものについては輸出をしないというようなことを決めておったわけでございますが、その後、三木内閣当時になりましてその方針をもう少し今度は広げまして、三原則対象地域について、まず、武器の輸出を行わない、従来のそれはそうでございますが、以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、武器の輸出を慎む、そういうことにいたしまして、それからまた、武器製造関連設備の輸出については、武器に準じて取り扱うものとする、これをまた追加したわけであります。

 そして、それ以来ずっと今日まで来ておりましたが、ミサイル防衛につきまして、それをアメリカとの、その前に、中曽根内閣のときにもう一度、今度は、アメリカとの関係では、技術供与についてはそれを認めるということで、また広げまして、そして先般、ミサイル防衛については、これは共同開発まで含むという形にしまして、それ以外のものについては、アメリカとの関係では、ケース・バイ・ケースといいますか、そういう形でやっていく、そういうようなことになっておるのが現状であります。

平岡委員 やはり、武器輸出三原則と言っても、どこまでのことを指しているのかというのが必ずしも明確でない部分があるように私は思うんですね。そういう意味で、久間大臣が言われていることは、一体何を考えておられるのかというのが必ずしも明確でないというところも私はあると思います、正直言って。

 そこで、久間大臣がアメリカの講演で言われた武器輸出三原則に関する発言というのは、どういう意図のもとに、どういう内容の発言であったのかということをここで明確にしていただきたいと思います。

久間国務大臣 まず一つには、武器という概念が非常に広過ぎるんですね。だから、かつて、湾岸戦争の後、あの地域に新聞記者を連れていくことになったときに、ガスマスクを持っていくというときに、これが武器だということになりまして、輸出ができない、したがって、持っていったものを持って帰るということで、持ち出しという形で、それを輸出じゃないという形で整理したことがございまして、ガスマスクも武器であるということになっている。それも非常に概念が広いんじゃないかなと思っております。

 もう一つは、例えば地雷の探知機、これを地雷除去のために持ち出すとき、これは後から一応例外として外されましたからいいですけれども、これもやはり武器だということで、それもできないという形になっておりました。

 あるいは、私は、先般アメリカに行きましたときに、いわゆる化学防護服を見せてもらいました。そして、これは外からどんなにサリンその他が入ってきても中には浸透しないんですよというような化学防護服で、これは日本の製品ですよと言われたから、おお、武器輸出関係はどうなっておったかと思って、帰ってきてから調べました。そうしたら、これはスキーの服として、生地としてドイツに出されておりまして、ドイツでつくられて、そしてその服がアメリカに入って使われておる。だから、こういったものまで日本で製造してつくることは今の制度ではできないわけでありまして、これが果たして、わざわざドイツに持っていって、ドイツで付加価値を与えてアメリカが購入する、そういうようなことでいいのかどうか。

 だから、武器という概念自体が非常に広く、これは条約上の武器だそうでございまして、私が経産省に、当時の通産省に聞いたら、やはりそれは条約上の規定だからその概念を変えるわけにいきませんという返事でございましたが、そういうようなことのまま今日に至っております。

 あるいはまた、先般から私は、この委員会じゃなかったかもしれませんけれども、ほかの委員会で言ったことがございますが、遺棄化学兵器の処理をするために、日本は装置を中国に持っていってつくらなきゃならない、そのときに武器輸出三原則にそれが抵触するという話になりましたから、それもおかしいんじゃないか、そういうことも言ったことがございます。

 したがいまして、そういうことを含めて、もう少し武器のことについてはいろいろと研究していっていいんじゃないかというのが一つであります。

 それともう一つは、これから先は、この間、前原委員の質問に対して私は答えたわけでありますけれども、武器の研究開発、こういうことについて、基礎的な技術を日本が持っておるにもかかわらず、それを外国に持ち出せなかったならば、極端な言い方をすれば、外国でそれよりももっとまずい、高い、そういうような技術を使って製品がつくられて、それを我が国が購入することになったら、結果としてより高いものを買ってしまうことになる。そういうような技術については一緒に研究したり、一緒にまた提供したりして、特にアメリカとの関係ではやった方が日本にとっても有利なんじゃないか、そしてまた、日本で研究開発をするのが非常に進むんじゃないかというような、そういうことを考えたことがございます。

 だから、見直すということを私が言っているんじゃなくて、従来どおり慎重な姿勢をとっていきますけれども、そういうことを含めて、今やっておりますことについてもっと研究を進めてもらったらいいんじゃないかと。集団自衛権の話だけではなくて、やはり六十年間の歴史の中で、今の時点で考えたときに、研究する材料はもっともっと出てきているんじゃないかということで、武器輸出三原則についてもそういう意味では研究をしてもらったらいいなという思いを込めて、私の立場からは言えませんがこれはということで前置きした上で、そういう研究が進むことはいいことであるという、そういう発言をした、そこの冒頭のところの武器輸出三原則見直しという形で報道がなされたわけでございまして、私の気持ちとしてはそういう気持ちがあったわけであります。

平岡委員 私も報道でしか知りませんから、大臣がどういう趣旨で言われたのかわかりません。今、例に挙げられたような話について言えば、個別的にいろいろ考えたときに、その正当性、妥当性というのを、もともとの武器輸出三原則というものがどういう趣旨のものであるのか、冒頭大臣にお聞かせいただきましたけれども、国際紛争等を助長することを回避するという、その趣旨に照らしてみてどうなのかという視点で物事を私は考えていくべきだというふうに思うんですね。

 そう考えたときには、別に報道されている話として、装備品の開発には金がかかる、一国だけではやりにくく、共同開発や共同研究をしなければならないと。武器の開発にお金がかかるから、武器輸出三原則を見直して金がかからないように、安く武器が手に入るようにしようというのは、この武器輸出三原則の趣旨からいうと、全くこの趣旨を誤解しているというか、ゆがめるような考え方ではないかというふうに私は思うんですね。大臣、いかがですか。

久間国務大臣 それもちょっと誤解されているわけでありまして、そういう意味じゃございませんで、日本が自分のところで研究開発して、そしてそれを自分が取得するということは、今みたいに自衛隊だけがユーザーでありますから、事実上できないわけでありまして、外国に武器を輸出できないわけですからね。

 ところが、外国で、殺傷する武器は別として、輸送機にしましても何にしましても、いろいろな開発をしてきておるわけでございますが、アメリカの場合だったら戦闘機もそうですけれども、このごろはヨーロッパと一緒になって研究開発している。そのとき、日本だけがそれに参加しなかったら、開発費を全部、要するに第三国であります日本が負担しろという形になりますから、日本がよそから買うというようなものについては全部、日本は研究開発に携わっていないということで割高な負担をしなければならない。研究開発にかかわったならば、日本はむしろ、日本の技術を提供することによって安くすることができる。そういうようなことから、私はもう少しその辺についても考えが違ってもいいんじゃないかなという思いがしているわけです。

 特に、今、輸送機をCX、あるいはまたPXもそうです、日本でやっておりますけれども、こういうものについても、その延長としていろいろと民間技術に転用されていく可能性が結構あるわけですね。だから、これ以外の分野についても、いろいろとそういう形で研究開発に携わることによって我が国がもっともっと経済的に発展できる素地を持っているんじゃないかな、そういう思いもございますから、それらを全部ひっくるめて、とにかくもう少しみんなで議論をして、国会のこういうところで議論していただいて、こういうのはいいじゃないか、これだったら平和国家としての我が国の姿勢が疑われることはないじゃないかというような範囲でなら許されるんじゃないかな、そういう思いが背後にあるわけであります。

平岡委員 先ほど来から例に挙げられているような化学防護服とか遺棄化学兵器の処理のための施設であるとか、そういう話を言われると、例の集団的自衛権の四類型みたいに、こんなぐらいだったらいいじゃないかというような論議に進んでいきやすいような気もするんですけれども、私は本来、そもそも、やはり原点に立ち返って、武器輸出三原則というものがなぜあるのか、何を目指しているのかということに立ち戻って考えないと、私は久間大臣の本音がどこにあるかわかりませんけれども、どうも、そういうことをあえて言われるところを見ると、先ほど言われたような戦闘機とか、そんなような開発についてやはり日本も加わりたいという本音というか、そういうところがあるのではないかというふうにちょっと感じているわけですね。

 そういう意味では、ちょっと久間大臣の本音がわかりませんからあえて私は言いませんけれども、本来の武器輸出三原則について個別的にどう物事を考えていくかについて言えば、本来の趣旨というものをしっかりと踏まえた対応を考えていくべきであるということを私の方からは申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、きょうの本題にしていこうと思っておりました集団的自衛権の論議についての話でありますけれども、今の集団的自衛権の論議について言うと、安倍総理が、保有しているけれども行使できないというような理屈はおかしいんだというような、部分的なところを取り上げて議論をしようというところに私は非常に疑問を持っているんです。

 そもそも、安全保障の問題について言えば、私は、目指すべき世界のあり方というものはどういうものであるのだろうかということをまずやはりしっかりと議論し、その方向に進んでいく話なのか、その方向とは逆の方向に行く話なのか、ここをしっかりと議論して見定めていかなければ、ここまでならいいだろう、ここまでならいいだろうといって目の前のことだけを処理していったのでは、気がついたときには我々が目指している世界とは全く別の世界の方に歩を進めているということになってしまう。そういう意味において、私はこの議論の進め方というのは非常におかしいというふうに今思っています。

 そう思っていますけれども、集団的自衛権の問題についてちょっと的を絞りますと、先ほど言いましたように、保有しているけれども行使することはできないんだという議論はおかしいというような、部分的にあるところだけを取り出して議論するということで憲法解釈をするというのは、私は極めておかしい話であるというふうに思っています。

 そういう意味でいくと、なぜ集団的自衛権が認められないと解釈されているのかという、その解釈の原点に立っていく必要があるというふうに思うんですね。

 久間大臣に、その解釈の原点として、なぜ集団的自衛権が行使できないというふうに解釈されているのかについての、その原点はどこにあるのかということについてちょっと見解をお示しいただきたいと思います。

久間国務大臣 見解を示すというよりも、やはり、我が国は武力の行使はしませんよ、そういうふうに言っているわけであります。さりとても、我が国が滅んで憲法だけが残ったのでは意味がありませんから、必要最小限の武力の行使はせざるを得ない場合があり得るというのは、それは自明の理としてその前提にあるわけであります。

 したがいまして、そういうときに、今までの解釈でいきますと、集団的自衛権というのは、我が国が攻撃を受けていないときに、同盟国あるいはまた集団のそういうような攻撃を受けたときには、必要最小限の武力の行使、必要最小限ではないからそれはならないというふうな形で集団的自衛権は行使できないというふうな解釈をしてきておるわけでございます。

 これは、従来からの政府の統一見解でもありますし、現在の政府もそれを踏襲していますから、私自身もそれに従いますけれども、国会の積み重ねでもそうなっております。

 おたくの党自身でも、果たしてそうなのか、集団的自衛権と個別的自衛権とその二つの自衛権があるのかということよりも、自衛権としての考え方だ、そういうような観点から議論すべきじゃないかな、そういう話が出てきておりますから、我々としてもそういうことも踏まえながら、今度のいろいろな研究会が研究されることについては、私はそれは結構じゃないかなと思っているところであります。

平岡委員 私の質問の趣旨がよく理解できておられないというふうにも思いますけれども、私はもっと根源的なことを聞いておるんですね、もっと根源的なこと。だから、自衛権がどうのこうのとかという話ではなくて。

 これは、政府の答弁書に明確に示されていることなので、ちょっと私、読み上げますと、こう書いてあるんですね。「憲法第九条は、外部からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合にこれを排除するために必要最小限度の範囲で実力を行使することまでは禁じていないと解している。」集団的自衛権に関していえば、これは「国民の生命等が危険に直面している状況下で実力を行使する場合とは異なり、憲法の中に我が国として実力を行使することが許されるとする根拠を見いだし難く、政府としては、その行使は憲法上許されないと解してきたところである。」こう書いてあります。

 ポイントは何かというと、あくまでも自衛権としての武力の行使が認められるというのは、「外部からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合にこれを排除するために必要最小限度の範囲で実力を行使する」ということなんですよ。

 今の四類型の話を見ても、私は、これは国民の生命や身体が危険にさらされているような場合じゃなくて、自衛隊が、何か知らぬけれども、危険にさらされているという場合もあるのかもしれませんけれども、そうでないような場合について議論をしようとしている話であって、これまでの憲法解釈の議論とは全く異質のところをとらえてやってきているというのが私の認識なんですよ。だから、そこを離れて、集団的自衛権は保有しているけれども行使はできないんだというところだけをつかまえてきて、そこで何か変な事例を持ってきて議論するというのは、本来、これは筋違いの議論だというふうに私は思います。これはちょっと見解の相違があるかもしれませんけれども。憲法解釈の本質論を踏まえて議論しないと、とんでもない方向に行ってしまうというふうに私はまず思います。

 そこで、今回、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会というものが設置されて、この五月十八日に第一回目の会合が行われるというふうに言われておりますけれども、これは、設置の法的な根拠というのはどこにあるんでしょうか。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 総理はかねてより、日本をめぐる安全保障環境が大きく変化する中、時代状況に適応した実効性のある安全保障の法的基盤を再構築することの必要性があるとの問題意識を表明されてきているところであります。こういう問題意識のもとで、そのような取り組みの一環として、個別具体的な類型に即し、集団的自衛権の問題を含めた憲法との関係の整理につき研究を行うため、先般、内閣総理大臣のもとに安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の開催を発表したところでございます。この懇談会、今御指摘のように、今週十八日に第一回会合を開催する予定でございまして、ことしの秋をめどとして検討の結果等を取りまとめ、総理に報告される見込みでございます。

 この設置については、これは法令に基づき設置され、答申を行うものではございません。内閣総理大臣決裁に基づき開催され、意見を表明するものでございます。

平岡委員 そういうふうに法的根拠のないものでありますから、どういうメンバーにするかということについても何らの規制もない、国会のコントロールもない、そういう状況ですよね。このメンバーはどういうふうにして選んだんですか。

下村内閣官房副長官 このような法令に基づかない懇談会は、過去には、例えば同様なものとして、平成十六年に安全保障と防衛力に関する懇談会等がございます。この懇談会は十三人で……(平岡委員「だから、今回の懇談会のメンバーはどういう基準で選んだのか、それを聞いているのです」と呼ぶ)この懇談会については十三人で構成をされております。これは総理の方で指名をしたものでございます。

平岡委員 要は、総理の、自分の考えに近い人たちを、自分が勝手に選んだということですよね。だから私は、法的根拠のないものでつくられて、総理が勝手に選んだメンバー、自分の好きな人を選んだメンバーでつくられた懇談会、この権威というものは、私は全くないと思いますね。

 そういう意味でいったら、これは、出されたからといって、どうされようとしているのか、あえてきょうは時間がないので聞きませんけれども、こんなものを仰々しく取り上げていただくということは、私は、決してこれは正当性はないというふうに思いますね。

 そこで、ちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、きょうは法制局の方も来ておられるので。

 いわゆる四類型というのが言われているんですね。この四類型も報道するたびに何かちょっとずつ変わってきていて、一体何が四類型なのかというのは明確ではありませんけれども、そのうちの第一類型と第二類型、ミサイル防衛の関係と、それから、アメリカの艦船と自衛隊の艦船が並行して進んでいるときに攻撃を受けたとかというような、第一類型と第二類型、これもほとんど変わっていないようでありますけれども、これについての、これまでの政府解釈というものがどのようになっているのかについて、御答弁いただきたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 その類型については、新聞記事に対するお答えということで申し上げたいと思うんです。

 まず、弾道ミサイルにつきましては、我が国に飛来する相当の蓋然性があり、自衛権発動の三要件を満たす場合には、その迎撃は我が国の自衛権の行使として当然認められるというふうに考えますし、また、弾道ミサイル等に対する破壊措置の規定というのがございまして、自衛隊法の八十二条の二でありますけれども、これに定める要件に該当する場合にはその破壊措置をとることができる。最後に、一般論として、我が国に飛来する蓋然性のない、他国に向かう弾道ミサイルにつきましては、それが他国に対する武力攻撃である場合には、我が国がそれを撃墜することは憲法上の問題が生じ得るというのがお答えでございます。

 第二の、米軍艦艇の話でございますけれども、これはやはり二つに分かれておりまして、既に我が国に対する武力攻撃が発生した場合におきまして、我が国防衛のために行動している米軍艦船が相手国から攻撃を受けたときには、我が国の自衛権の行使によって対処することが可能でありますし、また、法理としては、個別具体の事実関係におきまして、お尋ねのような、米軍艦船への攻撃が我が国に対する武力攻撃に該当すると認められるならば、我が国として自衛権を発動して実力を行使することによって、当該米軍艦船への攻撃を排撃するということが可能な場合もあります。

 また次に、武力攻撃に当たらない武器の使用といたしまして、自己等や武器等の防護のための武器使用の規定、これはテロ特法の十二条あるいは自衛隊法の九十五条でございますが、その要件が満たされるときには武器の使用が認められておりまして、このような武器の使用が、結果的に米軍艦船に対する攻撃を防ぐ反射的効果を有する場合があり得るというふうにお答えしているわけでございます。

平岡委員 時間がないので、きょうはちょっとできませんけれども、私は、この四類型の場面設定というのも、論理的な可能性はあるかもしれないけれども、現実的な可能性というものについて、どういうことがあり得るのかということについて、必ずしも明確に示されているとは思いませんし、そういう場面において実際に登場してくる人たちが、本当に国または国に準ずる組織といったようなものが登場し得るのか。こういうことについても、私は、必ずしも明確に示されていないという中で、ただ論理的可能性だけで議論するというのはおかしいと。論理的可能性だけで準備するんだとしたら、アメリカが北朝鮮に対して弾道ミサイル攻撃するときに我が国はどういう対応をとるべきなのかという方が、むしろ現実的な対応としては、まず先に検討しなければいけない事項ではないかというふうな気がしますね。そういう意味において、この四類型についても、その事態設定自体に対しても、私は非常に疑問に思っているということであります。

 いずれにしても、権力を持った人たちがこの懇談会でやるということでありますから、その権力に対して我々がどう反論していくかということについては、追ってこの委員会等でまた議論をさせていただきたいというふうに思います。

木村委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 日米防衛相会談結果概要につきまして、お尋ねをさせていただきたいと思います。

 防衛省から配付資料の「日米防衛相会談について(結果概要)」の「秘密保全」につきまして、久間大臣から、海上自衛隊における情報持ち出し事案に関し、米側とも緊密に連絡をしつつ、事案の全容解明と再発防止に努める旨の発言がございました。ゲーツ長官からは、日米防衛協力関係を強化していく上で、日米防衛当局間で、情報共有は重要な基礎であり、情報共有をさらに進めるためには共通情報の保全が不可欠である旨の発言があったと記載されております。こうしたやりとりを踏まえまして、久間大臣とゲーツ長官は、今後、日米双方で情報保全の強化を図っていくことで一致したとのことですが、具体的な事柄に関して、今後、早急な検討課題であると認識をしております。

 現在想定しています日米の共通の軍事情報の秘密保全については、五月一日、日米安全保障協議委員会、2プラス2の共同発表の中で、軍事情報に関する一般保全協定、GSOMIAの合意を意味していると考えていいのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。

久間国務大臣 これは必ずしもそれを指しているわけじゃございませんで、双方が情報を共有しよう、そういう必要性も、またその共通認識もございますが、そのためには、それぞれが自分のところの情報の管理をきちっとしなきゃならないということです。

 特に、我が国における最近の情報の漏えい問題等がありましたので、それについて、やはり向こうも心配をしておるということもございまして、防衛首脳会談でも触れまして、我が国の方としては、それについて、今までとってきた手続、いろいろな制度、例えば私物のパソコンをもう持たせないというようなこととか、パソコンについて、今度はその中身に過去のデータも入れていないかチェックしているというような、そういうことを言いましたが、さらにそういう点での漏えいをしないような保全体制をとっていくということを強調したわけであります。

内山委員 この軍事情報に関する一般保全協定、GSOMIAは、私の記憶の間違いがなければ、今回の日米安全保障協議委員会、2プラス2で、初めてはっきりとした形で、文書で出てきたように思うわけであります。

 国家間の重要な取り決めでありますので、この軍事情報に関する一般保全協定、GSOMIAだけでも国会で慎重に議論され、批准と申しましょうか、決議、承認が必要かと思いますが、これに対する国内法の整備の方は必要なのかとやはり思っているんですけれども、いかがでしょうか、国内法の整備。

久間国務大臣 このGSOMIAは、各国とそれぞれ結んでおりますけれども、包括的な取り決めでございまして、どっちかというと手続等を決めたものでございまして、内部の法令等は、それぞれの国の法令によって従う。場合によっては、それぞれの国が、そういう法体系がないところはそれでやっておりますけれども、そういうようなことを前提としているわけではございませんで、我が国の場合は、我が国の法令に基づいて国内はきちっとやっていく。

 ただ、アメリカが秘密情報として我が国に渡すときの手続等のそういう関連について、これから外務省が中心になって協定を結んでいかれるということであります。

内山委員 久間大臣は、二年前の二〇〇五年十一月十一日に憲政記念館で行われましたヘリテージ財団主催の会合で講演をされております。きょうは、大臣の許可をいただかずに配付資料としてちょっと使わせていただきます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 GSOMIAの必要性についてこの中でお話をされておりまして、大臣は、現在の日本における情報漏えいの防止という観点から、既に制度があると述べられているわけでございます。大臣の発言を、お配りしました下線の部分のところをちょっと読んでみたいと思います。

 日本では、GSOMIAを導入しなければ、本当に秘密は守れないのでしょうか。その点、それほど単純ではありません。日本にも既に制度があるのです。まず、米国から提供された情報を守る法律として、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法という昭和二十九年にできた法律があります。

 米国政府から供与された装備品等に関する秘密の情報は特別防衛秘密とされ、この秘密を不当な方法で収集したり漏らしたりした場合には、十年以下の懲役に処せられることになっています。そしてこれは、公務員だけではなく、契約に基づいて秘密を扱う企業の社員にも適用されます。

 米国政府が日本国内にある企業と直接契約をした場合、日米安保条約第六条に基づく地位協定の実施に伴う刑事特別法という昭和二十七年にできた法律が適用になります。この法律によれば、日本にいる米国軍隊の機密を不当な方法で収集したり漏らしたりした場合には、やはり十年以下の懲役に処せられます。

 自衛隊独自の防衛秘密については、平成十四年、自衛隊法の改正により、会社の社員を含め、防衛秘密を取り扱うことを業務とする者が防衛秘密を漏らしたときには五年以下の懲役に処せられることになります。

 日本でも秘密保護のために法制の整備はされていることがわかります。では、なぜGSOMIAの必要性が議論されているのでしょうか。米国側の事情を推測すると、GSOMIAという取り決めを各国と結んでいるわけですから、GSOMIAの枠組みで秘密が守られるから日本にも供与するといえば、米国政府内の行政手続が進めやすいというのは理解できます。

 そうおっしゃっておられますけれども、今回の協議について、これとどのような関係で御所見をお持ちになっているか、お尋ねをしたいんです。

久間国務大臣 アメリカに行きますと、日本だけがGSOMIAを結んでいない、そういうふうに言われるわけですね。ところが、日本の場合は、先ほど言いましたように、日米相互援助協定といいますかそういうことで、あるいはまた日米安保条約によって特別法があって、ちゃんとやっているんですよというようなことを私たちは言うんですけれども、何かしらん、日本だけが非常に、そういうGSOMIAを結んでいないから、まあ、ざる法とは言わないけれども、法律的な体系ができていないかのような誤解を受けているものですから、軍事情報というのをさっと渡しにくいような雰囲気がありますので、先ほど言ったようなことを私は言わせてもらいました。

 それともう一つは、今までのいろいろな法体系にありますものは、その都度その都度全部、一つごとに契約といいますかペーパーにして具体的にやっている。ところが、これぐらい非常にスピーディーな時代になってまいりますと、もっと包括的にやりとりをして対応していかなければならない、そういう必要性も生じておりますので、そういう意味では、各国と同じようにGSOMIAを結んでおくことによって、一連のそういう枠内で対応できるというふうにした方がいいんじゃないか、そういう思いがあって、GSOMIAについて研究してもらいたいということを、ああいうふうに述べた後、外務省にもお願いしてやってまいりまして、そして、外務省もそうだなということで、今回2プラス2でそれをやってもらったということであります。

内山委員 外務大臣もおられますので、ぜひ外務大臣の方の御所見もいただきたいと思います。

麻生国務大臣 ゼネラル・セキュリティー・オブ・ミリタリー・インフォメーション・アグリーメント、頭文字をとってGSOMIAと言うんですけれども、これは今、防衛大臣の言われたのが基本であります。

 国内法令の範囲内でということが頭についておりますけれども、いわゆる防衛、この間、イージス艦の話が結構出ましたけれども、こういったような形で、私ども見ておりましても、こういったものをきちんとしておかないと、ある程度共通のもので縛っておかないと、一国だけ漏れたりなんかすると、こっちも被害、そっちも被害というのが全部に被害を及ぼして、全く心ないとか、もしくはこういうことに無知な人がやったこととはいえ、結果的に相手側に利して、世界じゅう、全部持ったものはパアになってというようなことはあり得る。

 今は特にコンピューターにお詳しいので、そういったものがばあっと広がりますので、とにかくハッキングなんというのができるとえらいことになるというのが今のコンピューター技術の発達に伴うことで、一回漏れたものを修正もしくは改善するということになると、物すごい手間暇と経費並びに金もかかる話ですので。

 そういったようなことで、他国に影響を及ぼすという意識がないでやられるともうえらいことになりますので、そういった意味では、こういったものが結ばれるということは、私としては、今の時代に合っているのじゃないかなというように感じております。

内山委員 また、久間大臣はこの講演で、GSOMIAとなりますと、国と国との条約なのか、または行政協定でいくのか、こういうこともお話をされておりますけれども。国会で詳しい協定の内容を開示する必要があると思われますけれども、いかがでございましょうか。

久間国務大臣 これは、行政協定を今後結ぼうということを今度2プラス2で決めたわけでありまして、これから先はどちらかというと、行政協定ですから、外務省マターとして外務省の方で詰めていかれるわけであります。

 そういう行政協定を結ばれましたら、その内容については当然国会の方へも御報告があろうかと思いますし、私たちもその過程において、どういうふうなものになっていくのか絶えず、協議に参加しながらといいますか、直接は外務省でございますけれども、私たちもよく見ながらやっていこうと思いますので、また、多分委員の先生方におかれましても同じような気持ちじゃないかなと思っております。

内山委員 同じく久間大臣、発言の中で、国内の立法措置をとらなければならない、こうも発言をされておりますけれども、どのような法律をお考えになっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

久間国務大臣 いや、それは必ずしもとらなければならないということじゃなくて、これから先そういうようなことでやったときに、現在の国内法で守られているような体制だけでいいかどうか、そういうのを含めて、むしろ国内で検討がされるべきじゃないかと思うんです。

 各国の例を見てみましても、GSOMIAを結んでいる国でも、非常に厳しくやっている国とそうでない国とがあります。

 そして、その違いについてアメリカはどうしているんだと見ると、こういうような厳しいところについてはここまで出していいだろうとか、厳しくないところについては、そういうのでもし出ていってしまったらいかぬからということでやめているみたいな、そういう差を設けているんじゃないかなというふうなことも、はっきりは言いませんけれども、そういう感じも受けますので、やはり国内法で縛るか縛らないかというのはそういうような向こうとの関係もありますから、これを結んだからせねばならないということにはならないと思いますが、現在の国内法の体制で、それだけでいいのかどうか。

 特に私が気にしておりますのは、民間企業同士でやりとりをする、それもリアルタイムにやりとりをするようなケース、向こうの企業の下請にこちらが入っているときに、そういうときに、こちらの企業は、国を介してきた場合は防衛秘密になったり特定防衛秘密になるわけですけれども、それが全く民間同士でやる場合はできないから、そういう下請に参加できない形になります。

 そのときに、GSOMIA等だったら、こういう企業は安全ですよということを政府が保証するような、そういうことは可能かもしれませんけれども、そういうときに何らの法的な措置がなくて果たして向こうが使ってくれるのかな、そういう思いが一方ではございますから、そこはやはりきちっと、企業同士であったとしても、防衛秘密に携わる者はそれはだめなんだというふうなことをした方がいいんじゃないか。今は、特定防衛秘密についてはそれは言えるのかもしれませんが、それ以外はなかなか難しい、政府が関与しない形のものは難しいんじゃないかな、そういう気もしていますので、これもこれから先のまた研究課題だと思っております。

内山委員 同じく外務大臣は、この御所見、どうでしょうか。

麻生国務大臣 こういうのは、内山先生、具体的な話の方がわかりやすいんだと思って今多分そういう例を引かれたんだと思いますが、民間同士でやった、民間の日本側の会社の下請に北朝鮮系のいわゆるソフト会社がありましたというときには、そこから一〇〇%抜ける確率は高いというのを知らなかったら、それは丸々手のうちが全部ということになり得るというようなことを考えますと、似たような話がこの間ありましたので、そういった意味では、私どもとしては、こういうものの値打ちというのが、つくっている本人はもうプロみたいな人たちですから、およそ、そのことだけ詳しいという人が開発されて、その価値が全然わからぬまま外に出て、いや、僕はわかりませんでしたではとても済まぬということになり得るなという例がありますので。

 こういったものはいろいろな、昔と違って、単なる盗まれたという話ではなくて、本人が知らない間にウィニーを使って外に出ていくとかいろいろな例が最近ありますので、そういったものを含めて検討をする必要があるだろうな、私はそう思っております。

内山委員 同じように、このGSOMIAが正式に締結されたときに、国内法の、例えば日本国憲法とかその他の条項との整合性というものが、何か問題が出てこないだろうか。例えば、憲法の二十一条なんというのはどうなのかなというふうに危惧をしているんですが。

久間国務大臣 それはないと思います。少なくとも憲法に抵触するような法律自体がつくれないわけでありますし、法律がなければみんなが縛られることはないわけでありますから、それはもう心配する必要はないと思います。

内山委員 では、同じように罰則規定を規定しました日米相互防衛協定秘密保護法の改定などは、見直す必要があるかどうか、お尋ねをしたいと思います。

久間国務大臣 これも、十年の刑ですから、結構重い法律でございますから、私は特別改定する必要はないと思っております。

内山委員 機密防止については、日米同盟にかかわる事柄だけでなく、限定された日本独自の国内法をつくることによって、外部によるスパイ行為の監視や摘発が可能になると同時に、重要な部門に携わっている官民を問わず、再発防止の抑止力になると思っております。

 日本人について総じて言えることは、危機管理意識レベルが非常に低いと思うわけでありまして、こういうところに十分な注意が必要である、こう思うんですけれども、日本人の危機管理レベルの低さについて、いかがでしょうか。

久間国務大臣 これはやはり日本は甘いと言われれば甘いのかもしれませんし、外国が、特にアメリカなんかは、厳しいというと厳し過ぎるのかなという気もしまして、一概に評価はできません。

 例えば、外国の場合、機密に従事する人の場合、その同伴者が他国籍であるかどうかまでチェックして参加させていますね。そこまでする必要があるのか。まあ破ったら、それは法律違反をするわけですから罰則が適用されるわけです。

 そこまでせぬでもいいんじゃないかと思いますけれども、やはり寝言で何をしゃべるかわからぬということまで考えると、そこまでやるのかな、そういう思いはせぬでもないので、その辺は、バックにある道徳律も含めた規範意識というのが違うのかなという思いもしますけれども、日本よりもアメリカの方が厳しいなという感じは、至るところでこういう機密の問題については感じております。

内山委員 私は、日本の国家、国益を考えた場合、国内法の整備がやはり最重要である、こう思っているわけでありまして、今回見送られると先般一部報道で報じられておりましたけれども、これは本当でしょうか、国内法の整備をやらないと。

久間国務大臣 これは、現在の国内法を前提としてそれで十分である、そういう認識でスタートいたしております。むしろ国会の皆さん方の方からもっと厳しくしろというふうな話が出てくれば別でございますけれども、そういうような状況、国内法は現在ので一応足りているんじゃないかなと私どもは思っております。

 ただ、配慮の仕方については、もう少し日ごろから我々としても配慮しなければいけないというのは、当委員会でも指摘されておりますとおり、私どもとしても十分、これから先、漏えいの管理といいますか、漏えいのないようなシステムについてはどうしてやっていったらいいのか、それは研究していこうと思います。

内山委員 テーマをかえまして、機密漏えいにつきましてお尋ねをしたいと思います。

 平成十八年二月二十四日、事務次官通達、防官情第一二四六号によりまして、現在、職務上使用する私有パソコン等にファイル交換ソフトがインストールされている場合には、当該ソフトを直ちに削除することとなったにもかかわらず、本年四月九日、小銃、拳銃等の保管場所を明記した陸上自衛隊松戸駐屯地の武器庫の見取り図等が、内部情報が漏出を、インターネットに出ているわけでありまして、昨年の二月、こういう事務次官通達が出ているにもかかわらず、ことしの四月にこういった、またウィニーが関係した情報漏えいが出ております。これは一体どういうことになっているんだろうか、それをお尋ねしたいと思います。

山崎政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、「あさゆき」の事案が発覚をいたしまして、十八年の四月に、私有パソコンを職場に持ち込むこと、それから私有パソコンにより業務用データを取り扱うことの禁止等を行ったわけでございます。それで、その後にまた、残念なことでございますが、空自の那覇基地において情報の流出事案がございまして、平成十九年一月でございます、これに基づきまして、職員が自宅等において使用する私有パソコン等及び私有可搬記憶媒体について、業務用データが保存されていないこと等を本人の同意をもとに確認したわけでございます。

 こういう幾つかの対策をとっているわけでございますが、残念ながら、なかなか末端の職員までこの意識が徹底されていない、しかも、既にこういう措置をとる以前にそういう私有パソコン等に持ち込まれたデータがウィニー等を介して流出をしているという非常に遺憾なことが頻発をしているわけでございます。

 これに対しまして、我が方としては、そのたびごとに新たに事務次官通達等を出しまして、保全意識の徹底を図っているわけでございます。我が方としては、やはり各人にそういう情報の取り扱いが極めて重要であるという意識改革を行うことが一番抜本的な対策になるということで、重ねて各部隊に対して注意喚起を行う、あるいは上司から各曹士等に対して面談をする等して、意識改革を徹底していきたいというふうに考えております。

内山委員 徹底をしていくといっても、十八年二月の二十四日以降、次から次へと事件が起きているわけでありまして、これはやはり徹底の仕方に何か問題があるんじゃなかろうかと思うんですね。これはやはり規律がきちっと、末端までこういう決めが伝わらない仕組みにすごく問題があるんじゃなかろうかと思います。ただ単に情報レベルが低いものであったからというようなものではなくて、これは早急に、二度と同じような問題を起こさせないようにしっかりと管理をしていただきたい、こう思います。

 テーマをかえまして、PAC3のミサイルにつきましてお尋ねをしたいと思います。

 現在、入間基地等に導入され、順次、ほか三カ所にペトリオットミサイルが実戦配備されていくわけでありますけれども、このペトリオットミサイルがやはり非常に優秀なミサイルだということを聞いております。

 しかし、不幸にして不発や命中しなかった場合、このミサイルはどのようになるのか、落下したミサイルによって二次被害というのがあるんじゃなかろうか、こう考えるんです。ミサイルには自己破壊装置がついている。しかし、ペトリオットミサイルは三百十五キロの重さである、上空一万メートルぐらいで自己破砕システムが作動したとしても、相当な点数、一点一点がかなり重いものが落下すると相当被害が出てくるんじゃなかろうか、こう思うんですが、防衛省の方はどのようにお考えになっていますでしょうか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 PAC3ミサイルの当たらなかった場合というお尋ねでございますけれども、仮に不発または命中しなかった場合でございますけれども、まず一点目としては、地上装置からの自爆指令により自爆させるという機能がついております。それから二点目といたしまして、例えば、目標を見失ったような場合には自動的に自壊機能が作動する、自爆するという機能もついております。

 そういう意味で、地上への被害というお話ですけれども、PAC3ミサイルの破片は地上に落ちるということはあり得ますけれども、ミサイルそのものは、大きな物体が地上に落ちて二次被害が生じるようなおそれはないというふうに考えているところでございます。ミサイルそのものが落ちて二次被害が生じるおそれはないということでございます。

内山委員 いや、三百十五キロのミサイルが粉々になって、粉になって飛んでいくわけじゃありませんので、例えば、超高層ビルの建築現場からボルト一個落としただけでも死傷者も出るぐらい大変破壊力があるわけでありますので、そんな答弁はちょっとおかしいと思いますけれども、もう一度。

大古政府参考人 基本的に、目標に当たらなかった場合については、先ほど申したように、自爆することにより小さな破片になるということでございます。そういう意味で、ミサイルの大きな単体が地上に落下することはないということで申し上げました。

 他方、弾道ミサイルにつきましては、国民に重大な被害が及ぶというのがありますので、それを撃墜することがまず重要だというふうに考えておるところでございます。

内山委員 それでは、ペトリオットミサイルが自己破砕システムによって空中で破壊をしますと、一点でどれぐらいの重さのものが落ちてくるんでしょうか。

大古政府参考人 ちょっと細部についてはお答えを差し控えたいところがございますけれども、基本的には、爆発により小さな破片になる、それが散乱するということでございます。

内山委員 その情報は、やはり独自でテストをして実証を持っているんでしょうか、それとも米国からそういう情報をいただいているんでしょうか。その根拠を示してください。

大古政府参考人 基本的には、現段階では、米国から得た情報ということでございます。

内山委員 まだ国内でテストで試射していないんですよね。これはやはり早急にやるべきですよ。どのぐらいの大きさになって落ちてくるのか。撃った方向の住民の皆さんだって、例えば何百点、何千点に分かれて本当に何グラム程度のものになるのか、大きいものは一キロ、二キロで落ちてくるのか、こういったものをやはり周知しなければ、情報を持っていなければ、住民の安全確保ができないじゃないですか。

 内閣官房の方がいらっしゃると思います。お尋ねをしたいと思います。

 弾道ミサイルが発射された場合、着弾地点や、また迎撃用に発射したペトリオットミサイル、この二次被害を最小限に防ぐために事前に国民に周知する必要があると思いますけれども、どのように対処されておられますでしょうか。

井上政府参考人 お答えをいたします。

 国民保護法の法律がございますけれども、その法律におきまして、武力攻撃事態等があった場合に、そして弾道ミサイル攻撃等に際しまして、対策本部長が直ちに、警報の発令、そして避難措置の指示を行うこととなっているところでございます。

 警報、そして避難の指示につきましては、都道府県から市町村を通じて防災行政無線などによりまして住民に伝達をされますとともに、放送事業者である指定公共機関等によりまして、テレビやラジオを通じまして速やかに放送されることとなっております。基本的に、こうした警報の発令、避難の指示等のあり方につきましては、基本指針で取りまとめております。

 また、一般国民の方々に対しましては、ホームページ等で公開をしておりますけれども、「武力攻撃やテロなどから身を守るために」というパンフレットをつくっておりまして、弾道ミサイルによる攻撃があった場合の留意点等につきまして国民の方々にお示しをさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

内山委員 もう一度内閣官房にお尋ねをします。

 今御説明いただきましたシステムは、今すぐ機能しておりますか。どうでしょうか。

井上政府参考人 警報の発令でございますけれども、基本的には、国から、都道府県、市町村を通じまして、市町村におきまして防災行政無線がございますけれども、それによりまして基本的に住民の方に周知徹底を図っていく。

 そして、別途、指定公共機関がございますけれども、それによりまして、テレビ、ラジオを通じて放送をすることによりまして住民や国民の方々に情報を伝達するということでございます。

 それは現在もシステムがあるわけでございますけれども、より速やかに情報を伝達するために、現在、消防庁におきまして、人工衛星を使って、政府が市町村の防災行政無線を直接立ち上げまして、緊急情報を住民に知らせますJアラートを整備しているという段階にございまして、今後、その整備状況も踏まえまして、できる限り速やかに情報を伝達するよう努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。

内山委員 もう一点だけ。そのJアラートの整備状況は今どうでしょうか。

木村委員長 井上内閣審議官、時間になりましたので、簡潔に願います。

井上政府参考人 現在、消防庁におきまして基本的なシステムをつくり上げているところでございまして、そして関連の予算も措置をしているわけでございます。今後、地方公共団体におきましてその整備が図られるものになろうというふうに考えているところでございます。(内山委員「進捗状況はどのくらいですか」と呼ぶ)現在、まだ各都道府県、市町村におきまして十分に配備がされているという状況ではございません。

 詳細な資料につきましては、今手元に持っておりませんけれども、いずれ、今後予算措置を行うことによりまして整備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

内山委員 最後に一言だけ。

 今の総務省消防庁からの防災行政無線の整備がほとんど未整備なんですよ。だから警報を発令できないんですよ。これは早急に前倒しでやっていただきたい、こうお願い申し上げます。

 最後に、我が国の将来を見越した国家プランが策定されてもよい時期に来ているんではなかろうか、こう私は考えております。いつまでも日米同盟の強化という、強い信頼に基づいたきずなばかり言っていないで、本当の意味での米国とのおつき合いの仕方と申しましょうか、アメリカと言うことが遠慮なく言える間柄、つまり真のパートナーシップを築き上げていくことが日本の将来にとって大変重要なことと思います。現状は、完全に米国主導の体制に組み込まれておりまして、非常に危険な部分もあると危惧をしております。指摘ということで、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

木村委員長 次に、笹木竜三君。

笹木委員 笹木竜三です。質問を始めます。

 きのうのテロ特措委員会、イラクの延長の法案についての審議の中で、附帯決議にも入っています、そして、附帯決議だけじゃなくて、他の委員も私も、その質疑と答弁のやりとりの中でこの問題を取り上げました。

 その結果、こういう安全保障とか防衛上にかかわるような情報について、その開示の原則について、開示した場合の議員の対応も含めてですが、原則を検討していこう、これは単に特別委員会だけのことじゃなくてほかの委員会との関係もあるということで、議運でそのことを扱って、これから議論をしていくというお話がありました。しかし、当然、特別委員会でもそうしたことを理事の間で協議をしていくという、最終的に委員長からも話がありました。

 ここで確認をさせていただきたいんです。国会全体の各委員会にかかわる問題ですが、もともと安全保障とか防衛にかかわるような情報ということですから、あの委員会でもさんざんやりとりした後が、空自が運んでいるもので、一、二カ所以外は全部黒塗りであったわけです。ストーブとか毛布とか書籍とか郵便物とか建築用の資材とか、こういうものが黒塗りしないといけないような理由は全くわからないわけですが、非常にいろいろ慎重になり過ぎている、こちらからはもう常に思うことがたくさんあるわけですね。

 ぜひ久間大臣にここで約束をしていただきたいんですが、我々は委員会でも当然やりますので、安全保障上の、そして防衛上の情報の扱いについて、今後真剣に速いスピードで検討していくということで問題ありませんね。我々も、この委員会で議論をしていくべきだ、理事者間でも議論をしていくべきだと思っていますが、お答えください。

久間国務大臣 情報を公開すべきである、そういう原則についてはもうおっしゃるとおりでございます。

 ただ、その情報を公開することによってどういうリアクションがあるか、そういうことについてもまた言わなきゃならない点もありますが、それを言うと手のうちをまたオープンすることになりますから、相手の方も、委員会の方でも、これは絶対に守る、よそには言わない、そして、ばれた場合には責任をとってきちんと、法律に縛られるというような、そういう仕組みがないとなかなか難しい点が実はあります。

 例えば、今例示に挙げられましたストーブだあるいは書籍だ、こういったものについてはいいわけですけれども、それ以外に何がいいのかとなってきますと、いろいろなリストの中で、ここまではいいだろうなと個人的には思ったとしても、もっとあるじゃないかという話になるわけです。

 そういう意味じゃ、全部オープンにして、外部にはここまでは線引きで言わないようにすべきだということで決めてもらうとか、何かせぬ限りは、ほかにないか、ほかにないかというと、ほかにもあるじゃないかという話になりますので、やはり、そういう点では、秘密がどうやって守られるか、そういうようなことを担保してもらわないと、なかなか開示が一歩手前、一歩手前というふうになってくるということになりかねない。

 ぜひ、これから先は、全部の委員会とは言いませんけれども、安全保障問題についてはそういう秘密会を設けてやることができるとか、そのかわり、その秘密会のメンバーに入った人はそれをもう一生墓の中まで持っていかない限りは罪になりますよというような、そういうことをセットにするとか、そこまで、先ほどもちょっと話が出ましたが、アメリカみたいになっている場合となっていない場合とじゃ、委員会等におけるやりとりなんかでも違ってくるんじゃないかなというふうに思っております。

 向こうは結構秘密会をやっていますね。そのかわり、その秘密にタッチした人は秘密漏えいについては結構罰則もかかっておるわけでありまして、そういうことも含めて一緒に今検討していただいて、それも全部じゃなくてもいいから、建前としては全部かもしれませんけれども、そういうことができるような制度があったらいいんじゃないかなというふうに思います。

 日本の場合は、えてして、予算委員会等でいわゆる証人喚問というようなときに秘密会を設けたことがございますが、もうすぐばれてしまっていました、今までの例でですね。だから秘密会といっても秘密会じゃないんですね。

 だから、そういうようなことは、何が守られるのか、そういう担保制度がないと、行政側もそうじゃないかと思いますし、また、参考人として呼ばれた人も、それは秘密会だから絶対守られるんだというふうになれば、いろいろなことも証言としてしゃべるんじゃないかなと思います。

笹木委員 おっしゃることはよくわかります。後でまた取り上げますが、話題になっているイージス艦情報の流出の問題も一方であるわけですよね。これは施設庁の問題のときにもありましたが。一方でこういう、国会の話だけじゃなくて、役所の中においてはというと、隠しているはずの情報が非常に、もっと言うとマル秘扱いにされないといけないような情報まで簡単に出ているような問題もあります。このイラクのことに関して言うと、アメリカの、米軍のイラクにおける輸送計画、これもかつて流出をしているわけですよね。

 ぜひ、国会はもちろんですが、では、役所においてもこういった情報の機密の扱いはどうなのか、そういう検討も当然必要だと思います。

久間国務大臣 役所の場合は、公務員である以上は、守らなければならない秘密を漏らした場合には罪になるわけで、だからイージス艦の場合も、あれは漏えいとして今捜査をやっているわけでありますから、そういう点で違うわけであります。

 国会の場合は全くそれがないわけでありますから、そこのところの違いをよく区別してやりませんと、国家公務員の罪は、軽いか重いかは別としまして、少なくとも国家公務員は逆に非常にそれを気にしております。私も国家公務員をやったことがありますから、これを漏らしたら国家公務員法違反になるということは十分みんな認識しております。それをあえて破ってやるという場合には罪になるわけでありますので、その違いは非常に大きいということも御理解賜りたいと思います。

笹木委員 いや、今言いましたのは、ですから、今の現状のそういう、もちろん罪になるわけですが、その現状のままでいいのかということも含めて検討が必要だし、それと、単に罪が重い軽い、これは今は不十分な面はあると思いますが、それだけじゃなくて、管理とか運営面でいろいろな問題も当然あるんだと思います。そういうことも含めて国会の中においてもどうするかということを議論するということだと思います。そうですよね。

 ぜひ、委員長、そういうことですので、もともと安全保障、防衛についての情報ということです。理事会でこのことをどう進めていくか協議することをお約束いただきたいと思います。

木村委員長 後ほど理事会にて協議いたしましょう。

笹木委員 はい。

 実は、まだ前国会で設定した集中審議が一回分残っているんですよね。その中には情報公開についての問題も入っているわけですから、しっかりとそうした議論もやっていきたいと思います。

 それで……(発言する者あり)何か不規則発言がうるさいんですけれどもね。

 きのう、あのイラクの問題での終わりのところで発言もさせていただいたんですが、今イランとアメリカの間で対話をしようという動きが出ているわけです。

 麻生大臣にちょっと認識をお伺いしたいんですが、だから今どうのこうのということじゃないんです。認識をお伺いしたいんですが、イランがイラク国内でのテロの行為について関与しているのかどうか、そういうことについてどういうふうに認識をされておられますか。

麻生国務大臣 認識ですね。

 御存じのような、ヘリコプター撃墜事件以来ですから、二十数年間、イラン、アメリカの間には直接交渉はありませんというのが現状です。それに対して、イランの核開発の話に関連していろいろ話が、表向き、役所レベルで話を開始したということはありません。

 しかし、今、イラクの問題に関しては、シャトルアラブ川の東側でありますので周辺国家になりますので、そういった意味で、この間のシャルムエルシェイクで行われましたイラク周辺国拡大外相会議に出てきたイラン、またドナー国として、G8のメンバーの一人としてP5の一員でもありますアメリカ、そこで初めて、少なくともテーブルは同じ、長いテーブルでしたけれども、これも二十何年ぶりのことだと思いますけれども、そのテーブルに初めて座るところまで来たということだと思っておりますが、少なくとも、核の話ではなくて、イラクの問題に関してアメリカとイランとの間にいろいろな形で話し合いが行われる見通しであると、これはイランの外務報道官が、イラクの治安状況改善のため米国と協議することに合意したと述べております。

 一方、NSC、ナショナル・セキュリティー・カウンシル、アメリカ側のジョンドローという報道官がおるんですが、これの方は、数週間後にバグダッドにおいてイランが建設的な役割を果たすことにつき話し合いが行われる見通しだと述べております。

 現実問題として、私がシャルムエルシェイクにおりましたときには、少なくとも現場において、短時間ではありましたけれども、イランには大使館がアメリカはありませんので、イラクの駐イラク・アメリカ大使と向こう側の方とで、極めて短時間ではありましたけれども接触があったというのが現状でありまして、それ以後どのような形で、表向きで、私たちの見えぬところの範囲でそれ以上の接触があっているのか、当然ここはやると言うておりますから、いろいろな形で事務レベルでいろいろ協議を開始させているであろうと思っております。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

笹木委員 それでは、お聞きしたいのは、イランがイラク内でのテロに支援とかかかわりがあるかどうかをお聞きしたいんですが、それについての御認識はどうですか。

岩屋副大臣 イランがどうイラクとかかわっているかということでございますが、今のイランがイラクについてどういうふうに言っているかということでございますが、ラリジャニというイランの国家安全保障最高評議会書記という方が四月末にイラクを訪問しております。そのときにマリキ首相と会談をしてその後記者会見をされておられますが、そのラリジャニさんは、マリキ政権は民主主義に基づいて生み出されたものであり、さまざまな勢力によってイラク政府が構成されていることはイラク国民の団結を明白にあらわしている旨述べて、マリキ政権を支持するという発言をしたと承知をしております。

 先生お尋ねの、果たして宗派間対立等を含む現在のイラク情勢にイランがどの程度関与しているかということは明らかではございませんけれども、我が国としては、イラクの治安改善のためにこの隣国であり大国であるイランを含めた周辺国との協力は不可欠だというふうに考えておりまして、一層周辺国との対話と協力を進めていきたい、アメリカ、イランの対話についてもいい影響が出るように期待をしております。

笹木委員 きのうもちょっと終わりの方でやりとりさせていただきましたが、麻生大臣が、九・一一以来、アメリカの国際的な対応とか紛争に対する対応あるいは大量破壊兵器拡散問題に対する対応ががらっと変わった、そのとおりだと思いますが、そういうお話をされました。それは事実だし、今後も続いていくんでしょう。

 しかし一方で、イラクで、言ってみれば、強制的というか、武力行使とかあるいは先制攻撃的な手法、これをやってその後の占領とか統治とか、非常に苦労しているとか失敗をしている。この反省から、若干はこの強制的な手法についての反省が出ていて、多国間協議をかなり今重視するようになっている、それでこのイランとの対話も出てきたんだと思います。言ってみれば、絶対引けない、引くに引けないと熱心に言っている方々の中には、引けばイラクにおけるイランの勢力が拡大する、それを理屈にされている方もいるわけですが、その当事者とこれから対話をする、私は非常にいいことだと思いますが、そういうことですよね。

 それで、もう一度確認させていただきたいんですが、麻生大臣にきのうもお話ししました。今イラクで治安だ治安だ、いや、復興支援と言うけれども、復興支援が可能なためにも治安だ治安だ、治安がないから自衛隊だという話にすぐなるんですが、空自の活動がその治安の回復にどれだけ役立っているのか疑問だという話もさせていただきました、無駄とは言いませんが。

 それで、警察とか捜査機能を回復するために、あるいはドイツ、フランス、カナダもやっているわけですが、隣国においてあるいは周辺国において警察官の養成とかそうした能力にかかわる人材の養成、こうしたことは、日本は鑑識の手法とかそうしたことでほんの一部協力しているようですが、こうしたことはまだまだやれるだろうし、もっと言えば、今言ったように、強制的な、先制的な手法への反省から、多国間協議をアメリカも言っているわけですが、アメリカでもイランとやり出した。アメリカを入れてやることはもちろん必要ですが、多国間でやれることはたくさんあると思います。もっと言うと、これをきっかけに紛争中の国への協力とかODAとかPKOとか、こうしたことも、これからさらに新しいいろいろな手法を日本としても開発していかないといけないと思うわけです。

 そこで、ぜひ麻生大臣にもう一回確認させてほしいわけですが、このイラクの周辺国との共同の計画とか具体的な提案はどういうことをされていますか。きのう、刀狩りとかというお話がありましたが、アメリカが入っている場合もあっていいですが、必ずしもアメリカは入っていないけれども、周辺国と共同での行動を日本としてどのようなことを提案されているか、あるいは今後どのようなことを提案される予定でおられるかを確認させてください。

麻生国務大臣 おっしゃいましたように、また私が昨日もイラク特で申し述べましたが、これは、周辺諸国の協力がないと、私はイラクというところの治安の回復は難しいんだということを思っております。なぜなら、周辺諸国からイラク人でないテロリストが大量に流れ込んでくる状態をとめるということはほぼ不可能だからだと思っております。

 そういった意味では、周辺諸国の役割をシャルムエルシェイクでもやたら強調したのはその点なんですが、ぜひその意味で、我々としては、治安も大事だけれども、いわゆる信頼関係の醸成ができないとどうにもならぬから、国民融和の方も、何か治安でばっと抑えつけるけれども、下の方が全然融和していなかったら力で抑えた間だけになるから、融和するというところまでいかぬとどうにもならぬという話をしておりますので。

 そういった意味では、私どもとしては、日本でできることは、鎮圧する部分というのはそっちでやって、こっちの仕事ではない、ただ一つだけ、軍隊じゃないよ、警察よという話はきのうも申し上げたとおりです。

 日本として今、この間どのようなことをやってきたかといいますと、対イラク武力行使後、あれ以降今年五月一日までで、イラク人一千八百四十人に対して日本は研修というのをやっております。日本に来てもらった上での研修というのは、ことしに入っただけでも、外交官の養成ということで、昨年も一昨年も外務省、やりました。それから警察の話、さっき御指摘にありました鑑識能力の強化のために研修をさせぬとどうにもなりませんので、いろいろなやり方をやっております。

 それから、医療のマネジメントのシステム、医者だけ集めてもマネジメントが全然できませんので、そういったマネジメントの話とか、その他いろいろテレビとか通信とか、つくったはいいけれども、後のいわゆるメンテナンス、維持補修が全くできていないものですから、つくったのは日本、維持する能力とか技術とかあるいはシステムが全然できていないものですから、一部悪いと全部やり直すみたいな話が、いやいや、ここだけ直せばいいのという話がわからぬ。そこらのところを今ずっと一つ一つ取り組んで、基本的には人材育成というのは日本ができる大きな範疇じゃないかと思って、今おれたち、こういったことかということでいろいろこれまでやって、これはかなり評価の高いところであります。

 これは、ムサンナ県で陸上自衛隊の若い人も、ブルドーザーの運転の仕方から電気の補修から水道のいわゆる浄水機、これまた、ごみがたまったものを掃除するというのをしょっちゅうやっておかないとどうにもならぬ、とにかく全然やらないから固まっちゃうとか、そういったような話、いっぱい報告がありました。そういったようなことをきちんとやらせる、習慣づけするところが、とにかくこれが一番大変なそうですけれども、私ども、そういったところを含めて、結構いろいろなことを今やらせていただいているのが多分日本に対する評価に非常につながってきている背景だと思っております。

笹木委員 ぜひ周辺国と、周辺国においてとか、隣国においてとか、アメリカもやりたいけれどもなかなかその国と共同でやりにくいとか、そういう案件についてもまた別の機会に議論させていただきたいと思いますが、もっと積極的に提案をしていくべきだと思います。

 それと、先ほど情報の開示のことでお聞きしようと思って外務大臣にお聞きするのを忘れました。これは、安全保障とか防衛とか外交にもかかわるような議論で、こうした情報の開示について、議運でも国会全体で取り上げようというお話なので、外務委員会でも当然話題になるのかと思いますが、麻生大臣の見解をここで聞かせていただきたいと思います。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 先ほど久間大臣の方からお話があっておりましたし、基本的には同じなんですが、日本人というのは世界で最も秘密を守るということになれていない国民だ、私は昔からそう思っております。これは秘密ねと言うと大体一分ぐらいで隣の人に伝わるというような、大体そういう国ですから、正直なことを言って、私は全然信用しておりません。だから、国会議員が口が軽いんじゃない、大体日本人全体がホモジニアスの世界になっておりますので、もうこれは全然。

 傍ら、先ほど久間大臣御指摘にありましたように、アメリカの場合にはもうほとんど、もともとが異邦人の集まりで国ができておりますので、二つはっきりしていることは、お互いにとにかく話は通じないから、説得するために言語、法律、ルールというのが物すごい。日本は大体、物すごくホモジニアスな国になっていまして、なあ笹木さんと言ったら大体それで通じちゃうような話、というのが全くない国ですから。そういたしますと、逆に言えば秘密は漏れにくいわけですね。そこのところが、もとのもとが違っているんだと思います。

 私どもとしては、これはかなりルールをきちんとした上で、よっぽど縛りに縛ってきちんとしたものをつくり上げても危ないな、私はそうだろうなと、はなから余り信用していないところがあるんですけれども。それが全くなしになんというんじゃ、もうとてもじゃないけれどもしゃべれないということになるんだと思っておりますので、私は、何らかの形で、きちんとした形というのは大事だと思います。

 例えばゼネラル・マッカーサーが一九五一年でしたか、たしかアメリカ軍事秘密小委員会で日本に対する、いわゆる戦争、いろいろな話を、あれはラージリー・ディクテーティッド・バイ・セキュリティー、彼らの戦争は主に自衛のための戦争だったとゼネラル・マッカーサーのアメリカ軍事小委員会の、たしか秘密委員会だったと思いますが、あれは全く出ず、残って、五十年後に出たというので、開示になりましたけれども、その間出ませんでしたから。そういった意味では、私どもにとりまして非常に大きな意味があるものだと。あれがもうちょっと早くわかっていればと思わないでもないぐらい、その種の話は幾つもありますので、最低限つくらにゃいかぬと思います。

 御質問にお答えして、これは、これを言ったら後ろから全部出るなと思ったら、それは笹木さん、ちょっと別のところでという話にしかどうしてもならぬと思いますので、しゃべってもいいけれども、笹木さんにはしゃべってもいい、内山さんにはしゃべってもいい、だけれども、あの人にはちょっと危ないなとかいう話が、これは世の中に幾つもありますので、そういった意味では、最低限、ある程度ルールをつくっていただかないと、我々の方もまた役人側も答弁は非常に限られると思っております。

 これ、テレビが映っていますので、まずはこれからしても全然、全部丸々ですので、そういった意味では非常に発言は制限されるだろうな、私はそう思っております。

笹木委員 わかりました。またぜひ、それをここでの一般質疑でも議論したいと思います。

 余り時間がないんですが、一つは、先ほどミサイル迎撃についての内山委員からの質問もありましたが、四月下旬から日本周辺の防空情報、バッジシステムをアメリカはリアルタイムで、二十四時間体制で日本の防空情報を得られるようになったということですが、ちょっと確認だけさせてください。これは双方ということですよね。日本からアメリカだけじゃなくて、日本周辺についてのミサイル迎撃についての情報はアメリカからも日本に対して、双方から相互にリアルタイムでということで間違いないんでしょうか。

大古政府参考人 相互に常時リアルタイムということで間違いございません。

笹木委員 これは、大臣に確認させていただきたいんですが、例えばPAC3は複数の目標に対応可能だといいますが、ある国から複数の弾道ミサイルが発射されたとして、一基は米軍基地、最も大事な米軍基地だというふうに予測される、もう一基は日本の中規模の都市だとか、いろいろな場合が想定されると思いますが、そういう場合に、情報の提供に対して結果的な優先度の違いというか、そうしたことが、悪く言えば情報誘導というか、そういう可能性はありませんか。絶対にありませんか。大臣に確認させてください。あるいは、そういうような取り決めとか覚書というのはありますか。

久間国務大臣 相互に情報は共有いたしますけれども、共有した結果、それをどう判断するかはやはり、連絡調整はもちろん相互でやるわけですけれども、最終的にはそれぞれが自主的に判断するということになるわけでありまして、一定の命令のもとで一つで動いているわけじゃございませんので、そういうことについてはこれから先も原則は同じであります。

 ただ、そういう情報を共有した後の運用の問題については、それこそこういうところで余り話すべきようなことじゃございませんので、また、特に軍の運用の問題については、運用上の問題として対処していくことになろうかと思います。

笹木委員 何かいまいちはっきりしないな。もう一回いろいろ詳しく、時間のあるときに話をさせていただきたいですが。

 最後に一点だけ、イージス情報の流出、これは一体、結局どういう感じなんですか。いろいろパソコンを、自前のパソコンを持ってきたり、それで業務をやらないようにしたとか、あるいは持ち帰りはだめにしたとかと言われますが、これは九八年の情報だったわけですね。中国人の妻との関係とかどうなるか、いろいろ問題はあります。いろいろなことはありますが、例えば警務隊とか司法警察業務を行っていると言うけれども、一体どのぐらい機能しているんですか。今回も警察からの通報により発覚しているんですよね。

久間国務大臣 いろいろなほかの、ウィニーから流れたとかそういうようなことではございませんで、これはいわゆる特別秘密に該当するということで警務隊並びに警察が担当しているわけでありまして、そういう意味で、今捜査にかかわっておりますので、これについてはその状況を見守りたいと言っているわけでございますから、その結果を私たちとしても待つべきだと思っておりますので、どうかそういう御理解をしていただきたいと思います。

 いろいろな情報の漏えいの流出事案があっておりますけれども、それとはやはり違う、そういうような認識をしております。

笹木委員 調査報告書はいつぐらいに出ますか。

久間国務大臣 これは今、捜査が行われておりますから、捜査の結果がどう出るか、それによって司法判断が出ませんと、単なる調査では報告は出せないと思います。

笹木委員 それにしても、警務隊というのは本当にちゃんと機能しているんですか。というのは、これだけ情報流出、マル秘扱いのものが、ここ二、三年で何度も何度も出ているわけですが、機能しているんでしょうか。それと、今後、防衛監察本部が設置されるようですが、警務隊との関係はどうなるのか、よりちゃんと強化されるのか、その点だけ最後に確認させてください。

久間国務大臣 警務隊がかかわる場合は、通常の調査その他の中で、これは犯罪に該当する、あるいはそのおそれがあるということで、防衛大臣直轄の部隊として警務隊が動くわけでありますから、通常の場合とは違うということで、この件についてとほかのものとは違うという認識を持っていただきたいと思います。

笹木委員 質問を終わります。

 また別の機会にやりたいと思います。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは五月十五日、沖縄が本土に復帰して三十五周年記念であります。県民の復帰にかけた願いは、基地のない平和で豊かな沖縄ということです。県内の二つの新聞が、復帰三十五年県民世論調査を実施いたしました。その中で、基地問題について、沖縄タイムスでは、基地の縮小、撤去を望む県民が八五%、琉球新報では七六・四%。そして、琉球新報ではつけ加えまして普天間飛行場について聞いておりまして、県内移設、つまり辺野古への基地建設ですが、これに異議を唱えた人が七六%であります。

 沖縄の基地問題の焦点は、現在、普天間飛行場の移設にあり、各種世論調査は明確にこれに反対をしている。防衛大臣と外務大臣は、この県民世論調査、三十五周年記念ということでもありますが、どのように受けとめられますか。

久間国務大臣 それはもう、基地があったらいいか、なかったらいいかと聞かれたら、どこの地区でも、なかった方がいい、縮小した方がいいと答える方が圧倒的だろうと思います。そして、普天間についても、県外移設がいいか悪いかで聞いたら、県外移設がいいと答える人が圧倒的だろうと思います。

 しかしながら、現実問題として、県外、県外と言ったために、十年間そのまま据え置かれたわけであります。我々政治家としては、現状をどう打開していくか、現状の中で少しでも、ああいう密集地の中にあるのは返してもらおう、そのかわりにほかのものをつくろうというような形で、より一歩前進をしようとしたわけでありまして、そういうような角度から今取り組んでおるわけでありますから、どうかひとつ、そういうような目でも追っかけていただきたい。

 将来的に、戦争がなくなって、この日本を取り巻く周辺から戦争というのが全く、戦争という言葉を使っちゃいかぬそうですけれども、要するに、争いがなくなって、軍隊を持つ必要がない、自衛隊を置く必要がない、そういうような状況になってしまえば、それはいいわけですけれども、現在の我が国を取り巻く環境の中では自衛隊は必要でありますし、また米軍との安保条約も必要でありますから、そういう中で、我々としては、よりよき選択を一歩ずつ前進しながらやっていかざるを得ない、そういう上に立って政策をとっておるわけであります。

麻生国務大臣 今、久間大臣が言われたのが基本なんだと存じます。

 その上で、私の方からあえてということであれば、今、沖縄において基地が集中しておりますという点に関しましては、私ども、福岡県で築城の基地で、また山口県では岩国で等々、いろいろな形で、今回の日米再編の中でそれなりの努力をし、他県にその負担をある程度負ってもらい、そして、かなりな部分をグアムに移転させる等々、それなりの努力は払われてきていると思います。

 いずれにいたしましても、復帰三十五年の間、基地周辺というものにつきましては、いろいろ我々、それなりの努力はさせていただいておりますけれども、県民の方々の満足度からいけば、ゼロかあるかといえば、ゼロという前提に立てば、この話はゼロになるまである程度の不満が続くということになり得るということは、私どももそう思っておりますが、現実をさばきます政治の立場におきましては、今、久間防衛大臣が言われたのが答えだと存じます。

赤嶺委員 お二人の答弁を聞きながら、やはり沖縄県民への思い、配慮が尽くされていないなという気がいたしました。もちろん、どこの地域でも、基地に賛成か反対かと言われたら、反対が多いに決まっているという程度の問題じゃないんですよ、沖縄県は。

 一九五二年四月二十八日にサンフランシスコ条約が発効し、そして、本土では独立記念日だというような方もいらっしゃいますけれども、沖縄では屈辱の日なんです。それ以来、パスポートを持たなければ大学にも行けない、東京にも行けないような屈辱の思い、米軍の犯罪が放置される屈辱の思い、そういう二十七年間の米軍の占領支配の中で、やっとかち取ったのが沖縄の祖国復帰五月十五日なんです。

 ですから、今、日本政府がどんな政策をとるか、これはありますよ、これは政府と私との間には、もう本当に全く意見が違います。しかし、二十七年間基地に苦しめられてきた沖縄県民が、こういう数字になって、こういう形になって表現している、この思いにはやはり意を尽くしていただきたかったというようなことを申し上げておきたいと思います。

 そこで、辺野古の問題について聞きます。

 政府は、V字形の滑走路の建設に先立って、辺野古で現況調査を強行しようとしております。

 本来、事業者は、事業の着工前に、環境に与える影響を最小限に抑えるために環境アセス法の手続を踏まえなければなりません。そのためには、調査全体について、調査手法について広く公にして、手法を説明し、事業者の意思決定過程の透明化、そして市民、住民からの意見収集を行わなければならない。いわば環境に与える影響を極力少なくするためにという、事業アセスという限界を持ちながらも、アセス法のそういう精神があるわけです。

 しかし、今回の防衛省がやっている現況調査の目的というのは、V字形滑走路の建設によって影響を受ける環境の調査であるわけです。それも、秘密、非公開、一切説明しない、こういう態度で強行しております。これを私は、アセス法の精神を踏みにじったものだと繰り返し指摘してまいりました。その結果、どんな懸念が起こっているか。調査手法について公表、公開していない、したがって、だれもわからないような手法を使って、あの豊かな環境をはぐくんでいる辺野古の海に環境調査が入ったら、これは環境に対する劣化あるいは負荷を与えるんじゃないか。

 サンゴが広がっています、ジュゴンがいます、そしてジュゴンのえさ場である海草藻場が広がっております。サンゴは魚の産卵地です。沖縄近海の魚たちは、辺野古のサンゴ礁で産卵をします。そういう豊かな環境を持っているところに、現況調査といいながら、中身は一切明らかにしない。

 政府は沖縄県から同意をもらったようでありますが、沖縄県は、その海域の使用に当たって、配慮事項というものを送ってあります。ジュゴンへの配慮、藻場、サンゴ類などへの配慮、鳥類への配慮、その他の配慮事項、数えてみましたら全部で十五項目にわたっておりました。

 この沖縄県が調査に当たって示した配慮事項なるものに防衛省は回答をするんでしょうか。

久間国務大臣 その前に、現況調査を強行したとおっしゃいますけれども、県の使用許可をもらってやっているわけでありますし、そのときに県からは、今言われたようなそういうことについて配慮するように言われておりますから、その配慮に従ってやるわけでありますから、その辺は、一方的に強行しているかのような、そういう印象を与えることはよくないと思います。

 それともう一つ。環境アセス法に基づくアセスは、これはきちんとやるわけでありますから、それは法に基づいて申請もするわけでありますし、法に基づいていろいろな手続をとっていくわけであります。

 それともう一つは、ジュゴンがおる、サンゴがある、そういうところで環境調査をやることがいけないかのように言われますけれども、これは逆に、そういうところであればあるほど調査をきちんとやらなきゃならない、そういうふうに言えるわけでありますから、そういう意味では、今御指摘の内容については全く当たらないと私は思っております。

赤嶺委員 大臣、聞かれたことに答えてください。いわば環境調査を皆さんがやるに当たって、配慮事項なるものが沖縄県から寄せられている。それは十五項目あります。その十五項目について、環境調査をやる上での配慮事項、どんな配慮をしているか、回答をするんですか。

久間国務大臣 それ一つ一つに回答するんじゃなくて、言われていることについては配慮をしますというのが回答でありまして、言われている十五項目については、その一つたりといえども、十五のうち十四はやるけれども一つはやらないというわけじゃありませんで、言われたことについてはこちらとしては当然守っていきます。

赤嶺委員 それを守っているというのであれば、ちゃんと回答して、公表すべきなんですよ。

 環境調査をやるのが何が悪いと言いますけれども、今、環境の調査のあり方そのものまで住民からちゃんと意見を聞かないと、できないような仕組みになっているわけでしょう。その仕組みを省略してやるから、強行と言っているわけですよ。

 ところで、政府は、以前にやはり同じようなことをなさいました。二〇〇四年に、前回の辺野古案のときです。辺野古沖のときに、沖縄県からやはり環境配慮事項なるものがありました。そのときに、那覇防衛施設局は、これに対する回答文書、「普天間飛行場代替施設に係る現地技術調査(地質調査及び海象調査)実施時の環境への配慮事項」という回答を寄せているんですよ。

 前回寄せたのに、今回は、いや、配慮すればいいんだ、寄せなくてもいいんだという態度は許されないんじゃないですか。

久間国務大臣 環境アセス法に基づく申請をまた出しまして、それに基づいてやるときには、同じようにきちんと手続をとってまいります。今度の場合は現況調査でありまして、そして、現況調査について、海底使用の許可を県からいただいてやっておるわけであります。

 だから、住民がこうだからとおっしゃいましたけれども、AさんとBさんと意見が違ったときどうするのか。私たちは、やはりその代表である県と協議しながら、県が許可をして、海底使用の許可をもらって、それに基づいてやる。そのときに出した配慮規定については、きちんとこちらは対応しますということでございますから、そういうことができない場合は県からおしかりを受けるわけでありますから、その辺については私たちはきちんとやっていこうと思っております。

赤嶺委員 大臣、誤解しておられます。私がさっき言った回答書というのは、環境アセスの手続の中での回答書じゃないんです。

 施設庁長官、答えてくれますか。

 いわば現地技術調査のときに、現地技術調査というのは環境アセスの手続に入る前ですよ、そのときに、やはり現地技術調査をやりたいということで、沖縄県に手続をとって、沖縄県から環境配慮事項というのが出て、そして、その配慮事項についてこのようにいたしますという回答を当時出しているんですよ。何で今回出さないんですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今回の私どもの調査、これは、この場でも何度も御答弁申し上げておりますが、防衛省の所掌事務に基づきまして、自主的に行おうとしているものでございます。

 それで、先生御指摘のように、私ども、先月の二十四日に県から同意書をいただきました。その中には、先生御指摘のようなジュゴンへの配慮等々の配慮事項が記されているわけでございます。そこで、我々といたしましては、先ほど大臣も御答弁申し上げましたけれども、この配慮事項については、知事さんの名前で来ております。したがいまして、沖縄県等ともよく調整をいたしまして、そして、現況調査の実施に当たりましては、ジュゴンなどの自然環境に十分配慮をして進めていきたい。

 いずれにいたしましても、私ども、これから県とよく調整をして、そしてきちんと対応していきたい、そのように考えております。

赤嶺委員 つまり、回答をするしないについては触れませんでしたけれども、回答をする必要はないということなんですか。

北原政府参考人 繰り返しになりますけれども、この事業を実施する上で、私ども、大事なことは、地元との信頼関係が大事だと思っております。その中で、こういったことに配慮をしてくれということがあるわけでございますので、県と十分に調整をして、適切に対応していく、そういうことが今現在、御答弁できるぎりぎりのものでございます。信頼関係をベースに対応してまいりたいと思っております。

赤嶺委員 あれだけの豊かな海に、調査の方法を誤ったら、環境に対する影響が出て、環境そのものを劣化させる、そういう不安、心配が環境の専門家から出ているわけですよ。本当に、防衛施設局は調査の中身について一切明らかにしないで、そして環境に悪い影響を与えることがないかどうか。

 例えば、サンゴの着床調査というのがあります。このサンゴの着床調査は、いわばサンゴの産卵を着床させる。着床板は四・五平方メートル、これを三十九カ所設置する。ところが、沖縄の地元の大学の研究者は、サンゴの着床板であれば、四・五平方メートルなんというのは使わないんですよ、手のひら大なんですよ。四・五平方メートルのものを三十九カ所もつくったら、これは大丈夫かなと。そして、いわばついた卵をまた引き揚げて研究するわけですから、サンゴの赤ちゃんを全部引き揚げてしまったら、ここのサンゴが劣化してしまうんじゃないか、今回の調査について、サンゴの専門家からこういう疑問が上がるわけですよ、本当に大丈夫なのかしらと。そういうものについても説明しないんですか。

久間国務大臣 ともかく、今回、県からもそういうような項目も言われておりますから、それに従って、それに配慮しながら、しかも県と調整しながらやっていくわけでございますから、今言われたことも含めて、御懸念のないようにしていただきたいと思います。

 それと、もっとみんなに細かく、オープンにしたらいいじゃないかと言いますけれども、くしくも十年前、私はこの担当だったわけでございまして、その後の推移を見ましたら、とにかく、そういう技術的調査のときですら、スーツを着て潜ってきて、こちらが調査しようという業者を引きずりおろす等の、そういうような措置をとられてできなかったという苦い経験がございますから、もう二度とあのような形で妨害されるようなことだけはしたくない、そういう思いは人一倍強いわけであります。

赤嶺委員 大臣、ここでも事実の誤認があります。単管やぐらから引きずりおろすようなことはやっておりません。単管やぐらから引きずりおろされた人々はいますけれども、政府関係者は単管やぐらに上っていませんから。逆に、上っている人を引きずりおろしたのは政府の側ですから、これは逆なんですよ。事実誤認です、これは。

 それで、環境に対する調査のやり方を一切明らかにしないから強行だ、そして防衛省のやり方は環境を壊すと私は言っているわけです。

 ところで、ミドリイシサンゴというのは大体満月の晩に産卵すると、六月一日だ、このように言われているわけですけれども、調査機具の設置ということになると、いわばきょうあすにでもそういう機具の設置をしないと産卵に間に合わないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

北原政府参考人 私どもは、先ほど来御答弁申し上げておりますが、しっかりとした調査を、また四季を通じて行う必要があると考えております。

 それから、今先生御指摘のサンゴ云々、その一つ一つについて私どもといたしましてここで御答弁は差し控えさせていただきますが、十分にこの調査がしっかりとしたものであるよう、環境に配慮したものであるよう我々は考えた上で、県とも御調整をしながら進めてまいりたい。

 そしてまた、先般県から御理解をいただきました調査期間につきましても、本年の四月二十四日から来年の、二十年の十月三十一日までの期間をいただいているところでございまして、その間に、先生御指摘のような点等を十分踏まえた上で準備をし、調査をしてまいりたい、そのように考えております。

赤嶺委員 着床板に産卵させて、それを引き揚げたらサンゴの赤ちゃんが失われるというのはもうはっきりしているんですよ。今回の調査なんです。

 それで、時間がありませんので別のことで聞きますが、今回の事前調査を支援するために、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が海自横須賀基地を出港したという報道が相次いでおります。久間大臣もせんだっての私の質問に対して、自衛隊がかかわる可能性は一般的にはあり得るんだと言っておりました。

 「ぶんご」は、事前調査支援を行うために沖縄に向かっているんですか。

山崎政府参考人 海上自衛隊の個別の艦艇の動向については、自衛隊の運用にかかわることでございますので、恐縮でございますが、今後の任務遂行に支障が生じるおそれがあるため、お答えを差し控えたいと思います。

赤嶺委員 久間大臣は記者会見でこの問題にかかわって、警護などは考えていない、事前調査は民間にお願いしている、それで十分にやれると発言されているわけですね。一方で、使わないと言って何かのときにちょっとでも使ったら、使ったじゃないかと言われますし、そういうことが実際に一〇〇%ないかと言われると、将来のことですからわからないと発言しているわけですよ。

 自衛隊をキャンプ・シュワブの調査で使うことの可否を防衛省の中で検討しているんですか。

久間国務大臣 検討しているかしていないかじゃなくて、そういうことをやるかやらぬかということはあり得るわけで、あり得るときには防衛大臣が命令を下すということだけは間違いありません。

赤嶺委員 自衛艦まで押し寄せた環境調査というのは、これは本当にどんな実態なのか。二十七年間の米軍の占領支配の苦しみをわからないということを冒頭申し上げましたけれども、やはりそういうことを本当に県民に対してやるのかという思いであります。

 もう一問あります。

 きょうの地元紙の報道で、ケビン・メア在沖総領事が、石垣市で大浜石垣市長と面談した際に、来月、石垣港に米軍艦船を入港させたいと打診していたことがわかったとあります。大浜市長ははっきり断ったとしております。メア総領事は、日米地位協定五条を根拠にして、地位協定五条は、地元との協議でなく、地元が協力すると規定していると話しているわけです。そして、市長にプレッシャーがかかることもあるかもしれないと語ったというわけですが、その辺の問題について、北米局長ですか、来ておられたら聞きたいんです。

 そもそも、五条に基づいて民間の港湾を使うというのを、沖縄で、これだけ米軍基地を集中させておいて、民間の港まで米軍が使うのかという問題もあります。それから、総領事が直接自治体に出かけていって打診したり交渉したり、そんなことが許されるんですか。

西宮政府参考人 お答え申し上げます。

 米艦船は、地位協定第五条に基づき、我が国の港湾に出入りすることが認められております。これは、米軍の円滑かつ効果的な活動を確保し、もって日米安保条約の目的を達成するため重要であると考えていることでございますが、現時点で、米政府より、米側より日本政府に対するそのような具体的な通報というものはなされていないと承知しております。

 メア総領事と石垣市長のやりとりについては承知しておりません。

赤嶺委員 ぜひ、そういうことを、総領事が地方自治体に出かけて打診したのかどうかという事実関係の調査も含めて要求して、また後に質問したいと思います。

 きょうはこれで終わります。

木村委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私は、きょう、集団的自衛権の行使について質問をしたいと思います。

 安倍総理は、集団的自衛権を研究する有識者懇談会を発足させました。政府が、憲法解釈で禁じてきた集団的自衛権の行使について、具体的な事例を再検討すると報道されております。歴代内閣が踏襲してきた憲法解釈を変えて、集団的自衛権の行使に道を開いていこうという意図だと思うんですが、私はこれはあってはならぬことだという立場ですが、有識者懇談会で議論すると言われている具体的な事例について、防衛大臣を中心に見解を伺いたいと思います。

 これはなぜかといいますと、先ほど、有識者懇談会、法的な位置づけはない、先ほどの言葉ですと、総理が個人的に選ばれたというような発言もありました。

 シビリアンコントロールとは一体何かということを考えますと、やはり、本委員会を中心に、歴代の安保政策についての国会の議論、これが最大のシビリアンコントロールだと思います。

 例えば、アフガニスタンを米軍が攻撃した折、テロ対策特別委員会、私はその委員でした。そこで、最初はパキスタンに自衛隊が出せるんじゃないかというような意見もありましたけれども、さまざまな委員が議論していく中で、それはやはり難しいだろうというような判断になったり、それぞれのさまざまな角度、さまざまな立場の国会議員、それから官僚の皆さんも含めて議論を闘わせる中で方向性を定めていくというのがシビリアンコントロールの根幹だと思います。

 どんな人が権力を握ろうと、それぞれの安保政策についての思いはあると思うんですけれども、それによって、時々、その今までの積み重ねが無視されるとか大きく覆されるということは、私は今の日本にとっては非常に不幸なことではないかと思いますので、きょうは大臣の見解をしっかり伺いたいなと思います。

 この具体的な事例の中で、これは前も質問したんですけれども、まず最初にMDの問題を伺いたいと思うんですね。

 このMDシステムを導入するときに、社民党は反対しました。しかし、政府が決定していきました。しかし決定するに当たって、その間、政府はやはり、しっかり政府の見解、そしてこういう方針でやりますよということを国民に広く知らせないと、いろいろな不信や不安が国民の中にも広がるのではないか。それから、特にアジア諸国と日本の関係、歴史的な関係もありますし、アメリカも含めて諸外国にも懸念や不信、または疑問を持たれては困る、または大きな期待を持たれては困る、これは久間大臣も答弁されているわけですね。期待を持たすわけにいかぬので、しっかり政府としての見解を表明していこう、これが福田官房長官談話だったのではないかと思います。

 これは以前も質問いたしましたが、一応そのときの基本的な見解をここでももう一度おさらいしたいと思います。

 集団的自衛権との関係については、今回我が国が導入するBMDシステムは、あくまでも我が国を防衛することを目的とするものであって、我が国自身の主体的判断に基づいて運用し、第三国の防衛のために用いられることはないことから、集団的自衛権の問題は生じ得ませんというように見解を出していらっしゃいます。

 まず、これは官房長官談話ということなんですけれども、この談話が決定された経過について確認したいと思いますので、政府の方で御答弁いただきたいと思います。

山浦政府参考人 御質問の平成十五年十二月十九日の内閣官房長官談話は、同日付で安保会議及び閣議で決定された「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」に合わせて公表されたものであります。

 そもそも「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」は、冷戦後の大量破壊兵器及び弾道ミサイルの著しい拡散、さらには、従来型の抑止がききがたいテロリスト等によるこれらの兵器の取得あるいはその可能性を踏まえると、弾道ミサイル攻撃の危険への対応手段の取得は喫緊の課題であり、弾道ミサイル対処能力を相当程度有するBMDシステムが現にあるのであれば、政府としては同システムを導入することが適当と考え、平成十六年度予算において予算上の措置をとることとし、その前提として安保会議及び閣議で決定されたものであります。

 御質問の内閣官房長官談話は、上記の閣議決定に加えて、我が国が整備する弾道ミサイル防衛システムと集団的自衛権の関係や、同システムの運用に係る法的な考え方等についての政府の考え方を示すため公表されたものであります。

辻元委員 引き続き、そのときはどういうメンバーで決定をしたかも教えていただきたいと思います。

山浦政府参考人 内閣官房、それから当時の防衛庁、外務省及び内閣法制局等の関係省庁により、所要の検討を経た上で決定がなされたものであります。

辻元委員 今お答えいただきました「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」という、平成十五年十二月十九日に安全保障会議と閣議で決定をしている、今これはホームページから抜いてきたのがあります。

 この安全保障会議の決定、閣議決定というのは非常に重いものだと思うんですけれども、この中で、安全保障会議で決定したという意味づけについて、この安全保障会議というのは日本の安全保障政策の非常に重要な決定をする会議であると認識しておりますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 安保会議で決定した上で閣議の決定が要ると思いますので、閣議ほど重くないというふうに御理解いただければいいんだと存じます。

辻元委員 政府参考人の答弁はいかがでしょうか。

山浦政府参考人 安全保障会議は、総理大臣の諮問機関として、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項について、関係する閣僚に、より幅広い視野から慎重かつ総合的に審議をしていただく機関であります。かかる安全保障会議による審議とそれに基づいた決定等を行うことにより、シビリアンコントロールの確保が図られ、我が国の安全保障政策の適切な遂行が可能になるものと考えております。

 なお、安全保障会議は総理の諮問機関であるとの性格から、その決定は諮問機関としての決定であって、直ちに政府の決定となるものではなく、また閣議を拘束するものではありません。

辻元委員 わかりました。麻生大臣からも御答弁いただきまして、諮問し、その安全保障会議で重要事項を決め、そして閣議で決定するというプロセスということがわかりました。

 そういう中で、アメリカに向けて発射された弾道ミサイルを自衛隊のMDシステムで迎撃するような方向で変更していきたいというようなニュアンスのことを、これは以前にも私は質問しましたけれども、意見が総理大臣及びその周辺から出てきている。私は、三年前に、そういう手続を経て、そして国民の皆様にも発表して、たった三年前の決定をまた、それも民間の懇談会で意見を求めて変えていこうという方向性そのものが非常に危ういというか危ないというか、そういう姿勢というので安全保障の政策に向き合っていいのかと。これは外国から見ても、そうやって積み重ねたものを総理大臣が選んできた有識者懇談会で議論させるということ自体も、非常に軽率ではないかと私は思ったりしておるわけです。

 久間大臣にお答えいただきたいと思うんですけれども、前に技術的な問題をお答えいただいておりました。これは、昨年の十一月二十四日に、私の質問に対しまして、技術的に見ても無理だろうという御答弁をされております。「我が国の現在導入しようとしておりますミサイル防衛システムというのは、アメリカへ向かって飛んでいくミサイルを迎撃する、そういう能力はないわけでございますから、今それをどうこうということはありません」と。防衛庁において検討しているのか、研究するつもりはあるのかという私の問いに対して、防衛庁において今そういう研究をしようというふうには考えていないというようなお答えでしたが、去年からことしにかけて大臣の方針が変わると思いませんが、防衛省はこのときと同じ方針であるという確認をしたいと思います。

久間国務大臣 私が言いたかったのは、今我が国に導入しようとしているミサイルが、他国に向かって飛んでいくミサイルまでも落とすことのできるようなミサイルを配備しようとしているような、そういう誤解を与えたくないということがございまして、技術的にも問題がある、そういうことはできないんですよということを強調したわけです。

 そして、本当にできるかどうかは、私も、これは十八年十一月二十四日の安保委員会ですけれども、ここで答弁しておりますけれども、我が国が防衛出動をしている場合に、安保条約に基づいて我が国を応援して米国が出てくるだろう、そういうときに、そのアメリカを先に撃ち落とせという形でミサイルを飛ばしたようなとき、そういうのに対してまで我が国がミサイルを、向こうに落ちてしまったら大打撃を与えて、応援どころか、応援もできないかもしれぬわけですね。そういう状況の場合とかいろいろなケースがあるだろうというような意味で、あのときは、いろいろな研究をしてみる必要があるんじゃないでしょうかという話はしております。

 だから、それは、技術的にもっとそういうのが可能になった場合に、みんなが真剣に、どこまでやれるのか、やるべきだということを研究すればいいのであって、今の段階ではそこまでいかないわけでありますから、そういうようなことで、さもできるかのような答弁をするというのはどうかなと今でも思っております。

辻元委員 今、そういうさもできるような答弁をするのはどうかなと思っておりますというのは、私は防衛大臣として正しい御認識だというように思います。

 私は、重心低くとずっと久間長官に申し上げておりまして、空吹かしのようにアクセルを吹かすように、特に安保政策を先走り、または自分の思いやそれから思い込み、そして何か勇ましいことを言えば日本の防衛に役立つかといったら、そうではないと思うんですね。

 特に技術的な問題では、もしも我が国の周辺諸国から撃たれた場合ですよ、どことは申し上げません、発射直後に撃ち落とすのは、やはりかなり技術的に無理があって、それで、追いかけていって安定期に入ってから撃ち落とすのも物すごく無理があるというような御答弁もされているかと思います。

 ですから、私は、この問題、何か一番最初にいつも事例で出てくるわけですけれども、防衛省としては、官房長官談話も出ておりますし、今の大臣の御答弁もありますので、惑わされずと言ったらおかしいんですけれども、有識者懇談会で何を議論されるのかはわかりませんけれども、今の防衛省の慎重な姿勢をしっかり保っていただきたいなと思うんです。このMD導入に私たちは反対しておりますけれども、今の安保議論が非常に浮ついているなというように思いますので、まず一点、指摘させていただきたいと思います。

 四つ出てきているわけですけれども、もう一つ、これは武器輸送などの後方支援を行うということも検討課題に出てきていると聞いております。

 しかし、これは後方支援と、きのうもちょっとイラク特で申し上げましたが、後方地域支援。後方地域というのと非戦闘地域というのが出ておりますけれども、これはうちのというか日本の場合は、いわゆる一般的な後方支援、これはいつでもどこでも、兵たんというか、やることはできない。ですから、地域を限って、非戦闘地域、要するに武力行使と一体化しない地域を限って、そこでならいわゆる後方支援と言われるような、それと似た業務といいますか、それにも制約がありますから、できますけれども、いわゆる一般的な後方支援はできないという議論が、さんざん日米新ガイドライン関連法の周辺事態法の折にも議論が出、その後の安保議論でもそれが基本になっていると思うんですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。

久間国務大臣 論理的には、後方支援は憲法上できないことはないわけであります。ただ、武力行使と一体化する、あるいは一体化としてとらえられる可能性が非常に強いので、だから必要以上に、もうちょっと一歩引いて、後方地域での支援、そういう形にしておりまして、後方地域は、武力紛争に巻き込まれない地域ですから、そこでの支援は支援として、武力行使との一体化にならないということが非常に区別されやすいということで、二重のハードルを設けておるわけであります。

 そういう考え方で、テロ特措法のときも戦闘地域にならない地域、いわゆる非戦闘地域ですね、あるいはまたイラク特措法でも戦闘地域でない地域でやるという形でやっているわけでありまして、後方支援そのものも、武力行使と一体化にならない、そういう論理的な支援というのはあり得るわけでありますから、後方支援という言葉を本当に使っても、厳密に使い分ければそれはいいわけですけれども、えてしてその辺は武力行使と一体化としてみなされるような可能性が強いので、概念を別にもう一回設けて、後方地域支援という形で、あのときも、周辺事態法のときもつくったわけであります。

辻元委員 その周辺事態法のとき、私も委員だったんですね。直前まで久間大臣が防衛庁長官で、その後、額賀さん、野呂田さん。ですから、経過を一番よく御存じだと思うんですね。

 あのとき、後方地域支援が米軍の武力の行使と一体化し、憲法違反になるのではないかという点については、後方地域で行われることから、米軍による武力の行使と一体化するものではなく、憲法との関係で問題は生じるものではないと。今おっしゃったように、あのときの議論だけではなくて、イラク特措法もテロ対策特措法も、ここでしっかりと憲法との整合性、これは国会論戦を通じていろいろなところから、いろいろな立場の議員が、それこそシビリアンコントロールです、確認し、つくられていった概念だ、見解だというふうに思います。

 久間大臣にお伺いしたいのは、これを変える必要はないと私は思っています。また、憲法との関係でいえば、この一線は越えられない一線だと思っていますが、いかがでしょうか。

久間国務大臣 先ほどから言いますように、後方支援といっても憲法上は許される場合があるわけでありますが、それを一〇〇%じゃなくて一二〇%用心してつくっているのがこれまでの法律だ、そう認識していただければいいわけでありまして、だから、そういうようなことで私は従来からやってまいりましたし、現在もその気持ちでございます。

 しかしながら、これは国会で決められることでありますから、ここまではやれるじゃないか、そういう解釈なりあるいはまた意見なり、それは出てくると思います。しかしながら、そういうのをずっと突き詰めていきますと、武力行使と相手から見たときに一体になっているような、そういうケースまでが許されるというようなことでもし見られるということになりますと、大変な誤解を生みますので、やはり一〇〇%じゃなくて一二〇%ぐらいの安全弁を持っておる方が私はいいんじゃないかなと思っているところであります。

辻元委員 私も、今まで解釈改憲とかいろいろ言われてきたわけですけれども、この一線はどの今までの安保議論からも譲れない一線であったというように思います。総理大臣の、今度の官邸に設けられた有識者懇談会でどういう議論がなされるのか知りませんけれども、私は、この一線は崩せない一線であるということをしっかり防衛省の方も確認していただきたいと思います。

 最後に、やはり今までの集団的自衛権などいろいろな憲法解釈などについて、歴代の国会答弁をちょっと幾つか紹介して終わりたいと思うんです。

 これは、一九九六年、大森内閣法制局長官が、政府が政策のために憲法解釈を変更することは、憲法解釈の権威を著しく失墜させ、内閣に対する信頼を損なうおそれもある、法秩序の維持からも問題があるとか、その後、九九年、小渕総理は、他国に加えられた武力攻撃を実力で阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は憲法上許されないとの立場に立っており、この見解を変更する考えはないというのが内閣の基本的な考えだとおっしゃったり、それから二〇〇三年、先ほどの福田官房長官は、国権の最高機関である国会で議論を闘わせるべき問題であって、これは久間大臣のさっきの御答弁と同じだと思うんですが、一内閣でどうこうできる話ではないと。そして、さらには直近、小泉総理は、見解が対立するような問題があれば、便宜的な解釈の変更によるものではなく、正面から憲法改正を議論することにより解決を図ろうとするのが筋だろうというように、ずっと積み重ねがあるわけですね。

 私は、やはり……

木村委員長 辻元清美さん、時間になりましたので、簡潔に願います。

辻元委員 今の政府解釈を前提に、周辺事態法やイラク復興支援特措法やテロ対策特措法、これはすべて整合性があるわけですね。これが崩れかねないような状況は絶対あってはならぬと思いますし、国会での激しい審議で中身を規定し、そしてシビリアンコントロールしてきたわけですから、一総理大臣の思いや、その思いを代弁するような人たちを選んできて、有識者懇談会というのでどうこうできる話ではないなと私は思っております。そうすると非常に安保政策が浮ついたものになるし、非常に、はっきり言えば愚かな政治で日本を滅ぼすのではないかと懸念しているということを最後に申し上げて、終わりたいと思います。

木村委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

木村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 国の安全保障に関する件、特に基地問題等について調査のため、来る十七日木曜日に参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

木村委員長 次に、内閣提出、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。久間防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

久間国務大臣 ただいま議題となりました防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 防衛省の所掌事務をより適正かつ効果的に遂行し得る体制を整備するため、防衛施設庁を廃止し、同庁の事務を防衛省本省で処理するために必要な組織の改編等を行うとともに、特別の機関として防衛監察本部を新設するほか、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊の設置を可能とし、陸上自衛隊の中央即応集団及び第十一師団並びに海上自衛隊の地方隊を改編し、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛省設置法の一部改正について御説明いたします。

 第一に、部隊の改編等に伴い、自衛官の定数を二千五百七十五人削減するものであります。これにより、自衛官の定数は二十四万八千六百四十七人となります。

 第二に、施設行政をより適正かつ効率的に遂行し得る体制を整備するため、防衛施設庁を廃止し、同庁が所掌していた施設の取得、管理等に関する事務を内部部局及び装備本部を改組して設置する装備施設本部に所掌させるものであります。

 第三に、防衛及び警備等に関する事務を円滑かつ効果的に実施するための地方公共団体及び地域住民の理解及び協力の確保に関する事務を内部部局に所掌させるものであります。

 第四に、防衛省の所掌事務を適正に遂行する体制を強化するため、特別の機関として防衛監察監を長とする防衛監察本部を新設するものであります。

 第五に、防衛行政全般の地方における拠点を確立するため、防衛省の所掌事務の一部を分掌する地方支分部局として地方防衛局を新設するものであります。

 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。

 第一に、自衛隊の統合運用体制の一層の充実を図るため、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊を防衛大臣の直轄部隊として置くことを可能とするものであります。

 第二に、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応するとともに国際平和協力活動等に一層強力に取り組むことができるよう、陸上自衛隊の中央即応集団及び海上自衛隊の地方隊を改編するものであります。

 第三に、防衛計画の大綱に定める新たな防衛力の体制へ移行するため、陸上自衛隊の第十一師団を改編し、第十一旅団とするものであります。

 第四に、即応予備自衛官の員数を五十七人増加するものであります。これにより、即応予備自衛官の員数は、八千四百二十五人となります。

 そのほか、関係法律の規定の整備を行うものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日木曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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