衆議院

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第2号 平成19年10月19日(金曜日)

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平成十九年十月十九日(金曜日)

    午前九時五十二分開議

 出席委員

   委員長 嘉数 知賢君

   理事 今津  寛君 理事 北村 誠吾君

   理事 武田 良太君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 山口  壯君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      安次富 修君    赤池 誠章君

      大塚  拓君    瓦   力君

      木原  稔君    木村 太郎君

      杉田 元司君    薗浦健太郎君

      寺田  稔君    徳田  毅君

      浜田 靖一君    矢野 隆司君

      山内 康一君    山崎  拓君

      神風 英男君    津村 啓介君

      長島 昭久君    原口 一博君

      馬淵 澄夫君    鷲尾英一郎君

      田端 正広君    赤嶺 政賢君

      辻元 清美君    下地 幹郎君

      西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   防衛大臣         石破  茂君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   外務大臣政務官      中山 泰秀君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長)    西  正典君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 本田 悦朗君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  別所 浩郎君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  金澤 博範君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   安全保障委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十九日

 辞任         補欠選任

  薗浦健太郎君     矢野 隆司君

  福田 良彦君     赤池 誠章君

  津村 啓介君     原口 一博君

  長島 昭久君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     杉田 元司君

  矢野 隆司君     徳田  毅君

  原口 一博君     津村 啓介君

  鷲尾英一郎君     長島 昭久君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     福田 良彦君

  徳田  毅君     薗浦健太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

嘉数委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長西正典君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省大臣官房審議官本田悦朗君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際協力局長別所浩郎君、外務省国際法局長小松一郎君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省防衛政策局長金澤博範君、防衛省運用企画局長高見澤將林君及び防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

嘉数委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

嘉数委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾君。

北村(誠)委員 おはようございます。自由民主党の北村誠吾でございます。

 高村外務大臣そして石破防衛大臣初め副大臣、政務官の皆様方には、大変重要な時期を迎え、御就任、本当におめでとうございますと申し上げ、かつ御苦労さまでございますというふうに申し上げたいと存じます。

 さて、早速でございますけれども、質問に入らせていただきます。

 二〇〇一年にアメリカを襲った九・一一テロの後、国連安保理の第一千三百六十八号決議を踏まえまして、我が国は、国際社会のテロとの闘いに加わるために、直ちにテロ対策特措法を成立させました。そして、この法律に基づいて海上自衛隊はインド洋上に展開をいたし、いわゆるOEF、不朽の自由作戦のために必要な海上での阻止活動を支援するため、この活動に従事する艦船の給油を主とする協力支援活動を開始しております。この活動を通じて、現在までに四十八万キロリットルもの燃料が提供され、関係各国から非常に高い評価を得ていると承知しております。先日、採択されました国連安保理決議一千七百七十六号は、国際社会の評価とその継続への高い期待のあらわれであると言えると思います。

 日本が支援する中で続いておりますインド洋上でのOEF、海上阻止行動は、テロリストが海路で移動することを阻止しているだけでなく、テロリストの疑いのある要員を拘束したり、大量の小銃、武器、麻薬、携帯用対戦車ロケットなどを押収するなどという実績と成果を上げております。

 この法律が来月に期限を迎え、これに基づく支援の継続は難しくなってまいりました。こうした事情を考えますと、インド洋での日本の協力活動は、やはりぜひとも継続をさせていくことが大変必要だというふうに私は存じます。

 そこで、防衛、外務両大臣に、数点にわたりお尋ねをさせていただきます。

 まず最初にお伺いしたいのは、日本が行っている給油活動は、インド洋でのOEF、海上阻止活動にどのような貢献、寄与をしているでしょうか。この海上阻止活動は、国際社会が取り組んでいるいわゆるテロとの闘い全体で大きな役割を果たしていると思いますけれども、日本の支援が中断された場合、この海上阻止活動にどんな影響が及ぶか、その点を両大臣にお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

石破国務大臣 意義につきましては、今、北村先生から御指摘があったとおりであります。

 アフガニスタンは、現在もアヘンの九割以上を生産している、そしてまた、テロの温床という言葉を仮に使うとしますならば、そういう地域であるということです。そこから、武器だ、麻薬だ、テロリストだ、資金だ、そういうものが出入りするということは何としても阻止をしなければならない。そして、それはアフガニスタンの民生を安定させる上においても極めて重要なことであります。

 そして、石油資源の九割をあの地域に頼る我が国にとって、あの海域が安全であるということは我が国の国益でもございますし、そして、あの同時多発テロというものが、我が国の犠牲者二十四名も含みます多くの国々の人々が亡くなられたということから考えれば、世界に対してこのテロが拡散しないということも極めて重要であります。

 であらばこそ、各国の海軍があの地域において洋上哨戒を実施している。しかし、燃料が切れたからといって一々港に戻って補給をするということであれば、それはその地域に穴があくということになるわけであって、できるだけ哨戒網というのは密でなければいけない。さすれば、補給艦がそこにいるということは、その洋上哨戒活動ということをきちんと実効性を持たせるために極めて重要なことだ。何だ、補給じゃないかということではなくて、そこに補給艦がいるということが重要な役割を持っているのだということだと私は思っております。

 では、日本が抜けたらどうなるのかということですが、それはその裏返しということになりますから、その実効性が損なわれるということになるかもしれない。そうあってはならないので、恐らく、今からそういうことを前提にお話をすることもいかがかと思いますが、どこかの船がそれを埋めるということがあるのだろうと私は思います。

 しかしながら、二つ申し上げておきたいのですが、こういう高い補給能力、正確に補給ができるという能力、それを持っている海軍というのは世界じゅうにそんなにないということでございます。それは、アメリカであり、イギリスであり、日本であり、そういう諸国を初めとする、そんなに多い国ではありません。そして、どの国も、補給艦をたくさん持っている国なんてありません。

 結局、日本がそこから抜けるということは、どこかの国にしわ寄せが行くということです。そして、このテロとの闘いにおいて、日本が一時的にせよ、そういう役割を担わないという状況が現出するということです。それは、世界にとって、日本にとって、このオペレーションにとってどうなのだということから考えれば、私は、得るものは何にもない、失うものが多大である、このように考える次第でございます。

高村国務大臣 基本的には、今、防衛大臣がお答えしたとおりでありますが、例えば、海上阻止活動にイスラム国であるパキスタンが、イスラム国の中で唯一参加しているわけでありますが、このパキスタンは我が国の補給にかなり頼っているわけで、もし日本が引いちゃった場合に、ほかの国が日本と同じように、全く同じような条件で支援をすれば別ですけれども、もししなくなればパキスタンの海上阻止活動はかなり困難になる、こういうことがあり得る、こういうふうに思っております。

北村(誠)委員 続けてお尋ねしますけれども、先ほど来申しておりますけれども、仮にこの給油活動が中断しあるいは中止された場合、アメリカやその他の国際社会との関係にどんな影響が及ぶかということを考えてみなければいけない。

 国連決議の中で明らかに日本への感謝が寄せられ、日本の活動の継続に、アメリカだけじゃなくて国際社会全体が高い期待を寄せている。もし日本がこの期待にこたえられなかった場合、先ほど防衛大臣は既におっしゃられたわけですけれども、アメリカや国際社会は日本に対してどんな反応を示すことになるであろうか。政治家としては、この点にやはり賢明な、将来にわたる推察と洞察力を持って、これから招来するであろう結果、そういったものに対して責任を負う覚悟をしなければならない。そういったとき、日本とこれらの関係国との間にどんな影響が及ぶか。

 大変申されにくいところもあると思いますけれども、そこら辺につきまして、所見があればお聞かせをいただきたいなというふうに思います。

高村国務大臣 世界の中では日本は大国の一つと考えられているわけでありまして、その国がテロとの闘いから、今までも、民生部分は別として、これしか参加していないのを、ここまで引いてしまうとなれば、それは、テロとの闘いに消極的な国だな、普通の国ではないな、こういうふうに国際社会から思われることは必至である、こう思います。

 特に、インド洋がテロリストの自由の海になっていないことに一番利益を受けている国は日本だと言っても過言でないわけでありまして、あの地域を通るタンカーというのは日本のタンカーが一番多いわけであります。

 ほかの国が海上阻止活動をして、そしてこの海を、インド洋を平和の海にする、そういうことを守っている中で、日本のタンカーがどんどん通っていく、そして日本はその海上阻止活動に全く参加していない、今まで参加していたのに抜けちゃった、そうなれば世界の各国がどう思うかというのは自明のことでありまして、日本が、短期的にもそうでありますけれども、中長期的に失う国益というのは甚だ大きいものがある、そういうふうに思っております。

石破国務大臣 外務大臣がお話しされたとおりですが、私は、湾岸戦争のときにどうするんだということからこういう議論は始まったと思っているのです。あのときに増税までして、一人一万円ずつ出して百三十億ドルというお金を出した。しかしながら、世界から評価をされなかった。

 それは、お金は大変大事でしょう。ですけれども、あるアメリカの息子さんを湾岸戦争で亡くされた方に、日本が一人一万円も出したんだと言った、百ドル札をやおら取り出して、ではこの金を出すから自分の子供を返してくれるかと言われた。私は、それは実話だと聞いております。

 お金だけ出すんじゃだめなんだということを我々は学んだはずではなかったのか。しかしながら、憲法上の制約でともに戦うということができないとするなら、何ができるのかということをずっと考えてきたのではなかったか。日本としてどう生きるのかということをずっと我々は考えてきて、ここまで来たのだと思うんです。それをやめるということが日本にとってどうなのか。世界からどう見えるかということも大事でしょうが、日本として何をするのかということももう一度私たちは考えてみる必要があるのではないか、そのように思います。

北村(誠)委員 そして、十七日に、新たに補給支援活動特措法案、こういうものが正式に政府から提出をされました。

 先ほど高村外務大臣がイスラム圏のパキスタンということに言及され、私は非常に大切な視点であるというふうに思っています。このインド洋海域の哨戒、また阻止活動、これがやはり、私は、率直に申し上げて、テロが西の方から東の方へ拡散していくという動きを、我が国の給油支援の大きな活動によって、テロの集団あるいはその展開、そういったものがアジアの方へテロ活動が広がっていくということを阻止してくれているというふうなことを高く評価しなければ、またその点を強く認識しなければいけない。すなわち、パレスチナ、イラク、アフガニスタン、パキスタン、東の方にずっと押し寄せてきている。

 それはやはり、海というものを使って、海は自由に航海、航行されます。ただ、燃料やその他安全性等々で行きよい航路というものがありますから、いろいろな悪さをする人にも、あるいは経済行為のために活動する人にも、一定の航路帯というものが、シーレーンというものがあって、それからたくさん離れて移動することはいずれにせよ賢明でないということになりますから、哨戒活動や阻止活動というものも、それぞれ限りなくインド洋から南極海まで阻止活動や哨戒活動をしなければならぬというふうにはならない。

 そういうふうなところで、重ねて申しますけれども、テロがパレスチナからイラク、アフガニスタン、パキスタンというふうに東へ押し寄せていく、そういう動きにあるんじゃないかということを考えたときに、この海の哨戒活動、阻止活動というものは極めて重要である。イラク、イラン等についてのいろいろな見方や問題点もありますけれども、少なくともテロが西から東へ向けて展開していくということに、海上阻止活動、この給油支援、この活動は非常に重要なものである。このことをぜひ私は政府側において強く国民に訴えていただきたい。

 ちなみに、NHKの十月九日の調査による世論の反応といいますか、それは、この給油活動に賛成という方が二七%、そして反対という方が二一%、残りの四六%はどちらとも言えない、わからないというふうなことである。この、どちらとも言えない、わからない、さらに解説によれば、国民は熟慮中であると。ここに、熟慮中の賢明な日本国民全体に対して、いかにその熟慮の判断の材料を与えるかというふうなこと、それが政府や私たちに課せられた重大な課題ではないかというふうに思っているわけであります。

 ですから、大変高級な、高等な理論、理屈あるいは法律、そういった決まりや国際社会の難しい条約とか、そういうものについてもかみ砕いて説明をいただくことはもちろん大切ではありますけれども、やはり私ども庶民の感覚にぴったりとくるような説明や広報活動、そういったものを政府側においても責任を持って、民間やいろいろな報道機関、またジャーナリズム、マスコミの協力や理解も得ながら、国民に対してできるだけ正確な、そして誠意のある報道やまた説明というものをしなければいけない。

 そういう中で、最後に一点お尋ねいたしますけれども、海上自衛隊の、私ども通常、航海日誌というふうに言うものと思っておりましたが、航泊日誌というふうに言うということがあります。航海日誌と航泊日誌は文字が違うから中身も違うのかもしれませんが、大体余り変わらぬだろうと思うんですけれども、インド洋において給油活動をした、そのことに関して、それに従事していた海上自衛隊の補給艦「とわだ」、これの航泊日誌の一部が保存期間中にもかかわらず破棄されていたということが十月十六日に明らかになった。その前には、補給艦「ときわ」の航泊日誌について、既に保存期間を過ぎており現在保有していないという説明をした後、予算委員会に提出されたという事態が生じたということは事実であるのであります。

 この航泊日誌というのは、一体だれがどのような形で作成して、どのように管理をしておるものなのか。これに関する規定や法律、そういったものはどうなっているのか。この責任の所在や管理体制というものはどんなものなのか。きちんと、こういうあいまいなことやあやふやなこと、少なくとも、はっきり申し上げたいことは、このインド洋上における自衛隊の活動というのは訓練ではありません。私に言わせていただくならば、もうこれは作戦活動です。国内において航空自衛隊がスクランブルをかけます、これも決して訓練ではありません。私はそう思っています。

 それとまさに同じく、命がけで仕事をしていくためにインド洋に出ていく皆さん方が、訓練ももちろん命がけでやることは多いですけれども、それよりも一歩も二歩も進んで国際社会との約束の中で極めて大切な仕事をしている。

 その極めて大切な仕事、しかも大切な国民の税金を使ってやっておる仕事について今申し上げたようなことが生じておるということは、先ほど来申し上げますように、国民の理解を得るというふうな点において、熟慮中の国民に適切な判断をしていただくということにおいて、やはり非常な妨げになったのではないかと思いますので、今からでも遅くはないと思いますから、十分の説明、そして理解が得られるような努力、これに類するような事例や事象につきましても誠意を持ってそういう説明にこれから当たって、新しい法の成立のために、そして給油の中断ということが生じることがないように、もし残念ながら生じることがあるならば極めて短期間で済むように、そういう努力をしていただきたいと御要望とお願いを申し上げて、最後の質問とさせていただきます。よろしくお願いします。

石破国務大臣 御指摘はそのとおりであります。

 これは私どもの部内規則、海上自衛隊の使用する船舶に備える書類に関する訓令というものがございます、昭和二十九年作成のものでございますが。当直士官は、航泊日誌を記載し、自己の署名した記事について責任を負わなければならない、このように記され、艦船の長は、当該日誌を点検した後、艦長のことでございますが、所定の欄に押印、自署するということになっております。

 ただ、委員御指摘のように、誤破棄、誤って破棄をしたとか、存在していないものがあったとか、一体これは何だということになるわけです。私は、この件については、もういいかげんにすることは絶対に許されませんので、何でこんなことが起こったのかということについてきちんとした調査をし、それを国会に御報告するということにいたしております。その作業をずっと続けておりまして、近々御報告できるというふうに考えております。

 そして、どうすればこのようなことが起こらないかということについても、これは船だけではございません、陸海空自衛隊すべてについて、書類について管理そして保存、そういうことについての点検をきちんとやらねばならないと思います。

 委員おっしゃるように、これは実オペレーションですから、そういうような時代なのです、私たちは。そこにおいて文民統制をきちんと確保するということが必要なことであって、その文書の管理がいいかげんだということは絶対にあってはならないことでございます。

 今回の事案につきまして、きちんとした御説明をし、今後、文書の管理をどうするか、どのように徹底するか、そういうことにつきまして、きちんとした方針を示し、実践をしてまいる所存でございます。

北村(誠)委員 どうもありがとうございました。

 質問を終わります。

嘉数委員長 赤松正雄君。

赤松(正)委員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。

 さきの参議院選挙の結果、日本戦後政治史上極めて画期的な衆参ねじれという現象が起こりました。一部で早く解散をという声があったりいたしますけれども、私は、ここはまさに日本政治の正念場で、そういう解散という挙に打って出るというよりも、今この衆参両院に現存する政治家が双方の意見をしっかり闘わせて合意点をつくっていく、そういう合意形成の話し合いというものが極めて重要な時期に差しかかって問われている、こんなふうな認識を持っております。

 もう一つ言いますと、私は、二十一世紀に入って、日本の国内政治そして国際政治、両方とも、もう二十世紀と二十一世紀を厳然と大きく画する変化を迎えた。あえて言えば、二〇〇一年四月二十六日が国内政治における分岐点、もう一つは二〇〇一年九月十一日。後ろの方は皆さんだれでもおわかりだと思いますが、前半の方はおわかりでしょうか、小泉純一郎総理大臣の誕生であります。

 国内政治、国際政治ともに、その背後にアメリカという存在が大きく横たわっているわけですけれども、私は、きのう石破大臣が、安全保障環境がもう一変した、今さら取り上げるわけでもありませんが、従来のものとは全く異なるものであるとの認識を持っておりますということを冒頭でおっしゃいました。私は同時に、きょうのこの場に直接関係ないんですけれども、社会保障環境も一変した、こういうふうにずっと言ってきているわけです。

 つまり、二十世紀、それまではいわゆる公助中心、公助、共助、自助という観点からいえば、大きい意味で公助中心であったのが、二〇〇一年四月二十六日というふうに限定するのはちょっと問題があるかもしれませんが、その前後に、公助中心からむしろ自助あるいは自助プラス共助、こういった流れ、今回の福田総理の自立と共生ということにも絡んできますけれども、そういった側面が非常に要求される時代に入ってきた。国際政治の方も、九・一一以降、大臣がおっしゃるところの国際テロリズム、それだけではありませんけれども、そういうものの登場によって激しく環境が変わってきた。

 私、これは国内政治も国際政治もまとめて言えば、強くないと生きられない時代、そう言うと非常に反発を招く言い方なので、地元で多くの皆さんに対して私が言っているのは、強くなければ生きづらい時代、要するに、国内政治においても国際政治においても、弱い立場の人をどう救うかという言い方、こんなふうなことが大事になってきている、こう申し上げました。

 ある社会学というか社会福祉の専門家に言わせると、社会保障の学問の先端では、今、社会的弱者救済と言わないそうですね。社会的弱者というのではなくて、社会的疎外者を包摂する、つまり、経済的に弱いという観点だけではなくて、さまざまなハンディを持っている人たちを救済するという、上から下を救うというのではなくて一緒に包み込んでやっていく、そういう観点が大事なんですよ、政治家はおくれていませんか、こういうふうに私言われたんですけれども、一つの大事な視点だと思います。

 同じように国際政治においても、やはり、いわゆる国際政治内的弱者救済というのではなくて、いろいろな特徴を持った国家があるわけですから、それをどう包摂していくか、包み込んでいくかということが大事じゃないかな、何だか所信表明みたいになりましたけれども、そんなふうなことを申し上げさせていただいて、昨日の両大臣の所信表明に対する質問をさせていただきます。

 まず一点目、石破大臣にお伺いいたしますが、石破大臣、御持論で、先ほど申し上げたような新しい展開、国際テロの登場によって日本の安全保障環境が大きく変わってきた、そういう流れの中で、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応すべく、多機能で弾力的な実効性のある防衛力を整備しなきゃいかぬ、こういうふうにおっしゃっているわけですが、そのために、法制、それから装備、運用、この三つを挙げて、すべての面からの検証が必要だ、こうおっしゃっています。これは明示的に三つ言っただけで大した意味合いはないんだとは言わせないんですが、それぞれにおいて、今、検証の俎上に上げている具体的なテーマというのはあると私は思うんですが、そこらあたりについて、まずお伺いいたしたいと思います。

石破国務大臣 具体的にということですが、例えば、あした、能登半島不審船事案と同じことが起こったら、また漁業法違反で追いかけるのかと。保安庁の能力は、まああのときは油切れという理由でございましたが、保安庁の能力が足りないということになって、海上警備行動に定められた特別な必要のある場合ということになって、さあ海警行動で出るということなのですが、本当にそういう法律の組み立て方でいいんだろうか。あるいは、九・一一と同じことが日本で起こったとするならば、一体どういう法制で対応するのだろうか、そういうことがあるんだと思うんです。

 これは、ドイツの法制というのを私は随分詳しく調べてみたことがあるのですが、どういう場合にどういう法律にのっとって対応するか。この国は超法規という話にならないので、自衛隊が動くときは何らかの根拠法令が必要に決まっているのであって、本当に今そこに穴はないだろうかということは、やはり全部検証する必要があるんだろうと私は思っていますね。

 例えば、モスクワ劇場占拠テロというのがありました。では、あれが起こったらどうするんだ。私は、世界で起こっているありとあらゆる事象に我が国の法制が対応できるかどうかというのは検証しなければだめだと思っているんです。そのときになって六法を引くようなことがあっては絶対にならない。

 装備におきましては、それぞれ陸海空持っておりますが、それが今の時代にふさわしいものなのかということはきちんと検証しなければならないことだと思っています。これはもう言わずもがなのことでありますが、単に、新しくて速くてすばらしくてというだけではだめで、それは、いかなる場合にどのようにして動くのかということは我々が知っていなければいかぬことだと思いますね。そのときになって動きませんでしたでは済まない話だと思います。そしてまた、それに命をかけている自衛官にとって、そのような失礼なことがあってはならないと思っております。

 運用もそれと同様の考え方に立っております。特に、統合というのがきちんと動くのかどうかは全部検証してみる必要があるんだろうと思います。

 要は、基盤的防衛力整備構想というのがあって、それは冷戦時代のバランス・オブ・パワーというものが根底にあったんだろうと思います。ですから、我が国の防衛力整備は、特定の脅威に備えるのではなくて、我が国が力の空白となってかえって地域の不安定をもたらすことがないよう独立国として必要最小限の防衛力を整備する、そういう考え方であったわけですが、時代が変わったとするならば、その考え方は当然転換をされるべきものだ。

 したがって、基本は維持しながらも、変えるべき点は変える、それが、前回といいますか、今の大綱の精神であり、それをきちんと検証したいということでございます。

赤松(正)委員 ありがとうございました。

 今おっしゃった、例えば法制の部分で、不審船事案あるいはまた九・一一が日本に起こったらどうするか、こういうテーマが俎上に上がっているというか、大臣自身の御意識の中にあるという話でしたが、これは特措法が今議論の対象になっておりますが、一方で、恒久法の問題といいますか、それをどうするかという議論は、かねていろいろな角度でやり合ったことがあるわけですけれども、その辺についてはどういうふうな認識をしておられるでしょうか。

石破国務大臣 恒久法、一般法について、政府としてこのような方針を決めたということはございません。

 したがいまして、私の個人的な見解のようになって恐縮でございますが、私は大臣になる前、自民党で防衛政策検討小委員長というものを務めておりました。一年間にわたって、オープンな場でさまざまな議論をしてまいりました。

 やはりどういうときに自衛隊を動かし、どういうときに動かさないのかという原理原則は、私は必要なことなんだろうと思っています。テロ特措法にしても、あるいはイラク特措法にしても、迅速な立法はなされた、しかしながら、本当に迅速的確、最も早く最も的確に対応するためには、そのときそのときに立法していていいのだろうか、特措法という形でいいのだろうかという問題意識はずっと私は今も持っております。今回この法律をどうしてもお願いしたいということと、それはまた別であり、両立することでございます。

 どういうときに動かし、どういうときに動かさないのか。やはり実力組織というものの動かし方は抑制的であるべきだと思っています。災害派遣にしても、それが公共性を満たし、そして非代替性を満たしということでなければならない三要件がございますよね、もう一つは緊急性です。

 ですから、そこにおいて原理原則をきちんと書こう、そして国会の関与のあり方というのもきちんと書こう、そういうことがあって、そういう恒久法、一般法みたいなものがあって、いろいろな事象が起こったときにどうするかということの方が、私は将来的にはあるべき姿ではないだろうか。そこにおいて、原理原則あるいは文民統制のあり方、まさしくその点において、議会で、与党と野党あるいは政府、本当にあるべき議論が闘わされるのが望ましいのではないかと私は個人的には考えております。

赤松(正)委員 私もその最後のくだりは全く同感でございます。

 それで次に、今話題になっておりますインド洋における海上補給支援活動という問題に絡みまして、これは外務省が担当しておられるんでしょうか、いわゆるPSI、このPSIがつい先ほど横須賀沖で日本主催で二回目のものが行われた。机上の訓練も含めますと、トータル二十六回ぐらいになるかのように聞いております、余り詳しく私はこの経緯を追っかけてきていないんですけれども。

 一方で、インド洋上で日本が補給艦を含めた海上の原油供給支援、こういう活動をやっている。それを受けた外国の艦船が、インド洋上におけるテロ抑止のためのさまざまな闘いを展開した。これと同じ目的を持った訓練が、二〇〇四年からですか、もう三年を超えて全世界で展開をされてきている。このPSIが果たす役割というのは結構大きなものがあると私は思うんですけれども、意外に余り世の中的には知られていない。私が不勉強なのかもしれませんが、新聞、テレビの報道を見ても語られていない。

 一方の、アフガンのインド洋上における給油支援なんというのはいろいろな角度で取り上げられているんですが、それとほとんど同趣旨のこと、むしろ、そういう原油供給という仕事ではなくて、不審な船舶があったらそれに乗り込んでそれを検査する、こういう行為も含めて、つまりアフガン、インド洋上では他の国がやっている行為を日本も演習の中に組み入れてやっている。

 こういうことが行われているわけですけれども、このPSIの、特に全部集約して、この成果、どういうふうな評価をしているのか、また世界から見られているのか、日本の活動を中心に、これが一点。それからもう一点は、このPSIを支持しない、非支持国、支持しないという国はどこの国なのか。この二点について、事務方で結構でございますので、お願いします。

中根政府参考人 PSI、拡散に対する安全保障構想でございますけれども、これは、大量破壊兵器、ミサイル、それらの関連物資の拡散を阻止するために、先生御指摘のとおり、国際社会が、演習等を含めた形で、実践を積みながら、実際の行動にも対処できるようにするということでございます。二〇〇三年の発足以来、世界の各地域においてさまざまな陸空海の演習が行われてきております。その回数は、いわゆる実動訓練という形では二十三回でございます。この一番新しいものが、先生御指摘のございました十三日から十五日に横浜、横須賀等で行われました日本主催の海上阻止訓練でございます。

 当初、PSI発足当時は十一カ国でございましたけれども、現在では世界の八十カ国以上に参加国がふえております。ただ、アジア太平洋地域においては、いまだこのPSIを支持する国が必ずしも多くございません。そういう意味で、今回、日本の二回目の主催の海上阻止訓練になるわけですけれども、未支持国、これはまだ支持をしていないインドとかパキスタン、そういった国六カ国もオブザーバーを派遣しております。そういう意味で、彼らにとっても、今回、PSIというものがどういうことをやるのかということについて理解を深めるいい機会になったというふうに聞いております。

 日本としては、今後ともこういう活動について……(赤松(正)委員「中国、韓国は」と呼ぶ)中国、韓国は、今回、参加を呼びかけましたけれども、参加はしないという回答がございました。

赤松(正)委員 中国、韓国は、私の認識しているところでは、いわゆる未支持国、支持しない、PSIについては共感しないという存在だ、そんなふうに受けとめております。

 時間が迫ってまいりましたので、外務大臣に。

 今のPSIが一つの、先ほど、アジアでは余りPSIについての理解がまだ進んでいない、とりわけ東アジアの大国である中国、韓国はやはり一定の距離を置いている、こういう事態があるわけですね。

 それで、外務大臣に私ここでお聞きしたいのは、ちょっと大きいことをお聞きしたいんですが、特に、外務大臣に御就任になってからいろいろな記者から聞かれて、麻生さんとの対比で、麻生さんが、前外務大臣がいわゆる自由と繁栄の弧という言い方をされたり、あるいは安倍総理大臣が、価値観外交ですか、余り中身はよくはっきりしないんですが、そういうネーミングを考えてこういう外交のありようというものを、自分の特質を打ち出すということに対して、私は静かな外交を高村流にやっていくんだという意味合いのことをおっしゃっているわけです。

 今回、いろいろな特殊な事情があって、高村、石破という手だれの二人が外務、防衛の職におつきになったと思うんですが、そういう、特殊というか、このテロ特措法にどう対応していくかという問題もさることながら、広く大きく日本の外交を見た場合に、やはり一番問われるのは対アジアということだろうと思うんですね。

 福田さんは、かねてアジア重視、お父さんの時代の話に対して新福田ドクトリン、形はなしていないんですが、漠たる感じとしては、アジアを重視する、こういうふうな意味合いが伝わってくるんですが、これはどの方も、アジアを重視しないなんという人は、安倍さんだってだれだっていないはずで、そういう観点からしますと、まずここで何を聞きたいかというと、高村外務大臣のアジア観を聞きたいわけです。

 そこで、時間がないので若干私自身の考え方を申し上げますと、要するに、端的に言うと、アジアの中に日本は入らないという考え方、これは実は私かねて支持をしているわけです。顔は似ている、距離は近い、確かに北東アジアの中に日本は存在する。しかし、明らかにアジアと日本はいわゆる同じ文明の中には属さないという言い方をする人は、日本人の中でも例えば梅棹忠夫さんなんかはそういう言い方をしていますし、あるいはハンチントンなんかも日本文明の独自を言っています。私が親しくしている朝鮮半島問題専門家で古田博司というのがいるんですが、彼なんかはもう完全にそう言っています。つまり、彼は韓国で長く生活をしていたんですけれども、中国と韓国と日本は全然違う、それを何となく同じだと思うところからすべての誤りが発するということを言っております。

 一番端的に言うと、脱亜入欧という、かつて明治以来の日本人の先輩たちが考えてきた物の考え方。脱亜入欧、まず脱亜が間違いだ、別亜だと。もともと、アジアを脱する、アジアにあったからアジアを脱するというのではなくて、アジアと日本は別なんだという発想。確かに、欧州、ヨーロッパ、アメリカには入っていった。しかし、私流に言わせると、今は別亜別欧の時代だ、こんなふうに思うんですが、その辺の、ちょっと御託を並べてしまいましたけれども、アジアというものに対する外務大臣のお考え、ぜひ静かに語っていただきたいと思います。

高村国務大臣 委員のような難しいことはわかりませんけれども、日本がアジアに位置していることは間違いない。日本という国が、ある意味で独自の文明圏を日本が形成しているということも、そこはそれなりにそうなんだろうと思います。ただ、日本とアジアと別だと言っていいのかなという感じは率直にするわけであります。フランスとドイツとイギリスはそれでは同じかというと、同じ面もありますけれども、また私は随分違う面もあるんだと思うんですね。

 ここで私は文明論を展開するほどの識見がありませんから、いずれにしても、豊かで安定したアジアは日本にとっていいことだし、いい日米関係がいいアジア関係に資すると同時に、いいアジア関係が、対アジア関係がいい日米関係にも資する。福田総理は、共鳴し合う、こういう言葉を使っていますが、私は、いい循環になる、いい日米関係がいいアジア関係に資する、そして、アジアの中で日本が信頼されていることがいい日米関係に資する、そういういい循環をつくっていくことが必要だ、こういうふうに思っている。質問とちょっと違うことを申し上げましたが、そういうことであります。

赤松(正)委員 続きの機会を得させていただいて、また議論したいと思います。

 ありがとうございました。

嘉数委員長 渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。

 安全保障、この安保委員会には何回か籍を置かせていただきまして、これまでもさまざまな日本の、我が国の安全保障の問題、あるいは国際社会における状況の変遷の中で我が国はどうあるべきかということを何回も質問してまいりました。

 石破大臣が就任をされて、所信を受けての質問であります、高村大臣が就任されて、最初の所信に対する質問でありますけれども、まず冒頭、そうした、今、文明論が闘わされようとしているときに、受けて立つ質問がこういう質問で、大変申しわけないとは思います。

 申しわけないというのは、こんな程度のことを質問して、まず入り口になるのかなと情けないような思いでございますけれども、通告はございません、けさの朝日新聞にございました「守屋前防衛事務次官 軍需業者とゴルフ」。お読みになられていると思います。NHKのニュースでもけさ報道されておりましたけれども、自衛隊員の倫理規程で禁じられている業者とのゴルフ。防衛事務次官を務められた守屋武昌氏が在任中に山田洋行の当時の専務と多数回にわたってゴルフをしていたということが関係者の話でわかったという報道がされました。

 こうした倫理規程、さまざまな、防衛省、かつては調本の問題、さまざまな不透明な中での装備品の納入云々ということがかつてもこの委員会の中でも取り上げ、そして何度も質疑が交わされました。そうした中で、相変わらず改善されていないのかなと。きょう、こういう報道が出たことにつきまして、石破大臣は御存じかどうか。

 そしてまた、二〇〇〇年に施行されたこの倫理規程では、費用を自己負担したとしても、利害関係者とゴルフをすることは禁止している。利害というのは、当然、防衛省の、当時の防衛庁の事務次官が航空機部品を取り扱うこうした専門商社の幹部とやっていたということは、まさにここに抵触するわけでありますけれども、この事実について、石破大臣、この報道について御存じか。

 そして、事実であるとすれば、今後、この守屋氏に対して何らかの事情説明を求めるべきだ。もう退官されたとはいえ、これは大変ゆゆしき問題でありますので、当然ここで対応すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでございますか。

石破国務大臣 けさほどから、報道は、私、午前五時から承知をいたしております。

 委員御指摘のように、自衛隊員倫理規程、平成十二年に定められた政令でございますが、その三条に禁止行為が列記してございまして、「利害関係者から供応接待を受けること。」第三条の六号。第七号は「利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること。」ということでありまして、仮に自分でお金を払ったとしても、それは、すること自体がいかぬのだということになっておるわけでございます。

 私も報道しか存じませんので、事実関係はわかりません。今の時点で把握をしているわけではありません。

 ただ、事務次官という地位にあった人、それは事務方のトップでもあります。仮にそういうことがあるとすれば、それは防衛省全体、防衛行政の信頼というものに大きくかかわるものであるというふうに私は認識をいたしております。したがいまして、私といたしましては、今後、必要な確認というのは行いたい、行わなければならないと思っております。

 今、退官をされて民間人でありますから、それは、やり方というものはいろいろ、現職とは異なる点がございましょう。しかし、こういう報道がなされている、そして防衛省の信頼というものがまさしく問われている。

 私は、施設庁のときも申し上げましたし、いつも訓示で言っていることなのですが、前の長官のときも申し上げましたが、防衛庁、当時は防衛庁と言いました、防衛庁・自衛隊というのは国民の最後のよりどころなのだ、そうであればこそ、この国の中で最も規律が厳正であり最も信頼される組織でなくて何で国民の最後のよりどころになれるんだということは、このことは、私、前、長官をやめましたときも、離任の訓示であえて申し上げました。それがそうでないとすれば、これは大変なことだと思っております。

 現在、報道しか承知をいたしておりませんが、私として、これは文民統制の一翼を担います防衛大臣として、必要な確認というのはきちんと行いたいと思っております。

渡辺(周)委員 今、必要な確認という言葉がございました。今大変重要なことをおっしゃったのは、仮にこの報道のとおりであるとすれば、防衛行政の信頼をもうすべて根底から覆すものだと、私は同様に思っております。

 ただ、先日、地元に板妻駐屯地というところがございまして、静岡県内で訓練中に命を落とされた自衛官の方々の追悼式典がございまして、よっぽどのことがない限りは必ず出席をしております。

 そこに行きますと、使命感を持って自衛官になられた方が訓練中に命を落とすわけです。本当に、年老いた御両親が遺族として参列をされたり、あるいは幼い子供さんが若いお母さんと一緒に来ているわけです。もう痛々しい姿を目の当たりにするわけでありまして、本当に、制服を着ている方々は命を落としてもその使命を果たそうとして精励されている。

 反面で、この事務次官、トップであります。この防衛省の、国防の事務方のトップにいる人が、まさに事務次官みずからが倫理規程に触れるようなことをしていた。このまま報道を読みますと、利害関係者が、たとえみずから負担をしたにせよ、こういうことをしたら、これは重ければ停職になる、複数あれば。そこまでの厳しい規定があるわけですが、事務次官みずからが破っていたら、一体、この規律の中で生きている方々は、時には命を落としてまで使命を果たそうとされた方に本当に申しわけないと思わないのか。

 これはもう厳しく、そんな、必要なら確認を行うなんというレベルの話ではなくて、ここに呼んで、やはり事務方のトップをやった人間が、あなた、すべての自衛官に対して申しわけないかと。そして、防衛行政に携わる人間がすべて不信感をこれは持たれてしまう。

 これは私は、大臣、呼ぶべきだ、呼んでちゃんと話をして、できれば事実関係を解明していただきたい。どうですか。必要ならば確認を行うなんという、確認なんという話ではなくて。

石破国務大臣 委員と同じ気持ちは私も持っていて、前も委員にお話ししたかもしれませんが、私は、防衛庁長官であったときも、やめました後も、今も、自衛隊員の服務の宣誓というのは胸ポケットから離したことがないのです。そういう気持ちを常に持っていたいと思っています。

 それは、自衛隊員の服務の宣誓、事に臨んでは危険を顧みず、身を挺して職務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる。これをみんな誓っている人の集団なわけですよね。

 そして、私ども防衛省は、事務次官も自衛隊員なんですよ、これは。事務次官だって同じ宣誓をしている。参事官、局長、官房長、背広組もみんな同じ自衛隊員で、服務の宣誓をして、事に臨んでは危険を顧みない、身を挺して職務の完遂に務め、国民の負託にこたえる。これにもとることがあってはならないのです。そのことは常に認識をしなきゃいかぬし、シビリアンコントロールの主体である私どもとして、そのことを常に徹底しなきゃいかぬと思っています。

 私は、必要ならと聞こえたとしたら、ごめんなさい、私の言い方が悪かったのだと思います。私は、必要な確認を行いたいということを申し上げました。そこは、今委員御指摘のように、お呼びをするとか直接会うとか、そういういろいろなやり方が考えられるのだろうと思います。やめたからといって、もう今当省は関係ございませんというようなことでいいとは私は思っておりません。必要な確認を行いたいと申しました。

 手法につきましては、これはどういう形が一番よいか、よく考えます。

渡辺(周)委員 そして、あわせて、こうした直接利害を持つ業者に対してどういう関係だったのかということについても、これは、所信の中にあります、民主主義国家にふさわしい文民統制を確立するためと、防衛省・自衛隊の組織を常に見直していくことが必要不可欠だと。ぜひこの点についてやっていただきたいし、また、本委員会においても、必要とあらば、これは守屋さんに来ていただいて、我々も調べます。そしてその上で、特定の業者と過去同じようなことがあったんじゃないか、あるいはどこかの利害する、関係する人たちと何か特別な関係にあったんじゃないか。もしそういうことが、我々も今後調べていって、もし必要とあらば、これは委員会としてでも、防衛大臣に任せるだけではなくて、委員会としてもやりたいと思いますし、そのときには、ぜひ委員長に集中審議なりの申し入れをさせていただきたいというふうに思いますが、委員長、いかがですか。

嘉数委員長 後日、理事会で討議します。

渡辺(周)委員 さて、この問題については改めてまた我々もいろいろ調べて、今国会で質疑等で取り上げていきたいと思います。

 そしてまた、けさほどの報道について大臣のお考えを伺いたいんですが、十八日、アメリカ国防総省が、インド洋上での海上自衛隊の補給艦から給油された燃料がイラク戦争に使用されたのではないかという疑惑に対してアメリカは声明を出しました。

 その中で、複数の船が複合的な作戦に従事した可能性があると言及して、結果として使途は完全特定できなかったと。新聞社によってはいろいろ見出しが違うところもありますけれども、我々がこれまで指摘してきたことについてアメリカ側も明確な答えは出せなかったというふうに判断しますが、防衛大臣はどう受けとめていらっしゃいますか。

石破国務大臣 私は、アメリカが発表いたしました文書は、海自補給艦から給油された燃料がテロ特措法の趣旨に合致して使用されていることを改めて確認したものであるというふうに考えておりますし、この発表は、アメリカが提供した情報が日本政府との合意に誠実に従ってきたことを裏づけるものだという認識です。

 これは衆参の予算委員会で申し上げてきたのですが、唯一の同盟国であるアメリカ、それと交換公文を交わし、ほかには使わないよということをお互いに確認をした。そして、それのみならず、バーレーンにおいて、米側からリクエストがあったときに、これはアメリカだけに限りませんが、言われたとおり、はい、そうですかということではなくて、どんな作戦に従事をするのですか、そのためにはどれだけ必要ですかということを確認して補給量を決めている。そして、補給をした際には、何ガロンということ、そしてまた受領書というものも受け取り、そして、補給艦から補給艦に補給をし、何か日本語がややこしいですが、補給艦から補給艦に補給をし、それが戦闘艦に、空母も含みますが、補給しましたときに、そのことも、日本の趣旨というものをよく理解しているということであります。

 そこまでやっているわけですが、しかし、そのことはきちんと裏づけられるのかということで、アメリカに資料の提供を求め、私どもの資料とも照合をし、そのことを本当に裏づけるという作業を今やっておるわけでございます。

 アメリカの発表は、日本の言っていることを裏づけるものというふうに承知をいたしておりますが、私どもとして、七百七十七回補給をやっておりますが、そのすべてについて、特にアメリカに対して補給を行ったものに対して、向こうから資料を取り寄せ、これは何度も何度も督促をし、そして向こうに、こういう資料をきちんと出して、国会において私ども説明をしたいということを、本当にもう何十回言ったことでしょうか。そして、提出資料を求めて、私どもの資料とも照らし合わせながら、これを裏づけるという作業を今やっておるところでございます。

渡辺(周)委員 ここまでは通告にない、けさの報道を見て質問をしたわけなんですけれども、この問題はちょっと後半またやらせていただきます。

 その前にちょっと、通告した内容で、本来、先にやればよかったんですけれども、けさネットで流れ、一部ネットで出たんですけれども、これは先ほど急遽追加しました質問。

 けさ報道された、航空自衛隊に納入された暗視ゴーグル、これが、報道によりますと、共同電によりますと、アメリカの製造会社が認めていない暗視ゴーグルが日本の商社を経由してことし三月に納入されている。記事の全文は省きますけれども、アメリカの製造会社が日本には輸出していないというものが、日本の防衛省に既にことし三月に納入されている。

 としますと、この記事から読むと、この製品がにせものであるのか、あるいは正規の製品が何らかの不正なルートで納められていたのか、どちらかに問題があるのかなというふうに私は受け取ったわけなんですけれども、この情報について、大臣、御存じですか。

小川政府参考人 御説明させていただきます。

 今先生御指摘の点でございますけれども、十八年三月に当省が一般競争入札で調達いたしました暗視装置、いわゆる暗視ゴーグルについての調達の件であると考えます。契約金額は四千百万円、調達数量は百三十六個でございます。

 本件につきまして、新聞報道にもございますけれども、現段階の理解といたしまして、手続上、調達納入段階におきまして、製造元からの証明書も含めまして必要なチェック、検査を行って、所定の手続を経て調達納入を行ったという理解をしておりますけれども、こういった外部からの指摘もあったところでございまして、現在、必要な確認の作業を行っているところでございます。

渡辺(周)委員 私もこの点について少し、急遽でしたけれども、調べてみました。要は、その真贋ですね。つまり、これは軍事装備品ですね。軍事装備品ですから、アメリカの製造元が他国に輸出をする、たとえ友好国である我が国であったとしても、当然これは大変厳しいチェックを受けて、当然のことながら、製造から輸出に至るまでは許可が要るわけであります。

 そうしますと、これは当然、この製品が、装備品が正式なものであるということは確認して納入しているということですか。しかし、出した方は、知らないというか、正規に手続を経たものではないと言っているわけですから、どっちかに間違いがあると思いますけれども、どうなっているんですか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 調達納入時でございますけれども、先ほど申しました手続規定に従いまして、製造元がきちんと仕様を満たした自社の製品であることを証明する文書、また、直接の仕入れの際のインボイスと称します仕入れ書、そういった書類を確認した上で、当然、納入を行っておるところでございます。

渡辺(周)委員 聞くところによると、これはアメリカから問い合わせはないですか。出していないと言っているものが入っているのはどういうわけだと。もっと言えば、どういうライセンスで納入されたのかということについては確認はないですか。

小川政府参考人 新聞報道にもありますような、別の企業からといいますか、そういう指摘があるというのは事実でございますけれども、アメリカの政府から何か問い合わせとか指摘といったものは……(渡辺(周)委員「いや、製造元から、出荷元」と呼ぶ)製造元からは、現段階ではそういった問い合わせは来ておりません。

渡辺(周)委員 こういう装備品の検査体制は、どういう、装備品が真贋であるということを検査して、たしか十条に、あと横浜ですか、何かそうした防衛省内に施設があるとは思いますけれども、ちゃんとそういうところで検査されてきたのかどうか。

 といいますのは、十月十一日に、アメリカ国土安全保障省が、戦闘機やミサイルの部品、暗視スコープなど米国の高度な軍事技術が、中国、イランを含む敵性国家に流出し続けるとして、取り締まり強化に乗り出したという報道もあるわけでございまして、こういう報道とあわせて考えてみると、日本の納入されたものが本当に正規なルートのものなのか、本当に正式に承認されているものなのかどうかということに関して、非常に疑念を持たれるわけなんですけれども、どうなんですか、それはちゃんとこれから調べますか。あるいは、これはもう今回調べたんですか。それとも、これから調べますか。

小川政府参考人 まず、御指摘の中の検査でございますけれども、手続上は、まず輸入の段階で、調達を担当いたします装備施設本部で、輸入の段階での先ほど申しましたような書類の審査もろもろいたしまして、その上で、おっしゃられたような、現場、自衛隊の部隊、本件の場合は空自の第一補給処、木更津でございますけれども、そこで現物の視認確認をするというような検査手続を経ております。

 本件でございますけれども、御指摘のような指摘があるわけでございまして、ただ、民間企業間の取引関係上の問題である可能性もありまして、多少慎重さも要しますけれども、必要な事実確認はもちろん行っていきたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 いや、私が言っているのは、その入札で応じた会社は、この新聞によると名前は出ていません、住所しかありませんけれども、この会社が入札に参加をして落札をした。実際、装備品は木更津にある航空自衛隊の施設にもう既に納入されているわけですね。実際、もう既に使っているわけですね。この暗視ゴーグルが、製造元の会社から指摘があって、それは本当にうちのものなのかというふうに、早い話が聞かれているわけですね。どういうルートでそれが日本に納入されたのかという話はもう来ていると思うんですよ。となると、これは本物かどうか、やはり調べた方がいい、本社、製造元に持っていって。つまり、日本の防衛装備品の納入というのはそんなにいいかげんなものなのかということが、まず思われることが一つ。

 それから、防衛装備品がもし正式なものでなかったとすれば、これは隊員の命にかかわることなんですね。今回は夜間警備用の暗視ゴーグルということですから、もちろんこれだって、ひょっとしたらこのまま持ってどこか復興支援活動に行って、非常に極めて危険なところでオペレーションに従事するかもしれない。と考えれば、装備品の質といいましょうか、真贋は、ちゃんと判断しなきゃいけないと思うんですけれども、どうなんですか。それはちゃんとやってこれを納入されているんですか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど述べましたように、詳しい内容は余り申せませんけれども、現段階で製造元から何らかの指摘が来ているということはないわけですけれども、別の企業からそういう指摘があるということで、現段階でその製品に問題を感じているということはございませんけれども、やはり、先生御指摘のように、必要があれば製造元に真贋の確認等も含めて確認作業をしていきたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 税金ですよ、これ。税金で納入して、我々はこの防衛装備品の入札とか、わからないんですね。専門的な技術ですし、非常に秘匿性の高いものでしょうから。ましてやこれはアメリカの軍事装備品ですから。

 この装備品がなぜ、ある意味では、このような疑念を持たれているものが納入されたかということなんです。物に問題があるか、ルートに問題があるかとすれば、言葉は悪いですけれども、防衛省の検査体制も含めて節穴だったんじゃないか。どうやってそれを見きわめるのか。それはどうなっているんですか。何か、言われたままに、結局一番安い値段のものを落札しているんですか、どうなんですか。そこのところを聞かないと、これは隊員の命にかかわる問題ですから。

小川政府参考人 現段階で申し上げますと、繰り返しになりますけれども、そういう指摘を受けているのは事実でございますけれども、調達納入の際の所要の審査、検査も適正に行われておりますし、現物に特段の問題があるということではなくて、したがって、可能性としてといいますか、我々の理解とすれば、適正に手続、調達納入が行われておるという理解でいるわけですけれども、ただ、こういう御指摘もありますので、いろいろな意味での確認作業、調査を行いたいということでございます。

渡辺(周)委員 では聞きますけれども、納入された航空自衛隊はどうやってこの装備品を検査したんですか。

小川政府参考人 検査は、手続規定に従いまして、外観検査といいますか、シリアルナンバーを確認して、当該会社が真正に製造したものかどうかという点の確認と、それから輸送中の事故等で損傷がないかどうか、そういった点の検査をいたしております。

渡辺(周)委員 では、そのシリアルナンバーは確認したんですね。間違いなくその社から出たものだということは確認したんですか。

小川政府参考人 恐縮でございます。きょうの話でございますので、一個一個どのような検査をしたかというところまでは確認できておりませんけれども、手続に従った所要の視認検査をしておるというふうに理解しております。

渡辺(周)委員 まあ、けさ報道で出たことでありますし、私も大急ぎで調べた分もありますけれども、一回、質問主意書か何かの形でこの問題、これは非常に不思議な問題なんですね。出したと言っている会社が出していないと言い、そうすると、物がにせものなのか、あるいはルートが違うのか、それが防衛省にもう既に納められている。そうすると、これは製造元に問題があるのか、そのルートに問題があるのかとなれば、非常に、これは少し疑わしい問題かなと思います。

 この点について、改めて、これは委員会でなくとも質問主意書か何かの形で、これは質問をまたさせていただきたいというふうに思います。

 時間がありませんので、この補給支援法についてちょっと質問をかえたいと思います。

 先ほどちょっと先に触れましたけれども、アメリカの国防総省が声明を出しました。そして、我々の疑念は晴れないわけでありまして、細かい問題につきましては後の原口委員の質問の中で触れられると思いますけれども、私は、今回のこの補給支援法、二十三日に本会議で趣旨説明がされるということが国対の方で決まっているようでありますけれども、あえて少し聞かせていただければ、大臣にまず伺いたいことが三点ほどございます。

 まず一つは、国会承認を省いた理由ですね。この国会承認をなぜ省いたのか。シビリアンコントロールという観点からすると、大臣が所信の中でおっしゃっているような、文民統制を確立ということを言っている大臣として、なぜ国会承認を省いたのかということにお答えをいただきたいと思います。

 一般的に軍の行動に、軍のと言ったらあれですけれども、自衛隊の行動にかかわる議会のかかわりというのは、本来、他国では憲法で規定される話であります、軍隊は。それが議会の軍に対する統制の基本原理だというふうな理解をしているわけでありますけれども、こうした自衛隊という実力部隊が海外で行動することにおいて国会の承認がない、削られている。非常にこれは与党内でもシビリアンコントロールを懸念する声があるというふうに聞いておりますけれども、防衛大臣そして外務大臣、できれば御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 国会の承認を削ったとか国会の承認を省略したとか、こういう言い方がなされることがあります。それと文民統制をどう考えるかということでございます。

 私は、承認事項がなくなったということはございますが、国会の承認を省略したということは当たらないと思っておりまして、この法律が御審議いただき可決いただくとするならば、それが国会の承認なのだということだと思います。

 これは委員があるいは覚えておられるかもしれませんが、テロ特措法というのを議論いたしましたときに、最初、国会承認事項というのは入っておりませんでした、政府の原案には。入っていなかった。ではこれをどうするかということで随分議論をいたしました。そのときに、なぜ入っていないのかという説明は、この法律が通るということ自体が実施の承認なのだという言い方がなされたと私は記憶をしているんです。

 それは変じゃないかと。つまり、このテロ特措法、今のテロ特措法は、メニュー法という言い方をさせていただきますが、法律をごらんいただければわかりますが、補給、輸送ができます、あるいは捜索救難ができます、あるいは被災民支援ができます、できることが幾つか書いてありまして、三つのカテゴリーに分かれますが、この三つのカテゴリーの中のどれかをやっていい、あるいはこれとこれをやっていいという内容の法律でございます。では何をやるのということは閣議決定にゆだねられておる。閣議で基本計画を作成し、例えば補給をやりますとか、補給と輸送をやりますとか、そういうふうに決める。そして、それをやることについて、国会に開始した日から二十日以内に承認を求める、こういうような仕掛けになっております。

 つまり、何をやるかはわからない、幾つかメニューがある中で何をやるかはわからない、そういうことについては国会がきちんと承認をしなければいけないということで、メニューの中から一つあるいは複数を選ぶということを政府にゆだね、それを行うことについてどうなのだということについて国会の御承認をいただく、こういうことになっておるわけでございます。

 今回の新しい法律は、メニュー法という体系をとりません。六年間いろいろやってきたけれども、今の法律にございます領域国の同意を得て、外国で、外国の陸地でやるということも考えられない。日本にとって捜索救難とか被災民支援とかそういうニーズ、リクエストも寄せられていない。六年間いろいろやってみた結果、補給というものが一番リクエストもある、我が国の能力にもジャストフィットしておる。

 では、そうすると、この補給ということに限って法律をつくりましょう。今まで閣議決定にゆだねられておった基本計画の相当部分を条文に書き込むことによって、何をやりますということが条文という形で明らかになる。そうすると、補給をやりますということについて書かれた法律、それを御審議いただき御可決いただく、成立させていただくということがありとせば、補給を行いますよということについて国会が御承認をいただいたということに論理的にはなるのだろうと私は思っております。

 これはメニュー法なのか実施法なのかという法律の性格に基づくということなのでありまして、繰り返しになりますが、法律を御審議いただき御可決いただくということ、すなわち、これをやってよいということだと思います。

 委員が御指摘になりました、おまえが言っておる文民統制ということからしてどうなのだということでございますが、私もこれは随分といろいろなことを調べてみました。実力組織、軍と国会のかかわり方ということは、憲法を初めいろいろな法律で各国いろいろな相違がございます。日本においてどうなのかといえば、やはりそれを行うことについて国会がきちんとしたお許しをいただくということが、私は、日本的なといいますか、日本の文民統制としてふさわしいものと考えておりまして、こういうメニュー法から実施法に変えたということで国会の御承認をいただくことだと理解をいたしております。

渡辺(周)委員 石破大臣ともあろう方が大変苦しいことを言っているんじゃないかと思うんです。言ってしまえば、もし承認事項を入れてしまったら参議院で承認されない、どうするんだと。法律だったらば、衆議院は通って参議院で否決されても三分の二で再議決できるから逆に省いたんだ、本音はそこじゃないんですか、本当のことを言うと。

 今いろいろおっしゃいましたけれども、国会が関与しないで自衛隊の行動を、全く今回の法律では後退しているわけですよ。議会が関与するという、こんな当然民主主義の根幹にかかわる部分について、あえてこれを外した。あえて今回国会承認ということがなくなったということは、これはもうまさに、承認事項を入れてしまったら、参議院で多数派を占めている、自民党、与党以外の政党に承認されなかったときににっちもさっちもいかなくなるから、そういうことじゃないんですか。

高村国務大臣 先ほど石破大臣が答えたことの繰り返しになりますけれども、今承認を受けていることというのは、いかなる範囲でやるか、どんな種類の活動をやるかということについて承認を受けているわけでありまして、それがすべて法律に組み込まれるわけでありますから、それをまた承認するということは、まさに、日本語で屋上屋という言葉がありますが、屋上屋になるわけであります。

 ですから、仮に三年後に参議院選挙が行われて、与党が過半数になったとしても、この法律の中に、承認などという屋上屋のことを入れるということはないわけであります。

石破国務大臣 結局、新法におきましては、活動の種類及び内容は補給のみに限定をするということが記されます。そして、派遣先の外国を含む実施区域の範囲につきましても法定するということになります。

 そうしますと、これは、要は、メニュー法から実施法になる、そして、このようなことをやります、ここでやりますということが条文に書かれているとするならば、その法律が成立をしたこと、すなわちそれは実施についての承認ということについては、ここまでは御理解をいただけるのだろうと思います。

 それを条文に落として、それを承認することも、その法律を御可決いただくことも、それは実施の承認にならないのだと言われますと、なぜならないのか、よく理解がいたしかねるところでございます。

渡辺(周)委員 では、実施計画は例えば細部まで書くんですか、法案に。そんなことはないでしょう。結果的には、議会が知らないところで、どんなことが行われているかというのは今でもわからないわけですから、だからこそ我々は、一つ一つの事実を積み上げて確認をしているわけですよ。

 それに対して、今度は国会の承認もない。この話は、私もテロ特の委員ですから、そのときにまたじっくりやりますけれども、とにかく、これは民主主義の根幹ですね。議会が一回法案を通してしまったら、その後一年間、どう行おうと、それはもう実施計画の細部であって法案に書かれるわけじゃありませんから、全くわからない、手の及ばないところになってしまうわけであります。それはもう本当に民主主義の根幹の部分です。原則の部分なんですよ。そこについてはまたもう一回やりますけれども、ぜひ、この点については、全く納得がいかないということを申し上げて、次回、しかるべきときの質問のときにまた議論させていただきたいと思います。

 もう時間がありませんので、あと二点伺います。

 対補給艦の禁止、たしか石破大臣は、日経新聞のインタビューか何かの中で、たしかそのようなことは、ちゃんと御本人としては、十月三日の日経インタビューで、「他国補給艦への補給は今後はしないことも考慮に入れる。」というようなことをおっしゃっていました。なぜ、対補給艦禁止が盛り込まれなかったのかということを伺いたい。

 そしてまた、新たな法律になれば、交換公文を出されるわけですね、他国と。その際に、これまで交わされた交換公文では、この転用の禁止ということは書かれていないんです。そうしますと、今度は転用されないための仕組みを新法でどう担保するかということは、極めてまたあいまいなままなんですけれども。

 この点について、まず、なぜ他国艦、対補給艦禁止盛り込まず、これが、結果的に大臣の意思と違ってこうなってしまったのか、そしてまた、交換公文に、燃料の使用目的ということについて、何らかの形で書き込むというお考えはあるかどうか、その二点伺いたいと思います。

石破国務大臣 一つは、補給艦を除くということが法律条文になじむのかどうかという法技術的な問題でございます。

 そして、補給艦とは何であるか。これは、補給艦と世の中に言われますものの中にも幾つも種類が分かれるわけでございまして、ここのところの厳密性というものが条文できちんと担保ができるだろうかということが一つございます。

 もう一つは、私どもとして、今、予算委員会でもそういうような御議論があり、私どもも、補給艦からアメリカの補給艦に補給した燃料がテロ特措法の目的どおりに使われたということをきちんと御説明するべく努力をいたしておる。完全に納得をいただけたなんて私は言っているわけではありませんが、そういう努力をしておるわけです。補給艦に補給したとしても、それが法律の目的どおり使われたというそういう担保があるということも私は考慮してみるべきではないだろうかというふうに思います。

 そして、これはもう委員の方がお詳しいのかもしれませんが、あの広いインド洋において、補給艦から補給艦に補給をするということが全体的なオペレーションにとってどうなのだろうということもあわせて考えてみなければいかぬことなのだろうと思っています。どうすれば実際にこのテロ特の活動、これから新法に基づいてやらせていただきたいと思っているわけですが、これは何のためにやっているのだろう、どうすればきちんとそれが効果的にできるのだろうかというニーズの問題と、法律に定められた目的外に使われないということをどのようにしてきちんと確認するか、それを両立するための手法として条文に書き込まなければだめだというふうに私が思ったわけではないということでございます。

渡辺(周)委員 交換公文については。

高村国務大臣 今各国と交換している交換公文においても、この補給はテロ対策特措法に基づくものであるということが明記されているわけであります。ですから、全然このテロ特措法と関係のないことに使うということは今でも許されないわけであります。今度はいわゆるOEF・MIOということでさらに限定するわけでありますから、そういうことは新しくされるべき交換公文に書き込みたい、こういうふうに思っております。

渡辺(周)委員 もう一回、再度確認なんですけれども、それは、日本側の、今回のテロ特措法も、今現行の、日本側の理屈なんですよ。これは、この後、原口さんが触れられると思いますけれども、例えば、ほかの国にしてみると、テロの阻止のためなんだから、これはアフガニスタンにしか使いません、これはイラクに使いません。実際、恐らく、他国にしてみると、そんなことできるわけないだろうと。

 しかし、日本側はあくまで、今日まで、この法律制定から我々に対してずっと、この法律成立以来、この油は、不朽の自由作戦、OEFにしか使われません、アフガニスタンのテロ掃討にしか使われませんとずっと言ってきたわけですね、政府は。歴代の総理も、歴代の大臣も長官もそう言ってきたわけであります。それはあくまでも、私は、日本の理屈で、日本には通用するかもしれないけれども、ほかの国からしてみると、それは日本の理屈だろうと。恐らくそこのところは詰めていないはずなんですよ。

 ですから、今おっしゃったように、これは日本のテロ新法に基づいて、これしか使いませんよということまで本当に言っているんですか。交換公文には書いていないじゃないですか。日本の法律の中身についても、こうであるということはちゃんと言ってあるんですか。それから今回も、この新法が今後もし議論の末にいかなる形かで成立するとするならば、諸外国に対して、これはあくまでもOEFにしか使いません、そのことは交換公文に明記できるんですか。

高村国務大臣 交換公文に、テロ特措法に基づいて給油しているんですよと書いてありますし、そして、きっちりそのことは各国に対して説明をしております。さらに、現場において、これは石破大臣からお答えした方がいいのかもしれませんが、バーレーンのコアリションの司令部に海上自衛隊の連絡官が行って、補給する都度に、OEFもしくはOEF・MIOに参加している船かどうか確認し、そして、その期間と補給量も確認した上でしている。こういうことでありますから、ほかの国は知らない、ほかの国が知らなきゃ、交換公文なんて交換しません。

渡辺(周)委員 もう時間がありませんので、この点についてまた改めての機会に質問をしたいと思いますけれども、結びに、この法案に反対する人間はテロリスト以外いないんだと言われましたけれども、我々は、別にテロとの闘いをやめるわけではなくて、実際、北朝鮮というテロ国家とは引き続き、これはどういう形をとるとしても、やはりファイティングポーズだけは当然解いてはいけないと思っていますし、世界じゅうで起きているテロに対しては、当然テロを憎み、そしてその根絶をしなきゃいけないということは一緒であります。

 ただ、六年間やってきて、実はアフガニスタンの治安は余計悪くなっている。だとするならば、病気に例えれば、治療方法を変えた方がいいんじゃないのか、六年間ずっとやってきたけれどもよくならないのであれば、別の治療法があるんじゃないかということで、我々は違う考え方を今まとめているところでございます。

 その点について、何か我々が、反対すると言った人間はテロリストだというようなことが、一部委員の中に言われた方がいらっしゃいますけれども、非常に怒りと遺憾の意を持っている、我々としては決してテロとの闘いをやめるものでも何でもない、そういうことを最後に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

嘉数委員長 原口一博君。

原口委員 おはようございます。民主党の原口でございます。

 大臣、御就任おめでとうございます。きょうは、特に前回の予算委員会で議論をしたことに従って、少し詳しくお話をお聞きしたいと思います。

 まず、私たちのスタンスですが、一国平和主義に立たない。ただ、武力によって解決できる問題、それは非常にやはり狭まっている。特に、一国が大きな警察力を持って、そしてさまざまな人権問題に立ち向かう、このことの限界というか、私たちは積極的に国際的な役割を果たすべきだ、そういう立場に立って質問をしたいというふうに思います。

 まず、前回の予算委員会での質疑の中で、高見澤政府参考人は、委員長、お許しいただいて、資料とパネルを。前回、石破大臣や高村大臣とも議論をさせていただきましたが、ペコスとキティーホーク、カウペンス、そのときにハミルトンという新しいデストロイヤーの名前、駆逐艦が出てきたんですが、カウペンスというのも、これもイージス艦、巡洋艦ですね。これをどうして取り違えたのかということで、石破大臣は調査をお約束いただきましたが、議事録を精査してみて、大臣、どう見ても、やはり取り違えるということはおかしいんですよ。

 そこで、これは事務方で結構ですから、この基本的なデータをもとにアメリカ側と照合されていますね。照合しているかしていないか、それだけお答えください。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 前回、私がお答え申し上げた内容を申し上げますと……(原口委員「前回のはここにありますから結構です」と呼ぶ)はい。要するに、アメリカ側に当時具体的にどのようなことを確認したかということと、現在、ピースデポで指摘を受けてからどのような確認をしたかということはございます。

原口委員 確認したわけですね、アメリカ側に。今、確認したとおっしゃったわけですね。

高見澤政府参考人 その当時の補給の記録は私どもに残っておりますし、どれだけの油を渡したということの受領書もございますので、それは現在、確認ができます。

 ただ、その時点で、取り違えが起きたときに、二十万ガロン、八十万ガロンということを申し上げたときに、細部のデータをその五月の時点で確認をしていたかということについては、現在調査をきちっとしているということでございます。

原口委員 いや、おかしいじゃないですか。大臣、おかしいでしょう。今現在と過去をごっちゃに混同するようなお話をしてもらっちゃ困るんです。質問したことだけ、聞いてください。当時のことを言っているんです。

 当時、二十万ガロンと八十万ガロンは、アメリカ側にも記録があるわけで、アメリカ側と照合すれば、単なる、あなたは前回、私にこう答えていらっしゃるんです、そこのデータが海上幕僚監部の方で入れ違ったままいろんな話が進められていったというのが発端でございますと。

 ということは、入れ違ったままアメリカと照合したということをここでおっしゃっているんです。どっちですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 当時、キティーホークの八十万ガロン、つまり日本の補給艦から受けた油が間接補給でキティーホークに渡っておった、そのキティーホークの用途がどうであったかということでございまして、それについて石川統幕議長が約二十万ガロンであったというふうな答弁をしたわけでございますけれども、当時はその数字を出発点にして議論が行われていった。アメリカの方には、その油がきちっとOEFに使われたものであるのかということについて確認をしたということでございます。

原口委員 おかしいでしょう。だって、当方にはこの記録があったわけですよ。このデストロイヤーのポール・ハミルトンと、それから、ポール・ハミルトンの横には必ず空母がいるんですよ、これは空母を守るためのものですから。それが、この間私が皆さんに御提示したポール・ハミルトン、これは十二時二十六分に補給が開始されていますかね。それとUSNSペコスと、これを間違えるわけないでしょうと。ペコスとハミルトンの記録を持って照合していないとおかしいんですよ。どうですか。

高見澤政府参考人 まず、どのような状況であったかということを、経緯をちょっと正確に申し上げたいと思います。

 これが問題になりましたのは、平成十五年、二〇〇三年でございますけれども……(原口委員「質問にだけ答えさせてください。限られた時間ですから」と呼ぶ)そのために必要でございますので。

 五月六日にキティーホークの空母機動部隊の司令官が海上自衛隊からの燃料補給に謝意を表明したということで報道がなされておりまして、そのときに、何万ガロンかというようなことではなくて……

原口委員 結構です。

 大臣、誠実に答えさせてください、事実を追っかけているので。何を照合したか、そこだけ聞いているんです。背景なんか、もう今までさんざん議論してきましたよ。そんな背景を今とうとうと言われて時間稼ぎするのはやめさせていただきたい。ちょっと大臣、お願いします。

石破国務大臣 当時問題になりましたのは、事実としましては、我々の補給艦が、アメリカの補給艦と戦闘艦、両方に補給をしております。これを数字を取り違えてしまったということが問題になっておる。何を間違えたかというと、本当は戦闘艦に補給した量というのを補給艦に補給したと言ってしまい、補給艦に補給した量を戦闘艦にと言ってしまった、そこが間違いとして事実としてあるわけでございます。

 他方、キティーホークの艦長が、日本からの補給で船は動いた、ありがとうということを言ったのは、一体これはどういうことだということになりまして、当時の石川統幕議長が、日本が補給した補給艦から二十万ガロンもらったというようなことを申し述べたということでございまして、そこにおいて私どもが関心を持っておりましたのは、それがOEFに使われたかどうかということについて関心を有しておりました。ですから、そこに整合があったかどうかということについて、本当に詳細に注意を持って確認をしたかといえば、そこの部分で十分ではなかった点があったのではないかという印象を私自身は持っておるところでございます。

 必要なのは、本当にその油がOEFに使われたかどうかということであり、その点と、二十万、八十万の取り違えというものがきちんと連関を持って調査をされたかといえば、私自身、十分ではなかった点があったかもしれないという印象は持っております。

原口委員 私は、アメリカでも随分いろいろな友人たちと話をして、日米同盟というのは我が国にとって本当に大切な、最も大事な同盟だと思っています。ところが、イージスの情報は漏れる、先ほど渡辺さんがお話しになったような武器のさまざまなものも漏れる、あるいは、こういったこともこちら側が取り違えている可能性があるということを今大臣はお話しになったわけですけれども、結局、こういうことで日米関係を損なっているのはだれですか。情報をぼろぼろ漏らす人に、同盟国が信頼しますか。このことを私は問うているんです。

 石破大臣とも対談をさせていただいて、私は、本の中でも、やはりしっかりとした情報統制、情報の管理をして、そして秘密会やいろいろなものでしっかり国会が官僚の組織をチェックしなきゃいけないということを、そこは共通意識として持っています。しかし、今のようなことであれば、結局、何かあったらアメリカに問い合わせる、アメリカに問い合わせる、アメリカさん、どうだったんですかと。そんなことやられた方は、本当にあなた同盟国ですかと聞きますよ。私は、そのことを非常に危惧しています。

 さて、油ですが、不思議ですね。政府の説明では、平成十八年、A社、B社、これ。これは大臣に後で伺いますが、もうこういう黒塗りのものはやめましょう。こういう燃料をだれが扱ったかというのを黒塗りにしなきゃいけない理由、どこにもないです。アメリカのホームページ、どこにどういうふうに入ったか、ちゃんと書いてありますよ。これが文民統制ですよ。いいことはアメリカに学びましょう。何でこの人たちが黒塗りにならなきゃいけないのか、全くわからない。

 そこで、油について少し聞きます。

 政府の説明では、平成十八年度艦船用燃料の現地調達額は五十六億円でした。ところが、執行分は六十八億円になっているんです。この十二億円の差があるのはどうしてですか。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 テロ特措法に基づく活動に必要な艦船用燃料でございますけれども、御指摘のとおり、現地で基本的に調達をしておるわけでございますが、海上自衛隊の補給艦等が国内出発等する際に、国内で搭載する艦船用燃料がございまして、これは国内で調達しておるわけでございます。

 御指摘の十八年度でございますけれども、現地調達の艦船用燃料は御指摘どおり七万一千キロリットル、約五十六億円でございますが、これ以外に、国内で調達した艦船用燃料が二万一千キロリットル、約十二億円ございまして、合計で九万二千キロリットル、御指摘の六十八億円ということでございます。

原口委員 ということは、国内の自衛隊用の艦船油というのは軽油二号ですね。軽油二号の落札の状況も調査してみました。

 大臣、私はこれはまだ事実かどうか確認をしなきゃいけないけれども、この調査が事実であれば、約八割が一つの業者ですよ。これは随意契約ですよ。こういうことが事実だったとしたら、私はどうかと思います。これはどんな会社かということも、私、もしあれだったら開示をしていただきたいんですけれども、業転業者といって、油を右から左に流して利益を得ていらっしゃる、そういう会社だというふうに思っていますが、きょうの主題はそこではないので、問題意識だけ表明をしておきます。

 こういう燃料やそういったものについて国民に隠す理由はどこにもない、私はそのように思いますが、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 これが合理的なものであるということについて説明する責任は、政府が負っております。

 黒塗りはもうやめるべきだという委員の御指摘がございました。アメリカと同じように開示をすべきだという御議論も、それはそれであるわけで、省内でも議論をしておるところでございますが、これはなぜ開示をできないかということにつきましては、裁判におきましても、かくかくしかじか、これで開示ができないというのが出ておりまして、それによって私は正当化されるのだろうなというふうに思っております。

 私としては、本当はそういうものはアメリカと合わせて開示をすることがあってもいいのではないかというふうに正直思わないわけではありませんが、それをすることによってその会社がこうむる不利益というものを考えたときに、私どもとして、それを開示すればよいということの比較考量において、すべきではないという判断を今しておるところでございます。

原口委員 大臣は一定の踏み込んだ発言をされたので、そこは評価をいたしますが、そうなんですよ、その会社がこうむる不利益。では、この会社、A社、B社ですね。私、これを見てみました。この発注、すごいですよ。あそこにもありますが、これです、これですよ。これ全部です。

 これを見てみますと、一覧表にしてみました、そうすると、平成十三年はずっとA社、A社、A社なんです。それも随意契約で。さすがにこれはちょっとまずいなと思ったのかな、たった、六年にわたる中で、二回だけ指名競争をやっているんです。それでB社が選ばれているんです。あと全部随契ですよ。

 これは表を後で差し上げますが、これを見てみると、金額と数量、金額を数量で割れば一キロリットル当たりの単価が出るはずで、不思議ですよ、これは。例えば、平成十九年の四月二日、A社とB社が同じ日に随意契約しています。一キロ当たりの値段が六千円も違うんですよ。これはどう説明するんですか。会社によって、これは競争入札していればわかりますよ、同じ日にどうして六千円も違うんですか。教えてください。

小川政府参考人 二社の艦船用燃料の調達の価格でございますけれども、内容が、大きく見ますと、いわば燃料本体の価格と諸経費といいますか、現地で、寄港地で、油送船、バージといいますけれども、それを借りて補給艦まで送るわけですけれども、それから、現地のタンクの借料、保険料とか諸経費と合わせて構成されておりまして、諸経費部分が特に変動する場合がございまして、そういう二社間の価格の差が生ずる場合があるということでございます。

原口委員 同じ日に契約したものが六千円も違う。これは、一キロリットル当たり六千円違うんですよ。そんな説明が通るわけないじゃないですか。

 もう一つ、委員長のお許しをいただいて、一ページをごらんになってください。アメリカはこの給油活動、お金を取ってやっていますよ、なぜ日本は無償で油を供与しているんですか。このことはまだだれも質問していないのかな。お答えください。

石破国務大臣 その議論は、参議院でも若干ございました。

 なぜ無償かということを考えた場合に、それを我が国として、貢献という言葉は私は何か人ごとみたいで余り個人的には好きではないのですが、何ができるだろうかというときに、やはり金銭的な負担ということも我が国として行うべきではないだろうか。そして、アフガニスタンの陸上において、多くの犠牲を払いながら、OEF、ISAFあるいはPRTということをやっている、そして洋上阻止活動そのものはほかの国の軍隊がやっているということを考えたときに、我が国としていろいろな負担をしなければならないな。それは、補給という負担も大変なものであるけれども、同時に金銭的な負担ということも我が国の経済力からして行うべきものではないだろうか。そして、それを逆に申し上げれば、非常に財政的に苦しいながらもこの活動に参加している国にとって大きな利益となり得るものだ。そして、それは全体的なオペレーションに資するものだ、そういう総合的な判断であったと承知をいたしております。

原口委員 これほど財政的に厳しくて、世界の先進国の中で最も累積赤字が高く、そして一年間で新発する赤字公債も高い、そういう国が無償で供給している。私は必ずしも今の大臣の発言を了としません。

 それでは、これは事務方で結構ですが、この油の正体は何ですか。日本の油は軽油二号だということはわかっています。これは何ですか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 現地調達している油の御質問かと思いますけれども、これはNATOの規格によるF76という軽油でございます。

原口委員 この一のフローチャート、これは調査室でつくっていただきましたが、F76というこの油は、アメリカは随分いろいろな知恵や努力やお金をかけて、そして年々進化させている油ですね、NATOの規格ともこれは同じだと言われていますけれども。

 このF76を、DESC、これは、DOD、アメリカのペンタゴンの中にあるエネルギー供給支援センター、その支援センターのホームページを見ますと、二ページ目を皆さんごらんになってください、ノンDOD・フュエル・カスタマー・インフォメーション、つまり、自分のところ以外、アメリカの国防総省以外のお客様リストというのが出てくるわけです。この二ページ目の下から四行目、フォーリン・ガバメント・カスタマー、つまり、外国の政府のお客様ですね。三ページ目をごらんになってください。フォーリン・ガバメント・カスタマーの中で日本というのが三つ出てきます。その中の一つがエンデュアリング・フリーダム、ジャパン、いわゆる油の供給を不朽の自由作戦という形で日本にしていますよというリストですよ。

 日本はアメリカから買っているんじゃ、僕は、買っていかぬと言っているんじゃないですよ。今まで皆さんが絶対買っていないとおっしゃっていることが本当だろうかと思って調べてみたんです。それはなぜかというと、石破大臣も国防の専門家ですからね、さっきの武器と同じように、燃料というのはだれでも使えるという話じゃないんですよ。F76を一般の商社とか一般の民間会社が勝手に使ったら、そんなことになってしまえば、安全保障そのものが成り立たないんですよ。

 この書類をどう説明しますか。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 今御指摘のDESCの関係でございますけれども、まず、テロ特措法に基づいて我が方が現地調達しております艦船用燃料につきまして、これを防衛省がDESCから調達しているという事実はございません。

 それで、今御指摘のDESCのホームページの関係でございますけれども、大変恐縮でありますけれども、米国政府、DESCのウエブサイトの内容についてお答えする立場にはないわけでございますけれども、一定の推測で申し上げますと、本件の艦船用燃料につきまして防衛省とDESCとの関係はございませんけれども、いわゆるACSA、日米物品役務相互提供協定の枠組みに沿って、日米共同訓練等の際に燃料供給がアメリカからなされる場合に、DESCが決済手続の一部を行っている場合もあるわけでございます。そういう意味ではカスタマーズリストに入ってくるということも考えられるわけですし、加えまして、現行のテロ特措法に基づきまして国内での米軍基地間の輸送を実施する際に、所要燃料をFMSで調達する場合がございまして、それをDESCの決済手続で一部を行っておるわけでございます。

原口委員 本当に、聞いたことだけ答えてください。

 エンデュアリング・フリーダムと書いてあるじゃないですか。今推測だとおっしゃいましたが、ACSAのことをアメリカが間違ってここに書いている。四ページをごらんになってください。多分そんな答えをするだろうなと僕も思ったんです。四ページがACSAですよ。物品協定です。ホームページをちゃんと読んでいけば、アメリカはきっちりしているんですよ。日本じゃないか、一番ろくでもないことをやっているのは。あなたたちの政府じゃないか。何でもかんでもアメリカが悪い、何でもかんでもアメリカの方がおかしい、それこそおかしいんじゃないですか。私はアメリカ政府の肩を持ってこういうことを言っているんじゃないですよ。ちゃんとこれ、四ページ目、これがACSAですよ。

 一に戻ってください。

 そんなこともあろうかと思って、これをずっと読んだんですよ。これを読んだら、この契約、石破大臣、これをごらんになってください。こんな契約ありますか。これ、いつ、どういう契約をしたか。本当に、湯水のように税金を使うとしたらこのことじゃないかと私は疑うような記述がいっぱいありました。どこで、だれが。

 だから、DESCを必ず通してなきゃ、マナマやフジャイラの港湾にあるDESCのタンクを使えるわけないじゃないですか。そのタンクからバンカーオイル、皆さんのお手元に、これも私、見つけてびっくりしましたよ。これはコンドリーザ・ライス号というシェブロンの船で、コンドリーザ・ライスさんというのは、どこかで聞いた名前だなと思いますけれども、アメリカの国務長官ですよ。この船は、彼女の名誉のために言いますが、もう今はありません。イラク戦争が始まったころに、さすがにこれはあれだということで、船のコンドリーザ・ライスのところは別の名前にかわっているそうです。

 六ページ目をごらんになってください。さっきの一ページと重ねて見ていただくと、中東の石油会社にF76を発注しているんですよ。そして、バーレーンにおいては、これは例えば例ですけれども、バーレーン国営石油会社、あるいはアブダビのナショナル・オイル・カンパニー、こういうところでF76をつくって、そして、マナマやフジャイラにあるDESCのタンクからバンカーオイル会社というのがロジスティックをやっている。これだけ巨大にやっているものを、私たちは知りませんと言えますか。

 この六ページ目、七ページ目を見れば、バーレーンのオイル会社とその関連のいろいろな資料がありますけれども、七ページ目をごらんになってください。イランというところの上です。ジョージ・W・ブッシュと書いてありますよ。アメリカ大統領の名前もここにあるわけです。石油関連の、非常に密接な政権だということなのかもわかりません。

 しかし、いずれにせよ、このバンカーオイルから油船を通して、さっきおっしゃったロジスティックで値段が違うのは、油船を通すか、真っすぐパイプラインで油を引くかの違いですよ。この中にもありました。これは、皆さんからいただいた資料の、平成十四年十一月二十日という資料ですけれども、「パイプライン及びバージ」と書いてある。バージというのが油船ですよ。

 これ、DESCのタンク以外から自衛隊の艦艇にF76を入れられるんですか。あり得ないじゃないですか。どうぞ。

小川政府参考人 まず御指摘の点でございますけれども、最初のところでおっしゃられました、やはりDESCのホームページの件、エンデュアリング・フリーダムと書かれているという点でございますけれども、我が方で確認するといいますか、正確に申し述べる立場ではございませんけれども、私ども調べましたところ、先ほど申しました、テロ特措法に基づく航空自衛隊の協力支援活動としての在日米軍基地間の輸送の実施の所要燃料をFMSで調達した決済手続をDESCとやっておるわけですが、その手続の中で、テロ特措法に寄与するところということを、一部においてオペレーティング・エンデュアリング・フリーダムのアシスタンスという表現をしている部分がございまして、そういったところがここに書かれているんではないかという一つの推測をしておるわけでございます。(原口委員「もう推測は結構です」と呼ぶ)

 それから、よろしいですか。後半の御質問でございました取引の関係でございますけれども、タンク等の御質問がございましたけれども、タンクにつきましては、契約相手方であります企業に確認しておりますけれども、DESCのタンクではございませんで、現地の民間企業のタンクを賃借しておるところでございます。

原口委員 石破大臣とも現地に行かせていただきました。だから、そういうまたお答えもあるだろうと思ったから、ここに、ジャパン・エアフォース、エアフォースというのがちゃんと書いてあるじゃないですか。

 石破大臣に伺いますが、F76というのはそういう民間会社でも取り扱える、いわゆる民民で供給できる、そういう油なんでしょうか。私は、そういう油でないという認識を持っていますが、基本的な認識を伺いたいと思います。

石破国務大臣 そういう油ではないと私自身も認識をしております。

原口委員 そうだとすると、ここに日本の商社、A社、B社、私たちはこの会社がどこかまだわからないんですよ。それこそ、あるときには一社で一キロリットル三万円も違ったりで、それは油が乱高下していますから、期間が違えば随分違いますよ。今だって一バレル八十八ドルぐらいですか、物すごく高くなっているから。だけれども、期間が違えば油の値段が違うというのはわかるけれども、同じ日でこれだけ違うというのはなぜですか。

 それと、この絵が本当であれば、この一ページ目が本当だったら、商社がかむ場所がないんですよ。なぜ商社をかませなきゃいけないのか。日本がアメリカから油を買って、それはいけないと言っているんじゃないですよ。アメリカから油買っていいんですよ。それだってアメリカに、またいろいろな意味での同盟国に貢献しますし、FMSという形でやっているわけだから。だけれども、やっているんだったらやっているとおっしゃってくださいと。F76で、民間で調達して日本にとれるという仕組みがあるのかと。すべてDESCを通さなきゃいけないんじゃないんですかと。全然おかしな質問をしているわけじゃないと思うんですが、石破大臣、いかがですか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、配付されました資料の一枚目のフローチャートでございますけれども、これに基づけばという御質問だったわけでございますが、例えば、ここで書いてございます日本政府とDESCとの間の海上自衛隊の供給燃料の調達にかかわります契約というのはございません。そういう意味では、ちょっとこの資料が事実とは違うということでございます。

 F76は、先ほど来申し上げておりますように、もちろん政府間のサポートが要るわけですけれども、我が方の調達におきましては日本の商社が現地で調達をしている。これは、いわば基本的な契約ベースとしては民民ベースの契約でございます。

原口委員 いや、そういう油だって、さっきの大臣の御認識と違うじゃないですか。F76というものは民民で扱える油ですかと。いや、そんなことはあったらまずいんじゃないかな。

 大臣、私もF76のいろいろな経緯を見てみました。相当力を入れていますよ、これ。それは軍事秘密とまでは言わないにしても、それはだれでも使える、民間でも使えるという話の油かなと。私は、これはまた別の機会に議論をしてみたいと思います。

 もう一つ言うと、海上阻止活動をやるためには旗国の同意というのが必要なんですよ。対テロリスト、テロリストを捕まえるということでも、やはり海上の自由航行、これが何はともあれ日本の最大の国益ですから。

 では、ここで疑問になるのは、北朝鮮や当時のサダムのイラク、あるいはイラン、シリア、こういう国々の旗国の同意はとれているんだろうか。とれていないとすれば、北朝鮮の旗を立てている船はここを素通りできる、いや、いわゆる乗り込むことが我が方からいうとできないという形になるわけですけれども、ここは同意はとれているんでしょうか。

高村国務大臣 そういう国との間に包括的同意があるというふうには承知をしておりません。

 ただ、今まで、海上阻止活動で乗船検査などをやった件について、国際場裏で我が国の主権が侵された、そういうような申し立てがあったことは、私は寡聞にして知らないわけであります。

原口委員 要するに、同意はとれていないわけですよ。とれるわけないですよね。アメリカとイラクは、サダムのイラクが、その間で公海上のさまざまな協定を結べる関係にあったか。あるいは、北朝鮮とは国交もない。とすると、その旗国の同意はとれない。対テロ戦争といいながら、ブッシュ大統領がテロ支援国家とおっしゃったその国々の船は、その旗を立てている船はとめられないということになるんじゃないか。

 もう一つ私が驚いたのは、この間の高村大臣、予算委員会での御答弁ですが、私たちはずっとOEF・MIOに参加しているんだというふうに理解をしていました。OEFとOEF・MIO、いわゆる海上阻止活動というのは根本的に違う。まさか私たちが給油をした油がアフガンの空爆にまで使われていたというふうには、なかなかそういう説明というのは今まで受けてこなかったと思う。一回でも聞いただろうか。随分私も議事録を見ましたけれども、OEF・MIOのことを一般的にOEFと言ってきた答弁はありますよ、だけれども、アフガンに対しての空爆まで私たちが授権をしていたという意識で議論はしていなかったんじゃないか。その辺、高村大臣、いかがですか。いや、それは、そういうこともできたんだけれども、あえて言いませんでしたということなのかどうなのか、御答弁をいただきたいと思います。

高村国務大臣 六年前、この法律ができたときの審議には、少なくとも私は、本会議では賛成したと思いますけれども、委員会に所属しておりませんでしたので、当時どういう議論が行われたかというのはつまびらかでないわけでありますが、まさに、この法律そのものは、OEF・MIOだけではなくてOEF一般にできる法律になっておりますから、私はそれなりの審議は行われたのではないかな、こういうふうな感じを持っております。

 最近の例でいえば、平成十七年十月十七日、テロ・イラク特委で細田官房長官及び大野元防衛庁長官がそのように答弁しているというふうに聞いております。私はまだ見ているわけじゃありませんが、そういうふうに聞いております。

原口委員 だから、私は、そのことが今までちゃんと説明していないとかそんなことを言い募る気はないんです。だけれども、先ほどの油の件も、それからポール・ハミルトンの件も、何を一番私たちが危惧をしているか。国際貢献をしたい、平和を維持したい、アフガニスタンの復興をしっかり支援したい。そこは同じでしょう。しかし、その過程において、本当に文民統制というのはきいているんだろうか。

 油の随意契約をきょうこうやって話をしましたけれども、石破大臣とあの洋上に行ったとき、自衛官の皆さんはもう汗だくでしたよ。私たちも急峻なあの「ましゅう」の階段を何回も上りおりして、ああ、こんなものなのかと。三名の大切な命が失われています。それに対してこれは何なんだろうと。こんなことを国民に説明できるだろうかと。しかも黒塗りで。

 私、さっきの、なぜ黒塗りかという、マラケシュ条約にも予決令にも会計法にもこれは違反するんじゃないかということを言いましたら、さっきの大臣答弁よりももうちょっと後退したもので、いや、こういうのを公開するとテロリストがねらうからと言うんです。テロリストがねらうんだったらこっちにすればいいじゃないですか。DESCに頼んで、あるいはDESCにお金を上げて、そして油を買えばそれで済む話じゃないんですか。私は、あのインド洋の、あの激烈な暑さの中で頑張っていらっしゃる方々の思いを一緒に共有して、これで申しわけないと思ったんですよ。それで質問しているんですね。

 私はぜひ大臣に、きょうの守屋さんの話がさっきありましたけれども、個別の事件については私はわかりません。しかし、調達をめぐるこういうことが起きてくるというのは、日本の安全保障にとっても、あるいは日米同盟にとってもいい話じゃないです。その開示の基準を変えるということをお約束いただけませんか。

石破国務大臣 調達改革というのは、実は私、前の在任のときに手をつけました。十分な実効を上げたと思っていません。本当にこれは国民の税金の使い道としてまともなのかねということはちゃんと議論しなければいけない。そして、それが本当に防衛の実効あらしむるものであり、現場で本当に命をかけてやっている自衛官の信頼にこたえるものでなきゃいかぬ。

 調達改革は徹底してやります、これは。そこにおいて、何を開示するかしないかということ、そして調達方法をどのようにするかということ、適正な競争が働いているかどうかということにつきましても、これがあるべき調達の姿だということをまとめたいと思っています。

 これは、私を長としますチームもございますが、昨日、寺田政務官を長とします特別のチームを発足いたさせました。これは、今まで役所では検討しますとかいうことで終わっていたんですが、もう検討するだけではだめで、成案を得て、これをこのようにする、ビフォー・アフターじゃありませんが、今までこうであったものがこう変わったということをきちんと示さなければならないと思っています。

 これは、お役所がどうのこうのというより政治の責任だと思っておりますので、私、そしてまた副大臣、政務官、みんなでこのことに取り組んで、委員の御指摘も、私は個人的には首肯し得るところがたくさんございましたので、私がきちんと御説明をいたしたいと思っております。またこういう機会をお与えいただければ幸いであります。

原口委員 やはり最大の改革は情報の開示ですよ。ブラックボックスになるからそこで外に言えないことが起こり、ブラックボックスになるからあらぬ御心配を国民にかけるということになると思います。今の大臣答弁を一定の評価をしておきたいと思います。

 さてそこで、私たちは、武力行使と一体とならないという憲法の範囲の中で、それはアメリカとの同盟関係であろうが、あるいは集団安全保障であろうが、しっかりとした責務を果たすべきだ、こう考えています。そして、できるだけ、武装した自衛隊を外に出すときには幾つも幾つもの文民統制や条件があるべきだ、このように考えています。

 そこで伺いますが、ISAFについてでございます。

 これは、前の安倍総理がNATOで演説をされて、ISAFについて、「国際治安支援部隊(ISAF)と日本は力を合わせ、六万人の旧アフガニスタン兵士の社会復帰を果たしました。戦場から家に帰る父親の一人一人が、アフガニスタンの家庭にとって希望の光だからです。」という演説をなさいました。そこで安倍総理は、このISAFについて、具体的な支援のやり方についても少し踏み込んで演説をなさったかと思っております。一つはPRTですね。「NATOの地方復興支援チーム(PRT)が実施する人道活動との協力を強化します。」という演説をされたと思います。

 私たちの小沢代表がISAFに言及をして、小沢代表の頭の中にはペシャワール会のあの中村医師の活動があるんです。中村さんは、アフガニスタンの健康を守るために、命を守るために一生懸命活動されておられます。しかし、その中で、実際は水のインフラがないということで、井戸を掘ったり、水路を掘ったりする活動をなさっています。そういう活動は、この海上の阻止活動と比べるという話じゃないのかもわからないけれども、大変大事なんじゃないか、そういう活動は日本はもっともっとやれるんじゃないかというのが小沢代表の考えだと思うんですが、事実について伺います。

 安倍総理はISAFについてどのようにしたいとNATOで表明されて、お約束をされたのか。それは約束なのか、そうじゃないのか、教えてください。

高村国務大臣 安倍総理の演説は、ISAFあるいはPRTへの参加について述べたものではない、こういうふうに承知をしております。

 安倍総理の演説は、アフガニスタン支援への我が国のコミットメントを表明した上で、道路、農業分野を中心とした同国の開発戦略支援、非合法武装集団の解体や警察能力強化、あるいは教育、医療、衛生分野におけるPRTの人道活動との協力、国境管理能力強化に取り組んでいくこと等を述べたものだと承知をしております。

原口委員 私もそのときの演説を手元に持っていますが、外務大臣がおっしゃるとおりだと思います。

 そうすると、私たちはこのことを法律をもってしなくても今でもできるのか、それとも、安倍総理がおっしゃった中には新たな法律をつくらなければできないものがあるのか、その辺について伺いたいと思います。

高村国務大臣 基本的に、法律をつくらなくとも、ISAFに参加するなら別ですよ、参加するなら別ですけれども、協力するということは、民生分野でそれはできると思います。

原口委員 とても大事な答弁だと思います。

 ちょうど一カ月半ぐらい前にミャンマーへ行ってきました。ミャンマーの軍事政権、非民主的な政権。しかし、ミャンマーの中で私たちはNGOの支援に行ったんです。NGOは、農村復興、それから教育、保健、そういう医療の活動に携わっていました。そういうことをふやすことによって、迂遠に思えても、結局、教育が普及することによって貧困から脱することができる、教育が普及することによって民主主義が何たるかということが理解をできる。

 大きな空爆、今私が非常に危惧をしているのは、九月六日に行われたイスラエルのシリア空爆であり、今、世界の中の大変大きな懸念事項となっているイランの問題でございます。私は、二度とイラクのような、あの寛容なアメリカが九・一一でそれまでのアメリカと随分変わりました。アメリカがイラクに対して軍事行動することを私たちは最後まで反対しました。この質問で最後にしますが、イランの今の現状についてどう思っていらっしゃるのか、これが一つ。

 二つ目は、これは、石破大臣と筆頭理事を務めさせていただいた前回のイラク特で、私たちは附帯決議をとっています。それは、アメリカのあのイラク戦争を支持した日本政府の姿勢について総括をすべし、これは一致して附帯決議を通しました。どのような総括をされたか。

 二点質問をしたいと思います。

高村国務大臣 イランはある意味で日本の友好国でもあるわけでありますが、今、核開発を続けている、民生分野だとイランは言っておりますけれども、極めてそうでない疑いが強い。そういうことで、国際社会でその核開発を阻止すべく、みんなでそれを説得しているところでございますが、ぜひイランには核開発などというばかなことはやめてもらいたい、こういうふうに思っているところで、日本も国際社会と連帯してその努力をしているところであります。

石破国務大臣 委員と一緒にイラク・テロ特の筆頭理事を務めておりましたときに附帯決議をつけました。あのときには「検証を行う」という言葉で合意をしたかと思っています。

 私は、この政府判断は何で行われたのか、なぜアメリカの情報をうのみにするようになったのかということについては、政府の情報収集能力ということ、これに相当の問題があったと思っております。

 他方、イギリス、フランス、ドイツ、いろいろと支持の姿勢が違いました。それは、おのおの持っておる国益が違いますもので、支持する、しないというスタンスにおのずから相違が出たものだと思っております。

 私は、政府全体として検証委員会というものをつくったわけでもなければ、評価をしたわけでもありませんが、私はどうしたわけか政府の方に入ってしまいましたので、ここのところはその二点において議論しなきゃいかぬのだろうと思っております。

 一点の情報の体制につきましては、これは自民党でも議論をし、町村先生がチームの長でおまとめになりました。情報の収集、それから、委員がどこかでおっしゃいましたように、では、その情報の体制を整えたとしてだれがそれをコントロールするのか、これもある意味で文民統制の世界に近いんだと思っているんですね。では、それは議会ということになるとするならば、そこの保秘体制というのはどうなんだろうということも含めて、これは政府のみならず議会ともきちんとした議論をさせていただきながら、この検証、次回同じことが起こった、起こっちゃいかぬのですけれども、では、同じ対応をとるのかといえば、少なくとも体制において相違があるべきだと思っておりますので、またこれも委員会における御議論を拝聴できれば、そして参加させていただければ幸いでございます。

原口委員 終わります。ありがとうございました。

嘉数委員長 赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、きょうは、米軍再編の問題について、昨日の大臣の所信にかかわって聞いていきたいと思います。

 米軍再編のその問題の中核は沖縄の基地問題ですが、その沖縄では今、沖縄戦の歴史教科書の検定意見、沖縄戦の真相がゆがめられたといって県民の怒りが広がっております。この沖縄戦の問題というのは、実は米軍基地の問題にも深くかかわっている事柄であります。

 それで、最初に、きょうは、高村外務大臣そして石破防衛大臣について、それぞれお二人に、沖縄戦についてどのように認識しておられるか、まず最初に伺いたいと思います。

 高村外務大臣、お願いします。

高村国務大臣 さきの大戦において、沖縄は国内最大の地上戦を経験し、一般住民を含め約二十万人が亡くなられる等、多くの方が犠牲となり、筆舌に尽くしがたい苦難を経験されたと承知をしております。沖縄戦は、このように多数の住民も巻き込んだ極めて悲惨なものであったという認識をしております。

石破国務大臣 私は、初めて沖縄に行って、ひめゆりの塔、そしてその諸施設を見せていただいて、摩文仁の丘に立って、南部戦跡に立って、絶対に戦争というものをやってはならないということは本当に思いました。そして、リマインドするために毎年必ず沖縄に行くようにもしておりますし、子供たちにも、必ず沖縄に行ってそういうのを見るようにというふうに申しております。

 外務大臣からお答えがあったとおりですが、私は、あのときに日本政府がしたことは何だったのかということについてきちんとした認識を持つことが必要だと思っております。文科大臣の所管事項については私がとやかく申し上げることではございませんから、他大臣の所管事項について申し上げることはいたしません。

 だけれども、私は、有事法制のときにこういうお話をしたことを覚えております。あのときに対馬丸が沈められて本土に疎開するという道を断たれた。だとするならば、非戦闘員の方をきちっとそうじゃない地域に避難していただく、それは政府として必要なことだったのではないだろうか。時の沖縄県知事は極めて立派な方であったということは、島田知事でしょうか、そのことはよく承知をいたしておりますが、政府として非戦闘員を避難させるということをやらなかったということは、それは極めて重大なことであるというような答弁をした覚えがございます。

 日本政府として、本当に沖縄の住民の方々にあれがとるべき姿勢であったかどうかということについて、私は、個人的にはきちんとした検証をしなければならぬと思っております。政府として、このことにつきましても、きちんとした理解をしつつ、ふさわしい対応がとられるべきものと思っておりますが、教科書検定につきまして意見をする立場にはございませんことをつけ加えておきたいと存じます。

赤嶺委員 今、政府があの沖縄戦で何をやっていたか検証しなければならないというお話でありました。

 実は、当時政府の代表として沖縄に調査に行っておられたのが高村外務大臣のお父様ですというのは紹介させていただきましたが、その高村さんが当時沖縄で何を見てきたか、「細川日記」の中に詳細に書かれているんですよ。

 それを読みますと、政府が、沖縄県知事が非戦闘員の避難の措置をとらなかった問題じゃないんです、日本の軍隊が県民に避難を許さず、そして非戦闘員を戦闘員として徴発して、あの太平洋戦争の、最後で最大規模の地上戦に巻き込んでいった。そういう軍部の問題点というのが厳しく指摘されていて、あの当時、戦争の行われていない地域に非戦闘員が避難するというのは不可能でありました。沖縄全土が戦闘地域というか、離島まで含めて逃げるところは何もなかった。そういうところで捨て石作戦という持久戦をやった。あれだけの被害が出たんです。そこから軍の強制が生まれたということを私は申し添えておきたいと思います。

 それで、沖縄に上陸した米軍、これは一九四五年四月一日ですが、上陸した直後から直ちに現在の普天間飛行場の建設に着手をします。さらに、沖縄戦が終わった後も、県民を収容所に囲い込んだまま県内各地に米軍基地を建設します。普天間飛行場、嘉手納飛行場、あんな狭い沖縄に何で二つも飛行場をつくったんだ、まさに地主が収容所に囲まれていたときに強引につくったからであります。収容所から住民を解放した後も、銃剣とブルドーザーによる土地強奪で広大な基地を建設し、そして、米軍の直接統治下で太平洋のキーストーンなどと私たちは何度も呼ばされてまいりました。ベトナム戦争のときには侵略拠点基地にされ、施政権が返還をされた一九七二年から今日まで、当時と変わらない基地の負担と苦しみを押しつけられてきているわけです。

 ところで、石破大臣の昨日の所信表明を聞いていましたら、沖縄が抱えている米軍基地問題について一言も触れられていないわけですが、それはなぜでしょうか。

石破国務大臣 米軍再編の中でそのことを触れたつもりでございます。当然、沖縄の負担を軽減していかねばならないということは日本政府挙げてやっていかねばならないことでございまして、米軍再編という言葉、グローバル・ポスチャー・レビューと申し上げてもよろしいのかもしれません、私はトランスフォーメーションという言葉が必ずしも適合すると思っておりませんものですから。その中において、では、本土は何をするべきか、そして、いかなる金銭的な負担も含めて負うべきかということも含めて、日本全体で負っていく中において、沖縄の負担を軽減するということを考えねばならぬ、米軍再編という中でそのことを申し上げたつもりでございます。

赤嶺委員 私は、外務大臣の所信表明が沖縄の問題を正確についているということは申し上げませんけれども、いろいろな問題点がありますが、それでも沖縄という文字は米軍再編の中で出てくるんですが、石破大臣の所信の中には出てこないんです。ただ、今、米軍再編の中で沖縄の問題も考えていくとおっしゃいました。

 その米軍再編の名によって、現実に沖縄で進められていることは何かという問題について聞きますが、当初、最初に問題になったのが嘉手納基地の負担の軽減でありました。ところが、嘉手納基地にはPAC3ミサイルが配備され、F22の戦闘機が暫定的に配備され、そして、これまではSACO合意によって伊江島飛行場で実施されるとしていたパラシュート降下訓練、ことし一月にも、私取り上げましたが、きょう再び実施されようとしています。

 こういう、SACO合意で伊江島で行われるということになっていたものまで嘉手納基地で行われる、こんなことが実際に沖縄の米軍基地では起こるわけですよ。米軍再編で負担の軽減だということを何度繰り返してみたところで、日米間の合意さえ守られていない、守られない。こういうことが県民から見たら負担の軽減と映る、このように防衛大臣は考えておられるのですか。

高村国務大臣 米側は、SACOの最終報告に沿って、パラシュート降下訓練を基本的に伊江島補助飛行場において実施してきているわけであります。一方で、米側によれば、伊江島については、天候面での悪条件等、訓練実施に対する制約のため、過去半年間、当該訓練を実施できないことが多く、訓練所要を満たさない米軍兵士が生じているということであります。

 こうした事情を踏まえ、米側は、本日午後三時三十分ごろ、嘉手納飛行場において、人命救助のための態勢維持のため、救難隊隊員十二―十四名によるパラシュート降下訓練を実施するということであります。

 政府といたしましては、日米安保条約の目的達成のため、米軍が訓練を通じて即応態勢を維持する必要性があることは理解をせざるを得ないわけであります。

 パラシュート降下訓練については、日本政府は、SACO最終報告に沿って、引き続き、基本的に伊江島補助飛行場を使用することを確認しており、嘉手納飛行場はあくまで例外的な場合に限って使用されるものであります。

 政府としては、SACO最終報告に従って、パラシュート降下訓練を伊江島飛行場において実施するよう今後も米側に働きかけていきたい、こういうふうに思っております。

赤嶺委員 パラシュート降下訓練というのは、米側の目的が何であれ、沖縄県民にとって大変危険な訓練であるわけです。現に、この降下訓練が行われている伊江島では、物資投下訓練も行われ、コンクリートの塊が落ちてくるような事故、あるいは兵士が畑に落ちてくるような事故、そういうのも繰り返されているわけです。

 伊江島飛行場では、一昨日もC130輸送機のタッチ・アンド・ゴー訓練が繰り広げられている。あんな小さな島で、米軍が求める訓練は何でもやらせようというのが大もとで間違っているんですよ。もうあそこの訓練というのは限界に来ているんですよ。それでも日本政府の側は理解を示したら、県民にとって負担の軽減に全くならないじゃないですか。違いませんか。

高村国務大臣 個々の例についてはいろいろあると思いますが、全体として沖縄の負担軽減を図るということが大切だと思っておりまして、一番今負担になっている普天間、危険きわまりない普天間飛行場を移設するということが私は沖縄県民にとっても一番大切なことだと思いますし、そして、八千人の海兵隊員をグアムに移転する、その家族とともに移すということも大切ですし、嘉手納以南の基地を少しでも返還する、そういった全体的な意味で沖縄の負担軽減を図れるように全力を尽くしていきたいと思っております。

赤嶺委員 嘉手納の負担軽減から米軍再編の話は出発したんですが、肝心の嘉手納は負担の拡大につながっている現状、高村外務大臣は御説明できませんでした。

 それで、辺野古の問題ですが、その辺野古の問題についても、いわば沖縄県や地元名護市からはいまだに同意を得ていない状況にあるわけです。なぜ同意を得られない状況にあるのか、これは防衛大臣、どのように認識しておられますか。

地引政府参考人 普天間の移設につきましては、現在の政府案というものは、生活環境や自然環境、実行可能性についてのバランスが巧妙に保たれた、さらに地元の名護市、宜野座村からの要請を受けて合意し、それを踏まえまして、昨年五月のロードマップで米側と合意したものであります。

 さまざまな観点から最も理想的なものとして決定したものであり、沖縄県また名護市等に対して、今までいろいろな形で誠意を持って御説明しているということでございますけれども、なかなか御理解いただいていない。

 また引き続き誠意を持って御説明をしながら、御理解を得ていきたいというふうに考えている次第でございます。

赤嶺委員 なぜ理解が得られないか、答弁が不能なようであります。沖縄県民の方が米軍の基地の運用がどういうものであるか体験的に知っている……(発言する者あり)これが、今、最後の質問になります。辺野古の滑走路をV字形にして、住宅地上空を飛ばないと説明してもだれも信用しないわけです。

嘉数委員長 赤嶺委員、簡潔にしてください。

赤嶺委員 はい。答弁者が出てくるのが非常に遅いものですから、その分の質問を簡潔にしたいと思います。

 米軍は繰り返し、住宅地上空を飛ばないという約束はできないと言ってまいりました。久間元大臣も、緊急時の場合の双方向着陸に言及し、上空を飛行することもあり得ると私の質問に対して述べました。石破大臣、この問題、どう考えますか。

石破国務大臣 それは、緊急時はそういうことはあり得るんだろうと思います。緊急時にそこを飛ばなければ、より重大な事態を招来するということもあるわけでございます。絶対に一〇〇%飛ばないかといえば、それは緊急時、もっと大きな災厄を避けるために、そういうことは全く排除されるわけではない。

 しかしながら、住宅地の上を飛ばないということをぎりぎり考えてあのV字形というものができた。そして、それを使うことによって、そして飛行経路によって、通常時は、つまり、逆に申し上げれば、よほどの緊急時が起きない限り、そこを飛ばなければもっと重大な事態が招来されるということでない限りそこは飛ばないということであって、それは、あらゆる事象においてそういうことは言われることなのだと思っております。

 基本的に、久間大臣の認識と私は変わりません。

赤嶺委員 結局、パラシュート降下訓練もSACOで合意したけれども、いずれは破られる。それからV字形も、住宅地上空を飛ばないとしたけれども破られる。

嘉数委員長 赤嶺委員、時間です。

赤嶺委員 米軍の運用というのはそういうものだ、これが合意を得られないことになっているんだということを指摘して、私の質問を終わります。

嘉数委員長 辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 きょうは、米軍再編、特に、今赤嶺議員からも指摘がありました、沖縄・辺野古の新基地建設問題について質問をしたいと思います。

 その前に、赤嶺議員が歴史認識の問題を防衛大臣にも問われました。今ホットな問題で、この沖縄の集団自決に対してどういう認識を持つかということは非常に大事な問題だと思っておりまして、一問だけ、ちょっと関連でお聞きしたいと思います。

 防衛大臣は、過去の過ちをしっかり反省した上で今防衛大臣という任におつきになっていると思います。ですから、特に防衛大臣の歴史の事実に対する認識というのは、私は日本のほかの大臣よりも大事だなというふうに認識しております。

 今、沖縄の県知事初め、県会議長は自民党の方ですけれども、この間からも上京されて、どういう点が争点になっているかといいますと、過去の集団自決について、日本軍の命令、強制、誘導があったというのが沖縄の主張です。

 これは、手りゅう弾を住民が持っていたということ自身、手りゅう弾をだれか配れと言って、何のために配るかということですから、もうその事実をもっても、そして多くの証言がこれを裏づけているということで、この点をあいまいにしようとした検定であるから問題だというふうに沖縄の皆さんは主張されていると思います。

 私は沖縄の皆さんの主張の方が正しい歴史認識じゃないかと思っていますけれども、石破大臣、いかがでしょうか。この集団自決に関して、日本軍の命令、強制、誘導があった、普通はこう考えられると思いますが、御認識を一点だけ関連で伺いたいと思います。

石破国務大臣 文部科学大臣の所管でございますので、私が申し上げるべきことではないと思います。

 ただ、手りゅう弾というものを民間人が手に入れられるかといえば、それは手に入れることはできないでしょう。強制、関与、あるいは、その言葉の使い方にもよりますが、全く民間人が自発的にそのようなことを行うということは極めて考えにくいことだということはあるのだろうと思います。

 いろいろな立場からきちんとした検証がなされて、あるべき教科書をつくる、そしてまたそれに政治が関与をしないという形で、どうすれば一番いい形ができるだろうか。私は、防衛大臣として申し上げることではないけれども、それがいい方向に行くように願っておる一人でございます。

辻元委員 これはよく認識を持っていただきたいと思います。日本の国民を守ると大臣もおっしゃっていますけれども、守らなかったというようなことがかつてあった。これは、どういうような認識を持つのかというのはごまかせない話だと思っています。ですから、これは引き続きまた。

 そういう沖縄の立場で、沖縄の皆さんの今のお気持ち、先週も百六十名の方が来られていまして、私も県民集会に行ってきたんです。十一万人の皆さん、党派を超えてのお気持ちでした。そしてさらに、今また基地問題ですよ。ですから、過去からずっと引き継がれてきている中で、この辺野古の問題をお聞きしたいと思います。

 所信で、石破大臣は、地元の声によく耳を傾けとおっしゃり、高村外務大臣も、沖縄を初めとする地元の切実な声に耳を傾けとおっしゃっておりました。傾けていらっしゃるのかどうか、質問したいと思います。

 ちょうど一年前の四月七日に、名護市長及び宜野座村長と、普天間飛行場代替施設の建設に係る基本合意、この中で、それぞれの地域の陸地の上空の飛行ルートは回避するという合意をされているわけですね。今もこの合意の認識でよろしいですね、大臣。

石破国務大臣 その認識に変わりはございません。

辻元委員 次に、先日、普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書というのを政府はお示しになりましたけれども、この中でも、この影響評価の前提として、周辺の集落の上空は飛ばないものという大前提でこの方法書をおつくりになっているという認識でよろしいですね。

石破国務大臣 名護市及び宜野座村の地域の上空の飛行を回避するという考えに基づきまして方法書は作成いたしたものでございます。

辻元委員 次に、昨年、名護の市長を初め、上京されまして、この合意書を結ぶまでの過程で、非常に御本人も苦悩されている様子がニュースなどでも伝わってきておりました。

 その中で、本委員会でもこのことを並行して議論しておりました。ちょうどその一週間ほど前の五月三十日に、本委員会で、政府側の答弁、名護市あるいは宜野座村からその上空を飛ばないでくれという要望があって、政府としてはその点を最も重要視してアメリカと調整したいというような旨の答弁をされています。

 ということは、アメリカとはこのそれぞれの自治体の長の要望に沿った交渉をしたという認識でよろしいですか。

石破国務大臣 そういう認識でよろしいかと思いますが、さらに防衛政策局長から補足の答弁をいたさせます。

金澤政府参考人 そのとおりでございます。十七年の十月のいわゆるL字案では、滑走路一本だったわけでございます。それを、その翌年の十八年五月一日の2プラス2で二本の滑走路にし、それをV字形に配置するというその過程で、御地元の要望というのは十分アメリカに伝え、アメリカもそれはよく認識していたわけでございます。

辻元委員 ここ、先ほどの合意文書があるわけですけれども、そういうことはもう一回ちょっと確認させていただきたいと思います。

 この合意文書を結ぶ前に、アメリカ側から、明確な回答として、周辺集落の上空は飛ばないという回答を得たからこの合意文書を結んだという認識でよろしいですか。

金澤政府参考人 四月七日に、市長あるいは宜野座の村長さんと合意しているわけでございます。そのころは、2プラス2に向けて、また、かつ地元の御要望を入れるべく非常にインテンシブにアメリカ側と交渉、協議をしておりました。その過程におきまして、先ほど申し上げましたように、地元の住宅の上を飛んでほしくないという要望、これは十分アメリカも理解しておったわけでございます。

辻元委員 その理解しておったというのは、アメリカから、それに合意する、アグリーするということで、その理解と、それで約束を取りつけたというのは違うと思いますけれども、それでは、いつ、どの会議で、だれとだれがその約束をしたのならばしたんですか。

金澤政府参考人 そのころは、先ほど申し上げましたように、最終的なアメリカとの2プラス2に向けて、非常に緊密に、回数も何回も何回も、いろいろなレベルでアメリカ側と協議、交渉しておりました。これは一種の国家間の交渉、協議でございますので、何月何日にだれとだれが会って、そこでこういうことを話したというのを一々つまびらかにするというのは適当ではないと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、アメリカ側は2プラス2でいわゆるV字を合意したわけでございます、大臣レベルで。

 なぜかと申しますと、V字というのは、そもそも、地域住民あるいは首長さんたちが、自分たちの住宅の上を飛んでほしくないという要望に基づいているものでございますので、当然アメリカ側もそのことはわかっているわけでございます。

辻元委員 また当然わかっていたものと考えますという、先ほどから給油の問題でもそういう話があったんですが、この七日に合意するとき、同時に、六日、七日と東京で日米の協議が行われていたと思いますけれども、その協議が同時に東京で行われていたという事実はありますか。その事実があるかないかだけで結構です。

金澤政府参考人 六日、七日に限らず毎日のようにやっておりましたので、今六日、七日はどうかと言われてもはっきり、きっちりはわかりませんけれども、毎日のようにやっておりました。

辻元委員 きょうお配りしている資料をごらんになっていただきたいんですが、これは、六日、七日同時並行に、アメリカの側は第三海兵隊遠征軍の、セレック大佐が参加しておる、日本の翻訳の方を見ていただければわかりますけれども、それ以外に、太平洋軍司令部、在日米軍、米国国務省などが参加し、その会議の報告を第三海兵隊遠征軍の司令官に送っている、そのアメリカ軍の公文書です。ここには、当時名護の市長などと合意した、そのときに行われていた協議の内容が詳細に報告されています。そこで、こうなっております。

 最大の難点は、提案された滑走路の位置に関することであった。航空機が陸地の上空を飛行するようなことはいかなる状況においてもないと示唆しており、すべてのパターンは海の上に示されていた。我々は、最大限可能な限り回避するようにしても、航空機が陸地の上空を飛行する場合はあり得ると反論した。防衛庁は、断固として陸地の上空に飛行経路を示したくないようであった。

 その後、こうなっています。

 最重要点は、地元沖縄の人々に対してオープンでなければならない、公表されなければならないという必要性を米国は感じており、この計画に対する地元沖縄の人々の容認がこの飛行場の建設における運用上の必要条件と結びついているからである。もしこの計画のすべての側面が明らかにされないなら、この計画は失敗に終わるだろう。

 要するに、飛ぶ可能性があるということを言っています。反論したとまで言っているわけですね。そして、そのことをはっきり沖縄の皆さんにオープンしないと、オープンしてほしいと言っていますよ、これは。これは公文書です。裁判に提出された、国防総省が裁判所に提出した公文書ですから、何か怪文書とか、何か偽造の文書ではございませんので。こういうようにアメリカが主張していたんですか。

 それで、これと同時に名護市長と合意書を結んでいるわけですよ。これは十日にこんな報告をしているわけですよ。ですから、日本政府は、一貫として地元に対しては飛ばない飛ばないと言い、アメリカ側は、これは運用上というか、先ほどのこの言い回しでは緊急時だけではないですよ、非常に強い可能性を持って飛ぶ可能性があると言い、そしてさらに、それを沖縄県民にオープンにしないと、これは失敗するかもしれぬからと強く言っていますよ。こういう事実はありましたか。

金澤政府参考人 今先生がおっしゃった文書というのは、カリフォルニアにおける、いわゆるジュゴン訴訟で提出された文書だというふうに思っておりますけれども、これは、いわばアメリカの部内の文書であり、かつまた、特定のアメリカ側の担当者からの指定に基づいて書かれているものでございますので、これについて直接こうだああだと言うのは差し控えたいと思います。

 一般論として、日米の協議の中でも、日米共同の認識として、一切陸上の上は飛ばないんだという認識が日米ともにあったわけではございません。それは先ほど、例えば大臣が申し上げたように、緊急時は当然除外されるし、また、その他の場合、訓練の形態等によっては当然飛ぶというようなことはあり得るわけでございます。それは当然の前提でございます。

辻元委員 このときに、額賀2という案とかV字とかいろいろ検討されていたことは私も承知しているんです。しかし、一貫としてアメリカは、陸上も飛ぶぞということをちゃんと沖縄県民に説明するようにという姿勢なんじゃないですか。それはどうなんですか。

金澤政府参考人 先ほど申し上げましたように、私ども政府は、一切地上部分は飛ばないよ、住宅の上は絶対飛ばないんだと申し上げているわけではございません。その点でアメリカ側と認識のそごはございません。

 現に、先ほど申し上げたように、これまでも、またきょうも大臣の方から、一定の場合は、例えば緊急時は上を飛ぶことはあるんだ、それは当然だということを申し上げているわけでございます。

嘉数委員長 辻元清美さん、時間ですから簡潔にしてください。

辻元委員 そうしたら、日本政府の認識を最後に一問聞きます。

 緊急時は飛ぶ可能性があるというのが先ほどからの答弁ですけれども、訓練では一切ないということですか。

 要するに、どういうことかといいますと、それが一点と、それから、先ほどアメリカの文書ですからとおっしゃいましたけれども、アメリカがこういう認識であるとしたら、日本の認識と違うんじゃないですか、これは。確認されるべきじゃないですか。

 それと、環境影響評価は、飛ばないということで環境影響評価書の方法書を出しているわけですよ。そうすると、飛ぶ可能性があるということも含めて環境影響評価の方法書をつくり直すべきだと思いますよ。いかがですか。

金澤政府参考人 先ほど申し上げましたように、V字案自身が地上の飛行を回避しようという考えでできているわけでございます。(辻元委員「考えじゃない」と呼ぶ)ただ、その目的のために。このことは、一切地上の上は飛ばないんだということを意味しておりません。住民の皆様方にもお示ししております今の飛行パターンは、通常の場合における飛行パターンであって、すべての飛行機、あそこを使う飛行機なら飛行機のパターンが全部あの線の上に載っているというものではございません。一般的な通常のパターンでございます。(辻元委員「環境影響評価はどうなんですか」と呼ぶ)

 それから、環境影響評価は、いわゆるV字の案を前提に提出されておりますけれども、これは先ほども申し上げましたように、V字の案というのは、基本的に地上の上を飛ばないという、それを前提にV字でございますから、当然、地上の上は基本的に飛ばないという前提で出させていただいているわけでございます。

嘉数委員長 時間です。

辻元委員 またこれは引き続き行いたいと思いますけれども、前と大分答弁が違いますね。きょうは、はっきり飛ぶということをおっしゃったんですよ。今まではずっと飛ばない飛ばない、途中からちょろちょろちょろちょろ緊急時はという話になって、きょうは、私は今までの答弁と違うと思いますよ。もう答弁は結構ですよ。時間でしょう。引き続きやります。

嘉数委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十五分散会


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