衆議院

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第2号 平成20年2月22日(金曜日)

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平成二十年二月二十二日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 嘉数 知賢君

   理事 今津  寛君 理事 北村 誠吾君

   理事 武田 良太君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 山口  壯君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      安次富 修君    赤城 徳彦君

      大塚  拓君    瓦   力君

      木原  稔君    木村 太郎君

      薗浦健太郎君    寺田  稔君

      浜田 靖一君    細田 博之君

      山内 康一君    山崎  拓君

      岡本 充功君    北神 圭朗君

      神風 英男君    園田 康博君

      津村 啓介君    長島 昭久君

      鳩山由紀夫君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   防衛大臣         石破  茂君

   外務副大臣        小野寺五典君

   財務副大臣        森山  裕君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福島 克臣君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    末井 誠史君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   真砂  靖君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   藤岡  博君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            石橋 幹夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 佐々木達郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   安全保障委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  馬淵 澄夫君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  北神 圭朗君     鳩山由紀夫君

同日

 辞任         補欠選任

  鳩山由紀夫君     岡本 充功君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  園田 康博君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

嘉数委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官福島克臣君、内閣府沖縄振興局長清水治君、警察庁刑事局長米田壯君、警察庁交通局長末井誠史君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省国際法局長小松一郎君、財務省主計局次長真砂靖君、財務省理財局次長藤岡博君、海上保安庁警備救難部長石橋幹夫君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省大臣官房技術監佐々木達郎君、防衛省運用企画局長徳地秀士君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君及び防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

嘉数委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

嘉数委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。

仲村委員 私は、最初に、十九日の未明に発生したイージス艦「あたご」が漁船清徳丸に衝突して漁船を真っ二つに破壊し、乗組員の吉清さん親子が行方不明になっている件に心を痛め、御家族の方々の御心労を考えると、身のつまされる思いで、一刻も早く行方不明の親子二人が発見されることを祈っているところであります。

 ただ、私は、この事故が報道されたときに、大気圏外の弾道ミサイルを撃破できるような高性能を持つイージス艦「あたご」が、二、三百メートル先の漁船を察知できずに事故を起こしたことに、一体これはどうなっているのかという、ただただ大きな疑念とむなしさを抱かざるを得なかったのであります。

 この件について、我が党は、来週二十六日の委員会で質問することになっていますので、私は、きのう遭難者の御家族をお見舞いに行かれた石破防衛大臣のこの事故に対する所見をまずお尋ねすることにとどめ、火曜日の質問者にお譲りしたいと思っております。

石破国務大臣 まず、このたび、あってはならない事故が起こったことにつきまして、防衛大臣として心から申しわけなく思っておる次第でございます。

 委員御指摘のように、海上自衛隊の持つ最新鋭の護衛艦がこういう事故を起こした、もちろん、どんな船でも事故を起こしてはならないのは当然のことでありますが、最新鋭の高性能な船が何事であるかということについて、私どもも極めて重大な認識を持っております。

 きのう現地へ参りまして、御家族、御親族、組合関係の皆様方あるいは行政関係の皆様方にお目にかかり、ごあいさつをしてまいりました。

 第一に、委員御指摘のように、行方不明のお二人の捜索に全力を挙げる、海上保安庁あるいは地元とも協力しながら全力を挙げる、これが何といっても一番です。二番目に、原因というものはこれから究明されることになりますが、そのことについて、私どもとしてもできる限りのことをしなければならない。それを踏まえて、再発防止、それを踏まえなくてももっと現場で徹底できることがたくさんあるだろうということが三つ目でございます。四番目は、私に対する報告あるいは総理に対する報告。私は人ごとのように申し上げるつもりはございません、それは私も当事者でございますから。この体制そのものがどうなのだということは、やはり根底から見直していかねばならないことだというふうに考えております。

 なお、行方不明になっておられるお二人の御家族、妹さんであり、あるいはいとこさんでありお嬢さんであり、そういう方々から本当にいろいろな思いをお聞きいたしました。それを踏まえて、今申し上げたようなことに全力を尽くさねばならないというふうに思っております。

 重ねまして、あってはならないことが起こったことにつきまして、本当に申しわけなく思っております。

仲村委員 一刻も早くこの行方不明者が発見されることを祈ってやみません。

 次に、二月十日に沖縄で米兵による十四歳の中学生少女に乱暴する事件が報道されたとき、私たち沖縄県民は、またかと、腹の底からの怒りが込み上げてきました。この種の事件が起きるたびに、米軍当局は県民の抗議に対して、二度とこのようなことが起こらないようにしますという答えをしています。しかし、このような、二度とという話は、その場限りの安受け合いの返事としか受け取れません。その返事の舌の根も乾かぬうちにまた次の事件が起こるという現状を、石破防衛大臣と高村外務大臣にその所感をお尋ねしたいと思います。

石破国務大臣 委員のおっしゃるとおりでございます。私どもとして、本当にそのとおりでございますとしか申し上げようがございません。

 昨日、今度離任をいたします在日米軍のライト司令官がお越しになりました。ライト司令官も、本当に、その場しのぎのもの、通り一遍のものであってはならない、徹底してプログラムを見直し、情報を公開し、できる限りのことはしなければならないと沈痛な面持ちでおっしゃっておられました。

 今回の事件は、基地の外に居住する人が起こしたという点、そしてまた、入ったばかりのいわゆる新兵さんが起こしたわけではないという点、その点に従来との違いがございます。私どもとして、沖縄県民の方々、国民の方々が、またかと、今までのは通り一遍のものではなかったのかというような御指摘があることは、当然のことでございます。政府として、また私どもとして、本当に同じ怒りを共有し、そして日米同盟の重要さを思えば思うほど、本当に、情報の開示、そして再発防止策の徹底に私どもとしても主体的な意識を持って取り組んでいかなければ、沖縄の皆様方のこの思いに、国民の皆様方の思いにこたえることにならないというような強い認識を持っておるところでございます。

高村国務大臣 委員と怒りを共有するものでございますが、再発防止策あるいは原因究明、綱紀粛正、そういったことを、本当に実効性のあるもの、そして継続的なもの、委員から前にお聞きしたと思いますが、最初はそれなりにやっても、司令官がかわるとまた全然だめになってしまうとか、そういうようなこともお聞きしましたので、これが継続的にいく、そして、真に何をすれば実効的なものかということを、我々としても関心を持っていろいろ米軍側に求めていきたいと思っています。

仲村委員 今回の少女乱暴事件が起こって県民の怒りがわき起こったのもつかの間、酒に酔った米兵が民家に忍び込んでいって、その民家のソファーに寝ていた、そして酒に酔ってわからなかった、こういう事件も起こっております。その翌日には、米兵が酒気運転で県警に逮捕されるなど、全く無法地帯の状態であります。このような現状は、地位協定も何もあったものじゃないですよ。

 この状態に政府はどのように対処されるおつもりか、石破防衛大臣のお答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 委員御指摘のとおり、一体何だと。これが起こって本当にすぐの時点でそういう住居不法侵入事案あるいは飲酒運転事案が起こっている、それは本当に徹底できているのかということです。つまり、何をやっているのか、基準は一体どういうものなのか、それを守るために何をしているのかということについて正確な認識を持ち、そのことが実効性がないと我々が思うのであれば、ここは改めてもらいたいということを強く言わねばならないのだと私は思っています。アメリカに言って、向こうが、再発防止に全力を尽くします、ここで終わっては何にもならない、それは今外務大臣が答弁されたとおりだと私は思っております。

 こういうことが続けば本当に日米同盟の根幹が揺らぎかねない、その思いをアメリカもきちんと持っていただかなければ、これは同盟として成り立たないのだというふうに思っております。

 地位協定について、委員の御指摘はかねてから承知をいたしておるところでございます。地位協定の改定というのは、私どもとして、今、運用の改善というふうに申し上げておる。それは運用の改善に逃げるということじゃなくて、その運用の改善が本当にきちんとできているのかということについて、私どもは沖縄の県民の方々と同じ思いで取り組んでいかねばならないというふうに思っております。

仲村委員 このような事件が頻発することは、余りにも広大で過密な米軍基地が存在するためであります。全国の〇・六%の沖縄県の面積に全県の一一%の米軍基地、沖縄本島は一九%が米軍基地になっているんです。これがやはり、このような事件を頻発させる最大の原因であります。

 我が国は、日米安保条約六条に基づいて、米軍に基地を提供する義務を負っています。しかし、沖縄県の米軍基地は、安保条約とは関係なく、昭和二十年に米軍が占領して勝手気ままにつくった、占領政策の延長線上のものであり、米軍にしてみれば、日米安保条約も何のその、いまだに占領意識を持っていて、しかも全在日米軍基地の七五%を沖縄県だけに押しつけ続けることが、このような事件を起こす最大の原因であります。

 したがって、米軍再編によって、可能な限り米軍基地の整理縮小を図る必要があります。その場合、やはり沖縄県民の意見をしっかり踏まえて行うべきだと思いますが、石破防衛大臣と高村外務大臣の御見解をお尋ねいたします。

石破国務大臣 専用区域の七五%が沖縄にございます。そして、それは地政学上沖縄にあることも御理解をいただきたいということを言ってまいっておりますし、それはそういう部分もございますが、抑止力の維持と負担の軽減ということをいったときに、では、日本に何ができるか、日本が何をすべきなのかということもあわせてきちんと提示をしていかなければ、負担の軽減にもならないのだと思っております。抑止力の維持と負担の軽減という一種、二律背反のように聞こえることをどのように実現するかということを考えたときに、日本として何ができるのかということをきちんと提示していかなければなりません。

 そして、技術の進歩というものがそれにどのようにかかわっていくか、そして、トランスフォーメーション、それに基づくグローバル・ポスチャー・レビューというものは、やはり世界の状況が変わり、安全保障環境が変わり、戦いのやり方が変わってきたということが根底にございます。そこを踏まえた上で、私どもは、かくかくしかじかこういうわけでということを、きちんと日本として提示していかなければいけないのじゃないでしょうか。

 そして、今、委員初め多くの方々のお力をいただいて、普天間基地の移転というものをスケジュールにのせてやっておるところでございます。それを確実に実行に移すということ、あるいは本土への分散移転というものをきちんとやっていくこと、そういうことを着実に実効性を持って進めていくことが肝要なことだというふうに私は思っておるところでございます。

 沖縄の皆様の御負担を日本全体の問題としてとらえていかなければならない、委員のお考えを私どもも真摯に受けとめて、今後とも努力をしてまいります。

高村国務大臣 今石破大臣がおっしゃったとおりでありますが、普天間の基地を移設する、そして八千人の海兵隊員をグアムに移す、そして嘉手納以南の基地を返却する、日米でそういうような合意ができていることを、沖縄県民の声を聞きながら着実に実行していくということが沖縄県民の御負担を減らすことにつながっていく、こういうふうに思っております。

仲村委員 今おっしゃったように、やはり米軍再編に基づいて、八千人の海兵隊をグアムに移転する、あるいは普天間基地をキャンプ・シュワブに移転するなど、着実にこれを実施すれば、私は、今の七五%が減っていくものだと思っております。しかし、この問題について、いろいろと政府と沖縄県の意見が合わずになかなか前進しないことを私たちは非常に残念に思っております。

 今回の事件をきっかけに、在沖米軍は、二十日未明、外務省を通じて、二十日早朝から基地在住者の外出禁止措置を実施する、こういうふうに発表しました。今回事件を起こしたのは基地外居住者なんです。そういうことからして、これは基地内居住者の外出禁止をしただけではどうにもならないという感じがいたします。

 しかし、沖縄では、復帰前から、米軍の家族向けの貸し住宅が基地周辺市町村、いわゆる基地外に建設され、その家賃収入が地域経済に大きな役割を担ってきております。

 まず、復帰前は、家族と一緒に住んでいる米軍人軍属のほとんどは、基地周辺市町村の人たちがつくった基地外の貸し住宅に住んでいましたが、復帰後、政府の思いやり予算でつくった家族向けの高層住宅ができたために、県民がつくった貸し住宅は空き家が出る始末であります。それでも、現在、思いやり予算で基地内にできた住宅が大体八千三百戸ぐらいだと言われています。基地周辺の県民がつくった貸し住宅は今でも六千戸ありますが、最近では、基地内住宅がふえたために、県民所有の貸し住宅に空き家が出ているということも聞かされております。現在、米軍家族が使っている民間貸し住宅は五千百戸ぐらいというふうに言われております。したがいまして、今回の事件で基地外に居住する、基地内に居住する、そういう問題じゃないと思うんです。

 そういうことを考えまして、ぜひ、政府においては、基地周辺の人たちが細々と生活の足しにするためにつくった貸し住宅が空き家にならないようにしていただきたい。思いやり予算でどんどん米軍貸し住宅をつくると、民間の貸し住宅は全部空き家になってしまいますので、その点について防衛大臣から一言、お考えをお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 沖縄に関しましては、今委員御指摘のように、地元からの御要望を受けまして、昭和六十年代に入りまして、アメリカに対しまして、できる限り民間貸し住宅を使用するように申し入れを行っておりますし、新規の家族住宅の整備というのは差し控えておるところでございます。

 昭和五十九年以降、沖縄の貸住宅協会を初めとする地元から、日本政府による家族住宅建設は民間貸し住宅業界に深刻な影響を及ぼしているので政府による建設に反対する旨の陳情が行われました。空き家となっている貸し住宅の借り上げなどの救済策をとられたいという旨の陳情もちょうだいをしておるところでございます。したがいまして、平成二年度以降は、既存住宅の撤去を伴わない新規の家族住宅の整備を行っておらないところでございます。

 今委員、基地内、基地外、それはもう問わないんだというお話がありました。基地内に住んでおれば、それでも出る、出ないについて一定の縛りというのか制約というのか、かかりますが、基地外ではそういうことがないのだということをどのように考えるか。

 繰り返しになりますが、どういう人であれば基地外に住んでいいのだろうか、それは、新兵さんではない、階級がある程度上の人あるいは家族を持っている人、そういうような人に限るべきなのか、もっと階級を上げるべきなのか、そういうことも考えていきながら、沖縄の経済に影響がないように、そして事故が起こらないように、この二つを両立させるための知恵を、沖縄の御意向もちゃんと踏まえながら、政府としてお示しをし、実行したいと考えております。

仲村委員 次に、普天間基地の代替施設をキャンプ・シュワブにつくる件で、仲井眞知事も島袋名護市長も海に出せと繰り返し主張していることは、ヘリなどが陸地上空を飛ばないようにするためであります。特に米軍は、新しい基地ができたらMV22オスプレーが導入されることをしばしば言っております。特に在沖のアメリカ総領事のメア氏は繰り返しオスプレーが導入されることを言っておるのであります。

 二月八日に米国のノースカロライナ州のグリーンビル近郊の民間地域に右側エンジンの部品が落下して近くの民間空港に緊急着陸したことが報ぜられております。私は、機会あるごとにこのMV22オスプレーは欠陥機であるので、絶対に沖縄に導入すべきじゃない、こういうことを政府に対しても申し上げておりますが、たとえこの普天間代替施設ができても、これを政府としては拒否していただきたい、これを考えて仲井眞知事も名護市長も、海に出せ、こういうことを主張しているわけであります。

 きのうの石破大臣、高村外務大臣は、今後の基地政策についてしっかり沖縄県民の声に耳を傾けていく、こういうことをおっしゃいましたので、ぜひこのキャンプ・シュワブ代替施設について、仲井眞知事や名護市長の海に出せという主張にしっかりひとつ耳を傾けていただきたいということをお願いいたします。その件についてお答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 沖縄県民の御意向を踏まえた、仲井眞知事あるいはいろいろな皆様方の御意向というのは常に私ども承っておるところでございます。安全性というものがきちんと確保されるということは当然でありますし、環境がきちんと保全をされるということも重要なことであります。今後とも、沖縄の御意見というものによく耳を傾けながら、政府として誤りのない対応をしてまいりたいと思っております。

 オスプレーの件につきましては、今具体的にあれこれ申し上げるべき、米側の方からオスプレーについて具体的な言及というものが私どもの政府になされたわけではございません。沖縄の御意向というものをいろいろな意味で考えていくことは当然重要なことだと思っております。

仲村委員 終わります。ありがとうございました。

嘉数委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端正広でございます。

 早速ですが、外務大臣、半から外務委員会だということで先にお尋ねいたしますが、今回の米海兵隊員による少女暴行事件は、これは私は、本当にあってはならないことが、過去にもあったわけでありますが、またしても起こってしまったという意味で、今も仲村先生からの御質問があったように、やはり沖縄県民にすれば、また日本として、これはもう本当に許しがたき事態だ、こう思います。

 そして、この問題について外務省、防衛省がシーファー大使を初めいろいろな方々に、関係当局に抗議、申し入れをされてきたとは聞いておりますけれども、私は、昨日の大臣の所信の中に、これを見ていましてちょっと感じたことは、そこまで言っていながら、大臣のお話は、この部分に関してはわずか三行ほどでしかありません。今般の在日米軍による暴力事件は極めて遺憾であり、綱紀粛正と再発防止に向け、米国側に一層真剣に、かつ継続的な取り組みを求めていきますというくだりであったわけでありますが、これはこれですけれども、しかし、もう少し熱意、もう少し誠意というものが伝わるようにすべきでなかったのかということを感じました。まずその点を申し上げたいと思います。

 その上で、では、今後再発防止に向けてどうするのか。いろいろなことはお考えになっているかと思いますが、今もお話があったように、外出禁止令とかあるいは米軍の巡回が始まっているとか、また基地外居住者の実態調査が始まるとか、こういったことがあるようですけれども、しかし、これらについて抜本的にではどうするのかということについてはなかなかわからない。今もあったように、この二月十一日以降一週間の間に、十七日の道交法違反あるいは十八日の住居不法侵入とか続いているわけでありますから、本当にこれは県民の方々にとれば、もう何とかしてくれという思いは我々以上に思っているのではないか、こう思うわけであります。

 そういう意味で、この問題に対して、政府としてまた外務省として、また、日米外交は基軸といいながら、しかし言うべきは言うというその強い姿勢で取り組む必要がある、こう感じますが、大臣の決意をもう一度ここで確認させていただきたいと思います。

高村国務大臣 こういう忌まわしい事件というのはあってはならないことでありますし、再発防止のために万全を期さなければいけないわけでありますが、より実効的かつ包括的な対策を講じることが重要である、こういうふうに考えております。

 今、地元の意見を踏まえつつ、米側と精力的に協議をしてきたところでありまして、再発防止対策というのは、これは、これでいいというものではなくて、継続的にずっと努力していかなきゃいけない話だ、こう思っておりますが、それではいつまでも延ばしてもいいという話でもない。だから、少なくとも当面とり得る措置というのを、まさに今最終調整中でありまして、きょうの午後の早くでも正式発表できると思いますが、大体、当面の措置でありますが、年に一度、施設・区域外に居住する米軍人等の人数に関する情報の提供を受けて、こうした情報を自治体と共有するとともに、また、施設・区域外居住の基準、方針について日米合同委員会等で、日米で協議を行っていく。それから、飲酒運転の事件、事故対策等、これまでワーキングチームが行ってきている作業を強化して、地元自治体に防犯カメラの設置の意向がある場合には、対応について積極的に検討していく。これは、防犯カメラの設置については、自治体によっては嫌だというところもあるやに聞いております。

 それから、これまで沖縄において行われている米軍人による巡回指導を参考に、沖縄県及び地元自治体の要望を踏まえ、地元警察が米側の協力を得て共同パトロールを導入できるように、日米間で警察権限の行使等について必要な調整を開始しました。

 それから、米側ワーキングチームを通じて、リバティーカード制度を含むさまざまな犯罪防止策、今やっているわけでありますが、これを再点検する、これは本当に効果的なのかどうか再点検する、こういうことであります。

 それから、米軍教育プログラムが沖縄の視点が反映された内容となるように日米で協力をしていく。今般のような事件の再発防止のためには、申し上げましたように、継続的な取り組みが必要でありまして、米軍は再発防止に向けた米軍タスクフォースを立ち上げたところで、日米両政府は、米軍タスクフォースによる調整結果や地元の意見等を踏まえ、日米合同委員会等あらゆる機会に協議を継続していく、こういうことでございます。

田端委員 ぜひ、沖縄県及び地元の地方自治体ともよくお打ち合わせをして、しっかりと継続的に、しかも効果的な再発防止策をお願いしたいと思います。大臣、どうぞ。

 今回のイージス艦の衝突事故について、石破大臣にお伺いしたいと思います。

 まず、行方不明になっている二人の方の捜索、救出にさらなる全力を傾注していただきたい、こう思う次第であります。

 大臣、きのう現地に行かれて、組合長、組合関係者、家族の方にお会いされて、そして経緯等も話され、また謝罪もされた、こういうニュースを聞いておりますけれども、それは、大臣としての誠意は地元にはきちっと伝わった、こう私も思っております。

 私は、三年前でしたか、横須賀港に停泊しているイージス艦の、あれは「きりしま」だったと思いますが、見学をさせていただいたことがあります。そのとき感じたのは、最新の技術を駆使したイージス艦ということで見学をしたわけですが、中に入ってみると、いや、意外に狭いな、小さいな、これはなかなか大変だなという思いが実感でした。

 今回の「あたご」は、昨年十一月から四カ月ハワイを往復する、こういうことでありますから、四カ月かかって、そしていよいよ横須賀が目の前だという東京湾の入り口のところで衝突事故、こうなったわけであります。私は、そういうことを感じますと、そこに四カ月のストレスもたまっていた、いろいろなものがあったと思いますが、やはりこの乗組員の中に気の緩みといいますか、あるいは安心、それが一つの大きな要因であったのかなという気もしないわけではないわけであります。

 そこでお尋ねいたしますが、清徳丸の灯火を視認していながら、これは三時五十五分ですね、最初に十二分前に視認していながら、四時七分ということで、衝突が起こる。四時六分にブレーキをかけるというか、手動に切りかえて逆進に変えたと。この十一分間の差というのが、ここに何らかの手が打てたんじゃないか、何でこれが有効的に動かなかったんだ、作動しなかった、連携が悪かったのかどうなのかということが、どう考えも、素人として考えても、この十一分間の時間というのが腑に落ちません。

 ここで手を打っていれば事故はもう間違いなく回避できた、こう思うわけでありますけれども、まず、この点についてお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 三時五十五分から四時七分までの十二分間に、まさしく何が起こっていたのか、どのような行動をとるべきであったのかというのが一番のポイントだと思っております。

 三時五十五分に灯火を確認できた、その灯火はどのような灯火であったのか、それをだれが見たのか、それをどのようにしてだれに伝えたのか、その後どのような回避行動をとるべきであったのか、そのあたりが現在聴取が行われているところだと思っております。

 その後、二分前に緑色の明かり、これは右舷灯が緑で、左舷灯が赤でございますが、右舷灯ということを申したわけではございません、明かりが見えたということですから。それが動き出したので動力船というふうに、漁船というふうに、これは漁船であるわけでございますが、確認した、回避行動をとったが間に合わなかったということになっておるわけでございます。そのあたり、法令に照らして適切な行動がとられたかどうか、そこが捜査であり、私どもとして全面的に御協力をするということであります。

 情報がいろいろ出てくる、そごがある、これは何だというおしかりもいただいておるわけでございますが、私として、事故が発生してすぐ申しましたのは、すべてのことが調査中です、わかりません、わかりません、わかりませんということがあってはならない。そして、我々に入ってきた情報は、未確認のものであったとしても、今こういう情報が入っていますということを、捜査に支障がない範囲内においてこれは明らかにしなければならないということは申しました。

 ですから、入ってくる時間が違う、そして情報の入手先が違うということで、異なることは当然起こり得ることでございます。しかし、何にもわかりませんということがあってはならないことだと私は思っております。そして、肝要なことは、隠さないということ、自己を正当化しないということ、間違っても情報を操作するということがあってはならないということ、そのことは厳命をいたしておるところでございます。

 いろいろな情報が出てまいりますので、時間の差あるいは情報を入手した先が違うことによって混乱というものが生じておるということは、これはそのような指示をした私の責任なのかもしれません。そういうことが起こらないように、よく心していかねばならない。

 何にしても、情報を一切出さないということがあってはならないし、自己正当化するようなこと、そしてまた間違っても操作するようなことがないこと、そのことは厳命をいたしておるところでございます。

田端委員 今必要なことは、事故原因あるいは事故原因にかかわる時間帯、あるいは、そのときにどういうことがあったのかということを正確に把握して、そして再発防止をしなければならない、ここが最大のポイントだと思うわけであります。

 私は、大臣がきのう現地に行かれたということは、これは一つの大きな成果だと思いますが、海上保安庁が今やっていることの多くはイージス艦あるいは自衛隊関係者からの事情聴取であって、もう一方の被害者の方々からのことをどこまできちっと掌握して調査されているのかということが、もう一つ伝わってきません。ここが一つ大きなポイントだと私は思っています。

 それで、実は、大臣が行かれた時間帯と前後して、私ども公明党の千葉県本部のメンバーが、外記栄太郎組合長を初め皆さんにお会いしました。そこから出てきた話の中に、大変興味深いといいますか大事な点があると思います。それは、組合長のお話によりますと、浦賀水道へ向かうあの海域というのは、これはもう船舶の航行が大変激しいところで、自動航行、そういうことはもう常識では考えられないんだと。それが自動航行でずっと来ていたところにやはり問題があったんじゃないかということを指摘されています。

 仮に、自動であれあるいは手動であれ、見張り員の目視による確認というものが一番大事だ、そこがどうなっていたのかというところが被害者の側から見たら非常に、例えば警笛を鳴らすとか、もっと何か手があっただろうと。大臣もお伺いになっているかと思いますが、同僚船の仲間の人の中には、逆に、漁船から三十分前にこのイージス艦を確認できているということを言っている同僚の人もいるわけでありますから、そこのところに私は大変意見の相違があろうかな、こう思います。

 それからもう一つは、イージス艦というのは七千トンですか、今回の漁船は七トンです。つまり、一対千という割合になります。これはもう接触すれば、とてもじゃないけれども、一対千ということになりますから、そういう意味では、昔からこの海域は漁民の方々は恐れた場所であったらしいんです。

 そういう意味で、今回の事故究明に関しては、ぜひ清徳丸周辺、同僚の船等々の方々からもしっかりと調査をしていただいて、そういう意味で、真実を解明した上での防止対策というものを再発防止というものにやっていただくことが大事だ、こう思いますので、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 公明党さんの千葉県本部の方々がおいでになられて聞かれた、外気組合長を初め関係者の方から聞かれたのと恐らく同じことを私も聞かせていただきました。

 私どもの「あたご」艦長初め乗組員、今、海上保安庁からいろいろな聴取を受けておる状況でございます。他方、この清徳丸の乗組員の親子の方々、いまだ行方がわかっておりません。したがいまして、お聞きをするのは、私もきのう、お話を承りましたが、同じ時刻に同じ方向へ向かっておられた、例えばいとこの方であるとか、そういう方々のお話を聞くということになるのだと思います。

 私ども、捜査権限を持っておるわけではございませんので、そこのできることには限界があろうと思っておりますが、きのうも、自衛隊は本当のことを言ってくれというお話がございました。それで、自分たちはこうなんだということについてのお話も承ってまいりました。そこのところ、捜査権を持っておるわけではございませんが、地元の関係者の方々、同じ時期に漁に向かっておられた方々のお話というものを、私どもも報道等を通じて、あるいは機会を得て、可能な範囲でお伺いをするということは、それは必要なことだというふうに思っておるところでございます。

田端委員 もう一点、別の角度といいますか、漁業関係者の皆さんにとれば、今、この人たちにとって何が一番悩みかといいますと、後継者です。後継者問題が一番大変だと言う。

 その中で、今回、行方不明になっている吉清治夫さんと息子の哲大さんというこの親子、そういう意味では本当にいい家族で、そういった意味では、周辺の皆さんも、いい後継者ができたということで喜ばれていた。そういうときにこの事件が起こったわけですが、この哲大さんは大変気持ちの優しい方で、ホームレス支援に魚を年に何回も上野のところまで持ってきて、おお、魚持ってきたぞと言ってホームレスの方々に食べていただくようなボランティア活動もやっていた。こういう方でありますだけに、だからこそ、今回、周辺の方々も、大臣に対して、捜索を何としても頼みますときのうもお訴えになっていた、こういうことだと思います。

 だから、そういうことも踏まえて、どうぞ、総理も生活者主役の政治、こう言っているわけですから、生活者がそういう形で今打撃を受けるといいますか大変なピンチになって、あるいは行方不明になっているわけですから、やはり防衛省としても、これは大変大きな責任といいますかそういうものがあるわけでありますから、この問題に対して、ぜひ大臣は生活者の声、そしてまた後継者を抱えた漁民の人の切実な問題というものを頭に入れて、そして再発防止ということにぜひお取り組みいただきたいということで、もう一度御答弁をお願いいたします。

石破国務大臣 私もきのう、船長のいとこの方、あるいは妹さん、あるいは娘さん、お目にかかってお話を聞きました。私も選挙区は水産県でございます。零細な漁業者の方々がどれだけ困窮した状況にあるか、そして後継者を得るということがどんなに大変なことなのか、私は先週の週末も選挙区のそういう方々と会って、随分とお話をしてまいりました。その後継者ができた、そしてその人が心優しい人であった、今捜索中でありますが。きのうお話を承ってみて、改めて御家族、御親族、すばらしい方々だ、そして同じ海に生きる男たちとして、あるいはそれを支える女性の方々が本当に同じ思いでおられるのだということに、本当に改めて深く感銘を受けたところでございます。

 そこで、大臣、あなたの責任のとり方はね、これをどうやって原因を究明し、どうしてこれが二度と起こらないようにするか、それがあなたの責任なんだよということ、おれたちが何を望んでいるのかということ、政治の思惑とかそういうことじゃなくて、おれたちの気持ちをよく考えてくれよということを本当に言われました。そのことを私自身、一生忘れることはないだろうと思っております。

 漁業者の方、あるいは心優しいお父さんやお兄さんを持って、無事を祈っているお嬢さん、そういう方々の気持ちというものを、私も、そして防衛に当たる者すべてが共有をしていかねばならないことだと思っておる次第でございます。

田端委員 その大臣のお言葉を信じて、ぜひこの真相解明そして再発防止にお取り組みいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

嘉数委員長 次に、鳩山由紀夫君。

鳩山(由)委員 引き続きまして、イージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船の清徳丸の衝突事故に関して、特に石破大臣に対してお尋ねをいたします。

 言うまでもありません。このような事故に対して、私どもも政争の道具にしようなどという発想は毛頭ありませんから、そんな立場から、しっかりとお答えを願いたいと思います。

 まずは、まだ吉清さん親子が行方不明のままでおられるということ、本当に安否が気遣われることでございまして、一刻も早く救出をされますように、ぜひ政府としても全力を挙げていただきたいと思います。

 私は、この問題が発生した直後に石破大臣が、この件に関して、まず防衛省に対してお怒りになったという話を伺いました。私は、怒る気持ちはよくわかりますが、お怒りになる前に、まず国民の皆さん、特に被害を受けられた方々に対する謝罪の気持ちというものを先にあらわされるべきではなかったか。物には順序というものがあります。順序というものを間違えることが、結果として非常に大きな心証を害することにもなるわけでございます。

 しかも、さまざま記者会見などで、海上幕僚監部、内局の方々がにやにやしながら説明をしているというのは極めて不謹慎だ、私はそう思っておりまして、まず、このような気の緩みといいますか、物の順序というものをわきまえておられない防衛省全体の思いに関してどのように感じられますか、お答えを願いたい。

石破国務大臣 いろいろな御批判は率直に受けとめて反省をし、改めるべき点は改めなければいけないと思っております。

 委員御指摘のように、順序が違うではないかということ、あるいは、恐らく、おまえ、人ごとみたいに言うんじゃないということをおっしゃりたいのではないかと思います。私は、そういうことを思っているつもりは毛頭ございません。

 事故が起こった時点で、この原因は何であるのかということ、それは捜査当局において客観的に公正に定められるべきものであります。それが全くわからない時点で、事故の原因について、一方の当事者であります私どもがあれこれ申し上げるということはどんなものだろうかということはございました。

 しかしながら、私は、昨日現地へ参りまして、このようなあってはならないことが起こったということについて、本当に申しわけないというふうに申し上げてまいりました。それは、委員御指摘のように、家族の、仲間の無事を一番祈っておられる、そういう方々にわかっていただけるかどうか、そのことについては、これから先も私として誠心誠意努めてまいりたいと思っております。

 順序が逆ではないかというおしかりをいただけば、それはそういう面が、国民の皆様方、あるいは公党の幹事長である鳩山委員にそういうふうに思わせたということで、反省すべきことがあれば反省をしなければなりません。

 あわせて、にやにやしているということがありました。これは、このことを軽んじておるとか、そういうつもりがあったとは私は全く思っておりませんが、そういうふうにして多くの方が、不謹慎である、何を考えておるかというおしかりをいただけば、それは即刻改め、そして、そういうような思いを国民の方々に抱かせたことは、それはおわびを申し上げなければならぬことだというふうに思っております。

 今後とも御指摘を賜りますように、お願いを申し上げます。

鳩山(由)委員 率直におわびをされましたと理解をいたしますが、原因の究明というものが最も大事なことは言うまでもありませんが、現実に衝突で行方不明になられておる方がおられるわけでありますから、それに対する思いというものが先にあるべきではなかったかということを改めて申し上げておきます。

 いわゆる通報、連絡が大変おくれてしまったということでありますが、連絡がおくれるということを、危機管理というものを最も大事にしなければならない防衛省において、初歩中の初歩のミスがまた繰り返されたのか。過去において同じような過ちが繰り返されていたにもかかわらず、何でまたこのように危機的な状況が発生をしたときに、そのことを、官僚的なあるいは事務的な発想の中で時間がここまでおくれてしまったのかということは、私は、初動というものが危機管理においては命だと思っておるものですから、非常に残念な思いがしてなりません。

 そして、そのようなことが続いて起きてしまっているという現実を考えたときに、やはり国民の命とかあるいは安全を守らなければならない組織としてあるまじき失格的な行為ではないか、そのように思っておりまして、ぜひこのことに関しても反省をお願いいたします。

石破国務大臣 委員御指摘のとおりであります。これは、どんなに抗弁をしてみても、大臣のところへ届く、そしてそれが総理のところへ届く、それがこれだけおくれていいはずがありません。

 それは、通達というものをきちんと理解していたか、あるいは、大臣に対する報告について、もっと早く行えるはずだったんです。だが、そこがきちんと銘記されていなかった、認識がなかった。内局がやるだろうとか制服がやるだろうとか、お互いがそういうことを思っておって、結局おくれてしまったということになったという面が私はあると思います。

 これは、この事故が起こる前から、私は、制服と背広の連携というものがどうなのだ、それが、車の両輪ということにはなっているけれども、無責任体制を生んではいないかということを申してまいりました。私は、それを組織論にすりかえるというつもりは全くありません。しかしながら、組織的な、構造的な、所信でも申し上げましたが、そういう問題にメスを入れていかなければ、こういうことはまた起こるのではないかということであります。危機管理官庁でありますから、おっしゃるとおり初動が命ですし、いざ有事に初動がおくれるようなことで、何で抑止力が保てるんだということだと私は思っております。

 私も、副長官、長官、そして防衛大臣として、かなり長くこの組織を見ております。これが、文民統制の主体である国民に対して責任を負わねばならない立場にいる大臣あるいは総理大臣、使いやすい組織かといえば、そうではない。私は、使う側、国民に対して責任を負う側、それから見てこの組織はどうなんだという議論を今ちゃんとしなければいけないんだというふうに思っておる次第でございます。

 このことは、委員も官房副長官として危機管理を御経験なさいました。組織としてどうあるべきか。私は、組織論に逃げるつもりなんか全くないんです。組織論に今メスを入れなくて、これはどうするんだということを申し上げておるのでございます。

 今後とも御指摘を賜りますように、お願いを申し上げます。

鳩山(由)委員 組織はぜひしっかりとなさっていただかなければなりませんし、体質の本質的な部分もあろうかと思っておりますので、あわせてしっかりとした指導を願いたいと思います。

 それから、ようやくこの事故の事実というものが少しずつ明るみに出てきたと思っております。十二分前に、赤色灯ですか、視認をしたという事実がありながら、それから、先ほどもお話がありましたように、十分間も現実は何もできていなかったという見張り員の怠慢、それからレーダーでも、当然のことながらレーダーは正常に動いていたというわけでありますから、レーダー員が一体何をしていたのかという問題、さらには、事前に警笛がしっかり鳴らされていたのか、どうも鳴らされていたのではないんじゃないかという疑いが強い、こういったさまざまなミスが重なった。

 本来ならば、当然のことながら避けられるはずの衝突を回避できなかった、その責めのまさにほとんどすべてが私は「あたご」側にあると断じなければならない話ではないか。

 そして、その中に、私はどうしても腑に落ちないというか、やはりそうかと思うところがありまして、結局は、わかっていながら、「あたご」、おれたちはまさに立派なイージス艦だ、あんたらは漁船なんじゃないかという思いのもとで、そこのけそこのけイージス艦が通る、自分たちは真っすぐに進むぞ、あるいは、速度を落とすけれども、自動操舵というものをほとんど最後まで変えていなかったということであれば、直進を続けていったと。本来ならば、右にでも旋回をしてかじを切って、衝突を回避できたはずのところを、それをあえてやらずに真っすぐに突き進んだということは、私は、根底の心の中にですが、官尊民卑の発想があるのではないか。

 私は、この官尊民卑の発想がこの国をおかしくしてきたのではないかと思われてならないのでありまして、こういった発想を、私は、自民党政権が今日まで助長させて官僚主導の天国をつくってきたんじゃないか、結果としてこういうことが大きな事故を引き起こした原因になっているのではないかと思わずにはいられないのでありまして、こういった官尊民卑の発想から、我々はまさに、民尊官卑といいますか、民が中心の世の中をつくりたい、そういう発想で大きな政権交代を今こそ、こういうときだからこそ起こさなきゃならない、そんな思いでありますが、この件に関して一言お伺いいたします。

石破国務大臣 我々は、国の独立と平和を守る自衛隊である。委員の表現をかりれば、そこのけそこのけ護衛艦が通るというような意識をかりそめにも持ってはならないと思います。ただ、大きな船に乗り、それが国のそういうものを担う船であるということによって、一人一人の人たちの思いと一瞬たりとも乖離するようなことはなかっただろうか。

 やはり、きのう私は本当に思ったのです、海の男たちの持つ、あるいはそれを支える女性たちの持つ思いというのは、我々海上自衛官も同じ思いを持たねばならないのだと思っております。そういうことが、今委員の御指摘どおり、官尊民卑というのか、そういう意識を、私は持っていないと思いますが、もう一度徹底をしなければいけないと思います。

 私どもは、官だとかそういうことを言うのではなくて、本当に国民一人一人の命を守れなくて何で国が守れるんだということは、私は、統合幕僚長、海上幕僚長から、入ったばかりの海上自衛隊員、陸でも空でも一緒ですが、みんなが同じ思いを持てるように指導をしなければいけないというふうに思っております。

 委員の御指摘、よく心にとめてやってまいりたいと思います。

鳩山(由)委員 これで最後にいたしますが、先ほどから私が申し上げましたように、これは、イージス艦自体に相当なミスがあったというその責任、また、連絡体制がおくれたという責任、さらには、この問題以前から防衛省を取り巻く不祥事が余りにも多発しているという責任、さまざまあります。

 最後に、やはり日本の安全保障、これで大丈夫なのかと国民の多くの皆さんが非常に不安を感じたその責任、それぞれ、ぜひ石破大臣にはお感じになっていただいて、御自身の出処進退に対していろいろな思いがあろうかと思います。とるべきときはとるという思いをぜひお持ちいただくように私からお勧めを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

嘉数委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。鳩山幹事長に続きまして、質問をさせていただきます。

 私どもも、事故が起きて直ちに防衛省、海上保安庁を呼びまして、事故が発生した日から昨日まで三回にわたってヒアリング、事情聴取をしてまいりました。その中で、我々、本当にあきれたというよりも憤りを覚えたのは、すべてにおいて、調査中でございますので現段階では確定的なことは申し上げられません。では、いつになったら確定的なことを言われるんですかと聞いても、答えられない。まさにぬかにくぎを打っているような、本当にむなしさを感じたわけでございます。

 一例を挙げます。

 これは、きょう質問をするに当たって、昨日、防衛省の方に、この「あたご」には一体何人乗員がいたのかということを尋ねました。すぐに答えられないので後ほど返答しますと。きのうの夜二十三時三十二分にファクスが来ました、質問したのは五時ごろですよ、一体船に何人乗っていたのですかと聞いただけで。もう返事が来ましたけれども、定員は約二百九十名である、しかし、乗っていた現員についてはお答えを差し控えたい。私はこの船には何人乗組員がいたんですかと聞いただけで、それについてもお答えは差し控えたい。

 また、当初、四時七分に事故が起きて四時八分に救助を開始しましたというふうに言われたので、随分早いですね、内火艇と呼ばれる備えつけの船をおろすのにわずか一分でできたという話をしたら、いや、それは下令をした時間であって、救助を開始した時間ではないんだと。また当初言っていたことと全然違うんですよ。

 護衛艦「はたかぜ」というのが、かつて相模湾だったかと思いますけれども、ちょっと細部はわかりませんが、杉山隆男さんという人が書いた「兵士を追え」という本の中に出てくるんです。たまたま乗っていたジャーナリストが護衛艦「はたかぜ」の訓練に乗って、たまたま遭難をしたプレジャーボートを救難したという話がございました。そのときに似たようなことが書いてあるんですね。小型の救助艇を海面につりおろす作業が本格的に始まった、しかしそれは、二十人以上の隊員が作業を続けて、しかも、そこに乗ってウインチを操作して、支柱がゆっくりと前方に傾き、救助艇は船の外に押し出された。

 これはかなり時間がかかるんですねということを例に出して聞いてみたところが、いや、実は、四時七分に事故があって四時八分に救助を開始したと言ったけれども、そうじゃなかった。それは救助を下令した時間だ、命令を出した時間なんだと。また、これも食い違うわけです。

 一つ一つ聞いていくと、とにかくこれだけよくぞ隠ぺいをしていたというふうに言わざるを得ないわけです。

 昨日、勝浦で、本当のことを言ってくれというふうに大臣も言われた。我々の調査団も昨日行きました。同じことをやはり言われました。それを考えますと、大臣、本当に九十分後だったんですか、連絡が来たのは。普通であれば、これは怠慢とか連絡経路の問題じゃなくて、私は、隠ぺいのために九十分かけて、もし大臣のところに連絡が上がったのが九十分後であれば、普通どう考えても、九十分の間に口裏合わせでもするために時間稼ぎをしていたんじゃないかと思われるところです。

 それについては、大臣、どうですか。連絡経路とか職務の規律がどうのこうのという問題じゃないですよ。それはお疑いになりませんか。

石破国務大臣 普通そう思いますよ。普通そう思う。ただ、きょういらっしゃる我が党の委員の中にも、長官を経験なさった方、あるいは副大臣、政務官を経験なさった方がおられますが、中へ入ってみると、なるほどこういうことは起こることだと。

 あってはならないということと、実際クロノロジーを書いてみると、この時点に事故が発生した、ここで横須賀の自衛艦隊あるいは護衛艦隊に情報が入る、そこから統幕、海幕の市ケ谷のオペレーションルームに入る、午前四時七分でしたなんということは何の言いわけにもならないんですが、そこで制服のオペレーションルームに入り、そこから内局に行き、それから順を追って上がっていった。

 この情報は幕から上がるものだと思っていた、あるいは内局から上がるものだと思っていた、どっちもがそうやって上がるものだと思っているうちに、どんどんどんどんと時間は過ぎていってということが、これは情報操作とか隠ぺいとか、そんなことが行われたようなことは全くございません。中で見ていると、本当にこんなことは実際に起こったのだろうというふうに思われます。

 だから、そこをどう直すんだということで、一片の通達を改めて何になるんだという御指摘もいただきましたが、その通達をどれだけ認識していたのかということが問題である。それをどのように直すのか。直しました、それがどのように徹底されるのかというところまで、私たちは政治の責任として見ていかなくてはなりません。

 そして、これも調査中、あれも調査中と言うのはやめろということを私は申し上げました。そこはあってはならないと思っております。ただ、言えることをその時点で出しますので、先ほど申し上げましたように、きのうときょうと違うじゃないかということを言われますが、まだ確認中ですがという注釈をつけた上で出せるものは出したいというふうに思っておるところでございます。

 なお、「あたご」の定員は二百九十、これは決まっておるのです。それをちゃんとお答えすればいいのであって、現員についてはお答えを差し控えたいというのは、多分、私が今まで聞いたところでは、それによってその船の実際の戦力が推定されるからだという話なのですけれども、それは妙な話だと私は思うのですよ。例えば、定員が二百九十で、実は実員は百人しかいませんとかそういうことになったらめちゃくちゃな話なのでありますが、そういうことがないように今しておるところでございまして、定員と実員、実員もこれとほとんど変わりませんというようなお答えをすべきじゃないか。

 それが、軍事の専門用語を駆使して、一般の方々に全然わからないようなこういう説明の仕方、あるいは隠す必要もないものを隠している、そういうことは、私は、これから先アカウンタビリティーの点から非常によくないというふうに思っておりまして、改めるべき点を即刻に改めたいと思っております。

渡辺(周)委員 今、我々ができることは、未確認情報であろうと、あるいは今、現時点ではと、これは情報をつなぎ合わせるわけですね、時系列的に。当然、訂正されることはあってもいいと思うんですよ。それが私、今、本当に無事を祈って、勝浦漁協の前で、海に向かって祈っている方々、あるいは私ども調査団や石破大臣に対して、本当にすがるような思いでおられる身内の皆さん方に対するせめてもの今できることじゃないかと思うから、我々は真相を近づけたいと思っているんです。

 もう、言わせていただければ、映画で「亡国のイージス」というのがありますけれども、これは慟哭のイージスですね。これはまさに、あの痛々しい姿を見ていると、本当に我々は今何ができるんだろう。海上で救難活動をしていればわかりますよ。だけれども、今何でこんなことが起きたんですか、それに対してやはり誠実に答える義務が私たちはあると思うんです。ですから、この後、残りわずかな時間ですけれども、ちょっと各論を聞きたいんですけれども、ぜひわかる限りでお答えいただきたいと思うんです。

 例えば、我々がいただいたこの時系列的な発表の中には、三時五十五分の段階からですね。その前の人たちは、その前にも当然、交代要員、交代する前に乗組員がいらっしゃった。ウオッチする人がいたはずです。この人たちは、漁船団の存在すら全く認識しなかったんでしょうか。もし何かしら気になることでもあったら、私は、こういった当直の交代、四時前だったというふうに報道されていますけれども、そうであるならばやはり引き継ぐべきだと思いますけれども、その点どうなっていたのかが一つ。

 それから、レーダーに映っていないわけがない。だとすれば、レーダーの監視、あるいはレンジですね、モード。遠くを見るのか近くを見るか、それが切りかわっていたのかどうなのか、これが二点目です。

 そして、これが一番大事なところですけれども、海上衝突予防法に基づいた措置、警笛を鳴らすとか、当たり前のことなんですけれども、これすら我々が聞いても答えないんです、警笛を鳴らしたか鳴らさないかも調査中だと。三日たっても調査中だと言っているんですよ。そんなばかな、当直士官に聞いたらわかるじゃないかと。

 この三点について、わかる限りでお答えいただきたいと思います。

石破国務大臣 レーダーの御指摘でございます。

 「あたご」の水上レーダーに当該漁船が映っていたか否か、映っていた場合にこれを認識していたかについては、現段階では不明であるというふうに省内では報告を受けております。

 ここは御理解をいただきたいのですが、今捜査中でございます。まさしく今委員がおっしゃったようなポイント、それを私も事故発生直後に、これとこれとこれはどうなっているかということは申しました。

 波が平穏でレーダーに映らないということがあり得るのか。大きな船ですから、真下というのは見えないことがありますが、どこまでレーダーで見えたのか。それから、この漁船が左右の舷灯とマスト灯はつけているはずであって、それがどの距離なら視認ができたのか、見えたのかということ。それから、後進いっぱいをかけたときに、あわせて警笛というものを鳴らしたかどうか。

 そういうことについて、委員と同じ疑問を私は持ちまして、提示をしております。そのことが、まさしく今捜査当局によって解明中のことであります。

 ですから、私どもとして、そのことについて海保が現在聞き取っていることを、私たちがまた別のルートでどうなのだということを聞くことが、日本政府全体としての……(発言する者あり)

嘉数委員長 答弁中ですから。

石破国務大臣 質問者に答えさせてください。

 そのことについてどうなのか。それは、海保は今調査中。私どもとして、今海保が調査中のことについて、指揮系統でどこまで聞けるかということについては、私も聞ける範囲のことは聞かねばならないと思っております。

 これはいろいろな事故においてそうなのですけれども、政府としてどこまで言えるかということは、よく調整をしなければなりません。ここは、海上保安庁と私もよく調整をしながらやっていますが、海上保安庁としてまだこの事実が確定できていないこと、あるいは公表することによって予断を与えるようなこと、それはあってはならないということ。

 私は、本当に情報をちゃんと開示するということと、捜査の厳正性、公正性、そこをどのようにして調整をとるかということを毎日考えておるところでございます。これは指揮官だから、自分が知ったことを全部しゃべっていいということだとは私は思っておりません。

渡辺(周)委員 私は、それなら、この間も役所の人間に聞きましたよ。いや、わかっているけれども、今ここで言えないと。それはウイル・ノットなんですね。だけれども、知らないから答えられないならキャン・ノットです。どっちなんですか。大臣は、実は知らないのか。いや、私は知っているけれども、今この場でお答えできませんというんだったらまだわかりますよ。どっちなんですか。

 この問題は、本当に無防備な子供たちが歩いている通学路に、前も見なかった前方不注意の、わき見運転の大型ダンプが突っ込んできたようなものですよ、ブレーキも踏まないで。普通は、こんなところを通ればどういうことになるかと予見できるはずですね。こういうことは、今さら、もう時間がありませんから言いませんけれども、大臣はもうわかっているけれども言えないのか、あるいは自分も知らないのだ、調査待ちなんだ、大臣もそういうふうなお立場なのか、その点だけ確認させてください。

石破国務大臣 それは、両方ございます。私自身、情報としてはわかっていること、しかしながら、そのことについて言えないことというのがあります。全くわかっていないこと、我々の指揮系統から情報が聴取できていないもの、これは両方ございます。これを公表するについて、当然、捜査当局と調整を行います。その上で、申し上げるべき点は申し上げているということでございます。

 捜査当局のラインでわかることと指揮系統でわかることには、それは違いはございます。しかし、日本国政府として何を言い、何を言わないかということについては、捜査の公正性、捜査の厳正性、これは私どもとして侵してはならないものだというふうに考えております。

渡辺(周)委員 今後の問題については後の委員に譲りたいと思いますけれども、とにかく重ねて言いますけれども、今我々がこの国会の中でできることは、これは現場で救難活動している方にはもう最大限のことをしていただきたいと思いますけれども、我々は、やはりこの事実をちゃんとつまびらかにすることですね。それによって、何が問題だったのか、そしてどうすればいいのかということをやはり政治の場で我々はやらなきゃいけませんので、この後の質疑の中で、できるだけ具体的に、ぜひ誠実にお答えをいただきたいと思うんです。

 終わります。

嘉数委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 石破大臣、こういう形でことし初めての安全保障委員会の質疑が行われることになった。私は、大変残念な気持ちでいっぱいであります。

 テロ特措法の議論が収束をして、これから一般法の議論に移っていこう、こういうときでもあり、また昨年は、事務方のトップがああいう大汚職事件の中で逮捕される。こういう中で、防衛省改革がいよいよ緒につくのかというところで、石破大臣もさまざまな改革案を示されて、アメリカのトランスフォーメーションじゃありませんけれども、日本の防衛省・自衛隊もいよいよトランスフォーメーションが始まるか、こういう段階になって、私も、ぜひことしは、この安全保障委員会で大いに防衛省の改革論議を防衛大臣としたいな、こう思っていたわけでありますが、その足元ががらがら崩れるようなこういう事件は、防衛大臣としても大変悔しい思いもおありだろう、こういうふうに推測もするわけです。

 二月十九日、この事故があった日はちょうど防衛省の改革推進チームの立ち上げの日だった、これも延期せざるを得なかった、こういうことでありますが、けさは、四日目の朝を迎えて、漁業関係者の皆さん含めて、朝三時から現場に救助活動に向かわれている、捜索活動に向かわれている、こういうことであります。

 今、鳩山委員、そして渡辺委員からも話がありました。まず、防衛省の対応がどうも二転三転しているということが、地元の皆さんの怒りと、そして国民の不安をかき立ててしまっている。この事実をぜひ改めて指摘しなきゃなりません。

 二十年前の「なだしお」の事件のときも、海難審判の過程で、航泊日誌に改ざんがあったり、あるいは海図を一部書きかえていたり、こういうことがあったわけですね。今回も、私きょう、時系列で皆さんにお配りをさせていただきましたけれども、さっきも渡辺委員から話がありました、三時五十五分に「あたご」の乗組員、見張り員が漁船と思われる灯火を視認する前の段階での情報は全くないわけでありますけれども、これ以前に灯火の視認があったのかどうか、お答えいただけますか。

石破国務大臣 三時五十五分という発表をしておりますが、それ以前にあったかということでございますが、それ以前にあったという報告は現時点で受けておりません。

長島(昭)委員 そんなはずは実はないわけでありまして、レーダーには映るわけでしょう。そこの報告すら上がっていないというのは大変不可解だと思うんですね。しかも、この日は、天候は晴れ、視界は良好、波はなぎに近い、五十センチですからね、そういう状況下で、海自関係者の間でも、何でこんなことが起こるんだろうか、信じられない事故だ、こういうことであります。

 海上自衛隊、ここのところ、いろいろな不祥事が重なっております。ちょっと挙げるだけでも、覚せい剤の汚染があったり、あるいは中国への無断渡航があったり、ウィニーの情報流出があったり、給油データの取り違い、航泊日誌の誤破棄、そして護衛艦に失火、イージス艦の機密漏えいと、枚挙にいとまがないぐらいあって、今回このような、まさに信じられないような事故を起こしてしまった。

 海上自衛隊、何が起こっているんですか。最高司令官として、今、海上自衛隊の中で起こっていることをどういうふうに把握されていますか。(発言する者あり)もちろん、そうです。

嘉数委員長 質疑中、やじは飛ばさないようにしてください。

石破国務大臣 海上自衛隊に特にこういう事案が多い、だから陸や空は完璧だということを私は申し上げるつもりはございませんし、ただ、何で海上自衛隊にこんなに起こるんだということは、私は、問題意識として持たねばならないんだと思っております。

 それは、一つは、当たり前の話ですが、陸は、常に陸におるわけですね、もちろんゴラン高原に出たりサマワに出たりということはございますが。空は、一回上がれば、何時間かたつと帰ってくるわけですね。海の場合には、一回出ると何カ月帰ってこないという、一種違う状況というものがあるというのは、それは戦前から言われておったことでございます。ですから、海軍というのは一歩離れたところということがある。

 私は、だからいいという話じゃなくて、これをどのようにしてきちんと厳正な管理のもとに置いておくか。しかし、厳正な管理をするといっても、純粋なお役所ではない、銀行でもないわけであって、厳正に管理はされましたが、戦の能力はどうですかということもある。この両立をしなきゃいかぬのだが、まさしくそれが、エフェクティブネスとアカウンタビリティーの両立というのをどう図るかというお話なのだと思います。

 海上自衛隊に極めて問題が多いということは、もう一度、これは文化の問題などということで、そこに話を持っていくのではなくて、本当に、文書管理からいろいろな規律の厳正性から、委員お話しになりませんでしたが、あとは、海上自衛隊の中の、いろいろな報道されていることもございます。もう一度再点検をしていかねばならぬのではないかというふうに私は思います。

 何が起こっているのかと聞かれて、こういうことが起こっていますということを一言でお答えするのは難しいのですが、海上自衛隊について本当にどうなのだということは、再点検の要があると私は思います。

長島(昭)委員 今大臣、厳正管理と戦闘力、これを両方両立させなきゃいけない、全くそのとおりだと私も思いますが、厳正管理もさることながら、戦闘力にも問題があるんじゃないかということが今回明らかになりました。それはどういうことかというと、これは渡辺喜美大臣ですか、閣議後にコメントを出されて、これが自爆テロだったらどうするんだと。私も全く同じ感覚を持ちました。

 先ほど別の委員がおっしゃっておられましたけれども、ハワイで訓練をして、四カ月間外にいて、もうまさに寄港地、横須賀目前、あと四十キロ、ある種の安堵感もあったのかもしれない。しかも、明け方ですから、何となく人間の生活のリズムからいったら、ちょうど緩むような時間帯だったのかもしれません。

 しかし、このタイミング、この二月十九日というタイミング、私は、去年の二月十九日とことしの二月十九日は意味が全然違うと思っているんです、実は。それはどういうことかというと、きょうは高村大臣もおられますけれども、ことしは日本でサミット、先進国首脳会議が行われる。サミットは七月かと皆さん思っておられるかもしれませんが、実はもう始まるんですね、関係国首脳会議が。G20というのが来月の十四日、千葉の幕張で行われる。

 つまり、ことしは、年が明けてサミットの年になった。テロを警戒しなければいけないというのはまず、恐らく、自衛隊の最高責任者としては一番最初に頭に浮かぶことだろうと思います。もちろん洞爺湖の周りの、周辺の安全も確保しなきゃいけないけれども、しかし、もしかしてテロリストがねらうとしたら大都市かもしれない。そういう意味でいったら、東京周辺、しかも近海、こういうところは、極度の緊張状態の中で自衛官の皆さんも通過をする、あるいは海上保安庁の皆さんも、恐らく相当な警戒態勢を年明けからしいているんだろうというふうに思っているんです。

 そういう中で、漁船に紛れてもしかしたら自爆テロの船が潜んでいるかもしれないような状況の中で、さっきの鳩山委員の話ではないけれども、イージス艦が通る、漁船団の中に真っすぐ突っ込んでいく、そういう状況を許してきた、私は、その感覚が信じられないんです。

 きょう、海上保安庁の方もお見えだと思いますけれども、この現場の状況、日本の近海、特に東京湾の入り口である、船舶銀座と言われているようなこの近海の警備の状況、つまり、サミットの年を迎えて、この年明けからどのくらい通常とは違う形の警備体制をしいているか、差し支えない範囲で結構です、国民の皆さんに説明していただきたいと思います。

石橋政府参考人 本年七月に開催されます北海道洞爺湖サミット、米国の九・一一テロ以降初めて我が国において開催されるというサミットでございます。また、関連の閣僚会議、来月の十四日から十六日までの間、千葉の幕張で開催されますG20グレンイーグルズ閣僚級対話を皮切りに、六月までの四カ月の間に全国十カ所において開催されると承知しております。

 このため、海上保安庁では、巡視船艇、航空機による会議場周辺海域の警戒、臨海空港の警戒、全国の原子力発電所など重要施設の警戒などのテロ対策を強化すべく、本庁に海上警備対策準備本部、それから、会議が開催されます管区に海上警備対策本部を設置し、必要な訓練を行うなど、全庁一丸となって警備体制の構築に努めているところであります。

 また、今般のサミット、テロの脅威のみならず、過激な環境保護団体等の活動も懸念されるなど、厳しい警備情勢下にありますけれども、関係省庁と連携して、サミットにおける海上警備に対処していく所存であります。

長島(昭)委員 こういう状況ですよね。当然、防衛省・海上自衛隊は、海上保安庁とある意味連携をとりながら日本近海の警戒に努めていると私も信じておりますし、国民の多くはそういうふうに信じていると思うんですね。そういう中で起こった今回の事故なんです。

 自爆テロの話をして思い出すのは、二〇〇〇年の十月十二日にイエメンのアデン港沖で起こったアメリカの駆逐艦コールに対する自爆テロ、あのときは、十七人死亡、三十九人負傷、縦六メートルの穴が駆逐艦にあいた、こういう事故であります。

 防衛大臣に伺いたいんですが、そのときの教訓、海上自衛隊の中でどのように共有されていたのか、あるいは米海軍との間で緊密な連携がとられているわけですけれども、このときの教訓をどのように情報交換をして対処してこられたのか。今回の事故にかかわる文脈で御説明いただければありがたいと思います。

石破国務大臣 コールの事案につきましては、これは私も強い関心を当時から持っております。

 アメリカの調査文書は、情報公開請求によって開示されたものがございます。その内容は委員御存じのことだと思いますので、私が繰り返すことはここではいたしませんが、その中で幾つか気になることというのは、こういうことがございます。

 コールは、脅威レベルが低いほかの海域からイエメンに入ってきておるわけでございますが、この時点で脅威レベルをハイ、高に上げておるわけでございますけれども、この認識が低かった。実際に高になっている、高いレベルになっているんだけれども、そこの乗員に対してその認識の徹底がなされていなかったというふうにアメリカは言っております。

 任務中の乗員の一部は、高、高い脅威度にあるとの認識がなかった。あるいは、コールは、指揮系統の直近の、間近の上位者に実際の部隊防護体制を通知していなかった。任務中の乗員が適切なブリーフィングを受けていなかった。ブリッジには乗員がいなかった。並走するボートに対する統制はほとんど行われていなかった。艦長を含めだれもコールに近接するボートに対する警戒感を抱かなかった。昼食時、お昼御飯でございますが、昼食時であったにもかかわらず、上甲板には上級指揮官がだれもいなかった。こういう指摘がなされ、アメリカは反省し、教訓としているということを承知いたしております。

 今回の事故というものと自爆ボートというものを同列に論じるということが必ずしもふさわしいわけではないし、そのこと自体適切を欠く部分もあるだろうと思っていますが、委員御指摘のように、夜間こういうボートが近づいてきたら、あるいは停泊中にこういうことが起こったとしたら、「しらね」の火災にしても、何で起こったか、なぜ防げなかったか、いろいろなことはあると私は思います。

 自爆ボートが近づいてきたときに大丈夫かと言われたときに、今回のことでこうでしたからということを申し上げるのは、必ずしも状況が違いますので適切ではありませんが、それはそれとして、なぜこういう小さい目標が発見できないのか、できなかったとすれば、どう対処すべきなのか、見張りはどうあるべきか、当直士官はどのような対応をすべきかということは、もう一度検証します。しなければならないことであります。

 今回の事故が起こってはならない、そのために全力を挙げるということと、こういうように国民の皆様が思っておられる御心配にきちんとこたえるということ、その二つはやっていかねばならないことだと思います。

長島(昭)委員 恐らく、アメリカの教訓の中で一番のポイントは、高い脅威レベルであることを乗組員だれもが認識していなかった。これは、今回の「あたご」の乗組員そのものじゃないですか。

 自爆テロというのは、向こうから意識を持って体当たりしてくるわけです。今回の場合は、当たりたくない、衝突したくないという船を回避できないで突っ込んでいったわけでしょう。漁船団が五そうぐらいあったという話ですね、関係者の証言によると。そこに真っすぐ突っ込んでいったわけでしょう。そのときに、コールの事件、あるいは、もしや自爆テロがあるかもしれない、こういう認識は全くなかったということですか。もう一回お答えください。

石破国務大臣 それは今回、艦長から二等海士に至るまで、本当にどのレベルの人間にどんな意識があったかということは、捜査の進捗を見ながらきちんと聞き取りをしなければいけないことだと思っております。

 私どもとして、今回のハワイから横須賀に回航しますこのコースをどのような脅威レベルにしておったか、あるいはこれがどういうミッションを持っておったかによってそれはまた異なることでございますが、だれがどのような脅威認識を持たねばならないか、それが二十四時間、三百六十五日、常に日本全国あちらこちらで動いております護衛艦、自衛隊の艦船、あるいは海外にも出ておるわけでございます。それがそういう認識をどのように持っているかということは、これは至急点検をし直します。

長島(昭)委員 ぜひ点検していただきたいと思うんですが、防衛大臣として、先ほど海上保安庁の説明があったように、ことしに入って非常に近海も緊迫している、こういう認識に基づいて、海上自衛官あるいは陸海空の自衛隊に、ことしは特に気をつけなきゃいかぬぞ、例えば、ハワイから帰ってきて、通常の航路を使って横須賀に入ってくるかもしれないけれども、近海は、例えば午前四時ごろは漁船も多いし、商船もだんだん出てくる、入ってくる、こういう時間帯だよという特別な通達でも何でもいいんですけれども、指示、注意喚起はされたんでしょうか。

石破国務大臣 防衛大臣名では、そのように特別な注意喚起はいたしておりません。海上幕僚長以下、自衛艦隊司令官あるいは護衛艦隊司令官、それぞれの指揮レベルでどのような通達がなされておるかということについて私自身正確な知識は持っておりませんので、きちんと調べました上で早急にお返事をするようにいたします。

 ただ、どんな状況であれ、とにかくテロの脅威というのは、去年のテロ特措法のときからずっと私が申し上げているように、いつ、どこで、だれが、だれから、なぜ、どのようにして攻撃を受けるかわからないのがテロなのだ、まさしくそういう時代に我々は生きているのだということが本当に徹底できているかどうかは、私としてきちんと検証を早急に行う責務があると思っております。

長島(昭)委員 ぜひ、これは相当真剣にやっていただかないといけないと思います。

 一点、事故原因で、先ほど渡辺委員も幾つか質問されて、今は捜査中なので答えられないというお話だったのですが、自動操舵でこの近海へ突っ込んでいったのですね。この事実は恐らく否定はされないんだろうと思いますが、河野海幕防衛部長も、自動操舵というのは、とにかく安全な大海原を航行するときに使う操舵方法だと。こういうことでありますから、私は素人でありますけれども、この危ない近海に入ってくるわけですから、そういうときには、当然のことながら自動から手動に切りかえていくのが私は常識的な対応だったと思うんですけれども、この点だけ、いかがですか。

石破国務大臣 今回の事故の状況においてどうであったかということについて、これまたおしかりをいただくかもしれませんが、今捜査が進められているところであります。

 それはそれとして、一体どういう状況であればマニュアルであり、どういう状況であれば自動なのかということ、これは、太平洋の大海原と、この事故が起こった海域と、一番ふくそうする浦賀水道と、レベルは幾つもあるのだと思いますが、どの時点で自動操舵にすべきだったのか、そしてそれが、船によって、あるいは当直士官によって、艦長によって違うなんということがあっていいのかということだと私は思っているのですね。

 どういう場合に手動にするか、どういう場合に自動にするか。ただ、自動にした場合に本当にみんながぼんやりしちゃうかというと、それを自動にすることによって余力が出て、見張りをもっと厳となすという考え方もないわけではないのかもしれないけれども、その基準、判断者、その適正性、そのことが我が艦船において、全艦どのようになっているかということは、これは早急に調べろという指示は出してございます。このことについて明らかにしていかねばならない。それが船によって違うなぞということ、判断者によって違うなぞということ、それはあってはならないことだと思います。

 基本的に、こういう海域においては、私自身、手動で運航すべきものと考えますが、自動から手動に切りかえるという操作はそれほど難しくないというふうに聞いておりまして、自動にしておっても見張りを厳として、すぐ手動に切りかえる、そういう体制も体制としてはあるのかもしれない。それが適切に行われたかどうかはまた別の問題でございます。

長島(昭)委員 この自動操舵の問題はかなり深刻な問題だと私は思いますので、先ほどの危機意識の欠如と直結している問題だと思いますので、早急に点検をしていただきたいというふうに思います。

 残り時間が少ないんですけれども、今回の問題でいろいろ深刻な問題があるんですが、この報告、連絡体制の不備が明らかになったと思います。

 先ほども話がありましたが、今回の事故で、私もクロノロジーをつくってみて改めて感じたのでありますが、事故が起こってから海上保安庁へ無線の通報をする、これに十六分、そして、その後さらに十分後に、直近の上部機関、つまりは護衛艦隊の司令部、横須賀の司令部に連絡、ここの時間がかかり過ぎているのかどうなのかというのは、これはなかなか私は即断することはできないと思うのでありますが、決定的なのは、海幕からあるいは統幕から内局に伝わってから大臣に上がるまでに四十分かかっているという、ここなんですね。

 まず一点伺いたいのは、今回のような、最初の報告、最初の海上保安庁への、第三管区海上保安本部への第一報、これはかなり詳細な第一報になっているんですね。最初は位置を言って、その後、護衛艦「あたご」と漁船清徳丸、約十五メートルが衝突、同漁船の船体は二つに分断し浮いている、護衛艦「あたご」が捜索中であるが、漁船乗組員は行方不明、つまり、国民の生命が脅かされている状態ですよね。

 この段階で、海上自衛隊あるいは防衛省、この情報に接したときに、これは軽微な情報ではない、通常の情報ではない、重大な情報だと直ちに、速やかに判断できる、そういう状況になっているんでしょうか。

石破国務大臣 まず、なぜ海上保安庁にそれだけの、十六分ですか、四時七分に発生してから海上保安庁に行きました四時二十三分、この間のことについてはまだ検証中でございます。

 それがすぐ上がるようになっているかということは、上がるんだったらこんなことにならないわけですね。

 実際に今出しております通達におきましては、通常の報告、連絡につきましては、事件、事故が発生した部隊または機関が当該事件、事故の発生を承知した後、速やかに当該報告、連絡が実施されるよう措置するものとなっておりまして、その下に、各幕または各機関の担当部署は、事件、事故発生部隊等から事故の連絡を受けた後、直ちに防衛大臣秘書官を通じて防衛大臣、及び防衛副大臣秘書官を通じて副大臣に対して報告するとともにと、こういうことになっている。

 そうだとすれば、今回、連絡がすぐ来ていなきゃおかしいんです。重大な事故でなくてもそうなっているわけであって、私は、幕僚長が知ったときに、それは幕僚長から速報を大臣に上げるというような改正は即日行いました。

 ただ、軽微な事故、もう一つ上のレベル、もう一つは国政に重大な影響を与えるようなレベル、そこをもう一回整理し直して、だれが軽微と判断するのか、こういうことはどれぐらいの重大性を持つのかということについて、それを現場のオペレーションルームにいる人に任せてしまっていいのかということはあります。そこのところは、私はもう一度この通達自体を全面的に見直すようにというふうに申しておりまして、これを早いうちに、できれば、原案というものは、来週初めには私のところに上げるように申しておるところでございます。

長島(昭)委員 通達には、確かに制服から大臣に直接上がるようになっているんですね。これは、軽微なものでもなっているんですよね。それがそもそも動いていないんです。

 ところが、過去の例を調べると、練習潜水艦「あさしお」がパナマ船籍のケミカルタンカーと衝突した事例、二年前の十一月二十一日の事例、このときは、海上幕僚長から防衛庁長官に直接報告が上がっているんですね。

 ですから、先ほどの、なぜああいう形であの近海に無防備に突っ込んでいったかということもさることながら、事故が起こってからの報告体制でも、事の重大性を認識したとは到底思えないようなやり方をしているんですよ、過去の例に照らしても。

 ここで、ちょっと気になるコメントが一つあったんですね。これは、今は自民党の参議院議員になられていますが、佐藤正久さんが、元陸上自衛官でありますが、新聞のコメントで、これはきのうの日経ですけれども、自衛官には、情報を直接防衛大臣に伝達するのにためらいがある、こういうふうにおっしゃっている。それから、別の防衛省幹部も、各幕僚監部は、防衛相に直接連絡をして責任をとらされることを嫌がり、内局は、各幕僚監部の情報が間違っていて防衛大臣に怒られるのを嫌がるという責任のなすりつけ合いの構図がある。

 これはゆゆしいことですよ。国家の一大事に対して、責任をとらされるのが嫌だからとか、確かに、情報伝達というのは難しいと思いますよ。正確性を期しなきゃならない、しかし、迅速性も担保されなきゃならない、このジレンマというのは常にあると思いますよ。しかし、こんなメンタリティーが制服と内局の間にある。このこと自体が、まさに石破大臣が、制服と内局の間の連携あるいは統合をしていこう、こういう改革案を示されましたその一番の原因なんだろうと私は思いますけれども、今現在、こんな状況が防衛省の中にあるのかないのか、ちょっとお答えいただきたいんです。

石破国務大臣 あると思います。私は、あると思う。それは、中の人はいろいろなことを言うかもしれない。そんなことはないと言うのかもしれない。

 ただ、私は、やはり制服としては、もう内局に伝えたら内局から上がるはずだという思い込みがあるのではないか。あるいは、内局は、制服は制服としてちゃんと上げるルートがあるだろう、何でそれを上げないのということがある。結果として、正確な情報は遅い、早い情報は間違いがある、どっちもよくない、それですくんでしまうということがあるんだと思うんです。

 だけれども、判断するのは大臣ですから。私が発生直後に言ったのは、とりあえずでいい、正確でなくてもいい、判断するのは大臣が判断する、責任も大臣が負う、だから、一報はすぐ上げなさいということを申し上げておるのでございます。その判断を間違えるとすれば、それは大臣の責任であり、そのような間違えるような判断をするような人は大臣になってはならないということだと思います。

長島(昭)委員 この問題は、まさに防衛省改革の一番のポイントになると思いますので、今後ともこの点についてはきちんと議論していきたいというふうに思います。

 確かに、今回、防衛省・海上自衛隊のていたらくは、もう国民の皆さんも唖然とされている、こういうふうに思うんですね。しかし、私は、今回いろいろ時系列で調べてみて、ふと思ったのでありますが、平成十五年の閣議決定がございますね。きょう、皆さんにもお配りをさせていただきました二枚目、三枚目でありますが、この閣議決定が全く今回機能していないということに私は気がついたんですね。

 これはちょっとポイントを読みますけれども、ちょっと飛ばしながら読みますよ。政府は、国民の生命、身体に重大な被害が生ずるような緊急事態に対し、下記により政府一体となった初動対処体制をとることにより、速やかな事態の把握に努めるとともに、被災者の救出に全力を尽くす、こういう趣旨ですよ。

 「緊急事態に関する情報集約」、ここに書いてあるのは、まず第一番目、「関係省庁は、緊急事態及びその可能性のある事態を認知した場合は、直ちに内閣情報調査室へ報告するとともに、事態の推移と対処の状況についても適時に報告する。」。

 これは、クロノロジーを見てください。防衛省からこの内閣情報調査室内閣情報集約センターに第一報があったのが事故から二時間半後。ルートは、実は、防衛省のルートだけじゃないんですね。この情報集約センターに入るルートはもう一つある。それは、海上保安庁から国交省を通じて入ってくるルートなんです。

 先ほども見ましたとおり、事故から十六分後には海上保安庁の第三管区海上保安本部に無線連絡が入っているんです。そこから約四十六分かかって海上保安庁の本庁の運用司令センターに連絡が入り、さらに、そこから官邸に上がっていくのに約一時間半かかっているんです。防衛省もとんでもないけれども、実は海上保安庁も、このクロノロジーでいくと相当スローですよね。

 さっき、相当緊張感を持ってやっておられるというお話がありましたけれども、これはどうしてこんなに時間がかかるんですか、海上保安庁。

石橋政府参考人 海上保安庁として、国土交通大臣を初めとする幹部への報告に時間を要したことについて、非常に重く受けてとめておりまして、今後は報告を迅速に行うよう、関係職員に対して徹底したところであります。

 なお、今回の事案に関し、初動の措置としては、漁船清徳丸の所属漁業協同組合、乗組員の人数等の情報収集、それと巡視船艇、航空機及び特殊救難隊の発動指示、付近通航船舶への無線による海難発生情報の提供などを行っておりました。

長島(昭)委員 いやいや、だって、自衛艦から、現場から第一報はかなり詳細に入っているんですよ。船が二つに割れちゃっている、乗員は行方不明だと。これは速報しなきゃいけないんじゃないですか。そんな、船の名前がどうだこうだとかじゃなくて。そこはどうなんですか、通常の体制。

石橋政府参考人 御指摘のとおり、非常に重く受けとめておりまして、先ほど言いましたように、関係職員に対して、迅速な報告を周知徹底しております。

長島(昭)委員 いや、これは海上自衛隊もそうなんですけれども、海上保安庁として、今回の事件、第一報に接して、これは重大な事件だ、事故だという認識はあったんですか。

石橋政府参考人 ただいまの御指摘のような認識はございました。

 ただ、乗組員が何人乗っていたか等やはり把握したくて、そちらの方に、作業に入っていたという状況でございます。

長島(昭)委員 これは本当にゆゆしいことだと思いますよ。

 きょう外務大臣にお見えいただいて、一般法の質問をちょっとしたいと思ったんですが、時間がなくて申しわけございません。

 しかし、これは防衛省固有の問題のように今、世の中で報じられています。もちろん、防衛省の問題は弁護のしようがない、本当に重いと思いますが、実はこれは政府全体の問題ですね。危機管理体制が、防衛省、海上保安庁の別なくほとんど機能していないということが今回わかったと思うんです。これは、まさに福田政権そのものの危機管理能力あるいは政権担当能力に直結するような問題だというように私は思います。

 今後も引き続いて追及をしていきたいと思いますけれども、ぜひ、これは救助ももちろんですけれども、これに対する原因の究明、そして再発防止、きっちりと対応していただきたい、このことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

嘉数委員長 次に、山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 委員長、私の場合、二十七分まであると思いますので、よろしくお願いします。

嘉数委員長 はい。

山口(壯)委員 今回の事件については、早く見つけていただきたいということをまずお願いしたいと思います。

 私もきのう勝浦に行ってきました。そして、ちょうど大臣が着かれる直前だったと思いますけれども、藤平市長さんにお会いし、あるいは外記栄太郎漁協組合長さんにお会いし、あるいは哲大さんのおばさんに当たる方ですけれどもお会いをし、詳細にお気持ちを聞いてきました。

 大臣、ところで、予定より二十分おくれられたというふうになっていましたけれども、どうしておくれられたんでしょうか。

石破国務大臣 予定時間よりおくれましたのは、これは報道等々でも出ておりますが、現地に向かう私が乗りました車が接触事故を起こしまして、そこにおける処理のために一分、もう少しおくれたかもしれません、そういうような状況であったということは、それは報道等でも明らかになっておるとおりでございます。

山口(壯)委員 ちょうど私たちが帰るときに大臣がバスに乗っておられる姿が見えました。どうしてかなと。後で映像を見てみたら、公用車が来ていた。なるほど接触したんだな。あのときに先導車が、あの勝浦漁港の狭い道を猛スピードでびゅんと行っていましたよ。こんなことをやったら絶対事故が起こるだろうと私は確信しましたよ。現実に衝突をされているわけでしょう。海ではイージス艦が衝突し、陸では防衛大臣が女性の乗った車に衝突している。したがって、大臣、これは大臣御自身の問題でもあるんですよ。

 藤平市長にお会いしたときに、そして外記組合長にお会いしたときに、本当に怒り心頭だったですよ。多分、大臣には少し遠慮目にお話をしたんでしょう。しかし、この中で彼らが言っておられたのは、本当にイージス艦が、そこのけそこのけお馬が通るというようなことでやっていたことに非常に怒りを感じる、国民に目を向ける政治をすると総理は言っておられるけれども、全然そうじゃない、こういうことも言っておられました。この言葉は真摯に受けとめるべきです。

 そして、大臣の車、あんなところを猛スピードで走ったら、本当に狭いんですよ、行かれたとおり、接触して当然ですよ。物すごいスピードで行っていたんですから、私はびっくりしましたよ。ちょっと待てよと。だから、その辺の心の問題をきょうはずっと問うているわけでしょう。こういう話がわかるような石破さんでいていただきたい。だから、テクニカルな組織論でないわけですよ。こういうイージス艦が、例えば、どっちの方を向いているのか。こういう房総半島南部の地域はもともと船舶銀座と言われているような地域ですね。そこを自動操舵で通るという心のことをまず問題にしなければいけない。

 いろいろな仕組みも議論されているようですね。海幕長から直接大臣へと。全然関係ないですよ、実は。私は、内局にいてよくわかります。別に内局からでも、心の問題さえしっかりしていればすっと行きます。私はちょうど運用課というところにいましたから、当時の長官は加藤紘一さんだったですけれども、領空侵犯というものがひゅっと起こったら、当時の空幕運用課から、山口部員、第一報です、詳細は後ほど言いますし、万が一誤った面もあるかもしれませんけれども、第一報を入れますとすっと来て、そのまますっと私は長官室に行きましたよ。すっとですよ。だって、事態が事態だから。今、そういう状況に防衛省がなっていないというところが問題なんです。仕組みの話じゃないんです。海幕長から直接あろうがなかろうが、関係ないんです。今、佐藤正久さんの引用がありましたけれども、自衛官の人が直接大臣に遠慮があるとか、そういう話は、まあ、彼はそう思っているかもしれない、内局がしっかり機能していれば全く問題ないんです。

 〇四四八に、内局の方にありましたね、オペレーションルームのそこにいた人から、〇四四八にすぐ大臣に行かなきゃいけないんですよ、すぐに。この〇四四八も実は遅いんですよ、本当は。四時七分なりに起こってから四十分も経過しているわけですね。そのこと自体も本当は遅いんです。だけれども、少なくとも〇四四八の時点ではもう直結していなきゃいけないんです。

 だから、そういう意味では、大臣がいろいろ考えておられるのはわかるんですよ。わかるんですけれども、テクニカルな組織論じゃなくて、心の問題だということをひとつよくわかっていただきたいと思うんです。

 そして、この車の問題も、大臣、ここはやはり御自身の問題としてとらえていただきたいんですよ。大臣自身も変わっていく、そして防衛省全体が変わっていくというふうに根本的な意識改革がないと、この問題は片づきません。そのことを私は念頭に置いて物を言いますので、よろしくお願いします。

 そして、レーダーの話ですけれども、言ってみれば最新鋭のレーダーなわけですね、別に防空とか海上とか分けなくても。そして、幸運丸という僚船、仲間の船が三時三十分ごろには「あたご」をレーダーでとらえていたという説明を漁協の方々はされていましたね。漁船のレーダーには映っていた。「あたご」のレーダーにも当然映っていたはずです。

 そういう意味で、順番に聞きますけれども、当時レーダーは正常に稼働していたんでしょうか。

石破国務大臣 正常に稼働しておりました。少なくとも、この時点でレーダーに何かの異常があった、あるいは運用上の支障が起こったという報告は受けておりません。

山口(壯)委員 ということは、レーダーは機能していたけれども防衛省自身が機能不全だったということにもなりませんか。見張りの人はいたけれどもレーダーの監視員に伝わっていなかったとか、いろいろなことが言われています。漁船よりも「あたご」のレーダーが劣るということですか。

石破国務大臣 それは、水上用レーダー、航海用レーダーと二つございます。航海用レーダーで見ておりますが、その能力は、どう考えたって漁船よりもすぐれたものが当然ある。もちろん、SPY1レーダーのように対空レーダーの本当に比類なき性能というものがあるわけじゃございません。商船の近代的なすぐれた船と同じような性能かもしれませんが、そのレーダーはきちんと作動しておったわけでございます。

 漁船からは、イージスは物すごく大きいですから、目標として、反射面積も多いので当然映っております。私どもの水上レーダーでこの小さな漁船がそのときどのように映っていたか、それがほかの目標とどのようにして識別できる状況であったか、それの移動状況がどのようなものであったか、そのことについて今後捜査がなされるということだと思っております。

 レーダーと見張りと、そしてまたそれを判断する人間の連携というものがきちんとできていたかどうかが、まさしく大きなポイントだと思っております。

山口(壯)委員 外記組合長さんの言葉で、どんな立派な機械を積んでいても、最後はそれを使う人間次第だ、国民の目から見て納得のいく航行をしてほしい、こんな漁船団に直行してくるような、そういう、そこのけそこのけお馬が通るのような航行をしてほしくない、全国の漁業組合が注視していますよ。今までも、大きい船は回避をしてこなかったんじゃないかと思っている、たまたま今回初めてのケースになったのかもしれないと。この組合長さんの言葉は深く受けとめてください。多分、大臣には遠慮されてそこまで言わなかったかもしれない。しかし、組合長さんはここまで思っておられます。

 そして、正しい真相を明らかにするべきだ。捜査、捜査、これは理屈は通っている。しかし、正しい事実を明らかにする、そういうことじゃないですか、うそを言っていくんじゃないんだから。そういう意味では、防衛省あるいは外務省もそうですよ。事柄の性格上答弁を差し控えたいと、余りにも多過ぎる。この件に関しては、市長さんも言っておられたでしょう、原因の究明を徹底的にやってほしいと。

 それから、大臣のとり方と私のとり方と少し違うのは、市長さんも組合長さんも、責任の追及は徹底的にやってください、納得がいきません、こう言っていました。そういう意味で、大臣自身もいろいろとお考えがあるでしょう。だけれども、その市長さん、組合長さんが言っておられた言葉、直截に言われたかどうかわからないけれども、我々にはそういう気持ちを赤裸々に言われました。多分、そこもお聞きになったかもしれませんから、よくそこら辺は深く受けとめていただきたいと思います。

 当時、この海域には何隻も仲間の船がおられたわけですね。康栄丸、金平丸、幸運丸、そしてこの清徳丸。そして、こういう船はたくさんいたはずなのに、そしてなぎだったはずなのに、そして視界は良好だったはずなのに、防衛省側の説明では二隻の船のように言っておられるんですが、現実にはここに漁協の説明だけでも四隻、金平丸、康栄丸、幸運丸、そしてこの清徳丸。

 最新の機械を積んでいても、最後にはその人間次第だと。この状況で四隻が見えないということ自体おかしいんじゃないですか。どう思われますか。

石破国務大臣 私、先に申し上げておきますと、市長さんも組合長さんも御家族の方も、委員におっしゃったことと私におっしゃったことは違わないと思います。人がかわるから言うことを変えるというような方ではない、恐らく、委員に言われたこと、私に言われたこと、一緒だと思っております。

 ただ、私どもとして、それを都合がいいように、こう言っておられたからというようなことを、間違っても受け取られることがないように、御発言を引用することには相当慎重にしなければいかぬというふうに思っておる次第でございます。直接、報道等々に対してお話しになるのが一番よいのかもしれませんが、そのことについて私がとやかく申し上げることでは当然ございません。

 委員の御質問ですが、いろいろなものは当然映っております。レーダーの性能にもよりますが、その地点にいた、もちろんレーダーをどのモードに切りかえるかにもよりますが、いろいろなものが映っておったはずでございます。

 ただ、委員も運用担当でいらっしゃいましたからよく御案内のとおりで、レーダーを見ている者は、一体どれを注視すべきなのかという選択は当然行います。そこに映っているものを全部見ているわけにもいきませんので、どれが近づいてくるか、どれがどの方位をとるかということについて幾つかの目標を特定するという形でレーダーの運用はなされているというふうに承知をしておるわけでございます。

 そこで、たくさん漁船はもちろんレーダーに映っておるわけでございますが、どれをどのようなものとして認識をしたのかということについて、今私どもとして正確な情報を持っているわけではございません。映っておったのかと言われれば、当然映っておったというふうに考えるのが普通だと私は思います。

山口(壯)委員 大臣、引用については極めて正確にやっています。お聞きになられてもいい。私は直接自分の耳で聞いてしっかりとメモしたものを言っていますから、そこは重く受けとめていただきたいんです。

 そして、レーダーの話ですね。大臣は本当にいろいろなことにお詳しいから、ついそういう面に気持ちが行くかもしれないけれども、見張りの人が、幾つかのものが見えた者は、言ってみれば位が一佐とか二佐の人じゃないわけですから、かなり機械的に伝えるはずですね。そこで判断しない、判断するために士官がいるんですから。そういう意味では伝わっていたはずですね。どうですか。

石破国務大臣 委員御指摘のとおり、それを判断するために士官が乗っておるのでございます。

山口(壯)委員 そうしたら、この見張りの人がブリッジなりレーダーの人たちに伝えた、だけれども今伝わったことが、どれを見るかわからないという、一般論はそうですよ。だけれども、ここは船舶銀座と言われて、そして四時ごろといえば漁船がたくさん来るということは、海自の人はみんなよく承知しています。そういう中で、どれを見ていいかわからないという話じゃないはずなんです。

 どうしてもみんなを守りたい、国民を守りたいという気持ちがないんじゃないのかということを言っているんです。そこですよ。市長さんははっきり言っておられたんです。国民に目を向けた政治になっていない、もう私たち田舎者ですら怒っているんですと。ここが問題なんです。

 だから、レーダーの一般的にどこを見れば、わからないという話じゃないわけですよ。ここは大変なところだから、そういう意味では、絶対に国民を守らなきゃいけないという気持ちが先に立っていれば、自動操舵で、見えてから十一分もあるいは十二分も行くということはなかったはずでしょう。ここなんです。

 だから大臣が、これから陸海空三幕、あるいは三自衛隊に、あるいは統幕に言われるときに、おれも変わるから意識をみんなで変えていこうと。

 だれに一番気を使うのかといったら国民なわけですよ。アメリカじゃない、国民ですよ。国民を守る防衛省だ、自分の立場を守る防衛省じゃないんだから。だから、こういうレーダーの監視をしている人も、大臣が、一般的にはどれを見ていいかわからない、たくさん見えるでしょう、だけれども、そういうことじゃなくて、見張りの人から見えたということがあるんだから、もっと気を使う、そういう自衛隊にしなければいけないんじゃないんでしょうか。

石破国務大臣 御指摘重く受けとめたいと存じます。

 私が申し上げたのは、まさしく委員よく御案内のとおり、余りごたごたと専門的なことは申しませんが、レーダーは、ディスプレーがCICと艦橋と両方ございます。CICで見ながら、あそこにこんな目標がある、ちゃんと見張れ、この方向に何があるかというようなことがCICから指示が行き、見張りがそれを見て、このことについてこうだというふうに当直士官に報告しというふうな、そういう流れになるというふうに聞いております。

 まして、こういうような船舶銀座に近い海域においては、そういうことが本当に厳になされていたか、だれが何を見、どのような指示が出、だれがどのような判断をしたかということが、まさしく委員がおっしゃる国民の視線に立ってということを全員が徹底していたかどうかということが、運用のやり方云々を論ずる前に必要なことだということは御指摘のとおりでございます。

 そして、トップである私自身の意識がもっともっと変わっていく、委員のお言葉をかりれば、自分も変わるんだ、みんなも変わろうというようなこと、それはトップとしてさらに心がけていかねばならない、御指摘を聞いて、そのように思っておる次第でございます。

山口(壯)委員 仕組みの問題の一つに、原因の解明の中で「あたご」が、自分がどういうふうに動いたかという、いわゆる航跡というのか記録が残っていないという話がありますけれども、これは別に質問にする前に、あるいはもう質問にするまでもなく、そういうこと自体がやはり問題だと思うんです。漁船の方でさえ全部残っていたわけですから、「あたご」が残っていないということ自体がやはり、これはおかしいぞと思っていただきたい。大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 この記録につきましては、いろいろと法令の定めがございます。

 すぐ法律の名前が出てまいりませんが、こういうものを備えなさいというような法律の定めがございますが、私どもの自衛隊の船はその適用除外になっておるわけでございます。適用除外だからそれを積まなくてもいいかといえば、積んでおるものもございまして、これは、どのような記録が自動的に残っているかについて確認をいたしておるところでございます。

 法令から申し上げますと、航海用具の基準を定める告示ということになっておりまして、その第二十五条に航海情報記録装置についての定めがございます。そこにおいて適用除外がなされておりますのは、これもまた法令によって決まっておるところでございます。

 ですから、何を除外したのか、そして何がどのように残っておるのか、そのことにつきまして、現在、私の方から指示をいたして、正確に把握をするように努めておるところでございます。そのことが認識でき次第、また委員の方に御報告をいたしたいと存じます。

山口(壯)委員 法令上は残っていなくても適法だというのは、それはわかりました。ただ、我々が法律をつくるんですから、今の法令でそれが足りないと思ったら、それは変えていきましょう。

 現実に、やはり残すべきだと私は思います。大臣いかがでしょうか、もう一回。

石破国務大臣 基本的にそのとおりだと思っております。

 適用除外になるとすれば、なぜなるのか。なぜそれが正当性を有するのかということを考えていかねばなりません。現時点でわかっておりますのは、これはお手元に資料をお配りしておりませんで恐縮でございますが、今申し上げました、航海用具の基準を定める告示二十五条の中で、常備記録機能があるというものが幾つかございます。今、私もその表を見ておるところでございますが、もう一度、なぜそのようになっているのか、ちょっと精査するお時間をいただければと思います。

 基本的に委員の認識で、なるべくそういうものは持つべきだというのは、私も一般論としてはそのとおりだと思いますが、これを除外するのが戦闘艦の特性からいってやむを得ないのだというふうになるものもあるのかもしれません。私、得心するまで少々のお時間をいただきたいと思います。

山口(壯)委員 私も、現実に、防衛庁の時代にいたときに、空の運用担当ということで、レーダーの航跡の話、あのときは大韓航空機の撃墜事件の後始末でしたけれども、いわゆる青森にある三沢CC・DCに稚内とか網走から全部集まってくる。そういう話から、航跡の話、ローデータの話がすごくポイントになったことがあるんです。

 これ以上言うとあれだからよくないけれども、そういうものも残すようにしておくことによって緊張感が違ってくるわけですよ。自分のやったことが全部歴史に残るんだということになると、緊張感が全く違ってきますから、これは仕組みとしてそういう方向で考えてください。

 先ほど大臣、こういう海域で自動操舵というのはむしろ不適切だったと思うという言葉を私はお聞きしました。私もそのとおりだと思います。そういう認識でよろしいですか。

石破国務大臣 一般論としては、そうではないかと私は思います。

 太平洋のど真ん中で、何か見えればすぐわかるというような、そして昼間の視界がいいときと違って、幾らなぎであったとはいえ、午前四時という時間であります。浦賀水道ほど最もふくそう海域ではないとはいえ、幾つかの船が向かっている海域でありますから、そこにおいて太平洋のど真ん中と同じような自動モードにしておったとするならば、それは適切ではないのではないかと一般論として私は思います。

 ただ、そのときに、状況がどうであったのかということの正確な認識がございませんので、一般論としてはという前置きをしておるようなことでお許しをいただきたいと存じます。

山口(壯)委員 今、調査が進んでいるということですから、私もそれはそれで尊重しましょう。

 しかし、やはり大臣として、直接の指揮官ですから、自分の配下にある大きな船がずどんと行ってしまうんですから、そういうことはこれから起こらないようにいろいろ考えようぜという中で、自動操舵というのはいかがなものか、おっしゃるとおりですから、そういう指導をぜひしてください。

 それから、海幕の河野防衛部長さんが、見張りの人が灯火を確認した、幾つかはともかくとして、確認したと。そのことが当直士官に伝えられたかどうかということについて、確認していないというそのときの答弁の状況なんですけれども、確認していないというのは、どう考えてもちょっとおかしいですよね。

 大臣の今受けておられる報告ではどうですか。当然これは報告されているべきものですけれども、どうだったでしょうか。

石破国務大臣 一般論としてそれは、見張りは、自分で判断をしてはいけない、当直士官に伝えなければいけないということだと承知をしております。

 今回、それがどのように行われたかということについて、現在海上保安庁において捜査が行われているものであり、私として、一般論として、見張りの担当が当直士官にこれを伝える、たとえ自分が危険がないというふうに認識をしたとしてもそれは伝える、それは、ルールとしてそうあるものでございます。

 今回どうであったかということについて、私自身、これが確かだということについて、確たる情報を持っておるものではございません。

 これは、本当に委員にも御教示をいただきたいと思うのですが、海上保安庁が捜査をしておられて、その捜査は公正であらねばならぬ、厳正であらねばならぬ、予断を与えるようなものがあってはならないということだと思います。他方、私どもとして、何もわからぬ、調査中というようなことがあってはならない。この間をどこでどうとったらいいのかということについて、私は事故発生以来、非常に悩んでおるところなのでございます。

 委員の方から先ほど、それは指揮権の問題だろうというお話がありました。確かに指揮系統でいろいろな情報は上がってきますが、では、そこで知ったことをみんなオープンにしていいかということになると、それは捜査の公正性、厳正性はどうなるのだという問題とどうしてもバッティングする部分が出てまいります。

 そこのところをどのようにしたらいいか、事故のときにいつも問題になる点ではございますが、ここはこうすべきではないかという御提案があれば、ぜひとも御教示をいただき、今後の糧にさせていただきたいというふうにお願いを申し上げる次第でございます。

山口(壯)委員 別に大臣に教示をするつもりは全くないですが、ただ私は、自分が一介の部員だったときに、長官がおられて、外務省だったらなかなか大臣に直接一介の課員がぴょんと報告するということはあり得ないわけですけれども、でも防衛庁の場合は、割と小ぢんまりした世帯だったし、みんなが頑張ろうよという気持ちでいたからか、やはり大臣にすっと行って、加藤さんも、よし、わかったと。だから、大臣、余り怒らないように、報告したときに、なるほど、よしよしと言ってやってください。

 こういう中で、組織のあり方というのが、やはりいいようにいいように変わっていかなきゃいけないんですから。

 防衛庁が防衛省になってから、私もそれは賛成はしたけれども、どうもよかったのかなという気持ちが若干ぬぐえません。どうも防衛省になってから、いろいろなことが起こり過ぎているなという気もしますので、我々の党内の中では、これはひょっとして、もう一回防衛庁にした方が安全保障のためにはなるんじゃないのかという議論が、まことにこれは筋が通っている部分があるものですから、やはりこれは深刻に受けとめていただきたいと思うんです。

 そして、報告についてはやはり、大臣も政治家として防衛庁、防衛省にかかわってこられたわけだから、なかなか、一番現場の部分というのが、わかっている部分もあるけれども、わかっていない部分も、これは当然あってしかるべきなんです。

 そんな中で、やはりどうしても下の者は、確かめてから確かめてから、後でしかられないようにという発想もそれは当然働きますけれども、でも、これは拙速をもって旨とすべしという部分も大いにありますから、だから、できるだけ大臣のところに、あるいは上のところにどんどんどんどん報告が来て、ちょっとこれは第一報で申しわけないですけれども、後で詳細は続報をしますということを風土としてつくり上げてください。でなければ、指揮官なんですから、その指揮官が知らずに不祥事が起きてしまうという根が絶てないんですよ。

 そして、今の話の関連かもしれないけれども、心の問題ということで、海自は毎年、安全航行の研修とか、あるいは、こういうふうにやろうかという講義とか、あるいは実際に実技的なこともされているというけれども、これを抜本的に見直そうという話もされているようですけれども、そこがポイントでは必ずしもないんですよね。心の持ち方の話ですから、だから、日勤教育とかいろいろなことがJRの事件で言われましたけれども、全然あんなの意味ないですよ。やはり全体として、国民を守るんだという気持ちをもう少し前面に出していただかなきゃいかぬと思うんです。

 そしてこの吉川さん、海幕長ですね、この方も本当にかわいそうな方だなと思うんだけれども、先ほどからいろいろ枚挙にいとまがないというようなことに遭遇してしまって、イージス艦の情報漏えいとか、あるいは例のインド洋の給油の給油量訂正とか、あるいは航泊日誌の誤破棄とか、あるいは「しらね」の火災とか、枚挙にいとまがない。しかし、これは彼だけの話ではないですよ。彼はもともと三月末で辞任するということが確実視されていたなんて、こんなことを言われていますけれども、それをちょっと前倒しして話がどうのこうのということで、もう少し根本的にいろいろと考えていただきたいと思うんです。

 そして、今、漁業組合の方のもう一つの気持ちとしては、自動操舵が、視認されてからもずっと続いているわけだけれども、最後に手動に変えたのが一分前だという話に対しても、非常におかしいなと。要するに不信感があるわけですね。本当のことを言っていないんじゃないかと。

 例えば、先ほどからも話題になりましたけれども、十二分前から、三時五十五分以前からレーダーには映っていたろうということは、私は先ほどからずっと聞いてきました。その間、そのことは防衛省側は何も説明ないんですよ。三時五十五分というところからまだ始まっているんです。最初は二分前だったのが十二分前までやっと繰り上がってきたんだけれども。そのことに対する防衛省側の説明というのは皆無ですから、三時五十五分以前は。このことに対しても、やはりそれは漁業組合の方々にはきちっと言わなきゃいけないですよ。物すごい不信感がありましたから。

 それで、どういうものが見つかったかとかいうことも教えてもらえないと。名前だけでも教えてくれ、ジャンパーが見つかったとかブイが見つかったとか、でも、それすらも教えてもらえないんだ、一体どうなっているんだということですから。別に捜査の妨げになるような話ではありません。やはり本当のことを伝えることによって国民の不信を解く方が、今は非常に重大なことですから、今は防衛省に対する不信感が物すごくある中で、隠しているなというふうに思われない、こういうことが大事だと思うんですけれども、一回答弁、お願いします。

石破国務大臣 おっしゃるとおりであります。

 ですので、本当に繰り返しになって恐縮ですが、とにかく、確認中であれ何であれ、情報を隠すことがないように明らかにしなさいということを私は指示して、いろいろな会見を河野防衛部長がしておるわけでございます。

 ただ、そんな中で、本当に我々が指揮系統で知り得たことを全部しゃべっちゃっていいのかということになりますと、それは公正性、厳正性という話になってまいります。そこのところをどう調整をとるべきかということだと思います。

 ただ、委員御指摘のように、隠しているじゃないか、うそを言っているじゃないかというようなことを思われないということが極めて肝要だと思っております。よく心してまいります。

 自動操舵のお話につきましては、その時点で行っておったことが適切だとは一般論として言えないと思いますが、このこともこれからの捜査でございます。

 回避活動として機関後進いっぱいにかけたことが正しかったかどうか、かじを切らなかったことが正しかったかどうかも、これから捜査の行われることでございますので、あれこれ申し上げることは差し控えますが、海上衝突予防法を読む限りにおいて、本当にそういうせっぱ詰まったときの回避行動として、あの機関後進いっぱいというのは、それなりにある意味適切なものであったのかもしれません。そこでかじを切りますと、かえって巻き込んでしまうということも同時にございますので、ただ、かじを切れば当然直進の距離は短くなりますから、何が一番適切であったかということについて、これから捜査がなされるものだと思っております。

 また委員におかれましても、こういうような情報の出し方が最も望ましい、捜査との兼ね合いにおいても望ましいということがあれば、ぜひ御指摘をいただきまして、また私どもに示唆をお与えいただきたいと思います。

 以上でございます。

山口(壯)委員 海自に対して、あるいは海自として、安全航行の徹底が不十分だったんじゃないかということに対して、大臣はいかがお考えですか。

石破国務大臣 私ども、当事者の一方であるわけでございます。一方の我々が海上衝突予防法に定められたいろいろな義務をきちんと遵守していれば、こういうことは起こらなかったのではないかという思いを私自身持っておるところでございます。

 これから捜査が行われることでございますので、今、不十分な情報で私があれこれ断定的に申し上げることはできませんが、委員御指摘の、本当に国民一人一人を守るんだという意識を大臣から二等海士に至るまで、陸海空、海、空、陸、全員が持たねばならないという意識のもとに今後の捜査というものに全面的に協力をしたい。また、どういうような適切な情報の開示の仕方があるか、関係者の方々のお気持ちを一番重要視しながらやっていきたいと思っております。

山口(壯)委員 海上衝突予防法では、ほかの船と接近している場合に警笛を鳴らすというふうに規定されているわけですけれども、今回漁業組合の僚船の人たちというのは、警笛を聞いていないと言っているんですけれども、そういう指導をしているというわけではないですね。

石破国務大臣 海上衝突予防法におきまして、いろいろな警笛を鳴らすことについて定められておるわけでございます。それを一々読み上げることはいたしませんが、この法律に基づきまして航行しております海上自衛隊の艦艇に、警笛を鳴らさないようにというような指導をしておることは全くございません。

山口(壯)委員 きょう私が申し上げたような話で、テクニカルなものを超えて、心の問題として、国民を守っていくんだと、そして今回のことについても、そこのけそこのけお馬が通るというようなことにみんなに見られないように、国民が納得のいく自衛艦の航行について指導していただくようお願いします。

 終わります。

嘉数委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 二月十九日、海上自衛隊のイージス艦「あたご」がマグロはえ縄漁船清徳丸に衝突をいたしました。清徳丸は船体が二つに割れ、大破した状態です。乗り組んでいた吉清さん親子は、今も行方不明です。軍艦が漁船を沈没させるなどということは、絶対にあってはならないことであります。このような事件を引き起こした防衛省・自衛隊に対して、私はまず強く抗議したいと思います。そして、懸命に続けられている捜索救助に政府が全力を挙げることを強く求めます。

 私たち日本共産党も、二月二十日、志位委員長を先頭に現場に行きまして、漁民の方々、漁協、そして関係者の方々からその聴取をしてまいりました。

 問題は、何でこういう衝突を引き起こしたかということであります。

 石破大臣は、衝突が起こった日の自民党の国防部会での説明では、衝突の二分前に見張りの乗組員が右前方に緑色の灯火を確認した後に衝突したと説明しているわけです。ところが、その後、衝突の十二分前には清徳丸の灯火を確認していた、このように言い出しました。漁民の方々からも、防衛省、うそをつくな、こういう怒りと不信の声が上がっているわけですね。

 大臣、何でこんな説明をしたんですか。

    〔委員長退席、北村(誠)委員長代理着席〕

石破国務大臣 それは、先ほど来るる答弁を申し上げているとおりでございまして、その時点において報告を受けたものを、こういう報告を現時点では受けておりますということをさまざまな機会で申し上げておるわけでございます。それは、聞き取った時期も違います。聞き取った相手方も違います。ですから、それが整合性のとれたものとはなっておらないわけでございます。

 緑色の灯火につきましては、これは右舷灯を見たということは申し上げておりませんで、正体が何であるかはわからないが緑色の灯火が見えたというふうに申し上げておるわけでございますが、それが右舷灯のことであるというふうに受け取られたり、あるいは、聴取した相手方、時期が違うので、当然情報が異なることはあるのですが、それがうそをついているというふうに受け取られたりということがあったのだと思っております。

 私どもとして、先ほど山口委員にも申し上げたことでございますが、では、何にもわかりません、捜査当局で現在捜査中でございますので、いろいろな情報は入っておりますが一切言えませんということがいいのかといえば、私は、それは説明責任としていいとは思わない。しかし、捜査の厳正、公正性というのは当然確保をされねばならない。捜査の円滑な実施というものに我々は最大限協力しなければいけない。そこのところをどのようにするかということが、私も発生以来ずっと悩んでおるところでございます。

 ただ、私どもとして、委員御指摘のように、うそを言うなというようなこと、今一番おつらい立場にある関係者の方々がそういう発言をされるというようなことは極めて申しわけのないことであり、私として、情報のお示しの仕方ということについてさらに考えていかねばならないと思っておるところでございます。うそを言っているということは全くございません。

赤嶺委員 報告が届いたものを部会で、こういう報告が届いていますということを明らかにしたと。しかし、そういう報告を聞いたときに、海のルールを知っている漁民の方々からは、これはうそじゃないかというような声が上がった。

 なぜかというと、やはり海のルールというのは、例えば「あたご」が右前方に緑色の灯火を確認したというのであれば、まず、海上で緑色の灯火を見つけたら、それは船舶だというぐあいに受け取るのが普通じゃないですか。緑色の明かりですよ、灯火。

 もう一つは、緑色のものが船舶のものであれば、それは衝突するはずはないと。しかし、現に衝突は起きているわけですよね。

 だから、大臣の最初の部会での説明では、何で衝突が起きたのか、あるいは海上で緑色の明かりを見て、それが何で船舶と思わなかったのか、船舶であればそれは衝突するはずなかったんだ、そういう疑問を持って大臣は、御自分のところに届いた情報をチェックするとか、これはおかしいとかということをしなかったんですか。届いた情報をただ報告しただけですか。

石破国務大臣 もちろん、それは私も、今委員がおっしゃるような疑問というのは、その報告を受けた時点で提示はいたしております。しかしながら、それがこうである、ああであるというような判断を私自身が加えて、私が加えた判断を自民党の部会なりあるいは公の席で申し上げるということは、私はしてはならないことなのだと思っております。これはどうなのだということは当然聞きます。しかしながら、現場から上がってくる情報、指揮系統に基づいて上がってくる情報について、このようにした情報が上がってきたということについて、どういう意味なのかという確認はいたしますが、そのことについて価値判断を加えて私が申し上げるということは、私自身、してはならないことだと思っております。価値判断というものは捜査当局がするものであって、防衛大臣がするものではございません。

赤嶺委員 私は価値判断の問題を言っているのではなくて、大臣のところに届けられた情報、これはおかしいというぐあいに気づかなかったんですかと。あるいは、気づいて自分がおかしいと思うことがあったのであれば、それは部会に対して、届いている報告ですから発表しましょうというような筋ではないと思いますよ。そういうことが、自衛隊は自分を守るための情報を流しているんじゃないかというぐあいに漁民から誤解されたと思いませんか。

 二分前に緑色だとか、今になって十二分前だとか、こういうくるくる変わるような情報を大臣自身が流したわけですから、やはりそこの責任、こういうことはどうなんですか。

石破国務大臣 二分前に緑色の灯火、それは右舷灯ということを申し上げているわけではありません。緑色の灯火が動いたということで漁船と判断をした、漁船というのは、それが漁船とか貨物船とかいう意味ではなくて、動力船という意味でございますが、動いたということで、本当に動力を持って動く船であるというふうに判断したという報告を受けました。そのことについて、私は価値判断を交えてはおりません。

 あわせて、十二分前に当該漁船と思われる灯火を見たというこの二つの報告というものは、矛盾する報告ではございません。時間は異なっておりますので、この二つが矛盾した報告だということには相なりません。

 問題は、一番最初に申し上げました、緑色の灯火が動き出したのでということを右舷灯というふうに、つまり右が緑で左が赤でございますから、そういうふうにとられないように私どもとしては申し上げたつもりでございますが、そのあたりの御説明がなお十分ではなかった。そのことによって、委員のお言葉をかりれば、自分を守る組織というふうな印象を与えておるわけでございますから、その点は私どもとして、きちんとした御説明、これから先、その教訓、反省に基づいた説明のあり方は考えていかねばならないと思っております。

 私自身、先ほどから何度も申し上げているように、うそはつくな、加工はするな、自己正当化はするな、そして、すべて何でも調査中ですから言えませんということはあってはならないということを事故発生以来申し上げ、対処しておるところでございます。

赤嶺委員 緑色の灯火で近づいてきた船と衝突するはずはないんですね。

 それから、右舷灯であるかどうかということは気をつけて言ったはずだと言いましたけれども、私は海のルールを知っている人たちから聞いてみたんです。やはり海上で緑の灯火を見たら、まず漁船であることを考えなさいということから始まるんですよ。それは海のルールを知っている人たちの話なんです。

 私は、具体的に、今問題になっている点について聞いていきます。

 例えば、防衛省の説明は、衝突の十二分前に赤色の灯火を確認した。清徳丸の僚船の方々は、そんなことはあり得ない、こういうことを述べているわけですが、海上保安庁の担当者に聞いてみたんです。この方は、見張りをした経験もある人でした。心構えを聞いて、なるほどと思ったんですが、見張りというのは水平線のかなたまで見る、これが見張りの鉄則、海の基本中の基本ということをおっしゃっていました。

 防衛省、どうなんですか、防衛省の見張りというのは。その基本、鉄則、それはどんなふうに大臣は考えておりますか。

石破国務大臣 私は、水平線のかなたまでは多分、地球は丸いから見えないのではないかというふうに思っておりますが、その表現の仕方は私の知識が足りないのかもしれませんが、現在、レーダーだけに頼るということがあってはならない、あくまでレーダーというのは機械でございますから、レーダーがどんなに発達しようが、見張りの重要性というのはいささかも変わるものではないということ、それは海上衝突予防法の趣旨からも明らかであるというふうに私は思っております。自衛隊の艦船において見張りがおろそかになっていいというようなことでは決してございませんし、今回の「あたご」においても、要員の配置というものは、それは適正になされておったというふうに私は思います。

 それがどのような見張りをしておったか、それがどのような指示、連絡体制がとれておったか、そのことがまさしく捜査の対象として今解明が行われているところだというふうに考えております。

赤嶺委員 地球は丸いから水平線のかなたは見えないというお話なんですが、見張りの方が、これは私が言ったことじゃなくて、海上保安庁の見張りという職務を経験した方が、やはり自分の指導者から教えられた、見張りというのはかなり遠くまでとにかく見る、見落とさないというのを鉄則としているんだと。加えて言えば、鉄則を踏まえておれば、あんな近くの船が見落とされるはずはないという思いですよ。

 原因はこれからいろいろ解明していくでしょうけれども、そういう鉄則、原則、これは防衛省、見張りについてお持ちじゃないんですか。

石破国務大臣 委員と海上保安庁の方とがどういうようなやりとりをなさったか、全体の文脈を私存じませんので、余り軽々とコメントすることはかえって委員にも海上保安庁の方にも失礼になると思いますので、申し上げることは差し控えたいと存じますが、とにかく遠くまできちんと見張るのだということは、それは当然のことでございます。

 どのような関心事を持ち、どこまで見張り、あわせて、それによって得たインフォメーション、インテリジェンスとは申しませんが、インフォメーションをどのようにして伝達し、船全体の判断がなされるかということは、その見張り全体の体制を議論する上において最も重要なポイントだ、それが適正に行われたかどうかということがまさしく捜査で問われているということは、先ほど来申し上げておるとおりでございます。

赤嶺委員 海上保安庁から海上衝突予防法という法律の抜粋を持ってきていただきまして、その第五条に「見張り」というのがありました。「船舶は、周囲の状況及び他の船舶との衝突のおそれについて十分に判断することができるように、視覚、聴覚及びその時の状況に適した他のすべての手段により、常時適切な見張りをしなければならない。」見落とすなということですよね。絶対に見落としてはならないということですよね。海上保安庁の見張りを経験した方が私に言った説明と法律の趣旨と、合致していると思いますよ。

 きのうの漁協の記者会見によりますと、当時漁船四隻が船団を組んで航行をしていた、先頭を航行していた幸運丸の船長は、「あたご」を確認したのはせがれと交代した三時三十分、レーダーで確認した距離は六マイルありましたと証言をしております。約十キロです。当時の状況というのは、海上保安庁によると視程は約二十キロ。当然、漁船を視認できるはずであるわけですね。組合長は、当時は結構な数の船が赤い光を見せながら走っていたはず、このように述べているわけです。GPSも明らかにされております。

 ですから、衝突の十二分前に初めて確認したというのはやはりおかしいではないか、このように感じるわけです。実際にはそのずっと前から、見張りは複数の漁船の存在に気づいていたのではありませんか。

石破国務大臣 その点が問われておるわけで、まさしく海上保安庁において捜査がなされておるわけです。

 そのときに、見張り員というものも一人で見張っておるわけではございません。右舷に一人、左舷に一人というのが決められている配置でございますが、そのほかにも、右を見、左を見しておる見張りの担当もございます。

 だれがどのようなことを見ておったかということについて、私どもで今すべての者から聞き取りをしておるわけではございません。甲は甲であり、乙は甲であるということがあるのかもしれません。そういうことがわからない状況で、それはそうだったのではないかと問われれば、恐らくそうであろうという推測は成り立ちますが、私がこの国会の場で、こうであったということを断言できるだけの材料を、私自身持っておるわけではございません。

赤嶺委員 衝突の当時、「あたご」の艦長は何をやっていたんですか。

石破国務大臣 その当時、ブリッジもしくはCICにおったというふうな情報は、私自身確たるものは持っておりませんが、そのときに艦長が何をしておったかということについて、今私が、こうであったということは断言できる状況にはございません。それは今捜査当局が、その時間に、艦長に限らず、そのほかの者が何をしておったのかということについて聴取をなさっておられるところであって、防衛省として、このときに艦長は何をしておったということを申し上げられる立場にはございません。

赤嶺委員 艦長を初め乗組員というのは、どこか身柄を拘束されているとか、あるいは海上保安庁に缶詰になっているとかという状態ではありませんよね。皆さん方は、艦長に接触してその当時の事情を聞くこともできるし、ほかの乗員に接触して事情を聞くこともできるわけですよね。

 ですから、艦長が何をやっていたかぐらい、これはやっていなかったという話があるんですが、何をやっていたかぐらいすぐ答えられる話じゃないですか。

石破国務大臣 ですから、そこは、私どもとして、隠しているとか事実を歪曲しようとか、そんなことを申し上げているわけでは全然ないのです。

 ただ、そのときに、艦長に限らず、だれが何をしておったか、そしてそれがどのような認識であったかというのは、まさしく捜査において極めて重要なポイントになるわけでございます。捜査の公正性、厳正性というものはこの法治国家においてきちんと確保をされねばならないものであって、それと、我々の指揮系統に基づいて入ってくる情報というものをどのようにして出していくかということはずっと悩んでおるというのは、先ほど来答弁を申し上げているとおりでございます。

 これは捜査に係ることでございますから、我々は指揮系統でこんな情報を得たのだ、それを全部話しますというようなことになって、捜査の公正性、厳正性が確保されるのか、そして本当に円滑な捜査が行われ、正しい判断がなされ、再発防止ができるのかといえば、それは、おまえ、知っていたはずだろうと言われますけれども、そのことを全部話すということが本当に望ましいことなのかといえば、私はそうではないのではないかと思っております。

赤嶺委員 なぜそういうことを尋ねるかといいますと、現に「あたご」に乗っていた責任者は艦長ですよね。いろいろ情報が流されてくるのは、先ほどから出ておりますが、いわばいろいろなフィルターがついて我々に伝わってくる。我々は、あの事故の衝突時、艦長が何をしていたのか、艦長が今何を考えているのか、これは厳正な捜査とは無関係だと思いますよ。防衛省がやはりあれだけの大きな被害を漁船に与えているということになれば、当然国民の前に説明すべきじゃないですか。

    〔北村(誠)委員長代理退席、委員長着席〕

石破国務大臣 委員がべきだとおっしゃれば、それはべきなのかもしれません。ただ、先ほど来申し上げておりますけれども、我々が指揮系統によって知り得たことを全部話すということが本当にいいことなのかということでございます。それは知るべきだ、国民に言うべきだ、それはそうなのかもしれません。

 しかしながら、本当に厳正な捜査というものが片一方において行われている。そこにおいて公正であり厳正であり公平であり、そこにおいて予断が入ってはならないのだというときに、片一方で防衛省が指揮系統によって知り得たことを、ああです、こうです、こうでございましたと言うことが、本当に国家行政のあり方として、こういうものを捜査する段階、状況において、委員、本当にそれがあるべき姿だ、正しいというふうにお考えなのでしょうか。

 私は、そこにおいて本当に、べき論はいろいろあるのだと思いますけれども、大切なことは、なぜこんなことが起こったのかということが厳正に明らかにされること、そしてそれが公平な捜査に基づくものであること、それを前提として再発防止が徹底されること、それが最も重要なことだというふうに私は思います。

赤嶺委員 そういう一方で、海のルールを知っている方々からは、やはりおかしいじゃないか、見張りのあり方はおかしいとか、緑色を見てそれが船舶だと認識できないのもおかしいとか、何か自衛隊はやはり自分のところには落ち度はなかったような情報を出して、本当に、ルールの問題やら、あるいは先ほどからレーダーの問題もありました、出していないじゃないかと。もっと早くから、実は十二分より早くから知っていたんじゃないかというような、これは当然の疑問ですよ。何も、厳正な捜査を妨害するんじゃない、防衛省自身のきちんとした責任を問うているわけです。

 それで、さっき大臣は、水上レーダーには漁船が映っていたという答弁がありました。それはかなり早くから、いわば三時五十五分以前から映っていたということではありませんか。

石破国務大臣 私は、そのようなことを申し上げているのではありません。その時点で映るのが、三時五十五分、つまり赤灯でしたかしら、とマスト灯でしたかしら、それを確認したというときに、それはレーダーに映っていたのかと言われますので、それは当然映っていると思いますということを申し上げました。それは、レーダー等々の記録を見てみなければ断言はできません。私がそこで見ておったわけではございません。しかしながら、その距離において当然映っているということをかなり強い推測で申し上げておるわけでございます。

 それ以前にどうかということにつきましては、私はここでお答えできる知識を持ちません。

赤嶺委員 最初の海幕長の水上レーダーについての発言は、ゲイン調整とか海面状況だとかでどのようになるかはそのときの状況によるといって、あたかも漁船に気づきようもなかった条件下にあったみたいな、そういう情報が流れているわけですね。

 ですから、今聞いてきても、やはり都合のいい情報は流れていたけれども、都合の悪いというか、あるいは本当に国民が知りたい情報、まだ隠されている、隠そうとしている、こういう疑いを抱きます。

 この間、横須賀地方総監部の山崎幕僚長は、清徳丸を台船に引き揚げる作業の際、船からおりる親族らに対し、報道陣が大勢待ち構えていますが、取材に応じることなく無視してくださいなどと発言しているわけですね。ここにも、やはり隠ぺい体質があらわれているということになりませんか。

石破国務大臣 私は思うのですけれども、厳正な捜査がなされるとすれば、それは防衛省が幾ら自己正当化しようと思って情報を出したって、そんなことはすぐ絶対ばれることなんですよ。どうしてそんなことをしなきゃいかぬのか、厳正な捜査できちんと事実が明らかになるにもかかわらず、その前に自己正当化しようとして間違った情報を流すというような、私は、そんな愚かなことはしない、少なくともしてはならないというふうに思っております。

 その時点で知り得た情報を、とにかくそれが後で御批判を受けようが、それが結果として誤っていようが、それは何も調査中でわかりませんということよりは誠実な態度ではないかというふうに私は思っているのでございます。

 なお、今委員御指摘の横須賀の幕僚長の発言でございますが、それは、いろいろな報道の方々が、国民に対して正しい報道をしなければいかぬという使命感に基づいていろいろな活動をしておられる。しかしながら、家族としてはなかなか、それによって苦しいつらい状況も起きている。それについて、どうしたらいいだろうかという御相談を受けたというふうに聞いております。

 そこにおいて、今委員がおっしゃったような対応をしたかどうか、それは、私自身テープを見たわけではございませんので、存じません。ただ、報道に対しては誠心誠意、誠実に対応するようにということと、そして横須賀の幕僚長あるいは現地に赴いております自衛官、御家族の気持ちを最大限、これ以上ないほど考えて対応するようにということ、そして、そこで得た情報はその日のうちに私まで上げるようにということを厳命いたしておるところでございます。

 ただ、それが、委員御指摘のように、報道に対して圧力を海上自衛隊が加えたというような印象を持たれたとするならば、そんなつもりはなかったといいましても、そういう印象を与えたとすれば、それはまことに申しわけのないことだと思っております。そういう圧力をかけるというようなつもりは、私初め防衛省職員一同みじんもございません。

赤嶺委員 隠ぺいなどやるわけがないという御答弁ですが、やはり我々は「なだしお」事件を思い出すわけですよ。あのときに、防衛省・自衛隊はどうであったか。そして、今いろいろ聞いてみたんですが、やはり自衛隊にとって有利な情報が流され、不利な情報は捜査中だということで教えてもらえない。当たり前の単純な疑問さえ教えてもらえない。

 さっきも、そこのけそこのけという話がありましたが、やはり自動操舵のまま自衛隊の艦船が、小型船が避けてくれると思っていたんじゃないかと漁船が言っている。現実はそのとおりになっているわけです。引き続き、この問題は火曜日にも、皆さん方の体質の問題として聞いていきたい。

 きょうは、沖縄の問題も用意をしてきたんですが、もう時間がなくなりました。

 ただ、外務大臣、また沖縄で婦女暴行事件が起こっていることはもう御存じなはずです。フィリピン女性ですが、犯人の身柄は米軍の側にあります。日本の警察の側にないんですね。今回の事件で地位協定の問題は起こっていないという先ほどの国会での答弁がありましたが、それはそうじゃない、こういうことが繰り返されているということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。

嘉数委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私も、引き続きまして、二月十九日の海上自衛隊イージス艦「あたご」衝突事故について、防衛大臣を中心にお伺いしたいと思います。

 もう残念でなりません。先週の金曜日は、私は予算委員会で在日米軍の女子中学生強姦事件を質問したばかりで、これも残念でならないと申し上げたんです。それで、昨年を振り返りましても、守屋前事務次官の問題を初め、安保委員会は事件、事故処理委員会になっているんじゃないかと申し上げたことを、大臣、記憶に新しいと思います。今回は人命にかかわる、本当に今捜索中で、何とか助かってほしい、日本国じゅう、世界の人たちがそう思っておりますが、大きな事故を起こしてしまった。本当にこれは重大な大臣の御決意が迫られるような局面を迎えていると私は思います。

 そういう中で、先ほど大臣は、国民一人の命を守れなくて何で国が守れるのか、そんな思いだとおっしゃいました、きょうの委員会で。この声は今渦巻いていますよ、国民一人守れなくて何が国を守るやねんと。この声をどのように受けとめ、大臣もそういう気持ちだとおっしゃった、もう少し具体的にどういう意味か教えてください。

石破国務大臣 私どもの組織の中に、やはり我々はお上なのだ、軍なのだ、そういう思いがかけらでもなかったかということだと思います。私ども、戦闘集団でございますから、先ほど申し上げましたように、法令の除外規定というのはあるのですけれども、大前提として、国民の生命財産について配慮をしなければいけないということは、それは戦闘集団、実力集団であるかどうかを問わず、当然のことなのでございます。

 そういう意識が欠けていたのじゃないだろうか、少なくとも、ある意味で、一部に、ごく一部かもしれませんが、思い上がりみたいなものがあったのではないか、だとすれば、仕組みの問題とともに、これに携わる者一人一人の意識の問題というものも問い直されなければいけない、これは私も含めてです、そのように私は思っておるわけでございます。

 人一人が守れなくて何で国が守れるのかということについて、非常に深い意味というか、委員がお尋ねになりたいようなきちんとしたお答えではないかもしれませんが、私自身、そういうような思いがきちんと一人一人に徹底されていたのだろうかということについて思うところがあるということを申し述べた次第でございます。

辻元委員 今、おごりがあったんじゃないかとおっしゃいました。あったんじゃないかじゃなくて、あったんだと思います。

 この間、防衛省の方にもたくさんの皆さんから声が寄せられている、批判や非難の電話が鳴りやまずというようなことを聞きました。どんな声が防衛省に届いていますか。

石破国務大臣 これは、内局、海幕、あるいはそれぞれの部隊等々にいろいろなものが入ります。あるいはお電話、お手紙、メール、いろいろな手段がございますので、今そこを精査しておるわけでございますが、主なものを申し上げれば、規律が緩んでいる、隠し立てをするな、捜索はしっかり行われるべきだ、責任を明らかにすべきだ、そして、連絡体制をきちんと構築すべきだというのが意見の中で多く承ったものでございます。

 規律が緩んでいるではないかというのが一番多い、それから隠し立てをしてはならないということがその次、大体あとは同じような数で続いておるというふうに承知をしております。

辻元委員 そうしますと、今五つぐらい挙げられました。その中に、責任を明らかにすべきだというのがあります。責任はどこにあると思いますか、大臣は。

石破国務大臣 防衛省で起こっておるありとあらゆることの最終的な責任は私にございます。そのことは当然だと思っております。

 このことはなぜ起こったのかという個々具体的なことになれば、それは、けさほど来御議論をいただいているように、見張りの問題、あるいは航法の問題、レーダーの情報の把握の問題、その掌握の問題、そういうことになると、だれがどのような責任だというのは、本当にこれから捜査の結果で明らかになるのだというふうに思っております。

 そこの、責任という言葉は、私はいろいろ考えるのですけれども、直接の責任というものは、それは見張りが不十分であったかもしれません、あるいは回避措置のおくれであったかもしれません。そのことについては、これからの捜査によって明らかになることでしょうから、今私が推測で物を申し上げるべきだとは思っておりません。

 体制全体につきましては、それはその現場の人々に帰すのではなくて、この体制を構築してきた、そういうような、私を含め、責任を負うべきものだというふうに思っております。

 この責任について、何についての責任だというふうに、これは仕分けをして考えねばならないし、責任の履行というのはどうあるべきかということについて、私はまたきちんとした議論がなされなければいけないと思います。

辻元委員 今までも事故が起こっております。一九七一年には、自衛隊のジェット戦闘機が全日空機に空中衝突したという事故がありました。そして、きょうも出ております「なだしお」の事故です。やはりこれは、自衛隊としての、そして当時は防衛庁ですが、重大な事故であるということで、このときの防衛庁長官は辞任をされています。なぜ辞任をせざるを得なかったのか。どのようにお考えですか。

石破国務大臣 雫石事故のときに、私は中学三年生だったと思います。よくそのときの状況を覚えておりますが、なぜしなければならなかったかということは、それは起こったこと自体についての責任はとらねばならないということだったというふうに思っております。

辻元委員 私は、石破大臣も頑張っていらっしゃると思いますよ。しかし、今回の事故は、この長官が辞任されているような過去の事故に匹敵するぐらい大きな事故であると私は思いますが、いかがですか。

石破国務大臣 それはお亡くなりになった方の数の問題ではないと思っております。委員の御指摘どおり、お二人、現在行方不明なわけでありまして、そして事故の当事者が私どもの艦船でございます。その重大性は、雫石あるいは「なだしお」と変わるものだとは私は思いません。

辻元委員 先ほど、多くの声が寄せられている中で、情報の隠し立てをすることがないようにということが二番目にございました、多かったと。それはやはり、何か隠されているのと違うかなということの裏返しだと思います。大臣は、またしっかり原因究明してほしいと思いますよ。

 先ほど、うそをつくな、加工はするなと省内で徹底しているとおっしゃいました。もし、今後、情報の隠ぺいや操作のようなことがあったとしたら、これは大臣の辞任も含めての責任をとらなければならない事態になるという御認識はありますか。

石破国務大臣 その認識はございます、それは。

 大臣の指示というものが守られていないということであるならば、それは、本当に文民統制という観点からいっても大変な問題だと思います。文民統制というのは、何も政治家が偉いとか知識があるとかそんなことを言っているわけではありません。国民に対して直接責任を負う政治家に対して、あるいは、それによって間接的というか本来の主権者である国民に対して、情報を操作するということが行われているとするならば、それは大臣として責任をとるべきものでございます。

 そのことが、行われているようなことはないというふうに私は思いますが、それでもなおそういうことがあるとすれば、それは国民に対する挑戦だというふうに判断せざるを得ません。

辻元委員 今、情報操作や情報隠しがあった場合は責任をとるとおっしゃいました。私は、そのときはやはり辞任だと思いますよ。

 なぜかといいますと、自分の進退をかけてこの問題に当たってほしいということです。今、はっきりここで、防衛省が情報を隠したり操作をしているようなことが一つでもあったら私は辞任すると明言してこれからの調査、対応に当たっていただきたいと思います。それは、自分の進退をかけてやる決意で、そして、もしもだめだったらというよりも、退路を断って臨むべき問題だと思うからです。

 防衛省がもしも隠ぺいや操作をしていたら私は辞任をすると明言してから今後やっていただきたいと思います。いかがですか。

石破国務大臣 それは私はいつでも退路を断ってやっているつもりでございます。この地位というものに恋々としてという言い方はおかしいのかもしれませんが、その地位を守るために、その地位にとどまらんとしてということを考えたことは一度も私はございません。さきの長官のときもそうです。

 私は、申し上げたいのは、常に退路は断っているつもりであります、それは。ですけれども、「なだしお」事件がありながら、今回も隠ぺいとかそういうものがあるとすれば、それは国民に対する挑戦であるというふうに申し上げました。そういうことをなぜ行うのかということは、それは、私の進退というのはともかくとして、議会全体として、何でこんなことがあるのかということ、それは糾弾をしていかねばならぬ。

 それは私自身、常に退路は断っておるつもりですし、国民に対する挑戦というものが自衛隊という組織においてなお行われるとするならば、それは文民統制として、お預かりする者として責任をとることは当然だと思っております。

辻元委員 そうしますと、伺いたいんですが、先ほど大臣が、捜査中であるということも含めて、言えることと言えないことがあるとおっしゃいました。今、防衛省はこの事案に当たっていらっしゃいますけれども、これは公表する、これは公表できないということを決定している、決めているのはだれですか。

石破国務大臣 それは政府全体でございます。

 私が先ほど来申し上げているように、判断を加えるということはしないと申しました。そして、指揮系統において得られた情報で、これは捜査の公正、厳正性を損なうものではないということが確認できたものを申し上げている。判断は政府全体でいたしておりますが、一義的な責任は私が負うべきものでございます。

辻元委員 それは、政府全体というのは福田総理も入れてということですか。具体的にちょっと言ってくれますか。防衛省の中ではだれとだれとだれで決めているんですか。

石破国務大臣 これは、これを出す、出さぬについて、それぞれ逐一総理の御判断を仰いでおるものではございません。総理からはあるいは官房長官からは、すべて調査中で何にもわかりませんというようなことは私自身あるべきだとは思いませんというようなことを意見として具申し、その点はよく捜査当局たる海上保安庁とも調整をしてやるようにというような御指示はいただいておりますが、一々、逐一総理の御判断を賜っているものではございません。

 防衛省内でだれが判断しているかといえば、それは海上幕僚監部、内局も合わせて協議しました上、最終的に私の判断でやっております。

辻元委員 ちょっと先ほど艦長の話がありました、そのとき艦長は何をされていたのかという。私、これをちょっと確認したいんですけれども、事故があったときに艦長が何をしていたのかということは、防衛大臣は、何をしていたか御存じなんだけれども公表すべきでないとお考えなのか、知らなかったのか、どちらですか。

石破国務大臣 午前四時七分という時点で艦長がどこで何をしていたかということは、私自身、承知はいたしております。

 しかしながら、そのことは、だれがどのような場にあって何をすべきであったか、それがそのときにすべきであったことをしていたのかどうなのかということは、価値判断の基準に触れるものでございますので、申し上げておらないところでございます。

辻元委員 今、そのとき艦長が何をしていたかということは知っているという御答弁でした。

 私は、何もその後艦長がどうしてだれに指示してだれを呼んでということを公表しろと言っているんじゃないんです。もしも防衛省の基準がそのとき艦長が何をしていたかということまでも公表しない基準であるならば、今、国民の声、隠し立てせず公表してほしいと。皆、何から何まで公表せなあかんとは思っていないと思います、いろいろあると思います、裁判になるかもしれない、理解していますよ。しかし、そのとき艦長は一体何をしていたのとだれでも思いますよ。

 それは艦長も、いきなり事故が起こるとはわかりませんからね、仮眠中でした、何でもいいですよ。そんなことまでも公表できない基準が今防衛省の情報公開の基準なんですか、大臣。それでいいと思いますか。

石破国務大臣 防衛省でそういう基準が決まっているわけでは当然ございません。委員もそれを御存じの上での御質問だと思います。

 要は、捜査中の事案について、片方の当事者が知ったことを、これは言っていいだろう、これは言ってはいかぬだろうという判断をして、一方の当事者でございますから、事は捜査中でございますから、それを私どもの独自の判断で、これは言ってもいいね、これは言ってはいけないねということで申し上げるということは、先ほど来申し上げておりますように、捜査の厳正、公正という点から問題があるということで言っておるわけでございます。

 それは、何を言ってもよければ私どもでも申します。しかしながら、それがこの法治国家において正しいあり方だとは思えないのでございます。

辻元委員 「なだしお」の事故があったときに、さまざまな点が防衛省の中でも話をされたり、批判がありました。その中の一つはやはり情報公開だったわけですよ。どこまで情報公開するのかということだったわけですね。どうして今艦長が出てきて、やはりこれは船、大臣、私実はピースボートという活動をやっていて、世界じゅうのいろいろな客船をチャーターしていろいろな港へ入ってきました。世界の港で、香港とか、マラッカ海峡を渡るときとか、東京湾の入り口、東京湾もその世界の何本かの指に入る港ですよ、これは。港というか湾ですよ。客船ですら入港するときに、船長以下、私たちもそうでした、企画者もそうでした、もう早朝から物すごく緊迫するわけです。マラッカ海峡からシンガポールの港に入るときとか、香港というのは、もう入ったらぐったりしていますよ、みんな。この東京湾の入り口もその一つなわけですね。

 船の責任者は船長です。これでいえば艦長ですよ。「なだしお」のときに、なぜ艦長が出てきて謝罪をしたり、それは言える、言えないことはあるだろう、しかし、一つも艦長が出てこない、会見もしないというのはおかしいじゃないかという大批判になったのを覚えていらっしゃると思います。私は、今回、艦長が出るべきだと思いますよ。

 艦長は例えば、「マモル」という雑誌、御存じだと思いますけれども、「国民とともに防衛を考える情報誌」、ここでイージス艦の艦長になられたときに抱負を語っていらっしゃって、こうおっしゃっているわけですね。「「あたご」は最新のイージスシステム搭載護衛艦ですが、「艦」だけでなく「人」も含め、世界最強のイージスシステム搭載護衛艦となるべく、乗員一同粉骨砕身努力してまいります。」艦だけじゃなくて人も含めてとみずからおっしゃっている艦長ですよ。

 ですから、「なだしお」のときの反省とおっしゃるのならば、私は、情報公開という点で言えないことがあったら言えないこともあるんだということを率直に言って、艦長は出てこられるべきだと思います。いかがですか。一回でいいですよ。

 防衛大臣、「なだしお」のときと違う、あのときの反省を生かすとおっしゃるのなら、形に見えるような形で、先ほども申しました、裁判になるかもしれない、捜査中だというのは皆知っていますよ、国民も。いかがですか、出る必要はないと思われますか。

石破国務大臣 それは、艦長にしても、もし許されるものであるならば、出て、本当に自分の思いあるいはおわび等々語りたいというのがあるのだろうと推測はいたします。

 私は、ただ、捜査中の事案で、一方の当事者が勝手に出ていって思うところをしゃべるということが、私は何も捜査当局のせいにするつもりはありませんが、本当にそれが公正な捜査、厳正な捜査になるのだろうか、それは政府全体で議論をしていかねばならないことだと思います。

 つまり、本当に「なだしお」の教訓を得てきちんと情報公開しなきゃいかぬということ、あわせて、捜査の厳正、公正が保たれねばならない、ここの調和をどうとるかであって、委員のお考えからすれば、艦長が出てきて、そのような会見をして、こうだった、ああだったということを語ることでその調和が保たれるというふうにお思いなのかもしれません。私自身、そこについて確信を持って述べることができませんので、委員のお考えが多くの国民の声であるということは承知をいたしておりますし、承ったところでございます。

辻元委員 今、情報公開について、二番目、国民の声が寄せられているというお話、みずから防衛大臣がされたわけですよ。「なだしお」のときとどう違うのか。私は、「なだしお」のときと対応、変わっていないと思いますよ。どこが違うのかがわからない。これはずっと防衛省が言われ続けたところで、情報公開のあり方そのものを見直して、来週の委員会に臨んでほしいと思いますよ。来週の委員会ではもうちょっと態度を変えていただきたいと思いますが、いかがですか。

石破国務大臣 「なだしお」のときのことについて、私、もう一度来週までに、もちろん、その基本的なおさらいはしておりますが、どこがどう変わったのかということについて申し上げられるようにしなければいけないと思っております。

 ただ、私どもとしては、本当に申し上げたいことはたくさんあるのです、言いたいこともいっぱいあるのです。しかし、同時に、捜査というものについて、一方の当事者が本当にそんなことをやっていいのかということについて、よいのだということであれば、それはそれでよいですが、私としてそのようなことについて得心がいたしかねるということを先ほど来申し上げているところでございます。

辻元委員 情報の出し方もおかしいんですよ。一番大事な、二分前、十二分前の変更というのがありますね。二分前だったというのを十二分前だと、確認が。これは、最初にどこで発表されたんですか、一番最初に。

石破国務大臣 当初、二月十九日、自民党の部会におきまして、その時点での「あたご」からのとりあえずの報告に基づくもので二分前のお話をいたしました。翌日二十日の自民党の部会におきまして、その後に報告された情報に基づくものとして、説明資料を配付し、説明をしたところでございます。

辻元委員 自民党の部会で発表しているわけでしょう。そういう情報開示のあり方でいいと思いますか。日本は自民党だけで構成しているんですか。別に各党に回れと言っているんじゃないですよ。まず国民に発表すべきじゃないですか。どうですか、大臣。

 その自民党の部会で報告したとき、福田総理大臣は、この十二分に変更されたということを知っていたんですか。

石破国務大臣 記者会見の場で申し上げるというのがベストかもしれません。恐らくそうなのでありましょう。

 ただ、これが、私自身指示をしましたのは、これが本当に公表していいんだねということでいろいろな調整がございます。これは先ほど来るる言っているとおりでございます。その時点で最も直近であったのが自民党の部会であって、自民党の部会で申し上げることが唯一正しい道だということを申し上げているわけではございません。

辻元委員 では、社民党の部会が直近にあったら来るんですか。というのはさておいて、自民党の部会で最初に公表したというその態度自身が、防衛省、間違っていますよ。だれの方を向いて仕事しているんですか。そうでしょう。

 私は、事故が起こった後、大臣の責任があると問いましたよ。その自民党の部会で最初に公表した。大事なことですよ、二分か十二分かということは。その非常に大事な点を自民党の部会でまず公表していいと思っている、それ自身が、それこそ防衛省の規律がたるんでおるというのが一番ですよ。規律がたるんでいるし、判断基準が間違っていますよ、大臣。そう思いませんか。間違っていたと思うのか、それでよかったと思うのか、公表の仕方、その点を一点と、それからもう一点、責任問題で吉川海上幕僚長を更迭するんですか、この人をどうされるのか、そういうような話も出ているようなんですけれども、この二点について。

 自民党の部会で公表を最初にしたのは間違っていたと思うか、それで正しいと防衛省では御認識か。それと、幕僚長の進退です、更迭する予定があるのかどうか。二点。

石破国務大臣 恐らく御党もそうだと思いますが、私どもの部会において政府の側から当初の説明は、すべてのマスコミを入れてオープンで行われます。自民党に対して説明をすると同時に、マスコミを通じて、記者さんもカメラも入っておりますので、そのときに私はおりませんでしたが、私自身が申し上げましたときはカメラも記者さんも入っておりました。それは、いろいろな、政府部内において、これは言っていい、これはまだ言うべきではない、そういうようなことの調整が行われて、直近が自民党の部会であったということでございます。そこにおいて、カメラも入り、記者さんも入っておりましたので、それは、同時に、国民の皆様方に対する御説明を直近の時点でしたということも意味合いとして含んでいたという認識を持っております。

 どういう場でどのように言うのが最も適切かということにつきましては、なお工夫の余地があるというふうに思っておりますが、自民党の部会で申し上げたことが、そのこと自体が不適切であったかといえば、私は必ずしもそうだという判断はいたしておりません。

 それから、海上幕僚長の件でございますが、きのうも現場へ参りました。それも主に私についてのものでございましたが、責任のとり方というものはねと、正確な引用ではない、山口委員がおっしゃったような、メモをとって私自身申し上げておるわけではないのですけれども、何が起こったのかということをそのときの当事者がきちんと判断をしなければいけない、人がかわった、また何にもわからなくなっちゃったというようなことは、それはあるべきではないというような御意見もちょうだいをいたしました。

 私は、人をかえてそれでおしまい、それで責任をとっておしまいということになってはならないというふうに思っております。人をかえればそれでいい、それは何とかのしっぽ切りなんということを言うつもりは私はありませんが、どうしてこんなことが起こったのか、そしてどういうように改めるか、それをきちんとするのも、私は責任のとり方だというふうに思っております。

 吉川海上幕僚長の今後のことについて、現時点で私はとやかく申し上げることはございません。何が責任のとり方かということは、私自身も含めて常に考えていかねばならないと思います。

辻元委員 終わりますが、私、今の御答弁を聞きまして、防衛省、防衛大臣も含めての、この事件に当たる情報開示の基準や情報を開示するときのあり方、姿勢は、国民と大分ずれていると思いますよ。そこが防衛省の大きな問題ですよ。来週までによく考えておいてください。

 終わります。

嘉数委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 二月の十九日に起こりました今回の残念な事故でありますけれども、二度と起こらないようにぜひ頑張ってもらいたいし、同時に、今行方不明になられている吉清治夫さんと哲大さんが無事に見つかることを祈願するものであります。

 先ほどから情報開示の話がありましたけれども、こういう事故のときの教訓というのは、トップが謝ること、そして関係者が謝ること、しかし事実関係はだれか一人にしてしゃべるというのが、僕は大事なことだと思いますね。ニュースを見ていると、二分間とおとといは出てみたり、きょうのまたニュースになると十二分と出てみたり、いや、三十分前にもわかっていたんじゃないかという声が出てみたり、あらゆる人が記者会見をする。だから、そこは、大臣、教訓として、謝るのは大臣であったり、次官であったり、幕僚長であったりするけれども、事実関係についてはこの人一人にちゃんとお話をさせますといって、今は捜査中でありますから、わかることは被害者の皆さんにも、国民の皆さんにも、政治家にも同じ情報が伝わるという仕組みを考えることが大事かなというふうに思いますから、ぜひ、そのことの仕組みをお考えいただきたいと思います。

 それと、教訓ということを何回も、事件、事故のときには考えるわけですね。「なだしお」のときも、教訓として防衛庁は対策を立てていますよ。そして、そのときにも、海上交通センターとの連絡をすべき艦艇の範囲の拡大とか、見張り等の要員を増強して航行体制の整備等を行うとか、さまざまな体制がとられていますね。

 こういう事故は、防衛庁だけじゃなくて、世界じゅうにさまざまな事例の事故があると思いますね。もう一回、世界じゅうで起こったこのような、軍艦と民間の小さい船との事故がどういうふうに起こったのか、アメリカにおいてはコール号という小さい船がテロリズムに攻撃された件もありますから、あらゆるものを想定して、今度の教訓にしてもらいたい。そして、もう二度と起こらないようにするためには、この委員会は何回も開かれますから、その委員会の中で一つ一つ教訓を、私たちはどうするんだということを明確に大臣がやることが私は大事なことじゃないかなと思っていますから、世界じゅうの教訓の中から一つの方法を探す、こういうことを頑張ってやっていただきたいと思います。

 それともう一つ、大臣に情報が入るのがおくれたということがやはり大きな問題ですね。

 この前、二月の八日の読売新聞に、今回の事件を予測するようなことが書いてありまして、「今の防衛省は、大臣まで情報が上がるのに時間がかかり過ぎる」こういう記事が出ておりましたけれども、名古屋で起こった航空機の事故においても、「報告が大臣に伝えられるまで二日もかかった。飛行再開が遅れるなど、この状況は、軍事組織にとって致命的な欠陥だ」とこの新聞記事には書いてありました。

 私は、NORADのアメリカの航空基地にこの前行って、見てきたんですよ。そうすると、NORADの基地で画面を見ていると、九分から十分の間に、日本の総理大臣からアメリカの大統領まで情報網ができ上がっているんですね。十三人の方々が三回交代でずっといて、シミュレーションしてみせましたよ。私は日本の総理大臣に電話する担当です、私はイギリスの首相に電話する担当ですとか言って、これが十分間で全部報告を終えるという体制を私どもに見せてくれたんですけれども、私は、同盟国ならば、こういうふうなトップに上げるシステムというのをやはり勉強した方がいいというふうに思いますね。

 やはり、何か基準によると、事務次官まで報告するのに一時間というふうなことがあるようでありますけれども、もう一回ここでも、怒らずに、部下を怒らずに、みずからが悪いんだという思いで組織の改善を行う。そして、みずからに情報が上がる仕組みだとか、今までの教訓をしっかりとやって、二度と起こらないように頑張ってもらいたい。その点に関して、大臣のお話をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 NORADを私も以前見たことがありますが、今の委員のお話を聞けば、そのときよりもさらに進んだシステムになったのかもしれません。

 私どもとして、一時間以内にという通達の文章だったので、私は、何だこの一時間以内はということをきのう実は申したのです。随分悠長じゃないかと。一時間もあれば事態というのは全くがらっと変わるわけですね。できればリアルタイムで、これはとりあえずの一報ですと。これから変わることもあります、未確認のこともありますが、とりあえずの第一報ですというのは入っていいんじゃないかというふうなことを申し上げておるわけでございます。

 ただ、この通達ももう一回見直しますが、軽微な事故、通常の事故、重大な事故ということになっておりまして、軽微な事故がすべて大臣のところに入っていますと、これは大臣もなかなかもたないねということがございます。では、それをだれが判断するのということもございまして、その辺もあわせて、きちんとした情報が、とりあえずの第一報ですがということで大臣のところへ入るというふうにしたいと思っております。

 何を軽微と言い、何を普通と言い、何を重大と言うか、そこは一つの議論になっておりまして、そこのところを早急に検討し、来週中にはとりあえずの結論というものを出したいと私は思います。

下地委員 皮肉を言うわけじゃないけれども、大臣、ここでこの答弁をするところに問題があるんですね。本当はできていなければならない話ですよね。この大臣の答弁を聞くと、何が軽微な事故とか何とか、こんなことまで防衛庁は基準ができていないのかと国民はびっくりしますね、これは。だから、そこは来週までにではないだろうという話にまたなっちゃうんですよ。

 だから、防衛大臣は、言わなくてもいいこともあると思う。どんなに野党が突っ込んできても、言わなくてじっと我慢しなければいけないこともあると思いますね。(発言する者あり)おれも野党だけれどもね。だから、そこの部分が、基準をやはり持たれる、発言の基準も内規の基準もしっかりと持った考え方でやるというのが大事だと思う。

 それで、一番だけれども、先ほどから責任論というのがありますけれども、責任論は二つあって、一つはやはり、事件を起こしたときに、事件をよく知っている人が責任を持って最後までその仕事をなされるというのも責任です。もう一個の責任論は、勇気が要るけれども、おれ以上に能力のある人が違う視点で見るとこの問題は解決するなと思ってお譲りするときがあるんですよね。

 なかなか決断は政治家として難しいんですけれども、この二つのうちの一つを選択するというのは勇気の要ることだと思いますけれども、もうこういう問題は、あとは個人が決めることでありますから、しかし、どっちを選択してもこの問題が二度と起こらないようにするというのは仕組みでありますから、ぜひ頑張ってもらいたいというふうに思います。

 それで今度、地位協定のことについてお話ししたいんですけれども、沖縄でフィリピン人の女性の事件が今ありましたけれども、一点だけ。

 沖縄県警が事件を確定して逮捕状を請求すると、地位協定に基づいて身柄の請求を外務大臣はアメリカ側に要求する、そのことはおやりになるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

高村国務大臣 警察庁からそういうふうに要求があれば、そこで当然協議をすることになります。

 沖縄県警が逮捕状をとった、それだけで外務省が直接動くということではない。警察庁から、そういうふうにしてほしい、こういう要請があるということが前提だと思います。

下地委員 沖縄県警が逮捕状をとれば間違いなく警察庁に行くと思いますから、そのときには、日米地位協定に基づいて、殺人と強姦に関しては身柄の引き渡しを要求することができる、アメリカも考慮するというふうなことの基準になっていますから、ぜひそのことを実行していただきたい。

高村国務大臣 この事件がどういう事件か、まだ、少なくとも外務省にはわかっていないんですよ。

 今わかっているところは、沖縄市内のホテルに米軍人の男性と宿泊していたフィリピン国籍の女性が、二月十八日の午前、けがをして病院に搬送された。そして現在、沖縄県警が関係者からの事情聴取など所要の捜査を行い、事実関係の把握に努めているところであると。

 これが私たちが今知っている事実なので、だから、逮捕状をとっても、どういう事案で逮捕状をとるかという話もあるし、そういうことも踏まえた上で警察庁が我が方に言ってくるかどうか。こういうことでございます。

下地委員 逮捕状の内容が強姦の場合を大臣とはお話ししている。地位協定が対象になるのは、殺人か強姦か、二つしかありませんから、その他の傷害だったら、私はこの場所で言いません。私が、逮捕状をとって警察庁が言ってというのは、強姦であった場合というふうなことを申し上げているので、そのことは私も重々知っておりますから、それはぜひそれでやっていただきたい。

 それと、再発防止策について今論議して、私は、非常に外務大臣は前向きにいろいろなことをやられているというふうに評価をさせていただきたい。

 渡辺議員と私たちも行きましたけれども、今、地位協定の根本改定は難しいと言いながらも、残りの教育の問題に関しても、そして基地の外にいらっしゃる方々に関しても、それとパトロールの件にしても、今検討なされているということでありますから、ぜひ検討して実行していただきたい。

 あと、私たちが要望しました運用の改善の中の項目をあと三つ挙げてくれと。今回の場合を含めて未成年者の強制わいせつの件、そしてもう一つは、危険運転の致死傷罪の件と放火を新たに運用改善で早急に入れるように日米で協議をしてもらいたいというようなことについて、先ほど触れられておりませんでしたけれども、これは何とか協議をするということはできないでしょうか。

高村国務大臣 そういう要望を直接受けまして私なりにいろいろ考えてみたんですが、今の日米合同委員会合意は、殺人または強姦という凶悪な犯罪の特定の場合についての規定のほか、合衆国は、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について、日本国が合同委員会において提示することがある特別の見解を十分に考慮する、こういうふうに規定しているわけであります。

 必ずしもこういう三つを挙げなくとも、こういう場合に我が国が、これがまさに考慮されると信ずるべき場合であれば、これは向こう側の考慮を求めることができるようになっていますので、この三つの犯罪だけを今加えてやるべきかどうかというのは、なお検討が必要だ、こういうふうに思っています。

下地委員 項目の中に二つ、殺人と強姦という項目を入れていますから、新たに項目を入れることは、今の大臣のお話だったら、考慮するということを書いて、殺人も強姦も書かなくてもできるんですよ。しかし私は、事件、事故の抑止力という意味では、殺人、強姦、放火、今の未成年者に対する問題だとか、危険運転とかを入れることが非常に抑止力につながるんじゃないか、文面を、項目をちゃんとつくることがいいのではないかということです。

 あとは、アメリカ側の配慮という問題は変わらないわけですから、これを入れると、非常にまた教育の中で、こういうふうな問題が新たに加えられましたとなると、やはり沖縄で今駐留している兵隊の皆さんにもある意味の抑止力になるんじゃないかと私は思うので、そう言わずにこの部分を一回前向きに検討してみる、これはアメリカももう検討してもいい事項だと思いますよ。

 昔、何年前ですか、上間悠希さんの、飲酒運転で、スピード違反で、ひき逃げでというケースがありましたけれども、あのときの私たちの状況からしても、ぜひこの三つだけは新たに入れていただければ、僕はそれが事件、事故の大きな抑止力になるというふうに思っていますので、もう一回大臣のお考えを聞かせてください。

高村国務大臣 私の弁護士としての経験からいうと、この三つの犯罪を入れたからそれが抑止力になるというふうには余り考えないんですが、せっかく委員の御提案でありますから、さらに考えてみたいと思います。

 九五年に、こういう運用改善のときも、アメリカと日本側の本当にぎりぎりのせめぎ合いがありまして、アメリカというのは日本にだけ駐留しているわけじゃなくて、いろいろな国に軍隊を派遣しているわけでありますが、世界に全くない、日本だけの特別なことを獲得しているわけで、さらにここというのはなかなか困難だと思います。それは御理解をいただいた上で、私もちょっと考えてみたいと思います。

下地委員 弁護士は総理大臣になれませんからね。政治家が総理大臣になりますから、政治家の視点で決着をつけて外交をやってもらいたいなというふうに思います。

 それで、最後になりますけれども、きょうは副大臣が来ていますが、旧軍用地の問題。

 副大臣よく御存じだと思いますけれども、昭和十八年に旧日本軍に強制的に接収された飛行場用地の問題ですけれども、これは沖縄県で五十三市町村、四十七市町村が全部採決をして、沖縄振興策に載って、この問題は個人補償じゃなくて振興法で解決をしようというふうなことで決めました。それで法律にもなっているわけですけれども、これの窓口、沖縄県がしっかりとこれに対して振興策をやってきた場合の窓口はどこになるのか。

 これは財産の問題だったので、国有財産の問題なので財務省という話がありましたけれども、この財務省の問題をなくして振興法に載った。それで、森山副大臣のところに私がお伺いしたときも、しっかりと、沖縄県が内閣府と相談して財務省に来たら、私たちは誠心誠意査定をしなければならないというコメントをいただきましたけれども、窓口は内閣府でよろしいんですよね。

森山副大臣 沖縄におきます旧軍の飛行場跡地の問題は、歴史的な経過があることは下地議員が一番御承知のとおりでございます。

 国有地であることが法的に確定をした後、沖縄振興計画に基づきまして、沖縄における不発弾処理や旧飛行場用地などの戦後処理の諸問題に引き続き取り組むということが盛り込まれているわけでございますので、窓口について財務省の立場で申し上げることは御遠慮申し上げたいと思います。

下地委員 財務省は、では、どこから上げてきたものを査定するんですか。

森山副大臣 財務省はどこから上げるかということに権限を持っているわけではありませんので、上がってまいりましたら、しっかりと査定をさせていただきたいと思っております。

下地委員 振興局長、来ていらっしゃるけれども、この振興法は内閣府の法律の中に入っていますよね。振興計画の中に入っていますよね。あなたの窓口ですか。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄振興計画については、内閣府の所管の法律でございますが、沖縄の振興に関する総合的な計画でございまして、産業振興、社会資本整備、福祉、その他政府の各省の所管に関することが出ているかと思います。

 なお、旧軍飛行場用地の問題につきましては、旧日本軍飛行場の旧地主がその所有権の回復、補償などを求めている、そういう問題だと認識しております。現在、これらの土地は国有地となってございますので、この問題について内閣府として取り上げることは難しいと考えるところですが、沖縄振興計画にも記載されているところでございます。県内での検討状況等について県から報告を伺うなど、関心を持って対応を見守ってまいりたいと考えているところでございます。

下地委員 これは振興法に載っているのに、だれが窓口か。財務省も違う、内閣府も違う、どこが窓口なの。

 振興法に載っているものが内閣府の沖縄担当相の窓口でなければ、どこの窓口になるの。当たり前のことだろうが、それは。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄振興特別措置法に基づきます沖縄振興計画、先ほどの繰り返しになりますが、全体のいろいろな政策分野について記載されているところでございます。その中身に応じてそれぞれ対応させていただくことになるかと存じます。

下地委員 これはもう個人補償の問題はなくなって振興法で解決をしていきましょう、それで、今までの議事録から見ても、理財局長から全部見ても、別枠でこの問題は解決をしていくというふうになって、窓口は内閣府でやるというふうなことをただ明確にするだけですよ。まあ、役所だからきょうはもう言えないと思う、火曜日にもう一回呼んでお話しさせていただきますけれども。こういう問題をしっかりとやらないと、理解が深まらないんですよ。

 財務副大臣も、今の答弁はよくないよ。政治家の答弁じゃない。あれだけ陳情していて、要請に行って話をしているんだから。これをやられると、もうきょう聞いている人たちはがっくりしますね、地主の皆さんも。これはもう一回やります、時間ですから。

嘉数委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十九分散会


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