衆議院

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第4号 平成21年4月9日(木曜日)

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平成二十一年四月九日(木曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 今津  寛君

   理事 江渡 聡徳君 理事 嘉数 知賢君

   理事 新藤 義孝君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 松本 剛明君

   理事 山口  壯君 理事 佐藤 茂樹君

      安次富 修君    愛知 和男君

      小野 晋也君    大塚  拓君

      瓦   力君    木村 太郎君

      薗浦健太郎君    武田 良太君

      寺田  稔君    山内 康一君

      山崎  拓君    神風 英男君

      津村 啓介君    長島 昭久君

      馬淵 澄夫君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         中曽根弘文君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   内閣官房副長官      松本  純君

   外務副大臣        橋本 聖子君

   国土交通副大臣      加納 時男君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   総務大臣政務官      中村 博彦君

   農林水産大臣政務官    江藤  拓君

   防衛大臣政務官      武田 良太君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  櫻井 修一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 西村 泰彦君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 深草 雅利君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中島 明彦君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鶴岡 公二君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 関口 幸一君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   岩井 良行君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

三月十八日

 ソマリア海賊対策での自衛隊派兵反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇五九号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇六〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇六一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇六二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇六三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇六四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇六五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇六六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇六七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一三六号)

四月八日

 米軍再編特措法の廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七三三号)

 災害救助犬を自衛隊で育成することに関する請願(山口泰明君紹介)(第一八一八号)

は本委員会に付託された。

三月十九日

 ソマリア海賊対策での自衛隊派兵反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七五八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇五九号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇六〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇六一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇六二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇六三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇六四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇六五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇六六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇六七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一三六号)

は海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会に付託替えされた。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

今津委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、北朝鮮によるミサイル関連飛翔体の発射について、防衛大臣及び外務大臣からそれぞれ報告を聴取いたします。浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 北朝鮮による発射事案への対応について御報告申し上げます。

 四月五日十一時三十分ごろ、北朝鮮から東の方向に一発発射され、十一時三十七分ごろには、東北地方から太平洋に通過したものと推定されました。自衛隊法八十二条の二第三項に基づく破壊措置は実施しておりません。

 落下物につきましては、十一時三十七分ごろ、秋田県の西約二百八十キロメートルの日本海上に落下したものと推定されました。その他の情報については、十一時四十八分ごろ、日本の東二千百キロメートルの太平洋上で追尾を終了いたしました。

 発射直後、防衛省におきましては、十一時三十四分ごろに、状況把握のための緊急幹部会議を開催し、その後、十三時十一分ごろに、本件に関する関係幹部会議を開催いたしました。また、陸海空各自衛隊の航空機により、東北地方の被害の有無の確認のための情報収集を実施しました。四月六日には、その後の諸般の状況を勘案した結果、弾道ミサイル等に対する破壊措置の終結に関する命令を発出いたしました。

 今回の事案につきましては、先般からの我が国を含む国際社会からの自制の要求にもかかわらず、北朝鮮が発射を実施したことについては極めて遺憾であると考えており、今後、関係各国と緊密に調整しつつ、政府全体として毅然とした態度をとってまいります。

 なお、四月四日の発射情報の誤報につきましては、防衛省・自衛隊の情報伝達の不手際により、国民の皆様や関係の皆様に御迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げる次第であります。今後、情報伝達に際しては、しっかりと注意を払ってまいります。

 以上であります。

今津委員長 次に、中曽根外務大臣。

中曽根国務大臣 本日は、北朝鮮によります今回の発射事案につきまして御報告を申し上げます。

 四月五日十一時三十分ごろ、北朝鮮は、我が国を含む関係各国が自制を求めたにもかかわらず、今回の発射を強行いたしました。

 今回の発射は、ミサイル開発に直結するものであり、我が国を含む近隣国が核やミサイルの脅威に引き続きさらされている中で、安全保障上の脅威と言わざるを得ません。

 また、このような行為は、安保理決議第一六九五号及び一七一八号並びに日朝平壌宣言に違反し、かつ、六者会合の共同声明とも相入れないものでございます。

 そのような観点から、今回の発射は、我が国として容認できるものではございません。我が国は、発射後、速やかに、北京の大使館ルートを通じまして、北朝鮮に厳重に抗議を行いました。

 我が国としては、国際社会が連携して、北朝鮮に対して毅然とした対応を行うべきと考えており、発射以降、米国を初めとする関係国との連携を強化すべく、次のような外交努力を行ってまいりました。

 まず、米国、韓国、中国、フランス、メキシコ、ロシア、英国、オーストラリア、ベトナムの外相等との間で、本件をめぐる対応について電話会談を行い、先ほど述べましたような我が国の基本的考え方を伝えました。

 クリントン米国務長官及び柳明桓韓国外交通商部長官とは、今回の発射が関連国連安保理決議に違反したものであり、国際社会が強いメッセージを出すことが重要であるとの認識を確認するとともに、引き続き、日米韓で緊密に連携し、取り組んでいくことで一致をいたしました。また、それ以外の各国外相との間でも、今後、安保理の対応等について、緊密に連携していくことを確認いたしました。

 安保理での対応につきましては、我が国の要請に基づき、ニューヨーク時間の五日に非公式協議が開催されました。我が国からは、今回の北朝鮮の行為に対して、国際の平和と安全の維持に主要な責任を担う安保理が決議を採択することが望ましいとの立場を説明いたしました。

 また、最新の動きのため、口頭で追加させていただくことで失礼いたしますが、安保理での最近の動きも踏まえまして、昨晩も、米国、韓国、ロシア、中国の外相と電話を行い、今般の北朝鮮による発射に対し、安保理が明確なメッセージを何ら発出しないことは適当ではなく、しっかりした決議を採択する必要がある旨働きかけました。

 安保理での議論の今後の展開について、現時点で予断することはできませんが、我が国としては、引き続き関係国と協議しつつ、安保理が一致した強いメッセージを迅速に出せるよう、関係国と緊密に連携していく考えであります。

 なお、ミサイル問題同様、我が国にとりまして重要な問題である核問題及び拉致問題も未解決のままです。

 核問題については、懸案の検証の枠組みについて六者間で文書による合意が形成され、早期に検証が開始されるよう、米国を初めとする関係国と緊密に連携しつつ、引き続き努力していく考えであります。

 また、拉致問題についても、北朝鮮はいまだ全面的な調査のやり直しを開始していません。我が国としては、北朝鮮による調査のやり直しが早期に開始され、拉致被害者の方々の一刻も早い帰国につながるような成果が早期に得られるよう、引き続き北朝鮮側に強く求めていく考えであります。

 今津委員長を初め、本委員会の皆様の御支援と御協力を心よりお願い申し上げます。

今津委員長 以上で報告は終わりました。

 浜田大臣、中曽根大臣初め関係各位の皆さん、本当に御苦労さまでございました。感謝申し上げたいと思います。

    ―――――――――――――

今津委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官櫻井修一君、警察庁長官官房審議官西村泰彦君、警察庁長官官房審議官深草雅利君、外務省大臣官房審議官中島明彦君、外務省北米局長梅本和義君、外務省国際法局長鶴岡公二君、国土交通省航空局次長関口幸一君、防衛省防衛参事官岩井良行君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、防衛省運用企画局長徳地秀士君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君及び防衛省地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今津委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 きょうは、先ほど説明のあった北朝鮮絡みの話を質問させていただきます。

 前回の委員会で私の方から申し上げたのは、余り騒ぎ過ぎると、向こうだって、どうしても撃たなきゃいけないんじゃないかという気持ちになってしまったら、余り賢くないねということを申し上げました。そういう意味で、今回の対応がどうだったかというのは、若干振り返るべきものも多いかと思うんですけれども、ただ、我々は、発言には細心の注意を払わなきゃいけないということはあると思うんです。

 ちょっとその関連ですけれども、まず、前提として、ミサイル防衛システムに対する信頼度について、どういうふうに認識されておられるか、そこから聞かせていただけますか。

浜田国務大臣 我が国の弾道ミサイル防衛システムは、我が国全体を二、三隻で防衛し得るSM3搭載イージス艦による上層防衛と、拠点防衛のためのペトリオットPAC3による下層防衛から成る多層防衛の考え方を採用しているところでございます。

 このような我が国のBMDシステムについては、過去の発射試験の結果等にかんがみれば、我が国の領域に飛来する千キロメートル級の弾道ミサイルの対処についての技術的信頼性は高いというふうに考えているところであります。

山口(壯)委員 外務大臣はいかがでしょうか。

中曽根国務大臣 今、防衛大臣からお答えがなされましたけれども、私どもとしては、この弾道ミサイルのシステムというものは、目的を達するそれなりの技術と能力を備えているものだ、そういうふうに思っております。

山口(壯)委員 政府筋ということで一度報道がなされました、これは鴻池さんだというふうに後でなりましたけれども。それを受けて中曽根大臣からは、難しいのは事実だ、やったことがない、どういう形でどういうふうに飛んでくるのかわからないと、これは極めて自然な考え方だと私は思うんですけれども、言ってみれば難しいというふうに言っておられるわけですね。

 ちなみに、今までにこのスタンダードミサイル3あるいはPAC3について実験が、非常に数少ない実験ですけれども、なされています。その実験結果は、今までどうだったでしょうか。

北村副大臣 お答えいたします。

 我が国が行いましたSM3ミサイルの発射試験につきましては、平成十九年十二月にイージス艦「こんごう」、さらに平成二十年十一月にイージス艦「ちょうかい」、二回行ったところであります。御承知のとおり、イージス艦「こんごう」につきましては標的に命中しましたけれども、「ちょうかい」については標的に命中しなかったというところであります。

 また、PAC3の発射試験につきましては、平成二十年九月に実施をいたしまして、標的に命中したというところでございます。

山口(壯)委員 この実験というのは、前もって極めてコントロールされたというか、あるいは極めて事前にセットされたというか、どうやって飛んでいくかということがはっきりわかっていると思いますけれども、きょうは事務方も来ていいと言っていますから、事務方の方から、どういうふうに状況がセットされた上での実験なのか、説明をお願いできますか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 今、副大臣から御答弁申し上げました二回の試験についてでございますけれども、平成十九年十二月に「こんごう」で行いました場合につきましては、発射時間が事前に決まったものについて迎撃をするという実験を行いました。

 他方、平成二十年十一月に「ちょうかい」が行いましたものにつきましては、発射時間が事前に決まっておらず、一定の時間内に発射があり得るという状況の中での発射試験をしたところでございます。

 また、PAC3の発射実験につきまして、昨年九月に実施しましたときには、発射時刻が事前に定まっておりました。

山口(壯)委員 時間が決まっていれば当たるけれども、決まっていなければ当たらない、こういう結果が出ているわけですか。

 ちなみに、時間のみならず、どういうふうに飛ぶかとか、そういうことについての事前のアレンジはどういうふうな形で行われているんでしょうか。

岩井政府参考人 お答えを申し上げます。

 時刻につきまして一定の幅の中で撃ちました場合につきましても、具体的な標的につきましては、これの発射があった後、これを探知、追尾して、それを誘導するという形で実験が行われたところでございます。

山口(壯)委員 岩井さん、したがって、どこら辺に飛んでくるか、その速度とかあるいは方向とか、そういうものはしっかり事前に決めておられるわけですね。

岩井政府参考人 お答えを申し上げます。

 具体的な標的についての情報は、一定程度の情報は有しておりました。

山口(壯)委員 一定程度という言い方は極めてやわらかい言い方で、びしっと決まっているわけですね。びしっと決まっていても、なおかつ時間がわからなければ当たらない、こういうことが、現実の実験では今のところ事実なんですね。

 それを受けて、この政府筋と言われる鴻池さんは、鉄砲をバーンと撃ったときに、こっちからも鉄砲でバーンと撃って当たるか、当たらないと思う、口あけて見ているしかない、実験したときは成功したと言うが、それは、はい、これから撃ちますよ、はい、ドーンと撃ったやつだった、いきなりドーンと撃ってきたらなかなか当たらないと述べたと言われているわけですね。

 これは、技術的にはそういうことなんでしょう。しかし、これをぺらぺらしゃべるというのは極めて自覚にも欠けるし、資質にも欠けている。政府の中枢である人が言うべきことではありません。

 これについて、防衛大臣、外務大臣、どういうふうに注意をされたんでしょうか。こういうことは、言っちゃいけないことなんです。

浜田国務大臣 その件に関しましては、官房長官からもきつく御指導をしたというふうには聞いておりますが、我々とすれば、逆に言えば、これは当てるために努力をしているわけでありますので、その可能性を否定されるようなことがあっては意味がないというふうに思っておりますので、そういう意味では、緊張感のない発言だというふうに思います。

中曽根国務大臣 ただいま防衛大臣が御答弁されたと同じことになりますけれども、官房長官からも御注意をされましたし、国民の不安を仮にあおるような、そういう発言というものであれば好ましくない、よくない、そういうふうに思っております。

 なお、ちょっと追加させていただいてよろしゅうございますか。

 先ほどの私の発言に対して、委員からございました。私、実は、政府筋という発言について直接承知していなくて、いきなり記者さんから聞かれたわけでございますので、一般論として、そういう技術というのは非常に難しいものだ、高度な技術を要する。ですから、例えば難しいですか、易しいですかと聞かれれば、難しいでしょうというような意味で申し上げたのでありまして、仮に発射されたミサイル等に対して迎撃をする場合に、これが当たるか当たらないか、そういう意味で申し上げたのではないということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。

山口(壯)委員 外務大臣が言われたことというのは、私も自然に受けとめていますから。ただ、こういう場合には、発言の重みがありますので、そういうことは、我々よく考えてやりましょうということです。

 ところで、浜田大臣、官房長官だけではなくて、こういうSM3あるいはPAC3を直接に所管されておられる浜田大臣からも言うべきだと思いますけれども、おっしゃられましたか。

浜田国務大臣 私の方からは、この内容自体が、逆に言えばコメントするにも値しないほどの内容だったと私は思っておりますので、私自身があえて言うことではなくて、それを統括する官房長官からお話があったということでありましたので、余りに当たり前の注意だと思いますけれども、私からあえて言う気にはなれませんでした。

山口(壯)委員 それも一つのとり方でしょう。

 やはりこういうものについて、一兆円と言われている規模ですから、みんなが今困っているときの一兆円、それに対して、そんなに役に立たないんだったらやめてしまえよという声も出てくるでしょう。現実に、このとり方というのは、私もいろいろ意見を持っています。それは、ちょっと待てよ、アメリカが要らなくなった中古を売っているんじゃないだろうな、そういう気持ちもありますから。これは本当にきちっと当たるんだ、本当にきちっと役に立つんだということを証明されながら、本当の意味で大事なお金なんだということを言わないと、この方はまかり間違っても官房副長官ですから、その方がこういう言い方をしたのでは、ほぼこんなのは無意味だと言っているに等しいわけですね。そういうことはきちっと政府の中で対処してください。

 このミサイル防衛システムにおいて、米側の情報が不可欠なのかどうか。要するに、アメリカがかんでいないとそもそも機能しないシステムなのかどうかということを思うわけです。日本として、現実にいろいろな脅威に対応していく際に、どこかの国のかぎがなければあけられないということでは心もとないわけですね。

 そういう意味で、このミサイル防衛システム、我々が導入しているものは、すべてアメリカから導入しているわけですね。アメリカ側の情報がなければできないものなのかどうか、その点はいかがでしょうか。

浜田国務大臣 我が国のBMDのシステムは、我が国の独自のレーダー網によって、飛来する弾道ミサイルの探知、追尾を行うことが可能でありますので、米国からの情報がなければ運用ができないわけではありません。

 一方、日米の弾道ミサイル防衛は、センサー、ウエポン、指揮、通信システムなど、両国のアセットの調整を通じ、より効果的な弾道ミサイル防衛を可能なものにするべく緊密な協力を進めているところでもあるわけであります。

山口(壯)委員 今回、北朝鮮からぽんと上がったものについて、全部日本側のレーダーで捕捉されているわけではないわけですね。聞くところによると、例えばイージス艦が一番前方に展開している場合であっても、水平線に隠れてすっと上がってきたところで初めてとらえられる。それをとらえるのは、上から見ているSEW、早期警戒の衛星しか見られない。要するに、アメリカの持っている衛星ですね。

 ということは、日本が独自でできるというふうに今大臣はおっしゃったし、そういう方向に持っていくのが私も好ましいとは思いますけれども、現時点において、北朝鮮からぽんと上がってくるものについて、アメリカの情報がなければ全貌はわからないのではないかということについて、いかがですか。

浜田国務大臣 今先生の御指摘の点につきましては、有用であるけれども不可欠ではないということだと思います。

 そしてまた、逆に言えば、我々、見ているだけではなくて、それを捕捉して追尾して撃つということになるわけでありますので、当然独自の能力で対応できなければ意味がないというふうに思います。そういった意味においては、先生の御指摘のように、すべてアメリカの情報だけでということではないと私は思っております。

山口(壯)委員 大臣、そうしたら、飛んできているもの、それを何と呼ぶか今はおいておいて、最初の段階はとれないんだと思うんです。もう一回、それを確認してください。

 それから、最後の段階、今回、太平洋側にもイージス艦を置いていたけれども、それでとれているところは水平線が見えるところまでで、その向こうはアメリカ側の情報に頼らなきゃいけないわけですね。そういう意味では、まず全貌が見えていないのではないかということに対して、教えていただけますか。

浜田国務大臣 先生、これは日本に飛んでくるものに対してのシステムだと私は思っておりますので、先生のおっしゃるように、全貌、要するに上がったところ、それから落ちたところというのは、我々としてはカバーするのはなかなか難しい。

 だけれども、やはりイージス艦のレーダーを照射して、相手が出てくるところの最初の部分は見えませんが、上がってきたところを捕捉して追尾するシステムでありますので、そういう意味では、確かにアメリカの情報というのは有用ではあるけれども、では、なければうちのシステムが稼働しないのかというと、そうではない。全体的な、上がったところと落ちたところが見えなくても、我々のところに落ちてくるものを判断し、これを落とすということができれば、我々防衛サイドの任務を果たせるのかなというふうに思っておるところであります。

山口(壯)委員 今私がSEW、早期警戒の衛星について言及しました。それがなくても、もちろんシステムとしては稼働できるという答えがありました。

 他方、若干中長期的に考えた場合、宇宙基本法というものが別途今議論があるわけですね。その中で、これからどういうことをしていくかという中の一つの材料として、SEWについて、日本も衛星を持とうかどうかというのがあるわけです。

 これについて、大臣、いかがですか。それがあれば、さらにミサイル防衛システムなりあるいは日本の安全保障なりについて万全を、あるいはさらに深いところまで対応が可能になるんじゃないかという議論についてはどうですか。

浜田国務大臣 先生のおっしゃる早期警戒衛星というのは、これは当然我々も考えていかなければならないことだと思います。当然、大綱の修正とか次期防の中でその議論をしながら、今後検討していかなきゃいけない課題だというふうに思っております。

 先生のおっしゃるように、我々自身のものを持つ必要性というのは、確かに、発射というのを確実に、上がってからの時間を考えれば、撃ったといってから対応する方が時間が少しでも稼げるわけでありますので、我々も判断材料にもなるわけでありますので、その重要性に関しては我々としても認識をしているところであります。

山口(壯)委員 今回、アメリカからSEWの情報というのは来ることになっていた。四日は、それがないけれども、勘違いして誤探知の話が出てきてしまった。

 ちなみに、五日に実際に飛ばされたケースにおいて、アメリカ側のSEWによる情報が来た、そのタイムラグというのはかなりあったんじゃないんでしょうか、いかがですか。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 五日の日におきましては、アメリカ側から、SEWの情報といたしまして、十一時三十分ごろに発射されたという情報が、その後、間もなく防衛省の中央指揮所に伝達をされてきているところでございます。

山口(壯)委員 徳地さん、間もなくというのはどれぐらいですか。

徳地政府参考人 おおよそ一分程度だと思われます。十一時三十一分ごろに中央指揮所に伝達をされてきております。

山口(壯)委員 徳地さん、それは徳地さんの評価として十分ですか。

徳地政府参考人 これにつきましては、まさにアメリカ側からできる限り早く来たものだというふうに考えております。

山口(壯)委員 私は極めて時間がかかっていると思います。限られた範囲で対応しなければいけないときに、一分たってからでないと来ない。

 ちなみに、徳地さん、打ち上げられてから日本の上空まで来るのに約何分かかっているんですか。

徳地政府参考人 お答えいたします。

 日本の上空に来たのは、大体十一時三十七分ごろであったということだと思います。

山口(壯)委員 七分程度しかない中で、一分たたないとわからないかもしれないというのは、普通に考えれば非常に心もとないわけです。

 ちなみに、日米が連携しているといいますけれども、例えばSEWの情報、在日米軍に伝わり、あるいはそれが中央指揮所なりに来るかもしれませんけれども、どういう連携の仕方ですか。要するに、我々、連携というと、何かいかにもコンピューターの情報が全部つながっているように思いがちですけれども、基本的にはメールがネットでぴゅっと来るという程度の話の連携じゃないんですか。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 早期警戒情報につきましては、横田の在日米軍司令部の方から、防衛省の中央指揮所それから府中の方にそれぞれ端末がございまして、ここに連絡が入るということになっております。

山口(壯)委員 徳地さん、その端末というのは、いわゆるメールの端末ということでしょう。

徳地政府参考人 いわゆるコンピューターでのEメールというようなものではございませんけれども、専用の端末がございまして、そこに必要な情報が入ってくる、表示をされるということになっております。

山口(壯)委員 アメリカというのは、自分のとった情報というのはなかなか出さないわけですね。そういう意味で、このSEWの情報についても、一般の人が新聞で連携といって想像するような次元では全然ないわけです。もっと本当は連携なら連携らしくするべきなんだけれども、それが日米同盟というものの一つの実態なんでしょう。そういう意味では、日本が自分でもわかるようにしておくべき、私はそういうふうに思います。

 日米の連携といいますけれども、今、徳地さんは言葉を濁しながら非常に苦しい答弁を一生懸命されていたけれども、例えば日本の中で、私も防衛庁にいたときはレーダーの担当、空の担当でやっていたわけですから、一応当時のバッジシステムというものについては、申しわけない、防衛省の局長さんより全部よく知っているつもりなんですけれども、当時、高見澤さんも一緒に仕事をさせてもらって。

 そういう中で、情報というのは画面に、例えば三沢で見てもあるいは稚内で見ても全部一緒のものが見えるわけじゃないですか。だけれども、この場合、アメリカのこのSEWというものの情報と中央指揮所の持っている情報というのは同じですか。

高見澤政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほどSEWの情報が一分おくれたというようなお話がございましたけれども、SEWにつきましても、発射した瞬間に直ちにわかるものではなくて、いろいろな熱源の探知がございますので、それをある程度過去のパターンと照合させた上で、これはミサイルの発射であればというようなことで情報が来るということで、まずそこは前提として御理解をいただきたい。

 その上で申し上げれば、日米間でいろいろな協力体制をとっているわけでございますし、アメリカ自身もSEWとイージス艦の連接等々がございますので、そういう中で日米が一緒に協力をしながらやっているということでございます。

 一方、バッジなりジャッジの方は日本のシステムとして設計をしておるということでございますので、それをいろいろな形でリンクさせていくということが非常に重要であるというふうに考えております。

山口(壯)委員 では、高見澤さん、アメリカのとった情報と日本の今のジャッジシステムと呼ばれるもの、どういうふうに統合するんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ミサイル防衛につきましては、日米防衛協力の指針においても協力関係がうたわれておりますし、それからロードマップにおいてもそれぞれが能力を強化していくということでやってございます。

 それから、日米の協力体制につきましては、センサーの段階から実際の対処の段階、あるいはその後のいろいろな教訓、反省も含めまして、平素からの訓練も含めましてやっているわけでございますので、そういう協力体制を逐次構築し続けている、常に事態の変化に応じながらその整備を進めていくというのが基本的な考え方でございまして、ある時点で完璧になり、そのままとまっていればいいというものではなくて、常に向上していくということでございます。

山口(壯)委員 協力について進めるということですけれども、リンクは今全然言われなかったんだけれども、リンクの話も、今どうなっていますか。今されているのかどうか、あるいは将来するのかどうか、それはいかがですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 リンクについては、いろいろなシステムがございますし、どういうリンクの仕方がいいのかということ、あるいは平素から同一のやり方をしていくのがいいのか、あるいは緊急時に対してどうするのか、あるいは運用上の関係で特定の事態に対してどうするのか、そういったいろいろなことがあろうかと思います。

 これはミサイル防衛だけではなくて、全般の情報をどういうふうにつなげて対処していくかということでございますので、一概にここで申し上げることはいかがかと思っておりますけれども、できるだけ連携を高めていくということでございます。

山口(壯)委員 したがって、今は全然リンクされていないということですね。例えば、未確認飛行物体がずうっと来たときに、日本のレーダーサイトで今とれる範囲が、ジャッジになって大分延びたと思いますけれども、それでも、アメリカの早期警戒のレーダーからとったものと日本のものというのはまだリンクされていないわけですね。あるいは、万が一のときに、日米でいろいろやると言うけれども、アメリカのAWACSみたいな話と日本のとった情報というのはリンクされないわけですね。

 今の高見澤さんの答弁というのは、今されていないし、将来についてもまだ決まっていない、こういう答弁ですけれども、そういう理解でよろしいか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 リンクの仕方については、常に自動的にどういうふうな形でやるかという問題と、それぞれの個別の事態に応じて最も適切なやり方、その時点におけるそれぞれのシステムの現状を見て、どういうやり方が一番効果的かということを検討した上でやっておりますので、平素の体制と事態に応じたやり方というのは常に同じではない。

 それから、平素におきまして、現状が一〇〇%のものになっているかといえば、そういう問題ではございませんけれども、それは逐次、いろいろな整備の時間もかかりますし、やっているということで御理解をいただきたいと思います。

山口(壯)委員 日本とアメリカが緊密にという場合にはそこまで絡み合っておかないと、いろいろな意見の中で第七艦隊云々という話も出てきますけれども、そういうふうに日本とアメリカというのがいざというときに離れられないぐらいきちっとくっついておかないとよくないと思うんです。

 今現実にアメリカは、大きな流れで見てみたら、中国にグアムまで任せて、あとおれたちはそっちから、役割分担するからという話まで出てきているじゃないですか。そんな中でグアムへの移転なんというのが行われるわけでしょう。だから、我々、大きな図柄で見た場合に、アメリカをどういうふうにきっちり抱き込むのかどうか。余りそういう話の切迫感がないみたいなので、非常に難しいところがあるんだけれども。

 やはり私は、今回のいろいろなオペレーションを見た場合に、日本独自に整えなきゃいけない部分と、それから、この機会に、日本でまだSEWを整えるまでは何年もかかるんでしょう、それであれば、それをいい材料に、アメリカときっちり結びつけるような、データについてもきちっとリンクされるような、そういうことを前向きに考えてみてください。防衛大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 先生のおっしゃるとおり、我々とすれば、日米関係は大変重要ですし、そういった意味では、先生の御指摘の点も多々あろうかと思いますので、今回の件に関してはしっかりと検証しながら、さらにそういった先生の御懸念のないように、今後しっかりと体制等を整えてやっていきたいというふうに思います。

山口(壯)委員 千葉県の方で、FPS5というレーダーの方で何か航跡みたいなものを探知したという話ですけれども、データが残っているはずですね。ところが、実際に映っていないのであれば、イージス艦とかあるいはほかの地上レーダーには何も残ってないはずです。そういう意味では、このFPS5のレーダー情報、情報というかローデータ、これについての解析は終わりましたか。

北村副大臣 お答えいたします。

 四月四日、千葉県飯岡のレーダー、FPS5は何らかの航跡を探知したというところでありますけれども、当該探知情報の内容につきましては、レーダー性能を明らかにするということになりますから、この際はお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

山口(壯)委員 私が同じ答弁を書いてもそうするでしょう。だけれども、これは多分残っていないはずですよ。だからそういう言い方になるのかもしれないけれども、ここはきちっと内部的には検証されて、そしてこういうことが起こらないように、言ってみれば初めてやったんだから、それはいろいろな意味でいろいろなことが起こるんでしょう。だけれども、大臣もうまくそこは切れずに対応されたから、私はそれは立派だったと思いますよ。だけれども、こういうことは、国民の中で非常に心配になっているんですから、しっかり検証してみてください。

 全体の流れですけれども、我々は、安保理で中、ロの賛成が決議について得られないわけですね。これをもう少し大きく見てみると、この十年なり、我々は、少しアメリカのアフガンとかイラクの、言ってみればネオコンの人たちの思考に振り回されてきたような気がするんです。その間、中、ロへの対応がほとんどなおざりになってしまっていた、そのツケが今出てきているようにも思います。

 そういう意味で、決議について日本の立場をいろいろ言うということでさらに努力はされるべきですけれども、もう少し中長期的に見ると、言ってみればアメリカのペースに乗っかる、あるいは振り回されるだけではなくて、日本として中国にどうつき合うのか、あるいはロシアにどうつき合うのか、こういう観点が大事だと思うんです。

 特に、アメリカは中国に対して非常に物が言いにくくなっている。それは、経済の今の困難な状況の中で、中国がアメリカの国債をたくさん持っているわけですね。今、中国はどれぐらい持っているんでしょうか。

橋本副大臣 米国財務省の発表によるところでありますけれども、中国の米国債保有高は、本年の一月末で七千三百九十六億ドルであるというふうに承知をしております。

山口(壯)委員 もう質問時間が来たのでここまでにしますけれども、それに対して日本の米国債保有残高というのはむしろ少ないわけですね。したがって、そういうところからアメリカは中国に物が言いにくくなっている。だから、日本としても、中国に対して、いろいろな意味でのつながりを持って、こういうときに役に立つように、アメリカのオーケーはとったけれども、中国、ロシアがどうにもならないということがないように、中曽根大臣、頑張ってください。最後にその答弁だけ聞いて、終わります。

中曽根国務大臣 中国との関係をなおざりにしていたということはなく、我が国なりに中国とは外交交渉なりいろいろやってきたわけでありますが、今委員がおっしゃいますように、国際社会が非常に変動しております。そういうことを考えますと、総合的に、いろいろ多角的な面で、対中国戦略あるいはつき合い方を考えていかなければならないと思っております。

山口(壯)委員 終わります。

今津委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 一般質疑の機会をいただきました。きょうは、冒頭に、防衛大臣からも、また外務大臣からも、北朝鮮のミサイル発射に対する報告をいただきました。この時間を使いまして、ミサイル発射当日、そしてその事前、事後と、この三つの観点から、事実関係の確認ということも含めて質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、当日でございます。四月四日の誤報について、これにつきましては、防衛省から飛翔体が発射されたとの誤った情報が流されたことにつきまして、七日の参議院の外交防衛委員会で、我が党の浅尾議員の質疑に対しまして、大臣からは詳細に説明をいただいております。私も議事録を拝見させていただきまして、ここで大臣は、ヒューマンエラーだった、このようにお認めになられております。

 また、本日の新聞などの報道にも、大臣はその場で極めて抑制的にその事態の収拾を図られたということを報じられておりまして、私も、大臣の御判断、これは賢明な御判断だったというふうに思っております。

 事実関係として確認をさせていただきたいんですが、ヒューマンエラーであった、これはもうお認めいただいていますから、その方に対しては、そこで防衛省としての判断を今後またされるかと思うんですが、多くの国民の皆さん方は、どこでどう間違うのか、どのように情報が伝達されるのかというのは余りよくわからないのではないかと思います。

 私は、防衛省からいただきました「誤報事案の経緯について」というこの紙を見ましたところ、ここでは、防衛省が、府中の航空総隊、ここから「「飯岡探知」「SEW入感」との連絡を中央指揮所にて受け、担当官が「飯岡探知」「SEW入感」と繰り返した。別の担当官がマイクで「発射」をアナウンスするとともに、第一省議室に連絡」。防衛省の「第一省議室にて連絡を受け大臣へ報告」。一方、官邸では、同時刻に、「中央指揮所の音声を官邸でモニターし、防衛省連絡官がマイクで「発射」をアナウンスし、官邸危機管理センターへ伝達」、こう出ております。

 これが防衛省が正式にお出しいただいた時系列での対応でございますが、大臣の説明を見ますと、七日の議事録でこのようにおっしゃっています。

 防衛省からの誤報につきましてはということで、飯岡のレーダー、FPS5の探知情報について、航空総隊司令部の担当者が、スパークインフォメーション、飯岡探知という連絡を部隊から受けたということで、まず、ここでは府中の航空総隊司令部担当者が、部隊から、スパークインフォメーション、飯岡探知、この情報の連絡を受けた。そしてそのときに、府中の航空総隊司令部の方が、これを、飯岡探知、SEW入感と、ここを誤って司令部内で連絡をした。仮にAさんとしましょう。Aさんが、スパークインフォメーションをSEW入感と取り違えた。そして、そこでこの司令部内で連絡をした、このようにおっしゃっておられます。これを受けたのがもう一人の方ですね。

 そこで、SEW入感、飯岡探知と、これはBさんとしましょう、同司令部内で連絡を受けたBさん。また、同司令部の別の担当官から同内容の連絡を受けた中央指揮所の担当官、これは市谷の中央指揮所、ここで、SEW入感、飯岡探知を受けられました。そして、これを繰り返し、別の担当官が発射をアナウンスした。これがDさんになるんでしょうか。この方が、七日の答弁では、発射とアナウンスした者は運用企画局の管理職クラスの者ということをおっしゃっておられます。

 そして、これを受けて、官邸でモニターしていた防衛省連絡官、ここで、発射というその情報を危機管理センターに伝達した、こういう流れですね。

 府中航空総隊司令部で、部隊から、スパークインフォメーション、飯岡探知を受けた。そして、それを今度はそこで取り違えて、スパークインフォメーションというのをSEW入感と発した、飯岡探知と発した。これをさらには市谷にそのまま伝えた。市谷ではこれを、SEW入感、飯岡探知ということで、発射とアナウンスした。モニターをしていた、モニターというのは、これは音声で通信をされている、カンファレンスと防衛省の方はおっしゃっていますが、モニターというと何やら画面を見ているように見えますが、そうではない。おっしゃっているのはモニターしていたということですから、監視をしていたという意味ですね。そこで、音声を同時に聞いておられて、発射という言葉が出たので、それをすぐに危機管理センターにつないだ。

 こういう流れだと思いますが、ここで言うと、ヒューマンエラーは、これは発射ということがそもそもヒューマンエラーのように聞こえてしまいがちですが、大臣がおっしゃった運用企画局管理職クラスの方の言葉がヒューマンエラーそのものではなくて、この府中の航空総隊司令部で、スパークインフォメーション、これを受けたところがSEW入感と発してしまった、ここの一点がヒューマンエラーだという認識でよろしいんでしょうか。

浜田国務大臣 そういう意味では、複数重なっておるわけですが、一番最初にヒューマンエラーしたのは、航空総隊司令部の方がまず初めということだと思います。

馬淵委員 今、複数とおっしゃいました。スパークインフォメーションをSEW入感と取り違えてしまった、ここが一つ目、一番目ですね。今おっしゃった、ここがヒューマンエラーの一つ目ですと。複数とおっしゃっているのは、では、もう一つはどこになるんでしょうか。

浜田国務大臣 指揮所でもSEWを確認できるわけですから、ここも要するにエラーしているところがあるわけですので、二つということになろうと思います。

馬淵委員 指揮所でも確認ができるのを、確認を怠った、これは二つ目のエラーだ。そこで、発射とアナウンス、ここについては問題はないんでしょうか。

浜田国務大臣 この二つが重なって、本来確認できるところが二回確認しちゃっているわけですから、そこでもう、それだけの情報が入ってしまうと、やはり発射という判断をしてしまう可能性もあるので、そこは我々とすれば何とも断定できませんが、やはりその二つが重なっていることで、そういうふうな判断になってしまったのかなというふうに思っているところであります。

馬淵委員 事実関係の確認ですので、今ようやく私も理解できましたが、冒頭申し上げたように、府中の航空総隊司令部で最初の一次情報を取り違えたのが一つ。そして二つ目、市谷の中央指揮所において確認を怠ったのが二つ目。これらの情報を受けて、いわゆる運用企画局の管理職クラスの方が発射というアナウンス、これについてはいわゆるエラーではない、このような理解でよろしゅうございますか。

浜田国務大臣 済みません、その最後のところは、もう一回ちょっと精査させていただきたいなというふうに思います。

馬淵委員 ここは省内でよく検討されるということでございます。

 情報の伝達というのは最も重要なものであり、今回の大変緊張感が高まる中でヒューマンエラーと、もちろん、私はこれはよく理解できますよ。強度の緊張感の中で、ついうっかりというのはあります。しかし、それを防ぐフェールセーフをつくっていくのが防衛としての最も重要なところではないかと思います。ここは、ヒューマンエラーだからということではなく、いかにそこを防ぐかということで、事後の策ということを十分にしていただきたいと思います。

 そこで、音声のモニタリングであったということであります。この発射とアナウンスした運用企画局の方、ここについてはまだ、いわゆるミスがあったかどうか、エラーがあったかどうかは今後だということでありますが、確認なんですが、いわゆるこの音声モニタリングという形で、カンファレンスと称されるところで、中央指揮所と官邸、同時に発射という言葉を確認していく方々、これは防衛省の方でありますが、ここにはいわゆる制服組、軍事専門家という方々が介在しているのかどうか、あるいは直接にそのことを伝達する立場におられるのか、これについて、事実関係の方をお願いいたします。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 当日、防衛省の中央指揮所におきましても、それから内閣の危機管理センターの中におりました防衛省の連絡官、これはいずれも自衛官がおります。

馬淵委員 自衛官がおられるということはお答えいただきましたが、直接にこの情報伝達の立場には自衛官の方が行われるということにはなっていなかったんでしょうか。

徳地政府参考人 四日の時点のことを申し上げますと、まず危機管理センターの方におります防衛省の連絡官、これは自衛官でございますが、ここの方で防衛省の中央指揮所におけるやりとりと申しますか、そこに入ってきた情報というものを音声と画面でもって確認をして、それを危機管理センターの側に伝達をする、こういうような形になっておりました。したがいまして、その一連の伝達におきまして、当然のことながら自衛官の者がそこに入っております。

馬淵委員 主体的に自衛官の方がそこで情報の判断も含めて担当されているかということを私は確認したかったんですが、やはりこうした緊迫した状況の中で判断を要する場面では、自衛官の方、現場に精通された方、専門の方がそこで情報を受けて、もちろんオウム返しではありません、伝言ゲームではありませんから、そのまま伝えるだけではなくて、補足する、付随する説明も含めて必要ではないかと思われますし、諸外国においては、当然ながら、軍事専門の方がスタッフとして横についておられますね。

 今回、運用企画局管理職クラスの方ということでしか大臣の七日の答弁にはございませんでしたので、これは内局の方だけではいかにもいかがなものかなという思いもございまして、浅尾議員もそのことは指摘をされておりました。これについては大臣の方も、今後も検証しなければならないというふうにおっしゃっておられますが、ここについて、とりわけ中央指揮所、そして官邸危機管理センター、こことの連絡の関係の中で、自衛官の方、専門家としてそこで情報の伝達並びに判断というもの、最終判断はもちろん総理であり大臣でいらっしゃいますが、そこについては専属的に自衛官の方を配置させるべきではないかということについては、大臣の御所見というのはいかがでしょうか。

浜田国務大臣 先生の御指摘のとおり、我々とすれば、当然これを検証して、どういった形がいいのかというのをしっかりとまた考えていかなければならないと思っております。

 しかしながら、自衛官であれ、内局の職員であれ、事態に応じて、自分の与えられた任務をしっかりとやることが極めて重要でありますので、自衛官だから、内局だからということではなくて、我々とすれば、どちらがスムーズに、またそれに冷静に対応できるかというその能力も判断しながら、先生の御指摘のように自衛官の方がということも頭に入れながら、今後対処していきたいというふうに思っているところであります。

馬淵委員 もちろん、内局の方も同様にその任務は遂行しなければならないのは当然なんですが、現在、内閣府の担当として十四名の陸海空の制服組の自衛官が配置されているそうです。昨日、そのようにお聞きしました。

 こうした方々がいらっしゃいますが、昨年の七月の十五日、防衛省改革会議報告書、これが出されております。そこでは、いわゆる官邸の危機管理機能、これを万全なものにしなければならないとして、いわゆる総理の補佐機能、ここは強化すべきだ、官邸機能強化については、補佐体制強化を図っていく必要がある、このように述べられております。

 この報告書を見ますと、この報告書には「内閣総理大臣の補佐体制強化」という項目がございます。これはもちろん、官邸機能強化は内閣総理大臣の補佐体制強化のみではなく、それ以外にも、安保戦略の策定、三大臣会合、あるいは政府方針策定のための仕組み等々ございますが、重要なことは総理大臣の補佐機能体制の強化でございまして、ここでは、「軍事専門家である自衛官の更なる活用を図る。」このように書いております。

 私は、ここで軍事専門家のさらなる活用ということであれば、現在、その十四名、一佐クラスの方を筆頭にというふうにお聞きをしておるんです。陸海空三自衛隊から出向されているということでありますが、やはりこれは、本当に専門家として総理を補佐するということであれば、今どのように進捗しているかもお聞きしたいところですが、私は、将補のクラスの方々ということが望ましいのではないかというふうに思っております。

 諸外国においてもそうした補佐機能を図っておられますので、これについては、現状で、この改革会議の報告書の補佐機能の進捗状況と、また大臣御自身が、今一佐クラスの方ということであります、もちろん、部隊の責任者になられる将官を出すということは、これは大変、定員等も含めてつらいところがあるのかもしれません。しかし、ならばなおのこと、いわゆる将補クラスをということをむしろ全面的に打ち出されるのであれば、それは総枠として見直すべきであると私は思っております。

 大臣、ここに関しては、進捗状況とお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

浜田国務大臣 先生の今お話にあった補佐体制の機能強化というのは我々も重要だと思っておりますし、一佐よりも将補というのは、ぜひ、我々とすればそういった形がとれればというふうに思っております。

 なぜならば、やはり我々の考え方、そしてまた軍事、そしてまた安全保障にかんがみると、少々外交関係とは違った専門分野のところもありますし、専門法制もございますので、そういったところをやるには、将補クラスのしっかりとした判断能力のある、別に一佐がないと言っているわけではなくて、将補の方を配置するというのは大変重要なことだというふうに思っておるところでありますので、今後とも、いろいろな、どんなことができるのかも含めて整備をしていきたいというふうに思っております。

馬淵委員 私の方からも提言という形で、今回の誤報に関しては十分に検証していただく、そして官邸機能強化ということをやはり大枠として十分見据えていただいて、防衛省として、今大臣からもそのような考え方については同意の御発言をいただきました。私自身も機能強化のためには必要ではないかと思っておりますので、部隊の責任者が穴があくというようなことにならないようにむしろ考えていただくべきではないかというふうに思っております。

 さて、これは当日のお話に絡めての危機管理能力の十分な発揮ということについて指摘をさせていただきましたが、一方、前日といいますか、その前の段階でのお話でございます。これはお手元に、委員長のお許しをいただきまして資料として配らせていただきましたが、いわゆる破壊措置命令の展開の中で、PAC3を載せた車両が物損事故を起こしたということで立ち往生になってしまったという、これは読売新聞の記事でございます。

 写真にありますように、これは秋田市のこまちスタジアムのコンクリートの架台のところですか、そこにちょうど挟まったような形になってしまったということで、この記事を見ますと、車両は約三時間にわたって立ち往生し、午前一時五十分ごろ、演習場に到着したということでありました。航空幕僚監部によると、車両は、信号で停止したときに隊列からはぐれ、車両をバックさせた際、車体右後方が接触、発射機への影響はないということであります。

 この記事は本当に小さな記事ではありましたが、私は非常に重要なものではないかなというふうに思っております。といいますのは、今回、大変高い緊張感を強いられる状況に国民が置かれたわけですね。政府も、破壊措置命令ということで部隊の展開を図る。ある意味、我が国においては本当に久々に緊張感というか物々しさがあったのではないかと思います。もちろん、一方で、余りそれを大げさにやるべきではないという意見もあるかもしれませんが、私自身は、このような場面でこうした車両の隊列がはぐれてしまうというのは、これは表現が悪いかもしれませんが、情けないというか、本当にこれは何とも言えない気持ちになります。

 ここは確認をさせていただいたんです、どういう状況でしたかと。六十両ほどに及ぶ車列が浜松から秋田ということで、地の利がないのもよくわかります。ナビもついておりませんという説明でありました。しかし、これは当然ながら部隊の展開でありますから、大変緊張感を持ってPAC3を移動させねばならない状況の中でなぜこのようなことが起きたかというと、赤信号によって車列が途切れてしまった。所轄の警察署は先頭と後尾にパトカーがついている。しかし、六十両の長い車列ですから、信号で車列が途切れたときに迷ってしまったというお話ですね。

 これは子供の遠足じゃないんですよね。こうした場面で、誤報も大きな問題ではありますが、展開の中でこうしたことが起きていること自体に、これは私は大変大きな問題だなというふうに思っております。

 そこでお尋ねをしていきたいのは、これがなぜ、いわゆる所轄の警察等も含めて、例えばそこまでする必要はないという御意見を私は担当の方から聞きましたよ。つまり、信号規制を含め、これは道路の使用規制も含め、行うべきではなかったのか。もちろん、それに対する法制というのはこれは別な話です。しかし、今回のこの問題は、いざというときの展開に、自衛隊という我が国の防衛をつかさどる大事な部隊が迷ってしまうようなことが起きているということを知らしめているんですね。これは、それこそ、我が国の装備がどの程度あるかということよりも私はゆゆしき問題だと思っているんですよ。極めて緊張感の欠如した結果である、こう言わざるを得ない。もちろん、現場の部隊の方々、自衛官の方々、私もよく存じ上げている、大変苦労されているのもわかっています。しかし、結果としてこのようなことが起きている。

 大臣、私は、ここは、十分な県警との連携も含めた実は交通規制も図るべきではなかったかというふうに思っておるんですが、もちろん現行の法制の中でさまざまな問題があるのはわかっております。これについて、まず先に、一点、このような場面においては、私は規制も含めた行動をとるべきではなかったかと思っておりますが、これについて、大臣、御所見をお願いいたします。

浜田国務大臣 先生の御指摘のとおり、迷ってしまったというのは、これはもう極めて遺憾なことでございますし、あってはならないことというふうに思います。

 基本的に、今、こういう結果になって、省庁間のそういった交通規制の問題等々も出てきて、委員の御指摘のあったとおりでありますけれども、我々とすれば、普通は、それをしないでもはぐれずに動くというのがまさに重要なことだというふうに思っています。しかしながら、結果としてこういう形になってしまったということをかんがみれば、当然、そういったことも含めて、今後、省庁間の中でしっかりとした協力体制をつくっていくことが必要かなというふうに思います。

 本来はこんなことがあっちゃいかぬということでありますし、また、そうしなくても大丈夫なようなこともやはり考えていかないかぬな。これは言いわけになりますので余り言いたくないんですが、そういったことも含めて、しっかりやりたいというふうに思っています。

馬淵委員 私に説明に来られた担当の方も、日ごろの演習の中ではこういうことは余り起きないんですとおっしゃっていました。しかし、一番肝心なときに起きているんですよね。

 私が申し上げているのは、それは、日々の演習の中でこういうことが起きないようにというのはよくわかりますが、むしろ、極めて重要な局面なんだ、そのことを政府が認識をされているわけですから、ある意味、踏み込んだ措置というのも実は行ってもよかったのではないか、このように申し上げているんです。

 もちろん、現行の枠組みでは難しいこともよくわかりますが、しかしながら、例えばこうした場面で関係府省間の枠組みを構築する法律としては、武力攻撃事態等における特定公共施設利用法がございます。これはもう皆さんがよく御存じでありますが、ここでは、港湾、飛行場あるいは道路、海域、空域、電波、それぞれの利用について規定をしているわけですね。この立法趣旨というのは、とにかく迅速な実施を図るということです。対処措置の的確かつ迅速な実施。今回も同様じゃないですか。私は、こうした法律をつくってきた立法趣旨にのっとれば、今回の展開というのも、十分にこれは対応すべきではなかったかと思います。

 ここは、大臣、いや、これはこういうことがあってはならぬからしっかりもう一回演習をやれという御下命よりも、我々が取り組むべき措置はどうだったのかということをもっと大きな観点から、防衛省内部あるいは閣議の中で議論していただかねばならないと思います。

 もう細々とは申し上げませんが、具体的なマニュアルも含め、これは整備されるべきじゃないでしょうか。今後このようなことが起きないように頑張っていただきたいと思いますが、少なくとも、現実には、部隊の展開ではぐれるという、これは三時間ロスした。これは緊急の場面でないのはわかっていますよ、三十日ですから。しかし、もし喫緊の場面でこのようなことが起きてしまっては話にならぬわけですから、これはぜひ、十分措置を検討していただくことをここで発言いただけませんか。

浜田国務大臣 先生の御指摘、もっともだと思います。しっかりと検証させていただいて進めたいと思います。

馬淵委員 あと、その後についてでございますが、もう時間が余りなくなりましたので、端的に質問させていただきます。

 その後ということで、今回は太平洋上に飛んでいったということでありますが、今後、こうした北朝鮮の脅威、他国の脅威ということも含め、テロの脅威も含めて、我が国においてはBMDシステムで防衛を図ろうということでありますが、今回、三千二百キロに及ぶとされているこうしたもの、あるいは、我が国を射程におさめているノドンを含め相当数のミサイルが配備されている、特に北朝鮮に配備されていると言われております。

 これについては、保有の数については確認した数字がないのはよく存じ上げておりますが、ミリタリー・バランスでは九十基、あるいは在韓米軍司令官バーウェル・ベル陸軍大将の発言では、これは〇六年の発言でありますが、二百基、あるいはインターナショナル・クライシス・グループの報告では三百二十基。これは聞いても、数字は確認しておりませんというお答えになると思うんですが、少なくとも、二、三ではなく、あるいは二千、三千ではない、つまり、一けたではなく四けたでもないミサイルが配備されているであろうという可能性は排除できないということだと思います。

 この情報に関しては承知されているか。これは情報を承知されているかどうかだけ、イエス、ノーで結構ですから。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ノドンの配備の数についてはいろいろな見方があるところでございまして、先生御指摘になりましたようなものがあるということは承知をしております。

馬淵委員 そのような脅威の中で、我が国の配備でありますが、今回はもちろん、人工衛星だと言った飛翔体でありますから、その対応ということでいうと、イージス艦二隻、PAC3の九高射隊相当対処ということでありますが、正直申し上げて、万全とは到底言いがたい。このような、百基なのか二百基なのか三百基なのかわかりませんが、これだけのものが飛来することを考えれば、恐らく十分ではないだろうということは想像にかたくありません。

 もちろん、これについてもお答えできないということはよくわかっておりますが、こうした状況の中で大臣は、我が国のミサイル防衛システムのみで完全に対処することは難しいというのは、これは考えればわかることであり、七日の外防では、大臣が、現時点においては敵基地攻撃を目的とした装備体系は保有しておりません、日米間の適切な役割分担のもとで我が国の平和と安全を期する、敵基地攻撃能力を目的とした装備体系を保有するか否かは政治的な判断が必要である、国会等において幅広い議論が行われることが重要、こう答弁されています。

 これは、現行のミサイル防衛システムではとてもじゃないが対応できない。ならば、では可能性は何かといえば、敵基地攻撃あるいは敵地攻撃の装備を我が国が持つことによる抑止力というような観点に対して、我が国は保有していないという御答弁であり、また、役割分担のもとでアメリカとの協力ということをおっしゃっているというふうに理解をいたします。この日米間の適切な役割分担のもとで我が国の平和と安全を期するということにおいては、いわゆる米軍が矛、日本が盾ですか、こうした見解も何度も聞いておりますが、敵基地攻撃能力を目的とした装備体系を保有するか否かは政治的な判断が必要だという御答弁であります。

 逆に言えば、これは大きな議論になりますので、ここで簡単にお答えできることではないのはわかっておりますが、ミサイル防衛システムについて不十分だ、現行の厳しい財政状況の中で予算措置も難しい、しかし、政治的な判断によれば、もちろん、敵基地攻撃能力を装備することによる抑止力で相手を封殺するということも十分可能であり、また政治判断で可能だというふうにこれは読み取れる御答弁と私は受けとめるんですが、これについては、大臣はどのようにお考えでしょうか。

浜田国務大臣 先生の今の御質問に関しましては、私とすれば、敵基地攻撃能力というお話になりますのは、これはこの間も委員会でお話をしたとおりであります。

 とにかく、我が国としての今現在の状況をお話をして、装備として持っていませんと。というのは、要するに、基本的には、そういう状況に陥らないようにやっていくんですということが重要であるという歯どめ、そしてまた、逆に言えば、本来であれば、こういったことを考えずに、外交努力等々によってこういったことがないようにすることが重要であろうと思っております。

 そういったことも含め、いろいろな要素が重なり合っているところでありますので、国会で議論していただく、また、いろいろなところで大きな議論をしていただくことが重要だというふうに考えておるところでございまして、今の時点で、我々が基地の攻撃能力を持とうとか、そういうようなことではなくて、現状を申し上げて、また御議論を願いたいということでお話をしたところであります。

馬淵委員 時間も参りましたが、現行においては、日米間の協力、これ以外にないんだということだと思いますし、もちろんこれについては、日米のガイドライン、法的根拠ではありませんが、「必要に応じ、打撃力を有する部隊の使用を考慮する。」ということがございますので、そこを抑止力だということでありましょうが、やはり現行における我が国のミサイル防衛システムは実は極めて脆弱だという認識を国民に広く共有しながら、もちろん日米の関係も重要でございますが、ここは、政治的判断ということも踏まえた国会の議論を今後また十分にしてまいりたいということを申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

今津委員長 次に、神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 本日は、山口、馬淵両議員に引き続きまして、今般の北朝鮮の弾道ミサイル事案について、事実関係の確認も含めながら質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この弾道ミサイルの軌道と落下地点についてちょっと確認をしたいんですが、一段目のブースターというのは、日本海側の方に、北朝鮮が設定をした危険区域に落下をしたということであります。ただ、この日本海側の危険区域というのは、日本の排他的経済水域に九割ぐらいが重なるということでございますが、他国の排他的経済水域にこうした危険区域をある意味で勝手に設定するようなことというのは国際法上問題がないのか、あるいは、これまで国際的にそうした事例というのはあるのかどうか、その点から確認をしたいと思います。

鶴岡政府参考人 まず、今回の北朝鮮による発射につきましては、従来から申し上げておりますけれども、明確な安保理決議違反でございまして、我が国として断じて受け入れることはできないということは大前提でございますが、ただいま国際法上の排他的経済水域、EEZに関する御質問でございます。

 一般論として申し上げるといたしますと、ある国がロケットの発射などを行って、その一部が他国の排他的経済水域に落下するような場合には、御指摘のとおり、国際法がこの点について規律をしておりまして、具体的には、国連海洋法条約第五十八条三に基づきまして、沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払うことが求められております。

 妥当な考慮の具体的な内容につきましては、それぞれ具体的な対応が異なるということもありますから、一概に申し上げることは困難でございますけれども、当該沿岸国の正当な権利義務を一方的に妨げないということが求められると考えられます。例えば、打ち上げ国が沿岸国に対して事前の通報を行うということは、妥当な考慮の一環であるというふうに考えております。

 具体的な事例がこれまでどのような場合においてあったかということでございますけれども、外務省といたしまして調査いたしましたが、今回の事例を除いて、諸外国において他国の排他的経済水域に落下地点を設定している事例があるかどうか、これまでの調査の結果は承知しておりません。そのような事例があったということは承知しておりません。

 例えば、我が国につきまして申し上げれば、我が国が人工衛星を打ち上げる際にも、他国の排他的経済水域に落下物が予想される場合も含めて、事前に関係国などに通報を行っておりまして、他国の権利及び義務に対しましては、当然のことですけれども、妥当な考慮を払ってきているところでございます。

神風委員 ちょっとまた確認ですが、今回の事前通報というのは、例えば四月の四日から八日まで十一時から十六時までの間に発射をしますというのは、それはこの妥当な考慮には当たらないという認識でよろしいですか。

鶴岡政府参考人 ただいま御答弁申し上げたとおり、沿岸国の権利利益に対する妥当な考慮を払うことが国連海洋法上求められておりまして、予定されている行動についての事前の通報が行われること、これ自体は妥当な考慮の一部をなすものと評価できると考えられると思います。

 したがいまして、北朝鮮からは、みずからのとるべき行動につきまして、国際機関を通じたものも含めて通報があったというふうに理解をしておりますので、それ自体は一つの妥当な考慮の形態だというふうに考えられると思います。

神風委員 続きまして、防衛省の報告によりますと、十一時三十八分の時点で、落下物二が約千二百七十キロの太平洋上に落下すると予測されたという報告がございます。これはなぜこういう予測になったのか、ちょっとその点を教えていただきたいと思います。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆる二つ目の落下物とされるものについてでございますけれども、十一時三十八分の時点では、十一時四十三分ごろに日本の東約千二百七十キロメートルの太平洋に落下すると予測したということを発表したわけでございます。これにつきましては、飯岡にありますFPS5というレーダー、それからイージス艦を含めまして、各所のレーダー等によりまして情報を収集していたわけでございますけれども、こうした情報を集約いたしまして、自衛隊のシステムは、具体的に申しますと、航空自衛隊の自動警戒管制システム、いわゆるジャッジというものでございますけれども、ここで落下の予測地域というものをコンピューターにより計算したものでございます。

神風委員 これは、つまり、二段目のブースターが切り離されて、そのブースターが落ちるという予測なんでしょうか。それとも、そういうことは関係なく、最初飛び上がった段階で千二百七十キロのところに落下をするという予測だったんでしょうか。

徳地政府参考人 これは十一時三十八分の時点における予測ということでございまして、まさにそのときまでに得られた情報でもって、その航跡につきまして、その軌跡を計算により予測したというものでございますので、それ以上のことにつきましては、今後十分に分析する必要があると考えております。

神風委員 結局、この予測された千二百七十キロの太平洋上に落下することはなくて、結果としては、当初、北朝鮮が設定をしていた太平洋側の危険水域に落下をしたわけでありますが、これをどう判断というか分析をされるのか。

 結局、二段目のブースターが切り離されるはずであったのが失敗をして、そのままたまたま偶然にその危険水域に落下をしたのか。あるいは、北朝鮮としては、切り離しというのはなくて、当初からその危険水域に落下をさせる、逆に言えば大成功であったという分析であるのか。そのあたりはどういうふうに防衛省としては分析をされているんでしょうか。

浜田国務大臣 お尋ねの点につきましては、北朝鮮の意図、目的を総合的に評価することが前提になろうかと思います。その上で、北朝鮮にとって何が成功であるかを検討する必要がありますけれども、今般の北朝鮮の発射事案に関しては、引き続き分析を行う必要があると考えております。そしてまた、現時点で確たることを申し上げるということはかなり困難でございます。

 いずれにせよ、一般的に申し上げて、通常の弾道ミサイルの発射実験であれ、人工衛星の打ち上げであれ、多段階推進装置の分離に関する技術ですとか姿勢制御、推力制御に関する技術等の試験を実施する必要があることは共通しているため、今般の発射によって長射程のミサイル開発のために必要なこれらの技術等を検証できた場合には、北朝鮮の弾道ミサイル開発は急速に進展する可能性があるということだけは考えられると思います。

神風委員 ちょっともう一点確認ですが、千二百七十キロというのを予測されたわけですが、結局、そこには落ちなかったわけですね。それで、三千二百まで飛んでいったということでありますけれども、結局、なぜ日本の予測が当たらなかったのか。そこら辺はどう考えられていますか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 通常、我々が整備しておりますのは、ミサイルに対応するシステムでございますので、それがまず前提になります。それで、いろいろな情報を集めまして、いろいろな予測も出るわけでございますけれども、それぞれの、ある前提なり、ある時々のデータというもので一定の予測をした場合に、それで常に正しい値が出るということではございませんで、常に最新のデータをとりながら追尾なりをしていく。

 それで、それが日本に向かってくるような場合であれば、それに対する対応ができるというようなことでございまして、どうしても、その辺につきましては、今回の事例が具体的にどうであったかということをいろいろなデータ、各種のセンサーでとったもの、あるいはほかのデータも全部集めまして検証しないと、今先生の御質問にこの段階でお答えするのはなかなか難しいかと思っております。

神風委員 最終的に、今回の弾道ミサイルというのはテポドン2であるという判断になるんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮は、今回の推進体は、銀河二号ということで、これは三段階のロケットだ、三段階のものであるということを言っていることは事実でございますけれども、私どもとしては、この点についてはきちっとした分析をしないと、一概に、これがどういったものであるのかということは軽々にはなかなか申し上げにくいかと思っております。

神風委員 先般の参議院の方の外交防衛委員会で大臣の方が、日本海に落下をしたブースターをできれば回収したいというような趣旨の発言をされたと伺っておりますが、これは、太平洋側に落ちたブースターというか落下物についても、技術的に可能であれば、これを回収して、検証する必要があるんではないかなと思いますが、大臣の御認識はいかがですか。

浜田国務大臣 今回の太平洋側に落ちた落下物に関しましては、現段階で、その落下地点も特定もされておりませんし、回収の技術的な困難性などについて見通すことができない状況であるわけであります。また、そういった中で、この落下物については、回収作業の法律的な性格をめぐる確立した国際法上の解釈はありませんけれども、実際の回収に当たっては、法的側面も考慮する必要があるというふうに考えられます。

 いずれにせよ、この落下物の回収については、今申し上げたような前提となる条件が明らかになったところで、構造の解析等を行うことの有用性、また費用対効果等も勘案しながら、政府全体としてこれは判断すべきものであるというふうに考えるところであります。

神風委員 次に、誤報のことに関連して質問したいと思います。

 今回、残念ながら二回にわたって、ミサイルが発射をされたという誤報を流されてしまったわけでありますが、特に二回目は、午後零時十六分、防衛省中央指揮所の情報をもとに、北朝鮮から飛翔体が発射をされた模様と発表されて、私もテレビで見ておりましたが、五分後に、二十一分には、誤探知であったという訂正が流れました。

 通称ガメラレーダーと言われるレーダーが、飯岡探知という形で何かをとらえたということでありますが、先ほど山口議員の質問もございましたので、ちょっと重なる面もありますけれども、これは、分析はできているけれどもそれは公表はできないということでよろしいんですか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 四日の日に、飯岡のFPS5が何らかの航跡をとらえて、これがそもそも、四日の日のいわゆる誤報事件の端緒にはなったわけでございますけれども、ではそれが一体何であったのかというようなことにつきましては、今まだ、なお分析中でございます。

神風委員 これは、ガメラレーダーの性能自体に問題があるということも考えられるわけですか。

徳地政府参考人 そもそも、そういう航跡のようなものがとらえられるに至ったその経緯というのは、さらに十分分析する必要があると思っておりますけれども、現時点におきまして、今先生言われましたような飯岡のレーダーそのものについての問題点というものにつきましては、我々としては承知をしておりません。

神風委員 今回の場合、その飯岡探知に加えて、SEW入感というのが加わって、それで誤報につながったというような報道がありますが、それについての検証はもう済んだということでよろしいんですか。まだ検証中であるという認識なんでしょうか。

浜田国務大臣 事実関係の確認ではそういうふうにしましたが、しかし、そうなった理由等も含めて、まだもう少し検証させていただければと思っております。

 今、先ほどもお話をしましたが、まさにヒューマンエラーということでございますが、本来、そもそも考えられないようなところでのミスというのもありますので、そこも含めて、もう一回検証させていただきたいと思います。

神風委員 なるべく早く検証も済ませていただきたいなと思うわけであります。

 一点、よくわからないのは、ミサイルが発射をされたということを、どういう手順でというか、手続で認識をするのか。逆に、アメリカからの早期警戒衛星からの情報というのが前提になるのか。あるいは、それは前提ではなくて、例えばイージス艦からの情報だけでも十分であるのか。あるいは、車力の分屯地にもXバンドレーダーがあるわけですが、ここら辺の情報が必要であるとか。それは、どういう段階というのか、どういう手続のもとに発射だという認識になるんでしょうか。マニュアルというか、そこら辺のシステムを教えてください。

徳地政府参考人 今回の事案におきましては、まず、米軍からの早期警戒情報、SEWにつきまして日本側に連絡がある。これでもって、北朝鮮からの発射に関する情報が日本側に来るということでございまして、これを防衛省の中央指揮所の方で米側から伝達されたということを確認した場合に、防衛省の担当官がこれをアナウンスいたしまして、そして、この音声を官邸の、防衛省から行っております連絡官の方でモニターをして、これを官邸の危機管理センターに伝達する、そういうような手順になっておったところでございます。

神風委員 今のお答えですと、それはアメリカからの早期警戒衛星からの情報がまずは前提になるという認識でよろしいんですか。

徳地政府参考人 今回、アメリカ側からの早期警戒情報がまず入ってくる、そういうような前提で考えておりました。

神風委員 というと、今回の場合、ヒューマンエラーでSEW入感というのがあったために誤報につながったということでありますが、逆に、飯岡探知というだけであれば事態は変わっていたということでよろしいわけですね。

徳地政府参考人 飯岡におきましては、先生もよく御存じのとおり、いわゆるFPS5というレーダーがあるだけでございますので、ここに、アメリカからの、米軍からの早期警戒情報が入ってくるというシステムには、そもそも、もともとなっておりません。

 今回の場合におきましては、スパークインフォメーションという言葉が入ってきたということと飯岡探知という言葉が同時に来たものですから、スパークインフォメーションという言葉をとらえて、それをSEW入感というふうに言いかえたものがあったというところがそもそもの誤報の一つの原因になったわけでございますけれども、いずれにしても、飯岡においては早期警戒情報が入ってくるシステムになっていない、そこについては誤解はなかったものと思われます。

神風委員 これは平成十七年の二月二十五日の衆議院の予算委員会の第一分科会においてですが、当時の大野防衛庁長官が、弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関して、忠実にマニュアルを守っていくという答弁をされております。現場は、防衛庁長官がつくったマニュアルをマニュアルどおり、そういう事態になればそれを確認して、きちっと忠実にマニュアルを守っていくということであると思いますというふうな答弁をされているわけでありますが、ここで言うマニュアルというのは、これは何になるんですか。

徳地政府参考人 御答弁申し上げます。

 自衛隊法の第八十二条の二第三項におきましては、防衛大臣は、防衛大臣が作成し、内閣総理大臣の承認を受けた緊急対処要領に従い、あらかじめ自衛隊の部隊に対し命令をすることができる、こういうような規定になっております。そして、ここで今先生が引用されました当時の防衛庁長官の答弁に言いますマニュアルといいますものは、この緊急対処要領のことを指しております。

神風委員 これはROEのような、そういったものは作成はされていないんでしょうか。

徳地政府参考人 まず、ここにおきまして、平成十七年二月の衆議院における防衛庁長官のマニュアルと言っていますのは、まさに八十二条の二の第三項によって、弾道ミサイル等の破壊措置に関する緊急対処要領のことでございまして、まさにそこに書いてありますことは、八十二条の二の三項の規定によって命令を発する場合がどういうものであるかとか、あるいはその認定に必要な事項でありますとか、それから弾道ミサイル等というのは一体どういうものかとか、あるいは破壊方法がどうであるとか、それから行動の範囲、そうしたようなものを定めたものでございます。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

神風委員 去る一月十五日から二十七日の間に、日米の合同軍事演習、キーンエッジと言われるものが実施されたと伺っております。これは、自衛隊と在日米軍が二年に一度、コンピューターを使っての緊急事態への対処を訓練する指揮所演習であると聞いているわけでありますが、今回、初めてその中で、仮想敵国から日本に向けて発射をされた弾道ミサイルに対処する合同演習が行われたと伺ったわけでありますけれども、この内容はどのようなもので、どんな課題が見つかったのか、その点をお答えいただきたいと思います。

徳地政府参考人 本年一月に行われました日米の共同統合演習、これは指揮所演習でございますけれども、平時から、周辺事態、それから武力攻撃事態等に至る状況の推移に対しまして、迅速かつ円滑に対応するという観点から、自衛隊を含めた我が国の対応、それから米軍との日米協力、共同対処について演練をするということによりまして、共同統合運用能力の維持向上を図ることを目的として実施をされたものでございます。

 この演習の中におきましては、情報収集、それから探知、追尾、対処、こういう流れの一連の弾道ミサイル対処に関する指揮所演習も行われております。

 もちろん、ミサイル対処だけをやったわけでは決してございませんで、武力攻撃事態あるいは周辺事態等の各種の事態に際しまして、自衛隊の対応、それから日米協力というようなことにつきまして検証と演練を行ったものでございますけれども、詳細につきましては、事柄の性質上、お答えは差し控えさせていただきたいと考えております。

神風委員 先ほど、山口委員の質問の中で命中率についてのお話がありましたが、このBMDと言われるものというのは、訓練において命中精度を高めることができるという性格のものなのかどうか、いかがでしょうか。

徳地政府参考人 当然、自衛隊のといいますか、こういうシステムでございますので、いろいろな手順その他につきまして、あるいは探知等のいろいろな点につきまして訓練をするということは、極めて重要な要素であると考えております。

神風委員 いや、そうではなくて、訓練によって精度を高めることができるという性格のものなのかどうか、ちょっとその点を教えてください。

徳地政府参考人 もちろん、システムそのものの限界というものはございますけれども、それを運用するのは当然人間でございますので、演練によって装備をきちんと使いこなすことができる、そういうものであるというふうに考えております。

神風委員 先ほどのやりとりでは三回実験を行ったということでありますが、仮に精度をもっと高めるということであれば、もう少し実験の回数をふやしてその精度を高めるということも必要ではないかなと思いますし、今後その実験の予定というのが設定をされているのかどうか、そこら辺はいかがなんでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 SM3それからPAC3、両方ございますけれども、SM3につきましては、今後さらに改修を進めていく計画がございます。今、二隻既に改修を終わっておりますけれども、今後二隻を改修してまいりますので、その二隻についてはそういった確認が必要になろうかというふうに思っております。

 それから、PAC3につきましては、既にいろいろな形で外国では実戦配備されておるわけでございますけれども、日本の場合は日本の用に合うように修正しているところもございますので、そういう意味で検証したところがございますけれども、今後も、必要があればそういった形で実射の訓練というのはやっていく必要があろうかと思っております。

神風委員 今回、米軍のイージス艦が日本海側に三隻、太平洋側に二隻派遣をされていたということでありますが、米軍のイージス艦と自衛隊の方のイージス艦の協力体制というのはどのようにとらえていたのか。ちょっと事前に防衛省の方に伺ったときには、今回何もそういった連携関係はないというふうなお話を伺ったんですが、実態はどうだったんでしょうか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 日本とアメリカとの間の弾道ミサイル防衛につきましては、これまで日米間のさまざまなレベルにおきまして、協議を通じて緊密に協力をしてきているわけでございます。

 それで、今回、米軍が具体的にどのような体制をとっていて、どのような対応をしたかということにつきましては、米軍の運用に関することでございますので我が方から具体的にお答えをするというわけにはいかない面がございますけれども、ただ、いずれにしましても、今般の事案におきましても、これまでの日米間の弾道ミサイル防衛について構築されてきた協力体制によりまして、情報収集でありますとか、あるいは警戒監視といったようなことをきちんと実施してきておりまして、緊密に相互に連携をして対応してきたところでございます。

神風委員 実は、私の地元に朝霞駐屯地がございます。通常四月の四日は創立記念行事が行われる予定であったんですが、今回の事案によって中止となりました。そういう関係もあって、前日に激励の意味も含めてちょっと視察に伺ったんですが、もう実戦に配備をされていますから近くでは見ることができませんでしたけれども、多少遠方から双眼鏡を使っていろいろ説明を伺いました。

 そういう中で、自衛隊の方で一番神経を使っていたのが、結局、レーダーにもひっかからないような小型のセスナであるとかヘリコプター、そういった航空機がかなり低空で飛んでいる。これは駐屯地司令がおっしゃっていましたけれども、国交省の方に、何とか航空の規制というようなことをできないんであろうかというような要請をしているというお話でございましたが、実際に遠目で双眼鏡でのぞいていたものですから、何人ぐらいの方が担当されているのか、ちょっと詳しくはわかりませんでしたけれども、実際に目と自分の耳で聞きながら、その小型の航空機に対して警戒をしているというような状況でありました。

 ここら辺、国交省の方で何らかのこうした対応がとれるものなのかどうか、そのあたりはどういう認識なのでしょうか。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

関口政府参考人 お尋ねの件でございますけれども、国土交通省といたしましては、防衛省からの依頼を受けまして、PAC3部隊の具体的な展開地につきまして、ノータム、航空情報ということでございますが、これを発出しておりまして、航空機に対して注意を呼びかけております。これは、具体的には四月三日の十八時三十二分に発出しております。

 また、小型機の運航者に対しましては、個別に飛行計画の届け出がございますので、この事前の届け出の際に個別に情報提供を行っているところでございます。また別途、今回は防衛省から、ヘリコプター事業者あるいはマスコミの日本新聞協会等に対しまして、個別に説明をしていただいておるところでございますけれども、その際も、運航自粛の要請までは行われなかったというふうに承知をしておるところでございます。

神風委員 今回が初めてのケースでありますし、やってみて初めて気づいたというような点も相当あるんではないかなと思っておりますが、そこら辺をこれから生かしながら、十分な対応をとっていただきたいと思います。

 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

今津委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 一般質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本日ですけれども、まず冒頭、北朝鮮のミサイル問題に関連いたしまして、主に国民への迅速な情報提供について、Jアラートの使用を見送った経緯について中心にまずお伺いいたしまして、その後、オバマ大統領の核廃絶演説等につきまして、外務大臣にも御質問していきたいと思います。

 あらかじめ申し上げておきますけれども、農水省さんと国交省さんからも答弁者に来ていただいていますが、最後に質問を予定しておりまして、場合によったら、ちょっと間に合わないというか、質問を見送らせていただくかもしれません。お断りしておきます。

 実は、事前の通告にないことを最初に伺ってしまうんですけれども、まさに今動いております安保理協議について、一点まず確認させていただいてから質問に入りたいと思います。

 昨日午後以降の報道によりますと、河村長官の御発言が契機なんだと思いますが、政府が、当初強く日本側が求めておりました新決議に固執をせずに、早期決着を優先して議長声明を容認するという姿勢をにじませているというような報道が、散発的ですけれども見られるようです。この議論の前提となる非常に重要なポイントだと思いますので、中曽根外務大臣に、政府の立場を改めて確認させていただきます。

中曽根国務大臣 我が国は、北朝鮮のあのような発射事態に対しましては、これは安保理決議違反であって容認はできないということで、当然のことながら、北朝鮮にも強く抗議をし、また国連の安保理開催を要求し、委員御承知のとおり、安保理で今協議が行われているところでございます。

 私どもとしては、このような行為に対しましては、国際社会が、特に安保理が迅速に強いメッセージを発出するということが大事であると考えておりまして、この安保理での決議の採択を目指して、発射以降、精力的に各国と協議を行っているところでございます。

 私自身も各国の外相と電話会談を再三行っているところでございますが、官房長官の御発言も、いろいろ御発言されている中の一部から、そのような報道と申しますか受けとめ方があったのではないかと思いますけれども、政府といたしましては、あくまでも決議の採択を目指すということで、現在も努力しているということでございます。

津村委員 端的に伺いますが、議長声明という形を容認する立場ではないということですね。

中曽根国務大臣 安保理の組織については、委員も十分御承知のことと思います。もちろん、一カ国だけで何か主張して、それがすべて通るというものでもございませんが、私どもは、今申し上げましたとおり、この行為というものは容認できるものでない。特に我が国は、我が国の上空をあのような物体が飛行したということで、これは今回、国民の生命財産に被害がなかったからよいものの、万が一ということもあるわけでございまして、強いメッセージを出すことが大事だということで、努力しているということでございます。

津村委員 それでは、もともと通告をさせていただいた質問に入ります。

 内閣官房の松本副長官に伺いますが、今回の事案に当たりまして、国民への情報提供の手段として、当然Jアラートは一つの選択肢だったと思うんですが、事前にその使用を見送られたわけであります。その理由をお聞かせください。

松本内閣官房副長官 今回の事案につきましては、発射、すなわち日本への飛来を意味しないという点、発射されても平常どおりの生活を国民の皆さんには送っていただければということで、避難をしていただく必要はないという判断から、Jアラートを使用することは適当ではなく、情報伝達の迅速性、確実性、一斉同報性を考え、エムネットを通じ、テレビ・ラジオ局である報道機関や地方自治体に情報を伝達することとしたものであります。

 報道機関には、政府からの情報を入手し、入手され次第、一斉に報じていただけたところであり、速やかに国民に情報伝達を行うことで、より早く安心していただけたものと考えております。

津村委員 ただ、逆に、国民保護法制が適用されなかったために各自治体によって対応が結果的にまちまちになってしまって、例えば家の中にいろ、屋外に出るな、そういう情報提供というかアナウンスがあった自治体もあれば、一方で、全く違う話になると思うんですけれども、公民館に集まれ、そういう自治体もあって、逆に混乱を招くから情報提供をしないという自治体もあった。結果的に、それだけでも十分混乱していると思うんです。

 逆にお聞きすれば、国民保護法制が期待する最も混乱しない状態、もちろん、何もこういう事案が発生していないときは、平穏無事に日常生活、業務が行われることを期待するという今回のことでよかったんだと思うんですが、結果としてそうなっていないわけですから、こうした今回のような事案に当たって、国民保護法制が仮に適用される事態であった場合には、どういう対処をすることになっているんですか。事前に御質問していると思います。

松本内閣官房副長官 これは武力攻撃事態等の認定がなされた場合ということで受けとめさせていただきますが、国民保護法に基づいて、武力攻撃事態等の対策本部長であります内閣総理大臣が、直ちに警報の発令及び避難措置の指示を行うということになります。その際、警報や避難措置の指示の内容については、武力攻撃事態等対策本部長が事態の状況に応じて適切に判断するということになります。

 なお、警報及び避難の指示につきましては、都道府県から市町村を通じて防災無線等により住民に伝達されるとともに、放送事業者である指定公共機関等により、テレビやラジオを通じて速やかに放送されるということになります。

 武力攻撃事態ということが認定された場合には、このような対応になるというところでございます。

津村委員 今回の事案については、国民保護法制で言う武力攻撃事態には当たらないということで対象外になったという御説明もあったわけですけれども、今回、一方で総理は、国民への迅速な情報提供ということを、後で時間があれば御質問しますけれども、指示されている。

 そうすると、一方で情報提供をしろと言いながら、一方で非常に有力な手段としてこれまで予算をつけて整備してきたJアラートを事前にとめているというのは、ちょっとちぐはぐな感じもするんですけれども、そもそも今回のような事案が対象外になってしまう国民保護法制自体に不備があるのではないかという気がしますが、御見解をお願いします。

松本内閣官房副長官 まさにただいまお答えをいたしましたように、その判断、本部長である総理の御判断というところで、その対応をするしないということが具体的に決定をしていくところでありますが、今回の事案については、そもそもが、発射、すなわち日本への飛来を意味しないということ、また発射されても平常の状態にいて大丈夫ということでの発信をしているところでありまして、まさにこの事態には適用されないものということでの判断をしたところでございます。

津村委員 Jアラートについては、今のように、どういう場合に使われるのかということが非常にあいまいだということを一つの問題として指摘しておきたいと思いますけれども、一方で、整備が大変おくれているということも、大きく今回浮き彫りになったことかなと思います。

 昨年の当委員会で、四月の二十五日ですが、私の方からJアラートの整備率を伺ったときには、有事情報の伝達については五十四市区町村、まだ三%しか整備されていないということでした。今回も、さまざまな報道では百ちょっとぐらいということで、余り進んでいないと思うんですけれども、直近の整備団体数と、それからちょっと別の角度ですが、整備している自治体が占める人口の比率というのは、全国民の人口に比べてどのぐらいの割合になるんでしょうか。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 Jアラートにつきましては、平成二十一年の四月一日現在、市区町村で二百八十四団体がシステム導入をいたしておりますが、そのうち二百十一団体、すなわち一一・七%において、防災行政無線等により住民に直接音声で情報を伝達することが可能になっています。

 なお、直接音声で伝達可能な二十一団体の人口比率は一七・四%、約二千二百万人となっております。

津村委員 少し進んではいるんですけれども、まだまだという感じなんですが、今後の整備ペースについての評価、今後の見通しについて、よろしいですか、次の質問ですけれども、お願いします。

中村大臣政務官 先ほどの伝達可能な団体、二百十一団体でございまして、全国の比率は一七・四%でございました。

 このJアラートは、有事情報などの、対処に時間的な余裕のない緊急情報を瞬時に住民に伝達する重要な手段であり、地方財政措置などにより整備を促進してきたところでございます。音声で伝達可能な団体数が二百十一にとどまっているなど、今後、一層整備を促進していく必要があろうかと考えています。鳩山大臣も答弁をいたしておりますように、早急に予算化をするべく、視野に入れて頑張らせていただきたい、こういうように考えております。

 また、現時点で、いつごろまでに、期限を明示することができないものかということでございますが、Jアラートの重要性を踏まえて、全市区町村での導入を視野に、今後とも、あらゆる機会をとらえて国として積極的に整備を進めてまいりたい、津村議員の同じ認識の中で進めていきたい、こういうように考えています。

津村委員 とても抽象的なんですけれども、国としては何ができるんですか。

中村大臣政務官 だから、Jアラートを、機械的な部分につきまして、早急に予算化も含めて対応をいたしたい。予算化も含めて、これが総務大臣政務官としては最大な発言でございますので、ぜひ御理解願いたいと思います。

津村委員 国が予算化するんですか。

中村大臣政務官 もちろん国が予算化をする、こういうことでございます。

津村委員 はい、わかりました。

 続きまして、少し話題をかえますが、先ほども少し議論があったようですけれども、一つ目の落下物、秋田県沖に落下した落下物一についての議論が与野党で出ているようでございます。今後、回収するか否かということに関心も集まっているようですが、回収も含めた調査方針について、防衛大臣に伺いたいと思います。

 一つ、私の方で勉強してきたことを言いますと、深さが三千メートルほどのところに落ちたと言われている。過去の実績として、国産のH2ロケットが打ち上げ失敗したときに、同じぐらいの深さのものを引き揚げた実績もあるというふうに伺っております。技術的には問題がないということなんでしょうが、費用対効果も含めてどういう御検討をされるのか、伺いたいと思います。

浜田国務大臣 今先生からもお話がありましたように、今回の落下物の回収については、まだ現段階でその落下地点も特定をされておりませんし、また回収の技術的な困難性などについて見通すことができない状況でもあるわけであります。そしてまた、この海上に落ちた落下物については、法的な部分というところもありますし、そしてまた、今後、その費用も、今御指摘のあったとおりでございます。

 しかしながら、この落下物に対しての、回収した上での技術的な部分ということを確認する意味でも、大変有用であることは十二分に我々も認めているところでございますので、今後とも、政府全体として、これから判断をするということになろうかと思いますが、我々とすれば可能性を追求してまいりたいというふうに思っているところであります。

津村委員 その件で二つ更問いをさせていただきたいと思いますが、一つは、いつごろまでに検討をされるのかということ、時期のことですね。

 それからもう一つは、落下地点が特定できていないとおっしゃるんですけれども、どの程度を特定というのかにもよるんですが、BMDシステムの非常に重要なポイントだと思うんです。どこに落下したかが特定できないようなことであれば、もちろんどの程度の飛距離のものを計算するのか、千キロ級のものを想定しているからということはお聞きしたことがありますけれども、しかしながら、秋田県沖二百八十キロの地点に落下する、そういう意味では、かなり近海に落下するものの落下地点が計算できない、特定できないというのは、そんなことであったら、PAC3でも撃ち落とせないというか、相当ラフな計算しかされていないということになると思うんですね。それはちょっとにわかに信じがたいんですけれども、その二点、確認させてください。

浜田国務大臣 今先生のおっしゃったように、落下地点のプラスアルファ、要するに海に落ちてその後の潮流の問題、いろいろな海底の形状の問題等も、海の荒れ状態にもよると思うんですが、そういったことを勘案したときの落下地点は、地点はわかるかもしれませんが、しかし、その後のどの辺かというのはなかなか、特定するのが大変難しいと思います。

 いずれにしても、その地点、そしてまたこの中での、その当時の潮流等も含めて、やはりいろいろなことを勘案しながら我々は判断しなきゃいけないということであります。今その解析も含めてやっているところでありますので、時間と言われても、これはなかなか、時期的なものというのは今ここでお答えしがたいわけであります。できるだけ情報解析を進めることによって、どの程度まで特定できるかも含めてやっていきたいというふうに思っておりますので、今、時期ということに関しては、ちょっとお答えが難しいかなというふうに思っております。

津村委員 次の海面変色の話、海で何か変色が発見されたという話ともかかわることなので、改めてお聞きしたいんですけれども、海に落ちてからの潮流の流れとか海底の形状というのはわかりました。それは水面下の話ですけれども、水面に接触するまでの話で申し上げると、落下地点というのは、どのぐらいの精度で、半径どれぐらいの丸の中に入ったということが計算できているんですか。

浜田国務大臣 我々とすれば、今、ピンポイントで確認することができるのはかなり難しいと思います。ただ、基本的に、秋田の西二百八十キロのところに、日本海に落下したというふうに推定をしておりますし、そしてまたこの海面変色においては、秋田から約三百十キロというような、変色の部分を見ているわけでありますので、両者の距離が約数十キロ程度になるという、そこの辺までは今この時点でお答えできることだと思っております。

津村委員 そうはいっても、もう少し丁寧に答えていただきたいんです。

 というのは、二百八十キロという言い方をしている時点で、四捨五入をしたとしても、半径五キロ以内ぐらいまではわかっているということが、それだけでも推測はできますし、それがもうちょっと、半径一キロぐらいのところまでいけているのか、ピンポイントというから数メートルまでということまでは必ずしも言っていないんですけれども、どのぐらいなのか、そのけた数をお聞きしているんです。

浜田国務大臣 今、我々とすれば、申し上げたとおり、約数十キロということでありますので、これも含め……(津村委員「変色との距離でしょう」と呼ぶ)ああ、そうですね。(津村委員「落下地点の話をしているんです、落下物一の落下地点」と呼ぶ)

 それはもう少し解析をさせていただきたいと思います。

津村委員 それはおかしくて、だって、BMDシステムは、数分間の間にどこに落下するかを特定しないといけないシステムなわけですよ。それを今の時点でもう少しと言っているのは、ちょっとおかしいんじゃないですか。

浜田国務大臣 我々のレーダーは迎撃システムでありますので、逆に言えば、落ちた地点をずっと見ているわけではありません。そういった意味では、我々とすれば、そこまで詳しくというか、それだけ、おっこってくるものを見てそこの地点ということにはなっておらないわけですので、その点については、そこまで詳しく解析できるとは思っておりません。

津村委員 一番良心的に解釈したとして、落下物二の方が、ミサイルなり人工衛星なりが搭載されている方が、爆発したらより国民に危険を及ぼすわけですから、BMDシステムはそちらの方を迎撃する、追跡することを主眼にしていて、この落下物一の方というのは、BMDシステムの迎撃対象としては、メーンとしては想定していない、たしかそういう御説明を事務方の方にいただいたように思うんです。

 だとしても、現実に、二百八十キロの距離にそれなりの大きなものが、多少燃焼しているとかいろいろあるかもしれませんが、もしかしたら海面が変色したという可能性もある。つまり、まだ燃料が残っていたかもしれないような危険なものが落下しているわけですから、その落下地点が数十キロの範囲でしか特定できていない、しかもこれからどれだけ期間がかかるかわからないというのは、多分正確じゃないと思うんです。BMDシステムはそんないいかげんなシステムじゃないはずだと思うんですけれども、もう少し誠実に答弁していただけませんか。

浜田国務大臣 もう少しそれは、我々とすれば、公表できる範囲内でまたお話をしたいと思いますが、現時点では、今、数十キロと言ったのは、今私どもがお答えできる範囲内で言ったことでございますので、もう少し精査の時間をいただければと思います。

津村委員 少し話題をかえますが、似たような話なんですけれども、その約一時間後とお聞きしたんですけれども、正確かどうか、それも確認したいんですが、海上自衛隊の哨戒機ですか、落下物一の推定落下地点から、先ほど大臣、少し先走って御答弁されて、数十キロの距離とおっしゃいましたけれども、そこに海面の変色を発見したと。テレビで映像も流れていました、少し白い色で。それが、本当に何らかの燃料等が漏れたのか、それとも単なる潮目なのか、それも確認がまだできていないということでした。

 その落下地点と、それから潮目なのか何なのかわからない海面の変色の地点がそれぞれかなり高い精度で特定されていれば、一時間の間にそんなに潮が、物すごく何十キロも離れるとは思えませんので、因果関係が全くないのか、それともあり得るのか、それが推定はできると思うんですけれども、この海面の変色についてのその後の調査はどうなっていますか。そして、その距離と時間から考えて、因果関係はあり得るんでしょうか。これは多分、大臣にお聞きすることになっていたと思います。

浜田国務大臣 因果関係については、今まだはっきりとは特定をしておらないところでありますので、今後、もう少し調べさせていただきたいと思います。

津村委員 調べた結果はどういう形で伝わってくるんでしょうか。

浜田国務大臣 我々とすれば、わかったことは今までどおり公表もしておりますので、そういったことも含めて検討していきたいというふうに思います。

津村委員 何度も質問の機会はないので、そういうことであれば、落下物一の落下地点を正確にお聞きしたいのと、海面の変色との因果関係が推定されるのかどうかということについては、報告書なのか記者会見なのかわかりませんが、どこかの時点で公表していただくことをお約束していただいていいですか。

浜田国務大臣 まずは、先生のところに御報告をさせていただきたいと思います。

津村委員 ありがとうございます。

 それでは、もう一つ、別の御質問に移りたいと思います。

 現在、人工衛星かミサイルかということで、飛翔体という不思議な言葉を使って皆さんしゃべっているわけですけれども、これの分析にはどの程度時間がかかるんでしょうか。といいますのも、九八年のときには、たしか約二カ月でしたでしょうか、ぐらいで正確な、最終的な防衛省としての判断が示されたと記憶しているんですけれども、それよりも短い時間で何らかの結論を得ることができるのか。非常に今、国連安保理での議論が緊迫している場面ですので、こういう非常に議論を左右することについては早期に結論を出していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 先生の御指摘のとおり、いろいろな今の状況をかんがみれば、できるだけ早くというのは当然のことだと思いますので、努力を最大限して、それにおこたえできるように頑張ってまいりたいと思います。

津村委員 時間が大分限られてきましたが、手短に、オバマ大統領の核廃絶演説について伺います。

 その前に、これも事前に通告させていただいていないんですけれども、きのうきょうの報道が相次いでいることについて、議論の前提として伺いたいんですが、いわゆる核保有論議をめぐって、自民党内の議論が少し漏れ聞こえているわけです。坂本組織本部長が保有論に言及されたというお話がありました。それに対して河村長官は、非核三原則を持った国としてそういう選択肢はあり得ないということをおっしゃっているわけです。

 以前、今総理大臣をされている麻生当時の外務大臣は、隣の国が持つとなったときに、一つの考え方としていろいろな議論をしておくのは大事というような御発言をされたこともあったわけですけれども、中曽根外務大臣、こうした核保有をめぐる議論をすること自体の是非、そしてその保有論に対するお考え方というのを、前段として御答弁いただければと思います。

中曽根国務大臣 我が国の防衛についていろいろ議論するということは大変大事だと私は思いますけれども、憲法上、保有を禁じられていないものも含めまして、一切の核兵器について、今、政府は、政策としては、御案内のとおり、非核三原則によりまして保有しない、そういうことになっておるわけでございまして、私、その御発言、報道を通じて承知しておりますけれども、政府としては、今申し上げたような立場でございます。

津村委員 私もその立場はもちろん知っております。その上で、以前、麻生当時の外務大臣がおっしゃられた、議論をしておくのは大事という、そういう議論の是非について、確認のために中曽根外務大臣御自身の見解を伺っています。

中曽根国務大臣 国会議員として、あるいは政党でいろいろ議論されるということは、私は、これをいけないということではありませんし、国の防衛という意味では大事なことだとは思っておりますけれども、政府の立場といたしましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

津村委員 それでは、最後の質問になりますので、ちょっと長くなりますが、二つ、事前にお伝えした質問をあわせて質問させていただきたいと思います。

 五日の、プラハで行われましたいわゆるオバマ大統領の核軍縮、不拡散に関する演説に対する評価についてでございますけれども、演説の中で、民生原子力利用に関する新たな枠組みの構築についても言及をされています。

 こうした中で、報道がいろいろ相次いでいるんですが、核保有国はかなり冷淡というか、まだコメントを余り出されていない国、あるいは民間の方が不快感を示されたりとかいう国もある一方で、日本の外務省としては、月内にも核軍縮案支持を表明するというようなことが、きょうの報道には見られています。これは、報道ですからわかりません。そのことの確認も含めての御質問です。

 それから、さらにもう一つの質問、多分別の問いになっているんだと思いますが、あわせて伺いますと、オバマ大統領は、世界核安全保障サミットを開催する、したいということを表明されたそうですが、これを受けて、広島の秋葉市長が、ぜひ広島に誘致してほしいというような御提案もされているそうであります。このことに対する外務省としての受けとめ、もっと言えば、ことしの後半にオバマ大統領が訪日されると思いますが、広島、長崎を訪問していただくことも含めて、相当いろいろな工夫ができるチャンスなんだと思っておりますけれども、このあたりの外務省としての御見解、最後の質問といたします。

中曽根国務大臣 御質問が何点かにわたりました。いずれも大切な御質問でございますので、ちょっと長くなるかもしれませんけれども、答弁させていただきます。

 まず、我が国はこれまでも、すべての核兵器国によります核軍縮努力をずっと求めてきておりました。今回、四月の五日ですけれども、オバマ大統領が、平和で安全な核兵器のない世界に向けた現実的かつ具体的な方途を追求することを明確に宣言したということは強く支持したい、そういうふうに思っております。

 先ほど、月内に支持を表明するような委員の御発言がありましたけれども、私どもは、時期的なものとかそういうことは発言したことはございませんが、いずれにしましても、今回のオバマ大統領の宣言というものは支持をしたいと思っております。

 我が国といたしましては、この演説を歓迎する私の外務大臣談話を発出したところでございますけれども、こういうオバマ大統領の国際社会に対します呼びかけというものが、その他の核兵器国も参加をいたしました世界的核軍縮の機運を盛り上げる、そういうことになることを強く期待しております。核のない世界の実現に向けて、また最も近い目標といたしましては、来年のNPT運用検討会議の成功のために、引き続いて、米国を初めとして国際社会との連携を私どもとしては強化していきたい、そういうふうに考えているところでございます。四月中を目途に、改めて私自身からこのような考え方を演説の形で表明したいと今思っているところでございます。

 民生の原子力利用につきましては、我が国といたしましては、オバマ大統領が、民生原子力平和利用に係る各国の権利を尊重しつつ、核不拡散と両立した民生原子力利用に関する新たな枠組みを構築する決意を表明した、これにつきましても歓迎をしたいと思っているところでございます。

 従来から我が国は、米国等の原子力先進国と密接に協調しながら、国際的な民生原子力平和利用を適切に推進するための取り組みを行ってきておるわけでございますが、昨年のG8の北海道洞爺湖サミットでは、我が国は、米国等と協調しつつ、核不拡散、原子力安全及び核セキュリティー、いわゆるスリーSの確保の重要性を国際的に浸透させるとともに、新規原発の導入検討国によるスリーS確保を推進するためのイニシアチブを立ち上げたところでございます。引き続いて、米国等と協力をして、国際的な民生原子力平和利用を適切に推進するための努力を行っていきたいと思っております。

 また、オバマ大統領が、その演説におきまして、世界核安全保障サミットにつきましてホストするということを提案しております。核セキュリティーに関する世界サミットと言った方が正しいかと思いますが、我が国は、オバマ大統領によりますこの世界サミットの開催につきましても歓迎をしているところでございます。

 開催時期や内容等の詳細につきましては今後米国から明らかになってくるものと思われますが、一般論といたしまして、我が国で国際会議を開催するということは非常に有意義なことであると考えておりますけれども、この世界サミットは米国がホストする旨提案しているものでございまして、またさらにサミットの詳細を今後承知していきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、開催に当たりましては、米国と協力をしながら我々も取り組んでいきたいと思っております。

 なお、オバマ米国大統領の訪日につきましては、本年後半に我が国を訪問する、そういう意向が米国側から伝えられておりますが、まだ詳細な日程とかそういうような話は行われておりません。今後、具体的な点につきまして調整を行っていく予定でございます。

津村委員 時間が参りましたので質問を終わりますが、私の方からお呼びしながら、御質問さしあげられませんでした加納副大臣、江藤政務官におわび申し上げます。

 終わります。

今津委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 緊迫の二日間、その前、準備の段階から考えると、相当な厳しい環境だったというふうに思いますが、大臣におかれましては大変御苦労さまでございました。失敗も含めて、いろいろな意味で今後に向けての教訓になったのではないか、このように思います。

 一つよかった点と言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、BMDのシステムを開発、配備してきたメリットとして、今回、やはり国民の中にある程度の安心感、信頼感というものがあったのではないか。もしそういうものの努力を全く怠って今回のような事態を招いたら、恐らく、国民の皆さんはパニックに近い状態になったであろうし、さっきもちょっとお話が出ておりましたけれども、では、あのミサイルの基地をたたけというような、かなり過激な話に国論が振れた可能性もあったと思います。

 そういうことを考えたときに、やはりある程度、もちろん、完璧な兵器なんというものはこの世に存在しないわけでありますけれども、完璧ではないまでも、今回のように、日米の間で、あるいは日本独自の努力で、こういうBMDのシステムが開発、配備をされてきたということは一定の評価を持っていいのではないか、このように思います。

 ただ、今回の事態というのは極めて特殊、例外的な事態だったというふうに思うんです。というのは、相手が期日も予告して、しかも、三年前と違ってミサイル一発だけ。ですから、少年のサッカーではないですけれども、一つのボールにみんなが集中して取り組んでいくことができた。まさに全省を挙げて、一発のミサイルを凝視して、そしてそれに対する対応を行った、こういうことなんだと思います。

 しかし、普通考えた場合、ミサイルが発射される環境というのは、今回のような生易しい環境であるはずがないんですね。陸海空、いろいろな攻撃、脅威、工作、そういうものを含めての大混乱になっているところにミサイルが次々に飛んでくる、そういう可能性もあるわけです。

 したがって、今回のような、ある種、イージーな環境ではない、厳しい、混乱した環境の中でヒューマンエラーをしないようにしていかなければならないということでございますので、大臣に冒頭に伺いたいのは、今回のようなケースではない、極めて厳しい環境のもとでも対応し得る、そういうBMDシステムあるいは連絡、報告、通報体制、こういうものを整備するために一段の努力をしていただきたいと思いますが、その点について、今回の教訓を踏まえて、一言お話をいただければと思います。

浜田国務大臣 今先生の御指摘のように、今回の場合は特殊な例というふうに思いますし、本来いろいろな事態が想定されますけれども、それに対処するためのいろいろな問題点等も今回よくわかったような気がします。

 ただでさえ、これだけの情報がある中で、それに対応する人間のテンションの高さ、感情的な部分、そしてまたそれに対する思いというか、とにかく早く国民の皆さん方にいろいろな情報を流さなければならないという中で、前がかりになっていたこともあって、そういう意味ではあってはならないミスをしたというのも、これは事実であります。

 そういったことの経験の中で、今後、全くそういったことのない中でこのBMDシステムをどのように運用していくかというのは、さらに一つ階段を上らなければならない部分もあろうかと思いますので、そういった意味においては、しっかりとそれを心しながら対応していきたいというふうに思っているところでございます。

長島(昭)委員 今大臣がおっしゃったように、速報性と正確性、この二つを満たしていかなければならないというのは、これは大変な作業だと私は思いますので、マニュアルの見直しも含めて、これからちょっと発射探知の誤報について少し詳しくお聞きをしますけれども、ぜひ今回の報告書をつくっていただいて、国会の方に御提出をいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 今回の件に関しましては、いろいろな分析等々をしておりますので、それを全部解析、そしてまたいろいろな情報を整理した中で、それができる際には御報告できるような体制がとれればというふうに思っております。

長島(昭)委員 そこで、発射探知の誤報についてなんですが、先ほど来、SEW、つまりアメリカの早期警戒衛星からの情報が前提となって日本のミサイル防衛システムが動いていくというような説明もあったやに思うんです。

 もう一度確認ですけれども、例えば北朝鮮のミサイルが発射された場合、一番最初にそのことを探知するプラットホームというのは日本側にはなくて、アメリカの早期警戒衛星であり、それが前提となって各種システムが動き出す、こういう理解でよろしいんでしょうか。

徳地政府参考人 ミサイル防衛につきましては、日本とアメリカとで緊密に連携をして行うという方針でいっておりますけれども、早期警戒情報につきましては、アメリカが、宇宙空間においてミサイルから出される炎の赤外線というものをとらえて、これを伝達してくるということになっておりますので、我々としては、これを入手することができるので、これも十分に活用していくということになっておるわけでございます。

 そして、日本は日本で、当然みずから情報収集をし、あるいは、場合によっては、自衛隊法の八十二条の二によりまして、これについての破壊措置をするというようなこともあるわけでございますので、まず、みずからの目といいますかセンサーでも見るということが必要になっているわけでございます。

 これにつきましては、通常は、当然のことながら、まさにそうした早期警戒衛星というものによる情報というものが極めて重要な要素となっているというふうに考えております。

長島(昭)委員 ということは、時系列的にいうと、まず、SEWによる赤外線の感知が最初にあって、その情報と、独自のレーダー、先ほどから説明が出ておりますガメラレーダーを含めたいろいろなレーダーとの情報を突き合わせて、そこで発射を確認する、これが正規の確認のルートなんでしょうか。

徳地政府参考人 先生の今御質問の発射の確認ということでございますけれども、早期警戒情報というのは、まさにロケットから出る赤外線をとらえるということでございますので、これによって、ミサイルなり何らかのものが発射をされたということが十分に大きく推定をされるものであるというふうには考えておるところでございます。

 他方で、自衛隊の方でこれを追尾して、最終的にこれを迎撃するあるいは破壊するということになりますと、当然のことながら、自分のセンサーでもってこれを十分に追尾して確認をしていくことが必要になるということを申し上げたつもりでございます。

長島(昭)委員 今、発射の確認についてに絞ってお話を伺っておりますので、その点、ぜひ御認識をいただきたいと思います。

 その上で、最終的には、防衛省の中央指揮所にSEWの情報とそれから各種レーダーからの情報が集約されて、そこで判断が下されるという認識でよろしいんでしょうか。

徳地政府参考人 発射につきましては、今回の場合につきましては、発射ということについての情報を伝達することになっておりましたので、これにつきましては、中央指揮所においてその情報を総合して、これを関係のところに伝達する、そういうような手順になっておったものでございます。

長島(昭)委員 私の理解によると、最終的には、中央指揮所に来る情報、SEWの情報、ほかのレーダーの情報というのは、二つのルートがある。SEWは、一たんアメリカのイージス艦に連絡が行く、探知の情報が行く、そして日本のイージス艦を通して防衛省の中央指揮所に来る、それが一本目のルート。それからもう一つのルートは、アメリカのNORADを通して、在日米軍の基地を通して、航空総隊に入ってくる、あるいは直接中央指揮所に入ってくる。こういう二つのルートがあると理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。

徳地政府参考人 米軍と自衛隊との間のいろいろなリンクの仕組みにつきましては、いろいろなものがあると考えておりますが、今回の発射の情報につきましての伝達につきましては、アメリカの側から中央指揮所の方に直接に入ってくるもの、これが一番の前提というふうになっておったものでございます。

長島(昭)委員 そこでなんですが、先ほど来お話が何度も繰り返されているんですが、説明によると、スパークインフォメーションというものがSEW入感であると航空総隊の中で取り違えた、そういう説明だというふうに理解しておりますが、そこはよろしいんでしょうか。

徳地政府参考人 今回の件につきましては、まず、飯岡のレーダーがとらえましたものを航空総隊の中の防空指揮群というところに連絡してきました。そして、この防空指揮群から航空総隊司令部に連絡するときには、スパークインフォメーションという言葉と、それから飯岡探知という言葉で言ったわけでございますけれども、航空総隊司令部の中でこれを受けた者が、飯岡探知、SEW入感という言葉でほかの者に連絡をした、これが経緯でございます。

長島(昭)委員 そこが実は、信じられないというか、よく理解ができないんです。

 スパークインフォメーションというのは、日本の持っているレーダーによる発射探知も含めてスパークインフォメーションと言うのでしょうか、それとも、SEWの入感というのをスパークインフォメーションというふうに呼んでいるんでしょうか、どっちでしょうか。

徳地政府参考人 スパークインフォメーションという言葉は、弾道ミサイルを探知したということを示す、航空自衛隊の中で使われている用語でございます。

長島(昭)委員 つまり、それはSEW入感という意味ではないということですね。

徳地政府参考人 これにつきましては、必ずしも、どのセンサーでとらえたかということでもって限定して使われているものではございませんで、あくまで弾道ミサイルを探知したということを示す用語として使われているものでございます。

長島(昭)委員 私も、当然そうだろうと思っていたんですね。

 それを航空総隊の担当官が、なぜ、飯岡探知とSEW入感という両方の話に混同してしまったんでしょうか。

徳地政府参考人 まず、飯岡から情報が入ってきたということは、その情報の中身はともかくといたしまして、そういうルートで何らかの情報が入ってきたということ、これは事実でございます。それからもう一つ、航空総隊の防空指揮群におきましても、ここに早期警戒情報の端末がある、こういうことも事実でございます。

 他方におきまして、スパークインフォメーションという言葉を聞いた航空総隊司令部の中の者が、これをSEW入感というふうに誤って伝えたわけでございますけれども、実際に伝えた者が、まさにそこのところを頭の中でどういうように考えてそういうふうに伝えてしまったかということは、今後よく精査してみる必要があると考えております。

長島(昭)委員 先ほどから触れているように、SEWの情報と、それから独自のレーダーの情報というのを、ある種突き合わせをして下へ流していくんだろうというふうに思うんですけれども、そのときに、航空総隊の中で突き合わせ、つまりクロスチェックはなされなかったんでしょうか。

徳地政府参考人 各種のレーダーによる情報というものは、航空総隊司令部に上がる前に、まずそこの防空指揮群において全体が総合される、こういうことになっております。

 それから、防空指揮群からは、SEWが入ったという言い方で航空総隊司令部に伝えられたわけではないわけですけれども、まさに先生、もちろんその資料にありますように、航空総隊司令部の方からは、それをSEW入感というふうに、スパークインフォメーションという言葉を言いかえて、さらに中央指揮所の方に伝えておりますので、そこのところにつきましては、速報ということではあったわけでございますけれども、よくそこは十分に確認をすべきであったというふうに考えております。

長島(昭)委員 ちょっとわからないんですよ。

 スパークインフォメーションをSEW入感というふうに言いかえて伝えたと今おっしゃいましたね。そうすると、飯岡探知、飯岡からのレーダーの、飯岡の部隊からの情報と、そして入ってもいないSEWというのをスパークインフォメーションという言葉に入れかえて送った、こういうことですか。

徳地政府参考人 防空指揮群の担当者は、飯岡探知という言葉とスパークインフォメーションという言葉を言っておるわけでございます。そして、これを航空総隊司令部において聞いた者は、航空総隊司令部の中で、飯岡探知、SEW入感というふうに連絡をしておるわけでございます。つまり、スパークインフォメーションという言葉がそこで消えて、かわりにSEW入感という言葉が入っておるわけでございます。

 そして、防空指揮群におきましては、中央指揮所と同様にSEWの端末がございますので、防空指揮群にそういうような情報が入ったというふうに勘違いをした可能性もありますが、そこは、そういうことなのかどうかということは十分によく調べてみないと、現時点におきましては何とも言いがたいところがございます。

長島(昭)委員 これはやはり相当緊迫した中だったので取り違えが起こったのかもしれませんけれども、これは給油量の取り違えとは全く次元が違いますよ。

 そもそも、独自の、自分たちのレーダーからの情報と、それから早期警戒情報とが入ってくるときに、それぞれの情報ルートを示すような、別のキーワードみたいなもので整理しなかったら、これは混乱するんじゃないでしょうか。そういう考え方というのはないんでしょうか。全部スパークインフォメーション、つまり弾道ミサイル発射探知、こういう意味でしょう、スパークインフォメーションというのは。ですから、独自のレーダーでとらえた場合でもSEWでとらえた場合でも、同じくスパークインフォメーションというふうに言いかねないわけですね。今、現状はそうなっているんですか。

徳地政府参考人 必ずスパークインフォメーションという言葉をどのような場合においても使わなければいけないというふうになっているわけではございませんけれども、本件の場合におきましては、早期警戒情報がまず入ってくるということを想定いたしまして、これを伝えるというような手順で考えておりましたので、その旨を、そういうことであればそういうことをしっかりと言うということが必要であったと思いますし、それから、そもそも中央指揮所に米軍から直接に入ってくる端末というものがあったわけでございますから、当然これを確認して、SEWが入ってきたかどうかということをきちんと認識すべきであったというふうに考えております。

長島(昭)委員 私もそう思います。最終的には中央指揮所できちんと、早期警戒衛星からの情報だということを本来はクロスチェックしてやるべきだった。しかし、そこを怠っていた。そこの責任者はだれですか。

徳地政府参考人 今先生言われた、そこと言われましたのは……(長島(昭)委員「中央指揮所」と呼ぶ)中央指揮所ということでございますか。

 中央指揮所におきましては、統合幕僚監部と、それから私どもの局の者など関係者がそこに詰めておりましたので、しかも、早期警戒情報が入ってくれば明確にわかるような形になっておりましたので、そこを担当者でよく確認すべきだったものと考えております。

長島(昭)委員 責任者が複数というのは私はよくないと思いますよ。

 さっきの馬淵委員の質問で、制服の方とそれから内局の方と、ある種ミックスでやっているというような御答弁がありましたけれども、防衛省の中央指揮所、その指揮所の責任者というのはいるんでしょう。一人じゃないんですか。

徳地政府参考人 自衛隊の運用について、大臣を補佐するためにこの中央指揮所というものが開設をされておるわけでございまして、当然のことながら、これに、大臣に対する補佐機構というものを十分に機能させるために必要な者がおったわけでございますので、統合幕僚監部等においてこの指揮所を運営していたものでございます。

長島(昭)委員 そんなごちゃごちゃ言わないでくださいよ。中央指揮所の責任者は統合幕僚長でしょう。統合幕僚長じゃないんですか。

徳地政府参考人 中央指揮所と申しますのはあくまで場所の名前でございますので、これは組織ではございませんけれども、まさに防衛省全体として自衛隊を運用するためのものでございます。

 いずれにいたしましても、四日の日の誤報の件につきまして、こういうような手順を改善しなければいけないということもございましたので、ここにつきましては、統幕長が全体をきちんと取り仕切って、そして官邸の方に伝えるというようにしたところでございます。

長島(昭)委員 そうなんですよ。最初からそうなんですよ。セントラル・コマンド・ポストでしょう。これは軍事的なコマンド・アンド・コントロールの話なんですよ。情報を共有したり伝達するというような話じゃないんですよ、本来は。

 なぜか。発射をする判断が下されたら、場合によっては迎撃に行くんですよ、直線的に。だって、破壊措置命令をもう既に出しているじゃないですか。本当に発射されたということがわかったら、それは軍事的な知識できちんとこれに対して破壊措置を講じなきゃならない。そうなったら、ナショナルコマンドとして、ミリタリーコマンドとして、統幕長がきちんとそこは集約をして官邸に上げなきゃいけない。そこで最終的に破壊するかしないかは、当然シビリアンコントロールで政治家が決めるんですよ。だけれども、いろいろな情報を集約して、最終的にこれは間違いなく発射だと認定するのは、当然のことながら統合幕僚長でしょう。そうじゃないですか。

 一日目と二日目の大きな違いは、二日目は、私が仄聞しているところによると、統幕長がきちんと判断を最終的にして官邸に上げたというふうに聞いているんですが、いかがですか。

徳地政府参考人 先生が前段でお触れになりました八十二条の二に基づく弾道ミサイル等の破壊につきましては、既に大臣から命令が出されておりますので、後は、現実に弾道ミサイル等が我が国の領域内に落下するということを航空総隊司令官、つまり統合任務部隊の長としての航空総隊司令官が事実を確認して最終的な発射に至るということではございます。今回のSEWの伝達ということにつきましては、五日の日におきましては、中央指揮所の中にある早期警戒情報の端末において、ここから早期警戒情報が得られましたので、これを最終的には統合幕僚長が確認して危機管理センターの方に伝えた、こういうことでございます。

長島(昭)委員 だから、そういう意味において、ここは役割分担、内局の方と制服の方との役割分担、これから防衛省改革で、ユニフォームと内局の人、一体化して運用していくということですから、これはぜひひとつ、そこの辺の仕切りの整理はしていただきたい。

 なぜ私がこれにこだわったかというと、私、これも仄聞しているところによると、このCCP、つまり中央指揮所で担当されている方に、官邸から、速報性、とにかく速報しろ、秒単位でちゃんと上げろ、そういうかなり矢のような催促があったというふうに実は聞いているんですよ。

 しかも、さっき馬淵委員の質疑の中で明らかになったように、モニターで、つまり、ヒアリングといいますか、中央指揮所のやりとりというのを官邸でリアルタイムでモニタリングしているということですから、飛び交っている言葉も全部官邸に入っていくような状況になっているわけですね。そうなると、きちんとした専門知識を持って、あるいは、一呼吸置いているような状況ではないと思いますけれども、しかし、SEWもきちっと入感している、日本のレーダーからもちゃんと入っている、よし、これは発射だという判断をする前に、もう既に官邸の方が前のめりになっているという可能性があるわけなんです。

 ですから、私は、ぜひ教訓の中に加えていただきたいのは、中央指揮所でのきちんとした情報の整理と、それから、それを最終的に官邸の危機管理センターに上げていく際のやり方、今のモニタリング、速報性というのは、一方の要請にはこたえるんですけれども、しかし、それがある種フライングになってしまっている部分もありますので、その辺はぜひ検討課題に加えていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。

浜田国務大臣 当然、先生の御指摘のような点も、これは否めないところもあるというふうに思っておりますので、すべてを点検して、しっかりとした体制に直していきたいというふうに思っておるところでございます。

長島(昭)委員 それで、もう一点。

 もう時間がないんですけれども、今回の迎撃態勢、監視態勢といいますか、最終的には監視だけで終わったわけですけれども、軍のレベル、日米の協力のレベルではかなり緊密なやりとり、先ほどちょっと山口委員の御指摘もあって、実はきちんとしたリンクがまだ未整備だという、この点もこれからの努力しなければならない目標になると思いますけれども、日米の間での軍事的な緊密性というのは、私はある程度確保できたと思うんです。

 それはなぜかというと、前回までの対応とちょっと比べてみると、九八年のテポドン1が発射されたときは、海上自衛隊のイージス艦は一隻しかなかった。〇六年、三年前に七発連射をしたときは、海上自衛隊はイージス艦は一隻だったけれども、米海軍のイージス艦は二隻あった。すべて日本海側に出して、一応警戒監視に当たった。ただし、九八年、〇六年ともに、イージス艦は迎撃能力を持っていなかった。しかし、今回は、これはアメリカ側の動きについてはなかなか軽率には明らかにできないのかもしれませんけれども、報道によると、全部で九隻ぐらい出ていた、日本のイージス艦、そしてアメリカのイージス艦、そのうち七隻が迎撃能力があった。

 これが、先ほど来話があった、SEWの情報あるいは日本のレーダーの情報を全部集約して、事が、ある種、日本にミサイルが落ちてくるというような状況になったら、日米で対応できる軍事的な協力関係というのはかなりできていたと私は思うんですが、気になるのは、政治レベル、つまり国と国のレベルなんですね。

 北朝鮮のミサイルの発射について、アメリカ側の政府高官の発言を少し拾ってみると、二月二十六日に、アメリカの太平洋軍司令官であるキーティングさんがこう言っているんです、打ち上げられた場合、大統領の命令に基づいて撃墜する準備ができている。これは、日本側に飛んでこようとアメリカ側に飛んでこようとという意味だと思います。

 それから、三月十七日にNORADの司令官であるレニュアートさんが、アメリカのミサイル防衛システムは北朝鮮からの長距離弾道ミサイルに対応できる、こういう非常に心強い発言をされているんですね。

 ところが、三月二十九日にゲーツ国防長官が記者会見で、先ほど紹介しました二月二十六日のキーティング太平洋軍司令官の発言について聞かれて、それに答えて、つまり、キーティングは、打ち上げられた場合、大統領の命令に基づき撃墜する準備ができていると言ったその発言に対して、現時点においてそのようないかなることを行う計画はないんだと。しかも、仮にミサイルがハワイに向かって飛んでくるようであれば迎撃を検討するかもしれないが、現時点ではそうした計画はない、こういうある種突き放したような言い方をしている。

 しかも、その後、クリントン国務長官も、日本には領土を防護し、防御するあらゆる権利があると。何か、日本は勝手にやりなさい、こういうようにも聞こえる発言を実はしているんですね。

 私は、実はこれは自然なことだと思っています。つまり、日米の間に認識のギャップがあるんですよ。それは切迫感、距離の切迫感、時間の切迫感がもともと違うんですよ。日本は既に、今回の件を見るまでもなく、ノドンミサイルの射程距離の中にすっぽり入っている。しかし、アメリカは、ハワイに飛んでこない限り、そんなに切迫感はないんです。

 ですから、私、最後に一つだけ申し上げたいんですが、これは外務大臣でも防衛大臣でも結構です。軍事レベルでの日米の協力のシンボルに、MD、ミサイルディフェンスのシステムはなっていると思います。しかし、国と国との間、ナショナルレベルでの認識のギャップというのは、実は今回の件でも余り埋め合わせられていないのではないかと思うんですが、その辺の努力、どういうところに意を用いてこれまでやってこられたのか、それから、もし足りないとすれば、どういうところに意を用いてこれから日米の認識のギャップを埋めていこうとなさっているのか、最後に伺いたいと思います。

浜田国務大臣 我々は、そういう意味では、軍事上の関係で今までいろいろな形での検討を進めてまいりました。当然これは、我々、国際社会の中における日米の役割というのもお互いに十二分に認識し、外務省においてもそういった形をやってきたわけであります。

 しかしながら、これはやはり地理的条件の差、そしてまた軍事に対応する考え方の違い等々も現存としてあるわけでありますので、さらに一層、我々の立場、そしてまた米国の立場というものに対しての理解をお互いにどれだけ共有し合ってやっていけるかが大変重要だと思います。今後は、今、長島先生がおっしゃったように、一つの案件というものに対して、具体的なものがあるわけでありますので、そういうものに対してひとつ対応していくことによって積み重ねていくことが重要かというふうに思っているところであります。

長島(昭)委員 ぜひ、日米の戦略協議の中で、このMDの認識ギャップを埋めていく努力をしていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

今津委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十二分開議

今津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、昨年十二月の金武町伊芸区の流弾事件について、外務大臣には外務委員会においても質疑いたしましたが、その続きを行いたいと思います。

 四月一日に米軍が最終報告書のプレスリリースを公表いたしました。その中では、「被害者と目撃者が石川署に示した事件の日時と、中部訓練所で実弾訓練が実施された日時とは、一致しないことが判明した。」として、米軍は、自分たちの訓練とは関係ない、こう述べております。

 警察庁に聞きますが、米軍の言う事件と訓練の日時とは、それぞれいつのことですか。

西村政府参考人 今回の事件の発生日時でございますが、当初、沖縄県警察におきましては、発生日時を十二月十一日と判断しておりましたが、その後の捜査の結果、発生日時は十二月十日と特定いたしました。

 しかしながら、米軍側は、当初の沖縄県警の判断でありました昨年十二月十一日の発生との認識と承知しております。

赤嶺委員 日本の警察は、当初の十二月十一日を訂正して、十二月十日に特定していたわけですね。アメリカの方は、それを認めないで十二月十一日に固執していて、これをよりどころに、訓練との関連はなかったと主張しているわけです。

 むしろ訓練との関係は濃厚になったということではありませんか。いかがですか。

西村政府参考人 先ほどお答えいたしましたとおり、事件の発生日時の認識が違っておりますので、沖縄県警におきましては、事件の発生日時に関する米軍側の認識を改めさせるよう努めてまいりたいとの報告を受けております。

赤嶺委員 日本の警察が特定した十二月十日には米軍は訓練を行っていたんですか。

西村政府参考人 十二月十日には訓練を行っていたものと承知しております。

赤嶺委員 何で米軍は、日本の警察が特定したものを受け入れないんですか。皆さん、十二月十日と特定したものを米側に伝えたんですか。いかがですか。

西村政府参考人 沖縄県警察の方から米軍側に伝えております。

赤嶺委員 米側はそれに対して何と言っているんですか。

西村政府参考人 米軍側は、先ほど委員御指摘の報告書によりまして、事件の発生は十二月十一日と認識しておりますので、先ほど申し上げましたように、沖縄県警といたしましては、この発生日時に関する米軍側の認識を改めさせるよう努めてまいりたいと報告を受けております。

赤嶺委員 日本の警察は、米側が認識を改めなければいけないという立場に立っているということですが、そのプレスリリースを見ますと、米軍は、弾道専門家による拡張確率論的解析を行い、訓練場から弾丸が跳飛そして流出することは、統計学的にも確率が極めて低いことが実証された、このように書いてあります。

 警察に伺いますが、拡張確率論的解析とは何ですか。それによって統計学的にも確率が極めて低い、その根拠になっているのは示されているんですか。

西村政府参考人 沖縄県警察におきましては、今後、米軍側の弾道解析の詳細な内容について説明を求めるなどしまして、必要な事実関係を行ってまいると報告を受けております。

赤嶺委員 いや、ですから、米側が使っている拡張確率論的解析、統計学的確率、こういうものについて、日本の警察、認識はあるんですか。

西村政府参考人 米軍側が主張しております論理等、当方承知しておりませんので、今後、そうした分析の内容につきまして詳しく説明を求めてまいりたいと報告を受けております。

赤嶺委員 訓練の行われた日を日本側が特定しても、米軍はその日でなかったと主張し続けて平行線。それから、米側が統計学的にそういう可能性は低いと言っているその根拠についても、日本側の警察は承知していない。

 私は、今、プレスリリースに基づいていろいろ聞いたわけですが、警察や外務省や防衛省には最終報告書に関する説明もあった、このように聞いておりますが、それはどういう内容ですか。それは、プレスリリース以上の根拠の提示や詳細の説明はなかったんですか。

西村政府参考人 米軍からの報告書につきましては、現在、沖縄県警察におきまして、その詳細な内容について精査中であります。

赤嶺委員 つまり、詳細な報告書が出ているということですか。

西村政府参考人 プレスリリースとは別途の報告書を入手しております。

赤嶺委員 プレスリリースよりも詳細な中身になっているということですね、今のは。

西村政府参考人 プレスリリースとは別途の報告書でありますが、その報告書の内容につきましては、現在、沖縄県警察において詳細に内容を精査しております。

赤嶺委員 プレスリリースと大体同じような内容以上のものであれば幸いですが、今の警察の答弁では全くはっきりいたしません。

 ただ、警察は、例えば米軍はこれは認めているんですね。十二月の九日、事件のあった十二月の十日には八千発の五十口径弾が発砲された、このようにしておりますが、これはプレスリリースによりますと、レンジ7のことであります。

 外務委員会に提出された事件の経過に関するペーパーが出ておりましたが、それによりますと、警察はキャンプ・ハンセン全体のレンジ使用部隊名や使用銃器などに関する説明を求めていたはずです。その回答はあったんですか。

西村政府参考人 米軍側から沖縄県警察に対する、照会に対する回答は来ておりますが、その内容につきましては、捜査の内容にかかわる話でございますので、答弁を差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 県民の関心事なんですよ。今私たちがあの流弾事故に関して手にする資料は、アメリカの米軍のプレスリリースだけなんです。それによると、事故のあった十二月十日にレンジ7を使って訓練もやっている、きょうは激しい訓練が行われている、そのときに弾丸が飛び込んできた。ところが、いや、事件が起きたのは十二月十一日だと米軍が一方的に言い張って、訓練のない日だから訓練とは関係ない、この言い分しか聞かされていないんです。

 詳細にやると言っておりますが、結局、基本的な点で、米側に説明しても米側がそれを認めない。そして、弾丸の鑑定の根拠も示さない。外務大臣、何の根拠も米軍は示さないで、流弾事故と演習は関係なかったと繰り返しているわけですね。どうも日本の警察の、今の答弁を聞いていても、どこまでわかっているのかはっきりしない。私は、米側が捜査に協力していると言えないと思うんですよ。あのプレスリリースの中身を外務省は受け入れるんですか、外務大臣。

中曽根国務大臣 米側が捜査に協力をしていないというようなお話もありましたけれども、そんなことはないと私は思っております。

 調査の結果、これの詳細につきましては、私たち外務省としては責任を持ってお答えする立場にはございませんけれども、いずれにいたしましても、今は警察で引き続いて捜査中ということでございますから、外務省としては、まずはその捜査の結果というものを見つつ、そして適切に対応していきたい、そういうふうに思っております。

赤嶺委員 実弾射撃訓練で、米側は、流弾事故が起きてもこれまで自分たちの責任を認めたことがないんです。ですから、私は同じような質問を何年か前にもやっております。これの繰り返しなんです。結局、何もわからないまま終わってしまう。

 ところが、今、プレスリリースでは、日本の警察が特定した日を認めないで、訓練のなかった日を持ち出してきて、演習とは関係がないということを言い張っている。日本の警察は特定しているわけですよ。特定している事実でさえ何で認識を共有することができないんですか。これは警察レベルのやりとりで私は決着がつかないと思います。政府全体として、基地を提供しているのは日本政府ですから、そこで起こっている事故ですから、こんな基本的な事柄さえ認識が共有できないのであれば、とてもあなた方は捜査に協力しているとは言えない、こういうことを外務大臣、言うべきではありませんか。そして、安全性を何も確認できていないんですから、演習中止を求めるべきではありませんか。外務省だって、当初は演習中止を求めたわけですから。いかがですか。

中曽根国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、捜査のやり方とか状況とか、それにつきましては、外務省としては責任を持って御答弁申し上げるという立場にございません。繰り返しになりますけれども、捜査当局の結果を見てからまた対応を考えていきたいと思います。

 訓練につきましては、この事態が発生した後、外務省から在京の米国大使館に対しまして、この訓練の安全が確保されるまでの間は関連するそういう訓練を中止するように申し入れを行っております。

 これに対しまして、米側からは、日ごろから安全手順の遵守を含めて、訓練の安全には万全を期しているけれども、今回の金武町の事案を踏まえまして安全手順の遵守を再徹底した、そういうふうな説明を受けているところでございます。

 引き続きまして、先ほど申し上げましたけれども、捜査の結果を見てまた適切に対応していきたい、そういうふうに思っております。

赤嶺委員 米軍は、最終報告だと言っているんです。日本の側が、警察が幾ら求めても、もう最終報告ですから、あとは政府が全体として動く以外にないじゃないですか。だから、外務省のそういう態度がありますから、どんなに被害を受けてもそれが米軍のものだと特定されずにうやむやになっていく。

 そういう結果、地元伊芸区では何が起こっているかといいますと、軍用地などの財産を管理する金武町伊芸区の伊芸財産保全会というのがありますが、米軍キャンプ・ハンセン内七カ所に持つ約三十二万六千平方メートルの軍用地について、これまで沖縄防衛局と交わしてきた賃貸借契約を二〇一〇年度以降は締結しないことを決めたということです。もう自分たちの土地は軍用地に提供しない、契約しないと。

 防衛省、これはどういうことですか。

井上政府参考人 お答えをいたします。

 今御指摘の事案でございますけれども、キャンプ・ハンセン内に所在をいたします金武町伊芸の土地の一部につきましては、伊芸財産保全会会長代理人といたしまして、沖縄防衛局長と賃貸借契約を締結いたしているものでございます。

 今御指摘のような報道があったことは承知はいたしておりますけれども、現時点におきまして、金武町伊芸財産保全会から二〇一〇年度からの賃貸借更新を拒否する旨の申し入れを私どもは受けていないという状況でございます。

赤嶺委員 浜田防衛大臣にも申し上げたいと思いますが、この伊芸財産保全会の会長は、その沖縄防衛局との賃貸借契約を交わさないという理由についてこう言っているんです。これまでたび重なる流弾事件が起き、ほとんど原因解明されないままだ、一向に改善されない危険な環境の中、区民の命と財産を守るためには基地撤去しかない、このように語っているんですよ。あの地域の人たちが基地撤去しかないと言うぐらい、政府の取り組みに対する不信感は、もう極度のピークに達しているわけです。それでも外務省は捜査の経緯を待つと言っているんだったら、ますます火に油を注ぐような怒りが広がると思います。

 外務大臣も防衛大臣もそれをしっかり受けとめて、この問題、米側の責任を徹底して追及していく、政府を挙げてそこの取り組みをやっていくということを強く求めたい、このように思います。

 辺野古新基地建設問題に移っていきます。

 防衛省は、環境影響評価準備書を提出いたしました。一年前の方法書では全く示されていなかったヘリパッドが、今回突如、四カ所示されました。

 環境アセスとは、事業を実施する者が、事業によって引き起こされる環境への影響を広く国民に公開し、意見を求め、それによって環境の破壊をできるだけ少なくしようという手続であります。このアセスの手続においての中核になる、核心的なものは公開です。

 ところが、ヘリパッドについて、なぜ方法書に示さなかったんですか。今ごろになって出してきたのはなぜですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 四月一日に準備書を沖縄県等に送付いたしまして、二日から縦覧に供させていただいているところでございます。

 今御指摘のヘリパッドでございますけれども、今回の準備書におきまして、「回転翼機の垂直離着陸訓練用等として四箇所のヘリパッドを設置します。」という記述をさせていただいておるところでございます。

 御指摘のように、昨年三月の環境影響評価方法書の追加・修正資料の修正版ではお示しをすることができなかったところでございますけれども、その位置等につきまして、その後の普天間飛行場代替施設建設計画に係ります日米協議におきまして、日米間で共通の認識に至ったということでございますので、今般、準備書においてお示しをさせていただいたものでございます。

赤嶺委員 大臣、認識が甘いと思いますよ。ヘリパッドというのは、騒音との関係で一番住民が神経質になるものですね。それが四カ所、方法書の段階では全く示されていなかった。その後、日米間で合意したから示す。全体がはっきりしないうちに環境アセスという手続に入っていったということになると思いますよ。それはちょっと環境アセスの手続の原理原則、立場からいっても違うんじゃないでしょうか。何で隠していたんですか。

井上政府参考人 環境アセスメントの手続でございますけれども、もう御案内のとおりだろうというふうに思いますけれども、事業者が方法書にお示ししまして、それに対する知事の意見等を勘案し、調査、予測、評価、そして環境保全対策の措置等を検討した結果を準備書に示しまして、環境保全に係ります事業者みずからの考え方を示すというものでございます。

 今御指摘は、ヘリパッドについては方法書では書いておらず、準備書において書いている、そのことがこのアセスメント手続において問題ではないかという御指摘だろうというふうに考えているわけでございますけれども、この環境影響評価、大規模な建設事業に対しまして、事業者、今回の場合は防衛省沖縄防衛局でございますけれども、それが手続を進めてまいるわけでございますけれども、方法書につきましては、事業者がその時点で考えている建設計画をもとにいたしまして、環境アセスの方法を公告縦覧いたしまして、御意見等を求めて作成をするというものでございます。

 法令におきましても、方法書の作成につきましては、法律等で、対象事業の目的、内容等を掲げろというふうにしているものでございますけれども、対象事業の内容に関する事項につきましては、「既に決定されている内容に係るものに限る。」云々というような規定もあるものでございまして、私ども、これまで環境手続を精いっぱい努力させていただきまして努めているところでございますけれども、方法書においてお示しをすべきところについてはお示しをさせていただき、その後、米側との調整等によりお示しすることが必要なものにつきまして今回準備書でお示しをさせていただきまして、それを踏まえて準備書の作成手続をさせていただいているというものでございます。

赤嶺委員 それでは、これからも米軍との協議次第で新たな内容が出てきて示していく場合があるということですか。

井上政府参考人 準備書の作成手続が終わっておりますので、これから公告縦覧をいたしまして、そして住民の方々から御意見をいただきまして、その御意見の概要を県知事に送りまして、県知事からの御意見等をいただいて評価書を作成するという段階になるわけでございます。

 基本的に、私ども、現在、米側と調整をいたしまして、お示しできるものはお示しをしているものというふうに理解をいたしているものでございます。

赤嶺委員 準備書では、航空機の種類について、いまだにオスプレーについて言及しておりません。米軍にとってオスプレー配備は既定路線です。二〇〇九年会計年度海兵隊航空機計画では、オスプレーの普天間飛行場配備を二〇一二年開始としております。

 二〇〇七年の四月の外務委員会で、私に対して、当時の麻生外務大臣、オスプレーが完成品になった段階で従来機と置きかえられる可能性は十分考えておく必要があると述べました。アメリカ本土では既に配備も始まっております。

 沖縄県知事も、想定されるものも含めて航空機については記載せよと意見書が出ておりました。

 オスプレーについても記載し、騒音調査も行うべきだと思いますが、いかがですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の準備書におきましては、現在、普天間飛行場におきまして回転翼機といたしましてCH53、CH46、UH1、AH1等があるわけでございまして、それを踏まえて環境影響評価の手続をさせていただいているところでございます。

 今お尋ねのオスプレーでございますけれども、現在、海兵隊が全世界に保有しておりますCH46そしてCH53ヘリコプターがオスプレーに代替更新されていくという一般的な予定があることは承知をいたしているわけでございます。

 このような文脈におきまして、将来オスプレーが沖縄に配備される可能性は否定できないと認識はいたしておりますけれども、オスプレーの沖縄への配備につきましては、これまで外交ルートによりまして累次にわたり米側に確認をいたしているところでございますが、従来より、具体的に決まっていないという回答を得ているものでございます。

赤嶺委員 今度また新しく出てきたのが、軍港の問題です。今まで、軍港はつくらないと言い続けてまいりました。今度、係船機能つき護岸という形で軍港を入れております。

 これは軍港とどこが違うんでしょうか。

井上政府参考人 今御指摘の護岸の問題であるわけでございますけれども、方法書におきましては、「ヘリ等が故障した場合等において船舶を使用した輸送を実施する必要があるか否かも含め、代替施設の基地機能を最低限維持するためにどのような施設が必要かといった点について、今後、米側の所要も踏まえて検討していくこととしています。」という記述がございましたけれども、今回の準備書におきまして、「護岸(係船機能付)」という項目におきまして、ヘリ等が故障した場合等において船舶を使用した輸送を実施する必要があることから、護岸の一部、約二百メートルを船舶が接岸できる構造として整備しますが、恒常的に兵員や物資の積みおろしを機能とするようないわゆる軍港を建設することは考えていませんという記述をさせていただいているところでございます。

 一般的に、軍港は恒常的に兵員や物資の積みおろし機能というようなものを有しておるものであるというふうに理解をいたしているわけでございますけれども、今回はそういうものではない。また、軍港は兵員、物資の積みおろし機能のために接岸する船舶への給電や給水などのユーティリティーが備わっているものというふうに考えているものでございますけれども、私ども、この護岸につきましては、そういうものを整備することを予定しているものではございません。

赤嶺委員 皆さんが出された準備書の要約書の二―七ページに、貯油施設につながるタンカー、全長百九メートルのタンカーが接岸できるだとか、あるいは、係船機能つき護岸、二―八ページに、故障ヘリを運ぶ船舶としてT―AVB4という全長百八十メートルの船が来るんですよという写真まで出ているわけですが、これは、アメリカ側から、そういう船が入ります、それ以外の船は入りませんというような合意に達して準備書に出ているわけですか。

井上政府参考人 今御指摘の準備書の概要版の二―九に、T―AVB4という船舶の写真とその諸元を記載いたしているところでございます。

 準備書におきましては、「ヘリ等が故障した場合等において船舶(T―AVB4等)を使用した」というふうに書いてございますので、T―AVB4に限定されているわけではございませんで、ヘリ等が故障した場合における船舶として一般的にこういうものが使用されるものであるというふうに理解をいたしております。

赤嶺委員 これに限定されないということであります。

 もう時間がなくなりましたから終わりますけれども、防衛大臣、結局、今の答弁を伺っていて、この準備書は何もわからないんですよ。今防衛省がわかっていることだけを書いている。後にアメリカがいろいろ、ヘリパッドとか言ってきたらヘリパッドと書く。オスプレー、これも全部手続が終わった後オスプレーが出てくる。今も軍港じゃないんだというけれども、ほかの船の出入りもありますよということになって、結局、この準備書というのは、環境に影響を与えない、証明する、そういう行政の説明文書としては失格だ、やり直すべきだということを強く申し上げて、なぜやり直すかということは今後累次取り上げていきたいと思いますので、質問を終わります。

    ―――――――――――――

今津委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として環境省水・大気環境局長白石順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今津委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 去る四月七日、山口県岩国市の愛宕山を守る市民連絡協議会から、米軍住宅建設に反対する十一万人余の請願署名と要請書を防衛大臣と外務大臣に提出する場に立ち会いました。米軍再編で、厚木基地から空母艦載機五十九機、普天間飛行場からKC130空中給油機十二機が移駐予定の岩国基地にあって、移駐する米軍人とその家族が使用する約四千人分の住宅をつくる必要性が出てきたことがこの問題の発端であると理解をしております。

 そもそも、岩国市民の理想の町づくりのために先祖伝来の由緒ある土地を買収して進められた愛宕山地域開発事業ですが、経済事情の悪化で事業が頓挫してしまいました。その結果、新たに浮上した当該事業用地の米軍住宅、米軍施設建設への転用に反対して、地域住民が立ち上がったのであります。十一万余の請願署名のうち、人口約十五万人の岩国市から五万筆以上の署名が集まっていることからも、岩国市民の切実な願いが伝わってきます。

 四月七日の請願署名と要請書は既に浜田大臣のお手元にも届いていると思いますが、同要請書に対する浜田大臣の御回答をこの場でお聞かせください。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

浜田国務大臣 四月七日、愛宕山を守る市民の会から防衛省に対しまして、愛宕山に米軍住宅、米軍施設を建設しないでほしい旨の請願署名の提出がなされたことについては承知しております。

 空母艦載機の岩国飛行場への移駐等に伴い必要となる米軍家族住宅に関しては、現在、米軍との間でその所要について確認しつつ協議を行っているところであり、現時点で日米間で合意されたものはございません。

 また、愛宕山用地については、山口県や岩国市から買い取り要請があったところですが、防衛省としては、その取り扱いについて引き続き検討しているというところでございます。

照屋委員 ただいま浜田大臣から、愛宕山地域開発事業の米軍住宅用地買い取り要請があったということでしたが、この愛宕山地域開発事業用地約百二ヘクタールでありますが、防衛省に対しての買い取り要請は、いつ、だれから、だれに対してそういう要請文書が届いたのか、事実関係をお聞きいたします。

井上政府参考人 お答えをいたします。

 愛宕山用地の買い取りの要望書でございますけれども、要望書が防衛省に対してございましたのは、私どもの記録によりますと、これまで三度ございます。

 具体的に申し上げますと、平成十一年十一月八日に、山口県知事が当時の政務官を訪問した際にございました。二度目は、平成二十年六月十二日に、山口県知事及び岩国市長が当時の防衛大臣を訪問した際にございました。三度目でございますけれども、平成二十年十一月十三日に、同じく山口県知事及び岩国市長が地方協力局長を、これは私でございますけれども、訪問した際にそれぞれ要望書の提出があったところでございます。

照屋委員 聞いたもので一点抜けておったのは、だれあての文書なのかということです。

井上政府参考人 要望書のあて先でございますけれども、防衛大臣でございます。

 なお、先ほどの答弁におきまして、私、平成十一年十一月八日と申し上げましたけれども、これは平成十九年の十一月八日の間違いでございました。おわびを申し上げます。

照屋委員 浜田大臣、四月七日の請願署名、要請書手交の際、愛宕山を守る市民連絡会の皆さんから、防衛大臣が直接現地視察をしてほしい。それから、今答弁がありました、国、山口県そして岩国市、三者間における当該事業用地買い上げの合意の有無、あるいは今、要請段階でしょうか。ところが、一方では、もう国が買い上げるのは決まったんだ、こう地元に宣伝するような人もおるようです。この愛宕山にある愛宕神社というのは物すごく古い歴史があって、しかも、この住宅地開発で、従来あった神社が引っ越す。引っ越したところに、今度は参道もなくなってしまった、こういうことも市民からありましたので、浜田大臣が現地を視察して、岩国市民に対する説明責任を果たすお考えはありませんか。いや、私はぜひ実現をしてもらいたいと思います。

浜田国務大臣 先生御指摘の岩国の視察につきましては、現在国会が開会中でありますし、当面なかなか日程調整が難しいということでありますけれども、今後、時期、そしてまたその内容についても含めて検討させていただきたいというふうに思っているところであります。

照屋委員 次に、基地外居住米兵の実態についてお伺いいたします。

 昨年二月十日に発生した在沖米海兵隊員による女子中学生暴行事件を契機にして、在日米軍は、年に一度、米軍人軍属とその家族の基地内外の居住者数について、自治体ごとに公表する対応をとることとしております。

 平成十九年三月三十一日時点の在沖米軍人軍属とその家族の基地内外居住者数は、基地内が三万五千八十四人、基地外が一万百三十九人、合計四万五千四百三人であります。昨年、平成二十年一月三十一日時点では、基地内が三万四千二百十五人、基地外が一万七百四十八人と発表されております。一方、外務省が昨年六月三十日付で発表した同年三月三十一日時点の在沖米軍基地内外の居住者数は、基地内が三万四千六百八十七人、基地外が一万一千八百十人、合計四万六千四百九十七人となっております。

 この数字を私は精査してみました。昨年は、少女暴行事件を挟んで、わずか二カ月間の間に一千人以上の基地外居住者がふえている事実が判明いたしました。防衛省は、これらの実態の要因についてアメリカ側からどのような説明を受けておるんでしょうか。

井上政府参考人 お答えをいたします。

 米軍人の施設・区域内外の居住でございますけれども、今お話しのように、昨年二月十日に沖縄で米海兵隊員によります暴行被疑事件がございましたので、それを受けて米側は、日本政府の要請によりまして、年に一度、施設・区域の所在をする市町村ごとに、施設・区域外居住者数について情報を提供いたしまして、日本政府は、これを、適切な方法により、関係地方公共団体と共有することといたしております。

 今お話しのように、これまで、若干時系列的には前後はいたしますけれども、二十年二月二十七日に十九年三月末時点を、そしてその前でございますけれども、二十年二月二十二日に二十年一月末時点を、そして二十年六月三十日に二十年三月末時点の数字を公表いたしておりまして、委員御指摘のような数字となっているわけでございます。

 それぞれ増減があるわけでございますけれども、増減の要因につきまして、米側からは、米軍人そしてそれらの家族が、部隊のローテーション等もあるわけでございまして、移動、配置がえを繰り返しておりまして、独身や単身で来る軍人軍属が多いときもあれば、家族連れで来る軍人軍属の多いときもあり、一概にその要因について申し上げることは困難であるというように聞いているものでございます。

照屋委員 防衛大臣、これは外務大臣も深くかかわることですが、私が精査したところによりますと、平成十九年三月三十一日時点の基地外居住率は二二・七%、平成二十年一月三十一日時点では二三・九%になり、平成二十年三月三十一日時点では基地外居住率は二五・四%にまではね上がった。

 なぜこんなことを聞くかというと、基地内にも米軍住宅を国民の税金でつくる、そして基地の外にも米軍人軍属が住む、その賃貸料を国が負担する、こういうことでは国民が納得しないと私は思うんですね。だから、しつこく聞いておるんです。

 ところで、昨年三月三十一日から一年余が経過しましたが、毎年一回情報を提供するという米軍の約束は果たされておるんでしょうか。果たされているのであれば、本年三月三十一日時点の米軍人軍属とその家族の基地内外の居住者数をお教えください。

井上政府参考人 米軍人の施設・区域外居住の態様でございますけれども、今御指摘のとおり、米側は年に一度その情報を提供し、日本政府はこれを関係自治体と共有するということといたしているものでございます。

 基本的には、それぞれの年度の三月三十一日時点の数字というふうに私ども理解をいたしておりますけれども、昨年の三月三十一日時点のものにつきましては、昨年六月三十日に提出をされているわけでございます。ことしの三月三十一日時点につきましては、現在米側におきまして集計作業を行っているものというふうに理解をしておりまして、当省といたしましては、その情報が米側から提供され次第、遅滞なく地方公共団体等にお示しをしたいというふうに考えております。

照屋委員 それでは次に、嘉手納基地周辺の爆音問題をお聞きいたします。

 これまで、私は、嘉手納基地から暴露される爆音問題について再三再四ただしてまいりました。

 去る四月一日、嘉手納町が発表したところによりますと、嘉手納基地周辺の七十デシベル以上の爆音発生回数が、二〇〇八年度は実に三万九千三百五十七回に達し、過去五年間で最も多かったことが判明しました。

 防衛省は、この嘉手納町が測定をしてまとめた爆音発生回数の資料は入手をしておりますか。

井上政府参考人 今御指摘の、嘉手納町が測定をいたしまして配付しております騒音の発生状況の資料につきましては、入手をいたしております。

照屋委員 入手をしておるのであれば、嘉手納町がまとめた同資料によりますと、浜田大臣、爆音の年間最高値は百六・七デシベルであります。浜田大臣は、この百六・七デシベルの爆音がどのような音に相当すると理解しておられるでしょうか。

浜田国務大臣 この嘉手納町の測定結果と当省の測定結果は、設置場所、測定機種等が異なることから一概に比較はできないものの、当省の測定結果によれば、嘉手納町で測定した場所に近隣している嘉手納町嘉手納地区の二〇〇八年度における最大騒音レベルは約九十八デシベルであると承知しております。

 いずれにしても、百から百数デシベル程度の音については、電車のガード下、または地下鉄の車内の音に相当するものと認識しているところであります。

照屋委員 浜田大臣、おっしゃるとおりで、百デシベルを超える百六・七デシベルというのは、自動車のクラクションを前方二メートルで聞くような物すごい音なんです。そういうことをぜひ防衛省はしかととらえて、爆音対策をしっかりやってもらいたいと思います。

 それで、大臣、二〇〇六年五月の日米合意で、嘉手納基地のF15戦闘機訓練の一部を新田原、築城、百里の航空自衛隊基地に移転することが決まりました。ところが、本土での移転訓練中の期間、嘉手納基地に残っている戦闘機の訓練はむしろ激化をしていることが嘉手納町の調査結果で判明しております。これでは、政府が言っておる負担軽減には全くなっていない。宮城篤実町長や嘉手納周辺住民は怒っております。

 防衛省は、F15戦闘機の本土自衛隊基地への訓練一部移転と現実の爆音激化の因果関係についてどのように考え、どう対策を講ずるおつもりでしょうか。

北村副大臣 お答えいたします。

 米軍再編に係る嘉手納飛行場からの訓練移転につきましては、平成十八年度から実施をいたしておりまして、嘉手納飛行場からはこれまで八回実施しております。

 地元負担がどの程度軽減されたかということにつきましては今の時点で確たることを申し上げることは困難でございますけれども、嘉手納飛行場において実施されておりました訓練が本土の自衛隊施設へ移転して実施されたことでございますから、少なくとも訓練を移転した分の航空機騒音は軽減されたのではないかと考えておるところでございます。

 他方、嘉手納飛行場周辺の地元の皆様から、嘉手納飛行場からの訓練移転期間中に他の基地所属の米軍機が嘉手納飛行場に飛んできて訓練をしており、負担軽減が実現していないとの御指摘があることを重く受けとめております。

 当省といたしましては、目に見える地元負担の軽減を図るためにも、訓練移転期間中の嘉手納飛行場における他の基地所属の米軍機の訓練のありようの配慮について、米側に対して要請はいたしておるところであります。

 いずれにいたしましても、嘉手納飛行場の航空機騒音問題につきましては、飛行場周辺住民にとって大変深刻な問題であると認識をいたしております。今後とも、米側に対し、騒音規制措置に関する合意を遵守し、周辺住民への騒音の影響が最小限になるよう、累次の機会に申し入れをいたしておりますし、周辺住民の方々に実感のできるような形をとれるよう、最大限の努力をいたしてまいります。

照屋委員 誠実なお人柄の防衛副大臣にしては、答弁はちょっと誠実さに欠けておりましたね。

 副大臣、この嘉手納町の調査結果報告書を子細に読むと、例えば、訓練を移転した二〇〇八年度は、四回、二機ないし六機のF15が本土で訓練しておりますが、その期間中のことし二月二十五日には、一日の記録としては過去五年間で最多の二百七十二回の騒音が発生している。このように、具体的に見ると、訓練が移転したその日にはむしろふえているんです。ことごとくふえている。

 だから、決して外来機の飛来増加だけの問題じゃないんです。このことを私はしっかり精査すべきであるということだけ問題提起をしておきたいと思います。

 さて、警察庁もお見えになっているようですので、一点お聞きをします。

 去る四月四日、那覇市の松山交差点で発生したYナンバー車によるひき逃げ事件で、男女三名が重傷を負いました。この事件の重要参考人として、那覇警察署は、昨日、米海兵隊員を取り調べたようでございます。事件発生直後の目撃情報、あるいは遺留品等の物証からして、重要参考人である海兵隊員の犯行であることは間違いないものと私は思っております。

 いまだ捜査中であることを考慮して、一点だけ尋ねます。

 もちろん、きのうの参考人聴取の結果は、けさの新聞によると、その海兵隊員は運転をしておったと、犯行を認めた報道もあります。私が問いただしたいのは、今、那覇署は任意捜査をしている、呼び出して。重要参考人のこの米海兵隊員は、現在、米軍捜査機関の監視下にあると米軍は発表しておりますが、どのような監視状況にあるのか、警察庁は掌握をしておるんでしょうか。

深草政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事件は、去る四月四日、沖縄県那覇市内において、歩行者三名がいわゆるYナンバーの車両にひき逃げされて重傷を負ったものであり、沖縄県警察において、米軍関係者から事情聴取するなど、全容解明に向けた捜査を進めているところであります。

 沖縄県警察からの報告によりますと、この米軍関係者は、現在、軍の施設で拘束を受けているというふうに説明を受けております。

照屋委員 なぜ私がこのことを聞いたかというと、二〇〇三年十月に強盗致傷罪で逮捕された普天間基地所属の海兵隊員三名が基地内で禁足処分になっておる、こういうことでしたが、この禁足処分というのは、内容として、共犯者同士の交流もできた。したがって、口裏合わせをして証拠隠滅を図ることも可能であるということで、後々、起訴された後に、裁判所から警察、検察庁は厳しいおしかりを受けたんですね。もちろんこれは警察、検察庁の失態ではないでしょう。

 問題は禁足処分であって、拘禁状態というのがどのような状態になっているのか。要するに、証拠隠滅もなされるような状態だと、主権国家、独立国家としての日本の警察権が十全に行使をできなくなってしまう、このことを私は心配して質問をしているわけです。

 そうすると、キャンプ・ハンセンの拘禁室での拘禁というのは、どのような具体的な拘束状況かということは米軍からはないのですか。

深草政府参考人 沖縄県警からの報告によりますと、この米軍関係者はキャンプ・ハンセン内の拘置施設に拘禁されており、基本的には面会が許されない状況に置かれていると聞いております。

照屋委員 最後に、これは質問ではなくて要望になると思いますが、外務大臣、それから環境省もきょうは急遽来ていただいておりますが、キャンプ瑞慶覧から、米軍住宅の空調ダクトの撤去工事に伴って、その廃材からアスベストが大量に発見された、こういうことがけさの地元紙で大々的に報道されて、非常に不安に思っている、そういうアスベスト問題が発生しました。

 二〇〇〇年九月の日米安全保障協議委員会で、環境原則に関する共同発表が策定をされておって、日米、より厳しい環境基準を適用する。特に今回は、どうやら米軍の直轄工事というか……

新藤委員長代理 質疑時間が過ぎておりますので。

照屋委員 米軍が直接発注した工事で起こっている事態のようでございます。

 しかしながら、アスベストは飛散をすると恐ろしい事態を招来しますので、外務省も環境省も、ぜひ事実関係をしっかり調査してもらいたい。このことを要望して、終わります。

新藤委員長代理 次に、下地幹郎君。

下地委員 今、照屋寛徳議員が質問しましたけれども、四日に起こりましたこの交通事故でありますけれども、その日は強盗事件も起こっておりますし、そのときに外国人の偽ドルの問題も発覚しておりますし、この日はさまざまな米軍関係の事件が起こっているんですけれども、この重要案件、ひき逃げ、スピード違反、飲酒運転になるかならないか、そして、被害者が複数であるということを考えると、これはもし犯人が明確になったら、起訴前の身柄の引き渡し要求は日本政府はおやりになりますか。外務大臣、お願いしたいんですけれども。

梅本政府参考人 お答えいたします。

 ただいま警察当局の方からも御説明がありましたけれども、現在、警察当局におかれても事情聴取をされているということでございますので、事実関係等がまだそういう意味で固まっておりませんので、私ども、そういうことについてはまだ検討しておりません。

下地委員 北米局長が答えるとこんなお答えですが、外務大臣、こういうふうなものがはっきりしたら、身柄の起訴前の要求をしますか。僕はこれは重要案件だと思いますよ。殺人事件、放火、それに匹敵する。そういう意味でも、外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 今捜査中ということでございますし、事実関係がまだはっきりしておりませんが、このような事件といいますか事態が発生したということは本当に残念なことでありますし、捜査の様子を見てきちっと対応していきたい。それはきちっとやるのは当然のことでございますので、まずは捜査の結果を見たいと思います。

下地委員 外務大臣がきちっとと言うのは、こういうふうな悪質なものに関しては、起訴前の身柄の要求を明確に日本政府はやっていくというようなお気持ちであると理解していいですね。

中曽根国務大臣 これはやはり捜査の結果を見てから的確に判断すべきことだと思っております。

下地委員 捜査がそうなった場合にはやるんですか。捜査が、重要案件に匹敵するようなことになったらやるんですか。

中曽根国務大臣 仮定の御質問といいますか、そういうことでございますので、やはり結果を見てからしっかりと対応するということに尽きると思います。

下地委員 大臣、何でこういうふうな、重要案件だったら私はやりますと言えばいいじゃないですか。飲酒運転で、ひき逃げで、スピード違反で、三人も、複数もこうやって被害者が出ている。こういうのが米軍関係者だったら、私はアメリカに身柄要求しますよ、アメリカがこれを聞かなかったらだめですよと、これは言うのが当たり前ですよ、大臣。

 これは、先ほどから北朝鮮の話もしていますけれども、沖縄にはコブラボールも配置されているし、それでステルスの飛行機も、もうこれに向かって一月から配置をされています。世界の有事に対して沖縄は背負っているんですよ、それを。いろいろな防衛能力の問題もきょうは論議されていますけれども、この日米安保を守るというのは、民生支援も大事だけれども、民生のその気持ちが、この国のために私たちは守りたいという気持ちにならなきゃならない。

 そういう意味では、こういうふうな事件があったら毅然とした態度をとります、そのかわり、基地の負担はあるかもしれませんけれども、日本の国家のためには負担もやりながら、沖縄の皆さんには御迷惑をかけますけれども、お願いします、しかしアメリカの悪いことには私たちはやりますよと言うのが普通であって、これを言わなかったら私はだめだと思いますよ、外務大臣。

中曽根国務大臣 先ほどから捜査の結果をと申し上げておりますけれども、それはもちろん、重大な事件であり、明らかに原因がはっきりとしているものであれば、そのような対応をとりたいと思います。

下地委員 私は、事件とか事故を安保の一つのさまざまな負の要因にはしたくない。ただ、一万人いたら、変な兵隊もいますよ。では、ほかの兵隊が沖縄の人と仲が悪いのかというと、そうでもない。だけれども、悪い人にはちゃんとけじめをつける、それをやれば私は納得をすると言っているんですよ。そのことをぜひきちっとやっていただきたいというふうに思いますね。

 それで、きょうは、私たち国民新党の中では外務委員会に担当者がいないので、あした、外務委員会ではグアム移転の採決があるというので、この場所で質問させていただいて判断をさせていただきたいというふうに思っております。

 このグアム移転の問題で、米軍海兵隊の移転と米軍普天間飛行場の移設の問題と嘉手納南の米軍基地関係の返還、これがパッケージであるのかないのかということが大きなポイントになっているので、そのことを明確にしてもらいたい。

 この協定書には、ロードマップにおいて、その全体が一括の再編案となっている中で、沖縄に関する再編案は相互に関連している、嘉手納飛行場以南の施設及び区域の統合並びに土地の返還は、第三海兵隊展開部隊の要員及びその家族の沖縄からのグアム移転を完了することにかかっており、並びに同部隊の沖縄からのグアム移転は、普天間飛行場の代替施設の完成に向けての具体的な進展並びにグアムにおいて必要となる施設及び基盤の整備に対する日本国の資金面での貢献にかかっているぞ、こういうふうに書かれているんです。

 それを見ると、私は、これは間違いなくパッケージですね。政府はこれまでもパッケージと言ってきたわけでありまして、アメリカの関係者と会っても、これはパッケージですよと。これは当たり前だと思いますよ。お金は払う、グアムの施設はつくる、以南は返す、海兵隊は移る、こういうふうなものを全部やったら、パッケージと言わなかったら逆に外交的に問題が起こるんじゃないかと思うんですけれども、これはもう間違いなくパッケージですよね、大臣。

中曽根国務大臣 今委員がロードマップの中の再編案間の関係ということでお読みになられましたけれども、ここにありますように、全体的なパッケージの中で、沖縄に関連する再編案は相互に結びついているということで、この協定は、委員がおっしゃったことを繰り返すところもございますけれども、あくまでもグアム移転事業の実施のあり方について規定をしたものでございまして、普天間飛行場の代替施設の建設に関しましては、先ほどお話ありましたように、ロードマップに記載されておりますように、全体が一括の再編案となっている中で、グアム移転の前提となっている沖縄に関する再編案が相互に関連している、それを改めて確認していく、そういう趣旨でこれは盛り込まれているということでございます。

下地委員 防衛大臣、これはパッケージではないと外務大臣は今おっしゃっているような答弁ですよね。それでいいですか。それが大事なので、パッケージではないのかあるのか。今の答弁ではなかなかわかりにくいので、ここのところをしっかりと明確にしてもらいたい。

中曽根国務大臣 沖縄のロードマップは、グアム移転の問題と普天間飛行場の移設、返還の問題と、それから嘉手納以南の土地の返還、これが主な再編の事業としてあるわけでございますけれども、これは海兵隊要員の移動に伴うものとして相互に関連しているということでございまして、ロードマップにおきましてはいわば一つのパッケージとなっていると言ってよろしいかと思います。

下地委員 今、ロードマップではパッケージになっているけれども、グアム協定の中ではパッケージになっていないと。

中曽根国務大臣 この協定は、ロードマップの中のグアム移転に関する事柄を決めたことでございますけれども、しかし、これは相互に関連することでありますから、そういう意味ではパッケージになっていると言ってよろしいかと思います。

下地委員 これはパッケージですよね。その認識が正しいですよね、防衛大臣、パッケージ論で。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

浜田国務大臣 基本的に、これは結果としてパッケージになってしまったという感じが私としてはしております。そもそもパッケージというのを意識してこういう流れで来たのではなくて、見方によって、最終的に見るとパッケージになって見えるというのが本当のところだと思います。

 我々の意識の中に、初めからパッケージでこれをやろうとしたというふうなことではなくて、後からグアムへ移転の話も出てきておるわけですから、そういう意味では、先生がおっしゃるように、最初からこれはパッケージでしょうと言われると、確かに結果的にはパッケージになっていますが、我々の意図の中にそれはなかったということだけは言えると思います。

下地委員 大臣、そんなことはないんですよ。やはりこれは、嘉手納から南も返す、普天間基地の辺野古移設もやりたいというのが政府の考え、それに加えて八千人の海兵隊もグアムに行かせたいというふうなことは、これはもう一つの流れがなくてはできないんですよ。海兵隊の人たちが、グアムに基地ができないと移動もできないし、グアムに基地を移動するときには、この基地はもう閉鎖が決まっていますから、辺野古ができていないとだめだし、それを含めて、海兵隊の瑞慶覧に住んでいる人たちの一万七千人も出ていくから、これも返していきましょう、一つのパッケージで、スムーズじゃないですか、考え方。私もそれでいいと思いますよ。これは別に何の問題なし。

浜田国務大臣 基本的にそれでいいということは、当然結果としてそういった形になるわけですから、私はパッケージを否定しているわけではなくて、我々の思いの中では、最終的にそこに、パッケージというふうになってきたというのが事実だろうということを申し上げているんです。

下地委員 これはパッケージで、このグアム協定は辺野古移設も全部パッケージだと両大臣からはっきりといただきましたので。

 それで、外務大臣、私たちは今グアム協定の論議をしておりますけれども、これは衆議院と参議院で委員会の採決もして、それでこの採決をして、私たちは条約として認めてやっていくわけですけれども、アメリカ政府は上院、下院でこれは批准するんですか。

中曽根国務大臣 米国では、この協定を議会の承認を必要としない行政協定として締結をする、そういうふうに承知をしております。

下地委員 日本では、この協定が衆議院と参議院で認められるということは、もう条約というようなことになるわけですよね。アメリカの政府は上院と下院の議会では採決をしない、しかし日本は条約。向こうも条約という解釈でいいんですか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 本協定はあくまで国と国との、国家間の約束でございます。その約束を、国内の手続として、行政府だけで約束をするのか、あるいは議会の承認をとるのかというのは、まさに各国の中の行政府と立法府の権限関係ということでございますので、アメリカにおいては、今回は、議会、上院の三分の二ということになろうかと思いますが、その承認を求めるという意味での国会承認条約ではない、行政協定として締結をするというふうに聞いておりますが、国と国の約束としては、あくまでも、アメリカ政府がこれをやりますと言ったことは、義務としてアメリカ政府はやるということでございます。(下地委員「条約かどうかですよ」と呼ぶ)

 これも、外務委員会等でもいろいろ累次お答えしておりますが、条約という言葉は、一般的には、確かに日本において国会承認条約において使っている場合が多うございますけれども、条約という言葉であるか、協定という名前であるか、あるいは議定書であるかという名前ではなくて、内容に従いまして、国会の承認を求めるか求めないかというようなことは違ってくるということでございます。

下地委員 同じ文書を両国が、外務大臣がサインして、向こうでは政策協定、こっちでは、一般的に私たちの国会では、衆議院と参議院でやったら条約になっているんじゃないですか。

 効力はどっちになるのか。日本側からすると条約になるのか、向こうでは条約扱いにならないのか、どっちなんですか。

梅本政府参考人 お答えいたします。

 効力においては、まさに国と国、政府と政府でこれは約束をしているわけでございますので、約束の効力としては、それぞれの国内手続がきちんととられておれば、それは国会の承認がある場合であっても、ない場合であっても同じでございます。

下地委員 条約だということですね。

梅本政府参考人 条約という言葉が、一〇〇%、条約イコール国会承認条約ということではなくて、確かに、条約という名前がついております国際約束は、一般的には、例えば平和条約、安保条約等、非常に内容の重いもの、したがって、権利義務関係で国会の承認を得る必要の多いものが多うございますけれども、しかし、協定という名前であっても、内容いかんによっては国会の承認が必要になるもの、これはたくさんございまして、国会の御承認をいただいている協定もたくさんございます。

 また、例外的に、条約という名前がついているけれども国会の承認を求めていないような例も、非常に少ないとは思いますが、あるというふうに思います。

下地委員 日本では、もうこういう条約はシンガポールの条約一本だけですよ。僕がそう言うのは、それだったら、今までみたいに覚書だとか政策協定みたいなものでよかったんじゃないの、衆議院にも参議院にもかけなくても、それで。ただ、衆議院に、参議院にかけて条約となったら、これは違うものが出てくるんですよ。日本の法律よりも条約が優先されることがあるから、先ほど照屋寛徳先生の質問にもあったように、嘉手納の爆音問題だって、高裁の判決は負けているけれども、アメリカが出ていけということにならないのは、条約があるからですよね。

 条約となると、これはまさに私たちの法律より優先されるわけですから、先ほど両大臣は、このグアム協定は、ロードマップのとおり、これは間違いなくパッケージだとおっしゃる。パッケージが条約になるということは、先ほど申し上げたように、日本の法律よりも優先されるから、辺野古移設に関しても、埋立許可であったり環境アセスであったり、日本の法律より優先されるような形になってくるんですよ。それでいいんですね。条約という解釈でいいんですね、今、条約でいいと言うから。そういうふうな解釈で、大臣、よろしいですか。

梅本政府参考人 この協定は、多年度にわたる財政事項を含むということで国会の承認を求めているわけでございます。今、普天間の移設と嘉手納以南、それからこのグアム移転、これはロードマップの中でパッケージであるというふうに御答弁を申し上げておるわけでございますが、この協定は、そのパッケージの中の一部分のグアムへの移転について、しかも、その中の真水部分についての協定でございます。

 したがいまして、普天間移設について、何ら新たな権利義務を設定しているわけではございませんので、例えば、公有水面埋立法であるとかその他の国内法令との関係で、そこで競合が起きるということはないというふうに考えております。

下地委員 だから、論理的にまとめれば、先ほどから、これはもうパッケージだと言って、パッケージの中のこの法律は何ですかと言ったら、条約だと言って、条約は、今までの条約だったらしっかりと日本の法律よりも優先されてやっていますよねと言ったら、この部分だったら違いますと。だれが決めるの。あなたが決めるの、こんなこと。条約は条約だと決まっているんだから。

 それを、この条約の財政的なところだけを引き抜いて、この部分だけは条約と。では、日本がこの六千億円のお金を払うことを、政権がかわってノーと言っても、アメリカに条約違反にならないという約束ができるんですね、あなたは。いいですか、それで。日本がこの条約を変更する、そういうふうなときでも、アメリカ側はそれでいいと言っているんですね。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 政府と政府、国と国が約束をした協定、国際約束であれば、政権がかわった場合、まあ、全くの理論的なものとして申し上げますが、これは国会承認条約でないから、政権がかわったらこれは守らなくてもいいというふうにはならないということでありまして、これは、約束をすれば、政府は縛られているということでございます。

下地委員 政府は縛られているわけですよね、この条約で。お金も出す。パッケージだから普天間もやる。しかし、この普天間に関しては、条約だけれども、法律的なものは全くこの条約では、今までの条約と違って、縛ることはやらないと言っているわけ。

 こんな解釈がどこにあるの。こんな自由自在に物事を解釈する役人がどこにいるんですか。アメリカは本当にそのことを理解しているの。私は違うと思いますよ。アメリカは、これは条約だ、しかも、六千億円払うのも、これはもう条約になっているから、ちゃんとやる。そのかわり、日本政府は辺野古移設もちゃんとやってくれる、これも条約の中の一つに入っていますよと言っているんだから、そうです、やりますと言えばいいじゃないですか、パッケージだとおっしゃっているんだから。

中曽根国務大臣 私がちょっともう一度整理させていただきたいと思うんですが、このロードマップ、これは、先ほどからお話ししていますように、普天間飛行場の代替施設への移転と、いわゆる海兵隊のグアムへの移転と、それから嘉手納以南の土地等の返還、三つがパッケージになっているわけで、これはそのうちのグアム移転についての協定でありまして、そして、グアム移転の中の真水部分についてまた取り決めたものであるわけでありまして、その協定の中では、普天間とかあるいは嘉手納以南のことについて決めているわけではありません。

 しかし、でき上がったときには、先ほど防衛大臣からお話ありましたけれども、これはやはり関連して一体となっているものですから、そういう意味ではパッケージと言えるかもしれません。

 そこで、この協定は、今申し上げましたように、この移転事業の実施のあり方について規定したものでございますけれども、一般論といたしますと、法律的なことをちょっと申し上げますけれども、国際法と国内法のいずれが優先して適用されるかにつきましては、原則として、国際法自体は定めないで、憲法を初めとする各国の国内法にゆだねられている、そういうふうに承知をしています。

 我が国におきましては、憲法第九十八条二項は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と規定しておりますので、これは明らかに、国際法と我が国国内法が抵触した場合には国際法が優位するというのが、もう委員も御承知のとおり、従来からの立場でございます。

 他方、二国間の条約が我が国国内法に優先するか否かにつきましては、両者の規定する内容いかんによると承知しておりますけれども、この協定は、ロードマップの内容を改めて確定したものにすぎず、普天間飛行場の代替施設建設について、先ほど申し上げましたけれども、何ら新たな内容を規定するものではございません。

 したがいまして、法律的に申し上げますと、この協定と国内法の諸規定との効力の優先関係が問題となることは考えられないわけでありますが、これは政権がかわろうと、事情が、事態が変わろうと、国際間の約束ということでございますから、先ほど政府委員から答弁申し上げましたように、これについては引き続いて履行をしなければならない、そういうことであります。

下地委員 大臣の答弁も苦しい答弁なんですけれども、大臣、この協定書の中にロードマップと十一回入っているんですよ。このロードマップの十一回と普天間の名前をこの協定から抜いて、グアム移設のお金だけと書いておけば、僕みたいに質問する人は一人もいないんですよ、内容から。大臣が言っている今のとおりのことを書けばよかったんですよ。ロードマップは関係ありませんと書いておいて、それでいて、その財政支援はグアムだけのものですといって、普天間のフの字も書かなきゃいいんですよ。そうしたら、だれも反対する人もいない。スムーズにおりてくる。それを、アメリカはそう見ていないから、こういうふうな状況になっている。

 私は、これは当たり前だと思うよ、アメリカからすると。自分たちも、一兆円のお金をかけて、グアムにお金を投資してつくった。日本もつくるけれども、やった。しかし、その後、普天間の移設は前に進まない、今まで十五年も進んでいないわけだから。嘉手納の返還もうまくいかない。だったら、これは何なのかと彼らは思うから、これは、グアム協定と言いながらも、全部パッケージにして書いておきましょうねと言っているわけです。

 だから、大臣、大臣の今の答弁どおりだったら、これは削除した方がいいですよ、誤解を招くから。削除した方がいい。普天間は絡まない、嘉手納から南も絡まないというんだったら、削除して、大臣がおっしゃるように、グアム移転の財政的な真水だけのものですといって書いておけば、これはだれも反対する人はいないですよ、八千人も出ていくわけだから。

 やはりこれは矛盾がある。役所のからくりですよ、どう見ても。透明性がない。それと、もう一回この部分で申し上げますけれども、やるんだったら素直に、これはパッケージです、これは条約です、辺野古もうまくいかなきゃだめです、これでいいんですよ。

 沖縄でも、いろいろな人がいますけれども、百メートル動かすか動かさないかで、もう三年近くぐじゅぐじゅしているんですよ。きのうの協議会を見ても、大抵の人は笑っていますよ、百メートル動かして世の中の何が変わるのかと。政府も、受け入れみたいな方法を言うんだったら、受け入れるんだったら三年前から受け入れなさいよ、そうしたら普天間の問題は進んでいましたよと。やることなすことが矛盾だらけ。

 大臣、もう一回聞きます。

 この協定は、嘉手納の以南を返す、そして普天間、グアム、パッケージです、これは条約です、だから、条約である以上は、普天間基地の移設の問題もこのロードマップどおりにやらなければいけません、そのことを私はアメリカと正式に調印したんです、それを条約にするんです、そうおっしゃらなかったら、この協定は何の意味も持たないですよ。

 大臣の答弁をお願いします。

中曽根国務大臣 私は、矛盾をしているとは思っておりません。沖縄の訪問をいたしましたけれども、沖縄の皆さんに大変な御負担をかけているというか、長年のそういうものがあるわけで、また、そういうところから、長年、この負担の軽減という御要望もあるわけであります。

 今回は、そういうような負担を少しでも軽減できるように、そういうことで、再編、そしてその中で、普天間飛行場の移転とか嘉手納以南の返還とか海兵隊のグアムへの移転、こういうものが決められて、これがロードマップとなって、いわばパッケージになっているわけでありまして、先ほど申し上げましたけれども、その中のグアム移転の実施について取り決めをしたものでありまして、矛盾していることではありません。

 この協定書でロードマップという文言が出てくるとおっしゃいましたけれども、これは、そういう全体をロードマップという形で称し、そしてこの協定の中で使用しているわけでありまして、私自身は、さっきの繰り返しになりますけれども、御負担の軽減のためにこれは一日も早く実施したい、そういうふうに思っているところでございます。

下地委員 大臣の、役所の方々が説明している、二〇一四年までに全部終わるもののスケジュールの中には、普天間移設も、嘉手納以南の返還も、グアムのものも全部同じ日にちで書かれているんですよ。そうですよね。そういう方向で書いているんですよ、日程は。

 だから、これは、グアムだけが先行することもできない、グアムだけがおくれることもできない、ロードマップである以上は、物事は全部パッケージになってやる、そう言えばいいと僕は言っているのに、それを、いや、これは言えない、あれは言えないと言っていたら、わかりにくいですよ。わかりにくい。

 はっきりとそのことを、だから沖縄の皆さん、私たちは二〇一四年までには普天間の問題にもけりをつけますからね、これまでみたいにずるずるしませんよ、そう言ってもらった方が県民もわかりやすいんですよ。百メートルも、動かすんだったら動かす、動かさないなら動かさない。これはもう、はっきり言ってもらったらいいんです。三年間、これだけでもう三年間。

 もう十五年、辺野古の問題もやっていますけれども、そろそろそろそろ、お互い、何か意味不明な論議をせずに、わかりやすく私はやった方がいい。先ほど申し上げたように、もしグアムのものだけやったら、内容を修正した方がいい。内容を修正しなければ、認識論をしっかりと変えて、条約だと言った方がいいというようなことを思っていまして、こういうふうな不透明なことは絶対にやっちゃいけないというふうに思いますね。

今津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十五分散会


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