衆議院

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第2号 平成21年11月17日(火曜日)

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平成二十一年十一月十七日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 生方 幸夫君 理事 小林千代美君

   理事 神風 英男君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 新藤 義孝君

   理事 中谷  元君 理事 佐藤 茂樹君

      海江田万里君   木村たけつか君

      楠田 大蔵君    高橋 昭一君

      橘  秀徳君    玉城デニー君

      津島 恭一君    中野  譲君

      長島 昭久君    藤田 大助君

      鷲尾英一郎君    渡辺浩一郎君

      岩屋  毅君    江渡 聡徳君

      小泉進次郎君    武田 良太君

      浜田 靖一君    福井  照君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   外務副大臣        武正 公一君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  中塚 一宏君     木村たけつか君

同日

 辞任         補欠選任

  木村たけつか君    中塚 一宏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神風英男君。

神風委員 おはようございます。民主党の神風英男でございます。

 まずは、両大臣、御就任おめでとうございます。先般の大臣所信に対しての一般質疑ということでやらせていただきたいと思います。

 まず、先日、十月二十五日に自衛隊の観艦式がございました。私も出席をさせていただいたわけでございますが、当日、鳩山総理にかわって菅副総理が観閲官として乗艦をされて、北澤防衛大臣を初め、榛葉副大臣、あと楠田政務官も御同席をされておられました。特に、観閲官として菅副総理が訓示を述べられている光景を見ながら、本当に政権交代をしたんだなという非常に感慨深いものが私自身もあったわけでございます。

 そこで、北澤防衛大臣に、野党から与党に変わられて、そしてまた、防衛省・自衛隊のトップになられて二カ月が経過をしたわけでありますが、その責任の重さ、あるいは現在の思い、決意等をまずはお述べいただければと思います。

北澤国務大臣 皆さん、おはようございます。

 感慨を申せ、こういうことでありますが、私は、野党から与党へ変わる前に与党から野党へ変わって、与党へ戻ってきたという思いを私の個人的な考えの中には非常に強く持っております。足かけ十七年間、政治の理想を求めてやってまいったわけであります。十七年間は私の人生にとっては極めて長い年月だったというふうに思いますが、思いがかなって与党という重責を担うことになりまして、また図らずも防衛大臣という重責を担うことになりまして、極めて身の引き締まる思いであります。

 ぜひ、国民の皆さん方が期待した政権交代可能な二大政党制というものが日本の国の民主主義の発展のために大きく貢献できる、そういうことをこの内閣で国民の皆さん方に十分御提示申し上げて、政治に対する信頼を確立していきたい、こんなふうに思っております。

神風委員 そのまさに観艦式のときに我々が乗艦をしていた「くらま」が、その後、十月二十七日午後七時五十六分ごろでありますか、関門海峡で、韓国籍のコンテナ船カリナスターとの衝突事案というのが発生をしてしまったわけでございます。

 この件については、先般の所信の中でも現在調査中ということではありましたが、現時点で判明している事実関係について教えていただきたいと思います。

楠田大臣政務官 お答えします。

 現時点での調査状況でありますが、まずもちまして、護衛艦「くらま」の衝突事故の発生は大変遺憾であるということを改めて申し上げたいと思いますが、今、十一月五日より聞き取り調査を開始したところであります。この中で、改めて「くらま」からは、狭い関門海峡の航行に際して、航海保安部署という名前でありますが、艦橋の見張り員を増員するなど、ほぼ総員を配置して対応していたということ、また、衝突の直前に艦長が前方の見張り員に対して逃避、避難するように指示をしたということ、衝突を回避するため艦艇の機関を後進にかける、バックをする操作を行ったことなどの点について報告をされているところであります。

 今後の対応としましては、既に事故当日に海上自衛隊の艦船事故調査委員会を設置したところでありますが、海上保安庁の捜査などに配慮しながら、事故原因について早期に究明を進めていくということでございます。

 以上です。

神風委員 今回の衝突事案というのは、ある意味で鳩山政権下での初めての危機管理案件ということになるのかなという気がいたしておりますが、昨年の二月にも「あたご」の衝突事案というのがございました。ただ、昨年の場合には、防衛大臣への報告が一時間半後、そして総理へはたしか二時間ぐらいかかっていたかなと思いますが、今回、防衛大臣あるいは総理へそれぞれ正確に何分で連絡が入っているのか、その点を教えていただきたいと思います。

楠田大臣政務官 お答えします。

 まず、防衛大臣に報告が入りましたのが、事故から十四分後の二十時十分ころであります。総理大臣に報告が入りましたのが、十七分後、二十時十三分ころであります。

神風委員 昨年の「あたご」の事案と比べるとかなり迅速な対応であったと思うわけでありますが、昨年の「あたご」と比較して、今回の「くらま」の事案について、それだけ早く報告が入った理由というのが何かあるのかどうか、そのあたりを教えていただければと思います。

北澤国務大臣 「あたご」のときの処理は極めて稚拙であったというふうに思っておりますが、その後、前政権の中で防衛省の改革等を含めまして相当な議論をしていただいて、その成果が防衛省の中によく浸透して、私に対する報告、それからまた副大臣をすぐ派遣するといったようなことが、「あたご」の反省の中から大変成果が上がったのが大きな原因だったというふうに思っております。

神風委員 次に、国交省の方にちょっと伺いたいと思います。

 報道によりますと、第七管区海上保安本部の関門海峡海上交通センターがその貨物船カリナスターに、前方の貨物船の左側を追い抜いてくださいという情報提供をしていると。この情報提供が事故原因となった可能性は否定できないという報道があるわけであります。

 この同センターの情報提供に従う法的拘束力はないということでありますが、この情報提供の性格というのはどういうものであるのか、まずその点を教えていただきたいと思います。

三日月大臣政務官 お答え申し上げます。

 海上交通センターの行う業務、これは国際的にはVTS、ベッセル・トラフィック・サービス、船舶通航業務として位置づけられております。このVTSというのは、レーダー等によりまして船舶交通の状況を把握して、通信機器によってリアルタイムで船舶に対して必要な情報を与える業務とされております。

 このVTSについては、IMO、国際海事機関の決議によってその位置づけが定められております。一九九七年十二月三日のガイドラインなんですが、読み上げます。「実際の通航と操船に関する意思決定は、船長に任されている。VTSによる通航の計画、又は通航計画の変更の要請や合意の有無に関わらず、実際の通航と操船にかかる船長の意思決定に代えることはできない。」

 ちょっと回りくどい言い方なんですが、すなわち船舶の操船に関する意思決定は、VTSの情報提供にかかわらず、船長が行うことというふうに国際的には定められております。

神風委員 今の答弁でそれはよく理解しましたが、ただ、報道によりますと、運用管制官の助言を、結構多くの外国船の船長さんは法的拘束力があるという認識で受け取っているというようなニュースが流れておりました。

 ここら辺の実態というのはどうなっているのか。国際的な法律としてはそういう性格であるけれども、実際の運用上、大体通例、その助言に従うのが多いというか、従うと思っている船長さんが特に外国船の場合多いという状況であるのかどうか。だとすれば、何らかの対応を考える必要もあるのかなと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

三日月大臣政務官 それぞれの船長さんやそれぞれの国においてどのような運用が行われているかということについては承知をしておりませんが、海上交通センターが行う情報提供、すなわちVTSというものについてはあくまで情報提供であって、最後の判断というものは船長が行うものというのが国際的に定められている定めですので、それに基づいて航行が行われているものと承知をしております。

神風委員 そうしますと、あくまでもそれは国際的に船長さんの認識が共有、共通されているのが当然のことであって、それを認識していなかったというか法的拘束力があると思っている船長さんというのは、ちょっとそこら辺は、無知であるというか認識が違っているという理解でよろしいわけですね。確認です。

三日月大臣政務官 それぞれの船長のそれぞれの判断のことについて私どもがコメントをする立場にはありませんけれども、あくまで海上交通センターが行うVTSというものについては情報提供であり、航行に関する判断というものは船長が行うものだと国際的に定められております、ガイドラインで。それに基づいて運用も行われているというふうに承知をしております。

神風委員 ちょっとしつこくて申しわけないんですが、それを勘違いされている外国船の船長さんが結構いらっしゃるのかなという認識でその報道を私も見たものですから、幾らかそこら辺の認識をきちんとしておく、これはどういう形でそれができるのかということも含めてちょっとわかりませんが、そういう必要があるのではないかなという気がしたものですから、今そういう形で申し上げました。ぜひその対応の方もよろしくお願いしたいと思います。

 あともう一つ、ある報道で、「くらま」の速度が速過ぎていたというような、たしかNHKのニュースであったと思いますが、そういう報道もございました。

 この「くらま」の速度が速過ぎたというのはどういう意味なのか、どういう事実関係なのか、ちょっとその点について教えていただきたいと思います。

三日月大臣政務官 お答えいたします。

 この当該海域、関門海峡では、最高速力の制限はちなみにありません。この海域について定めております港則法においては、「他の船舶に危険を及ぼさないような速力で航行しなければならない。」というふうに定められております。その速力というのは、周囲の状況によって変わってまいります。

 護衛艦「くらま」の速力の詳細については、現在捜査中でありますので、この場での説明を控えさせていただきたいと存じます。

神風委員 今回の「くらま」の衝突事案というのはまさに港則法が適用されるということでありますが、昨年の二月の「あたご」の衝突事案の場合であると、海上衝突予防法ということになると思います。

 「あたご」の事案についてはもう検証済みであると思いますので、きょうの「くらま」の件とは直接的には関係しておりませんが、一点、私も昨年の事案を見ながら気になったのは、結局、海上衝突予防法ですと、船の大きさ、大型船、小型船、その大きさが一対千であろうと変わらないわけですね。ただ、実態の運用としては、小型船が大型船を避けているというような話は相当ありました。そういう面で、小型船と大型船、あるいは、この間の観艦式の際に海上自衛官の方が私にお話をしていたのは、外国では軍用艦と民間船ではその運用も違うと。ただ、それは、後で調べてみると、そういう差はないみたいなことを私も理解しました。

 少しこの海上衝突予防法の運用というか、その法自体、特にこの場合には国際法規に関する条約に基づいた法律でありますから、それは日本だけで変えられるものであるとは思いませんけれども、何か工夫するような余地が、あるいは支障がないのかな、工夫するような、見直すような部分があるのではないかなという認識を持ったんですが、「あたご」の衝突事案の検証が済んで、何かそういう論点というのは出てきたんでしょうか。

三日月大臣政務官 海上衝突予防法についての御質問だと思うんですが、この海上衝突予防法というのは、海上における船舶の衝突の予防に関する国際的慣習の蓄積を明文化したものとして、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約に準拠した形で制定されたものです。

 今委員御指摘のように、この法においては船舶の進路を避けなければならない船舶というものを定めているんですけれども、これは船の大小によって差を設けておりません。追い越す場合、また行き会う場合、そして横切る場合、そういうものをそれぞれ、どちらの船がどちら側によけるというような形で定められておるもので、「あたご」の事案を受けてどうこうという論点は現時点ではありません。

 したがって、国際ルールに基づいて、大小にかかわらず、それを海上においても守っていただくという形で今後とも法の運用を行ってまいりたいというふうに思っております。

神風委員 わかりました。

 いずれにしても、最近、海上自衛隊の不祥事あるいは事故というのが多発をしているのは事実であろうかと思っておりますが、ただ、この原因に、海上自衛官、海上自衛隊への負担の重さというのが相当あるなというのを私自身は感じております。

 自衛隊の改革の中では、一番改革が求められているのがこの実態ではないかなと思うわけでありますが、防衛大臣に、海上自衛隊、海自の抜本的な改革をどのように考えられているのか、その御見解を伺いたいと思います。

北澤国務大臣 御指摘のとおりでありまして、護衛艦「しらね」そしてまた「あたご」の不祥事案が続いたわけでありまして、また今回の「くらま」も、これはある程度不可抗力的なところもあったように伺っておりますが、詳細は、きちんとした調査の結果をまた申し上げたいというふうに思っております。

 前二件の不祥事案に対しまして、昨年の十二月に、改革の方向性として、海上自衛隊抜本的改革の実行上の指針、こういうものを取りまとめまして、これを全海自の方へことしの新年度の大きな方針として発出いたしておりまして、この徹底を図る、こういうことであります。先ほども申し上げましたように、私は、そういう意味では、今回の「くらま」の事案に対する対応は成果が上がったのであろうというふうに考えております。

 それから、隊員の士気とか、あるいはまた隊員の現代的な資質と任務との間の乖離をどう埋めていくかというような大きな課題もあろうかというふうに思っておるわけでありますが、そういうことも含めまして、今後、しっかり事故の起こらないような体制を常に心がけてまいりたい、こんなふうに思っております。

神風委員 ありがとうございました。

 本日は、私も与党になって初めてこの委員会で質問をさせていただいているわけでありますが、逆に言うと、野党時代、安保委員会で質問をしながら非常にもどかしさを感じている部分がございました。きょうは、そういう視点も含めて、野党時代に行った次のような具体的な質問をちょっとしてみたいと思うわけであります。

 それは、ことしの四月に北朝鮮のミサイル発射事案というのがございました。北朝鮮がミサイルの発射時間帯について事前に米国、中国、ロシアに通告をし、さらにはアメリカを通じて韓国にもこの情報が伝えられていたと報道されております。そういう中で、日本に対してアメリカからの情報提供はあったのかという質問をさせていただいた折に、当時の防衛、外務両大臣そろって、米国との間で情報交換を行っているが、個別具体的な内容については、相手国たるアメリカとの関係もあることから、お答えは差し控えさせていただくという答弁であったわけでございます。

 政権交代をして、新政権、鳩山政権になって、この質問に対してやはりお答えとしては、お答えは差し控えさせていただくというようなものになるのか、あるいはもっと踏み込んだ回答が得られるのか、いかがなんでしょうか。

長島大臣政務官 神風委員にお答え申し上げます。

 神風委員とは、安保委員会でずっとこの間一緒になって質問してまいりました。先ほど神風委員がおっしゃったように、質問のたびに、何か隔靴掻痒といいますか、非常にもどかしい思いをしたことを今さらながらに思い出しますけれども、実は、この私の答弁もそれに近い形にならざるを得ないんです。

 と申しますのは、これはインテリジェンスの問題でありますので、いつ、どういう形でどういう内容の情報が我が国にもたらされたかということを特定的に申し上げることは、やはり情報提供してくださった同盟国、相手国との関係もありますので、こういう公の場でつまびらかにお答えすることができない。

 ただ、そのとき神風委員が質問された増田前事務次官の記者会見の内容について、あたかも北朝鮮からの事前通報はなかった、加えて、米国からの、あるいはその他の国からの情報ももたらされていなかったかのような誤解を与えてしまった言いぶりがあったかもしれませんけれども、その点については、実態としては、韓国との例を挙げておられましたけれども、米韓関係、米韓同盟のもとでもたらされる情報に劣るような、そういう体制が今の日米同盟関係の中にあるということは、そうではないんだということをこの場でははっきり申し上げておきたい、このように思っております。

 米国との間では平素から緊密な情報交換を続けており、こういう事案の際にもその中できちんとした情報交換が行われておる、このことで御理解をいただきたいというふうに思います。

神風委員 ある意味で、今の御答弁に加えて、今後、この安全保障委員会、この委員会に限って、秘密会のような形で、議員に守秘義務を課して、そして、ある一定の情報提供をする中でこの委員会を進めていくというような方法も考えられるのかなという気がするわけでございますし、あるいは、自衛官、制服組にもこういう場で答弁をいただくようなことも考えられ得るのかなと。それがある意味では国会審議、委員会の活性化にもつながるのではないかという認識を持っているわけですが、いかがでしょうか。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 この点も、全く神風委員と問題意識を共有しております。カナダにしろアメリカにしろ、きちっと守秘義務を課した上で必要な情報は議会にもたらしています。やはりシビリアンコントロールというのは、もちろん内閣あるいは文民の大臣がきちんと軍をコントロールするということでもありますけれども、しかし、国会議員全体、国会がきちんとそういうコントロールをきかせていかなければならない、これが趣旨でございますので、できる限り国会議員にはそういう情報を提供する、そういう姿勢があってしかるべきだと思います。

 ただ、先ほど少し申し上げましたように、開示先における秘密の保全体制を確立していかなきゃいけない、国会そのものにおける保全体制を確立しなきゃいけない、それから、そこに参加をされる議員に対しても守秘義務の付与あるいはそれを破った場合の罰則の整備、こういうことがあって初めて秘密会としての防衛にかかわる情報の共有ということが可能になっていくというふうに思っております。

 いずれにしても、それは国会運営にかかわる問題でありますから、国会において御決定をいただかなければならないということもあわせて申し上げさせていただきたいと思います。

神風委員 ぜひ前向きに御検討をいただきたいなと思っております。

 次に、外務大臣にお伺いをしたいと思っております。今のインテリジェンスにも関連してのことでありますが、例の西山事件についてであります。

 この内容はもう御案内のとおりでありますから、ここで説明するまでもないわけでありますが、政権交代をして一番の大きな効果というのは、こういう問題について国家として軌道修正ができる、それが政権交代の一番の意味合いなのではないかなと思っておりまして、外務大臣がいろいろと検証の作業に着手をされているというのは、非常に期待している人間の一人でございます。

 今、その検証作業というのはどの程度まで進んでいるのか、教えていただきたいと思います。

武正副大臣 神風委員にお答えをいたします。

 いわゆる密約問題については、本年九月十六日、内閣組閣の日のその夜、岡田外務大臣の命令で、十一月末を目途に、調査を開始するという指示をしたわけでございます。その作業の進捗状況は随時報告を受けているところでありますが、内容については、調査結果について予断を与えるおそれがあることから、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

神風委員 この問題については、私もこれまで当時の安倍総理あるいは石破防衛大臣、麻生外務大臣に何度となく質問をしてきたわけでありますが、密約はないという一点張りの回答でございました。政権交代がされたわけでありますので、ぜひこういう問題に対して果断な、果敢な判断というか、大胆な結論をきちんと出していただきたいなと思っております。

 それに加えて、防衛省には防衛秘密の指定というものがあります。アメリカの場合には、国家安全保障情報の秘密指定については、二十五年以上経過をすると自動的に秘密指定が解除になるという規定になっておりまして、これによって今回の西山事件の件というのも明らかになったわけであります。それに対して、日本の場合ですと、秘密指定の解除は一定の期間が経過をすれば自動的に解除されるというものではまずない。しかも、実際に秘密指定が解除されたものというのは、かつて委員会で質疑をしたときには、約一%程度である、それぐらいにすぎないという報告でございました。

 そこで、今後、日本でも、一定の期間が経過をすれば自動的に秘密指定の解除がされるというようなシステムに変更するお考えはあるのかどうか、これは防衛、外務両省に伺えればと思います。

北澤国務大臣 お答えを申し上げます。

 防衛省の保有する秘密の外部への開示につきましては、その種類、内容、そういったものについて個別具体的に勘案して判断せざるを得ない、こういうことで一般的に認識をしておるわけですが、一般論として申し上げれば、開示先における秘密の保全体制の確立、それから守秘義務の付与及び秘密漏えいに係る罰則の整備等が極めて重要な判断材料になるというふうに認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、国会の論議の中でこういうものをどういうふうに開示していくか。先ほどもお話にありましたように、秘密会における取り扱い、そういったものについては国会で十分に御議論をいただいて、その中で御決定をいただくことを待ちながら判断をしてまいりたい、こんなふうに思っております。

武正副大臣 前国会でも公文書の公開法ということで成立を見ておりますので、今防衛大臣もお答えになりましたけれども、やはり国会における論議を踏まえて対応してまいりたいというふうに思います。

神風委員 続きまして、二〇〇九年の四月五日にプラハで行われたオバマ大統領の演説について伺います。

 核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任があると述べられて、核兵器のない世界を追求する決意というものを表明された。先日も東京での演説があったわけでありますが、それについてどのような御感想をお持ちになったか。

武正副大臣 ちょうどことしの四月ですか、プラハで行われたオバマ大統領の演説を、核兵器のない世界に向けた、その追求をする明確な宣言ということで、強く支持するわけでありまして、今般の来日時に「「核兵器のない世界」に向けた日米共同ステートメント」を発出しておりまして、そのような世界を実現する両国政府の決意と具体的な協力を確認したところでございます。

 我が国としては、核兵器のない世界の実現に向け、現実的かつ具体的な行動を一歩一歩積み重ねる必要があるとの立場から、米国とも協力しながら、核軍縮、不拡散を主導する外交を展開していく考えでございます。

神風委員 日本では特にこのオバマ大統領は、非常に平和主義者で、全くの善というようなイメージが強いわけでありますが、ただ、私自身は、もう少し冷静にとらえた方がいいのかなというような気がしております。

 先般の四月のプラハでのオバマ大統領の演説も、核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任があるということに続いて、「私は、米国が核兵器のない世界の平和と安全を追求する決意であることを、信念を持って明言いたします。私は甘い考えは持っていません。この目標は、すぐに達成されるものではありません。おそらく私の生きているうちには達成されないでしょう。」そしてさらには、「もちろん、核兵器が存在する限り、わが国は、いかなる敵であろうとこれを抑止し、」「同盟諸国に対する防衛を保証するために、安全かつ効果的な兵器を維持します。」ということも強く述べられております。

 そういうことを前提にして伺いたいわけでありますが、例のいわゆる米国の核の傘ということであります。

 日本有事の際に、米軍の部隊がどう動いて、核抑止力はどのように機能するのか、あるいは米側からこうしたことについて明確な説明、確実な担保というのは現在どこまで得られているのか、あるいはどのように具体的な運用手順を詰めていく予定なのか、そのあたりを確実にしておく必要が日本としてはあると私は思っておりますが、その点についての見解を外務、防衛両省に伺いたいと思います。

武正副大臣 私の方からは、核の傘がどのように担保されているというふうに考えるかということでお答えをしたいと思うんです。

 国際社会における核戦力を含む大規模な軍事力が存在する中、核兵器を初めとする大量破壊兵器等の拡散といった危険が増大していることは御承知のとおりでありまして、引き続き不透明、不確実な要素が存在をしております。

 そうした中、我が国としては、日米安保条約を堅持し、その抑止力のもとで自国の安全を確保する必要があると考えておりまして、米国が保有する核戦力と通常戦力の総和としての軍事力が、我が国に対する核兵器によるものを含む攻撃を抑止するものと考えております。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 今の武正副大臣の答弁に尽きるわけでありますが、我が国への核兵器の脅威に対しては、防衛計画の大綱の中で「米国の核抑止力に依存する。」こういうことがはっきりさせられておりまして、また我が国の憲法九条に基づく専守防衛という国是の問題もこれありまして、そういう意味では、核の脅威に対しては日米安保体制の中で米国の核抑止力に依存する、こういう基本的な考え方で行っておるわけであります。

 ただ、我が国は、核兵器のない世界をということを世界全体に向けて目標にしておりますので、先ほどオバマ大統領の御発言の御提示もございましたが、極めて我々の考え方と共通するところがあって、遠い道のりではありますが、その理想に沿って努力をしていくことが我が国に課せられた課題だ、こんなふうに思っております。

神風委員 今の質問に加えて、この米国の核の傘について、具体的に前政権から引き継いだものというのは、例えば運用の仕方とか、そういうことについて何か引き継いだような内容というのはあるんでしょうか。

北澤国務大臣 国防の基本方針というものが、昭和三十二年でしたか、決められておりまして、これは、戦後、長い歴史の中で日本国民の中にしっかり定着してきたものであります。しかしそれは、世界の軍事情勢、さまざまな情勢の中で変化を遂げてはきておりますが、お話にあるような、前政権との相違についてということになりますと、防衛大綱、見直しの時期になっておりますが、これを、来年一年間かけて鳩山政権としての防衛大綱、中期防の計画、こういうことで練り直していきたい、こんなふうな方針をつい先ごろ決定したところでありますので、御理解をいただきたいと思います。

神風委員 最後の質問になるかなと思っておりますが、オバマ大統領が核なき世界を提唱する中で、核兵器の軍事的役割を低下させるために、敵が核を使うまでこちらが核の使用を控えるという、例の核の先制不使用政策というのを米国を初めとした核保有国が採用すべきという議論がございますが、これについて、外務、防衛両省の御見解を伺いたいと思います。

岡田国務大臣 核なき世界というときに、核のない世界のその前に、核を使わない世界というのが当然あるんだろうと思います。核を使わないというときに、報復としての核はともかくとして、先制的には使わないというのがその前のステップとして当然ある。したがって、核なき世界を目指していく中で、先制不使用というのは非常に重要な概念であるというふうに考えております。

 ただ、文字どおりの先制不使用、核保有国の間で先制使用しないということは、これは、実際には検証をどうやって可能にするか、約束は幾らでもできますが、その実効性を担保するためにどうするかという問題が常につきまといますので、直ちにそういう意味での核の先制不使用というところまで一足飛びにいくことは無理があるというふうに私は考えております。

 核を持っていない国に対して核を使用するということをどう考えるかという問題が、広い意味での先制不使用の問題の中にあるというふうに考えております。私は、そういった、核を持っていない国に対して核を使用しないという考え方は基本的に支持できるものだというか、むしろそういう考え方は必要だというふうに考えております。

 ただ、そのことも、実現するために我が国の安全保障あるいは国際的な安全保障を損なう結果になってはいけないわけですから、どういう形でそれを実現していくかということはこれからしっかり議論していかなければいけない問題だというふうに考えています。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 先制不使用については、核保有国が、先ほど外務大臣も申されましたけれども、検証可能な形でなければ有意義なものにはならぬというふうに思っております。

 最近のことで申し上げれば、核戦略においてややおくれておる中国がこういうことに積極的に不使用ということを言っていますが、これはあくまでも戦略的なことでありまして、そういう意味では、人道的な意味での不使用というようなところまでまだ国際社会は成熟はしていないんではないかな、そんなふうに感じております。

神風委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

安住委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 おはようございます。社会民主党の照屋寛徳です。

 私は、去る十一月七日、沖縄県読谷村楚辺で発生した在沖米陸軍の二等軍曹が関与したと思われるひき逃げ死亡事件について伺います。

 同事件は、極めて悪質な事件であります。膨大で過密に米軍基地が存在する沖縄県において、またもや米兵による許しがたい事件が発生をいたしました。

 私は、去る十一月十四日、被害者外間政和さんが発見された現場、二等軍曹が居住するアパート、同人が加害車両を持ち込んだ修理工場などを実地検分いたしました。現段階で二等軍曹を犯人と断定するものではございませんが、私も、法律家、弁護士として、どうも、客観的な物証から、犯人である可能性は極めて高い、このように考えております。

 そこで、中井国家公安委員長にお尋ねをいたしますが、地元紙のマスコミ報道によると、沖縄県警から事情聴取を受けておった二等軍曹が出頭を拒否している、あるいは一部では任意の事情聴取を拒否している、そういう報道がありますが、いつから事情聴取を拒否している、あるいは任意出頭を拒否しているのか、事実関係をお聞かせください。

中井国務大臣 お答えをいたします。

 当事件につきましては、沖縄県嘉手納警察署が、十一月十一日、十二日、十三日と被疑者に対して出頭要請をいたしまして、これに応じた被疑者を取り調べたところでございます。しかし、十四日、十五日、十六日と三日間にわたって出頭要請をいたしましたが、被疑者はこれに応ぜず、出頭をいたしていないというのが現状でございます。

照屋委員 そこで、国家公安委員長、警察としては、日米地位協定に基づく犯罪通報の手続を行うのか、いつやるのか。また、外務省は、犯罪通報をやった場合に身柄引き渡しを日米合同委員会に提起するのか、その点は、武正外務副大臣、お答えください。

中井国務大臣 琉球新報の報道は私も承知をいたしております。しかし、沖縄警察におきましては、今、事件の解明に向けて、米軍当局に対して被疑者の出頭についての協力要請を継続しつつあり、また捜査も進行させているところでありまして、現時点では犯罪通報は行っておりません。今後の捜査状況を踏まえて、警察において適切な判断をするものと考えております。

武正副大臣 照屋委員にお答えをいたします。

 外務省としては、本件について、捜査当局から所要の捜査を進めている段階であると聞いておりまして、現時点で外務省からお答えをすることは困難でございます。

 これまで岡田外務大臣が、シンガポールでの日米外相会談でクリントン国務長官に、そしてまたルース駐日大使等に対して日本側捜査への協力を申し入れておりまして、先方からは全面的に協力をする旨の回答を得ております。

 外務省としては、今後とも、捜査を通じて明らかになった事実に即して、必要に応じて適切に対応してまいりたいと思います。

照屋委員 二等軍曹の弁護人は、公務外であったということを認めております。公務外の事件であれば、当然、我が国に第一次裁判権がございます。私は、犯行状況に照らして、起訴前の身柄引き渡しを求めるべきだと思います。鳩山総理も、十一月十日、事実であるならば、米側としても柔軟に考え、起訴前に身柄を引き渡してもらいたい、このようにコメントしております。

 この起訴前に身柄引き渡しを求めるかどうかについて、防衛大臣あるいは外務副大臣、両方のお考えをお教えください。

北澤国務大臣 米軍の基地が沖縄に集積している中で、かような事件が起きたことは極めて遺憾なことでございます。

 ただいまの御質問をいただきました件につきましては、先ほど中井大臣からもお話のありましたように、鋭意警察当局で調査をいたしておりまして、事の性質柄、私が予断を持ってお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。

武正副大臣 先ほどもお答えをいたしましたが、捜査協力をアメリカ側に強く働きかけをしているということでございます。きのうも嘉手納基地で四軍調整官への捜査協力も求めたところでありまして、こうした米側の全面的な協力のもと、必要に応じて適切に対処していくことになろうかと思います。

照屋委員 本件事件の事件態様に照らして、私は、二等軍曹は飲酒運転、しかも泥酔状態であった疑いが極めて強い。本人も事故発生現場を通ったことを認めておる、こういう報道もございます。一方で、人をはねた認識はないとか、フロントガラスはむちゃくちゃに壊れているのにそういう弁解をする。道交法上の救護義務、報告義務を尽くさないで現場から逃走して、加害車両をすぐに民間修理工場に運んでいる。

 これは証拠隠滅の疑いも極めて高いな、こういう悪質かつ重大事件であると私は考えますが、中井大臣、防衛大臣の所見を伺います。

中井国務大臣 沖縄警察におきまして、今全力を挙げて調査をいたしております。先生のお話のありました飲酒運転中の事件となりましたら、おっしゃるように大変悪質だと言わざるを得ないと私自身は考えています。

 しかし、現在、なおまだきちっと供述が得られておりませんで、飲酒運転であるかどうかについても鋭意調査をしている、どこで何時に何をしておったかというような足取りを、きちっと事実関係を追跡調査している、こういう段階でございまして、予断を持って申し上げるのは御遠慮申し上げたいと考えております。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 防衛省が事後にとった経過を申し上げます。

 十一月九日、ひき逃げの可能性にかかわる報道があったことから、沖縄防衛局から米軍に対しまして、沖縄県警の捜査へ協力をするよう、まず口頭で要請いたしました。さらに、十日、沖縄防衛局から米陸軍に対しまして、本事件が米軍人の犯行であるとすれば、極めて悪質な違法行為が発生したこととなり、まことに遺憾である、今回の事件の重大性を認識し、より一層の隊員の教育、綱紀粛正及び再発防止の徹底を要請するとともに、引き続き沖縄県警の捜査に協力されたいということを口頭で申し入れいたしました。

 私としては、捜査を通じて明らかになった事実に即して、関係閣僚と緊密に連携しながら適切に対応してまいりたい、このように思っております。

照屋委員 終わります。

安住委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 残念なことなんですけれども、沖縄の県民は、これまで戦後、多くの事件、事故を経験しておりまして、そういう意味でも、この事件の米軍の対応とか県警の対応とか捜査の難しさというのを一番知っているのは沖縄県民なんです。

 今、照屋先生がお話をしておりましたけれども、飲酒かどうかということを裁判の中で立証しようとしても、僕はもう無理だと思いますね。基地の中に入って、私はこの人と一緒にいましたよと。それも、この基地の中で三日も四日も打ち合わせをしてきたら、裁判になっても立証というのはなかなか難しいんですよね。

 だから、即刻に県警がその犯人を引き渡してもらって取り調べをしない限り、ひき逃げは認めたものの、スピード違反で、飲酒運転でという、これが重罪に重なるような立証をしていくのはなかなか難しいというようなことは今までも何度も経験しているだけに、私は、今の捜査のあり方、そしてアメリカ軍のあり方、日本政府のあり方というのは今までと変わらないなというような思いをしているということだけ一言申し上げておきたいと思っています。

 それで、一つ、普天間基地の問題を少し御質問させていただきたいんです。

 一九九六年ですか、橋本・クリントン会談で決まってから十四年になるんですけれども、十四年近くなっても決まっていないんですよね。普天間の移設の問題は、普天間を移設しますよと言ってから、自民党そして自公政権の中で十四年間やっても、これは何も結果は出てこなかった。大田さん、稲嶺さん、そして今の仲井眞さん、全部、日米では合意しているけれども、結局は沖縄の県知事と合意できなくて、そして今もって普天間が解決をされていないというのが現実ですよね。

 だから、日米で合意することが解決の大きな一歩になっているかというと、それがなっていないということだけは確かなんですよ。だから、なぜその解決ができなかったのかということをしっかりと検証していかなければいけないと思うんです。

 この十三年間できない解決策を、新しい政権になって五十日目をちょっと過ぎたような期間になりますけれども、それを早急に解決しなければいけないというと、相当な決断がないとできない。何度も言いますけれども、十三年間できないんですから。前政権でずっとやってもできないことを決断するというふうに鳩山総理もおっしゃっているわけですけれども、この決断をする時期はいつなのか。防衛大臣はいつとお考えになっているのか。外務大臣はいつとお考えになっているのか。

 総理は今はこの場所にいませんから、総理のお答えを聞くわけにはいきませんので、お二人の大臣のその解決をする日にちというのは同じ認識のもとにあるのかどうなのか。まず、具体的にいつまで、そのことをぜひお聞かせいただきたいと思います。

北澤国務大臣 極めて妥当な御認識で御質問をいただきました。

 報道ではよく、閣僚はそれぞればらばらなことを言っている、こういうふうに報道されておりますが、外務大臣と私に関して申し上げれば、官房長官もそうでありますが、たび重なる協議をいたしておりまして、それぞれが結論へ向けての方途について、さまざまな検証の中からみずからの考えを表明しているわけであります。

 お尋ねの、いつまで、こういうことになりますと、私は、予算を抱える役所でもありますので、予算編成に支障のないようにする必要がある、こういうことは申し上げております。ただ、首脳会談の中でワーキンググループが閣僚級でできたということは一つ極めて重い存在でありまして、この推移を見ながら決めなければならぬ、こう思っております。

 したがいまして、私が従来申し上げておりました年末の一つの時期というものを、ワーキンググループの中での議論を踏まえながら、今明確に申し上げるのはいささか無理があるということで御理解をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、神風委員長代理着席〕

岡田国務大臣 昨日、一昨日と沖縄を訪れまして、昨日、地元の伊波市長の御案内で、外務大臣としては初めて普天間飛行場を視察してまいりました。危険な状況、そして、私が前回訪れたのはたしか二〇〇四年だったと思いますが、例の国際大学にヘリコプターが墜落をした直後だったと記憶をしております。あれから何も変わっていないんだな、改めてこの危険な状況を一刻も早く是正しなければいけないということを感じたところであります。

 さて、お尋ねの件ですけれども、今防衛大臣も言われましたように、私とルース大使との間でワーキンググループをつくるということを確認いたしまして、これは日米首脳会談でも一致をしたところであります。その際に使われた言葉は、できるだけ早く、迅速にということであります。具体的な期間を切って議論するということではございません。

 先ほど防衛大臣言われたように、十二月の予算編成期というのは一つのめどであります。私としてもその思いはあるわけですけれども、最終的には、総理はたびたび私が決める、つまり総理自身が最終的に御判断をされるということを言われています。もちろん、最終的には閣議で決めるということになろうかと思います。そうであれば、我々の思いは思いとして、最終的に、総理も含めてよく協議をしながら、しっかりと決めていかなければいけない。

 できるだけ早く、迅速に、しかし具体的なことは現時点では申し上げられない、そういうお答えになろうかと思います。

    〔神風委員長代理退席、委員長着席〕

下地委員 時期は早い方がいいと思いますね。これ以上やると混乱になります。一月に名護の市長選挙がありますが、やはりこれは争点にすべきじゃないですよ。名護の市長がどっちが勝つかが今までみたいに基地問題を前進させるということは、この十三年の経験からして全くありません。政治が、自民党が勝とうが、沖縄からいえば革新が勝とうが、基地問題は進まなかったんです。そのことをぜひ考えると、政治が決断して進めるという意味では、十二月が大事かなと思います。

 それで、北澤大臣にも岡田大臣にも、私の提案ですけれども、検証がなされていますでしょう。一番検証して、一番意見を聞いた方がいいのはだれだと思いますか。私は、これにかかわってきた外務大臣、防衛大臣、この方々からなぜできなかったのかを聞いた方が一番検証になると思いますよ、役人から聞くよりも。それを一回おやりになった方が、この十三年間の流れがはっきりわかるというふうに私は思っています。今、この問題で、何でできないのかと自民党は質問する力はないですよ、自分たちができなかったんだから。だから、そういう意味では、できなかった検証は、自民党の防衛大臣や外務大臣から聞いた方が私は一番わかるんじゃないかと思いますから、提案をしておきたいというふうに思っています。

 それと、もう一つだけお話をさせていただきますけれども、この前、大阪府の橋下知事さんが、質問に答えてこういうことを言っているんですね。

 関空を使ったらどうかという意見があるけれども、これに関してあなたのコメントをお願いしますということについて、関空をどうかというのは僕も考えていないので、なかなかコメントできないと前置きして、沖縄の大田中将の話をして、その後に、本州、九州、四国に住んでいる我々が地上戦の状況をどう考えているのか、全部沖縄に負担させてよいのか、北海道、本州、四国、九州に住んでいる我々が考えなければいけない、沖縄県民がどういう状況で地上戦をやってきたのか、そういうのを見れば、沖縄県以外の日本国民はちょっと無責任であり、沖縄県にすべてを負担させ過ぎという気はありますので、関西空港という案を本気で国が論じられるのであれば、地元知事としてその論議の中にしっかりと入っていきたいというふうに思いますとコメントをなされていますよ。

 このコメントを私は非常に重く受けとめておりまして、この沖縄の普天間の問題は、沖縄の人に問いかけるんじゃなくて、全国の皆さんに問いかけなければならない。私は橋下知事のコメントは非常に胸に熱いものがありますけれども、このコメントについて一言ずついただいて、そしてこれからは、本土の基地、佐賀空港であったり関西空港であったり、そして静岡の空港であったり、そういうふうに、県知事さんにどうですかということを話しかけるおつもりがあるのかないのかをお聞きしたいと思っています。お二人にお願いします。

北澤国務大臣 お答えをいたします。

 沖縄の皆さん方のお気持ちをしんしゃくすれば、今のお話は、私も個人的に胸にくるものがございます。私自身も、たびたびこういう場で申し上げておりますが、まだ沖縄が占領状態であったときに沖縄へ渡って、当時、小渕先生とか盛んに、沖縄の自民党の幹事長をやっていた平良さんとかという方々と随分と議論をしたことがあるわけであります。

 そういう意味からすると、戦後、米軍基地というのは、岐阜もそうですし山梨もそうですし、内灘闘争もそうですが、国内でさまざまな闘争があった、解決を全部沖縄へ押しつけて本土の基地問題は片づいてきたという歴史を思いますと、橋下知事の申されることは極めて勇気のあることではありますが、国民のみんなが一度考え直さなきゃいかぬことだというふうに思っております。

 せっかくの御提言でありますので、私もしっかり胸に秘めて、今後の対応に参考にさせていただきたいと思います。

岡田国務大臣 今委員が言われた、この基地の問題は沖縄の問題ではなくて日本全体の問題だというのは、そのとおりであります。

 私は、クリントン長官とシンガポールでお目にかかったときに、少し時間を割いてさきの戦争における沖縄における戦闘の状況、いかに非戦闘員がそこで犠牲を強いられたかということをクリントン長官にお話をいたしました。やはり沖縄の人たちが本土といいますかに対して抱いている気持ちというものもしっかり理解をしていただかないとこの問題の解決というのはそう簡単じゃないんじゃないか、そういう思いからお話をさせていただいたところであります。

 委員が言われた、日本全体でこの問題を考えるべきだということに対しては、十分そのことを胸におさめて、今後この問題の解決に当たっていきたいというふうに思っています。

下地委員 ありがとうございました。

安住委員長 次に、中谷元君。

中谷委員 鳩山内閣の外交、安保政策についての姿勢等について質問をさせていただきますが、先ほど下地議員も言われましたけれども、外交、安全保障につきまして与党、野党、対立をしていったら必ず国益とは合致しない、国のためにはならないと思うわけでございます。岡田外務大臣も北澤大臣ももとは自由民主党、岡田さんは私と同期でありまして、ともに外交を勉強してきましたが、この国会の場というのは国の重要政策に対して国民にかわって審議をする場でありまして、どうか両大臣等におかれましては、国を代表する場で、国益を踏まえてこの場で発言をし、また判断をしていただきたいと思います。

 そこで、外務大臣に伺います。

 国と国との約束に、条約とか協定とか、また議定書、約定等ありますが、特にこの条約と協定ということにつきましてどういう意味にとらえているのか、この二つ、それぞれ違いがあるかどうか伺います。

武正副大臣 中谷委員にお答えをいたします。

 国と国との約束には、今お話があった条約、協定、そのほか憲章、議定書、約定等、さまざまなものがございます。

 今のお話でございますが、一般に、条約とは、国等の国際法上の主体の間において文書の形式により締結され、国際法によって規律される国際的な合意をいう。こうした国際約束の名称は交渉の際に当事者間の合意により決められるが、今の条約、協定、あるいは憲章、議定書、約定等の名称のいかんを問わず、その法的効果や権利義務関係には影響を与えないと解されております。

中谷委員 国会の質疑ですから、外務大臣の姿勢、考え方について伺っていますので、大臣みずからお答えいただきたいと思います。

 このグアムの協定、いずれにしても、協定というのは条約と同じく国と国を縛るもの、法的拘束力においては相違はございません。約束したことは国として守らなければならないということでありますが、このグアム協定にはこう書かれています。二〇一四年までに移転が完了することを再確認した、この移転が嘉手納以南の土地返還を実現するものである、日本がロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設を完成する意図を有する、ロードマップ全体が一括の再編案であり、代替施設の完成に向けた具体的な進展があること、こう協定で結んでおりますが、大臣に伺います、この普天間代替施設というのは、キャンプ・シュワブ、辺野古沖のことでいいですか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 まずは、ロードマップについて、今協定を出されましたけれども、協定の前文にこのロードマップが引用されて協定が構成をされているというのがまず一点でございます。

 それから、ロードマップについては、二〇〇六年の五月一日に、2プラス2、日米安全保障協議委員会の会合において、兵力態勢の再編の最終的な取りまとめとして日米両政府の関係閣僚が承認した、日米両政府の意図を表明する文書でありまして、法的拘束力を有する文書ではないというのが認識でございます。

 そのロードマップを前文としての協定ということでありまして、その協定の中で、今の御指摘の点について、当時の両政府の、法的拘束力がないけれどもロードマップでは辺野古ということで認識をされていたというふうに考えております。

中谷委員 副大臣のお考えはわかりました。大臣はどうお考えですか。

岡田国務大臣 今の武正副大臣の答弁は外務省としての考え方であって、大臣ももちろん同じであります。

中谷委員 この協定を守る考えがあるかどうかということを大臣に伺っているわけでございます。

 つまり、2プラス2、相手の閣僚と調印をし、そして国会でそれを認め、批准をした、承認したということでありまして、これは国家と国家の約束でありまして、外交の基本は約束したことを守ること、これは対等な日米関係というならその第一歩、大前提でございます。

 内閣がかわったからとか、昨年まで政府が約束したことで今はかかわりはない、そういう論法は通用しませんが、大臣、この協定をしっかりと守っていくという認識はお持ちですか。

岡田国務大臣 まず、先ほど武正副大臣からも言いましたように、これは法的拘束力はございません。しかし、国家と国家が合意したものですから、そのことは重いというふうに考えております。したがって、合意したことをすべて白紙に戻して議論ができるかというと、そういうものではないというふうに考えております。

 今、日米間で行っているのは、この合意についての検証作業であります。その検証作業を行うに当たって前提として、これは日米間で合意しているわけですけれども、やはり政権がかわった、その中で、前政権が結んだ、アメリカ側も実はブッシュ政権ということですから政権がかわっているわけですけれども、こういった合意に至った経緯について十分に承知をしていないところがあるので、その経緯について検証をしようということで、ワーキンググループをつくって日米一緒になって検証するということでございます。

 検証をするということは、もちろんこの合意が重いという前提ではありますが、しかし、全くこの合意をそのまま受け入れるということであれば必ずしも検証の必要はないわけですから、まずは、この合意についてどうするのかということを決める前にしっかりと検証しよう、こういうことであります。

 政権がかわったときに前政権の合意がどのぐらい拘束力を持つかというのは、これは事案によって異なると思いますが、もちろん、オバマ政権でも、そういったブッシュ政権時代の国際的な約束について変えるということはあるわけで、国家間で決めたからすべてそれをそのまま受け入れなければいけない、必ずしもそういうものでもないというふうに考えております。

 重さは十分に承知しております。

中谷委員 協定とか条約を守っていくということは、これはもうルールで、基本中の基本でありまして、これが履行されないことによって、お互いに不信感が募り、そして紛争にも発展をしていく、話がこじれていくわけですね。

 したがって、今の姿勢では日本国民も外交に対する不信感が強まりますし、相手国のアメリカにおいてはさらに、向こうは約束したと信じて物事を実行しておりまして、こういうあいまいな態度ではますます不信感が広がってしまいます。

 そこで伺いますが、現在米国では、上院で来年の予算案を審議されております。グアム移転の三億ドルの費用が計上されていましたが、この七割に当たる二億一千百万ドルが削減されて、移転予算の七割がカットされてしまいました。

 今外務大臣がいろいろ発言をされましたけれども、この日本政府のあいまいな態度がアメリカの議会に評価をされまして現状につながっていることもありますが、アメリカの予算の復活、これから問題は復活なんです、これに今の姿勢が影響を与えるものであるかどうか、この認識を外務大臣に伺います。

岡田国務大臣 お答えは武正副大臣からと思いますが、ちょっとその前に、誤解を招かないように、やはり国会の場の議論というのは大事ですから、この議論というのは当然世界じゅうで見ていますので。

 私がお答えしたのは、今検証を行っているということです。検証は、日本政府が勝手に行っているのではなくて、日米両政府で合意をして検証を行っているということで、それ以上でもそれ以下でもありません。

 ですから、今委員が言われたことは、私の言ったことと違うことを前提として御質問になっていますけれども、国際的な誤解をそういう御発言が招かないように、国益がかかっていますから、そこはお互い十分注意して質疑をしたいものだと思います。

中谷委員 今協議会のお話が出ましたが、これは本来それぞれの国の中のことで、決めたことをやるかやらないかということを検証して、お互いにそれを履行する。

 現にアメリカの大統領は、この協議会は履行するための合意、日米合意を推進するための会だと言っているのに、鳩山総理は、何ですか、この協議会のことを、日米合意が前提だとオバマ大統領は思いたいだろうが、日米合意前提なら作業部会をつくる意味もないと言っています。しかし、大統領は、既に日米間で合意したものを達成するために作業部会を通じて早期に解決する、沖縄の米軍再編合意の履行のため合同部会を通じて迅速に動くことを合意したと言われました。

 これは、日本の総理大臣とアメリカの大統領の発言が食い違っておりまして、首脳会議で日米首脳が会って、食い違いが表面化をしたということは大変な大失態ですよ。これについて改めて日本政府の見解を求めますが、この合同部会の設立は日米合意を前提としたものであるのかどうか、伺います。

岡田国務大臣 この問題は記者の質問に端を発するものですが、結局、前提ということの定義を明確にしないまま議論されておりまして、そこが非常に混乱を招いている一つの例だというふうに思います。こういった記者とのやりとりというのはその場でなされますので、本来は、お互いきちんと定義をした上で議論しなきゃいけない。

 つまり、前提ということの意味ですけれども、その前提という意味が今を変えないという意味であるとすれば、これは総理も言っておられるように、いや今を絶対変えませんということで検証するなら、それは検証するということが意味がないわけですから。

 一方で、我々は、では変えるとも言っていないわけですね。そういったことを、変える変えないのその前段階としてまず検証しましょうと言っているわけですから、変えるとも変えないとも言っていない。それが正しい物の言い方だと思います。

 そういう意味で、私は、大統領と総理との見解に相違はない、前提という言葉が非常にあいまいに使われたことによって、そういう意味では解釈の幅を残した、こういう問題だと思います。

中谷委員 これまた大問題発言ですね。日米双方が違って意味をとらえても仕方ないんだということであります。

 長島防衛政務官もテレビでは驚いたと言っています。私も驚きました。これが普通の感覚です。両首脳が記者会見に並んで協議会をつくるという発表をしたならば、その意味はあって、当然これは履行を合意するための協議会であるという認識でありますが、北澤防衛大臣、この協議会は履行をするための日米合意に基づく会談という認識でよろしいですか。

岡田国務大臣 中谷さんも防衛大臣をやられたわけですけれども、やはりここでの質疑が誤解を増幅するようなことになってはいけないと思うんです。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

岡田国務大臣 今おっしゃいましたが、前提とするという表現は、これは記者と鳩山総理とのやりとりであって、オバマ大統領が使ったわけではありません。そういう意味で、私が先ほど申し上げたように、前提ということの解釈が日米で違うと今、中谷さんは私の発言をとらえておっしゃったけれども、私はそういう発言はしていません。前提という言葉をオバマ大統領は使ったわけではありませんから、そういうことではないんです。

 御質問にお答えしますと、ワーキンググループができました、このワーキンググループは、先ほど申し上げましたように合意に至った経緯を検証する、それ以上でもそれ以下でもありません。ですから、アメリカ側も日本側も、これはルース大使と私の間できちんと確認をされたことですけれども、そういう条件のもとで今議論が始まろうとしているということであります。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 外務大臣の答弁に尽きるわけでありますが、この問題については、我々が政権を担当してから、早急に解決すべく、私も即刻沖縄へ参りましたが、そこで感じたことは、どうして辺野古でなければならぬのかという大きな疑問を感じました。

 そういうところから検証作業に入り、米側も協力をして検証作業が進んできたわけでありまして、そういう双方の思いが重なって、先ほど外務大臣が申されましたように、外務大臣の主導でこのワーキンググループができたということでありますから、双方とも大きな隔たりがあってこの作業に入るということではないというふうに承知しています。

中谷委員 向こうのオバマ大統領は、沖縄の米軍再編の合意の履行のためと言っているんですね。この履行という意味、これはもう当然御存じでしょう。履行というのは、約束したことを実行することを履行というんですね。これで、行動部会を通じて迅速に動くことを合意したと公式の席で述べられています。

 それに対して総理は、日米合意が前提なら作業部会をつくる意味がないと言うということは、こういう前提ではないということで、これは完全に食い違いをしていると大臣は思われませんか。

岡田国務大臣 履行のためというのは、これはアメリカ側は、検証作業に当たってこの合意を変える必要性はアメリカとしては現時点では認めていないということでありますから、そういう思いが入った大統領の演説だったのではないかと思います。

中谷委員 こういういいかげんな大臣の答弁があれば、本当に外交の信頼感も失いますし、この委員会の議論もこれ以上進めたくないという気持ちがあります。

 しかし、この点につきましては、大事な基本の問題でありますので、今回の協議会の合意の意味につきまして、統一見解で、文章でこの委員会に出していただきたいということと、明らかに総理大臣が大統領と違う見解を表明しましたので、この件について我々はこの国会の場で質疑をしたいと存じますので、この委員会への総理大臣の招致を求めておきたいと思います。

 委員長、いかがですか。

安住委員長 理事会で検討します。

中谷委員 非常に大事な問題ですから、よく取り扱いをしていただきたいと思います。

 そこで、この協議会は、何で相手が大使級なんですか。こちらは外務大臣、防衛大臣、閣僚ですよね。これは何やら非常に、対等な協議と言えるのかな。日本が占領時代にGHQで、マッカーサー元帥がいて、それが大臣といろいろ話したというようなこともありますが、これが本当に対等と言えるんでしょうか。

 うがった見方でありますが、アメリカが何でこの協議会を認めたのかなと考えますと、これはキャンベルさんとお話しされたと思いますが、アメリカも困っているんですね。沖縄の米軍移転を進めるにはどうしたらいいかということで、この協議会をやらないと前に進まないんじゃないか、そのために協議会を設ける。そうなりますと、日本政府が決断をするための協議会でありまして、ここで協議をしますと、決断をしますと、やはりアメリカに迫られて決断をしたのかというふうに結果的になってしまいます。そうしますと、それこそ対米依存じゃないかという評価を得られるわけでありますが、この協議会のパートナーはだれなんですか。

岡田国務大臣 この協議会の設置は私とルース大使の間で先日決めたものですが、そのときの前提は、外務、防衛担当大臣、日米双方ということであります。

 ただ、現実に、この問題についてできるだけ早く、あるいは速やかに結論を出そうということになると、我々がアメリカに行くにしても、時間的な制約といいますか、国会も開いております、なかなかそう簡単にはいきません。アメリカ側が訪日するということもそれ以上に難しいことだと思います。

 そういう意味で、少なくとも国会開会中は、日本において、アメリカ側の両閣僚のかわりに大使が、若干アメリカ側も官僚が来ることになっておりますが、そういう形で作業をせざるを得ないということであります。最終的な結論は、両国の外務、防衛両閣僚間で合意をする、確認をするということになります。

 それ以降のいろいろな委員の御発言は、それは推測に推測を重ねるものであって、我々は対米追随とかそういう考え方は全く持っておりませんので。想像は自由ですけれども。

 以上です。

中谷委員 申し上げたいことは、日本国の大臣ですからね、相手は大使です、大使は全権大使ですからそういう権限は持っているかもしれませんが、交渉する相手ではありません。やはりアメリカ政府ときちっとした話をしてやるわけであって、これは一つの、アメリカ側も見るに見かねて、このまま放置できないということで設けてしまったというようなことでありますが、大使と大臣がぎりぎり話を詰めるという構図はおかしな構図じゃないでしょうか。

 せんだっても外務省に在日米軍司令官を二日にわたって呼んで話をしたわけでありますが、こんなことは局長級に任せるべきなんですよ。大臣みずからがそう話をしてしまいますと、それこそGHQの占領政策の中の日本ということになってしまうんじゃないですか。

岡田国務大臣 そこは考え方の問題で、私は、もちろん私のもとに優秀な外務官僚がおりますけれども、しかし、この日米合意をつくってきた人たちにいろいろなことをさせるに当たって、限界もあると思います。やはりこういう問題は政治主導でやっていかなきゃいけない、そういう思いで、私はこの問題にかなり時間を割いて、おっしゃるようにレベルが違うという見方もあるかもしれませんが、私は、レベルの問題ではなくて、どのようなレベルの人であっても中身がしっかりした人であれば、それにこだわらず大いに議論したいというふうに考えておりますので、先般そういう形でお呼びをしたということであります。

中谷委員 日本国の大臣ですからね。大臣は最後の最後の非常に大事な局面で判断を下す立場にありまして、そういう交渉とか確認は本来は局長級がやるべきなんですよ、外交官が。

 本質的にはこれは国内問題でありまして、先ほど下地議員が言ったように、過去の経緯を知りたいなら、我々の関係者でも結構ですし、国内のそれぞれ担当した者から聞いて、ああそうかということを確認した上で外国とお話し合いをするのが筋であって、こういう基本的な問題を米国と話すこと自体、私は外交力や国益を損することだと思いますが、大臣はそう思われないでしょうか。

岡田国務大臣 全く思いません。ですから、必要があれば、それは官僚であれ、日本人であれ、あるいは米国人であれ、どのレベルの方であってもしっかりと、実際に最も知識があり能力のある、そういう方であれば、私はそれにとらわれずに大いに議論していきたいというふうに考えております。

 官僚がいろいろなおぜん立てをして最後大臣がという御発想かもしれませんが、私はそういうふうに思っておりません。やはり政治主導で、大事なことは政治家が、つまり、大臣や副大臣、政務官が直接交渉して物事を決めていく、それがこの鳩山民主党政権の基本的考え方であります。

中谷委員 大臣はそれでよろしいかもしれませんが、日本の外交、また沖縄問題全体から見ると、これによりまして大変な混乱も生じておりますし、各認識も相当深刻に、状態が悪化をしているのじゃないかなと私は思っております。

 そこで、もうちょっと専門的に伺いますが、この普天間の解決策に嘉手納統合案というものがございます。

 先日、沖縄の嘉手納町長から我々も話を聞きました。十月四日に下地議員から嘉手納町長に嘉手納統合案について文書で内容の説明がありまして、政府の長島政務官が近々この内容をアメリカ政府に伝えるという話を伺いました。事実、この直後、十月の十五、十六日に長島政務官が米国に出張に行っておりますが、これは防衛大臣が長島政務官に行かせたことでございますか。

北澤国務大臣 そのとおりであります。

中谷委員 これは非常に重要なことであります。やはり協定というのは、何度も申しますが、国と国の約束で決まったことでありまして、当然アメリカはこれを履行するものだと思っていたところ、今さらながら嘉手納案が登場した。

 これは以前に検討してもう結論が出たことでございますが、長島さんをアメリカに派遣したというのは、大臣は私が派遣したと言いましたけれども、その目的はこの嘉手納案の協議ということでございますか。

北澤国務大臣 全くそのような個別の手法に基づいて米国を訪問するということではなくて、いよいよ我々がこれを任された以上、今米国はどういう考え方を持っているかということを広く検証してくるように、そういうことで命令をしました。

中谷委員 非常にいい出張だと思います、それこそ税金を本当に有効に使っているのかなと。

 広く見識を広めるということですが、長島政務官はもう就任前から非常にアメリカに精通しておられますが、では、今回出張して、どのような方と会ってどういう内容の話をしてきたのか、伺います。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 去る十月の十三日から十七日にかけて、北澤大臣の指示によって米国を訪問させていただきました。先ほど来お話がありますように、政務三役の一人として、この日米間の合意に係る検証作業の一環として米国を訪問させていただきました。

 訪問先でありますが、国防総省ではフロノイ国防次官、グレッグソン国防次官補、ヒックス副次官、メイバス海軍長官、マレン統合参謀本部議長、NSCではジョーンズ大統領補佐官、安全保障担当、こういう方々と検証作業の一環としてお話をさせていただきました。

 なお、この内容につきましては、日米双方とも詳細は公表しない、こういうことになっておりますので、御理解をいただきたいと思います。

中谷委員 米国は、その話を受けて非常に戸惑ったと思いますね。常識的には考えられないことでありますが。

 それでは伺いますが、きのう大臣は嘉手納町長とも会われましたけれども、このような今の状況でも嘉手納統合案というものをさらに検討、検証を進めていくという心境にあるのかどうか伺います。

岡田国務大臣 まず、今の委員のお話、これも誤解を招きやすいので私から少しお話ししたいと思いますが、長島政務官はアメリカに行って嘉手納の話をしたわけではありません。そのことはきちんと申し上げておきたいと思います。まるでそう話をしたかのような今のお話しぶりでしたから……(発言する者あり)

 今の私に対する質問の中でその趣旨のことを言われましたので、それは違いますということを申し上げておきたいと……(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

岡田国務大臣 後で議事録を確認してください。そういうふうにおっしゃったと思います。(中谷委員「だから、防衛大臣が命じて行ったというだけの話でしょう」と呼ぶ)

安住委員長 御静粛に。

 発言は委員長の許可を得てから。

岡田国務大臣 今の私に対する質問の中で、そうとられかねないような御発言がありました。それは違うということをまず申し上げたいと思います。

 さて、私、きのうも嘉手納の空軍基地を視察させていただき、そして関係の市長、町長とも意見交換をさせていただいたところでございます。

 私がかねがね申し上げておりますことは、今までも嘉手納統合案というのが案になったわけなので、それがどうして案になったのか、なぜだめになったのかということを検証する、このことを申し上げているわけであります。

 あわせて、嘉手納町長からは騒音の状況についてのお話がありました。私は、もし統合ということが実現するとしても、それは今の嘉手納の基地が与えている負担というものが今より減らない限り統合というのは案にならない、そういう前提での議論であるということを御説明申し上げたところであります。

中谷委員 大臣にはその嘉手納統合案がどうであるのかという認識を伺いましたが、細かいことはやめますが、やはり大臣としてもう少し高い見識とレベルを持って判断していただかないと、いたずらに時間だけが過ぎてしまいます。

 この嘉手納統合案等につきましては、もう過去アメリカも真剣に検討していまして、なぜだめなのかといいますと、やはりこれは空軍と海兵隊という非常に仕切りが強い、いわば軍の性格ですから仕方ありませんけれども、一つは文化の違いというものがあります。

 二つ目は、二つの部隊を一つの飛行場が管理するということは、その司令官において非常に責任を負いかねる問題も発生していますので、まさに運用上それはできないということであります。

 それから三つ目は、空軍の使い方において、アメリカは、プロバイダーといいますけれども、日本周辺の基地はある程度の単位の飛行機、航空機等の部隊を有して、実際のオペレーションにおいてはそこから飛び立っていく機能をしておりまして、そういうアメリカの空軍の運用等もあってできない。

 それからもう一つは、やはり有事なんです。平時だけじゃなくて有事にたくさんの航空機等が必要であるということで、できませんという結論を下しておりますが、このことをまだ御理解されていないんでしょうか、大臣。

岡田国務大臣 委員は大臣経験者ですからいろいろ御存じだと思いますが、文化の違いというものが、決定的に一つの基地に同居できないという性格のものなのか。例えば日本で、自衛隊の基地で、空軍と陸軍がそういった理由で同居できないという議論があったときに、そのことについてどれだけの賛同を得られるのかということも考えてみる必要があると思います。もちろん日本とアメリカは違いますから、同義には論じられません。

 そして、さまざまおっしゃった、例えば運用上の問題、一言で運用上の問題と言っても、それが具体的にどういう問題なのかということは相当詳細に議論、検討しなければ出てこないことであります。

 このほか、アメリカ側からさまざまな詳細な説明を受ける機会が私もありました。しかし、そういうものは大臣になって初めて接することができる情報でありまして、私たちが野党の時代にはわからなかったこと、あるいは与党であっても一般の委員の皆さんにはわからなかったことであります。そういうことを一つ一つきちんと押さえて、やはり大臣ですから、できないならできない、そのことを責任を持って言わなきゃいけませんから、そういうために時間をかけているということであります。これは私は外務大臣として当然の責任だというふうに思っております。

中谷委員 本当に認識が甘いんじゃないでしょうか。外務大臣ですから、当然大臣にはふさわしい見識と判断力は求められますが、もう就任して二カ月たっていますよ。

 それで、今まで情報を知らなかったと言いますけれども、私は、きょうは国会の場ですから、国の重要な政策について国民を代表して質問をいたしております。しかし、本件についてはまだ知らないので勉強させてくれという姿勢は、これは一般社会で通用するんでしょうか。例えば、株主総会で社長さんに質問して、社長さんが今勉強させていただくと、これは罷免物ですよ。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

中谷委員 やはり経緯を部内の局長からよく聞いてください。我々は今までやっていました。もう一歩、もうそこまで来ていたんですよね。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

中谷委員 沖縄の工事等についていよいよ沖縄から意見を出して、それに対して政府は、本年中にお答えを出して来年の予算に盛り込むという作業を、もう十一月ですからしなきゃいけないんです。それがないと来年の予算は組めません。

 この点、沖縄からボールが今政府へ来て、まさに政府が答えを出さなきゃいけない時期でありますが、防衛大臣、沖縄に対してこの工事のことを進めるつもりがあるのか、伺います。

岡田国務大臣 委員いろいろおっしゃいますけれども、今の御発言を聞いておりますと、確かに委員が大臣のときに相当詳細に事態を把握されておられたのかなというふうに思いますけれども、やはり防衛大臣にしても外務大臣にしても、その責任が非常に大きいわけで、一日二日でそれについて習熟できるようなことではありません。相当深く突っ込んだやりとりをしているということであります。そして、そういうことが必要だからこそ、アメリカ側もワーキンググループをつくるということを認めたわけで、ここはしっかりと、私は、外務大臣としての責任を果たすために、私なりに納得できるところまできわめなきゃいけない。もちろん時間の制約があることは事実であります。そういうふうに考えております。

 それから、ちょっと先ほどの発言を訂正させていただきますが、空軍、陸軍という言い方をしましたが、自衛隊は空自、陸自でありますので、訂正をさせていただきたいと思います。

北澤国務大臣 お答えをいたします。

 御指摘のように、防衛省は予算の編成が待ったなしのところへ来ておるわけでありまして、当面、概算要求には前政権の予算を仮置きしてあります。

 本予算の編成につきましては、できれば十二月末に本予算の編成をするきちんとした方向性があればいいわけでありますが、御案内のように日米の協議がきょうから始まる、こういうことでありますから、その推移を見ながらやっていきたい。

 ただ、これは日米間の中にあって両国で一たん合意をしているという現実もあります。そういう中で、協議が進行中ということを踏まえると、極めて慎重な取り扱いをしなきゃいけないということでありますので、私の答弁はこの程度で御理解をいただきたい。

中谷委員 それによって沖縄の皆さんは大迷惑をいたしております。

 今まで手順に従って環境評価をいたしまして、沖縄県も誠意を持って、沖縄県民としてはこうなんだということを知事がお答えされました。それに対して国は、その意見を踏まえてお答えを出してあげないと、それこそ先ほど下地議員が言われましたが、名護の市長選挙、沖縄の県知事選挙がありまして、この政府の対応というものが非常に市長を苦しめるものになっております。前の岸本市長などは、国の安全保障のためにみずからの身分を賭して、まさに命をかけて決断をした経緯もございますが、早く示してあげないと、来年の予算では、これの変更等で工事ができないという状況になります。

 大臣、この環境評価等の修正等のために、政府としては、沖縄県に対してお答えをするという作業を急いでやる意思はありますか。

北澤国務大臣 沖縄の皆さん方が迷惑をこうむっておる、こういう前提でのお話でありますが、さきの衆議院選挙、そして県議選で沖縄の県民の考え方が大きく変化をしたという現実があるために、我々も今検証作業を進めておるわけであります。

 我々は、基本的には政府がこれを決定するということに何の問題も覚えてはおりませんが、しかし、そういう決断をする中で、沖縄の皆さん方の政治に対する考え方、また米軍再編に対する考え方、そういうものを全く考慮しないで、今まで決まっていたからそのとおりにしていいということではない。

 したがって、このことを一気に進めることによってむしろ不満や不平を持つ県民の皆さん方もはるかに多くおいでになるということで、我々は今苦慮している、こういうことであります。

中谷委員 これは、年末の予算編成を控えまして、防衛大臣は予算を提出する責務がありまして、悠長な話ではありません。今、極めて無責任な御答弁でありましたが、しっかりとした腹構えがなければ、さらにこの事態はより解決が図れない状況になってしまいます。

 嘉手納案について最後に申し上げますが、これは基地を恒久化するものじゃないかということにつながりますが、大臣はそういう認識がありますか。外務大臣、嘉手納案について。

岡田国務大臣 ちょっと質問の趣旨がわかりませんが、どの基地を恒久化するという意味ですか。

中谷委員 普天間基地が嘉手納に行きますと、もう行き場所がないんですね、しばらくは。しかし、辺野古の沖にヘリポートができますとそこへ行きますが、嘉手納へ行きますとヘリポートもつくらない、ということは、ずっと嘉手納に海兵隊がいるということにならないんでしょうか。

岡田国務大臣 恒久化の意味ですけれども、辺野古にヘリポートをつくれば、まあヘリポートといってもこれはかなり大きな構造物でありますが、それは恒久化ということではないかと思います。嘉手納に統合すれば恒久化という言い方も言えるかもしれませんが、将来的にそれがずっと存在するのかどうかというのは、さまざまな可能性もあるというふうに思います。

 いずれにしろ、嘉手納統合ということを案として正式に打ち出しているわけではありませんので、余り先の話まで言及するのはいかがなものかと思っております。

中谷委員 外交、安全保障というものはもっと多元的にとらえてもらわないと、それこそ在日米軍の機能、役割、こういうことも頭にないとおかしくなってしまいます。つまり、嘉手納基地には電子偵察機とかコブラボールという核実験、核弾頭を計測するような飛行機もありまして、米軍等にとりましても、極東の安定のために非常に重要な役割を果たしておりますし、この海兵隊も東アジアの情勢にとっては必要なものとして存在をしている、そういうことも考えて御判断をいただきたいと思います。

 そこで防衛大臣に伺いますが、大臣は就任早々、先島における部隊配置、これはいたずらに緊張関係を高めるので慎重にしたいんだという発言をされました。これは、いたずらに緊張関係を高めるというのはどこの国とのことですか。

北澤国務大臣 これは就任直後の記者会見で申し上げたわけでありますが、政権がかわって、今までなかったところへ部隊を配置するということを私の立場で早急に言う必要はない。しかし、その背景には、新しい政権がすぐに新しい軍の配備をするということによって周辺諸国から懸念を抱かれるということは、政権にとってはプラスではありませんので。

 ただ、この問題につきましては、私も防衛省の方へ指示をいたしておりまして、本当に必要なのか、本当に必要なのであればきちんと上申してこい、こういうことをやっております。

 報道されたように、ただいたずらに、前政権が、言葉が悪いかもしれませんが、及び腰で考えていたことをすぐ我々がやるということではなくて、しっかりした見識のもとに決めていきたい、こういうことであります。

中谷委員 柔軟な対応を考えるというお答えでありまして、それはそれでよろしいと思います。

 とにかく、この交渉というのは思いつきでやったのではなくて、米軍再編、海兵隊の司令部が移転するとなりますと九州南西地域の安全保障をどうするかということに基づいて進められたわけでありますので、状況を見ながら、私は必要だと思っておりますが、そういう点もぜひ安全保障としてお考えをいただきたいと思います。

 次に、インド洋の洋上補給支援について伺いますが、防衛大臣、インド洋の補給支援をどうしてやめてしまうのか、その理由を聞かせていただきたいと思います。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 少しそっけないのかもしれませんけれども、我々の立場とすれば、法律に基づいて展開しておるわけでありまして、法律の効力がなくなればその任務は終わった、こういうことであります。

中谷委員 それでは、評価について伺います。

 法律が切れるからやらないということでありますが、大臣は九月十七日の会見で、インド洋の活動の評価が極めて限定的であると認識していると発言をされました。これは、インド洋の補給活動の評価が限定的でしかないという意味でございますか。

北澤国務大臣 経過を見ますと、給油を受ける国が特定されてきたということと、それから回数が極めて少なくなってきたということ、さらに申し上げれば、ゲーツ国防長官と会談をいたしましたときに、この問題についてはアメリカは既に受益国ではない、日本が決めることだと。アメリカが言ったからやめますよという話ではありませんけれども、これも世界情勢の情報収集の中の一環だという判断をいたしております。

中谷委員 回数で評価をされますが、やはり私は、機能や目的、役割、これで評価をすべきだと思います。

 実際、隊員は、八年間にわたって、五十度を超える炎天下で、あのインド洋の真っただ中で歯を食いしばって活動をしていまして、それこそ彼らには誇りがあるんです。やはり国際社会で自分たちは評価をされ役に立っているんだ、だからこそこういう厳しいこともやっていくんだという思いで現在もなおやっておられますが、そういう隊員に対して評価が限定的ということは、これはトップの発言としては非常に寂しい発言でありますが、隊員に対してどう思われますか。

北澤国務大臣 これは私もたびたび申し上げておるんですが、隊員に対する評価というのは、私は今責任者として、中谷元防衛相と全く変わりはありません。よくやっていただいているというふうに思っております。

 ただ、私も参議院で外交防衛委員長を一年半ほどさせていただきましたが、国会論議の中で、隊員が過酷な条件の中で非常によく任務を果たしている、そのことを持ち出して政策の正当性に結びつけるような議論が盛んに行われる、私、これは間違いだと。政策は政治がきちんと決めるのであって、その政策に基づいて任務を果たすのは自衛官の仕事でありまして、私は、そういうことにおいて、自衛官に対して大きな誇りを持っております。

中谷委員 それでは伺いますが、その政策としての派遣については極めて限定的だということでございますか。

北澤国務大臣 これは、自衛官を派遣するということ、それから世界情勢の中で日本がどういう貢献をするかということは、挙げて鳩山内閣が決定することでありまして、私も一防衛大臣として意見は申し上げますけれども、あくまでもそれは内閣として決定することで、私が今ここで、特に私の立場で私の意見を申し述べることはないというふうに思っています。

中谷委員 やはりそういう思いがあれば、大臣ですから、すぐに撤退させる理屈になってしまいますからね。これだけ国際社会から評価がある内容で、立派な仕事でありますので、それなりの誇りを持って評価をすべきだと思います。

 外務大臣に伺いますが、では、これのかわりに、今回、アフガン支援、五十億ドル支援をするということでありますが、この五十億ドルの内容について、どういう内容なんでしょうか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 アフガニスタン及びパキスタンは、これまで断固としてテロと対峙してきておりますが、両国は依然として厳しい状況にあり、国際社会による一層の支援が喫緊の課題でございます。

 今般の支援策は、まず一点は、アフガニスタン自身の治安能力の向上、二点目、元タリバン兵、末端兵士の再統合、及び三点目、アフガニスタンの持続的、自立的発展のための支援を柱として実施するもので、これは、アフガニスタンの安定と復興を目的とし、この地域に真に必要とされる支援のあり方について包括的な検討を行ってきた結果でございます。

中谷委員 五十億ドルといいますと五千億円近くですよね。インド洋の支援等については、今、支援体制が年間幾らぐらいかかるかというと、七十億円です。七十億円で済んでいたのが年間一千億以上のものを払うということは、今、刷新会議をやっていますよね、これにひっかかりませんか。

古川副大臣 今、行政刷新会議の方で、事業仕分けというもので、これまでの既存の事業を中心に見直しをさせていただいております。ですから、今やっております事業仕分けというのは、基本的には、これまで行ってきた事業を中心にいたしまして、本当にそれが必要なのかどうかというものを外部の目やあるいは公開の場というところで判断をするということでございます。

 今御質問のございました五十億ドルの支援というお話でございますが、これはまだこれから実施をするということでございますし、まさにこれはそれぞれの政府の中の関係のところで議論をして決めておいていただいている話でありまして、その場においてその有効性等も含めて十分に検討されて決められたものというふうに認識をいたしております。

中谷委員 きょうは、わざわざ来ていただきまして、ありがとうございます。

 しかし、この仕分けの作業等について、予算の無駄の撲滅とか有識者の知識を活用するという点につきましては賛同できるんですけれども、国家と国民を守る防衛とか外交、こういう問題において、限られたメンバーで議論をされて削減等をされますと、それこそ国家の機能が果たし得ない状況になってきますし、また、防衛問題等は、国家機密上の制約等もありまして、国民の、テレビの前で議論できるような問題すべてなわけではないということですが、この点はどう考えておられますか、外交、安全保障は。

古川副大臣 お答えいたします。

 先ほど北澤防衛大臣からもお話がございましたが、先ほどの、政策的な話と、隊員が決められたところで仕事をしているという話とは違う話だというお話がございましたけれども、この予算といいますか事業の見直しというのも、防衛政策を行うそのこと自体と、そこで行われている事業、当然そこにはいろいろな人がかかわったりしているわけでございます。では、そういう事業自体の目的の問題と、そしてその事業の行われ方、それが例えばどういう、本当に必要な最小限のコストで行われているのかどうかとか、そういう問題はまた別の問題だというふうに考えております。

 今私どもが行政刷新会議のもと行っております、ワーキンググループでやっております事業仕分けという作業は、そうした政策の目的云々が正しいかどうかということよりも、やはり中心は、事業の行われているあり方、また必要性等がどうなのかということを虚心坦懐に外部の目も入れて行っていこうということでございます。

 当然、防衛機密やそういう外交上の問題、そうしたものはまた別の観点で十分配慮していかなければいけないというふうに私どもも考えておりますので、そういうのは十分配慮した上で、やはりどんな予算であっても、それは国民の目線でチェックするところはチェックする、そういう立場でやっておりますので、御理解をいただきたいと思います。

中谷委員 そこで、では外務大臣と防衛大臣に伺いますが、HNS、ホスト・ネーション・サポート、これが事業仕分けに該当しておりますが、この点について両大臣の所見を伺いたいと思います。これはそれにゆだねていいものかどうかという点について。

岡田国務大臣 私は、行政刷新会議というのは、民間の力もかりながら、無駄遣いがないかどうか、いわばその分析を行うということでありますので、基本的に、何をそこにかけるかということは別に聖域があるわけではないというふうに思います。ただし、最終的に決定するのは政府でありますので、行政刷新会議の結果をそのまま政府が受け入れるということでは必ずしもない、政府が決めるに当たっての重要な参考資料といいますか、そういう位置づけだというふうに考えております。

 そういう意味でいえば、ホスト・ネーション・サポートについても、それが頭からいかぬということでは必ずしもないというふうに思っております。

 ただ、今、そういったホスト・ネーション・サポートについても見直しをすべきだという議論、これは行政刷新会議だけではなくて、そういう議論がいろいろあるわけですけれども、私の思いとしては、やはりいろいろなメニューを全部机の上に並べて日米間でやるというのは決していい結果を招かないというふうに思っておりまして、先ほど来委員との間で議論させていただいたロードマップの合意の履行の話、その検証を今やっているわけですから、そのことにまずしっかり取り組むべきだろうというふうに思っております。ホスト・ネーション・サポートについては、一年後に見直しの時期が参りますので、少し時間をかけるべき問題かなというふうに考えております。

中谷委員 わかりました。

 防衛大臣には次に伺いますが、いずれにしましても、認識をもう少ししっかり持ってもらわないといけません。日米同盟をしっかり守るということもありますので、ただ単にこういう場で議論できる問題ではないと私は思っております。

 それで、最後に申し上げたいのは、税金の使い道からいたしますと、年間七十億で済んでいた、非常に高い国際評価、いわゆるローリスク・ハイリターン、そういうインド洋の支援活動をやめて、五年間で五千億もかけてお金をやる。

 せんだって、鳩山総理は、オバマ大統領が感謝すると言ってくれたと発言していましたけれども、これは感謝してもらいたいからやるんですか。お金を出すから何とか感謝してねという話では先祖返りも甚だしいわけであって、やはり国際社会が求めている人的な、目に見える、汗をかいた貢献というものがいかに大切かということを御理解いただきたいと思います。

 大臣に伺いますが……

安住委員長 中谷君、時間がオーバーしております。

中谷委員 はい。

 この点について、最後に、外務大臣、何でインド洋の支援をやめるかということについて伺います。

安住委員長 手短に。

岡田国務大臣 失礼ながら、今、委員のお話を聞いておりますと、私は違和感を感じました。つまり、安いからやるんだというふうにも聞こえかねない御質問で、それは私は、現場の自衛隊、頑張っている皆さんに対しても失礼だというふうに思います。

 そして、中身の問題として、今まで、日本国政府、自民党政権のもとでも二十億ドルの支援をやってまいりました。私は、この支援の中身は立派なものだというふうに思うわけです。農業の指導をやったり、教師の育成をしたり、学校をつくったり、そういう形でアフガニスタンの復興支援のために日本は汗を流してきたし、負担もしてきた。その延長線上で我々は、その二十億ドルがほぼなくなりましたので、今回五十億ドルということで支援を決めました。

 アメリカも、オバマ大統領になってかなり考え方が変わってまいりました。やはり戦うだけではだめで、たたくだけではだめで、やはり民生支援、タリバンに行っている人たちを引き戻して、そして生活を安定させるということがなければアフガニスタンの真の安定はない、そういう考え方になってまいりました。

 そういう意味においては、今、日本の考え方とアメリカの考え方はかなり近づいてきている、そういうふうに私は認識しております。非常に重要な支援だと思っています。

安住委員長 中谷君。大幅に時間をオーバーしております。

中谷委員 感謝するというのじゃなくて、評価をされるという意味で、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

安住委員長 二時間の会派の時間の中でやっていただくということで、時間を調整いたします。

 次に、新藤義孝君。

新藤委員 自由民主党の新藤義孝でございます。

 防衛、外務両大臣の所信に対する質疑をさせていただきたいと思いますが、まず、外交と安全保障、これは国家の礎であるということは言をまちません。そして、この進路を誤ることは絶対にあってはならないことだ、このように、言わずもがなのことでございますが、私は、まず最初にこれを皆さんと一緒に誓いたいと思います。

 そして、この私たちの国がかつて大きく進路を誤ってしまったことがありました。もうこれは二度と繰り返してはいけない、二度と戦争の道に歩んではいけない、こういうことで我々は平和国家をつくってきたわけです。しかし、その大もとの進路を誤ってしまった最大の原因は何かというと、一つの大きな力があって、独善的になって、非民主的な国家運営が行われるようになって、そして誤った進路を転がり落ちるように、また戻れなくなってしまった。私は、これは今の日本の国会議員として全員が絶対に犯してはならないことだということ、これをしっかりと最初に確認したいと思うんです。

 ですから、安全保障委員会の議論というのは、与党だとか野党だとかそういったものの枠にとらわれなく、国のために、みんなのために、そして全体のために、こういうことで真摯な議論をしていきたい、このように思っているんです。そして、日本の、一国だけのことではなくて、世界の平和と安定のためにも我々が十分な貢献と活動を行うんだ、こういう根本は変えてはいけない、このように思っております。

 その意味におきまして、まず、この委員会の審議をしっかりと充実させていただかなきゃならない。ですから、十分な審議時間と日程はぜひ確保していただきたいということ、これは私、委員長にもお願いをしておきたいというふうに思います。

 それから、政権交代が起きて、皆様方がそちらにお座りになっているわけでございます。これは大臣、副大臣、政務官ということで大変激務だと思います。私も多少経験しておりますから、本当に切りがないほど仕事があるわけですね。そういう中で、国家の運営と国民の暮らしに責任を持つ、そして国民の生命と身体の安全と自由、財産を守る、こういう極めて重い覚悟を持たなければいけないよということを申し上げて、そして、まずは頑張っていただきたいとエールを送りたいというふうに思うんです。

 そこで、まず、米軍再編、普天間基地の移転の問題、これについてやはり私も聞かせていただきたい、このように思うのでございます。

 岡田大臣、本当にお疲れさまで、顔に疲れが出ていますよね。本当に悩みも深いんじゃないか、眠れないときもあるんじゃないか、このように思いますけれども、とにかく一国の、これは日本の基軸を揺るがす問題に発展しかねない。

 この米軍の普天間基地の移転の問題、これは、日米安全保障体制を基盤とする日米同盟、それは我が国の安全保障の基軸であると両大臣が所信で述べられました。そして、この鳩山政権は同盟関係をさらに五十年先まで持続可能なものにするんだ、それには、来年の安保の条約改定五十年を迎えて、さらに日米関係を重層的に深化、発展させていこう、そのための協議機関も設けるということですね。その中で行われるのは、米国の核の傘による拡大の抑止、それからミサイル防衛や宇宙利用、こういうことに対して米軍と自衛隊の相互の連携強化、こういったものをやっていこうということが私は大きなイシューになると思うんです。

 だとするならば、その大もととして、これらの日米安全保障体制の大前提は基地問題になるわけです。ですから、この問題で、極めて良好だった、そして良好であると今も思っておりますが、その日米関係にぎくしゃく感が出ている。そして、アメリカからは鳩山の歌舞伎ショーだなんというような声も聞こえてくるようになってしまった。これはお二人の大臣は心を痛めているに違いない、このように思うんです。

 特に、政権がかわって検証するんだ、あらゆることを含めて検証して結論を出すんだ、こういうふうにおっしゃっているけれども、米国側は、二〇〇六年の日米合意のときの実務責任者だったローレスさん、この人が言っている話、これは、我々は自民党でなく日本政府と合意した、オバマ政権もブッシュ政権が行った合意を尊重している、普天間基地は日米同盟のエンジンだ、これがアメリカ側の考えではないかな、このように思うんです。

 そして一方で、これまた、今の鳩山政権の普天間飛行場の移設問題の取り扱いは外交の内政化ではないか、東大の先生でしたけれども、こういう指摘が出ておりまして、私は、これはまことに言い得て妙だな、こういうふうに思っているんです。

 総選挙のときにマニフェストで出しました、それから沖縄の民意で、選挙で民主党の皆さんがたくさん勝ちました。しかし、いろいろな争点があって、マニフェストの中にたくさんのことがあって、そして何よりも、今回の政権交代というのはやはり今までの自民党政治を変えたい、こういう中で起きたものだとするならば、その大きな流れと、マニフェストの中に一つ書いてあったからこれもやらなきゃいけませんよという、まさに外交の内政化が進んでいるんだとするならば、これは早くどこかの時点で切りかえなければいけない。いつまでも野党のころのものに縛られていてはいけない。

 今、皆さんは重い責任を持って、政権をとり、日本の大臣として活動するわけですから、私は、ここのところをぜひ、追及するというよりは、こういうことをお互いに了解しようじゃないかということがとても大事だと思っているんです。これまでの日米政府間の外交合意が国内政治事情で否定されていることはあってはならないことですよ。普天間の先送りは絶対にやってはいけない、これを基本に置いて質問したいと思うんです。

 まず防衛大臣、防衛大臣はこれまで、今回の所信でも、日米両国の合意を極めて重く受けとめる、米側と十分に意見交換、関係閣僚との連携を密に解決の道筋を追求すると述べられております。そして九月二十六日には、県外か国外だとかなり時間がかかる、こういうお話をされました。十月の二十七日には、現行案が公約を満たしていないという認識は間違いだ、こういう御発言もされています。そして十一月の十二日には、迅速に解決策をつくり上げたい、こういうふうにずっと今までおっしゃっていますが、これは、現行合意案を基本に年内に決着させたい、そういうお考えを述べたものと受け取ってよろしいでしょうか。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 新藤議員とは初めての質疑の場でありますが、新藤委員が冒頭に申されました、昭和の初期から中期に至る我が国の軍部の台頭、これに対する認識は私と全く同じでありまして、我々の先人の明治の偉人たちが築いた近代国家を台なしにしてしまったという認識はお互いにぜひ共有をし合うべきだ、そしてまた新しい国づくりのためにそれを大切にしていかなきゃいかぬ。

 余談になるかもしれませんが、新藤委員のおじいちゃんであります栗林中将は我々信州人の誇りでもありまして、特に、今、本家を守っております栗林先生は私の出身の中学校の校長先生もしていただきました。また、その栗林中将の奥さんは私の家から三百メートルぐらい離れたところ、これは親戚じゃなくて、たまたま同じ栗林家からお嫁に行かれたわけでありまして、いずれの日にか新藤議員と議論をすることがあれば楽しみだな、こう思っておったわけであります。

 お国自慢をするわけではありませんけれども、昭和の陸軍の中で、相沢中佐に斬殺された永田鉄山、そして栗林中将、今井少将、これは全部信州の生んだ陸軍の俊英であります。そしてまた陸軍の知性だとも言われて、お三人とも国際感覚が極めて豊富であったということで、ここで議論することを大変名誉に思っておるわけであります。

 そこで、私がずっと申し上げてまいりましたことは今御指摘のとおりでありまして、私は、日米合意というのは重く受けとめなきゃいかぬ、しかし、その重く受けとめるべき中身について、先ほど来外務大臣も申し上げておりますが、我々野党が与党に転換して国会の中で大きな勢力を得た、この者たちがこの件についてつまびらかにされていない、それを検証することは極めて重要だというふうに思っておりまして、このことは御理解をいただけるというふうに思います。

 そこで、では、早く、迅速に、こういうことでありますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、防衛省とすれば、予算の日にちが目の前に迫っておりますから、一刻も早い結論が出て、予算に反映できるような状態を一番希望しておるわけでありますが、今の状況からすると極めて難しい問題が山積しております。

 岡田大臣と協力をし合いながら、今後、ワーキンググループで一日も早い結論を導き出して、日米の将来にとってよりよい方向性を打ち出していきたい、こう思っております。

新藤委員 大臣にそういう郷土のことを言われてしまいますと、非常に追及が、ますますしっかりやらなければいけない、こういうふうに思います。また、そのように信州の先人の皆さんの御苦労というものはもうお互いによくわかっておることでございますから、そういったことを心にとめていきたい。触れていただいてありがとうございました。

 それでは、岡田外務大臣にお尋ねします。

 外務大臣も、所信においては「できるだけ早期に結論を得ていく」とおっしゃっています。そして就任時には、百日以内に結論を出す、こういうお話もされておりましたね。ところが、大臣の御発言は、九月の十六日の時点では、県外、海外移転の姿勢は変わっていない、選択肢をふやすこともある。十月の二十三日には、事実上県外という選択肢は考えられない、嘉手納との統合も一案だ。十一月の八日には、テレビ朝日の番組で、結論は十二月いっぱいが一つのめどだが、それを越えてしまうこともあるかもしれない。そして、十五日、沖縄に行かれては、基地問題は基本的に国が判断する問題、名護市民に正否を問う形はあってはならない、申しわけない、できるだけ年内に結論に至りたい、来年一月の名護市長選前に結論を出したい、嘉手納統合案については、地元は強く反対しており、非常に狭い道を通らなければならないと。

 そのときそのときでしっかりと御発言をされているんですが、変わっているということなんですよね。そこが今非常に日本の外交、安全保障体制の中で心配になっていないかと思っているんです。

 まず、今、岡田大臣は、だから結局、この普天間の移設問題は、どこの場所で、いつまでの時期にやろうとしているのかの大臣としての具体的なお考えを、それは最後はみんなで検証するんですよ、でも、大臣としてはどういうことを主張されているのか、はっきりさせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 大臣としての主張を余り言いますと、またばらばらだ、こういう御批判もいただくわけですが、私は、大臣就任以来、その当日に申し上げた、百日以内の課題として三つ挙げましたが、そのうちの一つが、米軍再編、沖縄の基地問題ということであります。

 百日というのは年内ということで、それまでにめどをつけたいという趣旨で申し上げました。今も基本的にその気持ちは変わっておりません。できるだけ早く、迅速にというのも、それは別に日米間で期限を切ったわけではありません。しかし、先ほど北澤大臣も言われたように予算要求もありますから、年内にという思いはあるということであります。しかし、最終的に総理が、これは私が決めるというふうにおっしゃっています、まあ当然のことですけれども、最終的には閣議で決めるということになるかと思います。

 そういうことを考えますと、私の思いは思いとして、それですべてが尽くされるわけではありませんので、若干年を越える余地もあり得るということで答弁もさせていただいているところでございます。(新藤委員「どこの場所にするんですか」と呼ぶ)

安住委員長 発言者は手を挙げて。(新藤委員「今、質問の中で申し上げたんですけれども」と呼ぶ)

 もう一回。

新藤委員 大臣は、今その場所として嘉手納統合案というものを追求されているんでしょう。それはどうなんですか。

 ですから、いろいろな検証をするけれども、大臣は嘉手納に持っていったらいいといまだにまだ思っているのか、そこをはっきり教えてもらいたいんです。

岡田国務大臣 私個人がどこがいいとか悪いとかいうことはありません。ただ、これは沖縄でも御説明申し上げましたが、そもそものスタートは、普天間の危険な状況を早期に除去するということなんです。長く放置すべきでない、そういう前提に立てば、時間のかかる解決方法というのはだめだということになります。

 そういう観点から、既存の滑走路を活用できる嘉手納というのは一つの候補であります。しかし、過去に、その嘉手納統合案というのは持ち出され、そして最終的には採用されませんでした。どういう理由で持ち出され、どういう理由で採用されなかったということを検証したいということを申し上げている、それ以上でもそれ以下でもございません。

新藤委員 とても優秀な方だと存じ上げていますから、結局、言葉がどんどんどんどん走っていっちゃうんですよ。

 検証をするというのは、では、いつになったら終わるのかということになるじゃないですか。何度もいろいろな話を聞かれているわけでしょう。それから、きょうの質疑の中でだって随分勉強もされている。

 そもそも最初は、検証というのは、日本側で、民主党政権が政権内でやるとおっしゃっていたんですよ。でも、いつの間にか政権内の検証はどこかへ行ってしまって、日米の協議、ワーキンググループをつくって、そこで検証していくんだに変わっちゃったんです。では、今までの日本側の検証はどうだったのという、その途中の経過も、どんなことを検証しているかも全く見えてこないで、言葉だけが進んでいるという状態なんです。

 それで、大臣、本当に気をつけていただきたいんですけれども、例えば、最初は県外移転もあり得るよと言ったのが、県外という選択肢は考えられないと十月二十三日におっしゃっていますよね。ところが、先ほど下地委員が関空がどうだとか佐賀空港がどうだと言ったら、日本全体の中で考えていきたいとおっしゃっていましたよ。

 だから、それは目の前で言われたことにきちっと、言葉をきちっとやることによって、後からすれば、これはまた、では岡田外務大臣は、県外、日本全国、もしかして関空、いや民間空港に沖縄の基地を持っていくということまで模索かなんて、それが書かれちゃうんじゃないですか。質問じゃないんです、そういうのをちょっと気をつけてもらいたいんです。

 それで、もう一つあるんですよ。十一月の十三日の報道記事ですけれども、外務大臣は、現行計画に反対する大きな理由は、代替施設の建設費四千億円が公共事業として高過ぎるじゃないか、米軍が持つ嘉手納飛行場に統合すれば安く済むと周辺に語ったという記事なんです。本当かどうかわかりません。でも、記事はそう書いてあるんです。

 それは例えば、これは公共事業として高過ぎるからもっと安い道を探ろうねというふうにおっしゃったんだとすれば、今最後に中谷委員からの質問で、アフガンが、安いものだった、要するに予算が少なくて済んだのに、今度は多額の予算をかけることになるじゃないかと言ったら、いや、安ければいいというものではないんですよと、全く逆のことをおっしゃっているわけですよ、というふうになっちゃうんです。

 ですから、そこはぜひちょっと、やはり大臣としてお気をつけいただきたいと思います。

岡田国務大臣 まず、議論の前提として、委員も政治家ですからよくおわかりだと思いますが、報道というものを前提に議論するのか、あるいは、こういう場で議論するときに、その報道のもとになった議事録などが公表されているときはそこまで戻って議論するのかということは非常に大事だと思います。

 政治家が特に政府の人間として発言しているときに、それがそのまま引用されずに、都合のいいように勝手に加工されて書かれるということはよくあることで、そのたびに抗議はしたりいたしますけれども、実際にはそういうことは多々あるわけであります。私は、今までの発言について、責任を持って発言してきておりますし、それがあちこち行っているというふうには全く思っておりません。

 それから、先ほどお話しのこの委員会における発言ですが、私が申し上げたことは、この基地の問題というのは、単に沖縄県民にそれを押しつけるのではなくて、日本全体としてその痛みを思い、そして分かち合わなきゃいけない問題だ、そういう趣旨で申し上げたのであって、別に、沖縄以外のどこに、下地さんの質問に直接答えて民間飛行場を使えとかそういう趣旨で申し上げたことでないことは、議事録を後でごらんいただければはっきりわかることだと思います。

新藤委員 それはお互い政治家ですし、報道というのはどういうふうにつくられていくかというのは、これは日々の中でお互いが経験していることでございます。それでも、そういうものを、大臣となれば非常に発言は重いわけでございますし、またこういう情報化社会ですから、よくよく気をつけていただかなきゃならないし、まず、その報道に語る前に、自分たちの指針が、自分の指針がぶれるようなことがあるとこういうことにもなるということなのでございまして、ぜひ気をつけていただきたい、このように思います。

 そこで、このぶれるというのは、今や、ぶれる代名詞はこれはもう鳩山総理、こういうふうになっちゃっているわけでございまして、日米首脳会談があって、そしてその後の鳩山総理の対応について、これはどのように考えたらよろしいんでしょうか。

 十三日の首脳会談では、共同記者会見によって、総理はオバマ大統領にできるだけ早く結論を出すと回答し、大統領は迅速に処理されると理解すると言った。そして、十四日の東京のオバマ大統領の演説では、普天間問題に関する日米の作業部会は現行移設計画の履行が前提となると日本側も同意したと述べている。ところが総理は、十四日、シンガポールで記者団に、名護に移設する現行計画にはこだわらない、そして年末までにと大統領に約束したわけではない、このように言っている。

 これは、この日米の首脳会談に外務大臣も防衛大臣も同席されていたわけですから、同席されていた、そしてその後の共同記者会見で行われたことが、翌日になって、そうではないんだとどんどん変わっていってしまう、このことについて、これは事実なんですか。ぶれていないんですか。どうですか。

岡田国務大臣 まず日程的なことを言うと、日米首脳会談で期限について何か約束をしたということはありません。できるだけ早く、迅速にということであります。

 それから、先ほどもちょっと議論になったんですけれども、鳩山総理の御発言は、オバマ大統領としての気持ちとすれば日米合意というものが前提となっているというふうに思いたいでしょうけれども、合意が前提となっているんだったらワーキンググループもつくる必要がないわけです、こういうものであります。

 つまり、ここで言う前提ということの意味ですね。確かに、もう全部決まっていて動かし得ないんだということであれば、ワーキングチームをつくる必要はありません。このワーキングチームというのは、そもそも、変えるか変えないかという以前の問題として、過去の決定について検証しようということでありますので、変えるとか変えないとか、そういう次元の問題ではないということであります。

新藤委員 それでは、アメリカと日本の解釈は違っていないということですか。

岡田国務大臣 解釈が違っているはずはありません。必要があれば、きょうのワーキンググループの中でそのことを確認したいと思います。

新藤委員 ですから、大臣、こういうところを考えてもらいたいんですよ。

 いいですか、総理は何とおっしゃったんですか。今大臣が御答弁されたとおりのことをおっしゃったんでしょう、オバマ大統領は日米合意が前提になったと思いたいだろうが、合意が前提なら作業部会もつくる必要がないと。前提となったとオバマさんは思いたいだろうがということは、思っていない、自分は違うよということじゃないですか。日本とアメリカは違っているということを総理大臣が認めているじゃないですか。

岡田国務大臣 ですから、前提ということの意味合いを違うように考えているんだと思います。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

新藤委員 これは、国内において、米国政府、またアメリカの大統領に対する背信行為ではないかということまで言っている人もいる。それは相手がどう感じるかなんですけれども、この問題が起きて以来、アメリカ側からこの日米の発言のずれについて何かコメントは出たんですか。

岡田国務大臣 何か発言があったということは承知をしておりません。

 いずれにしても、きょう、たまたまワーキングチームが開かれますので、誤解を招きやすい表現がどちらかにあったとすれば、あるいは双方にあったとすれば、その誤解がないようにしておかなければいけないというふうに思います。

新藤委員 これは本当に言葉が走っていっちゃうんです。私は、ぜひ慎重にやっていただきたい、このように思います。

 そこで一つ、私は、民主党政権の政策決定の仕組みが大丈夫かということを申し上げたいんです。

 それは、結局、今民主党の中でどんな議論が行われているのか。普通、こういう場合、普通というか、今まで私たち自民党が政権を担っていたころは、こういう大きな問題があれば、必ず関係議員が集まって、わいわいわいわいやりました。それは推進派もあれば消極派もいます。わいわいがやがややって、国会議員はみんな国民の代表ですから、そうやっていろいろな議員が意見を言い、専門家の話を聞き、役所の人たちとも話をして、そして閣僚とも意思の疎通を図り、そういう中で方針を決めていったものなんです。

 だけれども、今の民主党のやり方というのは、総理が決める、大臣が決める、政務三役が決める。では、その下の人たちは、その政権を支えている党の中で国民の声を聞いているはずの国会議員たちはどういう意見交換をしているんだ。ここの部分が極めて、これは一番最初に申しましたけれども、民主党なんだけれども非民主的な国政運営になりつつありませんか。そして、だれかが決めると、何の根拠もなく、ばんとまず決めちゃった、廃止します、反対します、その理由は何ですか、いや、これから検証します、そして、それが政治主導ですと。

 このやり方が進んでいったときに、私は、この国の運営はおかしなことになっていかないか。正しい方向に向かっているときは強烈なリーダーシップで進むかもしらぬが、もし間違った状態に判断が行われた場合には、だれもとめることができなくなってしまいますよ。

 だから、その意味においても、なぜ大臣が、総理と外務大臣と防衛大臣が別々の話をするようになるのは、平場の協議がないからじゃないですか。そして、大臣が話し合うのは最後ですよ、まとめるときの。では、皆さんたちはその前の作業をどのぐらいやっているんだ。やっているかもしれませんが、私には全然見えてこないというのがとても心配なんですね。

 ですから、ちょっと時間がなくなってきましたが、大体において、この鳩山政権内で、連立なんですから、社民党の党首も入っているし、国民新党の人もいるんでしょう、その大臣たちは何と言っているのか。そして、福島消費者担当大臣、社民党党首は県内移設絶対反対と主張されていると言っているけれども、これから鳩山政権として何か方針を決めるときに、こういう閣内の、そして連立を組んでいる党の皆さんとの話し合いというのはもうやっていなきゃおかしいと思うんですけれども、やったという話は私には伝わっていないので。

 こういう連立政権内の協議だって、やらなくていいんですか。民主党の中で、党内で、党内の国会議員はたくさんできたんだから、もっとそういう人たちの声を聞く、そして委員会で我々の意見も聞いてもらう。そういう民主的な政権運営というのが重要だと思うんですが、いかがでございますか。外務大臣だけで結構です。

岡田国務大臣 御心配いただかなくても、外務大臣や官房長官などとはしょっちゅう意見交換をしておりますし、もちろん総理とも意見交換をしております。

 ただ、多分今までと違うのは、閣僚の発言というのは、例えばこの国会答弁もそうですけれども、政府の中でそれぞれの官僚がつくったものをベースにして議論したり読み上げたりしていたということが非常に減っております。閣僚はそれぞれ自分の言葉で話しております。したがって、時には、その間に若干矛盾するような場面が出てくることはあるかもしれませんが、私は、そのことのデメリットよりも、やはり自由に政治家が自分の責任で、それぞれ大臣、副大臣の職にある者が発言する、そのことのメリットの方がずっと大きい、そういうふうに考えているところでございます。

 連立のお話が出ましたが、我々は、時期を見て、もちろん最終的には内閣としての決定ですから、連立の各党とも閣内にそれぞれ党首が入っておられますから、しっかりお話をすることは当然だと思っております。

安住委員長 時間がもう過ぎております。(新藤委員「いや、今御了解をいただきました」と呼ぶ)いいですか、それではどうぞ。

新藤委員 そのとおりなんです。

 でも、今わかったことは、ですから、連立の協議は行っていないということですね、これからやるんですから。今そうおっしゃったんだから。

岡田国務大臣 ですから、連立の協議ということの意味ですけれども、意見交換はもちろんしています。

新藤委員 これを早いうちからやっておかないと、いつかの時点で決めるときに、決めちゃった、あとは、じゃ、連立さん、こういうふうに決めたからよろしくねと。これはめちゃくちゃになりますよ。もうやらなきゃいけない時期だと思いますけれどもね。それをお願いします。

 それで、私、これで質問を最後にしますけれども、今、こういうふうに方針が決まらないことによって、沖縄で大きな反基地の感情がまた膨れ上がっちゃっている。今まで苦渋の選択で、国のために、国が決めるなら嫌だけれども受けざるを得ないねと言っていた人たちも、それならもとに戻って基地をなくしてくれというふうになってきちゃっている。そういう流れが出つつある。

 そういう中で、だれが決めるんですか。これは、沖縄の県民に、地元の皆さんに決めてくれというのは酷だ。それは岡田大臣が沖縄で、基本的に国が判断する問題であり、名護市民に正否を問う形になってはならない、申しわけないとまで言っている。それは結局、総理が、選挙の結果を見てからとか、こういう話をし出しちゃっているから、だから、この問題は今の政権が決着させなきゃいけないわけですよ。

 その意味において、ここで決着させるというのは、新年度の予算要求にきちんと計上するということですよ。年内過ぎて、予算は上げられません、そして、例えば一月とか二月に決まったとします。それじゃ、そこからもう一回、今度は補正予算で上げますと。でも、当初予算の中には移設関連経費があいちゃう。これはとてつもない大きなメッセージを沖縄や日本国内やアメリカに、先ほど同僚議員の中谷先生からお話があったように、アメリカの議会の予算編成にも影響が出ることになるじゃないですか。

 だから、変わったとか、今まで言っていたことと違うじゃないかなんて私は言いませんよ。それよりも今、とにかく早くにこの検証作業をやって、そして、やはり一番合理的な、しかも同盟国であるアメリカが、私たちも何年もかけてやってきたんです。さっき、十三年かけてできないじゃないかと。何を言っているんだ。今まで積み上げてきて、十三年の積み上げによって、最後、工事が着工することになって、あと六年でできるんじゃないか、そこまで来ているのに、十三年たってできなかったと。これから始めることは、またもう一回それを積み上げることになるんですよ。

 だから、私は、ここのところで、年内で予算も含めて決める、そういう覚悟がありますか、これは二人の大臣にお尋ねしたいと思います。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 だれが決めるかというのは、先ほども申し上げましたように、国が責任を持って決めるんです。しかし、それを実施するときに、その実施を今度は決めるのはだれかというと、それぞれ沖縄で選ばれた知事であり市長であるわけでありまして、ここに二面性があるわけであります。そこのところを忘れて、政府だけが決めればいいんだという一面的な発想でやると大変なことになるわけでありまして、そのことが鳩山総理も懸念をしているところだというふうに思います。

 予算につきましては、おっしゃるとおりの側面があります。私も大変そのことには頭を悩ませておりますが、しかし、予算を決める決めない、そのことだけによって解決するほど軽くはないんです。極めて重い問題であります。したがって、第三の道が模索される可能性もそれはなしとはしないというふうに思っています。

岡田国務大臣 この問題の難しさは、委員もいろいろおっしゃいましたが、私があえて言わせていただくと、やはり沖縄県民の意識、そこに十分に思いをいたさせながら物事が進んできたのかどうか。もちろん、知事や地元の市長は誘致やむなしという決断をしてもらいました。しかし、県民全体の中にはそのことに対する違和感もかなりあった。これは沖縄だけではなくて、岩国もそうなんですね。やはりかなり荒っぽいことをやりました。そのしこりは今でも残っている。

 そういう中で、対極としての米軍再編をしっかり実現していくために今どういったことをしなければならないのか。そういう中で、我々、政権交代したものですから、引き受けさせていただいて、一生懸命に努力をしている、こういうことであります。

新藤委員 お二人のお話から、結局、努力はするけれども決断できないと、今の時点で。ということであるならば、私たちは、やはり日米首脳会談合意の誠実な履行こそが最善の策だと思っているんです。そして、それは国会の場で決めていかなきゃなりません。ですから、この問題に関して、しかも一番話がぶれちゃっているのは鳩山総理なんだから、鳩山総理においでいただいて、総理大臣が決めると言っているのならば、国会の場で鳩山総理に話をしてもらわなければ、この委員会の場で話をしていただかなければ、この話は進みません。

 ですから、私は、この普天間基地の移設問題について、ぜひこの安保委員会で集中審議をやっていただきたい、このことを求めまして、質疑を終わりたいと思います。

安住委員長 理事会で協議します。

新藤委員 ありがとうございました。

安住委員長 会派としての持ち時間の中での質問になりますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、武田良太君。

武田委員 武田良太でございます。

 今、同僚議員から長きにわたりまして質問がありましたが、さすがに三人目といえばもうネタがかなり切れてまいりまして、かぶる部分も多いと思います。

 政権交代によって民主党政権がなされました。ここで改めて原点に立ち返って防衛そして外務大臣にお聞きしたいんですけれども、日米同盟、日米安全保障体制という言葉は頻繁に使われております。これは、我が国が独立国として、紛れもなく対等な関係でなければならないということは皆さん常に口にしておるところでございますけれども、今の日本の状況の中で、アメリカ合衆国の国際社会での影響力と軍事力なくして我が国の国民を脅威から守ることはできるでしょうか、お二人の大臣にお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 端的にお答えすれば、それはかなり厳しいというふうに思います。

 ただ、それは、日本がそうであるだけではなくて、日米同盟ですけれども、日本の協力なくしてアメリカも、特にアジア太平洋地域において単独でやっていくことは難しい。そういう意味で、相互補完関係にあるということだと思います。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 外務大臣と同じ認識でありますが、国防の基本方針のところに四つの重要課題がありまして、その中に、日米の安全保障を基盤としてこの国を守っていく、こういうことになっておりますから、日米同盟は我が国にとって大切な関係であります。

武田委員 防衛大臣が今、大切な関係と言ったその理由というのは、ここにおられる皆さんも多くの国民もわかっているんですね。今の日本の状況で、自分の国民を守れる状況にはないんです、今、日本は。その体制はだれがつくり上げてきたかといったら、ほかの国でもない、日本自身が選択してきた道だと私は思っておるんですね。

 そこで、民主党の党首であり内閣総理大臣である鳩山総理が、駐留米軍なき安全保障の確立ということをみずからが活字にされているんです。駐留米軍なき安全保障の確立というのが理想だということを御自身がおっしゃっておるし、活字にされておるんです。そのリーダーのもとで、外交、安全保障の政策の基軸である日米同盟というものをどういうふうに見たらいいのか、両大臣は非常に困っているんじゃないかと思うんです。

 日本からアメリカの基地は出ていきなさい、そして安全保障体制を自国でつくるんですよ、そういったことを日本の最高リーダーの鳩山さんがちゃんと活字にしているんですね、過去に。どうですか。

岡田国務大臣 鳩山総理がかつて、常時駐留なき安保ということを言われた時期があったことは事実であります。

 ただ、今の民主党ができた後、党としてそういったことを言ったことはありませんし、鳩山さん御自身も、今の民主党になってから、今の民主党というのは我々が合流して民主党を形づくった後、そういったことを言われた記憶は私にはありません。したがって、十年以上前の話だと思います。

北澤国務大臣 私も、鳩山総理が自民党の衆議院議員をやっているころ同じ派閥におりまして承知をしておりますが、先ほどのお話は、鳩山総理自身がどういう思いでそのことを活字にされたか、そしてまた、幾つかの政治の変遷を経る中でこの民主党に結集されたという中でどういうふうに修正されたか、そのことについては承知をいたしておりません。

武田委員 新しい民主党ができてから鳩山さんの考えも変わった、そして野党から与党になってまたそこで変わったと。それは、立場立場によって人間というのはいろいろな価値観も変わってくるというのは避けられないことだと私は思っておるわけです。

 我々自民党がよく指摘されることに、十三年かかってできなかったという基地問題なんですけれども、私も八月まで防衛省に身を置いておりました。本当に先が見えたんです。ようやく多くの方々の苦労が実るときが目の前に来たんです。これは事実なんです。プロセスの中においていろいろな問題もありましたけれども、目途とされるタイムスケジュール、しっかりとそれに乗って全員で総力を挙げて着実に進んできて、あともう一歩でこれは実現できるところだったんです。皮肉なことに、我々は、国民から支持を得ることができず、野党になりました。

 そこで、両大臣に私はちょっとお聞きしたいんですけれども、あなた方お二人は極めて常識的な方だと思います。知識もあると思います。政治経験も豊富だと思います。国家基本政策の重要性というものも、我々以上に存じ上げている方だと思います。

 そこで、マニフェストの中に「見直しの方向で臨む。」という文言が入りましたね。自民党との差別化を無理に図ろうとする余りに、そして、抑止力の維持向上というものはなかなか選挙では役立たない、しかしながら負担軽減という問題については非常に選挙では役立つ、負担軽減の方にばかり突っ走っていった余りに、大きな国家基本政策というものが見失われていた今の現状が現在だと思うんです。

 防衛大臣はわかっておられると思います。この案しかないというのをわかっておられると思います。岡田外務大臣だって本当はわかっておられるんですよ。わかっておられるんです。ただ、政治主導だ、民主党は自民党とは違うんだ、いろいろな政治的アナウンスをどんどん発していきながら、ある一定、いろいろな議論をしましたけれども、最終的にここに落ちつきますというところをつくり上げようとする気持ちもわかるんです。

 そして外務大臣は、もう一個困ったことに、仲井眞知事には個人的な意見を言われる、国会では外務大臣としての意見を言われる。総理と防衛大臣と外務大臣がばらばらなのに加えて、外務大臣も、外務大臣の中で二つの意見がある。このことが毎日毎日報道されることで、沖縄の県民の不安をあおっているんです。

 それともう一個、沖縄県民だけではなくて、私の地元も築城基地があるんです。日米再編は人ごとではない基地なんです。日本のどこに持っていくかわからぬ、県外だどうだということになれば、まさか築城に来るのではなかろうかといって、日本の中に存在する基地周辺の皆さん方も、明確な方向性がないために、一抹の不安を抱いて生活を余儀なくされておる。

 あと一歩、もう目前にその完成が迫っておったことを、マニフェストを守らなきゃならない、自民党との差別化を無理にしなければならない、そうした行為によって大事な問題が、本当にうまくいく一歩手前だった問題がまた振り出しに戻るということが果たして政治家のやるべきことなのか。民主党としてやるべきことが先行し過ぎて、国家としてやるべきことというものがいいかげんなものになっているんじゃないんだろうか、外務大臣、私はそう思うんです。

 私も政務官をしておったときに、いろいろな局面で思ったんです。外務省がいろいろなことを言われるときに、困るんですよ、防衛省は。本当に困るんです。勝手にいろいろなことを決めてきて、おまえ、言われたとおりやるべきだと。防衛省も省になったんですから、余り防衛大臣を困らせるようないろいろな発言はしないでいただきたい、外務大臣。

岡田国務大臣 委員はいろいろ言われたわけですが、外務省と防衛省の関係にも言及されました。それは、自民党政権の時代の外務省と防衛省の関係です。今の民主党政権においてそういうことはありません。

 そして……(武田委員「時間がないから、もうそれでいいです」と呼ぶ)いやいや、いろいろ私のことを言われましたから。

 私は、嘉手納町長に対して個人的意見と言った記憶は全くないんですね……(武田委員「仲井眞知事」と呼ぶ)仲井眞知事に。私が申し上げたのは、私の意見と言ったんです。私というのは、それは外務大臣に決まっているじゃないですか、外務大臣にプライベートな、そんな意見などあり得ないわけですから。ですから、そこは同じ意味です。外務大臣としての発言です。

武田委員 あなたはそういうつもりかもしれませんけれども、受け取る側は違うふうにとっているわけですから、気をつけてください。

 では、そもそもこの普天間返還については、日米両国でいろいろ協議したんですけれども、どちらが求めたものなんですか。

岡田国務大臣 普天間の移転の問題は、普天間基地の周辺の状況から見て、これは持続可能でない、大変危険な状況にある、そういう意味で日本が求めた。もちろん、アメリカ側もそういう危険な状況は同時に、例えばラムズフェルド長官が現場に行って、これはもし事故でも起きれば基地の存続そのものが危うくなると。そういう中で、日米両国で議論を始めた問題だと承知をしております。

武田委員 日本が求めたものであるとするならば、これは外交のみならず、国と国のみならず、人間対人間もそうなんですけれども、アメリカ側の潜在意識の中には、今いろいろと普天間問題でもめていますけれども、そもそも日本が求めたものじゃないかというところがあるんじゃないでしょうか。どうなんですか、外務大臣。

岡田国務大臣 アメリカ側の気持ちの中まで私は推しはかることはできません。

武田委員 推しはかろうとする努力をされないから暗礁に乗り上げているというふうに私は思いますよ。

 とにかく、いち早くこれは結論を年内に出されるべき問題、先ほど大臣の予算の話もありましたね、だと思いますので、外務大臣、閣内で一つの明確な方向性をいち早く出されることが私は今一番重要だと思います。しっかり結論を出していただきたいと思います。

 次に、防衛大臣、大綱と中期防の件なんですけれども、これは一年空白を生むことになりましたね。何のための空白なんですか。

北澤国務大臣 これはもう御存じと思いますけれども、政権交代が行われました。そこで、大綱の見直しについては、総理も含めて十分協議をした中で、鳩山政権としての大綱をきちんとつくろうと。

 ただし、御懸念もあると思いますが、予算につきましては、私どもの方からも意見を申させていただいて、この年末までには内閣としての方針を出してつないでいく、そして本格的なものは二十二年度いっぱいでつくる、こういうことであります。

武田委員 一年用の一つの規範をつくられるということなんでしょうけれども、一番気がかりになってくるのは、予算面でもいろいろあるんですが、やはり脅威に対する認識と申しますか、中国の防衛力増強ですね。朝鮮半島は朝鮮半島であるわけでございますけれども。いろいろな脅威が毎年毎年大きくなっていっておるのに要求額がマイナスだ、こういうので本当に抑止力を維持することは可能なんでしょうか。

北澤国務大臣 確かに、概算要求では十九億の減額で出してあります。ただ、これは、私も防衛大臣になってびっくりしているんですが、ほぼ七年ですかにわたって自民党政権の中で防衛予算を減らしてきているんですね。この流れの中で我々がどれだけ苦労しているかというのは、多分、お仕事をされた議員とすればおわかりのことだと思います。

武田委員 本当に大変なんですよ、これは。

 ただ、我々が真剣に考えていかなきゃいけないのは、抑止力を維持するというのは、ただ横ばいで維持していっておっては維持にならないということなんですね、これは相手のあることですから。ですから、今我々が一番懸念しておるのは、日本だけすべてにおいて取り残されることが心配ですよ。

 では、例えば、我々も議論しましたBMDシステムだとか、PAC3ですね、ああした問題の有用性とか緊急性というのはどうなっているんですか。

北澤国務大臣 七つのセットを考えて進めてこられて、教育関係のものが一つありますが、ちょうど半分の三セットはできたわけでありますが、これはぜひやらなきゃいかぬと私は思っております。しかも、残された三つの中に沖縄があるわけでありまして、沖縄はこういう基地の問題で大変苦労されておる中で、米軍基地だけこんなにたくさん負担をかけておいて、いざというときの防御のための設備を沖縄のは要らないのかと言われたら、これはもう防衛政策としては立ち行かなくなるわけであります。そういう意味では、しっかりやっていきたいと思っています。

武田委員 限られた予算枠の中でしっかりとした防衛力を整備しながら励んでいくというのは本当に難しいんだと思いますけれども、とにかく、我々、与党にいるときから思っておったのは、日本ももう戦後六十年が過ぎて、やはりしっかりとした独立国としてのみずからの意識を持たなきゃいけない、その意識はまず政治家が持たなきゃいけないということを身をもって痛感しておったわけでございます。

 今回、政権交代がなされましたけれども、外交の継続性、そして安全保障というものの国家基本政策の位置づけ、これを考えたときに、やはり国内の内政の政党間の争いの具に使うことは決して許されないものだと思いますし、今まで自民党が頑張ってきたこと、旧政権の合意は重いという発言も総理は一部ではされておるわけですから、そうしたことをどうかしっかりと認識していただいて、頑張っていただきたいと思います。

 最後に、委員長、同僚の両委員からも要請があったと思いますけれども、総理をお招きしての集中審議、理事会での協議をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

安住委員長 理事会で協議いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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