衆議院

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第3号 平成21年11月20日(金曜日)

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平成二十一年十一月二十日(金曜日)

    午前十時四十一分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 生方 幸夫君 理事 小林千代美君

   理事 神風 英男君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君

      海江田万里君    河上みつえ君

      楠田 大蔵君    高橋 昭一君

      橘  秀徳君    玉城デニー君

      津島 恭一君    中塚 一宏君

      中野  譲君    長島 昭久君

      鷲尾英一郎君    渡辺浩一郎君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   防衛大臣         北澤 俊美君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   外務副大臣        武正 公一君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  藤田 大助君     河上みつえ君

同日

 辞任         補欠選任

  河上みつえ君     藤田 大助君

    ―――――――――――――

十一月二十日

 防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ち、事務局をして自由民主党・改革クラブ及び公明党所属委員の御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、生方委員長代理着席〕

    〔生方委員長代理退席、委員長着席〕

安住委員長 速記を起こしてください。

 理事をして自由民主党・改革クラブ及び公明党所属委員の御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。北澤防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

北澤国務大臣 ただいま議題となりました防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、このたび提出された一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に準じて防衛省職員の給与について所要の措置を講ずるものであります。

 すなわち、第一点は、一般職の職員の例に準じて、若年層及び医師または歯科医師である自衛官を除く自衛隊教官及び自衛官の俸給月額を改定することとしております。

 第二点は、防衛大学校及び防衛医科大学校の学生並びに陸上自衛隊の学校の生徒の期末手当について、支給月数を年間〇・三月分引き下げることとしております。

 そのほか、一般職の職員と同様に、十二月期における期末手当の特例措置として、本年四月以降の官民較差解消のための減額調整を行うこととしております。

 なお、事務官等の俸給月額の改定、自宅に係る住居手当の廃止並びに期末手当及び勤勉手当の支給月数の引き下げについては、一般職の職員の給与に関する法律の改正によって、一般職の職員と同様の改定が防衛省職員についても行われることとなります。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

安住委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

安住委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋昭一君。

高橋(昭)委員 兵庫四区から御選出をいただきました高橋昭一でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 私のふるさとであります兵庫県の小野市には、陸上自衛隊の青野原駐屯地がございます。中部方面隊の第八高射特科群を初めとする各隊が駐屯をしておられます。地元でもございますので、たびたび懇談をさせていただいておりますが、やはり私たち政治に携わる者は、防衛の現場の実情を十分に把握しておかなくてはいけないという必要を感じております。

 また、私は、一九九五年一月十七日の阪神・淡路大震災の被災の現場が大きなきっかけとなって、政治の世界に入りました。

 当時、私は、与党の新党さきがけ、その政党に属しておりまして、鳩山現総理を初め、多くの仲間の皆さんと初動から救援に奔走させていただきました。未曾有の災害でありましたので、自衛隊の初動等についてもじくじたるものがありましたけれども、実際には、被災地の救援、救護に関して、災害出動の自衛隊の皆様には大きなお力をいただいて、たくさんの命、そしてまた暮らしを守ることができました。過酷な状況にあっても常に献身的に活動に従事しておられる陸海空の自衛官の皆様に、心から敬意を表したいと存じます。

 私は、地域や職場に直結する活動を行ってきた者として、現場主義の立場から、防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと存じます。

 今回、与党として国会の運営に携わらせていただきまして、また二カ月余りですけれども、野党の当時と違い、身に生じた大きな責務を感じざるを得ません。さまざまな御意見があり、多くの立場があり、その中で意思決定を行っていく、そのような責務を負っていかなくてはいけないという現実。ある方は言われました、すべての人々の思いを遂げられる答えが常にあなたの前に用意されているわけではないと。この法案は前政権によって閣議決定された人事院勧告に基づいていますが、今私たちの政府は、与党として成立させる責務を負っていることもまた事実であります。

 民主党は、働く仲間から大きな御支援をいただいている政党であります。地域にあっては、厳しい生活の現状を痛感し、その改善に努めなくてはなりません。他方では、減額という痛みを伴うものであっても、法律を成立させなければならない、そうしなければ支給ができないというシステム上の現実を直視しなくてはならないと痛感をしています。しかしながら、私は、どうしても働く現場の立場に立った視点でしか法案を見ることができません。

 そういう観点から、今回の法案をきっかけに、今後経緯を十分に検討しなくてはならない公務員の給与決定システム改革の指針について御質問を申し上げたいと存じます。

 民主党のマニフェストで、公務員の労働基本権を回復し、民間と同様、労使交渉で給与を決定すると盛り込んでいますが、防衛省として、特に、特殊な防衛省でありますから、このような動きをどのように見ており、今後、人事院勧告のあり方を含めた給与決定システムを改革していくに当たり、どのような意見を盛り込んでいくのか、防衛省の方針をお伺いいたします。

榛葉副大臣 高橋委員にお答えいたします。

 その前に、高橋先生が、九五年一月十七日の阪神大震災の当日の深夜からボランティアチームをつくられまして精力的に御地元の復興に御尽力をされ、またこれがきっかけで政治の世界に入られたということ、心から敬意を表させていただきたいと思います。

 防衛大学校長の五百旗頭先生が新聞の方で記事を書いていたわけでございますが、この阪神・淡路大震災をきっかけに、国民の防衛省・自衛隊に対する思いが大きく変わってきたということもございまして、今後とも、先生には御指導賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。

 さて、お尋ねの点でございますが、現在、防衛省職員の給与制度というのは、基本的には一般職員の給与制度に準じたものでございまして、人事院の給与勧告制度が大きく変更されれば、これまでと同様なやり方では適切な処遇が図れない可能性があるわけでございます。

 いずれにしましても、今後、政府全体での検討の中で、実力組織である自衛隊の特殊性というものも踏まえつつ、防衛省職員にとりましてふさわしい給与面での処遇が図られるように、適切に対応してまいりたいと思います。

高橋(昭)委員 どうもありがとうございます。

 やはり現場で本当に活動しておられる皆様の痛みが伝わってきますので、どうかよろしく御検討、御察しいただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。

 先ほど御指摘ございましたけれども、阪神・淡路大震災の被災の現場では本当に被災者の皆様が、最後は加納町の交差点のところに、自衛隊さんありがとうという大きなメッセージを出させていただくようなこともございましたし、また、特に救援だけではなくて、例えば入浴のサービスでありますとか、本当に地域に必要なサービスを御提供いただきました。私はまた別に災害対策特別委員会にも所属をさせていただいておりますが、災害時における自衛隊の皆様との連携に関しましてはまた別途検討させていただきたい、そのように思っている次第でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 本法に関しましては、給与ということが中心に語られておりますので、これに関連した質問を申し上げたいと存じます。

 次の質問といたしましては、総支給額の減額というのがもちろん大きな方向であるんですけれども、その中に、少年工科学校というものの高等工科学校への改編という、これはもう既に決定をしている法案でございますが、私自身が教育学部というのに在籍したこともございまして、そしてまた地域で教育というものにかかわる多くの皆様から御支援を日々いただいております。その立場から、防衛省関連でも、未来の人材を育てる教育問題について注視をさせていただきたい。特に、先ほどの給与の問題と、生徒身分という問題に関しまして質問をさせていただきたいと存じます。

 本年の防衛省設置法の改正法によりまして、現在の陸上自衛隊の少年工科学校は、来年の四月以降、高等工科学校というものに改編をされます。そして、新たに生徒という身分が新設をされることになったと認識をしております。今まで、防衛大学は学生という身分でありまして、そしてまた少年工科学校は三士という資格をもって自衛官として勤務をしておられました。それゆえに工科学校の生徒の給与といたしましては月額十六万七千三百円という金額でありましたが、それが、今回の身分新設で月額九万四千九百円となったと認識しております。

 確かに、防衛大学の学生の手当が十万円ぐらいでございますから、現役の自衛官の給与から考えると、今回の身分新設による減額措置というものは妥当だという意見もございます。反面、全体の支給の水準から考えますと、我が国の安全保障にかかわる大切な業務に従事する自衛官を目指す青少年を大切にするためにも、別途の指針が必要なのではないかという御意見もあります。

 しかしながら、この給与システムの水準に関しては、もう決定をされておりますので、今後の検討課題として提議をしまして、今回は、システムの充実ということを主眼にいたしまして、新設されました生徒という身分への移行がよりよい教育体系へと変革できているかどうかという見地について質問をさせていただきたいと存じます。

 この身分変更は、単なる支給金額の抑制目的であってはならないと認識をしています。これから国際的な場で活躍をする可能性のある増大をしていく若者たちの、例えば語学力でありますとか、装備の高度化、電子技術への知識の強化など、次世代の防衛の現場において必要とされる知識を修練するためにもカリキュラムが構成されているとお聞きをしております。

 今回の身分変更に伴いまして、具体的にどのような教育改革をなさるのか、特にどのような分野が強化されるのか、現状についてお聞かせをいただきたいと存じます。

楠田大臣政務官 高橋委員にお答えをさせていただきます。

 御地元に駐屯地もあられるということでありまして、私自身の地元にもそうした陸空の駐屯地があるわけでありますが、そうした中で、大変重要な御指摘、問題意識を持って御質問されたと感謝をいたしております。

 先ほどからお話がありますように、少年工科学校が高等工科学校、仮称でありますけれども、改編が行われるということであります。

 委員の御指摘がありましたように、総人件費改革の議論の中でも、防衛大、防衛医大を初めとしまして、今までの自衛官を生徒、学生に変えていく、その中で、特に少年工科学校の生徒については手当が大変に削減をされる、低くなるということでありまして、これについてはさまざまな議論、存廃も含めて検討を実施してきたところであります。やはり十五歳から十七歳の若年の生徒ということでありまして、これは教育訓練に専念をさせることとしたところであります。

 その中で、教育の具体的な部分ということでありましたが、先生も大変詳しくお触れになったところでありますが、国際平和協力活動が本来任務化をされたわけであります。我が自衛隊にとりましても、そうした中で自衛隊の任務の変化がされてきた、情報化社会の中で、装備品の高機能化、システム化というものが進んできた、こうしたものに対応するために、やはり英語教育を初めとして一般科目の教育を充実することは当然でありますけれども、これに加えて、専門分野についても、通信や情報分野を充実していくということを今回カリキュラムの中で決定しているところであります。

 こうした生徒は、立場上、生徒という立場になりますけれども、当然、任官後は、施設機材、通信機材、火器、航空機等の整備、操作、その他の技術関係の職務に従事をすることで、その中で陸曹をリードする、リーダーとなるような存在にしていくということが主眼でありますので、この点においては、これからも委員の御指摘もいただきながら、しっかりと教育訓練に専念させていきたいと思っております。

高橋(昭)委員 ありがとうございます。

 特に、本当に教育の分野というのは、どの事業におきましてもそうかもわかりませんが、非常に重要なものだと認識をしております。

 語学のことに関しましては今後またいろいろと検討がなされると思いますけれども、これだけ国際間が緊張感を増してまいりますと、語学力というのがやはりコミュニケーションの一番大きなポイントになってくると思います。

 私も、二〇〇四年に、民間のNGOの関係で、ちょうど自衛隊のイラクの派遣がなされたときの先遣隊の時期に、イラクのバグダッド、そしてサマワとサッマーラというところに行ってまいりまして、いろいろ現地の調査をさせていただきました。

 実際に現地に行きまして思ったことは、あのエリアはやはりアラビア語が中心でございますので、日本国内にはアラビア語というのに堪能ではない人たちが非常に数多くございますから、語学というものは、例えばロシア語や中国語もそうでありましょうけれども、非常に多岐にわたっているということもございますので、さまざまな意味で、国際的な視野に立った教育というのは防衛省にとって非常に重要になってくるのではないだろうかと認識をしております。

 そしてまた、総論のことも最後にお伺いをさせていただきたいと存じます。

 安全保障の分野というのは、今申し上げましたようにまだまだ不安定な時期でございまして、本来、私は、世界は平和裏に行われていくべきだと思っているんですが、しかしながら、緊張感というのはまだまだとれておりません。先ほど中東のお話を申しましたけれども、中東、ミドルイーストの次に一番危険なのはファーイーストだというふうな御指摘をされるアメリカの研究者の方もおられました。そうなりましたときに、非常に不安定な東アジア状況におきまして、さらに重要度、危険度を増すという分野だと感じています。その意味からも、特に青少年の育成、教育の一層の充実というのは大切なことではないかと思っております。

 その中で、先ほどの質問の中では、特に給与水準に関する問題と、あと工科学校における教育の現状について政府の見解をお伺いいたしましたが、最後に、防衛にかかわる全般的な話で恐縮でございますが、特に今後の青少年の育成、教育全般についての政府の今後の方向性についてお聞かせをいただきたいと存じます。

楠田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 全般についてということでありました。

 青少年の育成、教育について、防衛省の今後の方向性でありますが、防衛省・自衛隊においては、防衛大学校等において、将来自衛官となる者に対して必要な教育を実施してきたところであります。

 今後の方向性といたしましては、防衛大学校、防衛医科大学校の学生や、先ほどの高等工科学校の生徒など、将来自衛官となる者に対しましては、先ほど申しました安全保障環境の変化、任務の多様化、国際化など、委員の御指摘にアラビア語の話もありました、副大臣もアラビア語に堪能でありますが、そうした中で、自衛官として、そうしたさまざまな部署で、世界で活躍できるような生徒、学生を育てていくということは大変重要だと我々も認識をいたしております。こうした今の時代に沿って適切に対応していくような人材を育成するために、バランスのとれた質の高い教育を実施していくことが当然重要であります。

 特に、具体的なものを挙げていけば、授業科目としましては、平成二十年の三月からでありますけれども、防衛大学校においては、体育理論、生体人間情報、また先端科学技術入門等を追加しております。特に科学分野の発展は当然目覚ましいものがあるわけでありますが、こうした分野にも精通をしていなければまさにこれからの防衛は、また国際貢献は果たしていけないという意識の中で、こうしたものを既に追加させていただいております。

 また、防衛医科大学校においては、平成十八年に、自衛官になる者への教育充実というところから、幹事ポストというものを新設させていただいております。防衛医科大学校の校長の下に、将という位でありますけれども、まさに人間教育をすべて含めた指導ができるようなこうした幹事ポストも新たに加えて、さらに教育の充実化を図っているところであります。

 また、改編をされる高等工科学校の中では、従来の少年工科学校から加えて、英語教育等さまざまな語学の教育の充実、通信情報分野の教育の充実ということを先ほど申したところであります。

 今後も、委員を初めとするさまざまな国民の皆様の御指摘にこたえながら、期待と信頼にこたえられる、適切に任務を遂行していくことができるように、学生、生徒の教育の一層の充実に努めてまいりたいと思っております。

 ともすれば、今まで我々、我が国そして自衛隊というものは、先ほどのように、災害の際、また世界的な中でも、本当にその状況に応じて活躍ができるのかということは、日本の中でも世界的にもそうした指摘を受けてきたところでありますけれども、我々は、やはりその点において自信を持って送り出すことができるようにしていく、これが我々の大変重要な役割、責務だと考えておりますので、これからも御指摘のほどよろしくお願い申し上げます。

高橋(昭)委員 ありがとうございました。

 本日の政府からの御答弁の中で、人間というものを大切にするという民主党の方針を、特に防衛の現場でもいただける、そしてまた教育も大切にしていただけるということを確認させていただきました。

 私も、先ほども御指摘がありましたように、国際貢献、自衛隊もまた新たな責務が出てきて非常に重要性を増してくると思っておりますので、これから私も、地域で、また現場でお声を聞きながら頑張ってまいりたいと存じます。

 本日は、御質問させていただくお時間をいただきました諸先輩に心より感謝申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

安住委員長 次に、橘秀徳君。

橘(秀)委員 本日、生まれて初めての質問をさせていただきます。

 新しく神奈川十三区という地域から選出をいただきました。神奈川十三区は、横浜の隣、大和、座間、海老名、綾瀬にございまして、県外の皆さんは、厚木基地と言われると神奈川県厚木市にあると思っている方が多いんですが、実は、大和市と綾瀬市にまたがる広大なのが厚木基地でございます。

 冒頭、この厚木基地に関しての質問から、あわせて給与法の関連の質疑をさせていただきたいと思います。

 八月三十日に総選挙が終わって、九月早々に私も厚木基地を訪問させていただきまして、管制塔の方も見学をさせていただきました。当時は、ジョージ・ワシントンが横須賀の母港に入っておりまして、F18の艦載機が六十機、厚木に駐機をしている状況。私の自宅も飛行コースのちょうど真下になっておりまして、時によっては未明まで爆音が鳴り響くような地域でございます。本当に地域の住民の方々の理解なくしては厚木基地の維持すらかなわない、そうした状況であります。そして、厚木基地の管制塔では一本の滑走路に全く速度の違うジェット機とプロペラ機、ヘリコプターと次々着陸をして、管制官の方々は大変に神経をすり減らしてお仕事をされている中でありました。

 まず感謝申し上げたいのは、榛葉副大臣、地域の方の声におこたえいただいて、十一月十六日、今週の月曜日に、早速に厚木基地の御訪問をいただきました。逢沢副大臣以来の御訪問ということで、地域自治体も大変に、民主党はすごいということで喜んでいただいたところであります。

 冒頭、榛葉副大臣に、厚木基地をごらんいただいての御所見をいただければと存じます。お願いいたします。

榛葉副大臣 橘委員にお答えいたします。

 今委員が御指摘のとおり、厚木基地は、厚木になくて、綾瀬市と大和市にまたがる大変広い面積のところでございますが、御地元の先生にも、地元基地が大変お世話になっていることをこの場をかりて心から感謝申し上げたいと思います。

 御指摘のとおり、去る十六日に、大変人口密集をしているこの地域に所在している厚木の現場を見てまいりまして、地元の笠間綾瀬市長とも忌憚のない御意見を賜ってきたところでございます。また、前日には、ちょうど米軍施設内で火災が発生をいたしまして、御地元の消防組織、そして地域の住民の皆様方に大変御心配と、そしてお世話になった時期でございました。

 百聞は一見にしかずと申し上げますが、まさに現場を見て、自衛官諸官はそこで大変頑張っているわけでございますが、地元住民の方々の御苦労、そして基地と一緒に生活をされている市の実態をつぶさに見、また、市長さんや市の関係者、議長さんからもお伺いすることができたわけでございます。

 私が行ったときはちょうど空母艦載機の離発着はなかったわけでございますが、先般、硫黄島に視察に行きまして、NLPの訓練も見学をしてまいりました。この音が住宅密集地で起こっているということを考えますと、これは何とかしなければならないという思いを切にしたわけでございます。

 いずれにいたしましても、今後、特にこの騒音問題の削減に我々はしっかりと対処しなければならないという思いをしたところでございます。

橘(秀)委員 そこで、見ていただいて、航空管制官の給与の関連について御質問させていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたとおり、非常に種類の違う飛行機が離発着を繰り返す、そうした基地であります。航空管制手当というものを調べさせていただきましたら、三百四十円から七百七十円、これは時給ではなくて日額ということで、ファストフード店の時給よりも日額の方が安いという状況でございます。

 一方で航空作業手当、例えば整備士さんですと日額千五百円から二千二百円、操縦士さんの手当は日額で最高五千円つく、そういう状況でありまして、元管制官の方から実際に会ってお話を聞いたところ、やはり現場では、余りにも格差があり過ぎるのではないか、そうした思いもあるということであります。

 この点について御所見をいただきたいと思います。

長島大臣政務官 橘委員にお答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただいたように、航空管制官、大変重要な役割を担っていただいていると思います。

 今回の給与法の改定では、この航空管制官の給与面での変化はない、影響はないわけでありますが、基本的にはほかの自衛官の皆さんと同様、給与体系は俸給と手当、この二つ、二本立てになっております。

 今、橘委員から御指摘いただいた航空管制手当というのは、その中の手当、しかも特殊勤務手当というものの一つに位置づけられているわけでありますが、今御紹介がありましたように、管制指示の業務が、例えば千歳飛行場では七百七十円、厚木では六百円。千歳の指示の補助業務が六百円、あるいは三百六十円、こういう形で設定をされております。

 私も調べてみて、こんなに低いのかな、そういう印象を持ちましたけれども、他の航空手当との比較を少しさせていただきますと、三尉の方の、例えばレシプロ、プロペラの操縦士に対する航空手当は月額で約十四万円支給をさせていただいております。あるいは不発弾の処理、こういう爆発物取扱作業手当というのは一時間について百十円、こうなっていますね。

 ですから、それに比べるとかなり低いなという印象でありますが、この特殊勤務手当というのは、危険性とか困難性とかそういう業務の特殊性に応じて支給額が定められておりまして、印象では何となく低い印象を委員も持たれたと思いますけれども、単純にこれは低いか高いかというのはなかなか一概には言い切れない話であります。

 財政事情が非常に厳しい中で何とか私どもも改善に努めてまいりたいと思いますけれども、現時点ではこういう形になっていることを御理解いただきたいと思います。

橘(秀)委員 ありがとうございました。

 ほかの手当との兼ね合いというのもあると思うんですが、また財政事情もあるということなんですが、大変士気にかかわることと存じますので、御検討のほどお願いしたいと存じます。

 それから、もう一問お伺いしたいのは、この厚木基地の周辺対策費について、具体的に、住宅の騒音に苦しむ住民の方々向けの防音工事の予算、これも事業仕分けの対象となっております。古川副大臣は、行政刷新会議担当で、きょうちょっとほかのものと時間がダブって、荒れる国会の影響で御答弁いただけなくなってしまいましたが、これに関して、仕分けの対象とされたことについて、防衛大臣の御答弁をいただきたいと存じます。

北澤国務大臣 初質問というには余りにも堂々と落ち着いておりますので、感心をいたしておるところであります。

 基地を抱える地域から御選出をされて国政に参画していただいたということで、私どもとすれば、問題を共有させていただく中で大変ありがたいというふうに思っております。

 そこで、防衛施設の設置、運用については地域の皆さん方に大変な御理解をいただいておるわけでありますが、さはさりながら、大変な御負担をかけておるということは十分認識をいたしておるわけであります。特に航空機の騒音につきましては、大変な影響をお与えいたしておるということで、この対策については、防衛省としては大変な関心を高める中で対策をいたしておるところであります。

 お話のように、行政刷新会議がこの分野についても仕分けの対象にする、こういうことで、古川副大臣がいればなお、私も答弁が長々とできたというふうに思うわけでありますが、これにつきましては、住宅の防音工事というのはまず第一にしなきゃいけないということを強く感じておりまして、これからもしっかりやっていきたいというふうに思います。

 お尋ねの厚木の状況について申し上げますと、十八年の十一月に見直しをいたしまして、ほぼ十一万戸が新たに加えられたということでございまして、これは基地周辺対策事業の重点事項として補正計上などをして対策を練ってまいりました。現在、二十二年度概算要求ベースでは、進捗率は多分これで六五%ぐらいには上がるんではないかな、こんなふうに考えておりますが、引き続きしっかり対応をしてまいりたい、このように思っております。

橘(秀)委員 どうもありがとうございました。

 国防を支えているのはやはり地域住民の理解ということが欠かせないと思いますので、今後とも、ぜひとも強く、内閣府の方にも大臣からおっしゃっていただければと御要請させていただきます。

 それでは次に、駐留軍等労働者の給与の関係についての質問をさせていただきます。

 今回は、防衛省職員さん、それから自衛官の皆様の給与の関係なんですが、私は、駐留軍の労働者の方々についても、やはり一体となって国を守っていく、そうした位置づけにおられる方々だと思っております。

 そこで、お伺いさせていただきたいのは、現状、一般の国家公務員と比較をした場合に、二〇〇八年現在、行政一般職で比較すると、国家公務員の平均が、平均年齢四十一歳、そして平均給与が六百四十四万三千三百円、一方で、駐留軍労働者の平均年齢四十三歳に対して五百四十五万二千五百九十九円が年間の給与の平均となっておりまして、既に約百万円の格差が開いているという状況にございます。

 そこで、まずお伺いさせていただきたいのは、駐留軍等労働者の給与の実態についてどのような御認識をされているのか、これについてお伺いします。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 実は、今大臣から答弁をさせていただいた基地周辺対策経費と、そしてこの駐留軍等の労働者の皆さんへの給与、これはいずれも行政刷新会議での仕分けの対象になっておりまして、私が防衛省の仕分け担当の政務官、こういうことでございますので、先生の応援もいただきながら、きちっと仕分け人の皆さんに正確に説明をしていかなければいけない、こう思っております。

 その上で、駐留軍等労働者の皆さんの給与の決まり方ですけれども、法律上は、雇用主である防衛大臣が定めることになっております。ただ、その決定に際しましては、実際の使用者である米側と労務提供契約というものを締結して定められているわけです。したがいまして、米側の同意というのがここに介在をすることになっております。

 今、橘委員からもお話がありましたように、この給与条件の決定というのは労働法令の適用を受けるわけです、国家公務員と違いますので。したがいまして、労働者の皆さんを代表する労働組合との団体交渉を通じて調整をして、最終的に合意に至ったところで決まる、こういうプロセスをとっておりますので、ここはなかなか、今仕分けの対象になっておりますけれども、米側の意向も酌みながら、非常に微妙なバランスの中で決まっているということをまず国民の皆さんには御理解いただきたい、こう思っております。

 それで、給与水準が低いではないか、こういう御指摘でございました。

 今、橘委員から典型的な比較をしていただきましたので、重複は避けたいと思いますけれども、この給与の水準というのは、実は国家公務員に準拠して定められております。ただ、国家公務員の皆さんに比べて、これは高い低いという言い方は適切ではないんですけれども、特別な技能を有するとか、あるいは特別な事務能力を必要とする、こういうことが比較的少ない、こういう判断基準がありまして、結果として、全体として平均給与が低くなってしまっている、こういうことでございます。

 ただ、この点は、仕分けの皆さんに言わせると、少し高いのではないか、こういう御指摘もありますので、これも先ほどの答弁と重なってしまいますけれども、一概には高い低いということは申し上げられない、こう思っておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

橘(秀)委員 給与水準に関して、特殊な技能を持つ持たないということもあるんですが、やはり国民の生活が第一ということで民主党は今回政権をいただいたということであります。本当に真っ当に子供を産んで育てていけるような、そうした給与水準ということもぜひとも強くお願いしたいと思うところでございます。

 労働基準法の二条では、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきもの」とございます。政務官の御答弁にありましたとおり、勝手に行政刷新会議の場で決められる性格のものではないのではないかと私も思っております。

 まさに、日米外交それから日米同盟、地位協定や特別協定に深く密接にかかわる問題でありますので、ぜひともそうしたところをごそんたくいただいて行政刷新会議で活躍をされていただくように、応援のエールを送らせていただきたいと思います。

 それでは、最後に医官の問題について質問させていただきます。

 自衛隊の医官の方々がどんどん離職をされていく。昨年の下地幹郎委員の御質問の中でもあったとおりなんですが、約三〇%の方が防衛医大卒業後九年目までに離職をされてしまうこと、それから、約五〇%の方が十五年目までに離職をされてしまうということをお伺いしております。

 この問題について、離職率が高いこと、それから、自衛医官の定員千四百二十三人に対して実際には千十人、充足率が七一%にとどまっていることについて、この問題意識についてお答えいただきたいと存じます。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいた離職率でありますが、正確を期して説明させていただきますと、医大の卒業生の方は二つの義務を持っております。卒業後九年の間は引き続き隊員として勤務すること、これは自衛隊法第六十四条の二で決まっております。また、卒業生は、この期間を経過するまでに離職した場合、所定の償還金を償還しなければならない、これが九十九条で決まっております。

 したがいまして、任官率につきましては、今七十数%というお話がありましたけれども、卒業生の総数でいくと九九%は任官をしていただいている、過去五年間の卒業生では実は一〇〇%ということでございまして、その点は明確にさせていただきたいというふうに思います。

 給与水準でありますが、基本的には、一般職公務員の医師、例えば厚生省のお医者さんとかと同じ水準になるように特例措置で定められておりまして、手当の方も同じように医官はなされております。そして、大事な点ですが、今回の改正法案におきましては、医官の俸給も他の一般職の医師と同じように据え置き、つまり減額せず、こういうことでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

橘(秀)委員 終わります。真摯な御答弁、ありがとうございました。

安住委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 現在、自衛隊の上司によるいじめ、恐喝等により自殺に追い込まれた自衛官の遺族から、政府を被告とする、国家賠償法、民法七百九条の不法行為責任に基づく損害賠償請求事件が数多く提起されております。

 私が知り得る限りで、横浜地方裁判所に提訴、係属中の護衛艦「たちかぜ」事件、静岡地方裁判所浜松支部に提訴、係属中の航空自衛隊浜松基地の損害賠償請求事件があります。特に、護衛艦「たちかぜ」の事件は、いじめた上司は刑事事件で既に有罪が確定をしております。

 両事件について、自民党、公明党の旧政権下では、遺族、弁護団、国会議員からの自殺調査報告書提出要求を拒むなど、不適切な対応が数多くありました。

 北澤大臣は、使命感を持って国防のために自衛隊に入り、結果、自殺へ追い込まれたこれらの事件についてどのような対応をとるのか、お示しください。

北澤国務大臣 今、照屋委員から、数々の悲惨な事例を列挙してお話がございました。私も極めて残念なことだというふうに思っております。

 世代がやや同じでありますから、私の思いを申し上げますと、終戦直後に「真空地帯」という映画がありまして、旧日本軍の内務班の中における極めて悲惨な状況が国民の中に知らされた画期的な映画であったというふうに思っております。

 現在の自衛隊にああいう考え方、ああいう行為はありませんけれども、しかし、人間の心理の中に、自分の立場をむしろ履き違えて、指導を超えた事案が起きるということは極めて残念なことであります。こういうことにつきましては、さらに、自衛官全体の心構えの問題として教育、徹底を図っていきたい、こんなふうに考えております。

照屋委員 大臣、現在、自衛官の自殺は、他の省庁の約二倍に上る勢いであります。大臣は、自衛官の自殺の要因がどこにあり、どのような自殺防止対策を具体的に講じたらいいとお考えでしょうか。

北澤国務大臣 これにつきましては、事案それぞれが全体的に同じ傾向であるということではなくて、個別個別に性格の異なるものがありますが、しかし、数が多いということについては、委員のおっしゃるとおりであります。

 我々といたしましては、自衛隊のメンタルヘルスに関する検討会というのを立ち上げさせていただいて、カウンセリング体制の充実であるとかメンタルヘルスに関する啓発教育の徹底、そしてまた、自殺した隊員の身近な隊員や御遺族に対するアフターケア、こういうものに鋭意取り組んでおるということでございます。

照屋委員 大臣、護衛艦「さわぎり」の自殺強要事件というのがございました。これは、二〇〇八年八月二十五日、福岡高等裁判所で、自衛隊の責任が明らかにされ、損害賠償が確定をいたしました。

 実は私も、参議院議員のころから、弁護士としてこの事件に十年余りかかわっておりました。この「さわぎり」の事件では、政府、自衛隊の責任が高裁で判示されたにもかかわらず、自民党、公明党の政権下では、政府、自衛隊関係者は遺族に対する誠意ある謝罪もありませんでした。

 北澤大臣は、護衛艦「さわぎり」の遺族に直接お会いして謝罪をする用意はおありでしょうか。

北澤国務大臣 この経緯については私も事務方から十分な報告を受けておりまして、防衛省とすれば、判決が下された後、御遺族に対しておわびを申し上げたということでありますが、重ねて照屋委員からのお話でございます。

 私も、子を持つ親として、子を亡くした親御さんの気持ちは痛いほどわかるわけであります。こういう公の場で、極めて遺憾であったということをまず表明させていただきたいというふうに思います。

 これにつきましては、さらにまた提訴をされておるということをお聞きしておりまして、そういうことになりますと、今の私の立場から、今すぐ直接にお行き合いをして、こちらの立場でおわびを申し上げるというのは、気持ちの上では全然別のところにあるわけでありますけれども、それぞれお立場が、我々にも立場がある、こういうことでございます。

 ぜひその辺は、法曹の場に置かれておる委員としては御理解をいただけるのではないかというふうに思いますが、この場において、子を亡くされた親御さんあるいはまた兄弟の皆さん方のお気持ちには心からおわびの気持ちを申し上げさせていただいて、お行き合いできる機会が早く来るような状況になればありがたい、こんなふうに考えておる次第であります。

照屋委員 北澤大臣、この護衛艦「さわぎり」の事件は、国も最高裁に上告しないで、確定をしているんです。

 私が言いたいのは、遺族、それから自殺に追い込まれた本人も、本当に使命感を持って自衛隊に入ったので、私は、ぜひ大臣が直接遺族にお会いをしていただきたいと思います。

 最後に、社民党は、去る衆議院選挙におけるマニフェストで、「自衛隊内部での人権侵害を防ぐために「自衛官オンブズマン」制度を創設し、自衛官の基本的人権を保障する立法をめざします。」と掲げました。

 いかに軍事組織をコントロールするかは、民主主義国家共通の課題であります。識者によりますと、軍事オンブズマンは、ドイツにおいて、ナチスを教訓に、二度と軍が悪用されないために設置されました。兵士の不満や異論を議会がチェックすることが目的であります。議会による軍の統制を図ることが大事であります。

 北澤大臣は、自衛官オンブズマン制度創設についてどのようにお考えか、尋ねます。

北澤国務大臣 御提案は真摯に受けとめさせていただきますが、現在、内部調査に限界があるというところまでは私も認識はしておらないわけであります。

 いずれにいたしましても、透明性、公正性を向上させるために、部外有識者による人事関係施策等検討会議やメンタルヘルスに関する検討会等を設置して、不祥事や自殺事故にかかわる御意見等をちょうだいいたしておるところであります。平成十五年から、部外業者による電話相談窓口を開設したり、産業カウンセラーによる心の相談、弁護士等による対人関係やセクハラにかかわる相談等、さまざまな悩みに対して相談可能となっておる現状は十分御認識いただいておるというふうに思います。

 せっかくドイツの例もお話しいただきました。これは御案内のとおりでありますが、議会の中でのオンブズマン、こういうことでありまして、私もまだ十分その制度については熟知しておりませんが、十分また研究させていただきたい、このように思っております。

照屋委員 終わります。

安住委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 こうやって野党がいないで質問すると……(発言する者あり)ああ、与党かなと思ったので、建設的な野党はいいんですよ。大臣のお顔も副大臣のお顔も何か緩やかなお顔になっておりますけれども、ぜひまたこの給与法案について大臣のお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。

 大臣、自衛隊の役割というのは物すごく変わってきましたよね。昔だったら、専守防衛ですから、国内で自衛隊が活動するというようなことが非常に多くなっていましたけれども、ソマリアもそうですしイラクもそうですし、制服組の自衛隊というのは、国際貢献も含めて物すごくその役割が大きくなってきました。

 そういう中で、モチベーションを上げるというようなことになってきますと、それは使命感におけるモチベーションも必要でありますけれども、給与に対するモチベーションというのはこれまた非常に大事なところではないかなというふうに僕は思うんです。

 それで、自衛隊のこれからの役割とこの給与改定というようなことを考えると、しかし、何か今の社会の風潮というのはやはり、公務員の給料は下げろ、民間並みにしろとか、いや、公務員は絶対に失業がないんだから、失業がないと決まっている人たちは、民間が十だったら五だっていいんだよ、絶対に失業がないんだから、そういうふうなことをおっしゃる方々がいますけれども、私は、特に専門職というか特殊な仕事をおやりになる自衛官の場合はそうではないんじゃないかなというふうに思うんです。

 そういう意味で、これからの自衛隊の役割と制服組に対する待遇というものの将来像みたいなもの、このことをちょっと大臣からお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、宮島委員長代理着席〕

北澤国務大臣 下地委員は常日ごろから自衛隊の存在について極めて高い見識をお持ちでありまして、ただいまも現状の自衛隊の活動についての御理解をいただいたわけでありますが、お話しのとおり、海外へ行く機会が非常に多くなってきまして、それだけ、語学も含めて対人関係、そういうものについて高度な資質を要求されておるということ。それからもう一つには、自衛隊が今国民の中で大変信頼感を高めさせていただいておる分野においては、災害等に対する支援、こういうことで国民の信頼感を高めておるわけでありまして、そこで待遇をいかにすべきか、こういうことであります。

 私は、できる限りモチベーションを上げるような、このモチベーションというのは、精神的なところもありますが、やはりそこには待遇というようなことでの裏打ちがないとなかなか優秀な隊員を集めることはできないということでありまして、現状をすべて是とするわけではありませんけれども、極力そういうことに意を体しておるということで御理解をいただきたいと思います。

下地委員 自衛隊の隊員の数もそう簡単にふやすわけにもいかないし、役割もふえてまいりますし、危険地に行くケースも多くなってまいりますし、地方でもこれから、北海道から沖縄まで多くの役割を、島嶼警備なんかも含めてやらなければいけないというようになってきますけれども、具体的に、特地勤務手当というのがあります。この特地勤務手当の議論が行われておりますけれども、前の浜田大臣のときには、しっかりと考えさせていただきます、そういうふうな答弁をしているわけですけれども、この特地勤務手当について具体的にどういうふうに考えて、実現をお考えになっているのかどうなのか、お答えいただきたいと思います。

北澤国務大臣 これにつきましては、我々とすれば、今お話のありましたように、相当考えていかなきゃいけないということで、前向きに検討はさせていただいております。

 それと、自衛隊の任務の中で、常時勤務態勢ということがありますので、超過勤務手当の概念というのはないんですね。したがって、それをどういうふうに織り込むかということでいろいろ検討してきましたけれども、現在、超過勤務手当相当分、約二十一時間ぐらいを含めた給与水準というものを設定させていただいておる。

 御質問の前段の部分については、十分また検討させていただきます。

下地委員 最後の質問ですけれども、大臣、私は、島嶼警備というのは物すごく大事だと思っています。与那国島というところがあるんですけれども、この与那国島に自衛隊を配置するというようなことが論議になったケースが多くあるんです。

 与那国に自衛隊を置くと、向こうにいます健全な野党が、中国との摩擦を引き起こすのではないかという声がありますけれども、私はそうじゃないんだと思うんですね。やはり国境の島に自衛隊がいるというのは、これはもう世界にとっても当たり前のことでありまして、そういうふうなものをきちっと、私たちは、普通の自衛隊の役割もやってもらおうと。そのことによって、台湾が非常に沖縄に対しても日本に対しても警戒心を持つとか、それとか中国が持つとか、そんなことは私はあり得ないと思うんですね。それよりも、あの地域にちゃんとした国境を守る部隊がいるということが、私は、島の人たちにとっても安心でもあるし、また、いざ緊急事態、病気においても災害においてもしっかりと対応できるというようなこともあるわけでありまして、そのこともぜひ大臣が検討いただくことも必要かなというふうに、冷静にお願いできないかなというふうな感じもするのが一点。

 それと、与那国という島はもうほとんど国境の島なんですけれども、人がいなくなってきていました。だから、あそこの町長さんが自衛隊に来てもらいたいというようなことをおっしゃっているのにも、安全保障論だけで彼は言っているわけじゃなくて、お話をお聞きすると、自衛隊という方々が来て島を活性化してもらえないだろうかという一つの経済政策的なものもあることだけは確かなんですね。それは非常に残念なことなんですけれども、しかし、防衛省がやらなければいけない島嶼警備と島が悩んでいる経済が一つになって、しっかりと国が守れるというんだったら、その方向も考える必要があるのではないかなというふうに僕は思っています。

 そういう意味でも、もう一回島嶼警備のあり方というのを、きょうは与那国だけに言及したお話をさせていただきましたけれども、そういう意味でも私は、自衛隊の役割は、この日本国内においてもあらゆるところできちっとした役割を担っていくというのは大事かなと思っていますけれども、そのことについてのお考えをお聞きして、私の質問を終わらせていただきます。

北澤国務大臣 この件については、十七日の当委員会でも私御答弁を申し上げておるわけでありますが、幾らか誤解を持って受けとめられていたというふうに思うんです。

 あのときは、私が就任直後の記者会見で、質問をされまして、言葉を丁寧に選ばなきゃいけないかもしれませんが、前政権でも及び腰でなかなか決定されなかったことについて、鳩山内閣が成立した直後に私がそのことについて確定的なことを言うのはいかがなものかということを申し上げたわけでありまして、私は、鳩山政権として国防というものが極めて重大であるということは十分認識しておるつもりであります。

 具体的には、私の方からその後事務方に対しまして、制服も含めてでありますけれども、島嶼警備についての基本的な考え方をぜひ出してきてくれ、必要な部分については十分検討していこうではないか、こういうようなことを申し上げております。

 もう一つ、経済活性化、地域活性化の面からの御提言がありましたが、十分理解できるところはありますが、防衛大臣としてそこまでの考えをこの場で表明するのは控えさせていただきます。先生の御提言は、現地を十分御承知の上での御提言ということで受けとめさせていただきたいと思います。

下地委員 ありがとうございました。

宮島委員長代理 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 本日の委員会は、本来であれば大臣所信に対する質疑を終えて開催すべきところでありますが、大臣所信に対する質疑二時間を残したまま法案の審議に入るという極めて不正常な委員会運営であります。私は、こういう不正常な委員会運営に強く抗議をしておきたいと思います。

 大臣所信に対する質疑の重要性は言うまでもありません。先ほど北澤防衛大臣は十七日の安保委員会について触れられましたが、機会があれば私も、防衛大臣、外務大臣、二人の所信に対してるるただしていきたい。これは当然のことであり、私も安保委員会には長く所属しておりますが、大臣所信に対する質疑がなかったというのは今までありませんでした。朝の理事会で安住委員長も、これは必ずやるべきだ、そして大臣所信に対する質疑は残り二時間ある、こういう認識を持っているという御発言がありましたが、ぜひそのお約束を実行してもらうということを強く求めまして、私は私自身の質問はきちんとやっていきたい。しかし、自民党、公明党の皆さんが出席できないような形でこういう委員会を開くのは二度とやっていただきたくない、このことを強く申し上げておきたいと思います。

 出されている給与法については、国家公務員全体の給与切り下げの一環である法律でありますから、私たちとしては反対であります。

 その立場を述べた上で、きょうは、普天間飛行場の問題について聞いていきます。当初、外務大臣が沖縄を訪問されましたので、その流れでの質問を用意しておりましたが、急遽防衛大臣への質問に切りかえて、中身もそういう向きでやっていきたいと思います。

 まず、前提問題です。

 民主党は総選挙のマニフェストで、「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」と明記をされました。同じ文言を三党連立合意の中でも確認しております。

 防衛大臣に聞きますが、ここで言う米軍再編とは、普天間飛行場の問題に限定されるのですか。

    〔宮島委員長代理退席、委員長着席〕

北澤国務大臣 これは、今御質問の趣旨とは違いまして、日本における米軍駐留の全体の見直し、こういうことであります。

赤嶺委員 そうしますと、例えば米軍再編のロードマップを取り上げますと、普天間飛行場の代替施設の建設以外にも、在沖米海兵隊のグアム移転、嘉手納飛行場以南の土地の返還、キャンプ座間の米陸軍司令部の改編、そして陸上自衛隊中央即応集団司令部の移転、横田飛行場への航空総隊司令部の移転、岩国飛行場への空母艦載機の移駐、ミサイル防衛、訓練移転、これらが盛り込まれていますけれども、これらすべての再編案が見直しの検討の対象と考えていいわけですか。

北澤国務大臣 現在、鳩山内閣の中で、特に外務大臣そしてまた防衛大臣の私が検証をしているというのは、ただいまお話のあったようなことも全部含めて、その集約として日米合意ができた経緯を検証しておるわけでありまして、その中から新しい知恵が出てこないか、新しい合意というものは可能性があるのかということを今検証している、こういうことでございます。

赤嶺委員 見直しのための検証ですよね。見直さないための検証ではありませんよね。いかがですか。

北澤国務大臣 選挙でも見直しということは申し上げたし、マニフェストにもそうでありますから、全体の方向性とすれば見直しに力点を置いた検証をしておるわけでありますが、見直しか見直しでないのか、二者択一のというところまではただいまのところで私が言及するわけにはいかないというふうに思っております。

赤嶺委員 何かよく意味がわからない答弁ですけれども、マニフェストで見直すとおっしゃったわけですから、そこら辺はきちんとしていただきたいと思うんですが、今具体的に見直しの作業を行っているのはどの再編案ですか。官僚から聞かないで、政治家が答弁してください、政治家が。

北澤国務大臣 今は、私が先生の質問がよく聞き取れなかったのでやっておりまして、特段答弁の補足を頼んだわけではありませんので、誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。

 検証は先ほど申し上げたところでありますが、今、国民の中に、この事案について普天間と辺野古だけに限った印象がありますので、そのことをもう少し、グアムへの移転であるとか、あるいは先ほど先生がお話しになった岩国の問題とか、さまざまな問題をもう少し国民の前に明らかにできるような議論展開をできるようにしたい、こういうふうに思っておるわけであります。

赤嶺委員 ロードマップに盛り込まれたそれぞれの再編案がありますが、従来のロードマップの計画に基づく作業、これを進めているのですか。

北澤国務大臣 これを進めるか進めないかを決断するための検証であるということであります。

赤嶺委員 ロードマップに基づく具体的な作業は今進めていない、ストップしているという理解でいいですか。

北澤国務大臣 キャンプ・シュワブの隊員の宿舎の問題であるとか、あるいはまた予算の計上であるとか、そういうことについては一部進んでおるところも、これは我々がということではなくて、前政権から進んでいる部分はあるということは先生も御存じのことと思います。

赤嶺委員 ですから、見直すわけですから、計画が見直された場合には、それが全体として見直しとなった場合には、進んでいる事業も無駄ということになりますよね。見直すわけですから、それに対する事業は続けさせるべきではないと思いますが、いかがですか。

北澤国務大臣 我々とすれば、見直しというのは新しい方向を見出そうとしているわけでありまして、前政権で予算を執行しているものについてこれをストップするというのはなかなか難しい話でありまして、我々はというか、私も就任直後、沖縄へ行きまして、現状をつぶさに見てまいりましたし、県民のあらゆる方々の御意見もできる限りお聞きをしてきました。まずは普天間の現状を一日も早く改善すべきだということを強く脳裏におさめて、今仕事をさせていただいております。

赤嶺委員 前政権が進めている事業はストップできない、普天間問題は解決すると言えば、前政権の枠内で普天間問題を考えていくということになりかねないんですよ。

 私が聞いているのは、普天間問題だけでもないんです。先日は榛葉副大臣が岩国を訪問されておりますけれども、今後、空母艦載機の移駐計画そのものがどうなるかわからないわけですね。にもかかわらず、防衛省は、愛宕山への米軍住宅の建設に向けた検討、NLPの候補地に関する検討を進めているわけです。訓練移転が嘉手納基地の負担軽減につながっていない。にもかかわらず、十月には、百里基地で嘉手納のF15戦闘機が爆音をまき散らしているわけです。嘉手納基地の外来機の問題は全く手つかずのままです。

 米軍再編を見直すと言いながら、現に岩国市民が批判を持ち、怒りを持ち、そして嘉手納町民が被害を受けている問題については、従来のロードマップどおりに進めている、見直すというようなことはしない、粛々とやっている。これは、米軍再編の見直しという根本の姿勢が今問われているんじゃないかというぐあいに思います。これはきょうは指摘にとどめて、次の所信の質問のときにもまたきっちりやっていきたいと思います。

 別の角度から聞いていきます。

 米軍再編は、過去三回の日米合意から成っているということはもう御承知のはずです。二〇〇五年二月の共通の戦略目標に関する合意、十月の役割、任務、能力に関する合意、そして二〇〇六年五月の再編実施のためのロードマップに関する合意であります。

 総選挙のマニフェストや三党連立合意にある、米軍再編について見直しの方向で臨むというのは、ロードマップに盛り込まれた再編案にとどまらず、戦略目標、そして役割、任務、能力に至るすべての合意、これが見直しの対象ということですか。

北澤国務大臣 つい最近の動きを御承知おきいただければ、鳩山政権の見直しに対する熱意、決意というものはおわかりいただけるというふうに思います。米国との間で、オバマ大統領と鳩山総理が会談をしてワーキンググループをつくった、そしてここで協議するということを御承知おきいただければ、鳩山政権の意気込みというものはおわかりいただけると思います。

赤嶺委員 意気込みを聞いたんじゃなくて、米軍再編合意は三回に分けて行われた、その三回全体を見直すとおっしゃっているんですか、皆さんのマニフェストは何をおっしゃっているかということを聞いているんですよ。

北澤国務大臣 これはもう既に御存じと思いますけれども、日米地位協定の改定を提起して、米軍再編や在日米軍基地のあり方について見直しをするということが、我々が選挙前に国民に訴えてきたことであります。

赤嶺委員 大臣、問題を理解されているのかされていないのか私には定かじゃないんですが、マニフェストの中で米軍再編の見直しをおっしゃっているわけです。その米軍再編というのは、三回に分けて日米間で合意をしております。戦略目標から、役割、任務から、そしてロードマップまで、その全体を見直す、そういうことを民主党はマニフェストでおっしゃったんですねというのを聞いているんですけれども。

北澤国務大臣 日米で閣僚級のワーキンググループをつくったということは、すべてのことを協議するということです。

赤嶺委員 すべてのことを協議すると。ついつい長島先生のところに目が行きますけれども、三回にわたる米軍再編合意、2プラス2で行われたもの全体を見直すという答弁だと理解しておきたいと思います。

 これまでの再編合意は、アメリカのブッシュ政権と自公政権との間で行われたものであります。ブッシュ政権は、九・一一テロを受けて、対テロ戦争、そしてイラク戦争へと突き進み、いわゆる先制攻撃戦略を強く打ち出しました。自公政権は、その戦略につき従って、インド洋、イラクへと自衛隊を派遣し、米軍再編に合意をいたしました。しかし、アメリカの戦略はもう破綻し、現在のオバマ政権は、国際協調、軍事以外の手段の活用を言わざるを得なくなっています。核兵器の廃絶も言わざるを得なくなっています。

 一方、鳩山内閣はといいますと、ともかく、テロ特措法を延長しないで、アフガンへの民生支援の拡大を打ち出して、今まで米国に依存し過ぎていたと発言し、アジアをより重視する姿勢も打ち出しました。私は、これは、今後の日米関係のあり方にかかわる大きな変化だと思います。

 鳩山内閣としては、今後の日米関係のあり方についてどうしていくつもりか、端的に答えていただけますか。

榛葉副大臣 ただいまの先生の質問には後ほど大臣からお答えいたしますが、その前段の大臣の御答弁の補足をさせていただきたいと思います。

 いわゆる見直しの話でございますが、マニフェストには、正確には「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」ということでございます。

 政権がかわりまして、当然、ロードマップを初めとする国と国との約束事は大切なものであるということは言うまでもないわけでございますが、我々が長い間野党におりまして、さまざまな情報の欠如、そして説明責任の欠落等々で、さまざまな問題を我々が新しい政権としてレビューするということは当然のことでございます。その点については御理解を賜りたい。

 他方、過日設置をいたしましたワーキングチーム、ワーキンググループというものは、これは普天間の問題に特化をいたしまして、この問題を日米間でしっかりと議論する、こういう枠組みになっているということを、大臣の答弁の補足をさせていただきたいと思います。(赤嶺委員「さっきの日米関係のあり方」と呼ぶ)

北澤国務大臣 日米関係というのは我が国にとって最重要な課題でありまして、鳩山総理も、これをさらに対等、そしてまた深化させていく、こういうことであります。

赤嶺委員 米軍再編の見直し、マニフェストに書いてあるのは何かと聞いたら、大臣が答弁されて、その大臣の答弁を副大臣が訂正されるという、ちょっと私には理解ができない答弁でありますが、それも、大臣所信に対する質疑の中でまた引き続き深めていきたいと思っております。

 鳩山首相は、先日の日米首脳会談で、来年の日米安保条約改定五十周年に向けて、日米同盟の深化のための協議のプロセスを開始したいと提案し、合意をいたしました。ところが、一方で政府は、普天間飛行場の問題だけは年内に結論を出そうとしているわけです。

 普天間飛行場というのは、皆さんがおっしゃっているのは抑止力の問題です。皆さんはそうおっしゃっている。国際社会の変化やそれへの対応のあり方をめぐる議論があって初めて米軍基地のあり方をどうするかも決まってくると思いますが、これから日米同盟に関する協議を開始しようというときに、なぜ普天間の問題は年内に結論を出せるんですか。

北澤国務大臣 我々の前に今大きく立ちふさがっているのは、前政権の約束とはいいながら、両国間の合意という重いものがあります。その中で、沖縄の皆さん方のお気持ちをどう具体的に解決していくか、こういうことで、一つ大きな問題が我々に提示されておるわけであります。

 さらに重ねて申し上げれば、この合意をどう受けとめるかということを、二十二年度予算のありようを決定することによって大きなメッセージを出す、こういうことになりますから、我々とすれば予算編成にぎりぎりの年内にこれを決定したい、こういうことであります。

赤嶺委員 まさに、自公政権が当時のブッシュ政権との間で交わした国際情勢の認識、日米同盟のあり方、アメリカの先制攻撃戦略への日本の従属的な協力、こういう中で普天間基地問題というのが出ているわけですよ。

 皆さん、日米同盟を深化させるために一年間議論しようというわけですよ。何で、議論しようと言いながら、普天間だけはことしいっぱいか、年内に結論を出すのか。予算の問題があると言いました。大臣、予算の問題というのは、来年は民主党政権が、あの辺野古に基地を埋め立てる、埋め立てるという申請を沖縄県に出す、そういうようなところにつながる予算の編成でしょう。何で、根本的に日米関係が見直されないで、普天間だけは年内に結論を出そうというんですか。おかしいじゃないですか、そういうことは。

 私は、大きな日米関係のあり方に関する議論がまだこれからだというときに、なぜ普天間の問題だけはそれと切り離して年内に結論が出せるというのか、このことを伺っているんです。

北澤国務大臣 そのことも含めて、ぎりぎりのところで閣僚級のワーキンググループをつくったということであります。

赤嶺委員 今の米軍再編をめぐって、民主党の皆さんとも一緒に自公政権を追及してきたテーマがあります。それは、今やっている米軍再編は、政府と地元自治体、住民との関係であります。現在の再編計画は、民主党の皆さんが繰り返し野党時代に追及していたように、それまでの政府と地元自治体、住民との関係や経過と無関係に、日米両政府が一方的に押しつけたというところに大きな特徴があります。防衛大臣はどのように認識していますか。

北澤国務大臣 これは、我々も見直す、こういうふうに言っていますから、問題意識を持っておるわけでありますが、この日米合意というのは、ただ単に自民党政権と米国との間でなく、それだけではなくて、当時の沖縄における政治勢力の問題もあったというふうに思っております。しかし、このたびの衆議院選挙あるいはまた県会議員選挙で、沖縄の民意は大きく動いたということを私たちは真摯に受けとめて対応しておる、こういうことであります。

赤嶺委員 旧政権の米軍再編合意の地方自治体への頭越しの押しつけ方は、大変ひどいものがありました。例えば、岩国の飛行場でも、騒音軽減を目的に滑走路の沖合移設を進めていたはずが、完成を間近にして、突如、空母艦載機の移駐が押しつけられた。この岩国市民の思いを、私は本当に繰り返し聞かされてまいりました。

 沖縄では、政府と稲嶺県政との間で、政府が十五年使用期限を重く受けとめることを条件に、軍民共用空港を辺野古の沖合に建設する案で合意していたけれども、日米両政府が一方的に計画を変更して、キャンプ・シュワブ沿岸域に米軍専用の恒久基地をつくることに変更しました。

 力づくのやり方だったんですよ。地元の住民の思いを踏みにじっただけではなくて、これまでの政府の基地政策に協力的だった自治体の怒りを買うことにもなったんです。そんなに強引だったんです。米軍再編に反対する運動は、ですから、いつでも住民、議会、自治体ぐるみの運動に発展しました。

 伺いますけれども、日米両政府は普天間飛行場の問題について年内の結論と言っておりますが、地元自治体との関係でどう進めるかという問題です。自公政権と同じように日米間で合意をしてから地元自治体の理解を得るのか、それとも地元自治体の理解を得られた場合に初めて日米間で合意するのか、どちらですか。

榛葉副大臣 その問題はゼロサムゲームではないと思います。地元も大事でございますが、当然ながら、大きな枠組みでの日米関係も極めて大事だと思っています。

 私も先般岩国に行ってまいりまして、今先生の御指摘の点は重々承知をしてまいりました。だからこそ、私だけではなく、無論、私の上司であります防衛大臣も、そして岡田外務大臣も、現地を回り、地元の皆様方の声を聞いてきたということでございます。地元の皆様方の御理解なしに、この基地問題は解決することはできません。

 岩国の問題で申し上げますと、SACOから再編交付金にシステムそのものが変わっていったという事実関係はあるわけでございますが、さきの政権でそのような頭越しの、いわばあめとむちのような形があったやに聞いているということも承知をしております。

 我々は、このようなことのないように、地元の皆さんの御理解を賜れるように鋭意努力をしながらも、しかしながら、これは政治決定でございますから、同時にこの問題も現実的に対応してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 今の答弁では、自公政権と変わらないですよ。自公政権も同じことを言っていたんですよ。あめとむちでいえば、沖縄県民は、戦後六十年間余、あめとむちの政策に苦しめられてきたんですよ。

 ですから、はっきり、日米間の合意の前に住民の合意が得られなければ日米合意を押しつけることは絶対にあり得ない、民主党政権であればそんなことは絶対やらない、そういうことを言ってくれますか。

榛葉副大臣 政権がかわりまして、私どもが最初に対応した仕事が補正予算の問題でございました。防衛省は、約千三百億という限られた補正ではございましたが、この補正も見直しまして、私が中心となってこの見直し作業をしたわけでございますが、三割強の予算を一時とめることになりました。

 しかし、その中で、大臣から厳しく御下命を賜ったのは、地元の基地対策、地元の皆さんとの信頼関係にかかわる予算には手をつけてはいけない、今までの自公政権のように、補助金をやるから言うことを聞けというような風潮の補助金の使い方はまかりならない、たとえ厳しい財政状況であっても、地元の方々との信頼醸成につながる予算はしっかり確保するようにという御指示を賜りました。これ一つとっても、以前の政権とは全く方向性は違います。

 したがって、我々は、できる限り地元の声を大切にしてこの問題を進めてまいりたいと思っています。

赤嶺委員 何も変わらないんです。当たり前ですよ。あめとむちの政策を見直すのは、こんな民主的な日本においては当然のことですよ。それさえやられていない。

 私は、限りがあるような住民の意思の尊重ではなくて、住民の合意がなければ日米合意を押しつけるようなことはしないという明快な答弁が欲しかったんですが、それはいただけませんでした。

 ただ、県民の総意について私は申し上げておきたいんですが、一貫して県民の総意は、県内移設反対であります。県内たらい回しはもうやめようということであります。

 これは、九七年の名護市の住民投票で、国のさまざまな圧力と妨害、まさに国営の住民投票でした。現職の大臣が名護のホテルに泊まり込み、官房長官が泊まり込み、防衛大臣が全国から防衛庁の職員を名護市に派遣し、住民投票に賛成を押しつけようとする。あれだけの妨害をはねのけて、新基地建設反対の意思がはっきり示されたんです。

 それを尊重しないで、あくまで県内移設を進めようとしてきたことが、十三年間、普天間が動かなかった最大の原因なんです。県民に打たれたむちは、まだ取り払われていないんです。住民投票でノーの答えを出したのに、十三年間、手をかえ品をかえ基地を押しつけようとする。こういうことを取り払わない限り、ここを見直さない限り、この問題は、どんな案を出してきても、どんなアイデアでも、机上の空論で、沖縄県民が受け入れられるはずはありません。

 住民投票の合意に従って、もう県民の総意ははっきり出ているんだということで、県内移設はやめるべきではありませんか。防衛大臣、答えてください。

安住委員長 赤嶺君、時間が参っております。

北澤国務大臣 国防という大事なことは政府の責任においてこれを決めるということは、鳩山内閣の強い意思であります。しかし、地元の皆さん方の意思を尊重するというのも、民主主義社会の中で極めて重要なことであります。

 我々が、沖縄の皆さん方のお声を重視して、意向をどう見きわめるかということを考慮しておりますと、沖縄の方から、国防の事業の決定を沖縄県民に押しつけるな、沖縄の県民の意見を聞くことによって政府が沖縄に負担をかけている、こういう声が出てきていることも事実であります。

 しかし、私たちは、今申し上げた二つの、国家の重要な意思としての政府の意思表明、そしてまたその裏に裏打ちされた県民の意思、こういうものをしっかり見定めていきたい。

 赤嶺委員のお気持ちはよくわかりますが、赤嶺委員のおっしゃることがすべて沖縄の意見であるというふうに認識するには、まだ私たちは十分でないと思っております。

赤嶺委員 まとめますけれども、北澤大臣、僕が勝手に住民投票の総意は県内移設ノーだったと言っているわけじゃないですよ。住民投票でノーの結論が出たんですよ。それは、私が主張しようとだれが主張しようと、結論は一つじゃないですか。県民の意思は、住民の意思は明確に示されているんですよ。

 ですから、県内のたらい回しはやめて、危険な普天間飛行場は即時に閉鎖して撤去する、こういうことをアメリカに本腰入れて求める交渉をやらないと、この問題は、年内に決着をつけたつもりがまた後十何年も尾を引いていく、こういう問題になるんだ、今求められているのは、民主党政権が米軍再編の見直しと言うのであれば、本腰入れて、県民の住民投票で示された、その後の県民世論で示された立場に立って対米交渉をやるべきだということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

安住委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十五分開議

安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十六分散会


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