衆議院

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第2号 平成22年10月21日(木曜日)

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平成二十二年十月二十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平野 博文君

   理事 下条 みつ君 理事 神風 英男君

   理事 空本 誠喜君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 今津  寛君

   理事 岩屋  毅君 理事 佐藤 茂樹君

      安住  淳君    磯谷香代子君

      小原  舞君    神山 洋介君

      菊池長右ェ門君    高橋 昭一君

      玉城デニー君    西村智奈美君

      萩原  仁君    松本 大輔君

      山尾志桜里君    渡辺浩一郎君

      渡辺 義彦君    江渡 聡徳君

      木村 太郎君    新藤 義孝君

      武田 良太君    中谷  元君

      浜田 靖一君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         前原 誠司君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   内閣官房副長官      古川 元久君

   外務副大臣        伴野  豊君

   防衛副大臣        安住  淳君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    城野  功君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十一日

 辞任         補欠選任

  玉城デニー君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     玉城デニー君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

平野委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として海上保安庁次長城野功君及び防衛省防衛政策局長高見澤將林君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神風英男君。

神風委員 おはようございます。民主党の神風英男でございます。本委員会の筆頭理事を引き続き仰せつかることになりましたので、またよろしくお願いを申し上げます。

 きょうは、主に三点についてお伺いをしたいと思っております。一点は例の尖閣諸島の問題、そして二番目が防衛大綱の問題、そして三点目が普天間の問題でございます。

 まず最初に、尖閣諸島の問題から入りたいと思うわけでありますが、今回、中国漁船衝突事件が発生をいたしまして、中国人の船長、センキユウなる人物が出てきたわけでありますが、このセンキユウなる人物は一体どういう人物であるのか。テレビの画面で拝見している限り、なかなか普通の一般の漁民とも思えないようなところもありますし、一部にはまた、海軍の軍人であったというような報道もあるわけでございまして、この点、正確にどのように把握をされているのか、まずその点からお伺いをしたいと思います。

城野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のような報道があったということは承知してございますけれども、被疑者船長については、漁師であると承知してございます。

神風委員 非常にあっさりとした回答でありますが、ただ、最近の中国の動向を見ておりますと、例えば南沙諸島で支配権を獲得していく過程は大体四つに分かれていくのかな。第一段階というのが、まずは領有権を主張していく、そして第二段階で調査船による海洋活動を行う、第三段階で海軍の艦艇の示威行動が行われて、四番目に、最後に漁民の違法操業であるとか上陸というような形になっていくわけでありまして、今回も、場合によってはこのセンキユウなる人物が偽装漁民あるいは軍人が漁民を装ってというようなこともあろうかと思います。

 そういう中で、例えば無線の周波数がどうであったのか、あるいは漁民ということであれば、実際にどういう漁を行って、どれぐらいの漁獲があったのかということも含めて、本当に漁民であるということで間違いないのかどうか、もう一度お答えをいただきたいと思います。

城野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お尋ねのありました、その漁船の通信機の周波数その他、船長の職業についてどういうふうに調べたかということにつきましては、捜査の具体的な内容に関することでございますので、回答は差し控えさせていただきたいというふうに思います。

神風委員 まあ回答できないのはよくわかりますが、その上で、漁民であるということに確信を持っているというか、それ以上の疑いはないということでしょうか。

城野政府参考人 はい、そのとおり、漁業者ということで承知しております。

神風委員 わかりました。

 ちょっと話をさかのぼって考えてみたいんですが、一九七二年に日中国交正常化というものが行われ、その際に、両国はこの尖閣諸島の問題に関して認識の違いを持ちながら、当時、トウショウヘイ副首相が棚上げというものを提案された。そしてまた、七八年の日中平和友好条約締結の際にも、トウショウヘイ副首相が、我々の世代は知恵が足りない、次の世代はきっと賢くなるであろうということで、いわばこの問題というのを先送りにしてきた、棚上げにしてきたわけであります。

 ただ、この発言というのは、日中両国間でそれぞれ認識、とらえ方の違いというのがあるのであろうと思いますが、これはそれぞれどう認識がされていて、また現在この発言というのは生きているのかどうか、継承されているのかどうか、その点を伺いたいと思います。これは外務大臣に。

前原国務大臣 お答えいたします。

 申し上げるまでもありませんが、尖閣諸島が我が国固有の領土であり、国際法上にも歴史上にも問題がないということは当然のことでございまして、東シナ海には領有権問題は存在しないという前提でお答えをいたしますが、一九七八年十月二十五日に、当時のトウショウヘイ副総理が日本記者クラブの内外記者会見談話で話をしたことについて、少し引用させていただきます。

 尖閣列島を我々は釣魚島と呼ぶ。呼び名からして違う。確かに、この問題については双方に食い違いがある。国交正常化の際、双方はこれに触れないと約束した。今回、平和友好条約交渉の際も、同じくこの問題に触れないことで一致した。中国人の知恵からしてこういう方法しか考えられない。というのは、この問題に触れると、はっきり言えなくなる。確かに一部の人はこういう問題をかりて中日関係に水を差したがっている。だから、両国交渉の際はこの問題を避ける方がいいと思う。こういう問題は一時棚上げしても構わないと思う。十年棚上げしても構わない。

 こうおっしゃっているわけでありますが、これはトウショウヘイ氏が一方的に言った言葉であって、日本側が合意をしたということではございません。

 したがいまして、結論としては、棚上げ論について中国と合意したという事実はございません。

神風委員 日本としては、合意がないという立場であろうと思います。

 ただ、当時大平内閣のもとで、当時の沖縄開発庁が調査団を尖閣諸島に派遣した、この調査に関して、中国が、トウショウヘイ副首相との合意に反するという抗議があったわけであります。これを受けて、衆議院の外務委員会において、当時の園田外務大臣がこのように述べられている。

 日本の国益ということを考えた場合に、じっとして今の状態を続けていった方が国益なのか、あるいはここに問題をいろいろ起こした方が国益なのか、私は、じっとして、トウショウヘイ副主席が言われた、二十年、三十年、今のままでいいじゃないかというような状態で通すことが日本独自の利益からいってもありがたいことではないかと考えます。

 こういうように述べられているわけでありまして、いわば棚上げ状態にしておくことが日本の国益にも合致するんだというような趣旨のことを当時の園田外務大臣が述べられ、また、いろいろその当時の議事録を拝見しますと、大平総理も同じような立場に立っているようであります。

 続いて、お伺いをします。

 中国が一九九二年に領海法というものを制定した。尖閣諸島が自国領であるということを宣言し、さらには、二〇〇九年には海島保護法というもので国有化を明記しているわけですが、この領海法が制定されたときに日本側としてはどういう対応をとられたのか、その点を伺いたいと思います。

前原国務大臣 まず、一九九二年に中国が採択をした領海及び隣接区域法でございますが、これは、我が国固有の領土である尖閣諸島を中国の領土として規定するものであり、我が国としては絶対に受け入れられないものであり、したがって、同法制定後速やかに、東京及び北京において、中国側に対し抗議の申し入れを行ったということでございます。

 もう一つの、二〇〇九年に中国が採択した海島保護法でございますが、これは、主な目的としては、海島の生態環境保護、国家海洋権益の維持、保護等を挙げております。同法において尖閣諸島への直接の言及があるわけではありませんが、同法の運用に関しまして一定の懸念がありましたので、その旨を北京にて中国側に伝達しております。

神風委員 一応の抗議をしているということはわかるわけでありますが、これも、やはり当時の外交青書を見ますと、括弧書きで一行だけ、その抗議文が書かれている。「(日本固有の領土である尖閣諸島の領有権に言及、日本は直ちにこれに強く抗議し、是正を求めた)」この一文があるだけであります。

 また、この領海法の制定を受けての、当時の宮沢総理と江沢民総書記のときの会談においては、宮沢総理が、この問題が日中関係の大局に影響を及ぼすことがないようにすべきだと述べて、中国側に善処を要請した、これに対して、当時の江沢民総書記が、同問題を棚上げする中国側の方針に変更のないことを強調したということでありまして、当時から既に、この問題というのはボタンのかけ違いというか平行線のまま進んできているわけであります。

 そうしたことを考えると、本当であれば、この七八年の日中平和友好条約の締結の際に、もう少し日本側の方がこの問題に対して毅然とした態度というのか、白黒をもう少しはっきりつけるような措置をとっておくべきであったのではないかなと思うわけでありますが、それはそれとして、今こういう状況で、ある意味で長いこれまでの経過の中で、いわば、両国間にこの問題に関して暗黙の了解のようなものが存在していたことは恐らくあるのであろうという感じがしております。

 そういう中で、今回の衝突事案を振り返って考えてみますと、恐らく中国側として見ると、何でこんなに日本は今回強硬な態度をとるんだろうかという思いがあったのであろう。日本では、なぜ中国側がという思いがあるんですが、逆に、恐らく中国側として見ると、なぜこれほど日本の方は強硬に出てくるんだという思いがあったのではないかなと思うわけであります。

 そこで、これは外務大臣に伺いたいわけでありますけれども、今回の一連の対応をとるに当たって、いわばこれまで七八年の当時から続いてきた、日本側は正式にはこれは続いていないというか存在しないわけでありますが、恐らく中国側はそういう形であった。これは暗黙の了解でありますから、正式には何もない、存在していないということになりますけれども、いわば暗黙の了解という形で存在したやに見える。そういうこの暗黙の了解を、今回その一線を越えるんだ、あるいはこの暗黙の了解を修正するんだという思いがおありになったのか、そういう認識の中で今回の対応をとられたのかどうか、あるいは現時点でも結構ですが、その認識のところをお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 先ほど答弁をいたしましたように、トウショウヘイ氏の棚上げ論については、我々は合意をしていないというものであります。これは確認をさせていただいた上で申し上げれば、中国の反応について我々はコメントする立場にありません。

 しかし、あの海域というのは、神風理事も御承知のとおり、漁場でありまして、頻繁に、我が国の漁船のみならず中国や台湾の漁船もたくさん来ている。海保は常に、領海に入ってきた漁船を追い出すというか誘導して、入ってきても、別にそれですぐに逮捕するとかそういうことはしてこなかったわけです。立入検査というのは日常的にやっておりますけれども、それまででありました。

 今回は、ある中国の漁船の船長がいわゆる警告を無視して体当たりをしてきたという悪質な公務執行妨害事案であったということで、日本の法律に基づいて対応させていただいた、こういうことでございます。

神風委員 この問題というのは、まさに暗黙の了解でありますので、こういう場でなかなかコメントできない部分もあろうかなと思っておりますが、ぜひ引き続き毅然たる対応をお願いしたいと思います。

 加えて、日米安全保障条約の第五条の適用について伺いたいと思います。

 今回、クリントン国務長官が、尖閣諸島は日米安保条約の第五条の適用対象になるということをまた明言されたということでありますが、御案内のように、尖閣が第五条の適用対象であるという保証と、実際にこの第五条が発動されるということとは大きな開きがあるわけであります。

 この第五条に書かれておりますのは、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」となっているわけでありまして、あくまでもこれは武力攻撃という文言がここには書かれております。

 そうしますと、冒頭申し上げましたような偽装漁民、今回の場合には完全な漁民であるということでありますが、仮にそれが偽装漁民であって、海軍の軍人が漁民を装ってというような形で大挙して尖閣に押し寄せるような場合には、なかなかすぐにこの第五条が発動されるということにはならないのであろうと思います。

 そのときの対応として、日本としてはどういう対応があるのか。今、暗黙の了解というのを申し上げましたが、私は、これまで続いてきた尖閣における暗黙の了解というのを修正するんだということ、方針として変更するのであれば、ある意味では、尖閣に自衛隊を常駐させるということが必要なのではなかろうかというような思いでおります。あるいは、自衛隊常駐までいかなくても、ヘリポートの建設、灯台は今も年一回電池の交換をされているようでありますけれども、そのほかの何らかの施設の整備というのは必要になってくるのではないかと思うわけでありますが、この点、どのようにお考えになっているのか、これは両大臣に伺いたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 ただいま尖閣をめぐる情勢についてるるお話がありましたが、歴史的経過を踏まえて、自衛隊としてはP3Cを初め不断に監視活動を行っておるわけでありまして、もしそのような不測の兆候があらわれれば、即刻、関係省庁に連絡をするという体制を今とっておるわけであります。その先、尖閣に部隊を展開するというようなことは今の段階ではまだ考えていないということを御理解いただきたいと思います。

前原国務大臣 先ほど神風理事が言及をされましたように、まず、日米安保条約第五条というのはどんなものか、簡単におさらいをいたしますが、我が国の施政のもとにある領域における、日米いずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合には、日米両国は共同して日本防衛に当たるということであります。

 この武力攻撃というものについては、一般に、一国に対する組織的、計画的な武力の行使ということに使われるというのは御承知のとおりだと思います。

 この組織的、計画的というものをどうとらえるかというのは、事象が起きた初めにはわからない可能性がございますね。後で検証してみれば、実は組織的、計画的に意図された第一弾が例えばサイバーテロであったとか、あるいは先ほど神風理事がおっしゃったような偽装漁船による領海侵犯が発端であったという場合が取っかかりであるということは、これはシミュレーションとしては考えられ得るわけであります。しかし、それがその時点ですぐに、いわゆる五条事態であるとか、あるいはまして日本有事であるとかいう判断をするのには総合的な判断が必要になってくるということでありますので、余り個別のシミュレーションでお答えをするよりは、その時々に応じた総合的な判断において日本政府として対応し、また米国とも相談しながら対応していくということになろうかと思います。

神風委員 しっかりした対応をお願いしたいと思います。

 次に、防衛計画の大綱について若干伺いたいと思います。

 年末に向けて大綱の取りまとめというのが行われていくことになるわけでありますけれども、よく言われるのが、本文と大綱別表、これがなかなか一致しない。本文にはすばらしいことが書かれているけれども、その本文を反映したような形で別表が書かれていないのではないかというような指摘がされるところであります。

 けさの報道を見ますと、これから潜水艦の方は二十隻にふやすというような報道もされておりましたが、この別表の書きかえというのは、これまでの形式も含めて変更されていく御予定があるのかどうか、これは防衛大臣の方に伺いたいと思います。

安住副大臣 この別表と大綱の問題というのは大変議論が出るところでございまして、大綱そのものというのは、やはり文言の中から我が国のあるべき防衛のあり方というのを書くわけですね。それに伴って、いわば目標としての別表数字というものは、陸海空のそれぞれの調達を書き込む。しかし、現実には、それが完全に達成をされるかといえば、未達の部分というのも当然これは起きてくるわけでございます。

 今、北澤大臣初め、菅総理のもとで新しい大綱を作成中でございますけれども、その中で、やはりより現実に沿った大綱のあり方と、それからこの別表をどうするかということを検討中であるというふうに考えております。

神風委員 それに加えて、あと、武器輸出三原則の見直しということがよく報道されるわけでありますが、報道を通じて大臣のお考えはいろいろと伝わってくるところでありますので、そこら辺は私も非常に賛意を得るところでございます。

 例えば、戦闘機の共同開発のようなものも当然あるとは思いますが、日本にとって直近の課題というのは、ある意味では、SM3ブロック2Aの第三国移転の問題になってくるのであろうと思います。これは見直しをしないと、なかなかこの第三国移転というのが可能にならない面があるんだとは思います。

 これは大臣の方はもうある意味で御了承をいただいているんだと思いますけれども、閣内の方でどのような議論になっているのか、内閣の中でこれは意見の一致を見ることができるのかどうか、そこら辺の見通しはいかがなんでしょうか。

北澤国務大臣 私も防衛大臣に就任して一年を経過したわけでありますが、この間、さまざまな省内での議論、それからまた国際情勢等も踏まえる中で、政権交代が行われたという大きな歴史的意義を背景にして、これは見直すべきである。特に、今、神風委員御指摘の新たな装備の開発、技術の進歩、そういうものに取り残されることのないような体制はぜひつくるべきだというふうに思っております。

 直近の今のミサイルの問題につきましては、これは個別事案として今私の立場でお答えするわけにはいきませんが、武器輸出三原則全体の議論といたしますと、私は防衛大臣の責任において問題提起をした、それを受けて内閣全体の中でどう判断していくか。それのベースとすれば、大綱の見直しという場所があるわけでありまして、そこでしっかり議論をしていただきたい。

 私とすれば、できる限り、官房長官談話で事を処していくということよりは、この際、平和国家としての基本理念というものは大切にしながらも、もう少し時流に合ったものにしていくべきではないかというような考えを持っておるわけであります。

神風委員 といいますと、ちょっと確認ですが、これは、佐藤内閣のときの最初の三原則に、多少、共産圏諸国とかそういうのは変更するにしても、そこに単純に戻すということではなくて、新しいものをつくっていくという認識でよろしいでしょうか。

北澤国務大臣 これは議論のあるところでありまして、ややもすれば、佐藤内閣のところへ戻せばいいではないかと。しかし、そこには、三項目めに紛争当事国という大きな縛りがあるわけでありまして、私は、大きな問題解決にはならないのではないかというような個人的な考えを持っておるわけであります。

 私の方からの発信は、新しいものをつくるのがいいのではないか、しかもそれは、政権交代が行われた中で、今まで自民党政権、一方のリベラルな民主党の考え方というものが政権にたどり着いたという中で、それらしいものをつくる、そういう大きな議論をしていきたいというふうに思っております。

神風委員 最後に、普天間の問題をお伺いしたいと思います。

 これは新聞報道ではありますけれども、仲井真知事が、現行の普天間飛行場の危険性の除去について、現在の二千八百メートルの滑走路を、いわばキャンプ・シュワブでできるのは実質的には千六百メートルの滑走路、オーバーランを含めて千八百メートルということであって、この千六百メートルという形で運用すればいいではないかというようなことを記者会見で述べられたということが書かれておりました。

 同じく、伊波市長、ともにこの十一月の知事選に立候補を予定されているお二人でありますが、この伊波市長とは、私も個人的に話をしたときに、その運用として千六百メートルでというような話を随分強調されていたわけであります。

 これは、グアムへの移転がこれから延びるということも考えると、そこら辺の具体的な、緊急的に危険性を除去するということも必要になるのかなと思っておりますが、そこら辺の実現可能性はいかがでしょうか。

安住副大臣 私も当委員会でいろいろな議論を聞かせていただいて、危険性の除去というのは、特に沖縄選出議員の方からお話もいただいたし、当委員会でもそこについては視察もしてまいりました。

 仲井真知事の十月八日の会見の中身というのは、私自身も承知をしております。ただ、現状においては、KC130を含めた航空機やその他の飛行機の離発着が行われているという現実もありましての二千八百でございますので、直ちにそれをそういう方向にするというのは、運用上の面からいっても、今の段階ですぐにというわけにはなかなかいかないのではないかなと思っております。

 我々としてはとにかく、危険性の除去という一点については大変そのとおりでございますので、今後、2プラス2の合意を踏まえた対応をしっかりとしていきたいというふうに思っております。

神風委員 最後に、米軍基地の共同使用について伺いたいと思います。

 よく言われるように、米軍基地が七四%沖縄に集中してしまっているということであります。ただ、在日米軍基地というのは、よく見ますと三つの形態がある。つまり、日米地位協定第二条一項(a)、いわゆる二1(a)と言われる米軍の専用の施設・区域。そしてまた、二4(a)と言われる米軍管理によって自衛隊が共同使用する基地。また、二4(b)と言われる日本側が管理をして米軍が共同使用する基地。この中でいえば、もう御案内のように、二1(a)、まさにこの米軍の専用の基地施設が沖縄に集中してしまっているということであるわけであります。

 これは考え方としては、この二1(a)を二4(b)に変更していく、つまり、できれば日本側の管理の中で米軍が共同使用するような形にしていくというのは、沖縄の負担軽減に非常につながっていくのではなかろうか。

 この普天間の移設というものだけに目が行きがちでありますが、もう少しアプローチを変えて、視点を広げて、根本的に、沖縄にある米軍の、七四%、集中している基地を、この二4(b)、いわゆる日本側が管理をし、そして米軍と共同使用するというような形に切りかえていくという大きなベクトルの方針を政府として示していく中で、この普天間の移転というものも考えていくのは一つのやり方ではないかなという気がいたしております。

 先般、グレグソン国防次官補ともちょっと懇談する機会があったんですが、その点について伺ったところ、非常に前向きな回答を、まあ中身の余り詳しい話はできませんでしたけれども、かなり前向きな回答をされておりましたので、そういう形が一つのあり方ではないかなと思うんですが、最後に大臣の方からその回答を伺って、終えたいと思います。

北澤国務大臣 日米の関係からすれば、私は一つの新しい時代に向けての考え方だというふうに思っております。

 過日、私がワシントンでゲーツ長官と会談をいたしましたときにもこの問題を提起いたしました。そのときは、私は今まさに神風委員がおっしゃったような形での普天間の代替施設の提案をいたしたわけでありますが、米側は、極めてかたい態度でありました。アンダーでお話をするときはなかなか理解のあるようなお話をする方もおりますが、公式会談の中で、私とゲーツ長官との間ではむしろいい方向で協議をしたわけでありますが、米側から重ねての協議の申し入れがありまして、その中で、慎重論が起きてきた。

 しかし、現在の協議の中では、共同使用ということについては幅広く前向きな検討に移っておるということでありまして、私は、沖縄の代替施設の管理、使用、そういうものは日本がイニシアチブをとった方がいいのではないか、こういう思いを持っておりました。

 しかし一方で、沖縄の皆さんの御意見を聞くと、自衛隊についても必ずしもいい感情を持っていないので、その点は慎重にすべきであるという御意見もあることも承知をいたしております。

神風委員 引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。

平野委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 今の神風先生の提案はすばらしいですね。アメリカの基地をつくるのではなくて、日本の自衛隊の基地をつくってアメリカと共同使用する、これが姿ですよ。だから、これからもそういう方向でやっていかないと、管理権の問題、いつまでたっても数字が下がらないと言われますから、それはぜひ防衛大臣、私の質問じゃありませんけれども、頑張っていただきたいと思っています。

 一点目に、尖閣の問題なんですけれども、尖閣で、ああいうふうな我が国の領土で公務執行妨害の事件があった、逮捕をした、そして、当時の前原国交大臣も船の現場を見に行って、大臣として強い姿勢を示されて、そして勾留も延長した。しかしながら、検察が検察の立場でいろいろなことを考慮して、帰すというような決着がついたわけです。しかしながら、政治的にも漁業的にも、あの海域というのは、物すごく幅広い政治的な課題や水産業の問題やら、多くの問題があります。

 また、このビデオを出すか出さないか。私ども国民新党は出すべきだということを強く申し上げていますけれども、これを出すに当たっても、この前、ここにいる新藤先生も私たちも大会に行ったら、平沼先生が、ビデオは見ていないんですけれどもインターネットでこういう話が流れていると言って、みんなの前で話をされたんですけれども、海保の職員が乗り移って、それが落とされて、もりでつつかれているシーンがこのビデオの中に入っているんだというようなことを言って、会場が騒然とすることになったわけです。これが事実かどうかはだれもわかりませんよ。

 しかし、この世界の中でこういう話も出てくるとなると、やはり私は、こういうことにきちっと対処する、これはもう国土交通省だけでも外務省だけでもできない大きな政治判断が必要なので、内閣府の中に尖閣に対する部屋といいますか室といいますか、そういうのをつくって、ダイレクトにこういう政治課題について決断を一つ一つやっていくというような、おくれのないような対応をするための対策室みたいなものをおつくりになるおつもりがないかだけ、一点、まず官房副長官にお聞きをしたいと思います。

古川内閣官房副長官 御指摘の領土問題につきましては、我が国の主権にかかわります極めて重要な問題であると認識いたしております。

 したがいまして、御指摘の体制整備の面も含め、我が国の立場を主張していく上でより有効な方策について、政府としてもしっかり検討してまいりたいというふうに考えております。

下地委員 今、意味のわからない答弁だったんですけれども、やるんですか、やらないんですか。まだ、検討しますか。

古川内閣官房副長官 先ほどお答えいたしましたように、我が国の立場を主張していく上でより有効な方策について、政府としてしっかり検討してまいりたいということでございます。

下地委員 時間がないのでこれ以上は申し上げませんけれども、私は、対策室をつくって、タイムリーに政治が判断するというような、そして中国政府とも話ができる窓口をつくっておくことが大事かなと思っていることを申し上げておきたいと思います。

 次の質問ですけれども、二〇一四年に普天間基地の代替地が完成してグアム移転が、八千人が始まるというようなパッケージだということになっていますけれども、二〇一四年というこの完成の、完了の目標設定は大丈夫ですか。ずれることはありませんか。外務大臣、お願いします。

前原国務大臣 この在沖縄海兵隊のグアム移転につきましては、日米両政府は二〇一四年を目標にこれを実現することに合意しておりまして、米側からは、環境影響評価決定書が公表された現時点においても、二〇一四年の移転完了の目標について変更はないとの説明を受けております。

下地委員 改めて聞きますけれども、大丈夫ですね、二〇一四年。

前原国務大臣 繰り返しになりますけれども、米側からは、現時点において、二〇一四年の移転完了目標について変更はないと説明を受けております。

下地委員 私がこれを申し上げますのは、一九九六年に、橋本・モンデール会談も、五年から七年でやりますということを明確にしたんです。しかし、二〇〇一年にはこれができなかったんですよね。できなかった。

 それで、二〇〇一年から二〇〇六年までの間は、この完成の日にち、移転の日にちをずっと政権は、政府は、外務省は示さなかった。十二人外務大臣がかわっていますけれども、それも示さないでずっと来た。

 そして、今度、二〇一四年というものが提示をされて、あと四年後に普天間基地の辺野古移設の工事も完了し、グアム移設も完了するというシナリオになっているわけです。私は、それはそれでいいですよ。辺野古は、普天間の方々はそれでいいと思っていますから、早目に解決したいけれども。

 ただ、問題は、今までの政権の中の問題は、できない話をできるかのようにやっていて、できなくなっても、反省しないでそのままほったらかしている。私は、そうしない方がいいと思うんです。だけれども、今、あらゆるアメリカサイドの情報を見ても、アメリカの下院議員、そして米軍の統合グアム計画事務所の発表などを見ても、どう見ても二〇一四年に間に合わない。予算もつけていない。

 そういうふうな状況の中で、今の外務大臣の御答弁。それは、アメリカはそう言っているというふうにおっしゃっているかもしれない。しかし、私たちは、十万人余りの人たちが普天間のど真ん中にいて毎日騒音を感じている以上は、的確に、あなたのこの騒音被害はいつまでになくなりますよと示す役割が僕らにあるわけですよね。

 これが、今のように、今までやってきたように、おくれようが何しようが関係なく、十五年を迎えているというのは、やはり僕は、異常だ、政治が責任を持っていないと思うんです。私は、政権がかわってそれはやっちゃいけないと思うんです。

 だから、あと四年間であの一千八百メートルの滑走路が辺野古にできるという想像が私にはできないわけですよ。本当にできるとおっしゃるのか。本当にちゃんとできるのかどうなのかをアメリカともう一回交渉して、やると言うのか。その辺のところは真摯に対応した方がいいと思うんですよ。

 その辺について、もう一回、私は、今の厳しい現状は、外務大臣じゃなくても僕らでも、だれでもわかるわけですから、アメリカと御相談して、この日にちは守られますね、これは約束ですから、そのことを改めて御質問させていただきたいと思います。

前原国務大臣 過去の経緯を含めて、下地議員が特に地元の議員としてそういった思いを持たれることはよく理解をいたします。

 五月の二十八日の日米合意、これは沖縄の皆さん方に御説明をしっかりして、おわびも含めて我々は御理解をいただかなくてはなりません。そういったものも含めて、二〇一四年までに完了するということで努力をしてまいりたいと考えております。

下地委員 おわびを含めて合意をするというのは非常に大事なことだと思うんだけれども、一番は、うそをついちゃいけないことよね。できないことをできると言うことが一番だめなことなんですよ。これが今の結果につながっているわけです。バーチャルな話を、できるかのようにずっと論議をすることも、私はやっちゃいけないことだと思う。難しいのは難しいということをきちっとアメリカにも言うし、沖縄県民にも言わなきゃいけないんだけれども、その真摯さが足りないから、今こうやって混迷していると思うんですね。

 そういう意味でも、私は、いま一度防衛大臣にお聞きしますけれども、この時間の問題も非常に大事な問題なので、アメリカ政府と確認して、それがあと一カ月して二カ月して三カ月して一年して、できませんでしたというのでは、私は政府の答弁だとは思えないんですね。いま一度アメリカと相談して、もう一回確認して、沖縄県民に話をした方がいいんじゃないですかね。できますというならできますでいいですよ、それも。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 下地委員が肌感覚でおっしゃっていることは十分理解のできるところであります。しかし、日米では、一四年を目標にする、こういうことが定められておりまして、完成するとは書いていないわけでありまして、ここのところでうやむやにすることによって結果的にうそをついてきたんではないか、こういうふうに言われることは、私は理解できるんです。

 ただ、基本的には、代替施設ができなければすべてが完了できませんから。一方で、グアムのインフラ整備という問題が今起きておるわけでありまして、この面についてはRODにも明確に、これが困難であるということが書いてあるわけであります。

 総合すれば、下地委員がおっしゃったような事態が早々に表面化するということは十分考えられるわけでありますが、現在の日米の間で、しかもこの十一月に首脳会談が行われる今、この時点で、私の立場で、一四年を否定するというようなことは申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういう大きな首脳会談というものがあることも十分御承知おきをいただきたいと思っております。

下地委員 私は、答弁の重みというのは大事だと思いますから、ぜひ肌感覚の答弁をする、日米合意だけの答弁じゃなく、肌感覚の答弁をすることが信頼回復につながると思いますから、ぜひお願いします。

 ありがとうございました。

平野委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 自民党の岩屋毅です。

 影の防衛大臣でございます。同僚には、やみの防衛大臣と呼べ、こういうふうに言っておりますが、北澤大臣とはもうしばらくのおつき合いでございます。お疲れになったらいつでも言ってください、いつでもかわってさしあげますので。

 きょうは、質問の前に、平野委員長に一言、私申し上げたいと思います。

 今般のこの委員長人事というのは、私は非常に不適切な人事だと思います。平野委員長個人の問題じゃないんですね。直前の大臣が関係委員会の委員長に就任したケースが非常に多いんですね。総務委員長もそう、環境委員長もそうですね。特に国会でルールがあるわけじゃありません。ただ、やはり直前大臣というのは、ある意味で政治責任を色濃く引きずった存在でいらっしゃると思いますね。そういう方が直ちに関係委員会の委員長になるというのは、私はやはり余り適切なことではない。

 平野委員長におかれても、今普天間の話がずっと出ておりましたが、やはり官房長官としてその指揮に当たられた方であって、本当は委員長に向かって聞かなきゃいけないことがたくさんある。だから、こういう人事は、私は、お決めになる方もお受けになる方も余り適切ではないというふうに思うのでございますけれども、委員長、就任された以上はもちろん公平公正な運営をやっていただきたいと思っておりますが、委員長の所見を伺いたいと思います。

平野委員長 今、岩屋さんから所見を求められましたので……(発言する者あり)静かにしてください。所見を求められましたので、一言申し上げます。

 もう岩屋先生も御案内のとおりだと思いますが、常任委員長というのは、各議院においてそれぞれの常任委員の中からこれを選挙する、こういうことでございますし、常任委員長の選挙は、その手続を省略して議長からの指名、こういうのが先例でございます。私も、さきの本会議で議長の指名により、院の意思として安全保障委員長に就任いたしたものでありますので、今御指摘のところを論ずる立場にはございません。

 しかしながら、委員会で委員長のあいさつの中でも述べましたが、公平公正な立場での委員会運営にさらに努めてまいる所存でございますので、御理解をいただきたいと思います。

岩屋委員 手続に瑕疵があるとか、おやめになるべきだと言っているわけではありません。ただ、今後の国会のあり方ということで問題提起をさせていただいたわけでありまして、そういうことを踏まえてお互いやっていかなきゃいけないというふうに思っているところであります。

 それでは、質問に入りますが、北澤大臣、前原大臣、私思うんですけれども、政権交代以降の鳩山外交あるいは岡田外交、私は、残念ながら、結果として、日本の外交環境、安全保障環境を悪化させたというふうに思っているんです。

 岡田さんは、私、かねてよりの友人で敬愛する方でありますが、ちょっと原理主義に過ぎて、アメリカに対しても就任当初から否定的なメッセージばかりを送り過ぎたというふうに感じております。その結果、日米関係の特に信頼関係が、破壊されたとまでは言いませんが、大きく揺らいだことは事実だったと思います。普天間の迷走があった。今般の尖閣沖事案に対する、私どもに言わせれば拙劣な対応があった。やはりこの間の一年余のこの民主党政権の外交というのは、私は、いい点はつけられない、むしろ、かなり厳しい点をつけざるを得ないというふうに思っているんです。

 普天間基地の問題ですけれども、北澤大臣、二回目の日米合意、みずからサインをされた当事者ですよね。前原大臣は、あの当時は沖縄担当相で、そして今は外務大臣、直接の担当大臣になっておられる。我々は、やはり早く検証を行って、早く政府が決断をして、沖縄を説得すべきだ、現地の選挙にゆだねるべきではないということを言い続けてきましたが、残念ながら決断がおくれて、時間がたてばたつほど非常に難しい状況に陥っているというのが現実ですよね。

 しかし、こればかりは、何とか解決しなければ、同盟国間で二度にわたって政府間の合意を行ったわけですから、これがまたほごにされるということになれば、本当に今度は日米関係に深刻な打撃を与えることになると思います。当事者として、北澤大臣、前原大臣、いつ、どのようにしてこの事態の打開を図っていく決意であるのか、聞かせていただきたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 政権交代が起きて、その後、時間を浪費した、こういう御指摘でありますが、角度を変えれば、我々は野党におって、自民党政権の日米関係のものは野党の立場で見てきたわけでありますが、特にこの普天間基地の代替施設にかかわる日米協議にはかなりベールに隠されたものがあったという認識を持っております。

 したがって、我々としては、政権を担っていく上での責任においてこれを検証しなければいかぬ、そういう気持ちで検証に入ったわけでありますが、その間、時間がかかり過ぎたのではないかという御指摘は甘んじて受けなければならぬというふうに思っております。それを可として、五月二十八日の日米の共同発表があったわけでありまして、我々はこれを断固として実現していくという決意には変わりはありません。

 ただ、沖縄の地元の人たちに決断をゆだねた、こういうことでありますが、沖縄において当該の名護の市議選があったということは、地元の民意がそこであらわれるという厳然たる事実があるわけであります。さらにまた、知事選がこの十一月に控えておるわけでありまして、これが全く、我々が物事を進めていく上で考慮しないというような独善的な、あるいは国は断固としてやるという意味とはまた別な、地元の皆さんとの合意を大切にするという姿勢からすれば、この推移も十分見なければならぬ。

 ちょっとつぶやきで申し上げれば、この年はちょっと選挙が多くて年回りが悪かったなという感はなきにしもあらずでありますが、私たちは、それによって地元の皆さんにすべてをゆだねたということでは全くないわけでありまして、御理解をいただきたいと思います。

前原国務大臣 アメリカの立場からすると、政権交代が起きて日米関係はどうしていくんだろう、こういう様子見のところは正直言ってあったと思います。

 日米同盟関係は民主党を中心とする政権でも基軸であるということは伝えておりましたが、例えばこの普天間の問題にしても、我々は、沖縄の負担軽減ということを本気で考えて、違う道を模索した。結果的に辺野古に戻ってきたということについては、沖縄の皆さん方には二重の意味でおわびをしなくてはいけない点だと思っております。しかし、やはり抑止力の維持と沖縄の負担軽減ということを真剣に我々は模索した。しかし、結果については責任を持たなくてはいけませんし、岩屋委員のおっしゃったように、同盟国である両国間で合意したことについて二度もほごにするなんということはあってはならないと思います。

 したがって、五月二十八日の合意というものをしっかり沖縄の皆さん方に御理解をいただくように求めていく。その前提は、やはりずっと日本の安全保障の大きな負担を沖縄に過度に負わせてきたこと、そしてまた、民主党政権になってから少なくとも県外を模索したけれどもそれができなかったという、この二つのおわびを含めて、しかし、これをトータルパッケージで進めることが沖縄全体としての負担軽減には必ずつながる。そしてまた、日米安保の重要性というのは、朝鮮半島あるいは戦略環境、この日本を取り巻く環境の変化に必要なんだということも、しっかりと沖縄の県民の皆さん含めて国民の皆さん方に説明していくことが我々の責任である、このように考えております。

岩屋委員 両大臣とも、さきの合意をしっかり実現していくんだという決意だったと思います。ぜひそうあっていただきたいと思います。

 ただ、北澤大臣、我々の自民党政権時代の作業がベールに包まれていたという御発言がありましたが、そんなことないですよ。ほとんどつまびらかにされてきたわけであって。

 それから、選挙ということに配意をしなければいけない、沖縄の皆様の民意に配意をしなければいけないというのはおっしゃるとおりです。ですが、ただ、政権をとられた段階から、いつ何どきどういう選挙が予定されているというのはわかっていたわけですから。政治というのは、やはりそういうスケジュールも全部頭に入れて、政府が安全保障の問題は責任を持って、苦渋の決断であってもこれをしっかりとやっていくというのが政権の責任だと思いますので、そのことをあわせて指摘しておきたいと思います。

 それで、前のときは、まさに平野委員長が官房長官としてその司令塔の役割を果たしておられたわけですね。関係閣僚会議というのがあって、それから与党の調整のための会議もあったということですが、これは、特に与党の調整なんというのは機能していませんよね。最後にばたばたっとやって、結局、社民党が納得できないということで離脱をしていったという展開だったわけですね。

 もう下地さんはいなくなったのか。私は、彼も責任は重たいと思いますよ。それは独自の意見をおっしゃるのはいいかもしれないが、与党を構成している以上は、やはり日米合意に基づいて与党内の調整もしっかりやって声をそろえておかないと、関係大臣が毎日違うことを言っている、そして政権を構成している政党が違うことを言っているという状態では、アメリカ側も説得できないし、沖縄も説得できないですよね。

 今、だからそういう作業過程はどうなっているんですか。責任者はだれになっているんですか。内閣において、あるいは与党内調整においてどういう作業が進んでいるんですか。聞かせてください。

安住副大臣 岩屋先生には、もう大学時代から大変お世話になりまして、クラブも一緒だったものですから御指導賜りましたが、それはそれとして。

 2プラス2で、五月の二十八日、今、前原外務大臣が指摘しましたが、それ以降について言いますと、沖縄とのコンタクト、これについては、例えば八月の十一日に、内閣でいうと福山官房副長官の方から沖縄県知事の方に報道発表の内容については詳細を報告した。それから、八月の三十一日には、上原副知事に対して瀧野副長官の方から、これはV字案とI字案の両方の専門家会議の結論についても御説明をさせていただいた。そして同時に、官房長官を中心に、防衛大臣にも入っていただきまして、沖縄県との協議会を立ち上げさせていただいたというのが現実でございます。

 この協議会で、こちら側の今後のスケジュール等、まあ進捗状況ですね、普天間の移設に伴うことと同時に、負担軽減について、米側との調整についての話をここでさせていただいて、一方、沖縄の方からもその要望を聞くということになりますから、今後、この沖縄協議会が沖縄と政府側との窓口になってやるということになりまして、その仕切り役というのは内閣官房ということになるというふうに認識しております。

岩屋委員 大物の副大臣から答弁をいただきましたが、大物というのは態度が大きいという意味でございますけれども。

 要は、今はどういうことになっているかというと、知事選まではなかなか具体的な動きがとれないということだと思うんですけれども、私が申し上げたいのは、関係閣僚会議それから与党内の調整、今度は、北澤大臣、前原大臣、しっかりやってくださいよ。いよいよ土壇場になってそこがばらばらばらっと崩れていくようなことでは、物事はおさまりませんよ。そのことを指摘させていただきたいと思います。

 それから、これはどちらの大臣に聞けばいいのかな、オバマ大統領がこの秋、来日をされるわけですが、最初は、普天間の問題も全部片づけてというか結論を得て、新しい日米安保共同宣言を発出しようということだったと思います。

 尖閣の問題もこれあり、日本を囲む安全保障環境は緊張感が漂っているだけに、このタイミングでそういうことをやることが私は大事だと思っておったんですが、報道によれば、これは先送りをされたということですよね。日米安保の抑止力が一番充実強化されなければいけない、世界にそれをアピールしなければいけないときに発出できないというのは、これも大変大きな失態だと私は思いますよ。

 では、いつ新宣言をおやりになるんでしょうか。このタイミングで発出できないということの責任を、前原大臣ですか、どう感じておられますか。

前原国務大臣 報道では、やると言っていたものが見送りになったような書き方でありましたけれども、それ自体が事実ではございません。岩屋委員はずっと与党におられて防衛問題にかかわっておられたのでよくおわかりでしょうが、2プラス2をやるときは何らかの文書ということは考えておりましたけれども、例えば日米首脳会談で出すということについては、初めからそれをやるという前提ではなかったということはまず御理解をいただきたいと思います。

 いずれにせよ、先般のニューヨークで外相会議、首脳会議をやりまして、日米同盟関係の深化ということで、そんな言葉だけではなくて各分野において具体的な進展をやろうじゃないかということで、安保と経済、それから文化、人的交流、この分野を決めまして、実はずっと作業をやっています。私も、今月末、またクリントン長官とお会いをし、それを詰めた上で、APECのときに、オバマ大統領が来られたときに、より具体的なところで、合意をするものもあれば確認をして、さらにそれを進めていこうというようなことも今考えております。

 これは私も野党のときから岩屋委員初め自民党の皆さん方に申し上げていたとおり、やはり外交、安全保障というのは超党派で、支えるときはしっかり支えなくてはいけないというテーマでございますし、これは信用していただいて、それについては前向きな合意というか内容で会談をして、お互いが理解をし合うようなものにしていきたいということで、鋭意作業を進めてまいりたいと思っておりますので、むしろサポートしていただければありがたいと思っております。

安住副大臣 小さな態度でお話しさせていただきますけれども。

 今の話を受けて、先週、ハノイにおきまして北澤・ゲーツ会談が開かれまして、その中でも、やはりオバマ大統領の来日というのは一つのポイントであることは全く事実でございますので、同盟の深化というものをより具体化していくということで意見の一致を見ました。

 ですから、いわゆる国会の答弁になじまない言葉かもしれませんが、ここをキックオフの場にして、その中心に、あるしかるべき一定の期間で、より具体の、この共同運用、特に米軍とのですね、それについては結論を得るようにやっていこうという意味での合意というものは当然なされるものであるというふうに思っております。

 さらに、先ほどの答弁につけ加えますと、沖縄の協議会はまず近々開かれるというふうに御理解をいただきたいと思っております。

岩屋委員 とにかく日米同盟の再構築というのはやはり急務だと思います。

 先ほど、この一年余の民主党外交はやはり問題点が多かったんじゃないかと指摘をさせていただきましたが、大臣おっしゃったように、こういう問題は与党も野党もないんですね。だから、政権交代しても一番安定的でなければならないのが外交であり安全保障なので、我々はずっとそういう思いでここでも議論をしてきたつもりですし、これからもそうさせていただきたいと思うので、ぜひ立て直しをしっかりやってください。お願いしておきたいと思います。

 それから、尖閣沖事案、後ほど詳しくうちの新藤議員からも聞かせていただきますが、この間の国会答弁、ずっと、総理初めみんな、官房長官、前原大臣、私もできるだけ聞いてきましたが、当該船長の処分保留、釈放については、一貫して、那覇地検が判断したことであり、それを聞いて了としたという説明に終始しているわけですね。

 これからもこういう説明を続けますか。それが正しい姿勢だというふうに前原大臣は思われますか。

前原国務大臣 今回の事件は、検察が事件の性質等を総合的に考慮した上で国内法に基づいて判断を行った結果として承知をしておりまして、自分としても、検察の決定として尊重しております。

岩屋委員 国民は、その説明に怒っているんですよ。私は、細かいクロノロジーなんか聞きませんよ。そんなことはどうだっていい。これはもうすぐれて外交問題ですから。それは、逮捕した瞬間から外交が始まらなきゃいけない、というか、それ以前に外交的判断がなければいけないという問題ですよね。自民党がもし政権をとっていても、物すごく困難な対応を迫られたと思うんですよ。これは、政治が介入して判断するのは当然の事案なんですね。

 だから、逮捕するのかしないのか、船員と船を帰すのか帰さないのか、船長をこれ以上残すのか残さないのか、釈放するのかしないのか、それぞれ協議が行われたと思いますが、行われて当然ですよね。国民はばかじゃないんですよ。そのぐらいのことができなきゃ政権とは言えないとみんな思っているんですよ。それを、一貫して、おれたちはやっていない、一行政機関が決めたことだ、報告を聞いて了としたんだと言い続けているから、頼りにならないなと。ある意味では国民の誇りを傷つけているわけですよ。

 私は、やはりこの問題は、政府が正面に立つ、政治家が正面に立つ。それは、どっちに決めたって批判されますよ。どっちに決めても批判されるけれども、やはり、自分たちが選んだ政権、間接的ではあるけれども自分たちが選んだ総理が責任を持ってこういう判断をしたんだ、御批判には甘んじるという説明をしないからみんな怒っているんですよ。そう思いませんか。

前原国務大臣 累次国会で答弁をしておりますけれども、一刑事事件というものが外交問題になる、あるいは戦争になる、これは過去の歴史でたくさんあることであります。(発言する者あり)

 しかし、今、中谷委員からお話がありましたけれども、刑事事件については刑事事件として判断をする、しかし刑事事件を発端として外交問題が起きている、あるいは岩屋委員がおっしゃったように、刑事事件として扱うかどうかの前から起きているというのは、それは私は正しい御指摘だというふうに思います。

 ただ、今回の場合については、極めて悪質な公務執行妨害事案であったということで逮捕を海保がしたということであって、そのことによっていろいろな問題が今も起きているわけですし、これからも、中国との間、あるいはこれを一つの契機として国際社会の中でさまざまな影響が出ている。レアアースの問題も一つでありますね。日本だけではなくて、ほかの国に対しても制限がかかっているんじゃないかと言われ始めているし、また、航行の自由というものについて今後どう考えていくのかということが世界じゅうに問題提起をされている。

 こういった一つの刑事事件から発生した外交問題については、それは、岩屋委員おっしゃるように、政治が、時の政府・与党が正面に立って国民に説明をして対応していくということは私は大事なことだと思いますし、それはしっかりとやらせていただきたいと考えております。

岩屋委員 やはりこの事案は、これを契機に日本の対中外交をもう一回見直してみる、アプローチのあり方を見直してみるという契機にしなければいけないと思うんですね。だから、我々にとってもスタディーケースなんですね。国民にとってもそうなんですね。

 菅総理は、国民全員が外交を自分の問題として考えてくれとおっしゃったわけですね。だったら、できるだけ情報を開示して、もちろん外交ですから、言えないこと、言っちゃいけないこともありますが、政府はこういう判断をしたんだ、私はこういう判断をしたんだということを説明していただいて初めて、国民がみんなで外交を考えるということになっていくと思うんですよ。

 だから、一回言い始めたことは変えられないんだと思いますよ。思うけれども、よく前原大臣もわかってくれていると思う、北澤大臣も。やはりここは一つのターニングポイントにしていくべきだと思いますので、その点、改めて指摘をしておきたいと思います。

 総理も官房長官も、おれたちは決めていないと言いながら、柳腰外交だと言ってみたり、静かなる外交の勝利だと言ってみたり、要は、我々の判断が正しかったではないかと言わんばかりの開き直りになっているわけですけれども、私は、機会があれば予算委員会でもぜひその点は聞かせていただきたいと思いますが、ぜひ、政治主導とおっしゃるならば、政権、政治家が前面に立ってこういう問題に対処をしていただきたいと思います。

 それで、ごめんなさい、いっぱい用意していたんですが、時間がなくなったので、最後に、まさに対中外交をこれからどうしていくかということを前原大臣に聞かせていただきたいと思います。

 今回の中国の対応、私は、野党だからはっきり言いますが、極めて非礼、無礼、国際慣例上こんな失礼な対応はないですよ。前原大臣は、極めてヒステリックだというふうにおっしゃったそうですが、どう思われますか、今度の中国の対応。

前原国務大臣 今、岩屋委員は、野党の立場だからはっきり言うけれどもという前提をつけてお話をされました。

 影の防衛大臣ですか、我々は次と言っておりましたけれども、そのお立場になられる可能性もあるわけで、御理解をいただきたいと思いますけれども、やはりこの問題については原則はしっかりと崩してはいけない、東シナ海に領有権問題はないし、尖閣は我が国固有の領土であり、これからも実効支配をしっかりやっていくということについては、これは全く日本の方針としては変わりはありません。

 と同時に、では、隣国ということは、どちらも引っ越しはできなくて、しかも、経済、人、物、金含めて、かなり相互依存関係が強まっているのも委員御承知のとおりであります。日本から見ると、中国は輸出も輸入もナンバーワン、中国から見ると、輸入は日本がナンバーワン、輸出はアメリカに次いでナンバーツー。これだけの相互依存関係ができていて、両方ともことしは世界第二位の経済大国であるということを考えたときに、しっかりと大局に立って、この二国間関係のみならず、中国という、まあ、我々民主主義の国とは違うわけです、共産党は一党独裁ですから、それがしかし、グローバルなスタンダードの中で国際社会と調和をとりながらどう共存共栄していくかということについては話し合いもしていかなきゃいけない。

 特にこれからマルチの、APECもそうですし、EASもそうですし、ARFもそうですし、そういったところにいろいろ中国も入ってきて、グローバルスタンダードの中でやってもらうということについては、やはりコミットメントしていくということも大事でありますので、言うべきことはしっかり言いながら、そういった大局に立った対応をしっかりやっていくということも大事だと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。

岩屋委員 もう時間が来たので終わりますが、まさに、そこは私も同意いたします。やはり中国というのは、大事な隣国であるけれども、異質な大国ですよね。やはり、今まで余りにも事なかれ主義に終わっていたなという反省が私どもにもありますね。中国が責任ある世界のプレーヤーになっていただくためにも、隣人として、友人として、言うべきことはきちんと言っていくという外交をやっていただきたいと思います。

 いつも新藤議員に時間を削られるんですが、私は、きょうはこれで終わりたいと思います。

平野委員長 次に、新藤義孝君。

新藤委員 自民党の新藤義孝でございます。

 ただいま同僚の岩屋議員から、時間を奪われるという、政党内のいざこざを今図らずも露呈させてしまいましたが、まことに、それは大いに反省をしておりますし、しっかりと職責を果たしてまいりたい、このように思います。

 まずは、北澤大臣の再任とそして前原大臣の就任、これをお祝い申し上げたいと思います。ここのところで、とにかく、安保環境そして防衛や外交の状況は厳しさが増している、こういうことでございますから、ぜひしっかりとしたリーダーシップをお願いしたいと思います。また、新政務三役もぜひ健闘を祈るということで、まずエールを送りたいと思います。

 私は、毎回申し上げますけれども、とにかく、この問題は与党、野党関係ありません。国家として、また我々は国会議員として、国会として何をなすべきか、そういう点に立ってしっかりと発言もするし、提案もさせていただきたい、このように思っております。

 そこで、まず私は、きょう、尖閣の問題とそれから東シナ海のガス田の問題、これを絡めて質問したいと思っています。

 まず第一に、尖閣の今回の久場島領海内の事件、これは、まことに政府の対応は大失態、日本外交史上に残る失態であると厳しく指摘をしたいというふうに思います。何よりも、弱腰それから腰砕け、そして、国家主権や領土、領海が絡む問題なのに国内の一刑事事件として扱って、それも外国の圧力に屈した、ここがけしからぬと思っておるわけです。しかし、まだ、失態だけれども敗北ではないんです。私たちは、敗北してはいけないと思うんです。ですから、この問題をどうやって最終的にいい方向に持っていくか、我が国にとって納得できる方向に持っていくか、これを私たちは追求していかなければいけないというふうに思うんです。

 その意味で、まず第一に、尖閣諸島それから東シナ海、これは棚上げの海と言われてきたんじゃないんでしょうか。先ほど神風委員からもお話がありました。それは存在していないというようなことをお話しされましたけれども、実際として、これは、中国側が棚上げの海にしましょうと言い、そして私たちは、領有権を主張するが、それ以上の実質的に支配するような行動は慎む。向こう側は、国内法で島の領有まで規定をしてしまう、しかし、それ以上の行動を起こしてこない。これは、日韓においてもしかりなんですが、ある意味での先人の知恵というものも私は働いてきたというふうに思っているんです。

 しかし、トウショウヘイが、尖閣問題は棚上げしてもいい、十年間はと言いましたね。もう三十年たっているんですよね。一方で、中国の南沙諸島だとか他国への海洋進出の状況を見ると、棚上げと言いながら、いろいろな準備をしつつ実効支配をしていく。これは、棚上げしましょうというのは常套手段だったのかもしれない。私たちは、日本としては、誠実に、しかも自分らの主張はしつつも、外交だからということで、日本人らしいメンタリティーだと思います。でも、私は、今回の尖閣の沖合の事件においてパンドラの箱があいた、着々と三十年かけて中国がやってきたことがいよいよ実行手段に出てきていると受けとめなければいけない、こういうふうに思うんですね。

 まさに、尖閣の問題、棚上げではなくて棚卸ししたんですよ。そういう兆しは幾つもあったじゃないですか。外洋艦隊が頻繁に艦隊演習を繰り返したり、そして監視船と称する中国の公船が出てきたり、いろいろなことがあります。今後、さらに実行手段を用いてくる可能性があるんだというふうに思うんですね。

 きょうの新聞ですけれども、これもまた極めてタイミングがいいですけれども、中国はブリュッセルにおいて尖閣の棚上げを打診してきた、ブリュッセル後の事務方との協議の中で棚上げを打診してきた、こういうことがこの産経新聞に出ているけれども、これは常套手段ですよ。時間を稼いでおいて、一方で、今、中国の監視船がまた三隻派遣されている。きのう付の中国側のネットによれば、現地に到着している。こういう問題も起きている。

 だから、まず外務大臣にお伺いしたいんですけれども、中国、韓国、周辺諸国、みんな大事な国です。しかし、我々は、国家の基礎として、領土、領海、主権、譲れませんよね。それは大臣もおっしゃっておられる。だから、私たちはこれから、日中関係、どのような態度でどういう行動を、特に尖閣や東シナ海の領有問題について取り組んでいったらいいか、まず基本的なお考えを聞かせてもらいたいと思います。

前原国務大臣 先ほど神風委員にお答えをいたしましたように、いわゆる棚上げ論ですね、一九七八年の当時のトウショウヘイ副総理が発言されたことについては、日本側は合意したことではないということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 そしてその上で、歴史的に見ても、これは一八九五年一月十四日でしたけれども、閣議決定で編入したんですが、それまで十年間かけて、本当にほかの国の人が住んでいないのか、あるいは影響がないのかということを慎重に見きわめた上で、そして国際法上の先占という手続をとって編入したわけですね。

 中国が領有権を主張し始めたのは、あの辺の海域に天然ガスやあるいは石油があるというふうに言われてきた一九七一年ですから、まさに、過去の経緯から見ると、これは日本の固有の領土であることは間違いないし、新藤委員おっしゃるように、それを守り続けなければ主権が、もう背骨がなくなる話ですので、これは海保あるいは日本のあらゆる能力を使って実効支配をこれからしていくということがまず大事なことだろうと思います。

 それと同時に、我々のこの活動について、中国についてもしっかり物は言い続ける。例えば、先ほど、漁政が三隻来ると。まだ海域に到着したかどうかというのは確認しておりませんが、そういうものについてはしっかりとしかるべきルートで中国に対して物を言っていくということと、あとは、これは自民党の皆さん方にもいろいろアドバイスをいただいて……(新藤委員「棚上げを打診したと」と呼ぶ)いや、これは新聞報道は事実ではありません。棚上げを打診してきたというのは事実ではございません。

 いずれにいたしましても、仮にあったとしても我々は合意しないということでございまして、その考え方を貫いてまいりたいと思っております。

新藤委員 もう言葉だけでは、我々が言葉だけで解決しようと思っても、相手がその気がないんですから、これは肝に銘じなければいけない。

 棚上げは合意はしていません、それはそうです、両方とも合意事項ではありませんから。ただ、そういったものが日本外交の縛りとなって、また根っこにあって、この交渉をするときにそれを頭に入れながらいろいろな決断をしてきたことも、私は否めない事実だと思っているんです。それが変わったんだということを私たちは認識しなくてはいけないし、前原さんも我々も同じような世代ですから、僕らの世代は違う形でやっていかなければいけないということを指摘したいと思います。

 そこで、防衛大臣、今、中国のこの漁政という監視船が現場に到着する、こういうことになっております。それから、少し前には、東シナ海のガス田の接続水域、またその周辺に中国の監視船が来ている、こういうようなこともありました。この尖閣や東シナ海周辺が非常に慌ただしい状況になっている。もしそこに日本の漁船が、まあ現実には怖くて行けないでしょうけれども、しかし、私たち日本の、日本人に対する脅威になっているわけでございます。そういったことに対して、今、当然、警戒監視活動を海上保安庁がしっかり、ふだんよりもさらにレベルを上げてやっている、このように思いますが、まず、防衛省として、中国の監視船や、そして東シナ海周辺にこういった中国の展開がどのように起きているのか、御認識をいただきたい。

 あわせて、結局、通常の警察活動を海上保安庁がやるわけですが、何か事が起きると、事案が発生すると、海上警備行動や、また治安出動をやる、そういう下令をされて自衛隊が動いていく。すき間があるんじゃないんですか。通常の国は、軍も含めて警戒監視、領域警備をやっているわけなんですよね。我が国はなぜかそれをやらない状態になっている。自衛隊が今後持つ機能として領域警備の活動というものを入れるべきだと、我々自民党で、国防部会の小委員会で、この法改正をしようじゃないかということで今勉強を始めているんです。まさに、長年のひずみなんですね。

 防衛大臣として、現状が今どうなっているか、そして自衛隊が領域警備の活動を任務とすることについて、御所見をいただきたいと思います。

北澤国務大臣 尖閣を中心にした中国側の状況ということでございますが、確かに、中国側の漁船は、ここに二百隻、こちらに三百隻というような大きな数で展開していることは事実でありまして、これは、自衛隊としても監視活動の中で十分把握をいたしております。

 それとあわせて、もう御案内のとおり、急激な中国の海軍力の増強によって、頻繁に訓練が行われておる、細かいことはもう申し上げませんが、極めて危険な状況にある、事案がたびたびあるということであります。

 これは、ハノイでの梁光烈部長との会談の中でも、私は、海上連絡メカニズムを早くつくり上げるべきだ、こういう提案をいたしまして、梁光烈部長も賛同をいたしまして、なるべく早くこれをやると。既にもう事務方での協議は進んでおりますので、まずこれを整えることが、不測の事態が発生することを阻止する、阻止するというか、それを起こさせないための大きな事案だというふうに思っております。

 それから、今、すき間議論がありました。これは、自民党政権時代に相当議論をされたということは承知いたしております。平成十三年の法改正のときも、その御提案があって、しかし、そこまでは埋め切れなくて今日に至っているということでありますので、こういう事案が発生した中で、自民党側からもさまざまな御提言をいただければ、私らも真剣に検討をしていきたい、このように思っております。

新藤委員 ぜひこれは検討しなくちゃいけないと思いますし、法案として出しますから、ぜひ一緒にやっていただきたいというふうに思います。

 前原大臣、私たちは今後、尖閣や東シナ海、中国に対して言うべきことは言う、私たちの立場をしっかりと相手国や国際社会に対して主張していく。これに合わせて、我が国がとるべき今後のスタンスは、実効支配を強化するということですよ。それから、そのために体を張って守る。この二つが私はキーワードになる、こういうふうに思うんですよ。

 そこで、私は今、自民党の中に領土に関する特命委員会というのをつくっていただきました。私が委員長代理になりまして、とにかく、こういう問題をしっかり提案していこう、また政府にいろいろな具体的な策を出していこう、こういうふうに思っているんです。きょうは、その第一弾として、まずはこの尖閣、自分たちの島なんだけれども、無人であって、上陸も許可していない、だれも近寄らせない、そういう状態ですよね。実効支配というのは、人が住んで、かつ、そこで経済生活を送ることが実効支配だ、こういうふうに言われることもあります。これは国際法の中でそういうふうな解釈をする場合があるんです。

 だから、まず第一弾。あの尖閣諸島、幾つか島がありますが、特に最大の魚釣島、こういう島について何か利用できないか、まずそういう調査をやってみたらどうだ。地元の人たちもいろいろな提案をしている、また、民主党の中からもいろいろな提案が出ているけれども、いずれにしても、具体的に本当にできるかどうかやるべきだと思うんですよ。

 昭和五十四年、大平内閣のときに、尖閣諸島調査というのをやっているんです。仮設のヘリポートまでつくってやりました。三十年前のことですよ。ちょうどまさに三十年前、この棚上げの、政治的なお互いの納得の中で、以降、とまっていたわけですよ。

 もう一度、この尖閣の活用について、それは避難港なのか桟橋なのか、それから監視のレーダーを置かなきゃいけないかもしらぬし、いろいろなものがあると思いますが、政府として、そういう尖閣の利用可能調査、こういうことこそ今度の補正予算で出して、すぐにやるべきじゃないんですか。どう思いますか。

前原国務大臣 七千余りの島が日本にはありまして、私が国土交通大臣をしていたときに、例えば南鳥島、それから沖ノ鳥島、これについてはいわゆる強化をしようということで、予算もつけるということで、今御審議をいただくような準備をしております。また、平成二十二年度の予算にも入ってございますけれども、だんだんやっていこうと。

 そこで、今回は尖閣のお話でございますが、実効支配をどのように考えるか。今、新藤委員がおっしゃったような、調査をする、上陸をする、人が住む、さまざまな形で実効支配を強めるというお考えもあると思いますけれども、しかし、領土、領海を含めて他は入れさせない、漁船が入ってきたら海上保安庁がしっかり追い出している、これも実効支配ということは言えなくもないと思うんですね。

 現時点において、我々は、平成十四年の自公政権下で決められました、特別の場合を除いてこの島には上陸をさせないということについては、これからも堅持をしていこう、このように考えております。

新藤委員 どんどん事態が動いていきますから、きょうはちょっと時間がないので、またこの問題はどんどん詰めていきたいと思うんですけれども、少なくとも石垣市は、市長とそれから市議会が、行政体として、また市議会として、現地に上陸していろいろな調査をしたいということを決議しましたね。私、この間沖縄の大会に行ってきて、関係者と漁業の人や自治体の人とも話を聞いてきました。固定資産税がかかっているんですよ。でも、固定資産税の課税主体である市役所が一度も現地調査していないんですよね。どうやって税額を決めるんだということになります。ですから、そういう必要な行政の事務は認めるなりなんなり、きちんと国としても認めてあげなきゃいけないんじゃないかなと思いますが、それは問題意識として頭に入れておいてください、閣僚として。

 そこで、もう一つ、これは事務的なことなんですが、これもぜひきちっとやってもらいたいと思います。

 配付資料をごらんいただきたいと思うんですが、グーグルのマップについて、この間、我が党の小野寺議員の方からグーグルに申し入れをしました。尖閣諸島が日本名と中国名で併記されているじゃないか、こういうことだったんです。大臣の方も、外務省の方も早速対応するということですね。

 だけれども、私はネットでいろいろな仲間がいまして、連絡をくれるんですよ。そうすると、私もびっくりしたんですが、グーグル日本では尖閣は併記なんですけれども、グーグル中国では中国名のみなんですよ。日本の名前は消されちゃっているんですよ。それから、竹島は表記がされていないし、北方四島は日ロ併記ですね。

 それで、ここに資料を持ってきたんですが、どういうことなんだと思いますが、東京湾のど真ん中にフィリピン海と書いてあるわけですよ、これは。これも理由があるんですよ。間違っているんです、明確に。対馬も島の表記が出てきません。それから、ちょっと大きく縮尺を見ると、日本海も出てこないんですよ。

 ですから、そういうものを外務省として、この際、わかる限り一回総合的にチェックして、申し入れるものは申し入れるべきだ。何か、ネットの記事によると、グーグルが削除要請を拒否なんて、中国が勝手にまた言っている。これも陽動作戦だと思いますけれども、こういうことは今まで我々はちょっと無頓着だったかもしれない。びしっとやった方がいいと思うんですけれども、どうでございますか。

前原国務大臣 御党の小野寺議員が申し入れをされたということを受けて、参議院だったと思います、予算委員会で、政府としてもというお申し入れがありまして、早速我々も行動をとらせていただきました。今の新藤委員からの御提案についても、前向きに検討させていただきたいと思います。

新藤委員 それから、もう一つ配付資料。これも、中国のインターネットのサイト、情報が寄せられたんです。これをごらんいただけますか、配付資料。中国のネットでは、日本の船が漁船にぶつかってきた、こういうものが堂々と出ちゃっているんですよ。一つ持ってきました。それから、それ以外には、九月の八日付、だから事件の翌日ですよ、翌日には国営の新華社報道で、日本の船が中国の船にぶつかってきたんだ、こういうことをやっている。何種類もありますよ。

 それから、きょう、私がこれをやるといったら、朝になって連絡が来て、なぜか海上自衛隊の四人が海に投げ出されている、こういうものまで出てきているんですよ。

 ですから、とにかく好き勝手やっているんだ。では、好き勝手にやっているんだとほうっておいていいのかということ。

 中国でデモが起きたりなんかしているけれども、結局、中国の人たちはこういう報道を見てけしからぬと怒っているわけですよ、間違った報道で。事実に基づいていないんだとすれば、私たちが事実を知っているのならば、それを知らせる義務があるんじゃないんですか。だから、ビデオを見せなきゃいけないんですよ。

 ここまでこういうふうにやられちゃっているとすると、このビデオが、何か予算委員会でもって出すの出さないのともめています。そのビデオをどうするかという協議に、総理、官房長官、そして民主党の幹事長。外務大臣は担当なのに何でいないんですか。それで、これはちゃんと出すべきだと思うんですけれども、予算委員会だけじゃなくて、私はこの安保委員会でも出してもらいたいの、これ。こういうことをやられているんだから。私はぜひ、安保委員会においてもビデオの公開を要求したいと思うのでございますが、委員長、いかがでしょうか。

平野委員長 ただいまの件については理事会でお諮りをいたします。

新藤委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。こういうのをぴしっとやらないと。しかも、そのことをちゃんと言わないから。今度、日中会談、外相会談がありますよね、これを絶対言ってくださいよ。お願いしますよ。

 それにあわせて、あと五分しかなくなっちゃったので、次に、白樺のガス田の問題について、東シナ海のガス田、これはぜひ現状を認識してもらいたいと思います。

 これが二〇〇九年八月までの姿。二〇〇八年に、二年前に日中が政治合意をして、これはガス田の中の白樺です。橋上、橋げたまでができているような状態で、この時点で、共同出資をしてそのことを条約にしましょうという約束をしたのが二年前。そして、その条約ができるまではこの開発は行わないという約束が二年前です。去年の八月までこれでした。

 ところが、選挙があって、政権交代があって、皆さんが政権について、前後して中国がここに施設をどんどんと、まず資材を運び込み、そして工事を始めちゃった。あの鳩山さんがニューヨークで二五%の演説をしたとき、あのときに日中の首脳会談がありましたね。工事中だったんです。でも、一言も言わなかった。そして、秋の間にここまで施設ができちゃったんです。そのことを私たちは、自民党ほか、ずっとこれを心配して、これを出せ、写真を見せてくれと。なぜなら、毎日P3Cが飛んでいるから一日単位でこの施設の変化がわかるんです。

 にもかかわらず、昨年の秋に、何も言わず、国民にも公表せず。我が国の白樺のガス田というのは日中中間線の中国側にある施設ですが、ぎりぎりのへりに。しかし、その下から掘ろうとしている鉱脈は日本側に通じちゃっているということがわかっている。だから、我々が、共同出資して、日本の資源を勝手にとらせないぞということで交渉してきたんです。僕らが交渉してきたんです。これに対して、去年の秋に、何もそのことに抗議をしなかった、見て見ぬふりをした。棚上げなんでしょうか、友愛なんでしょうか。そういうことが起きたことによって、去年の秋の段階で、あとはドリルを差し込むまでになっちゃったんです。

 これが正式にわかったのは、一月に日中外相会談があって、当時の岡田大臣が中国側に、こういったことがもしあるならばゆゆしきことだ、事実であれば対抗しなければならないという警告をしたというんですよ。そういう記事が出たので、私たちはわかったんです、ああ全部できちゃったんだなと。だから、この写真を出せと言ったんです。延々出せと言ったんです、外交部会で正式に。

 そのときにどういう対応がされたか。これは大変恐縮ですけれども、外務省や防衛省の人間が、資源エネルギー庁の人が来て、我々の部会で、写真はお出しできませんと言うんです。写真は出せない。なぜだ、拒否するのかということでがんがんやったときに、最後、役所の担当者が顔を真っ赤にして言ったのは、この写真は、外務大臣と当時の官房長官の御指示によって、公開してはならぬという指示が来ています、だから出せませんと。本当かどうかわかりません。だから私は何度も、この安保委員会に官房長官においでいただきたいと要望していたんですけれども、その当時にはおいでにならなかった。

 だけれども、政権としてそういう判断が起きている。ビデオを見せないのと同じような判断が、もう去年の秋からあったんですよ。これは、自分たちに都合がよかろうが悪かろうが、事実は国民に公表しなければ、相手国に対して事実をもって交渉しなければ、足元を見られるだけじゃないですか。

 こういう事態が、実は今回、尖閣で九月の七日に事件が発生しましたね。十一日に中国側が日中のガス田の協議を一方的に延期してきたんです。それを宣言して、そして翌日から、今度は、このガス田に最後の、全部でき上がっちゃっているガス田にドリル管を入れて、そこにドリルをやって掘って、ガスを取り出すための最終作業が着手されたんじゃないか、こういう報道がなされているんです。

 これも、私たちは自民党で部会を開いて、外務省はどうなっているんだ、撮ったのは防衛省です、資源エネルギー庁はどう分析するんだ、さんざんやった結果が、経産省としては、これは掘削工具を持ち込んで掘削が開始された可能性が非常に高い。なぜならば、掘削が開始されると、海の底、ここは水深は六十メーターです、三千メーターぐらいのところに鉱脈があるんだそうです。そこまで掘り込んでいくためには、途中で土を抜かなきゃパイプが詰まっちゃいます。途中の土を抜くので海が濁るんです。海が濁ることが決定的な証拠になるんだと。しかも、よく見れば、そのパイプが持ち出されていることもわかる。ここまで。これは読売新聞と朝日新聞の写真なんです。

 日本政府は、毎日、写真を持っているんですよ。何で出さないんですか。しかも、この問題を、これまで累次の、この尖閣の陰に隠れて、実は尖閣のことを言いわけにして、日本がそんな強引なことをやるのならば我々は対抗措置をとるといったレアアースの禁輸だとか、ああいうものに合わせて、かこつけて、こんなことをやっているんですよ。これは一回つくっちゃったならば、ずっと生産されちゃいますよ。

 この問題は、民主党の政権の一番いけないところだと思うんです。出さなきゃ。都合の悪いことは隠す、または言いかえてしまう、それでは本当の骨太の国家運営なんかできませんよ。いいも悪いもないんですよ。私たちは一丸となって中国にこの問題で取り組んでいかなきゃいけないのに、現実には、我々に隠してどうするんですか。今回の写真も出せと言ったら、出せないと。政務三役の指示なのか。政務三役はこういうものを出せと指示を出すべきじゃないか、私はそう思うんです。

 ですから、ぜひこの問題を、今回、日中の外相、首脳会談がある際に、ガス田の問題を正式に懸念を表明するとか、やんわりとじゃなくて、今確認中ですと、自分たちで確認すればいいんですよ。飛行機が毎日飛んでいる、写真を撮っている。外務省や役人の専門家をここに連れていって、ちゃんと見せてくればいいじゃないですか。

 このガス田の問題に対してどう対応するのか、そして写真を公開できるかどうか、この場で私たちに公開してくださいよ。お答え願います。

前原国務大臣 その写真は、新聞社が撮っている写真ですよね。(新藤委員「これはね」と呼ぶ)新聞社が撮っている写真であります。

 それで、一つは、この白樺についてでありますけれども、先ほど新藤委員がおっしゃったように、今までなかった機材が運び込まれて、そして掘削を行っている可能性はあると我々思っております。しかし、断定ができませんので、中国側にそれを、我々も分析、確認をすると同時に、向こうにも照会をしているところでありますが、外交ルートで現時点において返ってくるのは、断じてやっていない、こういう回答が返ってきております。

 しかし、そういう濁りも確認されておりますし、その後の経緯については現時点においては差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても、菅総理と温家宝首相がASEMで会われて日中関係の正常化を図っていくということで合意をされまして、今外交ルートで、その首脳会談あるいはその前の外相会談についても、内容について、あるいはどういう時期にやるかについて詰めております。

 当然ながら、このガス田の問題については、外相会談、首脳会談が行われた際にはしっかり議題として、そして二〇〇八年の日中合意をしっかり遵守するように我々としては申していきたい、このように思っております。

新藤委員 この写真は、結局だれも見せてくれないから僕らで撮りに行ったんですよ。こっちの下の写真は、神風さんや民主と、安保委員会の理事会視察で、現場で自分らが自衛隊の飛行機を飛ばして撮ってきた写真なんですから、我々にこんなことさせないでくださいよということ。

 それから、確認中、確認中と言っている間にでき上がっちゃって、できちゃった後からどうにもなりませんよ。これは二カ月です。九月の中旬から始めているのならば、十一月の中旬に完成しちゃいます。二カ月の間にとめられるかどうかが非常に重要だと思っておりますので、ぜひしっかりとした活動をしていただきたいとお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

平野委員長 次に、木村太郎君。

木村(太)委員 おはようございます。短い時間ですが、大臣、よろしくお願いします。

 まず、防衛大綱の質問をさせていただきます。

 私どもは、本来、昨年のうちに新たな防衛大綱を策定して、ことしはその初年度であるべきというふうに考えておりました。よって、閣議決定を経て今の民主党政権は延長した、私はこれはもうごまかしだと思っております。安全保障の分野でそんなことがあってはいけない、こう思っているんです。

 ですので、本来、新たに防衛大綱が今存在していなければならないのに存在していない、このことを大臣は国民にどう説明しますか。

北澤国務大臣 まず、今、委員のおっしゃった防衛大綱が存在しないという前提は、そうではなくて、現大綱が生きているわけであります。

 ただし、防衛大綱とともに策定した中期防衛力整備計画というものが五年で期限を切った。したがって、二十二年度予算をどうするかということが新内閣の大きな課題になりまして、私の方から提議をいたしまして、ここは閣議でしっかり対応を協議して、閣議決定をして、二十二年度予算について防衛力のすき間が生じないようにということでやったわけであります。

 この閣議決定では、平成二十二年度は現大綱の考え方に基づき防衛力を整備することとして、三つあります。各種事態の抑止や実効的対応能力、二つ目が地域環境の安定、三つ目がグローバルな環境の改善といった現在の安全保障環境を踏まえた重点事項を示して、二十二年度防衛予算を策定したということであります。

木村(太)委員 だから、まるきり認識が違うんですよ。我々は、昨年のうちに策定して、ことし初年度ということで、大綱も新たな大綱としてスタートさせる、そこに中期防も存在する、こういう考え方なんですよ。だから、もう最初から認識が違うんです、今の大臣の答弁と。

 だから、我々の認識として、聞きたいのは、こういう今の姿勢で、例えば毎日厳しい訓練で頑張っている隊員諸官はどう思っていると思いますか。あるいは、中国を初め周辺諸国、国際社会は日本をどう思っていると思いますか。あるいは、日米同盟、安保条約があるアメリカはどう思っていると思いますか。

 国でいえば憲法、政党でいえば綱領。私は、安全保障においては、この大綱というのは大変大事なことだと思っています。よって、大臣が思っているんじゃなくて、隊員諸官はどう思っていると大臣は思うか、アメリカはどう思っていると大臣は思うか、国際社会はどう思っていると大臣は思うか、答えてください。

北澤国務大臣 まず、防衛大綱に対する認識でありますが、御案内のように、五二大綱、そして〇七大綱、一六大綱、今現在あるのは一六大綱であります。この見直しについては、五年ごとの見直しというのは、一六大綱の中で初めて五年ごとに見直そうという提案があってこれに入ったわけでありまして、その五年がちょうど政権交代にぶち当たった。

 したがって、今までの防衛大綱は見直しの規定もなかったわけですね。それが一六大綱で見直しの条項が入った。しかし、政権交代が起きて、新しい内閣がみずからの内閣の使命として防衛大綱をつくるという決心をしたわけでありますから、それをわずか数カ月の間にできるはずはないわけでありまして、これの見直しを一年延ばして、ただし、先ほども申し上げたように、中期防衛力構想については閣議決定で三つの基準に基づいてやった。

 さてそこで、隊員はどう思うかということでありますが、これは私が大臣に就任して、この問題を重要課題として訓示を与え、そしてまた防衛省・自衛隊全体に徹底をいたしましたから、何ら不信感とかそういうものはあるはずもないわけであります。

 米国については、四度にわたるゲーツ長官との間での会談で、この問題について懸念を表明されたことはありませんでした。

木村(太)委員 安全保障の分野ですから、政権交代して数カ月しかないからということは理由にならないんですよ。仮に我々がまた政権を奪還して、あと数カ月でことしが終わるといっても、自民党はやるんですよ、数カ月でも。そういうことを理由にすること自体が、今の政権の安全保障の危うさ、あるいは不安というものの種をまいているんですよ。この認識が余りにもはっきりしているということを確認させていただきました。

 我が党は、昨年の六月、新たな防衛大綱の自民党案としてまとめたんです。政権交代して、皆さんがことしに延長しようとしましたから、さらにまた議論を重ね進化させて、ことしまたさらに進化させた自民党案をまとめたんです。自民党の防衛大綱案をどう評価しますか。また、次期防衛大綱に反映させる気持ちはありますか。

北澤国務大臣 今、認識の違いということで一方的に言われましたけれども、防衛大綱と中期防衛力構想というのを混同しているんじゃないですか。五年ごとに見直そうという規定は入っていますけれども、今まで自民党も五年ごとになんか見直してこないんですよ。しかも、今度、政権交代のあった中で、我々は新しいものをつくる、こう言っている。今現に生きているのは、自民党がつくった防衛大綱ですよ。それが何か不都合があるんですか。私はおかしな論理だと思う。こういう決めつけ方が国民に不信感を持たせるのであって、もう少し防衛大綱の歴史とそれから中期防衛力構想というものをはっきり認識していただきたい、まずそういうふうに。

 それから、私は、自民党の提案についてはまだ十分承知はしておりませんけれども、この委員会での議論でも再三にわたりまして、国防、外交に与野党はない、そういう姿勢はしっかり持っていきたい。したがって、自民党からの提案は、公表されたということは十分承知をいたしておりますので、御提言をこれから真摯に受けとめていきたい、このように思っております。

木村(太)委員 私も政務官と副長官を経験させていただきましたので、大臣が今説明することに私は納得できません。

 それから、我々は野党ですけれども、野党第一党が党として考え方をまとめたのを、今、興味ないというような答弁じゃないですか。見ていないみたいな。把握していない。私は、こういうことも大変危うさを感じます。民主党がもしまとめたら、我々はやはり気にしますよ。また、いいものを取り上げようと思いますよ。それがないということですから、異常なことだと私は思います。

 そこで、自民党案のことはどう反映させるのか、今、余りはっきりとは答えませんでしたが、事実関係だけ教えてください。民主党内で、民主党として防衛大綱のことを議論して、それをまとめて政府に、大臣に提案、提言していますか、今現在。

安住副大臣 六月の十四日に、自由民主党政務調査会・国防部会として「提言・新防衛計画の大綱について」ということでお書きになったのを私は読みました。

 この中では、安全保障環境をめぐる基本的な認識や、基本的な防衛政策の考え方等々、防衛戦略のあり方、日米同盟の関係、さらには島嶼部における考え方、集団的自衛権等についての解釈についても述べられておりまして、私どもとしては、大変ニアなところもあるし、しかし、なかなかちょっと折り合わないところもあるかもしれないとは思いますけれども、党として、このことは民主党の中で、今説明いたしますけれども、議論の中で、十分国家として参考になるものであれば、自民党の考え方についても、それを取り入れるということについては何らやぶさかなことではないと思います。

 さて、その中で、民主党でございますけれども、今月に入りまして、外交・安全保障調査会の中で、防衛大綱をめぐる検討チームを立ち上げました。これから二カ月にわたりまして現実に文書作成をしていく中で、党の反映を精力的にそこの場でやりながら、政府と歩調を合わせながら、大綱に向けて意見調整をやっていこうというふうに考えております。

木村(太)委員 だから、きょう現在、ないんですよ。(安住副大臣「今はもうできています」と呼ぶ)ないんだよ。

平野委員長 不規則発言はやめてください。

木村(太)委員 ないんですよ、だから。

 そこでもう一つ確認したいんですが、報道ベースですけれども、本年中につくりたいということですが、本年中というのは、十二月の三十一日なんですか、それとも予算編成の前までということなんですか、あるいは今月中なんですか。教えください。

北澤国務大臣 今年中ということは今年中であります。

木村(太)委員 普通考えますと、予算編成の前に大綱、中期防をきちっと示して、それに基づいて予算編成に入る、これが当たり前だと思うんですよ。例えば、予算編成を閣議決定する直前に大綱が出てきても、そこには、大綱、中期防をきちっと意識した上で予算編成したという事実は生まれないですよね。

 だから、私から考えますと、もう十一月中にも一日も早く大綱、中期防をまとめ、それを踏まえて予算編成に入っていくというのが当たり前だと思うんですが、ただ、今の動きを見ると、何か、これだけまず、予算は予算でやる、大綱は大綱で事実関係をつくるためにつくりましょうみたいな、そういう危うさを我々は感じるんですよ。

 きちっとやっていただけますね。そのことを指摘しておきたいと思います。要は、一番大事な大綱の策定の姿勢も、我々から見ると、大変幼稚さというのを感じてしまうんですね。ぜひ、大臣、リーダーシップを発揮してきちっと対応していただきたいと思います。

 では、次のことに入ります。

 先ほどもちょっと出ていましたレアアースの件ですが、このレアアースの輸出制限によって自衛隊の装備あるいは我が国の防衛産業に何か影響を与えることはあるんですか。事実関係だけ答えてください。あるかないかだけでいいです。

松本大臣政務官 木村委員には、防衛政務官の先輩として御指導いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 事実関係ですので、私から御答弁をさせていただきます。

 レアアースは、民生品のみならず、精密誘導武器、レーザー、通信システム等の防衛装備品に使用されておりますけれども、現時点においては、我が国の防衛装備品に関し、レアアースの輸出規制による大きな影響は当面ないものと認識をいたしております。

 一方で、今後、事態の推移によっては防衛装備品に対し一定の影響が出てくる可能性も否定できないことから、防衛省としては、関係省庁とも連携をしながら事態の推移を慎重に注視してまいりたいと思います。

木村(太)委員 影響が出る可能性があるんですよ。ただ、安全保障のことですから、どの防衛装備品にどうこうということは、これはこういうオープンな場では議論すべきじゃないと私も思います。

 それから、レアアース以外の資源というか、そのことが仮に海外からの輸出入でいろいろな動きがあったときに影響を与えることもあり得るのかどうか、そういうことにもきちっと万全を期しているのか、どうですか。

松本大臣政務官 まさに今、木村委員御本人からお話をいただきましたけれども、細部について明らかにすることは我が国の安全保障上影響を与えるおそれがあることから、お答えすることは困難であると承知をしております。

木村(太)委員 万全を期しているかということを聞いているんです。期しているか期していないかを聞いているんですから。まあ、いいです。

 では、逆に、防衛装備や防衛産業の分野において、日本にしかないもの、それは物質であったり部品であったり技術であったり、そういうものも私はあると思うんですよ。それが何なのかということはこれまた平場の部分で余りオープンにすべきじゃないと思いますが、そういうものはありますね。また、あるとすれば、ある面では日本の、あるいは世界の安全保障に貢献するためにも、日本にしかない部品、技術、そういったものを戦略的に活用していく、こういうことも大事だと思うんですよ。どうですか。

安住副大臣 全くおっしゃるとおりで、これは機密にかかわることもありますので、しかし、これを戦略的に、国益に資するようにやっていくということが重要だと思います。

 なお、先ほどの話でちょっと一つだけ、十五秒で話しますが、一六大綱時に自民党が大綱をまとめたのは十二月なんですね。予算編成時とほぼ同時期に御党もそれをやっておられるということだけは付言しておきます。

木村(太)委員 委員長、注意しなきゃだめだよ。聞いたことに答えるんだよ。委員長、注意してくれ、注意してくれ。聞いたときに聞いたことに答えるんです。注意してください。

平野委員長 追加的発言だというふうに理解をいたします。

木村(太)委員 委員長、公平にお願いしますよ。

 では、時間になりましたので最後に聞きますが、尖閣の問題を初め、みんな西日本というか南の方に目が行きがちですけれども、私は青森県でして、極東ロシアも軍事力をかなり高めてきているんですね。また、北朝鮮から直線的に見れば、北日本というのは結構近い距離だと思うんですよ。

 私の地元でいいますと、陸海空ありまして、米軍があって、また人口比に対して自衛隊員の割合というのが日本一多いんです。北の日本の守り、またその中で青森県の位置づけというのを、大変恐縮ですが、大臣、どうとらえていますか。

安住副大臣 委員御指摘のとおり、海上の大湊を含めて、青森県全体に自衛隊は非常にお世話になっております。しかし、これは津軽海峡を含めて、冷戦期からの非常に重要な戦略的な拠点である。今現在においても、車力を含めて、近代的なレーダーシステムの中でも重要な位置を占めております。

 昨日も、つがる市の市長さんにもおいでをいただきまして、さまざまな問題についてお話し合いをさせていただきました。

 今後とも、青森県のそうした御負担に対して、できるだけの対応というものはさせていただきたいというふうに思っております。県民の皆さんにも厚く感謝を申し上げます。

木村(太)委員 終わります。ありがとうございます。

平野委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 まず、前原外務大臣御就任、また北澤防衛大臣続投、さらには政務三役の方、御就任おめでとうございます。内政、外交ともに非常に多難な折でございますので、ぜひ政務三役の方々には、国益を追求し、高めるために邁進していただきたい、そのようにお願いをしたいと思います。

 きょうは、幾つか質問を用意しておりますので、前口上はこれぐらいにいたしまして、早速何点かお聞きしたいんです。

 先ほど岩屋委員が質問をされた日米同盟の深化ということなんですけれども、新日米安保共同宣言、新聞報道によるとなかなか難しいのではないかと。ただ、先ほど外務大臣の御答弁では、そもそもそういう前提ではなかったんだ、そういう趣旨のことでございました。

 しかし、昨年の十一月にオバマ大統領がお見えになったときに、日本の鳩山総理の方から、日米安保五十周年を記念して、そういう協議プロセスを始めていきたいんだということで協議が始まった、そういう経緯を私は承知しておるんです。

 そういうことから考えますと、今、一年たちまして、オバマ大統領が再来日されるときに、2プラス2のような文書ではなくても、日米安保体制がこの新時代においてこういう形で深化したんだ、そういう成果をしっかりと何らかの形で見せる、また発表するということは、私は必要ではないかと。

 特に日米関係では、普天間の基地移設の問題で、なかなかこの一年間、はっきり言って迷走しておりましたし、先行きがまだ見えない、そういう状況の中で、しかし、日米同盟全体としては、これだけ深化させる努力を日米間でしっかりとやっておりますよということを、このオバマ大統領再来日のときに、やはり両首脳からきちっと示すことは、私は必要ではないかと思うんですね。

 それがきちっとした、橋本・クリントン両首脳のときに発表したような宣言でなくても、先ほど言われた、例えば安保、それに経済、人的交流、こういう三分野について日米間では新たにこういう協力をいたしますよ、そういうものについては、この十一月に何らかの形で発表されることが私はふさわしいのではないかなと思うんです。

 こういう日米安保共同宣言という形ではなくても、この日米同盟の深化の協議状況、さらにそういうものを何らかの形で発表される意思があるのかどうか、そのことについてまず外務大臣にお尋ねしたいと思います。

前原国務大臣 問題意識は佐藤委員と全く一緒でございます。

 今月末の日米外相会談で、この間の九月のニューヨークでの首脳会談で確認をした、先ほど言及をいただきました三分野において、より具体的な中身、安全保障分野、経済協力、そして文化、人的交流、それを具体的なテーマでどこまで詰め切れるかということを今やっております。

 したがいまして、十一月のAPECの日米首脳会談の折には、その中で合意できるものについてはお互いがその成果として発表し、さらに継続して深化を発展させるということの確認ができるように今作業をしているところでございます。

佐藤(茂)委員 というのは、民主党政権になりまして、日米同盟の深化ということを、各関係閣僚、北澤防衛大臣も岡田前外務大臣も含めてよく当委員会でも言われていました。それをやはりきちっとした形にしないと、結局看板倒れに終わったんじゃないのか、そういうように言われても仕方がないわけでありまして、これは完璧なものをこれから一カ月の間にすべて整えるということは無理にしても、やはり何らかの形にする必要があるのではないか、私は野党ながらそのようにお訴えしておきたいと思います。

 そこで、その日米同盟の深化のことで若干気になりますのは、昨年、鳩山総理は、拡大抑止、情報保全、ミサイル防衛、宇宙等の分野、これは従来の協力分野のみならず、そういう新しい課題も含む協力の強化を進めていきたい、さらに、防災、医療、保健、環境、教育分野といった分野においてのそういうことを首脳会談のときに提起されたんです。

 しかし、昨年提起された新しい分野での協力も大事なんですけれども、日米同盟の深化ということでいうと、従来の協力分野、要するに日米安保体制をどう強化していくのかというところを、これは橋本・クリントン時代の共同宣言をした時代と時代が変化しております、安全保障環境も大きく変わっているわけですから、ここもやはり日米間の協力がしっかり機能して効果が発揮できるような見直しというものは必要なのではないか、そのように私は考えているところでございます。

 後で細かいことは質問をさせていただきたいと思うんですけれども、例えば日本有事の際の防衛体制、日米ガイドラインの見直し、さらには、国内法になりますけれども周辺事態法の見直し、そういうことまで含めて、必要であるならば、日米同盟を深化させるという観点からきちっとした議論をしていく必要があるのではないか、私はそのように思うんですが、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。

安住副大臣 済みません、私の方から実務的に。

 実は、私も全く同じ認識を持っておりまして、今、十一月の日米首脳会談に向けまして、先生も御存じのように、実務者協議を積み重ねている最中でございます。

 特に、防衛当局としては国防総省と、今先生が言われたような論点をしっかりと踏まえて、そしてより具体的に、現実に想定し得る有事等について我々がどれだけきめ細かな対応ができるのか。それは、もしかしたら法律の改正ということも今御指摘がありましたけれども、そういう意味での深化というものは、やはり日米同盟の深化というものにつながっていくのではないか。

 ですから、私は先ほど、それをしっかりやっていこうというキックオフの位置づけというふうに考えて、しかるべき短期間の間にその成果を出していければいいのではないかというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 実は、これは安防懇の中にも、周辺事態法について法改正をするべきであるということが三行ほど載っておりました。

 ちょうど日米ガイドラインを定めましてからもう十年以上たちますし、それに基づいた周辺事態法も、当時、今思い出しますと、修正案に私ども参画いたしまして、もう十年以上前の話ですけれども、私が答弁して、質問者は御党の岡田幹事長であった、そういうことも今懐かしく思うんですけれども、その当時の時代と、これは北朝鮮も、今、例えば権力移行期に入っていまして、どういう事態がこれから起こってくるかわからない、そういう場合に、周辺事態というのは特定の国とか地域を対象にしたものではないんですが、しかし、日本周辺にいろいろな事態が起きたときにも早急に対応できるような枠組みというのはしっかりとつくっておくべきではないか、そういうことから申し上げた次第でございます。

 大きく二点目にお聞きしたいのが、日中防衛相懇談のことでございます。

 まず、成果の面から防衛大臣にお聞きしたいんですけれども、二十分間、中国の梁光烈国防部長と懇談をハノイでされました。そのときに二つメリットがあったと思うんです。一つは、菅総理と向こうの温家宝首相との間であった以外では初めてカウンターパート同士の懇談であって、そのときにも、戦略的互恵関係というものを推進していくんだ、このことを一つ確認されました。もう一つは、防衛当局間の海上連絡メカニズムの早期確立が必要であるということの認識で一致されたということは、私は成果であったと思うんです。

 この春に、宮古島沖を中国の艦船が十隻以上航行した際にも、近接飛行というのが、約九十メートル、向こうのヘリが自衛隊の護衛艦に近づいてきたときにも、私は、早急にそういう海上の連絡メカニズムというものを当局間でやはりつくるべきである、そういうことをこの委員会で申し上げたんですけれども、これはもう十年以上前から実はいろいろ議論されてきたんですね。

 逆に、中国は、二年前に同様の軍事ホットラインというのをアメリカとか韓国とはもうつくっているわけです。日中間というのは、そういう観点から見ると大変おくれているわけでございまして、ですから、梁国防部長も、早く成果を上げることが重要だ、そういうふうに応じたというように報道されております。これも二人の会談ですので防衛大臣が一番よくわかっておられると思うんですけれども、日中間にはほかに多くのそういう意見の異なる問題が存在する中で、この海上連絡メカニズムをつくるということについては意見が一致されているわけです。

 ですから、この両国の防衛トップの間の話で終わらせるのではなくて、早速に日中防衛当局間で、具体的にどういうシステムをつくるのかということについて結論を出すということをぜひ防衛大臣のリーダーシップで進めていただきたいと思うんですけれども、北澤防衛大臣の御見解を伺っておきたいと思います。

北澤国務大臣 梁光烈国防部長との会談は、報じられているようなとげとげしいものではなくて、私としては、さまざまな問題はあるけれども前向きの会談ができたというふうに総体的には認識をいたしております。

 その中で、海上連絡メカニズムでありますが、これについては私の方から、早期にこれを構築すべきだ、こういうふうに申し上げましたところ、ここにちょっとメモがありますが、国防部長は、海上連絡メカニズムについて、双方ができるだけ早く成果を上げることが重要である、こういうふうに応じられまして、このことについては早急にやっていきたい。

 中身につきましては、当局間、事務方では、メカニズムの目的、それから対象、設置場所などの全体の枠組み及び技術的問題点に関する意見交換を今まで行ってきておるわけでありまして、本年七月に行われた実務者協議では、現場レベルの通信方法として、国際的に広く利用されている共通の周波数を使用することでおおむね一致をいたしております。

 次回につきましては、今まさに日中の間で少しトラブルがあるわけでありますが、年内に北京で開催をすることと決まっておるわけでありまして、私はこれが開催できることを強く望んでおります。

佐藤(茂)委員 もう一つは、今度はこの懇談の際のことをお聞きしまして、苦言でございますが、防衛省からいただいた報告書によりますと、どうなっているか。

 中国の「梁国防部長より、昨年の訪日時の対応に謝意を表するとともに、日中間では最近、尖閣諸島をめぐる曲折があったと述べたのに対し、北澤防衛大臣より尖閣諸島に関する日本の立場は既に伝達済みであり、ここで改めて議論するのは生産的でないことからこれ以上の議論はここでは差し控えたい旨応答した。」そういうことになっているわけです。

 私は、この際、行かれたときに、ベトナムとかオーストラリアとかほかの周辺諸国には尖閣に関する日本の立場をきちっと説明されておきながら、肝心の対象となる中国に対して、防衛トップである北澤防衛大臣が、国の主権を守り、また領土、領海、領空を守り、国民の安全を守るんだ、そういう強い意思から、なぜ核心の議論に触れられなかったのか、到底理解しがたいし極めて残念である、そのように申し上げたいと思います。

 なぜ触れられなかったのですか。

北澤国務大臣 御懸念は私も理解をいたしますが、ここでもう一度この会談の、これは冒頭でありますが、まず、梁光烈部長から、昨年日本でお会いしたときの温かいおもてなしに感謝する、ここから始まりまして、他方、それ以来、最近、日中間では尖閣諸島をめぐる曲折があった、こういう言い方でありました。

 私は、外交交渉というのはほとんど素人でありますが、政治活動は四十年に及んでおりますので、私とすれば、ここで部長が尖閣の問題を出して、日本にこの協議を持ちかけてきたなという感触を得たので、これは入り口で拒否すべきだ、こんなことはもう既に去年の日中の防衛相会談でも私の方から立場はしっかり申し上げてありますので、その問題に引きずり込まれないという配慮のもとに、尖閣諸島に関する日本の立場は既に伝達済みであり、ここで改めて議論するのは生産的ではない、こういうふうに申し上げた次第であります。

佐藤(茂)委員 私は、そこはもう北澤防衛大臣と決定的に認識は違うし、また、私がその立場であるならば、これは日本の固有の領土であるというのはもう間違いないわけですから、やはり日本の閣僚として、どういう場であれ、それを常に訴え続けるというのは最低限必要ではないか、そのように思っております。

 特に、先日も自衛隊の行事に行きましたときに、やはり制服組の皆さんというのは、自分の国は自分の力で守るんだという、極めて崇高な気概に燃えておられますよ。自分の国を守る、それは自分の国の主権を守り、そして領土、領海、領空をしっかりと守り、国民の安全をしっかり守る、そういう気概にあふれておられる。私は、やはりそのトップの防衛大臣が、交渉事とはいえ、今、一番国民が注視しているこの問題について当の中国の国防部長に言えなかったというのは、極めて残念な歴史を残したのではないかと。

 特に、そういうことが反映してか、いちゃもんをつけるわけではありませんけれども、先日の所信の中にも、前原大臣のあいさつには、懸案になっております尖閣問題について明確に、要するに、尖閣諸島については、現に我が国はこれを有効に支配しており、今後ともしっかりと取り組んでいく所存である、そういうことを明記しております。北澤防衛大臣の所信には、尖閣のセも出てこない。これは、大臣そのものという問題もあるけれども、制服組に比べて、やはり事務局の感覚というのが極めて今緩んでおる、そういうふうに苦言だけ申し上げておきたいと思うわけであります。これはもう答弁は求めません。

 それで、中国の海洋行動に対しての今後の対応策ということについて、何点か防衛大臣にお聞きしたいんです。

 私は、日中友好というのは極めて大事だと思っております。そういう大前提で、しかし一方で、中国の意図というものもきちんと認識して、最悪の事態に備えて対応するのがやはり国の指導者だと思っているわけであります。

 中国には、一九八〇年代に決めた近海防御戦略というものがあります。有名な第一列島線とか第二列島線とか、そういう言葉も出てくるものですけれども、今回の問題ではっきりしたのは、中国の一方的にして強圧的な海洋主権拡大の意図があるということでありまして、中国が今回のような海洋行動を常態化させる、さらに目的を達成しよう、本来の近海防御戦略の目的を達成しよう、そういう動きにいよいよ出てきた、長いプロセスが始まったというように私どもは認識しなければいけないと思うわけであります。

 特に中国は、この間も、尖閣諸島というのは核心的利益である、そういうふうに明言しているわけですから、これから具体的に、この周辺海域での海洋主権の拡大に向けて既成事実をつくって、この領有権を唱え続けて、日本との交渉に持ち込むということも十分考えられますし、現に十四日ですか、再び中国の漁業監視船が尖閣諸島周辺海域のパトロールのためと称して三隻派遣された、そういう報道も伝わってきておりますように、今後とも、この大型漁業監視船で威圧して、恒常的な活動実績を積み上げていって、いずれ実効支配という非常手段に出る、そういう可能性があるというようにとらえておかなければいけないと思うんですね。

 そこで、まず日本が今後とるべき対応策として何点か提示しながらお尋ねをしたいと思うんです。

 まず、中国の独善的な行動を抑制するには、何よりも日米同盟を基軸とする毅然たる対応が不可欠だと思っております。要するに、日米安保体制のもとで共同防衛を強化すべきであるということでありまして、これはハノイで北澤防衛大臣が、日米防衛相首脳会談でも、ゲーツ国防長官との間で、尖閣有事の際には日米安保条約第五条が適用され、共同防衛義務が適用されると。自民党の訪米団も、フロノイ国防次官とそのことを再確認した。これは当たり前のことです。

 それで、そういう言を得たから安心しておくのではなくて、私は、この日米安保条約に基づく日米安保体制をさらに一歩進めていくことが大事だと思うんです。具体的には、日米間には、朝鮮半島が混乱した場合には、いわゆる周辺事態を想定した作戦計画は存在するというふうに聞いておりますけれども、早急に、日米共同で南西諸島の防衛作戦計画というものを策定すべきであるというように私は考えております。

 既にあるのなら、それは結構ですけれども、ないのであれば、南西諸島に対する日米共同の防衛作戦計画というものを作成すべきである、そのように考えますけれども、防衛大臣の見解を伺っておきたいと思います。

    〔委員長退席、神風委員長代理着席〕

安住副大臣 南西諸島の防衛の強化というのは、QDRでも指摘されているように、私ども、全く委員と同じ認識に立っております。

 そこで、ガイドラインに基づいて、武力攻撃に際する共同作戦計画についてはさまざまな検討作業を行っている。しかし、そういう中にあって、極めて今指摘の点というのは重要なポイントにはなってきますけれども、事柄の性質上、それをやっている、やっていないということをここで申し上げるわけにはいきませんが、いずれにしても、日米双方にとりましても、私どもは特段、我が国固有の領土におけるそうした不測の事態に対する作業というものは、これは確実に進めていかなければならないというふうに認識をしております。

佐藤(茂)委員 これは本当に、きちっと、ただ第五条が適用されるんだというような表向きの話で終わらせるのではなくて、さっきのガイドラインの話なんかにも共通してくるんですけれども、具体的に進めていただきたい、そのように思います。

 二点目は、これは十月十六日の東京新聞に載っておりましたけれども、「南西諸島防衛 初の訓練」という表題で、要するにヤマサクラ、日米共同方面隊指揮所演習というものが、これはあくまで図上演習です、これが来年の一月に行われる、そういう予定だというふうにお聞きしておりますけれども、私は、図上演習で終わらせるのではなくて、この南西諸島海域を場とした、実動を伴う日米間の共同訓練、共同演習というものを、離島対処、また島嶼防衛のためにしっかりとやっておくべきである、そのように思うんですが、防衛省の御所見を伺っておきたいと思います。

安住副大臣 御指摘のヤマサクラは、来年の一月に、これはアメリカ陸軍とそして我が方の陸上自衛隊で行っているもので、来年の分に関しては、西部方面隊等がアメリカ陸軍との間でいわゆる演習を机上で行う。

 委員御指摘の実動演習ということになるわけですね。これにつきましては、ことしじゅうの近い時期に日米で行う予定でおります。

 ただ、具体的にどういうふうな訓練、演習になるかということについてはここで申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、そうした委員の持っている認識というものは、大臣も、我が省全体でも十分認識をしておりながら、淡々と日米での共同の訓練を行いたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 なぜそういうことが大事かというと、話はちょっと角度が違うんですけれども、大量破壊兵器の拡散を防止するために、PSI、この前、日米、オーストラリア、それで韓国が初めて入って、あの北朝鮮の周辺で行いました。こういうことがやはり北朝鮮にきちっとした信号を送るわけでありまして、やはり日米間でもそういうことを大々的にやっているんだ、そういうことを隠すのじゃなくて、きちっと示すことが当該中国に対してきちっとした信号を送ることになるのではないか、そのように思いますから、ぜひ前向きにきちっとした公開も含めてやっていただきたい、そのように思います。

 あと残り時間で何点かお聞きしようと思ったんですけれども、安防懇の報告書についての考え方を。要するに、政府答弁では、これを検討材料の一つとして年末の防衛大綱の政府の検討につなげていきたいということでございます。私は、この報告書を材料にして、民主党政権の外交、安全保障政策に対する基本的な物の考え方を尋ねてまいりたいと思います。

 今、予算委員会では、はっきり言って、防衛力を支える基盤の整備の部分の武器輸出三原則等に余りにも特化した質問が多過ぎたと思うんです。ここに書かれている内容というのは、広範にわたって大事な部分がほかにもいっぱいあるわけでありまして、時間もありませんので早速入りたいと思うんです。

 一つは、まず、民主党政権の考え方で、国際平和協力活動への参加について。

 これは安防懇の報告書の二十四ページに書いてあるんですけれども、どうなっているかというと、私どもは、二〇〇七年の自衛隊法改正によって、自衛隊の本来任務という形に国際平和協力活動への参加を位置づけました。私どもは、可能なものについては積極的に参加を検討するべきであると考えているんですけれども、ぜひ両大臣にお聞きしたいのは、「自衛隊の参加には、原則として国連安保理決議のマンデートがあることが望ましいが、常にそれを前提条件にする必要はない。」そういうふうにこの報告書には書かれているんですけれども、そのとおりだと考えられるのか、やはり国連安保理決議のマンデートがあるものに限られるとの判断なのか、どの国際平和協力活動へ参加するのかという原則についての考え方を、ぜひ外務、防衛両大臣にお聞きをしておきたいと思います。

前原国務大臣 我が国が平和と繁栄に対してしっかり国際社会にコミットメントするということは大事なことでございまして、そのために、平和構築、あるいは幅広い形で積極的に協力をしていくということが大事なことであるというのは、委員と全く問題意識は同じでございます。

 御指摘の点でございますけれども、これはあくまでも検討材料の一つとしたいというふうに思っております。私の今の思い、これはまだ政府の中でこれから大綱も含めて議論をしていくわけでありますけれども、今後の国際社会の変化の中で、我々は安保理改革もやっていこうということであります。六十五年前のいわゆるパワーバランスの中でP5というものが決まっていて、このP5のみが拒否権を発動できるということになっているわけですけれども、これからさまざまな事案が起こり得ると思います。そうすると、日本の利益にかかわることに対してすべて国連決議が付されるかというと、必ずしもなかなかそうでない可能性も私はあると思います。

 では、国連決議がなければ何もしないのかという硬直的な考え方では、我々の国益にかかわること、あるいは安全保障に直接かかわることについても参加できない可能性も出てくるというふうに思いますので、国連決議があった方が望ましいということは事実でありますけれども、それのみに縛られるべきではない、縛られると国益にかかわる国際協力活動ができなくなるのではないかという思いを私は持っております。

    〔神風委員長代理退席、委員長着席〕

北澤国務大臣 今、外務大臣からお答えがあったわけでありますが、これは違ったことを言えばなお問題でありまして、全く基本的な考え方は一緒であります。

 ただ、一年間私も防衛大臣をやりまして、御案内のように、ハイチ、パキスタン、それから東ティモールと部隊を出しておりまして、この姿勢は今後も続けていくということでありますから、先ほどの議論を踏まえながら、国際貢献をしっかりやっていきたいということを基本にして大綱に反映させていきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ほかにも聞きたい項目がいっぱいあったのですが、時間が来ましたので、続きはまた後日にさせていただきます。

 私は、この九月に、スーダンPKOに行っている二名のメンバーを激励に行きまして、やはり各国から非常に高い評価をいただいておりました。ただ、残念ながら二名だという現状を、やはり我々は与野党を超えて今後きちっとした議論をして何とか克服していかなければいけない、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平野委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 防衛大臣、外務大臣、そして安住副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、普天間問題について聞いていきます。

 八月の専門家会合の報告書に至る日米協議の過程で、極めて重大な事実が明らかになりました。これまで日本政府が示してきた台形の飛行経路は間違いであり、大幅に広げるよう米側が要求し、そもそもそのような飛行経路は合意していない、このように説明していることが明らかになりました。

 防衛大臣、事実関係を説明していただけますか。

北澤国務大臣 日米で協議をしている中で、この台形の問題について議論があったことは間違いございません。

 今、委員がおっしゃった認識とは少し違うのでありますが、米側の海兵隊の基本的な考え方はあそこに示されております、御存じだと思いますが、長方形のものでありまして、前政権のときの議論の中でもそれが提示されて、最終的に台形になったという経過があるわけでありまして、米側は、台形について自分たちの方から提示した覚えはない、このようなことを最初主張しておりましたけれども、経緯をレビューする中で、その経過については米側も承知をいたしました。

 したがって、我々とすれば、今後の協議になるわけでありますが、住民に影響の極めて少ない中で結論を出していきたい、このように思っております。

赤嶺委員 せんだっての参議院の沖縄北方特別委員会で、我が党の議員に対しても、そもそもそのような飛行経路には合意していなかったんだということをアメリカがおっしゃっていると、当時、岡田外務大臣が述べておられるわけですね。

 我々は、あれが日米間で合意したもので、滑走路をV字形にするから住宅地上空は絶対に飛ばないだとか、あるいはこの飛行経路で飛ぶから理解してほしい、これが辺野古に移設する場合の代替施設の、絶対に住民に迷惑をかけないんだという政府の説明の中心だったわけですね。根幹だったわけですよ、台形状に飛ぶからというのが。

 しかし、この間のそういう答弁、今の防衛大臣の答弁も聞いていて、一体これまでの説明は何だったのか、こういうことを言わなければなりません。

 そこで、防衛政策局長に聞きますが、政府はこれまで、この飛行経路はアメリカ側の理解を得たものだと説明をしてきました。二〇〇六年当時、一体いつ、そしてだれがだれに、どのようにして理解を得たんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇五年の十月の段階ではL字案ということで合意をしていたわけですけれども、その後、地元のいろいろな御意見の中で騒音の問題をどうするのかとかいろいろな要素があって、それをさらに地元の意向も踏まえながら、安全性であるとか騒音ということを考えて具体的な議論がその後政治レベルも含めて行われていった、そういう中であのV字形になっていった。

 その過程において、いろいろな飛行パターンについても検討いたしましたけれども、そのいろいろな議論を集積した形として、要するにこのパターンが合意され、それについては明らかにされているところでございます。

 したがって、先ほど大臣からも答弁しましたように、今回の日米のいろいろな協議の過程の中で、このフライトパターンの位置づけをめぐっていろいろな議論があったことは事実でございますけれども、最終的には米側の方もそれを確認しておりますので、少なくとも今回の合意の、専門家協議の中ではいろいろなことを議論いたしましたけれども、当時の認識としては、それは二〇〇六年の合意の過程までの間でしっかりと確認をされているというふうに認識をしております。

赤嶺委員 私、当時の絵を持ってきました。これですね。これは何についているかといいますと、平成十八年四月七日、防衛庁長官額賀福志郎、名護市長島袋吉和。そして、この中には合意の中身が書いてあって、台形状に飛ぶから民間の市街地に迷惑はかけないんだという話がるる述べられているわけですよね。

 ところが、日米間の合意の文書は、その後の五月一日のロードマップですね。ロードマップにはそういう台形状の飛び方が描かれていないんですよ。これは、日本政府と名護市長の間で調整したときには描かれている。ロードマップには描かれていない。結局、合意に達していなかったということじゃないんですか。

 それで、アメリカ政府がこういう台形状に飛ぶんだというのを当時合意していたんだったら、何で今こういう問題が持ち出されてくるんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 今回、専門家協議の中ではV字案とI字案というものについて両論併記というふうにさせていただきましたけれども、今回はその点について、騒音とか安全の面とか、具体的に一体どのような影響が出るのかということを日米双方でしっかりと議論をしたということでございます。

 その結果、有視界飛行の経路についても、さらにいろいろな中身について議論をしたということでございまして、実際に二〇〇六年にV字案に合意した当時の、住宅地上空の飛行を回避するというようなことでいろいろな協議が行われていたわけでございますけれども、今回は、それぞれのV字案、I字案というものの比較をする過程において、より詳細にいろいろな飛行パターンを検討した、そういう中でいろいろな論点を整理していったという経緯でございます。

赤嶺委員 より詳細に検討していったらこの台形というのは無理だよねという話になったということを局長はお答えになったと思うんですが、一体、当時、こういう台形状に飛行経路はとるんだ、場周経路をとるんだというのは、日本側のだれとアメリカ側のだれが、そしていつ合意をしたんですか。合意したという事実があるんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この台形の飛行経路は、既にオープンになっているとおりでございまして、二〇〇六年にV字案に合意した時点におきまして、住宅上空の飛行を回避するという観点から、ヘリの有視界飛行として考えられる飛行経路として日米間の協議の過程において作成されたものでございまして、その点については認識が一致している。

 ただ、実際の飛行パターンについては、これまでの国会でもお答えしておりますけれども、このとおりにすべてのものがこの形で行われるということではないということも含めて、いろいろ議論があったというふうに理解をしております。

 いずれにいたしましても、今後、専門家協議の中でもいろいろこういった飛行経路の話の議論というのは継続されていく、その場合のあくまでも基本は、騒音の問題でありますとか安全性の問題でありますとか、あるいは運用上の必要性といったもの、それをすべて総合的に勘案して、地元の意向なり、騒音をできるだけ下げるというようなことに十分配意しながら協議が行われていくということで御理解をいただきたいと思います。

赤嶺委員 防衛政策局長は長いわけですが、この協議のときにはこの部署におられましたか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 その当時には、そのポストにはついておりません。

赤嶺委員 米軍のヘリは、宜野湾市の普天間飛行場の上空の場周経路も何度も描かれていますが、楕円形ですよね。それが台形になっている。台形にした理由は、台形状に飛ぶから市街地上空には行かないんだという説明のために言っている。一番の中心的な部分で政府はうそをついていたということになりませんか、防衛大臣。

北澤国務大臣 普天間で、先ほどおっしゃられました、経路が乱れておるという事実があることはそのとおりであります。

 しかし、普天間の代替施設をつくるときには台形で合意をしておるわけでありますから、この台形の中におさまるということでなければ合意ができないわけでありますから、そのように御理解をいただきたいと思います。

赤嶺委員 これは九月九日の参議院の沖縄北方特別委員会での岡田外務大臣の答弁ですが、「ところが、米国からするとそれは必ずしも合意していないというふうに言っているわけであります。」現に食い違いが起こっている、アメリカは合意しないと言っていると。今、防衛大臣は、合意していると言っている。食い違いが起こっている。そういう認識。

 前原大臣、いかがでしょうか。外務大臣の答弁ですが、もしあれであればいいんですけれども。

北澤国務大臣 確かに、その時期は米側から、先ほど申し上げた長方形、本来ヘリは長方形の中で飛行するということを主張した。これは、前政権で合意したときも、最初はそういう主張があって、そして最終的に台形になった。

 今回もまた、海兵隊はそのときと同じように長方形を主張してきて、そしてそのときに、我々は台形なんというものを主張した経過はない、こういうふうに言い張った。そこのところを多分岡田外務大臣はとらえて言ったんだと思いますが、その後、お互いに資料を精査する中で、米側から、台形で合意をしたという事実が表明されたわけであります。

赤嶺委員 五月の合意文書を見ても、そういう食い違いが起きている。その食い違いは、実はアメリカ側の誤解だったという資料は、きょう説明を求めても一切ありません。いつ、どこで、だれが、どういう合意をしたのか、本当に合意だったのかという説明をやはりこの委員会で求めていきたい。理事会に資料の提出を要求したいと思います。委員長、よろしくお願いします。

平野委員長 ただいまの件については、後刻理事会で協議をいたします。

赤嶺委員 それで、米側は、実際は楕円形に飛ぶんだと言っているわけですね。

 そうすると、防衛大臣、辺野古で米側のヘリが楕円形に飛ぶ、台形状じゃないんだ、やはり実際の飛び方はいろいろあるんだと防衛政策局長も言っておりました。そういうぐあいに言ってきたときに、防衛大臣、これを拒否するんですか。いかがですか。

北澤国務大臣 現在の日米での協議の中身は、V字案とI字案を二案複数で出しておりまして、したがって、まだどちらかにするということが決まっていない段階でどういう経路を発表するかというのは、当然まだ決める段階ではないというふうに御理解いただきたいと思います。

赤嶺委員 県民の説明の一番核心になるところでうそをつき、そして今でも、民主党政権になっても明らかにしないというのは重大問題だと思うんです。

 もう一つあるんです。オスプレーについても、今度の日米間の専門家協議の中で、オスプレーは、防衛大臣御自身が、事務方同士の協議の中で議題になっているということをお認めになりました。

 配備の可能性があるのであれば、墜落事故を繰り返してきた危険なオスプレーの配備はやめてもらいたいとアメリカ側に言うべきだと思いますが、大臣、それをやりますか。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 オスプレーは、長い間、配備されるのかされないのかということで、国会の中である種不毛な議論が繰り返されたわけでありますが、我々とすれば、まだ正式に外交ルートでそういう旨を伝えられたわけではありませんが、今後、専門家会合における日米協議の中で、仮にオスプレーが沖縄に配備された場合も含めて、さまざまなケースを想定して議論しなければいけない、現在私はそのように思っております。

赤嶺委員 米軍基地というのは、米軍がどんなに住民の生活に配慮して飛ぶんだとか、あるいはそれを受けて政府が米軍のかわりに安全だ安全だと言っても、約束を守って米軍が飛ぶだろうということは県民だれもが思っていませんよ。だれもが思っていない中で、場周経路、飛行経路について真実を言わない。オスプレーについても、正式に来ていないと言いながら、もう実務者協議では協議している。こういう県民に対する背信行為は許されないということを申し上げまして、質問を終わります。

平野委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 最初に、外務、防衛の両大臣に伺います。私の質問時間が限られておりますので、お答えはなるべく単刀直入かつ要領よく簡潔にお願いをいたします。

 両大臣は、菅総理が読破をしたという「小説 琉球処分」をお読みになりましたでしょうか。

北澤国務大臣 簡潔に申し上げますと、読んでおりません。しかし、過日の予算委員会での議論を聞いて、高い関心を持っておりますので、時間をとって読みたいと思っています。

前原国務大臣 読んでおりません。

照屋委員 私は、読書の秋だからといってこの「琉球処分」の小説を読んでいただきたいと勧めておるのではありません。総理にも申し上げましたが、この琉球処分というのは、明治政府が、強権的に、かつ軍事的圧力を行使して、一方的に琉球に押しつけて琉球王国を解体した処分なんだ。

 そして、両大臣に申し上げたいことは、沖縄の基地問題の根底には、本土の沖縄に対する構造的差別と犠牲の強要の問題がある。このことを抜きにして、どんなに沖縄の基地問題を解決するんだと言っても解決できない。だからぜひ、お忙しいとは思います、思いますが、菅総理もお読みになったんだから、読んでいただきたいことを希望いたします。

 防衛大臣は、本委員会のあいさつで、沖縄に集中した基地負担の軽減に全力を挙げて取り組むと述べられました。基地負担軽減のために重大な決意と覚悟を持って取り組むか、また、その具体的な方策をお聞かせください。

北澤国務大臣 私は、この問題については全力を挙げて取り組むという決意に変わりはございません。

 そこで、では、何から始めてどういう成果を上げるかという御趣旨だと思いますが、まず私は、普天間の飛行場を移設することがすべてだというふうに思っております。

 そこで、辺野古に移設するのか、県外へということで沖縄の皆さん方と大きく分かれておるわけでありますが、私は、いっときも早く普天間の危険性を除去するには、何としても沖縄の皆さんに御理解をいただいて、辺野古崎に代替施設をつくってロードマップに示された部分の基地の返還等を、また隊員のグアムへの移転、そういうものをやっていきたい。しかし、その間にかなりの時間がかかりますから、訓練移転やホテル・ホテルの海域の問題等も含めてこれを一つ一つ解決していきたい、このように思っています。

照屋委員 前原外務大臣も、同様に、沖縄の負担軽減に全力を挙げて取り組むと述べておられました。外務大臣は沖縄担当大臣でもあられましたから、ぜひ負担軽減のために頑張ってもらいたいと思います。

 そこで、前原大臣、負担軽減を図る際に、米軍の基地運用と沖縄県民の基地負担軽減とではどちらを優先させて取り組まれるおつもりでしょうか。

前原国務大臣 先ほど北澤防衛大臣からお話のありました普天間の問題、私も最大のテーマだと思っております。

 私が国会議員になって十六年ほどになりますけれども、初めの一期目は与党でありました、日本新党とさきがけという。そのときに、自社さ政権の中で沖縄から最も強く言われたのが、あのときは十四事案とか三事案とかいうのがございましたけれども、そのトップに来ていたのが普天間飛行場。つまりは、最も沖縄県にとっては危険で、そして返還をしてもらいたい優先順位が高かったものであります。

 今の、この五月二十八日の日米の合意というものは、確かに、普天間の代替移設基地を辺野古周辺にということで、その地域には大変本当に御迷惑かけて申しわけないことになるわけでありますが、全体としては、先生もよく御存じのように、基地の、特に嘉手納以南の施設・区域がかなり返還をされてくるということで、トータルとしては沖縄の負担軽減につながってくる。

 そういう意味では、先生のお尋ねのどちらを優先するのかということは、両立をさせる案としてこれをぜひ沖縄の皆さん方に御納得をいただいて、今までの負担を押しつけてきたおわびと、そして特に、前回の衆議院選挙においては県外に最低でもと言っていたのに、結果として辺野古に戻ってきていることのおわびと、二つのおわびをしっかりと申し上げながら理解を求めていくということで努力をさせていただきたいと思っております。

照屋委員 私は、日ごろから頭脳明晰な前原大臣と本当に思っております。次期総理の呼び声も高いことも承知をしております。

 前原大臣、私が聞きたかったのは、負担軽減と内閣を挙げておっしゃる。ところが、基地沖縄の実態というか日常というのは、常に米軍の基地運用が優先をされる。その結果、県民の生活や命の安全がないがしろにされる。沖縄県民は、命の不安を感じ、恐怖を覚え、だから怒りまくっているんだ。私も嘉手納基地フェンスの直線距離五キロのところに住んでいますよ。私自身怒りまくっているから、一向に脳梗塞の後遺症もなかなか治らぬ。改善しない。

 それで、そのことの関連で、私は、具体的に両大臣にきょうは提言をしたいと思います。

 嘉手納、普天間両基地の爆音が物すごく激化しております。私は、予算委員会でも両大臣に、普天間基地で記録した百二十三・六デシベルの爆音を想像できますか、このように尋ねました。前原大臣からは相当の爆音、北澤大臣からは会話が不能だという認識と想像が示されました。もう、予算委員会でも言いましたが、百二十デシベルを超えるというのは、人間の聴覚の限界なんです。

 一方で、ここ数日、嘉手納基地では、あの極東最大の空軍基地では、滑走路修復工事の影響で、十月四日から十三日までの十日間で九十デシベル以上の爆音が実に百七十九回記録されており、住民からは頭が割れそうだ、心臓が突き刺されるようだ、こういう苦情が殺到しております。

 私は、両大臣がそれぞれ、副大臣もしくは政務三役のどなたかを直ちに現地に派遣して、この激増する爆音の実態、実情調査、そして現地米軍に副大臣もしくは政務三役が会って、これをどうにかせいと政府の立場で強く言っていただきたい。そのことを提案申し上げますが、両大臣からお答えをください。

北澤国務大臣 この問題については、かねてから沖縄局を通じて米側に申し入れております。しかし、必ずしも成果が上がっているとは思いません。

 私は、新しい副大臣、政務官には、一日も早く沖縄へ行くようにお願いをしておりますが、国会対応等でまだ行っておりませんが、せっかくの御要請でありますので、一日も早く出張していただくようにしたいというふうに思います。

前原国務大臣 想像を絶する爆音、騒音だと推察をしております。

 今、北澤防衛大臣からもお話がございましたように、防衛、外務の三役で、まあ二役、副大臣と政務官で、相談をしながら、現地の調査をさせていただいて、そしてその実態を米側に直接申し入れるということを、調整をして努力をさせていただきたいと思います。

照屋委員 安住副大臣、どうですか。率先して私は行っていただきたいなと思います。直前の安保委員長でもございました。私は、やはり米軍に対しては、現地米軍に直接政府が、沖縄県民の苦悩を受けとめて、それをストレートに伝える、そういうことをやらぬといけないと思うんです。

 安住副大臣、最後に。

安住副大臣 照屋先生とはもう本当に、きのう、きょうのつき合いでございませんので、御一緒に、沖北の委員長の時代から私もずっとおつき合いをさせていただきましたので、御用命とあれば、国会の許す時間の中で、早急に大臣の許可を得まして、現地に伺いたいというふうに思っております。

照屋委員 終わります。

平野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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