衆議院

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第4号 平成22年11月16日(火曜日)

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平成二十二年十一月十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平野 博文君

   理事 下条 みつ君 理事 神風 英男君

   理事 空本 誠喜君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 今津  寛君

   理事 岩屋  毅君 理事 佐藤 茂樹君

      安住  淳君    石井登志郎君

      小原  舞君    神山 洋介君

      菊池長右ェ門君    杉本かずみ君

      玉城デニー君    西村智奈美君

      萩原  仁君    松岡 広隆君

      松本 大輔君    三村 和也君

      山尾志桜里君    渡辺浩一郎君

      渡辺 義彦君    江渡 聡徳君

      木村 太郎君    北村 茂男君

      新藤 義孝君    武田 良太君

      中谷  元君    浜田 靖一君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

      服部 良一君    下地 幹郎君

      田中 康夫君

    …………………………………

   防衛大臣         北澤 俊美君

   内閣官房副長官      古川 元久君

   外務副大臣        伴野  豊君

   防衛副大臣        安住  淳君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  徳地 秀士君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十六日

 辞任         補欠選任

  高橋 昭一君     石井登志郎君

  山尾志桜里君     三村 和也君

  浜田 靖一君     北村 茂男君

  照屋 寛徳君     服部 良一君

  下地 幹郎君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     杉本かずみ君

  三村 和也君     山尾志桜里君

  北村 茂男君     浜田 靖一君

  服部 良一君     照屋 寛徳君

  田中 康夫君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  杉本かずみ君     松岡 広隆君

同日

 辞任         補欠選任

  松岡 広隆君     高橋 昭一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

平野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛省防衛政策局長高見澤將林君及び防衛省人事教育局長徳地秀士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山委員 おはようございます。昨日は、徹夜明けで寝ないまま委員会の質問かなということを覚悟いたしましたけれども、すっきり眠ることができてよかったなというふうに思っております。

 きょう、安全保障委員会で初めての質問に立たせていただきます。

 いろいろなことをお伺いしようと思ったときに一つよみがえってきたのが、実は、きょうこの委員会に御出席の委員の方々から笑われるかもしれませんが、かれこれ二十年近く前になりますが、当時、PKOのカンボジアへの派遣の話があって、私は当時中学生でテレビで見ていたときに、牛歩でやっているというのをテレビのニュースで見たことがありました。私は中学生ですから、何の話をやっているのか、その当時さっぱりわかってはおりませんでしたけれども、実は安全保障の問題であるとかそういったことに関心を抱く一つのきっかけになったのはあのときだなということを思い起こしました。

 やはりこれからの時代、現実的な対処をしっかり我が国としてもやっていかなきゃいけない、そういう思いに立って、本日は質問させていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

 まず、今回の法案の話に入る前のところで、先般行われたAPECに際して日米首脳会談が行われました。いろいろな課題を持っている中で、ああいった形で会談、約一時間と伺っておりますが、きちんとできたことはよかったなというふうに思っております。

 その中で、いろいろな課題と、あとはこれから先々に向けた新たなステップを踏み出していく、そんなところが確認できたということが非常に意義深かったのではないかというふうに思っております。その中で出てきた話の一つで、来年の春先なのか、来年前半に向けて総理が訪米を予定されているという中で、これから日米の安全保障体制をどのように持っていくのかというその将来像を、何らかの形で、共同声明なのか、そこで出すことができたらいいというようなお話もあったというふうに伺っております。

 いずれにしても、今の日本周辺を取り囲む環境等々を踏まえると、アメリカとの日米同盟関係をさらに深化させていく、そこでこの信頼関係をさらに深めていくということは極めて大事な作業であろうというふうに考えておりますが、そのための作業を進めていくことに関してどのような工程で考えていらっしゃるか、まずは外務省の御見解をいただければと思います。

 よろしくお願いいたします。

伴野副大臣 おはようございます。いつもさわやかな神山委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 実は、先般の日米首脳会談におきましては、安全保障のことのみならず、今回は三本柱を中心に深化させていこうというお話がされました。具体的には、安全保障、経済、文化・人材交流ということを三本柱としているわけでございますが、それを深化、発展させまして、来年前半の総理訪米の機会に、二十一世紀の日米同盟のビジョンという形で、共同声明のような形で示すことで一致いたしました。

 本日は安全保障委員会でございますので、若干安全保障の点に触れますと、今後、まだこれから具体的なことは詰めるわけでございますが、日米両国で安保環境の評価や個別分野の協力についての議論を深めてまいりまして、日米安保協力を着実に深化、強化していく、また、普天間飛行場の移設問題につきましては、今回の首脳会談におきまして、本年五月の日米合意をベースにして最善の努力を払っていくということを我が国政府の方針として改めてお伝えしたところでございます。

 そして、先ほど申し上げました残りの二つの柱、日米両国で二国間の経済対話の強化をしていくこと、クリーンエネルギー及び高速鉄道等のパートナーシップを推進していくこと、さらには日米両国のさまざまな層における相互理解、交流を促進していくことを緊密にしていくということで合致したということでございます。

 よろしくお願いいたします。

神山委員 ありがとうございます。

 限られた時間の中でそうした作業を詰めていくというのは非常に困難が伴うことではあるかと思いますが、やはり非常に大事なことであると思いますので、当然、我々もなし得ることをなすというつもりではおりますけれども、ぜひ頑張っていただければというふうに思っております。

 アメリカとの信頼関係をさらに向上させていくということに関して言えば、自国、我が国ができることをやはりきちんとやっていくということは極めて大事な話でありまして、その意味で、今回提出されている法案の自衛隊の給与ということも含めた今の自衛隊の体制のあり方、もしくは人的基盤の構築のあり方ということが非常に大事な論点になっていくのではないかなというふうに考えております。

 これは、給与だけいじる話では恐らくないかと思いますし、給与は全体の中の一部という位置づけになるかと思いますが、自衛隊の中で、先日の委員会の中でも、自衛官に準ずる立場のあり方がどうあるべきかであるとか予備自衛官のあり方であるとか、そういったことが議論をされておりました。これから少子高齢化で人口が減っていくというような局面もありますし、今定員に対しての充足率といった問題点もある、新たな安全保障の中で、そもそも軍事組織というものがどういう人員構成であるべきなのかという試行錯誤が各国で続いているという状況かと思います。

 防衛大綱も年末に向けて作業に入っていくという形の中で、そこともリンクをしていくことになるかと思いますが、この人的基盤の構築についてどのような将来像を描いていらっしゃるか、お聞かせをいただければと思います。

安住副大臣 今、防衛省の抱えているといいますか自衛隊の抱えている最もある意味で深刻な、そして最も重要な課題を指摘いただいたと思っております。

 御存じのとおり、防衛費に占める人件費の割合というのは極めて高くて、四兆七千億の二兆円強ですから。そしてまた、これが五年たちますと、退職金だけでこれにプラス三千億円は自然増になってしまう。ですから、自衛隊員の平均年齢も高まっていくし、また人件費も高まっていく。

 では、アメリカ軍がいい例ですけれども、精強性を確保して、そして二十代、三十代前半のといいますか、若いエネルギーのある、そうしたいわゆる士、隊員をいかに我々として確保していくかということが、いわゆる自衛隊における精強性とは何ぞやということの答えだと思うんです。

 ところが、そこのところが非常に薄くて、いわば高年齢化した曹や士官、そこがふえてくると、やはり我々としては、国土防衛を含めて自然災害に対する対応等々、本来任務に非常に差し支えといいますか支障がある。しかし一方で、人件費をこの先どんどんふやすという時代の流れではないという中で、さあ具体的にどうしましょうかということを、今御指摘のとおり、大綱等の中でも検討しているというのが実情であります。

 今後早い時点で、防衛省としては、自衛官の皆さんの士気を低めないようにして、なおかつ、国民の皆さんに理解の得られる人件費の抑制の中で若い精強性のある部隊をつくり上げていく、そういう制度設計を一年ぐらいかけましてしっかりやっていきたいというふうに思っております。

神山委員 ありがとうございます。

 限られた制約条件の中で解を出すということは極めて大変な作業であろうかとは思いますが、今、安住副大臣からもお話がありましたとおり、やはり現場で活動されている方々は大変な苦労と思いの中でやっていらっしゃる。一方で、今自衛隊が展開をしていく、実際に動いていくフィールドというのはどんどん広がっているというのが実情であるわけですから、そうした中で一定の解をつくっていく、これもやはり政治の責任であろうというふうに私も思っておりますので、ぜひその観点でも我々も力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

 今、防衛大綱のお話が出ましたが、実際にはこれは年内に取りまとめていくという形になるかと思います。既にさまざまな論点も出ているわけですが、やはり一番大きな論点の一つは、基盤的防衛力構想をどうするという話であるとか、かなり今回のこの防衛大綱に関しては、先々からすると大きなモデルチェンジであったというふうに振り返られるような内容になり得るであろうし、また今、そうなってしかるべき時期ではないかというふうに思っております。

 その意味で、実際の取りまとめを考えると現時点でということになるかもしれませんが、新たな防衛大綱に向けたその大枠のコンセプトについて、大臣の御見解をいただければと思います。

北澤国務大臣 おっしゃるとおり、今年中に大綱の見直しは決定をしなければいけませんので、精力的に今検討を進めておるところであります。

 そこで、基本的に押さえておかなければいけないことは、我が国の周辺地域には依然として核戦力を含む大変大きな軍事力が存在するということをまず一つ押さえなきゃいけないことと、それからまた、周辺諸国が近代化を促進しておるということもしっかり押さえておかなければいかぬというふうに思います。

 そういう中で、我々はこの安全保障の問題については、日本の国の特性として島嶼部が非常に多いわけでありますから、そういうことも含めて、新たな時代にふさわしいものをつくっていく。新たな時代にふさわしいものといえば、現時点で具体的なものを申し上げれば、一つには南西諸島の防衛、それからさらには、先ほど基盤的防衛力構想ということを言われましたが、そこから脱却して機動力のある体制をとらなきゃいかぬ、そんなようなことを中心にして今議論を進めさせていただいておるわけであります。

神山委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、非常に考えなければならないテーマも大きいと思いますし、今の基盤的防衛力構想の話にしても島嶼防衛の話にしても、結局は、その前にお話をさせていただいた人的基盤というところがあって初めて成り立つというお話で、密接にこれはリンクしてくるお話だと思いますので、大変厳しい詰めの作業だと思いますけれども、ぜひ年内に向けて、しかも将来から評価されるような形でお願いをしておきたいというふうに思います。

 加えて言えば、これは通告もしておりませんので質問という話ではありませんが、今回もそうですし一六のときもそうですけれども、有識者の懇談会があって、そこで報告書が出てきて、当然与党内での議論があって、最終的に安全保障会議で大綱が出てくるというプロセスになっているわけですけれども、まさに新安防懇の報告書の中でも、これについて見直しをしたらどうかというお話もありました。

 これから機動的に、要は防衛マターだけではなくて、経済の話とか資源の話とか食料の話という、いわゆる総合安全保障的な観点の中でこうした大綱に落とし込んでいく、軍事戦略のみならず広く安全保障戦略に落とし込んでいくというような考え方も必要ではないのかなというふうに思っていますので、これはぜひ今後御検討いただければというふうに思っております。

 今、大臣の御答弁の中にも島嶼防衛というお話が出てまいりました。これはやはり、こういう状況の中でもありますし、これからの周辺環境の変動ということを考えていくと、非常に大事な要素になっていくんじゃないかなというふうに思っております。この島嶼防衛も、南西の話、あとは太平洋側を含めたさまざまなところがあると思います。

 まず、南西のところなんですが、概算要求の中でも、先島諸島のところに部隊配備の調査費という形で計上されているというふうにお伺いをしております。こうした形で、陸上を含めたさまざまな形での一定のパワーバランスをとっていくという考え方は、私は極めて大事だろうというふうに思っております。今の大臣のお話の中にもありましたけれども、我が国の周辺というのは、昔ながらのというかクラシックなスタイルの安全保障環境と、そうじゃない近代的な安全保障環境というのが併存をしているような環境だと思いますので、バランス・オブ・パワーというと若干古臭いかもしれませんけれども、そうした観点もすごく大事であって、その意味では、先島諸島への調査費というのは非常にいいことだというふうに思います。

 加えて、今回の予算にすぐ反映をさせるかどうかというのは別問題ですけれども、例えば潜水艦なのか、それともP3Cやその代替機を含めた哨戒機なのかわかりませんが、そうした一定の、我が国として南西諸島及びその近海をきちっと領土防衛をしていくんだ、領海防衛をしていくんだ、領空防衛をしていくんだということをメッセージでやはり出していくというのは私は大事だというふうに思っておりますので、陸上自衛隊の調査費以外のところもぜひ御検討をいただければなというふうに考えておりますが、その点について御見解をいただければと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、島嶼防衛は極めて重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、先ほどの部隊配備以外についてということでしたので、まさに御指摘もいただきましたP3Cの代替として新型であるP1を整備することとしておりまして、来年度の概算要求においても、これを整備するための経費として約五百五十一億円を計上しているところであります。

 また、潜水艦の体制の見直し、これについても、延命によって体制を新たにすることも一つの考え方として検討させていただきたいというふうに考えております。

神山委員 ありがとうございます。

 南西シフトということも言われておりますし、そこも非常に大きな論点というか大事な要素であると思います。

 一方で、太平洋岸、特に海洋資源を念頭に置いた場合に、今大陸棚申請なんかも行われておりますし、EEZをどうこれから我が国の国益として活用していくのかという話、レアアースという言葉が最近非常に有名にはなりましたけれども、そもそもを言えば、ずっと国会の中のさまざまな場での議論でも、レアメタルという形の中でのレアアースがあるという形でずっと表現をされてきて、そのレアメタルを念頭に置いて、例えばそれは海底熱水鉱床であったりとか、EEZの海底にあるさまざまな海洋資源を活用しようということをずっと我が国は海洋総合戦略の中でやろうとしてきているわけですから、そういった部分との兼ね合わせも含めて、ぜひそうした島嶼防衛、もしくはそういった海洋というところに着目したような防衛体系をとっていただくように、改めてお願いをしておきたいというふうに思います。

 時間的にはもう限られてまいりましたので、最後になるかと思います。

 若干、ここまでの話とは色合いという意味では違いますけれども、先日出された新安防懇の中にも、ちょこっとですけれどもサイバー攻撃という要素が入っておりました。なかなか一般的に、日常生活、もしくは新聞を読んでいる中では、サイバー攻撃というのはそんなに大きくは出てこない話かもしれませんが、今の自衛隊を含めた軍事組織のありようを考えると、やはりすべてがネットワーク化されている中で運用されているという実態もあります。ここはやはり極めて大事な分野にこれからなっていくと思いますし、そこを逆にぽんとつかれるとすべての指揮命令系統が狂っていくという意味において、かなりここは大事な部分じゃないかなというふうに私は考えております。

 その意味で、防衛省・自衛隊におけるサイバー攻撃への対処の体制に加えて、その課題を現時点でどのように認識されているかという点について、お伺いをしたいと思います。

松本大臣政務官 お答えをいたします。

 現在、サイバー攻撃対処などを主任務とする専門部隊である自衛隊指揮通信システム隊において自衛隊のネットワークを常時監視するとともに、サイバー攻撃対処手法の研究や機材整備、これは今年度にシステム設計を行って、来年度に現行のサイバー防護分析装置のリプレースを行う予定ですけれども、こういった機材整備等、サイバー攻撃対処について所要の施策を講じているところであります。

 サイバー攻撃対処に係る体制の充実強化、それから他の行政機関、諸外国との連携強化などが重要な課題であるというふうに考えておりまして、今後とも体制の強化を図ってまいりたいと思います。

神山委員 ありがとうございます。

 アメリカ、米軍は、サイバー軍という形で一つ切り出してつくったという話も伺っております。自衛隊においてそういう形で名称というか冠をつける必要があるのかどうなのかというところは、中身の方が実は大事じゃないかなというふうに私は思っておりますが、これからその重要性というのは、高まることはありこそすれ低まることはやはりなかなかないんじゃないかなというふうに思っております。

 今、政務官の御答弁の中にもありましたけれども、これは実際は、防衛省・自衛隊の中だけの話ではなくて、広く社会全体の中で、例えば電力であるとか、鉄道もそうかもしれません、広く公共インフラすべてにおいてサイバー攻撃というのが物すごく大きなインパクトを持ってくるという時代にこれからどんどんどんどんなっていくと思います。

 その意味では、今も、他の行政機関とというお話もありましたが、ぜひ、防衛省・自衛隊の中にあるすぐれたサイバー攻撃への対処の能力をできるだけ我が国全体に広げていくという観点の中で、このサイバー攻撃に対しての我が国の防御体制といいますか、その体制整備を今後も推進していただければなというふうに思っております。

 時間が終了いたしました。また改めて、さまざま、もっと深いところまで議論をさせていただきたいというふうに思っておりますが、いずれにしても、各現場で自衛隊の方、防衛省の方、懸命に頑張っていらっしゃるということは、私もいろいろなところで伺っているところであります。ですから、できるだけそこに報いるためにも、我々政治がなし得ることを懸命に頑張っていくということを私も与党の一員として頑張ってまいりたいと思いますので、今後とも、ぜひ政務三役の皆様方にも頑張っていただければと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。以上で終わります。

平野委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 おはようございます。

 国家公務員の数を減らす、国家公務員の給与を減らす、こういうふうな時代の流れというか、今、安住副大臣がおっしゃったような形になってまいりました。しかし、自衛隊の場合においても、国際貢献をしなければならない、沖縄においては爆弾処理であったり、今度の奄美の災害でも自衛隊の活躍がありましたし、宮崎の口蹄疫でも、牛が亡くなる、その処理というのは、現場でやっている人たちは本当に大変なものだったと思うんですよね。

 そういう意味では、流れの中で人件費を削減するとかテクニカルに準自衛官をやるとかという話がありますけれども、やはりあなたは評価されているよ、給与だけじゃなくてあなたは評価されているよという何かをやった後にこの給与の話をやらないと、表現がいいか悪いかわかりませんけれども、一つの間違いというか、今度の海上保安官の問題のような状況が起こりかねない精神状態になるのではないかと私は思うんです。

 そういう意味では、この給与の問題というのは、全体的な流れの中と評価の基準というのを分けて考えたやり方をしていかなければいけないんじゃないかなと思います。そのことについて、安住副大臣、お願いします。

安住副大臣 私や北澤大臣も本当に全く同じ認識で、日ごろ大変、奄美もそうでございますし、大地震、災害等におけるそれぞれの、特に陸上自衛隊の評価というのは、それぞれの地域の皆様にはもう十分認めていただいていると思うんですね。

 ですから、そうした方々への配慮をしつつ、さはさりながら、全体の国家として見たときに、現実に私たちとしては、今の状態よりも、できれば人的な要員全体も確保したいとは思っておりますけれども、しかし、この財政難の折の中でそれがままならないわけですから、工夫と同時に、いわゆる名誉だと私は思いますが、そういうものをしっかりと持ってもらって精強性を確保するというふうな制度設計を、ぜひ皆様方の御支援をいただいてやっていきたいというふうに思っております。

下地委員 モチベーションを上げるのは給与だけじゃありませんから、今おっしゃったことを具体的につくるということが大事だと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 大臣、知事選挙をやっております。大臣が一番興味のある選挙じゃないかと僕は思うんです。

 今度の選挙はおもしろいんですよね。復帰後の沖縄の歴史の中で、中央の政府と候補者が一体とした考え方を持って、この考え方で県民の皆さんいかがですかというのが今までの知事選挙であったわけです。しかし、今回の知事選挙は、五月の二十八日の日米合意、普天間基地は辺野古、そしてパッケージで嘉手納から以南を返すというようなことでありますけれども、両候補者は、仲井真さんの場合には県外、伊波さんの場合には国外とおっしゃっておりまして、国の五月の二十八日の日米合意と全く政策が一緒になっていない。だから、国家の考え方が争点にならない、基地が争点にならない選挙というのは、ある意味初めてじゃないかと思うんですよね。

 また、二つ目には、大臣、遠山さんに相当やられましたけれども、与党第一党の民主党が東京で自主投票、野党第一党の自民党が推薦はしない。この二つの政党は、衆議院でも参議院でももう八〇%を超えているんですよね。八〇%を超えている与党と野党の第一党が推薦をしないということは、これも憲政史上としては初めてなんです。

 だから、本来ならば、国の政策を沖縄でやりたいというんだったら、中央の自民党と民主党も一緒になって、普天間は辺野古だと言う人を出して評価をいただかない限り、自分たちの評価がどうなっているのか、全く争点にならないわけですから、評価されないということは本当に異常な状況だと私は思うんです。

 そして、今回、私はもう結論は出たと思っているんですよ、告示のときに二人が県外、国外と言ったときに。もう県外、国外と言った。県議会は辺野古じゃないのが多数になった。これは二年前です。鳩山さんが出る前にそうなったんです。そして、その後、名護市議会も変わった。名護市長も変わった。今の段階では、もう県知事、県議会、名護市長、名護市議会と四つが変わっちゃったんですよね。

 こういう状況の中で五月の二十八日をどうするかということ、大臣のお立場ではそうは簡単に申し上げられないと思いますけれども、どうするかということと日米同盟の深化を図るということとのバランスを考えなきゃいけないんです。だから、私は、日米同盟の深化というのは、辺野古をやることだけが日米同盟の深化だという論理は成り立たなくて、ほかにもやり方はいっぱいあると。もう十五年間できていないんだから。だから、余りこの問題にこだわって、これがだめだったら日米同盟がぎくしゃくしますよというようなことをお考えにならないで、今の沖縄の現状を素直に受けとめて、アメリカ側と交渉していく。

 これは、どんなにアメリカがやりたいと言っても、どんなに日本政府がやりたいと言っても、沖縄の四つの、議会と市長、首長がやらないというふうなことを言ったら、絶対できないんですよ。そういう現実がもう今起こっていることを考えると、私は、基準をおつくりになって、どこかでアメリカ政府とも、本当の日米同盟の深化のために、普天間の危険の除去、なくすためには新しい基準設定をした方がいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣がお考えになる新しい基準設定をするタイミングというのは、いつの時点をお考えになっていらっしゃるのか。

 私は、告示日で両方がそうなったことが一つの基準点をつくるスタートだと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

北澤国務大臣 状況はもうおっしゃるとおりでありまして、今選挙期間中でありますから、私がこの沖縄の選挙にコメントすることは差し控えさせていただきますが、今おっしゃるように、どちらの候補が当選しても、五月二十八日の日米合意は見直せ、国外あるいは代替施設は県外だ、こうおっしゃっておるわけでありますから、私どもとすれば、今の問いかけに一つのきっかけとなるのは、沖縄政策協議会というのを現在の知事のもとで再開をいたしまして、さらに部会も再開をいたしましたから、当選された知事がそこに参画をしていただいて協議を始めるというのが一つの大きなきっかけであろうと。

 また、米側のことについてもお話がありました。米側は、日米で協議をしていく中で一番大きく言っておられたのは、政治的持続性ということを言っておったわけでありまして、政治的持続性というのは、地元沖縄の皆さん方の合意がなければそれは続かない、こういうふうに我々も解釈しておりますので、そういう理解のもとで、この知事選の後対応していきたい、このように思っております。

下地委員 一括交付金というのがありますけれども、私はそんなに賛成じゃないんですよね。首長がかわるごとに、この道路をつくる、やらないと分かれてしまうようなケースが多くなるので、私はそのことについてもう全部賛成というわけじゃないんです。特に安保の場合には、やはり国が責任を持ってやった方がいいと僕は思うんです。

 だから、沖縄の了解をとらなければいけないというような仕組み、今の印鑑を押さなければいけないという仕組みの中では、十五年間できていないという現実からすると、地方自治体に基地をつくるのは賛成ですか、反対ですかというのじゃなくて、本気で必要だったら、私は特措法をつくったって国民は納得すると言っているんです。それぐらいの勇気がなければ安保というのは守れないと言っているんです。アメリカとの信頼関係ができないと言っているんです。

 だからそれを、今まで自民党政権のときも、この一年間もずるずるしているから、やると決めたら法律を一緒になってつくって、賛成なんでしょう、自民党も民主党も。八割いるんだから。だったら特措法をつくってやる。その方がアメリカに対しては信頼がある。それもやらずして今のような状況をほったらかすというのは、私はよくないと思っていますから、政治の決断が、あれがいい、鳩山さんが言ったから悪い、これがいいというんじゃなくて、もう一回ゼロベースで考えてみることが私は必要ではないかと思います。

 辺野古ができなかったら日米同盟が深化しないという、そんな古臭い話はもう捨てて、柔軟にもう一回しっかりと新しい仕組みをつくりましょう。よろしくお願いします。

平野委員長 次に、江渡聡徳君。

江渡委員 おはようございます。自由民主党の江渡聡徳でございます。

 まずもって、北澤大臣を初め皆様方、きのうは大変お疲れさまでございました。ただ、そうは言いながらも、ここのところのこの安全保障委員会、何か随分淡々と進み過ぎているんじゃないのかな、もう少し厳しい議論のやりとりがあってもいいのではないかなというような思いもしておりますので、きょうは少し厳し目のお話をさせていただきたいなと思っております。

 まずもって、昨日の国会が大変大きく荒れてしまった、この原因というのは、ある意味民主党さんの衆参においての尖閣ビデオの情報公開についての方針というものがきちんと定まっていなかった、その結果七時間もおくれるような状況になってしまったということ、そのことに対しては、やはり政府・与党であります民主党さんに対して猛省を促したいというふうに思っておるわけであります。

 さて、今回の海上保安庁の保安官による尖閣ビデオの流出事件、このことに対してはさまざまな意見があるのではないかなと思っております。政府としてこれを公開しないことに決めたにもかかわらず、一職員が独断で公開してしまったわけでありますから、政府がこの職員の責任というものを追及するというのは、私は当然のことであろうと思っております。それと同時に、我々野党が、このことに関しての管理監督責任ということを含めて所管大臣に対して追及するということもまた当然のことであろう、そのように思っております。

 そして、それ以上に、初動で公開するべきであったこのビデオテープを公開しないで、日本人も見ていない、そして中国人も見ていない、ましてや世界じゅうの人たちも見ていない、そういう状況下において、ある意味外交的な敗北を招いてしまって公益を傷つけた問題、そのものに対して主権者である国民が追及する、そういう状況というのが今の流れであろうというふうに思っておりますし、また、その国民の思いというものをしっかりと政府も認識しなければいけないんだろう、だからこそ結局この職員の逮捕というものが見送られた、これも国民の思いの反映であったのではないのかなと私自身はそのように思っているところであります。

 そういうようないろいろな状況下において、今まで防衛省においても多くの情報の流出事件があったわけであります。ですからこそ、今回の事件というのは、あくまでも海保の件であるということではなくて、やはり他山の石ということだけではなくて、防衛省・自衛隊に対して、大臣としてはどういうような対応をされたのかということをまずお聞かせいただければありがたいなと思っております。

安住副大臣 まず、私の方から。江渡先生は防衛省の中にもおりまして、もう重々承知のことと思いますが、もちろん防衛省の中でも深刻な問題というのがもうこの数年発生をし、実は私、先週沖縄に行きまして、在沖の調整官と一時間ほど意見交換をさせていただいたんです。

 アメリカ軍においても、今現在、アフガニスタンにおける非常に重要な情報の流出問題が軍の中で深刻な問題になっていると。これは多分、海保の流出というのは、こういう組織内での流出はちょっとまた違う次元ではありますけれども、やはり今のような時代の中において電子システムを使った情報の維持には、イタチごっこと言ってはなんですが、世界じゅう非常に苦労しているということはおわかりのとおりでございます。

 ただ、防衛省だけに限って申しますれば、御存じのように法整備は進んでおりまして、いわゆる防衛機密に対しては自衛隊法の九十六条の二、それから特別防衛機密、これは日米の相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法、この網をかけている。さらに、在日米軍の機密に関しては刑事特別法。つまり、ほかの実力組織を持っているそういう官庁に比べれば、はるかに厳しい防衛機密は課しております。

 多分、先生も省におられたときには、ここから先は防衛機密にかかわりますということでたがをはめられて、その上で我々も情報に接するということは何度もあるわけですが、今後、やはり海保にしてもそうですし、非常に重要な機密性を持つ情報を取り扱う分野については、御指摘のとおり、法体制を含めてしっかりとした国家としての、組織としての体をなすような体制整備というのが目下のところ急務になってきているのではないかなというふうな認識でおります。

北澤国務大臣 大変基本的な御質問でございまして、この件につきましては、特にこの尖閣の事案についての対応を私の方から申し上げたいと思います。

 防衛省においては、情報漏えい、流出事案の未然防止が国の安全保障に直結するとの認識のもと、情報管理を一層徹底するよう、私、防衛大臣から指示をいたしました。また、十日には、菅総理が全事務次官を招集して、この案件についてきつい御発言がございました。これを受けて、中江防衛事務次官より幕僚長等各機関の長に対して、当該指示の内容を伝達いたしました。

 既に防衛省内の機構については十分御存じだと思いますが、厳重の中にもさらに厳重にという心構えで対応してまいりたい、このように思っています。

江渡委員 今、大臣、副大臣からお話がありましたけれども、そうは言いながらも、やはり流出事案というのは引き続き起こったりしているわけでありますから、なお一層その辺のところに対してはしっかりとした対応をしていただければありがたいなと思っております。

 また、今、安住副大臣からお話がありましたけれども、今後のいろいろなことを考えた場合、特に政府としても考えた場合においては、独自に収集した情報の保護とか、あるいは他国との情報協力というものを進めるためにも、情報保全の強化というものをもっともっと進めなきゃいけないと思っていますし、そのためにもしっかりとした秘密保護の法制というものが必要だと思っていますけれども、その点に対して、具体的に大臣、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

安住副大臣 私も、全く同じ認識に立っております。

 ですから、今度の事案について、世論がどうかということはありますけれども、それはそれとして、やはり国家が持つべき重要な情報について、いかなる理由があっても組織とはみ出した行動をとって許されたら、これは組織の体はなさないということだと思います。

 ですから、保安官たる者、また自衛官もそうでございますけれども、非常に重要な権力を行使する立場にある者に対しての情報の保全というものを法的にしっかりこれから担保していかないと、国民の負託にこたえることはできないというふうな認識に立っておりますので、多分この内閣においても早急に法整備を含めた準備というものをやらなければならないというのが今度の反省にあるというふうに思っております。

江渡委員 その辺のところに関しましては、我々も同じような考えを持っておりますので、できるだけ早急に議論をしていただきながら、法案の提出の方まで向けていただければありがたいなと思っております。

 では、早速今回の法案について質問をさせていただきたいと思うわけであります。

 今回の法案、給与を下げるというようなことでありますけれども、菅総理は、今国会の冒頭の所信表明演説におきまして、今回の内閣というのは有言実行内閣と位置づける、そして、公務員制度改革についても、国家公務員の総人件費の二割削減とあわせ、一体的に取り組んでいくというふうに表明したわけであります。また、九月に行われました民主党の代表選挙におきましても、人事院勧告を超えた削減を目指す、そのように公言もされました。しかし、今回の法案の中身を見ますと、人事院勧告どおりの引き下げとなっているだけでありまして、この二割削減に向けた公約の実行と言うにはほど遠いのではないのかなというふうに思っております。

 そこで、まずは大臣、同じ内閣の一員として、この点についてどのように具体的に進めようと思われているのか、その辺のところのお考えをお聞かせいただければありがたいなと思います。

北澤国務大臣 大臣、副大臣も含めて、人事院勧告の取り扱いの閣議決定によって、おおむね一般職の職員に対する勧告の趣旨に沿って今回は改定される、こういうことでありますが、一方で総理は、次期通常国会に、国家公務員の給与改定について自律的労使関係制度を措置するための法案を提出する、こういうふうに閣議決定をいたしておるわけでありまして、私どもは、次期通常国会において、民主党マニフェストに沿った形での法案を作成するべく今努力をいたしておるところであります。

 また、もう一つ、安保委員会ということで特段申し上げるつもりはございません。政府全体として考えなければいけないのは、公務員の給与というふうにいいますと、防衛省・自衛隊の抱えるのはその中の四割でありまして、特殊勤務等が含まれておりますから、これを一括して、四割という大きなファクターを一緒にして論じるとどうしても誤解を生ずるような向きがありますので、この点については私も常々閣僚懇などでは発言をいたしておりますが、国会全体でこういう面についても御論議いただければ大変ありがたい、このように思っております。

江渡委員 今、次期通常国会というようなお話もなされたわけでありますけれども、しかし、百歩譲ったとしても、やはりここまで総理が表明していた、そこで今回出される給与改定ということであれば、私はやはり、まず隗より始めよでありまして、特別職であります政務三役の給与だけは大幅にカットするべきではないのかなと思っているわけであります。

 特に今回の改定で、内閣総理大臣、月の給与が二百六万五千円のところが二百六万円で五千円だけのダウン、大臣、百五十万七千円が百五十万三千円で四千円のカット、副大臣、政務官はおのおの三千円のカット、これで本当にやろうとする意思が見えるかというと、どうも私はこの辺のところはちょっと弱いんじゃないのかなと。次期通常国会、次期通常国会と言いながら、この辺のところがきちんと出されていないがゆえに、やはり国民の方々も一体どうなっているんだと。

 もう民主党政権になってから一年二カ月過ぎているわけであります。さきの選挙において、特に衆議院選挙において、そのときに一丁目一番地として公務員改革をやるとあれだけ言ったにもかかわらずこういう状況、私はいかがかな、そう思っています。大臣、お考えはありますか。

北澤国務大臣 おっしゃるとおり、このとおりにやりますと、私自身も四千円、こういうことで、四千円という金額を国民の前に披瀝すれば、何だ、こういう話になることは私も十分承知をいたしております。そうかといって、年間にしたら四十六万円だよとわざわざ言うつもりもございません。

 今、おっしゃったことは極めて重要なことでありまして、今回に間に合わなかったことは私も残念だと思っておりますが、ぜひ次期通常国会での議論に大いにまた御意見を賜れればというふうに思っております。

江渡委員 今、大臣は、次期通常国会にはというお話ですから、そのときはそれなりのものが出てくるんだろうな、そう思っておりますし、副大臣も政務官もそういうものが出てこなかった場合においてはやはりそれなりの責任のとりようというものも考えていただかなければならないだろうなと思っています。

 時間があともう十数分しかないので、私自身の考え方もちょっと披瀝させていただきながら御質問させていただきたいと思うのであります。

 平成二十年に国家公務員基本法ができたわけでありまして、ここの四条の二項、これからの「改革の実施及び目標時期等」についての四条の二項において、「措置を講ずるに当たっては、職員の職務の特殊性に十分に配慮するものとする。」というふうにうたってあるわけであります。

 先ほど大臣も給与のことに対して、やはり防衛省・自衛隊というものの特殊性ということを考えなきゃいけない、やはり自衛隊の隊員の人数が多いものですから、今回の改定で五百六十億ぐらい全体でカットになるわけでありますけれども、そのうちの二百億強が防衛省。しかし、私は、この職務の特殊性ということを考えた場合に、果たしていかがなものかなというようなことも考えております。

 特に、防衛省の自衛隊、まあ公務員の方々、皆さん宣誓するわけでありますけれども、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」このように宣誓までして国の防衛を預かる自衛官あるいは防衛省職員の任務の特殊性ということを考えますと、一般職の国家公務員と同じような形で改定するのは果たして本当に妥当性があるのかなと、どうしても疑問に思ってしまいます。

 大臣、どうお考えでしょうか。

北澤国務大臣 まさに、ここのところは全く同感でありまして、では政府全体の中でこれをどういうふうに仕切っていくかというのが重要な問題でありまして、一方、財務関係の方からいうと、この四割を抜かしてやると実効性が非常に担保されない、こういう思いが強いんだろうというふうに思います。

 そういう中で、我々は国を守るということの意味、私、就任して間もなくグアムへ行きまして、感じたことがあるんです。それは、私が参議院で外交防衛委員長をやっていたときの議論で、海兵隊の隊員の住居をつくるのに、平米が多いとか単価が高いとかという話が随分出たんですが、その辺のところは、私はグアムへ行ってみて払拭されたんです。

 それはなぜかというと、今まさに先生がお読みいただきましたけれども、米国においては、この住居から出ていった海兵隊員が戻ってくる確率というのがほかの国に比べて大変に少ない、だから国のために命をささげる者に対する最大の敬意を払う、それは政府だけじゃなくて国民全体の中で認知されているということを承知いたしまして、お国柄が違うし、また世界全体で活動している米軍との違いはあろうかと思いますが、ややもすれば、それはいいことではありますけれども、実際に血を流すことのない自衛隊に対して、一般公務員と同じ感覚で見るということについては、我々の立場とすれば、これは国民の間にもう少し意識の変革を求めていかなきゃならぬ、こんなふうに思っています。

江渡委員 ありがとうございます。

 また、そのことに関連してなんですけれども、特に今、自衛隊、海外任務等いろいろな任務の多様性あるいは任務の増大という流れがあるわけでありまして、そういうようなことで、ほかの国家公務員の方々と比べますと自殺率というのもかなり高いわけであります。一・五倍から二倍近いんじゃないのかなと言われておりますし、あるいは海外任務後の心のケア、精神的なケアもしっかりやっていかなければならないという厳しい状況下にもあるわけであります。

 ですから、今大臣がおっしゃられたように、この任務の特殊性ということを考えた場合に、この辺のところをいかに国民の方々にしっかりと理解してもらうか、そして、そのことに対して、また給与のあり方も、ただ単に下げるのがいいのかどうなのか、やはりこういうこともきちんと議論をしていかなければまずいんだろうな、そのように私は思っております。

 そして、特に近年、防衛省の改革、いろいろな流れの中において、随分自衛隊員の数も減っていっています。それゆえに、部隊の充足率ということを考えていきますと大変厳しい状況になっています。特に、海上自衛隊、船に乗っている人たち、大変厳しい今の勤務実態があるわけであります。ようやく港に帰ってきたといいながら、でもすぐ船からおりられない。なかなか思うような状況になっていない。そして、海外の活動もどんどんふえている。いろいろなそういう流れの中において、これからの日本の少子高齢社会の中において、本当に日本の安全保障からいろいろなことを考えていった場合に、きちんとした形で自衛官が集まるのかな、どうなんだろうか。

 確かに今、こういう経済情勢です。厳しいです。ですから、自衛官になりたいという人たちは多いかもしれませんけれども、ある程度経済が落ちついてきた場合において、果たしてどうなのか。ましてや、今の日本を取り巻く安全保障の環境下においていかがなものか。特に、島嶼防衛をこれからいろいろやっていかなきゃいけない、また、やろうと思っているということで、先ほど来から大臣も副大臣もお答えしている。そうした、隊員の数をふやすことはあっても減らすような要因がどこにあるんだ、いろいろなことを考えていった場合においてどうなんだ。

 また、私のところの選挙区においてもそうなんですけれども、陸海空自衛隊があります。そして、この自衛隊の隊員の方々が、それなりに町の中に出ていっていただいていろいろお金を使ってくれるということが、ある意味地方の経済の活性化にもつながっていますし、景気の下支えにもなっているという現状があるわけであります。

 だからこそ、私自身の個人的な気持ちでいきますと、なぜ今この時期で下げるんだ、景気に対しても決していいことじゃないだろう、上げるぐらいの努力、それが無理であれば据え置きしようじゃないか、少なくとも、自衛官に対して考えようじゃないかというぐらいの議論があってもおかしくなかったんだろうなと私は思っています。

 確かに、国の財政状況ということを考えてみれば、厳しいというのは重々わかります。でも、その辺のところのやりくり、いろいろなことを考えていった場合、いかがなものかなと思っています。特に、将来的な自衛隊員の充足率等のことを考えてみれば、いかがかなと思っていますけれども、まずその辺のところについて、人教局長、これからも引き続き、自衛官、募集状況から何からいろいろ考えて、スムーズにいけるとお考えでしょうか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今自衛官の募集状況は非常に厳しいものがございます。そもそも、自衛官の職務というものが、武器を持って、そして国の防衛なり、あるいは必要に応じ治安の維持に当たるということで、非常に特殊なものであって、かつ、非常に厳しい勤務環境にございます。危険な状況にもございますし、かつ、有事即応ということで、常に即応態勢を維持しなければいけない、そういうような状況にあります。

 それだけではなくて、例えば警察官とか、あるいは消防の人たちに比べますと、比較的世の中において、そもそも余りふだん町中で目にするということがなくて、なかなかそこの点について、職務の内容等あるいはその重要性についても理解が進んでいないというような現状がございます。

 かつ、若年定年であるということ、それから任期制の隊員という者もございますので、その点におきまして、職の安定という観点からも非常にしっかり理解をしていただかないといけない、そういうような状況がございます。

 したがって、ほかの公務員あるいは民間のさまざまな職業に比べて大変厳しいものもあると思いますし、それから給与の状況につきましても、先生の御指摘のような点もあるわけでございますけれども、私たちといたしましては、一般職と全く同じというふうに考えているわけでは決してありませんで、有事即応であるとか、その危険性あるいはその職務の特殊性、そうしたものに応じて、手当等の面におきましても、あるいはその他のいろいろな医療等の面におきましても努力を重ねて、その募集についても一生懸命やっておるところでございます。

江渡委員 今、お答えがあったわけでありますけれども、やはり大変厳しい状況にある。

 となれば、先ほど言ったように、もとに戻るような形になりますけれども、公務員の二割カット、さんざん言っている。でも、なかなか思うようにいかない。今回は人勧どおりである。先ほど、大臣の方からも来年の通常国会と言っているわけでありますけれども、だからこそ私は、政治家が襟を正して、まずは隗より始めよというような努力というのは大事であろうと思っているんです。

 ここでしっかりとしたことを示さないと、今の現役の自衛官にしたって、何でおれたちが給与を下げられる、確かに大臣たちも給与は下がるかもしれないけれども、金額ベースから考えたらどうなんだい、これはいかがなものかなというような思いにもなるのではないか、その辺が、逆に言えば、隊員の士気というものにも影響があるのではないか、そんなような思いもしてくるわけであります。

 今回の海上保安官の事案においても、ある意味そういうところもあったのではないのかなと思います。決して褒められたことではありません。しかし、それなりの思いがあったればこそ、覚悟があったればこそのあの行為ということもあるのではないのかなというふうな考え方もなされるわけであります。ですから、特にこういうような給与の面、いろいろな処遇の改善の面というのは、トータルで物事を考えていただかなければいけないなと思っています。

 時間の関係もありますので、あと一点。

 特に今回、初めての措置として、五十五歳を超える職員についての俸給月額の支給額を一定率で減額の措置を行うということにしているわけでありますけれども、この一定年齢に達したということを基準として減額措置するということは果たして妥当なんでしょうか、どうなんでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今回、初めての措置として、五十歳代後半層、特に重点的にといいますか、減額の措置が勧告をされております。民間給与との給与格差が拡大傾向にあるということでありますが、多分先生は副大臣経験者でいらっしゃいますので、自衛官の任務の特殊性等に御配慮いただいて御心配をいただいているのではないかというふうに思います。

 防衛省の職員も一般職の国家公務員に準じて制度設計はされているわけでございますが、ただ、一点、若年定年制をとっております関係で、実際に適用される職員数というものは少数であるということを付言させていただきたいというふうに思います。

江渡委員 最後に一点、大臣にちょっとお伺いしたいと思うんです。

 実は、昨日の読売新聞の夕刊で、御党の枝野幹事長代理がさいたま市での講演において、民主党政権の掲げた政治主導が機能していないということに批判が出ていることに対して、与党がこんなに忙しいとは思わなかった、政治主導なんてうかつなことを言ったから大変なことになった、こういうような発言をされていますけれども、大臣、政治主導、果たしてこのことが、言ったということがうかつなことだったというふうにお思いですか。どうなんですか。

北澤国務大臣 私はそれを承知しておりませんが、閣内にもいた人物がそういうことを言ったということがうかつだと思います。

江渡委員 質問を終わりたいと思いますけれども、どうぞしっかりと、内閣と与党一体となった形で運営していただければありがたいなと思っております。

 終わります。

平野委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、特に自民党の岩屋理事の御配慮をいただきまして、順番を繰り上げて質問させていただくことに対して、感謝を申し上げたいと思います。

 何点かお聞きをしたいんですけれども、今、江渡議員からもございましたように、私は、今回の防衛省の職員の給与だけに限らず、国家公務員全体の給与に対しての、閣僚の一人である北澤大臣の考え方をまずお聞きしておきたいと思うわけです。

 今回の給与法改正は、菅総理みずから公約に掲げられた人事院勧告以上の削減を全く実行することなく、結局かけ声だけで終わった、明らかに公約違反であると我々は見ております。民主党政権は、さらに昨年の総選挙のマニフェストでも、国家公務員の総人件費二割削減などを国民に約束されたわけでございます。今回の給与法改正では、今申し上げましたように人事院勧告を超えた削減を行わずに、マニフェストで掲げられた国家公務員人件費二割削減の方向性も全く見えない、そういうものでございます。

 まず、北澤防衛大臣にお聞きしたいのは、今回の給与法改正でなぜ人事院勧告以上のいわゆる深掘りをやらなかったのか、菅内閣の閣僚の一人である北澤防衛大臣に考え方をお聞きしておきたいと思います。

北澤国務大臣 公約が一年たっても実行されていないという御指摘については謙虚にこれを受けとめなきゃいかぬ、このように思っております。しかし一方で、この問題を一刀両断に解決するというのはなかなか大変なことであって、与党に御在籍の経験がありますから十分御存じだというふうに思います。

 そこで、先ほども答弁をいたしましたが、総理みずからが、来年の通常国会に法案を提出して、国民に対して約束したことは実行する、こういうふうに言っておりますので、ぜひその成果を見守っていただきたい、このように思っています。

佐藤(茂)委員 私も閣議決定を見させていただきました。一番最後にそういう趣旨の、今大臣が答弁されたようなことを書いているんですけれども、それは白紙手形を与えてくれ、そういうことと同じであります。

 それでは、もう少し具体的に、通常国会の法案などに、今申し上げました国家公務員総人件費二割削減を目指す中で、要するにどういう工程を考えているんだ、タイムスケジュールを考えているんだということも含めて、来年の通常国会には明らかにされる、そういうふうに考えてよろしいんでしょうか。答弁いただきたいと思います。

北澤国務大臣 御案内のように、私はこの件については所掌外でありますから、うかつなことは申し上げられないわけでありますが、今お話のあったようなことを真剣に考えておることは間違いのないことで、時々、閣僚全員で勉強会をやっている中でもそういう課題について議論を、私も参加いたしておるわけであります。

 私はそのときに、先ほども議論になりましたが、自衛官の給与について一律に考えるのはいかがなものかというような提言を申し上げておりまして、しかしこれは、先ほど申し上げましたように、四割という大きなコアが存在する中で、財務当局とすればそれを抜かされれば実効性が担保できない、こういうような議論が行われていることだけはぜひ御承知をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 今大臣も答弁されましたし、江渡議員も議論されておりましたけれども、野党時代ならいざ知らず、今、北澤防衛大臣は数十万の自衛官及び防衛省職員のトップに立たれているわけです。そういう方々の身を預かる立場から、私は本当に、特に自衛隊の皆さんの任務の特殊性というものを考えましたときに、あなた方がマニフェストで書かれた総人件費二割削減、こういうマニフェストの中身というのは極めてばかげている、そのように今思われているんじゃないかなと思うんです。

 その感想も、もし言われるならそれも踏まえて、現状では、先ほど来ありました、四割どころか防衛関係費の四四%は人件糧食費が占めているんですね。しかし、今後、それは膨れ上がるのは仕方がないんだというわけにやはりいかないわけでありまして、人件費削減のための措置として防衛省はどのような検討をされ、対策を打っておられるのか、それもあわせて、防衛省の考え方を伺っておきたいと思います。

安住副大臣 佐藤委員、中身はもう重々御承知の上で御質問でございますから答弁させていただきますと、一言で言うと、我々は自衛隊に対して手厚い処遇をしたいと思っております。しかし、過去の歴史を見ても、いかなる世界においても、やはり財政あっての国政運営であることはもう否定し得ない。

 そのいい証明に、アメリカ軍においてはすさまじい兵力の削減を今度やる。聞くところによると、予算削減案全体でも日本円で八兆円を超すと言われておりますね。それから、イギリス軍においては、一々例を出して恐縮ですけれども、陸軍兵力のたしか一〇%ぐらいを削減する。つまり、やはり経済あっての国力であることはもう否定し得ない。

 その点から考えますと、八百六十兆の大きな借金を背負って、そして今御指摘のとおり、まさに公務員の人件費については、残念ですけれども、やはり普通の庶民の暮らしよりは今は少し高い感じがあるので、国民の皆さんから批判を受けて、下げろという意見があるわけです。

 こうした中で、あえて申し上げれば、自衛官だけは本当に特別にはしたいんですけれども、ではそのままでいいかといえば、私は、やはりそこは国民の理解を得られるように、また財政の中で、事情の許す範囲の中で改革をしなければならないということは、御存じのとおりだと思うんです。

 その中で、先ほどから申し上げていますとおり、若い士の構成比率が非常に低くて曹や幹の比重が非常に高いという、ちょっと表現をするのは大変口幅ったいんですけれども、高コスト構造をどういうふうに改めるかというところの制度設計をしっかりしていって、人件費をこれ以上、何とか抑えながら精強性を維持していくという課題に当たっていて、今急いでそこをできないかということで検討しているというのが現実でございます。

佐藤(茂)委員 それで、この給与法関連で安防懇でも幾つか提言されています。これはちょっと後に回すこととしまして、きょうは伴野副大臣が来られているので、先日のAPECの際の日米首脳会談の内容に関係して、何点か、副大臣並びに防衛大臣にお聞きしたいと思うんです。

 このAPECの際の日米首脳会談で、ずっと日米間で協議が難航しておりましたいわゆる思いやり予算、在日米軍駐留経費の日本側負担について、外務省の発表した日米首脳会談の概要によりますと、こういうように書いています。間違うとあかんので、「(3)日米安保」というところに、「菅総理から、」「今般在日米軍駐留経費負担(HNS)について基本的な方針の一致をみて大変よかったと思う旨述べ、オバマ大統領から、同盟を新しい時代に即して深化させ、両国民に支持されるものとする必要があり、HNSに関する基本的な方針の一致は大変重要である旨述べた。」とあります。

 私は、これを見て意外に思ったんです。直前までのさまざまに協議されていた後の結果を見ると、なかなか難航しているというイメージがあった。ところが、ここでいきなり、日米首脳会談の結果のこの外務省のペーパーを見ると、基本的な方針で一致を見たとなっているわけです。この基本的な方針の一致というのは何ですか。伴野副大臣、お答えいただきたい。

伴野副大臣 佐藤委員にお答えさせていただきます。

 お読みいただいたとおり、さきの十三日、日米首脳会談におきまして、両首脳は、今般、日米間で在日米軍駐留経費負担、いわゆるHNSでございますが、これについて基本的な方針について一致したことを歓迎する旨述べさせていただきました。これはお読みいただいたとおりでございます。

 これにつきましては、日米がHNSをより安定的なものにするとともに、より効率的かつ効果的なものにしていく上で、基本的な方針について一致を見たということを受けたものでございます。

 現時点におきまして、これ以上の詳細についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、この一致した方針につきまして日米間でさらに詰めの協議を行わせていただきたいと考えております。

 よろしくお願いします。

佐藤(茂)委員 今の答弁では余りにも抽象的で、結局そんなものは最初からわかっておる話であって、具体的にどういうところがきちっと一致したのかというところについて、こんな修飾語だけの、より安定的とか効率的とか効果的とか、要するに、ぶつかっていたことはもう明らかなんですよ。

 日本側は、どうも娯楽性の高い労務費等を削れと。アメリカ側は増額を要求した、それも五月の普天間の合意のときに書かれておった環境対策費を含めた緑の同盟部分をしっかりと増額せいと。そういう主張でぶつかっていたはずなので、どういうところで一致したんですか。具体的に御答弁いただきたいと思います。

北澤国務大臣 十分御存じの上でお話をいただいているというふうに思いますが、日米の事務方の協議は、まさに今おっしゃったとおりであります。なかなか合意点を見出せないで、ある意味デッドロックに乗り上げたという感じの時期もございました。

 しかし、尖閣諸島問題があったり、さまざまな問題がある中で、この予算の重要性というものについて、事務方の協議が進んでいる中で、大きな視点で物をとらえようという日米のあうんの呼吸があった。

 それ以上のことを今ここで私に答弁しろと言われますと、大変私も苦しむわけでありますが、それを総称して、基本的に一致点を見出した、こういうふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 今の答弁ではさっぱり中身がわからない。要するに、額としては総額維持なんですか、それともアメリカが言うように増額なんですか。そこはどういうようにとらえておられるんですか。

北澤国務大臣 今、党の方でもこれを議論しておるわけでありまして、この議論の中身については既に御存じかというふうに思いますが、私が先走りして評価会議のことも申し上げてよろしいでしょうか。

 玄葉大臣が、議長という立場で、在日米軍駐留経費要望についてはこの場で議論することはなじまない、議長として重要との認識を持っているという発言をまずしました。さらに、本件が日米関係にとって重要であるとの認識のもと、公開の場で議論することはふさわしくないとの判断から発言されたと私は思っておるわけですが、この政策コンテストの評価対象そのものから外すという趣旨で発言をした。さらに、平野副大臣が、公開ヒアリングの際に、日米交渉の議論を踏まえ対応することとしたいと発言されておるわけであります。

 こういう一連の流れから御推察をいただいて、後日はっきりするまで、少し私の発言を慎ませていただければ大変ありがたいと思います。

佐藤(茂)委員 私は、これは日米同盟にとって極めて大事な課題を議論しているんですね。大体、今まで自民党の先生方も言われていましたけれども、防衛省の姿勢としてけしからぬのは、こんなものを、思いやり予算について政策コンテストなんかにかけること自体が、そもそも間違っておるんですよ。私は別にアメリカの肩を持つつもりは何もないが、アメリカ側から見たら極めて不快だ、日本の政府というのは同盟の大切さをどこまでわかっておるんだという疑問を持たれましたよ、今回の姿勢一つでもね。それでなくても、もうきょうは余りやりませんけれども、普天間の問題でがたがたしているのに、この思いやり予算という米軍から見たら極めて機微に触れる問題をそういうコンテストにかけること自体、極めてふざけた話でありまして、これはやはり猛省を促したいと思います。

 その上で、僕は、北澤防衛大臣に、思いやり予算というものを、野党時代とは違って今、防衛大臣という立場でどうとらえておられるのかということをはっきりさせておきたい。

 それは、特に今、防衛省側は民主党からの主張の延長線上で言われているんでしょうけれども、民主党は二〇〇八年の野党だったときに、思いやり予算の根拠となる日米間の特別協定に対して反対されました。その理由が、基地内娯楽施設従業員の労務費負担はそぐわないという、まことにへ理屈ですね、実につまらぬ理由を立てて反対されたと私は思っているんです。

 今の立場になられて、本当にそういう娯楽性が低いとか高いとか、そういう基準など設けることが可能だ、そのように考えておられるのか。また、そういうことにこだわってでもアメリカにいちゃもんをつけて、これ以上日米間の同盟に亀裂が入るリスクも承知の上で、ずっと突っ込んでいこうというように思っておられるのか。

 現に、今、沖縄県の知事選をやっている仲井真さんの方がまだ大きな観点を持っていますよ。具体的に彼が言われたのは、基地従業員給与の削減というのは県内従業員九千人の雇用に影響が出る、だから、政府が米軍基地が必要だと言うのに、働いている人たちの処遇を悪くするな、そういうふうに言いたいんだということを仲井真さんは記者の問いに対して答えておられます。

 防衛大臣は、野党の時代ならいざ知らず、やはり今、本当に日本の防衛、さらに日米の安全保障体制というものを維持していくという立場に立たれて、思いやり予算について率直にどういう認識を持っておられるのか。私は、まず北澤防衛大臣に確認しておきたいと思います。

北澤国務大臣 これは、我が国が経済成長著しいときに、御案内のとおり、金丸さんがえいやという雰囲気でお決めになったということは御存じだと思います。経済が進捗、伸びているときにはほとんど問題視されなかったわけでありますが、経済が低迷し始めてからさまざまな意見が出てきた。

 我々とすれば、国民がこのことについていかに考えておるかということを承知することも極めて重要なことだというふうに思っておりますし、また、日本国民がこのことに対してどう思っているかということも米側には知っていただかなきゃならぬ、こういうふうに思っておるわけであります。そういう意味で、公開の場に出してさまざまな意見を、正確には覚えていませんが、七百何十件ぐらい来たというふうに思いますが、そういうことも参考にさせていただいた。

 そういう真正面からとらえた考え方と、もう一つは、佐藤委員がおっしゃるように、防衛省を所掌する私とすれば、公開に供するような部分が防衛省の中にあるのかと。この硬直した予算の中で、もし仮にこれを出さなければ、装備品を出すのか、人件費を出していくのかという問題になった中で、防衛省が苦渋の決断をしたということもぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 私は、御質問の大きな視点であります、必要かどうかということになれば、日米の同盟の中で極めて重い存在に既に成長してしまっている今現在、これを廃止するとか大幅に削減するということは極めて難しい、こういうふうに思っています。

安住副大臣 具体の中身の問題について、私は、野党時代ももちろん反対をしたこともありました。外務委員会の筆頭理事をしておりまして、問題を提起したこともありました。確かに、ホスト・ネーション・サポート全体の日米関係の中での重要性という点では、それはもう十分、今は私も理解をしております。ただ、目下、アメリカとの交渉の中でも、娯楽性の高いものに対する、いわゆる人件費の中でのシフトをどうするか。

 それから、もう委員御存じのとおり、例えばあの当時のことで思い出しますと、私は自分でたしか質問したと思うんですが、当時、海兵隊が訓練に行くとき、夏のときに、クーラーをかけっ放しで遠征に行って、何週間もそのまま自宅のクーラーをつけっ放しで帰ってきてという事例なんかも散見されたものなので、これはやはり日本の納税者に対して説明のつくような有効な使い方をしていただいたらいいのではないかということは、私はやはり正しい指摘だったと今でも自分なりには思っているんですよ。

 ただ、そういうことをもって、小さなことを細々言うなという話もありますけれども、では、そういう話を国民の前に披瀝したときに、そんなのは小さいからだめだという話よりも、きちっとした上で積み上げたものをということを私は、納税者の方は訴えているし……(発言する者あり)いや、アメリカは合理性があると言っていますよ、これは。

 ですから、逆に、緑の同盟とか新しいものを出してきて、では、それに対する増額分はどうするかとか、具体の話を詰めているだけで、そこの部分を総合的に勘案した場合に、どこら辺が適正なのかということを今最終的に詰めているということですから、改善をすることについて何かやじられる話ではないと私は思っています。

    〔委員長退席、神風委員長代理着席〕

佐藤(茂)委員 私は、確かに納税者の理解を得るということは不断に努力をしていかぬとあかんことだと思うんですが、ただ、本当に防衛当局の責任者として、米軍というものがどういう活動をして、全体として、命がけの任務をした上で基地に戻ってきたときに、どういう福利厚生面できちっとフォローしてやるのかということまでやはり国民はなかなかわからない。しかし、米軍に対している防衛省としてその辺をどう理解するのかという、そこをわかった上でどう議論をしていくのかということが大事だと思うんですね。

 私も在日米軍の基地は何カ所か行かせていただきましたよ。さらに、つい最近では、九月にジブチに行きまして、海上自衛隊の護衛艦のメンバーはその基地にはお世話になっていないんですが、ジブチに米軍のキャンプ・レモニアという基地がありまして、P3Cの部隊と、それを支援する陸上自衛隊のメンバーがこのキャンプ地にお世話になっているんですね。

 米軍で、大体、よっぽど機密性の高いところ以外は全部見せてもらいました。実は、去年も見せてもらったんです。ことしも見せてもらいまして、いわゆる米軍の宿泊施設、日本の自衛隊のメンバーも泊まっている、一言で言ったらコンテナです、そういう部屋。さらには、今このホスト・ネーション・サポートでも問題になるような、問題になるのかわかりませんが、売店とか、あるいは食堂も見せてもらいましたし、コーヒーが飲めるような施設とか、全部見せてもらいました。

 しかし、こういうものは、あれを見たときに、あの過酷な、五十度以上の、そういう環境の中で命がけの任務をされている、そういう方々が基地に戻ってきたときに、これを不要だと言って削る、また、そういうところに人件費を使うのはけしからぬ、そういうように言っていいのかどうかというのは、やはり極めて疑問の残るものである。

 そういうことは国民全体の、そういうものに携わっていない官僚からするとけしからぬという議論が出るのかもわかりませんが、しかし、任務全体がどういう過酷な任務で、それこそ、先ほどの大臣の話の中にもありましたけれども、グアムに行って考え方が変わったということと同様に、やはりそこを見ないとわからない、そういう立場の人間がきちっとどう判断するか、そういうことも大事だろう。そのことはこれ以上突っ込みません。

 その上で、次に、大臣にぜひお聞きしたいのは、今回の日米首脳会談の菅総理とオバマ大統領とのやりとりの中で、来年の春に訪米するようにオバマ大統領が菅首相を招待されたんですね。私は、これは一見いいことと同時に、ある意味で、逆の意味からすると、そこまでに、今回先送りになった新たな日米の共同声明の策定と、その前提となる普天間基地移設問題を来年の春までに解決するように事実上の期限を設定されたとも私は受けとめることができると思うんですね。

 要するに、はっきり言ったら、今回は、日米首脳会談の内容は、そういう安全保障面についてはほとんど内容はありませんでした。しかし、来年の春、アメリカに来てそういうこともしっかりやりましょう、オバマ大統領はそういうシグナルを送られたんだろうと私は思うんですね。菅総理も、最善の努力をしていきたい、そういうように答えられたわけであります、この普天間の問題について。

 これは、残念ながら、鳩山前総理のときには、私を信頼してほしい、そう言っておきながら、結果的に全く裏切る結果になりました。今回も、菅総理が最善の努力をしていきたいと言われながら、来年の春の訪米のときに、五月に何のいい解決策の道筋も持っていかなければ、日米関係は、今も最悪だと思いますが、これはもう取り返しのつかないところに行くんじゃないのかなという感じが私はするんです。

 菅総理はもちろんですが、当然、防衛大臣として、関係閣僚として、首相みずからのこの言葉の重みをかみしめて、来年の春の訪米までに普天間基地移設問題の道筋をつける責任を負っている、そういう意識、認識がおありなのかどうなのか、防衛大臣に見解を伺っておきたいと思います。

北澤国務大臣 訪米を招請されたという意味合いについての佐藤委員の御推測でありますが、ある意味、そういうものも十分含まれておるというふうには思います。しかし、それがすべてかといえばそうではなくて、もっと幅広い首脳会談をやりたいという意思があったというふうに思います。

 そこで、重要な部分について、そのときまでにすべてが解決しておるかどうかということは、これはまだ今の時点ではなかなか申し上げられないわけでありまして、今、一番重要な沖縄で知事選が行われている、その結果は一つの大きなファクターになるだろうというふうに思います。先ほどもお話し申し上げましたように、我々は、いずれにしても、沖縄の政策協議会のメンバーとして新しい知事が参画するわけでありますから、その場をとらえてしっかり協議をしていきたい。

 それから、つい先ごろの日米の首脳会談に先立っても、沖縄の問題を含めて、私は総理と相当突っ込んだ話はいたしております。その先の問題について、知事選が終わった後、総理は相当な覚悟を持ってこの問題に取り組む決意があるというふうに私自身は強く感じておるところであります。

安住副大臣 その期限を決めたということではなくて、私も多少対米交渉に九月以降参加させていただいていて、沖縄県の政治状況について、その問題が提起された九〇年代後半から二〇〇〇年代、今に至る状況というのを、米国大統領も、またペンタゴンも重々認識をなさっておられますから、我々以上に、例えば沖縄に長くおられた軍人の方がペンタゴンの上層部におられたりしますので。ですから、四月になったら解決するだろうなとかそういうことではなくて、確実に前進をさせていくという現実的な努力、そして、今大臣がお話しになりましたけれども、2プラス2をやはり誠実に履行していくという、我々に対するたゆまぬ努力を求めておられるのではないかと思います。

 一方で、極東情勢において日米同盟の重要さというのは、そのことだけではなくて、もう十年来になりますこのガイドラインのありよう、そしてそれが新しい時代の中でどういうふうに、日本語で言うとどうなんでしょうか、例えばバージョンアップしていくということなんでしょうか、そういうことに対してしっかりとした話し合いを始めるという、私の位置づけではキックオフをしたということだと思うんですね。そのキックオフをした中で、骨格をつくっていって、四月に両首脳同士で会っていただいて、それを確認した上で、来年の今ごろの時期までに、より具体的で強固な同盟関係の深化を形にする作業をしていくというふうなことを話し合われたのではないか、そういうふうな認識に我々としては立っているというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 あと、最後に一点だけ。

 日米共同声明を、今キックオフという話もされましたが、今回先送りになったんですが、本格的にやって、これはやはり来年の春にはある程度めどをつけないといけないと思うんです。私は、その内容で、昨年、オバマ大統領が来られたときには、拡大抑止、情報保全、ミサイル防衛、宇宙等、従来の協力分野のみならず、新しい課題も含め協力の強化を進めていきたい旨云々、そういうところで、日米首脳会談、鳩山前総理のときは終わっているんですね。

 しかし、私は、日米同盟の深化では、やはりその核となるのは、三分野ありますけれども、安全保障分野についてどれだけ日米同盟の深化が図れるかということが極めて大事だと思うんですね。私は、去年掲げられたこの新しい提示だけではなくて、本来の日本有事の際の防衛体制、必要であれば日米ガイドライン、こういうものもしっかりと見直すということも含めて同盟を深化させるという観点が必要だと思っておるんですが、防衛大臣は、日米同盟の安全保障分野の深化について、どのようなテーマをしっかり議論していく必要がある、日米同盟を深化させるべきだ、そのように考えておられるのか、防衛大臣の見解を伺っておきたいと思います。

    〔神風委員長代理退席、委員長着席〕

安住副大臣 極東における政治状況の変化というものを端的にあらわしたようなガイドラインというものが必要であろうというふうに私は思っています。まさにそれは、大綱、中期防でも多分我々の方として問題点を指摘することになると思いますけれども、安全保障に限って言わせてもらいますと、やはり島嶼部での防衛と、それに対する日米の共同対処というものは具体的にどうあるべきなのか等々ですね。

 それから、近隣諸国、特に北朝鮮を含めた政治状況の中で、ミサイルに対する防衛構想というのは、さきのガイドラインよりもかなり時代が進みましたから、こういうことに対してより具体の対応をどうするのかという、かなり踏み込んだ、お互いの関係での役割をどう明記していくのか。その延長線上には、もしかしたら、想像されておられるとおり、例えば法改正が必要になってくるもの等々も出てくるんだと思います。

 そういうことが、全く御指摘のとおり、これから一年の重要な問題になるのかなというふうな思いで、担当部局等に検討するように指示をしておるということでございます。

佐藤(茂)委員 いずれにしろ、周辺の中国やロシアの足元を見たこの攻勢を見ましたときに、日米同盟をもう一回再構築し直すという強い決意に立って、これから協議をしっかりとやっていただきたいことを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平野委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 岩屋です。

 野党の筆頭というのはしょっちゅう質問に立っておかないかぬのやなということを痛感しておりますが、重大な時局でございますので、きょうもよろしくお願いしたいと思います。

 APECの会合が終わりました。幾つかの重要な会談が行われました。私は、この機会に、日米首脳会談はもちろんです、日中、日ロ、しっかりやれ、そして言うべきことをきちんと言って、失敬だけれども、この一年余の民主党外交の失点を日本のために少しでも回復すべし、こういうことを言ってまいりました。

 そういう意味で言うと、日米、日中、日ロ会談が行われたということについては一定の評価をさせていただきたいと思います。ただ、それぞれに注文があります。一言ずつで言うと、日米首脳会談はちょっとすがり寄り過ぎ、日中首脳会談は位負け過ぎ、そして日ロ首脳会談は突っ込み不足というふうに私は感じておりまして、失地回復、失点回復のための作業が緒についたということについては評価をしたいと思いますが、まだまだ極めて厳しい状況に日本外交は置かれている、こういう認識でお伺いをしていきたいと思います。

 まず、日米首脳会談ですけれども、この中で菅総理は、この間の米側のいろいろなサポートに感謝をしたいというふうに述べておられます。また、昨今の国際情勢もあり、日米同盟や米軍のプレゼンスの重要性について、私も国民も、あるいは地域も改めて認識を深めているという発言をされておられます。ここでこういうことを総理が言うというのは、僕はふと鳩山総理の発言を思い出して、学べば学ぶほどにという発言がありましたけれども、ある意味で言うと、今ごろになってこういう認識かという感がしないでもありませんでした。

 お伺いしたいのは、昨年の政権交代以来の民主党政権の言ってみれば離米的姿勢、離米親中という言葉もありましたが、親中はともかくとして、離米的な姿勢が反省され、完全に改められたと私は認識しているんですが、そう受けとめてよろしゅうございますか。

北澤国務大臣 大筋で言うと、まさにそのとおりであります。しかし、すがり過ぎとか位負けとか、こういうことになるとちょっと反論したくなるわけでありますが、日米の間がぎくしゃくして、離米であるとか、あるいは崩壊しそうだとか、これは私は当たらないのではないかと思っております。かなり率直な意見交換をしてきたということの方が正しい表現ではないかというふうに思います。

 それを一年間通じて、まさに今お話がありましたように、菅総理から米側の理解に対して感謝の意を表したということでありまして、私は、日米は、それは時に、先ほど議題にもなりましたHNSの問題とか、そういう分野では激しいやりとりもありますけれども、率直な意見交換ができた上で再構築されていくということは日米の将来にとって極めていいことだというふうに思っております。

岩屋委員 極めて良好な雰囲気の中で日米首脳会談が行われたということについては私は非常によかったというふうに思っているんですが、それまでの民主党さんの言いぶりが、対等な日米関係と、今までの日米関係がいかにも対等でなかったかのようなことを言い、それを大きく修正するんだという姿勢がやはり去年の政権交代以降非常に顕著だったと思います。

 それからすると、今回の菅総理の姿勢というのは、むしろ何か非常に依存的になったなと。最近ちょっといじめられております、お兄さん、よろしくお願いしますという感じに、平たく言うとそういう感じが私はしたものですから、そこはバランスに気をつけてほしいんですね。やはり日本国としての威信を傷つけることがないような内閣総理大臣の振る舞いであってもらいたいというふうに思うのであります。

 いずれにしても、今回の会談を通じて菅政権の外交姿勢が日米主軸というものに戻った、こういうふうに判断してよろしいですか。

北澤国務大臣 いつも感服しておるんですが、与野党の垣根を越えて正確に判断していただいて議論をしていただく岩屋議員には、本当に尊敬の念を持っております。いや、これは褒め言葉とかそういうことではなくて、まさに今言われたように、ぎくしゃくした部分も指摘しながら、最終的にこのたびのAPECでの首脳会談を評価していただくということは、私はまさに国益にかなっておるというふうに思いますし、我々の目指したものがそういう意味で野党の筆頭から評価されたということは、大変うれしく思っております。

 今後もこの路線をしっかり進めていきたい、このように思っています。

岩屋委員 全面評価ではございませんので、一定の評価をさせていただくということでございます。

 それから、さっき普天間問題に佐藤先生が触れられましたが、普天間問題については余り突っ込んだやりとりがなかったと承知をしております。しかし、私も、佐藤委員がおっしゃったように、来年春、来てよねというのは、そこまでにもう少ししっかりした道筋をつけてきてちょうだいね、こういうことだったというふうに思うんです。

 安住副大臣も、沖縄に入っていただいたりして、水面下の努力をやっていただいていると思います。最近は頭の下げ方も大分よくなったなというふうに感じておりますが、やはり沖縄の信頼を失ったのは民主党政権ですから、だから、平身低頭、誠心誠意、これを尽くさないと、そう容易なことではありません。総理は、選挙が終われば全力を尽くすというようなことをおっしゃったようですけれども、総理のみならず外務大臣、防衛大臣、沖縄担当大臣、政務三役、本当に沖縄に行って誠意を尽くしていかなければいけないと思いますよ。

 担当大臣としての防衛大臣に、この普天間移設問題の解決に向けての決意と覚悟を改めて問いたいと思います。

北澤国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、沖縄の県民が沖縄の未来に向けて決意を明かす日はもう間もなくでありまして、そこで選任された知事と政府はしっかりした議論をしたい。先ほども申し上げましたが、五年ほど中断しておりました沖縄政策協議会が発足しておりますので、このテーブルを使ってしっかり対応してまいりたいというふうに思います。

 またさらに、総理自身が、オバマ大統領とお行き会いになった後、相当な決意を固めておるというふうに私は感じておりますので、しっかりサポートしながら、私としての任務も果たしていきたい、このように思っています。

岩屋委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 それから、また下地さんはいなくなったのかな、いつもしゃべるといなくなるので。僕は友人だから彼がいるところで言いたかったんですが、やはりそのためにも与党内調整をしっかりやってください。前も同じことがありました。やはり、最後の最後まで与党の中がまとまらない、いつまでもばらばらのことを言っているというようなことではいけない。私は、国民新党さんにも与党としての責任がある、こう思っておりまして、ぜひ与党内の調整もしっかりやっていただきたい、こう思います。

 それから、時間がないので次に行きますが、日中首脳会談ですけれども、会談か交談かという話がありますが、僕は余り大した話ではないと思っておりまして、これも、会談できたことはいいことだと思っております。会談を交談と言ってみせるのは、正直、中国という国もいささか大人げないな、もっと大人になってもらわなきゃ困るな、こういうふうに感じているところであります。

 ただ、総理が、あの程度の会談の最初の出だしでペーパーに目を落としながら何かやるというのは、非常に姿としてよろしくない。その程度の能力はある人だと思いますよ、菅総理は。何か先生に向かって生徒がペーパーを見ながらおどおどしゃべっているかのような印象を与えることは非常によろしくない。国民の誇りをまた傷つけることにもなるので、これはぜひ大臣から注意をしておいていただきたいと思います。

 尖閣諸島については、非常にここは情報管理を政府がしっかりしておって、一体どういうやりとりだったのか。我が国も確固たる立場を述べた、胡主席からは中国側の立場についての説明があった以上の説明がないわけですけれども、ここは国会の場ですから、国民も聞いておるので、もうちょっと中身を詳しく教えてくれますか。

古川内閣官房副長官 お答えいたします。

 岩屋委員も御承知かと思いますが、外交上のやりとりにつきましては、対外的にどう説明するかということについては、これはやはり外交上ということもございまして、さまざまな検討をしていかなければいけない。そういった意味では、先ほど委員が言われた以上の詳細については差し控えさせていただきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。

岩屋委員 一方、後で言いますが、日ロ首脳会談の両者のやりとりというのはかなり幅広に公表されているんですね。

 だから、私、もちろん中国というのは非常に、日中関係はセンシティブですから、いろいろと外交上気を使わなきゃいかぬということはよくわかりますが、ただ、尖閣の海域をめぐる問題はもう表ざたになったわけですよ。そして、この間も、立ち話であれ何であれ、温家宝さんと菅総理の間でお互いの主張をちゃんと述べ合った。今度は、国家主席と我が方の総理がお互いの主張を述べ合ったということですから、余り包み隠す必要はないと思いますよ。

 私は、もうちょっと国民の皆さんにも真実を知っていただいた上で、そして日中関係をどうするかということを一緒に考えていただくということが大事だと思うので、ちょっとそこは、情報を隠し過ぎなのかなと感じております。

 ところで、そこで、東シナ海のガス田の共同開発問題については、今回、外相会談では言及されておりましたが、首脳会談で総理からの言及はなかったようであります。でも、これも、かつて首脳同士で合意したことですから、私は議題に上げてよかった、言及してよかったと思っているんですけれども、この発言はなかったんですか。

古川内閣官房副長官 これも大変恐縮でございますが、個別具体的な問題につきまして、そのやりとりについて申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

岩屋委員 このテーブルにお互いが戻るということはすごく大事なことですよ。これができれば、かなり日中関係は改善され、前進をされ、いわゆる領海防衛の抑止もきいてくるということになると私は思っているので、やはりこういう機会を通じて、早くあのテーブルに戻ろうぜという話を首脳からちゃんとしていただくべきだ、こう思っておりますので、指摘をしておきます。

 それから、新藤委員からもかつて指摘がありましたが、この東シナ海の最新状況の写真を当委員会に出してくれというふうに言っているんですが、なかなか出てきません。これは重ねて委員長に理事会での協議を求めたいと思います。

平野委員長 先刻この委員会での御発言もございました。後刻理事会で協議をさせていただきます。

岩屋委員 これも、余り包み隠しておって、ある日突然、もう相当の段階まで中国の単独開発が進んだということが明るみになった場合は、この不信はまた政府に来ますよ。政権に来ますよ。だから、やはり早く事実を公表して、ある意味では中国にも突きつけて、これはあなた、約束が違うじゃないか、やはりテーブルにもう一回戻ろうよという話をするというふうにしていただきたいと、重ねて申し上げておきます。

 続いて、日ロの首脳会談ですけれども、これはなかなか詳しく新聞などにも報道されておりますが、私は、ちょっと突っ込みが足らないとさっき申し上げました。というのは、ロシア側の基本的立場を踏まえた発言が大統領からあったというふうに言われておりまして、北方領土はこれからもロシア領だ、日本側の感情的な声明やジェスチャーは逆効果である、経済を前面に押し出したアプローチに変えようではないかと、あたかも棚上げ論であるかのような発言がされたというふうに伝えられておりますが、事実ですか。

古川内閣官房副長官 今お話がございました部分でございますけれども、今回の首脳会談におきまして、菅総理からメドベージェフ大統領に対し、大統領の国後島訪問につきまして、我が国の立場、そして日本国民の感情から受け入れられないとして、しっかりと抗議をいたしました。その上で、菅総理からは、北方四島の帰属の問題を最終的に解決して平和条約を締結すべく、今後も両首脳間で議論していきたい旨を述べさせていただきました。

 今議員から御指摘がありました、領土問題を棚上げにして経済関係を推し進めることに賛同したというような御指摘は、全くございません。我が国として、領土問題を棚上げする考えなど毛頭ないわけでございます。

 なお、経済関係につきましては、我が国としては、政治と経済の双方をともに前進させ、一方が前進すれば他方によい影響を及ぼす可能性もあるという考えを念頭に、引き続き、あらゆる分野において関係を発展させたいというふうに考えております。

岩屋委員 ロシア大統領の発言の中身が事実でしたかということを聞きたかったんですが、要は、そういうふうに大統領が言ったとするならば、明らかに今までのロシア側の態度とは変わってきているわけですよね。大きく、著しく変わってきているわけですよね。

 だから、菅総理が日本側の立場を述べたというのはいいんだけれども、向こうが明らかに別のアプローチでいこうと言っていることに対してはもうちょっと反論して突っ込まないと、これは既成事実になっていきますよ。かつてトウショウヘイさんが日本にやってきて言った棚上げ発言と同じようなことに扱われていったら、これは前進がありませんよ、領土交渉に。私は、そこが今回非常に問題ではなかったのか、ただ我が方の立場を言うだけではなくて、やはり反撃をすべきところはすべきだった、そういうふうに強く感じているところであります。

 その上で、ロシアにいらっしゃいよということを言われて、はいはい、ありがとうございますという話が首脳間でも外相間でもあったようですけれども、これは、メドベージェフさんの発言をそのまま受けとめて、ひょいひょい、のこのこと行くようなことであってはいかぬと思いますよ。これはやはり、日本側としてこういうアプローチにしようという下話をした上で、地ならしをした上で行かないと、この間のメドベージェフ発言というものがもう既定路線となって日ロ交渉が続いていくということであってはいかぬと思いますよ。

 その点はいかがでしょうか。

古川内閣官房副長官 メドベージェフ大統領から、来年のしかるべきタイミングで菅総理を招待したいという旨の話があったことは事実でございます。これに対しては、菅総理から、招待に感謝する、前向きに検討したい旨述べさせていただきましたが、当然、これは我が国として主体的に判断をする問題だというふうに考えております。

岩屋委員 もう一点聞きますが、もう既に国後訪問を終えて大統領は日本に来た。これから先、同じようなことが繰り返されたのでは、もうすべてがパアになるわけですね。だから、島の名前は挙げたか挙げないかは別にして、歯舞や色丹などの他島への大統領訪問などということは今回の会談を通じて抑止ができていなければいけなかったと思うんですが、そういうことに関する言及はしていただいたでしょうか。

古川内閣官房副長官 先ほど申し上げましたように、今回の日ロ首脳会談におきまして、先般のメドベージェフ大統領の国後島訪問につきましては、我が国の立場、そして日本国民の感情から受け入れられないとして、はっきり抗議をいたしました。

 ロシア側が我が方の立場を十分に踏まえることを期待しておりますが、今後とも、情報収集を十分に行いつつ、適時適切な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

岩屋委員 そのワーディングの中、その総理の言葉の中に、もうこんなことはしてくれるなよという意味が含まれていると言われればそうなのだと思いますが、私は、もう一押し必要だったと思いますね。二度とこのようなことをしていただきたくはないんだという一言がやはりあってしかるべきだったと思います。

 それから、ロシアも、中国と同じように、お互い引っ越しできない隣人なわけであって、これはどういう言葉を使うかは別にして、戦略的互恵関係がロシアとの間にもなければいけないということだと思います。そのためには、やはり今回の大統領の北方領土訪問で一たん壊れかけた日ロの交渉の舞台をきちんと整え直すということが大事であって、それがためには、多少の時期、摩擦があってもいいんだろうと思います。

 大畠経済産業大臣は、かなりはっきりした言葉で、今回の行為は日本人の思いや心を踏みにじる行為だということで、日ロ経済協力覚書の見送りをしたというふうに伝えられておりますが、一方で官房長官は、いやいや、そんなことじゃないんだ、手続上のミスだなどということを言ってみたり、ここにおいても、ちょっと対ロシアに対する政府の行動というのは乱れているというふうに感じます。ここはよく閣内で調整していただいて、経済協力は結構だけれども、何もかも今進めなければいけない状況にあるのかどうか、ここは一たんブレーキをかけて、立ちどまって考えてみる余裕があっていいんじゃないかな、こう思いますが、いかがでしょうか。

古川内閣官房副長官 先ほどもちょっと申し上げましたが、我が国としては、経済関係については、政治と経済の双方をともに前進させて、一方が前進すれば他方によい影響を及ぼす可能性もあるという考えを念頭には置いておりますが、当然、委員が御指摘のような部分も含めてしっかりと対応していきたい、考えていきたいというふうに思っております。

岩屋委員 向こうからするとやらずぶったくりみたいなことにならないように、やはり緊張関係を持って、戦略的に日ロ交渉を進めていっていただきたいと思います。

 それで、残った時間、給与法について触れたいと思いますけれども、本来ですと、さほど問題があるような法案ではありません。これまでも粛々と処理をしてきたのでありますけれども、先ほど来同僚議員から話がありましたように、今回の給与法の提案は、今までとはちょっと意味が違いますよね。

 民主党の昨年のマニフェスト、総人件費を二割削減するんだ、さきの民主党代表選での菅総理の公約、人勧を超えた削減をするんだ、片山総務大臣の答弁、深掘りもあり得るんだ、これらとことごとく矛盾をしているんじゃないですか、これはやはり公約違反と言わざるを得ない、有言不実行だと言わざるを得ないという観点から、今回は、私どもも否定的な立場をとらざるを得ない、こう思っているわけであります。

 勧告どおりとした理由をもう一度問いたいと思います。

内山大臣政務官 岩屋委員にお答えいたします。

 人事院勧告は、国家公務員の労働基本権を制約する上での代償措置の根幹をなすことから、給与改定に当たってはこれを尊重するのが基本でございます。

 他方、現下の社会経済情勢や厳しい財政状況等を踏まえ、勧告を上回る削減を行うべきとの意見もあり、関係者間での議論を行った結果、その実現に向けた検討を進めることで一致をしております。ただし、人事院勧告制度のもとにおいては、勧告を上回る給与の削減は極めて異例な対応となりますので、その場合の法律問題の整理や実現に向けた手順について、一定の検討期間が必要でございます。

 こうした事情から、人事院勧告を上回る削減については、今後、これらの点を含め具体的な検討を開始することとし、ことしの給与改定は人事院勧告どおりとさせていただきました。

 よろしくお願い申し上げます。

岩屋委員 仕分けもそうだったんですけれども、あれはあれで、いつも申し上げておるように、一定の成果があったし、そこは評価したいと思うんだけれども、仕分けシリーズが大方終わってはっきりしたことは、民主党マニフェストのあのときの前提、無駄を削れば二十兆円近くは出てくるということが破綻をしたということも、その仕分けの結果として明らかになったわけですね。

 公務員の給与を二割削減、これも、理想、目標としては、国民の皆さんが評価をし、期待をしたんだと思いますけれども、もう政権をとられているわけですから、すべからく、やはりリアリティーに立脚した実現可能性のある政策にどんどんどんどんつくりかえて、わびるところは国民にわびて、説明をして、そういう進め方をしていかなきゃいかぬと思いますよ。

 だから、私はさっき、二割削減すると言ったのにこれは何だというふうに言いましたが、もっと本音を言うと、本当に二割削減なんかできるの、それがまた本当に正しいことなのという思いも正直あるんです、私の中に。だから、これは早目に、リアリティーに立脚した実現可能性のある工程表をつくってください。それがマニフェストと異なることになっても、きちんと国民に説明すればいいじゃないですか。そういうことを指摘しておきたいと思います。

 それから、これは、国務大臣であるというか、民主党のリーダーの一人でもある大臣に聞きたいんですが、どうも民主党さんは、国会議員の歳費一割カット法案を準備すると伝えられておりますが、こういう言いわけ法案というかパフォーマンス法案というか、こんなことをしない方がいいと思いますよ。

 私はいつも言うんですけれども、国会の仕組みとか国会議員の待遇だとか、いろいろなものは民主主義の装置なんですよね。我々は国会の通行人ですよ。五十年たったら、だれ一人ここにはいないですよ。常に、志のある人が、名門であろうがなかろうが、二世であろうがなかろうが、金があろうがなかろうが、国民から選ばれてここに来て、人生の一定期間、当選したり落選したり、野党になったり与党になったりしながら仕事をするためにはどういう装置が必要かという考え方でこういう制度は決めていかないと、その場限り国民の御機嫌をとればいい、こっちで評判が悪いからこれで人気取りをしようなんという決め方をしておったのでは、日本の民主主義の装置がずたずたになってしまうと思います。

 そういう意味で、例えば、では選挙制度はもう一回検討し直す必要があるのかどうか、定数はどうか、二院制の是非はどうか、その役割分担はどうあるべきか、議員歳費はどの程度が適当か、政党助成金の仕組みはこれでいいか、政治献金の仕組みはこれでいいか、議員年金は、小泉さんの勢いで廃止をしてしまったけれども、本当になくていいかということを総合的に考えて、そういう提案をしてほしいと思っているんですけれども、いかがでしょうか、大臣。

北澤国務大臣 私の立場で、全面的とは申し上げられませんが、かなりの部分は同感であります。また、民主党の党内にも健全なる逆ばねがきいておるというふうに思っております。

岩屋委員 それから最後に、これも、きょう、みずから矛盾するような発言かもしれませんが、本来は防衛関係職員給与というのは特別扱いであってもいいぐらいだと本当は私は思っているんです。

 そういう意味でいうと、先般もちょっと聞きましたが、何か準自衛官構想みたいな、自衛官ダッシュみたいな、そんな仕組みを考えているということについても非常に私は疑問を持っておりまして、これは全体の士気にもかかわると思いますので、最後に、防衛大臣にこういう考え方についての所見を伺って終わりたいと思いますが、いかがでしょう。

北澤国務大臣 自衛隊が警察予備隊として発足した当時を回顧する話は私も先輩たちからよく聞きますが、今日の自衛隊は全くそれとは違って、長い歴史の中で、災害、さまざまな問題で国民に貢献をしてきている、あるいはまた海外にもその貢献の度合いが広まっているということで、十分な認知をされておるというふうに思います。

 しかし、そのことをもって、我々がおごりの言葉を発することは厳に慎まなきゃいけませんけれども、私はいつでも思っておりますことは、防大の発足のときの小泉校長の教育の基本にあります服従の誉れということをしっかり肝に銘じて、これからも国民のために頑張っていきたいと思っています。

岩屋委員 これからは、むしろ自衛隊に関しては、質、量ともに、あるいは予算ともに充実強化をしていかなければいけない局面だと思いますので、その方向に向かって努力をしていただくように要請をして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北澤国務大臣 初代防大の校長は小泉先生が推薦した槇先生でありましたので、訂正させてください。

平野委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 給与法については、今回の場合、国家公務員全体の給与切り下げの一環をなすものであり、本法案には反対であり、後ほど討論もいたしたいと思います。

 そこで、きょうは、日米両政府が従来示してきた辺野古V字形滑走路の台形の飛行経路、これを拡大しようとしている問題について、前々回の当委員会で質問をしましたが、ちょっと聞きたいと思います。

 その際の防衛大臣の説明によると、二〇〇六年当時、アメリカ側は当初、長方形の飛行経路を主張し、最終的には台形で日米が合意した。今回の専門家会合においても、アメリカ側はそのときと同じように長方形を主張して、岡田前外務大臣の答弁の後、資料を精査する中で、当時、台形で合意したことは認めた、こういう説明でありました。

 いつ精査したのかというところも聞きたいんですが、きょうは十五分しかありませんので、そのことから照らして、一つ確認したいのは、そうしますと、今回の専門家会合でアメリカ側が主張した長方形の飛行経路というのは、現在の普天間基地の所属機CH53やCH46を想定したものなのか。あるいは、今政府は、オスプレー配備の可能性を公式に認めるようになっているわけですが、この飛行経路はオスプレーを想定したものではない、このように理解していいですか。

北澤国務大臣 日米の協議のことについては今委員が言われたとおりでありますが、今回の飛行経路については、オスプレーも想定した中で議論を進めておるというように承知しております。

赤嶺委員 そうすると、二〇〇六年当時から、オスプレーの飛行経路を想定した飛行経路になっていたということですか。

北澤国務大臣 それはそういうことではなくて、今回の議論といいますか、日米の協議の中でオスプレーを想定しておるということであります。

赤嶺委員 台形状という飛行経路を示したのは、オスプレーを想定したものであったんですか、なかったんですか。

北澤国務大臣 ロードマップ、当時の合意の台形については、オスプレーは想定されておりません。

赤嶺委員 今回、岡田前外務大臣は、アメリカ側が主張している飛行経路がより陸上に近いということはおっしゃるとおりと答弁をしております。

 通常の回転翼機だけでなく固定翼機としての機能もあわせ持つオスプレーが配備されることになれば、飛行経路はさらに広がることになる、そういうことでいいですね。

北澤国務大臣 そういうことが今想定されているわけではなくて、オスプレーも含めて、今、日米で飛行経路について協議をしておりまして、日本側からは六年度の合意に基づく案について主張をしておりますが、これは、結論が出ているわけではなくて、今後協議を続けるところでございます。

赤嶺委員 つまり、台形状の飛行経路というのは、オスプレーの導入によって見直しの協議も始まっているという理解でいいですね。

北澤国務大臣 米側から、オスプレーも含めて協議をしたいということで提案があったわけでありますが、我々もそれを受け入れて、どういう飛行経路になるかということを現在協議しているわけであります。

 もう既に議員は御存じのように、米側、海兵隊は、二〇〇六年のロードマップのときにもそうでありましたが、一番最初に必ず、これはワールドスタンダードというわけではありませんけれども、通常、ヘリコプターの経路はこういうことだといって、長方形のものをまず提示してきておるわけであります。

赤嶺委員 オスプレーの配備も含めた飛行経路ということを検討しているわけですが、この点にかかわって、東村高江区のヘリパッド建設の問題について、現在、同訓練場で訓練を行っているヘリは普天間基地の所属機であります。沖縄にオスプレーが配備されるということになれば、当然、現在のCH46にかわってオスプレーが北部訓練場でも訓練を行うことになると思いますが、それはそういうことでよろしいでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 オスプレーの沖縄配備につきましては、これまでも国会等で累次申し上げておりますとおり、現時点で確定しているわけではありませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 防衛大臣、こういう答弁はもう何度も聞いていますから、それを前提に聞いているわけです。

 つまり、台形状に飛ぶ飛行経路も、オスプレーも想定して、今いろいろ協議している。当然、普天間基地のヘリが北部訓練場を使って訓練をしているわけですが、北部訓練場のヘリも、CH46がかわれば、オスプレーが北部訓練場でも訓練をする、そういう理解でいいですね。

北澤国務大臣 おっしゃるとおり、オスプレーを代替施設のところで想定するということになれば、理論的にはそういう推論は成り立つわけでありますが、現在、そういう意味で、北部訓練場でのヘリパッドに対する協議をしておるわけではありません。

赤嶺委員 しかし、北部訓練場を使っている普天間飛行場のヘリが辺野古に移り、そのヘリが北部訓練場で訓練する、そうなればオスプレーということになるわけですね。

 聞きたいのは、現在計画されている北部訓練場のヘリパッド、これは、技術的にはオスプレーによる使用に対応したものなのかどうか。つまり、オスプレーにかわっても、今の、工事を進めようとしているヘリ着陸帯は使えるんですか。それとも、オスプレーの配備が決定された場合には現在の計画の変更をすることになるんですか。

北澤国務大臣 今日まで北部のヘリパッドについて協議してきた中に、オスプレーは想定をされておりません。したがって、今後、工事を再開していく中で、日米どういう協議をするかということにかかっておるというふうに思っております。

赤嶺委員 これは大変なことですよ。莫大な予算をかけて、国民の税金を注いで、北部訓練場の自然や環境を破壊してヘリの着陸帯をつくりました。ところが、つくったけれども、そのとき使う機種はオスプレーにかわっていました。オスプレーになった場合に、つくったヘリの着陸帯は使えるんですか、使えないんですか。このことは、もう税金を出しているのに、今から協議なんて、そんなひどい話はないじゃないですか。いかがですか。

北澤国務大臣 極めて大きい変化が起こるという前提でお話しのようでありますけれども、現在あるものでもオスプレーは可能であります。しかし、安全性を考慮して設計変更をする、こういうことになりますから、そんなに大きな変化ではないというふうに承知しております。

赤嶺委員 日米間の協議はこれからだと言いながら、予算の話になれば、そんな大きな変化が起こるような話をしているけれどもそうではないとおっしゃるのは、どこかで日米間の協議をやっているからこういう答弁ができると思うんですが。

 つまり、今のヘリの着陸帯はオスプレーにも使えるんですね。あるいは、オスプレーが導入されたら、安全性を考慮して工事を補強する、工事をやり直す、こういうことがあるんですね。

北澤国務大臣 これはまだ協議を始めておるわけではございませんから、今のような断定的な御質問にはお答えしかねますけれども、今現に、V字案とI字案で、オスプレーを想定して日米で協議をしておりますから、そこから得た知見の中で最大限私が申し上げられることは、現在のものでも離着陸は可能である、ただ、そこから先の安全性とかそういうものについては米側と全く協議をしておりませんので、ここでお答えを申し上げることはまだ時期尚早だ、こういうふうに思っておるわけです。

赤嶺委員 私は、辺野古の基地建設は、先ほどからいろいろ議論がありますけれども、環境アセスどころか計画自体がもはや実行不可能だと思います。皆さんが、早くそういう決断をやる政治家にならなければいけないと思います。安住副大臣は私と一緒に沖縄問題をずっとやってきたわけですから、辺野古計画中止を決断する政治家になっていただきたいと思っているわけです。ただ、政府は、オスプレーの配備が決定された場合、環境アセスのやり直しではなく、辺野古の場合、改めて予測、評価を行うなどの方針を示しております。

 高江のヘリパッドにつきましては、沖縄県の環境影響評価条例に準じた環境影響評価手続、自主アセスとかと言っておりましたが、この前提になっているのも現在の普天間の基地の所属機であります、その前提で騒音などの調査も行っています。私たちは、この自主アセス自体がずさんで、やり直しを求めてきたわけですが、政府として、オスプレーが配備されることになった場合、ヘリパッドの環境影響評価はどうするんですか。

北澤国務大臣 まだそこまで現実に事が進んでおるわけではありませんので、今、赤嶺委員の御質問にお答えするわけにはまいりません。

赤嶺委員 現実は、もう専門家協議でオスプレーの話もしていて、北部訓練場を訓練で使うのもオスプレーになることは明らかで、なお今こんなごまかしの答弁をして、一方では沖縄県民の理解を得る、平身低頭と言ってみても、そんなことでは絶対に信頼は得られないと思います。

 そもそも、北部訓練場というのはジャングル訓練場ですよね。ジャングル訓練場というのは、今の米軍にとっても使い勝手という点では非常に落ちているわけです。訓練自身が、あの北部訓練場の中で落ちているわけですよね。もちろん、今、砂漠や山岳地帯あるいは都市型、そういう訓練ができる場所ではないわけですね。

 そういうジャングル訓練という、アメリカ自身がもう訓練の回数も減ってきていると言う訓練場を、SACOで二十年前に決めたから、必ず移すんだ、やるんだ、これが日米同盟だと言う限り、そういう県内のたらい回しをやる限り、県民の理解は得られない、中止しかないということを申し上げて、質問を終わります。

平野委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 冒頭、安住副大臣、先日は嘉手納爆音激化の件で現地司令官に早速おきゅうを据えていただいて、ありがとうございました。

 さて、国家公務員の給与改定について、次期通常国会にも自律的労使関係制度を措置するための法案を提出し、交渉を通じた給与改定の実現を図ることとされております。

 私は、自衛官にも団結権を与えて、交渉を通じた給与改定の実現を図ることとすべきだと考えております。イギリス、ドイツなど、ヨーロッパの国の軍隊の多くには労働組合が組織され、労働条件について交渉を行っております。私は、自衛隊に団結権を認めることは可能だと考えております。この件については、今後、当委員会で議論を深めていきたいと思います。

 さて、本法案に関連して、陸海空自衛官の人数あるいは職種、階級等は公表されておるのでしょうか、伺います。

安住副大臣 公表されております。

照屋委員 安住副大臣、これは当然公表すべきであって、国家機密でも何でもない。そのことによって、むしろ給与の実態等も国民は知り得るわけであります。

 さて、このことと関連して、在日米軍基地あるいは在沖米軍基地に限っても結構でございますが、働いておる日本人従業員の各基地ごとの従業員の数あるいは職種別人数等は公開をされておりますか。

安住副大臣 先生御存じのとおり、総数は発表しているんですが、個々の米軍関係施設について何人何人ということについては、保安上の問題があるということで、これまで公表は行っていないというのが事実でございます。

照屋委員 安住副大臣、これらの数字は、日米両政府にとって国民に公開をすべきでない機密情報だと本気になって思っていらっしゃるんでしょうか。もしそうであれば、その根拠はどういう根拠なんでしょうか、伺います。

安住副大臣 先生から言われると非常に頭の下がる思いでございますけれども、ここはちょっと読ませていただきたいんですが、これはやはり相手のあることでございますので、私の気持ちは別にして、やはり日米間でのアメリカ側の要請ということでもありますので。

 これは、米軍施設の保安上の危機をもたらす可能性があり、このため、国の安全が害される、また、他国との信頼関係が損なわれるおそれがあるため情報公開法五条三号に該当するということで不開示ということでありまして、今開示請求が六施設で要求があるということでございますが、私が今申し上げたことで、不開示をしているということを説明させていただいているということでございます。

照屋委員 安住副大臣、御承知だと思いますが、この件に関して、去る九月、沖縄県南風原町に住んでいる男性が、米軍再編で返還が決まった嘉手納以南の六つの基地で働く基地従業員約四千人の職種別内訳を尋ねる情報公開請求をしたら、これに対して沖縄防衛局が不開示決定をした。この男性が情報公開を求めた理由というのは、身内が基地で働いている、基地が返還されたら再雇用の問題がある。職業訓練の問題がある。そういうことからすると、私は、日本人従業員がどんな職種で何名ぐらい働いているかということについて情報公開しないというのは、とても信じられない。国民には知る権利がある、これは民主主義の基本なんですよ。

 そして、情報不開示の理由について、大臣、副大臣、沖縄防衛局は、在日米軍司令部と協議した結果、職種別の基地従業員数は在日米軍の組織構成に直結しており、情報公開が基地のセキュリティーに悪影響を与えるおそれがあると説明しておるんです。そんな説明が通りますか。

 大臣、まず感想を聞かせてください。

北澤国務大臣 これは米軍の強い要請であったというふうに聞いておりますが、確かに議員のおっしゃることも一理ありますけれども、現在のところ、これ以上の協議をするのはなかなか難しいというふうに思っております。

照屋委員 ところが、大臣、安住副大臣に、私は正直に伝えますけれども、私は国会議員になる前、弁護士として、基地で働いている全軍労の労働者の事件、復帰後の全駐労の労働者が国を相手にした裁判、十数件担当しました。全部勝ちました。実際は、基地労働者について、いわゆるMLC、基本労務契約、IHA、諸機関労務協約というものがあります。この両労務契約について、防衛省が膨大な冊子というか記録を出しておりますよ。それには、職種ごとに明細が全部載っていますよ。これは不開示にする理由など毛頭ないんです。私は再検討してもらいたい。

 というのは、新特別協定で間もなく、労務費の日米負担の問題で、両国間で交渉するんです。いわゆる思いやり予算で、労務費負担について上限の人数が決められているんです。したがって、職種も明確なんですね。

 だから、政権交代を果たした民主党政権で、やはり県民、国民の知る権利にこたえていく、しかも、これは不純な動機による情報開示ではなくて、身内が基地で働いておる、そして、基地が返還されたら再就職をどうしようか、基地で働いておる間に習得した英語力を生かした仕事にどうついていくか、こういうための情報公開請求なので、私は再検討を要すると思いますが、首をかしげている安住副大臣、見解をお聞かせください。

安住副大臣 先生御指摘のように、今ホスト・ネーション・サポートの問題で人件費等々の交渉をしております。やはりアメリカ側も非常に、働いている方々に対してのサポートというのを引き続きすべきだというようなことも私どもに伝えてきておりますし、そういう意味では、基地の中で働く人に対して、思いやりというのは非常にお互いに持って対応はしております。

 ただ、何せこの情報の開示につきましては、アメリカ側としてはできれば不開示にしてほしいということでございますし、そうした意見を総合的に勘案すれば、どうしても今の段階でこちらとして公式に出すという段階に至っていないというのが現実であるということは、先生にぜひ私の胸の内もわかっていただければありがたいなというふうに思っております。

照屋委員 大臣、沖縄県では「沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)」という冊子を毎年発行しているんだ。この中には、要するに、米軍基地、日本が提供している施設について、施設の名称、施設の面積、そこにおる米軍人軍属の数あるいは部隊内に居住している米軍人軍属、基地の外に居住している軍人軍属の数、これを詳細に、それこそ微に入り細にわたって毎年統計を発表しているんだ。

 これが公開をされて、日本人従業員の数が情報不開示というのは、沖縄防衛局が在日米軍の司令部がだめだと言ったというんだが、本当に言ったかどうかは私は疑問に思って、疑っていますよ。

 どうですか、こんなのが出ておって、日本人従業員を職種ごとに明らかにしないというのは私は納得いきませんが、大臣、この問題についてのやはり日本政府の主体的な、主権国家の矜持ある態度を示すべきだと私は思いますが、最後に伺います。

北澤国務大臣 御説をお聞きしておりますと、至極もっともな話であるわけでありますが、交渉相手が米軍ということで、今日まで十分なお答えができなかったわけでありますが、引き続き米側と交渉を続けてまいりたい、このように思っています。

照屋委員 終わります。

平野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時十八分開議

平野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、先ほど終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛省職員給与法一部改正案に反対の討論を行います。

 人事院は八月、今年度の一般職国家公務員の給与について、民間給与を上回るマイナス較差〇・一九%を解消するための月例給の引き下げ、期末・勤勉手当の〇・二月分の引き下げを主な内容とする給与勧告を行い、政府は十一月、勧告どおりに実施することを決定しました。

 本法案は、一般職の例に準じて、裁判所職員や国会職員などと同様に、特別職国家公務員である防衛省職員の給与を改定するものです。

 国家公務員全体の給与切り下げの一環をなす本法案には反対であることを述べ、討論を終わります。

平野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平野委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十分散会


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