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第3号 平成23年4月5日(火曜日)

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平成二十三年四月五日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 平野 博文君

   理事 浅野 貴博君 理事 下条 みつ君

   理事 神風 英男君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 今津  寛君

   理事 岩屋  毅君 理事 佐藤 茂樹君

      小原  舞君    神山 洋介君

      菊池長右ェ門君    空本 誠喜君

      高橋 昭一君    玉城デニー君

      萩原  仁君    福嶋健一郎君

      松本 大輔君    森山 浩行君

      渡辺浩一郎君    渡辺 義彦君

      木村 太郎君    橘 慶一郎君

      中谷  元君    浜田 靖一君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   外務副大臣        伴野  豊君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上田  健君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    梅本 和義君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  渡邉 綱男君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 添田 慎二君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  徳地 秀士君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  望月 義夫君     大野 功統君

四月五日

 辞任         補欠選任

  武田 良太君     橘 慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  橘 慶一郎君     武田 良太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

平野委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの東日本大震災における被害で犠牲になられました方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地において救援活動等に従事されている政府及び地方自治体並びに関係者、諸外国から救援のために来日された方々、その他いろいろな形で救援にかかわっておられる方々に心から感謝を申し上げます。

 特に、自衛隊の皆様においては、祖国の防衛という重要な任務を担いつつ、人命救助や物資の輸送、医療支援、そして原発危機への対応など、被災地支援における中核となる重責を担っていただいております。その大変な肉体的、精神的重圧の中、細やかにお一人お一人の被災者の方々に向き合い、また国家の危機に際し最前線で御奮闘いただいていることは、所管の委員長として大きな誇りとするところであり、重ねてここに感謝と激励の意を表します。

 これより、犠牲となられました方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと思います。

 全員の御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

平野委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

平野委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官上田健君、外務省北米局長梅本和義君、環境省自然環境局長渡邉綱男君、防衛省大臣官房審議官添田慎二君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君及び防衛省人事教育局長徳地秀士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村太郎君。

木村(太)委員 皆さん、おはようございます。

 きょう、トップバッターで質問をさせていただきます。内容的には基本的なことを中心にお聞きしますので、防衛大臣初め皆さん、簡潔に御答弁いただければ幸いであります。

 ただいま皆さんと一緒に黙祷をさせていただきましたが、私も、三・一一の今回の巨大地震、また大津波、また原発事故で亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表しながら、また困難な状況の中で避難されている皆様方に心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 委員長のごあいさつにもありましたとおり、国、地方自治体、あるいは警察、消防、ボランティア団体、そして自衛隊の皆さん、たくさんの皆さんが現場で頑張っているということに改めて敬意を表したいと思います。

 私は、三・一一の地震発生のときには、私の県も被災県だったんですが、地元にいまして、出発する間際の電車の中で地震を体験しまして、JRの職員の皆さんの誘導で、駅のホームにみんな避難するというような状況でありました。

 次の日、地元の青森県の防災センターに入りまして、その時点での被害状況、またその時点でのやるべきことを県の執行部と意見交換をさせていただいて、私ごとですが、今県連の会長をやっているものですから、直ちに県連内に対策本部を立ち上げまして、そして七十二時間という一つの時間的なものを意識して、それを経た上で、八戸を初め青森県内の被災した地域を対策本部として視察をし、これまで国に、あるいはまた我が党の対策本部を通じて御要望等を続けてまいりました。

 この間、大臣初め皆様方にも心から敬意を表しながら、一層のまた御奮闘をお願いしたいというふうに思います。

 岩手、宮城あるいは福島と比べますと、私の地元青森県は、八戸を中心に被災したんですが、死者数が決定的に少ないんですね。いろいろ分析しますと、津波の到着する時間が岩手や宮城に比べるとかなり遅く到達した。宮城や岩手で巨大な津波が発生しているようだというような情報が一瞬に広がったということと、それから、チリ地震のときに津波の避難ということがあったんですが、なかなかきちっと避難しないで反省する点があって、その後、避難訓練を強力に定期的にやっていた、この二つの要因がありまして、宮城や岩手に比べると、死者数が三人で済んでいるというような状況なんですね。ただ、被災現場というのは全くもって悲惨な状況でありました。

 それから、約八メートルを意識してつくられた、三十年ぐらいかけて整備してきた防波堤がありまして、もしこの防波堤がなければ、やはり二十メートル以上の津波がさらに市街地の奥地に来たのではないか、そういったこともありまして、不幸中の幸いというか、三名の死者で済んでいるということであります。ただ、やはり津波の恐ろしさというものを私も改めて現場で感じたところであります。

 前置きが長くなりましたが、では、早速お伺いしたいと思います。

 巨大地震、そして大津波の発生以降、予備自衛官も含めて、自衛隊の活動はどのように取り組んでいるのか。例えば、延べ人数や、あるいは活動の箇所数なんかをぜひお聞かせいただきたいと思います。

北澤国務大臣 御答弁申し上げる前に、ただいまは、委員長から自衛隊の活動について御懇篤な御発言をいただきました。心から感謝申し上げると同時に、大変な励みにもなりますので、即刻、各部隊に委員長並びに委員各位のお気持ちを伝えさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、ただいま木村委員からの御質問でございますが、簡潔にということでございますから、少し詳細は省きながら申し上げてまいりたいというふうに思います。

 三月十一日に発生した東日本大震災に対して、同日夕刻に、防衛大臣から自衛隊の部隊に対し大規模震災災害派遣命令を発出いたしまして、自衛隊による救援活動が開始をされました。

 また、十四日には、東北方面総監を指揮官とする統合任務部隊を編成いたしまして、四月四日現在において、即応予備自衛官及び予備自衛官約五百名を含む総勢約十万六千人の態勢で任務に当たり、一人でも多くの被災者のお役に立つよう全力で取り組んでおります。

 現在では、岩手県、宮城県、福島県の各地で、給水支援約一万七千トン、さらに給食支援約百七十一万食以上、それから入浴支援十五万人以上など、被災者の生活を支援するため、あらゆる活動を積極的に展開いたしております。

 また、三月十一日、十二日の両日に原子力災害派遣命令を発出いたしまして、CH47Jヘリコプターによる水の投下及び消防車による地上からの放水などを含め、福島第一、第二原子力発電所への対応にも約五百人の態勢で、東京電力などと連携して全力で当たっておるところでございます。

 さらに、航空自衛隊のRF4偵察機による航空偵察、それから赤外線サーモグラフィー装置を搭載した陸上自衛隊のCH47Jヘリコプターによる温度測定、さらにはヘリコプター映像伝送装置を搭載した陸上自衛隊のUH1ヘリコプターによる航空偵察を行っており、事態の把握に全力を挙げておるところでございまして、震災への対応は長期間にわたることが予想されるところでございますので、防衛省・自衛隊としては、関係機関のニーズ、要請を踏まえて全力で対応してまいる所存でございます。

木村(太)委員 そういう中で、救援活動に当たっている自衛隊の方一人がお亡くなりになられたということでありますので、改めて哀悼の意を表したいと思います。

 もちろん、被災者の方を第一義的に考えるのは当然でありますが、そのために頑張っている自衛隊の皆さんの肉体的、精神的な御苦労というのもかなり極限に来ているのではないかなというふうに感じております。

 よって、例えばローテーションの対応をしていくとか、あるいは隊員諸官の任務の遂行を完遂させるためのサポート態勢というのが万全になっているのか、その点、確認させてください。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 お話のありましたとおり、三月十二日から災害派遣され岩手県で活動に従事しておりました第二特科連隊所属の陸曹長の死亡が、四月一日午前確認をされました。東日本大震災によって被災した住民を支援すべく献身的に活動していた隊員が災害派遣中に亡くなったことは極めて残念であり、謹んで哀悼の意を表したいと思います。

 それから、今おっしゃっていただいたローテーションやサポート態勢についてでありますけれども、今回の震災、被害が極めて甚大ということでありまして、活動の長期化を見据えて、まさにおっしゃるとおり、自衛隊の能力を持続的に、最大限に発揮していくためには、派遣部隊内での勤務ローテーションや派遣部隊の入れかえなど、さまざまな方策が必要というふうに考えております。

 このため、防衛大臣は、三月二十三日に開催された第十九回防衛省災害対策本部会議におきまして、部隊の交代を含む今後の長期的な部隊運用の構想を検討するよう指示しておりまして、現在、各自衛隊において現場の状況も踏まえながら対応を行っているところであります。

 また、短期的な配慮としては、部隊ごとに部隊指揮官が、ストレスがたまらないように創意工夫してローテーションを実施しているということであります。

 さらに、メンタルヘルスケアについて少し補足をさせていただきますと、例えば陸自においては、メンタルヘルス巡回指導チームというものを宿営地に派遣しまして、隊員に対するメンタルヘルス教育及びカウンセリングを実施しておりますとともに、指揮官に対しては、今後想定される隊員の症状への対処に係る助言、それからハンドブックの配付等を実施しております。また、海自、空自におきましても、護衛艦及び各基地に医官及び臨床心理士を派遣しまして、派遣隊員に対するメンタルヘルス教育及びカウンセリングを実施しております。

 防衛省・自衛隊としては、今後とも被災者の安全及び生活の安定に役立つように、派遣隊員のケアにも十分配慮しつつ、任務の遂行に万全を期してまいりたいと考えております。

木村(太)委員 ローテーションということでいいますと、派遣されている中での隊員諸官の中でローテーションなのか、今派遣されている方々と、また本来の各陸海空の部隊とのローテーションなのか、その辺どうなんですか。

松本大臣政務官 済みません、ちょっとわかりにくかったかもしれませんが、例えば同じ部隊の中で四日のローテーションを組むとか、その場合、生活支援に一日、行方不明者の捜索に二日、休養一日という短期のローテーションも考えられますし、これは部隊内ということでありますけれども、それから部隊自体の交代、この両方を含んでいるということであります。

木村(太)委員 そのような手法で適切に対応していただきたいと思います。

 ちょっと確認させてほしいんです。私は報道ベースですので、それで確認したいんですが、当初は、民主党政権の北澤大臣は、二万人規模の自衛隊の派遣をして、先ほど答弁があったとおりに、十万六千人ぐらいになってきているというふうな印象を持っているんですよ。しかし、私どもは、自民党の対策本部を通じても、震災発生後から、五万人から十万人早急に投入して、とにかく救える命を一つでも救うというふうに対応すべきだということを提言しているんですね。

 このことを確認させていただきたい。また、もし反省する点があるんだったら、その点、どういう認識を持っているのか。

北澤国務大臣 ただいま松本政務官からも答弁いたしましたが、木村委員においては、第二特科連隊の陸曹長の死亡についてお言葉を添えていただき、大変感謝いたしております。まだ幼い子もある隊員でありましたので、極めて痛ましい病死であったわけでありますけれども、今後、御家族の行く末については、できる限りのことをさせていただきたいというふうに思っております。

 そこで、二万人、五万人、十万人態勢、こういうことでありますが、谷垣総裁と総理が会談をいたしましたときに、そのような態勢についての御発言があったことは十分承知をいたしております。

 そこで、地震発生と同時に、総理から、自衛隊はできる限りの対応をせよというまず第一の指示がございまして、これに対して二万人態勢での対応をとったわけでありますが、我々のP3C等による調査そしてまた報告に基づいて、これはただならぬ災害であるということを自衛隊自身が情報を収集する中で確認をいたしてまいりましたので、ここのところは総理にも刻々と事態を報告して、それに対する指示として、すぐ五万人態勢になれないのかというようなお話、さらには十万人にまではどうかというようなお話がございまして、私の方としても、ほぼ二十五万人ある自衛隊員のうち、半数は出動をさせるべきではないかというようなことで、もろもろの打ち合わせの中で十万人態勢をとったところであります。

 御党からもさまざまな御示唆がございまして、大変参考にさせていただいたところであります。

木村(太)委員 そのとおりなんですよ。

 ただ、我々の印象は、段階的にふやすんじゃなくて、もちろん派遣するための態勢を整えるのは時間がかかりますが、なるべく早く五万人、十万人投入する、何か順番が逆になったような印象を持っているんですね。その点どう思いますか。

北澤国務大臣 少し時系列に調べてまいりましたけれども、三月十三日、十万人態勢への構築に関する総理指示がございまして、予備自衛官及び即応予備自衛官の災害招集を三月十六日にいたしまして、十万人態勢の構築の完了は三月十八日にいたしております。

木村(太)委員 先ほど大臣から福島での部隊の活動ということも報告がありましたが、そこに関連して聞きます。

 自衛隊法八十三条の三には、原子力災害派遣が明記されているわけであります。あの厳しい中で頑張っているということでありますが、アメリカ軍の原子力災害の専門の部隊が協力しているということの報道もあります。こういうことが現実にあるわけですから、今起きているわけですから、自衛隊の中に、隊員の皆さんの中に、あるいは防衛省の中に、原子力災害の極めて専門的な知識、あるいは原子力災害に対応できる本当に専門的なノウハウをしっかり持った態勢ができているのかどうか、確認させていただきたいんです。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 今、木村委員の方から、CBIRF、アメリカの海兵隊の専門部隊に言及がございましたけれども、防衛省・自衛隊も核・生物・化学兵器対処に係る能力を整備しており、核の検知、識別、防護、除染のために必要な装備品等の整備を行っておりまして、そのために必要な人材の育成も行っているところであります。

 今般の原子力災害派遣におきましても、これらの知見を活用し、放射線下における放水作業や除染作業等を行っておりまして、このような観点から、一定の専門性を有する隊員がいると考えているところであります。

 また、中央特殊武器防護隊、これは大宮の部隊でありますけれども、これを含む陸上自衛隊の化学科部隊、これは核・生物・化学兵器が使用された場合等におきまして、汚染地域での情報収集や人員、車両等の除染を行う部隊でありまして、基本的にその任務、役割は、今般来日しましたCBIRFと類似した部隊であると考えております。

木村(太)委員 では、ちょっと視点を変えまして、自衛隊そのものについてお聞きしますが、今回の巨大地震また大津波によって、例えば各部隊の施設や装備において被害が発生しているのか、例えば飛行機がもう使えない状況とか、その辺、どのように把握されているんですか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 これまで確認したところでございますけれども、施設の被害としては、一部の基地等において津波による浸水被害が発生し、建物によっては一部損壊をしている。装備品の被害としては、航空機等が水没をするなどの被害が発生しているところであります。

 具体的には、特に空自の松島基地におきまして、教育用の戦闘機F2が十八機、さらに練習機T4が四機、さらに救難捜索機U125Aが二機、救難ヘリコプターUH60Jが四機、多数の装備品が津波により水没をしているところであります。

 このたびの震災により生じた被害を回復するために必要な費用を把握するためには、今後、被害状況の詳細を調査する必要があるというふうに考えておりまして、詳細を調査した上で、自衛隊の任務遂行に支障が生じることのないよう、災害派遣活動等の進捗に伴う各種の所要も踏まえながら、必要な対応について早急に検討してまいりたいと考えております。

木村(太)委員 詳細な調査は必要でしょうけれども、大ざっぱな被害金額みたいなものは出ているんですか。

北澤国務大臣 これは、私も現地を視察してまいりましたが、まず、塩害からの機能回復というものがまだはっきりいたしません。したがって、今、これを製造した会社その他に分析させるというようなところに入っていますので、どこまで使えるのか、どこからは使えないのかというようなことがまだはっきりいたしませんので、もうしばらく時間をいただきたいというふうに思っております。

木村(太)委員 飛行機一機でもかなりの額がするわけですから、今の被害を受けた内容を聞くと、金額的にも、自衛隊そのものも相当な被災をしているんだなという印象を持ちましたので、しっかり調査していただいて、適切に対応していただきたいというふうに思います。

 それで、十万六千人規模の隊員諸官が派遣されている中、一方で、日ごろの日本の安全保障の確立ということを忘れてはならないわけですので、その辺、きちっと対応できているのか確認させてください。

北澤国務大臣 御案内のように、我が国の国防に関しては、まず、P3Cであるとか、あるいは海上自衛隊も含めまして、さまざまな偵察活動を行っておるところでありますが、このオペレーションについては、今度の災害で十万人態勢をしいたということにおいて、それを減勢させるということのないように今対応させておるところでございます。

木村(太)委員 十万六千人の隊員の皆さんが現場で頑張っている、そういう中で、日本が今国難という状況の中で、ロシアの飛行機が領空侵犯に近いことを行った事案とか、また東シナ海では中国の国家海洋局のヘリコプターが海自の護衛艦に急接近したり、あるいは一日には、同じく東シナ海で中国の航空機の、これまた同じような事案が発生している。

 ある面では、日本がそういう厳しい状況で国際社会も応援してくれるのに、十万六千人が東北地方にみんな行っているものですから、これを機会に、その他の能力がどうなのか、ロシアや中国がある面では試しているのかなと。三つもありましたからね。

 大臣、どう思いますか。また、それに対して何らかの対応をしていますか。

北澤国務大臣 中国、ロシアが我が国の防衛体制をこういう緊急時に試しているというふうには私どもは全く考えておらないところでありまして、むしろ援助を申し出てきておるという国際的なお互いの立場の尊重はしておるというふうに思います。

 一方で、今お話のありましたように、三月十七日にはロシアの軍用機一機が、また二十一日に同じくロシアの軍用機二機が、それぞれ日本海の公海上において我が国領空に接近する飛行をいたしました。航空自衛隊が戦闘機を緊急発進、スクランブルをいたしまして、これに通常どおり対応いたしたところでございます。

 なおまた、これらのロシア機による飛行は領空外ということでありまして、領空侵犯等の国際法違反の行為を行うものではないということから、外交上の抗議は行っておりません。

 さらに、中国の関係でありますけれども、三月二十六日には、東シナ海中部海域において警戒監視中の護衛艦「いそゆき」に対しまして、中国海監総隊に所属すると思われるヘリが接近をいたしまして、水平約九十メートル、それから高度約六十メートルの距離まで近接をいたしました。さらにまた、四月一日にも、東シナ海中部海域において警戒監視中の護衛艦「いそゆき」に対して、中国海監総隊に所属すると思われる航空機Y12が接近し、水平約九十メートル、高度六十メートルの距離まで近接をいたしました。

 これらの飛行は、護衛艦の乗員に危険を与えかねず、また偶発的衝突を招くおそれがあり、艦艇の安全航行上極めて危険な行為であるため、外交ルートを通じて申し入れを行ったところであります。

木村(太)委員 私も領空侵犯したとは言っていないんですよ。まがいのことになっているんじゃないかということを言って聞いたわけですから。

 そこで、十万六千人が現場に入って、それで国の守りもきちっとしますみたいな先ほどの答弁でありましたが、でも、実際にこういう状況が現実に起きているわけですから、民主党政権が決めた防衛大綱、中期防衛計画、またこの国会で成立を図ろうとしている防衛省設置法、要は隊員の数を減らす、これを抜本的に見直しする考えはありませんか。

北澤国務大臣 木村委員のおっしゃるお気持ちは理解できないわけではございませんが、私としては、まずは新大綱及び新中期防に基づいて、今般の震災の教訓と厳しい財政事情との兼ね合いを踏まえながら、防衛力の構造改革の議論を深めていきたいというふうに考えておるところであります。

木村(太)委員 では、これだけの国難が今起きている中で、自衛隊の皆さんへの期待がますます高まっている中で、またそれにこたえている自衛隊の皆さんのことを考えても、今のこの時点では見直しをする考えはない、これでいいですか。

北澤国務大臣 現在、震災に対する対応も継続中でありますので、断定的なことは申し上げられませんが、御発言も体しまして今後の議論の糧にしていきたいというふうに思いますが、昨年末決めた大綱それから中期防、にわかにこれに手を入れるということには直結しないのではないかというふうに考えております。

木村(太)委員 では、アメリカ軍を初め諸外国の皆さんも応援してくれているということで大変感謝しているわけでありますが、当初、アメリカ軍が支援しようということに対して菅総理は断ったというような報道がありましたが、事実関係を確認させてください。

 また、アメリカ軍がトモダチ作戦として一生懸命頑張ってくれているということに対して、自衛隊との連携、どのようになっているのかお答えください。

松本(剛)国務大臣 米国に対しましては、発災当日の十一日の日に、総理の指示を受けまして私から支援の要請をいたしました。

 その後、震災それから原子力、日米両方で緊密に連携をとって、既に米軍を含めてさまざまな支援をいただいているところでありますけれども、いずれのレベルにいたしましても、特定の支援の申し出を断ったという事実は私どもは認識をいたしておりませんし、米国の方もそのような事実は承知していないということを会見で述べられたというふうに承知をしております。

北澤国務大臣 米軍に大変な支援をしていただいておるということはもう御案内のとおりでございまして、私も昨日、ロナルド・レーガンに乗艦をして、米軍のほぼ二千五百名ぐらい参集する中で感謝の言葉を、総理の言葉を代読してまいりました。

 極めて旺盛な士気のもとで日本のためにという気持ちがひしひしと感じられる、私にとっては極めて貴重な体験でありました。言葉を交わす中で、一人一人の隊員、全員と握手はできませんでしたが、一般の隊員とも言葉を交わす中で、涙を浮かべながら、おれたちはやるよというようなことを言ってくれる隊員に触れて、私も少し気持ちの高ぶりを感ずるほどのことでありまして、長年にわたって日米が同盟国として積み上げてきたもの、そしてまた米軍と自衛隊が共同訓練を重ねる中で円滑なオペレーションが展開されるというような、非常に今までの成果があらわれた今回の援助であったというふうに感じております。

木村(太)委員 震災に全力を傾けるのは、これは国全体で対応すべきだと思うんですが、結果的に、日米との間で普天間の移転のスケジュール等にさらなる支障というか、おくれなんかが出る可能性はあるんですか。

北澤国務大臣 自衛隊の任務の中の大きな一つの任務に災害対応というものがあるわけでありますから、私どもは、ほかの事案に支障を来さない範囲で全力を挙げてまいりたいというふうに思っています。

木村(太)委員 時間が来ましたので、最後に地元のことでお答えいただきたいと思います。

 私、先ほど言ったように、現場を視察したときに、八戸市に市川漁港というのがあるんですよ。ここが、復旧しようとしても、米軍のパイプラインが走っているというんですね。漁協の組合長が米軍の許可が必要じゃないかなと大変困っておりましたので、この辺、きちっと対応していただきたい。

 それから、これは震災とは全く違う話なんですが、実は三沢の米軍基地で野鳥から鳥インフルエンザが確認されたんですね。周辺の養鶏業者の皆さんも今困っていまして、これは監視外なんですね、米軍基地内ですから。この辺、ちゃんと対応しているのか。

 この二つだけ聞いて、終わります。

松本大臣政務官 まず、パイプラインのお話でありますけれども、米軍の八戸の貯油施設から三沢飛行場、こちらに送油するためのパイプラインが八戸と三沢の間に設置されておりまして、御指摘の市川漁港周辺の保安林等の緑地にも埋設をされているというふうに承知をしております。

 今回の震災の際の津波によって、その緑地の中に漁船が打ち上げられるなどの被害が発生しておりまして、漁船の撤去作業などが必要な状況になっていると承知をしております。

 今後は、委員御指摘のとおり、地元の御要望というものをよくお伺いしながら、当該緑地における漁船の撤去作業等の復旧作業に当たりまして、米軍へ提供しております施設・区域の使用が必要ということであれば、米側と適切に調整するなど、できる限りの協力をしてまいりたいというふうに考えております。

 それから、鳥インフルの件でありますけれども、本年三月十日、三沢の米軍基地内において回収されたハヤブサの死骸について簡易検査をしたところ、鳥インフルエンザの疑いが確認をされた。さらに、北大で詳細検査をした結果、十五日に高病原性鳥インフルエンザウイルス強毒タイプが確認をされたというふうに承知をしております。

 防衛省・自衛隊におきましては、これまで宮崎、和歌山、三重の三県において、知事からの要請に基づいて鶏の殺処分を行ってきたところでありますが、今回の件につきましては、発生地周辺十キロ圏内の家禽農家からは鳥インフルエンザが確認されておらず、青森県知事からは災害派遣要請もございませんので、現時点においては防衛省・自衛隊としての対応はございません。

 ただ、防衛省・自衛隊として、鳥インフルエンザの発生による国民生活への影響を最小限とするためにも、今後、関係省庁及び地方公共団体とも密接な連携をとりつつ、鳥インフルエンザ対策に万全を期してまいりたいと考えております。

渡邉政府参考人 三沢基地の鳥インフルエンザの関係で、米軍との関係でございます。

 環境省の方としても、三沢基地内の鳥インフルエンザの対応につきまして、米軍の担当部局と意見交換を実施して米軍側の協力を確認しております。青森県の方からも、米軍基地内の野鳥の監視、消毒について米軍の協力は得られているというふうに聞いております。

 こうしたケースにおいて米軍の十分な協力が得られますように、環境省としても引き続き適切に対応してまいりたいと思います。

 以上でございます。

木村(太)委員 終わります。ありがとうございます。

平野委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 おはようございます。

 両大臣には、大変お疲れさまでございます。

 私も、まず、今般の東日本の大震災によって犠牲になられた方々、被災をされた方々、また原発事故によって避難を余儀なくされておられる方々に、心からお悔やみを申し上げ、またお見舞いを申し上げたいと思います。

 まさしく、松本外務大臣が外交青書に言われたように、戦後最大の国家的な危機、国家非常事態と言っていい状況だと私は思います。対応を誤ると国家存亡の危機を迎えかねない、今回そのぐらいの大変な震災だったというふうに思います。

 しかし、こういうときこそ政治の力が試されるんだ、日本の底力が試されるんだというふうに思います。事今般の震災対応に関しては、与党も野党もない、オール・ジャパンだ、チーム日本だ、こういう気持ちで対応していかなければいけないというふうに私どもも考えております。したがって、政府・与党の震災対応の活動に対しましては、私どもも全面的に支援をさせていただきたいというふうに考えております。

 震災発生以降、両大臣にも両省にもまずは対応に専念していただきたいということで、国会の審議に配慮をしてまいりましたが、ようやく少しだけ時間がとれるということで、きょうの審議となりました。神風筆頭初め与党の皆さんにも御配慮をいただきまして、野党にだけお時間をいただいたことに心から感謝申し上げたいというふうに思います。したがって、短時間のうちに、有意義な、できるだけ建設的な議論をさせていただきたいと思いますので、両大臣におかれては、簡潔に、ポイントを絞って御答弁をいただければありがたいというふうに思います。

 まず、今も木村委員から触れていただきましたが、本当に自衛隊の皆さんは、連日過酷な任務に献身をしていただいております。心から深甚なる敬意を表したいというふうに思います。したがって、日本のために頑張っていただいている隊員の皆様方の処遇や待遇については、政府としてしっかりと対応してもらわなければいけないというふうに考えます。賞じゅつ金につきましては、既に引き上げられたというふうに承知をしておりますが、自然災害や原子力災害の際の派遣手当についてもぜひ再考いただきたいと思っております。

 また、たくさんの方が亡くなられておられますが、御遺体の収容という任務にも自衛隊の皆さんに従事をしていただいているわけでありまして、こういった手当についても引き上げが必要ではないかと私は考えます。

 防衛省としては、この点、どういうふうにお考えなのか、また政府内の調整はどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。

北澤国務大臣 岩屋委員がおっしゃるように、戦後最大の国家危機だという認識は私も共有をいたしております。であるからこそ、あらゆる力を発揮してこの国難を乗り切らなきゃならぬと私も同様に考えておるところでありまして、そのためには、その原動力になる自衛隊の士気がいかにも大切であるというふうに思っておるところであります。

 今般の東日本大震災は、広範囲にわたっていることが大きな特徴であるということと、もう一つは原子力発電所の災害がこれに加わったということで、我々とすれば二正面作戦でこれに対応しておるところでございます。

 この困難な作業を担っておる自衛隊に対して、しからばどういう待遇がということでございますが、特に、福島の第一原子力発電所三号機の爆発事故によって四名の隊員が既に負傷いたしております。今回の震災では極めて多数の犠牲者が発生し、自衛隊は現在、御遺体の収容という非常に困難な任務、また収容だけでなく搬送、埋葬等の作業も反復継続いたしております。地方自治体の機能が劣化している中で、どうしても我々が任務を代行しなきゃならぬという事態に陥っておることは御案内のとおりでございます。

 この派遣された隊員の処遇というのは、先ほども申し上げましたように、部隊の士気にもかかわる重要な課題であるわけでありまして、現場における自衛隊の活動状況等を十分に精査の上、派遣された隊員の処遇が適切なものとなるよう見直しを進めておるところでありまして、基本的な考え方のもとに、先ほどお話のありました賞じゅつ金については、御指摘のように既に引き上げることにいたしましたが、諸手当については現在関係省庁と協議を進めております。

 自衛隊とすれば、意欲的にこれに提案をさせていただいておりますが、少し時間がかかっておるわけでありまして、ぜひまた、御理解の上で御支援を賜れればありがたいというふうに思っています。

岩屋委員 私どももしっかり支持をしてまいりますので、ぜひその方向で御努力をいただきたいと思います。

 それから、予備自衛官、今般初めての招集ということになりました。多くの方がこの招集に応じていただいて、現地において、まさに献身的な御尽力をいただいておりますことに、これまた心から敬意を表したいというふうに思います。

 ただ、いろいろな報道にもございましたけれども、予備自衛官というのは地域ごとに招集をかけるものですから、対象になっていない地域の方で、こういうときこそお役に立ちたいんだといって手を挙げた方が直ちに参加することができなかったり、あるいは勤め先の事業所との調整がうまくいかずに参加ができなかったケースもあったと聞いております。

 事態はまだ継続中でありますけれども、こういった事例を踏まえて、この予備自衛官制度について、改善点というものをどうお考えでございましょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 まず、地域によって参加できなかった方がいらっしゃるのではないかというお話なんですが、先月十六日の防衛大臣の災害招集命令を受けまして、これまで東北、中部、北部、西部方面総監が千二百六十二名に招集を行って、四月四日現在、約五百名が常備自衛官と災害救援活動に従事しております。

 御指摘は、ひょっとしたら、この中に東部が含まれていないじゃないか、東部の方はどうするんだという問題意識でいらっしゃるかもしれませんが、この派遣形態は、被災地との地理的関係から、東北方面隊は一週間交代で連続の活動を行って、他の方面隊については、移動等に時間も必要なことを勘案しながら二週間をめどとした招集期間で、四個方面隊を順番に投入することにしています。ですので、東方についても十四日に招集命令を発出予定でありますので、準備が整い次第、各地域に招集をかけているということであります。

 それから、雇用企業との関係でありますけれども、御指摘のとおり、現在ついている企業等からの休暇を得ることが必要になっております。企業の生産活動等との調整も必要なことから、招集命令を発する前には、予備自衛官らに対しまして、招集に応じられるかどうかについて意向を確認したところであります。現時点で承知をする限り、雇用されている民間企業から、派遣に応じた場合、例えば解雇するとか、そういった明示の事例は聞いておりません。報道では何かあったかもしれませんが、防衛省としてはそういう明示の事例は聞いていないところでありますけれども、企業側としても厳しい情勢等から人繰りがつかないとか、会社側との調整が困難な隊員もいるものと考えているところであります。

 今回の災害招集は、予備自衛官、即応予備自衛官ともに初の実任務でありましたので、今回の派遣を通じて得られた事項の分析のほか、招集の実務を担当した自衛隊の地方協力本部や、それから雇用企業の皆さん等の意見も徴しながら、御指摘の点も踏まえて、今後の仕組みづくりに役立ててまいりたいと考えております。

岩屋委員 そうですね。ぜひ、事態が一段落した段階で、果たしてこの予備自衛官制度、うまくワークしたのかどうかということをしっかり検証していただいて、改善すべき点があればぜひ改善を検討していただきたいというふうに思います。

 それから、こういう危機に際しては、指揮官、責任者の発言というのは極めて重要だというふうに私は思います。北澤大臣、本当に連日御奮闘いただいていることに、まず心から敬意を表したいというふうに思いますが、ただ、少し気になる点もございましたので、その点、提言も含めて指摘をさせていただき、また見解を承りたいと思います。

 三月十七日のヘリ部隊による水の投下、自衛隊がいよいよ動き出してくれたなということで、国民は非常に力強く思ったことは事実でございますが、その際の北澤防衛大臣の発言に、そういうオペレーションをなぜやったのかという記者の質問に対して、きょうが限度であるというふうに判断したという発言があったと思います。

 きょうが限度だという発言ぶりというのは、やはり国民の皆さんにしてみると、かなり不安をかき立てたということにもなったのではないか、これは核爆発でも起こるのではないか、一気に炉心の溶融につながるのではないか、そういう受けとめ方をされた方もいらっしゃったと思います。

 自衛隊のヘリが危険を冒して上から水を投下していただいたわけですが、しかし、同日の午後からは、地上からの放水も実施をされております。また、その数日後には、より命中精度の高いコンクリートポンプ車が投入をされています。だから、初期の段階で、必ずしも高い効果が望めないオペレーションから先にスタートした理由は何だったのかなという感じもするわけでありまして、その段階では政府内の情報の共有や調整がうまくいっていなかったのかな、何かをしなければならないからということでそういうオペレーションになったのかなというふうに感じておるわけでありますが、その発言ぶりの真意も含めて、大臣の見解を聞きたいと思います。

北澤国務大臣 これにつきましては、もし私の発言に誤解を生ずるものがあったとすれば、私の本意ではないというふうに申し上げておきたいと思いますが、これは初めての体験でありまして、さまざまな方法が検討されて、さまざまな方法が投入されようとしておったわけであります。しかし、実際にやってみると、なかなか思ったようにはいかないというのが初期の段階でありました。

 そういう中で、これは震災に対する食料や水の投入もそうでありますが、ヘリを飛ばして機動的にこれをやると、非常に国民的にもわかりやすいし、効果が早いのではないかという意見が非常に強いわけでありまして、このときには、ヘリの投入はその前日に計画をしたわけでありますが、上空の放射能の値が高かったものですから、延期をいたしました。一方で、今お話しのような地上からの放水ということも準備をしておりましたが、なかなか実行に移せない。そういうはざまの中で、翌日、放射能の値がやや下がったところで、これをもって実行するということを決断いたしたわけであります。

 言葉に不備があったと指摘されればそれはまた別でありますが、当時の状況からすれば、ヘリで投下するということによって、まず第一の初動の態勢ができたというふうに思っておる次第であります。

岩屋委員 今大臣から、国民に非常にわかりやすいオペレーションだというような御説明がありましたけれども、ここは、わかりやすいかわかりやすくないかということはある意味ではどうでもいいわけで、実際にどういう効果があるかという科学的な判断というか根拠に基づいたオペレーションを着実に実施していただかなくてはいかぬということだと思います。もちろん、危険を冒してこのオペレーションを実行していただいた防衛省・自衛隊には敬意を表しておりますが、国民にわかりやすいか、どう見えるかということよりも、いかに実効あるオペレーションをやるか、このことに今後とも専念していただきたいと思います。

 もう一つ、大臣には恐縮ですが、気になった御発言がございました。このオペレーションをやるに当たって、こうおっしゃっておられます。総理と私の重い決断を、幕僚長が判断していただいて、統幕長みずからの決心の中でこれをやったんだという言いぶりだったわけであります。

 これは、大臣の真意ではないと思いますよ。真意ではないと思いますが、聞き方によっては責任放棄ととれなくもない。責任者の言葉は非常に重要だと私は思います。こういう発言ぶりは、私が決めたんじゃなくて統幕長が決心したんだという言い方は、これはシビリアンコントロールの根底を揺るがしかねない発言だというふうに私には聞こえました。

 命がけの任務をやっている隊員の士気にもかかわる問題でございますので、ここは、しっかりと説明をしていただき、必要とあらば発言の修正を求めたいと思います。決心したのはだれですか。

北澤国務大臣 これにつきましては、先ほどの発言についての私の感想とは全く違いまして、十七日のヘリ部隊による水投下を実施した際の私の発言であるわけでありますが、陸上自衛隊による、CH47Jヘリコプターによる水投下の実施については、総理と私で随時相談をした上で私が判断したものであるわけでありますけれども、御指摘の、統合幕僚長が判断をしてとの発言は、原子力発電所上空で水を投下するということが従来訓練したことのない初めての任務であるわけでありまして、これを当時の、先ほどもちょっと放射能の数値のことを申し上げましたが、そういう状況下において、自衛隊が実施可能か否かということを、統合幕僚長が技術的な観点から私を補佐して決めた、こういうことであります。

 御案内のとおり、指揮は私がいたしますけれども、統幕長というのは私の補佐をするという任務が最大の任務でありますから、私が統幕長に意見を求めることは当然のことでありまして、そういう意味での発言だと御理解をいただきたいと思います。

岩屋委員 今の御説明を了としたいと私は思います。

 いずれにしても、決断し、決心し、指示をするのは防衛大臣であり、内閣総理大臣でございますから、そのことが常に明確に伝わるように御配意をいただきたいと思います。

 それから、十万人態勢については、先ほど木村委員からも詳しく質問がありましたのでちょっと省かせていただいて、外務大臣に聞きたいと思います。

 各国の支援の受け入れ態勢についてでございます。これまで百三十四の国・地域及び三十九の国際機関から支援の申し入れがあり、約二十余りの国・地域、国際機関が実際に活動を実施したと承知をしております。受け入れ態勢としては、果たして十分だったのかなという感じもちょっとございます。

 駐日中国大使は日本の受け入れ態勢に不快感を示したという報道もありましたし、また台湾は、十一日の発生直後に救援隊の派遣を表明したんですけれども、丸二日間それから待機を強いられたと。こういうところに、する必要のない外交的な配慮があったのではないかな、こういう感じもしておるわけでございますが、あわせてお伺いをしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 まず、支援の受け入れの規模、態勢、方針ということでございますが、同日に外務省におきましても緊急対策本部を立ち上げまして、その時点で、私どもの外務省の仕事としては、やはり海外からの支援の受け入れというのは一つの大きな柱として、私からもスムーズに進むように全力を挙げることを指示いたしました。

 外務省の中におきましても、各国は、もちろん直接担当する地域からまずは窓口となるわけでありますけれども、外務省内で取りまとめて、今は政府の被災者生活支援の特別本部になっておりますが、当時の緊急対策本部も含めて、緊密に連携をして受け入れをさせていただきました。

 なお、受け入れに当たっては、海外からの支援はやはり大変貴重なものでありますし、また国民にとっても励みになるという観点から、できるだけスムーズに、速やかに受け入れることを方針とさせていただいたわけでありますが、実際には、やはり被災地の方の受け入れのニーズに合致したもの、また輸送ルートなども確保することが必要になってまいりますので、調整をさせていただいた上で、調整ができ次第速やかにお送りをさせていただくという形をとらせていただきました。

 なお、先ほどお話がありましたけれども、一部の国において受け入れ態勢についてさまざまなお声があるということは、私どもも報道などを通してお聞きをしております。私どもとしても、ぜひ受け入れていきたいという方針で進んでいるということと、現場との関係の調整をさせていただいていることがよく御理解をいただけるように、また引き続き関係各国との関係に努めていきたいと思っております。

 なお、先ほど申し上げたように、支援の受け入れについては、被災地のニーズにこたえるということを最優先に取り組んで行っておりまして、現在では、震災対応という意味ではこれがすべてであるというふうに申し上げられるので、御指摘のような配慮とかそういったものを考えているところはないというふうに申し上げたいと思います。

岩屋委員 こういうケースは、いわゆる役所仕事を余りしない方がいいと思うんですね。それは、世界各国、いろいろな機関が、日本が大変だ、何とかしてあげたいと、いろいろなものを持ってきてくれたり人を派遣してくれたりする。確かに、現地のニーズとの調整も大事だと思いますが、基本的にはやはり、ありがとうという姿勢がすぐに伝わらなきゃいけないので、ちょっと待ってください、現地でそれが要るかどうか調べてみますなんということで、これは大変ありがたいけれども結構ですなんというやりとりを余りきちきちやる必要はないと私は思うので、ぜひ、今後についても、世界各国からの善意は気持ちよくお受けするということを基本にやっていただきたいと思います。

 これだけ世界の皆さんから善意をいただいたわけですから、国際社会への謝意の表明はしっかり、早くやっていただきたいと思うんです。まだまだ長期戦が予想されるわけでありますけれども、世界じゅう、政府機関にかかわらず個人も民間も、いろいろな人が日本にいろいろな善意を寄せていただいているわけであって、もっと総理大臣や外務大臣が目に見える形で世界に向かって、国際社会に向かって謝意を早くあらわす必要があると私は思います。もちろん、外交官のやりとり、やっていることは知っていますよ。知っていますが、もっと世界の市民に伝わる形で謝意の表明をしていただきたい。

 世界の主要紙に感謝の広告を打つということも一つの方法だと思いますが、こういったことについてはどう考えておられますか。

松本(剛)国務大臣 既に理事も御理解をいただいているようでございますので、今具体的に、個別にどのようにお礼を申し上げているかということを逐一挙げて申し上げることは割愛させていただきたいと思いますが、機会をとらえて私も総理もお礼を申し上げてまいるようにはしているところでございます。

 なお、一般的に、多くの世界の市民、国民にという意味では、ホームページなどのインターネットメディアの対応は進めているところでありますが、今お話がありましたような、主要紙への謝意表明などについては今後の検討課題だ、このように認識しておりまして、御提言もしっかり承って対応できるように進めてまいりたい、このように思っております。

岩屋委員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。

 それから、松本外務大臣の発言についても、一つ苦言を呈したいと思います。

 先ほども話がありましたが、今般、ロシア、中国、韓国から温かいお気持ちをいただいております。これは心から感謝をしなければいけないと思っておりますが、一方で、不穏なというか、ある意味挑発的な行動が行われていることも事実で、これは木村委員からもお話があったとおりであります。

 松本大臣は三月二十二日の記者会見で、ロシア機の領空接近に対する質問に対しては、不快感すら表明せずに、各国からお見舞いの言葉や支援の申し出をいただいているという気持ちを信じておつき合いしていきたいと、憲法前文のようなお話をしておられるわけでございます。

 私は、非常に対処が難しい局面であるということは理解をしておりますけれども、それはそれ、これはこれ、やはりそこは区別をして対応する必要があるのではないか、ちょっと対応のあり方としては不十分なのではないか、もっと適切な表現の仕方もあるのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 委員がお話しいただいたとおり、私自身としても、まさに委員のお言葉をおかりすれば、それはそれ、これはこれということであるべきだと。国際社会の中における善意は感謝の気持ちでしっかり受けとめると同時に、先ほどもお話がありましたが、国を守る、国益をしっかりとフォローするということに関しては、他方で国際社会はやはり大変厳しい競争の世界でもあるということも常に認識をしていかなければいけない、このように思っております。

 その意味で、御指摘をいただいた二十二日の会見につきましては、私自身としては、もし結びつけて伝えられるとすれば、それは本意でありません。かかる事案に対する対応は、これまでどおり粛々としっかり防衛省とも連携をしてさせていただく。他方で、支援に対しては感謝の意を表明するということを重ねてまいりたい、このように思っております。

岩屋委員 そこらをしっかり区別して、これから対応していただきたいというふうに思います。

 きょうは時間厳守でいきたいと思いますので、もう終わりたいと思います。ちょっと質問が一部残っていますが、お許しをいただきたいと思います。

 いずれにしても、当面は、この震災対応、日本の復興のために、両省ともに全力を尽くしてもらわなければなりません。しかし、大綱、中期防をめぐる諸問題もある、対中国外交をこれからどうするか、対ロシア外交をこれからどうするか、米軍再編問題、本当に我が国の防衛そして外交の問題は山積をしております。両大臣、非常に大変だと思いますけれども、そういうものにもしっかりと目配りをしていただきながら、頑張っていただきたい。そのことを最後に強くお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

平野委員長 次に、中谷元君。

中谷委員 今回の震災につきましては、自衛隊が即応して大変な活躍をされておりまして、心から敬意と感謝を表したいと思います。

 また、米国も非常に多大な支援をしておりまして、特に、日本の持っていない無人の偵察機とかヘリコプター、また空母、ロボットカメラ、放水機など、本当に最新の装備を活用して支援していただいております。私は、改めて、日本は米国というすばらしい同盟国を持ってよかったと痛感しております。

 また、史上初の日米共同オペレーション、これを遂行しておりますが、非常にうまくいっていると思います。これも、半世紀にわたる日米同盟によって両国が培ってきたきずなと訓練のあかしであろうかと思います。

 きのう北澤大臣は、米国の空母ロナルド・レーガンを視察し、激励をされましたが、大臣として、米国の協力に対してどう思っておられるのか。何か、こういうアドバイスをいただいたとか、こういうことであるべきだというようなお話がありましたら、御披露いただきたいと思います。

北澤国務大臣 自衛隊に対する賞賛の言葉をいただいて、本当にありがとうございます。

 また、米軍との関係においては、全く意を同じくするものでありまして、米軍に対して心から感謝を申し上げ、昨日私が空母レーガンへ行きましたのも、総理の感謝の言葉を伝えるということと、私自身の言葉でお礼を申し上げるということで参ったわけでありまして、極めて感動的な米軍との出会いであり、またすばらしいセレモニーであったと感じております。ルース大使のあいさつも、それからまたウォルシュ司令官のあいさつも、本当に私の心を揺さぶるような言葉でありました。

 そこで、実態はいかがかということでありますが、いわゆるトモダチ作戦と命名して、大規模な兵力をもって、捜索援助、物資輸送、瓦れき撤去作業など、被災地を中心に多大な支援をいただきました。

 それからまた、御案内のように、昨日までの三日間は、日米共同で御遺体の収容をして成果を上げた。これは並大抵の作業ではなくて、自国民でない米軍が水の中へ体を浸してやってくれている献身的な努力、本当に感謝を申し上げた。同時にまた、一方で、彼らのこの熱い思いが、日本は四月から学校が始まるんじゃないか、では学校はどうなっているということで、クリーンアップ作戦と称して、学校へみずから乗り込んで、父兄あるいは学生たちと一緒に学校の清掃をやってくれるというようなことでありまして、被災地の皆さん方の心を打つ行動であったというふうに思います。

 これは、今もお話のありましたように、長年にわたっての日米の同盟関係、そしてまた共同オペレーションの積み重ねの中で初めてでき上がったことだというふうに思います。また、特に幹部の人的関係が非常に濃密であるということを私、今回しみじみ感じまして、これからもこの関係は大切にしていくべきだと心から思っている次第であります。

中谷委員 まさに本当の友達ということで、日米関係は揺るぎのないものであるということが証明されておりますが、問題は、この連携の共同調整、共同司令、これをもっと密接にする必要があります。横田の司令部や、また東北方面総監部で日米の共同ということで調整されていますが、ぜひこれを機会に、これを常設するとかこのオペレーションをずっと継続するとか、そういう形の連携をとっていただきたいと思います。

 次に、現在、自衛隊が十万人以上派遣をされておりますが、この規模の活動だと、後方のメンテナンス、これが限界を超えているのではないかと私は心配をしております。というのは、全国から自衛官が東北地方に集まっておりますが、これを支えているのは東北方面隊、業務隊、補給処、地方協力本部、そして自衛官、事務官の後方支援の方々でありますが、今の平時の車の可動率も四〇%しかないと言われておりました。それに加えて、新しい資材、特殊な資材がたくさんありますし、自衛官自身の食事、洗濯、入浴、戦力回復、こういう手だては後方の裏方、つまり業務隊、これがなければ自衛隊が活動できませんが、近年この分野は防衛予算の圧縮で切り詰められまして、いざというとき、この目に見えない、日の当たらない業務隊が二十四時間の態勢を維持するというと、地元で運営していますので、ローテする人がいないと思います。

 これに加えて、地方協力本部そして方面総監の機能でさえ、人員削減の対象でどんどん組織が減ってきておりますが、大臣は、今の活動を見るにつけ、陸上自衛隊の人員、これで十分だというふうに思っておられますでしょうか。

北澤国務大臣 今回のことは、もう御案内のように、十万人態勢というのは自衛隊始まって以来のことでありまして、ここまで想定して現在の体制を整えてきたのかといえば、一考を要する事態だというふうには認識をいたしております。

 そこで、今御指摘の後方業務については、自衛隊の任務遂行能力を維持する上で不可欠であるわけでありまして、今般の震災においても、その重要性が改めて今認識されたというふうに思っております。このために、自衛官、事務官とも、所要の人員を確保して、効率的かつ効果的に後方業務の機能を確保していくことが極めて重要であるというふうに私自身も認識をいたしております。

 新防衛大綱や新中期防においても、特に自衛官について、民間活力の有効活用等により、後方業務について合理化、効率化を図りつつ、業務の質の向上を図るとともに、人事制度改革等を実施して、人件費の追加的な負担を招かない範囲で第一線部隊等について実員を確保することとされており、限られた資源により多くの成果を達成できるよう、新防衛大綱及び新中期防に基づき、防衛力の構造改革の議論を深めて、後方業務のあり方についても改めて検討をしてまいりたいというふうに思っております。

中谷委員 現状の体制でどうかという質問ですが、きのうも実は姫路と高知で山火事がありました。それで、延焼中でありまして、ヘリの要請をしましたが、すべて出払っていると。高知の自衛隊の駐屯地の人員も東北へ行っておりまして、結局、きょうの朝になって消火活動が始まったということでありまして、今の体制は、組織も人員も私は非常に足りていないと思っております。

 陸上自衛隊は、昔は十七万人ぐらいいました。ところが、今は十五万九千人。今回の大綱で十五万四千人と五千人も減らさなければなりませんが、改めて、動的防衛力にすると言われますが、全国でいつ何があっても対応できる体制というのはとっておかなければなりません。いわば、私は、これは基盤的防衛力に匹敵するような必要最小限の体制というわけでありまして、この十五万四千人というのは、陸上自衛隊が任務を遂行するだけの人員には極めて足りないと認識をいたしておりますが、大臣に伺いますが、この点の見直し。

 それから、ついでに伺いますが、被害の出た東北方面は、深刻な雇用対策をしなければなりません。仕事がない。そういう際に、自衛官として採用して、また復興支援にも当たりますし、臨時的に、自衛官で国を守るという仕事をつくってやるということは、まさに国家として必要なことではないかと思いますが、臨時的にせよ、定員の増員を検討し、考えるということは、大臣はお考えにならないでしょうか。

    〔委員長退席、神風委員長代理着席〕

北澤国務大臣 お気持ちはよくわかるわけでありますが、ただいまの情勢の中で、今すぐに災害対応で自衛官をふやすということにチャレンジするのはなかなか防衛省としても荷の重いところでありますし、また一方で、地域の雇用の問題、生活の安定というのは、また政府全体で考えることでありまして、私はむしろ、初期の段階で自衛隊が能力を発揮して、その後は、政府が都道府県、市町村を支援して、その中で復興のための公共事業が雇用や生活安定に資するというような施策を展開すべきだというふうに思います。政府でも、この後また補正予算等をお願いしていくわけでありますが、そういう中で十分議論をさせていただきたいというふうに思っています。

中谷委員 地元の高校も、卒業式が挙げられずに、就職もできなくて困っている方もおられますので、ぜひ、今後の補正の時期も含めた雇用対策といたしまして、自衛隊の採用枠でこういった方々に自衛隊に入っていただいて、二年の任期ですから、その間にいろいろな仕事も身につけることができますので、ぜひ雇用対策としての自衛官の採用ということもお考えいただきたいと思います。

 また、この補正予算ですが、多賀城駐屯地、松島基地など、相当の被害が出ております。F2が十八機、このF2は百億以上するわけで、こういった復旧。新たに調達をしたとしても六年かかります。パイロットも養成がとまってしまいます。そこへ次期戦闘機の問題もやってきます。

 私は、ぜひ、今回の補正に、これらの駐屯地の復旧、日本の防衛装備の復興も項目に入れて対処すべきだ、そして、今回、米国が非常に能力を見せつけました無人の偵察ヘリとかプレデターという無人の偵察機、グローバルホーク、また病院船とか、災害時に必要なものが非常によくわかったと思いますが、補正予算としてこういったものについて検討する必要があるかどうか、お考えを伺いたいと思います。

北澤国務大臣 当然、機能回復はしていかなきゃならぬわけでありまして、それには、先ほども木村委員にお答えいたしましたが、現状を把握することがまず第一でありまして、早急にこのことを実施してまいりたい。

 したがって、補正が二次、三次と続くかどうかということはまだはっきりいたしておりませんが、第一次の補正に装備品の補正を入れるというのはいささか時期的にまだ無理があるというふうに思いますので、私は、当然これは何とかしなければならぬわけでありますが、きちんとした精査と、それから防衛大綱の再構築というような観点から、しっかりした要求をしてまいりたいというふうに思っております。

中谷委員 最初の補正には入れないということですが、今、隊員の心配事は二つあります。

 一つは放射能。これについて、いざというとき、東京電力の社員も自衛官が救出に行かなきゃいけないかもしれませんし、二十キロ、三十キロの被災地の見回り等、放射能の検知器を含めまして、放射能に対して自衛隊の装備はそんなに充実しているとは思いません。ですから、当面、そういった費用も必要です。

 もう一つの悩みは、遺体の捜索によるストレス。現在もかなりの遺体が残っておりまして、相当腐食が進んでおりますが、それを収容するための特殊な機材も余り足りていないというふうに聞いております。

 こういった、復旧に伴う、車両も含めまして、相当数の装備の確保が必要でありますので、ぜひ今回の補正にそういうことを要求して、活動が十分できますようにお願いしたいというふうに思います。

 それから、もう一点は手当ですが、一日千五百円程度の派遣手当がつきます。しかし、指定された範囲内で、先ほど業務隊の話をしましたが、離れた場所で戦力回復とか補給支援に当たる隊員も相当数います、彼らも休日返上で二十四時間必死で勤務しておりますが、残業手当もつきません。この手当だけが収入源になります。被災地範囲から離れた業務隊等の隊員もその対象に含めるべきだと思いますが、この点はいかがお考えでありますか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 災害派遣等手当は、災害対策本部等が設置された大規模な災害に災害派遣命令等により派遣された隊員が、遭難者の捜索救助、道路の警戒等の危険または困難な作業に従事した場合に、災害現場における心身の労苦を評価して支給される手当でありまして、このため、災害派遣命令等により派遣されれば、自衛官、事務官、技官等を問わず、災害派遣等手当が支給をされております。

 他方で、災害派遣等手当は、災害を受けた地域外で補給支援等に当たる隊員には支給されておりません。

 自衛官の俸給には、常時勤務態勢という自衛官の勤務の特殊性を評価して超過勤務手当相当分があらかじめ組み込まれておりまして、災害を受けた地域であろうが地域でなかろうが、自衛官には超過勤務手当は支給をされておりません。

 事務官等については、俸給に超過勤務手当相当分が組み込まれていないことから、正規の勤務時間を超えた勤務について超過勤務手当が支給をされているという現状であります。

 直接御質問にお答えすることにはならないかもわかりませんが、先ほどの岩屋委員の御質問のときにも御答弁をさせていただきましたとおり、派遣される隊員の処遇というのは部隊の士気にかかわる重要な課題であるというふうに認識をしておりますので、現場における自衛隊の活動状況等を十分精査の上、派遣された隊員の処遇が適切なものとなるよう見直しを進めることは必要であるというふうに考えております。

 こういう基本的な考え方のもとで、賞じゅつ金についてはもう既に引き上げを実施したわけでありますけれども、現在、諸手当の増額、それから支給範囲の拡大についても関係省庁と調整中でありますので、ぜひ委員からの御支援、応援をいただければ幸いに存じます。

    〔神風委員長代理退席、委員長着席〕

中谷委員 震災発生から三週間たちました。私は、自衛隊で勤務したときに東北方面隊の六師団の神町駐屯地におりまして、東北方面総監部もよく行きましたが、知り合いに聞くと、一度も家へ帰っていない、ずっと駐屯地に寝泊まりして仕事をしているということで、災害派遣地だけではなくて、その後方で本当に不眠不休でやっている隊員も数多くいますので、そういった面の処遇をしっかりしていただきたいというふうに思います。

 それでは最後に、非常に日本の防衛において根幹的な問題でございますが、次官の通達の問題。

 私、防衛庁長官もやっていましたが、歴代防衛庁長官が守ってきたものがあります。それは、戦後の日本の基本国策である民主主義、そして基本的人権を尊重する国民のための自衛隊の育成ということで、特に国民主権と言論の自由、これはしっかり我々としては守ってきたつもりでございます。

 お手元に十一月十日の事務次官通達がありますが、これを読んでいただくと、六行目に、防衛省は、自衛隊の協力団体の長に対して、「極めて不適切な発言を行った。」と断定をし、かかる事案が二度と起こらないように部隊に対処を求めておりますが、この極めて不適切な発言をしたという文言は、これは民間人が不適切な発言をしたという、この文章をどう読んでも、民間人が非常にいけない発言をしたのでそれをやめさせろというような通達に読めるわけでございますが、こういった文言、不適切であると思いませんか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 通達の冒頭に、「自衛隊の施設内で行われた行事において、」という文章がございます。この不適切ということについては、その会長の発言が、自衛隊の施設内で、施設の利用を認めた状況下で行われたことを不適切としたものでありまして、この通達は、その旨を述べた上で、隊員が政治的中立性を害するような行為を行ったのではないかとの誤解を招くようなことが起きないように、隊員が留意すべき具体的項目を示したものであります。隊員にあてて示されているものであって、もちろん一般の国民の行為を規制しようとするものではございませんし、また、通達という性質上、行為を規制する効力も有していないということは当然であります。

 さらに、この委員会に先立つ理事会でも御報告をさせていただきましたが、さまざまな国会等の御議論、御指摘も踏まえて、与野党間で協議が行われ、それがまとまったことを我々として受け入れて、昨日付で新たな通達を発出させていただいていることを申し添えさせていただきます。

中谷委員 では、その前の通達は撤回するんですか。

 そして、問題は、この発言が不適切とするなら、それが政治的な発言であるかどうか、そしてその会合が政治的集会であるかどうか、こういうのを確認して、これは不適切というふうに断定すべきですね。この基地を提供した司令官から事情聴取して、政治的集会であったかどうか確認されましたか。

 それから、この発言をした人に対しても、一体これはどういう政治的な意図で発言したか確認し、そもそも、その会というのは自衛隊の激励会ですから、政治集会じゃないわけですね。出席した人が全員、自衛隊を激励しようということで集まっていますので、政治集会であろうはずがありません。

 したがいまして、このような事案を殊さら取り上げて、今後ずっと防衛省に残るような通達を出したこと自体、非常に不見識であります。そもそもこの発端が、ある国会議員の駐車場の配車問題をめぐる不快感から発したということで、一国会議員の不満、不平の申し込みからこういった対応をしたというふうな報道もございます。

 しかし、一番大事なのは国民の言論の自由、これは自衛隊は決して侵してはいけないわけでございますので、ぜひこの点につきましては、この前の文書を撤回されまして新たな文書に差しかえるとか、そういう対処をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

松本大臣政務官 まず、撤回のお話でありますけれども、これは与野党間の合意で、撤回するのではなく新たな通達を発出する、その文言についてはこういう文言であるという与野党合意がまとまったことを受けて、そのまま防衛省側としては受け入れたものであります。

 その発端となっているのも、参議院予算委員会での礒崎議員と大臣とのやりとりの中で、撤回できないにしても何か対応を考えられないのかというような御指摘の中で、大臣から、理事間で協議をしてほしい、検討したいという御答弁をさせていただいて、その結果、与野党間で合意がまとまって、その文書を受け入れたものであるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたとおり、通達という性質上、一般国民の行為を規制しようというものでもないし、その効力もございませんので、憲法との関係でも、旧通達は問題となるわけではないというふうに考えております。

 それから、先ほど、ある議員の納涼祭のときの参加が何か発端になったというような御発言もありましたが、これは事実関係として、納涼祭のことが発端となってこの前の通達になっているものではないということは申し添えさせていただきたいというふうに思います。

中谷委員 いずれにしましても、我々が大臣のときは、このような通達を出す場合は非常に神経を使いました。いやしくも、一国民に対して言論を差し控えろというようなことにならないように、あえて、むしろ我々は、いろいろな意見を聞いて、それを糧として、国民のための自衛隊であるという立場を貫いてきました。

 したがいまして、この通達がある限り、民間人に対して、極めて不適切な発言があったとの部分が残ります。このような不名誉な通達はやはり廃止してもらわなければなりません。それが、リベラル、国民の立場に立った自衛隊をつくる、そういう礎になるわけでございますが、最後に大臣の認識を伺いたいと思います。

北澤国務大臣 今、松本政務官から御答弁を申し上げたとおりでございまして、これはあくまでも隊員向けの通達であるということと、それから、そもそもの発端が、一国会議員が隊員ともめごとを起こしたなどというようなささいなことでの事案をもとにしたことでないということは、ぜひ御理解をいただきたいと思う次第であります。

中谷委員 いずれにしましても、不適切な発言を行ったという文言は削除していただきたいと思います。

 以上で終わります。

平野委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 まずは、このたびの東日本大震災でお亡くなりになられた方々に対しまして心から哀悼の意を表しますとともに、被災をされた皆様に対して心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 その中で、自衛隊の皆さんが、全組織を挙げて、過去にない、自衛隊始まって以来の十万人規模の救援また支援活動を展開しておられますことに対しまして、私どもは本当に、その状況を見ておりまして、我が身を顧みずに、死力を尽くして救援支援活動に奮闘しておられますことに心から敬意を表したいと思うわけでございます。多分、多くの国民また被災者が見ていて、これほど頼もしい存在はないのではないか、そのように感じておられるのではないかと思っておるわけでございまして、感謝を申し上げたいと思います。

 さらに、トモダチ作戦ということで大変協力をしていただいております在日米軍初め、アメリカ初め各国の支援に対して感謝を申し上げたいと思うわけでございます。

 それで、まず私が御質問申し上げたいのは、被災者の支援、これとともにもう一つ、今回の震災の難しいのは、原発の被害というものをどう食いとめるかという、ここが非常に難しいことになっておりまして、世界じゅうもこの対応というものに対して非常にやはり今注目をしているわけであります。私は、そういう事態の鎮静化に向けて、この際、国のメンツとかそういうものも一たん度外視して、国際社会の知恵とノウハウというものはすべて集めて、そしてこの事態の鎮静化に向けて打開策をしっかりと図っていくべきである、そういうように思うわけです。

 そういう観点からまずお聞きしたいのは、福島第一原子力発電所の事故への対応について、アメリカの専門部隊でありますCBIRF、これが四月二日から派遣されてきております。先遣隊が十五名で、全体で百五十五名というように今回言われているわけです。

 まず最初に防衛大臣にお聞きしたいのは、アメリカのウィラード太平洋軍司令官が三月十七日の記者会見で、我々にはそういう監視から除染まですべてを行う能力とチームがあるんだ、日本政府の要請があればいつでも対応できる、そういうことを強調されました。来日されて、二十一日に折木統合幕僚長とも会談された後に、記者団に対して、我々の派遣というのは最終的には日本政府と折木統幕長が判断するんだ、そういう趣旨のことを述べられた。しかし、結果として、派遣が決まったのは三月三十一日だというようにお聞きをしております。

 三月十七日に太平洋軍司令官がそういうものを出してもいいよと言われてから二週間たってようやく、アメリカ軍の専門部隊の本格支援の受け入れを決められたわけです。なぜ政府としてもっと早く協力を仰がなかったのかというのが、我々として、野党として見ていた場合に腑に落ちないわけであります。放射能被害管理に精通した、そういう専門部隊の協力をためらった理由というのは何なのかということについて、まず防衛大臣の答弁を求めたい思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず冒頭に、ためらったということは全くないわけでありまして、これからお話を申し上げてまいりますが、その前に、米国の原子力委員会がNRCの要員を派遣するというようなお話が来たときも、その全容がはっきりするまでにかなりの時間がかかったということであります。今回のウィラード司令官のお話も、米国にこういう部隊があるという非常に大まかなお話でありました。最終的に決着をしたのは、今お話のありましたように、アメリカには、四百五十人と言われたその中に二つの部隊が存在して、米国として二つを全部出すというのは国家の安全保障上極めて難しいというようなことがだんだんにわかってきたということでありまして、少なくとも、我々が初めて体験する原発のこの深刻な事態に対して、米国等の持っている有力な機能に対してちゅうちょするというようなことはなかったわけであります。

 そこで、三月二十七日、福島原子力発電所の状況を踏まえて日米間で調整を経た結果、化学、生物、放射能、核または高性能爆弾に係る検知、識別、除染、医療支援の専門分野、いわゆる今お話のあったCBIRFについて米側から派遣の申し出があり、我が国としては同部隊の派遣を受け入れることとして、三十一日に米国は派遣を決定しました。これも、通常の派遣ではなくて、ゲーツ長官の認証を得た上でという重いものであったわけであります。

 また、今後、自衛隊部隊との連携要領について調整することとしているところであり、防衛省・自衛隊としては、この未曾有の災害に対処すべく、CBIRFを含め米国との緊密な調整、連携を確保して、最大限の能力態勢を構築しながら全力で取り組んでまいる所存でありますが、折木幕僚長を中心にしてこの部隊の全容を承知するのにいささかの時間がかかったということだけは、事実でありますので、御理解をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 要するに、ウィラード司令官が言われてから、どういう部隊なのかということをしっかりと見きわめる、そういうことに時間がかかったというように理解をしたいと思います。

 それで、CBIRFの任務というのは、お聞きしておりますと、放射能の検知、識別、さらに被災者の捜索、搬出、そこに、医療、さらに被曝者らの除染ということが加わっているということですから、日本の自衛隊でいいますと、今、原発対応でも頑張っていただいております中央特殊武器防護隊に、もう一つは、治療、衛生機能を持つ対特殊武器衛生隊を統合したような組織なのかなと私は理解しているんですが、今、そういう全容を見きわめたということですから、このCBIRFという専門部隊の任務、役割と日本の自衛隊のこの中央特殊武器防護隊との違いというのはどのように理解されているのか、御答弁いただきたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど御答弁申し上げましたが、中央特殊武器防護隊を含む陸自の化学科部隊は、核・生物・化学兵器が使用された場合等において、汚染地域での情報収集や人員、車両等の除染を行う部隊であります。今般来日した米海兵隊のCBIRFでありますけれども、こちらは、化学、生物、放射能、核または高性能爆弾に係る検知、識別、除染、医療支援を行う部隊であるというふうに承知をしておりまして、基本的に、その任務、役割は中央特殊武器防護隊と類似しているということは先ほども御答弁申し上げたとおりであります。

 一方、その違いでありますけれども、CBIRFについては、例えば高性能爆薬への対処も任務とされていること、また、先ほど委員まさに御指摘されましたとおり、医療支援能力、例えば被害者のトリアージそれから安定化、こういった能力を有している、こういった点で中央特殊武器防護隊とは異なるというふうに承知をしております。

佐藤(茂)委員 私は、国民もそうなんですけれども、今、実は自衛隊の中でそういう中央特殊武器防護隊が頑張っているんだということも踏まえた上で、今回の福島第一原発の事故を見たときに、原子力災害に対応する日本の組織、部隊の強化というのは、幾らやっても批判されることはないと思うんですね。やはり、これは必要であろうという意識が非常に高まっていると思うんです。

 ですから、今回、情報交換する中で、そういう専門のノウハウ、態勢も参考にしながら、放射能被害管理に精通した自衛隊のそういう部隊を強化していくべきではないかと私は考えるんですけれども、そういう自衛隊の専門部隊のさらなる強化拡充の必要性について防衛大臣はどのように考えておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

北澤国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、私も、原子力災害等への対応に活用し得る自衛隊の装備を充実し、また自衛隊の化学科部隊を強化していくことは、今回の事案を教訓に大いに検討すべきだと思っております。

 また、新防衛大綱及び中期防に基づいて装備や訓練の充実を図るとともに、今般来日したCBIRFの活動状況を踏まえて、さらなる取り組みの必要性について検討をしてまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 次に、今回の災害、まだ対応途中でございますけれども、初動の対応で、きょう厚生労働省からも大塚副大臣に来ていただいておりますけれども、DMATという災害派遣医療チーム、これが今回も大分活躍をされました。

 災害が起きましたときに、やはり救命ということでいうと非常に医療が大切で、我々が推進しましたドクターヘリというのが、今回、十六機飛んでおります。これは、空飛ぶ救命救急センターと異名があるぐらいの機能を持っている。

 もう一つは、お医者さんや看護師や業務調整員、五人を一グループぐらいにしたDMATという災害派遣医療チーム、これが非常に今、数がふえてきて、研修を受けたチームだけでも八百四十六チームある。今回の災害では、何と百九十三チームが被災地へがっと、初動から四十八時間以内にそこへ行くんだ、そういう研修と訓練を受けたチームなんですけれども、そういう部隊が、毎回の災害ごとに数がふえてきて能力を発揮している、そういう状況でございます。

 そのときに、インフラが、もう道路なんかは遮断されていますから、やはり自己完結で輸送能力のある自衛隊との協力というのが非常に大事になってくるわけですね。

 DMATのチームが被災地に行って、この被災者は、現地の医療機関もさることながら、やはり広域医療で搬送しないといけない、こういう判断をされることも非常に出てくるわけです。派遣先でDMATのチームが、広域医療搬送が必要だ、そういうふうに判断した場合に、どのような態勢で、手順で、具体的に自衛隊と連携が図られ、そして、自衛隊のヘリあるいは輸送機で被災者、傷を負った方々を搬送されるのかということが非常に大事なポイントになってくるわけですね。それも、もう命を争うことですから、限られた時間内で、関係機関と迅速な連絡調整を行って、的確な判断と対応のもとに搬送しないといけない。

 どういう指揮命令系統と現場の連携がとられているのかということについて、内閣府の防災担当の方から御答弁いただきたいと思います。

上田政府参考人 御答弁申し上げます。

 被災地におきまして、DMATが広域搬送が必要と判断した場合でございますけれども、DMATは、まず、被災県の災害対策本部に、搬送する人数でございますとか患者の状態等の情報を上げていただくということになっております。それで、被災県は、DMATからの広域搬送の情報を整理いたしまして、政府の本部、現在は被災者生活支援特別対策本部事務局というのができておりますけれども、こちらの方に、搬送先を含めて依頼するという形になってございます。

 依頼を受けた被災者生活支援特別対策本部事務局、こちらの方には、自衛隊からも職員の方に常駐していただいておりまして、依頼県からの情報をそのチームを通じまして自衛隊に伝達いたしまして、自衛隊側でヘリ等必要な搬送機を確保した上で患者の広域搬送を行う、こういうシステムになってございます。

 内閣府といたしましても、今後とも、自衛隊との緊密な連携を図ってまいりたいというように考えております。

佐藤(茂)委員 本当に、DMATの皆さんというのは、医者を中心とした非常に志の高い人たちがあのチームを組んで、今は八百四十六。今年度中には千チームにするんだ、そういう高い志を、厚労省としても、またDMATの事務局としてもお持ちなんですけれども、どんどんふえてきております。

 三年前でしたか、岩手・宮城内陸地震においては三十六チーム、これも非常に数がふえたと言われたんですけれども、それが今回百九十三チームということでいうと、やはり非常に飛躍的にチーム数がふえていまして、これから千チームが編成されるDMATの活動というのは、私は、やはり大規模災害であればあるほど、初動の対応というのは極めて重要度が増してきていると思うんです。

 もう既に連携は密にされていると思うんですが、DMATに効果的に活動してもらうためには、特に自衛隊との協力態勢の強化というのは、私は、こういう大規模な災害になればなるほど不可欠だと考えます。ですから、今後の連携強化であるとか、あるいは平時での共同訓練などを重ねて、チーム数が拡大するDMATの力を十二分に発揮できるように取り組んでいくべきであると私は考えているんですけれども、厚生労働省と防衛省のそれぞれの考え方をお聞きしたいと思います。

大塚副大臣 今、佐藤先生からDMATの内容については御説明をいただきましたので、繰り返しません。

 今回もDMATが大変活躍できました背景には、自衛隊との連携、そして自衛隊の皆さんの御協力があったればこそというふうに感じております。今後とも、重症患者の搬送等について、自衛隊の皆さんの協力なくしてはDMATは活動できませんので、DMATの養成研修の中でも、自衛隊とどう連携するかということを教育していきますとともに、政府の総合防災訓練の中で自衛隊との連携態勢を確立していくことを念頭に置いております。

 一点だけ補足させていただきますと、DMATは、災害急性期の重症患者の対処、そして搬送ということを目的としておりますが、今回の災害は、実は、重症患者の方が大変少なくて、津波の被害に遭われると、助かるか、あるいは命を落とされるかという大変厳しい選択の中で、DMATの想定していた重症患者の皆さんは想定よりも少なかったという事実もありましたので、今後、災害の種類に合わせて、DMATの内容をどうしていくか、そして、自衛隊の皆さんにどう御協力をいただいていくかということをしっかりと検討させていただきたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 今回の震災への対応につきましては、先ほど、DMATが百九十三チームというお話がありましたけれども、自衛隊としては六十八チームの輸送を実施しております。

 それから、日ごろからの連携でありますけれども、自衛隊と医療関係者との間の連携というのは日ごろから図っているところでありまして、例えば、DMATの養成研修における自衛隊航空機の使用、それから、政府総合防災訓練においてDMATの空輸等を行っているところであります。

 先ほど内閣府それから厚労省からも御答弁がありましたとおり、連携強化というのは非常に重要であるというふうに認識をしておりますので、今後とも、大規模災害の発生時においてDMATが効果的に活動できるよう、今回の成果を十分に検証し、自衛隊とDMATとの連携を深めてまいりたいと考えております。

佐藤(茂)委員 それでは、大塚副大臣、また内閣府防災担当、結構でございます。

 続いて、もう既に自民党の各委員からありましたけれども、私も、党が違いますのであえて、同じような質問になるかもわかりませんが、今回の自衛隊の災害派遣の態勢と待遇について何点かお尋ねをしたいと思います。

 一つは、今後とも、原発の対応も含めて、また、これから初期の捜索救難活動から復興支援活動に移っていって、やはり災害派遣が非常に長期化していくと思うんですね。そういう二正面作戦をされていて、なおかつ、それぞれがこれから長期化していくということに関して、やはり態勢づくりは本当に急務である、そのように思います。

 先日、これは産経新聞の四月三日付でも、これから二段階でシフトを変え、縮小していくというような報道もございました。中長期の派遣部隊の規模であるとか、また内容のシフトであるとか、さらには隊員の交代のあり方について構想を練らないといけないと三月の下旬に既に防衛大臣は言われたんですけれども、もう大分日がたっております。そういう長期的な災害派遣部隊の運用の構想について、防衛大臣、今の時点でどういうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

北澤国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、かなりの長期化を予想しなければいかぬというふうに思っております。しかも、これは復興支援と、もう一つは原子力発電所の対応という二つの面があるわけでありまして、福島の第一、第二、それぞれの原子力発電所については依然としてまだ予断を許さない状況であるというふうに認識をいたしております。

 こうした中で自衛隊の能力を持続的に発揮していくためには、派遣部隊内での勤務ローテーションや派遣部隊の入れかえなど、さまざまな方策について検討することが必要であるというふうに思っております。

 そのために、重ねての答弁になりますが、私は、三月二十三日に開催された第十九回防衛省災害対策本部会議において、部隊の交代を含む今後の長期的な部隊運用の構想を検討するよう指示しておりまして、現在、各自衛隊において、現場の状況、現状も踏まえつつ検討を行っておるところであります。また、短期的な配慮としては、部隊ごとに、部隊指揮官が隊員のストレスがたまらないような創意工夫をして、ローテーションを実施いたしておるところでございます。

 この指示を出しました当初は、現場にいる隊員や隊長たちが、それはよくわかるんだけれども、今私たちがここを引いて新しい人が来たら本当に継続していけるのかという非常に士気の高い発言が数々ありまして、統幕の方でもあるいはまた部隊の方でも、その点について説得するのに少し時間がかかったという、我々とすれば、ある種、隊員の士気の状況を見てうれしい思いもしたわけであります。しかし、そう長くはできないわけでありまして、まだまだかなり劣悪な環境の中で任務を遂行しておりますので、大体、現在のところは、部隊を入れかえるような形で推移ができるというようなところまで進めさせていただいているというふうに認識をいたしております。

佐藤(茂)委員 質問が重なりますので、これ以上余りこのことをやりませんが、やはり隊員の肉体的疲労と精神的負担というものも、隊員も生身の人間ですから、被災者の皆さんには非常に温かい汁物の食事であるとか入浴を提供しながら、隊員の皆さんは冷たい缶詰を毎日食べたり、あるいはシャワーも浴びることができないという、汗まみれ、泥まみれ、そういう待遇をこれ以上続けていくというのは、やはり本当に健康面、精神的な心のケアの面でも心配ですので、ぜひそこは防衛大臣、賢明な配慮をしていただければありがたいと思います。

 一つだけお聞きしておきたいのは、遺体搬送というのが、今、自衛隊に負うところが非常に大きい。今まで、自治体の行政も機能が大分破損していた、そういう部分もありますし、民間も、業者も被災していた、そういうところもあったと思うんですけれども、この遺体搬送自体、自衛隊法八十三条で考えたときの災害派遣の本来の任務なのかどうなのか。

 さらに、そういう遺体搬送そのほかの活動でも、今までは一時的にすべて自衛隊がおんぶにだっこで面倒を見ていた、そういう任務とか業務も他の行政機関や民間へやはりシフトをさせていかなければいけないし、もうさせていくべきであると考えるんですけれども、そういうシフトの状況について、防衛省の今把握されていることについてお聞かせいただきたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 自衛隊法八十三条に基づく災害派遣は、天災地変その他の災害に際して、都道府県知事等が人命または財産の保護のために必要があると認める場合において、緊急性、非代替性及び公共性を踏まえ実施されるものであります。つまり、このやむを得ないと認める場合というのは何かというのが、緊急性、非代替性、公共性という観点から検討されているということであります。

 御遺体の搬送についてはどうかといいますと、基本的には、一義的には自治体の責務でありますが、他方で、今回の大震災に際して、自衛隊に対して御遺体の搬送に関する要請が現になされているところであります。多数の御遺体を搬送しないままにすることによって衛生環境上の問題を引き起こしてしまうこと、民間事業者の引き受け手が得られないこと、さらには御遺体の埋葬に係る自治体への支援態勢がいまだ整っていないこと、こういった点を勘案しまして、真にやむを得ない緊急性がある場合には、自衛隊法第八十三条の災害派遣の任務として、御遺体の搬送に係る支援を実施しているところであります。

 民間業者に頼むべきところは頼むべきではないかというような御指摘もありましたけれども、現在、政府全体として、自衛隊が民生支援に十分取り組めるように、つまり、御遺体の搬送をやっていると、では生活支援の搬送はどうなるんだというようなバランス、優先順位の話もあるわけですから、民間事業者の協力確保等を推進するための関係省庁連絡会議というものを設置しておりまして、対策を講じているものと承知をしております。

 いずれにしましても、防衛省・自衛隊としては、被災された方々の生活の安定に役立つよう、任務の遂行に万全を期してまいりたいと考えております。

佐藤(茂)委員 先ほど質問がありましたので割愛しますけれども、私ども公明党としても、今回の災害対応で本当に中核として頑張っていただいております自衛隊の皆さんのことを考えましたときに、三月二十四日に賞じゅつ金を一・五倍に引き上げられたのはもちろんですけれども、やはり非常に長期にわたる過酷な任務になってきているわけですから、一つは、そういう御遺体を取り扱う作業をした場合の死体処理手当、さらに災害派遣等手当等についても、他省庁に負けずにぜひしっかりと交渉していただいて、引き上げをしっかりと実現していただくようにお願いをしておきたいと思います。

 そこで、災害の話とは少しかわりますけれども、最後に、次回の2プラス2、日米の外務・防衛担当閣僚会合の見通しについて、外務大臣に来ていただいておりますので、何点かお聞きしたいと思います。

 日程は、今までの報道では、春の大型連休中の、具体的には四月二十九日に開催する方向で調整されているという報道がずっと出回っておりました。今回、震災がありましたけれども、予定どおり五月の大型連休中の開催を目指しておられるのか、それとも先送りされる方針なのか、政府の考えというものをお伺いしておきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 佐藤先生もよく御案内のとおり、我が国の大型連休中というのは、ちょうど外国がワーキングデーで、私どもの方は国会との関係で動きやすいという意味では、外交日程としては非常に計算をしやすい時期ということで、報道などでもそのように御指摘をいただいているんだろうと思いますが、現段階で、2プラス2について具体的な日程等が決まっているわけではないということは改めて申し上げたいと思います。

 その上で、先ほど岩屋理事との質疑でもお話をさせていただきましたけれども、私どもとしては、震災の対応に万全を期することができるように精いっぱい努力すると同時に、とりわけ我が国にとって最も重要な日米関係の外交については着実に進展をさせることが重要だという考え方のもとで、今お話がありました2プラス2の実現にも取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。

佐藤(茂)委員 それで、やはり2プラス2で一つの焦点は、一年前からの懸案である米軍普天間飛行場の移設問題で、代替施設の滑走路の形態を決定することをアメリカ側は当然期待していると思うんですけれども、この滑走路の形態について、どのように今調整されているのか、また、次回、2プラス2で決定する意思というのは当然日本政府として持っておられると思うんですけれども、今もそれは変わりないのか、政府のお考えを伺っておきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今私どもから申し上げられるのは、普天間飛行場の移設につきましては、昨年五月の日米合意を踏まえて取り組む、同時に、沖縄に集中をした米軍の施設・区域の負担の軽減に全力を挙げて取り組む、その過程で、仲井真知事を初めとする沖縄の方々と誠心誠意話し合い、御理解をいただけるように今私どもとしては努力をするという決意を申し上げるところでございます。

佐藤(茂)委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、先ほど自民党の岩屋委員も言われたと思いますが、私どもは今、この東日本大震災はやはり国難である、そのときに与党も野党も関係ないということで、今まで当委員会も、両大臣にも被災者支援に全力を挙げてもらおうということで、なるべく審議は控えてまいりましたけれども、その間、さまざまな懸案事項もふえてまいりましたので、今後は、そういう災害対応に支障のない限りで、災害対応のこと、さらに内外を取り巻くこの日本の安全保障環境も大分変わっておりますから、しっかりと審議をしていくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 以上です。

平野委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうも委員会の冒頭に黙祷をささげましたけれども、私も、質問の最初に、今回の東日本大震災でお亡くなりになりました皆様方に哀悼の意を表するとともに、震災や原発の被害の方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 そこで、質問に移りたいと思います。

 最初に外務大臣に伺いますけれども、三月の三十日に、嘉手納基地を離陸した米海兵隊岩国基地所属のハリアー攻撃機が上空約七百六十メートルで誤ってフレアを発射しました。フレアとは、御承知だと思いますけれども、軍用機への攻撃をそらすためにおとりとして使用される火炎弾のことであります。フレアを発射した場所は嘉手納弾薬庫の上空であり、一歩間違えれば大惨事になりかねないものでありました。

 外務大臣、今回の事故の概要、そして大臣の認識について伺いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今、事故の概要については委員がお話をされたとおりでございますが、三月三十日の午前九時三十分ごろ、嘉手納飛行場を離陸した米海兵隊岩国飛行場所属の戦闘攻撃機ハリアーから訓練用のフレアが誤射をされたもの、米軍の施設・区域の上空で誤射をされ、上空で燃え尽きたというふうに承知をいたしているところでございます。

 現在のところ、このフレアの誤射により特段の被害が生じたという情報には接していないところでございますけれども、本件の発生は遺憾である、このように考えておりまして、三月三十日当日、外務省から在京の米国大使館に対して遺憾の意を表明すると同時に、原因究明そして再発防止の徹底を申し入れたところでございます。

赤嶺委員 米軍機によるフレアの誤射は今回が初めてではないわけです。嘉手納基地ではF15戦闘機による誤射が繰り返されております。二〇〇八年には三月と八月の二回にわたって発生をいたしました。八月のケースでは、嘉手納基地に着陸しようとしていたF15戦闘機が陸軍貯油施設の上空約三十メートルで発射して、フレアは燃えたまま地上に落下し、施設内の芝生を焦がしておりました。施設に隣接して国道五十八号線も走っています。

 当時も、日米両政府は再発防止を言いました。しかし、同じことが繰り返されているわけですね。当時、米軍はどういう再発防止策をとったのか、なぜ今回また同じことを繰り返されたのか、きちんと説明していただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 御指摘の件は二〇〇六年ですね。(赤嶺委員「はい」と呼ぶ)二〇〇六年、平成十八年の三月と八月にやはりフレアの誤射事故があったということは私どもも承知をしております。

 当時の説明によれば、いずれもパイロットの人為的ミスによるものというふうに聞いておりまして、当該パイロットが所属をする航空団司令官が、すべてのパイロットに対して、安全確認の見直し、安全飛行手順の徹底ということを指示したというふうに聞いているところでございます。

 私ども外務省におきましては、三月の事故については記録が残っておりませんが、八月については、航空機の運用に当たって安全性の確保に万全を期すように米側に申し入れたとの記録が残っているところでございます。

 いずれにせよ、今回、フレアの誤射という事件、事故が発生をしましたし、このことは、今申し上げたように、私どもとしては遺憾だと思っておりますので、しっかりと原因究明、その原因究明に基づいて再発防止の徹底を行っていくように申し入れたところでございますので、まずはその対応をしっかりとしていきたい、このように考えております。

赤嶺委員 基地内の上空といえども、国道がそばを通り、それから住宅地での訓練も頻繁に行われているわけですから、非常に住民は危機感を持っているわけですよ。同時に、再発防止を繰り返し申し入れても、米軍の運用はとまらずに、事故が繰り返されている、こういう事態に、本当に危機感を持って臨んでいただきたいと思うんです。

 今回の米軍のこの事故に対する対応で看過できないのは、在沖米海兵隊が出した報道発表であります。タイトルは、「海兵隊のハリアーは即応能力を維持するために訓練している」というものでありました。内容も、日米安保に加えて、とりわけ今回の大震災への米軍の支援を強調する内容で、地元への謝罪は一切入っておりません。こう言っています。海兵隊及び海軍の要員は、本州の北東部にとどまり、人道支援と災害救助の支援を行っている、トモダチ作戦を支援するため、我々の友人と同盟国が援助を必要とする限りそこにとどまるだろう、第三海兵遠征軍の要員は、沖縄に戻ってからも本州に展開する部隊への支援を継続し、同時に日米安保条約を支えるために訓練を行うと述べています。

 震災への支援を行っているのだから、米軍による事件、事故は甘受せよ、こう言わんばかりの内容であるわけです。県民から見れば、到底受け入れられるものではありません。

 今回のこの米側の報道発表、これについての外務大臣の認識を聞きたいと思います。

松本(剛)国務大臣 御指摘の発表は、三月三十日当日の米海兵隊の発表であるというふうに承知をしております。御指摘の発表の内容は、第三海兵遠征軍第一海兵航空団第十二海兵航空群所属のAV8Bハリアーが訓練に参加をしたということ、それから、九時三十分ごろ、一機が訓練フレアを誤って放出したということ、海兵隊は安全を最優先しており、今回、本件については内部調査を行っているということ、それから最後の段落で、今御指摘がありましたように、現在のいわゆる震災に対する人道支援、災害援助のことなどについて触れているものというふうに承知をいたしておりまして、これはまさに、発生した当日の時点で、原因が定かでないということを前提に、判明している事実関係について説明をしたものだというふうに私どもとしては認識をいたしております。

赤嶺委員 フレアの事故というのは、繰り返されているわけですよ。繰り返し起こしていることについて、謝罪もなくて、安全に配慮して訓練しているといってだれが納得するものですか。そして、自分たちは東日本震災の支援をしているんだからと、ここを強調している。私は、震災の支援と事故への対処は別じゃないかと思いますが、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 繰り返しになりますが、本件については、私どもとしては、遺憾の意を表明して、原因究明そして再発防止の徹底ということを米国側に申し入れたということでございます。

赤嶺委員 米軍の沖縄における訓練や基地の運用というのは、本当に横暴なんですね。横暴な上に、それが当然だという、この間のメア発言もありますが、沖縄は基地の島であり、人々の安全について、事故が頻繁に起きても、米側の説明は、私たちは安全に配慮して訓練をしていると言えば済んできた、それが、こういう事態が繰り返されるものになっていると思います。私はやはり本当に、沖縄を植民地的な意識で振る舞っている米軍の今回の事故についても、遺憾ではなくて正式に抗議をすべきだ、このように考えております。

 次に、大震災の財源問題にかかわって質問をいたします。

 今回の震災を受けて、今後、大規模な復旧復興支援が必要になります。その財源をどう確保するかの議論が始まっていますけれども、菅総理は参議院の予算委員会で、今回予算を通して成立させていただいたとしても、さらにどの財源をより優先的なこの震災に充てていくかということは当然考えなければならない、このように述べております。また、野田財務大臣は、一日の閣議で各大臣に対し、二〇一一年度予算の公共事業関係費と施設費について、震災対応にかかわるものなどを除き、五%を一つのめどとして執行を留保することを求めております。

 防衛大臣に伺いますが、こうした復旧復興に向けた政府全体の取り組みにどう対応していかれますか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の財務大臣の閣議での発言でありますけれども、平成二十三年度予算の執行に当たっては、公共事業、施設費において五%を一つのめどとして執行を一たん留保する必要があること、また、その他の裁量的な経費についても、できる限り慎重に執行する必要があるとの発言があったと承知をしております。

 防衛省が執行する経費でありますけれども、公共事業、施設費に該当するものがあるわけではありませんけれども、予算を効率的かつ効果的に執行することが重要であることは言うまでもありませんので、防衛省としても、予算の執行に当たってはできる限り慎重に行ってまいりたいと思います。

 その上で、防衛省・自衛隊としては、未曾有の被害をもたらした今般の大震災に際し、現在十万人を超える隊員により活動を実施しておりまして、引き続きこの対応に全力を挙げて取り組む必要があると考えております。したがって、こうした自衛隊の活動経費については、自衛隊の任務遂行に支障が生じることのないよう、一方ではしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 自衛隊の活動経費について、今、予算の措置もされ、やっているわけですが、今後の復旧復興というのは、非常に大規模な補正予算になっていかざるを得ないと思うんですよ。

 そういうときに、やはり何を見直していくかということとかかわって、ちょっとグアム移転の問題を防衛大臣に伺いたいと思うんですが、去年五月の日米共同発表のグアム移転に関する項目の中で、アメリカ側は、地元の懸念に配慮しながら、抑止力を含む地域の安全保障全般の文脈において、沖縄に残留する第三海兵遠征軍の要員の部隊構成を検討する、このように日米共同発表で述べております。

 この具体的な内容について、実は、二月二十五日の予算委員会の分科会で、もともと合意は、海兵隊の八千人は司令部要員ということだったけれども、その八千人の中身を見直すということを意味していると前原外務大臣は答弁をいたしました。

 防衛大臣は、八千人の中身について、それを見直すという外務大臣の答弁がありますが、どのように認識しておられますか。

北澤国務大臣 米側の方でそういう検討をしておるということは承知をいたしておりますが、まだ日米の中でその問題について協議をしたということにはなっておりませんので、まだ私の方からそれ以上の踏み込んだ考えを申し上げる段階にはないというふうに承知しています。

赤嶺委員 米側が見直しを検討しているわけですね。グアムの環境影響評価報告書の中でも、グアムに配備されるのは、兵員が八千六百人、家族九千人で、そのうち、司令部が三千四十六人、地上戦闘部隊千百人、航空戦闘部隊千八百五十六人、兵たん戦闘部隊が二千五百五十人となっていて、沖縄から移ると言われていた司令部要員というのは三千人余りにすぎないわけです。残りは実戦部隊であるわけです。しかも、海兵隊のヘリは、十二機のオスプレーが恒久的に配備され、さらに十二機のオスプレーを初め、二十五機の各種ヘリが一時的に配備されるとしています。

 それはそういうことだろうと思うんですが、防衛大臣もうなずいておられますけれども、問題は、実戦部隊がどこから配備されるかということなんですよ。日米両政府は全く明らかにしておりません。沖縄のヘリ部隊がグアムに行くのであれば、辺野古の新しい基地をつくる理由はなくなるわけです。それから、グアムに新たな部隊が新編されたり、アメリカ本土から移転してくるのであれば、政府の立場からいっても、財政を負担する根拠が根底から揺らぐことになるわけです。

 司令部中心と言っていた構成を変え、実戦部隊がどこから移るかによっては、やはり日本政府の財政負担も根拠がなくなっていく、そういうことではありませんか。

北澤国務大臣 今御指摘の環境影響評価書というものに記述されていることは、私も承知をいたしております。

 しかし、それが日米の間での協議にまだ入ってきていないということでありますから、私どもとしても、米側の真意は十分に把握しておりませんので、まだこの場でお答えする段階には至っていないということで御理解をいただきたいと思います。

赤嶺委員 三月十一日を境にして、日本の政治の方向は大転換を図らなければならなくなったと思うんですよね。今まで進めていたことも再検証が必要になってくると思いますが、同時に、アメリカ自身がもう環境影響評価で見直しを始めている、日本政府は真意がわからないといって莫大なグアム移転の予算をつけようとする、あるいは必要でないかもしれないけれども辺野古の新基地建設に費用を使おうとする、こういうことは根本から改めて、辺野古への費用やあるいはグアムへの移転費用、米軍再編の費用を被災地に回すべきだ、災害復旧に回すべきだということを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。

平野委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 質問の冒頭、東日本大震災と大津波で亡くなられた方々と御遺族に心からお悔やみを申し上げます。並びに、大震災と大津波、福島第一原発事故で被災をされた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。

 さて、今回の東日本大震災、福島第一原発の事故に対して、国際社会の多くの国々、また国際機関から貴重な支援が寄せられております。このような海外からの支援に敬意を表し、感謝を申し上げるものであります。

 ところで、トモダチ作戦と称する米軍の災害支援活動と関連させて、普天間飛行場の地理的優位性や在沖米海兵隊の存在意義を強調し、貢献度の高さを宣伝、アピールする在日米軍の姿勢に多くの沖縄県民が強い違和感を抱いております。

 北澤防衛大臣は、米軍の災害支援活動と普天間飛行場の辺野古移設並びに海兵隊の沖縄駐留がリンクするとお考えでしょうか。所感を伺います。

北澤国務大臣 トモダチ作戦と命名された米軍のオペレーションは、在沖海兵隊を含む極めて大規模な兵力をもって、捜索救助、物資輸送、瓦れき除去作業など、被災地を中心に多大な支援活動が行われてきたことは先ほど来の答弁で申し上げたとおりでありまして、この米軍の支援活動に対しては、被災者のみならず、多くの日本国民が感謝し、大いに勇気づけられているものと承知をいたしております。

 昨日も私自身、米空母ロナルド・レーガンに乗艦し、日本を救おうという米軍人の強い意気込みを十二分に感じてきたところでありまして、こうした米軍の真摯な支援活動は、心から感謝をしこそすれ、在沖海兵隊の存在意義を強調するための宣伝、アピールとして行われているととらえることは適切ではないと考えております。

照屋委員 私も、復興支援活動には、米国だけではなくて、その他の国々の支援にも大変感謝をするものでありますが、そういう人道支援を、政治的な打算に基づく行動やアピールをすると、かえって私は相互の外交関係の信頼を損ねてしまうというふうに思っております。

 さて次に、2プラス2について私も聞きたいのですが、先ほど公明党の佐藤議員からも御質問がありました。結論は違えども問題意識は同じでございまして、私は、2プラス2の当事者である防衛大臣の認識について今度はお聞きをします。

 日本にとって国難とも称される東日本大震災からの復興支援、福島第一原発の事故処理に国を挙げて取り組まれておりますが、この五月に予定をされておる2プラス2の開催、我が国の意思としては、現段階で変更なく開催をするおつもりなんでしょうか。

北澤国務大臣 ただいまの質問にお答えする前に、米軍の支援が宣伝等に関連しての発言というのは、私は、この大地震が発生以来、きょう初めて耳にしたところであります。照屋委員の御出身地の立場からそういう御懸念もあろうかとは思いますが、特に、日ごろ拝見しておりまして、極めて情に厚い先生からそのような御発言があったということは、私にとっては極めて残念なことであるということを申し上げざるを得ないところであります。

 そこで、2プラス2についてでありますが、この2プラス2は日米安全保障条約改定以来五十周年を迎えた昨年からの懸案でありまして、これはぜひ行わなければならぬという認識を持っております。ただ、時期については、今のところまだ確定的なことが決まっておるわけではございませんので、先ほどの外務大臣の答弁と同趣旨のことを申し上げさせていただきたいと思います。

照屋委員 防衛大臣、東日本大震災と福島第一原発事故による被害総額は優に二十五兆円を超えるのではないかと言われております。私は、沖縄の民意に照らして、実現不可能な普天間飛行場の辺野古移設関連予算、東村高江のヘリパッド建設関連予算、新特別協定による米軍への思いやり予算など、不要不急な公共工事はすべて執行凍結をして、大震災の救援復興予算や原発事故の処理費用に充てるべきだと考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 米軍は今回の東日本大震災を受けた人道支援、災害救援活動をトモダチ作戦というふうに命名しまして、大規模な兵力で、これまでに、捜索救助、物資の輸送、それから仙台空港の復旧、新学期を控えた学校の清掃、港湾等の瓦れき除去作業などを行っていただきました。

 これらの活動を見るにつけて、改めて、アメリカが日本にとってかけがえのない同盟国であるということに思いをいたすとともに、それを担保する在日米軍の存在が極めて重要であると認識をしたところであります。

 在日米軍駐留経費負担は、この在日米軍の活動を支える基盤的な経費であり、また普天間飛行場の移設や高江ヘリパッド建設に係る予算、こちらについても、在日米軍の駐留を安定的に確保していくために、地元の負担軽減を図るための重要な経費であるというふうに認識をしております。

 したがいまして、厳しい財政状況を踏まえながらも、こうした施策については引き続き実施をしていくことが重要であると考えているところであります。

照屋委員 そういう答弁は予想された範囲でございますが、果たして、そういうのが国民の理解が得られるかどうか、私は大いに疑問であります。

 松本大臣にお伺いをいたしますが、大臣の所信表明では日米地位協定の改定問題について触れられておりませんでした。大臣は、日米地位協定によって我が国の主権と国民の人権が著しく毀損されているとの認識はお持ちでしょうか。また、そもそも、日米地位協定をどのように大臣は評価し、位置づけておるのか、お伺いをいたします。

松本(剛)国務大臣 尊敬する照屋先生からの御指摘でありますが、地位協定については、私の今思うところを申し述べさせていただきたいと思っております。

 我が国の安全保障環境が厳しさを増してくる中であります。そういう中で、在日米軍が我が国の防衛を初めとする日米安保条約の目的を果たすために我が国に駐留をしているということは、引き続き重要であると考えております。

 この駐留に当たって、地位協定は、在日米軍の円滑かつ効果的な行動を確保するためのもので、米軍による我が国における施設・区域の使用及び我が国における米軍の地位等について規定したものであることは、もう申し上げるまでもなく、大変重要な規定であると思っております。

 現段階でこの地位協定を政府としていわば結んだ状態にあるということ自身が、我が国の安全保障も含めて、政府として、主権国家としての判断の結果である、このように考えているところであります。

 また、内容についても、刑事裁判手続を例に挙げて申し上げれば、九五年の日米合同委員会の合意によって、凶悪犯罪を犯して拘禁された在日米軍等の身柄を起訴前に日本側に移転する道を開き、その後、この枠組みに基づいて実際に起訴前の拘禁移転が行われているものでありまして、こうした例は米国と他国との間にはないもの、このように承知をしております。

 こういった理由から、私としては、我が国の主権が著しく傷ついているという御指摘は当たらないもの、このように考えております。

 なお、日米地位協定については何もしないということではなく、一つは、事件、事故、騒音、環境といった具体的な課題については、地元の御要望にこたえるべく、これを踏まえてさまざまな取り組みを行っているところであります。

 また、改定も含めた対応については、今後とも日米同盟をさらに深化させるように努めていく中で、喫緊の課題、普天間飛行場移設などの進展を踏まえて、その対応について検討していく考えでありますが、民主党がこれまでのマニフェストで、日米地位協定の改定を米国に提起する、こう申し上げてきたということは、私も民主党の一員としてその責任を担っているというふうに考えているところでございます。

照屋委員 最後に北米局長、はしょって質問しますが、ことしの一月に沖縄市の国道で、成人式出席のため帰省中の青年が米軍属の運転過失事故で死亡しました。しかしながら、退勤中であるにもかかわらず公務中と認定されて、日本側は第一次裁判権を放棄した。こういうことで、今、遺族の皆さん、沖縄じゅうが怒りに燃えておりますが、一九五六年の日米合同委員会合意の公務中の認定適用範囲、これを今でも妥当性があるとお考えでしょうか。

梅本政府参考人 まず、御指摘の事項は、日米の間で事故の防止等についていろいろ話し合われている中におきまして、とうとい人命が失われたということはまことに遺憾なことだというふうに思っております。

 今御質問のございました、米軍人または米軍属が公務執行中に行った犯罪で日米両国の裁判権が競合する場合には、地位協定の第十七条三項(a)に基づきまして、米軍の当局が当該米軍人または米軍属に対して第一次裁判権を有するということになっております。

 そこで、では、公務執行中に行ったというのが何になるかということにつきましては、今先生御指摘の一九五六年の日米合同委員会合意がございまして、この公務の中に、米軍人または米軍属が宿舎と勤務場所との間を直接往復する行為が含まれるということが合意をされているわけでございます。宿舎と勤務場所との間を直接往復する行為は、勤務場所での勤務に当然に付随する行為でございまして、そのような行為が公務に含まれるとすることには妥当性があるというふうに考えております。

 ちなみに、他の国内法におきましても通勤による災害が労働災害補償の対象となっている、このようなことから見ましても、妥当ではないかというふうに考えておる次第でございます。

照屋委員 終わります。

平野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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