衆議院

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第4号 平成23年4月21日(木曜日)

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平成二十三年四月二十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平野 博文君

   理事 浅野 貴博君 理事 下条 みつ君

   理事 神風 英男君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 今津  寛君

   理事 岩屋  毅君 理事 佐藤 茂樹君

      小原  舞君    岡田 康裕君

      神山 洋介君   菊池長右ェ門君

      空本 誠喜君    玉城デニー君

      萩原  仁君    福嶋健一郎君

      松本 大輔君    森山 浩行君

      渡辺浩一郎君    渡辺 義彦君

      赤澤 亮正君    大野 功統君

      武田 良太君    中谷  元君

      浜田 靖一君    松野 博一君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   外務副大臣        伴野  豊君

   防衛副大臣        小川 勝也君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 甲斐 行夫君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    梅本 和義君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伊藤 洋一君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         實重 重実君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  成子 隆英君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   黒木 慎一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   中村幸一郎君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     山田 尚義君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  高橋 昭一君     岡田 康裕君

  江渡 聡徳君     松野 博一君

  木村 太郎君     赤澤 亮正君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     高橋 昭一君

  赤澤 亮正君     木村 太郎君

  松野 博一君     江渡 聡徳君

    ―――――――――――――

四月二十日

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(第百七十四回国会閣法第二七号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(第百七十四回国会閣法第二七号)(参議院送付)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

平野委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房審議官甲斐行夫君、外務省北米局長梅本和義君、文部科学省大臣官房審議官伊藤洋一君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、農林水産省大臣官房総括審議官實重重実君、水産庁増殖推進部長成子隆英君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官黒木慎一君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官中村幸一郎君、観光庁審議官山田尚義君及び防衛省地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浅野貴博君。

浅野委員 新党大地の浅野貴博でございます。

 我が党の代表鈴木宗男の議席を引き継ぎまして、半年半が過ぎました。未熟者ではございますが、安全保障委員会の理事の役職をいただき、本日、質問する機会を賜りました。まだ未熟者ではございますが、鈴木宗男秘書を通じ、国会議員として最も大事な仕事が国家の安全保障であるという教えを受けてまいりました。本日は、国益に資する質問をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 三月十一日、東日本大震災が発生いたしましてから、我が国の自衛隊員の十万人を超える方々が被災地で復興作業に当たられております。その一方、四月一日、我が地元旭川駐屯地に所属されます男性陸曹長が、そして十五日、八戸駐屯地の一等陸曹が命を落とされるという大変痛ましい事態が発生しております。

 現時点で、他の被災地に行かれている自衛官の方々で、体調を著しく損なわれている、また命を落とされる危険性がある、そういった隊員の方はいないか、政府としてきちっと把握されておりますでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 東日本大震災によって被災した住民を支援すべく献身的に活動していた二名の隊員が災害派遣中に亡くなったことは極めて残念であり、謹んで哀悼の意を表したいというふうに思います。

 そこで、災害派遣中の隊員のうち、負傷等の状況については防衛省において把握しているところでありまして、約三十名の隊員が、負傷等により、現在、通常任務につけない状況ということであります。隊員の症状等については把握しておりますけれども、御指摘のような死亡のおそれなどといった具体的な評価については、現に隊員が加療中でもあることから、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 防衛省としては、加療中の隊員が早期に健康を回復することを期待するとともに、引き続き隊員の健康管理に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

浅野委員 以前から当委員会でも、また他の委員会でも質疑がなされてきたと思いますが、被災地で復興作業に当たられている隊員の方々、十分な睡眠、休養、または食事、なるべく可能な限り快適な環境で作業を行える、そういう環境は政府としてきちっと整えておられますでしょうか。

小川(勝)副大臣 自衛隊員の作業環境に御配慮いただき、ありがとうございます。

 三月十一日、未曾有の大災害が発生をいたしまして、隊員の活動も、筆舌に尽くしがたい活動が行われてまいったことも委員御承知のとおりでございます。まさに、被災された方々も大変でございましたけれども、隊員の活動内容も大変過酷なものでございました。

 当初は、大変劣悪な環境の中で作業をしていた隊員も多数おりましたし、御心配をいただいているとおり、食事の内容も決していいものではございませんでした。さまざまな観点から御配慮いただくような意見が防衛省にも寄せられまして、大臣から防衛省内の会議でしっかり指示が出されまして、現在はある程度回復させていただいているものと確信をしているところでございます。

 部隊ごとに適度なローテーション、休暇、戦力回復の指示を大臣からいたしました。また、いろいろ御配慮いただいて、ビタミン不足や栄養不足を補うためにゼリーや野菜・果汁ジュースなどの増加食を積極的に補給するなど、隊員の健康にもきっちり留意できる体制に現在はなったことと思っております。

 大変重い、そして過酷な任務に当たる隊員の健康管理にも、御指導、御指摘をいただいて、しっかり対処してまいりたいと考えております。

浅野委員 以前、北澤大臣もおっしゃっておりましたが、大変劣悪な環境の中でも、我が国の自衛官の方々は非常に士気が高く、休むべきところを休まないで作業をしたいとおっしゃる方も多いと思います。ただ、命を救うために被災地に行かれている自衛官の方々が、決して命を落とされることがあってはならないと思いますので、その点、引き続き万全の体制をとって、御留意いただければと思います。

 続きまして、福島第一原発の事故の冷却作業に当たられている方々について御質問したいと思います。

 現在、福島第一原発、大量の放射線量が出ていると思われるあの場において、冷却作業に当たられている方々の総人数は何人か。また、その方々は、どちらの所属、どういった立場の方々がそういう作業に当たられているのか、教えてください。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 現在、福島第一原子力発電所の現場では、東京電力の職員二百九名、また関連の企業、下請企業の方が百名から二百名働いておりますし、また私ども原子力安全・保安院の保安検査官が三名業務に当たっているということでございます。

浅野委員 東電の方が二百九名、関連、下請の方が百名から二百名、保安院の方が三名という答弁をいただきましたが、例えば保安院の方は国家公務員という身分があると思うんです。東電の方、またさらにその下請、関連の方も大変劣悪な状況に置かれていると思います。健康に被害が生じ得る量の放射線も浴びておられると思います。その方々に対する補償、もし仮に不測の事態が生じた場合の最終的な補償、それはだれがどのようなものをとるんでしょうか。政府はどのような関与をするんでしょうか。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 まず、このような原子力の関係の業務に当たられる作業員の方々の健康管理に当たりましては、厳格な被曝管理を行うということがまず第一でございます。しかしながら、三月二十四日でございますが、復旧作業を行います作業員が、タービン建屋におきまして、二名の方が放射線レベルの高い廃液につかるということがございまして、国の基準を超えて被曝する事案がございました。また、三月三十一日には、線量計一台で複数の作業員が作業する事案が判明したことを受けて、それぞれ保安院から東京電力に対し、作業員の放射線管理に万全を期すよう、指導、注意喚起を行ったところでございます。

 そこで、国の定める線量限度を超える被曝を受けた二名の方でございますが、入院して検査をしたところ、特段の措置は必要なく、退院しているところでございます。

 それ以外の作業を行っている方につきましては、国の定めます基準を超えて被曝をしている方はいらっしゃらないということでございますので、健康上問題になる状況ではございません。

 いずれにしろ、東京電力においては、被曝の管理、被曝の低減に努めているところでございますし、私どもとしても、安全規制を行う立場から、このような東京電力の作業員の被曝管理の取り組みをしっかり監督していこうということで対応してまいりたいと思います。

浅野委員 福島第一原発で冷却作業に当たられている方は、まさに日本国家の命運をかけて最も過酷な作業に当たられている、日本国民を救う救世主となり得る方々だと私は思っております。東京電力の方もそうですが、その下請関連企業の方々、どちらかといえば弱い立場に置かれている方々、その方々が安心して作業に取り組めるように、またそういった方々に日本国民ひとしく敬意を払う、そういう環境を政府としてしっかりつくっていただきたいと思います。

 続けて、四月四日から十日にかけて福島第一原発から行われました低レベル汚染水の放出についてお伺いいたします。

 これは、ロンドン条約の第一条にこういった海洋汚染を禁ずる規定がございますが、このたび行われた低レベル汚染水の放出は、このロンドン条約第一条の趣旨に合致するものでしょうか。松本大臣の見解をお願いします。

松本(剛)国務大臣 御承知のとおり、ロンドン条約が国際的に提起されたきっかけは、ごみなどの投棄が沖合などにも行われるということが国際的な問題になっているということを契機にこういった議論がなされて、この条約が成立したというふうに承知をしております。

 そういう意味では、この条約の成立の経緯からすれば、いわば条約の中で考えられていた範囲に必ずしも入るかどうかということは議論の余地があるだろうというふうに思いますが、委員おっしゃったように、ロンドン条約に限らず、国際的な認識として、海洋をしっかり汚染から守るべきだということが国際社会の共通認識であるということは、私どもとしても十分踏まえなければいけない。

 そういう意味では、低レベルとはいえ放射性物質を含んだ水を放出せざるを得なかったということは大変残念なことだというふうに思っておりますが、判断そのものとしては、より高い濃度の汚染水が海に漏出をしている状況の中で、これを一刻も早く防ぐために必要な措置を速やかにとっていくということを検討された中で、今回の放出そのものはやむを得ないものとして判断されたもの、このように理解をしております。

 私どもとしても、今後とも、特に日本は海に開かれた国でありますので、海洋汚染に対してしっかりと取り組まなければいけないということは肝に銘じなければいけないところだ、このように考えております。

浅野委員 このたびの汚染水放出により周辺海域はどの程度汚染され、それは、特に漁業関係者に対してどのような影響が生じているのか、政府として正確な状況を把握しておられますでしょうか。

渡辺政府参考人 御説明申し上げます。

 文部科学省におきましては、三月二十三日より、福島第一原子力発電所の沖合における海域モニタリングを実施しております。その後、随時モニタリングポイントの増設や観測ブイの投入を行うなど、モニタリングを強化しているところでございます。

 具体的には、独立行政法人海洋研究開発機構の調査研究船で表層と下層の海水の採取を行うとともに、海上の空間放射線量率の測定、ダストサンプリングを行っております。この海水とダストの放射能濃度の分析結果及び海上の空間放射線量率の測定結果を文部科学省より評価しているところでございます。

 なお、四月十二日には、福島第一発電所からの放射能を含んだ水の拡散、希釈のシミュレーションを行い、その結果を公表しているところでございます。

浅野委員 我が地元の北海道、特に根室市の方では、このたび根室市でとれるサンマがベトナム等海外で大変な評価を受けて、海外に向けた輸出の体制をようやく整えたところでございました。その中で、福島第一原発の汚染水放出、それが海流に乗って汚されているんじゃないかということで、海外から突然忌避される事態が生じております。

 実際に、この汚染水放出により、それが周辺海域の海流に、周辺だけでなく日本全体を取り巻く海流にどのような影響を与えるのか、正確な情報を得たいと日本全国の漁業関係者は感じておられると思います。実際にどのような影響が全体に生じるのか、今現在で把握できないとすれば、その正確な状況をいつまでに把握して国民に公表できるのか、教えていただきたいと思います。

成子政府参考人 お答えをいたします。

 私どもは、三月二十四日から、六都道府県におきまして、漁業者の皆様方、また産地市場の御要望もお聞きしながら、計百二十五件の放射性物質の水産物のモニタリングをさせていただいているところでございます。特に、今回の汚染水の放出を受けまして、この影響が及ぶであろうと考えられます福島県、茨城県、千葉県のモニタリングの強化に努めているところでございます。

 今後、潮の流れによりまして、日々刻々と漁場が変化をいたします。私ども、こういった漁場の変化を踏まえながら、しっかりとモニタリングの継続をしていきたいというふうに考えております。

浅野委員 実際に、もう既に風評被害というものが生じております。先日、根室市の市役所関係者の方も来られた際に、もし仮に汚染が日本国全域に広まり、風評被害を超えて実際に汚染が確認され、一切の輸出ができなくなった、そういう場合に政府としてどのような補償をとるのか。そういった最悪の事態は想定されておりますでしょうか。

實重政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、福島第一原子力発電所事故を受けまして、諸外国において、我が国の食品に対する輸入規制が強化されております。国の対応もさまざまでございまして、食品全体について輸入停止や証明の要求を行っている中国やEUといったような国もございますし、一方で、特定の県の特定の産品についてだけ輸入停止あるいは検査証明書を要求しているアメリカとか香港といったような国や地域もございます。

 農水省といたしましては、諸外国に対しまして、在外公館や在京の大使館、それから外務省、他省庁とも連携いたしまして、WTOなどの国際会議の場などを通じまして、我が国のとった措置や検査の結果、こういったことを説明いたしまして、過剰な規制とならないように働きかけを行っているところでございます。また、日中、日仏の首脳会談などの機会に、総理から首脳に対しての呼びかけも行っていただいております。

 一方で、国内の輸出業者、輸出関係者に対しましては、やはり諸外国の規制の内容をよく知っていただくということが大事でございますので、周知をいたしております。また、個別の相談を受け付ける窓口を設けまして、毎日相談に応じているところでございます。

 さらに、産地証明などが必要な国、要求している国に対しましては、都道府県の証明書の発行体制などを整備したところでございまして、このような対応を行っているところでございます。直接諸外国に私どもが赴きまして御説明をするといったようなことを含めて、働きかけを強めたいと思っております。

 また、国内のこうした輸出関係業者に対して適切に情報提供して、適切な国に対して適切に輸出ができるようにということを、情報提供を強めてまいりたいというぐあいに思っております。

浅野委員 私が質問を申し上げたのは、実際に日本の水産物がすべて汚染されて、国内外での消費ができなくなる事態が仮に生じた場合の、一番最悪の事態への備えができているかという質問でございます。

伊藤政府参考人 御説明申し上げます。

 損害が生じた場合の対応についてございますけれども、今回の事故につきまして、事故との相当因果関係、これが認められるものにつきましては、原子力損害の賠償に関する法律、これに基づきまして適切な賠償が行われることになってございます。御指摘のような、海産物が海外で売れないとか、あるいは風評被害につきましても、このような考え方に照らして適切な賠償が行われることになってございます。

 この相当因果関係の考え方につきましては、四月の十一日に文部科学省に設置いたしました原子力損害賠償紛争審査会において、今後、具体的な原子力損害の範囲の判定に関します指針、これを策定することになってございますので、この指針に沿って具体には判断されることになろうかと考えているところでございます。

浅野委員 最悪の事態に備えることがまさに安全保障の要諦であると私も考えますので、その点、政府各位におかれましては抜かりなく準備に当たっていただきたいと思います。

 続きまして、福島第一原発事故に対する外国知見の活用の状況についてお伺いしたいと思います。

 私の手元に、これはインターネットで拾ったものなんですけれども、平成十三年八月十日付外務省のプレスリリースの資料でございますが、「チェルノブイリ原発事故被災地域の子供達の療養のための来日について」と書かれたものがございます。

 これは、一九九九年から二〇〇一年までチェルノブイリで被曝した子供たちを日本に招いて北海道大学附属病院で治療を受けさせ、地元中学生を交流させる、療養させる、そういったいろいろな心身のケアに当たらせると同時に、被曝によってどのような健康被害を生じているのか、具体的なデータを収集する事業であったと思います。我が党の代表鈴木宗男が、強力なイニシアチブを発揮してこのプログラムを実施されたとも承知しております。

 このプログラムにより得られた診療データ、現在政府のどこに保管されておりますでしょうか。

松本(剛)国務大臣 御指摘のとおり、政府として平成十一年から平成十三年にかけて各種の医療検査及び療養のためチェルノブイリ原発事故で被災した地域の子供たちの受け入れを行っております。

 外務省にこれに関して当時実施した子供たちの医療検査結果のデータの一部が保存をされているということは確認されたところでありますが、カルテなどは当然診療に当たられた病院などが作成をされたものであり、保存などについても病院などが行うべき範囲で行っておられるというふうに理解をしております。

浅野委員 今、松本大臣、データの一部とおっしゃいましたが、それを今回の原発事故、我が国の原発事故のこれからの対応に活用していく考えはありますでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今回の事故の対応に当たっては、一般的に申し上げれば、あらゆる知見、それは国際的でもあり、また過去を通してあらゆる知見を活用して、いろいろな意味でしっかり対応する必要がある、このように思っております。

 そういう前提のもとで、御指摘のデータについては専門家に検討を依頼いたしましたが、今回の事態への対応について有効なものであるかどうかは今のところ明らかではないという状況ではあるわけですけれども、先ほどお話を申し上げたように、この対応に当たっては世界じゅうの経験を十分に活用する必要がある、これはチェルノブイリ原発事故もその中に含まれると思っておりますし、その関連で、外務省が保有する情報については関係機関ともそのニーズなどを踏まえながら十分に活用するように努力をしてまいりたいと思っております。

浅野委員 例えば、今回の震災に関しましては、米軍の本当に心温まる支援は日本国民ひとしく感謝しているところだと思います。同時に、チェルノブイリ事故を経験している旧ソ連、ロシアとウクライナ、この知見も十分に活用すべきだと私も考えます。

 ロシアに、かつて首相を務められたキリエンコさんという方がいます。今、ロスアトムの総裁を務められている方、我が党の鈴木宗男代表とも大変人間関係のある方なんですが、例えばこの方を日本にお招きしてさまざまな助言をいただく、そういったことは外務省として検討しておられますでしょうか。

松本(剛)国務大臣 先ほども申し上げたとおりでありまして、福島第一原子力発電所事故への対応については、事態収束のために各国とも協力しながら全力を尽くしてまいりたいと思っております。

 ロシアにつきましても、震災直後に、原子力分野の専門家、ロスエネルゴアトム社のアスモロフ第一副社長を初めとする関係者の方々がおいでになられまして、三月十八日には日本の関係者との間で有益な意見交換が行われました。また、四月に入ってからは、放射線量の測定器などの物資の供与も受けております。また、十八日から二十日にかけて、ロシアの液体放射性廃棄物処理施設、機材活用の技術的可能性についても、ロシア側関係者との間で協議を行っているところであります。

 これまでもさまざまな連携をとってきているところでありますが、今後とも、ロシア側との間で、さらにどのような協力を進めていくかについて、現場のニーズなども見きわめながら検討してまいりたいと思っております。ロシア側の知見を活用すべく、協力関係を継続するという姿勢で臨んでいるところでございます。

浅野委員 我が国のかつてない国難を打開するために、我が国自身が全力を尽くすことはもちろんでございますが、友好関係にあるさまざまな国等の知見を存分に活用していただきたいと思います。

 最後に、このたびの東日本大震災、世界各地から大変温かい連帯の気持ち、協力が寄せられました。それに対しまして、四月十一日、菅総理が海外の新聞広告に感謝広告を出しておられますが、わずか七紙のみの掲載でした。我が国に支援を寄せてくださった方は、百三十の国と地域を超えます。

 先日の十三日の外務委員会で、松本大臣は、ぎりぎりの予算の中でこの広告費を捻出した旨の発言をされております。この七紙の菅総理の広告にかかった費用は幾らか、また仮に支援をくださったすべての国・地域にその国の言語で広告を出した場合、要する費用は幾らだったのか、簡潔に教えてください。

松本(剛)国務大臣 まず、御質問でありますが、総理メッセージを掲載した七紙についての掲載費用は、概算で三千五百万というふうに承知をいたしております。

 その際も、外務委員会でも御答弁をさせていただきましたが、七紙のうち、英字紙三紙はいわゆるワールドワイド版ということで、日本語で申し上げれば国際版というんでしょうか、掲載させていただきました。

 そもそも、やはり広告そのものは有料であるということから、復興等に少しでも予算を振り向けていこうという今の状況の中で、私がぎりぎりと申し上げたのは、今我が国が持っているお金がぎりぎりという意味ではなくて、国民の理解を得られる範囲で、なおかつ最も効果的な形でということで、私どもとしては、国際社会への広告効果や近隣の国であるということなど、我が国との関係を総合的に勘案して、御存じの七紙に掲載することにしたものであります。

 なお、私どもとしては、このメッセージを在外公館からメディアに情報提供する形で掲載していただくとか、もちろん各国政府に対しても大使を通じて謝意のメッセージを届けているわけでありますが、各国のメディアの御協力もいただきまして、私どもが確認をしているところでは、四月の二十日、きのうの夕方のところで、五十六カ国・地域の百九十一紙に無料で新聞広告が掲載または記事として内容が紹介をされるという形になっておりまして、謝意を広く伝える一定の効果があったのではないかというふうに考えております。

浅野委員 今大臣、ワールドワイド版とおっしゃいましたが、やはり一カ国一カ国に対して、その国の言語で感謝広告、感謝と同時に、このたびの福島第一原発で大変な心配をかけていることに対する率直な謝罪の広告を出すべきだと思っております。

 予算に限りがあるのは承知しておりますが、各国大使館には報償費、いわゆる機密費というものがあると思います。それについて、松本大臣に事務方が説明していないのであれば、それは事務方の不作為に尽きると思います。報償費を使ってでも、今すぐすべての国・地域に感謝と謝罪の広告を出すべきだと思いますが、松本大臣のお考えをお聞かせください。

松本(剛)国務大臣 大臣として、省内のことについては、会計上のことも含めて掌握をしている、私自身はそういう認識で行っております。

 今お話をさせていただきましたように、当然、各国の大使館においては、各国の現地の言葉でホームページに掲載をする、また各国のメディアにも、各国のそれぞれの言葉で、記事でありますから、多くの国民がごらんになるような形でごらんいただくということで、広く謝意は伝わっているものと思っております。

 報償費については、これも国民の税金でありますので、その目的などは報償費にふさわしい目的で使うことが適当だというふうに思っておりますし、いずれにせよ、国民の税金をどのように有効に活用するかという視点は心がけた上で、私自身として判断をしているところでございます。

浅野委員 報償費をわけのわからない私的なものに使われるのであれば、我が国の謝意と謝罪の意を掲載する広告に使うことは国民のだれもが理解することと私は思います。

 第一次湾岸戦争で我が国が百三十億ドルもの拠出金を多国籍軍に出しながら、クウェート政府の感謝広告に日本の国名が出なかったこと、それは多くの方が承知していると思います。すべての国々、国名を明記した上での感謝広告、謝罪広告を出して、日本の気持ちを世界じゅうに伝えることに努めていただくことを要請して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

松本(剛)国務大臣 念のため、報償費をわけのわからない私的なものに使うことが認められるとは私も思っておりません。

平野委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 民主党の空本誠喜でございます。

 このたびの東日本大震災並びに福島原子力発電所の原子力災害において、自衛隊並びに防衛省の皆様が本当に献身的に活躍されておりますことに心から敬意と感謝を申し上げたいと存じます。

 本日は、原子力災害または大震災においての自衛隊のかかわりについて、少しお聞きをしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 まず、こちらのパネルをごらんいただきたいと思います。また、お手元に配付の資料をごらんいただければと思います。

 チェルノブイリ事故が起こった後の周辺地域の汚染マップを掲載したものでございます。このとおり、放射性物質が広範囲に広がっておりまして、福島県は二十キロ、三十キロという範囲で今、物が語られておりますけれども、チェルノブイリの場合は、五百キロまた一千キロに及ぶような広範囲において、またそれが点在している、ホットスポットをつくっているというのがチェルノブイリ事故のありさまでございました。

 こういった中で、今一番進めなければならないことは、やはり二十キロ、三十キロ、飯舘村方向、こういったところの汚染状況をしっかり調査すること、特に土壌の調査をすること、さらには広範囲にわたって線量マップをつくっていくことが大変重要でございます。

 今、文部科学省が中心となって線量マップをつくられようとしております。きょうの毎日新聞でございましたけれども、アメリカのDOEが航空機サーベイを行って、線量マップをつくっていただいています。しかしながら、今回、文部科学省の場合は、民間機を使っての航空機サーベイをやられているということをお聞きしておりまして、その場合、二十キロ圏内には民間機は協定上入っていくことはできない。これはやはり国が率先して、特に自衛隊にお願いするしかないであろうと思っております。

 けれども、こういったことがこれまでなかなかされてこなかった。そういった意味で、これから文部科学省と防衛省と一緒になって、広範囲にわたる線量マップの作成をぜひともお願いしたいと思っております。

 私も先日、四月十七日に、飯舘村また福島県庁、Jヴィレッジ、さまざまな地域地域で調査をしてまいりました。私も、学生時代から、放射線計測、放射線防護を研究したことがございまして、直接放射線検出器を持って測定に参りまして、その土地土地での土壌を採取したり、また草をとったり、あとは稲を刈った後のわらをとってきたりしてはかってみました。大変貴重なデータが入りまして、今回、本当に飯舘村方向とかは厳しい状況であることが再確認できました。

 またさらに、サービスエリア、パーキング、東北道を走るに際して、アスファルトの上は線量は高くないんです。比較的流されていまして、きれいに清掃されていまして、線量は高くありません。けれども、芝生の上、田畑の土壌の上というのは線量が高い状況です。これはよくありまして、土があれば、セシウム等がフォールアウトによって落ちて、それが再浮遊する、そして再浮遊したものが線量としてはかられてしまう。

 特に、今小学校の問題も大きくなっております。福島県内、福島市内の小学校の線量が高い、校庭の線量が高い。私もはかってみたところ、小学校は三ないし四マイクロシーベルト・パー・アワー、一時間に三、四マイクロの線量がありました。かなり線量が高い状況になっています。早くこれを広域的に調査することが、やはり被曝の低減、回避にとって大変重要であります。

 文部科学省、人数も、また関係団体合わせても限られていると思います。航空機サーベイをまずやって、また放射能の予測システム、SPEEDIがございます、SPEEDIの計算結果をもって、両方で、まずどの地域が一番アクティビティーが高いか見た上で、そして最適化しながら測定計画をとっていただきたいと思っております。

 そういった意味で、まず文部科学省の方に、今どのような調査をされようとしているか、そのときにどういうところが足りないか、その辺をお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

伊藤政府参考人 モニタリングについての文部科学省の取り組みについての御質問かと思います。

 文部科学省におきましては、福島第一原子力発電所からの放射性物質の放出状況、これを把握し、国民の安全、安心あるいは政府の適切な対応に資するため、総合的な環境モニタリングを実施しているところでございます。

 具体的には、地上における空間線量率の測定、あるいは今御指摘のございましたような、線量率が特に高い場所における土壌あるいは空気のサンプリング、こういったことを行っているところでございます。

 また、自衛隊との関係におきましても、二十キロ以遠の空間線量率の測定などについて御協力をいただいているところであります。

 委員の御指摘のありました、線量マップと申しましょうか、空間の線量率ですとか、あるいは地表における放射性物質の沈着状況、これを示すような地図をつくることは大変重要でございまして、広域における放射性物質の影響の把握でございますとか、あるいは今後の避難区域における線量評価、こういったことを行うためにも極めて重要なものと認識してございまして、今後、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

 その際、文部科学省におけるリソースというのも限られてございますので、引き続き、防衛省を初め関係機関等の御協力を、これまでもいただいているところでございますけれども、さらなる協力を期待しているところでございます。

空本委員 やはり航空機サーベイがまず第一に重要でありまして、特に、今文部科学省で用意している器材、空間線量を空からはかる器械がございます、そういったものを自衛隊のヘリに載せて至急はかっていただきたいと思います。

 さらに、大宮の中央即応集団の方には放射線検出器がかなりあるというふうに聞いております。土をとってきて、また草なんかをとってきて、セシウム、沃素がどの程度土壌に沈着しているか、そういったものを測定する器械も私はあると思っておりますけれども、そういった意味で、防衛省の方から、積極的に文部科学省に対して協力をいただきたいんですが、大臣の御見解をお願いいたします。

北澤国務大臣 御関心も非常に高く、また実務でも御活躍をいただいておりまして、心から敬意を表する次第であります。

 汚染マップの作成、またそれにかかわるモニタリングの重要性は十分認識しておりまして、防衛省といたしましては、自衛隊の体制や能力等を考慮した上で、政府の原子力災害対策本部と緊密に連携を図りながらしっかり協力してまいりたい、このように思っています。

空本委員 ありがとうございます。

 特に、航空機サーベイとか環境モニタリング、これも重要であります。その中で、先ほど申し上げましたが、小学校の校庭とか、やはり今検出器が不足しているということがございます。そういった意味で、これはどの程度あるかとか、そういうことは防衛上言えないかと思いますけれども、文部科学省と防衛省で連携を図っていただいて、出せるものはしっかりと出していただいて、この事態を何とか乗り切っていただきたいと思っております。

 特に、これから一番気になるのは梅雨であります。梅雨になりますと、ウオッシュアウトといいまして、地上に沈着した放射性物質が流れて、たまるところは線量が高くなったり、また流れたところは逆に薄くなったりする。梅雨が始まる前にそういった線量マップをつくることが一番大切でありまして、四月から五月にかけて至急やっていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 器材の貸し出し、そういったことも可能かどうか、少し大臣の方からお聞かせいただきたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 現在、放射線の線量を計測する器材としては、陸上自衛隊が中隊用線量率計を約九百個保有いたしております。また、技術研究本部が放射線測定器を約十個保有しております。さらに、放射性物質を分析する器材として、技術研究本部がガンマ線核種分析装置三台を保有いたしております。それから、放射線量が強いと見込まれる地域において放射線量を計測する場合には化学防護車を活用することとなるわけでありますが、この化学防護車は全国に約五十台配備をしております。

 また、モニタリングを行える隊員の数でありますが、これは主として、中央即応集団に所属する中央特殊武器防護隊、大宮にあるわけでありますが、これや、陸上自衛隊の各師団等に所属する化学部隊が実施することとなるわけでありまして、これらの部隊には合計約九百人の隊員が配置をされております。また、技術研究本部において、ガンマ線核種分析装置による分析技能を有する職員は七名おるわけであります。我々は、おおよそ九百人体制、こういうふうに認識をいたしております。

空本委員 ありがとうございます。

 自衛隊は、こういうときに本当に私たちの味方で、そして国民の安心、安全を本当に守っていただいているというふうに思っております。ぜひとも文部科学省と協力して対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、今回の東日本大震災において、自衛隊員の方、先ほども浅野議員の方から、かなりの人数の方に活動していただいていると。そのときに、遺体収容とか原子力発電所での放水活動、本当に高い放射線場での活動、危険を伴う活動が多くございます。そういったときに一番重要なのは、事故も起こさないようにすること、そしてやはりメンタルヘルスケアというものが大変重要になるであろうと思います。

 遺体収容というのは、私たちも経験はございませんけれども、時間がたった腐敗した人の体をきれいにまた御家族のもとに届けるという本当に大切な仕事でございまして、しかし、そういったことをやっていただけるのは自衛隊また警察の方々だと思います。

 そういった意味で、メンタルヘルスケア、これまでどのように防衛省で取り組んでこられたか、またこれからどういうふうに取り組んでいかれるか、そういった点をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、派遣隊員は非常に厳しい状況下において任務を遂行しているため、精神的、肉体的にも負担は相当大きなものというふうに認識をしております。

 こうした現状にかんがみまして、防衛省・自衛隊としては、派遣隊員のメンタルヘルスケアについて重点的に取り組むことといたしておりまして、通常よりも慎重に対応することで心の健康維持施策の拡充強化に努めているところであります。

 具体的に申し上げますと、平素より各駐屯地等に配置している部内外のカウンセラーや臨床心理士等を活用しておりますほか、陸自においては、メンタルヘルス巡回指導チームを宿営地へ派遣しまして、派遣隊員に対するメンタルヘルス教育及びカウンセリングを実施しておりますとともに、指揮官に対しては、今後想定される隊員の症状への対処に係る助言、ハンドブックの配付等を実施しているところであります。また、海上自衛隊、航空自衛隊におきましても、護衛艦及び各基地に精神科医官及び臨床心理士等を派遣して、派遣隊員に対するメンタルヘルス教育及びカウンセリング等を実施しております。

 今後とも、被災者の安全及び生活の安定に役立つように、派遣隊員のメンタルヘルスケアにも十分配慮しつつ、任務の遂行に万全を期してまいりたいと考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 しっかりとした体制づくりをさらに強化していただきたいと思います。

 また、都道府県との連携強化に平時から取り組まれていらっしゃると思います。さらに今回、空中から遺体捜索もやっていただいたりしたのではないかと思います。今回、やはり発電所の二十キロ圏内においては、早期に遺体捜索を空中から行っていただくことが大切だったのではないかなと思います。そういった自治体との取り組み、また遺体捜索において、空中からの捜索の是非、そういったものを教えていただければと思います。

小川(勝)副大臣 まず、最初の御指摘でございますけれども、都道府県、自治体との協力関係は後でしっかりと総括をすべき課題だと思いますけれども、今までのところ、しっかりうまくいったのではないかというふうに考えております。

 これは、さまざまな形で、共同訓練、政府が主催するものもありますし、地方自治体が主催する防災訓練等にも、自衛隊が積極的にというよりも必ず参加をして、日ごろから人間関係、あるいはカウンターパートをしっかり認識する状況になっていたことが大きかったというふうに思っているところであります。

 一義的には、自衛隊から各県に担当者を派遣し迅速かつ的確に情報を共有するということがある程度うまくいったというふうに考えられておりますし、また市町村との連携もまずまずだったろうというふうに思っているところでございます。

 一つ課題が生じましたのは、市町村の機能が大きく失われてしまった、ライフラインの破壊が想像以上だった場合に、連携がうまくとれたかとれなかったのか、そういう課題が残っておりました。

 また、御指摘の遺体の捜索でございますけれども、海上自衛隊、航空自衛隊、時には米軍の御協力もいただいて、また隊員の大変厳しい状況の中での頑張りもありまして、御遺体の捜索あるいは救難、上空からの活動は相当効果があったものと考えておるところでございます。

空本委員 ありがとうございます。

 しっかりとした体制づくりのもとでの活動、本当に心から感謝申し上げますけれども、さらに強化をいただきたいと思います。

 最後に、少し話をかえまして、先日、クレーン車での小学生の事故がございました。それに関連して、私の地元におきましても、今陸上自衛隊の一三旅団、海田市駐屯地がございます。さらに、米軍の川上弾薬庫というものもございまして、これは東アジア一番の貯蔵量を持つ弾薬庫でございます。そういったところで、演習場が近くにございまして、一三旅団からその演習場に行く際、またそういう弾薬を輸送する際において、細い道もかなり通っていらっしゃいます。また、通学時、登下校時において、そういう車両が通ることもございます。そういった意味で、地元の方からは、一三旅団、さらに機能強化を図ってほしいという要望、さらには、安全対策をさらにとっていただきたいという要望が来ております。

 防衛省として、安全対策にこれからどのように取り組んでいかれるか、最後に教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 米軍の川上弾薬庫につきましては、弾薬の搬出入のため、主として民間輸送業者のトラックが弾薬庫周辺の道路を通行していると承知しておりまして、その際には、米側からの通報を受けまして、中四国防衛局より、輸送の発着地、弾薬庫への搬出入の日時や車両の台数について関係自治体等に情報提供を行っているところであります。

 また、米軍やその委託を受けた民間業者の弾薬輸送に際して安全を確保するために、運搬の方法、車両の運転等について日米合同委員会で合意をしておりまして、米軍川上弾薬庫への搬出入についても、本合意に基づき実施されていると承知をしております。

 この事業につきましては、環境整備法の八条でこれまで補助を行っておりますし、今後も適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 しっかりした安全対策、さらに強化をいただきたいと思います。

 今回の災害において、本当に自衛隊は国民とともにあるということを国民は再度認識したと思います。さらに頑張っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

平野委員長 次に、浜田靖一君。

浜田委員 久しぶりにまた質問させていただきます。理事の皆さん方、本当にありがとうございます。

 震災の後ということもありまして、そういう意味では、委員会も大変緊張感を持って、皆さん方質問をしていただいているものと思うわけであります。今回の地震において、自衛隊は本当に頑張ってやっていただいているのを実感しています。

 一般に、有事の際というときには、トップにある者は、腰を落ちつけてやはり状況判断、入ってくる情報を冷静に分析してどう動くかということを考えるのがまず危機管理の第一歩だと思うわけでありまして、今回の案件においても、総理が原発を見に行ったということに対しては、これは少々問題ありだなと。多分、現場の人たちは、そうはいっても、いや影響はありませんでしたよと言うのは当然の話であって、我々安全保障をかじった人間にとっては、やはり総大将が一番最初に動くというのはいかがなものかなという気がするんですが、防衛大臣、その点はどうですか。

北澤国務大臣 総理の行動についての批判があることは承知をいたしております。私も閣僚の一員として、特にまた安全保障にかかわる立場から、詳細に経緯は承知をしておるつもりでありますが、総理が東電へ乗り込んだということについては、当初、東電側の対応についてかなりな危機感、危機意識を持たれたということは、私もそばで承知をいたしております。

 それは、一つには、東電とすれば、国民への影響ももちろん第一義でありますが、企業の存続というようなことに少し意識が高過ぎたのではないかというところに総理の危機意識があったんだ、そういうものを正すためにも現地に行って実態を把握したいという思いだというふうにぜひ御理解をいただければと思います。

浜田委員 いやいや、だから、逆に言うと、防衛大臣がしっかりしていたからよかったんだと思うんですよ。

 というのは、これだけの十万人を超える自衛官を出しているわけですよ。本来であれば、安保会議を開いて確認してもいいぐらいですわな。それを、安保会議を開かなくても粛々とこれだけの人数を出したということは、やはり危機に対する意識が高いからこそこういうことができて、なおかつ十万人を動かすということですから並大抵のことではないわけですね。常にやはりそこに気持ちを持ち、なおかつ組織としての動きというのを、大震災における、関東・東海地震に合わせての態勢づくりというのはもうずっと前からやってきているわけで、今回その結果が出たのかなというような気がするんです。

 ただ、足らざるところを足すという意味では、安全保障に対して、軍事とかということに対して、やはりそばにいて教える人間がいないとだめなのかなというのをつくづく思ったんですよ。今回、一つだけすごくよかったなと思うのは、防衛省から官邸に秘書官が出ていたんですね。今までなかなかとってもらえなくて、いろいろなことがありまして、それで防衛省から出した。

 となると、ここでもう一つ言えることは、やはり信頼関係なんですね。北澤大臣は、二年近くになるわけだけれども、その間に、制服との間にも信頼関係ができて、折木統幕長を初め大変いい動きをした。本当は、自然に流れていっちゃってできちゃったというのが本当にいいのかどうかというのはわかりませんが、しかし、それがなくてもできるということは、組織がしっかりしてお互いの信頼関係があればあらゆることには対応ができるということですわな。情報さえあれば、ということですよ。

 だから、もう一個ここでプラスして、武官を官邸に置くというのも一つの考え方なのかなと。私は、これぐらいやっても不思議はないと思うんですね。総理が余り動き過ぎちゃうと、要するにうまくないんですよ。

 かと思うと、情報が大臣に伝わっていない。北澤大臣は信頼関係が厚いから情報が早かったのかもしれないけれども、農林水産大臣のように、さっきの質問にあったように、放水しちゃった、汚水を流しちゃったという話のときには、鹿野大臣は知らなかった、聞いていなかった。普通は大臣をやっていられませんね。

 危機管理対応ということになればあらゆる情報の共有化というのが必要なんだけれども、組織はできるだけ簡素な方がいいということですよ。本来、大臣の中で会議をやって、話し合いをしていれば情報共有ができるはずなので、こういう方向でいきますというのが流れなきゃいけないのに、何か外部の人間をいっぱい入れて、大臣間の情報の共有がなされていないというのは、ちょっとこれはお粗末なのかなという気がしてならないんですね。

 残念でしようがないんですよ。こんなことを表へ出したくないんですよ、正直な話。だって、スリーマイルのときに大統領が見に行ったなんて聞いたことないしなというのがあるんですよ。これは、本当に情けなくなるので余り言いたくないんですが。

 だから、安全保障会議を開かなかったというのはいろいろあるのかもしれないけれども、やはり開いた方がよかったんじゃないですか。大臣、その辺はどうですか。

北澤国務大臣 私の直前の大臣でもありまして、自衛隊についての正確な御理解と、ややお褒めの言葉もいただいて感謝しております。

 一方で、今回の事態を見て、我々がいろいろ協議をしていく中で、最も重要なことは常日ごろのシミュレーション、これを怠ることなくやっていることが有事に非常に有効的である。これを徹底的に防衛省の中へ植え込んだのは、名前は申し上げませんが、前大臣が非常に熱心におやりいただいたということで、私は大変ありがたいことであったなというふうに感じておるところであります。

 またそれから、総理の行動については、歴史の評価があるんだろうというふうに思いますので、それにゆだねておきたい、今は直前の危機に全力で対応すべきだ、こう思っています。

 それから、安全保障会議については、もう既に御存じのことだと思いますが、法律上の定めもあることと、それから、即時即応態勢をしくためには、対策本部を立ち上げて、これで迅速にやるということを現内閣は選択したわけであります。

 その成果は、私は、今の段階で予断を持って申し上げるわけにいきませんが、特にこの原子力の対応については何とか抑え込みつつあるというふうに思っておりまして、そういう意味での成果をさらに確実強固なものにしてまいりたい、このように思っています。

浜田委員 そういう意味では、先ほど副大臣からもお話がありましたけれども、各地方自治体との関係もよかったという話を聞きましたが、各地方自治体、県そしてまた市町村に自衛官のOBを含めて置いておくというか、ぜひそれをとっていただいて、常にネットワークをしっかりつくっておくというのも一つの考え方なのかなと思います。

 大分前から、各県の知事さんには理解をしていただいて、とっていただいているというのも聞いておりますので、できればそれもあわせて、官邸に佐官級の武官を置くというのも一つでしょうし、全体的にそういうものをやっておくことが、将来、有事の際には対応が可能になるので、ぜひそれを推進していただきたいと要望申し上げておきたいと思います。

 今回、自衛官の活動というのは本当に厳しい中でやっているわけで、二人、いろいろな形で亡くなったりしているわけであります。先ほど来、いろいろなケアをしているわけですけれども、そういう悪条件の中、二正面、三正面の中で本当によくやっていただいていると思っているんですね。それとまた、アメリカ軍も、そういう意味では、今回、トモダチ作戦ということで、大変やっていただきました。

 ただ、基本的に、十万人の兵力というか、我が自衛隊の半分近くを投入しているわけですから、本来任務に対してすき間がないようにしなきゃいけないというのはもう当たり前の話でありまして、そういう意味では、こう言っては大変うがった考え方なのかもしれないんですが、トモダチ作戦というのは、確かに、地域のことを考えて、被災者に対してのものもあったけれども、それとあわせて、その空白を埋めるというような発想があってしかるべきだと思うんですよ、日米安全保障条約の中で。

 事があって、我が自衛隊の主力というか、かなりの部分がそこに投入され、そこのすき間を埋めるという部分での、気持ちの中で、残心というか、そこに気持ちを残しておく、本来業務の方に当然なきゃいけないわけだから、そこの部分に対しての今回の米軍の協力というものに対する評価というのは、大臣、どう思われますか。

北澤国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、自衛隊の歴史始まって以来の、自衛隊の保有戦力の約半数をここに投入したわけでありまして、初めての体験であります。

 したがって、ややもすれば、幕の幹部の中に、これだけの人員を投入して本来業務がどうなるのかというような考え方が当然頭の中に出るわけですが、私は逆に、十万人態勢で事を行うというのは初めてだけれども、一方で、半数は残っておるんだよ、その半数で国の守りを遺漏なきようにできるということをしっかり考えるべきだ、戦力は逐次投入よりは全力を初動において投入する方がはるかに効果が上がるということを踏まえてやるべきであるというような基本的なことはしっかり幹部等に申し上げ、また協議もしてきたつもりでありまして、後顧の憂いのないような態勢はしっかりとれたというふうに思っております。

 一方で、日米関係でありますけれども、今回、米側の支援というのは非常に有効的であり、成果が上がり、さらには日米のきずなを強くしたというふうに、中間ではありますが、私なりに総括をさせていただいております。

 特に、仙台空港の整備については、我々は、とにかくまず松島の基地を復活して輸送体制を築かなきゃいかぬ、一方で、仙台空港は、拠点としてこれも回復しなきゃならぬということで、米側に仙台空港の整備を、復活をお願いいたしたところであります。

 米軍側からは、山形空港を拠点にしてこの整備を行いたい、こういうことで要請がありました。しかし、その当時、多少情報の行き違いがあったんだろうと思いますが、山形県側の対応が少しおくれがちだというような情報がありましたので、私からすぐ山形県知事へ連絡をして、山形県知事も、いや、我々は協力しないなんということは全くないので、こういう事態の中で多少の情報のそごがあったけれども、即開放しますというようなことで、米軍が山形空港を拠点にして仙台空港の整備に当たったということであります。

 私は、そういう意味で、米側がトモダチ作戦と命名して行った成果については、我々防衛省・自衛隊としての受けとめ方よりも、はるかに国民的に成果が高かったのではないかというふうに自負しておるところであります。

浜田委員 そうだと思うんですけれども、こういうことが起きると、必ず何となくちょっかいというか出してくる人がいるので、それに対する備えという部分での展開というのも一つあってしかるべきだろうなと。トモダチ作戦が前面に出ているんだけれども、そういったものもあるのかなと思って、今ちょっと大臣に確認をしたんですね。それでなきゃいけないと思うんですよ、逆に言えば。

 大変申しわけないんだけれども、鳩山政権そしてまたこの菅政権になって、何となく周りがざわついてきているのは事実だし、それに対して、やはりここで抑えは必要だよねというのはあるわけで、そこで十万人動かした、そこへトモダチ作戦で、ロナルド・レーガン初めあれだけの人数と艦艇を出し、航空機も出し、来てくれているということの意味というのは、やはり正しくその部分も評価しておかなきゃいけないんじゃないかなと僕は思ったので、あえて言わせていただきました。

 そうなってくると、今大臣がおっしゃったように、一挙に十万人投入したわけだから、随時行くんじゃなくて一挙に入れたんだから、では、今度はどうやって引くのかなという話になるわけですね。それはわかりますよ。一万人もの方が行方不明で、地元の人は、まだ自衛隊にはやってもらいたいというのはわかるんだけれども、しかし、それを出しっ放しというのはなかなか難しいわけで、そこをどういうふうに引いてくるのか、引くときの難しさというのは必ず出てくるわけですよ。

 今回のことでもわかるように、余震も含め、それが誘発して起きる地震というものがまだあるかもしれない。ということになれば、これはやはり常に、民間にかえる部分と、引く部分と、そしてまた新たに備えなきゃいけない部分、そこまで復帰していなければいけないわけだから、その引きの部分の難しさというのはおありになると思うんだけれども、大臣、もしも話せる中でそのシナリオがあれば、教えていただきたいと思います。

北澤国務大臣 まずは、被災した皆さん方の気持ちを一番大切にしなきゃいかぬ。それからまた、それに対応している地方自治体の皆さん方が安心感を持って業務に精励できるようにということで、我々とすれば、当初は、御遺体の捜索そしてまた搬送、埋葬というようなことまでも積極的に支援をいたしたわけでありますが、徐々に警察それから市町村、都道府県に本来任務を委託しながら、そこからすぐ手を引くというのではなくて、我々は常にバックアップ態勢をとりながら、本来任務の方々にお任せしますよということで今までやってきたわけであります。

 これからは、部隊を本格的にどの程度にしていくかということについては、今のところ、十万人態勢は継続するということで各方面にはお話を申し上げております。

 しかし一方で、今お話しのように、いつの日にか引いていかなきゃいかぬということがありますので、我々とすれば、ローテーションをしながら、そのローテーションを漸減するというような形で、本隊へ戻った部隊がまたもう一度出ていくということのないような形で引いていくということでありまして、いずれにしても、今の段階では、まだ自衛隊は十万人態勢で、バックアップ態勢を常にしいていますということを申し上げてまいっておるわけであります。

浜田委員 そういう意味では、全体で取り組まなきゃいけないこの大震災でありますので、自衛官の皆さん方は大変苦労しているけれども、今こそ士気の高い中でやっていくのは当然のことだと思うわけで、それは信頼関係以外の何物でもない。

 ただ、多分、今のシナリオというのは、全体像ができないと自衛隊が引けないというのがあるんだと思うんですよ。そうですよね。当然、民間に移していくという部分があって初めて。だから、大臣と僕、すごく考え方が合っているのは、一気に投入しなきゃだめなんですよ。

 ということは、お金もそうなんですよ、多分。だから、総理に言ってください。もうどかんといかないと、みんな心配になるんですよ。心配するな、これは国が全部やるんだといった安心感があって、その中で出していくというのはあると思うんですよ。そこが足りないような気がしてしようがないんですね。

 だから、今度一次補正でやる。一次補正でやるんだけれども、では二次補正は幾ら出るのみたいな世界ですよね。では、三次補正もあるの、四次補正もあるのかなというようなことになるんだったら、最初の時点でどんといって安心感を持っていただいてというのはあると思う。

 もっと言うと、あの原発の事故もそうだと思うんです。あくまでもあれは有事ですよ、原発の事故というのは。本来、安保会議を開いてもおかしくない。僕はそう思うんです。

 だから、要するに、徐々に危険度がアップしていったわけではなくて、最初の事態がもう深刻なのは間違いないわけで、そこからスタートしなきゃいけないと思うんですよ。だって、一番最初はわからない状態でやるわけだから、緊急避難で、一気に国の責任においてどいてもらうというふうな形にしないと、国民の安心、安全が守れないときがあるじゃないですか。私権の制限だからすごく難しいのはわかりますよ。だけれども、それは政権の覚悟の問題だと思うんですね。

 だから、そこで判断に誤りがあってはならないから本当は大臣に、優秀な大臣がいっぱいそろっているから今もっているんですよ。総理は一人でどんと座って、責任はおれがとると言えばいいじゃないですか。そう思うんですよ。そういう気概がないと、こういうときにはなかなか明快な方向性が出てこないんじゃないですか。僕は、やはりそこは信頼関係だと思いますよ。大臣を何で使わないんだともっと言った方がいいと思いますよ。何かいろいろな人をいっぱい入れちゃってわけがわからなくなっているのは事実だし、自分で選んだ大臣なんだから任せればいいんですよ。そう僕は思うんですね。

 水産業の話になると私も言わなきゃいけなくなっちゃうんだけれども、水産でもそうなんです。要するに、もう風評被害でいっぱいですよ。海外の方が原子力に対しての意識が何か変に高くなっちゃって、ここぞとばかりに日本の水産品は買わないという話になっちゃうんですね。漁業をやっても、とりに行っても、要するに売れない状況なんですよ。ということは、とりに行けないというのと一緒なんですね。

 だから、これはやはり流す前に考えてもらわなきゃいけなかったんですよ。それを大臣が知らなかったというのはちょっと問題だし、何を慌ててああいうふうにしたのかちょっとよくわからない、気持ちはわからぬじゃありませんけれども。海というのは大きいですから、少し洗えば何とかなっちゃうのかなと思ったのかもしれませんけれども。でも、そうじゃないでしょう。普通だったらそこで逡巡するべきですよ。担当大臣と話をしないというのはおかしい。やはり大臣をうまく使っていないというのは事実。

 一つだけアドバイスしておきますと、いろいろな数字が出てくるじゃないですか、何とかシーベルトとか。要するに、ただ数字だけが走り回っていて、一体人体にどういう影響があってどうなのかという説明が全くないんですよ。

 昔ありましたよ。例えば、アサリに含まれる水銀の数値が二とかと出てくるんですね、ほかのだと〇・〇幾つとかと出てくるんですけれども。では、人体に影響が出るというのはどういうことなのかというと、どんぶり一杯のアサリを三百六十五日食べて体に影響が出るかどうかわからないというんでしょう。そういう説明の仕方が一切ない。ましてや、官邸で数字ばかり言っちゃう。官邸は政治部の記者しかいないんですから、専門家の記者がいないんだから、その数値だけ書いて、説明部分は全くなしだからな。

 これはやはり、専門の大臣がいるんだから、専門の大臣に言ってもらうのが一番いいと思うので、そこは大臣、ちょっとお伝え願えませんか。僕はそう思います。これからもっと風評被害は広がりますよ。国が責任をとると言ってくれないと、漁師さんたちはなかなか仕事をしなくなるなと思いますので、そこはお願いしたいと思います。

 もう一つ、今度は専門分野。松島基地の水没した戦闘機等々がありますね。この予算化については、ちょっと真剣に考えてもらわないといけないんじゃないんですか。新しい支援戦闘機を入れなきゃいけないというのもあるし、ましてや水につかったF2のいろいろなものがあるわけで、その予算化についてどういうふうに今後考えていくのか、それだけ教えていただけませんか。

小川(勝)副大臣 私の方から御答弁させていただきます。

 御指摘がございましたように、大変残念ながら、教育用の戦闘機F2が十八機、T4が四機、そして救難捜索機U125Aが二機、救難ヘリコプターUH60Jが四機など、多数の装備品が水没いたしました。これを、修理が必要なもの、あるいはまた使えるもの、残念ながらもう使えないものなど、しっかり調査を進めていかなければなりません。また、このような機材の調査には大変時間がかかることも、前大臣御承知のとおりかと存じます。

 鋭意、この後の教育をどうしていくのか、そして、一次補正、二次補正、本予算と予算要求のあり方はさまざまありますけれども、残念ながら、今のところ、方針を明確にここで御答弁申し上げる状況にはございません。しかし、再使用が可能なもの、修理をすれば使えるものなど、しっかりと分析そして調査をいたしまして、所要の措置を講ずることとさせていただいているところでございます。

浜田委員 それで、もう一つ原発に関連して、今自衛官の皆さん方があそこで活動しているわけなんですけれども、やはり放射能を浴びて体に影響が出るといけないので、いわゆる造血幹細胞の事前採取というのがあるらしいんです。要するに、自分の細胞をとっておいて、何か病気が起きたときに血をつくるための、造血のための細胞を保存して、病気が発生したときにそれを入れるというやり方があるそうなんですよ。

 そういう指摘があったんですが、そういったことに対して検討状況はどうなっているのか。一説には、それを保安院の方では必要ないという判断をしたというような話もあるんですが、それについて、お考えがあったら教えてください。

小川(勝)副大臣 省内で担当し、検討させていただきましたので、御答弁をさせていただきたいと存じます。

 お尋ねの造血幹細胞、多分、虎の門病院の先生だと思います。日本造血細胞移植学会の小寺教授という方が大変多くの知見を有しておられるということで、省内の衛生官等、医官に命じまして調査をさせました。

 いろいろと検討をさせていただいたところ、どうも小寺先生が考える被曝量と我が省が考えている隊員の被曝限度量との間に大きな差がある。すなわち、造血幹細胞の移植を必要とするだけの被曝を隊員にはさせないというのが、今のところの防衛省の考え方でございます。これは、線量の管理、そして交代勤務などを行っているということでございます。

 また、さらに今後いろいろな知見も出てくるかもしれませんので、先生からの御指摘でもございますので、政府部内であらゆる形で検討させていただきたいというふうに存じます。

浜田委員 今のお話を聞いて、これからの活動が、もしも浴びる量がふえたら、当然考えなきゃいけないことだと思うので、それもあわせて今後の検討材料としていただきたいと思います。

 そしてまた、今回まだ活動中でありますのであれなんですが、ただ、浮き彫りになってきたことがいっぱいあって、要するに、正規の自衛官だけではなかなか対応ができない。予備自衛官制度の問題だとか病院船の問題だとか、いろいろ課題は見えてきたので、それに対して、やはり今後しっかりと対応していただきたいなというふうな気がいたします。

 今回のことに対して、自然の力というのは、やはり我々人間の想像できない力を発揮するものでありますので、それに対して我々人間がおごってはいけないな、超えられないということを絶対に思いながら、最大限の努力をするという意味では、我々はあらゆる想定、例えば無駄というものはないと思うんです。

 よく言われましたよ。自衛隊がいることが無駄だと言われた時代もありますよ。戦争がないのに何でいるんだと。だけれども、そうじゃないんですね。何があってもいいようにするために存在する、そしてすべての、いろいろなことをシミュレーションすることによって準備ができているんだというのを今回、まさに北澤大臣のもとの防衛省が、十万人態勢でもやれるというところを見せたわけですから、やはりそういった気持ちを常に持つことが重要だと思いますので、これからもたゆまぬ努力をしていただいて信頼関係を築くように、菅総理にもその信頼関係をしっかりつくれるように望んで、私の質問を終わります。

平野委員長 次に、今津寛君。

今津委員 防衛大臣、どうも連日御苦労さまです。ぜひ体に気をつけて頑張ってください。

 松本大臣、司馬遼太郎先生が、坂本竜馬は維新をするために生まれてきたんだ、これは天の意だ、こう言ったんですね。私は、松本大臣もそうだと思うんですよ。天の意を受けて今大臣になったわけですから、自信を持って頑張っていただきたいと申し上げておきたいと思います。

 一つのおにぎりを三人で分けて食べる、あるいは平然と並んで食事の順番を待つ、電気のないところで、ガスのないところで、暖房のないところでもお互い励まし合って、そして自分は毛布をかけなくてもほかの人に譲るとか、こういう光景は、外国からは本当に賞嘆の声で、日本人はすごいなということで褒めたたえられております。連日テレビで流れます、日本の力を信じようというあの言葉を日本国民が実感しながら、今、歯を食いしばって災害に向かっているところです。

 そんな中で、私は、日本人が頑張っている一つの精神的なよりどころに、天皇皇后両陛下あるいは皇室の方々の温かい、優しいお言葉や行動があると思うんです。十六日、ビデオで天皇陛下が国民に対してメッセージを発しましたが、高ぶることなく、一言一言、被災民の方々の御苦労を慰労し、そして自衛隊、それから警察、消防、海上保安庁を初めとする国や地方自治体の人々、外国の方々に対する本当に心からの、危険な状態の中で頑張ってほしいというお言葉。そして、計画停電が始まると同時に、御自身も夕食のときにはろうそくで食事をされる、こういう姿勢が、私たち国民をして頑張らせる一つの心のよりどころになっているのではないかというふうに私は思います。

 そこで、きのうも岩手の方へ行ってきたんですが、物すごい状況で、先週は福島の方へ党の代表で派遣されまして行ってきたんですが、本当に涙しか出ません。人間はつくづく自然の前に弱いものだなと思いますが、しかし、それを克服して、また立ち直っていく。人間は、同時に、大変強いものだなということをしみじみと感じているわけであります。

 私の地元に自衛隊がございまして、きのうも岩手県で地元の自衛隊の方と偶然にお会いをしまして、握手をして、頑張ってくださいと申し上げたんですが、地元で、ある部隊の出しております新聞がございまして、それが送られてきましたので、一、二、紹介をしたいと思います。

 これは「やまぶき」という第四特科群の新聞なんですが、「挨拶と礼儀 これが日本人だ!!」こういうことで、「「自衛隊さん、ありがとう。」「よく北海道から来てくれたね!」「自衛隊さんが作ってくれたおにぎり大きくて美味しかったよ!」等々…甚大な被害と心に大きな痛手を負った被災者の皆さんの口々からは、一様に礼儀正しい挨拶と感謝の言葉が聞かれる。こんな状況の中でも日本人の礼節は何て高いのだろうか…これが日本人なのだ。今まで以上に愛国心を強く持つことができた一日となった。」これは現地の隊員の声がこういうふうに新聞に載っています。「士気旺盛、みんな元気です。被災者の皆さんに美味しい温食を提供するために全力を傾注中。我々は乾パンで十分!「ありがとう」の言葉や私達を拝む人たちの姿に感動!やるしかないです!」

 旭川の第二特科連隊の陸曹長が亡くなりました。派遣をされて二週間ぐらい休みがなくて、お休みをとったときに倒れて亡くなったんです。それから、第九施設大隊八戸に所属する隊員が、一等陸曹ですか、この方も四月の十五日に亡くなりました。大変残念であります。

 それぞれお葬式がされているんですが、現地の幹部の方々は出席していただいて、お参りをしていただいたんですが、これは私は、こういう時期だからこそなおさらなんですが、政務三役、大臣が出られなければ小川副大臣でもいいし、政務官でもいいと思うんですが、やはり現地に行って、できれば大臣のかわりに弔辞を読むとかあるいはお焼香していただくというようなことが、今までの慣例とか、あるいは殉職されたかされていないかとか、そういうことがまだ明確になっていないということなどがあるのかもしれません。しかし、それを超えて行けることなので、それがやはり、御苦労されている隊員の方々、十万人以上派遣されている、そういう隊員の方々の士気を鼓舞することにもなるというふうに思うのですが、行っていただかなかったのは残念だと私は申し上げておきたいというふうに思います。

 そこで、先ほどから先生方のお話の中に出てきているんですが、これは十万人態勢ですね。しかし、後方で通常の任務をされている方々も頑張っているわけです。自民党が常々言っているのは、十分な装備、それから必要な人員を確保すると。それで、今回の大綱あるいは中期防は非常に現実的でない、予算の枠の中で閉じ込められた予算だ、もし政権交代をしたときには我が党は大綱を見直すということを政調会長は明言しているわけですが、どうでしょうか、防衛大臣、今、この際、大臣がつくられた大綱、中期防、やはりこれを見直すというような感じになっていませんでしょうか。

北澤国務大臣 自衛隊の行動について称賛のお言葉をいただいて、ありがとうございました。

 その中で、残念ながら二名の犠牲者が出たということについても今お話がございました。

 これについては誤解のないように申し上げておきたいというふうに思うわけでありますが、私どもとすれば、国民の負託にこたえて懸命に活動する自衛隊員があることを大変誇りに思うと当時に、大変痛ましいことだということで哀悼の意を表してきたわけであります。ただ、自衛隊員は犠牲的な精神を持って任務に当たるということは当然のことでありますが、今回の事例を見ますと、隊員個人だけではなくてその御遺族が、逆にこういう事態だから政務三役の出席は辞退をするというふうにおっしゃっていただいたということもぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 そういう意味で、我々は、その御遺族の意を体して、政務三役はこの任務の遂行のために陣頭指揮をとるということがむしろ犠牲者に対する気持ちのあらわれであるというふうに思って、今回の対応をしたということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 それから、十万人態勢についてでありますが、先ほど浜田委員にもお答えしたとおり、史上初めての大作戦を展開させていただいております。これは、長い自衛隊の歴史の中で始まって以来ではありますけれども、長年にわたって訓練、それからまた日米の連携をしっかりやってきた成果があらわれたというふうに思います。

 そこで、大綱の見直しとか中期防という御意見も委員会等でも出てきておりますが、しかし、我々は今、大勢でこれを見直すとか変更するという考えは持っておらないわけであります。それからまた、自民党さんのお考えはお考えとして私どもも拝聴いたしますが、ただ、打って返しのような言い方で反論するということではないんですが、過去七年、八年の間、定数、実員を削減してきたことも事実なんです。それの歯どめをかけて、今回、この大事態に遭遇したということであります。

 私は、これからこの事態をさらに、今後の自衛隊のあり方についてしっかり検証するために、これは与野党を通じて、自衛隊の定員の問題、装備の問題というのはしっかり議論していきたいというふうに思っています。

今津委員 大臣がこれから議論していきたいと言っていただいたので、私たちもしっかり自分たちの意見を言いたいというふうに思います。

 そこで、これだけ自衛隊の方々が頑張ってくれている。国民は今ほど自衛隊の評価を高め、感謝している、これほどの時期というのは今までもなかったと思うんですね。

 自衛隊についてはいろいろな意見が今まで交わされたのですが、この際、やはり自衛隊を正当に評価するというようなことは、私は大切だというふうに思うんですね。内外ともに、自衛隊の立場というものをきちっと正当に評価した形で位置づけていくというようなことが大切だと思います。すなわち、憲法改正の問題です。

 いろいろ言いたいんですが、時間の関係で全部省略して、これは小泉総理大臣が、「これからも私は、自衛隊というのが将来やはり我が国の平和と独立を守る軍隊であるということが正々堂々と言えるように、将来やはり憲法を改正するというのが望ましいという気持ちを持っておりますが、いまだにその機運にはまだ至っていない。」平成十五年ですから、かなり前、七、八年前の話ですね。私は至ってきたと思うんです、この時期はまだ至っていないという判断ですが。「私は、いずれ、民主主義的な軍隊というのはどうあるべきか、一国の国防というものに対して、独立国としてどのような戦闘組織を持つかという健全な意識が芽生えれば、」今、民主党の先生が指摘したようにと、これは質問に答えているものですから、「事に臨んで身を挺して危険を顧みず任務を遂行するという自衛隊諸君に対して、正当なる名誉と地位を与える機運が盛り上がってくることを期待しております。」と。

 今まさにその機運が盛り上がっている時期だというふうに思うのですが、大臣、こういう機運を受けて、少し前向きに、いろいろな検討を実現してみようではありませんか。どうでしょうか。

北澤国務大臣 今、小泉総理の当時の見解を御披瀝いただいたわけでありますが、過去の歴史を見ましても、小泉政権時代ほど強力な政権はなかったというふうに思います。その強力な政権の中にあってその指揮をとる総理にしても、いまだその機運には至っていないと言わざるを得ない日本国の国情というのは、いみじくも日本の国の国民の意識というものをあらわしておるのではないかというふうに思います。

 それともう一つは、私は、確かに、今ほど国民と自衛隊とが近づいたことは過去にないのではないかというふうに思っております。しかし、そのことに甘えて、戦後六十五年の歴史を議論するという糧にするのではなくて、私は、この事態がおさまった後に冷静に自衛隊というものについての議論はしっかり行うべきで、常時またそういう議論があってしかるべきだ、そのためにもこの安保委員会というものは存在するんだというふうに思っておりまして、ぜひまた、この事態が収束した中で、自衛隊のあり方、それから国防のあり方について冷静な議論を展開させていただきたいと思っています。

今津委員 大臣、この機運に甘えてということじゃなくて、こたえていくというのが我々の務めだというふうに思いますし、武器輸出三原則などを前向きに御提案されていた大臣ですから、私は、この憲法の問題なども、それはすぐにはできないと思いますけれども、しかし、憲法調査会などもございますから、そういうものもあわせて、今こそ取り組むべきだというふうに思うわけです。

 同時に、自衛隊の隊員の方の待遇、評価、名誉ということについてお話をしたいと思うんです。

 これは、四月十四日に産経新聞に出ていた、野口裕之さんという私の尊敬する先輩の「安全保障読本」。いろいろなことが書かれている中で、「自衛官に名誉を授けよ」「現役自衛官を叙勲しない、武人に対する不名誉・無礼が、創隊以来続いてきた国家的怠慢への説明がつかない。」と。

 いろいろ言いたいのですが、それは省いて、一つは勲章なんです。これは七十歳以下にはもらえない。しかし、外国では、軍人に対して勲章を与える。アメリカでもイギリスでもフランスでも与える。それを公式の場所につけてこられる。

 各国の軍人や自衛官が礼装で参加する場において、外国の軍人はいわゆる勲章と呼ばれるメダルを身につけているけれども、自衛官がそのような場で身につけているのは防衛功労章というメダルであり、それは我が国の勲章とは別のものである。ここにつけているものですね。自衛官がその功労を認められ勲章を受章するのは退職後。名誉の観点からは、現職中に勲章や褒章が受章できるように現行の栄典制度が見直されるべきではないのかというのが私の意見です。

 それから、あわせて、時間の関係で申し上げるのですが、認証官。

 平野委員長も、天皇陛下から官房長官のを授与されましたよね。私も副長官のときにいただいたんですが、自衛隊のトップたる統合幕僚長は認証官ではないんですね。これはやはり、一国の独立国として、これだけ御活躍して、しかも国民の尊敬と敬意を一身に受けている自衛隊のトップあるいは幕長クラスはやはり天皇陛下から認証していただくということがあれば、私は、自衛隊の皆さん方が、他の国と同じように、国民の皆さん方から評価をされる、あるいは外国に行っても胸を張って会議に出られるというようなことにつながっていくというふうに思うのですが、大臣、これについてどのように思いますでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 釈迦に説法かもしれませんが、現在の叙勲制度につきましては、昭和三十八年七月の閣議決定に基づいておりまして、国家または公共に対し功労のある者を広く対象としており、自衛官を含む公務員については、その者の職責の重さ、勤務年数などを中心とした全生涯にわたる国家、公共に対する功績を総合的に勘案して叙勲が行われているところであります。

 自衛官の叙勲につきましては、自衛官としての任務に誇りと名誉を感じる上で、また自衛官が国民の尊敬を得る上で重要と考えております。防衛省としては、今後とも、我が国の防衛のため身命を賭して任務を遂行している自衛官に、その功労にふさわしい叙勲がなされるよう努力してまいりたいと考えております。

 それから、認証官の件でありますけれども、現在、認証官となっているのは、大臣、副大臣等各府省庁の組織を代表する職にある者、さらには最高裁判事のように司法関係の職にある者、それから公正取引委員会の委員長のように両議院の同意を得て任命される者、さらには宮内庁長官のように皇室関係の職にある者、そして大使、公使など日本政府の代表としての職にある者に大きく分類されると考えております。

 統幕長を認証官とすることについては、先ほど申し上げた、現在の認証官となっている職種に当てはまらないと考えられることから、今後どのような職が認証官とされるのかの推移を見つつ、統幕長の認証のあり方について検討していくべきものと考えております。

今津委員 今まではね。だけれども、先ほど言ったように、これからいろいろと考えてみるべきではないか、実現をしたらどうだというのが私の意見ですし、政府に対する提案です。

 十七日に、福島第一原発の三号機に自衛隊のCH47Jが二機、二回放水しましたね。私もテレビで見ていたんです。あれはだれが考えたことなんでしょうか、発案をされたんでしょうか。どなたが発案をして、どなたが決断し、どなたが命令をしたのでしょうか。そして、その効果はどういうふうに評価をしているんでしょうか。

北澤国務大臣 これにつきましては、使用済みの核燃料の冷却を早急に行うという観点から、経済産業省や東京電力などからの要請を踏まえて、早い段階から、自衛隊ヘリからの水の投下を含めたさまざまなオプションを検討してまいりました。

 実際のヘリからの水投下については、私が、原子力災害対策本部からの報告に基づき、菅総理と相談を行った上、三号機への注水をできる限り速やかに行うべきであるという判断のもと、三月十七日午前に、まず、機動性が高く、速やかに現地に展開できる陸上自衛隊のCH47Jヘリコプターによって行ったわけであります。

 当時は、何をもっていっときも早く冷却すべきかという議論がありまして、消防車あるいは警察の放水車、さまざまなものを検討したわけでありますが、その準備に時間がかかるという中で、一番最初に出動できるものとしてこのヘリコプターが選ばれたわけでありまして、上空の放射線量等を測定する中で、十六日に決断をいたしたわけでありまして、その決断は私が行った。

 これは、当時、新聞等にも大きく出ましたが、水の投下と同時に水蒸気が出てまいりまして、一定の効果があったという判断をいたしました。

今津委員 一定の効果とは、どのぐらいの一定の効果なんですか。効果があれば、次の日からもまたやればいいんじゃないですか。

北澤国務大臣 これはあくまでも専門家の判断でありまして、水による冷却が効果があるということでありまして、その後、放水車あるいは消防自動車等が整備されましたので、より的確に目的に水を投下できるものに順次かえていったということであります。

今津委員 だから、先ほど浜田先生もアサリの例を出して、具体的に国民にわかるように数字で示せと言ったわけですね。効果がある、三十トンの水を放水して、例えばどれぐらいの水がプールに落ちて、そしてそれはどれぐらいの効果があったかということをちょっと具体的に言ってもらわないと、国民はわからないと思いますよ。

北澤国務大臣 当時、一号機から四号機までの間の状況がしっかり把握されておりませんでした。そういう中で、とにかく水による冷却を行えということでありまして、私には正確なことはわかりませんが、あの当時の専門家の意見として、これは保安院の部長が防衛省へ来て我々にその報告をしたわけでありますが、水蒸気があの程度出たということは冷却効果があったということであります。

 その後、我々が今度は温度調査をして、日々の温度を見る中で、水の投入によって温度が保たれる、あるいはまた水の投入が的確にいかなかった場合はそれが上がるというようなことで、日々の数値については公表をしているところであります。

今津委員 大臣も大変だと思うんですよね。なかなか説明しづらいことをしたわけですから。

 その後、警視庁の機動隊の高圧放水車が放水したけれども届かなかったところなんか、国民がテレビで見ているわけですね。その後、自衛隊が、消防車五両が出て五回放水した。十九日から、東京消防庁ハイパーレスキュー隊、石原知事が涙を流してお礼を申し上げたあれです。そして、新聞によると、公明党さんがドイツ製のコンクリートポンプ車について活用を官邸側に提言したが、官邸の方では使うという回答はあったけれども、それを実際に使ったのは二十二日になってからだとか、これは大臣に聞いているわけではなくて、こういうことが書いてあった。

 私は何を言いたいかというと、原子力総合防災訓練というのを実施しているんですね。ずっと毎年やっておりまして、いろいろなことを前提にしてやっているんですけれども、実はこれは、今までやっていた訓練の中でやっていなかったのかなというような感じがするわけですね。想定外だったのか想定内だったのか、これはどうだったんだろうか。もし想定内のことで、毎年こういうことを訓練の中に入れておけば、あたふたすることもないし、手探りでやることもないので。

 今までやっていた総合防災訓練というものは、例えば二十二年は浜岡原子力発電所で、そして二十一年度は東海第二発電所でそれぞれやっているんですが、これは一体どうだったのか。ちょっと保安院の方に説明してもらった方がいいと思うんですね。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 毎年度、防災訓練をこれまで法律に基づいてやってきておりましたけれども、これまでの訓練の前提としているところは、基本的には機器の故障ということでございまして、今回のような形で、電源が長期にわたって途絶して冷却機能が喪失するというような訓練というものはこれまで行ってきておりませんでした。

 今後、今回の事故を検証しまして、防災訓練のあり方も含めて、安全体制、防災体制について検討していく必要があるかと思っております。

今津委員 想定外だったんでしょう。想定はしていたけれども、それに対する訓練をしていなかったということなんでしょう。そして、オフサイトセンターに集まっていろいろやるんだけれども、そのオフサイトセンターも実際使えなくて、県庁に行ったんだよね。これはどこに責任があるんでしょうか、そんなふうになってしまって。

平野委員長 御質問ですか。

今津委員 いやいや、これは私も、こんな事態になって、どこに責任があるんでしょうかねという感じがするわけですね。長年、原子力政策を進めてきた自民党にあるかもしれませんね、そのうちの幾つかは。ただ、現政権ですから。訓練をやっていて、しかし、全然訓練が現実的に対応できなかったというようなことは深い反省ですね。ですから、だれがどうだということよりも、これを教訓にして、やはり一日も早く我々は立ち上がらなきゃならないというふうに思いますね。

 防衛大臣、私はきょう幾つかの提案をさせていただいたんですけれども、実は、自民党政権下で、例えば大綱についてもいろいろと党として提案はするんですが、しかし実際、自民党政府の中でも、現実的にそれが、例えばNSCだとかあるいは武器輸出三原則だとか、いろいろな分野で実現できていないわけですよ。それは、いろいろな問題があってできていなかった。

 私は、武器輸出三原則などに果敢に取り組まれた大臣の姿を見ていると、北澤大臣なら、今の状況をわかっていただいて、そういうもの、私たちがかつてやれなかったことも理解をしてくれて、いろいろと前向きにやってくれるのではないか。そうすると、我々は問題ないわけですから、そこでいろいろな課題が一つずつ解決していって、今後、自衛隊に対する評価も、それから日本の防衛、安全保障に対する考え方も、他の国から見て、本当にしっかりやっているという状況を少しずつつくっていけるのではないかなというふうに、大臣に私は物すごく期待しているんですよ。

 そういう意味で、またいろいろとこれからも議論させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

平野委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 まず冒頭、改めて、このたびの東日本巨大地震・津波の犠牲になられた皆様の御冥福を祈り、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。

 あわせて、今この瞬間に至るまで、被災者の救助、御遺体の捜索あるいは道路の啓開、瓦れきの撤去、水や食料などの物資の輸送、炊き出しなど、被災地と被災者の皆様のために獅子奮迅の働きをしているすべての自衛隊員の皆様に心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 特に、福島県に災害派遣出動中の自衛隊員の皆様は、福島原発事故の影響で被曝の危険とも闘っておられるということで、本当に頭の下がる思いでございます。

 実は、私の地元の米子駐屯地には、陸上自衛隊の第一三旅団第八普通科連隊が駐屯をしています。この第八普通科連隊の豊留司令以下二百数十名の隊員も、三月十五日の午後から福島県いわき市に災害派遣出動をしております。

 自由民主党の災害対策本部事務局のメンバーである私は、四月四日に、同じく事務局のメンバーである加藤勝信衆議院議員と交代でハンドルを握りながら、第八普通科連隊が活動の拠点としているいわきグリーンスタジアムを訪問させていただきました。大変印象的だったのは、現地で最初に豊留司令にお会いしたときに、同司令の頭には放射性物質を遮へいするためのゴーグルが、そして口にはマスクがあったということであります。

 現在、日本じゅうに、自衛隊そしてすべての隊員への称賛と感謝の声があふれていると感じております。私は、我々政治家が、自衛隊及びすべての隊員への敬愛と感謝の念を新たにし、自衛隊との信頼関係を少しでも強化し、自衛隊の士気を少しでも高める努力を惜しむべきではないと改めて強く感じた次第でございます。

 一方で、私、安全保障委員会の委員ではありませんので、ある意味では外から眺めてきたということですけれども、仙谷官房長官当時の暴力装置発言でありますとか、あるいは自衛隊員を縛る事務次官通達、これも大きな問題になったと思いますが、政権交代後、必ずしも、今の政府・与党のやってきたことというのが自衛隊あるいは隊員の士気を高めてきたのか疑問なしとしないところでございます。

 そういったことも踏まえて、大臣にお尋ねをしたいのは、就任後、自衛隊員との信頼関係を強化し、自衛隊員の士気を高めるためにどのようなことを心がけ、どのようなことを行われてきたのか、お話をいただきたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 私としては、防衛省・自衛隊の先頭に立って指揮をとり、その姿勢を隊員に対し明確に示すことが、自衛隊員との信頼関係を強化し、隊員の士気を高める上で極めて重要であるという基本認識をまず持っておるわけであります。

 そこで、大臣に就任以降、今日に至るまで、防衛力のあり方検討や日米同盟関係の強化、そしてまた国際平和協力活動や現在行っている災害派遣活動などについて、私は、国民の負託にこたえるべく先頭に立って指揮をとってきたという自負を持っております。

 また、隊員を直接激励し、みずからの考えを伝えるとともに、現場の隊員の声にも耳を傾けていくことも、自衛隊員との信頼関係を強化し、士気を高めるために極めて重要であるというふうに考えております。これまで、機会をとらえ、稚内から沖縄に至るまで、全国各地の現場の部隊の視察を行ってまいりました。そして、隊員と一緒に食事をしたり、代表の幹部と語り合う中で信頼関係を築いてきたというふうに思っております。

 また、隊員一人一人が任務に誇りを持ち、高い士気と精強性を持って職務に邁進し、国民の信頼にこたえられるよう、今後とも引き続き力を尽くしてまいりたい、このように思っています。

赤澤委員 今のお話で、大臣がかなり意を尽くして士気を高めるための努力をされてきたんだなという意識については私にも伝わってまいります。先頭に立ってというのがどうもキーワードのようで、御自身が先頭に立つということを心がけてこられたと。その上で、本当に指示等がぶれなければ、確かにそれが非常にリーダーシップとして、ついていく自衛隊にとっては大事なことだろうと思いますし、防衛力の増強でありますとか国際貢献、そういったことも力を入れていく。さらには、直接に稚内から沖縄まで足を運んだ、こういうお話であります。

 おっしゃるとおりで、すぐにでもできることは、単純ではあるけれども、常に隊員のことを気にかけること、そしてできる限り現場に足を運ぶこと、さらには、隊員の置かれている状況をつぶさに見て、頭だけではなくて体で理解すること、さらには言葉をかけて激励することではないかと私は思っております。

 そういう意味では、稚内から沖縄まで足を運ばれたということは多とするものでありますし、ぜひそういうものは続けていただきたいんですが、大事なのは、その場で大臣がどういうことを感じられて、どういう点を直していったらいいのか、その辺の気づきについてもきょうちょっと後で幾つか聞かせていただきたいと思います。

 加えて、中長期的には、深い現場の理解に基づいて防衛予算をふやしていく。さらには、自衛隊の戦力や兵たんの充実、予備隊員も含めすべての自衛隊員の処遇の改善を図ることも士気の向上にはつながるというふうに私自身は感じております。そういう意味で、一次補正では千八百九十億円ですか、さらに災害派遣出動は続くということで予算要求されておりますので、その実現には全力を挙げていただきたいと思います。

 ちょっと具体的に、今度伺うのは、東日本大震災ですね。

 我が自由民主党では、これは津波という言葉が入っていた方がいいだろうというので、東日本巨大地震・津波という言い方をしていますけれども、その関係で、災害派遣出動中の自衛隊の活動の拠点を訪れて、隊員の食事や寝袋、さらには装備などを大臣御本人が、あるいは政務三役でも結構でありますけれども、見られたことはありますか。

北澤国務大臣 私は、数度にわたって現地へ行ってまいりまして、隊員が現在食している冷食等も隊員とともに食事をして体験してまいりました。

 その中で、特に感ずることは、これはぜひ御理解をいただきたいと思うんですが、私が二度目に行って松島基地を視察したときに、当時、沖縄の旅団から来ていた部隊が炊き出しをしておりました。もうもうと湯気が上がる中で、いかにも風花が舞うようなまだ寒い中で食事の準備をしておりまして、ようやく隊員も温かい飯が食えるのかと私が視察しながら申し上げましたら、司令が私に、耳に近づけて、いや、これは違うんです、外部に出す食事で、彼らは炊く、つくるだけで、この後、彼らは冷食をまだやっておりますというような事態もしっかり把握をしてまいりました。

 私は、そのことによって、部隊あるいは隊員が、我々は犠牲的精神をもって国民をというようなことを殊さらに表現することは必ずしも適切ではない、むしろ、そのことを黙々とやる精神力こそが大切であると常々申し上げておるわけであります。

 今回のこの大災害に当たって、私は、長年にわたって自民党政権も自衛隊に対してさまざまな訓練あるいはあり方について提言をされてきたことがここにあらわれておるというふうに思って、自衛隊の任務、そしてまた事に当たって冷静に、しかも着実に行動を起こす、そしてまたそのことによって国民との信頼関係が築かれる、そういうことは、与野党を超えて、着々と実績を積み重ねていくことが何より重要であるというふうに思っております。

赤澤委員 連休明けにも、安全保障委員会の被災地の視察というのも予定をされると私理解をいたしますし、これは自衛隊中心に見ていただく。あわせて、大臣も足を運んでおられるようですが、政務三役も、お忙しいとは思いますけれども、都合がつくのであれば、本当に、隊員の食事や、さらには寝袋とか装備を気にしていただきたいと思います。

 では、大臣に伺いたいのは、現時点で、隊員の衣食住、言いかえれば装備、食事、寝場所などは万全であるということについて自信を持って断言できますか。

北澤国務大臣 こういう有事のときに何をもって万全と言うかということはなかなか尺度の難しいところでありまして、私どもとすれば、後方で十分な対応をさせていただいておりますが、実際には、水の中へ入って御遺体の収容をして、そのままぬれた活動着で夜を過ごすという事態も間々あったようであります。そのことをもって、万全であるとかないとかではなくて、それに耐えられるだけの自衛隊というものを築き上げた歴史には敬意を表さなければなりませんし、また一方で、我々とすれば、そういうものが一日でも早く改善されていくように後方支援をしっかりやっていくというのが一番肝心ではないか。

 例えば、メンタルケアの話がよく出ますけれども、遺体収容をして、日にちがたってきますと、収容したものを陸へ上げようとすると、御遺体が崩れるわけでありまして、それがもろにこの中へ入るわけです。その入ったもののままで寝ざるを得ないという現実もありまして、そのことによって、やはり、二日三日とたちますと、精神的にかなり参る隊員もありまして、その辺のケアはしっかりさせていただいておるというふうに思っています。

赤澤委員 一言で万全なというようなお答えでなくて、真摯なお答えをいただいたと思いますが、先ほどから御指摘があるように、四月一日、旭川の第二特科連隊の陸曹長、五十代の方がお亡くなりになり、そしてその二週間後ですか、四月十五日には、八戸の陸上自衛隊第九施設大隊の四十代の隊員が亡くなられている。大変お若いようにも思いますし、私自身は、この二人が死亡されたことについて、このたびの任務が隊員の心身に非常に大きな負担をかけている証左ではないかと思うんです。

 その点について、大臣はどう思われますか。

小川(勝)副大臣 今お気遣いをいただきましたように、今回お亡くなりになられました隊員の死因が大変なストレスあるいはメンタルヘルスの分野からきたかどうかということは、直接の因果関係はございませんけれども、今、隊員の過酷な任務状況について大臣から答弁がありましたとおり、まさに未曾有の筆舌に尽くしがたい隊員の作業がございました。

 今回も、私ども政務三役から、会議の場におきまして再三再四、メンタルヘルスケア、あるいは今委員からも御心配をいただいているとおり、隊員にきちっとした食事は与えられているのか、そして適度な休息はとられているのか、東京からの指示ではございますけれども、こういうふうに毎日の確認の会議で述べさせていただいたところでございます。

 未曾有の事態でございましたけれども、さまざまなメンタルヘルスケア、これはこの概念そのものがまだ発展途上でございまして、委員のお言葉をかりれば、万全かどうかはわかりませんけれども、メンタルヘルスケア、さまざまなカウンセリング、それから指揮官に対する助言、ハンドブックの配付、それから臨床心理士の活用や自衛隊の医官の活用、さまざまなできる限りのことを、今私どもが想定し得る最大のケアをさせていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、大変過酷な勤務であります、そして当初よりも待遇は改善をされております、そしてまた隊員は厳しい任務の中にあっても士気が高い、このことだけは御了解をいただければと思います。

赤澤委員 私もいろいろと地元でも聞くのは、派遣をされたプロのベテランの看護師さんでも、現地から戻ってくるとどうも、PTSDというのですか、本当に放心してしまって、しばらく仕事が手につかないというような状況です。本当に隊員も過酷な状況に置かれていると思うので、ぜひその点、メンタルケアも含めて、万全ということはないという思いで常に気にかけていただくということが本当に大事なことかなと私は思っております。

 その上で、もう一つお伺いをしたいのは、三十キロ圏内に派遣されるすべての隊員が、今、リアルタイムに放射線量を計測できる線量計を渡されていますでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 自衛隊の部隊が原発から三十キロ圏内の地域において活動する場合には、原則として、自隊防護のため、隊員ごとに線量計を装着するほか、行動をともにする部隊ごとに、その指揮官がリアルタイムに累積放射線量を確認することができる部隊用線量計を装着して部隊員の被曝量の管理を行っているところであります。

 現に、三十キロ圏内に立ち入りまして、戻ってきて除染をして、事後的には線量のデータが上がってくるわけですけれども、それにつきましても問題のない水準であるという報告を受けております。

 御指摘のとおり、すべての隊員が、リアルタイムで累積放射線量を確認することができる部隊用線量計を装着しているわけではありませんが、部隊指揮官が部隊用の線量計を装着することによりまして、ともに行動する部隊員の累積放射線量についても把握することができるものであり、隊員の安全確保は十分に図られていると考えております。

赤澤委員 隊員が何人も被曝をするというような事態は極力避けなきゃいけないと思うんですね。

 今の御説明にまさにあったとおり、自衛隊の装備でいうと、これまでは、リアルタイムで放射線量を計測できる線量計については中隊長以上というような説明を一回伺っておりまして、各隊員は、活動の拠点に戻ってより大きな機械に差し込むと累計でどれぐらいということはわかっても、御本人は自分が作業しているところの環境については知りようがない、こういう状況で今活動されているんだと思います。

 重ねて伺いますが、私は、リアルタイムに放射線量を計測できる線量計、今までは、こういった事態が起きるというのをなかなか想定もできない中で一通りの備えをしていたんでしょうけれども、今後、一人一個ということをきちっと考えていくべきではないのかと思いますが、何かそれを考えない理由というのがあるんですか。

松本大臣政務官 これで万全なのかどうか常に気にかけることが大事だというのは、委員の御指摘のとおりだと思っております。

 例えば、もっと放射線量が濃い地域とか、そういうところに入るようになった場合にどうするかというのは、これはまた検討する必要があるのかもしれませんが、現に今、三十キロ圏内に立ち入って、戻ってきて、事後的にではありますけれども、現段階では、各隊員の放射線被曝線量に問題はない、管理されているということであります。指揮官がリアルタイムで計測できる線量計を持って、これは設定をしておけばある一定の線量になれば警報音が鳴るという仕組みになっておりますので、誘導を含めて、適切に管理をされているというふうに考えております。

 もちろん、御指摘のとおり、これからも気にかけていきたいというふうに考えております。

赤澤委員 政務官が今決して口にはされませんけれども、やはりちょっと予算の制約とかいろいろあるのかなと。財政上の制約がなければ、リアルタイムで計測できるものを一人一個持たせたいがということなのかとも思いますが、その辺は、この事態を受けて、今のところ隊員の健康は保たれている、重大事は起きていないということですけれども、将来の備えとして、やはりきちっと検討していただきたいなと思います。

 それから次に、食事の風景というのを私は見せていただいたんですけれども、端的に言って、若い隊員にはとても足りるとは思えない量の食事しか与えられていないと思いました。災害派遣出動中の隊員に満足な食事をしてもらう工夫をぜひ考えていただきたいと思うし、あわせて、ちょっと申し上げておきたいのは、駐屯地であれば、大概駐屯地の中には売店があって、もしおなかがどうしても減ったといえば、栄養補給なんかは隊員が自腹でできるようになっています、国費で支給されなくても。ところが、今回のいわきについては、確認したところ、やはり売店まで行くということはしていない。

 その上で、もう一言申し上げておきたいのは、地元の人たちが物がない中で、ようやくコンビニに物が出てきた、地元の人が買いたい、そういうことでありますから、派遣されている自衛隊員たちは、まかり間違っても町中のコンビニで買い食いなんかはできないわけですよ。それはどういう形で指導されているか、私は確認はしておりませんけれども、間違いなく、隊員は地元のコンビニなんかで買い食いなんかできない。売店もない。与えられた食事は、私は、あれだけの過酷な体を使う任務に十分足りているのかというのは、本当に疑問なしとしないところであって、この点について、何か工夫してもらう余地というのはないんでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 隊員の食事については、一日当たりの栄養摂取量を陸上勤務員では三千三百キロカロリーと定めておりまして、基本食として朝昼夕の三回に分けて支給をしております。災害派遣隊員が携行する非常用糧食もこの基準を満たすものを支給しておりまして、さらに、この基本食に加えまして、基本食を補足し、また栄養を補充するための災害派遣増加食も支給をしているところであります。

 私も、いわゆる非常用糧食、缶飯を食べてみました。二食食べましたけれども、どうしても野菜が不足するとか味つけがちょっと濃かったりとか、飽きてくるという嫌いもあろうかと思います。

 そこで、さっきの増加食ということになっているわけですけれども、非常用糧食等を主として喫食する部隊においては、基準カロリーは支給しているものの、ビタミン等の栄養不足が懸念されたため、増加食に栄養補給ゼリーや野菜・果汁ジュース等を積極的に支給するなど、派遣隊員の健康にも留意した取り組みを実施しているところであります。また、隊員のニーズも踏まえまして、駐屯地等の献立に生野菜や果物を充実させるよう努めております。

 それから、御指摘のとおり、被災地の現場ではなかなか、自分だけがという思いも当然あるということでありますので、そこは、何度かこの委員会でも御答弁しましたけれども、ローテーションというのを組んでおりまして、例えば被災地から離れたところに戦力回復センターを設けて、そこで食事をとってもらうとか、あるいは原隊というか自分の所属部隊に一度中隊単位で戻ってもらって、そのときに家族とも会えますし、そのときに、心置きなくといいますか、栄養補給もしていただけるように、ローテーション等でも工夫をさせていただいているところであります。

 いずれにしましても、今後とも、派遣隊員のニーズも踏まえながら、派遣隊員の健康に留意した食事の支給に努めてまいりたいと考えております。

赤澤委員 今、野菜が足りないとかそういうことを言っていただいたので、私の方から、隊員が何を言っていたかを二つぐらい紹介すると、やはり生野菜が食べたい、口内炎がたくさん出ておる、どうもビタミンが足りていないという隊員がいわきにおいて何人かいました。あわせて、もう一つ聞いたのは、寝袋を寒いから用意しているんだけれども、これは自分たちは自費で用意しているんですよという声もありました。

 その点、さらに細かく聞くことはちょっと時間の関係でいたしませんけれども、とにかく衣食住、装備、食事、寝どころ、寝袋を自腹で買っているなんという話も聞こえてきていましたので、その辺も含めて、先ほどから繰り返し、万全ということはなかなかないということで、隊員が少しでも元気で、食事も十分にとって、睡眠も寒くなく十分とれて、しかも安全な装備で任務に励めるようにぜひ報いてあげたいというふうに思います。

 「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」という服務の宣誓をされて仕事をされているわけですから、全身全霊を挙げて職務に邁進している隊員に、ぜひ、今申し上げたような観点から配慮を特段お願いしておきたいと思います。

 大臣にまたお伺いをしますが、先ほどの死亡した二人の隊員、どのように顕彰し、御遺族をどのように経済的に支えていくおつもりか、伺いたいと思います。

松本大臣政務官 献身的に活動していた隊員が災害派遣中に亡くなったことは極めて残念であります。我々としては最大限の哀悼の意を表したいというふうに思っております。

 それから、どう報いていくかということでありますけれども、四月一日に亡くなられた旭川駐屯地所属の隊員に対しては、その功績に報い、名誉をたたえるため、国家の栄典である勲章が授与されるよう、現在、推薦手続を進めているところであります。また、四月十五日に亡くなられた八戸駐屯地所属の隊員についても、現在、推薦手続に必要な調査を行っているところであります。

 現在、死亡原因等について調査を行っているところでありまして、防衛省としては、調査の結果を総合的に判断しまして適切に対処することとなりますが、仮に公務上の災害と認められた場合には隊員の御遺族に対し遺族補償及び葬祭補償等が、賞じゅつ金授与が決定された場合には賞じゅつ金が支給されるというふうに考えております。また、公務災害に認定された場合には、毎年、自衛隊記念日行事の一環として防衛大臣の主催により内閣総理大臣の出席のもととり行われます自衛隊殉職隊員追悼式において、殉職隊員の功績を長く顕彰することとなると考えております。

赤澤委員 今のお話、勲章は確かに大事なことでありますけれども、公務災害に認定されて二千万から三千万といったようなお金が家族に支給されるかどうかについて尋ねると、通常の任務よりも何か過酷な任務をしていたかどうかを今調査中であります、こういう答えなんですね。

 またこれも財政制約なのかもしれませんが、勲章は上げるけれども経済的に報いるというようなものかどうかはよくわからないというのが現時点でのお答えだったと私は理解をしておりまして、やはりこの点は、今回の災害の特殊性もありますし、ぜひきちっと顕彰をしていただきたいし、御遺族を経済的にも支えていただきたいと思います。

 最後に一言申し上げて終わりますが、我々政治家には、本当に十分な覚悟とリーダーシップが求められて、さらには隊員との信頼関係や士気を上げるための努力がないと、どんなに立派な大綱や計画を策定しても、隊員がどんなに厳しい訓練に耐えても、我が国の独立と平和や国民の安全、安心というのは確保されないと思います。その点について、ぜひ政務三役に、さらに隊員の士気の向上、さらには信頼関係の強化といったことに努めていただきたいと強くお願い申し上げ、あわせて死亡した隊員の顕彰もお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

平野委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 今、自民党の赤澤委員からも、種々細かく今の災害派遣に挑んでいる隊員に対する配慮というものが何点かございましたので、細かい部分は重なりますので割愛をさせていただきますけれども、まずはやはり、今ございましたように、四月一日と四月十五日に、災害派遣の活動に従事している隊員が二人お亡くなりになった、このことに対しては心から哀悼の意を表したいと思います。

 その上で、やはりこういう本当に人の命を救助し、また生活支援する活動に従事している自衛隊員が、もう二度と、これ以上犠牲にならないような配慮というものは当然防衛省として、今までも万全を期してされていると思うんですけれども、しかし、人の命というのは、これほどとうといものはないわけですから、しっかりと対応していただきたい、そのように思うんです。

 前回の当委員会でも答弁がございまして、きょうもございましたけれども、例えばメンタルヘルスケアで、陸上自衛隊では、巡回指導チームというものをつくって宿営地に派遣して、隊員に対するメンタルヘルス教育及びカウンセリングを実施されている、そういうこともございました。また、ハンドブックも提供しているというような話もございました。しかし、それぐらいやっていてもどこかが抜けているんだ、やはりそういう反省に立たないといけないと私は思うんですね。

 だから、今までの対応で何が不十分であったかということもしっかりと検証した上で、派遣隊員に対する、特に精神面以上に肉体面の健康管理、やはり極めて劣悪な環境のもとで任務についてもらっているわけですから、これをしっかりと、今までやっていたつもりだけれども大丈夫なのかと。

 個人の体力次第で物すごく忍耐力に差が出るのに任せるという状況に置くんじゃなくて、ある意味でいったら、一番抵抗力の低い隊員に合わせたようなそういうレベルの健康管理もしっかりとやってもらいたいし、また精神的なメンタルヘルスケアも、今までやっていたもので、なおかつ、やはりストレス等がたまっているんじゃないのかということにもさらにしっかりと配慮した、なお一層のきめ細かな対策をもう一段、今の段階で、この二名の犠牲者が出た段階でしっかりと防衛省として立てるべきである、そのように思うんですが、防衛大臣あるいは政務三役で結構でございますから、見解を伺いたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 まさにおっしゃるとおりでありまして、亡くなられた隊員につきましては、本当に痛ましいことでありますし、謹んで哀悼の意を表したいというふうに思っておりますし、これを繰り返してはならないというのは御指摘のとおりであります。

 今回の被害は極めて甚大でありまして、活動の長期化も予想されます。したがいまして、先ほども御答弁いたしましたとおり、例えば栄養状態を改善していくとか、あるいはローテーションにつきましても、大臣から御指示がありまして、各自衛隊において、現場の現状も踏まえて検討を行い、可能なものから実施をしているところであります。

 派遣地において、例えば生活支援に一日、行方不明者捜索に二日、休養を一日とるとか、それは現場においてということであります。それから、例えば同じ東北地方内であれば、被災地から若干離れたところに戦力回復センターを設けてゆっくりと休養をとらせるとか、あるいは、そもそも原隊、自分の所属部隊まで戻って家族と接する機会を設けるとか、そういったローテーションを創意工夫しまして、肉体的それから精神的なストレスがたまらないように現在創意工夫をしているところであります。

 防衛省・自衛隊としては、先生の御指摘も踏まえまして、今後とも、被災者の安全及び生活の安定に役立つように、派遣隊員のケアにも十分配慮しながら、任務従事後の段階も含めた中長期的観点から、補職、表彰、厚生など総合的な人事施策を推進することで万全を期してまいりたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、神風委員長代理着席〕

佐藤(茂)委員 後の質問にも関連しますが、東電の工程表を見ても、原発の対応でもこれは間違いなくこれからまだ数カ月かかります。なおかつ、被災地の避難所の皆さんの生活支援なんかを考えてもやはり数カ月かかるということで、長期化するという大前提で、その辺の配慮には万全を期してもらいたい、そのように思います。

 もう一つは、前回の委員会のときにも質問が出て、そのときに明確な答えがなかったんですが、諸手当の引き上げでございます。

 三月二十四日には、賞じゅつ金を通常の一・五倍に引き上げると。これは、特に原子力災害に対処する自衛隊員が任務で死亡したり障害が残ったりした場合に支払われる賞じゅつ金については一・五倍に引き上げる。

 その上で、要するに、遺体を扱うような死体処理手当、あるいは遺体は扱わないけれども今回の災害派遣全般にかかわっておられる災害派遣等手当等についても、私は、これだけ過酷な環境の中で長期化してきているんですから、引き上げの配慮は当然必要である、そのように思います。

 特に、諸手当の引き上げというのは部隊の士気にかかわる重要な問題でありますから、政府内で調整されているというのが十六日前のお話でございましたが、諸手当の引き上げはできそうなのかどうなのか、ぜひ防衛省の見解を明確に伺っておきたいと思います。

松本大臣政務官 この点につきましても、委員御指摘のとおりでありまして、まさに、実態を丁寧に把握して現場の労苦を適切に評価することが何より肝要であるというふうに考えております。

 防衛省内においても早急に検討を進め、引き続き関係省庁との協議を行いまして、できるだけ早く、災害派遣等手当及び死体処理手当、二つの手当の増額それから支給範囲の拡大を行うこととしたいと考えておりまして、ぜひ今後とも御指導、御鞭撻、応援いただければというふうに思います。

佐藤(茂)委員 ですから、我々の党もそうですし、自民党さんも前回の委員会で指摘されていましたけれども、我々は大いに応援しますから、ぜひこれは、財政当局等のいろいろな声もあるかもわかりませんけれども、やはり今、自衛隊が災害の初動から前面に立ってこれだけ踏ん張って活動していただいているから命も救われて生活支援も成り立っているという部分をしっかりと政府として配慮してもらうことが私は大事じゃないかと思います。

 次に、三月二十三日に、防衛大臣が第十九回の防衛省災害対策本部会議において、今後の長期的な部隊運用の構想を検討するように指示されました。これは部隊の交代を含む今後の長期的な部隊運用ですね。それを指示されてから、もうきょうが二十一日ですから、ほぼ一カ月たちました。前回は、各自衛隊において、現場の状況を踏まえながら検討を行っているところでありますという答弁でありましたけれども、一カ月たって、一つの見通し、方向性というのはやはり当然出してあげないといけないと思うんですね、部隊にも。

 部隊の交代を含む今後の長期的な部隊運用の構想の検討結果というのはどのようになったのか、ぜひこれは防衛大臣、御答弁いただけたらありがたいと思います。

小川(勝)副大臣 御答弁申し上げます。

 御指摘ございましたとおり、三月二十三日に開催されました第十九回の防衛省災害対策本部会議におきまして、部隊の交代を含む今後の長期的な部隊運用の構想を検討するように大臣から御指示がございました。

 結論から申し上げますと、十・六万人態勢は現在も維持をしているということでございます。そして、先ほど政務官からも答弁がございましたとおり、十・六万人にもいろいろな状況がございます。それは、ローテーション、休息あるいは交代、さまざまな状況にございますし、また、十・六万人の中に含まれます空自、海自の中には、いわゆる航空機、艦船等のメンテナンスというのもございます。そういった事柄もうまく有効に利用しながら、十・六万人を維持しながら、今後、政府からの派遣要請、どういう形で自衛隊の任務を政府として望んでくるのかということも総合的に踏まえまして、大臣の方から、今後どういうふうにしていくという御指示があろうかというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、三月二十三日から今日まで全く何もしてこなかったというわけではございません。いわゆる担当レベルであらゆる想定をし、準備をしているというふうに御理解をいただければと存じます。

佐藤(茂)委員 私も、別に一カ月何もしていないという趣旨で言っているんじゃなくて、ただやはり、話は全然違うんですけれども、原子力発電でも、東電の段階ですけれども、ああいう工程表を示したことによって一つの先の見通しが出たわけですね。

 ですから、自衛隊の皆さんも、当初は、これはもう大変だということで、三月中旬に十万六千人態勢になった。そこから、これが果たしてどこまで続くんだというのは、言うか言わないかは別にしても、我々だってそう思っているわけですから、そこについて一定の見通しというか、工程表的なものはしっかりと示してあげることが上の方の役目ではないかというように思うわけです。

 そこで、防衛省としてぜひ大きく考えてもらいたいのは、今、二正面作戦をされています。その中でも、特に被災地での支援活動のところに相当労力が使われているわけですが、一つは救助や遺体の収容、もう一つは生活支援、これは先ほどからあった炊き出し等を含めて、入浴の支援とか、さまざまな多様化してきた被災者の御希望にこたえる、そういうことがございます。三つ目が物資輸送、これもまだ自衛隊に相当な負担がかかっていると思うんです。その中で、私は、自衛隊が今やっている災害派遣活動の中身をしっかりと仕分けしていってもらいたいなと思うんです。

 何が言いたいのかというと、最初に、自衛隊でなければできないことというものをもう少し厳密に見ていただいて、民間や自治体や警察を初め他の関係省庁、そういうところにしっかりと任せられるものというのは、やはり思い切って話し合いをしてお任せする。初動の段階では、自己完結型の実力組織である自衛隊がほとんど負っていたと思うんですけれども、もう一カ月以上、十万六千人態勢をとってきたんだから、ここはもう思い切って、ここにやってもらいたい、そういうことをやはり防衛大臣あるいは政務三役からしっかりと話をして、譲っていく。そういうことによって、最終的には、先ほどの長期的な態勢というものも見えてくるんじゃないのかなという感じがいたしております。

 というのは、一方では、他地域のことを考えたら、防衛力の空白ということも出てくる、そういう懸念もあるわけですから、そういうことも配慮したときに、自衛隊の今の活動の内容の中身をしっかりと仕分けしていただいて、やはり自衛隊でしかできないというところをしっかりと最終的に防衛省として責任を持つ、そういうことをやった上で、今の態勢を徐々に縮小していく方向で当然考えていくべきであると私は思うんですけれども、防衛省としての考え方を伺っておきたいと思います。

    〔神風委員長代理退席、委員長着席〕

小川(勝)副大臣 先ほどの大臣の御指示を具現化すべく作業中でございますけれども、まさに委員から御指摘のとおりの考え方で、今作業を進めているところでございます。

 御指摘のとおり、最初はさまざまな業務を自衛隊に頼られまして遂行してまいりました。今御指摘がございました基幹物流、輸送の部分も少し少なくなってまいりました。また、ボランティアの方々の活動もふえてまいりました。それから、瓦れきの処理あるいは仮設住宅の建築などという分野には、民間業者も入ってくることになりました。また、原子力災派における福島の部隊には、また別な任務が要請をされようとしてまいりました。

 今委員から御指摘があったように、本当に自衛隊が必要とされる分野に特化して、そしてまた地元の方々に不安を与えない形で、これからの態勢をどう維持していくのか、まさに今検討中でございまして、委員からの御指摘を踏まえて作業を続けてまいりたいというふうに存じます。

北澤国務大臣 まさに委員御指摘のとおりであります。

 ただ、一番心しなければいけないのは、初動の中で、本来自衛隊が引き受けるべきではないと思うようなものについても、これをもし断りますと、被災地の皆さん方の心情に大きな傷をつけるということがよくわかっておりますので、初動のときはすべて引き受けるということでスタートをして、そこから先は、例えば私が、御遺体の最終処理、火葬にするのかどうするのか、それからもっと言えば輸送をどうするのかというようなことは、厚労大臣と会見をして、厚労大臣が手早く課長級を三県に派遣して、民間の業者にまでそれが手当てできるようになったという事例もあります。

 とにかく被災地の皆さん方には、自衛隊が断ったというような思いをさせない、それをしながら引いていくということが極めて重要であるということを今回の体験の中で我々は会得いたしましたので、これを大切にしていきたいと思っています。

佐藤(茂)委員 当然、被災者の皆さんには自衛隊の存在感というのは非常に大きいものになっているというのは間違いないので、そことのバランスはしっかり配慮しながら、しかし、やはり十万人の態勢で臨んでいる自衛隊員のことも考えていただいた上で、極めて賢明な御判断をいただきたいと思います。

 そこで、今回の災害派遣の活動というのは、私は、大きな目で見たときに二つある。一つは、要員の二分の一近い大規模な態勢で、十万六千人を超える態勢でこの災害派遣に挑まれたということ、もう一つは、今回、統合任務部隊を編成されてこの災害派遣に臨まれたということだと思うんですね。

 今回の新防衛大綱でも、前回を踏襲して、自衛隊の態勢の中に統合運用態勢というのがあります。二〇〇六年の三月二十七日にこの統合運用態勢というものに移行しようということで決まってから、五年が経過をいたしました。今回の災害派遣というのは、国内で本格的なこれだけの規模の統合任務部隊の編成というのは初めてだと私は認識しているんですけれども、陸海空三自衛隊の統合任務部隊の運用の評価と課題について現時点でどのように考えておられるのか、ぜひ防衛大臣の見解を伺いたいと思います。

北澤国務大臣 御質問になりましたように、防衛省・自衛隊は、平成十八年三月に、運用に関する防衛大臣の補佐を統合幕僚長に一元化する、いわゆる統合運用を開始いたしたわけであります。それ以降、BMD対処、これは平成二十一年三月でありますが、さらにまた海賊対処、平成二十一年の五月というようなことで、陸海空自衛隊の部隊を一元的に指揮する統合任務部隊を設置いたしまして、統合的な運用に努めてきたわけであります。

 今般の東日本大震災に対しては、三月十四日に、陸自東北方面総監を指揮官として、陸海空自衛隊の部隊等によって構成される統合任務部隊を編成して、十万人の態勢で被災者の捜索、救助その他をその指揮のもとで行ってきたわけでありまして、私も、その任命に当たっては、現地へ赴いて指示をしてきたわけであります。

 この評価についてでありますが、現在進行中でもありますので、新しい統合運用というものをスタートさせて十万人態勢でやるというのは初めてのことでありまして、私は、今この態勢を整えておいていただいたおかげで非常によく運用されているというふうに認識しておりますが、評価については、もうしばらくたってから正確なものを表明させていただきたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 それでは、全く話は違うんですが、今、第一次補正の内容の検討がされているというように伺っているんですね。

 自衛隊の施設も今回、相当被災をいたしました。その中で、先ほどからありましたように航空自衛隊の松島基地、これは非常に重要だと私は思っているんですね。戦闘機パイロットの養成という大変重要な機能をこの基地は持っているわけでありまして、前回の委員会でも、きょうもありましたけれども、F2が十八機とか、T4四機とか、救難捜索機二機とか、救難ヘリコプター四機とかが水没してしまったということなんです。今、詳細な調査の状況で、要するに、どこまで使えるのか、修理可能なものはあるのか、あるいはどこから使えないのか、そういう調査の状況はどうなっているのかということと、さらに、まだかかるようでしたら、当然、補正予算にこの調査、分析の費用というものも計上して早急に対応していくべきであると考えるんですけれども、防衛省の考え方をお伺いしたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、先般の震災によって生じた津波によりまして、松島基地に所在しておりました教育用の戦闘機F2十八機が水没をしております。これらの再使用の可否、または使用のため必要となる修理等の内容を明らかにするためには、製造修理会社による詳細な調査を経ることが必要であると考えておりまして、現在、詳細な調査に先立ちまして製造修理会社の技術員が現地に入りまして、F2の機体の状況等を確認しているところであります。

 早急な対応が必要ではないかという御指摘も踏まえまして、防衛省としては、自衛隊の任務遂行に支障が生じることのないよう、災害派遣活動等の進捗に伴う各種の所要も踏まえながら、補正予算による措置も含めて必要な対応を行ってまいりたいと考えておりますので、こちらについても、ぜひ応援をよろしくお願いします。

佐藤(茂)委員 今後の防空体制に松島基地の被災というのは大きな影響を及ぼしかねないわけでありまして、松島基地の被災によって、F2が水没してしまったことによって戦闘機パイロットの育成というものが、基地本来の役割は当分果たせないという、今も物資の拠点にもなっているということもあり、何らかの対応策をやはり考えていかないといけないと思うんですけれども、戦闘機パイロットの育成方法について、拠点となっていた松島基地が被災したことについてどのような見直しを行われるのか、防衛省の考え方を伺いたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、戦闘機の操縦課程については、三月十一日の地震発生後、F2の水没により中断をしている状況であります。このため、四月の十二日から、現在教育中の学生、教官、整備員等の合計約四十名を三沢基地の方に移動させまして、三沢基地所在のF2や地上シミュレーター等を使用して教育を実施しているところであります。

 ただ、今般の移動は、現在教育中の者のうち、残りの飛行時間でありますとかシミュレーター教育時間が少ない者に対する応急的な措置であります。三沢基地所在のF2のみでは松島基地で行っていたF2の課程のすべてを行うことはできないことから、以後の教育の実施要領について現在検討しているところであります。

 いずれにしましても、航空自衛隊の任務遂行に支障が生じることのないよう、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。

佐藤(茂)委員 質問通告をしていないんですけれども、外務大臣が来られているので、補正のことで、私は、その財源にODAの当初予算を削減して使われるという考え方は、これはやはり外務省としても当然反対すべきだ、そのように考えているんですね。やはり長い目で国益というものを真剣に政府として考えていってもらいたい、そういうことでございます。

 今回も、この被災に当たって、日本よりも相当貧しい途上国からも御支援をいただくという、申し出がいっぱいございました。全部受けられたかどうかは別にしてですよ。そういうのは、やはり長年、ODAによって、日本の外交力を駆使して、日本の国際社会での存在感というものを強めてきた、やはりそういう蓄積があっての結果ではないかと私は考えておるんですけれども、それが、こういう形で補正予算の財源でカットするというのは、逆に言ったら世界からもやはり注目されているわけですよ。

 だから私は、今世界じゅうから、日本がどういう振る舞いをするのかという注目が集まっているときに、何ぼ補正予算とはいえ、ODAの財源をカットして、今言われているのは五百億ぐらいですか、当初の二割削減よりはちょっと削ったと思うんですけれども、そういうことはもう一回考え直して、財源はODAの削減によらないということを外務省としてもしっかりと主張すべきではないかと思うんですが、通告していなかったので、もしお答えできるのでしたら、お願いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今、佐藤理事もお話をいただいたとおり、私自身も、外務大臣に就任をさせていただいて、また直後に今回の震災が発災をしたわけでありますけれども、改めて、我が国のODAというのは、まさにお金だけではなくて、多くの協力する人々の力も得て、多くの国々に大きな信頼を得るものになっていたということを痛感しているところであります。そしてこれは、他方では、やはり予算の裏打ちが必要なものであるということも事実であります。

 その点で、私自身としても、与党の中での御議論の中から、ODAの削減も財源に充てるべしということが出てきたことは大変残念に思っておりますし、今申し上げたような観点から、ぜひODA予算の意義を御理解いただくように引き続き、この補正のいわば財源議論の中でもしっかりと主張をしてまいりたいと思っております。

 衆議院の外務委員会でも、ODA予算の削減に賛成なのかというような御質問をいただいたときに、私として到底賛成する立場にはないということは明言をさせていただいたところであります。

 他方、反省の一つとしては、与党の中からもそのような声が出てくるということで、ODAの意義を御理解いただく努力をさらに私どもとしてはしなければいけないということを改めて、将来も含めて、今後も努力をしてまいりたいと思います。

 御理解をいただいている先生方の御発言を糧に、また私どももしっかり頑張ってまいりたいと思います。ありがとうございます。

佐藤(茂)委員 もう一点。

 きょう、伴野副大臣をお呼びしたんですけれども、ちょっと質問できないことをお断りさせていただきたい。

 きのう、きょうと各紙に出ておるんですけれども、防衛大臣、五月の七日、八日に沖縄を訪問されるということで調整されているということでございますが、これは実際事実なのかどうかということと、いかなる目的で沖縄に行かれるのかについて、ぜひこの際、明らかにしていただきたい。

 というのは、2プラス2が残念ながら延期になりました。これも、一つには、防衛大臣が、今の時期はなかなか行けないと、訪米に難色を示されたというような報道もあるわけですね。しかし、沖縄に行かれるということは、逆に言うと、しばらく災害に対応していて沖縄のことにかかわれなかったけれども、普天間飛行場の移設問題についても、沖縄の知事初め、やはり何らかの理解を得た上で次の姿勢に臨もう、そういう前提かなということで私は理解しているんですけれども、そういうことも含めて、今回の報道及び何の目的で沖縄に行かれる予定なのか、お聞かせいただければありがたいと思います。

北澤国務大臣 2プラス2につきましては、一部報道で四月の二十九日というふうに言われておりますが、それは特段コンクリートしたわけでも全くないわけであります。しかし、そういう報道もある中で、2プラス2をどの時点で行うかということで、外務大臣、官房長官、それからさらには総理も加わって協議をいたしたことは事実であります。

 その中で、報道されておりますように、ことしの前半ということでありますから、その期限は六月末だというふうに定めれば、それまでには総理が訪米をして日米首脳会談を行う、その前提としての2プラス2をどうするかということでありますが、国会の状況等も勘案して、それともう一つ大きなのは原発の問題があったわけでありますが、この連休のところで、一連のそういう報道を見ながら、一方でまた沖縄にとっては、政策協議会というものが内閣の中にありますので、御懸念もいろいろあろうかというふうに思いますから、もろもろの問題を御説明に上がりたい、そういう気持ちで今調整に入っております。

佐藤(茂)委員 松本外務大臣は覚えておられるかもわかりませんが、まだ大臣が期数浅いときに、私は一緒にアメリカに行ったことがありまして、あのホワイトハウスの周りを一緒に散策して、どこまで行ったか、場所がわからぬようになって、最後にタクシーに乗って一緒にホテルに戻ったということがございました。

 きょうは、質問を入れていてできませんでしたけれども、今回、トモダチ作戦で、米軍を中心にアメリカも大変な協力を、本来、日米安全保障条約の義務にないものですけれども、災害対応として同盟国としてやっていただいているわけでありまして、その中で、日米同盟というのが災害にかこつけてないがしろになるというようなことだけはやはり私はよくないと思う、両国関係に。

 だから、今回いただいたそういう日米協力での災害対応も踏まえながら、そういう実績が日米同盟の深化にしっかりと結びつくような、そういう外交防衛のこれからの努力を政府にお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

平野委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、米軍犯罪の問題について聞きます。

 日米地位協定第十七条は、米兵による公務中の犯罪については米側が第一次裁判権を有することを定めています。このもとで、被告米兵にどのような処分がなされているか、最近の事例について聞いていきます。

 昨年の九月、岩国基地所属の米軍属が、道路横断中の当時六十六歳の男性、恩田さんをはね、死亡させました。二〇〇八年八月には、うるま市内で、米海軍兵が運転する乗用車が、対向車線に進入し、当時三十八歳の男性が運転するオートバイに正面衝突し、死亡させました。

 まず外務省に聞きますが、このいずれの事案も、米側が第一次裁判権を行使しております。米側においてどのような処分がなされたのか、説明していただきたいと思います。

梅本政府参考人 ただいま委員御指摘のように、地位協定、それからそのもとでの日米合同委員会の合意によりまして、一次裁判権の問題について調整がなされているわけでございます。

 そして、日米合同委員会の合意によりますと、米軍人または軍属に対して米側にて裁判が行われた場合の裁判の最終の結果は、日米合同委員会を通じて我が国政府に通報されることになっております。

 二〇〇八年八月にうるま市で交通死亡事故が起きておりますけれども、この米軍人につきましては、米側が一次裁判権を有するということでございますが、米側の処分の結果については、現時点までには、日米合同委員会を通じた通報は行われておりません。したがって、承知をしていないところでございます。赤嶺委員の質問通告を受けまして米側に照会をしているところでございますが、残念ながら、現時点ではまだ回答は得られていないということでございます。

 二〇一〇年九月の岩国市の方の件でございますが、この米軍属につきましては、米側は、自動車を運転する権利を通勤時を除き四カ月間制限するとともに、運転安全講習の履修を義務づけるという懲戒処分を下したというふうに承知をしておりまして、この結果につきましては、米側により公表もされておりますし、また御遺族にも伝達されたというふうに承知をしております。

赤嶺委員 第一次裁判権を持っている米側が、その処分について、通報の義務がありながら、まだ何の通報もない。岩国については、裁判ではなくて懲戒ということで、四カ月の運転禁止ということなわけです。

 外務大臣、男性をはね、そして死亡させておきながら四カ月の運転禁止というのは極めて甘い処分だと思いますが、外務大臣の認識はいかがですか。

松本(剛)国務大臣 人の命が失われるということは大変重いことであるということは、私もそのように思います。

 我が国においても、残念ながら、交通事故において亡くなられる方があって、それぞれ、我が国の法律に基づいて手続をとられることもあるというふうに考えますが、個別具体の事案があるかと思いますので、一つ一つの事案について軽重を私がここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますので、今の個別の事案について、重い、軽い、甘いというようなことは、私からのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 第一次裁判権を米側が持ち、裁判はせずに、懲戒処分として四カ月の運転禁止。これは日米外交のかなめの問題ですよ。日本の国内で起きている交通事故それぞれについて裁判が行われて処分が出されたということとは全く別のやり方でやっている。それについて言及しないというのは、私は、外務大臣、おかしいと思います。

 最近も悲惨な事案が起きています。ことし一月、沖縄市内で、米軍属の運転する普通自動車が、中央線を越え、北中城村出身の当時十九歳の男性、與儀さんの軽自動車に正面衝突し、死亡させました。與儀さんは、成人式に出席するため、勤務先の愛知県から一年ぶりに帰省し、事故に遭いました。

 法務省に聞きます。

 検察は、三月二十四日付で、公務中であることを理由に不起訴処分にいたしました。具体的に、公務中と判断した根拠は何ですか。説明していただけますか。

甲斐政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、県警から事件の送致を受けまして、那覇地検の方で捜査をしておりましたけれども、米側から公務証明書が提出されました。また、それだけではございませんで、那覇地検においても所要の裏づけ捜査をした結果、この被疑者につきましては、職場から自宅に帰宅する途中の事故であったということが認められましたので、公務中の犯罪というふうに判断されたものと承知をいたしております。

赤嶺委員 米側が公務中でしたという証明書を発行しました、タイムカードを見ると十分前に基地を出ていました、これで公務が証明されたのかと母親は怒っているわけですね。問いたださなかったのか。例えば日米合同委員会合意の中でも、帰宅途中にどこかに立ち寄った事実はないのかとか、あるいは飲酒検知の結果はどうだったのか、具体的に公務であるという証明を、納得がいくような説明が必要じゃないですか。いかがですか。

甲斐政府参考人 事件につきましては、個別の案件でございますので証拠関係については差し控えさせていただきたいと思いますが、御遺族の方には、地検の方から、認定の理由等を御説明させていただいているところであると思っております。

 公務中かどうかという点につきましては、先生おっしゃるように、公務証明が出されたというだけでそれをそのまま認定するというだけではなくて、所要の裏づけ捜査を行うということをしておりまして、そういった証拠を見る限りにおいて、公務中であるということを否定するには至らないということであろうかと思います。

赤嶺委員 報道によりますと、母親の質問に対して、飲酒検知はしていなかったという報道もありますが、それは事実ですか。

甲斐政府参考人 個別の証拠関係については差し控えさせていただきたいと思いますが、本件につきましては、飲酒の上での交通事故というふうには見ていなかったと承知をいたしております。

赤嶺委員 検知をしたかどうかを聞いているわけです。

 與儀さんのお母さんは、日本に住んでいる外国人が日本で起こした事故なのに、一人の命を奪っておいて、なぜ日本の裁判で罪に問えないのか、この国は日本人ではなく外国人を守るのか、このように訴えております。

 日本政府は、こうした被害者の声を正面から受けとめて、たとえ公務中であれ公務外であれ、日本国内で起きた米兵犯罪については日本側が裁くという立場に立つべきだと思いますが、外務大臣、どういう認識ですか。

松本(剛)国務大臣 御遺族のお気持ちは察して余りあるものがあるというふうに私どもも考えております。

 その上で、日米安全保障条約、そしてそれに基づく在日米軍の活動に関する地位協定という、いわば我が国と米国との間で結ばれた協定に基づいて行われるものであると理解をしておりまして、決して、我が国の国民を守らず外国人のみを守るというような趣旨でこの協定があるというふうには理解をいたしておりません。

赤嶺委員 起こっている事実に照らして、今の外務大臣の答弁というのは極めてとんちんかんです。

 二〇〇八年に犠牲になった、相手の米兵が公務中だといって第一次裁判権をとった、その後どうなったか、結果について通報さえやっていないわけですね。これでどうやって被害者が、自分たちの家族の加害者は公正に裁かれた、こんな受けとめができるんですか。できようがないじゃないですか。第一次裁判、公務中であれ公務外であれ、日本の国内で起きた事件は日本の国で裁くというのが公平というものじゃないですか。やはり外務大臣の認識は根本から間違っていますよ。

 私は、この点に関して北米局長に聞きますが、通勤途中の米軍人軍属が飲酒して交通事故を引き起こしても公の催事の場合は公務と認められるという一九五六年の日米合同委員会合意があります。二〇〇九年六月の外務委員会で、私はこの合意を取り上げました。当時、北米局長は、合意は死文化している、アメリカ側と見直しの協議を行っていると述べ、すぐにも見直しが実現するかのような説明をいたしました。

 ところが、先日、沖縄の地元紙の報道で、いまだに日米間で合意に至っていないということがわかりました。なぜ合意に至っていないんですか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この問題につきましては、事実上死文化しておりますし、また社会的通念に合わないということで、私どもの方から、これを見直そうということで、アメリカと協議を行ってきております。また、現に現在も協議をしておるところでございます。

 一般的に、刑事裁判権に係る問題については、アメリカ側においても非常に慎重な手続を要するということもございまして、私どもが当初期待していたようなスピードでは協議は進んでおりませんけれども、私どもとしては、できるだけ精力的に協議をして、できるだけ早く結果を出したいという気持ちで協議をしているところでございます。

赤嶺委員 条文は死文化している、日本の社会通念に合わない、それが残っているということは、米軍の特権を認めているということですよね。すぐにでも改善できるというようなことを北米局長自身が二年前に答弁したわけですよね。それで、アメリカが納得していない。だから、期待していたスピードをもって、いまだに何も変わらない。

 アメリカ側は、社会通念上そぐわないと思っているのか、思っていないのか。やはり催事の際の飲酒は公務であり、そして酒気運転として捕まっても第一次裁判権は米側が持つのは当然だというぐあいに思っているのか、何を考えているのか、何を主張しているから今に至るも合意に至っていないのか、具体的に説明すべきじゃないですか。

梅本政府参考人 お答えいたします。

 ただいま協議をしておりますので、まさに協議をしている途中でその内容等について明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、アメリカ側も、日本側の論点というのはよく理解をしております。したがって、私どもは、引き続き精力的に協議をしていきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 常識的に、全く社会通念にも合わないと言いながら、そして二年間も交渉しながら、何も変わっていない。何も変わっていない一方で、公務中の交通事故はどんどん起きている。その際に、第一次裁判権は米側が持つといって、米側は裁判しているわけじゃないんですね。懲戒処分程度におさめて、そして懲戒処分であれば日本側に通報しなくてもいいような仕組みになっている、地位協定の十七条のこの仕組みというのは、どこから見ても対等、平等な日米関係ではないし、米軍犯罪を裁く公平な仕組みにはなっていないということを強く要求しまして、私の質問を終わります。

平野委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 去る四月十二日、日米両政府が普天間飛行場の全面返還に合意してから満十五年の節目を迎えました。にもかかわらず、いまだに普天間飛行場の返還は実現をしておりません。外務大臣は、この十五年間、普天間飛行場の返還が実現しなかった主たる原因はどこにあるとお考えでしょうか。

松本(剛)国務大臣 御指摘のように、ちょうど今から十五年前の四月、橋本総理とモンデール駐日米国大使が合意をされたということでありまして、そのときに、沖縄県内への移設を行って普天間飛行場を返還するということで合意をしたというふうに私どもとしては承知をしております。

 その後、関係の皆様が移設について御尽力をされてこられました。政府としての抑止力の維持、また、地元の皆様の御理解などを乗り越えて、できるだけ早く移設を実現するということで努めてこられたものと思っておりますが、結果としては、残念ながら現段階で移設が実現をできていないということは、今御指摘のとおりであります。

 私どもとしては、しっかりと昨年五月の合意を着実に実施できるように努力していきたい、このように考えておりまして、そのために、御理解をいただけるように、また誠心誠意努力をしていきたい、こう考えております。

照屋委員 私は、実現しなかった原因を聞いたわけですが、この狭い小さな沖縄に移設先を求める、それが原因だったんだ、このように私は思っております。

 さて、二〇〇六年五月に日米合意した米軍再編協議を主導したアメリカのラムズフェルド前国防長官が、四月十一日までに応じた沖縄タイムスの単独記者会見で、普天間飛行場返還が進まないのは日本政府に責任があるということを強く示唆しました。さらに、沖縄が望む県外移設については、日本が決めることである、こういう認識を示しておりますが、外務大臣はラムズフェルド氏の認識をどのように受けとめましたか。

松本(剛)国務大臣 先ほど申し上げたように、十五年間、移設に向けて多くの方が御尽力をされてこられたということでありますが、今御指摘のありましたラムズフェルド長官も、おっしゃったように、この十五年間の中の関係者のお一人であるということは委員もよく御案内のとおりだろうというふうに思っております。

 今御指摘の記事は、私も拝見をさせていただきましたけれども、私、外務大臣としては、ラムズフェルド元長官、既に引かれた後の立場での御発言でありますので、政府の外務大臣の立場からコメントするということは差し控えさせていただけたら、このように思っております。

照屋委員 北澤防衛大臣はどうお考えでしょうか。

北澤国務大臣 十五年というものは非常に長い歳月であります。参議院の外交防衛委員会でも御答弁申し上げたところでありますが、確かに、橋本総理とモンデール大使との間で、普天間を返還する、こういうことが決まったわけでありますが、あのときに、では移設先はどこであるかというようなことは明らかにしないで決定をしたということから、長い歳月がかかったということは一つの理由だと思います。

 それとまた、このラムズフェルド元長官のインタビューの記事は、私も新聞で拝見しただけでありますが、日本政府に責任がある、こう言っているのは、この記事を見ますと、日米では既に合意ができている、ですから、日米の間ではもう決定事項だ、それを沖縄との関係の中で解決するのは日本の責任だと。いわゆる日米の間でのことを言っておるのでありまして、沖縄も含めた中での日本政府の責任だと言っているわけではなくて、日米間においては問題が解決済みだという大前提の中で言っておるんだというふうに、この記事を見ながら感じたところであります。

照屋委員 去る四月の十二日に、女性団体と普天間基地爆音訴訟団のメンバーが、普天間飛行場周辺で、約五十メートルの高さまで風船を上げました。同飛行場の返還が遅々として進まないことへの抗議の意思表明であります。

 この件と関連して、去る四月十九日の参議院外交防衛委員会における我が党の山内徳信議員の質問に、北澤大臣は、航空機が発着する中で風船を上げるということは極めて危険な行為であるわけでありまして、お話しのように、米軍の飛行場は法律の規制にはかかっておりません、一方で、不祥事態が起きれば、国内法に基づいて処罰の道もあるとの趣旨の答弁をしております。

 私は、議事録を読んでびっくりいたしました。北澤大臣が言う不祥事態とは、具体的にどのような状況を想定しておられるのか、その場合、国内法のどの法律が適用され、いかなる罪名で処罰をされるのか、お答えください。

北澤国務大臣 山内徳信議員の質問に答えたわけでありますが、今お話のありましたように、飛行場周辺における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為ということでは、米軍飛行場は確かにその適用外でありますが、もし航空機に接触をしたりして航空機の運航に害を与えたというようなことになれば、一般論として、刑法第二百三十四条の威力業務妨害等が適用されるであろうという見通しについて申し上げた次第であります。

照屋委員 私は、刑法二百三十四条の威力業務妨害罪の構成要件には該当しないと思います。

 法律論争は後でやりますけれども、要するに、風船を掲揚するというやむを得ない抗議の意思表示、それは憲法で保障された表現の自由もありましょう。問題は、普天間基地の危険性を放置してきた日米両政府に対する市民の皆さんの怒りの表明、意思表示なんです。私は、そのこともしかと大臣にはお含みをいただきたい。

 同時に、安保の利益と負担の調整の問題、これが沖縄の基地問題の大きな根っこである、一方的に沖縄に負担を強いておる、これが非常に沖縄の基地問題を難しくしておるということをぜひおわかりいただきたい、このように思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

平野委員長 次に、第百七十四回国会、内閣提出、参議院送付、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案は、前国会、本院において原案のとおり可決いたしましたが、参議院において継続審査となり、このほど原案のとおり可決の上本院に送付されたものであります。

 したがいまして、その趣旨につきましては既に御承知のことと存じますので、この際、趣旨の説明を省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平野委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百七十四回国会、内閣提出、参議院送付、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

平野委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 東日本大震災における自衛隊の活動状況等の実情調査のため、宮城県に委員を派遣することとし、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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