衆議院

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第2号 平成23年10月25日(火曜日)

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平成二十三年十月二十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 神山 洋介君 理事 川島智太郎君

   理事 楠田 大蔵君 理事 宮島 大典君

   理事 渡辺浩一郎君 理事 今津  寛君

   理事 岩屋  毅君 理事 東  順治君

      小原  舞君    金子 健一君

      近藤 和也君    下条 みつ君

      神風 英男君    高橋 昭一君

      玉城デニー君    中野渡詔子君

      長島 一由君    萩原  仁君

      福嶋健一郎君    松宮  勲君

      向山 好一君    山崎  誠君

      渡辺  周君    渡辺 義彦君

      江渡 聡徳君    大野 功統君

      木村 太郎君    武田 良太君

      中谷  元君    馳   浩君

      浜田 靖一君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         玄葉光一郎君

   防衛大臣         一川 保夫君

   内閣府副大臣       石田 勝之君

   外務副大臣        山口  壯君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   防衛大臣政務官      下条 みつ君

   防衛大臣政務官      神風 英男君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 神山 憲一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   金澤 博範君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十五日

 辞任         補欠選任

  浅野 貴博君     金子 健一君

  高橋 昭一君     中野渡詔子君

  橘  秀徳君     山崎  誠君

  松宮  勲君     近藤 和也君

  浜田 靖一君     馳   浩君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     浅野 貴博君

  近藤 和也君     向山 好一君

  中野渡詔子君     高橋 昭一君

  山崎  誠君     長島 一由君

  馳   浩君     浜田 靖一君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 一由君     橘  秀徳君

  向山 好一君     松宮  勲君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官神山憲一君及び防衛省大臣官房長金澤博範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山委員 おはようございます。

 一川大臣、玄葉大臣、またきょうは両省から政務三役の方々にもお越しをいただいております。ありがとうございます。記念すべきこの委員会での初質問に立たせていただきまして、ありがとうございます。

 まず、質問に入らせていただく前にですが、今回の三月十一日に発生をした震災対応の中で、自衛隊の皆様方には本当によくやっていただいたというより、今なおですが、よくやっていただいていて本当に感謝をしているということをお伝えさせていただきたいと思います。

 私も何度も被災地に入らせていただいて、被災者の方々ともお話をさせていただいたり現地を見させていただく中で、やはりいろいろな声があった中で、自衛隊の方々に本当に感謝をしているというお話は被災者の方々からもいただいて、それをぜひ伝えていただきたいというお話もありましたし、私自身も、直接、さまざまな活動に従事をしていただいている各部隊の方々を見させていただく中で、本当にこれは被災者の方々のためになっているということを痛感させていただきました。

 ここでありがとうございますと感謝を申し述べるだけで本当にいいかといえば、やはりそれだけではなくて、だからこそ、この国の安全保障の政策をもっときちっとレベルアップしていくという形で私も参画をしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 きょうは、主にですが、昨年の末に閣議決定をされた防衛大綱であるとかまた中期防、これに関連をして御質問させていただきたいと思っておりますが、まずその前段に、少しそれとは違いますが、きょう、両大臣、夕方にパネッタ国防長官と会談をされるというふうに伺っております。野田総理とも会談をされるというふうに伺っております。

 今のこの日本の周辺環境を考えると、それは朝鮮半島の話であり、中国の話であり、またロシアの話でありという近隣の話、また世界全体の中でもアフリカを初めとしたいろいろな地域秩序が変化をしているという中ですから、極めて重要な会談になろうかと思いますが、やはりその中で一つ注目をされるのは、どうしても沖縄、普天間の話ではないかなと思っております。

 御就任をされて以来、沖縄にも何度も訪問をされて、知事を初めとして関係者ともいろいろな意見を交わされて、そしてまたきょうがあり、また今後の普天間問題への取り組みがあろうかというふうに承知をしているところでありますが、まず、先般沖縄を訪問されての、この普天間問題に関しての現状をどう認識されているかという部分と、きょうの会談を含めてではありますが、今後どういう形で臨んでいかれようとしているのかという御決意をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

一川国務大臣 おはようございます。

 神山先生も初質問で、私も初答弁でございますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、先ほど、三・一一の東日本大震災の折の自衛隊の活動に対して大変温かい評価、また高い評価をしていただきましたことに対して心から感謝を申し上げたいと思いますし、また自衛隊も、十万人体制という中で大変な活躍をしたわけでございますが、一方で、またいろいろな教訓も得ているというふうに思っておりますので、そういう教訓をしっかりと、これからの自衛隊のいろいろな活動に生かしていきたいというふうに思っておるところでございます。

 さて、今お話しのように、本日夕刻、アメリカのパネッタ国防長官と会談するということに予定いたしております。そういう中では当然いろいろな話題が出るわけですが、私は、この日米関係、日米同盟関係というのは、当然ながら、日米、我々の安全保障の基軸をなすものであるという一つのしっかりとした確信の中で、これからの新しい時代に向けての日米はどうあるべきかということについて、国防長官と私なりにまたしっかりとそのあたりを確認しながら確かめていきたいなというふうに思っているところでございます。

 また、沖縄における普天間飛行場の移転問題にかかわる問題は、先般も、十七日だったと思いますが、私は沖縄県を訪問して、知事さんを初め名護市長さん、それから経済界の皆さん方とか、いろいろな関係する方々と時間の許す限りお会いをして、いろいろなお話、意見交換をさせていただきました。

 しかし、この普天間移転問題は、沖縄県においては大変厳しいいろいろな見方をされておりますので、なかなか簡単に、物事が方向づけをしてそれが決着するという形はちょっと今の段階では見えてこない格好ではあります。私はやはり、これまで、長年この普天間移転問題というのは議論をされ、我が政党に政権が移ってからもいろいろな紆余曲折はありましたけれども、今回のああいう位置で普天間飛行場を移転するということが日米の2プラス2の会合の中でことしの六月、再確認をされておりますので、その内容に即してしっかりと責任を持って対応してまいりたいという決意でございます。そういうことも本日の会談の中でも話題になろうかと思いますけれども、私なりにしっかりと責任のある対応をしてまいりたい、そのように考えております。

 以上です。

玄葉国務大臣 沖縄及びパネッタ長官との会談についての問いだというふうに思います。

 パネッタ長官との会談は、やはり厳しい安保環境を踏まえて、残念ながら、ありとあらゆる事態に我が国の自衛隊のみで対処できるという状況にないわけでありますから、日米同盟、その在日米軍のプレゼンスというものの重要性というものをしっかりと確認しなきゃいけない。

 同時に、沖縄については、私もかつて外務部会長を三年くらいやっていたときがありましたけれども、そのときに頻繁に沖縄を訪問しましたが、改めて、外務大臣になって先般伺ったときの状況を率直にパネッタ長官にもお伝えしようというふうに思っています。同時に、沖縄の負担軽減についても率直に申し上げる。

 ただ、同時に、やはり抑止力の維持というのは大切なことでございますので、日米双方とも厳しい財政状況にあるわけでありますけれども、そういった抑止力がしっかり確保されるということの大切さについても改めて確認をしたいというふうに考えております。

神山委員 ありがとうございます。

 両大臣から、くしくもですが、厳しいという言葉が二つ並びました。それは、沖縄、普天間問題、この問題そのものの性質としての厳しさというところもあろうかと思います。

 今、日本を取り巻く環境の厳しさというところもあり、さまざまな厳しさというものをどう乗り越えていくかという観点においては、一川大臣、玄葉大臣、お二人にはぜひこの国のために、国益のために頑張っていただきたいというふうに思いますし、やはり、今、玄葉大臣からもお話がありましたが、アメリカとの関係をきちっと深化させていくというのは極めて大事なことだと私は思っております。

 その意味で、政策的なところも当然ではあるんですが、やはり個人と個人のつながり、関係性という人間関係のようなものを高めていくというのは、やはり外交であり、防衛政策のベースとしても大事なことだと思っておりますので、ぜひそういった方向で御尽力をいただきたいということをお願いします。

玄葉国務大臣 パネッタ長官との会談ですけれども、私は、どうも最近の日米関係が米軍再編にばかり焦点が当たっているというふうに思っていまして、やはりもっと幅広く、安保の協力、防衛の協力、具体的に言うと、例えば、計画の話であるとか、ミサイル防衛の話であるとか、拡大抑止の話であるとか、宇宙、サイバーの話であるとか、やはりそういったことも私としては提起をしてしっかりと話し合いたい、そう考えております。

神山委員 ありがとうございます。

 全くおっしゃるとおりだと思います。もちろん、基地問題というところも大事でありましょうし、今例示としてお話をいただきましたMD、宇宙、サイバーの話、また、さまざまなテロリズムに対しての対処等々というところに対して協力関係をきちっと構築していく、そのベースの信頼関係をつくり込んでいくというそこがやはり大事な作業であろうと思いますので、ぜひその方向での御尽力を改めてお願い申し上げます。

 さて、冒頭申し上げましたが、きょう、残すところあとまだ二十五分ほどありますけれども、この中で、大綱なり中期防に関連をしてのお話をさせていただきたいと思います。

 中身の話に入る前にということなんですが、まず、この大綱、中期防をつくっていくプロセス、形成をしていくプロセスというところについて議論をさせていただきたいと思います。

 昨年の十二月に閣議決定をする前段の中で、いろいろな形で議論が行われました。これは、国会の中でもそうですし、我々、部会の中でも議論をしてきましたし、一般のシンクタンク等々という中からもさまざまな議論が提起をされてきたというプロセスがありました。

 今回の大綱もそうですし、前回の大綱も基本的にはそうかと思いますけれども、いわゆる懇談会方式という方式がとられています。有識者の懇談会、これは主に学者の先生方であるとかビジネス界のリーダーの方々であるとか、そういった方々を中心として有識者の懇談会が設定をされて、その懇談会の中で議論が積み重ねられていって提言が出されて、それを踏まえて、いろいろな形でまた議論が行われて、最終的に安全保障会議で決定をされていくというプロセスがあるわけです。

 これはこれで、やはり広い意味での衆知を集めていくという意味においてはすぐれたプロセスかなとは思うんですが、ただ一方で、今回の新安防懇の報告書の中にも実際に記載がありましたけれども、懇談会方式というところを少し見直す余地があるんじゃないのかという話も幾つかのところでされているというふうに承知をしております。

 例えば、有識者の懇談会で議論をされているときにもあるんですが、やはり防衛なり外交なりのディスカッションをしようとすると、どうしても機密事項、機微に触れる話というのはたくさんあるわけです。守秘義務がかかっていない中で、どこまでそういう情報をもとにして議論をすることが可能なのかというと、やはりこれは限界があろうかと思うわけです。

 ですから、例えば、場合によってはそういったところで守秘義務をかけて、みなし公務員という形になるのかもしれませんが、その上で、きちんとしたシミュレーションを行うであるとか、そういう運用の仕方もあるんじゃないかという話もあります。

 あとは、これはメンバーシップの問題なんですが、一般の有識者の方々も当然いらっしゃっていいと思うんですが、例えばそこに、政務三役の方々であるとか、ある程度の決定権を最終的に持ち得るような方々がもっと早い段階で参画をしていくということも、実は有識者懇談会からの議論の連続性を保っていくという意味においてはすごく検討の余地はあるんじゃないかというふうに思っております。

 今回決められた大綱に関しては、大体十年ぐらいを想定してという形にはなっていますが、これは十年間そのままということはないと思うんですね、これだけの状況の中で。そうすると、何年後かはわかりませんが、五年後なのか、十年になる前の段階でまた見直しをするという局面が来る。そのときになってどういう方式がいいだろうかということを検討するのもいいんですが、やはり今回、一回できた段階で、次に向けてのプロセスを少し検討を始めておく必要はあるんじゃないのかなというふうに私は考えております。

 この有識者懇談会、新安防懇の報告書の中にもそういった記載があったということもありますので、これは今すぐ結論をぱっと出さなきゃいけない話ではありませんけれども、ぜひこのあたりを検討していただきたいと思うんですが、御見解をいただければと思います。

一川国務大臣 今委員の方から指摘された問題は、非常に意義のある、意味のある、そういう指摘だというふうに私自身は思っております。

 防衛大綱、昨年十二月に前の内閣で決めさせていただきましたが、これを十年間このままでいくということでは当然ないわけでございますので、安全保障環境というのは刻々といろいろな変化をしておりますから、そういう面では、しっかりとまた見直すべきタイミングで見直すという問題意識を持ちながら、こういうことに対応する必要があるというふうに私自身も思っております。

 今御指摘がありましたような政治主導という中で、いろいろな守秘義務的なものが必要であれば、そういう状況の中でしっかりとシミュレーションをするというようなことも含めて、やはり戦略的に安全保障の目標をどうやって達成するかということは非常に重要な課題でございます。

 そういう面では、今回の大綱の策定の段階でもいろいろなことを勉強させていただいておりますので、そういう問題意識をしっかりと持ちながら、また、我が国の安全保障をめぐるいろいろな環境というのはいろいろと変化している時代でもございますので、そういうものにしっかりと対応できるような安全保障政策、防衛政策でなければならないというふうに私自身も思っております。

 幅広いいろいろな議論を国会の中でやっていただくのも当然でございますし、また、我々政府の中においてもそういう問題意識を持って不断の検討をしっかりと取り組んでいくということだろうというふうに思っておりますので、しっかりとそういう御指摘を踏まえて取り組んでまいりたい、そのように思っております。

神山委員 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 ちなみに、アメリカは、二〇一〇年にQDRを出しましたが、それの検討プロセスの中でさまざまな作業部会をつくっています。その中でもかなり細かいシミュレーションを行っているというふうに承知をしております。やはりそういったことを、これからの日本の、我が国の防衛大綱をさらにレベルアップさせていくという場合においても、その策定プロセスというところを見直していくというのは大事なことだと思います。

 そのポイントになるのは、やはり秘密の部分、今、秘密保護法制が検討されているというお話もあります。あれは、国家機密を当然守らなきゃいけないわけですけれども、それが漏れることを防ぐというところもそうですし、やはりきちっと情報をわかった上でより深みのある議論をするという部分において大事なことなんじゃないかというふうに私は思うわけです。当委員会あたりも、ある意味では秘密会をすべきじゃないかという議論は今までもずっとあるというふうには承知をしておりますし、そういったこともあわせて、ぜひ今後も御検討いただけたらありがたいというふうに思います。

 これは同じく大綱そのものの中身の話ではないんですが、今回、大綱が見直されました。改めてこれは、そのまま読めばそのとおりなんですが、防衛計画の大綱というふうに書いてあるわけです。防衛計画の大綱は、それはそれでいいんですが、よくよく考えたときに、防衛計画の大綱である限りは、これはやはり防衛省・自衛隊についてどうするかという話であるとか、ある種、狭義の安全保障、軍事面にかなり特化をしているという形になるのは否めないと思うわけです。

 一方で、では今どんなことが必要とされているかということを考えたときに、先ほども少し、サイバーであるとかいろいろなお話がありましたが、必ずしも軍事の領域のみならずという意味において、安全保障をやはりきちっと考えていかなきゃいけないということはもう周知のとおりじゃないかな。そう考えたときに、防衛計画の大綱は、それはそれで必要だと思うんですが、私は、もう一段上の安全保障の戦略というのはきちっとあっていいんじゃないかなというふうに思っております。

 ちなみに、アメリカが全部いいわけじゃありませんが、アメリカでいえば、例えば、大統領がつくる国家安全保障戦略があって、国防長官がつくる国家防衛戦略があって、統合参謀本部議長がつくる、ちょっと名前を忘れましたけれども、またそれは別途あるわけです。段階が分かれているわけです。

 下の部分をどこまで階層をつくればいいか、これはいろいろ議論の余地はあろうかと思いますが、少なくとも、この防衛計画の大綱という、そこの上位の概念というのはやはりあってしかるべきだと私は思っています。これは国家戦略会議という中でやるべきなのか、どういう枠でやるべきなのかというのは、まだ若干検討を要するのかもしれませんが、やはり今のこの時代に、その一段上位の、統括をした、若干古い概念かもしれませんけれども、総合安全保障的な観念の中で安全保障戦略をきちっとつくるということは検討されてしかるべきじゃないかなというふうに私は思っております。

 ぜひこれから、次の防衛大綱をにらみなのか、できれば早い段階の方が私はいいと思うんですが、そのあたりを検討できるように、これは野田内閣としても検討していただきたいし、やはり安全保障の根幹を握っていらっしゃる一川大臣にも前向きに御検討いただきたいなというふうに考えるわけですが、御見解いかがでしょうか。

一川国務大臣 今の御指摘も大変重要なことだ、私もそう思っております。

 こういう狭義な意味の安全保障のみならず、もっと幅広い観点での安全保障全体を、我が国全体の安全保障という観点からもしっかりと議論して、こういった大綱的なものを位置づけしていくということは非常に重要なことだというふうに認識いたしております。

 これからどうするかという具体的なことを今ちょっと説明するあれは持っておりませんけれども、やはりこういったことも国会の中でいろいろと議論をしていただいて、また、それを受けながら、我々政府の中でもそういう問題意識を持って、そういう安全保障の戦略的なことも含めて、国家のあるべき方向ということも踏まえながらしっかりとこれから議論をして、一つの方向が出せればいいなというふうに私も思っております。

神山委員 ありがとうございます。これはすぐに結論を出せる話ではないかもしれませんが、我が国のこれからの安全保障を考えるに当たっては非常に大事な話だと思いますので、ぜひ、引き続き御検討をお願いしたいと思います。

 それに絡んでという具体的な事例にもなるかと思うんですが、若干順番を入れかえますけれども、きょう朝、新聞を見ていましたら、これは産経新聞と朝日新聞に、たまたまかもしれませんけれども、サイバー攻撃云々という話が出ていました。産経の方は、中国の漢字のものに注意してくれというアメリカからの話があったなんという話で、朝日新聞の方は、私も一瞬どきっとしたけれども、多分これは大丈夫だろうと思っていますが、衆議院のシステムがそういうサイバー攻撃に遭っていた、ウイルスに感染をしたというところプラスアルファかもしれませんが、というような記事もありました。

 例えば、このサイバー攻撃、先日、三菱重工もやられた、あとIHIであるとか、いろいろな事例が最近も出て、まだ調査中かと思います。この辺の話を考えたときに、まさにやはり防衛大綱だけでは語れない領域が露出をしてくるんじゃないかなというふうに思うわけです。

 今、このサイバー攻撃に対しては、これは官邸の中で、情報セキュリティ推進会議ですか、そういう形で、各省横断的にという形になってはいるわけですが、この前の三菱重工のあの事件の件以降も出ているのは、やはりそれだけではきちっとグリップし切れてなかったよねということでもありましょうし、本当に今の体制でいいのかということは、かなりスピーディーに考えていかなきゃいけないんじゃないかなという気がしております。

 防衛省から、たしかこれは八月だったと思いますが、今後の「防衛力の実効性向上のための構造改革推進に向けたロードマップ」というのも出されていて、その中にも記載として、サイバー攻撃に対してですが、「政府全体として行う対応に寄与できる態勢の構築も必要である。」ということで、現状の体制のままでいいというふうには考えていないという問題意識は披瀝をされているんじゃないかなと思います。ここはやはりかなり緊急でやらなきゃいけないんじゃないかなと思うわけです。

 一番嫌なのは、例えば電力システムを外部からコントロールするということも理屈上は可能になるわけですし、それを軍事力でカバーするという話ではないんじゃないかな。

 中国にしてもアメリカにしても、もう完全にここは戦略空間として認識をしていて、その中でどう戦ってどう守るかという発想の中でいろいろな戦略を組み立てているし、有名なところでいえば、アメリカはもうサイバー軍を設立したという話であるとか、中国でいえば、もう二十年ぐらい前から、そういった領域でこれから戦っていくんだということを公にしている。やはりこれは、ちょっとおくればせながらかもしれませんが、かなり本腰を入れていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は思っております。

 このサイバー攻撃に関して、これは自衛隊の中でもきちっとこれまでもやられているのはわかるんですが、あくまでもそれは自衛隊の中での指揮命令系統のシステムをいかに守るかということにやはり主眼が置かれていたと思うんです。それはそれで私はいいと思うんですけれども、その部分を超えて、やはり国の安全保障を考えるというときにどうすべきなのか。逆に言えば、防衛省・自衛隊としてどういう形でそこに、この文言にもありますけれども、寄与できるのかという観点の中で、ここは、体制も含めてだと思うんですが、構築をしていくという、そのリーダーシップをぜひ一川大臣にも発揮していただきたいというふうに私は思っております。

 ここはやはり安全保障という観点の中で問題意識を持って、実際に対処をしようと思ったときには、防衛省・自衛隊だけじゃなくていろいろな協力を得なきゃいけないというところだと思いますので、内閣が最終的には調整をしていくという話になるかと思いますので、それをぜひ推進していくというエンジン役を大臣にお願いしたいなというふうに私は考えておりますが、いかがでございましょうか。

一川国務大臣 今御指摘になっているサイバー攻撃に対する対処でございますけれども、実は先般も、政府全体でこの問題はしっかりと取り組もうということで、関係する閣僚を招集されて、官民お互いに連携し合う中で、こういう問題にしっかりと対策を講じながら取り組んでまいりましょうという方向が出されました。

 我々防衛省といたしましても、防衛省内部には、先ほどお話ししましたように、もう既に百五十人ぐらいの体制で自衛隊指揮通信システム隊というものを設置して、防衛省に対するいろいろなサイバー攻撃に対する対処体制というものはつくり上げております。そういうことを踏まえながらも、しっかりと、政府全体のそういう取り組みに防衛省も積極的に対応してまいりたいということで、事務局の方にも防衛省から派遣するということも今検討いたしております。

神山委員 ぜひ力強いお取り組みをよろしくお願いします。

 これは、いろいろな場でお話をしていて、特に役所の方々とお話をしていると、どうしても所管というところが出てきてしまうのはわかるんです。ただ、この所管の議論をしていくと、このサイバー攻撃に対しての対応というのはどうしても、何かほわっとしたもので、一体だれが最終的に責任を持つのか、一体どういうトータルパッケージで対応しているのかという絵がいまだにやはり見えていないんじゃないかなというふうに私は思いますので、ぜひそこは推進をお願いしたいと思います。

 それでは、ちょっと大綱の中身の話にも絡みますが、今回の大綱の中での大きな変化は、やはり今までの基盤的防衛力というところから動的防衛力という方向に戦略のコンセプトを大きく切りかえたというところが最大の変更点だと私は思っております。

 この点について、外務、防衛両省からの御見解を最終的にはいただきたいと思っているわけですが、その前段でいえば、例えば、二〇一〇年にはアメリカがQDRを出していて、その中にも貫かれているような、大きく書かれている話ですが、やはり中国というものを大きく意識しているということは間違いないんだろうと思います。接近拒否、アンチアクセス・エリア・デナイアルですか、接近拒否戦略というのを中国がとってくるという中で、では、これにどういうふうにアメリカとしては対応できるのかということを考えたときに、やはり空と海とを統合していかなきゃいけないという発想ができていて、そこにエアシーバトルなんという、横文字でいろいろ書いてありますけれども、新しいコンセプトが出てきている。

 それを踏まえて、やはり日本としても、南西諸島への配備というのはその一番初期段階の話かもしれませんが、戦略のコンセプトを、今までのような基盤的防衛力という形ではなくて、新しく動的防衛力、いかに部隊を含めた力を、パワーを運用するのかという方向にかじを切ったという理解を私はしています。

 もちろん、これを実際の部隊展開であるとか配備であるとか装備というところまで最終的につくり上げていくというところまでは若干時間を要すると私は思っていますが、アメリカとこれからどうやって、実際のオペレーションも含めて、一緒に現場での運用強化をしていくかというときに、私は、これはかなり大事なところじゃないかなというふうに思うわけです。

 このあたりを、きょうのパネッタ長官との会談の中にも、これに関連をしてという議論はもしかしたらあるのかもしれませんが、両大臣、どういう形で解釈をされていて、どういう御見解を持って、どういう評価をされているのかというところをお伺いできればと思います。

一川国務大臣 では、私の方からちょっとそのことについて総括的な答弁をさせていただきます。

 動的防衛力という言い方というのは今回の大綱の中で使われてきたわけでございまして、我が国の安全保障をめぐるいろいろな状況からして、従来のように、自衛隊の防衛力の存在自体に抑止効果を持たせるような、そういう基盤的な防衛力構想ということではなくて、警戒監視といったもの、平素の活動といったものをしっかりとしながら、迅速にあらゆる事態に対処したいという中で、そういう運用面に重点を置いた対応であろうというふうに私も思います。

 そういう面では、こういう新しい安全保障環境のもとで今後目指すべき方向であろうというふうに認識をいたしております。

 そういう面では、これから我々も防衛省内部において、こういう動的防衛力に対する具体的な対応の仕方ということについては、陸海空、いろいろな面で勉強しながら、それに向けた対応策を早急につくり上げていくということも大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 また、今御指摘の、日米安保条約、日米間で具体的なことに対するいろいろな役割分担、いろいろな運用面についてのお互いの協力関係、そういうものをしっかりと対応すべきじゃないかというのは、御案内のとおりです。本日もパネッタ国防長官との中でどの程度そのことが話題になるかまだちょっと予測しがたい点もありますけれども、私の方からは、できたら、時間があればそういう問題も提起しながら、日米間でそういう問題をしっかりとこれからも議論していくことが非常に重要ではないかということも、問題として取り上げていきたいなというふうに思っているところでございます。

玄葉国務大臣 質問に答える前に、先ほどのサイバーの話はとても重要な指摘だと思っていまして、冒頭、パネッタ長官ともサイバーの話もしたいというのは、そういった趣旨もあるわけです。

 つまり、米国は、サイバー空間のいわゆる国際戦略あるいは作戦戦略というものを持っています。安全保障に限らず、もう既に日本も、実は省庁によっては訓練もしているというふうに承知をしていますけれども、おっしゃるように、非常に緊急性を要するというのと、総合性を要するというふうに思っていまして、この問題について内閣を挙げて取り組むという体制が必要だというふうに思います。

 それと、今御質問の、基盤的防衛力構想から動的防衛力、これは、いわば存在自体が抑止であるという基盤的防衛力構想から、動的、いわば事態にあってはシームレスな対応をする、あるいは平素の活動を常時戦略的かつ継続的に行う、あるいは南西シフトとか、そういった動的な防衛力という構想は、私も昨年末は政調会長でありました、かなり関係閣僚が緊密に、情報の保全の問題がありますから、本当に内々しっかりと検討した上でつくられたものだというふうに私自身も感じております。

 米国との関係でいうと、当然、QDRの見直しというのを常に踏まえていくことが大切であるというふうに思います。先ほどA2ADの話が出ていて、アンチアクセス・エリア・デナイアルと。これは、ただ、特定の国をどうだこうだ、あるいは念頭に置く、そういうことではないというふうに思います。ただし、米国のQDR、今のエアシーバトルという話が少なくともA2ADに対する対策であるということは、多くの人たちが知っている。そういったことの検討、まさに今まだ検討段階でありますから、いわば海と空の統合運用、向上、こういった話については、しっかりその検討状況を見ながら、私たちの安全保障の体制というものを考えていかなきゃいけないというふうに思っています。

神山委員 ありがとうございます。

 時間も残りわずかとなりましたので、最後に一つですが、いわゆる武器輸出三原則の話が出ております。

 FXの選定が、多分、十二月の初旬ぐらいを目がけて今恐らく防衛省内でも行われているんじゃないかなと思います。三機種提案をされていて、どれにするのかというのは、結構大変、結構難しい判断になるんじゃないかなというふうに思います。ただ、いずれの機種に選定をするにしても、結構高価なお買い物になるということだけは間違いがなくて、これはよく言われる話ですが、アメリカですら、もう一国でこういった装備品の開発をできる状況にはないという中で、日本が共同開発に踏み出すためには、どうしてもこの武器輸出三原則の話をある意味では何とかクリアしなければいけないという状況じゃないかなと思います。

 短兵急にこれをぱっと外せばいいんだということを言うつもりもありませんし、どんどん日本が武器を輸出してもうければいいということを言うつもりはさらさらないわけですが、これからのこの国の安全保障をきちっと考えていく、装備品も含めて、または防衛産業も含めてきちっと体制を整えていくという意味においては、この武器輸出三原則を可能な範囲で見直していく必要性は非常にまた高まっているんじゃないかなというふうに私は考えております。

 ぜひここのあたりを、一川大臣、今後恐らくF2、F15の更新という話も入ってくるでしょうし、これは航空機だけじゃなくて、いろいろな、ありとあらゆる装備品にかかわる話だと思いますので、ぜひ前向きに御検討をいただきたいというふうに私は考えております。

 最後にこの一点、御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

一川国務大臣 武器輸出三原則の話題も、最近特に、我々民主党の中でもいろいろと議論されてきておるのは事実でございますし、今日、御案内のとおり、こういった武器の調達にかけて、その装備品が相当いろいろな面でコスト高になってきておるというのは現実でございますし、また、片や、こういった軍事にかかわるような技術レベル、いろいろな面で相当能力が向上してきておるというのも御案内のとおりです。

 そういう面では、国内でそういったものを調達するということに余りこだわり過ぎるという面ではコスト高になってしまう、または、そういう能力向上の流れについていけないのではないかというようなことも含めて、いろいろな御心配がございます。片や、防衛産業という観点で物を見る方もいらっしゃいます。

 そういうことをいろいろと考えますと、幅広い観点で、同盟国間のいろいろな協力体制というものはもう既にある程度スタートしておりますけれども、そういったものをにらみながら、しっかりと武器輸出三原則の見直しを検討するということは意味のあることだというふうに私自身も思っております。

 ただ、我々日本国として、かねてから、平和国家としての一つの理念のもとに世界にそういったことをアピールしてきているのも事実でございますから、そういう原則的な理念というものはやはりしっかりと据えて、今の時代にふさわしい武器輸出三原則の平和的な見直しといいますか、我が国らしい、日本らしい何か見直しのあり方があるのではないかなという感じもいたしますので、そこは大いにまた我々政府の中でも勉強させていただきたい、このように思っております。

神山委員 ありがとうございました。

 非常に課題山積の状況ではあろうかと思います。ぜひ、一川大臣、玄葉大臣、そして両省の政務三役の皆様方にも懸命に御尽力をいただきたいと思いますし、我々もそれを全力でサポートさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 きょうはどうもありがとうございました。以上で終わります。

東委員長 次に、渡辺義彦君。

渡辺(義)委員 おはようございます。渡辺義彦でございます。

 当委員会で初めて質問をさせていただきます。お国言葉が出てお聞き苦しいところがもしやしてあるかもしれませんが、その点、御寛容いただきますように、まずもっておわびを申し上げておきます。

 きょうは、先ほど神山委員からも武器輸出三原則について少し言及されておられましたが、そのことと、竹島を中心に日韓の問題につきまして御質問をさせていただこう、そう思っております。

 その前に一つ、一川大臣の方に御質問をさせていただきます。

 歴史を振り返りますと、外交交渉が発展する近代までは、軍事力を握るということが国内外を問わず権力維持にとって最も重要な点でございました。その後、いろいろな兵器であるとか武器であるとかそういうものが開発され、兵法であるや戦術、戦略等々編み出されて、軍事と政治というものが分離されたというか分業が進んできた、そういう歴史がございます。これがシビリアンコントロールの始まりというか基本であると私は思っております。我が国も、過去の大戦の反省に立って、憲法六十六条には、大臣は文民でなければならない、こう規定されております。

 さて、そこで、一川防衛大臣は、就任直後の記者会見で、安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール、文民統制だと御発言されました。大臣の御認識されておられますシビリアンコントロールの解釈とあわせて、この御発言の御真意をお聞かせいただけたらと思います。

一川国務大臣 ありがとうございます。

 私は、就任当時というか、正確には就任した後の発言じゃないんですけれども、就任直前のことだと思いますが、ですから、報道の中身は、そう正確に伝わってはいないと思います。しかし、素人という言葉を使ったことは間違いありませんので。

 ただ、私自身は、国会議員になってからは、国会議員である以上、こういった安全保障とか外交に関心を持つのは至極当然であるというふうな認識を持っておりました。そういう中にあって、こういった安全保障、防衛にかかわることは、殊さらやはり国民の理解のもとにしっかりと進めるべき政策であるという認識を持っておりました。ですから、常に国民の目線に立って物事を判断し、わかりやすく国民に説明をし、政策を遂行するという立場で防衛大臣という職は務めた方がいいというふうに考えておりましたので、そういう発言になったわけでございます。

 シビリアンコントロールというのは、我が国のこういう制度の中では、当然、民主主義国家はこういう制度を取り入れておりますように、やはり政治がしっかりと前面に出て最終的な決断をしていくということであるわけだし、我が国の総理大臣は自衛隊の最高の指揮監督権を有しているということも法律でうたわれているわけでございます。憲法で総理大臣は文民であるということになっているわけでございますので、そういう面で、私は、このシビリアンコントロールというものは制度的にしっかりと担保されているというふうに思います。

 そういう気持ちで私自身はやっていくということを、一部そういう表現になってしまったということでございますので、御理解をお願い申し上げたいと思っております。

渡辺(義)委員 大臣、ありがとうございます。十分に私自身は理解させていただきました。

 それでは、シビリアンコントロールは、自衛官、制服組の方に当たりますが、自衛官の思想や歴史観までをも統制するものであると大臣はお考えでございますか。

一川国務大臣 私は、自衛官でも当然我が国の国民としての基本的な人権というのは保障されているわけでございますので、本人の表現の自由や思想信条の自由といったものまで規制しているというふうには思っておりません。

 ただ、仕事上、いろいろな面で、文民統制という中でいろいろな政策が動いているという中にあっては、その発言についてはやはり一つの制約があるというふうには認識いたしております。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 それでは、以前のお話になるのですが、当時幕僚長であった方が民間の懸賞論文に応募されて、さきの戦争は侵略戦争ではない云々かんぬんということで御主張されました。これに対してマスコミ等々は、この論文の主義は政府見解と異なっている歴史認識ではないんだろうかということで、現職のトップが言っている範疇というか範囲を明らかに逸脱している政治的な発言で、シビリアンコントロールの根幹を揺るがすというような意見がその当時巻き起こったわけでございます。

 この点についての大臣の御所見を、しつこいようでございますが、お聞かせいただけたらと思います。

一川国務大臣 私は、実は石川県の小松市に在住しておる人間でございまして、今おっしゃった人物は田母神さんという方だと思いますが、前に小松基地の司令もされておりました。彼が論文を出した会社も石川県になじみのある会社でございますけれども、そういう面では、あの人がどういう思想を持っていたかというか考え方を持っていたかというのは大体私も想像しておりますけれども、私自身は、防衛省の中で航空幕僚長という要職にある方が時の政府の憲法の解釈とちょっと異にするような見解を述べられるということは、やはり適当ではないというふうに考えております。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 一川大臣の防衛大臣としてのスタンスというもの、本日はその一端を十分にお聞かせいただいたと私は思います。

 次に、武器輸出三原則の質問の方に移らせていただきます。

 前段でございますが、チュニジア、エジプトに続いて、リビアでも四十二年続きましたカダフィ体制が崩壊しまして、アラブの風と呼ばれる民主化運動がどんどん広がっております。このリビアとエジプトのお隣のスーダンでも内戦が終結して、南スーダンという一つの国が本年独立をいたしました。

 このように、今後、中東また北アフリカ諸国への支援というもの、これから国を立ち上げていくという中、そういった中での支援というものが我が国においてもどんどん議論され、また対応していかなければならないという問題になっていくと私は考えております。

 既に大きな実績として、大きな実績というか貢献に対して高い評価を得ておりますソマリアでの海賊対処であるとかハイチ国際救援隊の活躍ぶりというものは、日本人として本当にうれしい限りのニュースが耳に入ってまいります。ますます我が国の参画を求める声が高まっていく、私はそう思っております。国際平和協力活動、PKOでございますが、こういう積極的な取り組み、対応能力の強化というものがどんどん望まれてまいります。

 そういった中で、関係が深まれば深まるほど、また、こういう支援をしていただきたいという声が高まるほど、武器輸出三原則の問題であるとかPKO参加の五原則の見直しであるとか、そういった問題がもっともっとなされていかなければならない、またそれも早急に対処していかなければならないと私は考えておるわけでございます。

 そこで、質問でございます。

 この武器輸出に関しては、報道がどんどんなされてはおりますが、まずはその内容と、どの程度まで議論が進んでいて、また、いつごろをめどに答えを出していこうというようなスケジュール的なものまで、もしおわかりの部分がございましたら、御答弁いただけたらと思います。

一川国務大臣 武器輸出三原則のお話は先ほどもちょっと触れましたけれども、この武器輸出三原則の扱いというのは、我が国にとっては非常に歴史的にいろいろと意味のある判断だったというふうに私も思っております。国際紛争等を助長することを回避したいという我が国の一つの基本的な姿勢というものは、平和国家としての基本理念というものをそういう中にあらわしているんだろうというふうに私も思っております。

 ただ、先ほど言いましたように、今日、防衛装備品をめぐる環境というものはいろいろと変化してまいっております。そういう面で、我々も、その三原則の基本的な理念というものを超えない中で見直しをかけていくということはいろいろと検討してもよろしいのではないかということが、この前の大綱の中でもそういう趣旨のことをうたっております。

 今現在、民主党の中の関係部会の中でもいろいろなことが検討され、一つの方向が出てきているというふうにも聞いておりますので、我々政府としましても、そういうことをしっかりと受けとめて、また、一つの方向性を出すべき段階に来ているのかなという感じはいたしております。

 ただ、先ほどちょっとPKOのお話が出ましたけれども、このPKOの五原則の問題と武器の問題を直接絡めて議論するのがいいのかどうかというのは確かにあると思うんですけれども、ただ、我々は、当面のPKOに対する対応については、今個別にしっかりと対応を判断してまいりますけれども、五原則を改正してまでも何かをする、武器を携帯するというようなところまでは今のところは考えておりません。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 それでは、今大臣からお聞かせいただきました内容に関してではございますけれども、この三原則というものを緩和していった場合のメリットというものはいろいろ挙げられておりますけれども、どのような観点から検討されておられるのかという部分について、政務官で。

下条大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員御承知のとおりで、今大臣から御発言がございましたけれども、国際的な環境の中で、効果的な協力の機会がどんどん上がってきているわけですね。装備品の供与とか、それから自衛隊の重機などの活用とかという部分が出てきております。

 そういう意味では、狭義の意味でコストの削減につながりますし、また、共同開発することによって装備品自体のコストの軽減ができたり、また、もちろん日米であれば米国との関係の緊密化も深化できますし、また、米国以外の国との活動についても、安全保障上の強化になるという点を踏まえますと、これからは狭義の意味でいろいろな議論をしていかなきゃいけないとは思いますけれども、いろいろなメリットも今の考えの中では浮かんでくるかなというふうに考えております。

 以上であります。

渡辺(義)委員 では、緩和した場合でございますけれども、我が国にとって経済的な波及効果というものも私は考え得るんじゃないかなと思っておりますが、そういう部分での、例えばこのぐらいの効果があるんじゃないかとか、試算できるような数字というものがあればお聞かせいただけたらと思うんです。

下条大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今まだ議論の途中、またこれから審議の拡大ということを前提にしまして、経済的な効果というよりは、むしろ、先ほど大臣から申し上げました国際環境の中の対応ということも防衛大綱にうたわれております。委員の御指摘のとおりのものもこれからの議論の中で随時加味していきたいというふうに思っております。今の段階では、関係部会で対応するということでお答えさせていただきます。

 以上であります。

渡辺(義)委員 ありがとうございました。

 私、経産の委員もさせていただいておりますので、時がたてば、その委員会の方でまた御質問させていただきます。

 先般、野田総理がオバマ大統領と首脳会談で、対米公約といいますか、いろいろなことを協議されておられます。一つがTPPの交渉への参加であり、牛肉輸入規制の緩和でありますね。国際結婚、これはハーグ条約の加盟。先ほど申しましたスーダンへの派遣。またもう一つが、今質問をさせていただいております武器輸出三原則の緩和。この五つの柱でお進めになっておられますが、日米同盟というか、我々、我が国にとっても安全保障の一番根幹でございます武器輸出三原則の緩和というこの部分において、我が国の、日米関係のプラスに働くか、マイナスに働くことはないことはもう歴然なんですけれども、どんなふうにプラスに働いていくのかということに関して、お聞かせいただけたらと思います。

下条大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員が今御質問を重ねていただいておりますけれども、そんな中で、やはりポイント的には、日本政府が国際環境の流れに沿って検討していく、これについては、御指摘のとおり、本年六月に、2プラス2の段階の中で、米国政府は日本の努力を奨励するというコメントが出てきていると思います。そういう意味では、検討の促進については米国にとっての御理解をいただいているかなというふうに思っております。

 また、それに伴って、先ほど申し上げたとおりで、緊密な装備・技術協力が促進されるというのは、さらに対米国とのプラスになると私どもは考えております。

 以上であります。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、この三原則の見直しという部分、この議論を、スピードを持ってといいますか、と言いながらも、ゆっくり急いで、ぼちぼち慌てて進めていただけたらと私は思っております。

 マイナス要因ということは、私は、安全保障上、起こり得ることではないと思いますし、またそういう結論は出さないように議論を進めていただけたら、そう思っております。

 続きまして、お待たせいたしました、外務大臣、やっと出番がやってまいりましたが、日韓の問題でございます。

 十月六日、七日と玄葉大臣が訪韓をされまして、その後、前原政調会長も訪韓された。その後、御存じのとおり、一番最初の外交デビューとして総理も韓国へ行かれたということは、皆さん御承知のとおりでございます。

 内容としましては、資金枠の拡大でございますとか、二〇〇四年からとまっておりましたEPAの交渉の再開であるとか、そういったところまで、日韓関係をどんどん前へ進めていこうと。経済連携、また安全保障上での北朝鮮の核問題であったり拉致問題、こういったものをより優先したような外交であったかと私は判断させていただいております。

 そこで、総理が行かれて、日韓首脳会談で、全くもって竹島の問題であるとか従軍慰安婦の問題、こういったことのお話は一切なかった、そういうことでお聞きはいたしておりますが、それに先立つニューヨークで、日韓外相会談では話し合われたやに報道されております。これが事実ということであれば、どういったやりとりがあったかということをお聞かせいただけたらと、玄葉大臣にお願い申し上げます。

玄葉国務大臣 渡辺委員からの日韓の話でございますけれども、私は、そもそも論として、このアジア太平洋において、民主主義的な価値を大事にする、豊かで安定した秩序、そういうものをつくり上げるということが極めて大切なことだ、そういう意味で、韓国というのはまさに戦略的な利益というものを共有している国であるというふうに思っています。私は、韓国は重視しなければならないというふうに、まず前提としてそう考えております。

 その上で、日韓首脳会談で取り上げられなかった種々の問題について、外相会談ではどうだったのかと。ニューヨークでも外相会談がございましたし、ソウルでもございました。率直に申し上げれば、竹島の問題について私から取り上げたところでございます。ただ、先方との関係がございますので、この詳細については控えさせていただくことを御理解いただけないかというふうに考えております。

 首脳会談では取り上げなかったのは、外相会談でそのやりとりをいろいろとしているということを踏まえたものだというふうに理解していただければと思います。

渡辺(義)委員 ありがとうございました。

 我が国の国会議員三人が韓国の鬱陵島、独島記念館視察のために訪韓しようとした、しかし三人の入国を許可しなかったということは記憶に新しいことでございますが、この件について、大臣は、外相会談等々、ニューヨークもそうです、今回の訪韓に関して、御抗議でございますとか不快感の表明というようなことはなされたんでしょうか。

玄葉国務大臣 率直に申し上げると、外相会談そのものでは申し上げておりません。ただ、一貫して、日本政府として韓国政府に対してこの件について照会を求めているということは、まさに御存じのとおりでございます。

 そういうことを踏まえて、ある意味、引き続きこのことについては韓国側に回答を求めたいと思っていますし、御案内のとおり、竹島問題は一朝一夕に解決するというものではございません。ただ、私としては、受け入れられないものは受け入れられないということをやはりはっきり申し上げるということが大切、一方、大局的な見地から、この問題は冷静に対処するということも極めて大切ということで、そこのところをしっかり勘案しながら粘り強く対応していきたいというふうに考えております。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 スムーズに進んでしまいまして、質問が、ネタが切れてきたなという感がございますが、実は、事前通告はしておりませんが、一応質問の用意はさせていただいております。ですから、お答えを御用意されていないという部分もあるかとは思いますが、少し日韓の問題について御質問をさせていただきたいと思います。

 質問というよりも要望としてお聞きいただいても結構でございますが、先ほどから日韓の問題について、玄葉大臣から、しっかりと受けとめ、しっかりと対応されておられるということは十分お聞き届けさせていただきました。そういった中ではございますが、この竹島問題と、もう一つの従軍慰安婦の問題。

 これは、我々日本人の感情としては、慰安婦の碑をソウルの日本大使館の前にお建てになる、それを韓国政府も許可される、ソウル市もでありますが、その辺のことで明確な抗議というものが行われているのかどうかというところで、個人の意見としては、どうも遠慮がちではないんだろうかというように私自身は感じております。

 もっともっと、お隣の親しい国であればこそ、政府として断固とした姿勢といいますか、そういうもので、仲間、同盟国であるという位置づけの中で接していただきたい、また、対等の交渉をしていただきたい。私が望む部分でございます。

 前原現政調会長が、この慰安婦問題について、若干、仕組みを検討する余地があるというような御発言をされたようではございますが、しかし、玄葉大臣は、これは解決済みですとしっかりとお伝えいただいているという意味では、私は大変、よくやったという気持ちでいっぱいでございます。

 この日韓の問題につきましては、重ねて申し上げますけれども、親しい国であるからこそ、もっともっと裸のつき合いといいますか、会話を進めること、対話を進めること、このことを一義として外交に挑んでいただきたいな、そう願っております。質問というより、これは要望としてお願いさせていただきます。

 ちょうど時間となりましたということで、終わらせていただきます。各大臣、ありがとうございました。

東委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 通告していませんけれども、玄葉大臣、NHK討論で、TPPの件で、前原政調会長がTPPに参加しても条件が整わなかったらやめたらいいんだよと。僕は、そのことについて、ブログで、そんなわけにいかないでしょう、世界のリーダー国の日本がそんなことをしたら大変なことになる、入らないなら入らない、入ったら自分の条件どおりに整えるというのが当たり前だと思いますけれども、これは外務省としてもそういうお考えをお持ちですか。

玄葉国務大臣 TPPについて参加交渉に入って、離脱することがあり得るのかと言われたときに、それは論理的にはあり得るでしょう。ただ、仮に、交渉した結果、私たちだけは入りませんということを、例えば政府が決めることによって失われる国益というものも、信頼も含めて、あわせて考えないといけないということだと思います。

 ただ、これは御存じのとおり、最終的には国会で承認が得られなければ発効しないわけであります。そういう意味では、最終的には、本当に日本国民の政治判断、つまり、国会議員全体の政治判断というものも入ってくるということは、御承知のとおりでございます。

下地委員 そのとおりだと思いますけれども、政府の姿勢としては、入って、条件が整わなかったから出てくるというようなことで、交渉を、物事を進めることはあり得ないということだけはぜひ認識して、慎重に私どもはやってもらいたいと思います。そういうふうな発言をすると、日本の外交そのものが信頼を失うと私は思いますから、そのことについては一点申し上げておきたいと思います。

 それで、防衛大臣、普天間の件ですけれども、十二月までに沖縄県に環境評価の評価書を送付する、それをやるということと、それをやるということは、日米で合意している普天間基地の辺野古移設を進めるという考えに間違いないわけでありまして、それを言えるということは、沖縄県知事に埋立認可を認めてもらいたいという、段階的に、環境影響評価を出す、それで辺野古移設を進める、そしてそのことは仲井真県知事に承認をもらいたい、そういうお考えには間違いないわけですね。

一川国務大臣 先般、沖縄を訪問して知事さんとお会いしたときには、我々は今環境影響評価書の作業をさせていただいていて、十二月までに提出できるように準備しておりますということをお伝えしました。

 ただ、私は、ちょうど我々が政権交代した直後だと思いますが、この環境影響評価書の前段の方法書ですか、その流れの中で知事さんから御意見をいただいておりました。その意見に対して、見直すところは見直すということの作業も当然あるわけでございますし、それから、ことしの六月の2プラス2の日米合意という中で移転先辺野古の場所とか形状が一応確認された、そういったことを踏まえての最終的な影響評価書というものをしっかりと事務的に作成をして、それを知事にお示しするというのが一つの流れであろうというふうに思っておりますし、そういう中でその作業をこの十二月までに終えたい、また、ちゃんと丁寧な説明もさせていただきたいということを伝えました。

 それから、あと、どういう日程でどうこうということまでは何も私は話をしておりません。

下地委員 大臣、だから、そういう評価書を出すということは、そのステップの次には、最終的には日米合意どおり埋立認可の許可をもらいたいというのが当たり前でしょう。

一川国務大臣 はい。当然、具体的なそういう工事につなげる流れとしましては、今お話しのように、環境影響評価法に基づく手続の後、評価書を提出しても、返事が来るまでに、条例では四十五日間あるいは法律では九十日間という一つのあれはありますけれども、その後には、具体的に、今その場所に予定どおりつくるということであれば公有水面埋立法に基づく申請、それは知事の権限で判断されるわけですけれども、そういうものが控えておるということは十分承知いたしておりますし、我々もそういう方向で今努力をしているということだと思います。

下地委員 去年の十一月の知事選挙で、仲井真さんは、県外、国外と言っているわけですよね。その前の県民大会でも、あれだけの団体が参加して、民主党の支持母体であった連合も参加して、全部で県外、国外と言っているわけですよ。そして、県議会でも県外、国外と言っているわけです。あの大会に参加しなかった国会議員は私だけ。自民党沖縄県連も、民主党沖縄県連も、全部参加していますよ、県外、国外と。

 そういうふうな状況の中でこの埋め立ての認可をとりたいということは、仲井真知事に公約の変更をしろということなんですよ。だから、これは政治家である一川大臣が政治家である仲井真知事に公約を変えろと迫っているのと一緒なわけです。そこのところが覚悟が必要だと僕は思うんですね。覚悟が必要なときは、行って仲井真知事に会う前に、まず覚悟を示さぬといかぬと思いますよ、政党として、政権として。まず覚悟を示すことが一点。

 まずは、きょう玉城デニーさんがいますけれども、玉城デニーさん、瑞慶覧長敏さん、御党の沖縄選出の国会議員が辺野古移設に賛成することですよ。二つ目には、御党の民主党県連が辺野古移設に賛成することですよ。三点目には、一番の支持母体である連合沖縄が、間違いなく辺野古移設はやるべきだと。自分たちが変わって条件整備をしてから、仲井真知事にどうですかと言うのが大体普通だと思うんですよね。それをやらずして、何とか埋立許可をもらえませんかと言っても、これは覚悟が伝わらないんですよね。

 私は、平成十七年の七月十九日、自民党から除名されたんですよ。除名されたときの最大の理由の中の一つが、これを読んだら一番いいと思うんですが、我が党の基地政策に反する政策を扇動し、嘉手納統合を進めたことと書いてあるんですね。(発言する者あり)当選しているからそんなことはないんだけれども、そういうふうな状況の中で、私はこの基地政策で除名されたんです。

 そういう意味では、自民党という政党は、案外、米軍基地問題に対して、裏返しすると真剣だったと思うんですね。自分の党の公認候補を除名してまで辺野古をやろうとする、そういう気持ちがあったことは間違いないんです。

 ただ、この政党の間違いは、十六年間辺野古に固執して、時間を無駄にしたのが自民党の間違い。それと、下地幹郎を除名したところが間違いだったと思う。しかし、近ごろは何と言っているかといったら、下地幹郎は自民党を離党して先見性があったなんてよく言われるようになっているんですよ。

 そういうふうな意味では、冗談みたいに言いましたけれども、覚悟が必要だと思うんです。本当に大臣がやりたいというなら、デニー衆議院議員にも長敏議員にも、おまえら、本当にこんなことをして、除名するよというぐらいのことをやる姿勢を見せないと、知事だって、何もしないでおれだけやれというのはちょっとおかしいんじゃないかと思いますよね。

 僕は、鳩山さんが、県外、国外から辺野古に考え方を変えて、政治家としては大変な思いになったと思いますよ。仲井真さんは、辺野古移設をやっていた人が県外、国外になって、そして今度は辺野古移設に変わるということになると、あの人は沖縄で政治家としては生きていけないと私は思う。もっと厳しいことを言ったら、あの人は沖縄に住めないと思いますよ。それぐらいの厳しい判断を仲井真知事に政府は要求しているということの重みをわかりながらおやりになるべきだ。そこの覚悟がなかなか僕らには伝わってこない。

 普天間基地というのは魔物なんですよ。上原康助さんという前の大臣がいて、社民党から民主党にかわるとき、ハーフオプションといって、基地問題は現実的に対応しようと言って次の選挙で落選するんです。比嘉鉄也さんという人も、移設を認めたけれども、住民投票で負けて、辞任をしてこれを認めるということを橋本総理に伝えるんです。岸本さんというその次の市長さんは、本当に病気になられてお亡くなりになりましたけれども、あれはきつかったと思いますよ。毎日毎日、一つの市の市長さんがマスコミに囲まれて、こうやってテレビ報道して、SPをつけなければいけない市長さんが全国であるわけないんだから。宜野湾市長さんも今病気になられて登庁されていない。やはり、政府がおやりになろうとすることで相当にプレッシャーがかかるんです。

 政府からすると、麻生さんも、嘉手納統合を言って厳しい環境になったことが一回ありますね。当時の野中さんに相当に詰め寄られて大変な思いになりましたよ。鳩山さんもそうです。先ほど言った、私もそうです。これは魔物なんです、普天間というのは。防衛大臣になったから、外務大臣になったから、役職で、さわってできるようなものじゃないんですよ。できていれば、十五、六年、こんなことにはならないんです。

 私、きょうは大臣に覚悟が聞きたい。あなたがどれぐらいまでの覚悟を持ってこの問題に取り組もうとしているのか。アメリカに言われているからやろうとしているのか、それとも、これをやらないとだめだ、そのためには先ほど言った私の三つの条件を含めてどんな覚悟で臨もうとしているのか。一人の政治家に公約を変えろと言うところの大臣みずからの覚悟をちょっと教えてください。

一川国務大臣 私が防衛大臣に就任したときに、私自身が課せられた、大きな課題の中の最優先的な大きな課題というのはこの問題だというふうに思っております。

 これまでの経過の中で、今お話しのように、普天間飛行場の移転問題というのは、しっかりとした覚悟の中で関係者にいろいろとお話をするということは、政治家としては当然のことだというふうに私は思っております。

 そういう面で、この前、知事さんにもお目にかかり、名護の市長さんにもお目にかかりました。大変厳しい御意見をいただきましたし、この問題をめぐる過去の十五年余りのいろいろな流れ、あるいはまた、政権交代してからのいろいろなことがございました。そういうことは自分なりに頭の中に入れておりますけれども、そういう面では本当に政治家としては、それぞれそれにタッチした政治家は、いろいろな過去の思いの中でこれに取り組んできたんだろうなというふうには思っております。

 私自身、今、日米合意の内容について、その方向でこれから普天間移転問題に取り組んでいきたいということであれば、今お話にあったように、関係者に対しては自分なりに覚悟を決めてしっかりとお話をして理解を求めていきたい、そのように思っております。

下地委員 今おっしゃったように、まず自分の党内から、支持母体から、そういうふうなところからきちっとまとめて、自分たちも変わります、あなたも変わってもらえませんか、批判は一緒にいただきましょうよと、そういう覚悟を示さなければ、この問題はうまくいかない。(発言する者あり)おれは変わっているんだよ、おれは初めからだめと言っているんだから。おやりになる以上は、そのことをしっかりとやってもらいたいというふうに思います。

 それで、もう一つ変わらなければいけないと思うんですけれども、このグアム移転の真水です。

 二十一年は三百四十六億予算をつけました。未執行が百二十九億円で、そのまま使われておりません。二十二年は四百六十八億円組みました。それは、そのまま四百六十八億円が使われておりません。二十三年度は百四十九億円つけました。そのまま百四十九億円が米側に移転されないで残っています。これまでに七百四十六億円この予算を組んで、全く執行されていないんですね。未執行であります。

 今度も百四十九億円、この予算を組んでいますけれども、これをやると、九百億円近くのお金が、予算化をされているけれども、そのままアメリカでは未執行。

 もう大臣はおわかりのように、アメリカの上院、下院はもめているじゃないですか。きょうの新聞でもいっぱい出ています。

 今、この国は財政再建でもあるし厳しい状況だから、今度、この予算は予備費に回して、アメリカがちゃんとこの予算を執行できる環境になったらやる。大臣、九百億とか一千億近くのお金というのは、今、この国にとって、東日本大震災にとって、物すごく大事なことです。これはアメリカにやらないと言っているわけじゃないですからね。しかし、この理由は全部アメリカにありますよね、日本政府が悪いのではなくて。日本政府はちゃんとつけている。向こうの議会がつかない、環境問題でできない。そういうふうな状況であったら、この予算のやり方を今回は変えるべきではないですか。

 百四十九億円の今度の概算要求は、今回は十二月のを落として、今、残りのものも一回全部国に戻して、そして、アメリカ議会がちゃんとついたら、その金額に対して、もう一回、アメリカ議会に了承をとれるような真水を入れていく。こういうやり方にした方が、基地問題の理解は深まるんじゃないですか。あそこで金利がついているからといって、ずっと同じお金を寝かしておくというのは、我が国の税金を寝かしておくというのはいかがなものかと私は思うんですけれども、そのことについて大臣のお考えをお聞かせください。

一川国務大臣 この問題について、大変大事なところを指摘されているというふうに私は思っております。私自身も防衛大臣になってから、この実態を説明していただいた折に、これは余りにもひどいなという感じを率直に受けました。

 今お話しのように二十一年度から、ことしを入れて三カ年目で一千億近い予算を我が国は計上しておるわけですね。もう既に、先ほどのお話のとおり、アメリカ側に移しかえをしているものもあります。

 そういう状況の中で、この普天間移転問題に関連する、グアムに海兵隊が移転するというこの話は、日米の合意事項の中にしっかりとうたわれているわけですね。ですから、海兵隊八千人、また、家族は九千人ですか、そういう人たちが移転するための基盤整備ということになれば、相当の経費がかかり、時間もかかることは私も十分わかりますけれども、そういう仕事が現場で余り順調に進んでいないということであれば、これは沖縄県民の皆様方に対しても、本当にアメリカはグアムへ移転する気があるのかなということすら疑いたくなるような格好になってきますので、私は、この問題は、本日もパネッタ国防長官にお会いしますけれども、我々もいろいろな面で努力はしますけれども、アメリカ側にも、約束したことについてはしっかりと努力していただきたいということを、確認を込めてしっかりと申し入れをしたい、そのようにも思っております。

 今御指摘の、厳しい予算の中で予算の使い方をちょっと見直したらどうかということについては、我々に今課せられた一つの宿題だというふうに私は受けとめますけれども、当面は、基本的にはアメリカの姿勢をもう一回確認しておきたいというふうに思っております。

下地委員 大臣がおっしゃるとおり、グアムが整備できないと沖縄の負担は減りませんから、着実にグアムを進めてもらわなきゃ困るんです。ただ、こうやって四年間近くお金が使われていないという状況になりかねないところがありますから、きょうの国防長官との会談で強く言ってくださいよ、普天間の辺野古移設をやれという前にあなたもちゃんとやりなさいと。そういうことをやらなきゃだめですよということは、厳しく日本側から主張する必要があるというふうに思います。

 そして、これも二年前に条約をつくって三点セットをやった。グアム移転と辺野古移設、嘉手納以南を返す、この三点セットを条約でやりましたけれども、もうこれは崩壊していますね。

 あのとき、中曽根外務大臣は、こんなことを自民党はやるべきじゃないと。これは、辺野古がうまくいかなかったら、グアムはやりませんよとおどしみたいな形で条約をつくりましたけれども、そういうふうなことを一回破棄して、できることからやる。嘉手納以南から返せるんだったら返していく。そういうふうな新たな手法をつくることも私は大事だと思っています。

 十六年間とまっているものには新しい提案が必要ですよ、大臣。ぜひ大臣の感覚で頑張ってもらいたいと思いますから、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 自民党の岩屋です。

 このたび筆頭理事に復帰をさせていただきましたが、私は、かねてより、国の外交と安全保障に関しては、与野党ができるだけ共通の認識を持つ、共通の基盤に立つべきだというふうに思ってやってまいりました。それは、今後ともそういう方針でこの委員会が運営されるように微力をいたしたいと思っております。

 ただ、質疑に入る前に一つ指摘をさせていただきたいのは、一川大臣、玄葉大臣、就任されたのは九月二日ですよ。きょうは十月二十五日ですよ。大臣の所信をこの間我々は初めて聞かせてもらったわけですね。そして、きょう、初の質疑です。これは政権運営のあり方として、国会運営のあり方として、異常だと思いますよ。やはり一日も早く担当大臣が国会において所信を述べて質疑をする、こういうことでなければならなかった、この点は厳しく指摘をしておきたいと思います。

 きょう、自民党は二時間いただきました。初の質疑でございますから、四人のバッターでやらせていただきます。各論は同僚議員に任せることとして、私は、それぞれ大臣の基本認識を伺ってまいりたいと思っています。

 一川大臣は初お目見えでございますから、これもさっき出ておりましたが、どうしてもこれは聞かざるを得ない。さきの素人発言の真意は一体何か。

 さっき大臣からるる説明がありましたけれども、お気持ちは、私、わからないではないですが、やはり言葉遣いとしては適切ではなかったと思いますよ。二十四万隊員の皆さん、国民の皆さん、それでなくても日本の安全保障に今非常に不安を持っておられる。そういうときに、わざわざ自分が素人だということを言う必要はなかったと私は思いますが、真意をいま一度聞かせてください。

一川国務大臣 私の就任当時の発言については、先ほどもちょっと触れましたけれども、今ほど委員がお話しのように、素人というような言い方はふさわしくないという御指摘は、私も、確かにそういう素人ということだけ取り上げられるケースもありますから、こういうことではふさわしい表現ではなかったかなという反省はいたしております。

 ただ、私は、先ほど言いましたように、防衛省のこういうお仕事というのは、私は、常に国民一人一人の理解のもとにしっかりと政策を推進するために不断の努力はすべきだというふうに思っておりましたので、防衛省の内部でしか通用しないような言い方とかそういうことじゃなくて、やはりしっかりと国民の方々に理解をしていただけるような、国民目線で物事を判断し、専門的には制服組もおればいろいろなシビルの人もいらっしゃるわけですから、そういう方々からしっかりとアドバイスを得る中で、自分なりにわかりやすい判断をしてまいりたいという気持ちでそういう発言をさせていただいたわけでございます。

 今お話しのように、しっかりとまた反省するところは反省しながら、私なりに、国民の皆さん方になお一層安全保障なり防衛政策について深い理解をしていただけるように努力してまいりたい、そのように思っております。

岩屋委員 私は、大臣は何も細かいことを知る必要はないと思いますよ、本当に。やはり常識、良識、それから覚悟、信念、それがあれば十分だと思います。隊員の皆さんや国民を不安にさせることがないように、今、国民に理解をされる防衛行政でありたいとおっしゃいましたが、そのお気持ちはよく私も理解をしたいと思いますが、言葉遣いには、総理大臣に次ぐ指揮官でございますから、気をつけていただきたいと思います。

 それから、玄葉大臣の基本認識を私はぜひ聞かせていただきたいと思うんです。

 この二年間の民主党政権の、あえて言わせていただければ拙劣な外交、迷走する外交によって、日本の安全保障環境というのは瞬く間に悪化していると私は思いますよ。当初、鳩山政権というのは、あえて言えば離米親中的なトーンを強く打ち出していった、そして普天間問題で迷走した。やはり同盟関係は揺らいだと思いますね。その間、周辺各国はどんどんと圧力を増してきた、尖閣の処置で誤った、北方領土への大統領訪問を許した、竹島は実効支配が進んでいる、拉致問題は一つも解決へ向かっていない。

 やはりこの時期に外務大臣になられた以上は、これまでの、この二年間の外交に対する反省がなければ、玄葉さん、しっかりこの立て直しをすることはできないと私は思いますよ。あなた自身も国家戦略相として極めて重要なポジションにあったわけですから、この間の民主党政権による外交についてどういう認識を持っているのか、反省を持っているのか、そこをまず聞かせていただきたいと思います。

玄葉国務大臣 ただいまおっしゃいましたように、民主党政権になって二年を過ぎたわけであります。私自身も、昨年六月から、たしか一年三カ月間、政調会長をさせていただきましたし、大臣も兼任しました。国家戦略担当大臣は九月からだったというふうに思います。

 率直に申し上げると、私は、この間、沖縄で二つのおわびをしたんですが、そのうちの一つは、鳩山政権になる直前に最低でも県外ということを言って、結果として回帰したということに対しておわびをいたしました。それはすなわち、日米の一時的な揺らぎがあったというふうに私は言わざるを得ないと思います。

 その中で、その後、総理、外務大臣の御努力もあり、やはり日米の同盟基盤というのをあらゆる角度から強固にするということがまず極めて大切だし、もっと申し上げれば、日米でというよりも、我が国自身がより何ができるのか、特にもっとできることがあるのではないかということについて検討を進めて実行していくということもより大切なことである。当然、日米は同盟関係でありますが、日米だけではなくて、他のパートナーの国々ともしっかり関係を深化させていく。特にアジア太平洋の中で民主主義的な価値に支えられた、豊かで安定した秩序をつくるというのが、私は極めて大切だというふうに思っています。

 そういった観点で、私としては、この不安定要因があるのは事実ですから、安保関係も厳しくなっている、そういった不安定要因を最小化する、リスクを最小化する、そして成長の機会を最大化する、そのことが私に課せられた重要な使命の一つだというふうに考えながら、外務大臣就任時からしっかりと仕事をさせていただいている、こういうことでございます。

岩屋委員 そういう認識と反省に立脚して、ぜひこれから外交の責任者として最大限の努力をしていただきたいというふうに思います。

 総理大臣もこの二年で三人目、外務大臣は、岡田、前原、松本、玄葉、四人目ですよね。その前の自民党政権時代にも責任があるんですけれども、これだけ外交のプレーヤーが目まぐるしくかわっていくということでは国際社会の信用は得られないわけであって、本当にぼやぼやしてはいられないと思いますよ。

 昨年の六月でしたか、オバマ大統領が、米韓同盟はリンチピンだ、輪どめだという発言をされました。米韓ですよ。これは日米同盟以外には使われてきたことのない言葉なんですよね。コーナーストーンだとかベッドロックだとかリンチピンというのは、日米同盟のことを指す言葉だったんですね。韓国は韓国でそうやって努力されていることは評価に値すると思いますが、日米同盟の存在感というのは、この二年間ちょっと、漂ったと言わざるを得ないわけで、ぜひ玄葉大臣にはこれを修復し、回復するという決意でやっていただきたいと思います。

 一川大臣にお尋ねします。

 大綱が決まった後、一川大臣は、ことしの三月、参議院予算委員会で当時の北澤防衛大臣に対してこういう質問をされているんですね。「この大綱に基づいて防衛の整備を行っていった場合に、我が国のこれから五年、十年先の防衛力というのはどういう水準になるかということがちょっと明確に分からないんですけれども、」と、こういう質問を大臣自身がされています。私、これは適切な認識だ、的確な認識だと思いますよ。

 なぜ私もそう思うかというと、今回の大綱は、「「基盤的防衛力構想」によることなく、」とわざわざ記述されているわけですね。しかし、我々がその前の大綱をつくったときも、基盤的防衛力というものの有効な部分は残すんだ、しかし、それを機動的、弾力的に展開をするんだ、こういう考え方でつくったわけですが、今回、基盤的防衛力構想によらないんだとまで言い切った理由は一体何なんでしょうか。

 それから、重ねてお尋ねいたしますが、動的防衛力。動的というのは、何かを動かすわけですね。動かすのは基盤的防衛力なんですよ。動かす手段は、例えば輸送力ですね。

 この間の地震発生直後、三月十二日に、自衛隊が北海道から燃料を運ぼうとした。しかし、大型の輸送艦は三隻しかない。一隻は修理中、一隻は海外訓練中、もう一隻は広島の呉から出発したばかりで、すぐに対応することができなかったわけですね。これは事実です。

 したがって、今回の大震災の教訓を踏まえても、やはり、動的防衛力とわざわざ言うからには、輸送力のさらなる拡充等を早急にやらなきゃいかぬ、私はこう思うんですけれども、あわせて大臣の御見解を伺いたいと思います。

一川国務大臣 私が、以前の予算委員会でそういう質問をしたというのを思い出しました。

 私自身、大臣に就任してから新防衛大綱というものに目を通しました。こういう中で、今お話しのように、基盤的防衛力構想ではないというような言い回しは、確かにございます。

 また、私は、これまで長年ずっと自民党政権が続いてきた、基盤的防衛力的な考え方の中では、その存在自体で抑止力を与えていくような発想の中で対応してきた事態というのは、特に冷戦時ではあったんだろうと思うし、そういう状況が今大きく変わりつつあるということも、一方で事実だと思うんです。そういう我が国の安全保障の環境が非常に変化しつつある。そういう中で、我々のこの防衛力をいかに抑止力を持たせながらしっかりと対応できるような状態に持っていくかという中で、この大綱が練り上げられたんだろうというふうに私は理解しております。

 ですから、この基盤的防衛力でなくという言い方は、それをやめてしまおうということではないと私は思っています。ですから、基盤的防衛力の段階で整備してきた装備品なり体制があるわけでございますから、そういうものを有効に使って運用していくというところに意味があるのではないかなというふうに私自身は考えております。

 動的防衛力ということは、今は財源的にも財政的にも厳しい時代ですから、装備品を次から次へと整えていくというのは現実問題難しいわけでございますので、そういう面では、今あるそういう装備品的なものも含めてできるだけ有効に活用して、いろいろな事態にしっかりと対処できるような体制を整えていくという中で、運用面に力点を置いた防衛政策でなければならないというふうに私自身は考えております。今ほど先生がおっしゃったような基盤的防衛力をやめてしまうという意味よりも、それをしっかりと有効に活用していくという観点で動的防衛力というものが位置づけられているというふうに私自身も考えております。

 また、今般の東日本大震災の折の輸送力の問題にそういう課題があるのではないかということは、御案内のとおりだというふうに思います。そこはまた自衛隊としても、これからの大きな自然災害なりいろいろなことに対して、しっかりと対処できるようなことも今回の災害でいろいろと教訓を得ておりますので、自衛隊は確かに十万人体制で大活躍をしたという高い評価は一方でいただいておりますけれども、また一方では幾つかの教訓を得ておりますので、それをしっかりと踏まえてこれからの自衛隊のあり方というものについて取り組んでまいりたい、そのように思っております。

渡辺副大臣 今御指摘の点につきましては、今回の東日本大震災を受けて我々も中間取りまとめを先般出しましたけれども、今回の震災を受けてどういう教訓を我々は得たのかということについて、例えば海上輸送力の制約ということについても当然指摘をされたところでございます。今回の、本当に痛ましい震災の大きな犠牲の上に我々として何ができるのかということについては、今、現場の部隊からも意見聴取をしているところでございます。

 一つ私から申し上げれば、動的防衛力というのは、輸送のみならず、輸送というのは運用の一部を指す概念でありますけれども、それだけではなくて、全体的な、言うなれば、私自身は基盤的防衛力から動的防衛力というのはフォーメーションからオペレーションへという意味で理解をしております。

 その中で、まさに輸送ということについても、今回の反省を踏まえて、いろいろ検証を踏まえて、当然、先生の御指摘をいただきながら考えてまいりたい、そのように考えております。

岩屋委員 大綱も中期防も前政権がつくったもので、まだ本会議でもこの委員会でもしっかり議論されていない。これも異様なことだと私は思うんですが、できるだけ早い時期に、大綱、中期防を細かく議論させていただきたいと思います。

 ただ、大臣もおっしゃいましたが、確かに財政上の制約もある。自民党も、ある意味反省を込めてこういう質問をしているんですね。定員を減らしていく、防衛費を減らしていくというトレンドは、我々の政権時代につくったわけです。しかし、周辺の安全保障環境あるいは今回の大震災の教訓等からすれば、果たしてそれは正しかったのか。だから、どこかを削ってやりくりをするという発想ではなくて、やはりプラスアルファという発想に切りかえる必要もあるのではないか、こういう問題意識で我々お尋ねをしておりますので、ぜひそのように御承知おきいただいて、またしっかり議論をさせていただきたいと思います。

 それで、防衛大臣も外務大臣も何度も強調しておられますが、日本の外交防衛の基軸はやはり日米同盟だと。私に言わせれば、右往左往してようやく民主党政権がそこに戻ってきてくれたか、こう思っているわけですよ。この間失われたものはすごく大きいですね。これはしっかり立て直していかなきゃいけないと思っているんですけれども、それがためには、先ほどから出ておりました普天間移設問題の解決は不可欠ですね。

 何も自民党と共和党が約束したわけではない、民主党と民主党同士が約束したわけでもない。アメリカ合衆国と日本が何度にもわたって約束したことが実行できないでいるわけでありますから、これは国の信用の問題だと思います。

 我々も注文は山ほどありますが、民主党政権が自公がつくった案に今近づいてきてくれているわけですから、さっき下地さんからああいう話がありましたが、我々もできる努力はして、協力はしていかなきゃいかぬ、こう思っているところでございます。これは、また同僚議員から後ほど質問があろうかと思います。

 それで、特に玄葉大臣、あなたは所信の中で日米同盟を深化、発展させるというふうに言われましたね。まさにそれが必要なんだけれども、深化、発展させるためには、やはりこれまで自民党政権時代にもできなかった事柄についても踏み込んでいくということをしていかなきゃいけないんじゃないかな。我々もそういう反省に基づいて、そう思っているわけですよ。

 その中の課題が、例えば、安倍政権時代に柳井懇談会というのがありましたね。集団的自衛権の行使について具体的な検討を行った報告書が出されておりますけれども、その中には、象徴的な例としては、我々はミサイルの迎撃能力を持っているわけですから、米国向けに発射されたミサイルを、迎撃能力がありながら我々が見て見ぬふりをしていいのかという問題等を含めて、集団的自衛権の容認について自民党も既に検討を始めています。できればそれを安全保障基本法というものに結実させたいと思って勉強を続けているんですけれども、こういった問題。

 あるいは、先ほど来出ておりました武器輸出三原則の問題ですね。これは、民主党は真摯に党内で議論をしていただいていると聞いております。

 さらには、精密誘導兵器等によって、策源地というか、敵の基地という言い方は余り私は好きじゃないんですが、そういう打撃力をやはり我が国も持っていっていいんじゃないか。あるいは、戦闘機に空対地攻撃能力がないというのもおかしなことなのではないか。我が国の抑止力を強化する、また日米同盟の抑止力を強化する、その能力は持っていていいんじゃないか。

 脅威というのは能力プラス意思ですから、使うか使わないかというのは政治の判断ですから、能力は持っていてもいいのではないかという問題ですとか、まあ、岡田外務大臣時代に密約をオープンにされましたね、それはそれで結構なことだと思いますが、その後、核抑止政策についてはほったらかしになっている状態だと言っても過言ではないと思います。お互いの、日米の解釈の違いは明らかになったね、だけれども、アメリカ本土近くに戦略核を置いていればそれで十分なんじゃないですかというだけにとどまっているわけで、やはり我が国周辺の状況を考えたときに、核抑止政策というのはもっと明示的なものがしっかりなければいけないのではないか。

 それから、さっきスーダンの話も出ましたが、民主党政権になって、国際貢献のための法整備はほとんど進んでいないんですね。PKOについてもそうです、今検討しているそうですけれども。海賊対策活動に対する給油についてもそうですね。話ばっかりで全く進んでいない。やはりこういうものもしっかりやらなきゃいけない。

 そういう新たな能力を日本が獲得する、新たな権能を獲得する、そういうことが日米同盟というものをしっかり強化していくことにつながっていくのではないかなと私は思うんですが、外務大臣、防衛大臣、それぞれ我が国の安全保障を所管する大臣ですし、日米同盟の深化、発展のために、こういったことを政府・与党においてもこれから議論していく用意があるかどうか、聞かせてもらいたいと思います。

玄葉国務大臣 まず、日米同盟の深化、発展というふうに言うときに、まさに今非常に本質的な安全保障についての問いがございましたが、当然、経済の問題を初め、文化の面も含めて深化、発展させたいということであることは言うまでもないことであります。

 その上で、今、安保面の話で五点お話をいただいたかと思います。

 集団的自衛権の話は、一言で言えば、現時点で解釈を変えていない。集団的自衛権の行使は憲法上許されないと解してきているところであり、現時点でその解釈を変えていない。私としては、問題意識を岩屋先生と共有しているということだけ申し上げておきたいというふうに思います。

 二つ目は、武器輸出三原則の見直しの議論については、これまでもこの委員会で防衛大臣が説明をされてきましたけれども、まさに高性能化の問題あるいはコストの問題、そういった問題がありますから、これは幅広く検討して結論を出していけばいいというふうに思っております。

 そして同時に、敵基地攻撃能力、いわゆる打撃力の話は、これは法的には可能だけれども、現実的に今自衛隊自体が、答弁があるかもしれませんけれども、そういう装備体系になっていないということで、だから、ある意味、日米の同盟の問題も含めてトータルに考えていかなきゃいけないという現実があるんだろうというふうに思っております。

 四つ目のお話は、核抑止、特に非核三原則の話でありますが、私も、当選二回だったかもしれませんけれども、当時高村外務大臣だったと思いますが、一言で言うと、この非核三原則を二・五原則にした方がむしろわかりやすいんじゃないかと、多分同じ趣旨で質問をした経緯が何度かあったということでございます。ただ、これはもう御承知のとおり、たしか一九九一年以来、米艦船そのものが核を搭載していないというふうに発表していますので、現時点でその必要はないのだろうというふうに思っております。

 最後のPKOのあり方、まさに委員長が東懇談会というのをつくられて、示唆に富む検討をされたというふうに思っております。PKOの五原則も、いわゆる停戦の合意あるいは受け入れの同意、中立性の原則、事態があったときに撤退をする、そして最低限の武器使用ということで、どこがどう検討されるべきなのかも含めて東懇談会ではいろいろな問題提起がなされているものというふうに思いますので、そういった検討を引き続きやっていくということが大切だというふうに考えております。

一川国務大臣 今、基本的なところは外務大臣の方から答弁させていただきましたけれども、私は、防衛省といたしましては、基本的には、この日米同盟というものをしっかりと基軸に置いて、それをしっかりと発展させていく、新しい時代に向けてお互いにさらに交流を深めながら信頼関係を高めていくということが非常に大事なことであろうというふうに思っております。本日も、先ほど来のパネッタ国防長官との会談を控えておりますけれども、そういう基本原則というものをしっかりと確認しておきたいというふうにも思っております。

 また、自衛隊が海外に出て活動するケースというのは近年いろいろとふえてきております。それは、先生も以前国会でいろいろ議論されていることを覚えておりますけれども、こういったものは、与野党を超えて、しっかりとした合意形成の中で海外に出ていかないと、自衛隊そのものの士気にも影響するわけでございます。また、我が国全体の、国民に対して理解を深めていくという面においても、一つの法律体系をどうするかということは非常に大きな課題だというふうに私自身も認識いたしておりますので、また国会の中でいろいろな議論もあろうかと思いますし、我々政府としても、そういう問題意識を持ってしっかりとまた勉強してまいりたい、そのように思っております。

岩屋委員 やはり日米同盟は縮こまってはいけないと私は思うんですね。一九九六年、安保共同宣言を出しています。世界のための日米同盟にしていこうではないかというところに乗っかって今来ているはずなのでありますから、日本ができる防衛力の充実はしっかりと果たして、アジア太平洋のみならず、世界の平和と安定のために資することのできる日米同盟を日本も責任感を持ってつくっていくんだ、こういうことで両大臣に頑張っていただきたいと思います。

 最後に、リビアはカダフィが死んで全土が解放されておりますが、我が国としてどういう関与あるいは国家再建の支援をしていくつもりか。何も資源のことだけを言うつもりはありませんが、この国は資源大国でもあります。外務省としてどう考えているのか、聞かせてもらいたいと思います。

山口副大臣 岩屋先生も、二〇〇七年の六月にリビアに行っておられるということで、相当詳しいと思うんです。

 私は、このリビアというのは非常に大きな流れの一つだと思うんです。というのは、一人一人がいろいろ意識を変えていって、それをいろいろフェースブックだのツイッターだの、その中で大きな流れになっていった。アメリカでも今いろいろなことが起きているのは、何かそういう流れの中の一つかなと。

 私自身が思うのは、それに対してリビアは民主主義の経験が今まで全然なかった。四十年なかった。そこで、今からどうするんだ。そういうことからいくと、国民暫定評議会というのを我々はこの七月に正統な対話相手として一応位置づけてやってきていますけれども、これからどうやっていくのか。

 私も考えたら、余り内政干渉的なことになってもいかぬけれども、助けていって、他方、余り自分の考え方みたいなものを押しつけるというのもよくない。やはり考え方を共有しながらと。

 私が考えているのは、一つは、この間、玄葉大臣とジブリールという執行委員会の委員長さんが、首相に相当するわけですけれども、話をしたときに、義手義足でやってくださいという話もあるので、うちの大使館が、リビアというよりはむしろエジプトの方で本拠地を持ちながら、今連絡をとって、この話についてもフォローアップさせていただいたような次第です。それから、JICAの研修事業についての話も紹介させてもらいました。

 我々、これからどういうふうにするかというので、この二十五日から二十七日には外務省の調査ミッションもトリポリを訪問して、このときはサーレハさんという外交委員代理と会談しました。

 現実には、まだリビアの方から要請が来ているわけではありません。例えば、行政についての研修もさせてくれとか、そういうのは来ていませんけれども、そういうのもいろいろ話し合いながら、こういうのもできます、ああいうのもできますよという中で、いろいろ国の再建のお手伝いをさせていただければと思います。

 資源ということを先に出しちゃうと余りにもどぎついかなという気もしますから、うまくやっていきたいと思っております。

岩屋委員 ある程度の立場の人を早く送り込んで、余りもたもたしないでしっかり対応してもらいたいと思います。

 終わります。

東委員長 次に、木村太郎君。

木村(太)委員 おはようございます。三十分、よろしくお願いしたいと思います。

 私も防衛大臣の素人発言について触れたいと思います。

 大臣、シビリアンコントロールというのはどういうことなんですか、御説明ください。

一川国務大臣 私は、シビリアンコントロールという言葉も使わせていただきましたけれども、私自身の発言は、先ほども言いましたように、正確には報道されていない面もありますけれども、ただ、自分がそれに近い発言をしたということでは、反省するところはしっかりとまた反省しながら、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 シビリアンコントロールは御案内のとおり文民統制ということですから、我が国の憲法なり法律の流れからして、文民がしっかりと軍事に優先するという制度が担保されているというふうに思っておりますし、そういう中で軍事的な安全保障上の最終的な決断はしっかりと政治家が行う、国民の代表としての政治家がしっかりとそれをコントロールしていくということだろうというふうに思っております。

    〔委員長退席、宮島委員長代理着席〕

木村(太)委員 それでは、大臣のあの素人発言というのは、一生懸命日々の過酷な訓練に努めております自衛隊の諸官に対して、士気の低下という悪影響を与えたと認めませんか。

一川国務大臣 それは私はないと思うんです。といいますのは、自衛隊の士気というのは、国民全体に支えられているということの中で、自分の任務に対して一つの誇りを持ち、自信を持って活動するんだろうというふうに思っていますから。

 そういう面では、国民の皆さん方に対してしっかりと理解を求めるというのは、私は防衛大臣の仕事であろうというふうに思っておりますし、しっかりと国民の目線に立って防衛省の政策、安全保障の役割、意義ということについて国民に理解を求めていく努力は必要であるというふうに思っていますから、私は、むしろ士気を高める方向で頑張ってまいりたい、そのように思っています。

木村(太)委員 日曜日に、私の地元に陸上自衛隊の三九普通科連隊というのがありまして、全国でも珍しい市中パレードを実施しているんですよ。私も行ってまいりました。

 現職の隊員諸官からの話ではありませんが、会う人会う人、皆さん、一川防衛大臣のあの素人発言のことを話題にしていました。特に、OBであります隊友会の皆さんも、とんでもない発言だなと、みんな異口同音にそういうことを言っていましたので、私は、あの発言というのは、現職で頑張っている自衛隊諸官に対して大変失礼な発言だというふうに理解しております。

 また、大臣のあの素人発言を、日本の周辺諸国、国際社会はどう見ていると大臣は思いますか。

一川国務大臣 私は、周辺諸国に対しては、我が国としてのそういう責任でしっかりとした政策を実行するということが、周辺国の信頼を当然高めることになるというふうに思っております。

 今ほどのような、私が素人という言葉を使った発言ということが、むしろ私の地元の方からは激励されております。また、いろいろな方々からも、よくぞ言ってくれたという人もいますけれども、やはりそういう国民的な目線でしっかりとこれまでの防衛政策を点検するところは点検をして、国民に理解を求める努力というのは非常に大事だというふうに言っていただいておる方もおられます。

 今ほど、現職の自衛隊じゃなくてOBの方がそうお話しになったということであろうというふうに思いますが、それは、それなりに自衛隊の経験をして、しっかりとした専門的な知識、能力をつけた方からすると、若干そういう私の表現が物足りなかったということではなかったかというふうに思いますので、先ほど言いましたように、安易にそういう言葉は使わないように注意はいたしますけれども、私の言ったことは間違ったということではないというふうに私は思っております。(木村(太)委員「諸外国」と呼ぶ)

 それは冒頭に答えたと思いますけれども、防衛省としての日ごろの業務、そういう政策をしっかりと実行しておれば、おのずとして諸外国の皆さん方も評価していただける、そのように思っております。

木村(太)委員 諸外国が素人発言を評価するとは私はとても思えないわけであります。何かしら認識が最初の地点から全く違うような大臣の考え方の披露がありましたので、まことに私は不安を強く感じました。

 では、次に入ります。

 防衛大臣、先ほど防衛大綱に目を通したと言っておりましたが、中期防衛計画あるいはことしの防衛白書も一読されましたか。

一川国務大臣 防衛白書を全部通したかと言われると、正直言って、まだ全部通していないと思っております。

木村(太)委員 私ども自民党としても、我が党の防衛大綱の案をかなり前に発表しているんですね。それから、日本郷友連盟さんとか、いわゆる民間のレベルでも、提言する形で発表しております。前の北澤大臣に我が党のそういう案を見たことがありますかと言ったら、見たことがないというんですね。前の外務大臣前原さんは、一読しましたと答えてくれました。

 私は、日本の安全保障の責任者である防衛大臣であるならば、他党の考え方はどうなのかな、あるいは民間で提言しているのはどういう考え方があるのかなということを、むしろ興味を持って一度ぐらいは読んでおく必要があると思うんですが、防衛大臣は我が党の防衛大綱の案を読んだことがありますか。

一川国務大臣 申しわけないけれども、私はまだ読んでおりませんので、また御指導をよろしくお願いしたいと思います。

木村(太)委員 ですので、公党のそういう考え方はどうなのかなということに興味を持つ、そういう姿勢が、防衛大臣としてしっかりと覚悟としてあるのかどうかを聞いているんです。

一川国務大臣 それは、公党の安全保障に対する考え方については十分私も興味を持っておりますし、問題意識を持っておりますので、またしっかりとそういうものに目を通したい、そのように思っております。

木村(太)委員 ぜひ御参考にしていただきたいと思います。

 先週木曜日、今津部会長のもとで我が党の国防部会が開かれまして、防衛省の方から第三次補正予算案の説明を聴取させていただきました。要求額が千六百二十億円ということになっておりますが、説明を聞いた段階では、東日本大震災関連、今後の災害派遣対策関連というふうな印象を持ったんですが、それで間違いありませんか。

一川国務大臣 今回の第三次補正予算に対して防衛省が要求したのは、御案内のとおり、東日本大震災で被害を受けた装備品等に対する復旧、また一方では、いろいろと輸送機等の使用によっての減耗というものに対しての対応ということも含めて、当面必要なものについて要求をさせていただきました。

    〔宮島委員長代理退席、委員長着席〕

木村(太)委員 そこで、松島の基地あるいは多賀城の基地等、自衛隊の部隊、基地、装備もかなりの被害があったわけであります。特にF2の戦闘機なんかも被害を受けましたが、今回のこの復旧関連経費が約九百十億円というふうにあったんですけれども、その復旧関連経費を予算化したということは、もちろん被害額がしっかりと把握された上で復旧額を出してきたと思うんですが、被害額というのは幾らなんですか。何回国防部会で聞いても答えてくれないんですよ。

渡辺副大臣 実は、今回の質問に先立って答弁のすり合わせをしたときも、総額と言われるとわからないけれどもと。当初は、被害額についてどうなっているんだ、何でこんなものが発表できないんだと、それも事務方に言いました。

 申し上げますと、松島基地の水没航空機の被害額は、内訳を言いますと、F2Bが六百一億円。それからT4、練習機ですね、これがおよそ十億円。それからU125A、これは五十六億円。UH60J、ヘリコプターですけれども、二十億円。この松島基地で水没した被害額は、総額はまだ隊舎であるとか格納庫だとか含めて国有財産法施行令の規定に基づいて計算をしていますが、この今四つ申し上げただけで六百八十七億円でございます。

木村(太)委員 私の地元の青森県の海自の大湊も被害を受けていまして、全体でどのぐらいの被害額なのか、おおよその額も出せないんですか、もう七カ月、八カ月近くになるのに。おかしくありませんか。それでこの復旧の予算を出してきて……。

 では、これからも復旧関連の予算は、例えば二十四年度の予算案等々にももちろん考えていく、こういうふうに考えていいんですか。おおよその全体の被害額も出せないでこういう予算を出していいんですか。おかしいじゃないですか。

 飛行機のことは、今わかりました。こういう積み重ねをしておおよその額を出すことがそんなに難しいんですか、八カ月ぐらいたっても。

渡辺副大臣 御指摘のとおりでございまして、今回の第三次補正で後年度の負担も含めて出しておりますけれども、今、三次補正で出しているのが九百七億円。これは今わかっているところの、大湊も入ってございまして、基地の基盤復旧でありますとか護岸の整備等々を含めて出しておりますけれども、今回の額だけではなくて、二十四年度の予算の中でも当然これは要求をしていくということでございます。

木村(太)委員 そうすると、二十四年度、場合によっては二十四年度の補正があった場合、あるいは二十五年度等々も考えられるということでよろしいんですね。

渡辺副大臣 二十四年度の、補正というのは来年度の補正というところまでいくのか、これはわかりませんが……(木村(太)委員「あった場合を聞いたんです」と呼ぶ)

 二十四年度の当初予算の中でも当然これは要求をしますし、そして、もしその後にあれば、それは当然その場でまた判断することになるだろうと思っております。

木村(太)委員 副大臣、皆さんが政治主導だ、政務三役だと言うわけですが、こういうところに政務三役の政治的な判断が求められるんじゃないですか。

 何億何千万まで調べろとは言いませんよ。まず大きな全体の被害額が幾らなんだ、それを出した上でしっかりと一つ一つやっていく、これが当たり前のことじゃないですか。そういうことが政治主導でしょう。どうですか。

渡辺副大臣 この点については我々も問題意識を持っておりまして、まさにどこの施設、部隊がどういう被害を受けたのかということについては積み上げて、わかっている限りはまず三次補正で、そして、まだこれからどれだけ額が変わるか算定できていないものには二十四年度という形で、これは当然政治主導で、まさに今の自衛隊の落ちた兵力をどう回復するかということについては、震災前に復旧するための必要な予算は私たちが積み上げて主張してまいります。

木村(太)委員 大臣の活躍に期待したいと思います。

 それで、今答弁にあったことにも関係していくんですが、震災が発生して、十万人規模の隊員諸官があの過酷な状況の中で頑張ってくれたわけであります。私も改めて敬意を表したいと思います。民主党政権とは言いませんが、自衛隊と被災地の皆さんと、あるいは国民の皆さんとのきずなは、より深まったというふうに評価をしたいと思います。

 それで、十万人規模の隊員諸官を災害派遣せざるを得ない事案が発生した。また、先ほど議論したように、自衛隊の基地あるいは装備品そのものも甚大な被害を受けたという状況の中で、日本の防衛能力を試すかのような周辺諸国の動きというものは、むしろ震災後どういう状況なのか分析しておられますか。

一川国務大臣 最近、我が国周辺の中国なりロシアなりのいろいろな活動が活発化してきておるということは我々も十分承知いたしておりますし、そういう中で、今ほどお話しのように、震災発生前後で何か変わったことはないのかという御指摘でございます。

 我々も、特にそれを象徴するようなスクランブル発進というものがどういう状態にあるかということを調べさせていただきましたところ、二十二年度の下半期では緊急発進が二百回、震災後の平成二十三年度の上半期が二百三回というような数字を確認いたしておりますので、震災の前後で大きな変化は見当たらないのではないかという感じを持っております。

木村(太)委員 スクランブルの件数は大体同じだという答弁ですけれども、これだけの千年に一度の被害が出て、それで同じということだと、大臣はむしろ危機感を持たないんですか。その辺が我々とちょっとずれているんじゃないですか。

 それは、二百件と二百三件、そんなに変わらないでしょう。でも、これだけの被害が出ていて十万人規模が投入されている、それでも同じ数のスクランブルの件数があるということは、むしろ危機感を持たないんですか。何か私はちょっとずれているというような感じがするんですね。

 例えばロシア軍における北方領土や日本周辺のいろいろな動き等々、むしろ今までにないような行動が目立ってきているじゃないですか。震災前と震災後と同じなんですか。我々自民党の国防部会の認識と全く違う。同じなんですか。

一川国務大臣 先ほどはスクランブルの回数をちょっとお知らせしましたけれども、私は、先ほど先生のおっしゃった危機感が足りないという意味は、震災発生後、我が国が、自衛隊もそこに大量に派遣され、いろいろな面で自衛隊の力がある程度落ちているんじゃないかとか、あるいはまた、日本国全体の国力が、ある面では被災地域を抱えた中で落ちてきているという中で、もっと危機意識を持つべきだということであれば、そのとおりだというふうに思っております。

 一方、今、最近特にロシアにおけるいろいろな航空機なり戦艦の航行が盛んになってきておるという数字は、先生御指摘のとおり、最近ふえてきておるという数字を我々も把握しております。

 ただ、我々は、そういう状況をしっかりと警戒監視しながら、しっかりと我が国を守るという観点での対応は任務を果たしているというふうに考えております。

木村(太)委員 そうでしょう。むしろ動きが活発化しているんですよ、いろいろな意味で、今までないような事案が、日本周辺における日本周辺諸国の動きが。そこをしっかりとやはり防衛大臣として持って対処していく、このことが大事なわけであります。

 外交的にはまた適時外務大臣の責任というか対応が必要なわけですが、大臣、そういった動きに対して適時適切に対応してきた、あるいはこれからもしていくのか、確認させてください。

玄葉国務大臣 私が外務大臣になって、おっしゃるとおり、ロシアの爆撃機が、領空ではありませんけれども、領空近くを日本一周した。これに対しては、私はラブロフ外相に電話会談でも懸念を表明しました。

 つまり、その意図に対して疑念を抱かざるを得ないということで、私の方から申し上げましたし、常々そういったことに対しては外交ルートでしっかりと適切に対応してきたし、これからもしていくし、おっしゃるとおり、注視をする、そういう姿勢が非常に大切だというふうに考えております。

木村(太)委員 昨年十二月十七日、政府・民主党が、私たちから見ると実態的に約一年おくれて今の大綱、中期防をつくったんですね、実質一年おくれて。そこで、先ほど来議論したとおり、十万人規模を投入した事案が発生した、あるいは中国が空母をつくってみたり、いろいろな周辺諸国の軍事力の強化が目立ってきたということを考えますと、もう一度防衛大綱、中期防の見直しをするということが私は必要だと思うんですね。

 先ほど、与党の議員の御質問を聞いていると、今後、新たなものをつくるときのためにも随時見直していくみたいなことでありますが、去年の十二月につくって、その後、周辺諸国のそういった動きや装備のさらなる強化、そして三・一一の大震災ですから、むしろ積極的にもう一度防衛大綱、中期防を見直しするということが必要だと思いますが、どうですか。

一川国務大臣 昨年、我々は、新しい防衛大綱、新中期防を決めさせていただきました。その後において、今委員御指摘のように、安全保障の環境がいろいろと変化してきておる。そういう中でこういうものをしっかりと見直すべきじゃないかという問題指摘は、先ほどもちょっとやりとりがありましたけれども、いろいろなそういうことを、しっかりと我々も問題意識を持ってその変化の度合いなりそういうものを見ながら、我々としても今の防衛大綱なり中期防をここで検討した方がいい、見直した方がいいということであれば、当然そういうものを見直すという姿勢は私自身も持っておるつもりでございます。

 ただ、昨年できたものを、今すぐ、ことしどうのこうのというものではないと思いますが、そういう問題意識を常に持ちながら、そういうものを固定化するというものではない、私はそのように思っております。

木村(太)委員 昨年できたものを、すぐ今どうこうということ、それは一般論としてはわかります。

 ただ、その後に周辺諸国のいろいろな強権的な動きが出てきたり、あるいは軍事面の装備の強化がいろいろと、この一年間も周辺諸国の動きが明らかになってきた。そして、三月十一日の大震災で十万人規模を投入しなければならない事案が発生した。だからこそ見直しをしなければならないんじゃないですかという意識を、なぜ持たないのかと私は聞いているんですよ。昨年できたばかりだから、今すぐ見直しをする必要がないということでは私はないと思います。

一川国務大臣 私は、そういうことじゃなくて、さっき先生も一般論としてはどうのこうのというお話もございましたけれども、今おっしゃったような、三・一一のああいう大きな自然災害とか、我が国周辺の中国なりロシアのいろいろな活動が活発化してきている現象を見ながら、そういうことをしっかりととらまえて、次のというか、今の大綱なりそういうものを常に見直しをかけていくという問題意識を持ちながら、ある時期にしっかりと見直すということは、それはあっていいというふうに思っております。

 そういう問題意識でございます。

木村(太)委員 先週、国防部会で二十四年度の概算の防衛省の資料をいただきましたけれども、一ページを見ますと、「一層厳しさを増す安全保障環境や東日本大震災における教訓を踏まえ、「平成二十三年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」に基づき、動的防衛力の構築に向けた、効果的かつ効率的な防衛力整備を着実に実施」と一番最初に書いてあるんですね。

 解釈は分かれるところですが、「東日本大震災における教訓を踏まえ、」と書いてあるんですね。大震災が起きる前に、昨年の十二月に防衛大綱をつくっているわけですから、私は、時間的に見ても整合性がない表現だなと思うんですよ。そう思いませんか。

 安全保障環境の変化や大震災の教訓を踏まえ、大綱と中期防のことを言っているわけですから、順番からいくと逆でしょう。違いますか。

一川国務大臣 それは二十四年度の予算要求の資料だと思いますけれども、我々は、来年度の予算要求には、東日本大震災の教訓なりそういうものを、しっかりと来年必要なものは要求しましょうということなんです。一方で大綱なり中期防にうたわれておる一つの考え方がございますから、そういうものに基づいてしっかりと装備品等を整えていくという中で予算要求をさせていただいておるということでございますので、来年度の予算要求の一つの基本姿勢を示しているということでございます。

木村(太)委員 その基本の基本が防衛大綱であり中期防だから、私は、何回もこうやって議論させてもらっているわけですよ。防衛大臣、そういう点の本当の根底の意識というものをしっかりと持って対応していただきたいというふうに思います。

 大綱等々の一つの考え方に、これから我が国の南西地域の、特に島嶼部の防衛の整備というものを掲げているわけであります。ただ、先ほどの答弁にもありましたが、北方領土や北日本の方で、あるいはまた日本全体においても、ロシアのいろいろな動きが活発化しているということを考えますと、北日本の守りというものも忘れてはならないというふうに思います。

 旧ソ連のときは、ある面では北を重要視した日本の防衛の姿というのがあったのは事実であります。しかし、その後、我々も政権を担った責任があるわけですけれども、例えば陸自でいえば、師団だったものを旅団や混成団等に縮小していくというような動きは、どちらかというと北日本が目立っていたわけですね。

 しかし、ここへ来て北日本の方でもこういう動きになっているので、北日本の防衛のあり方というものをどう考えているのか、確認させてください。

一川国務大臣 今、我が国の防衛体制の中で、先生御出身の東北方面を中心とした北日本の我が国の防衛上の役割というのは、大変重要な役割を担っているというふうに私自身は認識いたしております。

 それは、御案内のとおり、陸海空ともに重要な施設をその地域に張りつけているわけでございます。そういう面では、地域の皆さん方の深い御理解の中でこういう運用がされているというふうに思いますし、引き続きいろいろな面で御指導をいただきながら、しっかりとまた体制を整えてまいりたい、そのように思っております。

木村(太)委員 地元のことで恐縮なんですが、うちは陸海空がありまして、それから米軍がある。それで、人口に対して自衛官の数というのは日本一多いんですよ。そして、世界で初めてXバンドレーダーというのを青森県に設置しました。

 では、北日本の中でそういう青森県の防衛の位置づけをどう思いますか。

一川国務大臣 今委員がおっしゃったように、青森県の自衛隊の数が大変多いということ、私は青森県が一番多いということを実は知りませんでしたけれども、そういう面では、これから我々も、今先生がおっしゃったように、陸海空の大変重要な施設を青森県に抱えていただいておりますので、そういうことも含めて青森県民の皆様方ともしっかりと意思疎通を図りながら、我々の日ごろの活動に理解を示していただきたいと思いますし、必要なことについてはしっかりと責任を持って防衛省も対応してまいりたい、そのように思っております。

木村(太)委員 先ほど岩屋筆頭理事の御質問にも関係するんですが、昨今の日本周辺や国際社会の安全保障の変化、あるいは各国が保有する装備品の近代化等々を考えた場合、現行憲法で日本の防衛はこれからもやっていけると思いますか。言い方をかえると、憲法改正の必要性を大臣はどう思いますか。

一川国務大臣 私自身は、今、憲法改正をする必要は、必要だとは思っておりません。

木村(太)委員 衆参に憲法審査会がようやく動き出しまして、四年半前につくったのに、民主党さんがかたくなに拒んで休眠状態であったのがようやく動いたわけですから、どうぞ、一議員としても、また国務大臣としても、興味を持っていただきたい。

 最後に、TPPに対して参加の是非を、国務大臣として一川大臣はどう判断しますか。

一川国務大臣 TPPに対する私の個人的な思いというのはいろいろとございますけれども、今、防衛大臣としましては、やはり食料というものは我が国でしっかりとある程度自給できる体制がないと、日本の防衛というのは当然基本的には成り立たないというふうに思っておりますから、そういう面では、TPPの議論は議論として進めたとしても、我が国の食料自給率を低下させることがあってはならない、そのように思っております。

木村(太)委員 終わります。ありがとうございました。

東委員長 次に、今津寛君。

今津委員 自民党の今津寛です。よろしくお願い申し上げます。

 今の木村議員とのやりとりの中で、状況の変化に応じて防衛大綱の見直しもあり得る、中期防の数字も変えることもあり得るというふうに私はそばで聞いていて感じたんですが、それでよろしいでしょうか。

一川国務大臣 私は、この大綱なり中期防というものは完全に固定化するものではないというふうに思っておりますので、先ほど来議論に出てきたように、我が国の安全保障を取り巻く環境の変化とか、先ほど自然災害の話もちょっと出ました、そういう面で、また一方では、我が国の少子高齢化社会の中で、財政事情が大変厳しいという状況、経済状況も非常に厳しいという背景の中で、やはりこういう防衛省が抱えている大綱なり中期防であったとしても、見直すべきときにはしっかりと見直すべきだ、そういう問題意識は持っております。

今津委員 自民党が政権をとった暁には即大綱の見直しをするということを公約の中心に掲げて頑張っていきたいというふうに思いますし、今また大臣の方からも、与党においてもそういう考え方を持っているということをお聞きしたので、少しほっとしているというか安心をしているところであります。

 さて、九月十日の読売新聞の朝刊に国民の意識調査の結果が載っていまして、震災においてどういう人たちが頑張ってくれたかという評価でありますが、自衛隊に対しては八十数%なんですね。断トツで一位なんですね。ボランティアの人とか消防とか、あるいは自治体の責任者の方々とか警察とか、ずっと載っているんですが、国会は三%しか評価しないんですよ、三%、国会が震災のために頑張っているというのは。それから、政府というか政治家は六%。非常に自衛隊を評価するとともに、政治に対しては信頼感がないということがそこでわかっているんです。

 そこで、防衛大臣に聞きたいんですが、その自衛隊の位置づけなんですが、軍隊ですか、軍隊でないんですか。どういうふうに自衛隊は位置づけたらいいんですか。

一川国務大臣 私は、我が国の自衛隊というのは、いろいろな議論があったと思いますが、我が国が直接外国から何か攻められるということであればしっかりと戦うという姿勢でございますから、そういう面では軍隊だというふうな位置づけでもいいと思うんです。日常的に、まだ平和な状態でのいろいろな活動というのはいろいろな見方があるかもしれませんけれども、常に、我が国の領土がそういうふうに急迫不正の勢力に侵されるということがあってはいけないわけでございますから、それに備えた訓練は当然いたします。

 また、自然災害に備えてのいろいろな新しい訓練ということも、今回の原子力発電所事故に対する対応みたいなものはどっちかというと今まで自衛隊としては余り訓練してこなかったのではないかというふうに思われますので、そういうことも含めた訓練というのは常に心がけるべき時代だなということは思っております。

今津委員 今までの民主党の大臣ではおっしゃらなかったことを今おっしゃったわけですよね。

 自衛隊が軍隊だという認識であれば、法律的な裏づけはどうなっていますか。

一川国務大臣 法律に明確にそういうことをうたってはいないと思います。

 今先生、一般的な用語としてそういうことをお話しされましたので、我が国の自衛隊は、我が国がそういう急迫不正な勢力に攻められたときに対してはしっかりと備えておくということは、私は、それは自衛隊としての日ごろの訓練の中でしっかりと対応すべきだというふうに思っております。

今津委員 私はちょっと認識が違うと思うんですね。

 いわゆる自衛隊は、国家国民を守るための高い能力を保持し、そして装備も保持する実力組織だと思うんです。しかし、そういう自衛隊を国軍とする法的裏づけが何もなくて、いつも議論をしているところです。

 今の自衛隊の大活躍ぶり、あるいは国民の評価、世界からの評価を受けて、自衛隊の最高責任者として、憲法を変えて国軍として明快にするというお気持ちはありますか、ないですか。

一川国務大臣 結論から先に申し上げれば、それは私は今思っておりませんけれども、ただ、我が国の平和と独立をしっかりと守る、そしてまた我が国の安全を保つという崇高な使命を自衛隊は抱えておるわけでございますので、そのための、陸海空の自衛官を初め文民の皆さん方も含めた自衛隊の組織というのは、私は、今の体制の中で、また今の法体制の中でも当然やっていけるというふうに考えております。

今津委員 その一生懸命頑張っていただいている自衛隊の方々の気持ちにこたえる最大限のものは、やはり自衛隊を国軍とし、そして憲法でその位置づけを明確にするということだと私は思います。

 そういう意味で、もう一つ、突然ですが、大臣の意向を聞きたいと思うんですが、仙谷前官房長官の暴力装置発言、これは昨年十一月十八日、参議院の予算委員会での発言であります。本人も訂正をし、陳謝をしているところでありますが、最高責任者としてこの発言についてどう思いますか。

一川国務大臣 私は、その発言は直接は聞いておりませんでしたが、そういうことが当時大変話題になりました。

 今、防衛省の自衛隊を指揮監督する責任者としては、そういう発言は非常に、迷惑と言うのはおかしいですけれども、私自身はそういう発言には賛同できません。

今津委員 その賛同できない発言を時の官房長官がしたということについてどう思われますか。

一川国務大臣 当時、御本人もそれを一応反省されての訂正があったのではないかというふうに思いますので、私も今、私の自分の考え方は申し上げましたけれども、それ以上ここで私が言う必要はないのではないかというふうに思っております。

今津委員 大臣、簡単に考えない方がいいですよ。大臣がどういうふうに発言されるか、隊員はかたずをのんで見守っていますから。これも今、恐らくネットで見ている人もかなりいると思うんですよ。あなたがやはりこういうものに対しては毅然ときちっとした姿勢を示さないと、今のように非常に第三者的な、他人事のような発言というのはしない方がいいと思うんですよ。きちっと、やはり毅然とこういうものに臨んでいくということをお願いしたいと思います。

 ところで、私、民主党政権に対して感じることは、根本的に我々と違うのは国家観なんですね。それから、皇室に対する姿勢。いろいろな問題点がありましたよね、皇室に対する姿勢。それから、権力あるいはアメリカに対する姿勢。先ほど話題に出ました官房長官、あるいは枝野さんもそうだったと思うんですが、民主党の指導者の中に、かつて学生運動に青春をかけたり、根本的に反国家、反米、そういう思想の中で行動された方が多いのでそういうふうに思うのかもしれませんが。

 そこで、民主党の掲げている外交政策、防衛政策、もう一度私は検証すべきだというふうに思うんです。

 マニフェストについては、四Kのことはいろいろと議論になっていますが、実は私は、民主党の外交、安全保障政策に掲げたこと、そして、その選挙の終わった後、それが一体どういうふうになっているのかということがきちっと検証されなければならぬ。むしろ四K以上に日本という国家にとって大切なことだというので、少し細かくなりますけれども、いろいろと検証したいというふうに思います。

 資料をお配り申し上げております。大臣、ちょっと字が細かいので、あなた方がつくったマニフェストですから頭の中に入っているというふうに思いますけれども、一応お配り申し上げました。資料は二枚お配り申し上げておりまして、一枚目は、ちょっと字の小さいものですが、二〇〇九年の衆議院、あなた方が政権をとったときの外交、安全保障のマニフェスト。そしてもう一枚は、昨年の参議院選挙のときの、菅直人さんの若いときの写真が写っていますが、そのときの外交、安全保障のマニフェストであります。

 最初に外務大臣にお聞きします。

 丸が三つあるんですが、そのうちの一番目。「日本外交の基盤として緊密で対等な日米同盟関係をつくるため、主体的な外交戦略を構築した上で、米国と役割を分担しながら日本の責任を積極的に果たす。」ということについて、あなた方の公約がどのように進展しているかということをお聞きしたいと思います。

玄葉国務大臣 今、今津先生がおっしゃった、日本外交の基軸として緊密で対等な日米関係を築くんだ、こういうふうに書いてございます。

 先ほど率直に私自身がこの場で申し上げましたけれども、やはり鳩山政権当初、一時的な揺らぎというのが日米にあったというふうに私自身は思っています。日米を強固なものにするために、しっかりと私は引き続き汗を流すということが極めて大切なことだというふうに考えているところでございます。

今津委員 引き続き外務大臣にお聞きをします。

 二番目の丸のところですね。「米国との間で自由貿易協定(FTA)の交渉を促進し、貿易・投資の自由化を進める。その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。」。

 今、TPPで大変ですよ、国論が二つに分かれて。私は、総理大臣が自分の意思を早く明快に示すべきだというふうに思いますがね。いろいろと議論を深めているように見えますけれども、しかし、事実上総理の腹は固まっているのではないかというふうに私は思うのです。

 そこで外務大臣、アメリカとの間で自由貿易協定、FTAの交渉を促進したらいいのではないかというのは、実は我々もそう言っている。TPPというのは、実は例外なき多国間FTAだということで、それならば、韓国がそうであるように、EUとかアメリカとか、日本も個別なFTAあるいはEPAを結ぶことによって、日本の農業も、あるいは日本の持っている大切なものも守られていくという考え方に立っているわけでありまして、ここのところは同じなんですよ。しかし、なぜ日米FTAでなくてTPPになって、この日米FTAをやっていきますという民主党の公約はどこへ行ったのか、どういう進展状況なのか、御説明いただきたいと思います。

玄葉国務大臣 これは今津先生、二〇〇九年の七月二十七日の約束ですね。日米FTAのことをここでうたっていて、TPPは、実はその後にまさに議論として、議論としてというより、そもそも交渉そのものが始まったという経緯が率直に申し上げてあるということだと思います。

 おっしゃるように、日本の場合、シンガポールを皮切りに、二国間FTA、EPAをそれぞれ結んできています。ただし、問題なのは、それぞれのレベル、つまりはタリフラインなどのレベルが、例えば八十数%台であるとか、残念ながら低いです。例えば、ベトナムと結んでいるFTA、何と八割台のバイクに対する関税がかかっている。それなのにFTAを結んでいる。そういうFTAが実はかなり多いということで、昨年十一月に、これは私が責任者でありましたけれども、包括的経済連携の基本方針というものをつくって、高いレベルの経済連携に踏み込むということを実はそこで決めたということでございます。

 そのときは、おっしゃるとおり、まだ、TPPまではっきりと結論を出す、そういう状況ではなかったわけでありまして、現在、政府の中でも、また同時に党内でも、でき得る限りの情報を出して、その上でしっかりと結論を得るための努力をしているというところでございます。

今津委員 それで、三番目の問題でありますが、「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」これが、県外移設の地元の期待が膨らんで、そして今日までの混迷の原因になったのでありますが、これについて、その後どうなったのか。

玄葉国務大臣 率直に申し上げると、この文章だけなら私は問題にならなかったと思っているんです。つまり、選挙戦中に最低でも県外と言ってしまったことが、その後のさまざまな問題を引き起こしたというふうに思っております。

 したがって、先ほど来から申し上げておりますけれども、日米同盟を、経済も含めてでありますけれども、しっかりと深化させていく、そして安保面でも深化させていく、その過程の中で日米地位協定を扱うということじゃないと、では、現時点ですぐ日米地位協定を提起するということが本当にタイミングとして適切なのかといったら、私はそうではないだろうと。まず、普天間を初めとする喫緊の課題についてきちっと対応しながら、この日米地位協定の問題について検討していく。

 ただ、他方、沖縄のいわゆる負担軽減、特に事件、事故、騒音、環境、こういった問題に対する対応についてできる限りのことを実現していくということは大事なことでありまして、先般も四軍調整官に私の方から、騒音を初め具体的に幾つかのことについて要請をいたしましたけれども、現時点では、そういったことを、運用面であるいはそれぞれ個別の面でしっかりと負担軽減を図っていくということが適切なのではないかというふうに考えております。

今津委員 日米地位協定の改定は、私も今沖縄に頻繁に通っているんですけれども、必ず沖縄県民の方々から出てくることなので、これはこれでしっかりやらなきゃいけませんが、私がもっと問題提起をしているのは、先ほど、鳩山総理ではないですよね、これはもう政党としての公約、マニフェストですから、民主党が政権をとったその一つの大きな柱、これが現実的に今日までの混乱を起こしてしまったということは、大臣が認めているところであります。

 時間の関係もあって、次に行きたいんです。

 菅内閣総理大臣の外交、安全保障のマニフェスト、参議院選挙のがありますが、「「東アジア共同体」の実現をめざし、中国・韓国をはじめ、アジア諸国との信頼関係の構築に全力をあげます。」。

 最近、この東アジア共同体というのは、民主党からほとんど聞かれなくなりましたね。これはどうなったんでしょうか。どういう状況にあるんでしょうか。

玄葉国務大臣 東アジアというのは、もう言うまでもなく、極めて大切な国々でございます。ただ、この東アジア共同体という構想そのものの定義が、率直に申し上げて明確ではないのではないかという思いがございます。したがって、その定義を明確にしないまま、いかにも大きな構想として打ち出していくということよりも、着実に一つ一つの課題を解決していく。

 東アジアであれば、例えばEAS、東アジアの首脳会議というのは今度米ロが入ってございますし、ASEANもある、ASEANプラス3もある、ASEANプラス6もある、APECもある。そういうこともございますから、そういったものを上手に活用しながら、私はいつも言うんです、開かれた多層的なネットワークというものを強化しよう、そういう言い方をいたしますけれども、そういったものを上手に活用しながら、そういったネットワークを強化していきたいというふうに考えております。

今津委員 衆議院、参議院、二つの選挙において国民に約束した与党民主党の外交、安全保障、これはまさに、今、玄葉大臣からお話がありましたが、言葉の定義もきちっとなされないで提案をされたということでありまして、こういう政党に政権をとられたということについては我々は非常にじだんだを踏んでいるんですけれども、しっかりと我々も研さんを重ねてやらぬといけないというふうに思います。

 ところで、きのう、夜九時ちょっと前に帰ってNHKのテレビを見ていましたら、ちょうど仲井真知事が単独インタビューを受けておりまして、見た方もおられるというふうに思います。

 それでは、一川大臣が見ておられたということなので、一川大臣に聞きます。

 私、メモをとったんですが、泥仕合、泥沼化していると。大臣がかわるたびに沖縄訪問されている、しかしほとんど一緒だ、一点だけ違う、なぜ辺野古かという説明がない、安全保障環境は厳しくなる、前からわかっていることだと。だから、先ほどから一川大臣が言われていますけれども、非常に厳しくなったということで、これをアメリカとの関係の中で早く進めなきゃならぬということをおっしゃっている。そんなことは前からわかっていることだと。ここは先ほど下地さんも言ったんだけれども、県民と約束した公約は民主党のように簡単に変えられないと、大臣、仲井真知事が言っていましたよね。又吉進さんという知事公室長も、防衛省が出された資料を指して言いながら、全く説明が具体性に欠けている、我々は納得できないと。

 こういう状況の中で、きょうこれからアメリカの大臣とお会いするんですね。大臣、どういう決意で大臣と会われて、何をお話しされるのかということを聞きたいと思います。

一川国務大臣 きのうのそのテレビ、私も拝見させていただきました。民主党のように簡単に公約は変えられないというところは、私も非常に印象に残っております。

 しかし、我々も、マニフェストに書いているということも一方であるわけでございます。我々は今沖縄を相次いで訪問させていただいておりますけれども、私自身は、先ほど下地先生にもお話ししましたけれども、しっかりと腹を据えて、沖縄の皆さん方に我々の考え方を誠実にお話しさせていただいて、何とか理解を求めていきたいという気持ちでいっぱいでございます。

 きょうパネッタ国防長官にもそういったところを、我々は日米合意に基づいてしっかりと誠意を持って取り組んでいるということをまずお話し申し上げながら、一方では、この日米合意というのは双務契約的なものですから、アメリカ側にも努力していただきたいということで、先ほど話題に出たような、普天間飛行場に関連する海兵隊のグアム移転ということについてもしっかりとアメリカの方でも推進をしてほしいというようなことも含めて確認をしながら、この日米合意の問題をしっかりと進めていくということについて意見交換をさせていただきたい、そのように思っております。

今津委員 知事公室長がNHKのテレビで示していた資料はこれなんです。これにいろいろなことが書いてありまして、日本の安全保障とか日米同盟とかアメリカの東アジア戦略とか、いろいろ議論になっているんですけれども、私は、沖縄県民にとってこの普天間の移設というのはどうなのかと。沖縄県民、沖縄の人たちの安全保障、意味わかりますか。県民の安全保障にとって、日米とか日本とか東アジアとか、そういう感覚でなくて、当事者の沖縄の人たちにとってこの普天間問題はどういうふうに位置づけられるのか。だから、沖縄の人たちにとってもこの普天間の移設という問題が一人一人の県民を守ることになるんだということを説得できれば非常にいいわけですよね。それはどういうふうにお考えになっていますか。

一川国務大臣 私は、日本国民の中でも沖縄県民の皆さん方は、最も平和に関心を強く持っておられ、平和を愛している、そういう県民であるというふうに思っております。そのことは、アメリカの関係者の方々とお会いするたびに伝えさせていただいております。

 そういう中で、我が国は戦後六十六年、このように順調に発展してきたということも、やはり日米の安全保障条約の中で在日米軍の一つの役割というものも評価しなきゃならないと当然思いますし、そういうことは、今度は、やはり沖縄の大きな負担のもとでこういう状態に日本が来ているんだということを日本国民全体の皆さん方にもわかっていただけるような努力をしなければならないというふうに私は思っております。

 それは、今、野田総理大臣の方にも、やはり全国の知事さんにもそういうことを呼びかけたらいかがですかということを我々も外務大臣とともに進言させていただいております。

 そういう中で、そういうことのまず認識を持ちながら、当面、我々はしっかりと、今、日米合意に基づいた問題を沖縄県民の方々に誠実にお願いをしてまいりたい、そのように思っております。

今津委員 これからアメリカの大臣と会われるようですけれども、何か聞くところによると、防衛大臣も三十分ぐらい、外務大臣も三十分ぐらい。もっとあるんですか。(発言する者あり)もう少しある。時間がもったいないですよね。通訳も入りますから。できれば、これはやはり両大臣一緒に集中的にやる方が、会った途端にいろいろな外交の言葉も要るわけだし。というふうに、これから工夫して、しっかり日本の国益のために、あるいは東アジアの安全のためにきょうは頑張っていただきたいというふうに思います。

 時間の関係で、石田副大臣、大変申しわけなかったんですが、スーダンまで強行日程で行っておられまして、お疲れさまでした。

 きょうの理事会で岩屋理事から問題提起させていただいておりますが、このことについては改めて委員会で集中審議をお願いするということでありますけれども、あなたが強行日程の中で行ってこられた南スーダンの現地の状況を、限られた時間ですけれども、御説明いただきたいと思います。

石田副大臣 御質問ありがとうございます。

 去る十月の二十一、二十二日と、南スーダンの首都であるジュバに行ってまいりました。率直に言って、このジュバの状況は平穏でありました。そして、あちらにおりますUNMISSの特別代表やあるいは政府要人とも、いろいろ時間の関係もありましたが、相当な強行日程で会談をする中で、国連、つまりUNMISSに対する脅威もないということであります。

 一部報道で、部族間の争いとかというふうなことがある、そんな報道がされておりますが、私もその点も確認をいたしました。南スーダンは約五百ぐらいの部族がございまして、南スーダンの財産というのは牛と水なんですね。その牛と水の奪い合いで、ジュバからはるか千キロ以上離れたところで確かに部族間の争いがあったのは事実でありますが、ジュバについては平穏でありました。

 そして、今津委員は大変安全保障の問題に造詣が深くて、かつて、現在の北スーダン、ハルツームに行かれたというふうに私もよく存じ上げておりますが、私も昨年、海賊・テロの委員長としてハルツームに行きました。北の首都であるハルツームと南の首都であるジュバとでは、相当な格差がございます。

 つまり、道路、インフラ、これが全くと言っていいぐらい、道路については、日本の一・七倍ある南スーダンで約六十三キロしか舗装がされていないんですよ。私も、ランクルで動く中で、胃下垂になるんじゃないかと思ったぐらい、極めて劣悪な状況でありました。

 今回は、仮に派遣決定ということになれば、いわゆる国づくりに協力をする、そういうふうなあり方で、今先生からの御質問については、平穏であった、そして国連に対する脅威はないということを御答弁申し上げます。

 時間の関係で、終わります。

今津委員 副大臣、わざわざ来ていただいて、時間の関係で、大変申しわけなく思います。

 しかし、安心だと言うけれども、安全だと言うけれども、福島の原発を見ればわかることで、想定外ということは簡単に起こり得る話だし、今回も、南スーダンについては、今まで何も起きなかったことは奇跡だけれども、今度はもしかすると犠牲者が出るかもしれないということをかなりのOBの人が言っています。それから、現役の幹部の人たちも、我々はそういう覚悟をしていると言っていることは間違いない、私が聞いていることなので。

 私は、PKO五原則の中の武器使用の問題をきちっと変えて自衛隊を派遣する、もし派遣するとすれば変えるべきだということを申し上げて、また議論はこれからいろいろとさせていただきますので、以上で終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 一川大臣、まずは、同じ石川県民として、防衛大臣に就任なさいましたことに心からお祝いを申し上げたいと思います。(発言する者あり)本心ですよ。諸課題、多くあります。一生懸命務めていただきたいと思います。

 まず最初に、もうキャッチフレーズとなりましたが、一川大臣のおっしゃる国民目線とはどういう目線ですか。

一川国務大臣 きょう午前中もそのことが幾つか出ましたが、私の国民目線という表現は、特に防衛政策、安全保障の政策というのは国民の皆さん方にある面でちょっとわかりづらい面もありますから、そういう面では、国民の目線に立って、わかりやすく、国民の方々に理解を求めていくという努力をしたいという意味で使わせていただきました。

 これは、私の就任当時にそういう発言をしておりますけれども、私自身は、御案内のとおり、きょう話題に出ますけれども、小松基地で生まれ育ち、そこに住んでいる人間でもございますし、かねてから、国防とか安全保障、外交というものには、国会議員になる以上はちゃんと関心を持ってやろうというふうに思っておりました。ただ、それは常に国民にわかりやすく語りかけていくということが非常に重要だという思いを持っておりましたので、そういう表現を使わせていただきました。

馳委員 国民目線で小松基地のF15タンク落下事故が対応されたのかということをきょうは質問したいと思います。

 第一報として、一川大臣に、タンク落下事故について、どこに落ちたと報告が上がりましたか。

一川国務大臣 私は、九時過ぎに官邸の方へ向かって車に乗っていたと思うんですけれども、そのときに連絡が入ったと思うんです。具体的に、その時点ではどの場所かまだはっきりわかりませんでした。

 情報セキュリティーの閣僚会議というのがございまして、その後、閣議が控えているわけでございますが、地元の小松基地でF15の燃料タンクが落下したという事故が発生したと。それについて、すぐ、何か人身事故が起こったのかというような話を確認しながら、落下場所については奇跡的に空き地に落ちた、または、一部は浄化センターの中にも落ちたという話は、そのときには確認いたしました。

馳委員 防衛省の十月七日十二時四分付のファクス、報告書を見ますと、防衛省運用企画局運用支援課とありますが、発生場所については、空自小松基地北北東約四キロの海岸付近の地上という表現がなされているんですよ。今大臣がおっしゃったことと微妙に違います。間違っているとは言いませんが、正確ではありませんね。

 殊さら、小松基地の担当者は大臣に心配をかけまいとしたか、あるいは落下場所において物損事故や人に危害がなかったので、海岸付近の地上という表現からすると、海岸のそばの地上に落ちたのかという程度の認識しか本省には上がっていません。これは、大臣のおっしゃる国民目線とは違うんじゃないんですか。この時点においては、具体的に住民からの通報もあり、どこに落ちたかの確認をとっているはずなんですよ。

 大臣、いかがですか。

一川国務大臣 当然、現地の小松基地の方においては、そういう住民からのいろいろな通報により、また、基地のスタッフが現地に駆けつけていると思いますから、確認されているというふうに思っております。

馳委員 したがって、確認されたことが正確に伝言ゲームで大臣に伝わっていなかったということが、この最初の報告書からもうかがえております。私は、この海岸付近の地上という表現に、今の防衛省の本質見たりというふうに思いました。

 そこで、大臣は、地元の井筒小松基地司令と事故後最初に直接お会いになったのはいつですか。

一川国務大臣 私が大臣室で基地司令から報告を受けたのは、十四日の日でございます。

馳委員 実は、事件翌日に極秘に井筒司令をお呼びになったという情報を小松空港の関係者からいただいておりますが、それは間違っているということをおっしゃっていただけますか。

一川国務大臣 それはございません。

馳委員 そこで、改めて落下場所についての具体的なことを確認したいと思います。

 どうもこの事故はできるだけ小さく処理して大臣には負担をかけないようにという、現地小松基地司令の考えがうかがい知れます。小松基地から防衛省への最初の報告書では、先ほど申し上げたとおり、海岸付近の地上に落下したとありますが、正確ではなく、高速道路のわき、わずか二、三十メートルの地点、しかも、住宅と事務所兼用の企業の間、およそ十五メートルくらいのところに落下していたものです。現地を取材した報道陣も確認しております。

 大臣、もしその部品が、タンクが、北陸自動車道に落下したらどういう事態が想定されていましたか。

一川国務大臣 私も現地のことはよく知っていますけれども、本当に高速道路に割と近いところであることは間違いありません。あの時間帯に、もしそういうものが高速道路に落下すれば、私は、大惨事になったのではないかなという感じはいたしています。

馳委員 落下現場には大きな穴があいていました。報道陣も確認しております。石川県警は現場検証したのでしょうか。

神山政府参考人 お答えいたします。

 石川県警察では、落下事故の発生を認知後、現地へ急行し、落下箇所及び落下物品を写真撮影するなど、現場の実況見分を行った上、落下物品を一たん押収いたしております。

 その後、自衛隊と協議をいたしまして、警察と自衛隊との犯罪捜査に関する協定に基づきまして、当該事故捜査は秘密保持に直接関係があるものであるということで自衛隊に引き継いでおり、押収した落下物品につきましても引き渡しております。

馳委員 ここが一つのポイントなんですよ。大臣、今後のことなのでよく御理解いただきたいんですが、現場検証、いわゆる交通事故などがありましたら、黄色い線を張ってだれでも入れないようにして、事故原因の究明と今後の再発防止などに取り組むじゃないですか。ところが、自衛隊の諸君は、現場を警察から引き継いだ後、現場の保持、検証を十分やっていないんですよね。そんなことでよいのかなということなんですよ。

 たまたま物損事故がなかった、人に危害もなかった、高速道路にも落ちていないから車の事故もありませんでした。しかし、上空から戦闘機のタンクが落ちてくるという前代未聞の事故を起こしたにもかかわらず、自衛隊のこういった事後処理の対応は本当にこれでよかったのかということを、私は、国民目線で、大臣にもその深刻度合いを理解していただきたいんです。

 私は、はっきり言いますよ。自衛隊は、犯罪捜査と警察権の問題は引き継ぐことができます。であるならば、もうちょっと現場を、ちゃんと縄を張ったりして保持をして、原因究明のためにも、原因の究明が終わって国民に発表するまで落ちたあたりを保持しておくことぐらいは、せめてしておくべきだったんじゃないかなと思ってこの質問をしているんですよ。大臣、いかがですか。

一川国務大臣 今、委員御指摘のその問題について、私ももう一回確認したいというふうに思っておりますし、私は、今回のこの事故の発生で、なぜすぐ地元へ飛ばないんだという御指摘をいろいろと受けるわけですけれども、今おっしゃったように、物的ないろいろな損害が大きくなかったとか人的な災害もなかったという面では非常に奇跡的な現象だったと思いますが、こういうときに現場の自衛隊の組織がどういう対応をするかということは、冷静に分析をし、点検したいという思いもございました。

 そういう中で、東京にいてしっかりと指示できることは指示したいと。これは、F15という大変大事な戦闘機、日本全体で二百機を超える数を持っておりますから、そういう戦闘機の事故だということもございますので、私は、できるだけこちらにいて、冷静にその判断をして、自衛隊の皆さん方に指示することは指示する、どういう対応をするかという状況を見きわめるということも大事ではないかなというふうに思っておりましたので、今先生御指摘のことについては、反省するところはしっかりと反省してまいりたい、そのように思っております。

馳委員 自衛隊の基地の中のこと、犯罪捜査とかいろいろなことは、警察ではなくて自衛隊内の警務隊が引き継ぐ、これは当然のことだと思うんですが、これは自衛隊の中で起きていませんね。いわゆる一般の住民の皆さんが生活をしている、また、高速道路のすぐそばで起きたことである以上は、私はこれは今後の反省点として言いますが、やはり警察と事故の現場検証を含めて原因究明まで連携して対応する、そして、警察からも自衛隊からも原因究明とその報告について住民に対して、地元自治体に対して行うという体制をとるのが、国民目線の一川大臣の責務だと思って指摘しているんです。

 次の質問に行きます。

 あの事故から一週間後の十月十五日、午後五時過ぎに一川大臣は小松空港におり立ちまして、その数時間後に小松空港を出発されました。何をしに行ったんですか。

一川国務大臣 実は、私が民主党の石川県連の代表を務めているときに、大臣に就任する前に企画をした民主党の石川県連のパーティーがございました。そういうことがあって、多くの人に呼びかけていましたから外さない方がいいだろうということで、その時間帯直前に小松空港におり立ち、出席させていただいたということでございます。

馳委員 十月十五日は土曜日です。大臣のその日の公務をちょっと調べさせていただきました。自衛隊殉職者追悼式関連行事、そして、防衛大臣感謝状贈呈式関連行事がございました。

 私は、ここを指摘したいんですよ。大臣の指示で時間を調整すれば、羽田一時発のJALないしは三時五分発のANAに乗れたんですよ。そして、国民目線とおっしゃるならば、一刻でも早く、夜パーティーがあるのはわかっていますよ、一刻も早く現地におり立って、小松市長、能美市長、谷本石川県知事、せめて三者のところに事前に足を運んで、申しわけなかった、二度とこういうことがないように対応する、その一言をおっしゃってほしかったんですよ。いかがですか。

一川国務大臣 私は、その日は午後から防衛省に協力していただいている方々に対する感謝状の贈呈式というのがあったと思うんです。それは、通常であればある程度時間がかかるものを、時間を短縮させていただきました。そういう中で、その時間帯に小松空港におり立ったわけですけれども、そういう事情があったということをまず御理解をしていただきたいと思うんです。

 私は、その前に、電話で知事とか関係の方々にこういうことで申しわけなかったということは連絡させていただきました。そういう中で、地元の皆さん方に頭の下がる思いですけれども、しっかりと自衛隊を指揮して、地元の皆さん方の心配していることに対してしっかりと東京で対応してほしいという要請、激励も受けました。

馳委員 僕は、大臣は国民目線といういい言葉をおっしゃるから、あえて厳しいことを言うんですよ。

 パーティーに出席されるのは、民主党石川県連代表として、パーティーチケットをお買いいただいた皆さんのためにお礼に行くのは当たり前で、私はそのことを言いません。でも、パーティーが始まる前に、せめて小松市長、能美市長、谷本知事に、みずから先頭に立って申しわけなかったと謝りに行く姿勢が必要だったんですよということを指摘しているんですよ。

 なぜかというと、多分、パーティーでお会いになったと思います。しかし、報道陣も含めて、そういう姿を求めているのではありません。もしかしたらこの事故は、我々ふるさとの大先輩、瓦先輩が、大臣就任早々「なだしお」の追突事故でおやめになりましたよね。その二の舞になった可能性もありました。

 ああ、一川さんがそんなことにならなきゃいいな。何とか頑張ってほしい。だったらば、特に地元に対しては、配慮があなたは必要なんですよ。それをされなくて、パーティーに出て、お帰りになったという姿、形しか残っていないのです。電話なんて、だれが見ているかわからないじゃないですか。だから、それを私は求めていたんですよ。どうですか。

一川国務大臣 確かに、そういうことで見ておられる地域住民の方もおられたというふうに私も思います。そういう面では、私が合間を見て、そういう努力がちょっと足りなかったんじゃないかと言われますと、それは、ある程度こちらの、東京のスケジュールをキャンセルしてでも行けたといえば、そういう時間帯があったかもしれません。

 ただ、それは、先ほど言いましたように、私自身は、地元の、基地の周辺の皆さん方にいつもお世話になっている人間でございますから、いろいろな住民の方々からも連絡をいただきました。そういう中で、幸いにして今回は空き地でこういう格好になったけれども、もし万一、先ほどおっしゃったように、ちょっとずれておれば大惨事になった危険性をはらんでいる。これであれば、やはり自衛隊という組織をここでしっかりとチェックをするということも大きな大臣の責任だ。そしてまた、F15という戦闘機の今後の対応の仕方についてもしっかり指導した方がいいんじゃないかということも一方でお聞きしましたので、私は、東京にいたということでございます。

 先生の御指摘のことについては、私もしっかりとまた反省してまいりたい、そのように思っております。

馳委員 さて、タンクが落下したということでありますが、このとき落下事故を起こしたF15はタンクを三つつけていたと。通常ではそういう訓練は余りしないそうなんですよ。何のための訓練だったか、お聞きしましたか。

神風大臣政務官 答弁させていただきます。

 今回のタンク落下事故を発生したF15につきましては、十月の十六日及び予行を含めますと十月の九日、百里基地で実施をされました航空観閲式の予備機として参加予定のF15が稼働できない場合に備える必要がございました。特に航空観閲式におきましては、小松基地から百里基地までの往復の時間、また、観閲飛行のみならず、上空での待機まで見込まれることから、長距離飛行のためにタンク三本を搭載した形態となっていたものでございます。

馳委員 大臣、観閲式のための予備飛行の訓練だったんですよ。あなたのための訓練といっても過言ではありません。そういう意味でも責任を感じてほしいんです。これが小松基地で起こったということなんですよ。

 今回の落下事故が原因で、本来ならば我々石川県民が大臣をお迎えするはずだった基地開設五十周年の記念式典や、毎年行っております航空祭も延期となりました。

 みんな困っていますよ。お弁当屋さん、ホテル、飲食業。大臣御存じのとおり、これは全国から十万人近い皆さんが小松基地にいらっしゃって、この機会に住民の皆さんに航空自衛隊の活動を御理解いただく重要なイベントだったんです。そして、大臣、業者の皆さんは、弁当、飲食、ホテルの弁償はしてくれるのかいと。口の悪い言い方ですよ、この損害をどうしてくれるんだと口々におっしゃっておられます。皆さんは言いづらいので、私が代表して言います。

 大臣、その損害は、弁償してもらえるんですか。

東委員長 最初に神風防衛大臣政務官。その後、一川大臣。

神風大臣政務官 今般発生をいたしましたタンク落下事故につきましては、地元の方々に多くの不安と御心配をおかけしたことにつきまして、改めておわびを申し上げたいと思っております。

 また、今般発生をいたしました事故の重大性にかんがみまして、航空祭につきましては中止、式典については延期をしたところでございます。今般の事故が地元の方々及び国民の皆様に与えた影響の重大性にかんがみ、かかる措置がやむを得なかったことをぜひ御理解賜れればありがたいなと考えているところでございます。

一川国務大臣 市民の皆さん方初め、航空ショー等にいろいろな期待をしていた方々がたくさんいるというのは、私も承知しております。

 ただ、一方では、今までなかった重大な事故であったわけでございますから、そういう面では自衛隊の皆さん方にしっかりと反省を促しながら、地域の皆さん方にも、この原因がしっかりと解明されるまでF15の訓練は控えたいという方針を打ち出したわけでございますので、そこのところは、飛行機を愛する皆さん方も、一方ではまた自衛隊を愛しているというふうに思いますので、そういう面ではぜひ御理解をしていただきたいと思います。

 それの弁償ということになると、ちょっと我々も勉強いたしますけれども、今ここで即答できない状況でございますので、お許し願いたいと思います。

馳委員 イベント等式典は中止ですか、それとも延期ですか。

一川国務大臣 航空ショーは中止というふうに考えていただいていいと思うんです。ただ、もう一つ、小松基地五十周年記念という式典があったと思うんです。それはまた日を改めてやることがあるかもしれないということだと思います。

馳委員 実は、小松基地にF15戦闘機が配備される当時、反対闘争が起きました。当時の中西知事と杉山副知事は、小松市民のことを考えて、能登に移したらどうかと内々検討されました。当時、石川県は、非公式に能登への航空自衛隊基地移設同盟会の準備をしたそうです。しかし、騒動が大きくなって、小松市の地元県議や市議や経済界が人口減少、経済効果の減少を旗印に大反対をして立ち消えとなりました。これは石川県議会においても有名な話ですね。当時、移設のために準備をした土地は、今、能登空港として完成して使われております。

 大臣、この際、ふるさと小松のために、住宅密集地の市民から騒音を防ぐため、航空自衛隊の基地を小松空港から能登空港に移すことを本格的に検討されたらどうですか。

 小松市民も、今回の落下事故による不安、これは防衛省の対応のまずさ、あるいは、その事故が起きた後、隊員の不祥事が相次いでおりますね、酔っぱらって騒いだり、御迷惑をかけているんですよ。こういう不祥事頻発を受けて、小松市民も潮どきだとお考えになるのではありませんか。過疎に悩む能登の皆さんは、五千人近い人口もふえますし、空港を軸にした地域振興を図ることができて歓迎されるのではありませんか。

 そして、何よりも航空自衛隊の皆さんは、訓練空域のルート問題や騒音問題での地元調整において、能登空港の方が地元調整が適切だとお考えになるのではありませんか。大臣の歴史に残る功績になるのではありませんか。

 この検討を開始されることを、実は石川県内では、皆さんが、今後小松基地のあり方はどうするんだろう、こういうふうなお考えなんです。

 大臣としての見解をお伺いしたいと思います。

一川国務大臣 先ほど小松基地は五十周年を迎えるというふうに言いましたように、五十年の小松基地の歴史というのは、私もその近くに住んでいますから大体覚えておりますけれども、基地を容認する方々、それに抵抗する方々、騒音にいろいろと抵抗する皆さん方なりいろいろな騒音規制に対して積極的に運動する方々、またそれを我慢する住民の方もいらっしゃいました。そういう長年の歴史の中で、今ようやっと小松基地は落ちついた形で、周辺住民の皆さん方の理解の中で小松基地が運用されているというふうに私は理解しております。

 この間も防衛省サイドからもいろいろな対策が講じられてきましたけれども、そういう中で、今馳委員がおっしゃるように、それは馳委員の御意見がどうかわかりませんけれども、今そういう話を持ち出すことは、石川県民もすんなりと受け入れる問題じゃないだろうというふうに私は思いますし、また、現実的な議論としてはなかなかそういうものは展開しづらいだろうというふうに思っておりますので、現状の中でしっかりと再発防止に努めまして、小松基地周辺の住民の皆さん方に本当に安心していただけるような自衛隊・防衛省のあり方を、これからしっかりと努めてまいりたいというふうに思っております。

馳委員 大臣は、これまでも選挙を戦うたびに小松基地に反対闘争をする方々からも政治的には選挙の応援をされてまいりました。いろいろな思いのある中で、私はあえてきょうこの課題を申し上げました。なぜか。住居に落ちていれば、高速道路に落ちていればと考えると……。

 あそこは、戦闘機は能美市の山口町から直角に近い角度で滑走路に入る、離着陸をすることになっておりまして、本当に自衛隊の諸君も非常に高度な技術を要求される厳しい訓練ルートになっているのは間違いないんですね。同時に、ほとんどの訓練空域は輪島沖、能登沖になっておるじゃありませんか。そう考えると、能登空港の活用という選択肢については、むしろこの機会だからこそ、政治的にではなく、航空自衛隊の置かれている役割、我が国の空の防衛の要諦としての小松基地の役割を考えると、選択肢として考える必要もあるのではないですかということで私はきょう申し上げました。

 私、国会議員になって初めて安保委員会に来させていただきましたが、改めて、ふるさと石川を代表する大臣として、一川大臣が本当に国民目線で頑張っているか、たびたびこの委員会にやってきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、東順治君。

東(順)委員 公明党の東順治でございます。

 私も馳委員と同じく、国会に在籍して初めて安保委員会なるものに所属をいたしました。きょうは、まさに当委員会で初めての質問でございます。一川大臣、玄葉大臣、よろしくお願い申し上げます。

 最初に、私も沖縄問題をちょっと伺ってみたいと思います。

 一川大臣、本年十二月に沖縄の仲井真知事に対して評価書を提出するとお伝えされましたね。これは、知事の承認を得る可能性、そういう裏づけというものがおありでこういう評価書提出ということをおっしゃったのかどうか、まずこの点から伺いたいと思います。

一川国務大臣 仲井真沖縄県知事さんが二回目の選挙をされたときの公約等からすれば、そんなに簡単にすんなり受け入れられるものではないというふうに私は思っております。

 ただ、仲井真知事が、一期目の終わりの方だと思いますが、政権が交代したちょうど直後ぐらいのところに、環境影響評価書の準備書なるものに対する意見という、知事が出す段階があるわけですけれども、それに対する知事意見というのを二十一年の後半に出されております。

 そういうことに対する評価書の見直しということも当然必要だろうし、それから、ことしに入ってからの、六月のアメリカと日本の2プラス2で移転先に関する位置の決定、形状の決定ということが確認されましたので、それを受けて、環境影響評価書をそれに即してしっかりと見直しをかけて策定するという作業を進めてまいりました。その進めた評価書を、ことしいっぱいにその作業を終えて提出する準備をしたいということをこの前知事さんに申し上げてきたということでございます。

東(順)委員 そのときの知事さんの反応、答弁なるものはいかがなものでしたか。

一川国務大臣 反応は大変厳しいものだったというふうに思いますけれども、ただ、これは一種の法律に基づいて行っている行為であるわけでございますので、知事さんは、そこははっきりとしたことはおっしゃっておりませんけれども、提出されればそれを受け取る、受け取らないという議論はしておりませんけれども、我々が丁寧に説明をして提出すれば対応してもらえるのではないかなという感じは受けております。

東(順)委員 今、アメリカの議会が大変厳しい反応をしておりますよね。国防費の削減ということを迫っている。当然、この中に、在沖縄海兵隊のグアム移転の予算確保等々が含まれているわけでございまして、評価書を提出するということがこの移転予算確保につながるというふうにお考えでございますか。知事に評価書の提出で迫るという日本政府のこの行為が、米議会のそういうグアム移転の予算確保に少なからずつながる、こういうふうにお考えですか。

一川国務大臣 アメリカ側の意向としましては、日米合意に即して、日本側がその確実な進展を図ってほしいというような言い方は我々も聞いております。そういう面では、工事着工に向けての一つの法手続として、環境影響評価法に基づく手続を日本側が一歩一歩進めている、そういう姿勢を示すということは、それなりの、アメリカの方から見る一つの評価としてはあるのではないかというふうに思っております。

東(順)委員 この普天間問題は、御案内のように、鳩山政権下で大変混乱をし、迷走いたしましたよね。今度はその後を受けた菅政権下で、言葉はちょっときついんですが、無為無策でしたよね。

 そういう中で、私どもは自公政権時代に相当長い年数をかけてロードマップというのをつくり、そしていよいよ辺野古沖、V字滑走路というところに手が届くというところまで来た、その直前にまさに政権交代というものが行われて、それから混乱、迷走、無為無策というものがずっと続いちゃって、結論として、今またあのロードマップのときのV字案というところに完全回帰をしてしまったんですよね。だから、相当な時を逸している。

 きょう、パネッタ国防長官と、夕刻、玄葉大臣それから一川大臣、お会いになる。総理もお会いになる。ここで、このパネッタ国防長官に対して、嘉手納以南の米軍施設、基地を日本に返しますよ、グアムに八千人の海兵隊員を移動させますよ、家族を含めると一万七千人になりますよというロードマップの最終結論みたいなところ、これをもう一度、両大臣、パネッタさんに確認をしますか、いかがですか。

一川国務大臣 私は、日米合意、2プラス2、ことしの六月ですね、そこでの確認事項を再確認するということは非常に大事なことだと思っています。

 今お話しのように、我々も合意事項に即していろいろと努力はさせていただいています。一方、アメリカの方は、きょうも話題に出ましたように、海兵隊のグアム移転について我々が予算措置をした、約一千億近い予算は用意したけれども、アメリカの方ではなかなか執行してもらえない、一部使っていますけれども。

 そういう現状の中で、グアム移転のいろいろなインフラ整備等々については相当経費も時間もかかると思いますけれども、そういうことは大丈夫ですかということも含めて合意内容について確認するということは、これから沖縄の皆さん方の理解を求めるという点においても非常に重要な確認事項ではないかな、そのように思っています。(東(順)委員「確認をなさるということですね」と呼ぶ)はい。

玄葉国務大臣 今、東先生が言われた点については、基本的には、お互いにこれまで合意をした、日米ともにそれぞれ政府が合意をしたわけでありますので、そのことについては再確認をするということになるだろうというふうに考えております。

東(順)委員 私は、実は昨年の二月二十二日、予算委員会で、当時の鳩山総理、平野官房長官、岡田外務大臣、北澤防衛大臣、この四人の皆さんに質問をしたんです。

 どういう質問かといいますと、つまり、今申し上げたように、嘉手納以南を日本に返す、グアム移転を実現させるというところまでのロードマップというものをパッケージでこれまで進めてきたものが全部覆っちゃったということで、あの質問をした時点は、鳩山総理の時代でしたから、まだ最終合意というところまでいっていなかったんですけれども、もしこのことが御破算になってしまったら、つまり、この合意が履行できないということになってしまったときには、当時、岡田外務大臣、どういうふうになると考えるのか、こう僕が質問したらば、岡田大臣は、移転の問題が日米間できちんと合意ができないと影響が及ぶ可能性は否定できないという答弁をしたんですね。

 その後に日米合意ができた。私は、ああよかったなとほっとした。

 ところが、その後一年以上も、全くこの合意に基づいた進展がないわけですよ。これは僕は甚だ残念なんです。つまり、結局、いろいろ混乱、迷走、無為無策のあげく、自公時代の決着点であるV字滑走路完全復帰というところに、時計の針がぎいっと戻っちゃった。戻ったんだけれども、合意をして、これからまた進むのかなと思っていたら、一年以上もとまったままだから、時計の針が戻っただけじゃなくてとまったままになっちゃっていて、そして今日に至っているわけです。

 僕は、非常にこれは残念なんです。これは沖縄の県民の皆さんも、一体どないなことになっているんだということで、大変に失望したり怒ったり、いろいろな大混乱の時期がずっと続いてきた。

 そのあげく、野田政権でしょう。一川大臣が防衛、玄葉大臣が外務。それでいきなりこの普天間問題ですから、物すごくとまどっておられるでしょう、お二人。本音のところ、本当に困っているでしょう。お気の毒だなと思いますよ。

 しかし、責任上これは絶対やらなきゃいけない。もう待ったなしのところに来ている。つまり、コーナーに完全に追い詰められた。そして、何度も何度も沖縄に足を運ぶ。玄葉大臣も、踏まれてもけられてもとおっしゃる。ともかく平身低頭、誠意を尽くして、誠意を尽くして、誠実に誠実にとおっしゃる。気持ちは物すごくわかる。しかし、心の中は、鳩山さん、菅さんのときにもう少し何とかならなかったのかなと本当は思っているでしょう、お二人。しかし、それは口が裂けても言えない。そうこうするうちに、パネッタさんがきょう来ている。さあどうするかということで、心の中は大変だろうなと僕は思います。

 そういう中で、これから先、沖縄県民の皆さんや名護市の皆さんにどう理解を得ていくかという問題なんですね。これは本当に大変ですよ。先ほどの今津委員のお話じゃありませんけれども、NHKテレビで仲井真さんのインタビュー、今津委員が取り上げられました。私は見ていなかったんですけれども、そういうことだったのかと思って思わず書きとめました。仲井真さんいわく、今や国と沖縄は泥仕合になっている、泥沼化している、皆さん何度も何度もおいでになる、平身低頭で本当に誠意を尽くして来られるんだけれども、なぜ辺野古かという説明がない、県民と約束した公約は民主党のように簡単に変えられないと。こんなことを本当にきのうのインタビューでおっしゃったと聞いて、僕は、やはり仲井真県知事の胸のうちも今大変だろうなというふうに思います。

 この人は、この間の選挙の前までは賛成だったんですから、辺野古移転に。あの当時の名護市長も賛成だったんですから。ところが、そんなことを言っちゃったら、これはもうとてもとてもという状況になって、前回の選挙のときからまさに切りかえて、県外ということの公約に踏み切ったんです。物すごい断腸の思いだったと思いますよ。

 こういうことですから、さあこれから先どうしていくんだろう、お二人。あえて私も聞かざるを得ない。聞かせていただきます。

 沖縄県民の、あるいは名護市民の最終判断に任せるとなったら、沖縄県知事選挙は平成二十六年、名護市長選挙も平成二十六年、三年後ですよ。また県民や市民に判断を任せるようなことになったら、もうとてもとても、大変なことになっちゃうと思います。

 そこで、さあこれから先どう進めていかれるのか。何度も何度も足を運ばれている、その誠意は感じます。その上で、どういうふうにお考えになっているのか、あえて聞かせてください。よろしくお願いします。

一川国務大臣 今、先生はかみしめながらいろいろなことを御指摘されて、我々も痛切に感ずるところがございます。

 菅政権の折のこの期間、昨年は沖縄においてもいろいろな選挙があったというふうに思います。名護の市会議員の選挙、市長選挙だったですか、それから後半には県知事選挙、その中間には国政選挙もございました。そういう中で、この普天間の移転というものに反対する有権者の声みたいなものは、候補者の公約の中に盛られていたということもあったりして、大変、そういったことが沖縄で大きな声、流れとして昨年は出てきたのではないかと思うんですね。そういう中にあって、今回のこの問題がなかなか進展しなかったということだろうと思うんです。

 ですから、その経過を我々もしっかりと認識しながら、政治家としては、一たん公約したことについては当然守る必要があります。全体の状況の中で、どうしても、我が国にとって、また沖縄県民にとって、また沖縄地域の平和と安定、我が国の平和と安定ということを考えたときに、今どういう決断をしなきゃならないかというこの国防問題は、まさしく国の責任で対応すべき問題だというふうに私は思いますので、そういったことについて粘り強く関係者にお話をさせていただくということに尽きるのではないかというふうに思います。

 また、アメリカの方に対しても、これはアメリカと日本のお互いの責任で対応している問題でございます。その上で、沖縄県民の合意がなければ進まないということでございますから、大変難しい案件であることは間違いないわけでございますが、合意の方向に向かって、私は、最大限努力してまいりたいという気持ちでございます。

玄葉国務大臣 ありとあらゆる努力が必要になるというふうに思います。

 私も、もう十八年国会議員をしていますので、沖縄は、いろいろな形で、もう十数回は行っていると思います。改めて、沖縄の持つ歴史の重み、これは、唯一の地上戦であった沖縄戦、そしてその後の米国の施政下にあった沖縄、このことを、ある意味、沖縄の立場に立ってしっかりとやはり自分自身が感じ取る、そういうことも必要だ。同時に、日本全体で分かち合うところは分かち合うということも必要だというふうに思います。

 その上で、先般も率直に申し上げたのは、やはり現在の安保環境が一つございます。それともう一つは、沖縄の地政学的な位置、地理的優位性、この問題が、残念ながら、例えば私の選挙区にそのまま海兵隊を持ってくるということができるかといえば、そうたやすくはない。そうたやすくはないというのは、受け入れ側がたやすくはないということではなくて、その地理的優位性上たやすくないということだと思います。

 それはすなわち、沖縄が、いわゆる東アジアのそれぞれの地域にほぼひとしく近い、そしてシーレーンに近接をしている、そして、太平洋、南シナ海、東シナ海をそれぞれ結ぶ、まさにそういう位置関係にあるという中で、ありとあらゆる事態に我々は対処しなきゃいけない。その中での海兵隊ということなんだと思うんです。

 普天間の危険性除去というのがすべての出発点でありますから、普天間というのは、御存じのとおり、いわゆる海兵隊のヘリ部隊、輸送部隊であります。ですから、その海兵隊そのものも、地上と航空と後方支援とそれぞれあると思いますけれども、部分的にヘリ部隊だけどこまで持っていけるかとか、部分的に遠くに持っていったときに訓練がどこまでできるのかとか、では、丸々海兵隊をいわゆる沖縄以外のところまで持っていったときの抑止力はどうなるのか。

 そういった、現在の厳しい安保環境の中で、現在の在日米軍の果たす役割、特に在沖米軍の役割、また海兵隊の役割というものを丁寧に説明しつつ、同時に、でき得る沖縄の負担軽減策というのはやはり一つ一つ結果を出す、地味に見えるかもしれませんけれども、一つ一つ結果を出すということが極めて大切ではないかというふうに考えております。

東(順)委員 そこで、このグアム移転にしても、アメリカ側の事情もある。

 リーチバック構想というのがありますね。つまり、中枢の司令部的なものを後方に少し下げて、そして前線展開をしていこうという。これで、アメリカ側もやはりグアムというところに重きを置き始めているわけですから。

 重ねて申し上げたいんですが、嘉手納以南の返還、グアムへの海兵隊の移転、その家族の移転、このパッケージできちんと今度こそ日本はやりますから、当然それはアメリカのリーチバック構想とも一致するわけですからということをパネッタさんとしっかりときょうは固めてほしい。そうすると、日本側がこう言っているんだからといって、アメリカの議会に帰って、逆にしっかり説得できるのではなかろうかというふうに思いますので、そこのところを重ねて確認しておきたいと思います。よろしいですね。

 それで、今おっしゃったように、これから先どうするかということなんですが、そんな簡単にこうするということは言えないぐらいに今厳しい状況であるわけで、それはよくわかります。万策を尽くす、当然です。万策を本当に尽くしていく中から、その誠意というものが感じられるということになるんでしょう。

 しかし、同時に、物事の進展というのは、さはさりながら、やはり工程表というか、いついつまでにここまで持っていこう、ここまで持っていこう、つまり、辺野古の移転はここまで、そしてそれから先、グアム移転、それらを含めてパッケージのいわば工程表というものを、それは表にできるかどうかは別ですよ、やはり政府としてしっかり持っておかなければ、これは海図なき航海になってくるわけだから、この船はどこに行くかわからないでは、これは乗っている国民や県民はもう不安でしようがないわけですから。当然のごとく、そういう工程表というものをきちんとやはり持っていくことが、私は、この日本という国を引っ張っている政権の最低限の責任だろうと思いますよ。沖縄県というのは日本なんですから。

 それで、僕は去年の二月、この工程表について鳩山さんに迫ったんですよ。合意に至るまでの工程表をきちっとつくって、それを国民に示して、全力を挙げてその実現のためにやっていくことが最低限の責任じゃないですかと迫った。残念だったけれども、確たる答えはなかった。ぼうっとしていた。非常に残念だった。何という無責任かと僕は思いましたよ。

 それはTPOというのがありますから、そのときの状況とかタイミングというのはありますから、表にできる、できないは別として、表にするのが一番いいんですよ、情報公開の時代なんですから。それがまたみんなを安心させることなんですから。しかし、さはさりながらということもあるから、アメリカという問題もあるし、いろいろあるんだからということで迫ったんだけれども、残念ながら、本当に確たる答弁は全くなかった、鳩山さんからも、平野さんからも、防衛大臣からも。

 また聞かなきゃいけない。それは誠意はわかります。万策を尽くすこともわかります。しかし、さあどうするか。この大変な難関に当たって、防衛大臣、外務大臣、総理大臣、どういうふうに海図をつくっていくか、そして座礁しないように船を導いていくか。その工程表というものをしっかりとつくらなきゃいけないと思いますが、この点についてはいかがですか、大臣。

玄葉国務大臣 東先生、重々御存じのように、まさに、どういうふうに進めていくべきかということについての私たちの思いというのが仮にあったとしても、というか私自身の中にはあります、率直に申し上げて。ただ、そのことがどういう影響を与えるかとか、さまざまなことを勘案して言葉に出さなきゃいけないということ、あるいは表現しなきゃいけないということもございます。

 今の段階で申し上げることができることは、環境影響評価書について、それを提出すべく準備を進めていく、特に実務的にということについては、この場でも申し上げたいというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、本当にこれはある意味党派を超えて、確かに、鳩山発言というか、あれは実は政権をとってからじゃなくて、特に政権をとる前なんですね、最低でも県外と言った発言がきっかけでございます。先ほども申し上げましたけれども、それについて、私は、この間沖縄に行っておわびをいたしました。ただ、おわびをすれば済むという話でもありません。

 ですから、これからしっかりまた説明をして、ありとあらゆる方策を探りながら全力を尽くしたいというふうに思っていますが、現時点で、将来の工程表という意味では、そういうことで、先ほど申し上げたことだけ申し上げたいというふうに思います。

東(順)委員 個人的には腹案があるんですね。腹案という言葉ほど信用できない言葉はない。

 しかし、やはり責任大臣として、それは個人で結構ですよ、そういうものをきちんと内側に持って、私だったらここまで、いつまで、こういった形で持っていきたいというものは当然持った上で、そして意見をしっかり闘わせて、それを国の工程表にすべきだと思いますよ。そう思います。

 それで、問題は普天間の問題だけじゃないんですよ。沖縄全体の振興策をどうするか、ほかの米軍基地の負担軽減策をどうするか。だって、一%にも満たない人口の県民が七四%の基地を抱え込んでいるんですもの。異常ですよ、これは本当に。だから、一日も早く負担軽減、そして全体の振興策というものをやっていくことが政治の大責任ですよ。私はそう思いますよ。

 そこで、さっき一川大臣はすばらしいことをおっしゃった。今津委員とのやりとりのところですばらしいことをおっしゃった。こうおっしゃったんですよ。

 今津委員が、沖縄県民の一人一人を守るということは非常に大事なことなんだ、沖縄県民の安全保障ということはどうなんだ、その見地から普天間問題を考えなきゃいけないと思うがどうか、こういう意味のことを聞きましたよね。それに対して一川大臣は、私はこれは非常に大事なことをおっしゃったなというふうに思ったんです、日本で最も平和の大切さを痛切に知る県民が沖縄県民だ、こうおっしゃった。したがって、日本国民全体に、沖縄のおかげで今、日本の平和が保たれているんだということを本当に理解してもらう努力をしなきゃいけない、こうおっしゃいましたね。そのことを総理にも申し上げていると。

 私は、これは非常に重たい、見識のある答弁、発言だというふうに思って、思わずわあっと書きました。私も全く同感です。

 そこで、大臣に伺いたい。

 まさにこのとおりですよ。日本国民全体で沖縄県民の負担の苦しさというものを分かち合わなきゃいけない、それが日本全体の平和を維持していくことにつながるんだという理解を全力を挙げて日本国民に、みんなで分かち合わなきゃいけない、その努力をしなきゃいけない、そう思います。

 それで、このV字滑走路というところに完全帰結したとして、普天間が、大変な努力でしょうけれども、今のこの状況から一歩でも二歩でも危険性を除去して、普天間から辺野古に移転ができたとしても、将来、本当に日本国民として分かち合うというコンセンサスができたときには、辺野古の米軍基地をも撤去する、そして日本国全体でそこを分かち合うということだって将来的にはあり得ると思いますか、いかがですか、大臣。

一川国務大臣 ちょっとそこまでの極端な議論は差し控えますけれども、私は、沖縄のこれまでの長年の負担というものをやはり全国民で担うんだという認識をこの際しっかりと持つべきだというふうに思います。

 そういう中で、沖縄県民のこれまでの在沖米軍のいろいろな負担というものを、今回のロードマップとか今回の日米合意事項の内容だけで私は終わらすものじゃないと思うんです。我々政治家に対しては常に課せられた大きな宿題だというふうに、私自身はそう思っています。

 そういう面では、今、東さんおっしゃったように、常に、あらゆる機会をとらまえて、沖縄県民の基地に対する負担を軽減させる方策をずっと我々政治家としては考えるべきだ、問題意識を持つべきだというふうに、私自身はそう思っております。

 また、こういった問題は、外交交渉とかいろいろな経済交流とか、あらゆるトータルの政策がうまくいけば、こういう安全保障の政策というのはもっと縮小してもいい時代が来るかもしれない、そういったことも含めてしっかりとした対応をすべきだということを今私自身は思っております。

東(順)委員 玄葉大臣はいかが思いますか、今のこと。

玄葉国務大臣 将来の話ということでございますので、一言で申し上げれば、戦略環境次第ということじゃないかというふうに思うんです。

 結局、現在の安保環境が先ほど申し上げたような状況なので、まさに沖縄の、特に地理的な優位性、あるいはマリンの役割というものがあるということであって、大きく時代が変わって戦略環境が変わっていくといったときに今と同じかといえば、それは違うと思いますし、もっと申し上げれば、我が国として自分たちでもっとできることがあるだろう、こういう議論も当然私は出てくるのではないかという気がしていますし、さまざま選択肢はそれはあり得るんだろうと。

 ただ、いずれにしても、現在大事なのは、抑止力を減じない形で、力の空白を生まないような形で、日本全体でどうやって沖縄の負担を分かち合うかということについて、やはり日本国民全員に訴えていくということが大事だと思います。〇・六%の面積に米軍の専用基地が七四%も集中しているというのは、これも私は率直におわびをしました。ですから、日本全体で分かち合うべきものは分かち合う。

 ただ、先ほど申し上げたような地理的な優位性の問題があって、抑止力との関係でどこまでバランスがとれるのかということを常に見ながらそういった議論をしっかり行っていくということではないかと思います。

東(順)委員 まずは、先ほど言った普天間から辺野古へ、そしてグアムへの移転、それから沖縄全体の振興策等々をパッケージにした工程表を一刻も早く国民に、そして沖縄県民に示すことが非常に私は大事なことだと思います。そこをしっかり重ねてお願いをしておきます。

 続いて、日中関係について若干伺いたいと思います。

 最近、日本の尖閣の問題あるいは南沙諸島の問題、さまざまに中国の軍事力ということが非常に懸念をされていますね。軍事費だけでも、平成二十三年の防衛白書によりますと、過去五年間で中国の軍事費が二倍以上になっている。二十年間で十八倍の規模に拡大をしている。

 私も、去年の九月、そして今月、ベトナムに行ってきた。ベトナムは物すごく緊張している。中国の軍事的プレゼンスに非常に緊張している。率直に言って、嫌中感というのが物すごく高まっている。恐らくASEAN諸国は大なり小なりそういう空気なんでしょうね。私も非常に心配しています。

 尖閣にしても、御存じのように大変緊張している。スホーイという中国軍の戦闘機が、ことし六月ですか、日本の防空識別圏に侵入だとか。あるいは、この間のあの漁船衝突事件に対して、白書ではこう言っていますよね。尖閣諸島については、古くから中国固有の領土で、争いのない主権を有する。あるいは、日本は中国の領土、主権と、中国人の人権を深刻に侵害した、改めて陳謝と賠償を求める、こういうふうに書いてあって、大変緊張している。

 あるいは、中国の漁業監視船が、接続水域を含む海域に平成二十二年で五回来ている、二十三年は六回来ている。こういう緊張感が非常に高まってきております。

 そういう中で、日本政府として、外務省、防衛省が一体となっての対中国戦略、ここは極めて重要だと僕は思います。ただし、そういう面だけで中国をいたずらに敵視することだけが能ではない。これは非常に重要な隣国であり、大国ですから、経済関係なんか日本と大変密接な関係にあるわけですから、同時に友好親善関係にも日本は心を砕き切って、砕き続けていかなきゃいけない。つまり、硬軟両様で対応していかなきゃいけないという状態ですよね。

 しかし、他方、中国はもうそろそろ大国としての責任あるステークホルダーとして振る舞ってくれ、これも当然ある。

 そこで、外務省、防衛省が一体となって、今後の対中国戦略をどういうふうに考えておられるのか、基本的なところを伺いたいと思います。

一川国務大臣 今先生から、対中国とのいろいろな、これからの対応をどうするかということなんですけれども、先生、今ベトナムの話をされました。実は、昨日、ベトナムの国防大臣とお会いしました。そのときに、中国とベトナムの関係というのは一時期大変険悪な状態があったという中で、その後、両国がいろいろな防衛上の交流を深めながら、今、信頼関係を相当回復したというようなことも、ベトナムの国防大臣はそういうふうなお話を私にしておりました。

 そういうことも、我々も、一つの参考になるのではないかというふうな感じはいたしますけれども、今、中国と日本との非常に厳しい領域の中では、現地において不測の事態が発生しないということに努めなけりゃならないというふうに思っております。

 当然、我々は通常の警戒監視はしっかりと行う上で、国防的な任務はしっかり果たしますけれども、片や、やはりそういう不測の事態が発生しないような連絡のメカニズムというものを両国でつくり上げるということが大事だと思いますので、これは、防衛レベルでの、各レベルでのいろいろな交流をしっかりと深めながら、一日も早くそういう体制に持ち込みたいというのが私の考え方でございます。

玄葉国務大臣 中国は、まさに東先生が言われたとおりであります。アジア太平洋地域、ひいては世界にとってこの日中関係は大事、そして中国は大事な国だというふうに思います。

 基本的には、いわゆるウイン・ウインの関係、つまり戦略的互恵の関係を築いていくというのが大きな柱だというふうに思います。同時に、先ほどおっしゃったように、国民感情の改善、対話というのが必要で、そのために、来年、国交正常化四十周年でもございます。あえて申し上げますけれども、例えば公明党と中国のパイプ、これは太いものがあると私は思います。ですから、そういったことも含めて、超党派でこういった国民感情の改善などに努めていく必要がある。

 一方、先ほどちょっと触れられましたけれども、やはり、二十一年も連続して二けたの伸びの国防費が、中身が十分わからない、つまりは不透明である。そして、海洋進出が活発化しているということは、多くの国々が、あるいは多くの人たちが感じている懸念材料なわけでありまして、まさにステークホルダー、建設的な役割を中国に果たしてもらわないといけない、そういうふうにいわゆる促していくことをどれだけ皆でできるかということではないか、基本的な考え方としては、そういうことではないか。

 特に、海洋も公共財でありますから、やはり紛争は平和的に解決されなければならないし、航行の自由も確保されなければならないし、国際法規の遵守もなされなければならない。あるいは海賊の問題だって海洋環境の汚染の問題だって、さまざま海洋の問題はあるわけで、やはり幅広く、そういったさまざまな点についてのルールというのが確立されていくことが大切なことだというふうに考えております。

東(順)委員 これは見識だと思いますよ。

 特に、来年は中国は政治の年ですね。指導部がかわります。政治の年というのは、どうしても軍部が台頭するんですよ。だから、本当に中国がバランスを持って、内政と外交と軍事がきっちりバランスを持ってやっていくような年にしなきゃいけない。そこで、日本がどういう物の言い方をしてこれから中国に相対していくか。非常に大事です。

 野田総理は、年内には訪中するという計画があるわけでしょう。あるわけですよね。報道によればでいいです。いずれにしても、大国ですから近々行くんでしょう。そのときに、前もって、外務大臣、どういう外交をやるか、そして防衛大臣、中国の防衛当局とどういう防衛会話をするか、非常に大事ですね。ここは、日本が、外務省、防衛省そして総理が一体となって中国と当たっていかなければいけない非常に緊迫した年、それが僕は来年だと思います。もう来年といったら、すぐ参ります。ということで、そこはしっかりと腰を据えて。非常に大事な国ですから。

 先ほど我が党のことまで触れられました。当然我が党も、そういうこれまでのパイプというものを大事にしながら中国とおつき合いをしていきたいと考えていますけれども、世界にとっても大事な大国ですから。だから、何か急に大きくなってきていることによって、ガリバーのごとく、今までの小さなときに歩んでいた一歩と、ガリバーの一歩というのは影響力が全然違うわけだから、そこで戸惑っているところも多分中国そのものにあるのではなかろうかと私は思います、歩幅のとり方とか一歩一歩の進め方とかね。

 そういうことで、日本政府としてしっかりと対応していきたい。

 もう一点は、対北朝鮮ですよ。やはり北朝鮮に大変な影響力を持っている国ですから、これは当然、日中関係というものが良好になればなるほど、お互いに本当に意思疎通というものが図られれば図られるほど、北朝鮮にいい結果が伝わっていくように、そういう視点も持ちながら中国とのおつき合いを願いたい、そう思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

東委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、普天間基地問題についてまず聞いていきます。

 この間、野田内閣の閣僚が相次いで沖縄を訪問いたしました。その中で、一川防衛大臣は、仲井真県知事に対して環境アセスの評価書を年内に提出できるよう準備を進めていることを伝えました。名護市辺野古への新基地建設に向けて新たな一歩を踏み出そうとするものであり、極めて重大であります。

 防衛大臣に聞きますが、大臣として初めて沖縄を訪問して、この問題での沖縄県と県民の受けとめについてどのような認識をお持ちですか。

一川国務大臣 私は、十六、十七と沖縄を訪問させていただきました。その中で、十七日の日に沖縄県知事に、今ほど先生がお話しのように、環境影響評価書の作成をことしじゅうに終えて、提出できる準備をしたいというお話を伝えました。沖縄知事さんもそれに対しては大変厳しい御意見を持っておられたというふうな印象を持っております。また、私も、外務大臣もそうだったらしいですけれども、県庁なりその建物に入るところでは、相当皆さん方から厳しいデモに出会いました。

 そういう面では、沖縄県民の方々のお考えは、この普天間飛行場の移転に関して、辺野古の移転先については相当強い反対の御意見があるなというのを率直に受けとめております。

赤嶺委員 稲嶺名護市長は、日本政府は県民世論や沖縄の政治環境の変化などをしんしゃくする責任を放棄し、アメリカに追従している、このように述べました。仲井真県知事は、準備書に対する意見書を出した二年前とは状況は随分変わってきている、このように指摘され、普天間飛行場は一日も早い移設、返還をというのが率直な県民の意見だと繰り返されました。こういう厳しい指摘は、防衛大臣、外務大臣、みずからが直接聞いたはずであります。

 ところが、一連の沖縄訪問を終えて、野田内閣として確認したのは、沖縄の状況は厳しいが、日米合意実現のために手続を進めるというものであります。沖縄の声を聞く姿勢などみじんもありません。

 内閣の発足当初から、アメリカから結果を出せ、このように言われて、国防長官の来日までにとにかく関係閣僚が一度は沖縄を訪問し評価書の提出方針を伝えただけ、このようなことが指摘されると思います。私は、見ていて、本当にこれは対米従属外交そのものじゃないかと。私一人の意見じゃありません。県民みんながそのように考えております。

 防衛大臣に改めて伺いますが、九六年に日米両政府が普天間基地の返還に合意しながら、十五年以上にわたって実現しなかったのはなぜか、どのような認識を持っておられますか。

一川国務大臣 その十五年かかった段階で今日のこの状況でございますから、戦後六十六年、また、来年で復帰後四十年という一つの大きな節目というか、長年経過してきたという段階において、なおかつそういう状況が続いているということは、我々も真剣に受けとめる必要があると思います。

 それは、やはり今日のこの普天間移転問題について、沖縄の県民の皆様方の十分な理解が得られていないということだろうというふうに私は認識いたしております。

赤嶺委員 十五年以上にわたって返還が実現しなかったのは、私は、日米両政府が問題の根本を見ない対応を進めてきたからである、このように思います。

 そもそも、沖縄の米軍基地は、国際法にも違反して、住民の土地を強奪してつくられたものであります。そうしてつくられた広大な基地が、本土復帰後も今なお引き継がれ、米軍による不当な土地取り上げや占領状態の解消が普天間基地問題の根本であります。

 外務大臣はすべてのスタートは普天間基地の危険性の除去だと言いましたが、何でそういう状態が起きたか。九五年の少女暴行事件があるからです。この少女暴行事件に対する沖縄県民の感情、これは一川大臣は沖縄勤務の経験もありますから存じ上げていると思いますが、この感情が、今日の情勢、基地に対する感情、植民地的なやり方、占領状態、こういう怒りを持っているんです。

 ところが、日本政府は、こういう歴史的な経過は全く踏まえない、沖縄県内に新たな基地を建設しない限り普天間基地は返還しないという対応をとってまいりました。

 戦後、基地の存在によって苦しめられてきた沖縄県民が、新たな基地を受け入れられるはずがないではありませんか。県民が、県民大会、住民投票、世論調査などで繰り返しそのことを説明してきたにもかかわらず、日米両政府はあくまで県内移設を進めようとしてきております。ここに普天間基地問題が混迷を続けてきた根本的な原因がある、そのようにお考えになりませんか。

一川国務大臣 私たちも、これまでの経過の中で、反省すべき点はいろいろとあろうかと思います。これは、確かに、政権がかわってから今二年でございますけれども、前の政権からのいろいろな懸案事項であったことは間違いありません。

 そういう中で、私たちも、普天間基地の、今の非常に住宅が密集している、また、いろいろな学校なり病院等の集中しているあの地域の普天間飛行場を移転するということは、まず最優先的に考えなければならないことだろうという問題意識を持っております。

 私も、先般訪問した折に、改めて普天間飛行場の周辺をちょっと歩かせていただきました。住宅地が滑走路に大変近接している、そういう地域だということを改めて知りましたけれども、そういう状況を早く打開する、解消するということがまず先決ではないかなということで、私たちは、そういう方向で、沖縄全体の負担を一日も早くもっと軽減できるような方策として、今日考えていることで沖縄県民の理解をぜひお願いしたい、そのように思っております。

赤嶺委員 私は、問題の根本に踏み込もうとしない、今の大臣の答弁に非常に大きな怒りを感じます。

 辺野古への新基地建設に向けてこのまま突き進んでいったとしても、県民との矛盾は深まるばかりである。普天間基地は無条件で撤去する以外に解決の道はないんです。きょうのパネッタ長官との会談で、沖縄の現状を率直に伝え、そして、日米合意を白紙に戻して交渉をやり直すことを提起すべきだと思います。

 幾ら沖縄に行って謝っても、謝った大臣は皆さんばかりではありません。歴代の大臣みんなが謝ってきているんです。同じことを言って、ちっとも沖縄の問題は解決しない、このような受けとめなんです。

 次に、オスプレーの沖縄配備について聞いていきます。

 一川防衛大臣は、仲井真知事との会談で、来年秋以降に米側が普天間基地への配備を予定するオスプレーについて、評価書の中でしっかり評価することで作業を進めたい、このように述べました。これは、政府としてオスプレーの沖縄配備を受け入れる立場を表明したものと理解してよろしいですか。

一川国務大臣 私たちも、オスプレーの導入をするという米側の意向は聞いておりますし、また、私たちもそれを受けて、沖縄の方にその旨を伝達いたしておりますので、政府としてもそういう方向で対応していきたい、そのように思っております。

赤嶺委員 受け入れる立場を表明しているということですね。

 沖縄県と宜野湾市は、六月に、オスプレーの安全性や騒音に関する二十九項目の質問書を提出いたしました。防衛省は、九月、これに対する回答書を提出したわけですが、すべての質問に回答したのですか。

一川国務大臣 沖縄県知事の方から二十九項目の質問書が提出されたというのは承知いたしております。それに対して、私たちは、九月一日の日に防衛事務次官の方から沖縄県知事の方にその回答を提出させていただきました。しかし、それについてもなおまだ疑問点があるということで、沖縄県側から再度回答を要求されております。

 そのものについては今我々はアメリカ側に問い合わせ中でございますので、現段階ではその回答はまだ提出されておりません。

赤嶺委員 このオスプレーの飛行経路や騒音あるいは下降気流による影響など、県民生活にかかわる肝心の問題で、いまだ回答の途上であります。ところが、「政府としては、米国政府に配備計画の修正を申し入れる立場にない。」と受け入れの立場を表明しているわけです。配備先にありき、県民生活よりも米軍の意向を優先するものであり、まず前提が間違っているということを指摘せざるを得ません。

 そこで、内容について具体的に聞きます。

 回答書では、オスプレーがCH46よりも大きな下降気流を生ずることを認める一方で、下降気流を原因とする事故は発生していない、このようにしております。しかし、二〇一〇年五月には、ニューヨークでデモ飛行を行っていたオスプレーによる着陸時の激しい風で、折れた木の枝が観衆に飛び散り、一歳児を含め十人が負傷する事故が起こっています。これは下降気流を原因とする事故ではありませんか。

一川国務大臣 今、我々、オスプレーに関する安全の問題あるいは騒音の問題というのは、いろいろと米側から提出された資料等に基づいて整理をさせていただいて、それで、現段階で、現在の輸送機よりは事故率なり騒音についても少なくなるというようなデータはいただいております。そのことについてまだ十分な説明ができる材料がそろっておりませんので、今、アメリカ側にいろいろな情報、資料を要求しているという段階でございます。

赤嶺委員 いや、私が聞いたのは、政府が沖縄県に提出した回答書の中で、下降気流を原因とする事故はないとおっしゃっているけれども、二〇一〇年五月にニューヨークで起きたオスプレーによる事故、これはユーチューブでもオスプレーで検索するとすぐに出てくる画面ですよ、報道もされています、あったんじゃないんですか。だけれども、何で政府はなかったと回答しているんですか、こう聞いているんです。

一川国務大臣 申しわけないですけれども、ちょっと確かめさせてください。わかり次第答えますから。

赤嶺委員 確認していただきたいと思います。

 米軍のヘリが、予防着陸と称して学校のグラウンドや海岸などにおり立つことがこれまでも頻繁にありました。その場合にどういうことが起きるか、大きな懸念があります。また、高温の排気ガスによる火災発生の危険もあり、やんばるの森でどういうことが起きるか。

 回答書では環境アセスを実施する考えのないことを明らかにしておりますが、日本政府として、アメリカの回答を伝えるだけにとどまらず、どういう環境への影響があるか主体的に調査することもなしに配備を容認していくという態度ですか。

一川国務大臣 我々が提出の環境影響評価書の中にそれを含めたいと言っていますのは、当然、必要な調査があるとすれば、ちゃんと調査をして、我々なりに納得した形で評価書をつくり上げたい、そのように思っております。

赤嶺委員 米軍が環境調査をやろうとしているのは、アセス法で認められた調査ではありません。

 今、大臣は御答弁いたしましたが、アセス法に基づいてオスプレーの調査をやって評価書に載せるということですね。

一川国務大臣 今、我々は、辺野古移設ということに関連しての評価書の話をさせてもらっていますので、そういう中でオスプレーに関する問題についても、この前、知事さんには影響評価書の中でしっかりと含めて評価してまいりたいということをその場でお答えさせていただいております。

赤嶺委員 私は、今までのような、米軍の回答を聞いて沖縄側に伝えるという、こういう米軍に任せるやり方は許せないと思いますし、だれもオスプレーの配備に同意できないと思います。

 最後に、南西諸島への自衛隊配備について、何点か聞いていきます。

 昨年末に閣議決定した新防衛大綱、中期防に基づいて、防衛省は、来年度の概算要求に与那国島への陸上自衛隊の沿岸監視隊の配備と航空自衛隊の移動警戒隊の展開のための用地取得を盛り込みました。

 まず、沿岸監視隊、移動警戒隊とは、それぞれどういう役割と機能を持った部隊なのか、具体的な施設整備の内容と規模、配備時期について明らかにしていただけますか。

神風大臣政務官 お答えさせていただきます。

 先生御指摘の沿岸監視部隊につきましては、我が国の領海、領空の境界に近い地域に配置をし、付近を航行、飛行する艦船や航空機を沿岸レーダー装置などにより沿岸部から監視し、各種兆候を早期に察知することを任務といたしております。

 また、移動警戒隊につきましては、固定式警戒管制レーダーの長期にわたる運用中断の際の警戒管制体制を維持すること、また固定式警戒管制レーダーから離れた場所の覆域を補完することにより、すきのない警戒監視体制を保持することを任務といたしております。

 さらに、現在、平成二十四年度概算要求におきまして、沿岸監視部隊の配置及び移動警戒隊の展開のために必要な用地取得経費のほか、現地調査や造成工事の一部を実施するための経費を要求したところでございます。

赤嶺委員 自衛隊の配備について、地元が関心を持っているのは一点です。安全保障の環境だとか防衛問題ではありません。この自衛隊の配備が島の活性化につながるかどうかということであります。町長自身もこのことを発言しております。

 そこで、防衛省に、自衛隊の配備によってどのような交付金や補助金が支払われることになるかについて確認いたします。

 今回の部隊配備は、米軍再編事業ではないため再編交付金の対象にはなりません。また、大規模な飛行場や演習場を設置するものでもありませんから、周辺環境整備法第九条に基づく交付金、いわゆる九条交付金の対象にもならないと思うわけですが、その点を確認させていただけますか。

神風大臣政務官 先生御指摘の調整交付金につきましては、沿岸監視部隊が現状置かれていない防衛施設が特定防衛施設として指定されていないことから、実績はこれまでもございません。

 また、補助金につきましては……(赤嶺委員「補助金は後で聞きます」と呼ぶ)いいですか。

 現時点においてどのような事業が対象となるのかお答えすることは、現状、非常に困難でございまして、いずれにしても、地元与那国町の具体的な御要望をよくお聞きしながら、防衛施設周辺の環境整備に関する法律に基づいて適切に対応をしてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 米軍再編交付金の対象でなく、九条交付金の対象ではないと。

 残るは補助金であるわけですが、他の沿岸監視部隊が置かれている自治体での補助金の実績、これについても説明していただけますか。

神風大臣政務官 補助金につきましては、平成十七年度以降におきまして、釧路駐屯地標津分屯地羅臼分室の所在市町村であります北海道目梨郡羅臼町に対しまして、道路改修等事業として、平成十七年度に約七千二百万円、また、平成十八年度には約六千四百万円の補助金を交付したところでございます。

赤嶺委員 補助金の実績も、わずか一件であるわけです。その場合でも、四分の一は地方負担の持ち出しがあるわけですね。もともと、周辺環境整備法に基づく民生安定施設としての道路の補助の上限は十分の八ですよね。沖縄振興法は十分の九・五であるわけですから、総務省からは固定資産税の代替措置として基地交付金が支払われることになりますが、これも国の予算の範囲内で配分されるため、実際の固定資産税に見合う額が交付されるわけではありません。

 先日、私も、一九五〇年代から国境警備のための部隊が順次置かれてきた対馬に行ってまいりました。ここでも人口の減少に歯どめがかかっておりませんでした。対馬市は、一九六〇年には七万人いた人口が、今は三万五千人にまで減少しています。自衛隊の配備では島の活性化は図れません。

 今、与那国島では、長命草という薬草を生かした島おこしにも取り組んでいます。ここでしか見られない海底遺跡やサメを求めて、多くのダイバーが繰り返し訪れております。島の特性を生かした産業を興し、また、国境の島として、台湾や中国、アジアとの交流を深めることでこそ島の活性化も図れるということを指摘して、与那国への自衛隊配備はやめるべきだ、こういうことを要求いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

東委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 外務大臣、米軍嘉手納基地に離発着する軍用機の夜間、早朝の飛行差しとめと損害賠償を求める第三次嘉手納爆音訴訟の第一回口頭弁論が、去る十月二十日に行われました。この裁判は、嘉手納基地周辺住民二万二千五十八人が原告に名を連ね、被告、国を訴えた、この種裁判では全国最大規模のものであります。私は、この裁判は民衆蜂起である、このように思っております。

 大臣、実は私も嘉手納基地から離発着する軍用機の飛行経路の近くに住んでおり、私自身が嘉手納基地から暴露される殺人的爆音に苦しんでいる一人であります。家族全員で原告団に加わっております。

 この嘉手納爆音訴訟は、殺人的な爆音で日常生活が破壊され、日常的に戦闘機の墜落の恐怖におののき、多種多様な基地公害、米軍の演習、訓練で苦しめられている原告らが、静かな夜を取り戻したい、ごく当たり前の生活をやりたい、こういう要求を掲げた裁判であります。

 この第三次嘉手納爆音訴訟について、玄葉大臣の所見をお聞かせください。

玄葉国務大臣 照屋先生がこの訴訟の弁護士の先生でもいらっしゃるし、この問題に本当につまびらかであるということは承知をしております。

 そして、係属中の案件なので、この案件そのものに、訴訟そのものに対してコメントするというわけにはなかなかいかないわけでありますけれども、ただ、この騒音の問題が大変深刻な問題であるというふうに私自身も認識をしています。

 したがって、先般も、私が外務大臣になってからは初めての沖縄訪問のときも、最初に行ったことは、もちろん、ひめゆりの塔とかいろいろな場所へ行きましたけれども、まず最初に行ったことは、四軍調整官のところに行って、この嘉手納の騒音を初めさまざまな具体的な要請をしました。例えば嘉手納の問題であれば、特に平成八年の日米合同委員会のルールが守られているのか、夜間飛行はどうなんだ、場周経路はどうなんだ、日曜日はどうなんだ、こういうさまざまなことを問いかけながら、私の方から基地の中で要請をしたという経緯がございまして、私自身もこの嘉手納の騒音というのは大変深刻な問題であるというふうに認識していることを重ねて申し上げたいと思います。

照屋委員 細かいことになりますが、玄葉大臣は、この種爆音裁判、嘉手納、普天間、横田、厚木等々の裁判で、全国的に何件ぐらいの裁判があり、国が敗訴をして原告に支払った金額は幾らぐらいか、承知をしておりますか。していなければ、ないと答えて結構です。

玄葉国務大臣 米軍機等の騒音訴訟が十二件、我が国の支払った損害賠償金の合計が百六十九億円という資料がございますが、それでよろしいでしょうか。

照屋委員 大臣、国が敗訴をして、これまで百六十九億円という膨大な金を原告らにお支払いした。

 ところが、問題は、日米地位協定の十八条五項(e)で、本来その金額の七五%を日本政府がアメリカ政府から求償してお金を取らぬといかぬけれども、自民党政権のときも、政権交代をした民主党政権も、一円も取っていない。アメリカから取るべき金は、私の試算で約百二十八億円。百二十八億、こんな大金があれば、東日本の大震災で苦しんでいる被災者の支援、国民の医療や介護や教育の支援のためにお金が回せる。なぜそういうことをやらぬのか。やるべきではないか。大臣、意見を聞かせてください。

玄葉国務大臣 ただいまのお話は、平成に入って間もないころからのお話ではないかというふうに思います。

 おっしゃるとおりと言ってしまっていいのかどうか。つまりは、日米地位協定上、日米の分担のあり方は、損害賠償請求上、米国に負担していただかなきゃいけないという立場に立って日本としては要請をしてきたという経緯があるというふうに私自身は承知しておりますけれども、残念ながら日米双方の立場が異なっているということでございます。

 ですから、これは引き続き協議を重ねていくということを申し上げたいというふうに思います。

照屋委員 私は、日米地位協定は、主権国家の主権の立場で、国民の基本的人権の立場で、そして環境の視点で、全面的に改正をすべきだとずっと言い続けております。少なくとも我が国は主権国家ですよ。主権国家の矜持を持って、アメリカに要求すべきは要求をする。地位協定上決まっているんだから、賢明な玄葉大臣のもとで、それをぜひ速やかに、交渉をスピードアップして、アメリカに求償させてください。

 さて、玄葉大臣、十月十九日の来沖の際に、三連協の首長らと面談した際、普天間飛行場の嘉手納統合案の可能性について、それはないと明確に否定をしております。私も玄葉大臣同様、嘉手納統合案には断固反対で、実現不可能な案だと考えております。

 玄葉大臣が統合案を否定する根拠は何でしょうか。

玄葉国務大臣 結論から申し上げると、さまざまな角度からさまざまな検討がなされた結果、現在の日米合意があるということでございますので、そういう意味では、本当に心苦しいんですけれども、普天間の移設について、いわゆる沖縄全体の負担軽減を図るという観点からも、しかも抑止力を維持しながらということで、現在の移設先予定地というものが選定をされたということでございますので、その日米合意というのを着実に実現していく、そういう観点でございます。

 せっかくの問いなのであえて申し上げれば、それは、先ほど先生が言われたような、さらなる嘉手納の負担増、つまりは、特に騒音の問題などに対する懸念、もちろん、では、ほかの移設先はどうなのかと言われてしまうと、ということはありますけれども、やはりそういったこと、あるいは運用上の問題、さまざまなことを勘案して、私は、なかなかこの嘉手納統合案というのはいわば一つの合意に至らなかったのではないかというふうに考えております。

照屋委員 玄葉大臣、十月十九日の来県の際の記者会見で、大臣は、米軍人軍属による飲酒事故での公務中の取り扱い問題について、公の催しで飲酒をしても公務という日米合意はおかしい、具体的な見直しに強い決意を持っておると述べております。

 大臣、沖縄県民が求めておるのは、見直しに対する決意表明ではございません。もうこの段階では、玄葉大臣が、いつ、いかなる協議の場でアメリカと交渉して、この問題、いわゆる飲酒運転も公務扱いをするという不条理、そして、それによって現に死亡者が出ている、大臣が日米合意を改正させる日程、ロードマップ、これを県民は大臣の口から具体的におっしゃっていただきたいんです。私も同じ思いです。被害者の人も同じ思いです。お願いします。

玄葉国務大臣 ただいまの、いわゆる公の催しで飲酒をした、それが公務扱いになる、これは私はおかしいというふうに思います。

 おっしゃるとおり、結果を出さなきゃいけないというふうに思っています。ただ、今、いつの時点でと明確に申し上げることはできませんけれども、できるだけ早い時期に結果を出したいというふうに考えております。

照屋委員 最後に、玄葉大臣に、十月十九日、来県の際に、稲嶺名護市長と面談をした際に、鳩山内閣の対応について、県民の期待値を高めたと謝罪をする一方、民主党政権は県外移設のための努力をやった、努力を試みたことに一定の理解を求めておりますが、沖縄県民は、先ほど赤嶺委員からもありましたが、謝罪を求めておるのではないんですね。どういう努力を民主党政権は尽くしたのか、どこを県外移設の候補に挙げて、どのような検討をして、どういう理由があって断念をして、自民党政権と同じ辺野古沖案に回帰をしたのか、その具体的な説明を求めておるんです。

 ましてや、心優しいウチナーンチュが、玄葉大臣を踏みつけたり、けり飛ばしたりするようなことは絶対にありませんよ。ぜひお答えください。

玄葉国務大臣 ちなみに、先ほどの表現は、きょうの委員会では大分申し上げましたが、最低でも県外と言って期待値を高めて回帰したということに対する謝罪の気持ちを込めて、実は、それは県民の皆さんの思いからすれば怒り心頭だろうという思いもあったものですから、そういう言葉を出してしまったということで御理解をいただければというふうに思っております。

 私も、実は、外務大臣になって、一体どういうてんまつというか経緯があったんだということを関係の人たちにずっと聞いているんです。それは、例えば、全部詳細を明らかにすることで無用な心配とかそういったものを、検討された移設先に対して、もしかしたら起こしてしまう可能性もあるので、どういう形かで、どういう検討をして結果として回帰をしたのかということについて一定の説明は必要だという思いはあるんです。

 ただ、まさに外相レベルあるいは事務レベルで相当さまざまな角度から検討されたんだろうということはわかっていますが、どこまでそれを公表するのがいいのか。

 例えば、もうわかっていることなので率直に申し上げれば、徳之島という話が一時あって、それで大変な、徳之島の方々にさまざまな心配というか混乱というか、そういうのをもたらしたこともありました。

 ですから、私は、そういうこともすべて勘案しながら、どこまでの説明が可能なのか考えるようにということで、実は事務方にも指示をしているところでございます。

照屋委員 玄葉大臣、もう退席して結構でございます。

 防衛大臣に一点お伺いをいたします。

 沖縄県議会が駐留軍用地跡地利用促進法の制定を求める意見書を全会一致で採択して、防衛省あるいはその他の関係要路に要請をしております。この駐留軍用地跡地利用促進法の新規立法の必要性は、沖縄県知事を初め、県民、県議会、そして私ども県選出国会議員全員も一致して望んでおるところでございます。

 大臣、その新法制定の進捗ぐあい、それから、それをつくる大臣の重大な決意をぜひお聞かせください。

一川国務大臣 今、先生お話しの駐留軍用地の跡地利用の問題は、これからの沖縄の振興にとって極めて重要な課題であるというふうに私自身は認識いたしております。

 そういう中で、来年の三月末に期限を迎える、俗に言う沖振法、それからもう一つは軍転法という法律がございますが、その後のあり方について、現在、沖縄政策協議会という組織の中で、沖縄振興部会において、私自身もそのメンバーに入っておりますけれども、この二つの法律を所管する内閣府を中心に、政府一丸となって、今、先生のお話しになりましたこの法律をどうすべきかということについて真剣に取り組んでいるところでございます。

 防衛省といたしましても、当然ながら、政府全体の中でこの問題にしっかりと問題意識を持って対応してまいりたい、そのように考えております。

照屋委員 終わります。

東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時散会


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