衆議院

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第3号 平成25年12月6日(金曜日)

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平成二十五年十二月六日(金曜日)

    午前九時十四分開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 今津  寛君 理事 左藤  章君

   理事 薗浦健太郎君 理事 中山 泰秀君

   理事 武藤 容治君 理事 長島 昭久君

   理事 中丸  啓君 理事 遠山 清彦君

      岩屋  毅君    大野敬太郎君

      勝沼 栄明君    門山 宏哲君

      木原  稔君    笹川 博義君

      東郷 哲也君    中谷 真一君

      野中  厚君    浜田 靖一君

      武藤 貴也君    若宮 健嗣君

      渡辺  周君    今村 洋史君

      宮沢 隆仁君    伊佐 進一君

      小池 政就君    畠中 光成君

      赤嶺 政賢君    玉城デニー君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         小野寺五典君

   外務副大臣        岸  信夫君

   防衛副大臣        武田 良太君

   防衛大臣政務官      木原  稔君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋葉 剛男君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           高橋 和弘君

   政府参考人

   (国土交通省航空局交通管制部長)         重田 雅史君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    岸本 邦夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月六日

 辞任         補欠選任

  畠中 光成君     小池 政就君

同日

 辞任         補欠選任

  小池 政就君     畠中 光成君

    ―――――――――――――

十一月二十八日

 アメリカ軍のオスプレイと基地の撤去、自衛隊のオスプレイ配備計画撤回に関する請願(穀田恵二君紹介)(第二一一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 閉会中審査に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ所属委員の御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 この際、御報告いたします。

 本会期中、当委員会に付託されました請願は一種二件であります。両請願の取り扱いにつきましては、理事会において検討いたしましたが、委員会での採否の決定はいずれも保留することになりましたので、御了承を願います。

 なお、本会期中、当委員会に参考送付されました陳情書及び意見書は、お手元に配付してありますとおり、基地対策の推進に関する陳情書外二件、自衛隊の隊員確保を求める意見書外十一件であります。念のため御報告いたします。

     ――――◇―――――

江渡委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 国の安全保障に関する件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。

 まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査におきまして、委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

江渡委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官北崎秀一君、外務省大臣官房審議官秋葉剛男君、外務省国際法局長石井正文君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君、国土交通省航空局安全部長高橋和弘君、国土交通省航空局交通管制部長重田雅史君、海上保安庁次長岸本邦夫君、防衛省大臣官房長黒江哲郎君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省運用企画局長中島明彦君、防衛省人事教育局長豊田硬君及び防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山泰秀君。

中山(泰)委員 おはようございます。自由民主党の中山泰秀です。

 本日は、中国が設定をしたと勝手に申しておられます、いわゆる防空識別圏の問題に対して御質問をさせていただきたいと思います。

 同時に、なぜ、きょうこの委員会が設定をされたかということ、そしてまた、近日中に国会で、この中国共産党一党独裁による国家、そして一国二制度と勝手なことを申しておりますけれども、防空識別圏という到底理解もできないような形で設定する国家、これに対して、しっかりと我が国の意思を表明し、国民を代表する私ども立法府の立場で、院議をもって、これに対して決議をするということ、そのことを、逆に、野党の皆様も含めて、国民の意思としてしっかりと行うということ、それを前提にこの委員会も設定させていただいている、私はそのような思いで御質問を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、これは週刊現代からの記事の抜粋で恐縮なんですけれども、十一月二十四日、習近平主席は、極秘裏に山東省青島の北海艦隊基地におり立った、人民解放軍を統括する中央軍事委員会主席でもある習近平主席は、翌朝に初の遠洋航海訓練を控えた空母遼寧、例のワリャーグです、乗組員たちを整列させ、舌鋒鋭く訓示を飛ばした、戦闘能力を高め、戦争に勝てというふうに言った。

 二つ目、十一月二十五日、中国中央テレビのニュースに、人民解放軍の羅少将が解説者として登場した。彼は何と言ったかといいますと、今回の防空識別圏の設定はこれから行うことの序の口にすぎない、今後は南シナ海や黄海にも同様の措置をとっていく、自国の海域を防衛するのは当然で、これは他国でもやっていることなのだと。この羅少将というのは、ことし一月にテレビに登場した際、日本との開戦が迫っている、我が軍は日本との戦争など全く恐れていないとまくし立てた軍の代弁者だというふうに実は報道されています。

 今、外国から見ていたら、この北東アジア情勢というのは、いささか緊張しているというふうにおとりになられている向きが多い。同時に、実際当事者として、私どもここの地域に住まう者として、緊張をしているのかどうかというと、多少その部分と温度差もある。けさもいろいろな方からお話を聞くに、しっかりと緊張感を持って逆に対応したいところなんですけれども、意外と国民の方も、では、今の防空識別圏設定で、実際中国からミサイルが飛んできたりすると思うかというと、いざとなると、いや、そんなことは想像しにくいというふうに思っています。

 しかし、私は、いつでも中国から、北朝鮮も含めて、ミサイルが飛んできてもおかしくないというか、ここまで相手の軍の責任者の方がはっきりと物を申されている中で、日本人は、一般の方も含めて、緊張感がいささか足りない、一言で言うと、言葉は悪いですけれども、平和ぼけの状態にもなっているんじゃないかなというふうに思います。軍事を抜いた政治は楽器を抜いた音楽だという言葉がありますけれども、政治家は想像力たくましく、それこそ第三次世界大戦の想定を行うぐらいの気持ちで議論をし合わなければいけないというふうに思います。

 もう一つ申し上げておきたいのは、やはり、ここでアメリカのバイデン副大統領が安倍総理の要請で日本に来日されて、日本との会談の中で、しっかりと中国に対して防空識別圏に対する抗議を行ってくださるということを我が国の国内で表明してくれたことだと思います。他方、会談の中身が、今度中国に行かれて、その後、ずっと報道を見ていましても、どういう中身をお話しなされたのかという報道がいま一歩出ていないんです。

 そこで外務省にお聞きしたいと思うんですけれども、まずは、安倍総理とバイデン米副大統領の会談の中身というのはどんなものがあったのか、それから、成果はどうだったのかということをお尋ねしたいと思います。

岸副大臣 中山委員の御質問にお答えいたします。

 今般訪日をされましたバイデン副大統領は、安倍総理との間で、日米二国間の課題や地域情勢等につき、率直な議論を行いました。両者の間で、地域の平和と繁栄のために、日米同盟が今後も大きな役割を果たすということを確認することができたわけでございます。

 特に、中国の防空識別区設定の発表については、安倍総理と副大統領との間では、中国の力による一方的な現状変更の試みを黙認せず、力強い日米関係に基づき、引き続き緊密に連携をして対応していくことを確認しております。特に、両者の間では、自衛隊及び米軍の運用を含む両国政府の政策、対応を一切変更せず、連携を維持することを改めて確認いたしました。また、民間機の安全確保を脅かす行動は一切許容しないということで一致をしております。

 我が国は、オバマ政権によるアジア太平洋重視政策を歓迎しており、その重要性を強調してきた副大統領自身による訪日は、極めて時宜を得たものであったと考えております。

中山(泰)委員 中国の本当の狙いは何なのかなということを大前提として持っておかなきゃいけないと思うんですね。

 今回は防空識別圏という空の話になっていますけれども、本当の狙いというのは、我々は常識的に理解している、例の第一列島線、第二列島線というのを破って、それこそオバマと習近平で話し合ったときの中国の要求である、西太平洋をこちらによこせ、こちらというのは中国ということですけれども、これが大前提だと思います。

 その中で、今回あえて防空識別圏を設定することによって空に目を向かせておいて、実は原子力潜水艦等を含めて、それこそワリャーグ、遼寧の艦隊、練習もそうでしたけれども、南にどんどん出ているということであります。

 これを思うに、私は以前事務所の方で役所の方と話をしていて、実はさっきもちょっと申し上げた、では、中国がこの防空識別圏の設定をこれから南シナ海や黄海にもやるよという情報は入っているかと言ったら、そのときは、情報は入っていないというふうにもおっしゃっていたんです。

 私は、昔の大韓航空機撃墜事件の例ですとか、いろいろな例を見ていますと、一触即発になったときに、逆にどう対応するかというのを当然政府も考えておられると思いますけれども、当時、大韓航空機の場合は、まず領空だったということが前提だと思います、二十二キロ以内だったら撃墜ができるということで。

 同時に、政治的背景というのは冷戦構造だったということもあります。当時のレーガン大統領のスピーチなんかを聞いていますと、相当強目の表現をなさっておられます。

 同時に、アメリカのNSCの中でも当時いろいろな議論が実はありました。その中でも、逆に、当時、日本のレーダーから得た情報で、大韓航空機に対してミサイル発射を行うパイロットのコックピットの通信を傍受して、その証拠をもとに国連で共同歩調をして、当時のソビエトという国に対して世界共通の認識、要するに、極端に言えば、アメリカが善でソビエトが悪だ、自由主義、民主主義が善で共産主義が悪だというような形のコントラストを明確にアメリカというのは演出する、そのための証拠を日本のレーダーの通信傍受から得たということで、当時CIAの長官だったケーシー氏はそれを公開するのに反対し、同時に国務省のトップの方はそれを公開することを前提にした。

 すなわち、防諜の技術というのを日本がどのぐらい持っているのかという手のうちを明かすということを片一方のお皿に載せて、もう片方はそれでもソビエトというのがどれだけ悪かというのを世界に知らしめようという政治的な部分、それをてんびんにかけた結果、防諜の技術が漏れても構わない、それよりも政治的な宣伝というものを優先させたということが、当時の大韓航空機の事件のときの大きな日米の協調の中でとられた国際協調に訴えかける手段だったと思います。

 当時から比べますと、武器技術ですとか、いろいろな進歩も起こっていますけれども、しかし、今現在、まるでソビエトが、私は中国がソビエトに見えて仕方ないんですよね、当時の冷戦構造下の中のソビエトのような行動をとる中国に対して、これは世界にどう呼びかけていくか。

 しかし、中国はODAをアフリカ諸国にもやっている。国連のいろいろな国に対して、中国というものがソフトパワーも含めていろいろと幅をきかせている中で、当時のような手法が果たして国際協調の中で生かされていくことができるか。

 我が国の利益を得るために、そしてまた北東アジアの緊張をひもとくために、そういったことができるかどうかという慎重な議論を同時に政府の方が行わなければならないというふうに思います。

 順番は前後しますけれども、今回、日本でも先日通しましたNSCの法案、これによりまして早速官邸の方でNSCの議論が行われたと聞きますけれども、具体的にどのような議論が行われて、そしてNSCというものに対する各行政、政府の期待感というのはどのぐらい今盛り上がっているのか、そういったことをちょっと教えていただければと思います。

小野寺国務大臣 さまざまな事案が起きたときに、国際社会にしっかりとした訴え方をするために、そのために一定の証拠というのも重要だということは、今回の一月に発生しました中国の艦船から火器管制レーダーが我が防衛省・自衛隊の艦船に発せられたということが物語ると思います。

 この際、私どもとしては、手のうちを極力明らかにすることなく、明確にこのことについては抗議を行い、その中で国際社会も日本の立場を理解し、アメリカの上下院両方とも日本に対しての支援をするような決議をしていただきましたことは事実でございます。

 NSCにつきましては、これは四日からスタートをしたということになります。そのとき、会合は確かに持たれました。

 また、委員が御指摘されるようなさまざまな安全保障の問題について、私どもとしては議論をしたということは事実でございますが、対外的な公表については、現在まだ正式にNSCが、事務局も含めて発足をしていない中で、官房長官に今対外的な発信を一任しているという状況でありますので、会見等の中で官房長官から聞かれるのが適当かと思っております。

中山(泰)委員 ところで、中国の防空識別区というものを通過する民間の航空機の数というのは、一体どのぐらいの路線があるのかということも、事実関係としてお伺いさせていただけたらありがたいなというふうに思います。

重田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、中国が設定いたしました防空識別区を通過する民間航空機の一日当たりの交通量は、約七百三十機であります。

 主要な各方面別の内訳を御紹介いたしますと、日本と上海を結ぶ航空路が約二百機、日本と台湾、香港や東南アジア方面へ結ぶ航空路が約二百六十機、韓国と台湾、香港あるいは東南アジア方面を結ぶ航空路が約二百三十機というクラスになっております。

中山(泰)委員 何か、報道で聞いているよりも、逆に多いんですね、意外と。ですから、これだけ大きな影響が出る問題を中国という国が巻き起こしているということを一般の庶民というのは知る由もないのかなと思います。

 同時に、二十三日の正午ごろに、ノータムという、国土交通省が航空情報センターを通じて知らされる世界の航空情報のことですけれども、これを受けた日本の民航機、JALとかANAも、実は中国に対して申請をしたということは報道で聞いていますけれども、これは政府の意見を受けて、すぐにその行為はおさめたということです。

 同時に、アメリカの方は、軍事と民間の話は別だということで、まだまだ提出をしているような対応というものを中国に対してやっています。

 事実上、中国が防空識別圏を設定したと言われているエリアにスクランブルをかけて自衛隊機が飛んでいった場合に、中国軍の戦闘機と対峙して、仮にロックオンされるというような事象が起こった場合、自衛隊はどうやって具体的に対処するのか。また、このような事態に対して、現行法の枠内で十分対処できているのかということに対する疑問というのは、かねてから各委員会でも、そして先生方も同じような思いを持っていますけれども、その点に関しては、防衛省、どのようにお考えでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般論として申し上げさせていただきますが、我が国の領空内におきまして領空侵犯機から自衛隊機に対する急迫不正の侵害が認められる、こういう場合につきましては、隊法八十四条の対領空侵犯措置の規定に従って、武器を使用し、これに対処するということになっておるわけでございます。

 ロックオンという話がございました。正当防衛、緊急避難の要件を満たす場合で急迫不正の侵害ということでございますけれども、これは、例えば相手が射撃した後というわけではなくて、相手がこちらに向かいまして照準を合わせて射撃しようとしている場合のように、侵害が間近に迫っている場合にも、相手の攻撃を待つことなく危害射撃を行うことが法的に認められているということでございまして、そのときの状況に応じて、適切に対処できるものと考えております。

中山(泰)委員 ということは、パイロットが危険を感じたら、撃てるということですか。

中島政府参考人 あくまでも一般論で申し上げたところでございますけれども、やはりその時々の状況がございますので、パイロットが感じて、危害、急迫不正の侵害というような状況、そういう状況であるがゆえに撃てるというふうに一概には申し上げられないというふうに考えます。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 もしパイロットが自分の命を自然権で防衛することができないのであれば、そこに対して、自信のある答弁とか根拠のある法律がもし不足しているのであれば、私たち立法府が責任を持って、しっかりと防衛省を含めて政府と練って、可及的速やかにそういった法整備を行うべきだろう。中国はまさにそのすきを狙っていると思います。

 最後に、時間もあと二、三分しかないので申し上げたいと思うんですけれども、エドワード・ミラーという元ニューズウィークの編集長が書いた「オレンジ計画」という本があります。これは大分昔の本なんです、九四年ですか。

 オレンジプランというのは、先生方も御承知のとおり、アメリカの海軍兵学校で、セオドア・ルーズベルト大統領、すなわち一九〇一年から一九〇九年の政権下において、各国を世界地図でカラフルな色に塗りかえて、日本は当時はオレンジ、そしてアメリカはブルーという形で塗ったんですけれども、オレンジ計画というのを立てて、そのときそのときの情報によって変化をさせながら、日本という国とどうやって開戦をして、そして終えんを迎えさせるか、そういった計画をずっと立てていました。言ってみれば、戦争が始まる五十年前に、アメリカ合衆国という政府は、日本とどうやって第二次世界大戦を開戦するかから終戦までを考えていたわけであります。

 世界じゅうの、大国がある中で、軍事戦略とかというのはある程度中長期的に考えなければならない話でもあります。当然、中国も、西太平洋をよこせというからには、恐らく、世界で唯一の深い海でありますフィリピン海溝や日本海溝、こういったところに原子力船がシーク・アンド・ハイドしているような、そういった形を想定して、その部分をとろうということは、逆に、世界の海の中の様相というものが大きく変化せざるを得ないというような状況があります。

 一般に、普通に過ごしている国民には余り見えないところで、軍事上の冷戦というのが大きくこれから変貌を遂げてくるというとき、しっかりと我が国のシームレスな防衛というものを行わなければならない。そのためには、例えば四・五世代と言われるF15イーグルのバージョンアップですとか、そういったことも含めて積極果敢な防衛政策を考えていただかなければいけないと思いますし、第三次大戦というのは必ず海の戦争になると思いますので、そのための備えを我々は考えていかなければならないと思います。

 意は尽くせませんけれども、質疑時間が終了いたしましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

江渡委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 おはようございます。みんなの党の小池政就です。

 安保委員会では初めての質問をさせていただきます。

 小野寺大臣には、私が国際関係を勉強させていただきます二〇〇一年の夏に、ワシントンでお会いさせていただいて、本日はその大臣に質問をさせていただくということで、大変光栄に思っております。

 ただ、だからこそ、同じ国際関係に、また安全保障に関しまして、この国会中に拙速に、そして最後は強行採決という形で、特定秘密保護法案について与党の方で取り組まれたことに対しては大変遺憾に思いますし、また、私自身も、そのような思いを持って、今国会、一年生議員として取り組ませていただいたことに対して、大変残念な思いを持っております。そのことを、まず一言申し上げさせていただきます。

 その上で、質問に入らせていただきますが、今回の件は、どうしても空の件に関して注目を浴びるわけでございますが、空のこのような取り組みに対してのそもそもの原因というのは、やはり海上、それから領土にあるわけでありまして、また海上、領土の取り組みに関しましても、今回の件は海底にもその問題があるということから、まず海底、それから海上の件について、幾つか確認をさせていただきたいと思います。

 きょうは、エネ庁を呼んでおりますので、確認をさせていただきますが、今回の防空識別圏、その区域、もしくは、そうでなければ、東シナ海のエリアにおきまして、最新の資源、天然ガス、また石油におきます確認埋蔵量というのはどのくらいになっているのか、お答えいただけますでしょうか。

住田政府参考人 御指摘の、中国が東シナ海に設定をいたしました防衛識別圏内に中国の企業が開発あるいは生産あるいはその可能性があるような油田、ガス田の埋蔵量、生産量は、私どもの方では承知をしておりませんが、この地域におきます開発、生産等を行っております中国海洋石油有限公司というところがございますけれども、こちらが二〇一二年の年次報告書で発表しているデータがございます。こちらによりますと、東シナ海の油田、ガス田の確認埋蔵量でございますが、石油換算をいたしますと約七千万バレル、生産量につきましては、一日約五千バレルという記載がございます。

小池(政)委員 その点について、もう一点確認させていただきたいんです。

 たしか経産省の方でも九四年に試算を行っているとは思いますが、それと比べて大きいのかどうか。また、先ほどの中国の埋蔵量の試算でありますけれども、日本の消費量の大体何年分ぐらいなのかという目安を教えていただけますか。

住田政府参考人 ただいま御指摘をいただきました一九九四年の時点におきましては、我が国におきまして、石油審議会の開発部会技術専門委員会というところでございますけれども、こちらは非常に限られたデータから推計に推計を重ねまして、仮定の数字といたしまして、東シナ海の中間線よりも日本側の部分でございますけれども、こちらにおけます、技術的に可能かどうかは別として、物理的な可採埋蔵量といたしまして、究極的な可採埋蔵量といたしましては、石油換算で約五・二億キロリットルというような推計をいたしております。これは約三十二・六億バレルに相当いたします。

 先ほど申し上げました中国海洋石油有限公司が発表しております生産量、日量約五千バレルと申しましたけれども、これは石油、天然ガスを合わせてでございますが、日本の年間の消費量が約二十一億バレル、これを一日に換算しますと、恐らく約六百万バレルぐらいになると思いますから、それとの比較で、先ほどの五千バレルという数字をごらんいただければというふうに思います。

小池(政)委員 九四年の試算によりますと、原油換算で日本の消費の大体二年分ということが言われております。

 その中で、では、今の中国の開発それから生産の状況というのは果たしてどうなっているんでしょうか。

住田政府参考人 先ほど申し上げた点でございますけれども、中国の生産量につきましては、現時点で日量約五千バレルという状況になってございます。

小池(政)委員 それはいつから始まっていますか。

住田政府参考人 中国の海洋石油有限公司の公表している年次報告書によりますと、平湖という油ガス田が一番古いのでございますけれども、こちらでは一九九八年から生産を開始しているというふうに承知をしております。

小池(政)委員 一九九八年から中国が生産を始めているということでありますけれども、日本側は二〇〇四年から独自調査をして、その際に、地下で日本側と、それから中間線を通して中国側と連続しているということを確認しております。

 また、二〇〇五年には、帝国石油に試掘許可を行っております。ただ、外交問題に絡むことから、政府と協議の上、慎重に協議ということで、なかなか日本側の対応が進んでおらず、二〇一〇年には、尖閣付近で中国の漁船が海保の巡視船に衝突ということから、この件については、日本側の対応というのは完全にストップしているわけであります。

 ただ、二〇〇八年には、中国との間で共同開発を行っていこうというような合意もとられているところでありますが、今、それにどうやって戻そうという取り組みをなされているんでしょうか。

岸副大臣 今委員の御指摘になられました御質問でございますが、御指摘のとおり、日中間では、排他的経済水域及び大陸棚の境界が未確定である東シナ海を平和・協力・友好の海とするための協力をすることで一致をしているにもかかわらず、日中双方の主張が重複する海域において中国側が一方的な開発を進めている状況につきましては、まことに遺憾な状況であります。

 中国側に対しましては、一方的な開発を行わないよう求めるとともに、東シナ海資源開発に関する二〇〇八年六月の合意を早期に実施に移していくように、さまざまな機会を捉えて強く求めてまいる所存でございます。

小池(政)委員 今、対応として、中国の方からは、この資源、中間線の問題というのは尖閣の問題が終わったら考えようというようなことを言っているということも聞いたりしております。

 ただ、中国の主目的というのは、領土もそうですけれども、やはり資源にあるわけでありまして、では、尖閣問題を問題化して、延ばせば延ばすほど今生産を行っている資源はどんどん抽出、生産されていってしまうわけでありますから、まずその生産、開発をやめるべきだというようなことを強く主張することが必要だと思いますとともに、また国際的にも、必ずしも両国の同意が必要なくても、この問題について議論できる、また取り組むことができる手段があるわけですから、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 外務副大臣にその姿勢をお聞かせいただきますよう、お願いいたします。

岸副大臣 中国との東シナ海資源開発に関する国際約束の締結交渉につきましては、二〇一〇年七月に第一回交渉を行ったところでございます。その後、同年の九月、中国から交渉の延期が一方的に発表されました。日本側からは、たびたび重ねて交渉の再開を要求しているところでございますが、現在まではこの再開に至っていないというのが実情でございます。

 いずれにいたしましても、この地域を平和・協力・友好の海にしていこうということでございます。それに向けまして、最大限努力をしてまいりたいと思っています。

小池(政)委員 それでは次に、領海、海上運輸の問題について少し確認をさせていただきたいと思います。

 いわゆる領海侵犯、我が国領海で外国船舶による航行が無害でない通航である際の対応につきましては、自衛隊としては、通常の警戒監視活動から、今度は海上警備行動、治安出動、それから防衛出動という形で移っていくわけでありますが、これまではほとんどが警戒監視活動であったと認識をしております。

 ただ、調べたところによりますと、過去三回、海上警備行動というものが発動されておりまして、平成十六年には、中国の原子力潜水艦による領海侵犯に対してこの行動が行われております。

 これについて確認をさせていただきたいんですが、原潜による領海侵犯に対する海上警備行動、これは潜水艦だからこのような対処をされたのでしょうか。お願いします。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の海上警備行動は、海上で無害でない通航を行う外国の船舶に対しまして、警察機関、この場合は海上保安庁を指しますけれども、によって対処することが不可能または著しく困難な事態に対処するということで発動されるものでございます。

 今先生がおっしゃいました潜没潜水艦の航行につきましては、やはり自衛隊でなければ対処できないだろうということで、当時、海上警備行動が発令されたものでございます。

小池(政)委員 ただ、その潜没潜水艦につきましては、浮上命令それから退去命令ということを自衛隊は行うわけでありますけれども、それに応じない場合に、今の状態では何もできないんじゃないかという懸念がこれまでも上がっているところであります。

 その際に、潜水艦から機雷が敷設されるという可能性も過去から指摘されているところでありますが、そのような件につきましての対応というのはどうなっているんでしょうか。

中島政府参考人 御指摘のようなケースで、例えば海上警備行動の対象となった船舶から何らかの攻撃ないし正当防衛、緊急避難に当たるようなケースの場合は、隊法九十五条というような武器等防護の規定に従って対処することが可能であるというふうに考えております。

小池(政)委員 ちょっとわからなかったんですけれども、対処は何かできるんでしょうか。

中島政府参考人 自衛隊法の第九十五条という武器等防護の規定というものがございます。これによりますと、武器としての自衛艦ないしそのほかの車両等もそうでございますけれども、それに対して攻撃がなされる場合は、合理的な範囲内でそれに対応することができるという規定がございます。

小池(政)委員 ちょっと時間もないんですけれども、その点もしっかり含めてこれから対処していただきたいと思います。

 それから空の件、今回の中国の防空識別区の設定についてでありますが、今の中国側からの発表をもとにして、今回の防空識別区の性質、それから、そこに通告なく航空機が進入してきた場合に、中国側の言い分、主張としては、どのような対処ということを言っているんでしょうか。

岸副大臣 今回、中国の国防部により発表された措置におきましては、公海上の空域を飛行する航空機に対して、一方的に自国の手続に従うことを義務づけるとともに、識別に協力しない、または指示を拒否した航空機に対して、中国軍が防御的緊急措置を行うこととしておるわけでございます。

 このような内容につきましては、国際法上の一般原則である公海上空における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであり、認められない。こうした措置の撤回を求めているところでございます。

 また、中国側が設定した空域は、我が国固有の領土であります尖閣諸島の領空をあたかも中国の領空であるがごときに表示をしておることであり、我が国としては全く受け入れることができない、こういうことであります。

 我が国といたしましては、このような立場に立ちまして、十一月二十四日に外務大臣談話を発出いたしました。また、外交ルートを通じて、中国側に対し、我が国の懸念を伝えて厳重に抗議をし、措置の撤回を求めているところでございます。

小池(政)委員 その際に、今回、中国側の主張と重なる部分が出てくるわけでありますけれども、それについて大臣にお伺いさせていただきたいんです。

 日本側の対応としては、中国に日本の航行計画を提出すると、中国側の言い分を容認したことになってしまうということから、それを控えるというような姿勢であると思いますが、一方で、中国にも、彼らに計画の提出要求を行わないと、彼らの主張というのをやはり容認したことになってしまいます。ですから、提出要求を行って、かつ、それがない飛行については必ずスクランブルで対応するというような姿勢が大事だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 小池委員には、十年ほど前でしょうか、ワシントンのSAISで研究されているときにもお会いをさせていただきました。その後、経済界、そしてまた研究者として御活躍されていると承知をしておりますが、このたび政治家として、こうして日本の安全保障にかかわっていただくことを大変頼もしく思っております。

 今回の中国の防衛識別区の設定でありますが、まず問題点は、通常やはり、このような防衛識別圏を設定する場合、警告その他は自国の領土に近づいてくる場合に限って行うということがあります。今回の中国は、一方的に自分たちが主張するところを飛行する航空機に対しての問題を提起しただけでありますし、また、通常、民間航空機については御存じのとおりICAO条約の中で自由が認められておりますが、それに対しても言及したということで、全く今回は、国際法にも、これは首をかしげる内容だなと私どもは思っております。

 その中で、我が国の対応としましては、基本的に従前と変わりません。これは日米で共通して確認をしておりますが、通常の今まで行ってきた警戒監視、そしてまた、仮に、例えば我が国の領空に近づくようなことがあった場合には、それはしっかりとした対応をとるということになると思います。

小池(政)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、実際に中国側もしくはほかの一般機が日本の防空識別圏、また領空に侵犯してきた場合への対応についてお伺いさせていただきます。

 領海と違いまして、領空、また識別圏での対応というのは非常に時間が制約されておりますし、その中でなかなか、領海でありますような総理大臣の命令によって治安出動が行われる、それから防衛出動が行われるという段階的な対処というのは非常に難しいと思うんですが、この際、そこはかなり現場の自衛官の裁量に任されているという理解でよろしいんでしょうか。

小野寺国務大臣 自衛隊法におきましては、治安出動や海上警備行動等については警職法を準用するということになっております。また、対領空侵犯措置、自衛隊法八十四条には実は具体的な権限規定は書いておりません。

 理由としましては、領空侵犯は、具体的ないかなる措置をとるべきかは、武器の使用を含めて、国際法規及び慣習を踏まえて行われるべきものであるということ、そして、今委員が御指摘でありますように、空の上を高速で飛行する航空機に対してなされるものであり、結果としてほとんど撃墜ということになり得ることから、武器の使用については慎重な配慮が必要であるということが求められております。

 こうした理由を踏まえて、対領空侵犯措置につきましては、武器の使用やその他要件を明確に規定することなく、着陸させ、または我が国の領域の上空から退去させるために必要な措置として規定するにとどめております。

 そしてまた、私どもとしては、部隊の行動基準の中でしっかり対応していきたいと思っております。

小池(政)委員 時間になりましたので、以上で終わりにします。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山でございます。

 大臣、副大臣、政務官、いつも御苦労さまでございます。

 私は、十分の質問時間でございますので、簡潔に三問伺いたいと思います。

 まず、きょうの委員会で、これまでもありましたけれども、中国が防衛識別区の設定をして、その中に日本固有の領土である尖閣諸島が含まれるということでございます。我が公明党といたしましても、全く容認できないと考えているわけでございますが、先ほど来も質疑でありますとおり、これはやはり不測の事態をどう避けるかというのが一つの論点かと思います。双方が防衛識別をする空域というふうに設定するわけですから、これは、少なくとも理論上は、双方で航空機を発見した場合にスクランブルをかけるということになり得るわけでございます。

 我が党の代表であります山口那津男参議院議員は、ことしの冒頭にも習近平国家主席と中国で会見をしておりますし、その後の一連の日中関係に関する発言におきましても、双方の主張は主張として、当然、我々も日本の政府と同じラインで、尖閣を含めて主張し続けてきているわけでございます。

 そこを譲る必要は全くないわけでございますけれども、他方で、危機管理のメカニズム、具体的には、防衛省も昨年まで進めていた海上連絡メカニズム、これは合意間近まで来ていたという話も政府内ではあるわけでございまして、それが昨年の九・一一以降とまったということでございます。また、私もことしアメリカ合衆国に四回ほど行かせていただきましたけれども、習近平国家主席が訪米した前後に米中でホットラインをつくったという報道もございます。

 そういったことをいろいろ考えますと、日中の間でも、双方の主張は主張としてあるわけでございますが、危機管理メカニズムとかホットラインなどの仕組みというものをやはり早急に合意して設置する必要があるのではないかと考えますが、防衛大臣の御見解を伺いたい。防衛大臣、お願いします。

小野寺国務大臣 補足があれば副大臣の方からお答えしていただきますが、第一次安倍内閣のときに、これは首脳合意の中で海上連絡メカニズムというものの設定が合意をされました。その後、作業をする中で、昨年の九月以降、直前まで行って、今進んでいないのが事実でございます。海上連絡という名前になっていますが、これは空も当然入ります。

 私どもとしては、累次の機会、私自身も、累次の国際会議の中で中国側の代表とたまたま立ち話等をする場合には、このようなことをしっかりしていきたいということを発し続けておりますし、外交ルートでお願いもしております。

遠山委員 わかりました。

 続きまして、二問目は、小野寺大臣がことしの九月二十八日に九州の宮崎の講演で言及をされております、潜水艦救難艦が一隻古くなったので新造されるということについてなんです。

 実は公明党は、大臣御承知だと思うんですが、野党の時代に、災害時に被災者等を海から支援する体制を強化すべきだということで、病院船あるいは災害時多目的船、名前はいろいろ言えるわけですけれども、この活用をすべきだということで、プロジェクトチームを党内に設置いたしておりまして、私が事務局長をしております。PTとして政府に何度か提言もさせていただいておりまして、本年も、私どもの提言を受けて、内閣府が主に中心になりまして、三重県沖で病院船の実証実験をしていただきました。海上自衛隊の協力もいただいたということで、感謝しているところでございます。

 先ほど申し上げた九月の大臣の講演で、新造する潜水艦救難艦については、せっかくだから多目的の救難艦にして、災害時にも使えるようにしたい、こういうことをおっしゃっていたわけでございますが、この新たな救難艦の特徴と活用方針について伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 平成二十六年度の予算の中に、私ども、さまざまな装備を新しくするということの中に、潜水艦の救難艦の新造ということがございました。

 その際、私の方から、これは遠山委員が前から国会でも質疑されていたのをよく存じ上げておりましたし、また提言も知っておりましたので、やはり潜水艦を救助する、あるいは、多くの潜水士を有する、そして、中に手術室等ももしあるのであれば、その枠をもう少し広げて考えて、多目的に、当然潜水艦の救難もできるけれども、万が一災害等が起きたときには、例えば海の中を捜索するような、そういう専門家がたくさんその中におります。そしてまた、病院の、あるいは手術の機能を多少広くする、災害対応として受け入れるような臨時的な場所も少し検討する、そのようなことを踏まえて、名称から、多目的の、災害に対応できるような、そのような形で考えられないかということの指示をさせていただきました。

 現在、そのことについては財務省と折衝しておりますので、これは、遠山委員を初め、今まで多くの公明党の皆様からいただいた提言も含めて私どもは考えさせていただいております。ぜひ、予算の面でも御支援をしていただければと思っております。

遠山委員 我が党としても、与党としてしっかり予算確保のために尽力をさせていただきたいと思いますし、やはり東北大震災、大臣の地元でございますけれども、その教訓をいろいろと考えますと、これから首都直下とか南海トラフとかが起こったときに、国の総力を挙げて被災者支援、被災地支援をしなきゃいけないと考えたときに、日本は島国でございますので、海からどう支援を入れていくかということはしっかり考えておかなきゃいけないと思うんですね。

 もちろん、海上保安庁、海上自衛隊、民間の船舶、いろいろなものがあるわけですけれども、現状では、海からの支援を統括する司令塔は政府の中でも余りはっきりしていないところがございます。それはちょっと防衛省の範囲を超える話もありますけれども、大臣のリーダーシップのもとに、この新たな救難艦を初め、防衛省・自衛隊として、しっかりと災害時に海から救助できる体制を強化していただきたいということを申し上げたいと思います。

 最後になりますが、これはぜひ副大臣にお答えになっていただければと思います。

 自衛隊による在外邦人の海外における陸上輸送を可能とした改正自衛隊法が成立をいたしまして、先般、十一月二十九日に新たな閣議決定がなされました。

 この中で、海外に行く自衛官の携行する武器や装備につきまして、一部の新聞報道で、ちょっと引用しますが、海外携行武器を拡大とか、それから、もっと不正確なのは、武器制限撤廃という見出しで報道しているわけでございます。

 しかし、私は、実際の閣議決定を見ましたら、自衛隊法の関連規定の範囲内で、必要かつ適切なものを持っていくと明記されておりまして、全然これは無制限ではないと考えますが、防衛省の見解を伺いたいと思います。

武田副大臣 我々も、マスコミの報道については、ちょっと行き過ぎではないかというふうに感じておるところであります。

 先生御指摘のように、隊法の関連規定の中において、必要かつ適切にこれは使用をしなければならない、決して無制限に許されるものではないと我々は考えております。

遠山委員 報道ですから、逐一全部相手にしていると切りがないという面もございますけれども、最近、その他の法案におきましても、一部のマスコミ報道がかなり国民に誤解を与える面がある。特に、防衛省あるいは自衛隊の行動や武器や装備といった問題につきましては、私どもは、与党であっても、おごりを排して、かなり抑制的に議論をして、いろいろな合意をしたり、閣議決定をつくったりしているわけでございます。ぜひまた、防衛大臣や副大臣あるいは政務官、対外的に発信される際に、こういった閣議決定の内容等についても正しく、正確に国民に周知徹底をしていただきたいということを要望申し上げまして、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。

 本日、この委員会を開催していただくに当たりまして、私と民主党の野党筆頭理事と申し入れをさせていただきまして、開催していただきました。委員長には感謝いたしております。

 残念ながら、民主党さんは、理事は非常にこの委員会に出たいと思われていたと思うんですけれども、党の方針ということできょうは来られていない中で、我が党は、国家の安全保障にかかわること、参議院等でいろいろあるにしても、それはそれ、これはこれ、粛々と進めるべきだという党の判断のもとに、きょうは質問をさせていただきます。

 今回、この委員会を開く一番きっかけになっているのは、委員の皆さん御存じのように、中国による防空識別区の設定があった。

 マスコミ等では防空識別圏という言葉を使われておることも多いと思いますが、先ほど大臣の答弁で識別区とはっきりおっしゃっていただいたので、その違いはなかなか国民の皆様にはわからないと思いますので、あえてこの場をおかりして言わせていただければ、我が国が設定している防衛識別圏は領空に接続する公海上に設定しているものであり、公海であるという認識のもとでやっているものであります。しかし、中国の設定してきた防衛識別区は、これは明らかに、もちろん我が国の領土である尖閣上空も含まれておりますけれども、あたかも領空のような、武力行使も辞さないというようなことを公海上に勝手に設定してきているということは、絶対に許すべきではない、言語道断な行為だというふうに思います。

 そういう中で、四十四年したら云々とかということも発言されているようですが、そもそも、外交上の問題はちょっとおいておきまして、小野寺防衛大臣にお伺いしたいんですけれども、私は、これは軍事バランスといいますか、中国の軍事的思惑だったり政治的思惑だったり、さまざまなものがあって今起こっていると思うんですけれども、この根本原因というのをどのようにお考えか、お聞かせ願えればと思います。

小野寺国務大臣 今回の防衛識別区は中国が一方的に設定したということであり、そしてまた、私どもとしては認められないということは、これは委員と共通の認識だと思っております。

 その上で、中国の考え方、意図というのは、推しはかるのは大変難しいことでありますが、中国は前々から海洋強国の建設を標榜ということ、これはやはり、経済成長に伴って、今後、軍事にもさまざま力を入れていくということの一つのあらわれが継続しているというふうに思っております。

 そして、先月、十一月ですが、開催されました三中全会におきまして、海空辺防の防衛管理メカニズムの調整、正常化を決定しております。実際、昨年九月の空母遼寧の就役や、海軍艦艇部隊による太平洋進出の常態化、今般の東シナ海防空識別区の一方的な設定に見られますように、今の中国の行動を見ますと、海洋に関する活動を急速に拡大、活発化させるというようなことを私どもとしては承知をしております。

 この目標の一つとして、自国本土から可能な限り遠方の海空域で敵の作戦を阻止するという体制を構築する、このようなことがよく分析をされております。

 いずれにしても、私どもは、中国の意図とはかかわらず、我が国の領土、領海、領空を断固として守っていく、そういう体制を継続し、また、常に緊張感を持って対応するということが防衛省に与えられた役目だと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 私が根本原因という言葉を使わせていただいたのは、例えばなんですけれども、よく私はドラえもんの話を委員会でさせていただくんですが、今回、国際的に見ても、非常に乱暴なことをやってきたという認識は大臣もお持ちだと思います。その中で、乱暴なことをするというと、ジャイアンなわけですね。我が国は今どういう存在かといいますと、ちょうどのび太君みたいなところに当たるんじゃないかな。

 というところで、まず日米同盟ということで、アメリカに対して、安保の範囲内であるという発言をもらったりとか、こういうことをやっているわけではありますけれども、ドラえもんの漫画は、別に私は宣伝マンでも何でもないんですが、のび太君が、彼は非常に正義の心を持っていまして、正しいことは正しいと、強いものにも向かっていく、その姿勢があるからこそ、ドラえもんは助けに来るわけですよね。それがなければジャイアンにやられっ放しになるというところではあるんですけれども、時にその勇気と正義がジャイアンさえも一緒に行動したりすることになる、私は、我が国はそういった存在であると信じています。

 根本原因のお話なんですけれども、やはりジャイアンが俺のものは俺のものと言う理由は、相手が自分より弱いと思うからなんです。さまざまな要因はあると思いますが、非常にシンプルに国民の皆様にわかりやすくお伝えするとすれば、あの空域は、俺のものは俺のものということを主張しているからこそ、必ず報告をしろとか、提供しろとか、中国の武装力が防御的緊急措置を行う、いわば武力行使を行うよということまで、ジャイアンでいえば、殴るぞということまで言っているわけです。

 私は、この根本原因は、先ほど申し上げたように、この二十年間、非常に国防予算もふえてきた中国という国が、それなりの軍事力を持って、さらに外へ外へと出ていくために着実に行ってきた。それが、従来尖閣海域で我が国の海上保安庁の艦船と中国政府が送ってきている海監の船が並行してにらみ合っているような状況が、領空で、また公海上の空の中で行われる可能性が出た。それが防衛識別区であり、我が国が領空を守るために識別をしている識別圏と大きな違いがある部分だというふうに思っております。その認識は、先ほどからの小野寺大臣のお言葉からも、御理解いただいているというふうに私は思います。

 その中で、実際に、我が国の航空自衛隊を含んで、対領空侵犯が行われたときの武器使用権限とか、もちろん正当防衛も含んで、そういった設定はあるんですが、それはあくまで領空もしくは領空を目指してきたものでありまして、防空識別圏に進入したものではないと思います。

 極端な議論になるかもしれませんが、防空識別圏内に中国軍の航空機、戦闘機のようなものが進入してきた場合に、我々は、まずそれを識別する、それで、スクランブルをかけるや否やという判断をしていくということになるんですけれども、向こうは、識別圏に進入したという事実をもって、まるで自分の領空のように、武装力を持った防御的緊急措置を行う。もっと極論を言えば、向こうは撃つよと言っているのに、こっちは、領空ではないから、領空侵犯でなければ何もできないということになったりです。レーダーをあけておけとか、無線のスイッチを入れておけとか、言いたい放題やっているわけです。

 ある意味、尖閣沖で行われている海上保安庁とのにらみ合い以上に危険度が増す。先ほど大臣の御答弁でもございましたけれども、空の上は、撃墜しかないわけですよね、出ていってもらうか。私は、非常に危険度が伴うものだという危惧をしているんです。

 自衛隊のパイロット、搭乗員の皆様にも御家族がおられます。その皆様の命を守ることも国家としての責任だと考えますけれども、そういった中での安全措置を最大限にどう確保するかについて、小野寺大臣の御所見をお聞かせ願えればと思います。

    〔委員長退席、中山(泰)委員長代理着席〕

小野寺国務大臣 どの国がジャイアンで、どの国がのび太君で、そしてしずかちゃんがどの国かということはなかなか判断しがたいんですが、みんなそれぞれ味があるキャラクターだと私は愛しております。

 その中で、今のお話でありますが、当然、自衛隊員も人間、人の親でもあります。あるいは、家族もあります。そういう中で、今この瞬間も、危険の中でも決意を持って、日本の安全保障を守るために努力をしている隊員がたくさんいるということであります。

 そして、私ども、特に私、防衛大臣は、その指揮命令権の中にありますので、やはり万が一にも何らかの問題が起きないことがまず大切だと思います。そのためには、一つは、常日ごろの備えをしっかりとしていくこと、警戒監視も含めてであります。そして、万が一のときに隊員が判断に迷わないように、行動基準等をしっかり明確にしておくこと、そして、何より外交的な努力、これは今回のNSCの発足にも一つ大きな後押しになりますが、外交努力を外交当局と一緒になって行っていくこと、こういうことが大切だと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 今の大臣の御答弁で、非常に前向きな、決意にも満ちた御発言だというふうに理解をさせていただきます。

 今おっしゃられたように、現場が判断に困らないようにしっかりとしたものを出していく、これは非常に大事なことだと私も思います。それは、制服組だけでなくて、やはり我々政治家が、特に大臣、それから安倍総理が腹をくくっている、現場に任せるよということを強く発表、もちろん、表向き、できる、できないは別にして、そのお心を持っていただいているということは、私は今感じさせていただきました。

 まとめといいますか、この件に関して言わせていただければ、日米同盟を、連絡も密にして、そういった意味では、情報交換の基準もしっかり定めていただいて、深化させ、連携する、訓練も含めて、非常に大事なことだと思います。しかし、その基準の中の一番根本にあるのは、やはり我が国の領土、領空は、自分の国は自分で守るという決意をしっかりと我々政治家が示していくことであると思います。

 そういう意味で、今回の防空識別区に関してのことでいえば、スクランブル発進も、今判明ができているだけでいえば、もうロシアを超えて、今中国が一番多いわけでございますので、そういった実態、近年急激に高まっている緊張をできるだけしっかりと守るという決意をしながらも、私たち日本維新の会も、別に摩擦を起こしたいわけではございません。できるだけ外交手段も使っていただきつつ、硬軟合わせわざで、そういう事態にならないような配慮、しかし、もしなったときに、しっかりと隊員の皆様の命を守る適切な判断ができるように、お願いを申し上げたいと思います。

 領空の話もなんですが、当然、陸海空と各国、もちろん中国も軍隊を持っているわけでございます。

 島嶼部の防衛に関して、二五大綱の中にも入ってくると思いますし、次期予算の中にも入ってくると思うのですが、機動戦闘車というものを新たに開発していこうというお話があるんです。見た目は、戦車のキャタピラ部分をタイヤに変えて八輪にしたというような外見だと思うんですけれども、この機動戦闘車の有効性について、大臣の御認識をお聞かせいただければと思います。

    〔中山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

小野寺国務大臣 従来の戦車の場合、これは、すぐれた防護力、そして攻撃力を持っておりますし、我が国の技術は世界最高水準にあると私どもも理解をしております。

 その中で、例えば、一般道、あるいは長距離を走る場合、どうしても移動の面で、従来の戦車というのは一定の制限が出てまいります。その中で、今回、機動戦闘車というものを開発させていただきました。これは、すぐれた攻撃能力、防護力を持ち、そしてまた機動力を持つという意味で、有用な、新しい装備だと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 私が防衛省の方々とか個人的にいろいろ調べたもので言わせていただきますと、従来の七四式の戦車が三十八トン、九〇式が五十トン。それで、重たくなり過ぎたということで、軽量化で、一〇式、最新鋭のものが四十四トンという中で、現状、試作車両ではありますけれども、機動戦闘車は二十六トンという重量なんですね。これは、重量がこれだけ、極論を言えば、九〇式の約半分の重量であるということは、戦車というのは、鉄板、装甲板に覆われたものでありますから、はっきり言ってしまえば、軽量化のために装甲が非常に薄くなっているというふうに推測できるわけでございます。

 そして、これをどういうふうに運用するんですかという質問を防衛省さんの方にしたら、ゲリコマ対応ということで、市街地戦、それから島嶼部での対応ということで、これは軽量化したので航空機C2で運ぶことができるということなんです。

 C2一機に対して一両搭載できるはずだというふうにおっしゃっていたんですが、例えば尖閣で考えた場合に、このC2というのは舗装路の滑走路が要るんです、着陸するのに。当然、尖閣諸島には滑走路はございませんし、滑走路で運んで島嶼部の防衛というのは、お答えできる、できないはあると思いますけれども、政府参考人の方にお伺いします、どのあたりを想定されているんでしょうか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 機動戦闘車、これはまだ現在開発中のものでございますけれども、今日の我が国をめぐる厳しい国際安全保障環境に鑑みますと、非常に広大な領域であって、かつ多数の島嶼のある南西地域において、島嶼防衛のための態勢を強化するということが必要と考えておるところでございます。

 そして、御指摘の、今開発中の機動戦闘車でございますけれども、島嶼部への侵略事態におきまして、敵部隊の侵攻様相といたしましては、艦艇からの着上陸であったり、あるいは空挺降下といったような形での侵攻が考えられるわけでございます。

 その場合に、敵部隊が既に集結あるいは組織化してしまいますと、大きな脅威ということになりますので、このような敵部隊の展開の前に事前展開をして、その敵部隊、侵攻部隊を撃破することが重要であるというふうに考えておるところでございます。

 もちろん、機動戦闘車というものはそれなりの重量と大きさのものでございますので、運ぶ手段がなければ、当然そこには持っていけないわけでございますけれども、逆に言えば、機動戦闘車だけで守るというわけでもございませんので、そこは、それぞれの地形あるいは侵攻の様相に応じて適切に対応をしていくということになると考えております。

中丸委員 どのあたりという質問だったんですけれども、えらい長い御答弁を頂戴しました。

 はっきり言いますと、尖閣で役に立たないということでございます。これを、例えば石垣だったりそういったところに着陸するという大前提でいけば、一回につき一両持っていくぐらいなら、はなから配備しておいた方がいいというお話なんです。

 非常にフレキシブルにできそうな図面があるんですけれども、相手が空挺団で来た場合とかというお話もありましたけれども、そうすると、非常にわかりやすく御説明すれば、戦車というのは、砲身があって、それで角度を決めてやるわけなんですけれども、一〇式なんかだと、それをネットワークで共有できたりするんですけれども、まず、そういう装備がない。ない上に、この形しかなくて、例えば島嶼部の裏側に上陸している相手に対して攻撃しようと思うと、対面でないと戦えないわけですね。そうすると、普通は、こういう弾道を描く迫撃砲、そういうものになるんですけれども、参考までに今の世界標準でいえば、こういった八輪の上に戦車の上を載っけるような形ではなくて、ここに、水平発射から、かなりの角度の発射ができる、要は迫撃砲と両方の領域を備えたような、しかもネットワークされて、私が実際にロンドンで見たものに関して言えば、六発同時着弾までできる、そういったすばらしい機能を持ったものが今世界の最先端で開発をされています。正直、そこから見ると、私からすると、なぜ今これが必要なのかというのがよくわからないなというところがあります。

 あと、もう一つ大きな問題は、これは百五ミリ砲という砲塔を積んでいるんですけれども、百五ミリ砲は、実は七四式と共通でございます。はっきり言えば、弾も共通で使用できます。

 これを聞かれるのは防衛省の皆さんは嫌かもしれませんが、はっきり言って、百五ミリ砲というのは非常に強力でございます。例えば、市街地でのゲリコマ、ゲリラやコマンドーに対して対応するのであれば、ビルの一室を占拠しているゲリラを吹き飛ばすのに百五ミリを使えば、ビル全部が吹っ飛ぶというふうに、簡単に言えばですよ、考えていただければいいと思うんです。

 私は、例えば、このタイプでもいいとすれば、四十ミリ、七十五ミリでも十分通用すると思うんですけれども、なぜ百五ミリなのか。四十ミリ、七十五ミリというのは検討はあったか否か、ちょっとお聞かせいただけますか。

徳地政府参考人 お答えをさせていただきます。

 機動戦闘車につきましては、先ほど大臣からも御答弁ございましたとおり、それなりの火力を有するとともに、機動力というものを重視して、このようなものを今開発しておるわけでございます。それから、列国の類似の装備品を見ましても、多くのものは百五ミリということになっております。

 そういうことを総合的に勘案しまして、今の開発としましては、やはり百五ミリの施条砲というものを装輪車の上に載せるという構想でやっておるわけでございます。

中丸委員 百五ミリ、はっきり言えば、七四式が今後かなりの数で、戦車の数を減らしていくという方針が二五大綱に盛り込まれるというふうになっていると思います。

 では、ちょっと質問をかえさせていただきまして、この運用は、機甲科がやるんですか、砲兵科がやるんですか。これは一体どこの科がやる予定で考えられていますか。

徳地政府参考人 機動戦闘車につきましては、現在開発中のものでございます。これが、数年先、開発が完了した際に、どのように配備をするか、それから、仮に配備をするとなった場合に、陸上自衛隊のどの職種において、どのような部隊をつくって運用するかということにつきましては、まさに今後の防衛力全体のありようについての検討の一環でございます。

 現在、年末の新たな防衛計画の大綱の策定に向けまして、陸上自衛隊全体の体制についても検討を行っておるところでございますので、その一環として検討しておるところでございます。

中丸委員 要は、戦車を三百両、今から削減していこうと。

 私の調べたところによると、機動戦闘車は戦車ではないと。要は、戦車は財務省からも削減という話になっていて、三百両を削減する、かわりに機動戦闘車を二百五十両調達する。大体似たような数なわけですね。あくまで、これは戦車じゃない、戦車のようで戦車じゃないと。

 お値段のことを言いますと、四億円から五億円ぐらいで調達できるというふうに言われているんですが、これまでの、いろいろなものを入れれば、恐らく、これに例えばネットワーク機能とかを入れていくと、七、八億ぐらいまではいっちゃうんじゃないかなと私は思っているんです。

 これは、何を非常に危惧しているかというと、小野寺大臣は多分見られたことはないかもしれませんが、この機動戦闘車の裏側なんです、下側。

 見たらびっくりしますよ。ほとんどトラックみたいな内容です。要は、むき出しです。これは、地雷とかがあるところとかは全然だめだし、岩場なんか走ったら、全部ひっかかります。普通は、防御があって、しかも、それが三角形になるんですよね、こういうのは。何でかというと、何か爆発したときに、それを散らすためにそういうのをつけるんです、世界標準は。そういうのが全くない。むき出しです。ぜひ一度、下も見ていただきたいなと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、機動戦闘車のお話はまた次回に続きはさせていただきますが、ぜひ、島嶼部を考えれば、やはりヘリで輸送のできる軽装甲車、小型で非常に機動性の高いもの、それでいて、ある程度の破壊力を持ったものを考えていただいた方が、私は実用的ではないかなと思います。

 島嶼部防衛でもう一つ私が懸念を持っているAAV7という、今まさに採用に当たっての調査が行われている、いわゆる水陸両用艇があるんですけれども、私は、前回も大臣に質問をさせていただきまして、参考購入が、指揮通信型と回収型と、何パターンかに変わったというお話は聞いていますが、やはり基本は全部AAV7なわけです。

 これは、島嶼部というんですけれども、前も言ったと思うんですが、一番問題は、岩礁とかサンゴ礁のあるところの上を渡れないんです。渡れないから、では、そういう場合は、サンゴ礁をのけるわけにいかないですから、どうするのかというと、LCACに積んで持っていくというわけです。LCACで運ぶのであれば、別に水陸両用艇である必要は全然ないわけなんですね。

 これは、実はいろいろな装備で、いろいろなバージョンというのもあるんですけれども、非常に大型でもございまして、以前から、連結型のバイキングと言われる方式が、各国導入を進めていますので、そういった形の方が間違いなく効率がいいと私は思います、実物を見た者としては。

 ただし、それも含めて参考品として研究をしていただきたいんですが、先ほどの試作品と言われた機動戦闘車もそうですが、試作品をつくっている段階で、もう二百五十両の調達とか、このAAV7に至っては、参考品を購入しつつ、今後、六十六両程度、最低でも、中隊であれば二十二両程度買うということになると思うんですけれども、買うことありきで参考品も試作品もじゃなくて、もう少しその段階での検討は幅広くやっていただきたいというふうに思うんです。

 政府参考人にお伺いします。AAV7の検証に当たって、他機種の参考品購入、もしくはそういう調査を行うという計画はあるか否か、お聞かせください。

徳地政府参考人 水陸両用車につきましては、先生御指摘のとおり、AAV7、その中のRAM・RSというものを調達することにしておりまして、二十六年度から各種の検証を実施するということとしておるわけでございます。

 そして、参考品として購入する段階におきまして、これまで、水陸両用車に求められる海上機動力その他の性能、それから諸外国の運用実績、こうしたものを踏まえまして、所要の検討を行ってきたところでございます。そして、性能あるいは効率的な予算執行、さらには、できるだけ早く取得ができるものということで検討をした結果、先ほどのAAV7につきまして、これをアメリカからFMSで取得するという方向で、今交渉をしておるところでございます。

 そして、まさにこれは、今申し上げたような検討を経て参考品購入したものでございますので、今のところ、これ以上、参考品としてほかのものをということは考えておりません。

中丸委員 時間がなくなりましたので、また次回とさせていただきたいと思いますけれども、参考品はあくまで参考品なので、ということは、参考品がだめだった場合のことも考えておかないといけない。それ一機種に絞り込んだ参考品というのは、正直、今の世界情勢、各国の軍の装備を見れば、あり得ないということをはっきり申し上げまして、大臣には、もう一度そういった検討を、また質疑の場でもさせていただきますので、お願いを申し上げまして、中丸の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、防衛識別圏の問題について質問をいたします。

 まず最初に、外務大臣に伺いますが、中国の国防部は、十一月二十三日、東シナ海に防空識別圏を設定いたしました。公表された地図を見ますと、尖閣諸島の領空をあたかも中国の領空であるかのように表示をしております。識別圏内を飛行し、中国側が定める規則に従わない航空機に対しては、中国軍による防御的緊急措置をとるとしています。

 領有権をめぐって対立と緊張が続いている尖閣諸島の上空で、日中間の軍事的な衝突を招きかねない極めて危険な措置であり、絶対に許されるものではありません。

 力で日本の実効支配を弱めるような動きはやめるよう厳しく求めるとともに、日本政府の対応としては、軍事的緊張を高めるような行動は厳に慎み、冷静な話し合いによる対応に徹するべきだと思いますが、外務大臣の認識を伺います。

岸田国務大臣 まず、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、我が国はこれを有効に支配しております。

 御指摘のように、中国が今回設定を発表した空域は、我が国固有の領土である尖閣諸島の領空があたかも中国の領空であるかのごとき表示をしており、我が国として全く受け入れることはできないと考えております。

 このような我が国の立場につきましては、十一月二十四日、外務大臣談話で明確にするとともに、外交ルートを通じまして遺憾の意を伝え、抗議を行い、そして関連措置の撤回を求めております。

 引き続き、中国の力によるこの現状変更の試みに対しましては、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意で、毅然かつ冷静に対処していきたいと考えています。

赤嶺委員 そこで、そもそも防衛識別圏とはどういうものかという点について伺っていきたいと思います。

 まず、外務省に伺います。

 いろいろと資料を見ておりますと、防空識別圏は一九五〇年にアメリカが行政命令によって設定したのが始まりだとされています。朝鮮戦争が勃発し、ソ連との全面戦争の第一段階とみなした当時のアメリカの統合参謀本部が、空軍に対し特別の警戒態勢をとるよう求め、その一環として防空識別圏を設定した、このようにされています。つまり、当時の東西対立の高まりと朝鮮戦争の勃発という政治情勢のもとで、アメリカが初めて設定したということであります。

 外務省は、この点をどのように認識しておりますか。

岸副大臣 防空識別圏につきましては、委員が御指摘のとおり、一九五〇年に米国が最初に設定をし、以来、各国が設定してきたものというふうに承知をしておるところでございます。

 我が国周辺の状況でございますけれども、当初米軍が設定していたものを、韓国及びフィリピンについては、そのまま踏襲する形でございます。台湾については、中国大陸方面の空域を変更する形でそれぞれ設定している、こういうふうに承知をしております。

赤嶺委員 一九五〇年代、朝鮮戦争のもとで設定が始まったということであります。

 日本の防空識別圏、これも一九五〇年当時、日本を占領していたアメリカが設定し、一九六九年に防衛庁が引き継いだものであります。韓国、台湾の防空識別圏も、同様にアメリカが設定したものとされています。

 韓国のハンギョレ新聞を見ますと、これら三つの防空識別圏は、米軍のニーズに見合うよう、重なり合わないようにアメリカが設定し、三カ国のそれぞれにソ連や中国を監視する役割が与えられたと指摘しております。

 極東地域にある日本、韓国、台湾の防空識別圏も、もともとはアメリカが設定した、これは先ほどの答弁にあったとおりで間違いない、こういう認識を改めて確認したいんですが、よろしいですか。

中島政府参考人 我が国の防空識別圏に関する御質問かと思いますので、防衛省の事務方からお答え申し上げます。

 我が国の防空識別圏は、我が国周辺を飛行します航空機の識別を容易にして、もって領空侵犯に対する措置を有効に実施するという観点で、我が国を囲むような形で定めた一定の空域でありまして、御指摘のように、もともと米軍が我が国の防空及び航空管制を実施していたころに設置したものを、当時の防衛庁が、昭和四十四年、米軍の線引きをほぼ踏襲する形で、訓令によって規定したものでございます。

赤嶺委員 ハンギョレ新聞に、今回の中国による防空識別圏の設定にアメリカが最も鋭く反応している理由として、そもそも境界線を引いたのはアメリカであり、冷戦期のアジア太平洋地域における新たな世界秩序の中心にみずからを置く企ての一部だったことを挙げております。中国の対応は、この秩序への初めての実質的な挑戦として位置づけていることを紹介しておきたいと思います。

 次に、防空識別圏の国際法上の根拠について伺います。

 これまで政府は、防空識別圏について、国際法上確立した概念はない、自国の安全を図るための国内措置として設定しているものと説明をしてきました。

 しかし、例えば、防衛省の対領空侵犯措置においては、領空侵犯機に対して、航空自衛隊が確認、警告、誘導を実施でき、正当防衛、緊急避難に該当する場合は武器使用も可能だとされているわけです。

 公海上における飛行の自由という大原則のもとで、国内措置としてなぜこのような対応が許されるのですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がおっしゃったことをなぞるような形になりますが、防空識別圏でございますが、これは、各国が防空上の必要に基づきまして、進入する航空機の識別、位置の確認、それから所要の飛行指示などを行うために定める空域をいうものでございまして、一般に自国の領空やその外側に設定されるものでございます。

 委員おっしゃいましたとおり、防空識別圏と申しますのは、国際法上確立した概念ではございません。一般に、各国が自国の安全を図るため、国内措置として設定しているものでございます。したがいまして、これによりまして領空ないし領土の限界、範囲を定める性格のものではなく、これによって公海上空の飛行の自由を侵害できるものでもないということでございます。

赤嶺委員 今の説明でしたら、日本政府の見解としては、対領空侵犯措置として公海上空においてとり得る措置というのは、対象となる航空機の確認や監視までで、警告や誘導、武器の使用はあくまで日本の領空に限られる、そういう認識でよろしいですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘のように、公海上空における要撃機といいますか自衛隊機の行動、緊急発進した戦闘機の行動は、行動の監視、それから、領空に近づきつつある旨を通告するというところにとどまっております。

赤嶺委員 今回の中国の公表内容を見ますと、中国が設定した防空識別圏を飛行する航空機に対して、飛行計画の通報を初めとする措置を義務づけ、これに従わない場合には、中国軍による防御的緊急措置をとるとしております。

 この防御的緊急措置とは具体的にどのような措置を指しているのか、公海上空で何をどこまでやるのか、これを中国は説明しているのですか。

岸副大臣 お尋ねの防御的緊急措置でございますが、中国が述べていますこの防御的緊急措置の具体的な内容については不明でございます。中国政府が発表した公告によれば、識別に協力しない、または指令に従わない航空機に対して、中国軍が講ずる措置とされておるところでございます。

 いずれにいたしましても、今回、中国国防部により発表された措置は、公海上の空域を飛行する航空機に対して、一方的に自国の手続に従うことを義務づけるなど、国際法上の一般原則である公海上空における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであり、全く認められるものではございませんので、撤回を求めているところであります。

赤嶺委員 次に、アメリカの場合は、公海上空でどういう措置をとることができるという立場ですか。アメリカについても説明してくれますか。

岸田国務大臣 米国のこの防空識別圏における対応ですが、先日のケリー国務長官による談話にもありますように、米国の領空に入ろうとしていない外国の航空機に米国の防空識別圏に係る手続の適用はしていない、このように承知をしております。

赤嶺委員 今の点にかかわって、十月末に公開された外交文書があります。その中に、一九七一年二月三日付で、当時の外務省アメリカ局安全保障課が作成した、松前・バーンズ協定の取り扱いについてという文書があります。

 まず、防衛大臣、松前・バーンズ協定とはどういう取り決めなのか、現在も有効か、その点を御説明していただけますか。

中島政府参考人 事実関係に関することでございますので、政府参考人の方からお答えを申し上げます。

 今御指摘いただきました、松前・バーンズ協定でございます。

 これは、領空侵犯に対する措置は、先ほどもございましたけれども、専ら米空軍に依存しておりました。昭和二十九年、航空自衛隊が発足をいたしましたので、そこで、昭和三十三年の四月から、航空自衛隊も同じように、領空侵犯に備えて警戒態勢を強化したということがございます。

 六月に、それまで米軍が管理していたレーダーサイトの航空自衛隊への移管が開始されたわけでございます。そこで、松前・バーンズ取り決めは、このレーダーサイトの移管を機会に防衛庁長官から領空侵犯に対する措置をとることを命ぜられる航空総隊の司令官が、米第五空軍司令官との間で、昭和三十四年九月二日、レーダーサイト移管後の両者の領空侵犯に対する措置、実施上の細目事項を調整するために締結した、こういう経過になっております。

 その内容につきましては、これは秘に指定されておりますけれども、概要は以下の五点でございます。

 一点目は、航空総隊と第五空軍が別個の指揮系統を保留するということでございます。

 二点目が、警戒態勢を高めるに当たりましては、相互に緊密な調整を行うこと。

 三点目、府中、現在は横田でございますけれども、の作戦指揮所は、双方の指揮中枢とすること。

 四点目が、防空官制所、これは現在は航空作戦官制所になっておりますけれども、それと防空司令所に第五空軍の連絡員を配置すること。

 最後、五点目でございますけれども、隣接極東地域との関連情報の交換は第五空軍司令官の責任ということが記載されております。

 これが概要でございます。

 この松前・バーンズ協定は、現在も有効なものでございます。

赤嶺委員 現在も有効で、もっと重要な中身があるわけですが、いずれにしても、軍事的な緊張を高めるようなやり方はとらずに、冷静に外交問題を解決していくという立場で、引き続き議論をしていきたいと思います。

 きょうは、これで終わらせていただきます。

江渡委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうは、防空識別圏に関する質問、それから、後で普天間移設問題についても少し触れさせていただきたいと思います。

 まず、先ほどの赤嶺政賢委員の質問の中にもありましたけれども、我が国の防空識別圏、そもそもこれは一九五〇年代に米国が設定し、その後、日本側が、防衛庁がそれを引き取るといいますか、共同で管理をするというふうな形になったと思います。

 改めて、我が国の防空識別圏の設定経緯、そして、設定して以降の変更点などがあれば、それについてお聞かせいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 我が国の防衛識別圏は、我が国周辺を飛行する航空機の識別を容易にし、もって領空侵犯に対する措置を有効に実施するため、我が国を囲むような形で定めた一定の空域であり、もともと米軍が我が国の防空及び航空管制を実施していたころに設置したものを、当時の防衛庁が、昭和四十四年、米軍の線引きをほぼ踏襲する形で、訓令によって規定したものであります。

 その後の主な変更点としましては、当初、我が国の防空識別圏は、与那国島の上空を南北に走る形で設定されておりましたが、領空侵犯に対する措置を有効に実施するとの観点から、平成二十二年六月、我が国ADIZを同島の領空の外側に設定すべく、見直しを行った経緯があります。

玉城委員 我が国がこの防空識別圏を米国から引き継いで管理をして以降、変更されたのが、二〇一〇年、平成二十二年六月の与那国島の防空識別圏の変更ということのようであります。

 与那国島は、もともと台湾とはおよそ百十キロしか離れておらず、日本最西端、最も西に位置する、文字どおり国境の島で、与那国のちょうど東経百二十三度の上空に、島を東西に分けるような形でずっと引かれていたんですね。それが、二〇一〇年六月、ちょうどこの与那国島の西側に、半径約二十二キロ、半径十二海里の、島を外すような形で防空識別圏が設定されたというふうに資料からうかがうことができます。

 この与那国島上空の防空識別圏の変更の経緯について、どのような話し合いあるいは協議が、どこから、日本側からあるいは台湾側から、どういうふうな経緯で行われたかについてお聞かせください。

小野寺国務大臣 この与那国上空の防空識別圏でありますが、設定当初、我が国の防空識別圏は、与那国島の上空を南北に走る形で設定されておりました。委員の御指摘のとおりであります。

 沖縄県及び与那国町からの要望を踏まえ、領空侵犯に対する措置を有効に実施するという観点から、平成二十二年六月、同島の領空を含む形でこれを見直しました。

 ADIZは各国が自国の安全を図るために国内措置として設定するものであり、この設定や変更については他国との調整を要するものではありませんが、実際にADIZが一部重複することとなる台湾に対しては、無用の誤解が生ずることを避けるため、交流協会を通じて事前に説明を実施しております。

玉城委員 事前にこれを話し合って、国交がありませんので民間の交流協会を通じて行ったという御説明かと思います。

 こういう変更をしようと思えば変更できるということがちゃんと確認されているわけですが、その識別圏変更の際に特筆される問題、何か困難をきわめたことでありますとか、あるいは何かそれに関して問題点などはありませんでしたでしょうか。

小野寺国務大臣 今回の与那国上空への防空識別圏を変更したというのは、これは、もともと与那国は我が国の領土でございます。ですから、このことについて、私どもとしては、領土の上に防空識別圏を設定するというのは違和感がないということで、台湾当局に説明をしたと思っております。

 私どもとして一番明確にお伝えしたのは、やはり与那国は我が国の領土であること、これは台湾当局も当然領土として認めておりますので、その上に防空識別圏を広げるということについての御了解をお願いしたということであります。

玉城委員 この防空識別圏、今大臣からお答えがありましたように、もともと我が国の領土、領海、そこも含む範囲でかけられているのが防空識別圏で、それを台湾側もスムーズに認めたということについては、やはりそこが一つのポイントといいますか、これから後でまた質問をさせていただきますけれども、肝心なポイントじゃないかなというふうに思うわけです。

 では、今度は中国側が一方的に設定した防空識別圏についてお伺いいたします。

 中国の新華社通信が伝えたところなんですが、二十九日、沖縄県尖閣諸島を含む東シナ海上空に設定した防空識別圏に自衛隊機や米軍機が進入したことを受け、中国軍機を緊急発進させたと伝えられています。日本のF15戦闘機など十機と米軍偵察機二機の進入を確認したというふうに言っております。

 そして、台湾の厳明国防部長は二日、立法院、これは台湾の国会ですが、立法院の委員会で、中国の識別圏内に進入した自衛隊機や米軍機に対し、中国軍機が緊急発進、スクランブルしたことをレーダーで確認したと国会の委員会で述べたということを台湾の地元紙が報じています。そして、確認したのは十一月の二十六、二十七、二十九日の三日間であるというふうに、これは台湾の国防大臣もそう伝えています。

 一方、これは我が国の大臣の発表ですが、三十日、中国が自国の防空識別圏に進入した自衛隊機などにスクランブルしたと発表したことについて、中国側が発表したような事態はないと認識しているということですが、それはどのように大臣は見解を持っていらっしゃいますでしょうか。お聞かせください。

小野寺国務大臣 まず、冒頭の台湾のADIZについて、台湾が承認したという形では特に台湾からメッセージは来ていないものですから、こちらとしては事前に丁寧に説明をしたということで、御了解をいただければと思っております。

 今御指摘がございましたいわゆるスクランブル、緊急発進でありますが、中国側が言う緊急発進が何を意味するかは必ずしも定かではありませんが、従前より、警戒監視活動を行う自衛隊航空機の周辺を中国軍機が飛行するということは、これがあるということは認識をしております。必ずしも東シナ海防空識別圏設定を機会として中国側の対応が大きく変化したとは考えておりません。

 なお、今回、中国が東シナ海防空識別区の設定を発表した後、自衛隊航空機の周辺を飛行する中国軍機が特異な対応をとるといった事例は確認されておりません。

 今後とも、警戒監視活動等により得られた中国艦艇の活動状況や、対領空侵犯措置により確認した中国航空機の飛行のうち、注視すべきものや特異なもの等については、我が方の手のうちを明らかにするおそれのない限りにおいて、適切に対外公表を実施してまいります。

 いずれにしても、私どもとして、特異的なことがありましたら公表いたしますが、今回の一部報道にありますようなことについて、特異的なこととして公表はしておりません。

玉城委員 今回は、米側も、中国の報道では偵察機と言っていますが、私は、B52の爆撃機が二機飛んだということを、地元のメディアでそういう記事を読ませていただきました。つまり、アメリカ側も、中国の防空識別圏を設定したことに関しては、恐らく、それを認めないという形で迅速に行動したのではないかというふうに推測されます。

 この中国側の識別圏設置に関して、米国との対応協力について、今後どのような形で行われるものというふうに考えられますでしょうか。

岸副大臣 日米間の協力でございますが、先般、安倍総理、バイデン副大統領の会談も行われたところでございます。中国による東シナ海防空識別区の設定をめぐっては、同盟国である米国と緊密に連携、協議をしてまいっております。

 岸田大臣は、十一月二十五日にケネディ大使との間で、また二十六日にはケリー国務長官との間でそれぞれ電話会談を行って、両国間の緊密な連携を確認しております。

 また、バイデン副大統領の訪日においても、安倍総理との間で、中国の力による一方的な現状変更の試みを黙認することなく、力強い日米同盟に基づいて、引き続き緊密に連携していくことを確認したところでございます。さらに、両者の間で、自衛隊及び米軍の運用を含む両国の政策、対応を一切変更せず、民間機の安全確保を脅かす行動は一切許容しないということで一致したところでございます。

 引き続き、米国と緊密に連携をとってまいりたいと思います。

小野寺国務大臣 防衛省としましても、十一月二十七日、私とヘーゲル国防長官との間で電話会談を行い、このほか、岩崎統合幕僚長とロックリア米太平洋軍司令官がテレビ会議を行うなど、日米間でしっかりとした協調関係をとっております。

玉城委員 ぜひ、中国に対する防空識別圏の問題については、米側としっかり協力するということを前提に、中国ともきちんとした対話といいますか、決して不測の事態を起こさないような形で、丁寧に、国際社会へも、慎重な対応をしているということを含めて、対応をお願いしたいと思います。

 さて、残された時間は、普天間問題について少し触れさせていただきたいと思います。

 実は、先月、自民党の県選出国会議員及び自民県連が、それまでの県外移設の公約を転換して変更した。辺野古もその一部に加えるという形で、事実上、県外公約を翻して、県内移設に公約転換したということが県内で大きな波紋を広げています。

 沖縄タイムス社と琉球朝日放送が全県で調査した世論調査が先般十二月四日に発表になっております。それによりますと、簡単に数字を申し上げますと、国会議員五人の辺野古容認への転換をどう思いますかということに対しては、評価しないが六九・七%、評価するが二五%。県連の方向転換をどう思いますかというのが、七〇・九%が評価しない、評価するが二四・五%。安倍政権の今回の普天間飛行場の解決手法をどう思いますかというのが、評価しないが六五・四%。普天間飛行場の移設先はどこがよいと思いますかという問いかけには、県外が三八・四、国外が三八・八、合わせて七七・二%。ほぼ八割近い県民の皆さんは、この自民党の国会議員の方々及び県連の公約転換に対しては評価しないと、大変厳しい世論が沖縄で渦巻いております。

 これは当然、安倍政権の、この間のNSC設置法案、それから特定機密保護法案の審議の経緯を見ても、国民全体がこの政権に対して大きな不安を持っているということの数字にも当てはめてもいいのではないか、私はそのように思います。

 仲井真県知事は五日の県議会本会議で、日米両政府に普天間の県外移設、早期返還の実現を強く求めていくと述べ、従来の県外移設方針を堅持する方向を表明しています。時間がかかり、普天間の早期の危険性除去は辺野古移設では困難だと理由を説明し、既に滑走路がある他の自治体へ移設する方が、沿岸部を埋め立てて新たな基地をつくるよりも合理的かつ早期に課題を解決できる方策だと訴えております。

 こういうふうに、やはり地元が反対をしているということについてアメリカ側は大変懸念しているという形と、アメリカ国内ではどんどん国防予算、特に、国外に基地を置き、それを運用するという予算は、ここ五年間、さらに向こう五年間削減していくという方針がもう既に明確に出ています。

 防衛大臣、この件について見解をお聞かせください。

小野寺国務大臣 東アジアの安全保障環境を考えても、日米同盟、あるいは日本にあります米軍基地の重要性というのは私ども十分認識をしております。

 その中で、沖縄の皆様に過重な負担をおかけしているということも、あわせて重々承知をしております。

 さまざまな声があるということを重く受けとめ、これからも負担軽減に努力をしてまいりたいと思います。

玉城委員 以上で質問を終わります。ニフェーデービタン。

江渡委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 私は、質問の前に三点申し上げたいと思います。

 一点目は、中国による防空識別圏設定についてであります。

 同問題に関しては、きょう午後の本会議で、中国による防空識別権設定に抗議し撤回を求める決議が上程され、採択される見込みでありますので、国会の意思はこの国会決議に尽きると私は考えております。

 二点目は、米軍普天間飛行場の移設問題についてであります。

 先ほど玉城デニー議員からもありましたが、最近、自民党本部や政府から、実効性の根拠の薄い基地負担軽減策が示されるとともに、強い圧力や恫喝が加えられ、沖縄県選出、出身自民党国会議員や沖縄県連が、各種選挙で公約した県外移設を破棄しました。有権者との重大な契約をかなぐり捨て、裏切ったことに、多くの沖縄県民が怒り、あきれ、情けないと訴えております。沖縄在住の芥川賞作家大城立裕氏は、この事態を平成の琉球処分だと言っておるものであります。

 三点目は、きょうの琉球新報朝刊によりますと、米軍基地返還跡地にある沖縄市サッカー場から、ダイオキシン類やPCBなど有害物質に汚染された可能性が高いドラム缶七本が新たに発見されたようであります。

 小野寺大臣、市民の安全確保のため、国の責任で県や市と調整をして、大臣におかれては、沖縄防衛局に強い指示を発出して、ドラム缶の早期撤去、処分を実行するようにしていただきたいと思います。

 この三点目については、緊急かつ重大なことでありますので、大臣から何か所感があれば承りたいと思います。

小野寺国務大臣 沖縄市サッカー場において、ドラム缶が、本年七月に埋設されたものが確認されるというところからこの問題が始まりまして、私も現地の調査をさせていただきました。そして、今委員が御指摘ありましたように、その後、磁気等で異常が確認されたところを改めて試掘調査を行ったところ、十二月五日に、深さ四十から六十センチの地中から新たなドラム缶、一地点から推定七本ということが確認をされました。これは、国の責任として速やかに撤去をし、処分をしてまいります。

 また、今回は磁気探査で確認をされております。今後、あそこの現場のところ、例えば私が見せていただいた観覧席のところも撤去をして、その下を今磁気探査等を行っておるところでありますが、万全を期して、最後までしっかり確認をさせていただきたいと思っております。

照屋委員 政府参考人にお伺いをいたします。

 陸上自衛隊の教育組織の中に、旧陸軍中野学校の流れをくむ陸上自衛隊小平学校は存在しますか。また、同校の心理戦防護課程には毎年何名ほどの者が入校するんでしょうか。同課程のカリキュラム、卒業後の配属先や役職もあわせて伺います。

豊田政府参考人 お答えいたします。

 陸上自衛隊の教育組織の中には幾つかの学校がございますが、先生御指摘の陸上自衛隊小平学校は、東京都小平市に所在いたしまして、情報科、警務科もしくは会計科に必要な知識及び技能、または人事、業務管理等に必要な知識及び技能を習得させるための教育訓練を任務としているところでございます。同校は、自衛隊創設以来、自衛隊の所掌事務遂行のための教育訓練を行う目的で設置されておるところでございます。

 二点目の、心理戦防護課程についての御質問でございます。

 陸上自衛隊小平学校で行っております心理戦防護課程の入校者数などにつきましては、これを公にした場合、陸上自衛隊の隊員養成の状況が明らかとなり、体制及び隊員の質的能力が推察され、任務の効果的な遂行に支障が生じるおそれがあるため、この点についてのお答えは差し控えさせていただきます。

 三点目、同課程のカリキュラムの内容についてでございます。

 概略ではございますが、陸上自衛隊小平学校で行われている心理戦防護課程では、有事の際に部外から自衛隊に対して行われるさまざまな心理的な揺さぶりに対しまして、隊員の動揺を抑え、組織の団結を維持するためにどのように対応するのかといった点について教育を行っているところでございます。

 なお、この詳細な内容については、業務の性格上、お答えを差し控えさせていただきます。

 四点目、入校者の課程修了後の役職という点でございます。

 隊員の人事異動につきましては、本人の経歴や資質、適性、その職に要求される能力等の要件などを総合的に考慮して行っておりまして、当該課程を受講したことのみをもって、その後の配属先が決定するわけではございません。

 御指摘の、心理戦防護課程を受講した隊員の配属先につきましても、個別のケースによって異なりますことから、一概に申し上げることは困難でございます。

 以上でございます。

照屋委員 大臣、いわゆる別班問題については、いろいろ議論されて、大臣のコメントも私は承知をしておりますが、民主国家の基本原理である文民統制、これからしますと、別班が存在するならば、我が国の文民統制のあり方を根本から揺るがす大問題であります。陸幕長は運用支援部長に聞いただけ、大臣は陸幕長に聞いただけで済まし、制服組の言い分だけをうのみにして、別班は存在しないなどと断定するのは極めて危険であります。

 文民統制の観点に立って、第三者による調査機関を設置し、別班の存在の有無について徹底的に調べ上げるべきだと考えますが、大臣の見解を伺います。

小野寺国務大臣 いわゆる別班問題はたびたび国会でも議論されていると伺っておりますが、私も、改めて陸幕長を初め関係のところに確認をするよう命じまして、このような組織はないということで回答をいただいております。

 いずれにしても、政治がしっかりとした機能を発揮し、このような疑いを持たれるようなことがないように、しっかりとした体制をとることが大切だと考えております。

照屋委員 終わります。

江渡委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 本日、本来予定されていた時間を、与党の理事、それから理事会の御配慮でこの時間に変更していただきました。当日のことにもかかわらず御配慮いただきましたことに、冒頭、御礼を申し上げたいと思います。

 その上で、きょうも恐らくほとんどの委員から質問があったと思います。まさに、防空識別圏なのか防空識別区なのか、これはどちらかという思いがありますけれども、この点を中心に質問させていただきたいと思います。

 まず、冒頭に伺いますが、この防空識別圏の設定が行われて、在日本中国大使は発言されました。外務省、この発言はいかがなものであったか。つまり、我々の申し入れに対していかがなものであったかということをあえてここでかいつまんで御説明いただければと思います。

岸副大臣 まず、齋木外務次官から程永華駐日大使への抗議でございます。

 二十五日の午後四時半ぐらいに、齋木次官は程永華大使を外務省へ召致いたしまして、岸田外務大臣の指示に基づくとしまして、十一月二十三日の中国国防部が設定をしました東シナ海防空識別区につきまして、当該空域を飛行する航空機が中国国防部の定める規則に従わなくてはならない旨発表したことについて厳重に抗議をいたしまして、関連の措置の撤回を求めたところでございます。

渡辺(周)委員 私が今確認をしたかったのは、中国の大使は何とおっしゃったかということでございます。こちらが申し入れしたことは存じておりますが、どのようにそれについて答えられたかということの確認でございます。

岸副大臣 失礼しました。

 程永華大使からは、中国側が設定しました空域は、日本を含めた一部の国も設定しており国際慣行に合致したものである、今回の措置は特定国を対象としたものではなく、民間航空機を含め飛行の自由を妨げるものではない、当該措置の撤回を求めるという日本側の道理に合わない要請の撤回を求める、日中の関係当局間で意見交換を行うべきである等述べた上で、尖閣諸島に関する中国独自の立場につき発言がございました。

渡辺(周)委員 今、中国の大使は、旅客機、民間機の航行の自由は保障するということをおっしゃったということでよろしいですか。確認です。

岸副大臣 当初中国が発表をしたところでは、そういう形では出ておらなかったわけです。しかしながら、程永華大使からは、民間機を含めた飛行の自由を妨げるものではないという回答がございました。

渡辺(周)委員 今、そのことを大使は日本の政府に対して公式に言ったということで、この場で確認をしたいと思います。

 もう一つ、二〇一三年十一月二十三日十時に施行する航空機識別規則に関する公告というものを中華人民共和国の国防部が発表しております。ここには、中華人民共和国東シナ海防空識別区を飛行する航空機は本規則を必ず遵守しなければならない、そしてその次に、以下の識別方式を必ず提供しなければならない、それは、飛行計画、そして無線による識別、応答機識別、表示識別、これに従わない場合は防御的緊急措置を行う、国防部はそのように言っているわけですね。

 としますと、日本政府の申し入れに対して、あるいは抗議に対して、在日中国大使がそのことを、日本には航行の自由は侵害しないということをおっしゃったけれども、これはこの公告を発表した国防部と共有しているかどうか。その点は確認できているんでしょうか。

岸副大臣 今の御指摘でございますけれども、先ほどの答弁の繰り返しになりますが、国防部の発表を受けて、齋木次官と程永華大使との議論の中で確認されたこととして、向こうからは、民間航空機を含め飛行の自由を妨げるものではない、こういう回答を受けたということでございます。

渡辺(周)委員 私が尋ねているのは、つまり、日本政府に対して中国の大使が日本向けに言っていることと、実際、国防部は、当然軍人として、言ったことを守る、必要な措置をとるという彼らは彼らの使命感があるでしょうから、大使は政治的にはこのように発言をしたけれども、国防部は日本の大使が日本の政府に対してどのようなことを言っているかなどということをもし承知していなかった場合は、これは共有をしていないと不測の事態が起こりかねないということを申し上げているんです。

 私が聞きたいのは、中国の国防部と駐日中国大使が同じ思いでいるかどうか、共有しているかどうかということ、そのことについて確認はとれていますか。つまり、言っていることがダブルスタンダードであってはなりませんねということを言っているんですが、その点を確認しているかどうかということを今伺っているんです。

岸副大臣 中国側は、国防部の報道官の発言としては、同識別区の設定は当該空域における飛行の自由に影響を与えるものではないと述べております。また、外交部の報道官も、国際線の正常な飛行はいかなる影響も受けることはない、こういうふうに述べておるところでございます。

渡辺(周)委員 この問題で、私も、いろいろなところでしゃべったり取材を受けたりして申し上げたのは、陸や海と違って、空の警察権はマッハの世界です。偶発的衝突を回避するために、ぎりぎりのところで、日本の海上保安庁が尖閣の領海を守ることで対応している。

 私も、尖閣の国有化以降のさまざまな海上保安庁の御努力というものは、防衛省におりまして聞いておりました。そのときに、向こうから見れば軍が出てきたということにならないように、その領海の周辺のどこに護衛艦がいるかということも含めて、随分神経を使って、逐次報告を受けておりました。つまり、軍の姿が見えたりすると、お互いが、軍が先に出てきたのは向こうではないかということになれば、偶発的衝突が、あるいはエスカレートしてしまうことを考えると、非常に神経を使っていた。

 もちろん、陸上では警察権は、まず第一義的に警察機動隊がさまざまな形で実力阻止をする。しかし、空だけはいきなりマッハの世界で、お互いがスクランブル発進をして、言葉はあれですけれども、ある意味ではいきなり戦場になるということでございます。その大変なストレスの中で航空自衛官の方々が対応していらっしゃるということを考えますと、偶発的な衝突が起こることは回避しなければいけない、そのことを申し上げているわけでございます。

 そこで、もう一回確認ですけれども、つまり中国は、日本政府に対してはこのように答えたけれども、中国政府としては、国防部も同じ思いを共有しているということであろう。大使の政治的な日本に対する応答と、しかし、中国の国防部が公告をした、公に言ったことは、これはどう考えても、私は、最終的には、マッハの世界で一義的に責任を持つのは軍が恐らく対応するでしょうから、そうした危険性はあるというふうに考えます。

 それを考えますと、この偶発的衝突を回避するメカニズム、実は、洋上においてもどうするかということは議論をしてきました。正直言って、これも必要なんだけれども、洋上衝突回避のメカニズムというものがなかなかつくれなかった。

 そこで、二つお伺いします。

 一つは、洋上での危機回避のためのメカニズムは今どうなっているかということを小野寺大臣に伺いたいと思います。

 それから、空の上における、向こうも識別圏の設定については一方的に決めた。しかし、彼らももう譲らないというふうになれば、またこの問題は長期化をしていくであろうということを考えれば、今後、海の衝突回避メカニズムと空の衝突回避メカニズム、これをどのように考えていくべきなのか、それぞれ防衛省と外務省に伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 御案内のとおり、防衛の副大臣でいらっしゃいました委員も努力をされてきたと思いますが、日中間のさまざまな衝突事案を回避するために、海上の連絡メカニズムというものの構築について、第一次安倍政権のときに首脳間で合意をし、その作業がずっと進められておりました。昨年の九月まで順調に来ていたところを、現在、その交渉についてはとまっております。

 そして、私どもとしましては、私も含めてですが、たび重なる、例えば国際会議の場で中国の軍のトップが来た場合、中国の国防当局の関係者が来た場合に、この連絡メカニズムの再協議ということをこちらから求める発言をしておりますが、まだその環境に至っていないというのが現在の状況だと思っております。

岸副大臣 今防衛大臣からもお答えがあったところでございますけれども、海上連絡メカニズムの運用の早期の開始につきまして、相互理解、信頼を醸成することを中国側に提案しているところでございます。

 いずれにしましても、日中間に偶発的事態が発生することは誰の利益にもならないことでございますので、不要の誤解や摩擦を避けることが何より重要である、こういうふうに思っております。

渡辺(周)委員 もちろん何より重要でございまして、岸副大臣に伺いたいんですが、だからこそ今後どのようにしていくかということについて、この点はいかがですか。どのような機会を捉えて、今回の問題について中国側と話をしていかれるお考えなのか。この先についての御意見、お考えを伺いたいと思います。

岸副大臣 先ほど委員の御指摘にもございましたけれども、海の上、それから空の上、両方とも偶発的な事故が発生する可能性が高まっている、こういう御指摘であると思います。

 今回の中国側の防空識別区の一方的な設定につきましても、これはまず我々として受け入れられるものではないということを重ね重ね中国側に申し入れ、撤回を申し入れているところであります。先ほど実際に報道官等からの返答もあったところでございますけれども、どのように運用をしていくかということも現実にははっきりしていないわけでございます。その中で、防空識別圏がお互い重なっているような状況というのは、いずれにしても事故が発生しかねないことでございます。

 ですから、さまざまなレベルを通じまして、今後とも、海上の連絡メカニズムもそうですけれども、お互いに、全ての機会を捉えて、そういうことがないように働きかけをしてまいるつもりでございます。

渡辺(周)委員 わかりました。

 これから、そうはいっても、現場に出るのは、本当にマッハの世界で、お互いが空中でにらみ合うということになれば、何かあったときにはもう間違いなく命を落とすことになってしまうんだろうという中で、空の守りに専念されている方々の危機を回避する手だては我々も考えていかなければいけないというふうに思います。

 ちょっとこれは私どもも実は政権にいたときに悩んだ問題で、これは多分防衛省の皆さんにも考えてもらったことなんですけれども、与那国島のADIZは見直しをしますと。問題は、ここに発表されている我が国及び周辺国のADIZの中で、もし中国側が、日本側がまず撤回せよと言ってきている。だが、それは受け入れられない。しかし、では、なぜ北方領土と竹島は、日本は、我が国の領土だというふうに言いながら、この識別圏の中には入っていないのかということを、中国側がもしここを突いてきたときにどのように答えるか。

 これは、実は私も防衛省で、どうして竹島と北方領土の上空は入っていないのか、我が国の領土だろうと。そのとおりですと。だったら、その領空は当然、領空の外側にある識別圏、これが入っていないのはおかしいんじゃないかと。ある意味では、防衛省の皆さんにも何回も尋ねて、大変苦しんでいたことを、また私どもも苦しかったことを、これは率直に認めるんですが、当然、ここを入れた場合に、今回中国が行ったと同じような、何かしらのお互いの外交的な一つ懸案になってしまうのではないか。

 そういう、現実的に考えれば、政治的な判断が、これは、民主党のみならず、歴代政権の中にずっとあったんだろうと考えたときに、ただ、中国が今回一方的にやってきて、だったら日本も下げろと。そもそも尖閣は日本の領土だ、歴史的にも法的にも間違いなく日本の領土であると。では、なぜ竹島はこのADIZには入れていないのか、北方四島はどうなんだということを例えば中国側から聞かれたときに、これは何と日本政府は説明するのか。これは非常に難しい質問ですけれども、その点について。

 中国側の主張の中でもし出てきた場合、どう日本は理論武装しておくかということについて、どなたかお答えできる方はいますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員よく御案内のことと存じますけれども、竹島の問題につきましては、そもそも外交上の経路を通じまして平和的に問題の解決を図っていくこととしておりまして、自衛隊が対処すべき問題ではないということかと存じます。

 それで、ADIZといいますか、防空識別圏は、そもそも対領空侵犯措置を行うという観点から設けられたものでございまして、自衛隊といたしましては、竹島につきまして、米軍から移管されて以降、対領空侵犯措置をとっていないということの関係上、ADIZの中に含めていないというのが従来から政府が申し上げているところでございます。

渡辺(周)委員 事実は、歴史的な経緯は私も同じことを聞きましたけれども、要は、これからこの点について、中国が識別圏のことについて、なぜあなた方は譲らないんだ、ほかでは譲っているではないかというような言い方をしてくるかもしれません。その場合、何と答えるかということについては私は準備をしておいた方がいいと思うんですね、交渉の上で。

 いかがですか、外務副大臣、先ほど手を挙げられましたけれども。

岸副大臣 そもそも、防空識別圏というのは領土、領空を主張するものではないということです。その上で、今回中国側が設定した空域につきましては、尖閣の領空についてもあたかも中国の領空のように表示をしているということで我が国としては全く受け入れられるものではない、こういうことでございます。

 また、もともとの我が国の防空識別圏につきましては、先ほども議論があったんですが、米国が引いたものをそのまま踏襲しておるわけでございますが、北方領土、それから竹島等、現在いわゆる施政権の及んでいないところはカバーしていない、こういうことだと思います。

 その上で、与那国島についてはその後改定がなされた、こういうふうに了解をしております。

渡辺(周)委員 国内的にはそういう話をして、うむ、もっともだということはあるんですが、ただ、中国と今後このADIZの問題をめぐってやりとりするときに、こういうことを持ち出してきたときに日本がどう理論武装をしておくかということは、国内的には、日本人にはわかるかもしれませんが、向こうに納得させるためにはやはり理論武装の準備をしておかなきゃいけない。これは私どもも考えていたんですが、なかなか、結局はどう説明できるかということについては難しい問題があります。

 では、このADIZを拡大して、日本も北方領土、竹島の上空まで識別圏に設定すればどうだということもあるんですが、結果がどういうことになるかということについてもやはり政治は考えておかなきゃいけない。ですから、これはなかなか難しいというのが、私どももそういう結論があって先送りしてきた部分がありますけれども、この点についてはしっかりと、対中国を考えたときに、突っ込まれたときに答えられるようにやはり準備をしておかなきゃいかぬだろうと思います。

 もう時間がありませんから、次の質問を伺います。

 今は自衛隊機と軍の話をしたわけですけれども、民間機がここを通っている。けさの新聞報道によると、何か十九カ国、三地域、五十五社がフライトプランを出しているということを中国の洪というスポークスマンが言っております。飛行計画を提出しているということですが、多分、この報道は承知されているんだろうと思います。

 その上に、当然、ここにアメリカも、デルタ航空ですか、入っていますが、これは多分質問も出たと思いますけれども、この点について、なぜアメリカは出しているかということについて日本はアメリカに確認しているんでしょうか。その理由です、その点はいかがでしょうか。

岸副大臣 米国政府がこの防空識別区の設定に基づく中国側の通知に従って飛行計画を提出するよう米国の民間航空会社に指示をしたという事実はない、このように承知をしております。

渡辺(周)委員 とすれば、これは航空会社があくまでも安全のために自主的に出しているということでよろしいのでしょうか、確認をします。

 それから、十九カ国、三地域、五十五社が出しているというこの中国側のスポークスマンの発言は、これは事実でしょうか。

 きょうの報道にあったんです、十九カ国、三地域、五十五社が中国当局に飛行計画を提出していると中国のスポークスマンが五日の記者会見で言ったというんですけれども、発言は知っているけれども中身は承知していないと答えるのではなくて、これは事実でしょうか。国土交通省もきょう来ていただいていますけれども、これはそのように確認していますか。

岸副大臣 まず、一点目の、個別の民間企業がなぜ出したかということでございますけれども、外国の民間企業の個別的な活動について、政府としてコメントすることは差し控えたいと考えております。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましても、個別の企業の活動についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

渡辺(周)委員 私が聞いたのは、中国のスポークスマンがそう言ったので、それは事実ですかと聞いているんです。別に個別の会社の名前を挙げろとは言っていません。こういうことで、それは把握していますかと言っているんです。

高橋政府参考人 私どもでは承知しておりません。

渡辺(周)委員 これは中国の発表ですから、どこまで本当かわかりません。何よりも、情報戦、心理戦ということを考えれば、出していないのは日本だけだということになる。ですから、既成事実をもしかしたら中国が積み重ねているということの中で、日本だけがそういう対応をとらないということを恐らく既成事実化していくんだろうというふうに思います。

 そこで、いろいろ用意していたんですが、五分しかありませんから伺います。

 日本の航空会社がフライトプランを出すのはいかがかということについては、部門会議へ来ていただいたときにも私は申し上げました。もし尖閣の上空を飛ぶということになれば、そういう飛行経路はないという話ですが、民間機がどうして自分のうちの中を歩くのに隣のうちの許可を一々断りを入れないかぬのかということでいえば、私は、出す必要はないんだろうと。

 しかし、そうはいっても、中国のことですから、威嚇するために、恐怖心を与えるためにスクランブルをかけてきた、そして、旅客機だった場合に、例えば窓から何か中国軍の戦闘機が見えた、もしそういうことになった場合、民間機はどのような対応を迫られるのかということを国交省に伺いたいと思います。

 それから、その場合、スクランブルをかけられたということを日本の防衛省、これは党内の議論のときにも聞きましたけれども、これはレーダーサイトの中で、どの飛行機がどこを通っているということは日本は把握しています、そのときに、何らかの形で、中国の戦闘機が飛んできている、それが追尾している、あるいは緊急発進をして向かっているということを把握して、日本の民間旅客機に対して報告できるかどうか、あるいはその情報を即座に与えられるかどうか。それは能力的にはいかがですか。そういう仕組みはできていますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 当該空域圏は、我が国の航空会社のみならず、多数の民間航空機の飛行経路となっております。したがいまして、民間航空の安全が確保されるべきことは当然だというふうに考えております。

 この点について、二十五日に齋木外務事務次官から……(渡辺(周)委員「いや、そんなこと言わないで。そういうメカニズムはあるのかと聞いているんです」と呼ぶ)メカニズムについては、私どもは持っておりません。

 しかしながら、国際民間航空条約におきましても、締約国は飛行中の民間航空機に対して武器の使用に訴えることを差し控えることでございますとか、要撃を行う場合でも、航空機内における人命を脅かし、または航空機の安全を損なってはならないということを定めておりまして、中国もこの条約を締結しております。

 さらに、ICAO、国際民間航空機関の理事会におきましても、我が国から問題提起を行って、今後、公海上空における飛行の自由と防空識別圏との関係に係る問題について理事国間で検討することになっております。

 今後とも、民間航空機の安全確保に関しまして、政府全体としてしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 中国におけるスクランブル、緊急発進なりということが具体的にどういう形で行われているのかについて、必ずしも我々は承知しているわけではないということが一点。

 二つ目が、我が方の探知能力ということもございますので、全てどうかということについてはなかなか申し上げにくいところはございますけれども、理論的にと申しますか、一般的に、そういうような行動が中国軍の航空機によってとられた場合に把握できるような技術はあろうかと思います。

 他方、委員が御質問なさいました、そういうことを例えば管制当局に伝える枠組みがあるかということに関して申しますと、特にそういう枠組みがそのために整備されているということはございません。

渡辺(周)委員 愛国無罪で、とにかくほかの国は全部、中国の言うことを聞いてフライトプランを出している、日本だけが従わない、実態としてどうなのかわかりませんが、例えばそういうことになってしまった場合に、少し言葉は悪いけれども、威嚇をする、あるいは、本当にやったらこういうことになるぞということで、日本の飛行機は恐ろしくて乗らない方がいいんじゃないかという心理的ダメージも与えられるわけですね。

 これまで大臣も、東シナ海の監視を強化する、警戒を強化すると何回も言っています。それは何のためかというと、やはりこういうことがないように。民間機に対して、中国が愛国無罪を標榜して何か事を起こしてきかねない、そのときに、防衛省と国土交通省を含めて、そういうこともひょっとしたらあり得る、全く無防備の民間旅客機が何らかの形で恐怖を与えられることもあるんじゃないかということについて、今後、やはりそこは頭の中に入れて、どのように考えていくかということで、能力的には可能だということであるならば、最後に、防衛大臣、決意を伺いたいと思います。これから長引きますよ、この問題は。いかがですか。

小野寺国務大臣 民間航空機のことですので、ICAO条約の中で、もしそのような懸念があれば、これは中国にしっかりと抗議をされるのが外務省の仕事だと思います。

 防衛省としましては、さまざまな事態に、我が国の領土、領海、領空を守るためにしっかりと頑張ってまいります。

渡辺(周)委員 終わります。

江渡委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十三分散会


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