衆議院

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第3号 平成26年3月27日(木曜日)

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平成二十六年三月二十七日(木曜日)

    午前八時四十六分開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 今津  寛君 理事 左藤  章君

   理事 薗浦健太郎君 理事 中山 泰秀君

   理事 武藤 容治君 理事 長島 昭久君

   理事 中丸  啓君 理事 遠山 清彦君

      今枝宗一郎君    岩田 和親君

      岩屋  毅君    大野敬太郎君

      勝沼 栄明君    門山 宏哲君

      木原  稔君    國場幸之助君

      笹川 博義君    瀬戸 隆一君

      東郷 哲也君    中谷 真一君

      野中  厚君    浜田 靖一君

      武藤 貴也君    若宮 健嗣君

      中川 正春君    渡辺  周君

      今村 洋史君    宮沢 隆仁君

      伊佐 進一君    三谷 英弘君

      赤嶺 政賢君    玉城デニー君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         小野寺五典君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   防衛大臣政務官      木原  稔君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 和之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  斉藤 和重君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中野  節君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 柳  秀直君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 外園 博一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     瀬戸 隆一君

  門山 宏哲君     國場幸之助君

  武藤 貴也君     今枝宗一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     武藤 貴也君

  國場幸之助君     岩田 和親君

  瀬戸 隆一君     岩屋  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     門山 宏哲君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎和之君、内閣官房内閣審議官前田哲君、内閣官房内閣参事官斉藤和重君、内閣府大臣官房審議官中野節君、外務省大臣官房審議官柳秀直君、外務省大臣官房参事官山田滝雄君、外務省大臣官房参事官大菅岳史君、外務省北米局長冨田浩司君、外務省国際法局長石井正文君、防衛省大臣官房長黒江哲郎君、防衛省大臣官房技術監外園博一君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省運用企画局長中島明彦君、防衛省人事教育局長豊田硬君及び防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今津寛君。

今津委員 おはようございます。自民党の今津寛です。

 両大臣におかれましては、国家国民のために御精励をいただきまして、ありがとうございます。日ごろからお二人を拝見しておりまして、非常に一生懸命、真面目に国政に取り組んでおられるなということ、敬服をいたしておりました。どうぞ、体に気をつけて頑張っていただきたいとお願いを申し上げます。

 先般、岸田大臣がミャンマーの方へお出かけになったということでありましたが、私もその直前、ミャンマーにおりました。ミャンマーの国民が大臣を歓迎いたしておりました。

 私が感じたことを一つだけ申し上げると、日本の投資によりまして、確かに他の国からも投資が集中をして、ミャンマーは恐らく急激な発展をすると思います。一方、あの仏教を中心としたのどかな国が一挙に開発されることによって、国民性のいいところが少し失われていく可能性があるということは、心を大切にする、ほほ笑みの国のミャンマーの人たちがもしかするとお金というものに惑わされる、そういう人たちが多少出てくるのではないかと。

 現に今、ヤンゴン市内の急激な物価の上昇など、日本国がミャンマーのために開発をしたいということが一方では急激な土地高を生んでいるということを見てきまして、非常に心配をいたしました。御配慮をお願い申し上げたいと思います。

 さて、国際協調主義に基づいた積極的平和外交、これはすばらしいです。

 安倍総理を見ていると涙が出ます。この人は命をかけて今、国政に取り組んでいるなと。特に、誰もが知っていることですけれども、一時体調を崩されて、みずから総理を辞したことがございました。今回は、体調に十分に御注意されながらも、しかし命をかけて、国政のためにやらなければならないことは全て、何としても国民の皆さん方に御協力をお願いしながら進めていきたい、そういう意気込みを感じるところであります。

 外遊も、それこそ恐ろしいぐらい、大丈夫かなということでありますが、二〇一二年就任以来、十四回、二十九カ国。もっとふえているかもしれません。一三年は、十二月を除き毎月外遊しておりまして、異例のハイペースであります。

 東南アジアは、東南アジア諸国連合、いわゆるASEAN加盟国を全て訪問、中東は、湾岸協力会議加盟全六カ国を訪問しており、東南アジア、中東重視の姿勢がうかがえます。そして、経済成長が著しい地域へのトップセールスをみずからされたり、資源エネルギー確保を重視して、中韓以外のアジア諸国や中東、アフリカなどに足を運ぶ。地球儀を走り回るといいましょうか、そういう外交をされております。

 この積極的な、精力的な安倍総理の外交姿勢について、外務大臣の所感を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 安倍内閣におきましては、発足後、地球儀を俯瞰する外交を標榜して、戦略的に外交を進めてまいりました。

 御指摘のように、安倍総理も積極的にトップ外交を展開しておられまして、今日まで海外の訪問十八回、延べ三十七カ国に及んでおりますが、その中身も、アイルランド、バーレーン、ジブチ、コートジボワール、モザンビーク、こういった国々は日本国の首相として初めて訪問するということでありますし、ミャンマーには三十六年ぶりの公式訪問、ロシアには十年ぶりの公式訪問ということで、大変精力的な訪問を続けております。結果、世界全体の平和と繁栄を実現するためにひたむきに努力するという我が国の姿勢に対する国際社会の支持は、着実に広がっていると感じております。

 今後とも、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和と安定及び繁栄に、外交力を最大限活用してこれまで以上に積極的に貢献していきたいと考えております。その際、安倍総理のトップ外交と私の外務大臣としての活動、相乗効果が上がり、全体として日本の外交力が強化されるよう努力していきたいと考えております。

今津委員 ダイナミック・ジョイント・ディフェンス・フォース、いい言葉ですよね、統合機動防衛力。まさに、新しい、一国平和主義に別れを告げて、国際社会のために懸命に努力をする我が国の姿勢がこの言葉に出ていると思います。防衛省のみならず国民もこの気持ちで努力をしていただきたいと思いますが、極めて我が国を取り巻く安全保障環境の変化に驚きを隠せません。

 まず、アメリカの姿勢であります。御承知のとおり、我が国はアメリカの防衛に頼り、一時、経済至上主義で発展をしてまいりましたが、今、先ほどから申し上げている考え方で、国際協調主義、積極的平和外交を進めているわけでありますが、その同盟国でありますアメリカの、まず戦力を十万人削減する。これは、〇一年以降、陸軍をピーク時の五十七万人から四十九万人、海兵隊は二十万人から十八万。さらに大きいことは予算を削減する。五年間で国防費の削減額は約二千六百億ドル、約二十兆円。イラク、アフガニスタンから地上兵力を撤退させるなど、財政再建の目玉として、一三年度から十年間で四千八百七十億ドルの削減を目指す。これが我が国の安全保障に与える影響は非常に大きいというふうに思います。

 アメリカにかなりの部分を依存してまいりましたが、これからは自分たちで、アメリカと相談をして、やらなきゃならない役割をしっかりとやっていくという決意をしなければなりません。

 同時に、ロシア、中国、北朝鮮の状況であります。ロシアのことは後でお伺いしますが、特に中国の国防費の膨張というものは看過しがたいものがあるわけでありまして、中国政府が公表した今年の国防予算は前年実績一二・二%増の約十三兆円。しかし、これが真実の数字でないということは誰でも知っていることでありまして、恐らく二十兆円を超えるのでしょう。

 四年連続二桁の伸びで、日本の防衛費の三倍近くに膨れ上がっておりまして、御承知のとおり、宇宙を初め、空母、潜水艦、艦船、それから戦闘機などなど、防衛にかける予算、それから姿勢というのは非常に強いものがありまして、我々にとっては、A2AD、この戦略そのものを含めて、大変な脅威になっているわけであります。

 我が国の置かれている状況を、国民にわかりやすく御説明していただきたいと思います。防衛大臣にお願いします。

小野寺国務大臣 委員が御指摘されましたように、アジア太平洋地域におきましては、中国やロシア等多数の国が国防費の増加を背景に、軍事力の近代化を継続し、軍事的な活動を活発化させております。我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増していると承知をしております。

 その中で、米国の御指摘がございましたが、同盟国米国におきましても、財政面での制約がある中、今回発表されました四年ごとの国防計画の見直し、QDRにおきましては、アジア太平洋地域を重視する、アジア太平洋地域へのリバランスの継続ということがうたわれております。

 いずれにしても、このような周辺国の安全保障環境が厳しさを増す中、我が国独自の防衛力整備も大変重要かと思っております。国会の御承認を得ながら、二年連続で防衛費の増額ということでお認めをいただいておりますし、また、今回政府としてまとめた新たな防衛力整備、統合機動防衛力という内容の中で、幅広い後方基盤の確立も大切だということで、今後とも、我が国独自の努力でも我が国の領土、領海、領空をしっかり守っていく体制を整備していきたいと思っております。

今津委員 ロシアと2プラス2をやりましたね、一三年の十一月だと思いますが。これは、両大臣、どうなんでしょうか。2プラス2をやるということは、ロシアとは同盟国と言える関係ではないですよね、まだ。我が国にとって同盟と呼べるのはアメリカのみですよね。では、ロシアという国とはどういう関係なのかなと私はふと思うんですよね。

 ロシアも極東を中心に防衛を拡大いたしておりまして、私もこの間、運がよくて、ハバロフスクで、ロシアの東部軍管区の司令官、大将とも一時間ぐらいお会いをしてきました。その人は今はもうかわりましたけれども。自民党の一議員と大将とがお会いできる、お話をできるということは、世の中は変わったなと私自身も思ったんですが、その象徴が2プラス2だというふうに思うんです。

 ロシアと日本というのは、どういう関係と呼んだらいいんでしょうか、今。戦後の問題だって、私たち、全部終わったと思っていません。どういう関係なんだろう、そして、2プラス2の意味、目指すところは何なんだろう。そして、今のロシアの経済状態。あるいは特に極東、そして北方領土、安全保障、日本との関係。ロシアの持っている核は日本にとって脅威ではないのかということなどを含めまして、外務大臣の御所感をお願いしたいと思います。

岸田国務大臣 我が国とロシアとの関係ですが、まず、日本とロシアは隣国でありますが、戦後六十九年たとうとしている今に至っても、まだ平和条約を結ぶことができておりません。ただし、アジアの厳しい安全保障環境を考えますときに、日ロ関係の重要性、これは大変重要なものがあると認識をしております。今後とも、日ロ関係については、政治対話を重ねつつ、日本の国益に資するよう関係を進めていかなければいけない、こういった関係にあると思っています。

 そして、こうしたアジアの厳しい安全保障環境の中で重要視する日ロ関係ですが、経済のみならず、エネルギー、さらには安全保障を初め、あらゆる分野で底上げをしていく。こういった関係を進めていく中にあって、北方領土問題についても、帰属の問題を解決して平和条約を締結するべく、粘り強く交渉していく、こういった取り組みが重要だと考えています。

 あらゆる分野において関係を底上げする中に、安全保障分野も大変重要な分野としてあり、その中で、日ロ2プラス2、こうした対話を行うことによってこの関係を深めていくことの重要さがある、このように考えております。

 日ロ関係、今、ウクライナ情勢をめぐりまして大変不透明なものもありますが、我が国としましては、今申し上げましたような基本的な方針に立って、今後とも政治対話は進めていきたいと考えております。

今津委員 総理は積極的にロシアとの外交を進めていますね。二十五年の四月に百二十名の財界の人たちとモスクワへ訪問いたしておりますが、それ以降五回、首脳会談をこなしております。

 それは、大臣から御説明ありましたが、やはりこれからのロシアの将来に向けて、日本の経済的な目的があって、特に私、北海道なんですけれども、北海道の農産物をロシアに売っていきたいなと思って、去年も何度かお邪魔したんですけれども、日本海の、あれは石川県かどこかだと思いますが、青果を八千円で売っていました。それが売れているんですよね。

 ロシア全体の人たちの所得というのはそんなに多くはないのですけれども、エネルギー関係などを中心として、二割、三割の富裕層がいて、その人方、やはり危ない中国の食べ物よりは日本の安全、安心な食べ物が食べたいという人たち、何でもいいからとにかく、特に乳製品などを含めて、日本の、特に北海道のものを食べていきたいという人がたくさんいるし、北方領土のことについては我々の懸案のことでありますから省きますが、そういうこともあるんだと思います。

 もう一つ忘れてはならないのは、やはり中国に対すること。中国に対して、ロシアとの関係の中で、尖閣などの非常に緊張したところの中で、やはり戦略的なものがある、ロシアはロシアであるということだろうというふうに思うんです。

 そこで、クリミア併合が突然起きまして、これは日本国も非常に苦しい立場でありますけれども、しかし、G7と全く同じ態度を示し、そして、ロシアに対しても制裁をきちっとするということになっているのであります。

 そのクリミア併合において、G7の国と全く同じ考え方で同調してこれからもやっていかなければならないと思いますが、それが、今まで重ねてきて、これからも進めていこうという対ロシア戦略、特に安全保障戦略について、これからどのように変化するのか、あるいは、それを何とかして乗り越えて、日本としては領土の問題や経済の問題につなげていきたいと思っておられると思います。そこら辺のことを国民に向けてきちんと御説明していただければというふうに思います。

岸田国務大臣 まず、ウクライナ情勢につきましては、ロシアのクリミア編入、これはウクライナの主権あるいは領土の一体性を侵害するものであり、国際法違反であると認識をしております。

 我が国は、このような力を背景とする現状変更の試み、これは断じて容認をしないという考えであり、こうした考えにつきましては、二度にわたるG7の共同声明、そして、先日二十四日に発出しましたハーグ宣言の中においても明記し、G7各国と思いを共有しているところであります。

 こうしたG7各国との連携は引き続きこれからもしっかりと重要視していかなければならないと考えていますが、あわせて、ロシアに対しましても、昨年来の二国間関係に基づいてしっかりと日本の立場、考え方を伝えていく、こういった姿勢も重要だと考えています。

 あわせて、ウクライナ情勢については、その背景にウクライナ自身の厳しい財政状況、こういったものがあるという認識に立ち、平和裏にこの問題を解決するためにも、我が国としましては、IMFを初めとする関係機関とも連携しながら貢献をしていく、これが我が国の基本的な立場であります。

 そして一方、先ほども申し上げましたように、アジアの厳しい安全保障環境を考えますときに、日本とロシアの関係は大変重要な二国間関係であります。ぜひ、日ロ関係については、引き続き政治対話は積み重ねていきたいと考えておりますし、二国間関係全体を底上げする中で、北方領土問題についても交渉を進めていきたいと考えております。

 そして、その中で、安全保障分野において、昨年十一月に日ロ2プラス2を行ったわけですが、その際に、テロ、海賊対策分野における共同訓練につき一致をしております。そして、昨年十二月に実施をしたところであります。こうした日ロの外務、防衛協力の成果につきましては、ウクライナ情勢も注視しつつ、適切に進めていかなければならないと考えております。

今津委員 予定されておりました四月の外相会議も今慎重にお考えになっているということであります。やはり、法と正義に基づいて、非民主主義的な暴挙に対してはきちっと明確に我が国の意思を示していくということが肝要だと思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 一方、韓国との問題であります。

 いよいよといいましょうか、アメリカの仲裁により日米韓三カ国の首脳会議が行われました。本当にここまで来てよかったなという感じがしますが、これについて、時間の関係もありますので、簡単に、どのように評価をするか、また、これはどういう点でいいところがあったのかということをお示しいただきたいと思います。

岸田国務大臣 オランダ・ハーグにおきまして、日米韓三国の首脳会談が開催されました。

 今回の会談におきましては、北朝鮮問題を中心とする東アジアの安全保障について、日米韓三カ国が一層緊密に連携していくことの重要性が確認をされた、意義ある会議であったと認識をしております。

 そして、今回の会談は、我が安倍総理と朴槿恵大統領の初の直接の会談となりました。我が国としましては、今回の会談を第一歩として、大局的な観点から、未来志向で、そして重層的な日韓関係の構築に向けて、韓国と一層協力していく考えであります。引き続きまして、日韓関係についても、大切な二国間関係ということで、対話を進め、協力を進めていきたいと考えています。

今津委員 まだ日韓二国間の首脳会議が行われておりませんので、引き続き努力をしていただきたいというふうに思います。

 特に、韓国との関係は重要だと思うんですね。北朝鮮、中国のところにある韓国。私たちとしっかりと安全保障の面では協力をして、軍事拡大あるいは違法な核開発に対処していかなきゃならぬ、非常に大切な国だというふうに思いますので、御努力をお願い申し上げたいと思います。

 その中で気になることが一つありますので、お聞かせをいただきたいと思います。

 黒竜江省のハルビン駅に安重根義士記念館が開設されたと。最近、韓国と中国との接近が非常に目につくようになりました。

 韓国は、外の国との輸出入で経済がもっている国でありますが、その中でも極めて中国の割合が多くて、我が国は四番目ぐらいだったというふうに思います。そういうことがあるにしても、日韓あるいは米韓、日米韓に対して、韓国が中国と接近をするということは非常に気になることだというふうに思いまして、これに対してこれからどういうふうに対処していくのかということ。

 もう一つ、GSOMIA、これは玄葉大臣のときにもう署名直前まで行ったんです。その日に何かドタキャンがあって、できなかったんです。二十四年六月二十九日のことだったというふうに思いますが。やはり、GSOMIAそれからACSA、これを何としても早く結ぶということが我が国の防衛、国民の安全、安心には必要なことだというふうに思いますが、それに対しての意欲と見通しをお示しください。

岸田国務大臣 まず、中韓、中国、韓国の連携の話ですが、中国と韓国の連携の中で、例えば安重根記念館などの動きにつきましては、我が国としては、こうした連携の動きを展開することについては、この地域の平和と協力の構築に資するものではないと考えております。こうした動きにつきましては、こうした問題意識を持っております。

 ただ、中国、韓国、それぞれ我が国にとりましては重要な隣国であります。ぜひ大局的な観点からこの二国間関係を進めていくために、対話のドアは引き続きオープンにしながら、協力の道を探っていきたいと考えております。

 そして、その中で、御指摘の韓国との防衛面における協力でありますが、日韓間の協力を進めるためには、御指摘のように、残念ながら現在まで日韓二国間の首脳会談はまだ実現しておりません。ただ、現在までも、さまざまな分野にわたって、さまざまなレベルにわたって意思疎通を積み重ねてきました。その中にあって、防衛面での協力、意思疎通、これは大変重要なポイントだと認識をしております。この分野も含めて、ぜひ引き続き協力や意思疎通を積み重ねて、高い政治のレベルでの対話につなげていくよう努力をしていきたいと考えています。

今津委員 非常に難しいことが山積みでありますけれども、頑張ってください。

 最後に、時間がないので、安全保障の分野において非常に大切な宇宙のことについてお聞かせを願いたいと思います。

 宇宙基本法が成立をいたしまして、平和利用のみに使用していた宇宙が安全保障の分野でもできることになりまして、日米の2プラス2でもサイバーなどと同じように宇宙というものが取り上げられて、今、デブリ対策など、日本とアメリカと共同して開発作業もしているところであります。「ゼロ・グラビティ」というのを見ましたか。おもしろかったですよね。ああいう時代が来るということだろうというふうに思います。

 そこで、昨日も北朝鮮がノドンミサイルを発射した、そういうことを先ほど理事会でも御報告をいただいたんですが、特に思いますのは、一二年の四月だったと思いますが、打ち上げに失敗をしたときにも、我が国の情報が非常に混乱をし、韓国や中国が早々に国民に向けて、担当する人が記者会見をして説明しているときに、我が国はまだまだ、調査中でありますとか情報を収集しているとかということで、かなりおくれてしまった。それから、前回、ついこの間のときも多少おくれましたよね、NSCが発足したばかりだというふうに思いますが。そういうことを含めても、ちょっとあった。

 私は、やはり早期警戒衛星を私どもは保有するべきだということをずっと主張しているのですが、他人に頼らないで自分たちでみずからそういう情報を得る。そのために、アメリカの今までのノウハウやアメリカの企業の協力を得れば、恐らく防衛省が試算をしているお金のマルが一つぐらい違う金額でこれを取得することができるのではないかということ。

 そのためには、防衛省は通常の防衛予算に影響するということは避けておりますから、防衛省としての宇宙の予算要求が非常に少ないということに対して危惧をいたしておりまして、宇宙関係予算を一括計上して、通常の防衛省の予算から外して国家のプロジェクトとして進めていくということであります。

 もう時間が来ましたので答弁は求めるわけにはいきませんが、そういう主張を、特に我が党の宇宙小委員会で目指しながら今いろいろと勉強しているということをお伝えして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日は、十五分という限られた時間ですので、論点を一つに絞って質疑をさせていただきたいと思います。

 それは、グレーゾーン事案と言われておりますが、今、安保法制懇でも五事例ということで議論いただいておりますが、そのうちの一つ、潜没航行する外国潜水艦、つまり、我が国の領海内で外国の潜水艦が潜ったままで徘回している、このときに我が国がどういうような対応をとれるかという点について、十五分間、少し掘り下げて質問させていただきたいと思っております。

 まず、これは武力攻撃に至っていない事態という想定ですので、当然、まだ自衛隊に対して防衛出動というものは下令されておりません。しかし、何らかの対応をしなきゃいけないというような状況の中で、現在の法制度はどうなっているかといいますと、武力攻撃に至らない事態というものに対しては、自衛隊はまず警察権で対応します。この警察権は、潜没航行する外国潜水艦というものに対して、一般論としては恐らく自衛隊法第八十二条で海上警備行動というものが発動されるのではないかと思っております。

 一応、念のため確認なんですが、こういう潜没航行する外国潜水艦に対して、八十二条、海上警備行動が発動されるのかどうか。というのは、潜水艦自体は海中にありますので、これは海上警備行動という位置づけで対処できるかどうか、念のため確認をさせていただきたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の海上警備行動でございますが、自衛隊法八十二条におきまして、海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持のため特別の必要がある場合に発令されるものでございます。

 外国潜水艦が我が国の領海内を潜没航行している場合には、まさに海上における治安の維持のため、これは平成八年十二月二十四日の閣議決定、この閣議決定の題名は「我が国の領海及び内水で潜没航行する外国潜水艦への対処について」というものでございますけれども、これに従いまして、特段の事情がない限り、防衛大臣が内閣総理大臣の承認を得まして海上警備行動を発令するということとなっております。

伊佐委員 では、この海上警備行動が発令された場合にどこまで対応できるか。これは、これまで累次国会でも議論されてきたことだと思いますが、ちょっと詳しく、配付させていただきました国連海洋法条約、これに基づいて少しお話をさせていただきたいと思います。

 まず、この十九条において、領海内では無害通航権というのが各国の船舶について認められている。これは、領空とか領土とはまた違って、領海だけ特別に無害通航権というものが認められている。この第一項を読みますと、「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。」と。第二項で、害する場合、「次の活動のいずれかに従事する場合には、沿岸国の平和、秩序又は安全を害するものとされる。」というふうにあります。これが、略しておりますが、aからlの中でさまざまな事例が具体的に列挙されている。こういう場合には沿岸国の平和、秩序、安全を害しますよというふうに書かれております。

 では、害しますよとなった場合には、この第二十五条、無害でない通航を防止するため、必要な措置をとることができるということになっております。この必要な措置をとるという海洋法条約の第二十五条、これを国内法では何で受けているかというと、自衛隊法の第八十二条、つまり海上警備行動ということになります。

 具体的には、海上警備行動、必要な措置として、例えば停船命令であるとか立入検査であるとか、あるいは警告射撃、こういうものも含めた強制措置についても、この海上警備行動の範囲内に入っているだろうというふうに解釈されます。

 今までの話は、この第二十五条、全ての船舶についてこれは適用されるんですが、軍艦についてだけ、つまり、先ほど申し上げた潜没航行する外国の潜水艦については、実は国際法上さまざま留保がかかっております。

 では、軍艦の場合は、この海上警備行動においてどこまで対応が可能かについて質問させていただきます。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生に御指摘いただきましたような事態におけます自衛隊の具体的な対応、これにつきましては、個別具体的な状況に応じて判断する必要がありまして、一概に申し上げることは困難であろうかと思いますけれども、一般論として申し上げますと、海上警備行動を命ぜられた自衛隊の部隊は、当該潜水艦に対しまして、海面上を航行し、かつその旗を掲げるように要求いたしまして、この潜水艦がこれに応じないような場合には、我が国の領海から退去するよう要求するということになろうかと思います。

 ただ、外国潜水艦が軍艦である場合には、この潜水艦は、国際法上、我が国の領海内においても我が国の管轄権からの免除というものを有しておりまして、自衛隊はこれに反するような強制的な措置をとることはできないものというふうに考えております。

 他方、仮に、この潜水艦が攻撃を行うといった事態で我が国の船舶に危害を及ぼすような場合などには、その行為を排除するため、海上警備行動により与えられました権限によりまして、その事態に応じ、合理的に必要とされる限度で武器を使用することができるということになっております。

伊佐委員 今の制度上では自衛隊は退去要求はできる、これがまさしくこの海洋法条約の第三十条、退去することを要求することができるということだと思います。

 それ以上については、実は、第三十二条、これは何を書いているかといいますと、軍艦については、政府船舶に与えられる免除に影響を及ぼすものではないと。この免除というのは、沿岸国の管轄権、つまり日本の管轄権から免除される、つまり日本の管轄権が及ばないというような話です。

 つまり、全ての船舶について第二十五条で必要な措置をとることができるんですが、ただ、軍艦については第三十二条で一部免除されているというような状況になっている。その免除がどこまでかというところが争点になってくるのであろうと思っております。

 具体的にさらに質問させていただきますが、では、今まで海外において、潜没航行する外国潜水艦に、退去要求まではこの第三十条でできるわけですが、それ以上の措置、例えば爆雷を投下するとか、こういう強制措置を行った事例を政府は把握していらっしゃるかどうか、質問したいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしまして、海外における御指摘のような事例を網羅的に掌握しておるわけではございませんけれども、一九八二年、スウェーデンが同国の内水におきまして国籍不明の潜水艦に対して爆雷を使用した事例があるということは承知いたしております。

 ただ、これは、冷戦中のかなり緊迫した国際環境にあったということが一つ、それから、この事例は、以前にも領水内で潜没航行する潜水艦が幾度となく探知されていた、こういう状況の中で、浮上要求、退去要求のために爆雷を使用したいわば特殊なケースではなかろうかというふうに理解しております。

伊佐委員 一九八二年のスウェーデンの事例を挙げていただきましたが、その一九八二年の前、既に八一年の段階から、恐らく当時のソ連の潜水艦が執拗に領海侵犯を繰り返していたと言われております。

 実は、その前年、一九八一年になぜそれがはっきりとしたかといいますと、ソ連の潜水艦がスウェーデンの領海内で座礁したわけです。このソ連の潜水艦は当時ウイスキー級という潜水艦でして、これはよくウイスキー・オン・ザ・ロックというふうにやゆされて言われた事件です。

 このスウェーデンの事例では、先ほどおっしゃっていただいたとおりで、爆雷をもって排除したということがありました。このスウェーデンの強制措置は、何に基づいた措置だったのかということなんです。

 国際法上は自衛権というものが認められているというふうにも言われておりますが、スウェーデンは実はこのときは自衛権を発動していない。なぜかというと、自衛権を発動すれば安保理にちゃんと報告をしなきゃいけない。ところが、スウェーデンは、そのときは安保理に報告をしていないわけです。つまり、彼らは自衛権として対処したわけじゃない。では、一体何に基づいて対処したのか、もしかすると国際法に違反しているのか、こういう可能性があるわけです。

 実際のところは、これは、その爆雷を受けた潜水艦の国籍、ソ連かもしれませんが、そこは最終的には国連に提訴していないので、うやむやになっています。何に基づいて爆雷投下措置を行ったか。

 これを我が国に置きかえて考えてみますと、例えば、我が国の領海に潜水艦が入って徘回する、退去要求にも耳をかさないということになる。このときのこのグレーゾーン、埋め方は二つしかないと思います。

 一つは、まずマイナー自衛権という考え方で、つまり自衛権を発動する。法制懇の先生方の議論を聞いておりましても、例えばこういう発言があります。武力攻撃に至らない侵害でも、それが繰り返し行われて集積されれば武力攻撃とされると整理するしかない、つまり自衛権が発動できるという発言です。

 しかし、先ほど申し上げましたように、当時の冷戦下で何度も何度も執拗に領海侵犯を繰り返してきた、このときでさえ、結局スウェーデンは、過去の例では自衛権という形では発動していない。

 日本がこういう国際状況の中で先駆けて、グレーゾーン事案についてはマイナー自衛権、自衛権で対応するという宣言をすることは、今の状況では国際的にもかなり先進的な宣言になるのではないかと思っております。もちろん、国内的には、個別的自衛権の三要件についても、急迫不正の侵害が認められていない中で自衛権を発動するというふうな、大きなインパクトのある解釈変更になるということを指摘しておきたいと思います。

 もう一つのやり方。先ほどは、このグレーゾーンを埋めるのは、自衛権を広げるか、あるいはもう一つは、国際法上の第二十五条の解釈、必要な措置はどこまで果たして認められるのか。三十二条で免除されて抜かれたとしても、どこまで認められるのかということを議論するということもあるかもしれません。

 先ほど説明させていただいたとおり、この二十五条、必要な措置というのは、三十二条で、つまり沿岸国の管轄権から免除されている。日本の管轄権が及ばないので、例えば拿捕するとかあるいは立入検査をするとか、これは管轄権に基づく措置なので、こういうものは恐らく対象にならないと思います。では、例えば警告射撃はどうなのかということは、実はこの海洋法条約でははっきりとしていないわけです。

 そこで質問ですが、この二十五条に定められた必要な措置、どこまで認められるかということについて、国際法上、定まった考え方があるのかどうかについて簡潔にお答えいただければと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員おっしゃいましたとおり、二十五条一で、無害でない通航を防止するために必要な措置をとることができるというふうに定められております。これは外国の軍艦などにも適用される。

 一方、沿岸国が無害通航に当たらない航行を行っている外国の軍艦などに対して必要な措置をとる場合に、そのような措置は、先ほど来議論になっておりますように、免除を侵害しない範囲で、かつ、その軍艦による侵害行為との比例性が確保されたものでなければならないということになっております。

 そういう意味で、国際法上、沿岸国がいかなる措置をとり得るかについては、個別具体的な状況に応じて判断する必要がございますので、一概に申し上げるのは困難だと考えております。

伊佐委員 そうなんです。結局、国際法上では定まった考え方がないということだと思います。つまり、このグレーゾーンの今挙げた事例については、我が国の憲法九条のところに大きく起因する問題というよりは、実は国際法上、恐らく国際社会が大きく争点にしている問題だ、我が国独自の問題じゃないということだ、そう思っております。

 そういう意味では、先ほど申し上げたようなスウェーデンの事例においても、国際法上、この爆雷投下措置が違法だったかどうかということは結局誰もわからないんです。何が違法かということについて国際法では明示していないから、こういうことが起こるということだと思います。

 それであるなら、では日本だけがここまでやりますよ、ここまでは自衛権でやりますよ、あるいは、こういう対応でしますよと議論を先行して進めて、これを国際社会の中に広く、議論をリードすることが本当にいいことかどうかということは、私は慎重に議論してもいいのではないかな、そう思っております。

 先ほど申し上げたように、グレーゾーンを埋めるのは、マイナー自衛権を広げていく、あるいは、まだ定まってない国際社会の考え方について、つまり、国際海洋法条約二十五条でどこまで許されるかということについて、他国を巻き込んでの議論もあり得るのではないかと思っておりますが、最後に外務大臣の御感想をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 領海において無害通航に当たらない航行を行っている外国軍艦等に対して沿岸国がとり得る措置の具体的な内容については、個別具体的な状況に応じて判断する必要があり、一概に申し上げることは困難であると考えていますが、先ほど来の御質問を聞いておりまして、国際的にも、この問題につきましては、基準とか相場観というものは存在しない、これが現状だと認識をしております。

 ただ、今、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会、安保法制懇におきましては、領海内で潜没航行する外国潜水艦の事例についても議論が行われていると認識をしております。ですから、まずはこの懇談会においてしっかり議論が行われることが大事だと思っております。この議論の行方を見た上で、その後、我が国として、与党・政府としての議論も行うことになると考えております。ぜひ、この議論の行方を見守った上で、その後の対応を考えていきたいと思っております。

伊佐委員 こうした国際協調のもとでの議論というのもあるのではないかということを申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、岸田外務大臣、昨日、外務委員会でも私は質問に立ちましたけれども、そのときにお尋ねした中で、先週あたりから、日韓の外交筋からいわゆる局長級会合が開かれるというような報道があるけれどもこれは本当かということについては、たしか昨日大臣は、自分は承知していないという御答弁だったと思います。

 また、これは韓国側のメディアの一方的な報道なのかなと思っておりましたら、けさの読売新聞一面に、オバマ大統領の仲介による日米韓の三首脳の会談が行われたことを受けて、いわゆる歴史問題、いわゆる慰安婦問題について、別個でどうも事務レベルで協議するというようなことがきょうの一面にも出ていましたが、これはいかがなんですか。昨日の御答弁では、自分は知らないということでしたけれども。

 これは恐らく、日韓の歴史問題をめぐる、今度はバイの会談、安倍総理と朴大統領の日韓首脳会談に向けての調整のための協議と思われますけれども、実際どうなんですか、これは行われるんですか、昨日の答弁のままですか。それをまず冒頭、伺いたいと思います。

岸田国務大臣 結論から申し上げると、昨日の答弁のままでございます。

 日韓両国の間においては、今日までさまざまなレベルで意思疎通は図ってきました。さまざまな分野、課題について議論は行ってきましたが、今現在、御指摘のように、慰安婦問題等について日韓間で局長級協議を行う、この具体的な日程は、決まったということは全く承知しておりません。

渡辺(周)委員 こういうふうに新聞記事を見ながら質問するのはいかがなものかというのは、私も十七年もこの世界にいますからよく承知していますが、ただ、ここまで断定的に書かれると、昨日のきょうの話なものですから、それについては大臣が承知していないのか、実際は進んでいるけれども、大臣のところに上がってきていないのかという思いもやはり持ってしまうわけです。

 もう一回聞きます。

 これを見ますと、複数の両政府関係者が二十六日、昨日明らかにした、韓国側は四月中旬の開催を求めているということで、韓国側がいわゆる従軍慰安婦問題のみを議題とする考えであるのに対して、日本側は竹島問題など幅広い懸案を協議したい考えで、テーマの調整を急いでいるんだと書いてありますけれども、そんな事実はないということですか。

岸田国務大臣 まず、先ほど来答弁申し上げたとおりであります。

 そして、日韓間で局長級協議をやるということについては、マスコミ、特に韓国側のマスコミ等からこういった報道がされていると承知しておりますが、韓国側が、慰安婦問題と関係のない日米韓首脳会談開催の発表において御指摘のような発表を行ったこと、これは大きな誤解を招くことであり、韓国側に対しましても、その旨、日本側の立場は伝えさせていただいております。

渡辺(周)委員 この点について、また改めて推移について議論をしたいと思います。

 それでは、先ほども質問に出ましたけれども、昨日未明のいわゆるノドンの発射について、防衛大臣に伺います。北朝鮮の意図、日米韓の三カ国首脳が集まった同時刻に発射したということで、牽制する意味合いがあるのではないか。

 我々の認識からすると、北朝鮮問題の話をしているときに北朝鮮がミサイルを撃ったら、より一層結束が強まって、北朝鮮の包囲網はますます強固になるのではないかと常識的には思うんですが、常識の通じない国ですから、こういうことをして、彼らとしての存在感、自分たちの脅威というものを示すことによって何らかの影響力を行使しようと考えるところでありますが、この北の意図をどう分析しているのかということ。

 それから、今後の見通しとして、防衛省は、警戒監視を強めるという総理の指示もあったとは承知しておりますけれども、今後いつまで、北朝鮮の挑発、危険きわまりないミサイル発射の行為が続くとお考えなのか。その点について、今後の警戒態勢も含めて、今どのような現状で臨んでいらっしゃるか、伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 委員から御指摘がありましたように、昨日、北朝鮮は二発の弾道ミサイルを発射したというものであります。弾道ミサイルはいずれも六百キロ以上飛翔し、朝鮮半島の東約五百キロの日本海上に落下したものと推察され、その直後、私から、引き続き警戒監視、情報収集に万全を期せという指示を出させていただきましたし、累次の会議が開かれたということもそのとおりでございます。

 このタイミングでありますが、きのうも記者に聞かれたときに私がお話ししたのは、外形的に見れば、ちょうど日米韓の首脳会談が行われている最中のタイミングに合うということ、そのようなことが類推されるというようなお話をさせていただきました。北朝鮮の意図について私どもが推しはかるというのはおかしな話でありますので、いずれにしても、私どもとしては、いつこのようなことが起きてもしっかりとした対応がとれるように、警戒監視をしっかりとしていくことが必要だと思っております。

 なお、現在も米韓の軍事演習が行われている最中でありますので、私どもとして、引き続き、この緊張感は重要なものだと思っております。

渡辺(周)委員 今、大臣が、その意図について私どもがと言うんですが、しかし、相手国が、近隣国が我が国に向けて、どういう意図を持って、どういう能力を持っているかというのは、当然のことながら、彼らが軍事的行動を起こす上で絶対知っておかなければいけない要件だと思うんですね。

 ですから、彼らの意図というものは当然しっかりと把握していなきゃいけないだろうし、そして、どれぐらいの能力かということも、安全保障の責任者として、当然そこは知っていていただかなければいけないというふうに思うんですよ。それは当然のことだと思います。

 今回、平安南道粛川という、発射されたところにはいわゆるミサイル発射基地がない。これまで、発射するところは東倉里だとか、どこだとかというのは幾つか既に、ここに発射基地があるということがある程度察知できた。しかし、今回は基地がない。つまり、固定式の発射台ではなくて、移動式の発射台から発射されたのではないかというようなことを韓国側も発表しているんです。

 それについて、その能力、これは固定式ならばある程度監視もできます。偵察衛星や早期警戒衛星の情報によってある程度見ることができるんだけれども、移動式だとわからないんですね。移動式であるというふうに日本は把握しているのかどうか。いかがですか。

小野寺国務大臣 まず、先ほど私が、北朝鮮の意図というお話というのは、ちょうど発射したタイミングが日米韓の首脳会談が行われているときと符合したということについての意図というお話でありまして、北朝鮮は累次にわたり、核技術それからミサイル技術の開発を、国連を含めて国際社会のさまざまな抗議の中でも行っているということ、これは国際社会の懸念、脅威になっているということだと思っております。

 その中で、今お話がありました発射された場所ということでありますが、従前から、例えば北朝鮮で発射するための基地、これはさまざまな情報収集をしておりますが、今までこの場所から発射されるということが過去なかったというふうに私どもも承知しておりますので、そこは、さまざまな分析をする中で、従前よりもさらに警戒監視が必要な状況になっていると承知しております。

渡辺(周)委員 そこでお尋ねしたいんですが、新たな発射方式というか、移動式の、台車に載せて移動しながら把握されないようにして、こうやって奇襲的に発射してくる。これは事前通告もありませんから、日本のいわゆる防空識別圏を越えて公海内に飛んできた、そういうことになりますと、当然、そこを飛んでいる航空機であるとか、そこにいる船舶であるとかには全く予期せぬことが起きたわけでございまして、これは新たな脅威だというふうに思わざるを得ない。今回、移動式の発射台から発射されたということによって、脅威は増したというふうにお考えでしょうか。

 そしてあわせて、こういう情報を察知できるだけの能力を日本が持っていないとは言えないと思いますが、やはり韓国にどうしても情報提供を求めなければいけない、あるいは共有していなきゃいけない。これは地理的な意味もあると思うんですね。残念ながら我々の目の届かないところを韓国がウオッチしている、あるいは韓国がヒューミントも含めて情報を持っているとすれば、どうしても韓国と、歴史問題のいろいろ面倒くさいこと、ややこしいことはあるにせよ、それでもやはり軍事上、防衛上、安全保障上は、どうしてもここは連携しておかなきゃいけない。

 先ほど今津委員もおっしゃいましたけれども、GSOMIAが二〇一二年六月二十九日に、それこそ国会であと一時間ほどで、ちょうど私も防衛省にそのとき三役でおりましたけれども、その際にそれがいろいろ政治的な理由で、積み上げてきたことが最後の最後になって先送りというか、流されてしまったことによって、このいわゆる包括的保全協定、GSOMIAが今、宙に浮いたままになっております。この点については、どうしてもやはりこれを結ばなきゃいけないし、それによって情報共有ということをしていかなければ、この新たな脅威に対して対応していけないんじゃないかと思わざるを得ないわけです。

 その点についての、韓国との軍事的な情報共有を含めた今後のこと。もちろん歴史問題とかはあります、私もいろいろ喉まで出かかって、言いたいことはあの国に対してはありますけれども、しかし、そうはいっても、日本の安全保障上どうしても避けて通れない対応をしなきゃいけない。その点についてはどうでしょうか。もっと言えば、軍事的な防衛当局同士のやりとりということについては今どうなっていますか。

小野寺国務大臣 まず、今回のミサイル発射事案につきましては、我が国としても、さまざまな情報収集の中でその内容についてはしっかり把握しているところであります。また、詳細については分析を現在も行っており、しっかりとまた私どもとしての情報の蓄積を行う、一つの大切なテーマ、材料になっていると思っております。

 その中で、今御指摘がありました日韓の関係であります。委員も防衛省で副大臣をされたときに大変御尽力していただきました、日韓のGSOMIAの問題です。本当に締結までもう一歩、直前まで来た中で、今こういう状況で停止しているということは、私どもとしても、北朝鮮を含めた東アジアの安全保障環境の中で特に日米韓の関係が重要だと思っておりますので、日韓のGSOMIAについては、その締結に今後とも努力していきたいと思っております。

 私自身も、昨年六月、シンガポールでちょうどシャングリラダイアログがありまして、日米韓の三カ国の協議があったときに、直接、私から韓国の金国防相に、このGSOMIAの締結については前に進めたい旨の話をさせていただいておりますし、累次、国際会議で韓国代表と会うたびに、日韓関係の重要さというのは私からもお話をさせていただいております。

 今後、昨日の日米韓の首脳会談が行われたということをもって日韓関係が改善し、そして防衛当局の交流もさらに深まるということは大変重要なことだと思っております。

渡辺(周)委員 いろいろ横たわる問題があることは、お互い承知しています。しかし、お互いの国を守るためには、必要な情報というものはやはり共有しているべきだろう。

 ですから、それはそれ、これはこれと我々日本側は思っても、いや、歴史の問題が全て解決しないとだめなんだというと全然進まなくはなるんですが、しかし、そこはやはり国防ということ、東アジアの平和と安定ということを考えると、昨日の日米韓の首脳会談の中では、核の問題ですとか北朝鮮の問題について軍事的に、安全保障上どうするかということについては、さまざまな障壁、向こうの言い分があるのはわかっていますがぜひ取り組んでいくべきだろうということについて、ぜひしっかりとしたお取り組みをいただきたいと思います。

 さて、このテーマの最後なんですけれども、昨日、外務委員会で、北朝鮮がノドンミサイルを撃っているのにどうしてNSCが開かれないんですかということをお尋ねしたんです。明確な回答はいただけなかったです。局長級の会合が開かれて協議したから、情報共有したからというんですけれども、防衛大臣、どうして昨日このミサイル発射の事案についてNSCが開かれなかったのかということについては、どうお考えで、どうお感じですか。

 それから、局長級の会議で招集をして情報収集や分析に当たっているというのなら従来と変わらないんですけれども、NSCをつくった存在意義についてはどうなんですか。私は、こんなときこそやはりしっかりと招集すべきだったと思うんですけれども。招集するかしないかという、その基準は一体どこにあるのか。どうすべきだというふうにお考えでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日も答弁させていただきましたが、今回の事案につきましては、発生直後から、内閣危機管理監、国家安全保障局、外務省、防衛省等で緊密に連携しながら情報集約を行いました。また、その必要性が生じましたので、関係省庁局長級会合を朝四時半に開いたところでございます。

 一方、総理はハーグにおられましたので、総理にも御連絡を申し上げ、総理からは、アメリカ、韓国を初めとする関係諸国と連携を図りつつ緊張感を持って情報収集、分析に努めるよう、また、航空機……(渡辺(周)委員「新聞に出たことはいいですから」と呼ぶ)はい。等の指示をいただいております。

 また、官房長官のもとに関係省庁の幹部が集まり、情報収集、対応等について協議をいたしました。

 このように、関係省庁間で緊密に連携をとり、また総理の指示も得ながら対応しておりましたので、昨日の状況におきましては、国家安全保障会議を開催するには至っていないということでございました。

 その判断につきましては、一般論としては、議長である総理が大所高所から総合的に御判断されることであるというふうに考えております。

渡辺(周)委員 いや、一般論ではじゃなくて、そういう指示は総理からなかったんですか。例えば、総理の職務代理の方がいるわけですね、官房長官もいるわけです。官房長官から局長級の会合については招集、呼びかけがあったと思うんですけれども。

 つまり、どこで開くか開かないかというのは、最終的には総理が決めなければできないのか、それとも官房長官が総理の了解を得て、例えば外国に行っている場合でも、こういう事案があった場合にはやるとなるのか。

 今のお話ですと、誰が一体判断するんですか。主語は、決めたのは誰ですか。やるかやらないか決めるのは誰ですか。

山崎政府参考人 制度上、国家安全保障会議を招集するのは議長たる総理がされることになっております。

 会議の事務局である国家安全保障局としては、総理、官房長官にも状況についての報告を行い、必要な指示を受けて動くということでございます。

渡辺(周)委員 だって、NSCをつくった意味をきのう聞きましたよ、つくった意義というか、存在意義というか。我が国に対してノドンミサイルが二発、結局、着弾したのは公海ですけれども、我が国に向かって飛んできている中で、なぜ国家安全保障会議を開かなかったのか。つまり、このレベルで開かないということは、相当なことがなかったら開かないということですか。それについてはどうなんですか。

 鳴り物入りでつくって、我々も賛成しました。だからこそ、各省庁が持っている情報を一元的に集めて、総合的に勘案して、意思決定を速やかにするように、多角的に分析できるように、そういうことでNSCをつくったんだけれども、結局、北朝鮮がミサイルを二発撃ったところで、あるいはその前もそうですけれども、続いているわけです、北朝鮮のミサイル発射は。にもかかわらず、開かれていない。一体どうなっているのか。

 これは、国防の責任者としての防衛大臣はどうですか。NSCのあり方について、今回のようなことでいいのかどうか。大臣も構成員ですから、どうお考えですか。

小野寺国務大臣 まず、事案発生直後でありますが、これは、私から警戒監視、情報収集に万全を期せという指示を出し、その後、内閣官房において関係省庁の局長級会合が朝四時半ごろあって、私も朝五時に防衛省に登庁しまして、五時十五分から防衛省内で緊急幹部会議を開きました。その際、既に総理から指示が来ておりましたので、その指示に従って対応させていただいたということであります。

 今、国家安全保障会議のことがありますが、これは、情勢に応じまして、必要である場合、議長であります総理の指示のもと開催されるということで承知しておりますので、私どもとしては、まず防衛省として関係省庁との連絡を密にとり、今回は対応したということであります。

渡辺(周)委員 このことについては日を改めて近々に、今回の一連の事案を含めて、どうすべきであるか、どうすべきだったかということについてはまた議論したいと思います。

 もう時間がありませんので、次のテーマに行かなければいけません。

 まず、集団的自衛権の安保法制懇のことについては、先日、その原案というものが報じられました。もちろんそれは、報道は承知しているけれども中身は承知していないと答えるかどうかわかりませんが。読売新聞は、日本の安全に重要な影響がある場合、毎日新聞は、日本の安全に密接に関係していること等々で、いわゆる集団的自衛権は限定的に発動することがあると。そこで、全面的な集団的自衛権の行使ではなくて、いわゆる条件を限定された上で集団的自衛権は行使されるというようなことが原案として考えられていると報道されていますが、この報道どおりでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 安保法制懇の報告書についてさまざまな報道がなされていることは事実でございますが、現在、委員の間で詰めの議論を行っておられるところでございますので、大変恐縮ではございますが、現時点で政府からその報告書の内容についてコメントすることは差し控えたいと存じます。

渡辺(周)委員 では、一般論で聞きますね、ここから。多分そういうお答えだろうと思いましたので。

 例えば、日本の安全に重要な影響というのは、私も主張しましたいわゆる周辺事態を念頭に置いたことであろう。それから、日本の安全に密接に関係しているというのは、やはりそれも角度を変えた同じ意味の言葉であろう。しかし、どこの国ともできるわけじゃないので、一般論として聞けば、集団的自衛権の今の議論の中で、対象となるとすればどこの国ですか。これは一般論で結構ですから、どこの国が想定されますか。

山田政府参考人 集団的自衛権とは、国際法上、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利と解されております。委員の御指摘は、この自国と……(渡辺(周)委員「いいから、答えだけ早く言って」と呼ぶ)はい。これにつきましては、条約関係がある国が対象になることはもちろんでございますが、それ以外の国であっても、共通の危険に対処しようという共通の関心がある場合はこの対象となるということでございまして、アプリオリにどの国が対象になるということを限定的に申し上げることは困難でございます。

渡辺(周)委員 ということは、同盟関係を結んでいなくとも行使することはあり得るということですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 もちろん、先ほど委員が御指摘になりましたように、現在、法制懇の議論はさまざまな角度から行われております。したがって、その内容については踏み込みませんが、あくまでも一般論として、国際法上、集団的自衛権がどのような観点から理解されているかということで申し上げますと、必ずしも条約の関係がある国に限定されるものではないと考えております。

渡辺(周)委員 というと、これは、我々が念頭に置くのはアメリカですね、日米同盟。よく言われるのは、日米安全保障条約の中で、片務的なと通常言われる。しかし、我々は基地を提供して、さまざまな予算措置もすることによって、アメリカの極東における活動根拠をつくっている、活動基盤をつくることによって。

 しかし反面、憲法で今まで枠があったから、どうしても、何かあった場合にアメリカに対して実は我々は軍事的支援をすることができないんだ。また、実際それがさまざまな制約となって、戦後の政策の中で影を落としてきた部分もあったと思うわけです。

 今の御発言でいきますと、例えば、集団的自衛権を行使するといった場合、一つは朝鮮半島有事の場合。アメリカの要請があった、しかし、半島有事ですから上陸して米軍の支援をすることが最も効率的なんだけれども、日本の自衛隊が韓国の領域内に入ることについては抵抗があるというような韓国の主権の主張があった場合、そういう場合はどうなりますか。

山田政府参考人 御指摘のケースについては個別具体的に判断する必要がございますが、ただ、朝鮮半島有事というふうな事態は、一般的には、韓国が武力攻撃を受けたような事態が想定されると思います。

 一般国際法上、ある国が集団的自衛権を行使するに当たっては、日本もそうでございますが、武力攻撃を受けた国の、すなわちこの場合は韓国ですが、要請または同意が必要であり、かかる要請または同意なしに集団的自衛権を行使するとは考えておりません。

渡辺(周)委員 では、アメリカと韓国の場合は、当然のことながら、米韓相互防衛条約がありますから、韓国が攻撃を受けたときは米軍は支援をする。その米軍が日本に支援を求めてきた際に韓国が日本とともに戦うのは、先ほど来のいろいろな理由からして、これは防衛省も御苦労されていると思います。日本の旗をたなびかせた艦船が韓国の領域内に入ることになかなか抵抗があるのもわかっている。日本の自衛隊が制服を着て、韓国の領海内、領土内に入るということも今のところは難しい。

 そういうことを理由にして、例えば、米軍から要請はあるんだけれども韓国が認めなかった場合というのは、韓国の領域内において日本は米軍を支援できないということになるんですか。確認です。

山田政府参考人 御指摘の点は、あくまでも具体的な状況に応じて判断されるべきだと思いますが、先ほど申し上げましたように、武力攻撃を受けた国の要請または同意があることが集団的自衛権の行使の前提となっております。

渡辺(周)委員 それは、例えば、在韓米軍がそこにあって、在韓米軍が攻撃を受けて、米国政府から要請があっても、韓国の領域内にあるうちは韓国の同意がなければできないということですね。確認です。

山田政府参考人 具体的な点については、あくまでも具体的な事情に応じて判断していく必要があると思います。

 ただ、もし韓国が一般国際法上に言う武力攻撃を受けた国に該当するのであれば、その場合は、韓国の要請、同意を求めるというのが前提になるというふうに考えます。

渡辺(周)委員 この議論をしていても時間がもったいないので、また改めて。必ず、個別具体的な例については答弁できないと、私も昔そんな答弁をしたことがありますので、そういう答弁をすると、わかっているわけです、もうこれ以上進まないのが。

 では、自衛権の定義についてちょっと聞きます。

 先ほどあった集団的自衛権というもの、稲葉誠一さんという、社会党の当時の議員の質問主意書に対して集団的自衛権についての定義が披瀝されました。自衛権の定義、我が国の自衛権について定義はありますか。

山田政府参考人 自衛権とは一般に、国家または国民に対する外部からの急迫不正の侵害に対し、これを排除するのに他に適当な手段がない場合、当該国家が必要な最小限度の実力を行使することが正当化される権利であるというふうに考えております。

渡辺(周)委員 では、例えば、在外公館が連続して我が国を特定して襲われた場合、我が国の日本大使館や領事館が計画的に襲われた場合、あるいは邦人企業ばかりが狙われた場合、この場合は我が国は自衛権を発動できますか。

山田政府参考人 外交関係に関するウィーン条約第二十二条二におきまして、在外公館の安全確保は接受国の責任であるというふうにされております。したがって、御指摘のような事態については、第一義的には接受国が対処すべきものと考えます。

 他方、今、自衛権と在外公館警備との関係についての御質問がございましたが、現時点におきまして、在外公館の防護のために自衛隊を活用することについて、政府として具体的な検討は行っておりません。

渡辺(周)委員 アメリカが九・一一のときにアフガニスタンを攻撃した、その根拠はアメリカの自衛権だったと思いますけれども、間違いないですか。

山田政府参考人 アメリカの立場について私が公式に説明する立場にはございませんが、アメリカがそのような説明をしたという事実は承知しております。

渡辺(周)委員 日本の言う自衛権と、アメリカの言う自衛権、アメリカに限らず他国の自衛権というのは、そろっていますか。そろっていないですよね。

 つまり、アメリカの自衛のための戦争だ、あるいは自衛のための行動だということがあったときに、日本国は、それは我々の考える自衛権ではない、あくまで警察権だと。しかし、同盟国から、アメリカとは言わず同盟国から、我々は自衛権に基づいて行動を起こすので日本も協力してほしいと。日本側は、それは我々の国の概念では自衛権ではないと言えますか、そういうことが。

山田政府参考人 自衛権につきまして、国際法上の一般的な認識については大きなそごはないと考えておりますが、ただし、国際法は、自衛権に限らず、その実施においては、まず第一義的にはそれを実施する主体国家が解釈することになっておりまして、実際の実施の場面におきましては、自衛権に限らず、各国においてさまざまな認識の違いが出てくること、これはあることでございます。

渡辺(周)委員 もう一個例を挙げると、そろそろ大臣にもどこかで御答弁をいただきたいと思うんですけれども、アメリカのホワイトハウスがサイバー空間のための国際戦略というのを二〇一一年の五月に出しているんですが、このホワイトハウスの報告書では、国連憲章に基づき、国家は、サイバー空間におけるある種の攻撃的行為に対する固有の自衛権を有していると言っているんです。アメリカはサイバー空間の中にも自衛権を有すると言っていますが、日本の場合はいかがですか。

 先ほどの例を考えると、つまり、テロに遭った場合。いわゆる九・一一型テロに遭った場合に、アメリカは自衛権を発動する。あるいは、かつてあったのは、在外公館が爆破テロに遭った場合。アメリカは、自衛のためだといって海外で軍事能力を行使したことがある。リビアのトリポリ郊外のカダフィ大佐の自宅だったか、邸宅だったか、どこだか忘れましたけれども、たしか巡航ミサイルを撃ったことがあった。

 つまり、何を言いたいかというと、我が国の考えている自衛権と他国の考えている自衛権というのは実はスタンダードがない、統一基準がないわけですから、ここについては私は、集団的自衛権の議論を詰めていくときに、それぞれの国の考えている自衛権というものは、事前にある程度お互いに一つの基準というのを持っていなければ、集団的自衛権を発動、行使するということになった場合に、その場で何かそごを来すことがあってはならないと考えますが、いかがですか。

 他国の言う自衛権と、我が国の言う自衛権。もっと言えば、日本はサイバー空間は自衛権に含まれるのかどうか。それはいかがですか。

山田政府参考人 まず、事実関係についてだけ申し上げたいと思います。

 委員御指摘のとおり、サイバー空間における自衛権の問題は新たな問題でございますので、現在、国連で、政府、専門家の間で議論がなされているところでございます。

 外務省といたしましても、新美サイバー政策担当大使を専門官に任命いたしまして、積極的に議論に参加しているところでございます。

小野寺国務大臣 今議論がありましたように、サイバー空間におきましては、これはまだ国際的にもさまざまな議論が行われている段階だというふうに認識しております。アメリカはアメリカの立場でさまざまな主張もされているというふうに思っております。

 いずれにしても、今後、国際的な枠組みの中で、サイバー空間における攻撃というのが例えばどのような状況であれば武力事態に関与するのか、あるいは自衛権との関係はどのように検討すべきかということについては、今後の議論が必要な分野だと思っております。

渡辺(周)委員 また大臣に伺いたいんですが、他国の自衛権というものがどのように行使されたかということと、我が国の考える自衛権というものが背丈が合っているかどうか、そこについては研究すべきだと思いますが、いかがですか。

小野寺国務大臣 自衛権についての一般的な説明は、先ほど政府委員からあったと思っております。

 そして、それぞれの国は、自衛権の発動というのをそれぞれの国の判断で行うということが主権国家の通常のあり方だと思っています。米側も、さまざま過去の事案についての自衛権については、米側としての説明をされているというふうに思っております。

 いずれにしても、今後、さまざまな事態が発生した場合にどのような判断をするかというのは、日本として独自に判断することになるんだと思っております。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

渡辺(周)委員 何度も同じ話になりますけれども、自衛権というものがそれぞれの国によって違うということをある程度お互いが共有していった上で、集団的自衛権の行使、私は容認派ですよ、限定的な集団的自衛権行使の容認派ですが、その自衛権という言葉を詰めていけば詰めていくほど、その国によって違うんだということも前提の上で、その上でどうするかということは、今からしっかり準備しなきゃいけないというふうに思います。

 もう時間がなくなってきましたが、さてそこで、一般論で結構です、もし集団的自衛権を限定的にも容認するということになった場合に、その際、法律改正、自衛隊法の改正が取り沙汰されていますが、幾つぐらい、何本ぐらいの法律改正をすることになるんでしょうか。また、それにはどれぐらいの時間がかかるのかということは検討されていますでしょうか。

山崎政府参考人 集団的自衛権につきましては、今、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において議論されておりますので、その議論の結果、さまざまな結論に至る上での前提が出てまいりますので、その議論の結果を待ちたいと思っております。

 政府としましては、今後、懇談会の報告書が提出された後に、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上対応を検討した後、閣議決定を行い、国会での議論をしていただく所存でございます。その上で、必要に応じて、自衛隊法を初め、関連するさまざまな法律の改正についても国会での御議論をしていただきたいと考えております。

渡辺(周)委員 いや、だから、私が聞いているのは、何本あって、どれぐらい時間がかかるんだと聞いているんです。もう一回答えてください。

山崎政府参考人 今答弁申し上げたとおりの段階でございますので、現時点において、委員の御質問に具体的に改正法律の本数等をお答えできる段階ではないというふうに考えております。

渡辺(周)委員 やっていないということですか。わかるでしょう。だって、この議論が政治テーマになって、これだけやってきたんだから、そうなった場合に何本の法律の改正が必要になるかなというのは普通わかりますよね。

山田政府参考人 集団的自衛権の問題につきましては、まず、安保法制懇の報告が出た後に、与党調整を経まして、また内閣法制局の見解なども聴取しながら、最終的に、総理が申されたように、政府全体としての認識を発表すると。恐らく閣議決定であるということでございます。ですから、具体的な法改正につきましては、その閣議決定の内容を確認した上でないと確定できないということでございます。

 事前のブレーンストーミングはもちろんいろいろな形で行ってはおりますけれども、現時点で、何本の法改正が必要であるかについて明確な認識を持っていないことは御理解いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 こんなに長いこと政治テーマになって、この国会のテーマは集団的自衛権であって、安倍総理は安倍内閣が発足したときからずっと言ってきて、その前から議論されていれば、幾つの法律が大体必要か、改正しなきゃいけないか、わかるでしょう、そんなこと。言ったって、どうせ答えない。

 では、大臣に聞きますけれども、いわゆる自衛権発動の三要件というのは当然変えることになりますね、急迫不正の侵害がなくとも自衛権を発動することになるわけですから。少なくともそこはやるということの確認です。

 それから、よく例示されるのが、公海上でアメリカの艦船と共同でパトロールしていた場合、片一方が攻撃された。同盟国の船がやられたときに発動できるとなった場合、相手の敵基地も攻撃する能力を持たないと、次は自分たちがやられる。巡航ミサイルが飛んできて、はるかかなたから飛んできたものに対して攻撃しなければいけないとなった場合には、必要最小限とはいいながら、相手国の領土、領海内から発射された射程の長いミサイルを、集団的自衛権で次は自分がやられると思って自衛権を行使するとなれば、それなりの能力を持っていなければできないと思いますけれども、自衛権発動三要件については当然見直すことになるという理解でよろしいですか。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

小野寺国務大臣 まず、集団的自衛権についてですが、三要件、もう御案内だと思います。現在、このことについては、集団的自衛権の問題を初めとするさまざまな問題ということで、安保法制懇の中で議論が行われておりますので、まずは懇談会の議論を待ちたいと思っております。したがって、集団的自衛権の行使容認を前提とした自衛権発動の要件についてお答えすることは困難だと思っております。

 またあわせて、米艦船が巡航ミサイル等での攻撃をされ、集団的自衛権を行使してそれに対応する場合、よく策源地という御指摘がありますが、策源地をたたく能力についての御指摘もございました。このような内容につきましても、現在、安保法制懇の中で議論されておりますので、懇談会における議論を待ちたいとは思っております。

 その上で、いわゆる策源地と憲法との関係で申し上げれば、政府は従来から、法理上の問題としては、他に手段がないと認められるものに限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことは憲法が認める自衛の範囲内であるという考え方を示してきております。これは、あくまでも個別的自衛権として、どこまで自衛権が及ぶかという観点から論じられてきたことであります。

 また、自衛隊は現在、いわゆる策源地を攻撃することを目的とした装備体系は有しておりません。新たな防衛大綱におきましても、北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえ、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図る一環として、さまざまな議論の中で慎重に検討していくという内容でありますので、あくまでも、私どもとしては、現行の憲法の範囲内で対応するという認識に立っております。

渡辺(周)委員 全てが法制懇の結論を待たないと答えられないというんですけれども、一般論で、だって、ここに並んでいるそうそうたる方々は集団的自衛権の議論をやっているのをわかっていて、我が国に対して直接的に武力攻撃は起きていないけれども集団的自衛権を行使するとなれば、急迫不正の侵害がなくとも対応することになるわけですから、そこは、三要件というのは見直すことになるんですね、変わりますよねという確認なんです。そうならそう、そうなるだろうというのなら、そう答えていただければ結構です。大臣、いかがですか。

小野寺国務大臣 繰り返しになりますが、この問題については、現在、安保法制懇で議論がなされている最中でありますので、先ほど来説明がありました、その報告が出て、そして与党内でさまざまな協議を行い、内閣法制局としてさまざまな意見を出す中で、政府として一つの方針が出てくるものと承知しております。

渡辺(周)委員 いや、先ほどの議論からすると、我が国じゃないけれども、例えば密接な関係にある国が攻撃を受けている、我が国に対しての武力行使ではないけれども、密接な関係にあるところが攻撃を受けた場合に、我が身に攻撃を受けたということで、自衛、守るために攻撃することが、あくまで自衛権の範囲でやることが集団的自衛権だという定義があるわけですから、当然のことながら、安保法制懇が集団的自衛権というものを限定的にでも認めることになるということは、我が国に対して急迫不正の侵害がないけれども、武力を行使することになる。

 だから、この急迫不正の侵害ということについては何らかの形で、なくすのか、密接な関係にある国に対する急迫不正の侵害というふうに文言を変えるのか、あるいは何らかの条件つきになるにしても、いわゆる自衛権発動三要件は変わりますよねと当たり前のことを言ったんですが、それについて、ぜひもう一回お答えいただきたいと思います。

 それから、先ほど、日本国の法律に対して、まだ法制懇の結論が出ないからどうなるかわからない、今お答えできないと言います。では、例えば条約はどうなるんですか。当然、条約も、日米安全保障条約を含めて、限定的でも集団的自衛権の行使が可能となった場合には、何らかの形で協議を始めなければならないのか。

 私は、この中にある極東条項については残すべきだと思うんですよ。そうしないと、際限なく広がるおそれがあるのではないか。例えばそういうことも協議しなければならないと思うんですけれども、日米安全保障条約の見直しを含めて、国内法のみならず、条約の見直しや協議ということは当然始まりますよね。そのことについては、防衛大臣、いかがですか。

小野寺国務大臣 条約につきましては、所掌であります外務大臣あるいは外務省にお尋ねいただくことが適当かと思います。

 先ほど来、集団的自衛権のことについての言及がなされておりますが、これはあくまでも、国連憲章上の個別的自衛権、集団的自衛権の中の、集団的自衛権の一般的な解釈について政府委員からお話がなされているものと承知しております。

 いずれにしても、この問題については、現在、安保法制懇の中で議論が行われている最中でありますので、その報告を待って、その後、与党、あるいは法制局、政府内で検討されるものだと思っております。

岸田国務大臣 集団的自衛権と憲法のきょうの議論につきましては、先ほど来答弁にもありましたように、現在、安保法制懇の中で議論が行われ、そして最終報告書が出され、与党の中での調整が行われ、政府の方針が決まっていく、こうした道筋が想定されています。

 そして、安保法制懇の中の議論につきましても、集団的自衛権に賛成か反対かという議論のみならず、もし集団的自衛権を認めるとしても、どの水準まで認めるのか、具体的にどう認めるのか、こういった議論が行われていくことになると想定しております。ですから、その議論の行方によって、自衛権の三要件の扱いについても、あるいは条約の改定につきましても決まってくるものだと思います。

 この議論が行われている最中、今の段階で、今の御質問に対して政府の閣僚が明確に答えるというのは、先ほど申し上げました議論の進め方に反することになってしまうのではないかと考えます。よって、今の段階で御質問に答えるのは難しいと考えます。

渡辺(周)委員 ということは、安保法制懇の結論として、集団的自衛権の行使は認められないという答えも出るということがあり得るということですか。

岸田国務大臣 今の段階で予断を持って結論を申し上げることは、適切ではないと思っています。

渡辺(周)委員 そんなことはあり得ないですよ。そんなことは誰もがあり得ないと思っているわけです。そう言わざるを得ないお立場なのかと思いますが。もう時間になっちゃった。何か非常に中身のないやりとりだったような気がしました。

 そういう意味では、問題提起はしたと思います。少なくとも、こういう頭の体操というのは過去もやっていたんですね。結果によってどういう対応をするかということは、もう皆さんそれぞれ、当たり前ですけれども本当はやっている。しかし、こういうところでは話ができないというのであれば、またちょっと改めて、残った質問をやりたいと思います。きょうのところはこの辺で勘弁しておきますので、また改めてやりたいと思います。

 終わります。

江渡委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 おはようございます。日本維新の会の今村でございます。

 先般、私は、第一分科会において、中国人民解放軍に尖閣諸島や琉球諸島南部の島嶼群を電撃的に奪取する計画があり、そのための訓練をしている、中国軍は、東シナ海で日本の部隊を破壊する短期集中戦を遂行できるよう、新たな任務を与えられているという米海軍のジェームズ・ファネル大佐の個人的見解について質問いたしました。

 私は、その質疑の中で、中国がこの猫の額のような島嶼群を欲しがる理由の一つに、中国の飢えと渇き、そういったものがあると申し上げました。人にせよ国にせよ、何らかの行動を起こす際には、当然ながら理由があります。

 今般、ウクライナのクリミア半島をロシア軍が事実上の占領を行い、自国領に編入してしまったことも、ロシアなりの理由があると思います。

 日本とのかかわりにおいては、古くは日露戦争当時、クリミアのセバストポリ港からバルチック艦隊の第三艦隊が出港したこともあるように、現ロシアにとっても変わらず、セバストポリは重要な不凍港であります。ロシアはこの重要な不凍港であるセバストポリをウクライナから租借しており、二〇一〇年には、租借の延長を行うかわりにロシアが供給する天然ガスを値引きするという合意をしておりました。

 しかし、今般、クリミア半島の編入で、ロシアはその合意を破棄し、ウクライナに値引き分や滞納した額、日本円にして一兆六千億円の返済を求めています。

 ロシアは、国際世論から非難を受けるリスクをとっても、ウクライナの政権交代によって起こる、クリミアのセバストポリ港を手放すという事態を受け入れることが到底できず、実力行使し、併合後は当然ながらこれまで行った譲歩を逆に破棄しました。

 ロシアは、アメリカ以外のヨーロッパ各国との関係がエネルギー資源の供給の面からあり、クリミア併合による自国の国際社会での決定的な孤立は回避できると見込んでおるようでもあります。

 ロシアの例を見ても、二十世紀、二十一世紀においてなお、国際社会を支配するのは国際法や国際世論ではなく軍事力であり、ウクライナ軍は国家安全保障の面から見て最終的な担保となる軍事力において圧倒的にロシア軍に劣っており、いまだNATOに参加していないことも、ロシアの併呑を容易にした冷厳とした事実があろうかと思います。

 この事実は、軍事的な同盟というものがギブ・アンド・テークを基本としていることを鑑みても、我が国の集団的自衛権の問題も早急に決断すべき事案であることを示すものだと思いました。

 翻って、話は戻りますが、中国にとって、彼らの言う核心的利益、また第一列島線、第二列島線なるものも、国際法、国際世論からすれば笑止な話でありますが、中国の国土の荒廃と環境汚染による飢えと渇き、これが中国の核心的利益を主張する根底にあるというふうに思います。

 ちなみに、中国は、世界の人口の二〇%を超えておりますが、耕地面積は世界の全耕地の七%しかありません。加えて水不足も砂漠化しつつある中国国土には深刻で、水の供給は世界平均の四分の一しかないと言われております。中国が南シナ海、東シナ海を手中に入れ、海洋国家としての地歩を築けるか否かは、中国にとっての死活問題だというふうになっておると思います。

 ロシアがセバストポリ港を軍事的要請から諦め切れなかったように、中国にとって、東シナ海、南シナ海の海洋資源、海洋権益は、他国は中国が核心的利益を手放すことを夢想すべきではないという中国の国防相常万全の発言に表される、中国人民の飢えと渇きの前に決して諦めることができない資源、権益だ、そういうことだと思います。

 先日、私は、ある自衛隊OBの元幕僚級幹部とお話しする機会を得た際に、中国軍が尖閣を強襲する可能性があるのではないですかという質問をいたしました。

 自衛隊OB氏は、中国人民解放軍は元来陸軍主体であり、今の中国海軍はまだまだ未熟で、その域には達していない。また、艦艇、潜水艦の装備も旧式、潜水艦などは音が大きくて、楽隊みたいに音を鳴らして来るから、到底秘匿行動はとれない。日本の潜水艦、サブマリナーの方が格段に優秀であります。艦艇数では自衛隊にまさっても、総合力では中国軍は到底自衛隊にはかなわない。彼我の戦力差は彼らが一番よく知っています。電撃作戦についても、作戦行動の前には必ず武器、兵たんの集積や通信の増加など何らかの兆候があるはずなので、奇襲されるということはまず考えられないというふうにおっしゃいました。

 以前、私は、分科会での質疑において、特定秘密保護法が成立したことで、いわゆるECHELONという諜報手段を持つアングロサクソン系五カ国、ファイブアイズの情報を日本が得ることはできますでしょうかとお聞きいたしました。

 今般、平成二十五年の防衛大綱の中では、「こうした中国の軍事動向等については、我が国として強く懸念しており、今後も強い関心を持って注視していく必要がある。」と書かれています。また、「このため、平素から、常時継続的な情報収集・警戒監視・偵察活動を行う」ともあります。軍事活動、軍事行動の前には何らかの兆候があり、それを常続監視によって察知するということなんでしょうけれども、加えて、今申し上げたアングロサクソン系からの機密情報というものは得る必要があると私は考えますが、その点についてお答えいただけますか。

小野寺国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境の困難さについては、今、今村委員から御指摘のあったとおりだと思っております。

 ただ、例えば中国の軍事力につきましては、累次新しい装備が加わり、そして練度も上がっているという中において、私どもとして、自衛隊に比べて能力比較というのはなかなか簡単ではないなというふうに感じているところもございます。そういうこともあり、私どもとしては、特定の国を対象ではありませんが、我が国の防衛力の整備を今後ともしっかりとしていくことは大切だと思っております。

 今御指摘がありました、例えば情報協力の分野でありますが、私どもとしましては、我が国を取り巻く国際情勢が一層厳しさを増す中、国民の生命財産と我が国の領土、領海、領空をみずからの手で守るためには、政府全体の情報収集・分析能力の向上がまず第一だ、それが必要だと思っております。

 その際、我が国自身の能力向上はもとより、できる範囲において、同盟国、友好国との連携強化、これを深めていくことも極めて重要だと思っておりますので、今後とも、同盟国、友好国との間で必要な情報協力を行っていきたいと思っております。

今村(洋)委員 情報を収集して、常続監視を行って、他国の動向をいち早く察知するということが当然必要ですけれども、これは国を名指ししますが、昨今の中国の様子を見ていると、彼らの言う核心的利益に基づいて、我が日本の例えば集団的自衛権等々の準備が整わない、そういう間隙をついて彼らが電撃的な行動に出る、グレーゾーンを飛び越して実際に直接的な侵攻を行う可能性があるのではないかと最近私は懸念しております。

 さて、私が懸念するような島嶼侵攻が実際に生じて、一般の警察力をもっては治安を維持できない場合、自衛隊法第七十八条の治安出動、もしくは自衛隊法第八十二条の海上警備行動等々、警察権の行使などでは対処できない島嶼侵攻の事態が起きた場合、私は、武力攻撃に該当するという判断において、自衛隊法第七十六条の防衛出動によって自衛権を行使して対処することになるというふうに考えます。

 防衛出動においては、武力攻撃事態法九条に基づき、国会の承認を得なければならないというふうにありますが、防衛白書には、事前に兆候を得た場合には敵の部隊などによる攻撃を阻止するための作戦を行う、また、事前に兆候が得られず島嶼が占領された場合にはこれを奪還するための作戦を行うというふうに記載されております。そのためには、特に緊急の必要があり事前に国会の承認を得るいとまがない場合というふうになり、内閣総理大臣が防衛出動を命ずることになるというふうに考えますが、このときの、特に緊急の必要がありというくだりの判断は、内閣の責任もしくは内閣総理大臣の責任で行われると思います。

 その判断は、例えば、昨今の国家安全保障会議における緊急事態大臣会合、その中にいろいろな決まり、大臣のメンバーのすみ分けがありますけれども、二条一項十号によってなされる、そういうふうな緊急事態大臣会合によって防衛出動が最終的に判断されるというようなことになるんでしょうか。その辺の手続を教えてください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛出動が下令される場合に、事前に国会の承認を求めるか否かの判断の手続について、国家安全保障会議がどのような役割を果たすかという御質問であると受けとめました。まず、この場合には、内閣総理大臣が国家安全保障会議の九大臣会合で、及び閣議、その後、閣議における決定を踏まえて、そのような手続きを踏まれていくということになっております。

 先生御指摘の緊急事態大臣会合、これも国家安全保障会議の一つの形態でございますが、この緊急事態大臣会合は、武力攻撃事態等、周辺事態以外の緊急事態であって、日本の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の緊急事態対処体制によっては適切に対処することが困難な事態の対処について審議をするという性格のものでございまして、御指摘のございました防衛出動それから武力攻撃事態への対応につきましては九大臣会合でやることになっております。

今村(洋)委員 わかりました。九大臣会合によって判断されるということですね。

 国家安全保障戦略の策定の趣旨にも、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることや、我が国が複雑かつ重大な国家安全保障上の課題に直面しているというふうに書かれておりまして、この見解に異議を唱える人はまずいないと思います。

 この事実を鑑みれば、従前からの懸案である憲法上の緊急権というものを設置することの必要性も私は非常に痛感するんですが、何よりも、ある朝テレビをつけると、中国艦船が尖閣を取り巻いており、日本はなすすべもないということが決して起きないように、何とぞ大臣におかれましても御検討をよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

江渡委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 よろしくお願いします。

 実は私、先週一週間、スイスのジュネーブで開催されていましたIPUという会議に参加させていただきました。簡単に言うと、小さい国連のような会議です。そのときに、会議とは別に、いわゆるスイス・アーミーとか、スイスの国防関連施設、それから核シェルター等を見学させていただきまして、説明してくれたスイス人の方のお話を聞いてちょっとショックを受けまして、いわゆる国防とは何ぞやとか自衛の定義とか、そういうのをここ数日非常に考えさせられております。

 それで、実は、自衛権の定義というのをお聞きしようと思っていたんですが、先ほど渡辺周先生が大分深い話を質問していただいたので、ここではちょっと省略させていただきます。

 結局、自衛権の定義をどう考えるかということで国防をどうするかということが相当変わってきてしまうなというのが私の印象であります。

 この十五分は、スイスの国防を見ながら、日本の国防をどうするかという観点で話を進めさせていただきたいと思います。

 まず、スイスという国はどういう国かということと、スイスはどういう哲学で国防をしているかというのをこの場で皆さんと共有したいと思いますので、ざっと箇条書きにしてある項目を述べさせていただきます。

 なお、このほとんどの項目は松村劭先生という方が書かれた「スイスと日本 国を守るということ」、祥伝社から出している出版物、ここからほとんどとらせていただきました。

 まず、ちょっとスイスを概観させていただきたいと思いますが、スイスの国土面積は約四百万ヘクタールで九州と同程度ということです。人口は約八百万人。歴史的に、傭兵をほかの国に差し出して外貨を得ていたという国で、いわゆる兵士養成という意味では相当自信がある国のようです。

 国民皆兵制度、いわゆる徴兵制度ですね。それで、職業軍人が約四千名で、三十八万名の予備役がいる。二十歳から四十歳の男子に兵役義務がありまして、女子は任意である。数週間程度の訓練を経た後に、毎年三週間ぐらいずつ強制的に訓練に参加しなきゃいけないということであります。各家庭に自動小銃が貸与され、定年を迎えるまで保管を許可されている。

 国民皆兵制度については、やはりこれはそろそろやめてもいいんじゃないかという人が出てきたようで、昨年、国民投票によってその是非が問われまして、皆兵制廃止に反対が七三%、賛成が二三%ということで、七割以上の国民がこの皆兵制度というものを受け入れている。

 これは私がスイスで直接説明してくれた方から聞いた話なんですが、この皆兵制度も、スイスという国は四カ国語が公用語になっているようなんですが、言語が違う若者同士が交流する場にもなっている。それからもう一つは、いわゆる日本でいう引きこもりのような人もいるみたいで、そういう人たちを引っ張り出して、いわゆる社会的に適応させるという意味でも役に立っているというようなことをおっしゃっていました。

 あと、特徴としては、憲法で食料備蓄を義務づけるとか、国民が飢えないための戦略というのは具体的に細かく規定されているということでした。

 これだけでかなり時間をとってしまうんですけれども、もうちょっと行きます。

 もう一つ、国防に関するスイスの方針というものをちょっと述べさせていただきます。

 基本方針は徹底抗戦。有事のときは徹底抗戦。全国土が占領されても降伏はしない。同盟国がない中立主義ゆえに、依存心はありません。他国への依存心はない。国防は、過去と将来のスイス人に対する責務であると思っている。

 それから、スイス軍人にとって国防は自然権であって憲法の上位にある。これは先ほどの松村先生の解釈です。究極的に守ろうとしているのはスイス人による直接民主制による国家システム、すなわちスイス連邦と言われる国体を守ることである。

 国防力の組織と運用は戦いの原則に基づいてなされる。国家国民との契約を守るためには、時の憲法を破ってでも勝利するのが本物の軍隊である。それから、戦闘による損害を見積もって補充計画を作成し、各州に補充員名簿の作成を指示している。

 スイスのことを語り始めたら多分一時間以上かかってしまいますので、このぐらいにしておきます。

 とにかく、これだけ読んだだけでも、本当にすごい国だなというのが私の個人的感想で、現実的にこういう国が存在するというのを見せられただけでも、私は、国防とは何ぞやというのを本当にずっと考えているんです。

 質問に入らせていただきますが、有名なスイスの民間防衛システムということで、軍事に限らず、自然災害に対しても適用できるような、いわゆる予備役をできる方々は、とにかく常にトレーニングしているわけです。そういう何にでも対応できるような体制というのは、総合防衛という概念で言いあらわしているようなんですが。このような国防の考え方について、とりあえず、今までのお話を聞いた上で、感想をちょっと教えていただきたいんですが、いかがでしょうか。よろしくお願いします。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 スイスに出向かれたということで、私も友人がスイスに住んでおりますものですから、先生の問題意識というのも十分理解をするところでございます。

 スイスにおきましては、中立を維持するという立場がまず大前提でございますので、NATOを初めといたします現在の軍事同盟には加盟していないというのは御承知のところだと思います。その上で、今委員御指摘の軍隊と非軍事部門、いわゆる警察ですとか消防ですとか、それからまた地方公共団体等々を含みます団体が連携して、戦争のときのみならず、自然災害を含むさまざまな緊急事態に十分な備えをしているということは、十分承知をいたしているところでございます。

 各国におきます国防の考え方につきましては、それぞれの国を取り巻く安全保障環境、あるいは、我が国でもそうですけれども、自然災害を含みます地理的特性にかなり大きく左右されるところがあるのではないかというふうに思っております。単純に比較、論評するということは非常に難しゅうございますが、一般論として申し上げますと、想定し得る各種事態に対しまして必要な危機管理体制をきっちりと構築していくことは非常に重要なことだというふうに認識をいたしてございます。

 私ども防衛省といたしましても、国家安全保障戦略に基づきまして総合的な防衛体制を構築しようということで、具体的には、戦略環境の変化や国力、国情に応じまして、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備し、統合運用を基本といたします柔軟かつ即応性の高い運用に努めるとともに、もちろん政府機関のみならず地方公共団体あるいは民間の企業とも連携を深めるなど、武力攻撃事態等から大規模自然災害に至るあらゆる事態にシームレスに対応するための総合的な体制を平素から構築していかなければならない、そのような認識でおるところでございます。

宮沢(隆)委員 ありがとうございます。

 スイスの方はかなり、一言で言うと過激なので、そのようなお答えが無難なのかなと思います。

 もう一つは、スイスのお話の中で僕がある意味一番ショックを受けたのは、やはり国民自身の国防意識というものなんですね、七〇%以上が皆兵制度に賛成という国民ですので。では、翻って日本を見た場合に、僕は、日本の国民自身ももうちょっと国防意識を持ってもいいんじゃないかなと思っているんです。

 もちろん、別に皆兵制度に賛成しているわけでもないし、それがベストだとも思っていないんですけれども、いわゆる国防意識という観点で、今後、防衛省等で何か戦略的になされようとしていることがあるのかどうかを含めて、ちょっとお答えいただければと思います。

若宮大臣政務官 大事な御指摘だと思っております。

 委員が先ほども披瀝をいただいたように、スイスにおきましては、確かに、昨年九月の国民投票の結果、徴兵制を維持ということで高い支持を得たようでございます。また、有事の際に兵役の義務に服していない男性の国民は市民の保護に関する役務の提供を義務づけられているということで、国の防衛に国民全体が非常に深く関与するというような体制になっているものと承知をいたしているところでございます。

 他方、スイスと私ども日本は国土、国情が異なりますので、一概に比較するということはなかなか難しゅうございますが、我が国の国民の国防意識につきまして、実際にそれがどのように認識されているかということの一つの指標といたしましては、一昨年、平成二十四年一月でございますが、内閣府が実施をいたしました、自衛隊・防衛問題に関する世論調査というのがございます。

 そこでは、防衛問題に対して関心があるという回答をした方の割合が六九・八%ということで、これは三年に一回の調査でございますが、前回の平成二十一年のときよりも約五%ほど増加をしている状況でございます。かつ、調査を開始いたしましてから最も高い数値を示しています。これは、いろいろな災害で、自衛隊が皆様方のところで、雨ですとか雪ですとかさまざまな場面で活動している、非常に助かったというようなことがやはり大きいのかなというふうにも思っているところでございます。

 このように、国民の防衛問題に対する関心度というのは今非常に高まっていると感じておるところではあるんですが、いまだ十分な関心を持たれていない方もいらっしゃると思います。こういった方々に対しましては、真摯に受けとめることが必要だと思っておりまして、私どもといたしましては、委員の御指摘を踏まえて、引き続き、自衛隊それから防衛問題に関しまして国民の皆様方に関心を持っていただく、国防についての意識、理解を高めていただくべく、さまざまな機会を捉えて積極的に広報活動に力を入れてまいりたい、このように思っているところでございます。

宮沢(隆)委員 ぜひよろしくお願いします。

 では、もう時間が残り少ないので、短目に、最後の質問です。

 先ほど紹介しました松村先生の本の中で、この先生が、世界秩序の維持という意味でいろいろ述べているんです。

 センテンスだけ言いますと、世界秩序の原則は勢力均衡である、国際政治における覇権の変動は自然のおきてである、おのれを自助しない者を助ける他者はいない。あと、今の日本の国防についてちょっとちくりと言っていることがあるんですが、日本は建前と本音の社会であると自評してきたが、国際問題の議論においてはその使い分けができていない、むしろ単純な思考回路で動いているように見える。こういう意見なんですけれども、これに対して防衛大臣からコメントをいただければと思うんです。ちょっと突然でしたか。

小野寺国務大臣 我が国の防衛にとって、まず我が国自身がしっかりとした防衛力整備をすることが重要だと思っております。今回、大綱の中で、統合機動防衛力の構築ということを今後とも整備していくということで進めさせていただいております。

 また同時に、外交的なさまざまな役割の中で、特に同盟国との関係の強化、これも我が国の防衛にとっては極めて重要なことだと思っております。

宮沢(隆)委員 通告がうまく伝わっていなかったようで、済みません。

 どうもありがとうございました。これで終わります。

江渡委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会の中丸啓でございます。

 きょうは余り時間もありませんので、できるだけ簡潔にいきまして、足りない部分はまた一日に引き続きお願いさせていただきたい、このように思います。

 シーレーンも含めて、我が国と友好な関係を維持していく必要があると考えている台湾との関係なんですけれども、昨日、日華懇が開かれまして、日華懇は二百名以上を超える国会議員が参加している状態でございます。本年は特に、国立故宮博物院から例の白菜とか、日本でこういったものも展示いただける。非常にありがたいことで、台湾にとっては観光資源でもあるものを長期にわたって日本にお貸しいただける、非常に感謝を述べるべきところだというふうに思います。

 そういった中で、今、台湾の立法院が学生を中心に占拠されるという問題がありまして、昨日の日華懇にも、こっちの日本の大使館に当たる建物に留学生が数十人集まって、台湾の皆さんは日華懇に参加することができないというような事態があったわけです。

 まず岸田大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、こういったことをどの程度把握されているか、それから、今後の日台関係についてどのようにお考えか、お聞かせ願えればと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘の台湾における両岸サービス貿易取り決めをめぐる抗議活動についてですが、三月十八日の夜、昨年六月に署名された両岸サービス貿易取り決めに反対する台湾の学生デモ隊が立法院に侵入し、議場を占拠いたしました。

 また、二十三日夜には行政院に侵入し、二十四日未明、警察が行政院からデモ隊を強制退去させたものの、現在も一部デモ隊は立法院を占拠していると承知をしております。

 こうした台湾の内部での動きあるいは抗議活動の背景について、政府として断定的に申し上げることは控えなければならないと思っていますが、本件が台湾の内政、あるいは両岸関係にいかなる影響を及ぼすかについては、政府としましても状況の推移を関心を持って見守っていきたいと考えております。

 なお、邦人の安全確保の観点からは、注意喚起を行っております。

 そして、今後の日台関係についてどう考えるかという御質問もいただきましたが、台湾との関係に関する我が国の基本的な立場は、一九七二年の日中共同声明も踏まえ、非政府間の実務関係として維持するというものであります。

 台湾は、自由、民主主義、基本的人権あるいは法の支配、こういった基本的価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する我が国の重要なパートナーであり、そして大切な友人であると認識しております。このような認識のもとに、引き続き日台間の実務的協力関係を着実に発展させていきたいと考えております。

中丸委員 今後も引き続き友好な関係を構築してまいりたいと私も思います。

 そういう中で、今回、不法占拠が起こった一番の理由は、台湾の若者たちが、今回の協定によって台湾は中国に合法的にのみ込まれてしまうんじゃないか、これを危惧しての活動だと思います。

 そういう意味では、ウクライナ、クリミア半島で行われているロシア軍による占領もそうなんです。これは、クリミア半島のうちにロシア語を使用する人たちが七七%住んでいたというところです、全体でいうと人口の三〇%ということです。今回、クリミア半島がされて、その次に、東部のドネツク地方も同じように、七割を超えるロシア語を使用する人たちがいるエリアがまだ残っている。

 ある意味、クリミア半島が、ロシア側の言い分は、住民投票、民主的に住民が判断した、独立したいということを述べたということが大義になっているんだと思うんです。

 先ほど来の質問でも岸田大臣もおっしゃられていましたが、国際法上、当然許されるべきではないというところで、EUを含め、もちろん米国もですけれども、各国が制裁を行っていくという中で、アメリカ、カナダ、EU、イギリス、フランス、その中でイギリスが一番強い制裁を考えているというのはありつつも、例えば、同じEUの中でも、フィンランドはロシアに天然ガスを一〇〇%依存しているような状況の中で、現実的にこの制裁というのはどの程度効果があるというふうに岸田大臣は見込まれているか、ちょっとお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 ロシアに対する措置ですが、まず、我が国は、ウクライナの状況につきまして、クリミア編入につきましては、ウクライナの主権あるいは領土の一体性を侵害するものであり、これを非難し、そして、力による現状変更は容認できない、こういったことをG7各国とともに共同声明等を通じまして公表しております。

 そして、その中で、十八日に、我が国としましても、ロシアとの査証緩和に関する協議を停止する、また、新投資協定あるいは宇宙協定及び危険な軍事活動の防止に関する協定、この三件の新たな国際約束の締結交渉開始を凍結すること、これを発表いたしました。

 こうした我が国の措置については、力による現状変更は認めないという我々の立場や考え方を示すという意味で、これは意義ある対応であると考えております。

 そして、今後につきましては、二十四日のハーグ宣言の中にも、引き続きロシアに対しまして外交的な責任ある行動を求める、こういった内容になっています。ロシアに緊張緩和に向けて行動することを促す、こういった内容になっておりますので、今後のロシアの行動、あるいはウクライナ情勢、そしてG7の各国の対応を見ながら、我が国としても対応を適切に判断していかなければならないと考えております。

 基本的には、G7各国が行われておりますさまざまな措置、制裁につきまして、基本的な考え方で一致しながら、我が国としましては状況を見ながら適切に対応していく、こういった考えであります。

中丸委員 もちろん、G7と歩調を合わせるということも大事なんですけれども、我が国は独立国でありますから、当然、ロシアとも直接の交渉ルートがあるわけです。国際社会と協調しながらも、やはり我が国は我が国独自で、北方領土問題、それから今後はエネルギー問題、さまざまなことでロシアとのかかわりというのは存在するわけですから、両面とまでは言いませんけれども、したたかにやっていただきたいなというふうに思っております。それについてお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 おっしゃるように、基本的にはG7関係国としっかり連携をしていかなければならないと思いますし、力による現状変更はしてはならないと考えています。

 しかしながら、先ほどのハーグ宣言の中にも、状況を緩和するための外交的道筋は引き続き開かれているとされております。我が国としましては、昨年来の日ロ関係に基づいて、ロシアに対してしっかり働きかけを行う、平和裏に事態が収拾されるべく努力をしていかなければならないと思っています。

 そして、あわせて、厳しいアジアの安全保障環境を考えますときに、日ロ関係を安定化させること、これも大変重要な課題であります。引き続きまして、日ロ間においては、政治対話を重ねながら両国関係を進めていく、こういった努力も必要だと考えております。

中丸委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 私、ちょっと思い出したのが、昔、イラクがクウェートに侵攻したとき、このときはアメリカを中心に素早い軍事行動というのもあったわけで、今回、ロシアへの制裁措置をG7各国を中心に行っているんですが、アメリカも世界の警察ではないと言われる中で、実際、国連の中の常任理事国で、もちろんロシアはその大国の一つであります、今回この決議に棄権した中国もまたその一つであります。

 この二カ国がそういう状況の中で、簡単に言えば常任理事国というのは核保有国である、ある意味、核兵器大国だと言っても言い過ぎではないと思うんですけれども、クウェート侵攻のときと何が一番違うかというと、私はやはり、ロシアにしろ、核兵器を保有している、これが非常に大きなポイントだと思うんですね。それはもちろん、アメリカにしろイギリスにしろ、では、けしからぬから即軍事行動だなんてことは当然できないわけで、実質上、常任理事国が中心となっている国連の、ある意味限界が見えている案件だというふうにも考えられます。

 我が国を振り返ってみれば、尖閣諸島も含め、中国からは、昨年の防空識別区の設定もそうですけれども、一方的な、抑圧的な、とても見逃すことができないような行動が行われている中で、我が国の未来を考えたときに、核兵器を保有している国の発言力というのは非常に大きいわけでございます。先日の北朝鮮のミサイル発射も、このミサイルの何が一番問題なのかというと、核兵器を搭載できる可能性があるからでございます。

 それを考えたときに、核兵器を保有している国に対して、我が国は核兵器による直接的な抑止力は持たない国でございます。この持たない我が国が、その安全と抑止力、交渉力を保持するための選択肢というのはどういうものがあるというふうにお考えか、外務大臣と防衛大臣、御両人にお尋ねさせていただきます。

岸田国務大臣 我が国の安全保障環境が一層厳しさを増す中にありまして、我が国としましては、まずは我が国自身の防衛力を強化すること、これは当然努力をしなければなりませんが、あわせて、日米安全保障体制のもとで、核戦力を含む米軍の抑止力を維持向上させることによって自国の安全を確保する、こういった必要があるとまず考えております。

 昨年十月に行われました日米2プラス2において発出いたしました共同発表を含め、米国は核戦力を含む米国の軍事力により我が国の防衛について日米安全保障条約上の義務を果たす旨、累次にわたって確認しているところです。その上で、日米間において、同盟の抑止力を向上するため、安保・防衛協力を着実に推進していく、こういった考えであります。こういった考えに基づいて我が国の安全を守っていくというのが、我が国の基本的な立場であると認識をしております。

小野寺国務大臣 世界のさまざまな地域の中で、核保有国あるいは核保有国になろうとしているところが遍在をしている、そういう環境に実はこの東アジアは現在直面している状況にあると思っております。

 その中で、厳しい安全保障環境は今外務大臣から述べられたとおりでありますが、核兵器を保有しないこととしております我が国の安全保障を全うしていくためには、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止、これが不可欠だということであります。

 先ほどお話がありましたが、日米2プラス2の中で、特に日米防衛協力ガイドラインについても、ことし中にこれはしっかりとした形で、十七年ぶりの改定を行うということで合意をしております。

 こういうさまざまな日米それぞれの相互の協力の中で、この核抑止のことについても、私どもとしては、しっかり日本の安全保障に重要な役割を持つものとして捉えていきたいと思っております。

中丸委員 俗に言う米国の核の傘、抑止力と連携しながら行っていくのが我が国の現状の防衛判断であるということは、私もそのとおりだというふうに思います。

 しかし、実は、抑止力として、それだけではなくて、先日の代表質問でも私は申し上げましたけれども、通常戦力優位というのは、これはもう絶対なんですね。傘の下に入っているだけでいいというものではなくて、そのために戦略、大綱、中期防というふうに考えていただいていると思うんですけれども、このステップの中で一つ足りないなというところがありまして、これは小野寺防衛大臣にお伺いしたいんです。

 アメリカは今までさまざまなところで戦ってきた国であります。一番初めに行う作戦は、やはり敵の目と耳を潰すということであります。どうするかというと、電子戦機、航空機を中心としたものを飛ばして、妨害電波を発し、通信を妨害し、その上で敵のレーダーを破壊する、これがまず一番初めに着手するところでございます。そのために米海軍はEA6という電子戦機を持っていますし、空軍ではEF111Aというものを保有しています。

 残念ながら我が国はこういった兵器はないと思うんですけれども、核抑止力を持たない我が国が、やはり今回の北朝鮮の発射もそうですが、ミサイルを撃ち落とすシステムというのは、今、イージス艦も含めパトリオットを装備されていると思いますけれども、そういった一定の行動があったときに誘導することを潰すということも一つの大きな手段だと思うので、今後、こういった電子戦に携われるような戦闘機等をお考えになる余地は、あるかないかで構いません、小野寺大臣、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 我が国は、憲法のさまざまな制約上も、我が国の防衛力の整備というのは一定の制限があるということは委員も御承知のことだと思っております。

 その中で、実際、さまざまな脅威にどのような形で対応できるかということについては、これは今回の防衛大綱の中でもさまざま議論をしていただきました。委員長であります江渡当時副大臣に中心になって検討していただいたこともございます。

 こういう検討の中で、私どもとして、しっかりとした対応ができる装備をこれからも検討し、充実させていきたいと思っています。

中丸委員 よろしくお願いいたします。

 ほかにもたくさんあるけれども、時間なので、ちょっと、最後に一問、これは国民の皆さんも聞いてみたいなというところだと思うんです。

 アメリカの核抑止力を我が国はかりているという状況の中で、仮にアメリカとの安全保障上の核抑止力が使えないということになった場合、我が国はどうしたらいいんでしょうか。岸田大臣、いかがですか。

岸田国務大臣 御指摘の点について、仮定に基づいて私がこの場で断定的に申し上げるのは適切ではないと思います。

 何よりも、日米同盟は、昨年来、さまざまな協力関係を積み重ねて、具体的な協力関係を積み重ねておりますし、また、二国間関係だけではなくして、中東ですとかシリアですとかイランですとか、さまざまな課題において協力を積み重ねています。こうしたグローバルな課題においても協力関係が積み重なっています。

 こういった現状を見るときに、日米同盟、大変強固なものであると考えていますし、このことにつきましても、二月に私もワシントンに行き、日米外相会談を行いましたが、改めて確認をさせていただきました。また、四月にはオバマ大統領の訪日も予定されています。

 こういった日程を通じまして、改めて日米同盟は強固であるということを確認するとともに、しっかりと国際社会の理解を得るべく努力をしていきたいと考えています。

中丸委員 時間が来ましたので、最後に一言だけ申し上げさせていただきますと、こういったイフ、もしもに備えるのが国防の基本的な考え方であろうというふうに思います。せっかくNSCもできたわけですから、表に出る出ないは別にして、そういった議論も、臭い物にふたではなくて、真摯に小野寺大臣も含めて取り組んでいただいて、もしもの場合にどうするのか、これが我が国の国家安全保障の中で一番大事な部分だということを申し上げさせていただきまして、中丸の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 まず、質問に先立ちまして、昨日、北朝鮮が日本海に向けてミサイル発射の暴挙に出たことに関し、強い遺憾の意を表したいと思います。

 日本と北朝鮮の間には解決されていない数多くの問題が横たわっておりまして、拉致問題というのもその一つでございます。そのような問題の解決に向けて、また、ミサイル発射というような強硬手段が何らよい効果をもたらすものではない、これをしっかりと北朝鮮に理解させるべく、ぜひとも政府においても対応していただきたい、これをまずお願いさせていただきます。

 さて、本日は、安全保障委員会において所信に対する質疑の機会をいただきましたので、限られた時間、しっかりと使ってまいりたいというふうに思います。

 まず、サイバー空間における防衛のあり方について伺います。

 昨日、サイバー防衛隊が新しく編成されました。我が国をめぐる安全保障環境が厳しさを増す、皆さん口をそろえて言っておりますけれども、このサイバー空間というのも、陸海空そして宇宙に次ぐ第五の防衛領域として認識されている。このサイバー空間における自衛隊の体制を強化することは非常に重要な課題であるというふうに私も考えております。

 そこで、小野寺大臣に伺います。

 まず、このサイバー防衛隊の発足の目的、そしてサイバー空間における防衛の重要性について、御認識を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、中山(泰)委員長代理着席〕

小野寺国務大臣 サイバー空間の拡大に伴い、サイバー攻撃が行われた場合には、社会活動の広範囲で甚大な被害が生じる可能性があります。また、サイバー攻撃は目的、手法が多様であり、攻撃源の特定や抑止が困難という特性があります。

 自衛隊の任務遂行上、サイバー空間の安定的な利用の確保は不可欠の前提でありますので、日々高度化、複雑化するサイバー攻撃の脅威に適切に対応するため、昨日、三月二十六日でありますが、サイバー防衛隊を大臣直轄部隊である自衛隊指揮通信システム隊、C4SCと呼びますが、その隷下部隊として、約九十名の規模で編成いたしました。

 サイバー防衛隊は、防衛省・自衛隊のネットワークの監視及びサイバー攻撃発生時の対処を二十四時間体制で実施するとともに、各自衛隊に分散しているサイバー攻撃に関する脅威情報の収集、分析、調査研究等を一元的に行うことになります。

 防衛省・自衛隊としては、サイバー空間の安定的な利用の確保は我が国の安全保障上重要な課題であることから、関係省庁と協力しつつ、サイバー防衛隊を中核として、自衛隊のサイバー攻撃対処能力の向上に向けて、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、サイバー空間をしっかりと防衛していくんだ、そういう認識のもとサイバー防衛隊がつくられたということですけれども、インターネットの世界ではもう本当に毎日のように、そして毎日どころかほぼ毎分、毎秒のように、さまざまな政府機関に対してハッキングを含めて攻撃が仕掛けられているというふうに言われております。

 その中で、一日に何件くらい攻撃が仕掛けられているというふうにこれを認識されているのか。そして、いわゆる自衛権の発動要件たる武力攻撃、それが全部該当するとは考えておりませんけれども、どのような状況になれば自衛権の発動要件たる武力攻撃だというふうに認識できるのか。その辺についての判断基準について伺いたいと思います。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、いわゆるサイバー攻撃と言われているものでございますけれども、そもそも誰が行うのか、実際には、個人において行われるということもあるでしょうし、それから、実行主体が国である場合、あるいはテロ組織である場合という、いろいろなことがあると思います。したがって、実施主体が誰であるかということによっても、武力攻撃に当たるかどうかというところが違ってくるかと思います。

 それから、先生御指摘のように、確かにいろいろなところにおいてサイバー攻撃なるものが行われているという情報には我々も接しておりますけれども、いずれにいたしましても、通常サイバー攻撃と言われているものが、例えば、単にウエブサイトを改ざんする、それ自体も問題ではございますけれども、そこにとどまるものから、あるいは、相手方のシステムに入り込んで情報を見る、あるいはとっていくというものもあるかと思います。それから、重要なインフラ、あるいは軍事システムといったものの機能の停止に至るというものもあると思います。

 したがいまして、そのように一口でサイバー攻撃と言っても、これが特に自衛権の行使などとの関係で言われる武力攻撃というものに当たるかどうかということについては、非常に難しい要素がございます。

 こうした特性も踏まえまして、現在、国際的にもさまざまな議論が行われておりますので、サイバー攻撃というものを武力攻撃と捉えるかどうかということにつきましても、確立した考え方があるわけではありません。

 いずれにいたしましても、通常、これまで伝統的に言われております武力攻撃の一環としてサイバー攻撃というものもあるのであれば、それはまさに武力攻撃の一環であるということで、自衛権との関係でいえば、それは自衛権行使の要件の一つには当たるであろうというようなことは言われているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 今まさにその議論をされている最中だということでございますので、必ずしも明確な基準が現時点であるわけではないというふうに思っております。その意味で、そういった議論を待つのではなく、今回編成されましたサイバー防衛隊の任務について伺いたいというふうに思いますけれども、これは大きく二つ、サイバー攻撃された場合というのはあり得るかなというふうに考えております。

 一つは、自衛隊のネットワークが直接攻撃された場合、それによって部隊の運用等々に非常に困難を来している場合、この場合にサイバー防衛隊の出動だというようなことになるのかどうかということです。

 そしてもう一つの事例は、例えば、日本の中で幾つもこれから原発が再稼働されていくということになった場合に、制御システムがある意味コントロールされてしまう、奪われてしまって制御不能な状況に陥ってしまうというようなことで、それがまさに各地において安全保障上の脅威になるというようなことが想定されますけれども、この二つ目の事例についても、サイバー防衛隊というのは何らかの対処をする、そのような職掌を負っているのでしょうか。大臣に。

中島政府参考人 三点に分けて御説明申し上げたいと思います。

 一つは、まずサイバー防衛隊のミッションでございますけれども、先ほど大臣から申し上げましたように、脅威情報の収集や共有、それから防護、あるいは訓練、調査研究、技術支援、こういったことをやっております。

 御案内のとおり、サイバー空間、自衛隊にとりまして、情報通信ネットワークは指揮中枢から末端の部隊に至るまでの指揮統制のための基盤でございます。したがいまして、その安定的利用が不可欠でございますけれども、例えばハッキングないしはロジックボムの、すなわち、一定の条件ないし時間が来たときに一定のソフトウエアが働くといった、埋め込みによりますサイバー攻撃によりまして機能停止が行われますと、やはり国防の根幹にかかわる問題が発生いたします。

 したがいまして、防衛省のネットワークにつきましては、サイバー防衛隊を中心といたしまして、まず、みずからの情報システム及び通信ネットワークの防護のための能力向上に精力的に取り組んでまいります。

 他方、三つ目の点として、御指摘ございました原発等の重要な社会インフラに対する攻撃への対処でございますけれども、これは、官民における統一的、横断的な情報セキュリティー対策ということが必要になろうかと思います。現在、内閣官房を中心として取り組みが進められておるところでございます。

 防衛省におきましても、みずからのネットワークだけではなくて、こういう空間の防衛も非常に重要であるということから、例えば三点ほど申し上げますと、内閣官房の情報セキュリティセンター、NISCへの要員の派遣、それから、収集した脅威情報につきましてNISCを通じて関係省庁へ情報提供する、それから、情報セキュリティ緊急支援チーム、CYMATと呼んでおりますけれども、ここへの要員派出、こういうような措置を通じまして、政府全体としての総合的な取り組みに貢献することとしておるところでございます。

三谷委員 今のお答えを簡単に要約すると、自衛隊そのものが攻撃の対象になった場合には、もちろんこのサイバー防衛隊の出動ということにはなるけれども、原発とかその他の重要なインフラ等々に対する攻撃が行われた場合には、直接にはこのサイバー防衛隊の仕事ではないというような取り扱いが現状なされているという理解だというふうに考えております。

 これは、実際、軍が攻めてきた場合ですと、自衛隊そのものに対する攻撃であることと、重要なインフラ、例えばダムですとか、いろいろな地域ですとか町ですとか、そういったところに直接攻撃がなされた場合、これは取り扱いを異にしないわけでございます。現時点で、サイバー防衛隊というものの役割が限定されているんだということを、まずはしっかりと見据えていくということが必要なのではないか。その上で、ぜひとも、サイバー空間をしっかりと守っていくという観点から、ここに対する守りというものをもっともっとふやしていくべきなのではないかと考えております。

 例えば、今懸念されております、島嶼部が他国の軍隊によって占領されたような場合を想定いたしますと、もちろん、それを取り戻す、奪還するというときには、陸海空それぞれの自衛隊が統合運用されてそれを取り返していくということになるかとは思いますけれども、その中で、一つ、場合によっては、相手のネットワークに侵入して、そのネットワークをダウンさせて、それぞれの部隊間での情報通信というのを麻痺させる。その中で、混乱に陥れて島嶼部を奪還する。いろいろな、サイバー空間を使って島嶼部奪還、実際にオペレーションを遂行していくというようなやり方だってあるわけであります。

 自衛隊というものは何かと言いますと、もちろん、基本的には専守防衛ということでございますから、こちらからは攻めないというところがあるわけです。では、装備品を見てみると、盾とかよろいとか、何もそういったものだけを持つわけではなくて、やりとか弓矢とか、これはもちろんミサイルとか鉄砲とかそういう話ですけれども、攻める道具も当然ながら持っているわけです。

 その発動の要件というものが、単に、先に向こうが攻めるまで待つというだけのことですから、基本的に、サイバー空間での自衛隊のあり方ということを考えるときには、当然ながら、攻めることというのもどんどん考えていかなければいけないですし、そのための技術も備えていかなければならないんだろうというふうに考えているわけでございます。

 相手に対して攻めるということをぜひとも考えていただく、それをお願いするとともに、この点で一つ質問したいと思っています。

 例えば、先ほど相手国のネットワークをダウンさせるということを考える際には、どうしても、相手国の中に設置されているパソコンですとかサーバーですとか、そういったところまで侵入しなければいかんともしがたいというような話になっていきます。もちろん、自衛権という憲法上の制約がある中ではありますけれども、相手国の中に入っていってそういったことをこれからやるべきではないかと考えるわけです。その点について大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

    〔中山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

小野寺国務大臣 サイバー空間の定義、あるいはサイバー空間における武力攻撃についての考え方、これはまだ国際的な方向が定まっているわけではないと思っております。ですから、私どもとして、現在、サイバー防衛隊で、自衛隊のネットワークの維持、そして外部からの攻撃についての防御、またさまざまな情報の蓄積、研究開発、こういうところから始めていくことがまず重要だと思っております。

 いずれにしても、今の国際社会の中で、このサイバー空間の安定的な利用、これは共通の認識だと思っています。そして、それをある面で乱すような行為については、国際社会として、一つの定義をもとにしっかりとした防御体制あるいは国際的なルールをつくっていくことが肝要かと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 サイバー防衛隊は、昨日、九十人規模で発足したというふうに聞いておりますけれども、これは公表ベースで構いません、アメリカのUSサイバーコマンド、いわゆるアメリカのサイバー軍と言われているものの規模についてお答えいただければと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の米国のサイバーコマンド、これは戦略軍隷下のサブコマンドでございまして、各軍の隷下部隊を含めますと、公表ベースで申し上げますと約一万一千名ということで承知しております。

三谷委員 今お答えいただきましたとおり、一万一千名。日本では九十名からスタートということで、これは小さく産んで大きく育てる一つの例だと思っておりますけれども、しっかりと対処していただきたいとお願いをさせていただきます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 日本版DARPAの創設の必要性について、次に伺っていきたいと思っております。

 今、防衛省においてさまざまな研究開発に取り組まれているということだと思っておりますけれども、その研究開発の現状について、認められている予算を含めてお答えいただきたいと思います。

外園政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省では、陸海空自衛隊等が使用する航空機、ミサイル、レーダー等、多岐にわたる装備品の研究開発を防衛省の技術研究本部において一元的に実施しておるところでございます。

 防衛省の研究開発予算の規模は、平成二十六年度予算では千三百四十六億円、対前年度予算三十八億円増となっておりまして、国の科学技術の研究開発予算に占める防衛省の研究開発予算の割合に関しましては、内閣府から公表されている最新のデータによりますと約四・五%ということになっております。

三谷委員 ありがとうございます。

 四・五%という数字が大きいか小さいかというのはさまざまな見解があるとは思いますけれども、しかしながら、現状で日本は、軍事技術の開発ということを考えると、必ずしも先を行っているというような状況ではないと認識しております。

 今般、武器輸出三原則を見直していくというような話もあるわけですけれども、武器輸出の三原則を見直すということをしたところで、これは中身が伴っていなければ余り意味がないわけでございますから、ぜひとも、見直すなら見直すということで、それをどういうふうに生かしていくかということも考えていただきたいというふうにお願い申し上げます。

 幾つかここで質問も考えていたんですけれども、ちょっとそこは割愛させていただきます。

 アメリカですと、必ずしもアメリカがやっていることが全部いいということではありませんけれども、例えばインターネットですとかGPSですとか、今では誰もが当たり前に使っているそういう技術も、もともとはどこから始まったかというと、軍事技術から始まっているわけでございます。その軍事技術というものは、では自然に生まれたのかというと、そういうわけではありませんでした。アメリカでは、国防高等研究計画局、これは通称DARPAと言われていますけれども、そういう組織がありまして、そこがしっかり予算と目的を持って、そういう軍事技術の開発に当たっているということでございます。

 日本において、このDARPAのような組織をつくる予定というのはないでしょうか。

外園政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のDARPAのように、ハイインパクト、ハイリスクの研究を行うことは、分野を問わず革新的な技術を創造するためには有効な手段であると認識しております。

 今般、内閣府におきましても、民生技術のイノベーション創出を主たる目的として、DARPAのすぐれた手法を取り入れた研究開発プログラム、いわゆるImPACTを実施しており、研究テーマとして国民の安全、安心に資するデュアルユース技術も設定し得るとされていることから、防衛省としても、成果の活用も視野に入れつつ、その動向について注視しているところでございます。

 一方で、防衛省では、防衛省・自衛隊のニーズに適合した装備品を創製する必要があり、限られた予算を有効に活用する観点から、DARPAまではいきませんが、技術的なリスクを精査しつつ、大学や独立行政法人等との連携により、先進的な民生技術を取り込み、より効率的、効果的な研究開発の推進に努めているところでございます。

三谷委員 DARPAみたいなものを日本でつくるのはどうですかという話をすると、必ずこのImPACTの話をお答えいただくんですね。

 ImPACTというのは、もちろんそれ自体が間違えていると言うつもりはありません。しかしながら、これは、制度だけつくって魂がこもっていないようにどうしても見えてしまうわけです。

 ImPACTの目的は、革新的な技術、それによって日本を変えるんだ。お題目はいいんですけれども、では何をやっていくんだということは、必ずしも、総花的にいろいろ、何でもやってください、社会を変えるんだったら、それはすばらしいことだからやってくださいということでは、革新的な技術というのは生まれてこないんだろうというふうに思っているわけであります。

 人間にはいろいろな欲求があるということで、食欲なのか、それが睡眠欲なのか、それがはたまた性欲なのか、いろいろありますけれども、例えばそういう欲求が技術革新につながっていった。家庭の中でも、例えばVHSのビデオが広まったりとか、インターネットが広まり、それがブロードバンドになったり、そういったことにつながっていくというのも、本当に欲求に応えていこうというようなことがあるからなんです。

 この軍事技術というのも、そういう技術革新を進めていく、本当に重要な欲求の一つなんです。それはなぜかといったら、国を守る、そしてそこで国を守るために働かれている兵士の命を守る、そのためにどのような技術を進化させなきゃいけないのか、これも本気でそれに取り組めば、いろいろな技術がどんどん生まれてくるんです。

 そういう確固たる目的があるからこそ、技術が伴ってくる。何でもいいから、そこにお金をつけますよということで、本当に革新的な技術が生まれていくんですかということは、私はそうじゃないだろうというふうに思っているんですね。

 時間が終了したということなので、軍事技術に特化した、そういった予算をつけるということをぜひとも進めていただきたいと考えておりますけれども、その点について一言だけ、大臣から認識をもう一度改めて伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 どの分野であれ、技術革新は大変重要だと思っております。

 日本の安全を守るためのさまざまな防衛力の整備の一環としての技術開発は重要だと思っております。

 ありがとうございます。

三谷委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、嘉手納以南の土地の返還について聞いていきたいと思います。

 政府は、辺野古の新しい基地建設を進めるとともに、昨年四月に公表いたしました統合計画に基づいて、嘉手納飛行場以南の六つの米軍基地を返還する計画を進めております。しかし、この計画には代替施設への移設条件がついています。

 そこで、この代替施設について聞きます。

 まず、嘉手納弾薬庫の知花地区です。知花地区は牧港補給地区の移設先とされておりますが、どのような施設がどのくらい移設されるんですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月に公表されました統合計画におきまして、牧港補給地区の倉庫地区にございます国防省支援機関の施設、具体的には倉庫、工場などでございますが、これらとキャンプ瑞慶覧のインダストリアルコリドーにございますスクールバスサービス関連施設、具体的には事務所、洗車場でございますが、これらにつきまして、嘉手納弾薬庫地区の知花地区に移設されるということになっております。

 具体的な内容あるいは規模ということでございますけれども、知花地区につきましては、これも昨年四月の統合計画で示させていただいておりますとおり、現在、米側においてマスタープランを作成中でございますので、こうした施設が知花地区のどのエリアに具体的に移設されるかということについては、まだ決まっておらないというのが現状でございます。

赤嶺委員 知花地区は、現在、黙認耕作地として多くの農家が農業をしております。先日、私も現地を見てまいりました。野菜やサトウキビや、あるいは畜産などを営まれておりました。

 私が見に行ったときに、この地区のあちらこちらに沖縄防衛局の看板が設置されているんですね。その看板には、耕作者の実態把握のための調査を行うので耕作者は連絡するように、このように書かれておりました。これは何の調査ですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 嘉手納弾薬庫地区内の知花地区におきましては、提供施設・区域内に境界フェンスがなく、基地の関係者以外も現在自由に出入りが可能な状態にございます。このため、委員からも先ほど御発言がございましたとおり、広範囲にわたりまして無許可の耕作地及び物件が存在しているのが現状でございます。このため、今後予定されております統合計画に基づく、いわゆる移設先の環境整備に影響を与える可能性がございます。

 御質問のございました今回の実態調査は、こうした無許可の耕作地及び物件の実態を把握し、今後、米軍による施設・区域の適切な管理が可能となるよう、米側と協力して実施しているというものでございます。

赤嶺委員 そうしますと、統合計画の進展にかかわる調査ということになるわけですね。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 嘉手納弾薬庫地区内の現在実施しております知花地区におきます実態調査は、まさにこの知花地区全体におきます将来にわたる米軍による施設・区域の適切な管理が可能となるということも目的としておりますけれども、先ほど触れさせていただきましたように、当該地区におきましては、いわゆる牧港補給地区からの移設物件の施設整備というものも予定されておりますので、こういった観点からは、移設先の環境整備ということで関係があるということでございます。

赤嶺委員 地元では、耕作者を集めた説明会もやっております。恒久的な工作物は排除する、そして一年以内の立ち退きを求め、新たな植えつけも認めない。防衛局は、その地域を三カ所に区切った航空写真を示しながら、いずれかのエリアに倉庫群を移設するということでありました。

 今の答弁はそういうものを大筋に認めたものというぐあいに理解いたしますが、きょう私はここに資料を提出しております。ちょっと黒くて見にくいんですが、これは内部告発で私のもとに届けられた資料であります。

 米軍の資料で、チバナ・エリア・ディベロップメント・プラン、つまり知花地区開発プランとありまして、二〇〇九年三月二十五日という日付が書いてあります。このプランは当時米軍が計画した素案のようですが、ここには、倉庫や学校や洗濯場、死体置き場、こういうものが具体的な施設名として書き込まれているわけですね。

 この計画は現在どうなっているか、これは私もまだわかりませんが、少なくとも二〇〇九年三月の時点でこうした計画が検討されていたということであります。この計画についてはどのように把握しておられますか。そして、それは現在のマスタープランではどのように検討されていますか。そのこともちょっと説明してください。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の配付資料につきましては、米軍資料ということでございまして、また、日付も二〇〇九年当時のものであるということでございます。そういう意味で、私どもとして、現時点で具体的に承知しておるわけではございません。

 他方、先ほど私から答弁させていただきましたように、昨年四月に公表させていただきました統合計画におきましては、一年程度かけてマスタープランを作成するということになっておりまして、この合意に基づきまして、現在、米側においてマスタープランを作成中であるというふうに承知しているところでございます。

赤嶺委員 この図を見る限り、あるいは地元で防衛局が示した三つに分けた図を見る限り、知花弾薬庫一帯の黙認耕作地のほとんどがキャンプ・キンザー、牧港補給基地の代替施設になっていくんじゃないかという不安が耕作者の皆さんに広がっております。

 それでは次に、トリイの通信施設について聞いていきます。

 トリイも牧港やキャンプ瑞慶覧の移設先として指定されておりますが、具体的にはどういった施設がどのくらい移設される計画なのか。また、移設に伴って兵員はどのぐらいふえますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 トリイ通信施設につきましては、米側から移設計画の概要が示されたことから、本年二月以降、移設先の地元である読谷村及び関係区長に対し順次御説明させていただいているところでございます。

 移設計画の概要は、あくまで現時点におきます概略情報であり、確定的なものではございません。そのため、建物の面積あるいは配置は今後の詳細設計の際に変更される可能性があるという前提をつけさせていただいた上で、次のとおり御説明させていただいております。

 まず、移設される施設の概要につきましては、主要な建物が三棟であり、開発面積は約二十ヘクタール、うち約五ヘクタールは正面ゲートの移設に係る開発面積となっています。

 また、主要な建物三棟の内訳は、キャンプ瑞慶覧にございます整備施設約四千平米、牧港補給地区にある倉庫施設約一万三千平米、そして牧港補給地区にございます可燃物保管倉庫約二百平米となっております。

 さらに、施設の移設に伴いますトリイ通信施設の増員につきましては、整備施設及び倉庫施設と合わせて約六十名というふうに聞いております。

 いずれにしましても、今後マスタープランが完成し、日米合同委員会での合意がなされた後、具体的な移設内容が最終的に確定することとなります。

赤嶺委員 兵員がふえ、約二十ヘクタールの基地がつくられ、キャンプ・キンザー等から移ってくる。ここも、移設される場所は黙認耕作地です。今回の移設計画によって、具体的にどの程度の耕作地が影響を受けることになりますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁させていただきましたとおり、現時点におきます開発面積は約二十ヘクタールというふうになっておるところでございます。

 私どもはまだ現時点で詳細については承知しておりませんけれども、トリイ通信施設の中にはいわゆる黙認耕作地が多数広がっておるということでございますので、相当程度影響を受けるというふうに考えておるところでございます。

赤嶺委員 黙認耕作地の相当程度が影響を受けると。今、黙認耕作地は、トリイの基地の中には百二十九ヘクタールで、今回は二十ヘクタールですね。

 ただ、トリイの基地は、その工事だけではなくて、この計画に先立って、施設内では米軍自身による基地整備が進められております。これは今、どういった施設をつくっているのか。また、これらの整備によって影響を受ける黙認耕作地の面積はどのくらいですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍が直接発注し実施する工事、いわゆる直轄工事というふうに呼んでおりますが、こういった工事につきましては、原則として米側において独自に行われ、必ずしも日本側に個別具体的に通報があるわけではございません。

 他方、こうした米軍の工事につきまして、米軍施設・区域の周辺の公共の安全等に影響を及ぼすおそれがある場合につきましては、四半期ごとに米側から日本側に通報することとされております。

 お尋ねのトリイ通信施設につきまして、平成二十四年第三・四半期中またはそれ以降に着手する工事ということで米側から通報があり、かつ、本年三月時点で進められているものとしては、米軍による新施設建設に先立って行われる文化財調査があるということで、この調査は本年四月に終了する予定であるというふうに承知しております。

 なお、文化財調査の目的となっております新施設の整備の具体的な内容等については、私どもは承知しておりません。

赤嶺委員 今、米軍が工事をしている。その工事によって黙認耕作地にどのぐらいの影響があるのか、その面積を知らないんですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど答弁いたしましたように、在日米軍が直接発注して実施するいわゆる直轄工事につきましては、米軍が黙認耕作者の方との調整等も含めて独自に実施しているというのが基本ということでございます。

 私どもとして、現時点におきまして、新施設の具体的な整備内容等については承知しておりません。

赤嶺委員 あなた方は、黙認耕作地で農家が現に耕作している地域に、今から牧港補給基地を移転する。そこでも黙認耕作地は影響を受ける、倉庫地区だけですが。さらに、米軍がやっている工事でも黙認耕作地が影響を受けている、これは二十ヘクタールですよ。皆さんの計画は今は二十ヘクタール。全部で四十ヘクタールです。百二十九ヘクタールの耕作地の中で、約三分の一が今回、米軍の基地増強によって新たに農民から奪われることになるわけですね。

 影響を受ける耕作者に対して、今後どういう方針で臨むつもりですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答えしましたとおり、陸軍倉庫の移設先として、開発面積は約二十ヘクタールというふうに現段階では見積もられているところでございますが、当該地区が黙認耕作地と重なっている場合には、倉庫の移設に先立ち、移設先の環境整備として黙認耕作地の廃止が必要となります。

 この場合につきまして、現在耕作を行っている方が農作物を収穫し耕作を終えるまでの期間として、昨年四月に公表させていただいた統合計画におきましては約二年間の期間を見込んで、円滑な離作が行われるよう考えているところでございます。

赤嶺委員 廃止というのは、黙認耕作地を潰すということですよね。それを環境整備という言葉で呼んでおります。

 もともと、黙認耕作地がどのように形成されていったか。大臣、外務省や防衛省当局から説明を受けていると思うんですが、ただ、簡単な歴史ではないんです。

 沖縄の米軍基地は、一九四五年四月に沖縄本島に米軍が上陸したときからつくられ、そのときにはどんどん勝手に、無償で、土地代も払わずにどんどんつくられていった。土地代が要求できるようになったのは一九五一年ぐらいですが、それでも応じなかったというような場所なんですね。サンフランシスコ講和条約発効後も、土地代に不服だといって貸さないところには府令で、コカコーラ一本の値段でというぐあいに言われたものですよ。たばこ一箱の値段で土地がどんどん接収されていった。そのときに土地を失った農家の戸数は、当時の琉球政府の調査で、約四万戸だと言われております。そういう人たちが一挙に土地を失った、土地を返せという島ぐるみの闘いが始まった、そういうせめぎ合いの中でできたのが黙認耕作地なんです。いわば、土地を奪われた農家が農地を返せと言って、そういう要求をしてきた中で生まれたのが黙認耕作地。

 今度は、牧港補給基地、それも全部ではない、倉庫地区だけ移転する、知花地区に移転する、トリイに移転する。しかも、知花については、知事に宛てた文書を見ますと、ここでは何と言っているかといいますと、侵害物件、こういう言い方をしているんですね。まるで沖縄県民が侵害していったかのような物件。侵害してきたのは米軍の側ですよ、国際法に違反して基地をつくって。侵害物件という表現は極めて屈辱的であります。

 今度の統合計画によって農家が一挙に生活の糧を全て失ってしまう、こういう結果になるんですけれども、本当にそういうやり方をとられるんですか、大臣。

小野寺国務大臣 今回の嘉手納以南の土地の返還というのは、沖縄の負担軽減を一刻も早く進めたいという、全体の中で進めている計画であります。その中で、黙認耕作地というのが存在し、そこに長年、黙認でありますが耕作されている方もいらっしゃることは承知しております。

 いずれにしても、この土地を返していただき、私どもとして、嘉手納以南の一日も早い返還を進めるために、今後とも地元の皆さんとしっかりと協議しながら進めていくこと、これをさせていただきたいと思っております。

赤嶺委員 とんでもない話ですよ。黙認耕作地というのは、黙って認めた恩恵的なものじゃないんです。県民から土地を奪って、まさに米側が、日米両政府が県民の財産や土地を侵害して、そういうせめぎ合いの中で残っているのが黙認耕作地。

 実は、私も農家の生まれですが、私のうちは民間地に農地はありませんでした。全部基地の中にありました。黙認耕作地で育てられたんですよ。生活の糧なんですよ。

 ところが、負担の軽減のためだから、必要だから返せというけれども、何で返還する場合に移設条件をつくるんですか。代替施設の建設を条件としなきゃ沖縄の基地が返らない、そういうことになれば、沖縄の負担軽減にはならない、沖縄の矛盾を一層拡大していくことになる。こういうことを強く申し上げまして、質問を終わります。

江渡委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうは、これまでにも幾つか、ほかの委員の皆さんと質問が重複するかと思いますが、どうぞ真摯な御答弁をお願いいたします。

 まず、ウクライナ、クリミア問題を端緒とする、ロシア外交の課題について伺います。

 クリミアにおけるロシアの対応が、世界の安定秩序に大きな波紋を広げています。

 他方、安倍政権は、ロシアとの外交及び安全保障などについて、政治、経済、文化などのあらゆる分野での協力関係を構築するとし、日ロパートナーシップの発展に関する日本国総理とロシア大統領の共同声明なども発表しています。相互信頼と互恵の原則に基づいた、二国間の積極的な外交姿勢に力を注いできています。

 このような、かつてない友好ムードが高まっている中で惹起したウクライナ、クリミア問題は、ロシアとの友好関係に影響を及ぼすことは必至となるでしょう。この問題の発生から今日に至るまで、我が国の外交問題にどのような変化をもたらしているのか、外務大臣の説明及び見解をお願いいたします。

岸田国務大臣 まず、ウクライナ問題に関しましては、G7首脳会合におきまして、G7としてロシアの違法な行動を非難し、今後協調していくことで一致しております。安倍総理からは、今後もロシアとの対話を継続し、この問題を平和的、外交的に解決していくべき旨述べました。

 ウクライナ問題が我が国の対ロ外交政策にもたらす変化につきまして、今の段階で確定的なものを申し上げることは難しいとは思っていますが、ウクライナ問題につきましては、G7のハーグ宣言の中にもありますように、状況を緩和するための外交的道筋は引き続き開かれていると認識しています。昨年来の日ロ関係に基づいて、ロシアに対して引き続きしっかりと働きかけを行っていくということが、我が国の外交にとっても重要であると考えております。

 先ほども申し上げさせていただきましたが、アジアの厳しい安全保障環境を考えますときに、日ロ関係を安定化させるということも大変重要な課題であります。ぜひ、我が国としましては、ウクライナ問題についてはG7関係各国としっかり連携しながら、ロシアに対しましては、昨年来のロシアとの関係に基づいてしっかり働きかけを行う、そしてウクライナの財政経済問題についてもしっかり貢献し、平和裏に解決を求めていく、こういった姿勢をしっかり大事にしていきたいと考えています。

玉城委員 では、今大臣がお答えした件について、二点お尋ねいたします。

 まず一点。このウクライナ、クリミア問題に関する我が国の方針としては、米国及びEUなど、それらの西側諸国との連携を主にするものと思われます。日本側がロシアに対して、この問題に関してとり得る制裁等の対応はどのようなものであるか、見解をお伺いします。

岸田国務大臣 G7、米国あるいはヨーロッパ諸国におきましては、今日まで、ロシアに対しましてさまざまな制裁措置を発表しております。

 我が国としましても、十八日に、査証緩和に関する協議の停止、あるいは、三件の協定につきまして新たな国際約束の締結交渉開始を凍結する、こういった発表を行いました。ロシアの力による現状変更は認めないという姿勢を示すために、これは意義ある対応であると考えています。

 しかし、今後につきましては、先ほど申し上げましたように、状況緩和のためにロシアが努力をする道は引き続き開かれているわけでありますし、また、ウクライナの情勢等も注視していかなければなりません。ぜひ、G7関係各国の動きも注視しながら、我が国の方針については、適切に対応していく、こういった方針で臨んでいきたいと考えています。

玉城委員 日ロ間の最大の懸案は北方領土問題です。さらに、我が国におけるエネルギー資源に関しても、原油は第五位、LNGに関しては第四位と、いずれにおいても資源依存の傾向にあります。対ロシア貿易については、リーマン・ショックを受けた二〇〇九年度は落ち込みはしたものの、翌年から回復し、二〇一二年財務省貿易統計によると、日本円にして約二兆八千億円という伸びを見せています。

 この良好な状況については現状維持にもしっかり当たる対応が必要であるというふうに思われますが、維持できるものであるというお考えか、お伺いいたします。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたが、ウクライナ情勢につきましては、G7のハーグ宣言にもありますように、ロシアにとって状況を緩和するための外交的道筋は引き続き開かれている、これがG7各国の基本的な認識であります。

 ですから、我が国としましては、昨年来の日ロ関係に基づいて、しっかりとロシアに対して働きかけを行っていきたいと考えております。アジア太平洋地域の安全保障にとって、大変重要な日ロ関係であります。ぜひ日ロ関係において政治の対話は進めていかなければならないと思っていますし、北方四島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結するべく、粘り強く交渉していきたいと考えています。

 そして、御指摘のエネルギー分野の協力でありますが、ウクライナ情勢も注視しつつ、我が国の燃料供給の多角化あるいは燃料調達費の低減の観点から、これは適切に進めていくべき課題であると考えております。

玉城委員 しっかりと対応をとっていただきたいというふうに思います。

 次に、北朝鮮ミサイル発射に関する重大事案についてお尋ねいたします。

 北朝鮮が二十六日未明、日本海に向けて中距離弾道ミサイル二発を発射しました。一部の報道によると、時あたかもオランダ・ハーグで開催されていた日米韓首脳会談の開催している時間帯ということで、米国、韓国などを牽制するものではないかという臆測記事も掲載されています。

 防衛大臣に伺います。

 大臣が受けた時系列的な報告と、その内容、さらに、どのような指示を出されたのか伺います。

小野寺国務大臣 北朝鮮は、三月二十六日午前二時三十分ごろから同四十分ごろにかけて、朝鮮半島西岸の平壌の北方約五十キロメートルから東方に向け、弾道ミサイル二発を発射した模様です。発射された弾道ミサイルはいずれも六百キロ以上を飛翔し、朝鮮半島の東約五百キロの日本海上に落下したものと推定されます。

 なお、詳細については、現在分析中であります。

 発射を受け、防衛省においては、政務三役や内閣官房に連絡するとともに、私から、引き続き警戒監視、情報収集に万全を期せとの指示を出しました。

 その後、午前四時半ごろには内閣官房にて関係省庁局長級会議が開催され、防衛省からは運用企画局長が出席いたしました。防衛省においても、午前五時過ぎ及び午前十一時ごろに、私のもとで幹部会議を開催いたしました。

 被害状況の確認を含む政府全体の対応については、内閣官房から午前五時十四分及び午前七時四十一分にピンナップしておりますが、防衛省としても、発射の概要について午前六時ごろ及び午前八時ごろにピンナップを行い、周知を行いました。

 防衛省・自衛隊としては、引き続き情報収集、警戒監視に万全を期していきたいと思っております。

玉城委員 では、内閣官房に伺います。

 国家安全保障戦略には、政府としては、国家安全保障会議の司令塔機能のもと、本戦略に従って、国家安全保障に関する政策を一層戦略的かつ体系的に実施し、国家安全保障に万全を期すと記されています。

 今回のミサイル発射事案に迅速かつ毅然と対応するために、NSC、国家安全保障会議の、特に本事案等に迅速に対応するための大臣会合などが開催されたのか伺います。

山崎政府参考人 国家安全保障会議は、このような事態に対応するために、種々の会議ないしは国家安全保障局がその事務局的な役割を果たすことになっております。事態が生じました際に、具体的には、議長である総理が大所高所から総合的に判断し、会議自体を開催するかどうかは、関係閣僚が一堂に会し高度に政治的な判断を行う必要があるか等の視点から、総理が総合的な判断をされるという形になっております。

 今回の事案に関しましては、ただいま防衛大臣より御説明がございましたが、関係省庁の局長級等の対応、それから官房長官のもとでの協議によりまして事態への対応はきちんとできているという認識でございましたので、結果として国家安全保障会議は開催されなかったということでございます。

玉城委員 あと一点伺いたいと思います。

 このような事案対処のため、情報収集と分析などの一元化、各省との共有及び迅速な指示発出などが本来その司令塔的役割を持つ国家安全保障会議が担うべき役割であり、強い責務だと認識いたします。その点についての内閣官房の見解を伺います。

山崎政府参考人 今回の事態に関しましては、ハーグにおられました総理に直接に連絡をとりまして、総理から、情報収集、分析、航空機、船舶等の安全確認、迅速的確な国民への情報提供等の指示をいただいております。

 この指示に基づきまして、国家安全保障局も含まれた形で、内閣官房において関係省庁と連携をとり対応したということでございます。

玉城委員 では、この問題については以上とさせていただきます。

 次に、低周波音に関する環境調査について伺います。

 小野寺防衛大臣は、二十五日の記者会見で、米軍普天間飛行場周辺でオスプレイなど航空機から発生する低周波音の情報収集や分析などを行うと発表いたしました。そのための有識者会議を五月ごろに設置し、低周波音の基準について普天間基地周辺でデータを収集して分析、その報告書を二〇一五年三月を目途にまとめたいと述べています。他方、この調査については、普天間基地を名護市辺野古へ移設完了後の調査に備えたものであるとも報じられています。

 今回の調査は、辺野古移設の後にその周辺の環境基準を定めるための知見と情報データの事前収集及び分析であるということでしょうか。伺います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 本年三月二十四日に入札公告を行いました、航空機による騒音・低周波音の影響に係る評価検討業務についてでございますけれども、うち低周波音につきましては環境省による環境基準が定められておらず、特に航空機から発生する低周波音による影響につきましては調査研究の過程にあり、個人差、建物の状態による差が大きく、未知の部分もあります。このため、環境影響評価においては、航空機から発生する低周波音の影響について、普天間飛行場代替施設の供用後に事後調査を実施することとしています。

 防衛省といたしましては、この事後調査を適切に実施するため、有識者、専門家による会議を設置し、その指導、助言をいただきながら、低周波音の評価検討業務を行うこととしております。

玉城委員 この低周波音問題に関しては、昨年四月の第百八十三国会の予算委員会並びに五月、十月の本委員会で私が質問し、琉球大学環境工学の渡嘉敷健准教授による本島四カ所でのオスプレイ通過による低周波音の影響について、測定データの数値を紹介しています。

 それらの生データではいずれも、CH53などヘリよりもMV22オスプレイの騒音が基準値を大きく超えているということが明らかです。既に海兵隊のオスプレイ二十四機、そのほかを合わせると、固定翼、回転翼合わせて五十二機が配備されている現状です。つまり、既に低周波音被害が相当なものであることがデータによって明らかになっています。

 辺野古に移設するとしても早くて八年から十年、さらに工事がおくれるという一方で、普天間飛行場周辺で影響を受ける多くの県民は放置され続けるという、最悪のケースを想像しなくてはなりません。

 県民の健康、特に子供たちの成長に悪影響を与えているかもしれないこの低周波音の測定、調査、分析には、既に得られている渡嘉敷先生らの生データなども有効活用するべきではないでしょうか。大臣から見解を伺います。

小野寺国務大臣 低周波音につきましては、委員から累次御指摘をいただいております。

 ただ、御案内のとおり、低周波音については、環境省による環境基準が定められておらず、まだ実際にどういうものが影響があるかということも確定しているわけではありません。いずれにしても、まず今回この調査を開始することにより、私どもとして低周波音の評価検討業務を行っていきたいと思っております。

玉城委員 もう最後になりますが、防衛省がしっかりした低周波音の測定、調査、分析を行うためには、このような知見を有する地元からの専門的な識者に、この有識者会議へ参加していただくことは必須の条件であるというふうに思料いたします。

 最後に、委員長に一つお願いをさせていただきたいと思います。

 この際、環境工学に貴重な知見を持っていらっしゃる渡嘉敷健琉球大学准教授を参考人として委員会に招致し、委員会において、低周波音の実態等について調査すべきだということを提案いたします。

江渡委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議させていただきたいと思います。

玉城委員 ありがとうございました。質問を終わります。ニフェーデービタン。

江渡委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 昨年十二月十七日の沖縄政策協議会の場で仲井真沖縄県知事が要請し、同年十二月二十五日に安倍総理が日本政府としてできることは全て行うと応じた、普天間飛行場の五年以内の運用停止という場合の運用停止とは、日米地位協定第三条、同二十五条との関連で、いかなる具体的な状況、状態を指すのでしょうか。外務大臣にお尋ねいたします。

岸田国務大臣 普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む仲井真知事からの御要望につきましては、安倍総理も述べているとおり、米国を初め、相手のあることではありますが、その実現に向けて全力で取り組んでいく、これが政府の方針であります。

 そして、こうした考えのもと、政府としましては、これらの御要望に関し、先月内閣官房に設置されました普天間飛行場負担軽減推進会議において、普天間飛行場が移設されるまでの間の同飛行場の危険性の除去を中心とした負担軽減は極めて重要な課題であるとの認識を、沖縄県との間で共有するなどしたところであります。

 政府としましては、引き続きまして、同会議等を通じて沖縄県の意向を把握していく考えであります。具体的な沖縄県の意向について詰めていくことを考えておりますので、現時点で、お尋ねの日米地位協定の関係について、まだ申し上げる状況にないということは御理解いただきたいと存じます。

 いずれにしましても、普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければなりません。一日も早い移設、返還を実現し、沖縄の負担を早期に軽減していく考えであります。

照屋委員 日米地位協定に基づき提供された施設及び区域の運用の停止または中止というのは、アメリカ側の一方的な決定で可能なのか、それとも日米間の合意が必要なのか。小野寺大臣に伺います。

小野寺国務大臣 普天間飛行場の五年以内の運用停止については、沖縄の負担軽減に関する仲井真知事からの御要望であります。この要望の意味するところについては、政府の立場でお答えすることは適当ではないと考えております。

 その上で、日米地位協定第二条に規定されている施設及び区域の返還に関して申し上げれば、日本国政府及び合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、施設及び区域を日本国へ返還すべきことに合意することができるとなっております。

 また、合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときはいつでも日本国に返還しなければならないこととされておりまして、いずれか一方の要請による返還については日米合同委員会において合意されることになりますが、合衆国が使用する必要がなくなったという場合には日本に返還できるということになります。

照屋委員 どうもよくわからない。日米地位協定に基づく提供施設・区域の返還合意の状態と、運用停止の状態とでは、具体的に何がどのように違うんでしょうか。小野寺大臣に伺います。

小野寺国務大臣 繰り返しになりますが、普天間飛行場の五年以内の運用停止については、沖縄の負担軽減に関する仲井真知事からの御要望であります。この御要望の意味するところについては、政府の立場でお答えすることは適当ではないと考えております。

照屋委員 両大臣、非常に曖昧模糊としているんです。ところが、五年以内の運用停止は、期待だけが県民に膨らんでいる。どうも仲井真知事も、運用停止が具体的にどういう状態だということを特定しないで、総理や両大臣が陪席をする場でおっしゃったんじゃないかと僕は思うんです。

 そこで、外務大臣でも防衛大臣でも、どちらかで結構ですが、普天間飛行場には騒音防止協定があって、原則として二十二時から翌朝六時までの飛行制限があるんです。この時間帯、飛行制限がある時間帯は運用停止という意味でしょうか。

岸田国務大臣 仲井真知事の御要請の中にある運用停止ということについては、先ほど申し上げましたように、沖縄県の意向をしっかりと確認しなければなりません。ですから、政府としましては、普天間飛行場負担軽減推進会議におきまして、具体的な内容について、沖縄県の意向をしっかり詰めていく考えであります。

 ですから、御指摘の点も含めて、沖縄県の意向は真摯にお話を伺った上でしっかり確認し、政府としては、その意向に沿うように最大限努力をしていく、こうした方針で臨んでいきたいと考えています。

照屋委員 両大臣の真摯な答弁を聞いておっても、仲井真知事は、五年以内の運用停止という中身、状態を知らないで言葉遊びで言っている、そして、総理から口頭で返事をもらって自分一人ではしゃいで喜んでいる、どうも僕にはそうとしか思えない。

 それで、去る三月十七日開催の普天間飛行場負担軽減推進会議作業部会で、沖縄県の高良副知事から、二〇一八年をめどに普天間飛行場の運用停止を求めるという発言はあったんでしょうか。伺います。

斉藤政府参考人 お答えいたします。

 三月十七日の作業部会における高良沖縄県副知事の普天間飛行場の運用停止に関する御発言ですが、五年以内の運用停止が極めて重要といった発言はございましたけれども、二〇一八年をめどにという表現自体はなされなかったというふうに認識しております。

 他方、高良副知事によるぶら下がり会見等におきましてそのような御発言があったということは、報道等により承知しております。

照屋委員 それは大変重要な問題です。高良副知事は、沖縄へ戻ってきて、二〇一八年をめどにということを作業部会で申し上げて明言した、そして政府も共通認識だと思う、こうまで言い切っているんです。そうすると、明らかに副知事がうそをついている。

 今、両大臣の本当に真摯な答弁を聞いても、本当に曖昧模糊としている。私も、法律家として、国会議員として、この間、二、三十年も地位協定を勉強してきましたよ。ところが、運用停止というのは地位協定のどこにも書いていない。それを前提として知事と総理がやり合っている。

 今の、高良副知事の二〇一八年めどなんというのは、しかも、政府が共通認識だと言い切っている。私は、こういうことは県民に誤解を与え、非常に残念だと思わざるを得ないし、五年をめどに運用停止というのは、ぜひ両大臣におかれても、しっかり知事から内容を聞いて精査して、御努力をいただきたい。こうお願いを申し上げて、終わります。

江渡委員長 次回は、来る四月一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十七分散会


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