衆議院

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第5号 平成26年4月3日(木曜日)

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平成二十六年四月三日(木曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 今津  寛君 理事 左藤  章君

   理事 薗浦健太郎君 理事 中山 泰秀君

   理事 武藤 容治君 理事 長島 昭久君

   理事 中丸  啓君 理事 遠山 清彦君

      岩屋  毅君    大塚 高司君

      大野敬太郎君    神山 佐市君

      木原  稔君    笹川 博義君

      末吉 光徳君    東郷 哲也君

      中谷 真一君    野中  厚君

      細田 健一君    堀井  学君

      宮澤 博行君    武藤 貴也君

      八木 哲也君    若宮 健嗣君

      中川 正春君    渡辺  周君

      今村 洋史君    宮沢 隆仁君

      三谷 英弘君    山内 康一君

      赤嶺 政賢君    玉城デニー君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         小野寺五典君

   外務副大臣        三ッ矢憲生君

   防衛副大臣        武田 良太君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   防衛大臣政務官      木原  稔君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房宇宙審議官)           西本 淳哉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     中山  亨君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    岸本 邦夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 外園 博一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  伊藤 盛夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     神山 佐市君

  勝沼 栄明君     宮澤 博行君

  門山 宏哲君     末吉 光徳君

  浜田 靖一君     大塚 高司君

  三谷 英弘君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     浜田 靖一君

  神山 佐市君     大野敬太郎君

  末吉 光徳君     細田 健一君

  宮澤 博行君     八木 哲也君

  山内 康一君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     門山 宏哲君

  八木 哲也君     堀井  学君

同日

 辞任         補欠選任

  堀井  学君     勝沼 栄明君

    ―――――――――――――

四月二日

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣法制局第一部長近藤正春君、内閣府大臣官房宇宙審議官西本淳哉君、外務省大臣官房参事官山田滝雄君、外務省国際法局長石井正文君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長中山亨君、海上保安庁次長岸本邦夫君、環境省水・大気環境局長小林正明君、防衛省大臣官房長黒江哲郎君、防衛省大臣官房技術監外園博一君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省運用企画局長中島明彦君、防衛省人事教育局長豊田硬君、防衛省経理装備局長伊藤盛夫君及び防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤章君。

左藤委員 おはようございます。自民党の左藤章でございます。

 過日、沖ノ鳥島で事故がありました。五人の方がお亡くなりになり、二人が行方不明。本当に御冥福をお祈り申し上げたいと思いますとともに、自衛隊の人たちが頑張って捜索に当たっている、これも改めて感謝を申し上げたい、このように思います。

 それと、きのう、チリ沖の大地震がありました。きょう、朝五時過ぎから津波のいろいろな情報が出ております。防衛省としていろいろ対応していると思いますけれども、通告しておりませんが、状況を教えていただければと思います。

小野寺国務大臣 防衛省・自衛隊は、昨日行われました関係省庁災害警戒会議におきまして、古屋防災担当大臣から関係省庁が緊密に連携する旨の発言があったことを踏まえ、本日朝三時でありますが津波注意報の発表、以降、内閣府や自治体を初めとする関係機関と連携を密にし、情報の収集に努めました。津波注意報が発表された北海道から千葉県の太平洋沿岸を中心に津波が到達する予測時間を踏まえ、けさの四時三十分以降、順次、航空機六機が自主派遣としまして航空偵察を行うとともに、ヘリコプター映像伝送装置により現地の映像を総理官邸や内閣府へ配信し、情報の収集及び共有を行いました。

 また、私自身も、今回の津波注意報に対する自衛隊の対応状況について電話等により報告を受けつつ、けさ七時ごろに登庁し、被害の確認や部隊の対応の状況を確認しておりました。

 いずれにしても、災害が発生し、自衛隊が災害派遣を行う場合には、関係省庁及び自治体と緊密に調整、協力をし、効果的な救助活動に全力で取り組む次第でございます。現時点で、大きな被害があるという報告はまだ受けておりません。

左藤委員 どうもありがとうございます。本当に、そういう面で自衛隊は頑張っていただいている、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 島嶼防衛のことで一つお願いをしたいと思います。御存じのとおり、EEZの外縁を根拠づける離島というのは九十九あります。また、領海の外縁を根拠づける離島、これも約五百ございます。そのうち名前のないものが百六十もあるような、今の日本の周りの島の状況であります。

 その中で、私が政務官の時代に沖縄の与那国へ行きました。島嶼防衛のことも踏まえながら安全保障の問題、防衛力の整備という面で、地元の方々に沿岸監視部隊の配置のお願いに参りました。今いい話を聞いておりますけれども、今の状況、そして配置をする人数、その辺についての進捗状況を教えていただければ、このように思います。

 もう一つあります。それと、これによってどうなるのか。

 実は、二〇一二年十二月十三日、中国の国家海洋局所属の固定翼機Y12が尖閣諸島の方に飛んできて、残念ながらレーダーでは捉えることができなかったという話を聞いております。与那国へ監視部隊が行くことによってこれらの状況をどの程度把握ができるのか、もしそれが把握できない場合にはどのような対応をなさるのか、教えていただきたいと思います。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、与那国への沿岸監視部隊の配置についてでございますけれども、先ほど左藤先生からお話がございましたとおり、先生が政務官時代、与那国町に二回御訪問をいただいたところでございまして、実現にも大変御尽力をいただいたところでございます。今般、土地の賃貸借契約それから造成工事の契約に関する事務的な手続がほぼ完了をいたしました。自衛隊の配備に向けた造成工事に着手することとなり、今月には造成工事の起工式を予定しております。

 陸上自衛隊の沿岸監視部隊につきましては、平成二十七年度末に配置を行う方向で具体的な検討を進めておりますけれども、沿岸監視を行う機能に加えまして、駐屯地の運営を含む後方支援機能の整備も必要でございます。現在、百数十名規模の人員を与那国島に配置する方向で検討をしておるところでございます。

 この沿岸監視部隊の配置によりまして、領空、領海の境界に近い地域からレーダーなどによりまして船舶あるいは航空機などの監視が可能となります。各種の兆候というものを早期に察知することが可能になるものでございます。

 与那国島におきましては、航空自衛隊の移動式警戒管制レーダーが必要に応じて展開、運用できる基盤を整備することとしておりまして、これによりまして、南西地域の島嶼部において、低高度における固定式警戒管制レーダーのすき間を補完して、すきのない警戒監視体制を保持することが可能となると考えております。

 それから、与那国の件ではございませんけれども、防衛省におきましては、今月、警戒航空隊を改編いたしまして、E2Cの一個飛行隊を那覇基地に新編するとともに、平成二十七年度以降におきましては、新たな早期警戒機あるいは早期警戒管制機というものを整備する方向でございます。

 このような施策によりまして、南西地域における常続的な監視体制の整備に努めてまいる所存でございます。

左藤委員 しっかりと領空、領海を監視していただきながら、我が国の安全保障を守っていただきたい、このように思います。

 それでは、防衛装備移転三原則についてちょっとお伺いしたいと思います。

 この三原則については、与党のプロジェクトチーム、また自民党、公明党のそれぞれの党の部会でいろいろ審議をされて、過日、四月一日に閣議決定をしたわけであります。

 当然、平和国家としていろいろ頑張っていくためにこの見直しがあったわけでありますが、名称を変更したことによって、武器輸出というよりも、防衛装備移転三原則とされたことは、より実態に合ったものだろうと私は思います。武器というたら、ブルドーザーも含めてショベルカーも全部入っていたわけですからそれはちょっと意味が違うだろう、こういう面で、名前を変更したことは非常にいいことだろう、このように思っております。この中で、我々はやはり、情報が経産省を通じて、輸出される装備品等について発表される、年次報告を出す、そして国民によく理解をいただける、こういう方向になっていることは本当にいいことだなと思っておるところでございます。

 国際社会の平和と安定に寄与する積極的平和主義の観点からも非常に意味があるんだろうと思いますが、これについての防衛省としての考え方をぜひお伺いさせていただきたい、それが一点。

 もう一つ、政務官在任中、私はイギリスに行きまして、向こうのハモンド国防大臣や国防政務次官とも意見交換をしました。これは何か。日英間で化学また生物防護技術に関する防衛技術協力をしております。この三原則によって、また新たにいろいろな国といろいろな協力をしていく可能性が出てきたわけであります。

 世界の安全、また国際協力、日本はこういう面をさらに進めていく必要があると思いますが、これも含めて、防衛省の見解をお聞きをさせていただきたいと思います。

武田副大臣 名称変更につきましては、政府が実施する規制の狙いとその内容を可能な限り正確に表現するものにしたいとの考えに基づくものであろうかと思っております。

 また、積極的平和主義ということでありますけれども、この原則は、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念、そしてこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持するということ、また、これまで武器輸出三原則等が果たしてきた役割に十分配慮した上で、これまで積み重ねてきた例外化の実例を踏まえて、これを包括的に整理しつつ、明確な原則を定めるとするものであります。また、防衛装備の移転に係る具体的な基準や手続、歯どめを今まで以上に明確化し、内外に透明性を持った形で明らかにするものであります。

 概して言えば、移転を禁止する場合、今まではファジーとして見受けられがちであったものもあるわけでありますけれども、これを明確化、そして透明性というものを図っていくということが言えると思います。

左藤委員 そういう面で、透明性をしっかり確保しながら、そして国民の理解を得ながら、防衛整備をしっかりやっていっていただきたい、このように思います。

 次に、積極的平和主義の話を出させていただきましたけれども、やはり、積極的平和主義というのは当然、国際平和協力活動、こういうことになろうかと思います。実は、私も政務官のときに、昨年の四月の終わりですが、南スーダンに行かせていただきまして、そこで自衛隊の諸君が一生懸命PKO活動をやっておりました。そこでお会いした大統領、副大統領、それぞれ、そのときは仲がよかったんですが、これが秋ごろおかしくなりまして、内乱のようになってしまいまして、えらい話が変わったなという感じがしました。その関係で、百万人ぐらいの方が難民になってしまっている。一月ごろに一応停戦に合意をしたと言いながら、まだ戦闘状態はある程度続いていると聞いております。その中で、我が自衛隊がどのような状態になっているのか。

 それと、実は、昨年の末からPKOの拡大ということで、東西のエクアトリア州というのがあるんですが、そこにも部隊を出していただいて、整備をしていただきたいとお願いをされておりました。今の難民の状態、停戦が余り進んでいないという状況を考えると、この東西にどの程度行けているのか、行けていないならどうなるのか、そして難民に対するいろいろな支援、物資も含めてちゃんと補給をされているのか。この辺についてお伺いをしたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 南スーダンにおける自衛隊の活動に関しまして、昨年十二月、南スーダンの治安情勢が悪化して以降、自衛隊の派遣部隊の現在の活動状況でございますけれども、国連からの要請に基づきまして、首都ジュバの国連施設に避難している現地住民のための避難民キャンプの造成、また国連施設の強化、給水支援といった活動を実施しておるところでございます。

 現在も約三万二千名の現地住民がジュバの国連施設内に避難しております。したがいまして、当面は現在の活動を継続していくことになる見込みでございますけれども、状況が安定いたしますれば、東西エクアトリア州への活動地域拡大につきましても、国連からの指図を踏まえながら、安全面に万全の配慮を行いつつ実施したいというふうに考えておりまして、現地の情勢を注視しているところでございます。

 なお、現地部隊の物資補給でございますけれども、国連からの支給、またジュバ市内における食材、水等の調達、及び隣国のウガンダから日用品等を調達しているほか、本邦からも装備品の部品及び追送品の輸送をいたしております。また、避難民への補給といいますか支援につきましては、国連のPKOのみならず、いろいろな機関におきまして実施しているものと承知しております。

左藤委員 ありがとうございました。

 そういう活動をしながら、実は国際協力、積極的平和主義といいながら、残念なことですが、今、PKOで南スーダンへ行っている、また、ジブチで海賊対処でいろいろ監視、協力しています。そして、最近ではマレーシアの航空事故がございまして、国際緊急援助活動ということでやっておりますけれども、実はこの三つしかないんですね。本当に、積極的平和主義といって、安倍総理初め我々がその気になって頑張っているのに、この三つではどうなのかな、何か物足りないなという感じがします。

 今後、そういう観点から、どのように我が国として取り組んでいくのか、その方策について、外務省にお伺いをしたいと思っております。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げます。

 本来、積極的平和主義に基づいて、例えばODAを活用して、PKO活動はしなくてもいいような状況をつくり出すというのが私は本来の目的だというふうに思っておりますが、往々にして、いろいろな理由で国際紛争の火種が尽きない。

 そういう中にありまして、国際平和協力については、国家安全保障戦略に基づいて、我が国に対する国際社会からの評価やあるいは期待も踏まえて、国連PKO等に一層積極的に協力するとともに、平和構築分野での人材育成等も政府一体となって積極的に行う所存でございます。

 具体的には、自衛隊の活動に加えまして、我が国のODAの戦略的活用、あるいは文民専門家の育成、各国のPKO訓練センター支援等を通じて、国際平和協力にさらに取り組んでいきたい、このように考えております。

左藤委員 ありがとうございます。

 とにかく、積極性平和主義に基づいて、いろいろなところにいろいろな問題がありますけれども、我が国としては貢献をできるだけ外務省に頑張っていただきたい、このように思います。

 それと、実はきょうも自民党の部会でも話が出たんですが、北朝鮮によるミサイル発射事件であります。

 三月三日にあって、政府、NSC、大臣初めいろいろ頑張っていただいた、そういうこともありますけれども、実は三十一日にも弾道ミサイルの発射がありました。今、四月十八日まで米韓の連合演習実施中ということもあるのかもしれませんけれども、北朝鮮から五百発、ちょうど北方限界線に近い黄海で発射される、そしてそれに対抗して韓国も約三百発を発射したということが起きております。

 これらの行動は当然大変なことで、北朝鮮の緊張もさらに深まるということになっておりますけれども、我が国政府としての対応はどうなったのか。きょう、中国とかロシアとかアメリカ、韓国、各国の対応を聞かせていただきましたけれども、我が国としてどう対応したのか、教えていただきたいと思います。

小野寺国務大臣 三月三十一日、北朝鮮が北方限界線に近い黄海で射撃訓練を行った、そしてこれに対して韓国軍も対応射撃を行ったということに関して、防衛省としての対応について御説明させていただきます。

 私どもとしまして、この射撃訓練及びこれに対する韓国軍の対応射撃につきましては、重大な関心を持って注視しておりました。私より、事案発生当日、警戒監視、情報収集に万全を期すように指示を行いました。

 なお、北朝鮮が今後どのような行動をとるか、現時点で確たることを申し上げることはできませんが、防衛省としては、現在、米韓連合演習が行われ、これに北朝鮮が反発を続けていることも踏まえ、引き続き、米国、韓国等と緊密に連携しつつ、情報収集、分析を行ってまいります。

 また、いかなる事態にも対応することができるよう、緊張感を持って、警戒監視を初めとする必要な対応に万全を期していきたいと思っております。

左藤委員 ありがとうございます。

 話はかわりますが、中国の軍事費、御存じのとおり、ことしは一二・二%伸びて十三兆を超えるというすごい軍事拡大、十年間で四倍ということになります。引き続き日米間で抑止力の強化が非常に重要だと私ども考えておりますけれども、先般の報道で、日米間に常設の有事協議機関を設置する旨を今後のガイドラインの見直しに織り込むという報道がなされました。

 現在の安保法制懇で議論されている集団的自衛権にかかわる検討とこのガイドラインの見直しの関連について、そして、大臣は六日、ヘーゲル国防長官が来日したときお会いすると聞いておりますけれども、長官との会談に臨むしっかりとした意気込みを聞かせていただければと思います。

小野寺国務大臣 昨年十月の日米2プラス2におきまして、現行の日米防衛協力のための指針、先生御指摘のガイドラインの見直しでありますが、これを開始することで合意をされたことを踏まえまして、現在、本年末までに見直し作業を完成させるべく日米間で検討を進めております。

 また、見直し作業に当たりましては、日米2プラス2共同発表にもあるように、協議及び調整のための同盟のメカニズムを、あらゆる状況においてシームレスな二国間の協力を可能とするよう強化することとしております。どのような形でこれを進めていくかということについては、現在議論中でありますので、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

 また、今週末でありますが、ヘーゲル国防長官が訪日をするということが予定では決まっております。日米の防衛相会談をする予定で今調整しておりますが、そうなりますと、今回の訪日で四回目の会談ということになります。

 今回の会談では、昨年末に策定されました我が国の安全保障、防衛政策や、先般公表されましたQDRも踏まえ、ガイドラインの見直しに向けて強固な同盟関係を再確認するとともに、沖縄の負担軽減について、あるいは北朝鮮への対応について、日米間の緊密な協力を確認したいと思っております。

左藤委員 では大臣、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 おはようございます。公明党の遠山でございます。

 持ち時間十五分でございますので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。まず、防衛大臣にお伺いをいたします。

 二日前、四月一日に防衛装備の移転に関する三原則が閣議決定をされました。私も、後ろにおります岩屋座長のもとで、与党安保PTの一員としてさまざまに議論させていただきました。この中で一番大事な点、我が公明党として議論させていただいたのは、平和国家としての基本理念を維持する、堅持するというところでございます。

 当初、我々、議論の中では、国連憲章を遵守する平和国家という表現を使っていたわけでございますが、それは我々から見れば、国連加盟国が国連憲章を遵守するのは当然でございまして、戦後の日本が平和国家と呼ばれるときには、その内実は多様であるという主張をさせていただきました。

 すなわち、非核三原則を維持してきたことでございますとか、あるいは武器貿易と呼ばれる分野につきましても極めて抑制的に行ってきたということもございますし、そういったさまざまな、他の国連加盟国にはない内実を含んでいるがゆえに、私どもは、国際社会の中で日本がかなり強い信頼をかち取ってきた、このように考えております。

 新しい防衛装備の原則ができたわけでございますけれども、引き続き、国連憲章を遵守する以上の、内実を持った平和国家としての理念を日本は維持するべきだと考えておりますけれども、防衛大臣の御見解をこの点について伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 いわゆる武器輸出等の原則につきましては、累次の官房長官談話で例外をつくっていく、これはいかがなものかというような状況の中で、これは民主党政権下におきましても同じ問題意識を持っていただき、さまざまな努力をしていただいたと私ども思っております。

 その中で、今回、特に与党協議の中で、新しい原則についてさまざま検討していただき、一日の閣議決定ということに至ったと思っております。

 その前提としましては、今御指摘がありましたように、戦後、我が国は、自由で民主的で、基本的人権や法の支配をとうとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり平和国家としての歩みを続けてまいりました。我が国は、今後とも、日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本指針、これは変わりません。そして、文民統制を確保し、非核三原則を守るといった基本政策、これを堅持していくという基本姿勢の中で、今回の新しい原則というふうに、私どもはこれからしっかり対応していきたいと思っております。

遠山委員 ありがとうございます。

 続きまして、きょう委員会で資料を配らせていただいておりますが、先ほど申し上げた新しい防衛装備新三原則の中で意識をされております、海上交通路、いわゆるシーレーンの防衛強化でございます。私は、三月十八日、本会議の代表質問で、この課題というのは、防衛省の取り組みだけではなくて、海上保安庁によるシーレーンに関係するアジア諸国への能力向上支援が重要だという指摘をさせていただきました。

 きょう海上保安庁作成の資料を配付させていただいたわけでございますが、この資料の上を見ていただければわかりますとおり、国家安全保障戦略、NSSの中でも海洋の安全保障の重要性は指摘されているわけでございます。すなわち、力ではなく法とルールが支配する海洋秩序の強化ということを明記しているわけでございます。

 その上で、きょうは海上保安庁次長に御出席をいただいておりますので、この紙にも下の方に研修でありますとか共同訓練の中身が書いてありますが、少し簡潔に、海上保安庁はどのような能力向上支援をしているのか、御説明願いたいと思います。

岸本政府参考人 海上保安庁は、アジアにおいて海上保安制度をいち早く導入した機関として、アジア各国からの要請を踏まえ、一九六九年以降、長年にわたり、海上保安業務に関する能力向上及び各機関間の連携の推進を目的として、各国からの受け入れ研修、また私どもの方からの専門家派遣を通じてアジア地域の海上保安能力の向上を支援しております。

 また、海賊対処のように、実践的な対処能力を高め、相互理解を深めることが有益である分野につきましては、巡視船、航空機を派遣し、共同訓練を行っているところでございます。

遠山委員 次長に続けて伺いますが、この紙にも説明されておりますけれども、アジアのいろいろな国々から研修で海上保安機関の職員を受け入れてきているわけですけれども、この研修を受けた方々の代表的な評価、声というものはどういうものがあるのか、御紹介いただければと思います。

岸本政府参考人 お配りいただきました資料にもございますが、一番冒頭の例で申し上げますと、アジア海上保安初級幹部研修というのを、平成二十三年から三年間、関係団体の協力を得て実施しております。

 ここに参加した研修生は、研修を通じて、海上保安能力の向上に必要な知識を得たことに加え、約一年間の日本滞在を通じて日本の文化にもなれ親しみ、また、アジア各国の海上保安機関が互いに連携協力していくことが海上保安業務を遂行していく上で大切であるとの認識を持って帰国の途についております。

 彼らの評価の一例を申し上げますと、ある研修生は、研修総括の発表の際、海洋における問題は力でなく国際法にのっとり解決することが重要であるという認識に変わったと、みずからの研修の意義を述べておりました。

遠山委員 ありがとうございます。

 国会答弁ですから、今の次長の御説明、もう少し私が聞いたことを砕いて言うと、ある東南アジアの国の職員は、不審な船が来たらいきなり船体に射撃してもいいと日本に来るまで思っていたようですけれども、きちんと警告射撃をやって、手順を踏んで相手にアナウンスをしてやっていくんだということを日本に来て非常に学んだというようなコメントも残しているようでございます。

 そこで、両大臣に頭に入れておいていただきたい問題を指摘します。この資料でわからない問題が実はございます。

 この資料で、下の方の左側に、複数国対象の研修、1から5と書かれております。そして、その下に白丸で、特定国対象の研修、その後に技術協力プロジェクトと書かれておりますけれども、これは全て海上保安庁の予算がないんです、全て。

 この一番上の研修の1の、まさに今次長が声を御紹介いただいた、大変高い評価を受けている、約一年間、アジア諸国の職員をこちらで受け入れて、海上保安大学校だとか海上保安庁のいろいろな施設を回って研修を受けているんですけれども、この1番の事業の財源は日本財団が海保協会というところを通して拠出して全て賄っておる。海上保安庁の予算、国費はゼロでございます。

 それから、その下の2から5、これもさまざまな研修ですが、これは岸田外務大臣のところと関係がありまして、全てJICAの事業でやっております。特定国対象の研修もJICA、そして、技術協力プロジェクトはその名前のとおりJICAということでございまして、海上保安庁の予算が出ていない。右側の巡視船、航空機の派遣、これはさすがに海上保安庁の予算は使われております、共同訓練でございますが。

 ちょっと余談で申し上げると、この紙の上の方に、一番最初の段落の二行目のところに、長官級による会合、海上保安庁の長官級の会合をやっていると書いてあるんですが、これは私一番びっくりしたんですけれども、長官級会合にアジア諸国の長官を呼ぶときの旅費とか宿泊費とか会議費等のお金は、海上保安庁がお金がなくて出せず、これも日本財団というところが日本海難防止協会を通して拠出している。つまり、政府の国費を使っていないんですね。これは両大臣の所管ではないんですが、私はここでちょっとNSCでぜひ取り上げていただきたいと思っています。

 というのは、防衛装備を、新しい原則のもとでこういうシーレーンの確保に関係のある協力国に幾ら装備を供与しても、人材育成が不十分であれば海上交通路の安全確保にはつながらない、私はこう思っております。ここに書いてある事業は既にやっているわけですけれども、要するに、政府が国費を出していないんですね。

 これは直接防衛省や外務省の所管事項ではないかもしれませんが、ぜひ、NSCの中でも、シーレーンの安全確保を強化するんだということがNSSでも出ているわけですから、議題としてやはり取り上げて、関係大臣、特に四大臣は意識を強く持って、できれば予算措置をしっかりしていただいて、防衛省は防衛交流という形でいろいろな国の将校クラスの方とかその下の方も受け入れていると認識しておりますけれども、これはNSCの審議官にぜひ議題として取り上げていただきたいと思いますが、いかがですか。

武藤政府参考人 我が国は、資源や食料の多くを海外との貿易に依存しておりまして、また、海洋資源の開発を通じて経済発展を遂げた海洋国家でございます。開かれ安定した海洋は我が国の平和と繁栄の基礎でございまして、同時に、国際公共財として、世界の平和と繁栄の基盤でもございます。

 このため、シーレーンの安全確保を含む海洋安全保障の強化は国家安全保障戦略の重要な柱でありまして、我が国は、各国と緊密に連携をしながら、力ではなく、航行の自由、法の支配といった基本ルールに基づく開かれ安定した海洋の維持発展に向け、主導的な役割を発揮していく考えでございます。

 このため、委員御指摘のシーレーン沿岸国の海上保安機関の職員に対する研修等による人材教育への協力とか、そうした国々の海上保安機関との間での共同訓練の実施に加えて、自衛隊による二国間、多国間の共同訓練や、ODAを活用したシーレーン沿岸国に対する巡視艇供与等にも取り組んできているところでございます。

 国家安全保障局としましては、外交、安全保障に関する諸課題について、関係省庁の垣根を越えて、戦略的な観点から、政策に関する企画立案、総合調整を行ってきておりまして、委員御指摘の海洋の安全保障についても、NSCでの取り組みを含めてしっかりと取り組んでいく考えでございます。

遠山委員 ちょっと気が早いですが、来年度予算で我が党としてこれは強く予算要求をしていきたい、こう思っておりますので、NSCでも議論していただきたいと思います。

 時間がなくなりました。最後の質問でございます。

 防衛大臣、三月二十六日、サイバー防衛隊が新編されたという通知を受けました。今までも、サイバー攻撃に対する防衛体制、防衛省は持っていたわけですけれども、今回の新編で何が変わったのか、端的にお答えいただきたいということと、それから、政府全体のサイバー攻撃対処は、内閣官房情報セキュリティセンター、いわゆるNISCを軸に強化されておりますが、こことの連携のあり方についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 御案内のとおり、三月二十六日にサイバー防衛隊が新編されるということになりました。

 今まで、防衛省・自衛隊において、ネットワークに対するサイバー攻撃事態への対応というのは、これは十分な対処が必ずしも二十四時間可能な体制であったわけではありません。今回、サイバー攻撃の脅威に関して、二十四時間対応、そして情報の収集、分析、調査研究、それぞれの役割を一元化してしっかりとした対応ができる体制をつくったというふうに思っております。

 また、NISCとの連携でありますが、これは、現在、NISCへ防衛省としても要員を派遣し、そして、NISCを通じた関係省庁等への情報提供をしております。情報セキュリティ緊急支援チームへの要員派遣など、政府全体として総合的に取り組むということ、これは、今回の防衛隊の活動により得られた成果もこのNISCの方にどんどん反映できるように、関係を強化していきたいと思っております。

遠山委員 終わります。

江渡委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 両大臣、大変お疲れさまでございます。

 まず防衛大臣に、QDR、アメリカの四年に一度の国防政策の見直し、これは一九九七年からずっと続けられていまして、今回で五回目、その報告書が先月の四日に公表されました。読まれましたでしょうか。

小野寺国務大臣 内容について説明を受け、認識しているということです。

長島(昭)委員 私も実は全文は読んでおりません。エグゼクティブサマリーをさっと流した程度なんですけれども。財政的に厳しい状況がかなり強調されているなということを感じました。

 先日、台湾から研究者が何人か来られまして意見交換をしたんですけれども、彼らがおもしろいことを言っていました。このQDRを読んで愕然とした、国防省にとって最大の脅威は中国でも北朝鮮でもなく財政削減だ、そんなくだりがあった、そういうことを言っておりました。財政が厳しくなってくると、この地域に対するアメリカのコミットメントも徐々に減らされていくんじゃないかということを、やはり最も切実に感じているのは台湾であり、我が国なんだろうというふうに思っているんです。そういう意味では、非常に台湾とは利害を共有するところが大であります。

 そういう観点も踏まえて、このQDR、これは二年前に出された国防戦略指針をベースに、かなり踏襲しているというふうに評価されていますけれども、その辺も含めて、大臣なりの観点で、このQDRをどう評価しておられるか、少しお話をいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 QDRが出る前に米国の指針というのも既に出ており、私どもとしてまず一番この問題に対して対応が必要だと思いましたのは、やはり、米国の議会を含めた予算の削減、あるいは、どのように今後のリバランスを行うかということだと認識しておりました。大臣就任以来、外務省にお願いしまして、できるだけ、米国の議会の方が訪日する際に防衛省にも来ていただきたいということでお願いし、既に三十人以上の上下院議員と議論をさせていただきました。

 私どもとしては、東アジアの安定、これは日本、アメリカ、韓国、台湾のみならず、中国あるいはロシアを含めて今後、経済の成長センターになる場所でありますので、今もそういう場所でありますので、安定のためには米国のプレゼンスを落とすことはよくない、やはり間違ったメッセージを伝えてはいけないということで、繰り返しこのプレゼンスについての要請をさせていただきました。今回のQDRが出た中でも、少なくとも米国についてはアジア太平洋地域のリバランスを継続する、ここを重視するという考え方は変わっていないと思っております。

 今後とも、日本を含めた日米の同盟関係の維持のためにも、東アジアの安全保障のためにも、アジア地域でのアメリカのプレゼンスを継続すること、これを政府としても米側にこれからも継続して働きかけていきたいと思っております。

長島(昭)委員 今、プレゼンスについて大臣が注目しておられることはよくわかったので、私も意を強くしたんですけれども、なぜプレゼンスが必要かということを考えると、特に今回のQDRで注目したのは、やはり中国の能力ですね。特に、接近拒否、領域拒否、A2ADと言われていますけれども、この能力が拡大している。

 私はこの前、本会議での戦略、大綱、中期に対する質問の際にも、この中国のA2AD、特に日本が乗っかっている第一列島線、小笠原からグアムの第二列島線、こういったラインを念頭に置いて中国のA2AD能力が拡大していくと。そういうことに対して、まずはアメリカが、今はQDRの話ですから、その後で日本との関係の話もさせていただきたいと思いますが、アメリカとして特に意を用いていかなきゃならない。

 前回のQDRでは、A2AD能力については中国という名前と明示的には結びつけないで記述されていましたけれども、今回は踏み込んで、中国のA2AD能力ということをはっきり書いてありましたので、そこに対するアメリカの対抗戦略といいますか、エアシーバトルとかと昔から言われておりますけれども、どういった対応策を米国としてQDRににじませているのか、この辺のところをどう受けとめられているか、お考えを伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 委員が御指摘されたように、今回のQDRにおきましては、中国などの国家によるA2ADアプローチを通じた米国の軍事力への対抗の追求を指摘するという内容になっております。米国の優先投資分野の一つとしてA2AD能力に対抗するための能力の構築を挙げているということを、今回かなり強く打ち出しているということは、委員と共通の認識であります。

長島(昭)委員 プレゼンスというのは、まずは抑止力ですから、何かを起こさせない、そういう意味でプレゼンスは大事。それからもう一つは、この地域で何かが起こったときにアメリカが戦力を投射する、パワープロジェクション能力を発揮する、ある意味でいうと中継基地といいますか、前線基地といいますか、そういった部分が大きいと思うんですね。それをアジア太平洋地域全体をにらみながら担っている、その基盤を提供しているのは紛れもなく日本であります。

 もちろん朝鮮半島にも米軍はいますけれども、この朝鮮半島の在韓米軍は専ら北朝鮮向けのものですから半島に張りついているわけでありまして、特に沖縄にいる海兵隊を含めてこの地域全体ににらみをきかせる、あるいは抑止力を構築する、そして何かあったときには来援部隊の基盤を提供する、こういう意味で大変大事な、それをある意味で寸断しようというのがA2ADの考え方だろうと思っています。

 その点で、次に、日本が去年の暮れに、戦略の後に策定いたしました防衛計画の大綱、見直しをしましたね。この大綱と、今回発表されたQDRと、私の認識では、QDRが出る前から、あるいは大綱を日本が出す前からずっと日米の間では、特に去年の2プラス2以降、ガイドラインの見直しも含めて、ずっと継続的に防衛省、国防総省の間で議論してきたと思うんです。

 そういう中で、小野寺大臣として、今回の日本の大綱で強調している部分と、今まさにおっしゃっていただいたQDRで強調された部分、A2ADに対してアメリカのパワープロジェクションケーパビリティーをどう担保していくか、こういう観点で、日本とアメリカとの協力においてどんな点に意を用いたのか、これも国民の皆さんにわかりやすく説明していただければありがたいと思います。

小野寺国務大臣 中国のA2ADについては、アメリカのQDRの中で言及されているということであります。

 そしてまた、日米で常日ごろこの地域の安全保障の議論をする中で大切なのは、特定の国ということでの想定というよりも、東アジア全体での安全保障をこれからも担保すること、これが重要な役割だと認識しています。例えば、今回、中国のA2ADに対応するアメリカのさまざまな役割の中で、当然、日米ではこのことも含めて議論をしていることが従前からの状況であります。

 そして、大綱の中では、委員にもたびたび御指摘いただいておりますが、例えば警戒監視能力を、これを日本としてもしっかりとした対応をとり、そして日米が連携できる体制をつくることが大切だと思っておりますし、また、いわゆる列島線の議論がありますが、日本としては、今まで比較的手薄でありました南西、先島、こういう地域においてしっかりとした警戒監視の対応をすること、これが重要だと思っております。

 その一環として、例えば、与那国に警戒監視の部隊が今後配置される予定にもなっておりますし、特に、南西重視、今回、警戒監視の航空団が南西地域に新編されるという予定にもしておりますので、これは、日米で情報共有をするという中で、役割としては、日本にとって重要な役割になると思っております。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 第一列島線をめぐるせめぎ合いというのは、まさに日本の防衛そのものであります。ですから、そこは、今大臣がおっしゃったように、もちろん、ISRも大事、警戒監視能力の向上も大事でありますが、もう一つ、これは防衛大臣だとなかなか踏み込んでおっしゃれないと思いますので私から申し上げますと、やはり日本として、中国のA2AD能力に対する日本なりのA2ADというか、中国がこれ以上圧迫してこないような体制をつくっていく必要があるんだろうと私は認識しています。

 そういう中で、QDRを見ると、あえて、日本におけるアメリカの海軍プレゼンスの向上ということが書かれているんですね。ですから、そういうものと、日本の陸海空統合、まさに統合機動防衛力ということが大綱の一番の眼目になっているわけですから、そこを接着していく、そういう意義が非常に大きいんだろうと思っておりますので、その点、私なりに強調させていただきたいと思います。

 もう一つ、QDRにおもしろい概念が出ていまして、それが、ニュープレゼンスパラダイム、こういう考え方であります。ニュープレゼンス、プレゼンスというのは、アメリカのプレゼンスという意味でありますが、新しいプレゼンスのパラダイムをつくりたいんだ、こういうことが書かれています。

 私はエグゼクティブサマリーをここに持っておりますが、それはどういうことかというと、今言った、海軍の前方展開部隊を追加配備する、艦艇、航空アセット、それから地域配備またはローテーション配備、あるいは陸上部隊の特に即応部隊、こういった組み合わせをつくりながら、言ってみれば共同訓練を重ねていったり、あるいはローテーション配備を工夫していったりということで、新たなプレゼンスのパラダイムというものをつくっていきたいと。

 これは、大臣なりにどう受けとめられていますか。

小野寺国務大臣 私の理解ということでお話をしますと、例えば、民主党政権下でつくっていただきました二二大綱のときの考え方、動的防衛力、従来の基盤的防衛力からむしろ動的防衛力という形でさまざまな状況に対応できるという考え方、これが、米側も従来の考え方から新しい安全保障の考え方として今そういう方向に向かっている、一つの流れだと思っています。

 今回、統合機動防衛力としましたのは、逆にその動的防衛力をさらに今の安全保障環境を踏まえて質、量ともに充実させていきたい、あるいは統合運用の中で必要な整備ということで統合機動防衛力ということをさせていただきましたが、基本はやはり動的防衛力の考え方、これが二二であります。

 そして、米側も今同じように、例えば、そこに一つの部隊がいることだけではなくて、それがある面で、この東アジアの中で、特に今後は例えばグアムもありますし、ハワイもありますし、オーストラリアもあります、いろいろなところに移動する中で一定の抑止力を担保する、そういう方向に動いているんだと思っております。

長島(昭)委員 私も全く同感です。

 これは、むしろ日本の方が先に、ダイナミックデタランスというふうに私たちは呼んでいましたけれども、動的防衛力、それをさらに統合機動防衛力という形で進化していただきました。日本側がコンセプトを出して、そしてそれにアメリカ側が後からプレゼンスという形で表現しているという意味で、これまでのように、アメリカ側が何かを提案して日本側がそれに飛びつく、あるいは値切る、そういう関係をかなり脱しつつあるなということを非常に感じていますし、今大臣がおっしゃっていただいた認識と全く私も重なりますので、さらに意を強くしたわけであります。

 そこで、特に、今まさに大臣がおっしゃった、平時の、プレゼンスというものをただ固定的に置いておくだけじゃなくて、いろいろな、オーストラリアなども巻き込んだ形で地域に動的なプレゼンスというものを構築していく、これはまさに私たちが大綱の中で盛り込んだ内容にぴったり符合するわけです。

 特に必要なこと、日本としてこれから努力しなきゃいけないことは何かといったら、それはやはり、平時から危機、有事に至る、いつもシームレスというふうに言いますけれども、特にグレーゾーンをめぐって、最初の段階からアメリカとある程度協議しながら、この地域のまさに危機がエスカレートしないようにまず抑え込む、そして仮にエスカレートしていった場合には迅速にそれに対処していくという、まさに、日本の中でもシームレスですけれども、あるいは日本の省庁間でもシームレスですけれども、日米の間でもシームレスな対応ができるような体制を早くつくっておくということが、この地域の安定を乱そうとしている勢力がもし仮にあるとすれば、そういう勢力に対する効果的な抑止になるし、乱そうという彼らの行動を抑制させる力になるんだろうと思っています。

 次に、ガイドラインの話を伺いたい。

 コンセプトは大臣が今おっしゃったとおりでありまして、日本が出したコンセプトにアメリカが乗っかってきて、コンセプトワークはかなりビューティフルというか、きれいになっていますけれども、それを実態的な、具体的な計画にまで落とし込んでいくのは、まさに年末で期限を区切られている日米防衛協力のガイドライン改定の核心だと私は思っています。

 大臣に伺いたいんですけれども、進捗状況はどうなっているか。余り詳しいことは言えないというようなことをずっと答弁で聞いてきましたけれども、これはもともと、手前みそで恐縮ですが、森本大臣とパネッタ国防長官との間で、やろうと。これも実は日本側から提案させていただいて、それにパネッタが合意して、その後、私が副大臣のときにカーター副長官との間で、ぜひやろうということで実務的なレベルで作業が始まり、それを去年の2プラス2でオーソライズしていただいた、こういうことなんですけれども、進捗状況はどういうふうになっているか、具体的なお話をいただければありがたいと思います。

小野寺国務大臣 委員がおっしゃったとおり、一昨年の森本大臣、長島副大臣のときにガイドライン改正についての問題提起が行われ、その後、協議を重ねまして、昨年の2プラス2で見直しが合意されました。その過程におきましては、江渡委員長が当時副大臣としてカーター副長官とも議論していただきました。それを前提として、今回、ガイドラインの見直しの議論が進んでいるというところであります。

 現在のところでありますが、まず、昨年の2プラス2での本年末までの作業の完了ということは合意でありますが、このことを踏まえて、今、事務レベルで継続的にさまざまな議論を継続させていただいているというところであります。

長島(昭)委員 その2プラス2の文書、私は実はこのタイトルが非常に気に入っていまして、「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」と。いよいよ日米同盟はここまで深化してきたかという思いを強くしているんです。

 その中で、肝は日本の役割の拡大。この文書を読むと、「日米同盟の枠組みにおける日本の役割を拡大するため、米国との緊密な調整を継続する。日本はまた、国家安全保障会議の設置及び国家安全保障戦略の策定の準備を進めている。」もうこれは出ました。「さらに日本は、集団的自衛権の行使に関する事項を含む自国の安全保障の法的基盤の再検討、防衛予算の増額、防衛計画の大綱の見直し、自国の主権の下にある領域を防衛する能力の強化及び東南アジア諸国に対する能力構築のための取組を含む地域への貢献の拡大」をと。最後のところはさっき遠山さんが指摘された部分でありますけれども、こういうことをバックグラウンドの上に日本の役割を拡大していく。

 具体的にどういう役割を拡大しようとしているんでしょうか。

小野寺国務大臣 これは今回の大綱の中にも位置づけさせていただきましたが、まず我が国としての基本は、我が国の領土、領海、領空を我が国としてしっかり守り抜く、そういう体制の整備が必要だ。その上で、どうしても日米の同盟関係の中での役割分担がございます。その役割分担を今後さらに再確認する中で、この地域の安全保障環境をさらに一層充実させていきたい、そういう方向であります。

長島(昭)委員 今の御答弁ですと、今までのと大して変わらないんですよ。

 日本の役割を拡大するということは、アメリカと日本とのまさにRMC、役割分担があった、これまでの役割分担を、このタイトルでいけば、より大きな責任の共有をしていきたいと。これは、アメリカは別に今まで制約がなかったんですが、日本の方が実はシェアとしては非常に低かった、それを拡大していこうというのがまさにこの2プラス2ににじみ出ている意欲、意図だと私は思うんですけれども、もう少し踏み込んで御説明いただけませんか。

 どういう日本の役割を拡大しようとしているのか。日米同盟協力の中で今までやってこなかった、しかし、これからどういう分野でもう少し日本は役割を担おうとしているのか。七項目ぐらいの具体的な目標が定められていると思います。そういうことも含めて、ちょっと説明していただければと思います。

小野寺国務大臣 まず、十六年前のガイドラインのときの安全保障環境と、現時点で私どもが直面している安全保障環境というのはかなり大きな違いがあるという中で、当然、日米の役割分担というのは早急に見直す必要がある、そういう問題意識から、これは委員が副大臣のときに森本大臣とともに提唱されたことだと思っております。

 特に、安全保障の問題の中で、日米の関係というのは、二国間だけではなくて、よりグローバルな役割が日米の中に期待されていると思っております。例えば、テロ対策、海賊対策、平和維持、能力構築、人道支援、災害救助、あるいは装備、技術の協力といった包含するような大きな意味の拡大が日米の役割として今後期待される、その中に日本として積極的に今後コミットしていくということがまず主体だと思っております。

長島(昭)委員 では、私から申し上げましょう。

 私たちがガイドラインを視野に入れたときに、自分たちの政権でできるかどうかは別にして、やはり集団的自衛権の問題は念頭にあったんですよ。

 つまり、今まで日本の行動が制約されていた、しかし、日本の安全保障にとって欠くべからざる部分というのは当然あるだろう、それは集団的自衛権の行使、今まさに限定的な行使ということが議論になっています。私は、非常に穏当な結論に近づきつつあるなというふうに見ているんですけれども、そういったものを視野に、だって、まさにこの2プラス2の文書に明記されているわけですよ、集団的自衛権のことを議論していると。ですから、そういうことを念頭に置いて、そこで日本の役割が拡大していく、そういう方向感が日米の間で共有されていると思うんですが、一言どうぞ。

小野寺国務大臣 日本の国内で、今委員が御指摘されているような議論というのは、与野党を問わず議論がなされていると承知しております。

 そして、政府としては、基本的に、安保法制懇の中の議論が今進みつつあるということが前提で、今回、2プラス2の中でも、国内での議論、そして特に安保法制懇での議論、それが行われているということが事実としてここに記載されているものと私どもは承知しております。

 いずれにしても、安保法制懇の最終的な方向が出た中で、政府としてそれをどのような形で検討していくかということは、政府全体で検討する課題だと思っております。

長島(昭)委員 確かに、お答えしにくい課題なんだろうと思いますけれども、米側の人と話をすると、やはりここが肝だと。

 ここが、つまり、限定的かどうかは別にして、集団的自衛権をめぐる日本のスタンスが決まらないとガイドラインの実質的な議論が、だって、そうでしょう、今まで日本ができることは目いっぱいやってきたんですから。さらに日本が役割を拡大するとしたら、この分野しかないんですよ。この分野における日本のスタンスがきちっと確立して初めて、実質的な、例えば周辺事態に対してどうするか、あるいはさっきお話が出ていたシーレーンの安全確保について日米がどう協力できるかということが決まってきて、そこで初めて共同作戦計画ができて、有事に対応できる、こういう体制ができるわけでしょう。

 だとすれば、私は、与党内で今いろいろな議論がなされていることは知っていますけれども、防衛大臣として、この議論がきちっと着地しないとガイドラインの実質的な議論ができないなということで、大臣としてじりじりされているんだろうと思っているんですよ。そういう意味で、ことしの年末でガイドラインの策定の期限を切っておられますけれども、この集団的自衛権の議論が延びれば延びるほど、実質的な議論をする期間がどんどん短くなっていくというこの状況について、大臣、どうお考えでしょうか。

小野寺国務大臣 ガイドラインの検討を行うに当たっては、現時点で私どもとして政府の方針というのはまだ確定しておりませんので、今、集団的自衛権の議論についての言及が委員からございましたが、現時点でのガイドラインの中の議論というのは、あくまでも、例えば、日米同盟のグローバルな性質を反映させるため、テロ対策、海賊対策、能力構築等の分野を包含するような協力の範囲の拡大や、あるいは宇宙及びサイバー空間といった新たな領域での課題への対応の確保、こういうことで相互の能力がどう役割分担されるか、こういうこともガイドラインの議論の中では大変重要な議論の一つだと私は思っております。

 いずれにしても、今後、もし一定の政府の方針が出るのであれば、それを踏まえたガイドラインへの反映というのも当然なされるものだと思っております。

長島(昭)委員 ヘーゲル国防長官も今月いらっしゃるということでありますから、ぜひそういう場では突っ込んだ議論をしていただきたい。こういう場ではなかなか大臣としては、官邸から箝口令も出ているのかもしれませんが、おっしゃりにくいのかもしれません。これはこれで、ぜひそこは念頭に置きながら、日本のしっかりとした役割を果たしていける、そういう日米同盟深化に臨んでいただきたいと思っています。

 残り十分ぐらいですけれども、集団的自衛権の問題に行きたいと思います。

 きょうの日経新聞にも「他国では原則行使せず」、産経新聞も「集団的自衛権 行使を限定」、せんだっても朝日新聞に「集団的自衛権行使を限定 政府素案 他国領土・領海派遣せず」、こういった臆測記事が躍っているわけでありますが、もし仮にこういう方向で話がまとまるのであれば、私は非常に穏当だと思っているんですよ。こういう内容であれば、我が民主党も十分正面から受けとめられる。良識派の中川先生もきょうはおみえでありますが、私は率直にそう思っています。ですから、そういう意味でいうと、ぜひこの議論を深めていただきたいんですね。

 それで、最近話題の砂川事件最高裁大法廷判決、昭和三十四年十二月十六日。今、公明党の山口代表と高村自民党副総裁との間で若干の論争が惹起されているようでありますが、私は、この砂川判決、非常に練られた、今から半世紀近く前にこんな見事な自衛権に対する解釈があったのかと改めて感嘆しているわけです。一番最後のパラグラフの二行目ですけれども、「わが国の平和と安全を維持するための安全保障であれば、その目的を達するにふさわしい方式又は手段である限り、国際情勢の実情に即応して適当と認められるものを選ぶことができる」。内閣法制局の解釈なんかよりよっぽどいいですよ、こっちの解釈の方が。

 個別的とか、集団的とか、わけのわからない区別はしないし、「国際情勢の実情に即応して適当と認められるものを選ぶことができる」、物すごく主体的な、見事な判決だと私は思うんですが、外務大臣、御感想を一言。

岸田国務大臣 まず、自衛権につきましては、国連憲章第五十一条におきまして、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、個別的または集団的自衛の固有の権利を害するものではないと規定されている中にありまして、昭和三十四年の砂川事件判決におきましては、我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではないと、こうした固有の自衛権という表現を使っていると承知しております。その上で、御指摘のような判決の内容になっております。

 この固有の自衛権という表現につきまして、またこの司法府の判断につきまして、行政府の立場からそんたくすることは控えなければならないと存じますが、こうした判決等があり、それをもとに今、与党内において議論が行われているということにつきましては承知しております。

長島(昭)委員 ちょっと、砂川判決に対するコメントはいただけなかったんですけれども。

 今、仄聞する与党内の議論、私たちももう議論しています、維新の会もきょう何か考え方が出ていましたけれども、大分平仄が合っているような気がするんですね。ポイントは、一つは、限定的な集団的自衛権の行使にとどまるというところです。肝はそこだと思っているんです。

 念頭に置くオペレーションとしては、一つは周辺事態、これはまさに我が国の存立に直結するわけですね。安全保障に直結する。プラス、先ほど遠山議員からソフトな面の紹介がありましたけれども、もう一つ、ハードな部分のシーレーンの安全確保。先ほど武藤さんも答弁されていましたけれども、通商国家であり海洋国家の日本においてこのシーレーンの安全確保というのはまさに生命線でありますから、ここにおいて日本は、今までのようにアメリカにただ乗りというか、アメリカに全面的に依存するという形ではなくて、もう少し日本の役割というものを果たすべきだと私は個人的に思っています。

 さっき、前方プレゼンスの議論を防衛大臣とさせていただきましたけれども、財政に非常に厳しい制約が課されてくる前方プレゼンス。兵力の六割をアジアにリバランスすると口では言っていますけれども、これはなかなか、このプレゼンスを維持し続けるということはいかにアメリカでも大変だと思うんですね。そういうプレゼンスの持続可能性というものを担保するためにも、前方に出てきているアメリカ軍を場合によっては守る、そういう日本の役割というのは私は大事だと思っています。

 その際に、やはり国民の皆さんは、おいおい、周辺を越えて公海上をどんどん行くのか、地球の裏側まで行くのか、こういう議論になりかねないわけであります。そういう危惧が当然のことながらあるのは私も承知しております。

 それに対する歯どめとして今言われているのは、他国の領土、領海には、領域国の承認というか、要請みたいなものがない限り派遣しない、あるいは武力行使しない。こういう原則をここで確認することは極めて穏当な方向性だと私は思うんですが、この点について、外務大臣、いかがですか。

岸田国務大臣 御指摘のように、ただいま与野党において限定的な集団的自衛権の行使という議論が行われているということ、このことにつきましては私も承知しております。そして、現在、安保法制懇、有識者会議におきましても、憲法第九条による制約についてどう考えるかも含めてこの議論が行われております。

 まずはこの議論の結論を待ちたいとは思いますが、懇談会の議論の中でも、例えば、個別的自衛権について憲法第九条による制約がかかっているならば、当然、集団的自衛権についてもかかっているのではないか、こういった議論が行われているということ、これは既に公にされています。

 こうした議論が行われた上で、安保法制懇の最終報告書が出されます。それを待って、政府としましては、与党ともしっかり議論した上で政府の方針、結論を出したいと考えております。

 こうした議論の行方につきましては注視していきたいと考えています。

長島(昭)委員 防衛大臣、いかがですか。

小野寺国務大臣 基本的には、今、外務大臣から答弁されたとおりだと思っています。

長島(昭)委員 わかりました。

 最後に、ポイントです。こういう話をすると、我が党では、解釈改憲、憲法解釈を変えるのか、けしからぬ、こういう批判も出るんですね。そこで、私はきょう、五十年前の林内閣法制局長官と岸総理の答弁を持ってまいりました。何が言いたいかというと、政府解釈をよく読むと、今回、歯どめとして議論されていることを踏まえて考えると、これは実は、これまで積み上がっている憲法解釈の延長線上の議論にうまくなっているんですね。ちょっと見てください。

 まず、林法制局長官。前段のところはちょっと省きますが、「密接な関係のある他の外国が武力攻撃を受けた場合に、それを守るために、たとえば」、これがポイントですね、「外国へまで行ってそれを防衛する、こういうことがいわゆる集団的自衛権の内容として特に強く理解されておる。この点は日本の憲法では、そういうふうに外国まで出て行って外国を守るということは、日本の憲法ではやはり認められていないのじゃないか、かように考えるわけでございます。」と。

 岸総理はこれを受けて、「いわゆる集団的自衛権というものの本体」、佐瀬昌盛さんは中核概念と言っていますけれども、「集団的自衛権というものの本体として考えられておる締約国や、特別に密接な関係にある国が武力攻撃をされた場合に、その国まで出かけて行ってその国を防衛するという意味における私は集団的自衛権は、日本の憲法上は、日本は持っていない、かように考えております。」と。

 これを読む限りでは、集団的自衛権の中核概念、最も本質的な概念というのは、外国まで出ていって、つまり同盟国といえども他国の領土、領空、領海まで入り込んでいって、そこで攻撃を排除する、そういう権利というふうに意識されているわけです。

 したがって、集団的自衛権を今回限定的に認めるとしても、他国の領土、領空、領海、ここに入り込んでいってこれを行使することをある意味除けば、この昭和三十五年で言われているところの裏を読むと、他国の領土、領海、領空まで出ていって行使するという意味での集団的自衛権は憲法上持っていない、こう言っているわけですよ。ということは、そうでない、そこにまで至らないレベルでの集団的自衛権の行使については否定していないんですよ、明らかにこの解釈は。

 そういう限定つきの集団的自衛権、例えば公海上における行使であるとか、周辺事態における行使であるとか、これが我が国の安全保障に直結するということであれば十分考え得ると私は思うんですが、最後に、外務大臣から、今の私の解釈、検討の方向性についてコメントをいただきたいと思います。

岸田国務大臣 委員のただいまの御意見を承りまして、大変深い見識に裏づけられた、傾聴に値する議論だとは承りました。

 政府の立場としては、先ほど申し上げましたように、安保法制懇の最終報告書を待って、その上で、政府として、与党ともしっかり調整した上で政府の方針を確定するということであります。そうした委員のただいまの御議論等も、その議論の中で参考にされるものではないのかなと想像はいたします。ぜひ、充実した議論に資するよう、政府としてもしっかり対応していきたいと考えております。

長島(昭)委員 これは閣議決定で済む話じゃないので、最終的には立法府に戻ってくる課題でありますので、私は、こういった歯どめも含めて、安保基本法のような形で、立法の形で与野党が一緒になってこの集団的自衛権の問題を考えていく、そういう場を後半の国会でぜひつくっていただきたい、そのことをお願い申し上げて、質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸でございます。よろしくお願いいたします。

 一昨日、自民党の中山委員から質問があった件で、忘れないうちに岸田大臣に一言御所見をいただきたい点がございます。

 積極的平和主義の中で、今、集団的自衛権とか武器輸出の問題、いろいろやっているわけではございますけれども、そういった方面からだけではなくて、やはり、国連というものがあるわけで、日本は米国に次いで拠出金も非常に高額な支出をしているわけでありまして、ぜひとも広島に国連のアジア本部、アジア機関を、今アジアにはないわけですから、やはり我が国として手を挙げて、積極的な平和発信のためにも、ぜひ誘致に御尽力いただきたいと思います。

 私、広島市の松井市長とお話をさせていただく機会がございまして、そのときにこの話をしたんですけれども、やはり一番懸念されているのはランニングコスト。国連の機関は基本的に受け入れた都市がその費用を負担するということになりますので、そこの費用のところが一番やはりネックだろうというような御所見だったと思います。

 これだけの高額な負担を国連にしているわけですから、その一部を広島に置く本部の費用に充てることでこれは解決できるんじゃないかと私は考えているんですけれども、岸田大臣の選挙区でもあります広島市中区にぜひともこれは置いていくべきものだろうと私も思うんですが、大臣のお考えを冒頭にちょっとお聞かせ願えればと思います。

岸田国務大臣 御指摘の点につきましては、我が国は、積極的平和主義という外交、安全保障の基本方針を掲げ、これまで以上に国際社会に貢献していこう、こういった意思表示をしております。

 今後とも、国連を初めさまざまな国際機関としっかり連携しながら、国際社会の平和と安定あるいは繁栄にしっかり貢献していかなければならないと考えています。

 その際に、我が国に国連機関を誘致するという考え方、こうした議論をリードする立場から考えましても、これは意義あることだと思います。そして、我が国は唯一の戦争被爆国として、特に軍縮、不拡散の分野においてはより積極的に議論をリードしていかなければならない、こうした道義的な責任も持っているのではないかと存じます。広島という地に国連の機関を招致するということ、こうした軍縮、不拡散の分野を中心にこの議論をリードしていくことを考えましたときに、これもまた意義あることかと存じます。

 しかし、委員が御指摘のように、国連の機関の招致ということを考えますと、ランニングコスト、やはり財政的な面は大変大きな問題となり、負担となります。事実、国連のさまざまな機関を見ますと、財政的に大変厳しい機関があり、統廃合が議論されている機関もたくさんあります。こういった中で国連の機関を招致するということになりますと、現実問題、財政的な負担をどうするのか、こういった議論もあるかとは存じます。

 そういった問題点もありますので、例えば、こうした国連の機関、まずは小さな規模から招致を実現し、そして、その後拡充していく、こういった具体的な方策も考えられるのではないか、こういった議論もあるとも承知をしております。

 いずれにしましても、そうした国連機関の招致の意義も念頭にしながら、具体的に何ができるのか。今、広島という御指摘もありましたが、広島市を初め関係者とも議論をしながら、具体的な方策について考えていきたいと考えております。

中丸委員 今、広島市議会、県議会でもやはりこういった話題が出ていまして、非常に前向きに取り組みたいという地元の声もあると思いますし、誘致場所の問題も、ある一定のめどが立ちそうだという意見もございます。ぜひとも前向きに積極的に取り組んでいただければ幸いでございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。前回、ちょっと時間切れで残った質問がありまして、そこから始めさせていただきたいと思います。

 防衛省がAH64Dの発注を富士重工にしていたわけなんですけれども、これは訴訟になりまして、東京地裁で富士重工側が敗訴したということがございました。簡単に言いますと、本来六十二機調達する予定だったものが十三機で打ちどめになってしまった。そうすると、アメリカに払ったライセンス料であるとか、ラインを設立するための設備投資であるとか、非常に大幅な赤字が出たということで損害賠償を求める訴訟になったわけですけれども、結局、富士重側が敗訴した。

 なぜこの問題を今回質問させていただくかといいますと、国内の技術基盤の維持、技術の向上の中で、やはりそういった防衛産業の企業側と発注する側の信頼関係というのは非常に大事でありまして、こういった契約問題というのは非常に大事な問題だと思うんですね。今回の一連の経緯について、防衛省から御説明願えればと思います。

黒江政府参考人 本件の訴訟の概要、経緯でございますけれども、今先生おっしゃいましたとおり、AH64Dに係ります初度費につきまして、当初、我々、六十二機を調達するという計画であったわけですが、その後の事情変更によりまして、十三機で調達を終了した。その際、当時の初度費の支払い方といたしまして、初度費全額を六十二機で割って、一機ごとに割り掛けをしてお払いをするという形になっておったんですが、当然のことながら、十三機で終わりますと残りの初度費の部分というのが出てくる、これは企業としては回収をしたい。

 この点につきまして、富士重工側が、防衛省は初度費全額を支払うという合意をしていたはずである、これを払わないのは不法行為に当たる、そういう趣旨で、平成二十二年に、三百五十一億円分の支払いであったわけですが、東京地裁に提訴をした。

 これに対しまして、国側からは、訴訟におきまして、防衛省が初度費全額を負担するという合意は存在していなかった、なおかつ、この支払いをしなかったということについて不法行為責任もない、そういう主張をさせていただいたわけでございます。

 その結果、本年二月二十八日でございますが、東京地裁におきまして、原告の請求を棄却する旨、すなわち国側の勝訴ということがあったわけですが、ただ、本件につきましては、先月の十三日、三月十三日にこの判決を不服としまして富士重工側が控訴をした、そういう報道に接してございます。ただ、現時点におきまして、まだ国側としましては裁判所から控訴状の送達は受けていない、そういう状況でございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 控訴される、裁判の中ではこれからまた争っていくものだろうと思いますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、やはり私は、企業と発注する側の信頼関係の構築というのは非常に大事で、この問題で、どちらが悪いかじゃなくて、そもそもこの問題がなぜ起こったのかという原点に返らなければ、今後も似たような案件というのは発生すると思うんです。

 普通に考えて、六十二機で、初度費も含めて一機当たりに割りながら支払いますよという話があれば、契約書上、そういうイレギュラーな事態が起こった場合にどうするかというところまで恐らくきちんと詰め切れていないから、地裁の中で判決として富士重側が敗訴するということになったんだと思うんです。

 それは逆に言えば、企業側はそれだけ信頼していたということなんですよ。信頼していなければ、十三機で打ち切りになるなんということは当然思いませんし、わかっていたら、ライセンス料を払ったり、途中で打ち切られるものでラインをつくったりはしないわけです。やはり今回の案件を一つの教訓として、ぜひとも、そういったイレギュラーが起こった場合の対処、今全体的な入札方法等も見直しをされていると思いますので、そういった件、今後の信頼関係の構築は非常に大事なものだと思います。小野寺大臣、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 防衛力をしっかりとした形で整備するためには、当然、その基盤となります防衛産業との信頼関係は大変重要だと思っております。

 今回の事案がどのような経緯であったかということは私どもも報告を受けておりますが、その中で、一機当たりの調達価格が当初よりもはるかに高額になるなど、この過程の中ではさまざまな事案があったと聞いております。

 いずれにしても、私どもとしては、基本的には、今回の裁判の結果、今控訴されているということでありますので、その状況を待つということは司法上の問題だと思いますが、今後ともやはりこのようなことが起きないように、言ってみれば、それぞれ日本の安全保障に役割を持って担当している、私ども防衛省であり、生産基盤を維持する企業でありますので、その信頼関係が壊れないように、しっかりと調達についても、今回のようなことが起きないようなさらなる対応をしていきたいと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 要するに、そこの部分もあわせて、文書というよりは口約束のようなものだったということにも判断できると思うんです。だからそういう裁判結果になるんだと思うんですけれども。トータルにすれば、何百億円じゃなくて何千億円という単位になったりもするわけですから、そういったものはやはり今後きちっとやっていかないと、不信感をつくらないようにというのが私は大事なところだと思います。ぜひとも、今後のいろいろな開発において、政府と防衛産業の信頼になるような方策に取り組んでいただきたいと申し上げておきます。

 今からの生産、技術基盤の維持向上というのは、我が国にとって、もちろん防衛力だけでなく、直接的な経済効果だけではなくて、そこから出てくる派生効果、その技術から派生して民間転用されていく、輸出されていく、非常に大事な部分がたくさんあると思います。

 その中でも、技術の最先端が詰まったものの中に戦闘機というものがあると思うんですけれども、我が国は今、F2戦闘機の生産、納入が終わっている状態でございます。F2の後継機も当然必要になるわけで、そうすると、いわゆるF3の開発、今、将来の戦闘機に関する研究開発ビジョンというのが防衛省からも出されていると思うんですけれども、そういう意味では、第四世代からF35と、第五世代にかかわってきて、それはアメリカから購入してライセンス生産するという方向だと思うんですけれども、まさにその次の、次世代のものを今研究されている。

 これは何の必要性があるか。単純に技術だけではなくて、やはり我が国は、中国と比べてもそうですけれども、数でまさるというのが非常に難しいというものがあれば、まず質の意味では絶対的に劣勢になってはならないという基準が要ると思います。

 そうすると、数で勝負しないで技術を駆使した戦い方、特に次世代で言われているのはカウンターステルス、これはすばらしい考え方でして、複数の機で情報共有をする。普通は一機が一機をロックオンして発射して撃墜するわけですけれども、多数の飛行機で多数の飛行機を相手に、情報共有して誰かが形をつくれば、ロックオンした機でなくても、別の機が撃っても、誰かが撃てば全部が当たる、こういう仕組みができるわけです。

 これを今クラウドシューティングということでやられていると思うんですけれども、こういったF3の開発について、今年度、実証実験飛行も行われる予定で、ロードマップどおりに進んでいるというふうに聞いておりますが、今後、どういうふうにこの戦闘機開発、技術開発というのをイメージされているか、お聞かせいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 まず、F2の開発の時点におきまして、さまざまな技術が民間にも転用されることになりました。航空機の素材で複合素材を使うということ、これは後に民間航空機に転用されておりますし、また、レーダーのさまざまな開発技術の中で、車両に搭載していますETC、あるいは今衝突予防装置というのがありますが、これはF2の技術が民間に転用された例だと思っております。

 今御指摘がありました先進技術実証機のことでありますが、これは、今防衛省の技術本部を含めて、その検討に当たっているということであります。先般も私は実際にその実証機をつくっている現場を見せていただきまして、その能力の高さについて確認をさせていただきました。

 今後、この実証機を含めて技術開発をしていくということが大切だと思いますし、また、その際、今後それが実用化される場合にはコスト面での合理性があるかとか、そういうことを多数検討していく内容が必要だと思っております。

 いずれにしても、現在行っております実証機を含めた研究開発やシミュレーション等を通じて、将来戦闘機の具体的な要求性能あるいは技術的な達成可能性等を明確化するため、戦闘機関連技術の実証研究を行い、その成果も踏まえつつ、これは平成三十年度まででありますが、開発に係る最終的な判断を行い、必要な措置を講じていきたい、そのように思っております。

外園政府参考人 お答えさせていただきます。

 今大臣から御答弁させていただきましたとおり、F2戦闘機の後継機の取得を検討する所要の時期までに開発を選択肢として考慮できるように、平成二十二年八月に策定しました将来の戦闘機に関する研究開発ビジョンに基づきまして、必要な研究開発を推進しているところでございます。

 これは先ほど大臣から御説明がございました先進技術実証機以外にも、委員御指摘の、クラウドシューティングを可能とする統合火器管制システム、それから先進的なアビオニクス、それからステルス機体に搭載して非常に整合性のいいエンジン、さらには通信機器など所要の研究開発を推進しているところでございまして、平成三十年度をめどにこれらの技術成果を得て将来のコンセプトを固めていきたいと思っております。

中丸委員 過去、ゼロ戦というのが三菱でつくられたように、我が国の航空機技術というのは非常に高いものを発揮できると思います。やはり、こういったものは産業界の一つのジャパン・ブランドという見方をしたときに物すごい技術の集合体なわけですから、先ほども、民間転用の派生品も当然出ているわけですし、今後もそういったものがたくさん出てくるわけです。二十年、三十年、時間のかかることではありますけれども、とはいってもF2の後継機というのはそれなりの時期には必ず必要になってくるわけです。

 さっき小野寺大臣がコスト面というお話をされたと思うんですけれども、一機当たりのコストを下げるにはもう非常に簡単。たくさんつくる。たくさんつくって、日本の中で維持するためではなくて、これはもう輸出するしかない、共同開発なり輸出。こういったときに、俗に言う武器輸出三原則の問題であるとか、こういうことも解決しなければ、これは先に進まなくてコストばかりかさんで、結局、それは国民の皆様の血税にはね返ってくるということになります。

 これが逆に、輸出をきちんとできて、技術ももちろん、相手国は限られると思いますけれども、それと一緒に開発しながらできれば、これは当然経済全体の底上げにもつながってくるというふうに思うんですけれども、岸田大臣、こういった輸出に関して対外的に今後どういうふうな取り組みを考えられておられるか、御所見をお伺いいたしたいと思います。

岸田国務大臣 御質問は、防衛装備の輸出についてどう考えるかという趣旨かと思いますが、我が国としましては、このたび、この防衛装備に関しまして新しい原則を閣議決定いたしました。我が国のこうした防衛装備に関する考え方をより明示的に明らかにすることになったわけでありますが、こうした考え方に基づいて取り組むことにより、ぜひ、国際社会において我が国のこうした考え方がしっかり理解されること、こういった成果につなげていかなければならないと考えております。

 外務省としましては、国家安全保障戦略等、基本的な考え方に基づいて、防衛省を初め関係省ともしっかり連携しながら、適切な取り組みに協力をしていきたいと考えております。

中丸委員 ありがとうございます。そういった取り組みをぜひとも前向きに継続していただきたいと思います。

 今回の将来戦闘機コンセプトの中で、興味深いというか私が非常に興味をそそられるものがありまして、ライトスピードウエポン、高出力のレーザーや電磁波によって、光の速度で瞬時に内部の電子機器の故障を誘発する。要はその機能が物すごい平和的で、人を殺傷するんじゃなくて電子機器を破壊したり故障を誘発させる、しかもそれを光の速さで瞬時に。これがさっきのアイファイターのようなトータルでやった形で、誰が撃っても当たるなら、本当に瞬時に相手の攻撃力をブロック、これはもう夢の平和兵器と呼んでもいいと思うんです。

 機密で言えないところは置いておいて、これは取り組みで現実的に動いているのかどうか、ちょっと教えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、武藤(容)委員長代理着席〕

外園政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員が御指摘の指向性エネルギー兵器の研究につきましては、まだ航空機に搭載する段階には至っておりませんけれども、基礎技術につきましては、防衛省技術研究本部で、レーザーにつきまして、かつまたマイクロ波、電磁的に相手の機能を無能化するような研究を実施しているところでございます。

中丸委員 PAC3とかもそうですけれども、ミサイル防衛にも十分役立てられる技術だと思います、何せ光の速さですから。これはぜひ、防衛大臣、予算をふやして、その分スピードを、短期間化させるということに本気で取り組むのも非常に大事な観点だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 防衛省のさまざまな研究については、現地視察をして説明を受けているということで今まで承知をしておりましたが、あの研究がそれほど将来性が高いということは、今、委員の御指摘で再認識をさせていただきました。

 今後とも、技術研究部分に関しては、必要な予算をしっかり確保していきたいと思います。

中丸委員 もちろん、戦闘機開発もそうなんですけれども、今のところであれば、ライトスピードウエポンというのは、単独でももちろん使えるものでもありますし、またさまざまな民間転用の可能性というのは含んでいるものだと思いますので、ぜひとも積極的に、やはり時間をお金で買うという意味では予算をふやすというのが一番いいと思いますので、考えていただきたいと思います。

 それでは、先ほどから話題に出ています集団的自衛権について、少し触れさせていただきたいと思います。

 きょうの新聞に、昨日、我が党の安全保障調査会で話をしたことが一部、まだ最終発表ではないんですけれども、報道で各紙に取り上げられておりました。おおむね内容はその方向であるというところまで言及はさせていただきたいと思います。政府が今御検討を与党内でされている中で、もちろん、限定行使を基本理念としつつ、他国領域へ、他国の領土、領空、領海には基本的には派遣をしないというような新聞記事等もあるんです。

 確かに、我が国の平和国家の位置づけとして考えれば、そういう考え方もあろうかというふうには思うんですが、実際問題、例えば朝鮮半島で有事が起きたときに、韓国には我が国の国民がたくさんいるわけで、相手国の領土、領空、領海に入らないということになれば、邦人を救出するというときに、米軍と共同作戦をとって、邦人救出に自衛隊が入れず、公海上で、アメリカさん、連れてきてくださいねと待っているというようなことになりかねないというところもあるんです。

 これは、領土、領空、領海に入らないという言い方自体は、やはり、邦人の救出に関しては別だとか、そういった共同作戦の場合は当然必要なものであるとか、何か踏み込まないといけない部分があると我々は考えているんですけれども、小野寺大臣、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 私が答えられる範囲でお話をさせていただくと、基本的には、今、集団的自衛権の問題は安保法制懇の中で議論をされている内容だと思っております。

 片や、今、邦人の輸送の問題がございました。

 邦人輸送につきましては、先国会で、邦人輸送、特に陸上の輸送を含めてお認めをいただきましたので、私どもとしては、与えられた任務の中で対応していきたいと思っております。

岸田国務大臣 安全保障環境が大変厳しさを増す中にありまして、実際、海外において邦人が被害を受けるテロ等の事件が発生しております。昨年一月のアルジェリアのテロ事件、邦人が被害を受けた事件につきましても、大変生々しく記憶に残っております。こうした事態に適切に対応しなければならないということで、現在、安保法制懇におきましても、在外邦人の保護について議論が行われていると承知をしております。

 その議論の中身につきましては、例えば昨年一月に発生した在アルジェリア邦人に対するテロ事件のような、外国で我が国国民の生命が脅かされた場合、仮に、その外国政府が侵害を排除する意思または能力を持たず、かつ、その外国政府が我が国が対処することに同意したとしても、我が国は輸送しかできないがそれでよいのか、こういった議論が行われていると承知をしております。

 そして、現行法においても、自衛隊による在外邦人等の輸送について、地理的制限は存在しないと承知をしております。

 こういった状況の中で、まずは懇談会の報告書を待ちたいと存じますが、それを受けて、政府としましても、与党としっかり議論をした上で、方針を考えていかなければならないと思っております。

中丸委員 ぜひ積極的に、そういったことができない事態にならないように、話し合いを、議論をしていただきたいと思います。

 この新聞記事なんですが、気になったのは、当初は自衛隊の活動範囲に地理的な制約は設けない方針だったが、行使容認に慎重な公明党に配慮して限定的に運用することにしたと。

 いろいろ配慮はあると思いますが、国民の生命財産を守るところに、政局とか配慮とかという問題ではなくて、いかにこの国を守るか、いかに国民を守るか、大事なのはそのポイントでございます。やはり、そこの部分を外した政局というのは、対野党であろうとあり得ないところだと思いますし、与野党の壁を越えて、本気でこの日本という国をどうやって守るのかという議論が必要だと思いますので、ぜひともそういう観点からやっていただきたいと思います。

 仮に朝鮮半島有事があった場合に、邦人をどうやって救出するかというときに、私は一つ大きな問題点を感じていまして、韓国のセヌリ党の国会議員十人が、韓国国内で旭日旗を掲げることを禁じる刑法改正案を国会に提出したと。韓国内で旭日旗を上げたら、要は刑事罰があるような法案を出しているわけですよね。

 これは、考えてみると、旭日旗というのは、我が海上自衛隊それから陸上自衛隊の隊旗でもありますし、これは国際的には国旗とみなされているものであります。まして、有事のときに、艦船はどこの国の所属のものなのか、そういった中で、必ず掲げないといけないわけです。

 邦人救出とかそういった形で、例えば米軍と共同作戦をとろうというときに、我が国の自衛隊の艦船が韓国の港に入った瞬間に、これは、旭日旗がついているからだめだぞというような問題になっちゃうわけですね、そのままいけば。それから、我が国の陸上自衛隊が、邦人の救出、輸送を行うためにそこに陸上自衛隊の隊旗を掲げたら、何だこれは、旭日旗だ、これは戦犯旗じゃないか、韓国で何をしているんだという話になるわけです。集団的自衛権の問題の中で、やはり、いろいろな事例をシミュレーションされて安保法制懇等で討議をされていると思うんですけれども、実は、単純に法制だけじゃなくて、こういった問題も入ってくるんです。

 こういった問題について、岸田外務大臣、何か韓国側に、これはさすがにおかしいだろう、何かあったとき、あなたの国はどうするんだ、日本は何もできませんよということを、これは災害援助でもそうですね。では、海上自衛隊の輸送艦が入ったら、あれ、戦犯旗がついているじゃないかと言われるわけですよ。これは国旗ですから、もちろん我が国は絶対変えるわけにいかないですし、これを変えると、日の丸もどうするんだという話になっちゃうわけですから、これははっきりと、我が国の姿勢として、君たちの言っていることは間違っていると外務省として言っていただくべきだと私は思いますけれども、いかがですか。

    〔武藤(容)委員長代理退席、委員長着席〕

岸田国務大臣 御指摘のように、旭日旗をめぐりましては、日本と韓国それぞれの認識、考え方は異なっているようであります。

 そして、日韓関係、今難しい局面の中にありますが、安全保障を初めさまざまな分野において日韓は協力をしていかなければならない、こうした立場にありますし、責任を担っていると考えています。

 安全保障の分野での協力を進める中にあって、御指摘のような問題点があるとしたならば、これはしっかりと意思疎通を図っていかなければならない課題ではないかと考えます。

中丸委員 この件について、外務省、何か御存じのことがあるのか。今どうなっているのか、それに対してどういう動きをされているのか。もしおわかりの方がおられたら、教えていただきたいんですが。

山田政府参考人 恐縮でございますが、事前に御通告がございませんでしたので、私どもの局では把握しておりません。きちんと調査の上、御報告申し上げたいと思います。

中丸委員 ありがとうございます。ぜひしっかりと調査していただいて、御報告をいただきたいですし、やはりさまざまな外交活動の中で、このことについては、韓国は外交カードとしてさまざまな、そこに河野洋平先生の肖像画もありますけれども、こういうのもありますし、いろいろなことをカードとして使ってくる。

 それは外交でありますから、我が国がどう受けるかを考えればいい話なんですけれども、これはいざ有事というときに非常に大きな問題になるところでありますし、国旗そのものを否定するという考え方は、もう外交カードの域を超えている。

 これは恐らく両国間の問題ではなくて、アメリカの旗を見て星条旗が気に入らないとかそんなことは、例えば私は被爆二世ですけれども、広島で星条旗が気に入らないなんて言っている人は見たことがないですし、こういう発想自体に問題があるんだということは、ぜひともこれははっきりとおっしゃられた方がよろしいかと思います。今後とも、外務省を通じて、またいろいろ資料を、お待ちしておりますのでいただきたいと思います。

 それでは、集団的自衛権の続きなんですけれども、憲法が許容する必要最小限の自衛権の範囲、新聞にも書いてありました。いろいろなところでこの必要最小限という言葉が飛び交っているわけなんですけれども、自衛権行使時の三要件もそうです。

 必要最小限というのは、自衛隊法を見たら、我が党が安全保障調査会の中で話をしているのは、武力行使の際に、合理的に必要な範囲内に限定してとか、これは自衛隊法八十八条に書いてあるんですけれども、そこには必要最小限という言葉は一言も書いていないわけです。なぜか集団的自衛権の行使とかになると、必要最小限の範囲内でと。

 これは法制局にお伺いしたいんですけれども、必要最小限というのは、何を根拠に出てきた答弁の言葉なんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 自衛権の行使三要件の中の第三要件の中に、必要最小限度という言い方をしておりますが、これについて、大変恐縮ですけれども、いつ誰によってきちっと使われるようになったかというところについて、必ずしも明瞭に今お答えすることはちょっとできません。

 過去の、いろいろ国会での御答弁の議事録を見ますと、例えば昭和二十九年の三月十六日の衆議院外務委員会におきまして、当時の佐藤法制局長官から、日本は、自衛権はある、そしてその自衛権の行使のために必要最小限度の防御方法を講ずべきであり、それを超えることは許されないという答弁をされております。

 また、その後、同じ昭和二十九年の三月十九日の衆議院外務委員会におきまして、佐藤法制局長官から、この自衛権の限界については下田君が三原則を述べました、この下田君というのは多分当時の下田外務省条約局長で、国際法上の自衛権行使についての三条件を御説明されたことがございまして、それを指していると思いますけれども、すなわち他に方法がなくて、そうして急迫不正の危害があって、それを排除するために必要欠くべからざる最小限度の措置という制約をかぶっておりますから、その方向で自衛隊は動くというふうに御了解いただければこれは結構なことであろうと思いますというような答弁の中から、私ども、その必要最小限度という言葉を読み取っております。

中丸委員 今の答弁をお聞きいただいたらわかると思うんですけれども、何らかの根拠があって必要最小限というものに変わったのではなくて、いろいろなところの答弁の中で出てきた言葉がどんどん積み重なって、さも法文のように使われているわけですね。

 でも、あくまで自衛隊法八十八条は「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」という書き方で、合理的に必要な範囲はやる、当然なことでございます。

 必要最小限度という考え方には非常に怖いものがありまして、少なければいいではなくて、必要な最小限度という、どこが最小なのかというのが明確ではないわけですね。非常に耳ざわりはいいし、使い勝手はいい言葉かもしれませんけれども、現実的に、現場で任務に当たる隊員とか指揮官からすれば、必要最小限度を現場の瞬時の判断というのは、それは難しいと思います。ここで弾を何発撃つのかとか、ミサイルは何発までが必要最小限なのかとか、そんな判断ができるわけないんです。この作戦を遂行するために必要な範囲内で行うというのが通常でございます。

 私は、この必要最小限ワールドから我が国は脱却すべきだというふうに思いますけれども、今回、特に集団的自衛権行使の、どういう解釈にして、どういう規定を我が国として、平和国家としてつくり上げていくかの中に、やはりこの必要最小限の呪縛というのがまた続いていくのであれば、政府・与党内で今から検討をされるにしても、この問題についてもぜひ検討材料に入れていただきたい。私は、現場の隊員たちのことを考えれば、これは必要な考え方だと思いますけれども、小野寺大臣、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 委員が御指摘されました、憲法第九条のもとで認められている自衛権の発動としての武力の行使についての三要件については、これは従来から政府は、委員が御指摘のような解釈をしているというふうに私どもは理解をしております。

 現在、これをどう今後考えるかということについては、これは私どもというよりも、むしろさまざまな懇談会を含めて議論がなされていると承知をしております。

中丸委員 ぜひとも、この議論は、政治家だけではなくて法制局も含めて本気で取り組まないと、言葉のひとり歩き、どれだけできるかというところに、とにかく少なくしろ少なくしろという考え方は、必ずこれは後の世に禍根を残すものだと思います。

 本当は時間なんですけれども、岸田大臣に外務大臣としての外交の基本姿勢を簡潔に一言だけお願いして、終わらせていただきます。

江渡委員長 時間ですので、簡潔にお答えしていただきたいと思います。岸田外務大臣。

岸田国務大臣 安倍内閣としましては、地球儀を俯瞰する外交という戦略的な外交を展開しているわけですが、その中にありまして、私自身としましては、外交の三本柱、日米同盟の強化、近隣諸国との関係推進、そして経済外交の推進、この三つの柱を掲げて、まずは我が国の国益をしっかり守っていく、国益を増進していく、こういったことに努めなければならないと考えています。

 ただ、私自身、それだけでは日本の外交として不十分だと考えております。それに加えまして、我が国としましては、中東和平ですとかシリア問題、あるいはイランの核問題等、グローバルな課題にしっかり汗をかき、そして貢献する、こういったグローバルな課題に取り組んでこそ、国際社会における発言力を高め、そして日本の信頼感を高め存在感を大きくしていく、こうしたことにつながるのではないかという観点から、グローバルな課題への取り組みも重視をしております。

 こうしたグローバルな課題にも取り組み、国際社会に貢献することにより、結果として、好ましい国際環境が生まれ、そして我が国の国益も守られる、こうした外交のよい循環をつくり出すべく、今後とも努力をしていきたいと考えております。

中丸委員 ありがとうございました。

 したたかで強い日本をつくってまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 きのう急遽、代打で質問に立つことになりまして、安全保障委員会で質問するのは恐らく五年ぶりだったように思います。きょうは、集団的自衛権や新防衛大綱といった大所高所の議論には一切踏み込まずに、地味な小さな案件について、日ごろ疑問に思っていることを質疑させていただきたいと思います。

 まず、小野寺大臣に初めて質問させていただきます。

 自衛隊の元自衛官、任期制の自衛官の方が二年や三年お勤めになって若くして退官された、そういう自衛官の方に例えば大学に行く奨学金制度をつくる、こういったことをやると、質の高い人材を確保し、そしてさらには、大学生であれば比較的訓練に参加する時間もあるでしょうから予備自衛官もやりやすいんじゃないか。そういった観点から、元自衛官向けの、例えば大学向けの奨学金制度、こういったものをつくったらいいんじゃないかというふうに私は前から思っておりました。

 アメリカには昔、GIビルといって、第二次大戦が終わって大量に復員軍人が帰ってきたときに、復員兵擁護法案といって、大学に進学するための奨学金を元兵士に供給する、そういうプログラムがありました。結果的に、戦後、アメリカの大学教育が爆発的に普及するきっかけになりました。高度な人材の育成にもつながりました。そして、大量に兵隊が帰ってきて、失業するのではなくて大学に行くことによって雇用の問題にも役立った、そういう歴史的経緯があります。

 日本版のGIビルのような法案をつくって、例えば、高校を出て自衛隊に入って、それから自衛官になって、任期制の自衛官を二年なり三年なり、あるいは二期勤めた後でも大学とか専門学校に進学できる、そういう奨学金をつくる、こういう制度は非常に有益ではないかと思います。金額的にも確かにお金がかかりますが、その奨学金をもらっている間は例えば即応予備自衛官になる、そういう制度にすれば予備自衛官の確保にもつながります。

 即応予備自衛官というのは、年間三十日訓練に参加することが義務だと思います。三十日訓練に参加するというのは、普通のサラリーマンには非常に難しいと思いますが、大学生なら余裕で参加できるんじゃないかと思います。

 アメリカの大学にはROTCというのがあります。リザーブ・オフィサーズ・トレーニング・コープといいますけれども、私はアメリカの大学に行ったことはないんですが、要するに学業と軍事訓練は比較的両立しやすいんだということが、アメリカの大学の例でもわかると思います。

 私も実は大昔、フィリピンの大学に留学していたんですけれども、フィリピンの学生は全員、男子学生はほとんど、ROTCの訓練を土曜日に受けて、みんな文句を言いながらもきちんと訓練を受けるというのがほとんど義務のようになっていました。そういった意味で、学業と軍事的なトレーニングというのは決して両立が難しいことではありません。

 そういった意味では、パッケージで考えて、まず、任期制自衛官が終わったときに、就職の世話をするのも大変だと思いますが、就職の世話ではなくて、大学に進学する奨学金を上げる。これによって、そういうフリンジベネフィットがあると、優秀な人材が自衛隊を目指すということもあると思います。

 それから、その後、大学に四年間行っている間はずっと即応予備自衛官になってくれれば、予備自衛官の拡充にもなります。自衛隊が昔から言われているのは、現役の人数に対して予備自衛官が余りにも少ない。諸外国の例からいって、予備自衛官がこんなに少ない国は日本ぐらいじゃないかと思います。そういった意味では、予備自衛官の確保という観点からもプラスになると思います。

 それと、ちょっと自衛隊とは関係ない話ですが、日本は先進国で最も社会人の大学の入学生の割合が少ない国です。大体、OECDの平均は、二十五歳以上の大学新入生が四分の一ぐらい、二五%以上は社会人入学みたいな、一旦社会に出た人が大学に戻ってくるというのが先進国では非常に多いんですが、日本はほとんどありません。

 実は、社会に一回出た人が大学に戻るということは、ほかの学生にとって非常にいい影響を与えるということが言われております。そういった意味では、日本のある意味、高卒しか大学に行かないという異常な事態、先進国では非常にまれな事態を変えるきっかけにもなるのではないかと思います。

 そういった意味で、ぜひ、任期制自衛官が終わった人に大学に進学する奨学金を出す、そして奨学金を出した学生は義務として予備自衛官にちゃんと任官する、こういう制度をパッケージでつくってはいかがでしょうか。大臣の御見解を、あるいは防衛省のお考えを聞きたいと思います。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 任期制自衛官について、任期終了後に奨学金を支払う制度、こういったものを導入してはどうかという御提案でございますけれども、先生がお触れになりましたように、防衛省・自衛隊における予備自衛官、数が少ないという問題、それから充足率が低いという問題を抱えております。

 こうした問題につきましては、先生がお触れになりましたように、訓練の問題と実際の勤めの問題、この両立が難しいという問題がございまして、例えば、平成二十四年度末の即応予備自衛官の充足率でいえば、約七割にとどまっているという状況にあります。

 こうした予備自衛官、即応予備自衛官の充足向上を図るということは私どもも非常に重要な問題であるというふうに考えておりまして、新たな防衛大綱、中期防におきまして、予備自衛官等の充足向上のため、予備自衛官本人あるいは雇用企業等に対するインセンティブを高める施策などを実施するよう盛り込ませていただいたところでございます。

 GIビルにつきましては、大学進学希望者をいかに軍に引きつけるかという問題意識のもとに、短期間の勤務で大きな奨学金を手にすることができるようにした制度でございますが、私どもも非常に参考になる制度だと思っております。

 一方、自衛隊の現状からいたしますと、例えば、任期制自衛官をおやめになって新たな就職先を探していく方の中で、大学進学を理由に退職されるという方は非常に少数にとどまっておるというのが現状でございます。平成二十四年度でございますと、任期制自衛官で大学進学を理由に退職した人間はわずか九十名ということでございます。

 しかしながら、先生からいただきました御指摘、御提案を参考にいたしまして、今後、任期満了退職自衛官のニーズや厳しい財政事情等も踏まえながら、引き続き、予備自衛官、即応予備自衛官の充足向上のための施策について、そのあり方を検討してまいりたいというふうに考えております。

山内委員 今お答えがありました、任期制自衛官を終わって大学に進学したい人は余り多くないということですが、今そういう制度がないから進学したい人が単に少ないという可能性も十分あると思います。

 もしこういう制度があれば恐らく、各地でリクルートをやっている募集相談員の人たちも高校の先生に説明しやすいかもしれませんし、今これだけ所得の格差が広がっていて、子供の貧困が問題になっていますけれども、やはり、親の所得が低いので大学進学を諦める高校生は今多いと思います。そういう高校生にしてみると、もし自衛隊で働いて、お国のために、公のために役立って、しかもその後奨学金をもらえるんだったらこんなにいい制度はないということで、もっと活用する人がふえると思いますので、今少ないからニーズがないというよりは、今制度がないから活用したいと思う人が少ない、そういうことも考えられると思います。

 あるいは、こういう奨学金をもらって、一回大学に戻って、その人がもう一回、今度は幹部の自衛官として戻ってくる、そういう循環も生まれるんじゃないかと思います。そういった意味では非常にメリットの多い制度だと思います。

 先ほど小野寺大臣が手を挙げられていましたので、ぜひ大臣からも一言いただければと思います。

小野寺国務大臣 委員が、これは平成二十四年三月五日、衆議院予算委員会の分科会だと思いますが、そこでこの問題について提案され、当時の田中大臣がお答えしている資料を読ませていただいておりました。読ませていただいて、なるほどなということをかなり私も感じております。

 大切なのは、今局長から答弁がありましたが、実際に今、任期つきの自衛官として勤務している者に、こういう制度があれば本当に進学をする、そういう意思がある者が多数、潜在的にいるのかということ。あるいは、今即応予備自衛官のお話をされましたが、即応予備自衛官としていずれそれなりの報酬を払うということであれば、むしろそれに上乗せした形の検討という形で、さらに、任期つきの隊員を終わって学生となった者が常にそういう形で対応してもらうということ。これも言ってみれば、重層的な安全保障につながる内容かと思っています。少し実態を調査したいと思っております。

山内委員 民主党政権のときの田中防衛大臣に予算委員会の分科会で質問したんですが、非常に前向きな御答弁をいただきましたが、それっきりになっているようですので、自民党政権として、これからしばらく選挙もなさそうですので、小野寺大臣にはぜひ真面目に、前向きに検討していただきたいと思います。

 次の質問に行きたいと思います。

 私が以前JICAに勤めておりましたときに、青年海外協力隊というのがありました。青年海外協力隊には、現職の国家公務員なり地方公務員が休職して参加することができます。そういう法律をわざわざつくってあります。

 そうすると、例えば、一番多いのは理数科教員。地方公務員の場合なんですが、理数科の先生をアフリカとかアジアの教員養成のために派遣する。二年か三年、アジア、アフリカの国に理数科教員として派遣されて、戻ってきたらまた学校の先生に戻してもらう、そういう休業制度があります。

 これは非常に相手国にも役立ちます。なぜなら、ちゃんと現職の先生が来ますから、非常に経験があって評価される。しかも、戻ってきたときに、数学以外でも非常に視野の広い、国際感覚のある先生になってくれるだろうということで、この協力隊の現職参加制度というのは私はとてもいい制度だと思っております。

 国際協力事業団、青年海外協力隊はボランティアですけれども、自衛官も志願制ということでボランティアです。同じボランティアということで、同じように、二年なり三年の任期制の自衛官に例えば現職の公務員が二年なり三年休業して、あるいは出向でもいいんですけれども自衛官として任官できる、そういう制度をつくっていくといいのではないかと思います。

 いいと思うのは、一つはもちろん、自衛隊の側の優秀な人材の確保ということもあるかもしれません。同時に、自衛隊出身者というのは、災害対策など、あるいは危機管理の面で非常に自治体などで重宝されるという例があります。今、地方自治体で災害対策の専門家として元自衛官を雇っている自治体は多いと思います。特に政令市ぐらいになると、自衛隊出身の方をわざわざ招いて呼んでいるような例もあると聞きます。

 そういった意味では、例えば若い公務員、国交省の公務員が二十代の真ん中ごろ、二、三年自衛官として働いてまたもとの国交省に戻る、こういう制度があると、防災、危機管理の観点からもトレーニングを受けることができますし、将来自衛隊と連携するときにも何らかの役に立つかもしれません。そして、自衛隊の側でも、そういう多様なバックグラウンドを持つ人が入ってくると、例えば国交省の土木の技官の人が施設課に行ったら即戦力だと思います。そういう意味では、両方の役所にとってメリットがある制度じゃないかと思います。

 今、役所と防衛省・自衛隊というのは、人事交流があるといっても恐らく制服組ではなくて普通の事務官の方だと思いますが、自衛官に関して、二、三年、国家公務員を途中でお休みして自衛官になって戻ってくる、こういう例はあってもいいんじゃないかと思います。

 例えば、たしか外務省の杉原千畝さんは、途中二、三年、陸軍に、出向じゃないけれども行って、また戻ってというようなことをされていたと本で読んだ覚えもあります。そういった意味で、実はメリットはもしかしたら外務省にもあるかもしれません。アメリカの国務省へ行くと海兵隊出身みたいな外交官が結構いると思いますが、日本でも外交官が若いうちに、そういうふうに二十代のころ二、三年、自衛隊で勤務してまた戻ってくると、安全保障もわかる強い外交官になるかもしれません。

 そういった意味で、いろいろな省庁と、人事交流ではなくて、二、三年、協力隊の休職派遣のように、同じボランティアですから、自衛隊で勤務する、そういうルートがあってもいいと思いますが、そういったことを御検討いただけないかということを大臣にお尋ねしたいと思います。あるいは政府委員でも結構です。

豊田政府参考人 まず、先生がお触れになりました自衛官出身者の地方公共団体への再就職の状況についてでございますけれども、私どもといたしましては、自衛官の経験者が自衛隊で身につけました知識、経験、技能等を社会に還元するということは非常に重要だというふうに認識しておりますが、現在、地方公共団体の防災部門等におきまして退職自衛官を活用していただく例が増加しているところでございます。

 平成二十五年十二月三十一日の状況でございますけれども、全国の自治体で二百九十六名の自衛官出身者が防災関係の部門で勤務させていただいているところでございます。

 御指摘のございました、任期制自衛官に国家公務員あるいは地方公務員の方に来ていただくというような点についての御提言でございますけれども、自衛隊につきましては、有事を前提に自衛隊の任務遂行の必要性から人員の採用等を行っておるわけでございまして、隊員以外の方を、国家公務員、地方公務員も含めてでございますけれども、人材育成を図る観点から採用していくということについては、どのような問題があるかという点について慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。

 他方、防衛省におきましては、先生御指摘の隊員以外の国家公務員あるいは地方公務員の方の人材育成の一助となる施策といたしまして、例えば、他省庁等からは受託教育をさせていただいておりますし、企業等からの要請に応じて体験入隊等の受け入れも実施しておるところでございます。

 平成二十五年度の途中までの実績でございますけれども、他省庁からの受託教育の受け入れ状況でございますと、私の手元の資料で、八百八十名の方を受託教育として受け入れさせていただいているところでございます。また、近年、体験入隊につきましては、年間で一万五、六千人の方を受け入れて体験していただいているという状況にございます。

山内委員 かなり丁寧に事前の質問通告をしたつもりですが、かなり誤解があるようでした。要するに、別に、再就職先として自治体を選ぶ、自治体の公務員になる人がふえたらいいなんということを言っているつもりではなくて、既に現職の公務員が一旦、長いキャリアの中で二年か三年、自衛官として勤める、そういう制度をつくってはどうかということを言っているわけです。

 大臣、もし、御感想など、お述べいただければと思います。

小野寺国務大臣 具体的に、例えば一般職の公務員の方が自衛官としての勤務を、それは、その所属の役所としてそれが有効だというふうに考えられるか、あるいは御本人がそのような経験を踏んで将来の自分の能力の向上に役立てていきたいか、そういう両方のニーズがしっかりあるかどうかが大切だと思っています。

 今、検討をすぐにするかどうかについては、ここでは急に対応しにくい内容ではありますが、実際そのようなニーズがあるかどうか、これをまず踏まえることが重要だと思っています。

山内委員 検討だけでもしていただければ幸いです。

 次の質問に移りたいと思います。

 防衛研究所の体制についてお聞きしたいと思います。

 防衛省の防衛研究所、国際社会の動向をきちんと把握したり、大きな方向性を議論する上で、まずはシンクタンク的な研究所というのは重要ではないかと思います。

 防衛研究所のホームページを見ると、いろいろな国と防衛交流をやっていたり、フランスの空軍大将とかドイツの海軍中将とか、ことしに入ってからだけを見てもいろいろな国の人たちが来て、国際交流の拠点としても重要だと思います。

 その防衛研究所、現在、ホームページによると、職員数百三十二名、研究者が八十五名とあります。これぐらいの規模のシンクタンクを持っているというのは、国際社会の中でどういう位置づけというか、よその国はもっと大きいものを持っているのか、あるいはこんなところは余り力を入れていないのか、そういったことも含めて、現在の動向についてお尋ねします。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛研究所でございますけれども、防衛省の政策研究の中核でございます。安全保障、戦史に関する調査研究を行うというのが主任務でございますが、もう一つ、自衛隊の高級幹部の育成のための教育機関としての役割を果たしております。現在、百三十五名おります。そのうち研究員として在籍している者が八十六名、いわゆる事務的な管理業務を行う者が四十九名というような状況でございます。

 お尋ねの、諸外国の研究機関との比較でございますけれども、諸外国の場合、政府系の国防の研究機関、これは、どういう形で政府の中に存在するかということ、研究と教育を一緒にやっているのかどうか、そのあたりもさまざまでございますので一概に比較することは困難ではございますが、例えば、アメリカとの比較で申しますと、統合参謀本部の下にございます国防大学、ここでも、特にその中のシンクタンクであります国家戦略研究所、INSSの場合には研究者の数で見ますと約八十名程度というふうに承知しておりますし、同じく国防大学のもとにありますナショナル・ウオー・カレッジ、国家戦略大学というふうに訳しておりますが、ここで見ますと研究者数として七十名程度ということになっております。

 イギリスの場合には、王立の防衛安全保障研究所、RUSIでございますが、この場合は大体五十名、そのうち研究者が大体三十名程度ということだそうでございます。

 韓国の場合には、国防研究院、KIDAがございます。ここは今申し上げましたものよりも若干多いということでございまして、約百九十名、うち研究者百三十名程度というふうに承知しております。

 フランスの場合には、国防高等研究所、ここは人数として約百十名程度というふうに承知しているところでございます。

山内委員 人数だけでいうと、もしかしたらそんなに小さい方ではないのかもしれませんが、恐らくアメリカだとそれぞれの軍の大学とかで別途研究しているだろうし、イギリスだと軍事学みたいな講座が大学院でもたくさんあったりして、裾野が広いのではないかなと思います。

 そういった意味では、どちらかというと日本の場合はアカデミックの世界の層が薄いので、その分、防衛研究所が独自でもっとやった方がいいんじゃないかなという印象を私は持っておりますので、ぜひ体制の拡充ということをお願いしたいと思います。

 もうすぐ時間がなくなりますが、せっかく岸田外務大臣がお見えですので、通告は全くしておりませんので、一方的に意見だけを述べさせていただきたいと思います。

 先ほど、公明党の遠山委員が海上保安の分野で非常にいい御提言をされていました。実は私、昔JICAの職員だったときに、フィリピンのコーストガード向けの専門家派遣を担当して、マニラのフィリピン・コーストガードに行ったりしたこともありました、十数年前ですけれども。

 そういったときの経験でいうと、やはり、海上保安分野の長い日本の協力の実績があります。最近は安全対策中心ですけれども、私が担当だった九〇年代は、航路標識といって、要は灯台の保守点検とか、建設は円借款、維持管理は海上保安庁の人がJICAのスキームで行って研修する、あるいは水路の調査、そういったさまざまな形で、日本は東南アジアにもう長いこと海上保安分野の協力をしております。こういった分野、ぜひ外務省でも、外務省とその下にあるJICA、JBICの中でも引き続きやっていただきたいと思います。

 もう一つ、実は外務省で直接、海上保安分野で強化するために協力できることがあります。それは、在外公館の海保の出向者をもっとふやしてはどうかなと思います。たしか、最新のデータは知りませんが、世界じゅうの在外公館に大体十名ぐらい海上保安庁から出向者が行っております。釜山の領事館とか、どちらかというと海の、近隣国が中心ですけれども、たしか外務省全体で海上保安庁からの出向者は十名ぐらい。

 あるいは、大使館の警備対策官といって、外交官、いわゆる一等書記官とか二等書記官とは別枠の警備の専門家、これも警察とか自衛隊とか海上保安官の人が出向で行っていますが、海上保安庁から、書記官でもいいですし、警備対策官でもいいですが、もっと在外公館に人を送れるようにすることでそのネットワークづくりに役に立つということがあると思います。

 昔、海上保安庁の人とお話ししたときに、できればロンドンに書記官を置きたいんですと。海運といえばロンドンが中心ですから。だけれども、なかなか外務省の定員も少ないようで、そこはもらえなかったとか、そういう話を聞いたことがあります。

 ぜひ、海上保安分野を強化するためには、在外公館における海上保安庁からの出向者の受け入れ、こういったことも非常に効果的だと思いますので、外務省としても、外務省は実際に最近、防衛駐在官を一気にふやしていると思いますけれども、その防衛駐在官ほどはふやさなくてもいいかもしれませんが、数名ぐらいは海上保安庁からも出向受け入れをふやしていただければなということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 以上です。

江渡委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず、前回に引き続いて、水陸機動団について聞きます。

 防衛省に確認しますが、在沖米軍基地の中で、日米地位協定二条四項(a)、いわゆる二4(a)に基づいて、自衛隊による共同使用が認められているのはどこか。施設・区域の名前と、使用目的、条件を明らかにしていただけますか。

山内政府参考人 お答えいたします。

 沖縄県内の米軍提供施設・区域の中で、自衛隊が日米地位協定第二条第四項(a)の適用ある施設・区域として、現在共同使用しております施設・区域の名称としては、八重岳通信所、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、嘉手納弾薬庫地区、ホワイトビーチ地区、那覇港湾施設、陸軍貯油施設、出砂島射爆撃場、津堅島訓練場となっております。

 これら施設及び区域の主な使用目的及び使用条件につきましては、自衛隊の訓練場、艦艇の係留場所、道路用地、通信ケーブル等を埋設するための用地等としての使用や、隊舎、桟橋等の建物等の使用となっておるところでございます。

赤嶺委員 二〇〇六年の米軍再編のロードマップ合意で、陸上自衛隊の訓練のためのキャンプ・ハンセンの使用と、航空自衛隊と米軍の共同訓練のための嘉手納基地の使用が盛り込まれました。これらの実績も示していただけますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンプ・ハンセンにおきます陸上自衛隊による共同使用につきましては、平成二十年三月から陸上自衛隊が訓練を実施しております。

 訓練の形につきましては、一つの訓練の中で別個の訓練が行われることもございますので、実績につきまして、これは数え方にもよりますけれども、二十一年から二十五年、過去五年間で、十二月末までの実績で申し上げますと、今まで八十七回使用されているところでございます。

 それから、嘉手納飛行場の航空自衛隊による共同使用についてでございますが、嘉手納飛行場から本土への訓練の移転による負担軽減の効果が損なわれないことを基本として、嘉手納飛行場の共同使用を開始するということとされておりまして、その趣旨を踏まえまして、共同使用の内容などについて日米間で協議を行っていく考えでございます。

赤嶺委員 嘉手納での共同訓練は、回数は出ないんですか。

中島政府参考人 嘉手納飛行場におきます共同訓練ではございませんけれども、先生が恐らくお聞きになっているのは二1(a)、共同使用の話だと思いますが、この飛行場におきまして、西部方面隊の実動演習訓練の一部として、例えば、昨年十一月、米軍の調整を得まして補給物資の集積訓練などを行ったことがございます。

赤嶺委員 私が聞いたのはロードマップにおける問題でありましたが、またそれは後でやっていきます。

 それで、在沖米軍基地の中で米軍による水陸両用車の使用が認められている施設・区域の名称、使用目的、条件、これを明らかにしていただけますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省として、米軍が水陸両用車を使用している沖縄県内の施設・区域の詳細について承知しているわけではありませんけれども、他方、沖縄県に所在する米軍施設・区域の提供を定めました日米合同委員会合意、いわゆる五・一五メモの使用条件において、水陸両用訓練のため水域を使用する旨記述されている施設・区域があるものと承知しております。

 具体的には、キャンプ・シュワブ、主たる使用目的は宿舎、管理事務所及び訓練場となっております。また、キャンプ・ハンセン、主たる使用目的は宿舎、管理事務所及び訓練場。それから、金武レッドビーチ訓練場、主たる使用目的は訓練場でございます。それから、金武ブルービーチ訓練場、主たる使用目的は訓練場でございます。あと、キャンプ・コートニー、主たる使用目的は宿舎、管理事務所及び訓練場。それから、浮原島訓練場、津堅島訓練場、これらの二つの訓練場の主たる使用目的は訓練場であるというふうに承知しておるところでございます。

赤嶺委員 米軍は沖縄全県各地で水陸両用車の訓練を行っているということになっているわけですね。

 前回の防衛大臣の説明では、水陸機動団は南西諸島を含む我が国の島嶼を防衛するためだということでありました。沖縄で水陸両用車を使用した訓練を行うことになるのですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな中期防において示されました水陸機動団の新編に向けました水陸両用車の導入につきましては、現在、参考品を取得いたしまして、各種検証を行う予定でございます。したがいまして、水陸両用車の運用体制につきましてはいまだ決まっておりません。

 そのため、自衛隊の水陸両用車を用いた訓練につきましても、沖縄県内の米軍提供施設・区域内におけるものを含めまして、現時点では何ら予定されているところではございません。

赤嶺委員 沖縄では、米軍の水陸両用車がサンゴ礁を破壊したり、あるいは沈没して油漏れを引き起こすなどの被害が繰り返されてきました。ジュゴンの餌場である海草藻場を踏み潰したり、提供水域に出てきてモズクの漁をしていた漁民を脅かしたこともありました。こうした被害についてはどのように認識しておりますか。

小野寺国務大臣 米軍の水陸両用車によって沖縄県内でサンゴ礁への被害が発生したとの連絡を受けたものとして、防衛省が把握しているものとしましては、平成十二年四月、米軍の水陸両用車が視界不良により誤って宜野座沖を航行し、サンゴ礁に被害が発生したとの連絡を受けた事案、平成十七年六月、米軍の水陸両用車にふぐあいが生じ、所定の経路から外れてサンゴ礁に被害が発生したとの連絡を受けた事案、平成二十四年八月に、素潜り漁を行っていた地元漁民が米軍の水陸両用車の移動を目撃し、キャンプ・シュワブ周辺のサンゴ礁に被害が発生したとの連絡を受けた事案があります。

 こうした被害の発生に関し、地元漁協、宜野座漁協、金武漁協、石川漁協の三漁協から申し入れを受けているというところでありまして、防衛省としては、サンゴ礁の現況調査を行うとともに、米軍の水陸両用車の通行経路に立標を設置するなどの対応をとってきたところであります。

赤嶺委員 サンゴが破壊されたら漁民にとっては漁場が破壊されるも同じですから、魚の命を育むのがサンゴでありますから、重大な問題に立ち至るわけであります。

 防衛研究所の東アジア戦略概観でも、そもそも南西諸島の島々は地形的に水陸両用車の運用には適さない、こういう意見が紹介されています。この点については、どういう検討を行って、部隊をつくるという結論になったんですか。

中島政府参考人 手元に先生が御指摘の防衛研究所の書類がちょっとございませんので、あくまでも水陸機動団の運用に関しての検討でございますけれども、基本的には、一般的な、上陸作戦といいますか、水陸機動団の典型的な作戦についての運用を基本として検討しているものというふうに御理解いただければと思います。

赤嶺委員 専門家の方々の御意見でも、南西諸島に水陸両用車は向かない、こういうことがはっきり書かれているわけであります。そういうことについて全く検討しなかったということになるわけですね。

 私は、米軍に加えて自衛隊の水陸両用車がやってきて訓練を行うということになれば、大変重大な問題を引き起こすと思います。沖縄はどこでもサンゴ礁や海草藻場、漁場が広がっているわけですから、訓練を行う場所などないということを強調しておきたいと思います。

 次に、武器輸出三原則について聞いていきます。

 政府は、四月一日、武器輸出三原則を廃止し、これにかわる防衛装備移転三原則を閣議決定いたしました。戦後の日本のありようを根本から変える極めて重大な決定であります。

 具体的な内容について経産省に伺いますが、まず、基本理念にかかわって平和国家という言葉が何を指すのかという点です。従来の三原則では、憲法の平和主義に立脚したものとして説明されてきました。三木内閣の政府統一見解では、平和国家としての我が国の立場から、国際紛争等を助長することを回避する、憲法と外為法の精神にのっとり武器の輸出を慎むとされてきました。

 ところが、二〇一三年のF35の官房長官談話以降は、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を維持していくという表現に改められました。国際紛争を助長することを回避するという表現は削除されました。平和国家の意味を、憲法ではなく国連憲章に基づくものに置きかえております。それを今回の原則に明記したということでよろしいですか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の四月一日に閣議決定されました防衛装備移転三原則におきましては、前文のところで、「我が国は、戦後一貫して平和国家としての道を歩んできた。専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本原則を堅持してきた。」このようなことを確認的に書かせていただいてございます。

 また、その後段の方でございますが、武器輸出三原則が果たしてきた役割に十分配意した上で、新たな安全保障環境に適合するような原則を定めるというようなことを記述した上で、以上を踏まえた上で、「国際連合憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念及びこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持しつつ、」こういうような形で閣議決定の中に明記させていただいているところでございます。

赤嶺委員 今の表現によって、憲法に基づく平和主義とかが見えなくなってしまっているわけですね。国連憲章に基づくという言葉になっているわけです。

 そこで、もう一点確認いたしますが、今回、防衛装備の適切な海外移転は安全保障に資するという考え方が示されております。国際的な平和と安全の維持の一層積極的な推進、同盟国である米国及びそれ以外の諸国との安全保障、防衛分野における協力の強化、あるいは我が国の防衛力の向上、三つを挙げて、これらに資するとしております。

 従来の三原則では、武器の輸出は認めない、あるいは慎むという基本姿勢をとっておりました。それを、今回、適切なものであれば安全保障に資するというように基本的な考え方を変えた、そういう理解でよろしいですか。

中山政府参考人 お答えいたします。

 我が国の安全保障に資するという部分でございますけれども、先般、国家安全保障会議でも運用指針を決めていただきましたが、その中でも、平和貢献、国際協力に積極的に資する場合、または安全保障面での協力関係のある国との共同開発・生産あるいは安全保障、防衛協力の強化に資する場合などを、極めて限定的に列挙させていただいております。

 これらは、これまでも官房長官談話などによる例外規定としてお認めいただいてきたところと基本的には同じラインで考えているというふうに理解しております。

赤嶺委員 輸出ができるようになっていくという規定が入っているわけです。

 国家安全保障戦略では、国際競争力の強化を含めた我が国の防衛生産、技術基盤を維持強化していくとしております。これは具体的に何をやろうとしているのですか。

小野寺国務大臣 防衛生産、技術基盤は、装備品の生産、運用、維持整備等においても不可欠であり、潜在的に抑止力の向上にも寄与するものでありますが、厳しい財政事情や、装備品の高度化、複雑化に伴う単価の上昇等、我が国の防衛生産、技術基盤を取り巻く環境は厳しさを増しております。

 そのような状況において、防衛装備移転三原則に基づく防衛装備の適正な海外移転は、防衛装備品の高性能化を実現しつつ、費用の高騰に対応するため、国際共同開発・生産が国際的主流になっていることに鑑みると、我が国の防衛生産、技術基盤の維持強化、ひいては我が国の防衛力の向上に資するものであると考えております。

 また、防衛省においては、防衛生産、技術基盤の維持強化のための各種施策を推進するとともに、我が国の防衛生産、技術基盤全体の将来ビジョンを示す戦略を策定する予定であります。

赤嶺委員 我が国の安全保障に資するという立場から、武器輸出を従来の禁止から解禁、推進へと転換したものにほかならない、このように思います。

 そこで、装備移転三原則では、移転を禁止する場合として三つ挙げています。その一つに、紛争当事国への移転となる場合が挙げられておりますが、定義にあるように、武力攻撃が発生し、安保理が措置をとっている国に限られる、これでよろしいですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな原則では、国際紛争の当事国という基準について、紛争当事国の定義を明確に定めさせていただきました。これは、武力攻撃が発生し、国際の平和及び安全を維持しまたは回復するため、国連安保理がとっている措置の対象国ということでございます。

赤嶺委員 つまり、自衛権発動の要件としての武力攻撃が発生し、安保理が措置をとっている場合に限られるということです。

 今、この規定に該当する国はありますか。過去の事例にはどのようなものがありますか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 過去の事例としては、朝鮮戦争当時の北朝鮮及びイラク紛争当時のイラクがございます。

 現在は、これに該当する国は基本的にないというふうに考えております。

赤嶺委員 現在はないということですが、今の答弁からいたしますと、湾岸戦争時にイラクに対する武力行使を行っていた多国籍軍の参加国は、ここで言う紛争当事国には該当しないという理解でよろしいですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、第一の原則、三つ挙げておりますが、これは、門前払いの原則と申しますか、ここに該当する国については、全てカテゴリカリーに武器の移転もしくは防衛装備の移転の対象から排除するということでございます。

 他方で、第二の原則の中で、海外移転の厳格審査の視点というのを設けました。これは運用指針の二にあるものでございます。この中で、仮に第一の原則をクリアした国であっても、第二の厳格審査の中で、仕向け先の適切性について厳格な審査を行う、その際に、仕向け国・地域が国際的な平和及び安全並びに我が国の安全保障にどのような影響を与えているか等を踏まえて検討する、その旨を明記させていただいております。

赤嶺委員 安保理決議に基づく義務に違反する場合も挙げられておりますが、現在これに該当する国はどこですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 第一原則の国連安保理決議に基づく義務に違反する場合というものに該当する国として現在対象になっておりますのは、北朝鮮、イラン、イラク、ソマリア、リベリア、コンゴ民主共和国、スーダン、コートジボワール、レバノン、エリトリア、リビア、中央アフリカでございます。

赤嶺委員 第一の原則についていろいろ聞いてきましたけれども、国連加盟国は百九十三カ国、今挙げられた安保理決議に基づく義務に違反する場合に該当する国は十二カ国。ほとんどの国が武器輸出の対象になっていく。

 もう一つですが、我が国の締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合が挙げられています。現在これに当てはまるのはどういう国際約束ですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在我が国が締結しております、これに該当します条約としては、化学兵器禁止条約、生物兵器禁止条約、対人地雷禁止条約、クラスター弾に関する条約、特定通常兵器禁止制限条約の改正議定書2及び議定書4がございます。

 また、現在国会で御審議をお願いしております武器貿易条約につきましても、今のところもちろん未締結でございますが、この条約を締結、さらにこの条約が発効した際には、この貿易条約もこれに該当するものと考えております。

赤嶺委員 今説明をいただきました国際約束、対象になるのは非人道兵器を禁止する条約がほとんどであり、このような兵器の移転を行わないのは当たり前のことであります。全体として、移転が禁止される国は極めて限定されるということです。

 まだまだ続きますが、時間になりましたので、また次回ということでよろしくお願いします。

江渡委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 国の安全保障に関する件についてお伺いをいたしますが、きょうは、まず防衛装備移転の三原則についてお伺いしたいと思います。

 大臣、実はけさの地元沖縄の琉球新報の「金口木舌」という、一番下の方に囲みで書いてある記事で、世に出世魚というものがある、成長につれ、ハマチ、イナダ、ブリと名前が変わる、タイにも出世魚がいると作家の阿刀田高さんが書いていると紹介しているんですね。「詭弁の話術」で指摘した四十年前の話ですが、このタイ、一番小さいときがケイサツヨビタイ、次がホアンタイ、ジエイタイ、間もなく海外派兵もできるグンタイになるというふうにやゆしているわけでございます。

 それは何を言いたいかというと、結局、政府が武器禁輸の三原則を四十七年ぶりに撤廃した、その国是の大転換を閣議決定であっさりと変えてしまったこと、さらには、武器を防衛装備に、輸出を移転に言いかえるということ、これが大戦中、大本営が敗退を転進に、全滅を玉砕にすりかえたことを思い出す、国家が聞こえのいい言葉を使う際は疑ってかかった方がいいというふうに木鐸を、まさに金口木舌を鳴らしているわけなんです。

 そのことについて、私も、これまでの武器輸出三原則から大きな転換をしたと言える閣議決定された本三原則は、その呼称もやはり防衛装備品移転の三原則という言い回しに変容していることから、この内容については慎重に、これはもう何回となくという表現を用いるまでもありませんが、確認することが求められるものと言えると思います。

 そこで、きょうはまずこの件から質問いたします。

 この防衛装備移転三原則、本三原則の見直しにおける政府の意図する意義についてまず御説明をいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 武器輸出三原則等は、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念に基づくものであり、我が国が国際平和協力や軍縮、不拡散等の分野においてリーダーシップを発揮し、他国の信頼を得る上で一定の役割を果たしてきたと考えております。政府としては、この平和国家としての基本理念はいささかなりとも変更することは考えておらず、引き続き堅持をしてまいります。

 他方、三原則等については、安全保障環境の変化に対応し、平和貢献、国際協力や国際共同開発等、その時々の必要性に応じて既に二十一件に及ぶ例外措置が講じられてきており、我が国を取り巻く安全保障環境等に鑑みれば、今後も例外措置は増加していくことが予想されました。

 このような状況に鑑み、政府としては新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めることとし、与党とも御相談しながら検討したということであります。

玉城委員 第二次安倍政権が誕生してから、アベノミクス、経済の再生と成長をうたいながらも、憲法解釈を初め昨年の臨時国会における特定秘密保護法の強行採決など、安全保障分野における突出ぶりが特徴的となっています。では、この三原則をなぜ今この時期において全面的な見直しをしたのかについて伺います。

小野寺国務大臣 これは、近年、我が国の安全保障環境をめぐる環境が一層厳しさを増している中、昨年十二月に策定された国家安全保障戦略において、国際協調主義に基づく積極的平和主義の観点から、武器等の海外移転に関し、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めることとされました。

 それを受けて、内閣官房を中心に、当省も含めた関係省庁が連携し、与党とも相談しながら、なるべく早期に新たな原則を策定できるよう検討してきたということであります。

玉城委員 本三原則は、これまでの武器の原則禁輸を撤廃し、今大臣がおっしゃったように、安全保障環境の厳しさが増す、あるいは国際協調主義の観点から積極的に対応するなど、理念そのものが国際紛争の助長回避から国連憲章の遵守という表現へと変わっております。

 三原則の見直しによって旧三原則から緩和されると判断される点、あるいは以前の三原則よりも厳格化されると判断される点について伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 新たな原則につきましては、国連憲章を遵守するとの平和国家の基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持した上で、これまで積み重ねてきた例外化の実例を踏まえ、これを包括的に整理しつつ、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めたものであり、防衛装備の海外移転に係る手続や歯どめを今まで以上に明確化し、内外に対して透明性のあるルールを定めたものであります。

 新たな原則のもとでは、運用指針を明示することによって手続を明確化しており、これも防衛装備移転の重要な歯どめとなると考えております。また、我が国の安全保障の観点から特に慎重な検討を要する重要な案件については、国家安全保障会議でしっかりと審議、判断することとなっております。

 政府としての判断結果についても、適切に情報公開を図ることにより、透明性を確保し、説明責任を果たしていく考えです。具体的には、国家安全保障会議で審議された海外移転案件について情報の公開を図ることとするほか、防衛装備の海外移転の許可の状況につき年次報告書を作成し、国家安全保障会議において報告の上、公表することとしております。なお、この報告書につきましては、経済産業省が担当するということになっております。

玉城委員 今の大臣の答弁を聞いていますと、決めたことを後で報告する、事後報告する。つまり、それ以前の国民的議論あるいは立法府における議論そのものが非常に危うくなるのではないかというふうに思います。

 これは、NSC設置法案の審議のときにも本員がそのことを警鐘いたしました。NSCで話し合われたことが閣議決定される、そしてその閣議決定されたものが国会におりてきて、結果的に、決めたことについて追認をするというふうな形になる、こういうことが定例化されてしまったのでは、国民にとってどのような安全保障たるものが我が国の本来あるべき姿であるのかということを見誤ってしまうということも、私は警鐘を鳴らしたということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 平和貢献や国際協力の積極的な推進に資する、米国初め安全保障面での協力がある諸国との国際共同開発や生産、さらには安全保障分野における協力の強化なども本三原則ではうたわれております。米国初め他の国々との集団的な安全保障分野への拡張まで進めてしまうのかという新たな懸念が生じてまいります。外務大臣が、安倍政権は地球儀を俯瞰する外交であるというふうに表現しておりますが、地球儀を俯瞰した安全保障なるものは我が国にはあり得ないというふうに思うわけです。

 では、同盟国との装備移転に関する点について、どのような範囲で限定的であるか、もしくは抑制的と捉えられるのか、外務省に伺います。

岸田国務大臣 同盟国との協力、日米同盟を考えた場合に、日米間の防衛装備・技術協力については、これまでも、両国が保有すべき能力を踏まえつつ、各種の共同研究ですとか、あるいは弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイルの共同開発、さらには次期戦闘機F35の製造等に関する国内企業の参画など、幅広く具体的な取り組みが行われてきております。そして、日米間では、昨年十月の日米2プラス2におきまして、日米同盟の戦略上、能力上のニーズを踏まえた形で防衛装備・技術協力を強化していくとの認識をまず共有しております。

 そして、今後につきましては、既存の協力を着実に進めつつ、四月一日に閣議決定されたこの防衛装備移転三原則も踏まえながら、米側との協力を検討していくことになると考えております。

玉城委員 これまでの武器輸出三原則、武器、ウエポンあるいはアームズという表現から、防衛装備というふうな表現に一見やわらかく変わった。ソフトなイメージがある一方で、その開発、協力についてはどんどん取り組んでいくというふうなこと、この三原則ではそこがより一層強く出ているのではないかというふうに思います。

 安倍総理は、今国会で、テロとの闘いなど国際社会の平和と安全のための紛争もあるというふうにその解釈を答弁し、安全保障環境の変化に率先して対応する形の、前のめりな姿勢を崩していないように思われます。本来の我が国の専守防衛に徹する非軍事大国化への歯どめがきかなくなり、武器輸出の、いわゆる防衛装備の大幅な緩和によって、紛争参加国、あるいは紛争関与国などとみなされかねない不穏な状況をも想起させるのではないかと思います。

 この紛争を助長するおそれについて、どのように歯どめをかけるのか、内閣官房に見解を伺います。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 新たに策定をいたしました防衛装備移転三原則は、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割に十分配意した上で、これまで積み重ねてきた例外化の実例を踏まえ、これを包括的に整理しつつ、明確な原則を定めたものでございます。さらに、防衛装備の移転に係る具体的な基準や手続、歯どめを今まで以上に明確化し、内外に透明性を持った形で明らかにするものでございます。

 具体的に申し上げますと、まず、移転を禁止する場合を明確化するとともに、その場合に当たらないことをもって移転を可能とするのではなくて、防衛装備の移転を認め得るケースを明確かつ適切な形で限定いたしました。

 また、移転先の適切性や安全保障上の懸念等を個別に厳格に審査することといたしました。これまでは明らかではなかった審査基準や手続等についても、明確化、透明化を図るとともに、国家安全保障会議での審議を含め、政府全体として厳格な審査体制を構築することといたしました。

 さらには、移転された防衛装備が国際的な平和及び安全を妨げる用途に使用されることのないよう、目的外使用や第三国移転についても適正な管理を確保することといたしました。

 このように、防衛装備移転三原則は、積極的に武器輸出をする方針に転換をしたり、輸出を大幅に解禁するといった内容ではなく、これまで同様、厳正かつ慎重に対処する方針であり、御指摘のような懸念は当たらないと思っております。

玉城委員 御指摘のような懸念が当たるか当たらないかは、まさにこれから立法府が行政をしっかり監視していくことに尽きるのではないかというふうに思います。

 ありがとうございました。この点に関しては、また後日、いろいろと重ねてただしていきたいというふうに思います。

 続いて、海洋監視演習について伺います。

 日米両政府は宇宙を利用した海洋監視の机上演習を三月二十七、二十八日の二日間、東京で実施したという報道があります。演習には米国から宇宙を所管する戦略軍の当局者も参加し、衛星で得られた艦船や不審船の情報を相互に補完すること、東シナ海や南シナ海での監視能力を向上させる狙いがあるなどというふうに報道されております。

 まず、今回の演習の意義について外務省に伺います。

木原(誠)大臣政務官 お答え申し上げます。

 日米間では、これまで宇宙分野におきましても幅広い協力を進めてきております。その一環として、昨年十月の日米2プラス2共同発表におきまして、政府一体となった演習について言及された、こういうことを踏まえまして、先ほど御指摘いただいたとおり、本年三月二十七日及び二十八日、東京におきまして、日米双方の関係機関から幅広い出席を得て、宇宙を利用した海洋監視に関する机上演習を開催させていただきました。

 この演習におきましては、衛星などを利用した海洋監視について、日米間で、それぞれの制度や政策、また実施体制等に関する説明を行うとともに、太平洋における生物資源管理あるいはまた海難事故等の具体的事例に即した議論を行ったところでございます。これによりまして、日米双方の制度や政策、実施体制について相互に理解を深めるという所期の成果を得られたものというふうに理解をしております。

玉城委員 今回の演習に関しては、我が国からは、国家安全保障会議、NSC、防衛省、外務省、海上保安庁、それから宇宙航空研究開発機構、JAXA、そういう各省庁が網羅されているわけなんですが、この衛星監視体制の国内間におけるシステムや運用体制について、内閣官房に伺いたいと思います。

武藤政府参考人 我が国としては、資源や食料の多くを海外との貿易に依存し、また、海洋資源の開発を通じて経済発展を遂げた海洋国家である。開かれ安定した海洋は我が国の平和と繁栄の基礎でございまして、同時に、国際公共財として、世界の平和と繁栄の基盤でございます。開かれ安定した海洋の維持発展のための取り組みに重要な我が国の海洋監視能力については、宇宙の活用も含めて総合的に強化すると国家安全保障戦略にも示されてございます。

 国家安全保障局としましては、外交、安全保障に関する諸課題について、関係省庁の垣根を越えて、戦略的な観点から政策に関する企画立案、総合調整を行ってきておりまして、宇宙を利用した海洋監視についても、今般の日米間の宇宙を利用した海洋監視に関する机上演習も踏まえながら、しっかりと、総合海洋政策本部や宇宙戦略室等と連携をしながら対応していく考えでございます。

玉城委員 まず、今後の運用やシステムの体制についてはこれからしっかりと検討していくというふうな答弁だったかと思います。

 さて、今回は、日本とアメリカ双方が参加しています。アメリカからは戦略軍、国防総省、国土安全保障省など、日米で多数の関係機関が参加をしております。一方、やはりこの海洋監視を、衛星やあるいは情報収集のためのアンテナなどを使ったデータを双方が情報共有し分析するということから考えますと、さらに、それをまた地球儀で俯瞰いたしますと、今度は共同監視体制への展開規模についてどういうふうな方向性になるのかということも関心が持たれることだと思います。

 外務省にそのことについてお伺いいたします。

木原(誠)大臣政務官 現時点におきましては、米国以外との二国間あるいは多国間での宇宙を利用した海洋監視に係る協力について、何ら決まったものはないというのが現状でございます。

玉城委員 一回目の机上演習ですので、必要な監視体制、それが、例えば日米安全保障協議委員会、2プラス2の共同文書にあるとおり、両国が安全保障の新たな連携分野と位置づける宇宙協力の柱の一つとするのであれば、さらにこれから、より深い内容でもろもろの運用体制が構築されていくものと思います。

 最後にお伺いいたします。

 この海洋監視演習、今後必要とされる技術開発や体制等について、宇宙戦略室にその考えがあれば見解を伺いたいと思います。

西本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、宇宙を利用した海洋監視につきましては、さきの日米2プラス2の共同発表あるいは国家安全保障戦略においてもしっかり言及されております重要課題であるというふうに認識をいたしております。

 国家安全保障戦略によれば、我が国の海洋監視能力については、国際的ネットワークの構築にも留意しながら、宇宙の活用も含めて総合的に強化するべきものであるということでございます。国家安全保障会議の司令塔機能のもとで、政府全体として体系的に実施されるべきものであるというふうに考えております。

 宇宙を利用した海洋監視につきまして、今後、我が国の対応の方向性が定まって、新たな宇宙技術の開発が必要となってくるというような場合には、関係府省、JAXA等の研究機関、それから産業界等が連携いたしまして、効果的な研究開発を一体的かつ計画的に推進してまいる所存でございます。

 いずれにいたしましても、私ども宇宙戦略室といたしましては、国家安全保障戦略も十分に踏まえて、宇宙政策をしっかり推進してまいりたいと思います。

 以上でございます。

玉城委員 ありがとうございました。

 何と申しましても、サイバー空間、宇宙空間は、我が国にとっても、これからさらにまた研究して、より高めていかないといけない体制になっていくものというふうに期待を込めて、質問を終わらせていただきます。ニフェーデービタン。

江渡委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 防衛省に伺います。

 昨年四月より、在日米軍基地から暴露される爆音の測定基準がW値からLdenに変更されました。この変更に伴い、防衛省は昨年度から、嘉手納基地周辺における住宅防音工事対象区域の見直し調査に入ったようです。

 調査は終了したのか、第一種区域の見直しはいつまでに行われる予定か、尋ねます。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 嘉手納飛行場の第一種区域につきましては、昭和五十八年三月の最終指定告示以降三十年を超え、最も経過年数の多いものの一つであることなどから、現状の騒音状況に即したものとするため、現在、その見直しに向けた作業を行っているところでございます。

 この見直しにおきましては、平成二十五年度から、航空機騒音に係ります環境基準の評価指標が従来のWECPNLからLdenに変更されたことによりまして、従来の飛行騒音に加えて地上騒音が新たに評価の対象となったことなどから、現在、見直しに係る騒音度調査の実施に際しましての調査内容及び調査手法の検討を行っているところでございます。

 さらに、今後はこの検討の結果を踏まえまして騒音度調査を開始することとしており、現時点でその終了の時期につきまして確たることを申し上げることは困難であることについて、御理解賜りたいと思います。

照屋委員 見直し調査をやっていると。わかりました。

 防衛大臣、従来のW値と比べて、Ldenの測定値は平均十三ポイントほど低く出るとも言われております。そのため、嘉手納基地周辺住民は、第一種区域見直しで対象区域が縮小されることを大変懸念しております。

 私は嘉手納基地のフェンスから直線距離で約二・五キロの地域に住んでおり、家族ぐるみで第三次嘉手納基地爆音差しとめ裁判の原告でもあります。嘉手納基地から日常的に暴露される爆音は、文字どおり殺人的な爆音であります。

 私は、第一種区域を初めとする防音工事対象区域はむしろ拡大されて当然だと考えますが、小野寺大臣の認識と見解を伺います。

小野寺国務大臣 嘉手納飛行場の航空機騒音につきましては、周辺住民の方々に多大な御負担をおかけし、大変深刻な問題であると認識をしております。

 今回のWECPNLからLdenへの変更でありますが、WECPNLは、基本的に今、日本以外に採用している国はほとんどないと承知をしております。国際的な主流になっておりますLdenによりまして、より正確に私どもとしてはこの騒音について対応していきたいと思っております。

 騒音度調査につきまして、これはまだ調査を実施しておりませんので、現時点でこの区域が拡大するのかあるいは縮小するのかについての見通しを述べることは困難ではありますが、嘉手納飛行場の第一種区域の見直しに当たっては、しっかりとしたデータをとり、そして実態を踏まえて、適切に対応していきたいと思っております。

照屋委員 大臣、大臣がおっしゃったように、本当にすごい爆音なんです。しかも、これは嘉手納も普天間も、司法の場では既に違法だというふうに断罪をされております。

 こういう俳句があるんですよ、大臣。「三線の調べ掻き消す爆音渦」という俳句があります。誰が詠んだかというと、私が詠みました。

 これは、最近、小林凜という俳号を持っている小学生が物すごい俳句集を出しておりまして、注目されておる。「ランドセル俳人の五・七・五」という俳句集があるんですね。それに触発されて私が詠みました。それぐらい爆音は、健康被害、それから三線の文化、家庭の団らんも壊してしまう、そういう認識をぜひ大臣にお持ちになっていただきたいと思います。

 続いて、環境省に尋ねます。

 大気汚染防止法が改正され、ことしの六月までに施行予定であります。法改正に伴い在日米軍基地内工事のアスベスト情報届け出義務も受注業者から発注者の米軍に変わるようで、沖縄県は、同改正法を改悪だとして、従来どおり工事受注業者に県への届け出義務を課すよう、環境省に特例措置を求めておると聞いております。調整はどうなったか、お尋ねします。

小林政府参考人 先生御指摘のように、大気汚染防止法におきまして、アスベスト除去工事の規制をかけております。

 その中で、発注者は工事の発意者でございますので、また、費用負担者でもございまして、大きな力を持っておりますので、原因者負担というような観点からも一定の責任を負っていただくことが重要だということで、昨年の法改正で、先生御指摘のような、届け出義務者を発注者とする、こういう改正をいたしました。

 ただ、引き続き、解体事業者も基準を守って事業をやる、こういう義務は負うわけでございます。

 発注者が米軍の場合、米軍は除去工事の法的な届け出義務を負わないということから、都道府県へ届け出がなされないということも想定されるところでございますが、この場合でありましても、工事の情報を有する関連の機関と連携を進めていくということによりまして、県が従来と同様な情報を把握するというようなことも有効な手法であるというふうに考えております。

 また、今回の法改正で、報告徴収の権限も強化をしたところでございます。そういう中で、都道府県が工事の施工者に対して作業の状況について報告を求めるということも、従来より容易になるのでございます。

 こういうようなことを考えつつ、今御指摘ありましたように法律の施行に向けて準備中でございますので、都道府県が工事の把握などを行える体制を構築できるように、円滑、適切な施行に向けて対応していきたいと思っております。

 また、先生よく御承知のことかと思いますが、在日米軍が、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払っていただくというのは当然のことというふうに考えております。そして、在日米軍施設・区域内において、日米の関連法令によりまして、より厳しい基準を選択するというような基本的な考え方のもとで、日本環境管理基準、JEGSというものを設けておりまして、これに従って環境保護また安全のための取り組みをやっていただく、こういう仕組みでございます。この辺も、引き続きしっかり連携をとってまいりたいと思っております。

照屋委員 環境省、これは大変大きな問題で、アスベストを含む建物の解体工事、こういうものは、米軍基地が集中している沖縄県で発注されるのが多いわけですね。ところが、発注者の米軍というのは、日米地位協定に基づいて、いかに環境を守る義務があるといっても、地位協定の壁によって現実にはそれができていない。環境問題というのは、最大の基地問題なんです。

 そうすると、今の答弁ですと、沖縄県が環境省に要請している特例措置というのは政令でやるおつもりなんですか。

小林政府参考人 アスベストの除去をしっかりやるためには、除去工事にしっかり規制をかけるということが重要でございます。それから、先生かねてから御関心が高い、労働者がこれに直接当たるわけでございますので、労働者の健康保護のために労働安全のルールを守っていただく、最終的には廃棄物のところまでいくわけでございます。

 そういうところで、関係各省でそれぞれの情報がございます。そういうものを今連携体制を強めておりまして、そういう中で、都道府県に従来と同等の情報が渡るようにというような仕組みを検討しているところでございまして、この辺は、よく地元の県とも意思疎通を図って、しっかりした対応をとってまいりたいと考えております。

照屋委員 大臣にお伺いをいたします。

 去る三月二十八日、防衛省は宜野座村に対し、保留していた平成二十五年度分の米軍再編交付金の支出を決定しておりますが、交付決定に至った理由を伺います。

小野寺国務大臣 普天間飛行場のキャンプ・シュワブへの移設に伴う宜野座村に対する再編交付金については、平成二十四年十二月に就任した現村長、当真村長が普天間飛行場代替施設の建設に反対を表明したことを踏まえ、宜野座村の対応を見きわめる必要があるということで、平成二十五年度の交付限度額の決定を年度当初は見送った上で、適切な時期に決定を行うこととしていたところであります。

 こうした中、本年、平成二十六年三月六日及び十日の宜野座村議会において、普天間飛行場代替施設の建設について、現実的な対応を含め問題解決、負担の軽減に取り組む、情勢の変化を見きわめながらその時点で利益となるような現実的な対応をしていくということは重要である旨、当真村長が表明したということであります。

 このため、国が進める事業に対して宜野座村から一定の理解は得られたと判断し、所要の手続を行った上で、平成二十五年度の交付限度額を三月二十八日に決定したものであり、年度末に駆け込みで決定したのではないかという御指摘は当たらないものと思っています。

照屋委員 次に、米軍那覇港湾施設、いわゆる那覇軍港の浦添移設に関し、防衛省は、昨年度は、浦添市の要求どおり一億八百万の再編交付金を支出しました。本年度は幾ら交付予定か、額を教えてください。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 那覇港湾施設の代替施設の建設に関し、昨年二月に就任された浦添市の松本市長は、基本的には反対の立場とする一方で、協議についてまで反対するつもりはない旨を市議会で答弁され、また、防衛省が昨年度から実施を予定していた環境影響評価につきましても、浦添市から提供される基礎資料収集業務の結果を使用して進めていくことで合意しておりました。

 このような状況を踏まえ、当該環境影響評価を円滑に実施できる見通しであり、少なくとも平成二十五年度において進捗に支障を生ずるおそれはないと判断し、浦添市に対する再編交付金の平成二十五年度の交付限度額約一億八百万円を決定したところでございます。

 他方、平成二十六年度、今年度の交付限度額につきましては、米軍再編の進捗状況等を踏まえ、今後、財政当局とも必要な調整を行った上で防衛省として決定することとしており、現時点で確たることを申し上げられる段階にないことを御理解賜りたいと思います。

照屋委員 若宮政務官に尋ねます。

 そうすると、松本浦添市長は就任以来、那覇軍港移設に基本的に反対の立場にあると市議会で繰り返し答弁しており、米軍再編交付金の支出は、防衛省として浦添市長が移設を容認していると判断したものでしょうか。

江渡委員長 若宮防衛大臣政務官。なお、申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いしたいと思います。

若宮大臣政務官 照屋先生にお答え申し上げます。

 先ほど局長からもお答え申し上げましたように、浦添市長は、基本的には反対のお立場ということで発言されておられるということでございますが、那覇軍港施設に関する協議については反対するつもりはないという旨の御発言もあわせてされておられまして、また私どもが実施いたしております環境影響評価に必要な資料の提供に関しても合意をされているというところでございますので、実質的には協力を行っていただいておるというような認識をいたしているところでございます。

 仮に浦添市に再編交付金を交付しないこととした場合は、こうした実質的な現在いただいております御協力が得られなくなり、ひいては米軍再編を円滑かつ確実に実施するという再編特措法の目的を達成することが困難になるというふうに考えているところでございます。

 そういった観点からも、先ほど局長からも御答弁申し上げましたけれども、米軍再編の進捗状況等を踏まえ、また財政当局とも調整を図りながら、確たることを申し上げられる段階にはないんですが、全力で前向きに取り組んでまいりたい、こういった認識でございます。

照屋委員 終わります。

     ――――◇―――――

江渡委員長 次に、内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。小野寺防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小野寺国務大臣 ただいま議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、内部部局の職員に自衛官を加えるための規定の整備、防衛審議官の新設、航空自衛隊の航空総隊の改編、自衛官定数等の変更、早期退職募集制度に対応するための若年定年退職者給付金の支給に係る規定の整備等を行う必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛省設置法の一部改正について御説明いたします。

 第一に、文官と自衛官の一体感を醸成しつつ、防衛大臣の的確かつ迅速な意思決定を確保するため、内部部局の職員に自衛官を加えるための規定の整備を行うこととしております。

 第二に、防衛省における対外関係業務等の増大に鑑み、政務の補佐体制に万全を期すため、当該業務等を総括整理する防衛審議官を新設することとしております。

 第三に、自衛隊の部隊の改編等に伴い、自衛官の定数を変更することとしております。

 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。

 これは、航空自衛隊の部隊の改編等を行うこととするもので、具体的には、航空総隊の編成に航空戦術教導団を加えるとともに、航空開発実験集団司令部の東京都への移転等を行うこととしております。

 最後に、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部改正について御説明いたします。

 これは、早期退職募集制度に対応するため、若年定年退職者給付金の支給に係る規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

江渡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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