衆議院

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第8号 平成26年6月6日(金曜日)

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平成二十六年六月六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長代理理事 今津  寛君

   理事 左藤  章君 理事 薗浦健太郎君

   理事 中山 泰秀君 理事 武藤 容治君

   理事 長島 昭久君 理事 中丸  啓君

   理事 遠山 清彦君

      岩屋  毅君    大野敬太郎君

      勝沼 栄明君    門山 宏哲君

      木原  稔君    笹川 博義君

      東郷 哲也君    中谷 真一君

      野中  厚君    浜田 靖一君

      福山  守君    武藤 貴也君

      若宮 健嗣君    辻元 清美君

      中川 正春君    渡辺  周君

      今村 洋史君    宮沢 隆仁君

      伊佐 進一君    三谷 英弘君

      赤嶺 政賢君    玉城デニー君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   防衛大臣         小野寺五典君

   外務副大臣        岸  信夫君

   防衛副大臣        武田 良太君

   防衛大臣政務官      木原  稔君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        高橋礼一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 金杉 憲治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋葉 剛男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡   浩君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 和田 充広君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    三好 真理君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官)   竹内 大二君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 康裕君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二日

 辞任         補欠選任

  宮沢 隆仁君     桜内 文城君

同日

 辞任         補欠選任

  桜内 文城君     宮沢 隆仁君

同月六日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     福山  守君

  中川 正春君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     大野敬太郎君

  辻元 清美君     中川 正春君

    ―――――――――――――

五月三十日

 海上自衛隊の住環境の整備に関する請願(小田原潔君紹介)(第九九五号)

 同(宮川典子君紹介)(第九九六号)

 同(山田賢司君紹介)(第一〇二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

今津委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行います。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣府国際平和協力本部事務局長高橋礼一郎君、外務省大臣官房審議官金杉憲治君、外務省大臣官房審議官秋葉剛男君、外務省大臣官房審議官岡浩君、外務省大臣官房審議官和田充広君、外務省大臣官房参事官山田滝雄君、外務省北米局長冨田浩司君、外務省国際法局長石井正文君、外務省領事局長三好真理君、原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官竹内大二君、防衛省大臣官房衛生監鈴木康裕君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省運用企画局長中島明彦君及び防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今津委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今津委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻元清美君。

辻元委員 おはようございます。

 本日は、集団的自衛権の行使について質問をさせていただきます。

 まず、大臣にお伺いしたいと思うんです。

 五月十五日に安倍総理が、集団的自衛権の行使容認について記者会見をされました。その中で、まず、安全保障に臨む姿勢としてこういうことをおっしゃいました。起こり得るかもしれないということについて、それは絶対にあり得ないということを言い切れるんですか、私は、それは極めて政治家として無責任な態度だと言わざるを得ない、そして、何らかの事態があり得ないというのは、それは全く、いわば現実から目を背けているダチョウの論理に近いわけでありまして、起こってもらいたくない論理には目を背けるということでありますとおっしゃったんですね。

 ですから、あらゆる事態に備えるということで今回の集団的自衛権の行使の提起をされていると理解しているんですが、防衛大臣も、日ごろ防衛行政に携わっておられまして、同じ思いでしょうか。

小野寺国務大臣 安倍総理が基本的な方向性という形でお話をされたのは、我が国の国民の生命と財産をしっかり守っていくということの前提の中で、何が今後必要なのかということの議論をする必要がある、こういう問題については真っ正面からやはりしっかり考えていく必要があるのではないかと。その中で、現在の法制度の中で考えられること、そしてまた集団的自衛権の議論について、これを研究するというお話がありました。その方向性について、これはまず与党間で協議をしていただき、最終的には、もし協議が成り立てば、国会の中で、さまざまな法改正の中で審議をいただくという、そういう方向性をお話しされたと思いますので、決して何か決めつけたお話ではないと私は理解をしております。

辻元委員 その中で、厳しい安全保障状況ということで、特に北朝鮮のミサイルの問題をおっしゃいました。北朝鮮のミサイルは、日本の大部分を射程に入れています、東京も、大阪も、皆さんの町も例外ではありませんと、厳しい状況を認識しているということもおっしゃったんですね。

 そういう中で、きょうは集団的自衛権の行使について幾つか質問したいと思います。

 まず、法制局長官にお伺いしたいんです。

 集団的自衛権を行使する、この言葉の意味するところは、日本が、交戦状態にない他国に対して、我が国への攻撃がないにもかかわらず軍事行動をとるということでよろしいでしょうか。

横畠政府特別補佐人 集団的自衛権を行使するということは、我が国に対する武力攻撃が発生していない場合において、他国に対する武力攻撃が発生したという前提で、自国と密接な関係にある他国に対する当該武力攻撃を我が国が実力をもって阻止する、武力を行使するということでございます。

辻元委員 法制局長官にお聞きしますが、ということは、日本が自分の国が攻められていないけれども武力行使をした場合、相手国から見た場合、これは、日本から先制攻撃を受けた、またはその国と交戦状態になる可能性があるという理解でいいですか。

横畠政府特別補佐人 先制攻撃という御指摘は当たらないと存じますが、国と国の関係におきまして、いわゆる戦時の国際法というものが適用される関係になるのではないかと理解しております。

辻元委員 戦時の国際法が適用される。ということは、交戦状態になるということだと理解いたしましたが、いかがでしょうか。どうぞ、法制局長官。

横畠政府特別補佐人 具体的な中身につきましては、これは国際法の問題でございまして、私どもとしては、概括的なお答えにとどめさせていただきたいと思います。

辻元委員 国際法の上での交戦状態になる可能性は否定できないと思うんです。

 防衛大臣にお聞きしたいんですが、そうすると、相手国は敵とみなすということになります。国際法上の交戦状態に入ったということで、報復行為が行われる可能性は否定できないと私は思いますが、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 今この問題は与党内で協議をされておりますが、その前提となりますのは、我が国の安全保障に著しい大きな影響がある、そういう前提の中での議論だというふうに私どもは理解をしております。

 いずれにしても、どういう事態が起きるかというのは想定してお話をすることはなかなか難しいですが、大切なのは、我が国の安全保障上どのような判断を行うかということが一番重要だと思っています。

辻元委員 ちょっと心もとない御答弁で、報復攻撃も想定して、集団的自衛権の行使、自分の国が攻められていなくても他国に対して武力行使をするのかどうか、そこまで考慮に入れて議論すべきだと私は思うんです。これが軍事の常識だと思います。

 防衛大臣に引き続きお伺いしたいと思います。

 具体的にちょっと事例を挙げて議論させていただきたいんですが、事例集というのが出まして、これは単なる事例ですので、この中で、近海の公海上で武力攻撃を受けている米艦の自衛隊による防護の必要性というのが出てきます。これは集団的自衛権の行使が必要だと言われておりますが。この事例を例にすると差しさわりますので、一般的に、公海上での艦船に対する攻撃というのはどのようなものがあるのか、その中に魚雷攻撃が含まれるのか。最も危ないのが魚雷だと思いますが、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 辻元先生には似合わない、どちらかというとハードな質問だと思いますが、仮に今、公海上での攻撃ということでありますので、一般論として申し上げれば、洋上艦艇に対する脅威として、例えば航空機からのミサイル攻撃や潜水艦からの魚雷攻撃ということが考えられるのが、一般的な言い方だと思います。

辻元委員 そうしますと、この事例集の事例九で、公海上で武力攻撃、ミサイル攻撃や魚雷の攻撃を受けている米艦の自衛隊による防護とあるわけです。自衛隊が米艦の防護をするというのは、何も周りをうろうろしに行く話ではないと思います。

 今、魚雷という話が出ましたが、例えば、米軍が魚雷攻撃を受けかけている、また受けている、それを察知した場合に、防護というのは、この場合は自衛隊の艦船になりますが、その潜水艦を撃沈するという可能性は否定できないと思いますが、いかがでしょうか。そこまでやらないと防護にならないですよ。どうですか。

小野寺国務大臣 米艦の防護というお話がありますが、まず一つは、今の集団的自衛権の議論というのは、現在与党の中で協議をされておりますので、一般論として、どのような対応ができるかということであります。

 我が国による実力の行使についての法的根拠は、個別具体的な状況に即して判断する必要がありますが、これまでの国会答弁等においては、我が国に対する武力攻撃がいまだ発生していない状況下において、我が国が個別的自衛権に基づき武力を行使して、例えば今御指摘のありました米艦を防護することが憲法上許される事例としましては、我が国の領域内に存在する米艦に武力攻撃がある場合、それともう一つ、我が国を防衛するために出動して公海上にある米艦に対する攻撃が我が国に対する武力攻撃に該当すると認められる場合、この場合に限られるというふうに思っております。

辻元委員 ちょっとかみ合っていないんですが、事例を挙げていらっしゃるので、その防護ができなくていいのかという提起なんですね。

 私がなぜこれを言っているかといいますと、幾つもの事例が出ました、その一つ一つを点検していきますと、集団的自衛権を容認して、武力攻撃をした後の事態がどうなるかというところが全く議論されていないように思うわけですね。

 防護と書いてあるから、何か守るんだったらいいのかしらと思って、しかし、実際の中身は、魚雷攻撃などに応戦するということです。よく北朝鮮の話が出ますが、もしも、米艦を防護していて潜水艦を撃沈してしまった。相手の国から見たら、日本は直接攻撃を受けていないのに潜水艦を撃沈したということになるわけです。では報復しようかとなります。そこで出てくるのが、報復攻撃の最悪の事態というのは、私は原発だと思います。

 先ほど申し上げましたように、安倍総理は、北朝鮮のミサイルは日本の大部分を射程に入れています、東京も大阪も皆さんの町も例外ではありませんと言っているわけですね。これは今までもさんざん議論をしてきました、国会の中でも。今までの議論を一部紹介しますと、これは昨年、防衛省の見解、原子力発電所の近傍にPAC3を配備するといったような計画は現在持ち合わせてはおりませんとか、これは二年前、PAC3とイージス艦の整備によって、ノドンミサイルに対して日本国民を全て守れるわけではございませんと。そして、当時の、かつての原子力保安院ですけれども、弾道ミサイルなどに関して、原発の設計面で完全な対策を講じることは不可能と答弁しているわけなんですよ。

 そうすると、防護ができなくていいのかという定義が、実は、ちょっとだけよで防護に行った、しかし、戦場というのは何が起こるかわからないわけです。その中で、一発の魚雷で、総理みずからが、東京も大阪もあなたの町もと。そして今、今までの政府の答弁を引きましたように、福島第一原発を初め、日本の海岸線には五十数基の原発があります、これが集中的に一発、報復攻撃を受けたら、全面戦争どころか日本は壊滅するんです。

 私が申し上げているのは、大げさなことを言っているわけではありません。集団的自衛権を議論するときには、そこまで、その先まで想定して議論をされるべきだと私は思いますが、そういう報復がある可能性がある、これは当たり前です。実際に、北朝鮮は労働新聞などで、日本は原発がある、そこを狙えば一発だみたいな不届きなことを言っているわけですね。

 ですから、そういう状況の中で、大臣、そういう最悪の事態、安倍総理が、起こってもらいたくない論理には目を背けてはいけないと言っているわけですから、そこまで想定して議論をされているのかどうか、議論をしようとしているのかどうか。いかがですか。

小野寺国務大臣 辻元委員のさまざまな御意見は今承っておったんですが、恐らくその前提となるのは、今北朝鮮の例を出されましたので、その例に対してお答えするという形でありますが、昨年、日本が北朝鮮に対して挑発的な行為を行っていないにもかかわらず、北朝鮮が日本に対して具体的な地名を挙げてミサイルのさまざまな攻撃をあたかも示唆するような威嚇的な発言を行い、そしてまたその能力の向上をしているということ、これは、集団的自衛権の議論をするしないにかかわらず、北朝鮮が行っている内容であります。

 当然、これに対して私ども防衛当局はしっかりとした対応をしなければいけない、その思いに立って、さまざまなミサイル防衛システムを、今、国民の理解をいただいて構築させていただいております。

 今の議論は、恐らく、集団的自衛権の議論以前の、北朝鮮に対する脅威の認識ということを御示唆された内容ではないかと思っております。

辻元委員 安全保障の要諦は、挑発に乗らないということだと思うんです。

 この集団的自衛権、今までの集団的自衛権と性質が違うんです、今議論されているのは。

 どういうことかといいますと、今までは、かつてアメリカが南ベトナム政府に対して行使したとか、それからアフガニスタンの場合にNATO軍が行ったとか。アメリカはベトナムに行っても、ベトナムがアメリカを攻めてくるということはまずないんですよ。

 ところが、今議論されているのは、安倍総理が前提にしているのは、日本の近傍で起きた紛争なんです。正当化させてしまったら、相手の国の報復というのが容易なんですよ。これが今までの集団的自衛権の行使と違うところなんですね。しかも、戦闘で殺されるのは自衛隊員であり、かつ国民。結局、イタチごっこになっちゃうわけですね。

 朝鮮戦争のときも、このときはミサイルはなかったですけれども、日本に攻撃はなかったんですよね。これは日本は参戦していません。

 私は、戦争にちょっとだけよというのはないと思うんですよ。今、限定容認論、ちょっとだけよ、ちょっと行ったら全面に発展する。だから日本は、それで過去の戦争でひどい目に遭ったので、その反省のもとに、一線を越えるか越えないか決めたわけです。

 この一線にはドアがあるんです。このドアには鍵がかかっているんです。その一線というのは、攻められたときだけですよという一線なんですよ。ですから、一線を越えるかどうかであって、限定的に、ちょっと米艦の防護だったらいいという話ではない。性質が違うと思います。

 法制局長官にお聞きしたいと思います。

 なので、法制局では歴代の長官が、数量的概念ではないという御答弁をされてきたんだと思います。

 法制局は、集団的自衛権について、必要最小限度の範囲を超えるという説明をしている局面がございますが、それは第一要件、我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていないという趣旨で申し上げているものでございまして、お尋ねの意味での数量的概念として申し上げているものではございませんと。鍵というのは、我が国に対する武力攻撃が発生していることなんです。

 法制局長官、この見解は変わっていませんね。

横畠政府特別補佐人 お尋ねの必要最小限度の範囲という趣旨につきましては、御指摘のとおり、自衛権行使の第一要件を満たしているか否かということであり、その意味で、数量的な概念ではない旨考えております。

辻元委員 小野寺大臣、限定的容認論とは何ですか。十あるうちの二とか三ならいいですか。それは、今申し上げたミサイルの例でもそうですよ。アメリカに対して撃たれたミサイルを撃ち返すんだ、技術的に無理だという答弁を何回もここでしていますよ。いや、グアムにだったら、イージス艦だったらちょっといいみたいな発言もありましたけれども。これは、アメリカに向かったからと一発撃ったら、北朝鮮を想定したら、先制攻撃はないと言ったけれども、日本をやっていないのに、やってきたじゃないか、ほら、原発を狙えとなりますよ。

 私、反対のための反対を申し上げているのではないんです。安全保障のリアルを申し上げているんですよ。安倍総理がくしくも、ないことはないんだ、言うな、ないと言い切れるんですか皆さんと、安倍総理が言っているわけですよ。ですから、私は、集団的自衛権の限定的容認論というのは、現実的にも戦争というのは限定的はない、そして論理的にも成り立たないと思いますが、法制局長官、いかがですか。

横畠政府特別補佐人 御指摘のその限定的という意味合いによるのだと思いますけれども、現在は、いわゆる限定的な場合における集団的自衛権の行使の問題につきましては、総理の基本的な方向性を受けまして、与党において協議をされているという状況にありまして、今の時点でその内容について何か意見を述べるということはできません。

辻元委員 苦しい答弁だと思います。

 私たちは過去の戦争から何を学んだかなんです。法制局も、そして防衛省も、私たち国会議員一人一人が、私、非常に申しわけないですが浅薄な議論をしていると思います。入り口で、集団的自衛権の行使、限定だけだったらいいだろうという、事例、一つ一つ反論できますよ。しかし、その後ですよ、戦争はその後が問題。イラク戦争を見てください。三カ月で終結させると言って、十年ですよ、撤退まで。それが戦争なんですよ。

 特に、日本は原発という核の不発弾を日本の中に抱えているような状況です。本当にそうですよ。ですから、その厳しい認識の上で、集団的自衛権の行使、私は、限定もないし、こういう大きな、国民の生活を守るんだと言いつつ危険にさらす可能性もあるようなことを、閣議決定だけで決める、与党だけで議論する、ふざけるんじゃないですよ。やるのならば、戦争までいきますよ、その覚悟を国民はしますかと、堂々と憲法改正を提起して国民に問うべき問題であると思います。私は反対ですけれどもね。ということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

今津委員長代理 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 引き続きまして、民主党から質問をさせていただきます。

 ちょっと私も、政権与党の中で防衛省の三役をやったときのことを思い出しながら、いろいろお話を、大臣の考え方を伺いたいと思うんです。

 二年前、一昨年のゴールデンウイークに私はハイチに行ってまいりました。それは、ハイチでの当時のPKO活動、撤収するということを前提に、我々の考え方を現地の司令官に伝えに行ったんです、内々。もちろんまだ正式に表明する前でしたけれども、ハイチの首都に三日間ぐらいおりまして、夜、せっかくだからということで、現地に邦人の方々がどれぐらいいるのか調べてみたら、意外とたくさん、二十人ぐらいの方に来ていただいたと思うんですが、ほとんどが女性の方だったんです、日本のNGOあるいは国際的なNGOの中で活動されている方々が。

 私、意外だったのは、これだけインフラもなく、決して治安もいいわけではない国に、本当に若い方が使命感を持って、ハイチで言葉を教えたり、あるいは保健指導をしたりしている方々と夜に意見交換をしました。何で来たのかと言われると、実はそういう内情であるということはもちろん言えませんので、現地の部隊の激励に来たんだということでお話をしました。

 こういう方々が世界で活動されている中で、大臣も各地に行かれているとは思いますが、何を申し上げたいかといったときに、やはり自衛隊の活動がある、そして、そこに駐留していることによって、彼ら、彼女らが非常に安心をする一つの根拠であったことももちろんです。やはりそれは、何かあれば飛び込める、飛び込みたいということはある、もちろんそこまでは至っていませんでしたけれども。

 そこで、今回の十五の事例の中にある、いわゆる駆けつけ警護のことにつきまして、こんな経験も踏まえて、野田内閣の後半の方では、やはりそれはできるようにすべきだということで、内々で検討をしました。しかし、御存じのように、大変厳しい、駆けつけ警護ということを決めるには、さまざま法制局の見解も含めまして、時間切れになってしまったわけなんです。

 しかし、私は、これはやるべきであるということを、乗り越えなければいけない部分だということは信念として思っておりまして、この間テレビを見ていたら、NGOを救うのにこれはできるようにするべきかというふうに聞いたら、NGOの方々は、いや、そんなことはなくて結構ですというようなアンケートの答えがあったということが報じられておりましたけれども、各地に行かれている大臣として、この駆けつけ警護の部分について、どう率直にお考えか。

 もちろん、それを今ちょうど与党で協議しているところで、与党の検討を今してもらっているというお答えを想定されているのかもしれませんが、そうではなくて、これから国際社会の中で、我が国の若い人たちが、それこそまさに出かけていって、日本人の持っているきめ細やかさと目配り、気配りができて、しかもしっかりやる、こすっからいというか、ずるいことをしない日本人の評価というのは大変高いというふうに思っています。

 こういう方々がこれから世界で必要とされる場面はたくさん出てくるだろう、そのときに万々が一、自衛隊が活動する地域でそういうことがあった場合に、ヘルプ・ミーと言っている人たちに対して何もできないということがあってはならないと思いますが、大臣は率直にどうお考えか。答弁書に書いてあることではなくて、与党の協議、検討を見守るということではなくて、大臣自身はどうお考えかということを、ぜひ一政治家として伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 国会のお許しをいただきまして、五月の連休のときに、南スーダン・ジュバに行かせていただきました。渡辺委員も大変よく御存じの状況にある場所であります。

 そこで、現地の司令官あるいは隊員とのさまざまな意見交換の中で、例えば、南スーダンのジュバの宿営地のすぐ隣接しているところは、国連の文民の事務所ということになります。ここでもし何か事態が急変して、その国連の事務所にいる文民が日本に助けを求めた場合、日本としては十分な訓練それから装備も持っている中で、現在の規定の中ではその対応ができない可能性が高い。そのときにどう対応したらいいんだろう。

 あるいは、もしNGOでたまたま、さまざまな、避難された方が助けを求めた場合、これは、日本人として、日本人の生命財産を守るということを使命としている自衛官として、たとえそこが現地、日本とは違う場所であっても、日本人として、日本の自衛隊として何もしなくてもいいんだろうか、こういうことにかなり強く悩むと思います。

 ぜひ、このような現場の司令官や自衛隊員が迷うこと、困ることがないように、逆に、政治の場でさまざまなことを想定して精緻な議論をしていただくことは、防衛省として、部隊を預かる私として、大変ありがたいことだと思っております。

渡辺(周)委員 南スーダンにも行きました。実は、当時、南スーダン、ハイチに派遣する前だったんですが、私が就任したとき、内々で話をしていたのはやはりシリア情勢でした。ゴラン高原に展開をしていた自衛隊の部隊がいる。

 かつては、このゴラン高原に派遣されるPKOというのは、PKOの学校だといって、余りハードルの高くない仕事ができて、そういう意味では、あのときのような状況は余り想定されていませんでした。私もかつて、今津先生ともシリアに当安全保障委員会で行ったときは、朝ぶらぶら散歩できるぐらいの平穏な町だったんですけれども、今このような状況になってしまいました。

 その後、外にはなかなか言えないけれども、かなり緊迫した状況が幾つか生まれてきた。そのときに、自衛隊は何ができて何ができないのか。通常の与えられた任務、さまざまな、水や物資の輸送ということがあるけれども、あのときはイスラエル側から物が飛んできたこともあった。そして、大分のっぴきならぬことがあったとき、例えば、宿営地に文民が、地元住民が逃げてきた、助けてくれと、助けを求めて飛び込んできたらどうなるのか、実はそんなことを図上でいろいろ議論していたんですね。詳細はもちろん言えませんけれども。

 ですから、こういう場面においてそこにいる人たちが判断に迷わないように、ましてや、どうしたらいいかということを東京とやりとりしなくて済むように、私はやはり、こういう場合はどう対応できるということはしっかりとつくっておいて、現地の瞬時の判断ができるようにぜひすべきだと思うんです。その覚悟がなければ、私はPKOも行くべきではないんじゃないかというぐらいに思います。

 確認ですけれども、今回の駆けつけ警護というのか、現実に、国際社会の要請によって派遣をされているPKOというのは、武器の使用をすることはあるけれども、武力の行使というそもそもの話と違う話なのに、これがもう混然となってしまった、これが私はこの議論の迷走のスタートだと思っているんですけれども、ぜひこの点について与党の中でしっかり協議をして、実現できるようにやっていただきたい、まずそのことを申し上げたいと思います。

 ちょっと話はかわるんですが、先日、週刊誌を買って読んでいましたら、「霞が関二十四時」という、これは講談社の週刊現代かと思いますが、何かコラムの中にこんな記事がありましたので、ちょっと確認をしたいと思います。

 政府は防衛駐在官をアルジェリアの人質事件を契機にしてアフリカにふやす、定員の帳尻合わせでウクライナやオーストリア、フィンランドなどの防衛駐在官ポストの廃止を決めて、ことしの夏から空席とする計画をつくった、それを実行に移そうとしたやさきにクリミア情勢が緊迫して、このため政府はウクライナの防衛駐在官をしばらく残留させる方向で検討に入った、こんなふうに書いてある。

 週刊誌の記事をネタに質問するのはいかがなものかという御指摘はあるのかもしれませんが、こういうちょっと気になることが書かれていますので。つまり、アフリカの駐在官を増員するけれども、そのためにはウクライナを減らすと。防衛駐在官のこの記事について、事実かどうか、そういうことが検討されているのかどうか、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 防衛駐在官の増員というのは、前回のアルジェリア邦人に対するテロ事案を踏まえて、アフリカ全体で今までかなり駐在官が少なかったのでそこを増員する、あるいはそれとあわせて情報収集に必要な国の防衛駐在官を増員する、そのような方針は決めさせていただきました。

 一方、防衛駐在官を派遣するためには、これは防衛省として外務省に人員的なお願いをしながら対応することになるので、一定の制限があります。その中で、スクラップ・アンド・ビルドではありませんが、むしろ、派遣している駐在官の派遣をやめるという国も幾つかあります。従前の方針の中で、ウクライナもそのような方針ではありました。ただ、ロシアによるクリミア併合を初めとする、最近の緊迫化するウクライナ情勢につきましては、欧州のみならずアジアにも影響を及ぼすグローバルな問題と認識をしております。

 私としても、ウクライナへの防衛駐在官の派遣については、これは今までの計画であればことし夏に帰る防衛駐在官をもって派遣の停止をするということを予定しておりましたが、現在のこのような状況を見る中で、我が国としても情報収集に万全を期す必要があるということでありますので、今後の事態の進捗にもよりますが、当面の間、防衛駐在官の派遣を延長することとしたいと考えております。

渡辺(周)委員 今、当面の間とおっしゃいましたけれども、私は、ウクライナの状況というのは日本にとっても大変注視すべき状況であろうというふうに思います。ですので、当面の間がどれぐらいなのかわかりませんが、私はやはり残留させるべきだろうということを申し上げたいと思います。

 ここにも書かれているんですけれども、これは週刊誌の記事ですけれども、防衛省筋は、外務官僚は生活基盤の悪いアフリカに行きたがらず、アルジェリアの人質事件を奇貨として防衛駐在官で大使館の人員の穴を埋めているに過ぎないと内情を明かす、こんなことを言われているんです。

 実際、これから防衛駐在官をふやすという計画でいくのか。今四十九名、ある意味では人的資源、有為な人材を外務省に身分がえしていくわけですが、その意味においては、ふやしていく方向なのか、それとも優先順位を考えながらローテーションさせていくのか。どういうふうに大臣はお考えかということを伺いたいと思います。

 防衛駐在官をなくしていく方向なのか、ふやしていく方向なのか、現状維持なのか。その辺はどういう今後のお考えをお持ちですか。

小野寺国務大臣 防衛駐在官を派遣するクラスというのがあります。この人員、人材というのはやはり一定数の限りがあります。当然、国内の各部隊においても中核的な役割を担う立場でありますので、そういう意味では、人的にも一定の制限がある中で、ただ、最近の状況から見て、国際的なさまざまな知見を身につけさせることも重要だと思っております。

 まずは、今回ふやさせていただきますアフリカを含めた増員、これがどのように機能するかを見て、その中で、今後さらに必要なのかどうかは検討していきたいと思います。まずは、現在の状況、今回増員する中で、その状況を少し見ていきたいと思っております。

渡辺(周)委員 我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しという、そらでも言えるくらいの枕言葉がこういう議論のときには必ず出てくるわけですけれども、その中で、安全保障環境の変化に、しっかりとした情報収集をするには、やはり優秀な人材がその国の中でしっかりとした人間関係をつくって、人脈をつくって、軍事的な情報というものはもちろんなんですが、さまざまなことをリアルタイムに。

 私は、ウクライナの情勢のみならず、アジアでも例えばベトナムと中国の問題であるとか、ベトナムにも行っておりますけれども、タイの軍部による先般のクーデターとか、こういう想定しなかったことが、いつ何が起こるかわからない中で事前の状況というものをしっかりとある程度把握して、どういうふうなことが予見されるかということをやるためにも、しっかりとした人間がここはという国にいて早目に対応できるよう、ぜひとも人的資産を生かしていただきたいなというふうに思います。そのことを申し上げます。

 最後になりますけれども、やはり私のいたときにあったことです。例のGSOMIAのお話。これは、先般もシャングリラでお話をされたようですが、韓国国内の世論を盾にしてなかなか進まない。反面、今回の安保法制懇の報告の中にも、やはり朝鮮半島ということは最大の脅威として出てくるわけです。しかし、それをどう事前にまさに情報収集しておくかということについては、韓国との連携というのが欠かせないんです。これも、もう締結するという、国会の中であとは決まってくれればよかったんですが、本来、決まると言っていた一時間前にだめになったという、驚くべきことが在任中にございました。これは厄介な問題で、実際どうするんだということについてはなかなか妙案がないんですが。

 これは大臣、どうですか、率直に言って。シャングリラで一緒に韓国あるいはヘーゲルさんとも話をされましたけれども、その中で、実際ここは何とか余地があるのかどうか。どんな決意を持っていらっしゃるか、最後に伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 シャングリラダイアログの中で先日行われました日米韓の三カ国協議、その中で、今お話ありましたGSOMIAの問題についても日本側から提案をさせていただきました。

 三カ国では、安全保障上情報の共有は重要だということでは一致しているんですが、さまざまな国の事情の中で、すぐにはこれは難しいということも同じ状況であります。ただ、三カ国が、まずは情報共有できる方向について、今後もしっかり模索し対話していきましょうということについては合意を得たというふうに思っております。

 いずれにしても、私ども防衛当局だけではなくて、外交当局を含めた、あるいは首脳間での信頼醸成も含めた関係改善、これが大変重要だと思っております。

渡辺(周)委員 私は、ミリタリー・ツー・ミリタリーといいましょうか、やはり自衛隊と軍の関係者の間では、まさに安全保障の現場を任されている人間としては、そこの思いは一致していると思うんですね。ただ、そこで議会や政治や国民世論というものが入ってくると本来必要なこともまとまらなくなる中で、私は、自衛隊、現場の方々と韓国の制服を着た方々とも、まだまだ交流ができる、あるいは信頼関係が築けると思っていますので、とにかく、安全保障環境が刻々と緊張を増す中で、ぜひその点についても御尽力いただきたい、そのことをお願いして質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今津委員長代理 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 冒頭、大臣に質問させていただきたいと思います。集団的自衛権についての議論であります。

 今のこの十五事例、与党の中で協議を一つ一つ進めさせていただいているところですが、さまざまな議論の結果、この中で、もし集団的自衛権がどうしても必要だというような事例が一つでもあった場合、例えば、そういう場合には即、憲法解釈の変更が必要だという方もいらっしゃいます。でも果たして本当にそうなのかどうかということについて、私は今回、抑止力とリスクのバランスをどう考えるかということについて、冒頭、大臣に質問させていただきたいと思っております。

 集団的自衛権の行使に積極的な方々の理論はどうかといいますと、これはまずメリットとして抑止力が高まる。つまり、日米の安保体制が強化されて、この緊密な姿勢を対外的にも示していくということで抑止力が高まるんだ、戦争をなかなかしかけられなくなるんだ。これが抑止力の論理だと思います。

 では、集団的自衛権の行使に慎重な方々は何を考えているか、何を一番心配されるかというと、リスクだと思います。そのリスクというのは、一つは巻き込まれるリスクです。他国の戦争に自国も巻き込まれる可能性が一段と高まる。そしてまた一つは、安保環境の緊張が高まるリスク、つまり安全保障のジレンマと言われるものです。我が国の安保体制をより強化することによって、もしかすると敵対するほかの国も安保体制を強化してくる、そして、よりリスクが高まっていく。この安全保障のジレンマというリスクも考えられるわけです。

 この抑止の効果とリスクのどっちが大きいかということなんですが、今、十五の事例を議論する中で、もしかすると、一部は運用の問題で解決できるかもしれない、一部は警察権で解決できるかもしれない、一部は個別的自衛権、現行の解釈で解決できるかもしれない。その議論の結果、もし一部、集団的自衛権でしか解決できないというものが出てきた場合、これはさまざまあるシチュエーションの中で一部なわけです。さまざまな議論のほんの狭い事例を担保するために集団的自衛権を可能とするということで、これによって果たして抑止力という観点ではどれぐらい高まるのかということが一つの議論だと思います。

 では、リスクはどうか。我が国が集団的自衛権を行使できるということになった、そのときに巻き込まれるリスクがどれぐらい高いか、あるいは安全保障のジレンマと言われるリスク。私は、リスクの方がなかなか全然大きいんじゃないかなと思っております。

 そういう意味では、集団的自衛権を可能とすることで抑止力の方がリスクよりも高いと説明することはなかなか難しいのではないかと私は思います。

 大臣にお伺いします。

 この集団的自衛権の行使によって、抑止力とリスクのバランス、どちらが大きいとお考えでしょうか。

小野寺国務大臣 この議論の前提となっているのは、我が国の国民の生命財産、領土、領海、領空を守るということの中で、実際どのことに問題として直面するんだろうかというところが実はスタートだと思います。ですから、今の与党間で行われている議論の中でも、例えば我が国に安全保障上重大な問題がないような状況での想定というのは、十五事例の中でもないんだと思います。あくまでもこれは、我が国に対しての影響があると。

 たまたま米艦防護の例がございましたが、あの防護の例を私は見ておりますと、これは、我が国の安全のために出ているアメリカのイージス艦に対して我が国がどう防護するか、そういう議論からスタートしていますので、例えば全く我が国に安全保障上影響がない中で、今の事例の中で、これをしなければいけないというような例はないんだと思います。

 あくまでも、これは我が国に対して、このまま見逃すと我が国の安全保障上あるいは我が国の国民の生命財産に大きな影響がある可能性が高い、そのときにどうするかという議論ですので、例えば何もしなかったらリスクはないのかというと、実は、何もしないことによってむしろリスクが高まる、そういうこともあるというのが今回の例だというふうに理解していますので、確かにバランスは大切だと思いますが、まずこの問題のスタートをよく私どもとしては認識するということを私は考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 バランスがどうなのかということをしっかり冷静に丁寧に議論する必要があると思いますので、しっかり我々も議論していきたいと思います。

 次に、この十五事例の議論の中で少し懸念に思っていることがございます。それは何かといいますと、先日、予算委員会で安倍総理への質問の中でこういうくだりがありました。火事の話があったんです。何かといいますと、隣の家が火事になった、隣の家の火事がどんどん大きくなっている、もしかすると我が家に燃え移ってくるかもしれない、そういう状況の中で、燃え移ってくる前、まだ隣の家のぼやの段階で一緒に消火できる、そういう手段、カードというものを持っていてもいいのではないかという質問がございました。

 これは何を意味しているかといいますと、いわゆる先制攻撃です。つまり、まだ我が家に燃え移っていない、その燃え移っていない段階で、それに対してどう対処できるか。いわゆるプリエンプティブアクションと言われるものですが、差し迫った危険がある、それを防ぐために武力をもってそれを講じることができるかどうかという議論を誘発するのではないかと思っております。

 そこで、法制局に伺います。

 我が国が先制攻撃を行うということは認められているでしょうか。

横畠政府特別補佐人 政府は従来から、我が国の自衛権の発動が許されるのは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしております。ここに言う武力攻撃が発生した時点とは、我が国に対する武力攻撃のおそれがあるだけでは足りないが、攻撃による現実の被害の発生まで要するものでもなく、武力攻撃が始まった時点、すなわち相手方が武力攻撃に着手したときという意味であると解しております。

 我が国に対する武力攻撃が発生していない段階で、我が国が武力の行使を行うことはできないと解してきております。

 なお、あくまでも一般論として申し上げるわけでございますけれども、いわゆる集団的自衛権の行使は、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生を要件としておるところであり、いわゆる先制攻撃の問題とは異なると理解しております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 先制攻撃というのは認められていないと。先ほど着手の話もありましたが、着手した段階で認められるというのは、あくまで着手自体が武力攻撃だというふうに認定できるからだと思っております。

 ところが、今この議論の中で、先制攻撃的な考え方というのが随所に見られるのではないか。例えば、安保法制懇の報告書の中でも、集団的自衛権の行使の要件ということで、当然、我が国に対して直接の攻撃はないと。その上で、我が国への直接攻撃に結びつく蓋然性が高いとか、あるいは我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるというようなことが示されているわけです。つまり、先ほどの火事の例もそうなんですが、極めて先制攻撃に近いような議論がなされているんじゃないかなと思っております。

 ぼやの段階でとめるような手段を持つべきだという質問に対して、そのとき総理は明確には答えておられませんでした。

 そこで、外務副大臣にお伺いしたいと思います。

 よもやこの集団的自衛権の議論の中で、先制攻撃というものが可能となるということはないんだということを明確に御答弁いただきたいと思います。

岸副大臣 多少繰り返しになる部分もありますけれども、集団的自衛権とは、国際法上、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利と解しておるところでございます。

 集団的自衛権は、国連憲章第五十一条に明確に規定されております。今日では、国家が有する国際慣習法上の権利であると考えられておるわけでございますが、国際法上、集団的自衛権を行使するためには、先ほども答弁がありましたけれども、武力攻撃を受けた国の要請または同意が必要である、すなわち、武力攻撃の発生が集団的自衛権の行為の前提になるわけであります。

 集団的自衛権の行使が容認されることにより、いわゆる先制攻撃が可能となることはない、こういうことでございます。

伊佐委員 今、十五事例で武力行使に当たり得る例として挙がっているのは、先ほど長官も強調されました、なおの後で、米軍が武力攻撃を受けた後の段階の話だと。つまり、国連憲章五十一条のもとでの自衛権の話だというのが、今の事例の話であるはずなんです。ところが、例えば米国がこれまで歴史上この国連憲章五十一条に基づいてだけ戦争をしてきたかというと、決してそうじゃない。

 例えば、一番最近のイラク攻撃、二〇〇三年、これも何で攻撃が始まったかというと、まさしくプリエンプティブアタックです。つまり、先制攻撃で戦争が始まっているわけです。ベトナム戦争だってそうです。これも、トンキン湾事件というのがあって、いわゆるでっち上げで戦争が始まっている。こういうようなリスクが非常に高いと私は思っております。

 そういう意味では、今の十五事例の議論を聞いて、また国会の質疑とか火事の例を聞いていて、どうしても、国連憲章五十一条の話だけではなくて、もしかすると先制攻撃、こういうような構図に踏み込んでしまうんじゃないかというような不安を感じていらっしゃる方々もいると思いますので、あえて質問させていただきました。

 次の質問をさせていただきます。

 スケジュール感の話です。これは、安倍総理も高村副総裁もたびたび、期限ありきではないというようなことを明言されております。

 安保法制の議論を急ぐべきだとおっしゃる方々がよく理由として挙げられるものは日米ガイドライン、このガイドラインをこの十二月末までに何としても決めなきゃいけないんだ、だから急がなきゃいけないんだという方々がいらっしゃいます。

 そこで、質問させていただきます。このガイドラインの改定、絶対に本年十二月までじゃないとだめだという理由はあるんでしょうか。

    〔今津委員長代理退席、左藤委員長代理着席〕

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 今の日米防衛協力のための指針、これができましたのは一九九七年、いわば冷戦終結から間もないころでございます。そのころからもう既に十七年近くがたっているわけでございます。国際情勢、我が国を取り巻く周辺環境というのも大きく変わっております。また、自衛隊の役割も、国際協力を初めといたしまして変化してまいりました。それから、自衛隊の防衛力整備面でも、能力面におきましても変化してまいりました。

 つまり、当時はまだ、例えば一例で挙げますと、ミサイル防衛システムというものを持っておりませんでした。そして、今後の防衛力整備のプライオリティーといったようなことにつきましても、新しい防衛計画の大綱でこれが決められるといったような大きな変化もございました。また、アメリカの側においても大きな変化がございました。

 ということで、今日の国際情勢等を踏まえますと、やはり、アメリカとの幅広い協力のあり方ということについて新しいガイドラインをつくって見直していくということは、まさに喫緊の課題であるというふうに考えておるというところでございます。また、昨年十月の2プラス2で大臣間でお決めいただいた大変重いものであるということでございまして、ことしの十二月までに見直すということはぜひとも必要であると考えております。

伊佐委員 つまり、先ほどおっしゃったように、現行の解釈、現行の法制度の考え方の中でガイドラインを今つくっていますということだと思うんです。これは前の長島委員の質問でもあったと思うんですが、今一生懸命議論している内容というものには触れずに、とにかく現行の考え方、現行のままでガイドラインをつくっていく、このガイドラインに果たして意味があるんだろうかということだと思います。

 今議論させていただいているのは、集団的自衛権の話だけではなくて、例えば武力攻撃事態に至っていないグレーゾーンの話であったりとか、後方支援のあり方であったりとか、いろいろな議論をしているわけです。日本が何をどこまでできるか、こういう議論をやっているわけです。

 ところが、こういうものを全部置いたままにして、とにかく十二月の締め切りが絶対なんだ、だから、詰めた議論が今現在進行しているのにもかかわらず、とにかく急げと。私は、そうじゃないんじゃないかと思います。逆に、国内でしっかり議論して、国民の皆さんに納得していただける、こういうプロセスこそが最優先だと考えております。

 最後に、副大臣から一言いただければと思います。

武田副大臣 御指摘のように、期限、結論ありきではありませんけれども、やはり2プラス2合意というものを我々は重く受けとめて、それに伴った作業というものをしていかなくてはなりません。

 しかしながら、今与党間協議も積極的に行われておりますし、そうした検討状況というものを踏まえて、我々はガイドラインの見直しに対処していきたい、このように考えております。

伊佐委員 以上で終わります。ありがとうございました。

左藤委員長代理 次に、中山泰秀君。

中山(泰)委員 自由民主党の中山泰秀でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど来、この安保委員会に所属する委員各位が、いろいろな角度から、集団的自衛権そしてまた安全保障全般にかかわる多角的な御意見、御心配というものをすごく有していらっしゃるなというふうに、各政党の議員の質問を拝聴させていただきながら感じておった次第であります。

 私も、一人の日本人として、私なりの見方から心配しています。それは何かといったら、先ほど来、集団的自衛権で限定容認論という言葉が出たりとか、急ぐなという言葉のような感覚を得たりとかしますけれども、私は、今回の議論の中でマスコミの指摘も含めて一番欠落しているところは、時間という二文字だと思っています。

 要するに、別に、アメリカが2プラス2を迫っているから我々が急ぐわけでもない。砂川事件という昔の判例を政府は出してきているけれども、申しわけないけれども、ほこりをかぶったつづらの箱から古い判例を出してきて、まるっきり時代の違うことを話されても、これは全然ぼけた、ずれた感覚だと私は個人的には思っています。

 そんなことを言うんだったら、けさのNHKのニュースを皆さん見ましたか。ベトナムの船に対して中国の船が突っ込んできて、それを沈めるというような映像が、この間から報道されている中でどんどん出ている。今まさに南沙、西沙諸島で起きて、中国の海警ですとか人民解放軍ですとか、中国当局の船が他国の船、国境を侵害しているという事実があって、もしかしたら我が国にも同じような状況が起きるかもしれない。実際に、尖閣は我が国固有の領土であるのにもかかわらず、そういった類似の事案がもう既に起きている、我々もそれに対して対応しているということ。

 すなわち、今そこにある危機というのをはっきりと明示して論ぜずに、一体この議論をどうやって私たちは集約することができるのかというふうに、私は私の角度なりに心配しています。すなわち、時間がない、要するにセキュリティーホール、いかにこの穴を埋めるかということ、このことをしっかりと検討していく必要性があるというのが、私は今回の議論だと思います。

 特に、憲法改正。なぜ安倍総理は、憲法改正、憲法改正と自民党の人たちが言っているのに、今回は憲法改正でやらないんだとおっしゃる方がいるかもわかりません。しかし、憲法改正でやったら一体何年かかるんですか。

 昔、大先輩である中曽根総理も、総理就任まで憲法改正、憲法改正とおっしゃっていた。しかし、総理大臣になった途端に憲法のケの字もおっしゃらないという時代もあった。小泉総理の時代は三分の二を二年間ぐらい有していた。あのとき、この二つのチャンス、昭和から平成にかけて憲法改正のチャンスがあったけれども、結局なし得なかったじゃないですか。

 そして今回、目の前で包丁を振りかざしている、おらおらおらとやってくるような外国が軍事力をどんどん増強している中で、私たちが議論に終始して実際の防衛をおろそかにして、国民の生命と財産を脅かすような他国の権力や集団からいかにして守るかというのが現実で本当のリアルな話だと私は思いますので、間違っても夢物語で平和ぼけしたような議論を日本の国会議員がやるべきではないと、はっきりと私は私なりの考えを申し上げておきたいというふうに思います。

 それともう一つ、集団的自衛権とは何かといったら、これは抑止効果だと私は思っています。

 私がおいしいものを食べて、血がうまくなってきた、ちょっと太ってきた。それをヤブカが、もうそろそろ季節だから、中山君の体を刺して、吸血鬼のように血を吸ってやろうと。仮にこのヤブカが中華人民共和国の人民解放軍だとして、もしくは北朝鮮だとして、私は、彼らから自分の身を守るのに、ヤブカに刺されないようにスキンガードを振りますよ、それがなければ蚊取り線香をたきますよ。すなわち、抑止効果というのは自然に出てくる自衛権であり、防衛権であるということも言えるんじゃないでしょうか。ヤブカの例を見たって逆にわかるわけです。

 そして同時に、私が大阪から一緒に選出されていて、落選も一緒に苦労した左藤章先生が誰かに攻撃されたら私は守るけれども、私が攻撃されても左藤先生は守らないというんだったら、左藤家と中山家の長年にわたる友情は破綻するわけですね。これが、日米安全保障のような形で、我々、中山左藤安全保障なわけです。自民党の仲間を守る、兄弟愛ですよ。

 根本的に、人と人やヤブカと蚊取り線香の抑止でわかるように、それが国と国、組織になって大きくなったらこの例が一番わかりやすいと私は思うんですけれども、質問通告はございませんが、今の話を聞いて、副大臣、いかがでしょうか。

    〔左藤委員長代理退席、今津委員長代理着席〕

武田副大臣 大変参考になりました。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 というわけで、前置きはこの程度にさせていただきまして、私がきょう質問したいのは、朝鮮半島有事の可能性ということについて、特に国連の決議と絡めてお伺いしていきたいと思うんですが、外務省が答弁に立ってくださるんだと思います。

 まずお伺いしたいのは、現在、北朝鮮は国連加盟国中の何カ国と国交を持っているか、韓国は何カ国と国交を樹立しているか、そして我が国は何カ国か。それぞれの数字を教えていただけたらと思います。

金杉政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮は、自国を除く国連加盟国百九十二カ国のうち、百六十二カ国と外交関係を結んでおります。これに対しまして、我が国は、北朝鮮を除く百九十一、百九十二分の百九十一カ国と外交関係を結んでおります。また、韓国は、北朝鮮に加えまして、キューバ、シリア、マケドニアを除く百八十八カ国と外交関係があるというふうに承知しております。

 以上でございます。

中山(泰)委員 今、意外だなと思われた方もおられると思いますけれども、北朝鮮が百六十二カ国と国交を持っているということであります。

 私は実は、朝鮮半島で何が一番気になるかといいますと、一九四八年十二月十二日国際連合総会がその第三回会期において採択した決議、百九十五号決議というのがございます。これは何を議論された決議かといいますと、朝鮮の独立問題というものが議論されております。

 ちょっと読ませていただきますが、「総会は、朝鮮の独立問題に関する一九四七年十一月十四日の決議一一二(2)を尊重し、国際連合朝鮮臨時委員会(以下「臨時委員会」という。)の報告及び臨時委員会との協議に関する総会の中間委員会の報告を考慮し、」云々と書いてあって、百九十五号の2と3というところを読みますと、こんなことが書いてありました。

 「2 臨時委員会が観察し、及び協議することができたところの、全朝鮮の人民の大多数が居住している朝鮮の部分に対して有効な支配及び管轄権を及ぼしている合法的な政府(大韓民国政府)が樹立されたこと、この政府が、朝鮮のその部分の選挙民の自由意思の有効な表明であり、かつ、臨時委員会が観察した選挙に基づくものであること並びにこの政府が朝鮮における唯一のこの種の政府であることを宣言し、」「占領国に対し、その占領軍を実行可能な限り早期に朝鮮から撤退させるべきことを勧告し、」云々と書いてあるんですね。

 これを読んでおりますと、朝鮮半島には韓国以外の政府はないというふうに読めますが、この決議は現在も有効なのでしょうか。また、有効な場合は我が国は本決議を尊重するのかどうか。北朝鮮というのは法的にどのような形で存在しているのか。このことをちょっとお伺いしたいと思います。

金杉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が御指摘されました国連総会決議百九十五号の3でございますけれども、これは、一九四八年当時に国連が実際に監視することができた地域についてということが前提になっております。したがいまして、いわゆる三十八度線以南について当てはまるということでございます。

 翻って、日韓の基本関係条約の中でも国連総会決議百九十五号の3というのを引用してその趣旨を確認しておりますけれども、それ以上でもそれ以下でもございません。したがいまして、北朝鮮との関係につきましては、日韓基本関係条約でも一切白紙のまま残っているということでございます。今後、日本として北朝鮮とどのような関係を構築するかということについては、今後の問題として全て白紙の形で残されているということでございます。

 先生御指摘のとおり、北朝鮮が世界の多くの国と国交を結んでいるという状況は、恐らく一九四八年とは大きな違いがあるというふうに認識しております。

 以上でございます。

中山(泰)委員 なるほど。白紙ということは、ある意味フリーハンドだということですよね。うなずいていらっしゃいますので、そういうことなんだなと思いました。

 ただし、国連決議の中には日本に対する敵国条項というのも、たまに国会で質問なされる議員もおられますが、まさにそれも逆に言えば同じような形になっているということでよろしいんでしょうか。

金杉政府参考人 敵国条項につきましては事実上無効化されているというふうに理解しておりますけれども、決議というのが取り消されない段階においては、まだ依然として残っているということでございます。

 以上でございます。

中山(泰)委員 なるほど。ということは、敵国条項は事実として残っている、だけれども、こっちのいわゆる北朝鮮の決議に関してはフリーハンドだということであります。

 私がなぜこれを心配するかといいますと、朝鮮半島というのは、東西冷戦構造を色濃く残している、地球上を俯瞰した中で世界唯一の場所と言っても申し分ないと思います。その中で、一九五三年七月二十七日に朝鮮戦争の休戦協定というのが結ばれていますけれども、いわゆる北進統一に固執した李承晩、韓国の大統領は、この停戦協定を不服として調印式に参加しなかった。すなわち、国連が決議で認めている唯一の、朝鮮半島における自由意思に基づいた選挙を行う政府が樹立されている、その政府自体が逆に言えば休戦協定に署名していない。

 しかし、休戦状態にあって六十一年間たとうとしている中で、逆に言えば薄氷を踏むような非常に危険な状態にあるということは、間違いなく政治状況としてあるわけです。コマーシャルフライトでも一時間程度のところの地政学的なエリアに我々と半島が位置しているということを考えますと、本当にこの朝鮮半島有事というものをしっかりと私たちは目を見開いてウオッチしていかなきゃいけない、特に、休戦協定にサインしている他国であります中国ですとか、当時のソビエト、今のロシア、それから米国、この動きも当然監視していかなきゃいけないというところにあろうかというふうに思います。

 いずれにしても、この委員会でも前の質問のときに申し述べましたけれども、第三次世界大戦のリスクというのが起こり得るならば、習近平氏がアメリカのオバマ大統領と会談する中で、西太平洋を我々によこせというような発言をしている中で、実際にどんどん人民解放軍が東へ東へと進出しているという中、我々の子供たちの時代にいかにして戦争のリスクを回避するかということを一番最初に考えなきゃいけない。これは政党を超えた話だと思います。

 しっかりと戦争の抑止というものができ得る形、それを日本として、現政府の考えとしては日米安保を基軸につくっていく。アメリカも、チリを含めた四十一カ国を中心に、ハワイのホノルルにアジア・パシフィック・センター・フォー・セキュリティー・スタディーズ、戦争をいかに回避するかというシンクタンクを陸軍のもとにつくっていて、それを環太平洋でしっかりとまとめ上げようという努力をしています。

 沖縄から米軍は出ていけと言う人がいるなら、私は日本人として、北方領土の択捉島にあるロシア極東最大の基地に出ていけと先に言う方が筋の通った話であると。アメリカは、少なくとも沖縄を七二年に返還してくれていますから。ぜひ、アジアの平和のために日米安保をこれからも基盤にして、この北東アジアの安定をつくるべく、安倍総理には頑張っていただきたい。

 以上申し上げて、質問にかえます。どうもありがとうございました。

今津委員長代理 次に、武藤容治君。

武藤(容)委員 おはようございます。自由民主党の武藤容治です。

 きょうは、本当に貴重なお時間をわずか十五分ですけれどもいただきまして、皆さんに心から感謝申し上げたいと思います。

 まさにこの安全保障をめぐる議論というのが国民的議論として今大変沸き上がっていること、大変意義のあることだと思っています。いかんせん、今までも各委員の方々がいろいろな角度でおっしゃられて、大変すばらしい御意見をいただき、これがフェイスブックで流れていると、いいねが連続するんじゃないかと思います。我々としてはとにかく、今、安倍政権の中で、積年のいろいろな議論を我が党でもしてまいりましたけれども、いよいよ結果を出すことが求められる時期に来ているんだという認識で、今も中山先生からもお話がありましたが、そういう局面に来ているんだと思います。

 北朝鮮の問題、そして中国の軍事費増大という今の状況を考えれば、南シナ海、東シナ海の問題についてはいわゆる中国の経済的な拡大の話もありますけれども、中国としての安全保障戦略という形からも、これは中国の夢であり、尖閣を核心的利益と言ったということ、そこを台湾やウイグルと同じような形で位置づけたということは我々は真摯にやはり受けとめていかなきゃいけないんだろう、こういう思いできょうは質問に立たせていただきます。

 今回、憲法解釈をめぐっていろいろな議論が、安防懇から出された提言のもとで、我々の党内、そして与党PTも今頻繁に、これから回数をふやしていただけるということも聞いておりますけれども、こういう形の中で議論されています。

 憲法解釈というのは、我々が地元で話をしていると、なぜ今なんですかということが一番多い疑問だと聞きます。例えば十九年に自民党として防衛大綱見直しに当たって出した提言もそうですし、そして今回いろいろな形で防衛大綱等々、NSSも出ましたけれども、憲法解釈というものをいろいろ研究していると、我々の党内のずっと長年の蓄積もありますし、いろいろな学者、研究者の方々からも、ある意味で、今度安防懇で出された提言というのは、過去にもいろいろ同じような形で提言されております。

 さて、この憲法解釈というものを一体どういう形で御説明するかというところは、報道を見ていると、過去ずっと、憲法改正はできない、あるいは解釈というものもなかなか変えられないというのが報道ではされているので、まずここらあたりを、内閣法制局の方の御意見として今までの状況を伺った上で、質問を続けていきたいと思っています。

横畠政府特別補佐人 憲法解釈の一般論ということになろうかと思いますけれども、平成十六年六月十八日の島聡衆議院議員に対する政府答弁書におきまして、憲法を初めとする法令の解釈変更のあり方の一般論は述べております。なお、同じ答弁書の中で、従前の憲法の解釈、運用の変更に当たり得るものとして、憲法第六十六条第二項に規定する文民と自衛官の関係に関する見解のみを挙げているところでございます。

武藤(容)委員 ありがとうございます。ちょっと質問があれだったんですけれども。

 今のいわゆる憲法解釈の変更については、これは産経の新聞ですけれども、集団的自衛権に関係しないことで、靖国神社の公式参拝の見解ということで、昭和五十五年十一月十七日の政府統一見解、公式参拝について、憲法上、ちょっと略しますけれども、こういう参拝は違憲ではないかとの疑いをなお否定できないというものが出されています。これに当たって、当時、中曽根首相が靖国懇というのを開いて、こういうものを受けて、昭和五十五年十一月十七日の政府見解をその限りにおいて変更したということがこの新聞報道にも出ています。こういう事実というものは、法制局長官、どう思われますか。

横畠政府特別補佐人 憲法の解釈、運用の問題と申しますのは、規範の面と事実の面、両面一体のものでございまして、御指摘の靖国公式参拝の問題につきましては、政府としては、憲法解釈の変更というよりも、憲法の規範に抵触しない、問題を生じない形での運用といいますか、実務といいますか、そういうものを確立したという趣旨であると理解しております。

武藤(容)委員 ありがとうございます。

 現実、懇談会等々で、今の局長の話だと、いわゆる規定と運用の分野の、特に運用の方の解釈の変更ということだろうと思います。今、大きく集団的自衛権というと、これは国連憲章からずっと来ているいわゆる不戦条約からの流れの中での今回の議論だというふうに認識していますけれども、我々からすると、世界の情勢が変わって、今の話じゃありませんけれども、これ以上放置していくと一体何が起こり得るかということを考えると、やはり解釈という形で対応していくということが必然的な要件になるだろうということだろうと思います。

 本来、憲法改正という形も当然あるでしょうけれども、少なくとも三分の二という形の今の憲法九十六条がある限りは、これはなかなか正直言って、今の中山先生じゃありませんけれども、まだまだ時間がかかるということが現実ですから、国民投票法で今国会で受け皿の準備は一応しておりますけれども、やはり現実的な対応を我々としてはやっていくというのが少なくとも国民からいただいた我々の責務だ、私自身はそう思って、地元でもそういうお話をさせていただいています。

 ただ、今回、私も一番気がかりなのは、こういう大きな問題と、去年、ちょうどさっきのアルジェリアの話で自衛隊法の改正をやりました。あのときに私も質問に立たせていただきましたが、いわゆる輸送はできないというので陸上輸送を認める形になりましたけれども、そのときも、救出が今の我が国の形ではできないということでありました。

 今回、安防懇から、救出についても、憲法解釈の問題というものについては解釈を変えられるということが出てきたわけですけれども、内閣法制局長官にお尋ねいたします。この辺について、お話は聞いていらっしゃるのかどうかというのをお願いいたします。

横畠政府特別補佐人 御指摘の救出の問題が憲法解釈の変更の問題そのものかどうかは、ちょっと別と存じますけれども、さまざまな事態にどのように対処すべきか、そういう問題提起でございまして、それを受けまして、現在、与党協議が行われているところであると承知しております。

武藤(容)委員 長官の方は、まだこの段階では何もコメントできないんだというふうに思っています。

 ここの問題というのは、いわゆる武力の行使というところの形だと思いますけれども、国際紛争解決手段としての武力行使、憲法上の制約はないとした、今回の安防懇の見解だというふうに理解しています。

 これは本当に慎重に我々としては検討していかなきゃいけないんですが、少なくとも去年のあのアルジェリアの案件を踏まえて、日本がなぜ世界で働く我が邦人の救出ができないのかというのは我々としては切実な問題意識でもありますし、逆に、去年、インフラ基盤の整備ということで輸出をどんどんして、きのうもちょっとお話を聞きましたけれども、この数字が約三倍に伸びているということでありますから、日本の技術者等々が世界へ今羽ばたこうとしているのが大変ふえてきているんだろうと思います。これは外務省から一回また情報を聞かなきゃいけませんが。

 いずれにしても、そうやって世界に日本がどんどん羽ばたいていく。しかし、こういう世界情勢、テロとかいうことを考えた場合に、なかなかこの辺の救出さえできないというのでは、憲法の一番の問題である日本の国民の命と財産を守るというところに、果たして我々としてちゃんと仕事として果たしていけるのかというところで引っかかってきちゃうんだろうと思います。そういう意味でいうと、今度の安防懇の見解というのは、我々としても大変勇気づけられるものといいますか、大変ありがたい報告として承っております。

 PKOもそうなんですけれども、まず、国際紛争を解決する手段としての武力行使ということですので、国際紛争というところは、憲法解釈からいっても同じように、そういう意味では解釈の違いというのは武力の行使というところの根源にかかわってくるところですから、この必要性というものをぜひ我々としては丁寧に議論を重ねて、妥当性を見出していくべき問題だというふうに思っています。一番問題なのは、そういう形の中で歯どめとか、この前の連合審査でもそういう話が出ていましたけれども、やはりこの辺についてはこういう形で、皆さんに一つ一つ丁寧に議論を重ねながらやらざるを得ないんだろう。

 最後にもう一つだけお聞きしたいのは、先ほども委員の方から出ていましたけれども、いわゆる日米ガイドラインの問題だと思います。

 時間が限られておるわけですけれども、まずそのスケジュールをもう一度聞いた上で、国会もいよいよ終わりますけれども、ある意味で、夏場に必要ならば議論も重ねながら、今度の臨時国会で法案をまとめつつガイドラインも変えるといったように認識しておりますけれども、その辺について防衛省の方からお願いいたします。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 日米防衛協力のための指針の見直し、これにつきましては、ことしの末までに見直しを完了させるということを、昨年十月の2プラス2で四大臣間で確認していただいたわけでございます。

 現在、この2プラス2の共同発表に基づきまして実務的な検討を進めているところでございます。そして、日米間のさまざまなレベルでも、ことし末までの見直しということについては常に確認しながら作業をしておるところでございます。

武藤(容)委員 そういうガイドラインの見直しというのは、私自身は正直、アメリカとのいろいろな話し合いの中で、やはりアメリカから、日本がそれなりのパートナーとしてしっかり仕事をやりなさいよと。そういう中で今回ガイドラインというのを十七年ぶりに見直すに当たって、そういう形での法的体制を踏まえつつ、そして何よりも我々としては、国民の議論というものを集積しながら、まずはこの国会で大変大きな意義のある議論をしつつ、まとめていくことが大事だろうというふうな認識でおります。

 副大臣、その辺について、もしよろしければちょっと御見解をお願いします。

武田副大臣 このガイドラインの重要性は御指摘のとおりだと私も思っております。今求められる日米協力のあるべき姿というものを真剣に考えていかなくてはならないと思いますし、日米間の役割分担を見直していく、そして連携強化に努めていって、抑止力、対処力の向上というものをしっかりと果たしていかねばならないと思っております。

 2プラス2、昨年十月に行われましたけれども、しっかりと年末までに見直すという合意ができ上がっておりますし、さま変わりする安全保障環境のもと、この十六年強にわたっていろいろなものが見直されなかったということについてのさまざまな御指摘も我々のもとに寄せられておることでありまして、しっかりと充実したものに仕上げていくことが重要であるというふうに考えております。

武藤(容)委員 本当に期待申し上げております。やはり、日米、そして世界の中にいる我が国のいわゆるプレゼンスというものをしっかりもう一度担保する、いい時期に今来たんだろうと思っています。

 これで質問を終わりますけれども、いずれにしても、ちょっとこれも報道で出ていましたが、与党PTの公明党さんとの協議の中で、自衛隊の今回の武力行使、武器の使用ということについて、集団的自衛権の議論を深めるために、どちらかというと武器の使用というよりはいわゆるスピーディーな出動ができるように、運用の方をとりあえず修正するというようなものもこの前報道に出ていました。

 しかし、私も自衛隊の基地を見て隊員ともいろいろお話をしていますけれども、彼らが本当に日本の最前線で命を張って頑張っているということに対して、我々はもっともっと政治として応えていく必要があるんだろう。こういうことがあるので、さまざまな議論というのを、大変慎重を要しながらも、かつ綿密に、非常に濃い議論をどんどんやっていただければ、そんな思いのことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

今津委員長代理 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 おはようございます。

 期せずして、日本維新の会の宮沢ですと申し上げて質問するのは恐らくこれが最後になるだろうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 集団的自衛権の質問をさせていただきたいんですが、その前に、私がずっと扱っておりました防衛医科大学校のことについてちょっとだけ質問させていただきます。

 資料が今配られていると思いますが、防衛医科大学校の歴代校長がずっと第九代まで並んでおります。これを見ていただくとわかりますように、初代から出身大学は全て慶応義塾大学医学部であります。専門は基礎系、外科系、内科系、精神科、いろいろでありますが、医科大学ですから、お医者さんが校長になるのは自然なのかもしれません。実は私は、第五代の間宮先生のときから防衛医大に勤務しまして、これ以降の先生方はよく存じ上げております。個々の先生は非常に立派な方で、いい方ばかりです。

 私が言いたいのは、なぜ慶応だけなのかということなんですね。これは私が在職中からも防衛医科大学校出身の医師からはしょっちゅう一つの不満として出ておりまして、別に大学等はどこでもいいだろうとは思うんですが、いわゆる防衛衛生とか災害医学を専門としていないで仕事をしてきて、それで校長になる。従来はそれでもよかったのかもしれないんですが、今は有事がいつあるかわからない、あるいは災害もふえている。

 このような状況の中でこれからもこのような人事を続けていくのかどうか、あるいは今後防衛医科大学校の人事に関するビジョンとしてどのようなものを考えておられるのか、ちょっと参考人の方にお聞きしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛医科大学校の学校長の人事についてお問い合わせがございました。

 委員よく御存じのように、防衛医大につきましては、幹部自衛官たる医師の養成ということで、必要な教育訓練の充実、それから、当然でございますけれども医学の教育研究、病院の運営ということでございます。

 こうした重要な医科大学の学校長の人事につきましては、医学それから医学教育の知識経験のみならず、防衛医大の教授等を十年程度経験し、防衛衛生の見識を有した者であって、かつ防衛医大の主要なポストを経験して、学校、病院の管理運営能力があるということが確認できた者から選んでいくべきだというふうに思っております。

 また、昨今、大綱、中期等でさまざま御議論をいただきまして、防衛医科大学には他の医大、医学部にないような特有の機能というのを強化すべきだという改革の御議論もいただいておりますので、今後は、そういう防衛医学教育を強化すべきということも含めて、きちっと検討させていただきたいというふうに思っております。

宮沢(隆)委員 申しわけありませんが、なぜ慶応だけなのかの答えがまだ出ていませんが、お願いします。

鈴木政府参考人 私の立場で申し上げることができるのは、恐らく結果として慶応になったということだと思いますけれども、建学の当初等の歴史を振り返らせていただくと、昭和四十八年に建学をさせていただいて、四十九年から医学生が入ってきたわけですけれども、当時の建学に際して御指摘にありますような大学が協力をしたという経緯が過去にあったという経緯がやはりあるのではないかというふうに思われます。

宮沢(隆)委員 結果としてということですが、たしか先生も慶応でいらっしゃいますね。

 はっきり申し上げて、もし今後も慶応がずっと続くんだったら、まあ暴動までは起こらないでしょうけれども、本当に職員はいなくなっちゃいますよ。私も校長人事についてはうわさをいろいろ聞きましたが、非常に閉鎖的で、どこで誰が決めているのか知りませんが、これは小野寺大臣にもちょっと今後考えていただきたいと思います。

 もう一つ、防衛医大に十年勤務したからといって、防衛衛生とか災害医学に精通するとは正直ちょっと思えません。だから、それもちょっと考えていただきたいと思います。

 この件はこれで終わります。

 集団的自衛権の話、私も専門外ですので、私なりにちょっと勉強いたしました。細かい内容についてはまだまだ勉強し切れてはいないんですが、ただ、どうも疑問に思っているのは、審議の進め方ですね、今与党の方で審議を進めているようですけれども。それから審議のスピード感。

 先ほど公明党の伊佐議員と自民党の中山議員のお話を聞いていて、これは各党の特徴がよくあらわれているなと思いました。

 先ほど伊佐議員は、抑止力とリスクのバランスだとおっしゃっていましたが、そのリスクの方に、巻き込まれるリスクと緊張が高まるリスク、この二つしか挙げておりませんでしたが、小野寺大臣は、何もしないことによるリスクがあるんじゃないですかとおっしゃった。これは全くおっしゃるとおりだと思います。したがって、リスクの定義をきちんとしないでバランス云々の議論は、やはりおかしいだろうと思います。

 それから、中山議員からはスケジュール感のお話。要するに、これだけいろいろな出来事が周囲で起こっているのに、こんなにのんびりしていていいのだろうかということで、両党の思考プロセスの違いが明確に出ましたよね。

 ちょっと細かいお話に入っていきますが、事例議論というのを盛んにやられていて、ここに十何例の事例の束があります。この事例を吟味する、議論するというのは大事であるとは思うんですが、一方で、切りがないんじゃないか、あるいは仮想敵国に情報を与えているようなものじゃないか、それから想定外事態で事例以外のことが起こったら対応できなくなるんじゃないか、そんな批判があると思うんです。

 まとめると、いわゆる事例偏重議論、これに対して小野寺大臣はどのような考えをお持ちでしょうか。

小野寺国務大臣 これは、今与党内での議論ということが行われる中で、与党の求めに応じて幾つかの事例というのを内閣官房の方で出して、議論されているということだと思っております。

 こういう事例の議論の中で、やはりこの議論というのは大変わかりにくい安全保障の問題でありますので、まず具体的なことから議論が始まるというのは、この問題をよく理解する上では一つの必要なプロセスではないかとは思っております。

宮沢(隆)委員 ありがとうございます。

 私も、必要であろうとは思うんですが、この間も予算委員会でポジティブリスト、ネガティブリストという議論がありましたけれども、先ほど中山議員がおっしゃったように、やはり時間ですよね。これはやはり念頭に置いて、事例議論というのを今後進めていっていただきたいと思います。

 それから、これもまた議論の進め方なんですが、安倍総理も与党内の議論は期限ありきではないと一応おっしゃってはおりますが、先ほどの日米ガイドラインが十二月まで云々ということを念頭に置いて、小野寺大臣としては、いわゆる与党内議論のデッドラインというのをどの辺に設定されておられるのかというのをちょっとお聞きしたいと思います。

小野寺国務大臣 まず、安倍総理がお答えされておりますように、この議論については期限を定めるような内容ではないというお話をされる一方、私ども防衛当局は、昨年の2プラス2におきまして、ことしじゅうに日米の防衛協力のガイドラインを策定するという一つのスケジュールがあります。

 私どもとして、なぜこのガイドラインを十七年ぶりに改定するかというと、十七年前の安全保障環境というのは、例えば、北朝鮮のような国の中で、この十七年の間にミサイル技術の向上があり、また累次の核実験が行われということ、これは新たに発生した事案だと思っております。また、周辺国におきましても軍事力が増し、この地域の軍事バランスについても従前とは違う状況にあると思っております。また、新たな脅威として、宇宙やサイバーといった新たな安全保障の問題が出てまいりますので、こういうことに対応できるように、日米ガイドラインというのは、なるべく早く私どもとしてはしっかりとした改定をする必要があると思っております。今回の議論がもし一定の方向が出れば、集団的自衛権等の議論については、日米のガイドラインの中に織り込むことも当然必要な内容だとも思っております。

 いずれにしても、期限があるわけではありませんが、私どもとしては、速やかな議論の中で、日本の安全保障のために、しっかりと資するような方向性が出ること、これは重要なことだと思っております。

宮沢(隆)委員 デッドラインをはっきり決めることはできないけれども、できるだけ急ぎたいというように解釈いたしました。

 そうなりますと、私はテレビで見ているだけですが、公明党の北側議員と自民党の高村議員がばしばしと闘っている様子を見ていますと、別にそんなに公明党に固執しなくても、いずれ名前は決まると思いますが、とりあえず我が仮称石原新党にお話をいただければ、いつでも協力はいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 実は、なぜ私は安全保障委員になったかというと、もともと医者なので、そんなに向いていないかなと思うんですが、私は昭和三十年生まれなんですけれども、皆さん、昭和三十年代生まれの方はわかると思うんですが、やはり戦後が残っていたんですよね。だから、「三丁目の夕日」の世界です。それで、私も子供のころから母親に、絶対に戦争にしちゃだめだというのを、何で子供に言うんだろうと思いながらずっと聞かされていたんですが、今のおばあちゃんたちの世代はほぼ全員そう思っていると思うんですよね。

 現在の東アジアの情勢を見ると、私は、集団的自衛権行使はぜひ必要であると思っているんですが、ただ、国民の多くが言っているように、戦争には絶対にしないでくれと。それにはやはり明確な歯どめの議論が必要だと思います。

 それで、この間出ました安保法制懇の報告書、これは抜粋と書いてありますけれども、これを見ますと、私が一番戦争に至る可能性があるなと思ったのは、国際治安協力という項目のところなんですね。そこには、海賊等とか、一応相手が海賊であると想定しているようですが、後ろに等がついている、この等は何だろうかとか、武力の行使ではなく武器の使用を伴う治安活動であるとかいう文章が書いてあるんですね。

 そうすると、この武器の使用、武器と一言で言っても、拳銃から機関銃からバズーカ砲から戦車、ジェット戦闘機、幾らでもあると思うんですが、歯どめ議論をする際に、国民にとって一番わかりやすいのは、地理的条件をどうするかということと、そこで武器をどこまで使うかということだろうと思うんですよね。

 ですので、自民党でも今議論をしているところだろうと思うんですが、この安保法制懇のように、地理的限定は意味をなさないとか、さらっとワンセンテンスで終えているのは私は非常に腹立たしく見ていたんですが、まずは地理的活動範囲についてどのような限定を置くかということ、今、小野寺大臣の中で何か考えがございましたら、ちょっと教えていただきたいと思います。

小野寺国務大臣 地理的概念については、安保法制懇の報告書には、今委員が御指摘されたような内容が記載されていると思っております。そして、具体的に今後政府としてどうするかということについては、今与党協議で行われていると思います。

 従来の私どもの地理という観念は、それは概念としてあると思いますが、例えば、最近よく言われますのは、サイバー空間あるいは宇宙空間、こういうところに今後広がる場合に、その地理的概念と、このような脅威が実際に存在するサイバースペース等の概念、さまざま今後整理する必要があるところはあると思っております。

宮沢(隆)委員 今、国民が考えているのは、いわゆる自衛官が、生身の人間がほかの国に行くということだけで恐らく、もちろんその自衛官の家族等も心配しますよね。ですので、私は物すごくシンプルに考えているのは、せいぜいシーレーンとか公海上までで、他国への派遣についてはPKO以外は相当慎重に限定していった方がいいだろう、これはもう私の全く個人的見解ですが。ただ、中身はもっと詰めなきゃいけないとは思うんですが、そうすると国民はかなり安心するんじゃないかと思います。

 それからもう一つは、やはり武器の中身ですね。これはもちろんある程度のレベルの武器じゃないと守れないということもあるでしょうから、本当に行かなきゃいけないのであれば、あるいはPKOでも、それなりのレベルの武器というのは用意して行かないといけないだろうと私は思っています。

 もう一つ大事なのは撤収ですよね。相手が最初は拳銃で来ていたのが、相手はテロ組織なのか、それともある国の反乱軍なのか、それはわかりませんが、拳銃だけで来ていると思っていたら、途中から大砲が出てきて、戦車が出てきて、戦闘機まで出てきたなんてこともあり得るだろうと思いますので、そのときの撤収の判断基準とか、あるいは報告の仕方とか、そういうようなことも私はしっかりと審議しておいた方がいいかなと考えています。この点に関してはいかがでしょうか。

小野寺国務大臣 今委員の御指摘された想定は、例えば、PKO等で自衛隊が海外で活動しているような状況だと思いますが、この際には、PKO五原則ということがあります。停戦合意や受け入れ同意、中立性、このようなものが満たされなくなった場合というのは、PKOの本部長は総理ということになりますので、総理の判断で私の方から中断という命令を出すこともできますし、現場の部隊におきまして部隊長の判断で一時休止をする、そういうことも制度の中にありますので、私どもとしては、現場の部隊が困らないような形で対応することが重要だと思っております。

宮沢(隆)委員 細かい議論はこれからだろうと思うんですが、とにかく、やはり人間ですから判断を間違うことはあると思いますので、誰が総理大臣であっても、集団的自衛権を行使した場合に絶対に戦争に至らない制度というものをぜひ検討していただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

今津委員長代理 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 日本維新の会の今村でございます。

 それでは、早速質問に入ります。

 先日開催されましたアジア安全保障会議にて、安倍総理は、国際法に照らして正しい主張をし、力や威圧に頼らず、紛争はすべからく平和的解決を図るべきと述べられた上で、ODA、自衛隊による能力構築、防衛装備協力など、日本が持ついろいろな支援メニューを組み合わせて、ASEAN諸国が海を守る能力をシームレスに支援するというふうに表明されました。

 私は、日本国の東南アジアにおける方針としては、安倍総理が述べられた今の方針というものが定理であって、ずっと継続されるべきものだと思っております。

 それにつきまして、今般、集団的自衛権行使が可能になれば、日米安保条約における片務性が解消されて、これまで私が当委員会で再三述べましたとおり、例えば尖閣諸島周辺での局地的な紛争、そういったところに日米が共同して当たれるというようなものがより担保されるというふうに考えております。

 ただ、先ほど、ASEAN諸国に対して日本が安全保障の面でも協力していくというふうに、私はそれを目指すべきだと申し上げましたが、今般の集団的自衛権行使というものがこういったASEAN諸国に対しても有効なのではないか、つまり、日本が日米安保のみならず他国との安全保障というもの、行く行くは条約とか同盟関係というものを構築していくためにも必要なのではないだろうかというふうに考えておるところでございます。

 私は、先ほど、日米安保の片務性の解消、今回の集団的自衛権がそれに資するというふうにも思いますと申し上げましたが、実のところ、尖閣諸島周辺で事態が起きた場合に最初から米軍が我々自衛隊の防衛に対して積極的に乗り出してくれるかといったところは、一〇〇%そうだというものではないだろうと思います。

 といいますのは、かつて、日本におられたモンデール大使とかいった方々が、うっかりと口を滑らすように、尖閣諸島周辺は日米安保の範囲にはないと言ったり、それを慌てて取り消したり。

 今般も、例えば少し前に民主党の大臣が訪米した際に、日米安保の適用範囲であるという言質をとったといって大喜びしていたところが、よく聞くと、あちらの国防相、そういったあたりでは、ちょっとそれは、施政権は認めているけれども領土としてどうかといったところはわからないと言ったり。

 ずっとずっと昔にさかのぼると、かつてニクソン大統領も、あのいまいましい島々を、これは尖閣のことを指していますが、日本にくれてやるより台湾にやった方がいいんじゃないかとか、それをキッシンジャーが押しとどめて、そんなことをやったら日米関係はぶっ壊れますよというようなことを、これは録音が残っているらしいんですけれども、そういった問答があったり。

 結局のところ、アメリカが本当に一〇〇%、日米安全保障の中に尖閣が含まれると言ってはいるけれども、それが本当に行使されるのかといったところは、私は、日本としてそれに頼り切るというのは、ちょっと一人前の国としてはどうかなというふうに考えておるところでございます。

 それにつきましても、集団的自衛権というものは、国の本来持つべき権利として、今さら議論しているのがおかしいぐらいで、これははっきりと、そういう権利を持っている、行使できるんだというところをさっさと、これは憲法の解釈云々以前の問題だと私は個人的には思っております。その自衛権行使といったものをきちんと持った国として、ASEAN諸国と我々は連携していくべきだろうと安倍総理もおっしゃっているんじゃないかとそんたくしております。

 外務省が、ASEAN七カ国に対して対日世論調査というものを行ったと発表しております。この中では、これは国別には書いていないんですけれども、九割以上が、日本と友好関係にある、どちらかというと友好関係にあるというふうに回答された。また、同じく九割以上が、日本を友邦として信頼できる、どちらかというと信頼できるというふうに回答されたと発表されています。

 ところが、ASEAN七カ国の中にミャンマーも含まれておりますが、このミャンマーという国が位置する地勢は、ずっとずっと昔にさかのぼると、これは大東亜戦争前の話ですけれども、蒋介石をアメリカ、英国が応援する、援蒋ルートと呼ばれた、物資を中国大陸へ運び込むためのルートがミャンマーから当時の支那へ通じておったわけです。

 同じようなことが今、中国はそのルートを確保しようと。といいますのは、マラッカ海峡、中国が輸入する物資というものもほとんどがそこを通って中国へ入っておるわけです。特に、原油等々、エネルギーといったものが中国には必要ですから、そこのマラッカ海峡を通って中国へ輸入される。そのマラッカ海峡を通らずに済むためには、今申し上げた、かつての援蒋ルートと同じような、ミャンマーから中国へ通ずる道をつくらなきゃいけない。今それを現実に中国は行いつつある。その一環として、真珠の首飾りというふうに表現される、インドを囲むように、中国海軍が用いる軍港というものも開いている。他国と連携してそういう軍港を開いておるわけですね。

 私が一番懸念しますのは、ASEAN諸国と中国との関係というものが、今、ベトナムの問題であるとかフィリピンの問題であるとかありますけれども、こういった国々がASEANにも含まれておりますが、その反面、ミャンマーとかベトナムも、ああいうトラブルを起こしながらも実は関係が深いとか、中国はしたたかにASEAN諸国を取り込む方針を立てておるようでございます。

 ちょっと話は戻りますが、先ほどのミャンマーにおける外務省の詳細な対日世論調査といったものをもう一度ここで教えていただきたいというふうに考えます。よろしくお願いします。

岸副大臣 委員御指摘の対日世論調査ですけれども、これは本年三月に外務省が依頼をしまして、ASEANの七カ国を対象に調査を行ったものでございます。

 そのうちのミャンマーにおける調査結果につきましては、全体的に日本に対する高い評価を示す結果を得ております。例えば、アジアや欧米の十一主要国の中で最も信頼できる国を選択する問いにおいては、日本と回答した割合が最も高くなっております。日本とミャンマーとの関係が友好であると答えた割合も、八八%という高い結果となっております。アジアの発展における日本の役割や積極的平和主義に対しましても、八五%が肯定的に評価をしております。日本への高い評価が国民レベルで浸透しているということが示されていると考えております。

今村(洋)委員 わかりました。

 八八%と、日本に対して好感を持つという数字は非常に高くて喜ばしいものだと思いますけれども、中国に対してあなた方はどう思いますかというような回答は求めておられるんでしょうか。もしありましたら、お願いいたします。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省が行った調査におきましては、ただいまのような、中国に対する信頼感という問いは設定しておらず、その答えはございません。

今村(洋)委員 外務省のネット上で発表されていた中には、ASEAN諸国にとって現在重要なパートナーはどの国か、将来重要なパートナー国はどの国かという設問で、アジア、欧米の主要十一カ国の中で日本が一位でしたという、これも喜ばしい発表なんですけれども、この主要十一カ国の中に中国は含まれていますか。

和田政府参考人 申しわけありません、ミャンマーにおける調査の中で、ASEANにとっての重要なパートナーはどこか、特に将来重要なパートナーはどこかという問いがございまして、その中に中国も入ってございます。

 ミャンマーにおいては、日本が将来の最も重要なパートナー四九%、第二位がアメリカで四一%、中国は第三位で三二%というデータになってございます。

今村(洋)委員 中国は三位だったわけですね。わかりました。

 それで、その中国なんですけれども、ミャンマーのところに援蒋ルートといったものを、ミャンマーを通じて中国へ物資を輸送するという交通路を構築しつつあるということなんです。中国は、ちょっとまた戻りますけれども、マラッカ海峡を通らずにインド洋を制することができれば、物資を確実に得ることができるルートを考えて、これは中国にとっての安全保障であるわけですね。

 中国は、ミャンマーのみならず、二〇一三年十月、同じASEANの中のインドネシアを訪問した習近平国家主席は、インドネシアの国会で演説して、その中でキーワードとして、ASEAN運命共同体を構築する希望を表明しております。それを担保するものとして、アジアインフラ建設銀行、海上シルクロードという言葉も挙げておられます。

 このASEAN運命共同体とか海上シルクロードといいますのは、ASEANを取り込んで、インド洋、ひいては南シナ海、東シナ海といったものを中国の支配下に置きたい、中国のコントロールがきくようなものにしたいというのが彼らの目的だろうと思います。

 私もここで何度も述べておりますように、中国が言うところの核心的利益、領土的野心というものは、中国が持っている飢えと渇き、つまり、中国はあれだけ大きな国土を持っておりますけれども自国のみで自給して生きていくことができない、人口が多い、そういったものを担保するために、輸入するルートを確保するといったことも戦略的に考えて、今申し上げている援蒋ルートといったものも確保しようというふうに考えていると思うんですね。

 この広い東南アジアにおいて平和と安定をもたらすために、先ほども申し上げたように、日本が主導的役割をもってASEAN諸国と共同していくということは大切だと思うんですけれども、それにつきましても、もはや世界の警察官というものをおりたとみずから表明しているアメリカにいつまでも頼ることはできないというふうに思っております。

 本年三月に岸田外務大臣がミャンマーを訪れられて、その中で、ミャンマーと我が国の関係、そのミャンマーは中国とインドの間に位置するわけですけれども、ミャンマーとの関係というものをどのようにお考えになっておられるか。これは質問でお聞きしておりますので、どなたかお答えください。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 ミャンマーは、中国とインドの間に位置する、地政学的に重要な親日の国でございます。六千万を超える人口を擁し、我が国の重要なパートナーであるASEAN加盟国でもございます。

 我が国は、ミャンマーが民主的で、市場経済に立脚した安定した国となることが重要という認識を持ってございます。このような観点から、ミャンマーが進めている民主化、法の支配の強化、国民和解、経済改革に対し、官民を挙げてこれらの取り組みを支援しているところでございます。

 三月に岸田外務大臣がミャンマーを訪問した際には、テイン・セイン大統領やワナ・マウン・ルイン外務大臣との間で、幅広い二国間関係の強化、ASEAN関連会合に向けた連携、少数民族との和解に向けた支援といった各分野で協力を進めていくことで一致をいたしました。

 政府といたしましては、今後とも、ミャンマーにおける諸改革の進展を支援しつつ、幅広い協力関係を一層深化させていきたいというふうに考えてございます。

今村(洋)委員 日本は、二〇一三年九月に海上自衛隊練習艦がヤンゴンを訪問して、同年十一月には防衛当局間協議といったものを開催して、ミャンマー国軍との協力や交流を促進されていると思いますけれども、それにつきまして大臣からお話を伺えればと思います。

    〔今津委員長代理退席、中山(泰)委員長代理着席〕

小野寺国務大臣 ミャンマーはASEANの中でも大変重要な国でありますし、たしかことしはミャンマーがASEANの議長国になっていると思います。防衛交流も大変重要だと考えまして、例えば、先月でありますが、我が方の統合幕僚長がミャンマーを訪問し、防衛交流をするというようなこともスタートしております。

 これからも、大切なASEANの国の一つとして、防衛分野でも交流をしっかり進めていきたいと思っております。

今村(洋)委員 ミャンマーは、二〇一一年に入って文民政権が発足して、欧米、特にアメリカとの関係というものは劇的に改善してきております。二〇一三年には、ミャンマーのテイン・セイン大統領が五十年ぶりに公式訪米して関係構築に当たっておりますし、米国もタイとの共同演習、コブラゴールドに初めてミャンマーのオブザーバー参加を認めたといった経緯もあるようです。

 ところが、中国も、やはり自分たちの生命線ですから、援蒋ルートを確保するといった思惑もあるんでしょうけれども、戦略安全保障協議といったものをミャンマーと行っておるんです。

 これは当然防衛省も把握されていると思いますが、こういったものに関しての御感想を最後にお聞かせください。

小野寺国務大臣 どの国もそうでありますが、友好国、近隣国との防衛関係の構築の中で、それぞれ防衛交流をする、あるいはさまざまな対話の場面をつくるということは大切だと思います。

 ミャンマーと中国もそうでありますし、また、これから日本もミャンマーとのさまざまな防衛交流を進めていきたいと思います。

今村(洋)委員 ありがとうございました。

 冒頭に述べましたとおり、安倍総理がおっしゃった、国際法に照らして正しい主張をして、力や威圧に頼らない、ASEAN諸国が海を守る能力をシームレスに支援するといったことが日本の大きな方針に今後なっていくと思いますので、何とぞ大臣方におかれましても、その方針で尽力していただきたいというふうに期待しております。

 きょうはどうもありがとうございました。

中山(泰)委員長代理 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 国の安全保障に関する件、きょうは、まず、先般四月二十五日に発表されました「日米共同声明 アジア太平洋及びこれを越えた地域の未来を形作る日本と米国」について、内容を幾つか精査させていただく意味で、質問させていただきます。

 さて、共同発表でもいろいろなことがここで述べられておりますが、幾つか抜粋いたしますと、緊密な日米協力がアジア及び世界における顕在化する脅威や課題について対処することに不可欠であるということや、G7パートナーと協調するロシアへの対応、イランの核問題解決、中東和平とアフガニスタンの復興への寄与、シリア情勢の改善に対処することなどがまず前段の方で語られております。

 この中東情勢に関して、実は、このコメントの中で、中東情勢に関連して重要な役割を果たすとする中国との生産的かつ建設的な関心についてということが語られています。

 きょうは、2プラス2の観点から、防衛省、外務省にそれぞれお伺いいたします。

 このことに関してはまず外務省にお伺いしたいんですが、中国との生産的かつ建設的な関心について、具体的にどのような内容で確認したということか、見解をお伺いしたいと思います。

岸副大臣 今委員御指摘の四月二十五日の日米共同声明におきましては、日米両国は、ウクライナの主権、イランの核問題、アフガニスタンの復興、中東和平、こういった問題を含む諸課題に対処するに当たって、中国は重要な役割を果たし得ることを認識し、中国との間で生産的かつ建設的な関係を築くことへの両国の関心を再確認したというものでございます。

 もともと、日中両国は、二〇〇八年五月の日中共同声明において、両国が二十一世紀の世界の平和と発展に対し大きな責任を担っており、重要な国際問題において協調を強化していくことで一致しているわけでございます。

 現在、日中関係が厳しい状況にあるわけでありますが、日中間の対話が停滞していることは残念ですけれども、本来、中国との間では、議員御指摘の問題も含めまして、国際社会のさまざまな共通課題について率直に話し合い、中国がより建設的な役割を果たすよう促していくことが望ましいと考えておるところでございます。

 日本側の対話のドアは常にオープンであると申しておりますけれども、中国側が、個別の問題がありましても、関係全体に影響を及ぼさないようにコントロールし、関係を進めていくという戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、我が国との対話、協力を再開するよう期待しているというところでございます。

玉城委員 一方、中国に関してなんですが、共同声明では、「日米両国は、事前に調整することなく東シナ海における防空識別区の設定を表明するといった、東シナ海及び南シナ海において緊張を高めている最近の行動に対する強い懸念を共有する。日米両国は、威嚇、強制又は力による領土又は海洋に関する権利を主張しようとするいかなる試みにも反対する。」ということで、ここでは国名を挙げずに非難しているということです。

 この非難の中では、本来、日米両国での相手国に対しての働きかけが重要になってくるというふうに読めるわけですが、東シナ海及び南シナ海において緊張を高めているこの行動への懸念について、日本からはどのような働きかけを行うとしておりますでしょうか。外務省にお伺いいたします。

岸副大臣 今議員がおっしゃられたような懸念事項、これはまさに我が国を含む地域、国際社会における共通の懸念事項であるということでございますけれども、まずは、中国側に対しまして、緊張を高める一方的な行動を慎むよう求めていくことが何より必要であると思います。

 また、南シナ海や東シナ海で偶発的事態が生じることは誰の利益にもならないということを踏まえまして、関係国間で各種の対話や交流等を通じて率直な意思疎通を行い、無用の誤解や摩擦を減じ、不測の事態の発生を回避していくことも必要であります。

 我が国自身も、中国に対して、防衛当局間の海上連絡メカニズムの早期運用開始を求めているところでございます。

 そもそも、海洋はアジア太平洋地域を連結する公共財でありまして、紛争の平和的解決、航行の自由、国連海洋法条約を含む国際法の遵守といった海洋に関する基本的なルールの重要性について、地域及び国際社会でしっかり共有していくことが重要であります。こうした観点から、国際社会として、中国に対して一致したメッセージを発し続けていくことが肝要であると考えております。

 我が国としても、米国やASEANを初めとする関係国と連携をとりながら、中国に対し、国際的な規範を遵守、共有し、緊張を高める一方的な行動を慎み、より建設的かつ協調的な役割を果たすよう引き続き促してまいりたいと思います。

玉城委員 そのように、対話のドアは常に開かれていると日本側が一方的な形で呼びかけても、相手側が乗ってこないというふうなことを考えると、やはりさまざまなチャンネルをつくっていく必要があるのではないかというふうに私は思います。

 この共同声明で尖閣諸島について語られていますが、「米国は、最新鋭の軍事アセットを日本に配備してきており、日米安全保障条約の下でのコミットメントを果たすために必要な全ての能力を提供している。これらのコミットメントは、尖閣諸島を含め、日本の施政の下にある全ての領域に及ぶ。この文脈において、米国は、尖閣諸島に対する日本の施政を損おうとするいかなる一方的な行動にも反対する。」というふうに述べられています。

 領有権に関しては、これまでのように、どちらの立場にもつかないというふうなことを言っているわけですが、その後に続いて、国家安全保障会議の設置と情報保全の法的枠組み策定の評価、集団的自衛権の行使に関する事項についての検討を歓迎し、支持するとあります。

 尖閣問題に絡めてやはり今議論になっているのは集団的自衛権の内容、問題だというふうに思いますが、一方で、米国は、この集団的自衛権の議論について歓迎し、支持するという表明はしているものの、そのコミットメント、いわゆるかかわり方については何ら具体的なことはこれまで述べられていませんし、今回の日米共同声明でもその内容についてはほとんど語られていません。

 防衛大臣にお伺いいたします。

 集団的自衛権の行使に関する我が国の検討について、米国から何らかの意見なりあるいは具申なりというものがおありなんでしょうか、お伺いいたします。

小野寺国務大臣 米国は、集団的自衛権の行使に関する日本の検討について、各種レベルでの協議において、日本の取り組みを歓迎、支持しております。

 例えば、先週、五月三十一日ですが、ヘーゲル国防長官と会談し、私から、先般提出された安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告書を受け、政府としては、総理が示した今後の検討の進め方についての基本的方向性に基づき、国内で議論が開始されていることを説明いたしました。これを受けて、ヘーゲル長官から、日本のこうした取り組みを歓迎し、支持するとの発言がありました。

 また、おとといでありますが、西事務次官による表敬を受けたワーク国防副長官は、集団的自衛権に関する憲法解釈の検討を含む、日本が世界及び地域の安全保障及び安定に貢献し、より積極的な役割を担うための取り組みを歓迎したとの報告を受けております。

 さらに、先月、五月二十七日に訪日しましたグリナート米海軍作戦部長から安倍総理に対し、北東アジアにおける安全保障の鍵である強固な同盟国との間でより効果的な運用上の協力を行う観点からも、日本における集団的自衛権の行使に係る憲法解釈の見直しの議論を歓迎し、支持する旨の発言がありました。

 このように、米国は、各種レベルの協議において、一貫して日本の取り組みを歓迎、支持しております。

    〔中山(泰)委員長代理退席、今津委員長代理着席〕

玉城委員 そのようなコメントの中で、今度は、「日米両国は、地域の安全を維持するための米国の拡大抑止の重要性を再確認し」「グアムの戦略的な拠点としての発展を含む、地理的に分散し、運用面で抗堪性があり、政治的に持続可能な米軍の態勢をアジア太平洋地域において実現することに向け、継続的な前進を達成している。」というふうに、これはアメリカ側の主張というふうな形で私は受け取るものであります。

 さて、2プラス2でこの言葉がよく出てまいりますね、「地理的に分散し、運用面で抗堪性があり、政治的に持続可能な米軍の態勢」。この言葉が本当に頻繁に出てまいります。戦略的な拠点としてのグアムの発展、地理的に分散、運用面の抗堪性、政治的に持続可能、これが米軍のアジア太平洋地域における継続的な態勢に前進しているんだということですが、私は沖縄に住んでいて、この文言にはいささか違和感を覚えます。私が見ております限り、沖縄における地域の状況に鑑みて、政治的に持続可能な米軍の態勢ということについては甚だ違和感を覚えるんですね。

 この政治的に持続可能な米軍の態勢ということの定義について、改めて伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 政治的に持続可能な米軍の態勢とは、受け入れ国との関係においても、アジア太平洋地域における米軍のプレゼンスが安定的に受け入れられている状態を指していると思います。

 在沖海兵隊部隊の一部グアム移転を含む米軍再編の取り組みは、米軍の長期安定的なプレゼンスを確保することにより抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を着実に軽減するための極めて重要な取り組みであると考えております。

玉城委員 政治的に持続可能な態勢ということについて私は質問させていただいたつもりなんですが、大臣は今、いわゆる米軍再編について触れられております。

 では、このコメントも日米共同声明から引いてお伺いいたします。

 キャンプ・シュワブへの早期移設と沖縄の基地の統合について、長期的に持続可能なプレゼンスを確かなものにする。これは米軍ですね。米軍がこれからも長きにわたって持続可能なプレゼンス、存在感、存在意義を確かなものにするという基地の機能強化的な文脈と受け取れるこの文脈と、沖縄への米軍の影響を低減することの再確認という文脈、これは私からすると非常に相反するコメントだというふうに思います。このコメントの整合性は果たし得るんでしょうか。大臣にお伺いいたします。

小野寺国務大臣 日米安保体制は、我が国の安全保障の基軸であり、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟を強化することが我が国の安全の確保にとってこれまで以上に重要となっております。

 そうした中で、在日米軍の抑止力は我が国全体の安全に不可欠なものであると考えておりますが、一方、重い基地負担を背負っている沖縄県民の皆様の思いをしっかりと受けとめつつ、その負担軽減が重要な課題であるとも認識しております。

 普天間飛行場のキャンプ・シュワブへの移設と嘉手納以南の土地の返還は、米軍の長期安定的なプレゼンスを確保することにより抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を着実に軽減するための極めて重要な取り組みであると考えております。

玉城委員 ありがとうございました。

 共同声明についてはこのように、防衛省、外務省、それぞれの見解をたださせていただきました。

 続いて、日米ガイドラインについて、残りの時間でお伺いいたします。

 米ソが冷戦下にあった一九七八年十一月、日本が極東における事態に対して、米国と共同してアジア太平洋地域の安全保障について任務を果たすことを目的に策定されたいわゆる旧ガイドラインですが、九七年のガイドライン改定では日本周辺地域における事態に変わり、九六年の日米共同宣言において「アジア太平洋地域の安全保障情勢をより平和的で安定的なものとするため、共同でも個別にも努力することで意見が一致した。」とするとおり、地域と対象及びより安定した国際的な安全環境の構築へと拡大されているわけですね。

 それにあわせて、周辺事態法、武力攻撃事態法など、それまでよりも大きな政治的変革を伴う法整備も行っています。

 では、外務省にお伺いいたします。

 この大きな変革を伴った九七年ガイドラインの改定時から、さらに明らかな変化があると捉えている情勢及び状況について、具体的にお伺いします。

岸副大臣 ただいま委員から御指摘の現行のガイドラインは策定から既に十六年以上経過しているわけでございますが、この間、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しております。

 例えば、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威が存在しております。また、中国の不透明な軍事力の近代化や、急速に拡大、活発化する海洋進出等は地域や国際社会の懸念事項となっています。さらに、サイバーや宇宙空間といった新たな安全保障上の課題も生じているところでございます。

 昨年十月の2プラス2共同発表に沿って実施されているガイドラインの見直し作業は特定の国を念頭に置いたものではございませんけれども、こうした一層の厳しさを増す安全保障環境に適切に対応し得るようにこの作業を進めてまいります。

玉城委員 このガイドラインの見直しは、現在の憲法解釈の変更や集団的自衛権の行使など、これまでの安全保障政策の大幅な見直しを進めようとする政府の動きに連動させるかのように、ことしの年末までの期限で予定するガイドラインの改定になるのではないか、重なっているのではないかというふうに思います。九七年当時以上に変革、拡大することに対するガイドラインの改定への懸念について、防衛省の見解を伺います。

小野寺国務大臣 ガイドラインについての懸念でしょうか。

 ガイドラインについては、私どもは必要だと思うので、昨年の2プラス2の中で合意させていただいております。

玉城委員 失礼いたしました、通告をさせていただいたつもりですが。

 つまり、私が言いたかったのは、今行われている憲法解釈の見直し、集団的自衛権の行使などについて、それに重ねてガイドラインも幅広くなるのではないかというふうに思っているわけですね。

 なぜかといいますと、時事通信の報道ですが、西正典防衛事務次官は四日、米国防総省でワーク国防副長官と会談し、年末の日米防衛協力の指針、ガイドライン再改定に当たり、野心的で前向きな内容を目指すことを確認したというふうに報じられています。野心的で前向き、どきどきするような言葉だと私は思います。ここで、実は、ワーク国防副長官と西事務次官は、日米韓三カ国の防衛協力の強化が重要との認識でも一致しています。

 そういうことで、野心的で前向きとなる大幅な内容でガイドラインの改定がなされた場合、恐らく国民も不安を持つであろうと思われますし、そのことが周辺国や地域へ及ぼす心理的な影響、危機感や違和感など、影響の重大性はやはりはかり知れないのではないかというふうに思うんですね。そういうことについて、最後に外務省の方にお聞きいたします。

 どうぞ、防衛大臣、お答えください。

小野寺国務大臣 今、我が省の次官のお話が出ましたので。

 きょう帰国しますので、報道の内容については改めて確認したいと思います。

 今、与党協議の中でもさまざまな議論が行われておりますし、もちろんその中で今委員が指摘されたような懸念がないような議論が行われるものと思いますし、その後の国会の議論もございます。委員の指摘は指摘として、やはり大切なのは、周辺国に対しての丁寧な説明も大事なことだと思っております。

玉城委員 ありがとうございました。

 ガイドラインの改定作業はこれから進んでいくものと思います。随時また、その情報が私たちにもたらされたときに、しっかりと質疑をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

今津委員長代理 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。きょうもよろしくお願いいたします。

 通常、安全保障委員会は、生活さんの質問が始まりますと、生活さん、共産さん、社民さんという、同じような系列の質問が長く続くのではないかと思っておりますけれども、そこにみんなの党が間に入るということで、若干毛色の違う質問が入るかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。

 先日も、中国の船がベトナムの船に衝突をして沈没させた、そういう映像が報道でも流れておりました。こういうのを見ると、やはり、周辺諸国の緊張関係が非常に高まっているということは広く知れ渡ってくるのではないかというふうに考えております。

 前回の外務委員会との連合審査会で、私も言及させていただきましたけれども、ファンタジーというもので国は守れないという趣旨のことをお話しさせていただきましたけれども、ようやくファンタジーの国を卒業することができるのではないか、このように考えておりますので、非常に喜ばしく思っております。その中で、しっかり我々が国際社会の中での役割を果たしていかなければいけないというふうに思っているんですが。

 ちょっと質問の通告の順番を変えさせていただきまして、まず防衛大臣に認識をお答えいただきたいと思うんです。

 先日、自主憲法研究会というものをやっておりまして、その中で百田尚樹さんにいろいろな講演をいただいたわけですが、教えていただいたことをその後勉強したら、そうだなということを確認したので、それについてちょっと取り上げさせていただくのですけれども。

 過去、ルクセンブルクという国がありまして、ここは第一次世界大戦前には非武装中立をうたっていた。そういう中で第一次世界大戦があって、残念ながらドイツにじゅうりんをされてしまったという経験がありました。その後、第一次世界大戦が終わった後に、改めて非武装中立をうたった。そのときに、もう一度またドイツにじゅうりんをされてしまった。第二次世界大戦が終わった後、ようやく自国の軍隊を持ち、そしてさらにはNATOにも加盟して、集団的自衛権というものによって国を守るという判断をしたというような経緯があった。

 この国はこういう二回の痛い経験によってようやく本当の意味での安全保障というものを理解するようになったのではないか、このように私は感じているわけですけれども、このケースについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

小野寺国務大臣 委員が今御指摘されましたルクセンブルクの例であります。大変私はいい国だと思っておりますが、過去にさまざまな歴史があったということも今御指摘のとおりでございます。

 当時のルクセンブルクの状況ですが、今日の我が国と比較をしまして、ルクセンブルクの事例は、国連創設前であるという時代背景や地政学的な状況、さらには日本では日米同盟などが存在しますので、安全保障環境が異なりますので、同列に論じることは必ずしも適切ではありませんが、一国の国防に関する歴史的な事例として、大変重要な事例であると承知をしております。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しく、国民の生命財産、国の安全を守るためには、あらゆる事態に切れ目なく対処できる法整備を行うことが何よりも重要であり、これは政治の最大の責務だと思っております。これは委員と同じ認識でございます。

 政府としては、このような問題意識のもと、安保法制懇の報告のうち、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方について、さらに研究するということにしております。私としても、あらゆる事態に対処できる法整備によってこそ、すき間のない対応が可能となり、日米同盟を含む我が国の抑止力が高まり、その結果、戦争に巻き込まれることがなくなると考えております。

 いずれにしても、集団的自衛権の問題については、まずは与党と十分に協議をしていくとともに、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての検討を進めてまいりたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今の、しっかりと検討を進めていただけるという上で、本日さまざまな質問をさせていただきたいというふうに思います。

 前回の連合審査会の質問の中では、集団的自衛権という問題を議論する上では、必要性と許容性という二つの側面から議論するべきだというようなことをお話しさせていただきました。

 必要性という意味で、個別的な自衛権ですとか警察権では対応し切れない、もしくは、これで対応しようとすると逆に国際法違反のリスクを負ってしまうというようなものがあるのではないかというようなお話というのが、お答えとしてもあったかというふうに理解をしております。

 そのような場合に、現行の法制下で対応できないもの、先日の例としては、邦人輸送の米艦防護ですとか、シーレーンにおける機雷の除去という話をさせていただきました。さらには、弾道ミサイルの破壊措置、こういうものも含まれるのではないかというふうに考えております。

 どのような法律の根拠に基づくかというのは、別の議論が必要であるというふうに理解はしておりますけれども、日本国政府として、こういう事態に対してしっかりと対処することが必要だと考えていらっしゃるのかどうかということについて、お答えいただきたいと思います。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 今や、海外に住む日本人は百五十万人、さらに年間千八百万人の日本人が海外に出かけていく時代であります。こうした国際化が進展をする中で、我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しくなってきているところでございます。

 その中で、国民の生命財産、国の安全を守るため、あらゆる事態に対処できる法整備を行い、すきのない備えをしておくことが必要でございます。

 例えば、総理が記者会見で説明をしたとおり、我が国に対する武力攻撃が発生していなければ、退避する邦人を輸送する米国の船舶を防護することができないというようなこともございます。また、機雷除去については、ホルムズ海峡のように、我が国へ資源や食料等を輸送する船舶が多数航行する重要な海峡で機雷が敷設される場合に、我が国の船舶が被害を受ける前にその危険を除去すべきではないか、各国が協力して機雷掃海を行っているにもかかわらず、その能力に秀でる我が国が機雷掃海をできなくてよいのかといった課題がございます。

 いずれにいたしましても、現在、与党協議において、具体的な事例に即して検討を進めていただいているところでございまして、その結果に基づいて、政府としての対応を決定してまいりたいと考えております。

三谷委員 現時点では、いずれにしても、検討中ということ以上のお答えはなかなかいただけないというのは理解をしておりますけれども、そういうものが必要だというような結論というのも十分に視野に入っているのではないかと勝手に推察するわけでございます。

 質問はその次へ、許容性の議論というものに移らせていただきたい、このように考えております。

 この許容性というのも幾つか論点はありまして、法律家の観点からいいますと、現行の憲法のもとでそれが認められるのかどうか、解釈によって集団的自衛権というものを認めるのか、もしくは、そういったものを認めるためには憲法の改正まで必要だというさまざまな議論があろうかと思いますけれども、本日は、その点については割愛といいますか、時間の関係で省略をさせていただきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、憲法の議論というものは、ある意味政府が、表現が悪いんですけれども、正直、決めの問題だというふうに考えておりますので、そこはいずれでもよろしいかというふうに思っているぐらいの話でございまして、より重要なものは、現実論として、集団的自衛権というものを議論していったときに、どこまでそれを認めていくことができるのか、そういう意味での事実上の許容性というものが必要になってくるのではないかと考えております。

 その中で幾つか、きょうは時間も限られておりますので、論点出しという形になってしまうかもしれませんけれども、現時点でのお考えというものをお答えいただければと思います。一般的な集団的自衛権というものを前提としたお考えということでございます。

 まずは、相手国からの要請、被攻撃国からの要請というものを受けた場合に集団的自衛権というものを行使できる、これは一般的な国際法上の解釈だろうと考えております。

 ただ、過去にはニカラグア事件というものがございました。このニカラグア事件では何が起きたかというと、アメリカが集団的自衛権を行使するということでニカラグアに入ったわけですけれども、実は、被攻撃国、エルサルバドルその他の国から要請がなかったということで、国際司法裁判所からは違法だという判断が下されている例でございます。

 国際協調主義そして日米同盟基軸という方向性で日本はやっていくべきだと当然のことながら思っておりますが、相手国からの要請の有無というものについての認識が仮にアメリカと違ってしまいますと、具体的なケースにおいて、果たして日本が集団的自衛権を行使できるかどうかということについての見解、結論の相違が出てくる可能性があるということについて、現時点で日本国政府として、アメリカ政府が被攻撃国からの要請を発動要件として運用するという状況だというふうに理解されているのかどうかということについて、お答えいただきたいと思います。

岸副大臣 今委員が御指摘ございましたニカラグア事件でございますけれども、これに対しますICJの判決は、ニカラグアに対する活動に関する集団的自衛権の適用が認められない、米国による国際法違反を認定した件でございます。まさに委員が御指摘のとおり、エルサルバドル等による要請が行われた証拠がないということを裁判所が判断した、こういうことだと思っております。

 このICJの判決につきましては厳粛に受けとめるべきと考えますけれども、本件判決については、一方の当事者である米国が参加しないまま事実関係の認定が行われたことについて、種々議論があることも承知をしております。判決における具体的な事実関係の認定の是非については我が国が評価するべきものではないというふうには思っております。

 ただ、我が国としては、集団的自衛権の行使には武力攻撃を受けた国の要請または同意が必要であるという立場で変わりはございません。

三谷委員 ぜひとも検討をしていただければと思います。

 それから、二つ目の論点といたしまして、集団的自衛権を行使したときには、他国と一緒に自衛隊を運用していくという形になるかと思いますけれども、これも現在の認識だけで構いません、仮にアメリカとともに集団的自衛権というものを行使したときに、自衛隊はアメリカの軍の統制下に入るのか、それとも自衛隊は自衛隊として独立の統制というものを行っていくことができるのか。この点についてのお考えをお答えいただければと思います。

小野寺国務大臣 一般論として申し上げれば、集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利であり、いかなる場合に国家による武力の行使が正当化されるかという国際法上の問題であります。

 一方、個別的または集団的自衛権を発動している複数の国家の実力組織の間にどのような指揮系統あるいは調整系統を設けるかという問題は、共通の危険にどのような対処をするかという政治上、運用上の問題であり、これらは次元の異なる問題であると考えております。

 集団的自衛権の問題は、現在与党協議が進められており、その結果に基づき、政府としての対応を検討していくこととなると承知をしております。

 なお、我が国に対する武力攻撃に際し、日米が共同対処する場合について言えば、我が国は、従来より、適時適切な形で種々の調整を行いつつ、日米がそれぞれの指揮系統に従って行動することとしており、自衛隊が米軍の指揮下に入るということは想定をしておりません。集団的自衛権の行使の場合も、我が国が主体的に判断し、行動すべきであるということから、同様だと思っております。

 また、現在の日米ガイドラインの中でもそのことは記載されておりまして、「自衛隊及び米軍が作戦を共同して実施する場合には、双方は、整合性を確保しつつ、適時かつ適切な形で、各々の防衛力を運用する。」そのような規定があるということであります。

三谷委員 今のお答えというのは、非常に心強いお答えでございます。

 どうしても、集団的自衛権を行使するという話になると、アメリカが日本の自衛隊を一番危ないところに送り込むんじゃないかみたいなことを、いや、こちらは後方支援しかしないとか、このところだけしかやらないというふうに言っているにもかかわらず、どんどん前線に出されちゃうだ何だというような、極論を言われる方がおりますので。そういったところについて、そうではないとしっかりと、それはもちろんこれからの議論になるんだろうと思いますけれども、その点について十分、現行の日米同盟というもとでも、そういったことではないということを今考えていらっしゃるということですので、非常に心強いお答えではないかと思っております。

 三点目になりますが、ちょっと個別的な名前を出してしまって申しわけないんですけれども、朝鮮戦争が今休戦状態にあるというところでございます。朝鮮戦争が休戦状態にあるということは、基本的には、これが再開したときには、北朝鮮から韓国に攻め入ったときにアメリカ軍がどのような立場で戦うかといえば、これは恐らくは国連軍として戦うということになるのではないかというふうに思うんですね。

 そのときに、では、これは集団的自衛権の問題なのか、それとも集団安全保障の問題なのか、どういうふうに整理したらよいのか。これは、あらかじめある程度想定しておいた方がいいのではないかと思います。それによって、恐らくは日本がそれに対して何らかの参加をするということの正当化根拠は異なってくると思いますが、その点についてどのように今整理されているか、お答えいただければと思います。

岸副大臣 事例に関する検討につきましては、特定の地域や事態を念頭に置いて行われているものではございません。また、我が国による実力の行使のための法的根拠については、個別具体的な状況に即して判断をする必要があると思います。

 その上で、一般論として申し上げたいと思いますが、お尋ねの件でございます。外国船籍の艦船に対する攻撃が当該外国に対する武力攻撃に当たると認められるならば、一般に、当該外国の要請または同意を得て集団的自衛権を行使することが可能であるわけでございます。

 また、ある事態が集団的自衛権の行使と評価されるか、あるいは国連の集団安全保障措置と評価されるかにつきましては、個別具体的な状況によるものであり、一概にはお答えができないと考えております。

三谷委員 済みません、今のお答えにつき、念のため確認をさせていただきたいんですけれども、朝鮮戦争が再開された場合には、国連軍が戦っているというような形に整理をされるという理解がまず正しいのか、間違えているのか。それと、国連軍として戦っているというような場合に、アメリカ軍が、アメリカ政府として集団的自衛権なりの行使の要件となる被攻撃国の要請というものを行うことができるのかということについて、一応念のため確認させてください。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 結論から申し上げますと、今、岸副大臣が申し上げましたように、そのときの具体的な状況によるのでどちらとも言えないというのが正確なところであろうと思います。

 ちなみに、国連憲章五十一条では、「武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」ということで、安保理が一応措置をとった後にはそちらが主になるような書き方がしてございます。

 ただ、個別の安保理決議を見ますと、その中で、各国の固有の個別的、集団的自衛権の行使を害するものではないといったような言及がございまして、同時並行的に、集団安全保障でもあり自衛権の行使でもあるという場合がございます。

 したがって、まさに副大臣が申し上げましたように、個別具体的な状況によるということでございます。

三谷委員 お答えありがとうございます。

 きょうは論点出しということで、一つ一つこれ以上深く御質問させていただくことは別の機会に譲りまして、次の質問に移らせていただきます。

 次に、もう一つ大きな話といたしまして、どうしても懸念をされる側からすると、集団的自衛権というものを認めることによって、とにかく日本という国が、物すごく世界での争乱なり戦争に巻き込まれてしまうんではないかというようなことをおっしゃる方がいるわけです。そういう方々、もちろん懸念として、どういうふうな評価をしてもいいんですけれども、しかしながら、私としては、しっかりと精緻な議論というものをしていかなければいけないというような観点から、ちょっとこの点について質問をさせていただきたいと思うんです。

 表現としてどういう表現が正しいかわかりませんが、二段階集団的自衛権というような言葉というものを勝手に考えております。簡単に言うと、最初から、被攻撃国というものがあります、そしてその被攻撃国からの要請があって初めて集団的自衛権を行使できますというようなたてつけです。基本的には、日本の安全保障というものに対する影響、どれぐらい密接な関係にあるのかですとか、どれぐらいの影響があるのかというようなもろもろの判断をした上で、集団的自衛権を行使していくというようなことになるんだと思います。

 それだけであれば、もちろん本来的には地理的な制約というのはないんだろうと僕は思っていますが、現実問題として、日本の安全保障と密接な関連があるというようなことでいえば、アジアですとかシーレーンですとか、地理的な制約というのは当然ながらおのずと生まれてくるんだろうというふうに思うんです。

 ただ、二段階集団的自衛権、例えばメキシコでもいいですし、世界広しといえども、ペルーでもチリでもいいですし、いろいろな地域で紛争があったときに、例えば、アメリカがそれに対して集団的自衛権を行使するということで行使して、そこに入っていきます、その後に、アメリカが集団的自衛権を行使してくれと日本に対して被攻撃国として要請をするという場合に、集団的自衛権は理論的には行使できるというようなことになるんだろうと思うんです。

 そうだとすると、実際上は、どこで起きる紛争だって、日本がそれに対して入ってしまうということになるんじゃないか。巻き込みの巻き込みみたいな話なんですけれども、そういう懸念があるという声もあろうかと思いますけれども、その点について、今の二段階の集団的自衛権というものがそもそも理論としてあり得るのかという話。

 それから、そういった場合に、いや、そうはいってもそんなに広くは巻き込まれないですよというための何らかの理論というものをお持ちなのかどうかということについて、お答えいただきたいと思います。

    〔今津委員長代理退席、武藤(容)委員長代理着席〕

岸副大臣 まず、これは地理的な想定をしているものではございませんけれども、一般の国際法上のことでございます。

 例えば、A国がどこかから攻撃を受けている、それに対してB国に要請をする、そのB国がC国に集団的自衛権の発動を要請していく、こういう想定と理解をいたしております。

 まず、ある国家が集団的自衛権を行使するための要件としては、武力攻撃を受けた国の要請または同意があること、ほかに適当な手段がないこと、必要最小限度の実力行使であることが一般的に考えられております。

 個別具体的な状況に即して判断する必要はございますが、一概にお答えすることは困難ではございますが、最初に攻撃を受けたA国に対する武力攻撃を発端としているわけですから、A国による要請または同意に基づき第三者といいますかC国が集団的自衛権を行使することが通常であると考えております。

 一方で、B国がA国への武力攻撃とは別に敵国からの武力攻撃を受けた場合、そのような状況が仮に発生したとすれば、B国の要請または同意に基づいて、C国がB国を支援するために集団的自衛権を行使することは理論的に可能であるということでございます。

武藤政府参考人 後段の御質問に関してでございますけれども、現在行われている与党協議におきましては具体的事例に即して検討を進めていただいておりまして、政府としては、与党協議の結果に基づいて対応を検討することとしてございます。

 したがって、御指摘の点について現時点で確たることを申し上げることはできませんが、その上であえて申し上げますと、集団的自衛権の行使は権利であって義務ではないので、仮に限定的な場合に集団的自衛権を行使することが憲法上許容されることになったとしても、これを自動的に行使することにはならず、それを行使するか否かは、個別具体的な状況に即して、法的判断のみならず、政策上の必要性も判断をすることとなります。

 実際に集団的自衛権を行使する場合、政府は、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要かといった観点から重大な判断を行うこととなりますが、戦後七十年近く一貫して平和国家としての道を歩んできた民主主義国家である我が国においては、そのような判断は慎重の上にも慎重を期して行われることとなると考えてございます。

武藤(容)委員長代理 三谷君、質問は終わっていますので。

三谷委員 ありがとうございました。

 本日の持ち時間が終了いたしました。

 集団的自衛権の議論というものは丁寧な議論を重ねていただくということは必要だというふうに思っておりますけれども、安全保障、日本の将来というものを守るために、しっかりと議論をしていただきたいということを述べさせていただきまして、質問を終了いたします。

 ありがとうございました。

武藤(容)委員長代理 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 集団的自衛権について質問をいたします。

 政府は、三日の与党協議において、従来の武力行使の一体化に関する判断基準を見直す考えを示しました。

 従来の後方地域、非戦闘地域の考え方をやめ、一つは、現に戦闘を行っている他国部隊に対し、二つ目は、戦闘行為に直接用いられる物品役務を、三つ目は、他国部隊が現に戦闘を行っている現場において提供する、四つ目は、個々の戦闘行為と密接な関係があるという四つの条件全てに該当する場合に限って一体化とみなすというものです。

 政府・与党は、九〇年代以降、自衛隊を海外に派遣する法律を次々と押し通してきました。武力行使の必要不可欠な構成要素である後方支援活動を、自衛隊が担うものであるにもかかわらず、活動場所を後方地域や非戦闘地域に限定するから憲法違反ではないという説明を政府は繰り返してきました。

 今回、政府・与党が基準を見直すということは、これまで繰り返してきた後方地域、非戦闘地域という説明は虚構に基づくものであった、これを認める、こういうことですか。

武藤政府参考人 安全保障環境が大きく変化をする中、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、例えば、国際の平和及び安全が脅かされ、国際社会が一致団結して対応するときに、自衛隊が幅広い後方支援活動等で十分に貢献できるような法整備をすることが必要でございます。

 また、後方支援活動等を今まで以上に支障なくできるようにすることは、我が国の安全の確保の観点からも極めて重要でございます。

 これまで、我が国による後方支援に際しては、我が国による後方支援が他国の軍隊の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保するための一つの仕組みとして、個別の法律において、自衛隊の活動地域は非戦闘地域や後方地域に限るといった仕組みを採用してきたところでございます。

 武力の行使との一体化の考え方をもはやとらないとする安保法制懇の報告書の提言をそのまま採用することは、従来の政府の立場に照らして難しいと考えてございますけれども、他方、従来から政府が示してきた判断基準をより精緻なものとし、具体的に何が武力の行使と一体化する行為なのかを明確にし、どのような後方支援が可能であるか検討することは課題の一つと認識してございます。

 また、従来から、非戦闘地域、後方地域という概念についてはさまざまな議論もあり、この点も含めた検討が必要ではないかと考えてございます。

 三日の与党協議会では、このような問題意識のもと、政府として対応を検討していくに際しての考え方について与党からの求めに応じて説明をしたところでございますが、いずれにいたしましても、現在、与党協議が進められているところでございまして、具体的な新基準が固まっているということでもございませんし、その議論の詳細については控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 今、政府が従来の立場から大転換を、私に言わせれば恐ろしい大転換を図ろうとしている。

 そこで、防衛大臣にも御意見を伺います。

 政府は、国会でも、国民に対しても、後方地域、非戦闘地域だから憲法違反ではないという説明を何十年も繰り返してきたわけです。それを変えるというのであれば、従来の説明との関係を明らかにするのが当然です。精緻、精緻といいながら、ちっとも精緻な議論が行われているとは思えません。

 これまで、非戦闘地域、武力行使との一体化はしないという中で、例えばイラクに派遣された航空自衛隊は、現に戦闘が継続するバグダッドに米兵を輸送する活動を行いました。バグダッドは戦闘状態にあっても、米軍が警戒態勢をとるバグダッド空港は非戦闘地域だと強弁して、活動を継続いたしました。

 当時、米軍は、バグダッドやファルージャなどで軍事掃討作戦を行っておりました。住民の残る町を封鎖して、無差別攻撃まで行いました。そのことは退役した米兵の証言でも明らかになっております。

 防衛大臣、自衛隊が輸送した米兵がイラクで何をやったのか、その全容を明らかにする、これがまず政府のやるべきことではありませんか。

中島政府参考人 まず、幾つかの点を先生から御指摘いただきましたので、お答えしたいと思います。

 まず、バグダッド飛行場、その地点におけます自衛隊の活動でございますけれども、これにつきましては、我が国が独自に収集した情報、関係機関などから得られた情報等もあわせまして総合的に判断した結果、バグダッド飛行場を初め、イラク特措法の実施要項において実施区域として指定されている場所は非戦闘地域の要件を満たしていたものというふうに考えておるところでございます。

 それから、輸送した米兵の活動でございますけれども、そもそも多国籍軍の活動といったものは、安保理決議一七二三などに基づきましてイラクの安全や安定の維持また復興の支援を行うものでありまして、こういうような活動を行います多国籍軍などを支援するための空輸は、イラク特措法上の安全確保支援活動または人道復興支援活動のいずれかに当たるというふうに述べてきたところでございます。

 輸送した米兵につきましては、イラク国内におきまして復興支援または治安維持のいずれかの活動に従事していたというふうに認識しているところでございます。

    〔武藤(容)委員長代理退席、今津委員長代理着席〕

赤嶺委員 航空自衛隊がバグダッドに米兵を運んで、バグダッド市内での戦闘、あるいはバグダッド近郊のファルージャでの戦闘、それによるイラク住民の犠牲、安全確保支援活動という名前で女性や子供やお年寄りが戦争の犠牲になっていった。

 これまでの自衛隊の海外での活動はどういうものであったか、こういうことを検証もしないで、しかも、今なおそれが人道復興支援だったというような、あの戦争に対する全容も明らかにしないで、非戦闘地域あるいは武力行使と一体化しないという従来の政府見解のもとでもこういうことが行われていた、そことの関係も全く何の検証もしないで後方地域の要件を広げるなどということは言語道断であります。

 あの活動は、実際にどのように見られていたか。

 名古屋高裁は、二〇〇八年四月の控訴審判決で、航空自衛隊の空輸活動について、武力行使を禁止したイラク特措法二条二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条三項に違反し、かつ憲法九条一項に違反する活動を含んでいるという認定を行い、判決は確定いたしました。

 イラクにおいて国際的な武力紛争が行われていること、バグダッドがイラク特措法に言う戦闘地域に該当すること、航空自衛隊の空輸活動が、多国籍軍との密接な連携のもとで、戦闘行為がなされている地域と地理的に近接した場所において、多国籍軍の武装兵員を定期的かつ確実に輸送し、多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っているものであるということから、航空自衛隊の空輸活動のうち少なくとも多国籍軍の武装兵員をバグダッドへ空輸するものについては、平成九年、一九九七年二月十三日の大森内閣法制局長官の答弁に照らして、他国による武力行使と一体化した行動であって、みずからも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動であると認定したのであります。

 政府は、そういう名古屋高裁の判決をどのように受けとめておられますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきました判決につきましては、判決自体では国の主張が認められておるところでございます。御指摘の自衛隊の派遣を違憲と判断した部分につきましては、判決の結論を導くのに必要のない傍論であったというふうに承知しております。

 いずれにいたしましても、航空自衛隊のイラクにおける空輸活動につきましては、先ほど申し上げましたように、バグダッド飛行場を初め、特措法の実施要項において実施区域として指定されていた場所は非戦闘地域の要件を満たしている、同じく、米軍人を含めた多国籍軍の兵士等の輸送につきましても人道復興支援あるいは安全確保支援活動として行われたものであるということ、さらに、物品の輸送につきましても、実施要項上、弾薬を含む武器の輸送を行わないというふうにされておりましたけれども、輸送対象となる人員が武器を携行することにつきましては、それが常識的な範囲で通常携行するものであれば輸送対象から排除されるものではないということで、例えば小銃や拳銃につきましては、主としてみずからの生命身体を防護するために通常携行する武器ということで運んだわけでございます。

 したがいまして、こういうことをあわせまして、憲法の範囲内で、イラク人道復興支援特措法及び自衛隊法に基づく適切なものであったというふうに考えておるところでございます。

赤嶺委員 名古屋高裁は、今答弁されたような自衛隊の活動が、大森法制局長官の国会答弁に照らしても憲法違反であるということを明確に指摘したわけです。

 傍論と言いますが、ここで、裁判の仕組みの中で国家賠償法に基づく損害賠償と派遣の差しとめ、違憲確認を求めたものであるわけですが、損害賠償には国の行為の違法性と原告側の権利侵害の二つの要件が必要になる、そういうもとで、裁判所が、自衛隊の活動は違憲、違法であること、平和的生存権が具体的権利であることまでは認めたものであります。傍論として片づけられるものではありません。三権分立のもとで、政府に判決の内容を重く受けとめる責任があるということを厳しく指摘しておきます。

 日本の自衛隊も参加したイラク戦争、一旦戦争が始まったらどうなるのか。

 今日、イラクはどうなっているのか、極めて深刻な状況に置かれています。昨年末に政府の治安部隊がラマディの反政府デモのテントを攻撃して以降、政府側とスンニ派武装組織との間で激しい戦闘が続いております。ファルージャ、バグダッド、ラマディ、モスルなど各地で、市場や検問所への攻撃、病院やモスクへの攻撃が繰り返され、国連によると、五月だけで、少なくとも七百九十九名の死者、千四百九名の負傷者が報告されています。

 しかも、政府軍による市街地でのたる爆弾の使用も報じられています。たる状の容器に火薬やくぎなどの金属片を詰めた焼夷弾の一種とされ、周囲にいる人間を無差別に殺傷する兵器であります。外務省は、こうしたイラクの現状について、非人道兵器の使用も含めて、どういう認識を持っていますか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、イラクの現在の治安情勢につきましては、二〇〇七年以降、治安情勢の改善が見られておりましたが、二〇一三年四月以降、治安情勢については悪化傾向にあり、バグダッド、イラク北部、中部ではテロが頻発する等、厳しい情勢が続いているというふうに認識しております。

 その中で、今委員御指摘のいわゆるたる爆弾につきましては、一部人権団体から、イラク国軍がファルージャ市での戦闘に際してたる爆弾を使用したとして、イラク政府を非難する報告を出したということは承知しております。

 一方で、イラク政府は、五月十二日に公式見解を発表いたしまして、たる爆弾の使用を否定しているところでございます。

赤嶺委員 今のイラクというのは、宗派対立が異常に激化しているわけです。そもそも、宗派対立をつくり出したのがイラク戦争と軍事占領であります。フセイン政権にさまざまな問題があったとしても、少なくとも戦争前は、宗派間で今のような戦闘が行われることはありませんでした。

 開戦を支持し、自衛隊を派遣して戦争と占領に加担してきたのが日本政府であります。防衛大臣、その責任をどう認識しておられますか。

小野寺国務大臣 イラクへの自衛隊の派遣というのは、復興支援の役割ということで派遣し、活動したということで承知しております。

 また、イラクについての日本政府の支持の言及がありました。これは累次、歴代の内閣が答弁しておりますが、イラクは、大量破壊兵器等の問題に関して、国連のさまざまな決議を受ける中でそのことについての実証を行ってこなかったということ、この決議違反ということが今回イラクにさまざまな問題をもたらした原因の一つであるということを歴代内閣として答弁していることだと思っております。

赤嶺委員 イラクへの攻撃が始まる直前まで、国連の査察官が、あとしばらくすると大量破壊兵器があるかないかはっきりする、それまで待ってくれと、国連の側が戦争に結びつかない平和のための努力を一生懸命やっている中で、イラクが決議違反をしたから悪いんだという日本政府の態度は絶対に納得がいきません。イラク戦争をそんなふうに見ているのは、反省していないのは日本だけであります。介入して今のイラクを混乱に陥れた。集団的自衛権だとか、その前に、やはり世界の平和のための努力をしていくことが大事なんだということを、このイラク戦争の結果から学ぶべきであります。

 アメリカのオバマ政権は、二〇一一年にイラクからの米軍の撤退を完了させたのに続いて、アフガニスタンでも部隊の縮小を進めております。

 五月二十八日のアメリカ・ニューヨーク州ウエストポイントにある陸軍士官学校での演説では、ことしの年末にはアフガンでの戦闘任務を終了させ、部隊の規模を九千八百人にまで縮小させ、二〇一六年末にはカブールの米国大使館内の駐留のみとする方針を明らかにいたしました。

 アメリカの核心的利益がかかっている場合には単独で軍事力を行使する方針を維持しておりますが、その一方で、全ての問題に軍事的解決があるわけではないことを強調しています。イラクやアフガンでの経験から教訓を引き出して、テロ組織の拠点が築かれようとしている国々とより効果的に連携することを強調し、能力構築支援のために五十億ドルの基金を創設することを議会に提案しています。

 今回の演説は、米軍による軍事行動から各国との連携協力に軸足を移したところに特徴があると思いますが、外務省はどのように受けとめておられますか。

岸副大臣 五月二十八日のオバマ大統領の陸軍士官学校で行われた演説でございますけれども、今議員も御指摘のとおり、軍事力のみならず、諸外国との協力や国際秩序の強化等さまざまな要素を駆使しつつ、米国として引き続き世界の平和と安定のためにリーダーシップを発揮していく考えを表明したと承知しておりまして、我が国としてこのような米国の姿勢を高く評価しているところでございます。

 国際社会の諸問題は米国一国で対処するものではなく、米国は、国際社会と協力しつつ、積極的な役割を果たしてきております。我が国としても、積極的平和主義の考えに基づき、引き続き、米国と協力して、世界の平和と安定に一層貢献していく考えであります。

赤嶺委員 我々が、集団的自衛権だとか、憲法解釈を変えるだとか、これまでの後方地域の支援の要件を拡大するだとかという、そんな議論をやる前に、世界は軍事では解決しなかったというイラク戦争やアフガン戦争の結果から学ぶべきだと思います。

 十年前の二〇〇四年、ファルージャで日本人人質事件が起きました。拘束された一人である高遠菜穂子さんは、今もイラクの人たちへの支援活動を続けています。

 彼女のホームページには、「家族」と題して次のような手記が寄せられていました。抜粋ではありますが、残り時間でちょっと紹介したいと思います。

  ファルージャ総攻撃から十年。昨年末からファルージャとラマディはまたしても戦火に焼かれている。ただの記念日ではなくなってしまった。

  一月、逃げ惑う友人たちの様子を聴いて、自宅で夜中に一人で泣いたのが一回。二月、イラク国内でイラク人に囲まれていたし、緊急支援で忙しかったからか、自分を保てた。三月、ヨルダンで一人になって、強烈な喪失感に襲われたり、恐ろしい現状報告の詳細を調べたりして、号泣、数回。買い物中でも、お一人様外食の時でも、突然わっと涙が溢れてきて、困った。

  一度に抱えるには多すぎる感情にもがき苦しんだ。ファルージャとラマディは、私にとって一番身近なイラク。そこに住む友人たちも、建物も、一番よくわかる。たくさんのプロジェクトを展開してきたところ。そこで破壊がくり返され、命が奪われていくことへの怒り、絶望、無念さ、無力感。

  ファルージャ総攻撃十年。それは、イラクで事件に巻き込まれてから十年。

  ファルージャやラマディからの恐ろしい報告を受け取るたびに、自身の体験を思い出してしまって苦しい。

まだまだ続いておりますが、この高遠さんの活動、今でもイラクで人道復興支援を命がけで続けている女性が、やはり戦争に対する怒り、憎しみ、平和を発信している。

 どんなに戦争を起こさないための努力が政府にとって大切なのかということを強く申し上げて、質問を終わります。

今津委員長代理 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 大臣、長時間御苦労様でございます。

 さて、去る五月二十一日、全駐労沖縄地本の組合員百七十六名が原告となって法的雇用主である国を被告にした裁判、いわゆる年休裁判の判決が那覇地方裁判所で言い渡されました。全面敗訴した被告、国は控訴を断念し、昨日、判決は確定いたしております。

 そこで、若宮政務官にお尋ねします。

 原判決が被告、国に命じた付加金について、米側へ求償するんでしょうか。

若宮大臣政務官 照屋委員におかれましては、防衛省の方にもお出ましいただきまして、ありがとうございました。

 また、今御指摘になりましたとおり、先月二十一日に那覇地方裁判所が言い渡しました、賃金の減額分及び付加金等のいずれについても原告であります駐留軍等労働者側の請求を認める判決につきましては、国として控訴しないということを先月二十九日に決定いたしました旨、私から先月三十日の外務委員会におきまして御答弁申し上げたところでございます。

 当該判決につきましては、控訴期間を経過いたしました昨日、六月五日をもって確定したというところでございますが、これを受けまして、日本側から原告であります駐留軍等労働者に対しまして付加金等を支払うべく、現在、所要の手続を進めているところでございます。

 日本側におきまして付加金を支払った後、日米間で締結いたしてございます労務提供契約に基づきアメリカ側に償還を求めることとしておりまして、私ども防衛省といたしましては、アメリカ側から償還が得られるよう努力してまいりたい、このように考えているところでございます。

照屋委員 政務官、大変歓迎すべき、すばらしい答弁であったと私は思います。

 沖縄の一部マスコミで、付加金を米側に求償しないという報道があって、大変心配しております。もちろん、米側が日本政府の求償に応じるかどうか、これは今後私も注視してまいりたいと思います。

 小野寺大臣、原判決は、被告と在日米軍はいわば雇用主の権利義務を分掌しているものと見ることができるから、両者をあわせて制裁の対象と捉えることができる、それで付加金を命じている。日米関係は大事ですよ、イコールパートナーとして。そして、日本が主権国家、独立国家として原判決に控訴しないとしたわけだから、政務官がおっしゃったように、付加金は当然アメリカに求償を求めるべきであると私は思っています。

 というのは、もちろん被告は防衛省じゃありませんよ、それは私はわかっている。被告は国なんだ。しかし、防衛省は労務管理の責任者ですから、大臣におかれましても、政務官が言ったように、付加金を毅然とアメリカに求めるという決意をお述べください。

小野寺国務大臣 今御指摘がありました駐留米軍等労働者に対する未払い賃金に関する訴訟におきまして、付加金を命じる判決が那覇地裁から言い渡されたということ、これは若宮政務官からもお話がありました。

 この付加金等の支払いに関する償還に米側が応じるか否かについて、現段階において確たることを申し上げることは困難でありますが、当該償還は日米間で締結している労務提供契約において定められているところであり、防衛省としては、米側から償還が得られるよう努力してまいりたいと思います。

照屋委員 今度は外務省に尋ねます。

 米軍嘉手納、普天間、横田、厚木基地の周辺住民らが早朝夜間飛行の差しとめなどを求めた爆音裁判で、被告、国が敗訴して原告ら住民に損害賠償金を支払った件数は十件、総額で約二百二億八百万円余りに上っております。

 ところが、これらの損害賠償金は、日米地位協定十八条五項に基づいてその七五%を分担金として米側に求償する定めになっているにもかかわらず、現実には一円たりとも求償できておりません。このことは、予算委員会や質問主意書でも、累次にわたる私の質問で判明しております。

 私が二〇一二年二月十七日の予算委員会で質問し、その実態が明らかになって以降、米側との間で求償交渉はあったんでしょうか。求償の日時と結果を明らかにしてください。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま先生から御質問がございました米軍機騒音訴訟の判決に基づく損害賠償金等につきまして、日米地位協定に基づく分担のあり方を決める必要がございます。

 この問題につきましては、平成五年の横田飛行場第一次、第二次騒音訴訟に関する最高裁の判決がございました。これを受けて、米側との間で随時協議を行ってきております。随時と申し上げますのは、二〇一二年に先生から御質問いただいた以降の期間を含めて、公式、非公式、随時に協議を行ってきております。

 その協議の中で、政府といたしましては、米国政府に損害賠償金等の分担を要請するという立場でこれまで協議を重ねてきておりますけれども、現時点に至るまで、残念ながら日米双方の立場は異なっておりまして、妥結を見ていない状況でございます。

 今後とも、ただいま先生から改めて御指摘を受けたこともしっかり踏まえながら、日米間の立場の相違を解消すべく、粘り強く協議を行ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。

照屋委員 外務省、先ほど私が言ったように、年休裁判の付加金求償の問題も、爆音裁判の損害賠償金問題も、これは主権国家、独立国家の矜持の問題なんだ。どうして、十件二百二億円余りが一円も求償できていないのか。

 では、外務省、二〇一二年二月十七日以降、せめて何回交渉したのか、なぜアメリカは払わぬと言っているのか、答えてください。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど随時ということで御答弁させていただきましたけれども、アメリカとの協議は非公式なものを含めてさまざまな形で行っております。交渉のあり方にかかわる問題でございますので、何月何日にどのレベルでというふうなことについては控えさせていただきたいと思います。

 その上で、米側のこの問題に対する立場でございますけれども、これはもう先生御案内かと思いますが、米軍の航空機というものは日本側から提供された施設・区域を使用して安保条約の目的達成のために所要の活動を行っている、このような活動を通じて発生した騒音問題は、日米地位協定十八条に基づいて米側が賠償すべきものではないというのがアメリカ側の基本的な立場でございます。

 他方で、私どもとしては、先ほど御答弁申し上げたとおり、米側に損害賠償金等の分担を求めるという立場で今まで交渉を重ねてきている、こういう次第でございます。

照屋委員 外務省、非常に弱腰ですよ。私は嘉手納基地周辺に住んでいますよ。物すごい爆音ですよ。その爆音の被害は基地周辺の住民がこうむって、耐えられないからといって損害賠償を求めて、裁判で勝って、国が支払う。これが、地位協定の定めによる求償も実現しない。二百二億八百万円余り、これだけのお金が国民の税金。被害住民は、被害を受けて、裁判に訴えて、自分たちの税金で払う。とんでもないことでしょう。

 さて、最後に、二〇一一年三月二日と三日の沖縄の地元二紙の報道で、いわゆる思いやり予算で給与が支払われている米軍基地従業員に多くの外国籍の者が含まれていることが判明し、大きな社会問題になりました。外国人従業員の給与まで日本政府が支払う必要があるのかという根本的な問題であります。

 二〇一〇年から二〇一三年までの間に日本政府がいわゆる思いやり予算で給与を支払った外国籍基地従業員を、年度別、そして在日米軍全体と在沖米軍とを分けて、その人数を明らかにしてもらいたい。あわせて、国民の税金で外国籍基地従業員を採用し、その給与を支払う法的根拠についても教えてください。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年四月に発効いたしました在日米軍駐留経費負担に関する現行の特別協定におきましては、労務費について日本側が負担する上限労働者数が定められております。

 全国で申し上げますと、駐留軍等労働者の数は、その時々によって若干変動いたしますが、平成二十五年度は約二万五千人でございます。このうち、日本側が負担する上限労働者数は約二万三千人となっておりますが、この日本側の負担の対象となる労働者が個別具体的に特定されているわけではないため、いわゆる思いやり予算で給料が支払われた外国籍の駐留軍等労働者数といったお尋ねにお答えすることは困難な状況でございます。

 その上で申し上げさせていただきますと、全国で駐留軍等労働者として雇用されている者のうち外国籍を有するものの人数を申し上げますと、二〇一〇年度末が合計六百七十五人、二〇一一年度末及び二〇一二年度末がともに六百七十人、二〇一三年度末が六百七十五人となっております。また、ただいま申し上げました各年度の国別の上位三カ国を申し上げますと、いずれもフィリピン、米国、韓国というふうになっておるところでございます。

 また、いわゆる在沖米軍基地についての数でございます。これにつきましても、いわゆる思いやり予算で給料が支払われた外国籍の労働者数といったお尋ねにお答えすることは困難でございますが、その上で、在沖縄米軍基地において駐留軍等労働者として雇用されている方々は約九千人でございますが、このうち外国籍を有する者の人数を申し上げますと、二〇一〇年度末が五十一人、二〇一一年度末が五十五人、二〇一二年度末が六十四人、二〇一三年度末が六十六人となり、ただいま申し上げました各年度の国別の上位三カ国は、いずれもフィリピン、米国、韓国という順になっておるところでございます。

照屋委員 もう時間がありませんから終わりますけれども、この問題も、私は非常に大きな問題だと思いますよ。例えば、日本人従業員は給与から諸税金、公租公課が引かれる。外国人従業員はそうじゃないんでしょう。それでいて日本政府が給与を払う、これは財政法上も大変大きな問題、看過できませんよ。そのことを強く申し上げて、またねちっこく質問しますから、よろしくお願いします。

 終わります。

今津委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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