衆議院

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第2号 平成27年3月24日(火曜日)

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平成二十七年三月二十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北村 誠吾君

   理事 小野寺五典君 理事 門山 宏哲君

   理事 金子万寿夫君 理事 新藤 義孝君

   理事 武田 良太君 理事 大串 博志君

   理事 下地 幹郎君 理事 佐藤 茂樹君

      今津  寛君    江渡 聡徳君

      小田原 潔君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    木原 誠二君

      木原  稔君    笹川 博義君

      中谷 真一君    原田 憲治君

      宮川 典子君    武藤 貴也君

      小川 淳也君    鈴木 貴子君

      玉木雄一郎君    柚木 道義君

      柿沢 未途君    吉村 洋文君

      伊佐 進一君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         中谷  元君

   外務副大臣        中山 泰秀君

   防衛副大臣        左藤  章君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   防衛大臣政務官      石川 博崇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    三好 真理君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  三村  亨君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  武藤 貴也君     宮川 典子君

  津村 啓介君     鈴木 貴子君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     武藤 貴也君

  鈴木 貴子君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  柚木 道義君     津村 啓介君

    ―――――――――――――

三月十九日

 軍事費増強を中止し、大幅削減すること等に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四一二号)

 同(島津幸広君紹介)(第四一三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四一四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君、外務省大臣官房審議官下川眞樹太君、外務省領事局長三好真理君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省人事教育局長真部朗君、防衛省経理装備局長三村亨君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますので、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志でございます。

 所信に対する質疑ということで時間をいただきました。しっかり議論させていただきたいと思います。

 まず最初に、先般チュニジアで起こりました大変痛ましいテロ銃撃事件、二十数名の方々が命を落とされたということでございます。日本人の方三名、命を落とされていらっしゃいます。このテロの凶行に関しては、怒りを禁じ得ず、かつ、言語道断というふうに思います。亡くなられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 その上で、今回、チュニジアでのこの事件、現状が今どうなっているのか、そして、どういうふうな対応をとろうとされているのか、外務大臣にお尋ねしたいと思います。

岸田国務大臣 チュニジアにおける銃撃テロ事件ですが、まず現状を申し上げますと、三月十八日正午ごろ、日本時間二十時ごろ、チュニジアの首都チュニス郊外にあるバルドー国立博物館において、武装集団によるテロ攻撃が発生いたしました。

 現地時間十五時ごろ、実行犯二名は治安部隊により射殺され、その後、内務省は、治安当局が今回のテロ事件の関連で二十名の被疑者を逮捕した旨発表しております。

 チュニジア政府によりますと、本事件の犠牲者は二十一名、そして四十三名が負傷したということであります。そのうち、三名の邦人が命を落とし、そして三名が負傷されました。

 改めて、哀悼の意を表すると同時に、負傷された方の一日も早い回復を祈りたいと存じます。我が国としましては、こうしたテロ行為、断固非難するところであります。

 そして、背景につきましては、チュニジア大統領が、犯行主体については身元を特定し、イスラム過激派であるとの見方を示しており、アンサール・シャリアに言及をしています。

 一方、三月二十日、ISILは、今回の襲撃がISILの戦士によるものであるという犯行声明を発出いたしました。

 捜査はチュニジア政府が行っているところですが、我が国としましても、情報収集を行うべく、警察の国際テロ専門チームでありますTRT―2の派遣等を行っているところであります。

 それに加えて、現地邦人に対しまして、注意喚起、さまざまな情報提供をし、邦人の安全に万全を期すべく努力をしているところでございます。

大串(博)委員 今御説明いただきましたけれども、今回、チュニス、治安の状況からすると、比較的落ちついていると見られていたところではなかったかというふうに思います。スポットの情報もその後流していらっしゃるということですけれども、当時の渡航情報でいうと、危険情報のカテゴリーの中で、四つの、一から四まで、一番厳しいところまでのカテゴリーのある中で、危険情報は出ているんですけれども、十分注意してくださいという、ある意味、一番初期の段階のステータスであったということでございます。そういった中で、通常はこういうツアーなんかも開かれるんですね。

 そういう中で、テロという凶行が起こり得る、邦人が海外でこういう事件に巻き込まれ得るということ、これは、邦人にとっても、どういうふうな目安で、考え方で、海外渡航をしよう、するべきでないというのを考えようかというのは、なかなか難しい状況になってきているんだと思うんですね。

 そういう意味からすると、この渡航情報、危険情報のあり方というのも、私も大使館に勤務したことがあって、インドネシアの大使館でしたけれども、これを出すのは大変だということはよくわかります。ビジネスへの影響とか観光への影響とかそういったもの、あるいは、一旦危険情報を上げた場合に、下げるときにはどうするのかといったことも含めて考えると、なかなか難しいことはよくわかるのですが、今回のような、突然でもこういう危機的な状況が起こり得る、命を落とされるという非常に厳しい状況が起こり得るということを考えると、渡航情報のあり方ももう少し工夫ができないものかという気もいたします。

 その件について、外務大臣からの御所見はありませんでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、今回、危険情報につきましては、十分に注意してくださいという段階の情報を発出していたわけですが、ランクとしては御指摘のとおりなんですが、あわせて、昨今のさまざまな動きを受けて、テロに対する注意喚起、こういった内容はつけ加えておりました。

 こうした危険情報はもちろん重要ですが、それに加えて、もっと具体的なスポット情報ですとか、逆に、さらに広域な広域情報ですとか、こうしたさまざまな情報をしっかり組み合わせることによって、より適切な、現実的な情報を提供していくことが重要だと思っています。

 そして、こうした情報をいかに伝えるかということですが、今回、この事案を受けて、三月十九日、海外の安全ホームページですとか電子メールを通じましてチュニジアの在留邦人や渡航者に対する注意喚起を行ったわけですが、こうした情報の提供のあり方につきましても、今、外務省の中で検討チームをつくって検討を続けています。そして、その中で、ショートメールサービスを活用した一斉発信システムを提案し、これにつきましては順次実施に移しているということでございます。

 このように、よりわかりやすい情報をいかに提供していくのか、引き続きまして外務省としましても検討を続け、できるところから実施に移すよう努力を続けていきたいと考えます。

大串(博)委員 渡航情報は、なかなかこの御時世の中では難しいのはよくわかります。しかし、今おっしゃったように、わかりやすく、かつ迅速に、かつ受け取りやすく。旅行した立場から、あるいは海外渡航した立場からすると、なかなかその危険情報に触れにくいというのは、いろいろあると思います。ショートメールといったこともあるんだと思いますけれども、わかりやすく、かつ迅速で、かつ受け取りやすい、こういったものができるだけ構築できるように、今回のことを機にぜひ検討を進め、実行していただきたいということを付言させていただきたいと思います。

 次に参らせていただきます。

 沖縄の問題ですけれども、普天間の辺野古への移設の問題に関しまして、昨日、翁長沖縄県知事は発表されました。七日以内に移設作業を停止してください、それがならない場合には岩礁破砕許可を取り消すとの考えを示されました。非常に対立が先鋭化して、難しい状況になっているのではないかな、県と国がここまで対立するというのが非常に心配、懸念されます。

 これに対して、今、政府としてはどう対応を考えているのか、防衛大臣にお願いしたいと思います。

中谷国務大臣 昨日、沖縄の防衛局は、沖縄県知事から、同県による調査が終了し、改めて指示するまでの間、海底面の状況を変更する行為等の全てを停止すべき旨の文書を受領いたしました。

 ボーリングの調査を含めまして、代替施設の建設事業に伴う岩礁破砕等の手続につきましては、沖縄県知事が定める沖縄県漁業調整規則等を踏まえて同県と十分な調整を行った上で実施をしております。

 我が国は法治国家でございますので、このような文書が提出されたということは甚だ遺憾でありますが、防衛省としましては、海上ボーリング調査等の各種事業については、環境保全に万全を期して最適の方法で作業を進めてまいります。

大串(博)委員 国としては、これまで、県の規則を踏まえ、十分すり合わせを行いながらやってきたということでありますけれども、一方、現職の翁長知事さんの立場からすると、十分な理解を得られていないがゆえにこのような形になっていると思うんですね。

 もちろん、私たち民主党も政権党を経験しました。ですから、その経験を踏まえて、辺野古への移設という結論は私たちも共有しておりますけれども、その手続、流れに関しては、名護市長選があり、県知事選があり、県民世論がありという中で、やはり余りに強硬にといいますか拙速にといいますか、対立が深まる形でやっていった場合に、その先行きがなかなか読めなくなるんじゃないかという危惧を大変持ちます。

 北風政策と太陽政策といいますか、やはり今の流れを見ていると、知事には総理も面会されない、沖縄の交付金も減らされたんじゃないかというふうに県民の皆さんも心配される。そういった中で、どんどんどんどん北風で締めつけるような思いを県民の皆さんは持たれている可能性もあるんじゃないか。そういう中でいくと、どんどんどんどん対立が激化するばかりで、成果が得られなくなる方向に最終的になっちゃうんじゃないかという気がしてならないんです。

 その辺、アプローチの仕方ですね、アプローチの仕方に関しては、防衛大臣、先ほど原則論はお述べになりましたけれども、先ほどの原則論であくまでも突っ走っていかれるのか、それとも、やはりアプローチとして、北風政策と太陽政策、この功罪をよくはかっていただいて、太陽政策という考え方もとり得るのじゃないか、そういう手続も考え得るのじゃないかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 この問題はもう十八年前から、普天間の移設ということで、いろいろなところで協議をして事業を実施しておりますけれども、やはり一番大事なことは、住宅とか学校に囲まれた普天間飛行場の固定化、これを絶対に避けなければならないということでありまして、これは地元の皆さんとは共通の認識であろうかというふうに思っているわけでございます。

 やはりこれは一日も早く実現しなければなりませんが、ここでまた振り出しに戻ったりいろいろと混乱がありますと、その分、普天間の移転が遅くなってしまって、危険性が除去されない。そういう意味で、辺野古への移転が唯一の手段であるということで、沖縄県とも話し合いをいたしまして、この調査に関しての手続もとっております。

 現状につきましては、今後とも政府全体で連携して、さまざまなレベルで地元との対話を行いつつ、日本の安全保障、また沖縄の基地負担軽減、こういった全体像の中で普天間移設の位置づけとか意義とかそういうことをお話ししていければ、御理解いただければというふうに思っております。

大串(博)委員 防衛大臣に一つお尋ねしたいんです。

 できるだけ丁寧に話をしていきたいという話でありましたけれども、許可を取り消される、仮にそうなった場合に、対立が先鋭化して訴訟にまでなってしまうんじゃないかという危惧を持たれる方もいらっしゃいます。訴訟になった場合に、国と地方が相対峙するわけですね、裁判所で。その結果、何がしかの結論が裁判所で出てくるのかもしれません。しかし、それで、なったときに、本当に実行可能になっていくんだろうかという心配もします。

 もちろん、さっき言われたような、普天間の固定化を早期に除去していかなければならない、そういう意味で辺野古という方向性も共有するというふうに申し上げました。その上で、やはり実現していくためのやり方として、例えば訴訟という形も含めて、大臣は視野に置いて考えられるんですか。

中谷国務大臣 これは行政手続の問題でありまして、防衛省は、時間をかけながら、沖縄県に許可をもらう申請をいたしました。

 沖縄県に対して、アンカーを含むブイ、浮標ですね、この設置に係る手続の必要性について確認をいたしたところ、同県から、ほかの事例を踏まえれば、ブイの設置は手続の対象にならないという旨が示されておりまして、防衛省としては、手続は既に適正に行われたと考えております。

 また、防衛施設局は沖縄県に対して、昨年七月以降、累次にわたって海上ボーリング調査の実施に必要な岩礁破砕等に関する協議を行っておりまして、同県からは、当該調査に係る許可申請は不要である旨の回答を得て調査を行っているところでございまして、累次にわたって沖縄県とは調整をして事業を実施しておりますので、瑕疵があったとは考えておりません。

 我々としては、先ほど申し上げましたとおり、こういった規則、法令、手順に従って事業を行いまして、一日も早く、普天間基地の危険性の除去、辺野古への移設、これができるように努めてまいりたいということでございます。

大串(博)委員 もう一度お尋ねしますけれども、考え方、原則論、聞きました。知事さんのお考えも、私、きのう、よくそしゃくしました。その上で、これは非常に対立が高まっている感じがします。そう言うと、先ほど申し上げたように、訴訟ということも視野に入ってくるのではないかという危惧を持たれる方がいらっしゃる。

 もう一回お尋ねしますけれども、訴訟してでもと、訴訟を遂行してでもというお考えなんでしょうか。私は、それは逆に遠い道になるんじゃないかなという感じがするんですけれども、訴訟を辞さずという考えなんでしょうか。

中谷国務大臣 防衛省としては、手続は適正に行われたというふうに考えておりまして、今回このような文書をいただいたということについては、非常に遺憾に思っているところでございます。

大串(博)委員 そういう御答弁だったということを受けとめて、先ほど申しましたように、硬軟両方のいろいろな議論があると思うんですね。ですから、そこは、本当に実現する道は、県民との間でどういうふうなものがいいのかというのはやはりよく吟味していただいて、動きを考えていただきたいというふうに思います。

 次に参らせていただきます。

 先日来、予算委員会でも大臣と議論させていただきました、文官統制と文民統制、設置法の十二条の話でございます。

 先般の予算委員会の中で議論があって、最終的に大臣と私の間で議論した中で、防衛省の設置法の十二条、資料をお配りさせていただいておりますけれども、もともとに自衛隊法九条というのがあって、制服組の皆さんは、大臣に対して「最高の専門的助言者として防衛大臣を補佐する。」というのがあって、一方で、十二条に、内局と幕僚長との関係ということで、以下の点について内局は「防衛大臣を補佐するものとする。」という構造になっている。

 ここに一、二、三とあって、例えば、方針、基本的な実施計画の作成について防衛大臣の行う各幕僚長に対する指示、これを大臣に対して補佐する、あるいは、大臣が各幕僚監部に対して行う承認、これを防衛大臣に対して内局が補佐する、あるいは、一般的監督を防衛大臣が行う、これに対して内局が補佐する、こういう構造になっているわけですね。

 これは、昭和二十七年にできた保安庁のときに、第十条と十九条で基本的に同じ構造ができ上がっていて、十九条で、見ていただきますように、第一幕僚長、第二幕僚長は「それぞれ最高の専門的助言者として長官を補佐する。」これは九条と同じですね。

 一方、十条を見てみると、各般の方針及び基本的な実施計画の作成について、長官に対して、各幕僚長に対し長官が指示を行う、これを補佐する、あるいは承認、これは長官が行う、これを補佐する、あるいは一般的監督、これは長官が行う、これを補佐する、こういった構造ができ上がっています。

 これに対して、資料の三枚目で、この二十七年の保安庁の法律をつくるときに国会の審議であったことで、当時の大橋国務大臣が、三枚目の一番下のところからですけれども、線を引っ張ってございますが、「幕僚監部が長官に対して専門的な立場から助言するに当りましては、官房、各局と必要な調整を」行わしめる、補佐するということですね、「いわゆる文官優位制と申しますか、シビリアン・コントロールをなすように」したいと存じますというふうに、明らかにここでこの十二条のことをシビリアンコントロールとおっしゃっているわけですね。

 ところが、大臣、この間の答弁の中では、この十二条は、直接的にはシビリアンコントロールをなすものではないという答弁でいらっしゃいました。その過程の中で、実質的には同じものであるみたいな話もありましたし、言葉の定義が当時は一定ではなかったみたいな話もございました。

 改めてお尋ねしますけれども、この十二条はシビリアンコントロールを定めたものではないんでしょうか。

中谷国務大臣 この日の質疑は、三月六日に予算委員会で文民統制に対する政府の考え方を述べまして、その中におきましても、「内部部局の文官による補佐も、この防衛大臣による文民統制を助けるものとして重要な役割を果たしている。」ということを述べております。

 そこで、三月十二日の予算委員会で、大串委員から、昭和二十七年四月十八日の大橋国務大臣の答弁における、「いわゆる文官優位制と申しますか、シビリアン・コントロールをなす」という表現は、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると理解されますということでございます。

大串(博)委員 今の答弁にありましたように、要するに、理解するには、この十二条というのは、シビリアンコントロールを直接規定したものではなくて、いわゆる防衛大臣が文官の方々の補佐を受けて、その補佐は非常に重要な役割なんだけれども、補佐を受けて防衛大臣が文民統制を行う、このことをあらわしているのであるというふうな答弁だったというふうに理解いたします。

 ただ、私、どうしてもそれで腑に落ちないのは、先ほどの三ページのこの議事録を見ていただきますと、この十二条のところを指して、「いわゆる文官優位制と申しますか、シビリアン・コントロールをなすように」したいと存じておりますと、かなり明らかに書かれていますね。

 一方、五ページ目を見ていただきますと、これは昭和四十五年の佐藤総理大臣の答弁でありますけれども、シビリアンコントロールに関して、「戦前の苦い経験があることを忘れてはなりません。現在、自衛隊のシビリアンコントロールは、国会の統制、内閣の統制、防衛庁内部における文官統制、及び国防会議の統制による四つの面から構成されて」いる。防衛庁内部における文官統制と、これもかなりはっきり述べられているんですね。

 ここまではっきり述べられているにもかかわらず、この十二条は、直接、文民統制、シビリアンコントロールを指摘したものではなくて、防衛大臣が文民としてシビリアンコントロールを行うその補佐で、重要な役割なんだ、そういうふうな位置づけだとはとても思えないんですね。

 大臣、ちょっと私、お尋ねしたいのは、この十二条の趣旨は、先ほどおっしゃったように、シビリアンコントロールを直接規定するものではなくて、防衛大臣がシビリアンとして制服組の皆さんをコントロールする、その補佐を内局の方がされる、それは非常に重要な役割なんだけれども、その補佐するということを意味しているんだという解釈、これはどういう経緯で、いつからそういう説明なんですか。二十七年のときにはこれだけはっきり言われているんだけれども、大臣の今おっしゃったこととちょっとやはり違うように思われる。いつから、どういう経緯でそのような解釈になったんですか。

中谷国務大臣 もともと、防衛省設置法十二条、これは文民統制そのものを定めたものではありませんが、文民統制を担う防衛大臣の補佐に係る規定でありまして、文民統制にとって非常に重要な規定であります。

 この十二条につきましては、従来から、官房長及び局長による政策的見地からの防衛大臣の補佐と、各幕僚長による軍事的、専門的見地からの防衛大臣の補佐、これを調整、糾合する規定であるというふうに説明をいたしております。

大串(博)委員 わかりました。それはもう何度も聞いているんです。

 私がお尋ねしたのは、十二条はこれまで、これだけ明らかに、二十七年の答弁でもあるように、十二条そのものがシビリアンコントロールだと言われているにもかかわらず、先ほど大臣は、この十二条というのは、シビリアンコントロールを直接定めたものではなくて、大臣が内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であるというふうに理解されるとおっしゃったから、そういう理解は、一体どこから、どういう経緯で、いつからなっているんですかという事実関係をお尋ねしているんです。

中谷国務大臣 これは、従来から同じである、その佐藤首相の答弁におきましても、これは内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であるというふうに理解しております。

大串(博)委員 四十五年も含めて従来からの解釈であるとおっしゃいましたけれども、その根拠はどこにありますか。

中谷国務大臣 これは、従来からの国会答弁も調べたわけでございますが、その中におきまして、大臣と補佐の関係におきまして述べられているわけでございますが、やはり文民統制における内部部局の文官の役割というのは大臣を補佐するということで、一貫して、内部部局の文官が部隊に対して指揮命令をするという関係にはないというような答弁もございます。

大串(博)委員 文官が直接指揮命令する、コントロールする立場にはないということとは、私、別の論点で話しています。そこは関係ないんです、正直申し上げて。

 私が聞いているのは、私自身も国会答弁をかなり細かく調べました。かなり細かく調べましたけれども、どこを見ても、先ほど大臣がおっしゃったように、この十二条に関しては、直接シビリアンコントロールをなすものではないという答弁は、少し前に小野寺防衛大臣のときにもありましたけれども、その先、大臣が先ほどおっしゃった、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると理解される、この答弁はどこに行っても見つからないんですよ。ところが、先ほど大臣は、四十五年も含めて従来からの解釈ですとおっしゃった。その根拠をお尋ねしているんです。

中谷国務大臣 この大橋答弁の中でも「必要な調整を行わしめまして」と書いているように、やはり調整、吻合ということで内部の調整をしていたということではないかと思います。

大串(博)委員 調整、吻合したということは私も認めているんです。まさにこの十二条、これは調整、吻合するシステム。この大橋答弁を見てください。調整、吻合するシステムだから、これが文官優位制、シビリアンコントロールなんだとおっしゃっているんです。

 おっしゃっているにもかかわらず、大臣は、いや、これは内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると解される、しかも、それは前からそうだと、明らかにこの国会答弁でおっしゃるから、では、その根拠、どういう経緯で、いつからなっているのかということをお示しください、根拠をお示しくださいと申し上げているんです。根拠はないんでしょうか。

中谷国務大臣 御趣旨はよくわかりませんが、先ほど御答弁したように、官房長、各局が必要な調整を行わしめましてシビリアンコントロールをなすということで、これは内部部局の補佐による大臣のシビリアンコントロールの一部であるということです。

大串(博)委員 いや、全く答えてもらっていませんね。

 大臣が言っている、この十二条は、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると理解されるとおっしゃったから、それを国会答弁で私は見たことがないものですから、それを前からそういうふうに言っているとおっしゃったから、では、いつごろから、どういう経緯を経て、どういうふうにそのような趣旨になったんですかという根拠をお尋ねしているだけであって、それを全く違った内容の答弁ですりかえられるものですから、おかしくなっちゃうんです。これは非常に重要なところですよ。ぜひこの経緯、由来、根拠をお示しいただきたいと思います。

 何度もこれをやっていると時間がなくなるので、委員長に、このことはもう一回理事会で引き取っていただいて、いや、大臣、答えていないですよ、これは何度も聞いているんですけれども。そこはもう一回きちんと精査していただいて、理事会でも引き取っていただいて、精査していただいて、きちんとした根拠、経緯、示していただくようにお願い申し上げたいと思います。

北村委員長 理事会でお預かりさせていただきます。お諮りをいたします。

 大串博志君。

大串(博)委員 大臣はこうもおっしゃっています。

 これは、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると。この際に、大臣あるいは副大臣、大臣政務官、ここも補佐するという非常に重要な役割をというふうに言われています。私は、それはもちろんそうだろうなと思います。

 そこで、副大臣、政務官にお尋ねしたいんですけれども、まず、防衛省における副大臣、政務官のそれぞれ役割、担務、これをまず副大臣、お答えいただきたいと思います。

左藤副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 防衛副大臣は、他の省庁の副大臣と同様でございまして、国家行政組織法第十六条第三項の規定によって、大臣の命を受け、防衛省の政策及び企画をつかさどり、政務を処理する役割を担っております。また、あらかじめ大臣の命を受けて大臣不在の場合はその職務を代行するということとされています。

 このように、防衛副大臣は、文民統制を行う防衛大臣を補佐する役割を担っていると思っております。

大串(博)委員 具体的には、一日、日々どういうふうな活動をされているんでしょうか。例えば、役所に何時ごろ行かれて、役所でどういうことをされて、会議に出られているのか、あるいは式典に出られているのか、あるいは各地の地方に回られているのか。どういう活動をされているんでしょうか。

 特にお尋ねしたいのは、補佐されるからには、大臣にいろいろな決裁事項、相談事項が部局から上がっていると思います、それを事前に相談を受けて、まず副大臣のところで決裁をしたもののみが大臣に上がるという仕組みになっているんでしょうか。お答えください。

左藤副大臣 私の公務の仕事、これは防衛省へ行ったり行かなかったりすることは多々あります。

 今お話があった役所のいろいろな決裁事項、これもしますし、報告事項もしっかり受けておりますし、また、大臣と相談する以前に役所から、大臣に上げる前に、これはどうしましょうという相談もあります。こういう私の意見も踏まえて大臣に御決裁をいただくということもあります。そして、相談するときも、大臣と、これはどうしましょうという相談もすることも、また、いろいろ出張していろいろなことがあったときの報告も含めてすることもあります。日ごろ、そういう活動をし、連絡は密にしながらやっております。

 大臣がきょうはどこにいるか、これを含めて私は全部把握しておりますし、そういう状況で、絶えず、事務方等を含めて、また大臣の部屋の人たちを含めて、しっかりと連絡を密にしながら、日々、補佐をしております。

大串(博)委員 今副大臣は、役所に行ったり行かなかったりとおっしゃいましたけれども、行かなかったりというのはどういう場合なんでしょうか。

 さらに、今おっしゃった、案件を大臣に上がる前に聞くこともあれば、大臣に上がった後に私が聞くこともありますというふうにおっしゃった。副大臣がしっかり補佐されるのであれば、基本的には、大臣に上がる前にきちんと副大臣の目で精査されて上がるのが筋じゃないかと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。

左藤副大臣 そういういろいろな案件については、先に、事前に相談があったりします。

 大臣から、例えば、きょうもインドネシアの人が来て、大臣はきょうはお会いしないようでございますけれども、そういういろいろな海外の人たちが来て、その話がこうだったという報告も、逆に今度は報告を受けます。こういうことは、事前にわかるときと、わからない中身がありますので、それはいろいろあります。

 それと、防衛省に朝から晩までいるわけにはいきませんし、私も政務もあります。なおかつ、防衛省に関するいろいろな、党内、自民党の場合は朝から晩まで勉強会がありますので、そういうところにも参加をし、防衛省のいろいろな問題にかかわる問題もそこで出てくることがありますので、それについて事務方に指示をしたり、また、大臣に報告をすることもあります。

 以上です。

大串(博)委員 朝から晩まで役所にいるわけではない、私も政務はある、そういうことでした。

 政務官、まずは原田政務官にお尋ねします。

 政務官の担務は何でしょうか。そして、同じように、役所に通常は何時ごろ行かれて、何時ごろ退出されるんでしょうか。そして、同じように、大臣に上がる案件、御担務のところに関しては、必ず政務官のところを通って、まず政務官が決裁された上で大臣に上がる、それが通例になっているんでしょうか。どうぞお答えください。

原田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 防衛大臣政務官は、他の省庁の大臣政務官と同様に、国家行政組織法第十七条第三項の規定により、「大臣を助け、特定の政策及び企画に参画し、政務を処理する。」ということとされております。

 同条の第四項、大臣政務官の行う職務の範囲については、「大臣の定めるところによる。」としておりまして、私は、特に衆議院において国会対策等の対応に当たっておるところでございます。

 それから、出勤等はどうなっているのか、また、大臣のところへ上がる案件について事前に報告はあるのかということでありますけれども、私は、ほぼ毎日防衛省に出勤をいたしております。時間は、朝、まちまちでありますけれども、大体十時前後には出勤をしておりまして、あとは、国会のある場合にはもちろん国会、委員会等に出席をしておりますけれども、できるだけ防衛省に出勤といいますか、政務官室におって、防衛省の皆さんからいろいろな報告を受ける。議員会館におることもありますけれども、できるだけ防衛省におって、防衛省の職員の皆さんあるいは自衛官の皆さんから報告を受けるようにいたしておるところでございます。

大串(博)委員 御担務のことに関して、大臣に上がる前に、必ず相談を受けている、自分で決裁をされているかという点に関してはどうですか。

原田大臣政務官 決裁でありますから、最終的には大臣がされますけれども、こういう文書で上げますという報告は受けております。(大串(博)委員「必ずですか」と呼ぶ)はい。

大串(博)委員 石川政務官にお尋ねします。

 同じです。御担務は何で、そして、役所に出退勤をどんな形でされていて、かつ、御担務に関して、大臣に上がる前に相談を受け、そこでスクリーニングされた上で大臣に上げられているのが常であるか、そこをお答えください。

石川大臣政務官 お答え申し上げます。

 政務官としての所掌につきましては、原田大臣政務官から御説明させていただいたとおりでございますが、私の担当といたしましては、主に参議院における国会対応をさせていただいているという点が原田政務官と役割分担をさせていただいている点でございます。その形で、防衛大臣政務官として、文民統制を担う防衛大臣を補佐させていただいているところでございます。

 また、具体的に防衛省の中における役割といいますか補佐でございますけれども、防衛大臣のもとに、例えば、政治任用者、文官、自衛官の三者が一堂に会するような、所掌事務に関する基本方針について防衛省の内部で会議あるいは審議をする場合もございます。そうした場合に、私も同席させていただいて、文民統制を行う大臣を補佐させていただいているところでございます。

 また、私も原田政務官と同様に、防衛省に可能な限り登庁させていただいて、内部の事務官そして自衛官の方々の報告等を聞くようにしておりますし、基本的には、大臣に上がる決裁書というのは事前に見せていただいているというふうに認識をしております。

 また、副大臣が申されましたとおり、必ずしも役所の中での公務に限るわけではございません。例えば、各駐屯地における式典などにおきましても、大臣の代理として出席させていただくこともございますことを、どうぞ御理解いただきたいと思います。

 以上でございます。

大串(博)委員 両政務官にもう一度お尋ねしますけれども、自分の担務にかかわる相談事項が各内局から上がってきて、大臣に上がる前に相談にあずからず、事後に、こういう話で大臣のところに御報告しました、あるいは、大臣からこういうふうな意見をいただきました、こうなっておりますと事後に報告を受けるということは、原田政務官、石川政務官、それぞれありませんか。

原田大臣政務官 私の記憶の中ではなかったと思いますけれども、現実に、今、石川政務官も答弁させていただきましたように、現場にというか、東京に、防衛省の中にいないとか、そういうときは事後の報告になったこともあるかもしれませんということをお答えさせていただきます。

石川大臣政務官 原田政務官の答弁のとおりかと思います。基本的には、大臣に上がる決裁書というものは、私も見せていただいて、私の意見なりを述べさせていただいて、それを踏まえて大臣に上がっているものと認識をしております。

 なお、防衛省におきましては、緊急事態における対応等もございます。そういった緊急事態において事後になる場合もあるのではないかというふうに考えます。

大串(博)委員 今お話を聞いた中で、それぞれ副大臣、政務官、役所にいることもあれば、いないこともあると副大臣はおっしゃいました。両政務官は、可能な限り役所にいてというふうな話でありました。

 もちろん、公務で地方に行かれる、これはあるでしょう。これは立派な職務を果たしていただいていると私は信じています。しかし、本当にどのような仕事をされているのかというのは、いろいろ確認させていただきたいと私は思うんですね。

 というのは、大変失礼を承知で申し上げさせていただきます。そういうことはないだろうという思いで私はお尋ねさせていただいているんですけれども、実は、西川農水大臣がやめられたその日、いろいろな問題がありました。ありましたが、その日に、例えば農水省における副大臣、政務官の出退勤を確認させていただいたら、副大臣に関しては、四時半に登庁、六時に退庁。一人の副大臣は一日政務でいなかったと。それぞれ政務官に関しても、午後出勤、こういった事態だったんですね。まさにあの日、予算委員会で大臣に関する議論が燃え上がっている、その夕刻に退任されたということなんです。そういうときに、こういう勤務実態。

 役所が違うので、同じとは一概には言いません。しかし、先ほどおっしゃったように、文民統制を支える、補佐をされる、極めて重要な役割を負われるので、どういうふうな仕事ぶりをされているのかというのはきちっと確認させていただきたいというふうに思って、これは事務方の皆さんにも、実は、副大臣、政務官の出退勤の状況を資料としてお知らせくださいというふうに、私、お願いしてまいりました。ところが、なかなか出てこないんですよ。資料がないとか、あるいはどこにいったかわからないみたいな話で。

 私、これは確認だけなので、委員長にぜひお願い申し上げたいと思いますけれども、副大臣、政務官の、この新体制として発足後の出退勤の状況に関してわかる資料をぜひ当委員会に提出していただくよう、これは長く私、事務方ともやっていますので、この議論、前向きな議論をしたいという思いからのあれでございますので、ぜひ委員長におかれましては、理事会において取り扱いいただくことをお願いします。

北村委員長 大串議員の申し出に従い、理事会において適切な取り扱いをさせていただくことといたします。

 大串博志君。

大串(博)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 これは、いわゆる設置法十二条、文民統制、文官統制、極めて重要な国の国防の根幹をなす考え方、特に日本においては、過去の反省も踏まえ、根幹をなす問題だと私は思うんですね。ですから、あえてお問いかけさせていただきました。

 ぜひ真摯にこれからも議論させていただきたいと思いますし、先ほど大臣の答弁、私、まだ納得していないんです。ですので、ぜひもう一度、過去の経緯、なぜそうなったか、いつそうなったのか、そこはぜひ大臣の後ろにいらっしゃる事務方の皆さんもよく洗ってくださって、答弁でそうおっしゃったわけだから、しっかりしたものを出していただきたいというふうに思います。

 集団的自衛権の話、あるいは与党合意の話等々、いろいろ聞きたかったんですけれども、なかなか時間がないところもありますので、少し先に飛ばさせていただきますと、大臣、オスプレイの佐賀空港への配備の話を一つお尋ねさせていただきます。

 自衛隊のオスプレイを佐賀に導入する、あるいは米海兵隊のオスプレイを佐賀に移転させていく、こういうことでございます。これに関して、正直言って、私の感じからすると、まだ地元の皆さんの十分な理解が得られているという感じじゃないんですね。特に米海兵隊のオペレーションの移転に関して言うと、訓練移転だとおっしゃいますけれども、では、訓練移転以外はないんですかと聞くと、そこはまだ米国との議論中であるというふうにおっしゃる。

 そういう中で、自衛隊のオスプレイの導入に関しての承認をいただきたい、それは米海兵隊に関しても含めていただきたいというような流れだというふうに私たちは受け取っています。しかし、米海兵隊も含めた全体像が見えない中で、将来像が見えない中で判断を今せよというのは、なかなか佐賀県にとっては難しい話だと思うんですね。

 その辺に関して、全体像、将来像をきちっと示した上で佐賀県に判断を求めてもらう、丁寧な議論を行う、それに関しての大臣の御所見をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 防衛省としましては、オスプレイと目達原駐屯地に配備されているヘリコプター、これの佐賀空港への配備に加えまして、沖縄の負担軽減のため、海兵隊に佐賀空港を利用させることも視野には入れておりまして、昨年七月に佐賀県に申し入れを行って以降、地元の御理解と御協力をいただくために、地元の方々に対して、自衛隊機の空港利用の詳細等については県、地元の自治体に説明を重ねております。

 海兵隊の佐賀空港の利用については、訓練移転を想定いたしておりますが、現時点で具体的な内容が決まっているわけではなくて、引き続き米側と相談しながら詳細を詰めてまいりたい。こうした基本的な考え方のもとに、地元の皆様方に御理解が早期にいただけるように、引き続き丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。

大串(博)委員 特に米海兵隊の移転、訓練移転とおっしゃいましたけれども、それでも、具体的にどうなるのかということに関してはこれから米国との議論だと。今やはり、そこがオープンなところがあるわけですね。ですので、新しい佐賀県知事さんも、やはり全体像、将来像がわからないと県としてはなかなか判断しづらいとおっしゃった、それは当然だと思うんですよ。ですので、そこはぜひ丁寧な進展をこれからお願いしたいというふうに思います。

 時間がなくなりました。最後に外務大臣に、アジアインフラ投資銀行の件です。

 私は、この最近の進展を非常に危惧しているんです。アジアインフラ投資銀行、中国がリード役として引っ張っているものです。このガバナンスが本当に民主的なガバナンスで行われるのか、そして、案件に関しても、いろいろな国際的な常識感の中で行われる、選別される、そして、償還可能性も含めて確認されるという形になっていくのか、非常に不透明。

 不透明な中で、私が非常に驚いたのは、イギリス、ドイツも含めて先進国も手を挙げるという形になっています。これは、日本にとっては非常にある意味懸念の多い案件だと私は思っているんですね。こういった内容においては、かなり早期の段階から、イギリスやドイツ、こういったところが申請に手を挙げるということになっていくと、なかなか外堀も埋まってくるような感じもしますので、そうなる前に、外交努力を通じて、この取り組みがそう軽々には前に進まないように、先進国でがっちりスクラムを組んで、ブレーキといいますか、声を上げるような立場を、ポジショニングをとるべきだと私は思うんですね。

 私は、実は、アジア通貨危機の後に、アジア・マネタリー・ファンド構想というのを当時役所でやっていたんです。これは中国が物すごく反対しました。結局、うまくいかなかった。これは中国の根回しも非常にうまいなというふうに思ったこともありました。やはり表に浮上すると、なかなか事実関係としてはとめにくくなるんです。かなりその前に物すごい働きかけがありました。

 そういった外交努力がまず非常に大切だったんじゃないかと思うんです。しかし、その外交努力に、今、若干もう敗れぎみになってきているんじゃないか、これは事態が走っていくんじゃないか。そのときに、私たちとして、このアジアにおいて中国の影響力が一気に増すようなボディーとなっていかないかというのが非常に心配なんです。

 この点に関して、十分な外交努力がなされてきたのか、そしてこれからどうしていくのか、これに関する外務大臣の所見をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 AIIBにつきましては、中国政府は、二〇一五年六月までにAIIBに関する協定の交渉、署名を行い、二〇一五年末までに協定を発効させ、業務を開始することを目指していると承知をしています。

 これに対しまして、我が国の立場ですが、公正なガバナンスを確立できるのか、さらには、債務の持続可能性を無視した貸し付けを行うことにより他の債権者にも影響を与えることにならないかなどの点を含めて、慎重な検討が必要であるというのが我が国の立場であります。

 そして、今日まで外交努力を行ってきたのかという御指摘をいただきました。

 当然のことながら、G7各国とこれまでも意見交換、情報交換を行ってまいりました。そして、その中にあっても、英国あるいはドイツ、これはAIIBへの参加を表明したわけですが、英国、ドイツ等においても、引き続き中国との交渉に当たりガバナンス等の確保のために取り組んでいかなければならない、こういった問題意識は明らかにしています。

 こういった英国、ドイツを含めて、関係各国とは引き続きしっかり連携協調しながら、中国に対して、AIIBの透明性ですとか意思決定のあり方ですとか、こういった点につきましてしっかり働きかけを行うことは重要であると思っています。

 我が国の立場は、先ほど申し上げたとおりであり、変わりませんが、今申し上げたような観点から、AIIBのあり方につきましては、関係各国と連携しながら関心を持って注視していきたいと考えています。

大串(博)委員 終わりますけれども、ぜひ、特に先進国とスクラムを組んで、よくない方向に行かないような外交努力を最善、早い段階でやっていただきたいということをお願いし、かつ、集団的自衛権や安保法制、これも非常に重要な問題がありますので、これからさらにしっかり議論させていただくことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、木原稔君。

木原(稔)委員 自由民主党の木原稔でございます。

 大臣所信に対する質疑をさせていただきます。

 まず冒頭に、質問ではないんですが、大臣、三月二十一日に、さきの大戦で激戦地となった硫黄島で日米合同の慰霊式典が行われたわけでございますけれども、閣僚として初めて塩崎厚生労働大臣とともに御出席、御参列されて献花をされたということでございまして、私は、これは大変意義があることだというふうに思っております。

 遺族だけでなくて、日本人にとって重要な事業の一つがやはりこの遺骨の収集事業だと思っておりますし、これからも、滑走路の下に眠る遺骨を含めて未収容の一万二千柱の早期収容を政府としても継続して行っていただくように、これは要望しておく次第でございます。

 何か感想があれば。

中谷国務大臣 ありがとうございます。

 日米合同で追悼式典が開催されましたけれども、この会に、与野党を通じてたくさんの国会議員の方々、また、御遺族の皆様は当然でありますが、現職の自衛官も、そして米国からは海軍大臣、また海兵隊の総司令官も参加され、多くの方々によって、この日、当時硫黄島で戦った兵士の追悼を行いました。

 こういったことは絶対に忘れてはいけないんだ、その上に立って平和と繁栄を築いていくという意味で、七十年たった現在において、日米が力を合わせて平和や繁栄のために協力をしているという現実を直視して、さらに、日米同盟の必要性、また平和、そして紛争がない、戦争がない状態をつくらなければならないという思いを強くしたわけでございます。非常に意義があった式典でございました。

木原(稔)委員 大臣、ありがとうございました。

 日米合同の式典ということで、引き続いて、戦後七十年たった今、日米同盟というのは非常に重要な局面でございますので、継続した遺骨収集事業をよろしくお願い申し上げます。

 その日米関係でございますけれども、日米の防衛関係につきましては、日米ガイドラインが前回の見直しから十七年を経過しておりまして、今の時代にふさわしいものを取りまとめる必要があるというふうに私は考えております。

 このガイドラインの見直しにつきまして、既にもう精力的に作業を続けられていただいていると思いますが、現在の進捗状況と合意への見通しについて御説明をお願いします。防衛大臣、お願いします。

中谷国務大臣 日米ガイドラインの見直しにつきましては、昨年十二月の2プラス2の共同発表にあるとおり、二〇一三年の十月の2プラス2における共同発表に従いまして、日米間で作業を進め、継続的に進展を見ております。

 現在、ガイドラインの見直しと日本における安全保障法制の整備、この整合性を確保することなどの重要性を再確認した上で、日本における法制の整備の進展を踏まえながら、本年前半の見直し完了に向けて議論をさらに深めているところでございます。

木原(稔)委員 引き続いて、このガイドラインの見直しについて、鋭意進捗を図るようにお願い申し上げておきます。

 続いて、今国会における法案に関連した質問に移らせていただきます。

 防衛装備品の調達の効率化を図るために長期契約の締結を可能とするための法案についてでございますが、中期防において、平成二十六年度から平成三十年度までの計画期間中において、調達改革を通じまして一層の効率化、合理化を徹底した防衛力整備に努め、おおむね七千億円の実質的な財源の確保を図ることとされていることから、この調達改革というものは喫緊の課題であると思っております。

 この法律に基づきまして長期契約を行うことによって、具体的にどのような効率化またはメリットが見込まれるか、御説明をお願いします。

中谷国務大臣 調達改革につきましては、歴代の防衛大臣、副大臣、政務官を中心に、精力的に改革案をまとめ、法律を今回提出させていただきたいところでございますが、これの趣旨は、非常に現下において厳しさを増す財政状況の中で、防衛力の整備を着実に実施していくためには、装備品等の調達コストを縮減するとともに、安定的な調達を行っていくということが不可欠でございます。

 他方、装備品等については、調達のスケールメリットが働きにくく、また、企業としても、高い予見性を持って計画的に事業を進めるということが難しいという特殊性がありまして、今般、法律を整備して長期契約を行うことによりまして、三点メリットがございます。

 第一に、国としては、装備品等の安定的な調達が可能となり、大綱及び中期防に基づく計画的な防衛力が整備できます。第二に、企業としては、中長期的な見通しのもとに、人員や設備の計画的な活用が可能となるとともに、資材や部品をまとめて一括発注することでコストの縮減が可能になります。第三に、さらに企業の予見可能性が高まることで、防衛産業からの撤退防止にも寄与するなど、防衛生産、技術基盤の安定化につながります。

 なお、平成二十七年度の予算案におきましては、新たな法律の成立を前提として、二十機の固定翼哨戒機P1を調達し、約四百十七億円の縮減を見込んでおります。

 防衛省としましては、引き続き、長期契約を含め、各種の取り組みを推進して、調達の効率化を図ってまいりたいと思っております。

木原(稔)委員 ありがとうございます。

 調達の効率化のためには、これまた新設される防衛装備庁の力を非常に発揮しなければいけないというふうに思っていますが、この国会において、防衛装備庁の新設を含む防衛省設置法等の一部改正法案を提出しているわけでございますけれども、防衛生産、技術基盤を維持強化していく観点や、また、新たな防衛装備移転三原則に基づきまして日本製の防衛装備品の海外移転を展開していくとの観点から、この改正は私は極めて重要だと考えております。

 この法案を早期に成立させることが非常に重要になってくるわけでございますが、改めて、防衛装備庁の新設の意義について、防衛大臣の見解をお願いします。

中谷国務大臣 防衛装備庁の新設につきましても、歴代の大臣や副大臣、政務官等を中心に、精力的な御議論を得てまとめていただきました。

 防衛装備品の適切な開発、生産、維持整備、これは我が国の安全保障上極めて重要でありまして、特に四点、第一に、国内における防衛生産、技術基盤の維持強化、第二に、諸外国との防衛装備、技術協力の強化、第三に、厳しさを増す安全保障環境を踏まえた技術的優位の確保、第四に、防衛装備品のハイテク化、複雑化等を踏まえた調達改革等が重要な課題となっておりました。

 防衛装備庁は、装備品の構想段階から研究開発、取得、維持整備といったライフサイクルを通じた一元的かつ一貫した管理を行いまして、このような課題に効果的、効率的に対応するために、防衛省内の装備取得に関連する部門、これは、内部部局、陸海空幕僚監部、技術研究本部、装備施設本部、これらを統合集約し、設置することとしております。

 以上です。

木原(稔)委員 防衛装備庁の新設についても、先ほど大臣がおっしゃられたスケールメリットについての三つの利点、これを実現するためにも法案の早期成立と防衛装備庁の早期新設というものを求めていきたいというふうに思っております。

 それから、続きまして、人材確保についてでございます。

 防衛省の内部機関として、国防を担う優秀な人材を確保するための検討委員会というものがあると存じますが、昨年は、私が委員長として、航空自衛官パイロットの割愛であるとか、また建設関係への再就職先の拡大であるとか、また予備自衛官のあり方の検討などを積極的に推進してきたわけでございますが、まだまだ課題が多いというふうに承知をしております。

 例えば、南西諸島防衛におきまして、仮に自衛隊法の七十六条、防衛出動が発令された際に、現在、国民保護であるとか、また自衛官の派遣などで輸送力というものの強化が求められている中で、民間海上輸送力の活用、これはPFI事業のスキームを活用して取り組みがなされているわけでございますが、実際には、防衛出動の際には、いわゆる一項地域には民間人は入ることができないわけですね。ですから、船の船長初め船員、民間人であればこれは実際に現場には立ち入ることができず、このPFIのスキームが絵に描いた餅に終わってしまう可能性があるんです。そうならないためには、やはり船員を予備自衛官として兼務させる必要がある、そういう課題もあるかと思います。

 そういうことも含めまして、この国防を担う優秀な人材を確保する検討委員会、今後とも積極的に活性化させて議論をしていただく必要があり、また、採用と再就職を一体的に検討していく必要がある、それに予備自衛官の増強を図っていく必要もある、そういうふうに思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

中谷国務大臣 優秀な人材を確保するために、平成二十五年三月に、国防を担う優秀な人材を確保するための検討委員会を設置されました。木原委員が同委員会の委員長であった同年の十一月以降、建設業界への再就職に係る自粛措置の見直し、自衛隊パイロットの民間航空会社への割愛の再開など、人材確保に有意義な施策の具体化が書かれましたことに対して、感謝と御礼を申し上げます。

 また、海上輸送力における予備自衛官の活用については、本検討委員会での検討を踏まえまして、海上自衛隊において新たに予備自衛官補制度を導入するとしているところでございます。

 今後とも、施策の進捗等を見据えて本検討委員会を開催し、自衛隊に優秀な人材を確保するため、各種施策を推進してまいりたいと考えております。

木原(稔)委員 引き続いて優秀な人材確保に対する方策を進めていただくようにお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、両大臣の大臣所信に対しまして、短時間でございますけれども、質疑をさせていただく時間をいただきまして、防衛大臣、外務大臣を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 早速質問に入らせていただきたいと思うんです。

 まずは外務大臣にお尋ねしたいと思うんですが、先週末に、三年ぶりにソウルで日中韓の外相会議というものが開かれまして、最終的に、共同文書の中でも、三カ国にとって最も早期で都合のよい時期に三カ国首脳の会談を開催すべく引き続き努力していく、こういう合意もされたわけでございます。

 三カ国の外相会談自体も三年間という長い空白に終止符が打たれて開催されたことに対しては非常に評価をしたいと思いますし、さらには、引き続き努力という形ではありますけれども、首脳会談に向けて前向きな合意が生まれたということは、対話の第一歩として非常に前進したのではないか、そのように評価しておりますし、この流れを着実なものにして、ぜひ日中韓の三カ国首脳会談の実現にこぎつけていただきたいな、そのように期待するものでございます。

 ただ、今後、日中韓の首脳会談の開催に向けましては、報道ベースで見ている限りでも、中韓二カ国は歴史問題に重点を置いておりまして、特にその中でも中国は、あからさまに、日中外相会談でも、会談の約半分以上は歴史問題について時間を費やしたというようにも報道されております。特に、共同記者会見のときにも、中国の王毅部長というのは、歴史問題は過去形ではない、現在進行形だ、そういうふうに牽制しているわけですね。

 それを見たときに、岸田外務大臣を初め日本政府としては、未来志向による連携強化、そういうものを唱えているにもかかわらず、中国また韓国というのは歴史問題にこだわって日本政府を牽制する、そういう構図が一つ見えたのかなというように見えるんですが、今後、日本政府として、歴史問題にこだわる中韓両国にどのように対応されて日中韓首脳会談の早期実現にこぎつけようと、実現しようというお考えなのか、まず岸田外務大臣にお尋ねをしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、歴史認識につきましては、安倍内閣として、従来からたびたび申し上げておりますように、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、これは今後ともしっかりと引き継いでいきたいと考えています。そして、今回の日中韓外相会談におきましても、同時に行われました日中外相会談、あるいは日韓外相会談、こういった際に、我が国の歴史認識に対する考え方、これはさまざまな機会を捉えて説明をさせていただきました。

 そして、そういったやりとりを経た上で、今回、三カ国の外相会談において共同文書をまとめることができ、そして、この共同文書の中に、三カ国の間で日中韓サミットを最も早期で都合のよい時期に開催すること、これを明記することができました。

 我が国としましては、ことし、戦後七十年という大きな節目の年に当たりまして、国際社会に対して、さきの大戦の反省に基づいて、戦後七十年間、我が国は、自由、民主主義、法の支配等、基本的な価値観を大事にしながら平和国家として歩んできたこと、そして、この平和国家としての歩みはこれからも変わらないということ、こうした姿勢でしっかりと国際社会に貢献していきたいということ、こういったことをしっかりと伝えていかなければならないと考えています。

 その中にあって、今回、日中韓の対話のプロセス、三年間滞っていたプロセスが再開したこと、これは歓迎すべきことであり、ぜひ日中韓サミットの実現に向けて引き続き努力をしていきたいと考えております。

佐藤(茂)委員 それで、もう一点。ことしは、戦後七十年であるとともに、近隣との関係でいいますと、日韓国交正常化五十周年の節目を迎えるわけですね。

 今回の三カ国の外相会議の合間で行われました日韓の外相会談の内容について、私がいただいた外務省の概要資料では、どうも、安倍総理と朴槿恵大統領との首脳会談について、両外相間でどこまで話題になったのかちょっとよくわからない内容になっておりました。

 日韓外相会談でこの日韓首脳会談の実現のことについて話題にされたのかどうか、されたのならどういう内容のやりとりをされたのか、ぜひ外務大臣の方から御答弁いただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、今回の日韓外相会談においては、それぞれの関心事項について率直なやりとりを行うことができました。そして、引き続きさまざまなレベルで意思疎通を積み重ねていく、これを確認いたしました。その中で、韓国の尹炳世長官の訪日を私の方から招聘させていただきまして、適切な時期に訪日をすること、ここにおいても一致をいたしました。

 そして、御質問の首脳会談についてですが、具体的なやりとりは控えなければなりませんが、現時点で具体的なものは決まっていないものの、適切な環境のもとで早期に開催できるよう努力を続けるという点については日韓間で認識が共有されたと考えております。

 韓国、最も大切な隣国であります。難しい問題はありますが、ぜひ、首脳間も含めてさまざまなレベルにおいて、条件をつけずに率直に話し合うべきであると考えております。引き続き、我が国にとって対話のドアは常にオープンであるという姿勢を大事にしながら、日韓国交正常化五十年という大きな節目に当たりまして、さまざまな努力を行い、重層的で未来志向の日韓関係を築くべく、粘り強く努力をしていきたいと考えています。

佐藤(茂)委員 次に、防衛大臣にお伺いをしたいんですが、日中の防衛当局間の海空連絡メカニズムの調整状況についてお聞きしたいんです。

 三月十三日の当委員会の大臣所信の中で防衛大臣が述べられたのは、「中国とは、防衛当局間の海空連絡メカニズムの早期運用開始に向けて本年一月に事務レベルでの協議を行ったところであり、引き続き調整を進める考えです。」と述べられております。

 日中韓の外相会談の二日前に、三月十九日に、日中の外務、防衛当局幹部による日中安保対話が四年ぶりに東京で開かれました。外務当局間の対話が動き出したということは、私は、関係改善の一つの象徴であって、日中間の相互信頼向上につながるものと評価したいと思います。その中で、特に、自衛隊と中国軍による不測の事態を回避するこの海空連絡メカニズムの早期運用開始に向けまして調整作業を加速する方針で一致したと報道されているわけでございます。

 この海空連絡メカニズムは、まさに日中間の信頼関係を立て直す象徴的な課題だ、そのように私は考えております。

 幾つかの報道によると、現在、防衛当局間の通信手法であるとか、使用する周波数の設定であるとか、あるいはホットラインを設ける組織や幹部のクラスなどを詰めているとも言われているんですが、ことし一月に事務レベルの実務者協議を行った後、もう約三カ月たとうとしているわけですね。

 現在、どういう調整作業を当局間で行っておられるのか、また、次回の協議の日程であるとか、運用開始時期のめどはどのようになっているのか、ぜひ防衛大臣の方から御答弁をいただければありがたいと思います。

中谷国務大臣 本年一月十二日に、中国側と同メカニズムに関する第四回の共同作業グループの協議を東京で開催し、双方でこの協議を踏まえて所要の調整をした上で、本メカニズムの早期運用開始に努めることに合意をいたしました。

 この後、三月十九日に外務省で開催された十三回日中安保対話では、両国の安全保障、防衛政策、日中安全保障協力及び日中防衛交流並びに国際社会と地域の安全保障情勢等について幅広く率直に意見交換が行われまして、この中で、この海空連絡メカニズムの早期運用開始に努めることを改めて確認をいたしました。この日中安保対話の後に行われました防衛当局間の意見交換においても、中国側から本メカニズムを真剣に検討している旨の積極的な姿勢がうかがえました。

 現時点におきまして、協議にかかる具体的な時期等については決まっておりませんが、実務的な調整を加速して、本メカニズムの早期運用開始ができるように努力をしてまいります。

佐藤(茂)委員 その上で、外務大臣、簡単で結構なんですが、三月二十一日の日中外相会談でも、岸田外務大臣の方からこの海空連絡メカニズムの運用開始のことを述べられたと伺っているんですが、この件について中国側とどのような意見交換をされたのか、外務大臣の方から御答弁いただければありがたいと思います。

岸田国務大臣 二十一日に行われました日中外相会談におきましても、私の方から王毅外交部長に対しまして、日中双方が関係改善の機運を高めようとする中で、東シナ海ではそれに反する動きが依然として見られるとして、中国側の一連の動きに対する懸念を表明しました。そうした表明とあわせて、海空連絡メカニズムの運用開始を早期に実現したい、こうした発言をさせていただきました。

 中国側の発言等について、詳細は控えますが、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの早期運用開始が望ましいという点につきましては、中国側も基本的に同じ立場であると認識をしております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、この海空連絡メカニズムは、先ほど申し上げましたけれども、日中間の信頼回復の象徴的な課題でございますので、引き続き努力をいただきたいと思うわけでございます。

 最後にもう一つ。防衛駐在官の増員と未派遣地域への新規派遣につきまして防衛大臣にお伺いしたいんです。

 平成二十五年一月、今から二年ちょっと前ですが、アルジェリア邦人拘束事件が起きまして、そのときに、その事件を受けまして、与党で在外邦人の安全確保に関するプロジェクトチームが立ち上がりました。現中谷防衛大臣が座長、不肖私が座長代理として、三月八日にプロジェクトチーム報告を取りまとめて、当時二人で安倍総理のところに報告を持っていったわけでございます。

 内容は、在外邦人の保護に関して陸上輸送を認める自衛隊法改正というのが、マスコミが大分そのとき光を当てたんですが、それだけではなくて、幅広い分野について政府の行うべきことを要望事項として取りまとめました。

 その中で、「情報収集・分析のための更なる人的基盤の強化」という項目で、「防衛駐在官の未派遣地域への新規派遣」というものをそのときに既に挙げておりまして、「防衛駐在官未派遣地域への新規派遣・兼轄、同地域に影響力を有する国への増員や支援体制、それらの連携を強化するとともに軍事情報分析能力を拡充する。 また、一人一人の防衛駐在官の情報収集・分析や交渉の能力を向上させるため、研修の充実・強化を行う。」そういう内容のことを要望していたわけでございます。

 当時、アフリカにおいて防衛駐在官が配置されていたのはエジプトとスーダンだけでございました。アルジェリアには配置されていなかったわけでございます。その後、さまざまにお聞きしますと、平成二十六年に防衛駐在官が相当増員されて、アフリカの方では、今、アルジェリア、エチオピア、ケニア、ジブチ、ナイジェリア、モロッコ、南アフリカと、非常にふえているわけです。しかしながら、世界全体で見ると、アフリカ、中東、中南米、あるいは旧CIS、あるいは東欧というところにはまだまだ手薄である、そういう実態があるんですね。今、四十大使館、二代表部に五十八名の防衛駐在官が派遣されていると伺っております。

 今、この安全保障委員会に至るまで、ISILの件を受けて、防衛駐在官は政府としてふやすんだ、そういうふうに答弁も何回もされておりますが、二年前に与党PTで取りまとめた提言も踏まえて、今後、防衛駐在官をどのような方針、考え方のもとに新規にふやし、また派遣されていくつもりなのか、防衛大臣の見解を伺っておきたいと思います。

中谷国務大臣 こういった邦人保護等につきましての提言は、佐藤委員と一緒に取りまとめをさせていただきました。

 お尋ねの防衛駐在官の新規派遣等につきましては、現在検討を行っているところでございますが、厳しい定員の事情、また適切な人材の計画的確保に伴う制約等も踏まえつつ、駐在国の情勢が我が国の安全や自衛隊の運用に及ぼす影響、駐在国と我が国の防衛協力の進展、テロ対策、邦人保護のための情報収集の必要性を総合的に勘案して決定をしてまいりたいと思っております。

 特に、防衛省におきましては、防衛本省に、防衛駐在官との緊密な連携、連絡を担当する調査研究室を新設いたしました。そして、情報収集、分析能力強化のために、アラビア語やヒンディー語といった特殊言語も含めた語学研修の充実、情報本部における情報実務研修の拡充及び装備協力の深化や対外情報発信の重要性等を踏まえた部外の有識者からの講義を実施いたしました。

 また、赴任国での防衛駐在官業務や地域情勢等を的確に把握させるため、赴任前の任国への出張を実施等の施策を進めておりまして、今後引き続き、防衛駐在官による情報収集の円滑化のための研修の充実強化、支援体制の充実も含めた諸施策を実施していく考えでございます。

北村委員長 時間が来ておりますから、よろしく。

佐藤(茂)委員 はい、済みません、もう終わりますが、軍事情報というのは、やはり防衛駐在官でないとなかなか各国の軍事情報を得られない、そういう事情のある国もあるわけでございますので、ぜひ、そういうことも踏まえて、政府として戦略的に防衛駐在官の配置と活用をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時三十七分開議

北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。大臣各位におかれましては、各委員会でいろいろと御指導いただき、感謝を申し上げます。また、中谷大臣は同じ四国でございまして、御活躍ぶりを大変頼もしく拝見いたしております。

 まず、大串委員の朝の御指摘にできるだけ重ならないように、質問が重ならないように気をつけながらお尋ねしたいと思いますが、テロ事件についてであります。

 岸田外務大臣は既に、たび重なる事態を受けまして、三月からさまざまな検討を行っておられるということのようであります。ちょっと参議院の審議によって質問時間も短縮されておりますので、足早に参りたいと思いますが、一点だけ。

 事件後、メールによってチュニジアの在留邦人に対して注意喚起、安否確認の連絡をしたということを、三月二十三日、昨日の十四時付の外務省のペーパーの中にそういう記述があります。

 これは、いろいろ検討されている中の一つとして、メールによる連絡体制ということもおっしゃっているわけですが、この実効性に関連してお尋ねしても、事務的にお尋ねしても、なかなか明確な回答が返ってこない。

 そこでお尋ねします。

 チュニジアには在留邦人は何名いるんですか。そのうち、何人に一斉メールは届いたんですか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 チュニジアにおきます邦人数でございますが、届け出ベースで百六十六名でございます。このうち、一斉メールで連絡がつきましたのが約百件ということでございまして、これは御家族を含めますともう少し数は多いと思われますが、チュニジアに在留している方々の安否確認はほぼ行えたと思っております。

小川委員 ほぼ行えたとまで評価できるかどうかはちょっと、よく検証していただく必要があるでしょうね。

 それから、メールアドレスを登録しないと連絡できないんでしょう。そういうことも含めて、岸田大臣、今ショートメールによる連絡手段も御検討中だとお聞きをしております。これはどうも北米とかそういうところが先行しているようでありますが、こういう、大変、注意喚起をさらに要するような地域についても速やかにお進めいただく必要があると思いますが、その点、御答弁いただきたいと思います。

岸田国務大臣 先ほどの局長からの答弁で、在留届を出されている方に対しての対応を答弁させていただきましたが、それ以外に、短期滞在者に対しましてはたびレジという制度があります。これを活用しながら発信をさせていただきました。そして、たびレジ登録に基づいて邦人の安否確認も行った次第であります。

 それに加えて、今回、検討チームにおきまして、ショートメールシステムを活用した一斉メール発信制度を導入することを決定し、今御指摘にありましたように、北米そしてアジア、こういった地域に先行してその制度を導入させていただいている、こういった状況であります。

 この制度につきましても、おっしゃるように、アフリカ初め、地域を拡大し、徹底するよう努力したいと考えています。

小川委員 この場ですから、改めて、この間の経過も含めて、少し指摘しておきたいと思います。

 百名という人数を確認できたのは、この答弁には間に合ったということですね。私は、けさの段階で、ゆうべから、ここに記述があるこれは何人に送れたのかという事実関係を聞いたときに、把握できない、現地の大使館に聞かないとわからない、その時点ではそういう答弁だったんですよ、けさにかけて。

 ということは、きのうの段階で、こういうメールを送りましたということをあえてこの対応ペーパーに大きく記述しながらも、その実効性については、管理が不十分だ、確認が不十分だと言わざるを得ないと私は思います。

 そういうことも含めて、ISの台頭以降、大臣も御認識だと思いますが、基本的に、いつどこで何があってもおかしくないという認識が必要ですよね。状況は変わった、時代は変わったという認識が私は必要だと思います。

 大串委員の朝の指摘にもありましたが、中東、北アフリカの危険情報をざっと、ちょっと遠目にごらんいただきますと、ほとんどが赤、黄色であります。それで、朝の指摘にもありましたが、チュニジアは比較的安定していると思われていたために黄色だった。しかし、まさにそういう地域も含めてテロリストには狙われるということからしますと、ちょっと具体的に指摘するのはどうかと思いますが、モロッコとか、今黄色ですよ。そういう地域についても、決して安全と言い切れる状況にはひょっとしたらないかもしれません。

 テロリストは今後何を考えてくるかということまで考えますと、この人質事件後も、例えばNSCでこういう対応について議論したとかいう経過は、確認したところ、どうもないようでありますし、そういう意味では、日本政府の緊要度、緊迫度が十分とはまだまだ言えないのではないかという感触を受けます。その点を指摘しておきたいと思います。

 それから、二点目は沖縄であります。

 午前中の質疑と重ならないように気をつけながらではありますが、中谷大臣、きのうの沖縄県知事の姿勢に対して政府側の反応がちょっと、言葉遣いを含めてでありますが、私は、注意を要するのではないかという観点から。

 日本は法治国家であるというふうに官房長官は答弁されている。そして、この期に及んでという言い方までされている。この期に及んでという言い方は大臣御自身もされたやに報道されております。

 確認ですが、今回の沖縄県知事の指示は、従う、従わないは別として、法律にのっとったものであり、また政府との間で交わされた許可申請書にのっとったものであり、決して違法なものではないと私は思いますが、その点、ちょっと確認させてください。

中谷国務大臣 これは行政手続上の問題でありますので、当然、法律、規則に基づいて行われるべきだと思います。

 沖縄の、移設の事業につきましては、ボーリング調査を含めまして、岩礁破砕に係る手続については、沖縄県知事が定める漁業調整規則を踏まえて、県と十分な調整を行ってまいりました。

 これにつきまして、御説明しておりますけれども、アンカーを含むブイの設置に係る手続の必要性について確認したところ、同県から、他の事例を踏まえれば、ブイの設置は手続の対象にならない旨が事前に言われ、そして、海上ボーリングの調査に必要な岩礁破砕等に関する協議も行いながら、同県から、当該調査に係る許可の申請は不要であるという旨の回答も得ておりまして、工事の実施につきましては十分環境にも配慮しながら行ってまいっておりますので、これについて、文書によってこのようなことが伝わったということについては、私も遺憾だというふうに思っております。

小川委員 大臣、遺憾は遺憾で結構です。

 お尋ねしているのは、違法な指示ではないんですねということを聞いています。違法ではありませんね。

中谷国務大臣 漁業規則等にはそういった記述はあるということは承知をいたしておりますが、それには当たらないと認識しております。

小川委員 いや、ちょっと言葉が過ぎると思うんですよ。日本は法治国家であるとか、この期に及んでとか。

 それで、昨年八月の仲井真知事からの許可書によれば、九つ条件がつけられています。大臣御案内のとおりだと思います。公益上の理由により別途指示をした場合は、その指示に従ってくれと。これは、防衛省、防衛大臣として、宛先は沖縄防衛局になっていますが、承諾したということでいいわけでしょう。

中島政府参考人 今、委員の方から許可書についての御質問がありましたので、若干事務的なことがあろうかと思いますので、私の方からまずお話し申し上げます。

 確かに、六項めにおきまして、「漁業調整その他公益上の事由等により別途指示をする場合は、その指示に従うこと。」という項目があることは事実でございます。

 他方、今回の指示文書につきましては、先ほど大臣の方から申し上げましたとおり、我が方といたしましては、アンカーの設置それからボーリング調査につきまして、適切に県側と調整を重ねてきたということでございまして、現在、この指示文書なるものにつきまして確認及び精査をしているという状況でございまして、その後、適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。

小川委員 入っているんですよ、別途指示があった場合にはそれに従うことという条項、条件が。

 そして、公益上の事由があるかどうかでありますが、今回、直接議論の対象になっています岩礁破砕に関する協議書によれば、確かに、わざわざ許可を求めなくて結構ですと、沖縄県知事側から、これも沖縄防衛局長宛ての文書でそのように明示されています。

 報道などで伺うところによれば、恐らく事務的なやりとりはいろいろあったんでしょう、県当局と沖縄防衛局との間で。しかし、交わされた公式文書によれば、この岩礁破砕に関しては作業内容が特定されています。何をもって許可の対象としない、許可が不要だと判断したかの根拠となる作業内容が特定されています。

 そこにはこう書かれています。二十一カ所の地点において、単管足場九カ所を設置する。加えて、スパッド台船、私も建設、建築に関して専門ではありませんので、ちょっと簡単に事実確認しましたが、要するに、足場を設置し、そして、ボーリングに資するんだと思いますが、台船を設置する。合計二十一カ所であるということが合意されているようであります。

 しかし、今回、沖縄県側の指摘は、巨大なコンクリートブロックを投下し、許可外の地域において、サンゴ礁の破砕を含めてさまざまな影響があるのではないか、その事実確認をさせてくれということを主張しているわけであります。これは大いに一定の理があると思いますが、大臣、御答弁いただきたいと思います。

中谷国務大臣 このアンカーの設置につきましては、昨年六月からサンゴ類の分布状況の調査を行っておりまして、被度五%以上のサンゴの分布域、また直径が一メートルを超える大型サンゴを回避した位置にアンカーを設置して実施をいたしております。この場合に、公益上の理由ということについては、我々としては十分配慮の上、作業を行っているところでありますし、県内の他の事業と比較して、何をもって公益上の理由を害しているのか不明でございます。

 また、そもそもボーリング調査は、当該許可とは別の手続によって、許可不要行為であることを確認した上で実施しておりますので、この停止の指示が及ぶものではないと考えておりますが、海上ボーリング調査等は粛々と進めてまいる所存でございます。

小川委員 きょうは質問時間がちょっと限られましたので。

 私は、実は二十年前に自治省に入りました。そして、希望いたしまして沖縄県庁に赴任をし、二年間県庁勤務をしながら、沖縄で社会人としての第一歩を切らせていただきました。

 やはりいろいろなことを感じたわけですが、折しも、九四年、九五年、おりました期間中に、小学生の女の子が暴行されるという事件が起き、その後、県民集会、そしてその流れの中でこの普天間の返還問題、当時の橋本総理それから梶山官房長官、私は県庁内でも末端の最前線の職員にすぎませんでしたから、いかに県当局と政府高官との間でハイレベルな協議、対話が行われているかは、つぶさにうかがい知ることはできませんでした。しかし、それにしても、政府の責任ある立場の方々が非常に意を用いて沖縄県側との対話、コミュニケーションに努めていることは容易に推察できる状況が当時の県庁内にもありました。

 加えて、大臣も自衛官の御出身でありますので、軍事的な歴史を含めてよくよく見識の高い方だと思いますけれども、言うまでもなく大変な地上戦にまみれ、三人に一人、四人に一人とも言われる方々が亡くなった地域であり、なおかつ、もっとたどれば、琉球王国としての大変誇り高い歴史を有する地域でございます。

 私は、あの地域で社会人としての第一歩を踏み出させていただいたということは、その後の私自身の公務員として、あるいは政治家としての務めに当たって多大な影響を、感受性、価値観に与えているということを自覚しております。

 そこで、幾つかの場面で主張も申し上げましたが、やはり昨年の総選挙の前後を挟んで、あるいは十一月の沖縄知事選の前後を挟んで、極めて現内閣の姿勢が豹変をし、そして現翁長知事を初めとした県当局に対しても極めて冷たい、仕打ちともとれるような対処をしてきた。そのことが今回もこれは色濃く影響しているのではありませんか。法的なことも大いに議論する必要があるでしょう。しかし、それにまさるとも劣らず、政治的な姿勢や、あるいは水面下のやりとりを含めた、利害が対立するとはいえ、一定求められる信頼関係に対する努力といいますか、それが不十分ではないかと私は感じます。

 防衛大臣も、外務大臣も、あの事件以降、九五年の事件以降、沖縄大使まで置かれているはずですよね、外務省におかれましては。であるならば、例えば今回のような事態も、場合によっては事前に相談があるとか報告があるとかいうことも私はあってしかるべきだと思います、通常の県と国との関係でいえば。仮に利害が対立するにしても。ですから、お尋ねするとすれば、今回の事案は、どの時点で沖縄県知事の指示を両大臣はお知りになったか。

 そして、その時期によっては、私は、申し上げたような、コミュニケーション、実質的な対話のチャンネル含めて、極めて不足しているということを指摘せざるを得ませんし、その背景には、政府がこれまでとってきた、知事とも会わない、交付金も削減するというような一連の事態が色濃く影響している。まず、法的な問題も大事ですが、この政治的なねじれなりコミュニケーションが機能不全に陥っていることについて善処する努力が大いに必要だと思います。

 その二点、御答弁いただきたいと思います。

北村委員長 二人の大臣にお尋ねですね。(小川委員「はい」と呼ぶ)

 それでは、中谷防衛大臣。

中谷国務大臣 私が承知をいたしましたのは、昨日二時半に知事が会見をいたしまして、その後の三時ごろでございます。

 私の思いにつきましては、もう十八年もかけて普天間の基地の危険性の除去ということで国と沖縄県と話し合いをしてまいりまして、やはりこの移設、いろいろな紆余曲折はありましたけれども、もう辺野古に移設をするというのが唯一の手段でありまして、私の気持ちとしましては、一日も早く普天間の危険性を除去しなければならない。

 そして、防衛省の職員も、時間をかけて丁寧に県サイドに埋立申請の手続を進めてまいりました。埋め立ての許可をいただく前に六回、沖縄県から事実の確認や、沖縄県の指摘事項などを踏まえまして、その都度、図面を変更し、許可をいただいて、行政的にはそれで埋め立ての許可をいただいたというふうに認識をいたしております。

 そういう意味におきまして、やはり何とか普天間の基地の危険性を一刻も早く除去しなければならない、そういう思いで今事業を進めているということでございます。

北村委員長 岸田外務大臣、残余の時間が少ないので簡潔に。

岸田国務大臣 こうした政治的にも重要な課題に当たっては、やはり関係者がそれぞれ意思疎通を図り、信頼関係を大切にしていかなければならない、これはもう当然の御指摘だと思っております。

 相手のあることではありますが、やはり、政府としましても、人間関係あるいは信頼関係、こうしたものを大事にしながら、丁寧に説明責任を果たしていく、こういった姿勢につきましてはこれからも大事にしていきたいと存じます。

 そして、今回の文書についていつ知ったかという御質問につきましては、昨日ですか、あの知事の記者会見が行われたということを、事務的に報告を受けて知った次第であります。

小川委員 事柄の性質上、そういうこともあり得べしとはいえ、やはり、両大臣がこの重大な知事の決定を記者会見後にお知りになるということ自体が大変コミュニケーションのチャンネルが傷んでいるということの象徴であるということはあえて指摘をしたいと思います。

 そして、まさに中谷大臣が今おっしゃった、十八年かけてやってきたんだという言葉の中に、そろそろもういいんじゃないかというニュアンスを感じとりました。そこがまさに、沖縄から見た風景と政府の側から見た風景とで大きな乖離があるんだろうなということを想像いたします。

 いずれにしても、官房長官の会見含めて、極めて、この問題はもう終わったことだというふうに、意識的にだと思いますが、位置づけようとする発言とか姿勢を感じるわけですが、やはり、七四%の基地を負担してもらっているということは厳然たる事実ですよね。そして、沖縄で暮らされている方々にはいろいろな思いがある。そのことに寄り添って、悩みを共有してという配慮は、私は、感情的な問題とかというよりも、日本の防衛政策にとって極めて重要な一つの要素だと思います。

 そのことを改めて指摘し、残念ですが、文官優位規定、また集団的自衛権の三要件については次回の機会に質問申し上げることを念のため申し上げまして、ひとまずきょうは終わらせていただきます。ありがとうございました。

北村委員長 これにて小川淳也君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十六日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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