衆議院

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第10号 平成27年5月14日(木曜日)

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平成二十七年五月十四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北村 誠吾君

   理事 小野寺五典君 理事 門山 宏哲君

   理事 金子万寿夫君 理事 新藤 義孝君

   理事 武田 良太君 理事 大串 博志君

   理事 下地 幹郎君 理事 佐藤 茂樹君

      今津  寛君    江渡 聡徳君

      小田原 潔君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    木原 誠二君

      木原  稔君    熊田 裕通君

      笹川 博義君    中谷 真一君

      野中  厚君    浜田 靖一君

      原田 憲治君    宮崎 政久君

      武藤 貴也君    小川 淳也君

      玉木雄一郎君    津村 啓介君

      柿沢 未途君    吉村 洋文君

      伊佐 進一君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   防衛大臣         中谷  元君

   外務副大臣        中山 泰秀君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山本 条太君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  今津  寛君     宮崎 政久君

  江渡 聡徳君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     江渡 聡徳君

  宮崎 政久君     今津  寛君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君、内閣官房内閣審議官山本条太君、外務省北米局長冨田浩司君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。下地幹郎君。

下地委員 この防衛省設置法等の一部を改正する法律案、十分な審議をして、きょう採決をすることになっております。私ども維新の会は原案に賛成ということで、この審議で賛成させていただくことになっていますので、よろしくお願いします。

 ただ、この法案は、多くの課題がいっぱいあって、私はできるだけ、こういうふうな、防衛省の設置法案については、全会一致とまでいかなくても、まあ、いくわけないですけれども、民主党もぜひ賛成してやっていただくような仕組みがあればなと思うんですよ。そういう意味では、この八つぐらいの項目の中を少し分けたりすると合意できるところがいっぱいあったので、そういう分け方をしながら、できるだけ安全保障にかかわるものについては与党第一党と野党第一党が賛成をしていく数をふやしていくという仕組みを、法案を提出するときからやはり考えていただくというようなことが大事かなと思うんです。

 きょう、民主党が反対と言ってやるんですけれども、では全部が反対なのかといったら、私は違うと思うんですよね。そういうふうな出し方を大臣が工夫しながら、前もって、法案を出すときに、こういうところは合意できるのはこれでやって、みんな合意してと、反対をできるだけ減らしていくというのが、私はこの安全保障に対する委員会の大きな役割じゃないかなというふうに感じております。

 そういう意味でも、そういうふうな出し方をこれからも心がけていただければ多くの同意者が生まれるのではないかというふうに思っていますけれども、そのことについて、質問にはありませんけれども、まず大臣のお考えをお願いします。

中谷国務大臣 御指摘のように、安全保障というのは、ただ単に与党のみならず、野党も含めて、国の防衛、安全保障にかかわりますので、御賛同をいただきながら法律を制定すべきでございますので、平素から議論を重ねながら、また、一致点を見出しながらやってまいりたいと思います。

 この防衛省改革というのは、もう二十年来の、防衛省が庁の時代からの懸案でございまして、民主党が政権のときも防衛省改革ということで進めておられましたが、今回、法案という形でここに出させていただきまして、多くの論点で御議論をいただいたということは、感謝と御礼を申し上げたいと思います。

 下地委員の御指摘、非常に大事な御指摘がございますので、今後、反映させてまいりたいと思っております。

下地委員 民主党時代に島嶼防衛という言葉も入れてスタートすることにもなったし、武器三原則の、輸出についてもスタートすることになったしというような経緯もありますから、そういうことを一つ一つ調整しながら、できるだけ多くの賛同を得るというような法律をぜひつくっていただきたい。

 また、安保法制度の論議がこれからスタートしますので、大臣が答弁者でありますから、そういう意味でも、この設置法は安保法制度につながるようなものになってくるというふうに思っておりますので、また、それがひいては憲法改正というようなものにもつながってくるという一連の流れがあるというふうに私どもは認識していますから、しっかりとそのことを踏まえた対応を役所としてやっていただきたいというふうに思っています。

 質問主意書にないんですけれども、大阪都構想をどうお考えですかね、大阪都構想。地方分権というものについて、ちょっと大臣のお考えを聞いてみたいなと思うんですけれども。

中谷国務大臣 国の政治もありますが、地方は地方の政治がございますので、地方のことは基本的には地方の住民の皆さんが決められることであるというふうに思っております。

下地委員 すばらしいお答えですね。

 私ども、大阪都構想というのに今全力を挙げてやっておりますけれども、地方が自分で決められるような時代、そして安全保障は国の骨格としてみんなで決めていくというような仕組みがいいのではないかというようなこと、今、地方と言って、安保法制度の話じゃないよと言うかもしれませんけれども、そうじゃなくて、やはり分かれてくると思うんですね。地方ができるものは地方で、外交とか安全保障は国がしっかり守っていく、こういうふうにこれからもしっかりと方向性ができてくれればなというふうに思っていますけれども。与党からやじが出るというのをわかりながら御質問させていただいておりますから、またよろしくお願いしたいというふうに思います。

 では、法案の内容に入っていきたいんですけれども、この法案で装備庁ができるわけです。きょうの附帯決議に基づいた質問をさせていただきますけれども、装備庁ができていく中で、大事なことは、透明性とか、そしてもう一つはコストコントロールがちゃんとできるかとかいうことが非常に大事なことになってくるというふうに思っています。

 装備庁ができて、また不祥事が起きるとまた安全保障に対する国民の信頼というのが非常に厳しくなってくるというようなこともありますし、今回、安保法制度なんかで出てくる法案の内容を新聞などで見てみますと、武器の提供であったり相互関係というようなこと、アメリカ以外の国との連携も強化しなければいけないというようなことも書いてありますけれども、そういう強化の対象になるのは、やはり相互依存ができている国との共存になってくるわけです。

 そういう意味では、装備庁の方向性、装備庁のあり方みたいなものが国際環境の中でも物すごく大事になってくるのかなというふうに思っておりまして、私からすると、この時点で装備庁をつくるというのは時宜を得たお考えだなというふうに思っているわけであります。

 しかし、防衛省の中においてもこれまでいろいろな不祥事が起こってきたことだけは歴史的に間違いないわけですから、そういうことが起こらないような、今回装備庁ができて、これまで以上に信頼が湧いて、そして、長期契約法も通りましたので、物すごく、コストに関しても充実した、予算の執行においてもちゃんと使えるというようなことをやるために、どういうふうなことを防衛省としてはやっていこうと思っていますか。

 透明性をやるためにはどういう仕組みを大臣はつくってやっていこうと思っているのかとか、コストに対する考え方も、装備庁をつくることでどういうふうに変わっていこうかということを説明することが大事かなと思うんですけれども、まず一点目に、そのことについて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 下地委員の方から、防衛装備庁につきましての意義とか役割、こういった組織の重要性について御理解をいただいたことにつきまして、大変ありがたく思っております。

 しかし、委員の御指摘のとおり、装備庁の新設に当たっては、契約についての公平性とか透明性、こういうものがしっかり保たれているということが大切であると考えておりまして、このため、過去の不祥事を踏まえた再発防止を引き続き厳格に実施するということに加えて、防衛装備庁内における監察監査部門によって内部監視機能の強化を図るということ、そして、教育部門の充実によりまして職員の法令遵守徹底を図っていくということ、そして、あわせて、防衛大臣直轄でありますけれども、防衛監察本部を増員させまして、外部からの監査機能をより強化していくといった措置によりまして、契約の公正、透明性、これの一層の確保に努めてまいりたいと考えております。

下地委員 今回、オスプレイを十五機ですか、購入する、新聞紙上によると、これだけでも三千二百億ぐらいかかるんではないかというような記述がありました。

 安保法制度がもし成立をした後に、これに対応するような防衛省の姿をつくっていくとなると、僕は、予算的にも多くの予算が必要になってくると思うんですよ。これは、あらゆるところに出ていこうとすると、海上自衛隊の配備においても、今の船舶の状況で十分に対応できるんだろうかとか、また、武器の使用についても、そういうようなものが通った場合においては、これがちゃんと、今の装備で大丈夫なのかというようなことが一つ一つ出てくると、今の防衛省が装備にかけている予算以上のものが対応としてはふえてこざるを得ないというふうに私は思うんです。

 これはやはり、現場に行く自衛隊員が安心できるような環境をつくったり、現場に行く自衛隊員がやりやすいようなことになってくると、装備の充実というのは、これはもう絶対的に必要なものになってくるわけなんですね。

 そういうふうな意味においても、今大臣が申し上げたような透明性、公平性をしっかりやりながら装備の充実を図っていくというようなことが非常に大事なことでありますので、この充実を図るときに、ちょっとした不祥事で何もかもが信頼が失われないように、そして、もうそのことが起こったことで何か、装備の充実が図れなくて、現場で頑張る自衛隊員がちゅうちょすることのないような体制を、ある意味、省内で組織をきっちりとつくっておくことで、こういうことが絶対に起こらないというような体制をつくることが装備庁にとっては大事ではないかなというふうに思っていますから、そのことをぜひお願いさせていただきたい。

 そして、先ほど教育という言葉を申し上げましたけれども、この教育についてもう一言だけ、大臣が、具体的にわかりやすい、国民に説明しやすい、モラルをしっかりしていくために教育はこうするんだよ、こういう感じの、こういうことを新たにやっていこうと思うというのがありましたら、ちょっとお答えいただきたいというふうに思います。

中谷国務大臣 これは、内部の職員もそうですが、防衛産業などの一般の企業の方々についても、コンプライアンスという観点におきまして、企業として取り組んでいただきたいということも含まれております。

 防衛産業というと、非常に特殊な、限られた分野が多いわけでありますので、一般企業も、営利を中心としたところから、やはり特殊な分野ということで、その企業に依存をしなければならない部分が多いということで競争原理が働きにくいところもございますが、そういう中で、公正な契約や事業の研究開発等が行われるようにしなければならないということで、制度的には幾つも設けておりますが、やはりそれを管理運営する経営者また管理者等の役割、そしてそれに従事する従業員の皆さんの意識を高めていくということは何よりも大事でございますので、都度都度に、企業に対してもそういったお願いをしながら、厳正な規律が保たれていくようにしてまいりたいと思っております。

下地委員 二つ目ですけれども、統合運用機能が今回強化されることになりました。統合幕僚監部と内部部局との連携ということが非常に問われるような組織が必要になってくるわけですけれども、内部と統合幕僚監部とのベストミックスみたいな、人事交流みたいな、そういうようなものが非常に必要化されてくると思いますけれども、それに対しての基準みたいな、大臣のお考え、こういうやり方をしていこうというようなことについてのお考えがあったらお願いしたいと思います。

中谷国務大臣 まず、平成二十六年度におきましては、内部部局に自衛官の定員を四十名置くとともに、従前の陸上自衛隊各方面総監部に加えて、海上自衛隊や航空自衛隊の主要部隊にも政策補佐官を置きまして、陸海空の政策補佐官のもとにも所要の文官を配置したところです。また、平成二十七年度においては、内部部局の自衛官の定員は四十八名となるのに加えて、統合幕僚監部に新たに四十名の文官を置きまして、さらに、千四百名の文官と四百名の自衛官から成る防衛装備庁、これを発足させることになります。

 これによりまして、文官たる官房長及び局長並びに防衛装備庁長官と幕僚長、これが車の両輪として大臣補佐を行うということを前提としつつ、文官と自衛官が協働する機会が今後飛躍的に増大をするわけでございまして、一体感を醸成しつつ、お互いの機能がしっかり反映できるように、大臣としても努めてまいりたいと思っております。

下地委員 今回、運用局というのがなくなるわけですけれども、そういうふうな意味では、文官と自衛官の交流が、今大臣がおっしゃったように相当多くなってくるということは非常にいいことだというふうに思っておりますから、これからもこの姿をできるだけ、お互いのベストミックスみたいな形でふやしていって、お互いがお互いをちゃんと、そういうことができるような体制づくりをこれまで以上に進めていただきたいというふうに思っております。

 三点目ですけれども、これは大臣ともう何回も討論しましたけれども、文民統制とか文官統制とかということを何回か、この審議の中で一番大きかったのかなというふうに思っているんですよね。

 そこの部分が、先ほど理事会でもあった、民主党が賛成できなかった部分なのかなというふうに思っておりますけれども、私たちは、この法案十二条の改正によって、文民統制という、大臣がおっしゃることがより強化されるという認識に立って今回賛成するわけなんですよ。だから、この十二条を変えることで文官統制がなくなるとか、文民統制が弱くなるとかでなくて、私たちは、さらにこの文民統制というのが、大臣を中心として議会の役割が大きくなるというような認識で、今回はこの法案に賛成することになっているんです。

 そう私どもが理解していても、国民の間に、戦後七十年というような期間の中で、すとんと落ちないところがまだまだあることだけは確かなんですよね。だから、私たちも、この設置法に賛成して、文民統制というのはこれからもこの法律を通すことで進みますよということを何度も何度も説明しながら、この法律の周知徹底をやっていきたいというような思いであるわけですけれども、大臣の持論の、文官統制がなかったというようなことはもう論議としてはおいておいて、これからの文民統制というものの大きな役割、この法律を改正することで文民統制がより強化されていく、よりよいものになっていくというようなことについてのお考えを絶えず政府の方から発信していくということがこれからの防衛省の役割として大きなものになってくるのではないかなというふうに私は思っているんです。

 また、今月から論議される安保法制度においても、そのことの論議は非常に大事なことだというふうに思っておりまして、そのことを国民に知らしめていくというような機会とか、どういう方法をもってやっていこうとしているのかということを、これは附帯決議にも書かせていただきましたけれども、そのことについての大臣のお考えをお聞かせください。

中谷国務大臣 いずれの国もそうでありますが、国を守るための実力組織を一体誰が責任を持ってコントロールしていくかということが文民統制でございますが、我が国の場合におきましても、国民によって選挙で選ばれた政治家がしっかりとこれを管理していくということがこの文民統制の意味でありまして、民主主義国家における軍事に対する政治の優先を意味するということで、我が国としましても、自衛隊を創設した当時から、厳格な文民統制の制度、これを採用してきたものだと思っております。

 委員会でもお答えをいたしましたが、我が国における文民統制というのは、まず国会の統制、そして、国家安全保障会議を含む内閣による統制とともに、防衛省における統制がありますが、そのうち防衛省における統制というのは、文民である防衛大臣が自衛隊を管理運営し統括するということを指しまして、このような文民統制の制度ができております。

 近年非常に安全保障環境が変わりまして、日本の対応というものも、海外における自衛隊の活動やら緊急事態における自衛隊の活動というものが必要になってくる回数がかなり多くなってきておりまして、やはり、国家における国民のための自衛隊という財産、資産、これをいかに効率的にうまく活用していくかという時代になってきておりますので、これをしっかり活用、運営していくために、防衛省の中でも、軍事的専門家であります自衛隊の機能と、そして政策的な補佐をする文民、この機能をしっかりと車の両輪として調整しながら運営をしていく、そういう大臣としての役割、務めがより一層大事ではないかなというふうに思っております。

下地委員 今大臣がおっしゃったように、国会と内閣と防衛省とありますけれども、内閣と防衛省というのは、時の与党がそれは指導するわけなんですよね。国会においても与党というのが過半数を超えていて、それが内閣を構成して防衛省の大臣になってという形になってくるんですね。だから、文民統制に、考え方が違うというか、政党的に違う、野党が入ってくるというようなことになってくると、国会の論議しかないと思うんですよね。

 だから、私がこの文民統制で非常に大事にしていることは、論議を何度もしながら最終的に決めていくというのが文民統制にとって大事なことだというふうに思っていまして、こういう委員会、最終的には、民主主義ですから採決で物事を決めていくわけですけれども、内閣とか防衛省というのは時の与党がこれはもうしっかりとやっていくわけでありますので、この国会における論議というのが非常に国民にとってわかりやすくて、ある意味説得力のあるものになる、それが文民統制になるというようなことを私は常日ごろから思うんですよ。

 だから、少数野党であっても、国会論議を何度もやることで、これが結果的には、結果的には与党にとっても内閣のためにもなるというふうに思っていますから、国会論議を重視していくんだというようなことが原点になって文民統制があるんだということを、大臣が中心になってやるということは、大臣がこういう場所に来て、何度も何度も議会で答弁をしながら理解を深めていくというようなことをやっていくことが大事、国会論議の重みをこれからも重視していくことが大事だと思いますけれども、そのことについての大臣のお考えを聞かせてください。

中谷国務大臣 やはり、国会というのは最大のシビリアンコントロールの場でございまして、ここでの議論は非常に大事でございます。

 私も、野党を経験したときはこの委員会の場でみずからの思いを質問いたしましたが、それを受けて政府の方も、やはり国会で質問されたことにつきましては非常に重く受けとめておりまして、対応を図ってまいりますので、やはり、国会での議論、これは大事なものであると認識をしながら安全保障政策を考えていきたいと思っております。

下地委員 そういう意味でも、私は、この前安倍総理が訪米なされて、安保法制度をこの七月までには成立させたいと、まあ、思いであるというようなことを言っていますが、思いはわかりますよ。しかし、国会というのは、お互いやっていて、生き物じゃないですか。大臣の答弁で紛糾してみたり、また、質問内容でいろいろなことがあって、それで延長してみたり、本来ならば早くその審議が終わるものが延びてみたりとか、いろいろなことがあって国会論議が進んでいくんです。生き物だと思うんですよね。そういうような意味では、この国会論議を生き物だと考えた経験からすると、これが何月までに終わりますねというような思いが自分の中にあったにしても、こういうことを果たしてアメリカの議会で言うことが正しいかどうかというようなものは、私は少し疑問を感じるわけなんです。

 だから、国会論議というのは、これはやってみぬとわからぬよというようなことをやりながら、十二分に与野党で論議していきましょうということが前提でスタートして、最終的には、永遠に論議するわけにいかないので、採決をしなきゃいけない時期が来ますけれども、それはここに集まる議員の皆さんが最終的に決めることだというような発想にならないと、私は、極論から言ったら、文民統制の国会というようなところの位置づけがちょっと薄くなってしまうんじゃないかなというように思うんですけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 下地委員がおっしゃるとおり、国会というのは生き物でありまして、よく、政治は一寸先は闇だと言われます。

 まさに国民を代表する政党、委員がお互いの政策実現を目指す論戦の場でございますので、今も法律につきましては一つ一つ審査をいただいておりまして、私も緊張感を持ちながらしっかりと説明をしてまいりたいと思いますし、自由に御質問もいただいておりますので、そういう場において、国会の議決をいただくように全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。

下地委員 総合調整機能、内部部局と防衛装備庁と統合幕僚監部その他の機関の所掌事務についての統一的な役割を果たしていかなければならないというようなこともありますけれども、これをやる上で、この統一的な調整機能をやっていく上での、大臣がこういう心構えとかこういう基準だとかいうようなものは何かありますでしょうか。

中谷国務大臣 今回、政令で書かれていたものを、内部部局の総合調整機能というもの、目的を明記することといたしました。

 これは、今回新たに防衛装備庁という政策の企画立案機能を有する組織ができ、それから、実際の部隊運用に関する業務について、対外的な連絡調整を含めた機能を統合幕僚監部が一元的に実施するというような大きな組織改編がありましたので、引き続き防衛省の事務全般が統一性を持って行われることを確保することは重要だということで法律に明記をしたわけでございます。

 内部部局の所掌事務に係る規定には、省の所掌事務に関して省内の施策の統一を図るために必要な総合調整を行うということについて、より積極的に確認をする意味で明記をしたわけでございますが、これは平素、防衛省の各部局及び各機関でそれぞれ業務を遂行して、必要な場合には内部部局が省全体の総合調整を行うことによって、防衛省の所掌事務全般が統一性を持って行われることを確保するものであります。

 私としても、必要に応じて、防衛省会議ということで全省の幹部を一堂に会して、案件等について協議をしたりまた指示を徹底したりいたしておりますけれども、やはり総合調整というのは大臣にとりましても一番大事なことでございますので、各局、各機関が適切に連携、協力できるように組織運営に努めてまいりたいと考えております。

下地委員 中谷大臣のようによく防衛省を存じ上げて指導力のある人が防衛大臣になれば問題は余りないと思うんですけれども、たまにそうじゃない人がなる場合もありますから、組織的に総合調整がちゃんとできるというような機構づくりみたいなものが物すごく大事になってくるのかなというふうに思っていますから、そういう何か基準みたいなものをしっかりつくってやられることが大事だというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それと、この法案の最後のところの、那覇空港に航空自衛隊が、今度F15が増便される、増機されるということになりました。今、二十七機ですか、数字があれですけれども、それが十二機ふえるというようなことになっております。

 この前、七日に、防衛省の御協力をいただきながら、視察をしてきました。司令官からも、今の那覇空港における状況というようなことについて説明をいただいたわけです。

 そのときに申し上げていたのが、今、スクランブルが四百六十何回ですか、非常に多いスクランブルが今はありますというようなことの説明の中で、今、二つの部隊がありますけれども、実務的なスクランブルに対応する飛行機と、練度を高めるための飛行機というような二つがありますと。しかし、今はスクランブルに対応するのが非常に多くて、新しい隊員であったり、練習をしなければいけない、練度を高めるというものがなかなか充実をしていないというようなこともありまして、今回このF15をふやすことでこの両方がうまくできるような体制になる、スクランブルに対する対応もしっかりできれば、練度を高めることもできますよというような説明が一点あったんです。

 ただ、二つ目に、司令官たちの悩みでもあろうかと思いますけれども、那覇空港が非常に、民間機の便数がもう十二万回、今、防衛省が那覇空港全体の二〇%を超える、こういうふうな比率になってきている中で、タッチ・アンド・ゴーの訓練をするのが、民間機の合間を縫って九時から十時までの一時間、この時間しか今はできないという状況になっていますよと。だから、機数をふやして、機数をふやすことでまたその比率が上がっていくと民間機の離発着に影響を及ぼす、こればかり心配していると練度ができないということがありますねというようなことでもあったんです。

 そういうようなことにおいても、今回、ふやしながら、ふやすことは非常に大事なことですけれども、航空自衛隊の訓練のあり方をまた大臣の方で考えて、どうしたら彼らが練度よく訓練ができるのか。グアムに行ったりいろいろなところでも訓練なされているようでありますから、そういうことを小まめに、今回ふやすだけではなくて、訓練のあり方についても新しい仕組みをつくっていかなければいけないのではないかなというようなことを感じましたけれども、そのことについてお願いします。

中谷国務大臣 七日に委員会で御視察をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、その後、那覇空港の陸海空の自衛隊、六時間ぐらいかけて視察をさせていただきまして、現場も確認をいたしましたが、とにかくスクランブルの回数が急増しておりまして、この五年で四、五倍にふえてきております。

 それに伴って、今回、戦闘機部隊の二個飛行隊化を進めておりまして、施設等も今つくっておりますが、同時に、第二滑走路の方の工事も進捗をいたしておりますので、こういった新たな那覇空港の活用等につきましては、今後、防衛省といたしましても、国交省やまた地元の皆様方と協議を重ねまして、お互いの業務、任務に支障がないように、できるだけしっかりと調整をしてまいりたいと思っております。

下地委員 今回の配備計画が完了するのが二十七年末までなんです、ことしの末まで。那覇空港ができるのがあと四年ぐらいかかるんです。四年間は、そういうふうな厳しい、タイトなタイムスケジュールの那覇空港であるんですよね。

 だから、四年間というのは短いようで長いので、二本目の滑走路ができれば別に問題ないというふうに私は思うんですけれども、この四年間は、やはり物すごく工夫をするような仕組みをつくることが、システムをつくることが大事だというふうに思っていますから、そのことも、ただスクランブルが必要で増便しましたというんじゃなくて、その中でも、増便すると同時に、スクランブルの対応ができるのと同時に、絶えず航空自衛隊が那覇基地においても練度の高い訓練ができるような仕組みづくりというようなことも、ぜひ大臣の方からあらゆる提案をして、つくっていった方がいいのではないかというふうに思っております。

 そして、それと同時に、やはり、私はいつも申し上げるんですけれども、民意が支援しないと安全保障というのは長続きしないんですよね。やはり民意が、頑張れ、自衛隊頑張れ、日米安保条約頑張れというふうなことになってこないと、なかなか安定した抑止力とかいうものにはなってこないというふうに私は思っております。

 どうしても、このF15、騒音が大きいんですよね。今回も十二機ふえるわけですから、どうしても回数がふえてくることだけは確かなので、那覇空港の周辺、小禄地域といいますけれども、この近辺における騒音問題というのは、これは安全保障でスクランブルがあるからしようがないといってそのままにしておくようなものではないというふうに思っています。

 だけれども、あの空港は国土交通省の管理の二種空港で、防衛省に手段が余りないんですよね。手段がないので、そういうような意味においては、ぜひ省庁の垣根を越えて、国土交通省と、私が何度も質問でも申し上げましたけれども、各種施策をどうやってやりながら騒音問題に対処していくのか、民間の安心へつなげるようなものにしていくのかというのを、私はもう防衛省と国土交通省でチームをつくっておやりになることが大事じゃないかというふうに思っていますけれども、こういうことをぜひこの増便計画と同時にやっていただくようなことはできませんかということの提案をさせていただいているんですけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 本件につきましては、下地委員の方からこの委員会でもたびたび御指摘をいただいているところでございまして、確かに、機数の増加に伴って騒音がふえてまいる上における防音対策、これを適切に実施する必要があるということでございます。

 国交省が設置管理する飛行場でございます。新たに配備される自衛隊機分の騒音も評価の上、国土交通省が住宅防音工事等の対策を実施するということになりますが、防衛省としては、国交省によるこの防音対策が適切に実施されるように、那覇基地の戦闘機部隊の二個飛行隊化に対する情報を国交省に提供をしてまいっております。

 これを踏まえて、国交省において、今月、五月一日、住宅防音工事の対象地域である第一種区域を追加指定したものと承知いたしておりまして、引き続き、防衛省としては、国交省において那覇空港の防音対策が適切に実施されるように、必要な情報を提供してまいりたいと考えております。

下地委員 民生安定、住宅の防音工事と同時に、公民館とかコミュニティーをつくるところがあるんですけれども、こういうところをきっちりとつくって、住民の方々がその地域に集まってコミュニケーションをとれるようなことに関しても充実をぜひ図ってもらいたいというふうに思っておりますけれども、この制度を、見直しと同時にぜひ考えてもらいたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 周辺対策事業としては、これまでの実績を踏まえますと、那覇基地が所在する那覇市、また自衛隊航空機の侵入経路の直下にある豊見城市に対する、公園、消防施設等の民生安定施設の助成が考えられるわけでございます。

 平成二十七年度におきましては、豊見城市から昨年五月に御要望がありました消防施設に対する補助についての財政当局からの承認が得られまして、その旨、先月、四月二十八日に同市にお伝えをするとともに、那覇空港の設置管理者として防音対策を実施している国土交通省に対しても情報提供をすることとしているところでございます。

 防衛省としましては、今後とも、地方公共団体から民生安定施設の助成について要望があった場合には、具体的な計画を伺った上で、障害の実態を踏まえて適切に対応するとともに、国として一体となって那覇空港の周辺対策を実施することができるように、民生安定施設の助成の実施状況につきまして国土交通省に必要な情報を提供してまいりたいと考えております。

下地委員 きょうこの法律が通りますから、よりよいこの法律の施行にぜひ頑張っていただきたいなというふうに思っています。

 まだ少し時間が残っていますけれども、質問のネタが切れたので、終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 予想より早く始まってしまいましたので、少し動揺しましたけれども、大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、先般の2プラス2についてお伺いしたいと思います。

 大変お疲れさまでございました。四月の二十七日だったと思いますけれども、総理訪米の直前に2プラス2ということで行われまして、日米の同盟を強化していくという視点からは意義のあるものだったと私も思っております。

 ただ、一つだけちょっと懸念がございまして、お伺いしたいと思うんですが、2プラス2自身のステートメントは読みました。ただ、私が少し気になったのは、その2プラス2の後の四人の大臣、長官で行われた記者会見の中身であります。

 これは必ずしも全て日本語で報道なり情報は出ておりませんけれども、国務省のホームページから私は取り上げて読んでみたんですが、冒頭、まずケリー国務長官が発言をしておりまして、ちょっと英語を訳しながらいきますけれども、今回、日本は、自国の領土、イッツ・オウン・テリトリーという言葉を使っていますけれども、自国の領土のみならず、アメリカ及び、パートナーズと書いていますから、関係国の防衛を行う能力を確立したことを我々は確認する、こういう言い方をしております。

 訳によって少し違うかもしれませんけれども、いずれにしても、日本は、日本だけを防衛するのではなくて、アメリカ及びパートナー国を防衛する能力、キャパシティーという言葉を使っていますが、能力を確立したということを我々は確認するということになっておりまして、冒頭、まずケリー国務長官はこういう発言をしております。

 あわせて、アシュ・カーター国防長官は同様のことを述べておられまして、新しい軍事的な協力、ミリタリー・コオペレーションという分野の新しい領域が広がるということを言っておるんですけれども、軍事的な協力の新しいエリアという中において、アジア・パシフィック、アジア太平洋地域とともに、アラウンド・ザ・グローブ、世界全体の、両方において新たな軍事協力のエリアが新しく広がる、こういうことを言っておられるわけであります。

 もちろん、今回、これから安保法制の議論がありますし、国内法の整備をしていくのでありますけれども、一定程度、日米の協力あるいは米国以外の国との協力を広げていくという方向性は、政府の方向性としては理解しておりますけれども、質問は、少しというか大分アメリカ側の期待を上げ過ぎているのではないのかなというような懸念を、アメリカ側の二人の長官の発言を聞くと感じるんです。

 いわゆる九条はまだあります。まだあるというか、変えていませんね。その中でこれから安保法制を整えていくということなので、一定程度の制限は残ったままで拡充していくということなんですが、今このお二人の発言を聞くと、何かもうあらゆる地域であらゆることが日米あるいは他の国ともできるようになって、大変喜ばしいというような感じになっているんです。

 質問は、2プラス2において、もちろん広がる分野についての説明は関係大臣でやったと思うんですが、できないことのすり合わせ、依然として制約があるということについて、ここまではできますけれども、ここからはできませんということのきちんとした整理はできているのかどうか、この点についてお答えください。大臣にお願いします。

中谷国務大臣 ガイドラインにつきましては、数年をかけて日米間で協議、調整を行ってきたわけでございますし、また、閣僚間の話し合いも、2プラス2が開催され、昨年の十月には中間報告があり、また、今回も四月にカーター国防長官が来日をされた折にも、それぞれその時点での日米の情勢認識、また政策の考え方、そしてガイドラインにつきましても協議をいたしましたが、その際、日本の安全保障政策の整備に係る検討状況につきましても米側に適切に説明をしてまいっております。また、事務方もそれは承知をいたしております。

 申し上げたいことは、ガイドラインにおきましては、おのおのの憲法、そしてその時々において適用のある国内法令並びに国家安全保障政策の基本的な方針に従って行われることも今回のガイドラインに明記をされ、そのための協議も行いました。その上で、また、いずれの政府にも立法上、予算上または行政上の措置をとることを義務づけるものではなくて、また、いずれの政府にも法的権利または義務を生じさせるものではないという前提での大枠の合意でございますので、私としては、こういった日本の事情等も閣僚にも申し上げましたが、事務方の協議においてもしっかりと認識をされた上でのガイドラインであったというふうに思っております。

玉木委員 ガイドラインの総則というか頭のところにそういうことが書いてあるのは私も承知をしております。

 総理が訪米したころに私もワシントンに行きまして、先方の関係議員あるいはシンクタンクの関係者とも、何人とも話をしましたけれども、大変喜んでいるわけですね。正直言うと、実際できることよりもかなりできると思って期待している米国関係者は多いな。これはいいことなのか悪いことなのか、いろいろ評価が分かれますけれども。

 私は、ただ、制約が実際にある中で、そこのきちんとしたすり合わせができないまま、いざ何かが起こったときに、では日本は協力できますねといったときに、いや、実はここからはできないんですということになると、かえって日米関係あるいは外交的な問題も生じてくるのではないかなというふうにむしろ心配をしたわけでありまして、そういったことについては、これからも繰り返し繰り返し、もちろん当局間だけではなくて、いわゆるナショナルセキュリティーに関係している、広い意味でのセキュリティーの領域で仕事をされておられる方にも丁寧な理解を求めていくということが大切ではないかなと思っております。

 ケリー国務長官はかなり、ヒストリックミーティングと言って、歴史的だということで、こんなに日本がやってくれるようになったということは、素直に読むと、いろいろなところで言っているので、少しやはり、我々の考える現実よりも期待が高過ぎるんじゃないかなと思うんですけれども、これは、中山副大臣、いかがですか、外務省としても。

中山副大臣 玉木先生の御指摘の根底の部分というのは非常に理解をいたしたいと思います。

 ただ、世界で最も理想とされる同盟関係である日米関係、それを崩させてはいけないという玉木先生の御指摘だと思いますし、そのための外交努力というのを常日ごろからいろいろな場面でちゃんと固めていくことというのは非常に重要だと思います。

 先生の御指摘を踏まえつつ、そういった懸念されるような状況が起こらないように、しっかりと詰めた作業を今後ともやっていきたいと思います。

 ありがとうございます。

玉木委員 ぜひそこは、同床異夢というような、同じ言葉で違うことをイメージするようなことがないように、リアリティーまで詰めた、一致した議論をしっかりやっていただきたいということを、これは防衛当局、そして外務省にもお願いしたいと思います。

 その中で、先ほど少し中谷大臣がおっしゃったんですが、私は、このガイドライン、これは正直言うと英語で読んだ方がすごくわかりやすかった。日本が何をできるのか、あるいはアメリカが何をしたいのか。

 その中で、これは少し頭の体操のようになってしまうかもしれませんが、今回、将来の憲法改正も視野に入れた中身になっているのかどうか。もっと具体的に言うと、憲法を変えたときに、実は、憲法を変えればそのまま、ガイドラインは変えなくても、我が国憲法の範囲が変わることによって自動的に、ガイドラインは今のままでも、伸び縮みしていろいろなところも読めるように、つまり、近い時期の憲法改正も視野に入れた改正の中身、あるいは規定の仕方になっているのかどうか、この点についてちょっと確認させてください。

中谷国務大臣 政府といたしましては、現行の憲法、これに従いまして主管の行政を進めていることは当然でございますので、新ガイドラインは憲法九条改正を前提にしたものではございません。

玉木委員 私がなぜこういう質問をしたかというと、例えば、後方支援、ロジスティックサポートというところに幾つか、例えばサプライとかトランスポーテーションとか、いろいろなことが書かれてありますけれども、これに限らないということが常に各所に出てきます。

 もちろん限定して列挙することが難しいのでそういうことも入れているんですが、例えば武力行使の一体化とか、憲法上なされる制約の議論ということが外れたときには、そこの一節が入っていることによって、事実上、今回改定した新しいガイドラインを変えなくても、自動的に広がる部分が出てくるように読めるように書いているんじゃないのかなと思ったので、こういうことを質問させていただいたんです。

 ただ、現行の、今回新たにつくるガイドライン、合意したガイドラインについては、現行憲法の改正は前提にしたものではないということで今明確な答弁をいただきましたので、理解をいたしました。

 次に、今度は、あわせて、二十七日の2プラス2の後の記者会見についての岸田外務大臣の発言についてちょっとお伺いしたいと思うんです。

 岸田外務大臣は尖閣のことについて発言をされていて、尖閣における日本の施政権を侵害するいかなる一方的な行為についても我々は反対する、こういうことを書いています。安保条約五条の適用があるんだということも明確に確認したということとあわせ、こういう発言があるんです。

 私が気になったのは、アメリカ側が施政権を侵してはいけないという話をするのはわかるんですが、我々は、あくまで尖閣については領有権であって、英語で言うとアドミニストレーションじゃなくてソブリンティーの話を常に国際社会に対して、あるいは米国に対しても訴えていかなければいけないと思っています。

 それは、さまざまな外交的な広報も通じてそういったことを強化しようという政府の方針でありますから、ちょっと日本語訳は見ていないんですが、岸田外務大臣あるいは中谷大臣も含めて合意した中身は、あくまで施政権の話をしていて、領有権の話についてはしていないんですね。

 もちろん、アメリカも入れた四者で合意した中で最大公約数は施政権を侵害してはならないというところなのかもしれませんが、ここの部分は日本語で発言をされておったので、きちんと、少なくとも我が国としては、領有権に対しては、何らの一方的な、特に武力を用いたそういった変更については認めないということをこういう場でしっかりと発言しておく必要があるのではないか、かえって弱い印象を与えているのではないかというふうな懸念を少し感じたので、この点については、外務省、いかがでしょうか。

中山副大臣 ありがとうございます。

 まず、今回の日米2プラス2におきましては、昨年の日米首脳会談の成果を踏まえまして、日米の外交、防衛を担当する四閣僚の間で、尖閣諸島が日本の施政のもとにある領域であり、日米安保条約第五条の適用対象であること及び同諸島に対する日本の施政を損ない得る一方的行動にも反対することを再確認いたしました。このことは共同発表でも明記いたしております。2プラス2の文書としては初めての記載ともなっております。

 先生御指摘の共同記者会見における岸田大臣の発言に関しましては、今回の会合における議論について言及する文脈においてこうした日米間で再確認した点を紹介したものでありまして、私どもといたしましては適切なものであったというふうに考えております。

 なお、尖閣諸島に関する我が国の立場は一貫しておりまして、これまでのやりとりを通じて、米国もこれを十分に理解していただいているものと考えております。

 要しますと、尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかでありまして、現に我が国はこれを有効に支配しております。尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在をしていないというふうに考えております。

玉木委員 まさにそうなんですよ。国内ではそういうことを繰り返して言うので、なぜ、アドミニストレーション、施政権の話にとどまった話をしているんですかということを聞いているんです。まさにそうなんですよ。でも、そういうことを言って、特にアメリカに行ったら実はトーンを下げて、下げている意識はないかもしれませんが、少なくとも文言上そういうふうになっていることについて、私はあえて問題点を指摘しているわけであります。

 なぜこういうことを言うかというと、実は、去年の四月の日本における、東京における日米首脳会談でのオバマ大統領の発言や、それこそ日米のステートメントなんかを見ると、ちょっと言葉は汚いですけれども、それよりはましになったと思います。

 というのはなぜかというと、あのときは、何度も何度も、アメリカはいわゆるソブリンティー、最終的な領有権の問題についてはポジションをとらない、オバマ大統領はこれを都合何度も発言しています。加えて、この立場は新しいものではない、何らこの会見によって新しいことを宣言したものでもなければ、新しいことを両国で決めたことはないということを、あえて、あえて確認するように繰り返し言っているんですね。去年の四月です。

 それに対して、今回はそういうことがなかったことは、私は、ある意味、日本側が、施政権ではなくて領有権、それはずっと日本に属しているんだ、そもそも領土の問題はないということを、まさに今副大臣がおっしゃったことを言い続けてきていることがアメリカにも、もっと言うと、中国との関係においてもアメリカはそこをあえて言及しなかった、これは、私は、ある意味、積極的な外交努力の成果だと評価をしたいと思います。

 ただ、そこが中途半端にとどまっているということについて、もう一歩、これはアメリカとの関係においても、せっかくなのでもう少し進展があったらよかったなということを申し上げているわけです。

 確認したいことがあります。

 去年の四月の話です。日米首脳会談、今、去年の話をされましたけれども、私はあのときに気になったことがあって、実は、日米両首脳が発表したことではなくて、その後の記者会見におけるオバマ大統領とたしかCNNの記者とのやりとりだったと思うんですが、尖閣諸島がまさに一定の侵害を受けたときに、いわゆる武力をもってそれに対してレスポンスするということをしますかというような趣旨の質問をされたときに、当時も問題になっていましたシリアの例をオバマ大統領は挙げておられて、アメリカは一発のミサイルを発射することなく、九割近いシリアにおける化学兵器を除去することができたと言って、あたかも武力行使はしませんよというような、それを示唆するようなことを発言されていたと記憶をしています。尖閣の質問に対してシリアの話をしていました。

 ということは、あのとき日本のメディアは、安保条約五条の適用に明確に尖閣がなるんだということを見出しをたくさんつけて新聞は報道されましたけれども、あの記者会見を全部聞いていた私の印象はむしろ逆で、五条が適用されるということと、実際にそれに基づいてアクションを起こすことは別な話ですよね。皆さんがおっしゃるように、集団的自衛権を認めることと実際に使うことは別だということと全く同じで。

 大切なことは、法律上、あるいはそれが適用になるんだということと、それを踏まえてアクションを起こす政治的意図は別です。

 その中で、アメリカは、もっと正確に言うとオバマ政権は、何か尖閣にあっても、五条の適用があったとしても、実際に何か事が起こったときにアクションを起こすということがないのではないかという懸念を少し感じたので、その点については、間違いありませんよね、安保条約五条というものがきちんと発動されますねということについての確認は、何らかの形で今回も含め明確にされているのかどうか、防衛大臣にお伺いします。

中谷国務大臣 今回の2プラス2の前にカーター長官がまず日本に来まして、四月の八日に申し上げたことは、二〇一四年の七月に表明された、日本の全ての施政下の地域に日米安保条約を適用するというオバマ大統領のコミットメント、そして、尖閣諸島における日本の行政権を阻害するようないかなる一方的かつ強行的行為についても、引き続き断固として反対していくということを確認するということを認めております。

 今回訪米した際におきましても、日本の施政下にある領域は日米安保条約の第五条の適用範囲であり、尖閣諸島もこれに含まれること、そして、米国は尖閣諸島に対する施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対することについて表明をいただきました。私も2プラス2と首脳会談に同席をしましたが、昨年の四月のようなことは全く言われなかったわけでございます。

 その上で、日米安保条約五条というのは、我が国への武力攻撃に対して日米が共同で対処するということを定めた規定でありますので、この条約が適用される場合におきましては、米国は武力行使を含む措置をとるということになるわけでございます。

玉木委員 そこは私も理解するんです。法律上、条約上はそうなっています。かつ、今二つの言葉を使われましたが、行政権、施政権、これに対する一方的な侵害については反対する。これはまさにそのとおりだし、私が今こちらからも説明申し上げたとおりなんですね。

 その上に立って、領有権の話、五条が適用になりますよと言った上で、実際にそれをするのかという政治的意図、ここについては、やはり絶えざる確認、あなたが好きですよと言っても、毎日好きだ好きだと確認しないと関係が悪くなるように、やはり常に確認、確認をし続けることが、単に条約適用がありますよということを超えた密接な関係、これは多分、大臣同士しかできないと思うんですよ、最終的には。あるいは、総理と大統領でしかできないという極めて政治的な領域だと思います。

 あえて私がこういうことを申し上げるのは、昨年の四月に、もし私の解釈が間違っていたらおっしゃっていただきたいんですが、ただ、尖閣の話の質問をされたときに、あえてシリアの例を挙げて話をされておられたオバマ大統領からは、少し、強いコミットメントよりも、どちらかというと弱いコミットメントを私自身は少なくとも感じましたので、その点については、ぜひこれからも事あるごとにやはり確認作業、特にトップレベルの確認をしていただきたいということを改めてお願いしておきたいと思っております。

 その上で、少し話題をかえたいと思いますが、我が国の安全保障あるいは防衛といったことを考える上での優先順位といったようなものについて、どういうことが決まっているのかということを少し確認させていただきたいと思うんですね。

 今ちょっと資料をお配りしていますけれども、これは政府からいただいた安保法制の、前回も出しましたけれども、横軸に烈度、縦軸に我が国に関係する、我が国の平和と安全に関するもの、国際の平和と安全。

 フルメニューでいろいろなことをやっていきます、すき間なく、切れ目なくやることは私も賛成です。いわゆるシームレスに対応していくことは安全保障においては極めて重要です。

 ただ一方で、我が国の防衛予算、防衛予算に限りません、あらゆるものは予算制約というものがある。予算には制約があり、定員にも制約があり、装備にも制約があるという中で、限られた資源、リソースを一体どこに集中投入していくのかということについては、先ほどもありましたけれども、いろいろ法制度を整備することと、実際に何に、どこに重点を置くのかというのは別の話であります。

 その上でお伺いしたいのは、今回、冒頭紹介しましたけれども、ケリー国務長官、そしてカーター国防長官の発言を見ると、どちらかというと、アメリカは、世界において日本が積極的な役割を果たしていただきたいという意図も感じますし、あるいは日本も、総理も時々そういうことをおっしゃっておられます。私は、それは大事だと思います。日本が国際社会の中で重要な役割を果たしていく、名誉ある地位を占めるためにも大切だと思います。

 ただ、これも何度も政府の、大臣もおっしゃっていますが、我が国を取り巻く安全保障環境は激変しているし、非常に厳しくなっている。特に北朝鮮、SLBMの実験をしている、いろいろなこと、核開発、ミサイル開発、そういうことが言われております。そういう中でも、やはり何といっても、私は、まず投入すべきは我が国の自国防衛、もっと言うと、我が国の領土、領空、領海に対して万全の備えをした上で、言葉は悪いですけれども、余裕があれば外もする。ただ、日米同盟がありますから、日米の信頼を損ねてはいけませんから、自国防衛においてアメリカの果たす役割、日米同盟の果たす役割が大きい、その意味において、米国とも、あるいは国際社会とも協力して、遠い世界においても一定の協力は行いますと。言ってしまうと身もふたもないんですが、そうはいっても、何といってもまずは我が国防衛ではないか。

 ただ、今回の法制によって少し優先順位が不明確になってやしないか、ありとあらゆることをやることによってどれも薄くなってしまい、場合によっては、少し遠い外の世界を強調する余り、自国防衛が弱くなってしまいやしないかということを懸念するので、改めて、我が国の防衛、安全保障の優先順位について基本的な考えをお聞かせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 どのようにして日本を守っていくのかということでございますが、非常に安全保障環境が厳しさを増しておりまして、やはりどの国も一国のみでは平和を守ることができなくなってきている中で、一昨年の十二月に国家安全保障戦略を策定いたしまして、我が国の国益を長期的視点から見定めた上で、外交政策及び防衛政策を中心とした国家安全保障に関する基本方針を定めております。

 この戦略におきましては、政府の最も重要な責務は、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うすることです。そのために、必要な抑止力を強化し、我が国に直接脅威が及ぶことを防止するとともに、万が一脅威が及ぶ場合には、これを排除し、かつ被害を最小化することを国家安全保障の第一目標としております。

 第二、第三目標としては、日米同盟の強化、域内外のパートナーとの信頼関係、協力関係の強化、そして、実際的な安全保障協力の推進によって、アジア太平洋地域の安全保障環境を改善し、我が国に対する直接的な脅威の発生を予防し、削減することや、また、不断の外交やさらなる人的貢献によって、普遍的価値やルールに基づく国際秩序の強化、紛争の解決に主導的な役割を果たし、グローバルな安全保障環境を改善し、平和で安定し、繁栄する国際社会を構築することを挙げておりまして、このような目標を挙げております。

 したがいまして、委員のおっしゃるような考え方にはほぼ沿った形で国の安全保障政策を考えているということでございます。

玉木委員 もし仮に主たる目的と従たる目的があれば、我が国の本土防衛というか、領土、領空、領海を守るということ、ここがやはり何といっても主目的であって、その他は従と言ってしまうと少し印象が悪いかもしれませんが、ただ、やはり限られた資源をどこに入れるのか、投入していくのかということを考えれば、自国防衛にまずは最重点を置いていただく、この基本方針は、特にこういうふうにいろいろなことが法制上広がるがゆえに、ぜひその原点を忘れないで進めていっていただきたい。

 私は、ソマリアの海賊対処、もうなくなりましたけれども、テロ特のメンバーでもありましたので、海上自衛隊の皆さんが海賊対処とかいろいろなことで御活躍されているのも非常に評価をしておりまして、本当に心から敬意を表したいと思うんですが、ただ、そうはいっても、かなりの人員と装備、船にしても飛行機にしても割かれてしまうわけですよね。これは非常にいいことをしているし、国際的評価も高いんですけれども、一方で、現実として、一定の装備が我が国から離れているということも事実でありまして、これからあらゆることが同時に起こってくる中で、そういったことの優先順位をぜひ常に置きながら進めていっていただきたいということを改めてお願いしたいと思っております。

 設置法の話を少しここで、一点だけ聞いておきたいんです。

 シビリアンコントロールの話、文官統制、文民統制の話については、何度も当委員会あるいは他の委員会でも話が出ていると思いますが、私は、あえて言うと、ちょっとこういう整理はないのかもしれませんが、有事におけるシビリアンコントロールと平時におけるシビリアンコントロールということにあえて分けるとすると、平時において、いわゆるシビリアンなコントロールというと、その一つの大きな機能というのは予算統制によるコントロールなのかな。もちろん、法律とか、それはあるんですけれども、やはり、予算、定員において、一定の、国民同意の中で納得のできる防衛の体制のあり方ということを決めていく上では、予算統制を通じたシビリアンコントロールというのは大事だと思うんですね。

 その意味では、先ほど優先順位の話をあえて聞きましたけれども、今も厳しいし、これからも日本の財政というのは厳しくなってくると思うんですね。アメリカだって、リバランスをやっていく中で、その一つの理由は、彼ら、強制削減を一・二兆ドルもやって、さらにその多くを軍事費、国防費の削減から捻出しようということもあるので、各国、やはり防衛や軍事に関する予算の捻出というのは苦労しているわけですね。日本は特にこれから高齢化の中で厳しいというときに、この予算の統制、コントロールということは、いずれにしても大事だと思うんです。

 その中において、特に平時における中心的なシビリアンコントロールの一つであると考える予算を通じたコントロールというものを機能させるためにも、制服組と防衛大臣との間に予算や定員を担当する背広組の官僚が入るという文官統制は、やはり文民統制の中の大変重要な機能を果たしているんではないのかなと思うんですけれども、その点について改めて大臣の考えをお聞かせください。

中谷国務大臣 予算を通じたシビリアンコントロールということでございますが、この文民統制の中には内閣の統制というものも入っておりますので、そういった点もあるのではないかと思います。

 基本的に、防衛省内の文民統制における内部部局の文官の役割、これについては、防衛大臣が文民統制を行う際の補佐ということでございまして、政府として、文官が、防衛大臣と自衛官との間に入って自衛官を統制するなどの文官統制の考え方はとっておりません。他方、内部部局の文官による大臣補佐は、防衛大臣による文民統制を助けるものとして重要な役割を果たしております。

 我が国においては、国会における文民統制の一つとして、自衛官の定数、また自衛隊の組織、装備といったさまざまなものについて予算の形で国会も議決をしておりまして、予算を通じた文民統制というものは国会においても存在するということで、大変重要であると考えております。

玉木委員 これまでもそういう答弁をいただいていたと思うんですが、大臣がおっしゃったように、ただ、今回変えることで別に余り変わらないし、文官が間に入っていることによって、具体的な弊害というか、意思決定がおくれた、阻害要因があったということも具体的にはないということなので、伝統ある考え方というのは、我々は、やはり引き継いでいった方がよからぬ誤解を与えなくていいのではないのかなというふうに思っておりますので、この点については改めて指摘をさせていただきたいというふうに思っております。

 次に、私、個人的にずっと思っていたことがあって、少し法律論になって頭の体操的になるんですが、ちょっとおつき合いいただきたいんです。

 単純な質問なんです。端的に、私の問題意識は、今回、集団的自衛権の行使を認めることによって、武力の行使を自衛権の発動としてやる場合が我が国に出てくるときに、個別的自衛権の行使ということで行う武力の行使よりも、集団的自衛権の行使としての我が国の武力行使の方が行使の要件が緩い、ハードルが低いのではないのかなと思うことがあるんです。

 それは何かちょっと逆で、自国が明確に攻撃を受けて、それに対して反撃するときの方がどちらかというと切迫しているから、むしろ早くやらなきゃいけない、迅速に対応しなきゃいけない。あるいは、その要件については、緩くあってはいかぬのですが、自国が直接の攻撃を受けていない集団的自衛権に基づく我が国の武力行使よりは、当然そちらの方が先に発動できる、あるいは発動しやすい。なかなか日本語は難しいんですが、当然だと思うんですが、そうじゃない場合があり得るんじゃないのかと思うので、少し具体例を申し上げたいんですね。

 まず、これは確認なんですが、役人の方でも結構なんですが、武力攻撃事態、現行法、あるいはこれからもこれは変わらないと思うんですが、武力攻撃事態ということは、そのことをもって必ずしも我が国の武力の行使が認められるものではないですね。正確にお答えください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 武力攻撃事態という語の定義はいわゆる事態対処法の中に書かれてございますが、この概念は、我が国に対する武力攻撃が発生したときに加えまして、武力攻撃が発生する明確な危険が切迫しているという場合も含むわけでございます。

 この切迫しているときにつきましては我が国の武力行使というのはできませんので、その意味では先生のおっしゃるとおりであるというふうに思います。

玉木委員 今、正確にお答えいただきましたね。武力攻撃事態は、武力が発生した事態と、または武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態、この二つから定義上構成されていますね。

 武力攻撃が発生した事態においては、当然、反撃たる武力の行使はできると思います。

 もう一度正確にお答えいただきたいんですが、いわゆる切迫事態、明白な危険が切迫していると認められるに至った事態、しかし、武力攻撃はいまだ発生していない事態、この状態においては、防衛出動はできるけれども武力の行使はできないということでよろしいですか。確認のため。

前田政府参考人 端的にお答えいたします。そのとおりでございます。

 我が国が武力行使をできますのは、あくまで我が国に対する武力攻撃が発生したときでございます。

 防衛出動の規定が今のような書き方になってございますのは、要するに、事が起こる前にも、切迫している状態で、ある程度準備といいますか、態勢を整える必要がある、そのために出動命令までは出す必要があるということでこのような規定ぶりになっているわけでございますが、武力の行使を行えるのはあくまで武力攻撃が発生した後だ、こういうことでございます。

玉木委員 少し、インターネットで聞いている方、一般の人は何の議論をしているのかなと思うんですが、ちょっと御辛抱いただきたいんです。

 今、これは大事なことで、切迫した事態においては武力の行使はできません。これは多分、現行憲法下で、これまでもそうだし、これからもそうなんだと思います。

 一方で、今回、三要件を満たして集団的自衛権の行使として我が国が武力を行使する場合は一体どういう場合があるのかということが、これからも特別委員会が設置されればそこで慎重な議論が行われていくと思うんですが、よく総理もお出しになる一つの例として、ホルムズ海峡での紛争が発生したケースにおける我が国の集団的自衛権の行使としての武力行使を少し例として挙げたいと思います。

 必ずしも、かの地で紛争が発生したときに全て、日本がそのことによって武力行使を行うというものではない。一定の制約の中で、厳しい要件の中で、限られたときだけそういったことが行われるというのは、私もそのとおりだと思うし、そうあるべきだとも思っております。

 ただ、どうもやはり納得できないのは、ホルムズ海峡でいかなる状態が発生し、そして、答弁でもあるように、我が国の国内で凍死者が出るような、そういった石油の供給の遮断、経済への影響、国民生活への影響ということが仮に発生したとしても、我が国への直接の武力攻撃は全くないわけですよね。でも、このときは我が国は武力行使ができるんです。それが集団的自衛権の本質だと思います。

 少し素人に皆さん戻っていただいてイメージしていただきたいのは、先ほど私が個別的自衛権の話の延長として言った、現行法もある武力攻撃事態、武力攻撃事態において個別的自衛権の発動として武力の行使ができない領域があるのに、全く我が国が何の攻撃も受けていないにもかかわらず武力の攻撃を我が国ができる場合があり得るというのは、私は何か、私が間違っているんだったら指摘をいただきたいんですが、集団的自衛権に基づいて武力を行使するときの方が随分ハードルが低いな。

 確かに、わかりませんよ、北海道で寒冷期に石油が入ってこないので、暖がとれなくて寒さで亡くなるような方、あるいは健康を害する方がたくさん出てくるということは、私は余りないと思うんですけれども、仮にあったとしましょう。でも、そのときでも、我が国は、北海道であれ、本州であれ、九州であれ、四国であれ、一切の武力攻撃は受けていません。でも、我々は武力攻撃ができるんです。できるようになるんですね、これから。なるようにやろうとしている。

 もう一回言います。

 対比でいうと、個別的自衛権の行使として、切迫事態、もう今まさに、これはあえて、切迫事態たる武力攻撃事態が発生した場合でも、我が国は個別的自衛権としての武力行使ができないんですよ。武力攻撃事態が発生しているのに反撃たる武力の行使ができない。一方で、全く我が国は何の武力攻撃のおそれも心配もないのに武力の攻撃ができる。これはやはりちょっと、特に今ホルムズ海峡の例を挙げましたから、そういう印象を皆さんにもお感じになっていただいたかもしれませんが、何かちょっと違和感を感じるんですけれども、いかがでしょうか。

 二つの考えがあると思います。現在の個別的自衛権の発動に対して、何かすき間がむしろあるのかもしれない、そちらがシームレスになっていないのか。あるいは、経済的な事由をもって集団的自衛権の行使たる我が国の武力行使をするには、やはり現行憲法上は無理があるか。どちらかだと思うんですけれども、この点、防衛大臣、いかがでしょうか。では、まずは役所からお願いします。

前田政府参考人 お答えいたします。

 この点は昨年七月の閣議決定で整理をされたものでありますが、今般整理されたことというのは、我が国の憲法上、集団的自衛権に当たる武力の行使が許されるというのは、いわゆる新三要件、この第一要件に当たりますところでございまして、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」ということに限られているわけであります。

 すなわち、他国に対する武力攻撃が発生したというだけでは足りず、それに加えまして、今申し上げた、これにより我が国の存立が脅かされる、あるいは、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、この場合に限ってこれは憲法の基本的な論理の中で認められる、このように整理、解釈をしたものでございます。

玉木委員 いや、それは私もわかっています。わかっている上で、あえてちょっと個別的自衛権の発動と並べて話したんですね。

 ニュートラルに考えると、集団的自衛権を、今、存立危機のようなときに発動するのを必ずしも悪いと言わない立場をとるとしましょう。でも、そうなると、今度は、個別的自衛権の行使で、武力攻撃事態のときでも武力の行使ができないのに、もちろん密接な関係にある他国に対する攻撃はありますよ、しかし、全く我が国に対する攻撃がない、もちろん三要件を満たして甚大な経済社会への影響があるということはあるんですが、ただ、我が国に対する直接の武力攻撃がない、そのときにでも我が国は武力を行使するんですよ。一方で、武力攻撃事態のときには個別的自衛権としての武力行使ができない。

 何かバランスを欠いていませんか。もう一度。

前田政府参考人 お答えいたします。

 これは自衛権という概念の問題になるんだと思うのでございますが、国際法上の自衛権、これは、先生も御承知のとおり、個別的自衛権あるいは集団的自衛権、こういうことになるわけでありますが、いずれの自衛権も、他国からの武力攻撃、これがあることがまず大前提になっているわけであります。

 したがいまして、従来の防衛のときには、我が国防衛の場合には個別的自衛権ということになるわけですが、このときも、我が国に対する武力攻撃が起こっていることがもちろん前提、これが要件だ、こういうことになります。そして、集団的自衛権、国際法上の集団的自衛権というものについて申し上げても、これは他国に対するものではあっても武力攻撃が発生していること、これが大前提である。この点において自衛権というものは共通した考え方を持った概念であるというふうに理解をしてございます。

玉木委員 いや、よくわからないんですね。

 今、ホルムズ海峡の影響をあえて、政府が出されるので出したんですが、例えば我が国近海、周辺の話だったらイメージがもっと持ちやすいんですね。

 例えば、重要影響事態、今の周辺事態のような概念で、そのまま放置すれば我が国に対する直接的な武力攻撃につながるおそれがある、結局我が国に対する武力攻撃につながってくるから、そこはむしろ柔軟に考える余地があるのかなとも思うんですね。

 私、実は、中谷大臣に最初に何度も聞いたのは、優先順位は我が国防衛だから、自国防衛だから、だからその意味では、集団的自衛権という話をするときも、我が国の領土、領空、領海に引き寄せて、地理的概念を入れるかどうかは別として、それだと少しイメージができる。

 ただ、ホルムズ海峡まで持っていって、しかも、経済的な理由をもって我が国が武力の行使をするんですよ、武力の行使をする要件として定めようとしている一方で、繰り返しになりますが、武力攻撃事態のときでも、切迫事態たる武力攻撃事態のときでも、武力攻撃が、我が国が反撃できない場合があるというのは、素人の感覚にあえて戻していますが、何か違和感があるし、整合性がとれないし、何かどこかにすき間があるような感じがするんですけれども、どうですか。

 では、逆から聞きます。

 武力攻撃事態の際に、もっと正確に言います、今度新たに集団的自衛権まで含めて包括的な法整備をするのに、武力攻撃事態においても我が国が防衛のために武力行使できない領域があるということは、すき間があいているのではないですか。いかがですか。個別的自衛権の話。

前田政府参考人 お答えいたします。

 先生の御質問の趣旨を必ずしも正確に理解できているかどうか、ちょっとあれでございますが、恐らく、武力攻撃事態という言葉の中に、武力攻撃が発生した事態、それに加えて切迫をしている事態、これをあわせて、我が国の法律上、定義をしてございます。その結果、武力攻撃事態という言葉を聞きますと、武力攻撃が起こっている事態のように聞こえるわけでございますが、法律の概念としてはそんなふうに定義をさせていただいているわけでございます。

 他方で、先ほど御説明申しましたように、いわば国際法上の自衛権というものを行使するときには、いずれの場合、集団的であれ、個別的であれ、やはり武力攻撃の発生というものが、これは要件になってくるということなのでございます。

 そのあたりのところというのをぜひ御理解いただきたいと思う次第なのでございます。

玉木委員 いや、理解はしています。自衛権の発動には、武力攻撃、敵国からの武力攻撃が伴わなければいけないのは理解しています。それが我が国に対するものなのか、我が国以外の者に対する攻撃なのか、いずれにしても、攻撃が発生しないとそれはできませんよ、自衛権の発動は。

 ただ、私が申し上げているのは、我が国に対する武力攻撃事態があり、それは切迫していて、現にまだ至っていないんですが、定義上は少なくとも武力攻撃事態ですよ。そのときには個別的自衛権たる武力の行使ができないのに、我が国には全く武力攻撃が及んでいない、及ぶ可能性もない、重要影響事態とか周辺事態と違って。そういう場合、ホルムズ海峡はそうですよ、だって、そのことで、ホルムズ海峡の武力紛争が波及して波及して波及して我が国に対する武力攻撃が生じるから三要件を満たすわけじゃないでしょう。ですから、武力攻撃が我が国にないのに武力攻撃ができる。

 このアンバランスについては、私はやはり問題があると思うんですよ。少なくとも一回きちんと整理をする必要があると思うんですけれども、中谷大臣、今、私、長くいろいろ説明しながら質問しましたけれども、ちょっと気持ち悪さはないですか。

中谷国務大臣 すき間を埋めるという言葉がありましたが、今回の法律整備は、そのすき間を埋めるために法律を整備するわけでありまして、我が国がまだ武力攻撃を受けていない場合におきましても、新三要件というのがありまして、この第一要件が、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」ということであります。

 これは、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況のもとで武力を用いた対処をしなければ、国民に、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるというものであると考えておりまして、これは十分に明確で、限定された、厳格な要件であるというふうに整理をいたしております。

玉木委員 そうなんです。でも、武力攻撃を受けたのと同様であって、武力攻撃じゃないんですよ。そうなんです、それを私はずっと聞いているんです。にもかかわらず、個別的自衛権の行使としての武力攻撃、武力攻撃事態のときには発動できない場合があるということの違和感を聞いているんです。

 では、もう時間があっという間になくなってしまったんですが、ちょっとお聞きします。

 これは多分、遠い中東ではなくて、我が国の近くだとイメージしやすいんですが、武力攻撃事態と存立事態が同時に要件として発生する場合、その要件がかぶる場合、つまり、近くに米艦がいるとか、我が国に対する攻撃が切迫しているとも考えられるし、我が国と密接な関係に、まあアメリカとしましょう、アメリカに対する、あるいは艦船に対する攻撃があって、我が国にも切迫している状況というのは、近くで共同で演習している場合なんかはこれはイメージしやすいと思うんですが、これは引き続きやりますけれども、武力攻撃事態と存立事態が併存する場合はあり得るのかどうか。これは端的にお答えください。

前田政府参考人 お答えいたします。

 武力攻撃事態の概念というのは、先ほどから先生御議論いただいていますように、武力攻撃が発生した事態に加えて、切迫をしている事態、これも含む概念でございます。

 一方、存立事態、これも先ほどから御答弁申し上げているように、他国に対する武力攻撃が発生した上で、国の存立あるいは国民の権利が覆される、こういう明白な危険がある場合、これが定義でございます。

 したがいまして、少なくとも、武力攻撃が切迫をしている事態と、存立が脅かされる危機に至る事態というものは、併存する可能性がある、このように考えてございます。

玉木委員 それは私もあると思います。そういう場合は、今まで我が国としては、まさに切迫事態ではできなかったときに、存立事態として認定したら、むしろ、パートナーたるアメリカに対する攻撃をもって我が国が出ていくことによってすき間が埋まっていくというような、そこはまさにプラスに捉えることができる部分があるとは思いますよ。

 ただ、でも、もう一回言いますが、ホルムズ海峡の経済的事案に関して言うと、途端にその違和感が生じてくるという感じがするんです。

 なので、ここは主張を明確に言うような話ではないと思うんですが、さっきの優先順位の話に戻すと、我が党は周辺という概念を外さない方がいいということでこれから議論していくと思いますが、周辺においては、やはり、集団的自衛権あるいは個別的自衛権の行使についても、私は、これまでで不備なところがあれば見直していって万全を期す。ただ、遠くの話については、何でもかんでも首を突っ込むようなことについては、できるだけ慎重に、慎重なサイドで解釈していって、限られた予算や定員や装備の中で、我が国の関与については慎重に考える部分ではないかな。そのことが、実は国民の率直な感情にも合致するんじゃないのかな。もちろん、法律論ですから、感情的にどうか、印象がどうかという話ではないですけれども。

 きょう私がるる申し上げた、個別的自衛権でもなかなか、切迫しているのに出ていけないところがある一方で、攻撃を全く受けていない、そして今後も我が国自体は領土、領空、領海が何の攻撃も受けないときでも、すっと、すっと言ったら言葉はあれですが、三要件を満たせば出ていける部分があるというところは、やはりちょっと、もう一回きちんと整理をした方がよろしいのではないかと思いますし、慎重にやるべき分野なのではないのかなということを指摘を申し上げまして、きょうはここで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案にかかわって、第九航空団の新編について伺います。

 法案は、那覇基地のF15戦闘機部隊を二個飛行隊化するに伴って、第九航空団を新編するとしています。

 まず、第九航空団の新編に伴って、戦闘機の機数、人数、離着陸回数がどのように変わるのか、説明をしていただけますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、那覇基地におきましては、第八三航空隊が所在いたしまして、戦闘機部隊、一個飛行隊が配備されておりますけれども、南西地域における防空体制の充実のために、戦闘機部隊を二個飛行隊に増勢して、第九航空団を新編することとしております。

 これに伴いまして、那覇基地のF15の機数は約二十機から約四十機に、戦闘機部隊の定員は約千二百人から約千五百人にそれぞれ増加する予定でございます。離発着の回数につきましては、現時点において確たることを申し上げることはできませんが、F15の機数増加に伴い、一定程度増加するものと思われます。

 いずれにいたしましても、第九航空団の新編に当たりましては、周辺の航空交通への影響等にも十分配慮してまいりたいと思っております。

赤嶺委員 強化されていきます。

 それで、最近の那覇基地周辺、先ほども取り上げられましたが、自衛隊機の飛行による騒音が非常に激しくなっています。私自身が那覇基地周辺に住んでおりますので、そのことを大変実感しておりますが、最近の自衛隊機の騒音に対する地元住民それから自治体からの苦情や要請などの状況について、これも説明をしていただけますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度から二十六年度までの三カ年間で、那覇基地所属の自衛隊機につきましては、我々が把握しているところでは計十六件の騒音苦情が寄せられているところでございます。

 我々といたしましては、これまでも、周辺住民の生活環境に及ぼす影響が最小限になるように、自衛隊機の飛行時間等について配慮してきたところでございますけれども、引き続き、自衛隊機の運用上可能な範囲で最大限の努力をして、周辺住民の方々の御理解を得てまいりたいと考えております。

赤嶺委員 騒音苦情も大きくふえていくと思いますが、事前に、その苦情の中身の資料を出していただきました。

 少し紹介をしますと、最近、ジェット機やヘリが一日じゅう飛び回っている、体調が悪く眠れないので静かにしてもらうように言ってくれ、こういう声が那覇市役所に寄せられたり、ヘリコプターの音がうるさく、部屋の障子が震えるくらい騒音があって、米軍機でなく自衛隊機であった、なぜ民間地域を飛ぶのか、こういう苦情も寄せられています。訓練の時間帯についても、四時から五時ごろ、陸上自衛隊のヘリが上空を飛行していてうるさくて寝られなかった、こういう訓練をしているのか、こういう苦情も複数寄せられています。

 これは、私に寄せられた苦情ではなくて防衛省に寄せられた苦情でありますが、なぜこういう早朝の時間帯に訓練を行う必要があるのですか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の苦情につきましては我々も把握しております。我々は、先ほども申し上げましたように、周辺住民の方々の御迷惑を、運用上の必要はあるわけでございますけれども、極力回避するようにしております。

 大変申しわけありませんが、個別のこの日の事情についてはちょっと手元に資料がございませんが、我々も、引き続きまして、周辺住民の方の御理解を得られますように、訓練のあり方を検討してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 自衛隊まで運用上の都合と言い始めたら、自衛隊基地と米軍基地とどこが変わるのかということになっていきますが。

 加えて、自衛隊機にかかわる事故やトラブルもよく発生をしています。昨年四月、那覇基地に早期警戒機E2Cの部隊が新編されましたが、この三月、四月と立て続けにE2Cのトラブルが報じられていました。

 最近の那覇基地所属の自衛隊機による事故、故障等の発生状況、滑走路の閉鎖状況、事故原因などについて、これも明らかにしていただけますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度から現在までの間に、那覇基地に緊急着陸するに至ったトラブル、故障が合計七件発生しております。そして、実は緊急着陸の場合は、この七件は滑走路閉鎖には至っておりませんが、そのほか、今御指摘ありましたが、滑走路閉鎖に至りましたトラブルというのが、これは緊急着陸ではありませんが、滑走路閉鎖に至ってしまった事案というのは四件発生しておるところでございます。例といたしましては、F15で脚部異常を知らせる警報等が鳴ったため離陸中止をした例などがございました。

赤嶺委員 民間飛行場である那覇空港、観光客もたくさん出入りしておりますが、軍用機によって滑走路の閉鎖、これもたびたび起こっている。那覇空港というのは軍民共用空港ですが、その民間専用化を図るというのが、これは長いこと、沖縄の保革を超えた要求でありました。

 今、那覇空港の第二滑走路を建設する工事が進められていますが、沖縄振興のためというのが政府の説明でありました。ところが、計画が進む中で持ち上がってきたのがE2C部隊の新編や新たな戦闘機部隊の配備であります。これでは、一体何のための滑走路増設だったのかと言わざるを得ないような状況です。

 防衛省は、一体いつからこうした部隊の配備を計画していたのですか。国交省や沖縄県といつから協議を行っていたんですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 第九航空団の新編に当たりましては、那覇空港の空港管理者であります国土交通省との間におきまして、那覇基地における離発着回数の増加に伴う騒音対策や施設整備等について、従前より、こういうものも含めて調整を進めてきているところでございます。

 また、沖縄県との間でも、平成二十二年十二月に閣議決定された、前の大綱でございますが、この大綱、中期防において、那覇基地の戦闘機部隊の二個飛行隊化の方針が示されて以降、その意義や具体的な事業の内容について機会あるごとに御説明や情報提供に努めてきたところでございます。

 いずれにいたしましても、この新編に当たりましては、引き続き、関係機関とよく連携しつつ、丁寧かつ着実に体制整備を進めてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 第二滑走路を増設して、自衛隊の部隊も大きくなる。これでは何のための滑走路増設なのかということが問われていく問題であります。

 防衛大臣に伺いますが、政府は、我が国周辺の安全保障環境が激しさを増していると言いますが、米軍の偵察機が中国の海南島付近にまで飛んでいって中国の戦闘機と衝突したこともありました。お互いが偵察飛行を行い、スクランブルをかけ合うということを続けていては、いつまでたっても安定的な関係はつくれません。軍用機同士の衝突、それ自体が新たな緊張の火種にもなるわけです。

 こうした軍事的なせめぎ合いを続ける関係からどう抜け出すかが問われているのではありませんか。こうした努力を防衛大臣はやっているんですか。

中谷国務大臣 中国との関係は、我が国の隣国でございますので、非常に重要でございます。

 この観点におきまして、東シナ海における中国の活動の今非常に急速な活発化を踏まえまして、日中の防衛当局間の海空連絡メカニズムの早期運用開始、これが重要だと考え、本年一月に実施をいたしました第四回共同作業グループの協議の結果を踏まえまして、具体的な内容について現在中国側と調整を続けております。このほかにも、三月には日中安保対話が行われまして、防衛交流の強化で一致をいたしましたし、海空連絡メカニズムの早期運用開始に努める旨、確認をいたしました。

 このように、さまざまなレベルで日中間の対話を働きかけながら、日中の信頼関係、相互理解、これを増進していく考えでございます。

赤嶺委員 日中間の連絡メカニズムの設定等の外交、防衛での作業も行われているということでありましたが、この点に関連をいたしまして、防衛大臣の沖縄での発言について伺います。

 大臣は、翁長知事との会談で、沖縄は我が国の安全保障上大変重要な地域、このように発言をされました。A2AD、スクランブル、防空識別区、尖閣諸島に対する領海侵入、こういう発言を並べ立てて、南西方面での自衛隊の体制強化や米軍の存在が不可欠だ、このように強調いたしました。

 この発言は、沖縄は日本にとって安全保障上重要な地域なんだから、米軍や自衛隊にかかわる被害は受け入れよ、こういうことですか。

中谷国務大臣 沖縄というのは我が国の安全保障上大変重要な地域でございまして、県民の皆様方には御協力や御理解もいただきながら、今現在あるわけでございます。

 なぜ重要な地域かといいますと、大陸から太平洋にアクセスをするにしろ、太平洋から大陸にアクセスを拒否するにしろ、やはり沖縄という地域は、周辺国から見ても、また日本から見ても、米国から見ても、非常に重要な地域でございまして、そういう意味において、沖縄というのは安全保障上非常に我が国にとりましても重要な地域であるという認識を述べたわけでございます。

赤嶺委員 日中間の平和外交の努力は全く触れられなくて、今のような発言を述べましたら、知事も、それに対して、自分たちも七十年間、沖縄が大事だ大事だと言われて、いろいろな事件や事故を忍従させられてきた、防衛大臣の発言を聞くとあと七十年こういうことを受け入れろということなのか、そういう発言がありました。

 やはりそういう発言を聞くと、私たちが子供のころは、米軍の事故が起きたら、極東の平和と安全を守るための非常に崇高な役割を沖縄県民が担っているんだ、こんなことまで言われたんですよ。そうやって被害に忍従させられて、今日がある。

 大臣は、以前も、沖縄県の対応に関して、日本の安全保障をどう考えているのか、このように述べておりました。それから、オスプレイの横田基地配備にかかわっての記者会見でも、我が国の防衛に関する在日米軍の存在というのは、単に沖縄のみならず全国各地で基地の負担も受け入れ、日本の安全保障のために寄与できるように、理解をして、支援をしていただくべき、こう述べております。

 沖縄でも全国でも基地の負担を受け入れるべきだとはっきり述べているわけです。基地と隣り合わせの生活を余儀なくされた住民の姿はすっぽり抜け落ちています。こういう姿勢では、沖縄との溝も、全国の基地周辺住民との溝も深まるばかりだということを厳しく指摘しておきたいと思います。

 一点確認しておきますが、大臣が発言で触れられたA2ADというのは、米軍の用語だと理解していますが、日本の防衛省・自衛隊も共有している用語、認識なんですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 中国は、周辺地域への他国の軍事力の接近、展開を阻止し、当該地域での軍事活動を阻害する非対称な軍事力ということで、いわゆるA2AD、御指摘のものでございます、この能力の強化に取り組んでいると見られるということです。

 この概念は、お話がございましたように、アメリカの国防省の年次報告等によりまして示されているものでございまして、A2能力というのは、主として長距離能力によって、敵対者があるときに作戦領域に入ることを阻止するための能力、AD能力とは、より短距離の能力によって、作戦地域内での敵対者の行動、自由を制限するための能力を指すと認識しておるというものでございます。

 これにつきましては、我が方の防衛白書におきましても、「中国は継続的に高い水準で国防費を増加させ、核・ミサイル戦力や海・空軍を中心とした軍事力を広範かつ急速に強化しており、その一環として、いわゆる「A2/AD」能力の強化に取り組んでいるとみられる。」というふうに防衛白書の方で記述させていただいております。

赤嶺委員 中国が、そのA2ADと言われる戦略をとるようになった背景として、九五年から九六年にかけて、台湾総統選挙をめぐって緊張が高まって、中国側が軍事演習を行ったのに対して、米軍が空母二隻を派遣した、このことが契機として指摘されますが、防衛大臣、これはどのように認識しておりますか。

中谷国務大臣 私の勉強におきましては、その前のトウショウヘイの時代から、中国の国防戦略の一環として第一列島線と第二列島線がありまして、海洋的に見ましても、太平洋の方の対処という観点でこのA2ADなる考え方が構築されたと私は認識をいたしております。

赤嶺委員 今大臣の認識も示されましたが、台湾の総統選挙について言っても、軍事演習で選挙に圧力をかける、こういうやり方、これもとんでもないことだと思いますよ。かける方もかける方だということで、やはり我々は厳しく抗議もしてまいりました。それに対して、米軍が空母を派遣して、結局それを契機に、その後ガイドラインを改定して、こうした事態にも日米が一体で対処する体制をつくってきました。それに対して、中国側は、中国の周辺に近寄らせないためのさまざまな対応をとって、またそれに対して、今度は日米がガイドラインを再び改定する。

 防衛副大臣が宮古島と石垣島を訪問しておりましたが、南西地域への自衛隊配備を推し進めようとしています。さらには、南シナ海で領有権の問題を抱える東南アジア諸国にも、日本が武器を輸出していこうとしています。

 結局、軍事に軍事で対抗するという悪循環に陥っているのではありませんか。

中谷国務大臣 国際情勢の認識におきましては、非常に中国の海洋進出というものが顕著になっておりまして、南シナ海におきまして、領有権をめぐって、中国はどんどんと拠点を拡大しているような動きもあります。

 沖縄周辺におきましても、現実、スクランブルの回数において、二十六年度の回数が、前年度と比べて百三十三回、大幅増加となりまして、九百四十三回になりました。うち、中国機に対する緊急発進の回数は、前年度と比べて四十九回の増加となる四百六十四回になっております。また、南西航空団のスクランブルの回数は、前年度と比べて六十六回の増加となる合計四百六十八回でありまして、これまで最も多い回数となっております。

 防衛省・自衛隊としては、こうした状況も踏まえて、我が国の領土、領海、領空、これを断固として守るという観点から、今後とも、我が国周辺海域における警戒監視活動に万全を期して、また、国際法及び自衛隊法に従って厳正な対処をしていくということでございます。

赤嶺委員 今、スクランブルの回数がふえているということをおっしゃっておりました。

 スクランブルというのは、領空侵犯がその数行われて、繰り返されているということに対する対応のことをおっしゃっているんですか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣から申し上げました対領空侵犯措置、スクランブルと申しているものは、我が国の領空方向に近づいてきた航空機に対して航空自衛隊が発進して警告等を行うという措置でございまして、つまり、他国の航空機がこの回数領空侵犯をしたということではございません。

赤嶺委員 中国やロシアが多いということは聞いておりました。

 ただ、非常に軍事的な緊張感を持ってきているというのは、これはそのとおりであります。私は、こうした軍事的対応の応酬が行き着く先、これは結局、軍拡競争であり、そして一番私たちが懸念しているのは軍事衝突であります。何の解決にもならないと思うんですね。大臣は、周辺国も日本も米国も、いずれも沖縄が戦略的に極めて重要な位置に存在していることを認識していると発言しておりますが、誰もそのようなことは望んでいません。衝突するようなことになれば、その犠牲になるのは沖縄県民です。こんな危険な勢力争いを沖縄の地で繰り広げるのはやめていただきたい、これが私の率直な気持ちであります。

 大事なことは、関係国が話し合い、平和的な環境をつくっていくことであります。日本政府に、こうした努力、これを強く求めておきたいと思います。

 次に、日米新ガイドラインについて質問をします。

 今回のガイドラインは、従来の調整メカニズムにかえて「平時から利用可能な同盟調整メカニズムを設置」することを明記いたしました。

 なぜ、このような平時からの調整の仕組みが必要なんですか。

中谷国務大臣 これは、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増してきておりまして、やはり、日米両国の防衛協力につきまして、大枠または政策的な方向性を見直して更新することによって、我が国の平和と安全の確保、これをしっかりするということが目的でございます。

赤嶺委員 ガイドラインはさらに、「全ての関係機関を含む政府全体にわたる同盟内の調整を確保する」と述べています。

 全ての関係機関とは具体的にどういう機関を指すんですか。従来と比較してどこが加わるということですか。

中谷国務大臣 これは、日米の両国政府で話し合いをいたしておりますので、政府と政府との協力関係におきますので、防衛省のみならず日本の政府全体ということでございます。

赤嶺委員 日本の政府全体、それがガイドライン、日米の軍事協力の体制に入っていくという意味なのか。

 例えば、安倍政権のもとで、安全保障会議、これが国家安全保障会議、NSCに変わって、去年の一月には国家安全保障局が設置されています。これらは当然関係機関に含まれるということですね。

鈴木政府参考人 ただいま大臣から御答弁がございましたように、同盟調整メカニズムにつきましては、必要な関係機関が多く関与してそうしたメカニズムをつくっていこうという考えでございます。

 ただ、具体的には、これからまさにそのメカニズムをつくっていこうというところでございますので、NSCの関与の仕方も含めて、今後の検討ということになっていくと考えております。

赤嶺委員 これはぜひ明らかにしてほしいと思うんですよ、どんな考え方を日米ですり合わせているのか。

 例えば、宇宙分野で既にJAXAを巻き込んだ形での日米協力は始まっていますが、JAXAも関係機関に含まれるということですか。

鈴木政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、申し上げましたとおり、このメカニズムのあり方につきましては今後日米間で協議をしていくということでございますので、今後の検討ということになると思います。

赤嶺委員 また同じ答弁が出ることを承知であえて聞きますが、「防衛装備・技術協力」、これがガイドラインには明記されております。

 今回設置する防衛装備庁も関係機関に含まれますか。それは含まれるということでしょう。

鈴木政府参考人 防衛装備庁におきましては、当然、防衛大臣のもとに置かれるということでございますので、防衛省の一部という構成になってございます。その意味で申し上げれば、それも含めた防衛省全体の取り組みの中の一部であるというふうに考えてございます。

赤嶺委員 ガイドラインでは、運用面での調整だけではなく、政策面での調整を行うことを明記しております。

 政策面での調整とは、具体的にどういうことを指しているんですか。

鈴木政府参考人 ガイドラインにおきましては、平素から緊急事態まで、あらゆる事態においてその対応を日米で協力していくということをうたっております。その中におきましては、さまざまな情報発信ですとか、戦略的なメッセージ、こうしたものを発信していくというようなこともございますので、そういった意味におきまして、政策的な調整を日米間で進めていくということになると考えております。

赤嶺委員 私は、今度のガイドラインで、同盟調整メカニズム、平時からというのを見て、本当にびっくりいたしました。今、説明を聞いても明確な説明はありませんが、日米の軍事一体化があらゆるレベルで一層進むということだけは間違いがありません。

 文民統制をめぐっていろいろな議論が行われてきましたが、議論から抜け落ちているのがアメリカの存在であります。

 いわゆる文官統制がしかれた大もとには、日本の再軍備を求めるアメリカの対日要求がありました。その後の自衛隊の増強も、九〇年代以降の海外派兵も、憲法九条を踏みにじって、国民の反対を押し切って、アメリカの要求に応える形で進められてきたものです。この国のどこにシビリアンコントロールがあるのか、あるのはアメリカンコントロールではないのかということを強く指摘して、質問を終わります。

北村委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 照屋寛徳です。

 社民党は、本法案は、本日閣議決定されるいわゆる一連の戦争法案と一体のものであり、反対であります。

 法案の論点は多岐に及び、ただしたいことが多くありますが、きょうは、緊急事態の、オスプレイ横田基地配備問題を中心に大臣に質問をいたします。

 CV22オスプレイは、米軍の特殊作戦部隊の兵員や物資の輸送に資する攻撃機であります。現在、日本を含むアジア太平洋地域に米四軍の特殊作戦部隊は幾つあるのか、部隊名と所属基地を尋ねます。

中谷国務大臣 防衛省といたしましては、アジア太平洋地域において、米軍の部隊の詳細につきましては、その所在地を含めて、網羅的に責任を持ってお答えをする立場にはございません。

 その上で申し上げれば、例えば、ハワイのキャンプ・スミスに司令部を置く太平洋特殊作戦コマンドの隷下の部隊として、陸軍第一特殊部隊群第一大隊が沖縄のトリイ通信施設に、空軍第三五三特殊作戦群が沖縄の嘉手納基地に、第一海軍特殊戦隊がグアム海軍基地に所在をしているほか、在韓特殊作戦コマンドが韓国・ソウルのキャンプ・キムに所在しているものと承知をいたしております。

 なお、米側から、CV22の輸送対象は、これらの部隊に限られず、アジア太平洋地域以外から来援した部隊の輸送を行うこともある旨、説明を受けております。

照屋委員 大臣、今答弁ありましたように、在日米軍所属の特殊作戦部隊は、嘉手納基地とトリイ通信施設にしかおりません。したがって、CV22オスプレイが横田基地から在沖米軍基地に訓練目的で飛来するのは明々白々である。これでは、沖縄の基地負担は、軽減どころか、むしろ強化されたあげく、首都圏へ危険と負担が分散拡大されるものであり、強く批判せざるを得ません。

 大臣、どうして横田基地へのCV22オスプレイの配備が沖縄の基地負担軽減につながるのか、また、CV22の横田配備で日米同盟の抑止力、対応力が具体的にどう向上するのか、説明をしてください。

中谷国務大臣 CV22の日本における訓練場所につきましては、主に米軍施設そして区域のほか自衛隊の訓練空域等を予定している旨、米側から説明を受けております。

 我が国に配備されるCV22は、各種事態が発生した場合に初動対応を行う米軍の特殊作戦部隊を輸送することを主な任務としており、沖縄にも特殊作戦部隊が所在をしていることから、CV22が沖縄に飛来することも考えられるわけでございますが、現時点において、沖縄における具体的な飛行、運用について米側から説明を受けているわけではありません。

 その上で申し上げれば、米側は、沖縄を初めとして、米軍の運用による地元への影響軽減を常に考慮してきていると承知をしております。

 いずれにしましても、政府としては、沖縄の負担軽減に全力で取り組むとの基本方針には何ら変わりはございません。

照屋委員 大臣、かけ声はいいんですよ。負担軽減にならないんだ。

 大臣も、今答弁を聞いておると、CV22オスプレイの沖縄への飛来は否定していませんでした。沖縄に飛来したCV22オスプレイが、嘉手納基地やトリイ通信施設で兵員や物資を乗せて北部訓練場や伊江島補助飛行場などで低空飛行訓練や夜間飛行訓練を実施することは明らかでしょう。大臣、正直に答えてくださいよ。

中谷国務大臣 CV22の日本における訓練場所につきましては、主に米軍の施設・区域並びに自衛隊の訓練空域等を予定している旨、米側から説明を受けております。

 政府としては、沖縄の負担軽減に全力で取り組むとの基本方針に何ら変わりがありませんし、そのオスプレイの拠点基地は関東の横田基地に所在をするということでございます。米軍基地の負担、従来から沖縄の方から、これは全国で負担をするべきだという要望等も聞いておりまして、米側は、沖縄を初めとして、米軍の運用による地元への影響の軽減というものは常に考慮していると考えておりまして、政府としては、沖縄の負担軽減に全力で取り組むという姿勢、方針で対処してまいっております。

照屋委員 大臣、今現在、CV22が沖縄の米軍基地に駐留しているわけじゃない、配備されているわけじゃない。それが横田へ移るなら負担軽減でしょう。特殊作戦部隊が横田に移るなら沖縄の負担軽減でしょう。そうじゃないでしょう。沖縄の北部訓練場を含めて米軍基地で、沖縄じゅうで低空飛行訓練、夜間飛行訓練をする。沖縄だけじゃない、恐らく全国でやるでしょう。それは沖縄の基地負担の軽減とは言わないですよ。

 それで、大臣は記者会見で、CV22オスプレイの機体の安全性は確認されていると述べております。一方で、同日に防衛省がマスコミに示した直近の数字によれば、CV22オスプレイの十万飛行時間当たりのクラスA事故発生率は、海兵隊仕様のMV22オスプレイの三・四倍にもなっております。

 CV22の事故率に対する大臣の見解を伺います。

中谷国務大臣 これは、現在米国ではCV22というのは実際に運用をされているわけでございます。これの根拠は、二〇〇七年に、全ての信頼性・安全基準を満たすと判断して、運用を開始したわけでございます。

 また、政府は、独自の事故分析評価、また日米合同委員会合意等を通じまして、二〇一二年九月までに、我が国におけるMV22、これの運用の安全性を確認しておりますが、CV22は、MV22と任務が異なるために搭載装備に一部異なる部分がある別機種でありますが、両者とも機体構造及び基本性能、エンジン、飛行システムの基礎、これは同一でありますので、MV22について確認をされた機体の安全性はCV22にも該当するものと考えております。

 事故率につきましては、そもそも安全記録の一つの指標にすぎませんが、この時間につきましては、米国から、十万飛行時間に達しない段階で有意な事故率を算出することは困難であるという旨の説明を受けていますが、この点、二〇一四年九月末時点のMV22の総飛行時間が約十八・九万時間に達している一方、CV22の総飛行時間は四・二万飛行時間にとどまっておりまして、MV22との比較に適したCV22の有意な事故率を算定することは困難でございます。

 その上で、あえて機械的にCV22の事故率を計算いたしますと七・二一となりますが、一般に、航空機の事故率は飛行時間の増加に伴い低減するものでありまして、CV22につきましても今後この数値は低減をしていくのではないかと見込んでおります。

照屋委員 大臣、二〇一五年一月時点で、クラスA事故の発生率は、CV22オスプレイが七・二一、MV22が二・一二。三倍以上ですよ。これをきちんと国民に説明して、国民の命と安全、尊厳を守るようなことをやらなければ、アメリカに追随するだけじゃ、私は主権国家とは言えないと思いますよ。

 さて、最後に私が尋ねたいのは、中谷大臣は、就任直後から翁長沖縄県知事との面談を拒み続け、対立が深くなるとしたら会っても意味がないとまで言い放ちました。ようやく去る五月九日に、手のひらを返したように面談に応じましたが、翁長知事から、高飛車な発言と、その物言いをたしなめられております。

 ところで、聞きたいのは、五月九日の知事会談で、翁長知事から、米軍基地に絡む事件、事故が発生した場合、沖縄防衛局長を初め職員が県や市町村に直接出向いて説明をし、意見を聞くべきだと具体的に要請されました。

 この知事要請に対する大臣の明快な答弁をお聞かせください。

中谷国務大臣 私は、就任前はたびたび沖縄には足を運んで、地元の皆様方とは交友を続けているわけでございますが、九日の翁長知事との会談も大変有意義なものでございまして、知事の方からも今後とも協議は続けていきましょうということで、この点は私も同じ考えでございます。

 お尋ねの米軍の関係につきましては、在日米軍に係る事件、事故、これは住民の方々に不安を与えるものとして、まことに遺憾であると考えております。先般の沖縄訪問時の九日に、ウィスラー在沖米軍四軍調整官等と会談した際も、私の方から事件、事故の再発防止、これの努力を要請いたしました。

 今後、米側から迅速に通報されることが重要でありまして、米側から得られた情報につきましては、関係自治体への迅速な情報提供に努めてまいります。

 また、地元の地方局から関係自治体に赴いて説明を実施しているところでございますが、今後とも、米軍の活動につきましては、地元の方々の御理解が得られるように、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。

照屋委員 大臣が就任前から沖縄にしばしば足を運んでいるのは私も承知していますよ。残念ながら、足を運んだのは、辺野古に新しい基地をつくろうとして足を運んだのであって、私は大変残念である。

 ただ、今言いましたように、重大な事件、事故、犯罪が発生した場合に、今後は、沖縄防衛局長を初め職員が直接、県や市町村に出向いて説明をし、意見を聞くというのは約束できますね。

北村委員長 申し合わせの時刻が来ておりますから、簡潔に御答弁ください。

中谷国務大臣 先ほど申し上げたとおり、事件、事故の情報提供につきましては、迅速にまず行うことが重要でございます。関係自治体に出向いて説明することは一般的に時間を要することでございまして、結果的に自治体への通報が遅くなると考えておりますが、個別的な事件、事故の状況に応じて適切に対応してまいりたいと思っております。

照屋委員 終わります。

北村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北村委員長 この際、本案に対し、大串博志君外三名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出いたされております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。小川淳也君。

    ―――――――――――――

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小川委員 ただいま議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民主党を代表し、その提案理由及び内容について御説明いたします。

 政府提出の防衛省設置法等の一部を改正する法律案は、まず、防衛省の内部の文官統制を定めた防衛省設置法第十二条をその根幹から改正しようとするものであります。防衛省設置法第十二条は、戦前の反省を踏まえ、シビリアンコントロールを構成する防衛省の内部の文官統制を定めたものであり、この規定を根幹から改正することは、文官統制、ひいては文民統制を弱めることとなります。

 さらに、政府案は、統合幕僚監部の所掌事務に、部隊運用に関する調整連絡事務を追加しています。部隊運用に関する調整連絡事務は、これまでは内部部局と統合幕僚監部との調整を経た上で行われていたものであり、これを統合幕僚監部に一元化することで、防衛省内部での調整不足を招くおそれがあります。

 また、政府案は、新設する防衛装備庁の任務について、装備品等の開発及び生産のための基盤の強化を図りつつ、その任務を行うこととしています。この規定は、防衛装備品等の海外への移転や国際共同開発の前提となる国内の産業基盤の強化にもつながるものと考えられますが、十分な透明性が確保されているとは考えられない中、そうした施策に資する規定を整備することは、我が国の平和国家としての理念を損なう危険をはらむものであります。むしろ、過去の防衛装備をめぐる不祥事に鑑みれば、防衛装備庁の任務規定に必要なことは、職員の職務執行の適正を確保しつつその任務を行うことではないでしょうか。

 民主党は、政府案には以上のような問題点が存在しているとの認識のもと、次の内容の修正案を提出するものであります。

 第一に、防衛省の内部の文官統制を定めた防衛省設置法第十二条を根幹から改正する規定及びこれと一体であると考えられる内部部局の所掌事務を追加する規定を削ることとしております。

 第二に、防衛装備庁の任務規定について、「開発及び生産のための基盤の強化」という文言を「職員の職務執行の適正の確保」に改めることとしております。

 第三に、政府は、防衛省の所掌事務の円滑な遂行に資するよう、自衛官以外の防衛省の職員及び自衛官について、それぞれの能力が相互の連携のもとで十分に発揮されるような適切な配置、その他防衛省の職員が一体的にその所掌事務を遂行するための体制の整備の重要性を踏まえつつ、防衛省本省の内部部局と統合幕僚監部との連携のあり方について不断の見直しを行うものとする見直し規定を附則に追加することとしております。

 以上が、この修正案の提案理由及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がございますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、防衛省設置法等の一部を改正する法律案の政府原案に反対し、民主党提出修正案に対する賛成の討論を行います。

 本政府原案は、防衛省改革の一環として、統合運用機能の強化のための諸施策や、防衛装備品の調達、研究開発、国際協力をより効率的に行えるよう、装備庁を防衛省の外局として新設等を行う改正案です。これらの改革の方向性については民主党としても一定の理解をいたします。

 しかし、本法案に盛り込まれている、日本における文民統制の仕組みの一部として構築された、防衛大臣による自衛隊に対する指示等を行う際の内局の補佐権限の根拠となる規定を変容させる改正については、その必要性が認められません。よって、第一に、修正案どおり、本法の第八条、第十二条は現行のまま存置させるべきです。

 確かに、統合運用機能の強化は重要ですが、これにより、内局と統合幕僚監部との連携に支障が出ては問題です。したがって、むしろ、十二条を改正するのではなく、省内のより迅速、効率的な意思疎通のため、文官と自衛官の相互配置、人事交流などをより徹底的に進めるべきです。よって、第二に、修正案どおり、政府による省内の連携のあり方についての不断の見直しを行うことを規定する必要があります。

 最後に、新設される防衛装備庁の任務の規定に「開発及び生産のための基盤の強化を図りつつ、」という文言がありますが、このように、強化するという方向性を庁の任務として法文上に規定するのは妥当とは思えません。それよりも、外局となっても、透明性、公正性をきちんと確保し、何度も繰り返されている不祥事の防止など、職務の適正な執行に特に留意をする必要があります。よって、修正案どおり、任務規定は、「職員の職務執行の適正の確保を図りつつ、」という文言に修正を行うべきです。

 以上、防衛省改革をより適切に進めるため、委員の皆様には、政府原案に反対し、民主党提出修正案に御賛同いただきますようお願いし、討論を終わります。(拍手)

北村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛省設置法等一部改正案に反対の討論を行います。

 防衛装備庁は、従来の防衛省・自衛隊の装備取得関連部門を集約、統合し、防衛省の外局として新たに設置するものです。

 安倍内閣は、昨年四月、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防に基づき、従来の武器輸出三原則を撤廃し、武器輸出を原則禁止から推進へと百八十度転換する防衛装備移転三原則を決定しました。

 防衛装備庁は、これを踏まえ、国を挙げて、武器輸出や国際共同開発への参加を積極的に推進する体制づくり、軍需産業の維持強化を図ろうとするものです。参考人質疑においても、これが産業の急速な軍事化を招き、日本に軍産複合体を許す危険についての指摘がありました。憲法の平和主義に真っ向から反する武器輸出庁の設置はやめるべきであります。

 官房長、局長と幕僚長との関係規定の見直しは、防衛省内で文官を自衛官よりも上位に置いてきた、いわゆる文官統制を廃止し、両者を同等に位置づけるものです。

 これは、九〇年代以降、政府が憲法九条を踏みにじって自衛隊を海外に派遣し、米軍に対する兵たん支援活動を繰り返してきたもとで、米軍との共同軍事作戦を直接担う自衛隊の意向をより迅速、ストレートに反映させ、アメリカの戦争に直ちに協力できる軍事機構づくりを推し進めるものにほかなりません。世界のどこでも、いつでも、アメリカが起こす戦争に自衛隊が参戦するための日米新ガイドライン、安保法制と一体の体制づくりであり、断じて容認できません。

 航空自衛隊那覇基地のF15戦闘機部隊を二個飛行隊化し、第九航空団を新設するとしていますが、こうした軍事対応の強化は、日中関係の緊張を高めるものであり、容認できません。日中双方がこうした軍事対応の強化を厳に戒め、冷静な話し合いによる問題解決の立場に徹するべきです。

 なお、防衛装備庁の設置や日米間の軍事一体化を前提とした民主党提出の修正案には賛成できないことを申し上げ、討論を終わります。

北村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決をいたします。

 まず、大串博志君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決をいたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、小野寺五典君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出なされております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。下地幹郎君。

下地委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    防衛省設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 防衛装備庁においては、装備品等の調達に際して、より適正かつ効率的に遂行していけるよう、入札を含め契約の公正性・透明性の一層の確保及びコスト管理の徹底を図るとともに、職員に対する教育の充実等にも取り組んでいくこと。

 二 防衛省の統合運用機能が強化されることを受けて、統合幕僚監部と内部部局との連携が確保されるよう、自衛官と自衛官以外の職員のそれぞれの能力が相互の連携の下で十分に発揮されるような適切な配置その他職員が一体的に所掌事務を遂行するための体制の整備に取り組むとともに、内部部局と統合幕僚監部との連携の在り方について不断の見直しを行うこと。

 三 国民の自衛隊に対するこれまで以上の信頼を得るため、終戦までの経緯を深く反省し、また、これまでの国会における文民統制に関する政府答弁を十分に踏まえ、国会、内閣、防衛省における厳格な文民統制が、本法の施行後も引き続き維持される旨を、防衛大臣を始め、政府から明確に絶えず国民に向け発信すること。

 四 防衛省内の総合調整を行うに当たり、内部部局、防衛装備庁、統合幕僚監部その他各機関が所掌事務に関し統一的な役割分担及び協力を、業務の遂行に際して行うよう努めること。

 五 航空自衛隊第九航空団の新編に伴い増大することが予想される那覇空港周辺の騒音等に係る地元負担を軽減するため、防衛省は各種施策を用いるよう努めるとともに、那覇空港の管理者である国土交通省と緊密に協議を行い、民生安定施設の助成の充実強化を図ること。

   右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決をいたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、防衛大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中谷防衛大臣。

中谷国務大臣 防衛省設置法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会において熱心な御審議をいただき、ただいま可決いただいたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、審議中の委員各位の御高見やただいまの附帯決議の趣旨を十分尊重し、努力してまいります。

 ここに、委員長を初め理事の皆様方、委員の皆様方の御理解、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

北村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

北村委員長 次回は、公報をもってお知らせいたすこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十四分散会


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