衆議院

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第5号 平成13年3月15日(木曜日)

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平成十三年三月十五日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 五島 正規君

   理事 伊藤 達也君 理事 稲葉 大和君

   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君

   理事 小林  守君 理事 近藤 昭一君

   理事 青山 二三君 理事 樋高  剛君

      植竹 繁雄君    小渕 優子君

      岡下 信子君    熊谷 市雄君

      小泉 龍司君    河野 太郎君

      下村 博文君    谷本 龍哉君

      鳩山 邦夫君    原田昇左右君

      平井 卓也君    増原 義剛君

      奥田  建君    鎌田さゆり君

      佐藤謙一郎君    鮫島 宗明君

      長浜 博行君    田端 正広君

      藤木 洋子君    金子 哲夫君

      原  陽子君

    …………………………………

   環境大臣         川口 順子君

   環境副大臣        沓掛 哲男君

   環境大臣政務官      熊谷 市雄君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次

   長)           小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネ

   ルギー・新エネルギー部長

   )            沖   茂君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・

   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長

   )            中川 雅治君

   政府参考人

   (環境省環境管理局水環境

   部長)          石原 一郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  西尾 哲茂君

   環境委員会専門員     澤崎 義紀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)




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     ――――◇―――――

五島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、環境省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省製造産業局次長小平信因君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長沖茂君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長岡澤和好君、環境省総合環境政策局長中川雅治君、環境省環境管理局水環境部長石原一郎君及び環境省自然環境局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

五島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

五島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田建君。

奥田委員 おはようございます。民主党の奥田建でございます。

 川口大臣、沓掛副大臣、そして熊谷政務官、御苦労さまでございます。今から、内閣提出の環境省設置法の一部を改正する法律案、そして環境省のあり方について、環境大臣を中心に質疑をさせていただきたいと思います。

 まずは、いただきました法律案に基づいて基本的な事項を質疑させていただきたいと思います。

 まず、大臣にお伺いしたいと思います。

 設置法改正という中で新設されますポストのうち、地球環境審議官の職務についてお尋ねをしたいと思います。

 提案理由の中にも、国際的な取り組みの中で積極的な役割を果たして、国際交渉に的確に対処することが重要であるという提案理由については、皆さん異議がないことと思います。しかしながら、いただいた条文だけでは、事務次官級のポストを新たに一つ設けるというだけでは、その職務を説明するには不十分であるかと思います。国際会議での情報交換や方針の総括整理、あるいは外交の場での交渉といったものが新たな地球環境審議官の職務となるということはイメージとして浮かびますけれども、ただ、これまでの事務次官あるいは地球環境局長といった職務とも重なってくるのではないかと思います。

 それで、地球環境審議官の職務につきまして御説明を求めますとともに、事務次官並びに地球環境局長との職務分担について御答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

川口国務大臣 お尋ねの、地球環境審議官の職務及び事務次官それから地球環境局長との関係でございますけれども、これはどの省も同じようなことになっていますが、まず事務次官との関係ですけれども、事務次官は、大臣を助けて、環境省の政策、事務全般を整理監督するということになっております。

 地球環境審議官は、事務次官の下にいます。事務次官のもとにあって、環境省の所掌事務のうち、地球環境保全に関する事項で国際的に取り組む必要のあるものについて、大臣を助けて国際交渉に当たるということになっております。

 それから、地球環境局長との関係でございますけれども、地球環境審議官は事務次官級ということでございますので、国際会議で地球環境局長が対応できない大臣級の交渉などにも対応することができるということでございます。

 それから、野生生物の種の減少ですとか有害廃棄物の越境移動といったような、地球環境局の外にある、自然環境局ですとか廃棄物・リサイクル対策部が担当することについて総括整理をするということでございます。

奥田委員 今、外交の場と申しますか国際会議の場が仕事の中心になるということで、外交一元化の原則ということに関しまして、外務省との役割分担といいますか調整というものが出てくるかと思います。

 この地球環境審議官の外交の場での権限というものにつきまして、一言御説明をいただきたいと思います。

川口国務大臣 結論から先に申し上げますと、今までと変わりがないということでございます。

 どういうことかということですけれども、環境省の任務というのは環境の保全を図ることということでして、その任務の達成のために必要な国際交渉に臨むということでございます。

 それから、外務省でございますけれども、外務省の所掌は、外国政府との交渉及び協力その他外国に関する政務の処理ということでございます。ですから今まで同様、環境省が国際交渉に臨むに当たりましては、外務省と密に連携をとりまして、外交政策上の方針に沿って環境省の事務を遂行していくということでございます。

奥田委員 これはほかの省庁でもあることですから、当然のことかと思います。

 次に、他省庁との役割分担あるいは調整ということについて、また大臣にお伺いしたいと思います。

 地球環境審議官だけではなく環境省全体の取り組みの話になるかと思いますけれども、地球環境審議官も、こういった外交の成果を国内に持ち帰って、国内での調整あるいは会議の場での他省庁との調整というものが必要になるかと思います。環境省全体の話としてお答えいただいても結構ですけれども、他省庁との共管の問題解決といったことについてどう取り組んでいくのか、地球環境審議官の立場からであれ、環境省全体の立場からであれ、お答えをいただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

川口国務大臣 これはすべての仕事について言えることだと思いますけれども、各省が密接に連携をとりながら仕事をしていくことがまず基本にあるということでございます。

 環境省は、例えば、国際交渉をいたしまして、その結果、条約などを締結、批准するという場合には、国内制度を設けてその実施を担保する必要があるわけでございます。環境保全を目的とした条約等の担保のためには、国内制度をつくる際に、ほかの省庁と連携はもちろんとりますが、その企画立案は環境省が中心になって行うということでして、その制度の実施に当たっては、それぞれの省庁が設置法に基づいて行っていく、その際、環境省と関係省庁は協力を密にしていく、そういう関係でございます。

奥田委員 環境省全体あるいは各省庁の取り組み全体かもしれませんけれども、こういった人事の法改正とともに、環境省の体制整備といったものを行いまして、分野によっては環境行政の統合化といったことに取り組み、そしてまた、分野が各省庁にわたることにおきましても、環境保全の立場からはぜひとも環境省が積極的に関与を持っていただきたいということをつけ加えたいと思います。

 一つ、余計な一言かもしれませんけれども、ゼロエミッション構想あるいはエコタウン構想、フェニックス計画といった、環境と本当に密接にかかわりあるプロジェクトなんかでも、政府以外の人たちが最初にイメージする省庁といいますと、ちょっと環境省ではなかったりするものもありますし、そういったところへの力強い関与と共管、そして新たな環境省独自の施策といったものを打ち出すことに御尽力いただきたいと思う次第でございます。

 続きまして、政務官の方に、地方環境対策調査官の職務を中心にお尋ねしたいと思います。

 今までの地方の環境施策に関する情報収集といったものが、私などは総務省の管区行政評価局が分掌していたということを知らなかったのですけれども、ほかの委員の方でも、何人かはそういった方もいられるんじゃないかと思いますが、このたび、分掌していた業務を、省独自の情報収集の機構として地方環境対策調査官という職務を新たに設けるということでございます。今まで確かにそういった情報収集の枠組みはあったけれども、このたび省独自のこういった機構を設けるということに関して、やはりその強い必要性があったからこういった改正案が出てきたということと思います。

 これまでのいろいろな環境行政の中で、こういった直属の調査官がいなかったために大変不自由な思いをしたというような事例があれば、その事例をお話ししていただければと思います。そしてまた、あわせまして、地方分権の中での流れを前提として、この調査官のあるべき役割についてお話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。

熊谷大臣政務官 お尋ねの地方環境対策調査官、なぜ環境省に設置をするのかということ、それから、具体的に職務の内容はどういうものかということでありますが、まず、地方環境対策調査官というのは、地域の環境の実態に関する情報を機動的に把握いたしまして、それを環境省自身の政策立案に生かしていく、そのために配置をされるというものであります。

 具体的には、廃棄物の大規模な不法投棄などが起きた場合、地域における環境問題の実態というものを即座に調査するなり、あるいは資料の収集、整理、それから環境保全に関する国民からのいろいろな相談事、要請事、そういうものに機敏に対応していくということと、もう一つは、必要に応じて、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律といったリサイクル関連諸法に基づく申請などの受理、あるいはその窓口業務、これは直接環境省が執行すべき事務でありますが、そういうものに対応していくというのが職務の内容というふうに考えております。

奥田委員 大臣でも結構ですけれども、これまでの過去の業務の例の中で、こういったときに大変不自由したということがあれば、その例としてお話しいただきたい。政務官の方にお願いできますか。

熊谷大臣政務官 不自由をしたことというと、総務省に設置をしておった場合、直接環境省がそういう事務に携わるということができませんので、そういう面での不便性というか、そういうものがあったわけでありますが、これからはそういうものが解消されるのじゃないか、こんなふうに考えております。

奥田委員 業務としてはありましたけれども、これから業務も大変多くなるということ、あるいは迅速性、独自性というものを持ちたいということかと思います。

 大臣の方にまたお伺いしたいと思います。

 今、熊谷政務官の方から、情報収集、具体的な例として不法投棄といったことがお話にありました。私どもが考えましても、地方自治体の任務であります一般廃棄物の情報、あるいは産業廃棄物、そして今お話にありました不法投棄の問題あるいはリサイクルの実施状況など、そういった情報が大変必要になってくるかと思います。

 これから新しい職務を設けることによりまして、大臣自身がこの地方調査官の方に求められる情報収集の課題といいますか、あるいは期待と申しますか、そういったものが具体的にありましたらどうかお話しいただきたいと思います。

川口国務大臣 私は、就任以来、現場主義ということを言ってまいりまして、環境問題というのは、地球環境問題という地球規模の問題もございますけれども、毎日の生活に密着した非常に身近な問題というのが多いわけでございます。環境省にとりまして、全部の職員が問題意識を共有して、そういう、地元に密着をした、生活に密着をした問題についての鋭敏なアンテナを持つということは非常に大事なことだというふうに思っております。

 先ほど熊谷大臣政務官の方から申し上げました不法投棄、廃棄物の問題というのは、その一つの最たる、そういう感覚を持って状況を把握するということにおいて重要な問題でございますけれども、一般的に、本省の職員と同じ問題意識を持って環境問題をとらえていくということで、その活動に大いに期待したいと思っております。

奥田委員 確かに、生活に密着した問題、あるいは地域から発生した問題、環境省自身も公害問題の解決というところから発足したように自分も思っております。

 地方のこういった廃棄物の問題などは、地方が独自に取り組んで、生活に密着した形というものは地方の方が対策としては進んでいるということも数多く見受けられます。ぜひとも、そういった施策の浸透とともに、地方からもすばらしい施策を学んで反映していただきたいと思う次第でございます。

 少し話は変わりますけれども、今、廃棄物対策の話が出てきました。ことしから環境省となりまして、廃棄物対策というものが環境省の大きな柱になってきております。これまで厚生行政といった中で行われてきた廃棄物対策、環境省独自にこれから預かることになったこの廃棄物対策につきまして、これまでと変化といいますか、この部分を力強く打ち出していきたいということがございましたらどうかお答えいただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

川口国務大臣 今まで廃棄物・リサイクル行政は厚生省が所管されていたわけですけれども、それが環境省に移ったということで、一番大きな違いは、廃棄物行政の一元的な実施が可能になったということでございます。環境省は個別リサイクル法も所管いたしておりますので、そういう意味で、環境省において、循環型社会の形成のための政策を強力に推進できる、そういう体制が整備されたということでございます。

 したがいまして、廃棄物というのは、物が使われる前の段階、捨てられる前の段階から、生産され消費されという前の段階から対応して廃棄物が少なくなるようなことが大事でございますので、そういう意味で、発生抑制、それから循環的な利用、適正処理といったその全体を一つの流れとしてとらえていくということに転換するということでございます。

奥田委員 私どもも党として、昨年の循環型社会の形成推進基本法という中で、やはり今、廃棄物行政の一元化、そして、さらにはリサイクルまで含んだところに網をかけたい、有価物、無価物という考え方はどこで線を引けるのか、あるいはその法を逆手にとったいろいろなことが、皆さんを困らせるような事態が起きているといったことに何とか法の網をかけたい、あるいは規制の網をかけたい、ルールの網をかけたいという思いがございまして、まだその思いは同じでございます。もちろんリサイクルと廃棄物というものは確かに定義として違いますけれども、そういった定義を悪用するといいますか、逆に利用する、そういったところにもこれからも法の網をかけていきたいと思っております。

 次に、大臣にまた、情報公開あるいは統計の資料といったことについてお伺いさせていただきます。

 これまでも何回か指摘されていることではございますけれども、今の環境行政の中で、いろいろな統計データが出てくるのが少し遅いんじゃないか。省独自が把握しているデータもあれば、地方自治体から協力をいただいて集計しているデータもある。聞くところによると、特に廃棄物関係のデータなんかは、各地方自治体がばらばらに出してきてちょっと統一性がないということも聞いております。

 こういった提出いただくデータのとり方、あるいは提出いただく項目といったものもしっかりと統一しなければいけないと思いますけれども、こういったデータの現状の把握、統計の不備と申しましたら言葉は悪いかもしれませんけれども、そういったところに対してどのような対策をとっていくのかということが一点。

 それともう一つ、情報公開ということに関しまして、四月からはPRTRのマニフェストの政策が実施されますし、あるいは災害の分野なんかでも、余り公開することに積極的でなかったハザードマップといった危険情報といいますか、あるいは土地の値段とかいったことまで、不動産等を考えると余り有利に働かないんじゃないかといった情報も公開する動きになってきております。

 今の統計のとり方といったもの、そして、これからの環境省としての情報公開への取り組みといった点についてお答えいただきたいと思います。

川口国務大臣 言うまでもなく、情報公開というのは非常に大事なことでございます。

 例えば、環境省ではホームページから、「そらまめ君」というのがございまして、空をまめにチェックするということで「そらまめ君」という名前がついたようでございますけれども、大気汚染の状況を地図上で見ることができるということで皆様のお役に立っているかと思いますけれども、そのように、特に環境情報については、自分のいる地域の情報がどういうことであるか、あるいは他の地域がどうなっているかということを知ることは、環境マインドを育てていくという観点からも非常に重要なことだというふうに思っております。

 廃棄物ということで申し上げますと、全国的な一般廃棄物、それから産廃の排出、処理状況については毎年集計して公表をしているということでございますし、さらに、平成十二年度の廃棄物処理法の改正の結果といたしまして、特別管理産業廃棄物やその他の産業廃棄物の多量排出事業者が毎年処理計画を策定いたしまして、計画の実施状況とともに公表をすることになっております。この四月から施行になりますので、その後からは個別の事業者の情報も公開をされるということになります。

 いずれにいたしましても、今後とも、この廃棄物についての情報も含めまして、さまざまな環境情報につきまして整備をして公開をするということで、積極的にITの利用も含めまして努めてまいりたいと思っております。

奥田委員 ITの利用ということで「そらまめ君」のお話などが出てきましたけれども、ほかの省庁から見れば、行政改革の大きな流れはありますけれども、後発の省庁ということで、予算あるいは人員といったところでまだまだ仕事量と比べて不十分なところが環境省にはあるのではないかと思います。そういった点で、現在もそうですけれども、必要性があるのかもしれませんけれども、ITなんかを上手に使っている省庁であると思います。

 私ども、こうやって法律の制定、制度の制定といったところでいろいろな話をさせていただいておりますけれども、ITを使うことによって、法律じゃなくてもいろいろな消費者動向を知る、あるいは啓蒙といったことができるんじゃないかと思っております。

 大臣も、もとの職場でもこういうことに取り組んでおられたかもしれませんけれども、例えばライフサイクルアセスメントの情報、まだなかなか学術的にしっかりと確立されていない部分もあるみたいですけれども、例えば容器包装に関しては、瓶がいいのかあるいはスチール缶かアルミ缶かペットボトルかといったような中で、そういったライフサイクルアセスメントの情報が消費者の方にわかりやすく行き渡ることによって、法律ではなくて、消費者の一つの選択の道として、新しい形の社会といいますか動きが出てくるんじゃないか。

 今、「そらまめ君」という楽しい名前をつけておりますけれども、そういった啓蒙の中で、環境省自身も、ミュージカルで子供たちにも楽しく学んでもらおうという動きをしているとも聞いております。それだけではなくて、やはりホームページも楽しく、ちょっといいかげんな話になるかもしれませんけれども、クイズ形式のものがあって、賞品なんかもリサイクルマーケットの中から出てきたようなものを、好きなものを選んでいいよとか、そういった中で楽しく情報に接するという工夫なんかが、お金なんかとは、予算とは別に取り組めることじゃないかと思っております。そういった工夫もぜひとも環境省独自の取り組み方として試していただければと思う次第でございます。

 時間が来ましたので、質問という形はやめまして、私の方でしゃべらせていただきたいと思います。

 大臣の所信の中でも、これから目指すべき新しい社会の姿ということで、「環(わ)の国」日本という形で、簡素で質の高い持続可能な社会を構築していくんだという決意を伺いました。

 私自身も、年末の地元でのマスコミの取材に対して、二十一世紀のキーワードは何だ、一言で言ってくれという困った質問の中で、持続可能な社会を構築することだということを言わせていただきました。財政あるいは経済、社会保障制度、そして政治、行政もそうだと思います。雇用や生活、そしてもちろん環境の問題も含めて、こういった持続可能というのは、もしかしたら今までは当たり前の発想で、そういう言葉さえ生まれてこなかったものが今キーワードとなって、そして私たちが求めて構築していかなきゃいけない社会になってきている。

 そういった中で、今回、環境省設置法の改正とともに、環境省があるべき姿を常に求め続けて、組織と仕事の充実といったものに励んでいただきたいと思う次第でございます。

 本当は、時間があればいろいろな、エコビジネスといいますか、そういったお話もしたかったのですけれども、それはまたの機会に譲りまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

五島委員長 鎌田さゆりさん。

鎌田委員 おはようございます。民主党の鎌田さゆりでございます。よろしくお願いします。

 私からも、さきの奥田議員と若干重なるところがあると思いますので、そういうところは適宜省かせていただきながら進ませていただきたいと思います。

 今回の環境省設置法の一部を改正する法律案、この中の地方環境対策調査官の新設ということに関連をいたしましていろいろお伺いをしたいと思うんですが、明瞭に、具体的に、簡潔に、一言でというのは非常に難しいかもしれませんが、国民に向けてPRをするとするならば、この地方環境対策調査官の新設で何がどう変わると、その御説明をいただきたいと思います。

川口国務大臣 一言でとおっしゃると非常にお答えが難しいのですけれども、環境省の目と心を持った分身が地方にいるようになりますというふうに申し上げたらいいかと思います。

 それで、どういうことが可能になるかということでございますけれども、全国に地方環境対策調査官を配置するということで、今問題になっている大規模な不法投棄などの緊急な課題がたくさんあるわけですけれども、環境省が早い段階から地域の状況を把握することができまして、それを環境省の政策の企画立案に反映することが可能になるということでございます。

 それから、食品循環資源の再生利用、食品リサイクル法などのリサイクル関連諸法に基づく申請等がございますが、その受理の窓口業務など、環境省が直接に執行することに対応することができるようになるということです。

 それから環境省として、国民の皆様が、地域の皆様が何をお考えでいらっしゃるかということについての鋭敏なアンテナを持つことが可能になるということでございます。

鎌田委員 本当に、後の御説明よりも、初めの一言の、環境省の目と心、それを持った分身が地方にもいる、そういう御説明で私はもうばっちりじゃないかなというふうに思うんですが、そこのところにぜひ御期待を申し上げたい。

 そして、そういうふうに期待をするのは私たちだけではなくて、今環境庁から環境省に、はっきり申し上げて格上げになったのですから、環境問題に関連をして取り組んでいるほかの、経済産業、国土交通、厚生労働、ほかの省と同等の立場で、対等な物言いでといいましょうか、そういう姿勢でぜひ取り組んでいっていただきたいのです。

 調査官の新設、これのみならず、皆様がそういう意気込みを持っていただきたいということで伺いますが、例えば、今回環境省になった、そして、地方においてはそういう調査官がお仕事をなさる、現場に出ていかれるということで、特に地方でよく住民の反対運動が起きたり、迷惑施設と言われている処理施設の建設をめぐって住民と行政とのさまざまな衝突というものが起きますけれども、そういった地方における問題が起きたときにも、この調査官の方々の果たす役割というのは私は非常に大きいと思うんですね。住民の方が何を考え、どのようなものを望んでいるのか、しかし、行政としてあるいは国として、環境問題にどういう対処をしていかなければいけないのかというところで大きな役割があると思うんです。

 国土交通省や経済産業省あるいは厚生労働省、そういったところがそれぞれの省で事業をスタートさせるときに、それぞれの省の担当というところで環境影響調査を行っていくことがありますけれども、今回の、省になったということ、それから調査官が地方に出るということで、環境省がその環境影響調査に、それぞれのほかの省が行う影響調査の当初の段階からぜひかかわっていくというか、最終的な環境大臣としての判断を下す、あるいは所見を発表する、そういうような現状じゃなくて、当初の段階から環境影響調査に環境省がきちんと深く、環境省の立場を持ってかかわっていくという可能性が大いにあるのではないかというふうに私は考えておりますので、その辺のところ、環境大臣、いかがお考えになりますでしょうか。

川口国務大臣 まず最初に、環境庁が環境省に格上げになったというふうにおっしゃいましたけれども、実態にふさわしい肩書きをいただいたというふうに私は思っております。

 それから、お話にございましたアセスなどの役割のことでございますけれども、これは今アセス法で各事業者が自分の、例えば川でしたら国土交通省がそのアセスを、幾つか条件がございますけれども、するということになっておりまして、環境省の意見を求めてくる、環境大臣の意見を求めてくるというのは、法律のつくり方になっているということでございます。

 それから、アセスという点につきましては、環境省は、戦略的アセスということについて勉強をいたしまして、そのたしか報告だったかと思いますけれども、昨年の段階で出しておりまして、今ガイドラインをつくって、それに基づいて都道府県等でまずやっていただくというような試みもさせていただいておりますので、おっしゃるように、さまざまなことにつきましてリーダーシップを発揮していきたいし、続けていきたいというふうに思っております。

 例えば大規模な開発事業ということでございますと、地方環境対策調査官を積極的に活用いたしまして、早い時期からその地域の環境の実態を把握するということが可能でございますので、そういった調査官を活用して、国民の皆様の期待にこたえていきたいと思っております。

鎌田委員 具体的に地方でよく問題になるのは、初めにその事業主のところで環境影響調査を行ったときには、世界的に保護を必要としている動植物、動物ですね、生態系の存在というものがわからなくて、後になって住民の方々あるいは環境NPOの方々が調査をしてみると、次々ときちんと保護、保存をしなければいけない動植物、生態系などが発見されて、その段階になって環境省が初めて環境という見地から何か意見を申し述べたり、あるいは、時にはその事業自体もそこでストップをしてしまうという状況もございますので、ぜひこの件は、今後この地方環境対策調査官という方々が、人数も限りあるでしょうけれども、そういうところに常に鋭敏な、先ほどもおっしゃっていましたアンテナというものを張りめぐらせて、そして後々そういうことがなるべく起こらないように、常にそういう情報を、地方に対して情報公開をしながら進めていっていただきたいなというふうに思います。

 だれもけんかをしたくない、しかし、そういう途中段階での環境という視点での調査というものが抜けてしまうと後からそういうことが起きがちになってしまいますので、その辺のところは、御答弁要りませんので、今後の課題ということでぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

 次に、この地方環境対策調査官が地方においてそういう情報をいろいろとってくるというところから関連して伺いますけれども、ともに、環境省が新たに拡充が図られる今この時期に、廃棄物を取り巻く問題を、一からというのは極端かもしれませんけれども、さまざまな角度から今ここでいろいろ考え直してみる、あるいはみんなで知恵を出し合ってみる、そういう時期に来ているのではないかなというふうに思うんです。

 そこで、先ほど来話が出ておりました年間四億トンとも言われている産業廃棄物の排出をめぐって、ことしの初め某新聞社による調査結果で明らかになりましたけれども、全国の二十八の道と県が産廃の流入を規制している、それから二十二の道府県が、処分場建設に当たって事業者に周辺住民の同意を求めるよう要綱などで定めているということが明らかになりました。

 つまり、これはおかしいと感じている人ももともといるかもしれないけれども、いないかもしれないですが、私はおかしいと感じている方なんですけれども、結局は、産廃の排出あるいはその処理をめぐって国と地方の考え方にずれが生じていると言っても過言ではないと思うんですね。国は、この産廃を広域処理だ、推進する、認めている。しかし、地方においては流入規制をかけている。この国と地方のずれというかギャップというか、こういう問題について私はこのままにしておいてはいけないのではないかというふうに考える一人として、この現状、国と地方のずれの現状を環境省はどのようにとらえていらっしゃるか。そしてまた、つけ加えて、ここに地方環境対策調査官が何かしら役割があるものでしたらばお示しください。

川口国務大臣 産廃が、数字を五億トンとおっしゃられましたけれども、大量に発生をするということが今起こっているわけで、その一方で最終処分場の処理施設は、特に大都会地域、大都市圏ではほとんどないということで地域内での処理ができない、その結果として地方に、処理施設のある地域、ほかの地域でそれを処理しようということで産廃が動くということが起こっているわけです。

 それで、同時に不法投棄が行われ、そういうような不適切な処理が行われるということが起こりまして、よその地域の産廃の流入を抑制したいというふうに思っている道府県がたくさんあるということは存じております。

 そういう背景がある中で、この産廃につきましては、これは法律で、それを排出したそれぞれの事業者が処理をするということになっております。その事業者が、適切な場所で適切な形で適正に処分をするということでございます。ということですので、その事業者が自分のいる地域の中で産廃を処理しなければいけないかどうかということは関係がないという形になっているわけです。ということで、廃掃法の改正を平成十二年にいたしまして、処理が適正に行われるように排出事業者の責任を強化するという規制を強化したわけでございます。

 それから、大都市圏から地方へ産廃が一方的に流出するということの緩和につなげることができるように、大都市圏の関係自治体に働きかけまして、廃棄物処理センターなどの活用をして、大都市圏で産業廃棄物の処理体制が一定程度整備できるようにということの取り組みをしているということでございます。

 これからも、改正された廃棄物処理法を厳格に、適正に施行することによりまして、不法投棄などの不適正な処理を防止するということに全力で取り組んでいきたいと思っております。

 それから、産廃の流出元になっている大都市圏における施設の整備を促進するということで、全国的に適正処理を行うような体制をつくって、流入になっている地方自治体にとっては問題が解消に進むように努めていきたいというふうに思っております。

鎌田委員 では、もう一度重ねてお伺いしますが、ということは、こういうことを進めていくことによって、今産廃が地方にどんどん、ごみの押しつけ合いのような形の中で流れていっているのをなるべく抑えていきたい、なるべくは地区内処理ということに持っていきたいというお考えが基本にある、そこを目指したいというお気持ちがあるというふうにとらえてよろしいでしょうか。

川口国務大臣 繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、産廃の処理というのは、そもそも、それを排出した事業者が、自分の責任において適切な場所で適正に処理をするということになっているわけです。という限りにおいて、その処理をする場所がその事業者が住んでいる都道府県の中であるかどうかということは関係が、かかわり合いがないという法律の立て方になっているわけです。ということで、排出事業者が不適正な処理を行えないように、平成十二年度に廃掃法の改正をし規制強化を行ったということが一つございます。

 それからもう一つ、大都市圏の中で産廃を処理する施設が十分でないことが地方への流出につながっているということにかんがみ、大都市圏の産廃の処理の施設の整備を行うということでございます。

 ということに取り組んでいきたいということでございます。

鎌田委員 ありがとうございました。わかりました。

 産廃の処理をめぐって、国は旧厚生省のときから広域処理ということで、今の大臣の御説明が基本にあって広域処理だということ。しかし地方では、独自の要綱を設けて流入規制をしいて地区内処理、あるいは発生地で処理するのが原則だとその要綱の中にはっきりとうたっている自治体も幾つかあります。

 私は、この問題を、今大臣がおっしゃった御説明も非常にわかりやすい御説明だし、しかしながら、地方の立場に立ったときに、やはりこういう感情というものはどうしても持って当然というか、そこのところを、お互いにお互いの説明というものを理解し合って、私はやはり、このままでお互いに違う言い分を言い続けていくということは好ましくないと思いますので、環境省が廃棄物処理というところまで今回拡充になったわけですから、この問題につきましても、こういう責任の押しつけ合いをしていくということが不法投棄の温床になったり、あるいは今大臣がおっしゃったように排出事業者の責任でというふうに、マニフェスト制度なんかもありますが、しかしながら実際のところ、もっともっと細かい現場に目を向けると、処理体系が不透明な状況というのは幾つもありますので、ぜひこの辺のところをこれからの課題としてお考えをしていっていただきたいなというふうに思います。

 それで、ちょっと具体的にお伺いしたいことがあるんですけれども、平成八年ですから九六年ですかね、平成八年のときに、いわゆるパチンコ廃台の野積みの問題というのが大分全国的に話題になって、国と地方でとらえ方の違いによって、その処理方法をめぐって、あるいは、あの中に入っている成分に関していろいろなところがいろいろな調査を進めたということは御記憶に残っている方もあろうかと思うんですけれども、どなたでも結構です、大臣だったら最高なんですけれども、パチンコに非常に興味があるとか、うんと好きだとか、やったことがあるとか、そういう質問に対しての答えと、あわせて、パチンコ廃台は、国は、これは産廃だ、あるいは一廃とのあわせ産廃、混合物だというふうにとらえていらっしゃると思いますが、自治体によっては、これは事業系の一般廃棄物、一般廃棄物処理で自治体の中で、自治体の処理の方法で行っているという、ここにもちょっと先ほどから触れているギャップというものが出ていると思うんです。

 そのギャップの中で、例えば、当時問題になったのが、パチンコ台の中にIC基板というのが入っておりますけれども、そのIC基板の成分の中で、いわゆる有害物質と言われている金属系のもの、一般的に知られているのは金だとかすずだとか鉛だとかという七種の物質ですけれども、それ以外に、今製造禁止あるいは生産禁止、使用禁止になっているPCBの存在というものも、検査によって出るところと出ないところが当時ありました。

 その当時、当時は厚生省になろうかと思いますが、国と連絡をとり合って情報交換をしながら、そこのところについては、さまざまな、はっきりとした検証結果を明らかにしていくということになったと思うんですが、その後、それから五、六年たったわけですが、環境省としてこの問題についてはどういう決着の状況になっているのかどうか、お知らせをいただきたいと思います。(発言する者あり)

岡澤政府参考人 廃パチンコ台につきましては、今先生おっしゃったように、これは総体としては産業廃棄物という扱いをしております。

 それから、IC基板の中にPCBが含有されているのではないかというようなこともかつて報道されたことがありました。ただ、その後、都道府県、これは宮城県のケースだと思いますけれども、宮城県仙台市がその後詳細な調査を行いましたところ、PCBは検出されなかったということですので、パチンコ台のIC基板の中にPCBを使用した製品が使われているということはない、そういう意味での有害性はないというふうに考えております。

鎌田委員 今のお話ですと、各県単位、それから問題の、若干発端となった今の固有名詞を挙げられた自治体、そこでそういう検査結果が出ているのでということでのお答えだったと思いますけれども、当時、厚生省に対して、環境の面から、いわゆるPCBという有害物質があるのかどうかの白黒をはっきりつけなきゃいけないという部分と、あるいはこのパチンコ廃台にかかわるところの流通ルート、ここのところについても、結局、当時うわさになったのは、海外でつくられて、海外から入ってくるものが怪しいんじゃないかとか、あるいは、どこでつくられたかわからないものが何だか怪しいんじゃないかとか、いろいろな憶測やらうわさやら、正確な情報すらもそれと紛れてしまうような状況だったのですけれども、その当時、その流通ルートについてもきちんと把握をしなければいけないということも私の記憶の中には、取り組んだ一人として残っておるんです。

 今、議員の席からも声が漏れましたように、相変わらず野積みの状態というのは、当時よりは少なくなっておりますが、当時それが問題になったことで、パチンコ業界の自主的な努力によってリサイクルの施設をつくったり、あるいは自主回収を進めたりということで大分改善が進められたと思いますけれども、しかしながらいまだに、警察庁が把握しているところでは、例えば平成十一年度ですと、新機種というものの投入もあって、年間三百三十一万台というふうに大幅に伸びる。前年度は二百三十六万台の数量であったものが、三百三十一万台に伸びる。あるいは、国内で大手のパチンコ廃台のリサイクル施設、処理施設を持っているところでは、年間に百六十万台を一手に引き受けて処理をしているというような状況があったりするんです。

 いかにこのパチンコ廃台の処理というものが大量であって、そして大量に処分をする、処理をする時間的なスパンが非常に短い中で繰り返されているということを考えますと、先ほどの御答弁のように、別のところが出した研究結果を、そのようですのでというお答えではなくて、きちんと国として、流通ルートも含めて、この当時、流通ルートは何経路ありました、そしてメーカーは何社で、そのメーカーの大半はこのIC基板を特注品として外注していますから、その外注した先までもきちんと把握をして、そして、その外注先のIC基板あるいはチップを生産しているそこの事業主のところでの生産工程、生産過程、そういったものまでもきちんと把握をして、国民に対して、完璧な白黒はっきりした状態で、安心、安全なんだということをここで、もう大分時間がたっていますけれども、はっきりとさせる必要があるのではないかというふうに思います。

 特に、現場のパチンコ屋さんあるいは処理をしている現場の方のお話を伺いますと、先ほど警察庁が把握をしていると申し上げましたが、どうしても風俗営業という観点からの不正使用、不正流用、こういったものが絡んでくるものですから、本来、完璧にリサイクルをする、完璧に有害物質の適正な処理をしなければいけないパチンコ廃台の液晶部分ですとか、あるいはIC、コンピューターのチップの部分ですとか、そういうところについては手をつけるなという指導が、警察庁に聞けば、そんなことしていないとおっしゃいました。しかし、現場の処理のところでは、そういう指導があるために、そこはいじれない。では、そこの部分の処理はどうしているんですかと聞けば、御存じのとおり、破砕をして焼却をして、あるいは破砕をして埋め立ててしまうと。そうなったときに、やはり完璧な安心、安全の根拠、論拠というものがないといけないのではないか。このままにしておくべきではないという考えを持っております。

 そこのところをもう一度、先ほどの質問と同じことをお伺いします。先ほどのお答えと同じであれば、ぜひこれから先、きちんとした、白黒はっきりつけたものを国民に示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 パチンコ遊技機等につきましては、まず、すべて国内で生産をしておりまして、輸入というものはございません。それから、IC基板につきましても、ほとんどが国内で製造をされております。また、使われておりますコンデンサー等の電子部品に関しましては、化学物質審査規制法によりまして輸入が規制をされておりますので、我が国で使われておりますパチンコ台のIC基板等においてPCB等が使われている可能性はないというふうに考えております。

 他方で、私どもも、このパチンコ台の廃棄物の問題については大変懸念をいたしておりまして、従来からリデュース、リユース、リサイクルということでガイドライン等を決めまして、設計・製造段階における配慮について規定をしてきておりますけれども、本年四月一日から施行されます資源有効利用促進法におきまして、パチンコ遊技機等をその対象として政令指定をいたしまして、その中で判断基準を決め、その中に材料の毒性についても適切な配慮を行うようにということを決める予定にいたしております。

 今後とも、環境省と連携をしながら、適切な指導を行っていきたいというふうに考えております。

岡澤政府参考人 すべての産業廃棄物は同じですけれども、出てきた廃棄物について、それがどういう性状を持っていて、どういうふうに処理するか、一番わかっているのは排出事業者でございますので、基本的には、排出事業者が自分の持っている情報を判断して、最も適切な処理方法をさせるということが原則だと思います。

 ただ、行政的には、すべての製品とか廃棄物につきまして、いろいろな疑いがあるからといってすべてをチェックするというふうな体制もございませんので、基本的には事業者、先ほどのリサイクル法の適用の話も含めて、事業者が一定程度責任を持っていただくということが原則だと思います。

 ただ、パチンコ台についてはトラブルがいろいろありますので、こうしたパチンコ台だけではございませんが、幾つか問題になるような廃棄物につきましては、行政的にもその処理の実態とか、それから、その処理に伴って何か問題が生じるかどうかというようなことには目を光らせていきたいというふうに考えております。

鎌田委員 くどいようなんですが、今の御答弁の中を聞いておりましても、こういう法制度でこういう物質はつくられないことになっていますから、だからあり得ませんと。私が求めているのは、そういうお考えではなくて、法律でこういうふうに決められているからあり得るはずがないんですけれども、疑わしきはきちんと国でもって、国民に対して安心、安全を提供できるようにきちんと研究、検証をしますというふうな考え方に立っていただきたいということなんです。

 そこのところ、私にとっては非常に大きな違いのように感じられてしようがないんですね。法制度がこうなっているから現場はこうなっているはずです、そして、産業廃棄物の処理というものは排出事業者の責任で行うことになっていますから、そこのところできちんとやっていますからと、そういうお答えは私は聞きたくないんですね。

 地方分権です。国の役割、地方の役割、そして廃棄物の処理においてもそれぞれの役割をきちんと責任を持って担っていく、当然のことです。しかし環境省として、国民に対して、多くの国民が不安を抱いたものに対して、国のすばらしい調査機関と私は思っています、そこできちんと検証して、そのデータをもって、明らかな統計結果をもって国民に示すということは最も大切だと思うんです。

 一市民が、IC基板を幾つか手に入れることができて、そして地方の、あるいはよく知られているところの研究機関、調査機関に持ち込んでいって、ぜひこの成分を知りたいんです、多くの人が、野積みになっているところの周辺の住民の人たちが不安に思っています、調べたい、持っていきます。私、持っていきました、実際。最低のところで百万です。最高は五百万よりももっとかかります。そこまで私、自腹切れませんでした。

 だからこそ、そういう市民レベルでできないところを行政が、あるいは国が、環境省が、その力をもってそういうところに対して、国民に向けて安心、安全を提供していくというのは当然な務めだと思いますので。

 今もありました、この問題に限らないと思います。コンピューターのICチップを含んださまざまな電化製品もあります。そういったものの適正な処理をぜひ今後、何か疑わしきところに対してはきちんとしたデータをもって国民に安心を提供できるように説明をしていただきたいということと、そして、さきに申し上げました廃棄物を取り巻くさまざまな観点というのは、きょうは触れずに今度にさせていただきますので……

五島委員長 鎌田君、時間が来ています。

鎌田委員 最後に、そのことについてだけお伺いをさせていただいて、終わりにします。

川口国務大臣 鎌田委員の思いはよくわかります。国民の安全と安心についての関心が非常に高いということもよく理解をいたしております。

 ただ、おっしゃっていらっしゃる問題はかなり根本的な問題でもございまして、一つの言い方をさせていただければ、小さい政府がいいのか、大きな政府がいいのかということにもかかわってくるだろうと思いますし、例えば、市民の方がそれをお持ちになって、百万から五百万というお金をとても御負担できないということはよく理解をいたしますし、なかなかそれは難しいわけでございますけれども、それであれば、国が同じことをやったとしても同じ費用がかかるということでございまして、国がやらなければいけない多くのことの中で、どういうことを優先的にやっていくかという意味で、一つの言い方をすればと申しましたけれども、小さな政府がいいか、大きな政府がいいかということにもかかわってくるということでございますが、基本的に、市民の方がそういう御心配を持っていらっしゃるということは、その思いは十分に理解をいたしておりますし、安全と安心を確保するという観点から、環境省はできる限りのことをやっていきたいと思っております。

鎌田委員 ありがとうございました。

五島委員長 樋高剛君。

樋高委員 自由党の樋高剛でございます。

 本日も発言の機会を賜りまして、委員の皆様方、そして大臣、副大臣、政務官、本日も大変にありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。

 そもそも、大臣も先般おっしゃっておいででございました環境先進国を目指す、これは当たり前の話なんであります。日本が環境の問題でリーダーシップをとる、そして環境問題に積極的に取り組むことによって国際貢献をする、これは私は当たり前の話でありますし、むしろ今までそうでなかったところに、今環境委員として学びながらやらせていただいているところがあるわけであります。

 今回、環境省の設置法ということでありますけれども、改めまして大臣に、二十一世紀における環境省のあるべき姿につきまして伺いたいと思います。

 そもそも、今回一府十二省庁の一つとして環境省が誕生したということは、二十一世紀が環境の世紀と言われているということに照らしますれば大変意義深いことであるというふうに考えております。先日の所信表明におきましても、「地球と共生する「環(わ)の国」日本」ということを目指すと発言しておいででございました。また、その後、森総理が主宰する「環(わ)の国」づくり会議、先般、予算委員会の分科会で大臣とも議論させていただいたその日の夕方に「環(わ)の国」づくり会議があって、大臣はきょうの夕方の会議を楽しみにしているというふうにおっしゃっておいででありました。

 そういったことを踏まえまして、二十一世紀の日本を「環(わ)の国」としていく中にありまして、環境省として積極的、主体的にどのような役割を果たしていくべきと大臣はお考えなのか、また、あるべき姿につきまして改めて伺いたいと思います。

川口国務大臣 おっしゃられましたように、二十一世紀は環境の世紀ということで、環境省にことしの初めにしていただいたということは、環境問題が重要であるということについての国民の皆様の期待があってのことと思っておりまして、環境省は一同、その期待の大きさと責任の大きさを十分に自覚いたしまして環境の保全に全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。

 先ほど「環(わ)の国」日本のお話がございましたけれども、「環(わ)の国」日本というのは、二十一世紀の百年を見通して、日本がより環境に優しい、地球と共生できる国になっていく必要があるということでございまして、具体的には、今までのような大量生産、大量消費、大量廃棄といった、量が大きいことがいいことであるという社会から、量ではなくて質であるということに転換をしていくという発想でございます。

 環境省は、そういった政策を進めていくに当たって実は三つのスタイルをと言っておりまして、一つが地球大でということで、他の国々とパートナーシップを持ちつつやっていくということでございます。

 それから、ともに歩む環境省というふうに言っておりますが、先ほどもちょっと申したかもしれませんが、現場感覚ということで、地域の方々と対話を持ちつつやっていく、政策の透明性を確保しながら政策を実施していくということでございます。

 それから、わかりやすい環境省ということで、環境省が打ち出す政策が非常にわかりやすいものであるような、例えば数量であらわすとかということでございますけれども、という形でやっていきたいというふうに思っております。

樋高委員 そもそも、昨今環境問題に関する分野の拡大にかんがみまして、国際情勢、環境の保全の状況、国民の行政へのニーズなどを踏まえた上で環境省の体制については整備を進めていかなくてはいけない。そして、環境行政の統合一元化をさらに積極的に進めていっていただきたいと強く要望いたします。それと同時に、政府は、国際的な地球環境保全については、国連機関ですとか各国と協調しつつ積極的に貢献をしていただきたいというふうに思う次第であります。

 それでは、続きまして地球環境審議官につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。二問続けてまいりたいと思います。

 そもそも、気候変動枠組み条約締約国会議、COPでございますけれども、それやまたG8環境大臣会合など、環境問題を取り扱う国際的な閣僚級会合がふえてきております。このような情勢、事情からいたしますれば、大臣、副大臣を代理して急増する閣僚級国際会議に対応するためには、次官級の地球環境審議官を置くことは当然に認められるべきだとは思います。むしろ、今までなかったことが問題だというふうに感じるぐらいなんでありますけれども、今後の地球環境審議官の御活躍を期待する次第であります。

 そもそも、設置法改正案に、地球環境審議官の仕事として、「国際的に取り組む必要がある事項に関する事務を総括整理する。」というふうに書いてありました。国際的に取り組む必要がある事項といっても非常に幅広い分野がありまして、単に従来の地球環境局の所掌にはとどまらない、範疇にはとどまらないであろうと思うわけであります。具体的にどのような仕事をするのかお伺いしたいのが一点であります。

 そして、国際的な合意を踏まえた上での今度は国内対策に入ってくるのでありますけれども、地球環境審議官が、そもそも、国際的な合意を踏まえた上で国内対策につきましても総括整理をすることになるのか。例えば、COP6再開会合の結果を踏まえて京都議定書の批准のための国内法制を整備することは、例えばですけれども、地球環境審議官の仕事なんでしょうか、いかがでしょうか。

熊谷大臣政務官 まず最初に、お尋ねの第一点、地球環境審議官の仕事の具体的な内容と申しますか、どういうものかというお尋ねであったと思いますが、地球環境審議官が所掌する事項というのは、一つには、地球温暖化防止など地球環境保全にかかわるものがあると思います。二つ目としては、開発途上にある海外地域の環境保全にかかわるもの、こういうものがあると思います。三つ目としては、南極地域などの保全等で、その中には、野生生物の種の減少とか有害廃棄物の越境移動など、自然環境局や廃棄物・リサイクル対策部の担当する事項なども含まれてくると思います。

 これらの事項に関して、地球環境審議官は、政府の政策方針の検討、それから国際会議の対処方針の総括整理、さらには国際会議への出席と交渉、特定国との協議、交渉、こういった事務を行うという仕事がその内容になってくると思います。

 それから二つ目のお尋ねの、そういった国際的な関係と国内法制度の関係の問題でございますが、地球環境審議官は、地球温暖化対策を初めとする国際対応に専門的に、かつ、継続的に従事をしていくということになるし、環境問題への国際的な対応を進める上でのキーパーソンになる、このように思います。

 したがって、みずから先頭に立って国際的な環境問題への対応方針を立案、調整し、国際会議に臨むとともに、国内対策を、国際的な動向あるいは国際的な合意と整合性を持たせる、そういう観点から、必要に応じて国内対策の企画立案というものにも参画をする、こういうふうになると思います。

樋高委員 今回の改正によりまして、環境省としては初めて、事務方のトップ事務次官と地球環境審議官の二枚看板になるわけでありますけれども、そんな中で政策の一貫性、整合性を、今おっしゃられましたけれども、保つためには、やはり大臣がしっかりとした方向性を打ち出さなくてはいけない、大臣がしっかりとした方向性を示すことが大切であると思うわけでありますが、その決意について伺いたいと思います。

川口国務大臣 地球環境審議官と事務次官と両方が存在することになるわけですけれども、地球環境審議官は、事務次官のもとにあって大臣を助けてということでございます。事務次官は、そもそも、大臣を助けて環境省の事務全般をつかさどるということでございまして、各省それぞれ、地球環境審議官に当たる職の方がいらっしゃいますし、事務次官もいらっしゃるわけで、そこは大臣の、おっしゃるようなリーダーシップのもとで仕事をしているということでございます。私といたしましても、事務次官、地球環境審議官の事務が円滑に遂行されますようにリーダーシップをとっていきたいと思っております。

樋高委員 続きまして、地方環境対策調査官について伺いたいと思います。これも二問続けてお伺いさせていただきます。

 地方環境対策調査官というのは、従来、総務省の管区行政評価局に置かれながらも環境省の事務に関する調査、資料の収集、整理、相談といった業務をしてきたというふうに伺っておりますけれども、そもそも、先ほども議論ありましたけれども、従来のような体制ではどのようなデメリットがあって、そして、これらの職員を環境省に移すことによりましてどのようなメリットがあるとお考えでいらっしゃるのか伺いたいのが一点でございます。

 そして二点目、地方環境対策調査官は、従来総務省に置かれていた際の業務に加えまして、廃棄物・リサイクル関係の業務ですとか、公害対策関係の業務を行われるそうでありますけれども、人員、人数は、規模は四十数名程度ということであります。この人数で、では果たして本当に実効性のある業務を行うことが可能なんであるのか。

 もちろん、ただふやすだけではだめなわけでありまして、それは今の時代の流れの中で全体のバランスをとりながら、ふやすところもあれば減らしていかなくちゃいけない部分もあるとは思うのでありますけれども、実態として、現実問題として、今回、地方からも情報収集をする、積極的に自分たちでやるんだということは大変私はすばらしいことだと思うのでありますけれども、それが私は中途半端であってはいけない、やるならばきちっとやらなくちゃいけないという意味におきまして、では、こういう人数で本当に可能なんだろうかというのが疑問なわけであります。いかがでしょうか。

熊谷大臣政務官 まず第一点の、総務省から環境省に変更するメリットはどういうものかということでありますが、これは樋高委員、篤と内容はおわかりだと思うんですが、直接、環境省の職員がいろいろな実態調査をする、そして、それを踏まえて情報というものを発信してくる、それらを基本にしていろいろ環境行政の企画立案に極めて迅速に反映をさせることができるということがまず第一点であろうと思います。

 それから、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律、食品リサイクル法であるとかいろいろな関連の法律がありますけれども、そういうものに基づく申請等の受理とかその窓口業務というもの、これはやはり環境省の直接出向する職員であれば対応というものが極めて適正に行われる、これは総務省の職員であってはそういう事務をやらせるというわけにはいかない、そういう面でのメリットというのは非常に大きいのかな、こんなふうに思います。

 さらに、環境省みずからが、環境行政に対する国民からの相談あるいは要請というものに適切に対応できる、こういう、国民に開かれた環境行政というものを進めていく上においての一つの端緒になってくるんじゃないかな、こういうのがメリットというふうに私たちは考えさせていただいております。

 それから二つ目の、調査官の人数の問題でありますが、四十五人で果たしてそういうことがやれるのかという御懸念を持たれたと思いますが、これは至極当然だと私は思います。率直に言って、私もそう思います。しかし、だからといってむやみやたらにいろいろ人数を増員する、そういうわけにもいかない。むしろ、国家公務員の削減ということも一方には方針にあるわけでありますから、限られた制約の中で現状四十五人体制、これも環境庁当時は四十一人だったわけでありますが、四名をそこに追加させていただいた、まあこれは精いっぱい努力をしたなというふうに思っております。

 しかし、委員おっしゃられるように、環境問題、環境行政というのは非常に広範多岐にわたるわけでありますから、そういうものに携わっていくということからすると、特に、国民の環境問題に対する関心というのは高まっている、そういうことも考えて、この人数では十分であるとは考えておりません。したがって、これからそういう推移、状況というものを見ながら、増強というか拡充をする、そういう方向でさらなる努力をしてまいりたい、このように考えております。

樋高委員 限られた人数でありますけれども、ぜひとも生産性をしっかりと上げていただきまして効率よくお仕事をしていただきまして、本当の意味での地方からの情報収集、そしてそれを政策に反映させるということをしっかりとやっていただきたいと思う次第であります。

 そもそも、地方に置かれております環境省の職員の方としまして、ほかには自然保護事務所というのが環境省の中に実はございます。これは効率性の問題になるんでしょうけれども、出先を幾つもばらばらつくって対応するよりも、地方環境対策調査官が置かれる事務所と自然保護事務所があるわけですから、これを統合して効率化を図って、およそ環境問題について一元的に対応することができる地方の部局を整備することもいいのではないかというふうに私は純粋に思うわけであります。

 確かに、自然保護事務所というのはそれぞれの地方の大きな公園、国立公園なり大きな公園の中にありますので、では、そこまでいろいろな届け出をしたりいろいろな情報収集をする、現実問題としてそこを拠点にできるかという問題はありますけれども、先ほど政務官がおっしゃったとおり、事務の効率化を図るというのはもう時代の流れでありますし、限られた人数の中で本当に効率よく情報収集していくというのは当たり前な話なんでありますけれども、大臣、その点いかがお考えでしょうか。

川口国務大臣 委員おっしゃられますように、自然保護事務所というのが全国で十一カ所ございまして、その業務といたしましては、国立公園や国設鳥獣保護区の保護管理等、それから絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖等さまざまな任務、業務を行っております。二十一世紀に入りまして、自然保護に対する国民の皆様の御関心のますますの高まりということから、その業務はますます拡大をしているという状況でもございます。

 ということでございますので、先ほど御説明申し上げました地方環境対策調査官の業務内容と自然保護事務所の業務内容とはかなり違うということではございますけれども、おっしゃるように、効率化というのは時代の流れということでもございますので、効率化の観点から、この二つの事務所の関係の整理については今後の検討課題としていきたいと思っております。

樋高委員 しっかりと御検討いただきたいというふうに思っております。

 では、設置法に関連をいたしまして、地球の温暖化問題につきまして若干触れさせていただきたいと思います。

 COP6再開会合は七月に開催されることになった、いよいよ日にちが決まったというふうに伺っております。設置法の改正によりまして今回新設をされます地球環境審議官も当然にこのCOP6の会合に早速出られ、参加なさることになるのではないかというふうに思うわけなんでありますけれども、そもそも昨年、ここで改めて考えてみたいのでありますが、COP6以降、どのような交渉の進展があったのか、また、COP6再開会合において果たして国際的な合意が形成される見通しがあるのか、どのようにお考えでしょうか。

川口国務大臣 昨年の十一月の終わりにハーグで交渉が中断をしたということで、ことしの七月の下旬にボンでまた会合が再開されるということは委員今おっしゃられたとおりでございます。

 昨年の十一月以降、電話あるいはEメール等で閣僚間で交渉を引き続いて行ってまいりましたし、ことしに入りまして二月にUNEPの管理理事会の会合がございまして、その場を活用いたしまして温暖化問題についても議論が行われました。それから、三月の二日から四日にかけまして、イタリーのトリエステでG8の環境大臣会合がございまして、日本からは副大臣が出席をさせていただきましたけれども、ここにはオランダのプロンク議長もおいでになりまして、気候変動の問題につきましても議論が行われました。

 ということで、今後も国際会議の場がございますので、そういう場を活用して、すなわち、ありとあらゆる場を活用いたしまして交渉が継続をしているということでございます。

 日本といたしましては、引き続きこの交渉についてリーダーシップを発揮していきたいというふうに思っておりまして、その一環といたしまして、この四月に、ハーグで一つの大きな争点でございました京都メカニズムの運用ルールにつきまして、東京で国際会議を開くということとしております。ここには、外国から政策担当者、それから、実際にルールをつくったときにそれで動く、そのルールが運用可能であるということが大事でございますので、実務家の方にも加わっていただいて、そういう観点から議論をし、その成果が何らかの形で来るボンでの会合に反映されればいいというふうに思っております。

 見通しということについてお話、御質問がございましたけれども、これは二〇〇二年の発効が可能になるように各国譲り合ってやっていくということでございまして、そのために全力を尽くす所存でございます。

樋高委員 地球の温暖化問題というのは重要な問題であることは申し上げるまでもないことなんでありますけれども、このためにはまず、京都議定書を早期に発効させることが最優先の課題であるというふうに考えるわけであります。日本はCOP3の議長国でありまして、京都議定書の早期発効に向けまして、世界に先駆けて京都議定書の締結を行う国際的な責任があると私は考えております。

 他国が締結するかどうかと諸外国を見て判断するのではなくて、COP6再開会合がどのような結果となろうとも、むしろ日本が率先して、我が国として粛々と京都議定書を締結するべきではないか。強硬論だと思われるかもしれませんけれども、私はそのくらいやってもいいのではないかというふうに考えているのでありますが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 確かに、京都議定書を締結した国というのは島嶼国にはございます。ただ、これらの国々は、実際に自分たちが削減義務を負うということにはなっていない国でございます。削減義務を実際に負い、それを国内的に制度をつくってやっていかなければいけない国々にとりましては、議定書の六%、日本の場合は六%ですけれども、その削減目標を確実に達成するための国内制度の構築が必要でございます。そのためには、議定書の締結に必要なルールの細目についての国際的な合意が必要となってくるということでございます。

 日本といたしましては、今後とも、先ほど申しましたように、国際交渉に全力で取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、議定書の削減目標を確実に達成するための国内制度の構築にも全力で取り組んでいきたいと思っております。

樋高委員 京都議定書を締結するためには、現在の地球温暖化対策推進法の枠組みでは不十分であるというふうに思います。この法律の改正、あるいはまた新しい法律の制定が欠かせないというふうに私は考えるわけでありますけれども、こうした法律をいつ国会に提出をなさりたいというお考えでいらっしゃるのか、またどのような内容の法制度とするおつもりでしょうか。

川口国務大臣 委員おっしゃられましたように、日本は世界に先駆けまして平成十一年に地球温暖化対策の推進に関する法律を施行いたしまして、現在、この法律に基づいて閣議決定をされました地球温暖化対策推進大綱に沿って各種の国内施策を推進いたしております。

 ただ、最近の数字を見てみますと、一九九八年度の温室効果ガスの排出量は、基準年と比べて依然として約五%増加をしているということでございまして、今後一層の対策の推進が必要と思っております。

 このようなことでございますので、現在、中央環境審議会のもとに小委員会を設置いたしまして、地球温暖化対策推進法あるいは地球温暖化対策推進大綱の評価を行うということと同時に、今後の温暖化対策のあり方についても御議論をいただいているところでございます。

 今後、我が国といたしましては、従来の国内対策を着実に推進するとともに、京都議定書を二〇〇二年までに締結することができますように、締結に必要な実効性のある国内制度の構築に全力で取り組んでいきたいと考えております。

樋高委員 国内の地球温暖化対策を強化するためには、経済活動の中で地球温暖化対策を組み込む施策が必要である。具体的には、例えば炭素税、また排出権取引といった手法が有効であるというふうにも言われているわけであります。現在の検討状況、また、いつまでにどのような形での導入を考えていらっしゃいますでしょうか。

川口国務大臣 さまざまな制度が考えられる中で、税、排出量取引、いわゆる経済的な手法と呼ばれているものでございますけれども、これは市場メカニズム、価格メカニズムを前提といたしまして、経済的にインセンティブをあるいはディスインセンティブをつけていくということで、各主体が経済合理性にのっとった行動をとることによってその目的を達成しようという手法でございまして、その意味では、経済的な効率性あるいは合理性ということで意味のある手法で、有効性が期待されている手法だというふうに思っております。

 中央環境審議会におきまして、昨年の八月に地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会を設置いたしまして、税、排出量取引等の経済的な手法も含めましてどのような政策手法をとるのが有効かということを議論していただいて、政策パッケージのモデルを昨年の十二月に報告書の中で出していただきました。

 環境省は、この報告書を踏まえまして、現在、ことし一月になりまして新しく発足をいたしました中央環境審議会におきましても小委員会を再び設置いたしまして、経済的な手法の具体的な仕組みも含めまして、国内制度について具体的な審議を今行っていただいておりますということでございます。

樋高委員 日本が世界に模範を示して、どうか徹底した温室効果ガスの削減に取り組んでいただきたいと思っております。きょうはありがとうございました。

五島委員長 藤木洋子さん。

藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。

 今回の環境省設置法の改正では、地方での環境省の所掌事務に関する調査、資料の収集及び整理並びに相談に関する事務を行わせるために、地方環境対策調査官を全国に四十五人配置することになっています。この地方環境対策調査官が、地方での廃棄物を初めとする環境対策などに適切に素早く対応されることは大変重要になっていると思います。

 そこで、前回の委員会では、私、諫早湾干拓事業での有明海の汚染問題について質問をいたしましたけれども、きょうは、同じ有明海に流れ込んでいる福岡県の大牟田川のダイオキシン汚染問題について伺いたいと思います。

 有明海のノリ被害と諫早湾干拓事業との因果関係についての究明と対策は最優先されなければなりませんけれども、今後地方環境対策調査官が、有明海を汚染するその他の問題についても適切に対応して、有明海の再生・改善を図っていく努力に期待をしたいと思います。

 そこで、まず前回の質問で、有明海や諫早湾干潟の再生のために、瀬戸内海環境保全特別措置法のような法制度を検討してはどうかということを提案させていただきました。委員会の後、後日の閣議の後で会見をされた大臣は、特別立法の検討を始めたことを明らかにされたわけですけれども、その趣旨についてお述べをいただきたいというふうに思います。

川口国務大臣 有明海のノリの不作の問題につきましては、予断を持たずに徹底的に原因を究明することが大事であるということでございまして、現在、水産庁それから環境省で緊急調査を実施いたしているところでございます。

 平成十三年度からは、関係省庁の共同で、有明海の海域環境の改善の方向性も含めまして総合的な調査検討が実施されることになっております。

 それから、農林水産省におかれましては、ノリ不作等に係る調査の適切な実施を図るための第三者委員会が設置されまして、昨日、第二回の会合が開かれたということでございます。

 私どもは、有明海を豊かな海にしていくということが重要であると思っております。それで、これらの調査あるいは第三者委員会の検討を踏まえまして、有明海の環境の保全及び環境の改善のためにいかなる対策が必要か、それからまた有効かということを、必要に応じて立法措置も視野に入れて検討していきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、今の時点では、ノリの不作の原因が何かということが、その究明が重要でございますので、その結果あるいはその調査を踏まえまして適切に対応をしたいと思っております。

藤木委員 それでは、昨年の八月二十五日に発表されました環境省の公共用水域等のダイオキシン類調査で、有明海の大牟田市に近い地点で一リットル当たり二・四ピコグラムのダイオキシンが検出されております。これに基づいて環境省と福岡県が協議をし、大牟田川を詳細に調査した結果、有明海に流れる大牟田川の中流域で三百五十ピコグラムを検出しております。この調査では、コンクリートの川底の目地からしみ出てきた油玉、これは直径三ないしは四ミリという大きさなんですけれども、この油玉から一グラム当たり三十九万ピコグラムのダイオキシンが確認されております。

 そこで、これまでに県は目地を埋める応急工事を行って、隣接する三井化学大牟田工場に二度立入検査をいたしました。三井化学は農薬などの有機化学製品を生産している上に、かつては工場排水を大牟田川に流していたわけです。

 そこで、この汚染原因の究明と除去対策を図る必要がある、このように考えますけれども、環境省、現在この汚染原因の究明と除去対策はどこまで進捗しているのでしょうか。

石原政府参考人 大牟田川のダイオキシン類問題での現在の原因の究明と除去対策の進捗状況について御説明いたします。

 ダイオキシンの発生発見の経緯につきましては、先生のお話にありましたように、環境省が、十一年の公共用水域のダイオキシン類調査におきまして、環境基準を超える濃度のダイオキシン類が有明海の環境基準点のところで検出された、それを受けまして、環境省と福岡県で有明海あるいは有明海の流入の河口を調査いたしました。この場合は、環境基準値内でございました。

 さらに、大牟田川の調査を行ったところ、五月橋におきまして高濃度のダイオキシン類を検出した。さらに調査を進めまして、大牟田川の川底のコンクリートの目地からなんですが、油玉から極めて高濃度のダイオキシン類が検出されたということでございます。

 これらの結果を踏まえまして、汚染原因の究明と対策でございますけれども、まずは、浸出をしております油玉をとめるということで、緊急に川底のコンクリートの目地の補修工事を実施しております。補修工事の実施後の調査におきましては、ダイオキシン類の濃度は大幅に減少したという状況にございます。

 それから、周辺の三事業場に立入調査をいたしました。その結果でございますが、工場排水あるいは排ガス等について調査を行ったわけでございます。排出水及び排ガスについてはいずれも排出基準値内という状況でございました。ただ、クロロベンゼンの製造工程においてダイオキシン類が、非意図的ではございますけれども生成されることが判明したという状況にございます。

 これらの調査結果を受けまして、福岡県におきましては、昨年の九月でございますが、公害関係の専門委員から成る大牟田川ダイオキシン対策会議を設置いたしまして、原因の究明と、どのような対策を講じたらいいかということで検討を行っておるところでございます。

 その過程におきまして、どういう調査なりを今後やっていくか、あるいは対策を講じていくかという検討の中で、公害専門委員ダイオキシン対策会議の意見を踏まえまして、福岡県におきましては、今後、川底の調査を実施する予定でございます。その川底の調査なりの結果を踏まえまして、どのような対策がいいかということを検討していくという予定でございます。そういう状況でございます。

藤木委員 それはちょっと原因の究明にはなっていないわけですね。除去対策にはなっておりません。

 実際、私、現地を調査してきたのですけれども、福岡県は、ダイオキシンを検出した目地以外にも七カ所で油玉を確認しております。ところが、サンプルも採取せず、ダイオキシン調査もしていないことが明らかになりました。また、目地だけではなくてコンクリートが劣化していないかどうかという問題も調査が不十分だということが明らかになっています。県は、根本的な対策は今後検討するとしておりますけれども、目つぶしをしてどうして根本的な対策を打つことができるか、私は極めて疑わしいと思います。

 ですから、安全のための抜本的対策をとるためには、油玉がしみ出している川底がどうなっているのか、これはやはりボーリング調査を行う必要があると思うんですね。さらにさかのぼって汚染源を特定していくということが必要ではないかと思うのですが、では、ボーリング調査は行ったのでしょうか。いかがですか。

石原政府参考人 ボーリング調査の件でございます。

 大牟田川のダイオキシン類の汚染につきまして、その川底の調査をするということで、ボーリング調査が必要であるというふうには考えております。そのボーリング調査を実施する予定でございますけれども、実施に当たりましては、関係の漁業協同組合との話し合い等も必要でございまして、今のところ着手するには至っておりません。

 ただ、いずれにしましても、おっしゃられるように、川底の状況等につきましてはボーリング調査なりをして確認していく必要があろうかと思っておりますので、今後実施していきたいというふうに考えております。

藤木委員 ですから、十月の二十五日なんですよ、検討会議が調査方法を確認したということになったのは。しかし、それから足踏みをしているという状況にとどまっております。

 私は、有明海の問題はあるにしても、早急にボーリング調査は行って原因究明を進めていただきたい、このように思います。今後は、地方環境対策調査官、これがいち早く情報を把握し、資料収集に努め、相談に乗るというようなことを行って対応のおくれを来さない、そういう改善が進められることが求められていると思います。

 また、三井化学大牟田工場内から採取をしたクロロベンゼンの検体の成分なんですけれども、これが油玉の成分と一致するかどうかという問題については化学的手法で解明ができるのではないかというふうに私は思うのですが、この点はいかがですか。

石原政府参考人 油玉から検出されましたダイオキシンの関係と三井化学大牟田工場のクロロベンゼンとの関係でございます。

 大牟田川の川底から浸出しました油玉につきましては、昨年の六月に定性分析を行ったところでございます。油玉の中からは、クロロベンゼン類、それから多環芳香族炭化水素、ビフェニルとかアントラセンとかいう物質でございますが、そういうものが検出されたところでございます。

 また、三井化学の大牟田工場におきましてはクロロベンゼンを製造しておりました。ただ、その汚染の排出経路が現時点では不明でございます。

 また、その油玉のダイオキシン類につきましては、分析が二十九種類のダイオキシン類についての分析になっておりまして、それ以外の異性体のダイオキシン類の分析についても比較の分析をする必要があるという福岡県公害専門委員大牟田川ダイオキシン対策会議の結論でございまして、異性体の比較の解析なりを現在やっておるというような状況でございます。

藤木委員 それだけで解明するということは極めて困難だというような御答弁だったわけですけれども、これはこの調査の核心の部分だというふうに思いますので、過去のクロロベンゼンの成分と現在のクロロベンゼン成分が同成分なのか、あるいは全く異質の成分なのかで汚染原因者が違ってまいりますから、厳正に解明していただくことを期待したいと思います。

 この油玉には、高濃度のダイオキシンのほか、今もお話がありましたけれども、クロロベンゼン、PCB、除草剤のペンタクロロフェノール、そして多環芳香族炭化水素などが含まれておりました。クロロベンゼン、ペンタクロロフェノールは、三井化学大牟田工場が一九七三年まで油玉がしみ出してきていた付近に排出をしていたわけです。このクロロベンゼン類は現在も製造が続いておりまして、今回の立入調査でもクロロベンゼン類の粗製品を採取しております。

 そこで、油玉は非常に広範囲の川底から浮き出てきているわけですから、私は、地中に相当量の油だまりがあるのではないかというふうに考えるわけですけれども、早急に調査をして有害物質の汚染源を取り除く必要があると思いますが、環境省、どうですか。

石原政府参考人 油玉なり大牟田川の川底の汚染の状況がどういう状況になっているかということをまずは確認することが先決であろうかというふうに考えております。

 そういうことで、福岡県においては、まさに川底の状況の確認、あるいはダイオキシン類の汚染範囲を把握するということで、ダイオキシン対策会議の専門家の意見も踏まえまして、今後六カ所でボーリングの調査を行う予定でございます。

 そのボーリング調査の結果を踏まえまして、どういう範囲で、どういう川底の状況になっているかということを踏まえまして、どのような対策なりを講じていくのがいいか、大牟田川ダイオキシン対策会議の意見も踏まえ検討していきたいというふうに考えております。

藤木委員 原因究明というのが第一だとおっしゃったのですけれども、汚染が確認されてもう既に半年以上たっているわけですよね。それだけの期間がたっていても、汚染原因の究明だとか対策が進まない。それじゃ困るんじゃないでしょうか。早急に汚染原因を取り除いて、公共用水域の水質の保全を図っていただきたいというふうに思います。

 三井化学の大牟田工場は、去年の四月、敷地内の土壌数百トンから基準を超える一千二百ないしは一千三百ピコグラムのダイオキシンを検出しながら、福岡県に対して報告をしていなかったり、一昨年の七月には、ダイオキシンを含む除草剤クロロニトロフェン約二千四百トンを工場敷地内の屋外にビニールシートをかぶせただけで放置しているという状況です。つまり野積みですね。野積みにしておりました。そのことが発覚しているわけです。

 工場側は、川の汚染は過去のものであって、一九七六年以降は川に排水を流していない、このように説明をしています。また、では県になぜすぐ報告しなかったのかというこの報告のおくれの問題については、報告義務があることを失念した、こうまで言っているんですよ。もうあきれてしまいます。ダイオキシン対策の認識もなかったなどと釈明していますけれども、到底納得できるものではございません。

 そこで、クロロベンゼン類は現在も製造が続いているわけですから、三井化学大牟田工場の排水実態状況を早急に調査して必要な規制措置をとるべきだ、このように思いますけれども、いかがですか。

石原政府参考人 三井化学大牟田工場におきます排出水に含まれるダイオキシン類の濃度でございますけれども、大牟田工場に対しましては既に立入検査を行っております、八月の時点でございますけれども。その際のダイオキシン類の濃度の調査では、排出水中の濃度としましては〇・三四ピコグラムというレベルでございました。ちなみに排出基準は十ピコグラムでございますので、それを下回るレベルの水準であったというふうに考えております。

 ただ、クロロベンゼン類、これは一般論でございますけれども、クロロベンゼン類製造工程において非意図的にダイオキシン類が生成されるということが判明したという状況がございますので、クロロベンゼン類の製造工程において、クロロベンゼン類の製造施設に対しましてどういう形での対応ということにつきましては、排水の実態調査を実施しまして、その結果を踏まえまして適切に対応していきたいというふうに考えております。

藤木委員 今お話しになった、未規制物質調査は近日中に環境省として行うということでございますけれども、クロロベンゼンからダイオキシンへの生成構造が解明されて、福岡県の対策会議の原因究明とあわせて、大牟田川のダイオキシン類などの汚染究明が早急に進むことを期待したいと思います。

 また一方で、三井化学は、ダイオキシン対策法の施行を前にいたしまして、工場は去年の五月から六月に総合排水処理施設にダイオキシン対策を増設しておりました。ところが、この水質汚濁防止法の特定施設の変更も県には報告していなかったのですね。結局、七月になって県に報告する、こういう状況なんです。

 これは、改修前はダイオキシン類の除去はしていなくて、調査結果の発表を事前に知った段階で突貫工事で対策を急いだ、このように疑われても仕方がないと思います。三井化学は県の調査結果に任せるという態度で、社会的な自覚が全く弱いのには本当にあきれるばかりです。関連が疑われている企業として、みずから事実関係や関係データを公表するなど、社会的責任を果たすべきです。

 そこで、大臣にお伺いをいたしますけれども、有明海の汚染原因を一つでも取り除く、そのために早急な原因究明と汚染対策が実施できるよう環境省としても力を尽くしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 有明海の環境の保全及び環境の改善につきましては、その環境悪化の原因の究明を踏まえまして、いかなる対策が必要か、また有効かについて検討していくということが基本的に重要だというふうに思っております。

 それから、大牟田川のダイオキシン類の問題でございますけれども、福岡県において、先ほど水環境部長から申し上げましたように、大牟田川の川底のボーリングによる土壌汚染の調査を行うこととしているということで、福岡県がその結果を踏まえて必要な対策を検討する予定だというふうに聞いております。

 環境省におきましては、必要な支援を行う等、福岡県と連携をとりつつ適切な対処をいたしていきたいと思っております。

藤木委員 ぜひ実行を促進していただくために力をおかしいただきたいと思います。

 さらに、一九七五年にコンクリート三面張りをした大牟田川改修の際に出た土砂で、しゅんせつをした土砂埋め立てがございますが、そのそばに沈殿池もございます。そういう場所にRDF発電所などの建設が進んでいるという問題があるわけです。

 大牟田市は、資源化施設計画地が沈殿池であったということを認めております。しかし、環境影響評価は六カ所でしか行っておりません。問題のしゅんせつ土砂埋立地については実施していないというのが実態であります。

 さらに、ボーリング調査をした六カ所のうち、沈殿池に近い一カ所で海水の出入りが見られる、そういうところがございます。有害な汚水が有明海に流れる危険性が明らかになっているわけです。

 このしゅんせつ土砂埋立地は、一般に利用される環境共生型緑地の計画となっておりますけれども、高濃度のダイオキシンのほか、クロロベンゼン、PCB、除草剤のペンタクロロフェノール、多環芳香族炭化水素などが含まれている可能性が極めて高いわけです。ですから、RDF発電所に補助金を交付している環境省及び経済産業省は、改めて土壌環境を調査するよう要請をして安全性を確認すべきだと思うのですが、いかがですか。それぞれの省庁からお答えをいただきたいと思います。

岡澤政府参考人 御指摘の大牟田市のRDF発電所の建設予定地というのは大牟田川の河口になっているわけですけれども、発電施設そのものの立地場所はしゅんせつ土が埋め立てられた場所ではなかったというふうに聞いております。

 この周辺土壌につきまして大牟田市が七カ所の調査を行っておりますが、その中で二カ所で、地下十二メートルの地点におきまして、これは恐らく自然由来と考えられると思いますけれども、砒素が土壌環境基準を超えているということがございましたが、それ以外には特段の問題はなかったということでございます。

 また、事業者である大牟田市によりますと、この計画地からの掘削残土の搬出は行わないで工事を実施するということだそうでございます。

 こうしたことから、環境省としては、このRDF発電所の建設場所そのものの土地についてでございますけれども、改めてその土壌環境に関する調査を要請するという考えはございませんが、この発電所の建設に関しまして、いろいろな意味での生活環境保全上の支障が生じないように、地元自治体とも連携してまいりたいというふうに考えております。

沖政府参考人 大牟田におきますRDF発電所につきましては、経済産業省としては、新エネルギー産業技術総合開発機構を通じまして、平成十一年度から設備の設計、設置費用などにつきまして補助を行ってきているところでございます。

 この大牟田川のしゅんせつ土の問題につきましては、しゅんせつ土が捨てられた場所はRDF発電所の建設予定地の外であるということを聞いております。また、大牟田市によれば、しゅんせつ土等の溶出の事実はなくて、安全性について問題がないとのことでありまして、事業の実施につきましては支障がないものと考えているというように県の方からも聞いております。

 いずれにいたしましても、本事業の実施につきましては、今後とも、地方自治体との連携を図りつつ、状況を把握しながら適切に対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。

藤木委員 今お話を聞いていますと、建設場所の土地は調査の対象外だ、こういう言い方ですよね。それから、生活環境影響評価の調査項目にもないのも存じ上げております。電気事業法の環境アセスの対象外であるということも知っております。

 しかし、だからといって、土壌環境の調査を実施しないということでは済まないのじゃないかということを私は問題にしているわけです。このしゅんせつ土砂埋立地は一般に利用される環境共生型緑地の計画となっているわけで、改めて、私は、ぜひ土壌環境の安全性を確認すべきだということを強調したいと思います。

 さらに、このしゅんせつ土砂は、今もおっしゃいましたけれども、環境基準を超える水銀やカドミウムなどの有害物質が含まれていますけれども、汚泥を埋め立てた福岡県や土地所有者の三井鉱山はこの漏出対策をとっておりません。今回の高濃度のダイオキシン類の検出問題で、やっと早急に遮水壁を建設する、そして抜本的な対策を実施する、このように言っておりますけれども、企業と行政の姿勢が問われる問題です。

 ですから、土壌調査をして有害な汚泥が有明海に漏出しないように万全な対策をとるよう要請すべきだと思いますが、環境省どうですか。

石原政府参考人 御指摘の埋立地は、大牟田港及び大牟田川の環境の保全を図る観点から、四十九年から五十年にかけまして、大牟田港・大牟田川公害防止対策事業として大牟田港と大牟田川のしゅんせつを行いまして、そのしゅんせつ土を使って埋め立てたものでございます。

 この埋立地に関しましては、水質の監視としまして、大牟田川の地先を含みます有明海の十カ所の環境基準点におきまして常時水質状況の監視を行っております。現在までのところ、有害物質が環境基準を超過して検出されたという状況にはございません。また、地権者でございます三井鉱山株式会社におきまして、護岸内部の遮水壁を設置したというふうにも聞いております。

 いずれにしましても、環境省としましては、福岡県ともよく連携をとりつつ、水質の監視を継続し適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

藤木委員 環境基準を超えるようなしゅんせつ土砂が適正に処理されているかどうかというのは重要な問題です。

 もともと、今回の大牟田川のダイオキシン汚染が問題になったのは、初めにお話もございました、私も申し上げましたけれども、有明海沿岸でのダイオキシンの検出が発端なんです。これは環境省の定点調査ですよね。この定点調査が貢献をしているわけですから、私は、問題解決までぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。

 県は、大牟田川の問題で有明海の漁業関係者に説明を行って、有明海の安全宣言を行っておりますけれども、有明海の海底の土砂、底質は調査されておりません。また、今回の有明海のノリ不作問題で、環境省は、有明海の水質等の状況について緊急に調査、これはもう行い始めているわけですけれども、その底質についての調査というのは、全窒素、全燐、栄養塩類、そして底生生物などに限られているわけです。

 そこで、有明海の再生・改善を図っていくためには、今後、どのような化学物質がどのように堆積をしているのかなどを調査して、不知火海をも含めた有明海の環境保全のための特別立法を検討していくべきではないか、このように存じますけれども、大臣、最後にお答えをいただきたいと思います。

川口国務大臣 環境省といたしましては、有明海を豊かな海にするということが重要であると考えております。

 今回のノリ不作問題に関しましては、まず原因の究明が重要であるということで、その調査の結果等も踏まえまして、有明海の環境の保全及び環境の改善について、どのような対策が必要か、また有効かにつきまして検討をしていきたいというふうに思っております。

 それから、水質に係る化学物質の問題につきましては、水質状況の監視、排水規制等の運用を通じまして適切に対応していきたいと考えております。

藤木委員 終わります。

五島委員長 金子哲夫君。

金子(哲)委員 社民党・市民連合の金子哲夫です。

 きょう議題になっております法案に先立って大臣の所見をちょっとお伺いしたいのですけれども、法律、またさまざまな制度がつくられていくわけですけれども、どんなにいい法律、制度ができたとしても、それは、執行する側に対しての国民の信頼や期待がなければ有効にその機能を果たさないというふうに私は思っております。

 今日の政治的状況を考えてみますと、例えば、三月五日に衆議院において森内閣の不信任決議案が出されて、これは否決をされていわば信任をされた。そして昨日は参議院において問責決議案が提出をされて、これもまた否決をされるということで、いわば信任されたということになっておりますけれども。

 しかし、三月五日の不信任決議の後の与党の状況を見てみますと、いわば森総理おろしと言えるような動きが顕著になっておりまして、十三日の自民党大会でいろいろな発言が行われて、マスコミからは、もう森総理辞任という大きな活字が出ているという状況がありまして、今国民の中に、永田町で起きていることが、一方で信任をしながら森おろしを進める、そういう状況というのは非常にわかりにくいというか、もう全くわからないという状況で今政治が進んでいると思うのです。特に国民の皆さんの中にそういう思いが多いと思います。

 そこで、お尋ねしたいのですけれども、特に大臣は、民間出身ということで大臣に起用されておられるわけですけれども、そういう民間出身という立場から、今のこの政治状況についてぜひ率直な見解をお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 私は、委員おっしゃられるように民間出身でございますので、現在の政治状況についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

金子(哲)委員 それは、私は、環境行政を推進する立場にあって、内閣の一員でもあるわけですから、全く政治に、民間出身だからということではなくて、お互いが政治の状況についてはそれぞれ見解を持つというのは当然なことだと思うわけですよね。いわば死に体内閣とまで書かれ、言われている状況の中で、先ほど申し上げましたように、どんな重要な法案が審議をされても、それを本当に責任持って執行できるかどうかということまで問われているわけですね。

 先ほどの他の委員の質問の中でも、四月にまた国際会議などもあって、環境問題についても非常に重要な段階を迎えていて、こういういわば空白的な政治状況が長く続くということは、そういう政治的な政策を推進していく上でどのような影響があるかというようなことは、私は……(発言する者あり)

五島委員長 静粛にお願いします。

金子(哲)委員 見解として当然お持ちになってしかるべきだというふうに思いますけれども、いかがですか。

川口国務大臣 私は、民間出身の閣僚といたしまして、環境保全についての責任を持っているというふうに承知をいたしておりまして、そういう観点から仕事をさせていただいております。

金子(哲)委員 これ以上この問題であれですけれども、しかし、環境行政を本当に推進しようと思えば、やはり内閣に対して国民の皆さんの信頼が圧倒的に寄せられなければ推進はできないと思うのですね。今の状況は、内閣支持率を見ても一けた台に落ちておれば、残念ながら、大臣の決意がどのようにあったとしても、内閣全体としてこの政策を推進するということは非常に私は困難だというふうに思うわけであります。

 それで、法案の中の問題について次に質問させていただきたいと思いますけれども……(発言する者あり)どうぞ、質問させていただきますので、お静かにお願いします。

五島委員長 静かにお願いします。

金子(哲)委員 地球環境審議官の創設ということが言われております。私も、地球環境審議官の第一のこれからの大きな役割の中に、特にCOP6の再開会議における問題が非常に重要な仕事になってくるというふうに思います。

 昨年の十一月に、残念なことですけれども、いわば合意を見ることができなかったということで、十一月の環境委員会の中でも我が党の委員からも質問しておりますけれども、国際的な合意を得るということは、それぞれの国の事情を考えながらもお互いの国際環境全体を考慮しながら合意を目指していくということになると思います。このたび、特に日本が調整役という役割も含めて非常に重要な役割を果たしたということでありますけれども、しかし残念ながら、日本が提案した幾つかのいわば削減に向けての日本の立場が、私は必ずしも国際的に理解を得ることができなかったというふうに思っております。

 そういうことであれば、七月に行われるこの再開会議の中で合意を得ようとすれば、先ほど大臣もおっしゃいましたように、どうしても二〇〇二年には、というのは、今回の会議は非常に重要だということが言われておるわけですから、そのためには、日本の今までの政策というか立場を、提案しているものについて、合意を得るために内容を含めて一定深く検討していかなければならないというふうに私は思っていますけれども、その辺の検討はどのように進んでいるのでしょうか。

川口国務大臣 COP6再開会合、七月の会合での交渉は、従来のハーグの交渉同様にやはり大変に難しい交渉であるというふうには認識をいたしておりますけれども、日本のみならず参加をしているすべての国が、できるだけ早く京都議定書の運用ルールに合意するようにという観点で一生懸命に議論をし、合意に達するための努力を重ねる会合になるというふうに思っております。

 その過程で、各国が考えている自国の立場を妥協あるいは主張し合い、相互にお互いの立場を理解し合った上で、建設的な解決策に到達することができるものというふうに私としては考えております。

金子(哲)委員 日本が五つぐらいの目標を提起しておりますけれども、その点については、その態度で変わらずにこの七月の会議に臨むということなんですか、今のお話は。努力をされるということはよくわかりました。一生懸命努力されると思いますけれども、具体的にはその中身の問題になってくると思うのです。

 その点については、例えば、本来的な排出源対策などがEUあたりから強調されておりますけれども、日本の場合には森林とか原発の問題とかが出されていて、その点がかなり論議の中で問題になったというふうに私どもは理解していますけれども、そういう点について、今までと同じような主張で、ただ合意を得るために努力するというだけでは私は合意はなかなか難しいのじゃないかと思うのですけれども、どうなんでしょうか。

川口国務大臣 先ほど来出ておりますように、ただいま交渉が続行をしているということでございます。電話、Eメールその他の場で交渉が続行しているところでございますので、そういう意味で、日本が今どういうポジションを、今後の七月の会合においてどういうポジションで臨むかということについては、交渉のマターでございますので、ここでコメントは御遠慮させていただければと思います。

金子(哲)委員 いずれにしても、この環境審議官が、その前段としての各国との交渉とかいろいろなところの場で働かれるということになると思いますので。

 しかし、やはり一定のそういう方向性を持ちながらやっていかなければ、確かに言われたとおり、非常に難しい問題も内包していますから今ここですべてということにならないと思いますけれども、まとめるためには、今までの日本の主張とEUやその他の国の主張とに、どうしても合意するために、やはり日本側の一定の政策といいますか、主張を変えていくことも含めて、ぜひ成功に向けて努力をしていただきたいというふうに思います。

 それから、地方環境対策調査官の問題について少しお尋ねをしたいと思います。

 私は、環境問題というのは、先ほど大臣も、現場主義で、そして生活に密着した問題として考えていかなければならないということをおっしゃっていたと思います。私もそのとおりだと思いまして、今環境の問題が非常に重要になっていますけれども、本当に国民一人一人の課題として位置づけられ、そういうふうに意識をされていく、そのことが私は一番大事ではないかというふうに思っております。

 ある意味では、極端な言い方をすれば、少し時間が遠回りのようであっても、国民の皆さんの中に、環境問題の重要性というものを認識していただく。例えば、学校教育の場をもっと活用していくとか、地域社会のそういう交流の場を活用していくとか、長く見れば、そういった視点が将来の環境対策にとっては一番重要だというふうに考えております。

 例えば、家電リサイクル法が四月に施行されるということになっておりますけれども、残念なことですけれども、最近の折り込み新聞広告などを見ますと、四月からリサイクル法が入る前に買いかえをというキャンペーンになっております。

 私は、それは一つの商法としてあるかもわかりませんけれども、本来の家電リサイクル法の精神からいえば、そういう考え方ではなくて、早く買いかえればいいのだ、今負担が少なくて済むということではなくて、やはり負担はお互いがしていくということが根づかない限りいけない。先ほど言いましたことと同じで、そうだと思うのですけれども、そういう意味では、そういう精神がぜひ生きていくような環境行政の基本のあり方ということについてぜひ大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 環境保全を行っていくために、一人一人の人間が行動をとるということの重要性は、私も全く委員と同じように思っております。そのための環境教育の重要性も委員がおっしゃるとおりでございまして、私といたしましては、例えば森総理に主宰をしていただいております「環(わ)の国」日本づくりの会合の中で、有識者の方々から、今まで行っていること以上にどういうことができるかということについてのお知恵をいただけるということも実は期待をいたしているところでございます。ということで、行動の重要性、そのための環境教育の重要性、啓蒙の重要性については、全く同感でございます。

金子(哲)委員 そういう中で、今度、地方環境対策調査官の役割についてでありますけれども、先般、調査室がまとめられた委員会審査参考資料というのが配付をされまして、その中に、本省と地方環境対策調査官の任務、役割はこういうふうに位置づけていくのだというようなことで一覧表が出されております。三十三ページの方にそういうことが書かれております。

 私はそれを見まして実はちょっとびっくりしたのですけれども、字数が足りないからこういう書き方になったのかもわかりませんけれども、「環境調査、相談事務」の中で地方環境対策調査官がやる任務分担として、「反対運動等住民動向の把握」「自治体、地元経済界等の動向把握等」ということが書かれております。反対運動等の動向の把握などという書き方というのは、何か上からの考え方というような書き方で、先ほど言われたように、環境省の目と心を持った分身という意味で、また生活者に密着した地方調査官の役割としては、私は、そういう文章はふさわしくないのではないかという思いをちょっと持っておりますけれども、どのようにお考えでしょうか。

川口国務大臣 確かに、私自身でございましたら使わない言葉でございます。この言葉の意味は、恐らく私が申し上げたようなことと同じ意味であるというふうには思っております。

 たびたび申し上げておりますが、現場主義というのは大事でございますし、地域住民の方が何をお考えでいらっしゃるか、NGOの方々との対話というのも非常に重要だと思っておりまして、私は、就任以来NGOの方々とも対話をさせていただいているところでございます。この言葉の意味はそういう趣旨であるということでございます。

金子(哲)委員 そのように理解して……。

 さまざまな文書が出てまいりますけれども、今大臣の、この委員会の中でもおっしゃっていたような、環境省としての精神といいますか基本的なスタンスというものが、住民の皆さんやそういう市民運動をやっていらっしゃる皆さんに伝わるような配慮というのは、さまざまな側面でぜひやはりお願いをしたい。

 特に、私どもがいろいろな陳情などに同行しましても思うことは、法律でこうなっているんだからという説明の方がやはりどうしても前に出てまいりまして、先ほど言いました生活者というか住民の今の生活の状況、置かれている状況から、それを受けとめてというよりも、どうしてもそういう形になる。私はこの文書の中に、そういう精神はないということですけれども、そういうものをちょっと感じたものですからあえてその問題を取り上げさせていただきました。

 先ほどの質問の中にもありましたけれども、いわばそういう生活者の側の視点からということになりますと、今の人員、スタッフで、せっかく出された、今回設置をされる調査官というものが本当に十分に機能を果たすことができるだろうかという思いをやはり抱かざるを得ません。

 そこで、確かに行政改革とかで、いろいろなところで国家公務員をふやすことが非常に難しいということは重々承知をしながらも、しかし本当に有効に機能していく調査官となっていくためには、特に、最近の環境問題というのは、それぞれの地域、また、それぞれの多様な課題がふえているという状況に、それだけそういう問題意識が高まったということだと思うのですけれども、それに対応するのにはもっと充実したスタッフ体制というものがやはり必要ではないかというふうに思いますが、改めてもう一度お聞きしたいと思います。

熊谷大臣政務官 お尋ねの点については、基本的な考え方としては委員と全く同じ考え方であります。したがって、国民の声というものに耳を傾ける、あるいは国民という立場に立って物を考える、そういうことは極めて大事でありますから、そういう国民からの相談事に対応するということからすると、四十五人というのは決して十分な人数ではないというふうに私たちも認識はしております。

 ただ、これは四十五人に任せ切る、そういうたぐいのものではなくて、先ほど来から大臣も何回も答弁しているように、やはり国民の声あるいは現場の感覚、こういうものを大事にして、環境省総ぐるみの体制の中で取り組んでいく、そういうスタンスをとっているわけであります。ただ、最前線というか、直接国民と触れる機会の多いのは調査官が一番多いわけでありますから、そこにはそれなりの役割というのが極めて重要性を帯びてくる、このように考えております。

 おっしゃるように、今の環境問題に対する国民の関心は極めて高いわけであります。それなりにこれに対応する業務というものも極めてこれから増加をしてくるというふうに考えなければならないわけでありますから、この先、この調査官の充実強化という視点に立って、いろいろな現状、経緯を見ながら、さらなる努力をしてまいりたい、このように考えております。

金子(哲)委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、現状は四十五名ということでスタートするということになります。そうしますと、さらに進めていくためには、やはり地方自治体、いわば行政とのかかわり、連携というものを密にしなければならないというふうに思います。

 そして、この任務として、そういう地方自治体などで先進的に取り組んでいらっしゃる環境行政といいますか、そういったものを全国に広げていくためのいわば情報収集のネットワークという拠点になっていく仕事も非常に大きいのではないか、そういう意味でも地方自治体とのかかわりは大きいのではないかというふうに私は思っております。

 最近、広島県でも今ちょうど県議会が審議中のようでありますけれども、やまなみ大学という、中国山地の自然を県民が学んでいく、そして、そこに住んでいらっしゃる人たちの生活の中からまた自然に都会の人たちが触れていく、そういうことを通じて環境の問題、環境問題だけでなくて多くのテーマ、歴史、自然、体感とかいろいろな学部を五つぐらい設けてやることになっておりますが、その中の一つの大きな柱にやはり環境という問題が、環境学部というものが設定をされて取り組むということで、四月からスタートを切るということになっておるようでございます。

 これはどのように進んでいくか私も非常に関心を持っております。中国山地と川の関係からいいますと、上流と下流の関係とかいったものが、下流の皆さんが上流を体験することによって環境問題を改めて考える、そういう非常にいい機会になるということで大変期待しております。

 そういったことをできるだけ環境省の中でも吸い上げていただいて、やはりそういういい事例を広げていくということをこの地方環境対策調査官の大きな役割の中にぜひ加えていただきたいというふうに考えております。

 それから、残された時間で少し環境問題でお尋ねをしたいと思います。

 実は、瀬戸内海国立公園、風光明媚で、瀬戸内海環境保全のための特別措置法もありますけれども、その中に、岡山県の玉野市というところで環境事業団が設立をした王子アルカディアリゾート計画がありまして、それが一九九三年に外観建設を終えたにもかかわらず、受け側の第三セクターがとうとう受けられなかったというようなことで、そのまま放置をされた状態でもう既に七年以上が経過をしております。

 地元の皆さんも非常に努力をされているとは思うのですけれども、余りにも長い期間、しかも国立公園の敷地内にそういうかなり大きな、私も現地に行ってまいりましたけれども、かなり大きな建物がそのままの状態になっております。若干この間の経過などについてお話をいただきたいと思います。

西尾政府参考人 御説明申し上げます。

 先生御指摘のとおり、王子アルカディアの事業でございますが、これは岡山県玉野市などが出資者であります第三セクターの要請によりまして、当時の公害防止事業団が建設、譲渡したものでございます。

 そのやり方といたしまして、第三セクターからの要請を踏まえて、事業団におきまして、ホテルの本体及び園地等を建設の上譲り渡す、そうした後でホテルの内装等の工事は第三セクターにおいて行う、こういうことになっていたわけでございます。しかしながら事業団が、ホテル本体等の工事を完了いたしまして平成五年に第三セクターに引き渡しましたにもかかわりませず、第三セクター側が、資金調達が困難となったということで内装等の工事を中断いたしている、事業団への引き渡し代金の支払いも行わない、こういう形で現在に至っておるわけでございます。

 現在、第三セクターの出資者であります玉野市と債権者である環境事業団が中心となって、施設それからその周辺の活用について検討を行っているところでございますけれども、環境省、岡山県がこれにもちろん協力するということで、関係者がその有効活用に向けて努力をしているところということでございます。

金子(哲)委員 当時の新聞報道等を見ますと、当時の環境庁の役人の皆さんも、また環境事業団の皆さんも、積極的にこのリゾートの建設について、環境上からもいい役割を果たすというようなことをマスコミの報道に対して発言をされております。しかし、今報告がありましたように、建設が終わりながらそのまま放置をされている。しかも四十億円もの巨額のお金が使われているという状況の中で、第三セクターがだめだったからということで、一切どこも、余り責任が明らかにならないままにこの問題が続いているというふうに私は思えてしようがないのですね。

 そういうことでいえば、この建設についていわば積極的な賛成の立場もとった環境省にも大きな責任があるというふうに考えておりますけれども、その点についてどのように今お考えか明らかにしていただきたい。

西尾政府参考人 この事業は、国立公園、国定公園などで利用者の分散を図っていくということで、公害防止もあわせて図っていく、そういう施設であるということで当時規定されていた事業でございます。

 環境庁自然保護局におきましても、そういう事業に当たるかどうかという点につきまして審査をし、判断して認可したものでございますけれども、確かにこの事業団の事業が現在に至るまで未完成な状態のままとなっている、結果としてこのような事態を招いてしまったことは遺憾なことだというふうに思っておるわけでございます。

 このため、事業団におきましても、審査体制の見直し等も図ってきているところでございますが、主務官庁であります環境省といたしましても、この事業が適切にされるよう事業団を適切に指導監督していく必要がある、そうあるべきものだというふうに考えております。

金子(哲)委員 責任の問題についてなかなか明らかになりませんけれども、いずれにしても、玉野市もこの利用について何とかしたいという思いをお持ちだというふうにお伺いしております。

 そういう意味では、今のままの状態が決していいわけではないわけでありまして、しかも投資をされたお金も回収できないから事業団が立てかえて返済をしているような状況にあるわけでありまして、これ自身も放置をできない状態に今あると思いますので、その意味では、環境省も含めて、今後この利用促進のために、一日も早い結論が出るようにぜひ努力をしていただきたいと思いますが、その点について大臣。

川口国務大臣 地元におかれまして今具体的な活用策についての検討をしていらっしゃると聞いております。

 環境省といたしましては、市及び環境事業団の努力を見守りつつ、市及び県などの地元の声を聞きながら幅広く活用策について相談に応じてまいりたいと存じております。

金子(哲)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、いずれにしても、先ほど言いましたように、建設されて完了してからもう七年以上が経過をしているということになりますから、そんなに長い時間あのままの状態で放置することはできないというふうに思います。その点では、利用を前提としながら、この結論を早急にやはり出していくという方向でぜひ取り組んでいただきたいということをお願いして、終わりたいと思います。ありがとうございました。

五島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

五島委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、環境省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

五島委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

五島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

五島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会




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