衆議院

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第7号 平成13年3月30日(金曜日)

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平成十三年三月三十日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 五島 正規君

   理事 伊藤 達也君 理事 稲葉 大和君

   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君

   理事 小林  守君 理事 近藤 昭一君

   理事 青山 二三君 理事 樋高  剛君

      植竹 繁雄君    小渕 優子君

      岡下 信子君    熊谷 市雄君

      小泉 龍司君    河野 太郎君

      下村 博文君    谷本 龍哉君

      鳩山 邦夫君    原田昇左右君

      平井 卓也君    増原 義剛君

      奥田  建君    鎌田さゆり君

      佐藤謙一郎君    鮫島 宗明君

      長浜 博行君    山田 敏雅君

      田端 正広君    藤木 洋子君

      阿部 知子君    金子 哲夫君

      原  陽子君

    …………………………………

   環境大臣         川口 順子君

   環境副大臣        沓掛 哲男君

   経済産業大臣政務官    竹本 直一君

   環境大臣政務官      熊谷 市雄君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議

   官)           長尾梅太郎君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次

   長)           小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力

   安全・保安院審議官)   広瀬 研吉君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・

   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長

   )            中川 雅治君

   参考人

   (環境事業団理事長)   田中 健次君

   環境委員会専門員     澤崎 義紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  佐藤謙一郎君     山田 敏雅君

  金子 哲夫君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 敏雅君     佐藤謙一郎君

  阿部 知子君     金子 哲夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法案(内閣提出第三七号)

 環境事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)




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     ――――◇―――――

五島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法案及び環境事業団法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君、経済産業省大臣官房審議官長尾梅太郎君、経済産業省製造産業局次長小平信因君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官広瀬研吉君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長岡澤和好君及び環境省総合環境政策局長中川雅治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

五島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として環境事業団理事長田中健次君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

五島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

五島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渕優子さん。

小渕委員 おはようございます。自由民主党の小渕優子でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきましたことをまず感謝申し上げます。張り切ってたくさんの質問を考えてまいりましたので、限られた時間ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、ただいま議題となりましたポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法案及び環境事業団法の一部を改正する法律案について質問いたします。

 PCBの危険性が社会問題化したカネミ油症事件が起こったのは、私が生まれる前の一九六八年ですけれども、それから三十年以上経過した今、PCBは負の遺産として今でも引き継がれています。国民の不安を取り除き、これ以上私たちの子供や孫にこの負の遺産を引き継がないためにも、現状の把握と一日も早い処理が必要です。それが我々の世代に課せられた責務であると強く感じています。

 そこで、まず伺います。日本全国で、処理が必要なPCBを含む廃棄物は今どのくらいあるのでしょうか。正確な量というのを把握するのはなかなか難しいことだと思いますが、まず、これから処理をしていくにしても、現状の把握はしっかりしていただかなくてはなりません。どの時点でどのくらいあったのかということ、またその調査方法、そしてその正確さはどの程度のものなのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

岡澤政府参考人 PCB廃棄物の量に対するお尋ねでございますけれども、平成十年度に当時の厚生省が実施しましたPCB廃棄物の保管状況調査によりますと、この大部分を占めます高圧トランス・コンデンサーが、使用中のものも含めて約三十九万台存在するということが確認されております。このほか、廃感圧複写紙六百四十四トン、廃PCB等が約十二万六千トン、それから低圧トランス・コンデンサーが約三十九万個、安定器が約二百四十万個、それからウエス約百十七トン、汚泥等が約十万五百トンの保管が確認されております。

 このほかに、PCBそのものではございませんが、PCBに汚染された油を用いております柱上トランスが、使用中のものも含めまして約四百万台存在するということがわかっております。これらが今回の法律の対象となるPCB廃棄物でございます。

 そのデータの把握の方法でございますけれども、これは平成十二年の七月に取りまとめて公表したものでございますけれども、平成十年度の保管・使用状況についての調査でございます。当時は通産省の協力も得て、各都道府県や保健所設置市が実施した事業者に対するアンケート調査をまとめたものというふうに御理解いただきたいと思います。

 これは任意のアンケート調査をベースとしておりますことから、未確認、未報告も含まれていますし、また自治体によっても、必ずしもその精度が統一されているわけではございません。そういう意味で、どの程度正確かと言われると、それほど正確性があるわけではございませんが、おおむねの数字が把握できているという感じではないかと思っております。この法案が成立すれば、事業者によるPCB廃棄物の保管、処分の状況の届け出が義務づけされますので、その段階では、保管状況の正確な把握ができるものというふうに考えております。

小渕委員 ありがとうございました。

 できる限り正確な把握をしていただき、少しでもゼロになくされるように努力していただきたいと思います。

 過ぎてしまったこの三十年間という年月を今から振り返っても始まらないかもしれませんが、それにしても、昭和四十七年に製造中止になってから三十年もの間、一体国は何をやっていたのでしょうか。

 先日の川口大臣の御答弁の中でも、この三十年の間、決して手をこまねいていたわけではないということをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、この処理施設をつくるに当たっていろいろ理解が得られなかった、ほかに、また、技術の開発に時間がかかった、いろいろ理由があったのかもしれません。でも、この三十年間の間に、諸外国では処理が終わりつつあるということも聞いています。

 もっと早く対策に乗り出すべきだったと思う人もいるかもしれませんが、三十年もの間大丈夫だったのだったら、もしかしたら四十年、五十年たっても、そのままにしておいても特に問題はないのではないかと考える人もいるかもしれません。環境問題を考えるときは、やはり行政側の押しつけだけではなく、国民の皆さんに自発的に立ち上がってもらわなければ意味がないと思います。

 だからこそ、なぜ今これが必要なのか、そしてこの三十年間は、一体国もどういう責任を持っていたのか、なぜ今これをやらなければならないのか、御説明をいただきたいと思います。

熊谷大臣政務官 ただいまの小渕委員の質問に対して、私の方からお答えをしたいと思います。

 御指摘のように、三十年経過して、その間、何をやってきたかという疑問と不信というのが出てくるのは当然だと思います。さらには、それまで民間に保管をさせてきた国としての責任はどういうものかということについてのお尋ねであります。

 委員がお話しのように、四十七年、これは製造禁止になったわけでありますね。それからどういう手を打ってきたかということでありますが、まず、次の年の四十八年に、製造事業者を中心として、これは財団法人でありますが、電気絶縁物処理協会というものを立ち上げまして、この協会が中心になって、処理施設の設置に向けた努力が行われてきたわけであります。

 しかし、実際問題として、その当時の処理方法というのが高温焼却処理ということでありまして、これは当然ダイオキシンなどの汚染にもつながるということから、そういう性格上の問題もありまして、なかなか自治体とか住民の理解、協力というものを得ることが難しかった、こういう一つの背景というのがあったと思います。

 こういう状況を踏まえまして、平成五年度から関係省庁で、これは通産と厚生と環境でありますが、化学的に分解する技術について技術開発を促進しながら、安全性あるいは実用性の評価ということを行い、さらに平成十年度から、化学的に分解する方法を処理方法として導入したという経緯がございました。

 しかし、このような取り組みにもかかわらず、処理体制の整備には至らなかったわけでありますが、保管が継続する事態となっていることを十分に踏まえまして、こういう事態というのを打開するために、今回、二つの法案を出して、国が処理体制の確保の役割を十分に担っていく必要があるであろう、さらには、環境事業団というものを活用しながら拠点的な処理施設の整備を推進していく、そういう考え方に立たせていただいたわけでございます。

 おっしゃるように、三十年間、特に欧米先進国と比較して非常に立ちおくれているという現状もあるわけでございます。したがって、そういう排出事業者の責任原則ということだけではやはり済まされないものがあったわけでありまして、そこには国としても一定の責任というものを持つ、自覚をする必要があるのではないか、このように考えているわけであります。

 今度の法案を一日も早く成立させていただいて、この問題の処理に積極的に取り組みながら、これから国としての責任というものを遅まきながら十分に果たしてまいりたい、このように考えております。

小渕委員 ありがとうございました。

 三十年間の反省とともに、今どうしてもやらなければいけないんだという強い御決意を忘れないでやっていただきたいと思います。

 続きまして、特殊法人である環境事業団を活用するということですが、現在、橋本行革担当大臣のもとで特殊法人改革が進められています。こうした改革の流れの中で、時代に逆行するかのような環境事業団をあえて活用することのメリットは一体どこにあるのでしょうか。PCB廃棄物の処理自体必要なことだとは思いますが、事業団に任せなければいけないという必要性はどこにあるのか、教えていただきたいと思います。

中川政府参考人 今回のPCB廃棄物処理特別措置法によりまして、PCB廃棄物を一定期間内に処理する義務を課すことになるわけでございますが、これは、全国的な処理施設の整備と処理実施体制の確保が前提になるというふうに考えられます。

 しかしながら、民間事業者においては、ただいま熊谷大臣政務官から答弁がございましたように、いろいろ努力は重ねてきたわけでございますけれども、三十年近くにわたって処理体制整備への取り組みというものの努力がなされてきたわけでございますけれども、地元住民の合意が得られず実現できなかった、そういう経緯がございます。

 また、地方公共団体にお願いをするということも十分に考えられるわけでございますが、地方公共団体が廃棄物処理センターの設立をして現在でも廃棄物の処理に努めているわけでございますが、この処理センターの処理対象の範囲は当該地方公共団体の区域内のものに限定されるなど、複数の県にまたがる広域的な処理を行うことが困難になっているわけでございます。したがいまして、地方公共団体ごとにお願いをするということになりますと、これもなかなか立地の面で難しいところもございましょうし、効率性の観点から見てどうかという問題もございます。

 したがいまして、やはりこの問題は、国が責任を持って施設整備、処理業務に当たることがPCB廃棄物の円滑な処理に不可欠であるというふうに考えられるわけでございます。国が責任を持ってこの問題の処理に当たる、その場合にどういうふうに体制をとったらいいのかということにつきまして部内で随分いろいろな角度から検討したわけでございますが、国が直接処理施設をつくって運営していくということは、やはり行革の見地からどうかという問題があります。

 また一方で、環境事業団の方は今までも産業廃棄物処理に係る融資や施設整備等を通じましていろいろなノウハウや経験を有しているわけでございます。また地元調整等の経験もあるわけでございますので、環境事業団を活用するということが最も効率的で、行革の見地から見ても適当であるだろうというふうに判断をしたわけでございます。

 また、この事業実施に当たりまして、環境事業団の定員をふやすということではなく、今までの事業の中で見直しをしながらやりくりをしていく、こういうことで行革の精神にも沿っていくように努力をしたいと考えているところでございます。

小渕委員 何よりもやはり一番大切なことは、期間内にPCBのすべてをゼロにする、この処理を行うということです。事業団がきちんとしたリーダーシップを持って、また、事業者そして製造者の責任というものも明確にしていただきたいと思っています。

 続きまして、事業団が全国的に処理施設を整備していくというお話でしたけれども、現在、例は少ないようですが、民間でも処理を始めているところがあると聞いています。事業団によって五年間で施設を五、六基建設し、十年間で処理を行うという計画が出ているようですけれども、こうした民間の既に稼働し始めている施設と協力連携することによって効率化を図り、処理にかかる時間や費用を削減できるのではないかと思いますが、その点についていかがお考えでしょうか。

岡澤政府参考人 今御指摘がありましたように、現在、全国数カ所で民間事業者によるPCB廃棄物の処理が進められている状況にございます。ただし、これは自社の工場内に保管しておりますPCB廃棄物の処理だけを対象としておりまして、現時点で他の事業者の廃棄物の処理の委託を受けるというようなところまでは進んでいないわけでございます。

 また、そういうことから始まっていますので、この施設の処理能力というのはそれほど大きなものではございません。すべてそういうものを足し合わせても、全国のPCB廃棄物の処理をするのに十分な能力から見ますと、非常に小さなものにすぎないということでございますので、抜本的な処理対策を進めていく上では、やはり新たな拠点的な施設というものをつくっていくことが必要だというふうに認識しております。

 ただ、環境事業団の処理事業とは別に、こうした民間事業者あるいは個別の地方公共団体が処理施設をつくって独自に処理事業を行うということは、それはまた結構なことでございまして、環境事業団、自治体、民間事業者の施設というものが有機的に一体となって全体としてカバーできればいいというふうに考えています。

 また、そうした民間事業者とか地方公共団体の施設で中小企業者の保有するPCB廃棄物を処理するような場合には、環境事業団で行うときに支援すると同様の支援を行っていきたいというふうに考えております。

小渕委員 わかりました。どうもありがとうございました。

 ここで、一点不安な点があります。PCBの一部が紛失、行方不明となっているという事実があります。これらは一体どこにこの三十年の間に行ってしまったのでしょうか。PCBの廃棄物の保管の実態を考えると、既に土壌汚染を生じてしまっているようなケースもあるのではないでしょうか。PCBについては、この処理法案成立で終わりということではありません。成立後もさらに引き続きPCBが残した問題を考えていかなくてはいけないと思います。

 そうした意味で、今後の土壌汚染対策について、今からどのようなお考えがあるのか、教えていただきたいと思います。

熊谷大臣政務官 今回のPCB関連二法案とは別に、PCB等の有害物質による土壌汚染対策については、従来から環境基本法に基づいて土壌環境基準を設定するという形で取り組まさせていただいております。土壌汚染に係る適切な調査あるいは対策の推進をするための技術指針を策定して事業者に周知徹底をしている、そういう形でございます。

 一方、委員今御指摘のように、特に都市圏内の工場跡地などから、いろいろ再開発をしたりする形の中で土壌の汚染というものが問題になってきております。事業者による自主的な調査、そういうことにも相まっているわけでありますが、そうした土壌汚染の判明件数というのが特に最近かなり多くふえてきておるという傾向にございます。このため、昨年十二月から、学識経験者等から成る検討会で、土壌環境保全対策のために必要な制度のあり方などについて幅広く調査検討を行っているところでございます。

 この検討会は一生懸命やっていただいているわけでありますが、土壌汚染という性格から若干時間というものを必要にしているという面があるわけでありまして、まだ具体的な姿というものをお示しするという段階には至っていないわけでありますが、これからこの制度化というものも視野に入れながら、具体的に、積極的に取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。

小渕委員 土壌汚染は今後しっかり考えていかなくてはならない問題の一つだと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 先日、川口大臣の日経ビジネスのインタビュー記事を拝見いたしました。COP6を初め他国との交渉を通じて大臣がお感じになったことの御意見だと思うのですけれども、その中でこのようにおっしゃっていらっしゃいました。環境問題はさまざまな人に行動して理解をしてもらわなくてはいけないわけですから、政府が情報を公開して、さまざまな意見を踏まえた上でまとめていくことが大事です。また、こうもおっしゃっておられました。環境保全のためには、我慢より未来に対して明るい夢を持つこと。全くそのとおりであると思っています。

 大変私ごとですけれども、私の地元は群馬県の五区というところで、群馬県の中で一番のどかなところです。夏はすごく暑くて冬は物すごく寒い、四季の変化がはっきりした、でも自然が豊かな、本当によいところです。

 昨年の夏になりますけれども、今でも忘れられない光景として頭に残っておりますのが、夏の日の早朝に、ちょうど前の日に雨が降って、その日はすごく天気がよかったのですけれども、真っ青な青空の下に田んぼの苗の緑が本当にきれいで、その横を小学生が、集団登校というんですね、六年生から一年生まで背の順に並んで、ランドセルをしょってあぜ道を歩いていく姿がありました。

 本当に美しい光景だなと思って、今でも幾度となくそのときの光景というのを思い出すんですけれども、私は、本当にこの自然環境というのをずっと残していきたい、そして、そこで歩いていた小学生たちが大人になって子供を産んで、どんどん世代がかわっていっても、やはりこのすばらしい自然環境を残したいということを強く感じています。

 そして、今私は国会議員という立場になりまして、この立場で一体何ができるのかということを考えるわけですけれども、長くなりまして、何が言いたいかといいますと、やはり国民の一人一人が環境に対する意識と理解というものを高めていかなくてはならないと思うのです。そのためには、大臣もおっしゃっていたように、きちんとした情報公開、そして説明責任が求められてくると思います。

 これからPCBの処理施設をつくっていくわけですけれども、やはりなかなか周りの御理解というのは難しい問題だと思います。一般的に、自分の家の隣にPCB廃棄物の処理施設ができるとしたら、国民の皆さんは一体どう思うのか。たとえ国が前面に立って処理を進めるにしても、なぜそんな危ないものをわざわざここにつくらなければいけないのかという気持ちはだれしもが持ってしまうのではないでしょうか。そのためにやはり行政の説明責任が問われてくると思います。そうやって説明をすることによって国民の安心が生まれ、それが環境へのこれからの理解となり、これからの問題解決になるのだと思います。

 施設を設置するに当たっては、計画のできるだけ早い段階から周辺住民に対して情報提供を行い、対話をし、透明性のある形で技術の選定や施設の安全性の評価を行っていくことが不可欠です。環境事業団が処理事業を行うに当たり、この点につきまして具体的にどのようにお考えでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

岡澤政府参考人 PCB廃棄物はそれ自体非常に有害な化学物質でございますし、また日本ではカネミ油症の経験もあるということで、その処理に当たっては、その十分な安全性を確保することはもとよりですが、周辺住民の方が不安に思わないような、安全性を見せられるような形をちゃんとしっかりつくっていくことが必要だろうと思います。

 このために、私どもの川口大臣、情報公開に非常に熱心で、私どもによく言われるわけですけれども、処理事業を行うに当たりましても、自治体の意向も踏まえ、また計画段階から周辺住民に対する説明会を開催するなど、できる限り透明性を確保してまいりたいと思いますし、また、処理の実施に当たりましては、環境モニタリングの実施、それからその結果の公表等情報公開を積極的に行って、周辺住民の方が不安に思わないように措置をとっていきたいと思っております。

小渕委員 言葉だけにならないように、ぜひ未来の夢のために御努力をお願いいたしたいと思います。

 それでは、最後に大臣にお伺いいたします。

 二十一世紀を迎えて、世界の環境大臣は、フランス、日本、アメリカと相次いで女性になりました。新世紀、環境省の発足、新体制のスタートを川口順子大臣で迎えられたことを私は大変うれしく思っております。環境と女性には親和性があるのではないかということも言われています。ただ、その中で、きょうのニュースを見ておりましても、アメリカの京都議定書からの離脱等いろいろ問題は山積みであると思います。このPCB廃棄物の処理に対しても国が前面に立って進めていくということですけれども、将来世代に不安を残さないように、日本のPCB廃棄物をゼロにすべく環境省に頑張っていただきたいと思っております。

 そこで、最後に、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 PCB廃棄物が今までずうっと三十年間保管されたままになっていたことによって、それがその過程で紛失をしましたりあるいは行方不明になったりということで、環境汚染につながるということがあったわけでございます。

 それから、国際的に見ましても、日本が先進国の中でPCB廃棄物の処理が大変におくれている国であるということもございます。ということで、このPCB廃棄物を一刻も早くゼロにすることが、小渕委員がおっしゃいますように重要なことだと思っております。

 私どもは、現在、その二つの法案を国会にお願いを申し上げておりまして、それを一刻も早く成立させていただいて、全力を尽くしてPCBの廃棄物をなくすということに、私はもちろんでございますけれども、環境省職員一同、一生懸命になって取り組みたいと思っておりますので、ぜひよろしく御協力をお願い申し上げます。

小渕委員 長い目で考えていかなくてはならない問題が多く、その上、大変忍耐の要るお仕事ではないかと思います。しかし、やはり私自身、二十一世紀を担っていく世代の一人として、自然環境を守っていくということは本当に重要なことであると思います。

 私がもし子供を産んだら、子供の世代、そしてその孫の世代、どんどん世代はかわってまいります。世代がどんどんかわっていっても、この美しい自然環境というものを残していけるために、私も微力ではありますが一生懸命努力を重ねてまいりたいと思っておりますので、今後とも御指導いただけますようにお願いいたします。本日は、ありがとうございました。

五島委員長 奥田建君。

奥田委員 民主党の奥田でございます。

 それでは、小渕議員に続きまして、本日、提出の閣法二法について御質問させていただきたいと思います。

 まず大臣に、質問通告しておりませんけれども、本日の新聞紙上で、各社一面のところに取り上げております京都議定書の問題につきまして、アメリカ・ブッシュ政権が京都議定書を否定する、支持しないというようなことが書かれております。もちろん大臣の立場としても、ヨーロッパとともに、アメリカや、あるいは議定書に対して参加しないというような姿勢をとっている幾つかのそういった国々に対してこの参加を求めていくということは当然のことだと思いますけれども、もしもアメリカの態度が決まらないということでありましても、こういった議定書の批准に向かって、日本独自でも、参加していく、批准していくというほかの国々とともに、この議定書の発効というものを目指していくのかどうかということを御決意としてお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 新聞に出ておりますように、アメリカのブッシュ大統領は、京都議定書を支持しないということを記者会見で御本人がおっしゃっていらっしゃいますし、それから昨日、アメリカとドイツの間でトップ会談がございました際、首脳会談がございました際にも、アメリカは支持しないということをはっきり言っているわけでございまして、私どもといたしましては、このことが今後の京都議定書の運用ルールを決めていくための交渉に与える悪い影響を非常に懸念いたしております。

 同時に、アメリカはただいま、実はその声明にも出ていましたけれども、気候温暖化問題については非常に真剣に取り組んでいる、これは非常に重要な問題だと認識し真剣に取り組んでいる、そのために、マーケットを通ずるインセンティブですとか技術ですとかその他の革新的な取り組みを検討しているということを言っておりますし、それから、気候温暖化問題についてのアメリカ政府の方針がどうあるべきかということについて、閣僚レベルで検討中であるということを言っているわけでございます。

 このことは、三月の初めにG8の環境大臣会合がイタリアでございました際にも、日本からは副大臣が出席をいたしましたけれども、ホイットマン環境保護庁長官から、アメリカは検討中であるということをはっきりお話があったということと実は同じことでもあるわけでございますけれども。

 日本といたしましては、これからできる限りありとあらゆる機会をとらえて、極力ハイレベルでアメリカに対して働きかけるということが必要だと思っておりまして、総理からもハイレベルで大統領にお手紙を出していただきたいという旨のお願いも私は総理にいたしましたし、私自身も環境保護庁の長官には、しばらく前でございますけれども手紙を書きました。また、電話でほかの国の閣僚とこの件について話をしたりということで、今最大限の努力をいたしているところでございます。

 四月の二十一日にニューヨークで、国連におきまして持続可能な開発委員会というのが開かれまして、その際に環境大臣の会合が行われることになっております。私といたしましては、国会のお許しがいただければそこに出席をして、ぜひ自分自身でアメリカに対して働きかけたいというふうに思っております。

 アメリカの参加でございますけれども、委員御案内のように、アメリカは最大の温暖化ガスの排出国でございまして、アネックス1国と言われる、条約上削減の義務を負う国の中で、アメリカの排出量の占める比率というのは実に三七%弱ということになっているわけでございまして、京都議定書の実効性ということを考えましたときに、またその温暖化問題への対応ということを考えましたときに、アメリカの参加というのは非常に重要だというふうに思っております。

 したがいまして、私どもとしては、ありとあらゆる機会をとらえ、アメリカに、京都議定書の議論に前向きに参加をしていくように、そして地球温暖化問題への対応が実効性のあるものになるようにできるだけ働きかけていきたいというふうに考えております。

奥田委員 今の御答弁の中で、意気込みあるいはアメリカの持つ影響力といったものはよく理解できましたけれども、今アメリカがはっきりと不支持と言っている中で、日本は今、議定書を発効させようとしている国とともに、アメリカの動向にかかわらず、進むのかどうかというこの一点についてだけお答えいただければと思います。

川口国務大臣 アメリカは、京都議定書につきまして、京都議定書を支持しないということの理由として、すべての国の参加がない、それからアメリカの経済に悪い影響を与えるということを言っているわけでございます。

 京都議定書は支持をしない、反対をしていると言っておりますが、先ほど申しましたように、温暖化問題は重大な問題なので、そこには真剣に取り組んでいく、さらに、それに国際的なプロセスを通じて取り組んでいくということを言っているわけでございます。したがって、今後アメリカがどのような対応を、方針をとってくるかということについては、今の検討を待つ必要があるわけでございます。

 新聞に京都議定書から離脱というような見出しがございますけれども、アメリカは反対をすると言っているだけでございまして、その理由を、多くの国が参加していないということ、それからアメリカの経済への悪影響ということは言っておりますが、アメリカ自身は、離脱をするということは一言も今の段階では言っていない、反対をしているということを言っているだけでございます。

奥田委員 本日の案件とは違いますのでここまでにしますけれども、私たちも、その議定書の中身の方の合意とともに、ぜひとも一日も早い発効を目指す姿勢を保ち続けていただきたいとお願いする次第でございます。

 ちょっと時間が費やされましたけれども、本件に入りたいと思います。

 まず、こうやって三十年近いPCBの廃棄物適正処理という問題があったことは、皆様御周知のとおりでございます。PCB処理協会、今は電気絶縁物処理協会といった形で、適正処理に向けての研究や調査といったものが行われておったはずでございますけれども、残念ながら、最大の目的であります立地ということにはまだ及んでおりません。

 そのことを踏まえての今回の法改正であるとは思いますけれども、この三十年間の総括といったもの、そしてこの三十年間で得た、感じたハードルの高さといったものについて大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

川口国務大臣 PCBの問題につきましては、カネミ油症事件という不幸な事件が日本でもございまして、それを契機に毒性が確認をされて社会問題化したという経緯がございまして、そのときには、処理体制の確立を待たないで製造禁止、それから回収という措置がとられたわけでございます。

 その後、製造事業者を中心にいたしまして設立された電気絶縁物処理協会が処理施設の設置に向けて努力をいたしたわけでございますけれども、自治体ですとか地元の住民の方の賛成が得られないで実現をすることができなかったという経緯がさらにございました。

 こうした状況を踏まえまして、関係省庁で、このPCBの処理の技術について、化学的に分解をする技術というものを評価した結果、平成十年度に、その化学的に分解する技術というものを処理方法としてきちんと位置づけたわけでございます。

 こうした取り組み、平成十年にその制度を導入したということにかかわらず、引き続き処理体制の整備が難しかったというのは、やはり引き続きその地元の方の御理解を得ることが難しかったということがあるわけでございまして、今般お願いを申し上げております二法案によりまして、国が処理体制を確保するという役割を担い、環境事業団を活用して拠点的な処理施設の整備を行うということにいたしたいと思っているわけでございます。

 この三十年間の関係事業者の努力がPCB廃棄物をゼロにするということにつながらなかったというのは、排出事業者責任原則のみではPCBの処理施設の立地というのは非常に困難であるということでございまして、こういった認識に立って、国は、一定の責任を持ってPCB廃棄物の処理を完了させるように最大限の努力をしたいというふうに考えておりますので、よろしく御指導、御支援、御協力のほどをお願い申し上げます。

奥田委員 同様の質問を、それまでの認可官庁でありました経済産業省、旧通産省の方にも求めたいと思います。

 私も、直接ではありませんけれども、電気絶縁物処理協会はどういった仕事をしているのか、どういった体制でやっているのかということで、赤坂にありますので、ちょっと協会を訪れてお話を聞かせていただきました。

 代表質問のときにもありましたような立地要件、立地が不可能であった要件はありますけれども、実際にその事務所を預かっている方のお話ですと、どうしてもこういったハードルといったものには、カネミ油症事件を初めとするPCBあるいはダイオキシンへの大変な拒否感情、そしてこの施設を受け入れるときには地元からいろいろな見返りの条件を求められる、そういったことに一つの財団法人としてはおこたえすることができなかったというようなこと。そして前の山田議員の質問にもございましたけれども、省庁か国かはわかりませんけれども、どうしてもうんと言ってもらえなかった事項など、不測の事態に対する責任の所在、そして保証の担保、その担保というものがどういうものか、文書なのか、そういったことは別としまして、そういった条件がクリアできなかった。

 また、実際に足を運んでいた苦労としては、地元に密着しながら、そういった難しい課題を説得するという体制ではなかった。安心そして安全であるということを理解していただく、信頼を得るということは、やはり地域に密着した中で生まれてくるのではないかというようなお話を聞いております。

 こういった点も踏まえまして、経済産業省、小平局次長になるんですか、大臣と同じように、三十年間の反省を踏まえた総括とともに、この絶縁物処理協会から、これから国が中心になって行おうとするPCB適正廃棄物処理施設に引き継ぐべきノウハウ、データとともにノウハウといったものをぜひともお聞かせいただければと思います。

小平政府参考人 経済産業省といたしましては、電気絶縁物処理協会、PCB協会が計画的な無害化処理を推進するために、昭和四十九年と五十年にPCB使用機器の保有状況を調査いたしました際に、自家用電気工作物設置者に対しまして、この調査への協力を要請するとともに、PCB使用機器の適切な取り扱いの手引書を作成して配付するなど、協会の事業を全面的に支援してまいりました。

 また、協会が建設に努力をいたしました高温焼却処理施設につきましては、安全性はほぼ確立をされておりましたけれども、ただいま御指摘ございましたように、焼却処理に伴いまして発生する排気ガスに対しまして地元住民が不安感をぬぐえなかったことが、住民の最終的な同意を得られなかった最大の理由であったというふうに考えております。

 このことを踏まえまして、平成四年以降、環境省とも連携をいたしまして、焼却以外の化学的な方法によりましてPCBを無害化する技術の評価を行ってまいりました。この結果、平成九年以降には、従来の高温焼却処理に加えまして、幾つかの化学的な無害化処理技術が法的に認められるようになったわけでございます。

 経済産業省といたしましては、この三十年の間、協会によります民間ベースのPCBの無害化処理の推進等につきまして側面から可能な限りの支援をしてまいりましたけれども、結果といたしまして、高温焼却処理施設の立地に対する地元住民の同意を得るまでに至らず、我が国におきますPCBの処理が進まなかったことはまことに残念であったというふうに思っております。

 しかしながら、それぞれの時点におきましてでき得る限りの努力を行ってきたものと考えておりまして、これからも環境省と連携をしながら、新たな技術開発等によりPCBの無害化処理を推進する動きを積極的に支援してまいりたいと思います。

 また、協会のこれまでの経験等につきましては、新たな体制に十分に引き継がれるように、経済産業省としても協会を指導し、また経済産業省自体としても努力をしてまいりたいというふうに考えております。

奥田委員 もちろん最初には、製造者責任、そして排出者の責任といった形での自己努力を、自助努力を求めるというのが当然かと思いますけれども、これだけ長くなった。もちろん、旧通産省だけではなく旧厚生省、そして旧環境庁ともに取り組むべき問題ではあったと思いますし、これからも省庁再編の後の新しい体制のもとでも、今は環境事業団にその業務の中心を移管しようとしておりますけれども、それだけでは済まない問題でもあると思います。

 蛇足になりますけれども、この財団自身、最大で九人、今は残務業務ですから四人の体制でございます。いろいろと民間の業団体からの技術者、研修とかの協力はありながらも、そういった体制のもとで、本当にこのPCBという厄介なものを処理する体制だったのか。

 もちろんほかにも、産業廃棄物処理事業振興財団といったような外部団体など、そういった処理に関心を持ち、取り組みを持っている団体があることは承知しておりますけれども、もし今の電気絶縁物処理協会がPCB対策の中心にあったということであれば、余りにも貧弱な体制をとり続けていたということは否めないことだと思います。

 続きまして、現状の把握ということで小渕議員からも御質問がございました。

 一応、きちんとした資料を省庁の方からもいただいておりますので、特に国内使用量、そしてその追跡といったものに大きな疑問点はございませんけれども、昨年の学校での蛍光灯の事故から注目を浴びております蛍光灯、水銀灯の安定器について御質問をしたいと思います。

 環境省にお尋ねしますけれども、今ホームページなどでは、PCBと開くと、環境省のホームページに大体すぐアクセスするようにはなっております。ただ、これまでの製造量、使用量、そして現在の残存量といったものについてはまだ調査中かもしれませんけれども、その現状把握というのが不足しているような気がいたします。この点について御説明をいただきたいと思います。

岡澤政府参考人 今おっしゃったような生産量とか保存量、廃棄量というようなものについては大体把握しておりますけれども、インターネット上で御紹介していなかったということで不備があれば、その辺については補足させていただきたい、今度拡充する際にそういう情報も盛り込みたいと思っております。

奥田委員 経済産業省の方にも同じことを聞かせていただきたいと思います。

 私自身、実務の方におりましたときには、建築の解体などに伴うPCBコンデンサーなどを保管しておったりはしました。ただ、いろいろな通達の中で、蛍光灯安定器を保管、回収しなさいといった指導通知書というものは回っていなかったように思うんです。

 ここに通産省の、これは平成十年のものですけれども、保管を義務づけた後の注意書といいますか警告書といいますか、確認書といいますか、そういったものだと思います。そういった中にも、大きなものは高圧トランス・コンデンサーという名称は出てきますけれども、蛍光灯安定器、水銀灯安定器といった小さなものの名称さえ出てきません。今は、こういう絵が入ったような注意書きがホームページの中で流れておりますので、絵まで入ると、ああなるほど、ここにあるこういったものも保管しなきゃいけないんだということが一般の方にもわかりますけれども、こちらの通告書だけですと、本当の専門の電気業者の方にしか理解できない、その方でさえ理解できるのかというような通告書であると思います。

 現在までそのような水銀灯、蛍光灯安定器についてどういった指導がなされていたか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。経済産業省、お願いいたします。過去の指導説明だけでよろしいですから。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、PCBを使用するようなそういう機器、安定器などにつきまして、製品情報を把握するなどいたしまして、適正に処理されるようにこれまでもやってきておりましたし、今後ともやってまいりたい、そういうふうに考えております。

奥田委員 今すぐに回答をいただけない。きのうもちょっと、質問通告のときに話題には出しておったことでもございます。

 今、現状、生産量二千万個、PCB使用量約六百トン、五百五十トンという説もありますけれども、そういったことまではわかっていますけれども、保管を確認しているものは二百四十万個、一〇%強である。その状況を見ても、そういった通達は十分になされていなかった、現状を把握し切っていないということ自体が、しっかりと通告されていなかったということではないかと思います。

 これだけに限らず、もちろん中心は六〇%から七〇%の容量を持ちます高圧コンデンサー・トランスといったものが第一の課題でありましょうけれども、その他のものについても十分な追跡、あるいは現在使用中であるものについての確認といったものをしっかりとしていただきたいと思う次第でございます。

 続きまして、法案の計画のところに移らせていただきます。

 適正処理といった部分は大きくうたわれております。しかしながら、現在の保管の状況、あるいは使用中の機器、そして運搬や保管といったことも注意しなければいけないことではあります。

 また経済産業省にお尋ねしますけれども、使用中機器といったものについて、届け出の必要な変電設備に関しては把握ができるでしょうけれども、その他使用中の機器について、今後の対処の方針をお聞かせいただきたいと思います。

 三十年間という時間がたっておりますので、製品としての耐用年数も、最後まで使えばまだ少しはあるかもしれませんけれども、耐用年数を迎えた機器の安全性といったものも考慮しなければいけない時期だと思います。使用中機器ということに限りまして、経済産業省の対策方針をお答えください。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 PCBにつきましては、いわゆる化審法に基づきまして、新たな製造、使用が原則禁止されております。また、PCBを含有する高圧トランス・コンデンサーなどの電気工作物につきましては、昭和五十一年から電気事業法に基づいて新たな敷設が禁止されております。こうした製造、使用に関します規制措置が講じられる以前から使用されていたPCB含有機器につきましては、その一部が御指摘のように現在でも使用が継続されております。

 現在、国際的な問題といたしまして、いわゆるPOPs条約の制定についても検討が進められております。本年五月にその採択に向けた国際会議が開催される予定にもなっております。その条約案におきましては、PCB含有機器につきまして、各国は、二〇二五年までに取り外して使用を中止し、二〇二八年までに適正に処理するよう努める旨が規定されております。

 経済産業省といたしましては、使用中のPCB含有機器の取り扱いにつきましては、今後、このようなPOPs条約についての国際的な動向や、我が国におきますPCB廃棄物の処理施設の整備状況などを踏まえつつ検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

奥田委員 周囲の状況を踏まえつつということでありますけれども、私どもとしては、製造、使用禁止からもう三十年を過ぎた今、PCB機器の、今すぐにとは言いませんけれども、五年あるいは三年といった使用期限を区切った使用禁止、それもしていただいてもよろしいんじゃないかというふうに考える次第でございます。

 当然、保管の届け出というだけじゃなく、使用の届け出、あるいは使用から保管に移った、そして保管に移ればまたほかのものと同じように処理に移ったという報告、届け出の義務というものも、機器の流れというものを報告するという条項をつけ加えていただきたいと思う次第でございます。

 続きまして、今回の法案改正によりまして、処理体制に対して国が前面に乗り出すということは十分に理解できます。しかしながら、先ほども言いましたけれども、処理施設がきちんとできて、そこへ運び込まれ処理ができるまで、現在は事業者の責任において保管するということになっておりますけれども、不明・紛失といったことも起きておるのも事実でございます。

 いろいろな業者側の事情、極端なときには倒産によってそういう事業所施設を放棄するといったこともあるかもしれませんけれども、環境省の方に、そういった不明・紛失の事態を踏まえて、中間保管体制といいますか、保管体制に対して取り組むつもりはあるか、お答えをいただきたいと思います。

岡澤政府参考人 PCB廃棄物の適正な処理の前提といたしまして、PCB廃棄物が適正に保管されるということが重要なことは言うまでもないことだと思います。

 この法案でも、都道府県がPCB廃棄物の保管及び処分の状況について、事業者から毎年度都道府県知事への届け出を義務づけておるわけでございまして、この届け出義務違反には懲役刑を含む罰則もかかるようになっております。そういう形でこの保管届け出の義務づけがなされますので、これをしっかり運用して保管させていきたいというふうに考えております。

 また、この届け出の義務によりまして、都道府県は、PCB廃棄物をだれがどれだけ持っているかということがはっきり把握できるわけでございまして、そのきめ細かな指導が、今任意ベースで届け出させておるわけでございますので、きっちりした形で指導もできるというふうに考えております。さらに、そうした情報も都道府県単位あるいは国単位で公表させてまいりたいというふうに思います。

 また、実際問題として、そうした廃棄物が行方不明になるとかいうことがありましたら、これは廃棄物処理法上でも保管の基準あるいは不法投棄の禁止というのを盛り込んでおるわけでございまして、そうした廃棄物処理法の規定に照らして不法投棄に該当するような場合には、廃棄物処理法の罰則を適用して、これもまた厳しい罰則がありますけれども、厳正に対応したいということを考えております。

 今度のPCB法あるいは廃棄物処理法のそうした規制それから罰則等を適切に運用いたしまして、厳正な保管というものを義務づけていきたいと思います。

奥田委員 時間が押してきますので、保管だけではなく、当然付随してくる問題としまして、PCB廃棄物の収集、運搬といった過程においても、十分な管理体制といいますか、しっかり、どういった業者が運搬を任されるのかといったことについても十分な御議論を重ねていただきたいと思う次第でございます。現行の廃掃法の規定だけで十分なのかということをしっかり審議していただければと思う次第でございます。

 大臣にもう一つ、一番多くの方が関心を持っております情報公開といった部分についてお尋ねしたいと思います。

 本法案には届け出の義務ということが書かれておりますけれども、あわせて、それらの情報公開についてどういったお考えを持っているかということをお聞きしたいと思います。

 多くのNPOなどからも、そういった情報公開、しっかりしてほしいと。また、前に時間をいただきましたときには、四月からPRTRのマニフェスト制度が実施されるということ、もう一つは、さらに情報公開法も実施になるということも踏まえて、ぜひともお願いしたいと思います。

 現実には、大量保管している方々の、都道府県には届け出してあるけれども、そういった中身は余り皆さんの目の前にはさらさないでくれといった、大変地域とかかわってくる問題があることも承知しております。

 私自身としましては、都道府県に幾つあるかというような情報、どれだけあるかという情報は、何年かしばらく時限措置を持った後には、すべてそういった保管情報というものは公開されるという過程に移っていただきたいと思うんですけれども、ぜひとも大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

川口国務大臣 情報公開法にもお触れになりましたけれども、一般論といたしまして、私は、情報公開というのは、二十一世紀の日本を活性化し、国民全員が政策のあり方、日本のあり方を考えていく上で非常に重要なことだと思っております。

 IT技術が進んでいきましても、基本的に国が公表していない情報については国民は知ることはできないわけでございまして、私は、情報公開の重要性については、環境庁長官に就任以来、中でもかなり強くそのことについては言っております。

 それから、PCBにつきましてでございますけれども、PCBの廃棄物のさらなる紛失がないようなこと、あるいはその処理が確実に行われることといった観点から、PCBの廃棄物についての情報公開をするということは非常に重要なことだと思っております。

 この法律案では、事業者及びPCB廃棄物を処分する者は、毎年度、都道府県知事に対しまして保管及び処分の状況を届け出るということが義務化されるわけでございまして、この状況を都道府県知事が公表するということといたしております。

 環境省といたしましても、この情報公開が適切に行われるように、その適切な運用に努めてまいりたいと思っております。

奥田委員 自社内処理を実施できた企業の方々の報告書を見ましても、リスクコミュニケーションというものは当然としましても、周辺住民に対するリスクアセスメントの大切さといったものをうたっております。そして、すべてではないかもしれませんけれども、その一社は、会社の対策の基本原則として、公表して処理するということを不文律として守って自社処理にこぎつけたということを誇りとして語っております。

 これから行います、事業団かわかりませんけれども、環境省を中心に取り組みますPCB処理におきましても、ぜひともこういった姿勢を持って取り組んでいただきたいとお願いする次第でございます。

 それともう一つ、計画等の作成段階においても当然公表いただけると考えますし、また、そういった中にパブリックコメントを入れていただいたり、計画ができましたときにはぜひともこういった場で審議する機会も設けていただきたいということもあわせてお願いいたします。

 そのほか、実際の処理の運営に当たります中で、あるいは計画を遂行していく、建設、立地の段階でありましても、監視体制ということについて大臣にお伺いしたいと思います。

 今申しましたように、廃棄物処理の中で、周辺住民の理解を得る、同意を得るというときには、環境影響調査、モニタリング、あるいはこういった施設の運営状況の監視体制といったものが大変重要かと思いますけれども、大臣の、監視あるいは監督体制のイメージといったものをお聞かせいただければと思います。

川口国務大臣 PCB廃棄物が、委員今おっしゃられましたように、過去、住民の皆様の理解と協力が難しくて処理できなかったということにかんがみ、住民の方々の安全と安心という観点から、委員の御質問は非常に重要な点だと思っております。

 まず、PCB廃棄物を処理する施設を設置する段階でございますけれども、これは廃棄物処理法に基づきまして、事業者が生活環境影響調査を実施し、維持管理計画を提出するということとなっております。

 それに加えまして、これらの書類を告示し、縦覧をいたしまして、生活環境を保全する観点から、地域住民、専門家の方の意見を伺った上で、生活環境に適正な配慮がなされるということを都道府県知事が確認をいたしまして、それで許可がなされるという形にしたいと考えております。

 PCB廃棄物を処理する施設につきましては、すべて都道府県知事による申請書等の告示、縦覧、関係住民や専門的知識を有する人たちの意見聴取の手続を経るということで、法律が成立いたしましたら政令の改正も考えたいと思っております。

 それから、処理の実施に当たってでございますけれども、処理あるいはそれの環境面への影響といったことを記録させて、それを地域の住民が閲覧できるというふうにしたいと思っております。これによりまして、その処理に当たってのモニタリングに関する情報の開示がなされるというふうに考えております。

 それから、施設の維持管理という観点でございますけれども、この状況については、都道府県知事が、立入検査、報告徴収によって適切に監視、監督ができるようになると考えております。

 積極的に情報を公開するということが非常に大事でございますので、環境省といたしましても、環境事業団に対してそのように指導をいたしますとともに、環境事業団には専門家による委員会を設置しまして、モニタリングの状況を確認させるなどの万全の措置をとりたいと考えております。

奥田委員 続きまして、本法案には、中小企業の処理の費用に関する助成といったものも書かれております。また、基金の創設といったものもうたわれておる次第でございますけれども、環境省の政府参考人に対して、PCB廃棄物の処理コストというのは一体どれだけかかるのだろうかということをお聞きしたいと思います。私も資料をいただいておりますけれども、化学的処理という中では、高温焼却処理をしましたときに一体どれだけの費用、コストがかかるんだろうかということをお答えいただきたいということ。

 そして今回、中小企業助成の補助の金額と申しますか割合と申しますか、そういった補助を決めるときの基本的な考え方、金額までもし出ているのなら教えてほしいのですけれども、多分そこまで言い切れないんじゃないかと思います。そういった助成に関する考え方もあわせて聞かせていただければと思う次第でございます。

岡澤政府参考人 処理費用のお尋ねでございますけれども、これは、施設の内容とか維持管理の方法とかによりまして厳密にはなかなか今の段階では算定しにくいわけですが、ごく大ざっぱな数字として申し上げますと、例えば、重量三百五十キログラムぐらいの一般的な高圧トランスの例で申し上げますと、今これを化学分解処理した場合には、大体一台当たりで六十万ないし七十万程度になるのではないかというふうに想定しております。また、高温焼却で行った場合のコストということになりますと、過去の鐘化の例だとか文献等から見ますと、大体二十万円ぐらいではないかというふうに思っているわけでございます。

 中小企業に対して助成するということについては、環境事業団で処理を行う場合には、住民に対しての不安の払拭という観点から、これは化学処理で行うことが望ましいというふうに私ども考えているわけですが、今申し上げましたように化学処理だとかなり費用がかさみます。負担能力の小さい中小企業者に対しては、この費用が高いことによって処理が円滑に進むのを阻害することになる可能性もありますので、そうした観点を踏まえて中小企業への処理費用について助成しようと考えているわけです。

 その場合、施設整備費に対しての補助ということでコストを圧縮することもありますし、また、この事業団法によりまして事業団にPCB処理基金を設けまして、その処理基金から処理費そのものを助成するということを考えているわけですが、その両方の財政措置によりまして、中小企業の負担分は、大体高温焼却を行ったところぐらいまでは負担していただく、それ以上はできるだけ負担の軽減を図りたいというふうに考えているところでございます。

奥田委員 ちょっと質問通告と変わって飛びまして、熊谷政務官の方にお尋ねしたいと思います。

 国が基本計画を定め、そして都道府県が実施計画を定めるというようなことが書かれておりますけれども、現在、環境省が持っております全体の規模のイメージ、今残存するPCB廃棄物あるいは使用機器といったものはこれからふえるということはないはずですし、処理にかかるまでのタイムスケジュールや、山田議員の質問にもございましたけれども、施設建設に、それは国が出すか民間が出すかは別としまして、大体どのくらいの予算が必要なのか。あるいは、今言った中小企業補助、助成といったものにどのくらいの総額の予算が見込まれるのか。そういった点の詳しい数字を織りまぜて、環境省の計画といったものを説明していただければと思います。

熊谷大臣政務官 PCB廃棄物の処理に向けた全体計画がどのようになっているかということでありますが、まず、環境事業団を活用いたしまして、ここを廃棄物処理の拠点的なものに位置づけながら、全国的には大体五、六カ所程度ぐらいそういう処理施設というものを整備していきたいというふうに考えております。

 御承知のように、PCB廃棄物の大部分を占めるのはトランス、コンデンサーでありますから、台数として大体三十九万台ぐらいあるということからしますと、この五、六カ所の処理施設で処理をする期間というのは大体十年ぐらいかな、こんなふうに考えております。

 それから、施設をつくる年数というのは大体五年ぐらい、合わせて十五年のスパンの中で三十九万台処理できるのではないかな、こんなふうに考えているところでございます。

 それから、大手企業については、これは自社処理を進めてまいるということを考えておりますが、例えば電力会社でありますと、柱上トランス、こういうものを中心にして自社処理の取り組みを進めてまいりたい。

 もう一つは、民間事業者や自治体の関与する廃棄物処理センターでありますが、ここがどの程度PCBの処理機能を有する施設になるかということは定かではないわけでありますが、そういったようなものができれば、いろいろ、これから処理基金というものを造成していくわけでありますから、そういったような面の助成の対象にも考えてまいりたい、こういうふうに思っています。

 さらには、民間業者自体としてそういう施設を設置するというケースも考えられると思いますが、これらについては、中小企業業者を対象にして、PCBの廃棄物処理についても助成の対象にカウントしていきたい、このように考えているところでございます。

 なお、予算的な面については、事務当局の方から説明をさせていただきたいと思います。

奥田委員 簡潔にお願いいたします。

岡澤政府参考人 まだ全体が確実に固まっていませんので、そういう意味では確実なことではありませんけれども、施設整備費とPCB基金からの繰り出しということで助成を行うことになります。先ほど申し上げましたように、結果的には、中小企業に対して、大体六十万か七十万かかるものを二十万程度まで下げるということでございます。

 施設につきましては、例えば北九州市に立地を予定しております施設費については、全体で約四百十億円ぐらいというふうに考えていまして、これを十年程度で償却するという計算をしておりますが、この中で、大体半分程度を国費で充てたいというふうに予定しております。

 あとは、基金からの拠出分につきましては、コストを計算した上で、基金の造成額は恐らく、今ははっきりわかりませんが、来年度分で申し上げますと、国が二十億円拠出することになっておりまして、地方公共団体が同額の二十億円、合わせて四十億円の拠出になっております。それを大体十年程度、多少のでこぼこがあるかもしれませんが、積み上げまして、中小企業の保有しているPCBの処理費にその部分を全体として薄めて充てたいというふうに考えております。

奥田委員 もう一つ、処理施設での化学分解処理と高温焼却処理といったものの知見について環境省にお聞きしたいと思います。

 一応、廃棄物処理法に基づく処理として五つの方法、そのほかに個別の方法として十幾つかの方法が出ております。そういった中で一つ、金属ナトリウムを使用している脱塩素化分解法がございますけれども、金属ナトリウムの爆発性というものを危険視する意見も出ておる次第でございます。そういった意見に対する評価の適切性といいますか安全性について説明をいただきたい。

 それとともに、私自身一年ぐらい前に、皆さんは当然廃棄物処理施設の最新型のものを見ているかと思いますけれども、ガス化溶融炉の中で排ガスの処理もする、煙突の要らないような廃棄物処理施設が、一年たてば最新型じゃないかもしれませんけれども、最新型として登場しております。また、排気と申しますか排煙に関しても、二千度ぐらいで燃やして、千二百度ぐらいのガスを排気のときに一気に七十度ぐらいまで急速冷却するということによって、そこからは冷却期間中のダイオキシンの発生も抑えるといった手法もとられております。

 そういった中で、PCB自身も、その危険性とともに誤解を招いている部分もあるかと思います。コストとしては大変効率的な高温焼却、それも最新型の施設で、これだけの確実な監視と施設のもとで高温処理していけば大丈夫だという知見を広めるといったことも大切なことだと思っております。そういったものは、周辺のPCBをふき取ったウエスだとかあるいは容器だとかの処理につながってくることでもあると思います。

 その両方の知見をあわせてお尋ねしたいと思う次第でございます。

岡澤政府参考人 関係省庁の間で技術評価をして定めた化学処理という方法については何種類かございますが、今先生御指摘のように金属ナトリウムを用いる方法がございまして、その場合、金属ナトリウムは水と反応して発熱して爆発するおそれが一般的にあるというふうに考えられております。

 しかし、具体的にこの施設を建設し運転する場合には、例えば反応薬剤の容器のふたの開閉を屋内で行うとか、反応槽に窒素ガスを供給して酸素を遮断して行うとか、あるいは発生する水素が漏えいしないように反応槽、配管などの検査とか水素検知器を設けるとか、そうした具体的な対策がとられておりまして、現にこうした化学的な処理を行う施設も安全に稼働しているという実績がございます。そうした安全対策については十分な措置をとらせていきたいと思います。

 また、高温焼却技術は捨てがたいのではないかというふうなことでございますが、私どもは、高温焼却は一つの完成した、成熟したPCBの処理技術だというふうに考えております。鐘淵化学の廃PCBもかつて高温焼却で処理したこともございますし、国内での実績を踏まえて、十分実用化できるというふうに考えています。

 ただ、残念ながら、高温焼却施設でPCBを処理しようということで全国で処理施設の立地を検討したところ、それが住民や地方公共団体の反対によってうまくいかなかったという事実がございまして、その反対された理由というのが、やはり運転状況に何かトラブルがあったときにPCBやダイオキシンが漏えいしてしまうんじゃないかという懸念がどうしても払拭できないということでございましたので、そうした問題点が起きないような化学処理というのでとりあえずはやってみたいと思っています。

 また、PCBそのものに対するアレルギーのようなものがだんだん払拭されてくれば、十分な安全対策を講じて高温焼却による対応というものも可能な事態がやってくるのではないかというふうに考えております。

奥田委員 当然化学処理であればよろしいのですけれども、結論的なことは私は言いませんけれども、今、欧米では大体五十ppmの濃度のものからPCB廃棄物として認めている。POPs条約でもたしか同じ考え方だったと思います。

 日本の場合、あるいはオランダの場合で、五ppm、百万分の五の濃度からPCB廃棄物として、特定管理廃棄物というもとに管理と廃棄をしなきゃいけない。適当な廃棄をすればいいということを言っているのではなくて、そういった百万分の五という、普通の国の十分の一の濃度のものであってもそういう厳しい廃棄基準が求められている。同列であるオランダの場合も、よく見ると、燃料油として使用してはいけないという項目になっているのであって、特定廃棄物的な管理の仕方をしなさいというわけではないようでございます。

 例えば、そういった最新型の処理施設の中でダイオキシン発生が十分に抑制されるといった処理について、環境省自身が、低濃度あるいは容器のようなものはこの施設できちんと処理されれば確実な処理がされるといったような認定を訴えたり、あるいはきちんとした焼却が行われたときには、PCB処理は安全なものなんだといったことをこれからぜひとももっと広く訴えていただきたいという思いがあるのも一つでございます。

 もう一つ大切な、環境事業団の方の議論に移りたいと思います。

 ちょっと時間が少なくなって大幅に質問がなくなりますけれども、今私ども党内で、この事業をぜひともやらなければいけない、だが、その推進の体制といったものについて疑問を感じている次第でございます。

 環境事業団は、厳しい言葉かもしれませんけれども、一時、国公立公園内の施設の失敗によって、観光事業団じゃないかというようなことまで言われて、そこから事業撤退をいたしました。そして二年前にはさらに、融資の焦げつきなどから、融資業務を日本政策投資銀行に移管して、残った債権の回収、管理といったものをしております。そしてまた、この建設譲渡事業というものは本当に国がするべき事業なのかということに、私とともに党自身も大きな疑問を感じております。

 環境事業団の不良債権の問題もいろいろと聞きたいのですけれども、事業団の持っているこういった問題点とこれからの建設譲渡事業のあり方といったものを考えて、今私ども民主党も、本法案の修正案といった形で法案を準備しております。今回の閣法として提出された法案とともに、事業団のあるべき姿、そして建設譲渡事業といったものを考えて、この民主党の用意しました修正案に対して、ぜひとも委員会での御審議をいただければということをお願いいたします。

 委員長、そういった修正案の準備がありますので、ぜひとも理事会にてお取り計らいをお願いしたいと思います。

五島委員長 理事会にて検討いたします。

奥田委員 どうもありがとうございます。

 では、事業団の方から参考人として理事長に来ていただいておりますので、一つだけ、不良債権問題についてお伺いして私の質問を終わりたいと思います。

 新聞報道は当然見ておることと思いますけれども、私もそういった不良債権についてヒアリングをさせていただきました。大体、銀行の査定でいえば、第三、第四分類といった中に百八億円ぐらいの不良債権があるということでございますけれども、第二分類の中にも、返済を猶予しておったり三カ月程度の延滞があるというものもあると聞いております。

 普通の金融の判定でいえば、不良債権予備軍といいますか、要注意債権といったものも含めた第二分類までの債権について御説明をいただき、その状況は、理事長といたしましてどういう状況と判断するか、そして、これまで債権回収のために取り組んできた取り組みに対する成果といったものの御説明を求めたいと思います。

田中参考人 私ども環境事業団の債権の状況でございますけれども、平成十一年度末におきます私どものリスク管理債権額は、破綻先債権額が十八億円、延滞債権額が二百十二億円、貸し出し条件緩和債権額が八百五十三億円、合計千八十三億円ということでございます。

 この原因といたしましては、御案内のとおり、私どもの事業の相手方は中小あるいは零細の企業が非常に多いということでございまして、長引く景気の低迷等によりまして企業の業況がますます悪化をしてきております。これに伴い、今申し上げました延滞債権額等が発生をしてきておるわけでございます。

 こうしたことで、私どもといたしましては、この状況に対応するために、出資金の増額をするとかあるいは貸倒引当金を積み増すなどの財政基盤の強化を図ってきておりますし、私ども事業団の債権回収体制も強化をしてきております。

 具体的に申し上げますと、私ども事業団の中に債権管理委員会というものを設置いたしまして、債権保全として取り組むべき基本的な方針や立案を検討いたしております。それから、営業の担当部から債権管理部門というのを経理部門に移しまして、ここで内部牽制機能を強化いたしております。さらに、債権管理部門の人数を大幅に増強いたしまして、また外部からの専門家も招いて、そうした債権回収の体制の強化を図ってきております。

 先ほど先生からお話がございましたが、銀行の第二分類に該当するのが私どもは条件の緩和債権額だと思っております。これらにつきましては、債務者の経営再建あるいは支援を図るという目的で一時的に元本の償還を猶予した償還猶予債権でございまして、こうした償還猶予は、長期的な視野に立ちますと、債務者の経営を好転させながら私ども事業団の債権回収を図ろうとするものでございまして、現在ある償還猶予債権は、私どもとしては、将来的にはこれを正常化する見込みだということで位置づけております。

 また、回収の見込みのない延滞債権につきましては、これは期限の利益を喪失させまして、債務者の資産の任意売却を行いますとか、あるいは担保物件の競売の実施など法的な手段の迅速な実行等によりまして、現在早期の整理回収を実施いたしておるところでございます。こんな状況でございます。

奥田委員 時間が過ぎましたので意見だけ言わせていただきますけれども、私どもとしましてはあるいは私としましては、事業団にかかわらず公的な機関、こういった機関が造成事業や建設事業を束ねるといったことまで必要なのか、必要な時代なんだろうかということを言わせていただきたいと思います。

 当然、制度融資のもの、あるいは支援制度を取りまとめたり、そういった事業体、企業を組合としてまとめたり、あるいは立地の中での地域調整を行ったり、そういったコンサルタント的な業務はこれからも必要なことだと思います。

 環境事業団という名称からいえば、これからは、先ほどから言っていますように、環境モニタリングあるいは環境影響評価といったものを実行できるプロフェッショナルの集まり、あるいは人材を育成する組織、そういった組織としてのあり方の方が時代のニーズとして求められているのではないかということを意見として言わせていただきまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

五島委員長 山田敏雅君。

山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。

 私は、最初に申し上げたいことは、二十一世紀は、日本を代表する省庁は環境省じゃないか、そうあるべきだと思っております。二十世紀は通産省とか大蔵省が日本を代表する省庁であったかもしれませんが、これからの時代は環境省が日本を代表する省庁になっていただきたいと思いますし、私もそういうふうに望みます。環境省が強力なリーダーシップを持って、そして責任と自信を持って日本の行政を引っ張っていく時代が今来ていると思います。

 一番いい例が、地球温暖化の問題でございます。皆さん御存じのように、もう既に温暖化は手おくれでございます。今どういう手を打っても、地球はどんどん温暖化していって、気候の異常現象が起こったり海水が上昇するわけですが、きょう現在、残念ながら、温暖化はとめられないどころか、どんどん排気ガスもふえている。特に、アジアの地区においては上昇が著しいということでございます。

 そこで、皆さん御存じのとおり、きのうの夕刊、世界じゅうの良識ある人たちは本当に仰天しました。アメリカのブッシュ大統領が突然こういうふうに申しました。フライシャー米大統領報道官、大統領は京都議定書を支持しないと明確に述べました。それからホイットマン環境保護局長官、議定書の批准には政府として全く関心がないと。これは、日本経済新聞の報道でございます。

 そこで、環境大臣にお伺いしたいのですが、これ、どうしますかということですが、お手元の答弁書には、これは、まだアメリカははっきりしたわけじゃない、日本がアメリカを説得すればいいじゃないか、そういうふうに書かれると思います。

 しかし、去年の大統領選挙から、ブッシュ大統領というのはちょっと頭が悪い、能力も余り高くないと、こういうふうに言われてまいりました。今回の件で、私も、これはちょっと頭がよくないな、非常に能力が低いというふうに思いました。

 大臣にお伺いしますが、ブッシュ大統領は、電力業界にちょっと影響があると、この京都議定書は。それから、途上国が賛成していないから、何でおれたちが参加しなきゃいけないんだ、こういうふうに大統領は言っておるわけですが、これについて、私はちょっと今コメントを申し上げましたけれども、大臣のコメントはいかがでしょうか。

川口国務大臣 ブッシュ大統領は、選挙のキャンペーンの中で既に、京都議定書は支持しないということをずうっと言ってきております。ということで、その理由は、ただいま委員がおっしゃったように、多くの国が参加をしていない、あるいはアメリカの経済に悪い影響を与えるということでございます。

 これはまた同時に、それをさらにさかのぼって、九七年だったと記憶をいたしておりますけれども、九七年にアメリカの上院で決議がございまして、これは京都議定書が出る前、できる前のことでございますけれども、上院としてはそのような、途上国が参加しない、あるいはアメリカの経済に悪い影響を与えるような取り決めには反対であるということを言っておりまして、それを基本的に踏襲しているわけでございます。この上院の決議というのは、実は九十五対ゼロということで、共和党、民主党関係なくこれは決議がなされたというものでございます。

 ということでございまして、途上国の問題につきましては、実は昨年オランダで会議をしている段階でも既に、アメリカの民主党、当時のクリントン政権の代表は、途上国の参加が大事であるということを言ってきておりまして、これは多くの国が、途上国は気候変動枠組み条約上は削減義務を今負っていないわけでございますけれども、どこかの段階で、何らかの形で多少は削減をしてもらうことが大事ではないだろうかという意見を持っておりました。日本も同様でございます。

 といいますのは、二〇一〇年に途上国の温暖化ガスの排出が先進国あるいはアネックス1の排出ガスの総量を上回るということになるわけでございまして、既に今の時点で中国一国は、総量としていえば日本の排出量を上回るということになっておりまして、そういう意味で、温暖化問題を実際に実効あるような仕組みで対応していくということを考えましたときに、将来のどこかの時点で途上国が入っていくということは大事であろうということでございます。

 それで、アメリカ経済への悪い影響ということでございますけれども、具体的にブッシュ大統領がこの言葉で何を言おうとしているのかというのは、それ以上説明がございませんので私もよくわかりません。

 私どもといたしましては、温暖化に対して対応していくということは、特にアメリカのように排出ガスの量が世界一であるという国はもう当然のことだと思いますけれども、すべての国が対応していかなければいけない問題でございまして、その過程で悪いマイナスの影響をこうむる産業、あるいは国民のある部分というのもありますでしょうし、同時に、それが刺激となって経済にいい影響を及ぼすという部分も当然にあるというふうに思っておりますので、コメントといたしましては、悪い影響を及ぼすというのは、それは一面の見方ではないだろうかというふうに思っております。

山田(敏)委員 私の質問は、これから日本はアメリカのこういう態度に対してどういう方針で臨むのか、これをお答えいただきたいと思います。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、アメリカは世界で最大の排出国でございますから、こういった国が参加をしてくれることが、京都議定書の実効性あるいは地球環境問題、温暖化問題に適切に対応していくことができるために非常に重要なことだと思っております。

 その観点から、アメリカの大統領に向けて、実は、けさほどブッシュ大統領に向けて森総理から親書も発出していただきましたし、私も、数日前に環境保護庁に手紙を出させていただきましたり、きのうも談話を発表させていただきまして、ありとあらゆる機会をつかまえてアメリカに働きかけていきたいというふうに思っております。

 この努力は今後も引き続き継続をしたいと思いますし、国会のお許しをいただければ、四月二十一日のニューヨークでの会議で、私自身参加をして、アメリカを初め、この京都議定書の運用ルールの議論が前向きに進むように働きかけたいと思っております。

山田(敏)委員 ただいまの答弁では、アメリカをとにかく説得したい、こういうことだと思います。ただ、今まで日本がアメリカを説得して成功したことは余り記憶にございません。アメリカが日本を説得したというのはたくさんございます。数限りなくあると思います。今、日本が手紙を出して、大統領、離脱したけれども何とかやってくれという手紙を出して、会って話をして、じゃ、ああそうですかというような話は到底考えられない、現実的な政府の政策とは思えません。

 日本政府が今やることは、五五%が条項がありますから、参加国の五五%参加すればこれはもう議定書を発効できるということを約束したわけですから、アメリカ抜きでやろう、アメリカだけ、じゃ離脱してくださいと、温暖化の問題はアメリカ抜きでやりましょうと、こういう方法しか今のところないんじゃないですかね。

川口国務大臣 アメリカは、アネックス1という削減義務を負っている国の中で、排出量で三七%弱を占める国でございます。こういった国が参加をしないということは、地球温暖化への対応として非常に問題がある、実効性を欠くというふうに私どもは考えております。

 日本も、森総理の親書を初めさまざまな働きかけを今後行ってまいりますけれども、実は、昨日ドイツの首相と大統領との会談がございまして、そこでもドイツの首相から非常に強くアメリカに対して働きかけを行ったということでございます。

 アメリカは、京都議定書は支持しないけれども、友好国あるいは同盟国とともに温暖化の問題を建設的に解決するための努力をする用意があるというふうに言われておりまして、アメリカといたしましても、言っていることは、京都議定書を支持しないということでございまして、温暖化問題に対して積極的に対応していく、市場のインセンティブですとか技術ですとか、それからその他の革新的な取り組みを通じて真剣に取り組んでいくということはアメリカも言っているわけでございまして、各国共同して、EUの国も、日本も、あるいは他のアンブレラの国々も、共同してアメリカに働きかけるということが大事だというふうに思っております。

山田(敏)委員 私の質問に答えていただけなかったのですが、私の質問は、説得してもだめな場合はどうするのか、日本として、アメリカ抜きでやるという腹はあるのかどうか。それが今までなかったから、アメリカの言いなりになって、私も外務省に一時おったことがありますが、もうとにかくアメリカの言った方を一生懸命見て、日本の自主性、自立性、特にこの環境について日本が世界をリードするという立場が、外国にもアジアの国にも全然伝わらない。それが今の環境行政の大問題だと思います。

 ですから、私の質問に答えていただきたいのですが、説得をしてだめだった場合にはどうするのか。五五%の条項があるわけだから、アメリカ抜きでやるという決意を日本が示せば世界はついてくる、そしてアメリカはやがてついてくる。

 アメリカが、私は京都議定書はやらないけれども、自分の国では温暖化対策はやりますなんて、そんなもの何もないじゃないですか。京都議定書の入った枠組みで温暖化対策を世界とともにやっていかないと、やりますと言ったって何の意味もないことであって、そんな話を今、ああそうですかというようなことじゃないと思いますので、大臣、今の私の質問に、やるのかやらないのか、答えてください。

川口国務大臣 今ドイツの例を出させていただきましたけれども、現在世界の国々が、EUの国々、それからアンブレラの他の国々が全部一緒になってアメリカに働きかけるという努力を行っている最中でございます。アメリカ自身、国際的なプロセスで地球温暖化問題に取り組むということは言っているわけでございまして、これを、ほかの国々と一緒になって、日本もその中で積極的にイニシアチブをとりながら働きかけていくということが重要だと思っております。

山田(敏)委員 ちょっと、同じ質問を同じ答えで、いつまでも終わりませんので、私は、環境大臣が今世界をリードして、アメリカ抜きでもやるという決意を示すことがこの京都議定書を一歩でも前に進める一番大きなポイントだと思います。

 今のように、説得をします、手紙を出しますということで、過去、日本とアメリカ、あるいはヨーロッパとアメリカの関係で解決されたり説得されたということはほとんど記憶にございません。ですから、ぜひ今この場で、この戦略しかないんだということをよく検討していただきたいと思います。

 次に、今回のPCBの問題でございます。

 本会議でも取り上げさせていただきました。まず、このPCBの処理について、やはり過去三十年間の日本の政府がやったことを総括して反省した上で今の政策をやらなきゃいけないんですが、本会議でも経済産業相の答弁がありましたが、全くその反省、総括がなくてやっていこうと。すなわち、国の行政の失敗は国民の税金で今後やっていこうというやり方は、納税者としては納得のいかないことでございます。

 そこで、経済産業省にお伺いします。

 PCB処理協会が過去三十年間努力してまいりました。本会議でも、大臣は、一生懸命努力しました、一生懸命やりました、一生懸命やりましたと三回ぐらい言われましたが、その結果、何にもできなかった。一カ所もできなかった。三十九カ所候補地がありました。十数社の会社が応募しました。普通、一カ所だめだった、二カ所だめだった、三カ所だめだったと、三カ所ぐらいいくと、ネズミでも学習効果が働きますので、四カ所目は全然別の角度からやっていこうということでございます。

 しかし、これは書類が残っているんですが、十九年後に何もできなかったことについて、実はこうだったということが四項目書かれているわけですが、それについて、では、これだったらこうすればよかったじゃないか、これだったらこうじゃないか、そして経済産業省の責任というのはこうだったのだということを明確に今答弁していただかないと、この事業を環境事業団でやるということには国民は納得できません。経済産業省、お答えをお願いします。

竹本大臣政務官 先生のお話でございますけれども、PCB処理協会は、昭和四十八年の設立以来、当時唯一法律的に認められておりましたPCB処理技術でございます高温焼却処理によるPCB処理施設の設置を関係自治体に働きかけてきたわけでございます。

 この高温焼却処理によるPCB処理施設の設置が事実上困難であった最大の理由は、こういうふうに高温で焼却いたしますと、その安全性は確立しておったのでございますけれども、かつてのカネミ油症事件の影響もありまして、焼却処理に伴って発生いたします排ガスに対して地元住民が強い不安感を感じていたことにございました。したがいまして、仮に処理協会の体制を見直したといたしましても、高温焼却による処理施設の設置は依然として困難だったものと考えております。

 また、施設の操業について、事故等の不測の事態において国が責任をとったり、被害者に対して補償することを約束することは法律上の権限なくできるものではなかった、そのようにも言えると思います。

 そこで、経済産業省としてしっかりとした責任をとるべきじゃなかったか、こういうお話もございましたけれども、この三十年間、結果としては地元住民の説得に成功するには至らなかったものの、それぞれの時点において最大限の努力を払ってきたものと考えております。

 今後とも、二十一世紀の主要官庁は環境省だという先生のお話もございましたけれども、この環境省と十分連携をしながら、化学処理による新たな無害化処理技術の開発等により、PCBの無害化処理を推進する動きを積極的に推進してまいりたいと考えております。

山田(敏)委員 協会設立後十九年目に書類が出ました。十九年間何もできなかったことに対する理由を書いております。これは本会議でも申しましたが、今おっしゃったように、住民が反対した、廃棄物のイメージが悪い、地元対策ができなかった、処理技術の信頼性がなかった、この四つでございます。

 この文書の最後に何と書いてあるかといいますと、立地交渉条件、ここに三十九カ所のリストがございますが、ここでやりましょうという条件を交渉するときに、たびたび監督官庁、すなわち通産省ですね、に対して、万一の事故等の責任と保証を要求された例が多いと書いてあります。すなわち、三十九カ所のうちのかなりの部分の場所で、通産省が、万一の事故等の責任と保証をやってくれますかと。どういうことかというと、やってくれるんだったらうちはできますよという意味なんですね、これ。これは最後に書いてあります。これは、今おっしゃった、努力をしました、努力をしました、しかしという話には出てこないんですね。

 どういうことかといったら、地元対策はできなかった、そうしたら通産省としてどうすればいいんでしょうかね。地元と話し合って、いろいろな予算措置があると思うんですけれども、具体的にどういうことなのかということを本当にやったのかどうか。あるいは信頼性について、本当に情報開示して住民の理解を得る努力はしたのかどうか。最後に、それでもだめだった場合は、通産省が責任と保証をとりますと言えば、この三十九カ所の相当部分のところが、いいです、やりましょうという話はここの言葉の中に入っているわけですよね。それについてどう思われますか。

竹本大臣政務官 最後は国が責任をとることを考えたらいいのではないかという先生のお話でございますけれども、産業廃棄物は、廃棄物処理法上、排出者責任の原則に従って処理されております。PCB処理協会が設置いたします民間の処理施設における事故等不測の事態に対しまして国が責任をとるようにすることは、この基本的な原則を大きく転換することになり、これは諸外国にも例が見られないもので余り適当とは考えておりません。諸外国の例を参考にしながらこういった制度を仕組まなければいけないわけでございますが、諸外国においては、やはり基本的に排出者責任の原則をとっております。それを参考にしながらこのような態度をとってきたわけであります。

 排出者責任の原則というのは、今回のPCB処理特別措置法案においても変更されておりません。あくまでPCBは排出者の責任において処理されるべきものと考えております。

山田(敏)委員 ちょっととんでもない発言で、今回の改正案は、この排出者責任ができないからこれを補おうという法律なんですよ。どういう答弁ですか、それは。五十億円の補助金をどんどん中小企業にまきましょうというのは、排出者の責任を国が補てんしましょうと、そういう法律なんですよ。今回、排出者責任というのは、国としてはもうあきらめましたということなんですよ。それが今回の法律の改正なんですよ。

 それができるんだったら、通産省は、ずっと前にやっておけば、二十年前にヨーロッパと同じように既にできていたはずなんです。ヨーロッパは二十年前に処理が終わったわけですから。それについて、今我が国は二十年間おくれて、排出者責任にこだわったからできなかった。では、今回は排出者責任でやりましょうと、そういうことについてお聞きしているんですから。

竹本大臣政務官 山田先生のおっしゃることはよくわかるのでございますが、要は、三十九カ所といいましても、各地域によっていろいろな事情がございまして、そこでそれが実現に至らなかった背景を考えますと、いろいろな事情があります。特に大きい理由は、やはり金銭的に、財政的に大変だということもございます。そういったことで今回は基金をつくって、そういったもろもろの要請に、需要に具体的にこたえていこう、ただし基本原則は変わりませんと、こういうことでございます。

山田(敏)委員 今の日本語、全然意味がわからないですね。国が五十億円の基金をつくって払いましょう、処理費用を国が負担しますというのは、排出者責任をやめたということなんです。これが日本語なんですよ。今のでは日本語の意味がわからない。排出者責任は変わりません、しかし五十億円の基金をつくって補助金が出ますと。国の責任を明確にするんでしたら、後ほど申し上げますけれども、やはり国民が納得できる税金の使い方をしないといけないんじゃないかと思うんですが。

 では、今の排出者責任についてはどう思われますか、もう一回御答弁をお願いします。

竹本大臣政務官 排出者責任の基本原則にのっとって、具体的に問題の解決に至るように基金をつくって応援をしよう、こういうことでございます。

山田(敏)委員 三回目の質問で同じことを言われたので、これ以上はやりません。

 一つ教えていただきたいのですが、三十九カ所の候補地で処理をするということで、その当時は排出者が処理費用を負担するということでございますので、これは大変大きなビジネスですね。数千億円の、一千億以上のビジネスになると思うんですが、たくさんの民間企業が処理業者として名乗りを上げてまいりました。その当時の企業のリストとか企業名をちょっと教えていただけますか。

竹本大臣政務官 PCB処理施設の建設に関する三十九カ所の候補地の交渉は、最終的には地元住民の同意が得られませんで実現しなかったわけでございますけれども、その交渉過程は地点によって本当にさまざまでございまして、当初から処理施設を建設し、処理を試みようとする企業が参加していた場合もあれば、処理施設の具体的なプランを策定するに全く至らなかった、そして立地を断念したところもございます。

 いずれにいたしましても、処理を試みる企業の関与のあり方はさまざまでございまして、最終的に施設の建設までは至らなかったことでもあり、個別企業名の公表は御容赦をお願いいたしたいと思います。

山田(敏)委員 四月から情報公開を、国民の前にはっきりしようと、政府の信頼感を取り戻さなきゃいけないときに、二十数年前に、私もやりたい、私もやりたいとたくさんの企業が手を挙げたわけですけれども、その企業名を挙げられないというのは、国家の外交上の機密か何かがあるんですか。理由が全然明確ではないと思いますけれども。

竹本大臣政務官 申し上げましたように、本当に各地点さまざまな事情がありまして、また、企業の名前さえ具体的に出てこなかったところもございます。そういうような情勢の中で一言に三十九カ所と言われましても、余りにも多岐にわたっておりますし、その実態を一々説明しないとわからないようなものでございますから、企業名を挙げることによって誤解を招くケースも恐らくあるだろうと思います。そういうことをいろいろ総合勘案いたしまして企業名の公表は御遠慮申し上げたい、こういうことでございます。

山田(敏)委員 もう全く理由にならない理由で、何でそれを隠そうとするのか、これは本当に理解に苦しみます。もちろん数社の企業を私も知っておりますけれども、しかし、それを何の理由で公表しないのか。

 なぜ私がここにこだわっているかと申しますと、この後我が国は、まだ何にも処理していないわけですから、この三十六万台というトランスを処理していかなきゃいけない。大変な事業が始まるわけですから、いろいろな会社の力を合わせてやっていかなきゃいけないときだと思うんですよね。それでお聞きしたわけですが、どうしてもお答えできないんだったら、別の方法でまた改めてやらせていただきます。

 次に、PCB協会でございますが、これもまた不可思議なことでございまして、我が国の特殊法人とかいろいろな法人が非常にむだ遣いをしている典型的な例でございます。

 補助金をもらってこのPCB処理協会は現在も活動しております。十四年前にほぼこの役割は終わりました。すなわち、もうPCB処理協会は、処理をやるという、処理施設をつくるという役目は終わったわけです。その後、十四年間何をしたかというと、台帳の書類整理をしましたと。毎年七千万円ぐらいの予算を使って、この台帳は既に地方公共団体に渡っております。地方公共団体が非常に詳しく、どこにどんなトランスがあるかとやっておるわけですから、もうその段階で協会というのは何の意味もないところで、それにさらに国の税金を使って存続をするという考え方ですね。これは十四年前になぜやめられなかったのか、ちょっとお答えください。

竹本大臣政務官 PCB処理協会が作成、管理しておりましたPCB使用機器の管理台帳でございますけれども、厚生省が平成四年にPCB廃棄物の保管実態に係る全国調査を実施いたします際に地方公共団体に提供されまして、調査対象となるPCB使用機器の保有事業者を特定するために使用されたわけでございます。

 また、平成四年以降におきましても、PCB使用機器の使用及び保管状況に変更があった場合に、事業者が地方公共団体に報告する制度が確立していなかったわけでございますから、PCB処理協会では、PCB使用機器の保管状況を把握するために、次善の策として、現在まで、事業者からの自主的な報告に基づいて、台帳の更新業務を事実上継続してまいりました。そこで、この更新された台帳は、平成十年に厚生省が再度一斉調査をした際に活用されております。

 このように、PCB処理協会において管理台帳を更新し続けてきたことは、ほかにPCB使用・保管状況を継続的に把握する手段を持たなかったことからも必要なものであったわけでございます。

 なお、PCB処理協会は、PCB及びPCB使用製品の製造事業者を中心とする民間企業の発意により設立された公益法人でありまして、本法の施行後における協会のあり方については、一義的には協会自身によって決定されるべきものであると考えております。

山田(敏)委員 国民の税金を自分のお金として大切に考えたら、この台帳の更新をするなんというのは、もう既に厚生省が全国にやったわけですから、そこに移管しても十分できるわけですからね。その辺の意識がちょっと国民の意識から離れているんじゃないかということを指摘させていただいて、直ちに、できるだけ早い時期にこの協会を廃止するようにお願い申し上げます。

 次に、本日、私が本当に申し上げたい議題に移らせていただきます。

 PFI事業というのを本会議で申し上げました。今度の、国の税金を使って環境事業団でやるというこの事業を、民間の資金と活力を利用して公共事業を行うPFIという手法でやったらどうかということでございます。

 環境大臣にお伺いしますが、PFIの事業についてどういう認識をお持ちですか、お答えください。

川口国務大臣 そもそもPFIとはどういうものかという御質問でございますけれども、これは、本来、公的部門が行う公共施設の建設、学校ですとか橋ですとかございますけれども、それから維持管理、運営などを、公共施設等の管理者と民間事業者の契約に基づいて、官民の役割、それからリスク、責任の適切な分担をしながら、民間の資金、経営能力、技術能力を活用して行う手法であるというふうに認識をいたしております。

山田(敏)委員 それでは、この処理事業について本事業が本当に適しているかどうか、どういうふうにお考えでしょうか。

川口国務大臣 民間の資金、すなわちPFIの手法というのは、先ほど申しましたように、民間の資金や経営能力や技術的な能力を活用することによって、本来、国や地方公共団体が実施するものについて、国や地方公共団体が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供するという事業であるわけです。

 それで、PCBの話でございますけれども、お話が先ほど来出ていますように、なぜこれが今まで民間でできなかったかということは、それなりの、地元の住民の方々の安全、安心についての信頼が得られないということがその大きな理由であったわけでございまして、したがいまして、公共的な事業をどうやったら効果的にできるかというPFIの事業は、そういった地元住民の安全と安心に対するお気持ちということを考えますと、今の段階ではなじまないのではないかというふうに考えます。

山田(敏)委員 大臣、PFIについて認識を誤っていらっしゃるんですが、PFIというのは公共事業なんです、今おっしゃったとおり。民間の事業ではないんです。公共事業、国が責任を持って行う事業。ただし、それを行う手法がPFIという手法でやるということなんですね。ですからPFIというのは、病院をつくるケースもあります、美術館もあります、地下鉄もあります、高速道路もあります。しかし、そのケースケースで民間と政府が契約を結んでやるものなんです。ですから、これがPFIという定型的なものはないんですね。

 お手元に資料がございます。お配りしました。これは、イギリスが九〇年代の初めに、大変な不景気で、そして財政危機、そして失業者が多い、しかし公共事業を進めていかなきゃいけないという今の我が国と非常に似ている状況、そのときにイギリスが始めたPFIという手法でございます。

 九三年に始まりました。一番下の段にPFIと書いてあります。これは一億ポンド、ですから約二百億円弱ですね。そこから始まって、毎年毎年この手法を繰り返していって、だんだん規模を大きくして九九年には四十二億ポンド、すなわち約七千億円ぐらいの公共事業を民間がやっている。ここまでやってきた。これは、PFIでやるのがいいんだ、これを進めるんだという行政のトップの強い意思が要るんです。これがPFIができる理由なんです。

 本会議で申しましたタイの例ですが、タイは空港から市内までの高速道路をやりました。これは華僑の民間のグループが建設しまして、三十年間でペイする、高速道路の料金を受け取って償還をして、三十年後に国にただで返す。そして、国民はこの高速道路をただで使える。これは一円も国家の予算は使っていません。それから、モノレールをやっています。地下鉄をやっています。これも民間の資金の活用、ただし、政府が、保証とか責任とか、その契約の中で使う。タイという国は大変小さな政府です。国民が税金を払いません。しかし、高速道路も要ります。地下鉄も要ります。どうしてもやらなきゃいけない。どうしてもやらなきゃいけないという意思があるからこれはできるんです。

 今回のPCBの処理施設は、今申し上げましたように、三十年間国が行政の責任でこれを行わなかった。外国ではもう二十年前に既に処理をやっちゃったんですよね。その責任を、国民の税金でやりましょうという考え方は、国民としては納得できない。ただし、このPFIという手法を使ってやれば、国民の税金を使わないで効率的に運用ができる。しかし、今認識を誤解されているのは、これは民間がやるんじゃないんです。公共事業なんです。公共事業を政府が保証して、責任を持って、民間のノウハウと資金を使ってやるというやり方なんです。

 一つ例を申し上げます。福岡市が清掃工場をやりました。大変最先端の清掃工場を福岡市が完成いたしました。これはPFIでやりました。結果は、半分の予算でできました。しかも最先端の技術のものを、もう見積もりの段階から違っておりました。これは一円も国民の税金を使っておりません。

 それから、岡山市の例がございます。これは三丁目劇場という劇場をつくりました。この両方のケースも、市長が非常に強い意思を持って、PFIをやるという決意を持って臨まれました。岡山市の場合は、劇場をPFIでつくって、劇場の運営、管理、すべて民間の資金と活力でやっております。

 今申し上げましたとおり、PFIでやった場合には、今お考えになっているコストよりはるかにコストダウンを図れる、そういう場合もあります。それから、電力会社は既に処理施設を持っております。PFIでやった場合には、既にある処理施設を使うということもできます。そうすると、今中小企業は大変な、トランス一台五十万円というようなお金は処理に出せないというような場合も、既にある処理施設を使ってこれをやった場合には非常に安く、例えば五万円とか十万円でできるというケースもあります。

 これを、今回の法案にPFIでやるんだという意思を示さないと、今後の運営が、ましてや環境事業団は、これは時間がなくてあれなんですけれども、環境事業団は一度もPCBに対して経験がない、人材もないところですから、そこで新たに環境事業団がやるということになると、今までの不良債権一千億円とか、国立公園にホテルをつくってそれが全部だめでしたとか、いろいろなことをやってきた事業団にこの事業を新たに国民の税金を使ってやらせるという案は、これは到底納得できないものと思います。大臣、いかがお考えですか。

川口国務大臣 委員のおっしゃられた劇場ですとかそういったケースでPFIを使うということが、恐らくそれは適しているという考え方があるのはよく理解をいたします。英国においても、学校ですとか橋ですとか鉄道ですとか病院ですとかといったことにPFIの手法が使われているということは、委員の資料のとおりだというふうに思います。

 問題は、PCBの廃棄物を処理する施設をPFIでできるかどうかということでございまして、PFIの事業がなぜできなかったのか。民間企業がやる努力をして結果的になぜうまくいかなかったのかという過去の経緯を考えますときに、やはりその原因は、地元住民の方の納得をいただけなかったということでございます。

 なぜ納得がいただけなかったのかということで言いますと、やはり民間企業という主体が参加をするPFI、あるいはその場合は民間企業自体がやるということでPFIではなかったわけですけれども、民間企業がやることが商業ベースを基本とするということで、その結果、その地域住民が、民間企業の採算を守るということのために自分たちの安全と安心が犠牲になるのではないかということがその一つの大きな要因であって、当時、努力をしたにもかかわらず民間ベースでできなかったということでございます。

 ということでございますので、PCB廃棄物の処理事業をPFI事業でできるのかということで言いますと、まさに民間企業がかかわってくるということでございまして、地元住民の方の安全と安心に対する確信をいただけないということから、私どもとしては、PFI事業は現段階ではなじまないというふうに考えるわけでございます。

 それから、もう一つつけ加えさせていただきたいのですが、先ほど委員は、PFI事業をすれば税金が要らないというふうにおっしゃられましたけれども、仮に民間がPFI事業によって施設をつくったといたしまして、国がその施設を買い取るということになるわけでございますので、その段階で税金は出ていくということでございますので、PFI事業をやれば税金が必要でないということには必ずしもならないというふうに思っております。

山田(敏)委員 大臣、私が今申し上げたことを、ちょっと後ろを向かないでちゃんと聞いていただかないと、せっかく十分間もしゃべって、今のお答えでは何にもならない。

 PFIは民間の業者がやるのではありませんと今申し上げましたね。それから、福岡市の清掃工場、このPFI事業、ごみ処理事業というのは大館市でもございますが、そういう事業も行われております。

 それからもう一つ、一番肝心なところは、今までなぜ行われなかったのか。それは、国が保証や責任をとらなかったから行われなかったのです。今回は、では、なぜ北九州でできるのか。それは、国が責任と保証をとりますと、そういうことじゃないんですか。

 私が言っているのは、国が責任と保証をやります、ただし、その手法はPFIという手法を使う。民間企業者がやるのではないのですと今申し上げたので、ちゃんと聞いておいていただきたいのですけれどもね。今申し上げているのは、事業団なり国なりが、地方公共団体もそうですが、それが事業主体となってやる事業をPFIと言うのです。

 先ほど、施設を買い取るから税金がなんと、こんな認識のないことでは――PFIというのは、今申し上げましたように、個々のケースで契約を結んでやるんですね。だから、買い取るという契約をしてもいいし買い取るという契約をしなくてもいいし、ケース・バイ・ケースでやっていくのがPFIのやり方なんですよ。これはイギリスでたくさんのケースが行われて、今タイのケースも申し上げました。日本でもこれに本当に、税金を使わないで効率的に、しかも安く機動的にやろうということが全国で、これは首長の強いリーダーシップが要るのです。――ちょっと、聞かないで言われると……。

 ですから、今大臣にお聞きしているのは、大臣は環境省の事務次官代行じゃないわけですから、大臣は国民の代表なんですから、ここをちょっと、今環境省の事務方と一生懸命話をなさっていますけれども、環境省事務次官代行じゃないわけです。国民の利益を代表する大臣ですから、この視点は明らかに環境省の事務方とは違います。私が言っているのは、政治家としての視点をお聞きしています。

川口国務大臣 一番重要なことは、PCB廃棄物の処理を一刻も早く行って、その結果として廃棄物をゼロにするということでございます。その努力を今までしてきたけれども、うまくいかなかったということです。

 PFIの事業というのは、まさに定義により、それをなぜ行うかということを言いますと、民間セクターの持っている活力あるいは効率性、それを使うためにPFIの事業というのは存在をするわけでございまして、民間事業と政府というのはそれなりにリスクの分担も行うということでございます。

 PCBの廃棄物の処理についてございますのは、先ほど申しましたように、民間の企業が加わることが効率性、まさにPFI事業がその目的としているところの効率性を生かすための過程で、商業的な目的あるいはその効率化をたっとぶために、自分たちの、地元住民の安全と安心が犠牲になるからというおそれが地元住民の方々にあって、それがゆえに立地ができなかったということが今までの問題でございましたから、まさにその安全と安心を確保するということが大事であるという観点、それがPCB廃棄物の処理のために必要であるという観点に立てば、PFI事業ではなくて、やはりそこは環境事業団を活用して国が施設の整備をするということが重要であるということになるわけでございます。

山田(敏)委員 まさに今おっしゃったとおり、一刻も早く処理を進めていかなきゃいけない、その観点は私も同様でございます。

 もう一回申し上げますけれども、PFIというものを非常に誤解されております。認識を誤っています。一刻も早く全国で、今北九州でやるということであれば、これは五年後にやって、さらに十年間かかる、十五年後に全国の量の三分の一をやりますという非常に時間のかかる計画でございます。

 しかし、今私が最初に申し上げましたように、PFIでやれば、全国にこの事業をやりたいという会社はたくさんあって、技術的なノウハウもある、実績のあるところもたくさんあります。既に処理施設を持っているところもあります。北海道にも、東北にも、東京にも、東海にもあります。

 その人たちが――環境事業団でやるなと言っているんじゃないのです。PFIをちょっと誤解されているのは、環境事業団が事業主体になってやればいいのです、これは国の代行ですから。国がやってもいいのです。環境事業団は要らないんですけれども、どうしてもやるというのであれば環境事業団がやればいいのです。事業主体なんです。ただし、その手法をPFIという手法でやる。そうすれば、今大臣がおっしゃったように一刻も早く、今の調子でやっていれば二十年たっても半分も処理できない。

 PCBは、本会議でも申し上げましたように、環境で決して分解されない。人間の体に入ると蓄積していく。そして、胎児の脳の発達に重要な障害がある。学級崩壊で言われております学習障害が今アメリカでも起こって、日本でも恐らく起こっていると思うんですが、非常に大事な処理でございます。これを二十年もかかって何とかやりましょうというようなことでは、やはり国民に対する責任もないのではないか。

 ですから、もう一度大臣、今大臣は国民の代表ですから、一円でも税金を安くしてやろう、そして一刻も早くこれを処理しよう、それにはどうしたらいいか。そういう観点から、もう大分おわかりになったと思うんですが、もう一度御答弁をお願いします。

川口国務大臣 ちょっと申し上げ方を変えて申し上げますと、PFI事業というのは、そもそも、本来国がやるべき事業、要するにパブリックな事業、鉄道ですとか学校ですとか、そういったものをやるときの効率的に行うための手法として使われるわけでございます。このPCB廃棄物の処理というのは、本来的にこれは民の責任でやる事業でございまして、そこからしてPFIの手法にはなじまないということでございます。

 したがって、国が今やろうとしているのは、地元の住民の方々の安全と安心の確保というような観点から、国が施設をかわってつくるけれども、処理自体は民の責任で行っていただく。ただし、中小企業に対しては、中小企業の置かれた事情から、その処理にかかる費用を国が、あるいは民間の方にも出捐をいただいて、そこから補助をするということでございます。

 ですから、最初に戻りますと、PFIの事業が使われるというのは、本来国がやるべき事業に対してやることでございまして、本来、排出者が負担をするということが原則の事業である廃棄物の処理事業というのは、その対象としてはなじまないというふうに申し上げさせていただきます。

山田(敏)委員 何か論理がわけがわからなくなってきましたが、本来国がやる事業で今やっているんじゃないんですか。国がやるということで今せっかく、ここまで三十年間何もできなかったのを。それが、本来民間がやるからPFIはだめだと言うのは、何のことかわけがわからないのですが。

 ちょっと大臣もう一回、今まで私が申し上げたいのは、大臣本当に、PFIというのは具体的にどんなことでやられたのか、どういう効果があったのか。

 今、福岡市の例を申し上げました。予算が半分で済みました、そういう実績があるのですよ。清掃工場です。国がやるべき公共事業を、やるべき仕事を公共団体が事業主となって、主体としてやるのです。今回もそうなんです。住民の方の安全と安心を図って、国が事業主となって主体的にやるのです。事業主体なんです。ただし、PFIという手法でやるのです。そうすれば予算が半分になる、コストが半分になる。そうすれば、中小企業の方々が丸ごと自分でトランスを運んでいって、一台当たり五十万円も負担して、そういうことが少しでもよくなる。これを検討して、このテーブルにのせましょうと。皆さん、今この法案を審議しているわけですから、ここで議論しましょう、国会の場で議論しましょうと。環境事業団の中で議論するんじゃなくてここでやりましょうということを申し上げているんです。答弁をお願いします。

川口国務大臣 PFIの事業が、劇場の例もおっしゃいましたし、あとはイギリスでいろいろな例が今ございますけれども、それなりに社会的に使われている、しかも増加をしてきているということは、その効率性等についてプラスの面があるからであるということは私もよく認識をいたしております。

 他方で問題は、PCB廃棄物の処理施設が、一般論ではなくて、PFIになじむかどうかという議論でございまして、これは先ほど来申し上げておりますように、まさにPCB廃棄物の処理がなぜ進まなかったかという経緯を考えますと、それは国民の皆様が、安全と安心を確保するには、やはりそこは同意できないということをおっしゃったからその設備がつくれなかったということでございまして、その観点からすれば、国がそこで環境事業団を活用して施設をつくるということが必要になってくる、そういうことでございます。

山田(敏)委員 もう一度申し上げますと、今おっしゃったことはよくわかっております、もう何回も聞きましたから。

 環境事業団がこの事業をやることには私も賛成です。それでいいんです。住民はそれで納得しましたから。北九州もそれで納得しましたから。これから先もやる。環境事業団がやる、事業主は環境事業団なんです。しかし、その手法をPFIでやる、それだけなんです。

 それをちょっと、もう時間もたちましたので、理事会なり、委員長、真剣にこの議論を、私ども修正案を出しております。この第一に、この処理をPFIの特定事業として行うように努めることとするという文章を入れて、事業団がやるんだけれども、住民の安心と安全を図って国が責任を持ってやるんだけれども、そのやり方をPFIという手法でやれば国民は納得できる。三十年間の行政の失敗を自分たちの税金でカバーされるというのは非常に耐えがたいことだ、これを私は申し上げているのです。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

五島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十五分開議

五島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田端正広君。

田端委員 きょうは、大臣には大変御苦労さまでございます。けさからも御議論があったわけですが、昨日の米新政権における京都議定書に対する対応の、非常にゆゆしきといいますか、懸念すべき発言があったわけであります。まずこの問題をお伺いしたいと思います。

 きのうきょう、大臣あるいは官房長官と、日本政府としてもいろいろメッセージを発せられて、政府としての意思表明をされているわけであります。また総理も、ブッシュ大統領あてに書簡を、きょうですか、出されるというふうなお話も伺っておりますが、これはまさに政治的な大変な問題だと思います。

 京都議定書については、日本が一生懸命努力をして、汗を流して、そしてアメリカにも非常に神経を使って、この議定書の作成にかかわってリーダーシップを発揮してきた。それだけに、この地球温暖化問題という大変大きな問題に対して、日本とアメリカが協力しながらこれは批准していくべきだ、こう思うわけでありますが、その最大の排出国であるアメリカが一歩後退したような発言があったということについては、本当にここは大きな正念場を迎えているなという思いがいたします。

 それで、大臣として、昨日の談話の中に、

  私としては、京都議定書の二〇〇二年発効を目指して全力で取り組んでいく方針に変わりはなく、世界の温室効果ガスの排出量のうち、約四分の一を占める米国が、京都議定書の重要性を理解し、本年七月に開催される第六回締約国会議の再開会合の成功に向けて前向きに対応されるよう、あらゆる機会をとらえて、引き続き働きかけを行ってまいりたい

こういうコメントを発表されておりますが、ここをもう一歩踏み込んで、二〇〇二年発効を目指してじゃなくて、日本は二〇〇二年までに早期に批准をする、こういう政府としての決意という形で表明できないんだろうか。それがアメリカに対しての、日本はここまでこうやるんですよというメッセージになるわけですから、そういうふうに例えばこの委員会でもう一歩踏み込んだ意思表明をしていただいたら、これは日本としての非常に大きな政治的リーダーシップの発揮になる、こう思います。

 そして、それに基づいて総理なり外務大臣なりに、これは外交交渉としてそういう形でまたいろいろなことをやっていただくということは非常に効果的かと思いますが、まず、その御決意をお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 田端委員がただいまおっしゃられましたように、ブッシュ大統領は、みずから記者会見で、それからドイツとの首脳会談の後の共同声明で、京都議定書を支持しないということを言っております。このことはまさに、ハーグで中断をされ、七月にボンで再開をすることになっております京都議定書の運用ルールをめぐる問題の解決、国際的な枠組みにおける解決ということにつきまして非常な暗雲をもたらすものであり、私は大変に懸念をいたしております。その懸念は私だけではございませんで、日本政府はもちろんでございますけれども、ほかの国々、EUあるいはアンブレラのほかの国々も共通に持っている懸念でございます。

 今、日本としても、委員がおっしゃった総理の書簡も含めまして最大限の働きかけを行っているところでございますし、米独首脳会談でもそれについての議論が行われたということが共同声明からも読み取れますし、それから私が承知をしている範囲では、EUやオーストラリア等の同僚の環境大臣も働きかけを一生懸命に行いつつあるところでございます。

 言うまでもなく、アメリカは最大の排出国でございますから、アメリカが参加をするということがこの京都議定書の実効性をもたらすという意味では非常に重要であると思っておりまして、私は今、ほかの国々の環境大臣の方々と協力をしまして、アメリカに最大限の働きかけをしていきたいと思っております。

 四月早々にもEUの環境大臣がお二人ほど日本に、環境大臣あるいは環境大臣に近い方がお見えになることになっておりまして、そういう場を通じて、どうやって一緒に働きかけていけるかという議論をしていきたいと思います。

 それから、四月の二十一日に、国連の持続可能な開発委員会がございます際に環境大臣がプロンク大臣とともに会合を持つということになっておりまして、そこに国会のお許しをいただいて私はぜひ参加をして、そこの場で、働きかけ、今後の対応についてほかの国と議論をしていきたいというふうに思っております。

田端委員 そういう大臣の気持ちを総合して判断しますと、アメリカには最大の働きかけはする、しかし、万一アメリカが入ってこない場合でもEUと協力してこれは批准に持っていきますよ、こういうふうに、そこまで決意といいますかお考えを腹の中ではお持ちになっているんだと判断していますが、それでよろしゅうございますか。

川口国務大臣 私は、気候の温暖化、地球の温暖化の問題というのは大変に重要な問題であって、これに国際的に共通な枠組みで対応していくということが非常に重要だと思っております。その意味で、これはほかの国々の思いとも共通したものがあると思っております。

 現在、どうやってその枠組みを実効性を持たせるかということが非常に重要な問題でございまして、そのために、京都議定書の運用ルールをめぐる議論にアメリカの前向きの参加を働きかけるということが重要でございまして、アメリカ自身も、京都議定書に反対だとは言っておりますけれども、京都議定書の議論に参加をしないとは言っておりませんし、それから気候変動問題について、それが重要でないとは言っていませんで、その反対にアメリカは、むしろこの問題に対してどういう方策をとれるか、友好国、同盟国と話し合って、国際的なプロセスで話し合いたいということを言っているわけでございます。

 京都議定書は、今まで十年間に近い我々の気候温暖化問題に対する、国際社会の対応の成果でございまして、これをむだにするということがもしあれば、これは世界のこのための努力が本当に水泡に帰するということになると思いますので、私としては、アメリカの京都議定書への議論の参加について前向きに働きかけていくつもりでおります。

田端委員 これはもう理屈じゃなくて交渉事といいますか、そういう政治的な問題になってきたと思いますから、政府を挙げてぜひ積極的に、もう大臣も飛んでいってでもやるぐらいのつもりで、また与党としても、それは当然そういうこともお考えになっていると思います。

 また、きょう、我が方の神崎代表も、議員外交としてもうこれはすぐアメリカに議員団を派遣してでもやるべきだということを、先ほど我々の代議士会の席でもおっしゃっておりましたから、我々も挙げてそういう形で、いろいろな形、パイプ、ルートを通してアメリカに働きかけをしプレッシャーをかけていく、こういうことが大事かと思いますので、どうぞその先頭にひとつ立っていただくようよろしくお願いしたいと思います。

 PCBの問題でお尋ねいたしますが、私は、今回のこのPCBの処理というのは、非常におくれたとはいえ、二十世紀の負の遺産をここでひとつ大きくけじめをつけるという意味でこれは大変いいことだと思っております。

 そういう意味で、これはやらなきゃならない当然のことでありますからやっていくわけでありますが、そのやり方の中で、環境事業団というものをてこにしてやっていくということになりますと、行革の精神からいって、特殊法人に対する新たな業務を加えるわけでありますから、行革を今やろうとしていることと、また一つ新たな事業が入るということとで、国民の目から見て、そこのところがどういうふうになっているんだろう、こういうことも問われると思いますので、そこをまず明確にする必要がある、こういう思いでおりますが、環境省の方はその辺のところはどういうお考えでしょうか。

沓掛副大臣 今回のお願いいたしております環境事業団法の一部改正は、人の健康及び生活環境に係る被害を生じさせるおそれがあり、社会問題化いたしておりますPCB廃棄物について、国として緊急に処理体制を確保するため、その適正処理推進のための特別立法と一体として、事業団の事業にPCB廃棄物処理事業及び処置費用の助成を行う事業を追加するものでございます。

 これについて、行革等との関連を先生今お話がございましたが、今回事業を追加するに当たりましても、従来のスクラップ・アンド・ビルドの原則に基づきまして、国立・国定公園複合施設建設譲渡事業を環境事業団が事業としてやっておりますが、これを廃止するとともに、今度加えます新規事業につきましても、時限的に廃止も含め見直しすることといたしております。

 さらに、政府におきまして閣議決定された行政改革大綱がございますが、これにおきましても特殊法人の抜本的な見直しをすることを指示されておるわけでございますので、その行革大綱に基づき、環境事業団についても、今回業務追加されるPCB処理事業も含めて、時代のニーズに対応すべく、常にスリム化を頭に置きながら必要な見直しも行っていきたいというふうに考えております。

田端委員 昭和四十三年ですか、カネミ油症事件があった、以来三十年という長い月日がたって今日に至っているわけでありますが、先延ばししてきたという意味では大変責任は重いと思います。その間、トランスやコンデンサーの紛失・不明が一万一千台、あるいは未報告が一万五千台、こういうことでありますから、こういったものが環境にどういう影響をもたらすかということも大変懸念されるところであります。

 それで、昭和四十八年に経済産業省の所管になって設立された財団法人電気絶縁物処理協会でございますが、これが正直言って本当にどこまで何をやってきたのかということが感じられるわけであります。

 実際、実務として成果を残していないということになれば、ここは天下り先だったのかというふうに、また国民から批判があったとしてもやむを得ないような面もあるわけでありますから、そういった意味で、ここが一体どういうことをしてきたのか。管理義務というものを、管理体制がきちっとできていたのかどうか、また通産省もそういうことがチェックできていたのかどうか、ここのところが非常に問題になると思います。

 そういった意味で、今言いましたさきの環境事業団のことも含めて国民はそういったことに注目しているわけでありますから、まず、この電気絶縁物処理協会、これはどういうことをしてきたのかをはっきりとしていただきたい、こう思います。

 特にこの間、四十八年に設立されて今日に至るまで、三十九戦三十九敗と言われていますが、三十九カ所で処理施設の折衝に当たったけれども一カ所も実現しなかったという、これは本当に残念な経緯であったというふうに思わざるを得ません。

 したがって、私は、この財団そのものの存在にもかかわる今までの経過ではないかなということを思っておりますが、これについてお答えいただきたいと同時に、今後、この無害化処理について、本当に地元住民に理解されるような、そういう具体的な方法というものをお持ちになっているのかどうか、そこのところをお答えいただきたいと思います。

竹本大臣政務官 公害追放運動に大きい足跡を残しておられる田端先生、本当に私はふだんから大変その道において尊敬をさせていただいておるわけでございます。そのような先生の御質問に対してお答えをいたすわけでございます。

 御承知のとおり、PCB廃棄物は、廃棄物処理法によって、特別危険なものという意味で特別管理産業廃棄物に指定されておりまして、それは、排出者責任の原則のもとに、所有者に適正管理が課せられておるわけでございます。したがいまして、PCB使用機器を紛失した場合には所有者の責任になる、こういうことでございます。

 ところで、我が省といたしましては、このような義務を所管産業に周知徹底するといった観点から、従来より地方経済産業局あるいは事業者団体を通じまして適切な管理の指導を行ってまいりました。

 また他方、今お話ありましたPCB協会からも、適切な保管に係る注意喚起もしてまいったわけでございますけれども、御指摘のとおり、これまで多くのトランス、コンデンサーが紛失・不明となってきておりまして、まことに遺憾と思っているところでございます。

 今回のPCB処理特別措置法案によりまして、こういったPCB廃棄物の政令で定める一定の期間内における処理が事業者に義務づけられることになりますけれども、経済産業省といたしましても、国民の理解と協力を得ながら、PCB廃棄物の処理が円滑に進むよう、処理施設の整備に関し、環境省と密接に協力してまいりたいと思っておるわけでございます。

 いずれにいたしましても、PCB協会の事業を全面的に支援する中で、我々はできるだけいい結果が出るように努力をしてきたことだけは御認識いただきたいと思うわけでございます。(田端委員「財団法人の答弁は」と呼ぶ)

 財団法人の存在が通産省出身の天下り先になっているのじゃないかという御疑念があるかとは思いますけれども、実情をちょっと調べてみますと、この協会の幹部といたしましては、現在、非常勤の理事長が一名、常勤の専務理事が一名就任しているところであります。

 そういう意味では、関係のある財団でございますけれども、単なる天下り先としてその存在を許容してきたわけではなく、それなりの仕事をさせてきたという認識をいたしております。

田端委員 いや、私は、要するにこの三十年間、この財団法人は何をやってきましたかということを率直に聞いているわけです。

 そこのところがはっきりしないで、三十年間、三十九カ所ですか、いろいろお願いしたけれどもだめだった、こういうことになっているわけですから、そういう財団法人がそのまま今後続いていくのかどうか、そういうことも問題でありますから今までのことをきちっと報告してくださいと言ったのですが、お答えがなかったので、非常に残念であります。

 これは、そういう意味では、財団法人そのものも問題ですが、そこを所管している経済産業省、当時通産省になると思いますが、やはりこれは大きな問題だと思います。では、これは追ってでも私の方に御報告いただければと思います。これは、そういう意味では、国民は非常にこの電気絶縁物処理協会というものの存在そのものにすら懸念せざるを得ない、こういうことでありますから、ぜひ経済産業省においてお考えいただきたいと思います。

 では、PCBの処理施設をこれからどうするかということについて、大まかに全国で五、六カ所ぐらいは何とかしたい、こういうことのようでありますが、そこのところは環境省はどういうふうにお考えになっているのか。

 その一つの有力な候補地が北九州市ということで、先般、私も現地へ行かせていただきましたが、市長も前向きにお考えになってくださっているようでありまして非常にありがたいと思いますが、これに続くところをぜひ環境省は、さっき申し上げたように、財団法人が三十九戦三十九敗というふうなことになっているということは、いかに住民の理解が得られていないかということですから、環境省が汗をかいて、そして全国に五カ所なら五カ所、六カ所なら六カ所をやっていかないと、これは三十九万台もある長期保管分を処理するわけですから大変なことだと思いますから、ぜひそういった意味で頑張っていただきたい、こう思うわけです。

 それについてちょっと申し上げたいことは、やはり最初のスタートが大事ですから、北九州市とよく話し合っていただきたい、こう思います。そういう意味で、先駆的に手を挙げてくださっているここを国としてやはり支援をしてあげなければならないだろうと思います。北九州市で成功するか否かが今後のことにも大きく影響します。

 そういった意味で、今後の問題として、廃棄物処理の問題とPCBの処理施設とセットで研究、研修する、そういう施設を北九州市に、政府として応援することがあれば応援してあげてもらいたい、これが一点です。

 二点目は、難分解性の有機汚染物質ですから、これに関する廃棄物処理ということで特に研究を行う施設のフォローアップを国としてやはり北九州市にする必要があるだろう。

 それから、その事業を円滑にするためには、輸送のインフラ整備とか周辺の環境整備とかいったことも一体的にやらないと周辺住民との問題が出てくるんだろうと思いますから、ぜひここのところもお考えいただきたい。

 もう一つ、四点目に、地域経済の活性化につながるようなことを考えて側面的な応援をしなければならないだろう、こういうふうに思うわけです。

 以上四点ばかり申し上げましたが、地元と話し合ってみると、そういったことがやはり要望として出てまいりますから、そういうことについて環境省としてのお考えをお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 委員ただいまおっしゃられましたように、これは日本で初めての施設となりますことから、地元の方の御支援、御支持、御理解が非常に重要であるということでございます。

 私も、末吉市長と一度お会いさせていただいて、このお話をさせていただく機会がございました。末吉市長からもいろいろ御要望がございましたけれども、私どもは、今委員がおっしゃった研究・研修施設の設置につきましては、環境省といたしまして予算を今年度、地域環境拠点施設整備事業ということでとってございまして、その一環として、できる支援をこの中でさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、輸送インフラあるいはその周辺の環境整備についても、地元の方とよくお話をしまして、関係省庁と御相談をしながら、環境省としてできる支援策を講じていきたいと思っております。

 それから、地元の経済の活性化ということにつきましても、北九州市はかねてよりエコをその活性化の一つの軸として置いていらっしゃっていろいろお考えでいらっしゃいますので、その一環として、お考えの目的に沿うような事業になるのではないかというふうに思っております。

田端委員 あさってから四月一日になるわけですが、今年度、ことし一月六日に環境省がスタートし、そして循環型社会形成推進法が施行され、四月一日からその個別のたくさんの法律、例えばグリーン購入法とか家電リサイクル法とか食品リサイクル法等が施行になるわけであります。こういう個別法がいよいよ動き出して、一体的に循環型に日本は大きくいくぞ、こういうことになるわけですが、しかし、そこでいろいろなトラブルといいますか摩擦といいますか、事態が懸念されるわけであります。

 そういった意味で、一つは、私は、まず関係の閣僚会議といいますか、循環型社会形成に関する閣僚会議、ここのところがしっかり横の連携をとっていただいて、環境省がリーダーシップを発揮していただいてやっていかないと、個別法がいろいろ動き出した場合に、ばらばらになっていくといいますか、いろいろな矛盾が出てくるんじゃないか、そういう心配をしておりますので、ぜひこの閣僚会議を早期に開いていただいて、そして意思統一をまずやっていただきたい、これが第一点です。

 「環(わ)の国」会議というのは、大臣やっておられるのはよくわかりますが、それとは別に、実際に実務が進むわけですから、そういう意味で大臣のリーダーシップを発揮していただきたい。

 もう一点は、この家電リサイクル法ができて、今駆け込み需要ということで大変な売れ行きだと思いますが、例えば、今売れた分で廃棄された家電製品は四月一日の分からには該当しませんね、かかってきませんね。だから、今ストックされて倉庫にある分が一体どうなるのか。これはもう大変なことじゃないか、こう思います。

 そういう意味で、これは経済産業省の方にもなるんだと思いますが、これは大変な分量のものが今あるわけでありまして、例えばこれが、もし不法投棄なりという事態が四月一日以降いろいろ出てきますと、これは今のやり方、方式がいいのかどうかという根本的な問題にも私はかかわってくると思います。例えば、家電四製品が四千円から五千円、六千円、七千円ぐらい運搬費も入れてかかるということでありますから、排出時に金を払うんだったらもう黙って捨てちゃおうという人間の心理が働くわけでありますから、そういった意味で、私は、これは非常に危惧をしております。

 以上、二つ申し上げましたが、環境大臣あるいは経済産業省、そこのところをお答えいただきたいと思います。

竹本大臣政務官 平成十年の家電リサイクル法の導入時に、既に家庭内で使われている三億台の家電製品があったわけでございますけれども、リサイクル料金を徴収するという観点からいきますと、いろいろな、産業構造審議会あるいは生活環境審議会の報告も踏まえて、廃家電を引き取る際に排出者に対して料金を請求する、この基本を確立したところでございます。

 そういう意味で、家電リサイクル法におきましては、小売業者に対しまして、廃家電を引き取り製造業者等に適切に引き渡す義務を課し、他方、製造業者に対しましては、廃家電を引き取り適正にリサイクルする義務を課しており、不法投棄のないよう適正なリサイクルの仕組みをつくったわけでございます。

 こういう義務を履行しない事業者は、命令、罰則の対象となっており、これにより、廃家電が廃棄されずに、うまく、適正にリサイクルされることを我々は期待しておるわけでございます。

 また、小売業者が確実に廃家電を製造業者等に引き渡すようマニフェスト制度も整備しております。

 さらに、不法投棄防止のためには、本制度について消費者、事業者の理解を得ることが必要不可欠でございます。そこで、環境省や自治体等とも連絡をとりながら、いろいろな広報活動の周知徹底を図っておるわけでございます。

 我々としては、これでうまくいくだろうと思っておりますけれども、先生御指摘のとおり、四月一日から新しい法制度が施行されます。そういった中で、今までとの違いによる、言ってみれば過渡期の措置に対して十分かという御懸念だと思いますけれども、この問題に関しましては、小売業者が家電リサイクル法の施行前に排出者から引き取った廃家電につきましては、家電リサイクル法に基づく製造業者等への引き渡し義務の対象とはならず、従来どおり、小売業者により廃棄物処理法に基づく適正な保管及び処理がなされることとなるわけでございます。

 我が省といたしましては、環境省、地方自治体と連携をとりながら、これらの廃家電が廃棄物処理法に基づき適正に処理されるよう適切に指導してまいりますけれども、要は、基本は、市民の中に、このリサイクル循環型社会を十分に理解し、それを道徳として、倫理として守っていく心構えができるかどうかにこのシステムの成功の成否がかかっていると我々は認識しておるわけでございます。そういう意味で、思想の普及ということになお一層適切に、強力に努力をしてまいりたい、そのように思っておるところでございます。

川口国務大臣 二つ御質問がございまして、一つが、循環型の社会をつくっていくための閣僚会議ということでございました。

 田端委員には、循環型社会形成につきましてはかねてよりさまざまなお教えをいただいておりまして、非常に学ばせていただくことが多いわけでございますけれども、「環(わ)の国」会議についてはもう触れませんけれども、このほか、循環型社会形成推進基本法に基づいて基本計画を策定するということになっておりまして、この基本計画の策定の過程において、各省それから関係の大臣とは十分に御相談をさせていただくということでございまして、そういう枠組みでやっていきたいというふうに考えております。

 もう一つの、家電の不法投棄につきましては、ただいま経済産業省の大臣政務官からお答えがあったことでかなりカバーされてしまうわけでございますけれども、私からも、この不法投棄を防止するという点から、消費者の方がこの制度をよく御理解いただいて、消費者が負担をすることが大事なんだということを認識していただくことがやはり大事でございますので、その普及啓発に努めていきたいということ。

 それから、不法投棄につきましてはさまざまな、今大臣政務官がおっしゃったマニフェスト制度もございますし、地方公共団体によるパトロール等もございますし、その他、廃棄物処理法につきましては、罰則の強化ですとか監視体制の強化、警察との連携強化、いろいろ手段をとっておりますので、環境省といたしましても、こういった点で、廃家電の回収を行う小売業者による不法投棄がないように努めていきたいと思っております。

田端委員 終わります。ありがとうございました。

五島委員長 樋高剛君。

樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも発言の機会を賜りまして、本当にありがとうございました。大臣、副大臣、政務官、大変にお疲れさまでございます。平素の御活躍に心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。

 さて、京都議定書の話であります。

 きょう午前中から大臣のお話も伺ってまいりました。アメリカに対しても一生懸命働きかける、それはもう当然だと思います。私が考えまするに、各国と協調しつつ一生懸命努力をする、それはもちろん当たり前な話なのでありますけれども、一方で、日本としてどうするのか、日本がどうするのか。京都議定書をある意味で日本がむしろ一方的に締結をするぐらいの、約束を守るぐらいの気持ちを世界各国に表明してこそ国際世論というものは逆についてくるのではないかというふうにも考えるわけであります。

 そんな中で、大臣は環境先進国ということを表明なさっているわけでありますから、しかも、今いろいろな先生方からも発言がありましたとおり、環境省に対する期待、これは日本国内のみならず外国からも大きく期待されているものだと私は思うわけでありまして、こういうときこそ早い段階で、手紙だけではなくて、例えばアメリカに、いろいろな諸問題はあるでしょうけれども、大臣がみずから訪米してでもすぐ働きかけを行う必要があるのではないかと私は思います。実際に行けるかどうかは別問題としまして、大臣として、できますればそうなさいたいお気持ちがおありかどうか、まず先にお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、小林(守)委員長代理着席〕

川口国務大臣 アメリカの動きにつきましては、私としては大変に懸念をいたしております。

 総理の書簡あるいは私から環境保護庁長官への書簡というのもございますし、その他、できる限りの働きかけをしていく必要があると思っております。また、先ほどは田端委員から、議員の派遣のお話も党内であったというお話が御質問の際にございまして、さまざまな動きを日本としてしていかなければいけないというふうに思っております。

 日本といたしましては、二〇〇二年までの発効を目指して最大限の努力をするというポジションには変わりございませんし、それから、国内的にその担保をする措置の構築に全力で取り組むということにも変わりございません。

 委員がおっしゃっていただきましたように、私自身も、もしも可能であればすぐにもアメリカに行って働きかけをしたいと思う気持ちでいっぱいでございます。現在、PCBの法案の御審議をお願いいたしておりますので、それが先行するかと思いますけれども、何とぞその御審議を早くしていただきまして、国会のお許しが得られれば、早速にでも行きたいと思っております。

 それから、四月の二十一日に、ニューヨークで国連の持続可能な開発の委員会がございまして、その際に環境大臣のこの温暖化問題についての会議があることになっておりますので、私といたしましては、ぜひ国会のお許しをいただいてこの会議に出席をさせていただきたい、そこで全力を尽くして働きかけをしたい、そういう気持ちでいっぱいでございます。

樋高委員 私自身も、この問題、早く成案を得て、環境問題は国際問題でありますから、大臣の今の本当に前向きな気持ち、素直におっしゃっていただいたお気持ちに対しまして、本当に改めて敬意を表しますし、ぜひそうなれるように私自身も努力をしてまいりますので、どうか頑張っていただきたいと思っております。

 それから、きょう午前中の大臣の答弁の中で、そもそもブッシュ大統領は、選挙のキャンペーンの最中から実は京都議定書の中身につきましては反対を表明していたということをおっしゃっておいででありました。ということは、今回、公式にそれを発表なさったにしても十分予想できたわけでありまして、予想できていた、そしてそれが発表になったからといってそれで慌てて対策を打つというのでは、これは環境先進国とは私は言い切れないんじゃないかと思います。

 予想されていたわけですから、むしろその前に、総理が先般訪米なさったわけですけれども、そのときにも総理から一言、例えば、こういうことを選挙中おっしゃっておいででしたけれども、やはり日本で開いた京都の環境の議定書の問題はきちっとやりたいのでということで、きっと大臣から総理にそのようにおっしゃってアドバイスをなさって、それで総理大臣がブッシュ大統領におっしゃったとは私は思いますけれども、大臣、その辺はいかがでしょうか。

川口国務大臣 共和党の選挙の綱領におきまして、京都議定書を支持しないということは、先ほど申しましたように出ておりました。それであればこそ、ハーグにおきまして、民主党の政権のときに、できるだけ合意に達すべきであるというふうに、実はアメリカも含め考えまして、合意のための努力をいたしましたけれども、最後の段階でジグソーパズルのピースがうまくはまり込みませんでうまくいかなかったということは、私にとっても実は大変に残念なことでございました。

 アメリカの選挙の綱領がそうであれ、その後政権について実際に政策を担当するということになったときに、その綱領でうたっていたことが変更されるということは過去にも数々例があることでございまして、今ブッシュ政権においても現に、環境の観点からいいますと、逆の方向で一つあったわけでございますけれども、選挙中に、他国の選挙の争点となるべきさまざまなことについて外国から発言をする、働きかけるということは、これはすべきではないことだというふうに私としては思っておりました。

 ということで、ブッシュ政権が誕生いたしまして、温暖化の政策については真剣に取り組むということを言っておりまして、閣僚レベルでの検討が今続いておりますので、その結果、いい結果が出るように私としては精いっぱいの働きかけを行いたいと思っておりますし、そのときのベースというのは京都議定書以外にはあり得ないと私としては考えておりますので、そういう方向で働きかけをしたいと思っております。

樋高委員 ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、これは、委員の先生方と皆さんと本当に力を合わせて、総力を結集して頑張っていかなくてはいけない大変な問題だと思っております。

 さて、今から三十年以上も前に起こったカネミ油症事件におきましては、そもそもPCBの入ったライスオイルによりまして、全国で一千八百人を超える方々の皮膚に黒変ができたり発疹ができたりの症状が生じまして社会問題になったわけでありまして、当時からPCBの危険性は指摘されておりました。そのために、今までも大臣にも質問をさせていただきましたけれども、国によりまして、製造中止になった、行政指導が行われた。しかし、PCB廃棄物の処分については、その後、処分促進のために有効な措置が講じられないまま、三十年もの長きにわたりましてそれぞれの事業所において保管が続けられ、今は行方不明になっているものもあるということのようであります。

 今回、PCB廃棄物の保管、処分について、届け出を義務づけることにより状況を把握するとともに、一定の期限を定めまして、その早期の処理、早い段階で処理を図ろう、そういう方向性自体はまことに結構なことだと思っております。しかし、三十年もの長きにわたりまして早期処理を確保するための措置を国が講じなかったこと自体が問題であると思っております。もちろん、努力してきたんだよ、そのことも重々わかっての上でそう思うわけであります。そして、なぜ早期処理、三十年できなかったかということにつきましては、以前大臣から御答弁をいただいております。

 そこで、私考えるわけなんですけれども、そもそも今から約十年前、平成四年であります。当時の厚生省によりまして、PCB廃棄物の保管状況調査が実施されまして、厚生省はPCB廃棄物の状況を把握なさっておいででありました。約十年前であります。一方で、今から三年前、平成十年でありますけれども、化学分解法がいわゆる廃棄物処理法に基づく処理基準として位置づけられました。化学分解法によるPCB廃棄物の処理が完成をした、確立をされたということであります。

 したがいまして、少なくとも平成十年には、実はPCB廃棄物の処理の義務づけが可能であったというふうに考えるわけであります。その間、今もう平成十三年でありますから、三年たったわけであります。このときに義務づけをしておけば、実は昨年見られたような、小学校で蛍光灯が破裂してPCBが小学生に降り注ぐといった事件も起こらなかったのではないかと私は考えるわけであります。

 したがいまして、なぜ平成十年に、今から三年前でありますけれども、PCB廃棄物特別措置法案のような、今回のような法案をもっと早期に提出しなかったのかにつきましてお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 委員おっしゃられますように、平成十年度に、PCBの処理方法として化学分解法による処理方法がきちんと位置づけられたわけでございます。その時点でなぜその制度を、今日審議をお願いしているような制度を考えなかったかということでございますが、平成十年のこの時点での考え方といたしましては、化学分解による処理方法を追加することによりまして、事業者が処理をするときの選択肢をより多く持ち、それによってその取り組みが促進されるという形で処理体制の整備を考えていたということでございます。

 それから、ミレニアムプロジェクトというのがございまして、そのミレニアムプロジェクトの中で、民間企業がPCBの処理施設を整備するときに補助をするということにいたしまして、事業者による取り組みの支援に努めたということでございましたけれども、今までのところ、結果的には、一部の大企業が取り組みを進めたという程度にとどまっております。

 このままでいきますと、PCB廃棄物が引き続き放置をされるということになりますので、ここで本格的な処理体制を整備するということが必要で、それによって確実、適正、それから早期にこの処理が行われるということを考えまして、現在二つの法案の審議をお願い申し上げている、そういうことでございます。

樋高委員 要は、その三年間の間にもしかしたら不法投棄された数を考えてみますと、ここ三年間というのは私はとても大切であったと思いますので、今からではもう三年前にさかのぼることは不可能でありますから、早くこれをきちっと成案を得てやらなくてはいけないと思うのでありますけれども、今回これを一つの教訓にしていただきたい。後手後手、後回しにするのではなくて、むしろ先手先手を打って、早く、先を見て、先見性を持って、もっと早く今回の法律案が出るべきであったのではないかということを表明させていただきます。

 さて、PCB廃棄物を確実に処理するためには、まずその前提といたしまして、PCB廃棄物がどこにどれだけあるかを把握することが不可欠であると思います。PCB廃棄物を保管する事業者、台数につきましては午前中もお話がありましたけれども、全国で一体どれだけあるのか。事業者の数、そして幾つの事業所で不明、行方不明、紛失となっておいでであるのかという点。

 そしてもう一点、PCB廃棄物特別措置法案によりまして、PCB廃棄物を保管する事業所は都道府県知事への届け出が義務づけられるというふうになっているわけでありますけれども、対象となる事業者すべてにきちんと、一事業所残らずきちんと届け出を出させることが本当に可能だと思っていらっしゃるのか。法律ができても実効性がなくてはだめだと考えるわけであります。

 そもそも、これを届け出をするということは、いずれ自分たちの会社で、事業所で費用を負担するということをむしろ宣言するようなものでありますので、現実問題として、処理費用の負担を嫌って届け出すら行わない事業者もあるのではないか。もちろん罰則もあるのもわかっておりますけれども、現実問題としてあるんじゃないかと私は懸念をするわけであります。

 その二点につきまして、大臣、いかがでしょう。

川口国務大臣 まず最初のお尋ねの、どれぐらいあるのかということでございますけれども、昨年の七月に旧厚生省が取りまとめました平成十年度の調査結果によりますと、PCBを含む高圧トランス・コンデンサーは、全国約四万事業所において約二十二万台保管をされておりまして、PCB入りの廃感圧紙は、四百五十六事業所におきまして約六百五十トンが保管をされているということでございます。

 それから、紛失の状況につきましては、平成四年度の調査によりますところの保管台数の四・一%、これは高圧トランス・コンデンサーですけれども、四・一%に当たる約五千台、PCB入りの廃感圧紙につきましては、重量でいきまして約一・五%の約九トンが紛失をいたしております。

 それから、未報告であったものがございまして、高圧トランス・コンデンサーにおきましては約一万五千台、廃感圧紙においては約九トン、未報告でございました。

 それから、届け出になっているけれども届け出を果たして事業所がきちんとやるだろうかという御懸念でございますが、これは届け出が義務づけられているということでございまして、この届け出義務を履行していただくために、不履行あるいは虚偽の届け出などにつきましては、懲役刑を含む重い罰則が設けられております。これは六カ月以下の懲役または五十万円以下の罰金ということになっておりまして、これによりまして確実な把握が行われるというふうに考えております。

 ただ、法律の成立後、確実に届け出がなされますように、環境省といたしましては、事業者へのこの点の周知に万全を尽くしたいと思っております。

樋高委員 保管などの状況の届け出の義務づけをする、PCB廃棄物の存在状況が明らかになる、また、こうした事業者には、政令で定めて一定の期間内にPCB廃棄物の処理が義務づけられるということのようでありますけれども、PCB廃棄物は、長期に保管すればするほど実は紛失、環境中への漏出のおそれが高まっていくわけでありまして、可能な限り早い段階で処理することが必要であると考えるわけであります。

 事業者にはどれくらいの期間のうちにPCB廃棄物を処分することを義務づけることと考えていらっしゃるのか、また、その期間設定の考え方はいかなるものであるか、お答えをいただきたいと思います。

川口国務大臣 処理の期間でございますけれども、これは、まず、その処理体制の整備状況などを勘案して、政令で定める期間ということでございまして、これが実行できないような過重な負担を事業者が背負うことになってはいけない、合理的な期間ということでございます。考え方としてはそういうことでございます。

 この政令で定めることになる期間は、現在のところ、平成二十八年ごろまで、ということは十五年間、十五年後ということでございますけれども、その期間とすることが妥当ではないかというふうに考えておりまして、これは、処理施設を整備するのにおおむね五年ぐらいを努力目標にして整備を進める、その後おおむね十年程度を目標に処理が完了するということを考えております。

 今後、十五年後にはPCB廃棄物の処理が完了するような方向で最大限の努力をしてまいりたいと思います。

樋高委員 政令で十五年以内、これは、法律案が成立をしまして一カ月後に施行になって、それから十五年以内に処理をする。私は、いろいろな事業所にもよりますけれども、きっと中には、廃業になったりいろいろ事業転換をなさったり、もしくは場合によっては倒産になるケースが十五年の間には相当数出てくるではないかと思うわけでありまして、今までの教訓を考えまするときに、政令で定める一定の期間内、この法律案にも書いてありますけれども、それが今から十五年、五年かけて設備をつくってそれから十年以内にいわゆる処分をするというのでは、ちょっと余りに期間が長過ぎるのではないかなと思うわけであります。

 しかも今回、期間内の処分の義務を果たさなかった場合は一たん改善命令を出すという話にもなっております。この改善命令も、期間を定めてということでありますけれども、実態として本当にこの法律案、せっかく成案になっても中身の伴った形になるのかどうか、ちょっと疑問になってきた次第であります。

 そもそも、このPCB廃棄物特別措置法によりまして義務づけられた一定の期間内には、遅くとも国内のすべてのPCB廃棄物の処分が終わっているべきことは当然でありますけれども、処分をしていない事業者には、そういうことを考えるのであれば、一つの危機管理でありますから、もう即座に罰則を適用すべきであると私自身考えるわけであります。今までも廃棄物処理法によりまして、第十九条、措置命令、これが発令になってからその後いわゆる罰則に至ったというのは、なし崩し的になかなかなかったと伺っております。

 したがいまして、今回の法律案を本当に中身のある実効性のあるものにするためには、この法律案におきましては、改善命令などという悠長なことを言っているのではなくて、むしろ即座に罰則が適用されるべきだと私は考えるわけでありますけれども、いかがでしょうか。

    〔小林(守)委員長代理退席、委員長着席〕

川口国務大臣 委員がおっしゃられますように、期間内の処分義務に違反をした場合には、環境大臣または都道府県知事が期限を定めて処分を命ずることとするということでございまして、この命令に違反をした場合は罰則が適用されるということでございます。

 直ちに罰則を適用するということではなくて、改めて期限を定めて改善命令を出すということは、個々の事業者の持っている資力なり保管の状況に応じた柔軟な対応を行うことで確実かつ適正に処分が行われることが可能になるというふうに考えております。

 この改善命令に対して違反をいたしますと、三年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金またはこれらの併科ということでございますので、先ほど申し上げました罰則よりもさらに重い、非常に重い罰則がかかるということでして、これで命令の履行というのは担保されるというふうに考えております。

樋高委員 一万一千台でしょうか、既に紛失・不明分、もう現に存在をしているということでありますけれども、それについてはどのように対応していかれるおつもりでしょうか。

川口国務大臣 今までの調査によりますと、委員がただいまおっしゃられましたように、高圧トランス・コンデンサーにつきまして、一万一千台が紛失・不明となっております。これらにつきましては、現在、紛失・不明の実態の把握と原因を究明する調査を行っております。

 この調査は、紛失・不明というのが再発する、今後起こることがないように、それに役立てるためのものですけれども、調査を通じまして仮に不法投棄がなされたということが明らかになりますと、廃棄物処理法の規定に基づきまして、刑事告発を行って厳正に対処していくということになります。

 それから、紛失・不明とされているものにつきまして、実際に不適正に処分をされているものにつきましては、廃棄物処理法に基づきまして、原状回復なり適正な処分を実施するように都道府県知事が措置命令をかけることができるようになっておりますので、そういったことで対応することも考えられます。

樋高委員 政令で定める施行日は、公布の日から一カ月間のようでありますけれども、この一カ月間の間に不法投棄されるのではないかと私は考えるわけであります。法律をつくってそれを実際に施行するまでは最短が一カ月だそうでありまして、そういう部分ではよく努力なさっているとは思うのでありますけれども、むしろこの一カ月間の間に不法投棄が殺到するのではないか。そうならないようにこの一カ月間、ある意味では、地方公共団体、またさまざまな団体と連携をとりまして監視をきちっと強化すべきではないかと私は本当に純粋に思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 委員のおっしゃられるとおりでございまして、この一カ月間の間にそういうことがあってはならないというふうに私どもも考えます。ということで、そういうことがないように、この法律におきましては、できるだけ短く、一カ月という期間で施行するということでございます。

 それから、PCB廃棄物の不法投棄につきましては、先ほどもちょっと申しましたが、廃棄物処理法で五年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金またはこれらの併科ということになっておりますし、法人では一億円以下の罰金ということで非常に重い罰則が設けられておりまして、抑止が図られるということでございます。

 それから、繰り返しになりますが、都道府県知事が措置命令を行うということが不法投棄をされた場合にはできますので、これで生活環境の保全が図られるということかと思います。

 不法投棄の監視につきましては、パトロールの強化ですとか監視体制の強化ですとか、さまざまな形で現在取り組んでおります。環境省においても、都道府県の監視事務に対しての補助を行ってこの支援に努めてきているところでございます。

 こういった形で、廃棄物処理法を厳格に運用すること、それから都道府県による不法投棄の監視強化が行われるということで、この法律の施行前の不法投棄に対して、それを防止するということに努力してまいりたいと思います。

樋高委員 特に監視体制につきましては、大臣が先頭に立ってリーダーシップをとって、せっかくすばらしい法律をつくったとしても、それまでに不法投棄がなされたのでは意味がないわけでありまして、しっかりと頑張っていただきたいと思います。きょうはありがとうございました。

五島委員長 藤木洋子さん。

藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。

 きょうは、法案の事業者の責務についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 PCB廃棄物処理特別措置法案の第三条、事業者の責務では、事業者は、そのPCB廃棄物をみずからの責任において確実かつ適正に処理しなければならないとしております。また第四条の、PCBを製造した者等の責務として、PCBを製造した者及びPCBが使用されている製品を製造した者は、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理が円滑に推進されるよう、国及び地方公共団体が実施する施策に協力しなければならないと規定しています。

 そこで、カネミ油症事件を引き起こしました鐘淵化学やPCB入りの製品を大量に使用した関西電力が、製造者等の責任としてPCB廃棄物を確実かつ適正に処理しようとしているのかどうかという問題で伺いたいと思います。

 まず、鐘化なんですけれども、こちらはPCB製造者として十分な責任を果たしているのかという問題であります。

 これは、八六年から八九年まで五千五百トンの高温熱分解処理をしてまいりましたけれども、この処理による残渣などを大量に保管しております。例えば、ろ過ケーキ二十七万四千八百三十三キログラム、廃活性炭が一万五千六百キログラム、固形状廃軽油が六千百四十九キログラムなど三十万四千二百六十二キログラムとなっております。そのほか、PCB固形物二十一万七千七百六十一キログラム、PCTが四千七百六十一キログラム、廃白土九千七十八キログラムなど二十六万三千八百五十二キログラムが今なお保管されているわけです。その合計は実に五十六万八千百十四キログラムで、ドラム缶に直しますと三千二百五十七本、ケース缶にすると六十九本分に上っております。

 ところが鐘化は、みずからの責任で処理しようなどとは全く考えておりません。どうするんだと聞きましたら、国の処理方針を待って、風頼みといいますか、委託をするだけ、そういう姿勢になっているわけです。

 私は、そういう製造者の責任として極めて問題があるのではないかと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 私は、今委員がおっしゃった数字の細かい内訳については存じておりませんけれども、考え方といたしまして、この法律は、PCBの廃棄物を保管する事業者に対しまして、政令で定める期間内に処理をすることを義務づけているということでございまして、事業者はその期間内に、みずから施設を整備して処分をするか、あるいは環境事業団などのPCB廃棄物を処理する事業を行っているところに処分を委託する、どちらかをしなければいけないということになるわけでございます。

 お話しの鐘淵化学工業において、どちらの方法によって処分をしていただいても結構でございますけれども、いずれにしても、その処理をするのに要する費用は全額企業に負担をしていただくということになりまして、その負担をなさることで鐘淵化学工業は企業としての責任を果たすことになるというふうに考えております。

 さらに、この法律におきましては、PCBの製造者に対しまして基金へ出捐をお願いするということで、国や地方公共団体の施策に協力する責務を規定いたしております。さらに環境大臣は、この基金への出捐を求めることとされておりまして、鐘淵化学工業も含めまして一定の出捐がなされますように、環境省においてもその要請に努めてまいりたいと思っております。

藤木委員 お金を出していずれかの方法で処理すればいいということでは済まないというふうに私は思うんですよ。それで製造者の責任が免れるというのはとても納得がいかないんです。

 といいますのは、もう既に処理を基本的にはしたと鐘化は思っていまして、その残っているものというのは、PCB汚染物の大半は固形物なんです。また、高温熱分解処理をしたプラントが密閉されたまま、今もそのまま残っているわけです。しかし、その固形物だとかプラントの処理方法というのは確立しておりません。現在、処理基準、それから運搬基準が決まるまでそのままの状態で置いておくということになっているわけです。

 絶縁油の分解処理については、確かにまだいろいろな問題があるにしろ、これは先行しておりますけれども、しかし、高温熱分解処理をしたプラントの解体方法であるとかPCB汚染固形物の処理方法についてはこれからの問題で、私は、とても二〇一五年までの処理は不可能ではないかというふうに思うのですが、できるのかどうか環境省の方でお答えくださいますか。

岡澤政府参考人 PCBの汚染物を含むPCB廃棄物すべてについては、この法律によりまして、期間内の処理が義務づけられることになります。ですから、鐘化の保有しておりますPCB汚染廃棄物につきましても、これと同じことだということです。

 御指摘の、鐘化でかつて廃PCBを処理したプラントの残渣の問題ですけれども、これは処理が終わった段階でこのプラントについてはクリーニングを行って、一応PCBは除去されたというふうに聞いております。

 プラントそのものはまだ解体されずにそこに建っているわけですが、プラントの解体方法につきましては、事前に汚染の程度を確認した上で、先般、豊能郡の美化センター、これはダイオキシン汚染の焼却施設でございますけれども、これの解体工事のケースで、解体工事のやり方を詰めてそれを実施したという実績がございますので、そうした経験も参考にしながら、鐘化自身が解体計画を策定し、これを解体し、その処理を期限内に行うということが必要だと思います。

 それから、技術的に処理する方法はないのではないかということでございますけれども、固形物からの洗浄分離、そういう方法については既に廃棄物処理法におきまして示されておりますので、そういう技術を使って付着しているPCBを除去し、その除去した液の方を化学処理なり適切な方法によって処理をするということで、技術的には処理をすることは可能だというふうに考えております。

 いずれにしても、解体後の廃棄物とかPCB含有固形物の処理については、排出事業者責任のもとで行うことになるわけですから、この排出事業者責任というのは、みずから行うか、または第三者に処理を委託するということによって達成されるというふうに考えておりますので、環境事業団に持ち込むことができる廃棄物であれば持ち込むこともできますし、また、他の処理事業者が仮に存在するというのであれば、そこに持ち込むこともできるし、そうでなければ、みずからが施設をつくってそれを処理しなければならないということになると思います。

藤木委員 今、残されたプラントはちゃんとクリーニングをされたものだというふうに言われましたけれども、そんなに危険なものでなければもう既に解体をしていても済んだと思うんですね。それが残されているというのが問題だと思いますね。ろ過ケーキだって二十七万四千八百三十三キログラムもあるわけですし、PCBの固形物は二十一万七千七百六十一キログラムですよ。その分解、洗浄処理方法というのは確立しているわけではないですよ。

 鐘化は国や他社の処理に依存している、それ任せということですからね。伺ってみますと、保管物の濃度も調査していないんですよ。自分だって全然知りません。これでは早急な処理などとても不可能です。PCBの濃度やPCBの様態によって処理方法も、それから処理時間も処理コストも大きく違ってくるわけですから、みずからの責任で確実かつ適正な処理ができるようにすべきだと思います。この点については後でお答えください。

 さらに引き続いてもう一つ、高砂西港の岸壁沿いに、東西にわたって四百メートル、南北に百三十メートル、高さにして五メートル、これ何だと思いますか。PCBの汚染ヘドロが七九年に積み上げられてから今日まで、そのまま保管といいますか置かれているわけです。このヘドロは鐘化や三菱製紙の工場がかつて排出したものでして、これを海底やら川底やらから引き揚げてきて積み上げているわけですけれども、この量が約三十万立方メートル、濃度は三三〇〇ppmとなっております。このPCB汚染ヘドロについても二〇一五年までに処理することになるんですか。

 この二つについてお答えください。

岡澤政府参考人 鐘化が保有しておりますPCB汚染廃棄物につきましては、それがどういう状況なのか、どういう濃度なのか、どういう状態なのかということについては、鐘化がみずから把握して適切な処理を行うべきものでございます。処理をみずからが行うか、第三者に委託して行うかは、これは処理責任を果たす上ではどちらでも差し支えないというふうに廃掃法で規定しておりますので、これは自分自身で実施するという必要は必ずしもない。しかし少なくとも、適切な処理を実施する上で必要な情報というものはみずから把握するというのは、ここまでは最低限必要だと思っております。

 また、PCB汚染ヘドロが保管されておるわけですけれども、これはPCBで汚染されたしゅんせつ土でございます。現在、薬剤固化処理を行った上でアスファルトで被覆されて、そこに保管されております。

 こうしたしゅんせつ土につきましては、廃棄物処理法で定める廃棄物ではございませんので、廃棄物処理法は該当しませんし、また、今回提案しておりますポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の対象となるものでもございません。しかしながらヘドロの、PCB汚染土砂の処理につきましては、他のPCB汚染物の処理技術と同様の技術を活用することが可能でございますので、関係部局と連携をとりまして、どのような対策を進めていくのか検討してまいりたいというふうに考えております。

藤木委員 そうすると、二〇一五年までにすべてのPCBをなくするということは頭から考えていないということになりますよね。

 私は、ヘドロの処理方法などは確かに確立していませんでしょうけれども、しかし、ぜひ製造者としての責任で、先ほど言われた、みずからで調査をして、どれだけのものが残っているのか、どれだけの毒性を持ったものを置いているのかという認識をしっかり持つような指導は厳しくやっていただきたいと思います。

 鐘化などの製造者等が十分な責任を果たしていないのに、国が直轄事業として環境事業団が地ならし的に処理していくというようなことをやりますと、汚染原因者負担の原則から見ても適切ではないというふうに思います。そういうものに依拠しているからみずから調べようとさえしていないわけですからね。ですから、PCB製造者、PCB製品使用事業者、PCB入り製品製造者に対して、PCB処理の責任を厳しく負わせるべきだということを私は申し上げたいと思います。

 本法案の第十五条、これは大臣に伺いたいのですけれども、第十五条にございます事業者の協力や出捐金、その程度ではとても十分とは言えないのではないでしょうか。今、鐘化のお話を私させていただきましたけれども、そんなことで責任を果たしたというふうにできるのかどうか、お答えください。

川口国務大臣 鐘化はPCBの製造者でもあり、同時にこれを保管する事業者でもあるわけでございまして、保管するPCB廃棄物を期間内に処理する、みずからするなりあるいは委託をしてするなり、いずれにしてもその費用を自分で負担してする義務を負っているわけです。同時に鐘化は、基金へ出捐をすることなどによりまして、確実かつ適正に処理が行われる、そのことを推進するために、国それから地方公共団体の施策に協力をしなければいけないという義務を負っています。

 環境大臣は、PCBの製造者の責任を、出捐をするなどの義務を持つ製造者の責務を踏まえまして、製造者に対して、資金の出捐その他の必要な協力を求めるということになっております。したがいまして、環境事業団に設けられるPCBの廃棄物処理基金への出捐など、製造者としての社会的責任が十分に果たされるように要請に努めてまいりたいというふうに思います。

藤木委員 カネミ油症事件を起こして、しかもみずから処理をするということで、これはもちろん環境省もお墨つきでやった高温熱の分解処理法なんですけれども、ここで二度やはり事故を起こしているんですよね。その事故を起こしたときに、こんな大変分厚い報告書をつくって、それに対して監視がどうだったのかという監視報告書まで出しているわけですね。しかし、少なくともみずからが製造したものについてはみずからの責任で処理をするんだという立場で実施を始めてきたところが、その途中で残ったものというのは引き続きみずからの処理をさせるという立場で追及しなければならないというふうに私は思っております。

 次に、関西電力のPCB廃棄物分解処理の問題でお聞きをしたいと思います。

 関西電力は、トランス内の絶縁油に含まれているPCBを新技術で処理する工場を大阪市此花区に建設する計画を進めております。関電は、トランス約十五万台から絶縁油約五万キロリットルを抜き取り、桜島埠頭の十一基のタンクに保管しております。この新工場では、現在まだ使用中のトランスを含め絶縁油約十万キロリットル、変圧器部材約二十四万台を対象にPCB処理を十三年間で行うとしております。

 PCBにはコプラナPCBが含まれておりまして、処理計画中の絶縁油は当然ダイオキシン類汚染物の処理になるわけですけれども、関電はこの点を全く明確にしておりません。不明確なままであります。ですから、もちろんこの絶縁油はダイオキシン類汚染物の処理でもあるというふうに私は考えますけれども、環境省、どうですか。

岡澤政府参考人 先生今お話ありましたように、PCBの中には不純物としてコプラナPCBが存在していることはよく知られています。その量は、製品によって違いますけれども、大体一%から一四%ぐらいというふうに言われております。

 関電の施設で処理しようとするトランスの絶縁油の中には、当然そういう意味で数%のコプラナPCBが含まれておりますので、PCBを処理するということは、結局ダイオキシン類であるコプラナPCBを処理するということと同じことになります。

藤木委員 しかし問題は、関電が処理をしようとしている絶縁油中にどれだけのPCBが含まれていて、その中のどれだけの量がダイオキシン類、コプラナPCBが含まれているのか、処理する工程でPCB及びダイオキシン類での環境汚染に対する対策や、火災あるいは爆発などに対する安全対策がどのようにとられているのか、私はここが問題だと思うわけです。

 関電は、こうした情報は全く十分な公開をしておりません。しかし、これはもともとダイオキシン対策法制定の以前にできたPCB処理計画でございまして、ダイオキシン類やコプラナPCBについての対策は欠落しているものではないかと思うのですが、いかがですか。

岡澤政府参考人 関電がまさに利用しようとしている処理技術につきましては、化学処理全般、旧環境庁、通産省、厚生省の三省の連携によりまして技術評価したものでございますけれども、この技術につきましては、専門家から、コプラナPCBを十分処理できる技術であるというふうな評価がされております。

藤木委員 PCBを処理するためにつくられたプラント、そのための技術、それはそうなんです。その当時はそうなんです。だけれども、PCBを分解するときに生ずるダイオキシンに対しての対応がなければ、今の時代、ダイオキシンを発生させてもいいということにはならないだろうという問題を申し上げているわけです。

 ですから、PCBについては、体重一キログラム当たりの一日摂取量が設定されていますけれども、これはマイクロでしょう、五マイクロですし、ダイオキシン類の一日摂取量の基準、これは四ピコですよね、ピコですよね。そうすると、この四ピコに対して、PCB対応でいくと百二十五万倍緩いということになるわけですよ。それを放置しておいていいのか、これは大変な問題になるだろうということを私は申し上げているわけです。

 関電によりますと、現在、埠頭タンクに保管中の絶縁油約五万キロリットルの中のPCB濃度は数ppmとしておりまして、東京電力などの絶縁油のPCBより濃度が小さい、こう言っておりました。しかし、実測値の報告は全くございませんでした。

 関電は、PCB中のコプラナPCBの濃度を一%として、気化した場合のコプラナPCBでの大気汚染の予測というのを立てているわけです。しかし、PCB中のコプラナPCBの濃度は、今の政府参考人の御答弁でも、五%から一四%という御答弁で、幅がありますよね。外国の場合は一七%という報告もございます。

 実際、関西電力と同じく分解技術が認証された「神鋼パンテック技報」でも、絶縁油のダイオキシン類分析では、濃度一%で二百ナノグラム、濃度一〇%で六百九十ナノグラムが含まれている、そのことが報告されております。ですから私は、一%としての計算には全く根拠がない、このように思うのですが、いかがですか。

岡澤政府参考人 この一%のコプラナPCBの濃度といいますのは、国内で生産されたPCBの製品の中で最もシェアの高かったKC―300という製品の数字であるというふうに理解しております。このKC―300の中にはコプラナPCBが一%、ほかの製品に比べると比較的低い濃度で入っているということでございます。

 関西電力が、気化した場合のコプラナPCBによる大気汚染を予測している際に、この一%という数値を使っているとのことですが、それは、関電によれば、最も多いKC―300の例を使ったということでございます。ただ、これが適切かどうかということになると、それは一番低い例を使っているわけですから、これがすべてのケースに該当されるとはとても言えないわけです。

 しかしながら、関電では、一%以外のもうちょっと高い濃度、例えば十数%の濃度を想定した算定というのも一応行っているようでございまして、その数字を見ますと、一番高いもので二・〇六ピコグラムTEQパー立米、気化させた部分の濃度ですが、そういう数字になっておりまして、この数字から見れば、仮に一%でなくて一四%のコプラナPCBを含有するPCBから出てくるダイオキシンの問題というのも、数値から見ればそれほど大きな数値になっていないというふうに考えております。

藤木委員 少なくとも数%のコプラナPCBが含まれているというのは事実でして、ダイオキシン対策法の大気環境基準は〇・六ピコグラムですから、十分検証する必要はあるということを私は重ねて申し上げたいと思います。

 絶縁油中のPCBについては、ターシャリーカリウムブトキサイドという有機アルカリとの反応で脱塩素化をしようとするものですけれども、脱塩素化の達成率は、PCB濃度が濃い場合のデータは示されていますけれども、今回のように薄い濃度の場合はどうか。特に、コプラナPCBを含んでいて、ダイオキシン類としてどうなのかは全く明確ではありません。反応後、処理水の排水中のダイオキシン濃度について、一リットル当たり千ピコグラムを検出限界としております。つまり、それ以下でしたらNDと出てくるわけですよ。検出せずというふうに出て、報告されるわけですね。前に示した「神鋼パンテック技報」でも、金属ナトリウム法の分析限界値は二〇ppbとしております。

 しかし、ダイオキシン対策法は、水質基準一ピコグラム、排水基準十ピコグラムであって、PCB処理のみを念頭に置いた実験結果では到底評価できないというふうに思います。その点はどうでしょうか。

岡澤政府参考人 まず申し上げておかなければいけないのは、PCB処理技術の評価というのは、まさにPCBそのものに着目して、PCBの分解がどの程度効率よくできるかという観点から評価したものでございまして、その中にはダイオキシンの分解性というものを考慮したわけではございません。しかし、常識的に申し上げて、PCBとダイオキシンは構造が類似のものでもございますので、PCBを処理する技術を使うことによって、一緒に含まれているダイオキシン類も分解されるだろうというふうに予測がつくと思います。

 しかし、それは確かに、実証されていないのではないかと言われれば実証したわけではございませんけれども、仮にPCBを処理した廃油あるいは排水を環境中に放出するあるいは燃焼するというふうなことを考えますと、そういう施設はダイオキシン特別措置法によりまして排水基準あるいは排ガス規制がかかりますので、その段階では、排ガスあるいは排水中のダイオキシン濃度をクリアできるような焼却方法であるとか排水方法であるとかを講ずることによって、いずれにしても出口の規制をクリアしなければいけないわけですので、そこのところは、その前提となるPCBの処理の部分で、仮にダイオキシン類が十分処理されていなかったとしても、出口規制によって環境中に放出することについては十分な対策が講じられているのではないかというふうに考えております。

藤木委員 私、そういうことを問題にしているんじゃないですよ。ダイオキシン対策法ができた今日、PCBをなくすということが眼目ではありますけれども、それに付随して起こるあらゆる毒性、それをも出さないということを明確にしておく必要があるだろうということを申し上げているわけです。

 ですから、PCBの排水基準は、一リットルについて〇・〇〇三ミリグラムに対して、コプラナPCBの排水基準というのは十ピコグラムですから、こういうことを見ても、到底ダイオキシン対策法に対応しているとは言えないと思うわけですね。

 PCBをなくす、それはもちろんそうなんですよ。だけれども、それに付随して起こり得るあらゆる毒性に対してもきちんとした対応ができるような法制度が今できているわけですから、ダイオキシン対策法ができているわけですから、その立場に立つということを明らかにしていただきたいと思います。

 前に「神鋼パンテック技報」の問題を申し上げましたけれども、ここでも、廃液処理は処理の過程で排水が系外に排出されることから、従来の水質基準を満たすだけではなく、ダイオキシン類やコプラナPCB、ヒドロキシPCB等の水質管理が非常に重要であると強調しています。また、一〇〇ppmで九十度C、一〇%で百八十度Cと反応温度が比較的低く、還元反応であるのでダイオキシン類の二次生成がない、こう言っているわけですね。それならば、反応温度が高くて還元反応ではない処理というのは二次生成が発生するということではないかと思います。

 これらの脱塩素化分解法が評価されて、廃棄物処理法の政省令の処分基準に載ったのが九七年、施行したのが九八年六月です。その後に、ダイオキシン対策法が九九年七月に成立をして、十二月に施行されているわけです。ですから、これら脱塩素化分解法などの化学処理はダイオキシン対策になっていないのは明らかであって、ダイオキシン対策法以前の認証については、現在のダイオキシン規制に照らしてPCBの処分基準を抜本的に見直すべきだということを私は思っておりますが、大臣、これは後でお答えくださいませ。

 そして、此花区の桜島連合振興町会というところに関電が説明会を行っています。ところが、住民からは、公益性をにしきの御旗にして住民を納得させるのは大会社の放漫だとか、PCBは問題が起きてからでは遅いとか、なぜ桜島ばかりにこうしたものができるのか、日本で初めての処理であり危険性に懸念があるなど、疑問、不安、反対の声が出されているわけですよ。

 こうした住民の声にこたえるために、私は、国がダイオキシン汚染物処理の法的基準を明示する、このことが極めて大事ではなかろうかと思いますし、PCB及びダイオキシン類処理施設に対する環境影響評価を実施するといったことなどを行って、ダイオキシン対策で見直していくということが必要だと思うのですが、この二点について大臣にお伺いをして、質問を終えたいと思います。

川口国務大臣 簡単にお答えを申し上げたいと思いますけれども、まず、化学的な分解法というのは、PCBを十分に分解することができるという観点から技術を評価して導入した、廃棄物処理法に基づく処理基準に盛り込んだということでございます。

 次に、その分解のレベルですけれども、それは、数字は申し上げませんけれども、日本では欧米諸国の基準よりもはるかに厳しい基準になっているということでございます。

 委員がお話しになっていらっしゃるダイオキシン類でございますけれども、ダイオキシン類は、環境に排出をされる段階でそれを規制しているということでございますので、その段階で規制をされるということでございます。

 それから、廃棄物処理法に基づいて、施設を設置する段階で都道府県知事が施設の構造の計画あるいは生活環境影響調査、維持管理計画などを審査しますけれども、その際にダイオキシン類の影響も十分に考慮をするということになっております。

 したがいまして、お話しのダイオキシンにつきましては、ダイオキシンが環境に排出される段階に着目をした規制、それから、廃棄物処理法における施設を設置するときにダイオキシンの影響も考慮をした取り組み、規制ということで十分に講じられるということになると思います。

 二つの御質問をまとめてお答えすることになりますが、そういうことでございます。

藤木委員 納得しませんが、時間が来たので終わります。

五島委員長 原陽子さん。

原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いをいたします。

 まず冒頭、一つ大臣に確認をさせていただきたいことがあります。それは、先ほどから他の委員からも何回も挙がっている京都議定書に関してなんですが、実は私は、三月の十九日の時点で、京都議定書への米国の態度急変に関する質問主意書を提出させていただいております。その中で「三月十九日の森首相の日米会談で、京都会議議長国の立場で、どのような要請を米国に対して行ったか。」ということをその三月十九日の時点で私は質問主意書として提出したのですが、川口大臣はこの件を森総理とお話しになられておりますでしょうか。

川口国務大臣 森総理がアメリカに行かれる前に、ブッシュ大統領も大変にお忙しい方なので時間的にかなり制約があるということはわかっておりましたし、そのときに、えひめ丸の事件を初め経済の問題あるいは安全保障の問題、京都議定書の話以外にもお話をしていただかなければいけないさまざまな問題がたくさんあるということもわかっておりましたけれども、私としては、もしも時間が許すようであれば、ブッシュ大統領に総理からこの点についてはぜひ一言お話しをいただけないかというお願いを申し上げました。

 ただ、御案内のように、会談の時間は非常に限られておりまして、それから通訳の方も介在をしますので、実際には話に使える時間というのは半分あるいは半分以下ということになってしまうわけでございまして、経済問題、えひめ丸問題、その他多くの話をしなければいけない課題の中で、議定書以外にも話をなさらなければいけない問題がたくさんあったわけですけれども、全部をお話ししていただくことは時間が許さなかったというふうに承知をいたしております。

原委員 一応質問主意書として提出をしてありますので、早目にお答えをいただきたいと思います。

 それでは、本日の議題になっております二つの法案について、主にPCB関連の法案についてきょうは質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっとこれはこの法案には関係ないことかもしれませんが、実はこのPCBの問題を調べていくうちに、私は、先ほどから何度も何度も耳にしているカネミ油症という被害があったということを知りました。そして、この油症という言葉は、世界じゅうどこでもそのユショウで通じるいわば国際語であるということも調べていくうちに知りました。しかし、世界で初めて食品による高濃度ダイオキシン被害と言われているこのカネミ油症について、実は私が受けてきた教科書にはこういう文言が一言も書かれていなかったということで、私たち世代は本当に、例えば今回のPCBの法案一つ挙げても、このPCBの被害がどんなものかということを知らされないままこうした有害物質をさらに負の遺産として押しつけれられようとしていたのかと思うと、今までの人たちは何をやっていたんだということに非常に怒りを感じる部分があります。

 そして、これは多分、環境省の管轄じゃないからというふうに言われてしまうかもしれませんが、これから日本が環境問題の劣等国だというレッテルを、劣等生だというレッテルを張られないためにも、そして私たちが本当に、国民の立場から環境に対する意識というものを高めていくためにも、やはりこの環境教育といったものの充実を環境大臣の方からもぜひ文部科学省に働きかけていっていただきたいと私は思います。

 それでは、早速質問に移らせていただきます。

 このPCB廃棄物の処理に関しては、三十年以上も、さまざまな議論がなされていながらも、解決をされないで現在残っているということ、これは先ほどからの答弁ややりとりの中で私も聞いております。そして、これはやはり非常に大きな問題であるとも私も思いますし、先ほど小渕委員からも指摘がありましたように、三十年前というのは、私や小渕委員の世代が生まれる前に排出されたそうした有害物質がいまだに残されているということはやはり非常に問題であり、今回この法律を出したということは、PCBのような有害廃棄物を次の世代に押しつけるのではなくて、ここでしっかりと処理をしようというその意気込みを持ってのことだと思いますので、ぜひこの法律を実現可能な内容にしていかなくてはならないと私は強く思っています。

 そこで、まず最初に、これは何回も何回もほかの委員からも御質問があったと思いますが、ぜひお答えをいただきたいと思います。

 今日までPCBの処分場の設置をめぐって三十九カ所候補地が挙がっていたがどれも実現されなかったということ、その最大の理由は何であったのかということをもう一度お答えいただきたいと思います。

川口国務大臣 委員がお話しになられましたカネミ油症事件という非常に不幸な事件が日本ではございました。三十九カ所というお話がございましたけれども、その後、PCB廃棄物の処理をするための努力がいろいろな形で行われたわけでございますけれども、その施設を設置する場所の地元の住民の方々の御理解、御協力が得られずに、この施設を整備することが結果的にはできなかった、それでその処理が進まなかったということだと理解をしております。

原委員 私が期待したとおりのお答えであったのですが、要するに、今まで設置されなかった最大の理由というのが、地元の住民の方々の合意が得られなかったということで間違いはないですよね。

 そうなると、私この法律を読ませていただいたのですが、もし住民合意ができなかったからということであるのであれば、やはりこの法律の中に、住民参加または住民合意という手続や制度が書かれていておかしくないというか、書かれていなくてはならないと思うのですが、私が目を通した限り、そうした住民参加や住民合意という手続や制度が書かれていたというふうに私の目には映りませんでした。

 そこで、今まで三十年間、長い間PCB廃棄物が放置をされたまま、保管されたままにされてきた、それを適正に処理をしようという気持ちが本当に強くあるのであれば、やはり、まずは住民参加、住民合意というものは必要不可欠であって、この法律を本当に有効なものとして進める上での大前提だというふうに私は考えるのですが、このPCB廃棄物の処理に関しては、この法律の中でどのような住民参加がなされるのでしょうか。具体的にお願いをしたいと思います。

川口国務大臣 廃棄物処理法という法律におきまして、これは平成九年に改正をされましたときに、最終処分場と焼却施設については、住民の意見を適切に反映させるという観点から、幾つかのことが導入されました。

 それはどういうことかといいますと、一つは、事業者による生活環境影響調査の実施、二番目に、都道府県の知事による申請書等の告示、縦覧、三番目に、都道府県知事による関係住民及び市町村長の意見聴取、四番目に、都道府県知事による専門的知識を有する者の意見聴取ということでございまして、これは都道府県知事が設置を許可するわけでございますけれども、その許可に当たって、周辺の住民の御意見や専門家の意見、生活環境影響調査の結果などが反映されるような手続が導入をされたわけでございます。

 したがいまして、PCB廃棄物を処理する施設のうち、焼却施設につきましては今申し上げた手続をすべて行うということが必要になります。焼却施設以外のPCB廃棄物を処理する施設につきましては、事業者による生活環境影響調査を実施するということになっております。

原委員 今の御答弁の中での住民参加のことなんですが、私が聞いている限りでは、調査をしてその結果を住民に縦覧する、そして、それに対して住民が意見を言うことができるという手続ですよね、簡単に言うと。

 そうすると、やはり書面上のやりとりだけのように私には思えてならないのです。こっちでその結果を見せて、縦覧をさせて、そしてこっちから意見書が出されてというような書面上のやりとりだけでは、私は決して住民参加手続とは言えないと思うのですが、大臣はどのように思われますか。

川口国務大臣 先ほど、平成九年に廃棄物処理法が改正されたときに取り込まれたことを四つ申し上げましたけれども、全部が紙によるものということではございませんで、確かに、申請書等の告示、縦覧というのは書面によるものですけれども、さらに、都道府県知事による関係住民及び市町村長の意見を聴取するというのがございますし、それから専門的な知識を有する者の意見聴取というのもございます。

原委員 でも、やはり住民参加が大前提だということで、この法律を実効性のあるものとして、一方的なやりとりではなくて、説明会や公聴会のように、双方向かい合って、フェース・ツー・フェースでやりとりができるような、ぜひそうした住民参加を徹底していっていただきたいと思います。

 特にこのPCBに関しては、カネミ油症の被害との関係もありまして、カネミ油症イコールPCBといったようなイメージというか考えが強い中で、私は反対意見が出るのは当然だと思うんですね。反対というか、PCBの処分場を建てることに対して住民が不安だと思うこと、PCBイコールカネミ油症という思いが、そういう考えがある中で、私は非常に困難なことだとは思うんですよ。もしかしたら、最後の最後まで住民の不安の声というのはあるかもしれないと思うんですね。

 けれども、やはりここで、このように法律をつくって、適正に処理をしよう、法律の題名にも書いてありましたよね。「適正な処理」というふうに書いてあるのであれば、やはり適正に住民参加を行い、適正に住民の手続、住民の合意が得られるということをここで大臣にお約束していただきたいというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 委員が今おっしゃられましたように、過去の経緯にかんがみまして、PCB廃棄物の処理の施設をつくる、その整備するに当たっては、地元の住民の方の協力がなければこれは全くできないことでございます。それができなければ、御協力を得られなければ、先ほど十五年というお話を申しましたけれども、その期間内のPCB廃棄物の処理ができなくなってしまうということでございますから、地元の住民の方に十分に御説明をし、お話を申し上げて御理解をいただき、御協力をいただくというのは、もうこれは必要以上に必要であるということでございますので、その観点で、環境事業団には全力で取り組むように指導をいたしますし、環境省といたしましてもできることをいたしていきたいと思います。

原委員 大臣も、積極的に住民の意見を聞いて、そして住民参加、住民合意を求めていくということをおっしゃったのですが、私は、できるならこの法律にそういった制度を埋め込むぐらいの気持ちがあってもいいんじゃないかなというふうに思っております。

 先ほどから大臣もおっしゃっていますように、今まで要するに三十年間処理が進まなかった理由、三十九カ所設置、失敗してしまった理由、その一番の大きな理由は、やはり住民の、または自治体の協力が得られなかったことであるというのは、もうわかり切っていることなわけです。それなので、住民合意を得ていくために必要なものの一つとして、情報公開というのが非常にやはり大切になってくると私は思います。

 そのことに絡みまして、四月の一日から情報公開法が施行をされます。そして特殊法人、私、これが多分環境事業団に当たると思うんですが、特殊法人に関する情報公開法も施行されると聞いていますが、この特殊法人に関する情報公開法というのはいつ施行になるのでしょうか。

川口国務大臣 委員おっしゃられましたように環境事業団は特殊法人でございますけれども、特殊法人の情報公開ということで、これは三月十六日に閣議決定をされまして国会に提出をさせていただいたところでございまして、これが成立いたしますと、公布の日から一年以内に施行をされるということになっておりまして、環境事業団もその対象になります。

原委員 そうしますと、PCBの措置法は成立すれば一カ月後に施行になりますよね。そして、特殊法人に関する情報公開法は一年以内に施行されるということになりますと、幾らかタイムラグが生じてしまうと思うんですが、私のその考え方でよろしいでしょうか。

川口国務大臣 これは、それぞれの法律がいつ成立をするかということによりますので、恐らくタイムラグが生ずることになる可能性があると思います。

原委員 それでは、もし、この特殊法人に関する情報公開法が施行される前に、情報公開というか、情報を欲しいと住民が要請した場合に、環境事業団が情報を公開しない場合というのも考えられると思うのですが、どうでしょうか。

川口国務大臣 まず一般論といたしまして、情報公開というのはこれからの社会にとって非常に重要なことだと私は思っております。ということで、情報公開はできるだけするようにということを、これは政府の中、環境省の中につきましては言っております。

 といいますのは、政府の中で、情報公開法が四月一日から施行になりますけれども、その過程で、ある条件、例えば個人の情報にかかわること、それから交渉中の外交案件ですとか幾つかのことについては情報公開をしないことができる、これはその結果として、人権あるいはその交渉に悪い影響を与えるということからですが、ということになっておりますけれども、私としては、環境省は極力情報は公開すべきだというふうに思っております。

 それで、この環境事業団が、法律が施行する前にいろいろな情報についてお問い合わせがあったというときの対応ですけれども、現在既に環境事業団は、そのホームページを通じて、財務の情報その他、できるだけ、かなりの情報の公開をいたしておりますし、そのほかの情報につきましては、お問い合わせがあったときに、そういった情報公開をすることについての是非を議論いたした後で情報公開をさせていただくということになるかと思います。

原委員 大臣が情報公開に関して非常に積極的な姿勢をお持ちであるということは私もうれしく思っております。それなので、ぜひ環境省として、直轄である環境事業団に、この特殊法人に関する情報公開法が施行されるまでのタイムラグの間は積極的に情報公開をするよう厳しく指導をしていただきたいなというふうに思います。

 私、今回この情報公開になぜこだわるかということなんですが、もちろん一つは住民参加、住民合意を得るために必要であるというのと、あと、PCBというのは三十年間、長い間保管をされていますよね。そして保管をされたまま、野ざらしになったままのPCBの中には、何か化学的な変化を起こしてしまって、変化したダイオキシンが含まれているのではないかというような不安の声が私の耳には届いております。それなので、もうどんなことが起こっているかわからない、一〇〇%純粋なPCBとは限らないという不安の声も届いております。

 そうしたPCBに関する不安の声というのは大臣の耳に届いておりますでしょうか。

川口国務大臣 私は、個別にこの問題についてどなたかと議論をして、今原委員がおっしゃったような御意見を伺ったという経験はございませんけれども、現在、タウン・ミーティングということを、環境省が発足をいたしました一月以降あちこちで開催をさせていただきまして、それぞれの地域で何百人かの方々と、公募をして参加いただいている方々とさまざまな環境についてのお話をさせていただいております。

 その際に、廃棄物一般について、その安全と安心についての御疑念あるいは御質問というのはよくいただきます。

原委員 それでは、今現在保管されているPCBの中身の分析というのを環境省でなさったことはありますか。

川口国務大臣 現在保管されているPCBは、民間の保管をする事業者がみずからの責任において保管をしていただいているわけでございまして、環境省として、その保管をしているものについて、その中身の分析ということはいたしておりません。

原委員 それでしたら、そうした不安の声もありますので、分析可能な限りというか、ぜひその分析を私はするべきだというふうに思います。

 その処理技術の中で、例えば一〇〇%PCBであるならば可能な処理技術だったとしても、例えばそこにいろいろな物質が、ダイオキシン類のようなものがまざっていたり、何か化学的な変化を起こして、もし何か中身が変わって、変化してしまっていたのであれば、その処理技術というのが正しく処理をされないというようなことも起こり得ると思いますので、ぜひそうした中身の分析というものも私は積極的に行っていただきたいと思います。そして、そうした分析等々を行った結果というものもしっかりと情報公開として流していただきたい。

 いろいろな不安がたくさんあると思うんです。例えば土壌の汚染の不安とか、あと、今挙げられた処理技術の不安とか、本当にさまざまな不安がある中で、それを一つ一つやはり丁寧に解消をしていく。そして、そういった不安を一つ一つ取り除いていく中でPCBは私は適正に処理をされるのではないかというふうに思います。

 最後に一つちょっとお聞きをしたいのですが、先ほどからPCB、保管をされている、保管をされているという、保管という言葉が何度か聞かれていますが、どのように保管をされていると大臣は思われておりますか。

川口国務大臣 これは、保管をしている事業者が、国のつくる基準、例えば地下に、汚染物質が地下水に浸透しないとか、そういうふうな基準を決めていますけれども、それに従って適正に保存をしているというふうに考えております。

原委員 その適正な保管というのは、大臣はどのようにイメージなさっていますか、保管されているという、その保管といった状態を。それは大臣の個人的なイメージでいいんですけれども。

川口国務大臣 私は余り想像力が豊かでないものですから、どういう状況で保管をされているかというイメージを余り持つことはございませんけれども、適正に保管をされているというふうに思っております。

 それから、ある事業所に参りましたときには、その事業所において、どういうふうにそれが保管されているかということを見たことはございます。

原委員 俗に保管と言われている、今保管という言葉で言われていますが、私はこれは野ざらしにされていると思うのですが、実は私ここに、実際に現在こういう状態で、済みません、見えませんか、こういう状態でPCBが俗に保管されているというふうに言われているのですが、私は、何かこれは保管というよりかは、私のイメージではこれは野ざらしだというふうに受けとめています。

 それなので、私はぜひ、保管という名前で野ざらしになっているPCBを見に、大臣に一度そういう場所に足を運んでいただきたいなというふうに思っていますし、やはりそこで直接PCBの、今現在そばで生活をなさっている住民の方々のお話を直接聞くような機会等々も、もちろん大臣はお忙しいとは思いますが、時間の可能な限りで自分の目で直接確かめていただきたいと思いますし、誘ってくれれば私も喜んで大臣と一緒にこういったものをしっかりと自分の目で見に行きたいと思っておりますが、どうでしょうか。

川口国務大臣 原委員のような方といろいろ現場を見るということができれば非常にいいとは思っておりますけれども、日程その他いろいろございまして、なかなか今自由にならないということですけれども……。

 そのお見せになられた写真につきましては電力会社で、非常に大量のトランス等を持っておりますので、この保管について、外にあるのを全部屋根の下に入れるということは難しいというふうに聞いております。ただ、それはコンテナの中に、容器の中に入っておりまして、PCBが外にむき出しに保管されているわけではございません。

 それで、容器が腐食をするではないかというふうにお考えになられるかもしれませんけれども、それはその電力会社が容器の状況をチェックしておりまして、腐食をしてきたら入れかえるという作業をしているというふうに理解をしております。

原委員 時間が参りましたので質問を終わらせていただきますが、ぜひこのPCB、ここに「適正な処理」と書かれています。本当に適正に処理されるように、そしてこの法律が、本当に住民合意という形を得ることができて適正に運用されるように、環境省としても、そして大臣としても積極的に働きかけていただきたいと思いますし、本当に、三十年前、私たち世代が生まれる前につくられたものを私たちが背負っていく、こうした思いをやはり次の世代にさせたくないという気持ちを持って協力をして、積極的にこの法律を進めていっていただきたい。私も一緒に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。ありがとうございました。

五島委員長 次回は、来る四月三日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十六分散会




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