衆議院

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第14号 平成13年6月12日(火曜日)

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平成十三年六月十二日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 五島 正規君

   理事 伊藤 達也君 理事 稲葉 大和君

   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君

   理事 小林  守君 理事 近藤 昭一君

   理事 青山 二三君 理事 樋高  剛君

      小渕 優子君    岡下 信子君

      熊谷 市雄君    小泉 龍司君

      河野 太郎君    下村 博文君

      西野あきら君    鳩山 邦夫君

      平井 卓也君    細田 博之君

      増原 義剛君    渡辺 喜美君

      奥田  建君    鎌田さゆり君

      佐藤謙一郎君    鮫島 宗明君

      武正 公一君    長浜 博行君

      田端 正広君    藤木 洋子君

      金子 哲夫君    原  陽子君

    …………………………………

   環境大臣         川口 順子君

   環境副大臣        風間  昶君

   経済産業大臣政務官    大村 秀章君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   環境大臣政務官      西野あきら君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    坂東 自朗君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  石井 隆一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議

   官)           長尾梅太郎君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次

   長)           小平 信因君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局

   長)           高橋 朋敬君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局

   技術安全部長)      宮嵜 拓郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環

   境保健部長)       岩尾總一郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  浜中 裕徳君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  松本 省藏君

   環境委員会専門員     澤崎 義紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  平井 卓也君     渡辺 喜美君

  佐藤謙一郎君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺 喜美君     平井 卓也君

  武正 公一君     佐藤謙一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)




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     ――――◇―――――

五島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁交通局長坂東自朗君、総務省自治税務局長石井隆一君、経済産業省大臣官房審議官長尾梅太郎君、経済産業省製造産業局次長小平信因君、国土交通省道路局長大石久和君、国土交通省自動車交通局長高橋朋敬君、国土交通省自動車交通局技術安全部長宮嵜拓郎君、環境省総合環境政策局環境保健部長岩尾總一郎君、環境省地球環境局長浜中裕徳君及び環境省環境管理局長松本省藏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

五島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

五島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。

下村委員 おはようございます。自由民主党の下村博文です。早速質問をさせていただきたいと思います。

 現行法に基づきまして、平成五年に自動車排出窒素酸化物の総量の削減に関する基本方針を定めたわけであります。この中において、窒素酸化物について、環境基準を平成十二年度までに達成することを目標としたわけであります。また、この総量削減のための施策に関する基本事項として、八項目つくられたわけでありますが、自動車単体対策の強化、車種規制の実施、低公害車の普及促進、物流対策の推進、人流対策の推進、交通流対策の推進、そして局地汚染対策の推進、普及啓発活動ということであります。

 この低公害車については、小泉総理も総裁就任時に何度も言われておりましたが、なかなか、各役所においても低公害車の普及が非常におくれているという指摘もございましたし、ぜひ環境省が率先して他の役所に働きかけていただきたいと思います。

 また、局地汚染対策におきましては、私の選挙区は東京の板橋でございますけれども、先月に東京の板橋には、これは非常に汚名なんですけれども、全国で最もひどい局地公害対策ということで、大和町の交差点、ここに新たに排ガスを土壌によって浄化しようという、全国でも一番大きな施設が最近できたばかりでございます。これは、国土交通省、そして東京都、首都高速道路公団が、汚染された空気を土壌中で浄化して大気に戻す、そういう実験を始めたわけでございます。

 これは、地元板橋区あるいは我々議員等が、もう十数年来、特にこの大和町の交差点の局地公害対策ということで、積極的な大気汚染対策をぜひすべきであるということで、今までもいろいろな実験はされてきたわけでありますが、なかなか具体的な成果、効果は難しかったという中で、この土壌脱硝につきましては、二酸化窒素、NO2あるいは浮遊粒子状物質等が九〇%以上は削減されるのではないか、また、窒素酸化物も七〇%以上は除去できるのではないかということで、大変に期待されているわけであります。

 地元としても、あるいは我々もちょっと不可解なのは、ここに環境省がかかわっていないということでありまして、今回のような法律の改正案が出される経緯の中で、環境省としても積極的にこのようなことに対してはかかわりながら、また、この実験成果が出るのは二年ぐらいたたないと実際わからないということでありまして、周辺住民にとってはすぐにでも解決、解消してほしいという期待でありますけれども、二年たたないとなかなかわからないということですと、国土交通省にさらに、この大和町の交差点だけでなく、全国の局地公害対策の拠点あるいは沿道等に対して広げていくということを要望しているわけでありますが、環境省がこれにかかわることによって加速度的にこの対策が進められるようにぜひお願いをしておきたいというふうに思います。

 そもそも、この現行法において今のいろいろな施策等を平成五年から進めようということであったわけでありますが、しかし、残念ながら十二年度までにこの目標達成はされなかったわけであります。なぜされなかったのか、その状況と、それからその原因についてまずお聞きしたいと思います。

松本政府参考人 自動車NOx法の対策地域でございます大都市域の二酸化窒素による大気汚染の状況は、御指摘にございますように大変に厳しい状況にございます。平成六年度から十年度までの環境基準の達成率で見ますと、自動車排出ガス測定局で三三・三%から四一・二%の達成率、大体三、四割しか達成していないというのが現状でございます。こういう状況でございますので、当初の目標でございました平成十二年度末までに環境基準をおおむね達成していこうという目標の達成は極めて困難な状況にあるということで、御指摘のとおりでございます。

 なぜこういうような状況になってしまっているのかということ、その原因でございますけれども、窒素酸化物の削減対策として実施をしてまいりました自動車排出ガス規制の、単体規制でございますけれども、段階的な強化、あるいは、現行の自動車NOx法に基づきます特定地域の中でのより厳しい排出ガス規制でありますいわゆる車種規制、これにつきましては相当の対策効果を上げているというふうに考えられるわけでございます。

 一方で、交通量の増大などによりましてその効果が減殺をされてしまった、あるいは低公害車の普及が当初の見込みほど進まなかった、あるいは、先ほどいろいろ掲げていただきましたけれども、物流、人流あるいは交通流対策も結果として必ずしも十分な効果が見られなかったというようなことなどから、二酸化窒素の環境基準の達成率が低い状況で推移をしたということであろうかと考えております。

下村委員 驚くべきことに、低公害車の普及、平成十二年度までに三十万台の普及を目標としていたわけでありますけれども、わずか一万七千台ということで、ほとんど、目標があったのかどうかさえ疑わしい、全く届いていないということであります。

 そのために今回この改正案が出るわけでありますけれども、この現行法の問題点というのを今回の改正案でどのように反映しているのかお聞きしたいと思います。

松本政府参考人 先ほど申し述べましたような原因、そういう問題点を踏まえまして、今回は着実に、まず対策効果の上がります車種規制などを中心としまして対策の強化を図っていきたいということでございます。そしてさらに、昨今健康影響が懸念されております粒子状物質の対策についても、NOx法の枠組みを活用して本格的に取り組みを進めていきたいということでございます。

 具体的に申しますと、まずは、今申しました対策を行う対象物質に、窒素酸化物に加えまして新たに粒子状物質を追加するということ。

 それから、対策地域として、現行は首都圏域と近畿圏域六都府県、これが特定地域に関与する都道府県なのでございますが、新たに名古屋市並びにその周辺地域を対策地域として追加する。これは政令で追加をするということでございまして、法律を成立させていただいた後、具体的に政令で追加をするということでございます。

 それから三点目は、自動車排出ガス対策の強化ということでございますけれども、一つは、ディーゼル乗用車を対象に追加するということであります。そしてまた、現行のトラック、バスについての車種規制の規制基準について一層の強化を図っていくということ。

 それからもう一つ大きな柱は、一定規模以上の事業者、これは車を三十台以上現に使用している事業者を念頭に置いているわけでございますが、事業所管大臣が策定する指針に従って自動車使用管理計画をそれぞれの事業者が策定し、都道府県知事に提出をしていただく、それを受けた形で、都道府県知事が個別具体的な指導助言をしていただく、こういう仕組み、枠組みを導入するということ、これによりまして、環境基準の達成に向けて総合的な対策を進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

下村委員 新たに粒子状物質を対象物質に加えることになったということでございますが、この粒子状物質、ディーゼル車対策ということで東京の石原都知事が、国のこの法改正より前に提案したことによって大変インパクトがあったわけでございますが、これを国としてももっと早く広範囲に広げるということでございます。

 このディーゼル排気粒子の健康影響ということで、これが発がん性のおそれがあるのではないか、あるいは呼吸器への影響もある、また花粉症、毎年毎年この花粉症の方々がもうどんどんふえているわけでありますけれども、この花粉症とディーゼル排気粒子の関係があるのではないか、こういう懸念があるわけでありますけれども、これについて環境省としては今どのように考え、また対策を講じておられるかお聞かせ願いたいと思います。

松本政府参考人 花粉症の前に、ディーゼル排気粒子の全体的な健康影響の観点でまず御報告をさせていただきたいと思いますが、ディーゼル排気粒子につきましては、さまざまな健康影響が懸念をされているというのは事実でございます。

 環境省におきましてリスク評価を実施しております。そして、昨年九月にその検討会で中間取りまとめを行っていただいているわけでございますが、この取りまとめの中では、ディーゼル排気粒子が人に対して発がん性を有していることが強く示唆をされているということ、それから、自動車交通量の多い道路沿道住民の呼吸器症状の増加が多くの研究で報告をされている、しかし暴露評価がなお十分でないというような報告が昨年九月になされているわけでございます。

 これまでの調査研究によっても、人に対する健康影響の定量的な評価にはまだ至っていないということでございまして、環境省としては、引き続き健康影響の解明に努めていきたいと考えております。

 なお、花粉症の件につきましては、環境保健部長の方からお答えを申し上げます。

岩尾政府参考人 花粉症の件でございますが、杉花粉症の患者は今や千三百万人を超えるとも言われております。環境省、林野庁など関係省庁の協力のもとで、この解決に向けて現在取り組んでおります。

 環境省といたしましては、平成三年度からディーゼル排気微粒子と花粉症の関係について動物実験を用いた研究などを行っておりまして、高濃度では花粉症様の症状を誘発するなどの実験結果が得られております。

 一方、我が国の研究者による人の疫学調査の結果からは、大気汚染物質と杉花粉症との関係についてはなお評価が分かれておりまして、さらなる研究が必要と認識しております。

 こういう認識の中で、私ども、ディーゼル排気粒子の健康影響については、平成十二年三月に専門家から成るディーゼル排気微粒子リスク評価検討会を設置して検討をいたしております。

 今後とも、花粉症対策については関係省庁と協力しつつ、環境省としては研究を推進することによりまして、ディーゼル排気微粒子等大気汚染と花粉症との関係の究明について取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

下村委員 杉花粉症の患者が一千三百万人を超えるということ、少なくとも十数年前までは考えられなかったことであるというふうに思います。これはやはり杉花粉症ということが、廃棄物、大気汚染と絡めて因果関係があることはもう間違いないことであるのではないかと思いますし、それだけますます複層化、深刻化、多重化してきているわけでありますから、ぜひこの環境悪化に間に合うといいますか、対応できるような早急な調査研究をされる必要があるのではないかというふうに思います。

 国民の健康を守るために一刻も猶予できないこのディーゼルのさらに微粒子対策、もっと細かい粒子、これについてもなかなかはっきりわからないということで因果関係等が明確にされていない。このための調査研究を早急に行うことによって、いわゆる粒径二・五マイクロメートル以下の微小粒子状物質といいますか、PM二・五、この環境基準というのを早急に設定すべきではないかとあわせて考えるわけでありますけれども、これについての見解はいかがでしょうか。

風間副大臣 おっしゃるとおり、PM二・五の調査研究というのは極めて急がれているわけでございまして、そういう意味では、平成十一年度から疫学調査それから動物実験を含めて、微小粒子状物質の暴露影響調査研究というのを行いまして、健康影響解明のための知見を今収集しているところでございます。

 先生御案内のように、かなりマスとして、つまり人数を多くし、多くの対象者を調べさせていただくだけでなくて、なおかつ、やはりある一定程度の期間が必要でございますから、相当この年月をかけざるを得ないということもありまして、そうはいってもできるだけ早い時期に、具体的には、一つの例でありますけれども、ことしの秋の三歳児健診のときに六カ所ぐらい、千組のお子さんとお母さんを中心にこの検査をさせていただいて、できるだけ早くこのPM二・五におきます環境基準の設定ができるようにしたいというふうに思っておりまして、それもあわせて、早急な健康調査を含めて行いたいというふうに思っているところでございます。

下村委員 我が国のディーゼル車に対する粒子状物質の排出ガス規制値、これは欧米に比べて緩く設定されているのではないかというふうに聞いておりますが、実際どのような状況なのか。

 それから、先ほどの東京都のディーゼル車規制、これも始めるわけでありますが、国の今回の法改正との連動の中で、東京都の方がさらに厳しくこのディーゼル車対策をしているということも新聞報道でされておりますので、欧米との比較、それからあと東京都の比較の中で、今回の改正案がディーゼル車対策の中でどのような状況なのか、ちょっとあわせてお聞きしたいと思います。

松本政府参考人 我が国と欧米との粒子状物質の排出ガス規制値の比較でございますけれども、先生の御指摘のように、規制値そのものを見てみますと、日本に対してアメリカ、欧州の方が厳しい規制値になっております。

 ただ、規制値を単純に数値として比較するわけには実はまいりません。実際上、欧米そして日本がこの規制値に合致しているかどうかという判断をする場合には、走行モードというのを使います。その走行モードというのが日本と欧米とでそれぞれ実は違うわけであります。一つの走行パターンを設定して規制値に当てはめるわけでございますが、平均車速、スピードでございます、あるいは走行距離、一つのパターンの走行距離、これが日本と欧米とで違うわけで、それぞれの規制値を単純に比較することができないというのが一つの答えなんですが、ただ、感覚的に申しますと、やはり日本に比べまして欧米の方がやや厳し目、規制については先行しているということが言えるのではないかと思います。

 これはなぜかと申しますと、同じような比較をいたしますと、日本の場合にはむしろ窒素酸化物については規制値が欧米より厳しいわけであります。ですから、自動車のそういう排ガス対策技術については余り勝ち負けはないということでありますが、日本の場合には、総じて窒素酸化物についての排ガス規制を社会的な要請からいたしまして先行してきたというような経緯があるというふうに考えられます。

 窒素酸化物の排ガスの対策技術とPMの対策技術というのは一種トレードオフの関係にあるものですから、片方を一生懸命やりますとどうしても片方はちょっとおくれぎみになってしまうということはあろうかと思います。ただ、私ども、とにかくPMというのは大変重要な課題でありますので、最大限ピッチアップをして今後規制強化に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

 それから、東京都との比較でございますが、これは実は、そういう前提もございますので、つぶさに比較ができないわけであります。東京都の場合には、昨年の十二月に条例を設定いたしまして、平成十五年の十月以降独自の規制をやるということを表明しているわけでございますが、そこのスタートのところでは国の規制と基本的には同じでいこう、その二年後のときに一歩進んだ規制をかけようというのが東京都でございまして、その一歩進んだものと欧米との比較というのはちょっと、もうひとつ定かではないというのが現状でございます。

下村委員 日本と欧米との関係では、日本の方がNOxの規制が厳しく、欧米では日本よりもPMの規制値が厳しいということ、それから、東京都ではレンジの問題があるというお話がありました。

 こういうふうに自動車の排ガスについては、具体的にこれからどう実行するかという段階に向けて、それだけ規制値をどんどん厳しくしていくという方向性が見えるわけでありますけれども、ここでちょっと問題提起といいますか、環境省にお願いをしたいのは、化学物質における大気汚染被害の方々が全国にたくさんいらっしゃいます。原因が不明であるということで相関関係も明らかにされていない。このディーゼル車対策、NO2やNOx等とのかかわり合いの中で、まだ検討もされてこなかった新しい大気汚染にも関係してくる部分が、強化すればする中で出てくるのではないかというふうに考えております。

 大気汚染の道路沿道だけの問題でなく、さらに建築現場あるいはプラスチック系廃棄物処理、農薬や工業用洗剤噴霧、化学品使用製造工場など、いろいろな発生源周辺で大気が人間に苦痛を感じさせるということが多くなってきておりまして、私は、化学物質における大気汚染による被害を受けている方々、具体的に杉並病と言われる杉並周辺の方々とか、所沢のダイオキシンの被害による方々とか、全国のそういう被害患者の方々と勉強会、研究会を重ねております。

 この中で、対象となった地域で大気の化学物質などを調査して、特に危険なだけの有害物質が見当たらない、だから心配ない、このように行政側も判断していることもあるようであります。

 しかし、環境の分析研究者によれば、今の大気分析の技術で把握できる物質はそこに存在するものの、逆にごく一部でしかない、ほとんどは実際分析できていないということが問題である。そして、特に最近になって製造量、使用量、廃棄量がふえている合成高分子材料に関連して発生する物質は、分析器で把握できる性質の範囲を超えている場合が多いということがわかってきた。つまり、分析できない物質が多いということがわかってきたということであります。

 分析しやすい一部の物質の量を正確にはかって安全かどうかを論じてみても、全く予想もしていない有害物がほかにあるかどうかという肝心なことが研究検討されていないということが、先ほどの例えば花粉症にも関係するのかもしれませんし、今の大気汚染公害にも関係している部分もあるのではないかと思います。

 そういう意味では、この大気の安全性の検討というのは、既存の化学分析調査のみに依存しないで、先ほどもちょっとお答えの中にありましたが、疫学調査や生物による調査、医学的な臨床研究などを併用して行うことによりまして、現在、実際に発生している可能性がある危険な大気汚染、健康影響の拡散を早急に、そして未然に防ぐ手だてが今新たに求められているのではないかと思いますが、これについての環境省の取り組み、見解について質問したいと思います。

松本政府参考人 有害物質によります大気汚染に対しましては、従来からの施策としては、まず大気汚染防止法に基づきますばい煙規制、こういうようなことをやってきているわけでございますけれども、さらに、化学物質の環境中への排出量を把握いたしまして公表していく、いわゆるPRTR法による取り組み、それから有害大気汚染物質の事業者によります自主管理の取り組みの促進というようなことで、総合的な対策を講じてきているところでございます。

 それから、有害大気汚染物質のうちで特に優先的に取り組むべき物質を対象といたしまして、全国的に環境モニタリングを行うとともに、そのモニタリング調査の結果、疫学調査を初めとするさまざまな研究成果を踏まえて順次環境基準を設定してきているというのが現状でございます。

 ただ、いずれにいたしましても、大変にたくさんの種類の有害化学物質、それから委員御指摘のように、また新しい有害物質もどんどん出てくるということでございますので、そういうような有害化学物質対策にいろいろな面で今後総合的に取り組んでいくということはどうしても必要だろうと思っておりますし、先生の御指摘を十分参考にさせていただきまして今後取り組んでいきたいと思っております。

下村委員 よろしくお願いいたします。

 最後に、大臣にいらっしゃっていただきましたので、最後に大臣に、この改正自動車NOx法によって最大限の実効性が上げられるよう、目標達成に向けた取り組みについて大臣からお話をお伺いして質問を終わりにしたいと思います。

川口国務大臣 閣議がございまして、遅刻いたしまして大変に失礼をいたしました。

 お尋ねの件でございますけれども、ただいま大都市を中心に大気の汚染の問題は大変に深刻でございます。これに対応するために、NOx法の改正をすることによりまして粒子状物質を対象に加え、それから車種規制を強化いたしまして、さらに事業者による取り組みを拡充強化すること、そのほか自動車排出ガス基準のさらなる強化を図り、あるいは交通流、人流、物流の、そういった各分野における対策を強化することによりまして、これは都道府県や関係の府省との連携のもとに行う必要がございますけれども、そういった対策を総合的に講ずることによりまして、浮遊粒子状物質ですとか二酸化窒素の大気環境基準の確保を図るべく万全を期し、全力で取り組んでいきたいと考えております。

下村委員 終わります。ありがとうございました。

五島委員長 長浜博行君。

長浜委員 おはようございます。長浜博行でございます。先日に引き続きまして質疑に入らせていただきたいと思います。

 今、前の方がお話しされておりましたように、なかなか花粉症というのはつらいもので、委員長の方が御専門とは思いますけれども、きのうは夜ちょっと深酒をして、そして、きょう委員会質疑があるということで久しぶりに宿舎に泊まりました。見るところごみは落ちていないのですけれども、寝床に入るときの、風が舞うというのでしょうか、そういうもので当然きょうはちょっといまいち体調が悪い。二十年ぐらいこの花粉症というやつにおつき合いをいただいておりますけれども、別に杉花粉だけの問題ではなくて、今お話があった特に浮遊性の微粒子などは、窓枠などは簡単に入って、いつの間にかまくらの周辺まで侵入している、そういう状況が多々あるわけですね。

 我が自宅もすき間風ぴゅうぴゅうの、大したところじゃないのですが、すき間風ぴゅうぴゅうゆえかどうかわかりませんけれども、きれい好きの女房ですが、別に紙が散らかっているわけじゃない、非常にきれいなんですが、そういう状況でも粒子状物質が目に見える。本当は見えないんですよ。でも見えるほどの、ひどい症状を抱えている人間にとっては、それが見えるような状態にすら思えるという自分自身の問題も含めて、この法案に大変注目をし、かつ、実効が上がらなければ話にならない、そういうスタンスでこの法案には取り組んでいきたいというふうに思っているわけであります。

 後ほどその件については伺いますけれども、まず伺わなければいけない点がありまして、それは前回もやりましたけれども、京都議定書の問題であります。

 これはCO2で、きょうのNOxとか微粒子とはちょっと違いますけれども、地球温暖化防止会議の中で、ちょうど前回の一般質疑との間にもいろいろな動きがありました。プロンク議長から特に日本に対して、排出量の削減に算入できる森林吸収分ということを特段の配慮で認める、別に日本に対する特段の配慮というよりは、何としてもこの京都議定書の批准をして発効させるためにいろいろ御尽力、御努力をされているのだというふうに思います。

 委員会がないと、なかなかこういった毎日の動きに関して大臣としても発言の場がないし、あるいは記者会見でされるにしても、私たち環境委員会の委員ですら、新聞を読まないと状況がわからないという状況にもなっておりますので、きょうは、このNOx法案の審議に先立ちまして、ちょっと前回の質問から時間がたちましたが、この京都議定書の問題に関して、進展等々をちょっと御報告いただければと思います。

浜中政府参考人 御説明申し上げます。

 前回、五月十八日に御質疑をいただいてからの進捗状況でございますが、その後も種々の国際交渉につきまして取り組んでいるところでございまして、ただいまお触れになられましたとおり、五月二十日の日曜日にはプロンク議長が来日をされまして、成田空港の近辺のホテルで川口大臣と会談をされたわけでございます。

 これは、議長というお立場で各国から助言を受ける、そういう一連の活動の一環ということでございまして、会談の際、川口大臣からは、小泉新政権においても、京都議定書の二〇〇二年までの発効を目指して最大限努力するという我が国の方針に変わりはない、そしてCOP6再開会合の成功に向けて引き続き全力で努力するということなどをお伝えしたところでございます。

 さらに、昨日から本日未明にかけまして、プロンク議長からは、COP6再開会合に向けて新たな統合交渉テキストというものが出されたところでございまして、この中で、ただいまお触れになられましたけれども、我が国としても関心がございます森林などの吸収源の扱いについて、改めて新しい提案をお出しになられたということでございます。そのほか、いろいろな交渉上の重要案件について、議長としてのお立場から提案を出されているということでございます。

 また他方、アメリカのブッシュ大統領からは、気候変動政策についての声明が発表されたということでございます。

 他方、国内におきましても、我が国自身も京都議定書を締結できるように、現在政府におきまして、京都議定書の目標を達成するために必要な国内制度のあり方について検討を重ねているところでございます。環境省におきましては、中央環境審議会で御審議をいただいておりますほか、経済産業省におかれましても、総合資源エネルギー調査会等で検討をされているということでございます。

 概略ちょっと、その概要を御説明申し上げたいと思います。

 総合資源エネルギー調査会におきましては、エネルギーの使用に起源を持ちます二酸化炭素について、これの二〇一〇年の排出量を一九九〇年レベルに抑制するという地球温暖化対策推進大綱の目標がございます。これをいかにして達成するか、こういうことについての具体的な政策についての検討を進めておられるということでございます。

 また、中央環境審議会におきましても、この二酸化炭素を含む、京都議定書の対象になっております六種類の温室効果ガス全体の排出量につきまして、これまで政府として決定をいたしました対策を実施した場合には、基準年に比べてなお約八%の増加になるという見通しでございますけれども、さらに追加的な対策を講ずるといたしますと、コストなどの面を捨象した技術的な可能性で見ますと、マイナス二%からマイナス一〇%程度までの削減の可能性があるということも明らかになっているわけでございまして、現在、中央環境審議会におきましては、こうした技術的な削減可能性を実現するために、各対策ごとのコスト評価、そして、そういうコスト評価を踏まえた追加的施策の推進方策について審議を進めていただいているところでございます。

 COP6再開会合前に中間取りまとめを行うということで、国内対策の推進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

長浜委員 今御説明にありましたそのテキストは、運用ルールを定める七月の、七月といってももう来月ですが、ボン会議に向けた最終案と理解をしていいのかどうかというのが一点と、それから、先ほどの森林吸収分は数字的には何%ということで基準値が出ているのか、その点について御説明ください。

浜中政府参考人 最終案かどうかということでございますけれども、これは、議長のお立場でこれから各国に対してこれをお示しをして、これをもとに各国間で協議あるいは交渉を進めていくべき、そのようなテキストとしてお配りになられたというふうに受けとめております。

 お尋ねの吸収源についてでございますけれども、一般的には、森林等の吸収につきましては、吸収量に対して八五%の割引率を適用して実質一五%分を認めるという原則でございますけれども、事実上、我が国に適用するということを意図していると見られる幾つかの条件がございまして、その条件を満たす国についてはそういう割引率を適用しない、こういうことでございます。

 しかし、同時に、我が国の場合マイナス六%でございますけれども、その目標に関して、その半分までが吸収量として認める限度である、こういうことがあわせて条件として出ておりますので、その両方を勘案いたしますと、結果としては、我が国の割り当て量に対する割合としては三%までは認める、こういうような内容であるというふうに理解をしております。

長浜委員 一九九〇年以降の新規植林分で考えれば、〇・六%と言われても仕方がないというふうなことで前回質問をしたと思いますが、六%の削減目標の中での三%、つまり半分を、言葉はちょっと悪いですが、何もしないでもなかったものということの中で、我が国としては残り三%の努力をすればいいというところにまで他力によってなっているというふうに私は理解をしておるんですが、その他の努力としては、排出権取引について、各国、排出量の一〇%を上限として認めるというような一つの提示があり、現実に、主要国を見ても、多分ロシアなどは余ってくる。

 こういった部分において、既に我が国として、排出権取引について何か主体的に関与されているのかどうか。その点についてはいかがですか。

浜中政府参考人 排出量取引につきましては、まず、国際的にルールが合意されることがその成立の前提条件になるわけでございますので、昨年のCOP6会合を目指しまして我が国も国際交渉に鋭意努力をしてきたわけでございまして、現在、それが中断しておりますが、COP6再開会合での合意を目指しているということでございます。

 そういう国際的な検討の進捗と並行いたしまして、国内的にも、先ほど申し上げました中央環境審議会での検討におきまして、国際ルールが成立する場合を想定いたしました国内でどのような仕組みがあり得るかというときに、国内の対策を推進する手法の一つといたしまして、排出量取引ということについても、これを手法の一つとして審議会で検討をいただいている、こういう状況でございます。

長浜委員 審議会の検討等も結構ですが、現実問題、用意ドンとなったときに、前回の質問にも関係をしますが、環境問題は当然国内対策だけではありませんので、外務省になるのかどうかわかりませんが、いずれにしろ、環境省が関係省庁と協力をしながら、何としても達成をするための方途は先に探っていく必要もあるのではないかなというふうに思うわけであります。

 先ほど、アメリカのブッシュ大統領の発言についての言及もありました。ちょうどきょうのこの質問に合わせたように、本当にきのうの夜ばたばたと、プロンク議長も、あるいはブッシュさんもということで起きているわけであります。

 前回の質問でも申し上げましたように、基本的に、ブッシュ政権の京都議定書に対すると言ったらいいのか、環境政策に対する政策転換というのは突然起こったわけではなくて、あの政党の持つと言ったらいいのか、あるいは政治家としてのブッシュさんになる延長線上の中で別に変わったことはない。それに関しての対応、つまり、逆にこの延長線上に行っても答えは見えている状況の中で、今大きな問題として取り上げなければいけないのは、これも前回申し上げましたが、じゃあ、日本はどうするんだと。

 じゃあ、日本はどうするんだという意味は、もちろん、アメリカが排出量の中で最多でありますので、発効させるために批准してくれというのは当たり前でありますけれども、そうでない場合に日本はどうなるんだということを多分世界の各国は、あるいはヨーロッパの国は見ているんだというふうに思います。先ほどおっしゃられた、ある意味で最終案かどうかはわかりませんが、今回の提案に関しても、これがオーケーになるかどうか。

 ヨーロッパ諸国は、御承知のように、連立政権を組むところが多々あるわけでありますし、その中でのシングルイシューといいますか、環境政策のみに対応する政党という存在も連立政権の中での大きな発言力を占めているところもあるわけであります。

 そんな中で、五月三十日にデンマーク議会が、この京都議定書を承認して、事実上批准ということになると思いますし、あるいはEUの環境大臣理事会においても、来年までに全加盟国が批准をするという方向性が確認をされています。

 ということは、いわゆる主要国の中で、一体、京都議定書という名称を使っている日本が、唯一、ところで日本はどうなんだ、こうなったときに、非常に粗っぽい議論でありますが、たしか前回も、何回も言わなければいけないのが残念でありますが、国会決議もして、アメリカに、京都議定書に対する考え方を改めろと言うぐらい立法府の方でも対応している案件に関してでありますから、日本が率先して批准をする、そして国内対策はそれをやっちゃった後で考える、非常に粗っぽい議論でありますが、そういうお考えはお持ちにならぬのでしょうか。

川口国務大臣 ブッシュが声明を出し、あるいはプロンク議長が新しいペーパーを出しと、今後の検討、展開を考えるに新しい資料がここのところ出てきているわけでございますけれども、日本政府の基本的な方針といたしまして、二〇〇二年までの京都議定書の発効を目指して、来るボンの会合で合意に向けて最大限の努力をするという方針に変更はございません。

 それで、批准との関係でございますけれども、重要なことは、この発効のために日本ができることといたしまして、国内制度の構築がございませんと国際的な合意を実際に実行していくということの担保がございませんので、実際に合意を実施に移すということが可能であるということがありませんと、日本の制度といたしましては批准をすることが不可能でございます。

 それで、国内制度の最終的なあり方といいますのは、これまた、逆に、いかなる細かい運用ルールが国際的に決定されるかということに依存をいたしますので、したがいまして、来るボンの会合におきましては、合意に向けて最大限の努力をいたしたいと存じております。

長浜委員 今のを英訳するとどういうふうになるのかよくわかりませんが、現状では、日本は批准できないということになるのでしょうか。

川口国務大臣 私が理解をいたしておりますところでは、国際的な条約あるいは約束を日本が締結するためには、それを実際に担保することができる国内的な制度が必要であるというふうに理解をいたしております。

長浜委員 ですから、今申し上げましたように、もしこの審議を記者として書くならば、この今の答弁では、現状においては日本の政府は一体どういうスタンスでいるのか、担保するものがないから、私の質問に対しては今明確な答えができないということに、多分ストレートに言えばそうなるのでしょうけれども。

 この議定書の批准に関しては、十年先の議論をしているわけではありませんで、これだけ限られた日数の中で、後ほど質問しますが、二〇〇〇年満期になるところのNOx法の審議会等々が一九九九年から立て続けに行われて、あたかもできないことがもう既定の事実でしようがないような認定をされながら、なぜ今回のNOx法の改正に至る経緯になったのか。

 それと同じような形で、現状、ここまで来ているのに、子供の夏休みの宿題じゃないのですから、八月三十一日になって、どうやって九月一日に出せないことを考えるかということよりも、この名前が幸か不幸か京都とついていることに関しても、より責任の重さを痛感しなければいけないと思いますが、世界各国が見ている環境大臣のこの答弁の中において、現状では、日本の対応は、批准する、しない、決めていないということですか、あるいは、現状のまま担保がないとすると、できないということになるのでしょうか。

川口国務大臣 我が国といたしましては、二〇〇二年までの発効が可能になるように、まず国内的な問題といたしましては、先ほど局長から御説明をいたしましたように、環境省におきましては、中央環境審議会でどのような制度を構築することがいいかという議論を鋭意進めているところでございますし、同じような議論が経済産業省のエネルギー関係の調査会でも行われているというふうに聞いております。全力を尽くして国内の制度をきちんとするということが一つ必要なことでございまして、現在取り組んでいるところでございます。

 同時に、国際的に京都議定書の運用ルールについての合意が可能になるように、これも、EUあるいは発展途上国ともども連携をして合意に達するようにボンにおきまして努力をするということでございます。この努力をすることによりまして、全力投球をすることによりまして二〇〇二年までの発効が可能となるよう、日本政府の今までの方針、それから国会からも御決議をいただいておりますので、それにかなうような努力をいたしたいということでございます。

長浜委員 時間がありませんからこれ以上の質疑をやっていてもしようがありませんけれども、とにかく、今までは多分アメリカに視点がいっていたと思いますが、今度は日本に視点が向けられて、ところで日本はどうするのだという議論というか論調に間違いなく変わってきたときに、そのときに即座に反応ができないというような、お考えが違うかもしれませんが、私から言えばぶざまな対応にならないように、この問題についてはもう少し緊張感を持って取り組まれた方がいいというふうに思います。

 それと、大臣は確かに政治家ではありませんでしょうが、ポリティカルアポインティーによって環境大臣の御指名を受けて政権で担っているわけでありますので、前回もこれまた申し上げたわけでありますけれども、そこまで言ったら言い過ぎじゃありませんかと他省庁の大臣から非難を受けるぐらいな形で、ある程度環境行政に関してはリードをしていかないと、とかく過去の環境庁時代の、官僚の皆様方は努力をされていると思いますが、調整官庁としてのあり方からすれば、どうしても環境問題に対する対策というのは後手に回ります。

 ですから、政治家が政治生命をかけて、どう言ったらいいのでしょうか、この問題は私が大臣のときになし遂げますというような形でやっていかないと、特に、このCO2の問題というのは国際問題に進展をする、発展をする危険性がありますので、今からやるNOxの審議は国内法でありますけれども、ぜひ、そういった観点から、今与党の議員からも、なかなか積極的にやっておられるという判断もあったようでありますが、なお一層御奮闘をいただければというふうに思うわけであります。

 NOx法の法案に移りますが、環境大臣のプライベートのことでありますが、どこにお住まいになっておられるのでしょうか。

川口国務大臣 文京区に住んでおります。

長浜委員 この法案の担当局長はどこにお住まいでございますか。

松本政府参考人 埼玉県の吉川市に在住をいたしております。

長浜委員 私は、別に言うこともありませんが、伺ったわけでありますので、私は千葉県の柏というところに住んでおりまして、国道六号線と十六号線のクロスするところであります。運転をされる方はよくおわかりになりますが、交通情報を聞くと、必ず呼塚という言葉が出てきます。必ずですね、多分。どこにあるのかわかりませんがという、大体、柏市呼塚とは余り使いませんけれども、これが六号と十六号のクロスであります。

 私はそのすぐ近くに住んでおりまして、三人の小学生の子供たちは、その大変交通量の多い、全国でも交通渋滞のメッカであるところを通って小学校に通学をしているわけであります。今のところ問題はないようでありますが、おやじはひどい花粉症だという状況はさっき御説明をしたとおりであります。子供たちの仲間で、ぜんそくとか呼吸器系の疾患を抱えている子供たちが大変多いわけであります。しかし、いわゆる公害認定とか公害病というようなことにはなっておりません。

 しかし、多分大臣のところにもというか、これは四月二日の環境大臣川口様への申し入れで、全国公害患者の会連合会から、NOx法改正案審議に当たっての申し入れが来ているというふうに思います。これは、読んでいると、同じような体験を持つ人間にとっては大変切実に感じられるところでもあります。

 前の自民党の議員の審議にもありましたけれども、ここで指摘されていますように、簡単に言えば約束破り、一九七八年に、緩和と言っていいのでしょうか、条件が緩和をされて、その達成年、八五年、九二年、二〇〇〇年という節があったわけでありますけれども、結論からいえば、目標を達成することができないどころか、さらに今回、十年先延ばし、五年で見直しをするのかどうかというのも審議の一つのポイントかもしれませんが、十年間結論を先延ばしにしていく。

 そして、現状においては、公害認定患者となって現実に尼崎、名古屋で裁判を起こす人もいるけれども、当然のことながらそこまではいかないのですけれども、私は医者でないのでわかりませんが、幼い子供の時代にそういったものがある程度蓄積をされて、私が花粉症になったのも二十歳を過ぎてからでありますから、ある時期にそういった症例が出てくるのかどうか。

 この環境問題に対する規制のあり方、あるいは保健医療の問題というのは、因果関係がはっきりしないので明確な規制ができないとか、因果関係がはっきりしないので控訴の手続をとる。法定主義からいえばそうなるのかもしれませんが、仮に因果関係がはっきりしない状況においても、疑わしき物質を、疑わしきは罰せずではなくて罰するというやつでありますが、疑わしきは罰するということをやって一体何のデメリットがあるのでしょうか。

 その物質がこの病気と何か因果関係があるのかもしれない、ないのかもしれない、あるかもしれないから規制をする。十年たって結果が出て、なかった。大きな被害が出ないでよかったね、予想が外れてよかったねと。仮に因果関係がはっきりした時点で、十年後に、疑いがあるかもしれないけれども明確な因果関係がわからないから立法措置をしない、あるいは規制を強化しない、十年後に出てきた、そのときにはもう因果関係もはっきりしている、手おくれだと。

 こうなった場合を考えたときに、環境問題とか医療問題に対する規制は、私は、疑わしきは罰するじゃありませんけれども、疑わしきは規制を強化するという視点に立たれた方が、人間らしい日本の行政といいますか、環境庁が環境省になったのでありますから、このぐらいな大胆な方針転換をされてもいいのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

松本政府参考人 基本スタンス、基本的な考え方、先生のおっしゃるところ、全く同感のところがあるわけでございますが、ただ、今回、NOx法の改正におきまして、達成の期間、十年程度がやはり必要なのではないかと申しておりますのは、例えば、一番効果的な対策として盛り込んでおります、特定地域の中でより厳しい排出ガス規制をかける車種規制、これは規制としては、法律を成立させていただきましたら、段取りをとりまして、来年度の時期から速やかに規制強化に入るということでございます。ただ、それが具体的に効果をあらわしてくるというのにやはり一定年限がどうしてもかかってくるということでございます。

 それ以外の対策についても同様のことがございまして、やはり全体として特定地域の中で環境基準のおおむね達成というようなことを実現していくためには、一定の期間がどうしても必要になってくるのではないかというふうに考えているということでございます。

 ただ、それも、仮に十年間というようなことで考えて、十年間指をくわえて待っているということではなくて、中間段階できっちりとした点検、チェックもし、必要に応じて改めてさらに対策の強化も考えるし、それから、それ以外のいろいろな技術開発などの状況も見て、可能な限り早く環境基準の達成に向けて努力をしていくという基本姿勢は変わらないわけでございます。

長浜委員 なぜこの問題が基本的な考え方として重要かといえば、NOx法の審議をしますけれども、この法案の中に数値がどう書かれるかということは、今の時点ではわからないですよね。あるいは、猶予期間というのがあるのですが、ディーゼルのエンジンをかえるとか車をかえていく、新車登録をしたときから何年間かは猶予する。東京都で七年で、こっちの国の方は八年になるのかどうかわかりませんが。

 こういった、事実上この法律を有効ならしめるところの数値というのは、この法案の審議で法令で決めるのではなくて、その後の政令、ないしは審議会からの答申に基づいて、いわゆる国会審議とは違った場で決められていくのではないのですか。それとも私の認識が何か間違っておりますか。

松本政府参考人 今お話のございました車種規制を実施した場合の猶予期間でございますけれども、これにつきましては、法律ではなくて環境省令というような形で設定をするということになろうかと思います。

 ただ、現行の自動車NOx法の仕組みの中で既に猶予期間というのが定められておりまして、これは八年から十二年、車種によって設定がされております。

 私どもの考え方といたしましては、今回の自動車NOx法の改正を考える際に十分の御審議をいただきました中央環境審議会の審議の検討結果によりますと、期間の短縮というのは、長期的に見ると必ずしも対策効果の増大にはつながらないということ、一方、もちろんその期間を逆に延ばすというのは、緊急に大気汚染対策の強化が求められているという現状からしますと適当でないということでございます。

 審議会の答申におきましても、今後の規制強化、改正後のでございますが、規制強化に当たっては、現行の規制と同等の猶予期間、すなわち八年ないし十二年にすべきではないかという提言がなされているわけでございまして、今後この答申に沿って具体的な猶予期間を定めるというような方向で進めていく必要があろうかと考えているところでございます。(長浜委員「基準値は」と呼ぶ)

 基準値についても、法律ではございませんで、具体的には今後でございますが、ただ、基本的な考え方を申しますと、新たに規制をいたしますディーゼルの乗用車、それからトラックの中でも軽量車ないし中量車、これにつきましては、基本的にガソリン車への代替というのが現実的に可能であるという状況に既に技術開発は進んでおりますので、ガソリン車並みの規制をかけるということでございます。

 トラック、バスの重量車につきましては、現実にそこまで排ガス性能のいいエンジンというのはまだできておりませんので代替ができませんので、ディーゼルの規制の一番厳しいところ、こういうようなところをねらって設定をしていくということにしたいというふうに考えているわけでございます。

 いずれにいたしましても、具体的な規制値そのものにつきましては、法律が通った後設定をさせていただくということになろうかと思います。いずれにしろ、現状の中でできるだけ厳しいところを考えていきたいと思っております。

長浜委員 おわかりのように、法律が通った後に決めていくという部分が、この種の法案の心臓部分においてそうなっちゃっているのですね、法律のつくり方が。

 ですからこそ、国会審議の場で法案に対する考え方をきっちり詰めておかないと、厳しい状況で設定したいと思いますと言った後での設定段階で、私に質問時間を十時間から二十時間いただければこの問題を詰めていきますが、そういう場がないものですから。

 この法案の持つ意味というのは、多分、規制を強化して大気汚染の状況を改善し、そして人間的に生活しやすい環境をつくっていくという、だれも反対がありませんよ、その場で採決しても問題がない。しかし、現実の問題の数値等々がこれから入っていくという状況においての審議だということで、改めて確認をしていただきたいというふうに思います。

 現実に、昨年の一月の尼崎、そして十一月の名古屋の大気汚染訴訟においても、私自身は終わった後に極めてショックだったのは、ショックだったというか、自分自身がショックであって人に対してということではありませんけれども、道路交通の差しとめということが司法の判断によってなされたということであります。

 考えてみれば、訴えていて裁判所が判決を下したのだから何がおかしいんだと言う方もいらっしゃると思いますけれども、環境省が存在をしながら、この当時は環境庁かもしれませんけれども、こういった、昔でいう通産省あるいは運輸省、今でいう国土交通省とか経済産業省の、ある種の、自由主義社会あるいは市場主義原理に基づいて経済活動を行っていく、私の考え方と一緒であります。

 しかし、規制緩和をしなければいけない、規制強化をしていかなければならない部分の最大の要素は、むしろ環境問題とか健康問題に関する部分ではないかなというふうに思う中において、環境省が一体この間何の働きを示してきたのか。司法に、これ以上やったら通行差しとめですよという判断を仰がなければならないほど無力であったのかということを感じたときに、この裁判が提訴されている前も多分私は環境委員会の委員であったと思いますので、もう数年も前でありますけれども、そういった状況の中で気がつかなかった自分が恥ずかしくなったわけであります。

 大臣としては、今一連ちょっと議論をしてまいりましたが、いわゆる予防原則の考え方、こういったことについても何か明確な所見を持っておられるはずだと思いますけれども、起きてからどうこうというよりは、予防原則について、そういったことについてもあわせて触れていただければというふうに思います。

川口国務大臣 大気の環境基準が二酸化窒素あるいは浮遊粒子状物質について守られてきていないという状況にありますことについては、これは歴代の環境庁長官が全力で努力をされていらしたと思いますけれども、私としても、それから環境省といたしましても、この事実は謙虚に受けとめて反省をしていくべき問題だというふうに考えております。

 名古屋それから尼崎についてお触れになりましたけれども、事実関係になりますけれども、私どもは、第一審判決につきましては、健康被害と大気汚染の因果関係の認定についても問題があるということで、関係省庁とも協議の上、現在控訴をしているところでございます。

 ただ、こういった司法の判断に対する対応のいかんを問わず、環境省といたしましては、大気汚染の改善がはかばかしくないということを重く受けとめて、NOx法の改正による施策、それから関係府省あるいは都府県との関係で連携をして、人流、交通流あるいは物流といった総合的な施策を出していくということが非常に必要だというふうに考えております。

 おっしゃられる予防原則でございますけれども、環境の分野におきましては、これは気候変動の問題についてもそういうことでございますけれども、実際にそういう状況が、例えば温暖化についていいますと、温暖化が実際に起こって被害が出てしまってからでは遅いという考え方に基づいて、今からできることをやっていこうという考え方でございますけれども、実際、現実社会の場で、どういうような状況で問題が把握されたときに予防の原則により施策をとるかということの判断は、それぞれのケースによってあると思いますし、なかなか判断が難しい分野でもあるかと思います。

 すべての規制は、別な意味で自由な活動、人々の活動を抑えるという働きも持っているわけでございますので、その二つをどういうふうに両立をさせていくか、それはその問題によるとも思いますが、環境の分野で予防原則というのは、私どももきちんと位置づけておりますし、それは重要な原則だというふうに考えております。

長浜委員 大変重要な原則だということを再確認していただきたい。特に環境大臣には、他省の大臣もそうでありますけれども、お願いをしたいと思います。

 他省から政務官が来られておりますが、時間大丈夫ですか。時間がなければその件を先にやろうと思いましたけれども、大丈夫なようなので。

 先ほどいろいろな検討会の話がありました。例えば、一九九九年四月に、学識経験者から成る自動車NOx総量削減方策検討会、結論がどうなったのかわかりませんが、翌二〇〇〇年十一月、今度は「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」という、これは中央環境審議会ですか、ここで第四次の答申が上がってくる。同じ二〇〇〇年の九月八日には中間報告として、ディーゼル排気微粒子リスク評価検討会、そして、済みません、一年戻りますが、九九年の九月には自動車排出ガス測定局適正配置検討会、そして、これが特に医療問題といいますか健康問題と関連すると思いますが、微小粒子状物質曝露影響調査検討会、私がちょっと見ただけでも、この法案に関係するのではないかと思う検討会がこれだけあるわけでありますが、もちろんいっぱい抜けていると思います。

 この種の検討会というのは実際幾つあって、数はどうでもいいんですが、この法案の審議における何の重要な要素になって、さまざまな検討会の設置によってどこが前回の法案と前向きに変わっているのかどうか。

 責任問題というのを考えるときに、特に今、私のそれこそ所管委員会というか、質問する場がありませんが、外務委員会の中において、非常に個性の強い大臣の方の御就任によってその省庁の中の人事にまで影響している。それがいいか悪いかを議論するつもりはありませんが、そのぐらいこのNOx法の過去申し上げましたそれぞれの節において、三度目の正直が見送られて今度四度目の正直に突入するわけでありますが、達成されなかったから残念だったね、今度頑張ろうやということで済むのかどうか。責任体制はどうなっていたのか。

 検討会を多くつくって、諮問は上がってきて盛り込まれているという答弁だけではなくて、達成されなかった過去の経緯において、担当者といいますか責任者の責任問題が問われたのかどうか、こういった問題についても御説明を願います。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、大気の環境の基準が今までの努力にもかかわりませず達成できていないという事実は、環境省として、あるいは私として非常に重く受けとめております。

 これからNOx法の改正による施策の実施、それから総合的にさまざまな政策を実施する、中間レビューも行いますけれども、それに省を挙げて、あるいはほかの府省の方々と連携をして、全力を尽くして取り組むということで、一日も早く環境基準が達成されるよう最大限の努力をいたしていきたいと思っております。

長浜委員 質問に対するダイレクトなお答えをいただけないことを非常に不本意に思うわけでありますけれども。

 先ほどもいただけなかった、私自身は、恥ずかしながら、司法による道路交通の差しとめということに個人的な所感を述べたわけでありますが、立法の不作為とまでは言わぬでしょうが、この問題に関して、大臣はさっきの私の質問に関して個人的見解は何かお持ちになりますか。

川口国務大臣 幾つか感想はございますけれども、旧NOx法におきまして、例えば、事業者の方々にとっていただく対策についての規定の仕方が必ずしも実効性を持つようなものではなかったという問題もあったかと思います。また、粒子状物質が含まれていなかったという部分もあるかと思います。それから、これは技術の問題もございますけれども、車種規制で十分な手が打てていなかったといった旧NOx法の問題がさまざまあったかと思います。

 そういった点につきまして、改正をしていただいたNOx法につきましては、都道府県との連携も今までよりはよりよくできるようになっておりますし、関係府省との関係でも、基本方針のつくり方につきましても、より明確に規定ができるのではないかというふうに期待をいたしておりまして、それが実効性を持つように、環境省といたしまして強力に関係の府省あるいは都道府県に働きかけ、みずからもやるべきことをきちんとやっていくということが非常に重要だというふうに思っております。

長浜委員 たびたび答弁の中で、関係省庁と緊密に連絡をとってということでありますが、私は、関係省庁と緊密に連絡をとったのが、ある意味で対策をおくらせる原因になったのではないかなという極論を持っているわけであります。

 何回も申し上げますとおり、環境庁から環境省になったという、ここにいるのは与党、野党を問わず、それぞれ環境問題に思い入れの深い議員が大変多いわけであります。そのうちの一つとしては、もちろん資本主義社会の中で、先ほど申し上げましたように、日本が経済発展をすることは大事でありますけれども、その間に失われたものはないであろうか。

 それに気がついた意識の高い議員が集まっていると言ったら他の委員会に怒られますけれども、そのぐらいの自負を持って多分皆さん集まっておられるという中において、今回、時間の関係で逐条ごとの議論をする時間はありませんのでなんでありますが、いわゆる地方分権の時代を迎える中において、NOxに現実面で毎日対応するのは、さっきも申し上げましたように住んでいる地域、寝ている地域。

 その状況の中で、都道府県知事の役割、あるいは、何度も申し上げますけれども、環境大臣の役割が大きいにもかかわらず、その部分を事業所管大臣に読みかえる。特に「自動車運送事業者等に関する特例」、二十二条の規定などがそうでありますけれども、どう言ったらいいのでしょう、なぜそこまでこの法案に関して産業活動に配慮をしていく必要があるのか。この法案に関してですよ。産業活動に配慮することは重要でありますけれども。

 これだけ問題が山積みをして、しかも二十数年にわたって問題が解決できず、さらに十年先送りをする、そのための法案審議の中において、なぜ、環境大臣になられて、環境省になって、この法案を環境省が一元管理をしていかないのか。

 特に情けない点は、環境大臣が事業所管大臣に対して助言と指導だか、文言は正確には忘れましたが、することができるというような書き方をしておりますが、やらなければならない、百歩譲って。そうでなければ、環境大臣が、環境省が主導権を持ってこの法律をつくっていくという過程にあるのではないでしょうか。これは後ほどの覚書の質問にも関連をするところでありますので、御答弁を願いたいと思います。

松本政府参考人 初めに、ちょっと先ほどの答弁の訂正をさせていただきたいと思います。

 私、車種規制の中で、規制の猶予期間を環境省令と申し上げたようでございますが、政令でございます。排出規制の方は環境省令でございます。訂正をさせていただきます。

 それから、今お話のございました今回の改正法の中で、事業者に対する措置、これは、今回は特定地域の中の一定規模以上の事業者に対して都道府県知事が指導助言をする、そのメルクマール、それから事業者が自動車の使用管理計画というのをみずからつくっていただく際のメルクマール、これを国が示すということなわけですが、その判断基準をなぜ環境省、環境大臣が一元的にやらないのか、こういうお話でございます。

 事業活動といいますのは、事業活動という全体からしますと一つの活動体でございますし、その中で車を使い、その車が環境に負荷を与えているという両面があるわけであります。したがいまして、今回はすべて事業所管大臣に判断基準を全部お任せするという仕組みにはしていないわけでございます。

 むしろ現行法というのが、事業所管大臣が使用合理化指針というのをそれぞれつくって直接的に事業者を指導するという仕組みだったわけでございますが、今回はそれを改めて、判断基準につきましても、まず判断基準についての基本的な事項を環境大臣が案をつくりまして、閣議決定をする、そしてこれを基本方針の中に盛り込みまして、それを踏まえた形で、事業活動の実態や業種の特性により精通をしているという意味で事業所管大臣が判断基準を定めるということにしたわけでございます。

 やはり環境政策を推進する上で、もちろん環境省が主導的に努力をしていかなければならないわけでございますけれども、やはり関係の行政とそれなりの連携をとりながら総合的に対策を進めていくということはどうしても必要なことではなかろうかと思うわけでございまして、環境省がリーダーシップをとりながら連携を図っていくという観点からこういう判断基準の設定の、二重構造の仕組みにしてあるということでございます。

長浜委員 大臣からお答えはないようでありますが、今の問題を乗り越えないと同じ結果になりますよ。他省庁に、共管で、よく連絡をとり合いながらというような形で遠慮をしていくと、普通の言葉で言えば、結果は同じになりますよ。努力をしました、頑張りました、けれども、達成できませんでしたと。

 それがどこに原因があるのかわかりませんが、基本的にこの姿勢を、日本の環境行政の当事者の意識を変えていかないと、今確かに経済状況がこんな状況でありますから、なるべくデフレ傾向になるところの、あるいは経済の要因を、ストップをかけるようなことに関しては抵抗があるのかもしれませんが、そういった状況であるからこそ思い切ってやらないと、この問題というのは、この問題というのは今四十分ほど話したすべての問題でありますが、解決ができない。十年後に、同じ審議の場に私は立っているのではないかなということを強く危惧するわけであります。

 それで、それにも関連する、参議院の方でも審議をされましたいわゆる覚書の問題。

 ふだんは、言われてみれば、確かに法律をつくる段階においての各省庁の実務担当者の覚書、会社でも何かやろうとすればこういったものは多分存在をしてくるのだろうというふうに思いますが、やはりちょっと奇異に感じたのは、この法案審議を今やっておるわけでありますけれども、この前の段階でのその法案の理念的な、今ずっと同じスタンスに立って私は質問をしていると思いますが、その部分にかかわるところでの役割分担のあり方、この部分に関してはおたくのよ、しかし、ここには口を出さないでねということが法案審議の前に書かれている。

 私は衆議院議員でありますから、衆議院の環境委員会の調査室の資料を見たら載っていない。参議院から取り寄せたら載っていた。そんな事情もありますけれども、このような形の文書というのは、法案審議に当たって、ある意味で質問者にとっては重要な資料になるということでもありますから、質問者の意図によって、これは要らないと言うことは、それは自由裁量で認めていただくとして、今後の法案審査のあり方においても、法案の骨子に重要な影響を与えるという覚書に関しては参考資料として添付すべきではないですか、どうですか。

松本政府参考人 法案の審議の際の参考資料でございますけれども、今回、参議院の環境委員会の調査室の方から、資料作成に際して求めがございましたのですべて提出をさせていただいたということでございます。

 衆議院の調査室の方からは特段の御要請がなかったので出さなかった、こういうことでございます。

長浜委員 求めがないから出さない、別に調査室の弁護をするつもりはないのですが、私が質問するときの、質問の委員に対してということで、基本的によりよき法案をつくっていく、対立法案でも何でもありませんから、そういった状況の中で、与党の議員でも野党の議員でも、あるいは衆議院でも参議院でも関係なく、その法案の骨子に関する、たまたまこの覚書の問題が、参考人質疑の過程において、それに気がついた人、気がつかないおまえがばかなんだと言われればそれまでの話ですけれども、ここで出た議論の中においては、もう少し、聞かれなければ出さないという体質ではなくて、法案の審議を充実させていく上での配慮というのはないんですか。

松本政府参考人 衆議院ないし参議院の委員会の調査室がおつくりになる参考資料、これはそれぞれの調査室の御判断を尊重しなければいけないと思いますが、基本的には、各院あるいはその委員会は当然国政調査権というのをお持ちでございますから、そういうお立場で、御要望があればお出しをするということは従前と同じだろうと思います。

長浜委員 そういう姿勢であるならば、ことごとく資料要求等々を、お互いの信頼関係において、いただいている資料等々含めてで議論をしているという現状もありますので、さらに努力をしなければいけないなと自分自身思ったわけであります。

 この一連の審議を、きょうは他省庁からも来ていただいているわけでありますけれども、私自身の基本スタンスは、今ずっとおつき合いをいただきましておわかりになりますとおり、ある種の日本の産業政策上の中で欠けていた部分は、環境に対する配慮が欠けていた。そのために、医療の問題あるいは環境の問題でさまざまな負の遺産を今世紀になっても引きずっている。それを解決しなきゃいけないためにこうやって委員会の中で議論をしていると私は思っておりますので、違う省庁の立場から、この覚書等の問題、警察庁の部分を除いて、覚書は本法案に関しては完全に破棄されているということが参議院で答弁をされておりますが、他省庁の方々は、一つは、この法案に関しての警察庁以外の部分は破棄ということで理解をしているのかどうか。

 もう一つは、今申し上げた私の質疑を聞いていただいて、環境問題が皆様方の管轄される所管の、事業担当大臣ではありませんが、事業担当大臣のもとでお仕事をされている方としてこの質疑の印象をどう思われたのか、ちょっとそれも伺いたい。

大石政府参考人 環境省から国土交通省に対しまして平成十三年三月二日に発出された文書につきましては、六月一日、環境省から国土交通省に対し、撤回する旨の文書が提出されまして、国土交通省としてもそれを受け取ったところでございます。そういう意味では、先生がおっしゃいますように、破棄された状態というように我々も理解をいたしております。

 道路行政、国土交通行政における環境の位置づけでございますが、私は道路局長ですので道路のことを語らなければなりませんが、河川法が環境目的に書きかえられたといったような状況もございます。道路につきましても、道路整備の目的、道路管理の目的そのものが交通の円滑化、交通の発達ということに道路法上なっておりますが、環境という意味が非常に大きくなってきているということは我々も十分理解いたしておりまして、現在も道路の沿道環境あるいは地球環境に資する円滑な交通の推進ということに努力いたしておりますが、引き続き最重点課題として取り組んでまいりたいと考えております。

木村(隆)大臣政務官 先生御指摘のとおり、対象となる事業所を所管する関係省庁、そしてこれからは都府県も含めましてさらなる連携をしていくことは当然のことだと思います。

 先生の御趣旨をよく踏まえまして、これからさらに緊密に連携を保っていけますように努力をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

長浜委員 環境自動車の件につきましては、時間の関係で質問を省略させていただきます。どうもありがとうございました。

五島委員長 武正公一君。

武正委員 民主党・無所属クラブの武正公一でございます。

 きょうは、いわゆる自動車NOx法改正についての質問に立たせていただきます。質問の機会をいただいたことに、委員長初め委員各位に心から感謝を申し上げる次第でございます。

 まず第一番目に、現行自動車NOx法でございますが、平成二年度を基準といたしまして、目標年度平成十二年度まで、窒素酸化物総量を特定地域全体で約三割減少させることを目標としたNOx法、これが平成九年の段階で十四万九千トンということで、わずか五千トンしか減らなかった、あるいは環境基準達成率が、一般環境大気測定局で七四・一%の達成率、自排局では三五・七%というような低い達成率、こういったことを踏まえて今回法改正に至っておられますが、まず大臣に、現行自動車NOx法の実効が上がらなかった責任というものをどのようにお考えになっておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

川口国務大臣 現行自動車NOx法の対策が、今までのさまざまな努力にもかかわりませず総合的に見て十分な効果を上げなかったということは、全くそのとおりでございまして、この事実をきちんと踏まえまして、これを謙虚に反省する必要があるというふうに考えております。

 今後につきましては、粒子状物質を対象に加える、あるいは事業者を指導する仕組みをきちんと強化するといった改正をお願いいたしまして、また、その他総合的な対策を講じることによりまして、この環境基準の達成が可能となるように全力投球をすることが環境省に課せられた責務であるというふうに考えております。

武正委員 きょうは、三省庁さんというか二省庁さんですね、国土交通省に運輸省、建設省が統合されましたので、経済産業省さんを含めまして政府参考人の方にお見えいただいております。

 先ほど長浜委員から話が出ました覚書は、今改正案についての覚書でありまして、私が今取り上げさせていただきますのは、現行NOx法、平成四年時の覚書について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、これは、旧通産省さん、現経済産業省さんでございますが、平成四年三月十二日付環大規第四十二号、四立局第九十八号という覚書、旧環境庁さん、旧通産省さんに関してお尋ねをいたします。

 これを読み上げさせていただきますと、この二項目、三項目で、「環境庁は、都道府県知事が総量削減計画において、国の個々の施策による窒素酸化物の削減目標、予想削減量その他これらに類する数値を記述しないよう必要な指導を行うこと。」環境庁は、都道府県に、国の個々の施策によるNOxの削減目標、予想削減量その他これらにたぐいする数値を記述しないよう指導しなさいということですね。

 それから三項目めは、「法律案第七条第二項第五号に定める「計画の達成の期間及び方途」の「方途」には、事業所管大臣の所掌に属することに関し、知事が事業者に指導助言、要請等を行うことは含まれないこと。環境庁は、その旨を都道府県知事に指導すること。」というこの覚書の二項目め、三項目め、これで現行NOx法、環境庁さんと旧通産省さんがやってこられたと思うんですが、この趣旨と目的とこれを締結した理由をお聞かせいただけますでしょうか。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今、覚書の二点について御指摘がございました。この二点につきましては、現行の自動車NOx法の国会提出に先立つ平成四年三月の時点におきまして、総量削減計画において言及される可能性があった国の施策のうち、車種規制以外の個々の施策につきましては、窒素酸化物の削減量の算定が困難であるものが多いことから、そうした施策について、実現可能性などを考慮せずに削減目標量が割り当てられるといった状態を避けることが適当であると考えたこと、それから第二点目に、事業者に対する指導及び助言につきましては、同法第十三条第四項におきまして、事業所管大臣が行うことができることとされ、また、同条第六項におきまして、都道府県知事は、必要があると認めるときは、環境大臣に対しまして、事業所管大臣が指導等を行うよう要請することを求めることができるとされていたこと、こういったことを考慮いたしまして、環境庁と通商産業省との間で確認したもの、そういうふうに承知しております。

武正委員 同じく環境省さん、この目的、そしてまた理由、これについてお答えいただけますか、趣旨も含めて。

松本政府参考人 御指摘の旧通産省と環境庁との間の文書でございますけれども、御指摘のありました第二項につきましては、個々の施策については、車種規制以外は窒素酸化物の削減量の算定が困難であるものが多く、算定困難な施策について実現可能性等を考慮せずに削減目標量が割り当てられるといった事態を防ぐためのものでございます。

 もう一つ、第三項は、現行法で事業所管大臣が事業者に指導助言を行うことができるということとなっておりましたので、それに伴うものでございます。

 なお、付言させていただきたいのでございますが、前者、すなわち二項に関係するところでは、総量削減計画に関するものでございまして、平成十一年の地方自治法改正に伴って機関委任事務が廃止され、従前は、NOx法の仕組みは機関委任事務でございました。ある意味では国の手足で自治体にお願いをするという仕組みであったわけでございますが、平成十一年の地方自治法改正に伴って機関委任事務が廃止され、さらに、今回の改正法案で、総量削減計画の策定事務は自治事務に位置づけることと再整理をいたしました。そして、総量削減計画につきましては、都道府県知事が個々の施策ごとの削減量を定めるかどうかを含めて、その判断でそれぞれの地域の実態を踏まえて、よりきめ細かいものを定めることができるようになったわけであります。

 そして、三項の方でございますが、事業者指導に関するものでありますが、改正法案では、事業者に対する指導等は都道府県知事が行うこととされたということでございますし、そういう実態面からもいたしまして、これらの覚書については既に効力を失ったというふうに整理をいたしております。

武正委員 私の目的は、なぜ現行法がうまく機能しなかったかということでございますので、今法案についての御答弁は後ほどにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、二項目めにつきましては、都道府県知事が総量削減計画について、国の施策に対して数値を記述しないようというような指導でございまして、後ほど御提案をさせていただきますが、今回、都道府県に総量削減計画をしっかりやるようにというような今の御答弁でありましたが、私は、これからやはり国も総量削減計画というものをつくって、国も同じく責任を持っていくべきではないかなというふうに思っております。環境省さんが頑張ってリーダーシップをとっていただくについても、さまざま他省庁さんとの連携が必要でありますが、そのときに、国も総量削減計画を定めるんだということが必要ではないかなというふうに感じております。

 続いて、国土交通省さんにつきましては、平成四年三月十三日付環大規第五十四号、自企第三十二号の第二項を読みますと、「環境庁は、法第七条第一項の総量削減計画の策定に関し、次の事項を関係都道府県知事に対して指導すること。1総量削減計画において定められる方途は、「施策」を定めるものであり、個別事業者が講ずる措置を直接掲げるものではないこと。2総量削減計画に定められる方途には、個別施策ごとの自動車排出窒素酸化物削減目標量及び達成水準の目標は定めないこと。」この覚書の趣旨、目的、そして定めた理由、国土交通省さん、お答えいただけますでしょうか。

宮嵜政府参考人 御指摘のございました覚書でございますけれども、これは、自動車NOx法が新たに制定される法案でございましたことから、この条項の解釈、運用に関して、法案作成を担当された環境庁の方から御説明のあった内容について、政府部内における共通の理解として文書で確認したものであると承知をしております。

武正委員 同じく環境省さん、お答えいただけますか。

松本政府参考人 御指摘の文書に関してでございますが、第二項の1につきましては、現行法では、個別事業者の講ずる措置は事業所管大臣が定める指針で明らかにされるものでありまして、その切り分けを明らかにしたものであります。

 2でございますけれども、個々の施策については、車種規制以外は窒素酸化物の削減量の算定が困難であるものが多く、算定困難な施策について、実現可能性等を考慮せずに削減目標量が割り当てられるといった事態を防ぐためのものであると考えます。

武正委員 二項目めの一項につきましては、これはまた後ほど、あるいは長浜委員も取り上げましたが、自動車運送事業者等に対する指導助言は、都道府県知事ではなくて国土交通大臣が行うことになっているということで、本法案でも相変わらず、個別事業者が講ずる措置というものは環境省あるいは都道府県知事から国土交通大臣というような形になっているわけでありまして、この問題点は引き続き引きずられているというふうに認識をしております。

 続いて、平成四年三月十二日付、環大規第四十号、建設省道政発第二十七号の点につきまして、同じく国土交通省さんにお伺いをいたしますが、旧建設省さんでありますが、この第二項でありますが、「「必要な資料」及び「説明」には、環境影響評価に関する資料などの個別・具体の道路事業に係るものは含まれないこと。」これが二項、三項でありますね。そして四項では、「法第十四条第二項の規定により都道府県が述べる意見には、道路構造等個別・具体の道路事業に係るものは想定されないこと。 なお、都道府県が道路管理者に意見を述べる場合には、事前に当該道路管理者に協議するものとする。」五項として、「上記三及び四については、環境庁は、通達等文書をもって都道府県を指導すること。」ということでございますが、同じくこの趣旨、目的、そして理由をお答えいただけますか。

大石政府参考人 平成四年の自動車NOx法制定時の覚書につきましては、昭和五十九年八月二十八日に閣議決定されました環境影響評価実施要綱に基づく環境影響評価の手続において、個別具体の道路事業に対して関係都道府県知事または環境庁長官が意見を述べる手続が定められていたところであります。このため、自動車NOx法第十四条第一項と環境影響評価実施要綱との重複が生じないよう、環境庁との間で整理したものでございます。

 また、都道府県が道路管理者に意見を述べる場合に事前に協議することといたしましたのは、都道府県が述べる意見の内容に道路管理者が円滑に対応できると考えたためでございます。

 第五項は、自動車NOx法を所管する環境庁が、都道府県に文書でもって指導することを確認いたしたものでございます。

武正委員 同じく環境省さん、お答えいただけますか。

松本政府参考人 御指摘の文書でございますが、第二項から第五項に関してでございますが、昭和五十九年のいわゆる閣議アセス、これに基づきます環境影響評価の手続によりまして、個別具体の道路事業は環境配慮が行われることとなっていたことから、現行法の第十四条第一項との重複が生じないよう、閣議アセスの仕組みで行うことと整理をしたというのが趣旨でございます。

武正委員 これは平成四年のときの覚書でございまして、今のお話の中では、車種規制以外の総量削減についてはわからないというようなことで、それは削除しよう、それは盛り込まないというような形の答弁があったわけでありますが、これでは実効性が上がらないのは申すまでもない点でございます。

 また、都道府県の自主性というような形、一生懸命都道府県は頑張ってくるわけなんですけれども、都道府県に対して旧環境庁から通達のような形で各省庁の意向を伝達する、こういったやり方もいかがなものかというふうに考えております。

 そういった中で、今回の法改正では、今取り上げました三つの覚書のうち、特に国土交通省さんの平成十三年三月二日付環管自第十九号のみが残っているといったことになっておりますが、これが今国会でまた問題になりまして、先ほど破棄をしたというようなお話がありましたが、なぜこれだけが今改正で、三月二日時点で残ったのか、国土交通省さん、お答えいただけますでしょうか。

大石政府参考人 平成十三年三月二日付の文書は、環境省から国土交通省に発出された文書でございますが、この文書の第一項、第二項の趣旨は、いわゆる改正自動車NOx法に基づく事業者による排出抑制措置と道路管理者が行う道路管理に関しまして、道路管理に影響が及ぶことは通常想定しがたいこと、仮に道路管理に支障を及ぼすおそれがある場合には、関係者間で相談することが望ましいこと、また、その旨を周知することとしたものであると環境省から聞いております。

 第三項の趣旨は、環境影響評価法の対象となる個別具体の道路事業については、同法に基づく環境影響評価の手続により環境配慮が行われることとなっていることから、改正自動車NOx法との重複を避け、円滑かつ適正な法の執行を行う必要があるということを示したものであると環境省から聞いているところでございます。

 なお、本文書につきましては既に撤回されているというのは、先ほど申し上げたとおりでございます。

武正委員 今撤回されていると申されましたけれども、これについては、このときの結んだ趣旨を撤回して、これで環境省さんとはこういった趣旨では覚書はもう必要ない、環境省を中心として自動車NOx法、今改正案で取り組んでほしいということで国土交通省さんとは了解をされたということでよろしいんでしょうか。

大石政府参考人 今回の文書の撤回につきましては、環境省から、法律の運用に特に影響はなく、今後代替措置も行う必要がないものと聞いておりまして、国土交通省といたしましてもそのように認識をいたしております。

 なお、環境省から、法律の運用に関しまして問題が生ずれば、その時点で国土交通省と相談し問題の解決を図りたいという意向を聞いております。

武正委員 同じことを環境省さん、お答えいただけますでしょうか。今、特に問題があればというような御発言もあったのですけれども、その点も含めて御答弁をお願いします。

松本政府参考人 参議院環境委員会での審議を踏まえまして、条文及び国会審議に反する覚書は破棄をいたしますという環境大臣の委員会での発言を受けまして、六月一日付で当該文書については、もともとの文書が、これは、私ども環境省の環境管理局の担当課長名で国土交通省道路局の複数の担当課長あての文書でございますので、一方的な文書でございますので、こちらから、当該課長から撤回をするという形でいわゆる実質的に破棄をしたということでございまして、今後は、まさしくNOx法の条文に沿って運用する、文字どおり運用していくということであろうと思います。

 それから、一般論といたしまして、いろいろな行政執行のところで、何か問題があれば必要に応じて関係省庁と相談をするということは当然だと思います。

武正委員 今の最後の答弁で、必要に応じてとか、先ほども国土交通省さんから、何か問題があればといったところがありましたが、これまでの環境庁さん、今の環境省さんの対応が、そういった意味では他省庁に対して非常に遠慮をしていたというような感じがあったわけであります。

 ここまでの質疑を通じて、私はやはり、この覚書を平成四年NOx法で結び、今話しましたように、他省庁の意向を都道府県知事に伝える、あるいは総量削減計画については、車種規制以外はわからないということでこれは除外しているといったこれまでの覚書に基づいてきたために、結局はNOx法は効果を上げられなかったのではないかというふうに考えますが、環境大臣の御所見を伺います。

川口国務大臣 現行のNOx法の目標が達成できなかった理由といたしましては幾つかあると思いますが、一つは、車種規制による対策の効果が交通量の増大で減殺をされてしまったということがあるかと思います。それから、事業者の自動車使用の合理化に関する事業所管大臣による指針、それからその指導の仕組みが必ずしも十分に機能しなかったといったこともあると思います。

 そういった要因によりまして、現行の自動車NOx法で目標が達成できなかったというふうに考えておりますけれども、仮に、御指摘のような覚書の項目によって法律の適切な施行が妨げられるということがあったといたしましたら、これは率直に反省をいたしたいと考えております。

 改正法案が成立をしました暁には、その実効が上がりますよう、今後、国会での御審議の趣旨を十分に体しまして施策に取り組んでいきたいと考えております。

武正委員 一点目は、参議院でも青山参考人も指摘をされていたようでありますが、特に東京都などは、自動車交通量は平成二年から九年まで二%しか伸びていないというようなことがありまして、これは、自動車の交通量とは因果関係は必ずしもないのではないかというようなことの指摘。

 二点目につきましては、先ほど国土交通省さんに対して申しましたように、今改正でも、事業所管大臣、国土交通省さんのみこの自動車運送事業者に対して残っているということでは、この点が改正されていないということは、やはり今改正でも問題点は継続しているというふうに考えるわけでございます。

 さて、この附則第三条にNOx法の中間見直しということがございますが、これはいつ行うのか、大臣、お答えいただけますでしょうか。

川口国務大臣 中間見直しにつきましては、附則第三条におきまして、自動車排出窒素酸化物及び粒子状物質の総量の削減に関する目標の達成状況に応じて、改正法に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるというふうにしております。

 中間見直しを具体的にいつ行うかにつきましては、中環審の答申におきまして、計画期間の中間時点で行う必要があるというふうにされておりまして、その趣旨に沿いまして、おおむね五年程度を目途といたしまして適切に行ってまいりたいと存じます。

武正委員 これも参議院の参考人質疑の中で青山参考人が述べているように、進捗管理、目標管理、中間見直しというような形で、今五年というお話がありましたが、データは毎年それぞれ上がってくるわけでありますから、それをもとに毎年進捗管理や目標管理を行っていく、それで、絶えず見直しを前倒し前倒しで行っていくべきではないかなと。五年ということが挙げられましたけれども、それが四年だったり三年だったり、その状況に応じて適宜適切に見直していくべきではないかなというふうに思っております。

 特に、後ほど話が出ますけれども、ディーゼル排気粒子のリスク評価について、ディーゼル排気微粒子リスク評価検討会が過日、中間取りまとめを発表しております。これが最終的な結果として、先ほど来話が出ておりますが、特にディーゼル車のSPM、これが健康に及ぼす評価、発がん性ですとかあるいはアレルギーですとかぜんそくですとか、こういったものが因果関係が明らかになった場合、法改正の必要もあるのではないかなというときには、私は、やはりこの見直しも五年ということに限らず行うべきではないかなと思うのですが、この点、お答えをいただけますでしょうか。大臣、お願いします。

風間副大臣 現在、環境省では、新長期規制、平成十七年まで決めるためのリスクの評価を行っておりまして、いわゆるディーゼル排気粒子の健康リスク評価検討会を、今専門家から成る検討会を設置いたしまして、十三年度末をめどに検討結果を取りまとめておるわけでございます。

 先ほど答弁でも紹介させていただきましたように、平成十一年度から、ディーゼル排気粒子を含むいわゆる微小粒子につきましても、健康影響に関する知見の収集、充実に努めておりますから、今先生がおっしゃいましたように、必要なデータがきちっと出て、なおかつそれに対して影響が与えられるおそれがある、あるいはおそれが生じたということになれば、中間であろうが何であろうが、NOx法の見直しについては当然踏み込まざるを得ないという意味で、必要とあらば、そういう観点からも、自動車NOx法の必要な強化に努めてまいらなければならないというふうに思っているところでございます。

武正委員 副大臣から大変前向きな御答弁をいただきまして、これは本当は質問は後の方だったのですが、法改正ということでここで急遽入れさせていただきまして、お答えをいただきましてありがとうございます。

 後ほどまた話が出ますけれども、医療の立場から副大臣には大変この分野で、特にこれはまた厚生労働省さんとも御協議が出てくるのかもしれませんが、ぜひ――私も中間取りまとめを読みましたが、かなりいろいろな形でやはり影響について書かれております。ですから今のように、法改正は何も五年の中間見直しに限らないという積極的な、前向きな御答弁をいただきまして感謝を申し上げる次第です。

 続いて、自動車排出ガス測定局についてお答えをいただきたいと思うのですけれども、尼崎の公害認定患者の六分の一が周辺地域に集中する尼崎市東本町交差点に大気測定局を設置するように公害認定患者が申し入れたところ、環境省は、同交差点に設置したいけれども、国土交通省さんが同じ場所で独自に測定局を設置すると拒否をしている、両省間で調整を進めているんだよという話があるということで、これは既に参議院の方でも質疑に出ていたようでございますが、この測定局の設置、先ほど、道路管理者ということで、今回の覚書はもう破棄をしたということでお答えがありましたけれども、まず環境省さん、この測定局の設置について、道路管理者である国土交通省さんあるいは都道府県との間で、どこに測定局を置くのか、だれが置くのか、お互いにまたデータをどういうふうにやりとりするのか、こういった点での連絡、協議、協力といったものは行われているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。

松本政府参考人 一般環境大気の測定あるいは自動車の道路沿道におきます排ガスの測定、これは、第一義的には地方公共団体が測定局を設置して測定をしていただくというのが基本でございます。大気汚染防止法に基づきまして、そういう形で測定をしていただいておる、必要な測定機器の補助などは環境省が行う、こういうことでございますし、また、そのデータについてはすべて環境省の方で集約をして、取りまとめて公表していくという形になっております。

 それから、数は少ないのでございますが、環境省みずからが国設の測定局を設置している場合がございます。これは、日常の大気環境の測定というよりは、むしろこれからの、特に例えば有害大気汚染物質についての施策をさらに展開していくために必要なより精密なデータを把握するというような観点から、独自に国設の測定局を設けるという場合がございます。これもまた、当然データについては毎年公表をしているということでございます。

 そして、国土交通省さんの方では、いわゆる道路管理というお立場から、道路沿道の大気環境の測定をより本格的に開始されるというふうに承っておりますけれども、その実施に当たりましては、両省間でいろいろな意味での連携を図りながら、そして、自治体、国土交通省とも今後はデータをきちっと共有できるような方向で努力をしていきたいと考えております。

武正委員 同じく国土交通省さん、御答弁をお願いいたします。

大石政府参考人 ただいま環境省の方から御答弁がございましたように、大気環境に関する測定局の設置は、これまで、大気汚染防止法に基づき、主に地方公共団体が設置してきたところでございます。

 国土交通省では、先生も御指摘ございました最近の裁判の状況でありますとか、あるいは大気環境等々を考えますと、道路管理の一環として測定を行っていく必要があるという認識に立ちまして、平成十三年度から、環境対策の企画立案や評価のため、全国の直轄国道で測定局を設置するということといたしたものでございます。そのデータ収集を行ってきておるところでございます。

 具体の測定局の設置に当たりましては、測定場所、測定項目について環境省、地方公共団体と調整することといたしておりまして、そこで測定した結果につきましては、公表するとともに、環境省、地方公共団体とも共有できるようにしてまいりたいと考えております。

武正委員 今の御答弁の、その調整というところがやはりくせ者でございまして、いい意味での調整ならいいのですけれども、先ほどの尼崎のように、拒否をするというような調整では困るわけであります。

 先ほど、もう覚書は破棄をされたわけでありますので、このNOx法改正に当たって、ぜひ環境省さんが測定局をこことここにつくろう、あるいはつくりたいというようなときに、よし、ではそこでつくってください、あるいは、では国土交通省もここはつくりますよというような形での前向きな調整をしていただきたいと思います。

 次に移らせていただきます。

 お手元にこのような資料を、委員長あるいは理事の皆さんのお許しを得て配らせていただきました。これは本当はカラーコピーがよかったのですけれども、ちょっと予算の関係もありまして白黒コピーで事務所でつくりましたので、ちょっと見にくい点はおわびを申し上げますが、今回の改正に当たって、ちょうど平成四年のときに、同じく特定地域をつくったとき、これはその指標の、二倍、三倍、四倍というふうに書いてありますが、当時は二倍というエリアで線引きをいたしました。

 今回も、特に関東圏それから関西圏は同じエリアでございますが、前回は二倍で算定をしたエリアということだったのですが、今回はそのエリアが三倍から四倍というような形で、同じエリアにある面押し込んだというようなことになっております。名古屋地域が今回加わったわけでありますが、前回と同じく二倍超といったエリアはこのように拡散をしていることをおわかりいただきたいということで出させていただいたわけであります。

 算定方法は、保有台数密度、走行量密度、粒子状物質排出量密度ということで、平成四年当時は二倍ということで算定をした。今回は、同じエリアに限る、名古屋地域が加わったとしても、関東、関西は同じエリアということで、同じエリアに押し込むために、三倍から四倍ということで何とか押し込んでいるわけですが、平成四年当時と同じ二倍という算定ですと、このように地域が拡大をしているわけであります。

 まず、なぜ三倍から四倍に今回その根拠を緩めたか。前回は二倍であったわけですが、その理由を、大臣、お答えいただけますでしょうか。

川口国務大臣 浮遊粒子状物質の対策地域の選定に関しましては、窒素酸化物のように濃度予測の手法が十分でないということから、中央環境審議会の答申におきまして、環境基準の超過状況を的確に反映できる指標を選んで、これを基礎として地域を選定するという考え方が示されております。

 先ほど委員がおっしゃられましたように、自動車保有密度、走行量密度あるいは粒子状物質排出量密度が、答申におきましては、全国平均の三倍から四倍を超過すると、環境基準を超過するおそれのある地域をほぼ捕捉できるということが示されておりまして、これらの要件を基礎といたしまして地域を選定するというふうに考えております。

 対策地域の選定に当たりましては、関係自治体の意見を聞く必要がございます。環境省といたしましては、こうした考え方に沿いまして、今後、関係自治体とも相談をいたしまして、地域の範囲の確定作業を行ってまいりたいと考えております。

武正委員 中環審に対しましては、さまざまな都道府県、自治体からも意見が出されておりまして、民主党でもワーキングチームで、東京都、埼玉県、川崎市の方においでをいただきました。

 その中でも、やはり他県から流入してくる通行車の取り締まりが正直悩ましいというようなこと、不適合車に対して関所を設けて取り締まることは困難であるからというようなこと、東京都さんはこれで監視員を設けたりして努力をされておりますけれども。あるいはロードプライシング、都知事の方でそんな発言も出ているわけであります。埼玉県では、県外から流入してくるディーゼル車が全交通量の一三%ある、この取り組みが課題なんだと。SPMの環境基準達成率二・八%、全国最低の埼玉県であります。川崎市に至っては、川崎市は東京と横浜の中間に位置しているため、通過交通量が全体の三分の一になっているということであります。

 今、大臣の方から、都道府県に頑張ってもらう、あるいは都道府県と協議しながらしっかりと進めていくという御答弁でありましたが、既にもう中環審にはこのような意見が多数寄せられておりまして、やはりその流入車規制ということを考えたとき、まずこのエリアを、特定地域をもっと拡大すべきではないか、二倍にすべきではないかというのが一点、この理由であります。

 それから、また後で触れますけれども、百歩譲ってというか、特定地域というのはいろいろ車種規制とか厳しい面がありますので、それを譲ったとしても、今のちょうど二倍超のエリアを、自動車の交通量の交通対策計画というような位置づけにしてもいいんじゃないかなというふうに考えております。

 これについては大臣の方からお答えをいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

川口国務大臣 先ほど委員から、二倍に広げてというようなお話もございましたけれども、やはりNOx法の効果を着実に上げるということのためには、市町村がまとまりを持って存在する必要がある、その地域を対策地域に指定する必要があるということでございます。

 局地的に大気汚染がある仙台あるいは福岡といったような地方都市につきましては、改正NOx法を適用しても実効性が低い、むしろそこは別な手法でやった方がいいのではないかというふうに考えております。こういった地域では、例えば単体規制の強化あるいは最新規制適合車への代替促進といったような施策を講じてまいりたいというふうに思います。

 都道府県が総量削減計画を策定するということでございますけれども、やはりその地域の実情というのは都道府県が一番よくわかっているということでございますので、先ほども申しましたように、国と地方公共団体と密接に連携をして、協力をして施策をやっていく必要があるというふうに考えております。

武正委員 質問を飛ばしてしまったりして、大臣の方でもちょっと混乱をされたかなと思うのですけれども。

 次の、総量削減計画、今、県がというお話でございましたが、先ほど来私が話をしておりますが、都道府県にあってはこのように流入車があるわけです。そこでNOxあるいは今度SPM、その総量、あるいはまた環境基準達成、しっかりやれよということで今度の法改正になっているわけなんですが、ただ、本当に都道府県にとっては流入車が大変悩ましい。

 あるいはまた、事業所管大臣、先ほどの国土交通省さんというようなことで、都道府県知事が運送業者に関してはらち外に置かれているというようなこともありますし、都道府県に頑張れよと言いながら、ただそれだけではなくて、また指針だけではなくて、やはり国も特定地域に関して総量削減計画をきちっと決めていく、国も責任を持つ、都道府県も当然当事者として頑張るというような形で、国も、指針ではなくて総量削減計画まで踏み込むべきではないか、責任を持つべきではないかというふうに考えますが、この点、大臣、御所見いかがでしょうか。

川口国務大臣 国も総量削減計画を策定すべきではないかということにつきましてですけれども、今の仕組みが、国は総量削減基本方針を定めまして、この基本方針に基づいて都道府県が、地域の実情を勘案して、あるいは地域の実情に即して総量削減を定めるということで施策を推進するという仕組みになっております。

 対策の推進という意味ではこの仕組み自体は有効であるというふうに考えますので、国がさらに総量削減計画を策定するという必要はなく、むしろ地域と協力をいたしまして実効性が上がるように努めていくということが必要であるというふうに思っております。

 それから、先ほど委員御指摘の交通対策推進地域でございますけれども、自動車NOx法に基づく対策地域は、自動車交通の集中などの要件を満たす地域を広域的に指定するということでございまして、関東地域でいえば、対策地域内を走行する自動車の約九割ぐらいを捕捉することが可能であろうというふうに考えております。

 この広域的な指定地域を対象といたしまして、総量削減基本方針あるいは総量削減計画に基づいて各種の対策をするという仕組みになっておりますので、その仕組みに取り組んでいくということで、交通対策推進地域として別途設定を考えるということなくして実効性が上がるような仕組みがNOx法で規定をされているというふうに考えております。

武正委員 まず、国がやはり計画をつくらなければ弱いというふうに私は感じておりまして、先ほど来の御答弁で覚書が破棄をされたわけでありますが、環境庁さんから環境省になってまだ日も浅いという中で、やはり環境省がリーダーシップを発揮するという意味でこの削減計画を国みずからつくっていく必要があるというふうに再度申し上げさせていただきたいと思います。

 また、交通対策推進地域についての提案でありますが、先ほどの、前回も二倍でやっているから二倍とすればもっと広がらなきゃいけない、それから、流入量に対しては今の特定地域ではとても無理ですよといったことも含めて、やはり今の地域を拡大しての交通対策推進地域、これが必要であろうというふうに考えるわけでございます。

 さて、この総量削減計画を策定するに当たっては、NGOや住民代表、それから環境問題に詳しい弁護士さんなども加えるべきではないかなというふうに考えるわけでございますが、これは副大臣の方から御答弁をお願いいたします。

風間副大臣 御案内のように、第十条で、都道府県に、NOxやPMの総量削減計画に定められる事項について調査審議するため、「都道府県知事、都道府県公安委員会、関係市町村、関係地方行政機関及び関係道路管理者を含む者で組織される協議会を置く。」というふうに定めておりまして、そこで、いろいろ運営や組織に関する事項も含めて、削減計画に盛り込まなければならないことを決めておるわけであります。

 したがいまして、今先生御提言いただいております、ノーマルな意見だと思いますけれども、NGOや地域住民の方々の参加を求めていくということについて、これは都道府県に任せられておりますので、地域の実情に応じて府県をきちっと協議会に加えていって、協議に参加していただいて適切に対応されるものというふうに考えております。

 参議院の環境委員会の附帯決議でも、この項目についても、六項目めに挙げられておりますから、その趣旨も環境省としても尊重していかなければならない、このように考えております。

武正委員 今、そういった意味で、NGOを含めて地域住民代表をしっかり加えていこうということで御答弁をいただいたわけでございます。

 続いて、先ほど来何度か取り上げさせていただいておりますが、今回の法律改正で、自動車運送事業者等に対する指導助言などは都道府県知事でなく国土交通大臣が行うことになっているが、こうした特例はやめて都道府県に行わせるべきではないかということでございますが、まずこの点、国土交通省さん、お答えいただけますか。

宮嵜政府参考人 道路運送事業者への指導についてのお尋ねがございました。

 道路運送事業者は、自動車の使用自体が事業活動そのものでございまして、自動車の使用の合理化に係る取り組みは事業活動と一体不可分のものでございます。また、道路運送事業者は、一つの地方自治体の管轄区域内で完結しない広範囲なエリアで頻繁に事業活動を行っているという実態がございます。

 したがいまして、このような実態にある道路運送事業者に対しまして適切かつ実効性ある指導を行うためには、事業活動全般に精通して、かつ広域の管轄区域を所管している国土交通省が指導に当たることが望ましいと考えております。

 国土交通省としては、これまでも現行法に基づく指針の策定のみならず、各都府県と共同いたしまして、自家用自動車については都府県、営業用自動車については国土交通省といった役割分担のもとに、各事業者における自主的な環境対策を定めた自動車環境対策計画の提出を求めるなどによって積極的に指導を行ってきたところでございます。

 今回の整理は、このような事業の実態とこれまでの指導の実績などを踏まえたものであると考えておりまして、地域環境の保全は国土交通省に課せられた大きな使命である、こういう認識のもとに道路運送事業者に対する指導に万全を期してまいりたいと思っております。

 なお、改正後におきましては、知事が必要があると認めるときは、国土交通大臣に対して必要な措置をとるべきことを要請することができるという仕組みを新たに設けることによりまして、国と都府県の連携を制度的にも担保いたしまして、効果的な環境対策の推進を図ることとしているところでございます。

武正委員 先ほども、国土交通省さんのみが覚書、平成四年に続いて平成十三年も出されているということを取り上げさせていただきましたが、運送事業者については、都道府県ではなくて国土交通大臣が行うことになっているということでありますが、こうした特例はやめて都道府県に行わせるべきではないかというふうに考えるのですが、今国土交通省さんの御答弁があったわけですけれども、今改正は、やはり現行法が削減できなかった、そういった厳しい反省に立って法律も出されているわけであります。

 それと、環境庁から環境省にもなられました。まして、先ほど御答弁もありましたように、各省間の覚書も、今回取り消すというか無効というか、破棄をしたというような形で、これは小泉内閣、そしてまた環境大臣のやはり姿勢を強くあらわしたことだというふうに思うわけですね。今回の覚書の破棄ということについては、多くの国民の方が、やはり環境省さんとしての取り組みに対して、その意気込みを高く評価していると思うわけであります。

 今改正でも、相変わらず自動車の事業者に関しては、法律では国土交通大臣というような形になっているわけでありますが、やはり特例をやめて、これを都道府県知事に行わせるべきではないかというふうに考えるわけです。これが今度の改正でなかなか難しいのだとしても、先ほど言ったように見直しがありますから、やはりこの見直しの中で取り組んでいくということも一つではないかなと思いますが、まず前段で、今の国土交通省さんからの答弁を含め、そして参議院で覚書を撤回、破棄をされた、その環境大臣としてこの点についての御所見を伺います。

川口国務大臣 自動車運送事業者については、ただいま国土交通省からお話がございましたように、現在ある既存の法制度は、国土交通大臣が業の許認可を行っているとたしかおっしゃったと思いますけれども、そういった既存の法制度にかんがみ指導を的確に行うという観点から、国土交通大臣が指導を行うことが適切だというふうに私どもも考えております。

 なお、都道府県との関係でございますけれども、事業者から国土交通大臣に提出をされました計画、報告はすべて都道府県知事に送付をされます。また、都道府県知事は、必要に応じまして国土交通大臣に対して、自動車運送事業者に対する指導等を行うように要請をすることができるということとされておりまして、都道府県知事が主体的な役割を果たしながらこの制度を運用できる仕組みがございます。

 なお、その覚書につきましては、これは参議院で申し上げましたように、国会の御審議あるいは条文に反するような覚書というのは存在してはいけないというふうに考えております。

武正委員 後段の方の質問もあわせて再度行わせていただきますが、この見直しが盛り込まれているわけでありまして、先ほど副大臣からは、五年に限ることもない、後ほど話がありますが、研究会の報告等、検討会の最終結果が出た段階でというようなお話もありましたが、そのような前向きな御答弁もいただいているわけです。

 国土交通大臣のみ自動車運送事業者に対する指導助言を与え、都道府県は行わないというこの特例、これを法改正の見直しで取り組んではどうか。これは、これからの進捗状況を、例えば毎年のきちっとした、先ほども申しましたように、進捗管理なども含めて行っていくべきではないかと思うのですが、再度この見直しでの取り組み、いかがでございましょうか。

川口国務大臣 中間的に見直しを的確に行っていくということは、この法律の実効性をあらしめるために非常に重要なことだというふうに考えております。この中間的な見直しの過程で、目標に照らし、問題がある場合には、その原因についてきちんと把握をし、必要な措置をとっていくことが必要だと考えております。

武正委員 ちょっと質問通告にはないのですけれども、私は、自動車運送業者の方で、例えば零細なトラック運行管理者、要は運送業者の方、大変零細な事業者が多いといった点が、今回やはり国土交通大臣のみ外したような形、特例になっているというふうに理解するのです。

 小泉内閣で、道路特定財源の見直しも骨太の方針の中で位置づけようという内閣でございますので、私はこの道路特定財源の見直しの中で、やはり環境省として、自動車運送業者の低公害車への買いかえ、こういった分野も、道路特定財源の見直しを行うのであれば一つの選択肢になってくるのかなというふうに思うわけです。

 これはちょっと質問通告にはないので本当にお答えにくいかもしれませんが、せっかくの機会ですから、大臣、御所見を伺いたいと思います。

川口国務大臣 低公害車につきましては、小泉内閣のもとで、国の一般公用車については三年以内に低公害車にするということで取り組んでいるわけでございますけれども、国以外の地方公共団体あるいは一般の事業者におかれましても、できるだけ低公害車を使っていただく、あるいはそういう方向で大気汚染の削減を考えていただくための方策をとっていただくということが非常に重要であり、ぜひそういうふうにお願いをいたしたいと私どもも考えております。

 道路特定財源につきましては、今国土交通省あるいは財務省で御議論をいただいているというふうに私ども理解をいたしておりますけれども、環境省といたしましては、関係の各省が、環境にいいということを視点に置いてさまざまな施策を、引き続きといいますか、前よりも強力に考えていただけるということを願い、またそのように働きかけていきたいというふうに考えております。

武正委員 もう時間も限られておりますので、ディーゼル排気微粒子リスク評価検討会の中間取りまとめの方に移らせていただきます。

 副大臣、粒子状物質なんですけれども、この五ページに、質量の大部分は、粒径〇・一から〇・三ミクロンの間にある、この範囲の粒子は、累積モードと呼ばれ、炭素質の粒子と吸着した有機物質が主成分であるというような形で書かれておりまして、核モード粒子は、通常、質量では一%から二〇%にすぎないが、粒子個数では九〇%以上を占めるということでございます。

 粒子状物質の定義ということで、これまで十ミクロンというようなことが言われているわけなんですが、〇・一ミクロン以下がこのように多いといったことも含めて、これは既に検討会でも出ていることでございますが、SPMの粒子の見直しについてどのようにお考えでございましょうか。

風間副大臣 先ほども若干触れさせていただきましたけれども、いずれにしましても、微小粒子状物質については、平成十一年度から疫学調査と動物実験を用いてずっと調査研究をやっております。

 ただ私、どのぐらいの暴露を含めた疫学調査かちょっと詳細に把握しておりませんが、微小粒子の量というのは極めてセンシティブな問題ですから、これは結構、相当マスも大きくしなきゃならないし、濃度それから暴露の期間もきちっとやらなきゃなりませんので、知見の収集に相当時間がかかるというふうに思っております。

 もう一つは、平成十三年度を目途に、健康に関するリスク調査の検討結果をきちっと取りまとめて、それらを含めて相当の年月を要することは間違いありません。しかし、できるだけ早い時期に微小粒子状物質の環境基準の設定ができるように検討していかなきゃならないというふうに思っております。

 そうした検討と並行して、先ほども述べさせていただきましたように、必要があるというふうに判断できれば、これは直ちにまた改正法の見直しにも着手しなきゃならないというふうに思っておるところでありまして、そういう意味で、全体として自動車NOx法の強化を図っていかなきゃならないというふうに思っておるところでございます。

武正委員 今申し上げた本には、ぜんそくについても、有意に増加しているのが認められている、またアレルギーについても、鼻アレルギー反応を濃度依存的に増悪させる要因と考えられるというような形で既に中間取りまとめでも出ておりますので、ぜひもう今から手を打っていただく。

 さらにまた、先ほどデータの知見を集めなきゃいけない、それへの取り組みをこの中間取りまとめでも出されておりますが、積極的に環境省さん主導でリーダーシップを発揮していただくことをお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

近藤(昭)委員長代理 樋高剛君。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 大きな道路のそばを歩いておりますと、本当にたくさんの自動車、そして大きなトラックが走っておりまして、これらから自動車のたくさんの排気ガスが出されておりまして、道路沿いを歩いているだけでもとても臭くて気分が悪くなってしまうというのはだれもが感ずることではないかと思うわけであります。

 特に、ディーゼルトラックのマフラーから本当に真っ黒い煙が出ているのを見ますと、あんなものを含む空気を自分たちはみんな吸っているのかなということを思いますとぞっとするわけでありますし、また、特に成長期にありますゼロ歳からの子供たち、日本の将来を担うであろう子供たちの健康のことを考えますと、本当にいたたまれなくなるわけであります。

 そうした大きな道路、国道沿い、道路沿いにもマンションがたくさん建っておりまして、たくさんの人が住んでおります。こうした人たちは、毎日二十四時間、自動車排ガスをたくさん含む空気を現実に吸って生活を強いられているわけであります。私は、こういう状態はとても許されるものではないと思うわけであります。

 もちろん、自動車が現代社会の中で必要不可欠なものであるということは否定いたしません。しかし人間は、この世に生をうけてから、生まれてから死ぬまで休むことなく呼吸をし続けるわけでありまして、有害な物質を含まない安全な空気を吸いたいということはごく自然のことであります。安全な食べ物を食べたいという欲求以上に人間にとって本当に基本的なものではないかと思うわけでありまして、担保されなければいけない本当に必要最小限の条件ではないかと思うわけであります。

 さて、環境基本法におきましては、その第十六条に、大気につきましても環境基準、すなわち、人の健康を保護して生活環境を保全する上で維持されることが望ましい大気中の汚染物資の量の基準を定めるべきこととされておりまして、政府はその達成に努めるべきものというふうにうたわれているわけであります。

 過去を振り返ってみますと、環境庁の時代でありますけれども、昭和四十八年には二酸化窒素に関する環境基準を定めまして、その中で、原則として五年以内、つまり昭和四十八年から五年以内に、遅くとも八年以内にこれを達成するということを一たん定めたわけであります。しかしながら、昭和五十三年には基準値を緩和しました。そして、達成目標期間を昭和六十年まで引き延ばしをなさったわけであります。ところが、昭和六十年になりましても、実は二酸化窒素に関する環境基準は達成されなかったというのは御案内のとおりであります。

 その後、平成四年になりまして現行の自動車NOx法が制定されまして、二酸化窒素に関する環境基準を平成十二年度までに達成することと定められたわけであります。しかし、自動車NOx法は、事業者指導を各事業所管省庁に丸投げしてしまうという実効性がないものであったわけでありまして、唯一意味のある特別の排出基準についても大幅な猶予期間を設けてしまって、結局効果が余り上がらなかったというのが現実であります。この結果、二酸化窒素に関する環境基準は現在も未達成の地域がたくさん存在するというのが状況であります。

 今回の自動車NOx法の改正案につきましても、その趣旨は大変結構なことだとは思います。しかし、過去の経過を考えますと、果たしてこの改正案で環境基準が本当に達成されるのかどうか、若干疑問も幾つかわいてくるわけでありまして、質問させていただきたいと思っております。

 まず、現行法の運用について伺ってまいりたいと思います。

 平成四年十二月に自動車NOx法が施行されましてから八年以上がたちまして、達成年限とされていたのが平成十三年三月、つまり本年の三月、もう既に過ぎておりますけれども、今回、自動車NOx法の改正をするに当たりまして、なぜ達成期限に至りましても環境基準の達成ができなかったのか、やはりその原因からはっきりさせていくことがまず必要ではないかと思うわけであります。

 自動車NOx法という、大都市地域の自動車によります大気汚染に着目して対策を講ずる法律をつくりながら、なぜ環境基準の達成ができなかったのでしょうか。お伺いをしたいと思います。

風間副大臣 現行NOx法で十二年度末までの目標が達成できなかったことにつきましては、本当にもう謙虚にごめんなさいと反省するしかないわけでありますけれども、その原因につきましては、種々挙げられると思いますが、やはり大きく二つあるんじゃないかというふうに思います。

 一つは、車種規制などやってきておりましたけれども、自動車の走っている量がもう膨大にふえてきている、この伸びでやはり減殺されたのが一つと、もう一つは、自動車使用に関しての事業所管大臣との連携といいましょうか仕組みというか、指針の取り扱いについての、今先生丸投げとおっしゃいましたけれども、聞き捨てならない言葉で、丸投げと言われるとあれですけれども、その仕組みがやはりうまくできていなかったというこの二つが最大の原因かなというふうに思っています。

 だからこそ今回、粒子状物質を加えさせていただいて、事業者に対する指導の仕組みをきちっと強化して、生きた自動車NOx法にしていかなければならないというふうに思っているところであります。御理解いただきますようよろしくお願いします。

樋高委員 どんな立派な法律をつくりましても、やはりしっかりと運用がなされなければ単なる作文にすぎないわけであります。

 改正法案の是非を議論する前に、現在の自動車NOx法の運用がどうだったかということを検証していくことが私は必要なのではないかと思うわけであります。

 例えば第十三条におきましては、事業所管大臣は、所管の事業者に対しまして、自動車排出窒素酸化物の排出の抑制を図るための指針、指針でありますけれども、これを定めまして必要な指導及び助言をするという規定があります。これが、先ほど申し上げました、副大臣は丸投げという言葉は好きではないようでありますけれども、事業所管省庁への丸投げされた条文であるわけであります。丸投げはよくないわけであります。

 環境省としては、この第十三条の規定に基づく事業所管大臣による指導及び助言は適切になされて、本当に効果を上げていたものと考えているんでしょうか。いかがでしょうか。

松本政府参考人 現行自動車NOx法第十三条に基づきまして、事業所管大臣がそれぞれ所管の事業者に対して指導助言をするという仕組みがございます。法律ができまして、五つの事業に関して、それぞれの事業所管大臣が自動車使用合理化指針というのを定めました。

 ただ、問題は、その指針を策定した後のフォローアップが、正直言いまして、運輸業を除いて必ずしも十分に実施をされなかったということを認めざるを得ないのではないか。結果として、この仕組みというのが全体として十分機能しない、そして十分な効果が上がらなかったという反省を現時点で持っているわけでございます。

樋高委員 今局長おっしゃいましたけれども、環境の問題はやはりフォローアップが重要なのではないかと思うわけでありまして、今回法律ができてもそれはあくまで単なるスタート地点にすぎないという御認識で、今後どうかしっかりとまさしくフォローアップをお願いしたいと思います。

 本日、事業所管省庁の代表選手としまして経済産業省さんにもお越しをいただいているところでありまして、事業所管省庁の代表ということでありまして、経済産業省さんにおきまして、今申し上げました第十三条に基づくいわゆる指導及び助言は適切になされて、効果を現場で上げているものと評価をなさっていらっしゃるのかどうか、伺いたいと思います。

大村大臣政務官 樋高委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 経済産業省では、所管業種五業種のうちの製造業、また電気・ガス・熱供給事業、そしてまた卸、小売業につきまして、輸送の効率化、窒素酸化物の排出量の少ない車種への転換等を内容といたします指針を平成五年に定めまして、これらの業種に属する数十の経済団体、産業団体に対しまして、当該指針や経済産業省の事業者支援施策につきまして文書により周知徹底を図りますとともに、説明会を開催し、事業者の取り組みを促してまいったところでございます。

 これと並行いたしまして、物流の共同化事業、それから低公害車導入支援事業も進めてまいりました。特に低公害車導入促進事業は平成四年から、平成四年の制定当時は大変少ない台数であったわけでありますが、平成十二年三月末現在では、当時はベースが少なかったからふえても、数字が大きくなるのは当たり前だということかもしれませんけれども、八年間で十六倍の一万五千八百八十五台というところまで上ってきておるわけでございます。

 そういう意味で、指針の周知徹底、輸送の共同化、低公害車の導入といった支援によりまして事業者の取り組みが促進をされたというふうに私どもは考えているところでございます。

 ただ、委員おっしゃいますように、まさしく特定地域といったところでNOxのこうした環境基準を測定いたしますと、まだまだ超過をしているところはたくさんあるわけであります。そういった状況を見ますと、地域の実態に即した対策でありますとか、また事業者の取り組みが結果として十分でなかったということは、もう委員先ほどから言われているとおりだろうと私は思います。

 そういう意味で、そうした状況、現状を踏まえて、私ども、事業を所管している我々ももちろんでありますし、環境省の皆さんとも、政府全体でこの対策につきまして、まず実態を十分把握している都道府県知事ももちろんしっかりやっていただきますし、環境大臣の方で基本方針をつくっていただいて、事業を所管している我々が指針をつくり、そして都道府県知事がそれをフォローしていくという体制をつくるというのが今回の改正法案の提出に至った経緯だというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、とにかく実務として動いていくかどうかが制度のすべてだろうと思っておりますので、この法律が制定をされました暁には、私ども、しっかりとフォローをしていきたいというふうに思っております。

樋高委員 熱意のある政務官の御答弁、ありがとうございました。地域に密着した取り組みをしっかりとお願いいたしたいと思っております。お忙しいところ、ありがとうございました。

 第十三条の規定によります事業所管大臣によります指導及び助言というのは十分な効果を上げていなかった、だから、今回の改正案においては、その部分についての改正が盛り込まれるということの流れになったのではないかと思うわけであります。

 しかしながら、現在の第十三条第五項におきましては、環境大臣は、自動車排出窒素酸化物の排出の抑制を図るために必要があると認めるときには、事業所管大臣に対し、指導及び助言をするよう要請することができるというふうに規定をされているわけであります。

 事業所管大臣による指導及び助言が十分になされていなかったのであれば、現行法を最大限活用して、第十三条第五項に基づきまして、事業所管大臣に対して指導及び助言をするように強く要請すべきであったと思いますけれども、今までの流れの中で、環境省さん、そうした要請を行ってきたのか。行わなかったのであれば、それはなぜなのか。正直にどうか御答弁いただきたいと思います。

松本政府参考人 御指摘の現行NOx法の十三条第五項、環境庁長官が事業所管大臣に対して必要があれば要請をする、意見を述べることができるという規定があるわけでございますけれども、これまで事業所管大臣に意見を述べてこなかったというのは事実でございまして、今考えますと、より適切な事業者指導を促進するという観点からは、私ども環境省としても反省すべき点はあるのかなと率直に思っております。

 ただ、少し言いわけになりますけれども、現行の自動車NOx法の制度は、そもそも環境大臣が個々の事業者の取り組み状況に関する情報を制度的に入手できるという仕組みに実はなっていないわけでございまして、なかなか適切に意見を述べるというのは難しかったということであろうと思います。

 こういうこともありましたものですから、今回の制度改正によりまして、環境大臣が、都道府県知事の指導助言、そして事業者みずからの取り組み、こういう枠組みについて情報をきちっと入手できるような仕組みを設けるようにしたわけでございます。

 今後は、その情報を必要に応じて適切に把握をいたしまして、また、事業者に対する措置の仕組みにそれを反映していくということも可能になったわけでございますので、環境省としても、一層積極的な役割をこういう制度の中でも果たしていきたいと考えております。

樋高委員 現在、自動車NOx法の規定は不十分なものであるけれども、政府はその不十分な規定すら最大限に活用してこなかった。また、不十分だったから活用できなかったというのは単なる言いわけになるわけでありまして、この点につきまして政府はしっかりと反省する必要があると思います。御指摘申し上げたいと思います。

 現行法において手を打てることを打たないで安易に立法府に駆け込むという姿勢では、行政の責任を全うしているとは言えないということを踏まえた上で、今回きちっと改正をするということが重要なのではないかと思うわけであります。

 この反省をしないで、現在の自動車NOx法の規定が不十分だったから環境基準の達成ができなかったと安易に考えて法律の改正案を提出し続けるばかりでは、今までの経過、流れの中でも検証を先ほどさせていただきましたけれども、何回この法律を改正しても、達成期限を常に繰り延べをして、いつまでたっても環境基準は達成されない、こんなふうに思うわけであります。

 それは環境省の皆様方も、そして大臣も同じ考え方ではないかと思うわけでありまして、今、政治主導が求められている中で、官僚出身ではありますけれども官僚的でない川口大臣の御答弁をいただきたいと思います。

川口国務大臣 おっしゃられますように、いかなる法律、いかなる制度といえども、その運用に当たって、その目的をきちんとやっていくんだという、目的を達成するために全力を尽くすという決意が何よりも重要だというふうに考えております。

 環境省といたしましては、そういった決意を持ってこれから改正NOx法の実施に当たっていきたいと考えておりますし、また、ほかの省庁に対しましても、そういう方向で対処をしていただけるようにお願いをしていくというふうに考えております。

樋高委員 さて、今回の改正案の内容について具体的に伺ってまいりたいと思います。

 流入規制について、つまり、個々の自動車を取り締まる仕組みについてお伺いをいたしたいと思います。

 東京都の条例におきましては、東京都内を走っているトラック、バスを対象としまして、基準に適合しない車は東京都内を走れないということとされています。そして、この規制の実効性を上げるために、いわゆる自動車Gメンが路上で厳しく検査を行って違反車両を摘発するというところまで踏み込んでいらっしゃるわけであります。埼玉県や神奈川県におきましても同様な条例の制定が検討されていると伺っております。

 一方、自動車NOx法におきましては、走っている車をチェックすることはせず、特定地域に車庫がある自動車について車検のときにチェックする仕組みとなっているわけであります。

 東京都内を走っているトラック、バスには、東京都以外から流入しているものが相当程度ありまして、東京都内の特定地域に車庫があるトラック、バスについて車検時にチェックしているだけでは、二酸化窒素や浮遊粒子状物質に関する環境基準の達成が図られないというのは明らかではないかと思うわけであります。

 今回の改正案にはなぜ基準に適合しない車の特定地域への流入の規制が盛り込まれていないのか、お答えをいただきたいと思います。

風間副大臣 まず、先生御指摘の東京都の条例の前に、現行法におきます関東の対策地域を見た場合に、対策地域以外の登録車両が走行車両数に占める割合というのは、平成十一年の三月に行った調査でありますけれども、七・三%、要するに一割以下のデータが出ています。これだけで云々はできませんが、したがって、地域内における車種規制を初めとするいろいろな対策を総合的に講じれば着実な効果を上げられるということで考えているわけであります。

 今先生おっしゃった、流入車を規制していく手法としていろいろあると思います。例えば走行規制で言えば、路上の取り締まり、つまり走っている車をとめて、そのために人とコストをどのぐらいかけなければならないかということ、それから違反車両を確認するための手段、これをどうやってやるのかということを考えると、国がどんと予算を投入してそこの部分でどのぐらいできるかということもありますし、また、実施体制で人の手配をどうすればいいのかということも踏まえると、対策地域全体に一律にそのやり方を導入することについてはなかなか、私だったらちょっときついなというふうな感じがします。それだけの予算をどおんと投入できるような状況をつくってからだったらできると思いますけれども。

 したがいまして、先生今おっしゃったように、適合しない自動車に対する流入規制を盛り込むということについては、現時点では困難な状況であるというふうに考えております。

樋高委員 次に、DPFについて伺いたいと思います。

 さて、東京都の条例におきましては、知事が指定するDPF、つまりディーゼル排気微粒子の除去装置、取り除く機械を装着した自動車につきましては、排出基準に適合するとみなされるわけであります。そしてDPFが条例上きちっと位置づけられているわけであります。

 一方、環境省などのいわゆる検討会の取りまとめを拝見させていただきましたけれども、DPFにつきましては、例えば耐久性等の観点、また全部の車種に取りつけられないという現時点では、ある意味で一律の義務づけは困難であるとされておりまして、今回の改正案におきましては全く位置づけられていないわけであります。

 私は、事業者がDPFを装着することによりまして、結果的に排ガスの汚染を低下することがきちんと確認されれば車種規制の対象とすべきではないと考えるわけであります。DPFは、有害なディーゼル排気微粒子を除去するための有効な装置であるということは事実でありますので、改正案により自動車NOx法の規制の枠外として位置づけるとともに、政府としてその普及を強力に推進すべきではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。

風間副大臣 DPFにつきましては、ことしの五月に、ディーゼル車対策技術評価検討会の取りまとめにおきまして、現時点ですべてのディーゼル車に装着可能な状態にないというふうに評価されているところであります。したがいまして、一律の義務づけということについてはやはり困難であるというふうに思います。

 また、DPFを装着した車の排ガスを適切に評価するための手法とその体制をきちっと確立をしない状況の中で、直ちに車種規制の対象から外すということについても困難であります。しかし、環境省としても、ことしの夏ごろをめどに、この手法と体制をきちっと確立した上で、装着可能な車両についてはインセンティブを与えるというようなことで、装着を促進することをやらなければならないというふうに思っております。

 そういう観点に立って、平成十三年度予算では、たしか、幾らかちょっと忘れましたけれども、地方自治体、特に東京都なんかもそうでしょうけれども、自治体が保有する公営バスにDPFを装着するための補助を行うこととさせていただいているところでございます。

樋高委員 普及促進に向けてしっかりと調査研究を進めていただきたいと要望させていただきます。

 現在の自動車NOx法によりまして、いわゆる事業者の指導は効果が少なかったわけであります。今回の改正案におきましては、事業者指導の仕組みの改正が盛り込まれているわけであります。相変わらず事業者の判断基準はいわゆる事業所管大臣が定めることになっている。事業者に対する指導も、自動車運送事業者や貨物運送事業者については、都道府県知事ではなく国土交通大臣にゆだねてしまっているわけであります。こうした不十分な改正では十分な効果は見込めないと私は思うのであります。

 環境省としては、新たな事業者指導制度におきまして、事業者が具体的にどのような行動をとって、それによりましてどれだけ大気汚染物質の排出量が削減されると具体的にお考えでいらっしゃいますでしょうか。

川口国務大臣 今回の制度改正によりまして新たに設けられることになりました事業者の判断基準に基づきまして、事業者は、自動車排出窒素酸化物等の排出を抑制するために計画的に取り組みを行うこととなるわけでございますけれども、その内容といたしましては、例えば低公害車を使用していく、あるいは自動車の運行を合理化していく、あるいは自動車を適正に使用するといったようなことが考えられます。

 事業者が個々にどのような取り組みを具体的に行っていって、それが大気汚染物質の排出量をどれぐらい低減するかということにつきましては、事業者ごとに営業形態も異なりますし、どのような車両を持っているか、あるいは走り方といったものが異なりますので、今の時点では明らかにできないわけでございますけれども、法施行後、各都府県におきまして総量削減計画を策定していただくわけでございまして、その中で効果が算定をされるということになろうかと思います。

樋高委員 そこで、事業者指導の主体について伺いたいと思います。

 総量削減計画の策定主体は、都道府県知事であります。あと、指導の主体は、運送事業者については国土交通大臣というふうに、それぞればらばらなわけです。都道府県はいわゆる総量削減計画の達成を図ることができないために問題であると私は思うんですが、事業者指導の主体を、策定の主体は都道府県知事、指導の主体は国土交通大臣、ばらばらではなくて、指導の主体はこの際都道府県知事に統一すべきではないか、そして、地域に根差した形できめ細かくきちっと指導をしていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 自動車運送事業者につきましては国土交通大臣が指導するということでございますけれども、これは、この事業に関します現存の法制度からいきまして、指導を的確に行うということからいきますと、国土交通大臣が指導を行うことが適切であるというふうに判断されるからでございます。

 それでは、都道府県知事はどのようにこれに関係をしていくかということですけれども、事業者が国土交通大臣に計画、報告を提出いたしますが、これはすべて都道府県知事に送付をされることになっております。それから都道府県知事は、必要に応じまして、国土交通大臣に対しまして、自動車運送事業者に対する指導を行うように要請をすることができるようになっているわけでございます。

 こうした仕組みによりまして、都道府県知事が主体的な役割を果たしながら制度を運用するということが可能になるというふうに私ども考えております。

樋高委員 木村国土交通大臣政務官には大変にお待たせをいたしました。

 運送事業者に対する指導というのは国土交通大臣にゆだねることとしたいという今川口大臣からの話でありましたけれども、総量削減計画の策定主体である都道府県から事業者指導の権限を任せられている国土交通省の責任は大変重いものであると私は思うわけであります。

 さて、そんな中で、国土交通省さんが指導を行うべき事業者は全国で一体どれだけあると考えていらっしゃるのか。今回、特定地域ということでありますけれども、事業者をどのくらいこれから指導していかなくちゃいけないとお考えでしょうか。

木村(隆)大臣政務官 ただいまの御質問、対象となる事業者数がどれぐらいだということだろうと思います。

 先生御案内のように、これから具体的に特定地域の範囲の指定が行われますし、対象となる車両の台数がいかほどにすべきなのかという定めというのは政令で定められることになりますので、現段階では確定をした数字を申し上げることはできませんけれども、特定地域を拡大していくということを想定し、そして、台数を三十台ということで試算を行いました結果、トラック事業者については三千社から四千社ぐらいになるのではないだろうか、また、バス事業者につきましては百社から二百社程度になるのではないかと想定をいたしております。

樋高委員 国土交通省さんは、この事業者の指導、トラックが約三千から四千社、バスが百社から二百社、大変な数だと思いますけれども、今後、この事業者の指導というのをどういった体制でどのように行っていこうとお考えなのか、これを責任を持ってきちっと実施し得るのかどうなのか、お伺いをいたしたいと思います。

木村(隆)大臣政務官 これまでも、現行法に基づきまして、平成五年には、よりNOxの少ない車両への転換ですとか適正運転等々を定めました指針を定めまして指導してきておりますし、平成八年には、もう先生御案内のとおり、特定地域内のトラック事業者、そしてバス事業者に対しまして、各都府県と連携をしまして、共同いたしまして、自主的な環境対策を定めた自動車環境対策計画の提出を求め計画の達成状況を公表してきているところでございまして、その成果も徐々に今あらわれているところでございます。

 しかしながら、まだ強制的なことでありませんので、今回の法改正によりまして計画書の提出を義務づける、そして実効ならしめるために、担保するための勧告やら改善命令をするという制度も創設をいたしまして取り組みをさらに強化してまいりたいと思っております。

 先生御指摘のように、今回の改正法に基づいて、環境省はもちろんでありますけれども、関係の都府県ともさらに連携を密にいたしまして一層の指導強化していきたい、こう思っております。

樋高委員 国土交通省さんの役割も、今回の法律案によりまして大変責任重大だと思いますので、どうかしっかりと実効性が上がるように、指導等々をしっかりと連携をとりながらやっていただきたいということを御要請申し上げます。どうもありがとうございました。

 さて、事業者の判断基準について伺いたいと思います。

 現在の自動車NOx法に基づきまして定められている事業者の指導のための指針の中には、その説明が、きょう午前中の議論の中でも御指摘ありましたけれども、抽象的に書かれている、具体的に数値目標は書かれていないわけであります。改正後の自動車NOx法に基づくいわゆる事業者の判断基準についても、このような抽象的な基準では、都道府県知事等が事業者に的確な指導を行うことは困難なわけであります。

 数値目標がないから、ただやれやれと言われたって、やっていますとか努力していますと言われて、それで終わっちゃうわけですね、現実問題として。また事業者も、ある意味で適切な自己点検を数値目標がないがゆえに行うことができないというのが現実ではないかと思うわけであります。

 事業者の判断基準につきまして、具体的な数値目標を盛り込んだものとすべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。

風間副大臣 判断基準は、今後、事業所管大臣が総量削減の基本方針に基づき定めることとしておりまして、今先生が、きちっとした具体的な数値目標をというお話でございますけれども、要するに、できるだけ具体的で実効性があるものになるように、私どもとしては、事業所管大臣ときちっと相談してまいりたいというふうに考えているところでございまして、ぜひ御理解いただければありがたいと思っております。

樋高委員 法律をつくりましても、やはりそれが実効性が上がる法律でなくては本当に意味がないわけでありまして、逆に言えば、本当に中身のある法律であるならば、しっかりと皆様方の意見を、そして今までの反省点を踏まえてどんどん法律をつくっていくことはむしろいいことでありますから、今回、しっかりと地に足をつけた、今後数値目標を定めるという話でありますけれども、それをまたきちっと周知徹底をし、そして本当に実効性が上がるようにどうか努力をしていただきたいと思うわけであります。

 時間ではございますけれども、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 そもそも、特定地域内に多数存在する事業者を行政だけですべて適切に指導することは制度的に無理であるということもわかっているわけであります。しかしながら、これにきちっと対処していかなくちゃいけない。地域の生活環境に最も関心があるのはいわゆる地域の住民である。事業者の取り組みを地域住民の監視のもとに置くことが有効な対策となると思うわけであります。

 先ほども、地域に密着した取り組みをという言葉もありましたけれども、まさしくそのように思うわけでありまして、事業者から知事に提出されたいわゆる排出削減計画と、毎年事業者から知事になされる取り組み状況の報告につきまして、地域住民が簡単に見られるよう、行政が積極的に公開するような制度、いわゆる情報公開という部分であると思いますけれども、要求されてから情報を公開するのではなくて、やはり定期的にその地域地域にPRをする、アピールをするということを制度として設けるべきではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 一般論といたしまして、情報公開が取り組みを進める上で非常に有用なものであるというふうに私も思っております。その意味で情報公開は重要でございます。

 本件についてお答えをさせていただきますと、事業者から提出をされます自動車の使用管理計画あるいはその報告の内容については、その企業の営業上の秘密にかかわる部分というのが含まれるということになります。ということでございますので、都道府県がこれを公開するという仕組みにはなっておりません。ですから、こういった情報の公開につきましては、情報公開法ですとか情報公開条例の手続によって進めていただくということになるかと思います。

 ただ、事業者全体の取り組み状況につきましては、中間点検の際にこれを取りまとめまして明らかにさせていただきたいと思っております。

樋高委員 その地域に住んで生活なさっていらっしゃる方々が、例えば、大きな国道沿いで排気ガスを本当に目の当たりにしながら生活をしているわけですけれども、やはり不安を感じながら生活をしているわけであります。

 そんな中で、きちっとその現実の姿、例えば、ここは環境基準がほかの地域に比べて大変厳しいけれどもということをむしろ正直に言ってもらった方が国民にとっていいのではないかと私は思うわけであります。それにむしろふたをして、いや、何でもない、大丈夫大丈夫だというふうに感情論の情の部分で言うのではなくて、むしろ正直に、いや、ここはもう本当に環境は悪いけれども、でも、何とか努力をしてよくするようにするからというふうにやっていくべきではないかと私は思うわけであります。

 続きの質問は、また次回にさせていただきたいと思います。きょうはありがとうございました。

五島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十三分開議

五島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。青山二三さん。

青山(二)委員 公明党の青山二三でございます。早速質問に入らせていただきます。

 公明党はこれまで、窒素酸化物によります大気汚染やディーゼル排気微粒子による健康被害を懸念して、健康への影響の因果関係調査とディーゼル車の規制強化を強く求めてまいりました。また、さまざまな角度からの政策提言を通しまして、自動車排気ガスによる大気汚染防止に取り組んできたところでございます。

 この改正法案は、自動車から排出される粒子状物質を対象に加えたこと、また、名古屋市周辺も特定地域に追加するなど対象地域を拡大したこと、また、ディーゼル乗用車を規制対象に追加したことや事業者に自動車使用管理計画の作成と提出を義務づけるなど、積極的に自動車排気ガス対策を推進しております我が党の主張が取り入れられておりまして、一定の評価ができる法案であると考えております。

 そこで、大気汚染の主役となってきました自動車の排気ガスの防止の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

 政府は、排ガスの窒素酸化物の排出量を削減するために一九九三年に現行の自動車NOx法を施行いたしまして、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫の六都府県の対象事業者に対しまして、窒素酸化物の排出量が少ない最新規制車への買いかえを、また、自治体には物資輸送の効率化や公共交通機関の利用促進などをそれぞれ義務づけておりました。

 そうした法規制にもかかわらず、一九九八年度の大気汚染調査によりますと、首都圏や近畿圏の幹線道路沿いでの窒素酸化物の環境基準を満たした測定地点は、全体の三五・七%にとどまっておりまして、前年度の三四・三%に比べますと改善の傾向は全く見られておりません。また、二酸化窒素の環境基準を二〇〇〇年度末に達成するという政府目標も実現できず、今後の排ガス規制の見通しは大変厳しいものになっております。

 目標が達成できなかった原因は何か、これにつきましては前の委員からも質問が出ておりましたが、あわせて、改正案にどのように反映されているのか、また今回の改正案でどの程度の効果が見込めるのかについて、大臣から御答弁をいただきたいと思います。

川口国務大臣 お尋ねの現行自動車NOx法の目標が達成されませんでした要因といたしましては、車種規制等の効果が自動車交通量の増大によりまして減殺をされたこと、それから、事業者の自動車使用合理化に関する事業所管大臣による指針と指導の仕組みが必ずしも十分に機能をしなかったといった点が挙げられると思います。

 このために、この改正案におきましては、事業者の指導の仕組み等を強化するということにいたしました。この改正案を成立させていただきました暁には、私どもといたしましては、実施の面で万全を期し、目標を達するべく、全力で取り組む所存でございます。

青山(二)委員 これまで環境省の大気汚染防止への取り組みを見てまいりますと、ディーゼル微粒子よりも相対的に危険性の少ない窒素酸化物汚染の防止にかなりの力を入れております。ディーゼル微粒子汚染の防止対策はこれまで、大気汚染防止法に基づきまして自動車排ガスに対する規制が実施されておりますけれども、道路沿道における浮遊粒子状物質、SPMによる大気汚染の状況は依然として深刻でありまして、従来からの対策だけでは環境の改善は期待できません。

 そこで、今回ようやく現行の自動車NOx法の対象物質に粒子状物質が追加されたわけでございますが、これでは対策が遅いと言われても仕方がないように思います。なぜ現行法を制定しました一九九二年の時点において、発がん性や気管支ぜんそく、花粉症等の健康影響との関連が疑われておりますSPMを対象物質にしなかったのかお伺いをしたいと思います。

 また、環境影響の面ではより重視しなければならないディーゼル微粒子対策がNOx対策の裏でなおざりにされてきた歴史が現在の大気汚染状況を招いている、こういう批判もあるわけでございます。ディーゼル排気微粒子汚染の防止対策がおくれた理由について御説明をお願いしたいと思います。

松本政府参考人 平成四年に現行の自動車NOx法が制定されたわけでございますけれども、当時といたしましては、二酸化窒素に係る環境基準の達成のおくれというのが環境行政の中で大変重大な問題だというふうに認識をされていたわけでございます。とりわけ大都市地域における自動車からの窒素酸化物の排出総量を抑制するための制度、仕組みを確立していくことがどうしても喫緊の課題だということであったわけでございまして、NOxを対象とした現行の自動車NOx法が当時制定されたということであろうと思います。

 それで、御指摘の粒子状物質でございますけれども、ディーゼル排気微粒子の健康影響に関する調査研究なども当時実施いたしまして、その対策として、平成五年から自動車排出ガス規制を実施しまして、その後、順次排ガス規制の強化をいたしまして、規制導入時に比べまして、現在ですと規制基準が既に三分の一まで厳しくなっているわけでございます。そういうことで、ディーゼル排気微粒子について、健康影響調査及び対策の両面でそれなりに取り組んできたわけでございます。

 ただ、ディーゼルの中での窒素酸化物と粒子状物質に対する対応技術というのは、一緒にというふうになかなかいかないところもございまして、若干、窒素酸化物の方が対策としては先行してきた嫌いがなきにしもあらずであろうと思います。

 いずれにいたしましても、やはり窒素酸化物と同様に、ないしはそれ以上に粒子状物質の対策というのを強化し取り組んでいかなければならないわけでございますので、自動車単体規制のさらに一層の強化、これは現在の規制値を平成十四年から十六年にかけて車種別にさらに強化をする、これは新短期規制と申しておりますけれども、予定でございますし、平成十七年度からは、もう一つ先の新長期規制に入るというところまでスケジュールを設定しているわけでございます。

 それから、その自動車単体規制を一層強化するというためにも、軽油中の硫黄分の大幅な削減を図っていくということが重要でございまして、平成十六年度からは、現行のリッター当たり五〇〇ppmを十分の一の五〇ppmにするというような対策も予定をしているわけでございます。

 そして何よりも、委員お話がありましたように、今回の自動車NOx法の改正で、粒子状物質をこの法律の枠組みの中に組み込みまして、総量削減基本方針を国が設定し、それを受けた形で自治体レベルで総量削減計画をつくっていただき、PMについての車種規制を行い、さらには事業者に対する措置を強力に進めていく、こういうようなことで今後一層本格的にPM対策に取り組んでいきたい、こういうふうに考えているところでございます。

青山(二)委員 大変丁寧に御説明いただきましたけれども、やはり環境や人体への影響というのは後手になればなるほど回復は難しい、こういう対策は先手先手を打っていただきたい、このように御要望をしておきたいと思います。

 次に、対策地域の拡大と低公害車の普及促進についてお伺いをしたいと思います。

 今回、対策地域として新たに名古屋市周辺地域などが追加されることになりまして、大気環境の改善が進むことが期待をされております。

 しかしながら、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質、SPMの環境基準が達成されていないところは、自動車NOx法の特定地域だけではなくて、沿道地域など全国的にも点在いたしております。また、特定地域以外から入ってくる自動車が特定地域の中で窒素酸化物などをまき散らし大気汚染の原因になっているのは、先ほど来議論がいろいろとあったところでございます。

 こうした状況を考えますと、さらに特定地域を拡大すべきと思うのでございますけれども、これについての御見解を伺いたいと思います。また、低公害車の普及を積極的に促進いたしまして、全国的に自動車排出ガス抑制対策を強化することが必要であると考えております。

 そこで過日、国土交通省が設置いたしました環境自動車開発・普及総合戦略会議についてお伺いしたいと思います。また、環境省とはどのように連携をとっていくのかも伺っておきたいと思います。

西野大臣政務官 後段の質問につきましては、国土交通省の方から答弁を求めたいというふうに思っておりますが、青山先生から、新たに本法で名古屋地域を指定された、御案内のとおり、今回の改正NOx法の対象地域に名古屋地域を含めたわけであります。

 これらの地域を指定しましたのは、一つには、自動車の交通量が非常に集中をしておる場所、言いかえますれば、中環審の基準がございまして、その基準のおおむね三倍から四倍以上のところという地域に限定をいたしたところでございます。もう一つは、従来の対策だけでは環境基準が確保できておらない、そういう地域に限って今回地域を指定したわけであります。

 ただ、お話も出ておりますとおり、車種規制等の施策で今まで必ずしも効果が上がっておりませんので、この効果が上がるためには、やはり何と言っても広域的な地域をつかまえて考える必要がある、このように思っております。

 逆に、お示しされましたとおり、一部局地的な場所については実効が上がっていない。また、委員会の視察等でも行われました箇所が何カ所かあるわけでございます。これらにつきましては、今回の地域指定という大きな一つの網では、必ずしも局地的にフィットしない問題がありますので、その地域については個別の対策を講じるべきだというふうにも思っております。

 いずれにいたしましても、地域の問題は、当該のそれぞれの関係地方公共団体の意見もよく聞きながら、地方の環境計画に基づいて環境省としても十分対応をしていきたいというふうに思っております。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省といたしましては、低公害車の普及促進につきましては、従来から税制上の優遇措置や補助金の交付などを行ってまいりましたけれども、本年度から新たにグリーン税制を創設するなど、低公害車の普及促進策を講じてきたところでございます。

 さらに、今後対策の急がれます大気汚染問題や、一層厳しさを増す地球規模での環境問題を解決するためには、低公害車の開発普及戦略を新たに策定する必要があるというふうに考えまして、国土交通省といたしまして、去る五月九日に環境自動車開発・普及総合戦略会議というものを設置させていただいたところでございます。

 今後、これまでに取り組んできております諸対策をさらに発展させまして、燃料電池自動車、天然ガス自動車、ジメチルエーテル自動車などの排出ガスがゼロあるいはゼロに近い次世代の低公害車の開発を促進するとともに、既に開発されております低燃費、低公害の環境に優しい自動車を大量に普及させていくための総合戦略について、平成十三年度末を目途に検討を行うことといたしておりまして、これらにより、環境に優しい自動車の開発普及等に努めてまいりたいと考えております。

 なお、この戦略会議の方には環境省からもオブザーバーで参加していただいておりまして、よく連絡をとりながら取り組んでまいりたい、こう思っております。

青山(二)委員 大変ありがとうございました。

 大気汚染につきましては、昨年、大都市部の深刻な大気汚染に対する具体的な処方せんを示しました尼崎公害訴訟や名古屋市南部の公害訴訟で住民側の主張が認められまして、国側に大気汚染物質の一部差しとめを命じる判決が相次いでおります。この中では、車種ごとの排ガス規制や燃料の質に着目した規制など、ディーゼル車の交通量の制限にまで言及をしております。

 また、環境省は、環境基準が二〇〇〇年度に達成されなかった原因としては、交通量の増大により、単体規制や車種規制の効果が相殺されたということを原因に今挙げられたようでございますけれども、我が国の自動車公害の特徴を一言で申し上げますと、自動車保有台数の果てしない増加のため、排出ガス規制を繰り返しても、せっかくの規制効果が走行台数の増加によって次々に相殺されていくことでございます。

 そこで、大気汚染防止の抜本的な対策として残されておりますのが、交通量を抑制するための取り組みであろうと思います。

 東京都などは、都心に入る車から料金を徴収するロードプライシング制度を原則として全車種を対象に検討するなど、都心部の車の総量を減らすことで大気汚染の防止や渋滞の緩和を目指しております。また、自動車を複数の世帯や企業で共有するカーシェアリングという試みが各地で始まっていると伺っております。また、昨年、運輸政策審議会も、二十一世紀初頭の交通政策に関する答申の中でカーシェアリングを挙げております。

 しかし、今回の改正案には、自動車の交通量の伸びを抑える施策は盛り込まれておりません。今後、交通量の抑制策につきましてはどのように取り組んでいくおつもりなのかお伺いしたいと思います。

西野大臣政務官 確かに、今日の大気汚染を初めとする数々の状況の中で、要は、交通量が抑制されればそういう心配はないわけでございます。

 本法にその抑制策が含まれておらないという御指摘でございますけれども、実は新たに、それぞれの事業者に対しまして、自動車の使用管理計画というものを作成さすことを義務づけいたしております。それを今回の法案の中の施策に盛り込んだところでございます。

 これ以外に、排ガスが適切に抑制されるために、本法案が成立をいたしました後でございますが、省政令によって策定されるというふうに思っておりますが、その総量削減計画がそこにあるわけであります。

 例えば、今先生も具体的におっしゃいましたけれども、いわゆる交通需要のマネジメント、こういうものを位置づけること、さらにはパーク・アンド・ライドシステム等で都心に乗り入れを規制するという問題、あるいはお話のありました、首都圏それから大阪の方でも今話題に出ておりますが、高速道路のロードプライシング、有料道路の値上げあるいは値下げ等も含めての有効な高速道路の利用をやるロードプライシングとか、そういった施策もこの法案の成立後、施策として検討をされてくる、このように思っております。

青山(二)委員 大変ありがとうございました。

 ところで……(小林(守)委員「委員長、ちょっと人数が達していませんので」と呼ぶ)

五島委員長 質問者の方から要望があればやりますが……。

青山(二)委員 ちょっと今立っていますから、では最後までやらせていただきましょう。

 ところで、先ほども議論が交わされておりましたけれども、現在、呼吸器系の患者が大都市を中心にいたしまして増加いたしております。

 例えば、肺がんの死者数は、一九九八年の厚生省の調査によりますと五万八百七十一名、一九六〇年からの三十八年間に七・四倍になっております。その後も急増いたしておりまして、幼稚園児から高校生までのぜんそくの患者数を見てみますと二十八万四千人、これは、一九九六年の厚生省の調査に基づくものでございます。一九七八年からの十八年間で十六・三倍になっております。また、花粉症患者でございますけれども、国民の一割をはるかに超えて一千三百万人でございます。東京都が独自に実施いたしております公害病認定補償制度に基づき、大気汚染の公害病に認定されました患者の数は現在約六万三千人で、この十年間に二万五千人も増加している、こういう状況でございます。

 ですから、排ガスが健康に本当に大きな影響を与えているということは、こういう実態を見ましてもわかるわけでございます。一たんぜんそくとか花粉症になりますと、治療することは並大抵ではございません。何とか細かい対策を立てて環境省にも頑張っていただきたいと思うわけでございますが、このディーゼル排ガスと健康被害の関係について、環境省は現在本格的な取り組みを行っていると聞いておりますけれども、早急に結論を出して抜本的な対策に取り組むべきであろう、このように考えますので、大臣の御所見をお伺いいたします。(小林(守)委員「委員長、とめてください。人数に達していませんので、委員会は成立しません」と呼ぶ)

五島委員長 ちょっとお待ちください。質問者の方から御要望があれば定数の確認をしますが、質疑の最中ですので続けたいと思います。

 川口環境大臣。

川口国務大臣 環境省におきましては、ディーゼル排気粒子のリスク評価を実施いたしておりまして、昨年の九月に中間報告を取りまとめたところでございます。この中で、自動車交通量の多い道路の沿道住民の方々の呼吸器症状の増加が多くの研究で報告をされております。ただ、これに対するディーゼル排気粒子の寄与の程度は必ずしも明らかでないということが報告をされております。

 現在、環境省におきましては、ディーゼル排気粒子の健康リスクを定量的に評価するために各地で実測調査を進めております。平成十三年度末を目途に、これらの成果を盛り込んだ報告を取りまとめたいと考えております。

 また、こうした調査の実施と並行いたしまして、ディーゼル車に対します排ガス規制の一層の強化や改正NOx法に基づく総合的な対策を強力に進めてまいりたいと存じます。

青山(二)委員 それでは、最後の質問をさせていただきます。

 ディーゼル微粒子ががんを引き起こすことなどは、多くの動物実験によって遅くとも一九八〇年代末までには世界的にわかっておりました。しかし、我が国では、ディーゼル車の増加を放置いたしまして、燃料の軽油の価格をガソリン車よりも安く設定するなど、ディーゼル車の急増を誘導した結果になっております。それによって、今お話ししましたように、子供のぜんそく患者が増加した、そして一千三百万人とも言われる花粉症患者がいらっしゃる、肺がんなどの発生が大きな社会問題になっているところでございます。

 自動車公害の防止には多くの省庁がかかわっております。直接の所管は環境省ではありますけれども、自動車による貨物や人の輸送、排出ガス規制、道路建設や管理などは国土交通省、軽油の価格をガソリンより安く設定した面では財務省、このほか経済産業省、総務省などが関係をいたしております。こうした省庁間の連携はもとより、業界や自治体を含めた総合的で抜本的な排ガス対策が必要であるわけでございます。重要な大気汚染防止の仕事に直接携わる環境省には、国民の生命と健康を預かっているという強い責任感と使命感を持って、自動車排ガス公害の根絶に全力を挙げていただきたいと思います。

 そこで、自動車公害を克服するために、例えば関係閣僚会議を設置するなど体制を確立して、実効性ある防止対策を環境大臣の強いリーダーシップで推進すべきであると考えておりますけれども、環境大臣の御所見をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

川口国務大臣 連携の重要性について御指摘がございまして、全くそのとおりだと私も考えております。

 改正法案におきましては、総量削減基本方針は閣議の決定を求めなければならないとされております。それから、環境大臣の総量削減計画の同意に当たりましても、関係大臣が委員となっている公害対策会議の議を経なければならないというふうになっておりまして、関係省庁との連携体制は整備をされていると思います。

 それから、国道四十三号線あるいは名古屋の南部地域対策を初めとします道路交通環境対策の推進に当たりましては、環境省は、警察庁、経済産業省、国土交通省とともに、道路交通環境対策関係省庁連絡会議で施策の取りまとめを行っているところでございまして、今後とも、自動車排出ガスの削減対策については、各種の施策を関係省庁それから都府県と協力をいたしまして総合的に推進をしてまいる所存でおります。

青山(二)委員 大変ありがとうございました。以上で終わらせていただきます。

五島委員長 藤木洋子さん。(藤木委員「定足数が足りていないということでございますので」と呼ぶ)現在十六名が出席しておりますので、定足数は……(小林(守)委員「数えてください。いないだろう」と呼ぶ)現在、議場に十六名おられまして、私を入れて十六名です。

藤木委員 では、委員長。

五島委員長 はい。

藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。きょうは、まずディーゼル排気微粒子対策についてお聞きをいたしたいと思います。

 ディーゼル微粒子は、気管支ぜんそく、花粉症はもちろん、発がん、心疾患、生殖機能への影響が明らかになっております。ディーゼル微粒子の推定濃度は、ディーゼル排気微粒子リスク評価検討会の中間取りまとめでも、大都市地域の一般環境で米国の数倍から十倍ぐらい高いと指摘されています。名古屋南部大気汚染訴訟の判決では、道路沿道の局所汚染と指定疾患の因果関係について明確にしました。

 千葉大調査の結果、米国での微小粒子の新環境基準の動き、千葉大調査以前に行われた沿道の疫学調査、嵯峨井氏らの実験結果など多くの動物実験の結果から、ディーゼル排気微粒子、DEPがぜんそくを発症させる可能性、アトピー素因のある人のアレルギー反応を促進してぜんそくにする可能性を認め、千葉大調査の対象地域に匹敵するような交通量、大型車混入率をもって幹線道路のDEPとその沿道住民のぜんそくの発症、増悪との間に因果関係を認めたわけです。

 そこで、国民の安全と健康を守るために、おくれたディーゼル排気微粒子の調査研究を急ぎ、早急にPM二・五の微粒子の環境基準を設定すべきだと考えますが、環境省、どうですか。

松本政府参考人 ディーゼル排気微粒子につきましては、さまざまな健康影響が懸念をされているわけでありまして、環境省におきましてリスク評価を実施いたしております。昨年の九月には、ディーゼル排気粒子が人に対して発がん性を有していることが強く示唆されているということなどを内容とする中間の取りまとめを検討会でやっていただいております。

 ただし、これまでの調査研究によりましても、人に対する健康影響の定量的な評価にはまだ至っていないというのが現状でございまして、環境省としては、引き続き健康影響の解明に努めていきたいと考えております。

 また、御指摘のディーゼル排気粒子を含みます微小粒子状物質、いわゆるPM二・五でございますけれども、これにつきましては、平成十一年度から疫学調査や動物実験を含みます微小粒子状物質等の暴露影響調査研究を実施しております。そして、その知見の収集あるいは充実に努めているところでございまして、今後、この研究成果や諸外国の知見あるいは動向を踏まえながら、微小粒子状物質に係る環境基準の設定について検討を急いでまいりたいと考えております。

藤木委員 去年の三月に開いた環境省の微小粒子状物質曝露影響検討会では、疫学調査や動物実験を行って、環境基準の五年以内の設定を目指すということを決めておりますけれども、しかし、これが予定どおりに進んだとしましても米国より八年おくれになる計算になりますね。これでは行政の対応が極めて遅過ぎると言わなければなりません。

 国立環境研究所の嵯峨井氏らのディーゼル微粒子での動物実験で、気管支ぜんそくの四つの基本病態として、血管透過性の高進、粘液の過剰分泌、気管支粘膜下の炎症、気道過敏性高進のすべての発現を確認するという画期的な成果を上げています。

 また、米国では、シュワルツ氏らが米国東部六都市で行った、日々の大気汚染濃度の変化と死亡率の関連について検討した短期暴露研究、そして、ドッケリー氏らの米国東部六都市の長期暴露研究及びポウプ氏らの米国百五十一都市の長期暴露研究です。これらはいずれも、PM二・五と慢性閉鎖性疾患あるいは肺疾患での死亡率との間に強い関連性を見出しています。この結果は、濃度を減らすほど死亡者は減少するという実効性を示すものになっております。そこで、米国環境保護庁は、粒子状物質の環境基準について、従来のSPMとは別に、新たにPM二・五に関する基準を九七年七月に決定しています。

 ですから、因果関係は明らかなんですから、早急に設定する必要がありますけれども、一体いつごろをめどに設定されるお考えでしょうか。

松本政府参考人 先ほども申し上げましたように、微小粒子状物質の環境基準をできるだけ早期に設定をするという方向で検討をやっているわけでございますけれども、この研究成果あるいは諸外国の知見、動向を踏まえながら、微小粒子状物質に係る環境基準の設定について検討を急いでいるということでございます。

 特に本年秋から、各地において児童とその両親を対象とした大規模な長期疫学調査を実施したいと考えております。この長期疫学研究というのは、おおむね五カ年の計画で、三歳児健診の対象児、そしてその保護者を対象とした追跡調査という形でやろうとしているわけでございますが、こういうふうに疫学研究の最終的な結論を得るには、今申しましたような年月を要するわけでございますけれども、その研究の過程で得られました知見、これがそれなりのものでありましたら、随時環境基準の設定作業に反映できる場面が出てくるかもしれないと考えているところでございますが、いずれにしろ、もうしばらく時間がかかるかと思います。

藤木委員 しかし、米国がん協会の五十都市の二十万人の分析でも、死亡率は各都市のPM二・五濃度との相関関係を示しておりまして、その結果は、PM二・五濃度上昇の都市居住者の余命が数年間短縮することを示唆しております。米国のEPAの分析アセスメントでも、PM一〇とPM二・五の特性との間に大きな相違点を認めておりまして、PM二・五の健康影響への悪性度が顕著になっています。ですから、五年以内の設定などと悠長なことをお考えにならないで、予防原則のお立場に立って緊急に採用すべきだと思います。

 米国では既にPM一・〇、これを基準にしなければというところまで前進しております。一般的には、粒径の小さいPMほど生体への有害性が高いことが知られております。最近の米国での超微小粒子に関する電子顕微鏡による研究では、PM二・五の心肺への急性影響のうち、大部分は粒径一・〇マイクロメーター以下の超微小粒子、PM一・〇、これに起因することを強く示唆しております。米国では既にこのようにPM一・〇の大気汚染規制が焦点になりつつあるわけですから、米国におくれることなくPM二・五の緊急の設定を求めているわけです。

 しかも、二〇〇〇年の結核研究所の岩井氏らの調査では、日本人の肺がんで死亡した人の中の一一・五%がDEPで死亡していると試算しております。これは、日本人の年間肺がん死亡者数五万人中の五千七百五十人に相当するものでして、千葉市、川崎市、東京、埼玉などは二〇%以上という非常に高い値になっております。

 さらに、欧州三カ国と日本における自動車由来PM一〇に起因する死亡者数と、各種呼吸器疾患患者発生数などを計算したリスク評価結果によりますと、総年間健康費は五兆二千六百六十二億円です。そのうちの非死亡健康費の中間値は、約一兆七千百七億円となっております。ですから、総年間健康費から非死亡健康費を差し引いた死亡による健康費は三兆五千五百十五億円となっております。

 そこで、大臣にお伺いをしたいと思うのですが、自動車による環境汚染が人の健康被害に関してこれほど大きな経済的マイナス効果を及ぼしている、そのことを踏まえて、PM二・五の規制を含めて自動車排ガスの規制強化をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 自動車から排出されます粒子状物質につきましては、質量で見ました場合には、その大部分が粒径が〇・一から〇・三マイクロメートルの範囲内にあるということでございますので、その大部分がPM二・五に含まれていると言うことができます。

 このために、これまでのとおり、PMにつきまして自動車排出ガスの規制の強化を図ることによりまして、PM二・五の排出量の低減を図ることができると考えております。

 このPMの自動車排出ガス規制は平成五年から行っておりまして、現在その規制値は、規制導入時に比べまして約三分の一程度となっております。今後、平成十四年から平成十六年にかけまして、さらに現在の規制値から約三割削減いたしまして、平成十七年にはさらに大幅に規制強化を進めてまいる所存でおります。

藤木委員 そこで、名古屋南部の問題ですけれども、第六回愛知NO2簡易測定運動実行委員会の報告書によりますと、名古屋市内では、国の環境基準、名古屋市の環境目標を上回る箇所が多く認められておりまして、低い値の箇所が消失してくるという状況が出ています。全体としてNO2汚染の悪化、底上げが生じています。

 名古屋市域には、九九年三月末現在、公健法による認定患者数は南区で九百八十二名、港区で七百六十四名など合計三千五百五名がいらっしゃいます。また、特定呼吸器疾病患者医療救済条例による認定患者数は千五百三十名となっております。

 ですから、二十三号線で道路管理者が五局を設置し、環境省も一局を設置することになっていますけれども、大高インターチェンジであるとかあるいは十一屋地域ではサーベイランスを南区と東海市域で実施することになっていることから見ても、ぜひこの地域でのPM二・五の測定を実施すべきだと考えるのですが、環境省、どうですか。

松本政府参考人 環境省におきましては、本年度中、十三年度中に国道二十三号線の沿道で自動車排出ガス測定局を一局設置することといたしております。現在は、その設置場所の選定作業中といいますか、選定段階というところでございます。

 設置場所の選定に当たりましては、地域の実情を的確に把握できる場所であるということがまず当然の条件でございますし、また、用地の確保が可能であることというのも条件になってこようかと思っております。このような条件を満たした場所を選ぶということを念頭に置きながら、今後、愛知県などにも協力を依頼いたしまして、適切な場所を選定していきたいと考えております。

 なお、この測定局では、一般の大気汚染物質以外にも、今御指摘のありますようなPM二・五についても測定を行う予定であります。

藤木委員 ぜひ、患者さんが多くて、一番地元の方たちが、住んでいる方たちが切実に求められているところに設置していただきたいと思います。

 また、判決は、被告である国の責任と公共性との関係につきまして、国道二十三号線が高濃度の微量粒子を発生させていて、そもそも前提となる調査すら怠っていること等も理由にして、患者のぜんそくの発病、増悪は受忍限度を超えた違法な権利侵害、法益侵害であると認めました。さらに、損害の重大性と、国が被害発生を防止すべき対策をとってこなかったことを理由に差しとめ請求を認めたわけです。差しとめの範囲は、千葉大調査の結果に基づく基準で沿道二十メートルとしております。

 そこで、事業者への迂回要望を行うことにしておりますけれども、実際問題として、DPFの装着義務づけなどの担保措置がなければ迂回しないことになるのではないでしょうか。大多数のディーゼル車への装着が可能とされているディーゼル微粒子除去装置は、軽油の硫黄分の低減が実施されれば、その可能性は飛躍的に上昇するということが明らかになっております。

 そこで、少なくとも二〇〇四年時点ではDPFの装着義務づけを行うべきだと考えますが、環境省、どうですか。

松本政府参考人 DPFにつきましては、本年五月十八日でございましたけれども、ディーゼル車対策技術評価検討会の取りまとめにおきまして、現時点ではすべてのディーゼル車に装着可能な状態にはない、こういう評価でございます。したがって、一律の義務づけは現時点では困難であるというふうに考えざるを得ないわけでございます。ただ、一部につきましては装着可能でありますので、そういうような装着可能な車両についてはインセンティブを付与する方向で対応していきたいと考えているわけでございます。

 それで、二〇〇四年というお話でございますけれども、先ほども申しましたように、軽油燃料についての低硫黄化などの対策もこれから積極的に進めていく考えでございますので、そういうような動向を見てということになろうかと思います。

 DPFについての技術評価はこういう状況でございますので、今の時点では義務づけというところまでいくわけにはいかないということです。

藤木委員 検討会の報告では、今もおっしゃいましたけれども、技術的に難しくて一律に義務づけるわけにはいかない、困難だ、そして、現時点でユーザーが安心して使える製品はない、このようにも言っているわけですけれども、今もおっしゃいましたけれども、それはあくまでも現時点でのことですよね。

 ですから、まず装着義務づけを明確にして、二〇〇四年までかかって技術的な開発をするということを進めるべきだと思うのですね。装着ができるようにメーカーに対しても、そういう目標を持って指導すべきだということを申し上げたいと思います。

 欧州では二〇〇七年の排ガス規制を達成するには、DPFは過渡的ではあるが欠かすことのできない技術だ、このように考えております。日本でも排ガス規制に対して、安価で、より信頼性、耐久性の高い連続再生式などのDPFシステムの早急な実用化が求められております。既に日本自動車工業会が新長期規制の前倒し実施を、石油連盟は低硫黄軽油の早期供給を同時に表明しておりますよね。

 ですから、東京都では、条例による規制を二〇〇三年十月から実施して、七年間の猶予期間経過後、排出基準に適合しないディーゼル車は都内の運行を禁止しますけれども、知事が指定したDPFを装着した場合は、基準に適合する、このようにみなすことになっております。

 そこで大臣にお伺いをいたしますけれども、DEPが東京都内だけでも年間五千トン、全国ではその十倍近くも排出されているなど、国民の健康保護の緊急課題として、少なくとも対策地域内だけでもDPFの装着を義務づける必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 今回改正をお願いいたしております自動車NOx法案は、ディーゼル排気微粒子リスクによる健康影響があるということにかんがみまして、PMを対策の対象に加えて対策の強化を図ろうとするものでございます。

 DPFにつきましては、先ほど局長が申し上げましたように、ことしの五月に出されましたディーゼル車対策技術評価検討会の取りまとめにおきまして、現時点ですべてのディーゼル車に装着が可能な状況ではないという評価がございました。したがいまして、一律の義務づけは困難であるというふうに考えております。ただ、なお、装着可能な一部の車両につきましては、補助金等を交付する対象とする予定でおります。

 今後とも、必要に応じまして技術評価を行うなどいたしまして、DPFの装着を促進していきたい、促進をする施策に取り組んでまいりたいと考えております。

藤木委員 健康保護の緊急課題としての御認識がちょっと甘いのではないかというふうに私には思えてなりません。

 さらに、局地的汚染対策では、答申が、「要請限度の性質上、どのような限度値とするか、その根拠となる科学的知見を明らかにする必要があり、今後の課題である。」としています。しかし、局地的汚染対策は尼崎、名古屋市南部の両判決を持ち出すまでもなく、緊急かつ重大な問題であります。

 ですから、少なくともSPMについては、両判決が命じた差しとめ基準が存在しているわけですから、この数値を要請限度の限度値として局地的汚染対策を図るべきだと考えますけれども、環境省、どうですか。

松本政府参考人 尼崎、名古屋南部両訴訟の判決が差しとめの基準といたしましたSPM濃度、これは千葉大の調査のみに基づくものでございまして、科学的な根拠に乏しいというふうに私ども考えております。したがいまして、対策の基準としてこれを採用するというのは、必ずしも妥当であるとは言えないというふうに考えております。

藤木委員 そうしてどんどんどんどん手おくれになるというような対応は改めていただきたいと思いますね。

 また、大気汚染防止法二十一条の要請限度制度というのがございますけれども、これは現在NOxもSPMをもその対象物質とはしていないわけです。また、都道府県知事が要請を行った場合でも、都道府県公安委員会は必ずしも交通規制を発動することを義務づけられてはおりません。こういった問題があるわけですから、二十一条やあるいは総理府令を改正すべきだと思いますが、どうですか。

松本政府参考人 大気汚染防止法二十一条に要請の制度がございます。現在は一酸化炭素がその物質として指定されているわけでございますが、一酸化炭素は一定の濃度を超えますと短期的に大変に重大な健康影響をもたらすおそれがある、いわゆる一酸化炭素中毒でございます。こういうことでございますので、特に法律の第二十一条の制度の対象にしているわけでございます。

 それで、NO2とかSPMにつきましては、このような短期影響、激甚な影響が出るということではございませんので、特に汚染が著しい場合にそういうような影響が出てくるということでございますから、法第二十三条の緊急時の措置による要請、これの対象として別途位置づけられているということでございます。

藤木委員 そこで、交通流の分散、こういうことを言われているわけですけれども、湾岸自動車道に流すことは、名古屋南部の交通量を確かに減らすことになりますけれども、しかし東海市の交通流が多くなって、旧指定地域でもあったところですから、歓迎すべきことではなかろうというふうに私は思います。

 この名古屋市緑区大高地区では、大高インターチェンジに、国道二十三号線、名古屋都市高速二号線、さらには知多半島道路が合流しております。この交通量は、二十三号線で十一万八千二百二十八台、知多半島道路で四万五千四百八十台となっておりますし、さらに、この地区で建設中の第二東名と環状二号線の交通計画量は、それぞれ六万四千台と五万八千六百台に上るということが明らかです。

 こうした道路が集中して大変な状況になるわけですが、このように道路の集中で大気汚染をつくり出すべきではないと考えますけれども、国土交通省はどのようにお考えでしょうか。

大石政府参考人 先生御指摘ございましたように、名古屋市緑区大高地区につきましては、国道二十三号、知多半島道路、名古屋高速道路が接続いたしておりまして、それぞれ一日当たり九万台、三万台、六万台の交通が集中いたしておりまして、沿道の環境改善が喫緊の課題となっておるところでございます。

 このような課題に対しまして、通過交通を都市内に入れないための環状道路、バイパス等幹線道路ネットワークの整備が必要でございまして、特に環状道路を整備することによりまして、今御指摘がございましたように、集中箇所を極めて広く分散することができるといったような効果がございますので、こういった道路の整備に重点を置いてまいりたいと考えてございます。

 ちなみに、名古屋圏におきましては、これまでに、伊勢湾岸自動車道名古屋南インターチェンジから湾岸弥富インターチェンジの間の供用及び国道二十三号の車線削減などを逐次実施してきたところでございまして、この結果、国道二十三号の交通量は伊勢湾岸自動車道等に転換し、対策前の平成六年十月の一日約十万五千台から平成十一年十月には約六万四千台と四万二千台減少しております。そのうち大型自動車について見ますれば約一万七千台が減少するなど、ネットワーク整備により分散の効果が発揮されていると考えてございます。

 名古屋市緑区大高地区につきましては、今後さらに交通の分散を図るため、伊勢湾岸自動車道の整備、一般国道三百二号及び名古屋環状二号線の整備、名古屋都市高速道路等のネットワーク整備を進めることによりまして、大気環境の改善を図っていくこととしたいと考えております。

藤木委員 また、首都圏、近畿圏では直噴式の大型ディーゼル車が急増しております。例えば直噴化率の変化を見ますと、近畿圏の大阪府では、九〇年の普通貨物で九〇%に対して、九七年では九六・八%に増加しておりますし、兵庫県では、九〇年の普通貨物で八〇・八%が九一・七%に増加。また首都圏、近畿圏の六都府県のディーゼル化率の変化を見ても、九〇年の乗用車で六%に対し、九七年では八・六%、貨物車も、九〇年で六一・一%に対し六七・三%、いずれも急増しているわけです。

 ですから、局地対策の強化としては、車線削減で大型車の走行削減などの直接の交通規制の導入を行うことが必要ではなかろうかと思いますけれども、国土交通省、どうですか。

大石政府参考人 車線削減についてのお尋ねでございますが、一般的に言えば、幹線道路は、幅の広い断面と坂を少なくする勾配、それから極力真っすぐにする構造等で長距離かつ大量の交通が走行する道路として計画いたしております。

 そのような幹線道路におきます車線削減は、交通容量の低減によりその道路の交通渋滞を引き起こし、その結果として他の地域や歩道が未整備の細街路にまで交通を追い込むこともあり、その場合には地域全体の環境悪化や交通安全上の問題を引き起こすこととなるため、安易に行うべきではないと考えております。

 しかし、湾岸道路など環境上問題の少ないバイパス等の道路ネットワークの整備により当該道路を利用する交通の迂回先が確保できるときは車線削減が可能となる場合もございまして、例えば、阪神高速五号湾岸線供用後の一般国道四十三号で車線削減を実施した例もございます。

 具体の道路におきまして車線削減をするか否かにつきましては、関連道路ネットワークの整備状況、迂回先となる道路の沿道の状況、交通の状況等を踏まえて判断していく必要があると考えております。

藤木委員 車線削減はできないことはないですよね。四十三号線なんかは逐次段階的に削減してまいりましたから、一本削減しただけではありませんからね。

 TDMの推進として、割引チケットへの助成あるいは低公害車の普及、低公害車のガソリンスタンドの設置、これだけではTDMの推進にならないのではないかというふうに思います。

 尼崎公害訴訟での和解事項には、本件地域における大型車の交通量低減の必要性を理解し、大型車の交通規制の可否の検討のために必要な交通量の調査を二〇〇一年度までに着手する、また、本件地域における大型車の交通規制の可否の検討について、早急に検討結果が出るよう、警察庁に要請するとなっております。

 ですから、やはり名古屋市域、特に南部への大型車の交通の流入を規制すべきだと思うのです。これは警察庁のお役目だと思うのですが、いかがですか。

坂東政府参考人 お答えいたします。

 私ども警察庁といたしましても、関係省庁あるいは関係地方公共団体等との緊密な連携のもとに、この名古屋南部の国道二十三号線等の沿道環境の厳しい地域におきましては、その改善に向けて最大限の対策を講ずる必要があるものと認識しているところでございます。このため、警察庁では、本年三月に関係省庁とともに「名古屋南部地域の道路交通環境対策の推進について―当面の取組―」というものを取りまとめたところでございます。

 警察といたしましては、これに基づきまして、規制値を超えた黒煙を排出する大型車等の整備不良車両あるいは過積載車両の取り締まりを推進するとともに、実態に応じまして、交通管制エリアの拡大あるいはドライバーへの情報提供の強化といったようなものによりまして、大型車を含めた交通流の分散と円滑化に積極的に取り組んでまいる所存でございます。

藤木委員 住民の健康と命の安全保障に軸足を置いた交通の規制というようなことに心がけていただきたいと思います。

 環境施設帯をつくるために沿道二十メートルの土地を買い上げることになっておりますけれども、そういたしますと、南部地域の町を分断することになるわけですね。そこで、大高インターチェンジから元塩までの約二キロないしは三キロメートルの間、それから十一屋地域の一キロメートルの区間などを車線削減すべきだと考えるのですけれども、国土交通省、この点はいかがですか。

大石政府参考人 一般国道二十三号の名古屋南部地域におきましては、平成十年の伊勢湾岸自動車道名古屋南インターチェンジから飛島インターチェンジ間の供用に合わせまして、交通需要を勘案の上、八車線区間を六車線に、六車線区間を四車線とする車線削減を名古屋市南区丹後通りから名古屋市港区十一屋間の約九キロメートルについて実施してきたところであります。

 さらに、平成十二年十二月には、その後の車線削減等も検討するため、学識経験者等から成ります名古屋都市圏の道路環境に関するビジョン検討会が、名古屋圏の環境対策の基本的な考え方を取りまとめることを目的といたしましてアンケート調査を行ったところでございます。

 この結果、御指摘の区間の車線削減につきましては、当該道路周辺の生活道路まで自動車が迂回流入し、新たな渋滞の発生や交通安全上の課題が増加するとの指摘もなされているところでございます。

 このため、要望された区間の車線削減は、並行する伊勢湾岸自動車道などの幹線道路ネットワークの整備状況なども踏まえつつ、関係機関並びに地域住民とも合意形成を図りながら今後検討してまいりたいと考えております。

藤木委員 さらに、ドライバーへの情報提供の強化の問題ですけれども、VICSあるいは電光標示板などで二十三号線のNOxやSPMの濃度をリアルタイムに表示して、交通流を東名に誘導させるということをやるべきじゃないかと思うのですね。

 その際、名古屋市、愛知県、環境省は、それぞれ測定をしているデータはもとよりなんですけれども、道路管理者が設置した測定数値もあわせて公表すべきだと思うのです。地元では、国土交通省のデータを知らせてくれない、こういう不満がございますけれども、いかがですか。

大石政府参考人 国土交通省では、今後の道路環境対策の企画立案及びその評価のため、平成十三年度より、道路管理の一環として、沿道環境の特に厳しい地域を中心に、直轄道路につきまして、道路管理者みずからが測定局を設置してデータの収集を行うこととしたところでございます。

 名古屋南部地域につきましては、平成十三年度におきまして、一般国道二十三号の沿道に五カ所設置することとしてその準備を進めているところでございまして、その測定結果につきましては、インターネットや道路情報板で情報提供をすることといたしております。

藤木委員 次に、環境省は、今回の法改正で環境基準のおおむね達成ができるとしておりますけれども、自動車排ガスによる大気汚染の深刻な現状から見て、自動車排ガス対策だけでは限界があるのではないかというふうに思います。答申でも、重量車クラスでの天然ガス、LPガス車の重要性を指摘したり、経済的な措置でのロードプライシングの検討、交通需要マネジメントの重視、燃料品質対策の強化などを指摘しております。

 しかし、アメリカのカリフォルニア州では無排出車規制義務づけというのをやっておりますけれども、これに倣って低公害車の販売義務づけの規制をしたり、ロードプライシングの実施をやるとか、大都市の自動車交通量の抑制、軽油とガソリンの税額格差の是正など、こういうことには踏み込んではおられません。

 ですから、大臣に伺うのですけれども、このような道路交通政策の見直しを初め、低公害車の普及や燃料、エネルギー政策の転換が必要ではなかろうかと思いますが、いかがですか。

川口国務大臣 今回の自動車NOx法の改正は、大都市域における大気汚染がひどい、その改善がはかばかしくないという現状を踏まえまして、車種規制の強化拡充、それとともに、国、地方公共団体を通じて施策の実施体制を強化しようというものでございます。

 委員がおっしゃられました、例えばアメリカのカリフォルニアのような無公害車の販売義務づけは、日本においては直ちに実施することは現実的ではないというふうに考えております。それはなぜかといいますと、低排出ガス車が、排出ガスへの寄与度の大きい大型重量車のところではまだ開発途上にあるということで、現時点では大きな対策効果が期待できない、あるいは、仮に対策地域を限定してアメリカのような規制を導入した場合には、対策地域以外で車両を販売、購入して、対策地域の中で使用するといったような行為が可能になって、日本のような対象地域が狭いところでは困難であるといったような理由で現実的ではないというふうに考えております。

 燃料供給施設の整備を含めました低公害車の一層の普及促進、物流、人流、交通流対策の推進につきましては、関係府省と連携をしながら積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

藤木委員 特に尼崎公害訴訟の和解条項の中でも、自動車メーカーや自動車を使用する事業者による一層の低公害車、低排出ガス車の販売、使用を促進する仕組みを検討する、また、阪神高速道路三号神戸線と五号湾岸線において、料金に格差を設ける環境ロードプライシングを早期に試行的に実施するとしております。

 二十三号線の交通流分散策としても、料金格差、ロードプライシングの検討を述べており、今、中部地建が、諮問機関の名古屋都市圏の道路環境に関するビジョン検討会で論議をしているというふうに伺っております。現在の交通量は、国道二十三号線の一日六万三千台に対して、伊勢湾岸自動車道は一日一万七千台となっておりまして、しかし、この伊勢湾岸自動車道の料金というのが二千三百円、大変高いわけですね。ですから、これを値下げして利用しやすいように早急に変更すべきではないかというふうに思うわけです。

 今やもうその検討の段階ではなくて、まさに早急な実施が望まれている、そういう段階であろうというふうに思います。ですから、広域を対象とした面的なロードプライシングの実施をぜひ実行に移すべきではないでしょうか。環境省、どうですか。

松本政府参考人 ロードプライシングは、交通需要マネジメント、TDM施策の一つでございまして、地域の実情に応じていろいろな施策を的確に組み合わせていくに当たっての一つのオプションであろうというふうに考えておりますけれども、中央環境審議会の答申にも示されておりますように、今後、その有効性、社会的受容性、技術的基礎、現行制度との整合性などについてさらに検討を進めていく必要があると考えております。

 このような措置の実施に当たりましては、まずは関係者の幅広い合意が重要であると考えられますので、社会実験のようなことから実施をしていくということが必要なのではないかと考えております。

藤木委員 尼崎の公害訴訟の和解では、和解の前文で、道路沿道では環境基準を上回る大気汚染があること、現在も公害病に苦しむ患者がいて、今なお被害が続いていることが認められております。また、自動車排ガスと原告らの気管支ぜんそくを初めとする公害病についての因果関係も明らかであるといたしました。

 その上で、西淀川、川崎の和解をさらに進めて、国道四十三号線での大型車通行規制、高速神戸線と湾岸線との間でのロードプライシングの実施、さらには、最大の汚染地域への高速神戸線尼崎東入路の事実上の建設凍結など、具体的な対策が盛り込まれました。

 しかし、西淀川、川崎での旧建設省、公団との連絡会で、交通量削減などの根本的な対策とこのための社会的実験の実施、今社会的実験と言われましたけれども、この社会的実験の実施、さらにはPM二・五の測定などにも極めて消極的な対応が続いております。尼崎でも、国、公団は早くも既成事実を先行させておりまして、原告らの意見や要望を封じ込めようとする、こういう態度はとんでもないことだと言わなければなりません。

 このような態度を改めて、交通量削減対策だとかPM二・五も含めた環境省との共同の測定を行うなど積極的にやっていただきたいと思いますけれども、いかがなんでしょうか。やる気になっていらっしゃるのでしょうか。

大石政府参考人 国土交通省におきましても、環境省と誠心誠意話し合いをさせていただきました結果、現在のような和解につながったという認識でございます。

 今先生の方から、地元に対してやや我々の態度が悪いといったような御批判がございましたが、もしそのようなことがあれば、我々は一日も早くその態度を改めるべきだというように考えております。そのようなことがないよう現地をよく指導してまいりたいというように思っております。

 また、観測、測定につきましても、例えば尼崎市東本町の交差点における測定につきまして一部報道されたりしたことがございましたが、現実は若干我々の認識と違っておるところがございますが、環境省と測定項目等について事前に連携し、協力していくという考え方のもとに実施してまいりたいと考えております。

藤木委員 国土交通省が観測をされる場合は、道路管理者としての必要性から観測をされるデータであろうというふうに思うわけですけれども、しかし、それも患者の皆さんには公表するということで、相補い合うようなことで、皆さんに納得が得られるような、そういうやり方をしていただきたいと最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

五島委員長 原陽子さん。

原委員 社会民主党の原陽子です。きょうは最後の質問となりました。よろしくお願いします。

 まず、今回のこのNOx法の改正についてというところで、今までの自動車NOx法がなぜ環境基準を達成することができなかったのかということについての説明を受けたときに、その原因は、自動車走行量の伸び等により、単体規制、車種規制の効果が相殺したのが原因だというふうに私は説明を受けました。つまり、環境基準に達することができなかった理由を、車の数、走行量がふえたせいにしている。それだけのせいにしているというのは、私は、こうした評価は間違いではないかというふうに考えております。それなので、今のNOx法がどうして環境基準を達することができなかったのかということをやはりしっかりと分析して、正しい評価を持って正しい政策というものをつくっていかなくてはいけないのではと考えています。

 特にディーゼル車から出されるSPMは、人の健康への影響が指摘されていて、迅速かつ有効なディーゼル車対策を講ずることが急務というふうに言われております。けさの朝日新聞にも、SPMがふえると死亡率が上昇するという記事がありまして、これは、十一日に環境省が、SPMがふえると死亡率が上昇するという調査結果をまとめたというような内容が書かれておりました。

 そして、平成十二年に出された中央環境審議会の中間報告の中でも、とりわけディーゼル車へのPM対策が急務ということで、やはり私たちの健康を考えた場合に、ディーゼル車への対策を講ずることは非常に大切だということが、どのこういうものを見ても書かれているなということを感じます。

 しかし、この中央環境審議会が出した中間報告書に対して、平成十二年の十月に東京都は、「「今後の自動車排出ガス総合対策中間報告」に対する東京都の意見」という中で、「PM対策の推進を重点課題として位置づけてはいるものの、即効性のある対策はなく、国民の健康被害をくい止めるという、切実感は伝わってこない。」というように反応しておりまして、私もこの中央環境審議会の中間報告を読ませていただいたのですが、私も東京都の出した意見と全く同感であります。

 それなので、やはり今までなぜできなかったのかという状況分析をしっかりとしていくべきだ、そして、その中から本当に有効性のある政策というものをしっかりと打ち出していかなくてはいけないなということをこの法案の審議をするに当たって非常に強く感じました。

 それでは、法案についての質問を随時させていただきたいと思います。

 知事が総量削減計画を制定する際に、東京都は、国の関与は不要であるというふうにしております。今回の法案では、自動車運送業者については国土交通大臣が、それ以外の業者については業所管大臣が関与することということになっておりまして、東京都の方では、国の関与は不要というふうに言っているのですが、何のためにこうした大臣がかかわるようになっているのでしょうか。

松本政府参考人 事業者に対するいろいろな措置、東京都の方が国の関与は不要と言っておられるのは、ややちょっと私どもの認識と違うところがあるような感じがいたします。

 と申しますのは、現行の自動車NOx法の中で、事業者指導という枠組みが一応用意されていたわけでございますが、実は必ずしもこの枠組みというのは十分に機能をしていないのではないかという評価でございます。私どももそう思っているわけでございます。

 そういう状況を踏まえて、実は、例えば東京都でも、独自に事業者に対する措置というのを、ついせんだってまでは要綱という形で、さらには条例という形で実施をしていたわけであります。要するに、自治体レベルでそれなりの努力、工夫をやっておられたわけでございます。

 ただ、実績を見ますと、やはり自治体ですと具体的な担保措置などは十分組み込むわけにはいかないということで、実効率というのは、例えば東京都の例で見ますと、事業者指導、事業者に対する措置に対して協力をしてくれた事業者のパーセンテージは七八%、要するに二二%ぐらいの事業者はやはり積極的には協力をしてくれないというような事情にあったわけでございます。

 これはほかのNOx法の指定地域の各都府県同様でございまして、自治体としてさまざまな努力をしてこられているわけですけれども、やはり自治体単位の仕組みでは限界があるということで、このたび、むしろそういう各自治体の要請なども受けとめた形で、法律上きちっとした形で事業者に対する措置というものを組み込みたい。

 その中で、しっかりと都道府県知事が、法律上位置づけられた形で、一定規模以上の事業者に対してきちっと指導助言ができる。そして、一定規模以上の事業者はみずから自動車の使用管理計画というのをつくって、都道府県知事に法律上提出を義務づけをする、それを最大限守っていっていただく。そして、仮にその計画を都道府県知事に出さない場合には、これは法律違反で罰則がかかる。あるいは、出した後でも十分に計画どおりの努力をされなかった場合には、都道府県知事が事業者に対して勧告をすることができる。あるいは、その勧告にも合理的な理由がなくて従わなかった場合には、命令を都道府県知事が出せる。それにもなおかつそっぽを向いた場合には、罰則がかかる。しっかりとした担保措置も法律だからこそできるのではないか。

 ただ、そういう仕組みを導入するに際して、具体的に事業者が自動車の使用管理計画をどうやってつくっていくかという、そのつくっていく際のメルクマールというのはやはり何らかのものがないといけないだろうし、都道府県知事がその事業者に対して指導助言を具体的にやっていくときにどういうようなメルクマールでやっていかなければいけないか、これも一つ必要だろう。それを国レベル、法律を背景とした形での仕組みとして判断基準というのが必要なのではないか、こういうことでございます。

 ただ、そのときに、従来のように事業所管大臣にすべてお任せをするという形ではなくて、その判断基準の基本的な事項については、まず、環境大臣が案を作成して、閣議決定する総量削減基本方針の中にその判断基準の基本事項をきちっと位置づける。そして、それを踏まえた形でそれぞれの事業所管大臣が事業ごとの特殊性を踏まえた判断基準をつくる。さらに、その個々の事業所管大臣がそれぞれの判断基準をつくる際には、すべて事前に環境大臣に法律上協議をしていただく。当然、協議の場合には環境大臣としてチェックをするわけでございますし、また自主的に環境大臣として必要があればその事業所管大臣に対して意見も申し述べることができる。

 こういうしっかりとした仕組みを今度組み込むということで、今回の新しい仕組みは従前のようなことがない形で実効が上がってくるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。

原委員 もちろん、ですから、排気ガスを規制しましょうという法律、私たちの健康を守りましょうという法律の中に、環境大臣が関与するというか、すべてをいろいろと決めるというのは非常によく私もわかるんですが、今の御説明を聞いていても、やはり業所管大臣の関与というのは意味がないというか、なくてもいいのではないかというふうに私は考えているのですが、再度お聞きをしたいと思います。

松本政府参考人 たくさんの事業者がいるわけでございます。事業者はそれぞれの事業活動をやっているわけでございまして、事業活動そのものを見ますと、その一定の事業目的というのがあって事業活動全体が運営されているわけでございます。

 その中で、例えば自動車を使うということになってくるわけでございまして、その自動車を使うことで環境影響という面が出てくるわけでございますから、その事業活動というトータルの面と環境影響という面がオーバーラップしてくるところは当然なわけでございます。

 そうなってきますと、やはり環境大臣もこういうような事業者に対する指導にきっちりと関与すると同時に、それぞれの事業の特性というものを十分承知しているそれぞれの事業所管大臣もそれなりに関与をして、より連携をとりながらやっていくという方が実効が上がるというふうに考えるわけでございます。

原委員 でも今の御説明は、環境大臣がすべてチェックするということ、そして、その連携をとるために業所管大臣も関与してくるというような御説明だったと思うのですが、説明はそうだったと思うのですが、例えば例えばの話で……。

 参議院で覚書が破棄をされましたね。要するに、道路事情に関しては環境大臣は物申すことができないような内容の覚書が破棄されたというようなことがあったりする中で、やはり私たちの健康を守っていきましょうという法律の中で、もうお聞きはしませんが、私は、業所管大臣の関与というもの、国土交通大臣の関与というものはやはり削除すべきではないかというふうに考えています。もうお聞きをしませんので大丈夫です。

 そして、先ほど知事の話も出ていましたが、道路公害というものはやはり地域的な環境問題だというふうに私も認識をしております。だからこそ、よりきめ細やかな対策が可能であるように、環境基準を達成できていない地域を持つ都道府県知事だけではなくて、やはり地域的な問題であるということから、私は、政令指定都市の関与も義務づけるようにこの法律を修正すべきというふうに思うのですが、なぜ政令指定都市の関与というものが入らなかったのかなということをお聞きをしたいと思います。

松本政府参考人 自動車は、御承知のとおり、大変広域に移動するということでございます。したがって、ある程度一定のまとまりを持った地域について対策を講じていくということが当然必要であろうということでございますので、やはり政令指定都市ということになりますと大変に、もちろん人口は密集しておりますけれども、面積その他、かなり小規模になろうかと思います。したがって、都道府県知事が、当該地域における窒素酸化物などの総量削減計画を策定して、その地域全体を見据えながら事業者に対する指導などの権限を行使していくというのが適当であろうかと思います。

 もちろん、都道府県知事が総量削減計画を策定していく際には、当該特定地域の中の政令指定都市のみならず、関係市町村すべての意見を十分聞いた上で策定をしていくということになると思います。

原委員 再度ちょっと御確認をしたいのですが、やはり道路公害というものは地域的な環境問題であるという認識は、私と変わりはございませんでしょうか。そういうことですよね。やはりその地域性というか、道路公害は地域的な問題であると。

松本政府参考人 地域性のある問題という意味ではそうかもしれませんが、要は、地域の大きさというのをどういうふうに見ていくかということであろうかと思います。

 もちろん、日本全国道路があるわけですから、日本全国自動車が走っているわけでございますから、そういう意味からすると、自動車の排出ガス規制というのを全国レベルで単体規制というのでやっていかなければいけないということでしょうし、交通量が多くて環境基準の達成がなかなかはかばかしくいかない大都市圏域については、大都市圏域に着目した対策というのは、どの程度の規模の地域性というものを考えてやっていったらいいか、こういうことだろうと思うのです。もちろん局地汚染というものもありますから、そういうものについては極めて限定的な地域的な問題ということにもなると思います。

 自動車NOx法が考えておりますのは、そういう意味で、首都圏域、近畿圏域、今度は中部圏域ということを念頭に置くわけでございますけれども、総量削減計画はやはり都道府県知事さんがつくるぐらい、そのくらいの大きさの地域というのを念頭に置いた方が適当であろう、こういうふうに考えるわけです。

原委員 でも、この公害の問題の多くは、人口が密集しているというか大都市なわけでして、やはり政令指定都市の関与というものも私は義務づけるべきだというふうに思います。

 先ほどの、中環審の中間報告に対するまた東京都からの意見なんですが、自動車排ガスによる大気汚染は地域的な環境問題であることから、地方自治体の役割を今後一層強化すべきだと、これは自治体の方の声として提言をされているわけです。しかし、実際の法律の中で、自治体の権限が不明確だというふうに私は感じました。

 例えばこの十六条で、都道府県知事は、判断基準を勘案して、事業者に対し必要な指導及び助言が、先ほども御説明あったと思いますが、できるとなっていますが、例えば、条例等々によって立入調査とかも定めることが可能だというふうに考えてよろしいでしょうか。

松本政府参考人 まず基本的な認識といたしまして、自動車NOx法といいますのは、法律に基づいて仕組まれている国の制度、それを実際上は都道府県知事さんなりがかなりの役割を果たして進めていかれるという制度でございますが、それぞれの都道府県、あるいは場合によっては政令指定都市もあろうかと思いますけれども、自治体がその地域の社会的、自然的条件の中で独自に条例を制定していろいろな対策を組むということは、これは何ら差し支えのない話であります。

 例えば、東京都が昨年十二月に環境保護条例をつくられて、それなりに東京都として独自の対策を今後進めていかれるということでございますけれども、東京都という地域であっても、やはり自動車NOx法はかかるわけです。

 自動車NOx法の対策と東京都独自の条例の対策というのがむしろ両々相まって、相互補完をした形で大気汚染改善のために進んでいく、これがむしろ望ましい姿なわけでありまして、何か国の制度で、あるいはNOx法が改正されることによって、自治体の何か権限その他が制約されるということはないと思います。

 それは一般論でありますが、ただ、今回の自動車NOx法改正後の法第二十条に基づきまして、都道府県知事は、その職員に、特定事業者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿等の物件を検査させることができるという立ち入り権限もきちっと位置づけてあります。

原委員 ですから、このNOx法は最低限の対策であるというふうに位置づけをして、そして都道府県ごと、その地域に合った、条例による横出し、下出し、上乗せというふうに言うそうですが、要するに、地方自治体の能力によりより積極的な対策が可能であるというふうな確認、理解でよろしいのでしょうか。

松本政府参考人 そのとおりでございます。

原委員 また先ほどのお答えの確認になるのですが、東京都が独自で行っている、例えば、SPMの排出基準を設定してディーゼル車の走行を禁止し、禁止命令に従わない場合は、氏名の公表、五十万円以下の罰金など、より厳しい取り組みをしているそうした自治体の対策の妨げはこの法律によって起こらないということも確認したいのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

松本政府参考人 今回の改正自動車NOx法と東京都が十二月に制定をいたしました条例による独自の規制、これは両々相まって東京都の環境汚染改善に向かって進むべきものと考えます。要するに、相互に制約はかからないということでございます。

原委員 くどくて済みません、大臣にも同じことをお聞きしたいのですが、このNOx法は、こうしたいろいろな独自性を持った自治体の取り組みに対しての妨げにはならないということを大臣にも。

川口国務大臣 大気汚染の状況というのは地域によって異なるものでございますので、地域の公害防止に責任を持つ地方公共団体が各地域の社会的な条件あるいは自然的な条件に応じまして積極的に対策をとるということは重要であるというふうに考えておりますし、それを尊重すべきものというふうに思っております。

 先ほど局長が申しましたように、国の施策と地域の施策と両々相まって本来の目的が達せるものであるというふうに認識をいたしております。

原委員 ありがとうございます。

 次の質問に移ります。

 環境基準に著しく達していない地域というのがたくさんあるというふうに私は省庁の方からの説明で聞いたのですが、こうした環境基準に達していない地域に今回のこのNOx法で網をかけるということでしたが、NOx法の対策を進める上で、こうした地域への財政的支援措置というものは考えていらっしゃいますでしょうか。

松本政府参考人 自動車NOx法に基づきます各種の対策を円滑に推進するというねらいから、環境省におきましては、各自治体などに対しまして、技術的なあるいは資金的な支援措置を講じていきたいと考えております。

 具体的には、例えば、各自治体、各都府県におきます的確な削減目標量などの算定あるいは総量削減計画の策定、それから具体的な対策推進の進行管理、こういうようなものについて財政的な支援をしていきたい。あるいは、技術的にもいろいろと要望があればアドバイスをしていきたい。

 それから、自治体におきます大型ディーゼル車、これは公営バスあるいはごみ収集車を考えておりますが、その大型ディーゼル車の低公害車への代替あるいはディーゼル排気微粒子除去装置、DPFでございますが、これについての装着、これは公営バスを念頭に置いておりますが、これに対する補助、こういうようなことも支援策として考えているところでございます。

原委員 ぜひ、自治体とも密接に協力をしてやっていくという意見の中で、自治体が独自で施策をとる場合に、二重規制とか二重投資であるというふうなこととならないように、自治体の努力や対策を妨げるようなことが起こらないようにしていっていただきたいというふうに、これは先ほど確認をとりましたが、お願いをしたいと思います。

 次に、東京都と環境省の対策における違いというものを、私はここで指摘をしたいなというふうに思います。

 例えばディーゼル車にSPMを取り除くフィルターをつけることにおける姿勢についてなんですが、環境省の方にお聞きをしましたら、今のところの技術ではフィルターが目詰まりをしてしまうと。私はこれは非常に後ろ向きな姿勢だなというふうに受けとめたのですが、ところが東京都は、このフィルターが目詰まりをしてしまうという同じ課題に対して、目詰まりをするのはなぜかというふうに考えて、より質の高い燃料を使ったり、余分にかかる費用に予算をつけるなどのもっと積極的な取り組みをしているという違いがあるなというふうに私は感じました。

 そして、いろいろなことを行っていこうという場合に、必ず障害というものはどこにでもあるわけで、その障害を、例えば今技術が追いつかないからということを理由にして、できないとしてしまうのが今の環境省の姿勢かなというふうに感じます。しかし、その障害を取り除くにはどうすればいいのかということで、もっと積極的に考えていったのが東京都の姿勢だなというふうに私は思っております。

 環境対策を行う行政として、どちらの姿勢がより環境対策を進めることができるのかどうか。私は政治家としてやはり東京都のような積極的な姿勢を評価したいと思うのですが、同じ政治家としての政務官の御意見、御見解をお聞きしたいと思います。

西野大臣政務官 環境省は非常に前向きではないではないか、こういうふうにも受け取れるわけでございまして、実は、御案内だと思いますが、このディーゼルの微粒子の除去装置、DPFと呼んでおるわけですが、これは、もちろん環境省だけではなくて関係の省庁で検討会を開いた結果、技術的に、これが装着をしていい場合と、効果のある場合とそうでないものがあるということでありました。

 例えば、平成元年から急にふえてきたわけでございますが、平成元年から五年ぐらいまでのものはかなり効果があるそうでございます、これを取りつけることについて。ところが最近、おおむね平成六年以降今日のものはかなり改良されておりまして、そのDPFを装着しましても、もう既にそれだけの、装着しただけの効果があるものに改良されてきておるわけでございます。ですから、一律にすべて義務づけるということに、そういう点で、既にもうつけなくても大丈夫という新しいものもある、こういう意味でございますので、どうぞ御理解をいただきたいなというふうに思っております。

 つきましては、環境省では、ことし、平成十三年度の予算で、先ほど松本局長も答えましたけれども、地方自治体等が公営のバスの運行などをやっておりますが、公営バスにDPFを装着、取りつけるということになれば、そういう自治体に対しての補助をやる、こういうことであります。

 さらに、原さんがちょっと指摘をされました燃料の改善の話は、東京都なんかはやっているではないかということでございますが、これにつきましても、特に軽油でございますが、軽油の中にあります硫黄分等は、実はこの改善として、できれば十六年までということでございますが、ちょっと長いんですけれども、十六年末までぐらいにはこの硫黄分について、現行五〇〇ppmからこれを五〇ppmに低減する強化策を積極的に取り組んでいく、期間が少しかかりますけれども、そういうことを今考えておる、こういうことでございます。

原委員 ぜひ環境省としても、より積極的な姿勢で臨んでいっていただきたいというふうに思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 森政権下での川口大臣の所信表明のときに私が尋ねたことについてお聞きをしたいと思うのですが、森政権下の川口大臣の所信表明のときに、私は、公害にかかわる行政訴訟について大臣にお尋ねをしたと思います。

 そのときに私が聞いたのは、道路ができる計画段階でも将来的に大気汚染が予測できる場合は、その周辺住民が裁判を起こし、原告適格と認められるようにしなければ不十分ではないかということを私は大臣にお聞きをしました。そのときの大臣のお答えは、司法制度改革審議会の動向を見守るという答えでした。

 先日、小泉首相は行政事件訴訟法の改正を指示したという新聞記事が載っておりました。この中で、これまで、法律上の利益を有する者に限り提起できるとされてきた規定を、現実に法律上の不利益を受けるおそれがある者などに要件を緩和する案が浮上していると報道をされておりました。ここで改めてお聞きをしたいのです。改めて、小泉内閣の環境大臣としてのお答えをいただきたいと思いますので、もう少しちょっと具体的にお聞きをしたいと思います。

 現在、環境基準は、環境基本法の十六条で、維持されることが望ましいと、望ましい基準になっているだけで、達成されなくてもだれも責任を持たなくていいというような仕組みになっています。私は、ここが日本の環境行政が進まない理由ではないのかというふうに思っておりまして、維持されることが望ましい基準を達成しなければいけない基準にして、しっかりと責任を持たせるべきじゃないかというふうに思っております。

 要するに、健康というものはお金で買えないわけであって、公害の患者となった後でお金をもらっても仕方がないわけです。環境法令そのものを改正して、環境対策をすべき者の責任を明確にして、裁判に訴えられるのは嫌だから早く対策をしようという心理が動くようにしなければならないのではないかと思うのです。

 つまり今までの基準、望ましい基準だとだれも責任を持たなくていいわけですよね。ですから、だれを訴えることもできないような状況になっているので、これをぜひ達成しなければならない基準にして、だれかに責任をしっかりと持たせて、住民の人たちが裁判を起こしやすいようなものに変えていくべきではないかというふうに考えるのですが、森内閣のときではなくて、小泉内閣になった環境大臣としての今度は前向きな御答弁をお願いしたいと思います。

川口国務大臣 小泉総理が所信表明演説の中で、「司法制度改革審議会から提出される最終意見を踏まえ、国民と国際社会から信頼される、新しい時代にふさわしい制度を目指した改革を進めます。」というふうにおっしゃっていらっしゃいます。

 この前、原委員から御質問をいただいたことはよく記憶をいたしております。この司法制度改革審議会の最終的な審議会意見はまだ見ておりませんけれども、公開されている審議会の最終段階の案、ちなみに、審議会の最終的な意見というのはきょう内閣に提出をされるようでございますけれども、これはその前の最終的な、最終段階の案でございます。これは、司法の行政に対するチェック機能の強化を一つの検討課題といたしておりまして、その中に、具体的には、現行の行政事件訴訟法上の個別課題として、原告適格、処分性、訴えの利益、その他その他ということについて触れているということでございます。

 環境基準につきまして特に具体的にお話がございました。環境基準の考え方がどういうことかということでございますけれども、環境基本法の十六条に基づく環境基準は、十分な安全を見込んで設定をされたものでございます。より積極的な行政目標と申し上げた方がいいかと思いますけれども。

 したがいまして、これは、どうしても達成しなければならない基準という意味で設定されたのではなくて、それよりもはるかに厳しいレベル、はるかに積極的な目標として設定をされたという性格のものでございます。

 環境省といたしましては、国民が健康で文化的な生活を営んでいくことができるということは非常に重要なことだというふうに考えておりまして、この方向に向けて取り組んでいく、積極的に行政目標として環境基準をつくって、大変に厳しく設定をするという環境基本法の考え方は適正なものだというふうに考えております。

原委員 ありがとうございました。

 では、時間もないので、最後の質問に移らせていただきたいと思います。

 最後は、覚書というものについてお聞きをしたいと思います。

 私は、こんな覚書があるということを実は全然知らなくて、法律がつくられるときには当たり前のようについてくるものだよ、当たり前だよというふうに説明を受けたのですが、私にとってはちょっと変というか、おかしいというか、怪しいものというふうな印象を非常に受けました。

 二つの覚書について聞きたいと思います。

 一つが、経済産業省から環境省に出されたものについて、この覚書の中の七番のところなんですが、これはどういうことを意図しているのかという内容についてお聞きをしたいと思います。

長尾政府参考人 法律案第十三条の政令におきましては、窒素酸化物対策地域及び粒子状物質対策地域におきまして、窒素酸化物等の厳しい排出基準の適用を猶予する自動車の種別及び車齢並びに猶予期間が終わる時期を定めるものでございます。

 この政令に関しましては、内容は今後の問題でございますけれども、予定されるものとしては、現在使用されている自動車のうち、厳しい排出基準を満たさないものを使用できる期限を設定することになる、こういうものでございます。

 したがって、自動車の財産権を制限する等の側面がございますので、政令を定める際に、施策の効果とともに、ほかの幾つかの考慮要素について検討を加える必要がある、こういうふうに考えられて、その内容につきまして、両省間の協議の内容を確認している、そういう性格のものでございます。

 このような観点から、御指摘の確認文書は、両省が、まず第一番目に、施策の効果として窒素酸化物等の低減効果を勘案する、それから第二番目に、財産権の制限の程度等他の考慮要素といたしましては、自動車の平均使用年数の動向とか排出基準適合車両の供給の可能性とか中古自動車の販売業者に与える影響など、こういったことを勘案して、政令の内容を総合的に検討しよう、そういう考え方を明らかにしたものでございます。

原委員 つまり、この法律案の第十三条第一項というものは、きっと低公害車に切りかえていきましょうという内容だというふうに思うのです。今の御説明を聞いて、これを読んだ中で、低公害車に切りかえましょうというふうに言っているのだけれども、何か猶予期間というものをさらに与える。要するに、買って一年ぐらいの車はすぐに切りかえるのとかはやはり大変だということで猶予期間を与えましょうということだと思うのですが、その猶予期間というものをさらに延ばしてしまうというものになりかねませんか。どうでしょうか。

長尾政府参考人 車は、十年前後とか長い期間使用するものでございます。したがって、現にそういう車が使われておりまして、それをすぐに使えなくする、こういうことになりますといろいろ問題が生じる。例えば、極端なことを申し上げますと、自動車を捨てなければいけないかもしれない、こういった問題も生じます。

 したがって、そういう意味では、先ほども申し上げましたように、自動車の財産権を制限する等の側面がある、こういうことを申し上げました。したがって、一定の猶予期間を設けて対応するように、こういう趣旨でございます。

 もちろん、その内容につきましては、今予断を持って申し上げられるものではございませんで、政令をつくる段階で政府部内でしっかり検討してまいりたい、そういうふうに考えてございます。

原委員 先ほど財産権というお言葉が出たのですが、国民の、私たちの健康と財産権とどっちが大切かと言われれば、やはり健康だというふうに私は思うのですよね。それなので、実は、この覚書の七というものは要らないのではないかというふうに私は思います。

 じゃ、もう時間もないので、もう一つの覚書についても聞きたいと思うのですが、環境省が農林水産省に出したこの覚書の内容は何を意図するものか、全然意味がわからなかったので教えてください。

松本政府参考人 環境省と農林水産省の確認の事項が二つございます。

 文字どおりで読みますと、「改正後の第六条第六項(第八条第三項において準用する場合を含む。)に規定する「第二項第二号に規定する施策に関する事務を所掌する大臣」には、農林水産大臣が含まれること。」二番目に、「改正後の第十五条第一項に規定する「製造業、運輸業その他の事業を所管する大臣」には、農林水産大臣が含まれること。」

 この二つの項目なんですが、前段の方の一つ目は、窒素酸化物と粒子状物質についての総量削減基本方針を国がつくります。それを受けて、総量削減計画を自治体がつくるわけでございますけれども、農林水産省は、食品流通業などの事業におきます物流対策というのを当然所管しているわけでございますので、こうした施策に関する事務を所掌する農林水産大臣が、前段で言います総量削減基本方針あるいは総量削減計画、そういうものに関与する大臣でありますよということを確認したということであります。

 それから後段の方については、農林水産大臣は、食品加工業、食品流通業などの事業を所管する大臣でありますから、製造業、運輸業その他の事業を所管する、いわゆる先ほど来お話のある事業所管大臣になりますということを確認しているわけでございます。

 いずれにいたしましても、農林水産大臣というのが、この自動車NOx法の中で、総量削減基本方針においても、あるいは事業者に対する措置という面においても、責任をきっちり持っていただく、こういう意味で位置づけられるということを確認したわけであります。

原委員 わかりました。御説明ありがとうございます。

 でも、法律の裏でこうした覚書のやりとりがあるというのは、私はやはりちょっと、恐るべし覚書というふうに思うのです。例えば、とてもいい法律をつくったとしても、こうした覚書があるがゆえに、法改正をしようというときに法改正がしにくくなったりということがもしかしたらあるかもしれないということ。

 例えば省庁間の約束を結ぶ、もちろん、だから、協力をしてやりましょうという姿勢を私は全然否定するわけではなくて、法律がより実効性のあるものとなるようにこうした約束を省庁間で結ぶのであれば、別に法律の裏で覚書というこんな怪しい名前でやるのではなくて、公開の場で、こういう約束を交わしましたということをやるべきではないかなというふうに、この覚書というものの存在自体が、なかなか私にはやはり理解できないというふうに思いました。

 以上で、時間が来ましたので質問を終わりにします。

五島委員長 次回は、来る十五日金曜日午前九時理事会、午前九時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十五分散会




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