衆議院

メインへスキップ



第4号 平成13年12月4日(火曜日)

会議録本文へ
平成十三年十二月四日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 大石 正光君

   理事 伊藤 達也君 理事 稲葉 大和君

   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君

   理事 小林  守君 理事 近藤 昭一君

   理事 青山 二三君 理事 樋高  剛君

      小渕 優子君    岡下 信子君

      熊谷 市雄君    小泉 龍司君

      河野 太郎君    下村 博文君

      西野あきら君    鳩山 邦夫君

      平井 卓也君    細田 博之君

      増原 義剛君    奥田  建君

      佐藤謙一郎君    土肥 隆一君

      長浜 博行君    田端 正広君

      藤木 洋子君    金子 哲夫君

      原  陽子君

    …………………………………

   環境大臣         川口 順子君

   環境副大臣        風間  昶君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   環境大臣政務官      西野あきら君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安

   全衛生部長)       播   彰君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次

   長)           小平 信因君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・

   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長

   )            中川 雅治君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  炭谷  茂君

   政府参考人

   (環境省環境管理局水環境

   部長)          石原 一郎君

   環境委員会専門員     飽田 賢一君

    ―――――――――――――

十二月三日

 廃棄物処理法施行令改正要求に関する請願(荒井聰君紹介)(第一四三五号)

 同(井上和雄君紹介)(第一四三六号)

 同(奥田建君紹介)(第一四三七号)

 同(金田誠一君紹介)(第一四三八号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一四三九号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一四九四号)

 同(小沢鋭仁君紹介)(第一四九五号)

 同(大谷信盛君紹介)(第一四九六号)

 同(小林守君紹介)(第一四九七号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一四九八号)

 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一四九九号)

 同外二件(仙谷由人君紹介)(第一五〇〇号)

 同(原口一博君紹介)(第一五〇一号)

 同(樋高剛君紹介)(第一五〇二号)

 同(五島正規君紹介)(第一七一九号)

 同(中川正春君紹介)(第一七二〇号)

 同(中村哲治君紹介)(第一七二一号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第一七二二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

大石委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁施設部長大古和雄君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長播彰君、経済産業省製造産業局次長小平信因君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長岡澤和好君、環境省総合環境政策局長中川雅治君、環境省地球環境局長炭谷茂君及び環境省環境管理局水環境部長石原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤謙一郎君。

佐藤(謙)委員 おはようございます。民主党の佐藤謙一郎でございます。

 きょうは、公共事業について御質問をさせていただきたいと思います。

 私、ここ二、三カ月で、石垣空港ですとか、泡瀬干潟ですとか、新潟・清津川ダム、あるいは広島・吉和の大規模林道、そのほか、毎週土日を利用してそうした公共事業の現場を見てまいりました。行くところ行くところで、環境省に対する大変強い期待と同時に不満もないまぜになって、環境省がますますこれから公共事業に対していろいろな発言力を強めていっていただきたいなと私は思うわけでありますけれども、残念ながら、今国会の所信にも、川口大臣は公共事業に対する積極的な言及はございませんでした。自然との共生ということには大変力を入れておられるので、私はその辺に期待感をにじませたいと思うんですが。

 御承知のように、一九九七年の十二月に橋本内閣で、公共事業の再評価システムというものが導入される。それが今日に大変大きな見直しの機運になったわけでありますけれども、残念ながら見直しの基準というものが、例えば事業採択後五年未着工の場合といったように、進捗状況でそうした判断がなされていて、本来、財政破綻とか環境破壊に対して、より厳しいそうした価値尺度というもので評価されなければいけないわけでありますけれども、地方自治体を回りますと、財政が大変だ、そういう声を聞きます。あちこちで総量規制、公共事業の総量規制は総量規制としてあったとして、財政面ではいろいろな動きが出ているんですけれども、環境破壊という点での公共事業の見直しというものがなかなか目に見えてこない。

 ここで、今の見直し機運の中で、環境省は公共事業に対してどういう取り組みをしてきたのか、簡潔にお答えいただければと思います。

川口国務大臣 公共事業のみならずすべての、国が行う政策あるいは地方公共団体が行う政策の分野で環境の視点が入ってくるということは、「環(わ)の国」日本にあっては大事なことだと思っております。

 環境基本法の第十九条におきまして、国が環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定、実施するに当たっては、環境保全に配慮しなければならないというふうにされておりまして、公共事業の見直しに当たっても、事業所管官庁において、環境負荷が低減するような適切な配慮が行われることが必要だと思います。幾つかの省庁において、例えば河川法ですとかそういった法律においては、環境の保全ということを明示的に法の改正時にそれを入れられたところも、その法律もございます。

 環境省においては、このような、環境基本法十九条に定められているような環境の保全への配慮につきまして、これが適切になされるように、関係省庁に対しては、各種の公共事業の整備計画を作成する際の協議の機会等にこれを要請してきております。

 それから、規模が大きなもので環境影響評価法の対象になるようなものにつきましては、この法律に基づいて審査を行っていまして、環境の保全という観点からその際に御意見を申し上げるということもやっております。

 上位計画や政策に対しての戦略的な環境アセスメントを導入することについて今検討を行っているところでございますので、今後引き続き検討を行っていきたいと考えております。

 以上です。

佐藤(謙)委員 大臣の御答弁はそんな御答弁にならざるを得ないと思うんですが、私ども、地域地域に行きますと、環境省にもうちょっと頑張ってもらいたいという声が大変高いんです。

 例えば、全国の絶滅危惧種の問題一つとっても、ワシとかタカ、猛禽類は、御承知のように食物連鎖の頂点にあって、日本では大体十五種類のワシ、タカが、今その生息ということで公共事業との紛争が全国あちこちあるわけです。例えば、愛知万博ではオオタカの営巣、それから静岡空港ではクマタカやオオタカ、清津川ではイヌワシやクマタカというふうに、猛禽類の生息との紛争を私は事前に環境省にお伺いをした。

 一九九九年の六月の朝日新聞の朝刊に、こうした公共事業が猛禽類とぶつかった事例が、一九九四年度以降、三十都道府県で六十四件あった、そういうような記事があったわけですけれども、こうした、何も猛禽類に限らず、国内の希少野生動植物種とのいろいろな紛争について、環境省が、もしも公共事業に対して熱心な取り組みをしているのであれば、当然のことながらそうした、どこでどういう紛争があるかということをおまとめになっているはずだろうと思ってお聞きしましたら、全くその種のデータはないということなんですけれども、それについて大臣はどういうふうにお考えですか。

川口国務大臣 おっしゃるように、公共事業と猛禽類との関係、あるいは希少野生動植物の保全に絡まる案件につきまして、環境省として、すべての件数を把握しているというふうには断定はできない、ただ、おおむねは把握はいたしております。きちんと毎年何件ありましたということを言うためには、やはり何らかの権限に基づいてデータが集まってくるということでございませんと、これで全部ですということを申し上げるのは難しいと思いますが、把握をするための努力はしております。ということでございますが、よろしゅうございましょうか。

佐藤(謙)委員 いや、僕の方には全くそうしたデータはお示しいただけなかったので、そのおおむねということであれば、公共事業は五万から七万あると言われていますから、そのすべてについて調査をしろと言ってもこれはどだい無理なことですから、そのおおむねというところを資料要求しますので、その辺はよろしくお願いいたしたいと思います。

 そこで、私は、公共事業について今一つの懸念があります。それは、自然再生型公共事業とか環境復元型の公共事業、そういう声が日増しに高まっていて、例えば来年度の予算の概算要求でも、釧路湿原、四億円ですとか、あるいは所沢を初めとした三市二町のくぬぎ山の雑木林を再生する、そのために一億円というような数字が出てきていて、環境省がそれこそここはというところを手を挙げていかれるというのは、これは僕は大いに進めていただきたいと思うんですが、どうも環境保全に名をかりて、ここを先途と、やれ、はんらん原全体の自然回復だとか蛇行の復元だとか、所管官庁や建設業界は早くも、これは予算獲得の宝の山だとうそぶいている、そういう話まで聞こえてくるわけであります。

 そうした自然再生型の公共事業ももちろん必要でありますけれども、そのプライオリティーというもの、不要不急なもの、あるいはどうしてもこの財政が厳しい中でもやっていかなければいけないという、そうした評価を事前に立てていく、そこに私は環境省の大きな役割があろうかと思いますけれども、二十一世紀の公共事業というのは、そもそもどういうものを環境大臣はイメージされておられるか、その辺についてお聞かせください。

川口国務大臣 二十一世紀の公共事業といいましても非常に広いわけでございまして、そのすべてが環境省に何らかの形でかかわるということでもないかと思います。例えば、その……(佐藤(謙)委員「環境省にかかわる公共事業という意味で解釈して」と呼ぶ)はい、ということでございましたら、私は、やはり自然の再生ということが非常に大事なことだと思っております。

 それで、自然の再生をしていくためには、全体として、総合的な生態系の保全という観点から何が必要かということを考えることが大事だと思います。今まで縦割りでそれぞれの、例えば国土交通省とかあるいは農林水産省が所管をしていたということを総合的に、一緒に、やはりそれぞれが相互に関係し合っているわけですから、それをさらにその生態系の保全という総合的な観点から見るということが大事だというふうに考えます。

 これを行っていくためには、国土交通省、農林水産省、環境省、その他関係の省庁の連携が大事であるということは言うまでもございませんので、その調整に努めていきたいと思いますし、それから、環境省がみずから自然再生事業を行う場合には、それぞれの省庁の間をつなぐと同時に、特に生態系の保全を重視した事業を実施するということで、環境の保全を環境省は使命としているわけでございますので、そういった役割に寄せられました国民の期待にこたえていきたいと思っております。

佐藤(謙)委員 私はすごく失望をいたしました。

 確かに、縦割り行政というものを横に連携して総合化をするというのは一つの正解ではあると思いますけれども、私は、二十一世紀型の公共事業というのは、当然のことながら、市民参加の視点というものを無視して公共事業は成り立たないだろう。まさに、その市民参加の糸口を環境省がこじあけていただくという役割が一番大事なんだろう。情報公開ですとか環境アセスメントとか、そうした幾つもの問題があるわけでありますけれども、頭が役所との連携ということばかりに言及されていることに、私は大変な失望感と、これから怖いなという感じがしてなりません。

 生態系保全の立場から、省庁間で、国土交通省ですとか農水省と連絡会議の設置の合意ができているというふうに聞いておりますから、そちらの総合化について、その中で環境保全ということを環境省が訴えていかれるというのは、これは私は大いに進めていただきたいと思います。

 ついこの間、私は、山梨県の明野村というところ、廃棄物の最終処分場の現場を見に行ったわけでありますけれども、私がびっくりしたのは、その処分場の予定地に八十人か九十人かの村人が集まってこられて、そしていろいろと意見のやりとりをしました。もちろん事業主体の第三セクターの方々からのお話も聞きましたけれども。

 そうすると、もう本当に信じがたいほど皆さん方よく勉強されている。これはインターネット時代なんだろうと思うんですが、生物多様性国家戦略について説明をしてくれとか、拡大生産者責任というのはどういうことだ、管理型と安定型以外にどういうものがあるかというようなことが、一般の農家の方々やあるいは主婦の方々から次々と飛び出してきた。

 そこで、生物多様性国家戦略は、まさに来年の三月に向けて山場を今迎えているところで、もしもこうした最終処分場の問題の中で生態系の問題とかいろいろと御意見があれば、パブリックコメントを今求めているから環境省にアクセスしたらどうだというような提案をして私は帰ってきて、念のためにきのうちょっと環境省にお話を聞いたら、いや、パブリックコメントは来年の二月中旬から三月の中旬だということで、慌ててその質問をした方に、早まったといって電話をかけようとしたら、いや、これまでもいつでも意見を受けることになっていますからもうずうっと毎日がパブリックコメントみたいなものですよ、そういう環境省からのお話でした。それでは、今まで生物多様性国家戦略に対する国民からの意見が何件あったかと聞いたら、まだ一件もありませんと言うんですね。

 実はここに、市民参加と口では言いながら、環境省が最もそれを大切にしなければいけない役所でありながら何もできていない。私は、同じことをPRTR法のときも、市民の声を聞いてくれと。市民はそれによってPRTR法から離れていってしまった。その翌年に、循環型社会形成促進基本法のときも、これもよく市民の方々の声を聞いてくれと言っている。それも何か中途半端で突き進んでしまったために、市民の方々からの不満が次々と出てきてしまっている。私は、こういうパブリックコメントあるいは国土交通省のPIというような手法は免罪符になってはいけないと思うんですね。

 生物多様性の国家戦略で、二月の中旬から三月の中旬まで、三週間か一カ月パブリックコメントを受けるというふうに言われていますけれども、その生物多様性国家戦略はいつまとめることになっているんでしょうか。

川口国務大臣 初めに、その前に委員が、私のその前に申し上げたことについて失望をなさったというお言葉をお使いになられたかどうか、おっしゃられましたけれども、委員に失望をしていただく必要は全くございませんで、今、地元の方の意見を聞く、あるいはNGO、NPOの方のかかわり合いを求めていくというのはもう既に行われていることでございまして、当然のことだという意味で特に申し上げなかったのですけれども、幾つかの法律、例えば河川法を例に挙げますと、においては意見を聞くということが位置づけられているわけですし、現に、例えば多摩川等で、まず環境保全をどうやっていったらいいかということについても、これはもう大変な数の地元の方々のグループの参加があって行われてきているわけでございまして、おっしゃられる……(佐藤(謙)委員「済みません、パブリックコメントの方にお答えを」と呼ぶ)ええ、その釧路のお話についても、それはもう前提にして話を進めているということで御理解をいただきたいと思います。

 それから、パブリックコメントでございますけれども、パブリックコメントというのは、例えば特定の報告についてなりあるいは特定の事案について意見を求めるということでございますけれども、環境省は、開かれた環境省ということをずうっと申し上げておりまして、例えばMOEメールということで常に御意見は伺っております。現にたくさんの御意見をいただいております。

 生物多様性の国家戦略ということで、具体的に、スペシフィックにそれが出てくるということでございますと、パブリックコメントは来年の二月ごろに予定をしているということでございますが、一般的に、環境省は常に国民の方々から意見を聞いていますし、またそのMOEメール以外にもタウンミーティングで意見は出してきていただいておりますので、国民の意見を聞かないとか開かれていないということは恐らく全く当たっていませんで、霞が関の省庁の中では一番伺っている省庁だと私どもは自負をしております。

 生物多様性国家戦略につきましては、中央環境審議会で議論をいただいているその議論については全部公開をいたしておりますし、資料も環境省のホームページで見ることができるようになっております。それから、ことしの春から専用のメールボックスを設けておりまして、意見の受け付けは行っております。そういったことを通じまして、問い合わせは来ておりますけれども、内容についての意見はまだ来ていないということでございます。

 それから、今まで審議会の場においてヒアリングもやらせていただいておりますし、NGOが主催をするシンポジウム等においては、環境省の職員が積極的に参加をしまして意見交換もさせていただいております。ありとあらゆる機会を通じまして環境省としては意見を伺うことをモットーにしてやっておりますので、この生物多様性国家戦略につきましても、全くその一環といたしまして今までもやってまいりましたし、これからもやるつもりでございます。

 以上です。

佐藤(謙)委員 また失望してしまったのですが……。

 もちろん、市民参加は前提だと言われてしまえばそれまでですけれども、二十一世紀の環境省がかかわる公共事業とはどういうイメージだというときに、省庁間の調整だけで市民参加を言わない。そして、言わなかったじゃないかと言うと、いや、そんなのは当たり前のことだと言われてしまうと、こういう委員会での質問というのは成り立たないと思うんですね。

 例えば、なるほど環境省、僕はよくやっていると思います。いろいろな場面でよくやっていると思いますけれども、それでもパブリックコメントで一件も意見が来ていないということは、一生懸命やっているけれどもまだ自分たちの思いが国民に伝わっていないのじゃないかという謙虚さを持たないと私はおかしいと思いますし、それから、パブリックコメントは三月の中旬まで受けます、それで三月の末に生物多様性国家戦略のまとめをしてしまうということで、果たして一週間かそこらでそういう国民の意見をどうやってまとめることができるのか、その辺に私は免罪符的な言いわけがあるのではないかなというふうに思わざるを得ないのですが。

川口国務大臣 パブリックコメントといいますのは、これは政府全部共通したやり方でやらせていただいているわけでございまして、この生物多様性国家戦略についてのパブリックコメントは来年の二月ごろに予定をしているということでございますから、まだパブリックコメントは受け付けていない、それは、ある案が固まった時点である一定の期間、これも政府全体として共通な時間でございますので、別に一週間ということではないわけでございまして、私は、その全体としてどれぐらいの長さ、ある程度幅があって決まっていたと思いますけれども、例えば二週間とか三週間とか、そういう長さでやっているのが各省の相場だというふうに思います。

佐藤(謙)委員 ちょっとそれは僕が早口でしゃべってしまったので、パブリックコメントの期間は多分三週間から四週間だと思います。二月中旬から三月中旬。ところが、三月の下旬にまとめてしまうというときに、一週間前に国民の意見をまとめて、それが反映されるのかということを僕は申し上げたかったのです。

 時間がないので最後の質問にさせていただきますけれども、日本環境アセスメント協会という協会があります。この日本環境アセスメント協会というのは、環境アセスメントのコンサルタントの会社が集まっているそういう社団法人だというふうに聞いておりますけれども、私ども全国の公共事業を回ってみますと、業者が集まっているその社団法人がそこの公共事業の住民と、例えば、いろいろとダムですとかあるいは大規模林道ですとか空港ですとか、そうした問題に入りますと、環境アセスメントに対する信頼性をコンサルタントの会社が崩してしまっているケースというのは非常に多いんですよね。

 ですから、コンサルタントが本当にきっちりと、例えば猛禽類のそうした営巣についてもっときめ細かくとか、しっかりとした対応をとらなければいけない。つまり、アセスメントの技術の向上というものをこれから図っていかなければいけないというのは私も常々考えていたことなんですが、そこで、最近、アセスメント学会をつくるという動きが出ています。

 このアセスメント学会というものがどういう位置づけにこれからなっていくのかがちょっと私疑問であって、いろいろと取材をしてみますと、環境省が裏で主導をしていると。そして、この三百近い業界がバックアップをして、今、環境アセスで上がってきた中身を審査するために国や県の審査会というのがあるわけですけれども、その審査会というのは必ずしも十分機能していない。中には、その審査委員の経歴すら公表しなかったり、大変高齢な方ばかりであったり、本当に実のある審査をしているんだろうかという批判がある中で、アセスメントをだれがきっちりと担っていくかということはこれから大変大きな問題だろうと私は思っているんですけれども、業界主導であったり、あるいは役所主導のアセスメント学会がもしもできるとすると、これまた私にとって大きな不安の材料になります。

 このアセスメント協会に、よもや国民がいろいろと疑問を持たれるようなそうした天下りの方がおられないだろうというふうに考えますが、そういうことも含めて、アセスメント協会とアセスメント学会の関係、そこに環境省がどう関与しているかについてお答えをいただきたいと思います。

風間副大臣 先生御案内のように、日本環境アセスメント協会は昭和五十三年から任意団体で出発しまして、平成十一年に社団として設立されまして、自主活動あるいはセミナー、研究等々さまざま、環境影響評価に関する技術の向上を図るため活動をしているわけでございまして、環境省では、そういった役員の方々との意見交換、それから立入検査を行うなど、法人そのものの適正な運営について指導監督してきております。

 したがいまして、今先生御懸念を抱いていらっしゃる、協会自体がいわゆるまともな形でやっていない方向になるのではないかということを、きちっと私どもは、不適正な状況を招かないためにもがっちり指導監督していきたい、こういうふうに思っております。

 つけ加えさせていただくならば、当協会の方に環境省の出身者が無給の非常勤理事として一人いるわけでありますが、有給の役員にはおりません。

 それから、今先生お話しいただきました日本環境アセスメント協会と環境省が共同して学会をつくるというお話でございますけれども、環境アセスメント学会の設立に向けて学識経験者の方々が中心になって準備を進められているということは私ども承知しております。

 要するに、その学会は何のためかというと、環境アセスに関する国内の分野の研究者あるいは学術者、あるいは実務者の相互交流というふうに聞いております。国内だけじゃなくて国外もそういう形で、技術の発展と普及を図ることを目的として計画されているというふうに思いますから、きちっとした指導監督のもとに設立されれば環境アセス制度の適正な実施が図られるのではないかというふうに、むしろ重要な役割を果たしていくのじゃないかというふうに私たちは思っておりまして、もし設立されるということになれば積極的に交流や支援をしていきたいということも考えているところであります。

 いずれにしても、環境省が主導になってもいけないし、アセスメント協会が独善的に走ってもいけないわけでありますから、少なくとも学識経験者が中心となってきちっと計画して設立、運営していく方向に私どもはしっかりと見届けていきながら監督していきたい、このように思っております。

佐藤(謙)委員 ということは、相互交流というようなサロン的な意味合いということでよろしいのでしょうか。

風間副大臣 環境省とアセスメント協会という関係ではなくて、むしろ学術研究者や実務者の方々の相互交流を目的として設立しようというふうな動きと聞いておりますから、したがいまして、今度は、環境アセスメント協会と環境省との関係はやはりきちっとした形に持っていかなきゃならないかなというふうに思っています。

佐藤(謙)委員 その辺、今前向きなお答えをいただいたので安心しているのですけれども、なぜ私がこういうことをお聞きしたかというと、環境省がこれから政策官庁、調整官庁に徹していくのか、あるいは事業官庁を目指すのかということにかかわってくるのですね。

 なるほど、今百七十億くらいの自然公園あるいは廃棄物管理、処理という部分で、当然今までもやらなければいけないそうした事業というのはあるわけですけれども、それにも増して、例えば釧路湿原だとかくぬぎ山の再生とかいうそういう自然再生ということに力を入れていくと、中途半端なことが一番いけないと私は思うのですね。ですから、事業官庁でもしもやっていこうとするのであればそれなりの決意と準備が必要ですし、あくまでも政策調整官庁でやっていくということであれば、それはそれなりの仕組みをつくらないと、全く、色男、金と力はなかりけりでは物事が前に進まないわけですが。

 残念ながら、いろいろと今度の予算でも、自然再生事業調整費のように、私が一番期待をしていたそうしたものがなかなかうまくいっていないようなことを聞きます。有明海の再生でも、これは国土庁の国土総合開発事業調整費という、ベクトルが全く違う開発系のところから出てくる。そういう調整費ではなくて、環境省がしっかりとその辺を担えるような仕組みをつくりたいと思うのですが、時間になりましたのでその御答弁だけお聞きして、質問を終わりたいと思います。

川口国務大臣 環境省がことしの一月に環境庁から環境省になりまして、この一年間、新たに廃棄物行政を手がける等新しい展開がございました。

 それで、事業官庁か調整官庁かというお尋ねでございますけれども、私は両方だと思っております。新しい事業官庁をやる、事業を直接にやることがあることによって調整機能もますます発揮することが可能となりますでしょうし、相互的な関係というのは非常にあると思っております。

 いずれにいたしましても、委員がおっしゃっていらっしゃるように、調整官庁としてあるいは事業官庁として、それぞれの局面といいますか機能に応じてその役割をしっかりと環境省が果たすことができるようになるということは大変に重要なことでございまして、これは、そういう意味ではどの官庁もそうでございますけれども、環境省がやるべきことをきちんとできるように職員一同努力をいたしておりますし、また、今後とも引き続きその方向に向けて、予算にせよ人員にせよ、あるいは中の職員の士気、能力、その他さまざまな観点から、官庁としてその仕事が十分にできるような方向で引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

佐藤(謙)委員 事業官庁の悪いところを引き継がないようにお願いしたいと思います。中途半端が一番いけないと私は考えております。

 終わります。

大石委員長 奥田建君。

奥田委員 民主党の奥田でございます。

 持ち時間の中で引き続き質問を続けさせていただきたいと思います。私の方は、経済産業省の方の産業構造審議会部会あるいは中央環境審議会での中間報告をいただきました自動車リサイクル法を中心に質問をしていきたいと思っております。

 まず、皆さんも御存じのことですけれども、国内の自動車保有台数七千二百五十万台、販売台数が約六百万台、そして一年間の廃車、排出自動車数が五百万台、解体に回るものが大体四百万台弱というふうに推測されておるということを聞いております。リサイクル率は、今まで法制度のなかったものなどと比べると八〇%、そしてそれ以上を目指していくということで、いいように思いますけれども、今までのリサイクル法と同じシステムに乗るものなのか。自動車産業界、そして廃棄のところまでそれなりに今まで、専門の業界といいますか、システムができていた。それが逆有償化という問題が出てきて、新たな法制度、新たなシステムが必要ではないかということは皆様御承知のとおりかと思います。

 私どもも省庁からヒアリングを受けておりまして、先取りの中で、基金的にストックとしてリサイクル費用あるいは廃車の費用を積み立てていくのがいいのではないかという法案、あるいは価格の中に内部化して、メーカーがその使途についてもっと大きな責任を持ってリサイクル、循環を進めていくという法案とどっちがいいかというお話を聞いて、いろいろなところに問題があるものだなと思って聞いておりました。ただ、何日かたって、一晩寝て考えてみると、どうして先に先取りありきというところでのヒアリングになってしまっているのかということに少し疑問を感じた次第でございます。

 経済産業省さんにお尋ねしたいのですけれども、まず、審議会の中でも現在の、廃車時の負担かあるいは先取りかという議論はあったと思うのですけれども、ここで先取り方式を一応中間報告の中で提案してきた大きな要素というものについて御説明をいただければと思います。

小平政府参考人 産業構造審議会で自動車のリサイクルに関しまして昨年来集中的に議論をしてきていただいておりますけれども、現時点までに審議会から出されております報告では、新車時徴収ということで提言をいただいております。

 これの理由は幾つかございますけれども、一番大きな理由は、やはり廃車時徴収等にいたしますと不法投棄がふえるというような懸念がございますので、基本的に新車時で徴収をすることによってそういうことを防ぐということが大きな理由というふうに報告の中ではされているところでございます。

奥田委員 不法投棄については、またその対策も含めてお尋ねしたいと思います。

 それでは、今、自動車、普通乗用車なんかを廃車するときに費用負担があるかないかについて御存じかどうか、お尋ねいたします。

小平政府参考人 これは場所によっても異なってきておりますけれども、特に処理・処分場の逼迫によりまして、かつては大変有用な金属等が自動車の廃棄物からは取り出されるということで、俗に言います有償、車を廃棄される方がお金をもらえるという実態だったわけでございますけれども、近年は、処理場の逼迫等によりまして、むしろ車を廃棄される方が費用を払って車を引き取っていただくという実態が全国的にふえてきているという状況にございます。

奥田委員 確かに現時点でも、私の聞いているところでは、ある解体業者さんですと、何とかただでできるところもないわけではない、それが利益が出るか出ないかは別にして。普通にディーラーさんでありますとかあるいは整備工場さん、そういった自動車関係の方の会社に持っていってお願いすると、大体五千円から一万円くらいを解体を含む引き取り費用としてお願いすることになる。全国、地域でもちろんばらつきはありますけれども、平均すると八千円くらいというところになるかなと、それは私が聞く話ですから私の地元に近いところでの話となりますけれども、そういった話を聞いております。

 過去のように、確かに価値のある有価物として引き取るということはなかなか成っていかない。これからまたフロンの問題もありますし、あるいはエアバッグの問題なんかもございますし、これまでより大きな何らかの費用負担がユーザーの責任の部分としてかかってくるということは当然のことだと思います。

 私も本当に、デポジットであるとか、短いサイクルで回る商品といいますか製品なんかは先取りといった形、あるいは、もう少し価格の安いものであれば、ある時点でのキャッシュバックも含めたインセンティブといったものをつくるのには賛成でございますけれども、余りにも長い、平均で十年と言われている自動車廃棄の費用を先取りするということはどうかなということに疑問を感じている次第でございます。

 今、どちらの中間報告も、環境省の方も経済産業省の方も、中間報告としては一応先取りストック型、そしてできれば基金をという形で出ておりますので、そちらの方の問題点といったものを聞きたいと思います。

 まず、この基金の規模ですけれども、一つの資料によりますと、購入と廃車に回る中で大体百万台のラグがある、あるいは、廃車のうちのさらに百万台が中古輸出自動車市場に流れていくということがございます。そういった中で、まあこの価格は違うとおっしゃるかもしれませんけれども、何か一万円から二万円なんという数字がひとり歩きして、十年たてば一兆円規模の基金になる、あるいは十年たてば二兆円規模のストックができるのではないかというような議論が出ております。こういった問題。

 そういった残高を持つ基金というものが本当に必要とされる健全なものであるのか、あるいは、輸出中古車になるような場合、先取りした解体廃車費用というものをどういうふうに精算していくのかということについて環境省の方にお尋ねしたいと思います。

岡澤政府参考人 今先生御指摘のように、私どもの方としては、前取りした資金を基金に積み立ててそれをリサイクルの費用に充てるというふうなことを考えているわけですけれども、どのぐらいの費用について徴収するのか、あるいはどういう主体に管理させるのか、あるいは管理の方法をどうするのかということにつきましては、まだ詳細詰め切っておりません。その辺につきましては、今先生の御懸念、たくさん積み上がり過ぎるのではないかとか管理費用をどうするのかというようなこともあると思いますので、その辺も含めて十分慎重に検討してまいりたいと思っております。

奥田委員 ちょっと私自身も不満な返答でございますけれども、まだ審議途中、進行中のことであるということでありますので。

 経済産業省さんにお尋ねしたいのですが、今二万円という数字がいろいろな報道の中でひとり歩きしたりしておりますけれども、こういった価格設定というのは現在の時価で設定していくべきだと思いますか、それとも、将来を見込んだ安全率を持ったもので設定していくべきだと思いますか。

小平政府参考人 リサイクルに要します料金、これをどういう規模でいただくかということにつきましては、現在、全体の仕組みも含めまして検討中でございまして、仕組みの中では、基本的にはそれぞれのメーカーごとに責任を持ってやっていただくという仕組みにしたいというふうに思っております。

 実際の料金水準につきましては、仕組みができました後でそれぞれの御判断で決められるということになろうかと思いますけれども、現在、産業構造審議会で提言をされております新車時徴収は、長ければ十年間ぐらいということでございますので、そこら辺の見通しも含めて料金を設定するということが必要になろうかというふうに考えます。

 いずれにいたしましても、そこら辺のリスクも含めまして、メーカーの判断によって料金が設定されるということになろうかと考えております。

奥田委員 余りにも不明朗であり、そして、徴収とともに、これから解体業者さんに、部品ごとに、また仕事ごとに基金から支払っていくという仕事もできてまいります。

 大臣にお尋ねしたいのですけれども、もちろん予測計算でありますし、基金ができても大きなリスク、価格変動リスクというものは持っているわけですけれども、単純計算すれば一兆円以上の残高が出てくるようなそういった基金、しかもそれが、だれに返していいかわからないようなものになるかもしれない。変にげすの勘ぐりみたいなことですけれども、一兆円なんというお金をストックして、何かこの基金で最終処分場でもつくろうというのか、あるいは、中古車輸出といって第三国へ、基金から何かお金をつけたりして第三国で最終処分をしようとするのじゃないかなんということを考えてしまうような大きな金額ですけれども、そういった基金についての大臣の簡単なお考えをお聞かせいただければと思います。

川口国務大臣 先取りをするかどうかということについていろいろ御意見はおありになるだろうと思いますが、環境省でも、中央環境審議会では先取り方式ということで御意見はいただいているわけでございます。

 その場合に、その資金の管理というのが問題になるわけでございますけれども、製造業者が、公的管理のための機関をつくらないでみずから管理をするということになりますと、その製造業者が途中で破産をした場合どういうことになるのかという問題がございますし、それから、実際にそれを支出するのが何年か後になりますので、その間、法人税の課税対象となるということになります。

 それらを解決するために公的管理機関をつくるということでございますと、資金管理機関でどういうやり方でその資金を安全に適正に管理できるかという問題もございますし、また、そういった公的機関の管理あるいはその業務を遂行するための管理費用というものをどうやって抑えていったらいいかという問題もございます。

 公的機関をつくってということにつきましては、その課題を引き続き検討する必要があるというふうに考えております。

奥田委員 私は、今の時点では基金自体に余り同意しない方でございますけれども、よしんば基金をつくるにしても、工業会や販売者協会の連合会、あるいは輸入自動車の組合、さらには軽自動車の協会といった立派な業団体がございますので、そういった業団体が自分たちの協力関係の中でシステムをつくっていくというだけでも十分なのではないか。もちろん、そのシステムの中に減税、免税措置というものが必要かどうかという議論があればそれは当然審議すべきだろうと思いますけれども、公的関与というものはできる限り必要がない業界ではないのかなということを思う次第でございます。

 それと、二万円を、二万円にこだわっておかしいですけれども、一万円であれ先取りをして、長い先ですけれどもその中で処理をしていくということになると、現状以上のリユースできる部品を開発していくとか、あるいは廃棄しやすい部材で車をつくっていくといったような自己努力のインセンティブが本当にそれで働くのだろうか、先取りした二万円の中で処分できていくシステムならそれでいいというような、これからの環境負荷を減らしていくインセンティブがそのシステムで本当に働くのだろうかというようなことも懸念する次第でございます。

 そして、先取りの中で、一つの強い要素でありました不法投棄という問題がございました。環境省の方にお尋ねしますけれども、不法投棄、現在で一年間二万五千台ぐらいあるんじゃないかということを聞いておりますけれども、近年の車の不法投棄の動きというものを教えていただきたいと思います。

岡澤政府参考人 廃棄された車の台数の状況の推移ということですけれども、私ども正確に把握しておりませんけれども、自治体等からの話によりますと、最近、自動車の逆有償化が進んでいるというふうな状況もあって不法投棄の台数がふえているのではないかというふうなお話を伺っております。

奥田委員 今、不法投棄のことで、一つのシステムの中の提案として、国土交通省の方での自動車の登録制度を改正するということも並行して上がってきております。私は、不法投棄対策としては非常にすばらしい。もちろん陸運局とかの事務量はふえるでしょうけれども。

 今まで一時抹消という、廃棄までじゃなくて自動車使用だけを管理していたものの中の盲点であったようなところをつぶして、そして、輸出であれ解体であれ最終処分まで確認しないと登録が消えない、要は、どこのだれのものかわからなくなって捨ててあった自動車を追跡できる、そういったことを強化するシステム。そしてもう一つは、できるかできないかは別としまして、自動車重量税の還付、使わない年数の分の還付ということも議題に上がったりもしております。

 そういった中で、不法投棄に対する抑止策というのは、今の登録制度あるいは罰則の強化、さらには登録番号なんかを刻印でされておりますけれども、あるいは、外しにくい場所に刻印をもう一つしたり、刻印自身をそういう場所に持っていくことによって、廃棄された後の自動車をだれが廃棄したのか追跡できるようなことをもっと強化する。そういった中で、不法投棄に対する対応策というのは、先に金を取るという以前にやるべきことがまだまだあるし、できることがあると思うんですけれども、そういう点、御意見ありましたらお願いいたします。

岡澤政府参考人 今先生がおっしゃったような車検制度だとか、それから車台番号のナンバリングの問題だとか、これは国土交通省の所管に係る問題ですけれども、国土交通省の方にもお願いしてそういう検討をしていただいているわけです。そういうことも一つの不法投棄抑止策になると思いますし、また、費用を先取りするということも、後払い方式ですと、やはりリサイクル費用を払いたくないからといって不法投棄するというおそれもあるものですから、そうした費用を前払いするということも不法投棄対策の一つのやり方ではないかと思っています。そういうことを幾つも複層的に講じることで自動車の不法投棄をなくしていくことができるというふうに考えております。

奥田委員 先取りでそれがきちんと回って有効に使われるという形であればいいんですけれども、余りにも現在のシステムとは百八十度違うシステムを提示することによって、徴収の面であれ支払いの面であれ、余りにも頭でっかちといいますか、難しい、みずから複雑なシステムにしてしまっているというような感が私はしてならないわけでございます。

 もちろん、そういった自動車を処理する基準といいますかシステム、あるいは解体業者の育成、例えばメーカーごとに、メーカーは自分のすべての車はできないにしても、まだまだ伸びていくというか、効率化すべきところのある解体産業でもあると思いますので、メーカーがそういった解体処理施設のモデル施設をつくって、これから効率化、あるいは設備投資をしていく解体業者のためのモデルケースとして、いろいろな情報あるいは技術を提供するといったようなことをしてもらうとか、そういったことはできることだと思っております。

 きちんとしたシステムをつくっていくという中で、先ほど言いました自動車解体の基準というものを明確に強化していく。あるいは製造業者、メーカーとして処分に困っている、今はシュレッダーダストでありますとかフロンでありますとかあるいはエアバッグというものが挙がっておりますけれども、そういった処理に困るもののあるいは最終処分の道筋をつけるという責任をやはり持つ、そういったことを明文化していくあるいは義務づけていくということはだれも反対しない流れであるというふうに思っております。

 今は有償のものが、今言った三品目ということが挙がっております。まあ逆有償というんですか、こういった三品目のほかに、これから時代の流れとともに逆有償ということは考えられると思いますし、現在でも、自動車のガラス、フロントガラスはいいけれどもサイドや後ろの方のガラスは普通に再生できないんだというような話を聞いております。そういった部分についての処理費あるいは引き取り義務化ということについてどういうふうなお考えがありますか、経済産業省さんにお尋ねいたします。

小平政府参考人 今先生からお話ございましたように、産業構造審議会の報告におきましては、自動車メーカーあるいは輸入業者が引き取り、リサイクル、処理の責任を行うべき品目として自動車のシュレッダーダスト、フロン及びエアバッグとすべきであるということが提言をされておるわけでございます。

 これは、自動車のシュレッダーダストへの対応が、最終埋立処分場の逼迫と、これに伴います自動車リサイクル全体の経済性を阻害する喫緊の課題になっているということを踏まえまして、自動車メーカーが新たにリサイクル、処理を行うことが適切であるということ。それから、フロン、エアバッグにつきましては、自動車リサイクルにおきます新たな対応課題でございまして、自動車メーカーがリサイクル、処理を行うことが実効的で効率的であるということが背景になっているというふうに承知をいたしております。

 こういう品目のリサイクル、処理を行うことによりまして使用済みの自動車がおおむね有価で流通する状況をつくり出すことによりまして、自動車メーカーなどが新しい自動車リサイクルシステムの運営に中心的な役割を果たすということで提言をされているわけでございます。

 他方、同じく報告におきましては、必要な場合には、自動車メーカー等が引き取り、リサイクル、処理の責任を担うべき品目につきまして新たに追加すべきことが提言をされておるわけでございまして、経済産業省といたしましても、これを踏まえながら自動車リサイクル法を検討してまいりたいというふうに考えております。

奥田委員 あとは、ひとつ業者さんの方からぜひ確かめていただいてほしいということを聞かせていただきたいと思います。

 経済産業省さんにお尋ねしますけれども、エアバッグは瞬間に爆発的に膨らむという機能を持っております。そこで、普通の方に聞いても、自動車を取り扱っている方は、大体火薬類のようなものが使われているということは知識にあるけれども、それが何かはわからないと。解体業者さんに聞きますと、あれは何かアジ化ナトリウムという劇毒物ではないかと。ほかのいろいろな新聞記事でも、コーヒーポットに入れて職場の仲間を中毒に至らせたというようなことが記事にもなっておりますけれども、致死量が大体一・五グラムで、エアバッグには七十グラムから二百三十グラムという、そのまま食べたり飲んだりしてしまうと死に至るような量が使われているのではないか、これは推測、うわさですけれども、そういったことを確かめようとしても確かめられないということを聞いております。

 ちょっとその点について、そういう有害な物質というものがエアバッグに使われているかいないのか、経済産業省さんにお答えいただきたいと思います。

小平政府参考人 アジ化ナトリウムにつきましては、平成十年、人体への悪影響を有する物質でございますということで毒物の指定を受けておりますけれども、毒物指定がなされる前、平成元年ごろから、エアバッグを展開するためのガス発生剤として用いられておりました。(奥田委員「十年まではですね」と呼ぶ)はい、平成十年までは。平成元年ごろから平成十年までの間、エアバッグを開くための材料として用いられていたということでございます。

奥田委員 エアバッグの起爆剤の吸引やそういったことでの事故例というのはまだ聞いておりませんけれども、ということは、平成十年以前のエアバッグの搭載車両というものには、そういったものが現在も乗っかったままだということですか。

小平政府参考人 平成十年以前のエアバッグにはアジ化ナトリウムが使われております。それで、使われないままに処理に当たりまして破砕されました場合には大気中にアジ化ナトリウムが放出をされる危険が生じるということでございますが、他方で、燃焼により無害化をいたしますので、使われましたエアバッグにつきましては問題はないということでございます。

 私どもとしましては、この問題を大変深刻に認識しておりまして、自動車リサイクル上の大きな課題であるということで、平成八年に自動車関係業界に対応を要請いたしまして、平成九年には、関係者の自主的な取り組みの指針となります使用済み自動車リサイクルイニシアチブというものを定めたわけでございますけれども、その中におきまして、エアバッグに関しまして取り組むべき内容として以下の二点を示しております。第一点は、ガス発生剤のアジ化ナトリウムから非アジ化ナトリウムへの切りかえ、第二点といたしまして、未作動エアバッグの処理体制の自動車業界による整備ということを示しておるわけでございます。

 これを受けまして、日本自動車工業会では、新車のガス発生剤のアジ化ナトリウムからの切りかえを平成八年ごろから始めまして、平成十一年には完了いたしております。また、同年には、自主的なエアバッグ回収処理システムの運用を開始するという取り組みを進めているところでございます。

 今後、自動車リサイクル法の検討に当たりましても、エアバッグを自動車メーカーの回収・処理すべき品目に位置づけるというようなことを通じまして適切に対応していきたいというふうに考えております。

奥田委員 PRTR法のときなんかも、企業秘密という壁のもとに有害物質の解明ができないというようなこともございました。今は改善措置がとられたということは大変ありがたいし、当然のことだとも思いますけれども、私自身はこういう話を、年間何万台という車を処分している方から聞いたわけです。そういった方の知識の中にさえ入っていない、あるいは聞いても教えてくれないという状況が現実にあって、ことしの夏の時点でそういう状況になっている。

 業界に指導をすると同時に、どういう改善がとられたのか、どういう命令を出したのかということをきちんと情報公開、少なくとも関係業界に、扱っている方々に行くのは当然であって、今はもう指導措置をしたというお言葉ですけれども、本当に自動車メーカーに対してだけであって、お互いに隠し続けてきた事実じゃないですか。

小平政府参考人 エアバッグのアジ化ナトリウムの件につきましては、平成八年に、まず日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本自動車販売協会連合会、日本中古自動車販売協会連合会、日本自動車組合に対しまして要請をいたしましたと同時に、運輸省からも日本整備振興会連合会に対しまして要請を行っております。

 また、同じく、先ほど申し上げましたイニシアチブを決めましたときに非アジ化を進めたわけでございますけれども、あわせまして、作動処理マニュアルというものをつくりまして配付をいたしておりまして、これは、平成八年に、車上の作動処理方法などを書きましたマニュアルを自動車販売事業者、整備事業者、解体事業者の方に配付をしておりまして、さらに平成十一年には、それをつくり直しまして改訂版を配付しているところでございます。

 そういう意味では、私どもといたしましては、関係者の方に周知徹底を図ってきたところでございますけれども、なお不十分な点につきましては、これから法律の制定も含めまして万全を期していきたいというふうに考えております。

奥田委員 時間が過ぎましたのであと一言だけにしますけれども、大体きのうも、自動車リサイクルに関しての関係者に、これは経済産業省の方ですよ、来ていただいてこういうヒアリングを受けたときにもこういう答えは全くなかったわけです。経済産業省の方自身がそういうことを知らなかったわけです。ですから、そういう通達というものがどこまで行ったのか。本当に、仕事をする人の安心をかち取るためにも再通達と再確認というものをしていただきたいと思いますし、環境省としても、あるいは厚生労働省としても、こういった問題に無関心のままではなく、自分たちの問題でもあるということを認識していただきたいと思う次第でございます。

 以上で終わります。

大石委員長 樋高剛君。

樋高委員 自由党の樋高剛でございます。

 きょうも議論の時間をいただきまして感謝いたしております。

 まず、きょうはETCの話から入らせていただきたいと思います。

 高速道路の料金所に今設置されつつありますETC、つまりノンストップ自動料金収受システム、すばらしいシステムだと思います。世界十七カ国で既に実施をされておりますし、日本でも今から約三十年前、七〇年代から実はもう議論、検討されてきたわけでありますけれども、私自身、商品代と取りつけ費用を含めて四万円以上かかったと思うんですけれども、私自身取りつけたわけであります。渋滞解消にもなれば、大気汚染また騒音を少しでも減らすことができればということでETCの器械を取りつけさせていただいたわけであります。もちろん、渋滞解消によりまして、経済生産性の向上、またCO2排出削減にもつながる。車がいわゆる停止、発進することによって二酸化炭素も排出するわけでありまして、少しでもETCによって減らすことができればという思いでありました。

 つまり、このシステムは地球温暖化対策、ひいては環境対策にもなるということでありますけれども、実際のところ、今、利用者はまだ低迷をしているということであります。せっかくすばらしいシステムを開発したにもかかわらず国の施策のおくれによって普及していない大きな一つの例ではないか、大変もったいないことをしているんじゃないかと私は思うわけであります。

 日本の技術を結集させたすばらしいシステムでありますけれども、国による実効性向上のための努力が甘いと私は御指摘を申し上げたい。社会的効率性の面においてもったいないことです。いわゆるその利用率の向上によってさまざまな効果が期待されるにもかかわらず、まだまだ低いのは憂慮すべき事態であると思います。

 ETCの意義とねらい、現在の利用率、また普及への具体的方策につきまして、まずお伺いをさせていただきたいと思います。

木村(隆)大臣政務官 樋高先生から、今、十万台車載器が設置をされておりますETCの導入についての意義、そして利用率、普及策についてお尋ねがあったところでございます。

 この現状についてまずお話をさせていただきたいと思いますけれども、本年の三月に運用を開始いたしまして、十一月の三十日現在でございますけれども、全国で六百十六カ所の料金所に拡大をいたしております。平成十四年度の末までに、おおむね九割をカバーできる約九百カ所の料金所に拡大をしていきたいと思って今準備を進めているところでございます。

 次に、意義についてでございますけれども、まず一つ目は、先生から今お話がありましたように、高速道路の渋滞原因の約三割というのは料金所での渋滞でございまして、その緩和、解消に役立つわけでございまして、それによりまして排出ガスの削減にも寄与するものと考えています。

 続いて、今後、いろいろな高速道路間での対距離料金システム、また乗り継ぎサービス、そして季節や時間帯に応じた高速道路料金の設定等、多様な道路政策が進められるのではないかと期待をいたしているところでございます。

 続きまして、利用率でございますけれども、御指摘がありましたように大変まだまだこれからのものでございまして、十一月下旬におけるETCの利用は一日当たり約二万四千台、利用率は一%でありました。全国展開をいたしました十二月一日の利用台数は約四万六千台と、この数日の間に大変大きな伸びをしているわけでございまして、これからの全国展開次第でさらに大きな普及が望めるのではないかと今期待をしているところでございます。

 続いて、普及策についてでございますけれども、今四万円と言われました設置費用、まず、行政側といたしましては、一万円を上限に通行料金の二〇%を割り引く特別割引の制度を導入したところでございます。それと同時に、本線の料金所における専用レーンの原則設置、これも進めていきたいと思っております。来年度の早期には、現行のハイウエーカードの割引率を考慮したETC前納割引、この導入も図っていきたいと思っております。

 民間につきましては、ETCの車載器を販売している関係者においても各種のキャンペーンをしていると伺っているところでございます。

 今後も、普及促進に効果のある、きめ細やかなサービスを導入していくべく努力をしていきたいと思っております。

樋高委員 先月末からその割引制度、二割引、私も早速申し込みました。本当に一刻も早くこの利用率を高める、まだ一%、ちょっと余りに低過ぎるのではないかと思うわけであります。思うようにいかないさまざまな悩みも抱えていらっしゃるのは重々私は承知しているのでありますけれども、やはり国の取り組みがまだまだ、まだ利用率が実際問題上がっていないということは、緩慢であるということを言わざるを得ないわけでありまして、しっかりと努力を行っていただきたいと思うわけであります。別に、私が利用しているから利用率が低いということを強く申し上げているわけではないわけなんでありまして、ただ、今言われました方策のほかにも、もっと次々と新しい対策をぜひとも講じていただきたいと思います。

 このETCを活用することによりまして、いわゆるITS、数年前でしょうか、これによって大変に市場規模が拡大するということでいっとき物すごくはやりましたけれども、高度道路交通システムについてもやがて将来生かしていけるわけでありますし、また、いわゆる車の流れを誘導しますロードプライシングにつきましても応用が可能であります。期待されるところであります。

 最近、首都高速道路の湾岸線と横羽線、十月から、全国で初めてなんだそうですけれども、環境ロードプライシング、環境という名前が入っておりますけれども、環境ロードプライシングを試験的に始めたと伺っております。概要と具体的な成果についてお伺いをさせていただきたいと思います。

木村(隆)大臣政務官 先生お地元の川崎の南部で始めました環境ロードプライシングについての御質問でございます。

 この概況でございますけれども、並行する路線の間で料金の格差を設けることによりまして、住宅地域に集中していた交通を湾岸部等へ転換をさせよう、そして住宅地域の沿道環境の改善を図っていこうというものでございます。

 先生御質問の横羽線での実施状況でございますけれども、平成十三年度から十四年度まで、横羽線から湾岸線への交通の転換を促すため、湾岸線の川崎浮島と大黒の間を通行するETC利用の大型車に対して、料金千円でありますけれども二百円割引の八百円に設定をし、去る十月の二十三日から試行を開始したところであります。

 まだ始まったばかりでありますけれども、この成果をしっかりと踏まえて、今後、学識経験者等により環境ロードプライシングの試行状況等の調査、分析を行いまして、関係機関との連携をいたすとともに、湾岸線の利用促進がさらに図られるよう公団を指導してまいりたいと思っております。

樋高委員 きょうは国土交通大臣政務官木村先生にもお越しをいただきました。ありがとうございます。

 ITSに応用する、そしてロードプライシングに応用するにしても、やはりETCのまず普及、定着、少なくとも五割を超える、五〇%を超える数字まで早く達成をしなくてはまた次に進んでいかないと思うわけであります。

 いわゆる横羽線沿線というのは神奈川県川崎市を中心とする地域でありまして、住民が自動車の排気ガスによる健康被害を訴えた川崎公害訴訟の和解条項によりまして、国にいわゆる環境改善努力が課せられている地域でもあります。ロードプライシングのシステムのことも考えますと、また将来のITSによる市場の拡大も考えますと、ETCの利用普及に向けての国としての後押しが急務である。ETCの利用を当たり前のように定着させてからでないと、ロードプライシングへの成果とは結びつかないわけであります。

 そんな中にありまして、環境省として、ETCの利用向上に向けての所感と、どのようにリーダーシップをとっていかれるつもりでありますか、お尋ねをさせていただきたいと思います。

西野大臣政務官 ETCの普及問題につきまして環境省はどう考えているか、こういうことでございますが、今国土交通省の木村大臣政務官が横羽線の例を挙げました。実は、私の地元の神戸の方でも同じような形でロードプライシングを実施いたしておるところでございますが、その普及は当然ETCと相まってもろもろの効果が上がるわけでございまして、さらなる普及が必要だというふうに思っておることをつけ加えさせていただきたいと思います。

 特に、先生お示しのように、CO2あるいはNOx等々の環境に対する影響が緩和されるわけでもございますし、もちろん交通の渋滞緩和とかいう問題にもいい効果をあらわすわけでございます。したがいまして、環境省といたしましては、昨年の十二月、環境基本計画の中の一端にそれを取り入れたわけでございまして、「環境への負荷の少ない交通に向けた取組」という中で施策として位置づけておるところでございます。

 ただ、それだけではございませんで、これは環境省だけではなくて、関係する省庁がございます。したがって、道路交通環境対策推進のための関係省庁連絡会議というもの、環境省が事務局になりまして、警察庁、国土交通省、経済産業省等の参加をいただきました。NOx・PM法もことしの春からいよいよ施行されたわけでございますので、いずれ都道府県からもそれらの総量規制に対する計画も策定をされてくるというふうに思います。それとあわせて、ぜひこのETCの普及がされてまいりますように取り組んでいきたいなというふうに思っておるところでございます。

 お話のありましたとおり、今キャンペーンもやっておるところでございますし、さまざまな方法を講じまして、先生がお示しのようなETCが与える効果というものがしっかり出てまいりますように、関係省庁とも連絡をいたしながら、あるいは環境省としてもみずから取り組んでいくように、頑張りたいというふうに思っております。

樋高委員 関係省庁連絡会議というんでしょうか、事務局を環境省さんがやっていらっしゃる。このETCの仕組みそのものは、もともと旧運輸省、建設省さんを中心に始まった話ですけれども、今国土交通省さん、一生懸命頑張っていらっしゃるのはよくわかります。しかし、環境省さんにもやはり中心になって推し進めていただきたい。環境面からもこれは効果は物すごく大きい、期待できるものであると私は思うわけであります。

 いわゆる利用率を高めるためにやはりインセンティブを持たせる。経済的なインセンティブ付与も含めまして、つまり、利用者に大きなメリットを与えるということによって、本当にここ一、二年、二、三年のうちに飛躍的に利用率を上げるような施策を国として講じていただきますように強く要望させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 続きまして、戦略アセスメントにつきまして議論させていただきたいと思います。

 戦略アセスメント、言いかえますれば戦略的環境影響評価は、諸外国では法制化されつつある仕組みであります。構想段階で環境への影響を調べまして政策や施策の方向を決定し、環境への配慮をするシステムであり、昨年十二月につくられました国の新環境基本計画でも、戦略アセスメントのシステムが環境政策実現の重要な手法と指摘をされているわけであります。

 現在の環境アセスメント制度は、あくまで一つの事業単位のアセスメントを定めているにすぎず、事業計画が具体化していよいよ工事が始まる直前になって、あるいは実際もう工事が始まってしまってから初めて環境アセスメントを実施するため、環境に大きな影響を及ぼすことがわかっても計画を見直しにくいという部分があるわけであります。また、事業を途中で中止するため、場合によりましては行政のむだ、むらが顕著となり、付近住民に対する負の影響ははかり知れないわけであります。

 環境アセスメントは、事業者が決めた最終案だけが環境への影響予測の評価の前提にされますけれども、戦略アセスメントにつきましては、事業のみならず地域全体、その地域の場所全体を総合的に対象とするということでありまして、開発計画等の立案段階から長期的に、長い視野で環境への影響を調査、予測する、そして評価する仕組みであります。戦略的環境影響評価の導入に向けての検討の経過、まずお尋ねをしたいと思います。

風間副大臣 平成九年に悲願であった環境影響評価法を制定させていただきまして、そのときにも議論になった、ある事業をやる前の段階から戦略的な環境影響評価をしなければならないということは環境省の中でも議論をさせていただいた。同時に、あの平成九年のときに、それぞれ衆議院の環境委員会、参議院の環境特別委員会で附帯決議をいただいて、もう先生御案内のとおり、「上位計画や政策における環境配慮を徹底するため、戦略的環境影響評価についての調査・研究を推進し、国際的動向や我が国での現状を踏まえて、制度化に向けて早急に具体的な検討を進めること。」ということで相なったわけであります。

 いずれにしましても、事業実施に先立つ上位計画あるいは政策に対するアセスですから、もう有効な、早い段階で、また幅広い分野でのいろいろな御意見をいただいて、例えば代替案のチェックだとかスコーピングだとか、住民参加の意見公表をいただくだとか、あるいは環境行政機関が、政府だけじゃなくて自治体も含めて、どういう関与をしていただけるかということについては、これはアメリカやEU諸国でも、もうアメリカは一九六九年から国家環境政策法の中でも位置づけられておりますし、EUでも、ことしの七月でしたか、SEA指令を出されております。

 いずれにしても、我が国でも、東京都あるいは埼玉県が、東京都はもう平成十年から総合環境アセスメント制度ということについて、その制度化に向けて条例改正の検討も行われているようでございますし、埼玉県もことしの九月に戦略的環境アセスの基本構想を取りまとめていらっしゃいます。

 環境省といたしましても、環境影響評価法の制定に対しての国会決議も踏まえまして、平成十年の七月から、戦略的環境アセスメント総合研究会というのを立ち上げさせていただきまして、国内外のいろいろな実施状況の調査を行って、昨年の八月に、我が国における導入に向けての基本的な考え方、留意点をまとめる報告書を出させていただきました。

 そして、昨年十二月に閣議決定させていただきました環境基本計画に、戦略的アセスについてのガイドラインをつくるということを決めていただいて、必要に応じて制度化を図っていくということを盛り込み、これを受けまして今分野ごとの具体的な検討や実績づくりを進めるため、特に具体例では、廃棄物分野において戦略アセスの手続や技術手法の検討、分析を行って、ことしの九月にその成果を公表させていただきました。

 問題は、公表するだけじゃだめで、ガイドラインをきちっとつくっていくことが大事なんで、そのリーダーシップをやはり発揮していかなきゃなりません。ある意味では、先進事例の実績づくりも進めていかなきゃならないし、いずれにしても、きちっと私どもはガイドラインを作成させていただいて、導入していかなければならないというふうに思っております。応援いただきたいと思います。

樋高委員 副大臣から御指摘いただきましたけれども、平成九年、いわゆる環境アセスメント法、環境影響評価法制定のときに附帯決議がされているわけであります。文章もお読みをいただきましたけれども、実は、これはもう平成九年、今から四年前の話なわけであります。私、考えまするに、四年間ある意味でほったらかし、もちろん内々検討はしてきたよというのはよくわかりますけれども、環境省が本当に二十一世紀リーダーシップをとるのであれば、私は、これの制定をどんどん推進していいんじゃないか、むしろ推進すべきじゃないかと考えるわけであります。

 また、地方自治体におきましても条例制定の動きが先行しているわけでありまして、むしろ国の方がリードしなくちゃいけない話ではないかと私は思うわけであります。

 また、この環境アセスメントにつきましては、環境基準、環境汚染の数値基準だけで機械的に計画の可否を判断するわけでありますけれども、そうではなくて、広く環境への負荷をできるだけ少なくする努力が必要であります。そのためには、やはり企画の時点で特に複数案を比較検討することに意味がある。そして、何もしないことはかえって環境への負荷を増大させる、そのまま放置しているとかえって環境を悪くしてしまうということも逆に明らかにすることができるケースもあるのではないかと私は思うわけであります。そんな議論の中で環境問題について考えることも物すごく大きな影響を与えると私は思うわけであります。意義があると思うわけであります。

 また、その地域に住んでいる人々の、いわゆる市民の意見というものは、計画者や専門家が気づかない、またデスクワーク、机の上では気づかない、知り得ない情報を提供する可能性も高い、そして、より環境への悪影響を防ぐ役割を果たすものであると私は思うわけであります。

 いわゆるこの環境アセスメントにつきましては、昭和四十七年、お話ありましたけれども、二十五年間、四半世紀かかってやっと日の目を見まして、悲願であったこともよく経過としてわかっております。もちろん一定の評価はできますけれども、まだ途上段階にあるんじゃないか。問題点も多いわけであります。

 例えば、環境アセスメントを行うのも、環境アセスメントの結果を許認可に反映させるのも主務官庁であります。どこまで実効性があるのか、やはり疑問を抱かざるを得ないわけでありまして、もちろん環境大臣が意見を述べることは、制度化はされております。しかし、開発行為に対してどこまで口を出すことができるかが問題でありまして、環境省の腕の見せどころ、環境省が真のリーダーシップを発揮できるかできないかの瀬戸際にある。戦略アセスメントの法制化が本当の意味で国民のための、将来へ向けて環境に配慮した国土づくりに貢献するものであり、また一方で、環境省にとっても環境面での指導力を発揮する法的根拠となり得る。

 また、記憶に新しいところでありますけれども、十月には小田急小田原線の高架問題がありました。あの裁判は、論点はちょっと違っておりましたけれども、事業認可取り消し命令が東京地裁によって行われましたけれども、いわゆる戦略的環境影響評価の制度化が望まれるわけであります。戦略アセスの意義が今問われているその一つの大きな事例であると思うわけであります。

 いわゆるこの戦略アセスの導入ガイドライン、先ほどお話がありましたけれども、今年度から三年間でつくると伺っておりますけれども、従来の環境アセスメントの制度を大きく前進させまして、法律を整備し、戦略アセスメントのシステムを早期に、早い段階で導入すべきと考えますけれども、いかがお考えでしょうか。

風間副大臣 おっしゃるとおり、先ほども佐藤先生の方から事業官庁か調整官庁かというお話もありましたが、調整は事業を含めて調整をしていけば私は立派にその役割を果たしていけると思いますから、二者択一ではなくて、事例によってはやはり事業をしなければならない部分もありますし、それは先ほど大臣がお答えになりましたのであれですが、いずれにしましても、環境省がリーダーシップを発揮して、具体個別の部分につきまして、ジャンル別といいましょうか、事業別といいましょうか、ガイドラインをきちっと作成して、先行されていらっしゃる自治体もありますけれども、それをしのぐようなものにしていかなければ本当に環境負荷の少ない社会をつくっていけないわけでありますから、一層頑張りたいと思います。

 何せ、これが少ないものでございまして、ぜひそういう意味では応援をいただきたいなというふうに思っておるところでございます。早期導入が図られるように頑張ってまいりたいと思います。

樋高委員 いわゆるこの戦略アセスにつきましては、先進国の間では導入の機運が盛り上がっているわけであります。国のすべての計画、長期プランに対しまして、環境面が主役になって判断を下す仕組みが日本でも急がれる。外国では、デンマーク、オランダ、カナダで既に導入されております。速やかに制度化へ向けて取り組まれることを強く要望させていただきたいと思います。

 最後の質問をさせていただきますが、最後は大臣に、失業対策についてであります。

 なぜ環境委員会で失業対策なのかと思われるかもしれませんけれども、実は先週の金曜日、十一月三十日、新聞紙面一面にずらりと載っておりました。失業率は最悪を更新して五・三%、男性に限りましては五・八%、六%に近いわけでありまして、雇用対策につきまして私、先日、厚生労働委員会でも議論させていただいたわけでありますけれども、この失業対策というのは、例えば厚生労働省、経済産業省だけの問題ではないと思うわけであります。環境省としても雇用創出のための施策を講じていかなくてはならない責務があると思うわけでありますけれども、二点伺いたいと思います。

 まず一つの質問は、環境分野での就業者をやはりふやしていかなくちゃいけない。具体的なビジョン、今現在行っているものは何であるか。

 そしてもう一問、先にお話を申し上げますけれども、実はドイツで、半年前でありますけれども、六月に環境大臣が環境保護庁の年次報告につきましての記者会見をしまして、こういう話でありました。

 総就労者の約四%に当たる百三十万人が環境保護に従事している。機械製造業が百十五万人、食品関連産業が百万人、輸送手段製造業が百万人、これを上回る方々が環境分野に従事していらっしゃると、この大臣が胸を張っておっしゃったという話であります。過去二十年間、ドイツは強固な環境政策、例えば気候変動対策、を講じてきた結果でありまして、環境保護というのは労働市場にポジティブな影響を与えたというふうにも語っているそうであります。いわゆる気候変動対策、また環境対策が経済をだめにするといった主張は全く誤りであるということをドイツの環境大臣は半年前におっしゃったわけでありまして、この環境分野において新たな雇用を生み出す契機となったということで自慢げに語ったそうであります。

 二十一世紀は環境の世紀と言われますけれども、単に環境を守れという次元ではなくて、環境施策によって、また環境関連分野での規制緩和等々を通じまして新たな仕事をつくり上げ、雇用を生み出していく、新たな仕事をふやしていく、環境分野こそ新産業創出が望まれると考えますけれども、いかがお考えでしょうか。

川口国務大臣 今、失業率が歴史的に最悪の水準ということでございまして、そのために、厚生労働省だけではなく、他の官庁も、失業をなくすための最大限の努力をしなければいけないということは、委員がおっしゃるとおりでございまして、その観点から環境省の役割も大事だと思っております。

 それで、雇用を増加するということをいいましたときに、一つは、新規の雇用、新規の産業を育成するということでございますし、もう一つは、人材育成といいますか、訓練の強化といいますか、流動性を高めるための施策というのが二つ目のグループですし、セーフティーネット的なものが三つ目のグループかと思います。

 環境に関係して申し上げますと、それぞれの分野で環境省としてやるべきことがあるだろうというふうに思います。二十一世紀「環(わ)の国」づくり会議での七月の報告書の中に、環境報告書、グリーン購入を通じた企業の環境経営促進、資源生産性、環境効率性を向上させる技術開発等が提言をされておりまして、こういったことも含めて環境省としてやることは非常に大きいということでございます。

 グリーンワーカー制度というのもありますし、具体的に、緊急地域雇用創出特別交付金が補正予算として国会を通過いたしましたけれども、これを用いて、ごみマップの作成、あるいは森林の下草刈り等の地域の人材を活用した環境関連事業ということもあると思っております。

 それから、ドイツの件でございますが、ドイツの環境大臣がどういう範囲を対象として環境の分野の百三十万人という数字をおっしゃられたかということはよくわかりませんけれども、環境省でも同様なエコビジネスの市場規模の予測を行っておりまして、これによりますと、平成二十二年には約四十兆円、それから雇用規模が、平成二十二年には約八十六万人という推定がございます。

 いずれにいたしましても、環境問題を克服する、環境の保全を行うということと同時に、雇用の確保が図られることは大事でございますので、この分野にも引き続き力を傾注していきたいと思っております。

樋高委員 この雇用創出という分野でも、環境省さんが中心になって、大臣が先頭を切って、ぜひしっかりとした役割を果たしていただきたい。そして、環境分野における仕事、産業が二十一世紀の経済社会の基礎を支えるものであってほしいと思うわけであります。

 環境技術を初めとする日本の独創、得意分野を大きく伸ばすことによって、また、新規産業育成、人材育成、そしてセーフティーネット、さまざまな施策を講ずることによりまして飛躍的に伸びる可能性を秘めているのでありますから、環境の面からも、日本社会の存立を担う経済的役割が期待されているということをどうか忘れないでいただきたいと思います。きょうは、どうもありがとうございました。

大石委員長 藤木洋子さん。

藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。

 住友電気工業は、ことし八月の三日、九八年より実施してまいりました六製作所の敷地内の土壌、地下水の自主調査結果を公表いたしました。

 それによりますと、各製作所敷地内で環境基準値を超えるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物が検出をされ、大阪製作所ではシアンが、伊丹製作所では弗素、六価クロム、砒素が環境基準値を超えたとしております。汚染の原因は、生産ラインで使用していたこれらの物質の一部が、使用中にごく微量ずつ飛散、漏えいしたものとしております。各製作所では、汚染状況等の調査結果を所管自治体に報告するとともに、汚染の拡散防止及び敷地外への流出防止などの浄化対策を進めてきたとしております。

 そこで、お伺いいたしますけれども、環境省は、住友電気工業の土壌あるいは地下水汚染について、いつごろから認識をしておられましたでしょうか。

石原政府参考人 住友電気工業伊丹製作所では、五十九年から実施した自主調査により、弗素、六価クロム、砒素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等による地下水汚染が判明し、自社敷地内の土壌、地下水の浄化対策を実施してきております。この結果につきましては本年の八月三日に公表をしたところでございます。

 環境省としましては、住友電気工業が行いましたこの八月三日の公表によりまして、同社の土壌、地下水汚染を知ったという状況でございます。

藤木委員 実は、私も新聞報道を見まして、九月末に地元の伊丹製作所を調査してまいりました。

 伊丹製作所の事業内容というのは、粉末合金、焼結製品、特殊金属線、電子部品、合成ダイヤ、化合物半導体等の製造というふうになっているわけですけれども、伊丹製作所の説明によりますと、調査時点の最大データでは、揮発性有機化合物のトリクロロエチレンが地下水で一千三百九十ミリグラム、土壌で二百三十二ミリグラム、テトラクロロエチレンが地下水で〇・三七ミリグラム、重金属類の弗素が地下水で六千七百五十ミリグラム、六価クロムが地下水で百二十九ミリグラム、砒素が地下水で百十五ミリグラム、土壌で二・八七ミリグラムとなっているわけです。これらの数値は、環境基準と比較をいたしますと、トリクロロエチレンが約四万六千倍です。弗素は約八千五百倍、六価クロムは約二千五百倍、砒素が約一万二千倍に当たります。

 そこで、これらの汚染物質が検出された調査時期と関係自治体への報告の時期はどのようになっておりますでしょうか。

石原政府参考人 事業者が汚染物質を検出いたしました調査時期は、弗素につきましては昭和五十九年、トリクロロエチレンと六価クロムにつきましては昭和六十三年、砒素については平成二年、テトラクロロエチレンについては平成十年と聞いております。

 また、この調査結果を関係自治体に報告した時期につきましては、トリクロロエチレンについては昭和六十三年、テトラクロロエチレンについては平成十一年、弗素、六価クロム、砒素につきましては今年六月に県に報告があったというふうに聞いております。

藤木委員 ですから、トリクロロエチレンは八八年のボーリング調査で検出をされ、八八年の五月に自治体に報告されていますけれども、これはその年にやったということで一件あるわけですが、弗素は、今もお話ありましたけれども、八四年のボーリング調査で検出をされて、ことしの六月に報告です。六価クロムも八八年のボーリング調査で検出をされ、同じくことしの六月に報告、砒素は九〇年のボーリング調査で検出をされ、同じくことしの六月にいずれも報告をされております。

 この間に伊丹製作所は、土壌ガス吸引法だとかあるいは揚水処理、隔壁や土壌除去などの浄化作業を進めまして、トリクロロエチレンでは四ミリグラム、弗素で二・二ミリグラム、六価クロムは百ミリグラム、砒素で〇・〇四ミリグラムに引き下げております。しかし、依然として基準値の百三十三倍のトリクロロエチレン、二千倍の六価クロムなど四物質が環境基準を超過したままであります。

 そこで、こうした高濃度の汚染物質が検出されたことやさまざまな浄化対策がとられていたことを周辺住民の皆さんや伊丹製作所の労働者が知ったのはいつの時点だったのでしょうか。

石原政府参考人 周辺住民が地下水汚染の実態や事業者が実施しております浄化対策の内容を知ったのは、事業者が本年八月の公表時に周辺の自治会に対しまして説明を行っております、八月の二日と三日でございますが、この時点が住民が知った時点というふうに考えております。

 また、従業員に対しましては、労働組合等を通じまして、同時期、八月の三日でございますが、説明を行ったというふうに聞いております。

藤木委員 そもそも、伊丹製作所の土壌、地下水の汚染が発見されたのは、八七年に兵庫県の地下水調査で周辺の民家の井戸から〇・〇八四ミリグラムのトリクロロエチレンが検出されたためだったわけです。兵庫県は、伊丹製作所に原因調査、汚染箇所のボーリング調査及び封じ込めと揚水による汚染対策を指導しながら、周辺にある数軒の井戸使用者に限ってだけ上水道への飲用指導を行った、こう言っております。

 ですから、伊丹製作所は八四年から揚水処理をしていながら、そして兵庫県は八七年に伊丹製作所に汚染対策を指導していながら、周辺の一般住民に公表したのはことしの八月二日ないしは三日にかけてのことだったわけです。これは、社会的責任のある大企業の姿勢とはとても思えません。住民不在、住民無視の態度ではなかろうか、このように私は思います。

 それでは、伊丹製作所は、汚染範囲が製作所敷地内の限られた範囲にとどまっていて汚染濃度も低下したと言っていますけれども、周辺の汚染井戸では、五つの物質についていつまで環境基準を超過していたのでしょうか。

石原政府参考人 県の調査によりますと、周辺地区の地下水中のトリクロロエチレンにつきましては平成元年から定期モニタリングを実施しておるわけでございます。その間、平成五年から九年まで環境基準を超過していたものの、それ以降、十年以降は環境基準を下回っているということでございます。また、テトラクロロエチレンにつきましては、これまで環境基準は超過していないという状況でございます。また、弗素、六価クロム、砒素につきまして、周辺井戸について本年六月に県が調査を実施しておりますが、いずれも環境基準は超過していないという状況にございます。

藤木委員 確かに現在は、周辺汚染井戸のモニタリング調査で五物質とも環境基準をクリアしているように見えます。それはそのとおりなんですけれども、少なくともトリクロロエチレンは九七年まで環境基準を超過していましたし、重金属の三物質については今まで調査してこなかったのですから、いつ基準値をクリアしたかということは明確になっておりません。ですから、つい最近まで一般の周辺住民や伊丹製作所に働く労働者は何も知らず、これらの汚染物質による暴露の危険にさらされていたということになるのではないでしょうか。これら汚染物質による暴露の危険にさらされていたということは放置できないと思います。ですから、報告の義務といった法規制の以前の問題だということを強調したいと思います。

 これまでにも、東芝や三菱電機の土壌、地下水汚染が公表されたときに、住友電気が公表しようと思えば幾らでもできる機会はあったはずです。ですから、それをしないでひそかに浄化作業を続けて、ある程度の濃度まで低下したところで発表する、こういう企業の姿勢というのは余りにも人の健康や生活環境をないがしろにした態度であろう、このように思いますけれども、環境大臣はどのようにお考えでしょうか。

川口国務大臣 環境省におきましては、土壌及び地下水の汚染につきましては、平成十一年一月に土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針を策定いたしました。その運用基準におきまして、汚染が判明をした場合には、都道府県等は速やかに周辺住民に周知をするように指導してきたところでございます。

 この件は、事業者が自主的な調査によりまして事業所の敷地内の土壌、地下水の汚染を発見しました後、敷地内での浄化対策を実施はしてきたものの、ことしの八月に公表するまで周辺住民に周知をしなかったということは、再三今までお話があったところでございます。

 環境省といたしましては、周辺住民の不安を解消する観点から、周辺住民への周知が速やかに行われますように、引き続き、都道府県を初め広く関係者に対しまして指導及び指針の周知徹底をしてまいりたいと思っております。

藤木委員 そもそも、この五つの物質が高濃度で土壌や地下水を汚染していること自体がずさんな企業管理と言わなければならないものであります。

 伊丹製作所は、いずれも使用中の液の飛散や貯液槽または配管からの漏えいが汚染の原因と推定している、このように言いまして、あたかも不可抗力であったかのように説明をしておりました。

 しかし、そもそも、大企業が毒物に指定されている砒素を初めとして有害物質に指定されている物質を漏えいさせて、敷地外の周辺井戸まで影響を与えることなどとても考えられることではありません。これまで東芝や三菱電機などの土壌、地下水汚染事故を見てまいりましたけれども、これほど有害物質に対するずさんな管理を私は聞いたことがございません。

 そこで、兵庫県は、立入検査などでもっと早くから砒素など重金属の漏えい防止を伊丹製作所に指導することはできなかったのでしょうか、いかがですか。

石原政府参考人 今回の弗素、六価クロム、砒素による地下水汚染の原因は、設備等の劣化による亀裂などからの薬剤の地下への浸透ということが原因でございます。このような原因による汚染につきましては、兵庫県等が通常立入検査を行うわけでございますが、通常の立入検査での発見というのは難しく、県としては事業者から報告を受けるまで事実を把握できなかったというふうに聞いております。

藤木委員 その兵庫県は、八七年の地下水調査で伊丹製作所の汚染を発見し、汚染対策を指導しておきながら、一般の周辺住民への情報は公開してきませんでした。こうした県の企業を擁護した姿勢というのも人の健康と生活環境をないがしろにした態度と言わなければなりません。

 さらに、六価クロムなどについては、ことし六月に初めて行った定期モニタリング井戸での調査を継続実施するとともに、今後、浄化対策を指導する、このように言っております。このことは、重金属類について、いつの時点で敷地外の周辺井戸で環境基準をクリアしたのか把握してもおらず、企業に浄化対策を任せきりにしていたのが実態でした。これは、兵庫県の保健所に十分な検査体制がなかったということでは済まされないことだと思うんですね。

 そこで、兵庫県は、外部への影響がほとんどなくとも、敷地内での重金属類の浄化対策を環境基準値以下に下げるまで指導することになるのでしょうか。いかがですか。

石原政府参考人 周辺の地下水質は、現在では環境基準を満足しております。ただ、事業場の敷地内の地下水質は、なお、トリクロロエチレンあるいは六価クロムで環境基準を超える状況にございます。したがいまして、兵庫県では、今後とも地下水の浄化対策を実施するよう指導していくというふうに聞いております。

藤木委員 そこで、次に、昨年の十二月から環境省に設けられました土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会、この中で調査検討が進められ、ことしの九月に中間取りまとめが公表されております。

 中間取りまとめの「概要」では、まず、「土壌汚染の実態を的確に把握するため、土壌汚染の可能性がある土地について事業場の廃止等の場合に土地所有者が調査を実施する。」としております。この調査の実施というのは、経済的負担が伴う等から、「一般の人が立ち入る用途への変更や土壌の運搬を行うこととなる場合」に、また、その他の土地についても、「事業場の近隣で地下水の汚染が発見された場合であって周辺の地下水の利用の状況等を考慮して必要なとき」などに都道府県が調査の命令ができるとしております。

 これでは、極めて限定的な調査対象となる仕組みではないのでしょうか。いかがですか。

石原政府参考人 最近におきます土壌汚染の判明事例の増加等にかんがみまして、昨年の十二月から、土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会で、どのような制度のあり方が望ましいかということでの検討を重ねてまいりました。

 その中間取りまとめにおきまして、土壌汚染の調査についてでございますが、土壌汚染は、水質汚濁あるいは大気の汚染といったものとはかなり異なる特質がございます。調査自身が非常にわかりづらい、あるいはボーリングなり掘削をしなければわからないといったような状況もございます。

 そういうことにかんがみまして、中間取りまとめにおきましては、土壌汚染の可能性が非常に高いもの、したがいまして、有害物質を取り扱う事業場について汚染の可能性があるということで、一定の機会をさらにとらえてということが一つ。それと、それだけではということも当然ございます。したがいまして、これら以外の土地についても、例えば「近隣で地下水の汚染が発見された場合」というのは、その近隣のそこの部分の土地というのは非常に土壌汚染の可能性が高いわけでございます。そういう場合には、調査を行うといったような形で土壌汚染の把握を適切に行うということでの報告になっております。

藤木委員 ですから、この仕組みそのものが、事業所の敷地等で汚染がある場合、区画形質の変更等がなく、外部への飛散、流出などの影響がなければ、その汚染土壌そのものを除去するというルールにはなっていないわけです。あくまでも、汚染土壌によって外部への公害が生じる、あるいは生じる可能性がある区画形質の変更がある場合に対象になるという、いわば神奈川県などが行っております現行制度と何ら変わらないものではないでしょうか。

 ですから、事業所敷地の内外や区画形質の変更等のいかんを問わず、汚染土壌の調査及び浄化対策を土地所有者等に義務づけるべきだ、このように思いますが、いかがですか。

石原政府参考人 中間取りまとめにおきます土壌汚染対策のあり方につきましては、繰り返しになりますが、土壌汚染の特質ということに着目して、どのように汚染を把握し、かつ、どのように人に対する健康影響を防ぐかという観点での報告になっております。

 したがいまして、調査そのものにつきましては、まず一つは、土壌汚染というのは土地の表面からはわかりづらい、ボーリング等が必要である、あるいは建物が存在するところでは困難であるといったような特質を踏まえて、汚染の可能性のある土地について一定の機会をとらえて調査する。かつ、調査におきましては、その周辺の地下水への汚染がある場合には当然調査をするといったような形で調査の万全を期す。

 それからもう一つは、土壌汚染は水質汚濁あるいは大気汚染と異なりまして、暴露経路、人体が健康に影響がある有害物質を摂取するという経路でございますが、直接摂取あるいは地下水への溶出を通じてという暴露経路があるわけですが、その暴露経路そのものの遮断が可能であるということで、例えば浄化以外の被覆、封じ込めの方法によっても人の健康への影響を防止し得るということとされております。

 いずれにしましても、土壌環境保全対策の制度化に当たりましては、土壌汚染の適切な把握、それから人への健康影響が防止されるような形で検討してまいりたいというふうに考えております。

藤木委員 それは私の伺っていることに対する御答弁とはとても思えませんね。私は、それは義務づけるべきではないかということをはっきり申し上げているわけです。

 ですから、中間取りまとめでは、「環境リスクの管理を図るべき土地の土壌汚染により、人の健康等に影響が及ぶことを防止するため、当該土地を管理・支配している土地所有者等が、そのいずれでも適切にリスクを管理し得る、被覆、封じ込め、浄化等の措置を土地の利用状況等を踏まえ選択して、実施する。」こととしている。これを今おっしゃったわけですよね。この浄化等のリスク低減措置の実施は、土地所有者がその土地の利用状況や措置の経済性を踏まえ、リスクを低減する措置を適正に選択して実施する、この場合、「周辺の地下水の利用の状況等を勘案した環境リスクの管理に関し国が客観的な技術的基準を設け」る、こうなっているわけですよ。

 ですから、これは、現行の土壌環境基準や地下水環境基準とは別の技術的基準を設定して、土地の所有者等が経済的に措置しやすい仕組みになっている、そうじゃないんですか。

石原政府参考人 中間取りまとめにおきます議論におきまして、一つは土壌環境基準ということがございます。土壌汚染による環境リスクの管理を行う必要がある土地の基準そのものにつきましては、人の健康に対するリスクの管理が必要な濃度レベル、今回の中間取りまとめにおきましては、暴露経路として人の直接摂取と地下水への溶出という二経路を考えておりますが、その地下水への溶出の経路につきましての環境基準は、現行の土壌環境基準がございまして、それをもってリスクの管理が必要な濃度レベルとすることが適当であるというふうにされております。

 したがいまして、人の健康へのリスク管理を行う土地の基準としては、中間取りまとめにおきましても、現行の土壌環境基準ということが適当であるというふうに報告されているところでございます。

 御質問のございました「国が客観的な技術的基準を設け、」という方でございますが、先ほども申しましたように、土壌汚染そのものは大気あるいは水の汚染と異なりまして、人への暴露経路の遮断、例えば被覆ということであれば直接人が摂取する可能性はないわけです。あるいは、地下水への溶出ということであれば、封じ込めとか浄化に限らず、そういうような措置も可能である、こういうことでございます。

 ただ、そういう措置が適切にリスク管理がなされるような形で当然実施される必要があります。そういう意味で、国が適切なリスク管理をなし得るための基準をつくる必要があるのではないかということでこのような報告になっておるものでございます。

 したがいまして、おっしゃられるような形での、特に実施しやすいような形に環境基準を緩めるとかそういうようなことではなく、この客観的な技術的基準と申しますのは、あくまで人の健康に影響が及ぶおそれがないような観点からつくるというものでございます。

藤木委員 いろいろ言われましたけれども、しかし、この検討会の議論でも、環境基準と処理目標の問題では、日本の場合、土壌環境基準値が浄化目標値なので、あくまでもそれを全うするつもりで対策をするのだが、現実に経済性を考えた場合、土壌環境基準の完全な達成は困難であるという実態認識が出されております。環境基準とは別の対策基準あるいは発動基準をつくってよい、環境基準の例えば十倍の対策基準を立てるという議論が目立っておりました。当時の水質保全局長も、最低限の健康リスクの基準に軽減していくのは、対策、目標あるいは期間というものは費用との兼ね合いになってくるとして、農用地土壌汚染防止法とダイオキシン類対策特別措置法は、対策基準イコール環境基準だった、しかし、今回検討するものについては、もっと弾力的な対応が必要になる、こういう意見を示していますね。

 ですが、人の健康と生活環境の保全という立場から、土地所有者等の経済性や土地利用等を考慮して、環境基準をクリアできないという実態を追認するような技術的基準ということにはすべきでないというふうに考えますよ。いかがですか。

石原政府参考人 この技術的基準ということにつきましては、先ほども申しました土壌汚染の特質にかんがみまして、暴露経路の遮断が可能ということで、あくまで人の健康に影響が及ぶおそれがないように適切なリスク管理を行い得る場合の基準として定めるものでございます。

 したがいまして、いずれにしましても、人の健康に影響が及ぶおそれのないというようなことでの対応をしたいというふうに考えております。

藤木委員 また、中間取りまとめでは、土壌汚染の調査により、環境リスクの管理を図るべき土地であることが判明した土地については、都道府県が台帳への登録、公告を行うこと、台帳は公衆の閲覧に供することを提案しています。

 土壌環境センターによりますと、土壌汚染調査が望まれる事業所は日本全体で約九十二万八千カ所と推計されておりますけれども、これに対して、環境省調査での総事例は一千五百十二カ所程度にしかすぎないわけです。これは住友電工の事例でも明らかでございますけれども、内部調査で汚染が明らかになっても、自治体や住民にはすぐに公表せず、内々で浄化対策を行うという実態があるからです。

 ですから、汚染及びそのおそれのある土地に関して全面的な実態把握を急いで、これをデータベース化して住民に公表する、このことが必要だと思いますが、いかがですか。

石原政府参考人 中間取りまとめにおきましても、土壌汚染の把握につきましては、土壌汚染の特質を踏まえて、有害物質を取り扱う事業場の廃止等、一定の機会をとらえて調査を行う、あるいは、土壌汚染の可能性がある場合には都道府県が調査を命令するといったような形で適切な調査を期すということにしております。

 また、土壌汚染が明らかになった土地につきましては、中間取りまとめにおきましても、リスク管理をするということで、その情報を台帳に登録し、住民の閲覧に供するというようなことが適当であるというふうにされております。このような形で、土壌汚染の把握あるいはその土壌汚染の公表といったような形で適切に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

藤木委員 検討会では産業界からのヒアリングを行っておりますが、そこでは、情報公開については、汚染が判明した場合に、企業のイメージが悪くなることがまだまだ多く、これに対する企業側の警戒心は相当に強い、過去の汚染の開示によって企業の信用が失墜させられるようであれば、どうしても情報の公開に対してちゅうちょせざるを得ない、とにかく悪者扱いされるのを払拭する制度が欲しい、汚染の規模やリスク等を勘案して公表するなどという意見が述べられております。しかし、これは汚染原因者の責任を省みずに、住民の健康と生活環境をないがしろにする企業の論理と言わなければなりません。

 ですから、汚染が判明したなら住民に公表し、汚染の責任に対する批判を謙虚に受けて、住民の理解と協力のもとで浄化等の汚染対策を進めるべきだと考えますが、いかがですか。

石原政府参考人 土壌汚染の有無につきましては、周辺住民の健康影響面での安心の確保という観点から、中間取りまとめにおきましても、土壌汚染が明らかになった土地については、その情報を公開することが適当というふうに報告されております。また、情報の公開に当たりましては、そのリスクの程度あるいはリスクの管理や措置の実施状況を住民にわかりやすく説明するような情報提供のあり方を工夫する必要があるというふうにされておるところでございます。

 このような考え方を踏まえまして、住民への情報提供のあり方について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

藤木委員 もう時間ですのでこれで最後にいたしますけれども、これまでの御答弁を伺っておりますと、行政改革推進本部規制改革委員会の「規制改革についての見解」にございます「具体的な対策の発動や処理の基準について地下水の利用状況等地域の実情に応じた規制が可能であるように工夫すべき」、こういう規制緩和の方向に沿っているように見えます。

 大臣に伺いますが、これでは抜本的な土壌、地下水汚染対策が図れないと思いますし、それだけではなくて、人の健康や生活環境への影響を未然防止することがとてもできないのではないでしょうか。

川口国務大臣 土壌汚染問題につきましては、先ほど来出ていますように、近年、汚染事例の判明の件数が非常に多いということがございまして、土壌汚染による健康被害への影響の懸念ですとか、あるいは対策を確立することに対しての社会的な要請が高まっていると認識をしております。

 この土壌汚染問題につきましては、規制改革委員会からも、制度を検討すべきという御指摘があることは委員が今おっしゃられたとおりでございまして、環境省では、こういった状況を踏まえまして、中央環境審議会におきまして土壌環境保全制度のあり方について御検討をいただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、土壌環境保全対策の制度のあり方につきましては、土壌汚染による人の健康への被害、人の健康影響を防止いたしまして、土壌汚染からの国民の安全と安心の確保を十分に行っていくという観点から検討をしてまいりたいと思います。

藤木委員 これで終わります。次の通常国会で深めたいと思っております。

大石委員長 金子哲夫君。

金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子でございます。幾つかの問題についてお伺いをしたいと思います。

 最初に、十一月の二十九日に、先般の通常国会で成立をしましたフロンの回収・破壊法に関して、その費用徴収をめぐって中環審、産構審の合同会議が行われて、マスコミの報道によりますと、フロン券方式でほぼ合意をしたというようなこともマスコミ報道をされておりますし、その会議の中における論議も若干聞いておりますけれども、この点について二、三お伺いをしたいと思います。

 私は、このフロンの回収・破壊法の成立の際にも申し上げましたけれども、もちろん、緊急にできるだけ早くフロン回収を始めるということで、法律の早期の施行ということも申し上げておりますけれども、同時に、このことによる例えば不法投棄の問題とかそういったこともありまして、車でいえば、廃車時の負担の問題についてこの委員会でも何度か意見を申し上げました。

 その法案の際にも、いわば自動車リサイクル法との関係もあり、その協議の中でということになっておりますが、実際にはどうも自動車リサイクル法の方もなかなか進展をしていない、もっとスピードアップをして進んでほしいと思うんですけれども。そのために、このフロン回収にかかわって、徴収方法を、フロン回収にかかわるものだけについてやらなきゃいけないということでこのフロン券購入というものが出されているようです。

 実際のところ、これから自動車リサイクル法成立を早くということを思ったとしても、その間の期間、例えば二年間とか何年間の間、フロンの回収の対象になる車両というのは実は廃車になっていくことになって、結局、この二年間ですと、事故車は別にしますと、ほとんどは車検を受ける時期もないということで、最終的にどこで徴収するかということでフロン券の回収方式ということになったと思うんです。しかし、これでは、結局のところ、廃車時にユーザー負担ということの方式にしかならなくて、一番心配されている問題が解決をしていない、この方式の中ではその問題は全くクリアされていないというふうに思うんですけれども、その点、どうでしょうか。

    〔委員長退席、小林(守)委員長代理着席〕

炭谷政府参考人 ただいま先生が御指摘されましたように、今回私ども、十一月二十九日の中央環境審議会フロン類等対策小委員会と産構審のフロン回収・破壊ワーキンググループとの合同会議におきまして、フロン券方式ということについて御審議を賜ったわけでございます。

 なぜフロン券方式をとらざるを得なかったかということにつきましては、先ほど先生が御指摘されましたように、現在政府において検討されております自動車リサイクル法案というものが予定されておりまして、これが仮に成立した場合、フロン法のもとでのフロンの回収というのは、大体一年半の限られた期間、かつ既販車を対象にせざるを得ないというところからフロン券方式というものが考えられたわけでございます。

 確かに、この合同会議におきましてはいろいろな御意見が出されました。しかし、施行までの限られた時間ということもあり、まず、このシステムで準備を進めていってはどうだろうかということで了承をいただいたわけでございます。

 現在、私どもといたしましては、さきの国会の環境委員会の決議がございます。可能な限り早い時期に施行すること、また、メーカーからユーザーへの費用負担法については、フロン類の不法放出を防止することというような要請がされているところでございます。

 このようなことを踏まえながら、カーエアコンからのフロン回収のシステムの早期かつ適正な施行に向けて準備を進めてまいりたいと思いますが、私ども、この場合一番ポイントになりますのは引き取り業者の指導ではないだろうかと思います。実際に自動車のユーザーが自動車を処分しようといった場合、真っ先に接触するのはディーラーだろうと思いますので、ディーラーに対する指導というものを徹底して行うことで不法放出を防止していくということで努めてまいりたいというふうに考えている所存でございます。

    〔小林(守)委員長代理退席、委員長着席〕

金子(哲)委員 言われるとおりディーラーの対策というのは重要だと思いますけれども、例えば、引き取り業者が中古車販売とかそういう業者の場合にはかなり指導ができると思うんですけれども、ユーザーが直接廃車をする場合、そういう場合の問題がこの問題の中では率直に言ってクリアできないと思うんですよ。

 といいますのは、引き取り業者に中古車販売ということで引き取りをしてもらえれば、そのお金の上積みとかそんなことで、いろいろなことで操作ができると思うんですけれども、直接廃車に持っていく際にフロン券をわざわざ買って持っていくというようなことは実際のところほぼ想定できないと私は思うんですよね。

 そうすると、最終的には、このフロンを絶対に回収することと破壊することが正確に行われるということであれば、私どもがいただいているこの基本フローの中で回収業者と破壊業者とメーカーとの関係をきちっとしていく、その付随するものとしてフロン券、先にフロン券があって走っていくということでなくて、やはり回収業者なり破壊業者とメーカーとの関係の中に請求、支払いの義務が明確になっていくということで、おっしゃるとおり、逆に言いますと、一年半か二年の短期間なわけですから、そこにメーカーも責任を持つことをきっちりとさすということが重要じゃないか。

 どうも、合同会議の審議の状況を見てみても、不法投棄の問題とかそういうことは、とにかくやってみようや、いずれは自動車リサイクル法ができるんだからそこではきっちりする、一年半ぐらいだから、やってもし問題があったら手直しすればいいというような発言も出ているようですけれども、そもそもこれは、手直しするような期間はないんですよね。しかも、実際にこれから廃車にするような人がわざわざフロン券を改めて購入するというようなことは事実上ほとんど想定できない。

 そうであるならば、それでも回収率を上げ放出を防ごうとすれば、やはり回収業者が回収をして、そして破壊した費用に対してメーカーが責任を持つということをもうちょっと明確にして、そのベースの中にフロン券購入とかいう方法を取り入れるべきだというふうに考えていますけれども、その点どうですか。

炭谷政府参考人 ただいま先生がおっしゃられましたように、まず、しっかりとしたシステムを構築するということが重要だと私ども考えておりますけれども、今回のフロン回収法におきましては、自動車の製造業者が費用負担を行うということになっておりますけれども、その費用負担はユーザーに対して請求できる、また、その請求できるシステムについて、附則におきまして、そのやり方を、措置を政府が適正に講じるということが書いてあるわけでございます。そのような要請から、現在、フロン券方式というものを検討いたしているわけでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、自動車のユーザーが自動車を廃棄する際接触いたしますのは、引き取り業者その他いろいろな回収業者という点があろうかと思います。そういうものに対する指導ということが一番この不法放出対策に効くのではないだろうかということで、例えばディーラーの系列会社に対する、ディーラーというのは系列会社に属している場合が多うございますので、そういう会社を通じての指導とか、または県を通じての指導とかという面において徹底を図って不法放出の防止ということに努めさせていただきたいと考えておるわけでございます。

金子(哲)委員 この問題だけで余り時間はとれないんですけれども、結局、これからの約一年半、言われるように一年半になるか、実際に自動車リサイクル法がどのような形で成立するかという問題がありますから期間が延びるかもわかりませんけれども、その間に予想される廃車になる車としては、やはり十年サイクル的に考えるとすると非常に古い形、であればこそフロンの回収はより正確に、確実にやらなきゃいけないということで、今おっしゃったように、メーカーにまず回収する義務が第一義的にあるということをやはりはっきりさせていただきたい。

 その上で、もちろん、その費用負担についてはユーザーから取ることができるということになっておりますけれども、反対になっては困ると思うんですよね。ユーザーから取るということが先になって、回収・破壊をするメーカーの責任というものが後になってはならないと思うので、その点について、そこがきっちりと担保される、私は、しつこく言っているようですけれども、そのことについて、回収・破壊業者とメーカーとの関係をきっちりとしたものにしてほしいと。

 例えば、もしフロン回収券がなくても回収業者が仮にやった、これを言うとすぐ、いや、それが大手を振って歩くから困るんだという話になりますけれども、そういうことではなく、考え方として、回収業者とメーカー、破壊業者とメーカーとの関係を改めてきっちりとするということを前提にしてやっていただかないと、この合同会議の論議を読んでみますと、どうもそこらのことについて余りはっきりしていない。

 そして特に、先般も、いわばフロンをタンクから抜くということだけでなくて、自動車の不法投棄そのものも問題になったわけでして、こういう方法が最終的な段階で、結局のところ廃車時だけの問題になるとそういうことがありますから、これをより進めていくために、どうしてもそのことをもう一回このサイクルの中で、メーカーと業者との関係をはっきりしていただきたいということを改めて強く要望しておきたいと思います。

 次に、ダイオキシンの問題について少しお伺いをしたいと思いますけれども、今、ダイオキシン対策ということでいわば焼却炉の廃止が進んでおりますけれども、今、大体どういう状況で焼却炉の改修、解体が行われているか、また、今後の予定がわかれば教えていただきたい。

岡澤政府参考人 まず、一般廃棄物の処理施設でございますけれども、現在千五百四十五施設ございます。最近、ダイオキシン対策で広域化が進められております関係で中小規模の焼却施設が廃止されてきております。ここ数年で見ますと、年間大体百ほどの施設が廃止されている状況にございます。また、この廃止された焼却炉につきましては、余り時間を置かずに解体処理されているというふうに考えております。

 ちなみに、来年の十二月からのダイオキシン規制以降に解体が見込まれています一般廃棄物の処理施設の数は大体百八十ぐらいというふうに把握しておるところでございます。

 また、産業廃棄物の処理施設につきましては、平成九年十二月時点で五千七百五十七施設が設置されていたわけでございますけれども、その後の一年間で千四百施設が廃止され、また、平成十二年十二月までの三年間では千九百二十一施設が廃止されるというふうに、急ピッチで廃止が進んでおります。

 また、来年のダイオキシン対策の本格施行が行われますと、現在は対応しておりますけれども、来年の新しい規制に対応できない施設がかなりありますので、それ以降、廃止をするかあるいは施設改善をするかという対応を迫られるわけですけれども、そのうち相当数が廃止されるのではないかというふうに考えております。

金子(哲)委員 この解体の際、能勢でも問題になったんですけれども、解体作業従事者の問題があります。

 現に動いている、使用されている焼却場の問題もありますので厚生労働省にちょっとお伺いしたいんですけれども、労働安全衛生法が改正をされておりますけれども、その中で作業環境測定というのが行われておりますが、そういうものは報告が上がっているんですか。

播政府参考人 先生御案内のとおり、ことしの六月一日に安全衛生規則を改正いたしまして、ダイオキシンの職場の方々の安全を守るということがございますが、その骨子は、先生今おっしゃられました、ダイオキシン濃度を解体の作業に入る前にはっきりと測定し、そして汚染の濃度に合わせて保護具を着用するという、これが骨子でございます。

 私ども、解体作業に入りました現場には監督あるいは実地調査を行いまして、その際、この濃度管理がどのように行われているか、これを最重点で調べてございます。ことしの六月一日以降のその状況によりますと、第三管理区分という最も濃度の高いものが約半数でございまして、これにつきましては、作業に入る際に、先生御案内のとおり、一種の潜水服のような、全身装備して空気を送り込むということをやってございます。幸い、監督を行いましたところでは十分に規定の保護具を装着はされてございますが、今後、この解体の作業がいよいよ多く始まりますので、この規則、そしてそれに基づく監督を徹底してまいりたいと考えてございます。

金子(哲)委員 今、第三管理区分の問題については、指導、またそういうことをやっていくということでありました。

 解体の問題のみならず、現在運転している際の清掃の問題というのもあるわけですから、その点についてもぜひ実態をきっちりと把握していただいて、私どもが聞いている中では、エアラインマスクでの作業の場合は非常に作業がやりにくいということで、実態として、使いづらいといいますか、使っていないと言いますとまたこれもあれですけれども、使いづらい状況というようなことも言われているようですので、これから解体作業も非常に数がふえていく中では、しっかりとした、やはりそこの安全労働ということがあると思いますので、実態をぜひ把握していただきたいというふうに思うんです。

 そのことと関連して、今、これから解体の中で第三管理区分の焼却場が半数あるということをおっしゃっておりましたけれども、これまでの作業従事者も含めて、この第三管理区分における作業従事者に対する健康調査について、既に健康調査がやられているようですけれども、一般的な抽出だけでなくて、もうちょっと追跡を含めた、長期間に従事している者も含めて重点的にもう少しやるべきだというふうに考えておりますけれども、その点について。

播政府参考人 ダイオキシンに暴露された方の健康につきましては、能勢町の美化センターの問題が社会的に非常に大きな問題になりまして、私ども、その能勢で働いておられた方の健康調査を追跡して現在もやっておりますし、なお将来もやるというために専門の先生方にお集まりいただいてございます。そこに、能勢以外の焼却施設を、能勢と同じような、ある意味では古い形の暴露しやすいタイプのものとそれ以外のものを比較対照いたしまして、健康調査もし、そのデータをその先生方に提供し、そして結果は新聞発表もするということで、公開性も持たせつつやってございます。

 先生御指摘のとおり、解体もこれから進みますし、また解体以外のものにつきましても、健康被害が生じないような調査の工夫、これはその専門の先生方の御指導を受けつつ徹底してまいりたいと思います。

金子(哲)委員 ぜひその点よろしくお願いをしたいと思います。

 それで、この解体、改修が行われれば、当然のことですけれども、ダイオキシン汚染物といいますか、そういったものが出てくることになると思いますが、それはどのように処理し、どのように管理されているのでしょうか。

岡澤政府参考人 焼却炉を解体いたしますと、結果的にはコンクリートくずだとか金属くず、あるいはばいじんというものに分かれるわけでございまして、これはそれぞれ産業廃棄物として、廃棄物処理法に基づく処理基準に従って適正に処理されなければならないということになっているわけです。

 具体的には、施設の解体に当たりましては、施設の中に焼却灰、ばいじんが残るわけでございますので、この灰を十分に分離して、処理基準に従って適正に分けて処分するということが必要になってまいります。

金子(哲)委員 廃棄物として処理しているから解体業者にすべて任せているということになると思いますけれども、特に自治体から出ている、そもそも高濃度でダイオキシンを排出するということがあって解体を進めているわけですから、その後の取り扱いも含めて、それから処分方法も含めて、より適正な指導とか処理をすべきだというふうに私は思うのですけれども、その点についてはどうなっていますか。

岡澤政府参考人 廃棄物焼却炉の中に残っている灰というのは、結局、通常の灰が中にとどまっているという状態ですので、通常、焼却炉の運転管理をして出てくる灰を検査することで中に残っている灰もその性状が初めからわかるわけでございまして、そうした情報をもとにして有害なものを、例えばダイオキシンであればダイオキシンの含有量も想定できますので、はかった上で適切な処理方法をとっているということでございます。

金子(哲)委員 だから、それはもうきちっと指導はされているわけですね。作業マニュアルか何か、きっちりとしたものは……。

岡澤政府参考人 これは、マニュアルというよりも、廃棄物処理法に処理基準を設けておりますので、その法律に基づいてしっかりと規制をしております。

金子(哲)委員 ちょっとそのことでお聞きをしたいのですけれども、実は、きのうの毎日新聞の夕刊、これは質問通告を出しておりませんけれども、茨城県の神栖町の民有地にダイオキシン類が含まれていると見られる焼却灰の加工品が放置されているという問題が新聞に掲載されているのです。先ほど私がちょっとしつこく聞いたのは、つまり、焼却炉の解体に伴う廃棄物に残るダイオキシン類の問題で、その処理について最終的に責任をだれが持つかという問題が実は大きい問題だというふうに思っておりましたら、これは、解体ではなくて焼却灰を加工するということでやられているのです。しかし、業者がうまくいかなくなって、それがそのまま放置をされているという話があって、そして排出者である自治体に引き取りを要請したら、自治体は全くもう関係ありませんということになっているという記事なんです。

 この点を見ますと、例えば、解体の問題も含めてそうですけれども、責任の問題として、排出者というか、それを出した側の責任というのは全くないのですか。

岡澤政府参考人 市町村とそれを多分成形加工した業者との間の委託契約の問題がどうなっているか、ちょっとそこを承知しておりませんのであるいは正確ではないかもしれませんけれども、だれが排出者かということになると、一義的にはその製品を製造した者が、その製品が売れなくなって不要になったということであれば、製造者が排出者になるというふうに考えられると思います。

 市町村側に責任があるかないかということは、市町村としては、それを製品の材料としてもう渡してしまった、そういう委託契約であれば、市町村に法的な責任を問うということはなかなか難しいのではないかと思います。

金子(哲)委員 それでは、もうしようがないということになるわけですね。

 私がこの問題と兼ねて質問しますのは、例えば、廃炉の解体の際に出たそういう汚染物の処理が最終的にきちっとできていないというような問題が発生したときは、もちろんそれを受けた業者の問題ということになると思いますけれども、私がどうも納得いかないのは、自治体という一つのいわば民間企業でないところがそういうことで出したものについて、費用も含めて全く解体業者にもう任せたのだからそれは自治体には責任がないよということで済むのだろうかという問題をちょっと思うのですけれども。

岡澤政府参考人 私が申し上げたのは、廃棄物処理法上の排出事業者としての責任は問えないということでございまして、契約関係がどういうことになっているかということにもよると思いますけれども、市町村は、当然、市町村の所有物である焼却炉が適切に解体処理されることを見守る必要もある、それは事業をやる者の当然の責務だと思いますし、また、市民の生活環境を保全するという観点からも、市町村は一般的な意味での環境保全の責任を負っているわけですので、そこで、事業者に対して十分な費用を支払い、また、事業者が適切な措置をとるということを監督する、そういう責任はあると思います。

 ただ、廃棄物処理法上の排出事業者責任というのは、だれかが実際に不法な行為を起こしたときに、一義的に排出事業者の責任を問うというときには、排出事業者は解体事業者になりますので、廃掃法上の排出事業者責任はそこにとどまるであろうというふうに申し上げたわけでございます。

金子(哲)委員 時間がありませんので余りこれは長く質問できませんけれども、ただ、これから焼却炉が非常に多く解体をされるということにかかわって、とりわけダイオキシンの問題とのかかわりの中で、その汚染物も含めて廃棄物になるというときに、もちろん自治体と解体業者との関係がしっかりしてそれをやるということになりますけれども、それがうまくいかなかった場合に、責任の所在についてはやはり自治体にも大きな責任があるというふうに私は思っておりますので、その点については、一般的な法の解釈のみならず、道義的な問題も含めて責任をとらなければならないのではないかというふうに思っております。

 能勢の場合、結局、解体をしたけれども最終処理ができないという状況になっております。これは、例えば費用の問題、まあ場所の選定の問題で行き詰まっているということですけれども、大臣にお聞きしたいのですが、能勢の場合は、もし合意が得られて進んでいくということになれば、例えば追加費用が必要だということになれば、そういうものは国としても援助するということになるのですか。

川口国務大臣 能勢の話でございますけれども、この問題は、日本のダイオキシン問題を代表するような大変に重要な事案であるというふうに考えております。

 環境省といたしまして、これまで、高濃度ダイオキシン類汚染物分解処理技術マニュアルを策定するなどの技術面の援助を行ってまいりましたほか、解体処理事業に対する国庫補助による財政面での支援も行ってきたところでございます。

 解体物の処理につきまして、仮に地元合意がなされて進み出した場合に、環境省といたしましては、これまでと同様、必要に応じて幅広い支援を行ってまいる考えでおります。

金子(哲)委員 それでは、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 この間、環境省を中心にして、ジュゴンと藻場の広域的調査手法検討会というのが開催をされたということをお聞きいたしておりますけれども、今、普天間の代替地の問題で一つの候補地になっております辺野古を中心にしてジュゴンの生息ということがあり、そして、大臣も出席をされた六月八日の第七回代替施設協議会の際に、このジュゴンの問題については、日本がいわば北限、沖縄が北限的な状況にもあるし、貴重なということもあり、これを調査しようということをおっしゃり、基地の問題等はとりあえずおいたとしても、早急にやりたいということが言われました。

 そして、今は広域調査のための手法の検討会ということで内容の検討ということではないと思いますけれども、きょう最初の質問にもありましたように、環境復帰型の公共事業も必要だけれども、私は、この間も言いましたけれども、とりあえず今残っている自然環境というものを大切にまず保存していく、保護していくということが大事だと思いますので、第一の要望は、ぜひ、まず調査をできるだけ早くこのジュゴンの問題に対してやっていただきたいということ。

 と同時に、これは、今問題になっている地域だけでなくて、沖縄本島全体を含めた広域的な調査をやろうということで言われているようですけれども、しかし、今候補地になっている辺野古の場合にも、かなりのジュゴンの生息が確認をされている場所ということになりますと、全体の調査が終わらないうちは工事に着工するのはやはりやるべきでないというふうに思っているのです。

 一つは、調査をできるだけ早く開始をしていただきたいということと、そしてまた、開発についても、この調査結果が非常に重要な課題であるだけに、調査結果を待って開発について進めるべきだというふうに思っておりますけれども、その点について大臣の見解をお伺いします。

川口国務大臣 ジュゴンと藻場の広域的な調査につきましては、これはジュゴンの全般的な保護方策を検討するために行うものでございまして、基本計画の策定とは別に実施をするものでございます。

 普天間飛行場の代替施設の建設につきましては、基本計画の策定後、環境影響評価が行われることになっておりますので、この中で詳細な調査等が行われまして、ジュゴンを含む自然環境に著しい影響が及ばないように最大限の努力がなされる必要があると思っております。

 このように、広域的な調査と代替施設に係る環境影響評価の二つをそれぞれの目的に沿って適切に行っていくことがジュゴンの保護にとって大事だと考えております。

金子(哲)委員 終わりますけれども、ジュゴンは少数の希少動物ということになっておりますから、基地問題も重要な課題でありますけれども、自然保護という立場から、ぜひ、できるだけそういう側面に沿った検討を早急に行っていただきたいということを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

大石委員長 次回は、来る七日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.