衆議院

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第2号 平成14年3月8日(金曜日)

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平成十四年三月八日(金曜日)
    午後零時十分開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 熊谷 市雄君 理事 西野あきら君
   理事 山本 公一君 理事 奥田  建君
   理事 牧  義夫君 理事 西  博義君
   理事 樋高  剛君
      小渕 優子君    奥谷  通君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      七条  明君    田中眞紀子君
      西川 公也君    菱田 嘉明君
      三ッ林隆志君    小林  守君
      近藤 昭一君    鮫島 宗明君
      田端 正広君    武山百合子君
      藤木 洋子君    金子 哲夫君
      原  陽子君
    …………………………………
   環境大臣         大木  浩君
   環境副大臣        山下 栄一君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府特別補佐人
   (公害等調整委員会委員長
   )            川嵜 義徳君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月八日
 辞任         補欠選任
  山本 有二君     七条  明君
同日
 辞任         補欠選任
  七条  明君     山本 有二君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 環境保全の基本施策に関する件
 公害紛争の処理に関する件


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     ――――◇―――――
大石委員長 これより会議を開きます。
 環境保全の基本施策に関する件及び公害紛争の処理に関する件について調査を進めます。
 この際、環境大臣から所信を聴取いたします。大木環境大臣。
大木国務大臣 第百五十四回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ちまして、環境行政に対する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
 我々人類は、二十世紀において、快適さを追い求め、自然を切り開き、多くの資源を消費し、物質的に豊かな生活を手に入れてまいりました。しかし、その一方で、環境に負荷を与え続けており、人類はみずからを窮地に追い込みつつあります。
 二十一世紀は、環境の世紀と呼ばれております。現在を生きる我々は、その英知を結集して、将来を生きる子孫に恵み豊かな地球環境を引き継いでいく責務があります。
 また、近年、環境問題はグローバル化し、深刻さも増しており、世界各国が協力、連携して対策を進めることが重要となっております。
 我々に課された課題は多岐にわたります。
 まず、地球温暖化は、将来にわたって地球規模で多大な影響を及ぼすおそれがあり、人類の存続基盤にかかわる最も深刻な問題の一つです。世界各国が共通の課題として取り組むことが不可欠であり、そのためにも、まずは京都議定書を早期に発効させることが重要です。
 足元の国内問題に目を向けましても、大量の廃棄物の発生、最終処分場の残余容量の逼迫、不法投棄の多発など、身近な廃棄物の問題への取り組みが喫緊の課題となっております。
 また、自然と共生する社会を実現することも重要な課題の一つです。生態系を適切に保全するとともに、減少する自然林や干潟、里山などの残された自然を保全、再生することが必要となっております。
 土壌汚染問題については、国民が安心して暮らすことのできる土壌の環境を確保するために、新たなルールの確立を求める社会的要請が高まっております。
 さらに、大都市を中心とした自動車排出ガスに起因する大気汚染問題、ダイオキシン問題等に取り組み、国民の安全と安心を確保しなければなりません。
 こうした種々の課題に対応するため、昨年、総理大臣が主宰した二十一世紀「環(わ)の国」づくり会議において、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の社会から、持続可能な簡素で質を重視する社会への転換を図り、「地球と共生する「環(わ)の国」日本」を実現するための施策を検討いたしました。
 環境省は、この「環(わ)の国」の実現に向け、企業活動、国民生活を含めた社会全体の構造改革を図るべく、市民、企業、自治体、NPO、さらには諸外国等とのパートナーシップを強めつつ、政府全体の先頭に立って環境政策をリードしてまいります。
 以上の認識のもと、次の施策に重点的に取り組んでまいります。
 第一に、地球環境保全の推進であります。
 地球温暖化問題については、京都議定書の目標を確実に達成するための計画や国民による温室効果ガス排出抑制の取り組み強化のための措置等を定めた地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出し、京都議定書締結の承認とあわせて、その成立に向け全力を尽くしてまいります。
 また、これに先立ち、削減目標の達成に向けた具体的裏づけのある対策を示す新たな地球温暖化対策推進大綱を策定してまいります。
 さらに、先般設置いたしました環(わ)の国くらし会議などを活用し、国民一人一人の生活の見直しに向け、理解と行動を呼びかけてまいります。
 一方、地球温暖化対策の実効性を確保するためには、今後米国や途上国も含めたすべての国が参加する共通のルールを構築することが重要であり、その実現に向けて最大限努力いたします。その際、米国については、先般の気候変動政策に関する発表を踏まえつつ、温暖化対策を一層強化するよう引き続き働きかけてまいります。
 ことしは、リオデジャネイロで地球サミットが開催されてから十年目の節目の年であり、八月末から九月にかけて、いわゆるヨハネスブルグ・サミットが開催されます。我が国は、世界全体の持続可能な開発が実現するよう会議の成功に積極的に貢献し、アジア太平洋地域を初めとする各国とともに各分野における取り組みを強化してまいります。
 オゾン層保護対策については、いわゆるフロン回収破壊法の着実な施行により、冷媒フロンの回収等を徹底いたします。
 第二に、循環型社会の構築であります。
 循環型社会形成のための施策を総合的、計画的に進めるために循環型社会形成推進基本計画の策定を前倒しするとともに、廃棄物の定義、区分の見直し等、廃棄物・リサイクル制度の基本問題についても検討を進めます。
 ごみゼロ型社会を実現するため、廃棄物等の排出抑制、リデュースや、リユース、リサイクルを進めます。
 まず、年間五百万台に上る使用済み自動車について、減量化、排出抑制を進め、持続的なリサイクルを行うための新たな仕組みを構築するとともに、建設リサイクル法を初めとするリサイクル関連法の円滑な施行に最大限努力いたします。
 また、ダイオキシンの本格規制に対応したごみ焼却施設等の整備を促進するほか、PCB廃棄物の処理体制の整備や、健全な水循環を確保するための合併処理浄化槽の整備等を行います。
 第三に、自然と共生する社会の実現であります。
 今年度末に策定予定の新生物多様性国家戦略を踏まえ、自然環境に関する各分野の施策に生物多様性保全の観点を組み込んでまいります。また、失われた生態系の回復という観点から、都市近郊における里山の再生、河川の蛇行化による湿原の再生などの自然再生事業を推進いたします。
 すぐれた自然を有する国立公園等について、従来の風致景観の保護に加え、生態系保全の機能を充実するため、自然公園法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしております。
 また、狩猟免許に係る障害者の欠格条項の適正化や水辺における鉛散弾の使用禁止等を盛り込んだ鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律案を今国会に提出いたします。
 さらに、希少野生動植物の保護、野生鳥獣の適正な保護管理、遺伝子組み換え生物を含む移入生物への対策、地域社会と一体となった野生生物保護の取り組みを推進することなどにより、各地域でそれぞれ豊かで安定的な生態系を保全してまいります。
 第四に、総合的環境管理による安全と安心の確保であります。
 近年、土壌汚染の判明件数の増加が著しく、健康影響への懸念及び対策確立への社会的要請が強まっていることから、国民の安全と安心の確保を図るため、土壌環境保全のための土壌汚染対策法案を今国会に提出いたしております。
 また、自動車交通に起因する大気汚染の改善を目指し、自動車NOx・PM法の着実かつ円滑な実施に努め、低公害車の一層の普及を促進いたします。
 さらに、残留性有機汚染物質に係るいわゆるPOPs条約の早期締結と国内対策の推進を図るとともに、環境ホルモンのリスク評価等の化学物質対策を進めてまいります。また、公害健康被害の補償と予防を着実に行います。
 第五に、環境配慮型社会の基盤の整備であります。
 事業者、国民等の環境保全への積極的取り組みが促進されるよう、環境報告書等の一層の普及、経済的措置の活用の検討等を進めます。政府が購入する環境に優しい製品の品目数を五割増にしたところであり、グリーン購入を進めてまいります。
 また、深刻化した環境問題を解決するため、将来を見通した環境研究、環境技術開発を促進し、この分野で我が国が世界のリーダーシップをとることを目指します。
 以上の施策を軸に環境行政を進めてまいります。
 委員各位におかれましては、環境行政の一層の促進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
大石委員長 これにて環境大臣の所信表明は終わりました。
 次に、平成十四年度環境省予算及び環境保全経費等の概要について説明を聴取いたします。山下環境副大臣。
山下副大臣 平成十四年度環境省所管一般会計予算及び環境保全経費等について御説明申し上げます。
 まず、平成十四年度の環境省所管一般会計予算について、その概要を御説明申し上げます。
 平成十四年度環境省所管一般会計予算の総額は二千六百四十三億五千六百万円であり、これを前年度の当初予算額二千七百六十九億六千七百万円と比較すると、百二十六億一千百万円、四・六%減となっております。
 以下、その主要施策について御説明申し上げます。
 第一に、廃棄物・リサイクル対策については、循環型社会形成推進基本計画の策定、各種リサイクルの推進を図るほか、不法投棄対策の強化、原状回復の推進を図ることとし、これらに必要な経費として四十億六千万円を計上しております。
 次に、廃棄物処理施設整備事業については、ダイオキシン類の本格規制に対応した市町村のごみ焼却施設に対して引き続き財政支援を行うとともに、リサイクル関連施設、合併処理浄化槽などの整備を積極的に推進することとし、これらに必要な経費として千六百二億七千三百万円を計上しております。
 第二に、総合環境政策については、持続可能な社会へ向けて、ライフスタイル、ビジネススタイルの変革を促すため、環境報告書、環境会計やグリーン購入を推進するとともに、環境アセスメント制度の推進など、環境行政の基盤となる施策の一層の展開を図ることとし、これらに必要な経費として四十五億二千万円を計上しております。
 第三に、地球環境保全対策については、今国会における京都議定書締結の承認とこれに必要な国内担保法の成立に全力を尽くすなど、地球温暖化対策に強力に取り組んでまいります。また、ヨハネスブルグ・サミットの機会を生かして国際協力・貢献を行うとともに、我が国に関係の深いアジア太平洋地域の環境対策の推進、支援に積極的に取り組むほか、オゾン層の破壊、酸性雨などへの取り組みを一層推進することとし、これらに必要な経費として三十億八千三百万円を計上しております。
 第四に、大気汚染等の防止については、自動車NOx・PM法の着実かつ円滑な実施や低公害車の導入の促進を図り、浮遊粒子状物質については移動発生源及び固定発生源をあわせた総合的な対策の検討を進めることとしております。また、花粉症対策を推進するため花粉の観測・予測体制の整備を図ることとし、これらに必要な経費として二十八億五千八百万円を計上しております。
 第五に、水質汚濁の防止については、健全な水循環の回復のための総合的な取り組みを推進するとともに、閉鎖性海域や湖沼の水質保全等を推進するための経費として二十六億八千九百万円を計上し、また、今国会に提出いたしております土壌汚染対策法案に基づき汚染の除去等の措置を講ずる者の負担を軽減するための基金を創設するなど、土壌汚染対策の一層の推進等に必要な経費として二十三億七千八百万円を計上しております。
 第六に、環境対策の現場における取り組みの支援を行う環境事業団については、PCB廃棄物処理事業、地球環境基金事業等の推進を図ることとし、同事業団の諸事業に対する助成等に必要な経費として六十二億八千百万円を計上しております。
 第七に、環境保全に関する調査研究、技術開発のための経費については、廃棄物の適正な処理、地球環境の保全、環境ホルモンの影響の解明等に関する調査研究、技術開発を進めることとし、百十億三千三百万円を計上しております。
 第八に、自然環境の保全対策については、絶滅のおそれのある野生動植物の保護対策の強化を図るなど、今年度末に策定予定の新たな生物多様性国家戦略に沿った施策を推進するとともに、愛護動物と共生できる社会の実現を目指すこととし、これらに必要な経費として三十五億二千六百万円を計上しております。
 次に、自然公園等の整備事業については、関係省庁と連携し、地方公共団体やNPO等の参加も得ながら、失われた自然環境の再生、修復に着手するほか、国立・国定公園等の整備を進めるために必要な経費として百四十六億八千七百万円を計上しております。
 第九に、昨年四月に独立行政法人となった国立環境研究所において、地球環境問題を初め環境全般にわたる研究を推進するために必要な経費として九十七億五千六百万円を計上しております。
 第十に、公害による健康被害者の救済等については、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施を図るとともに、環境保健に関する各種調査研究を推進することとし、これらに必要な経費として百八十一億六千四百万円を計上するとともに、水俣病対策に係る熊本県の地方債償還に必要な経費として七十三億三千九百万円を計上しております。
 以上、平成十四年度環境省所管一般会計予算の概要につきまして御説明申し上げました。
 次に、各府省の平成十四年度環境保全経費等の概要について御説明申し上げます。
 まず、歳出予算について御説明申し上げます。
 環境保全経費につきましては、平成十二年十二月に閣議決定をいたしました環境基本計画に盛り込まれた施策の効果的な実施に資する観点から、環境基本計画に示された施策の体系に沿って取りまとめております。
 平成十四年度における環境保全経費の総額は二兆九千九十九億円であり、前年度の当初予算に比べ千三百八十四億円、四・五%の減となっております。
 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために六千七百八億円、大気環境の保全のために二千三百億円、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために一兆千七百二十億円、廃棄物・リサイクル対策のために二千百二億円、化学物質対策のために百六十六億円、自然環境の保全と自然との触れ合いの推進のために三千九百八十五億円、各種施策の基盤となる施策等のために二千百十七億円を計上しております。
 次に、財政投融資対象機関の環境保全関係経費のうち、環境事業団については、事業規模で二百五十五億円を予定しております。
 最後に、環境保全関係の税制改正措置について、主な事項を御説明申し上げます。
 まず、廃棄物・リサイクル対策について、食品循環資源のメタン化設備等を特別償却制度等の特例措置の対象に追加するとともに、廃棄物焼却溶融施設に係る特例措置を拡充する予定であります。
 また、今国会に提出いたしております土壌汚染対策法案に関連して、汚染原因者が不明等の場合に対策を実施する土地所有者の負担を軽減するための基金につき、この基金への拠出金に係る損金算入等の特例措置の新設を予定しております。
 さらに、自然公園法の一部を改正する法律案を提出し、自然公園内のすぐれた風景地の保全のための協定制度を設けることとしているところですが、この協定が締結された土地に係る特別土地保有税の非課税措置等の新設を予定しております。
 以上、平成十四年度の各府省の環境保全経費等の概要につきまして御説明申し上げました。よろしくお願いします。
大石委員長 次に、平成十三年における公害紛争の処理に関する事務の概要等について説明を聴取いたします。川嵜公害等調整委員会委員長。
川嵜政府特別補佐人 公害等調整委員会が平成十三年中に行った公害紛争の処理に関する事務及び平成十四年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。
 まず、公害紛争の処理に関する事務の概要について申し上げます。
 第一に、平成十三年に当委員会に係属した公害紛争事件は、島根県及び鳥取県の住民から国を相手方として申請のあった中海本庄工区干陸事業水質汚濁被害等調停事件、東京都の住民等から東京都を相手方として申請のあった杉並区における不燃ごみ中継施設健康被害原因裁定事件、岐阜県ほか十三都県の住民から国を相手方として申請のあった核融合科学研究所重水素実験中止調停事件等合計十二件であり、これらのうち、平成十三年中に終結した事件は、昨年四月に調停が成立した中海本庄工区干陸事業水質汚濁被害等調停事件等五件であります。
 なお、以上のほか、水俣病損害賠償調停事件の調停成立後に申請人の症状に変化が生じたとして慰謝料額等の変更を求める事件が九件あり、うち七件が終結しております。
 第二に、平成十三年に都道府県公害審査会に係属した公害紛争事件は七十九件であり、廃棄物処理場及び工場、事業所に係る事件が多くなっております。これらのうち、平成十三年中に終結した事件は二十九件であります。
 公害紛争処理法においては、当委員会と都道府県公害審査会はそれぞれが独立の機関として職務を遂行することとされておりますが、公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るという観点から審査会との連絡協議を密にするとともに、審査会に対し、参考となる情報、資料の提供を積極的に行っているところであります。
 第三に、平成十二年度における全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情は約八万四千件となっております。
 これを苦情の種類別に見ますと、いわゆる典型七公害に関する苦情は約六万四千件で、典型七公害以外の苦情は約二万件であります。
 公害苦情につきましては、都道府県または市区町村がその処理に当たっておりますが、当委員会としては、この事務を担当する職員の研修、苦情処理に必要な情報の提供等を積極的に行っているところであります。
 続きまして、平成十四年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。
 当委員会の歳出予算要求額は六億四千五百万円であり、これを前年度の当初予算額六億四千八百万円と比較いたしますと、〇・五%、三百万円の減額となっております。
 次に、その内訳でありますが、第一に、当委員会に係属する公害紛争事案の審理経費等として六億一千二百万円を計上し、第二に、公害紛争の処理を担当する都道府県公害審査会委員及び担当職員との連絡協議のための経費等として三千三百万円を計上しています。
 以上が平成十三年における公害紛争の処理に関する事務の概要及び平成十四年度の歳出予算要求額の概要であります。
 公害等調整委員会といたしましては、今後とも公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、鋭意努力してまいる所存であります。何とぞよろしくお願いをいたします。
大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十三分散会


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