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第9号 平成14年4月12日(金曜日)

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平成十四年四月十二日(金曜日)
    午前九時三十三分開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 熊谷 市雄君 理事 西野あきら君
   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君
   理事 奥田  建君 理事 牧  義夫君
   理事 西  博義君 理事 樋高  剛君
      岩永 峯一君    小渕 優子君
      奥谷  通君    亀井 久興君
      木村 隆秀君    小西  理君
      小林 興起君    佐藤  勉君
      田中眞紀子君    西川 公也君
      原田昇左右君    菱田 嘉明君
      松島みどり君    三ッ林隆志君
      山本 有二君    小林  守君
      五島 正規君    近藤 昭一君
      鮫島 宗明君    武正 公一君
      田端 正広君    武山百合子君
      藤木 洋子君    金子 哲夫君
      西川太一郎君
    …………………………………
   環境大臣         大木  浩君
   環境副大臣        山下 栄一君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局国
   際社会協力部長)     高橋 恒一君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (水産庁資源管理部長)  海野  洋君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省環境管理局水環境
   部長)          石原 一郎君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  小林  光君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十二日
 辞任         補欠選任
  小泉 龍司君     松島みどり君
  田中眞紀子君     佐藤  勉君
  菱田 嘉明君     小西  理君
  山本 有二君     岩永 峯一君
  近藤 昭一君     武正 公一君
同日
 辞任         補欠選任
  岩永 峯一君     山本 有二君
  小西  理君     菱田 嘉明君
  佐藤  勉君     田中眞紀子君
  松島みどり君     小泉 龍司君
  武正 公一君     近藤 昭一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
大石委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、自然公園法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省総合外交政策局国際社会協力部長高橋恒一君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、水産庁資源管理部長海野洋君、国土交通省河川局長竹村公太郎君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君、環境省環境管理局水環境部長石原一郎君及び環境省自然環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村隆秀君。
木村(隆)委員 今回の法改正に関係をし、順次質問をしてまいりたいと思います。
 自然公園の特別地域内において、新たに土石等環境大臣が指定する物の集積または貯蔵を規制するとなっておりますけれども、環境大臣が指定する物とはどのようなものを想定されておられるのか、また今回どのような理由で新たにこの規制を追加するのか、お答えをいただきたいと思います。
小林政府参考人 御説明申し上げます。
 集積または貯蔵を規制するものとしては、土石ですとか廃車、廃タイヤなどを想定しています。
 これは、特別地域におきまして、これらのものが集積または貯蔵されることにより、風致の維持に支障を与えるほか、動植物の生息地を分断するとか、直接生息地を改変してしまう、そういうような生態系への影響を懸念されているところによるものでございます。
木村(隆)委員 次に、現在の国立公園または国定公園等において、土地所有の形態というのはどのようになっているのか。例えば、私有地もあると思いますけれども、私有地があるということは、私有財産の制約ということにもつながってくるだろうと思います。国、地方団体というのは、そういう方々に対してどのように対処をなさっておるのか、お伺いをしたいと思います。
小林政府参考人 自然公園内の土地の所有形態でございますが、国立公園におきましては、国公有地が七五%、民有地が二五%でございます。また、国定公園におきましては、国有地六一%、民有地三九%ということになっております。
 自然公園内の民有地につきましては、行為の規制の内容とかその許可の基準に応じまして、負担軽減のためのいろいろな措置がございます。例えば税制ですと、相続税、固定資産税、特別土地保有税などの優遇措置が講じられております。
 また、自然環境がすぐれておりまして、公有地化して保護を図るべきという民有地につきましては、土地所有者からの申し出に基づきまして、特定民有地買い上げ制度というのがございますが、これを活用して買い取りを進めるということで対応をしております。
木村(隆)委員 次に、公園管理業務能力を有する公益法人、NPO法人等、新たに設ける公園管理団体制度の指定要件というのはどのようなものになっているか、教えていただきたいと思います。
小林政府参考人 今回の法律改正で環境大臣と知事が指定する公園管理団体ですが、自主的に活動している地域の民間団体を指定するということになります。指定を受けるに当たっては、一定の管理能力が維持できる主体として、公益法人のほか、特定NPO法人など、省令で定める法人であることが必要でございます。
 お尋ねの指定要件につきましては、自然の風景地の保護とその適正な利用の推進を目的とする団体、目的がそういうことをできる団体であり、また、風景地の保護に資する活動や利用施設の維持管理などの業務を適切に行うことが確実にできる、そういう実績を持った団体というふうに考えてございます。
木村(隆)委員 次に、自然公園と大変かかわってまいりますけれども、ラムサール条約の湿地登録の件について、ちょっとお伺いをしたいと思います。
 環境省では、名古屋港内の庄内川、新川、日光川の三河川の河口部、いわゆる藤前干潟を中心とする一帯を国設の鳥獣保護区に設定をして、その中で中核的な地区を特別保護区に指定し、そして、その後速やかにラムサール条約の湿地登録を予定されていると今伺っています。
 この地域というのは、御案内のように、二年前、大臣の故郷であります西枇杷島を中心として、東海水害で大変大きな被害が発しました。あと三十センチ水が深かったら何人かの死者が出たと言われているぐらいの水害でございます。また、四十年前には、日光川の流域というのは伊勢湾台風に襲われまして、五千人の死者が出ています。たびたび河川のはんらん、また水害によって多くの被害を与えられている地区でございまして、そこの住民の方々が、今回ラムサール条約に登録をするということで、逆に大変な不安もあるわけであります。
 今、二年前の東海水害を契機として、平成十六年度を目標に、激特事業が進められています。ただ、激特が終わりましても、さらに安全な川ということからすると、河川改修というのは当然必要になってくるんだろう、こう思っています。
 そんな中で、これらの人の命を守る河川改修と、そしてラムサール条約の湿地登録をする、そんな関連について質問をしてまいりたいと思います。
 まず、このたび藤前干潟周辺をラムサール条約に登録をしようというその理由、目的について、基本的な考え方を教えていただきたいと思います。
小林政府参考人 ラムサール条約につきましては、水鳥の生息地など国際的に重要な湿地を保全することを目的としていまして、我が国では、今現在十一の湿地を登録してございます。
 我が国としましては、条約の決議に即しまして、ラムサール条約の登録湿地の増加に取り組んでおります。条約の登録湿地の基準を満たす湿地を選ぶという作業をしてございます。
 お尋ねの藤前干潟でございますけれども、七、八千羽以上のシギ・チドリが毎年定期的に渡来するということで、我が国最大のシギ・チドリ類、渡り鳥の渡来地となってございます。ラムサール条約に登録するのにふさわしい資質を持っていると理解してございます。
 この藤前干潟一帯を条約の登録湿地として登録して、この地区を自然との触れ合いの場所とか環境学習の拠点として保全を整備することによりまして、二〇〇五年に予定されています愛知万博の支援策にもなるのではないかと考えてございます。
木村(隆)委員 今、基本的な考え方をお答えいただいたわけであります。
 このラムサール登録ということは、基本的には現状の環境を保全するというスタンスに立っているんだろうと思います。でも、この藤前干潟周辺は、今もお話し申し上げたように、治水対策のためにこれからいろいろな事業をしなければならないだろう、こう言われておりますけれども、そういたしますと、干潟にやむなく手を加えるということも必要になるわけであります。
 過去、ラムサール条約に登録をした事例の中で、その後そのような、干潟に手を加えるということを前提にしてそういう登録が認められるというケースはあったのかなかったのか、あればどんな事例があったのかを教えていただきたいと思います。
小林政府参考人 ラムサール条約の基本理念として、ワイズユースということが言われております。賢明な利用、持続的に利用を図りながら保全も図るというのがラムサール条約の精神でございまして、いろいろな人間活動というのはかなりの部分許容されております。
 具体的なところで、幾つか例がありますので御紹介しますと、一つは滋賀県の琵琶湖ですが、これが一九九三年に登録をされていますが、毎年、漁港のための航路のしゅんせつですとか、民間企業が湖底の砂利を建設骨材として採取する、そういうことが自然公園法で許可を受けて行われております。
 それから、二つ目の事例としましては、沖縄県に漫湖というマングローブの河口干潟がございます。これが一九九九年に登録されました。ここにおきましても、河川の水はけをよくするために河口部のしゅんせつ作業が行われておりまして、二〇〇〇年から二〇〇三年の予定で、鳥獣保護法の許可でしゅんせつを行っている、こういう例がございます。
木村(隆)委員 大臣、今琵琶湖やら沖縄の漫湖公園あたりで、新たに手を加えることは可能で、実際やっているという話であります。
 ただ、来月中旬ぐらいに環境省案がいろいろ出てくるといううわさも聞いておりますけれども、そういう段階にあっても、地元の人たちが大変不安になっている。河川改修、本当にできるんだろうかと不安になっていると思いますけれども、この河川改修と環境という調和について、やはりもうちょっと議論をし、地元の方々にも理解をしてもらうような、そんなことが必要ではないかと思うのですけれども、大臣、どうお考えになられますか。
大木国務大臣 今御質問の内容になっております庄内川、新川、日光川、これは、かつての伊勢湾台風、あれは本当に大変な、地域にとりましては大きな災害でありましたし、それからまた平成十二年の東海集中豪雨、これまた本当に、百年で初めてというような大変な雨量があったというようなこともありまして、地元の住民が本当にこういった三川を中心とする災害の防止について非常に関心を持っておられるということは、私も本当にわかり過ぎるほどわかっていると思うわけでございます。
 そこで、ラムサール条約についていろいろ地元の方で御心配があるというのは、このラムサール条約というものの性格について必ずしも十分に、これは役所の方の説明もまだ十分ではありませんけれども、地元にも御理解を得られていないと思うのですけれども、これは当然、地元のそういった治水、それからいろいろな意味での災害防止ということを阻害してまで湿地の保全をしようということじゃありませんので、これはあくまでそういったものは両立して施行してまいりたいというふうに考えております。
 ラムサール条約というのは、何か一遍決めてしまってそういった指定地域になったら、そこの地域は一木一草動かすことができないというようなものでは決してありませんので、今言いましたように、基本的にまず両立させるということの中で、どういうふうに今の湿地帯が、上手に保存し、あるいは活用されるかということを考えていくということでございますから、これから、もう既に木村議員の方でいろいろと地元の議員さんなどとも協議しておられると思いますが、私どもの方でもいつでもそういった説明の方は努力をいたしますので、どうぞそういうことで御理解をいただきたいというふうに思っております。
木村(隆)委員 今大臣の御答弁をいただいて、ちょっと安心をしました。その答弁を地元の人にしっかりよく伝えたいものだな、そう思って今お答えを伺っていたわけでございます。
 ということは、もうそろそろ環境省案が出るということを考えるときに、国土交通省、きょうはお越しをいただいておりますけれども、治水をしっかり進めていく責任官庁である国土交通省の方も、これだけはしっかりやらなきゃいけないよということを示さなきゃいかぬと思うのです。激特事業の後、どうやって河川を安全な川に仕上げていくのか、そんな検討を今進めておると思いますけれども、その状況、どうなっているのか教えていただきたいと思います。
竹村政府参考人 委員御質問の、庄内川、新川の恒久対策でございますが、平成十二年の九月の東海豪雨におきまして、確定値で、この被害が、浸水戸数約一万八千戸、水害の被害額六千五百六十億円、このうち一般の市民の資産が被害を受けたのがほとんどでございまして、六千三百十四億円でございます。
 これはそんなに大きかったのかなという、一晩でこんなに六千億円の富を失ったわけでございますが、車が約十万台失われました。一台百万として一千億でございます。そして、床に水が来ますと、昔は畳を上げてそれで終わったんですけれども、今、床まで水が来てしまいますと、防音材や断熱材がありまして、汚水を全部吸ってしまいます。ですから、水がちょっと来ちゃいますと、その後、家の中を全部取りかえなきゃいけないという、大変被害が大きいということが今回顕在化しまして、都市市民の富が一晩で六千億を失ってしまったという事態になってございます。
 このため、私ども、二度と起きないように、緊急的な激特事業として現在やっておりますが、委員御指摘の、その後の恒久的な対策としてどうなんだということでございますが、庄内川、新川の恒久的な河川整備計画は、激特後に私ども策定する予定でございましたが、今回環境省から、河口部の干潟の国設鳥獣保護区域の特別保護区域に指定することに関しまして事前協議がございました。これを受けまして、私ども、現在私どもで考えられる河口部の掘削等の恒久的な治水対策の案につきまして、現在中部地方整備局と愛知県におきまして前倒しで検討しております。それを五月の早い時期をめどにしまして私ども作業を進め、関係者や関係地域の方々にお示ししていきたいと考えてございます。
木村(隆)委員 小林局長さん、今国土交通省は、ちょっと前倒しをして、それでもちょっとおくれておるわけですけれども、五月の早い時期に、治水の上からこうしていきたいというものを提示すると言っております。ということからすると、その案を見て今後調整をしていかなきゃいかぬと思います。そしてまた、地元へもしっかり、こういうことですよという説明、今大臣もこれからさらに努めていくという御答弁をいただいたわけですけれども、具体的に地元へ理解を求めるような努力、どういう場でしていくのか、お答えをいただきたいと思います。
小林政府参考人 地元の自治体ですとか住民ばかりでなくて、河川の上流域にある、関係ある自治体の方々も含めまして、その説明をしていきたいと思っております。愛知県の協力も得ながら、早期に説明会を開きましたり、それから、要望があればいつでもどこでも、環境省の職員が出向いて説明をしていきたいと思います。
 その際、ラムサール条約の必要性というのももちろんでございますけれども、河川のしゅんせつ等、治水事業の必要性に関する環境省の考え方というものもあわせて御説明を申し上げたいと思っております。
木村(隆)委員 今、これからしっかり説明責任を果たしていくよという決意だと思います。
 先ほど大臣もお答えをいただきましたけれども、もう一度、くどいようですけれども、大臣にお伺いをしたいと思います。
 これまで、ラムサールに登録をするというのは比較的郊外なところとか、余り都市部というのが想定されていなかったのではないかと思うのです。今回のように、都市部においてこれからこういうことを進めていくということになりますと、例えば、今回の場合ですと都市河川の治水対策、これが当然先ほどお話あったように優先をされ、その上で環境をどうやって保全していくのかということになってくると思いますけれども、いま一度大臣の、その辺のことに対する明確な考え方をお示しいただきたいと思います。
大木国務大臣 ラムサール条約の候補地になり得るような場所がどこかというのは、これからまただんだんに広がっていくと思いますから、一般的に都市部だとか農村だとか、そういうことではなくて、やはり現実にどういうところが出てくるかということであります。この間うちは、いろいろと議論になっておりますのが、例えば愛知県の今のにしても、あるいは東京湾で、千葉県あたりでいろいろとまた議論がありますね。
 ということなので、今たまたま議論になっているのは河口部なものですから、河口というのは、いろいろな意味できちっと、必要に応じてしゅんせつもしなければいかぬ、防災事業もやらなければいかぬということですから、これは都市とか農村ということではなくて、やはり現実にどういう地域がラムサール条約の候補地になってくるかということを考えながら、またひとつどういう、すぐにそれを例えば地域に分けて、都市はやりますとか、農村はやりませんとかいうことではなくて、やはり現実に合った対策を進めたいと思いますけれども、先ほどから申し上げておりますとおり、ラムサール条約というのは、一つはやはり地元で、ラムサール条約に入ってみんなでひとつ湿地帯を保存しよう、あるいは活用しようという気持ちがなければ、これは意味がないわけであります。
 例えば、愛知県でもこれから万博をやろうと言っているわけですから、そうすると、できることなら、せっかく自然との共生の万博だと言っておりますから、それはラムサール条約に入ったということが一つのPRにはなると思うのです。しかし、だからといって、ラムサール条約、何が何でもやらなければいかぬということではないわけであります。
 ただ、あれは三年に一回ごとに、いろいろまた総会をやっていますので、そういうようなときに入ったぞと言うことは、言うなれば、愛知万博などについては一つのPRにはなり得ると思います。ただ、だからといって、環境省の方で何が何でもラムサール条約に入らなければいかぬ、ラムサール条約に基づく指定をしなければいかぬと言っているわけではないので、やはり現実にちゃんと、ラムサールの湿地帯の指定をしても、今、国土交通省の方で考えておられるいろいろな事業と抵触しないようにということで努力してまいりますので、どうぞひとつ。
 私は、今いろいろと内々にお聞きしております計画、今のしゅんせつ作業その他から考えて、私としては、今のところでは正面からぶつかるというようなことではないのだろうというふうに期待をしておりますので、さらにこの点も詰めたいと思いますが、さっきから申し上げておりますように、湿地帯の指定をしたからといって全く手をつけてはいかぬということではありませんので、どうぞそこのところはひとつ御理解をいただきたいと思っております。
木村(隆)委員 私も、この湿地登録、反対しておるということではありませんけれども、ただ、そういう誤解があって、湿地登録をすると、その後、手を加えられないのじゃないか、万が一洪水が起きたらという心配があるので御質問をさせていただいております。
 このラムサール条約の第四条の二項において、「締結国は、登録簿に掲げられている湿地の区域を緊急な国家的利益のために廃止し又は縮小する場合には、できる限り湿地資源の喪失を補うべきであり、特に、同一の又は他の地域において水鳥の従前の生息地に相当する生息地を維持するために、新たな自然保護区を創設すべきである。」と規定されております。
 藤前干潟周辺がラムサール登録された場合、今の治水のためのしゅんせつなどにより、干潟の面積が減少するということも考えられますけれども、この場合は代償措置が求められることになるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
小林政府参考人 まず先にちょっと申し上げておきたいと思うのですけれども、先ほども大臣からも御説明申し上げたとおり、河川の洪水により甚大な被害があそこの地域で起きたことを私どもとしても非常に重く受けとめておりますし、人命にかかわる治水対策が最優先であるというふうに我々としても認識してございます。
 その上で、今の御質問ですけれども、ラムサール条約の四条の規定というのは、その代償措置というのは、登録した干潟を埋め立てることなどによってなくしてしまう、そういうようなことと、それに伴って登録の保護区みたいなものが廃止される、そういうようなときに適用される条項でございます。
 したがいまして、藤前干潟の部分で、治水のためにしゅんせつをするというようなことについては、干潟そのものがなくなるというものではございませんので、そういう観点から、この条約の代償措置に当たらない、したがって、環境省としても、しゅんせつしたからといって代償措置を求めるというようなことはないというふうに考えております。
木村(隆)委員 そういう面では大変安心をいたしました。
 先ほどからも御答弁いただいているように、これから地元の方々が要らぬ心配をしないでもいいように、しっかりとその辺説明をしていただいて、地元が理解して、みんなが環境を守っていこうということが喜んで言えるような、そんな地元との話し合いをさらに進めていただくようにお願いをしたいと思います。
 ついでに、一つ要望をしておきたいのです。
 この今の、鳥たちを守るということはとても大切なことだと思います。ただ、あの地域でよくお話を伺うのは、鳥たちが、芽の出たといいますか、穂の出たといいますか、植えた麦を全部食ってしまってもう全然作物がとれないとか、また、あの辺は金魚の名産地であります。向井千秋さんと一緒に宇宙へ行った金魚もあの地域の金魚でございまして、金魚を養殖しているとみんな鳥たちが食べていってしまうという被害も、これは物すごく深刻です。仕事をしている人からすると、収入の道が断たれてしまうわけですから、大変深刻なことだと思います。
 だから、鳥たちを守るために、しっかりと環境を保全することも当然しなければいけないけれども、その一方で、そういう方々に対してどういう手だてが加えられるのか。これはやはり、環境を守る、その中心になる環境省も一緒になって考えていくべきことだと思いますので、その辺をこれからぜひ大臣のリーダーシップで、そういうこともあわせて考えられる省として、地域のみんなから理解をされるような省になっていただくようにお願いをしたいと思います。
大木国務大臣 鳥獣というか、あるいはむしろ一般的には野生の鳥獣と言った方がいいかもしれませんが、それとの共生というのは、これからの私どもの、大きなことを言えば、人類がどうやっていくかという課題でもあるわけでございますが、これはまたひとつ別途に今法案も提出しておりますし、考え方としては、端的に言えば共生ですけれども、いろいろと接点では害をする鳥獣もあるわけですから、それについてはやはり必要な措置はしなければいかぬということで、一方においては保護する、しかし一方においては、それを管理し、必要に応じてそういう害は阻止するということですから、両面、これはやはりきちっとやらなければいかぬ。バランスをとる必要があると思いますが、そういうことで環境省も十分に配慮してまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。
木村(隆)委員 ありがとうございました。
 これで終わります。
大石委員長 牧義夫君。
牧委員 おはようございます。民主党の牧義夫でございます。
 質問に先立ちまして、ただいま木村委員からも、ラムサール条約と地域住民の生活の安全性との兼ね合いについてのお話もございました。私も、木村先生のさらに下流域が地元なものでございますから非常に関心のあるところでございますし、全く同感なわけでございますけれども、先ほどの議論を拝聴いたしておりますと、ともすると下流域のあるいは河口流域の住民との兼ね合いの話に終始していたような感がございますけれども、河川の管理あるいは流域の環境等につきましては、国土交通省さんにも、ぜひとも上流域の保水能力の面等も含めて総合的にこの辺のところはお考えいただきますように、あえて一言つけ加えさせていただきまして、質問に入りたいと思います。
 ただ、私どももこの自然公園法改正案についてのお時間、結構たくさんいただいておりますので、その前に、本題に入る前にちょっと一、二点質問をさせていただきます。
 この二十日、二十一日、大臣は、第四回日中韓三カ国環境大臣会合、ソウルで行われるわけでございますけれども、土日の開催で、大変国会の忙しい合間を縫って本当にお疲れさまでございますけれども、ここに臨まれるということでございます。
 私も、ちょうど一カ月前一般質問させていただいた中でも、特に中国については、この温暖化対策については、特に温室効果ガスの排出量がもうEUにも匹敵するだけの国であるという、そんなことから、中国の取り組みについてはただ手放しに褒めるのではなくて、言うべきところはしっかりと言ってもらいたい、そんなような要望も述べさせていただいた記憶がございます。
 これは本当に感情論じゃなくて、今申し上げたような中国の世界における立場、位置があるわけでございまして、そういう意味で、したがってこれはもう中国の内政問題ということじゃなくて、まさに地球規模の問題なんだということを相手方にもぜひとも理解をしてもらう努力が必要であろうと思います。
 そういった意味で、この会議に臨む大臣の決意と申しますか、その辺からまずはお伺いをしたいと思います。この日本の国内の法整備もこれからでございますけれども、これを本当にしっかり実行していけば、例えば中国に対するこれは一つの外交カードにもなり得るような話であろうと思いますので、そういった意味での大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 環境をめぐる日中関係というのは非常にいろいろと内容もたくさんございまして、今お話のございました京都議定書の方の関連で申し上げますと、実は中国のところは今直ちには何%削減というような義務化は受けていないわけでございますけれども、現実には自分のところの自分の問題として、やはりそれは炭酸ガスなりその他の温暖化ガスがどんどんふえるということは非常に困るということで国内的には努力していまして、最近はいろいろと、この三年ぐらいはむしろCO2の総量の排出量は少し減少しております。
 減少しておりますけれども、何せもとが大きいわけですから、これはもっと長期にわたって実際に削減するという努力をいずれはお願いしなきゃいけませんけれども、これはいろいろと頼む頼むというだけではいかないわけでありますから、現実にはいろいろな形で中国に対しましては技術協力等々やっておりまして、中国の温暖化ばかりじゃないんですけれども、全体の環境がよくなるようにということでいろいろとやっております。
 最近、中国からいろいろな黄砂ですかが吹いてきて、日本の方の非常なまたひとつ環境被害も生じているようでございますが、こういったような大きな話もありますし、全体としてやはりこれは中国がみずからもやっていただくわけでありますけれども、日中協力して、できることは技術協力等々進めてまいりたいということで、今度、今お話のございました日中韓の三国の環境大臣会議がございますので、今度は開催地は韓国でありますけれども、中国とはそういう意味で、今申し上げましたように、私は、ある意味におきましてはこれからの日中間の大きな外交問題、そして日本としては非常に積極的に協力のできる外交問題だと思っておりますので、ぜひひとつ推進をしてまいりたいというふうに考えております。
牧委員 ありがとうございます。
 それから、これに先立って今月の十七日、十八日、オランダのハーグで第六回生物多様性条約締約国会議ハイレベルセグメント、これは山下副大臣が御出席をされるということでございますけれども、山下副大臣、きょう参議院の本会議で席を立たれましたけれども、副大臣が出席をされるその出張の必要性という文書も環境省から御丁寧にいただきまして、それによると「森林の生物多様性の保全等、当省が主体的に取り組むべき課題に関するヨハネスブルグサミットへのインプットについて審議される予定であることから、山下副大臣の出席は必要。」とあるわけでございます。
 せっかくそうあるので、本当は副大臣にお聞きをしたかったんですけれども、今回のまさにこの法案の中身、生物多様性の保全ということがメーンテーマであろうかと私なりに理解をしております。その生物多様性の保全のためにまずは必要な取り組むべき施策というのは何なのか、何と何なのかというようなことを列挙してまず御説明いただきたいんですけれども、山下副大臣いらっしゃらないんで、政務官の方にお願いをいたします。
奥谷大臣政務官 現在、我が国の生物の多様性は、種の絶滅のおそれの増大や干潟や湿原などの湿地の減少、それから里地里山における身近な自然環境の悪化、移入種による我が国固有の生物への影響など、さまざまな危機にさらされております。このような中で、自然と共生する社会を政府一体となって実現するためのトータルプランとして、本年三月二十七日に新たな生物多様性国家戦略を決定したところでございます。
 この新たな国家戦略は、種の絶滅を防ぎ国土全体の生物多様性を保全、回復するための方向性を明らかにするとともに、実効性のある施策の展開のための基本方針を示しておりまして、湿地保全の強化、里山の保全と利用、自然再生事業、野生生物の絶滅防止対策、移入種対策などの推進を掲げております。
牧委員 ありがとうございました。
 ここで、まずあらかじめ今質問させていただいた理由についてを申し上げたいと思うんですけれども、この自然公園法の一部を改正する法律案について、去る四月九日、大木大臣より提案の理由及び主な内容について御説明があったわけでございますけれども、この提案の理由というのが至って簡潔明瞭なわけでございます。
 一部読ませていただきますと、「この法律案は、こうした自然公園における生物の多様性の確保を図るため、特別地域等における行為規制を追加するとともに、利用調整地区、風景地保護協定及び公園管理団体の各制度を整備しようとするものであります。」ということでございますから、これは文法的にも、この法律案は何々のために何々をしようとするものであると至って簡潔明瞭で、したがってその目的というのは生物多様性の確保を図るためだというのが、唯一の目的としてうたわれているわけでございます。その意味で、生物多様性の確保を図るための施策を今お聞きしたわけでございます。
 そして、その大前提として、生物多様性の確保がなぜ必要なのかということをちょっと大臣にお伺いをしたいと思うわけで、こちらの質問の方が少し難しいと思うんですけれども、やはり政務官より難しい質問をしないと失礼かと思いましたので、よろしくお願いをいたしたいと思います。あえてお聞きするのは、どうもその辺のところがわかっていない人が多いんじゃないかなと思うものですから、ぜひ大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
大木国務大臣 生物多様性という言葉は、最近何となくはやりで非常に私どもも使っておりますし、いろいろとテレビなんかでも、生物の多様性というか人間と自然とのかかわり合い、あるいは、自然界の中での生物の多様性がどういうふうに維持されていくのか、生態系というような言葉もよく使われておりますけれども。
 ということでありますから、やはり今回の自然公園法の改正につきましても、生物の多様性ということは非常にいろいろなものを内容的には含んでおりますけれども、あえて使わせていただいたということで、大上段な言い方をすれば、これから人間がどういうふうに生存していくかという一つの、我々地球上の人類が、どうやって生物とも共存しながら、いろいろな意味での人間としての生活を展開していくかというようなことであります。
 実は、三月の二十七日に決定いたしました生物多様性国家戦略というところでも、生物多様性の保全あるいは利用という理念として、今申し上げました人間の生存の言うなれば基盤というのは大変抽象的な言葉でありますけれども、あえて人間生存の基盤であるということ。そしてまた、災害の防止に寄与するなど、これから、今すぐ目の前の話だけではなくて、世代を超えた安全性、効率性の確保の基礎になる。あるいはまた、我々の生活と非常に関係があるんですけれども、生物というものは全体として、食料、薬品などの各種のいろいろな有用性があるわけですから、その源泉でもある。それから、それぞれの自然に応じていろいろな、生物とどういうふうに共存していくかということの中での文化が形成される豊かな地域文化の根源でもあるといったようなところを一応この国家戦略の中でもうたわせていただいたので、非常に抽象的ではありますけれども、これからの長期的な人間社会の、本当に地球上の人類ということを考えますと、それが一番やはり我々が、自然公園なら自然公園、その他のいろいろな公園を保存し活用していくときにも、そういった生物多様性というのを今申し上げましたような側面からひとつさらに発展させてまいりたいということで、あえて生物多様性ということをこの法案の中でもうたわせていただいたわけでございます。
牧委員 環境大臣がそのような御認識であるということで、非常に安心をいたした次第でございます。
 ちょっとここで話題を転じまして、去る一月二十五日付の日経新聞で私が拝見した記事について、主に外務省にお伺いをしたいと思います。
 イギリス大使館からオークの苗木が百七十本日本に寄贈されて、全国あちこちで植樹をするという記事でございます。これは、日英同盟締結から百年に当たることし、それを記念して日英グリーン同盟を実施するということでございまして、これはあらかじめ外務省の方に確認をいたしましたところ、特に外務省との協賛事業のようなことではなくて、イギリス大使館が勝手にと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんけれども、向こうの好意で、各自治体と直接連絡をとり合ったり、あるいは各教育機関やら施設と直接連絡をとり合いながら全国にこの植樹を展開していく、そのような事業であるというように伺っております。
 ただ、これ自体にけちをつけるとか目くじら立てるというお話じゃなくて、今の生物多様性の確保の観点から質問させていただきたいと思うんですけれども、まずは外務省さんに、この日英グリーン同盟というのは、形式的な位置づけというのはどういうものなのか、そしてどんな行事をやるのか、どんな木を植樹されるのか、その辺のところ、外務省所管ではないにせよ一定の御認識はあろうかと思いますので、お伺いをいたしたいと思います。
高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御質問の日英グリーン同盟二〇〇二という事業は、本年が日英同盟百周年に当たる年でございますので、在京英国大使館がその記念行事の一環として行っている事業、こういうふうに承知いたしております。
 具体的には、在京英国大使館の方で約二百本の英国産のカシの木の苗木を輸入いたしまして、植樹を希望する日本全国各地の学校、植物園、公園等に無償で苗木を提供する、そういう事業というふうに承知いたしております。四月十一日現在でほぼすべての苗木の植樹先が決定しているというふうにも聞いております。
 在京英国大使館の広報資料によりますと、この事業で、木を植えるという活動を通して、日本と英国の人々が環境という地球規模の問題について考え、語り合うことを主な目的に行われる、そういうふうに説明をされておられます。
 以上でございます。
牧委員 済みません、ちょっと事実関係をもう一回確認させていただきたいんですけれども、今英国産のカシだというお話ですけれども、この新聞だとナラになっているんですね。これは新聞の間違いですか。
 ちょっとあえてつけ加えると、これはOAK、オークですね。これはブナ科コナラ属のカシ類、ナラ類の総称だというわけですけれども、どちらなんでしょう。これは随分違うわけで、カシ類だと常緑樹、ナラだと落葉樹でございます。ちなみに日本での分布は、九州から東北南部の丘陵地にカシが分布している。それから中部、関東地方の内陸部にコナラ、それから北海道南部を除く北海道、長野県、東北地方の太平洋側の内陸盆地にミズナラが分布しているということでございますけれども、ここで言う、今おっしゃったのはカシの木だ。新聞はナラの木になっていますね。どっちなんでしょうか。
高橋政府参考人 専門家でないのでちょっと難しいのでございますけれども、イギリス大使館の資料によりますと、提供された、私はカシの木というふうに訳しましたが、イングリッシュオークと呼ばれているものでございまして、ブナ科の落葉樹でございます。
小林政府参考人 オークというのは、先生御指摘のとおりナラの木で落葉樹でございますので、日本語で言うとナラの木、照葉樹であるシイとかカシとかというものとは違うものというふうに理解、先生の御指摘のとおりでよろしいかと思います。
牧委員 つまらないお話のようで恐縮でございますけれども、余りこれは外交的には目くじら立てる話ではないと思うんですけれども、ちょっとこれはやはり私なりにひっかかるものがございまして、その後一月三十一日付の読売新聞に、英国大使館で記念式典をやっている写真が載っております。ここに川口現外務大臣、この当時は環境大臣でございますから、これは一つの外交の行事としては私否定するものではございませんけれども、環境大臣がここに出席するというのは、私ちょっと見識を疑うな、こういう方が外務大臣になられて、大木大臣が来られて、本当に私はほっとしているわけでございます。
 外務省も、やはりさきのラムサール条約もございますし、それこそワシントン条約やらいろいろ水鳥の協定やら、これから温暖化対策についても、これは本当に国際的ないろいろな取り組みが必要になってくる中で、外務省にも本当のところの環境についての認識というのをきちっと持っていていただきたいなと私なりに思うわけでございます。
 そういう観点から、外務省として、ちょっと確認事項なんですが、環境問題全般についてどんな取り組みをされているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
高橋政府参考人 先ほどイングリッシュオークをカシというふうに誤訳いたしまして申しわけございませんでした。
 ただいまの御質問でございますけれども、環境問題についての外務省としての取り組みでございます。
 近年、人類の活動範囲、規模、種類の拡大に伴いまして、温暖化問題、それからオゾン層の破壊といったいわゆる地球環境問題が顕在化して、人類にとって脅威であるという認識が強まっているわけでございまして、こうした地球環境問題というのは一国のみで対処できるものではなくて、本質的に国際的な協力というものが不可欠である、そういうふうにされております。
 外務省といたしましても、こうした基本的認識に立ちまして、京都議定書の作成に当たりまして京都会議を主催いたしましたことに見られますような、地球環境問題というのが我が国の国際貢献を果たしていく最重要分野の一つと位置づけまして、条約だとか国際行動等の国際的枠組みを策定する場合に積極的に貢献する。それから環境問題でのODAというものを積極的に実施していく。それから国連環境計画、UNEP等の環境問題での国際機関とかいろいろな国際的なフォーラム等への貢献というものを積極的に行っていきたいというふうに考えております。
牧委員 どうもありがとうございました。
 この問題、こだわるようですけれども、当環境委員会においてはそういったこだわりもやはり必要であろうかと思いますので、その辺のところをきちっと確認していきたいなと思います。
 今の日英グリーン同盟については、外交上の問題はともかくとして、英国産のオークの植樹そのもの、これは環境省としてはどういうとらえ方をされるんでしょうか、専門的な見地から。これはやはり移入種だとは思うんですけれども、あるいはナラとかカシというのは日本にもあるから移入種じゃないとおっしゃるのか、その辺のところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
小林政府参考人 イングリッシュオークにつきましては、イギリスでは一般的にどこでも生えている種類でございますが、日本には同じ種はないわけでございますので、先生の御指摘のとおり、移入種ということになります。
 移入種を日本国内に持ってきて植えるということなんですけれども、特にこのイングリッシュオークに関してだけ言えば、二百本以下という御説明がありまして、植樹の本数が非常に少ないことと、植樹される場所が都市公園とか学校とか特別限定されている場所であることとか、それから一本一本ばらばらに、密生で植えるということではなくて、林をつくるということではなくて、一本一本植えるというような感じでございますし、特に御指摘のナラの仲間というのは、大きな実をつけまして、種がそんな遠くに飛ばないし、そんなにどんどんふえていくような繁殖形態でもないものですから、我が国の生態系にすごい大きな影響を与えるというふうには考えていないところでございます。
 一般的に植物の場合、園芸植物とか街路樹につきまして、移入種であっても植えられている事例がございますし、生物多様性に大きな影響がなければ構わないんじゃないかな。導入する樹木の種類とか植える場所とか、個別のケースによって、生物多様性にどのくらいの影響を及ぼすか、そういうようなことを見ながら、予測しながら、導入についての慎重な検討というのが必要か、こう考えております。
牧委員 今後もその辺は神経質に対応していただけるように、改めてお願いを申し上げたいと思います。
 また、こういった例だけじゃなくて、実際に移入種がもう相当国内にも入ってきているわけでございまして、例えばタンポポにも、日本の在来のカントウタンポポ、そして入ってきたセイヨウタンポポ、例えば魚のバラタナゴも、ニッポンバラタナゴ、タイリクバラタナゴなんというのもよく例に出されるわけで、これは似て非なるものなるがゆえに、似ているがゆえに生息する場所が競合するような一例だと思います。
 そういった意味で、今の日本の在来種の生息を脅かすような外来種の似て非なるものの例、また、せんだって質問にも出ましたけれども、ブルーギルやらブラックバスのお話も出ましたけれども、これは全く違ったものが在来種を捕食してしまう、そういった例もあると思うんですけれども、ちょっとそこら辺のところの実態というのを、大ざっぱで結構ですから、どんなものがあるのか教えてください。
小林政府参考人 移入種による日本在来の生態系への影響のことでございますけれども、今先生御指摘の在来種との交雑、私もニッポンバラタナゴ研究会というのに入っていまして、保護をやっていたんですけれども、在来種との交雑によって影響が出てくる、日本の固有のものがなくなってしまうのは、バラタナゴのほかに、タイワンザルとニホンザルの交雑、和歌山で問題になっています。
 そのほかに、今までいなかった種が入ってくるものですから、今までいた在来の種を捕食してしまう、そういうようなことで、奄美とか沖縄の山原でマングースによる被害とか、ブラックバス、ブルーギルの魚が在来の淡水魚を捕食してしまうというような問題もあります。
 それから、小笠原諸島に野ヤギが放されて、これが植生を破壊して、もう全部食べ尽くして、赤土がサンゴの海の方まで流れていくというような植生破壊、そういうふうないろいろな種類があるかと思います。
牧委員 それは、今ほんの一例だとは思うわけでございますけれども、やはりブラックバスやブルーギルはもちろんそうですけれども、似て非なるもの、その辺のところは素人にもわかりづらいこともございますし、そこら辺の啓蒙普及ももちろんですし、環境省としてもより神経質に扱っていただければなと思うわけで、さっきのイングリッシュオークの話もそうですけれども、ブナ科の木は日本にも生息するわけですけれども、やはり似て非なるものが入ってくるというのが、私は一番怖いと思います。
 例えば、近縁種だとか類似種の交雑が進むと競争関係になって、そうすると、同じ生息する地域での競合が進んで、その生物相というのが単純化に進むんじゃないか、そういった説もございますけれども、その辺はどうなんでしょうか。それは正しいんですか、正しくないんですか。
小林政府参考人 似ているけれども違うものというものがよくやはり交雑、雑種をつくるということで、日本の純粋なものがなくなっていくという点につきましては、先生御指摘のように、単純化というようなこともございます。移入種の問題というのはいろいろな複雑な絡みがあるものですから、簡単に単純化と言えない部分もあるんですけれども、そういう雑種をつくってしまう、それから捕食して絶滅してしまう、そういったような影響をとらえれば、移入種の問題というのは単純化をもたらすというふうにも考えられます。
牧委員 私なりに、生物多様性の確保の意義をあえて大臣にさっきお尋ねしたことも含めて、私は、生物多様性というのは、まさに重要なのは、遺伝的な、遺伝子資源とでも申しますか、その多様性を守ることこそが重要であろう、まさにそこに神経を集中していただきたいなと思うわけでございまして、例えば製薬業界においても、どこかの土の中の微生物から新薬の特効薬の遺伝子を取り出したり、最近だと、化石燃料にかわるエチレンを大量生成する微生物なんという話もございます。
 だから、種が絶滅するとかというのは、それは感情論で、例えばトキがいなくなったら寂しいとかそういう話ではなくて、まさにそういう、これから将来に向けての我々のかけがえのない遺伝子資源なんだ、これを守るんだということで、それをあえて強調したかったわけで、今回の法改正も、これは特定地域の話かもしれませんけれども、そういった精神がしっかりうたわれるべきだなと私なりに思った次第でございます。
 そこで、国土交通省さんの方でも、平成十二年度河川水辺の国勢調査というのが十三年の十一月終わりに発表されておりますけれども、そこにも河川生態系の人為的攪乱状況のお話が出てまいります。これは、移入種による被害、また、ちょっと私そこで気になったのが、在来種の中でも人為的に別の場所へ移してしまうような例もあるやに聞いております。その辺の実態について、ちょっと国土交通省の方から説明をお願いしたいと思います。
竹村政府参考人 私ども河川管理者は、十二年前の平成二年より、一級水系百二十三河川を対象にいたしまして、河川水辺の国勢調査を実施しております。大変、全国広うございます。千六百三十九地点でございますので、五年置きに一巡する仕組みとなっており、現在までちょうど二巡いたしました。
 その結果で御質問のお話をさせていただきますと、ブラックバスは一巡目から二巡目の調査では六十七河川から七十九河川、つまり五四%が六四%にふえました。また、ブルーギルは四十八河川から六十五河川、つまり三九%から五三%にふえました。ミドリガメは三十七河川から五十六河川、つまり三〇%から四六%とそれぞれ増加傾向を示してございます。
 また、国内の在来種に関しましては、ヤマメ、アマゴの漁業対象魚種の放流等により、本来、生息域でないところの生息域が拡大してございます。ヤマメにつきましては四河川、アマゴについては十六河川で、本来、生息域でない河川で確認されております。
 さらに、アユの放流によりまして、琵琶湖産の稚魚が全国で用いられておりますが、これと一緒にハス、そしてスゴモロコという魚種でございますが、琵琶湖・淀川水系に固有の魚種でございますが、ハスについては九州から東北に関しまして四十九河川、スゴモロコにつきましても九州から東北に至る河川三十六河川で確認されております。
牧委員 今皆さんもお聞きいただいたように、これは、状況は悪い方向へ進んでいるというわけでございます。
 そこで、あえてここで確認をいたしておきたいんですけれども、去る三月十二日の質問の中にもブラックバスのお話が出てまいりました。これは、まさに新生物多様性国家戦略取りまとめに当たってのいろいろな組織的な動きもあったのであろうと思います。その質問の中にも、例えば芦ノ湖のワカサギの話が出てくるわけでございますけれども、もう七十年前からブラックバスが入ってきているにもかかわらず、ワカサギがまだ生息しているということは、これは、すみ分けがちゃんとできているんじゃないか、そんなようなお話が質問者から出たと思うんですけれども、ちょっと確認をさせておいていただきたいと思います。
 このワカサギというのは、これが生息しているというのは、私は事実誤認だと思うわけで、これは放流しているからまだ残っているというのが事実ではなかろうかと思うんですけれども、そこら辺の確認をさせていただきたいと思います。
海野政府参考人 内水面におきましては、資源が枯渇しやすいという特性がありますので、対象となる水産動植物の増殖をするという場合でなければ、第五種の共同漁業権を漁協などに免許することをしないということになっております。これは、漁業法の第百二十七条というふうに規定されております。
 このために、芦ノ湖ではワカサギなどの共同漁業権を有する芦之湖漁協、これが、平成十二年度におきまして、約九億八千万粒のワカサギの卵を放流しているという実態にございます。
牧委員 わかりました。
 この質問に関連して、やはり私なりにきちっとここを確認しておかなければいけないなと思う部分が大臣の答弁の中にも何カ所かございますので、あえて確認をさせていただきたいと思います。
 自由党の東委員に対する答弁の最後の方で「三百万人の釣り人が大変に深い関心をお持ちだということでございますから、そのことを頭に置いて、ひとつきちっと検討させていただきます。」という大臣の答弁がございました。ちょっと私なりに気がかりなわけですが、どのように検討されるんでしょうか。
大木国務大臣 確かに、今のブラックバスにつきましては、言うなれば賛否両論といいますか、現在既にもうある程度安定的に存在しておるから認めろというお考えと、いや、やはり本来の日本の種の保存のためにとめるべきだという議論がいろいろあると思います。実は、この私の答弁の後でまたいろいろと反響がありまして、いや、もっと厳しくしなきゃいかぬぞというような御意見も私も聞いております。
 ですから、一般的には、やはりどういう地域でどういう状況になっているかということをきちっと科学的に調べるというのがまずスタートだと思うんです。
 ですから、もし必要でしたら、また後で参考人の方から補足させてもらいますけれども、今までも基本的な考えとしては、まず現状を調べて、例えば日本全体としてというよりもそれぞれの地域でどういう状況になっているかというようなことで、例えば沖縄などはいろいろな意味での、沖縄でのいろいろな希少種をひとつきちっと、ブラックバスに限りませんけれども、保存しようというようなこともありますから、そういうところでは、やはり全国的なあれとは別に、そういった土地における非常に希少種を保存するというようなことも考えなきゃいけませんし、それから、全国的にももちろんあれでございますから、やはり実情に応じて考えなきゃいかぬと思っております。
 確かに三百万人の方が、これは漁業を営業としているという方よりは、むしろレクリエーションの一部としてやっておられる方が多いように私は理解しておりますけれども、ということでございますから、今の段階でのどういう考えだということであれば、これはひとつ実態に応じて、やはり日本の古来の、しかも絶滅に瀕しておるような非常に希少な種を守る必要があるということであれば、これは当然に移入のものはきつく制約しなきゃいかぬということになります。
 ただ、今申し上げましたように、既に安定的に存在しているというものについてどうしよう。だめだといっても、現在既に生息しているところもあるわけですから、これはまたひとつ現実の問題として、行政の中でどこまでできるかということもありますから、やはり実態に応じて、しかし必要に応じて守るべきものは守る、日本在来のもので、守るべきものは守るということになろうかと思います。
牧委員 今の御答弁、ちょっと私は納得できないわけで、実態に応じてというお言葉でございますけれども、先ほども国土交通省の説明にもございましたように、実態というのは、移入種がどんどんふえているというのが実態でございますから、私が求める答弁というのは、それに対してどう具体的な対処をするかというまさにアクションプログラムであるわけで、特に、今回の法改正の提案の理由というのは生物多様性の確保であるわけで、しかしながら、その具体的な移入種対策というのが、具体的なアクションプログラムとしての移入種対策というのが欠如しているわけで、そこら辺のところをしっかりとうたってもらいたいな。
 前回の大臣の御答弁も、すみ分けができているもので、しかもそれをきちっと管理できるならばというような表現がありますけれども、これはやはりきちっと管理できていないというのが実態ですから、それに対してどういう計画を立てて、例えばどういう順序立てで駆除していくのかとか、そういったことも含めてきちっとした対策を立てていただきたいと思うわけですけれども、その辺、いかがでしょうか。
小林政府参考人 これからの移入種問題につきましては、やはり輸入の入り口のところで対応する。それから、入ってきてしまったものは、できるだけ早期に対策を立てるというようなことが一番大事でございます。
 副大臣も出かけていますけれども、生物多様性の今回の締約国会議でも、移入種対策に対する原則指針が、今まで中間的なものでしたけれども、最終的な原則指針が決められる。そういうものに沿って我が国でも対応をしていきたいというふうに思っています。
 具体的にも、現在、十二年度から移入種問題の検討会をつくりまして、その全体像を把握した上で、移入種問題にどうやって全般的に取り組むかと今検討しているところでございます。国際的な動向というのも踏まえまして、対応をしっかりしていきたいと思っております。
 ただ、もう既に全国的にはびこってしまったものについての対応となりますと、ブラックバスのようなものがそうなんですが、全部のところをやるというのはなかなか難しい課題であろうと思っておりまして、特に水の中の生き物についてを全くすべて排除するというのは、なかなか現実的には非常に大きな困難と財政的な負担もかかるところで、どうしたらいいか、ちょっと水産庁ともまた相談をしながら検討してまいりたいと思っております。
牧委員 以上で質問を終わりますけれども、この新しい国家戦略でも、移入種対策というところで、結局、「適切な移入種対策を推進する必要があります。」と。これは必要があるのはもちろん同感ですけれども、これを具体的にどう進めていくのかということをやはりきちっと検討していただきたい、なるべく早期にアクションプログラムをつくっていただきたいという要望を申し上げさせていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。
大石委員長 奥田建君。
奥田委員 民主党の奥田でございます。牧議員に続いて質問をさせていただきたいと思います。
 自然公園法、自然という言葉を聞いて、ほとんどの方は本当に和やかな思いをするんじゃないか。私自身も、環境省の職員の方ほどではございませんけれども、登山などが趣味でございまして、近年はちょっと火山活動が活発であるということで立入禁止になっていた笠岳という山、これが立入禁止規制が解けましたので行かせていただいた面がございます。足元からまだちょっと蒸気といいますかそういったものが上がっているような中を歩いて、大変気持ちのいい一日を過ごさせていただきました。
 その後で、嫌な話になるかもしれませんけれども、四月の二日、ちょうど参議院でこの法案の審議をされておりました日でございますけれども、総務省の方から行政評価に基づく勧告といったものが出されました。最初の方は、ちょっとその勧告内容について質問をさせていただきたいと思います。
 今、自然保護官、国立公園の数と面積に比較すれば大変少ない人数で、公園管理、あるいは公園の計画といったものを立てていただいておるわけでございますけれども、条文といいますか法令に書かれております国立公園区域の見直し、そして国立公園計画の点検といったものが行われていなかった、区域の見直しについては調査に入った中で約半分、そして計画については約三分の一が着手されていないということを勧告を受けております。
 この勧告につきまして、人員不足という以外に、大臣の方から、こういった作業のおくれといったものの原因そしてその対応について、総務省の行政評価局にも報告なさる事項になるかもしれませんけれども、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 お話ございましたように、総務省の方から勧告をいただきまして、国立公園のちゃんと管理が不十分だということでして、もっときっちりやれというような、いろいろと具体的なお話を伺ったわけであります。
 もちろん、これは総務省からそういう勧告をいただいたわけでありますから、これは我が方でもきちっとその内容を検討いたしまして改善策を考えるわけですが、正直申し上げまして、どういうところから国立公園なりあるいは国定公園なりの管理ということをやっていくかというと、正直申し上げますけれども、これは限られた人員なり予算の中で、特に人員ですけれども、やるということになりますと、なかなか十分に行われていないというのが私は実態だと思います。ですから、これはおしかりはおしかりとして受けた上で、その限られた人員の中で、どういうふうにそれぞれのプライオリティーも考えながらやっていくかということ。
 それともう一つ、これは私もまだ全部国立公園を見たわけでないのであれですけれども、どうもいろいろなことをやろうというと、その土地の所有者の中での利害関係もあるようでありますし、もちろん環境省が土地の所有者と十分に意思疎通ができていないところもあるかもしれませんが、そういったようなところをどうだということになりますと、今申し上げましたように、一応具体的な勧告もいただきましたから、それについて実際に、どういうふうにどういう原因でいろいろな施策が停滞しておるのか、あるいは行われていないのかというようなことを調べまして、これからひとつ、これからという話になって恐縮でありますけれども、そういったようなことを順番に、まずは現場の的確な把握ということで、環境省の中では、国立公園のレンジャーは、むしろ小さな環境省の中では二百人程度おるわけですから、非常に少ないとも言えないのですけれども、しかし、正直申し上げまして、あの広大な地域の中をきちっと管理するということになるとなかなかやはり、プライオリティーをつけて、そして総務省の御指摘のようなことについても対策を進めてまいりたいと考えております。
 大変に何か言いわけが多いのですけれども、私として、とりあえずはそういうふうに申し上げさせていただきたいと思います。
奥田委員 これは、関連してまた後にもいろいろな質疑をさせていただきますので、局長さんの方にお伺いしたいと思います。
 こうやって公園区域の見直しといったことが五年ごとに行われている。そして、案外、国立公園指定をしたときにも、本来は地域に入れたかったけれども、今大臣もお話ししましたように、日本の公園制度の特色という中で、私有地、民有地であるとかそういったところも公園地域に入れる、あるいは、総務省からは指摘されたことですけれども、一つの鉱山の採掘権だとかそういったものが絡んで地域に入らなかったりといったことがある。
 全国、公園たくさんありますけれども、そういった中で、新しい国立公園指定というのは長く行われておりませんけれども、今ある公園の中で、やはり以前指定したところはまだ本来の望んでいた姿ではないという中で、大きく区域変更、拡大といったものを考えている地域がありましたらお話しいただきたいと思います。
小林政府参考人 現在二十八の国立公園、御指摘のとおり、きちっとこれからも区域の見直し、計画の変更、五年ごとにやっていきたいと思っています。
 それから、今お尋ねの公園ですけれども、従来公園区域に入れたくて入れられなかったところとしましては、サロベツの国立公園の北部地域の原野の問題がございます。面積的にももう少し拡大したいなと思っているところもございます。
 それから、沖縄の白保のサンゴ礁海域ですが、現在石垣島周辺には一部しか入っておりません。特に白保のサンゴ礁の海域については入っておりませんで、これについても、基本的には地元の合意というものが必要でございますけれども、地道に交渉を続けてまいりたいと思っています。
 もう一つ、最近で言っておりますのは、沖縄の北部地域、山原のところですが、岩垂大臣のときに、ここは基地が返還されればということですが、そういうことで現在調査も続けておりますし、地元との話し合いも鋭意続けている、こういう状況でございます。
奥田委員 後ほど、今名前が挙がりました白保のことも触れさせてもらいますけれども、私もあの地域を、国立公園という形かどうかは別として、ぜひ保護できる形にしていただきたいなというふうに思っております。
 ちょっと話が飛びますけれども、勧告の中には、設備、管理の不備、そして書類手続、許認可のおくれといったものもございました。
 設備と直接関係ないのですけれども、公園の中にいろいろな標識がございます。入場ゲートみたいな大きなものは、いろいろなところで特色があってもいいのかなというふうに思いますけれども、どうしても私は山の方のイメージをしてしまうのですけれども、そういった山を歩いておりましても、余り統一性といったものは感じられません。道路標識のように、険しい自然条件の中で、厳しい自然条件の中で、流失したりあるいは老朽化、傷みも大変激しいといったこともあります。
 道路標識みたいなものは求めませんけれども、何かユニバーサルデザイン的なもの、トイレや駐車場のところは当然みんな同じですけれども、登っていく中での誘導標識あるいは距離標識といったものなどは、少なくとも国内の中で、いろいろな統一化を図っていってもいいのではないか。山を登っておりますと、いろいろ海外の方なども、短い休日を使って気軽に登ったりもしております。そういった観点から、いろいろな施設の中でも、ちょっと標識関係といったものについて御見解を伺えればと思います。
小林政府参考人 先生御指摘のとおり、登山道の標識につきましては、色ですとか形態など、非常にばらばらで統一性が見られないという状況があることは認識しております。このため、環境省で平成八年度に、自然公園等の事業を行う場合の公共標識の整備指針というのをつくりまして、その中で、統一性ある標識を整備するよう都道府県を指導しているところでございます。
 それぞれの地域で特色はあってもいいと思うのですけれども、同じ公園は統一性のある標識にというふうに思っているところでございまして、実は、百名山で大勢の人が訪れるような山につきましては、特に登山道の標識整備というのに重点を置いて、できるだけ統一的なイメージのものになるようにということで注意をしながら、今後とも適切な整備に努めてまいりたいと考えております。
奥田委員 ぜひ、立入禁止の区域だとかあるいは危険な区域、そして先ほど言いましたように誘導的なもの、こういったものだけでも統一化の方向、あるいは国際デザインがあればもっといいと思うのですけれども、そういったものがあれば、ぜひ取り入れていっていただきたいなというふうに思います。
 続きまして、先ほど業務過多ではないかと言っていた自然保護官がおられます。
 これは日本自然保護協会からの提言でもございますけれども、先ほど大臣も悩みの種であると言っていました国立公園の管理に関して、いろいろな人材配置の工夫、あるいは組織管理といったあり方を考え直してはどうかといった提言でございます。
 そしてその中にも、国立公園管理業務というものが国の直轄となって、自然保護官がデスクワークに縛りつけられる事態も発生しており、林野庁からの部門間配置転換による人員増にもかかわらず、公園の自然や利用者に接したところで働くレンジャー、保護官の姿を見ることができない状況は改善されていないというふうに指摘されております。そして最後の方に、一つの提案として、北米の国立公園における国立公園協会、自然史協会のような、国立公園ごとの民間団体の設置を検討してはどうかというふうな提言もなされております。
 こういった公園の管理形態、今回の法案にも少し一歩進んでいくところがあるのかもしれませんけれども、こういった提言に対して、あるいはこういった自然保護官の仕事の内容というもの、ほかのところの提言でも、公園利用者への自然解説というものがあるのだけれども、そういうのがなかなかできないといったことも聞いております。
 私自身も、ビジターセンターというのですか、そういった公園の拠点のところへ行っても、この人が自然保護官かと気がついた覚えがございませんし、きのうの夜だったのでちょっと無理なお願いをしましたけれども、局長も自然保護官としての経験がおありであれば、ぜひその制服姿を見せていただきたいというお願いをしたのですけれども、それはおいておきまして、今の管理に対する人材配置あるいは組織のあり方といったことについてお答えをいただきたいと思います。
小林政府参考人 国立公園の管理官、自然保護官、レンジャーと言っておりますけれども、レンジャーの制服につきましては、私が現地から離れてもう随分たつものですから、先生から言われて捜してみたのですけれども、実は、みんなそれぞれ個人が持っていて、本省の人は持っていない。実は、私はまだ一度も支給されたことがないものですから。私が現地にいた時分にはまだ制服というのはなかった、そういうことでございます。
 冗談はさておきまして、現地の管理は、全国十一のブロックに分けて自然保護事務所というのを置いておりまして、その下に自然保護官事務所というのを六十七カ所配置、そういう体制でやっております。国立公園の許認可事務とか、自然解説活動、公園のパトロール、それから先ほど御指摘があった公園計画の案の作成、土地や建物の管理、そのほかに、絶滅のおそれのある野生動植物の保護の活動というのもやってきております。また、環境省が発足したことを契機に、国設鳥獣保護区の管理など鳥獣保護区のこともやりまして、今現在二百十人の体制で、手いっぱいやっているというところでございます。
 同じような制度を持っている韓国の国立公園、地域制の国立公園で、一人当たりの管理面積が千ヘクタールに対して、日本の管理官は一万ヘクタール程度。ですから、十倍の面積を管理しているというふうな状況の中で頑張っています。
 その中で、今回の法律でも出させていただきましたけれども、やはり公園管理団体というようなものと、民間の人たちと連携をとって、自治体、民間の活動団体、そういう人たちとも連携をとって自然公園の管理、充実に努めてまいりたいと考えております。
奥田委員 今、一人当たりの管理面積が十倍という話もありました。
 ただ、いろいろと地元の方でも、当然一人でできることではございませんので、都道府県あるいは市町村との関連、そのほかにも、私も初めて聞くものもありますけれども、今回はグリーンワーカー制度といったものも取り上げております。そのほかにも自然公園指導員、あるいはパークボランティア、あるいは希少野生動植物種保存推進員、さらには鳥獣保護員制度、森林インストラクター、鳥獣保護区管理員制度、ほかにも営林署の森林官だとか、あるいは災害救助の救助隊といったものも、いろいろな仕事の中でかかわってくることと思います。また、いろいろな許認可の判断をするときにも、御相談しなければいけないところなどたくさんあると思うのですけれども、こういった実際の現地業務の中で、こういった関連組織といいますか、どういう連携をとっているのか、少し御説明いただきたいと思います。
小林政府参考人 自然保護官が現地で業務を行うに当たりまして、都道府県、市町村と連携をとるのはもちろんでございます。
 そのほか、地元のいろいろな方々、事業をやっていらっしゃる方々とかそういう人たちも交えまして、公園管理に関する協議会というようなものを各地域地域でつくってございまして、そういう中でいろいろ御相談を申し上げたり、御協力をいただいたり、こういうふうな形をしています。
 また、先ほど先生御指摘いただきましたようなパークボランティアですとか、地元の自然保護団体など、地域に詳しい方々にも御協力をいただいて、連携をとりながら現地管理業務に努めているところでございます。
奥田委員 当然、こういったボランティアの人も含めて、協議会の輪というのはこれからどんどん拡大していきたいと環境省は考えておると考えておるし、またそういった拡大で活動しておるということがあればお聞かせいただきたいと思います。
小林政府参考人 特に公園の現地管理というのは、地元との連絡調整が欠かせません。国立公園といいましても、国の土地ではありません民有地がかなりの部分、二五%もあるというような状況の中で、地元との連絡調整、協議会の運営、大変大事なことだと理解してございます。
奥田委員 今度は、話の方はまた変わりまして、環境アセスメント関係について少しお話を伺いたいと思います。
 大臣にお伺いしたいんですけれども、この環境アセスメント制度、大変まだ歴史は浅いですけれども、大変私どもも期待しておる制度で、これがやはり有効にどんどん機能を発揮してほしいというふうに考えております。
 今の環境アセスメント制度、法制度ができる前の事業にさかのぼってそこに入り込むことができないといった弱点がございます。その中で、現在進行中の取り組みとして戦略的環境アセスメントについて検討をしておるということで、こういった準備段階といいますか、本当の計画の青写真をかくところから環境アセスメントが入っていくといったことはぜひとも実現あるいは制度化してほしいというふうに私も思うんですけれども、現在、途中経過になるかもしれませんけれども、どういった方向性を考えているか、あるいはスケジュールとしていつごろそういった提言あるいは法としての提示を目指しているか、大臣に御答弁いただきたいと思います。
炭谷政府参考人 それでは私の方から、現在どのように進めているか、事務的に御説明させていただきたいと思います。
 今先生御指摘のように、戦略的アセスメントは、早い段階で、また幅広い視野で環境配慮を織り込むための手続的な手法と考えておりまして、既に主要諸国や我が国の先進的な自治体でも取り組みが行われておるところでございます。
 環境省では、環境影響評価法の制定に際しましての国会の附帯決議がございまして、その御指摘を踏まえまして、平成十年七月から戦略的環境アセスメント総合研究会を開催いたしまして、国内外の戦略的環境アセスメントの実施状況の調査などを行いまして、これにつきましては一昨年の八月に、基本的な考え方や留意点をまとめた報告書を公表したところでございます。
 またさらに、平成十二年の十二月に決定しました環境基本計画におきましても、戦略的アセスメントについてのガイドラインを作成すべきこと、さらに必要に応じて制度化の検討をすべきことを盛り込んだところでございます。
 そこで、現在環境省といたしましては、これらの流れを受けまして、まず分野ごとの具体的な検討や実績を進めることが重要であろうと考えまして、まず、非常に住民の関心の高い廃棄物の分野についての戦略的環境アセスメントの手続や技術手法の検討や諸外国の先進事例の分析を行いました。これにつきましては、昨年の九月にその結果を報告したところでございます。
 このように研究や調査を積み重ねているところでございますけれども、なお技術的な開発をさらに進めなければならないということもございます。さらに、試行的にいろいろな事例や経験を積み重ねるというようなことを重ねまして、戦略的環境アセスメントの導入に向けた調査検討をさらに精力的に進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
大木国務大臣 私に対する御質問でもありましたので。
 今の現状は局長の方から御説明したんですが、私、これはむしろ感触を述べさせていただきたいんですけれども、公共事業をやると必ずアセスが必要だということ、これは従来からでありますが、特に今回戦略的というような名前をつけて、いろいろときちっとアセスメントの内容もあるいはそのやり方も考えろということの背景には、やはりできるだけ早い時期から、いろいろな事業をやる場合には、途中で何かアセスメントのために非常に物が動かなくなってしまったというようなことでは非常に残念なわけですから、そういった意味でのある程度早い段階からやるということもあると思います。
 それから、物によりましては、一たんスタートしたけれども、やはり数年たったらちょっとこれは実態に合わないというようなこともあると思いますから、やはりいろいろな事業の、どういう時点で、言うなれば途中でもあるいはある程度やった後でも全体として目的に合ったきちっとしたアセスが行えるようにということを考えるのが、私はこれから環境省としてもひとつ課題だと思っておりますので、私としては、大臣の立場からもそういうふうに取り組みをさせていただきたいと思っております。
奥田委員 各省庁ごとでは、三年ほど前ですか四年ほど前ですか、閣議決定でなされた、時のアセスメント、各事業省庁ごとに見直しをしろといったこともございました。ぜひ、そういった計画段階からのアセスメントとともに、やはり凍結、あるいはその中で環境問題が絡んでいろいろな住民の中でも意見が割れているといったものにも、何とか環境省が客観的なあるいは環境面からの科学的知見を提供できるような、そして意見を言えるような、そういった姿をどうか求めていっていただきたい。こういった時のアセスメントみたいなところにも、環境省が意見反映できるような姿を求めていっていただきたいと思う次第でございます。
 こういったものが、今一つ事例を挙げましたら、川辺川のような問題なんかにも、やはり地元の意見でアセスメント自身を拒否したりあるいは求めたりといった動きもございます。また、環境面では大きな事業の方向に影響を与えることであると思いますので、ぜひお力を与えていただければとお願いいたします。
 ようやく法案の方に入らせていただきますけれども、今回の自然公園法の改正の中で、風景地保護協定制度といったものがございます。そして、いろいろ特別土地保有税でありますとか相続税に対する、地主さんに対する財政的な支援措置を盛り込むというふうに書かれておりますけれども、ちょっとまだその内容があいまいであります。そして、こういった相続税あるいは固定資産税ですか、こういったところには既に支援措置といいますか減免措置、あるいは免除といった措置が行われておりますけれども、今回の協定制度とこれまでの国立公園指定の中での制限措置に基づく減免との関係というものをちょっとお話しいただければと思います。
大木国務大臣 それでは、ちょっと概括的なことを私の方から御答弁させていただきますが、保護協定を結んだ土地所有者への支援策としては、特別土地保有税の非課税措置というもの、これは講じているところであります。それから相続税については、いろいろ御議論があるんでございますけれども、保護協定に基づく土地利用の制約に見合う適正な土地価格の評価が行われるよう、これは実は国税庁に要望をしておるということでありまして、現在、関係方面と調整中という段階でございます。
小林政府参考人 現行の税制措置のことでございますけれども、特別地域など規制がかかっている程度に応じて相続税が三割から八割控除される、また固定資産税、特別土地保有税は、規制の程度にもよりますけれども、非課税というような制度もございます。
奥田委員 今の協定制度の中での、保護管理の中での措置とは違いますけれども、当然御存じの、環境省の認可団体であります日本ナショナル・トラスト協会といった買い取り運動、あるいは保護契約用地を広げていくといった運動がございます。今現在でこの協会で保全契約を結んでいるものは約一千八百ヘクタールというふうに聞いておりますけれども、そこの協会からの提言でも、こういった自然環境保全の目的での土地の取得、こういったものに関して、ぜひいろいろな優遇制度といいますか、減免措置をとってほしいというふうなことがございます。そして、あるいは制度の面でも、地主さんとの契約なんかの上で永久保存を保障するような法制度といったものができないかといった提言も行われております。
 こういった提言に対しての環境省としての取り組みがございましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
小林政府参考人 ナショナルトラストにおきますいろいろな税の軽減措置につきましては、なかなか難しい点もあるんですが、今回の自然公園法による協定制度、そういうようなものの活用の中で対象になってくる場合もあると思います。全般的にはもう少し勉強させていただきたいと思います。
奥田委員 一つの市民運動の善意として、あるいはこれまで大きな実績を積み重ねてきておる団体でもございます。もちろん、こういった制度の趣旨を曲げてそういった制度が使われたら大変なことでございますけれども、ぜひとも、こういった運動が地価の高い日本でも進められるように、本気でこういった制度の促進といったものを考えていただきたいとお願いする次第でございます。
 実は私は、昨年九月になりますから最新の話ではありませんけれども、沖縄の方へ行かせていただきました。それで、先ほど、白保の方にも少しこだわりがあって、ぜひ環境省にも何か手を尽くしていただけないかといったことを言いたいわけでございます。
 まず、沖縄の方の白保のサンゴ礁、面積としたら、国立公園単独でそんな大きな国立公園とかいう大きさではありませんけれども、石垣島自身がサンゴ礁の塊のような島でございますし、いろいろなリーフの形からもオニヒトデの被害なんかにも遭わなかったということ、あるいは、石垣島の中でも本当にきれいなサンゴ礁であり、またいろいろな生態系が見られる。地元の人が言えば、魚がわく海だというような言い方をしておりましたけれども、そういったところでもございます。また、WWFでしたか、世界自然保護基金の方の施設も、センターもつくっていただいて、私もちょっとそこも訪れさせていただきました。
 環境省としてもいろいろな指定も考えているといったお話でございますけれども、この白保のサンゴ礁の地域について、環境省としてのお取り組みを聞かせていただきたいと思います。
小林政府参考人 サンゴ礁は、多様な生物の生息、生育の場所として、また豊かな生物資源の生産の場所としても大事でございますし、自然と触れ合って、シュノーケルや何かを楽しむ場所としても非常に大事な場所、高い価値を持っていると思っています。
 環境省としましては、平成元年から四年にかけまして緑の国勢調査をやりましたり、平成十年にはサンゴ礁のモニタリング調査をしたりしまして、その保護を図るためのいろいろな検討をしてございます。
 このあたり、白保の周辺につきましては、御指摘のとおり、広い範囲にわたって高密度なサンゴが分布しているというようなことでありますし、北半球最大と言われているアオサンゴの大群落も見られることでございます。こういったサンゴ礁の地域の保全につきましては、現地石垣島に国際サンゴ礁モニタリングセンターという施設を環境省が設置しまして、アジア太平洋地域のサンゴ礁の保全に関する情報を収集したりしているところでございます。
 御指摘の白保の海域の保護につきましては、現在西表国立公園というのがございまして、西表島の島と、それから西表島と石垣島の間の、かつては非常に立派なサンゴ礁があった海域が現在指定されておりますが、その西表国立公園を拡張して白保の地域を編入したいということで、地元調整を図って今いろいろ話し合いを続けているところでございます。
奥田委員 沖縄の方では、ここだけに限らず、いろいろと島の土地開発に伴っての赤土問題といった中で大きな自然が失われていっているところでもございます。ぜひとも、手おくれにならないうちに環境省としての強い見解を示して、そして地元も説得して動かすような姿を見せていただきたいとお願いする次第でございます。
 もう一つ海の話の方になりますけれども、行政評価局の指摘にもありました足摺宇和海国立公園のお話をひとつさせていただきます。こちらの方で、管理の中で大変、私は行ったことはないんですけれども、いろいろな資料を見させていただきますと、本当に多くの人が接しやすい公園ではないかなというふうに思います。
 そして、その中で問題視されましたのは、アカウミガメの産卵地があるといった中で、日本にも何カ所かありますけれども、そういった立ち入り規制みたいなことをしておるところとそうでないところと大きな差が出てきている。そしてまたこちらの方は、場所によりますけれども、公園内でも、立ち入り規制、車の乗り入れ規制という形になるかもしれませんけれども、これが行われたところと行われていないところ、行われているところはほかの国立公園でございますけれども、こちらの方では増加傾向が見られるけれども、今お話ししました国立公園の方では、約半減あるいは場所によっては一割になってしまっているという報告です。
 何とか公園管理者としての対処をせよということだと思いますけれども、こちらの方で、環境省の対応策といったものをお聞かせいただければと思います。
小林政府参考人 御指摘のありました足摺宇和海国立公園の大岐海岸とそれから下ノ加江海岸というところのお話かと思います。
 アカウミガメの上陸の数につきましては、平成の初めくらいまでは十五とか二十とか、そういうくらいの数が上がっていたんですが、それ以降ちょっと減りまして、一けたの上陸ということでございます。近年は十頭近くまでふえてきているというか、年によって大分変動がございます。当時よりは幾らかいいという程度でございますけれども、そういう傾向でございます。
 減少してきた原因、幾つか考えられますが、砂浜が物理的に少なくなってきたり、それから、御指摘の車による光の害があってウミガメが警戒して上がってこなくなったり、そのほかウミガメの回遊行動が変わってきたりというようないろいろな原因が考えられますが、現在、これだというはっきりした知見というのが科学的にもまだわからないというのも事実でございます。
 ただ、車の乗り入れによる影響というのももちろん考えられるわけでございまして、行監の指摘をきちっと受けとめまして、その必要を調べまして、車の乗り入れ規制地域の指定というのも念頭に置いて、適切な対応をしてまいりたいと思っております。
奥田委員 こちらには地元の小学校だったかの子供たちも、生徒会から、カメを守るための看板なんかも出しているというふうに聞いております。ぜひとも、そういった心ない形での一つの自然破壊に加担する方に対して、環境省としても、施設面での対応なども含めて検討いただきたいとお願いする次第でございます。
 もう一つ、沖縄の方で、先ほど木村議員からラムサール条約の話がありましたけれども、泡瀬干潟という干潟がございます。こちらはラムサール条約に指定されている漫湖以上の渡り鳥が生息するところでもございますし、また、本当にやはりそこの命を生み出す活力といったものをすごく感じる場所でもございます。こちらの方がやはり地元の干拓計画といったものがあって、今はどうなっているのか、凍結という形なのか中断という形なのかわかりませんけれども、やはり自然保護運動とぶつかっておる。
 たしか昨年、藻場といいますか、ジュゴンのえさになるような藻があって、その移植をできれば、干拓計画化、そういったことが進んでいくというふうに聞いておりますけれども、現在の状況といったものをお聞かせいただければと思います。
小林政府参考人 泡瀬干潟は自然公園などにはまだ指定されておりませんが、先生御指摘のとおり、比較的大規模にまとまった干潟でして、シギ・チドリ類などの渡来地としても沖縄では一番多いところでございますし、ジュゴンのえさ場になるような海草類も大規模に生えているような大事な場所というふうに認識してございます。
 公有水面の埋め立ての手続の中で、環境庁としては関与はなかったんですが、沖縄県が、希少種の保護対策、環境監視などについて環境保全に関する意見を述べてございます。
 環境省としても、関係の沖縄県の環境部局とも十分連絡をとりまして、必要な助言をしていきたいと思っています。今後、事業者が、沖縄県から指摘された意見にのっとった自然環境保全対策が行われるかどうか、環境省としても注視してまいりたいと思っております。
奥田委員 私も建築屋上がりですので、すべての公共事業を否定したり、そういったことはございませんけれども、五十年ほど昔にさかのぼれば、上高地をダムにしようとか、あるいは尾瀬の湿原を大きな貯水池として発電計画があったというようなことも聞いております。ぜひ、一世代二世代振り返ったときに、大きな過ちを犯してしまったということのないように、本当に大切なところを守り抜くといった仕事をぜひ環境省に期待して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大石委員長 樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも質問のお時間をいただきまして、本当にありがとうございました。
 きょうは自然公園法につきましての議論ということでありますけれども、その前に、食品の安全ということで、ちょっとBSE関連、質問をさせていただきます。
 農水省の方に、ちょっときょうは冒頭、いわゆる肉骨粉の焼却が今おくれている、実は大変な事態になっております。これは一般質問のときにも環境委員会で私大臣にお尋ねしたのでありますが、最新の状況でちょっと議論をさせていただきたい。
 それに当たりまして、冒頭で農水省さんから肉骨粉の焼却状況をお尋ねしたいのでありますが、そもそも国会というのは国会議員同士の議論の場にしなくてはいけないという自由党の考え方、そして私の考え方もありまして、政府委員制度廃止にもなって、今、副大臣そして大臣政務官いらっしゃるわけでありますけれども、農水省の方にお願いをしましたら、何か副大臣と政務官合計四名いらっしゃるんだそうですけれども、のっぴきならない所用でどうしてもということでありますので、きょうは例外として局長さんにお越しをいただいております。この肉骨粉の焼却状況、お尋ねをいたしますが、御説明を詳しくいただきたいと思います。
 その前に、きのう発表いたしましたけれども、食と農の再生プランということで、きょうの新聞各紙一面に掲載されておりますけれども、私もライフワークとして食の安全に取り組んでおりますので、その説明もちょっと冒頭いただきながら、ちょっとお話をいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 先生の御指摘でございます。本来ならば副大臣、政務官から御答弁を申し上げるべきでございますけれども、やむを得ざる事情がございまして、私が代理として御答弁を申し上げます。お許しをお願いいたします。
 まず最初に、昨日発表をいたしました食と農の再生プランでございます。
 御高承のように、最近、消費者の食品安全に対する不安だとかあるいは虚偽表示問題の多発によりまして、食品加工流通に対する不安が食卓を揺るがしているという事態に対応いたしまして、早急に食の安全と安心の確保に向けた農林水産行政の改革に真剣に取り組む上での設計図といたしまして、農林水産大臣のイニシアチブのもとに作成をしたものでございます。
 その中身は、まず、重大なポイントといたしまして、消費者をパートナーと位置づけまして、一緒になって政策をつくっていく、すなわち消費者に軸足を移した農林水産行政に転換をしていくということが柱になっているところでございます。
 そして、具体的には三つの柱から成っておりまして、一つが、何よりもまず食の安全と安心の確保に向けた改革に真剣に取り組むということで、消費者第一のフードシステムというものを確立していこう、それが第一点でございます。
 第二点に、生産の面でも食を支える農の構造改革というものを加速化いたしまして、意欲ある経営体が躍進をできる環境条件をつくる、これが第二点でございます。
 第三点として、都市と農山漁村の共生、対流を進め、人と自然が共生する美の国づくりを進める。この三点を柱にするものでございまして、今後、本プランに対しまして国民の皆様方から忌憚のない御意見を寄せていただきながら、順次具体化をしていくということにしているところでございます。
 次に、肉骨粉の話でございます。
 私ども、この問題、大変頭を痛めておりまして、先生御高承のとおり、昨年度に肉骨粉適正処分緊急対策事業というものを措置いたしまして、肉骨粉の製造に係る製造経費と焼却費というものを全額国庫負担するということで始めまして、十四年度も本事業を継続するということにしたところでございます。
 現在の状況でございます。三月二十九日現在、肉骨粉約十一万四千七百トンの在庫がございます。一日の状況を申し上げますと、一日に焼却が必要な肉骨粉が約九百トン生産をされております。これに対しまして、焼却量が、努力はしておるわけでございますけれども、七百十三トンということでございます。一般焼却施設で約六百四十三トン、セメント工場で約七十トンということでございます。現時点でも、一日当たり約百八十七トンの在庫が積み上がっているという状況にございます。
 先生も御高承のとおり、これは一般焼却施設がほぼ私どもが計画している上限に近づきつつあるということで、あとセメント工場での焼却、これは現在は一日当たり約七十トンなんですけれども、将来的には四百五十トンまで持っていきたいというふうに思っております。
 今後の工程表といたしましては、梅雨入り前には一日当たり九百トンの生産量と焼却量が均衡するようにしたい。その後は、焼却量が生産量を上回って、順次現在在庫となっている肉骨粉の解消というものを図っていきたいというふうに考えております。
 現在、副大臣、政務官が都道府県知事を順次訪問しておりまして、四月十一日現在で十七道県を回っております。実は、本日も両政務官、東北地方と中国地方の知事と、このことについてお願いをしておるところでございまして、肉骨粉の焼却について、政治主導で今後強力に働きかけをしていきたいということでございます。何とぞ御理解をお願いいたします。
樋高委員 どうもありがとうございます。
 まず、食と農の再生プランにつきましては、特に中身の部分で、トレーサビリティーのシステムを導入するということ、また、JAS法改正によって食品の表示の信頼回復ということであります。
 まことに結構なことでありますが、これがいわゆる中身のない、本当にかけ声だけで終わらないように、まさしく食と農の再生プラン改め不再生プランにならないように、そもそもこれはトップダウンで決められたということでありますけれども、トップダウンで決めるのに半年もかかるのかと私にはよく理解できないのでありますけれども、これは今大変な、食品の問題というのは、毎日口にするもの、お酒も一緒に口にする方もおいででありますけれども、毎日口にするものでありますから、どうか信頼回復に向けてきちっと中身のあるプランを策定していただきたいというふうに思います。
 この肉骨粉の焼却状況、要するに生産量に対して焼却量が追いついていないよということなのであります。しかも、この焼却が本格的に始まったのは去年の秋、そしてその数が、なかなか市町村の一般焼却施設もしくはセメント工場での焼却が進まなかったということで、累積をしております。いわゆる倉庫に十一万五千トン今保管をされている。しかも、それは国庫全額補助で、全額出しますので、予算定額制で一トン当たり月に千二百三十六円もお支払いをしている。これは国民の血税であります。
 要するに、廃棄物処理行政を所掌いたしますのは環境省でありますから、まさしくここで環境行政のおくれというのが指摘されているわけでありますけれども、私、これは大変な問題であるというふうに思います。そもそも、今、お話では梅雨入り前にはその均衡を図るということでありますけれども、今までの累積している、保管をしている部分があるわけですから、これはもう本当に大急ぎで対策を講じていかなくてはいけない。
 なぜこれだけ焼却処理がおくれているのか、やはり原因があると思うんです。そこの部分も含めまして大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、焼却のおくれを環境省に責任があるというふうに私は思いますが、いかがお考えでしょうか。
大木国務大臣 BSE問題というのは、基本的に国民の命にかかわる食品の問題でありますから、これは、もちろん内閣全体でその解決には努力しなきゃいかぬということで、そういう意味で環境省も責任があるぞと言われれば、私は、当然私どもも責任感を持って処理に当たりたいと思っておりますし、当たっておるつもりでございます。
 ただ、正直申し上げますと、その肉骨粉、実は今まではむしろ肉骨粉を、商品と申しますか有価物と申しますか、そういう形で扱ってきたのが、今回のBSE問題の発生とともに、言うなれば一種の廃棄物ですか、廃棄物と言っていいと思いますが、廃棄物扱いになってしまって、それをどういうふうに処理するかということでございましたので、その取り扱いが多少混乱しておったということは否定できないと思います。
 しかし、先ほどのお話のとおり、それこそ農水省の方も一生懸命やっておられますし、私どもも、農水大臣に私お目にかかると、いつもこの話は頼む頼むということで、頼むといいますか、私ども一緒に内閣の一員としてやっておるわけですから、やっておるわけでございます。
 それで、先ほどの数字、ある程度お話がありましたけれども、市町村の一般の焼却施設における処理ということで、これは私どもも地方公共団体へいろいろと強く要請をしている。それからもう一つは、先ほどもちょっとお話があったと思いますが、セメント工場における肉骨粉の再生利用認定制度を活用して処理を推進するということでやっておるわけでございます。
 ということでありまして、農水省さんと協力してと申しますか、むしろ小泉内閣全体として協力して推進をしてまいりたいと思っておりますので、そのように御理解をいただきたいと思っております。
樋高委員 このいわゆる肉骨粉につきましては、厳重に保管をしているということでありますけれども、十一万トン以上が日本全国に拡散をして保管されているわけです。もちろん、これは今全額補助されているわけですから、それを勝手に抜き出して飼料として入れたりすることはないでしょうけれども、ずっとそこにまだ物があるということは、常に不安がいつまでも解消されないということでありますから、こういうときこそ環境省がリーダーシップをとって、きちんと対応をすべきであるというふうに申し上げたいと思います。
 それと、セメント工場全部で一日当たり最大焼却量四百五十トン可能であるんですけれども、まだいまだに七十トンしかセメント工場で焼却されていない。
 この肉骨粉を焼却しました後、いわゆるカルシウムが残りまして、それはセメントの原料となっております。そうしますと、以前も、記憶にある方おいでだと思いますけれども、セメントが海の砂を利用したことによって強度が落ちたということで、ちょっと大変な社会問題にもなったわけでありまして、今回、肉骨粉のセメント、高炉焼却によってセメント塩分が増加をいたしまして、強度、品質の低下が問題でもあるというふうに思うんですが、いかがお考えでしょうか。
大木国務大臣 セメントに肉骨粉を使ったときにどういうことが起こるか、これは、ある程度科学的にきちっと調べて、影響あるのかないのかということでありますが、セメント工場での肉骨粉処理につきましては、セメント協会の方で、ヨーロッパでいろいろと前例があるようでございますし、太平洋セメントによる、大分県津久見でしたか、工場があるので、そちらでもいろいろと燃焼実験が行われてきたところだというふうに理解をしております。
 そこで、これらの知見を十分踏まえた上で、また、各工場においては他のセメント原料に対する肉骨粉量の割合をおおむね一%以下とするということで、日本工業規格、JISのセメント規格に合致するセメントを製造しているというふうに理解をしております。
 したがって、現在、少なくとも私どもが得ておる資料では、肉骨粉のセメント焼却によっての、例えば海の砂のときに、コンクリート材料として使用したときのような非常に心配しなきゃならないような強度の低下というのは起こっていないというふうに理解をしております。
樋高委員 セメントというのは、一回高速道路なり道路をつくったときに、それはずっと長年使われるわけでありまして、実際に何年か何十年か使ってみないとわからないという部分もあるのだそうであります。したがって、今回のBSEの対策、きちっとやらなくちゃいけないのも事実ですけれども、そういったことも考えた上で、しっかりと監督をしていただきたいというふうに思います。
 そもそもこのBSEの、肉骨粉の問題も含めまして、大臣、去年ですか、イギリスに行かれたということでありますから、まさしくBSEの問題によって環境問題になってしまった、いわゆる焼却問題について環境問題になってしまったというぐらい大ごとでありますから、きちっと今後も責任を持って、BSE対策は、農水省、厚労省、そして環境省、この三省が責任があって、まずきちっと最前線で対応しなくちゃいけないというところであると思いますので、しっかりとお願いをいたしたいと思います。
 それで、自然公園法なのでありますけれども、九五年には生物多様性国家戦略が策定をいたしました。そして今回は、先月、新生物多様性国家戦略というのをまとめられたということでありますが、その七年前につくられた案が十分に効果を上げなかったという声も多いわけであります。だからこそ、今回、新しい案をつくったんだとは思いますけれども、今回、自然公園法の一部改正に当たっても、やはり原因を含めてきちっと検証すべきじゃないかというふうに思うのでありますが、いかがお考えになりますでしょうか。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
大木国務大臣 一九九五年にせっかく国家戦略をつくったけれども、なかなか百点がつけられない、百点どころか、随分いろいろな問題があるなという御感触だと思います。
 私も、ではこれをどうするんだということですけれども、前回もいろいろと国民の関心や理解を高めて多様な取り組みを促すということでやってきたわけでありますけれども、正直申し上げまして、まだまだ現在の日本の行政というのは、縦割り行政の問題もありまして、なかなか時間がかかる。あるいは、私はいつも同じこと、縦割りのほかに横割りと言っているんですけれども、国と都道府県とか、あるいはもっと、市町村とか、現場でいろいろな問題がある場合には、そこら辺の意思疎通がなかなか十分に行われていないという弊があるというふうに思っておりますので、そういったことも十分にこれから、一口でこれから一生懸命やりますと言っても、すぐになかなかできないんですけれども、やはりそこが問題だということは意識しながら、今後は立派な戦略が行われるように、またひとつ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
樋高委員 きょう大臣には、いわゆる自然環境保全全体のビジョンについても伺いたいと思っているのでありますけれども、ちょっと時間の関係上、またいずれの機会に質問させていただきたいと思います。
 次にお尋ねをいたしたいのは、いわゆる生物多様性の保全というのは、当然人と自然との共生という視点から大切でありますけれども、今回の法の施行に当たりまして、いわゆる生態系の状況、日本全土の自然環境の状況をそもそも環境省が十分把握し切れていないんじゃないかというふうにも私は思いますし、懸念をいたしております。把握不足ではないかと思うのでありますが、その点についてまず一点と、先ほど来議論が出ておりましたけれども、モニタリングなどを行ういわゆる人材養成が立ちおくれているのではないか。地域の方が一番地元の自然というのは知っているわけでありまして、そういう方々を長い年月かけて育てていかなくちゃいけないという部分があると思うのでありますけれども、その部分、早急に対応すべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
大木国務大臣 環境省の方で、自然環境保全基礎調査、いわゆる緑の国勢調査というのをやっていることは先生方十分御存じだと思いますが、これを実施いたしまして、我が国の自然環境に関する基礎的なデータというのをかなり多く蓄積しておりますので、私も実は全部見たわけじゃないんですけれども、今後は、自然公園の管理運営に当たっても、こういったデータを十分に活用しなきゃいかぬ。
 ただ、正直申し上げまして、こういったいろいろなデータがある、データがあるという話は、私もいろいろと報告は受けるのですけれども、それじゃそれで十分かということになりますと、まだまだ日暮れて道遠しというような感じの部分もありますから、これはひとつ、実は中央環境審議会におきましても、自然公園のあり方についていろいろと議論を進めていただくということでございまして、その中で、人材養成といったものを含めた科学的データの収集、分析、あるいはそれをどうやってまた必要なところへ提供するかといったようなことにつきましても検討していただいておりますので、できるだけまたひとつそれが具体的な提言として出てくるように、私どもとしても努力してまいりたいと思っております。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
樋高委員 次に、普通地域と特別地域ということで分かれておりますけれども、行為の禁止または制限というのは、今までの自然公園法の法体系の中でどの程度なされたのか。つまり、自然環境というものを環境省が十分に把握をしていないがゆえに、普通地域についての指定、自然公園法第二十条の第二項でありますけれども、そもそも何のために指定されているのかわからなくなってきたという声も聞かれるわけであります。やはりきちんとした調査がなされていないからではないかという指摘もありますけれども、十分なモニタリング、情報収集、そして情報公開、きちっとできるようにしていただきたいということ、これを要望として申し上げたいと思います。
 次に、保護のための規制の計画に関しましては、陸の部分と海の部分と二つに分かれます。今回の法改正によりまして、特別地域の行為の規制を行うということでありますけれども、これは陸についてであります。陸について規制をする。そうしたら、私単純に思うのですけれども、その分海に行ってしまうんじゃないか。つまり、車とかタイヤとかごみ、土壌、投棄する場所が陸から海にそのまま移ってしまうんじゃないか。海の方もきちっと規制をしなくちゃいけない。つまり、海中公園地区という指定があるんだそうですけれども、こっちの海の方も規制をしないといけないんじゃないかと私は思いますが、いかがお考えになりますか。
大木国務大臣 今、海と陸というお話でありますけれども、動物ということ、あるいは動植物全体の問題になるのですけれども、特に動物について考えてみますと、海中のものにつきましては、海中公園地区においては、例えば熱帯魚など環境大臣の指定する動物の捕獲は規制されているというようなことで、ある程度規制がある。そういう形での規制はある。それからまた、海中公園地区におきましては、やたらに埋め立てなどはできないという規制がありますし、特に海中公園の状況が非常に危機的な状況にあるというふうには考えておりません。
 ただ、そう言ってしまうと、それじゃ大丈夫かということになるのですけれども、今おっしゃったように、陸の規制の強化の結果、海の方へ人がどこまでどういうふうに行くかというのは、これはまたしっかりと見きわめなきゃいかぬわけでありますけれども、実は確かに、私ども見ていましても、もちろん季節的な傾向もあると思いますけれども、スキューバダイビングなどでどんどんと若い人が出かけていくというようなことを見ていますと、これはやはり海中の景観や、それから今のもちろん生物の多様性について支障が生じないようにということで、今後注意深く見守りながら、もし必要な管理ということが出てくれば、またひとつそういうことも考えなきゃいけないというふうに思っております。
樋高委員 しっかりと監視をしていただきたいというふうに思います。
 次に、先ほど来議論が出ておりましたけれども、自然保護官についてであります。この自然保護官は、いわゆる国立公園内の管理事務所に駐在をするということで、レンジャーと呼ばれているんだそうでありまして、今は約二百十名ということでありますけれども、実は、同じように森を守るという意味で、森林管理官という方がおいでです。これは、根拠法は森林法、いわゆる林野庁さんの方でありますけれども、こちらの方は人数が一千二百五十六人、一方で環境省の方の自然保護官が二百十名。
 実は、法律を見ますと、いわゆる森林法よりも、はるかに自然公園の方が禁止規定、項目が多いんです。はるかに多い。しかも、このいわゆる森林管理官の方は、フォレスターというんだそうでありますけれども、森林管理官さんの方はいわゆる林とか森だけ。一方で自然公園は、湖もあれば谷もあれば尾根もあれば、さまざまな景観があるわけでありまして、しかも国土全体の一四%というところが自然公園に指定されているわけであります。
 なおかつ、そのいわゆる権限が、森林管理官の方は司法警察権を持っております。一方で自然保護官は司法警察権を持っておりませんので、そこで違反者がいても、注意をするか勧告だけで終わります。当然逮捕もできませんし事情聴取もできませんし書類送検もできないということでありますから、私は、将来的には、本当に自然環境を守るということは、今いよいよ、本当に環境を守るか守らないかの時代の流れの中で瀬戸際にあると思いますので、将来的には司法警察権も与えるぐらいあってもいいのではないか。このぐらいドラスチックにいろいろ改革をしていくべきじゃないかというふうにも私は自分の持論として考えたりもするのでありますが、この自然保護官、その効果を上げているのかも含めまして、ちょっとお伺いをしたいと思います。
大木国務大臣 自然保護官とそれから森林管理官の方、両方比較しての御質問でございましたけれども、やはり自然保護官なり森林管理官が必要になってきたその歴史的な背景というのも多少違うんじゃないか。
 森林管理官の場合は、やはり林野庁で、日本の森を守ると同時に、日本の林業というものをどういうふうにきちっと育てていくかということもあって、そういった長い重い歴史をお持ちですから、今でも、今でもと言っては失礼ですけれども、千二百六十五人と今おっしゃいましたが、そういった人がおられるわけであります。
 片や、我が自然保護官の方は、比較的歴史も短いというようなことで、しかしだんだんにその仕事の内容も重くなってまいりますので、これはひとつ人間をさらにふやしていただきたいということは、これはもう毎々申し上げておるところでございますから、どうぞまた国会でのいろいろな御審議の場合にも御支持をいただきたいのですけれども、今言ったように、司法警察権を持っていないということも一つ私は問題だと思います。これからきちっと仕事をするということになれば、当然そういうことも考慮しなきゃいかぬということで、これは現実にある検討課題だというふうに認識をしております。
 それから、実は実態といたしましては、森林管理官の方からかなりいろいろと、農水省とも御協力いただきまして、そういった方からのまた人員の異動というようなことも少しずつはやっていただいておりますけれども、正直申し上げまして、自然保護官の方の立場からいえば、まだまだニーズに対応した十分な人数をなかなか確保し切れていないということでもありますので、これはひとつ、今後仕事の内容の充実ということと一緒に、これからそういった人事の方の充実ということも努力してまいりたいというふうに考えております。
樋高委員 人数の確保については、これは大臣の腕の見せどころでありますから、しっかりとお願いしたいと思います。
 次に、政務官に二問続けてお尋ねをいたします。
 今回の法の適用に当たりまして、いわゆる国定公園、もしくは都道府県立自然公園は当然でありますけれども、管理は各都道府県ごとであります。一方で、自然公園は、いわゆる県境を多くの場合はまたいでおりますので、その県境をまたぐ地域について、対応が異なってしまうおそれもあるというふうにも懸念されております。このことについて、どのようにお考えになるかが一点。
 あと、いわゆる利用調整区域の立ち入り制限ということでありますけれども、その具体的な候補地。また、立ち入り制限と、一方で環境学習をしようということは相反するわけであります。つまり、利用することと保護するということは相反することでもあるということと同じでありますけれども、この自然体験学習、例えばエコツアーですとか、村おこしとかいうことで人が入っていきますが、相反するこのことにつきまして、両立をしなくてはいけないのですけれども、今後、無用の混乱を引き起こさないためにも、どこで線引きをするのか確認しておく必要があると思いますけれども、いかがお考えでありますでしょうか。
奥谷大臣政務官 国立公園につきましては、環境省が一元管理しておりますので、その差異はないと思います。
 御指摘のように、いわゆる国定公園あるいは県立公園の問題でありますけれども、これは各都道府県が管理を自治事務として行っております。許認可などの適用に当たっては、自然公園法施行規則等の全国一律で定めた基準に基づいて判断がなされております。また環境省においても、自然公園業務担当者会議等の場で、各都道府県が隣接都道府県と連携を十分とるようにお願いをしておるところでございまして、その対応に差異は出ないものと考えております。
 それから二点目の、利用調整地区の立ち入り制限に係る話でございますが、今、具体的な候補地として知床国立公園の知床半島の先端部を考えております。当該地区では現在、地元斜里町及び羅臼町において、公園利用と管理に関して何らかの利用者のコントロールが必要との意見が出されておる、地元の要望が出ております。
 その他の地区につきましても、本法律案の成立後、都道府県など地元の意見を聞きつつ、対象候補地の選定を検討してまいりたいと思っております。
 また、御指摘いただきました立ち入り調整地区の人数制限につきましては、生態系保全の観点から、科学データに基づいて適正に決定をすることとしたいと思っております。
 また、利用調整地区の制度によりまして、将来にわたり持続的な利用が図られ、こういう制限をすることによって、さらに深みのあるというか、すぐれた自然を体験していただいて、貴重な自然体験学習の機会になるものと考えております。
樋高委員 大臣に伺います。
 利用調整地区につきましては、いわゆる利用者数をコントロールする、制限しますよということでありますけれども、制限をすることによって、かえって入りたくなるのが人間の気持ちじゃないですか。そこには貴重な自然があるということをむしろ公に広めるということは、逆にそこに入りたくなってくる。しかも、入り口が一つ玄関があるわけじゃないのです。日本全土の一四%が自然公園なわけでありまして、かえって立ち入ろうとする人が出てきてしまうのではないか、それだけ価値があるということを外に広めるわけでありますから。このことについて、どのようにお考えですか。
大木国務大臣 非常に立派な自然があるよということを一方においてPRしながら、同時に、やたら入ってきてもらっては困る、必要な入場制限もいたしますというのは、まことに一見、相反したことになるわけでございますが、今政務官からもお話がございましたように、せっかく国立公園と名を打ったような自然なら、そうどこにでもある自然ということではなくて、それだけ深い、本当に日本の誇りとなるような国立公園であり、自然であるというものはやはり維持しなければいかぬというようなことでありますから、そういったところでひとつ国民の方々にも、利用すると同時に、入場制限の方は御理解願いたいというふうに言わざるを得ないと思うのです。
 国民の方からいえば、せっかく国民全部の共有の財産だ、そういうお気持ちはあると思いますけれども、今申し上げましたように、同時に、その国立公園としての価値と申しますか、自然の価値というものは、やはりそれだけのレベルに維持したいということでありますので、そういうふうに御理解をいただきながら、ひとつまたPRはしていきたいと思っております。
樋高委員 立ち入り制限は、私は賛成、当たり前なのですけれども、要は、それをし切れるかということを申し上げているわけであります。
 要するに、不法に立ち入る人を防ぐためには、やはり物理的に限度もあるわけですね。やはりここは、結局モラルの部分にも入り込んでしまうのではないか。いわゆる国、地域を挙げて周知徹底をしていく、また自然環境保全のそもそもの重要さをきちっと認識するように、国民の意識転換が欠かせないのではないかというふうに私はまず申し上げておきたいと思います。
 次に、公園管理団体の指定につきましてであります。
 今回、民間団体もいわゆる公園管理団体に指定をしますよということでありますけれども、結局、公益法人ばかりになってしまうのじゃないかというふうに私は懸念しています。もちろん、NGOさん、NPOさんも加わることもきっと視野に入っていると思いますけれども、結局、民間団体といえども公益法人ばかりになってしまって、きちっとその地域の市民が参加する、例えば地域の団体なり、地元の住民の方々が中心になって、自然を守っていこうということで意識改革をしながら、意識転換をしながら、お互いにみんなで将来のために自然を守ろうよということではなくて、何か、公益法人にばかりどんどん仕事が行ってしまうような気もするわけでありますけれども、いかがお考えになりますでしょうか。
大木国務大臣 別に、公益法人だけだということを言うつもりもないし、法律でそういうふうに決めようという気持ちは全くないわけであります。
 いろいろ地域によっての事情もあると思いますけれども、NPO法人など、実際に、それぞれの地域に根差して適切な公園管理ができる、能力も実績もあるというような民間団体もありますから、そういった団体をできるだけ前向きにひとつ指定して、一緒に協力していただきたいというふうに思っております。
樋高委員 この公園管理団体につきましては、いわゆる地元民間団体等を指定するということで、例えばNGOさん、NPOさんということでありますが、それがただ単なる下請となってはいけない。つまり、管理計画を立てるに当たっては、一緒に考えるところから、計画段階から参加をしていただく、つまり市民参加による協議があってこそ、内容ある成果を出し得るのではないか。
 地域のことはその地域の人が一番よく知っているわけですね。また、問題もよく知っているわけです。ですから、そういう方々がきちっと計画の策定段階から入ることもすごく重要なことなのではないかと私は思いますけれども、いかがお考えになりますでしょうか。
大木国務大臣 一言で申しますと、全くそのとおりだと思います。しかし、全くそのとおりといってほかっておくというわけではなくて、具体的にはまた中央環境審議会等々でも、自然公園のあり方の中で、そういったいろいろな団体との協力のあり方ということについてはさらに研究してまいりたいと思っておりますから、これはできるだけまたひとつ答えを早く出して、実際にそれを実施したいと思っております。
樋高委員 最後に、これは今回の自然公園法の法律だけではないんでありますけれども、毎回、法律案には附帯決議というのがございます。この附帯決議によりましてそれぞれの各党のいろいろな主張が盛り込まれて、附帯決議を決議した後大臣が、その意向をよく尊重してという趣旨の答弁がありますけれども、よくその附帯決議の案文の中に、検討いたしますとか、定期的な点検をいたしますとか、情報提供に努めますとか、推進しますとか、十分反映をいたしますとかいうことを、立派な言葉がたくさん並ぶんですけれども、ではそれがどこからどこまでどのように行われて、その結果どうなったかというのがなかなか見えてこない。
 それは委員会で委員が質問すればいいじゃないかという意見もあるかもしれませんけれども、そうではなくて、環境省は今数ある役所の中で、民間でどこか調査したんだそうですけれども、情報公開について一生懸命取り組んでいるというところがランクが上の方だったんだそうです。そういう環境省でありますから、この附帯決議でうたったこともきちっと定期的に公表なり発表なり、例えばホームページという手もあると思いますし、別にペーパーでも構わないと思いますし、特に自然環境というのは常に永続するものでありますから、きちっと経過を、結果がどうであったかということを明らかにする必要があるというふうに思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
大木国務大臣 附帯決議でいろいろと御要望が出てくるというのは当然でありまして、ただ、附帯決議で出てくる御要望の中には、なかなか今すぐは環境省としてあるいは行政の全体としてできないので、しかし、中長期と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、今後の課題としてやれ、こういうのが多いと思います。
 したがって、もちろん私どもとしてはできたことはできるだけひとつ情報公開といいますか、むしろ役所のPRも含めてさせていただきたいと思いますが、ただ、必ず定期的に国会のあるいはこの委員会の中で報告ということになりますと、また必ずしもできないことを余り口約束だけするといけませんので、そういうことは、できたものは今後も情報公開あるいは環境省としての仕事の御説明ということで、今おっしゃいましたホームページを含めて、できるだけ皆さん方にも報告するように努力をいたしたいと思っております。
樋高委員 しっかりと努力をお願いしたいと思います。
 本来は国会のシステムでやるべきでありますけれども、その経過措置として環境省さん御自身のアイデアと行動力でもって情報公開と申しましょうか、附帯決議案、今までもたくさんの附帯決議がありますけれども、特に環境省管轄の法律には附帯決議が多いんだそうでありますから、群を抜いているんだそうでありますから、きちっと定期的に報告をするということをお願いを強くいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。きょうはありがとうございました。
大石委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時七分開議
大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 今回の改正案では、「国等の責務」に、「自然公園における生態系の多様性の確保その他の生物の多様性の確保を旨として、自然公園の風景の保護に関する施策を講ずるものとする。」と明記をされました。生物の多様性の確保を明記したことは前進ですが、依然として、風景の構成要素として保護するという範囲にとどまっております。
 生物多様性はそれ自体として重要なものであり、国立公園等において最重点で取り組むべき重要な課題だと考えます。しかし、現在の自然公園法は、風景地の保護と利用の増進を目的とするものであって、野生動植物やその生息、生育環境の保護は明確に位置づけられておりません。
 ですから、特別地域や特別保護地区の指定などでの風致や景観の保護に関する各条文でも生物多様性の保護を明記することであるとか、公園計画や公園事業での規制または施設に関する規定のところに野生動植物の保護を盛り込むなど、生物多様性の保護の目的を徹底すべきではないかと思うのですが、環境大臣、いかがですか。
大木国務大臣 これは立法技術上の問題というとちょっと言い方があれかもしれませんけれども、一つの法律の中で、今回も「国等の責務」ということで生物の多様性の確保ということが第三条でばんと書いてありまして、言うなればこの第三条は、すべてのあとの個々のものについても、またそれをカバーしておるというふうに私は理解しております。
 もちろん、またそれをもう一遍、個々について生物多様性というのを改めて明記するということも一つのお考え方かもしれませんけれども、今のところ、ここにいろいろと内容があるわけでございますから、個々のものについて全部生物多様性というのをもう一遍書き直すということになりますと、そうすると逆に今度は、書いてないところはそれじゃ要らないのかというようなことにもなりますし、それは現実の問題ということで、自然公園法の中で、今少なくとも行政でいろいろやるという内容と、それから全体としての体制ということを考えますと、この第三条で書いたことによって、一応その目的は達成されておるんじゃないか。
 ただ、それはまた今後、この問題については特に生物多様性の問題等を考えながら、その措置をとるというようなことが必要になればあれでございますが、現在のところ、これは第三条で全体の問題として書き込めばいいんじゃないかというふうに、ちょっと御意見は違いますけれども、私どもはそのように考えております。
藤木委員 確かに意見が違っております。
 さらに、私は、昨年五月の当環境委員会で十和田八幡平国立公園十和田湖奥入瀬地域総合整備事業の問題を取り上げまして、地元の自然保護団体からの指摘や事業検討委員会での検討で、整備が取りやめられたり、規模が縮小された問題を指摘いたしました。そこで、環境省も、計画段階で地元住民や自然保護団体などの意見聴取をしてこなかったということを認めて、当時の川口大臣も、一部の事業で自然に十分適合していない点があったことは反省することが多いとして、計画に当たって専門家、NGOの意見を聞いて質の高い自然公園の整備を進めていきたいと答弁しておられます。
 しかし、自然公園等の整備に当たっては、昨年三月の環境省が都道府県に通知をした自然公園等事業技術指針に基づいて現在も行われていますが、その技術指針の中で、基本計画の作成に当たっての計画調査で、「なお、特に配慮が必要な自然環境に立地する施設や社会的に注目度の高い立地環境の施設については、整備に当たって地元住民や自然保護団体等関係者の理解と協力を得ることが不可欠であることから、調査項目選定段階から地元意見等に留意することが重要である」としているだけなんですね。この通知の内容だけでは、地元住民や自然保護団体等関係者の理解と協力を得るには全く不十分であろうと私は思います。
 ですから、公園計画や公園事業を現地の実態に合ったものとするために、計画案を作成する場合に、その公園で実際に自然保護や管理に取り組んでいる人たちの意見を聞くことを義務づけることが必要であろうと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
大木国務大臣 地元住民やら現場のそのことに詳しい自然保護団体等の意見を聞くことが大切だ、これは一般論として全くそのとおりだと思います。
 これは、要するに、実際にいろいろな事業をする国であれあるいは都道府県であれがどの程度の情報をみずから持っているかということの関連になると思いますが、例えば登山道やら利用拠点の総合的な整備事業については、国なり都道府県なり、言うなれば事業者の方が情報が十分でないというようなことも当然考えられますから、整備計画の策定の段階において、またいろいろとそういった地元の住民やら山岳会やらあるいは自然保護団体等の意見を聴取するということで、これはそういうことにしたいというふうに考えておりますし、また、それから、ここに一つ例も書いてあるんですけれども、例えば村落内の既存施設の改修というようなことになると、これは地元で一番事情をよくわかっているわけですから、そういったところではまたひとつ意見をきちっと聞くというようなふうにして、要するに、その現場の意見がよく反映するようにというふうに努力したいと思っています。
藤木委員 そう思っていらっしゃるのであれば、やはり義務づけて、きちんと履行できるようにしていただきたいと思います。
 次に、改正案の特別地域での許可行為の追加に関連をいたしまして、残土の集積で自然環境破壊の問題が起こっておりますが、これについて伺いたいと思います。
 瀬戸内海国立公園、兵庫県赤穂市尾崎という地域で、果樹園造成のための土地造成が行われています。土地造成地進入路のゲートを設置しているところ、これが第三種特別地域でありまして、山林地二千八十一・五九平米の場所に六千九百四十立米の客土をしているところがありますが、ここは普通地域となっています。また、この地域は、兵庫県風致地区内における建築等の規制に関する条例で風致地区に指定されております。ですから、土地造成を行う事業者は、自然公園法に基づく環境省の許可及び届け出、そして兵庫県の条例に基づく許可が当然必要です。
 そこで、この土地造成者は、兵庫県の条例に基づく許可を二〇〇一年四月十七日にとりまして、十二月の十二日まで二百四十日間という工事期間となりました。そして、この業者は五月二十日から工事を始めたのですけれども、六月七日に環境省神戸自然保護官に自然公園法違反を発見されまして、工事中止を指示されるとともに、許可の申請及び届け出を行うように指導されます。そこで、この業者は、六月二十七日に申請及び届け出を提出いたします。
 ところが、この申請及び届け出の処理の完了前に土地造成などを着手するという違反行為を行ったことがまたしても発覚して、七月二十四日には再び行為の中止指示とともに口頭による注意指導を受けることになります。しかし、その行為を中止するまでに、既に建設残土を三千百六十立米投入して土地の形状を変更し、道路に進入防止さくを設置しておりました。
 そこで、このたび重なる業者の違反行為に対して、自然公園法上どのような措置を業者にとったのか。その措置の内容だけお答えをいただきたいと思います。
小林政府参考人 違反を発見した日、六月七日、先生御指摘のとおりでございます。
 それで、七月二十四日に県と赤穂市とともに現地の管理官、自然保護官が現地調査をいたしました。これに対しまして、現地調査の結果を踏まえて対応いたしました。
 中身は、その場所が主要な展望地点から望見される場所でないという点、それから、果樹園の造成のための土地の形状変更、土地造成ですので、造成後は果樹が植栽され緑化されるという判断のもとにありました。それから、周辺の一帯は二次林の地域でございまして、果樹園となった場合には周辺の風景と比較して著しい支障はない、こういうような判断をいたしまして、八月二十四日に始末書を提出させ、違反者の反省の状況から見ても、風景の判断から見ても、原状回復命令をするまでには至らないという判断で厳重注意文書を手渡した、こういうことになっております。
藤木委員 私はその措置の中身だけを伺ったんですが、結局始末書をおとりになって、厳重文書注意をした。今局長が答弁されたように、本違反は軽微なものであり、申請者が法に従って手続をとれば許可相当の行為であると思われる、したがって、違反行為者から始末書を提出させ、指導文書により厳重注意すること、こういうことをなさったわけですね。しかし、少なくともこの地域は国立公園の中でありまして、兵庫県の第一種の風致地区に指定されているということを忘れてもらっては困ると思うんですね。
 そこで、この業者は八月二十四日に山陽四国地区自然保護事務所長に始末書を提出して、九月四日に同事務所長から注意書が交付されております。私は、このたび重なる違反行為に対するこうした自然公園法上の安易な措置というのが、今回の違反行為による自然環境破壊を助長させたのではないかというふうに思うわけです。そのことをまず指摘しておきたいと思います。
 さらに、さきに挙げました九月四日の事務所長の注意書では、「なお、今後の工事部分については平成十三年八月二十四日付けで提出のあった始末書のとおり、許可申請に添付書類を添え、神戸自然保護官を経由し、山陽四国地区自然保護事務所長に提出報告すること。」としておりまして、既に行った土地造成などを除いて、つまりそれ以外の残りの部分の許可申請及び届け出の提出を求めているんです。こういうことになりますと、既にもう手をつけてしまったところは、やり得ということになるんじゃないですか、もう原状回復も何もさせないわけですから。
 それでは、既に土地の形状が変更された部分の面積はどのぐらいあって、新たに届け出を受理した計画面積はどのぐらいか。承諾をした地権者の人数と面積はどうなっているか、それぞれ数字を挙げてお答えをいただきたいと思います。
小林政府参考人 法律違反に関しましては、新たな許可を出すというわけにいきませんので、呼びつけまして、厳重に注意をし、今後そういうことのないようにするという処分でございました。
 今お尋ねの面積の観点でございますが、違反をした一期目の工事といいますが、それが千五十七平米、約千平米、それから、二期工事でといいましょうか、後で申請書が出てきたものが二千八十一平米、約二千平米、合わせて三千平米ほどのことになると思います。
 それから、その土地の所有者の関係ですけれども、その周辺を、形状変更の行われようとしている土地を含めまして、それを全体として、五人の地権者の方がいらっしゃるようで、合わせて五千七百三十二平米というふうに承知しております。
藤木委員 ですから、その土地造成全体の面積のうちの三分の一が既に形状変更されているということなんです。注意書だけで一件落着というのは、到底私は納得できませんね。
 地権者の状況につきましてはよく把握していないということのようですけれども、環陽四許第七二九号という行為許可申請のチェックシートの特記事項のところには、土地所有状況で、地権者あり(承諾)と記されております。ですから、よく知らないということでは済まされません。
 実際の地権者は、一部分割されていますけれども、実質上四名です。原野、山林、宅地など、一万一千七百八十九平米を所有しておられます。このうちの二人は九九年一月十日に承諾したという文書がありまして、もう一人の方はその月の十八日に承諾したという文書がございます。もう一人は昨年九月八日に承諾したという文書がございます。
 ところが、そのほかに全く承諾書を書いていない地権者の土地が一千平米以上も含まれておりました。その土地は、計画地のちょうど中央部に位置しておりまして、自然公園法違反で一件落着した区域にも入っておりますし、残りの届け出区域にも入っております。
 この事実を兵庫県は去年七月ごろに知りまして、七月の二十四日には、県と赤穂市と環境省神戸自然保護官事務所の三者が合同で現地をパトロールもしておられます。
 ですから、去年七月の二十四日時点で、自然公園法違反の区域も、そして残りの計画地にも未同意の地権者の土地があることを承知していたにもかかわらず、それでは、九月四日に自然公園法違反を注意書だけで済ませて、残りの届け出を出すように求める、これではとても納得がいきませんけれども、どうなんですか。
小林政府参考人 七月二十四日に、現地の自然保護官が、兵庫県の出先の職員、赤穂市の担当職員と合同で土地の形状変更違反に係る調査を行ったのは先生御指摘のとおりでございますけれども、その時点で、県からは、この土地所有者の話、何のあれもございませんので、私どもとしては、九月四日の時点では、さきにお答えしたとおり、風景の保護上、支障が少ないという観点から、原状回復の必要はないという判断をいたしまして、厳重注意処分にした、こういうことでございます。
藤木委員 十二月になって、地権者の承諾を得ていない土地は、既に違反行為によって造成済みの場所であって、届け出の対象外であることが判明したという話があったと言いますけれども、それこそ、それでは業者の虚偽の報告をうのみにしたということになるんじゃないですか。それでも、七月から九月の時点で未同意の地権者がいることを知らなかったというふうに今言われますけれども、それは到底考えられません。
 また、県から未同意の件を聞いていなかったというのも通用いたしません。承諾しているかどうかは地権者と業者の関係のことで、自然公園法での手続上、問題がないかのように今も言われましたけれども、到底納得のいかないことですよ。
 兵庫県は業者に地権者から承諾書をとるよう指導しましたけれども、承諾をとらないまま、建設残土を搬入いたしました。ですから、兵庫県は、未同意の区域の原状回復と、その区域を除いた部分の計画変更を求めております。
 自然公園法の手続で地権者との同意まで義務づけしていないように答弁をされておりますけれども、いずれにしても、形状が変更できない土地ですよね。やってもよろしいと持ち主が言っていないのに、勝手に何でもやっていいかというと、できないんじゃないですか、そんなことは。自然公園法以前の問題です。その土地を変更したわけですよね。さらに、形状変更できない土地を計画地域内に含めて届け出書を出しているわけです。承諾も受けていないのに、計画書を出しているわけですよ。それを環境省が受理しているわけですからね。
 そうしますと、形状変更したことが違反行為であるとともに、受理した届け出書そのものが形状変更できない行為を知りながら作成されたものであって、本来、受理してはならない書類だったわけです。
 ですから、形状変更の行為ができない区域の変更について、変更の趣旨及び理由を記載した変更計画書の提出を業者に求め、それを実現するまでは、その間は工事を中止するように指示すべきだと思うのですが、いかがですか。
小林政府参考人 先ほども申し上げましたように、第一期目の違反工事だった部分ですけれども、そこについては、土地の所有関係について、特段何か問題があるというふうに認識はしておりませんでした。
 それから、第二期工事分ですけれども、これに関しましては、昨年ですけれども、十二月の十七日付で書類が提出されておりまして、そこには、県の条例に基づく許可証の写し、それから土地所有者の承諾書の写し、それがついておりましたので、問題はないというふうに判断をしておりました。
藤木委員 形状を変更してはならない、その行為ができない区域も含めた計画の届け出書の受理は、到底納得できないんです。端的に言うと、虚偽の届け出書を環境省が認めたということになるわけですよね。判明以前は、もちろん知らない間はともかくとして、それを知った後では受理を取り消す。現在はもう御存じなんですよ。今は御存じなんですから、計画の変更を命ずるべきです。
 さらに、昨年九月に、九九年一月に承諾したと言われる三名の方が、上記承諾書は私が署名捺印した原本と住所、代表者氏名も相違しますと訴えております。その三人の所有面積は合わせて八千五百五十六平米で、全体面積の七二・六%に当たりますが、この三人の地権者が、今環境省の許可を得て土地造成を行っている業者に、造成埋め立てを同意していないと訴えているわけです。
 ですから、こういう状況が去年の九月時点で起きているにもかかわらず、去年の十二月十七日に、今おっしゃいましたけれども、環境省は業者の特別地域内工作物の新築許可申請書及び普通地域内土地の形状変更届け出の提出を受理したということになるんじゃないですか。
小林政府参考人 日時の関係、もう少し整理して申し上げますと、十二月十七日に申請書類が出てきて、そこでは土地所有者の同意書の写しが入っておりまして、翌年、ことしですけれども、一月の九日に許可が最終的に終わっている。私どもが県から土地所有、土地使用承諾について問題があるんじゃないかということを通報を受けましたのが、その許可の後の一月二十五日でございますので、私どもとしては、その許可ということについて、土地所有者の承諾書があるものというふうに理解をしておりました。
 それからもう一点の御質問ですけれども、土地の承諾が得られていないのに許可するのはおかしいんじゃないかという御質問もあったと思うんですが、自然公園法におきましては、許可、届け出において、その判断、許可するかしないかの判断については、その土地の所有者のいかんというか、そういうことを判断するわけではありません。
 そしてまた、自然公園法の二十条に書かれているんですが、普通地域なんかでもそうなんですが、大臣が原状回復命令をするのは、その風景を保護するために必要と認めるときであって、その風景を保護するために必要な限度において必要な措置を命ずることができるということで、私どもとしては、やってしまった行為はおかしいし、それから、何か虚偽の申請があっても、それは土地所有者の承諾というのは風景判断に左右されませんから、そういう中で判断をしてきた、風景がどうなるかということで自然公園法の許可とか届け出とかというのを処理するということでございます。
藤木委員 それはやはりおかしいですよ。承諾書が偽造されたことが明らかになっているのにもかかわらず、その事態を知らなかったということではないんですね。
 去年の九月四日付の、事務所長から自然保護局長へ「自然公園法違反行為について」という報告が出されていますけれども、その他参考となるべき事項といたしまして、市道末広開拓線始点に設置している一般車進入防止さくは、道路管理者である赤穂市の許可を得て施行していたものとか、兵庫県、赤穂市によると、土地の形状変更に使用している埋立土壌は、環境基本法に基づく土壌の環境基準に適合しているとか、本件行為は、兵庫県風致地区内における建築等の規制に関する条例に基づき許可されているなどということが列記されております。
 これらの事項は、すべて八月二十八日に神戸自然保護官が起案をして事務所長に報告をしたものであります。当然、地権者からの訴えで、九月段階で兵庫県当局は知っておりましたので、仕事熱心な神戸の自然保護官が知らなかったとはとても思えません。
 さらに、さきに挙げましたように、事務所長からの自然保護局長への報告では、違反行為の概要として、普通地域の山林に建設残土を活用して、果樹園に造成すると記述していますけれども、偽造を訴えた地権者が承諾した際の業者との念書には何と書いてあるか。「甲(業者)は造成に関しては、建築残土は絶対にいれない。搬入土は役所指定の掘削残土とし、他の混入を認めたときは直ちに搬入を止める(産業廃棄物等は絶対に入れない)」などと約束をしているわけです。にもかかわらず、建設残土を土地造成に大阪方面から運び込んできております。
 ですから、十分に土地所有の状況を審査しないで、悪質な業者の申請をうのみにして届け出を受理し、工作物を許可したと言われても、これは仕方がないんじゃありませんか。自然公園法にはそこまで求められていないからということを理由にして、それをうのみにしたという事実はそのとおりじゃないんですか。
小林政府参考人 ちょっと頭が混乱をしてまいりまして、申しわけありません。
 まず第一点目の、土地所有者の承諾を得ていたか得ていなかったかということに関しては、参考資料として私どもは提出させて、いろいろ事情を聞いたりいたしますので、申請書の虚偽というふうには当たっていないと思います。正しいことではないと思いますが、まずそういうことです。
 それから、今回の申請につきましては、果樹園を造成する、こういう目的でございますので、その土地をどこから持ってくるかということに関してまでは承知していない状況で、その土地の風景がどうなるか、果樹園を造成した後にどうなるか、こういうことについて判断をしたということでございます。
藤木委員 全くそれは言いわけを次から次へ重ねているだけですね。肝心なことは兵庫県からも聞いていなかったとか、今度は、今おっしゃっていることでいうと、兵庫県が条例に基づいて許可しているから問題はないと安易に考えていらしたんじゃないですか。そういう姿勢というのは、自然公園法上の許可を与える環境省の責任はどこにもないんだということに等しいじゃありませんか。しかも、その届け出の受理や許可が結果として尾崎地区の自然環境破壊に手をかすことになっているとしたら、環境省としては大変な問題です。この土地所有者の状況を十分に審査しないで安易に許可した環境省の責任を第二番目の問題として指摘しておきたいと思います。
 さらに、偽造を訴えた地権者が承諾をした際の業者との念書に、「甲(業者)は造成に関しては、建築残土は絶対にいれない。搬入土は役所指定の掘削残土とし、他の混入を認めたときは直ちに搬入を止める(産業廃棄物等は絶対に入れない)」などと約束をしているにもかかわらず、建設残土を土地造成に大阪方面から運び込んできているという問題です。
 九月四日の事務所長からの自然保護局長への報告では、兵庫県、赤穂市によると、土地の形状変更に使用している埋立土壌は、環境基本法に基づく土壌の環境基準に適合している、また、住民の埋立土壌の質に対する不安の訴えが兵庫県にあったが、これに対しては、良質土壌であることから、兵庫県、赤穂市が住民の理解を得るべく努力しているといたしまして、業者の自然公園法違反は注意処分とし、新たな届け出を受理しております。
 しかし、私も実際に搬入現場の建設残土を見てまいりました。明らかにこれは産業廃棄物と思われるものが至るところにありまして、ごみだとか汚泥のような全く違った色のそういった土砂が運び込まれているのは実態でよくわかりました。ですから、とても良質の土壌とは言えるものではありません。周辺の住民からは、雨が降ったら水路を土砂が流れてくるとか悪臭がするとか、こういった苦情を私は伺ってまいりました。
 ですから、自然公園法上は、産業廃棄物での形状変更の行為は認めておりません。ですから、立入検査を即刻行って、届け出どおりの良質の土壌が搬入されているかどうか確認をすべきではないでしょうか。いかがですか。
小林政府参考人 土壌の質云々の話は、土地所有者と事業者との話し合いの中でどういうふうになっていたか、私どもとしては全く存じません。
 それから、産業廃棄物、汚泥ではないかという御指摘ですけれども、この土地に運び込まれている土砂につきましては、兵庫県によって調査が行われまして、産業廃棄物ではないとの判断がされていると聞いております。
藤木委員 兵庫県がそう言っているから間違いないというふうにおっしゃるんですか。私は実際に見てきたんですよ。では、私がうそをついているというふうにおっしゃっているわけですね。
小林政府参考人 そういうことではございませんで、産業廃棄物かどうかを判断するのは、その所管を担当している兵庫県が御判断をされるということを申し上げました。
藤木委員 では、事実と違う報告が出ていても、それはその報告のとおり受けとめられるということですね。
小林政府参考人 私どもが承知している事実というのは、果樹園を造成するため、果樹園にするために土地を、土を、土石を搬入してその土地の形状を変更するということで、土の質がどうだとかこうだとかということについては、私どもとしても、申請書の中身ではないというふうに判断しております。
藤木委員 現場をやはりきちんと環境省の責任でごらんになることを私はぜひやっていただきたいというふうに思います。県と一緒に行かれたらどうですか。兵庫県と一緒に行かれたらいかがですか。
小林政府参考人 前にも御説明しましたように、県とも赤穂市とも一緒に現地調査もしておりますし、今後必要が出てくれば、一緒に行きたいと思います。
藤木委員 今後必要が出ればとおっしゃいましたけれども、実際に現在捨てられているわけですよ。私は見てまいりましたのですから。
大木国務大臣 これも、現場でどういう土が搬入されたのか、それをどう判断するかという問題で、事実の判断で、今、藤木議員のお話とというか御判断と兵庫県から私どもがもらっています情報とが食い違いますから、どうして食い違っているかについては、私の方でも兵庫県に一遍照会をしてみます。どういうことで彼らの方は藤木議員とは違った判断をしているかということについては、私の責任で照会はいたします。
藤木委員 照会をされてもう一回だまされることがないようにお願いいたします。
 搬入された建設残土の状態というのは、段々畑の果樹園とするという届け出をした形状変更の図面とは全く大きく異なっておりました。山の谷間は埋め尽くされておりました。ですから、兵庫県から業者に対して、土砂が流失しない安定勾配でのり面を構築し、排水路等を整備することをことしの一月二十二日の時点で指導されるという状態でした。
 さらに、環境省が第三種特別地域に許可した工作物の新築について、去年の九月四日の事務所長からの自然保護局長への報告では、市道末広開拓線始点に設置している一般車進入防止さくは、道路管理者である赤穂市の許可を得て施行していたものとしております。しかし、赤穂市が許可をしていたものは、簡易な持ち運びのできる進入防止さくのことでございまして、業者が新築した門柱のような進入防止さくを許可したのではないと言っております。ところが、この赤穂市の措置を根拠にして、環境省は、業者がさくを設置した件について、自然公園法違反で注意処分とし、新たな申請をことし一月九日に許可しております。
 ですから、環境省の工作物の新築許可が、道路管理者である赤穂市の許可行為に適合しているのかどうか、これは調査が必要だと思いますね。適合していなければ、これは撤去も含めて是正を業者に指導すべきではないでしょうか。いかがですか。
小林政府参考人 自然公園法上、ことし一月の九日に許可した入り口の進入ゲートにつきましては、申請どおりのものができているという報告を受けています。
 それから、今お尋ねの、赤穂市が道路の占用許可を出した件につきましては、本件について赤穂市が指導中というふうに聞いております。
 他の法令の状況に関しては、私どもではなくて赤穂市が適切に対処するものと思っております。
藤木委員 それはおかしいですよ。赤穂市が許可していないものを環境省が認めた、そのためにできた建造物について赤穂市がなぜ指導しなければいけないのですか。そんなことを押しつけてはいけません。
 実際、現場では、一般車の進入をとめておりますから、市道末広開拓線は業者の車だけが行き交うわけですね。建設残土の搬入で、一部の境界はわからなくなっておりましたし、路肩が崩れたりしておりました。
 さらに、兵庫県が条例に基づいて風致地区内における土地の開墾それから木竹の伐採許可を与えた工事期間は、さきに挙げましたように去年の四月十七日から十二月の十二日まで。ですから、兵庫県西播磨県民局長名で、ことしの一月二十二日にこの業者に対して、今後同区域内の造成行為は、改めて風致の許可を得てから着手することという通知を出しております。もう工事切れでありますね。
 ところが、環境省は、十二月の十七日、それが切れてから、普通地域内の土地の形状変更届け出を受理して、ことし一月九日に特別地域内の工作物の新築を許可するということをやっているわけです。常識的に言いますと、届け出を受理する場合に、先行して許可している兵庫県の工事期間を考慮して、許可が有効なのかどうなのか確認して受理するのが普通ではないんですか。ですから、兵庫県が許可した工事期間が過ぎているにもかかわらず、どうして環境省は届け出を受理し、新築を許可したのですか。いかがです。
小林政府参考人 お言葉を返すようですが、法律なり条例なりはそれぞれが目的を持ってやっております。自然公園法については、風景の保護という観点で判断をする。その判断は、標準処理期間三十日とかというようなきちっと決まりがあって、その中で判断せざるを得ないということでございます。道路の占用許可というのは、また道路管理者としての必要からやる。やはりそれぞれの判断があってもよいのではないかと思っております。
 それからもう一つは、風致地区に関する条例の許可期限が過ぎていたということを御指摘でございますけれども、そもそも、この許可期限が過ぎているかどうかというのは自然公園法の判断するところではございませんけれども、申請者が自然公園法で当方に提出してきた許可証には、その許可期限に関する記述がなかったということであります。
藤木委員 それが大変な事態を引き起こすことになっているわけですね。兵庫県の許可証には許可期限に係る記述はないと今おっしゃいましたけれども、兵庫県からも特段の情報も得ていなかったようなことをおっしゃっていますけれども、一月二十五日の中止勧告も、許可の期限切れではないんですか。地権者の合意がないからだ、そのための勧告書だというふうなお考えなんでしょうか。兵庫県の条例の附帯条件に許可期限が明記されております。ちゃんと書かれておりますよ。中止勧告も、行為の期間も終了していますのでと明記されております。私も直接県当局に問いただしてまいりましたけれども、そこは明確でございました。
 また、これは最後に大臣に伺いたいと思うのですけれども、山陽四国地区自然保護事務所長からの自然保護局長への報告でも、本件行為は兵庫県風致地区内における建築等の規制に関する条例に基づき許可されていると明記しているわけでして、許可を受けた工事期間を知らなかったなどの言いわけは到底納得できないことなんです。ここに全部書類一式そろっていますけれども、目を通していらっしゃるわけですよ。だから、もしそれだったら見落としているか。ですが、工事期間切れを知りながら受理や許可をしたというのであれば一層責任が重いということを私は三番目の問題として指摘しておきたいというふうに思います。
 兵庫県は、去年九月段階で地権者の一部から承諾書の偽造を訴えられておりましたので、この業者が環境省から届け出を受理された翌日の十二月十八日に工事再開の届け出があった際に、再開の届け出受理に当たり既許可の工事期間延伸はできない、このように口頭で伝えているというふうになっております。にもかかわらず、この業者は、環境省の許可をにしきの御旗にして、ことし一月十七日に工事を再開してしまうわけです。
 ですから、当然兵庫県は、先ほど挙げましたように、西播磨県民局長の通知を一月二十二日に業者に出して、そして一月二十五日には局長名で、一部の土地所有者の同意が得られないことを違反理由に勧告書を業者に出したわけです。この勧告書では、「あなたが下記の場所において現在土砂を搬入している行為は、風致地区内における建築等の規制に関する条例第二条第一項の規定に違反し、行為の期間も終了していますので、直ちに行為を中止するよう勧告します」、こうなっているのです。ところが業者の方は、それは条例じゃないか、法律が許可したんだ、環境省が法律で許可したんだ、自然公園法で許可したんだ、それがにしきの御旗になって、この中止勧告はあったにもかかわらず、環境省の許可をまさに盾にとって、現在も大量の建設残土が搬入されているというのが実態です。
 ですから、環境省の安易な許可等が、特別地区を含む自然公園や第一種の風致地区の環境と景観を破壊する違法な業者に手をかしているというだけではなくて、土地所有者の権利の侵害にも手をかしているということになるんじゃないかと思うのです。
 環境省は、これまでの許可行為を改めて、今は全部わかったわけですから、実態関係をつかめているわけですから、原状回復など業者を厳しく指導すべきだと思うのですが、大臣、最後にお答えください。
大木国務大臣 法律問題と、それから事実の確認の問題と、二つあると思うのですね。今のように、業者の方が、環境省の方で法律でオーケーと言ったんだから条例の方はどうなるということは関係ないよというようなこと、それはちょっと私は法解釈の問題としては正確じゃないと思いますけれども、しかし、事実の方の確認は、一体どういう許可書があったのかなかったのか、日付があったとかなかったとか、いろいろ先ほどから先生の方の情報とうちの方で持っている情報と少し食い違っているところもあるようでございますから、その点につきましてはきちっと調べさせていただきます。
藤木委員 終わります。
 必ず調べてください。お願いいたします。
大石委員長 金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子です。
 自然公園法の一部改正にかかわって、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 今回の法改正で、従来の景観保全ということから、生態系を保全、保護するためにということで、一定の新しい定義が出てまいりましたけれども、全体にこの間、新生物多様性国家戦略であるとか「環(わ)の国」づくりとか、さまざまなところでこの生物の保護ということが言われておりますけれども、個別法ではそれなりにいろいろとこの問題について法改正の中で取り上げられていると思いますけれども、私は、個別法だけでは、全体としてこの生物の、生態系の保全、保護を進めていくということには無理があるというよりも、どうしても不十分な点があるというふうに考えております。
 動植物を含む野生生物の保護や、生態系をきっちりと守っていくために、また保護していくためには、また再生をしていくためには、基本的に総括的なものをやはりきっちりとつくっていく。確かに、さまざまな計画など、基本計画などありますけれども、法律的にやはりきっちりと整備をしていく必要があるのではないかというふうに思うのですけれども、まず、その点についてお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 今度の自然公園法の中でも、生物の多様性というものを国の責務として改めて確認させていただいたということでありますが、生物の多様性あるいは人間といろいろな生物との、特に野生生物でありますけれども、共生といいますか関係というのはまだ非常に、最近やはりこういう行政の中でもどういう対応をしようかということで生まれてきて、比較的歴史が浅いと申しますか、問題でありますから、実は政府の方としても、しかし、浅いといっていつまでもほかっておくわけじゃなくて、だんだんにひとつ充実させていこうということでございまして、先般、三月二十七日でございましたが、地球環境保全関係閣僚会議ということで、新生物多様性国家戦略というようなことを決めさせていただきまして、これからそれをやっておくというところでありますし、それから、これは実は国会といいますか、関係の政党、とりあえず私どもの承知しておりますのは、与党の方で谷津議員が中心になりまして、自然再生の推進のための法制度、これは議員立法ということで今御検討中でありますけれども、そういったものも動いておりますので、そういったことで、だんだんに整備はしていく、こういう体制にあると思っております。
 ただ、今政府の方ですぐに自然再生保護法というようなものを、自然再生法あるいは自然保護法というようなものを、総括的なといいますか、新しい法律として今すぐにつくるということは、政府の方では今予定はしておりません。
金子(哲)委員 いろいろ見てみますと、例えば環境基本法だとか環境基本計画の中に実はうたわれてはいるのですよね、そのことは。しかし、今やはり自然体系というものが崩れていく、そしてそれを今まで以上に叫ばなければならないことになってきているのです。
 その点について、そもそもそういうものは、言葉の上では、実は私もこの質問をする前に、環境基本法とか基本計画を見ますと、例えば環境基本法の中でも明確にそういう趣旨がうたわれているように思うのですね。十四条の中には、「生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。」などということで、今までも十分やられてきたと思うのですが、それがなぜ今までできなかったとお考えなんでしょうか。
大木国務大臣 この生物の多様性と申します問題、先ほどから、行政といいますか、あるいは政治と言ってもいいかもしれませんが、中で取り上げられてからまだ比較的に時間も短いと。というのは、やはり私、行政の中でいろいろ措置を進めるということになれば、それが現実に、一般論としては結構だけれども、実際にどういうことをやったら効果があるのか。ただお経だけ書いていけないというのは、むしろ議員の方の御質問にもありましたけれども、ただ抽象的に書いて、それ以上のことができないということでは、それをまた新たに法律にするといってもなかなか意味が少ないわけでありますから、やはりある程度、行政でどういうことをやるのが必要なのか、あるいは緊急性があるのか、あるいはいろいろなものをやるうちで優先度があるのか、そういったようなことも考えながらやらなきゃいけないということからいいますと、少なくとも、行政府の中で今新しい法律をつくるほどには問題が熟していない。
 しかし、これはその理由はいろいろあります。例えば、いろいろなところで、正直申し上げますと縦割り行政で、行政の中だけで議論していたんではなかなかできないというようなこともありますから、そういうこともあってだとは思いますけれども、今、与党の方では関係議員が集まられて議員立法というようなことも考えておられますから、その動きにつきましては、私どもも今そういうものも受けとめながらこれからの行政府としてはどうするかということも考えますが、とりあえずは、今与党の方で進めておられる御努力を見守っておるという状況でございます。
金子(哲)委員 本来、与党の皆さんが一生懸命やられることも重要ですけれども、今大臣がおっしゃったように、各省庁間の連携といいますか、環境省の中だけでも、この後またいずれ法案審議しなければならないと思いますけれども、鳥獣保護法にもかかわる問題も出てまいります。省の中でも複数の法律の体系の中に出てくる、そして、省庁間でも連携が非常に重要になってくるということになると、やはり総括的にそこを取りまとめていく環境省としての位置づけと、そして、環境省が積極的な意味でそういう各省庁の生態系の保全、保護のための法律を積極的につくることによって、環境省のイニシアによって各省庁との連携がとれるという体系をつくっていくという決意がないと、今はどうも我が方が出すときではない、与党の皆さんが一生懸命やっていただいているから与党の皆さんの態度を見守るということでは、この自然公園法のせっかく出された条文も本当に生きてくるんだろうかということを逆に言わざるを得ないことになるわけです。
 この法律、そもそも個別法よりもその前に、こういう意識があってこのことをやる、こういうことをやっていきます、当面これをやりますというような体系がないとやはり進んでいかないと思うのですね。その点について、もう一度お伺いしたいと思います。
大木国務大臣 与党の方でやっておるから我々は見守っているという、見守っているというような言葉が悪いかもしれませんけれども、私どもは十分に関心を持ってその動きを注目させていただいておるということでございますし、今の政党政治の中でありますから、それが仮に行政府から出てくるか、あるいは与党の方から出てくるか、あるいは各党全部でやっていただくか、それはその問題ごとにやはりいろいろな形があり得ると思います。
 ですから、そういう意味では、決して私どもは勝手にやってくれと言っているわけではないので、与党の方でいろいろと御審議していただいておる状況については私どももフォローしておりますし、また、そういったものが、少なくとも今の段階では、与党の方で御検討していただいておる法案というものも十分に、非常に有用なものだというふうに理解をしております。
金子(哲)委員 ぜひそういう全体としての体系というものをできるだけ早く明らかにしていただきたいと思います。
 私はなぜそのことを申し上げるかといいますと、例えば個別具体的なことになりますけれども、自然公園法にしても、後ほどまたこの委員会でも論議になるだろうと思います鳥獣保護法にしても、その関連といいますか、例えば自然公園法の中では、適用されるのは自然公園の部分に対して適用されるわけですね。ところで、今までの景観ですと、それは当たり前のことで、自然公園の中にその景観に対して着目しているからいいのですけれども、今度生態系の問題になりますと、例えば動物の場合自然公園の中だけにすんでいるわけじゃないわけですね。当然、その地域から外にはみ出たところとの出入りがありますし、そうしてみますと、自然公園法でカバーしたとしてもそれで十分ではない。鳥獣保護法でカバーしても必ずしも十分ではない。
 そうなってまいりますと、全体として、やはりそれほど新しい国家の大事な柱として生物多様性国家戦略なるものを立てられるとすれば、そういうことが必要だし、それから環境省の中でも、先ほど言いましたように、自然公園法だけで規定できない。私は、もうどう考えてみても、動植物の保護なんかは、国立公園、確かに大きな面積のところもありますけれども、そこだけで対応できるようなことは到底できない。
 といいますのも、今例えば、後ほどまた触れたいと思いますけれども、森林部分が多い。森林部分が非常に荒れている問題だって出てきているわけでして、そうすると、どんどん里に近づくという問題、そこらはもう、自然公園法の中に全然包含されていない地域の問題になる。片方で鳥獣保護の問題と関係をしてくるということで、一日も早くこの自然公園法の一部を改正されたその精神というものを横に広げるための法体系をやって、全体として生物の保護というものを進めていくということが非常に重要ではないかということを申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、私は、今度の自然公園法を見てみまして、それから環境基本計画なども見ても、実は、海のことが非常に触れられていないのですね。湖沼の場合は入っている場合もありますけれども、海洋とか河川の問題だとか、河川も一部公園として渓谷のようなところは入っておりますけれども、全体としては見られていない。湿地は、今ごろ随分いろいろな意味で問題になってまいりましたけれども、そうしてみますと、特に水中生物の保全、保護という観点が、残念ながら、これまでの法律の中で非常に弱かったのではないかというふうに思うのですけれども、その点についてはどのように考えられているのでしょうか。
大木国務大臣 確かに、陸と、それから水中というかあるいは海中と言っていいのかあれでございますけれども、現行の自然公園法の中でも、特別保護地区内において水中生物を含む動植物の捕獲を規制するというようなことは、今回の改正で、より広く特別地域においてもいろいろと捕獲の規制をするというようなことを一つ入れておるわけでございますけれども、やはり先ほどからおっしゃるとおりに、例えば動植物というようなものを一つとらえて、その生息地域だって何も自然公園の中だけじゃないぞというのは、それはもう全くそのとおりでございますし、むしろ、自然公園の中でもいろいろな、どこまでの生息の区域が、大きな動物だったら非常に広いところを動くわけですから、それをどういうふうに把握して必要な措置をとるかというのはいろいろな議論があるわけでございます。
 ということで、私は、水中生物についても当然、これから具体的にどういう対策をとるかということがある程度構想が固まってくれば、それをまたひとつ公園法の中で、あるいは公園法の中でなくて、例えば鳥獣保護の法律の中でもいいのですけれども、ただ、現実に何をするかという必要性というか、それから優先性というか、そういったものがありませんと、ただやるやると書いても抽象的な話だけになってしまいますから、先ほどもちょっと与党の方で生物多様性についての法律をつくっていただくということも申し上げましたけれども、それはいろいろな、行政の方では行政として、やはりこれが重要だ、これが緊急性があるというようなものからだんだんに取り上げていくということでやっておるわけでございますから、御不満はあるかもしれませんけれども、私どもとしてはそういう考え方で、順番にやらせていただいておるというところであります。
金子(哲)委員 不満が非常にありますよ。
 私は広島におりまして、瀬戸内海のことを思いますけれども、瀬戸内海国立公園というのがありまして、それは今度の自然公園法の適用になると思うのですけれども、瀬戸内海というのは、環境省が出されている資料を見ても二百二十万ヘクタールの大きさがある。ところが、この自然公園法で指定をされている地域というのは、わずかに六万三千ヘクタールしかないのです。それは結局のところ、陸地部分しか着目していなかったということなんですね。海は入っていないんです。陸域のみを指定しておりまして、これは大臣が幾ら頭をひねられても事実そのとおりで、結局、海は抜け落ちているんですよ。
 今までは、それは確かに景観だということで、海岸線の重要なところは入っていたと思うのですけれども、海ということに対しては全く着目をされていないから、やりたい放題とは言いませんけれども、結局のところ、見えないところということで対象になっていなかった。こういうことを、今度は、少しは海の海域面についても検討される余地はあるのでしょうか。
小林政府参考人 ただいまの御質問で、ちょっと誤解がありますので申し上げます。
 瀬戸内海の国立公園、面積としてカウントしますのは、陸域部分ということでカウントしてございます。小さい島嶼がいっぱいありますが、小さい島嶼とか、半島部分とか、陸域の部分。ただ、国立公園としては、ほとんどの海の部分も国立公園の区域になっています。
 ただ、行為の許可制になるような特別地域という制度が海の場合にはないものですから、海は全域、普通地域ということで、いろいろな届け出制というようなことになっています。それはどうしてかというと、当初、自然の風景地を保護するというのが自然公園、国立公園の目的であったものですから、海の場合は風景的に、ただ平らというようなことで、陸域の海岸線とかそういうところを保護するという中でやってきたということでございます。
 ただ、一つありますのは、海の中のサンゴ礁とか、そういう海中の景観を保護するために、海中公園制度というのはつくりましたけれども、そういうことで、今後、海の地域の保護をどういうふうにして図っていくか、大きな課題だというふうに理解しております。
金子(哲)委員 そのとおりで、海は水面だけしか見えなかったということでしょうけれども、結局、さっきから何度も言いますけれども、これから生態系の問題に行くとしたら、日本の場合はすべて海に囲まれている状況の中で、海洋というのは非常に重要な位置になると思うんですね。
 ちょっと瀬戸内海のことでお聞きをしたいのですけれども、この生態系の問題だと、結局、海の生態系についてこれまで全く無視というかほとんど、瀬戸内海に限って言いますけれども、ほかに重要なところ、大事にされていたところもあるかもわからないので全部とは言いませんけれども、瀬戸内海に限ってはそうだと思います。
 といいますのは、自然海岸は埋め立てもしくは護岸工事によってほとんどなくなっている。それからもう一つ大きなのは、海砂、海砂利の採取の問題です。この点については、私は前にも委員会で質問したのですけれども、瀬戸内海の場合、これはもう一つ別に瀬戸内海環境保全法があって、そちらでもカバーしていくということになって、そこでも海砂利の問題がありますけれども、今、この海砂利の採取計画はどうなっていますか。
石原政府参考人 瀬戸内海におきます海砂利の採取計画についてのお尋ねでございます。
 瀬戸内海におきます海砂利につきましては、その環境への悪影響が心配されておりまして、平成六年度から七カ年かけまして十二年度までの調査をさせていただきました。その結果、海砂利の採取によって砂州なり砂堆が消失し、あるいは海底がれき化したというような調査結果、あるいはイカナゴの減少にもかなりの影響を与えているのではないかという調査結果が得られておるところでございます。
 海砂利の採取の状況でございますけれども、採取実績がない県等ございますけれども、現在採取しております県におきましては、岡山県につきましては平成十五年度より採取の禁止、香川県につきましては平成十七年度より採取の禁止、それから愛媛県につきましては、先般でございますけれども、十八年度より採取を禁止するということで府県計画の作成等を進めておるところでございます。
 環境省といたしましても、こういう海砂利の採取の規制、あるいは採取するにいたしましても、採取の範囲を最小限にするとか、採取後の調査をするとかというふうな形で、影響がないような形で努めてまいりたいというふうに考えております。
金子(哲)委員 今の局長の答弁は全く、最初の部分は経過ですからいいですけれども、最後の話は、環境省自身が、今までの採取によって非常に影響が出ていることが明らかになっているのにもかかわらず、影響が出たらというような話で、これはみんなあれでしょう、岡山県にしても、香川県にしても、愛媛県にしても、結局、県が独自に決めただけで、環境省がちゃんと指導したわけじゃないのでしょう。どうなんです。
石原政府参考人 瀬戸内海の環境保全につきましては、瀬戸内海環境保全基本計画というのがございます。一昨年の十二月でございますが、これを改正しました。改正に当たりましての視点としましては、環境の保全に加え、良好な環境の回復という視点から改正したものでございます。その中におきまして、海砂利の採取についても、影響を与えないような形でという改定の計画になっております。
 いろいろな県がこれに基づきまして府県計画の策定ということになるわけですが、そういう基本計画に即しての改定ということになりますので、基本計画そのものの策定及びそれが海砂利の採取の今後の動向に及ぼす影響というものについては、大きなものがあったんではないかというふうに考えております。
金子(哲)委員 つまり、結局、指導が、あの改正をされたときにも明確に海砂利採取を禁止するという言葉はないんですよ。今おっしゃったように、当該の県の裁量によっては幾らでもできるということを改正したんですよ。私はそのときも指摘したんですけれども、結局は県の自主性任せであって、それ以前にあれだけの環境破壊、海底だから見えないからわからないんですけれども、海砂利採取によってイカナゴがいなくなったとおっしゃったんですけれども、イカナゴがいなくなればどうなるかといえば、すべての食物連鎖の関係の中で、それをえさにしていたタイが福山沖には上ってこないとか、そういうことが現にもう出ていて、そのことが問題になって、例えば早く広島は中止をした。ところが、結局、あの改正にしても、今やっているところにやめろとは言えないからということで、その一行を入れたわけでしょう。
 結局、私が言いたいのは、それは、あのとき改正をして、ここで通って改正をしたわけですから、それ以上言ってもしようがないけれども、そのことについて、本当に海砂利採取というものを、これから生物多様の保全とかいうことを言うのであれば、それだけ影響のある海砂利採取に対してもっと積極的に中止をさすという方向に早めさすとかいうことが、ただ県が決めましたからもう四県終わりますというような姿勢では、これから言われている、これから新しい自然公園法を改正して生態系の保全、保護をするという観点からいったら全然おくれているわけじゃないですか。どう思いますか。
石原政府参考人 海砂利につきまして、一律に禁止という形にはなかなかいきませんけれども、いろいろな、採取するにしても影響が最小限になるようにというような形での基本計画、あるいは今現在府県計画の策定が進んでいるところでございますけれども、そういうような中で、できる限り影響が少ないような形での対応をしてまいりたいというふうに考えております。
金子(哲)委員 この問題はこれ以上はやりませんけれども、今おっしゃったことでも、全然それで進むわけがないじゃないですか。影響が最小限度、最小限度というのは、どこまではかって、それをだれが決めるんですか。これまでやったことで影響が出ていたら、やはりそのことについて中止をさす。
 では、最後に聞きますけれども、これは、今度愛媛県が中止をした、そうしたらもう再開はあり得ませんか、各県とも。
石原政府参考人 影響がないというふうな形で考えておりますので、御懸念のようなことがないようにというふうに考えております。
金子(哲)委員 いいですか、せっかく各県とも中止したわけですから、もう再開については今のことからいえば認めるべきでないと思うんですけれども、その点はどうですか。その点はっきり答えてください。
石原政府参考人 そういう動きは現在のところございません。そういう意味では、御懸念の向きはないというふうに考えております。
金子(哲)委員 懸念をするとかしないとか、私に言わないでください。私が懸念しようがすまいが、それは私の考え方であって、省としてどう対応するかということを聞いているので、では、そんなことはもう今後一切ありませんということを明確に答えればいいじゃないですか。そうしたら私の懸念はすぐ終わりますよ。
石原政府参考人 将来の仮定のことでございますけれども、影響がないように対応してまいりたいというふうに考えております。
金子(哲)委員 影響がないということは、とれば影響が出るわけですから、採取をもう認めないということだというふうに思いますので、大臣。
大木国務大臣 せっかくやめるということで物が動いているわけでございますから、それがまた戻るようなことがないように、きちっとこれから対処してまいりたいと思っております。
金子(哲)委員 いずれにしても、私がこだわっているのは、海砂利採取の問題もありますけれども、結局、海の問題について、やはりおざなりになっているということなんですよ、見えないから。
 海砂利採取だけにしても、局長は、影響が最小限になるようにということだけれども、あれは広島県でも例がありましたけれども、違法な採取がもう問題になったし、海の中に線が引かれていない、どこからどこまでも、山、陸地と違って見えないということがあって、そのことからいいますと、そしてまた、その影響を見るということも非常に見にくいわけですよ、後で調査するといっても。また、魚の場合は回遊をしますし、その影響をすべてにわたって調査するということになれば、全域にわたって調査しなければ、その一カ所だけ調査をして、それで影響がなかったということにならないわけです。
 そうしてみると、その点について、海の問題について私は重ねて言うようですけれども、といいますのは、どうも海のことについては、結局のところ、我々日本人の場合は魚を非常にたくさん食べる。水産業を営んでいらっしゃる皆さんのことももちろんありますから、そういうこととの兼ね合いも含めて、やはり余り自然保護だけが言えない状況が、一方に経済的な問題があり過ぎて、そこの方が水産庁とはどれぐらいの話をされているんですか。こういう海の資源保護の、今までの経過は別にして、これから海の、海中の自然の保全、保護のためにはどれぐらい話をされたことがあるかどうかを教えてください。
小林政府参考人 先生御指摘のとおり、海の自然環境保全の問題につきましては、非常に私どもとしてもおくれているというふうに認識しております。
 具体的に、水産庁とどこまでというお尋ねでございましたけれども、例えば海生哺乳類の問題にしましても、そういう面で徐々に改善をしていくということでございます。
 もう一つ、どうしても私どもで足りないと思っていますのは、海の自然環境の現状をつかまえる、非常に膨大な区域があるわけでございますので、そういうところからきちっと今後取り組んでいかなければならないというふうに思っているところでございます。
金子(哲)委員 では、次の質問に移りたいと思います。
 今度、自然公園の風景等を保全するために、NPO等の活用をしながら補修や保護管理を行うということになっておりますし、また、そういう方向で進もうということで環境省も指摘をされておりますけれども、率直に言って、今、里地里山が手入れが行き届かずに非常に大きな荒廃が進んでいるということは大きな問題になっていると思います。その意味では、風景の保護だけでなくて、里地里山の手入れなどをやろうとすれば、一定の技術やノウハウが必要になってまいりますし、財政的な援助も必要になるのではないかというふうに考えておりますけれども、その点について、これからそういう荒廃の防止とか自然再生に向けたような積極的な対策ということではどのような点が考えられているか、お尋ねをしたいと思います。
大木国務大臣 細かい点は、もし必要でありましたら、また参考人から御説明してもらうつもりでありますけれども、やはり今の自然を保全するというのと、それからまた、ただ保全するんじゃなくて、今非常に荒廃しておる、そういうところについての手を加える、両方あると思うんですね。
 ちょうど里山なんというのは、まさしく自然と人間が接触するところでありますし、ただ自然をそのままに置いておくというんじゃなくて、手を入れて里山というのは維持されてきているわけですから、そういう点からもいろいろ手を加えていかなきゃいけないと思っておりますから、そういったことは、今申し上げましたように、一つは保全、それから今荒廃しているところのまた回復、両方から問題に取り組んでまいりたいと思っています。
金子(哲)委員 これは、財政的な問題は何か考えておられるんですか。一応はNPOなどの協力を得るということですけれども、将来にわたっての政策としてはそういうことを考えられているのでしょうか。
小林政府参考人 公園管理団体のことに関連してのお尋ねかと思いますけれども、私どもとしては、昨年度からグリーンワーカー事業というのを創設しまして、自然公園の中の清掃困難地の清掃とか、登山道とか標識の補修とか、そういうボランティアだけではちょっとお願いするのも恐縮、申しわけないというようなちょっとハードな事業については、賃金をお支払いして作業をしていただく、管理をしていただくような事業をやっております。そういう事業のものを公園管理団体に関係している方にお願いするとか、そういうようなことをささやかながら考えております。そのほか、自然再生事業につきましても、新しく今年度から着手するということになってございます。
金子(哲)委員 さっき大臣もおっしゃいましたように、私も、何か環境審議会の答申を見ますと、二次的自然環境というのが言われておりまして、これは、今まで全く手の入らないところではなくて、例えば植林をしたとか、そういう手の入ったところ、二次的自然環境ということで、これはかなりの面積があるんだということを読ませていただきましたけれども、そこの中にも、今は開発行為によってではなくて、農林業の変化や土地の利用の変化などによって、土地への対策が行き届かないために、きめ細かな土地の管理ができていないために荒廃をしているんだということが言われております。そうしてみますと、そこに対する対策というか、そういう手だてというものについて、やはりかなりきっちりとやらないと難しいというふうに思うんですけれども、ぜひその点を積極的に対応していただきたいと思います。
 特に、自然公園の中で七七%が森林という状況にあるというふうに聞いておりますけれども、先ほど言いましたように、里地里山の保全において農山村の力をかりる、そういうところも重要だと思いますけれども、森林の整備なども進めていくということになると、これは環境省だけではちょっと難しい。今度議題になる地球温暖化の防止のためのさまざまな施策の中に森林吸収源の話が出ておりまして、これも私最初に言いましたけれども、そのことも含めて考えれば、それこそトータルに考えないと、これはこれということにならないような問題になってくると思います。
 そうしてみますと、環境省と他関係省庁との連携というものを十分に図りながら、そして、その中でどう予算を効率的に、効果的に組んでいくのかということが非常に重要になってくると思いますけれども、その点については、環境省はどのような見解をお持ちでしょうか。
大木国務大臣 今まさしく御質問の中にもありましたように、環境省の予算だけではなかなか対処し切れない問題もあるわけですから、例えば森林については林野庁だとか、あるいは海の問題につきましては水産庁とか、いろいろあるわけでございますから、そういった省庁とも当然にこれから予算をつくる場合にも密接に連絡してまいりたいと思っています。
 それで、例えば今の農村というか、農林、農村というより、農林業、農山村対策あるいは森林対策と環境問題とどうやって組み合わせてやっていくかということなんで、なかなかその全般のお話はできませんけれども、例えば阿蘇におきまして、草原の保全ということで、要するに、私も実はちょっと回ってきたんですけれども、あそこの草原地帯、これはだから地元の牧畜業と申しますか、そういったものを振興しながら、同時に現場の環境問題もきちっとやっていくというようなのがいろいろありますから、そういったものを積み上げることによって、またその予算措置を図る場合にも、そういうことで関係各省共同して財政当局に当たりたいと思っていますので、どうぞそういうことでひとつ支援もいただきたい。
金子(哲)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 特に森林の場合には、日本の場合、残念なんですけれども、森林が、日本材がなかなか活用されない、経済的な問題があってどうしても手が入らないという問題がこの間続いてきたと思うのですけれども、やはりここで政策を転換しないと、林業に対してお金を出すということはなかなか難しくなる。そういう意味では、やはり環境省のサイドからも、環境保全の立場から林野庁、農林水産省とも連携をとっていただきながら、きっちりとした対策が立てられるように、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
 今度の自然公園で、財政の話をしたのですけれども、これはこれから検討しなければいけないことだと思うのですけれども、私は、必ずしもすべてそういう財政は国だけが見るのがいいのかという問題は実は感じております。
 例えば、学校教育、環境教育などをやるためには、そういうところは積極的に国が補助していくということは当然のことだと思うのですけれども、一般的な利用者などについても、環境全体を守っていくということ、自然体系を守っていくという観点から立つと、一定の利用者負担ということも考えていくべきではないか。もちろん、そのことは、自然の保全や再生を図るということを明らかにしながら、そしてまた、そういうことに従事をしていただいているボランティアの皆さんなどに対する財政的なものとかいうことも含めてですけれども、一定のそういうこともこれから検討をしていく必要があるのではないかというふうに考えておりますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
大木国務大臣 今の御質問の中で、二つポイントがあると思うのですが、一つは、まず役所の中でいろいろな各省が、例えば文部科学省とかいったところもいろいろな教育のところで、環境教育のためにはやはり文部省の予算もひとつ頑張ってくれというようなこともありますから、そういうのは当然に私どもはまたやってまいりたいと思います。
 それからもう一つは、省庁間の話ではなくて、例えばいろいろな自然公園にしろいろいろな施設にしろ、利用者負担の原則で、いろいろと環境を維持するために金がかかるわけですから、例えば富士山の頂上は大変汚れているというような話は、あれは参議院の方でもいろいろと御意見がありましたけれども、そういったものはきちっとやはり利用者が少しは資金的な協力もしてもらうというようなことで考えるべきだというような御意見もあります。
 例えば、自然公園の中で利用者負担ということについては、現在も、例えばいろいろな国立公園の中のトイレを使うのにチップを取るとか、あるいは清掃協力金というふうなことでお金をいただいておるというところもあるようでございます。ただ、まだ非常に額が小さいわけですから、これからひとつそういうこともさらに協力的に進めてまいりたいと思います。
 いろいろアンケートをとりますと、「国立公園に関するアンケート」の中で、アンケートに答えられた方の七割は、やはり国立公園を使うときはある程度の費用負担をしよう、その費用負担は結構だというような御意見もいただいておりますから、これをできるだけひとつ具体的にどういう形でするのがいいのか、また検討してまいりたいというふうに思っております。
金子(哲)委員 最後に、これは要請のようなことになりますけれども、今回の法律の中でも、NPOの皆さん、団体などの力を積極的にかりようということで、環境省はこれまで他の省庁よりも、市民の皆さんの声とか、そういう市民団体の皆さんの声を非常に聞いてこられたと思うのですけれども、この法のやはり協力を得るためにも、より情報の公開はもちろんですけれども、積極的に意見を受けとめて、それを政策に反映していくということなくして、この自然公園法の改正を生かしていくことはできないというふうに思いますので、その点は、ぜひそういう力をしっかりとかりるというか受けとめて、環境行政を進めていただくようにお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。
大石委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
大石委員長 この際、本案に対し、藤木洋子さんから、日本共産党提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。藤木洋子さん。
    ―――――――――――――
 自然公園法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
藤木委員 私は、日本共産党を代表して、議題となっております自然公園法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を説明いたします。
 修正案は、既にお手元に配付されておりますので、詳細な説明は省かせていただきます。
 政府提出の改正案は、国等の責務として、生物の多様性の確保を明記したことは前進ですが、依然として、風景の構成要素として保護するという範囲にとどまっております。
 そこで、修正案は、法律の目的に、生物多様性の確保を中心とした自然環境の保全を位置づけるとともに、将来にわたって国立公園等の貴重な価値を維持する持続的利用を図ることをうたっております。
 目的改正の趣旨に沿って、具体的な規定も幾つかの修正を行っております。
 第一は、特別地域や特別保護地区の指定など、風致や景観の保護に関する各条文でも、自然環境の保全を全面に掲げました。
 第二に、公園計画、公園事業について、規制または施設に関するものという規定を改め、野生動植物の保護や、自然教育などを盛り込みました。
 第三に、公園計画や公園事業を現地の実態に見合ったものとするために、案を作成する場合に、その公園で実際に自然保護や管理に取り組んでいる人たちの意見を聞くことを義務づけました。
 第四に、適正な公園計画や公園事業を進めるために、環境大臣が、野生動植物の生息、生育状況などの自然環境や公園の利用状況などを定期的によく調査し、活用することを求めています。
 その他、海中公園地区において、熱帯魚、サンゴ、海藻など以外の海中動植物についても、捕獲等の規制をすることができるようにしております。
 以上、委員の皆様の御賛同をお願いして、趣旨の説明を終わります。
大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
大石委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、自然公園法の一部を改正する法律案及びこれに対する藤木洋子さん提出の修正案について採決いたします。
 まず、藤木洋子さん提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大石委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大石委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、熊谷市雄君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党の七会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。西博義君。
西委員 私は、ただいま議決されました自然公園法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    自然公園法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、新「生物多様性国家戦略」の実効性を確保するため、本法を含めた自然環境保全の法体系の見直しについて検討を行うこと。
 二、自然公園内の里地里山の保全及び再生に向けて、風景地保護協定及び公園管理団体制度が的確に機能するよう、NGO、土地所有者等との連携を強化するとともに、財政支援を含めた支援策の拡充を図ること。
 三、自然公園内の生態系に著しい悪影響を及ぼすおそれのある種の個体を外部から持ち込むことを制限するなど、適切な移入種対策を講ずること。
 四、自然公園の安全で快適な利用と保全を図るために、登山道の荒廃や山岳トイレの整備の遅れなどへの対策を進めるとともに、過剰利用への適切な対策を検討すること。
 五、公園計画の策定に当たっては、関係行政機関のみならず地域住民、NGO等の意見も十分反映させるようにするとともに、計画の定期的な点検が行われるようにすること。
 六、生態系の有する多様な価値を客観的に把握するため、モニタリング等による調査研究を推進することにより、科学的知見の集積の充実に努めるとともに、その情報の提供を積極的に行うこと。
 七、自然公園を総合的な環境学習の場と位置付けることにより、環境教育の推進を図るとともに、利用者に対する適切な情報提供に努めること。
 八、自然公園の適切な保全管理に努めるとともに、このために必要な人員及び予算の一層の充実に努めること。
 九、自然公園内における公共事業との調整に当たっては、自然公園が生物多様性の保全の重要な場と位置付けられたことを踏まえ、自然環境への影響に十分配慮されるよう留意すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大石委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大木環境大臣。
大木国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。
    ―――――――――――――
大石委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三十六分散会


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