衆議院

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第4号 平成14年11月15日(金曜日)

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平成十四年十一月十五日(金曜日)
    午前九時二十分開議
 出席委員
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 奥田  建君 理事 牧  義夫君
   理事 田端 正広君 理事 高橋 嘉信君
      小渕 優子君    木村 太郎君
      阪上 善秀君    鈴木 恒夫君
      鳩山 邦夫君    菱田 嘉明君
      松浪 健太君    三ッ林隆志君
      水野 賢一君    望月 義夫君
      山本 公一君    大石 正光君
      小林  守君    近藤 昭一君
      西  博義君    中井  洽君
      藤木 洋子君    金子 哲夫君
      星野 行男君
    …………………………………
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   参考人
   (財団法人日本生態系協会
   会長)          池谷 奉文君
   参考人
   (江戸川大学社会学部環境
   デザイン学科教授)
   (特定非営利活動法人荒川
   流域ネットワーク代表)  惠 小百合君
   参考人
   (財団法人世界自然保護基
   金ジャパン自然保護室次長
   )            草刈 秀紀君
   参考人
   (特定非営利活動法人アサ
   ザ基金代表理事)     飯島  博君
   参考人
   〔千葉の干潟を守る会代表
   (日本湿地ネットワーク前
   運営委員)〕       大浜  清君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 自然再生推進法案(谷津義男君外六名提出、第百五十四回国会衆法第四六号)


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     ――――◇―――――
松本委員長 これより会議を開きます。
 第百五十四回国会、谷津義男君外六名提出、自然再生推進法案を議題といたします。
 本案審査のため、本日、参考人として、財団法人日本生態系協会会長池谷奉文さん、江戸川大学社会学部環境デザイン学科教授・特定非営利活動法人荒川流域ネットワーク代表惠小百合さん、財団法人世界自然保護基金ジャパン自然保護室次長草刈秀紀さん、特定非営利活動法人アサザ基金代表理事飯島博さん、千葉の干潟を守る会代表大浜清さん、以上五名の方に御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人の皆様におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序でありますが、池谷参考人、惠参考人、草刈参考人、飯島参考人、大浜参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。
 それでは、池谷参考人にお願いいたします。
池谷参考人 おはようございます。
 このような貴重な席に私をお呼びいただきまして、大変ありがとうございます。心から感謝を申し上げます。
 自然再生推進法ということでございますが、戦後、私どもの国民の生活を豊かにするために多くの開発がなされました。その結果、私どもの生活は大変豊かになったとともに、実は将来世代の財産も大きく失った面もあるわけでございまして、そういったときにこういった法案ができますことは、私どもとしても大変時宜を得たものであろうというふうに考えております。
 自然再生につきましての基本的な考え方につきまして、パワーポイントを使いましてちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 まずこれは、私どもの生存基盤でございます自然生態系とは何か。太陽光線と大気と水と土、それからその上に乗っています多くの野生生物、主として五つの要素とそれぞれが循環していますのが自然生態系でございまして、この自然生態系が私どもの生存基盤なわけでございます。しかしながら、現在、多くの野生生物の絶滅が見られるところでございまして、これをどう復活するか、これが最大の課題ということになるわけであります。
 次をお願いします。
 これは、私どもの生活基盤といいますのは一番下でございまして、自然生態系を私どもの生活の資源という見方からしますと、生物資源と非生物資源に分けることができます。この基盤の両方ともを今大きく失っているところでございまして、この自然生態系を利用して第一次産業で大量生産をし、第二次産業でまた大量生産をし、第三次産業で大量流通をし、当然大量消費しますので、大量の廃棄物が出てくる、現在の地球がぐらっと傾いているという現状になっているわけであります。
 そういった中で、各国でも早くから自然再生の取り組みがなされているわけでございますが、特に進んでいますのは河川の関係でございます。
 河川の関係では、自然再生をする場合に実は三つの段階がございます。今ごらんに入れていますのはタイプワンというものでございまして、川の一部を自然に近い状態に戻す、例えばコンクリで固まっていた川を再度自然に近い状態に戻す、これがタイプワンのものでございます。
 次のタイプツーのものでございます。これは川の流れを上流から河口まで自然の状態に戻す、例えば堰ですとかダムがある、そういったものを取り除いていくということになるわけでございますが、これはケネベック川、アメリカのメーン州にございますエドワーズダム、これを連邦政府が取り除こうということで、取り除いてしまったということでございまして、将来世代の財産を守ることの方が、今の電力を少しつくるよりもずっと国のためになるであろうというふうに連邦政府が考えて取り外しているところでございます。これがタイプツーのものであります。
 やはりこういったことはヨーロッパにもございまして、これはフランスのダムでございますが、フランスでもダムを既に三つ取り壊しているところであります。これもタイプツーです。
 次に、タイプスリーでございますが、これは川のはんらん原を含めまして川全体をもとの自然に近い状態に戻していこう、はんらん原も戻そうというものでございます。
 ここにお示ししていますあれは、デンマークのスキャーン川でございますが、以前はここは湿地帯でございました。それを農業開発のために川を直線化して開発したものでございますが、それを再度もとの湿地帯に戻すということでございます。これは、一九九九年から工事が始まっておりまして、ことしの十一月に終わる予定でございまして、大体二千二百ヘクタールの自然を再生するというものであります。こういった工事はデンマーク等各国で多く行われているものであります。
 その結果、多くの野生生物が帰ってきた。この野生生物の遺伝子が将来世代の重要な財産である、こういうことであります。
 そういった考え方は、国際河川でございますライン川でももはや議論をされているところでございまして、過去二百年のはんらん原をもとに戻そうということでございます。黄色い線でございますが、これが過去二百年のはんらん原であります。今、濃くなっていますけれども、ここはもう既に公有地化いたしまして、将来世代に自然を戻そうというふうにしているところであります。
 世界最大の自然再生の場所は、アメリカ・フロリダ州のキシミー川に見ることができます。これはもう一万ヘクタールを超す大きなものでございまして、今までありました、蛇行した河川を直線化してしまった、それを一九九七年から全部埋め戻していこうということであります。
 ちょうどこれがそのちょっと前でございますが、蛇行している川を直線化した、これを再度埋め戻していこう、約六十九キロですが、埋め戻してもとの自然再生をしていこうということで、現在工事が始まっているところでございまして、これは二〇〇九年までの予定であります。
 そこにすんでいます多くの野生生物、特にホワイトアイビスといいましてアメリカのトキでございますが、こういったものを絶対に滅ぼしてはならない、こう言っているわけであります。
 残念ながら、日本のトキはこういう中に入ってしまっているわけであります。
 これは河川ばかりではございませんで、自然再生は農業関係でもアメリカではかなり進んでいるわけでありまして、これはアメリカの中西部の穀倉地帯でございます。以前はこういうふうなプレーリーだったわけであります。
 それを大幅に破壊いたしまして、今の世代に合うように農業開発をしてしまった。
 そのことによって、多くの野生生物を滅ぼしたわけでございまして、数億はいたと言われますパッセンジャーピジョン、リョコウバト、一羽も今いないわけであります。すべて絶滅をさせてしまいました。多くの野生生物を絶滅させた。
 それとともに、多くの土壌を喪失したというところがございます。
 そういうところから、一九八五年の農業法からCRP政策を入れ、この図は、一九九〇年のWRP政策を入れまして、農地を再度自然に戻すということが広く行われているところであります。
 これは最近のドイツの事例でございますけれども、連邦自然保護法等によりまして、極力、土というものにカバーをしないということで、コンクリートやアスファルトをはがしていこうというふうなことが盛んに今行われているところであります。
 多くの野生生物を守るための最低限の考え方でございますけれども、極力固まりで残してつないでいくということが基本だというふうに言われているところであります。
 それを全国レベルで最初に行いましたのがオランダでございまして、海側の湿地、内陸部の湿地帯、それから森林等を残してつないでいくという、こういった目に見える形での図であらわすということが大変重要でございます。
 それをヨーロッパ全体でやっていこうではないかということで、ヨーロッパのエコロジカルネットワークの構想が今進んでいるところであります。
 これは先ほどのキシミー川の例でございますが、これからのキシミー川、フロリダ州の自然をどう取り戻していくかということでございまして、ブルーの部分が既に公有地化しているところ、今赤いところが、これから戦略的にエコロジカルネットワークをする上で重要な戦略的な場所であるということを図に示して、これを買収していこう、また自然再生していこうということになるわけであります。
 これでパワーポイントを終わりますが、ここで二つほどお願いをしたいなと思うわけでございます。
 こういった自然再生をする中で大変重要なのは、やはり今までにどういう野生生物がそこにいたかという事前調査と、それから、工事をした後のモニタリングといいまして、どういう野生生物が帰ってきたかということをしっかり調べていただきまして、それをまた次の工事に役立たせるということが重要でございまして、アダプティブマネジメントということが今後重要な要素になるわけでございます。そういったモニタリングをしっかりやる必要があるのであろうというふうなことが一つであります。
 あと一つは、これからの日本の国をどうするかということで、平成十六年の通常国会で、国土計画の新しい体系をつくろうということで議論がなされるはずでございますけれども、平成十七年にはその具体的な国土計画が出てこようと思うわけでございます。そういう中で、その以前に、日本におきましてもエコロジカルネットワークというものを具体化し、図にして出すということが今後求められるものではないかというふうに考えております。
 以上で私の陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)
松本委員長 ありがとうございました。
 次に、惠参考人にお願いいたします。
惠参考人 おはようございます。
 江戸川大学及び荒川流域ネットワークの代表をしております惠小百合です。よろしくお願いいたします。
 本日は、私どもの荒川流域ネットワークの視点から、できるだけ既存の自然とこれから再生する自然及びこれまでつくられている都市の保水能力あるいは再生のための蒸散力を高めていく、そういう視点を含めたネットワークを流域単位で考えたいということを最初に申し上げたいと思います。
 荒川流域ネットワークでは、現在、清流よ、よみがえれという視点から運動を続けておりまして、さらに、清流をよみがえらせようという運動をしている中で、水質調査をしていきました。水質調査の結果なども、マップにまとめてきております。それを見ますと、あなたの家も水源地という形で、自分たちの地域で自分たちが出している水に関しての責任をきちんと果たさなくてはいけないということと、保水能力をきちんと高めなくてはいけない、そういう運動をしてまいりました。
 さらに、あなたの家から出していく先の水辺で自分の子供や孫たちを泳がせられるかということをベースに考えたときに、絶滅危惧種ミズガキ復活キャンペーンというのをしようということになりました。生き物の一つである水辺で遊んでいた元気なガキたち、ミズガキをどうやって復活させるかということを、淡水魚の研究家である君塚芳輝さんのミズガキという言葉をキーワードに検討をして、さまざまな活動と連携をしております。水辺の環境を復活させるということを、そこの地域の人々によって自主的に再生の主体を育成するということにつなげていきたいと思っているところです。
 その点から流域という発想を考えますと、木を使う文化の再生、そのことが、広い視野で、水源林の保全、流域のコミュニティーの形成、場合によっては流域資源の活用に伴う流域経営という視点につながろうということで、現段階では、私たちの視野を国土の環境保全にどういうふうに目を向けるかというところでキャンペーンをしております。
 さらに、環境と農業と林業の再生と存続のメカニズムということが大きな課題となっているわけです。その点から、最初に申し上げましたように、既存の自然、これは、私はナショナルトラスト運動というのをやってまいりましたので、今ある自然を市民の力でどうやって残すかということと、これから自然再生推進法に伴って始まる、これから再生する自然をどのように維持管理するかということと連動している話です。その意味では、最初に流域単位で市民のNPOによる保全活動をぜひ位置づけていただきたいと思っていたところ、この自然再生法に地域での自然再生協議会が設定されるということで、その意味で私たちの力が問われているというふうにも認識しております。
 さらに、現代の社会の中で、行政と企業とNPO、代表的なNPOという意味ですが、その三つのトライアングルによる地域再生及び自然再生、都市再生のことが課題になっているわけですが、特に今回、大きな視野で、流域全体を見て、公共事業の考え方を、流域経済の循環メカニズムを再生するという視点で考えていただけないでしょうかというふうに思っております。
 特に、その公共事業的視点で、例えば木を使うことで、流域の上流、下流の地域での資源を少々高くても購入する、そういう地域をつくる、そのきっかけのスポットに例えば自然再生をする対象地があって、そこでの具体的な活動を通して、子供たちも将来、自然再生の担い手として流域の仕組みを見つけていくということにつなげたらどうかというふうに思っております。
 特に、身近なところでいいますと、荒川の旧流路の自然再生事業というのに取り組んでおりまして、資料としまして、お手元の資料の中に大きな二枚紙がございますが、これは、かつて蛇行していた河川を直線化いたしました荒川の桶川、川島町付近の場所でございますが、そちらの再蛇行化によって、蛇行河川の復元をするということによって、湿地の保全、創出をしていこうということなんですね。
 この事業で対象としているものは、湿地の部分の保全、創出ではありますが、現実にこの事業にかかわりまして気がついたことは、荒川の直線化した本川の川の深さとかつて直線化する前に蛇行して流れていた川の深さの差が、六十年前に本川が直線化されたその六十年間で五メーター川底に差ができている。それは、上流から川は山を削って土砂を下流に運ぶのが仕事なんですが、その上流域での土砂がとまるダムとか堰とかさまざまな河川護岸の形によって土砂が流れ込みにくくなっている。その荒川本川の深くなった水から旧流路の高いところの水面に水を揚げるというのは、物理的な力でやるしかないわけです。
 そうしますと、再生といっても、旧流路に水を取り込む方法というのは自然の形での再生ではなかなか難しいので、それよりもその水位の少し高い支流からバイパスで水を持ってくることなども考えなくてはいけない。そのことから私たちが学ぶのは、五十年、六十年という時間を経ますと、さような、水位にして五メーターの差というような現象が起きてくる。そのような自然の持っている自然の水位、これにきちんと着目をした再生事業を行わなくてはならないのではないか。この点から、上流から海までの一貫した、流域全体を視野に置いた各地域地域での再生事業を位置づける総体的な位置づけをきちんとその事業計画などに書き込めるような、その部分が不可欠ではないかというふうに思っております。
 地域の再生に関して、その地域に住むNPOの連携や企画力、場合によってはその地域で行われる事業者に対するチェック能力、そういう形での私どもNPO自身の能力の開発ということも非常に重要となってきておりますが、さらに、維持管理に関しても、必要な情報を国、自治体等が事業者に提供する、協議会に提供するというふうに書かれている今回の法案の中で、NPOを育てる、これからの企業と行政とNPOという三つの連携のもとに立ち上げていく二十一世紀の市民社会において、どういう形でNPOを育てていただけるかということも含めて、行政側からも、この事業によってつくられていくものは、再生された自然だけではなくて、その再生を継続して次世代につないでいく市民の再生、再生という言い方は変ですが、市民自身をも育てていく事業であっていただきたいというふうに思います。
 その意味で、自然再生協議会での検討結果を踏まえた維持管理、モニタリング、さらに環境学習等を含めた利用活用マネジメントに関して、初期投資を原則として考える公共事業の中で、維持管理にかかる費用、これをどのように合理的に考えて形成していくか、確立していくかということについても、できればその維持管理費用の運用の仕方も、きちんとその市民団体がマネジメント能力を開発するということを前提にして、同時に一緒に自治体、企業と進めていかれるような体制をつくっていただければと思っています。
 二十世紀は石油の文明と呼ばれ、二十一世紀は水の文化の時代が開いていると思います。その意味で、水というものを通じて自然環境がはぐくまれてきている豊かな日本を見るだけではなくて、世界の貧困の問題に対してもサポートできる、そのためには、日本の自分の地域の足元の環境に対して再生を一度でも手がけたことのある市民、ミズガキたちをたくさんふやしていけるような方向にこの法案が生きていくように、私たち市民もウオッチしていければと思っております。
 最終的には、市民が具体的な動きをつける上で団体の活動の大きなきっかけとなります、例えば認定NPO法人への地域限定の要綱なども、流域をフィールドとして活動している団体などの視点から見れば、地域が限定されていないような活動を広くやっておりますので、ほかの関連するNPOの動きやすさを促進するような事業及び法整備ともぜひ連動させていただければと思っております。
 以上です。(拍手)
松本委員長 ありがとうございました。
 次に、草刈参考人にお願いいたします。
草刈参考人 WWFジャパンの自然保護室におります草刈でございます。
 最初に、今回の法案審議に当たりまして意見陳述の機会を与えていただきましたことに、心より感謝申し上げます。
 今回、議員立法として提出されている自然再生推進法案について、WWFジャパンは、日本自然保護協会及び日本野鳥の会とともに、十一月七日付で「「自然再生推進法案」に対する要望」を提出しております。各議員の方々のお手元に配付されていると思います。WWFジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会を今後三団体と称して話させていただきます。
 私たち三団体は、自然再生推進法案は急いで可決するべきではなく、広くさまざまなNGOを交えて法案作成段階から改めて議論した上で、出直すべきであると考えております。具体的には、法案の附則に本年十二月一日から施行とありますが、拙速であるべきではないということでございます。
 三団体は、今年七月に、法案に対して六項目の修正を求めました。これもお手元の資料にあります環境調査室が作成している「法案の概要及び関連資料」の三十二ページにあるとおりでございます。
 この結果、四項目について修正が行われました。一つ目は、法の目的及び基本理念に生物多様性の確保を加えることでございます。二つ目は、基本理念に透明性の確保を加えること、三つ目が、自然再生推進会議の下に自然再生専門家会議を設置すること、四つ目が、法施行後の見直しについてであります。この四修正項目について取り入れていただいたことについては評価しております。
 しかしながら、私の後、アサザ基金の飯島参考人から意見が出されると思いますが、いわゆる自然再生事業に対する市民団体の懸念を拡大する事態が発生しております。
 例えば、霞ケ浦におけるアサザ基金が水辺の植生の回復を地道に進めてきたにもかかわらず、国土交通省が水位上昇を伴う水位管理の再開を一方的に決定したり、沖縄では、本島最大の海藻藻場を誇る泡瀬干潟において、海藻を移植すれば埋め立てても構わないという理屈で埋め立てが開始されております。また、自然再生法の地域版とも言える有明海、八代海特別措置法案では、漁場の環境再生手法として、海底の耕うん、覆砂、下水処理などの公共事業への補助率を上げることが中心になっております。しかしながら、有明海の再生は、諫早干潟の復元、潮流、潮汐の回復という根本的な解決策抜きにしては不可能であります。
 このようなさまざまな懸念材料については、先日、十二日の環境委員会でも指摘されたところでございます。
 それでは、これから三団体からの要望を説明させていただきます。
 先日提出した要望書にありますが、一つ目として、「国会における本法案の審議にあたっては、法案に懸念を抱く団体・専門家からも参考人として広く意見を聞いた上で、慎重に審議すること。」これは、今回の参考人も含めて、さらに多くの自然再生事業を懸念する団体からも意見を聞くべきということであります。
 二つ目は、「個々の自然再生事業が、環境基本計画や生物多様性国家戦略など、わが国の環境保全に関する基本計画にもとづいて実施されるものであることを保証するため、環境大臣は、自然再生基本方針の下、国民意見のヒアリングを経て、「自然再生基本計画」を樹立し、国土の自然再生のグランドデザインを具体的に明示するものとすること。」であります。
 お手元の資料にあります「自然再生推進法へのNGO提言による概念図」をごらんください。この図と環境調査室の関連資料十ページの図を見比べてください。
 現在の法案では、自然再生基本方針を立てることになっておりますが、この下に自然再生基本計画、つまり野生生物の生息地の保全、再生、創出、維持管理、民間団体の支援、環境学習等々を含めた国土のグランドデザインを政府が策定することが重要と考えます。
 一言に自然再生といっても、原生的自然、里山に代表される二次的自然や都市の自然は、それぞれ異なった特質を持っております。再生の目的、方法、維持管理において、違った扱い方が必要になります。したがいまして、より具体的な国土のグランドデザインを策定することが重要であります。
 多くの団体が懸念していることは、自然再生された姿、国土のグランドデザインがどうなるか明らかにされていないことであります。
 干潟の再生を例に挙げますと、戦争直後、我が国に八万ヘクタールあった干潟は、戦後の埋め立て、干拓によってその四〇%が失われてしまいました。特に、東京湾や伊勢湾では、残る干潟は一割以下となっております。我が国の太平洋岸の渡り鳥の回遊ルートは、壊滅的な打撃を受けております。自然再生推進法を制定するならば、このような過去の開発によって失われた自然のネットワークをどのように回復していくべきか、そのデザインがぜひとも必要でございます。
 昨今、国民の意見徴収、パブリックコメントが頻繁に行われておりますが、現実的には、その意見が反映されない実態がございます。国民からの意見を反映させ、本来あるべき自然再生基本方針、自然再生基本計画を政府が策定することが必要であります。
 三つ目として、「個々の自然再生事業が、保全生態学にもとづいて科学的に実施されるものであることを保証するため、自然再生事業実施計画に、モニタリング調査とそれにもとづくフィードバックの方法に関する項目の記述を義務付けること。」であります。以下、要望に書いたもののとおりでございます。
 有明海、八代海特別措置法案のように、自然再生という目的とそれを実現するための手法の間にずれが生じ、似て非なる事業になってしまう可能性を否定できないのであります。
 千葉県が実施している三番瀬再生計画検討会議、通称三番瀬円卓会議と呼んでおります、この三番瀬円卓会議では、漁業者、地元自治会、自然保護NGO、一般県民、専門家等から成る円卓会議とは独立して、自然環境や都市計画などの専門家で構成する専門家会議を設置しております。円卓会議に科学的なデータが提供されております。これによって、ともすれば関係団体の利害の衝突の場となる円卓会議において、科学的事実に基づいた議論ができる基盤をつくっております。自然再生協議会においても、このような役割を持った科学委員会がぜひとも必要です。
 なお、科学委員会のメンバーは、行政がつき合いのある学者を選ぶという手法ではなく、市民参加の合意形成に理解ある専門家をNGOの意見を聞きながら選ぶことが必要です。
 四つ目として、「個々の自然再生事業を、主務大臣が事業認定する際に、生態学的に過った自然再生事業でないことを保証するため、主務大臣は自然再生専門家会議の意見を「聴くことができる」ではなく「聴かなければならない」ものとすること。」ということであります。これは、先日、十二日の環境委員会でたびたび議論のあったことでございます。
 三団体からの要望に明記していない点で、先日、十二日の環境委員会でも議論になった第八条、自然再生協議会について意見がございます。
 先日の環境委員会では、手を挙げた人がだれでも協議会に加わることができるという答弁がございました。利害関係者がだれでも加わって、それでよろしいのでしょうか。協議会を立ち上げる仕組みが必要でございます。
 お手元に、四月十八日、二十日、二十八日の意見交換会の合意事項、それから愛知万博検討会議の名簿が配られていると思います。愛知万博検討会議は、二〇〇〇年の三月、資料にありますとおり、六者の合意に基づいてつくられた会議でございます。この合意事項は七つありますが、この中から四つが参考になります。
 一つ目が、二番にあります「委員については、地元関係者、自然保護団体、有識者等のバランスに配慮しつつ、愛知万博のあり方に対する明確なビジョンをもった人を選ぶ。」であります。お手元の資料にありますとおり、地元関係者九名、自然保護団体九名、有識者、博覧会委員十名となっております。利害関係者が対等な立場で議論できるメンバー構成となっております。
 二つ目が、三番にあります「会議の場を万博のプロセスにきちんと位置付け、段階的に合意形成を図る。」これは、自然再生でいえば、会議の場を自然再生のプロセスにきちんと位置づけ、段階的に合意形成を図るというふうなことでございます。
 三つ目が、五番にあります「会議の場においては、情報の共有を図りつつ、複数の案について比較検討を行う。」ことでございます。自然再生事業についても、計画や手法などについて複数案出ることがありますので、このような検討が必要だと思います。
 四つ目が、六番にあります「会議の場および配付資料は、公開とする。この他、広く意見を聞くなど、コンセンサスの形成を図る。」ことでございます。愛知万博検討会議では、会議の内容はすべて、今回の環境委員会と同様、インターネット中継で見ることができます。法案の第三条「基本理念」の二項に「透明性を確保しつつ、」という記述があります。この四点目に当たります。
 私の意見陳述後、アサザ基金の飯島参考人からは、中止された円卓会議の例が紹介されると思います。また、千葉の干潟を守る会代表大浜参考人からは、現在進められている三番瀬の円卓会議について説明があると思います。三番瀬の円卓会議は、この愛知万博方式をとっております。自然再生協議会に当たるこの円卓会議がどのような状況になっているか、大浜参考人から聞いていただければと思います。
 法案の見直しは五年後とされておりますが、事業の進行状況やモニタリング、フィードバックの上で、三年後の見直しが適当であると考えております。同様に、自然再生基本方針についても、五年ごとの見直しではなく、三年ごとの見直しが必要と考えております。
 最後に、提案がございます。
 我が国には、種の保存法、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律がございます。この法律は、制定後十年がたっております。しかしながら、一部の絶滅のおそれのある種を守るだけで、その種が絶滅のランクに至らないような措置を含めた法制度に衣がえすることが必要でございます。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存及び野生生物の生息地の回復に関する法律というふうに抜本改正して、この法律のもと、自然の再生や修復、復元を行うことが適切であると考えております。
 これで私の意見陳述を終わらせていただきます。先生方におかれましては、慎重なる御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
松本委員長 ありがとうございました。
 次に、飯島参考人にお願いいたします。
飯島参考人 私の意見陳述ですが、このかっぱのマークのついている資料と、それからきょうお配りしました「自然再生推進法案に対する意見」、各議員の方々のお手元に配られていると思います、これに沿って御説明をしたいと思います。
 このかっぱの資料の一番後ろの二十九ページにありますが、私どものアサザプロジェクトという事業ですが、市民による公共事業、NPO主導の公共事業を目指そうということで、霞ケ浦とその流域全域を対象とした環境再生、自然再生事業を行っています。ことしの夏までに、延べ六万人を超える市民、それから百七十の小学校、さらに中学、高校と、さまざまな教育機関、それから企業であるとか農林水産業、そのほか各種団体、そういった多様な主体によって進められる広域の自然再生事業を私たちは行っています。そのネットワークですけれども、そのネットワークをコーディネートしているのが私たちNPOという位置づけになっています。
 私たちは、単なる環境保護の枠組みを超えて、実際に自然保護を実現するためには、そういう今までの既存の枠組みを超えて、みずからも環境という枠を超えて、産業であるとか地域のいろいろな教育活動、福祉であるとか、さまざまな分野にこの環境保全のシステムを浸透させていこうという取り組みを行っています。今回は時間がありませんので、私たちの取り組み自身については細かく説明はできませんが、この新聞記事等を御参考にしてください。
 私たちは、今、霞ケ浦で、国土交通省と連携して、恐らく国内で最大規模の自然再生事業を全国に先駆けて実施しております。その中で、さまざまな問題点それから課題が今浮き彫りになっておりまして、私たちはこれを乗り越えなければならないという立場にあるんですけれども、この自然再生推進法案、これが果たしてこの私たちが抱えている課題を乗り越えるために役立つのか、あるいはそれをさらに大きな壁として私たちの前に存在させてしまうものになってしまうのか、私たちは今後の法案の審議については非常に注目しております。
 この法案に対する意見ですけれども、まず第一に、この法案第六条について述べたいと思います。
 自然再生事業に必要なのは、いわゆる公益というものの見直しではないか。霞ケ浦の自然再生事業は、従来の公益、霞ケ浦の場合は水位管理であるとか逆水門の管理といったものがありますが、その見直し抜きには実現できないという実情があります。
 今までも、公益の名のもとに行われた開発行為によって自然環境が破壊され、損なわれてきました。また、開発が行われた後も、公益の名のもとに行われる管理や利用によって自然の再生が妨げられている状況が全国にあるわけです。この公益のあり方を見直すということがなければ、本来の自然再生というものはあり得ないのではないかというふうに考えております。
 実際に霞ケ浦で起きている状況についてお話ししたいと思います。
 先ほどお話ししたように、霞ケ浦では、NPOと住民、行政が一体となって、過去に大規模に損なわれてしまった自然環境の再生をする事業、国土交通省と連携して行っておる事業ですね、湖岸植生帯復元事業と申しますけれども、それが行われております。
 この国土交通省と連携している自然再生事業は、昨年度までに基盤整備が終了しています。浅瀬を造成するなど、コンクリート護岸を植生が成立するような形に直していくという事業です。今年度から、地元の小中学生や住民を中心に、水生植物、もともと霞ケ浦に自生していた植物の植えつけ作業が部分的に始まっております。さらに、来年度から本格的な植えつけをするということで、地元の流域の小学校が一丸となってこの準備を進めているという段階です。
 今回の植生復元事業は、一九九六年秋から二〇〇〇年までに国土交通省が行った、冬の間、湖の水位を上げる管理、これは水資源開発事業に伴って行われるものですけれども、それによって損なわれたアサザなどの植生帯、アサザの群落の場合は、この管理が行われてから十分の一に減少しました。そうやって損なわれたものをもとに戻すという目的で実施されています。それに伴い、この事業の期間中、冬期の水位上昇は凍結されております。これは、資料の二ページにあるものを見ていただければと思います。これは、私たちと国土交通省、水資源開発公団が共同で記者会見をしまして、この自然再生事業を行うために水位を上げずに管理しましょうという合意をしたわけです。
 現在、実は霞ケ浦では水余りが生じています。過剰な水資源開発によって水が余っている状態があります。ですから、この間、水位を上げない管理をしていましたが、特に水が足りない、あるいはいろいろな利水上の問題が生じたということは起きておりません。
 また、霞ケ浦の植生帯復元事業では、植生帯の衰退の原因究明が、私も参加しています検討会の中で実施されまして、この事業とともにその究明が進められました。それによって、水位上昇が大きな原因であるということも明らかになっております。
 ところが、ことしの十月になりまして、霞ケ浦工事事務所が、水資源管理という公益のもとに、冬の水位上昇を前提とした管理実験をもう一回再開したいという発表を、これは私たちには全く相談もなく、一方的に記者会見をするという形で発表されました。これは資料の三ページ、四ページ、十三ページに示されております。現在、まだ植生の復元作業が始まったばかりで、基盤整備が終わってようやく部分的に水草を植えるという作業が始まり、来年に向けて、子供たちが一生懸命水草をふやす、植えつけようという準備をしているそのさなかに、しかもその植えつけが終わった直後に、植生帯に明らかに影響を及ぼすことがわかっている水位管理を再び再開しようという決定を一方的に国土交通省霞ケ浦工事事務所が実施したわけです。
 このような実験が行われれば、植生帯が再び衰退して、せっかくたくさんのお金、税金を費やして、また何万人もの人々がこの再生事業に参加して、この植生帯、自然再生を行ってきた事業が台なしになってしまう。このようなことを繰り返していけば、まさにマッチポンプになってしまうのではないか。自然を破壊し、またそれを取り戻すために自然再生事業をやる、またその自然を破壊するために、公益の名のもとに破壊が行われる、このようなことが行われていいのだろうかというふうに考えます。実際に、その水位上昇によって大きな影響が出るということは、資料の二十三ページから二十五ページ、これは私も参加しております国土交通省の委員会の中でも明らかになっているものです。
 霞ケ浦の水位管理は、湖の自然再生を進める上で最も重要な要素であると同時に、水資源管理という公益とも深くかかわる要素であるわけです。霞ケ浦の事例で明らかなことは、過去に決められた公益性、要するに基準ですね、これが優先されることで、過去に失われた自然環境の再生が妨げられているという実態であると思います。水位管理という公益の見直しがない限り、霞ケ浦の自然再生は不可能であるということはもう明らかなんです。
 このことは、霞ケ浦に限らず、多くの地域で言えることだと思います。自然再生事業を成功させるには、水位管理などの従来の公益のあり方の見直しが不可欠だというふうに考えます。さらに、自然再生事業は、公益の見直しを伴うことで社会の側にインパクトを与えることにもなる、それによって、この法案が目指している自然と共生する社会の構築の実現に結びつくものになるのではないかというふうに考えます。
 自然と共生する社会の構築ということは、現在の社会の変革なくしてはあり得ないことですし、社会の再構築というものを伴わなければならないものです。その中では当然、公益というもののあり方も変わってくるというふうに思います。ですから、公益というものを行政の枠の中で固定して、その枠の中で自然再生を続けていこうということは絶対に見直さなければならない、その枠組みを超えなければ真の自然再生はあり得ないというふうに考えています。
 ちょうど百年前、田中正造が、治水はつくるものにあらずという言葉を残しておりますけれども、これはまさに、この自然再生事業についても言えるのではないかというふうに思っております。
 以上の理由から、私は、同法案の第六条については削除されることを強く求めます。
 あわせて、第二条になりますが、「「自然再生」とは、」といった本文の中に、自然の再生を妨げている要因を取り除きという、まさにこれは公益というものとかかわる部分ですが、これを加えることを求めます。
 次に第二点、第八条についてですが、NPOと行政は本当に対等な立場で実施者になれるのかということです。これは資料の十一ページを見ていただきたいと思います。
 自然再生事業のモデルとされている事業が二つあります。釧路湿原と霞ケ浦ですけれども、この二つの事業の大きな違いは、行政主導で進められているか、NPO主導で進められているかということだと私は思います。
 釧路湿原では、全体計画を行政主導で進め、その中に含まれる特定の地域あるいは分野をNPOが担当するという手法で進められております。一方、霞ケ浦では、湖と流域全体を覆う全体計画、これは行政ではなかなかできないものだと思います。行政の縦割りを超えることはNPOの一つの大きな役割だと思いますが、NPOをうまく行政側も使っていただいて、流域全体を覆う自然再生事業というものが今進められています。個々の地域や分野について、個々の行政と私たちNPOが組んで全体を調整していくという役割を持っているわけです。
 ところが、この自然再生推進法案について、河川局及び霞ケ浦工事事務所と話し合っておるんですけれども、その中では、例えば霞ケ浦全域にかかわる再生事業、これはアサザプロジェクトそのものなんですが、これについては協議会をNPOで呼びかけることはできない、これは行政が呼びかけさせていただくというような見解を聞いております。このようなNPOが部分的な事業について呼びかけることができるという見解に基づいてこの自然再生推進法が実際に施行されますと、アサザプロジェクト、私たちが非常に多様な主体をNPOの柔軟なネットワークの中でうまくつなぎ合わせている、そのネットワークが崩壊してしまうおそれがあるというふうに考えています。
 NPOとの連携というものについて、NPOの位置づけというものが、行政が今のような認識であった場合、アサザプロジェクトにこの法案が適用されると、NPO主導から行政主導に変わってしまう。さらには、行政が持っている縦割り、地域割り、年度割りのそういったばらばらにされてしまうシステムによって、プロジェクト全体計画が分断され、全体をつなぐNPOの役割が阻害され、プロジェクト全体が崩壊するおそれがあるのではないかという大きな危惧を持っております。このような事態を生じさせないためには、この法案の見直しも当然あると思いますけれども、何よりも行政側がきちっとした姿勢を示すこと、それから、NPOの位置づけというものを、単に行政の下請あるいはお手伝いをする主体というような見方ではなく、私たちが今進めているような新しい社会システムをつくり上げていく主体としてきちっと位置づけていただく必要があると思います。
 行政の誤った認識については、アサザ基金の申し入れ、これは、円卓会議をぜひ開こう、開いてくださいという申し入れを国土交通省にしたわけですけれども、これは資料五ページ、六ページにあります。この申し入れを受けまして、国土交通大臣が参議院の決算委員会で、円卓会議を開きましょうということを明言していただきました。ところが、現場におりてきますと、今度はこの円卓会議が全く違うものに変質してしまう。円卓会議が全く覆されて、意見交換会にすりかえられてしまったわけです。資料の十二、十五ページを見ていただきたいと思います。
 この円卓会議は、多様な利害関係があって合意形成がなかなか難しい、そういった公益にかかわる事業あるいはその管理、それについて、行政だけでは合意形成できない部分を、円卓会議という形で、行政が意思決定しやすい形で行政に受け渡せるような、そういうシステムとして私たちは提案しました。ところが、その円卓会議に対して非常に大きな拒絶反応がその現場から生じているということです。
 意見交換会というのは、まさに今まで行われていたさまざまな意見を聞く会、行政が意見をNPOや住民から聞いて、その意見を行政が集約するという場であって、私たちが望んでいるものでは全くありません。このような行政の誤った認識、これをまず変えていただかないと、この自然再生事業は正しい方向には行かないのではないかというふうに思っております。何よりも、NPOを主体として参画させるという強い意思を持って、行政はこの法律に臨んでいただきたいというふうに思っております。
 第三にですけれども、これは第二条になります。事業の対象地域を研究実績に基づいて選定すること、それから第三者機関として科学委員会の設置は不可欠であるということです。
 第二条は「過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻す」としていますが、同法案による事業の対象地域の選定に当たっては、過去に生態系や自然環境を損ない、自然の再生を妨げている、または野生生物の生息を妨げている要因についての科学的な調査や研究が実施された実績のある地域に限定すべきだと思っています。
 そもそも、自然再生事業を行うに当たって、この法律にも示されているように、自然を損なう、あるいは再生を妨げている要因というものが果たして明確に把握されているのかどうか。これを把握するという作業は、実は大変なことです。非常に高度な科学的な調査や研究が必要です。これは、保全生態学という新しい学問分野ができ、そのパイオニア的な研究者が今一生懸命研究を進めておりますが、これをきちっとしたレベルの高い研究としてまとめ、その要因を科学的にきちっと把握した上での事業でなければ、まずこの自然再生事業そのものが成り立たないのではないかというふうに考えております。この法律では、事前にそのような科学的な研究あるいは調査が行われているかどうかということを把握する、あるいはそれをきちっと審査するというシステムは全く入っておりません。
 私は、この対象地域は厳しくこの科学的なレベルを達した地域に限定すべきである。そうでなければ、多くの場所で、思いつき、思い込みで始まった自然再生事業、しかもそこにNPOの方々、住民の方々が善意で参加するわけです。一度始まったらとめるのは大変だと思います。地元の方々を傷つけることにもなりますし、多くの混乱を生じさせると思います。そういう意味でも、科学的な厳密さ、そのきちっとした水準を保つということは、この法律にとって最も重要な点ではないかというふうに考えております。
 なおかつ、それを審査する機関として第三者機関、私は科学委員会と呼んでいますが、例えば生態学会、あるいはNPO、NGOの中でそれだけの能力のある団体、これが参加して、第三者としてきちっと審査をしていくことが不可欠だというふうに考えております。
 そもそも、新生物多様性国家戦略、この第二章の四のイでは、その要因を科学的に把握することを前提としているとこの自然再生事業について定義しています。これらの要因が科学的に検証された実績がない地域で自然再生事業を立案することは、私は何度も申し上げますが、不可能であるというふうに思います。
 さらに、事業計画が提出された後に縦覧期間を設け、意見を持つ人や学会などの意見を集約した後に事業の是非や内容を決めるような手続が必要ではないかと考えております。
 最後に、この法案の作成段階で、残念なんですけれども、モデルというふうにされております私たちのアサザプロジェクトに関して実態調査が行われていない、これは非常に私どもは残念に思っています。私たちが今いろいろな問題に、これまでもそうですけれども、直面し、それを乗り越え、もちろん、地元、現場の行政関係の人たちともいろいろと悩みながら、相談しながら、ようやく何とか折り合いをつけながら今この事業を進めてきています。でも、乗り越えなければならないいろいろな限界があります。そういうものがきちっと把握された上でこの法律がつくられていれば、もっと私たちにとってもいいものになったのではないかなというふうに思っております。
 しかし、今後の審議を通して、この法案がNPO主導の私たちのような事業を阻害することなく、その発展に寄与するものになるように十分に検討されるようお願いしたいと思います。
 以上です。(拍手)
松本委員長 ありがとうございました。
 次に、大浜参考人にお願いいたします。
大浜参考人 大浜です。
 私は、千葉の干潟を守る会という会で、干潟を守る運動、埋め立てに反対して、何とかして日本の海辺を守りたいという運動を三十年間続けてまいりました。そして、私たちの仲間が集まって日本湿地ネットワークというのをつくったのが一九九一年でした。
 きょうの陳述は、本来ならば、日本湿地ネットワークの代表であります藤前干潟を守る会代表の辻淳夫がすべきところなんですけれども、ただいまちょうどスペインのバレンシアでラムサール会議が開かれようとしています。そちらに日本湿地ネットワークの重立ったメンバーが行ってしまっております。それで、私はまず、日本湿地ネットワークとしての辻意見、それから日本湿地ネットワークの仲間たちが今の自分たちの干潟の環境に込めている思い、そこからお話しさせていただいて、その後に私自身が考えておりますこと、私が現在携わっています東京湾三番瀬の問題についてお話しさせていただきたいと思います。
 お配りした資料は、四点はいずれも日本湿地ネットワークの資料で、ことしの七月十四日にこの自然再生推進法をめぐって開かれた今年度の国際湿地シンポジウムで交わされた討論の中から出てきたものです。
 まず、資料の一の辻淳夫意見に目をおとめいただきたいと思いますけれども、私たちは長いこと運動してまいりまして、ようやく、これ以上の干潟の破壊はストップさせよう、そしてその中から干潟を再生しようという機運が出てきたこと、そのことはうれしいことだと思っています。しかし、問題は、まず第一に、干潟は本当に今でも守られているかという点にあります。その次には、干潟の再生ということはそう容易なことであろうかということがございます。
 まず、辻意見から申し上げますと、湿地保護の政策は、ラムサール条約と生物多様性、その二本の柱でもって進められていなければいけません。ところが、実際に現状では、とまっていないだけでなく、自然再生が看板になった新しい開発が起こってきているのではないか。既存の開発事業がとまらないうちに、再生ということが実現するであろうか。
 また、住民参加といいますけれども、実は行政主導の中に取り込まれた住民参加ではないだろうか。
 それから、公益という言葉が叫ばれていますけれども、これはちょうど諫早で、人の命が大事か、ムツゴロウが大事かというふうな提起がされたのと同じように、今でも実は再生事業の中にそのような問題が忍び込んできます。これは、三番瀬のところで御説明いたしましょう。
 その公益というのは何だろうかというときに、やはり今ここまで自然破壊が進んでしまった日本の中で、自然そのものを守ること、我々の命の基盤である干潟を守ることに優先する公益があるだろうかということが、辻淳夫が述べている第一点です。
 あと、お読みいただければわかると思うんですけれども、特に、ラムサール条約を守っていくためには、今、ことしのバレンシア会議では、湿地復元の原則と指針が討議されています。ぜひこれは私たちの指針として踏まえるべきである。この自然再生推進法が討議されていくときに、ラムサール会議のその成果をどうして待てないのだろうか。どうしてそれを踏まえてこの中に積極的に取り入れていこうとしないのだろうか。いささか拙速に過ぎるのではないかと思います。
 それから、私たちが干潟を守る運動を続けますときに痛感しましたのは、特別な自然を守る、そういう法律は幾つかあります。しかし、身の回りの極めて当たり前の自然、干潟というふうな人とのかかわりの大きい自然を守る法律というのは、実はないと言った方がよろしい。湿地、干潟を守る法体系、干潟浅海域保全基本法といったような、そういうふうな、まず自然を残そうという法体系のもとで、初めて自然再生ということがきちんと論じられるのではないだろうか。
 また、一方では、臨海開発の最も大きな手段であった公有水面埋立法、これは昭和四十八年に改正されましたけれども、基本的にこれは開発推進のための法律です。そういう法律はやはり根本的に見直して、今の保全のための法体系の中で、干潟、浅海域の保全の除外例の手続法として位置づけていただきたい。
 それからまた、これから保全や再生を展開していくためには、国土計画のあらゆる見直し、それから土地制度を初めとする法体系の整備、そういうことが要求されてまいります。
 それからさらに、この四番ですが、実際にこの再生事業が計画されたときの状況はどうか。市民参加といっても、実際の運営の中で非常に形骸化していってしまっているということを私は後に述べたいと思います。
 それから、そういう形骸化の非常に大きな壁になっていますのは、飯島氏が先ほども言われたと思いますが、縦割り、地域割り、年度割りである。特にこの年度割りというふうな予算の執行、計画の遂行の中で、これが自然にそぐわない一番大きな壁になってまいります。
 そういったことについて述べたいのでございますが、最初にまず、干潟は守られているだろうか。これは資料の二を見ていただきたいんです。
 私たちは、九一年に、ラムサール条約をぜひ適用していただきたい最も重要で最も緊急に保護を要する海域というのを四つ挙げました。諫早湾、博多湾、それから藤前干潟、東京湾です。
 その中で、御存じのとおり、諫早湾はもう締め切られてしまった。しかも、これは水門を開放しようという要求がある。これこそ再生の第一歩だと思うんですけれども、それはいまだに実現していない。
 博多湾でも、人工島がつくられてしまっており、それで湾の環境はどんどん悪化していますけれども、その人工島はもう途中で行き詰まっている。市民は、ぜひこれを湿地に戻せという要求をしておりますが、それは一向に顧みられていない。
 その一方で、新しく沖縄で、最良、最大の干潟である泡瀬干潟が強行着工されました。
 そして、このような、私たちが、日本の今ある自然、ありふれた自然、ありのままの自然を享受している、それを守るということがまず大切だということを一番最初に言いたいと思います。
 自然がなくなってからでは再生はできない。私たちは、タンチョウは守ったけれども、東京湾のハマグリは守ることができなかった。というよりも、ハマグリがいなくなってしまうことを気づきさえもしなかった。気づいたときには、もうハマグリはよみがえらすことができない。
 加藤真先生という京大の先生がおっしゃいましたけれども、私たちは環境を再生することはできるかもしれない。しかし、一回滅ぼしてしまった命、滅ぼしてしまった種、生態系、生物の多様性、これは取り戻すことはできないのである。人間にとっての環境はよみがえらすことはできるかもしれないけれども、生き物それ自体、自然それ自体は、よみがえるということはおよそ不可能なことなのだと。
 それから、河野昭一さんというやはり京大の名誉教授ですが、福井県の中池見湿地を案内してくださったときに、この中池見には非常に多くの植物、非常に多くの動物がすんでいる。それはなぜか。中池見にはたくさんのわき水があちこちからわいているけれども、そのわき水の一つ一つがそれぞれ地面の中を通り、泥炭層を通って地表に届いてくるまでに、微妙なミネラルの違いを生ずる。ミネラルを溶かし込んで流れ出てくる。その違いが生物の違いになって出てくる。およそそういった微妙な自然の仕組みというものは、一回壊してしまったら、人間の手で取り戻すことはできないのだと。私たちにとって一番大切なことは、そういう自然の摂理をどれだけ尊重することができるかということです。
 それで、二番目に申し上げたいことは、再生という言葉、この概念は非常にあいまいではないか。
 実は、東京湾再生推進会議というのがございますが、そこで論じられている東京湾の再生というのは、海の、都市インフラの再生であると言っている。そのことと、その例として挙がっている三番瀬の自然再生とどうつながってくるんでしょうか。つまり、私が思いますのに、再生というのは、自然自体が自分の力で自分をよみがえらすしかないんです。人間ができることは、それを手助けすることだけ。もう少し具体的に言いますと、自分が壊してしまったものを復元する、それから自分たちが与えている環境悪化要因を一つ一つ取り除いてやる、その上で自然の再生を期待するしかない。
 そこで、この法案の中でも、自然環境を創生するということが出てきます。これは非常に思い上がりではないか。こういう自然を創生することができるという考えがある限り、再生というのは観念として非常に混乱してしまう。
 それで、そういったような考え方、理念、概念をきちんとしないままで再生計画が発足していくとどういうことになるかというのが、私が今直面している三番瀬再生計画の中で如実に出てきます。ここでは、住民、漁民、企業代表、環境NGO代表、それから専門家が討論していますけれども、一番最初に行うべきであった、再生とは何だろうか、それを三番瀬で考えたらどういう問題になるんだろうか、そこに時間をかけて議論することができなかった。そこでいきなり緊急の対策として、アサリをどうしようか、それから護岸が崩れかけているからどうしようか、そういうところから入ってしまう。いきなり具体論に入るものですから、意見というのはばらばらに出てくるわけですが、これが言いっ放しになってしまう。
 何でそういうことが起こるんだろうか。実は、三番瀬再生計画は、住民参加、情報公開をスローガンにして、千葉モデルをつくるんだといって発足しました。しかし、その中で集まってきたメンバーというのは非常に別々の立場ですから、私たちは利益代表だと言ってはばからない、そういう人たちも出てくるわけです。その中で、再生ということは何だろうかという合意なしに計画が進められていく。
 そうしますと、例えば海では、アサリの生産を上げるために、水の流れをよくするために、いい干潟、悪い干潟を分けて、悪い干潟は埋めてもらいたい。それから、地盤沈下によって干潟が減ってしまった。だから三番瀬が悪くなった。この地盤沈下をカバーするために人工干潟をつくろうではないか。さらには、将来の気候温暖化による海面上昇に対応するために、砂を入れて干潟を埋めようではないか。これは切りがないんですね。
 もっとひどいのは、護岸をもっと立派にしなきゃいけない。しかし、余り高いと海が見えないし、市民のアクセスにも不自由するから、一メートルでも二メートルでも下げたい。そのためには、波を静めるために前に砂浜が必要であるといって、埋立計画にも大規模な人工海浜計画を出してくる。こういう土木的発想ばかりが先に立ってしまうんですね。
 その中で、本当の、海のために何が必要なのか、海が現在どういう状況にあるのか、そういう調査がまず先行すべきです。一部の専門家は一生懸命それを提言してくれているんですけれども、それはいつの間にか後回しになって、まずそういう具体的計画ばかりが出てきてしまう。
 それから、背後の土地も三番瀬の再生のために使うべきですが……
松本委員長 参考人に申し上げます。
 申し合わせの時間が超過しておりますので、結論をお急ぎください。
大浜参考人 はい。
 そういった中で、やはり私たちは、再生の理念、これをしっかり立てること、それから科学的な調査にしっかり基づくこと、そして何よりも、その現場を知り、自然を愛して、このままの自然を守りたいというふうに願っているのは市民です。その市民の主導ということをきっちり生かしていただきたい。やはりいつの間にか県主導になってしまうんですね。それがないと、再生ということはできません。
 繰り返して申し上げますけれども、私たちは、年度で縛られるのではなくて、ゆっくりと時間をかけて将来の百年の計画を立てたい、そして、情報は住民の中にきっちりとフィードバックしていって、みんなの東京湾を取り戻したいと思っております。(拍手)
松本委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。
田村委員 自由民主党の田村憲久でございます。
 きょうは、参考人の皆様方に対しましては、大変すばらしい御意見をいただきましてありがとうございます。改めて心から御礼を申し上げる次第であります。
 今もいろいろと参考人の皆様方から御意見をいただきまして、さらに認識が深まったわけでありますけれども、思えば、人類というのは、森から出て以来、環境を常に破壊し続けてきたな、そんなふうに私は思います。生態系自体からもどんどんどんどん、外れているとは言いませんけれども、みずから隔離をしていこうとしているようにしか思えない状況もございまして、そういう意味では、人類が自然の中でそのまま生きるというのは、それ自体が非常に難しい。だからこそ、共生という理念をそこに持ち込んで、何とか自然と仲よくといいますか、自然を怒らせないようにどう人類がこれからこの地球上に生存していくか、その点が大変重要な認識であろうかな、そう思うわけであります。
 我が国は、そういう意味では、縄文時代以来非常に自然とは仲よくしてきた、そういう国家であったわけでありますが、近代に入りましてから、欧米のいろいろな文化、文明、技術、そういうものが非常に入ってまいりまして、自然というものに対しての畏敬というものがなくなってきた。自然の破壊を繰り返してきたと思います。
 そういう意味では、この自然再生推進法、いろいろな御意見がそれぞれの立場からあられると思いますけれども、我が国において大きな第一歩であることだけは事実であろう、そのように私は思うわけであります。ただ、参考人の皆様方からの御意見をお聞きいたしておりますと、自然再生事業、自然の再生、この概念というものをしっかりと打ち立てていかないと、間違った方向にこの法律が運用される可能性がある、そんなお話が多かったように思います。
 そこで、池谷参考人にお伺いをいたしたいわけでありますけれども、池谷参考人はよくヨーロッパに行かれて、自然再生事業の方もいろいろと視察に行かれておられると思います。ヨーロッパ、特にドイツ等々の自然再生先進国といいますか、そういう国においての自然再生の概念といいますか、どのような概念で自然再生というものをとらえておるのか。それからもう一つ、NPO等々市民団体、その自然再生事業の中においてどういうような役割を果たしておられるのか。どうかお教えをいただきたいと思います。
池谷参考人 自然がなくなってくるということに対しての先生のお考え、私ども全く同感でございます。
 ただ、ヨーロッパ等で自然を再生するということはどういうことかということでございますが、もちろんそれはどこまでの、例えば百年さきなのか二百年さきなのか、もっとずっとさきなのかということになるわけでございますが、通常、ヨーロッパでは、百年から二百年以前の自然を取り戻そうということが普通であります。
 もちろん、日本におきましても、なるべく昔がいいといえばいいんでございますが、記録がないわけでございまして、記録のある範囲でなるべく古いところまで戻したいということになりますから、日本におきましても、大体百年あたりから百五十年あたり前までの自然をどう取り戻すかということが基本になってくるんではないかなというふうに考えております。
 それから、こういった自然再生事業が進みますときにNPOはどういう役割かということでございますが、これは大変重要な意味があります。
 やはり外国におきましても、各省庁の縦割りという面がどうしても出るわけでございます。先ほどの例にも示しましたように、例えば河川の自然再生を考えましたときにも、実は既にそこには町があったり農地があったりするわけでございますから、それをどう再生、自然化しようかといいますと、例えば日本でいいますと、国土交通省だけでそれを進めるということは非常に難しいわけでございますし、それから地域の人たちの理解をどう得るかということが非常に大きな意味があるわけでございます。
 そういった意味で、日本におきましても、今後、NPOと環境省がかなり手を組んで、各省庁との連携をうまくとってリードする必要があるであろうというふうに考えていますし、ヨーロッパでも、まさしくNPOが行政をリードしている部分がかなりあるわけでございます。
 NPOといいますのは、基本的には環境のプロフェッショナルでございまして、そのプロフェッショナルと行政とが今後連携をするということは大変重要でございまして、日本の本来あるべき姿をどう目指すかというときに、やはりNGOと行政がどう連携をするかということが最大の課題になるわけでございまして、今後のNGO、NPOの存在というものは大変重要なものになっていくであろうというふうに考えております。
田村委員 公共事業の看板のかけかえになるんじゃないかというような御心配の声もあるようでありますけれども、私は、この法律によって自然が回復をしていくのであるならば、公共事業削減と言われておりますけれども、仮にそれでお金が使われても、それは地球の生態系、日本の生態系にとってはいいことじゃないかな、こんなふうに思います。
 飯島参考人にお聞きをさせていただきたいんですけれども、今も池谷参考人の方から、NPO、市民団体、NGO、大変重要な役割であるというお話がございました。しかし、アサザプロジェクトの方では、今大変な御苦労をされておられるというお話を今もお伺いをしたところであります。担当といいますか主務官庁といいますか、そことの話し合い、もちろん、だんだん日本の公共事業発注環境も意識が変わりつつあるのは事実であろうと思うんですが、今、公益というお話があられましたけれども、公益に対する認識が多分公共事業発注官庁とまた市民団体、NPO等々市民の方々と若干ずれている部分が、私が若干と言いますと、もっとずれていると言われるかもわかりませんが、そこがやはり各地域でいろいろな問題を引き起こしておるのかな、そんなふうに思います。
 今回、この法律で協議会を立ち上げて、仮にこれからアサザプロジェクトをそのような法律の枠組みの中で進めていくということになってきた場合でございますけれども、やはりその間に立つ環境省の役割というのは、私は非常に大きいんだろうと思うんです。公共事業発注官庁とそれから市民団体、NPOとのいろいろな話し合いの中に、どうしても認識、意識の違う部分が出てくる。そこを環境省がどうコーディネートしていくか。
 私は、この部分が実はこの法律においても非常に重要な部分であろうと思っておりまして、全く関係省庁が横並びではなくて、その意味では環境省が一歩リードしておる立場の法律であろうと認識しておりますけれども、環境省に対して、これからこの法律が運用をされていく中において、どういうような形で役割を果たしてもらいたいというふうに思っておられるのか。環境省を使い勝手のいいように使うためにはどういうふうにしたらいいのか、その点お教えいただけるとありがたいんですが。
飯島参考人 実は、霞ケ浦で私たちの事業を進めておりますけれども、環境省さんとは余り御縁がなくて、私たちもいろいろ要望をしたり申し入れをしたりはしておりますが、なかなか事業は展開できない、そういうチャンネルがないのかもしれませんけれども。
 私が環境省に望むことは、環境省もやはり行政ですので、縦割りの枠組みの中で仕事をされなければならない。ですから、限界もあると思います。ですけれども、これは環境省に限らずあらゆる省庁の方々にお願いしたいのは、我々のような横断的なシステムをつくり上げて、ネットワークをつくり上げて総合的な計画を立てて、それをまた行政とともにやっていくこともできるわけですね。そういうNPOの持っている機能、それをもっと行政の中で戦略的に位置づけてほしい。それが、環境省だけではなくて、このような総合的な計画をきちっと、流域から湖、山林まで含めてトータルに保全していこうという社会システムをつくっていく上で、これからNPOの役割というのは、行政から見ても戦略的な位置づけをしていく中できちっと発揮されていくんだろう。
 それから、NPOの側も、よく行政の方々は、NPOを育てよう育てようとおっしゃいますけれども、あれは大変な間違いでして、NPOは育つんです。はっきり言わせていただければ、育つNPOの成長を阻害させないようにしていただきたい。肥料をやり過ぎない、それから水が必要なときにやらないとかそういうことをしないで、育つものをきちっと育てれば、いい形で素直に育ちます。そういうふうにNPOとつき合っていただく、位置づけていただくということが大事だと思います。
田村委員 お話をお聞きいたしておりまして、やはり我々も役所に対してはいろいろな疑念点を持っている部分はあるわけでありますけれども、そこをこれからうまく解きほぐしていくための法律にもこれはしていかなきゃいけないのかな、そんなふうに改めて感じさせていただきました。
 今、一連のお話をそれぞれ参考人の皆さんからお伺いしておる中におきまして、やはりその地点地点だけの自然回復ではだめなんだ、全体を考えて、もっと言うと日本全体を考えた上でどのように生態系というものを回復していくか、これが重要な視点である、だからこそ基本計画というものをつくらなきゃいけない、こういうお話もありましたし、また、グランドデザインをつくる必要がある、こういう話もお伺いをさせていただきました。我が国での、先ほどから言っております第一歩であると私は思っております。
 特に、ヨーロッパ、ドイツの自然保護法というお話が池谷参考人から出ましたけれども、それからいくと、まだまだ日本の法整備というものは進んでいない。言うなれば、この自然再生推進法というものは、限定的にここをどうしようという議論の中では、自然を再生するためにうまく実施者の方々が協議会を連携してつくっていくという話にはなって、再生していくという話にはなってくるのでありましょうけれども、国全体としてどうこの日本の国土を再生していくか、生態系を再生していくか、こういうもの自体はまだはっきりとは示されていないわけでありますし、ある意味では、公共事業をこれからも進めていく上において、再生事業だけではなくて公共事業を進めていく中において、それに対してどのような方向で公共事業を進めていくかというものを全体をくくった法律というものはないわけであります。
 ドイツ連邦保護法の理念としまして、たしか私が読ませていただいたところによりますと、基本的に今、近自然的な公共事業から再自然的な事業に変わろう、しかも、問題がある部分、公益という問題がありましたけれども、公益という部分に関しては、代替的措置というものを常に考えなきゃならない。どこかで自然を壊せば、基本的には壊しちゃいけないわけでありますけれども、どうしても壊さなければならなければ、どこか違うところにそれと同じものをつくっていかなきゃならない、こういうような理念がその中に書かれておったように思うわけでありますけれども、これは池谷参考人にお聞きをいたしたいわけでありますが、この自然再生推進法をつくったわけでありますけれども、我が国の生態系を守るという意味からいたしますと、これから次に必要な制度、法律というものはどういうものになってくるのか。
 参考人は、それこそ世界各国をずっと回られて研究されておられますから、それぞれの国の法体系に大変お詳しいんであろうと思いますけれども、これから日本にとって必要な法律の方向性というものをお聞かせいただければありがたいんですが。
池谷参考人 日本におきましてこういった問題が起こった原因と申しますのは、やはり基本的に日本の将来を見るグランドデザインを持っていなかったというところが大変大きなものになるわけでございまして、こういった全体の、また、各都道府県、市町村のグランドデザインをどう描くか、そういう大きな法律も新たにこの次はつくる必要があるだろうと思います。それとともに、今の開発に対するアセス、この辺も、今までの事業アセスから計画アセスへと本格的に踏み出していく必要があるであろうと思います。
 それとあと一つは、自然保護法の関係でございますけれども、これの強化でございまして、やはり各省庁に、開発部局にも影響できる法律の整備が必要であろうというふうに思います。
 その中で、とりあえずこれからの国土計画というものを見直していくわけでございますが、新たな国土計画ができることになっておりますけれども、あの部分の強化といいますか、今までは、一応国土計画というのもあるんでございますが、なかなかそれが実態として各計画に反映されていない部分もあるわけでありまして、それをもう少し、各事業に対して国土計画というものがもっと強い力を持てる、そういうふうな国土計画にする必要があるんだろうというふうに考えております。
田村委員 時間が参りました。本日はまことにありがとうございました。
松本委員長 牧義夫君。
牧委員 おはようございます。
 民主党の牧義夫と申します。よろしくお願いをいたします。
 参考人の皆様方には、お忙しい中、お運びをいただきまして、また、貴重な御意見の数々をお聞かせいただきましたことをまずは心から感謝申し上げたいと思います。
 非常に幅のある御意見をお聞かせいただいたような感がございますけれども、基本的には、皆様方、本当に自然を愛する、そして自然と共生する私たちの生活を重んじる、そういった価値観においては共通であろうというふうにお聞かせをいただきました。
 ただ、この法律が通って、本当にそれがいい形で運用されていくのかどうなのか。むしろ、性善説あるいは性悪説というような、そんなことで区分されるのかなというふうにも感じた次第でございますけれども、例えば飯島参考人のお話を伺っておりまして、公益というものそのものについての見直しが必要だということ、これも恐らく、皆様方同じような意見ではなかろうかと思います。まさに、私たちが生きていく上で何をもって本当に幸せとするのかといったような価値観そのものから、私たちみんながもう一度考えなければならないというような御意見であろうと思いますし、非常に貴重な御意見だなと思った次第でございます。
 この法律を検討するに当たって、私どもの党でも、特に草刈参考人からお話がありましたようなさまざまな問題点、いろいろと議論を重ねてきたわけでございます。ただ、私なりに、失われた自然を取り返すというこの字面だけを追っていけば、これはすばらしい一つの一歩前進の法案だなと思ったわけでございますし、何よりも、この間の質疑の中でも、提案者の山本先生からも、いみじくも環境族という言葉が出ましたけれども、自民党の中にあって環境族というのはまだまだマイノリティーというか少数民族だと思うんですけれども、一つには、そういう方たちが頑張って、農水や国土交通とも闘いながらここまで持ってきたなということも、ひとつ評価をいたしたわけでございます。
 また、この法律が通れば、一つの理念として、やはりこれから自然破壊型の公共事業がやりにくくなるなというような抑止力的な効果もあるんじゃないか、そんなようなことも期待しながら、私ども、共同提案者になっているわけでございます。
 前置きが長くなりましたけれども、ただ、こういうことを申し上げるのが本当は民主主義のルールにかなうのかどうなのかわかりませんけれども、この法案、もう一回行政の方にも確認の答弁も含めて質問をさせていただくのかどうなのか、まだ定かではございませんけれども、おおむね来週の早々には衆議院の方を通過するような予定でございますから、せっかく参考人の皆様方おいでいただいて、ここで余り不毛な議論をしてもしようがないと思いますので、せっかくおいでいただいたので、この法律が通るという前提で、その中で、特に運用上の問題でここだけは気をつけてほしいといったようなところがありましたら、まずはそれをお一人お一人ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
池谷参考人 この法律が有効に機能いたしますには、やはり各省庁の協力が大変重要でございます。したがいまして、環境省を中心といたしまして、NPOと連携して、各省庁で前向きな議論が行われることを願っております。
惠参考人 機会を与えていただきましてありがとうございます。
 再生の対象のマップといいますか、対象をどのように考えるかということも、やはり市民の意見を踏まえて、流域のような単位で広域に考えていければということと、再生の事業にかかわる組織が、NPOも、あるいは工事関係、事業をする人に関しても、その再生のことがきちんとできるのかどうかをお互いにチェックし合える仕組みというのが非常に欲しいということと、意見の取り上げ方や反映のさせ方につきまして、もちろん公開の仕組みですが、何らかの筋道がわかるような公開の方法が必要なのではないかということ、それから、最終的に環境省さんが大きなリーダーシップをとられると思うんですが、その意味で具体的なダイレクターといいますかディレクターであるという、その地域によることなのか、あるいはある課題によることなのかわかりませんが、きちんとした哲学、意思を共有できるようにしていければと思っております。ありがとうございます。
草刈参考人 私の方は、先ほど愛知万博検討会議の例を示させていただきましたけれども、その手法というのは非常に参考になると思いますので、参考にしていただければと思います。
 先日の十二日の環境委員会の議論のときにも話題になりましたけれども、事業を着手するときに、だれがどのように科学的に評価するかというのがかなり議論になったと思います。やはり事業を決定する段階できちんとした科学的な評価をした上で、それが正しい事業かどうかを見きわめ、それからまた、進行する中で、それをモニタリング、フィードバックしながら、科学的な見地から判断をし、場合によっては事業を中止することもあるかもしれませんが、そういう厳しい判断も必要かと思います。
 恐らく、多くのNGOが主体となった協議会ができるとは思いますけれども、土曜とか日曜とか、NGOが主体となった場合は週末に協議会が開催されると思われますので、その場合はいろいろな意見の反映とかが可能かもしれませんけれども、もし行政が主体となってこの事業が進められた場合、昨今のいろいろな行政の会議とかはウイークデーでいろいろ議論されていまして、その告知も非常に短い間に告知されたりするので、一般の人もなかなか参加できないところが多々あると思います。ですから、内容についても十分に合意形成を図って進めていく必要があると思います。
 また、例えば関係行政機関が主体となって事業を行った場合、ここは一つ問題点があります。行政機関の担当者は二年から三年で配置転換になることが多々あります。せっかく有能な、自然再生をしたいという行政担当官がいても、二年、三年して配置転換になったときには、その考え方が継承されないままというふうなこともあると思います。そういう問題点をどういうふうにクリアしていくかというようなことが非常に重要になっていくかと思います。
飯島参考人 今霞ケ浦で実際に起きていることそのものが、今後の運用の中できちっと改善されなければならないということになるわけですけれども、全体のお話をしますと、この自然再生事業といいますものは前例がないんですね。前例のない実験だというふうにとらえる必要があると思います。しかも、それが生態系レベルの実験であります。ですから、きちっとしたモニタリングを、常にその事業を進める中で毎回毎回モニタリングを続け、その中で問題が生じた場合には、それをフィードバックして、事業の変更あるいはその中止といったものをきちっと盛り込んでいけるような、柔軟な事業の運用というものがまず必要である。
 それから、繰り返しになりますが、そもそも、この事業を実施するに当たって地域を限定しなければならない。そういった生態系レベルの実験をするに当たって、きちっとした科学的なデータがあるのか、それから、自然環境の再生を妨げている要因について、科学的にきちっと検証され、それがある程度特定されているのかどうか。もちろん、その中で絶滅に瀕している生物に関しての生態学的なきちっとした調査、生態そのものがきちっと把握されているということも重要ですし、これはまだまだ研究段階のものがほとんどですから、それぞれの場所でこれから着手しなきゃならないものなんですね。
 ですから、これはじっくり時間をかけて、もし運用するに当たっても、本当に年に一カ所、二カ所、いい事例を重ねていくということが大事だと思います。それによってこの法律もいい法律になっていくわけですし、法律自体の問題点もだんだん改善されていく可能性があると思います。ですから、慌てて何十カ所も一気に行うということは絶対避けていただきたい。
 二カ所か三カ所、非常に絞り込んで、実績のある場所で実施をしていく、こういう場所は、実際に本当に選べば、そんなにたくさんはないです。それだけの研究者がそろって、それからNPOがいて、マネジメントができているような地域というのは本当に限られてしまうと思います。そういう意味では、慌ててたくさんの地域で実施をして失敗例を重ねるよりも、本当に数カ所でいい事例を重ねていくようにしてください。
大浜参考人 湿地、干潟の立場から申し上げますと、私たちが本当に再生としてやりたいのは、実は、壊してしまったもの、埋め立ててしまったものをもとへ戻すことなんです。そういう発言を円卓会議の中でいたしますと、それは無理だ、そんなことはできないと。これは、県にお伺いを立てる委員がいるんです。そうすると、県の方では、そんなことはできませんと。実は、できませんではなくて、どうしたらそれができるかということを考えるのが、こういう会議の役割ではないでしょうか。
 どうしてできないのか。そこには地権者がいるからだと言う。実は、公有水面というみんなの財産であったものを埋め立てて私権化してしまった。しかし、それがみんな使われているならば、これはやむを得ないですよ。しかし実際には、こういう経済情勢の中でいっぱい遊んでおります。戻せる状況もあるんですね。
 まず第一に、お役所が持っている土地、あるいはそれに準ずるような公共団体が持っている土地、これは優先的に自然を再現するために提出すべきである、そのための仕事をすべきである。民有地はどうか。実際には、工場が進出したけれども、引き揚げたがっている工場もいます。そういうところからは、何らかの優遇措置を講じながら、例えば税金とか、そういうのを講じながら買い戻していく、みんなのものにしていく。さらに、企業から借り入れる。そして、自然を保有するために、保有しているということについての補助を行う。
 つまり、私たちは土地というものを売買することによって今まで乱開発をやってきた。その土地の売買については税の優遇措置は講じられているけれども、自然を残すために持っていることに対しては補償がないんですね。ですから、屋敷林なぞはどんどんなくなっていってしまう。やはりここに、そういう土地の問題をしっかり見詰めて、そういうふうな対策が行われませんと、自然を守ることも再現することも非常に難しいのではないか。これは、私は提案として申し上げたいと思います。
 それともう一つは、ラムサールでも言っているような集水域全体、目の前に与えられた場所の再生だけではなくて、三番瀬でいえば、東京湾全域の干潟の連携作用、あるいはバックグラウンドである首都圏の流域全体の川の健全化とか地下水の健全化とか、そういうことを含めた再生でなければならないと思っております。
牧委員 済みません、時間がなくなってしまいましたので、一つだけ草刈参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほど飯島参考人からもお話が出ましたように、やはりモニタリング、フィードバックというものが適切に、的確に行われる必要があろうかと思います。そういう中で、専門家会議の位置づけについて、もう一回ちょっと具体的に、どうあるべきか、どう提言を行うべきか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
草刈参考人 専門家会議については、基本的には、愛知万博のものをいろいろ出しましたけれども、あのルールにのっとった委員構成をした上で、議論の内容をすべて公開し、専門家会議がいろいろと議論されます。専門家会議のメンバー構成というのは大体知れていると思います。でも、それ以外の部分でいろいろな問題を持っているところが多々あると思います。ですから、もう一つコンセンサスを得るコンセンサス会議というものをつくって、専門家会議はコンセンサス会議の情報なり意見を吸い上げながら合意形成を図るというふうなことが非常に重要ではないかなと思います。
 海外では、そういう一つの合意形成の会議体と、さらに周囲にあるいろいろな意見を持った人たちの意見を取り入れるコンセンサス会議というものがあって、それの意見を取り上げながら合意形成を図っていく。それが透明性、公明性につながるし、いろいろな人たちが、それならいいだろうというふうな事業に展開できていくのではないかと思っております。
牧委員 ありがとうございました。
松本委員長 田端正広君。
田端委員 きょうは、参考人の皆さん、大変に朝早くから御苦労さまでございます。ありがとうございます。
 また、私はこの法案の提案者の一人でございますが、これまで参考人の皆さんからいろいろな形で御指導いただき、また、いろいろな形でアドバイスをいただきまして、心から感謝しております。
 今、飯島参考人の方から、今後この法案が成立した後において、こういう自然再生推進事業というものは、ある程度絞って着実に実績を重ねていくことが大事ではないか、こういうお話がございました。私もそんな感じがいたしておりますが、何しろこの法律は、そういう意味では、環境省があり、そして農水省があり国土交通省、そういう省をまたいで運用、運営されていくわけでありますから、そういう意味では、やはり着実に実績を重ねなければ、一遍にばっといってもばらばらになってしまう、混乱が起こる、こういう感じもいたします。
 そこで、私たちが議員立法で今回この法律を立ち上げようという思いに至ったのも、所管の省庁というのが複数にまたがるということから、これは政府提案ではなかなか難しい、私たち議員の有志の中からこういう法律をつくって、そして今までにない一つの法律として完成させていって、そして今の日本の行政に欠けている部分で運用していくことが大事ではないか、こういう思いになりました。そういう意味では、これがどういう形で運用されていくかということが大変重要な問題になっていくんだと思います。
 そこで、順番にお伺いしたいと思いますが、池谷参考人、きょうはプロジェクターを使って大変貴重なお話をいただきました。非常によく、端的にわかるお話をいただきました。
 それで、今申し上げたように、国の縦割りという中で、省庁がまたがってこれから事業が行われるという点について、非常にいろいろな、過去のそういうしきたりみたいなものが絡んでくると思いますが、そこを打ち破らなければならない。そういう意味で、省庁をまたいでやっていく上で、私は、環境省がいかにリーダーシップといいますか力量を発揮するといいますか、中心的役割を果たさなければこの法律は生きていかない、こういう思いをしておりますが、その点について御意見があればお願いしたいと思います。
池谷参考人 先生の御指摘、全くそういうふうには思うわけでございます。日本におきましても、実は、外国ときっと同じようになる、先進国と同じようになっていくんだろうなという感じがするのでありますが、もちろん、省庁の中では環境省がほかの各省庁との連携を相当しっかりしてもらうということが基本なんですが、その前に、実は、環境省とNGOがどうタッグが組めるかということが大変大きな要点でございます。アメリカにおきましてもヨーロッパにおきましても、NGOと行政というものがどう連携するかということが最大の課題でございますので、そこがあって、省庁の中で、もちろん環境省が中心となってまとめていただくということが今後必要だろうというふうに考えております。
田端委員 池谷参考人、先ほどアメリカとかEUのお話をいただきましたが、EUの自然再生事業といいますか、これはライン川とか、要するに一つの国じゃなくて複数の国をまたがって、超えてあるわけですから、それが一つの大きな事業として、一国だけじゃなくて国をまたいでやっていく。これは大変なことで、省庁をまたぐどころか、国家をまたいでやっているというこの現実。
 それで、この前もEUの方にお伺いしたら、EU指令というのがあって、各国に二〇一五年までにこれだけのことをやりなさいという指令を出した。三年間で立法して、大体EU全体で千五百カ所ぐらいの自然再生事業をやるという方向が示されているようでありますけれども、これは、そういう意味では、まさに今おっしゃられたNPO、NGOのそれぞれの国の人が大変な活躍をされているんじゃないかと思われますが、その辺のところ、もう少し御説明いただけますでしょうか、池谷参考人。
池谷参考人 まさしくNGOの世界的なネットワークというものがあるわけでございまして、地域で根差しているNGOと、それから国全体を見ているNGOと国際的に動いているNGO、それぞれが連携をいたしまして、行政の方々と計画段階から話し合って動いているわけでございまして、EUで進めていますバード指令それからハビタット指令、それをまとめてナチュラ二〇〇〇があるわけでございますが、それを踏まえて、今度はヨーロッパ全体のエコロジカルネットワークという大きな動きがあります。
 これは実は裏側でNGOの動きがあって、それを受けて行政側として対応しているということでございまして、今後、日本におきましても、日本だけのものではなくて、近隣諸国との関係も踏まえて、日本の将来をどうするかということを考えることが必要になってくるのかなというふうに思っております。
田端委員 惠参考人に同じことでありますが、現場で荒川ネットワークという形で、水循環といいますか、水と森の循環といいますか、そういう形で具体的に活動されていて、まさにNPO、市民の参加、地域住民の参加というのは大変大事だと思いますが、もしそこでこの法律について何か御意見があれば、現場からの御意見をお願いしたいと思います。
惠参考人 国のレベルでのこういう法律が成立した場合に、地元の県とか都とかあるいは自治体及び国の出先機関ですとか県の出先機関、その中にまできちんと法の理念といいますか具体的なことが伝わるのに時間差があるように思います。そして、その理解の程度にも、私たち市民がつき合わせていただいている行政担当者の受けとめ方の中にも、かなり一生懸命交流をしてお話し合いをしながら具体的な理念を共有していく、そういう活動の中での作業がどうしても必要になります。そのことを考えますと、大きな組織である行政がどんなふうに行政の側の動きをとりやすくするかということについて、もう少しいろいろな風通しのよさが期待できたらなと思います。
 もう一つは、市民団体側としましても、全部の市民団体、NPO、NGOが、きょう参考人としてお越しになっているほかの団体のように先進的にすばらしい団体ばかりではないので、多様性の中で私たち自身も相互に育ち合っていくというところは大きくありますので、行政の方と接する中で私たち自身もお互いが理解が育ち合っているな、そういう感覚の共有が非常に重要だというふうに思っております。
田端委員 草刈参考人、いろいろとこれまでもありがとうございます。
 これからも、パブコメといいますかフィードバックといいますか、そういう形での考え方が必要だというお話が先ほどもございました。その点についてもしあればと思いますが、一点、草刈参考人から御指摘のあった専門家会議のところをもう少しきちっとした方がいいという御指摘ですが、先般来各党の皆さんと話し合いまして修正することに決まっておりますので、ちょっと御披露だけさせていただきますが、九条の六項の「主務大臣は、第十七条第二項の自然再生専門家会議の意見を聴くことができる。」というところを「聴くものとする。」こういうふうに一段と強く反映させましたので、御了解いただきたいと思います。
 そういう意味で、つまり第三者……(発言する者あり)済みません、自由党の御意見を入れてこういうふうにさせていただきましたが、第三者機関という形でこの専門家会議というものの完璧な位置づけはできないと思いますが、そういう形でフィードバックしていくような役割を果たしていけるようになればいいなと私たちも思っておりますが、御意見があればどうぞお願いしたいと思います。
草刈参考人 まず、法案を修正していただいてありがとうございます。
 フィードバックの手法というかやり方ですけれども、一つは、事業計画の進捗状況、事業実施地域の環境要因や基礎情報の収集、事業実施地域の環境の変化の状況、それから社会的な環境の変化、自然再生に絡むさまざまな要因を自然再生専門家会議がチェックし、その問題点、変更点を事業計画にフィードバックしていく。先ほど私も言ったとおり、その中で問題があった場合は、場合によっては事業の中止があってもいいと思っております。
 それから、第三者機関については、やはりさまざまなNGO、NPOの関係者から成る独立された評価機関が必要かなと思っております。いわゆるNGOの代表者とか、それから生態学会とか哺乳類学会とか、そういった学会の中から有能な方を推薦していただいて、その中で科学的に、また市民的に評価しながら、意見を取り入れていくようなシステムが必要なのではないかなと考えております。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
田端委員 大変にありがとうございます。
 もう時間が迫ってまいりましたが、飯島参考人、先日は現場へ御案内いただきまして、大変にありがとうございました。本当にすばらしい、例えば小学校のビオトープなんというのは、本当に子供たちが生き生きとして喜んでいる姿を見て、感銘を深くいたしましたが、それが百七十ですか、百七十そういうネットワークをつくってやっておられ、すごいことだなと思いました。
 それで、この法律ができれば、そういう意味では、維持管理ということも含めて、NPOの皆さん、役割は大変大きいと思いますが、ぜひ、これから新しい社会システムをつくるんだという、先ほどお話ございましたが、私たちもそういう気持ちで取り組んでいるわけで、まだ御不満はあるでしょうけれども、これから第一歩が始まるんだ、こういう認識で新しいNPOの皆さんにも頑張っていただいて、そして社会としても、自然再生の大きなグランドデザインを示すとともに、全体の流れが進んでいく、こういう思いでいっぱいでございますけれども、なおまだ御意見いろいろあると思いますので、短時間でどうぞお話しいただければと思います。
飯島参考人 この法律については、先ほどお話ししたように、実際にこれを運用していく中で、行政の姿勢、認識、これを変えていくしかない。これはもう本当にしっかり変えていかないと、全く誤った方向に行ってしまうと思います。ですから、私たちは非常に厳しい意見をこれからもいろいろ出すと思いますけれども、きちっと対話をしてほしい。
 ここのところの河川局の対応を見ていますと、決まったことを持ってきて、さあこれから話し合いましょうと。こういうことはこれから絶対にお断りします。きちっと話し合うという姿勢、それから対等な立場でNPOとつき合うということをここでお約束していただかないと、私たちは、この法律についてはやはり疑問を持ちたい、なかなか晴れないというふうにしか今は言えないです。
田端委員 大浜参考人、済みません、時間が終わったようでございます。
 今いろいろ御意見をいただきまして、ありがとうございます。また、そういう意味では、これから運用をどうするかということが大変大事だ、そういう思いで私たちも公正に、公平に、また透明性を持ってこれが運営され、展開されていくことをしっかりとチェックしていきたい、こういう思いでございます。どうもありがとうございました。
奥田委員長代理 高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。
 参考人の皆様方、本当にきょうはお忙しいところをお越しいただきまして、ありがとうございました。また、先ほどは大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 今までお話をお伺いしていると、これはもう環境省次第だなという気持ちを強くしております。また、国交省も農林省も、もう少し環境についての考え方を従来のものとは変えていく姿勢が必要なんだ、そしてそれを皆さん方と一緒に連携して引っ張ってやっていかなきゃならないのはやはり環境省の役割だ、私はそれをつくづく先ほどから感じていた次第であります。
 私は、ちょっと具体的にお伺いしたいと思います。
 まずは、池谷参考人と草刈参考人にお伺いしたいんでありますが、これは法案の中身の話し合いの際にも提出者の先生方からも御説明いただいている内容ですが、ある意味では、私はこうあるべきと思うものですから、確認の意味も含めております。
 自然再生事業を行おうとする実施者が、多様な主体の参加を求めて再生協議会をつくります。その再生協議会が、これは全体構想、実施計画の承認、事業実施、そして完成までですが、まさにモニタリングとフィードバックを行う最終権限を有する、私はそう考えているんですが、提出者もそのような考え方に立っておりますけれども、皆様方、それについて御意見があれば。
 これはもう再生協議会がきっちりとそれを持たなければ、この事業というのは、まさに専門家会議が、助言も大切ですけれども、お役人の人たちだけでつくった専門家会議というのがどのように生きていくかという話にもなってきますから、NGO、NPOが入った、地域住民が入った、そして行政も入った中での再生協議会がその最終権限を持つという考え方が最も重要なところかなと思っているんですが、その点についてお二人から御意見をお伺いしたいと思います。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
池谷参考人 先生御指摘のとおり、私も自然再生協議会が最も具体的には力があるところになるであろうというふうに考えております。
 したがいまして、その再生協議会をどういうメンバーでどうつくるかということが大きな課題になるわけでありまして、やはりその辺、多くの全国のNGO及び国民が納得できる形のものができていくということに最も重要なところがあるのかなというふうに考えております。
草刈参考人 自然再生協議会が権限を持つということは重要なことかとは思いますが、大事なのは、自然再生協議会がいろいろなものを議論していく過程、それから、それから出てきたいろいろな問題点、その問題点をクリアして、またフィードバックして、それを合意形成に導いていく、そのすべての記述を公開して、その協議会の出すある程度の方針、それをもう一度いわばパブリックコメントのような形で意見を入れた形で、それも、パブリックコメントの意見が妥当な意見であれば、それを反映した形で最終的な合意をするというふうなことが非常に重要なのかなと思っております。
 最近のパブリックコメント、私どもいろいろ意見を出すんですけれども、ほとんど意見が反映されないままというところがあって、それについては大変疑問に思っていまして、そうではない、やはり新しくつくる法案としてやっていくのであるならば、一つでも多くの真っ当な意見があったらば、それを判断して取り入れて方針を出す、その仕組みがきちんとできていれば、再生協議会がそういう力を持つというふうなことはよいのではないかなと思っております。
高橋(嘉)委員 議論の過程の中の議事録に残っている部分の話ですが、その再生協議会、手を挙げた者は拒まないと。かなりの数になるかもしれませんし、それは全く意味のないところの団体とかもあるかもしれませんから、そこは精査の必要があるかもしれませんが、基本的には、手を挙げた者は拒まないという姿勢の中で協議会が結成されていくということになっております。そこのところは御理解をいただきながら、また今のお話もよくわかりました。
 そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、環境省とか農林水産省、国土交通省らの職員をもって推進会議がつくられます。そこで専門家会議を設けという話になりますが、これは飯島参考人にお聞きしたいんでありますが、この際の専門家は、つまり役所の任命による者だけなんですね。僕は、ここをNGOやNPO団体からの意見を聞くぐらいの懐が必要ではないかということをこの間申し上げたんでありますが、この点について、今いろいろ大変な事態をお迎えのようでありますけれども、お聞きしなくても大体わかるような気もするんですが、飯島参考人に、今の仕組みのところを、率直な御感想をお聞かせいただければと思います。
飯島参考人 まず、協議会ですけれども、非常に問題のある協議会の設定の仕方になっておりますが、それをクリアする一つの方法が、今御質問になったこととも関連があるんですけれども、私が最初から何度も申していますように、この事業を立ち上げるに当たって、きちっとした科学的な研究が行われているという一つのふるいといいますか、そういうものにかけて、そこに残ったものだけを実施していく。
 そういった科学的な知見がきちっとある程度整っている事業であれば、そこで協議会を立ち上げるといったときには、もうその段階でふるいにかけられます。そういった科学的なきちっとした事業の推進にそぐわない団体は、恐らく興味がないでしょうから、そこには参画しない。そういった科学的なデータにきちっと基づいた、しかもモニタリングとフィードバックをきちっと重ねていくような事業にきちっと対応できるようなレベルのある、達している市民団体やNPOはそれに参画できると思います。
 ですから、私、どうしてもこれは私自身としては譲れないんですが、事前に科学的なきちっとした検証を行った、あるいはデータの評価が行われた上での事業の立ち上げという形に順番を変えていただかないと、すべてがうまくいかない。これはこの法案自体がボタンのかけ違えになっていると思います。そこは直していただきたい。そうすれば、かなりいい法律になると私は思います。そこは頑張ってぜひ修正をしていただきたいなというふうに思っています。
高橋(嘉)委員 私が提出者の味方をする必要はないんですが、この間の議論の中の話をしますと、再生協議会の中にも専門的な知見を有する人たちが入っていく。そこで自然再生協議会の中に小委員会を立ち上げるなりなんなり、そういうことも可能。そして、推進会議が設けている専門家会議、両輪の可能性あり。両輪という表現が出ておりますので、その点は、できる限り私ども自由党としてはそこのところを強調して議論は進めてきたつもりであります。
 それでは、先ほど田端先生の方からもうお話しいただきましたが、僕は、政治家主導が叫ばれる今日にあって、九条の六項の部分でありますが、主務大臣が事業認定するまさに最終チェックの段階のところで、専門家会議の意見を聞くことができるというのは、全くの義務規定ではないのではないかということを強調してまいりまして、これは先ほど田端先生からも御説明いただきましたが、聞くものとするというところに落ちついたわけであります。いずれにいたしましても、そういった中で、本当に環境保全、環境行政の第一歩になればなという、しかし仕組みがしっかりした中でですけれども、そういう考え方で議論をさせてきていただいたということであります。
 それでは、時間もありませんので、最後にお伺いしたいことがあります。これは池谷参考人と草刈参考人にお伺いしたいと思います。
 法案が通りまして、自然再生事業を行うことになるとした場合、環境アセス法が成立してまだ余り時間もたっていないんですが、平成九年と記憶していますが、そのアセスメントを実施されてきた、そして行われた公共事業に関しては、これは対象から外すべきだという考え方を私どもは持っているんです。それは環境アセス法との整合性から見ても当然のことだと思うんですが、この点についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。
池谷参考人 基本的にはそうだというふうに私も考えております。今後、日本におきましても、ノー・ネット・ロスという考え方が基本になってきますから、開発につきましても、当然環境を減らすということのないようなことをやっていく必要がございますので、まさしく計画アセスをきちっとやっていただくということが必要だと思います。
草刈参考人 もちろん対象にすべきだと思いますけれども、アセスの中で出ているミチゲーションとは全く違うものだというふうに考えを切り分けてやらないと、後で問題が起こると思います。
高橋(嘉)委員 いずれこれは、確かにおっしゃる意味合いもわかりますが、アセスメントもきっちりやってもらいたいという意図もこちらも働いておりまして、そういった中でさらに議論を進めながら、できる限り、本当にいい法律として環境行政の転換の第一歩になるような形になればと願って頑張ってまいりたいということを申し上げ、本当に皆様方、きょうはありがとうございました。心から感謝を申し上げ、質問を終わります。
松本委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 きょうは本当に朝早くから私たち委員会の審議に御協力をいただきまして、本当にありがとうございます。
 私は、この法律、ボトムアップだということが非常に大宣伝されておりまして、確かに枠組みは今までないNPOの参加だとか住民の参加だとかということは書かれてはいるんですけれども、それならば、この法律をつくるときからボトムアップでやる必要があったんじゃないかと思うんですね。
 私は、今の皆さん方のお話を伺っていましたら、それぞれ専門的に、自然を回復させよう、復元させようという努力をしてこられたそれぞれのその経験が非常に豊かでいらっしゃいますだけに、そのノウハウだとか基本的な理念というのは非常に反映されなければならない問題があるなということを思いました。
 特に、飯島参考人が、どこをやるのかという特定をする場合に、本当に科学的な知見があるのかどうか、何をやれば本当にいいのかというところがきちんと定まっていなければならないという条件が譲れないというふうに言われましたよね。そういうことから考えますと、私は、今既に進行中の破壊されつつあるようなところをとめることもこの法律には盛られていなければならないのではないかという気が非常にするんですね。そのことがまず最初にありきではないかという思いがするわけです。もうこれ以上破壊をしないということを前面に出してやるということが一つ。
 それから、自然の環境復元事業が自然環境破壊事業の代償措置になってはならないのだということも明記しておかなければ、これは科学的な知見があればいいのだということを掲げていればいけるような気もするんですけれども、しかし、代償措置としてやってはならないという、やってはならない歯どめもかけておく必要があるんじゃないかということを非常に思うわけです。
 それからもう一つ、復元事業は、自然環境の復元の障害になっている施設を取り除くということは必要だと思うんです。しかし、それはもう本当に最小限、人の手を使って除去するというようなことは最少のことにして、それから、そこでまた国民の生命、安全の確保に不可欠な、必要な建設物というのも、これは必要最小限のものにするという歯どめもやはりきちんと定めておかなければ、どのような手法でやるのかということが全く任されているということであれば、建設サイドから自然を再生するということを見た場合に、見た目は確かに再生になる、なるんだ、こう言われて、見解の相違だなどといって進められたのでは、本当の自然の回復にはならないのではないかと私は思うので、そういった歯どめが要ったのではないかなということを痛切に感じております。皆さんのお話を伺っていれば、なおさらそれを感じるわけですね。
 ですから、そういう手法に改めるために、拙速にこの法律が今もし成立しないとしても、今のままでもっとよいものをつくっていくということが考えられないかどうか、その辺をお一人ずつにまずお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょう。
池谷参考人 現在、全国で行われています開発事業をとめて再生事業に着手していくということが筋ではないかというお話でございますが、私ども、もちろんその心はわかるところであります。
 しかしながら、各事業が今の法令の中で行われている面もあるわけでございまして、それをすべてとめて、それがとまらなければ自然再生事業をやらないということでは、やはりちょっと違うのではないかなというふうに思います。今回のこの法律の中にそういう内容のことを入れるのは、ちょっと重い話かなというふうに感じております。
 やはり世界の動き、日本の現状を見ますと、もちろん今行われている、またはこれから行われようとする公共事業につきまして当然監視をし、将来世代に禍根を残さないものに変えていくということが必要でございますけれども、それと並行いたしまして今回の自然再生事業というものもスタートしていくということが、今日本にとってはいいものであろうというふうに基本的に考えております。
惠参考人 藤木先生のおっしゃったこと、本当にそのとおりのことだと思います。
 今おっしゃった項目それぞれに関して、恐らく自然再生推進法がいち早くスタートした後に、多くの問題がまた噴出したり、場合によってはきちんとした見直しのための市民のモニタリングが新たに深みを増してくる。そのためにNPOが果たすべき役割は非常に大きいと思っておりますので、ある意味ではまずスタートするのが大事かなというのはちょっと感覚的な言い方で申しわけありませんが、やったことのない体験をきちんとみんなが実感するというのも重要な点かと思います。そして、速やかに、見直せるところに関して、見直せるという何か項目があれば、それにのっとってやり直しないしは修正がきくのではないかなと思います。
草刈参考人 私の意見陳述のときにも申しましたとおり、拙速に進めるべきではない、最初に立ち返ってきちんとした議論をしながら法案をつくるべきだというのは申し上げたとおりでございます。
 ただ、仮にもしどうしても必要でつくるとするならば、私は時限立法を提案します。先ほど私が申しましたとおり、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存及び野生生物の生息地の回復に関する法律、種の保存法については全く改正の動きがありませんから、例えばそれを三年、五年なりの時限立法で今やらなきゃいけないというのを続けながら、最終的には種の保存法を改正したときに取り込んでやるべきではないかな。種の保存法を改正して、その流れの中で自然再生をするというふうなことであれば、多くの国民も了解することではないかなと思っております。
 ですから、本来であれば、そういうふうな現状あるべき法制度をよくしていくことの方が最優先ではないかなと考えております。よろしくお願いします。
飯島参考人 確かに、今行われている公共事業をとめるということは大変重要な課題だと思いますし、私は、ぜひそれをしなければならないと思います。その中で、この法案の中でそれをある意味で意味づけるとしたら、第六条の削除、これは私はぜひしていただきたい。これは譲れません。
 この第六条は、この法律のガンになるおそれがあると思います。なぜかといえば、公害基本法の中にあった調和条項、これと同じような役割を果たして、ちょうど公害問題で患者さんたちをあれほど苦しめた同じような事例を、産業であるとか公共事業を優先する、公益を優先する中で、さまざまな公害防止のための制度、あるいはこの場合は自然再生という自然を再生するための制度、これがゆがめられていくおそれがあると思います。どうしても、今定められている公益というものが、行政にとっては今あるものなんですね。ですから、その枠の中で物事を進めていこうと。この枠組みを壊すのは実に大変です。
 ですけれども、さっきお話ししたように、この公益というものの概念は、今私たちもやっているように、社会システムを再構築していく、変えていくのは私たちですから、変えていく中でそのキャパシティーも大きくなっていくし、変わっていくわけです。ここまでは受け入れられる、私たち、公益という側から見て、人間の側はこれだけ自然と折り合いをつけられる、これだけ譲歩できるというものは広がっていくはずなんです。それから、広げていくような社会システムをつくっていく努力をしていかなかったら、自然との共生なんてあり得ません。この法律の中にそのきちっとした精神が盛り込まれなければ、この自然再生推進法は本当の意味で自然再生はできないというふうに私は思っておりますし、その意味でも第六条は絶対に削っていただきたいというふうに思っています。
大浜参考人 私も、今の飯島参考人と同じ意見です。
 三番瀬を例にとって言いますと、三番瀬の再生をせっかく円卓会議を招集して審議している。しかし、その一方で、第二湾岸道路が三番瀬を通る。それから、そこに東京外環道がやってきてジャンクションをつくる。その計画はどうなっているか。これは、再生計画は再生計画で考えていただく、第二湾岸はやがてそのときが来たら考えましょう、そういった意味の答弁が副知事あたりからされている。せっかく再生計画を立てた後で、東京湾の三番瀬の真ん中に橋をかける、あるいは巨大ジャンクションをつくる、あるいはトンネルを掘ってしまう、そういうことになりましたら、何のための再生計画かわからない。これは委員からも出ている注文なんですけれども、やはり今の公共事業において見直すべきものはきちんと見直す、それが同時に行われないと再生計画というのは意味をなしません。
 市民の中からは、第二湾岸道路計画というのはもう既に浮いているんですね。環境的にも財政的にも成り立っていない。本当に必要かという論議がされている。その中で、例えば埋立地の中の第二湾岸用地の中に水路をつくって、川と三番瀬を結ぼうではないかというふうな提案が市民の中から出ていく。やはりそういうふうなことをきちんと受けとめられるような協議会であってほしい、またそれを支える三省の提携が欲しい。
 これは環境省だけでできることではありません。国土交通省、農水省がきちんとそういうことを受けとめてくれなければできません。ぜひその点をお願いいたしたいと思います。
藤木委員 ありがとうございました。
 北海道の釧路で今行われている事業なんですけれども、あの釧路川の上流で農地の工事をやっていますでしょう。防災工事ということでやっていますでしょう。あれは結局、どんどん下へ砂を吐き出す工事なんですよ。下は、その砂を流したらいけないから、緩やかにするといってそこへどんどんたまっていきますと、裸地化を激しくするだけだと思うんですね。だから、上の工事をとめなければ、あの事業は確かにNPO主体とかそういうのではない事業であったとしても、それをとめないでやるということは、二重にも三重にもむしろ罪悪ではないかという思いがするほど矛盾した事業なんですよね。
 そういうことを見てみますと、今のままではこの法律ではその上の事業をとめることができないようになっているんですよ。とめられない以上は、下でやる再生が本当に間尺に合わないといいますか、木を植えても植えてもだめになるし、どんなに蛇行させてもだめになるというようなことではないかというふうに思いますので、そういう禍根を残すようなものにならないように、私は、残された時間、力いっぱい奮闘してまいりますが、勝ち負けは別ですけれども、力いっぱい奮闘させていただくということを心からお約束させていただいて、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
松本委員長 金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子でございます。
 きょうは、参考人の皆さんには貴重な御意見をありがとうございました。
 私は、この法案に実は反対をしておりますので、そんな思いも込めながら質問します。
 といいますのは、まず第一に、この法案、実施者がいろいろなところに出てまいりますけれども、どうもその実施者というのが、一体だれが本当に実施者になるのかというのがこの法律の中では明らかでないというふうに思うんですよ。
 それで、飯島参考人にお伺いしたいんですけれども、今の時点だと、皆さんも非常に力をつけられたNPO法人ということになられていると思うんですけれども、皆さんが当初そういうことを考えられた時点を振り返っていただいたときに、この法案であなた方自身が実施者としてなる可能性があったかどうか、どのようにお思いでしょうか。
飯島参考人 私たちのプロジェクトは、霞ケ浦全域、さらにその流域全域をカバーしておりますので、当然、国土交通省から見ますと、霞ケ浦全域も私たちがプロジェクトの対象としている、その中で実施者として手を挙げる、当然抵抗はあると思います。実際に今抵抗があるわけです。全体計画については、行政がこれを呼びかけるんだというのがどうも基本的な姿勢なようです。そうなりますと、先ほどお話ししたように、私たちのアサザプロジェクトというものはばらばらになってしまうわけですね。
 決して私たちは、行政と、国土交通省と主導権争いをしているわけではないんです。そんな相手ではないわけです、私たち自身。ですが、行政というものが、やはりNPOが本当に大きな枠の中で仕事をしようとしたときには、そういう抵抗をしてくるおそれはあるなと思います。これが本当にうまくいくのかどうか、実施者になれるのかどうか、全く半信半疑の状態です。
金子(哲)委員 それから、今公益性の問題が出まして、第六条のことがいろいろ意見が出ておりますけれども、私もそのとおりだと思います。この六条がある限り、結局のところは、今までそもそも公共事業そのものは公益性のためにやってきたわけですから、そのことを前提にすれば、今度の法律はそれを超えた自然の再生というものがあるはずですから、本来、その公益性ということがあえて六条の中に入ること自身がおかしいのではないかというふうに私自身は思っております。その点について、池谷参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
池谷参考人 今までの日本の開発、公共事業を見てまいりますと、確かにそういった感じがするわけでございますけれども、しかし、冷静に振り返ってみますと、全く開発なくて、全く公共事業なくて社会というのはあり得ないわけでありまして、この公益との調整ということは、当然程度の問題ということになります。大変難しい問題になりますけれども、やはりこの辺は、再生協議会等で国民の納得できる方法でやっていく以外に、方法は具体的にはないのではないかというふうに考えております。
金子(哲)委員 それから、草刈参考人からフィードバックの話が出まして、何度も今質問が出ておりますけれども、この法案で言われている専門家会議というのは、実は環境大臣のもとにある専門家会議にすぎないのであって、あたかもその事業ごとに専門家会議があるようなことにもとれかねない討論が今あるんじゃないかなと思いつつ聞いていたんですけれども、私自身は、飯島参考人もおっしゃったことも含めて、スタートの時点からですけれども、今までのこともそうですけれども、事業主体側が幾ら専門家を入れてみても、その結論というのは、やはり事業をする側に立っての結論が出るということは、残念ながら、これまでの経験のとおりだと思うんです。
 そうしてまいりますと、途中で何度もフィードバックするということであれば、やはりその事業主体ごとにきっちりとした第三者委員会というものをつくってやらなきゃいけない。しかし、残念ながらこの法律の中ではそのことが、科学的知見とか、言葉ではありますけれども、制度としては私はないというふうに思うんです。
 専門家会議は、あくまでもそれは大臣がいろいろな諮問をするときにあったり、計画の段階で諮問が一度あったりしますけれども、具体的な検証や中間的な点検とかいうことについてはないように思うんです。その点でいいますと、やはりこの法案の中にそのことを明記すべきだというふうに考えますけれども、惠参考人、どのようにお考えでしょうか。
惠参考人 市民団体も、先ほどプロフェッショナルな部分があると池谷参考人がおっしゃいましたけれども、行政の側にある専門的な機能と、市民は、地域に密着した形ないしはある専門分野について造詣の深い、そういう専門家を擁するケースが非常に容易になってくると思います。そのあたりが、一つのきちんとした提案、ないしは科学的データに対する解釈から出てきた具体的な最終結論に対する意見が出せるのではないかというふうに思います。
金子(哲)委員 ちょっと重ねてお伺いするようですけれども、つまり私は、その協議会というのは、そういうふうに専門的な人たちも含めて協議をされて、一番いい方法だというものを選択されると思うんですよ。ただ、それが実際に実施を始めたときどうだったかという検証ですね。検証の機関として第三者機関があった方がいいんではないか。むしろ、それをきっちりと法的にも整備をして、やはり繰り返し検証をしながら進んでいくことがいいのではないかという意味で、いわば独立した第三者の検証機関を置いた方がいいんではないかということをちょっとお尋ねしているんですが、もう一度、その辺はどうでしょうか。
惠参考人 御趣旨のとおりだと思います。
 法律の中に書くかどうかというのは、ちょっと私には即答できません。しかし、先ほどちょっと触れた、NPO自体あるいは事業にかかわる事業者としての主体の資格を何らかの形でチェックすることも必要ではないかということの中に、ある意味でそういう機能も包含した部分が備わった方がいいのではないかというふうに解釈しておりました。
金子(哲)委員 先ほど来論議がありましたように、この法案は、ボトムアップで市民やさまざまなNGO団体も参加をできる、また、NPO団体も実施者になることができる法案というふうに言われておりますけれども、私も、いろいろな形で、今度はいろいろ市民の皆さんの意見を聞こう、そしてまた討論しようということが、新しい試みとしてこの法案の中に盛り込まれていることを全く否定するわけではありません。
 ただ、先ほど実施者の話を聞いたときにもお伺いしましたけれども、実際にこれだけの事業を考え、この法案を読むと、実施者が協議会も立ち上げなければならない、そのためには専門家も連れてこなければならなければ、自治体の関係者も連れてこなければならないというようなことになると、実態上、実施者というのは限定されてくるんではないか、それだけのことをできる実施者というのは。
 そこでお伺いしたいんですけれども、最近、NPOの登録ができるようになって、そのことは大変いいことだと私は思っているんですけれども、実際上、そういうことになってくると、そういう力を持つNPOとは一体何なのかということになると、例えば、官製という言い方は失礼ですけれども、自治体が援助をしたりとか、例えば建設業界が新たな形の自然を考えるNPOをつくっていくとか、そういうことが当然危惧されるというふうに私は思うんです。
 その点については、短く一言ずつで結構ですけれども、五人の方から、短くて大変申しわけないですけれども、お答えいただけませんでしょうか。
池谷参考人 自然環境といいますのは国の最も大切な基本財産でありますので、第一義的には、行政がそういった仕事をするのが基本であろう。それを我々NGOがどう連携していくかということになっていくんだと思っています。
惠参考人 NPOの立場からいきますと、余りにも過大な期待を受けて、それができなくなるということは非常に危惧します。しかし、新たな連携の組み方というチャレンジはすべきではないかなと思っています。
草刈参考人 WWFジャパンでは、この春に法案が示されて、何度かNGOと意見交換をしながら聞いた中で出た不安材料が一つあるんです。さっきのNPO法人の件なんですけれども、聞いた話によると、二万円から四十万円ぐらいで、お金を出せばNPO法人の法人格が取れるようなのを肩がわりすることを商売にしている団体がいるとかというようなことも聞いております。ですから、大手の企業とかそういうところでしたら、四十万円というお金を出せば、完璧な書類が出て、NPO法人をつくれる。
 ですから、NPO団体がやっている活動をきちんと評価する制度がもう一方では必要ではないかな、そういうふうに考えております。
飯島参考人 当然、行政と新たな関係をNPOは持つことになるわけですし、事業を分担する形になる、委託という形は出てきますね。お金の流れも生まれてくるわけです。そういった中で、私が見ているいろいろな全国の事例を見ていますと、やはり多くのNPOやNGOが、お金の関係ができると、行政に物を言わなくなる、遠慮をする、そして最後は下請化していくという事例がいっぱいあります。
 この法律は、先ほどお話ししたように、最初の段階で非常に科学が大きな役割を果たす法律ですから、それに適応できるレベルのあるNPOなりNGOがここに参画するような仕組みをつくらなければ、みんながこの法律を使いたい、参画したいといって、下手をすれば全国のNPOが行政の総下請化する。これは、今新しい社会の構築を担うべきNPOが本来の役割を果たさなくなってしまうおそれがあると私は思います。
大浜参考人 再生事業の規模が小規模なものはいざ知らず、大きなものになってくれば、これは当然、行政が最初から、そして最後の責任はとらなきゃならない。
 ただそこで、NPO、NGOの役割はどういうことになるか。これは実は、市民の代表の一つの形にすぎないのですね。一番大事なことは、行政と市民とがどういう新しい関係をつくるか。つまり、この協議機関に主体を預けて、行政側はそれを支える役に回る。独立性をどうやって確保するか、そこにきちんとした配慮が必要です。
 意見の対立は当然起こります。これは、私たちの三番瀬の論議の中で持たれた会議の中で、意見の対立を調整するのは、利害関係を離れたファシリテーターを設けて調整すべきだろうということが出てきました。これなどは、アメリカで行われているようですけれども、御参考になるのではないかと思います。
 いずれにしても、飯島さんがおっしゃられたようなNPO、NGOが行政の下請化になることは避けたい、そうではなくて、市民の代弁であるべきだと思います。
金子(哲)委員 私がこの法案でもう一つ危惧していますのは、実際には、先ほどお話がありましたように、いろいろな形で自然の再生に今懸命に取り組んでいらっしゃるいろいろな地域の運動があると思うんですけれども、この法案によって、結局、法案ができれば、この法案の枠の中という規制がかかるのではないかという心配を実は私はその点についてはしているわけです。
 しかもこの法案は、十二月一日から実施をするということで提案されております。地域の皆さんがいろいろなことを相談するのを、自治体とかいろいろなところが受け皿になりますということですけれども、一体、壊された自然とは何なのかという定義もあいまいなら、実際にどういう活動を自然再生事業として実施できるかということも、そこで相談を受ける人たち、環境省の出先がすべてあるわけじゃないですから、そういうことになると、全く不十分な体制と言わざるを得ませんし、しかも、そこのところの定義が極めてあいまいなまま進んでいくという危険性を非常に持っているというふうに実は私は思っております。
 そういう意味でいいますと、今皆さんからもお話があったように、拙速にならずにつくって進むことも一つの方法だと思うんです。今さまざまな地域で試みをされていることをもう一度しっかりと検証して、問題点を洗い出しながら、そしてそのことを通じて、自治体、そして国土交通省や農林水産省や、いわばまさに直結している部門が、本当に自然再生事業とは一体何かということをやはりもう一回検証した上で、そのことを待っても、今進んでいる自然再生事業を、別にこの法案がなくても、皆さんの努力でやっていただいているわけですから、私は、それをもっと待った方がいいのではないかというようなことを思っております。
 そのことを一言ずつお聞きしようと思ったんですけれども、質問の時間が来てしまったものですから、私自身は、最後に申し上げましたように、もっと大事なことは、これほどの自然にかかわる問題であれば、もっと検証し、そして今まさにやられているプロジェクトを、研究材料とは言いませんけれども、そういう余裕があってもいいのではないかというようなことを思っているということを最後に申し上げて、大変一方的な意見で終わって申しわけございませんけれども、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
松本委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 次回は、来る十九日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五分散会


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