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第6号 平成15年4月18日(金曜日)

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平成十五年四月十八日(金曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 近藤 昭一君 理事 牧  義夫君
   理事 田端 正広君 理事 高橋 嘉信君
      小渕 優子君    木村 太郎君
      鈴木 恒夫君    野田  毅君
      鳩山 邦夫君    菱田 嘉明君
      平沢 勝栄君    星野 行男君
      松島みどり君    松浪 健太君
      三ッ林隆志君    水野 賢一君
      望月 義夫君    山本 公一君
      渡辺 博道君    小林  守君
      鮫島 宗明君    長浜 博行君
      日野 市朗君    青山 二三君
      中井  洽君    藤木 洋子君
      中川 智子君
    …………………………………
   環境大臣         鈴木 俊一君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       南川 秀樹君
   参考人
   (環境事業団理事長)   田中 健次君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  木村 太郎君     松島みどり君
  阪上 善秀君     平沢 勝栄君
  鳩山 邦夫君     渡辺 博道君
同日
 辞任         補欠選任
  平沢 勝栄君     阪上 善秀君
  松島みどり君     木村 太郎君
  渡辺 博道君     鳩山 邦夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人環境再生保全機構法案(内閣提出第四九号)
 日本環境安全事業株式会社法案(内閣提出第五〇号)


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     ――――◇―――――
松本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、独立行政法人環境再生保全機構法案及び日本環境安全事業株式会社法案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君及び環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 引き続き、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として環境事業団理事長田中健次君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浪健太君。
松浪(健太)委員 おはようございます。自由民主党の松浪健太でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ただいま提案されております環境事業団関係法案について、どのような形で事業移管がされるのか、その事業内容について、環境事業団の事業報告書、財務諸表などを取り寄せさせていただきまして、勉強させていただきました。その結果、やはり大変な事業実態が浮かび上がってきたわけであります。
 特に、環境事業団の累積債権残高、お手元に資料があると思うんですけれども、平成十三年度現在三千二百五十四億円に達している。中でも、今回の独立行政法人の移行に伴い不良債権化するこの二百二十一億円が、今回の事業移管によって欠損金とされてしまう。これはやはり税金のむだ遣いであると言われても仕方がない、私はこのように思うわけであります。
 また、この中でも、王子アルカディアホテル、これは国立国定公園内に十年間も野ざらしにされているという恐るべき実態でありまして、また、この返済すべき融資額は、三十六億円に加えまして、現在これは消費税とか延滞利息など含めて五十八億円にも回収不能が実際にはなっているという話であります。
 こうした実態から、環境事業団の民間企業仮定ベースに基づいた行政コスト計算書によると、資本金四百七億円に対しまして、回収不能見込み額は四百四十一億円と、既に破産状況にあるという状況であります。
 お手元の資料一でありますが、「環境事業団 債権一覧表」、これは先ほど三千二百五十四億円と申し上げたわけでありますが、未払い三カ月未満の償還猶予額四百五十億円、三―六カ月未満の滞貸債権額約二百三十億円、六カ月以上の延滞債権額は二百二十一億円、このようになっているわけで、合計は約九百二億円であります。
 なぜこのような膨大な延滞債務を生むようになったのか、その要因について説明を求めます。
炭谷政府参考人 ただいま先生、資料をもとにして御説明されましたところでございます。
 確かに、六カ月以上の延滞債権二百二十一億円という、債権残高の約七%になっているわけでございます。この延滞債権がこのように多くなったということにつきましては、実は、平成七年度ごろまではそう多くございませんでした。一%以下でございましたけれども、その後、バブルの経済の影響ということによりまして急増しているというのが実態でございます。バブル経済のときには、企業経営よろしゅうございましたので、仮に一つの中小企業が破産したとしても、直ちにほかの企業が見つかるとか、また資産価値がある程度あった、むしろ資産価値が上がっていたという理由で、このような延滞債権管理するまでもなかったという状況でございます。
 また、この延滞債権の中身につきましては、資料等に出ておりますとおり、中小企業がほとんどでございまして、延滞債権の中身を精査してみますと、約八割が中小企業、零細企業という状況でございます。
松浪(健太)委員 今、バブル経済の背景における中小企業であるゆえのという説明、種々ございましたが、環境事業団の事業報告書、財務諸表、過去五年分を見させていただきますと、例えば建設譲渡事業、最も多いわけでありますが、これをもっと適切に早い時期に見直すべきではなかったのかと私は考えております。
 と申しますのも、事業団財務諸表過去五年間を系統づけて見ますと、「環境事業団の財務状況」、これは資料二でございますが、下段の期中取り崩し額が、まさに平成七、八、九はゼロ円であった。今説明にございましたが、取り崩しされていない。そして、十年度からはやはり急激にふえて、補正予算も十四年度は五十億円追加し、七十六億円にも達しているわけであります。毎年欠損金が増大している実態があるんですが、この貸倒引当金の対応をしてこなかったということは、貸倒引当金の対応についてはいかがお考えでしょうか。
炭谷政府参考人 先生がただいま数字を指摘されまして御指摘されましたように、環境事業団が中小企業の貸し倒れによる引き当て処理を行った件数というものを見てみますと、平成五年から九年まではゼロでございました。その後、十年度一件、十一年度五件、十二年度十九件、十三年度はやや下がりまして十三件という程度に、平成十年度以降増加しているわけでございます。
 これに必要な予算、貸倒引当金の予算は、平成十年度の補正予算で九億円の貸倒引当金を計上するという対応を行ったわけでございますが、平成九年度以前の状況でございますけれども、これは先ほど来御説明しましたように、中小企業の状況ということが、倒産までいかない、何とか中小企業の方々の努力によって経営が切り抜けられてきた、また、切り抜けられてこなくても、まず仮に倒産しても、かわりの企業が割合見つかりやすかったということ、また担保価値がある程度増加もしくは横ばいの状態であったというような諸要因によって、平成九年度までは貸し倒れ処理が要らなかったという状況でございます。
松浪(健太)委員 このように毎年欠損金は増大する実態であったわけですが、平成十三年度の監査報告書には、監査を実施した結果、その内容は妥当なものと認めますとあります。これだけ不良債権が累積していたにもかかわらず、事業計画の見直しも不十分であったと私は思います。この場合、何が妥当であったのか、環境大臣にお伺いいたします。
鈴木国務大臣 先生から今、環境事業団の建設譲渡事業につきまして、いろいろ御指摘をいただいたわけであります。
 この事業でございますけれども、これは、一つには、中小零細事業向けの工業団地の造成によって大気汚染地域等からの移転を進めるなど、これは、何かむだなことをしたというよりも、公害防止上の政策的な意義はあったと思っております。
 それで、先生からこれの妥当性ということでございますけれども、これらの事業を進めるに当たりましては、環境事業団として、譲渡先の事業計画、資金計画等を通じて償還の確実性について適切に把握するよう努めてきたところである、そういうふうに認識をしております。
 ただ、局長からも御説明を申し上げましたとおり、その後の経済状況の著しい変化によりまして、近年におきまして、こうした中小零細企業の担保能力あるいは償還能力が低下をして、結果として環境事業団の不良債権が増加をしてしまったわけでございます。
 先生から先ほど来いろいろ御指摘がございますが、そういう御指摘も踏まえまして、今後、環境事業団において迅速かつ適正に処理を進めたいと思っておりますし、また、早く対応すべきだったという御指摘も冒頭ございましたが、この建設譲渡事業につきましては、特殊法人等整理合理化計画に基づいて見直しを行って、環境事業団の解散のときには廃止をすることといたしているところでございます。
松浪(健太)委員 それで、独立行政法人の移行に伴って、先ほど申し上げました一番の表であります延滞債権額、これは六カ月以上未払いで滞っている額でありますが、この約二百二十一億円が欠損金として、国民の税金を投入して、これをきれいにした状態で移行するわけであります。
 しかし、二百二十一億円、この額ですが、鈴木環境大臣の選挙区であります二戸市の平成十五年度の一般会計額は百七億円でございまして、おおよそその倍に当たる額でございます。このような膨大な欠損金の処理に至った要因をやはり国民に説明する責任があると思います。この結果を生んだ事業責任者は一体だれでありましょうか。理事長にお伺いしたいと思います。
田中参考人 事業団の理事長でございます。
 ただいまお話がございましたけれども、私どもの環境事業団、これは昭和四十年に設立をされまして、発足以来、多くの建設譲渡事業あるいは融資事業を行ってまいりまして、中小零細の事業者の公害の防止を支援してきたところでございます。
 そうしたことで、私ども環境事業団は、事業の採択に当たりましては、これまで償還確実性を含めた適正な審査に努めてきたところでございますけれども、ただいまお話が出ましたように、事業の対象は主に中小零細企業でございまして、こうしたことから、いわゆるバブル経済後の長引く景気の低迷によりまして中小企業の業績が悪化した、あるいは地価の下落等によりまして、近年において不良債権が急速に発生をしたところでございます。
 こうした零細事業者向けの事業は、公害防止の政策的意義を有したものでありまして、私ども環境事業団といたしましては、事業の採択に当たりましては、事業計画あるいは資金計画等を通じまして償還確実性を適正に審査してきたところでございます。
 しかし、先ほど申し上げましたいろいろな要因によりまして結果として不良債権が発生したことを、私どもも非常に重く受けとめておりまして、引き続き債権の回収に全力を挙げるほか、私ども事業団の役職員の人件費に踏み込んだ経費節減等を図っておりますが、こうした努力をさらに続けていくなど最大限の自助努力を払いまして、不良債権の迅速かつ適切な処理を進めてまいる所存でございます。こうした努力を地道に続けていくことが私どもの責任を果たすことだというふうに考えて努力をしているところでございます。
松浪(健太)委員 今、理事長から、その責任の重さについて伺いました。
 また、環境事業団法四十条におきまして、「事業団は、主務大臣が監督する。」二項では、主務大臣がその業務に対し監督上命令することができるとある以上、やはり環境大臣についても、この責任について伺いたいと思います。
鈴木国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおり、この建設譲渡事業につきましては、一定の中小事業者に対します公害防止という意味での政策的なものが考えられて仕組まれたものでありまして、そして現実的にもそれは政策上の効果を上げてきたもの、そういうふうに思っております。そして、その過程において、審査等も事業団においてきちんとなされたものである、こう思っておりますが、結果において結果においてこういう不良債権が発生をしたということにつきましては、事業団を監督する立場の者といたしましてもまことに遺憾に思っているところでございます。
松浪(健太)委員 結果においてこのような事態に陥った、また、中小企業対策そして公害に対する対策としてこれが起こったというわけでありますが、環境事業団債権の一覧の中に、建設譲渡事業の一番下段でありますが、国立国定公園施設というのが、一件で三十六億円というのがあります。
 資料三を見ていただければわかるんですが、これは岡山県にある王子アルカディアホテルというホテルであります。平成五年に完成しているわけであります。これは私がちょっと現場へ行って写真などを撮ってきたわけでありますが、国立国定公園の中にこのような立派な建物があるわけであります。外側は白くて、すごく立派なんですが、中に入ると、このように打ちっ放しで、全く中身はつくられたままであります。
 実際は、七十億円のうち四十億円を環境省のこの事業でつくって、そして三十億円が内装に使われて、そして事業が行われる、三セクに移行される、そういう建物であります。外見の白さと比べて中身がこれであって、地元では幽霊屋敷と呼ばれるぐらいでありまして、私も、かつての新聞記者的な感覚で言えば、実に絵になる不良債権であります。
 国立国定公園内にあって、このようなむだな建物が、すごい膨大な債務を持って今も放置されているわけであります。このような広大な土地にこのような広大な建物を置いて、それを放置されている、こうしたことについて、理事長の説明を求めたいと思います。
田中参考人 ただいまお尋ねの王子アルカディアの問題でございますが、これは、平成になりまして瀬戸大橋がかかるということで、非常に国立公園のあの地域の利用がふえるということでございまして、公害の増加を招くということで、利用者を分散させるということであの案ができ上がったわけでございまして、当時の玉野市等が第三セクターをつくりまして、私どもは、その要請を受けまして事業に着手したわけでございます。
 そういうことで、公害の防止を図る、分散を図るという大きな目的があったわけでございますが、建設の過程で、私どもが建物をつくり内装は第三セクターでやるという分担のもとに進めたわけでございますけれども、途中でいろいろアクシデントがございました。現地で大きな山火事がございましたし、また、社長が急逝をするということもございまして、どうしても第三セクターの経営が立ち行かなくなったということでございます。
 私ども環境事業団といたしましては、債権者の立場でございますので、これを有効活用したいということでいろいろ努力をしてまいりました。ホテル業界の方にもお話をし、不動産業界の方にもいろいろ引き取りのお話をいたしましたが、経済状況もございましてどうしてもまとまらなかったということで、私どもは、いわゆる宿舎事業以外にもこの施設を活用できないかということで、私どもと玉野市、岡山県、環境省入りましてずっと協議を重ねて努力をしてまいりましたが、残念ながらなかなか思うように相手が見つからないということで、まだ成案を得るに至っておりません。この事業団、今年度いっぱいで消滅ということでございまして、独立行政法人に引き継ぐまでに何とかこれを有効活用して処理したいということで一生懸命努力をいたしております。
 そういうことで、さらに努力を続けてまいりたいと思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。
松浪(健太)委員 今、交通を分散させて公害の防止を図るという話で、ちょっと無理があるなという印象を受けましたし、分散させるべき観光客も実際は余りいなかったというのは皮肉な話でありますが、しかし、実際私も地元に行かせていただいて、玉野市、岡山県なども含め利用計画は既に万策が尽きているようであります。
 そして、この債権表の三十六億円という額がありますが、実際問題は、この債権が滞っていることによりまして、消費税一億円、延滞利息十四億円、そして延滞損害金七億円の五十八億円が回収不能となっていると聞いておりますが、この事実はおおよそ間違いないでしょうか。
炭谷政府参考人 おおむね先生の御指摘の数字のとおりでございます。
松浪(健太)委員 そして、この第三セクター、先ほど、社長が亡くなってしばらく引き継ぐ社長がいなかった、そして融資が得られなかった、そこで内装工事なども滞ったままになった、このような説明があったわけでありますが、しかし、この第三セクター、王子リゾートは、三セクとはいえ主な株主のうち玉野市の出資は一〇%しかない、そして、そのほかの王子が岳観光開発などの出資者はほとんど一族で占められているような債権状況にあるんですけれども、この五十八億円、先ほど申し上げましたが、債権回収状況は今どのようになっているんでしょうか。これについてお伺いいたします。
炭谷政府参考人 先ほど環境事業団理事長から御説明がありましたように、現在この建物の有効利用という形で、これを使っていただける人をまず探してみようということで、第三セクターの出資者である玉野市、また最大の債権者である環境事業団、それに岡山県、環境省が加わりましていろいろと協議をし、折衝をしているわけでございます。しかし、残念ながら今日まで、一応声のかかる人は出てまいるんですけれども、そこまで踏み切れないということでございます。
 しかし、せっかくの建物でございますから、何とか有効利用という形でまず第一義で考えておりますけれども、もし仮に、今年度中にこれを処理するという方向をとらなければなりませんので、環境事業団の債権処理手続というものが進められることになろうかと思いますけれども、しかし、その手続の中においても、他に活用する方法というもの、またこれをしていただける人を見つける努力をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
松浪(健太)委員 済みません。質問の仕方が悪かったかもしれませんが、私が今伺ったのは、債権の回収状況であります。三十六億円のうちのどれぐらいの債権を回収したのか、手短にお願いいたします。
炭谷政府参考人 どうも失礼いたしました。
 現在環境事業団が回収している点は、消費税の相当分のうちの六百万円にとどまっております。
松浪(健太)委員 現在、三十六億のうち六百万円しか回収していないというのが実態であります。
 そして、なぜ回収できないのか。その理由は種々あるんですが、しかしながら、先ほど申し上げましたように、この王子リゾートに出資している数々の株式会社、同族で占められている会社がありますが、それは全部存続しているわけです。つぶれたわけでもないのにそこから債権を取れない、このような状況は私はやはりおかしいのではないかと思っているわけであります。
 そして今回、二百二十一億円が欠損金として、延滞債権に当たる部分が実際問題払い落とされてしまう。独立行政法人に移行するに伴ってこの額は帳消しにしてしまおうということになるんです。これは、一たん独立行政法人、きれいな体になって移る、そしてその債権がなくなる。しかしながら、実際その後、こうした会社に対する債権は残っているわけであります。
 その債権を取り立てることについての決意を伺いたいと思います。
炭谷政府参考人 ただいま延滞債権が二百二十一億円という数字に上っているわけでございます。この回収に当たりましては、現在環境事業団の方で行っておりますのは、例えば法的な手続をとるということをまず行っております。
 例えば、平成十四年度におきましては、手続を行いましたのは二十五件という形になっておりますし、また実際の民間の練達したサービサーに委託をするという方法をとりましたりして回収の努力を進めているわけでございます。
 十五年度、今年度におきましてもこの努力を続けまして、破産状態にある事業者の債権について今年度中に環境事業団において迅速な処理を行うという方向に進めているわけでございます。
松浪(健太)委員 王子アルカディアホテルの件からちょっとそれてしまったんですが、今後、この王子アルカディアホテルの処分というのは、どのような方策をお考えでしょうか。
田中参考人 先ほどからお話をいたしましたが、何とか有効活用できないものかということで、民間の方々の受け手をさらに探す努力を続けますけれども、それと並行して、あわせまして、やはり具体的な法的な処理も必要かと思います。
 清算とか破産とかそういうことも並行して進める時期に来ているのではないかということでございまして、その辺もにらみながら対応していきたいと思いますが、いずれにいたしましても、透明性のある適切な処理を私どもは図っていきたいというつもりでございます。
松浪(健太)委員 清算、破産という話が出ましたけれども、もしそういうことになった場合にでも、こうした今までの三セクに対する責任、これを免れるものではありません。
 そして、二百二十一億円というまさに膨大なお金であります。欠損金として処理される。どのような形にしても、これはやはり国民の税金であります。こうしたことを真剣に、国民の痛みを胸に受けとめて、そして今後処理されることを望みまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
松本委員長 牧義夫君。
牧委員 おはようございます。民主党の牧義夫でございます。
 選挙の応援で風邪を引いてしまいまして、ちょっとお聞き苦しいかもしれませんけれども、御容赦お願いいたしたいと思います。
 鮫島委員がこの後質問を本格的にされますけれども、その前座をまずは務めさせていただきたいと思います。
 今回の二法、いわゆる特殊法人等整理合理化計画の一環ということで理解はできるんですけれども、私なりの理解では、民間に委託できる、あるいは投げてしまうことができるところは民間に任せる、そういう中で独立行政法人化を進めていくという一定の流れで理解すればいいと思うんですけれども、今回あえて環境事業団を独立行政法人と株式会社に分離する意味というものについてお聞きをしたいと思います。そして、特にPCB処理というものを株式会社にやらせるその意味についても、あわせてお聞きをしたいと思います。
 特に、株式会社にこのPCB処理をやらせるという意味についてわかれば、私なりに納得ができれば、今回の質問、四十分時間をいただいていますけれども、本当に納得できれば十分で終わってもいいぐらいの、そんなようなつもりでお聞きをしたいと思います。
弘友副大臣 先ほど来論議がございましたけれども、特殊法人の整理合理化というのを平成十三年度閣議決定した計画に基づきまして、環境省関係の特殊法人は公害健康被害補償予防協会と環境事業団の二つでございまして、そのうちの環境事業団をどういうふうに整理するかという考え方は、まず、今までの主要業務でございました建設譲渡事業につきましては、地方公共団体にできるものは地方公共団体、民間にできるものは民間だという考え方のもとに、事業団の解散時に実施中の事業を除いてこれは廃止をするというのが一つの考え方でございます。
 第二に、その他の事業のうち、PCB廃棄物処理事業等、環境保全上、公的に確実に行う必要があり、かつ事業収入を得て業務実施が可能な業務については、特殊会社を設立してこれに行わせる。
 それから第三番目は、事業収入によりがたい事業、例えば、民間団体による環境保全活動の支援とか、PCB廃棄物処理費用等の助成、債権の回収業務等は独立行政法人に移管する。
 このような再編の結果、現在環境事業団が行っている業務を整理いたしまして、PCB処理等は特殊会社である日本環境安全事業株式会社、そして、その他のものを、独立行政法人である環境再生保全機構を設立することにしたものでございます。
 今、なぜ特殊会社にPCB処理を行わせるかというあわせての御質問でございましたけれども、長い間我が国におきましてはこの廃棄物の処理体制の整備がずっと停滞していた、そういうことで、途中紛失等が発生してきたわけでございまして、PCB廃棄物の処理体制を速やかに構築し、安全かつ計画的に処理を実施する必要があるということです。
 民間になぜできないのかというお話でございましたが、今までも過去に、PCBに係るメーカー等から成る民間団体、例えば財団法人電気絶縁物処理協会等が中心となりまして、全国で三十九カ所の処理施設の立地をずっと試みてまいったわけでございますが、なかなかこれは地元の理解が得られなかったということで、立地に至らなかったわけでございますし、最近も民間処理業者による施設の立地というのは具体化をしていないということで、速やかにこれは処理体制を整備する必要がある。
 こういうような観点から、国が立地を計画する事業者に対して事業許可とか施設の構造、管理の規制を行うだけでは、なかなかこれはできないということになりまして、平成十三年度にPCB廃棄物特別措置法を制定して、保管事業者に対しまして一定期間内の処分を義務づけた上で、環境事業団法を改正して、環境事業団にPCB廃棄物処理事業を行わせることにいたしました。それを引き続き今回は特殊会社である日本環境安全事業株式会社に引き継がせるということでございます。
 結論的に言いましたら、民間では今まで試みてまいりましたけれどもなかなかできなかったということでございます。
牧委員 立地については民間ではなかなか進捗しなかったということは重々承知をいたしておりますけれども、私の質問は、その実施をするに当たってなぜ事業団をこの二つに分ける必要があるのか、特にPCBの処理の事業について株式会社でやる理由について。
 今の御説明だとちょっとわからないんですよ。再生保全機構の方で引き続きPCBの処理を引き継ぐことも十分できると思うんですけれども、なぜ、あえて株式会社、特殊会社を一つつくって、そこにPCBの処理の事業をさせるのか。その説明には今の御説明ではなっていないと思うんですけれども。
弘友副大臣 これは、事業収入を得て事業実施が可能なものという、処理する場合、事業収入を得るわけですから、そういうことで、特殊会社をつくってそれに任せる、こういうことでございます。
牧委員 ということは、言葉をかえれば、採算がとれるからというふうに理解してよろしいんでしょうか。それと、民営化の方が効率的だということですか。その辺も含めて、もう一度お願いします。
弘友副大臣 やはり特殊会社でございますので、採算がとれるようにしなければいけないんですけれども、また一つは、なかなかとりにくい部分もございますので、国が全株を保有して、当初の目的でありますPCBを円滑に処理するということで、特殊会社をつくらせていただくということでございます。
牧委員 ちょっとまだよくわからない。ここのところ、大事なところなので、しっかりと議論していきたいと思うんです。
 たしか、二年前の事業団の法改正のときに我が党の委員も質問しているんですけれども、当時、川口環境大臣でございました。立地に当たっては、国がしっかり責任を、裏づけをとっていかないと住民の理解も得がたいということで、事業団がこれを行っていくんだというお話に対して、実際それはわかるけれども、その事業の中身については、これは採算ベースに乗るのであれば、例えばPFI方式でもいいんじゃないか、そういう質問をたしか我が党の委員もしていたと思います。当時の環境大臣は、PFIの意味をどうも理解していないのか、あるいは理解しているけれどもはぐらかしているのか、ずっと、議事録を見ると、話が平行線のまま終わっているんですよ。
 私が今あえて申し上げたのは、そこら辺のところなんですよ。ちょっと大臣、もしお考えがあれば。
弘友副大臣 ですから、当初、環境事業団がその業務を行うということで議論があってなったわけですけれども、今回、特殊会社に任せるというのは、そしてまた、この移行時には株を全額国が保有するというのは、一つは、処理が円滑に進むようにできるだけ低い料金設定が必要だ、もう一つは、利益率に左右されない着実な廃棄物の処理の確保が必要となる、こういう観点から、ただ単に利益を最大化するものではないわけでございまして、政策目的達成というのが一つございますので、その処理の期間中は、やはり株も国が保有させていただく。
 ただPFIだとか民間のみでやりますと、たまたま私は北九州出身でございますけれども、この事業を引き受ける地元説明を百何十回行いまして、やはり民間だけでやるということになると地元の皆さんも非常に不安がございまして、やはりそこに国がかかわるということは、大きな信用を担保できるんじゃないかなというふうに考えております。
牧委員 いつまでも話してもしようがないんですけれども、ただ、民間がやるから地元の方が不安になる、今そういうおっしゃり方をされましたけれども、これはあくまでも国がやる事業で、政策目標を達成する、ただその中身についてはPFI方式でいいんじゃないかと私は申し上げたので、今の御答弁だと、かつての川口大臣と同じになってしまうと思うんですけれども、いかがですか。
飯島政府参考人 PFI法に基づく事業というのは、簡単に言いますと、包括的な民間委託の形式をとるわけでございまして、責任は分担する、最終責任は公共団体、公共セクターに落ちるわけでございます。
 川口大臣が御答弁申し上げたときもそうですが、要は、採算性をとるようにするので会社にするということは同じでございますけれども、PFI事業の場合は、これまで、例えば都市ごみの清掃工場のように実績があって、どういう形で、ノウハウが蓄積されているもの、これについて民間の資金や活力を活用しようということでやってきたわけでございまして、大臣も、将来的にPFIを全くだめというのじゃなくて、現時点で、まだPCBの処理というのはこれから初めてでございますので、これが定着する前にPFI方式でやるのは難しいのではないかというふうに御答弁したものと承知しております。
牧委員 わかりました。
 一たんそれで理解させていただくとして、ちょっと最初の質問に戻りますけれども、では、なぜ独立行政法人でできないんでしょうか。もう一回、そこのところの説明だけちょっとまだ足りないと思うんですよね。株式会社、特殊会社でやるという、わざわざ分けて。
鈴木国務大臣 今回の特殊法人の合理化の議論というのは、一つには、やはり地方自治体に任せられるものは地方自治体に任せる、それから民間に任せるものは民間に任せるということで効率性を求めていくということがございます。そういう要請において、これは事業収入でできるものでありますから、そういうような効率性を求める面において株式会社でやってもらう、こういうことでございます、整理をする段階において。
 一方において、PCBにつきましては、先ほど来お話がございましたとおり、今までの経緯がございます。なかなか民間の処理業者で今までやろうと思ってもできなかった。最近に至ってもそういうような計画が出てこない。一方において、PCBというものは大変心配されるものでありますから、このままほうっておくことはできない。
 確かに、効率性を求めるという観点では株式会社であるわけでありますけれども、しかし、全く国の関与がないということは、これはそういう重要なものを扱うことにおいて非常に重要な問題でございます。したがいまして、国の一定の関与があります特殊会社、これにやらせるということが適当であるということで、そちらの方に事業を分けたということでございます。
牧委員 こだわって申しわけないんですけれども、今の大臣の効率性というお話と、さっきの副大臣の、会社とはいっても国が全株保有をしながら、これはやはり利益を追求するものではないという話とは、多少矛盾すると思うんですよね。
弘友副大臣 先ほどのお答えは、ちょっとあれですけれども、利益を追求するものではないという意味ではない。やはり会社ですから、より効率よく経費も少なく、そういう民間的な発想というのは当然必要なわけです。
 ただ、利益のみを追求していきますと、価格にそれが転嫁されてみたり、そしてまた、もうけないのは引き受けないということになってしまいますので、早急に処理をしなければいけないという大きな政策目的を実現するまではやはり国が一定のかかわりをしなければならないということで、株を持たせていただくということだと考えております。
牧委員 わかりました。
 いつまでも言っていてもしようがないのですけれども、政策目的を達成するのはもちろん第一義だと思いますけれども、そういう中で、コスト意識をしっかり持ちつつ、それはどんどん処理能力も高めながら、かつ廉価で行えるような、そういうことを求めるという意味での民営化であれば私もよくわかるのですけれども、ちょっとそこら辺がまだ最終的な納得には至っていないということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
 そして、独立行政法人環境再生保全機構と日本環境安全事業株式会社の役員にはどなたがなるんでしょうか。
鈴木国務大臣 新法人の役員についてでございますけれども、役員の人選につきましては、新法人の設立に当たりまして、それぞれ新たに、おのおのの法人の事業内容に応じて適切な方を選考するということにいたしております。特に、日本環境安全株式会社の役員につきましては、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、民間人の積極的な起用というものも考えてまいりたいと思います。
 御質問は、だれがなるのかという御質問でございましたが、今のところはまだ決定をなされておりません。
牧委員 わかりました。
 決定がないということですが、今の御趣旨は理解した上で、公健予防協会と事業団の役員がそのまま横滑りなんということはまさかないと思いますし、また同じような出身省庁のポストを引き継ぐというようなことはないというふうに理解をしてよろしいでしょうか。そこだけ確認をさせていただきたいと思います。
鈴木国務大臣 これは、原則からいえば、それぞれの組織、新法人において一番ふさわしい人を選任するということでございますが、今の役員だからゆえに当然次の新法人の役員になるということはございません。(発言する者あり)
牧委員 今、債務処理の責任をとらせろという声も上がっておりますけれども、それも含めて、あと、また決まったらリストなりなんなりというのはこの委員各位に配付していただけるんでしょうか。
鈴木国務大臣 理事会等で委員会への提出のことを決めていただければ、それに従わせていただきます。
牧委員 今の質問に関連しますけれども、独立行政法人等の役員についている退職公務員等の状況について、独法五十九法人のうち、二百七十八人中百二十二人、常勤は百七十九人中百三人が退職公務員ですね。特別の法律により設立される認可法人二十六法人のうち、千三十九人中百三十八人、特に常勤では百二十一人中七十六人が退職公務員、こういう実態なんだそうです。
 特に常勤職員でその割合が非常に高いわけですけれども、今回の株式会社、日本環境安全事業株式会社には、この退職公務員というのは不適格だと私は思います。その理由としては、実際にPCBの処理の実務というものの経験がないわけですし、それと、特に株式会社ということになれば、経営の実務経験もないわけですから、そういった意味では非常に適格性を欠くと私は思いますけれども、大臣の個人的な所見をお願いいたします。
鈴木国務大臣 まず、役員がどういうふうに選任されるかということを申し上げますが、特殊会社の役員でございますが、これは株主総会でまず取締役と監査役を選任いたします。そして、取締役の互選によって代表取締役を任命することになっております。
 役員の人選につきましては株主総会において選任されるということでありますが、当初は株を国が持っている、すべてを保有するということでございますので、環境省におきましても、この役員の選任についてしっかりと考えていかなければならないと思っています。
 先ほど申し上げましたが、特殊法人等整理合理化計画というものがございます。これには、民間人の積極的な登用を図るということが書いてございますので、そういう趣旨をしっかりと踏まえて、新会社の適切な経営の確保を図るためのふさわしい人選をしてまいりたいと思っております。
牧委員 わかりました。
 それでは、先ほどの質問にもありましたけれども、建設譲渡事業についてお尋ねをいたします。
 今回の廃止について、その理由をまずお聞かせください。
弘友副大臣 先ほど来論議もございましたけれども、環境事業団は、高度成長期の公害問題に対処するために昭和四十年に設立されました。中小零細事業者による公害防止等の支援のために、大気汚染が問題となっている地域などに所在している中小企業が組合単位で移転する工業団地を造成して譲り渡す等の、各種の建設譲渡事業を行ってまいりましたけれども、本事業は、非常に環境問題等も変化をしてまいりました、そして、その後、地方公共団体等に対する緑地の造成譲渡に業務の重点を移してきたわけでございます。
 今般の改革に当たりましては、先ほど御答弁申しましたように、地方公共団体でできるものは地方公共団体、民間でできるものは民間でという役割分担の考え方を踏まえまして、工場団地または緑地等は地方公共団体が独自で行うことが可能であるという判断から、この環境事業団の解散時を契機といたしまして、残っている事業は別でございますけれども、その事業を廃止するということにしたものでございます。
牧委員 大臣も副大臣もかわっておられますので、できれば環境省の役人の方にお聞かせいただきたいんですけれども、民主党として、二年前の法改正のときに、建設譲渡事業を廃止すべきだという修正案を提出して否決されているんですけれども、この二年間で状況ががらっと変わったのか。あるいは、不良債権問題がこれ以上大きくなる前にもうそろそろこの辺で損切りして手じまいしてしまった方がいいのかなと、そういう判断に至ったのか。その間の心境の変化をちょっとお聞かせいただければと思います。
炭谷政府参考人 この間、特に特殊法人をめぐる状況というものが大変厳しい批判を浴びてきたわけでございます。特殊法人の業務のあり方を全面的に見直すということになりまして、特殊法人の存在そのものをどうすべきかという検討が私どもにも迫られたわけでございます。
 その中におきまして、特殊法人の業務のうち、もう既に地方に任せるべきもの、また民間に任せるべきものについては、あえて特殊法人もしくはそれを引き継ぐ政府系の機関にゆだねる必要がないというような検討の結果、建設譲渡事業について、現在既存のもの、既に着手しているものを除いて廃止するというような方針をとったわけでございます。
牧委員 今、大変貴重なおもしろいことをおっしゃっていただきましたので、もう一回確認しますけれども、今の炭谷局長のお話ですと、特殊法人に対する世間の風当たりが厳しくなったからここら辺で見直そうという趣旨でよろしいんですね。今のお話だとそうですけれども。
炭谷政府参考人 世間一般、世論というものもございますし、私ども自身の、行政機関内部の見直しというようなものも行った結果というようにとっていただければと思います。
牧委員 ありがとうございました。
 それでは、ちょっとまた話が戻りますけれども、二年前の環境事業団法改正案の附帯決議に「環境事業団が行うすべての事業について見直しを行い、民間や地方自治体では行うことのできない真に国として行うことが必要な事業に限定し、所要の措置を講ずること。」とあります。
 あえてまたもう一回蒸し返してお聞きをしますけれども、PCB処理というのは民間ではできないんですか。
鈴木国務大臣 PCBの処理を民間で行うということは、法律上はその参入は可能であるわけであります。しかし、実態を見てまいりますと、先ほど来申し上げましたとおり、過去におきましても、PCBのメーカー等によります関連の団体、財団法人電気絶縁物協会というのがございまして、これが全国で三十九カ所、処理施設の立地というものを試みたわけでありますが、現地の、地元の理解が得られず、立地に至らなかったということもございます。それから最近に至るまで、民間処理業者から実際にそうした処理施設の立地をしようというものが具体化したという例もございません。
 一方において、PCBと申しますのは、御承知のとおり大変、このままほうっておくと、現に長い間保管をしておりますので一部がどこかに行ってしまっているという例もございますので、これをこのままほうっておけない。やはりきちんとした早期に処理する体制づくりをしなければいけない、国の関与する処理体制が必要であるということで、環境事業団にPCB廃棄物処理事業を行わせることになった。そして、それを今回特殊会社に引き継ぐということでございます。
牧委員 私、どうしてこれをもう一回聞いたかというと、ちょっと話を整理したかったからなんですけれども、今のお話でよくわかるのは、つまりは立地の問題だけなんですね、国が関与しないとできない部分というのは。
 逆にお聞かせいただきたいんですけれども、では、事業団に、あるいは今度の特殊会社に、直接、現業の部門としてPCBを処理する能力があるんですか。
飯島政府参考人 環境事業団におきましては、これまでPCB廃棄物処理事業の計画を、北九州を初めといたしまして行ってきております。ですから、PCBの処理体制、どういう形でやっていくか、安全性をどう確保していくかということにつきましてノウハウをこれまで蓄積してきたところでございます。
 実際にその化学処理のプラントをだれがつくるかといえば、それは事業団みずからつくるわけじゃなくて、事業団の指揮命令のもとに、民間の技術の進んでいる会社の中から公平な形で選択をしていく、そして委託をしていくということになると思います。
牧委員 実際に委託を受ける会社というのは、その技術を持っている、例えば東京電力ですとか住友電工だとかあるいは神戸製鋼、神鋼パンテックだとか、いろいろな会社があると思いますけれども、そこの技術というのは極めて信頼に足る技術を持っているというふうに私は理解をいたしておりますし、それが一定の監督官庁の監督のもとで事業を進めていけば、別に、あとは立地さえ決まっていれば、特にこういう特殊会社が介在する余地というのは私は余りないような、素人考えかもしれないんですけれども。逆に言うと、そのほかにどういう仕事をするんですかとお聞かせいただきたいと思います、素人にもわかりやすいように。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたとおり、東京電力等々、これまで自社の保管している廃棄物を化学処理の方法で処理をされている民間会社がございます。ある意味では、技術的には問題を起こさずに安全な処理が行われておりますので、それは先生の御指摘のとおりだと私も思います。
 ただ、問題の立地なんですが、場所が見つかればいいというお話でございますが、実際問題として、地元の住民の方々、あるいは自治体に対して信用してもらって、そして安全性を説明していかなければいけませんし、収集運搬、保管事業者からそこまで運ぶところに対するいろいろな注意も必要になってまいります。
 ですから、いわゆる化学処理のPCBの無害化技術プラントができるという技術力だけで、そこのところは大事なんですけれども、全体のPCB処理体制を構築するのはこれまで困難だったということでございまして、自社処理は行われておりますが、他人のPCB廃棄物を受託して処理するという形はこれまで一度もなかったわけでございますので、そこで、国が関与する環境事業団がこれまで二年間にわたり準備を進めてきているということでございます。
牧委員 そうすると、今度は特殊会社の管理のもとで、立地が決まったら、そこで例えば入札なりなんなりで処理業者を選定するということで理解してよろしいんですか。
飯島政府参考人 環境事業団が全体的な処理体制を統括した上で、個々の処理の部分につきましてはそれぞれ専門の会社の技術力等を使うという形式でございまして、これまでの例で申しますと、例えば北九州などの例でございますと、プラントのメーカーだけ、そこの部分だけ分離して発注するのではなく、全体的なグループ会社として応募がされまして、それに対して第三者委員会で審査した上で委託先を決定するというプロセスをとることになると思います。
牧委員 素人にわかるような説明をしていただきたいんですけれども、実際の仕事の、現業の中身の部分というのは民間会社がやるということですね。それでよろしいんですね。
 そのことと、であれば、別にこれは別会社を立ち上げなくたって、独法で十分できる話だと私は思います。また話がもとに戻ってしまって申しわけないんですけれども。
飯島政府参考人 個々具体の場面で、だれが運転管理をするのかとか、だれが保管されている廃PCBを運び込んで化学処理プロセスで運転するのかということになりますと、それは個々の専門家ということになると思います。
 ただ、環境事業団みずからがこのPCB処理事業を事業主体として行うという意味は、運転管理は環境事業団が事業団の責任において行う、また、すべては環境事業団が監督し、その最後の責任は環境事業団がとるといったもとに、適切な委託会社、そういったものを使っていくということになると思います。
牧委員 いつまでも言っていてもしようがないので、次に行きます。
 このPCB会社、特殊会社の従業員というのは大体何人ぐらいと想定されていますか。
炭谷政府参考人 この特殊会社の組織、人員につきましては、基本的にはこの法人の自治にゆだねられるというふうに考えておりますけれども、今後、新体制が発足するまでには、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして業務の整理が行われるわけでございます。それに対応したものになると考えているわけでございます。
 職員の移行に当たりましては、今後の、新体制の発足までに検討を行うということになるわけでございまして、この法人に関する概算要求等を通じて固めていくということになるわけでございますけれども、現段階での見通しでは、PCB廃棄物処理事業に現在携わっている職員を中心にして、約八十名程度がこの特殊会社に移行するのではないかというふうな想定をいたしております。
牧委員 ついでですから、ちょっともう一つ教えてください。会社の定款というのはあるんですか、もうできているんですか。
炭谷政府参考人 この特殊会社につきましては、今後、この法案が成立した段階で、設立発起人会というものが定められまして、その中で定款の案がつくられ、発起人総会、株主総会の創設総会、創設株主総会というものに当たると思いますけれども、その場で承認の手続が、今後、来年度の四月発足に向けて進められるというふうになろうかと思います。
牧委員 もう一つ、簡単な質問ですけれども、この経営は成り立つんですか。
望月大臣政務官 お答えさせていただきます。
 会社の事業は、処理施設の建設を行い、PCB廃棄物の保管事業者からの処理の委託を受けて、処理施設でPCBの処理を行うものでございますので、これは、建設に要した費用及び稼働など事業運営に要する費用は、保管事業者からの処理料金収入によって賄うことになっておりますので、経営が成り立つようになっております。
 会社自身が効率的な経営を行うことが必要であって、その上で、収支がつり合うように適正に料金を設定することになっておりますので、経営が成り立つ、そういうことになっております。
牧委員 なぜお聞きしたかというと、普通の株式会社であれば、資本は市場から調達して、また利益を配当するというのが趣旨でしょうけれども、今回それは全部国の出資でありますから、これは赤字になったときにだれが責任をとるのか、そこら辺の責任の所在というのをやはりはっきりさせておかなければいけないな、そう思ったものですからあえてお聞きをしました。
 これは赤字が出た場合は、そうすると、また安易に税金が投入されるということにならないでしょうか。
望月大臣政務官 会社の経営に関しましては、もちろん経営陣が責任を全面的に負うものとなっております。そしてまた、もちろん国も指導監督を尽くして、株主としても関与しておりますので、そういった意味では尽くしていきたい、このように思っております。
 このPCBの事業につきましては、将来の世代、そしてまた地球環境を保護するという意味で、やり遂げなければならない大変重要な、緊急を要するものでございまして、経営が破綻しないように、中小企業の円滑な処理、大企業の計画的な処理の促進など、できる限りの指導をしていきたい、このように思っております。
牧委員 ありがとうございました。時間がないので余りこの辺はこだわらず、次へ行きます。
 実施計画があると思います、十年前後ということでありましょうけれども、その事業対象になるPCBの残量に対して、一日の処理能力が大体どれぐらいで処理できるという計算はもちろんあるんでしょうけれども、それが常にフル稼働していくという担保は何もないわけです。特に今、こういう景気の時期ですから、今までどこか隅っこに積んであったものをもうしばらくほっておいてもいいやと、その処理に当たって、ぎりぎりまで延ばされる可能性もあると思うんですね。それをきちっとコンスタントに処理をしていく、そのインセンティブというのをどういうふうに働かせていくんでしょうか。
鈴木国務大臣 牧先生の今の御指摘は、効率的な運営をしていくために大変重要なことである、そういうふうに思っておりまして、事業実施期間を通じて計画的に処理委託が行われて、そして効率的な施設稼働ができるということが大切であると思っております。
 そのために、中小企業者につきましては、処理費用負担を軽減して処理が円滑に進むようにする、それから大量にPCB廃棄物を保管する大企業に対しましては、計画的な処理委託をするように都道府県を通じて指導する方針でございます。
 そしてまた、先生が今御指摘のとおり、処理委託が事業実施の後期に景気の状況その他で集中をすると問題だという御指摘は、そのとおりでありまして、やはり事業実施期間を通じて平準化されることが大切であると思いますので、計画的な処理委託に対して、例えば処理料金の設定を工夫するなどインセンティブを与える、そういう方策も検討してまいりたいと思っております。
牧委員 時間がございませんが、せっかく経済産業においでいただいておりますので、一言だけ最後にお聞きしたいと思います。
 財団法人のピーシービー処理協会、あるいはその後、電気絶縁物処理協会がこの処理施設の誘致に取り組んできたわけですけれども、結局、成果を上げることができなかった。二年前の法案の審議でその辺の説明をされておりますけれども、ここで、次の新しい段階に入るところで、もうこれはどんどん過去のことになってしまいますけれども、ここで一つ総括をしていただかなければならないということ。
 それから、通産省あるいは経産省出身者がこの会社の役員になるようなことは、私は本当はおかしいなと思いますので、そこら辺のお考えだけちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 旧通産省におきましては、PCB製造業者が昭和四十八年に設立いたしましたピーシービー処理協会、いわゆる財団法人電機ピーシービー処理協会と言っておるわけですが、PCB使用機器の保有状況調査を実施した際に、ビルとか工場のオーナー等の自家用電気工作物設置者に対して同調査への協力を要請する、あるいはPCB使用機械の適切な取り扱いの手引書を作成して配付するなど、ピーシービー処理協会の事業を全面的に協力してきたところでございます。
 また、ピーシービー協会が建設に努力した高温焼却処理施設についても、安全性がほぼ確立されていたものの、焼却処理に伴って発生する排気ガスに対して地元住民の不安感をぬぐえなかったために、地元住民の最終的な同意が得られなかった最大の理由であったものと考えており、このことを踏まえまして、平成四年以降、当時の厚生省と連携しながら、焼却以外の化学的方法によりましてPCBを無害化する技術の評価を行ってきたところであります。その結果、平成十年には、従来の高温処理に加えて、幾つかの化学的な無害化処理技術が法的に認められるようになったところでございます。
 また、旧通産省においても、この三十年間、ピーシービー処理協会による民間ベースのPCBの無害化処理の推進等を行ってまいりましたが、結果として、高温焼却処理施設の立地に対する地元住民の同意を得るまでには至らなかったところであります。我が国におけるPCB処理が進みませんでした。
 しかしながら、旧通産省といたしましても、ピーシービー処理協会としても、それぞれの時点においてできる限りの努力を払ってきたものと考えております。経済産業省としても、今後とも、環境省と提携しながら、PCBの無害化処理を推進する動きを積極的に支援してまいるつもりでございます。
 それと、ピーシービー処理協会は昭和四十八年八月に設立した法人でありまして、電気絶縁物の無害化処理技術に関する調査研究、また二番目に、電気絶縁物の保有状況に関する調査、電気絶縁物の回収、電気絶縁物の無害化処理及びその推進を行ってきたところでありまして、また、昭和五十一年の六月には財団法人電気絶縁物処理協会に名称を変更し、平成十三年十一月に解散しております。そして、設立当時の組織としては役員二名、職員七名で運営しておりましたが、解散時には役員二名、職員三名ということになっております。
 以上であります。
牧委員 終わります。
松本委員長 鮫島宗明君。
鮫島委員 私は、政府参考人から答弁を受けることについては割合寛大なタイプなんですが、時々長い方がいるので、お一人二分以内にしていただきたいと思います。今の政務官の答弁も随分長かったような気がします。
 初めに、ちょっと本題に入る前に一つだけ。
 食品リサイクルに関して、今、再商品化の対象が、肥料、飼料、油脂及び油脂製品、メタンという四品目に制限されているんですが、しかも、再商品化の対象品目は環境、農水両省の協議により政令で定めるというふうになっていますが、実際、今、食品産業の業者の方から言わせると、えさとして供給するのはなかなか怖いと。おまえのところのえさを食ったら肉質が落ちたとか言われるし、それから、肥料として供給するのも品質の管理上大変難しい面がある。油脂及び油脂製品は、LCA的な評価をすると、油脂化のプロセスでそれ以上のエネルギーを使う、何が何だかわからなくなるということがありますし、メタンは、発酵させてもいいんですが、発酵かすが大量に残るという、それぞれ問題があって、もうちょっと簡単な処理方法も認めてくれないかと。
 多分、農水省に対してこれからいろいろと話があると思いますが、もし農水省が省内で非常に厳密に検討して、では食品フラフというジャンルを認めましょうと。フラフというのは乾燥して破砕した状態のことですが、食品フラフも燃料として認めましょうというふうに、農林水産省が各種のヒアリングを重ね、省内での協議も経て環境省にそういう相談を持ち込んできたときに、環境省は承認しますか。
飯島政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘になりましたように、食品関連事業者にとりましては再生利用の手法がたくさん多様にあった方が対応が望ましい、しやすいということで、そういう観点は十分承知しておりますので、そういう検討はさせていただきますけれども、今御指摘の食品フラフにつきましては、現段階では十分情報を得ておりませんので、農林水産省の方からそういうお話がございましたら検討させていただきたいと思います。
 ただし、前回のときもお答えいたしましたように、食品廃棄物をそのまま燃料利用することにつきましては、循環型社会形成推進基本法に照らしていかがなものかと思っておりますので、慎重に検討をさせていただきたいと思います。
鮫島委員 これをやり出すと切りがないんだけれども、メタンは認めていて燃料はだめというのは、全然自己矛盾しちゃっているんですが、またこれはじっくりやりましょう。多分、私の方が勝つと思いますよ。
 本論に入ります。
 二〇〇一年四月の環境委員会で、事業団でなければ地元の了解を得ることは困難、それから、事業団でなければ地元の了解を得られないから株式会社など民間ではだめという当時の川口環境大臣の答弁がありました。
 先ほどの牧委員もこれに関して質問をしましたが、もう一回だけ確認しておきますと、民間ではだめという方針は継承されているわけですね。
鈴木国務大臣 民間ではだめと申しますか、民間では実態上、今までの経緯から見て難しかった。
 今までの経緯を見てみましても、かつて関係団体が全国三十九カ所で立地をしようとしたわけでありますけれども、地元の合意が得られなかった。その後も、他の民間処理業者の立地というものもこれが具体化をしていないということで、このままそういう人があらわれるのを待っていても、一方においてPCBの重要な処理というのが進まないので、国の関与のある機関で、これは今までは環境事業団であったわけでありますが、これが行ってきたということで、実態としてそうなっているということであります。
鮫島委員 そうすると、日本環境安全事業株式会社というのは民間ではないんですか。
鈴木国務大臣 厳密な意味でのことにつきましてもし誤りがあれば事務方から訂正していただきたいと思いますが、これは株式会社ではありますけれども、特殊会社ということで、国がきちんと関与をしていく、株も当初は全額国が保有するということで、いわゆる普通の民間の会社とは違う、こういうふうに認識をいたしております。
鮫島委員 当初一〇〇%国が出資するんでしょうけれども、いずれは株式を公開していく予定はあるんですか。参考人で結構です。
炭谷政府参考人 PCBの処理を的確に処理していくということが求められるわけでございます。現在の予定では、株式を一〇〇%国が保有するということに予定しておりますけれども、その後のPCBの処理の状況を見て民間に放出するということもあろうかと思いますけれども、その場合であっても、法案では、過半数以上の株を必ず保有して公益性を確保するという規定を置いているところでございます。
鮫島委員 いや、二分の一以上保有すると決まっているわけですから、半分までは公開する予定だとお答えいただければいいんですが。その方が時間が短いと思います。
 では、この特殊会社は商法に準拠するのかどうか。イエスかノーかで答えてください。
炭谷政府参考人 商法に準拠いたします。
鮫島委員 商法の二百六十六条ノ三に、この会社は、会社に対する責任のほかに、事故などが起こった場合、第三者に対する責任が生ずるというふうに定められております。
 もし、イタリアのセベソで起こったように、イタリアのセベソというのは、化学工場が爆発して約七百人の人たちがダイオキシンの被害を受けた、世界三大ダイオキシン被害の一つですが、そういうような事故が万一起こって、一番直接的には農業関係に被害が、実害が出るんじゃないかと思いますが、そういう事故が起こった場合、当然、商法に準拠する以上、この会社は二百六十六条ノ三に沿って責任が生じるという認識でよろしいのでしょうか。
炭谷政府参考人 商法二百六十六条ノ三では、取締役の責任を定めております。取締役がその職務を行うについて悪意または重大な過失があるときは連帯して、取締役全体の連帯でございますけれども、損害賠償責任を負うということが定められておりますので、この適用も受けるというふうに考えております。
鮫島委員 役員の責任というところにそれが決まっているわけですが、当然その連帯責任を負わなければいけない。
 そうすると、国の方の責任はどうなりますか、事故が起こった場合。これは商法に準拠する民間企業だから国は責任がないということでしょうか。
鈴木国務大臣 本法に規定されておりますのは、環境大臣は会社の行うPCB廃棄物処理事業について事業基本計画の認可等を行うことというふうにされておりますので、これらに基づく監督責任は有している、そういうふうに考えます。
 事故が発生した場合の責任のあり方でございますが、事故の原因、会社の安全対策のあり方、それまでの環境大臣の関与など、さまざまな要因によって左右されますので、あらかじめ一義的には言えない、そういうふうに考えております。
鮫島委員 あらかじめ一義的には言えないという結論でしたよね。
 これまでも、PCBの処理施設をつくる上で一番の障害になっていたのは、住民との合意形成。住民は何を聞くかというと、事故が起こったときの責任の所在はどうなんだというのが住民の第一関心事項。
 商法の役員は第三者に対する責任を負うと定められていますが、今まで環境省の方も民間ではだめと言っていた背景には、株式会社というのは利益追求が主目的だから、事故が起きたり何かした場合もなるべく補償金は値切りたい、訴訟に訴訟を重ねて十五年ぐらい引っ張ればそのうち被害者はあきらめるだろう、そういうビヘービアをとるから株式会社ではだめだ、国の関与がないとだめなんですという説明だったと思いますが、今までの事業団から今度は株式会社、少なくとも看板は日本環境安全事業株式会社というふうに出るわけですから、住民側としては、何だ会社じゃないか、こんなのが事故を起こしたら大変なことになるな、国はちゃんと責任を負うのか、また国は何だかんだ言って逃げるんじゃないか、だったらこんな施設を受け入れるわけにいかないよというのが非常に普通の住民の感覚だと思います。
 ですから国は、これは株式会社だけれども普通の会社じゃない、二分の一以上国が株を持ち続けるんだから、事故が起こったりした場合、国も少なくとも半分以上の責任を負うというぐらいのことが言えない限り、絶対、未来永劫に処理施設なんかできませんよ。
 もう一度お答えください。
鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、事業基本計画の認可、これは環境大臣がするわけでございますので、これらに基づく監督責任は明確に有している、そういうふうに考えます。
 しかし、今先生がおっしゃいました、事故が発生した場合の責任、これは事故によっても、いろいろな事故があるわけでございまして、原因、あるいは会社の安全対策がどうだったか、あるいはそれまでにその原因に対して環境大臣としてどう関与してきたか、さまざまなことによって左右されるというわけで、先ほど申し上げましたとおり、一義的にあらかじめ言えるものではございませんが、しかし、事業基本計画の認可を行うものでございますので、これらに基づく監督責任はある、こういうことでございます。
鮫島委員 監督責任があるのは当たり前で、別にそんなことは説得素材にならない。私を説得しても意味なくて、やはり住民、国民、一般の人たちが、今のような答弁で、では受け入れてもいいかと思わないですよ。だから多分、鈴木大臣がいる限りは一歩も進まないんじゃないですかね、今のようなことでは。
 では今度は質問を変えますが、この第七条に、いろいろな会社の、どういう処理方法をするかとか、処理施設の設置の場所とか、処理量の見込み等々細かいことについて事業基本計画をつくってください、それを環境大臣が認可しますという仕組みになっています。この中に、「その他環境省令で定める事業の基本となる事項」というのがあるんですが、環境省令はできているんですか。
炭谷政府参考人 現在のところまだ確たるものはございませんけれども、この中で「その他」と予定いたしていることといたしましては、例えば、今先生御議論されている地元への対応をどのように考えるか、例えばいろいろな苦情が出てくるとかいうこともございます、それに対する対応とか、また、それぞれの処理施設の区域の問題等が一応想定されるわけでございます。
鮫島委員 だから、もうできているんですかと聞いたので、できていませんと言っていただければいいので、参考人の答弁は一々時間がかかるんですね。
 できていない、環境省令で定める事項が決まっていないと、この法案の審議を普通はできないですよね。どこまで環境省が関与するのかが見えないですから、どんな会社になるのかがわからない、会社自身がどこまで裁量権を持っているのかが全くわからない。
 では、人事に関しては、監査委員の選定及び解職の決議は環境大臣の認可を受けなければいけないというのは明文化されていますが、それ以外の役職員の人事については別に環境大臣の認可を受けなくてよろしいのですね。これもイエスかノーかで答えられるはずです。
松本委員長 簡潔にお願いします。
炭谷政府参考人 一般の役員については、株主総会での決定というふうになります。
鮫島委員 株主総会はだれによって構成されますか。
炭谷政府参考人 現在、国が一〇〇%株を保有するということになりますので、国になろうかと思います。
鮫島委員 要するに、株主総会のメンバーを見ると、財務省の理財局の職員がずっと並んでいるわけですよね、民間人は一人もいない。そういうところでこの人を社長にしたいとかなんとかというと、民間人を持ってくると否決されたりして、だめだ、天下りじゃないとだめだと、すべての株主がそう言うということも想定されるわけで、極めて異常な会社ですよね。
 処理方法も、化学処理じゃないとだめというふうに規定するんでしょうか。
飯島政府参考人 PCB廃棄物の処理方法につきましては、先生御存じのとおり、高温溶融も含めまして幾つかの化学処理方法が規定されているわけでございますが、これまでの、住民の理解を得るためには、現実問題として、化学処理の方法でなければ難しいと思っております。
 実は、立地地点の自治体の考え方が非常に大事なんですが、これまで立地の準備を進めている地域におきましてはすべてにおきまして、高温焼却という方法もあるんですが、それでなくて、化学処理の方法で立地することを前提としてお話を進めているところでございます。
鮫島委員 要するに、第七条で処理の方法も大臣の認可を受けなければいけないというふうに書かれているわけで、ここで言うのは、ですから、化学処理という処理方法を事業計画の中に書き込まない限り認可されないという意味ですよね。
 わかりやすく答えてください、僕はわかりやすく聞いているんだから。化学処理で行いますというふうに事業基本計画に書かないと認可されないということですね。
飯島政府参考人 先ほど申し上げました経緯にかんがみまして、そのようにしたいと考えております。
鮫島委員 化学処理と高温焼却処理とで、コストはどのぐらい開きますか。
飯島政府参考人 実際に今、自社処理についても化学処理を行っておりますし、焼却処理の実績というのは相当前にPCB原液の処理が行われただけでございますので比較は困難だと思いますが、一般には、化学処理の方が高温焼却処理よりもコストが高くなると考えられます。
鮫島委員 二年前の四月の方が、もうちょっと正確に御答弁いただいたんですよ。トランス一台を想定すると、化学処理の場合は一台おおよそ七十万円、高温熱処理の場合は二十万円という返事だったんですが、二年たったら後退したような、何か、数字忘れちゃったのかな。いいんですね、大体そのぐらいの違いということで。
飯島政府参考人 平成十三年のときのお話というのは、高温熱処理は恐らく高砂で行ったものを勘案した値だと思いますし、それから、化学分解法は当時の推定値としてそういうことだったと思いますが、現在、標準的な高圧トランス一台でどのぐらいの費用がかかるかというのは、環境事業団とともに詳細な検討をしているところでございますので、当時七十万円という値はそれなりの前提があって出てきたと思いますけれども、七十万円でおさまるのか、あるいはもっと安くなるのか、現在のところではまだわかりません。
鮫島委員 だから、いずれにしろ、たとえ高コストであっても化学処理じゃないと認めないわけだし、その役員の人事については一々財務省理財局の承認を得なければいけないわけですし、事細かく、会社の管理運営についても一々環境大臣の認可を受けなければいけない。こういう会社に社長で来る人、いるでしょうか。
鈴木国務大臣 先ほど、牧先生の御質問にも答えたわけでありますけれども、株主総会等で決めますが、株主は国ということでございますので、そういう中においても、積極的に民間の登用というものを考えてまいりたいと思っております。
鮫島委員 この会社は多分非常に利益の出にくい会社だと思いますが、一番最初の御答弁で、商法に準拠するという答弁をいただきましたが、商法に準拠するとすると、株式会社は利益を出していないと役員にボーナス出ませんけれども、それでも社長は来ますかね。
炭谷政府参考人 現在の商法上の解釈ですと、やはり、利益処分としてのいわゆる賞与、ボーナスを出すわけでございますので、仮に利益が出なければ、ボーナスの支払いというのは難しい、できないんじゃないか。いずれにしろ、これは利益処分に当たりますので、株主総会の議決事項というふうになろうかと思います。
鮫島委員 何かだんだん際どい、利益は出ていなくても、株主総会で決めればいいからということで、身内意識でボーナスを出しちゃうということも大いに予測されるので。
 この会社自身が、先ほどからの答弁を聞いていても、見方によっては国の機関、逆から見ると民間機関、またほかから見ると半官半民のようにも見える。昔、七つの顔を持つ男というのがありましたが、これも幾つかの顔を持っている非常に不思議な機関になるんじゃないかと思います。
 私、ずっと農林水産委員会にも属しているんですが、あのBSE問題を初めとして偽装牛肉事件というのが頻発しましたが、だから、肉の卸屋さんにはなかなか悪い人がいて、偽装牛肉をしちゃう事件が頻発しましたが、環境省はもっと悪くて、偽装民営化というのをやっているんじゃないか。これがどうして民間と言えるのか。商法に準拠しているから、法律上は民間と。しかし、株主は一〇〇%国、それで、事故が起きたときの責任はいま一つはっきりしない。こんな気持ち悪い組織を受け入れろと住民に言ったって、受け入れるはずないと思います。
 今後、住民との合意形成はどのようなスキームで行うのでしょうか。大変難しい答弁になると思いますが。
飯島政府参考人 現在、先ほど御答弁申し上げましたように、環境事業団が各拠点的処理施設の設置場所におきまして住民の方々に御説明をし、そして御理解をいただく努力をしてきているわけでございますが、そのスキームで一番大事だと思っておりますのは、立地場所の自治体、地方公共団体の御理解を十分に得るのがまず一番大事だと思っております。
 現実に、北九州にいたしましても、大阪、東京、豊田、それぞれで今準備が進んでおりますが、地方公共団体の方々と一緒になりまして、大変な御尽力を、御協力をいただいて、環境事業団が住民の方々にもう数十回にわたり御説明の上、御理解をいただいてきているということでございますので、そういったスキームをこれからのところにつきましてもとっていきたいと思っております。
鮫島委員 住民との合意形成は、私は大変難しいと思います。これまでも、そこが一番ネックだったわけです。
 では、繰り返しになりますけれども、万一事故が起こった場合、地方公共団体に責任は生じるでしょうか。
飯島政府参考人 その事故が、何が原因で、どのように起こったのかによると思いますけれども、地方公共団体が関与している、そういった場合における事故は、当然、その責任の一端を担うということになると思いますが、一般的には、立地のために努力していただいている地方公共団体の方が事故の責任を一手に引き受けるというようなことはあり得ないと思います。
鮫島委員 確かにそう思いますよ。地方公共団体が何とか住民を説得して、いろいろ資料も示しながら、あなた方の心配するようなことはない、後ろには国もついているんだからということで説得するんだと思いますが、ですから、その意味で、国は万一の場合少なくとも株式の取得比率に応じた責任を負うというぐらいのことを言ってもらえないと、ここから先、話が進まないんじゃないかと思います。
 もちろん、事故の内容によるというのは当たり前のことだと思いますよ。非常に属人的な要素で、そこの会社の変人がおかしなことをして事故った、明らかに犯罪類似行為的なことがあるという場合は、その人が刑事罰になるということはあると思いますが、要するに、そういう属人的な、あるいは意図的な事故じゃなくて、意図せざる想定外の事故が起こったような場合は、これはやはり株の保有比率に応じた責任を国が負うということを明確にしていただかないと、住民に説明のしようがないんじゃないかと思いますが、もう一度、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 先生から御指摘のとおり、事故の形態にもよると思いますが、国が、半分、最終的にも半分以上の株を持つものでありますから、それなりの責任を持って対応しなければいけないと思っております。
鮫島委員 大分明快な御答弁になってきたと思います。そういう答弁だったら、鈴木大臣時代に施設ができるかもしれないなという気がいたします。
 次に、一応、商法に準拠した会社になるわけですが、国会の監視とか国会への報告、あるいは会計検査。かなり公費が投入されると思いますので、それとの関係で会計検査の対象になるんでしょうか。
炭谷政府参考人 まず、会計検査の関係でございますけれども、会計検査院法の二十三条第一項第四号には、検査の範囲について、国が資本金の一部を出資しているものの会計については、会計検査院が必要と認める場合は検査をすることというふうになってございますので、その対象になろうというふうに考えております。
 また、国会との関係で申しますと、他の特殊会社、例えば日本たばこ産業株式会社等の特殊会社につきましては、財政法二十八条の規定によりまして、予算参考書類等を国会に提出し、審議を受けているところでございます。今回の特殊会社につきましても、先ほど申しました二十八条第七号の「国が、出資している主要な法人」に当たるかどうか、そして関係書類を国会に提出することについて、関係機関と今後協議していきたいと考えております。
鮫島委員 今、何と言ったんですか。国が、最後のところ、ちょっともう一度繰り返していただけませんか。重要な会社に該当するかどうかと言ったんですか。
炭谷政府参考人 失礼しました。
 財政法第二十八条第七号に、国が出資している主要な法人に当たる場合は、関係書類を国会に提出するという規定になっております。これに該当するかどうか、関係機関と協議するというふうに御答弁申し上げました。
鮫島委員 まだ該当するかどうか決まっていないということですか。該当するかどうかの判断は現時点ではまだ出ていないんですか、重要な法人に該当するかどうかというのは。
炭谷政府参考人 現在のところはまだ確定はしておりませんけれども、これまでの前例等を見ますと、該当する可能性、該当するのではないのかなと思いますけれども、いずれにしろ、関係機関と協議をして、関係機関、これは結局財務省というふうになろうかと思いますけれども、協議をして決めていくというふうになろうかと思います。
鮫島委員 それから、きょう、多分朝から問題になっていたと思いますが、今の環境事業団がかなり不良債権をしょっている。延滞債権が二百二十一億円、それから民間基準ベースによる回収不能の見込み額が四百四十一億円。これを、先ほど牧委員からも指摘がありましたが、この際、チャラにしようというか、公的資金を注入してここのところをきれいにしようということでよろしいんでしょうか。そういうおつもりなのかどうか。
炭谷政府参考人 事業団の抱えている現在の不良債権の処理でございますけれども、まず第一に、やはり債権回収に全力を挙げる、事業団において挙げていただくということで臨んでおります。そのために、顧問弁護士や公認会計士というものに依頼をいたしまして、相当強力にやっております。十四年度も相当な回収というものを当たっておりますし、また、RCC等の専門機関にも回収を委託するという努力をした上で、貸し倒れが生じた場合、それは貸倒引当金をもって債務を処理するということに考えておりますけれども、第一義的には、やはり第一に債権回収に最大限の努力をするということでございます。
鮫島委員 環境事業団は何年何月何日まで存続するんですか。つまり、回収期間はあとどのぐらいあるんでしょうか。数字だけ答えてください。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
炭谷政府参考人 この法案が通りましたら、来年の三月末までで解散するということになるわけでございます。
鮫島委員 要するに、一年弱しか逆に言うと回収期間がない。ほかの企業、団体の不良債権の回収の進捗状況を見れば、そう簡単にはいかないというのが常識だと思います。それは御努力するのは当たり前でしょうが、努力してもかなりいっぱい残っちゃったという場合は、貸倒引当金を国が出す。国が出すんですよね。
炭谷政府参考人 不良債権の処理につきましては、まず、事業団が存続している間に破産債権をまず最優先に行います。そして、そこで完全に回収し切れない、いわば健全な債権もしくは……(鮫島委員「繰り返さなくていいです」と呼ぶ)はい。ものについては、新しい独立行政法人の方に引き継いで回収に当たっていただくというふうに考えているわけでございます。
鮫島委員 引き継がれるわけですね、独立行政法人に不良債権が。これは非常に大事なところだから。いいですね、確認しておきますよ。いいんでしょう。違ったら――いいんですね。
 そうすると、ますます大変なんですよね。さっき、利益が上がらないと役員にボーナスが出ませんよと。このことは商法でも決められている。ただ、もちろん株主総会の承認事項ですが。
 この不良債権相当額を引き継いで、しかも、はしの上げおろしまで環境大臣の許可を受けなくちゃいけない。恐らくボーナスの出る見込みは極めて低い。こういう状態でボーナスが出ていたら、国民的な大批判を浴びるんじゃないかと思います。財務内容を国民の前に明らかにして、本当に利益が上がっているのかどうかを証明しない限り、なかなかボーナスは出せないと思いますよ。つまり、純民間じゃないわけですから。あるときは民間の顔、あるときは役所の顔みたいな話になるわけだから。だから、そこは今後我々もずっと監視を続けざるを得ないなというふうに思います。
 こういう形で、これは特殊法人の民営化なんですか、大臣。
炭谷政府参考人 特殊会社という形態をとっておりますけれども、その範囲内では民営化の一部分に、一部分、完全ではございませんけれども、民営化に近づいているというふうに考えていただければと思います。
 それから、先ほど、不良債権の処理につきましては、特殊会社ではなくて独立行政法人の方に引き継がれますので、よろしくお願いいたします。
鮫島委員 わかりました。そうすると、そういうところもなかなかうまくできているというか、この会社自身はきれいな形でスタートできるということがわかりましたが、いずれにせよ、民営化なのかどうか、民間に行く途中みたいな話でしたが、法律的には商法に準拠しているわけですからこれは民間と言わないとおかしいと思いますが、閣議で大臣は小泉さんに、環境省の部門で特殊法人の民営化はどれとどれですかと言われたときに、今の答弁だったらこの会社の名前は出せないことになりますが、それでもいいんですか。それとも、出すんですか。
 環境省としての特殊法人民営化の実績といったときに、環境事業団を、一部を日本環境安全事業株式会社にしましたと。つまり、民営化の事例として、プレス発表を含めて、この会社の名前を出すんですか。
炭谷政府参考人 この特殊会社につきましては、いわば民営化に向けた一歩というふうな位置づけで、必ずしも民営化というふうなこととは言えないのではないかというふうに思っております。と申しますのは、この附則におきましても、この特殊会社につきましては附則の第三条におきまして、会社の民営化も含めた見直しを平成二十八年三月三十一日までに行うという附則を置いておりますけれども、そのようなことから考えて、民営化への一歩というふうに考えていただければと思いますけれども、民営化そのものとは少しニュアンスを異にしているというふうに思います。
鮫島委員 わかりました。そうすると、民営化した事例という中には出てこないということを確認させていただきたいと思います。
 いずれにせよ、私は、さっき言ったように、これは典型的な偽装民営化の事例だということを指摘して、質問を終わります。
 以上です。
近藤(昭)委員長代理 高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。
 まずは、PCBの関係についてお伺いいたします。
 一九六八年、昭和四十三年にカネミ油症事件が発生しまして、PCBの毒性が大きな社会問題となったわけであります。その後三十五年を経過する今もなお、苦しむ患者さんたちが大勢おられます。
 日本は、先進国の中でも処理が進んでいないと言われております。平成十三年七月、PCB特措法が施行されまして、環境省は事業者に対して十五年以内の処理を義務づけております。しかしながら、なぜ処理の体制もまだでき上がっていないのか、なぜおくれたのか、この点のところをまずは環境大臣からお伺いいたします。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
鈴木国務大臣 一言で言えば、処理施設の立地というものが進まなかったということであります。その経緯につきましては先ほどもお話を申し上げましたが、過去におきましては、PCBのメーカー等によります関係団体の財団法人が全国三十九カ所で立地を計画したわけでありますけれども、地元の理解が得られずこれができなかった。その後も、民間の処理業者からのそうした立地というものが具体化していない。
 そして、民間ではできないような現実があるという中で、PCBにつきましては、その毒性、将来にわたる環境への影響を考えれば、やはりこれはきちっと処理をしていくものがなければならないということで、環境事業団の方でこれを国の関与のもとで行っているということでありまして、やはり立地が進まなかったということが一番の原因であると思っております。
高橋(嘉)委員 諸外国では民間でやっているところもございますよね、国が関与している場合ではなくて。どうして我が国は、どうも立地が難しかったと言えばすぐそれで済むような話に聞こえるんですけれども、そのときに、PCB製造業者がいろいろ民間スキームを考えてやっていった、だけれども、では、その立地に至らなかったのは主にどういうことが理由だったと考えられますか。
鈴木国務大臣 ちょっとまたリサイクル部長の方から補足をしていただきますが、私の理解している限りにおいては、その処理方法が、かつては焼却ということにおきまして、それが周辺環境に与える影響が非常に大きい、そういうことで住民の方々の理解が得られなかったのではないか、そういうふうに理解しております。
高橋(嘉)委員 ですから、先ほどからこの審議の中で、化学処理をやっていく、そして我が国はどうも化学処理でいきたいというような話のように答弁されているようですけれども、化学処理をしっかり説明して、また国の監視、管理をしっかり説明すれば、立地が可能な部分も出てくるのではないかと僕は思うんですが、経緯を含めて、では部長さんの方からお話しいただけますか。
飯島政府参考人 大臣から御答弁いたしましたように、かつて三十九回トライをして三十九回ともうまくいかなかったのは、一つには、大臣の答弁のとおり、高温焼却、要するに煙が出るということに対する住民の方々の御理解、これは実は、実際に高砂で行ったときにはきちんと無害化処理ができているんですが、万一事故があったときに出てしまったらおしまいだ、そういう懸念が非常に強かったと思います。
 化学処理の場合は、先生よく御承知のように、実際の処理した後の排水の濃度をはかった上で、これで大丈夫だということで外部に出す場合は外部に出せる、そういうことで確認ができるということで、そういう意味での安心感があったと思います。現実に、電力会社や大企業等で自社処理のプラントがございますが、十ぐらい例があると思いますけれども、これはすべて化学処理で行っているところでございます。環境事業団の北九州につきましては、本年度、実際の事業、建設に取りかかる予定でございますけれども、化学処理ということで、先ほど申し上げましたように、各自治体からは、高温焼却方法ではなく化学処理の方法でということを前提にして受け入れの表明をいただいているところでございます。
高橋(嘉)委員 いや、ですから、僕が聞いているのは、要は、焼却処理を前提にした中で立地を求めていったからだめだったのであって、化学処理をこれからしていくというお話をさっきからしていますから、化学処理を前提にした住民に対する説明をすれば民営化ができるのではないか、僕はそれも可能ではないのかと。その点についてはどうお考えですか。
飯島政府参考人 法的には、民間の会社が自社のものだけではなく他社のPCB廃棄物を処理業として行うことは可能でございますし、先生御指摘のように、これから民間の方々の中で先進的な化学処理の技術を持っている会社が手を挙げて、廃棄物処理法に基づく施設の立地の手続を行う可能性もゼロではないというふうに思っておりますし、それは否定されるものではございません。
高橋(嘉)委員 ですから、そういう技術を持った会社がどんどん民営化して、そして本当にやっていくというのであれば、民業を圧迫する可能性だって出てくるわけですから、全国に八カ所つくろうとしている、そういったことについても後でまたお伺いします。
 では、まずそこでお伺いしたいんですが、日本環境安全事業株式会社法案の附則の第三条について伺います。
 政府は、特殊法人整理合理化計画に基づいて、二十八年三月三十一日までの間に法律の廃止及び会社の民営化を含めた見直しを行うものとするとありますが、これは何を意味しているんでしょうか。適正な処理の達成が危ぶまれる場合を意味するならば、判断基準はどこにあるのか。要は、これは、二十八年三月三十一日までじゃなくても民営化あるいは見直しについての余地を残しているということですか。
炭谷政府参考人 第三条の附則につきましては、いわばPCBの処理状況、まずPCBを処理するのがこの特殊会社の最大の目的でございますので、その処理状況を見ながら、二十八年三月三十一日までの時点で会社の廃止または会社の民営化というものを検討するという趣旨でございます。
高橋(嘉)委員 までの間にとなっていますよね。では、までの間にであれば、その前にでも検討の余地があるということですかとお伺いしているんですけれども。
炭谷政府参考人 この法案の目的はPCBの処理でございますので、まず私どもとしては、PCBの処理が仮に迅速に進んだ場合、会社の廃止もしくは民営化というものもあろうかというふうに考えております。
高橋(嘉)委員 では、具体的にお伺いします。
 PCBの全体量、いわゆる我が国の保有量はどれぐらいでしょうか。
飯島政府参考人 先生が冒頭に御指摘になりましたように、一昨年のPCB特別措置法に基づきまして事業者から届け出を得ております。その十三年の七月現在の届け出を全国集計したものがございまして、PCB廃棄物といいましてもいろいろございますが、簡単に申し上げますと、特に問題になります大部分を占めている高圧トランス・コンデンサー、これにつきましては全国で二十六万九千三十二台、そのほか、低圧トランス・コンデンサー、柱上トランス、安定器、あるいは複写紙とかウエスとか汚泥とか、いろいろな形での届け出を得て取りまとめているところでございます。
高橋(嘉)委員 昭和四十三年のカネミ油症のときには、使用中のものが五万四千トンと発表されていますよね。では、何トンというあれはないんですか。PCB油は何トン、PCBを含む廃棄物は何トン。必ずコンデンサーが何台、何が何台となっていますけれども、そういう具体的な把握はされていないんですか。
飯島政府参考人 トランス、コンデンサーに含まれるPCBを含む液からPCBの量は推定をしておりまして、現在、約二万五千トン、トランス、コンデンサーを中心にしてございます。
高橋(嘉)委員 では、平成十年の調査と十三年調査を比較してみますと、保管状況が大幅に増加していますが、その理由はなぜか、お伺いしたいんですが。
飯島政府参考人 平成十年度の調査は、当時の厚生省がアンケート調査を中心として行ったものでございます。それに対し、先ほど申し上げました十三年度の調査は、PCB特措法の届け出制度に基づいておりますので、精度といたしましては新しい十三年度のデータの方が正しいと思っております。
 なお、十年度と十三年度の差でございますが、特に高圧トランス・コンデンサーで申し上げますと、十年度は二十六万五千台、それに対して十三年度には二十六万九千台ということで、高圧トランス・コンデンサーについては、使用中のものを含めて余り差がないと思っております。
高橋(嘉)委員 では、例えばその高圧トランス、高圧コンデンサーですけれども、十三年の調査では二十三万六千八百四十一台が保管されていますよね。十年の調査と比較して三万二千四百十四台ふえていますよね。この点について、環境省は、主に使用中のものが使用を終え保管に回ったためと、推測と出ていましたから推測しているようですが、十年度の調査結果と十三年度で使用台数が二万八千二百八十六台減少しています。ならば、四千台以上のトランスやコンデンサーはどこから出てきたんですか。
飯島政府参考人 十年度調査と十三年度調査の比較でございますが、先ほど申し上げましたように、基本的には十三年度調査の方が信頼性が高いと思っております。
 十年度調査のときになぜ把握できていなかったかというのが問題だと思いますが、これについては、アンケート調査ということもございますので、すべて、届け出義務に即して出てきたものではないということで、把握できなかったものがあったためと思われます。
高橋(嘉)委員 それでは、このアンケート調査は、PCB使用電気機器登録台帳、これは電気絶縁物処理協会のもの、この台帳をもとにしてのアンケート調査ですよね。この台帳は正しいものなんでしょうか。これは本当に信憑性があるものなんでしょうか。
 まだPCB特措法ができる前にこの台帳をもとにアンケート調査した、だからいいかげんな答えが来たんだろう、精度は十三年度の方が正しいはずだというおっしゃり方ですよね。だったら、この台帳から見れば、何でここから四千台、どう出てきたかというのはわかるわけですよね。台帳は信憑性があるんですか、そういった意味で。
飯島政府参考人 平成十年度の調査の前に、実は、一番初めに調査を行いましたのは平成五年でございました。そのときには、先生御指摘のように、PCBの保管、使用も含めた台帳の方の整備が不十分だったことは事実でございます。
 その後、PCBの台帳整備というのが、これは当時の通産省でございますが、きちっと指導されて、相当精度が上がったと思っておりますが、結果的に十年度調査結果と十三年度調査結果が異なっていて、十年度調査がアンケート調査ということで、その台帳を参考にして行ったことを考えますと、必ずしも完全に整っていたわけではなかったのではないかというふうに考えます。
高橋(嘉)委員 それでは、そのアンケート調査に対しては、回収率がどれぐらいで、それをフォローしたわけでも何でもない、そして十三年度のデータをベースにしてくれという話、そういうことですね。
 では、現在、紛失、不明が一万一千台、未報告が一万五千台あると言われています。この未報告の一万五千台というのはどういうものを指して言っているんでしょうか。
飯島政府参考人 今の委員の御質問は、平成十年度調査のときのデータだと思いますが、そのときの一万五千台分というのは、保管されているはずの事業所の所在が不明でアンケート調査に答えられなかったというものでございます。
高橋(嘉)委員 では、これは紛失、不明の数に入るようなものですよね。違いますか。
飯島政府参考人 不明、紛失という報告があった高圧トランス・コンデンサーが一万一千台ございます。それと別に、統計上、一万五千台が未報告と整理しておりますが、その未報告の分については、不明、紛失になった可能性も非常に高いのではないかと思います。
高橋(嘉)委員 いや、可能性というよりも、だって事業者がいないわけでしょう。だったら、それをしっかりフォローして保管していないというのであれば、未報告という数の中に入れるのではなくて、紛失、不明に入れるべきじゃないですか。
飯島政府参考人 ただいまお答えしております数字は平成十年度調査の結果でございますので、そのときそういう整理をしたという説明をさせていただいたものでございます。
 その当時は、所在が不明だった事業所で保管されていたものが、例えば親会社、別の工場に行っていたとか、そういった事例が結構あったわけでございまして、そのフォローをした上で発表しておりますので、必ずしもすべてが不明、紛失になったと割り切れないということで、未報告という形で整理をしたものと考えております。
高橋(嘉)委員 それでは、そこの一万五千台の中も全部保管されている可能性もあって、とにかく、現在、紛失、不明というのは一万一千台以外ないんだ、その当時の、十年のときの一万五千台の未報告というものは全部フォローして、しっかり保管しているということですか。
飯島政府参考人 平成十年度の調査のときの全体像でございますけれども、まず、今回のような法律に基づく届け出というような調査ができませんでしたから、一つは、生産台数が何台あるか、そして、その生産台数のうち、紛失、不明になった報告が幾つあったか、そして未報告が幾つあったかということと、また廃棄物として保管する以外の使用中のものもございます、そういったものから推定して整理をしたわけでございます。基本的には、これからのPCBの処理につきましては、平成十三年現在で法律に基づく届け出を受けた、この数字から出発せざるを得ないというふうに考えております。
高橋(嘉)委員 では、現在の紛失、不明の台数はしっかり把握されているんですか。
飯島政府参考人 平成十三年度の数字というのがPCB特別措置法に基づいて初めて得た数字でございますので、これは毎年このデータをとります。ですから、十四年度分が出ますれば、そこで不明、紛失になったものの値がわかると思いますが、現在のところはまだ一回目のデータしかございません。
高橋(嘉)委員 どうもよくわからないですね。
 企業倒産などによって紛失、不明が増加する懸念はないのでしょうか。では、これに対しての対策はとられているのですか。
飯島政府参考人 先生御指摘のとおり、平成五年のときの調査、平成十年のときの調査、はっきりと不明、紛失という報告が来ておりまして、倒産等に伴って不明、紛失になるおそれが非常に高いということで、早期に無害化の処理をしていくべきだという考え方でございます。そういうおそれがございますので、しっかりと保管状況を調査いたしまして、この新しい特措法におきましての届け出の義務を課して、そして保管基準を守っていただくようにきちんとフォローしているところでございます。
高橋(嘉)委員 十三年七月施行のPCB特措法八条では、業者及びPCB廃棄物を処分する者は、毎年、環境省令で定めるところによりとあります。これの届け出をしなきゃならないというところでありますが。
 十四年調査は終えたのですか。
飯島政府参考人 十四年度の調査は、現在準備を進めておりまして、これから早期に行う予定でございます。
高橋(嘉)委員 では、まだやっていないんですね。
飯島政府参考人 このデータにつきましては、県を通じて届け出データを集計することになりますので、県におきましては現在その作業の真っ最中、今後、近く環境省に報告を上げていただきまして、全体の集計、取りまとめを行う予定でございます。
高橋(嘉)委員 どうもよくわからなくなってきましたね。
 民間事業者によって処理が着々と進められておりまして、既に自社所有のPCB処理を終了したところも多いと聞いております。
 そこでお伺いしますが、このPCB廃棄物の処理は焼却か化学処理か。さっき化学処理という話ですが、民間でやられたのは全部化学処理でやられたのか。
 そして、これも特措法の第十八条で規定されておりますけれども、「環境大臣又は都道府県知事は、」ということで立ち入り権限があるんですね、職員に対して、ここをやれると。民間の処理実績はあるようですけれども、立入検査した実績はあるんでしょうか。適正な処理をなされていたかどうかということをお伺いしたいのであります。
飯島政府参考人 既に自社のPCB廃棄物を処理したところに対しまして、これは十社程度ございますけれども、ここにつきましては、地元都道府県に対してきちんと内容を説明して、施設設置につきましても知事の許可を得て、そして、当該都道府県のきちんとした指導、もちろん立入検査も含めまして、適切に監督が行われてきているというふうに承知をしております。
高橋(嘉)委員 もう一度お伺いしますが、それは、都道府県が立ち入りをした実績があるということかということと、非常に重要な問題ですからお伺いしますが、「環境大臣又は」と書いていますが、国は、その十社の中で、都道府県だけの報告ではなくて、適正な処理を行っていた、そういう立ち入りをした実績も一度ぐらいはあったか、そういう話を聞いているのであります。
飯島政府参考人 自社処理を行った会社に対する都道府県の立入検査は適切に行われております。
 それから、国はどうかということですが、国はまだ立入検査をしておりません。これは、十三年にできたPCB特別措置法で、国も一定の責任を持ってPCBの処理をしていくということで、緊急な場合には国が立ち入りができるような規定をあえて設けたわけでございますので、これまでの実績はございませんが、これから必要な場合については立入検査をしていく必要があると思っています。
高橋(嘉)委員 環境省は、先ごろPCB処理の基本計画を示して、先ほどから何度も話がありますが、平成二十八年までに処理を終える旨を公表されました。
 その中で、北九州市を初めとしてのお話は先ほどからお伺いしておりますけれども、この処理開始に向けて動き出している北九州そのほか五カ所については説明は聞いてわかっているんですが、まだめどの立っていない十五県分三施設についての見通しはどうなんでしょう。これは大臣からお伺いします。
鈴木国務大臣 今、高橋先生から御指摘のとおり、まだめどが立っていない部分がございます。それは、東北、北関東・甲信越及び北陸地方においてでございます。
 これまで拠点的処理施設の立地が決定しておりませんけれども、宮城県それから新潟県におきましては、県知事が県内での施設の立地を表明しておりまして、今現地で検討が行われている、そういうふうに聞いております。
高橋(嘉)委員 いずれ、環境省が公表したような形で二十八年までにはやれる、その見通しはあるという御答弁と思ってよろしいですか。
鈴木国務大臣 ただいま申し上げましたような地域におきまして今鋭意検討をしていただいているわけでございますが、こうした検討を踏まえまして、廃棄物の処理期限であります二十八年七月までに処理が確実に完了できますように、処理体制の整備について環境省としても積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
高橋(嘉)委員 処理プロセスにおいて情報公開の必要性は言うに及ばないことでありますけれども、この点についてどのようにお考えか、御見解を伺います。
飯島政府参考人 PCB処理施設の立地に当たりましては、先生御指摘のように、徹底的な情報公開、これが非常に大事だと思います。ですから、ある意味ではリスクについての検討結果もきちんと徹底的に地元の方々に御説明をした上で御理解をいただくということを、これまで北九州等におきましてもとってきております。
 新しい、これから白地地域について立地の働きかけを行う場合も全く同様で、徹底的な情報公開のもとに住民の方々の御理解を得るということが一番大事だというふうに思っております。
高橋(嘉)委員 今のお話で、それは北九州で何か具体的な事例も挙げて、こういう構想も挙げてお話しいただいたのでわかりますけれども、地域住民に対するためだけの情報公開じゃいけないと思うんですね。自社処理しているところが適正に行われていた、これは多分都道府県の報告によるものだけだと思いますけれども、では、情報公開含めて、どうですか、自社処理を行ったところについては。
飯島政府参考人 基本的には、先ほど申し上げましたように、都道府県の指導監督、立入検査等も含めた監督のもとにきちんと行われたというふうに私ども承知をしております。そのために必要なこれまでのデータの公開というお話であれば、それは可能だと思います。もちろん、個別企業の利害に関係するものということで情報公開法の例外規定になっているようなものについてはそれなりの検討が必要だと思いますが、一般的な処理の実績の情報の公開というのは可能だと思います。
高橋(嘉)委員 いずれ、しっかりとお願いしたいと思います。
 このPCBの処理に関して、先進国の中では国の関与している場合とそうでない場合とがございますね、これは議論が分かれるところかもしれませんけれども。
 そこでお伺いしたいんですが、この特殊会社は経済的に見て合理的なものかどうかということであります。当初予算見込みあるいは処理料金見込み、どのように考えておられるのか。採算はとれるのかという先ほどからのお話であります。さらに、最終的な処理に要する総事業費はどれぐらいをお考えなのか。大まかなお話でも結構でございますので、お示しをいただきたいと思います。
飯島政府参考人 PCB廃棄物処理事業の全体事業費がどのぐらいになるかというお尋ねでございますが、いずれにいたしましても、施設整備の見通しそれから廃棄物の量につきましての精査をした上での検討が必要だと思います。
 現時点において数字をお示しすることは難しいわけでございますが、既に施設の内容がはっきりしております北九州の一期事業、それから現在準備を進めております豊田、東京、こういった事業費の事情も踏まえながら全体事業費を算定の上、できれば来年度概算要求までにこの算定結果をお示しできるのではないかというふうに思っております。
高橋(嘉)委員 では、もう一回お伺いしますが、大体アバウトこれぐらいかかるという、それぐらいのこともまだわからないということですか。処理料金が高圧トランス・コンデンサー一台およそ六十万と聞いたり七十万と聞いたり、もっと高いだろう、安全性を求めればもっともっとあれになるだろうと、いろいろな話を聞くんですけれども、では、まだ全然全体像がつかめていない話ですね。
飯島政府参考人 今精査中でございますので、現時点で確定的な数字は申し上げられませんが、何にもわかっていないのかという御質問かと思いますので、大体今の見込み、今あるデータから想定される事業規模でございますが、まず施設の建設、拠点的処理施設の建設でおよそ二千億、それから実際の施設の稼働、運営、これも同額程度、合計四千億程度を一応の数字として頭に置いているわけでございますが、先ほど申し上げたように、これからきちんと精査した上で、概算要求までにはもう少し根拠のある数字としてお示しできると思います。
高橋(嘉)委員 さらに、先ほどのお話を聞いていますと、国が管理、管轄するけれども、実際にやるのは民間に委託するというお話でしたよね。本当に民間がそれだけの技術を持っているのであれば、民間に任せても僕はいいと思うんですけれども、民営化すべきだと思うのです。化学処理という形をとってしっかり提示すれば、立地だって不可能じゃないと思うんですね。焼却だったからそのような話になっている。
 大体事業団からこのPCB処理にはどれぐらいの人が異動して、将来PFIを考えているような話もちょっとさっき触れられたような気がしましたけれども、その点はどのようにお考えなんですか。
飯島政府参考人 新しい特殊会社の人員でございますが、先ほど局長の方から答弁がありましたように、現在PCB事業に従事している人間を中心に約八十名程度になるだろうと思っております。
高橋(嘉)委員 二百八十名が八カ所のところに行って管理、管轄するということになるんですね。
飯島政府参考人 失礼しました。全体で八十人でございます。現在のPCB事業に従事している職員を中心にして約八十名規模になるのではないかということでございます。
高橋(嘉)委員 廃止されるという建設譲渡事業は、既着手事業も年々終わっていくわけですし、平成十六年にはもう二つの地区を残すのみのように説明をいただいておりますけれども、この事業にかかわっている人たち、今までかかわってきた人たちの異動はどのようになっていくんですか。
炭谷政府参考人 現在、建設譲渡事業として実施しておりますのは、緩衝緑地、いわゆるグリーンベルトでございます。この事業がまだ残っておりまして、その関係職員、ちょっと今手元に資料がございませんけれども、その職員は、地方自治体から出向して来ていただいている職員がかなりいらっしゃいますので、地元に戻っていただくという方も相当いらっしゃいますけれども、その方々は減少していくといいますか、全体を引き継ぐ独立行政法人等から減少していくというふうになろうかと思います。
高橋(嘉)委員 その辺の具体的な数字までお聞きしませんけれども、はっきりしない話のようです。
 いずれ、戦後多くの特殊法人が民間の活動を補充するためとして設立されて、一定の役割を果たしてきたと僕は思っております。しかしながら、今日、天下りあるいは癒着の温床といった多くの弊害が指摘されております。
 環境再生保全機構は、公害被害者への補償、民間団体が行う環境保全に関する支援、PCB処理への助成、積立金管理など限られた内容といえども、先ほど来指摘されていますように、要はアルカディアの問題、実態に見られますように、多額の不良債権を引きずっている。これは、その経緯や実態の解明をすべき、これが国民に対する義務だろうと僕は思っております。また、その助成や支援の適正さ、これらも重要な問題であろうと思います。
 そして、新たな天下り機関との疑念も払拭し得ないわけであります。事実、環境省の課長及び企画官以上の者だけでも、天下りという視点で申し上げますが、昨年六月現在で、全公益法人に百十四名、環境省所管法人二十一法人に三十三名が天下りをしております。その天下り先の公益法人に対する環境省からの調査研究委託の額が大きい、ほかの環境省所管公益法人に比べて大きいという指摘もできます。
 必要なものには当然対策を講じなければなりません。しかしながら、本当に必要かどうか、また適正に行われているかどうか、この組織形態でいいかどうかの精査、検討が必要な時代に来ていると僕は思っております。この点について大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わります。
鈴木国務大臣 特殊法人に対しましてさまざまな御批判があることは、先生御指摘のとおりでございます。一つは、天下り先としての人の面、それから、または、天下りをしているところに補助金が何か優先的に与えられているのではないか、そういうような面であろうか、そういうふうに思っております。
 公益法人への補助金等の交付、これは、一般論で恐縮でありますけれども、環境行政を積極的に推進する観点から、関係事業の適正な実施を行い得る法人というものを決定して実施をさせていただいているところであります。それから、人の面、人材登用でございますが、それは、それぞれの法人がその健全な運営を行う上で適材適所な人材を用いているもの、この法人の責任で行われているものと承知をいたしております。
 しかし、そうしたような御指摘もございます。今後とも、補助金等の交付に際しては、基準等に基づき適正な交付を行っていきますとともに、法人の運営に係る指導につきましても厳格に行ってまいりたいと考えております。
松本委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 まず最初に、日本環境安全事業株式会社法案について伺いたいと思います。
 環境省の資料によりますと、環境事業団によるPCB廃棄物の全国処理体制としては、二〇〇一年十一月に認可された北九州事業、二〇〇二年十月末に認可をされました豊田事業、そして二〇〇一年十一月初めに認可をされた東京事業、このようになっております。北九州事業での処理能力は、第一期分で日量約〇・五トン、豊田事業は処理能力が日量約二トン、東京事業も日量の処理能力は約二トンとなっております。
 一方、民間事業者によるPCB廃棄物処理施設の整備状況ですが、これは現在稼働中もしくは稼働の予定の自社処理施設として、東京電力が、川崎市、横浜市、千葉市にある施設で低濃度PCB油の処理、それから関西電力は、大阪市にございます施設で低濃度及び容器洗浄の処理を行っております。北陸電力が、富山市にある施設で低濃度及び高濃度のPCB油の処理をしております。また三菱重工業は、長崎造船所内で高濃度PCB油及びコンデンサー容器の処理、日本曹達が新潟県二本木工場内と富山県の高岡工場内で高濃度PCB油の処理、その他、古河電工は千葉県市原市で高濃度PCB油の処理、また東芝は川崎市で高濃度PCB油の処理、荏原製作所が神奈川県藤沢市で高濃度PCB油の処理、日本製鋼所は室蘭製作所で高濃度PCB油の処理、阪神溶接機材は岡山工場で高濃度PCB油の処理をそれぞれしているということでございます。
 そこで、環境省に伺いますが、東京電力、関西電力、北陸電力は自社で所有するPCB廃棄物を処理するようですけれども、残りの北海道電力、東北電力、中部電力、中国電力、四国電力、九州電力が自社で所有するPCBの廃棄物の処理をどのようにするのですか。
飯島政府参考人 PCB廃棄物、いろいろな形でございます。
 そして今、電力会社の関係のお尋ねですが、電力会社に特有のPCB廃棄物と言えます柱上のトランス、これは、現在使用中のものを含めまして全国に三百八十万台存在しております。このうち、沖縄電力を除きまして、すべての電力会社が柱上トランスは自社処理を行うということで、まだ行っていない東北、中部、中国等の電力会社につきましても、地元に説明をしているところというふうに聞いております。
 なお、高圧トランス・コンデンサーは、基本的には中核処理施設で処理をする予定でございますが、東京電力、北陸電力におきましては、この高圧トランス・コンデンサーについても自社処理の検討をなさっているというふうに聞いております。
藤木委員 北海道電力は、今計画されている室蘭事業でやるんじゃないですか。中部電力は認可された豊田事業、それから中国電力、四国電力、九州電力は、認可された北九州事業で処理されるということになりますよ。東北電力は、東北ブロックで認可される事業で処理されるということになるわけです。
 PCB廃棄物には、今もおっしゃいましたけれども、高圧トランス、高圧コンデンサー、低圧トランス、低圧コンデンサー、そして特徴だと言われている柱上トランス、その他安定器などがあるわけです。
 そこで、PCB特措法に基づいて届けられた都道府県別のPCB廃棄物数量のうち、北海道電力は北海道全体に対してどのぐらいの割合、東北電力は東北六県全体に対し、中部電力は中部地方全体に対し、また中国電力、四国電力、九州電力は、それぞれ中国、四国、九州全体に対してどのぐらいの割合になっているものなのか、御説明をいただきたいと思います。
飯島政府参考人 先ほど柱上トランスのお話を申し上げたときに、沖縄を除くすべての電力会社がみずから行うと申し上げたんですが、実は、PCBを含む柱上トランスを北海道、それから四国、九州は持っておりませんので、そこは、本州の六電力会社はみずから行っていただくということでございます。
 それに関連いたしますけれども、今の御質問で、柱上トランスの割合はどうかとなりますと、これは先ほど申しました特定の電力会社にのみありますので、その割合は一〇〇%となりますが、お尋ねの、PCB廃棄物のうちで最も大物といいますか、高圧トランス・コンデンサーについての数字を申し上げますと、これは地域によって少しずつ違いますが、北海道で七・六%、東北で八・四%、高いところでは四国で一二%、全体の平均は五%ぐらいでございます。なお、沖縄は電力会社の保有率が非常に高うございまして、七割以上、沖縄では電力会社が高圧トランス・コンデンサーを保有していることになっております。
藤木委員 また、三菱重工業、それから古河電工、東芝、日本製鋼所などが自社で所有するPCB廃棄物を処理しておりますけれども、PCB特措法に基づいて届けられた都道府県別のPCB廃棄物数量のうち、大手の企業が所有するPCB廃棄物数量は、一体、割合にするとどのぐらいのものなんですか。できれば、高圧トランス・コンデンサー、低圧トランス・コンデンサー、柱上トランス、安定器などのPCB別に御説明をいただきたいのですが、いかがですか。
飯島政府参考人 数字がわかるものとわからないものがあるので、御容赦いただきたいと思います。
 高圧トランス、今、大きな企業とおっしゃったんですけれども、いわゆる大企業がどれだけ持っているかということでいいますと、四割、五割という数字になると思います。今手元に持っている数字は、実際に処理技術を開発した会社がみずから処理したり、みずから処理しようとしているもの、この割合がどのぐらいかということが手元に持っている数字でございますが、これでいいますと、高圧トランス・コンデンサーは全国の二%程度を占めておりますし、それから、いわゆるPCBそのもの、廃液につきましては全国の三分の一ぐらい、それから柱上トランスは、先ほど申し上げましたように一〇〇%という状況でございます。
藤木委員 今、環境省が答弁されましたけれども、本当に具体につかんでいるようには思えないですね。
 PCB特措法に基づいて届けられたPCB廃棄物のうち、北海道電力、東北電力、中部電力、中国電力、四国電力、九州電力など電力各社が所有しているPCB廃棄物は、結局、日本環境安全事業株式会社の事業で処理してもらうということになるわけです。PCB廃棄物を大量に所有している製造メーカー、鐘淵化学を初めとして、PCB製品を使用した大手の企業が所有している大量のPCB廃棄物も日本環境安全事業株式会社が処理することになるわけです。
 その割合が、先ほどの大ざっぱな話ですけれども、四割から五割といえば半分じゃないですか。これでは、PCBの製造メーカーや使用事業者の責任を果たしているとは言えないんじゃないですか。応分の処理費用を支払ってもらったら済むんだという話ではないと思うんですね。
 そこで、これは大臣に伺いたいと思うのですけれども、政府が総株主の過半数を保有していて長期借入金の債務を保証する日本環境安全事業株式会社が、本来製造メーカーや使用事業者の責任で処理しなければならないものを肩がわりするということになるのではないですか。いかがですか。
鈴木国務大臣 先生の御指摘は、今度できますこの特殊会社が、本来PCB製品のメーカーでありますとかあるいは使用事業者が処理をしなければならないものを肩がわりするのではないか、こういう御指摘でございますが、そうであるとは思っておりません。
 PCB廃棄物の解決のために日本環境安全事業株式会社が処理事業を行うわけでございますが、PCB廃棄物について処理責任を有する使用事業者に対しましては、処理費用の負担はもちろんのことでありますし、それから、PCB特別措置法により、一定期間内の処分義務、これも課しておりまして、義務の強化を行った上で事業を行うものでありまして、使用事業者の肩がわりをするものではございません。
 それから、先生御指摘のもう一方の、PCB製品の製造者に対しての考えでありますが、これも、過去に難分解、有害等の性状を有するPCB製品を製造したという立場から、PCB特別措置法に定められているとおり、PCB廃棄物の円滑な処理が進むよう協力する社会的な責任というものを有しておりまして、それに沿ってPCB廃棄物処理基金への出捐など必要な協力を求めていくことにしておるものでありまして、先生の御指摘のように肩がわりということではない、そのように認識をいたしております。
藤木委員 しかし、PCB特措法では、その第三条で、事業者はそのPCB廃棄物をみずからの責任において確実かつ適正に処理しなければならないとしておりますところから、東京電力、関西電力、北陸電力は、自社で所有するPCB廃棄物をみずからの責任で処理する、また、三菱重工業、古河電工、東芝、日本製鋼所なども、自社で所有するPCB廃棄物をみずからの責任で処理している、こういうことになっているわけですね。
 環境事業団法でも、第三十五条で、PCB廃棄物を処理する施設の設置、処理に要する費用に充てるためにPCB廃棄物処理基金を設け、政府及び都道府県の補助金とそれ以外からの出捐金をもって、中小零細企業等が所有しているPCB廃棄物を処理する、そういう仕組みをつくっているわけですよね。出捐金と先ほど言われましたけれども、丸々それだけでやるわけじゃないんです。政府とそれから地方自治体からの補助金もそこには入っているわけです。
 ですから、本来製造メーカーや使用事業者の責任で処理しなければならないものを、国などの補助金で設置した処理施設で、中小零細企業等以外の大手の企業が所有している大量のPCB、半分に当たるようなPCBの廃棄物を処理してやるというのであれば、これは法の趣旨と全く矛盾するのではないかというふうに思いますが、大臣、どのようにお考えですか。
鈴木国務大臣 日本環境安全事業株式会社でございますが、これは、PCB特別措置法に、国の責務として、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を確保するための体制の整備に努めると定められていることを受けまして、使用事業者の委託を受けてPCB廃棄物の処理事業を行うものであります。
 この際、中小企業につきましては、費用負担能力というものが大変小さいわけでございますので、円滑な処理を進めるためには費用負担の軽減を図ることが必要となりますけれども、御指摘の大企業につきましては、実際にかかる処理の原価全額の負担を求めるということとしておりまして、廃棄物処理法やPCB特別措置法の趣旨に矛盾するものではございません。
藤木委員 私、実は、昨年末、北海道室蘭市のPCB廃棄物処理施設計画、これを伺うために現地へ行ってまいりました。北海道の室蘭市は、昨年十二月末、北日本における有数な工業技術や研究開発機能を持つ本市としての役割であると考える、このように言って、環境大臣に対して、「PCB廃棄物処理施設に対する室蘭市の基本的な考え方」というのを尊重した上で、立地について要請を行っております。これに対して、同日、環境大臣は、「本日ご提示いただいた基本的な考え方は、事業の安全性・透明性の確保等を求めるものですが、環境省として適切に対応して参る所存です。」こういう談話を発表しておられます。
 PCB廃棄物処理事業を進めるに当たっては、「安全性の確保としてのフェイルセーフやセーフティネットによる多重的な取り組みとともに、情報公開やリスクコミュニケーションにより事業の透明性を確保し、リスクゼロへ向けた取り組みを」進めるという基本的な考え方を十分に反映させることを求めているわけです。
 そこで、大臣、この要請に今つくられようとしている日本環境安全事業株式会社は果たして十分こたえられるのかという点は、いかがですか。
鈴木国務大臣 昨年の十二月に室蘭市長さん、おいでになられました。その際、安全性の確保につきまして万全を期すとともに、情報公開を推進する、それから環境事業団の監督指導等を求める基本的な考え方というのを御提示いただいたところであります。そして、環境省として、これに対しては適切に対応いたします、そういう旨をお答えしたところであります。
 環境省は、環境事業団に対しまして、室蘭市の基本的考え方をお伝えしました。そして、この基本的な考え方も踏まえ事業が行われるよう指導監督を行っておりまして、環境事業団において適切に事業を具体化しているところでございます。
 PCB廃棄物処理事業を引き継ぐことになります株式会社は、引き続き環境省の指導監督を受けるわけでございますし、それとともに事業基本計画等については環境大臣の認可が必要であることでございますので、このような環境事業団の事業の進め方につきましても、きちんとこれを株式会社に引き継ぎまして、室蘭市の基本的な考え方におこたえをしてまいりたい、こたえることとなる、そのように考えております。
藤木委員 今お話ありましたけれども、室蘭市は、受け入れ条件として、事業実施体制の一つに、「国は、環境事業団が事業主体として、リスクゼロを目指した安全・確実な処理に向け、収集運搬も視野に入れた一元管理体制を構築するよう指導すること。」また、事業の安全性としては、「処理工程からの排水が室蘭港や隣接河川へ直接排出されない処理システムとすること。」「環境・安全に関する高い性能が確保できるように、処理対象物の受け入れからリサイクルまでを含めたトータル処理システムの体制整備を行うこと。」一貫責任体制で設計・施工を行う「総合エンジニアリング企業と操業運転を行う者との密接な連携により、施設建設から操業運転に関する一貫した責任体制の確保を行うこと。また、災害や事故等の緊急・非常時に対応できる地域の総合エンジニアリング技術と一体となった体制整備を行うこと。」などなどを挙げているわけですね。
 これらの受け入れ条件に日本環境安全事業株式会社は本当に十分にこたえられるのかという疑問を持つのですけれども、いかがですか。
鈴木国務大臣 あわせて室蘭市から受け入れ条件というものをお示しいただいたわけでありますが、これにつきましては、ただいま先生がお述べになられましたとおり、事業全般を統括して環境事業団の監督を行うことなどが国に対して求められております。そのほかにも、株式会社に関係するものといたしまして、化学処理方法の採用、受け入れからリサイクルまでを含むトータルの処理システム、積極的な情報の公開などが求められているところでございます。
 現在、環境事業団におきまして、安全性の確保に万全を期すために、学識経験者等の専門的な知見を有する第三者委員会あるいは部会、これを設置いたしまして、お示しをいただきました受け入れ条件を地域条件の一つとして、技術の選定、施設の設計、運転管理等に及ぶ安全性の評価を実施いたしているところでございます。
 環境事業団の後を引き継ぐ会社におきましても、環境事業団と同様に、環境大臣の指揮監督のもと、地域条件を踏まえながら、第三者である専門家による安全性の評価を、運転段階など事業の進展の段階ごとに行いまして、事業の安全性の確保を図るとともに、住民に対する十分な情報公開、説明を事業の進展の段階ごとに行う方針でございます。
 このように、室蘭市が求めております多重的な安全性の確保、情報公開やリスクコミュニケーションによる事業の透明性の確保に対しまして、新会社は十分にこたえられるものと考えております。
藤木委員 それでは、具体の問題で伺っていきたいと思います。
 まず、安全な収集運搬の問題ですけれども、PCB特措法に基づく北海道庁への届け出結果では、高圧トランス・コンデンサーで五千六百五十三台、蛍光灯などの安定器で十一万六千七百二十五台、感圧複写紙で一万四千三百四十八キログラムとなっております。これらの北海道内にあるPCB廃棄物が室蘭市のPCB廃棄物処理施設に集中してくるわけですね。
 環境省の「PCB廃棄物収集運搬の基本的考え方」でも、「広域的にPCB廃棄物を収集・運搬する必要があり、安全性・効率性を確保した収集運搬システムの整備が不可欠である」としております。そして、収集運搬基準での積み込み、積みおろしの課題として、「PCB入り機器類及びPCBの保管容器には、機器類及び保管容器の経年劣化により通常輸送の範囲で破損等による液漏れが発生する恐れのあるものがある。収集運搬を委託する場合、収集運搬業者と委託事業者」これは保管事業者を指しておりますけれども、「は、両者ともに立会い時に液漏れの有無を確認する。」と挙げております。
 北海道庁は、政令市の札幌市管内の事業所を除いた一千二百二十七カ所のPCB保管事業場のうち、二〇〇一年度から二〇〇二年十月三十日までに六百四十九カ所の立入検査を実施しております。この立入検査では、保管場所の表示などがされていない例もあったが、おおむね適正に保管されていることを確認した、このように述べております。しかし「PCB入り機器類及びPCBの保管容器には、機器類及び保管容器の経年劣化により通常輸送の範囲で破損等による液漏れが発生する恐れのあるものがある。」こういう観点での立入検査は実施されておりません。
 ですから、安全性、効率性を確保した収集運搬というのであれば、機器類及び保管容器の経年劣化による破損、液漏れなどの立入検査、これを実施して、安全性を確認する必要があるのではなかろうかと思いますけれども、環境省、どうですか。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたPCB廃棄物の保管でございますが、廃棄物処理法の特別管理産業廃棄物の保管基準がかかりますので、機器類、保管容器の破損やPCBの漏えいがないように適正に保管しなければならない義務がかかっているところでございます。
 実際にPCB廃棄物の保管の状態でございますけれども、特別措置法に基づく届け出によりまして、現在、都道府県、保健所設置市がその状況を把握しているわけでございまして、室蘭の例もございましたように、必要に応じて立入検査を行って、適正保管措置を講じるよう、また、今後の処分のための安全な収集運搬、この前提としてその措置が講じられるよう指導を行っていただいているところでございます。
 なお、現在、国が定める予定のPCB廃棄物処理基本計画におきましても、都道府県及び保健所設置市が保管や処分の状況を実地に把握するよう記述しているところでございます。
藤木委員 そこで、立入調査の結果、機器類及び保管容器の経年劣化による破損、液漏れなどのおそれのある場合、収集運搬従事者や付近の住民または生活環境への甚大な汚染を防止するため、事前の対策が必要になってまいりますね。
 また、室蘭市の基本的な考え方では、収集運搬に関する安全性の確保として、自然条件としての北海道の面的広大さ、冬期間の気象条件等の地域性などを充分考慮し、市内についての安全な収集運搬を実施することが必要、このようにしております。それには、「PCBの環境へ漏洩を防止するため、トランス・コンデンサ容器等からの抜油による運搬は基本的に行わない」ということを述べております。「幹線道路網や市街地の状況から安全で効率的な収集経路とともに、積み替えが出来るだけ生じない収集計画の策定を行うこと。」などとしております。
 しかし、環境省の収集運搬の基本的考え方では、積み込み、積みおろしで、総重量、大きさが車両制限令を超える超大型機器、輸送中の漏えいの危険がある機器または容器の場合を含め「液抜きを行うことが輸送上合理的と認められる場合には、事前に液抜きを行うことが出来る。液抜きを行う場合には安全上及び生活環境保全上の問題が起きないように必要な措置を講じること。」となっておりますね。また、積みかえ、保管では「PCB廃棄物を輸送容器に密封したまま広域輸送する場合は、自治体の行政指導で行われている積み換え・保管施設の設置に係る指導を改善できないか。」つまりこれは住民同意のことなんですが、などとしております。
 ですから、室蘭市の基本的な考え方での収集運搬に関する安全性の確保と、環境省の収集運搬の基本的な考え方では大きな開きがあるんじゃないですか。これは、広域的に収集運搬するリスクというのは伴うわけですけれども、安全性の確保にはまだ十分ではないということではないのですか。いかがですか。
飯島政府参考人 先生が今例に出されました環境省の収集運搬に関する基本的な考え方、これは昨年の三月に取りまとめたものでございますが、これも踏まえて、現在、一層その収集運搬の安全性確保のために、より詳細な技術的な事項を定めたガイドラインを策定することとしております。それは全体の話でございます。
 実際に北海道のPCB処理につきましては、運搬のルートや運搬の手段、それから緊急時の連絡体制、今後、北海道庁が中心になりまして、室蘭市や関係する市と協議、調整を行って、北海道が策定すべきPCB廃棄物処理計画にこういった安全かつ計画的な搬入についての基本的な事項が定められるわけでございます。これに基づいて実際の保管事業者、収集運搬事業者を指導監督するということになります。
 また、環境事業団が広域拠点の処理施設を設置いたしますので、そこに対する安全かつ計画的な搬入を確保するために、ここにつきましても、北海道、室蘭市と十分協議を行っていく必要があると思います。
 いずれにいたしましても、現在、昨年にできた基本的な考え方というレポートと比べると、室蘭市が出されました基本的考え方はより細かく書いてございますので、そういったものにも対応できるようにしっかりと安全性の確保を図ってまいりたいと思います。
藤木委員 しかし、基本的考え方の超大型トランスの輸送では、「輸送経路の条件、輸送の安全性、効率性を勘案し、必要に応じて収集運搬前に液抜きを行うこと。液抜き作業を行う際は、生活環境保全上の問題が起きないように必要な措置を講じること。」こうしておりますでしょう。その根拠として、「超大型トランスには多量の絶縁油が充填されており、万一輸送の際に漏油が発生した場合は、環境への排出による自然及び人への影響が大きい。 また、積込み・積卸し作業の安全確保及び重量制限による運搬経路の制約回避など、運搬をスムーズに行うためには抜油によるトランスの軽量化は重要である。」環境省の方がそう述べているわけですよね。
 一方、室蘭市の基本的な考え方は、「道路による運搬経路については、高速道路や国道等の幹線道路の利用を優先するとともに、鉄道との平面交差が出来るだけ生じない運搬経路の検討を行うこと。」などとしているわけです。
 ですから、室蘭市は、多量の絶縁油が充てんされている超大型トランスなどの運搬で、鉄道と万一の事故があってはならないように求めているわけですけれども、こういう受け入れ条件に十分こたえられないのではないんですか。それはどうなんですか。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたように、確かに室蘭市の基本的な考え方の中で、多量の絶縁油が充てんされている大型トランスの運搬経路に関する指摘がございます。具体的な搬入経路につきましては、先ほど申し上げましたように、北海道庁が全体の計画をつくりますので、この考え方を踏まえて具体的に検討が行われていると思います。
 ただ、現在のところ、特にそれで、鉄道との平面交差とかそういったトラブルがあるところを選ばなくても、きちんと搬入経路ができるというふうに道庁から聞いているところでございますので、いずれにしても、この室蘭市の基本的考え方を尊重して、安全な運搬経路について御検討いただくことになると思います。
藤木委員 また、特に問題だと私が思いますのは、積みかえ、保管の際に、「PCB廃棄物を輸送容器に密封したまま広域輸送する場合は、自治体の行政指導で行われている積み換え・保管施設の設置に係る指導を改善できないか。」ということなんですね。
 室蘭市は、「幹線道路網や市街地の状況から安全で効率的な収集経路とともに、積み替えが出来るだけ生じない収集計画の策定を行う」ということを求めております。市民からも、運搬中の安全性を心配しておりまして、住民の理解と協力が得られないまま進めないでほしい、安全性が確保できないまま強引に進めるというようなことはあってはならない、こういうことが強く求められているわけですね。
 ですから、事前に住民に説明をすれば、積みかえ、保管施設の設置の際に住民同意が必要ないかのようにするということは、運搬中の安全性を心配している市民の意見に反する考え方ではないかと思うのですが、先ほどから情報は全面的に公開する、するとおっしゃっていることと全く矛盾するんじゃないですか。
飯島政府参考人 住民同意のことでございますが、改善すべきではないかとこれまで自治体に言ってきている根拠でございますが、これは、一般的に産廃処理施設の設置に当たって、各地方公共団体で行政指導あるいは要綱などの形で住民の同意を絶対の条件にして、それがなければ立地の申請を受け付けなかった、これに対する考え方でございまして、住民の御理解をいただくことは全くそのとおりでございますので、住民同意手続という制度的なものについて、これは中央環境審議会におきましても議論がなされてきたところでございます。
 ですから、住民同意を改善すると言っておりますのは、住民の理解は求めなくてもいいと言っているのではなくて、きちんとした形で情報公開を進めた上で、住民にしっかり理解をしていただいた上で進めるべきであるということは全く変わりがございません。
藤木委員 では、それは確認させていただきます。
 また、事故等の緊急事態発生時の緊急措置として、事故、災害における補償体制の確立が求められております。基本的な考え方での課題として、「事故・災害によって公共域にPCB汚染が拡大した場合、その事故処理にかかる費用は莫大なものであることが想定される。 その場合の補償体制構築を検討する必要がある。」検討する必要があるとなっておりますね。
 そこで伺うのですが、万一にももちろん事故はあってはならないことではありますけれども、広域的な収集運搬にはリスクは伴うわけですから、補償体制はもちろん盛り込まれることになるのですね。それでよろしいですか。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたように、万一にも事故があってはならないということで、きちんとした収集運搬体制等について鋭意努力をしているところでございますが、万一あった場合にどうなるかということでございますけれども、これは、PCBだからということではなくて、ほかの産業廃棄物の場合と同様、国あるいはこの特殊会社が補償するということをここで決めるわけではございません。まず、事故があれば、万一の場合の事故というのは何らかの理由があるわけでございますので、第一にその事故の当事者、これがその責に帰すべきものであると思います。
 いずれにいたしましても、きちんとした安全確実な収集運搬体制、こういったものを講じていくこととしておりますので、未然防止を図ることが一番大事。万一の緊急時においてどうしたらいいかというときには、被害が拡大しないような、こういった対応策については技術的に考えていく必要があると思っております。
藤木委員 安全を保障するということは、やはり補償体制を盛り込まないといけませんね。
 次に、PCB廃棄物処理での安全性の確保の問題です。
 室蘭市の基本的な考え方では、環境事業団の処理事業で示している「いずれの処理技術であっても、PCB分解処理の安全性・確実性が確認されており、PCBの中に混在が考えられるコプラナPCBやジベンゾフラン等のダイオキシン類についても分解無害化されます。」としています。
 環境事業団のPCB廃棄物処理施設に係る技術的条件及び環境・安全対策についてでは、「液処理方式について求めるべき実績等」のところで、「実証レベル以上の施設において、KC300及びKC1000のPCBを処理できた実績を有すること。その際、PCBの分解のみならず、コプラナPCB及びジベンゾフラン、並びにヒドロキシ塩素化ビフェニルについても問題となるレベルで含まれないことが確認されていること。」このようになっております。
 そこで、室蘭市が求めるダイオキシン類の分解無害化と環境事業団の問題とならないレベルには開きがあるというふうに思うのですが、ダイオキシン類対策特措法で定めております、排ガスでは〇・一ナノグラム以下、排水では十ピコグラム以下にするということなのでしょうか。いかがですか。
    〔委員長退席、牧委員長代理着席〕
飯島政府参考人 北海道事業における具体的な処理方式はこれから検討されることになりますけれども、PCBの化学処理施設ということであれば、これは、先生御指摘になりましたように、ダイオキシン対策特別措置法に基づく排水規制の対象になります。ですから、排出水がある場合は、この排出基準を満足しなければならないということになります。排気については、化学処理施設からは規制対象となるような排ガスは生じないわけでございますが、例えば施設の中の換気の排気であるとか、そういったものが全くないというわけではございませんので、そういうものにつきましても、先ほど御紹介ありました特措法の最も厳しい基準を自主的に守らせるように指導をしていきたいと思っております。
 いずれにしても、これは、実際の処理方式の検討につきましては、室蘭市や北海道にも参加いただいて検討委員会を設置して検討をしていくことになりますので、室蘭市と事業団の考えにそごを生じるということがないようにしていきたいと思います。
藤木委員 しかし、そのPCB処理施設での卒業判定等の手法につきましては、処理済み油の判定基準が〇・五ミリグラム、気液分離水の判定基準は〇・〇三ミリグラムとなっていますけれども、いずれもPCBの判定基準であって、ダイオキシン類の判定基準は示されておりませんよね。ですから、液処理工程での判定ではなくて、排出の際に排気、排水のモニタリングを行って、ダイオキシン類対策を行う、特措法で定めた、排ガスだったら〇・一ナノグラム以下、排水では十ピコグラム以下にしなさいということなんでしょう。
 さらに、作業環境についても、PCB管理区域でPCBの作業環境評価基準は〇・一ミリグラム以下であることとしております。当然といえばそのとおりなんですけれども、ダイオキシン類の評価基準はありません。
 労働安全衛生法による九八年七月の通達では、ごみ焼却施設におけるダイオキシン類の対策について、第一管理区域は管理濃度が二・五ピコグラム以下、第二管理区域内では三・七ピコグラム以下、第三区域は三・七ピコグラム以上ということを規定しております。
 ですから、それではPCB廃棄物処理施設内での作業従事者の労働安全対策が不十分ではないかというふうに思いますが、いかがですか。
飯島政府参考人 PCB廃棄物処理に当たっての労働安全対策、これは重要なことだと思っております。事業団におきましても、PCB廃棄物処理事業検討委員会というものを設けておりますが、そこに労働安全の専門家も参加をいただいておりまして、労働安全対策についてもレポートにまとめられております。
 具体的には、施設の空間におけるPCB存在可能性に配慮いたしまして管理区分を設定して、その管理区分に応じた各種対策について取りまとめられておりますので、この取りまとめに応じまして、きちんと作業従事者の労働対策が講じられるように環境事業団を指導してまいりたいと思います。
藤木委員 また、室蘭市の基本的な考え方は、「処理施設が室蘭港臨海部に立地することから、処理工程からの排水は、室蘭港や隣接河川へ直接排出しない処理システムとすることが必要です。 処理工程から生成水等が発生する場合は、循環使用やリサイクル等による量的な極少化を行い、残さについては適正に処理するシステムが必要です。」としております。
 それは、室蘭海域でのダイオキシン類の調査で、水質で〇・〇九八ピコグラム、底質になりますと四・二ピコグラム、このようになっておりますから、処理施設から直接排出されるとさらに汚染が進むことになるわけです。ですから、室蘭市は直接排出しない処理システムを求めているわけです。
 環境事業団の技術的条件及び環境・安全対策については、「PCBを含む排水が生じないよう十分な対策を行うこと」としながら、水熱酸化分解方式の気液分離水あるいは還元熱化学分解方式の生成ガスの洗浄排水については、処理及びモニタリングの考え方を示しております。しかし、その他の脱塩素化分解方式であるとか光分解方式による処理システムでも、PCBが付着した場合の溶剤等の洗浄除去した排水が出てまいりますね。また、PCB汚染の際の非常用シャワーを使って除去するという場合がありますが、この排水も出てまいります。そういう可能性があるわけで、その排水の分離除去等を行って液処理工程で処理することになるわけですから、幾ら排水処理しても、全く排水が場外に出ないというシステムがあるとは私は考えられないんですね。
 そこで、室蘭市が「処理工程からの排水は、室蘭港や隣接河川へ直接排出しない処理システムとすることが必要」としているのに対して、それでは、排水処理をすれば室蘭港に排出してもよいということなのかどうなのか、お答えいただきたいと思います。
    〔牧委員長代理退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
飯島政府参考人 室蘭市が求めておりますのは先生の御指摘のとおりでございまして、排水処理をしても直接排水しないようにという趣旨で求めがあるわけでございます。
 それにこたえるために、具体的にどういう処理方式あるいは安全対策を講じるかは、先ほど申し上げましたように、環境事業団が室蘭市の参加の上で開催いたします検討委員会におきまして詳細な検討がなされることになりますが、いずれにいたしましても、室蘭市のこの要望にこたえられる形で、直接排水をしないような形で処理工程を検討してもらうことになると思います。
藤木委員 これまで私は、「PCB廃棄物処理施設に対する室蘭市の基本的な考え方」と、国及び環境事業団の収集運搬、技術的条件及び環境・安全対策の基本的考え方を比較しながら、主な問題点だけを質問してきたわけです。
 室蘭市は「PCB廃棄物処理事業での安全性の確保については、絶対の安全性の確保は無い」としておりまして、国がPCB廃棄物の収集運搬に関するガイドラインを策定することや、あるいはPCB分解処理の安全性、確実性が確認されているということ、だからといって施設の設置を受け入れているわけでして、要は室蘭市は、国が安全だからと言っている、だから施設の設置を受け入れましょうというものなんですよね。国が安全だと言っているから信用するよということだけですよ。
 しかし、PCB廃棄物の収集運搬に関するガイドラインでは、広域的でかつ大量の収集運搬での安全性で幾つかの課題が残されております。また、処理施設の技術的条件及び環境・安全対策についても、報告書が認めているように、今後、各地域の事業が実現していくにつれ、設計から施工、試運転、運転への一連の業務を通じてさまざまな知見が得られることとなるので、後発地域の事業に生かすようにするとしております。ですから、処理施設対策というのは、処理技術保有企業の最新の取り組み状況も踏まえた現時点での開発途上の対策にすぎないわけですね。
 しかも、処理技術保有企業においては相当の技術的な知見の積み重ねが行われているので、その情報について、逐次環境事業団に提供される仕組みが望まれているとまで言っているわけですよ。ですから、収集運搬、処理技術が完全に確立しているわけではありませんし、環境事業団が処理技術を完全に把握して事業運営に当たっているわけでもありません。法的には、確かに日本環境安全事業株式会社の処理事業のようになっておりますけれども、しかし、すべてが処理技術保有企業の開発の進展にかかっているということでありますよね。
 ですから、私は、それでPCB廃棄物の安全で適正な処理というのは担保できるのかということを大臣にお答えいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 PCB廃棄物の処理方法でありますけれども、これは、廃棄物処理法にその技術上の基準というのが規定をされているところであります。
 化学分解技術の導入、これに当たりましては、学識者を交えました委員会によりまして、処理の原理、安全性等の評価、実証面の評価を行った上で、基準化を見据えた技術的な評価検討が十分なされてきたものであります。
 このように、化学分解技術は、通常の廃棄物処理技術に比べましても、実用化に当たっては念には念を入れた安全評価を行ってきた技術でありまして、PCB廃棄物を安全に処理する技術は十分に確立をされている、そのように認識をいたしております。
 それからさらに、環境事業団においてでありますが、PCB処理を実施するに当たりましては、安全性の確保に万全を期すために、専門的な知見を有する第三者による委員会を設置いたしまして、そして技術の選定、施設の設計、運転管理等に及ぶ安全性の評価を実施いたしているところであります。
 また、収集運搬のガイドラインにつきましては、環境省が、学識者や、化学物質、作業環境、消防等の関係各機関の専門家を交えた委員会を設置いたしまして、収集運搬におけるPCB廃棄物の取り扱い方法、運搬容器及び運行管理の方法等について、安全性の確保に遺漏がないよう十分な検討が行われているところであります。
藤木委員 私は、やはりPCBの製造・使用事業者の処理責任というのを肩がわりすることは適当ではないということを重ねて申し上げます。国の責任というのは、製造・使用事業者にその責任で適正に処理をさせる、その安全性について監視、監督、規制をするというのが役割であろうというふうに思いますので、そのことを強く求めておきたいと思います。
 もう一つ法律があるわけですね。独立行政法人環境再生保全機構法案について、一つだけ伺っておきたいと思います。
 これは、一九七〇年に古い救済法が制定されたのに始まりまして、当初は国の直轄事業だったものが、七三年の公害健康被害補償法の制定では特殊法人に変わって、補償業務が行われるようになりましたが、八八年には、公害はなくなったといって第一種の公害地域指定の全面解除が行われました。以後、新たな公害患者を認めないという改悪でありました。
 代替措置的に公害健康被害者の予防事業というのが公健協会の業務に追加されることになったわけですけれども、この法律ができるということで、今度は機構に変わるということで、公害被害者への補償などが、国直轄から特殊法人、そして今回は特殊法人から独立行政法人に提案されているわけで、補償業務の縮小や予防事業のサービス内容の後退が進むのではないかということを極めて懸念しておりますが、その点について一言お述べをいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 先般、公健法の改正案につきまして御審議をいただいたところであります。その審議を通じまして、公害健康被害の補償それから予防の重要性、これを改めて痛感したところでございます。これらの事業を引き継ぐ独立行政法人環境再生保全機構におきましても確実に実施されるように、十分な対応をしてまいりたいと思っております。
藤木委員 これで終わりますが、国の責任を免れることがないように、重々申し上げておきます。
近藤(昭)委員長代理 中川智子さん。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 まず最初に、独立行政法人再生保全機構の業務であります健康被害予防事業について御質問をいたします。
 再生保全機構は、公害健康被害補償予防協会が今行っています大気汚染による健康被害の予防事業を引き継いでいくことになります。ここの委員会で、公健法の審議の際も、大気汚染の影響によると思われるぜんそくの被害者の救済問題について質問いたしましたけれども、命と健康を守るために、健康被害予防事業の役割はますます大きなものになっていくと考えます。
 ところが、この事業に必要な経費は約五百億円の公害健康被害予防基金の運用益によって賄うとされています。この低金利時代に運用益によって果たしてどの程度の事業ができるのか心もとないのですが、この基本認識について、大臣からお伺いしたいと思います。
南川政府参考人 お答え申し上げます。
 中川先生御指摘のとおり、平成六年に五百億円の基金の造成が完了いたしました。その後は、この運用益によりまして事業を行っております。
 当初予定しました二十五億円の運用益、確保できないということでございまして、最近で申しますと、十三年度は十七億七千九百万円ということでございまして、さらに当分の間、今後も減り続けるという見通しでございます。
 そういった状況でございますので、私ども、特殊法人の整理合理化計画の中で施策の重点化を図るということが言われておりまして、これを踏まえまして、今年度からでございますが、地域住民の方々のまずは保健ニーズにこたえたいということで、原点に立ち返りまして重点化を図っております。特に、地域の方々の健康相談、それから健康診断、さらに機能訓練、具体的にはお子さんの水泳とか音楽教室とかそういったことごと、さらに知識の普及、研修など重点化を図っておるところでございます。
 いずれにしても、金額的には非常に苦しいわけでございますが、まず原点に立ち返りまして、地元の要望が強いというものに重点化を図るということで、できる限りの期待にこたえていきたいと考えております。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
中川(智)委員 やはり今の運用益というのは非常に心もとないということでの南川さんからのお答えがございましたが、この際、事業内容の見直しとか財政計画というのを具体的に示しまして、皆さんの安心を生む、それに対する取り組みの決意というのを、改めてやはりしっかり内容の見直しということも図らなければいけないと考えますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
南川政府参考人 私ども、これにつきましては、関係の自治体、市町村、県と連絡をとっております。そういう中で地元の要望を聞き取って、そしてそれについて大事なものは実施していくということを幅広くお伝えしていきたい。また、普及啓発のための健康づくりのための冊子等につきましても幅広く配布するなど、限られた中でございますけれども、多くの方に現状を御説明しながら、わかりやすい大事なことからやっていきたいというふうに考えております。
中川(智)委員 やはり大気汚染被害のぜんそく患者の方々の生活の大変さというのがこの委員会でも深く議論されたわけですが、先週日曜日の都知事選で石原都知事が再選されました。この問題に対して国の姿勢というのを厳しく批判していらっしゃいましたし、また、救済に対してやはり取り組むべきという中身の御発言もあったように受けとめましたが、石原都知事のあの発言に対して、鈴木大臣、どのようにお考えかということをお伺いしたいのです。
鈴木国務大臣 石原都知事の選挙中の御発言につきましては直接承知をしておりませんので論評できないわけでありますが、大気環境の改善の問題につきましては、環境省も今まででき得る限りの対応をとってきた、そういうつもりでございます。これは極めて大切なことでございますので、今後とも各般にわたる大気環境の改善に取り組んでまいりたい、そのように思っております。
 それから、先生が今、被害者救済の方途を検討するようにというお話でございました。
 公健法の審議のときにもお話をさせていただきまして、大分先生からはいろいろ御批判と申しますか、御指摘をいただいたところでございますけれども、やはり、国として新たな被害救済を創設するということにつきましては、大気汚染とぜんそくとの因果関係を裏づける科学的知見が必要であると考えております。このために環境省では各種の調査研究を行ってきておりますが、とりわけ幹線道路沿道の局地的大気汚染による健康影響の問題につきましては、調査研究、これが、さきの委員会審議でも、遅々として進んでいない、こういうような御指摘もいただきましたが、こういう調査研究が一日も早く一つの結論が出ますように、一層その推進に努力してまいりたいと考えております。
中川(智)委員 私も石原都知事というのは余り面と向かってお話ししたくないタイプなんですが、ぜひともこの大気汚染の問題、被害者の救済の問題については一度、大臣、石原都知事とお話し合いをするお気持ちはおありでしょうか。
鈴木国務大臣 先般の東京裁判のときも知事の方から何か申し入れがあるということでございました。知事は、総理のところには行ったと思いますが、環境省にはおいでになりませんでしたが、何か機会があればお目にかかることは、決してそれを回避するものではございません。
南川政府参考人 東京都とは、事務的にはふだんから連絡をとり合っております。私どもも、いずれにしましても、局地調査にしましても、東京都の協力抜きには十分な調査はできないわけでございます。そういう意味で連絡をとり合っておりますし、また、基本的な健康被害に関する情報につきましても、例えば汚染物質の捕捉の技術にしても、私どもが研究した内容は全部東京都にもお知らせしておりますし、また多くの先生方が、東京都も専門委員として意見を伺われております。
 そういう意味で、技術的なところで大きなギャップがあっては何か全く違うぶつかり合いになります。そういったことのないようにふだんから努めているところでございます。
中川(智)委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、地球環境基金事業についてお伺いしたいと思います。
 平成十三年に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画によりますと、地球環境基金事業について、国が明確な政策目標を決め、それが達成されたときには助成措置を終了させるという方針を出しておりますが、具体的にはどのような政策目標なのか、またその判断基準というのは何なのかをお示しいただきたいと思います。
炭谷政府参考人 地球環境基金の政策目標でございますけれども、独立行政法人にこの業務が移りました際には、環境省に既に設置されております独立行政法人評価委員会の御意見を伺った後、環境大臣が定めることになる中期目標で明確な目標が定められるわけでございます。これに基づきまして、独立法人の環境再生保全機構ができましたときには、その助成計画を機構がつくり、助成事業を実施するという運びになります。
 その上で、機構が独自に評価基準というものをつくることになろうかと思いますけれども、その評価基準に基づきまして個別の事業の実績を評価し、一定の目標が達成されたと判断された場合、また一定期間後もその事業が効果が上がっていないという場合には、地球環境基金の助成というものが終了されるというような手順になるのじゃないかというふうに考えております。
 また、今御説明いたしました助成計画や事業の評価基準の策定につきましては、これから再生機構におきまして、民間団体の代表の参加も得た第三者機関によって、助成を受ける民間団体の意見も十分反映できるような策定になるだろうというふうに考えております。
中川(智)委員 環境問題というのは、全国各地でさまざまなNGOの活躍というのが目をみはるものがございます。
 私の知り合いも、森林を守るために、山に入っていろいろドングリの種とかそういうのをまいたりという活動をしております熊森協会という団体が、小さいんですがございます。その人なども、山に行ってちょっと危険なところでいろいろボランティア活動をしているときに、がけから落ちて両足を骨折したりして、本当に命がけでいろいろな活動を、特に環境関係の方というのは本当に頭が下がるような活動をしていらっしゃるんです。
 そのさまざまな環境のNGOから、超低金利の状況で基金の運用のみでは助成事業というのは実質不可能になってしまうということを大変心配していらっしゃいまして、助成金制度の規模を縮小しないでほしいという要望が出されています。
 今おっしゃいましたように、業務を縮減し、業務の重点化を図るという方針を出していることでの心配なんですが、具体的に重点化というのはどのようなことなのかということをお伺いしたいのと、地球環境基金に対して国がどの程度の財政支援をきっちりしていくのかということをはっきりお答え願いたいと思います。NGOの活動支援というのは、もっともっと積極的に行うべきだというふうに思っての質問です。いかがでしょうか。
炭谷政府参考人 まず、第一点の業務の重点化でございますけれども、これは特殊法人の整理合理化計画の中でも言われていることでございますけれども、効果が低いと考えられている分野に対しては削減を行う、しかし、効果的な分野については当然それを重点的に行っていくという、当然のことではないだろうかなというふうに思っておりますけれども、具体的に申しますと、まず環境の場合は分野別に、例えば地球温暖化、自然生態、自然の保存、保護、また循環型社会の形成といったような分野ごとに、それぞれの重点分野を定める。またさらに、横断的に、例えば活動方法として、いろいろの団体がパートナーシップを組んで行うというような方法については重点的に行っていく。
 さらには、これは海外に対する支援もいたしておりますので、海外については、やはり日本との関係ということで東南アジアを重視していくというような状況とか、さらには国際的な、ヨハネスブルグ・サミットの成果等を踏まえた行動というような分野について重点化していくというようなことが行われてくるというふうに考えております。
 第二点の、地球環境基金の強化でございますけれども、私ども、この地球環境基金、大変役立っている、NGOの活動の支援に大変なっているというふうに考えております。しかし、基金でございますので、今日の金融情勢からして、利息収入、運用収入がはかばかしくありません。そのために、毎年、予算で一般会計から、その年度に必要な助成金、今年度の予算では約七億円程度入れていたのではないかと思いますけれども、そのような形で基金の運用収入に加えまして一般会計からの助成を行うということをあわせまして、この地球環境基金がNGOの活動に役立っていただくように、さらに私どもなりに最大限の力を注いでいきたいというふうに考えております。
中川(智)委員 わかりました。
 続きまして、日本環境安全事業株式会社法案について伺います。
 PCBの廃棄物の適切な処理体制の整備につきましては、PCB特措法の制定のときにいろいろこの場で議論をしてまいりました。PCB廃棄物の一定期間内の処理を達成するためには国が責任を持って施設整備、処理業務に当たるとして、環境事業団を活用するという政府答弁がございますが、全国五カ所の事業実施計画が現在認可されていますが、その中で一番早いのが平成十六年十二月開始予定の北九州の処理事業所。ところが、その時点で環境事業団は廃止になっていて、特殊会社の日本環境安全事業株式会社がこの事業を引き継ぐということになっております。
 民間業者では不安だと地元住民の合意が得られなかった経緯もこれあり、国が責任を持つということになったわけですが、こういうことは、これまでの約束をほごにすることでもあり、住民が本当に安心できるように、先ほどからるるこの場でも質問がございました国の責任体制について、きっちりとどのように確保していくのか。国の責任体制について、もう一度明快な御答弁をいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 国の関与のことがまずあると思います。
 特殊会社法案におきましては、会社がPCB廃棄物処理事業を経営する間におきましては政府が会社の総株主の議決権の過半数を保有すること、それから、会社は、資金の長期借り入れ、毎年の事業計画の策定等については環境大臣の認可を受けなければならないこと等と定めているところでございます。
 また、会社は、特殊会社法案に基づきましてPCB廃棄物処理事業の実施に当たりましては、PCB特別措置法に基づき国が定めるPCB処理基本計画に従い、処理施設の設置、処理を行う期間及び処理の方法等に関する事業基本計画を定めることといたしております。
 PCB処理基本計画には、PCB廃棄物の処理施設の整備に関する事項を定めることとしておりまして、具体的には、会社が行うPCB廃棄物処理事業により整備、運営される処理施設について、その実施場所、事業対象地域、施設能力等を定めることといたしております。
 このように、会社が行うPCB廃棄物処理事業は、引き続き、国の責任のもとで、PCB特別措置法の処理期間内に処理を達成する事業でございます。
中川(智)委員 本当に、どのような事故が発生するかもわかりません。国の責任というのを明確にしていただいたということで、やはり事故が起きないということが最大限の大切なことですが、その後自治体やいろいろなところに責任転嫁をするのではなくて、国の責任というのを明確に肝に銘じてやっていっていただきたいと思います。
 このPCBの処理事業には非常に膨大な経費がかかるわけですけれども、平成十三年、環境事業団に、PCB廃棄物処理の円滑な推進のためにということで、PCB廃棄物処理基金が設けられました。
 この基金は、国と都道府県からの補助と、製造業者からの出捐によって運営されることになっています。平成十五年一月末現在、基金の造成額というのは四十五億六百万、そのうち国と都道府県から四十億二千五百万、産業界からは四億八千百万。産業界の分の中身は、平成十三年度に解散した財団法人の電気絶縁物処理協会の財産が基金に造成されたものであって、製造業者からの新しいものというのは出捐されておりません。
 この製造業者の出捐についての今後の見通しというのはどうなっているのかを伺いたい。そしてあわせて、基金の造成計画、取り組みの方針を明らかにしてください。
鈴木国務大臣 PCB廃棄物処理基金、これは先生の御指摘のとおり、国それから都道府県の補助金、それと産業界からの出捐金によって造成をされているものであります。
 そのうち、PCB製品の製造者でございますが、過去に難分解、有害性の性状を有するPCB製品を製造したという立場から、PCB特措法に定められておりますとおりに、PCB廃棄物の処理が円滑に進むよう協力する責任を有しておりまして、なかなか今の経済状況の中で厳しい面もございますけれども、今後とも基金への新たな出捐について協力を求めてまいりたいと思っております。
 それから、十四年度までの基金の拠出につきましてはただいま先生が御指摘になられたとおりでございますが、国及び都道府県の分につきましては、平成十五年度につきましても合わせて四十億円拠出をすることとしております。今後、全国のPCB廃棄物処理施設の整備の見通しでありますとか、中小企業に保有されているPCB廃棄物の量の見込みの精査等を行いまして、処理期限までの期間、毎年計画的に造成し、所要額を確保するようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
中川(智)委員 今大臣の御答弁の中では、製造業者からの出捐についての見通しというのは、今後とも協力を要請していくという一言だったわけです。三十年間放置していた国の責任というのは非常に重いと思いますが、具体的に、どのような会社に、どのような形で今後協力を要請していくのかというところまでお示しをいただきたいと思います。
飯島政府参考人 PCBの製造業者等からの出捐の協力要請でございますが、具体的にはPCBを製造した会社というのは二社ございます。鐘淵化学と現在の三菱化学、こうしたところにつきましては、もう現在、これまでも基金の拠出について要請をしているところでございますが、全体の処理事業の金額等、基本的にこの基金というのは中小企業支援のために使うわけでございますので、それが見えた段階で重ねて協力要請をしていきたいと思います。
 そのほか、PCBを使った機器を内蔵する電気製品、こういったところの製造業者のところに対しましても、特措法の趣旨を体しまして、協力要請をしていきたいというふうに思っております。
中川(智)委員 腰を引けて協力要請をしていくのではなくて、しっかりよろしくお願いいたします。
 続きまして、三月十三日にPCBの廃棄物処理基本計画案が出されまして、四月中をめどに策定されるということになっておりますが、このPCBの廃棄物の処理をスムーズに進めていくためにも、民間業者との連携が非常に重要になると考えます。国が関与する特殊会社とその他の民間会社、いわゆる電力会社が主になると思いますが、それぞれ、いつまでにどの程度の量のPCB廃棄物を処理していくのかといった具体的なスケジュール、そしてその数量目標を含めた計画、この点を明確にしていただきたいと思います。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたPCB廃棄物処理基本計画でございますが、パブリックコメントの手続を終えて、今月中にも策定いたしたいと思っております。この計画の中で、処理期限の二十八年七月までの間の処分量、それから、中間年度、平成二十年度末を中間年度ととっておりますが、この処分量もあわせて示しているところでございます。
 それで、PCB廃棄物の種類ごとに主なものを申し上げたいと思いますけれども、まず、一番問題になります高圧トランス等でございます。これは全体で三十二万四千五百台でございますけれども、二十年の末までにそのうちの十万九千台の処理を見込みまして、最終、その後、二十一年以降二十一万台余りの処理を見込んでおります。
 また、廃PCB、いわゆるPCBそのものでございますね、あるいはPCBを含んだ油でございますけれども、これにつきましては、全体で三千百トンございますけれども、これを中間年次までに千七百トン、後半に千四百トン、合計三千百トンの処理を見込んでおります。
 さらに、先ほどお話がございましたけれども、柱上トランス、一部の電力会社が保管している柱上トランスでございますが、これは総計四百万台以上ございまして、これも中間年次までに百二十三万台、それ以降に二百五十八万台という計画を立てております。
 また、安定器、小さいものでございますが、安定器につきましても、これも二十八年七月までの処理完了を考えておりますが、特に安定器のPCB廃棄物の保管の多い首都圏地域といいますか東京地域、全体の四割を占めておりまして、二百万台ほどここにあるわけでございますが、これは、環境事業団東京事業の検討を今進めておりますが、その中でこの安定器の処理についても同時に整備に着手したいというふうに考えております。
中川(智)委員 今お答えの中にありました二十八年七月までにという安定器について伺いたいのですが、小中学校の蛍光灯の中の安定器が、PCBを含んでいるものについてすべて取った後、学校の中の物置ですとか、いろいろなところに置いて保管をしているのですね。そして、子供たちがお掃除などをするときにそういうところに入って掃除などをするわけで、私は、このPCBのいわゆる感受性の強い子供への影響というのを大変心配しております。
 本当に、とりあえず学校現場、それは教育委員会や、そこのところでどれぐらいのものが保管されているかというのはもう既にわかっているはずなのですから、学校などで保管している安定器につきましてはどこよりもいち早くその処理に対して手をつけていくべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
飯島政府参考人 安定器につきましては、先生のおっしゃるとおりでございまして、そういった心配のないように、きちんと保管をしていただくようにお願いを教育委員会等を通じてしているところでございますが、できるだけ早期に完全無害化処理をすべきということで、先ほど申し上げましたように、東京事業所の方で具体的な処理体制、検討を進めております。
 先生の御心配される、実際に学校で保管されているときに児童がそれに近いところに行ったらということでございますが、これについては、これまでも教育委員会を通じてお願いをしておりますけれども、適正な保管、児童等が入らないような形で保管をしていただくようにお願いをしているところでございます。
中川(智)委員 よろしくお願いします。
 続きまして、環境省が認可した五カ所のPCBの廃棄物処理事業はいずれも化学処理を採用していますが、化学処理について、事業側のみが、科学的知見に基づく安全性の根拠やデータをある意味では独占しておりまして、その情報を公開しないということでの住民の不安が非常に強いわけです。
 ですから、やはり事業所が持っております、企業が持っているデータに対して、しっかり公開すべきだと思います。公開できないのなら、なぜ公開しないのか、そして、やはり公開するべきだという、国の積極的な情報公開に対する要望というのをしていくべきだと考えますが、いかがでしょう。
望月大臣政務官 PCBの処理事業の実施に当たりましては、現在、環境事業団においては、安全性の確保に万全を期するため、学識経験者等の専門的な知見を有する第三者による委員会を設置して、原則として公開のもと、技術の選定、施設の設計、運転管理等による安全性の評価を実施しているところでございます。また、その際、さまざまなリスクを想定いたしまして、それらに対する対策の効果についても評価をいたしまして、施設の設計、運転管理に反映させるため、リスク解析等も実施しております。
 環境事業団の後を引き継ぐ会社につきましても、環境事業団と同様に、原則公開のもと、第三者である専門家による安全性の評価を運転段階などの事業の進展の段階ごとに行い、事業の安全性の確保を図る方針でございます。さらに、住民に対する十分な情報公開、説明を事業の進展の段階ごとに行う、こういうことにしております。
 具体的に、処理の計画だとか処理の状況、そしてまた施設の維持管理の状況について、廃棄物処理法に基づく維持管理に係る記録の開示にとどまらず、処理施設の公開等により積極的に情報公開をしてまいりたい。地域住民の皆さんへの十分な説明等を実施することとしております。
中川(智)委員 私が今質問いたしましたのは、企業側、そのような化学処理を行ういろいろな技術を開発して、そういう事業者が情報を委員会の方に出さないということもあるわけですね。全部出させるわけでしょうかね。
望月大臣政務官 ただいま、原則として公開いたしますということでございまして、これにつきましては、安全性とかそういったものについてはすべて公開するということでございますけれども、その中には特許だとか知的財産とか、これは法律で、企業の秘密といいますか、そういったものは守られている権利でございますので、それ以外につきましてはすべて公開をさせていただく、そういうことになっております。
中川(智)委員 結局いつもこのごろは、本当に悲しいことですが、国が安全だ安全だと言うほど住民は不安だ不安だとなってしまうわけですね。何か本当にそれは悲しいことですが、それはどこかで、都合のいい情報だけ出して都合の悪いものは出さないというこれまでの歴史があって、そのように悲しい現実になってしまったわけですね。
 知的所有権とかそういうものが、事業者の方がもうこれはこうなんですと言われたら、それに対して住民が公開してくれと言っても、どちらの側に国は立つのかということを聞かせてください。
望月大臣政務官 我々は、公開の原則に基づいて、それぞれ安全性について最大限の情報公開をしていくつもりでございますけれども、既に法律で決まっております知的財産権、先ほど申しましたように、これはもう法律で認められた権利でございますので、それ以外の問題につきましては、知的財産とかそういったもの以外につきましては我々は公開をするという原則に基づいて、しっかり、説明責任があるので説明していきたいと思っております。
中川(智)委員 きのうもレクのときにこういうふうに話したら、それは憲法に触れるとかいろいろ言われましたが、やはり安全性を本当に納得してもらうということが基本ですので、努力をよろしくお願いしたいと思います。
 先ほども藤木委員から御質問がありましたが、私もとても心配しておりますのは、処理事業にかかわる労働者の方々の安全対策というのがどうなっているかということなんです。能勢町で起こりましたダイオキシンの問題でも、これは過去数年にわたってその焼却場の中で働いていた労働者の方々が被曝されたことによるがんを発症されて、お一人の方が亡くなりました。もうお一人の方は、私は体を見せてもらいましたが、すごい斑点ができまして、明らかにダイオキシンの被曝による健康被害だと思いました。
 とても深刻な問題ですので、通り一遍の安全対策ではだめだと思いますが、具体的にはどのような安全対策を講じていらっしゃるのか、そしてまた、どういった状況のときにそれは危険な状況だ、状態だと考えるのかをお伺いしたいと思います。
鈴木国務大臣 PCB廃棄物の処理事業に従事される労働者の方々の労働安全対策、これは大切なことであると思いまして、これはもう新会社になってもきっちりやっていかなければならない、そういうふうに思っております。
 環境事業団におきましても、労働安全対策の専門家の参画を求めまして、そして今までも、必要な労働安全対策についての考え方をまとめております。具体的には、処理施設内をPCB廃棄物の取り扱い方に応じまして四つのレベルに区分いたしまして、それぞれの区分に応じて必要な防護服の着用あるいはマスクの使用、作業場所の局所的な排気の実施、これらの対策や、作業環境のモニタリングの考え方を取りまとめているところでございます。
 このような作業従事者の労働安全対策、これが十分に講じられることが必要でございますので、環境事業団の事業を引き継ぐ特殊会社、これを遺漏ないように指導してまいりたいと考えております。
中川(智)委員 それでは最後の質問ですが、この設置地域を決定した基準と理由をお聞かせいただきたいと思います。
望月大臣政務官 立地地域の基準と理由でございますけれども、基準というのは、明確な基準というのはございません。五カ所の立地が具体化できたということは、立地場所の地方自治体とそしてまた国が、PCBの廃棄物問題を先送りせずに今後しっかりと解決していかなくてはならないとの認識を共有して、そういうようなことの認識のもとに可能になった、こういうことでございます。
 そして、北九州市、大阪市、豊田市及び東京都は、その地域において産業技術が高度に集積している地域である。これはとりもなおさず、PCBの分解技術というのは高度な技術を要するということでこういう場所になっていったという理由でございまして、自治体が独自にPCBの処理を進めるための方策について検討を行ったところでございます。
 室蘭市は、道内に施設を立地するとの北海道の方針を踏まえて、みずから立候補していただいた、そういうことでございます。
中川(智)委員 カネミ油症発生の北九州、九州ということで、私も、本当に思いがかなりおありだと思いますので、絶対に事故などないようなことで進めていっていただきたいと思います。
 これで終わります。ありがとうございました。
松本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
松本委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。藤木洋子さん。
藤木委員 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人環境再生保全機構法案及び日本環境安全事業株式会社法案に対する反対の討論を行います。
 まず、独立行政法人環境再生保全機構法案に反対する第一の理由は、公健法に基づいて行われている公害健康被害者への補償及び予防事業が、特殊法人の公健協会から独立行政法人に移管させることにより、公害健康被害者の救済と公害予防に対する国の責任を弱め、本来、国が直接責任を持って安定的に運営されるべき補償・予防事業の縮小、後退をさらに推し進めることになるからです。
 第二に、公健法に基づく健康被害予防事業について、独立行政法人に移管され効率化が追求されれば、各種事業の縮小やサービス内容の低下を招くおそれがあります。
 第三の理由は、環境事業団が保有している債権の管理、回収、とりわけ、長引く不況のもとで苦境に立たされている中小事業者の遅滞債権については、経営状況に見合った対応が必要ですが、効率化が追求される独立行政法人に中小事業者の遅滞債権が継承されれば、事務的、機械的な管理、回収が行われるおそれがあるからです。
 次に、日本環境安全事業株式会社法案に反対する第一の理由は、PCB廃棄物処理が処理手数料を徴収して必要な経費を賄う収益事業であるため、特殊会社として所管組織の温存を図ったからです。しかし、環境事業団から特殊会社に移行されても、環境事業団での事業と何ら変わるところがなく、処理費の軽減等、事業の効率化が保証されるわけではありません。
 第二に、特殊会社が環境事業団から継承するPCB廃棄物処理事業は、PCBの製造・使用事業者の処理責任を肩がわりするもので、適当ではなく、国の公共関与によるPCB廃棄物処理施設整備事業として、関係住民の合意を軽視して推し進められている実態があるからです。
 以上で、独立行政法人環境再生保全機構法案及び日本環境安全事業株式会社法案に対する反対の討論を終わります。
松本委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
松本委員長 これより採決に入ります。
 まず、内閣提出、独立行政法人環境再生保全機構法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、稲葉大和君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。牧義夫君。
牧委員 私は、ただいま議決されました独立行政法人環境再生保全機構法案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    独立行政法人環境再生保全機構法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 公害健康被害補償予防協会及び環境事業団の環境再生保全機構への移行に当たっては、自律的、効率的に運営を行うという独立行政法人制度の趣旨が充分発揮されるよう、同機構の組織・体制及び事業の決定等について、適切な指導等を行うこと。
 二 環境保全活動を行う民間団体における地球環境基金事業の重要性にかんがみ、同基金の充実・確保に努めること。また、支援基準の明確化を図るとともに、支援状況について情報公開を積極的に行い、支援業務の透明性を確保すること。
 三 環境事業団から環境再生保全機構へ移行される延滞債権の回収・処理を推進するとともに、経営の合理化、効率化及び経費の削減に努めるよう適切な指導等を行うこと。
 四 環境再生保全機構への移行に当たっては、公害健康被害補償予防協会及び環境事業団の職員の雇用の安定を含めた良好な労働関係に配意すること。
 五 ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)廃棄物の確実な処理に必要な費用を確保するため、PCB廃棄物処理基金の着実な造成に向けて、PCB製造業者等に対する出えん要請を引き続き行っていくこと。
 六 健康被害予防事業については、地方公共団体の要望を踏まえ、適切かつ効果的に実施すること。
 七 独立行政法人の長の選任においては、当該分野に造詣の深い適切な人材を広く内外から起用するよう充分配慮すること。その他の役員の選任についても同様とすること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
松本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 次に、内閣提出、日本環境安全事業株式会社法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田村憲久君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田村憲久君。
田村委員 私は、ただいま議決されました日本環境安全事業株式会社法案に対する附帯決議につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    日本環境安全事業株式会社法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 日本環境安全事業株式会社の経営に当たっては、環境事業団がこれまで行ってきた事業の内容やその効果について充分に検証を行い、国からの財政支援に頼らずとも健全経営が可能となるよう、将来の民営化も見据えた事業の展開に努めること。
 二 日本環境安全事業株式会社の役員の選任に当たっては、業務内容に応じた適切な人材を配する観点から、民間人を積極的に登用するよう努めること。
 三 ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)廃棄物の処理に当たっては、適正かつ安全に期間内に達成されるよう努めること。
 四 PCB廃棄物処理事業を行うに当たっては、施設の設置及び維持管理費用等を抑制し、PCB廃棄物の処理費用の低減に努めること。
 五 PCB廃棄物の処理及び輸送の安全を確保するため、関係機関が協力して輸送インフラ整備、周辺環境整備等の関連事業も一体的に行うよう努めること。
 六 PCB廃棄物の処理の必要性、安全性等について、広く啓発普及を行うとともに、処理施設の運転状況や周辺環境への影響等に関する情報を積極的に公開することにより、国民の信頼を確保するよう努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
松本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決まりました。
 この際、ただいま議決いたしました両附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木環境大臣。
鈴木国務大臣 ただいま御決議のございました両附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。
    ―――――――――――――
松本委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十分散会


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