衆議院

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第5号 平成16年3月30日(火曜日)

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平成十六年三月三十日(火曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 長浜 博行君

   理事 伴野  豊君 理事 石田 祝稔君

      伊藤信太郎君    宇野  治君

      大前 繁雄君    加藤 勝信君

      木村 隆秀君    近藤 基彦君

      鈴木 淳司君    西村 康稔君

      鳩山 邦夫君    船田  元君

      三ッ矢憲生君    望月 義夫君

      近藤 昭一君    鮫島 宗明君

      島田  久君    田島 一成君

      武山百合子君    松本  龍君

      村井 宗明君    高木美智代君

      高木 陽介君    土井たか子君

      山本喜代宏君    川上 義博君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        加藤 修一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  森本 英香君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            堂道 秀明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         中條 康朗君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  梶谷 辰哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           市川 祐三君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤田 昌宏君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      寺坂 信昭君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            松本 省藏君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省環境管理局水環境部長)          吉田 徳久君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  砂田 圭佑君     伊藤信太郎君

  望月 義夫君     近藤 基彦君

  高木美智代君     高木 陽介君

  土井たか子君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     砂田 圭佑君

  近藤 基彦君     望月 義夫君

  高木 陽介君     高木美智代君

  山本喜代宏君     土井たか子君

    ―――――――――――――

三月二十九日

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一九号)

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る二十三日既に終局いたしております。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、大野松茂君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。奥田建君。

奥田委員 私は、ただいま議決されました廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 政府一丸となって循環型社会の実現を期すため、環境省等関係省庁間の十分な連携を図り、廃棄物・リサイクル関係法の有機的かつ整合的な運用を行うとともに、今後とも諸外国の例も踏まえつつ、望ましい法体系のあり方等につき検討すること。

 二 市町村が適正に処理できない一般廃棄物の品目・量等について、実態を速やかに把握するとともに、それらのリサイクルを含め、適正な処理のあり方について検討を行い、必要な措置を講ずること。

   また、家庭から排出されるものを含め、医療系廃棄物の適正処理の一層の推進のため、排出現場での分別の困難性を踏まえた方策の検討を行うこと。

 三 廃棄物の発生抑制やリサイクルを推進する立場から、デポジット制度等の経済的手法について製品毎の特性や実態を踏まえながら検討するとともに、市町村における分別収集を促進すること。

   また、いわゆる事業系一般廃棄物の発生抑制方策につき検討し、必要な措置を講ずること。

 四 必要な廃棄物処理施設の確保のため、公共関与による施設整備の促進などを含め、国民の理解を得ながら安心できる施設整備を図るとともに、必要な財政的措置を講ずるよう努めること。特に首都圏、近畿圏の廃棄物については、域内でできる限り処理が行われるよう、必要な処理施設の整備を推進すること。

 五 産業廃棄物の不適正処理事案に迅速に対応するため、電子マニフェストの義務化も視野に入れつつその普及拡大をする方策を検討すること。また、積替保管も含めて産業廃棄物の運搬の過程を適正に監視・管理できるよう、早急に必要な措置を講ずること。

 六 産業廃棄物の更なる適正処理を図るため、廃棄物処理基準の改正等による自社処分に対する規制強化等について早急に検討し、必要な措置を講ずること。

   また、排出事業者が信頼できる処理業者を的確に選択することができるよう、健全な処理業者の育成を図るとともに、処理業者に係る情報提供のシステムを充実すること。

 七 既に廃止されたものを含め、最終処分場であった場所等についての把握を行い、広く国民にわかりやすい形で公表し、土地取引の際にそれがわかるよう措置すること。また、焼却施設や最終処分場周辺の土壌及び地下水に係る汚染の実態を把握し、結果を公開するとともに、環境回復措置に努めること。

 八 廃棄物処理の実態の把握や廃棄物の不法投棄等を防止するため、地方公共団体の担当職員や地方に配置する環境省職員の増員等、体制整備に努めること。特に、産業廃棄物の新規埋立量と残余容量の変化の差についてその実態を速やかに把握し、公表すること。

 九 リサイクル名目で不適正な処理が行われている事例が発生していることから、環境面での現行の規制を徹底するとともに、さらに規制のあり方について検討すること。

 十 廃棄物処理施設における事故が発生した際には、周辺住民等に対して速やかに情報を提供するよう地方自治体を指導するとともに、環境影響・健康影響を最小限とするよう努めること。

 十一 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)及び特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)について、その施行状況につき不断の検討を行い、必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

小沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小池環境大臣。

小池国務大臣 ただいま御決議がございました附帯決議につきましては、その内容、趣旨を十分踏まえまして、努力をしてまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

小沢委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

小沢委員長 次に、環境保全の基本施策に関する件について、調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官森本英香君、防衛庁長官官房長北原巖男君、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君、農林水産省農村振興局整備部長中條康朗君、林野庁森林整備部長梶谷辰哉君、経済産業省大臣官房審議官市川祐三君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤田昌宏君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長寺坂信昭君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省総合環境政策局長松本省藏君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小島敏郎君、環境省環境管理局長西尾哲茂君、環境省環境管理局水環境部長吉田徳久君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。

 環境保全の基本施策全般に関して質問させていただきたいと思います。

 まず、環境保全あるいは環境ということになりますと、その対象として、まさに地球という全体、システムそのものがその対象になるわけでありますし、また、いろいろな本を読ませていただくと、そこに住む我々人間そのものが、環境と対立関係にあるというよりは、まさにその中に存在をしている、まさに環境の一部である、こういう認識のもとでこれから考えていかなければいけないということを勉強させていただいているところであります。

 こうした認識に立ったときに、今、法律案の議決も行われたわけでありますけれども、産業廃棄物の不法投棄あるいは有害な化学物質による汚染など、こうしたものを防いで環境保全を図っていく、そのためには、いわば悪質な事業者、業者、あるいはそうした事態を徹底的に取り締まっていく、こういう姿勢は当然に必要であり、より一層求められているわけであります。

 しかし同時に、今生じているさまざまな環境に関する問題を考えたときに、そうした従来の規制的なやり方だけで環境保全が今後とも図っていけるのだろうか、そこにはやはり限界があるのではないか。いろいろな指摘がありますように、いわゆる規制的な手法に加えまして、経済的な手法、あるいは自主的な取り組み、さらには情報的な手法などさまざまな政策手段を駆使して、私どもの人間社会そのものが環境の保全が図られている、そういうシステムをこの社会の中に構築していく、こういうことが何といっても不可欠ではないかというふうに思うわけであります。

 そういう意味から、大臣も所信表明におきまして環境と経済の統合ということを掲げておられますけれども、同じような問題認識に立っての表明というふうに聞いておりました。ここではそうした観点に立ちまして、四点にわたって質問させていただきたいと思います。

 まず第一点、産業廃棄物の不法投棄防止という観点であります。

 少し話は変わりますけれども、先日、ある新聞記事を読んでおりまして、インターネットの中で、特にオークションという一番オープンな仕組みの中で、よい評価と悪い評価というのをどう使っていくかという話が少し出ておりました。一般的には、悪い評価が重なっていく、そしてそことは取引をしないということになるわけですが、結果的に、悪い評価を受けている業者というのは一回退室をするわけでありますけれども、再び名前を変えて参入をしてしまう。なかなか退室そのものを図ることができない。そうした中で、よい評価というものを重ねていくことによって、よい評価を得た業者というのは、決して市場からは出ていかないわけであります。むしろ、よい評価を継続していこうとする努力をしていく。そして、そのことが信頼関係を生み、さらによい業者を選定するようになっていく。

 こういうことで、それを呼び込みという表現をしておりましたし、それを言ってしまえば、いわゆるブランドということになるのではないかというふうに思うわけであります。まさに、これはインターネット、オープンな仕組みにおいてはもとよりでありますけれども、この産業廃棄という、もちろん許可という前提条件はありますけれども、私は似たような側面があるのではないかと。

 そういう意味でも、ことしの一月の中央環境審議会の意見具申にも、いわゆる排出業者が優良な業者を選択するような仕組みを講じて優良業者が残っていく、また、そういうものこそ経営が成り立っていく、つまり、そういうような優良業者育成施策の必要性が指摘をされているわけでありますし、先ほどの附帯決議にもそのようなことが盛り込まれているわけであります。

 この点をさらに進めていくということを考えたときに、いかに評価を進めていくのか。なかなか、国の立場で言いますと、これが悪いということは言えても、これがいいというのは非常に言いにくい側面がある。そうなりますと、いわゆる第三者的な機関等を通じたいい評価、そういうものをどう積み上げていくかということが一つのポイントではないかというふうに思うわけであります。

 こうした、広い意味では優良事業者を育成していくという意味で、これから、今回の決議も踏まえていただきまして、どういう取り組みを具体的にしていかれようと考えておられるのか、大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

小池国務大臣 冒頭に、環境をどのように守っていくかの大切さを委員の方からお話がございました。これまでの大量生産、大量廃棄、大量消費という流れから、スリーRに変えていくという循環型社会に変えていく、その中で、このように不法投棄という犯罪を防止して、そして産業廃棄物についてもこのスリーRがうまく回っていくということ、これは大変重要なことだと思いますし、その担い手が、どういう形で優良、そしてこれはよくないというふうな形で知らしめていくかというのは、今御質問にありましたように大変重要なポイントだと思います。

 この廃棄物処理法は、これまでも何度か改正がございました。そして、それによって排出事業者の責任が強化されているということからも、排出事業者にとって信頼できる産業廃棄物の処理業者をどうやって選ぶかということが極めて重要になってきている。

 環境省では、これまでも悪質な業者に対する徹底的な取り締まりも実施してきておりますけれども、今後はこれらに、こういったネガティブな部分に加えて、優良な処理業者を育成することも必要だ、このように認識もしております。その意味で、優良な処理業者の育成に向けて、産業廃棄物処理業の今後のビジョン、そして優良なビジネスモデルについて今年度から検討を既に始めているところであります。

 さらに、中央環境審議会の意見を受けまして、排出事業者がみずからの判断でより優良な業者が選択できるように、まず積極的に情報公開を行う、そして行政処分を一定期間受けていないことなどを含めて、優良か否かを判断する際の評価基準を設定する。その基準に適合する業者に対しては、更新許可の際に添付書類の一部省略など、これによってインセンティブを与えていくということなど、積極的に検討、導入をしてまいりたいと考えているところでございます。

加藤(勝)委員 どうか、さらにその優良の評価ということを積極的に進めていただきまして、所期の効果を十分に発揮できるような、そういうシステムの構築に向けて努力をしていただきたいと思います。

 続きまして、経済的手法という中に係るわけでありますが、産業廃棄物の処分等に係る税、いわゆる産廃税について御質問させていただきたいと思います。

 産廃税につきましては、私の地元の岡山県を初めとして既に八県一市において施行され、さらに、条例が制定され、あるいは条例案の作成に入っているようなところも含めると、幾つかの府県もこれからやろうという状況にあるというふうに聞いております。

 また、地元での取り組みを聞きますと、産廃税による税収によって上がったお金を原資として、意識の改革、あるいは循環型社会の実現に向け産業活動を支援していく、あるいは監視強化などの対策など適正な処理の推進、さらにはエコタウン事業の推進など、基盤整備を進めているということでありまして、話を聞く限りは、不法投棄の減少にもそれなりの効果があるのではないかというような評価も聞こえておりますが、一方で、監視を強化した結果、過去の不法投棄の現場がいろいろ見つかってくる、そういうところもあるというような話も聞かせていただいております。

 この産廃税の導入に当たりまして、産廃そのものの減量効果ということももちろんあるわけでありますけれども、他方、逆に、課税を回避するという観点から不法投棄が増大してしまうのではないか、あるいは課税をされている県を除いて課税されていないところへ行ってしまうのではないかというような指摘もなされていたわけであります。

 既に、産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会というのを省内にお設けになられて議論が、検討が進んでいるとも聞いておりますけれども、産廃税が既に施行されている現状において、先ほど申し上げた種々の問題点としての指摘、こういった点を含めて現状どのように評価されているのか、その点を教えていただきたいと思います。

小池国務大臣 いわゆる産廃税、産業廃棄物税についてのプラス面とマイナス面については、もう既に御質問の中ですべて言い切っていただいているのではないかと思いますが、環境省といたしましては、この産業廃棄物税について、まず、処理施設の整備を促進するための財源の確保、そして産業廃棄物の排出を抑制するという効果が期待される、これがプラスの面で見ておりますが、今御指摘ありましたように、税の支払いの回避、そしてまた不法投棄がかえって増大するのではないか、そして課税が行われていない県に産業廃棄物が移動する、拡大してしまうといったような懸念を環境省としても認識をいたしております。

 そこで、全国的に円滑な産業廃棄物の処理を目指すということから、昨年の一月に、産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会、今御質問の中で御紹介いただきましたように設置をいたしておりまして、課税の効果と影響等について検討をしているところでございます。

 都道府県、八県一市で導入をされておられます。岡山も含めてでございますけれども、三重、鳥取、岡山、広島、この御協力を得まして、課税することによって、産業廃棄物が県外に移動したかどうか、それから不法投棄にどんな変化が起こっているのかなど、それぞれ御協力をいただいた上で調査を行いました。その結果、課税が開始されてからまだ日にちがたっていないということで、必ずしも十分なデータが利用できるという状況にはございませんけれども、現在のところ、不法投棄の増加、県外への流出の増加ということ、この二つが懸念された点でございますけれども、これは確認がされていないということでございます。

 各県から意見を徴収するということ、それから、今度は課税される事業者の方の意見も聞いてみなければなりません。そんな両方の意見を聞いて検討を進めているところでございますけれども、産業廃棄物行政における税のあり方については、先ほど申し上げました産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会、こちらの方でまず検討を重ねていただいた上で、最終的な取りまとめをしてまいりたいと考えております。

加藤(勝)委員 しかるべき機関の中で見定めなければいけないという点はあろうかと思いますけれども、ひとつ、環境省としての御判断、評価というものをしていただき、もしこれが非常に効果があるということであるならば、導入していない県等にも積極的な働きかけをしていただきたいというふうに思います。

 次に、やはり経済的手法ということになりましょうけれども、エコファンドというのがありますけれども、その点について御質問をしたいと思います。

 いわゆる社会的責任投資の一種類であるということで、企業の環境問題に対する配慮をしている状況を積極的に考慮して投資を行うエコファンドというのがいろいろと注目をされているところでありますし、我が国においては一九九九年ですか、初登場した。

 その残高、最近増加しているといってもまだまだ少ない金額にとどまっておるわけでありますし、我が国のそうした投資市場の特殊性ということを考えても、例えば投資信託市場に占める割合、これをとっても欧米に比べてかなり低いというふうに思うわけでありますけれども、環境省からいただいた資料を見ますと、エコファンドに対する個人投資家そのものの関心は、しかし決して低くはないというような調査もあるようであります。

 そうした環境保全の取り組みをこれから進めていくために、先ほどの優良業者ではありませんけれども、積極的に取り組んでいくところに資金が流れて、またその活動を活発化していく、そういう意味からも、このファンドの活用を積極的に図っていくということが一つ必要ではないかというふうに思うわけであります。

 そういう意味から、日本において同ファンドがなかなか規模が拡大していかない理由としてどういう点があるのか、そしてそれに対してどういうような対応をしていこうと考えているのか、その点をお示しいただきたいと思います。

小池国務大臣 環境と経済の統合という大テーマでございますけれども、経済の中には金融ということも十分含まれて、お金の流れを環境をよくする方向に持っていくというのは大変重要なことだと思っておりますし、私自身、大変この分野に興味を持っているところでございます。

 社会的責任投資、SRIの純資産高、そして投資信託市場におけます割合というのは、おっしゃるとおり、欧米に比べますと、一けたどころじゃないですね、三けたぐらい違うというような状況でありまして、これをどのようにして進められるか、今いろいろな角度から研究もしているところでございます。

 なぜ進まないのかという理由でございますけれども、例えば、持ち合いの株式の割合が日本の場合非常に大きいという、これはまず日本の資本構造そのものの問題点からあろうかというのが第一点。これを含めて、社会的、文化的な事情の違いもあります。

 それから、財務情報の場合と異なって、事業者の環境情報が必ずしもまだ社会や市場に十分に提供されていないということになるわけで、今回、この国会におきまして環境配慮促進法案というのを私ども出させていただいておりますけれども、まさにそのための情報をできるだけ公開をして、そして投資家の皆さんの判断基準を差し上げないと、それは、幾らエコファンドをもっとやってくださいと言っても、判断の材料がないと判断できなくなるというようなことで、総合的にこの法案に取り組ませていただいているところでございます。

 この法案については、審査のときに、御審議のときにもちろん御説明もさせていただきますけれども、基本的には、事業者及び国民に、投資などに当たって相手方事業者の環境配慮の状況を勘案して投資を行うように努めていただくこととして、努力義務を設けている。それから、国としても、こうした事業者そして国民の取り組みを促進するために必要な措置を講ずるということ、これがこの後御審議いただこうとするものでございます。

 ですから、実証的な研究を含めまして、情報提供そして普及啓発を行うことで、環境に配慮する企業が市場や社会で評価される、そういった基盤を整備して、日本におけるエコファンドなどのSRI、もっと広い意味でいえばCSR、これを一層普及拡大を進めてまいりたいと思っております。

 あとは、欧米などの場合は、年金等々の機関投資家が宗教の関連であったりするというのも、いわゆるネガティブスクリーニングを進めやすいまさに風土を持っている。そういったところも、文化的、社会的な差異というのがこれまで大きな部分であったことを、これは私自身もそうだろうなというふうに思っておりますが、それをぜひ変えていきたいと思っております。

加藤(勝)委員 ありがとうございます。

 さらに、いわゆる受託者責任の議論というのもあるように聞いております。いずれにいたしましても、こうした環境保全が積極的に進んでいく、こういうシステムの構築に向けて一層の努力をお願いしたいと思います。

 最後に、化学物質排出把握管理促進法、いわゆるPRTR法について御質問させていただきたいと思います。

 ちょうどきのう、三月二十九日でありますけれども、平成十四年度のデータについての公表が行われておりました。今回が二回目ということでありますけれども、その中身を見させていただきますと、平成十四年度のいわゆる届け出排出量という概念になりますけれども、その全体は前年度比で約七%減少しているということでありました。流れとしてはいい方向かな、しかし、何によるのかなという気もするわけであります。

 また、私の地元も水島等いろいろ工業地帯を抱えておりまして、そういう関係者の方から今既にいろいろな多くのデータが集められて、その実態を広く国民の皆さんが知っている状況をむしろつくっていこうというのがこの法律の本旨でありましょうけれども、そうした各化学物質の排出量あるいは移動量が示されていく。しかし、これが何回か進む中で、本当にこのスキームのもとでそうした排出量、移動量が減少していくことになっていくんだろうかということを逆に懸念する声も出てきているわけであります。

 今後、この制度をより機能的に活用していくために、さらに追加的な措置を含めて、どのような取り組みをされ、またしていこうとしているのか、そのお考えをお示しいただきたいと思います。

加藤副大臣 今委員が御指摘されたように、昨日、第二回のPRTRデータの集計結果等を公表したところでございます。前回の結果と比較しまして、届け出排出量が御指摘のように約七%減少しておりまして、この減少の数字については今後詳細な検討が必要でありますが、現時点におきましてはPRTR制度導入によります一定の成果が上がりつつあるのではないか、こんなふうにとらえてございます。

 環境省といたしましては、関係者の御努力により支えられている本制度でございます。先ほど大変な努力をしてこういった面についての調査を積み重ねているんだという紹介がございましたが、まさにそういった中で本制度をより有効に機能させていくことが重要である、必要である、このように考えてございます。

 それで、このためにやはりPRTRデータ等を掲載するホームページの充実を図っていかなければいけない、あるいは市民ガイドブックの作成、普及もさらにやっていかなければいけないと思ってございますし、あるいは届け出のあった全事業者に対するいわゆる自主的な化学物質管理の改善に向けた取り組みの推進の依頼、丁寧に依頼をしてまいりまして、さらに努力をしていただきたい、こういったことでございます。

 それからさらに、市民、産業、行政等が相互に意思疎通を図っていかなければいけない。リスク分析の中におきます最後の、三番目のリスクコミュニケーションという考え方がございますけれども、こういうリスクコミュニケーションの推進等を進めていきたい、こういうふうに考えておりまして、こういった取り組みによりまして、化学物質の自主的な管理が促進され、化学物質の環境中への排出が一層削減されるように引き続いて最大限の努力をしていきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

加藤(勝)委員 まさに環境問題そのものが最大の政治課題といっても言い過ぎではないというふうに思います。さらなる積極的な取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、松本龍君。

松本(龍)委員 おはようございます。民主党の松本龍です。二十分という短い時間ですけれども、よろしくおつき合いを願いたいと思います。

 三日前に地元の新聞にソメイヨシノの記事が出ておりまして、「南九州「開花宣言」出せず 温暖化「桜の警告」」という見出しになっておりまして、ことしもまた福岡が全国で最も早い開花宣言で十七日に出ましたけれども、二十七日、三日前には宮崎、鹿児島も開花宣言が出ていないという記事でありました。まさに、地球温暖化というもののあらわれかなというふうに思っております。

 私は、環境問題と出会ったのが、二十数年前に実は地元で松くい虫が大量発生をして、異常発生をして松が枯れているという事態があって、そこに全国から専門家が集まってそれを調査されたことがあるんですけれども、その調査をされた中にたまたま私の大学の友人のお兄さんがおられて、彼は生物学の専門でありますけれども、彼と食事をしたときにこういう話をされました。龍さん、松くい虫の異常発生というのは普通あり得ないんですよという話をされていたのを記憶しているんですが、つまり、昔は松の葉が落ちたりすると、枝を取ったりあるいは葉っぱを取ったりして、それを燃料にして薪にしていた。ところが、人間の営みが変わってそれをしなくなった。ですから、普通なくなる松くい虫が燃されずにそこにたまって大量発生というふうになったんですよと言われました。

 先月、実は有明海に行ってノリの状況を見てきたんですけれども、漁民の皆さんが大変な悲嘆に暮れている姿を見て、これもまた厳しい状況だなと。本当にやりどころない怒りをぶつけられたわけでありますけれども、四年前もリゾソレニアというプランクトンが大量発生をして、それが原因で色落ちしたという話があります。

 ですから、まさに、生態系というのは余り変わっていない、しかし人間の営みが変わっている、人間の生活の仕方が変わっているから生態系が変わってくるように見えるんだというふうに私は思います。有明海も、どういう状況かというと、まさに、近隣にダムができたり干拓工事があったりして、人間の営みによっていろいろなことが変わってきているんだ、したがって環境問題というのは大変難しい問題だと私は考えているところであります。

 まさに、生態系というのは悠久の歴史をずっと来ている。しかし、人間の生活の仕方、営みの仕方が、産業革命あるいは戦後、エネルギーの問題等々、いろいろな問題で急激に変わってきている。その結果が今大きな地球環境の問題になっているんだろうというふうに認識をしているわけでありますけれども、環境大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 今松本委員がおっしゃられました地球環境の大きな変化、それに対する警告ともお感じになる、そういう御質問だったと思いますが、私もその認識を共有させていただきます。

 桜の時期もそうでございますけれども、何だか最近は日本のこれまでの季節をあらわす季語というものを本当にどの段階で使っていいのかと迷うようなこともしばしばあるわけで、それは結局、日本の文化であるとか情緒であるとか、そういったところにも間接的に影響を及ぼすのではないか、そんな思いがあるところでございます。

 原因は何かというと、やはり今おっしゃったのと同じで、人間様のライフスタイル、そしていろいろなぜいたくにぜいたくを重ねていって、それが結果的にいつの間にか生態系を崩してしまうということで、その結果であるというのは、科学者ですとそこはきっちりとまた分析をして答えられるんでしょうけれども、私などはどちらかというと皮膚感覚でそのことを考えます。逆に、皮膚感覚だからこそ、これはおかしいぞということの危機感が募ってくる。しかし、そのままぜいたくになれ過ぎていくことはいけないという意味で、これからもいろいろな意味で、総合的に環境保全のための方策を地道に、そしてまた広く訴えかけてまいりたいと考えております。

 環境と経済の統合というのは、日本にとって、経済状況がまだまだ十分に健康体に戻っていない、そういう中において、実は大きなきっかけにもなり得ると考えておりますので、この大きなテーマについて新たな展開を目指すこと、それをベースにしてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

松本(龍)委員 今大臣の方から季語という言葉が出ましたけれども、私も実は、季語の話で思っているんですけれども、総理の所信を聞いても、大臣の所信を聞いても、一時間委員会の話を聞いても、なかなか季語がないなというふうな話が、つくづく思っています。五七五、十七文字の中に季語が必ず一つあるのに、この委員会の質問等々を見ても、いろいろな意味で季節の感覚がないというのも、私、今大臣の話を聞いて思いました。

 人類に対する警告だろうというふうな言い方を今されたと思います。豊かさ、便利さを享受してきた結果、こういう状況になっているという意味だろうと思いますけれども、高病原性鳥インフルエンザの話でありますけれども、いろいろな意味で、去年は、SARSに始まりました。そして、恐らく十一月だったでしょうか、霞ケ浦でコイヘルペスというのが出てきて、今度は鳥インフルエンザ、あるいはアメリカでのBSE等々、NHKの「クローズアップ現代」でも、アジアで同時多発しているというふうな話があります。

 そういう意味では、食の安全に対して今大変危惧を抱いているのは、もうすべての人だというふうに思いますけれども、環境省として、この鳥インフルエンザに対する対策はどこでやっておられるか、どういう対策を練っておられるか、お伺いしたいと思います。

小野寺政府参考人 環境省では、私どもの自然環境局で担当しております。具体的には、野鳥、渡り鳥の関与ということが懸念が持たれているところであります。感染経路解明の中で、野鳥、渡り鳥がどういう関与を持っているかということを科学的に分析することを目的にして調べているところであります。

 具体的には、感染地の山口、大分、京都で、感染が発見されましたときに直ちに職員を派遣して、周辺、おおむね半径十キロ内の野鳥、とりわけ渡り鳥の生息状況について、概要を把握しております。また、大阪の茨木市で感染して陽性のカラスが死んで発見されたわけですけれども、そのときにも直ちに職員を派遣して、周辺の野鳥の生息状況、カラスの分布等を調べているところであります。

 また、関係四府省で、この問題が起きましたときに、科学技術振興調整費によって感染ルートの緊急調査をやっております。渡来ルートの分析、韓国調査を含みますが、周辺地区の野鳥ウイルス調査をあわせてやっております。野鳥ウイルス調査の一番直近の結果は、三地区平均百羽、三百検体、合計千近くなりますが、すべて陰性の結果となっております。

松本(龍)委員 今、自然環境局の方からお話がありました。恐らく、農林水産省等々と話し合いをされて、渡り鳥の調査は環境省がやってくれということだったと思うんですけれども、設置法をけさちょっと見たんですけれども、なかなか読みにくい。だから渡り鳥の調査は要らないというわけじゃないんです。ですから、私が言いたいのは、こういう状況が世界で起こっているときに、渡り鳥の調査はそれは十分するべきだと思います、カラスの調査もするべきだと思います。ところが、カラスが原因だとしても、高杉晋作じゃないんですから、三千世界のカラスを殺すわけにはいきませんし、鳥インフルエンザが渡り鳥の、陰性だからよかったものの、陽性だったらどうなるんだろう。そこである意味ではぷつんと切れてしまうんですね。ですから、地球環境というものの中で、今起こっている状況をどうやっているか。

 この間、うちの鮫島環境博士に話をしたときに、何で毒ガスが環境省なんだろうという話をしたら、彼が、土、水、大気なんでしょうねというふうな話をされました。今、世界で土が移動しています。そして、水も移動しています。飛行機を通じて、生物や植物も移動しています。だから、そういう新しい時代の中で、新しい状況の中で、アジアに多発しているこれらの事態をやはり解明していく大きな枠組みが必要だと私は思うんですよね。

 きょう、ずっと設置法を読んだりしてみたんですけれども、なかなか読みにくいと言ったのは、環境省というのは、もっと幅広で腰を据えた議論をするべきだろう。ですから、環境問題でアジアに貢献するんだという意気込みでやはりこれに取り組んでいただきたい。自然環境局のマターでありますけれども、総合環境局の例えば環境保健部がありますけれども、化学物質、毒ガスに追われて大変忙しいですけれども、そこの部局で本当にこれらの問題に対して大きな取り組みをしていくぐらいの気合いが今必要なんだろうと、私はむしろエールを送っているわけですけれども、新しい問題に対する知見を促進するために、やはりいろいろな方策をとる必要がある。

 ですから、設置法も毎年見直してやるくらいの気合いを持って新しい事態に対応していく、そういうことが必要だろうと思いますけれども、それに対する御所見がありましたらお伺いしたいと思います。

松本政府参考人 お話ありましたように、環境問題の解決には、関係省庁との連携、調整、その中で環境省が主導的な役割を果たしていく必要がある、全く御指摘のとおりだと思います。

 今、環境省設置法のお話がございましたけれども、御承知のとおり、第三条で環境省の任務というものがございまして、「環境省は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全を図ることを任務とする。」これは大変大きな概念規定で整理をされております。時々刻々新しい環境問題というのが国内外で出てくるわけでございますので、この与えられた任務というのを基本的にはできるだけ幅広に考えて、前向きに、積極に取り組んでいく必要があるという心構えでいきたいと思っております。

松本(龍)委員 今おっしゃったのはよくわかるんです。ですから、もっと新しい時代に即応するようなやり方も環境省は堂々と自己主張していきながら、ここはもっと予算をくれとか、どんどん自己主張していっていいと思うんです。新しい事態に対応する、若い省庁ですから、そういうこともどんどんやっていただきたい。

 何でこういうことを言うかといいますと、この一年半ぐらい環境委員会に所属をしてまいりまして、どうも自己主張が足りない。つまり、厚生労働省との関係、あるいは鳥インフルエンザでも農林水産省との関係、去年、霞ケ浦で自然再生推進法の視察に参りましたけれども、そのときも国土交通省との関係があり、何かもう調整役に終わっている、各省庁に遠慮をしているという姿が大変見られます。

 そして、なおかつ、この間うちの田島議員が大変立派な質問をされて、神栖町の毒ガスの件で質問されましたけれども、あのときも、まさに防衛庁に何か遠慮をしているような発言が目立った。この間、余り揚げ足をとるような話は嫌いなんですけれども、滝澤さんが、「ただいま御指摘の資料についてでございますが、防衛庁よりこの調査の一環という意味では提供を受けておりません。しかしながら、」「防衛庁の協力を得て、入手可能であればその入手に努めてまいりたい」と思いますというふうに言われました。「可能であれば」じゃなくて、こっちから言うべきです。

 こっちからやはり必要なものは要求をしていく、私は、そういう意気込みが環境省に必要だと思うんですけれども、これはまず、大臣はまだなられて浅いですから、今までの反省を込めてちょっと言っていただきたいと思います。

滝澤政府参考人 全国調査、七月、八月とやらせていただきました。その際に、各省庁協力していただくように事務次官通達を出しておりまして、それこそ防衛庁のみならず御協力をいただく、関係の資料を御提出いただくということで取りまとめてまいりました。

 前回御指摘がありました著書につきましては、表現はなんでございますが、たまたま防衛庁から提出されたものの中には入っていなかったということでそのようなお答えをさせていただいたということでございます。御指摘を受けまして、早急にもちろん書物を取り寄せ、その他関係の文献についても参考として取り寄せておるところでございます。そういう状況でございます。

松本(龍)委員 今お話をいただきました。そのもどかしさというか、調整役をずっとされて、つらい思いをされているのはよくわかるんです。だけれども、もっと、新しい、若い省ですから、どんどんほかの省庁と、自己主張しながら、時にはけんかもしながら、地球はおれたちが守るんだという気合いをしっかり持ってこれから取り組んでいただきたいと思います。補佐役ではなくてヘッドクオーターになるべきです。そういうふうに私は思います。

 大臣、私、去年覚えた言葉で身土不二という言葉があって、何かなと思ったんですけれども、まさに体と土は同一のものであるという言葉がありました。それはまさに、古くから日本人がこういう言葉を持っていたんだなということで、いい言葉だというふうに私は思ったんですけれども、大臣、今滝澤さんからお話がありましたけれども、これからもっとリーダーシップを発揮されて、永田町の言葉で督励という言葉がありますけれども、余り好きではありません、しっかり自己主張をされてこれから環境問題に取り組んでいただきたい、そのことをお願いしたいと思います。

 それと、去年、私、視察でデンマークに行ったんですけれども、そこにステファン・鈴木さんという方がおられました。彼はデンマークで風力発電のことに情熱を持って取り組んでおられる方ですけれども、このステファン・鈴木さんが、日本人ですけれども、二十数年前に大使館でアルバイトをしてから、それから初めて去年大使館に来ましたというふうに言われたんです。私、驚いたんです。つまりそれだけ、頑張っている日本人がデンマークにおられるけれども、彼が日本のいわゆる行政と接触をしていなかった。つまり、そういう人たちがいるけれども、逆に言うと、環境省なり外務省なりそういうところは、そういう人たちのことを知らなかった、知っていたけれども会わなかったというのは、私はある意味では怠慢だというふうに思っています。これは環境省ではなくて外務省に大きな責任があると思いますけれども、そういったことも含めて、最後に大臣の御所見をお伺いして、終わりたいと思います。

小池国務大臣 まだ半年そこいらで、反省するには至っていないのかもしれませんが、私も思うんですね。一部上場を果たして、さあ、これからというときなんですから、それぞれ能力を持った職員がもっと縦横無尽に頑張ってほしいと思っております。そして、それをしっかりと後押しして、リードもしていくのが私どもの仕事であろうということを考えております。

 ちなみに、きのうエコイスト大賞というのを決めたんですが、エゴイストではなくてエコイストということで、すべての職員、環境研究所も含みます、他省庁へ出向している人材も含みますし、今出向で来ている職員も含めて、環境に対してのみずからの政策を出してごらん、そしてまた、一番霞が関で残業時間が圧倒的に長いと言われるこの環境省の仕事の流れをもう一度見直してみようよということで職員から募りましたら、百六十件も参りました。すばらしい意見、いっぱいあります。ぜひそういったことを、私どもの政治的なリーダーシップと、それから職員の、少ない職員ですけれども、みんな知恵がある、やる気もある、そのみんなが一番活動しやすい、まさに環境省の環境づくり、そして発想づくりというのをしてまいりたいと考えております。

 お励まし、ありがとうございます。

松本(龍)委員 終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、鮫島宗明君。

鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。

 きょう、小池大臣に初めて、地球温暖化対策の問題についてお伺いしたいと思います。

 ちょっと通告と順序が違って、最初に森林吸収の問題、二番目に原発の増設を中心とするエネルギー政策の見直しの問題、三番目にバイオマスエネルギーの普及という順番になるかと思いますが、今松本委員の質問を聞いていて、私も環境省応援団の一員として、ちょっと内閣の環境問題に対する姿勢が弱いのかな。というのは、例えば小泉さんの発言の中でほとんど、地球温暖化対策が大事だとか、やはり環境と経済、エネルギーの三位一体の改革が大事だとか、余り環境の話が出てこないし、ブッシュ大統領に対して京都議定書の批准の方向で努力してほしいというメッセージを伝えたという話も聞いていません。これは通告していませんけれども、小池大臣が環境大臣を拝命するときに、小泉首相から何か特に頑張れというようなことがありましたんでしょうか。

小池国務大臣 所信表明の中にも盛らせていただいている、まさに環境と経済の統合、これをとにかくしっかりやってくださいということ、これはお会いするたびに直接御指示がございます。そして、総理の所信表明の中にももっと盛ってほしい、そのあたり、環境に対して、特に地球環境問題に対して強く訴えてほしいということで、この辺、それぞれの役所があれも書け、これも書けと言ってくるところを、随分その中で取り入れて、元原プラス私どものお願いなども聞き入れてくださったかと思います。

 それから、何よりも、言葉よりも実質だということで、例えば、いつも小泉総理がおっしゃいますのは、役所、だから政府関係の公用車を低公害車へ切りかえるということ、これは言葉もさることながら実質ではないか、これが僕の、総理の考え方そのものなんですよ、環境大臣、これをもっとPRしてくださいと言われましたので、PRさせていただきます。

鮫島委員 では、具体的な質問に入りたいと思いますが、今の地球温暖化推進大綱、基本、大きな枠組みとしては、エネルギー分野については、新たな需要の部分あるいは今の火力発電所の部分をなるべく原子力発電に置きかえて、この分野ではプラス・マイナス・ゼロを維持する、そのほかに、六%削減分のうちの三・九%は森林吸収で見込む、あるいは国民各層のさらなる努力なり技術革新で二%というような枠になっています。

 初めに森林吸収のことをここでちょっと確認ですけれども、一般の国民の人は、森林吸収で三・九%見込みますというと、一九九〇年に比べて二〇一〇年は日本の森林がいっぱいCO2を吸収するというふうに誤解している方が多いと思いますが、実際の一九九〇年の日本の森林のCO2の吸収量と二〇一〇年のCO2の吸収量は、どちらが多いんでしょうか。

梶谷政府参考人 一九九〇年時点におけます森林の炭素吸収量につきましては、約二千三百万炭素トンと推計されているわけですが、森林・林業基本計画におきますその目標年である二〇一〇年の林齢構成につきましては、現在より、成長力のある七齢級、八齢級が減少いたしまして、高齢級の方に移行するということで、二〇一〇年時点の森林炭素吸収量は約一千九百万炭素トンに減少するものと見込まれております。

鮫島委員 実際の科学的な吸収量からいうと、一九九〇年に比べて二〇一〇年は四百万トンほど減りますよと。これは、木が大きくなれば当たり前の話で、この国会の敷地の中にも、樹齢を重ねたクスノキがたくさんありますが、木は育ってくればだんだん光合成をしない幹の部分とか根っこの部分とか枝の部分がふえてきて、それがいわゆる扶養家族みたいになって、稼ぐ方と稼がない方とのバランスが、だんだん年をとれば稼がない方のバランスがふえてくるので、日本の森林も、戦後の植林期の木が、今おっしゃったように、だんだん成熟期に入ってきますから、吸収量としては減ってくる。

 しかし、京都議定書の中で、ある種特例的な、最初だけの措置ですよということで、これまで人間の管理下に入っていませんでした、しかし、新たに人間の管理下に加えますという部分について認めてあげましょうというのが京都議定書で認められた森林吸収、この枠を目いっぱい使おうというのが今の環境省の方針というか政府の方針だと思います。

 ただ、これも、新たに人間の管理下に入ったといっても、では、山火事注意の立て札を立てればいいのかというと、そうでもない。どこまで手入れをすれば、新たに人間の管理下に入ったというふうに認められるのか。これは国際事務局との協議だと思いますが、今、林野庁が計画している森林・林業基本計画でとろうとしている人為というのは、国際事務局で認められる、それだけやってくれれば新たに人間の管理下に入ったというふうに認めてあげますよという枠内に入っているんでしょうか。

梶谷政府参考人 先生御指摘のとおり、森林吸収源として認められます森林の条件といたしましては、京都議定書及び第七回締約国会議のマラケシュ合意で、三条四項において、人為活動としての森林経営を適用できることとされております。

 林野庁と環境省が合同で設置いたしました吸収源対策合同検討委員会におきましては、我が国においては、このマラケシュ合意の、森林経営として人為活動が行われていると言える森林は、一つ目といたしましては、一九九〇年以降、植栽、下刈り、除伐、間伐等の適切な森林施業が行われている森林、二つ目といたしまして、法令等に基づき、伐採、転用規制等の保護・保全措置がとられている森林との考え方が示されているところでありまして、林野庁といたしましても、この考え方に即しまして森林経営ということで考えているところであります。

鮫島委員 今のような説明に基づいて、森林吸収源十カ年対策ということで十カ年の計画を立てておられるんでしょうが、それには当然予算が必要です。ところが、聞くところによると、今認められている予算の範囲では、三・九%を見込むだけの森林の手入れをする予算がついていなくて、二・七%とか二・九%とか、大分足りませんという話なんですが、その辺は今どんな見通しになっているでしょうか。

梶谷政府参考人 京都議定書の運用に当たりましては、我が国の温室効果ガス削減目標の六%のうち、先生御指摘のとおり、約三・九%分に相当する二酸化炭素量を上限に森林吸収量を計上することが関係国の間で認められておるわけでありますが、地球温暖化推進大綱にも明記されておりますとおりに、現状程度の水準で森林整備が推移した場合には、確保できる吸収量は三・九%を大幅に下回るおそれがあるというふうに考えております。

 このため、平成十四年十二月に策定いたしました地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策に基づきまして、健全な森林の整備、保安林等の適切な管理保全、木材及び木質バイオマスの利用の推進等について、関係府省と連携を図りまして進めていくこととしているわけでございます。

 その推進に当たりましては、京都議定書の約束期間終了までの十カ年を三つのステップに区分いたしまして、ステップごとにその進捗状況について評価、見直しを行うステップ・バイ・ステップの考え方に基づき、総合的に推進していく考えであります。

鮫島委員 目標としている算入対象の森林面積千七百五十万ヘクタールに対して、今の予算規模、進捗状況ではとてもそこまでいきませんよという話だと思いますが、何か最後の方は、三つに分けて、大丈夫という意味ですか、今のようなペースでも、千七百五十万ヘクタールを新たな管理下に入れられるという答弁なんでしょうか。

梶谷政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、現状程度の水準で森林整備が推移した場合には大幅に下回るわけですが、大体の試算といたしましては、炭素量から計算いたしまして、二・九%程度しかいかないだろうというふうに考えているところであります。

鮫島委員 私は、本当は、この森林吸収を見込むことは反対なんです。つまり、科学的に言えば、一九九〇年に比べて二〇一〇年の森林の吸収量は落ちていますから、これで三・九%稼いだとは余り世界に向かって胸を張れる話ではない。

 ただ、三条四項で、特別、一回目だけはいいですよということで、新たに千七百五十万ヘクタールを人間の管理下に組み込もうという方針を日本はとっているわけですが、これは、だから、科学的な吸収量ではなくて、政治的な吸収量と言われている吸収量だと思いますが、今のペースでは千七百五十万ヘクタールになかなか到達できそうもないという話ですと、環境省としては、これは下方修正しなくちゃいかぬなというおつもりなんでしょうか。あるいは、何か特別の応援の措置を大臣はお考えになっておるのか。

小池国務大臣 今、いろいろとこれまでの数字、現状など林野庁の方から御説明がございました。

 これは環境省のみならず、やはり林野庁、その他の関係省庁ときっちりと連携をして、そして森林をまず守っていくということにほかなりませんし、また、ステップ・バイ・ステップという考え方も今林野庁の方から御説明ありましたように、環境省としても、一朝一夕に山、森ができるとも思いませんので、しっかりとステップ・バイ・ステップで取り組んでいくということが一点であります。

 それから、国内での吸収量の適切な算定体制、報告体制、そういった整備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

鮫島委員 先ほど松本委員からも話がありましたけれども、なかなか環境省、予算も少ないし、人員も少ない、余り霞が関の中では力のある省庁と言えないとは思いますが、こういう、例えば地球温暖化対策としての森林管理というような分野では、林野庁が頑張ってこれだけ予算をとりました、本当は環境省は環境省の枠としてとって、それを足してもいいんじゃないかという気もしますが、まだまだそこには環境省の力が必要なんでしょう。

 森林吸収について、三・九を見込んで大綱は組み立てていますけれども、今のようなペースだと二・九ぐらいしかいかないかもしれないという事実だけ、ちょっと今押さえておきます。

 次に、原発の話を聞きますが、これもやはり、大綱の見通しの中で、二〇一〇年までに新たに十から十三基の増設が必要だと。これを見込んで大綱が組み立てられているんですが、最近の朝日新聞にも、大分、十から十三基というのは見通しとしてきついという指摘もありましたが、現在、二〇一〇年に運転開始になるというのは何基ぐらい見込んでいるんでしょうか。

寺坂政府参考人 一昨年三月に取りまとめられました地球温暖化対策推進大綱で、委員御指摘のとおり、二〇一〇年度までの間に原子力発電による発電電力量を二〇〇〇年度と比較いたしまして約三割増加させる目標を掲げてございます。これは、原子炉の稼働率にもよりますけれども、十基から十三基の原子炉の新増設に対応するものでございます。

 一方、平成十五年度の当初に届けられました電力各社が提出してまいります供給計画におきましては、地球温暖化対策推進大綱が取りまとめられて以降、二〇一〇年度までに運転開始が見込まれる原子炉の基数、これは、一昨年の一月に運転開始いたしました東北電力の女川三号機、これを含めまして九基となってございました。

 それで、現在、十六年度の供給計画につきまして電力各社から届け出がなされている最中で、まだ全社でございませんけれども、こうした十六年度の供給計画の変更を見ておりますと、二〇一〇年度までに運転開始が見込まれる基数に関しましては、電源開発の大間発電所、それから東京電力の福島第一・八号機、この二基がおくれることになってございます。

 したがいまして、引き続き原子炉の新増設が、安全確保を大前提に、一歩一歩着実に進展するよう努力してまいりますけれども、今申し上げましたような原子力の新増設計画のおくれを踏まえますと、二〇一〇年度までに原子炉を十基から十三基増設する、そういう数字を実現することは厳しい状況にあると認識をしてございます。

 なお、現在、総合資源エネルギー調査会におきまして、二〇三〇年ごろをにらみながら、二〇一〇年につきましても、長期エネルギー需給見通しの見直し作業を行っているところでございまして、こうした原子力の状況につきましては今後も見直し作業に生かしてまいりたい、かように考えておるところでございます。

鮫島委員 二〇一〇年までに十から十三基の新増設を見込んでいますが、現時点では何基が見込まれますかと聞いたので、簡単に答えてください。

寺坂政府参考人 十六年度の供給計画が、今、幾つかの各社から出ておりまして、まだ出ておらないところもございます。

 今時点で申し上げますと、十基から十三基との関係で申し上げますと、先ほどの女川三号機、これを含めまして七基となっているということでございます。

鮫島委員 何で言いよどむのかよくわかりませんが。

 今、七基とおっしゃいましたが、福島の七号機、八号機は二〇一〇年までに稼働予定というのに入っているんでしょうか。

寺坂政府参考人 昨日、東京電力から届けられました十六年度の供給計画におきまして、七号機は入ってございますけれども、八号機はおくれる、二〇一〇年度には間に合わない、そういう供給計画になってございます。

鮫島委員 いずれにせよ、十から十三基と見込んでいたのが、さっきの森林吸収でもなかなか、三・九が二・九ぐらいになりそうだと。この原発の方についても、十から十三が七程度、約半分ぐらいになっちゃうという話です。

 原発の場合はもうちょっと深刻な問題があって、今とまっているのがあるんじゃないかと思いますが、何基あって、何基のうち、何基とまっているか、数字だけ簡潔に答えてください。

寺坂政府参考人 現在、日本国内の商業用原子炉は五十二基あるわけでございますけれども、現在とまっております原子炉は、定期点検中その他いろいろと事情がございますけれども、十四基でございまして、運転中の原子炉は三十八基でございます。

鮫島委員 要するに、当初の計画では、五十二基がオペレーションというか動いていて、それに新たに十から十三基、六十二、三基が動いているという前提でこの地球温暖化推進大綱が実現できるという見通しだったわけですが、とまっているのが十四基もあるので三十八基、それに七基足しても四十五基、五十二基から比べても七基減っちゃうというぐらい、原発の分担する部分が縮んでいるわけです。

 私は、環境問題はまさにエネルギー問題だというふうに思っていまして、その意味では、小池大臣は、かねてより、その認識は大変強い方だろう、環境問題とエネルギー問題は不即不離、表と裏の関係で一体的に考えないといけないというお考えだと思いますが、これだけ原発の見通しが狂う、それから森林吸収もきついよという中で、今の六%削減の国際公約、大綱の見直しを含めて、どんなふうなステップで考えておられるんでしょうか。

小池国務大臣 おっしゃいますように、ことし二〇〇四年がちょうどその大綱の見直しの時期でございます。

 今、資源エネルギー庁の方からの数字もいろいろと挙げられましたけれども、近々、電力供給計画が取りまとめられるということで、環境省といたしましても、そういった流れの方をまず見ていくということです。

 それから、大綱の想定どおりの原子力発電量が見込めなくなるというような、今、大体そっちの方の流れだと思いますけれども、では、その足りない分の二酸化炭素削減量をどのような対策でカバーしていくかなどは、もちろん計画がきっちり出た段階で見直し、対策を練ってまいることになるかと思いますけれども、現時点でも、追加的な対策が必要になるという認識のもとで、これからの大綱見直しの作業を含めて、精力的に今後の地球温暖化対策に取り組んでまいりたいと考えております。

鮫島委員 エネルギー政策を所管する経済産業省としては、これだけ原子力の新増設計画を見直さざるを得ないという中で、六%削減を達成するためにどういう策があり得るというふうにお考えなんでしょうか。

 もちろん、見直すといっても、やはり幾つか既にアイデアなり腹案がないと、いきなり無から有みたいな形のアイデアも出てこないんじゃないかと思いますが、今のこういう原発の新増設の見通しが大変厳しい中で、では、決め手はどういうあたりにありそうだというふうに経済産業省としてはお考えでしょうか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、経済産業省におきましても、資源エネルギー調査会それから産業構造審議会の中におきまして、大綱の二〇〇四年における見直しのための作業を進めてきておるわけでございます。

 したがいまして、確定的なことを申し上げるわけにはいきませんけれども、現状を見ますと、産業部門におけるCO2の排出量につきましては、当初、今の大綱などで予定している範囲の中に一応何とかおさまるような形ではないかというふうに思われますけれども、一方で、業務部門とかあるいは民生部門におきましては引き続き高い伸びが見られているということでございますので、その辺なども踏まえまして、対策を個別的に考えていきたいというふうに考えております。

鮫島委員 私は、もうちょっと危機感といいますか、森林吸収も予算も十分つかなくて大変きつい、原発が大幅に見通しが狂うという中で、本当に六%削減の国際公約を果たしていけるのか。

 私は、小池大臣は大変大事なときに着任されたと思いますが、今二〇〇四年で、二〇〇八から二〇一二年の約束年まで、入り口まであと四年しかない、真ん中まであと六年という中では、まさに今の環境大臣がどういう指針を示すかによって日本の国際公約が果たせるかどうかを決められるぐらい大事なタイミングだというふうに思います。

 わけのわからないことを言っていますが、これだけ原発が苦しいという中で、私は、世界と比べて日本が取り入れるべきは、もっと天然ガスシフトをしない限り、やはり答えは出てこないんじゃないかというふうに思います。同じ電力を出すのに石油に比べて七割のCO2の排出量で済む。

 それから、世界と比べても、世界の平均が二一%ぐらい一次エネルギーの天然ガス依存率がありますが、日本はその約半分、一二・四%。世界の平均は二〇・九%の中で、日本が一二・四%。欧米先進国で言えば、アメリカが二二・七、ドイツが二一・五、イギリスが三六・九と、天然ガスの比率が日本が先進国の中では極端に低い。フランスも、原子力をヨーロッパ全体に供給しているような国ですので、ヨーロッパの中では一国だけ天然ガスの比率が低い。それでも、日本よりは少し高くて一三・八%です。

 これを、欧米並みに、今の一二・四%を二〇%にするだけで、私どもの計算では、七%のCO2削減、国際公約を果たせる。ですから、天然ガスシフトというのをそろそろしっかりしたシナリオとして組み込んでいかないと、私は六%の国際公約は果たせないと思います。

 それからもう一つは、日本がおくれている風力、太陽光、バイオマスといった新エネルギーの分野。これについては大分インセンティブをつける措置がありますが、すぽっと抜けているのが天然ガスの世界。これからいよいよ燃料電池、燃料電池自動車が、先ほど、小泉総理も燃料電池自動車を愛用する立場になるんでしょうが、そういう端末の方の開発では日本がせっかくリードしていながら、何か天然ガスを中心とした水素エネルギーへの移行について大変うまくいっていない。

 これがなぜなのかということになるんですが、例えば、お隣の韓国では天然ガスの利用普及を図るためにどんなインフラ整備ができているのか、あるいは中国大陸ではどんなことが起こっているのかというのを、わかる範囲でわかりやすく説明してほしい。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、中国につきましては、今後の中国におきます天然ガス需要の増大を見通しまして、中国の西部のタリム盆地というところがございますけれども、そこから上海近郊までを結びますいわゆる西気東輸パイプラインという計画がございまして、それにつきまして一部着手されるなど、幾つかのパイプライン敷設計画が存在をしております。しかし、まだ天然ガスの一次エネルギー消費に占める比率も低く、現時点におきまして、十分な天然ガス供給インフラが整備されている、必ずしもそういうような状況ではないというふうに見ておるところでございます。

 それから一方、韓国につきましては、国営の韓国ガス公社がございまして、一九八〇年代の後半から韓国国内の主要都市を結びます輸送パイプライン網の整備が、国営でございますので独占的に進められてきまして、現在、総延長二千五百キロメートル程度に及びます輸送パイプライン網が完成しているというふうに承知をしておるところでございます。

鮫島委員 二〇〇二年に韓国は二千五百キロの国土幹線ガスパイプライン網が完成した。日本は非常にインフラの形が世界と比べて特異でして、日本の場合は、全量LNGの形で輸入して、港からにじみ出し方式といって扇形にエリアごとに配賦しているという形ですが、世界の主体はパイプラインになっていて、欧米はロシアから物すごく太いラインがたくさん入っていますし、アメリカにはカナダからもラインが入り、そして今韓国は、まだほかとはつながっていませんが、一応、韓国独自の二千五百キロのラインができました。

 このことによって、韓国はLNGの基地は三カ所あって、ただ、どこにでも一カ所から注入すれば韓国全土にぱっと行き渡るという、輸送のコストが大変安くなったおかげで、日本と韓国はインドネシアあたりから全く同じ値段で買っていますが、末端の、例えば家庭でのガス代は韓国が四分の一というぐらい、インフラ整備をちゃんとやって輸送コストを下げたことによって、末端の天然ガス価格が安くなっている。

 そういう状況にある中で、日本は、何か省庁の壁があるのかどうかよくわかりませんが、全く、エネルギー政策の中で、天然ガスの利用を図る、あるいは天然ガスのインフラを整備するというのが日本の国家建設のシナリオの中ですぽっと抜け落ちていた。それで、いよいよ地球温暖化の二〇一〇年という約束年が刻々と近づいてくる中で、私はこの辺をそろそろ視野に入れて本腰を入れるべきだと思いますが、何か一部の新聞記事では、国土交通省の先進的な官僚と経済産業省の先進的な官僚とがこういう問題について勉強会をしているというニュースもありますが、経済産業省の方、もしここで言えたら紹介してもらえますか。

寺坂政府参考人 委員御指摘の勉強会云々につきましては、私といたしましては承知をしておらないところでございます。

鮫島委員 あなたがその先進的な官僚の中に入っていないことだけはわかりました。

 こういう問題について、普通は、多分、日本の産業界が元気がいいときだったら、これはやはり天然ガスシフトを図るべきだとか、幹線パイプラインをつくるべきだという話が経済界の方から今までだったら出てきたのかもしれない。

 しかし、環境問題に対する経団連の態度というのも私は大変ひどいなと思っていまして、つい最近、三月三日に出された「温暖化問題について」経団連という資料の中では、特に環境税の導入について非常に警戒していまして、「環境税導入を前提とした議論に踏み込むことに反対」、それからさらに、経団連は率先して自主行動計画を推進して分野ごとに目標を決めてやっているんだから、義務量を決めてもらっては困るということも言っていますし、それから、環境税は本格的な景気回復に水を差し、産業活動の足かせとなるというような論調で、一貫して温暖化対策について後ろ向きの態度をとり続けていますね。

 これはなぜそうなるかというと、主要業種の環境税負担額試算という表がついていて、例えば鉄鋼分野でいうと、経常利益が千三百二十三億あります。しかし、環境税の負担が千四百五十七億円になって、経常利益分を炭素税、環境税の方が上回って一一〇%の負担になりますというのが鉄鋼分野。それから、セメントの分野が一〇六の負担になります。この二分野が突出して高い負担率になっていて、例えば、経団連の会長のトヨタの奥田会長の自動車分野ではわずか〇・五%の負担というぐらい業種によって幅があるんですが、経団連自身がどうも重厚長大型のリーダーの意思に支配されていて、経団連全体として大変環境問題に後ろ向きの態度になっている。

 一方で、先ほどの西気東輸という中国の国家横断四千キロパイプライン建設、大プロジェクトの中で一番受注しているのが日本の鉄鋼会社というような、海外ではせっせとパイプラインをつくって天然ガスシフトに協力しておきながら、日本の国内においては、経団連を使って余り日本が天然ガスシフトを含めた環境対策に本格的に乗り出すことについて後ろ向きの発言をしているというようなおかしなビヘービアがあるんですが、経済産業省は、当然こういう経団連の態度は御承知だと思いますが、今後、経団連について、地球温暖化対策についてどういう協力要請をしていくつもりでしょうか。

市川政府参考人 まず、環境税といいますか温暖化対策税の問題につきましては、先生御指摘のような意見を経団連として対外的に表明しているということはあろうかと思います。

 ただし、経団連自身の温暖化対策問題に対する取り組みがどうであるかということでございますけれども、先生御存じかと思いますけれども、一九九七年から自主行動計画をやってきております。これは、一九九七年のときにおきましては、そのときの需給見通しなどによりますと、CO2の排出量が一九九〇年比で二〇一〇年には二〇%ぐらい国全体として伸びるのではないだろうか。そのような中で、経団連としましては、二〇一〇年の排出量を一九九〇年の水準以下に抑制する、それを自主的な行動のもとに行うということを掲げ、ここまで努力してきているという状況だと思います。

 政策的な意味から見ましても、自主行動計画でカバーする範囲は三十五業種ございまして、CO2の排出量で見ましても、産業部門の二酸化炭素排出量の約八割をカバーしているという状況でございますし、それから、地球温暖化対策大綱の中におきましても、省エネルギーにおける中心的な役割を果たすというふうに位置づけられているという状況でございます。

 この計画の実施状況でございますけれども、第三者機関などを使いまして経団連は毎年評価をしているわけでございますが、直近の二〇〇二年度の排出量につきましては、一九九〇年度比でマイナス一・九%の数字は一応出してきているという状況でございます。

 一方、我が省といたしましても、経団連の行いました自主行動計画につきまして、別途、その数字の信頼性とかあるいは透明性それから実効性を確保するという観点から、産構審それから資源エネルギー調査会の合同の小委員会をつくりまして、毎年それについてチェックしてきてございます。

 二〇〇二年度の数字につきましては、三月の十日にこの委員会を開きまして、その目標達成に向けた、一応総じて順調な進捗というふうに評価しております。当然、今後の動向等はあるわけでございますけれども、現時点におきましては、二〇一〇年においては一九九〇年比の水準以下というふうな目標でございますけれども、その目標は達成可能な範囲にあるというふうな評価がなされております。

 ただし、いずれにせよ、温暖化問題について経済界がさらになすべきことというのはたくさんまだあろうかと思います。

 先ほど申し上げましたように、物流の効率化の問題とかあるいは業務用の伸びだというようなものがございます。これらの分野につきまして、さらなる取り組みをしてもらいたいというふうに考えておりますし、一応、日本の産業はエネルギー源単位でいえば世界で最高の水準にありますけれども、さらにそれの努力、それから民生、業務用を念頭に置いた省エネ機器の自動車とかあるいは家電の開発普及というところであろうかと思います。また、このような努力ができるだけ社会的に認められるということも必要でございますので、対外的なPRも積極的にやるべきだ。

 以上のようなことは、先ほどの小委員会でも指摘がございました。我々といたしましては、このようなことを通じまして、その着実な実施、それから社会的な認知ということも推進できるようにしてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

鮫島委員 長々御説明いただきましたけれども、今までの説明と同じだと思いますね。つまり、私が最初に言ったように、森林の吸収源の問題にしても、あるいは原子力の新増設の計画にしても、当初と大幅に見通しが狂ってきている中で、新たな協力要請をする必要があるんじゃないかということで聞いたんですが、今の説明は、今まで言っている、各分野ごとに一層御努力くださいという話と余り変わっていないので、私は、そういう調子だと多分六%は全然見通しがないんじゃないかと思います。

 環境省側としては、どちらかといえば後ろ向きの経団連に対して、小池大臣からどのような協力要請をされるおつもりでしょうか。

小池国務大臣 日本経団連とは、奥田会長を初め多数の幹部の皆様の御出席を得まして、昨年十一月に環境省との懇談会を開催いたしました。そして、その際に、地球温暖化問題そして環境税、また大きなテーマであります経済と環境の両立、これは経済界側の御協力もいただかなければならないということで、意見交換の場を持たせていただきました。

 経済界は、今までの御質問などの中に既に御指摘ありましたように、日本経団連の環境自主行動計画でCO2削減へ取り組み、一定の成果を上げておられるということで、私どもも評価しておりますけれども、まだ業種によってばらつきもございますし、それから、計画を策定していない、そこから外れているような分野も業種もございます。ということで、排出量が増加している運輸部門、それからオフィスビルの業務、その他の部門でも取り組みを強化していただき、参加企業をもっと拡大していただく、それから、個々の企業の取り組みも含めた透明性そして信頼性の確保など、一層の取り組みをしていただきたい、このように考えているわけでございます。

 産業界、こうした私どもの考え方、また、これは国会で議決をして、温暖化に立ち向かっていこう、そういうことをお決めいただいているわけでざいますので、そういったことをベースにして、経団連との意思疎通をしっかりとった上で、今後とも必要な協力をしっかり求めてまいりたいと思います。

 私、先ほどからお話を伺っていて思うんですけれども、我が国というのは、突然のショックに対しては、みんな国を挙げて危機感を共有して大慌てで、そしてその場その場は非常にうまくしのげるんですが、この地球温暖化問題、それから最近のエネルギーの、原子力の問題にしても何か人ごとのようなところがあって、みんなのショックにつながっていないというのが、いわゆるゆでガエル理論につながるんじゃないかと思います。

 実は、地球温暖化問題はもうまさに待ったなしでありますし、今後の日本のエネルギーをどのような形でやっていこうかということを考えることも、これも実は待ったなしなんだろうというふうに考えておりますので、そういった観点の中において、これまでエネルギーのベストミックスというのは、中東からのものを回避しましょうとかそういったところだったと思いますけれども、むしろ環境を切り口にベストミックスを考えるべきではないかと私は個人的にも以前からずっとそのように思っている次第でございます。

鮫島委員 確かに小池大臣がおっしゃるように、ゆでガエル理論というか、どこかの対談でもおっしゃっていましたが、わからないんですよね。CO2が少し上がってきても、人間は感知する能力を持っていませんし、満員電車なんかが大体三倍のCO2濃度になっていて、千二、三百ppmになっていますけれども、別にぐあい悪くなって倒れる人はいないというぐらい温暖化ガスに対しては鈍感ですので、ぜひ小池大臣のような皮膚感覚に富んだ敏感な方が、いち早く温暖化ガス濃度の上昇を感知してもらいたいと思います。

 ちょっと経済産業省に聞きますが、これは、今の原発の進捗状況が行き詰まっているというようなこともあって、かなりきつい大綱の内容になるかもしれませんが、例えばそういう議論の中で、当然、炭素税の導入とか環境税の導入とかという話が出てきますけれども、経済産業省はそれに対して前向きなんですか。

市川政府参考人 温暖化対策税の問題につきましては、今の大綱におきまして、さまざまな観点からの検討を行うべきだということは指摘されております。我が国の経済に対する影響とかあるいは我が国の競争力への影響等、さまざまな観点を踏まえて議論すべきだというふうに言われているわけでございます。

 我々も、二〇〇四年の見直しの中でもって、そのような観点を踏まえて議論していきたいというふうに考えておりますけれども、先ほど申し上げました状況、例えば我が国の近隣である中国においては、現時点におきましては削減義務がかかっていない、あるいはアメリカにおきましては、まだこれは議定書に入っていないというような状況等を考えてみましたときには、やはりこの問題については、税金という議論を先に行うのではなくて、ほかにさまざまな手段があろうかと思います。そのようなさまざまな手段にどのようなものがあり得るかということについての議論を十分尽くした上で取り扱うべきじゃないかというふうに考えております。

 そのような意味においては、慎重に判断すべきじゃないかというふうに考えているわけでございます。

鮫島委員 地球温暖化対策あるいは産業とエネルギーのバランスという問題については、まさに私は、もちろん表は環境省が責任省庁ですが、非常に経済産業省の判断というのは大きいと思いますよ。環境税とかそういうインセンティブをつけなくてもいけるオプションが想定されていれば、今のような、経団連と同じような御発言もわかるんですが、国際的にも、環境省の人たちが温暖化対策税と言っているうちはまだまだこれは本当じゃないな、経済産業省で温暖化対策税が議論されるようになったらいよいよ日本も踏み込むぞというふうな見方もあるぐらい、経済産業省のビヘービアはこの地球温暖化問題について注目されていますし、経済産業省みずからも、では六%を達成できる手だては何かというのを提案する責任があると私は思いますよ。

 特に、エネルギーのベストミックスというのを、さっき大臣が言ったように、環境の側から見たベストミックスが何なんだということを提案すべきだと思うし、私がずっと言っているように、はたから見ても非常にガスエネルギーの利用のところがおくれているし、せっかく燃料電池自動車、家庭用の定置型の燃料電池では世界のトップを行きながら、このインフラの未整備という、はたから見ても明らかなアンバランスをなくす手だてを私は力強く打ち出していただきたいというふうに思います。今がチャンスかもしれないんですよね。道路公団の見直しもあって、ああいう高速道路の空間をどう使って幹線パイプラインを敷くかということも十分私は具体的に検討されるべきだと思います。

 三番目の、バイオエネルギー、バイオマスエネルギーの問題に移ります。

 これは、メタンでも同じなんですけれども、結局全部、水素をエネルギー源として使うときに、単体の水素というのは別に世の中に存在していませんから、何かとくっついて水素があります。今メタンが一番水素リッチな、水素をたくさん含んだ燃料ということになっていますけれども、バイオマスからつくるエタノール類にしてもかなり水素を含んだものという意味で、結局水素の持っているエネルギーを取り出して使っていくというのが新しい水素時代と言われているものです。

 これは、ちょっと一部誤解があるのは、水素エネルギーになったら温暖化ガスが全然出ないのかというと、そうではなくて、みんな大体炭素類とくっついていますから、そこから水素を離すときにCO2は出ますので、別にそういうところは、余りおかしな宣伝に乗せられない方がいいと思いますが、バイオエネルギーもそういう意味では水素エネルギーのもとになるものとしてなかなか使い勝手がいいものだと思います。

 新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法、俗に言う新エネ法の中で、バイオマスエネルギーというのはどのぐらいの重要なエネルギーというふうに見込まれているんでしょうか。これは、経済産業省に御答弁いただいた方がいいと思います。

藤田政府参考人 御指摘のバイオマスエネルギーにつきましては、先生おっしゃるとおり、太陽光発電とか風力発電と一緒に、新エネルギーの重要な柱の一つとしてその推進を図っているところでございます。

 平成十四年に、バイオマスを新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法に新エネルギーとして位置づけまして、技術開発、実証試験、あるいは地方自治体や事業者に対する支援措置を講じているところでございます。

鮫島委員 アメリカが地球温暖化に対して割合後ろ向きだというふうに言われていますが、実は、バイオエネルギー、バイオマスエネルギーの利用については断然世界をリードしていて、テキーラをつくる、糖をアルコールにする微生物がいるんですが、それの遺伝子を大腸菌に組み込んで、それで今まで使えなかった葉っぱとか茎とかという類を、テキーラをつくるときに使っていた酵素の働きで一気にアルコールに持っていくというのが二年前から始まって、二〇一〇年までにアメリカ全体のエネルギーの九%をバイオエネルギー由来にするというのが着々と今進んでいます。

 既に、トウモロコシの刈り取り機なんかも、大農場で、二つの出口があって、一つからはグレインの部分というか食べる部分がはき出されて、もう一つの口からは茎と葉っぱの砕いたものがはき出されて、二台のトレーラーがそれを拾って、もちろんグレインの方はえさ工場や何かに行きますが、葉っぱや茎の砕いたものはすぐそのままアルコールの発酵工場に持っていくというようなシステムも着々できている中で、私も、日本で百万ヘクタールの農地が使われていないというような中で、もっともっとこのバイオエネルギーの利用を図っていくべきだと思います。

 さまざまな形のバイオエネルギーがある。今言った農産廃棄物もあるし、林産の廃棄物もある。そういう中で、都会的に言えば食品廃棄物もバイオマスエネルギーの一つとしてあると思いますが、この食品廃棄物を使ったバイオマス発電なんというのも、経済産業省の中では推進メニューの一つに入っているんでしょうか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 平成十五年の四月に、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法という法律をつくっていただきまして、その中で、いわば電気事業者に新エネルギーで起こした電気の一定量の引き取りの義務をかけております。その中にはバイオマスも対象となっておりますので、先生の御指摘の食品廃棄物を含めて、バイオマスについてはその対象としているところでございます。

鮫島委員 今と同じ質問ですが、環境省の方は、食品廃棄物を使ったバイオマス発電は推奨する立場にあるんでしょうか。

加藤副大臣 バイオマスについては、バイオマスエネルギーということで、IPCCの第二次報告なんかでも、これは二一〇〇年を目指しての話でありますけれども、全体のバイオマス促進ケースについては半分近くまで行くであろうというふうに言われているぐらいですから、このバイオマスエネルギーについては極めて重要なエネルギーと考えなければいけない、手がたいエネルギーであるというふうに認識しているところでございます。

 また、二年前の二〇〇二年の十二月に、バイオマス・ニッポン総合戦略というふうに、これは閣議決定されておりますけれども、ここでも、バイオマスエネルギーについても十分な認識の中でしっかりと取り組んでいくということが書かれてございます。そういった面については、やはり今後積極的な対応をしていかなければいけないというふうに考えてございます。

 環境省といたしましては、循環型社会形成推進基本法の中で、例えば廃棄物の視点からでございますけれども、発生抑制や再使用、それから再生利用を推進することが極めて重要である、その上に立ちまして、なお残るものについては、食品廃棄物等のバイオマス系廃棄物を含めまして、発電による熱回収を行いつつ処理するものである、そういう大事な認識を持って進めている最中でございます。

 例えば、先ほど来から問題になっております地球温暖化対策推進の観点から考えてまいりますと、現在環境省は石油特会を持っておりますので、それを利用する形で、平成十五年度からは生ごみを利用した燃料電池の導入補助を行っているところでございますし、また、平成十六年度からは、バイオマスから水素を安定的に、かつ効率的に生産して燃料電池につなげていく、さらに処理残液についても有効利用する技術の開発へとその補助を実施する予定でございます。

 このほか、民生部門に対する省エネ対策といたしまして、バイオマスを含む新エネ対策によりまして二酸化炭素排出量を削減するということで、地球温暖化を防ぐ町づくり事業、すなわちこれは「平成のまほろば」まちづくり事業というふうに呼んでいるわけでございますけれども、こういう事業を推進する中でバイオマスエネルギーを積極的に利用していこう、こういう考え方に今立っているところでございます。

鮫島委員 ちょっと答弁が長いんですが、このRPS、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法のご案内」という中に、「食品廃棄物や農業廃棄物などのバイオマスである廃棄物による発電については、「バイオマス発電」として新エネ等電気利用法の対象になります」というふうなパンフレットがあるんです。

 もう一回経済産業省にお伺いしますけれども、食品廃棄物を含むバイオマスをエネルギー源として利用する場合に、今環境省が言ったように、まず循環型社会形成基本法に基づいてマテリアル利用を考えて、それが難しい場合に初めて発電利用が許されますよという立場ですか、経済産業省も。そういう指導でしょうか。

藤田政府参考人 なかなか難しい御質問でございますけれども、循環型社会を構築するというのもいわば大きな政策の柱でございまして、それとごみやバイオマスを燃やして発電に使うということを調和的に進めていくということが大事だと考えております。

 RPS法では、バイオマスなら何キロワットアワーあるいは風力なら何キロワットアワーというふうに数字の枠があるわけではございませんで、電力会社がそこは選択的に購入できるということになっておりますので、そういう制度に基づいてバイオマスの利用が図られていくと考えております。

鮫島委員 要するに、循環型社会形成基本法を狭く考えるか、もうちょっと広く考えるかだろうと思いますが、私は、バイオマスのエネルギー利用についてはもっと積極的に図るべきだというふうに思います。

 どっちにしろ、それをやらない部分は、では、バージンマテリアルの石油を燃して発電するのか、それとの対比で考えるべきであって、特にLCA的に考えたらナンセンスのような、難しい食品廃棄物を無理にだれも使わない肥料とか飼料にしてみてそこでエネルギー使ったりお金を使うよりも、私は上手に燃してサーマル利用する方が循環型社会形成基本法の理念にかなうと思いますが、どうも環境省はかたいというか、何かそこのところが、エネルギー利用を逡巡するという、なぜだかわからないんですがそういう立場が一貫している。これは公害省庁から発生しているものだから、いろいろな事故とかダイオキシンが出るとか余計なことばかり考えて、エネルギー利用ということをちゃんと正面から見据えていないんじゃないかという気がいたします。

 私はなぜこんなことを聞いているかというと、今食品事業者が大変困っている食品リサイクル法というのがあって、これがいよいよ二年後から二割減量が義務づけられる。このときの再商品化というところのメニューに全然電力とかエネルギー利用が入っていないものだから、えさにしなさい、肥料にしなさい、あるいは油にしなさい、それから例外的にメタンガスにしなさいというような四項目だけ決まっていて、それ以外の利用について政令でメニュー化されていないものですから大変皆さん困っている。

 大体わけのわからない政治家のパーティーの後の食べかすのようなものをうっかりえさにするわけにはいかないし、由緒のわからないものを肥料にもしないし、油脂や油脂製品はこれは多分LCA的に全く成り立たない、二倍のエネルギーを途中で使うでしょうし、メタンにしても結構ですが、結局メタンは燃すのでしょうという話になるので、上手に燃すバイオマス燃料化というようなことも私はぜひ食品リサイクル法の再商品化の中に入れてほしいというのをずっと要請しているんですが、なかなかそこはかたいんです。

 いよいよ地球温暖化、六%、国際公約が迫ってきて、あと四年しかありませんよという中では、少し趣旨を変えてもうちょっとこのバイオマスのエネルギー利用という間口を広げてもよろしいんじゃないかと思いますが、最後に、いかがでしょうか。

南川政府参考人 御指摘のとおり、食品リサイクル法それから循環基本法、そういう世界の中では、物から物へという再利用をまず優先する、その上でどうしてもだめな場合には熱回収あるいは発電に使うということでございます。

 特に、食品リサイクルの中では、困っておりますのが、幾つかタイプがございます、食品製造業、卸売業、小売業につきましては既に目標は達成しておりますけれども、実際に外食産業が現在の達成率が一二%ということで、なかなか二割に届かないということで苦しんでおられることはよく承知をしております。

 それから、私どもとしまして、その他のものにつきましては現在相当部分が燃やされておりまして、これがまた、新しい施設につきましては多くの部分が発電施設も備え持っているということで、そういう意味での利用はなされていると思っております。

 もちろん、食リ法上それをどう扱うかということにつきましては、現在の食リ法自身はあくまでマテリアルからマテリアルということでございますので、そのベースでその他の活用については考えるべきだというふうに考えております。

鮫島委員 今、外食産業の話が出ましたが、一方で、環境省は各企業に対して環境レポートの作成というのをこれから義務づけようと。そういう中では、みんな各業種とも努力している中で、そういうエネルギー利用というところをもうちょっと緩く認めてもらわないと、せっかくうまい使い方をしてもそれは環境レポートに書けないということが具体的な問題としてあるわけです。

 私、政治の立場にいてそこまでやるのは余り気が進まないんですが、今のようなマテリアルリサイクルにこだわるのだったら、では、こちらも、物別にLCA的にいかにエネルギーのむだ遣いになっているかということを逆にこっち側から証明しなくちゃいけないので面倒くさいんですよ、余りそちらがそれにこだわると。だけれども、そう言うからには次のときには私の方もそういう理論武装をして臨みます。

 最後に、小池大臣の方からひとつ、バイオマスエネルギーの利用促進について。

小池国務大臣 先ほども、環境という切り口でエネルギーのベストミックスを考えるべきではないかということも申し上げました。もっとも、原子力発電というのがその意味では、環境の観点からは非常にいい分野ではあった。これからの大きなエネルギーはどうあるべきかという、まさに戦略的な計画を立てていかなくちゃいけないというふうに考えております。

 その中で、バイオマスというのも非常に有望な、有望なというか、かつての日本の燃料というのはひょっとしてバイオマスだったのじゃないかな、しゃれた名前になっているだけであって、それから新たなテクノロジーが加えられているということなんでしょうけれども。

 ですから、いろいろなエネルギーということ、新エネ、代エネ、そういったいろいろなエネルギー源をしっかりと育て、かつ活用できるような努力をしてまいりたいと考えております。

鮫島委員 どうぞ大いにエネルギーを発揮していただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小沢委員長 この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十二分開議

小沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 三月二日の環境委員会に引き続きまして、旧日本軍の毒ガス弾につきましての質問をさせていただきたいと思っております。

 前回、防衛庁の防衛研究所図書館で所蔵している化学兵器そして化学戦関係の資料公開につきまして、北原官房長の方から、「化学戦研究史」等の四件は既に公開のために防衛庁内の審査を終えて公開されているというお話でございましたね。そして、残る二件の「歩兵第二百二十四聯隊冬期山西粛正作戦戦闘詳報」と「化学兵器と国際法」、この二件が、公開審査は終了していないけれども、これはいずれ公開扱いになるということで理解をしておいてよろしいですね。

 もう一件、最後一件だけ残っておりました「化学兵器に関する回想」についてですけれども、こちらの方は、執筆等を依頼された方に公開許可のお伺いを立てていらっしゃるということでしたが、この確認はいいと思います。

 では、一体いつまでにその残り、公開されていない部分をお示しくださる段取りになっているのか。また、改めて、もう既に公開されている資料を、いずれ、後日でも結構ですので、手元にちょうだいしたいと思っているんですけれども、最後、まだ公開扱いになっていない二件と、それからお伺いを立てていらっしゃる一件、これはどういうスケジュールになっているのか、防衛庁の方からお示しいただけますでしょうか。

北原政府参考人 田島委員に御答弁申し上げます。

 三月二日の時点で私が申し述べました点、確認の意味を込めまして、もう一度御答弁申し上げます。

 既に公開をいたしておりますものは、先生の御指摘はトータル七件資料があったかと思いますが、四件でございます。これは「化学戦研究史(案)」というもの、それから「化学兵器傷病論」、三つ目が「海軍勤務回想 化学兵器の研究」……(田島(一)委員「中身はわかっているからいいですよ」と呼ぶ)よろしいですか。

 それでは、今公開しているものが四件、それから三月二日の時点ではまだ公開審査を終了していないということで非公開扱いとさせていただいたものが二件あると申しましたが、そのうちの「化学兵器と国際法」、これにつきましては、三月二日以降、公開審査を終了いたしております。ただ、この「化学兵器と国際法」につきましては、執筆を依頼して作成したものでございまして、現在、受託者の、執筆者の公開許可の伺いを立てているところでございます。したがいまして、公開審査を終了しておらず非公開というものは、残りの一件だけになるわけですね。

 それから、三月二日の時点で公開審査を終了し、受託者の公開許可を伺っているものというのが、先ほど先生もおっしゃいましたが、「化学兵器に関する回想」という一件ございました。それに今の一件を足しますと二件でございまして、「化学兵器に関する回想」につきましては、まだ御許可をいただいておりません。

 いずれにいたしましても、七件のうちの公開されているもの四件を除く他の三件は、結果としては今まだ公開されておりません。しかし、我々としては、鋭意手続を急ぎたいと思っております。

 なお、先生、三月二日からの議論の継続で恐縮でございますが、ちなみに、今の非公開の状況にある三件につきましては、日本国内におきます毒ガスの保有ですとか廃棄だとか、そういったこと等の状況についての記述は含まれてはおりません。

 それから、せっかくの機会でございますので、今の公開あるいは非公開の取り扱いに加えまして、先般それを、資料の環境省等への提供はどうなっているかという累次の御質問があったかと思いますが、それについてちょっと敷衍させていただきますと、七件のうちの四件、公開されている四件につきましては、環境省に三月八日の日に提供させていただきました。

 済みません、もう一件。恐縮ですが、もう一件、一緒にちょっと御答弁させていただきたいと思っていますが、三月二日の席上、「本土決戦準備 關東の防衛」という御指摘があったかと思います。その際、私、それをちょっと確認させてくださいという御答弁を申し上げましたが、その資料が防衛研究所には確かにございます。そして、この資料も、先ほどの四件とあわせまして、三月八日、環境省に提供をさせていただきました。

 以上であります。

田島(一)委員 ありがとうございます。手間が省けました。本当にありがとうございます。環境省にお伺いしようと思っていたのが実はその件だったんですけれども、では、もう既に来ているということですね。

 それでは、その「本土決戦準備 關東の防衛」の中身に独立混成第百十五旅団長相葉健少将の戦後手記というのが引用されて、その当時の部隊の配置図等が随分明らかにされているかと思います。これも図書館に所在しているのかどうか、公開のための審査に付するおつもりなのかどうか、戦史資料として開示の手続を進めていただいているかどうか、その辺、ちょっと御回答いただけないでしょうか。

 資料というのは、必ずしも出していただいた資料だけが頼りになるわけではないと思います。先ほど申し上げたとおり、それの元資料になっているのは何か、そういう原本、原本をどんどん追求していくことで当然調べ上げていかなければならない真理解明だと思いますが、今申し上げた独立混成第百十五旅団長相葉健少将の戦後手記、これはあるのかどうか、お答えください。

北原政府参考人 御答弁を申し上げます。

 「本土決戦準備」の中で、その参考とした資料ということで引用されておりますのが、先生御指摘のように独立混成第百十五旅団長相葉健少将の戦後手記という名前が載っておりますが、これは防衛研究所所蔵の戦史資料ではございません。これは、第三者から借り受けて参考にさせていただき、また返却したということでございますので、繰り返しになりますが、防衛研究所にはございません。

滝澤政府参考人 防衛庁からいろいろ、委員から御指摘のありました資料の提供をいただきました。

 そこで、資料の内容を私どもなりに詳細、確認をしたところでございますが、旧軍の作戦計画等の戦史に関する記載がほとんどでございまして、残念ながら、毒ガス弾等の廃棄場所に関する情報は見当たりませんでした。引き続き、情報センター等を通じて、鋭意、追加情報は確保をしてまいりたいと思っております。

 若干かみ砕いて申し上げますと、「本土決戦準備」という関係の資料で申し上げますと、現在の神栖町の配置図と、それから当時の展開していた部隊の大まかな配置図がございます、これを重ね合わせてみますと必ずしも符合しないということもわかりましたし、念のため、我々、この全国調査をまとめる際に、専門家の助言グループという、この分野に造詣の深い専門家に集まっていただいておりますが、その助言グループの中でもこの分野に詳しい方に一緒に見ていただきました。その専門家の見解によりましても、この図だけからは汚染源を絞り込むことは困難ではないかという御意見をいただいておるところでございます。

 以上でございます。

田島(一)委員 わかりました。

 ただ、資料というのは表に出てこないと、本当にそれが毒ガス弾に関する記述があるかないかというのは我々にもわからないわけですね。防衛庁の方で記述はないとおっしゃっていただいても、それをやはり表に出していただいて、調べていただく。先ほど部長がおっしゃいましたように、実際に当てはめてみて、専門家に見てもらったら、やはりこれは使えなかったということがわかったわけです。だけれども、出てこなければ何にもわからないというのが資料の難しいところでして、防衛庁が本当に協力してくださっているのかどうかというのは、その点、非常にわからない部分なんですね。

 まだまだこれから、多分いっぱい資料があるんだろうと思うんですけれども、それ以降、防衛庁を初めとして数多くのほかの省庁からも、いろいろな資料の提供等を環境省の方は受けていただいているんだろうというふうに思うんです。本日、ちょっと時間がございませんので、一々それを挙げていただくのは不適切ですが、後日、三月二日以降、新しい資料、どんなものが手に入ったのか、内容等について、記載をまたお示しいただきたいと思いますので、御指示をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、官房長に引き続いてお願いしたいんですが、フォローアップ調査報告書の最も重要な資料ということで、化学者担当ノートというものがございます。こちらの方の作成資料についても前回お伺いしたんですけれども、その前に、御答弁の中でおっしゃってくださったのが一つありました。今後毒ガス弾が発見されたら、掘削、運搬、そして保管、処理などに、積極的に防衛庁も協力していくという御答弁でしたけれども、これは、ガス弾の最終処理段階で自衛隊が関係していくというふうに理解をしておいてよろしいんですね。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 防衛庁といたしましては、この毒ガス弾等の問題につきましては、政府の一員として、政府一体となって連携を図ってやっていきたいと思っております。

 そうした中で、私申しましたように、仮に毒ガス弾等が発見された場合におきましては、こうしたものにつきまして知見がありますのは防衛庁・自衛隊、こういう知見を持っておりますので、そうしたものを生かしまして、環境省が警察庁あるいは消防庁と連携して行います、今先生御指摘の、掘削ですとか運搬、保管あるいは処理などに積極的に協力してまいりたい、自衛隊としてできる限りの協力をしてまいりたい、そのように考えております。

田島(一)委員 そういう場合、自衛隊を出すとなれば、当然、指示、命令は文書で手続をされるんだと思うんですね。そういう場合、自衛隊を毒ガス弾の処理段階で派遣をしていく、そういうときに、文書の決裁の流れ、つまり、作成された文書、それはどういうふうに今後保管をしていくというふうに決まっているのか。その辺、ちょっと教えていただけませんか。

北原政府参考人 御質問の趣旨を若干、正確にとらえているかどうかわかりませんが、私ども、自衛隊が行動しますときには、しかるべき手続を、法にのっとりまして、防衛庁長官等から各種行動を命ずることになっております。

 いずれにいたしましても、それの部内的な決裁手続等は、文書管理規則その他に従いまして、きちっと整理整とんをしていくことは当然のことでございます。

田島(一)委員 今、文書管理規則とおっしゃいましたけれども、そういう指示、命令等についての文書の保管期間はどうなっていますか。

北原政府参考人 今ちょっと手持ちに規則等持ち合わせておりませんけれども、これは、命令あるいは書類、種類によりまして期間等がそれぞれ異なっているところでございます。

田島(一)委員 恐らく、大事な書類、資料等でありましたら、一定の期間の保管というのは規定されているんだというふうに思います。

 ところが、この間、この化学者担当ノートの資料については、歴代の担当者が整理した文書で、平成十四年の六月に整理した段階では、原本は既に廃棄されたもの、まことに残念で、事実関係の確認は極めて困難な状況というふうにおっしゃっていらっしゃいます。

 一定の文書管理規程というものがありながら、こういういわゆる過去の大戦の史実を明らかにしていくという上では非常に重要な資料等については簡単に廃棄をされてきた。何か随分矛盾があるように感じるんですけれども、例えば神栖においても、それから寒川においても、情報の公開、非公開というのが国民の命、健康を優先して行われていくというのであるならば、事故も未然に防ぐことができたのではないかというふうに思われるわけであります。

 それだけに、重要な資料がまだまだあるのであろうというふうに我々素人でも想像してしまうんですが、それが簡単に廃棄されてしまうということを考えると、防衛庁自身がどのような文書管理規程を持っていらっしゃるのか。また、そのことによって、環境省が出してくれとお願いを謙虚にされても出してもらえないという事実を、この間の御答弁の中にもありましたし、きょうも松本委員から御指摘をいただきました。

 その辺について、防衛庁さんは一体どのようにお考えなのか。廃棄に至る判断基準等について、もう一度明らかにお示しいただけないでしょうか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 私ども防衛庁といたしまして、所有している資料等につきまして、今先生御指摘のような問題等に重要性を認識しておりますので、提供できるものにつきましては、これはすべて提供していきたい、そのように考えているところであります。

 今先生御指摘の化学者担当ノートでございますが、これは確かに、三月二日に御答弁申し上げたとおりでございますが、整理したものは平成十四年六月でございます。しかし、中身的にはたくさんのものを集めておりまして、一番古いものでは昭和二十六年当時のものが入っていたとかということでございまして、決して私ども、文書管理規則等をないがしろにしているとか、いいかげんな取り扱いをしているとか、そういったものではございません。

 防衛庁・自衛隊におきましては、きちっと定められた期間、文書を確保すべきものはきちんと保管し、その期間等を過ぎたものについては廃棄していく等でございます。

 いずれにいたしましても、私ども、繰り返しになりますけれども、防衛庁・自衛隊として、この毒ガス弾の問題等は、負の遺産ということで、政府全体として、またその一員として、本当に真剣に取り組んでいかなければならないと考えております。

 したがいまして、あることを隠すとか、そういうことは全くございません。あるものについては提供していく、そのように考えておりますので、ぜひともこの点、御理解を賜りたいと思います。

田島(一)委員 確かに、古いのは二十六年のものがありますよね。でも、新しいのは、平成に入ってからの文書だってこれは入っているんですよ。それでもやはり廃棄したとおっしゃるんですか。余りに無責任と違いますか、それは。それだったら、この前の答弁を撤回するか何かやはりするべきだと思いますよ。その辺のことをしっかりと御表明されないから、防衛庁は隠しているんじゃないかという疑いの目を持たれてしまうんです。

 この辺、今御答弁はいただきませんけれども、どうぞ、本当に、今おっしゃったように、防衛庁が何でも出すんだという姿勢をやはり示してくださらなければ、環境省にとっても仕事ができない。それから、この後で連絡会議のお話をちょっと申し上げようと思っているんですけれども、連絡会議自体が本当に機能するかどうかも、情報開示が大前提になっているということを十分御認識いただきたい、これが私どもの一番の願いであります。情報があって、初めて行動がとれる、ましてや、どこに埋まっているかがわかるわけでありますから、そのあたりを十分に本当に御理解いただいて対策をしていただくようにぜひお願いしたいと思います。

 さて、関係省庁の連絡会議について環境省の方にまずお伺いをしたいと思っております。

 平成十五年十二月の閣議決定で、国内における毒ガス弾等に関する関係省庁の連絡会議がその翌日、十七日には発足して、初会合が開かれております。何のために連絡会議が持たれるようになったのか、どんなことをされているのか、この辺について、一回目の会議の、幹事会の内容の議事録等を見させてもらったんですけれども、国交省の所管の敷地の中では国交省が調査をし、その周辺については環境省がやるというように、この間も大臣が、それぞれの担当を分割して政府一丸となって取り組んでいくとせっかくおっしゃっているにもかかわらず、残念ながら、ちゃんと持ち分を分けてというのか、一体感というものがなかなか見られない、そんな実情が報告をされています。

 さて、その辺を考えると、この連絡会議というのが今後どのように機能していくのかが非常に重要だというふうに思うんですけれども、大臣の方でお考えがありましたらお聞かせいただきたいのと、その後で、内閣官房の方にも、ぜひ、この連絡会議で具体的な進捗というものがあったのかどうか、そして、これからの役割分担、また、会議の内容であるとか開催のスケジュールについて、概略をお示しいただけますでしょうか。

滝澤政府参考人 今御指摘のように、閣議決定に基づきまして、翌十七日に第一回の局長級の連絡会議が開かれております。これは内閣官房招集で開かれているわけでございますが、この間の全国調査をまとめた結果、さまざまな事案が、百三十八事案特定されました。さまざまな形で、今おっしゃるように、若干、縦割り的な要素はもちろん否定しませんが、それぞれの役割分担を持って対応していく、あるいはしてきた経緯がございました。

 そうしたことを踏まえましても、なおかつ、政府一丸となって、そのすき間を埋める、あるいは連携を強化する、自治体との連携も深める、処理をどうする、各段階段階に応じて各省庁がどういう役割分担をするかということを閣議決定で逐一決めていただいたわけですから、それを踏まえての局長級の会議と、それぞれ認識を持っていただいて一丸となって対応していく、そういう趣旨の会議であるというふうに環境省は認識しております。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 この連絡会議でございますが、第一回目の会合を十二月の十七日に開きました後、具体的な検討を進めるために、一月の二十八日、それから、御質問をいただいた後、三月の十六日でございますが、合計いたしますと、大体おおむね月一回のペースで開いております。

 具体的な検討に入っておりまして、三月の十六日につきましては、毒ガス弾等が、あるいは毒ガス弾等のおそれのある物体が発見された場合の緊急対応について議論いたしまして、議論を進めていきました。

 それから、これからは、今までも進めてきたわけですが、各省ばらばらの取り組みにならないように、神栖、平塚、寒川、習志野といったところで環境調査を進めておりますけれども、その環境調査の進め方についてのフォローアップをする。

 それから、具体的に、環境調査の方法、それから土地改変の際の指針、こういったものを、共通のものを持とうということで議論を進めていこうというふうに考えております。

 おおむね今までと同じようなペースで、この連絡会議、具体的には幹事会で実務的にはやりますので幹事会を開いてまいりますが、もちろん、その間にも、内閣官房は環境省それから国土交通省と日々連絡をとっております。そこで議論をしながらやっております。引き続きやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

田島(一)委員 では、ちょっと資料を配っていただきたいんです。

小沢委員長 では、資料を配ってください。

田島(一)委員 フォローアップ調査報告書に挙げられている、毒ガスと思われるものからの被災をリストアップさせていただきました。これを見ると、六十四件もの案件が出てきております。

 実際に、これを一つ一つお伺いしたいところでありますが、時間もございませんので、後日で結構です。どのような省庁がそれぞれの案件について対応したのか。二つ目に、旧軍の化学兵器と思われるものをどのような方法で処理したのか。三つ目に、被害者への補償など対応がどう行われたのか。四つ目に、被害者の現状はどうなのかを、ぜひ、一覧にでもしていただきまして、内閣官房から御報告をいただきたいというふうに思いますので、ぜひ委員長のお許しをいただきまして、御教示賜りますよう、お願いしたいと思います。――よろしいでしょうか。

 では、次に、平成十五年六月五日付の読売新聞の記事によりますと、旧日本軍が遺棄した毒ガス兵器によって民間人が死傷する事例というのはその当時からたびたび起こっており、随分古いんですけれども、戦後から一九七二年までに四人が死亡し、百二十九人が負傷をしていらっしゃいます。

 千葉県の銚子沖で、底びき網漁船の網にかかったイペリットの毒ガス被害で漁船の乗組員十人が重傷を負っておりますけれども、その十人に払われた医療費は千葉県から支払われております。政府からではありません。一昨年九月の寒川町での事件については、被災された方には労災による補償で医療費と保健手当等が支給されています。一方の神栖の事件では、環境省が、今後の医療費と、よくわからないんですけれども、医学研究への協力金という形でとりあえず救済を図ってこられています。

 このような感じで、政府一丸となって分担し合いと言い方を変えれば聞こえるのかもしれませんが、分散し合って、リスク分散をしていらっしゃるような、そんなニュアンスにも受けとれる、ケースごとに違う省庁がそれぞれ対応して、救済もばらばら、一貫した対応がなされていないという状況が表に出てきていると思うんですけれども、この先、果たしてこのままでいいのかな、連絡会議がこれから月一回ペースで開かれるということですけれども、本当に機能的にできるのかな、そんな不安を随分持たせていただいております。

 やはりここは、こうした戦後の後始末について、被害が出てきた場合に対しては、一本化した法律をつくって、それに基づいてしっかりと対応する、そういう姿勢が求められるのではないかというふうに思いますが、そのことについて、内閣官房、どのようにお考えか、お聞かせください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の閣議決定につきましては、被害の未然防止ということから、主として対策を、各省庁連携して、かつ分担してやっていくということで閣議決定したものでございます。

 先ほど御指摘の、いわゆる被災者が発生した場合の対応につきましては、これまでも個々の事案に応じまして、先生御指摘のように、労災保険法、あるいは神栖のように、まだ毒ガス弾かどうかわかりませんけれども、閣議了解に基づく措置というのを講じてきたわけでございます。

 将来、万一、毒ガス弾等による被害が発生した場合には、やはり個々の事案の状況に応じて検討する必要があると考えております。被害の状況、被害の内容を調査、把握した上で、事案に即して対応していきたいというふうに考えております。

 それから、御指摘のありました法案ということでございますが、今は、その対策につきまして、閣議決定に基づいて、フォローアップ調査の結果を踏まえて、政府一体となって取り組んでおるわけでございます。その具体的な対応を見まして、法案の対応についてはさらに考えていく必要があるだろうというふうに考えております。いわゆる補償という話かと思いますけれども、その点についても将来の検討課題として考えていきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 もう時間がございませんが、最後、その後の毒ガス情報センターのことについて環境省の方にお伺いしたいと思っております。

 情報公開の具体的な方策と、それから設置後の情報提供の状況、この辺についてちょっとお示しをいただきたいのと、昨年十一月のフォローアップ調査をさらにフォローアップして公開する必要性、またその予定の有無についてどうなっているのか、この辺をちょっとお示しいただけますでしょうか。

小池国務大臣 毒ガス情報センターは、昨年の十二月十六日に閣議決定された翌日に設置をいたしまして、そこをベースに引き続き情報収集に努めているところであります。

 現時点ですが、毒ガス情報センターに個別情報として直接寄せられた情報は八件になっております。ちなみに、三月二日にこの環境委員会で同じくこの問題について御質問いただいたときにお答えしたのは五件だったということで、この一カ月足らずの間ですけれども、三件新たに情報が寄せられているということとなります。

 それから、直接情報センターに寄せられている情報以外の個別事案に係る情報についても、環境省の職員が出向きまして、これまでに二十七事案についての現地調査を行っております。同じく三月二日の時点で、お答えしたかどうかちょっと忘れましたが、そのときの事案の件数については十九とお答えしておりますので、この間にも八事案の現地調査をさらに行っているところでございます。

 それから、情報公開ですけれども、資料の閲覧を御希望する方に対しては、環境省の情報公開室が二十五階にございますけれども、そちらの方で、プライバシーに配慮しつつ、フォローアップ調査に関する原資料を閲覧できるようにしております。

 先ほどからお話を伺っておりますけれども、関係省庁、そしてまた自治体、さまざまございますけれども、それぞれが協力をしつつ、今回取りまとめた各種の事案についても追加的な情報収集に努めて、さらには専門家の御意見も伺う、それから寄せられた情報についてもそれも吟味をするといった形で、しかるべき時期に中間的な評価をした上で公表したい、このように考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 やはりこうして横断的なやり方をしていると、本当にどこが中心になっていくのかが非常にわかりにくくなってまいります。事案が非常に深刻な問題であるだけに、被害をこれ以上広げない、未然に防止していくという観点からすれば、連絡会議等の開催も一カ月に一回のペースというのが果たして本当に適切かどうかということも非常に問題があろうかと思います。神栖の事案ももちろんですけれども、それ以外にでもまだまだ埋まっている事案がいっぱいあります。どうぞ、ペースを上げていただいて、国民の不安、そして危険回避、そういった問題に本当に前向きに取り組んでいただくように、各省庁が真剣になってやっていただくことを切にお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 先日、環境大臣に申し入れをさせていただきましたメソポタミア湿原の復元支援につきまして質問をさせていただきます。

 このメソポタミア湿原は、チグリス川とユーフラテス川の合流地域に広がる湿原で、日本では四国の面積と言われておりますが、二万平方キロメートルにわたっておりまして、メソポタミア文明の発祥の地であり、人類の貴重な遺産と言われてまいりました。

 しかし、今はそのうち約九三%を消失したと言われております。その要因は、上流のシリア、トルコ、イランという国々がダムの建設をしたこと、もう一つが、旧フセイン政権が九〇年代、シーア派などの反政府勢力を一掃するために戦車などを乗り入れられるようにとダムと排水路を建設し、流水をせきとめてしまいました。その結果、大半の湿原が消失し、三十万人と言われる人々が強制移住を強いられたとも言われております。

 かつて生命の宝庫、またエデンの園、ガーデン・オブ・エデンと呼ばれたこの湿原地帯は、今や砂漠化し、塩分が浮き出ております。四百種類と言われる鳥類やまた魚が絶滅の危機に瀕し、早急に具体的な保護、回復措置をとらなければ、三年から五年ぐらいで湿原は消滅するとも言われております。

 国連のUNEPは、二〇〇一年、警告的レポートを発表いたしました。また、二〇〇三年に京都で行われました世界水会議でもその緊急性を提議されております。まさに人類最悪の人為的環境破壊である、このように指摘をするアメリカの専門家も多くおります。

 この湿原の復元につきましては、イラクに対する我が国の自衛隊の人道支援とともに、環境の面からも、また雇用の創出という面からも注目されるところでございます。

 公明党は、この復元支援をいち早く取り上げまして、二月には、浜四津代表代行、遠山参議院議員らが現地を視察し、政府に要請をいたしました。そして、三月十八日、全国五百五十一万人という多くの青年たちの署名とともに、政府並びに環境大臣に申し入れをしたところでございます。私もその申し入れに参加をさせていただきまして、その際、小池大臣より、アラブ諸国の環境大臣の方たちをみずから招待され、環境セミナーを先週開催されると伺っておりました。そこにはイラクのカリーム暫定環境大臣も参加されたようですが、メソポタミア湿原の復元につきまして何か要望や具体的なお話があったのかどうか、まず大臣にお伺いをしたいと思います。

小池国務大臣 イラクのカリーム環境大臣、日本・アラブ環境大臣セミナーのために先週来日をされました。直接お目にかかり、またバイの会談もさせていただきましたけれども、非常に実務家でいらっしゃいまして、環境の対策については非常に精通された方だという印象を持ったところであります。そして、イラクにおける環境の状況の説明、そして日本を含みます国際社会に対する要望などを伺ったところでございます。

 御要望は非常にたくさんの分野にわたりました。イラクの環境省、これまでは環境省ではなかったんですけれども、CPAなどの後押しもあって今回環境省になったということで、戦争後に立ち上げられたばかりであります。職員の人材の育成が大きな課題だということをおっしゃいました。ちなみに、今、イラクの環境省の職員は約六百五十名で、その半数は女性だということでございました。

 また、イラク国内の環境モニタリング体制の整備が必要である。この辺のところからして、私は非常に実務的な判断をなさる方だなというふうに感じたわけでございますけれども、中央の分析施設のみならず、北部、中部、南部それぞれにも分析の施設を整備したい。

 具体的な活動内容としましては、ごみの問題、水処理の問題、そして、アフワールと呼ばれますけれども、メソポタミア湿原の保全などを項目として挙げられたところでございます。

 この湿原の保全に対してどういうことを今やっておられるのか、お考えはと私の方からただしましたところ、イラク国内では、主に水資源省を中心として、環境省、農業省、文化省、地方自治体等がそれぞれ連携をして協力する、そして水資源省が水量の問題を担当して、環境省は水質の担当をするんだということをおっしゃっておられました。

 そして、我が国に対しては、この湿原におきます水質の改善、そして生物多様性の保全についての協力をよろしくという旨のお話を直接伺ったところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 この復興支援につきましても、既に今お話ございましたように、日本にもぜひ協力してほしいと表明されておりまして、これについては、小泉総理も、また小池大臣も、かねがね、地元のイラクの人々が望むのであれば、これが前提条件であるというお話が当初からございました。

 今、もう既に最近では、三月二十日と聞いておりますけれども、イラクの国内で、マイサン・マーシュ・アラブ評議会、地元住民の声を吸い上げるためにこの評議会ができたそうで、恐らくこれが今お話があった、それぞれの要望を吸い上げる、モニタリングという、ここに当たるのかと思いましたが、そこに初めて数百人の湿原住民が参加をして、湿原についての要望を聞くことができた、こういう話も伺っております。

 そういう意味では、あくまでも今の統治機構の段階でございますけれども、イラク政府が望むのであればというこの条件、これはクリアしているというふうに認識をしておりますけれども、よろしいでしょうか。

小池国務大臣 イラクのこれからの政権の樹立であるとか、まあ政府というのを何をもってするのかという、まだまだいろいろと段階もあろうと思っております。ただ、現地の方でそのような会議を開かれたということは承知をいたしております。

高木(美)委員 段階的にこれから、統治機構、それから暫定政府、また新政府等へ移行していくかと思いますけれども、やはりこうした湿原の復元につきまして、手早く検討を重ねていくという準備も大事であるかと思っております。

 そこで、まず外務省にお伺いをいたします。

 このメソポタミア湿原の復元支援に関連しまして、諸外国ではどのような取り組みをされているのか、また、外務省御自身はこれからどのような取り組みをされようとしているのか、御答弁をいただきたいと思います。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、このメソポタミア湿原の回復に関しまして、どのような支援ができるか検討する過程で、関心を有する各国政府、国際機関、NGOとの間で、情報収集、意見交換を行ってまいりました。先日、イラクのカリーム環境大臣が来日されたときには、川口大臣もお会いになって、意見交換を行っている次第であります。

 お尋ねの各国の取り組みでございますけれども、私どもいろいろな国と接触をしておりまして、特に積極的であるという国について申しますと、例えば米国でございますが、米国政府は現在までに、現地の土壌や水の採取、分析を初め、周辺住民へのインタビューを実施しながら、現地事情を把握する調査活動を行っておりまして、今後、これらの調査活動をもとに、同地域住民が自立可能になるための農業と漁業の振興を中心とした支援を行っていくというふうに承知しております。

 また、イタリア政府でございますけれども、この湿原の再構築にかかわる環境モニタリング、給水事業などを実施予定と承知しております。このほか、英国とかドイツなども関心を示している次第であります。

 我が国といたしましては、これらの国々を初めとする国際社会と協調をし、またイラク側と十分なすり合わせを行いながら、協力を検討していきたいということでございます。

 外務省としては、まず、環境分野の能力強化や、メソポタミア湿原を念頭に置いた水管理技術などに関しまして、UNEPが行うプロジェクトをイラク復興信託基金を通じて支援することを検討中でございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 当初、イラク国内はまだ治安が安定しておりませんので、調査も当然十分ではありませんし、また、日本からそこに派遣できるわけでもございませんし、また、今大臣からお話ございましたように、正式な政府ができていないわけですので、どこを窓口にしてという課題も多くあるかと思います。しかし、専門家があと三年から五年で消滅するかもしれないと言うこの湿原につきましては、このままではどんどん消滅に向かっていくことになりまして、待ったなしの状態ではないかと思います。現在は統治評議会によって統治をされておりますけれども、六月には選挙が行われ、そうしましたら、イラク人に統治権限が移譲され、イラク人による政治が行われ、話し合いも可能になってくるかと思います。

 今お話ございました、アメリカの積極的な取り組み、また各国の取り組み、そうした各国のデータや取り組みを総合しまして、やはり新政府成立と同時並行で国際社会による復元への道筋を立てていけないか、このことを模索したいと思っております。このことにつきまして、外務省に御答弁をお願いいたします。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 この湿原の問題でございますけれども、委員御案内のとおり、国際的な関心も呼んでおりますし、また二万平方キロメートル以上の領域であるということで、また支援のニーズも、環境とか水資源、農業、漁業振興、あるいは圧迫された住民の帰還など、いろいろ多岐にわたっておりまして、この事業を有効に推進するためには、国際社会でパートナーシップを組むということがまず基本であろうというふうに考えております。

 そういう観点からは、先ほど環境大臣からも御答弁がございましたとおり、イラクの水資源省の中にイラク湿原回復センターなるものが設置されておりまして、水資源省と環境省が中心となって取り組みを始めたところというふうに承知しております。そういう意味では、このイラクの政府、これから統治権限の移譲などがございますけれども、それを骨格として国際的なパートナーシップを組んでいくということが重要と認識しております。

 我が国政府の取り組みについては、先ほど、国連環境計画を通じたプロジェクトについて御答弁申し上げましたけれども、治安の問題などの懸念がございますために当面はそういうことでございますが、この状況が改善されるということであれば、関係国、国際機関などとも連携し、我が国の持つ知見をより活用した二国間支援の実施も検討していくという形でできるのではないかというふうに考えている次第であります。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 この湿原を復元するためには、恐らく莫大な予算と、また専門的技術が必要になるかと思います。そういう意味では、国際社会の協力があった方がやはりスムーズに実現することもできるのではないかと思います。先ほど、また今、局長からお話ございましたとおり、各国がそれぞれ動き出しております。国際的パートナーシップというお話もございましたが、やはりこのときに日本政府としましてぜひリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 そこで、環境大臣にお伺いしたいのですが、大臣は、国際社会を巻き込んでのこうした復元への道筋をどのようにお考えでしょうか。例えば、取り組みを計画していらっしゃる国々に集まっていただいて国際会議を開催し、協議を重ねていくこともできると思います。このような日本の主導によりまして国際会議が開催できますように、外務省また官邸とも連携を図りながら努力をしていただきたいと思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

小池国務大臣 この湿原の保全に関しましては、既に国際的な枠組みによる会議がこれまでも開催をされております。今月、ローマでイラクの環境に関する多国間会議が開催されまして、日本からも外務省、環境省、それぞれ出席をしているところでございます。

 ローマの会議で、引き続き対イラク環境支援に関しての情報を共有するということ、それから、次の会議をイラクの近隣国で開催するというようなことが確認、そして検討されたと聞いております。このような国際的な枠組みの中で日本としてどのような協力ができるのか、外務省とも連携をしながら考えてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 先ほど外務省の局長より、二国間支援もできるというお話もいただきました。また今、大臣から、こうしたイラクの近隣国で会議が開催される等のお話も伺いました。日本は世界各国からさまざまな自然資源の恩恵を受けながら今の豊かな生活を保っております。やはり、世界に対してこの恩恵にお返しができるいい機会ではないかと思っております。人類の遺産を守るという大変環境的な要素、また文化的な要素、こうした日本のイメージというもの、こうしたことをリーダーシップをとっていただきながらぜひ高めていただきたいと思います。

 まして、今、小池大臣はアラブの専門家で、中近東地域の専門家でいらっしゃり、また川口外務大臣はかつて環境大臣をしていらっしゃいました。こうした大変意識の高い大臣がいらっしゃるこのときに、私はぜひ積極的に進めていただきたいと思います。

 ただ、こうした支援事業といいますのは、自然は破壊するのは一瞬ですけれども、もとに戻すには長い時間が必要と思います。今、環境省としましても、有識者による検討会を設置し、検討されていると伺っておりますが、この検討会の経過状況なども踏まえまして、大臣の今後の決意をお伺いできればと思います。

小池国務大臣 冒頭に御紹介いただきました、今回の日本でアラブの環境大臣を集めてのセミナー、本当に多くのアラブ諸国の皆さんが参加されました。

 これまでアラブというと、油外交なんということをやゆされてきたり、また有事の際の日本の対応ということがいつも問われたりということで、有事関連か石油関連かということに偏りがちというふうにとらえられることの多い日本とアラブの関係でありますけれども、環境という先ほどおっしゃった人類にとっての普遍的なテーマで、イラクのみならず、アラブ各国と環境というつながり、環境面でのつながりができればというふうに考えてのことでございます。

 特に、今イラクは、戦争によるさまざまな破壊活動によっての環境破壊、切実なものがあるということを環境大臣と直接お話をして痛感したところでございます。メソポタミア湿原の再生についても、日本として何ができるのか、そして何をせねばならないのかも踏まえて、これから検討してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、積極的なリーダーシップを発揮していただき、国際社会においてやはり日本のイメージというものを高めていただきたいと思っております。

 一分前になりました。時間になりましたので、以上で終了いたします。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本であります。

 きょうは、地球温暖化の問題を中心にお伺いしていきたいと思います。

 二十一世紀は環境の世紀というふうに言われておりますが、これはやはり、地球の環境というものが大変危機的になっている、早急に対策をとらなきゃならないということで、そういうふうに言われていると思うわけでございます。

 例えば、最近の異常気象、昨年は大変な冷害だったわけです。ヨーロッパでは、逆に記録的な熱波ということで、そして砂漠化というのも急速に進んでいます。国連環境計画によりますと、一年間に五百万ヘクタールというのが砂漠化している。一分間に東京ドーム七個分がそういうふうになっているという報告があります。それから、海面上昇の問題ということも深刻であります。

 この現象の原因として、地球温暖化ガスが大きな原因ということで指摘されているわけですが、この地球温暖化という問題に対して、大臣は、人類に与える影響、これをどのように考えておられるのか、お伺いします。

小池国務大臣 今、御質問の中にありましたように、まず、地球の平均気温が今世紀中に一・四から最大五・八度上昇するという予測、それから、それによって南極での棚氷が崩壊したり、ヒマラヤの氷河が解けたりということも報告されているわけでございますけれども、サンゴ礁の減少、動植物の生息域の変化など、今、地球温暖化の影響でもって実際に私たち自身がニュースなどで知るそういった状況を見るにつけ、本当にこのままでいいのかということについては、大変な危機感を持って臨んでいるところでございます。

 今、御質問の中にありましたけれども、昨年の夏、日本は冷夏でございましたけれども、ヨーロッパでは、異常な高温のために、何と、聞くところによれば二万人以上という数字もございますし、亡くなる。亡くなるというのは、これはそんじょそこらの話ではないということでございますし、また一方で、それによって穀物の収穫なども影響があって、それをめぐって今度はそれぞれの地域での紛争まで巻き起こるということを考えますと、風が吹けばおけ屋がもうかるというのがありますけれども、地球が温まれば本当に何が起こるかわからないというような、そういう危機感をもっともっと共有できるようにしていかなければならない、また早急に対策を打つべきところをしっかり打っていきたい、そういう思いでございます。

山本(喜)委員 大臣から、危機的な状況だということで認識が示されたわけですが、もう一つ、海面上昇の件であります。

 二十世紀の間に二十センチメートル上昇したというふうなデータ、あるいは二十一世紀のうちには八十センチから一メートル海面上昇するというふうなデータもあります。既に、ツバルとかあるいはフィジー諸島、そういうところでは深刻な被害が出ているわけですが、日本の今日の海面上昇、日本も島国ですから、その影響は今後どうなっていくのか、見通しはありますか。

小島政府参考人 海面上昇の影響、世界的にも大きく懸念をされております。また、日本の観測におきましても、二〇〇三年の日本沿岸の海面水位、これも過去百年で最高水準にあります。世界ばかりでなく、気象につきましても、一九五〇年以降、日本のことでございますけれども、夏において異常高温があらわれておりますし、七〇年代半ば以降、暑い夏、寒い夏というようなこともあります。海だけでなく陸においても、多くの影響が既に観測をされております。これらの原因の一つとして、地球温暖化というものも指摘をされております。

 そして、今後でございますけれども、将来におきまして地球温暖化が進んでいきますと、日本におきましても、六十五センチ海面が上昇した場合には、全国の砂浜海岸の八割以上が浸食をされていく。あるいは、一メートルの上昇ということでありますと、満潮時に海面より低い場所に住む人が現在二百万人おられますけれども、これが四百十万人に増加をするというふうに言われております。

山本(喜)委員 ですから、地球温暖化が大変な影響を与えるということで、九七年に京都議定書が結ばれたわけです。

 この批准した先進国の温室効果ガスの排出の合計、これは四四・二%なわけです。五五%で発効要件になるわけですが、最大の排出国アメリカ、これは三六・一%であります。ところが、そのアメリカがこの京都議定書から離脱をしたということであります。

 この環境に与える影響ということを考えた場合、日本とアメリカが同盟国ということを再三にわたって小泉総理も言っているわけですが、同盟国であるならば、いつもその後追いをするといいますか言うことばかり聞いていないで、環境問題をどう考えるんだということをアメリカにもきちんと物を申していくという姿勢が大事ではないのかというふうに思いますが、この点についていかがでしょうか。

小池国務大臣 私は、むしろ我が国が京都議定書を国内で批准しているということが明確に我が国の姿勢を語っているのではないかと思うことが一点、それから、御指摘のように、対アメリカというか、アメリカの存在が今後の地球温暖化対策、地球規模の地球温暖化対策ということでは欠かせないメジャープレーヤーであるということは変わらない事実だと思っております。

 であるからこそ、これまでも首脳レベル、そして閣僚級の日米ハイレベル協議などの場におきましてアメリカ政府には議定書の締結を直接働きかけてきておりますし、また私自身、昨年の十二月にミラノのCOP9、第九回気候変動枠組み条約締約国会議でございますが、こちらに参りました際に、ドブリアンスキー国務次官、この方が対外的な交渉者になるわけでございますけれども、この方に直接働きかけをするということ。それから、ことしの二月でございますけれども、政府以外のさまざまなチャンネルも活用するということで、日米の企業、州それから地方自治体、シンクタンクなどが参加する気候変動政策に関する日米共同ワークショップを環境省としてワシントンで開催している。

 それから、州レベルでの動きがこのところ見られます。排出量取引などの対策の導入を州が行うということでございまして、また議会でも温室効果ガス排出削減対策を強化するためのマッケイン・リーバーマン法案が検討されているということで、その票差などにも目を向けましてアメリカの動向などもよくウオッチをしつつ、またさまざまな機会を通じてアメリカに対してこの議定書締結をこれからも働きかけていくということについては何も変わりはございません。

山本(喜)委員 アメリカの次に多いのはロシアであります。一七・四%でありますが、この京都議定書の発効にはロシアの動向が大変重要になっているということで、プーチン大統領が再選されたわけですが、日本のロシアに対する働きかけ、あるいは発効の見通し、これについてもお伺いします。

小池国務大臣 御指摘のように、次なるメジャープレーヤーはロシアでございます。その意味での御質問だと思いますけれども、ロシアに対しては、京都議定書締結の働きかけを昨年の十月、小泉総理がプーチン大統領に対して直接しておりますし、また、先ほど申し上げた昨年十二月ミラノにおけるCOP9の際には、私の方からロシアの政府代表ベドリツキー水理気象環境モニタリング庁長官に締結を働きかけ、そして三月十六、十七日に温室効果ガス排出・吸収量の推計に関するワークショップを環境省がモスクワで開催いたしております。

 新しい内閣ができたばかりでございます。それから、プーチン大統領が再選後どのような形でどのような決断をしていくのか、これもよく注視をしてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、直接の働きかけが重要かと考え、あらゆる機会を通じてアメリカ、そしてロシアへの働きかけは続けてまいりたいと考えております。

山本(喜)委員 次に、国内の対策についてでありますけれども、温暖化対策推進大綱、これをステップ・バイ・ステップでやっていくということで、ことしが見直しの年になりますけれども、この見直し、どのように評価して、次に向かった課題、第二ステップへの課題というものをどういうふうに見ておられるのか、お伺いします。

小島政府参考人 現在、評価、見直しにつきまして中央環境審議会の地球環境部会において審議中でございますので、その審議の状況を簡単に御説明したいと思いますが、まず第一に、審議に当たって、透明性が高くあるいは定量的、客観的に評価を進めるということが大切でございます。したがいまして、審議はすべて公開をして議論をしているところでございます。また、各論的に産業分野、運輸、業務、家庭、エネルギー供給部門と一つずつ現在は評価をしているところでございます。かた目の評価を行うということでございまして、その目標との乖離というものを定量的に現在洗い出しているところでございます。

 今後は、ヒアリングを行い必要な対策の検討をしていく、こういう段取りになっておりまして、第二ステップにおきましては、このような評価、見直しの結果を踏まえまして、必要が生じた場合に実効性の高い追加的な対策、施策を導入する、京都議定書の六%削減約束の確実な達成を図るということで、審議を進めているところでございます。

山本(喜)委員 今、見直しの審議中だということで、六%に向けて確実に実行していくということですが、先ほどの鮫島先生のときには、森林の分野においては現状のままでは二・九%にしかならないというような御答弁だったわけです。

 それぞれ、産業部門あるいは民生部門、運輸部門、そういうふうに今見直ししていると思うんですけれども、具体的な数字はどうなっているんですか。

小島政府参考人 六%の削減対策には三つの柱がございまして、一つは温室効果ガスの削減でございます。二つ目が森林吸収源の確保、これが三・九%ということでございます。そして、三本目の柱が京都メカニズムということでございまして、今審議の途中でございますけれども、それぞれの定量的な目標達成の見込みというものを出してございますけれども、何分作業の経過中ということで、数字で出るものとまだ数字で集計中のもの、評価中のものというものがございまして、確たる数字を最終的な集計をしている状況でございません。今後、さらに数字を詰めていきたいと思っております。

山本(喜)委員 時間がだんだんなくなってきましたので、次に環境税について、今検討中と言われておりますけれども、具体的な中身が言えるのであればここでお願いしたいと思います。

小池国務大臣 環境税そのものを今この時点で検討しているかというと、そうではなくて、ことしがまず温暖化対策全体の評価、見直しをする年でありまして、その意味で、中央環境審議会の専門委員会で国民的な議論のたたき台として具体的な制度の案を報告いただいたということでございます。この案をたたき台として、これは税の問題ですから、国民の皆様方、各界各層と幅広く議論を重ねているところであります。

 十二月から中央環境審議会で、経済界、NGOなどの方々にも御参画いただいて、温暖化対策税制、そしてそれに関する施策とを総合的な議論をしているところでございますので、これといった形で今決め打ちをするという段階にはもちろんなく、さまざまなところでさまざまな御議論をいただく、そういう段階に来ているということでございます。

山本(喜)委員 今のお話ですと、環境税そのものもまだ決めたわけではないというふうな話でしたけれども、この中央環境審議会の中間報告によりますと、第二ステップ以降の早期にCO2排出削減を目的とした温暖化対策税を導入すべきであるというようなこととか、温室効果ガスの排出抑制に資する植林とか里山の整備、緑化運動というようなことで具体的なものが出されているわけですね。まだ何も検討していないというふうなことではないと思うんですよ、具体的にもう出ているわけですから。この点、もう少し詳しくお願いしたいと思います。

松本政府参考人 御説明を申し上げます。

 昨年の八月末に、中央環境審議会の専門委員会から、国民的な議論のたたき台ということで一つの素案が示されております。

 今御指摘のとおりでございまして、要は温暖化対策税の基本的なねらいというのは、ガソリンなどの化石燃料、これに課税をするということで、その価格を相対的に引き上げまして、エネルギーを消費する者、CO2を排出する者でございますが、その負担を求めることによりまして、化石燃料の使用を抑える、温室効果ガスの排出を削減していく、そういうようなことをねらいとする仕組みと、さらに、このたたき台の提案としては、燃料の流れの上流の方に課税をしたらどうか。

 あるいは、税率については、温暖化対策全体の評価、見直しの結果、この温暖化対策税の仕組みでどれだけを期待するかというところで最終的に決まってくるであろうけれども、仮にの試算で、炭素トン当たり三千四百円というようなことも考えられるというような提案。あるいは、政策的に必要なものについては温暖化対策税について減免措置を講ずるということも検討していいのではないか。

 あるいは、税収の使途としては、もちろん事業者の削減努力、家庭のいろいろなCO2排出削減のための設備購入の補助、さらには、今お話のありましたような吸収源としての森林の保全のための経費の助成、いろいろなことが検討し得るのではないかということで、かなり具体的なイメージとしての提案がなされている。

 これは、大臣が申しましたように決まったということではなくて、これを国民的な議論のたたき台として、幅広い議論の検討を今進めさせていただいている、こういう状況でございます。

山本(喜)委員 時間が参りましたので、これで終わりますけれども、環境問題は大変重要だということで大臣からの認識が示されましたから、この温暖化対策に向けてぜひとも力を入れて頑張っていただきたいというように思います。

 以上、終わります。

小沢委員長 次に、川上義博君。

川上委員 鳥取の川上でございます。

 改革クラブで無所属でございまして、自民党の皆さんから時間をいただきまして、大変ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

 きょうは本庄干拓の開削の問題と原子力の発電の問題について質問をいたしたいと思います。

 実は、本庄工区というのはもともと水草などが繁茂していまして、環境にとって大変良好な場所であったわけでありますが、この場所が干拓されて劣悪な環境状況に今なっているわけです。今、この開削をどうするかということで議論百般でありますけれども、最初に、この水質がよくない本庄工区を特別鳥獣保護区に指定する、指定されようとしているその意図は何なのかということをまずお伺いしたいと思います。

 実は、指定の際に、この堤防をどうも除外をされているようでありますけれども、それはどうして除外をしたのか、この特別の指定をいつごろ想定されていますかということもあわせて、そして、宍道湖の特別区もどうも考えていらっしゃるようでありますが、それもあわせてお伺いをいたしたいと思います。

小野寺政府参考人 お答えいたします。

 この鳥獣保護区は、平成六年に十年間の指定期間で既に指定しておるものでありまして、それを十年間、つまり十六年の十月に向けて特別保護地区に規制を充実して指定しようとするということでありまして、そのための準備を含めて今から関係者の調整、自然環境の現状把握等を努めて今やっているところでございます。

 したがって、この更新時期に合わせて、今年度の秋にこの見直しを行うことを予定して、関係機関との調整を進めてきたところでございます。

川上委員 宍道湖もそうですか。宍道湖も大体一緒ですか。秋ごろというのは、十月ごろですか。

小野寺政府参考人 期間が平成十六年の十月三十一日となっておりますので、それに合わせてということであります。

 宍道湖についてはまだ期間が来ておりませんので、見直しについては少し先になる予定であります。

川上委員 実は、特別区の指定の後に、どうも環境省はラムサールの登録も視野に入れているという話をよく聞くんですが、その際に、地元の反対もまだあるわけですね。だから、十分地元の農民とか関係者とよく協議をされなければいけないと思いますが、その登録の意思と地元に対する配慮、そのあたりはどうお考えでしょうか。

小野寺政府参考人 ラムサールにつきましては、次のラムサール、三年後のラムサール会議までに今十一カ所あるものを二十二カ所にするという約束をしておりまして、今十三カ所まで来たところであります。そういう意味で、国内の代表的な湿地をふやさなきゃいけないということで、今どこをどういう形でやろうかということを検討しているところであります。

 したがって、今、中海及び宍道湖を対象にするかどうかについては専門家の間で議論しているところなので申し上げるわけにはいきませんけれども、極めて前向きの姿勢でやりたい、こう思っております。

 それから、このラムサール及び鳥獣保護区の指定について、地域の利害関係人、住民との調整を十分とることは基本的な問題であります。丁寧にやりたいと思っております。

川上委員 ちょっと農水省にお伺いしますけれども、昨年の十一月に、この堤防の開削で水質とか水位が変化しないと言っているんですね。ところが、排水管での潮通しあるいは西部承水路の開削を提案されているんですね。これはなぜ、変化をしないのにそういったことを提案されるんですかということを質問いたします。

 それと同時に、先ほど十月に指定をしたいということでありますけれども、指定の後に、今、中浦水門がありますけれども、水門の撤去、それから、開削の場合に、指定後でありますから、当然何らかの調整をしなければいけないのではないかと思うわけですが、その場合、どのような対応を環境省はされますでしょうか。

中條政府参考人 ただいまは本庄工区の干拓堤防についての御質問でございます。

 委員御指摘のとおり、私どもの水質シミュレーションによりますと、中海の水質はほとんど変化しないという検討結果を得ているところでございます。ただ、地元の方からは、委員御指摘のとおり、本庄工区の中と外をつなぐ何らかの対策をお願いしたいということもございまして、現在それも含めて検討して、それを農政局の方から地元に示していくことになる、このように思っております。

 それから、もう一点につきまして、恐縮でございますが、もう少し質問の趣旨を……。(川上委員「それは環境省」と呼ぶ)失礼しました。

小池国務大臣 御質問の中海ですが、私、機会があって二度ほど訪れたことがございます。すばらしいところだなということと、それから、今御指摘のようなこれからの課題も多いということも承知をいたしております。

 本庄地区の堤防の開削問題ですけれども、今も農水省の方から御答弁ありましたけれども、かかわっているのが、鳥取、島根の両県、そして農水省、国土交通省によって設置された中海に関する協議会、こちらが協議、検討の場とされているわけでございます。また、開削をするしないによって中海がどのように水質変化するかということについても、協議会の方で御議論が進んでいるということを聞いておりまして、環境省とすれば、水質保全の観点からその経過はしっかり見てまいりたいと考えております。

 中海の水質の保全ですけれども、平成元年から湖沼水質保全特別措置法に基づいて、鳥取、島根の両県が湖沼水質保全計画を策定しておられることは既に御承知のことだと思いますが、現在、第三期の計画が進行中ということであります。

 また、環境省の観点からいたしまして、下水道の整備、工場からの排水規制、しゅんせつの実施などの汚濁負荷削減対策を総合的に推進しているということで、私ども環境省が把握しているのは今申し上げたとおりでございます。

川上委員 今大臣から、協議会の結果を見てその中身について考えたいというお話でありましたけれども、午前中の質疑で、環境省は自己主張がない、他の省庁におくれをとっているというふうなことを指摘されたんですよね。

 だから、開削が自然環境にとって有効であれば、環境省としては、自然保護の立場から積極的に農水省に対して意見を言うということをやっても当然ではないかなと思うんですね。なおかつ、今回のシミュレーションで、流水の変化、これが水質には影響しないと。ところが、一部には影響するという結果が出ているんですが、生物の生息の環境にどう影響するかというのが全くシミュレーションにはないわけなんですよ。

 したがって、環境省は、当然、自然保護の立場から、生物にどのような影響を与えるのか。国交省も、生物に与える影響というのは今回のシミュレーションでは全く考えられないと言っているんですね。だからぜひ、そういったことを環境省は踏み込んでやるんだというふうな姿勢を見せないと、国民は、本当に環境問題について積極的に環境省は対応してくれるんだろうかという疑問の念を必ず持つと思いますよ。

 だから、そのあたりを、ぜひもうちょっと踏み込んだお考えを聞きたいと思います。

小池国務大臣 行政として、引き続きこの湖沼水質保全特別措置法に基づいた形で水質の保全を図るように努力をしていくということは基本的な姿勢でございます。ちょうど平成十六年度がこの中海の計画の見直しの時期に当たるということから、この過程で、中海の水質に与える影響についてもしっかりと見きわめて、今後の水質保全にも反映させていきたいと考えております。

 それから、先ほどラムサール条約云々の話がございました。私、現地に参りましたところ、むしろそっちの方でしっかりやってくれというお話がございました。大体、こういう条約については、やはり現地とか地元の御協力、御理解をいただいてこそできるものでございますので、先生におかれましては、ぜひともラムサール条約の仲間入りができるように、お地元でしっかりバックアップをしていただければ大変うれしく思うということを付言させていただきます。

川上委員 農水省にちょっとまだ聞きたいと思いますけれども、一九九九年にシミュレーションをした際に、今回のシミュレーションは水質、水位には余り開削は影響ないという調査だ、このシミュレーションが目に入らないかというふうな対応で地元にはおっしゃっているんですけれども、昔のシミュレーションは、開削をしたら水質が非常によくなって、漁場としても復活するというのが出ているんですね、出ているんですよ。では、今回のシミュレーションと前のシミュレーションはどう違うんですか。

中條政府参考人 ただいまはシミュレーションの精度についての御質問だったと思います。

 委員が御指摘されておりますのは、以前の本庄工区の利用委員会の中の専門委員会でのシミュレーションと、それから、今回私どもが行いましたシミュレーションとの比較を御指摘だと思いますけれども、以前のものにつきましては、これは本庄工区をいろいろな形で活用するというときに、水産振興という観点からも対策として検討したものというふうに私も承知をしております。その際に、浅い部分の、浅域区間の水産振興の必要な措置をした上で対策した場合に、これは今委員が御指摘されましたような水産にとって良好な環境が回復できるという結果だったかと思います。

 今回のものは、堤防を一定の区間、開削した場合と開削しなかった場合の本庄工区内の水質の比較をしておりまして、その結果によりますと、ほとんどこれは差がないという結果が出ておるというものでございます。

 なお、このシミュレーションにつきましては、先ほど環境大臣が御説明ありましたように、現在、中海に関する協議会で検討中でございまして、さらに、今はその中の実務グループというのを別途設けまして、そこで検討しておるところでございます。

川上委員 我が県も国交省も、今回のシミュレーションはどうも問題があるということをたくさん指摘しているんですよね。前の、漁場として復活できれば水質も各段に改善する、だからしゅんせつよりも物すごく効果があるんだというデータも出ているわけですから、余り開削しても何も変化がないんだということを意地を張られると、本当に最後まで資源というのは、干拓を中止したわけでしょう、干拓を中止したら、それはある程度もとに返すというのがルールじゃないですか。それを、変わらないからそのままにするんだというのは、全く農水省のいこじというか、おかしな答弁で、少なくとも、変わると思いますよとか、シミュレーションのデータの入力は、いろいろなことを考えてみます、いろいろなことをやってみますということをなぜおっしゃらないんですか。

中條政府参考人 今ほど御答弁しましたように、現在、いろいろな地元の御要請それから御懸念もございまして、中海に関する協議会の中にさらに実務グループというものを設けまして、私ども農政局ですと担当課長レベル、各県の方も課長さんのレベルで、実務的に今御検討を深めていただいているところでございます。ぜひ、その結果を待って今後対応したいと思っておりますので、よろしくお願いします。

川上委員 この問題はもうこれ以上話してもらちが明かないので、やめます。

 次に、原子力発電のことを質問いたします。

 午前中の質問がありましたけれども、大臣は、原子力発電は環境の観点から非常にいいエネルギーだというふうに発言されましたけれども、リサイクルによる環境の、要するに発生抑制よりも、廃棄物そのものをなくす、あるいはその廃棄物の減量が環境保全にとっては大変いいというか有効であるという、それが基本の問題だということはおわかりだと思うんです。

 原子力がクリーンで非常に環境にとっていいというふうに本当にお思いなのかどうか、御答弁をお願いします。

小池国務大臣 先ほどベストミックスのところで私が申し上げた環境というのは、地球温暖化対策という意味での環境でございまして、発電過程で二酸化炭素を排出しないということから、地球温暖化対策として重要な電源であるというふうに位置づけております。

 地球温暖化対策の推進大綱においても、このエネルギー供給面での削減対策の柱の一つとして、そういう観点から、まずその前に大前提がございます、それは安全性の確保ということですけれども、その意味で、原子力発電の推進というのが削減の柱の一つとして取り上げられているわけでございます。

 当然のことながら、事故などによる汚染がないように、大綱に掲げているとおり、安全性の確保を大前提として、そしてまた、原子力発電を重要な温暖化対策として位置づけてまいりたいと考えております。

 若干言葉が足りなかったかもしれません。環境というと大変幅広うございます。その意味では、地球温暖化対策という意味の切り口としての環境ということで申し上げたということでございます。

川上委員 実は、前に私、ずっと大臣の御発言、御質問のあれをちょっと見ましたら、平成九年に、ロシアのタンカー事故に際して、危機管理システムとかその対応について質問されているんですね。最悪の危機が原発の事故だ、これに対して重大な危惧を抱いているとおっしゃっているんですよ。ならば、原発そのものをできるだけ廃棄するという、午前中の議論もありましたけれども、そういった努力を、環境省、環境大臣として大いにおやりになる必要があるのではないか、原発に頼るだけじゃなくて。できるだけ廃棄をする、縮小する、そういった御発言をされた方がいいのではないかというふうに思います。

小池国務大臣 昔書いたり答弁したもの、その一部だけとらえられても困るんですが、原発の廃棄、原発だけに頼るのか、原発を廃棄するのかというのは、もう天と地の差があると私は思います。ですから、先ほど申し上げましたように、大前提で安全面に最大の努力をしてということ、これが大前提として、やはり原子力発電というのは我が国のエネルギー供給にとって必要であり、かつ今後の地球温暖化という観点からのベストミックスを考えるべきではないか、このように考えております。

川上委員 時間が参りましたので、これで終了いたします。ありがとうございました。

小沢委員長 以上で質疑は終了しました。

     ――――◇―――――

小沢委員長 次に、内閣提出、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小池環境大臣。

    ―――――――――――――

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小池国務大臣 ただいま議題となりました海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 海洋における廃棄物の処理に関する規制の一層の充実が求められている国際的動向等にかんがみ、我が国においても、船舶からの海洋への排出が認められる廃棄物の海洋投入処分を許可に係らしめる等の措置を講ずるとともに、廃棄物の海域における焼却の規制を強化する等の必要があります。

 このため、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、船舶または海洋施設から廃棄物の海洋投入処分をしようとする者は、環境大臣の許可を受けなければならないこととしております。

 第二に、船舶または海洋施設から廃棄物を排出しようとする者は、当該廃棄物の船舶または海洋施設への積み込み前に、海上保安庁長官の確認を受けなければならないこととしております。

 第三に、何人も、船舶または海洋施設において、船舶または海洋施設において発生する油等以外の油等の焼却をしてはならないこととしております。

 第四に、環境大臣の許可を受けてする海洋施設の廃棄等を除き、船舶等を海洋に捨ててはならないこととしております。

 最後に、環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、廃棄物の海洋投入処分及び海洋施設の廃棄に関し、報告を求め、立入検査を行うことができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

小沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十八分散会


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