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第6号 平成16年4月9日(金曜日)

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平成十六年四月九日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 長浜 博行君

   理事 伴野  豊君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    木村 隆秀君

      鈴木 淳司君    砂田 圭佑君

      西村 康稔君    鳩山 邦夫君

      古川 禎久君    三ッ矢憲生君

      望月 義夫君    城井  崇君

      近藤 昭一君    鮫島 宗明君

      島田  久君    田島 一成君

      武山百合子君    村井 宗明君

      高木美智代君    照屋 寛徳君

      川上 義博君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        加藤 修一君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  東  良信君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   河尻  融君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    金子賢太郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            松本 省藏君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   政府参考人

   (環境省環境管理局水環境部長)          吉田 徳久君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  船田  元君     古川 禎久君

  松本  龍君     城井  崇君

  土井たか子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 禎久君     船田  元君

  城井  崇君     松本  龍君

  照屋 寛徳君     土井たか子君

    ―――――――――――――

四月五日

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二〇号)

 環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第一二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一九号)


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府沖縄振興局長東良信君、防衛庁防衛参事官河尻融君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、海上保安庁次長金子賢太郎君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省総合環境政策局長松本省藏君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小島敏郎君、環境省環境管理局水環境部長吉田徳久君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 おはようございます。自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 当初の予定より三日おくれで環境委員会で初めて質問をさせていただくことになりました。海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律は、実を申しますと、私自身、二十数年前に改正に関与したことがございまして、しかも、まさにいわゆるロンドン・ダンピング条約、この関係でこの法律の改正に携わったものですから、非常に懐かしく、中身はもうほとんど忘れておりますが、また、今回は九六年議定書に向けてこれを改正されるということで、その関連で質問をさせていただくということにつきましては、何となく因縁めいたものを感じるわけでございます。

 それはともかくといたしまして、海洋汚染防止の重要性につきましては、海洋が地球上の面積の三分の二を占めているという事実、また、海は世界じゅうにつながっているという点、さらに、すべての生命の起源は海にあるということでございますから、海が汚染されれば、地球上の生命全体の存続にもかかわることになりかねません。また、一国の海洋環境の変化が他国の海域にも影響を及ぼすおそれもあるというわけでありますから、その重要性は幾ら強調しても強調し過ぎることはないというふうに思うわけでございます。

 その意味で、この法律は非常に大切な法律だというふうに思うわけでございますが、そこで、まず大臣に、今回の法改正の背景と必要性についてお伺いしたいと思います。また、あわせまして、我が国として、今回の法改正とともに直ちに議定書の締結も行われるのか、さらに、議定書の発効見通し等についてもお聞かせいただければというふうに思います。

小池国務大臣 以前からこの問題にかかわっておられる委員の方からの御質問ということで、そもそも論から改めて入らせていただきたいのでございますが、まず、この法案は、我が国が、廃棄物の海洋投入処分の規制を強化するロンドン条約の改正議定書、いわゆる九六年議定書の締結ということで、この議定書に対応して海洋投入処分の許可制度を創設することなどが内容となっているわけでございます。

 この九六年議定書というのは、二十六カ国が批准することによって発効をし、また、現時点では十九カ国が批准をしているということでございまして、あと七カ国。ただ、もうことしもしくは来年中にも発効する見通しとなっております。

 今、海の大切さを委員の方が御指摘されましたように、そもそも我が国というのは、世界に冠たる海洋国であるということ、一方で、海洋に投入処分している廃棄物の種類、量、これも世界の中でも多いというような現実がございます。よって、この九六年議定書をできるだけ速やかに締結できるように、そのために国内体制をまず整えなければならないということでの御審議ということでございます。

 ただ、この法案に基づきます許可制度を、それぞれの事業者の方々に実行していただくためにも、政府において環境影響評価の項目、それから実施方法を定めまして、また、実際にその事業をなさっておられる方々でも許可申請をするための準備を整えておく、そのための時間も必要ということでございまして、この法改正を経まして後、少なくとも二年程度の準備期間は、これは事実上必要だというふうに考えております。これらの準備が整い次第、九六年議定書の締結について後に承認をお願いすることになる、このような流れとなっております。

三ッ矢委員 ありがとうございます。

 これまで、廃棄物の海洋投入処分に当たりましては、排出事業者がみずから判定基準に照らして実施していたというふうに聞いておりますし、それを許可に係らしめるということで一段の規制強化になるわけでございますし、また、今回はネガリストからポジリストに投入可能な廃棄物を変えるということで、例外を除きまして原則海洋投入処分禁止ということでございますから、これは私は望ましい方向だというふうに考えるわけでございますが、これはまた後ほど御質問いたしますが、いろいろな準備も必要だと思いますので、十分そこの点については配慮をしていただきたいというふうに思っております。

 そこで次に、我が国の廃棄物の投棄による海洋汚染の状況につきまして、どういう状況になっているのか、現状についてお答えをお願い申し上げたいと思います。

小島政府参考人 まず、世界的な海洋汚染の状況でございますが、これは、国連環境計画あるいは国際海事機関によって指名された専門家のグループが報告書を出しておられます。二〇〇一年一月の報告書によりますと、沿岸域の開発を含む陸上起因の汚染等による海洋環境の悪化が指摘をされております。

 しかし、我が国の周辺海域についていえば、環境省及び海上保安庁が調査を継続的に実施しておりますが、水質、底質あるいは生体サンプル、これを用いました汚染状況の結果は、大きな変化はこのところございません。廃棄物の海洋投入処分に起因する明白な海洋汚染というのは、今のところ生じていないと考えております。

 ただし、長期的には、やはり海洋という、まだ未知の部分が多いわけですから、何らかの環境影響の可能性も懸念をされるということで、引き続き廃棄物の海洋投入処分の削減、これに官民を挙げて取り組むということに加えまして、九六年議定書の求める廃棄物の海洋投入処分の管理体制、これを我が国としても早期に導入をするということで、海洋汚染の未然防止にさらに取り組んでまいりたいと考えております。

三ッ矢委員 ありがとうございます。

 ちょっと資料を拝見しましたら、ここ二、三年ほど、汚染の発生確認件数が多少ふえているというふうに承知しております。特に油による汚染がふえていると。これは海洋投棄ということではないんでしょうが、これはちょっと注意しなければいけない点だと思いますし、また、油以外のものによる件数も若干ふえているというふうに承知しております。

 実を申しますと、私の地元の三重県の志摩郡でも、この一月でございましたですが、ドラム缶三本が海洋投棄、不法投棄されまして、うち回収された二本から硫酸ピッチが確認されるというような事案が、非常に悪質な事案でございますけれども発生しております。

 そんな状況もございますので、そこで次に、我が国の廃棄物の海洋投棄処分の現状、これは量と種類、これはどうなっているのか。それから、不法投棄の状況についてもお聞かせいただければというふうに思います。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の廃棄物の海洋投入処分でございますが、私どもの方で廃棄物の排出船につきまして登録制度をしいてございまして、そちらからの報告を集計したところによりますと、ここ数年は大体毎年一千万トン前後で推移しておりまして、内訳といたしましては、し尿などの一般廃棄物が約百万トン、それから廃酸等の産業廃棄物が三百万トン弱、それから水底土砂が六百万トン前後というふうになってございます。

 御指摘にございましたとおり、廃棄物の海洋への不法投棄は、残念ながら後を絶たず、近年では、建設廃材でありますとか硫酸ピッチなどの不法投棄が、それも組織的、広域的に行われるなど、その内容と手口が悪質化、巧妙化してきているというふうに認識をしております。

 私どもも、それに対応いたしまして、監視、取り締まりを強化してきておりまして、昨年、平成十五年でございますが、前年に比べまして大幅増の百四十二件の不法投棄事犯を送致したところでございます。

 内訳でございますが、これは年によって多少のばらつきがこれまたあるわけでありますけれども、船舶からの排出事犯であります海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律違反につきまして、昨年、平成十五年につきましては約二割、それ以外の事犯であります廃掃法、それから港則法、この違反が約八割となってございます。

三ッ矢委員 ありがとうございます。

 不法投棄がなかなか後を絶たないということでございます。先ほど私が申し上げたような、特に悪質な事案につきましては厳しく取り組んでいただけますように要望しておきたいと思います。

 ところで、次に、九六年の議定書上、海洋投入処分が認められております、例えば赤泥でございますとか、あるいはしょうちゅうかす、あるいは梅干しの廃液といったもの、こういった廃棄物についても、認められているから今までどおり海に捨てるということではなくて、海洋投入処分の削減に向けて取り組んでいくべきだというふうに思うわけでございますが、この削減に向けての我が国の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。

加藤副大臣 環境問題は、事後的対応から、できるだけ未然防止を含めた予防的な対応をしていくというのが今の時代の流れかなと思います。そういった観点から考えてまいりますと、今の御質問は非常に重要な質問だと考えてございます。

 それで、九六年の議定書の関係では認められているものがあるという御指摘でございますけれども、やはり海洋投入処分量を削減する必要があると我々も考えておりますので、国際的にもその旨きちっと表明しているところでございます。

 我が国としては、これまでも廃棄物の陸上処理を原則として、関係省庁の連携のもとで海洋投入処分量の削減に官民を挙げて取り組んできた結果、九六年議定書上、引き続き海洋投入処分が認められている廃棄物のうち、先ほどもお話がありましたように、下水汚泥あるいはしょうちゅうの蒸留のかす、そういったものなどについて、飼料化等の有効利用技術の進展によりまして、今年中に陸上処分に転換する見通しを持ってございます。

 今後とも、関係省庁と協力いたしまして、海洋投入処分量の一層の削減に努めてまいりたいと。非常にこういった点は前向きに表明も含めてやっておりますので、こういった面についても、さらなる御協力もお願いを申し上げたいと思います。

三ッ矢委員 やはり基本的には陸上での処理ということが、適切な処理をするということが非常に重要だと思いますし、それによって海洋投棄の削減を図っていくべきだというふうに思うわけでございますが、関係省庁との連携を十分にとっていただきながら、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 ところで、この関連で、やはり九六年の議定書では投入可能とされておりますし尿につきまして、これは二年前の廃掃法の施行令の改正で、平成十九年一月末をもって海洋投入処分が禁止されるということになっているわけでございます。

 ところが、これは私の地元の三重県でも、まだ海洋投入処分をしている市町村がかなりの数に上っております。陸上での処理施設の整備につきましては、自治体の財政上の理由でございますとか、あるいは施設設置にかかわる周辺住民との協議といいますか説得といいますか、これらについていろいろ難しい問題もあるというふうに聞いておるわけでございます。

 そこで、し尿の陸上処理への転換に向けて具体的にどのような取り組みがなされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 まず、し尿処理、これにつきましては、海洋投入処分をできるだけ縮小しようという国内外の動向にかんがみまして、十九年一月までに禁止するということを決めたわけでございます。

 もちろん、各市町村、大変苦労をされます。そのため、まず財政的には、陸上処理への転換のために必要となるし尿処理施設の整備につきまして国庫補助メニューを拡大するということで対応をいたしているところでございます。

 また、御指摘のとおり、新しく施設をつくる候補地では大変トラブルが起こっております。そのため、市長さん、町長さん、大変苦労をされております。私どもとしては、そういった地元の方々とお会いしまして、具体的にどういう対応をされておるのか、逐一相談に乗っております。他地域の例などもいろいろ情報としてお示ししまして、できる限り速やかに陸上転換ができるように協力をしておるところでございます。

 現在、し尿だけで百万キロリットルを少々上回る程度の投入がございます。何とか速やかに、なおかつ円滑に陸上処理への転換が図られるよう、自治体と協力していきたいと思っております。

三ッ矢委員 ありがとうございます。

 実を言いますと、この問題が一部の地域では市町村合併の問題にも影響をしているというようなこともございまして、そういう点も踏まえて、転換が円滑に進みますように、関係の自治体に対して十分配慮をしていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。

 ところで、ちょっと話が変わりますが、次に、今回の改正によります許可の件数としては、環境省としてどれくらいを見込まれておられるのでしょうか。お伺いしたいと思います。

小島政府参考人 環境大臣の許可というのは、許可期間を設定して行うということでございますので、多少の増減が年によって違うだろうと思いますが、おおむね百から百五十件程度ではないだろうかと思っております。やはり今、海洋投棄につきましては、水底土砂、しゅんせつが多いので、許可の案件も水底土砂がかなりの割合を占めるというふうに考えております。

 この手続につきまして、申請書類を郵送していただくとか、あるいは電子申請の形を採用して、申請者に過度の負担をかけることのないように、手続の円滑化を図りたいと考えております。

三ッ矢委員 百から百五十件というのが多いのか少ないのか、ちょっと私も判断に苦しむところでありますけれども、環境省自体は非常に小さな世帯のお役所でございます。許可の関係の事務処理、それからあるいは意見書がいろいろなところから出てくるということも考えられるわけでございまして、そういった処理の業務が付加されるということになるわけでございますから、なかなか小さな世帯で大変だと思いますけれども、今後の体制整備も十分に考えていただきながら、遺漏のないようにしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 ところで、この法案に基づきます許可制度は、実施計画の策定でございますとか、あるいはアセスメント等許可申請関係の事務、それから事後のモニタリングや報告など、中小の排出事業者にとりましては、資金の面あるいは労力の面でかなり負担になるという面もあろうかと思います。処分量が少ないような場合には、それに応じた配慮も必要だというふうに思うわけでございますが、それについては何か御検討されておるんでしょうか、お伺いしたいと思います。

砂田大臣政務官 お答えいたします。

 九六年の議定書におきましては、海洋への投棄量の多少により許可制の適用を免除するという規定がありません。したがって、同議定書を締結する観点からは、小規模の投棄については許可を要しないとする取り扱いはできないということでございます。

 しかしながら、規制を受ける者の負担を合理的なものとする配慮は大変必要なことではないかと考えているところでございます。このために、少量の処分については、環境に与える影響が小さいと推定されることも考慮しまして、それに応じた適切な環境影響評価のあり方を示す等、許可制度の運用について工夫を検討することが必要と考えているところでございます。

 量の大小による区別はありません。しかし、何とか許可制度の運用面で考えていかなければならないというところがお答えでございます。

三ッ矢委員 ありがとうございました。

 せっかく新制度をつくられるわけでございますので、運用面の工夫ももちろんでございますが、例えば、小規模の事業者につきましては、組合をつくって、組合単位で許可あるいはモニタリング等の業務が行えるような御指導もちょっと御検討いただければというふうに思うわけでございます。規制を受ける側にも、過度の負担にならないような御配慮をしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 次に、海上保安庁にお伺いしたいと思いますが、今回の改正の結果、これまでと違いまして、すべての許可対象廃棄物について、排出一件一件ごとに海上保安庁長官の確認が必要になるわけでございますが、これもまたその業務量が多少ふえるんじゃないか、あるいはたくさんふえるんじゃないかというふうに思うわけでございますが、許可の実効性を確保するための海上保安庁の体制は大丈夫なんでありましょうか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 廃棄物の海洋への不法投棄という問題は、陸上の場合と異なりまして、一たんこれが許されますと、当該廃棄物を投棄後、事後的に発見、回収することが、これは事実上困難というふうに認識しておりますので、私どもといたしましても、より厳格に実効性のある担保措置を講ずることで、海洋投入処分の適法性を確保していく必要が大変高いというふうに認識をしておるわけでございます。

 私ども海上保安庁といたしましては、実際に船舶から廃棄物を排出しようとする者に対しまして、環境大臣の許可を受けた廃棄物が許可条件どおりにきちんと船に積み込まれ、投棄海域まで輸送され、条件どおりに排出されるか否かにつきましてその都度確認を行うとともに、必要に応じて、当該船舶に対しまして指導や立検を実施することとしております。

 さらに、許可、確認を受けずに行われる不法投棄事犯の摘発、これも大変重要であるというふうに認識しておりまして、情報の収集でありますとか分析能力の向上、関係機関との連携の強化、それから、私どもの方の巡視船艇、航空機の虞犯海域への重点的な投入などを図ることで、監視、取り締まりのより一層の強化に努めることとしております。

 私ども海上保安庁といたしましては、限りある船艇、要員を現状では警備に割かれがちでございますけれども、今後とも、先ほど来申し上げておりますような施策の組み合わせによりまして、廃棄物の海洋への不法投棄の防止など、今般創設されます許可制度の実効性の確保を図ってまいる所存でございます。

三ッ矢委員 実は私も国土交通省で人事をやっておったものですから、海上保安庁、今警備関係の業務で人が非常にたくさん要る、ところが、なかなかその増員につきましては思うに任せないというような状況にあるのも十分承知しておるわけでございます。北朝鮮の不審船対策、それから警備関係の業務、たくさんございまして大変だと思いますが、こちらの関係の仕事も非常に重要でございますので、ぜひこちらの関係でも体制の強化を、自分が仕事を離れたから申し上げるわけでもないんですけれども、海上保安庁としての体制の強化を十分やっていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。

 この法案、非常に重要な意味を持つ法案であるということを先ほど私は申し上げたわけでございますが、関係の省庁も幾つかございます。関係省庁とも密接に連携をとりながら、この法律が適切に施行されるように万全を期すべきだというふうに考えるわけでございますが、大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 冒頭の御質問の中に、海洋国日本ということの、その意味の重要性についても御指摘ございました。海洋の環境を守るということは、海洋立国ということを標榜する我が国とすれば、これは当然の責務というふうに考えるわけでございます。

 今回の法案が成立をいたしまして、そしてまた、海洋投入処分の許可制度が創設されることになりますと、運用をきっちりとやっていかないと意味がないわけでございます。それだけに、今も海上保安庁などの、非常に大変だという話もございました。関係省庁としっかり連携をとって、審査体制を充実していくこと、そしてまた、環境がどういう変化をしているのか、もしくはよくなってきているのかといったような海洋の環境モニタリングなどもしっかりと努めてまいりまして、この法律の適切な施行にしっかりと当たっていきたい、このような決意を持っている次第でございます。よろしくお願いいたします。

三ッ矢委員 大臣の御決意のほどをお伺いしまして大変安心しておりますが、最後に、これは要望を申し上げておきたいと思います。

 実は、この九六年の議定書、アメリカでございますとかそれから中国、さらにロシアといった大国が批准をしていないという状況でございます。これらの国からの海洋投棄の状況を必ずしも正確に私も把握していないわけでございますけれども、いずれも非常に海岸線の長い国でございまして、全く投棄がないというような状況ではないと思います。かなりの量が投棄されているんじゃないかというふうに推測するわけでございます。

 ぜひ大臣、温暖化対策でアメリカやロシアに対して非常に熱心に働きかけていただいておりますけれども、この九六年の議定書の問題につきましても、海洋汚染の防止という観点からも非常に重要な議定書でございますので、機会あるごとにこれらの国に対しましても批准を働きかけていただく等、我が国として主体的な行動をとっていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、島田久君。

島田委員 民主党・無所属クラブの島田久でございます。

 今回の法改正のポイントは、許可制度の新設であると思うんですけれども、許可を得るために、排出業者がほとんど、影響評価も、それから、排出後も排出業者みずからが環境影響評価を含めて実施をするということになっているわけでありますけれども、その排出業者から提出される環境影響評価についての判断を求める場合、適切な場合に限りとありますが、具体的にはどういうことでしょうか。また、その環境影響評価に、排出予定海域の中の海洋生態系に関する影響評価についても含まれているんでしょうか。また、その審査基準や判断基準は具体的にはどういうことなのかをまず御質問させていただきます。

小島政府参考人 お答えいたします。

 新たな許可制度のもとで、どのような基準を示していくかというのは、基本的には九六年の議定書の内容及びそれに基づく国際的に示されましたガイドラインに基づいて、我が国に合ったものをこれから作業していくわけでございますけれども、まず第一には、海洋投入処分を予定している廃棄物について、再利用が十分に行われているかどうか、あるいは、かつ陸上処分が困難であるかどうか。つまり、海洋投棄以外に適切な方法がないということにつきまして審査をする。これは、廃棄物行政と海洋汚染の防止というものの接点でございますけれども、これを審査基準の一つにするというのがまず第一でございます。

 それから第二に、実際に廃棄物を海洋に投棄するという場合に、その海域に漁場あるいは希少な生物がいないかどうかということ、あるいは廃棄の具体的な方法が当該海域の生物あるいは海水等に悪影響を及ぼすことがないかどうかというような点について審査をするということでございます。環境大臣は、申請された事柄がこれらの要件を満たす場合に限って許可を与える、こういうことになります。

 さらに、手続的には、発給許可に当たって、申請書類を縦覧して、広く国民の意見を聞くこととされております。これは、九六年議定書の義務的な事項ではありませんけれども、広く国民の意見を聞くということが推奨されておりますので、これを盛り込んだ改正案の御審議をお願いしているということでございます。

 また、海洋生態系への影響ということでございますけれども、当然、廃棄海域の海流や海生生物の生息状況ということでございますから、廃棄物の海洋投入処分が廃棄海域の海洋生物に悪影響を与えないか、そういう海洋生態系への影響についても当然考慮をするということでございます。

島田委員 そこで、国民の幅広い意見を聞くということでありますけれども、最近、NHKの総合テレビで話題になりました「地球!ふしぎ大自然 大都会にアユ百万匹 多摩川 奇跡の復活」というNHKの報道がありました。

 それらの関連の中で、これから東京湾の埋め立てが始まるわけでありますけれども、こういう、百万匹、あるいは今度の改正の趣旨である国民の幅広い意見を聞くということで、これは今、相当反響を呼んでいるようでありますから、私どもは、埋め立てそのものには反対するわけではありませんけれども、こういう今の実態の中で、東京湾から遡上している、あるいは多摩川から東京湾の海域の中にふ化をしたものが、海に戻ってきて、そしてまた再遡上するという形態になっているわけでありますけれども、これは、東京都の水産試験場が調査をして、実態的に明確な調査が位置づけられているわけでありますので、こういう場合にも、工事が始まる前に、事前の予備的な、環境影響評価に対する事前の環境省としての、これは行政指導と言ったら言葉が悪いのかもしれませんけれども、何らかの体制をとる必要があるのではないかというふうに考えるんですけれども、その辺はどうお考えになりますでしょうか。

加藤副大臣 飛行場の設置など各種の事業の実施に当たりましては、言うまでもなく、まず最初に、事業者において環境影響と必要な対策について検討が行われることが重要である、こういうふうに考えてございます。

 今御指摘のありました羽田空港拡張事業、この件でございますけれども、今後、事業者により環境影響評価が行われる、こういうふうに伺っているところでございます。

 環境省といたしましても、アセス手続の前であったとしても、事業者から求められれば、専門的知見に基づいた助言を行う、あるいはそういった面について積極的に対応してまいりたい、また、事業者による環境影響評価が適切に行われるよう注視してまいりたい、このように考えてございます。

 また、工法については、まだ決まったという話は伺っておりませんが、三つの工法があるということで、今後、入札等を含めて最終的な、埋め立てにするのかあるいは浮体工法にするのか等々あるように聞いておりますけれども、それによって対応する環境アセスメントの中身も当然のことながら変わっていくと思いますので、事業者によるそういった面における要望に対応した形で環境省としても取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

島田委員 環境評価によって、事前のアセスの前にそういう面でのある程度の方向性を定めていくという今の御答弁でありますけれども、今度の場合は、やはり相当時間を要しながら、実態的にも、ふ化をして、東京湾の中で、遡上して保育をできる、そういう浅瀬なり場所的なものも方向性が見えてきているわけでありますので、そういう面では、工事の影響によってそこがつぶされて、保育する場所がなくなる場合もあり得るような感じがあるんですね。

 そういう場合に、環境省としては、やはり生態系を維持するために、あるいは本当に、江戸前のアユがこれだけたくさんの、これは、環境をよくするために今までのいろいろな努力等積み上げがあって、初めてこういうはっきりした方向性が出てきたわけでありますから、またさらにそのことを、自然をもとに戻しちゃうということは、今度はもっと時間を要すると思うものですから、工事をする段階で、生息する場所、浅瀬をする、あるいは、それらの生息する調査なども積極的に進められているわけでありますから、その辺について、そういうことについての関係各省との間の調整もぜひしていただきたいと思うんですけれども、その辺、どうお考えでしょうか。

加藤副大臣 環境省といたしましても、種の保存法の関係を含めて、あるいは多様性国家戦略等々、生態系をどう保全していくかということは極めて重要な観点だととらえておりまして、この点に関しましては、先ほども申し上げましたように、やはり事業者による環境影響評価ということでございますので、事業者から、当然大きなプロジェクトでありますから環境評価をやらなければいけない、その中で助言ということが来るわけでございますので、そのときに、我々としては最大限そういった面を含めまして検討をさせていただきたい、このように考えております。

島田委員 次に、本法案の実効性を担保するためには、先ほども御質問がありましたように、環境省だけではなくて、やはり関係諸官庁との積極的な調整なり連係プレーというものが必要だと思うんですけれども、ロンドン条約の九六年議定書を完全履行するために、今まで、まだやらなければならない、あるいはその公約を完全履行するためには、まだ幾つか残された課題があると思うんですけれども、そのことについてどうお考えでしょうか。

小島政府参考人 九六年の議定書、我が国におきましてこれをしっかりやっていくというために、まず第一に、新たな許可制度におきまして環境省がしっかりと許可の審査を行うということが第一でございますが、許可を受けた廃棄物の海洋投入というのが法律に従って行われるということが大切でございますから、海上保安庁と連携をして、その実効性を担保するということも必要でございます。

 また、陸上で処分をするということでございますが、今、海洋投棄されているものを陸に揚げるためには、廃棄物行政との連携を図って、きちんと陸上で処分をされるということがさらに必要になってまいります。また、廃棄物が投入をされる海域におけるモニタリングの体制の強化ということも必要でございます。

 さらに、もう一つ重要なことは、九六年の議定書というのは、廃棄物の海洋投入ということを原則的に禁止して、捨てることができるものを附属書の1というものに掲げております。

 我が国の制度におきましては、海洋投入処分できる廃棄物は、廃棄物処理法の施行令に規定をしております。これと九六年の議定書の附属書1というものを比較いたしますと、廃棄物処理法の施行令で海洋投入処分が認められておりまして、なおかつ現在捨てられているもので、附属書1で掲げられていないもの、すなわち、九六年議定書を批准しますと禁止されるものとして、不発弾等の廃火薬類というものがございます。

 これはなかなか、まだ対応の結論が出ておりませんけれども、今回の法改正と別に、議定書を実行する、締結をするためには、この不発弾等の廃火薬の海洋投入処分を禁止するという国内措置が必要となっておりまして、そのためのこれらの廃火薬類の陸上処理体制を確立していくということも必要となってまいります。

島田委員 ロンドン条約は、有機ハロゲン化学物質など投棄禁止物質を定め、それ以外の投棄は認められるわけでありますから、そのために不発弾は廃火薬として投棄でき、日本では先進国で唯一海洋に捨てているわけでありますから、これらの問題について、自衛隊も海上で処理すべき状況にあると思うんですね。それらのことを環境省初め防衛庁に対しても、これは陸上で処理するんだ、海洋に投棄をしないんだという形をきちっと、その議定書を締結する以上、ぜひその辺を積極的に取り組んでいただきたい。

 特に、不発弾はコンクリートで固めて海に捨てる。長年たてば、必ずその物質が海洋汚染につながってくると思うんですけれども、この環境影響評価等について、どういう形で追跡するつもりでしょうか。お伺いをいたします。

小島政府参考人 現在のところ、不発弾の処理につきまして、陸上で処理をするという場合には爆破処理をしておりますが、すべての不発弾を陸上処理できないということで、委員御指摘のとおりコンクリートで固めて処理をしております。

 ただ、その前に、いわゆる焼夷弾のように漏れると発火をするようなものについても、それらに対応する処理をしておりますけれども、現在のところ、私ども、コンクリートで固めて、影響のない海域を指定してそこに投下をするという方法をとっておりますので、それによる海洋の汚染というものの影響は現在のところはないのではないかと思います。

 そのような影響を将来的に惹起しないようにこれを陸上に移していこうというのが、今回、不発弾が、いわゆる爆薬類についても陸上処理をするという趣旨であろうと考えておりますので、早急に陸上処理の体制をつくってまいりたいというふうに考えております。

島田委員 陸上で処理するということの御答弁ですけれども、これは実際上、実行するということになると、なかなかスムーズにはいかないような感がするんです。実効あらしめるために、これは環境省を中心としながら、ある一面では各省との連携はもちろんでありますけれども、やはり専門家を含めた何か機関みたいなものをつくる必要もあるような感じもするし、この条約を締結する上でも一つ重要なポイントでもあると思うんですけれども、そのことについてもう一度御答弁をお願いします。

小池国務大臣 先ほどから局長がお答えしているとおりでございますけれども、今、不発弾処理問題関係省庁会議というのがございまして、防衛、警察、総務、経産、環境、外務、そしてオブザーバーとして内閣府ということで、それぞれが不発弾の陸上処理体制を整備していこうということで、今議論を重ねているところでございます。

 何よりもこの不発弾の陸上処理体制の整備について、中央環境審議会の方からも「国の責任において陸上処分に移行されるべき」ということでございまして、この議定書の締結までには結論を得るよう、積極的に調整をしてまいりたいと考えております。

 ただ、例えばカンボジアなどでの不発弾の処理なども、やはりプロというか、そういった方々が日本からNGOの形で出向いておられたりして、そういった、実際にだれがどういう形で担うのか。また、海洋処分されていたのと陸上処分されていたのは大体半々ぐらいですから、これがどんと陸上の方になると、その分の作業というのは、より効率的にもやっていかなくちゃいけないということなんだろうと思います。

 いずれにいたしましても、それぞれ各関係省庁、そのあたりのこれまでの知見であるとか今後の方針など、しっかりその場で話し合って、そしてベストの方法が尽くされるようにしてまいりたいと考えております。

島田委員 その実効性がとられるように、ぜひ御努力をお願い申し上げます。

 次に、日本政府は、赤泥の海洋投棄については、ロンドン条約九六年議定書のいわば例外として解釈をしているようで、そのため、現在も、昭和電工、住友化学工業、日本軽金属の三社で年間約百六十万トンもの赤泥を投棄しているようであります。

 国連環境計画が一九八五年に報告した資料によりますと、赤泥に水銀、カドミウム、亜鉛、クロム、砒素等が通常の土壌よりも多く含有しているという報告があるわけでありますけれども、赤泥自体を大量投棄しているわけでありますので、長期的になりますと、やはり有害物質そのものが海の中に、あるいは海洋汚染につながってくるというふうに思われるわけでありますけれども、これらの問題について、早急に陸上処理に切りかえるような指導を環境省、関係官庁と積極的に事業主体に強く働きかけていくべきだと思いますが、御答弁をお願いします。

加藤副大臣 赤泥につきましては、ボーキサイトからアルミナをつくるときに出るものでございますけれども、九六年議定書上は、附属書の1に掲げられた廃棄物に該当いたしまして、引き続き海洋投入処分が認められているものである。

 しかしながら、これを船舶から大量に、先ほど百六十万トンというお話だったでしょうか、海洋に投入しているのは、世界でも我が国だけでございます。もちろん、パイプで海中投棄しているのはフランスとかギリシャがやっているわけですけれども、近い将来にそれはやめるという話を伺っているところでございますけれども、やはり、我々政府といたしましても、ロンドン条約締約国会合等の場において、陸上処分への移行に向けて、我が国は一層の努力が求められているところでございます。

 それに十分対応していかなければならないというふうに考えておりまして、昨年の四月に開催されましたロンドン条約、その締約国科学者会合におきまして、我が国は、赤泥の海洋投入処分の中止も視野に入れつつ、投入処分量を段階的に削減していく、そういったことを通しながらこの問題を解決する旨表明をしているところでございます。

 こうした経緯を考えてまいりますと、現在、各事業所において、先ほど三事業所の紹介がございましたが、発生量の削減と有効利用の促進の両面から、海洋投入量削減の努力が続けられているもの、そういうふうに我々承知しております。

 しかしながら、環境省といたしましては、やはり、国際的に表明した我が国の方針を実現するためには、さらなる処分量の削減の努力が必要であると考えておりますし、引き続き、関係省庁と協力いたしまして、各事業所の取り組みをさらに促進してまいりたい、このように考えてございます。

島田委員 今御答弁のように、実効性が担保をするように、ぜひ御努力をお願いします。

 時間も来ましたので、最後に、先ほども大臣から、海洋国日本としてその役割を積極的に果たしていきたいという御答弁がございましたけれども、これらの不発弾あるいは二百海里経済水域に与える生態系の問題にしろ、日本としてやはり真剣に取り組んでいかなきゃならない課題がまだあると思うのですね。いろいろ実態を見てみますと、やはり調査船なり、あるいは、生態系を調査する場合でも、何か専門機関的なところが少ないような気がしているんですけれども、やはり何としても、海洋国日本であると言う以上は、国連に関係するような国際機関などを日本に誘致したり、あるいは調査船をつくったり研究所をつくるぐらいの姿勢がやはり必要ではないだろうかなと思うんですけれども、その辺についての所見をお伺いいたします。

小池国務大臣 海の環境調査ということでございますけれども、まず、国際的なつながりからいたしますと、海はずっとつながっているわけですから、日本海とか黄海などの海洋環境保全ということで、ここはロシア、中国、韓国と連携いたしまして、これは、船じゃなくてごめんなさいということでもないんですけれども、人工衛星のデータを使って今海洋環境がどうなっているかなどの分析を協力してやっているところであります。そのために、海洋環境モニタリングプロジェクト、これは北西太平洋地域海行動計画という長ったらしい名前ですけれども、UNEPの関連でございましてNOWPAPという組織があります。これが、韓国とそして日本、韓国は釜山、そして我が国ではせんだって富山の方で事務所を開きまして、お互い連携をとって、海の環境調査、データなども交換もし、また恒常的に調査をしていこうというようなところで、既に推進もしてきております。

 それから、日本周辺の海域については、環境省、そして海上保安庁などで調査を進めてきたところでありまして、そういった海洋に対しての環境調査、これまでもしっかりやってきたと思いますし、またこれからも引き続き、海洋国としての名に恥じないような調査を今後とも続けていきたい、このように考えております。

島田委員 海洋における生態系の問題、あるいはこれから新たなる海洋汚染の問題。ただ、それだけではなくて、沖縄周辺のところにおける新たなる、例えば軍事的な、アメリカの、米軍の潜水艦の音によって、鯨などが、その音によって相当死んだというような調査などもあるようでありますので、そういう面で、海洋国日本として、海洋汚染に新たなる角度から積極的に取り組んでいただくことを要望して、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳でございます。

 一九七二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約、いわゆる通称ロンドン条約を、我が国は一九七三年に署名をし、一九八〇年に批准をいたしました。なお、ロンドン条約の九六年議定書の発効に備えて今回の海洋汚染等の防止に関する法律の改正案が出てきたものだと理解をいたしております。

 私は、海に囲まれた沖縄県で生まれ育った者として、日本が年間一千万トン以上の廃棄物を海に捨て、国際社会から海洋投棄大国だと非難をされておる、このような海をごみ処分場にするようなことは速やかにやめなければいけない、こういうふうに思っております。

 どうも日本人は、海は広いな大きいなというふうな気持ちがあるのでしょうか。私は、まさに海は命の母であり、沖縄では、豊穣の海、要するにニライカナイの信仰というのでしょうか、ニライカナイの理想郷があって、そこから人間に豊穣をもたらすんだ、こういうふうな考え方があるわけですね。だから、海洋立国というお話もございましたけれども、まさに私たち日本人が忘れてはならないのは、私は、海は隔ての海ではなくして結びの海だということに発想を転換しなければいけないのではないかというふうに考えるものでございます。

 先ほどは、民主党の島田委員から不発弾のお話がございました。この九六年議定書が効力を発するようになりますと、不発弾とかあるいは不用弾の海中投棄、あるいは海洋投棄というのでしょうか、それが原則全面的に禁止をされる、こういうふうに考えるものでありますが、不発弾といえばもう沖縄県なわけですね。五十八年前の夏に沖縄で唯一の地上戦が展開をされたことを大臣も御承知のことだと思います。

 沖縄戦の実相を語るのにいろいろな言葉があります。今さっき申し上げました唯一の地上戦という言い方もありますし、二十万余のとうとい命が失われたこととの関連で、まさにありったけの地獄を集めたような戦争であったという言い方もございます。もう一つは鉄の暴風であります。あのときに、約二十万トンの砲弾が雨あられのように小さな島沖縄に撃ち込まれたと言われております。そのうち約五%、一万トンが不発弾ではないかというふうに推測をされておるわけですね。

 ところが、私のように五十八年間、基地の島、そして沖縄戦が展開をされた島に住んでおりますと、不発弾の問題というのは日々経験をするわけですね。不発弾が今でも市街地で発見をされて、そして県と那覇市の機能が、県庁の機能を含めて、不発弾を処理するために麻痺をするということもありましたし、不発弾を建設現場でひっかけてしまって幼い幼稚園の子供たちがたくさん亡くなったという事件もございました。

 それで、きょうは最初に、復帰後、沖縄県で発見され、そして処理された不発弾の件数あるいは重量、そして、復帰後三十二年経過した、戦後五十八年たった現段階で予測をされておる不発弾の残量等についてお伺いをいたします。

東政府参考人 お答えいたします。

 今、先生、復帰後の不発弾の量、件数、発見された件数、それから予測残量ということでございます。

 沖縄県におきましては毎年多くの不発弾が発見されているわけでございますが、陸上自衛隊による処理状況を見ますと、復帰後、平成十四年度まででございますけれども、約一千四百トン、件数でいいますと二万五千七百十件でございます。

 予測の残量ということでございますが、多く不発弾が埋没しているということは考えておりますけれども、その正確な量というのは、残念ながら、把握不可能だというふうに考えております。

 以上でございます。

照屋委員 今、残量について予測をするものがないというお話でございましたが、防衛庁の方ではそのような資料をお持ちでしょう。

河尻政府参考人 お答えを申し上げます。

 突然の御質問でございまして、私、そのような情報を持っておりません。

照屋委員 ちょっと今聞こえにくかったんですが、もう一度お願いします。防衛庁には資料はないんですか。

河尻政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般的に申しまして、沖縄戦で米軍がどれぐらいの弾薬を使用したとかそういったものは、防衛研究所の戦史部に資料はあるかと思いますけれども、今お尋ねの、不発弾として残っている量がどれぐらいかというような資料について、あるかどうか、私、知見を持っておりません。

照屋委員 ロンドン条約の九六年議定書、ことしから来年にかけて間もなく発効する。それに備えて、不発弾の、見つかって処理をするときに海中投棄、海洋への投棄はもうできなくなるんですよ。ちょっと、せっかく懇切丁寧な事前のレクもやったのに、不誠実ですね。

 不発弾の処理問題というのは、この法律との関係で大変大きな問題ですよ。あなたは聞いていなかったかもしらぬけれども、僕の前の民主党の島田委員の質問にも出てきたんです。私が調べた防衛庁の資料によると、不発弾の残量があと約二千五百トンと予測しているんですよ。知らぬというのはおかしいじゃないですか。防衛庁、ちゃんと資料を持っているんですよ。

 では、今、年間どれぐらい処理しているんですか、まず聞きましょう。

河尻政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和四十七年の復帰後から平成十四年度までに沖縄県で発見された不発弾のうち、自衛隊が処理した量は約千四百二トンでございます。復帰後から現在までに沖縄県で発見された不発弾の自衛隊による処理、これは御承知のとおり陸上処理と海洋投入処分というのがございますけれども、平成十年度から十四年度までについて申し上げますと、陸上処理が約五十トン、海洋投入処分が約八十二トンとなっているところでございます。

照屋委員 これは、平成十二年ですか、陸上処理が五十トン、海洋投棄八十二トン、はるかに海洋投棄が多いわけですね。

 昭和四十七年から自衛隊、陸上自衛隊が処理した不発弾の件数や量はわかっているのに、どうして一部だけ言うんですか。四十七年以降の陸上処理と海洋投棄の量をお示し願いたいと思います。

河尻政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、昭和四十七年の復帰後から平成十四年度までに沖縄県で発見された不発弾のうち、自衛隊が処理した量は約千四百二トンでございます。しかしながら、この中で、この内訳といたしまして、陸上処理と海洋投入処分の内訳でございますけれども、平成九年度以前については、断片的なデータがあるというようなことで集計をしておりません。

 現時点でお答えすることができますのは、先ほど申し上げましたように、平成十年度から十四年度までにおいての処理の内訳でございまして、先ほど申し上げましたとおり陸上処理量は約五十トン、海洋投入処分量は約八十二トンとなっているところでございます。

照屋委員 今度の法案審議になって、恐らくは、沖縄における不発弾の陸上処理の問題、それから海洋投棄の問題というものの実態が初めて明らかになったんじゃないかと私は思いますね。

 防衛庁が、九四年度以前は必ずしも正確な統計がないということでございましたが、明らかになっている統計の中でも、これは海洋投棄の方がはるかに多いわけです。ところが、これはことしから来年にかけて、ロンドン条約の九六年議定書が効力を発しますと海洋投棄はできなくなるんですよ。

 あなたは残量については何も答弁するに至りませんでしたが、私が調べた、陸上自衛隊の第一〇一不発弾処理隊というのがあるでしょう、あるんですよ、そこが予想した数字でも、これから二千五百トンまだ残っているという。そうすると、今三十トンから五十トン処理していると思いますが、年間五十トン平均でやったとしてもあと五十年かかるんです。これが実態なんですね。

 そして、この不発弾問題というのは、沖縄にとっても大変大きな問題で、早目に処理をしなければならない。同時に、ロンドン条約や九六年議定書でことしから来年にかけてもう海洋投棄ができなくなる。さて、では、今後はどういうふうにして不発弾処理のシステムを確立していくのでしょうか、お伺いいたします。

河尻政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的なお答えになるかと思いますけれども、今後の処理につきましては、環境省を初めといたします関係省庁とも協議をいたしまして、法令にのっとりまして適切に処理してまいる所存でございます。

照屋委員 改正法が成立をすると直ちに、ロンドン条約を批准した我が国として、九六年議定書に基づいて実効ある施策をやらなければいかぬわけですね。これが海洋立国日本の国際社会に果たさなければならない責任なんです。

 さて、法律が改正されて、今私が申し上げました不発弾の海洋投棄の新しいシステムをつくらぬといけないんですが、この不発弾処理をする責任ある官庁はどこなんですか。

小島政府参考人 不発弾の処理につきましては、先生御指摘のように、沖縄県は全国の約四割ということで非常に多くの不発弾が発見をされております。

 現在の状況は、警察庁、防衛庁あるいは地元の自治体というところが協力をしながら処理をしているということは先生御案内のことかと思いますけれども、沖縄県のみならず、全国で毎年六十トンあるいは七十トンぐらいの不発弾が出ております。全国的には半分ぐらいが海洋投入処分されておりますので、沖縄がかなりの部分を占めるということは事実でございまして、沖縄の対応も必要でございますが、全国の対応ということで、先ほど大臣もお答えをいたしましたけれども、防衛庁、警察庁、総務省、経済産業省、環境省はもちろんでございますし、外務省あるいは内閣府というところが相談をいたしまして、九六年の議定書の批准二年後ぐらいというふうに考えておりますが、それまでに国としての責任ある処理体制をつくってまいりたいというふうに考えております。

照屋委員 それでは、この不発弾の海洋投棄の問題については、今後も関心を持って見守っていきたいと思います。

 関連をして、沖縄県における廃火薬類あるいは不用な銃弾等、これの海洋投棄の実態はどうなっておるのでしょうか。

小島政府参考人 廃火薬類は不発弾だけでございませんでほかにもございますが、不発弾以外につきましては、猟銃用の残火薬類、猟銃で使われなくなった散弾銃でございますが、それからびょう打ち銃用の空包がございます。

 沖縄県におきまして、平成十三年に警察が所有者から引き取り自衛隊に引き渡しているものでございますが、猟銃用の散弾実包が七百六十七個、びょう打ち銃用の空包が六百九十六個でございます。

 自衛隊において陸上または海上において処分されていると思いますけれども、その内訳につきましては、私どもはまだ承知をしておりません。

照屋委員 それでは、不発弾問題と少し違いますが、米軍のキャンプ・コートニーという基地がございます。ここには在沖米海兵隊の司令部があるわけでありますが、このキャンプ・コートニーから近くの沿岸の海にクレー射撃をやって、それが、クレー射撃の弾頭の鉛が蓄積をされて、約四十九トンあるという報道がございました。

 環境省あるいは防衛施設庁が調査をして、そこは沖縄でも非常に有数なヒジキがとれる漁場になっておるんですが、このヒジキ自体の鉛の含有量は、食品衛生法上の観点で人の健康に影響を与えるものではないという調査結果がたしか環境省からも発表されておりました。

 問題は、この蓄積をされた四十九トンの鉛、これは撤去されたんでしょうか、どうなんでしょうか。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のキャンプ・コートニーにおけますクレー射撃に際しまして使用されました鉛弾の撤去等の御質問でございますが、この問題につきましては、御案内のように、平成十三年二月に、報道によりまして、このクレー射撃実施の問題、また汚染の関係の指摘がなされたわけでございます。

 このため、県あるいは具志川市からの御要請を受けまして、私ども、平成十四年三月に、環境分科委員会の枠組みのもとにおきまして、日本側関係省庁参加のもと、キャンプ・コートニー水域のヒジキに係る補完的調査を行わせていただいたところでございます。

 先生御指摘のように、当該水域のヒジキの鉛含有量につきましては、その際の調査におきまして、食品衛生上の観点では、人の健康に影響を与えるものではないという評価が出されまして、これを公表させていただいたところでございます。

 そこで、先生の御質問のところでございますけれども、米側としまして、このような調査結果も踏まえまして、特段の鉛弾の撤去といったような措置はとっていないものと承知しております。

 以上であります。

照屋委員 四十九トンもの鉛が蓄積というか堆積されている事実がわかっておって、しかもここは、先ほど申し上げたように、本当に豊かな、ヒジキのとれる漁場なんですよ。そこに、事実関係が明らかになって後もなおかつ、まさに海洋を汚染する、海を汚染する鉛を放置したまま撤去しないというのは、私は、これはやはり承知できませんよ。だから、防衛庁も環境省も、私は、強い姿勢でそれを撤去できるように引き続き働きかけていただきたいというふうに思っております。

 時間が少なくなりましたので、環境省に、平成十五年度ジュゴンと藻場の広域的調査の中間報告を先日発表されましたが、私も中間報告を読んでみますと、三年間でジュゴンが十二頭目視されたとか、あるいはジュゴンのはみ跡がかなり広範囲で発見されたとか、いろいろありますが、この中間報告の注目すべきところ、そのあたりについて御説明ください。

小野寺政府参考人 お答えいたします。

 十三年度から十五年度にかけてジュゴンと藻場の広域的調査を実施したところであります。現在取りまとめ中でありますが、概要について御報告申し上げます。

 航空写真と現地調査を分析した結果、沖縄本島の海岸線の全域にわたって、小型藻類、アオサなどが生育するいわゆる藻場、これが四千九百ヘクタールあることを確認しております。このうち、ジュゴンのえさ場となり得る海草が生育する藻場が約二千ヘクタール、東海岸中央部及び南部、西海岸北部及び南部に分布しております。この海草藻場のうち約半分の一千ヘクタールを現地調査いたしまして、ジュゴンのはみ跡、海草を食べた跡を六地点で確認したところであります。

 また、セスナ機からの目視調査によって、沖縄本島周辺、東海岸及び西海岸中央部を中心としてでありますが、十二頭のジュゴンを確認いたしました。

 これらの情報は、沖縄本島周辺の比較的浅い海草藻場から水深の深い海域、これはオーストラリアなどのジュゴンの実態と極めて対比的でありますが、深いところで広範囲にジュゴンが行動した跡を確認しているところでございます。

照屋委員 時間も残り少なくなってまいりましたが、今御説明がありました平成十三年度から始まったジュゴンと藻場の広域的調査、平成十五年度の中間報告も出てまいりました。大臣も恐らく中間報告の説明を受けられたのだろうというふうに思いますが、私は、ジュゴンの保護というのは、これは国際社会に日本が果たさなければならない大きな責務だろうというふうに思っております。

 特に沖縄県では、先ほど、ニライカナイのお話も申し上げましたけれども、琉球王朝の時代からジュゴンとは非常に深いかかわりを持っておりまして、よく考えてみますと、沖縄本島というか、あるいは琉球弧全体かもしれませんが、もともと私ども人類より先にジュゴンがすんでいるんですよね、この地球上には。そんなこんなを含めますと、普天間の代替施設をジュゴンのすむ辺野古地先に海を埋め立ててつくろうなんというのは、私は、とても国際社会から理解が得られない暴挙だろうというふうに思います。

 ともあれ、このジュゴン保護についての大臣の御決意と、大臣はジュゴンのすむ辺野古の海をごらんになったことがありますでしょうか。沖縄の多くの人たちは、もしこれまで機会がなかったというのであれば、ぜひ大臣にジュゴンのすむ辺野古の海を御視察いただきたいという強い要望がありますが、その点をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

小池国務大臣 沖縄県の海に生息するジュゴンというのは、まさに世界の北限ということもございまして、また、生物学的にもジュゴンを守るというのは大変重要な意味がある。先生おっしゃるように、我が国の国際的な責務は非常に重いものであるというふうに思います。

 また、これからも、どのようにして守っていけばいいのか、地元関係者の皆様方からもしっかり話も伺って、ジュゴンを守るという方向でこれからも活動してまいりたいと思っております。

 辺野古地域にはまだ、私自身、最近沖縄に行くときは選挙絡みで行くことが多いので飛んで帰ることが多いんですが、これからも、各地、環境関係のポイントに参るつもりでございますので、そういったスケジュール上のことなども勘案いたしまして、私もぜひ一度は行ってみたい、このように思っている次第でございます。

照屋委員 選挙絡みではなくして、ジュゴン絡みでぜひ沖縄の豊かな海を御視察いただきたいということを再度申し上げて、質問を終わります。

小沢委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十二分散会


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