衆議院

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第8号 平成16年4月20日(火曜日)

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平成十六年四月二十日(火曜日)

    午後三時三分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 長浜 博行君

   理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    木村 隆秀君

      鈴木 淳司君    砂田 圭佑君

      西村 康稔君    鳩山 邦夫君

      平田 耕一君    船田  元君

      三ッ矢憲生君    望月 義夫君

      近藤 昭一君    鮫島 宗明君

      島田  久君    田島 一成君

      武山百合子君    松本  龍君

      村井 宗明君    高木美智代君

      照屋 寛徳君    川上 義博君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府参考人        

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           市川 祐三君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           藤井 章治君

   政府参考人       

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人       

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   政府参考人       

   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  木村 隆秀君     平田 耕一君

  土井たか子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  平田 耕一君     木村 隆秀君

  照屋 寛徳君     土井たか子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二〇号)


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁施設部長戸田量弘君、経済産業省大臣官房審議官市川祐三君、国土交通省総合政策局次長藤井章治君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省地球環境局長小島敏郎君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淳司君。

鈴木(淳)委員 自由民主党の鈴木淳司と申します。

 久々に与野党そろって審議ができますことを、まず大変うれしく思います。

 さて、私は、愛知県の出身でございまして、本委員会には愛知県の出身の委員が何人も見えます。また、政府参考人の中にもたくさんお見えになると聞いておりますが、その愛知では、来年三月から、自然の叡智をテーマとした、二〇〇五年国際博覧会、愛・地球博が開催をされます。主管省庁は経済産業省でありますけれども、環境を主要なテーマとするそうした国際博覧会でありまして、ぜひともこの機会に、我が国の環境行政、環境と経済の両立への取り組みをアピールするとともに、また、社会全体の環境意識の飛躍的向上を願って、ぜひとも、後世から評価をされるそうした意義深い万博にしたいな、こう思っておるものでございますが、実はきょう、たまたま、けさの毎日新聞の社説でこの愛知万博が取り上げられておりましたので、その一節をまず御紹介したいと思います。

  いま、日本は長期経済停滞から脱却しつつある。これを持続可能な成長に結び付けるためには、経済構造の組み替えが不可欠だ。そこで、環境が重要なファクターになることはいうまでもない。

  愛知万博はそうした時代背景の中で開かれる。日本がいかなる持続可能な社会を構想しているのか、世界に発信するまたとない機会だ。それだけに、あくまでも環境にこだわらなければならない。

また、こんなこともあります。

 循環型社会のモデルを提示するなど新たな社会発展の姿を、具体的に体験できることが、未来につながる二十一世紀型万博の神髄だ。

まさに極めて重要なテーマでございまして、世界に向かって情報発信をする機会でございますので、ぜひ、環境大臣以下、環境省のそれぞれの御専門の方あるいは委員各位の格別のお力添えをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、このたびの大気汚染防止法の一部を改正する法律案でございますが、本法案は、粒子状物質及び光化学オキシダントによる大気汚染防止のために、揮発性有機化合物、VOCの排出抑制を行うことを内容とするものでございます。

 具体的には、工場、事業場に設置される施設で、VOCの排出量が多いためにその規制を行うことが特に必要なものを排出規制の対象とする、VOCの排出規制と事業者の自主的取り組みとを適切に組み合わせて効果的な排出抑制を図る、対象施設の都道府県知事への届け出義務を課す、排出口からの排出濃度による規制基準の遵守を義務づける等々を内容とするものでございます。

 ちょうど私が高校に通っておりましたころ、昭和五十年代初頭でございましたけれども、当時は頻繁に光化学スモッグ注意報が発令をされていたのをよく思い出します。言うまでもございませんけれども、大気には境界線はなく、その汚染は、動物、植物、その他すべてのものに甚大な影響を与えるものでございます。大気汚染が一たん発生すれば、その被害は広範囲に及び、またその防御策が非常に難しいという側面がございます。それゆえ、日ごろから汚染の発生自体を未然に防ぐための最大限の努力が求められるところでございます。高度経済成長時代、かつて公害列島と言われたころの大気汚染状況からはかなりの部分で改善をされたというふうに思ってはおりますが、依然として、いまだ特定物質による汚染は深刻なものがあると聞きます。

 そこで、これより順にお尋ねをしてまいりますけれども、まず、これまでの我が国における大気汚染防止対策の取り組みの経緯について、概略の御説明をいただきたいと思います。

西尾政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきます大気汚染問題は、御指摘のように高度成長とともに深刻化をしてまいりました。かつては、四日市ぜんそくに象徴されるような激甚な事態を招来したわけでございます。

 このような状況に対応すべく、公害対策基本法や大気汚染防止法が制定されまして、環境基準の設定や大気汚染防止法に基づく排出規制措置を講じられてきました。

 まずは、固定発生源に対する硫黄酸化物や窒素酸化物等のばい煙の規制、それから粉じんの排出規制というものを進めました。また、自動車等の移動発生源に対しましては、昭和五十三年には、日本版マスキー規制と言われますような排ガス規制を最初に導入いたしました。近時におきましては、やはり自動車の汚染ということを重点にいたしまして、窒素酸化物や粒子状物質等につきまして、累次の規制強化を行っているところでございます。

 これらの取り組みの結果、全般的には、硫黄酸化物などを代表とする大気汚染物質につきましては、大幅な改善を見てきたわけでございます。しかしながら、特に大都市圏におきまして、浮遊粒子状物質や光化学オキシダントに係る環境基準の達成率はいまだ低い水準となっております。今後とも一層の対策の推進が必要となっているというふうに認識しております。

鈴木(淳)委員 今お話しになりましたさまざまな規制、それらの中で、いまだこれまで規制をされてこなかった物質に、今回新たに法改正によって対象に加えようとするVOC、揮発性有機化合物がございます。我が国は、年間で、平成十二年度、百八十五万トンの排出と想定をされておりますが、代表的な大気汚染物質ということでございます。

 それでは次に、その現状についてお尋ねをしたいと思いますけれども、今日におきます我が国の浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントによる大気汚染の発生の状況はいかなるものか。浮遊粒子状物質については、環境基準達成率の推移、光化学オキシダント注意報の発令日数及び被害届け出人数等についてお答えいただければありがたいです。

西尾政府参考人 まず、浮遊粒子状物質の環境基準達成率でございますが、これは、気象要因等により年度によって変動があるものの、依然として厳しい状況にございます。平成十四年度におきます浮遊粒子状物質の環境基準達成率は、一般環境大気測定局では五三%、それから、沿道におきます自動車排出ガス測定局では三四%にとどまっておりまして、全国的に低い状態が継続していると言えます。

 それから、光化学オキシダントにつきましては、ここ数年ではたびたび、毎年二十数都府県で年間二百日ほど注意報が発令される、こういう状態になっておりまして、これは昭和五十年代初期と同レベルでございます。平成十四年には、光化学オキシダント注意報等の発令日数は、二十三都府県で百八十四日でございます。また、光化学大気汚染によると思われる被害届け出人数は、千三百四十七人でございました。なお、平成十四年度には、千葉県で十八年ぶりに光化学オキシダント警報が発令されるという事態にまで立ち至っております。

鈴木(淳)委員 それではここで、浮遊粒子状物質並びに光化学オキシダントによる大気汚染と揮発性有機化合物、VOCとの関係はどういうものかについて、その因果関係について御説明をお願いします。

西尾政府参考人 揮発性有機物質は、これは大気中に排出されまして、物理的、化学的ないろいろな反応を起こします。その過程で凝縮、吸着いたしまして、二次粒子ということで浮遊粒子状物質を形成いたします。また、光化学反応を起こしまして光化学オキシダントを生成するということでございます。

 例えば、環境省の推計によりますと、浮遊粒子状物質の生成に対する工場、事業場から排出されます揮発性有機物質の寄与割合というのは、こういう反応によりまして一〇%程度ございます。それからまた、この揮発性有機物質は、窒素酸化物と並んで光化学オキシダントの原因物質である、科学的にもそのようなことが確定しているということでございます。

鈴木(淳)委員 その光化学オキシダントの原因物質は、今回問題にしていますVOC、揮発性有機化合物以外にもあろうかと思うわけでございますが、具体的にはどのようなものがその原因物質と考えられますか。その列挙をお願いいたします。

西尾政府参考人 光化学オキシダントの発生の原因でございますが、これは、大気中に揮発性有機化合物と窒素酸化物の二つの物質が同時に存在するというときに、ここに太陽光線が当たります、その中の紫外線が照射されるということで反応がされまして生成する、これが光化学オキシダントでございます。したがいまして、揮発性有機化合物以外の光化学オキシダントの原因物質は窒素酸化物ということになります。

 この二つが存在しないと高濃度の光化学オキシダントは発生しないということでございまして、近年の我が国の大気の状況を見ておりますにつきましても、この揮発性有機化合物の削減というのが、光化学オキシダントの改善により効果があるのではないかと専門家も指摘しているところでございます。

鈴木(淳)委員 浮遊粒子状物質、光化学オキシダントとも、実は昭和五十年代から大変な問題になっていたということでございますけれども、その原因物質とわかっておりましたVOCの排出抑制がなぜこれまで取り組まれてこなかったのか、おくれたのはなぜかということについて説明をお願いします。

西尾政府参考人 光化学オキシダントの発生原因は、先ほど御説明申し上げましたように、大気中におきまして窒素酸化物と揮発性有機化合物、この両者が反応するということでございます。

 その物質に対する対策でございますけれども、我が国におきましては、このうち窒素酸化物につきましては、それ自体が非常に有害であるということと、光化学オキシダントの原因物質であるということがございました。そのようなことから、工場、事業場に対します規制、それから、自動車に対します規制の双方で厳しい規制を行ってきたわけでございまして、このように、片方の物質、特に窒素酸化物を重点に取り組んで減らしていこう、こういう対策を講じたわけでございます。

 しかしながら、現在の浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントによる大気汚染の状況ということを見ますれば、やはり今後一層の大気環境の改善を図るためには、工場、事業場からの揮発性有機化合物の排出抑制にも取り組まなければいけない、そういう考えで、これに対策を講じようとしたものでございます。

鈴木(淳)委員 今回の改正でございますけれども、今回の改正においては、法による規制というものと、企業、業界の自発的、自主的取り組みといういわゆるベストミックスという考え方、それによってVOC、揮発性有機化合物の排出抑制を図ることとされております。この種の対策において、ベストミックス、こういう概念を法律に持ち込んだということは、実は初めての試みというふうに聞いておりますが、政策手法のベストミックスという手法、それを今回初めて取り入れた経緯とそのねらいというものがどこにあるのか、それについてお答えをいただきたいと思います。

砂田大臣政務官 ベストミックスの考え方は、環境基本計画に、政策のベストミックスの観点から各種の政策手段を適切に組み合わせて、相乗的な効果を発揮させると定められているところであります。

 また、中央環境審議会における審議においても、規制と自主的取り組みの長所、短所についてさまざまな議論がなされた上で、自主的取り組みを促進する必要性が強調され、ベストミックスという考え方が示されたところであります。

 このことについては、本法案の第十七条の二において規定しているところでありまして、そのねらいは、揮発性有機化合物の排出抑制に関する施策その他の措置について、排出規制と事業者の自主的取り組みとを適切に組み合わせることによって、より効果的な排出規制を図るということであります。

鈴木(淳)委員 このベストミックスという理念は大変すばらしいと思いますし、今後の環境行政の方向性であろう、こう私も思うわけでございますけれども、それはやはり実効性が伴って初めて評価をされる、こう思うものでございます。

 それでは、今回、法改正によって導入されるベストミックスというこの手法によって、いつまでにどれだけのVOCの排出量が削減できると考えられるのか。また、その場合は、大気汚染の改善効果というものがいかほどかと想定されるのか、その具体的な数値も含めて、お示しをいただければと思います。

西尾政府参考人 まず、今回行います揮発性有機化合物の排出削減、それによっていつその効果を図るかという、いわば達成の期限につきましてでございますが、これは、自動車NOx・PM法に基づきます基本方針には、浮遊粒子状物質の環境基準をおおむね平成二十二年度を目途として達成をするということが書いてございますので、当然、この揮発性有機化合物の削減政策につきましても、これと整合するように、二十二年を目途として進めて考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

 そこで、揮発性有機化合物の排出削減につきまして、我が国全体の固定発生源から排出される揮発性有機化合物の排出量を、平成十二年に比しまして平成二十二年には三割程度削減することが適当ではないか、これが審議会での御議論の結果得た結論でございます。

 これは、私どもの試算によりますれば、浮遊粒子状物質につきましては、揮発性有機化合物の排出量を三割程度削減した場合には、自動車NOx・PM法の対策地域とされているところにおきます環境基準達成率が約九三%に改善する、こういうシミュレーションの試算がございます。

 また、光化学オキシダントの方で見ますと、揮発性有機化合物の排出量を三割程度削減した場合には、この注意報レベルを超えることはない測定局、これは現在は六割ぐらいなわけでございますが、これが全国で九割程度にまでふえる、改善の方向に進むということが見込まれているわけでございますので、そのような考えで進めたいと思っております。

鈴木(淳)委員 今回の改正案における排出規制の対象施設というものが、実は大規模な施設に限られている。零細、小規模な事業者は対象とされておりません。

 ところが、対象外といえども、やはり小規模事業者においても積極的にその削減に取り組んでいただかなければならないと思いますけれども、小規模な排出事業者というのは、一体どのような努力が具体的に求められることになるんでしょうか。

西尾政府参考人 本法案におきましては、ベストミックスの考え方に従いまして、法律で規制する対象は基本的なものを規制する、それのほかに事業者が自主的に取り組んでいただく、その両者で効果を上げようとするものでございます。

 したがいまして、本法案の対象となる施設につきましては、揮発性有機化合物の排出量が多いためにその規制を行うことが特に必要なものについて規制の対象としようと思っておりますので、小規模な事業者に直接規制を適用するということは考えていません。しかしながら、小規模な事業者も含め、排出事業者において、事業の実態に応じて自主的に取り組みを行っていただくことは重要でございます。それが今般の揮発性有機化合物抑制策の一つのねらいでもあるわけでございますから。

 したがいまして、さまざまな情報提供や普及啓発も行いますし、いろいろな形で事業者が取り組みやすい環境をつくっていく、そういう方策につきましても、今後とも十分検討をしていく必要があるというふうに考えております。

鈴木(淳)委員 中小企業者を含めた事業者が自主的に取り組みやすい環境をつくるということでありますが、中小企業を含めた幅広い事業者が本当にVOCの排出抑制に取り組むことができるためには、やはり何といっても、中小企業者向けの、低価格であり、また小型のいわゆるVOCの処理装置、そうしたものの開発が必要かな、その推進が必要かな、こう思うわけでありますし、また同時に、VOCの発生量が一番多いと言われております、塗料、インキ、接着剤等の中のVOCの比率を下げる低VOC化というものが必要かというふうに思いますが、これらの取り組みについて、国としての支援措置は検討されているのでしょうか。

西尾政府参考人 先生御指摘のとおり、中小企業も含めた幅広い事業者がVOCの排出抑制に自主的に取り組んでいくというためには、二つの方向でございますが、低価格で小型のVOC処理装置の開発というのは重要でございますし、また低VOC塗料等の開発が促進されることが重要でございます。

 したがいまして、例えば、中小の例でございますが、中小企業者向けの低価格で小型のVOC処理装置というようなものについてでございますが、ある程度の技術はできているけれども、それについてきちんとまだ位置づけができていないというような技術につきまして、適正な技術であることを第三者に評価していただくことにより普及の促進を図るというようなことで、環境技術実証モデル事業といったような事業も環境省でやっております。そうした一つの例でございますが、これらの施策、そのほかの施策を工夫して、今後とも、そういう技術の開発が進むように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

鈴木(淳)委員 今回の排出規制の対象となります揮発性有機化合物、VOCによって起こる大気汚染というのは、ある面で、都市部、大都市圏域に特化をした問題というふうにも思われます。しかし、その一方で、気候変動枠組み条約において、この物質、VOCは、その排出量を事務局に通報することが求められている物質でもあります。

 本来、地域固有の課題を生じるのみであるならば、国際的な枠組みの中において通報する必要はないようにも思われるわけでありますけれども、この気候変動枠組み条約において、なぜこの揮発性有機化合物、VOCの排出量の通報が求められておるのか、その説明をお願いいたします。

小島政府参考人 気候変動枠組み条約の第四条に基づきまして、締約国は、温室効果をもたらすガスの人為的な排出について、自国の目録を作成して公表するということになっております。

 この目録の作成方法、手順は、気候変動に関する政府間パネル、IPCCのガイドラインで定められておりまして、ここには、京都議定書での削減対象となっている六種類の温室効果ガスの排出量の報告に加えまして、京都議定書での削減対象ではありませんけれども、温室効果を有するオゾンの発生要因となるガスの排出量も報告をするということになっております。

 VOCそのものは温室効果があるわけではございませんが、大気中で作用をしてオゾンを発生させていくということで、気候変動枠組み条約の排出量報告の対象となっているものでございます。

鈴木(淳)委員 それでは、ここでちょっと、VOC、揮発性有機化合物から少し離れますけれども、一般論として大気汚染の問題を考えてみたいと思います。

 大気は、先ほど申し上げましたように、自由に行き交い、そこには県境も国境もないわけでございまして、大気汚染の改善は、国や一地域の個別の取り組みだけでは限界がありまして、広く国際的な協調と改善の努力が不可欠でございます。

 とりわけ、海を隔てた我が国の西には大国中国がございまして、今御案内のとおり、大変な急速な勢いで経済発展を遂げているわけでございます。高速道路の総延長は、実は既にもう我が国の三・五倍もある、こういうふうに聞いておるわけでございますけれども、自動車の普及率も大変に急激に上昇しておる、これがこれからまさに大きな問題になるのかな、こう思うわけでございます。

 さてそこで、我が国に、偏西風によって黄砂が到来をいたしますけれども、例えば、中国からこうした汚染物質が飛来をすることによって、酸性雨などの影響のおそれが、今後一層、また一気に増大をするのかな、こういう懸念を持つわけでありますけれども、こうした海外からの汚染物質の飛来、到来という問題について、我が国はどのように取り組もうとしておるのか、その対策についてお聞かせいただきたいと思います。

小島政府参考人 黄砂や酸性雨は、我が国でも重要な問題でございますけれども、まず、どこからどういうふうに飛んでくるのかということのモニタリングが重要でございます。

 酸性雨につきまして、我が国の調査によれば、日本海側で冬に酸性雨物質の沈着量が増加をするという傾向がありまして、大陸からの影響が示唆されているという状況でございます。

 酸性雨のモニタリングにつきましては、東アジアの十二カ国で東アジア酸性雨モニタリングネットワークというものを過去五年間にわたってつくり上げてきております。いろいろな発展の段階が違う国もございますけれども、当初は枠組みづくりに必要な経費の全額を日本が負担してまいったわけでございますけれども、このようなモニタリングの必要性が各国で認識をされまして、二〇〇五年から、基本的に国連分担率をベースとして、すべての参加国が資金的な貢献をしようというパートナーシップの精神が芽生えてきている、そういう成果が得られてきていると思います。

 また、モニタリングだけでなく、発生源対策もしないといけないわけですが、例えば中国では、現在、酸性雨対策を重点課題の一つとしておりまして、二酸化硫黄の排出量の削減に取り組んでおります。これに対して、我が国としても、重慶、大連、貴陽の三都市を大気汚染対策等のモデルとして選んで、約三百七億円の円借款を供与して対策の推進を支援しております。

鈴木(淳)委員 今、モニタリングの枠組みの経費を負担してということがありました。それも大事なことでありますし、また、発生源の対策で取り組んでおる、そういうことでございますが、やはり実効性のある、ODA等を含めて具体的に効果が上がる、そうした対策をぜひお願いしたいと思っています。

 これから恐らく中国の自動車の普及によってこれが大変な課題になるというふうに思いますので、そのところは、各国協調のもとでぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、今回の目的の一つでございますが、平成二十二年三月までにおける浮遊粒子状物質、SPMの環境基準のおおむねの達成を果たすためには、その主要因である自動車の排ガス対策の推進がまた不可欠だと思われます。

 今百五十九回国会の冒頭において、小泉総理が、その施政方針演説において、世界最高水準の排出ガス規制の実施というものをうたっておられますけれども、その取り組み状況並びに今後の決意について、また大臣からお答えいただきたいと思います。

小池国務大臣 小泉総理の所信表明の中に、まさに低公害車に対しての総理の熱意ということがあらわれていたかと思います。

 また、今御指摘ございましたように、大都市における大気汚染というのはまだまだ厳しい状況にある、そういう認識のもとで、国民の健康を守るために早急な改善が必要である、そういうベースの認識を持っております。

 そのためにも、まず、ディーゼル自動車については平成十七年に世界で最も厳しい排ガス規制を実施する、それから、大都市地域においての特別な対策として、自動車NOx・PM法に基づいての排ガス性能のよい車への代替を促進すること、そして三番目に、低公害車の普及促進というような形で、いろいろな角度からの促進を図っているところでございます。

 ディーゼル自動車の排ガスについては、今最も厳しいというふうに申し上げましたけれども、十七年の規制以降でも一層の規制強化が必要だということで、排ガス対策に対しては、技術動向をしっかりと評価して、十七年以降におきましても世界最高水準の対策を実施してまいりたいというのが決意でございます。

 また、法案に関してでございますけれども、粒子状物質についてあらゆる追加的対策を検討いたしまして、できるものから積極的に実施をしていくといったような、そういった姿勢で努力を重ねてまいりたいと思っておりまして、今国会、御審議いただいております大気汚染防止法の一部改正案もそのあらわれでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

鈴木(淳)委員 ありがとうございました。

 冒頭に申し上げましたけれども、日本は、世界に向けて環境をテーマにした博覧会を提案しました。ぜひこうした機会を通じて、本当にそれぞれの分野で最善の努力をして、日本が環境先進国と言われるようにぜひなってほしいな、こう思うわけでございますが、今回の法改正を通じましても、大気汚染の防止の取り組み、改善運動がまさに官民を挙げて進む中で、我が国の空が文字どおり日本晴れとなるようにぜひお願いをしたい、こう思いまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、長浜博行君。

長浜委員 この環境委員会は、極めて指導力のある委員長のもとに、与野党理事がいろいろ打ち合わせをしながら円滑に進んでおりますものですから、できればほかの委員会も極めて民主的に、円滑に進んでいただきたいなと思いつつ、質問に立たせていただく次第でございます。

 後ほど、私どもの明日の内閣の近藤大臣が細かく法案について御質疑をさせていただくと思いますが、私は大気汚染全般についてちょっと思うところをと思ったんですが、今の鈴木さんの質問も聞いておりまして、酸性雨の原因になるところの中国への協力、これは改正大気汚染防止法のとき、平成八年だったかな、私も環境委員に所属をしておりまして、ODAの、特に火力発電所の問題を聞いたような記憶を今ふと鈴木さんの質問を聞きながら思い出したんです。

 低粘炭を使っているから脱硫装置をつける必要がないような形での外務省からの回答か中国政府からの回答を得て、ああそうか、低粘炭を使っていると硫黄の問題というのは、サルファーは発生してこないのかと一時期納得したような記憶が遠く昔にあるんですが、私は通告していないので、多分鈴木さんの通告をそのまま使わせてもらってやっているわけですが、今、中国の火力発電所等々で使っている原料炭は、サルファー発生の低い低粘炭を相変わらず使っておるんでしょうか。

小島政府参考人 中国での発電所ですけれども、石炭は使っている場所によってその硫黄分が非常に違うということで、中国本土における酸性雨の状態を見ますと、いわゆる北あるいは沿岸部よりも内陸部が非常に酸性雨の、あるいは酸性度が高いというデータが出てきております。

 その理由は、一つは使っている燃料、石炭についても硫黄分が多い石炭とそうでない石炭がございますし、それから近時、沿岸部においては脱硫装置がつけられているというようなこともあって、いわゆる鉱工業が発展している地域と酸性雨の濃度にちょっと違いが見えてきているということもあります。さらに、今中国は、中国の内部の方から天然ガスパイプラインを引くということでございまして、燃料転換が進んでいけばさらに大気汚染対策にも資するのではないかと思っております。

長浜委員 当時は環境庁でしたから、今は環境省となられて、ODAの問題、特に協力する中における環境影響調査、事後の評価を含めて、もう少し環境省が、その施設をつくったODA予算は外務省管轄かもしれませんが、厳しくチェックをされた方がよろしいのではないかなと。それをやらないと、今みたいな質問が結局ずっと出てくるような形になると私は思っております。

 そして、これも本会議中に思いましたので通告などはしておりませんが、先ほど本会議で景観法をやったんですね。大臣は参議院で採決ですか、あられたようでありますが、多くのみんなは出ておりましたけれども、この景観法も、国土交通絡みかなと思ったら農水大臣も指名があって、もちろん質問者の指名ですからそれがどうこうという問題ではないんですが、やはり景観法あたりも環境省が、これは環境省も絡んでいると思いますけれども、かなり環境的なセンスといいますか、法律構成だけではない、センスがないとこの法案が生きてこないように思われますが、景観法案が出されていますけれども、これについてどう思われますか、どなたでも結構です。

西尾政府参考人 担当局でございませんので、ちょっと正確ではございませんが、私どもは、自然公園の観点から、景観づくりにつきまして国土交通省と一定の連携をとるということで進んでおると思います。

 それから、私どもの環境管理局では、ヒートアイランド対策というものにつきまして先ごろ三月に大綱をまとめてございますが、その中で、やはり都市におきまして緑地でありますとか自然の水面が大切であると。今度景観三法ということで、その間のいろいろな分担関係はありますけれども、緑地などにつきましても大いに力を入れるということで国土交通省が進んでおられると思っておりますので、これからもできる限りの連携をとってまいりたいというふうに思っております。

長浜委員 ですから、これもチャンスがあれば、本委員会の所管じゃないということなので、向こうへ出張っていって質問をしなきゃいかぬかなとは思っておりますけれども、一連の、私のいつもの質問で、いつもの流れの中で質問しておりますけれども、環境省がリーダーシップをとっていかないと、この法案自身も、できたはいいけれども、現実にそれを使う市民、国民、都道府県民の皆様にとっては余りつくっても意味がないものになるというような危惧をちらっときょうの本会議で聞いていて思ったものですから、ぜひ環境大臣にもお力を発揮していただきたいというふうに思っております。

 さて、昨日、月曜日でありましたので、衆議院は本会議はございません、環境委員会は定例日ではございませんという関係で、岐阜市の産業廃棄物不法投棄の現場に行ってまいりました。市役所から車で十分ぐらいだったでしょうか、余りに近いので驚きましたけれども、この大気汚染防止法の審議をきょう迎える中において、一部改正ではありますけれども、昨日、十分に硫化水素を吸わせていただきました。悪臭と大気汚染の、私はもともと過去花粉症であるということを告白しておりますが、化学物質過敏症なのか、浮遊性の微粒子及びNOxの影響なのか、ディーゼル車の後を走りますと必ず状態が悪くなるために、何かアゼプチンとかいうのをずっと飲む羽目に陥っておりますけれども、それ以来、ちょっと目が痛くて体調がいまいちなのでございますけれども、雨が降っていたにもかかわらず、ごみの山からは煙が出ていた。多分、それは熱を持ってしまっているのかなと思います。

 南川部長はこれをごらんになったというふうに聞いておりますが、不思議なことに、この廃棄物、中間処理業者ですから、最終埋め立てができるという業者じゃなくて、中間埋立業者の会社の入り口はとてもきれいでありました。おお、きれいなところだなと思って、松の植林か何かしてありまして、ぱっぱっぱっと。名前も何か善というのがつく会社だったようでありますけれども、これはいいことをしているな、何が問題なのかなと思って、その山をバスがローギアを入れてじゃないと上れないような状態で上っていったときに、この世の地獄と思うべき光景が出てきたわけでございます。

 こういった中においても、当然マスコミも取材に来ていたんですけれども、公開すればいいのになと思ったのに、マスコミはどういうわけか入れてもらえませんでした。五十二万立方メートル、警察が深さをはかったら二十メートルと言っていますから、もっとあるのかもしれない。

 こういった産業廃棄物処分業で、昭和六十二年から免許を受けて五年ごとの更新を受けていたという、収集運搬業の許可もとっているんですけれども、これが、市長さんにも会いました。なぜなら、岐阜市は人口が四十万ぐらいでしょうか、中核市なのか、基本的に都道府県がこういった許可は出すんですけれども、保健所があるところは市の権限だということで、市が一義的にその責任を負っているということで、市長さんにはっきり申し上げて詰問をしたわけであります、どうしてこんなことになっちゃうのと。

 ごらんになっていない方はイメージとしてわからないでしょうが、南川さんはわかると思います、あの辺もお詳しいでしょうから。あの状況の中において、一義的には市がやらなければいけないということを申し上げましたけれども、その間において県のやる仕事を、あるいは環境省として指導を、わかってから指導を加えるのではなくて、その前の段階で何らかの問い合わせが、長浜事務所には一件も来なかったので対応しようがなかったと言いわけするつもりもありませんが、環境省には問い合わせが行かなかったのかなという素朴な疑問を感じたわけでございます。

 これの行政指導というのが、不思議なことに行政処分はないんですね、合計四十九回も行政指導を行って。さらにまた不思議なところは、平成十三年以降のこの二年間あたりは何も指導がない。この二年間あたりに一気に最後の、やっちゃえというのでふえたんだと思うんですが、この二年間あたりは全然触れない。

 こういった状況の中で、じゃ、何で今回こんな問題になったのかというと、岐阜県の警察が住民の通報を受けて平成十五年秋より内偵ということなんですね。衆議院の環境委員会でも参議院の環境委員会でもなくて、環境省でもなくて、住民の方が入っているという状況でございますけれども、一義的には責任がないという答弁ではなくて、環境省がこういった、実はこれは一部の問題なんですよ。私、千葉県から選出されているから申し上げるわけではないんですが、千葉県にもこのような問題が存在をするやにと言ったらおかしいので存在していると言いますけれども、豊島の問題、青森のあの県境の問題等々含めて、一体なぜこういったことが起こり続けるのかということを、あわせてちょっと教えていただければと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、私どもも、三月十八日に警察庁本庁から連絡を受けるまで全くこれについて知りませんでした。

 具体的には、これは岐阜市の権限になっております。保健所設置市につきましては、厚生省時代から、県の権限を県ではなくて保健所の設置市が行うということになっております。

 これにつきましては、行政処分が行われれば毎年の情報の中に入ってくるわけでございますが、一切行政処分が行われておりません関係から、全くわからなかったというのが、恥ずかしい話でございますが、正直な現状でございます。

 私ども、その後、早速次の日に担当を派遣し、また四月二日には助役に来ていただきまして、具体的な助言という名前の指導をいたしたわけでございます。そして、十三日には市長さんにお会いしました。また昨日、助役さんに来ていただきまして、その後の対応について報告をいただいたところでございます。

 ポイントは幾つかございますが、まず、不法投棄の現状をしっかり把握する。御指摘のとおり、五十二万立米と申しますけれども、深さについてははっきりしません。最低二十はあるだろうというだけでございます。これをはっきりさせること。なおかつ、中に何が入っておるか、硫化水素のにおいはいたしますが、何が入っておるかを特定する必要がございます。その上で具体的な対策をつくっていく必要がございます。

 それから、もちろん、原因者たる善商の責任追及、これは業者としての取り消しも含むわけでございます。それから、善商が中間処理業者と知りながら、知っていたはずなのに、あたかも、最終処分を頼んでおる業者がいるはずでございます。それについての責任追及もしっかりといたします。また、岐阜市自身の責任の問題がございます。

 そして最後に、これを透明性を持って住民にもわかりやすく遂行していくということでございます。私どもも、しっかりと岐阜市を指導してまいります。

 残念ながら、こういった大規模な不法投棄が発見されて、まことに今困惑をしております。ただ、私ども、なかなか、直接全国各地をチェックするのは無理でございます。ただし、自治体にもぜひ自覚を求めて、少しでも疑いがあれば連絡するように、また適切な対策をとるように、これからも連携を、これまで以上にしっかり連携してまいりたいと思います。

長浜委員 さっきも申し上げたように、市長さんには初めて会いましたけれども、詰問をする失礼をしてしまったわけでありますけれども、一晩寝て考えますと、市長の言っていたことも若干わかるような部分がありまして、それはどういうところかというと、市が、保健所があるがゆえにある種の許可権限などを出していた。ところが、いろいろな話が来るんだけれども、何で警察に言わないのと。岐阜県でございますから、大変な暴力的圧力を受けた町長さんもおられるようなところでございますから、身の危険を感じるのならば、それ専門のと言ってはおかしいんですが、そういう機関があるじゃないのという話をしていたら、やはり警察は都道府県単位なんですね。ですから、都道府県のこういう中においての話とワンクッション、市というのは、中核市というのは何かうまくコミュニケーションがとれないんですと。聞いているときは瞬間的に熱くなっていますから、何を言いわけを言っているんだと思いましたけれども、さもありなんなと。

 そうすると、地方分権がどんどん進む中において、しかし、今申し上げたようなある種の矛盾を、大局的見地に立って、日本国の環境どうあるべきか、あるいは住民の健康問題、しかも今大気汚染防止法を審議しているぐらいですから、これはやはり環境省の方からある程度の、今指導をしたとおっしゃいますが、適切な指導をしないと、現場では能力の限界を感じているような部分を私は感じたわけでございます。

 部長、ちなみに、環境省としては全国の産廃の一年間の不法投棄量を約何トンと公表されているんですか。別に公表されていませんか、何かそういう資料で。

南川政府参考人 私ども、把握して公表しておりますのは、十トン以上の新規の産廃の山が見つかった場合の量だけを発表しておりますけれども、年間三十万トンから四十万トンというのが最近の発表しておる数字でございます。

長浜委員 年間四十万トンですから、少なくとも言えることは、豊島が五十六万トンというふうに言われております。それから青森、岩手は、これは八十八万トンと言われていて、これで幾つになるんですか、百四十ぐらいですか、どうも算数が苦手で。百四十万ぐらいになるんでしょう。それから今度のも、さっきおっしゃったように、まだ深さがわからないんですから、縦掛ける横掛ける深さですからね、立方メートルは。その深さがわからない状況の中においての五十数万トンという状況ですから、もちろん、それだけ年数がたっているじゃないですか、つまり累計ですよ、こう言われちゃえばそれまでですけれども、もう少し丁寧に、大変職員の方も人数も少ない、御苦労されているとは思いますけれども、間宮林蔵じゃございませんが、全国を担当の方が一回歩かれてみるとか、そのぐらいの情報を持って都道府県やあるいは市町村に指導されるというぐらいまで踏み込まないと、これは市の部長さんや何かが対策本部をつくるのはいいけれども、部長さんが全部見に行ったことを、市長、確認していますかと言ったら、市長は、いや、全部の部長が見に行ったかどうかは確認していませんと。この程度ですから、ですから、そういったところのモチベーションをつけていくためにも、部長のところがきっちりその問題を全国にわたって当たっていかないと、これはまだ出ますよ、きっと。どうですか。

南川政府参考人 まず、数でございますが、もし五十二万トンといたしますと、これは新規発見が五十二万トンになります。毎年幾らが積み上がったかじゃなくて、新規に見つかった量でございます。それで私ども、大変深刻に受けとめております。

 したがいまして、地方調査官も使いまして、また県、それから政令市も使って、何とかその現状をしっかり把握したいと思います。そうでないと、なかなか以後の対策もはっきりとしたものを打ち出せないというふうに大変危機感を持っているところでございます。

長浜委員 とにかく浮遊性の微粒子、それからダイオキシンですね。この数値がまだ上がってきていません。四月下旬から五月上旬ぐらいで数値を上げるという現場の説明があったんじゃないかと思いますけれども、こういったものを早く把握して対応された方が、驚くべき数字が出るのか出ないのかちょっとわかりませんが、その対応をお願いしたいというふうに思っております。

 さて、今度はCO2の問題でございます。

 先ごろ、森元総理大臣がロシアに御訪問をされたようでございますが、環境大臣は、就任の演説の中だったと記憶をしておりますけれども、ロシアに批准を求めていかないことには話にならないというか、ロシアを重視しているというようなのを、昨年、就任のときに述べられたような気がしておりますが、間違っていたらごめんなさい。

 今回の、森特使なのか、派遣に関して、環境大臣からロシア・プーチン大統領に何かお願いをということは託されたのでございましょうか。

小池国務大臣 ロシアが重要であるということは確かに述べさせていただきましたし、また、その一環といたしましても、今回、森前総理がお立ちになる前にもお目にかかった次第でございます。

 今回、森前総理が日本側の座長をお務めになりました日露賢人会議の議論の中で、このロシアの京都議定書批准問題について言及をしていただいたということを聞いておりまして、また、詳細については、どういうやりとりかというところまでは承知をいたしておりませんけれども、その場におきまして取り扱っていただいたということを聞いているところでございます。

長浜委員 廃棄物の問題が急遽私の中には入ったものですから、私としては、この京都議定書の問題というのは、また場を改めて時間を要して質疑をしなければいけないというふうに思っておりますが、いわゆる排出権取引ですね、京都議定書の中での京都メカニズムの問題。

 排出権の取引という問題と、それから先進国間の排出削減事業であるところのいわゆるJI、それからもう一つ、先進国と発展途上国間の排出削減事業であるクリーン開発メカニズム、CDMの問題、こういった問題に関しては、非常にテクニックでわかりづらい点があるんですね。国家としての排出権、ある国家との排出権取引でいくのか、あるいは、もうワールドワイドに広がっている企業展開をしていますから、個別企業ごとに排出権の取引を任せて、どこの企業と何をやったとか。例えばNEDOで言うカザフスタンの火力発電所をやったり、これはJIですが、CDMの方では電発のタイの発電の効率化とか、原子力発電所の場合は、京都メカニズムの中では認められていないようでありますけれども。

 こういった問題がわかりづらくて、整理をしていくのにかなり大変な、時間がない状況の中で、何しろ第一約束期間が目の前に迫ってきておりますから、どういう整理をしているのかというのを一回改めてお伺いをしなければならないと思うんですが、本当に京都議定書というものを、憲法の第九十八条二項の問題においても、批准をしたからには遵守をする義務を負うという、当然の憲法の規定にもありますとおりのこの京都議定書を、原子力発電所が想定したとおり稼働できない、それは基数ですね。それから、森林吸収量も想定したとおりの吸収量ができない。

 こういう現状の中で、私からすれば大変発言したくない内容でありますが、本気でこれが実現できるというふうに思っておられるのかどうか。そういった問題について、現時点でのコメントを求めたいと思います。

小島政府参考人 二〇〇四年は温暖化対策推進大綱の見直しの年ということで、環境省におきましても、あるいは経済産業省、国土交通省、農林水産省、国内の対策を行う各省におきまして見直しの作業が進んでおります。

 そういうプロセスの中で、先生御指摘の原子力発電所の基数の問題であるとか、あるいはいろいろな対策の見通しであるとか、そういう数字が出てきております。中央環境審議会におきましても、関係各省に出ていただきましてヒアリングをしておりますけれども、現状の対策だけではマイナス六%はなかなか難しいのではないかというのが暫定的な現在の状況でございます。

 これからさらに対策の効果というのが積み上げられてくるということと、あるいはもう一つ、将来予測、需要の予測というものの見直しもしております。電力の需要量あるいは交通の状況、こういう全体の需要量というものをもう一度計算し直しまして、必要な対策量と今後必要となる追加的な対策量というものをはじき出しまして、さらなる対策、必要な場合におきましての対策の検討に今後入っていくということでございます。六%の削減目標を達成するための努力を関係各省ともども現在しているところと認識しております。

長浜委員 経産省、来ておられれば、一言。

市川政府参考人 先生、先ほどのお話の中で、特に原子力の関係、一言触れられましたので。

 確かに、今の大綱の前提となっております考え方というのは、二〇〇〇年度と比較しまして約三割、原子力発電による発電量をふやすということを前提でございます。それは十基から十三基ということの原子力の増設に対応するということでございますけれども、現状において、最近の電力供給計画におきましては、その数字が合計六基という状況でございます。

 ということで、原子力の新増設につきましては、地元の御理解を得ながら一歩一歩着実に進展させなくてはいけないというふうに考えておりますし、また、原子力の利用率の向上というのも、また別途考えていかなくてはいけないというふうに考えておりますけれども、いずれにせよ、当初の目標の数値、二〇〇〇年度に比べまして、二〇一〇年度において三割の発電量の増加というのは、現状において非常に厳しい状況になってきているというふうに考えております。

 そのような中においてどうするかということでございますけれども、先ほど、小島局長のお話にもございましたように、現在、二〇〇四年の地球温暖化対策大綱の見直しの中で、さまざまな省エネあるいは新エネのさらなる導入なり、あるいは技術開発なりという対策を積極的にさらに追加していくということの中で、何とか六%の目標の達成のために頑張っていきたいというふうに考えております。

長浜委員 この京都議定書の問題は私もずっと携わってまいりましたが、頑張ってまいりたいということと現実にできるという、その、たいと、できるかなというのをそろそろシビアに考えないと、さっきも申し上げたように、この議定書の問題というのは拘束力を持つ、しかも守れなきゃ罰則で、できない場合は次の場合に、一・三倍でしたか、さらに付加をされるわけですから。

 今でも、地球温暖化防止活動推進センターとか温暖化防止活動推進員という何千人の単位のものをつくっておられるわけでしょう。それで、現実には、冷房温度を一度高く、暖房温度を一度下げるとか、シャワーの時間を一日一分家族全員が減らすとか、そういうものを立てられているわけでしょう。だけれども、多分知らないですよ。私も知らないでびっくりしちゃったんだけれども、私、きょうから一分減らしますけれども。こういった問題を積み重ねないと、現実には、これがやれたところで、九〇年比二・八%しか、十項目の節約をやったってできないわけですから、もう少し真剣味を持って取り組まないと、恥をかくだけでは済まないで、責任問題に発展をしていくんではないかなというふうに私は思います。

 そして、大臣出張、民主党は極めて民主的な政党で、何しろ必要なことは認めるということでありますから、大臣のニューヨーク出張を御承認申し上げるということを西野筆頭にも申し上げました。きょうも、副大臣がOECD環境大臣会合にも出られているわけでございます。特に、小池大臣におかれては、国連持続可能な開発委員会は、これは世界各国の環境大臣が一堂に会する、しかも、小池大臣の出席による我が国のリーダーシップの発揮が極めて重要であるという御丁寧な、この海外出張についてというメモをいただいておりますけれども。

 こういった状況の中において、アメリカが、アメリカンスタンダードともいうべき新たなる検証と言ったらいいんでしょうか、総排出量の問題ではなくて、対GDP比で一八%でしたか、そういった新たなるアメリカのスタンダードをつくっていって、ダブルスタンダードになりますね、京都議定書という問題とそれからアメリカンスタンダード。こういったことも危惧をしながら、ぜひ京都議定書のベースに沿った交渉をしていただきたいと思いますので、一言どうぞ。

小池国務大臣 皆様の御理解をいただいて、また国会の承認が得られましたならば、この四月下旬からニューヨークで、CSD、持続可能な開発委員会の方に参加を予定しているところでございます。

 そこには、言うまでもなく世界各国の環境大臣がお集まりになりますし、また、これまで二国間の会談を行ったり、また書簡によるやりとりなども積み重ねてまいりましたので、今回、その場において、さまざまな情報交換、そして、今後どうやって実現させていこうか、それぞれ各国との話し合いの場を持ちたいと思っております。もちろん、アメリカそしてロシアを含めました各国に対しまして、京都議定書の早期発効について強く訴えかけてまいりたい。これについては変わりはございません。

 あと、先ほどから、やはりもっと危機感を持ってというお話でございますが、私もそのとおりだと思うからこそ、環境革命という言葉を使わせていただいて、より多くの国民の皆様方と危機感を共有できるようにしてまいりたいと思っているところでございます。

 前にも申し上げたかと思いますけれども、今、石油価格はかつてない高どまりを見せておりまして、考えてみれば、七〇年代のころのオイルショックのころから比べると、さまざまなセーフティーネットができたおかげで余りそれを感じていないというのは、よい部分もあろうかと思いますけれども、なかなか危機感にはつながってきていない。今、御指摘もございましたように、やはり国民の皆様方のさまざまな御協力がないと、実際のCO2、温室効果ガスの削減につながる、その加速度になりませんので、その点を心して、国内でまた海外において活動してまいりたい、このように考えております。

長浜委員 質問を終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 今回の大気汚染防止法の一部改正案について、質問させていただきます。

 VOC排出量のことでありますが、単位面積当たりのVOC排出量の国際比較でありますけれども、一九九〇年のデータを見ますと、我が国とEU諸国はほぼ同じであります。しかし、その後、その十年後の二〇〇〇年のデータでは、日本が四・九トンでほぼ変わらない。その一方で、EUは法規制を実施し、三・五七トンと減少しているわけであります。また、VOCの固定発生源からの排出割合では、日本は欧米諸国に比べて固定発生源の割合が高くなっているということであります。

 ところで、先ほどの鈴木委員の質問の中にもありました。欧米諸国は法規制中心でありまして、固定発生源の割合が高い我が国の方が、法規制と自主的取り組み、ベストミックスという、言葉は非常に格好いいというか、何かベストという言葉を使っているわけでありますが、私はちょっと心配をしておりまして、この法規制と自主的取り組みを選択したことによって期待どおりの効果が得られるのかどうか、その点についてどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。

砂田大臣政務官 ベストミックスの考え方は、環境基本計画に、政策のベストミックスの観点から各種の政策手段を適切に組み合わせて、相乗的な効果を発揮させると定められているところであります。

 中央環境審議会における審議においても、規制と自主的取り組みの長所、短所についてさまざまな議論がなされた上で、自主的取り組みを促進する必要性が強調され、ベストミックスという考え方が示されたところであります。

 このことについては、本法案の第十七条の二において規定をしているところであり、具体的には、揮発性有機化合物の排出抑制に関する施策その他の措置は、排出規制と事業者の自主的取り組みとを適切に組み合わせて効果的な排出抑制を図ることを旨として実施されなければならないと明記しているところであります。

近藤(昭)委員 お話を聞かせていただいていると、法規制と自主規制の相乗効果と、先ほども政務官はお答えになったわけですが、私はちょっと、相乗効果というものがどういうものか、具体的に浮かんでこないわけですね。相乗効果というのは、例えば一足す一、まさしくお互いに有機的に反応し合って、それが大きくなっていくということだと思うんですが、私が心配しているのは自主規制。やはり自主規制はあくまで自主規制であって、本当に期待どおりの効果があらわれるのかなというふうに思うんです。

 VOC検討委員会の検討の中では、いろいろな考え方があって、自主的に可能なものでやるしかない、いろいろとそういう何か検討されたことはあると思うんですね。あるいは、外国の法規制についても、先ほども御紹介させていただきましたように、EUはかなり厳しく法規制、つまり、自主規制ではなくて法規制をすることによって三・五七トンということを実現したわけでありまして、私は、繰り返しになりますが、大変に心配をしておるわけですね。

 そういう意味で、もう一度、なぜベストミックスということになったのか、お聞かせをいただきたいと思います。

西尾政府参考人 今回のVOCの排出抑制策につきまして中環審で議論をしていただきました。その中では、法規制は、公平性でございますとか確実性という面ですぐれるのではないかという意見は一方にございました。一方では、事業者の方からすれば、事業者がいろいろな費用対効果でいい自由な取り組みができるというものが非常に効果が上がるのではないか、自主管理をやっていくという意見がございました。その両者の間で、その功罪がいろいろ比べられました。

 今回のVOCにつきましては、一つには、いろいろな排出形態がございます。したがいまして、これは全部細かく法律でやるのはなかなか難しいのではないか。しかしながら、確実にやるためには法律も要る。そうすれば、法律で基本的なものをやって、事業者に自主的にいろいろな対策をとってもらうというのがいいのではないかという議論が一つ上がっております。

 それから、平成九年から、一部の有害物質につきまして事業者におきまして自主管理でやっております。これにつきましても計画を立てて取り組みをしておりますが、その成果は計画以上に上がっておる。そういうことから、こういう自主管理という方法も、それなりに事業者が取り組むようなノウハウとか意欲というのが今出てきておるんではないか、そういうことを評価すべきではないかという議論がございました。

 そういうようなことを総合いたしまして、今回ベストミックスというやり方をするということが今日的なやり方として非常に効果があるのではないかというふうに思っております。

 例えば、自動車の規制なんかにおきましても、規制基準をさらに上回ったような、三つ星、四つ星というようなことで、企業がみずから努力する、そういう時代に今はなっているのではないか。そうであってみれば、行政と事業者とが協力して目的を達していくというやり方ができないのではないだろうかということでございます。

 それから、なかなか自主取り組みがうまく進まなかったらどうするんだということでございますが、これは、自主管理だけに任せておきますと、それはどうなるか、こういうことでございますが、法律と自主規制の組み合わせでございますので、自主取り組みは非常によくないということでございますれば、それをレビューして、規制と自主取り組みの組み合わせをきちんと見直していくということで対応できるのではないか、こういうことがベストミックスの考え方の基本になっております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 排出源、非常にさまざまな形態があって、細かく法で規制することもなかなか難しい。あるいは、私も最近、いろいろな企業、中小というよりも大企業が中心になりますけれども、各企業の取り組み、環境に対する取り組みのいろいろな話を聞かせていただいておりまして、一部先進的に取り組んでいる企業については、ある意味でかなりそういうことを売り物にして、企業、自分のところを発展させていく、こういう考え方もあって、随分と、まさしく自主的にいろいろな開発あるいは環境対策をしているんだなというものは実感をしております。

 ただ、今までの状況が、先ほど申し上げましたように、EUに比べて日本がなかなか減少させることにうまくいってこなかった。こういうことを考えると、今局長の方からも答弁がありましたので、自主規制できちっとうまくいっていない場合については、またそれはレビューというかフォローしていくというお話でありましたけれども、そのことをきちっとチェックしていただくということをお願いしたいというふうに思いますし、私は、できればやはり法規制できちっとやっていくべきではなかったかなという懸念ということでお話をさせていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきますが、ことしの二月の中央環境審議会、中環審の意見具申では、今のVOCの削減目標を、平成二十二年度までに三割程度削減ということでおっしゃっているわけですね。

 そうすると、この目標を達成するためには、具体的にどの程度の排出基準の設定が必要だというふうにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

西尾政府参考人 排出基準につきましては、この法律の改正におきまして枠組みができましたならば、今後、中央環境審議会などにおきまして、それぞれの事業の実態を熟知する者の参画を得て、十分な検討を経て定めるということにしておるわけでございます。自主取り組みと法規制をどのように組み合わせると一番いいのか、こういうことでございますので、現時点では、排出基準値をこれこれに想定しておりますということで申し上げることは、申しわけありませんが、できないわけでございます。

 排出規制と自主的取り組みが相まって、平成二十二年度までに三割程度排出を削減するという目標が達成できるよう、実効ある基準値を検討するということでございまして、そのときには、審議会でも挙げておられますが、適用可能な最良の技術、BATの考え方、それから欧米の基準などももちろん参考にいたしまして、それからもちろん、現実的に可能なレベルでありますが、プラス先ほどのベストミックスの考え方にも沿うようにという幾つかの要素を審議会等におきましてよく詰めて議論をしていただきまして、排出基準を定めたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 ぜひ、局長におかれましてはしっかりと排出基準の設定をしていただきたいと思うわけであります。

 冒頭、最初に質問させていただきましたように、これは法規制と自主規制の、そういう組み合わせでやる、私はちょっと懸念を表させていただいた。

 そして、もう一つ言うと、これから、専門家の皆さんあるいは現場をよく知っている皆さんと適用可能な中で設定基準を決めていくということはわかるんですけれども、そうすると、こういう委員会で審議をして、これは守ります、大丈夫です、自主規制もちゃんとやるでしょう、あるいは、それもチェックしますと言われたり、排出基準はこれから決めますと言われても、ある意味で、今局長も答えられたように、この委員会で枠組みだけ審議をして、枠組みは決まりました、でも、その先はわかっていないということでは、少々不安というか、おかしいと思うわけであります。

 もう一度、局長、どうですか、専門家を交えて。これは設定をされると、政令で設定するんですか、省令ですか、それをいろいろと講評して、あるいは何か、我々がというか議員がチェックするような、フォローするようなシステムはあるんでしょうか。

西尾政府参考人 中環審の審議につきましては、基本的には公開で行っております。

 それから、基準値は省令で定めていくというのが大気汚染防止法の通例のやり方でございまして、これにつきましてもそのようにしていきたいと思っておりますが、その基準値を具体的に定める場合におきましては、当然パブリックコメントの手続に付していくということに相なろうと思っております。

 そのほか、国会におきまして御審議、御指摘いただきました問題につきましては、それぞれ中環審等で議論を煮詰めていく場合に、その御指導を旨としてよくよく議論をさせていただきたいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 これから設定をされてパブリックコメントも取り入れられるということ、情報公開ということであると思うんですけれども、残念ながら、多分、この排出基準がどれだけかみたいなことに、なかなか一般の方がパブリックコメントをするとは、ちょっと想像がつかないんですね。当事者の方々は、どれだけの規制になるのかなという厳しさについて、つまり、もっと緩くしてほしいみたいな観点からパブリックコメントは、チェックみたいなのは入るかもしれないんですが、もちろんそういうことばかりではないというふうに思っておりますけれども。

 ぜひ、局長におかれましてはというか、環境省におきましては、きちっと設定基準、今、二十二年度までに三割程度削減という目標を掲げられて、それに沿った設定をされるということでありますので、二十二年度までにきちっとフォローをしながらやっていっていただきたいなと思うわけであります。

 ところで、これは基準はいつごろまでに設定されるのかということと、例えば、二十二年度に向けて三割程度、進捗状況を見てこの設定基準を変更するというようなシステムはあるんですか。

西尾政府参考人 この法律に基づきます排出基準等の設定におきましては、事業者におきましても自主取り組みと、それから自分の対応というものについてよく詰めて、そういう情報をいただく必要があります。そういったようなことを詰めますのに一年ぐらいかかり、また、それに対応して対策をとっていくということになりますと、都合全部で二年ぐらいの間の準備期間が必要だと思っています。

 そこから対策に取りかかりまして、それがきいてくるといたしますと、これはちょうど対策効果が出てくるころというのは、二十二年度のころに対策効果がきちんと出てくるといいなというふうに思っておりまして、その二十二年というのは、自動車NOx・PM法の方から要求されております粒子状物質のおおむね達成、これを今度こそ、ぜひともなし遂げなきゃならないわけでございますので、このゴールに向けて、自動車の対策も固定の対策も、全部が統合して成っていくというふうに進んでいかなきゃいけないと思っております。

 そういう面では、年々の環境のモニタリング状況を把握いたしますし、また自主対応と規制のベストミックスがどういうふうに進展、進捗していくかということをどうフォローアップすればいいのかということも、あわせて中環審等でも御議論いただきたいというふうに思っているところでございます。

近藤(昭)委員 局長、ただ、ちょっとお話を聞いていて、いや、今から準備をして、決めるのが二年後と言われると、枠組みを今この委員会で質疑をしていて、先ほど申し上げましたように、九〇年から比べて二〇〇〇年で日本はEUに比べてちっとも減っていない、そういう中、これは二〇〇〇年ですから、二〇〇〇年からもう既に四年もたっているわけですし、そういう状況があって、そういう中で大気汚染防止法を改正すると。必要性があるから改正する、目標を定めて。でも、ここで審議していて、二年後に排出基準が決まります、二十二年度を目指して頑張りますと言われても、えっという感じがするわけでありますが、小池大臣、いかがでありましょうか。

西尾政府参考人 排出基準等につきまして、大体おおむね一年ぐらいでそういう詳細点を決めたい、その決めたものに従いまして実際に規制がかかったりするには、今度、その基準に対して事業者が排出抑制策だとか構造規制とか、そういうものをやらなきゃいけませんから、その準備に一年ぐらいかかります。ということで、本格的に動くまでの都合が二年ということで、基準は一年程度で定めたいと思っています。

近藤(昭)委員 局長のおっしゃる答弁で、もう一度、今申し上げたことの繰り返しになりますけれども、なるべく早くといいましょうか、いろいろな事情というか、審議が必要になるということはわかりますけれども、やはり、これはほうっておくと、せっかく減らそうと努力している目標があるにもかかわらず、その間に進んでしまうのは、何かもったいないと言うと変ですが、変ですよね。そういう意味で、軽々に排出基準も設定はできないかもしれませんけれども、できる限り速やかに決定をしていただいて、速やかにその対策を練っていくということが大事だというふうに思います。

 それでは、次の質問をさせていただきますが、大気汚染防止法では、汚染の激しい地域を対象として自治体の上乗せ規制が認められております。今回のVOCに関して、大気汚染が著しい地域を対象とする追加的措置の必要について、政府はどのようにお考えなのか、お話を聞かせていただきたいと思います。

西尾政府参考人 今回の揮発性有機化合物の排出抑制制度につきましては、これは、揮発性有機化合物が大気中で反応することによって生成する浮遊粒子状物質やオキシダントを防止しよう、こういうものでございます。したがいまして、排出した場所とそれが反応して影響している場所というのは違ってきています。そういう面では、非常に広域的な対応を要するということで、全国的な制度というふうに考えておるところでございます。

 自治体が独自の必要性から独自の観点でいろいろおやりになることにつきまして妨げるものではございませんが、今言ったようなことでございますので、この対策につきましては、まずは全国的に取り組むことが必要ではないかと思っています。

 それから、その場合に、大都市を中心とした大気汚染問題はどうするかということでございますが、これにつきましては、既に、例えば自動車につきましては、大都市地域を特に対象にした自動車NOx・PM法を初めとする施策はございます。さらに、これからの自動車排ガスのさらなる排出ガス規制強化ということも考えております。そのほか、あらゆる追加的な方策につきまして検討して、できるものにつきましてはどんどん積極的に対策を講じていくということで、先ほどからも取り上げられております二〇一〇年の環境基準のおおむね達成に向けてあらゆる努力をしていくという考えで取り組んでいきたいと思っております。

近藤(昭)委員 本当にあらゆる努力をしていただきたいわけでありますけれども、そういう中で少しお聞きしたいのは、法規制の対象施設を定める政令について、改正案の第二条六項では「事業者が自主的に行う」、途中ちょっと省略しますが、「取組が促進されるよう十分配慮して定めるものとする。」と規定をされておりますが、具体的な施設は今後定められることになるわけでありますが、自主的取り組みが促進されるよう配慮とは、具体的にどういうことを言っておられるんでしょうか。

西尾政府参考人 この法律の規制対象施設につきましては、法律の成立後、中央環境審議会の場で検討していくことを考えておりますけれども、現段階で考えていますのは、六種類の施設類型を考えておりまして、一つには、塗装施設とか塗装後の乾燥・焼きつけの施設、二つには、化学製品製造の乾燥施設、三つには、工業用洗浄施設、洗浄後の乾燥施設、四つには、印刷施設及び印刷後の乾燥・焼きつけ施設、五つには、VOCの貯蔵施設、石油タンクなどでございます。それから六つには、接着剤の使用施設、使用後の乾燥・焼きつけ施設でございます。そのようなもののうち、排出量が多くて大気環境への影響の大きいものを規定しようということでございまして、その具体的な数値につきましては、今後、中環審等で議論を深めていただきたいと思っています。

 御指摘の、自主的な取り組みについて配慮をするということにつきましては、一方では、基本的なものはこの規制対象として取り上げよう、しかしながら、余り細かいものまで取り上げますと、そういうものにつきましては、事業者において、もっといろいろな多様な費用効果の高い対策ができるかもしれない、それが自主的に取り組む意欲をそぐかもしれない、そういうこととの両者のバランスをよく見て、一番効果の上がるような規模を決めていこう、こういうことで議論いただきたい、それが今御指摘になりました条文の趣旨でございます。

近藤(昭)委員 今のことについてもう少しお聞きしたいんですが、自主的取り組みが促進されるための配慮というのは、例えば、促進されるように、そういうまさしく自主的取り組みをすると何かこういういいことがあるよじゃないですけれども、あるいは例えば税の優遇を受けられるじゃないですが、そういうモチベーションが働くものを想像するわけでありますが、そういう配慮という感じではないんですか、これは。

西尾政府参考人 今御指摘いただきましたものは、自主的取り組みを促進していくということにつきましてのモチベーションを働かせよということでございますが、これは審議の過程でも、本当に今、事業者の方では、周辺の住民にも説明もしなきゃいけない、これから自主的に取り組もうという機運は非常に高まっていますということを我が方で聞いております。

 ただ、そういった情報を提供するとか、あるいはそういうよい製品を使うとか、そういったことについての啓発というのは一方で進めていかなきゃいけないと思っています。

 ただ、今御指摘の条文の趣旨は、こういう自主的取り組みをやっていくという事柄と、それから法規制できちんと確保すべきものは確保するという事柄の両者につきまして、ベストミックスという考え方の中で、適切なところに数字等の基準を決めるようにという趣旨の条文でございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 ある意味、そういう、実質的に、実質可能な中でそれぞれの企業が取り組んでいける、ある意味での意欲が出てくるということなのかなと思うわけであります。

 ところで、やはりこれもちょっと心配でお聞きするわけですが、自主的取り組みについて、実効性を確保するために、今ちょっと局長の方からも話がありましたけれども、情報公開。進捗状況の管理や情報公開のやり方について、具体的にどのようにお考えになっていられるのか、環境省として。また、自主的な取り組みが不十分な事業者に対する措置などについてはどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

西尾政府参考人 自主的取り組みにつきまして、それの情報の提供の仕方とか、あるいはそれをどのようにチェック、管理していくかということにつきましても審議会で議論になりました。

 しかしながら、このVOC排出施設、いろいろ多種多様なものがございます。関係の業界の取り組み方、能力もいろいろなものがございますので、そういうものを一律に決めるということでは、またこれは自主的取り組みにならないというようなこともございました。

 したがいまして、この法律では、特別にその自主的取り組みを取り上げて、その進行監督、情報公開のための特別な制度を設けるということはしていませんで、ただ、その自主的取り組みと法規制の組み合わせでベストミックスでいこうということになっています。

 したがいまして、自主的取り組みがなかなか進捗しないということであれば、それはしかるべき見直しで、法規制と自主的取り組みの関係をきちんと見直すということになろうかと思っています。そのためには、法規制と自主的取り組みによって、排出抑制がどんなふうに進展して、それで大気環境は改善されるかということをうまく把握していく、きちんと把握していくということが必要であろうと思っております。

 その手法につきましては、今後、中央環境審議会の場でも、十分把握し、国民に情報公開できるような方法につきまして審議を深めていただきたいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 環境省の方でもいろいろとお考えになっているんだと思いますけれども、今後、審議会でいろいろと諮ってやっていきますよと。これもちょっと心配というか、これもあれも審議会にお任せしますみたいでちょっと心配になってくるわけですね。

 ただ一方で、今の局長のお話の中では、余りというか、自主規制の中で進んでいない場合は、法による規制も考えなくてはならないというような言葉もあったんですけれども、それはあれですか、今後、最初に、そういったところにどういう取り込みにするかということを審議する部分と、途中でも、やはりそういう法規制に変えるんですよというようなときにまた審議会を招集するわけですか。

西尾政府参考人 今後、詳細な点を審議会で審議していく過程で、これは当然、関係の事業者の方にもいろいろとチェックしていただいて、どういうところから排出しているかとか、どういう対策があるかということを深めてまいります。これは、私どももそれから事業者も一緒になった学習過程だと思っております。

 このVOCの場合は非常に多種多様なところから出てまいります。どれが一番効果的なものかということについては、相当に議論をして詰めていっていい効果を出していく、そういうことが必要ではないかというふうに思っております。したがいまして、最初の審議会におきましてはそういうことを大いに議論いたします。

 もちろん、進捗状況が進んでいなければ、それはさらに強い対策を打たなきゃならないわけでございますので、その一つは、平成二十二年を目途にということでございますから、そこでは必ずきちんと評価をしなければいけないというふうに思っております。

 その中間におきまして、実際、どういう形で評価をしていくことが可能であるのかどうか等につきましては、かなりそういうデータの把握等々につきまして技術的な課題もございますことから、中央環境審議会でさらにその点は専門家も含めて議論をしていただきたいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 環境省の方では厳しい規制をまず第一に考えられていると思いますので、いろいろな声というか、可能な、実効的なということに余りとらわれず、私は、やはり目標を定める中でどういうふうに規制していくことが大事かという観点を一番主にさまざまな基準を決めていっていただきたいと思うわけでございます。

 ところで、時間も参りましたので最後の質問となると思いますが、今回の改正は、固定発生源対策が主ということになっているわけでありますけれども、やはり同時に、先ほども鈴木委員も質問されていましたけれども、移動発生源の対策も強化、この必要があると思います。

 ところで、自動車のNOx・PM法の対象地域における規制に適合しないと言われる使用過程車約三百二十万台についての対策と、今度、世界で最も厳しい排ガス基準ができるわけでありまして、先ほど小池大臣の中でも、それ以降も引き続き厳しい規制をして頑張っていくというお答えがありましたけれども、今度、最も厳しい排ガス基準ができるわけでありますが、それをかなり上回るようなものが海外でできるような、そういう情報といいましょうか、そういうものはあるんでしょうか。

小池国務大臣 ここは消費者のニーズなどをにらんで、各国の自動車会社等がそういった動きもあろうかと思います。

 いずれにいたしましても、平成十七年度で対ディーゼル車の世界一厳しい規制をつくっていく。そしてまた、それ以降のことも、そういった世界の動きもにらみつつ、それでも最も厳しい形で大気汚染の防止に努めていきたいと考えております。

西尾政府参考人 大臣のお答えのとおりでございますけれども、平成十七年度の規制はもう数値を出しておりまして、告示もいたしております。固まった規制でございます。この平成十七年の時点におきましては、日米欧の中で、世界で最も厳しい数値でございます。

 以後におきましては、各国とも、欧州も米国もいろいろな対応を考えております。米国におきましても、平成に直しますれば十九年から以降にさらに規制強化ということを考えておられるわけでございます。

 私ども、そういうようなものもにらみながら、世界最高水準の対策を実施するという観点に立ちまして、平成十七年の排ガス規制の後に行いますさらなる規制強化の内容につきまして、昨年十月から中央環境審議会で本格的な検討を行っているところでございまして、それは、世界最高水準の対策を実施するという観点から、具体的な目標数値なりを議論していっていただくという考えでございます。

近藤(昭)委員 使用過程車はどうなりますか。

西尾政府参考人 それから、使用過程車につきましては、現在お願いしております自動車NOx・PM法の対象地域におきます規制でございます。これは、使用年限が長くなりました古いトラック等につきまして、新しい規制に適合した、よりクリーンな自動車に買いかえていっていただくという規制をお願いしておるわけでございます。

 これにつきまして、実質、昨年の十月からきいてまいりました。今年度、来年度というふうに、御指摘の三百万台近い自動車が対象になります。円滑に実施していくことが非常に必要でございます。

 かねて税制優遇や低利融資を行っておりますけれども、そういうことをされても担保もないという事業者の声もございまして、平成十六年度からは、関係省庁と連絡いたしまして、特段の担保条件の緩和措置ということもやっております。

 これは、中小企業金融公庫におきまして、取得したトラック等を動産担保として活用することもできるし、そのことによって担保条件が悪くなりますので、五〇%の担保徴求の特例もしてあげるというようなことで、円滑に金融を受けて事業者が対応できるようにというふうな緩和措置にも踏み切っておりまして、この自動車NOx・PM法の適切な実施ということに心がけてまいりたいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。

 先ほども申し上げましたように、目標とする基準値に向けて果断に頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 時間が限られておりますが、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 まず、何人かの委員からも御指摘もございましたけれども、今回のこの改正案で、いわゆる法規制と自主的取り組み、これがベストミックスというふうな言われ方で取り上げられておりますけれども、これがちょっと私には若干わかりにくいところがあるんですね。

 この自主的取り組みというのを法案の法文の中に書き込むこと自体がなかなか理解がしにくい。自主的取り組みだったらそのまま何も書かずに置いておけばいいわけで、それをあえて書いているところで、どういうふうな経緯で、法規制と自主的取り組み、こういうことになったのか、まずお答えいただきたいと思います。

西尾政府参考人 法規制と自主的取り組みとを組み合わせて、相乗的な効果を発揮させるということを法文の中に書き込みましたのは、これは基本的には、中環審におきます審議を踏まえたものでございます。

 中環審におきます審議におきましては、法規制とそれから自主的取り組みの長所短所についていろいろな議論がなされたわけでございます。やはりその中では、自主的取り組みを促進していくということが非常に必要ではないかということでございましたので、それは、法規制だけではなくて自主的取り組みを促進していくということとあわせて、ベストミックスということでいこうということでございます。

 そのようなことを法文の中に書くのは余り例がないのではないかということでございますが、そのようなことを書いたのはこういう規制法では初めてだというふうに思っております。

 これは、実は、環境基本計画にも、これからは規制だけではなくていろいろな政策手法が必要なんだ、そのときに政策のベストミックスの観点から各種の政策手段を適切に組み合わせて、相乗的な効果を発揮させるということを環境基本計画にも取り上げていただいたわけでございますが、まだ現実のものとしてそれを実施したというものはなかったわけでございます。

 今回、中環審の審議を受けまして、法案にもそのことをきちんと書きまして、初めての試みとして、環境基本計画も、あすの環境政策として指し示すようなベストミックスの方向というものを目指していきたいと思う次第でございます。

石田(祝)委員 これから法規制と自主的取り組みを組み合わせてベストミックスでやりたい、こういうことはよくわかるんですけれども、これからこの法規制に係る部分を、これから後でお聞きしますけれども、結局、ある一定のところで線引きしなきゃならない。その線引きをして、それ以上のところは法で規制をする、そうしたら、それ以下のところはどうするか、これはもう自主的取り組みをお願いする以外にないわけなんですね。

 そうすると、その自主的取り組みのところが、ではどれだけうまく進むのか、実効性が確保されるのか、これが私は大変大きな問題になってくると思うんですけれども、これまで、こういう形で、どういう業界か、今六つぐらいの業種を考えているようにおっしゃっておりましたけれども、この法案で、そういう中で、そういう一つの業界団体等を通して、この自主的取り組みで期待どおりの成果を、また効果を上げるような体制で、今までどういうことが過去に行われて、どういう成果があったか、これをできれば経済産業省の方にもお答えいただきたいと思います。

西尾政府参考人 今までの自主的取り組みの例といたしまして、経済産業省とも連携をいたしまして、それで、このVOCといったような総体、全体ではございませんが、ベンゼンやジクロロメタンなど幾つかの物質につきまして事業者に有害大気汚染物質に係る自主管理ということをやっていただいておりまして、それぞれ計画を立てていただきまして、これは平成九年から二回計画を立ててやっていただいておりますけれども、今までのところは計画を上回る勢いで事業者の対応が進んでいるというのが概略の状況でございます。

市川政府参考人 これまでに産業界として取り組んでまいりました自主的な取り組みの例といたしまして、先ほど西尾局長が申し上げましたように、平成八年の大気汚染防止法の改正の際に、平成九年から、十二種類の有害大気汚染物質につきまして、関係業界が自主管理による排出の抑制を組織的に実施してきたという例がございます。

 このスキームでございますけれども、事業者が自主的に削減の目標、計画をつくるということと、それから、我が省と環境省がその実施を指導する、それに加えまして、産業構造審議会及び中央環境審議会においてその実績を把握して評価してきているということでございます。品目につきましては、ベンゼン、アクリロニトリル、クロロホルムなどの約十二の物質でございます。

 その結果でございますけれども、平成十四年の実績で見ますと、対象十二物質の総排出量で見ますと、基準年であります平成七年と比べまして、約七割以上の削減をしてきております。

 このように、事業者における自主的取り組みというのは、うまくこの制度をつくることによりまして大変大きな成果を上げることができるというふうに認識してございます。

 以上でございます。

石田(祝)委員 これは、そういうベストミックスをやられるということですから、反対ではありませんけれども、自主的規制でできるんだったらこの法規制は要らないので、これは、法案を審議しているところで、自主的規制の取り組みの成果が上がっていますなんて言われたら、ちょっと困っちゃうんですけれども。

 それで、この法規制についてはどの程度のものを考えているか。これは、大変たくさんの業種また会社の数でも対象になると思うんですけれども、一体どういったところで線を引いていくのか、これは大変大事な問題だろうと思うんですけれども、これは、環境省として、環境の観点から、どういうところで線引きをしようと。具体的な、数的なものが難しければ、性質的なところでしょうか。そういうところでお答えできますか。

西尾政府参考人 今まで有害物質の自主的取り組みは、物質数も少のうございますので、限定された範囲で成果が上がりましたので、そういうものをさらに拡張して、そのノウハウを使っていくということができないかということでございますから、一方では、きちんと基本的なものは法律で確保しておきたいと思っています。

 そこで、御指摘の対象となる法規制はどの程度のものとなるかということでございますが、現段階では六種類の施設類型を考えておりまして、一つには塗装関係の施設、二つには化学品製造に関する施設、三つには工業用洗浄施設に関する施設、四つには印刷の施設の関係、五つには石油タンクなどの貯蔵施設、六つには接着剤の使用施設などのうち、排出量が多くて、大気環境への影響の大きいものということでございます。

 どの程度の規模かという数値につきましては、今後、中央環境審議会等の場で、それぞれの事業の実態を熟知する者の参画を得た上で十分議論をして、効果的な規制となるように措置していきたいと思っておるところでございますので、なかなかちょっと数値とイメージを申し上げるのは難しいのでございますが、非常に大まかな言い方を許していただきますれば、施設の数で考えますと、やはり全国で数千という規模だというふうに思っております。

石田(祝)委員 これからお聞きしようと思いましたけれども、先にお答えいただきましたが、このVOCの排出基準について、これはいろいろな規制の仕方があると思うんですね。

 今回、濃度規制を採用されたわけでありますけれども、例えば排出量の総量規制ですね、それから設備とか構造を規制する、また製品の規制をする、こういう幾つかのやり方があると思いますけれども、今回、濃度規制を採用した理由というのは、特別な理由があるんですか。

西尾政府参考人 濃度規制を採用した理由をお答え申し上げますが、規制の手法は、先生御指摘のようにいろいろな手法があることは事実でございますが、やはり大気汚染防止法で一番基本的な公害物質の規制を行います場合には、まず濃度規制でやれないかということが典型的な方式ということで今まで考えられてまいりました。それが一つでございます。

 それから、濃度規制をやるという場合は、必要な排出の低減量というものを濃度規制できちんと確保することはできます。しかしながら、その濃度まで下げるにはどういう対策をしたらばいいのかということにつきましては、事業者が業種や業態ごとに最適な手法をとることができますので、対策手法が多様になるという利点がございます。その両者を考えまして、濃度規制を採用いたしたところでございます。

石田(祝)委員 これはいろいろ理由があってということをおっしゃっておりますけれども、特に製品規制ですね。濃度規制というのは、結局、その製品を使って、その密閉のところから排出口を通して拡散される、そこを出口のところで、結局濃度ですから何%とか、まあパーセントということはもちろんないと思いますけれども。だから、製品の段階からしっかりそういうものが出ない製品ということで考えていけば、別に濃度規制する必要もないし、私は、なぜかなと単純に思うわけでありますけれども、いま一度お答えいただけますか。

西尾政府参考人 まず、製品におきましてVOCを使わないとか、VOCの少ない製品ができまして、いろいろな作業が全部できるということになりますれば、対策は大いに進展するものというふうに思っております。しかしながら、こういうVOCが必要でありますような用途、いろいろな用途がございまして、そういう用途に対してすべてのものにわたって適切なVOCの塗料が開発されているという現状でもないわけでございます。

 そこで、やはり対策といたしましては、場合によりますれば、そういう建屋の排出口で排出する有機化合物を処理するというような方式もありましょうし、あるいは製品がうまく転換できるという方式もありましょうし、あるいは漏れないような構造にするという構造の対策もありましょう。いろいろな対策の中で、事業者ができる対策を講じていく必要があると思っております。

 そういう場合に、そういう対策の講じる余地ができる規制方式といたしまして濃度規制ということを申し上げたわけでございますので、製品におきまして低VOC化あるいはVOCのないものの開発でありますとか使用が進展していくということ自体は非常に望ましいことだというふうに思っております。

石田(祝)委員 濃度規制をやられるのはわかりますけれども、製品規制のことを私は申し上げました。

 それで今、数千ぐらいがこの規制対象の事業所になるだろう、こういうお話でありましたけれども、これは厳しくなることはあっても緩くなることはないわけですね、こういう規制というのは。そうすると、どうしても技術を進歩させていく、進化させていく、その中でどうしてもお金もかかる。いろいろな意味で先進的に取り組んだところが、それ相応にやってよかったなと、それに向けてのある意味ではインセンティブが働くようなことも、これは考えていかないといけないと思うんですね。

 私も、昨年末に税制改正、いろいろ取り組みまして、特に環境省関係で排ガスも三つ星、新たに四つ星をつくって、だんだんだんだんと厳しい方向に税制でのインセンティブをやっていこう、こういうことで四つ星ができたというふうに記憶をいたしております。ですから、先進的に取り組む、環境負荷の少ない方向に努力していく、これに対して、やはり行政なりが税制、金融の面を含めてインセンティブが働くようなことをどうしてもこれは考えていく必要がある。

 これは、大臣にぜひ、どういうふうに環境省として、多分これは財務省相手になると思いますけれども説得していくか、取り組んでいくか、これについてお伺いをしたいと思います。

小池国務大臣 例えば、支援措置の一つといたしまして、税制優遇そして融資などの支援措置になるかと思いますけれども、規制の対象となる事業者に対してということでございますが、これからこの後、経済産業省など関係省庁と連携して検討を行うということで必要な措置を要望してまいりたいと思っておりますが、これまで、従来の税制優遇措置などについては規制対象施設の範囲が確定しないといけませんので、そういった意味で、優遇措置などの扱いについて議論をされているところでございますが、頑張ります。

石田(祝)委員 ちょっと声が小さかったように思いますけれども。

 私は、製品規制の部分で、もうちょっとほかの角度からお伺いをしたいと思うんですけれども、今回の改正案で、国民の努力ということが第十七条の十四でうたわれております。これは国民の努力として、十七条の十四に「国民の努力」という項目で、製品の購入に当たっては揮発性有機化合物の使用量の少ない製品を選択すること等により飛散の抑制を促進するよう努めなければならない、こういうことを書いておりますけれども、国民の側から見てこのVOCが使われているかどうかというのはわからないんですね。

 それで、私もきょうは、大臣に見ていただいて、そして終わったらプレゼントもしようと思っておりますけれども、それと、加藤副大臣がきょうはおりませんけれども、ちょっとこれを見ていただけますか。これは、ちょっと拡大しました。これをちょっと見ていただけますか。後で好きなものをとって……(小池国務大臣「湖池屋です」と呼ぶ)商品名と会社名を言わないようにお願いしたいんですけれども、そこにポテトチップスとキャンデーとミルキーとミルクチョコレートとそれからおかき、こう入っております。それが印刷をされておりまして、すべて包装の材質は書いているんですね。しかし、何で印刷をされているかというのが残念ながら入っていない。ですから、材質がどういうものかということはわかりますけれども、じゃ、VOCの入ったインキを使っているかどうかというのはわからないんですね。

 そこに一つだけ小さい袋がありますけれども、これが実は裏に、水性インキを使用していますと。そして、ほかのところも全部会社に確認をしましたら、油性インキなんですね。今持ったのがそうなんですよ。裏を見ていただいたら、水性インキで印刷していますと。こういうことなんですね。

 これは、材質はわかるんだけれども印刷しているインキまでは残念ながら表示がない。ですから、国民がVOCの少ないものを選ぼうとしても、これはなかなか難しいんじゃないか、わかりませんから。これを大臣見られて、こういう印刷物に、水性インキなのかVOCなのか、これは多分わからないと思うんですね。少々発色が悪いとかいろいろあるみたいですけれども、なかなかわかりにくい。

 ですから、この表示について、材質の表示は裏にプラスチックとかいろいろ書いていますけれども、使用しているインキですね、ここで国民の義務というのでしょうか、「国民の努力」という書き方をしておりますので、努力ができるように、見てわかるようなことにしなければ、これは努力のしようがない、こう思うわけでありますけれども、こういう表示について、これは検討すべきではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

西尾政府参考人 食品の袋などの軟包装材への印刷のほとんどはグラビア印刷という印刷法を用いておりまして、この印刷法は確かに他の印刷法に比べて多量の有機溶剤を使用する必要がある、こういうことでございます。しかしながら、そういうことであるがゆえに、逆に、グラビア印刷において水性インキを使って水性グラビア印刷とするというようなことにすれば、VOCの削減効果が大いに期待できます。それを国民の一人一人の方がわかるためには、それは先生御指摘のように、使用されたインキが表示されていれば一目でわかるということで、非常に重要な御指摘ではないかというふうに思っております。

 VOC対策の推進に当たりまして、これは国民、消費者への適切な情報の提供ということをやっていかなきゃいけませんので、その方法はもっともっといろいろ考えて工夫していく必要があると思っております。特に、今の食品のこともございますので、食品のグラビア印刷、重要な、大切な点でございますので、関係の事業者の方々にもよく意見を聞きまして、どういうことにすれば適切な情報提供ができていくかということについて、せっかく検討してまいりたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 これは環境省も取り組みをされているということで、一つだけ御紹介しますと、きょうはお見えになっていませんが、加藤副大臣が名刺に、この名刺の印刷インキは揮発性有機溶剤を使っていない、こういうインクで名刺を印刷しております、こういうこともやられております。また、この衆議院でも、きょう用紙をもらいましたら、「環境負荷の少ないインクを使用しています。」このけい紙ですね、こういうことも書いております。

 ですから、あらゆるところで、こういうことで国民の努力をお願いする、こういうことを法文に入れる以上は、はっきり努力の方向を向けられるように取り組んでいく必要があるんじゃないかと。

 先ほど局長もお答えいただきましたが、最後に、大臣、御感想がありましたら、一言お願いしたいと思います。

小池国務大臣 やはり環境の課題というのは、消費者、国民にいかにわかりやすく参加していただくかというのが一番ポイントだというふうに思いますので、エコマークなどの環境ラベルの評価項目にそういったものを加えるなどということで進めていきたいと思います。

 あした、「モーニング娘。」にも会うことになっていますので、彼女らにも言っておこうと思っています。

石田(祝)委員 ありがとうございました。終わります。

小沢委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳でございます。

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案、これは、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントの生成に影響を与えている固定発生源からのVOCの排出抑制が目的である、こういうふうに理解をいたしております。

 ところで、この国内におけるVOCの総排出量でございますが、いろんな資料に当たってみますと、幾つかの数字がございまして、どれが一体実態を反映した正確な数字かな、こういうふうに迷っておりますが、国内におけるVOC総排出量について、最も新しい資料に基づいてお示しをいただきたいと思います。

西尾政府参考人 国内におきますVOCの排出量につきまして少し数字の違うデータがあるではないかという御指摘だと思いますので、その間の関係をまず御説明いたします。

 それで、気候変動枠組み条約に基づく日本政府の報告によりますと、平成十二年度の大気中への揮発性有機化合物の排出量は、固定発生源と移動発生源とを合わせて百八十五万トンでございます。これとは別に、環境省が同じ平成十二年度ということで、固定発生源からの揮発性有機化合物の排出量を、この対策をとるためにもう少し詳細に精査して調査いたしましたところ、約百五十万トンでございました。

 ただし、この百五十万トンといいますのは、先ほど申し上げましたように、移動発生源、自動車でございますとか特殊自動車でございますが、そういったような移動発生源の分が入っておりませんで、規制対象にしようとする固定発生源の方を積み上げましたものでございますから、両者は積み上げの基本が違いますので、ぴったりは合っておりませんが、百八十五万トンは移動発生源も含んだもの、固定発生源だけのものはおおむね百五十万トン程度ということで、おおむね整合しておるというふうに考えております。

照屋委員 なるほど、百八十五万トンと百五十万トンというのが、数字の根拠というか、違いがよくわかりました。

 続いて、VOC総排出量の我が国と米国や欧州との比較、あるいはその国土面積当たりの比率等についてお示しをください。

西尾政府参考人 我が国と欧米におきます揮発性有機化合物の総排出量の比較でございます。

 先ほどの平成十二年度ということで比較いたしますと、我が国の総排出量が百八十五万トンというのは先ほど申し上げましたとおりでございます。それで、米国は千七百八十八万トンでございます。それから、EUは千百五十六万トンでございます。

 ただ、これを、量としては米国、EUが多いわけでございますが、単位面積当たりの揮発性有機化合物の排出量ということで割り算をして比較しますと、平成十二年度におきましては、我が国は一平方キロメートル当たり四・九トンでございます、四・九トンでございます。米国は同様一平方キロメートル当たり一・九一トンでございます、一・九一トンでございます。EUは一平方キロメートル当たり三・五七トン、三・五七トンでございますので、我が国は欧米と比較して、単位面積当たりの排出量ということでいえば、欧州の四割増しでありますとか米国の倍以上というような排出量になっている次第でございます。

照屋委員 それでは、質問時間との関係で、通告をした順序と若干変更になりますけれども、嘉手納飛行場における大気汚染物質調査について、防衛施設庁にお伺いをいたします。

 防衛施設庁は、嘉手納町からの再三の要請を受けて、昨年一月から九月にかけて嘉手納飛行場周辺における大気汚染物質調査及び悪臭物質調査を実施したようでありますが、その調査結果を明らかにしていただきたいと思います。

 御承知のように、嘉手納基地は極東最大の米軍の空軍基地でございまして、しかも、嘉手納町を含めて、隣接する六市町村ぐらいにまたがっている広大な施設でございます。したがって、嘉手納町だけじゃなくして、この飛行場周辺における大気汚染物質の問題というのは、多くの関係者、県民が関心を持っておりますので、調査結果を詳しく御説明してください。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、平成十一年三月から数度にわたりまして、嘉手納町の方から当庁に対しまして、嘉手納飛行場周辺住民から航空機排気ガスによる悪臭、また健康に対する不安があるということで、測定機器の設置等の要請がなされておりました。

 これを受けまして、那覇防衛施設局におきまして、平成十四年十二月から平成十五年十月にかけまして、嘉手納飛行場周辺地域における現況を把握するため、大気汚染物質及び悪臭物質の調査を実施したところでございます。

 この調査でございますけれども、大気汚染物質につきましては、窒素酸化物等の四物質を対象としまして季節別に四回、また、悪臭物質につきましては、揮発性物質三物質及びアルデヒド類六物質、合計九物質を対象としまして、苦情が多く発生しております時期であります三月及び六月の航空機のアイドリング時等に、嘉手納飛行場に隣接いたします区域におきまして調査ポイントを設定いたしまして、現地測定を実施したところでございます。

 その結果でございますけれども、大気汚染物質につきましては、いずれの季節の調査におきましても、測定した窒素酸化物等の四物質すべてにつきまして、調査したすべての地点で環境基準に適合していたところでございます。悪臭物質の調査でございますけれども、三月及び六月の調査ともに揮発性物質三物質は検出されなかったわけでございますが、アルデヒド類の中で一部検出された物質がございました。

 また、今回の調査では、悪臭物質についての調査におきまして検出されましたアルデヒド類の飛行場からの航空機排気ガスによる影響は明確でないこと、航空機が移動することや風向、風速等の気象条件の影響により、排気ガス臭の感知される地域が限定されることや感知される時間が短いこと、悪臭発生時の航空機排気ガス臭の原因物質の特定が困難なこと、こういったことも判明したところでございます。

 これらの調査結果につきましては、平成十五年十二月、嘉手納町に御説明させていただきました。また、那覇防衛施設局におきましてもこれを公表したところでございます。

 以上でございます。

照屋委員 嘉手納飛行場と悪臭物質もしくは大気汚染物質との因果関係、必ずしも明確でないということでございましたが、嘉手納町では以前に井戸水が燃え出したというふうなこともありました。これは、嘉手納基地の下は、沖縄でも有数な嘉手納井戸群という地下水が最も豊富なところで、恐らく大気汚染でない土壌汚染によるものだと思いますが、いずれにしても、今度の調査結果を受けて、昨年末に、宮城嘉手納町長がベーカー司令官に運用過程での配慮を要請したようでありますが、防衛施設庁としては、この嘉手納町の基地司令官への要請、あるいは、基地を運用している米軍に対してどのような申し入れをしたのか、そこら辺をお聞かせください。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、嘉手納町長も、当局が、那覇防衛施設局が行いました大気質調査の結果を現地米軍に申し入れまして、航空機排気ガスの影響を軽減するために、飛行誘導、アイドリング等について、風向や住民地域からの距離について配慮していただきたいといった要請をされたことは承知しております。

 当庁としましても、従来から、在日米軍に対しましては、環境問題について最大限の配慮を払うよう要請してきているところでございますけれども、今回の大気質等調査の結果につきましても、改めて、那覇防衛施設局におきましては、昨年十二月、またことし二月、嘉手納基地第十八航空団に対しまして、また、本庁レベルにおきましても、本年二月末、在日米軍司令部の方に対しまして、今回の調査結果及び嘉手納町からの要請を伝えました。そして、飛行場周辺の住民の生活環境の保全に引き続き配慮するよう要請したところでございます。

 以上です。

照屋委員 沖縄における揮発性有機化合物による大気汚染のことについてお伺いいたしますが、沖縄県内には大量の化学物質を製造する工場はなく、また、工業原料としている工場も多くございません。一方で、沖縄は車社会なんですね。車社会と呼ばれるぐらい車が多くて、しかも中古車が多いというか、車が主要な交通手段になっております。これは、全国比でも車の所有台数が多い県になっているわけであります。

 したがって、沖縄県におけるVOCの発生源は、私は、車の排出ガスに限定されるのかな、こういう思いをするわけでありますが、沖縄の環境関係に従事をする研究者の調査研究結果でも、沖縄県内の、那覇市を中心とする都市部におけるベンゼン、トルエンなどの濃度は、環境基準値よりも高い値であると。

 沖縄は島嶼県でありますけれども、地形的に大気汚染が自然浄化されやすいというふうなことからすると、先ほど申し上げた、やはり車の排出ガス等による大気汚染が深刻なのかな、あるいは、揮発性有機化合物による大気汚染が極めて深刻なのかなというふうにも思いますが、環境省は、沖縄県における揮発性有機化合物、VOCによる大気汚染についてはどのような知見をお持ちでしょうか。

西尾政府参考人 揮発性有機化合物、全体のVOCというものの測定に関しましては、平成九年度から沖縄県では那覇市内で、大気汚染常時監視の一環として、これは非メタン炭化水素濃度の連続測定ということで行っております。その濃度は、平成九年度以降、減少傾向にありまして、平成十四年度は〇・二七ppmCという数字なんですが、全国の主要都市と比べて同じようなレベルだと思っています。

 それから、VOC全体ではなくて、その中の幾つかの物質でございます有害大気汚染物質の測定も行っております。その中にはベンゼンなどの揮発性有機化合物の中に属する幾つかの種類の物質をはかっておるわけでございますが、それによりますれば、おおむねの物質につきまして、そんなに高濃度ということではないと思っておるのでございますが、ベンゼンにつきましては、平成十二年度の測定を行った四カ所のうち、二カ所の地点では環境基準を超えていまして、一カ所は環境基準とぴったり同じ値、こういうことでございました。ただ、その後、若干低くなっておりまして、平成十四年には四カ所すべてでベンゼンの環境基準が達成されているというふうに思っています。

 ベンゼンなどは、自動車から排出される揮発性有機化合物の一種であるというふうに考えております。

照屋委員 ベンゼン以外の、トルエンなど、質問取りに来た人に、沖縄の調査結果に関する論文をお渡しして、検討した上で御見解を賜りたいというふうに言っておりましたが、トルエンなどはいかがでしょうか。

西尾政府参考人 私ども、沖縄の現地におきまして、私どもの調査、環境省と連携して行っている調査、それをさらに拡張しまして、いろいろな物質につきまして調査をされた立派な調査結果がありまして、拝見させていただきました。

 御指摘のように、ベンゼン以外のトルエンなどの物質につきましては、比較的低い、良好な数値でございます。したがいまして、こういう多くの物質をはかった中でベンゼンだけが少し高いということにつきましては、御指摘のように、自動車の影響が大きいものだというふうに考えられる、こう調査報告にも書いておりますが、基本的にはそういう考えで、自動車に対する対策ということに留意していかなきゃいけないんだというふうに思っております。

照屋委員 私はトルエンのことを聞いたんですが、しきりにベンゼンのお話でしたが、論文は渡してありますので、ぜひ子細に検討して、有効な対策に生かしていただきたいと思います。

 国土交通省、お見えだと思いますが、昨年の十一月二十一日に開催をされた沖縄地方交通審議会で、地球温暖化の原因とされる温室効果ガス排出量は、沖縄が世界の排出量の〇・〇五%を占める、こういう説明が審議会でなされたと新聞で報じられておりますが、それは事実なんでしょうか。実態というか、もう少し詳しく説明をしていただきたいと思います。

小島政府参考人 沖縄の地方交通審議会で、県内のガスが世界の〇・〇五%、これは自家用車の排出が多い、こういうお話があったと思いますけれども、また一方、沖縄県が策定をしておりますおきなわアジェンダ21というところでは、一九九八年の沖縄県の温室効果ガスの排出量が出ておりまして、これは二酸化炭素換算で九百八十六万トンでございます。

 全世界の温室効果ガス、六つのガスの排出量についてのデータがありませんので、これを、二酸化炭素の世界の排出量、これはオークリッジ研究所が示しておりますが、それで比較をいたしますと、沖縄県の排出量は、ちょっと分母と分子が違うわけですが、〇・〇四%程度ということでございますから、大きな違いはないのかなというふうに思います。

照屋委員 それでは最後に、今度のVOCの規制、大気汚染防止法の一部を改正する法律との関係でお伺いいたしますが、規制の対象施設数の見通しと、それから、塗装などの屋外作業を対象外とした理由。

 と申しますのは、塗装など屋外作業で飛散するVOCは、排出量の約三割とも、あるいは二五%、四分の一とも言われておりますけれども、それを対象外とした理由を詳しく御説明ください。

西尾政府参考人 今回のVOCの排出抑制の対象となる施設でございます。

 これにつきましては、今回のものは、VOCの抑制策は法規制と自主的取り組みを適切に組み合わせるということでございますので、その対象施設の範囲内につきましては、今後、そういう自主的取り組みの内容につきましても勘案しながら、それぞれ事業の実態を熟知する者の参画を得た上で十分な検討をして決めていく、こういうことでございます。

 その排出規制の対象施設の範囲が確定しませんので、その数を算出するということはできないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、両者の取り組みによりましてVOCの排出量を三割程度削減するということで範囲を決めてまいりたいと思っておりまして、大まかな施設数で言えば数千程度の規模になるというふうに思っております。

 それから、二点目のお尋ねの、屋外塗装などに伴い排出される揮発性有機化合物の量でございますが、先ほど申し上げました固定発生源全体を百五十万トンとした場合の四分の一程度と試算をしております。

 屋外塗装作業の場合におきましては、もともと屋外でございますから、これに例えば密閉等の構造対策をとるとか、あるいは回収装置を設置するという対策になかなかなじみにくいわけでございます。そうしますと、塗装の材料でございますとかあるいは塗装を減らすとかいうようなことでございますが、現段階では、すべての用途にわたりましてその含有量が少ない適当な塗料等が必ずしも開発されていない、こういうことでございます。したがいまして、今般は、屋外塗装など開放系からの揮発性有機化合物の飛散というものにつきましては、法律に基づく一律の規制をかけるということにはいたしておりません。

 ただ、この法律で期待いたしておりますように、規制と事業者の取り組みが相まって対策が進捗するということは大切でございますので、極力、そういうよい塗装材料あるいはそういう製品が進んでいくということは非常にいいことでございます。それにつきましても、いろいろ情報提供等々、できる工夫はしてまいりたいというふうに思っております。

照屋委員 時間ですので、終わります。

小沢委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、大気汚染防止法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十二分散会


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