衆議院

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第11号 平成16年5月14日(金曜日)

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平成十六年五月十四日(金曜日)

    午前九時四十三分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 長浜 博行君

   理事 伴野  豊君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    河井 克行君

      木村 隆秀君    鈴木 淳司君

      砂田 圭佑君    西村 康稔君

      鳩山 邦夫君    三ッ矢憲生君

      望月 義夫君    渡辺 博道君

      近藤 昭一君    鮫島 宗明君

      島田  久君    田島 一成君

      武山百合子君    松本  龍君

      村井 宗明君    高木美智代君

      土井たか子君    川上 義博君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        加藤 修一君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           市川 祐三君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           中嶋  誠君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            松本 省藏君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     渡辺 博道君

  船田  元君     河井 克行君

同日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     船田  元君

  渡辺 博道君     宇野  治君

    ―――――――――――――

五月十四日

 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案(内閣提出第一二五号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第一二一号)


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官市川祐三君、経済産業省製造産業局次長中嶋誠君、環境省総合環境政策局長松本省藏君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小島敏郎君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自由民主党の西村康稔でございます。

 環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律案審議ということで、昨今、環境問題、地球規模の環境問題も含めて、環境問題への取り組みが、これはもう大きな課題となっていることは言うまでもないことでありまして、私も一九九二年のブラジルでの地球環境サミットにも参加をいたしまして、あるいはその前後、リサイクル法の一番最初の法案の制定にもかかわりまして、私自身も、この環境問題への対応をライフワークの一つと考えているところでありますけれども、今回また、大臣、小池大臣、そしてまた政務官に砂田政務官、我が兵庫県の先輩お二人とともにこの法案の制定にかかわれることを大変光栄に感じております。きょうは、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 早速ですけれども、この法案の大きなテーマでありますけれども、経済と環境の統合というか調和、両立、言い方をかえれば経営と環境の調和、統合ということでありますけれども、これはもう大きな時代の流れであります。

 この大きな流れを推し進めるのがこの法律案の背景にあるものと考えますけれども、まず、この法案におきます大きな流れ、環境と経済の統合、経営との統合についての小池大臣の見解をお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 おっしゃいますように、環境と経済の統合は今まさに大きな流れとなっていると思います。そしてまた、今回御審議いただいております法案でございますけれども、我が国の事業者というのは、大変環境にも熱心に取り組んでいる企業数、大変ふえてきております。

 具体的にISOの14001の認証取得件数を見ましても、今や世界一、これは断トツでございます。最新で申し上げますと一万四千八百五十四件ということで、第二位が今中国になっていまして約五千件ということで、これはよく調べないとわかりませんが、五千件も日本企業が大分かかわっているところがあるんじゃないかということでいうと、この14001ということでいうと日本はまさに断トツ、これは積極的に環境配慮に日本の企業が取り組んでいるという証左であろうと思います。

 この環境と経済の統合を実現していくという大きな目標のためには、こうした事業者の、自主的に環境配慮に取り組んでいただいているわけですけれども、それをさらに一層前に推し進めていこうというのが今回の法案のねらいでございまして、事業者の自主的、積極的な取り組みを社会が応援する仕組みをつくる、枠組みをつくる、整備する、環境と経済の好循環を実現しようというものでありまして、今、環境問題については、それぞれ、ある意味で世界的な競争でもあるわけでございますけれども、この法案を進めることによって、他国に先んじて、世界に冠たる環境立国づくりのその第一歩となることを期待しているところでございます。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、世界でも先端を走って、現在でも走っていると思いますけれども、さらに、環境対応も世界一、経済も世界一というこの両立、統合をこれからも実現していければと思っております。

 本法律案のねらいとするところですけれども、企業の意識をさらに変えていく、また、環境に配慮をしている企業、両立をしている企業が市場からも評価を受ける、そういったことを目指してやっていくものだと思いますけれども、一方で、余り画一的に取り組みを求め過ぎると、企業の自主性を失わせる面があるんじゃないか。

 これは分野は全く違いますし、先般、参考人質疑のときも実は申し上げたんですけれども、我々国会議員の資産報告の話とよく似たところがありまして、一応ルールで決められまして、決められたことはきっちり報告をしなきゃいけない。ですけれども、それだけやっていれば、それ以上あえてわざわざやる必要は少ないわけでありまして、決められたところだけ画一的にやっていればいいという、もちろん評価をすべき点もあるんですけれども、資産報告についても、画一的になり過ぎるとよくない面もあるんじゃないか。分野は違いますけれども、似たような面があって、むしろ、企業の創意工夫を促すような、そんな取り組み、そんな運用も必要ではないか。

 先般の参考人質疑の中でも、ソニーの方の発言あるいは環境プランナーの方の発言もありましたけれども、企業としては差別化をできる大きなポイントでありまして、企業としての特徴を出せる、独自の取り組みを出せる。その自主性、主体性を最大限発揮できるように、そんな運用をお願いできればと思います。

 企業にとって、環境に対応することがある種ブランドになって評価をされるように、そのような運用が必要ではないかと考えますけれども、小池大臣にお考えをお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 経済と環境の統合を進めていく上におきましては、経済活動の大きな部分を占めます事業者について、その創意工夫による自主的そして積極的な取り組みを最大限後押しする、促進するということが必要だと考えております。今御指摘ありましたように、事業者の環境配慮の取り組みが、社会や市場の中で、また消費者によって高く評価されて、それがすなわち企業の利益にもつながってくるなどということで一層報われるというそのシステムづくりが重要だと考えております。

 こういったことからも、中央環境審議会で御議論をいただいておりまして、そして、そこでも国の関与は最小限のものとしております。

 ちなみに、具体的に申し上げますと、まず民間事業者に対しては、環境報告書の作成を義務づけるのではなくて、むしろ任意にゆだねるべきである、その自主性が最大限生かされるようにするべしと。二つ目に、環境報告書に記載すべき事項についても、最低限満たすべき基本的な枠組みを示すことにとどめて、事業者の創意工夫を最大限生かすような仕組みにすべしというような仕組みとしているところでございます。

 こういった中環審の御論議も踏まえまして、事業者の自主的でかつ積極的な環境配慮の取り組みが、社会そして市場の中で高く評価をされる、その企業がそれによっていわばブランド力を高めるという結果をもたらせるような、そういう取り組みを進めてまいりたいと考えております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 企業にとっては本当に環境に取り組んでいることがブランドとなる、価値となるということで、ぜひ、そのことを促す運用をお願いしたいと思います。

 ちょっと今の関連で、問いの順番を変えさせていただきますが、企業は、環境配慮の取り組みを促進していくときに、資金調達の面でも、環境への配慮がなされているかどうかということも一つのポイントだと思うんです。頑張っている企業に優遇をしていく。例えば金利を、環境に取り組んでいる、その分コストがかかっているでしょうから、その分の金利を下げてあげる、そういう金融機関において環境配慮を審査のポイントに入れている、まあ取り組んでいないから高くするというのは、これはまた特に中小企業にとっては負担も多くなる面があるんだと思うんですけれども、頑張って取り組んでいる企業にはインセンティブを与えていく、これも社会全体の大きな仕組みの中では必要なことだと思うんですけれども、環境に配慮したそういう運用をしている金融機関の例がありましたら、ぜひ教えていただければと。こういう取り組みがますます大事になってくると思います。大臣にこの点の御見解をお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 環境に配慮した金融機関の例として、日本政策投資銀行で、環境に配慮した経営を行う企業に低利で融資をする環境配慮型経営促進事業が今年度から開始をされたところでございます。また、一部の先進的な地方銀行などでも、公害防止、そしてまた省エネ対策設備の設置であるとか、環境マネジメントシステムの認証を取得するための資金を融資するといったような制度が設けられているところでございます。

 今申し上げた一部の先進的な地方銀行の一つの例を申し上げますと、滋賀の方、やはり琵琶湖の問題で環境に取り組んできたというような地域性もあって滋賀銀行など、ほかにもたくさんございますけれども、そういった取り組みが進んでいるということでございます。

 金融機関は、今御指摘ありましたように、融資そして投資を通じまして取引先企業に強い影響を及ぼし得る、そういった立場にあるわけでございまして、こうした環境配慮型の融資や投資をこういった金融機関が一層推進していくことは、極めて重要なことであると思っております。

 よって、この環境報告書の作成を推進するということは、すなわち、金融機関が投資などをしようとする相手企業の環境配慮の水準をより客観的に判断をする材料をふやすという点でございまして、だからこそ、基盤整備に資するものということになるわけでございます。

 また、この法案におきましても、金融機関を含む事業者について、投資などに当たって相手方事業者の環境情報を勘案するように努めること、また、国としても、こうした事業者の取り組みを促進するために必要な措置を講ずることについても規定をしているところでございます。

 環境省といたしまして、昨年の七月、銀行、証券、生命保険、損保のトップに呼びかけて意見交換もさせていただき、これを受けて実務者レベルの意見交換の場も設けております。

 それから、もう一つだけ加えさせていただきますと、昨年十月に、東京におきまして、UNEP、国連環境計画・金融イニシアティブ、UNEP・FIというタイトルで東京会議が開かれまして、私もそちらの方に参加をいたしました。金融機関におけます環境配慮の重要性の話をさせていただいたということでございます。

 金融機関がそういった環境配慮を重視する企業に対する融資などを重視するということは、すなわち環境と経済の統合そのものをあらわしているのではないかと思っておりますので、前向きに進めたいと考えております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 金融機関のいろいろな新しい制度を通じて企業の環境配慮への取り組みを進めていくこと、これは大変大事なことだと思いますので、ぜひ引き続き進めていただければと思いますが、一方で、中小企業に環境配慮をやれということをやり過ぎると過度の負担になりかねないわけでありまして、特に大企業が取り組んでいる中で、その下請、協力企業の中小企業に余り過度な負担を課すことなく取引ができることも一方で望まれるわけでありまして、先ほど御指摘ありましたように、ISOを取ること、これは自主的な取り組みとして大変大事なことであると思いますし、報告書を出すことも大変大事なことだと思いますけれども、一方で、弱小の零細な企業に、そこまでやっていないと取引を停止するということもまたやり過ぎなのかなという気もしております。これは国の取引の場合も同様のことが言えるんじゃないかと思います。

 この点が非常に難しいわけで、中小企業の過度の負担にならないところ、他方で環境への対応を促していく、この両立をどうやって図っていくのかというところが大変難しいわけでありますけれども、この点につきまして、政務官に御意見をお伺いできればと思います。

砂田大臣政務官 私も実は零細企業を経営している一人でございまして、これ以上コストがかかっては大変だなという思いが正直あるわけでございますけれども、その反面、こういう環境にしっかりと配慮した経営ができなければ、やがては滅びるんではないかという思いを持っている一人でございます。

 そういう観点から、事業者間においても、十分に環境に配慮した原料あるいは部品等を調達する、サプライチェーンのグリーン化への取り組みが今進みつつあるところでございます。

 自主的あるいは積極的な環境配慮の取り組みを、中小企業を含めた幅広い事業者に広げていく上で、こうしたサプライチェーンのグリーン化は大きな役割を果たすものであると考えているものでございます。しかしながら、中小企業の環境配慮の取り組みに当たっては、御指摘のとおり、事業者にとって過度の負担にならないように配慮することが重要であるとも考えているところでございます。

 このため、環境省においては、中小企業が取り組みやすい簡易な環境配慮のツールであるエコアクション21の普及促進を図っているところであります。こうした手法を活用し、サプライチェーンのグリーン化を通じた中小企業の環境配慮の取り組みを進めてまいりたいと考えているところであります。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 経営にもかかわっておられるお立場からも御意見をいただきまして、ありがとうございます。できるだけいい形、両立が進むような形で取り組みを進めていただければと思いますし、先ほど申し上げた、金融面あるいは税制面で優遇をしていく方から促していくことが大事じゃないかなと思います。

 そのことにも関連するんですけれども、特定事業者の定義の問題でありますが、特定事業者に対して、この法律案では、環境報告書の作成、公表を義務づけるとしているわけでありますけれども、具体的な中身は政令で指定をするということになっております。どのようなものを想定しているか、ここをお伺いしたいと思うんです。

 今の、例えば中小企業が相互扶助的に組んでいる組合であるとか、中小企業組合ですね、あるいは農協とか漁協といった団体、こういった団体は相互扶助のために組合という組織を組んでいるわけでありまして、本法律の趣旨からすると少し外れるのかな、そんな気がしますけれども、このあたりのお考えについてお伺いをしたいと思います。

小池国務大臣 特定事業者に対して環境報告書の作成、公表を義務づけるというその趣旨は、そもそも環境報告書の普及、そして公的事業を行っている法人に、いわばモデルとして率先して環境報告書の作成、公表を行っていただこうというものでございます。

 具体的にどのような法人が指定されるかについては、現時点で確定しているものではございませんけれども、今申し上げたような趣旨を踏まえて申し上げるならば、独立行政法人、特殊法人などのように、その設立への国の関与の度合い、業務の国との関係の度合い、こういったものの深いうちから指定することになるものと想定をいたしているところでございます。

 また、この法案では、特定事業者の指定に際しても、協同組織であるかどうかなど組織の形態についても勘案しなければならない旨が規定をされているところでございます。

 こういったことを総合いたしまして、農業協同組合、農協、漁協、漁業協同組合、そして中小企業の事業協同組合などのいわゆる構成員の相互扶助のための協同組織というのは、特定事業者には指定されることはない、このように考えております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 法の趣旨からしてそういうことだと思いますが、モデル的ないい報告書が作成、公表されますように、ぜひお願いをしていきたいと思います。

 環境と経済の統合を考えていく上で大きな最重要テーマの一つに、地球温暖化問題、CO2問題があるわけですけれども、昨今の状況、景気が悪いこともあり、他方、一方で意識が進んでいないこともあり、排出量の伸びを抑えるのがなかなか難しい状況になってきているんじゃないかと思います。

 温室効果ガスの排出量の直近の状況について、これは産業分野、民生分野、それから運輸の、それぞれの分野ごとに最近の様子をお聞かせいただければと思います。

加藤副大臣 二〇〇二年度につきましては、現在も最大限努力して、何とか今月中に出せるように頑張っているところでございますが、公表されている直近のデータは二〇〇一年度のことになってまいりますので、温室効果ガス排出量はCO2換算で十二億九千九百万トンであります。このうち約九割がエネルギー起源のCO2の排出量としてございまして、十一億三千九百万トンになるわけでございます。

 その二〇〇一年度のエネルギー起源のCO2の排出量のうち、御指摘の工場等の産業部門から出る排出量、これはエネルギー起源CO2排出量全体の約四〇%程度になります。一九九〇年度と比較いたしまして五・一%の減少。それから、自動車や鉄道等の運輸部門に関係しての排出量は、全体の約二三%程度でございますし、これもまた一九九〇年度と比べまして二二・八%、これは増加でございます。さらに、オフィスビルや商業施設等の業務その他部門からの排出量は全体の約一七%程度であり、一九九〇年度と比較いたしまして三〇・九%の増加になります。最後に、家庭部門でありますけれども、全体の約一四%程度でありまして、一九九〇年度と比較いたしまして一九・四%の増加、このような状況になっております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 今の数字で最もふえているのが民生部門、オフィス部門、それから民生の家庭用、運輸という部分が大変な伸びを九〇年との比較で示しているわけでありまして、産業部門は五・一%マイナス、これは景気が悪かったせいもありますので、いろいろな状況は影響していると思います。

 世界的に見ましても、GDP、経済規模を比較しましても、あるいはエネルギーの使用料と比較しましても、日本の産業界、これまで、二度のオイルショックを初め、いろいろな経験の中で大変な省エネを実現してきているわけでありまして、いわば世界一の省エネレベルまで来ているなと思いますけれども、さらに今回の法案によってその意識を高めていただくということだと思います。

 一方で、今のお話の民生、運輸部門、この部門の温室効果ガスの排出量が大変な増加をしているということでありまして、消費者の意識を変えていくということが最も大きなテーマであるんだろうと思います。本法案の運用に当たりましても、そうした消費者への意識改革、これをぜひ取り組んでいただければと思いますけれども、この点についての考え方をお伺いしたいと思います。

加藤副大臣 温暖化対策を進めていく上では、産業部門の取り組みと並んで、民生部門や運輸部門においての取り組みを進めていくことは極めて重要で、これは不可欠であるというふうに考えてございます。

 委員が今御指摘されましたとおり、やはり環境税に関する消費者の意識を一層高めていく、今までも当然やってまいりましたけれども、さらに一層具体的な行動へとつなげていくことが重要であるというふうに考えているわけでございます。環境と経済の統合の中にも三本柱がございますけれども、そのうちの一つは意識の革新ということでございますので、委員指摘のこういった面について、より一層考え方を深め、かつまた、行動を進めていかなければいけない、こういうふうに考えているところでございます。

 環境報告書につきまして、それと関係づけて考えてまいりますと、事業者の二酸化炭素排出量の削減に資する製品の開発、あるいは輸送時の二酸化炭素排出量の低減を含むさまざまな温暖化対策上の取り組みが取り上げられております。こうした環境報告書が一般に広く読まれることによりまして、温暖化問題全般に対する消費者の意識の向上にもつながると考えております。

 そういった視点から、やはり本法案に基づきまして、環境報告書の普及を促進していかなければいけない、そういうふうに考えているというところでございますし、多少長くなって申しわけございませんが、やはり本法案においては、国民が環境面に配慮しながら製品等の購入や投資を行うことを促進するために、国は必要な措置を講ずるもの、このように条文の中でもなっているわけでございます。

 環境省といたしましては、こういった規定に基づきまして、温暖化対策を含め、環境保全型製品や企業の環境への取り組みについて、やはり重要なことは、消費者に対する情報提供、それから普及啓発を進めていく、例えば省エネ型製品の積極的な購入など、そういった具体的な行動につなげていきたい、このように考えているところでございます。

西村(康)委員 環境報告書の中でも、消費者の意識を変えるように企業側も努力をするということも大事なポイントだと思いますし、環境報告書は消費者とのコミュニケーションをとる上で非常に大事な手法だと思いますので、企業にもそうした取り組みを促していくということが大事でありますし、それから、この話は、やはり環境省が中心になってやらなきゃいけない話だと思います。消費者の意識啓蒙をぜひ積極的に行っていただければと思います。

 それとも関連をするのでありますが、順序が多少変わっておりますが、いわゆる環境省の予算措置についてちょっとお伺いをしたいと思うんです。

 今申し上げた消費者に対する取り組みは、もちろん、環境省にぜひ中心となってやっていただきたい分野でありますし、企業へのいろいろな対応も、環境省としてもいろいろ取り組んでおられる。特に、昨年から、石油石炭税収、特別会計の収入の一部を新たな財源として環境省も使っていかれるということになりまして、ことし、私、百二十億ぐらいの予算じゃないかと思いますが、ぜひ、こうした予算も有効に使っていただいて、成果が上がるようにお願いをしたいと思いますけれども、こういった予算を活用して、環境省としてどんな施策を本年度行っているのか、お伺いをしたいと思います。

松本政府参考人 事業者の環境への対応を支援するという観点から環境省でやっていること、とりわけ、今御指摘のございました石油石炭税の活用ということになるわけでございますけれども、まず、公募型の研究開発資金でございます競争的研究資金の拡充を図っているということでございます。

 特に、平成十六年度には、石油石炭税を財源とする石油特会を活用いたしまして、エネルギー起源の二酸化炭素の排出を抑制する技術開発を支援するための地球温暖化対策技術開発事業、これを新設いたしております。また、石油特会によりまして、企業等が行います代エネ、省エネ設備の導入を支援する補助メニュー、これを拡充いたしまして、温暖化防止に資する対策技術、あるいは製品やサービスの普及を行うビジネスの起業に対する支援、これもあわせて新設をしたということでございます。

 今後とも、事業者の環境への対応につきまして、環境技術導入の支援を初めとして、いろいろな側面から支援をしていきたいと考えております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、有効に活用をしていただいて、成果が上がるようにお願いをしたいと思います。企業に対しても自主的な対応を促していく、そしてまた、消費者に対しても啓蒙活動を行っていただくということでお願いをしたいと思います。

 最後に、時間がなくなってまいりましたので、ポイントだけ教えていただければと思いますが、金融的な手法を使って温暖化対策をやっていく排出権市場、これは大きな課題であると思います。いろいろ実験を行っておられると思いますが、今後の課題、ポイントだけ、最後にお伺いをしたいと思います。

小島政府参考人 経済的手法、いろいろございますけれども、企業間の取引であります排出量取引制度ということにつきまして、昨年度から、環境省で、三十六社の企業の協力をいただきまして、排出量取引の試行事業を行っております。

 これは、企業単位で自主的な削減目標を設定して、排出量を算定するというタイプと、プロジェクトによって生じてくる排出のクレジット、これを算定する、この二つのタイプがございます。いずれも検証機関によって排出量の検証を受ける、つまり、どれだけのクレジットを出しているかという共通のルールで取引をしていく、こういうことをやっております。

 今後、この成果をまた中央環境審議会にも御披露いたしまして、御議論いただくわけでございますけれども、ことしの評価見直しということの中に、この成果を生かしていきたいというふうに思っております。

西村(康)委員 いろいろな課題、いろいろな手法があると思いますので、ぜひ、いろいろ研究をしていただいて、とにかく、環境と経済を両立、統合していくということでお願いをしたいと思いますし、本法案の成立によりまして一層企業の意識も高まることを期待申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、鮫島宗明君。

鮫島委員 環境情報に関する法律について質問させていただきますが、時期が時期ですので、本論に入る前に、全く通告しておりませんが、年金未納問題にちょっと触れたいと思います。

 きのう民主党も公表しまして、朝刊各紙にいろいろな方の名前が載っていて、石井一さん、八年五カ月とか、菅直人君、十カ月とか、羽田孜大先生、九年四カ月、参議院の西岡武夫さん、九年十一カ月、松岡滿壽男君、一年十カ月とか。小沢鋭仁さんはすごいですね、完納ですね。一番末席を汚しているのが、近藤昭一君と鮫島宗明君がそれぞれ一カ月未納というのがありますが、小池大臣は当然お払いになっていると思いますが、大臣、副大臣、政務官、それぞれ、年金の納入状況をお答えいただけないでしょうか。

小池国務大臣 しっかり払わせていただいております。

加藤副大臣 私も、しっかりと払っております。

砂田大臣政務官 既に五百七回、払っております。完納をいたしております。

鮫島委員 どうも聞かない方がよかったかなと思います。最近、候補者の中にも、自分のポスターに年金完納というステッカーを張る人もいるそうですが、国民の義務として払わなければいけないと思います。

 本論に入りますが、今度のこの法律、余りよく内容がわからないものですから、逐条で聞いていきたいと思いますが、まず、この法律の目的は何でしょうか。

小池国務大臣 もう先生は、全部御理解をいただいた上で御質問をされるというふうに考えておりますけれども、立法の目的も一番の入り口のところでございますので、お答えさせていただきたいと思います。

 先ほどもお答えをさせていただいているところとちょっと重複いたしますけれども、我が国の事業者というのは、これまでも、例えばISO14001の認証取得件数は世界断トツという状況でございまして、積極的に環境配慮に取り組んできたという実績がございます。

 今後、環境と経済の統合を実現していくということのためには、こういった事業者の自主的な環境配慮の取り組みを一層推し進めていくということが極めて重要であり、それをベースにこの法案をつくったわけでございますが、こうした事業者の自主的でかつ積極的な取り組みを社会が応援する仕組み、枠組みを整備して、環境と経済の好循環を実現しようとするものでございます。文字どおりの環境立国づくりの第一歩と位置づけさせていただいているところでございます。

 ISOの14001は、既に一万四千八百五十四件、それから、既に環境報告書の作成企業数も六百五十社を超えているところでございます。

 我が国というのは、あるところのレベルを超えるとだあっと広がる傾向もございますので、もう少しのところですから、この法律案を御成立させていただいた上でさらに推し進めてまいりたい、このような決意も、聞かれていないけれども答えてしまいました。

鮫島委員 目的はわかりました。

 次に、環境報告書の形態ですが、これは必ずしも紙じゃなくてもいい、デジタル情報でもいい。形態については何か縛りがかかっているんでしょうか。

松本政府参考人 環境報告書の公表形態の件でございますけれども、この法律案におきまして、第二条の四項でございますけれども、文書の「作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。」ということで、条文の中に明確に規定がございます。環境報告書の公表形態はそういうことで書面に限られないということで、これにかわって電磁的記録によるものも環境報告書に含まれるということでございます。

 ちなみに、現実的に申しますと、今大臣申しましたように、今六百五十社が環境報告書を公表しておりますけれども、その中で、冊子、文書によって公表しているものが五百七十四、それからホームページによって公表しているものが五百四十六。ということはどういうことかといいますと、冊子、ホームページともに公表しているというものが四百八十六社、こういうような状況にございます。

鮫島委員 はい。立法の目的と環境報告書の形態についてはわかりました。

 一番わからないのが特定事業者の範囲なんですが、この法律全体の構成からいうと、環境報告書を環境と経済活動の調和のためにこれからつくることを後押ししていきましょうと。国は環境報告書の提出を義務づけられる、地方自治体は努力してくださいという規定になっている。それから、特定事業者については公表の義務づけ、大企業については努力してください、中小企業については今後そういう方向に行くように国は応援しますよ、全体の構成からいうとそういうことになっていると思いますが、この特定事業者というのが何となくわかりにくい。

 例えば、先ほどもちょっと御答弁ありましたが、特殊法人あるいは独立行政法人は全部この特定事業者に含まれるんでしょうか。

松本政府参考人 特定事業者に対しまして、環境報告書の作成、公表を義務づけるというこの法案の趣旨でございますけれども、環境報告書を普及していくというねらいから、公的事業を行っている法人に、いわばモデル的に、率先して環境報告書の作成、公表を行っていってもらうということでございます。

 具体的にどのような法人が指定されるかにつきましては、現時点では決まっていないわけでございますけれども、今申しましたような趣旨を踏まえますと、独立行政法人、特殊法人等のように、その設立への国の関与、あるいはその業務の国との関係が深い法人の中から指定をするということになるというふうに想定をいたしております。

 したがいまして、御質問にありましたような、すべての独立行政法人、特殊法人を特定事業者として指定をするということではないということでございます。

鮫島委員 大企業の中では、先ほどもありましたように、六百五十社は既に自主的に環境報告書を出していると。ただ、特定事業者に義務づけるというところがこの法律の一番のねらいなんですが、その特定事業者の範囲も何となく決まっていなくて、設立において国との関与が強いという意味で言えば、特殊法人や独立行政法人は当然全部入るのかなと思ったら、どうもそうでもないらしい。

 よくわからないものですから、では、幾つかの例示で聞きますが、日本中央競馬会というのは入るんでしょうか。

松本政府参考人 特定事業者に指定をされます具体的な法人でございますけれども、特別の法律によって設立された法人のうち、国の事務との関連性、組織の態様、環境への負荷の程度、あるいは事業活動の規模などを勘案して政令で定めるということになっておりまして、具体的にどこの法人が指定されるかについては、政令を制定する際に、今申しましたような法律で定められた事項を勘案した上で決定をする、こういうことになるわけでございます。

 御指摘の中央競馬会などにつきましても、その時点で、その団体、法人の内容をつぶさに検討して決まるということになろうかと思います。

鮫島委員 特定事業者に環境報告書を義務づけるというのがこの法案の一番の骨格ですから、特定事業者の内容がもう少し絞られていないと、これはとても法案を提出する準備ができていないんじゃないですかね。今の日本中央競馬会が入るかどうかもわからない、全部政令でこの後やりますというんじゃ、まるで、この場で行政に対して白紙委任状を下さいと言っているに等しいと思いますが、東京大学は入りますか。

松本政府参考人 東京大学につきましても、先ほど申しましたような基本的な考え方、趣旨に基づきまして政令で決めるということになりますので、現時点では、入る、入らないというところは決まっていないということでございます。

鮫島委員 では、環境省の所管になっているPCBの処理を行うために特別につくった特別会社、日本環境安全事業株式会社、これは当然入るんでしょうね。

松本政府参考人 政令を定める際にその指定をするかどうかということを決めさせていただくということになろうかと思っております。

鮫島委員 自分のところの団体についても決まっていないと。PCBの処理会社なんというのは一番環境報告書を出さなくちゃいけないので、この段階で答えられないというのは一体、法律を提案する準備ができていないんじゃないかというふうに思います。

 これは、すごく思想があらわれて大事なところなんですよね。どういうところを特定事業者としてそこに義務づけるのか。ここだけ義務づけるようになっているわけですから、何のために義務づけるのか。さっきの立法目的との関係で言うと、ここのところにこの法律の思想が全部入っていなくちゃいけない。

 設立において国とのかかわりが強い、あるいは事業内容で国との関係が強いというような意味で言えば、では、公共事業を受けているようなゼネコンは全部入りますね。

松本政府参考人 少し具体的に説明をさせていただきたいと思いますけれども、今回の法律で考えております特定事業者、すべて一律に公的な事業を行っている事業者について特定事業者に指定するということではなくて、国の事務との関連性、組織の態様、環境への負荷、事業活動の規模等を勘案して、このような国に準ずる意義の高い法人を政令で定めるということにしているわけでございます。

 もう少し具体的に申しますと、法律上も書いてあるわけでございますけれども、例えば、その法人の事業の運営費について国の交付金あるいは補助金が交付されているかどうか。それから、先ほどもちょっと御質問があったかと思いますが、協同組合や共済組合のように一定の相互扶助を目的とする法人でないかどうか。これはどういうことかといいますと、そういう相互扶助のものはむしろ外すという趣旨でございます。それから、いわゆるデスクワークだけを行う法人、こういうような法人につきましては、事業活動に伴う環境への負荷が少なく、したがって指定の対象からは考えとして外れてくるだろう。それから従業員数の規模、こういうことでございます。

 そういうような幾つかの勘案要素を重ね合わせまして、具体的に、政令の際に、それぞれの法人の内容、実態をつぶさに検討して指定をさせていただくということでございまして、御質問のあった法人についても、現時点ではまだ決めていない、こういうことでございます。

鮫島委員 ここで審議して決めないと、この法案が立法に値するかどうかが評価できないんですが、今、あくまでも抽象的な概念規定だけで、それがわからないから聞いているので、今のような概念規定からいうと例えばどういうところが当てはまるのかという質問なんですよ。

 では、専らデスクワークを主とするところというと、研究機関は全部外れるんでしょうか。

松本政府参考人 研究所、研究機関もその中身によりけりだろうと思います。純粋に人文的な学術研究をやるということになりますと、本当のデスクワークだけということになるかもしれませんが、例えば理化学系の研究所、こういうようなところには、いろいろとそういう化学物質その他環境負荷に大変大きなかかわりのある研究所もあるわけでございますので、それぞれの研究所について、先ほどいろいろるる申し上げましたような勘案要素というのを踏まえながら検討させていただく、こういうことになろうかと思います。

鮫島委員 どうもよくわかりませんが、では、特定事業者の認定はだれがするんでしょうか。各省で相談してやるのか、それとも、最終的には環境大臣がおやりになるんでしょうか。

松本政府参考人 最終的には政令で定めるということでございますので、内閣が閣議決定をして定める、こういうことになろうかと思います。

 実務的なことを申しますと、当然、案につきましては、政府部内で関係各省がそれぞれ各法人を所管しておりますので、そこの中で検討をし、案を考え、そして内閣で最終的には閣議決定をしていただく、こういうことになろうかと思っております。

鮫島委員 先ほど冒頭、大臣の言葉の中にISOに触れた発言がありましたが、私は、この特定事業者に環境報告書を義務づける場合、当然、環境マネジメントがちゃんと認証を受けている、そして、その活動についての報告が環境報告書になるわけですから、ISOによる認証を受けていなくて環境報告書だけ出すというのも、何だか中身がなくて看板だけ飾るような気がしますが、この場合、当然、そういう、特定事業者はISOの認証を受けるようにというような指導もなさるんでしょうか。これは、あくまでもISOのマネジメント認証と環境報告書というのは、私はセットだと思うんですが。

松本政府参考人 ISOとこの環境報告書の関係はもう御承知のとおりでございましょうが、ISO14000、これは組織の、環境配慮についての組織の対応とか、あるいは具体的な環境配慮のチェックの仕組み、こういうようなものを定める。環境報告書の方は、そういう体制、組織の問題、あるいは具体的な環境配慮の中身、あるいは環境負荷の状況全体、環境情報全体を世の中に公表するという仕組みでございます。

 ですから、厳密に理論的に言いますと、別物ということになるわけでございますが、実態的に言いますと、先ほど大臣もお答えいたしましたように、大変多くの事業者がISO14001を既に取得しております。そういうようなことでございますので、それとの関係で重なりは出てくるということだろうと思います。前提としてISO14000を取っていなければならないということにはならないと考えております。

鮫島委員 いや、私もそういう認識で聞いたんですが、もちろん、今、世界全体で五万二、三千、ISOの認証を受けている中で、日本企業がそのうちの約四分の一、二四%ぐらいは日本企業だという、つくったヨーロッパが驚くような形になっていることは現実ですけれども、今度この特定事業者で決めるところは、恐らく余り実業をやっていないところ、特殊法人や独立行政法人、どちらかというと虚業をやっているところですから、ISOの認証を今の段階では取っていないところが多いんじゃないかと私は思います。

 環境報告書の公表を義務づけるんだったら、そこのところは義務づけなくてもいいですが、環境省として指導なり督励は当然すべきだと思うんですが、そういう意味で聞いたんです。別に義務づけろという意味ではなくて、環境報告書を義務づける以上、環境マネジメントについても国際規格に沿うようにやるのが自然ですというぐらいの督励はした方がいいんじゃないかという意味で言ったんですけれども。

松本政府参考人 環境報告書とISO14001の関係については、先ほど申し上げましたとおり、理念的には別物ということでございます。

 ただ、実態的に、それぞれが、やはりその法人の事業活動について環境配慮を高めていくという方向性については同一でございますので、それぞれの課題としてできるだけ普及をするように努力をしていきたい、働きかけをしていきたいと考えております。

鮫島委員 なるべくISO14001の認証を取るように督励してほしいというふうに私は思います。

 今度は、環境報告書の内容にかかわることですが、PRTRとの関係、つまり、有害物質の取り扱いに関する報告義務との関係で伺いますが、今度義務づけられる特定事業者が出す環境報告書の中には、このPRTRの内容も含まれた形の環境報告書になるんでしょうか。トヨタ自動車あたりが出している環境報告書には割合具体的にそういう内容までが入っていますが、今度は特定事業者にはどういう内容を義務づけますでしょうか。PRTRとの関係でお答えください。

松本政府参考人 PRTR法におきまして開示対象となっておりますそれぞれ個別の事業所ごとのPRTRデータ、これにつきまして、環境報告書の記載内容の関係でどうかということですが、記載内容の一つとはなり得るというのが一般的な状況だと思います。

 今お話にございましたように、現実に今公表されております環境報告書におきましては、いろいろな形でデータが公表されている。複数の事業所を抱えている会社ですと、例えば、全部まとめて、会社一本として排出量を記載するというようなところもございます。

 さらに、それでは、そのPRTRのデータそのものを環境報告書の記載事項として今回定めるかどうか、こういうことでございますが、今御指摘をされたような義務づけみたいな形で行うことにつきましては、これは、PRTRにつきましてはPRTR法に基づいての公表が仕組みとしてございます。他の法律による公表と二重の負担を課すということになるわけでございますし、また、自主的に環境報告書の作成を行った事業者のみに負担を課すということになりますと、そもそも環境報告書の作成を行わない事業者との間での公平性の議論もまた出てくるのではないかということなので、これについて、PRTRのデータを環境報告書の記載事項として定めるということについては、慎重に考えなければいけないと考えております。

鮫島委員 僕が一番最初に聞きましたのは、この法律の立法目的、第一条の結びには、「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。」というのが目的の結びになっているわけで、国民の側からいうと、やはりこういうPRTRの対象になっているような特定危険物質の挙動というのは大変関心があるところですが、せっかく環境報告書が特定事業者に義務づけられて出るんだから、これを見ればPRTRに関してもわかるのかなと思うと、それはそれでまた独自にアクセスしなければいけないという今の御説明です。

 では、今、PRTRは国民にとってどのぐらいアクセスしやすくなっているのか。一々霞が関まで行かなくてもいいんでしょうか。今、どういう形で、例えば長崎の五島列島の方は、どういう形である特定の会社のPRTR情報にアクセスできるのか、教えてください。

滝澤政府参考人 PRTRの公表の状況についてでございますが、昨年の三月とことしの三月と、ようやく二回公表にこぎつけたところでございます。

 内容につきましては、対象化学物質の対象物質ごとの排出量でありますとか移動量でありますとか、あるいは都道府県別に集計した形で公表しておるところでございますが、事業所ごとの個別のデータの取り扱いになりますと、PRTR法の第十条に基づきまして、それぞれ開示請求をしていただく、そういうことを踏まえまして主務大臣が速やかに公表するということになっております。

 したがいまして、公表いたします全体のデータという意味では、ホームページでありますとか、いろいろな媒体を通じてアクセスしていただくわけでございますが、事業所ごとの個別のデータということになりますと、今申し上げたような手続が必要となってまいります。

鮫島委員 いや、だから、開示請求する手続、例えば離島の方がやろうと思ったら、具体的にどうすればいいんでしょうか。

 では、新日鉄の君津の工場のPRTR情報を知りたいといったら、どうすればいいんですか。

滝澤政府参考人 今PRTR法の第十条というふうに申し上げましたが、環境大臣に対しまして、当該公表に係る集計結果に集計されているファイル記録事項について開示請求をしていただくことができるという規定がございますので、私どもの方に、環境省の方に直接お問い合わせいただいて、開示請求の手続をとっていただくということになろうかと思います。

鮫島委員 もうこれが実際、PRTR法は施行されて二年ぐらいたちますけれども、私が聞いている範囲では、大変アクセスしにくい、知ろうと思ってもなかなか知ることができないという声が大変聞こえてくる。

 今の環境報告書の関係で言えば、このPRTRは事業所ごとになっているものですから、一々、例えばトヨタのどこの工場とか新日鉄のどこの工場と、所在地まで指定して正確にその工場名を言わないとだめ、場合によると、何か環境省まで行かなくちゃいけないというような話もあるそうですが、そういう、一方で事業所ごとというのがありますから、ところが、この環境報告書は事業者ごと、つまり企業なり団体一本になっているから、この環境報告書に全部そのPRTR情報も入っていれば、非常に国民の側としては一覧性、総覧性が保障されるというふうに思ったもので聞いたんです。

 では、相変わらず、PRTRについては、なかなか容易に個別企業の管理、排出状況については知るのは難しいですよという環境ですね。

滝澤政府参考人 若干繰り返しになりますが、個別企業の個々の、私どもに提出いただいた届け出票というような形になるわけでございますが、情報開示請求という形での手続規定は設けさせていただいておりますが、恐らく、恐らくと言うとなんですが、その趣旨といたしましては、企業がどういう物質をどの程度年間製造業等で使うかというようなことを、企業側の立場に立ちますと、企業秘密と言うと若干大げさな言い方になりますけれども、そういうこともございますし、その個票そのものがルーチンの形ですべて、三万五千の事業所数になるわけでございますが、我々が定期的な報告の際に、その個票そのものが毎年とはいえ三万五千の事業所のものが出ていく、公表するんだという形の形式がなかなかとりにくいというのも実態かと思います。

 そういうことを踏まえて、先ほどの十条の情報開示規定というものを、わざわざこの個別法の中に、PRTR法の中に設定されたものというふうに理解しております。

鮫島委員 はい。わかりました。

 私は、この環境報告書を義務づけると、特定事業者のPRTRの内容が少しは開示されるのかと思ったら、そこについてはほとんど関係ないということがわかりました。

 ただ、私は少しいいと思うのは、事業所ごとじゃなくて事業者ごとになっているから、この環境報告書は、例えば新日鉄なら新日鉄の全部の工場の環境ビヘービアが一応記載されるという意味では、事業所ごとにアクセスしなくちゃいけないPRTRよりはある種包括的な理解は得られるかなという気がしますが、一番国民が気にしている有害物質の挙動については、この報告書は余り頼りにならないということはわかりました。

 これは、ただ、事業者単位でやると、なかなか私は大変だと思いますが、多分これも決まっていないんでしょうが、例えばJICA、国際協力機構、これを特定事業者にすると、彼らがやっている環境とのかかわりの活動、国際的な展開ですから、それをちゃんと報告してもらうというのはなかなか大変だと思いますが、この報告書の内容が適正かどうかというのはだれがどういうふうに判断するんでしょうか。

松本政府参考人 今回の法案では、今一般的に少し現実に動き出してはおりますけれども、まだ広まっておりません、第三者審査というような仕組みも現実にはあり得るわけでございますけれども、この法案では、そういうような内容のチェックという仕組みは入れておりません。

 この法案で考えておりますのは、環境報告書の内容についての適正さ、これについては、基本的に社会、市場の中で評価がされるというふうに考えております。うその表示をすれば、その分大変にダメージを受けるということになろうかと思っております。

鮫島委員 一応、第九条には、特定事業者は、環境報告書を作成し、これを公表しなければいけないというふうに義務づけて、そして第九条の二項で「環境報告書の審査を受けることその他の措置を講ずることにより、環境報告書の信頼性を高めるように努めるものとする。」と、一応努力規定がここで入っているわけです。

 やはり、報告書の作成を特定事業者に義務づける、そこを義務づけた以上は、その内容がある程度の基準を満たしていないと、今の局長の答弁ではほとんどその内容については当事者任せみたいな言い方ですが、ここについては、やはりある程度の審査がないとおかしいのではないか。

 次の第十条には、「環境報告書の審査を行う者は、独立した立場において」、要するに、中立的にやりなさいという規定まであるわけですから、これはある種想定しているわけでしょう。環境報告書を出すことを義務づけて、これがちゃんと一定の基準を満たしたものであるか、しかも、中立的で公平、公正なものであるかを審査する方向が一応ここに入っているんじゃないんですか、法律の中に。

松本政府参考人 先ほどお答えをした中で、丸投げで社会、市場の中で評価されると申しましたけれども、それはそういうことではなくて、この条文の中で、みずから、あるいは第三者の審査を受けるというようなことで、内容の正確性を確保するように努めなきゃいけないという努力義務が置かれているということでございます。

 私がちょっと行き過ぎましたのは、第三者審査というのを法律上義務づけをするということはしていないということであります。

 ただ、これはどうしてかといいますと、第三者審査につきましては、民間事業者においてもまだ大変少数にとどまっておるということ、第三者審査の実務、それ自体もいまだ発展途上の段階にあるということであろうと思います。したがいまして、義務づけをしていないということであります。

 さらに、この法案におきまして、環境報告書の審査を行う者に対しまして必要な体制を整備すること、それから、審査に従事する者の質の向上というものを図るべき、これを努力義務として規定をしているということでございます。

 審査を行う機関のあり方等につきましては、今後引き続き検討すべき課題だと考えております。

鮫島委員 特定事業者が環境報告書を出さないときの罰則規定はどんなものでしょうか。

松本政府参考人 環境報告書を作成、公表することが義務づけられております特定事業者が、これを公表しない、あるいは虚偽の公表をした場合には、その特定事業者の役員が二十万円以下の過料に処せられる、こういう罰則が十六条で規定されております。

鮫島委員 適正ではない報告、虚偽の報告をした場合は罰金の規定がある。審査のところが全然抜けていて、これはお任せします、自主努力でやってちょうだいと言っておいて、それが虚偽の報告か適正かどうかなんてわからないわけだから、この十六条は、これはただの空文というか、意味のない条文になるんじゃないですか。もうちょっとちゃんと報告書の内容審査を行う体制がこの法律の体系の中に組み込まれていないと、罰金をとる話との整合性が立たないと思いますよ。

 ISOの場合は、しっかりした認証機関があって、二年に一回ずつ、ちゃんとしたマネジメントが行われているかどうかのチェックが行われていると思います。私は、こういう分野の方が体制が整っていて、経済産業省の外郭団体で日本適合性認定協会、通称JABという組織があって、ここが四十ぐらいの機関を認定していて、そこが審査したISOマネジメントならいいですよというふうにしていると思いますが、このJABというのはもうちょっと、ISOに関してずっとお仕事の実績があるんですから、ここの業務の範囲の中で環境報告書の審査を行う団体の適性審査というのもできるんじゃないかと思いますが、経済産業省の方から御答弁いただけますか。

市川政府参考人 ISO14001についての御質問でございますので、お答え申し上げます。

 ISO14001の中におきますJABの位置づけでございますが、まず、ISO14001自身が民間の自主的な制度ということで、法的位置づけによって与えられているものではございません。

 ただし、先生がおっしゃいましたように、14001の根幹となるところの登録機関においてはJABがあり、また、その審査、登録を行うような機関につきましては、このJABが個別に審査をして、そのような能力があるかどうかということをチェックするというシステムになっていることは事実でございます。

 ただし、ISO14001の審査登録機関であります、約四十ございますが、その機関の行っておりますことは、ISOの基本的な考え方でございますけれども、環境マネジメントのシステムがその企業においてきちっと動いているかどうか、すなわち、みずから設定した目標を達成すべくマネジメントがなされているか、それをみずからチェックして、さらに足らざるものがあればこれを補うというような形での、そして、マネジメントシステムが有効に機能しているかどうかということをチェックするものであろうかと思います。

 一方、環境報告書におきますところの先生のおっしゃる審査機関というのは、恐らくは、個々の数値、排出の数値等が適当であるかどうかということを個々にチェックするということも主要の業務になるのではないかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、ISO14001に基づきますところの審査登録機関につきましては、いわばシステムの適正さを判断するということがその仕事の主体でございますので、個々の数値の適正さまで踏み入って判断するというところは、ちょっと今のところでは難しいんじゃないかなというふうに考えております。

鮫島委員 ISO14001との関係で何をしているかはわかっているんですが、今幾つかの企業の環境報告書には、自主的に、例えば監査法人なんかの審査結果、つまり、この環境報告書は中立的、公正で適正なものであるという第三者の認証をみずからつけて発表している企業もありますから、そういう意味では、監査法人、環境報告書の適正さを裏打ちする監査法人なんかについて、今は自主的、何も規制のない世界でやっていますが、このJABは、大体、お仕事はどこの団体が近いかなと思って探したら、今一番そういう業務をできそうなのはここの団体だろうと思って聞いたわけでして、今ISOの関係の仕事しかしていませんが、少し頭をやわらかくすれば、環境報告書の審査を行うに足る機関の審査というのはできるんじゃないかというふうに思って聞いたわけです。

 それはなぜかというと、まさか別の機関をつくることを考えていないでしょうねという意味で聞いたんですが、ということもあって聞いたんですが、どなたか、では、閣僚級の方、それはお答えできますか。

 つまり、環境報告書を出しなさい、環境報告書はなるべく第三者によって審査を受けることが望ましい、環境報告書の審査を行う者は独立した立場において中立的にやりなさいということまで書いてあるわけです。ところが、今世の中にどうもそういう団体はない。これは普通、役人的に考えれば、新しい団体を一つつくるいいチャンス。どうもこの法律の内容を聞いていると、何だか余り、目的もぼやっとしていますし、特定事業者の内容も決まっていないし、環境報告書についても、三ページでもいいのかもしれないし、二百ページ要るのかもしれないし、そこも決まっていない、罰金だけ二十万と決まっているという、まことに何だかできの悪いおかしな法律なものですから、何のためだか私はよくわからないんだ、この法律をつくるのは。もしかしたら団体一個つくりたいのかな、だったらわかるなという意味で聞いているんです。

小池国務大臣 私も、この法案をつくる際に、今はもうそういう時代じゃないよねということでくぎも刺したところでございます。

 むしろ、環境報告書の審査を行う者の質の向上を図るということは、すなわち、信頼性の高い環境報告書の作成、そして公表されるというインフラづくりになる重要な課題だというふうに思っております。

 それで、環境省とすれば、第三者審査の実施方法について、ことしの四月に環境報告書の審査基準案の形で一定のルールを明らかにさせていただいておりますし、また、こうした第三者審査の基準の具体化、それから、審査に従事する職員の研修プログラムなどの策定にも取り組みながら、また今は、御指摘のように監査法人ですね、それから14000シリーズのコンサルタントなどもそれらが従事するであろうと考えられるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、よくある流れではなくて、こういった第三者審査のより公正、適正な実施をいかに担保するかという方策についてもしっかりこれからも検討してまいりたい、このことだけお伝えしておきます。

鮫島委員 似たような団体、いろいろありますから、環境省は確かに余り団体を持っていないのでつくりたいのはわかりますが、ぜひ、そういうふうな方向に行かないように、大臣がしっかりそこは押さえていただきたいと思います。

 次に、第十一条という方に行きますが、特定事業者には義務づけますと。大企業は、「公表を行うように努めるとともに、」云々ということで努力規定になっていますが、この法律の効果はどのぐらいに見込んでいるんでしょうか。

 つまり、この法律が施行されると、特定事業者は十七年度の環境報告書の作成は義務づけられる、大企業は努力してちょうだいよということになっていますけれども、どのぐらいの法律効果が出てくるというふうに見通しておられるんでしょうか。

加藤副大臣 今の質問は非常に重要な視点だと私は思いますね、政府がどういう目標を立ててこういった面について鋭意努力していくかということは。

 循環型社会形成推進基本法ができて、それで、基本計画をつくらなければいけないということで基本計画をつくったわけでありますけれども、その中におきまして、環境報告書の普及目標、これを設定しているわけであります。

 具体的にその中身を申し上げますと、平成二十二年、二〇一〇年でありますけれども、平成二十二年度に、上場企業の約五〇%、それから従業員の数が五百人以上の非上場企業の約三〇%、これを、環境報告書を作成、公表するように政府目標として定めておくことが極めて重要である。また、そういうふうに考えて、さまざまな課題は当然あるとは思いますけれども、最大限、そういう政府目標を定めてやっていくということについて、既に発表しているところでございます。

鮫島委員 この第十一条には、大企業は努力してくださいと、極めてさらっとした条文になっているわけで、今おっしゃった、二〇一〇年までに東京、大阪、名古屋の一部、二部上場企業約二千七百社のうちの五〇%、それから、非上場だけれども従業員五百人以上の企業約三千七百社のうち、三〇%程度が環境報告書を出すようになってくれればありがたいなというのが第十一条の内容だと思いますが、このぐらい緩い願望だけを書き込んだ条文の効果は、恐らく、環境報告書を書きやすい企業は出す、ソニーとかワコールとか。要するに、企業活動において余り環境負荷をかけていない企業は出すかもしれませんが、国民が本当に知りたいのは、かなり環境負荷をかけている企業の環境報告書を知りたいんですが、ここのところは全然そういう内容も縛っていませんから、恐らく、二〇一〇年に五〇%ぐらい出るようになりましたといったときに、国民が知りたがっている大変環境負荷をかけている企業の環境報告書はなくて、まことにうちはこんなにきれいにやっていますよと、得意げな環境報告書だけが並ぶようなことになるのではないかと思いますが、そういう分野ごとの、環境負荷をかけている業態から先行して環境報告書を出すようにしてくださいというような、中身に少し踏み込んだ指導なり督励というのは行わないんでしょうか。

小池国務大臣 環境負荷をたくさん出しているところはかえって出さないんじゃないかというふうに御指摘ありましたけれども、現在、環境報告書を作成、公表している企業は、電力、ガス、鉄鋼、化学、これらの、大企業がほとんどですけれども、環境負荷の大きい業種についても環境報告書を作成、公表しておられるという事実が既にございます。

 また、この環境報告書を推し進めてまいりますと、同業他社が環境報告書を公表するようになりますと、市場での競争原理がここでも働いて、他の企業も環境報告書の作成、公表への取り組みを進めていくということ、それから、特にヨーロッパを市場に持っている輸出企業については、環境情報の公表がより厳しく求められているということもございまして、環境負荷の多い事業者だからといって環境報告書の公表を控える、行わないということには即つながらないと考えております。

 また、日本経団連においても、会員企業の環境報告書やCSR報告書の、三年で倍増していこうという取り組みの表明もされているところでございます。ということで、今後とも着実に環境報告書の作成、公表に取り組む事業者は増加するものと期待をされるところでございます。

 もちろん、その期待に対して、政府としては、この法案に基づいて、より多くの事業者が環境報告書を作成また公表することとなるように後押しをしてまいりたいと思っています。

鮫島委員 もう時間ですので、あと一問だけにしますが、要するに、この法律のねらいは、特定事業者に義務づけるというところが一番のポイントで、この特定事業者は何ですかというと、その性格は、設立において国の関与があった機関及び事業活動において国とのかかわりが深いというその二点で、この特定事業者については、国とのかかわりが深いんだから環境報告書を義務づけようという精神だと思います。

 だったら、私がさっきちらっと言ったように、かなり税金が投入されている、つまり公共事業を受けている、例えば官需が五割以上の企業は、当然この環境報告書の報告を義務づけてもいいというふうに私は思いますが、その意味では、この法案自身の精神と思想があいまい。特定事業者もいまだにほとんど決まっていない。これを本当にまじめに法律として通したいなら、白紙委任状をくれみたいなことを言わないで、私は、この特定事業者をもっときちっと性格づける、それから、官需が五割以上の大企業の扱いをどうするか、これについてやはり、少し時間を上げますから、ぜひ出していただかないと、この法律が大体意味があるのかどうかが理解できない。

 例えば、先ほど私が幾つか言いましたが、宇宙航空研究開発機構なんというのは、何度もロケットを打ち上げて、約二兆円分が宇宙のちりと消えましたというような組織ですし、あと、今はやりの年金資金運用基金は特定事業者になるのかということも含めて、この特定事業者の概念規定をもうちょっとやっていただかないと、この法律に賛成していいのか反対していいのかわからないものですから、よろしくお願いします。

 以上です。

小沢委員長 次に、島田久君。

島田委員 民主党・無所属クラブの島田久でございます。

 鮫島議員が質問された点とできるだけダブらない形で質疑をさせていただきたいと思っております。

 今、鮫島議員からもお話がありましたように、この法案の理念というものはどこにあるかということについて幾分疑問を持ちながらも、この内容について、それらのことを含めて質問させていただければと思っております。

 民主党としてワーキングチームをつくって、環境報告についていろいろ各企業から報告を受けさせていただきました。そういう中で、この環境報告書がどういう形で報告をされているかという、各企業のを見ていますと、法案の規定の中で、項目そのものが必ずしも、見ていて、ガイドラインをつくって、その環境報告書の項目をある程度統一した形の中でつくっていくという考えがあるようでありますけれども、そのようなことを見る中で、この環境報告書が、企業活動をする上で、今の社会状況の中からいけば重要な視点であるということはわかりながらも、その項目設定あるいはこの環境報告書そのものが、先ほどの鮫島議員との間の中の、ISOとの関連性の中で、自主的に相当、現在、社会状況の中で進んできているものに対して、この法案との関連性が不十分であるために、せっかく自主的に、ISOなりあるいは環境会計というような形の中で自主的に進んでいるものとのかかわり合いと、それに係る理念的なものがどうも不明確であるような気がしてならないんですけれども、大臣が考えておられるこの法案と、今の国家戦略的な考えの中で、どうしても経済とそれから環境との融合を深めていくんだという考えはよくわかるんですけれども、そういうことについて、具体的な環境報告を進めていく上で、やはりどちらかといえば、企業の中の一部上場会社というようなところが相当重要な、環境報告書の中心的な役割を果たしていくと思うんですね。

 そういう中で、経済と環境との融合というものを図っていくという面で、この報告書がもう一つは重要な役割を果たすというイメージをするんですけれども、その辺の大臣のお考えはいかがでしょうか。

小池国務大臣 まず、環境と経済の好循環を目指してという形で、この環境報告書を進めることもその一つの柱でございますけれども、環境と経済を統合させて、そして、いい環境をつくることによって経済が活性化する、経済が活性化することによってさらに環境が改善をしていくというような、そういった好循環を生み出そうということは、私どもの一つの大きな目標でもあります。

 また、環境報告書というのは、そういった流れを一つのコミュニケーション手段として確立をして、そして、より多くの方々にそういったものを知っていただく。それによって金融機関などの投資なども促進またその目安となるようにしていくというようなことの意味で、基盤の整備でございます。

 先ほどもISOのお話もございました。先ほど来局長の方からお話ししておりますように、環境報告書と少しシステム的なものがずれることにはなろうかと思いますけれども、しかしながら、この環境報告書をより広く公表していく、その流れをつくることは、すなわち、先ほど申し上げた環境と経済の好循環ということを前に進めていくということでは大いに資するものだと考えております。

 企業によっては、そういった余力のないところなどもまだまだございますでしょうけれども、そういったところについては、また、エコアクション21という形で、より簡便な形で、この環境報告書に類似するものを進めていっていただくなどなど、さまざまな諸施策を講じてまいりたい、このように考えております。

島田委員 今の関連の中で、法案の第八条で、主務大臣は、記載または記録すべき事項及びその方法を定めなければならないとし、特定事業者、九条二項や、大企業、第十一条の一項はそれに沿って策定することになっていますけれども、これを策定する上で、政府としては、環境報告書に記載する事項というような、具体的な事項としてどんなイメージを描いているんでしょうか。

松本政府参考人 環境報告書は、企業がみずからの環境情報を総合的に取りまとめて公表する年次報告書でございます。

 この法案におきまして、今お話ありましたように、環境報告書に最低限盛り込むことが必要と考えられる事項というのを「記載事項等」として、第八条一項でございますけれども、定めることにしております。

 具体的に申しますと、例えば事業活動によって生じてまいります環境負荷を示す数値、そして、その環境負荷低減のための取り組みの状況とか、環境負荷の低減に資する製品あるいはサービスなどの状況、さらには環境マネジメントシステムの状況、ISO14001を取得しているんであればそういうような状況、あるいはそもそもの環境配慮の方針、あるいは環境規制にかかわる諸法制、法令、これの遵守状況などなどというようなことが考えられると思います。

 そういうようないろいろなことが盛り込まれるわけでございますが、その中で、やはり信頼性を確保し、また、他のあまたある環境報告書の比較、こういうようなことができる最低限の項目について、この記載事項として定めていくということになろうかと思います。

 それで、その具体的な定め方については、環境省が、あるいは国が、これだということで、ある意味では、上から一方的に決めるのではなくて、現実の市場に、あるいは社会の中で動いております実務、あるいは学識経験者、民間の立場、そういうようないろいろな御意見を聞いた形で、具体的にどういうような記載事項というのを定めていくかというのを検討し、そして、それを受けた形で主務大臣が定める、こういう形になろうかと思います。

島田委員 今、政府がそういう記載事項の中で、具体的にどういうイメージをしているかということは、環境に投資をしたら、エコファンドだとか、そういう中で、法律の中に、ある程度何か、そういう環境に、エコファンドを含めた投資を促進するようなイメージを、法案の条項の中に入っているんですね。

 そうしますと、やはり企業活動ですから、そういう面で政府が、ある面では、そういう環境に投資をするということを促進させるような具体的な記述というものが、一つの経済活動をする上で重要な視点になる可能性があるんですね。

 だから、つまり、そういう面でお伺いをしたんですけれども、その辺に対して、法案の第四条第一項が実効性があるようにするためには、政府として、あるいはどんなことを考えておられるでしょうか。

小池国務大臣 ちょっと御質問が、どこに焦点を当ててお答えしたらいいのか、ちょっと不明でございましたので、私の方から、今、エコファンドについての御質問もあったかと存じますので、その点でお答えをさせていただきたいと思っております。

 欧米などでは、エコファンドに匹敵するようなSRI投資というのが非常に盛んになっているわけでございまして、日本の投資文化と、そしてまた欧米の投資文化と異なる点もございましょうけれども、やはり環境に対しての、どういうふうな企業活動をしているのかということを、この環境報告書によって広く知らしめることによって、そのエコファンドなどの投資をするのかしないのか、では、どこにするのかといったことの指針を与えることになるわけでございます。

 ということで、この法案によりまして、事業者による環境報告書の公表、普及を促進する。そしてまた、事業者また国民は投資などに当たって相手方事業者の環境情報を勘案するように努めることになる。それから、国としてもこうした事業者及び国民の取り組みを促進するために必要な措置を講ずるというふうに盛り込んでおるということは、すなわち、機関投資家の方々や金融機関を含めた事業者そして国民に対する情報提供、普及啓発ということでございまして、今最後の御質問にあったように、環境に対して前に進めるという意味では、この環境報告書がまさにコミュニケーション手段としての意味を果たすことができるもの、このように考えております。

島田委員 私は、最初、この法案をぱっと見て、読んで、今の環境の基本的ないろいろな問題から想定をして、法案の中に環境報告書というものをある程度国民に示しながら、そのことを基本にしながら、今大臣からお話がありましたように、投資を促進する、あるいはより社会における環境に対する理解を、そういう面からも投資を通じて具体的に理解をさせるという面でも、この環境報告書というのはある一面では重要な役割を果たすのではないかなという、私はそんな理解をしたんですね。

 その理解の中で、ISOとの具体的なかかわり合い、あるいは企業会計の中に環境会計という形で、一般会計の中に環境に対する状況というものを記載していくというようなことをイメージしたんですね。

 そしてこの前、大臣から里山里地の問題の国家戦略という話を聞いて、具体的には今、財政的なものを出動するというのはなかなか厳しい状況にある、そういう厳しい状況の中から、何か環境に対する投資を何としても進めていかなきゃならぬ社会的な条件にあるということだけはもう間違いないわけです。例えば、里地里山の問題を基本的に解決していくということは、何としても所有権の問題なりあるいはそれらの状況を公有化していくというようなことについて考えていかなきゃならない重要な時期だと思うんですけれども、なかなかその財政的出動ができない。

 そういう中で、こういう法案の中に一項規定があったから、ああ、これはそういうところに投資をすることも、窓口を、口をあけるためにこの一項が入っているのかなと、そういう理解をしたんです。必ずしもそういう理解ではなかったようでありますけれども、しかし、そういうことも具体的に促進をしていかなきゃならない時期に来ているんではないか。

 エコファンドだけではない、企業が利益を上げて、その利益というものを環境に対して、あるいは環境報告書の中に、先ほどもお話がありましたように、環境の負荷の多い企業というものは、より積極的に社会的な責任を果たすという意味からそういうものに投資をしていくという、その視点があってもいいんだと思うんですけれども、その辺について、大臣、もし御所見があったらお伺いしたいと思います。――副大臣、済みません、あるいは政務官なりに。基本的なところでありますけれども、これは政治的判断もありますので、具体的なことを答弁されてから、ぜひお願いします。

松本政府参考人 今回の法案についていいますと、今島田委員おっしゃったようなものを、要するに、企業活動の中で出てきた収益というものを、例えば里地里山の保全のためにいわゆる投資をするとか、そういうところに還元をしていくとか、そういうことをやっていく方向というようなものをこの法律の中で直截的には盛り込んでいるわけではございません。ただ、それは方向としては環境保全というような観点から大変望ましいことだと思います。

 それで、この環境報告書との関係で申し上げますと、そういうような企業の環境保全活動、いろいろな環境保全活動があると思います。そういう環境保全活動の状況自体、その企業が作成、公表する環境報告書の中に、当然いいことですから盛り込まれるわけでございます。そういうような企業のあまたある環境保全活動の内容というものをこの環境報告書の中に書いていただいて、それは当然書くと思うんですが、そういう環境報告書が、できるだけ社会、市場の中で普及をしていく、それで国民の目から見てもらうというような形になる。そうしますと、やはりその企業に対する社会的な評価、国民の評価というのが高まってくるということになろうかと思います。

 そういう全体の枠組みでこの環境報告書の普及、促進を図ろうというのがこの法律だ、こういうことになろうかと思います。

島田委員 経済と環境との統合という基本的なことを考える場合に、どうしても環境というものが、公害という問題から環境と開発という基本的な理念に進んでいく、そういう中で、経済と環境の統合という場合に、やはりその視点というものが何らかの形できちっと位置づけられていかないといけないのではないだろうか。

 そのための一つの、全体のスケールをイメージするとき、そういうことも、きちっとこれから企業会計の中に環境負荷というものや環境という問題について事項を加えていくという形も考えられているわけでありますから、そういうことの視点がある程度こういう法案の中に、ただ、あの条項で、例えばエコファンドなり投資信託なりそういうことの促進のためというよりも、そういう視点も、ある程度誘導するような何らかの規定なりも必要ではないかな、そういうことを積極的に進めていくということがこれから環境に取り組む上でも重要ではないかなと私は思うんです。

 そういう点で、この法案の理念なり精神というものも私なりにこれは理解をしたんですけれども、その辺についての御所見をお伺いいたします。

小池国務大臣 本日は、この法案、環境報告書についての法案の御審議をいただいておりまして、まさに環境をよくするための、そしてまたそれが経済と統合させるための手段の一つとしての環境報告書という位置づけで御審議をいただき、またそれをこれから広く進めて、前へ進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 より広い意味では、環境と経済の統合についての大きな国家的な意思というか、戦略ということも当然考えております。

 昨年六月に報告書を取りまとめておりまして、この中で、環境と経済の統合に向けての中長期的なわかりやすいビジョンと、そして国家戦略を策定する必要性、これについても指摘をしているところでございまして、二〇二五年を一つの到達点といたしまして、日本を、健やかで、ヘルシーですね、そして美しくて豊かな環境先進国にしようということを、実はちょうどきのうなんですけれども、環境と経済の好循環ビジョンという形で昨日策定をいたしたところでございます。

 今後は、それぞれ関係の府省とも連携をとりまして、このビジョンで描かれた理想の姿を実現するための国家戦略として、次の環境基本計画の策定に取り組んでまいりたいと思っております。

 ですから、今申し上げた大きな目標、そしてそれを前へ進めるためのきょうの環境報告書しかり、さまざまな、この環境委員会でしばしば御審議、熱心に御審議いただいているのもそうやって前へ進めるための一つの方法ということで、いずれにしましても、部分的なところと総合的な幹の部分と目標をしっかり定めることによって、それらをいつどのような形で進めるか、それをしっかりと見てまいりたい、そして進めてまいりたいと考えております。

島田委員 もう時間も参りましたので、ISOなり環境会計なりが、自主的な活動をして、相当日本の活動が促進をされてきているわけでありますので、そういう点を阻害するような形にならないように、それは環境会計なりISOなりは具体的な積み上げをしていますから、これをガイドラインなりに具体的に進めていく場合の項目設定なりそういう点をする場合に、あるいは認証するような形のものがあるとするならば、ぜひ自主的な活動が促進されるような視点を明確にしながら位置づけていただくことをお願いして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 この二〇〇〇年に循環型社会形成基本法が制定されましてから、ここ数年の国民の意識は急速な高まりがございます。消費者の動向と相まって、企業の努力も進んでおります。特に企業が環境に配慮した製品の開発とか、またサービスなどに積極的に取り組んでおりまして、そうした成果として、例えば低公害車も六五・八%まで普及をしているとか、またペットボトルの回収率も半分まで到達をしているとか、また、住宅建設でございますが、こうしたものも、今までは建てて壊してまた建てるという、そのたびにたくさんの廃棄物を出すという、これが常識でございましたが、今では省エネの配慮は当然のこと、再築システム、これを取り入れたり、またリサイクル材をフル活用するなど、格段の進歩が見られております。

 こうした中で、このたび提出されたこの法案が成立しまして、環境報告書のこの制度が多くの事業者に利用されるようになれば、特に企業におきましては、環境に配慮した経営方針をさらに推進することができる大きな力になると思っております。

 先ほどから何人かの方のお話がありましたように、私もやはり、この環境報告書のこの法案を拝見いたしまして、恐らくこれからは、一つはやはりISO、もう一つはこの環境報告書、この二つが企業にとっての大きなステータスになる、こういう流れができていくのではないか、そういう思いでおります。

 そこで、大臣が先ほどこの法案の制定の意義につきまして、事業者の自主的な取り組みを社会が応援する、こういうようなお話をお伺いいたしました。もう少し具体的にこの法案の意義につきましてお伺いしたいと思います。また、こうした報告書の提出の義務を特定事業者に限定するというこの理由につきまして、重ねてお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 改めて申し上げることになると思いますけれども、また御質問の中にももう答えも含まれていたかと思います。

 これまでも、我が国の事業者がISO14001の認証取得件数が世界一であるということに代表されますように、積極的に環境配慮に取り組んできたわけでございますけれども、さらに環境と経済の統合を実現するということのためには、これらの事業者の自主的な取り組み、環境配慮の取り組みをさらに一層進めていくということが重要と考えたところでございます。

 よって、この法案におきましては、こうした事業者の自主的、積極的な取り組みを社会が応援する取り組み、枠組みを整備するということ、そして環境と経済の好循環を実現しようというものが目的でございます。その結果として、他の国にも先んじて世界に冠たる環境立国づくりを進めるための第一歩、このように位置づけているところでございます。

 また、具体的には、事業者とさまざまな関係者との間の重要なコミュニケーション手段となります環境報告書の普及促進をすること、それによって信頼性を向上するための制度的な枠組みを整備すること、事業者の積極的な環境配慮の取り組みが結果的に社会、そして市場から適切に評価されるということを通じて、その発展につながることを期待する、そしてその条件整備をしていくということでございます。

松本政府参考人 さらに御質問の中で、特定事業者、どういう形で指定をするのかという御質問があったかと思います。

 この特定事業者に対しまして環境報告書の作成、公表を義務づけるという趣旨、ねらいでございますけれども、環境報告書の普及を図っていくという観点から、公的な事業を行っている法人に、ある意味ではモデル的に率先して環境報告書の作成、公表を行ってもらう、義務づける、こういうことでございまして、こういう趣旨を踏まえましたら、すべての公的な事業を行っている事業者について一律に指定をするということではなくて、やはり国に準ずるというようなこと、国の事務との関連性、あるいは組織の態様、環境への負荷の程度、事業活動の規模などについて勘案をいたしまして、そういう趣旨に沿った形で適当な法人を政令で定めるということにする、こういうことに考えているところでございます。

高木(美)委員 今の特定事業者につきまして、この選定の基準につきましては、先ほど既に御質問がございましたので省略をいたしますが、この特定事業者に選ばれなかった残りの事業者です。ここにつきましては、今後どのように推進をされる、また展開をされるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。

松本政府参考人 事業活動というのは、あらゆる場面で展開をされるわけでございます。国、政府も、行政主体であると同時に、事業活動の主体という場面でもございます。それから、公的なセクターも事業活動をいろいろとやっております。そのある部分については義務化をされる、そうでないところについては義務化はされないということでございます。さらには、民間の各事業主体については義務化というのはない、努力義務にとどまるということでございます。

 この法律が目指しておりますのは、あらゆる事業活動について環境配慮が進んでいく、こういうことを期待しているわけでございまして、中小企業のような、いろいろな人的あるいは金銭的な負担があってなかなか環境報告書をつくるということについて容易でないという事業主体は別の簡便な方法をとるということですけれども、大規模のいろいろな事業主体、そこがやっております事業活動については、この法律の義務づけのいかんにかかわらず、今後、そういう方向で環境報告書を作成、公表していくという方向で進むように、私どもとしてはいろいろな場面を通じて働きかけをしていきたいと考えております。

高木(美)委員 あわせまして、地方公共団体、ここにつきましては、やはり努力義務というふうになっております。しかし、地方公共団体の中でも都道府県とか、また政令指定都市、ここでは人的にも能力的にも公表することは十分可能ではないかと思われます。

 また、先日の参考人の方たちのお話によりますと、民間企業につきましては、あくまでもこれは自主的なものとした方がいい、三年後ぐらいに再度検討してはどうか、こういった御提案がございました。

 しかし、先ほどありました、残りの、特定事業者以外の事業者、そしてまた、こうした地方公共団体などの公的機関、やはりこれは国に準ずるものとして考えていただいていいのではないかと思います。ですので、企業と一斉に、同じくスタートするという、この三年後の見直しからといいますよりも、少し先んじて、やはり官が主導するという姿勢を示していただいた方がいいのではないかと思いますが、こうした地方公共団体につきましてどのように推進されるお考えでしょうか。

砂田大臣政務官 お答えをいたします。

 本法案では、まずは国において、率先してみずからの環境配慮等の状況の公表に取り組むこととしたところであります。

 一方、都道府県及び指定都市を含め、地方公共団体による環境配慮等の状況の公表については、地方分権が推進される中で、地方公共団体の自主性、自立性の重視が必要である、そのことなどから努力義務としたところであります。

 なお、地方公共団体については、特に都道府県及び指定都市において、自治体版の環境白書等による環境配慮等の状況の公表の取り組みが進んでいると承知をしているところでございます。環境省としては、地方公共団体におけるこうした自立的な取り組みが一層多くの自治体に広がることとなるよう、必要な働きかけを行ってまいるところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 私も、企業何社かの環境報告書を拝見いたしましたが、やはり企業によりまして報告書の内容は、まるで会社の説明のような報告書がございましたり、記載内容や形式など大変大きく異なっております。これがまた自主性ということで、これはこれでよいのかと思いますが、ただ、消費者の側、国民の側から見ますと、やはり余りに内容がばらばらでは比較することができない、こうした事情もございます。

 審議会では、企業の自主性を尊重する、したがってこの枠組みも最小限にとどめる、こうした報告がなされたとございましたが、やはり最低限、必要最低項目、あらかじめ提示していただきますと、民間の事業者が作成する場合の参考にもなりますし、比較することも容易ではないかと思います。

 冒頭に申し上げましたように、やはり国民の側が企業をしっかりと見ていく、環境の取り組みを監視していく、こうした姿勢からいきますと、ある程度このような最低項目をつくっていただければという思いでおります。この点、いかがでしょうか。

松本政府参考人 今お話にありましたように、民間事業者の環境報告書の作成、公表に関しましては、国の関与は最小限ということで、できるだけ事業者の創意工夫による自主的、積極的な取り組みを最大限尊重し、また促進をしていくというのがこの法案の基本的な考え方でございます。

 しかしながら一方で、またお話ありましたように、事業者の自主的な環境配慮の取り組みというのが社会とか市場で評価をされていく、消費者からも評価をされていくというためには、環境報告書の記載事項が明確化される、あるいは他の環境報告書との比較ができる、そういう比較可能性の向上が図られるということも、あわせて大変重要な課題であると思うわけでございます。

 そういう両面を考えまして、この法律案におきましては、環境報告書に最低限盛り込むことが必要と考えられる事項を「記載事項等」として定めるという仕組みをとったわけでございます。これによりまして、環境報告書に記載される情報の明確化、あるいは比較可能性の向上を図る、信頼性も確保する、こういうことを考えております。

 重ねてになるかもしれませんが、具体的にその記載事項を、どのようなことを考えているかと申しますと、事業活動によって生ずる環境負荷を示す数値あるいは環境負荷低減のための取り組みの状況、環境負荷の低減に資する製品とかサービスの状況、環境マネジメントシステムの状況、環境配慮の方針あるいは環境規制の遵守状況などなど、規定することを想定しているわけでございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 また、重ねまして、環境報告書の第三者審査の問題でございますが、先ほども既に御質問ございました。私、やはり、そのための審査機関、恐らくこれが、企業の方が環境報告書を出された場合に、当然、消費者の側は、また企業の方は企業間の問題でございますが、ほかの企業からごらんになって、その中身が果たして正しいのか、それとも虚偽があるのかという、それはとても大事なことになっていくのではないかと思います。

 こうした第三者審査を受けるための審査機関、これをふやすというのは、先ほど、新たな団体をつくるべきでないというお話がございましたが、こうした審査機関、このことにつきまして、今後どのようにお考えか、伺いたいと思います。

加藤副大臣 この第三者審査につきましては非常に重要な問題でございます。有効な審査のあり方の一つとしては重要というふうに認識しておりまして、環境省でこの実態を調べた範囲では、やはり約二割が第三者による審査や評価を受けているということでございます。

 現状で、こういった記載事項が正確かどうかを第三者が審査する、こういったものや、あるいは環境報告書に記載された取り組みの内容が果たして妥当であるかということについて第三者が意見を述べるものを含めて、さまざまな取り組みがあるということでございますが、このうち、第三者が環境報告書のいわゆる正確性を審査するものについては、ISO審査登録機関、監査法人の子会社などの機関が実施しておりますので、重要なものについては、やはりそのもともとの根拠データまでさかのぼってやっていく、チェックをしている、そういったものについてもございますので、そういうやり方がやはり妥当ではないかというふうに考えてございます。

 また、この第三者審査の実務は発展途上の段階でありますが、その公正、適切な実施を図ることは、御指摘のいわゆる信頼性の高い環境報告書が作成、公表される、そのための重要な課題であるというふうに認識しております。

 こうした視点を考えてまいりますと、先ほど来からも出ておりますけれども、環境省におきましては、環境報告書審査基準案、案の段階でございますけれども、こういったものを示しまして一定のルールを明らかにしたところでございますが、今後とも、第三者審査の公正、適切な実施の確保に向けた検討を鋭意努力して進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 私は、やはり、審査にかかる各企業のコスト、費用、これも大変大きな課題ではないかと思っております。

 例えば、これは、大企業、ごみ処理会社、大きなところでございますが、本社と工場が一カ所ずつあるというような場合に、審査機関がそこに一回行くだけで十八万五千円かかる。そして、それを総合的に全部審査し終わるまでに約一カ月以上。そうしますと、総額約二百五十万から三百万、こうした試算も出ております。

 こういったことを考えますと、大企業はこれでひとつ成り立つかと思いますが、特に中小企業、これをここからどう展開するか、その点を考えますと、やはりここにかかる経費の部分、そこのところもぜひ細かくまた見ていただきながら、今後の展開をお願いしたいと思います。

 また、今、環境省の方で、こうした報告書を出される、それについて、優秀な報告書には評価してたたえる表彰のようなものがあると伺っておりますが、今後はそうしたことはどのようにお考えか、伺いたいと思います。

加藤副大臣 環境省では、こういった環境報告書、これの普及促進あるいは質の向上を図るために、これまでも、環境報告書ガイドラインの策定、環境報告書シンポジウムの開催、あるいは環境報告書データベースの整備、あわせて環境報告書の表彰制度、こういったものを実施してまいりまして、特に、平成九年度から実施されております環境レポート大賞、これは、事業者の創意工夫を生かして自主的、積極的な取り組みを奨励する上で大きな成果を上げているというふうに考えてございます。

 この制度におきましては、事業者の創意工夫による高いレベルでの取り組みを評価しておるわけでありまして、例えば、現状では第三者審査を受けている環境報告書は少数にとどまっておりますが、そういった先進的な取り組みも評価のポイントとして考えている中身になっているわけでございます。

 こういった取り組みを通しながら、本法案におきましても、先ほど来から議論になっておりますように、事業者及び国民は、投資等に当たり環境情報を勘案するように努める、あるいは、国としても、こういった事業者及び国民の取り組みを促進するために必要な措置を講ずる、そういったふうに我々は盛り込んでいるわけでございます。

 いずれにいたしましても、そういった面にかかわる最大限の奨励策というのを講じてまいりたい、このように考えているところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 時間になりました。やはりこれから、法制化されますということは、社会の中で確実な位置づけがなされると思います。また、企業にとっては一つの大きなステータスになると思います。ですので、できる限りこうした第三者審査、これをきちんと受ける、そしてまた、それを環境省が正当に評価してくださる、こうした流れをおつくりいただきたいと思います。

 あわせまして、最後に、先日も参考人の方たちが、やはりこれから、九〇%を占める中小企業、ここを巻き込まなければ日本のこうした環境大国、本当の循環型社会はできないというお話がございました。こうした中小企業の方たちも参画しやすい、またその方たちも第三者審査をきちんと受けられる、こうしたシステムをぜひつくっていただきたいことをお願いいたしまして、終了させていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、川上義博君。

川上委員 改革、無所属の川上でございますが、実は、今ずっと審議を聞いておりまして、通告をしておりました項目はすべて質問されましたので、多少通告をしていない部分があるかと思いますけれども、お許しをいただきたいと思います。

 今話を聞いていましたら、環境省は、形だけをつくって、国民が一番期待している中身を外しているというか避けているんじゃないかというふうに、どうもそういう印象を持ちました。

 その一つは、今いろいろ質問がありましたけれども、大企業の報告書の義務化というのは、これは物すごく私は必要なことだと思います。中小企業が九〇%という話でありましたけれども、実は環境に与える影響というのは、一部の大企業が九〇%の環境負荷を与えているんじゃないかなというふうな認識を私は持っておるわけでございまして、そういった意味で大企業に対するこの義務化をぜひ実施しなければいけないと。

 先ほど大臣は、同業他社が報告書をつくれば、おのずから国民の淘汰を受けるんじゃないか云々という話がありました。これはまさに他力本願でして、行政がみずから、政策として環境的競争時代をつくるということが必要なことではないかなというふうに思います。だから、大企業に対する義務化をぜひ進めるべきだということをどのようにお考えか、御質問をいたします。

小池国務大臣 行政によりますさまざまな方向性を法律によって定めるということも一つ大きな力であることには変わりませんけれども、市場の原理というのは、ある意味では非常に、時にはそれ以上の力を出すということは十分あり得ることなので、私は他力本願とは思っておりませんし、また、自由な経済社会においては、むしろその方が望ましいことなのではないかということもまず冒頭申し上げたいと思います。

 肝心なところが抜けているのではないか、そして、大企業にこそむしろ義務化すべきではないかということでございますが、今私の意見として申し上げた部分で、もちろん義務化することも一つかもしれませんけれども、そういった自主的な取り組みの、また創意工夫、そしてさらに市場原理にのっとってのさまざまな環境競争という場を繰り広げていくということ、これが一つ大きなパワーになってくる、このように確信もいたしております。

 それから、必要なこととしては、第八条の第一項の「記載事項等」で、環境報告書に最低限盛り込むことが必要と考える事項を定めることにいたしておりまして、事業活動で生ずる環境負荷を示す数値、それから、環境負荷の低減のための取り組みの状況であるとか、環境マネジメントシステムの状況、そして環境配慮の方針や環境規制の遵守状況など、これらを盛り込むこととなっておりまして、今後、記載事項などの策定の中でさまざまな検討をしっかり進めていきたいと考えております。

川上委員 あえて大臣には反論、もう時間がありませんから、反論すると次の質問がなくなっちゃいますものですからしませんが、実は、先ほどの質疑がありまして、PRTR法というのが出まして、この法律というのは、当然、有害化学物質というのは報告、公表しなければいけないという法律でして、記載事項の中に、有害化学物質を記載事項として入れなければいけないというふうに、私はこのPRTR法の上からも当然のことだと思うんですね。これは国民が一番関心を持っているはずでありますので、記載事項の中に化学物質の有無、その有害性、これを記載するということをぜひお願いしたいと思いますが、その点いかがでございましょうか。

松本政府参考人 環境報告書への記載事項でどういうようなものを盛り込むか、こういうことでございますが、PRTR法に基づく届け出のデータを丸々そのままここにということになりますと二重規制みたいな形になってしまうということでございますが、今お話にありましたように、環境情報の大変重要な要素として、御指摘のありましたような有害化学物質などが入ってくるわけでございます。

 そういう有害化学物質などの重要な項目の取り扱いにつきましては、記載事項の具体的な検討、策定の中で当然のことながら前向きに検討していかなければいけない項目だろうと考えております。

川上委員 実は、自動車産業というのは、物すごく地球上の物質を使って、消費をして、環境に地球的規模の負荷をすごく与えていると思うんですね。

 ところが、我が国は、自動車をアジアに中古車として輸出をしているわけです。トヨタの環境報告書もありましたけれども、実は、自動車中古部品に、鉛とか水銀とかカドミウムとか六価クロム、有害物質、これが含まれているんです。

 実は、質問の趣旨とちょっと離れるかもしれませんけれども、これが輸出されればバーゼル法の規制対象になるんではないかなということと同時に、我が国としては、アジアに有害物質を輸出していると言われても仕方がないような状況になるかもしれません。

 例えば、エコ・アジアを我が国は主催しておるんですけれども、事前にこの有害の有無を情報として環境報告書の中に提供させるというのが環境先進国であるかどうかわかりませんけれども、アジアの中の先進国の義務として必要ではないかなと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

中嶋政府参考人 今の委員の御質問の中に関連いたしまして、例えば、例示を挙げさせていただきますと、自動車にエアバッグというのがございます。これは以前、エアバッグを膨張させるために、ガス発生剤としてアジ化ナトリウムというのを使用していたことがございますけれども、これはもう九九年以降使用が中止されておりまして、今はその代替の、例えばテトラゾール系の物質などが使用されております。これは当然有害物質ではございません。これは例示でございますけれども、自動車のメーカーの環境報告書におきましても、そういうような有害物質を使用しておりませんとかいうことを積極的に記載されている例もございます。

川上委員 最後に、第三者の審査という話がきょうも出ましたけれども、ぜひこれは検討するというお話でありました。サービサー法でも、サービサーとしての登録会社というのをつくったわけでありまして、オーソライズされた第三者審査機関、これをぜひつくり上げるべきだと思いますが、このことについて最後に質問をいたします。

小池国務大臣 この第三者審査の実施方法につきましては、もう先ほどもお答えして恐縮ですけれども、ことしの四月に環境報告書審査基準案の形で一定のルールを明らかにさせていただいておりまして、基準の具体化、そしてまた審査に従事する職員の研修プログラムの策定など、関係者の御意見なども伺いつつ、第三者審査の公正、適切な実施の確保に向けた、そのような検討を今後とも進めてまいりたいと思っております。

 それから、先ほどエコ・アジアについて若干お触れになりましたので、お地元である鳥取でこの六月にエコ・アジアが開かれまして、アジア各国が、日本の環境省、私どもが主催するところにせっかくアジアの環境の担当の方がお見えになるわけでございますので、そのあたり、我が国としても、我が国のこれまでの知見、経験であるとか、それからノウハウ、お互いに問題を解決していくべき共通の課題などについて率直に意見交換などもし、かつアジアの中の環境先進国としての日本の責務もしっかり果たしてまいりたいということを最後につけ加えさせていただきます。

川上委員 どうもありがとうございました。

小沢委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢委員長 次回は、来る十八日火曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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