衆議院

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第3号 平成16年11月26日(金曜日)

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平成十六年十一月二十六日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 近藤 昭一君

   理事 肥田美代子君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    柴山 昌彦君

      鈴木 淳司君    砂田 圭佑君

      根本  匠君    能勢 和子君

      鳩山 邦夫君    松宮  勲君

      荒井  聰君    佐藤謙一郎君

      田島 一成君    長浜 博行君

      松野 信夫君    松本  龍君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    土井たか子君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        高野 博師君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府参考人

   (林野庁国有林野部長)  辻  健治君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           岩田 悟志君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            岩井 良行君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  土井たか子君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  山本喜代宏君     土井たか子君

同月二十六日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     柴山 昌彦君

  長浜 博行君     松野 信夫君

  土井たか子君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     城内  実君

  松野 信夫君     長浜 博行君

  山本喜代宏君     土井たか子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として林野庁国有林野部長辻健治君、経済産業省大臣官房審議官深野弘行君、経済産業省大臣官房審議官岩田悟志君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長岩井良行君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省総合環境政策局長田村義雄君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小島敏郎君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松野信夫君。

松野(信)委員 民主党の松野信夫でございます。

 本日は、水俣病問題につきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 御承知のように、ことしの十月十五日にいわゆる水俣病関西訴訟の判決が最高裁でありました。国及び熊本県の責任が認定されたわけであります。大臣は当日声明も出されて、厳粛に受けとめる、こういう声明になっております。原告団の方々との交渉も、判決当日と、この日は私も立ち会いましたが、その後、十一月二十四日にも実施をされているようでございますが、どうも余り進展が見られない。

 改めて大臣にお伺いしたいと思いますが、最高裁で認定された国の責任、これについてはどのようにお考えになるか、その御所見をいただきたいと思います。

小池国務大臣 過日は先生にも御出席いただきまして、ちょうど最高裁の判決が出されたその日でございます、原告団の皆様方に私も直接お会いをいたしまして、声明といいましょうか談話という形で、私の、また国の考え方も申し述べさせていただいたところでございます。

 改めまして、今回の最高裁の判決についてでございますけれども、国及び熊本県においては、昭和三十五年の一月以降水俣病の被害の拡大を防止できなかったということについて、チッソと連帯をして賠償責任があるということが判示された、このように受けとめております。

 この判決につきまして、私は、まず何よりも厳粛に受けとめるということ、そしてまた、水俣病を発生させた企業への対応に長期間を要したこと、そしてその被害の拡大を防止できなかったことについて真摯に反省をいたしております。また、このような悲惨な公害を決して再び繰り返してはならないという決意も新たにしたところでございます。また、この訴訟の当事者の方々を初めとして、長年にわたって苦悩を強いられてこられた多くの方々がいらっしゃるわけでございまして、その方々にはまことに申しわけないというその気持ちに尽きるわけでございます。

 また一方で、水俣病の認定基準に関してでございますけれども、今回の最高裁の判決におきましては、かつての高裁判決において、五十二年の判断条件は公害健康被害補償法の水俣病認定要件とし、これとは別個に判断準拠を示してメチル水銀中毒症としての損害を認容したということが踏襲されているものと理解をいたしておりまして、したがいまして、今回の判決によって公健法の認定基準としての五十二年判断条件が否定されたものではない、この判断条件を見直す必要があるものではない、このように考えているところでございます。

 また一方で、平成七年の与党三党によります政治解決というものがございますが、これに沿いまして、長きにわたって心身の御労苦をおかけした、またその御労苦に対して耐え忍んでこられた方々が地域の社会の中において心豊かに安心して暮らしていけるようにして、水俣病の教訓を未来に生かしていく、それこそが行政の責任である、このように考えているところでございます。

松野(信)委員 ぜひ大臣にお願いをしたいのは、水俣病というのは昭和三十一年五月一日に公式発見されました。長い長い歴史があります。大変不幸なことではありますが、何回も裁判を提起せざるを得ない。行政によって切り捨てられる、そうすると患者さんたちは必死の思いで裁判所にすがっていく、この歴史の繰り返しなんです。大臣は、まだ就任したばかりですから、この長い水俣病の問題についてまだまだ十分に勉強されていらっしゃる、そういう時間はないかと思いますが、ぜひこの歴史を学んでいただきたい。

 そういう意味で、本日、水俣病損害賠償請求訴訟判決の一覧表ということでお配りをさせていただいておるところでございまして、これは民事の損害賠償訴訟の一覧だけでありますが、これ以外にも、刑事事件もあれば行政事件もあれば、その他いろいろな不服の審判などもありまして、本当に、恐らく四大公害訴訟の中でずば抜けて訴訟関係が多かったのではないか、こういうふうに思っております。ぜひ勉強していただきたい。

 そして、今大臣のお話にありましたように、厳粛に受けとめるとかあるいは真摯に反省をしている、こういうお言葉がありましたが、やはり具体的な行動を大臣としてとっていただきたい。本当に真摯に反省しているというのであれば、やはり具体的にそれを出していただきたい。もう既に現地の熊本県の方は、県知事みずから先頭に立ってこの水俣病の救済策、熊本県の救済策、これを明らかにして、昨日、県議会の方の全員協議会でもそれを了承する、そこまで熊本県はそれなりに反省の態度を行動であらわしているわけです。

 今のところ、お言葉では真摯に反省ということですけれども、もう少し具体的な行動、例えば事務方にいつまでにこういうふうな案を出せという指示をしたとか、そういう具体的な行動がもしあるのであれば、その点をお話しいただきたいと思います。

小池国務大臣 十一月の二十四日、大阪におきまして原告団の皆様方と、改めて担当の部長を出向かせてそこでお話を聞かせるというのも一つでございますし、また、今回の最高裁の判決で問われた責任が一体どういう意味を持つのか、その責任を踏まえまして国としてどう対応するべきかというようなことを検討していくということも大変重要だと考えております。法律などの専門家から成る検討の場を設けていくというのも一つの考え方ではないかと思っているところでございます。

 今先生御指摘ありましたように、大変長い時間を要して、そしてここまでの期間において途中で亡くなった方もいらっしゃいます。そして、その間の御労苦を考えますと、想像を絶することがたくさんあろうかと思います。その意味で、私自身もしっかり勉強させていただいて、そして今回の判決の意味、それら国の責任はどうあるべきかということも学んでいきたい、このように考えているところでございます。

松野(信)委員 検討するということは、検討すること自体は大変結構なことでありますが、ともすれば検討に時間ばかりかかっていて何にも答えが出てこないということでは、患者さんの期待にこたえることはできないだろう、こういうふうに思います。

 しかも、これまでの水俣病の歴史から見ますと、検討する、そうすると、結局、いわゆる国側にとって都合のいい学者だけ集めて検討させて、やっぱり今までの国のやり方は間違っていなかった、例えば昭和五十二年の判断条件は間違っていなかったというのを繰り返すだけ。というのも、集められる学者というものが、そもそも判断条件をつくったような学者を集めてもう一遍検討させている。そうであれば、自分たちがつくった基準は間違っていましたとは、これはなかなか言えない。

 この際、最高裁の判決が出たわけですから、やはり今までの学者だけではなくて、言うならば患者側に立っているような研究者、弁護士、医学者、そういうような人たちも広く集めて検討会などを催して、場合によってはそういうものをもうオープンでやる、公表する、こういうようなお考えはないでしょうか。

小池国務大臣 今お答えさせていただいたとおり、国としてどう対応すべきかということについて検討すること、私はこれは極めて重要なことだと思います。

 これまでも、政治解決の際にもいろいろな検証も行われました。そのときにはいろいろな立場の方々がお集まりいただいて、そして真摯に、その際にもいろいろな検証も行われたわけでございますけれども、例えば、行政がどういう態度であったのか、政治がどうかかわっていたのかというような、そういった、どちらかというと行政面なども含めて今後大いに学ぶべきところもありましょうし、また国として今回の判決を受けてどうすべきかというところも、そのあたりからもいろいろなヒントも出てくるのではないかということで、先ほど申し上げましたように法律などの専門家のみならず、さまざまな分野の方々から成る検討の場を設けていきたい、このように考えているところでございます。

松野(信)委員 ぜひオープンで開かれた、幅広い人材を集めた検討会を行っていただきたい、このように思います。

 それから、大臣が言われました昭和五十二年の判断条件、これは高裁や最高裁の方で否定されたものではないというふうに言っておられますが、これも、先ほどごらんいただきました判決の一覧表、これをごらんいただいても、古くは昭和五十四年の熊本水俣病第二次訴訟の熊本地裁の判決、これから長年にわたって否定され続けているわけです。熊本地裁でも、五十二年判断条件は採用しない、その高裁、福岡高裁でも、判断条件は厳格に過ぎる、それから第三次訴訟の昭和六十二年の熊本地裁の判決でも、判断条件は狭きに失すると。繰り返し繰り返し行政が採用している認定基準であります昭和五十二年の判断条件というのは否定され続けているわけです。こんなに否定され続けているのに固執をするというのも本当に異常だというか珍しい、こういうふうに言わざるを得ないかと思います。

 現に、大阪高裁で国が敗訴して国は最高裁に上告をしたわけですが、その上告したときの理由を見ましても、国の方は、昭和五十二年の判断条件が水俣病の認定基準として正しいんだ、これを言って上告しているわけです。ところが、これは最高裁で結局は否定されているわけです。しかも、上告した際、これは川口環境大臣でありましたが、当時の環境大臣も、大阪高裁の判決というものは、昭和五十二年の判断条件云々というのじゃなくて、医学界の定説を覆すから認められない、こういう理由で上告しておりまして、要するに、国も、大阪高裁が国の認定基準、昭和五十二年判断条件を否定したとの認識に立った上で上告をしているというふうにも考えられるわけであります。

 これまで否定され続けてきた昭和五十二年判断条件になぜ固執をするのか、その理由は一体何でしょうか。

滝澤政府参考人 今御指摘がありました大阪高裁での判決の内容でございますが、五十二年判断条件につきましては、端的に言って、救済法あるいは補償法における認定要件を設定したものと理解するべきであろうという、これは一部でございますが、そういう表現が判決の中に出てまいりまして、個々の事案に対しましてはこの判断条件とは別個に損害賠償請求事件として損害賠償の判断準拠を設け、それで大阪の二審の判決がなされたというふうに私ども思っております。それを今回の最高裁は踏襲したわけでございますので、今御指摘のような五十二年判断条件が否定されたというふうには私どもは考えておりません。

松野(信)委員 ちょっと時間がありませんので、この点については延々と議論したいところですけれども、ただ、この点だけは指摘したいと思います。

 公健法の判断基準として正しいんだ、国の方はそうおっしゃっている。しかし公健法というものは、本来の法の趣旨としては広く薄く、かつ早く被害者を救済しよう、本来はこういう考え方に立っているわけです。それで、公健法の補償だけではどうしても広く薄くということですので、自分はそれは不満だ、自分はもっと被害を受けているという人は、公健法上認定されて自分の被害をもっと甚大だという方は、それは裁判を起こしてより多い補償を受け取る、本来はそういうふうになっている仕組みなんです。

 ところが、実際は全く逆になっていて、公健法の認定というのは昭和五十二年の判断条件でぎゅっと狭く、極めて厳格にしか救済しない、そうすると、それに漏れる人が次から次に出るものですから、この一覧表にあるように次から次に裁判をせざるを得ないという、まさに逆立ちした状態になっている。大臣、これはそういうことになっているということをぜひ御認識いただきたい、こういうふうに思います。

 それから、認定基準の問題でいいますと、繰り返し繰り返し国が言っていましたのは、司法の、つまり裁判所が採用する認定の基準と行政が採用する認定の基準はある意味では違っていいんだ、二重の基準があっていいんだ、こういうことを言ってこられたわけです。しかし、少なくとも司法の最も最高権威の最高裁判所まで出て、つまり、行政認定で棄却された人が最高裁で救済されている、あるいはそのもっと前でもたくさん救済されているというこのおかしな仕組みというものは、司法の基準の方が本来は優先しなきゃいけない、ところが行政の基準の方が事実上は優先してしまうということで、どうも法の支配をある意味では無視するような、最高裁判所が何と言おうとおれたちはおれたちの基準でやるんだ、こういうふうな行政の暴挙と言ってもおかしくないように私は思いますが、大臣、率直にどうですか。

小池国務大臣 二重の基準ということでお話ございましたが、先ほど部長の方からもお話しさせていただきましたように、私どもの受けとめ方といたしまして、五十二年の判断条件は否定されていないということと、それに従いまして、公健法の認定基準を見直すための例えば検討会などを設けるというようなことについても、要は考えていないところでございます。

 ただ、御指摘のように、最高裁の判決で問われた責任の意味ということをよりしっかりと受けとめるということも踏まえまして、先ほどから申し上げておりますように、法律などの専門家の方々から成る検討の場を設けていきたい、このように考えているところでございます。

松野(信)委員 ぜひ検討の場でしっかり前向きの議論をしていただきたいというふうに思います。

 比較を申し上げると、ハンセン病というこれまた大変な被害を生んだ事件がありました。これも熊本地裁で判決がありました。小泉さんが、これは私は立派だったと思うんですが、控訴を断念するということで確定したわけです。

 ですから、一方は、ハンセン病の方は熊本地裁の判決が確定をした、水俣病の方は最後まで争って最高裁判所で確定した。いずれにしろ確定したには違いないんですが、ハンセン病の方は、厚生労働省の方が、判決確定後、追加提訴してきた人たちと次々に和解をするということで、解決に向かってある意味では着実に進んでいる。それに比べると環境省の方は、この水俣病の問題について、先ほど来から昭和五十二年の判断条件は正しいんだ正しいんだということを言うばかりで、全然、解決に向けて、あるいはこの最高裁の判決を受けて真摯に進めようという姿勢がどうも見られないというふうに言わざるを得ないので、検討するのは結構ですけれども、ぜひ本当の意味での真摯に前向きな検討をお願いしたいというふうに思っております。

 それから、公健法の関係でいうならば、認定審査会というのが熊本県にもある、鹿児島県にもある、また新潟県の方にもあるということですが、最高裁の今回の判決を受けて、こういう認定審査会の方は、一体どういうふうに進めていったらいいのか、大変混乱を生じているわけであります。

 一つには、委員会の委員は私はもうやめたい、行政の判断に従うのか、最高裁の判断に従うのか、司法の判断に従うのか、どちらの判断条件なのかわからないというふうに率直に語る医学者、委員の方もおられるわけであります。熊本県としても、そういう委員に対して、どういう処分、基準をするのか、大変混乱をしているわけであります。

 この点について、環境省の方が具体的に明確な指針なりを出して、こういうことできちんと処分をしなさい、あるいは、最高裁の判決はこうだ、この基準に従ってしなさいと、例えばそういうふうな指導をする用意があるのかどうか、この点はいかがでしょうか。

小池国務大臣 認定審査会、熊本県、鹿児島、新潟、各地にあるわけでございますけれども、現時点で鹿児島の方の認定審査会での問題については聞いておりません。ただ、御指摘の熊本県の認定審査会をめぐる問題については、客観的な状況について熊本県からの状況説明を求め、的確に把握に努めていきたいと思っております。

 いずれにしましても、熊本県の方からよく状況を伺って、必要に応じて環境省として直接委員の方々とお話をするなどいたしまして、対応に努めてまいりたいと考えております。

松野(信)委員 時間がありませんので、この最高裁の判決を受けた原告の患者さんに対して環境省は一体どうしようというのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。

 既に二回は交渉を持ったということですけれども、ほとんど進展が見られていないということですね。私は、理屈の面から申し上げるならば、公健法上認定された、いわゆる行政認定された患者さんがいらっしゃる。それとはまた別に、これは九五年の村山内閣のときに政府の解決策で解決をした、そこでいわゆる総合対策医療事業の適用を受けるというその該当者もいる。この人たちは、水俣病ではないけれども一定の感覚障害などの障害がある。こういう人たちに対して、一時金と療養費、療養手当が支給される、こういうふうな仕組みになっているわけですね。

 そうしますと、それとのバランスを考えるならば、上位に行政認定された患者さんがいる、それから少し下ったところに総合対策医療事業の対象者がいる、こういう理屈でしょう。そうすると、今回の最高裁の判決を受けた原告の患者さんというのは、最高裁が認定しているわけですから、ある意味では総合対策医療事業よりももっと上位に位置することになるのではないか、理屈上は。そうすると、それにふさわしい処遇というものをやはりしていかなければいけない。療養費とか療養手当等々の面について、それは考えていかなきゃいけないのではないかと思いますが、この点についても大臣の率直なお考えをお聞きしたい。

小池国務大臣 なかなか位置づけというものは難しいものだと考えております。そもそも二重判断であるというところにまた三つ四つときますと、これまた新たな混乱ということも考えられるわけでございますが、いずれにいたしましても、関西訴訟の今回の原告に対しましての対応でありますけれども、最高裁の判決に基づく例えば賠償など既に療養費が含まれているといったような専門家の見方などもございまして、このあたりでも整理が必要になってくるのではないかと思います。

 また、今の位置づけの中にもありましたけれども、関西訴訟の原告の方々は政治解決を選択されなかった方々でございまして、一方で政治解決にかかわられた方々もおられるということで、そちらの方々の意向にも配慮をする必要があるということで、幾つかの論点が出てくるのではないかと思います。

 ということで今の位置づけのところを伺っていたわけでございますけれども、司法による認定では個別の状況に応じて損害と加害行為の因果関係などを立証するものであるということと、一方で公健法に基づく行政認定、そして政治解決ということとはまた性格を異にするということでございまして、先生も御理解いただけるかと思いますけれども、このあたりは大変単純にはいかない、むしろ大変複雑なものであるというふうに考えているところでございます。

松野(信)委員 時間が参りましたので質問はとりあえず終えたいと思いますが、しかし、先ほど申し上げたように水俣病の長い歴史がありますので、ぜひ勉強していただきたい。そして、行動を起こしていただきたい。既に熊本県は県知事が先頭に立って未認定患者の救済策というのを出して、これは主に三万四千人ぐらいを対象に、三十四億円、年間そのくらい使って救済をする、そして患者発掘の調査もするとうたっているわけですので、ぜひ、熊本県は動く、環境省は黙っている、そういうことのないようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 民主党の荒井聰でございます。私は環境委員会で質問するのは初めてですので、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、地球温暖化の話それから環境税の話について少し議論をしたいと思いますが、時間が二十分ぐらいしかございませんので、簡潔に答弁をお願いしたいと思います。

 まず、私たちの国の中で地球温暖化というと、遠い先の話、二百年とまではいかないけれども、百年ぐらい先の話かな、あるいは地球温暖化の影響というと、将来水が足りなくなるかもしれないな、それにより農作物が足りなくなるかもしれないかなというような感じでしか私は地球温暖化というものを国民はとらえていないんじゃないかと思うんですね。しかし、実際はもっと切迫しており、また被害もそんなものではない、広範囲な、大変広い被害が生ずるんだと思うんです。

 そこは、私は、小池環境大臣は広告塔としての役割は大変大きなものがあるわけだと思うんですね。行政官、役人というのは、決まっていること、はっきりしたことしかなかなか言えないものですから、わかりづらい表現になるんだと思うんですけれども、そこはやはり政治家あるいは大臣というお立場で、実際このぐらいの被害が生ずるんだ、十年後にはこういう被害が生じてきますよという話を具体的に大臣は語るべきだと思うんです。

 私たち一般の国民から見ても、このごろどうも台風が多いな、あるいは真夏日が、この東京、ことしは気象庁始まって以来だとか、何か少し暑くなったのかなというような印象を受けます。あるいは、公共事業なんかでも海岸事業の事業費が、あちこちで海岸が侵食をされているので、相当たくさん必要になってきそうだなというような、細かい事象としては上がってきているんですけれども、それをトータルに、このぐらいの被害が生ずるんだ、これは国内総生産、GDPの割合としてもこのぐらいの被害がここ数年で生じてくる可能性があるんだ、したがってこれを事前に防ぐためにはこういう対策が必要なんだ、そういうわかりやすい話がどうしても必要だと思うんです。そういう点、大臣はどのような認識をお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。

小池国務大臣 地球温暖化が五十年、百年のスパンでどのような状況をもたらすのか、それをわかりやすく訴えるということ、そしてまたそれに対して何を対応策として用意するのかというのは、まさに政治の仕事だと思います。ただ、五十年とか百年先のことというのは、皆さんその場では聞いてくださるんですけれども、なかなか実際にはぴんとこないというようなことで、表現などにもよく気をつけなければならないな、工夫しなければならないなと思うわけでございます。

 例えば、ことしの夏でございますけれども、御指摘ありましたように大変暑かった、みんなそれを肌で感じたということで、地球温暖化の説明をするには、ことしの夏は大変説明はしやすかったというふうに思います。

 また、ことしは台風が十個上陸いたしまして、死者、行方不明者の数は二百名を超えているということでございますし、家屋にも甚大な被害が発生をして、まだ、この辺のところ、今回のこういった全体の被害がどれぐらいかというのはなかなか数字をまとめにくいんですが、せんだって損保業界の関連ので数字が出ていたのは、たしか五千億というような、そういう数字も出てきております。この背景には、こういった災害が多発する異常気象の原因の一つとして、地球温暖化が考えられるということでございます。

 そしてまた、科学者の先生方が集まった気候変動に関する政府間パネル、IPCCというところの第三次評価報告書では、地球の平均気温が二十世紀中に約〇・六度上昇した、また北極圏に関する専門家などで作成されました北極圏の気候影響評価報告書では、北極圏では過去五十年間で最大四度C上昇したということでございます。

 地球温暖化の影響、既に世界じゅうであらわれているわけですけれども、そのほか、ヒマラヤの氷河、数十年前の写真と同じ定点観測をしていると明らかに氷河が解けているということでございますし、北極の海の氷ですけれども、これも過去三十年間で二割減少しているということ。また、日本では、昔は九州とか四国だけでしか見られなかったようなセミとかチョウ、チョウの専門家もおられますけれども、最近はわざわざ南へ行かなくとも本州で見られるような状況になってきている。

 また、先ほど国内の台風の被害のことを申し上げましたけれども、昨年、日本が寒かった。そして、その前の年でございますけれども、一昨年、ドイツやチェコでは大洪水が同じように発生をいたしました。昨年は、熱波の影響でフランス国内で約一万五千人が死亡している。そしてまた、シベリア、カリフォルニア州などでの大規模な森林火災の発生ということで、枚挙にいとまがないということでございます。

 今後、今世紀中には平均気温が最大五・八度、それから海の水面は最大八十八センチの上昇ということになると、いろいろな設計が変わってくるということも考えられるわけでございます。

 もう少しお時間をいただければ、五十年後には動植物の最大三五%の種が全滅するというおそれがある、それからサンゴ礁も海水温の上昇で打撃を受けると予想される。我が国では、ブナ林の大幅な減少、リンゴ、米などの農作物への悪影響が懸念される、豪雨、洪水、熱波、干ばつなどの異常気象が頻発する、そしてまた熱中症の増加とかマラリアの発生。事ほどさように、地球温暖化というのは考えられないようなことが今後起こってくるということでございます。

 そのあたり、危機をあおるということも余りよろしくないかと思いますけれども、こういった将来の姿を皆さん方に想像していただきやすいような、そういうPRを兼ねてこれからも取り組んでまいりたいと思います。

荒井委員 定性的な話というのはよく聞くんですよね、今大臣がおっしゃったように。でも、それが定量的に国民経済にどういう影響を与えるのか、あるいはその被害をカバーするためにどういう具体的な対策が必要になってくるのか、そこのところまで言わないと、国民の肌身に感ずるものとして伝わってこないと思うんです。

 そこのところは、もう少し環境省は研究なりあるいは教育なり、そういうところで努力をするべきだというふうに思いますけれども、そういう対策もやっているんだと思うんですけれども、簡単で結構ですので、副大臣、お答え願えますか。

高野副大臣 簡単にお答えしたいと思いますが、環境省としましては、地球の温暖化の問題についてはさまざまな形でPRをやっております。きょう、若干手に持ってまいりましたが、こういうパンフレットを使って広報もやっております。それから、DVDもここにありますが、こういうことで広報をやっております。

 それから、シンポジウムとかあるいは講演会とか、さまざまな形でやっておりますし、今度の日曜日には小池大臣も行かれて京都議定書のシンポジウム、あるいは来週の火曜日には温暖化と異常気象、こういうテーマでシンポジウム等をやっております。

 それから、いろいろな民間の、マスコミ等ともタイアップをしながらPRに努めておりますし、地球温暖化対策の推進に当たっては、全国に三千五百名の地球温暖化防止活動推進員、こういうものを設けておりますし、全国に約三十カ所の都道府県センター、こういうものを使ってPRをやっておりますし、都道府県とも連携してやっておるという状況であります。

 時間があれば、もっと御説明したいと思います。

荒井委員 ぜひ、わかりやすいというか、定性的な説明ではなくて定量的な説明ということを心がけてほしいと思うんですね。確かに、大変難しいことかもしれません。学問の世界、研究の世界の範疇を超えないのかもしれませんけれども、そこはあえて大胆にやらないと、本当の意味で危機感というのは私は出てこないのではないかと。南方のチョウチョウが神奈川県でとれる、これは大変いいことだな、そんな話で終わりますよ、この環境問題をそういう話として議論をしてしまえば。そうじゃないんだと思うんですね。そこのところはよくお考えいただきたいと思います。

 ところで、二月十六日に京都議定書が発効することになると思います。京都議定書では、我が国は六%の削減ということを国際公約として約束をしたわけですね。しかし、もう既に現時点で、この六%の公約を実現するのは大変難しい、容易なことではないということは関係者すべての人が言っている。

 どうも、京都議定書を、協約を結ぶときの、そのときの前提となること、それを見誤った、あるいはそのときの時点と現在の状況が大分違ってきているということがあるのではないんですか。特にそれは、エネルギーの使用量の見込み、あるいはエネルギーの発生の、つくり方の見込み、そこに大きな違いが出てきているのではないのですか。当時は多分、原子力発電所というのを相当見込んでいたと思うんですけれども、それが結果的には大幅な狂いを生じてしまったのではないんですか。このあたり、環境大臣、お答え願えますか。

小池国務大臣 京都議定書、六%の削減を約束したわけでございますけれども、今、中環審において、中央環境審議会で、大綱の評価、見直しの審議を進められているんですが、二〇一〇年において京都議定書の六%の削減約束は達成できないおそれがあるとの評価が示されております。

 その要因として、確実な削減が見込める対策があるという一方で、事業量が不足していたり、実効性の低い施策頼みであったりするなど、削減の効果が発揮されるかどうかという、その確実性が低い対策が存在しているということも客観的に挙げられているわけでございます。

 今、原子力の問題が御指摘ありました。大綱においては、当時の最新の長期エネルギー需給見通しに基づいて、二〇一〇年度までに原子力発電による電力量を二〇〇〇年度から三割増加させるということを前提に計算がされた。ところが、現時点で評価いたしますと、関係者の御努力もあったということでございますけれども、原発の新増設は大綱の前提とされていた需給見通しの想定よりもおくれております。そしてまた、電力需要が大綱の想定どおりであった場合というただし書きつきでございますけれども、約二、三千万トンの二酸化炭素が追加的に排出される計算ということになります。

 将来のところはなかなか、計算ということで、どういう前提にしてくるかで変わってくるわけでございますけれども、いずれにしましても、環境省では、こういった将来の経済成長率とか電力需給の伸びなどを踏まえて、議定書の約束達成を確実にするためのさまざまの追加的な施策、対応策などを進めているわけでございまして、三つの柱、私ども考えているのが、事業者からの温室効果ガス排出量の算定、報告、公表制度、そして自主参加型の国内排出量取引制度、そして環境税、この三つの柱でございますが、関係各位の理解を得てこれらの柱を実現してまいりたい、そして、今後の京都議定書の約束をしっかりとクリアできるように努力してまいりたいと思っております。

荒井委員 当時から、原発の増設は相当難しいというのは、もう世の中では多くの人たちがそういう前提で動き出していたと思うんですね。それを、この京都議定書という国際協約のときに、そこのところをある意味では経産省の言いなりに、経産省に引っ張られるようにして原発の増設を前提にしたそういう計算の仕方をしてしまった。私は、環境省はしっかり主張するときは主張しないとだめだ、主張しないからこういうことになるのであって、そこのところは、これからの環境税の話でもやはり同じ議論が出てくると思うんですね。

 どうも、環境省が定義している環境税というのは、あちこちに配慮した、性格が一体何をねらっているものなのか、本当に環境省が今提案しようとしている環境税構想というのがそういう効果が出るのかどうか、そういうことを私は危ぶんでいるんですけれども、環境税の進捗状況といいますか、そういうものについては今どういう状況になっていますか。

小池国務大臣 環境税の創設というのは、先ほど三本の柱のうちの一本ということでお話をさせていただきました。そしてまた、環境省では、ことしの八月に税制当局に対しまして創設の要望を出したわけでございますが、そして今月の初めに環境税の具体案を公表させていただきました。きょうも報道されておりますように、政府税調の方で環境税について御審議をいただきまして、きのう発表されました答申では、環境税について、温暖化対策全体の議論の進展を踏まえてできる限り早急に検討せねばならない、このように記述されたところでございます。

 あちこち配慮し過ぎということでございますけれども、国際競争力への影響を及ぼさないようにということなどの配慮もいたしたことも事実でございます。

 そしてまた、一方で、環境省とすれば、先ほどから申し上げているような国際的な公約を守るということのためにも、必要なものは盛り込ませていただいた、このように思っているわけでございまして、特に二〇〇五年、来年からは第二ステップの温暖化対策が始まるわけでございまして、それにふさわしい、しっかりとした環境税が構築されるように、環境税創設の実現に向けて、関係各省の理解も得て、努力をしてまいりたいと考えております。

荒井委員 これからもっと時間をかけてこの環境税の議論というのはしていきたいと思っているんですけれども、経済界や経済産業省が話をしている国際競争力がなくなるという議論は、これは一般的に言うんでしょうけれども、私は必ずしもそうじゃないと。

 例えば、日本が一九七〇年代から八〇年代にかけて環境汚染が非常に激しかったころ、水質汚濁の規制ですとかあるいは大気の汚染の規制だとかというのを大変強くかけました。その結果、そこに新しい技術がつくられていったんですね。日本の自動車は、今、NOxなり炭酸ガスの排出が一番少ない、あるいはエネルギー効率のいい、一番効率のいい自動車をつくるようになっているんですよ。それが結果的には国際競争力を高めているんです。

 国際競争力というのは、炭酸ガスを少なくしよう、エネルギーの消費を少なくしようという方に世界全体が動くわけですから、そのときに、一番最初にそういう技術を開発したところが一番先に国際競争力がつくんですよ。そういう考え方をぜひ経産省と議論したらいいんですよ、環境省は。単に、経済産業省なりあるいは現時点での経済界の言うままに、はい、そうですねと言うのは、私はそれでは環境省の存在意味がないと思います。

 私は、かつて介護保険制度をつくったことがあります。あれも、経済産業省なり経済界、大反対しました。それは会社が負担するからです。しかし、あれによって今六兆円のマーケットができたんです、介護マーケットというマーケットが。このマーケットを、介護保険という制度をつくることによってつくれたんですね。同じように、環境税というものを課することによって環境関係のマーケットをこういうふうにつくっていこう、そういう提言を環境省はぜひするべきだと思います。

 時間が来ましたので、最後に環境大臣の決意をお聞かせ願いまして、私の質問を終わりたいと思います。

小池国務大臣 先ほどの地球温暖化のところで、もっとぴりっとしたPRをすべしということでございました。ということで、私はその場で、危機をあおる、余りあおり過ぎるのもということを申し上げましたけれども、日本人というのは、危機に対しては、危機を共有したときにはその大きな危機というハードルを乗り越える力は十分持っているというふうに思っております。

 私どもが今回環境税を提唱させていただいたというのも、むしろこの危機をどうやってチャンスに変えていくかというような大きな意味の提言をさせていただいているわけでございます。そこを関係の各省庁、そして産業界にも御理解いただいて、本当の意味で環境立国になる一つの大きな道である、その門は広い、このように考えているところでございまして、これからもよろしく御支援いただきたいと思います。

荒井委員 終わります。

小沢委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 大臣、副大臣、政務官、小泉内閣におきまして要職を務められる三人の皆さんにまず質問させていただきたいと思いますが、大変に限られた時間でございますので、事実のみ簡単にお答えいただければというふうに思っています。四つの質問がございます。大変恐縮ですが、四つ質問させていただいて、お一人ずつお答えいただければと思います。

 まず第一であります。年金保険料の未納はないか、仮にあればその期間をお教えいただきたい。二番目、郵政民営化に対する考え方、賛成であるか反対であるか。三番目、自民党の郵政懇話会に入っておられるかどうか。四番目、政治と金の問題に関して、迂回献金や旧橋本派からの献金があるのかどうか。

 以上四点、お願いします。

小池国務大臣 まず、年金につきまして、私は平成四年八月に初当選したんですが、今日まで年金に加入し保険料を支払っております。

 それから二つ目、郵政の民営化については、内閣の一員でございます、内閣の方針に従いまして職務を遂行させていただきたい、このように考えております。

 郵政事業懇話会についてですけれども、個人的な問題であり、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。――入っていません。

 四番目、政治と金の問題に関してということですけれども、橋本派からの献金は受け取っておりません。

高野副大臣 年金は、平成七年の七月初当選以来ちゃんと払っております。

 郵政民営化につきましては、大臣と同じように、内閣の方針に従って職務を遂行していきたいと思います。

 郵政事業懇話会は、私は自民党ではありませんので入っておりません。

 それから、政治と金の問題については、旧橋本派等からは献金は受け取っておりません。

 以上です。

能勢大臣政務官 私も平成八年十月に初当選して以来年金はすべて掛けておりまして、六十歳になるまで保険料を払っております。

 次の郵政のことでありますが、私も内閣の一員としてその責務を果たしていきたいと思っております。

 そして、懇話会の問題でありますが、これはもう至って個人的な問題でありますので、ここで答えることは差し控えたいと思っています。

 それから、献金については、そのような献金は一切受け取っておりません。

 以上であります。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。簡潔にお答えいただきましたことにお礼を申し上げます。

 それでは、きょう私は、普天間基地移設に伴う辺野古における環境破壊問題についてお伺いをしたいと思います。

 それで、辺野古沖ですが、大臣、副大臣、政務官、これは辺野古の沖の写真でありますけれども、大臣、どうですか、この写真を見てどういうふうに思われますか。きれいとかどうとか、何か御感想を。

小池国務大臣 辺野古沖にも実際に行ってまいりました。大変すばらしい自然であるということをだれもが思うと思います。

近藤(昭)委員 大臣に大変失礼な質問をするかもしれませんけれども、環境大臣のお仕事というのはそういったすばらしい自然環境を守ることではないでしょうか。いかがでしょうか。

小池国務大臣 すばらしい環境を守るということは重要な仕事の一つだと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 当たり前の質問であり、大変に失礼だったかもしれませんが、私の意見で申し上げますと、辺野古に、あの場所に基地をつくる、もってのほかではないかと。そして今は、その準備、調査のまた準備といって、ボーリング、何かいろいろと準備をされている。それが、淡々とではないんですが、施行する側からは何か淡々と進められている。環境大臣はどこへ行ってしまったのかなと言う方がいらっしゃるわけであります。そういう意味で、大変に御無礼とは思いながらも、我が国には、やはり環境を守るそういう部署が、大臣がおられるということを確認させていただきました。

 そんな中で、ちょっとお伺いしたいと思いますが、まず第一、昨日ですか採択されましたIUCN、国際自然保護連合勧告を、自然を守られる大臣はどう受けとめられているのか、お答えいただきたいと思います。

小池国務大臣 IUCNの勧告でございますけれども、まず、沖縄の貴重な自然について世界が注目していることのあらわれかと受けとめております。

 また、環境省とすれば、これまで、ジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全などのために、さまざまな調査研究、対策も行ってまいりました。また、普天間の代替施設などの事業者についての記述もございましたけれども、これに対しましては、その事業者に対し必要に応じて助言も行ってきたわけでございます。

 地元の沖縄県を初めとする関係機関と連携を図りながら、これらの種の保存のために必要な措置を着実に実施する、そしてまた事業者に対しては必要な助言を行うということで、環境保全の観点からも必要な対応を行っていきたい、このように考えております。

近藤(昭)委員 先般、環境大臣も沖縄に行かれまして、辺野古にも行かれて当日インタビューを受けて、その模様もニュースではありますけれども私も拝見させていただいて、今大臣もお答えになったように、アドバイスをしますというようなお話をされていたんですけれども、そうしますと、環境を守る大臣としてのアドバイスというのはどういうものなのかなと思うわけであります。

 現地では大変に、沖縄の普天間基地の辺野古への移設が決定して以来ずっと反対をしていらっしゃる、地元では反対が強い。そういう中で、いよいよ調査のための事前調査ということで足場等々が組まれるということで、大変に危機感を持たれた地元の皆さんが、先ほど見ていただいた写真は、こうやって写真だけ見ていると非常に牧歌的といいましょうかきれいな、しかし、現実には大変に緊迫した情勢で、ほかにも何枚か写真があるわけですが、台を組もうとしている、そこに反対の皆さんがカヌーでずっと行って反対の表明をしている。

 大変に緊迫した状況で、もしかしたら、けが人や、あるいは、そんなことはあってはなりませんが、本当に死亡に至るような事故が起きるかもしれない、そんな状況。また、その台を組む際に足場がサンゴを壊した、こういう事実があるわけでありますが、こういうことに対して、アドバイスをされるという大臣はどのようにお考えなのか、お考えをいただきたいと思います。

小池国務大臣 御質問にありました足場の設置でサンゴが傷つけられているかどうかということでございますけれども、このところ波が大変高いということで潜水作業ができないと聞いておりますが、いずれにいたしましても、防衛施設庁の方におきまして確認中である。この点を私どもも催促をしているところではございます。

 防衛施設庁の方は、ことしの四月に、実施時の環境への配慮事項ということで、環境省の助言や沖縄県から示されました配慮事項を踏まえまして、足場などの設置に際しては、改めて事前に調査場所周辺の藻場であるとかサンゴの状況を確認して、藻場の破壊、踏みつけなどの環境攪乱をできるだけ避けるために設置作業を慎重に実施するというふうにしておられますので、環境省といたしましては、サンゴの状況を確認した上で、その結果を踏まえて防衛施設庁には適切に対応していただきたい、このように助言をしているところでございます。

近藤(昭)委員 もう一つ、大変に現地で危険な状況、命の危険性があるという状況については、どういう御認識でいらっしゃいますでしょうか。

小池国務大臣 危険がないようにそれぞれ注意を払っていただきたいと存じます。

近藤(昭)委員 今お答えいただいて、最初の点でありますけれども、昨日も防衛施設庁の方からもちょっとヒアリングをいただいたんですけれども、調査をしますと。もう事件が起きてから数日たっていると思うんですが、いまだに確認できないのでありましょうか。

小池国務大臣 高波が続いていると聞いております。

近藤(昭)委員 そうしますと、もしそういう事実が確認されましたら、どういうふうな御助言を、適切なというのはどういう御助言をされるつもりなんでしょうか。環境省が、防衛施設庁がする調査については中断も含めた、中止も含めた助言をするようなことが文としては出ているんですが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 いずれにいたしましても、的確な情報を得た上で、また防衛施設庁に適切な助言をしてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 大臣のおっしゃることもよく、よくというか、わからないでもないんです、事実を確認したいと。ただ、冒頭も大臣がおっしゃられたように、すばらしい自然を守る、それが大臣の役割だといえばおのずと、そんな破壊が起こっているんだったら、そういう場合はやめさせるとお答えになるのが当然ではないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

小池国務大臣 この問題については、普天間の飛行場の移設ということがそもそもあるわけでございます。その観点から、また沖縄がこの地域においてその場所を定めた、これも長いこれまでの紆余曲折があっての話でございます。そして今この段階に至っているということでございまして、せんだっての米軍ヘリの墜落事故などを見ましても、普天間の移設ということは一日も早く行わなければならない。一方で、この地においての作業なども、まずはしっかりと環境の調査をしなければならないし、その調査のために必要な情報も得なければならないというような状況にあることは、委員もおわかりの上で御質問をされているんだろう、このように思うわけでございます。

 いずれにしましても、環境大臣といたしまして、これまでも、ジュゴンの保護、そしてまたそのえさ場としての藻場の保全、サンゴ、そして騒音を含めた生活環境の保全というようなことについて、事業者である防衛施設庁には適切に助言を続けてまいりたいと思っておりますし、だれも環境をぐちゃぐちゃにせよと言っていることではないわけでございますので、そういった環境保全の観点からも必要な対応を行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

近藤(昭)委員 しかし、大臣、事実を確認されたらというふうにおっしゃるわけですけれども、調査のためのまた事前調査でそういう自然を破壊するというのは全く本末転倒だというふうに思うわけでありますし、それと、では、防衛施設庁に対して環境省さんが作業計画についてされている助言の中で、「重大な環境への影響又はその危険が生じた場合等のケースを想定し、対処方法を示したマニュアルを整備する等により、非常時に備えること。」というふうにあるわけです。

 マニュアルというのは、こういう条件があったらこういうふうにということだと思うんですね。万が一のときは、危機管理といいましょうか、こういうことが起こったら素早くそれに対応するというのがマニュアルだと思うんですが、そういうマニュアルは、防衛施設庁さん、ちゃんとつくられたんでしょうか、そういうことを確認されているんでしょうか。また、マニュアルの中にはこういうことが起きたらどうすると書いてあるんでしょうか。

小池国務大臣 先ほどもお答えしたかと思うんですけれども、防衛施設庁の方でことしの四月に、実施時の環境への配慮事項ということで、防衛施設庁自身が、環境省の助言、そして沖縄から示されました配慮事項などを踏まえまして配慮事項をまとめておられるわけでございます。ですから、私どもといたしましては、みずからまとめられましたものをしっかりと適切に対応していただきたい、このように防衛施設庁に対しまして助言を行い続けるということでございます。

近藤(昭)委員 ですから、防衛庁が対処をする、配慮をするということを、では、大臣はチェックされたんですか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、私どもの助言の中に、一つは「作業実施中の対応」及び「非常時の体制整備」という項目が確かに入っておりますし、対処方法を示したマニュアルの整備ということも私どもから助言に入れております。そのような対処方法を示したマニュアルも向こうにも存在しておりますし、それを私どもも見ております。

近藤(昭)委員 ごらんになって、例えばこういうようなというか今回のこれは、マニュアルというのはさっき申し上げたように仮定の話に対してどうするかというのが書いてあると思うんですけれども、どうなんですか、こういう事件、事故が起きたときにはマニュアルは。

田村政府参考人 例えばジュゴン、今回はサンゴの御質問でございますが、ジュゴンの場合にも、確認時等の対応手順とかその場合の連携体制等が書いてございます。サンゴの場合は、何よりもやはり今大臣がおっしゃられたように、今天候の関係でそもそも確認作業がまだでございますので、その確認のあれを十分見て……(近藤(昭)委員「マニュアルはどういうふうに」と呼ぶ)ですから、そのマニュアルによって十分な対応手順等々を踏まえてやっているかどうか、我々としてもきちっと見守ってまいりたいということでございます。

近藤(昭)委員 おっしゃることがよくわからなかったんですが、マニュアルにはそういうときには事実を確認して対処しますということが書いてあるんですか。そういうマニュアルじゃマニュアルと言えないんじゃないですか。こういうことが起きたときには緊急に対処するためにこうしましょうと。そんなものだったら当たり前のことじゃないですか、何か起きた事実を確認して対処しましょうなんというのは。どうでしょうか。

田村政府参考人 マニュアルの抜粋で恐縮でございますけれども、環境に関連する不測の事態が発生した場合は、必要に応じ直ちに作業を中断するなど適切な措置を講じるとともに速やかに監督官に報告するとともに、その対応について協議するというような規定が書いてあります。サンゴについてはここの中で読んでいると思います。ジュゴン等についてはもう少し詳しいものがございますけれども。

近藤(昭)委員 そうすると、マニュアルというのは相談をするということでありますね。

 そうすると、大臣、もう一度戻ってしまうわけですが、それでいうと本当にマニュアルとしては逆に言うと何も決めていないようなマニュアルだなと私は思うわけでありますけれども、大臣、そういう相談が、事実が確認された、そして協議をするということのマニュアルでいったら、どんな御対応というか御助言をなさるんでしょうか。

小池国務大臣 事実を確認した上で対応させていただきます。

近藤(昭)委員 何か大臣のお考えはありませんか、今の事実を確認して。

小池国務大臣 残念ながら、海に潜ることは私はできませんので、その結果を、情報が入って考えたいと思っております。

近藤(昭)委員 そんな、大臣に潜ってくれと言っているわけじゃないんです。でも、潜るぐらいの気迫をいただきたいなというふうに思うわけであります。本当に現地の皆さんは大変に苦労していらっしゃるわけであります。

 そういうことでいうと、先ほど、その現場が大変に緊迫をしている中で、大臣はお互いに注意をすればいいと大変に簡単におっしゃられたんですが、注意をするというのはもうみんな当たり前のことでありまして、そういう注意をしつつ、それでも何とかしようということなんですね。だから、危険が起きているんです。だれも、何もないところで抗議行動というか、安全だと思って、あるいは注意しなくて抗議行動しているわけじゃないんですよ。注意をしながら抗議行動、でもその中で緊迫したことが起きてしまう、もしかしたら事故が起きるかもしれない、そういうことが起きてからでは遅い、そういうことに対して大臣はどうお考えですかということなんですよ。

小池国務大臣 工事を請け負っている方々は、工事といいましょうか今回のボーリング調査でございますけれども、仕事をしていかなければならない、そういう請負でございましょうし、また、ここに空港は要らないという方々が今運動をされているということでございます。お互いになかなか接点は見つけにくいところに今いるのかもしれませんが、もう一言、私は、それぞれ安全に気をつけていただきたい、それに尽きるわけでございます。

近藤(昭)委員 大臣がおっしゃられた、接点が見つけにくいということかもしれません。だからこそ、そういう非常に緊迫した状況が起きているのかもしれません。

 ただ、冒頭おっしゃっていただいたように、大臣のお立場はやはり環境を守っていくという立場だと思うんですね。そういうことでいうと、私は、どちらかというと、今非常に抗議をしていらっしゃる皆さんの側に立つべきではないかというふうに思うわけです。

 そして、私が申し上げるまでもなく、この辺野古の基地は、これから二十年近く、準備期間も含めて二十年近くかかってつくるわけですよね。そして、今のことでいうと、十五年間しか使わないんです。そういう基地のために非常に緊迫した状況を生んで、万が一のことがあるかもしれないというような緊迫した状況を生んで、そして大変な環境破壊をするということに、私は大変に、危惧どころか反対をしております。どうぞ、環境を守る立場の大臣、よくお考えいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 限られた時間ではございますが、よろしくお願いをいたします。

 今し方の質疑応答を聞かせていただいて、本当に環境省は辺野古の海を守る覚悟があるんだろうか、そんなことをつぶさに感じさせていただきました。一度壊してしまえば本当に取り返しがつかない、そのことは身をもって御承知のことと思います。どうぞ、慎重かつ迅速な対応をぜひ冒頭お願いを申し上げたいと思います。

 さて、私の方からは、環境税と、さきの特定外来生物の基本方針、そして、時間が許しますならば、動管法について、関連する内容について質問させていただきたいと思います。

 きょうは、お忙しい中、経産省の深野審議官にもお越しをいただきましたので、今回、先ほどの議論の引き続きでもありますけれども、この環境税をめぐる対立と言うには余りに乱暴な言葉かもしれませんけれども、その真意をぜひお聞きしたいと思い、きょうはお越しをいただきました。

 この環境省の中で御答弁をいただくには大変針のむしろかもしれませんけれども、ぜひ私ども、その違いをしっかりと把握させていただいた上でこの後の議論の参考にさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、経産省の方が、せんだって、増税なき地球温暖化対策というものをお打ち出しになられました。その内容と申しますかタイトルからしても、明らかに新税を創設しようとしている環境省を目つぼにとろうとせんようなタイトルであり、増税など不必要だと言わんばかりの対策のように感じるわけですけれども、簡潔にこの内容を御説明いただきまして、それに対して、今環境省が素案として出しております環境税の内容について、当初別々でとお願いしておりましたけれども、できましたら、まとめて御答弁をいただけないでしょうか。

深野政府参考人 お尋ねの地球温暖化対策でございますが、現在、地球温暖化対策大綱というのが政府の閣議ベースの決定としてございまして、これについて関係省庁で見直し作業を行っているところでございます。

 その中で、私どもも今対策について検討しているわけでございますが、現状、私どもの関係の審議会で評価をいたしますと、二〇一〇年度の地球温暖化ガスの排出量というのは、九〇年比を私どもの評価で五%程度上回るということでございまして、森林による吸収というのを勘案しても、なお最大で八%程度の追加対策が必要となる、そういう見通しでございます。このように、京都議定書の目標達成は決して容易ではなく、産業、民生、運輸各部門にわたる包括的な対策を通じて総力を挙げて達成することが必要、そういう考え方でございます。

 このため、当省といたしましては、省エネルギー対策の抜本的強化を軸にいたしまして、代替フロン対策の強化、それから京都メカニズムの本格活用、こういったものによって国民に新たな税の負担を求めることなく削減目標の達成を図る、そういった考え方のもとに検討を進めてきているところでございます。

 まず、エネルギー起源の二酸化炭素でございますけれども、産業分野につきましては、エネルギー効率の高い設備の導入促進、運輸部門につきましては、物流部門等のモーダルシフトの促進、それから民生部門、エネルギー需要が非常に伸びているわけでございますが、この分野については、民生用の機器あるいは住宅、建築物の省エネ性能の向上、小売店や電力、ガス会社等による需要家に対する省エネの促進、そういったことにつきまして、関係省庁とも連携をとりながら、省エネ法の抜本強化も含めて検討しているところでございます。これらの対策によりまして、省エネルギー関係を中心に九〇年度比五%程度の追加削減というものを見込んでいるところでございます。

 それから、代替フロンでございますけれども、これにつきましても、その回収の強化あるいはフロンをしない製品の導入促進、こういったことによりまして一・五%ないし二%程度の追加削減を見込んでいるところでございます。

 ただ、これでも不足のものがございますので、これにつきましては、京都メカニズム、排出の削減を海外でやりまして、海外からそれを確保してくるというものでございますが、これを積極的に活用することによって一・六%程度の対応が図られるもの、そのように見込んでいるところでございます。

 こういった対策を、さらに石油特会の活用あるいは各省連携の強化、そういったことも含めまして取り組みをすることによりまして、国民に新たな税の負担を求めることなく目標を達成することは可能ではないか、そういうふうに考えているものでございます。

田島(一)委員 一緒に答えていただいてもよかったんですけれども、環境省の案であります環境税に対してどのような御所見をお持ちか、引き続きお願いできませんでしょうか。

深野政府参考人 環境税につきましては、今申し上げましたように、地球温暖化対策についてはさまざまの対策がございまして、現在、大綱に基づいて二百以上の対策を推進しているところでございます。さらに今、この関係の予算といたしまして、政府全体で既に一兆二千五百億円を超える予算措置が講じられております。また、昨年からは石油特会を活用し、経済産業省と環境省が共同して地球温暖化対策の一層の強化に取り組んでいるところでございます。

 したがいまして、私どもとしては、初めに税ありきではなく、こういったこれまでの施策あるいは予算を見直しまして、各省が連携を強化し、それを一層図ることにより、国民に新たな税による負担を求めることなく、目標達成に向けてまず最大限努力することが必要である、そのように考えているものでございます。

 また、環境税のような新しい税の導入が、米国、中国などと厳しい競争に直面している産業の国際競争力あるいは国民経済全般に与える影響というものを慎重に見きわめる必要がある、そのように考えておりまして、こうした状況を踏まえれば、環境税のような形で国民、企業に新たな税負担を求めることについては、総合的かつ慎重に検討すべきであるというふうに考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 よくその反対理由の中に引用されるのが、日本産業における国際競争力の阻害要因となり得るということであります。経団連の方もこの点を随分強調されているようでありますけれども、果たして本当に、この環境税を導入することによって国際競争力が想像以上に低下するものかどうか。阻害要因であるということを言い続けはされるんですけれども、その辺の導入した場合の数値であるとか説明というものはなかなか出てきていないように思うんですね。

 その辺、もう少し、そのバックデータであるとかお考えがあるようでしたら、ぜひお示しをいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

深野政府参考人 お尋ねの点でございますけれども、今行われております提案では、一般家庭では年三千円程度の負担であるというふうに説明がなされております。しかしながら、産業界にとりましては、これは、負担の計算の仕方、いろいろなものがございますけれども、かなり負担になるという見方でございまして、特にエネルギー需要の多い産業分野では相当な影響が出るということが懸念されております。

 例えば、以前、政策投資銀行が調査をしたものによりますと、これは今提案されている税の率とは少し違っておりまして、炭素トン当たり三千円ということでございますけれども、例えば、化学産業などでは六百八十億円程度の負担になるとか、あるいは石油精製においては三百十八億円程度の負担になるとか、そういったことでございまして、こういった数字を見ても、かなりの影響が出ることが懸念されるということでございます。

田島(一)委員 ただでさえ原油価格がこれだけ高騰してきていることはもう産業界にとっても大きな痛手であることは、私も承知をしております。

 それと、お答えの中でもおっしゃっていただいたとおり、初めに税ありきというのは、これは全くおっしゃることは理解をしているつもりであります。しかし、後ほど環境省の方にもお尋ねをしたいと思っております、例えば価格のインセンティブ効果であるとかそういったものについての効果というものも、一定は理解とそれからまた評価をしていただいていることだと思うんですけれども、その点についてどうお考えか、お答えいただけませんか。

深野政府参考人 効果の点についてお尋ねかと思いますけれども、現在提案をされている内容でも、価格上昇による抑制効果というのは小さいということで、むしろ主として財源を対策に用いることによる効果が大きく見込まれているというふうに承知をしております。しかしながら、どういう対策をどれだけ強化するのかといった点については、まだ具体的な議論がなされていないのではないかということでございまして、そういったことも踏まえますと、対策の効果について必ずしも十分な評価がされているとは言えない状況ではないかと考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 では、そういった意見も踏まえまして、次に環境省の方に同じように聞かせていただきたいと思います。

 まず、経産省の方が、増税しなくたって地球温暖化対策はできるんだとお答えいただいているんですけれども、その意見といいますか案に対してどのようにお考えになって、また、これから先、環境税を本当に進めていこうとされているのか、お答えをいただけませんでしょうか。

能勢大臣政務官 皆様御承知のとおり、私どもは、京都議定書の六%削減を守っていかなきゃいけないという意識は、皆さん同じだと思っています。しかし、現在やっているそうした施策だけではこの六%削減も厳しいという現状があるわけでありまして、どうしても追加的な施策、対策を講じなければやっていけないということは、おわかりのとおりであると思います。その選択肢の一つに環境税があるというふうに考えています。

 そして、先ほど来経済産業省が、環境税がなくても京都議定書の六%の目標は達成可能だというお考えを持っていることも、私どもも承知いたしております。ただ、その数値のすり合わせをしなければ、私ども、今経済産業省が示していらっしゃる六%達成ということについて疑問を持っておりまして、その根拠をもう少し明らかにしながらすり合わせをしなければできない、今のままでは私どもはできないというふうに見ておるわけであります。ただ、共通していることは、経済産業省にしましても私ども環境省にいたしましても、どうやっても、この京都議定書の六%削減ということの目標は同じ気持ちを持っておるわけでありますので、そのあたりの認識では同一であるというふうに思っています。

 ただ、私ども環境省といたしまして、環境税について、政府として、先ほど大臣も申しましたように、どうしても実効性の高いしっかりとした環境税が構築できますように、今後とも、経済産業省も含めて、関係各位の皆様方と十分議論を深めながらこれについて御理解いただきまして、来年度、環境税創設が実現に向けていけますように最大限の努力をする決意でございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

田島(一)委員 最後の笑顔が大変不気味な感じもいたしました。失礼いたしました。

 環境税が必要だとおっしゃる割には、この中身を見ますと、先ほど荒井委員の方からも質問があったとおり、各省庁、また業界に気を使い過ぎだということを私どもも本当に思います。気配りをするが余りに、肝心の屋台骨である中身が本当に骨抜きになってしまっている。

 そもそも、昨年八月の素案では、たしか一トン当たり三千四百円という数字が出て、税収一兆円という数字が出ていたと思います。ところが、今回出てきた数字は、約半分以下の四千九百億円という税収見込みになって、何だ、しょせん半分で済んだのかというようなことにもなってまいりますし、実際にこの数字をもう少しひもといてみますと、肝心の温暖化防止対策、防止目的に充てられる予算というのは、それこそ三千億にも満たない二千八百六十六億円という非常に微々たる数字になってまいりました。こんな数字だったら、もう環境税を創設しない方がましだというNGOとかの声も多分聞いていらっしゃると思うんですけれども、実際にここまで本当に気を使わなきゃいけないのかと私どもも思います。

 しかも、当初、説明の中では、先ほど経産省の方にもお尋ねいたしましたけれども、価格インセンティブ効果というものを随分主張もされてきました。これが果たして本当に効果に値するのかどうか。しかしながら、一方では、ヨーロッパでの環境税等の導入の際に、価格インセンティブ効果をお調べになられると、なかなかその効果というのはとりたててないというような文献等もございます。

 こう考えると、私ども、当初は、国民の皆さんに相当理解をしていただいて、環境、地球温暖化対策を担っているんだという意識づけのためには効果があるというような思いもしておりましたけれども、価格として非常に負担額が少ない、そしてこの先、国民の皆さんが本当に払っている、また、さらにエネルギーの使用を削減していこうという努力になっていくのかどうかを考えたときには、非常に期待薄ではないかなというふうに思います。

 この辺、もう一度、環境省として、アナウンスメントエフェクトという形で、前回の委員会で田村局長の方がお答えをいただいたんですけれども、果たして本当に効果が得られるというふうに思えるのか。前回の答弁でも、具体的なレベル、エネルギー価格が一%上昇すると、需要量が中期的には〇・五%減少するというような試算を御紹介いただいたんですけれども、その中期とは一体どれぐらいの見込みでおっしゃっているのかも非常に疑問に思いましたし、先ほど申し上げたヨーロッパでの実態等々を考えると、私は本当に期待が持てないような気がするんですけれども、再度、消費者の皆さんに対してその理解を深めるためにどうするべきなのか、この辺を強調していただくお答えをいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村政府参考人 御質問が多岐にわたっておりまして、三点お答えしたいと思います。

 まず一点は、一兆円の税収があったはずが、大分規模が小さくなっているということの御説明でございますけれども、この一兆円というのは、私どものモデルを試算して出した数字でございますけれども、これは、先ほど来御審議ありましたように、マイナス六%という目標と、現在の八%になっているという逆のプラスの方向のギャップを全部税で埋めるということであれば、試算すればその程度の規模の税収が必要であって、かつそれを全額温暖化対策に回すという試算でございますが、今回の環境省の具体案は、今のギャップを、税だけではなくて、例えば、今経済産業省から御説明があったようなさまざまな規制措置とか、あるいは自主的な取り組みとか、そういうものを総動員でやっていこうということでございますから、その一四%のギャップのうちの四%程度を税できちっと担っていこうという案であるということを一点申し上げておきます。

 それから二番目が、さまざまな減免措置等があって各省に対する配慮を行い過ぎているのではないかという面でございますけれども、環境税の制度設計に当たりましては、私ども、環境政策の基本はやはり環境と経済の統合を目指していくということだと思います。そういうものにふさわしいものとして制度設計をするという観点から、環境税の具体案の提示を行う際には、まず何よりももちろんCO2の削減効果を確保するということは大事でございますけれども、あわせて企業や家庭等の負担をできる限り軽減するように配慮することも必要であろうと思います。

 こうした基本的な考え方に基づきまして、先ほど御質問がありましたような国際競争力の確保の観点、あるいは中小企業への配慮等の観点、あるいは、やはり低税率といいましても、エネルギー多消費産業にはかなりこれは負担となるものでございますから、エネルギー多消費型産業に対する軽減措置、あるいは社会保険料の軽減というようなことで、雇用促進等を通じ企業活力の維持向上に活用すること等々を盛り込んだところでございます。

 それからもう一点、インセンティブ効果、価格効果についてのお尋ねでございます。

 環境税効果につきましては、御質問があったような価格インセンティブ効果、あるいは、その税収を温暖化対策に充てるという税収効果、あるいは、ちょっとお触れになったアナウンスメント効果等がありますが、価格インセンティブ効果につきましては、御質問の繰り返しになりますけれども、一般的には、エネルギーの需要に与える影響、価格インセンティブ効果につきましては、短期では確かにあらわれにくい。先般御紹介いたしました価格弾性値の指摘におきましても、短期では、エネルギー価格で一%に対しまして〇・二%ぐらいしか反応しないということでございますが、中長期、これは七、八年という数字でございますが、中長期でとりますと、〇・五%程度減少するというような試算があると申し上げました。

 また、昨日答申が行われました政府税制調査会の答申におきましても、「環境税の役割としては、本来、価格インセンティブを通じた排出抑制効果を重視すべきであろう。」というような答申も出されております。

 また、諸外国におきましても、諸外国の場合は、むしろこの価格インセンティブ効果を重視して、環境に負荷するものに対して課税をいたして、その税収をむしろ一般財源等に充てているわけでございますけれども、そういう環境税の創設によって、どの程度価格効果といいますか、具体的にCO2が減ったかということを弾性値等を用いて、あるいはモデル等を用いて計算をされているところでございまして、私ども、確かに短期的効果ということは少ないとは思いますけれども、価格インセンティブ効果というのは環境税はしっかりあるものである、そのように考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 本来ならば、もう少し聞きたいところでありますけれども、時間がないという中で、この先、環境税導入までのスケジュール、本当にタイトだと思いますし、ましてや、今経産省の審議官もお答えいただいたとおり、対立関係にあるという実態を考えると、非常にうまくいくのかどうか。かつて一九八五年に、水源税という苦い教訓を政府はお持ちのはずだと思います。省庁のぶつかり合いによって立ち消えになってしまった税、あれがよかったか悪かったかは申し上げませんけれども、どうぞあの教訓をもとに、本当にこの地球温暖化は待ったなしだということを、何度も大臣もおっしゃっていらっしゃるとおり、私どもも全くそのとおりだと思います。

 ただ、今のような低税率の増税というだけのお示しだけではなくて、高税率で、例えば自動車諸税との関係を見直して、税収中立といったオプションを提示するということも一定必要ではないかというふうにも考えます。国民の議論をもっともっと元気にしていくためにも、どうぞそういったオプションも想定をしていただきたいということを、これは要望としてお願いをしておきたいと思います。

 次に、時間のない中ではありますけれども、特定外来生物被害防止の基本方針についてお尋ねをしたいと思います。

 去る十月に基本方針が閣議決定をされて、現在、法施行までの、来年四月という非常にタイトなスケジュールの中で種の選定などが行われているやに思っております。その過程の中で、IUCNであるとか日本生態学会が生物学的な侵入の重要課題を問題として指定されているワースト百、この辺の外来種リストが恐らく参考にされているんだろうというふうに思いますけれども、やはり今一番問題点になっているのが、オオクチバスであったり、セイヨウオオマルハナバチであろうかと思います。

 この指定の行方、私どもも大変注目しているんですけれども、どのような姿勢で今取り組みをされているのか。聞くところによりますと、きょうからですか、ブラックバスの被害防止についての小委員会を設けられるというようなニュースもきのうの夕刊で拝見をいたしましたけれども、この辺の性格的な位置づけ、それから、本当に時間のない中でどのようにこの判定をされていくのかをお答えいただきたいと思います。

小野寺政府参考人 最初の御質問にありましたIUCNの百は当然前提としております。それから、日本生態学会が、数だけは同じで中身はちょっと違うんですが、やはり百というのを挙げていて、それも当然前提としております。

 加えて、最近、自然保護団体、NGOの三団体が四百種近いリストを挙げて、それも、今御質問の専門家グループ、これは親委員会が一つあって、その下に六分科会、そのうちの一つがきょうの午前中、特に淡水魚、ブラックバスを含む淡水魚の委員会が行われて、十二時半過ぎに終わったところでございます。

 外来種法の考え方は、生態系に及ぼす影響があるものについては規制をする。具体的には、特定外来種に挙げるということでありますので、時間が確かに余りありませんけれども、これから精力的に、六分科会、一親委員会を動かして、専門的見地で、できるだけ早急に特定外来種を絞りたいというふうに考えております。

田島(一)委員 時間がなくなりました。

 最後、おっしゃるとおり、今回の外来種の法対策が骨抜きになるのではないかという心配もしております。多くの見方が、政治力で入れられるか外されるかが決まる、そんなうがった見方も一方ではあります。

 先ほど申し上げた環境税もそうなんですが、配慮、気配りをするが余りに、なし崩し的にすべて目的を達成することができなかったとなってしまえば、本当に環境省の名折れではないかというふうに思います。環境税ももちろん、そして今回の外来種の被害対策ももちろん、こうした対策に環境省が強い姿勢と決意をもって取り組まなければならないと思いますが、最後、大臣の方から、いろいろな意味での、気配りも超えた、強い環境省をつくり上げるという視点での決意をぜひお答えいただきたいと思います。

小池国務大臣 特定外来生物の問題については、先ほど来局長が御説明いたしましたように、きょうの会議も含めまして、専門家の会合を設置して、いろいろな観点から検討していただいているところでございますが、環境省としましては、生態系などに係る被害の防止を第一義とした上で、利用状況も踏まえて検討してまいりたい、これが私のお答えでございます。

田島(一)委員 終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私からは、環境税につきまして、あともう一点は家電リサイクル法につきまして、質問をさせていただきます。

 まず、環境税につきましては、先ほど来論議がずっとございましたが、十一月五日、ロシアのプーチン大統領が京都議定書の批准法案に署名をし、来年二月十六日に京都議定書が発効することとなりました。当然、議長国であります日本の責任と役割がいよいよ問われてくるわけで、そういった意味で、今環境税が大きな焦点となってきております。

 そこで、昨日、政府税調から税制改正に関する答申が出されたところでございます。この内容を拝見しますと、「環境税の役割としては、本来、価格インセンティブを通じた排出抑制効果を重視すべきであろう。」このように述べられておりまして、環境税の役割に対して認識を一つは示していらっしゃる。また、温暖化対策につきまして抑制効果を促すことが期待できる、こういう方向かと思っております。

 さらに、「他方、追加的な温暖化対策の財源確保により重点をおいて環境税を活用することについては、既存の温暖化対策予算との関係、」また、「税収の使途を特定することの是非を慎重に検討する必要がある。」このようにも指摘。またさらに、「環境税に関する多くの論点をできる限り早急に検討せねばならない。」このように指摘をされております。

 環境税の使い方につきましては、今ある温暖化対策予算との関係をこれからどのようにしていくか、また、環境税の使途自体をどのようにするか、このことにつきまして検討する必要があると思われます。限定しないで幅広く論議をしていくということも含まれていると思います。しかしながら、この税調の結論としては、先送りできない、早急に検討しなければならないテーマである、この認識を示したものと私は受けとめております。

 環境税につきましては、私は、これは、京都議定書を守り、持続可能な社会構築へと大きく転換をするためのいわば最後の切り札である、このように認識をしている一人でございます。その意味で、環境税が必要であるという立場で私は質問をさせていただきます。

 本来、環境税を導入するかどうかということにつきましては、政府を挙げて取り組むテーマであると思います。しかしながら、中には、環境税がなくても十分削減できるということで、真っ向から反対をしている省庁もございます。

 その中で、産業界はすべて反対しているという御意見も私自身伺いましたけれども、きょうの日経新聞によりますと、環境についてのアンケート調査、この結果が報道をされております。企業がこうしたアンケートに一つ一つ答えたものでございますけれども、それによりますと、環境税の導入に「賛成」というのは八・六%、「どちらかというと賛成」二六%。このように、いわば肯定派といいますのは合計約三五%、三分の一の企業が肯定していると受けとめることもできると思います。それに対しまして、「反対」「どちらかというと反対」、こうした否定派は五七%。当然三分の二はあるわけですけれども、しかし、その中でも、精密機器の業種、これによりましては六割以上が何と肯定派であった、こういうアンケートの結論でございます。したがいまして、産業界は反対というこの大前提が成り立たない場合もある、こういう印象を強く持ちました。

 さらにまた、きょうの日経新聞でございますけれども、インタビューでイギリスのモーリー環境大臣、この方が、日本でも環境税の導入論議があるけれども産業界が強く反対している、こういう記者の問いに対しまして次のように答えております。「日本での環境税を巡る論議とそっくりの議論が当初英国でもあった。どの国の企業も新しい税には反対するものだ。だが今は企業の間では、環境税の導入によって自分たちのエネルギー使用の効率が向上し、コスト削減につながったと評価する声が多い。企業経営にプラスの効果があったということだ」このように大変明快に答えております。

 イギリスは、御存じのとおり、二〇〇三年の温暖化ガスの排出量は、一九九〇年に比べまして既に一四%も縮小しているという、いわばこうした地球温暖化対策の優等生であるわけですけれども、私はやはり、こうした点を考えてみましても、この環境税の議論は政府を挙げて当然取り組むべき課題でございまして、そのためには、これは早急に、環境大臣に率先して政府内を取りまとめていただきたい、このように思っている一人でございます。

 先ほど申し上げましたように、環境税がなくてもCO2を削減できる、こういう政府内の意見にどう反論をされているのか、また大臣がどのように考えておられるのか、まずこの点をお伺いさせていただきます。

小池国務大臣 今委員の方から、いかに環境税が必要なのか、そしてまた、それが我が国が世界に公約した京都議定書の六%削減というその約束を守っていくためにも必要だという点について、的確に御指摘があったと思います。

 また、本日、たまたまでございますけれども、日経新聞の方で環境特集という形で、イギリスの環境大臣、閣外でございますけれども、モーリー大臣の記事も載っていたということでございまして、イギリスの例を挙げていただきました。

 私もイギリスの例を見ておりまして大変参考になりますのは、何よりもまず産業界、イギリスでも大変な反対があった、しかしながら、そういった反対をする産業界をまとめたのが産業界のトップの人であった。マーシャル卿という、日本でいうならば日本経団連の会長というような方が業界をむしろまとめたということを聞きまして、ノーブレスオブリージュという言葉がよくイギリスの場合聞かれるわけでございますけれども、まさにそれが環境の面でも実現されたということ。

 そしてまた、先ほどイギリスのCO2の削減の、今の実効ある成果について数字を挙げていただきましたけれども、何と二〇五〇年のイギリスの目標は、CO2はマイナス六〇%である、それを目指すんだと。私はよく環境革命などという言葉を講演でも使わせていただいておりますけれども、それを考えますと、イギリスの目標というのこそが、かつて産業革命を起こした国らしく、環境革命にふさわしい目標を定めているんだというふうに思うわけでございます。

 今幾つか御指摘がありましたけれども、環境税がなくても京都議定書の六%の目標が達成であるならば、それにこしたことはないわけでございますけれども、残念ながら、実際には、現実にはなかなかそうはいかないであろう。これで環境税なくして達成できるならば、その根拠もしっかりと明らかにしていただきたいと思うところでございます。

 今、紆余曲折もあり、またいろいろな議論がこれからも出てくるという、時間的には大変短いわけでございますけれども、だからこそ、我が国として環境、地球温暖化に対してどう取り組むのかということを、しっかりと関係省庁合わせて、すり合わせていかなければならない大切な時期ではないかと思っております。霞が関というのは、どうも私いまだによくわからないところでございまして、何かこういうことになると、霞が関内でのゲームが始まったみたいな取り扱いをされるのは、国民にとっては大変マイナスではないかというような事例は山ほどあるわけでございます。

 それも含めまして、これから我が国が京都議定書、六%削減するんだという、その同じ目標のもとに、その目標を達成できる共有の道というのを探してまいりたいと。そのためにも、関係方面と十分な意見を交換いたしまして、御理解をいただいた上で、第二ステップの温暖化対策にふさわしい、またしっかりとした環境税が構築されるように、来年度の環境税創設の実現に向けまして最大限の努力を図ってまいりたい、このように考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 今大臣の御答弁の中に、大変限られた、時間的には短いというお話がございました。私もこれは全くそのように思っております。

 例えば、今CO2排出量が伸びておりますいろいろな部門がございます。いつも言われていることですけれども、運輸であり、民生であり、家庭部門でありという、やはりその大半を所管していらっしゃるその省庁に対しまして、具体的にどうするのか、私は、もう一歩強くぜひ大臣に迫っていただきまして、やはり言うべきところは強く言っていただきながら、ぜひともこの取りまとめのために努力をしていただきたい、頑張っていただきたいと。私も精いっぱい闘わせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 あわせまして、税調のこの答申の中では、さらに「国民に広く負担を求めることになるため、その導入を検討する際には、国民の理解と協力が不可欠である。」このようにございます。

 これもやはり新聞の世論調査でございますが、読売新聞が十月二十一日に全国世論調査を発表いたしました。その中で、将来の地球環境に不安を感じていますか、こういう問いに対しまして、「大いに感じている」「多少は感じている」こうした回答が九〇%に上っております。

 環境税の導入についてですが、「賛成」四五%、「反対」二八%。半分近くが賛成をしている、こういう国民のデータも出ております。

 しかしながら、日本政府の環境対策を評価していますか、こういう問いがございまして、否定する方ですが、「あまり評価していない」「全く評価していない」、こうしたところを合わせますと、六三%という大変残念な結果が出ております。六割以上の国民が日本政府の環境対策を評価していない、こういう状況です。

 今申し上げましたように、環境税の導入につきましては、広く国民の理解と協力が必要であるのは当然のことでございます。やはりそれには、国民に周知するための取り組みをどのように考えておられるのか、この点につきまして大臣にお伺いいたします。

小池国務大臣 御指摘のように、地球温暖化対策というのは、まさに国民が総力を挙げて取り組むべき課題であります。また、とりわけ税、特にこの環境税というのは、広く国民、事業者、すべての主体にかかるということでございますので、その意味でも、国民各界各層における十分な議論、そしてまた理解と協力が必要であり、また理解と御協力をいただくということが、すなわち環境税ということのアナウンスメント効果そのものにつながってくるのではないかと思うわけでございます。

 これまでも、環境省といたしまして、環境税について語る会の開催を重ねてまいりましたし、また、各産業界との懇談会、市民、NGOなどに対しての環境税の説明会などを進めてまいったわけでございます。これからも、国民の皆様に環境税の必要性、あらゆる機会をとらえて御理解いただけますように、啓発そして普及に努めてまいりたいと思います。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 私、この環境に対する意識といいますのは、やはり一つは、哲学がどうしてもこれは根底に必要なのではないかと思っております。経済と環境の統合という、これは大臣の所信表明の中でも詳しく伺わせていただきました。やはり日本は、これまで経済至上主義で走ってきております。それを持続可能な社会の構築へとどう転換をしていくかというこの視点、また大臣のお考え、これをまた合わせまして広く国民の皆様にぜひとも訴え続けていただきたいと念願をしまして、この環境税に対する質問を終わらせていただきます。

 次に、家電リサイクル法につきまして質問をさせていただきます。

 先般、リサイクルプラントを視察いたしました。これは、家電リサイクル法が一九九八年に公布になりまして、同じような時期にこの施設も完成をしたようでございます。それまでメーカーの方は、つくる技術はあっても、もとの原材料に戻す技術はありませんでした。家電四品目とあわせまして、その工場では今、OA機器、パソコン、またコピー機等が処理をされております。当然、工場運営にも、二次公害を出してはいけない、また、OA機器の基板は裏に鉛等が使ってあり有害である、それを壊す技術を確立しました等々、携わる企業の方たちのすばらしい努力によりましてほぼ順調に施行されている、こういう実感を深めた次第でございます。

 この法につきましては、二〇〇一年四月一日本格施行になりまして、今三年半を迎えたところでございます。見直しは施行より五年後ですので、二〇〇六年、一年半後のこのときが当然見直しになるわけですが、そういう方向を見定めた上で、課題であるとか問題点であるとか、また、そうした提案も含めまして、このことにつきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この家電リサイクル法が施行されまして、廃棄家電の引き取り台数も、またリサイクルプラントでの処理数も予想どおりにふえていると思っております。こうした法の施行状況それから実績につきましてお伺いをさせていただきます。

岩田政府参考人 家電リサイクル法の施行状況についてのお尋ねでございますけれども、まず、廃家電の四品目引き取り台数でございます。

 施行当初の平成十三年度、一年目でございますけれども、四品目合わせまして八百五十四万台、二年目の平成十四年度、一千十五万台、平成十五年度は一千四十六万台と、年々引き取り台数は増加をしているという状況でございますし、今年度、まだ一年たってございませんけれども、四月から十月まで半年間、この間に七百一万台という数字でございまして、前年度を上回る実績を示しております。

 それから、いわゆる再商品化率、リサイクル率でございますけれども、これは法律でそれぞれの品目ごとにリサイクル率が決まってございますけれども、例えばエアコンでございますと、法律で再商品化率、リサイクル率が六〇%となっておりますけれども、処理プラントで再商品化をすることで八一%の再商品化率を達成してございますし、テレビでありますと五五%という基準がございますけれども七八%、冷蔵庫でございますと五〇%の基準が実績は六三%、洗濯機は基準が五〇%、実際は六五%と、いずれも所定の基準を上回っているという実績でございます。

 私どもといたしましては、消費者の方を含めまして大勢の関係者の方々の理解と協力というものに支えられまして、家電リサイクル制度はおおむね定着をしてきているんじゃないか、かように考えてございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 大変順調に進んでいるようです。そこで、廃棄物処分場の残余年数についてお伺いいたします。

 先般、東京都の廃棄物埋立管理事務所、また処分場を視察いたしました。中央防波堤外側や新海面処分場、海へせり出している部分につきましては、東京都は、あと四十年が限界である、それ以上埋めますと船の航路に支障が出てくる、こういう報告がございました。

 全国の廃棄物最終処分場の残余年数についてお伺いをいたします。

南川政府参考人 お答えいたします。

 十三年度末でございますが、一般廃棄物処分場につきましては十二・五年、産業廃棄物処分場については四・三年が残余年数でございます。

 多いように聞こえるかもしれませんが、東京都の場合は例外でございまして、地域的にかなり偏在しておりまして、ほとんど埋立処分場のない山梨県のような県もございます。また、全体としまして埋立容量はどんどん減ってきておるというのが現状でございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 大変厳しいという認識を改めさせていただきました。それだけに、こうしたリサイクル、またそして処分のスラグ、そうしたことも含めまして、総合的にまたこれからも研究をしていきたいと思います。

 不法投棄につきまして、近年の状況についてお伺いをさせていただきます。

南川政府参考人 不法投棄関係でございます。

 いわゆる廃家電四品目ということでデータを持っておりますけれども、十五年度のものでございますが、不法投棄台数は全国で十七万四千九百三十四台でございます。一年前に比べますと一万二百五十六台、六・二%の増加ということになっております。

 それから、全体の廃家電の中での不法投棄される割合としては一・六六%ということで、これも前年度の一・六一%よりも増加しておるという状況でございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 こうしたリサイクルに伴いまして、当然、料金等の兼ね合いもあるのでしょうか、不法投棄、やはりどうしてもまだまだ続いているようでございます。またこうした対策も考えていかなければならないと思っております。ただ、これにつきましては、春、廃掃法の成立によりまして処罰規定も明確になっておりますので、その模様をもう少し見守っていきたいと思っております。

 そこで、自動車リサイクル法ですが、これが来年一月から本格施行されます。自動車の場合は、リサイクル料金を購入時に支払う、もしくは、既に購入している人、使っている方につきましては車検のときに支払うというふうになっております。いずれも前納制でございます。

 また、パソコンにつきましても、昨年の十月一日から資源有効利用促進法によりましてリサイクルが始まり、やはりこちらも購入するときに支払うという前納制になっております。リサイクル開始前に購入した方たちですね、そのときのパソコンは、回収・再資源化料金、これを納めた上でメーカーが回収をする、回収するメーカーが倒産などでなくなっている場合は、パソコン3R推進センター、これが有料で回収をして再資源化する、こういうことになっております。

 やはり、家電につきまして、購入時に前納にすべきではないかと。やはり、捨てるときに、処分をするときにお金を払って処分するというのはどうしても消費者の心情になじまないという根強い論議があります。デポジット制を導入すべきではないか、私もそう思っている一人でございます。その方が不法投棄も減るのではないか、メーカー責任も強くなるのではないか、本来の拡大するEPR、ここに適合するのではないかと思っております。

 家電につきまして、購入時に前納制にできないかという、このことにつきましてお伺いをさせていただきます。

高野副大臣 家電リサイクル法につきましては、リサイクル料金等について、前払いではなくて、排出時に排出者が負担するという方式を基本的に制度としてつくりました。それは、当時、既に出回っている家電が、家庭内で使用されているものが三億台の数に上っていたということもありまして、排出時負担方式とせざるを得なかったという事情があります。それからもう一つは、前払い方式にすると、企業が倒産あるいは撤退した場合に当該企業の製品のリサイクル費用の手当てが困難になる、こういう事情があって、これを考慮してこの制度をつくったものであります。

 家電リサイクル法は平成十三年の四月に施行されましたが、附則において、施行後五年を経過した時点で、状況について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされておりますので、これを踏まえて、見直しの際に、前払い制度の是非も含めて、制度のあり方について評価、検討をしていきたいと思っております。

 以上です。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、この見直しのときに、総合的に検討をお願いしたいと思います。

 こうした環境問題は、家電の寿命は七年から十年と言われておりますけれども、例えば七年から十年、その間は、前納制、排出時負担、この両方が例えば併存するような、そういう方向があったとしましても、長い目で、百年、二百年後を見据えた上で、その上でどのようにしていくかという、やはり長期的な視点も必要なのではないかと思います。そういったことも含めて、今後の御検討をお願いいたします。

 次の質問でございますが、この対象品目、今四品目、そこに家庭用冷凍庫が途中加わりました。今後さらにこの家電四品目を拡大する見直しにつきましてはどのようなお考えがあるのか、伺いたいと思います。

 例えば電子レンジにつきましては、今、政府の方から、環境負荷の低減に資する物品であるということで、省電力型電子レンジ、これを加えるべきではないか、また食器洗い機、こうしたことにつきましても、こういう物品として購入を推進してはどうか、こういう提案が出ていると伺っております。

 このような地球温暖化対策につきまして、推進した方がよい品目については、やはりこういった点を優先して、四品目プラス例えば電子レンジであるとか、また、行く行くは食器洗い機であるとか、そのように加えていくという方向がよいのではないかと思われます。また、音響機器であるとか掃除機とか扇風機とか、中にはファンヒーター、これは東京都では昨年度、粗大ごみの第五位で、約十三万台が出されていると聞いております。こういうことを考えますと、これはリサイクルプラントの方の御意見でしたけれども、商品によってリサイクルの技術が全く違う、新しく加わる商品の再商品化、このための技術開発をしなければすぐには対応することはなかなかできない、そのために、少しでも早目に教えていただければそういう方向をスムーズにつくることができる、こういう御要望もございました。

 当然、見直しのときにもこうしたことが総合的に検討されるかと思いますけれども、例えば、審議会をどのような形でいつごろ立ち上げるおつもりなのか、総合的な御見解を伺わせていただきたいと思います。

岩田政府参考人 家電リサイクル法における対象品目の拡大についてのお尋ねでございますが、先生御指摘のとおり、今、家電の四品目が対象品目になってございます。

 家電リサイクル法における対象品目につきましては幾つかの要件がございまして、特に回収ルート、収集のルートで小売販売業者、電気店さんを経由して収集ができるという点に特徴がございまして、そういう意味で、法律上も、主に家庭から排出され、市町村などでの再商品化が困難であるというもの、かつ小売販売業者が円滑に収集をできるという観点で家電の四品目を指定させていただいてございます。

 これも先生お話ございましたとおり、電気冷凍庫、これも本年四月にそういう観点で追加をいたしてございますけれども、今後の対象品目の拡大につきましても、今申し上げましたような法律上の要件等々を総合的に勘案いたしまして検討してまいりたいという考えでございます。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 最後の質問ですが、ヨーロッパでは二〇〇六年七月以降から発売される電気・電子機器を対象に、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムなど六種類の有害物質を含んだものは一部を除き販売禁止が決まっている、このように伺っております。ヨーロッパに製品を輸出する電機大手メーカーは、既に六物質不使用の保証書提出を求める対策をしているようでございます。日本国内での販売の対応につきましては検討されているのかどうか、これは、短い時間でございますので簡潔にお答えできればと思いますが、経産省と環境省にお伺いをいたします。

南川政府参考人 御指摘のRoHS規制というものでございます。これは、電子機器等が廃棄物となって埋立処分あるいは焼却された場合に、健康あるいは環境へのリスクを与え得るということから、それらに含まれる化学物質、鉛などをなくそうということでございます。

 日本の場合は、これにつきましては、廃棄物となった場合には廃棄物処理法あるいは大気汚染防止法等でかなり厳格な規制を行っております。

 また、化学物質そのものにつきましては、経産省と共同で化学物質審査規制法あるいはPRTR法でのコントロールもいたしております。そういったことで、現在、こういったことによって環境汚染が生じているとは考えておりません。

 ただ、欧州の動き、非常に注目をしておりますので、その詳細を十分に把握した上で、我が国の環境保全にとって何が必要か、十分検討を始めているところでございます。

岩田政府参考人 産業界、民間ベースでの取り組みでございますけれども、二〇〇六年七月からEUでの規制が発効いたします。基本的に、素材・部品メーカーから製品メーカーまで含めまして、製品に含有されている化学物質の情報管理、これを適切に行って含有量を低減させるということでございますけれども、それに関連いたしまして、民間ベースで、いろいろな管理するべき化学物質の内容、伝達様式等々を共通化する取り組みが進められておりますし、我々経済産業省といたしましても、含有化学物質の情報システムの構築といったようなものにつきまして支援を行い、こうした取り組みを促進いたしたいというように考えてございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 こうした家電リサイクル、また身近なパソコンのリサイクル等々、やはり、こうしたことは家庭、地域、そうしたところに環境意識をつくっていく、大事な足元の政策と思っております。また、こうした家庭、地域を含めまして、リサイクル等の今後の取り組みにつきまして最後に大臣の御決意を一言伺いまして、質問を終了させていただきたいと思います。

小池国務大臣 数カ月前に家電のリサイクル施設も見せていただきました。このように家電リサイクルが定着をしていくと、新しい家電をつくる際にも、最初から、その設計の思想そのものも変わってくるわけでございまして、まさにその意味で循環型社会の構築ということが、またごみゼロ社会の形成ということが一歩ずつ進んでいくのかなということを確認させていただいたわけでございます。

 家電リサイクル法については、施行後五年を経過した時点でしっかりと検討し、またその結果に基づいて必要な措置を講じていく、そしてまた、究極の目的は、今申し上げました循環型社会、そしてごみゼロ社会の形成、これを目指してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。以上で終了いたします。

小沢委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本であります。

 先般は、愛知万博の視察に参加をさせていただきました。大変ありがとうございました。

 きょうは最初に、ローカルな問題で大変恐縮でございますけれども、地元の秋田のことを何点かお伺いしたいと思います。

 秋田の男鹿半島、なまはげで有名なところでございますが、その国定公園における治山工事について、これは平成十三年の豪雨によって県道に対する大量の土砂の流出ということで治山工事が計画をされ、昨年から工事が始まったわけでございますが、この工事に関連して、自然環境保護団体あるいは県の方から、工事区域内における希少植物の存在があるということで、この工事をストップすべきだというふうな提起がなされて、オガアザミという新種の植物なようでございますが、一たん中断されましたが、調査の結果、今工事が再開されているということでございます。

 この自然保護団体の主張、東北森林管理局はどういうふうに自然保護団体の主張を受けとめて対応しているのか、お伺いします。

辻政府参考人 今先生御指摘の男鹿半島の芦の倉沢における治山工事でございますけれども、平成十三年の七月の豪雨によりまして土砂流出災害が発生したということから、再度の土石流の発生防止あるいは林地保全を図るため、男鹿市等の地元の要請に基づきまして、そしてなおかつ、場所が国定公園の特別地域内ということで、秋田県知事と協議をして実施しているものでございます。

 工事の開始後、秋田県より工事区域内に貴重植物が生育している可能性がある、こういう情報が寄せられまして、工事を一時中止して、植生調査を行いまして、ホタルブクロそれからミツバベンケイソウ等の希少植物の生育を確認したところでございます。このため、工事の再開に当たりましては、植生の現地調査結果、それから地元の植生の専門家、それから地元の自然保護団体等の意見を踏まえまして、工事規模を縮小する、それとともに、資材運搬を車ではなくてモノレールで行うなど、自然環境により影響の少ない工法に変更したところでございます。

 今後とも、自然環境に十分配慮しながら、適切な工事の実施に努めてまいりたいと思います。

山本(喜)委員 この災害が発生した箇所、ことしの台風二十一号でも大量の土砂が流出いたしまして、この治山事業は地元の大変強い要望があったわけでございますが、一方で、来春には国際自然保護連合の関係者が現地を視察するというふうなことになっているようでございます。

 ですから、環境省として、こうした災害予防事業と環境保護施策の調整をする必要があるんじゃないのかというふうに思っていますが、環境省としてのそうした調整ということについてはどうなっているのでしょうか。

小野寺政府参考人 既に林野庁からお答えしたように、男鹿国定公園の第一種特別地域にあります。国定公園の特別地域の許認可は県知事の自治事務ということで整理されておりまして、この治山ダムについても、既に県知事による同意がなされたというふうに聞いております。しかしながら、御指摘のように、アザミの新種を含む希少植物があるということで、これも林野庁の部長から説明がありましたが、既にいろいろな意味で自然保護団体、専門家の意見を踏まえて配慮をされたというふうに聞いているところであります。

 環境省としては、今後、工事の施工に当たっても、こうした自然が損なわれないように注意深く見守ってまいりたいというふうに思っております。

 それから、IUCNの専門家の視察については、聞いてはおりますが、いつどういう形でだれが来るのかということについては現在把握しておりません。

山本(喜)委員 災害予防ということと自然環境の保護という点について、ぜひ調和のとれた政策をお願いしたいというふうに思います。

 次に、産業廃棄物の関連でございますが、今この処理をめぐって全国でさまざまな問題が出ております。

 秋田の能代産業廃棄物処理センター、これは九八年に破産をいたしまして、そこに残された大量の廃棄物をめぐって地元住民とかなり大きなトラブルが起きておりました。地域の住民が、県や能代市を相手に、汚染された土地の原状回復と処分場の設置許可取り消しを求めて裁判になったわけでございますが、ことしの七月にようやく和解をいたしました。

 そこで、秋田県が今月の九日に事業実施計画書を環境省に提出しておりますが、この計画に対する産廃特措法の適用の可否についてまずお伺いします。

南川政府参考人 十一月九日、正式の協議を秋田県知事から私どもにいただいております。基本的にはおおむね適正だというふうに考えておりまして、早い時期に総務省との協議を行いまして、同意ができるように手続をとりたいと考えております。

山本(喜)委員 地元の期待が大変大きいわけでございまして、ぜひ早急な手続ということをお願いしたいというふうに思います。

 さらに、これに関連するわけですが、現場は、大量の廃棄物から漏れた汚水が地下水を汚染しているというふうなこととか、近くのため池でダイオキシンに汚染されて大量の魚が死亡しているというふうな状況もあります。あるいは、異常なにおい、これに対する住民の極めて大変な状況があるわけでございます。

 このことについて、埋めてはならないものが埋められている可能性とか、あるいは、作業によっては有毒ガスの発生ということも懸念されています。ですから、今後、作業が進む中で、大変緊張した場面が出てくると思います。

 ですから、事業の推進に当たって住民の意向が十分に反映されるように、県に対する指導というものをぜひお願いしたいと思いますが、これについて見解をお願いします。

南川政府参考人 御指摘のとおり、地元で、深いところに有害物質などが埋め立てられているんじゃないかという不安があるというふうに聞いております。

 私ども、事前に秋田県とは相当話をいたしております。ただ、現時点で深いところに何が埋まっているか判明するのは無理でございますので、現時点でわかっている範囲で計画をつくってもらおう、そして、私どもも支援をして、除去をしていただこうと思っております。

 ただ、その過程におきまして、必要な追加調査を行っていただくということにしております。したがって、その追加調査の結果を踏まえて、適切な対応がとられるように、秋田県には十分な助言をしていきたいと考えております。

山本(喜)委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、水俣病についてお伺いいたします。

 二十四日に関西で原告の方々とお話し合いがなされたようでございますが、報道によりますと、ゼロ回答というふうな状況だったようでございます。極めて遺憾なわけでございますが、この経過について、内容についてお話をしていただきたいというふうに思います。

滝澤政府参考人 十一月二十四日に関西訴訟原告団との協議をさせていただきまして、担当部長である私以下スタッフが大阪に赴きまして、判決日当日も、十月十五日でございますが、要望書の提出がございまして、御議論をさせていただきました。今回、引き続き二回目ということで、要請内容の確認等をさせていただいたところでございます。その要請内容あるいは趣旨につきましてお聞きしたわけですので、それを少し時間をいただいて検討させていただきたいという旨の回答をさせていただいたところでございます。

山本(喜)委員 多くの問題が焦点になっているわけですが、一つ大きな問題は、五十二年の認定基準の問題でございます。

 裁判の中で九一年の中央公害対策審議会環境保健部会水俣専門委員会の速記録が証拠として採用されたようでございますが、この速記録を見ますと、「医学的な診断基準ではない」というふうなことが速記録の中にあるわけですね、これは承知していると思いますが。あるいは、日本精神神経学会というところが、平成十年の九月十九日、この水俣病認定基準は誤りであるというふうに学会の方で見解を出しているわけです。そうした経過を踏まえての今回の判決でございます。

 これについて、政府とすれば、見直す必要はないというふうな先ほどからの答弁でございますけれども、もう一度、さまざまな意見があるわけでございますから、この認定基準というものを検証していくという立場に立つのかどうか、お伺いします。

滝澤政府参考人 お話に出ました五十二年の判断基準は、昭和五十二年に、当時の部長通知ということで、水俣病の公健法の制度上の審査の参考にするようにということで示されたものでございます。

 その後、昭和六十年、それから、今委員御指摘の平成三年の分かと思いますが、その二回にわたりまして専門家に再検討をしていただいて、この判断条件の妥当性が確認されておるところでございます。

 さらに、今回の最高裁判決では、高裁判決におきまして、五十二年の判断基準は公健法制度上の認定要件として認められ、それとは別個に賠償の判断準拠が示されてメチル水銀中毒症としての個々の賠償が行われたというふうに認識しておりますので、この判断基準が否定されたものではなく、さらにこれを検証するという必要性は考えていないところでございます。

山本(喜)委員 しかしながら、この判決を受けて、地元で、例えば熊本の岡嶋前県審査会長、この方は、この判決の結果、審査会の会長を引き受けることに難色を示しているというふうな報道がされているわけです。二重基準で、結局、審査会で棄却された人が裁判を起こせば、司法の方で認定されてしまうんじゃないかというふうに言っているわけです。こうした現場の混乱というものをどのように解決していこうとしているのか。

滝澤政府参考人 熊本県の審査会の状況につきましては、新聞報道あるいは断片的に情報も私どものところへ入ってまいりますが、まず、どういう状況かということを、きちっと客観的な状況を熊本県から再確認したいと考えております。

 それで、個別の委員の御意向とか意見につきましても、県と相談しまして、必要に応じてお話は聞いてまいりたいと思っていますが、たまたま、私の知る限りでは、十月三十一日がその委員の任期が来たということで、再発令がされていないという状況下でのいろいろなお話かと思っております。

山本(喜)委員 時間が参りましたので、熊本では、この判決を受けて新たな対応を出しているわけです。ですから、国の対応というのは急がれているというふうに思いますので、ぜひ誠実な対応をお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十分散会


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