衆議院

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第8号 平成17年4月19日(火曜日)

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平成十七年四月十九日(火曜日)

    午後二時五十二分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 近藤 昭一君

   理事 肥田美代子君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    城内  実君

      小坂 憲次君    近藤 基彦君

      鈴木 淳司君    砂田 圭佑君

      能勢 和子君    鳩山 邦夫君

      原田 令嗣君    船田  元君

      松宮  勲君    荒井  聰君

      岸本  健君    佐藤謙一郎君

      田島 一成君    長浜 博行君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    山本喜代宏君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        高野 博師君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  森本 英香君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小井沼紀芳君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    岡島 正明君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  梶谷 辰哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           平田憲一郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     原田 令嗣君

  根本  匠君     近藤 基彦君

  松本  龍君     岸本  健君

  土井たか子君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 基彦君     根本  匠君

  原田 令嗣君     城内  実君

  岸本  健君     松本  龍君

  山本喜代宏君     土井たか子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官森本英香君、外務省大臣官房参事官小井沼紀芳君、林野庁林政部長岡島正明君、林野庁森林整備部長梶谷辰哉君、経済産業省大臣官房審議官深野弘行君、国土交通省総合政策局次長平田憲一郎君、環境省総合環境政策局長田村義雄君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君及び環境省地球環境局長小島敏郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松宮勲君。

松宮委員 ありがとうございます。自由民主党の松宮勲でございます。

 本日は法案の審議の委員会でございますけれども、私は、この法案の前提となっております地球温暖化問題あるいは地球温暖化対策について、基本的な事項について、限られた時間でございますが、御質問させていただきたいと思います。

 まず第一点でございますけれども、二〇〇四年の秋にロシアが京都議定書を批准したことに伴いまして、先般、ことしの二月十六日から京都議定書がいよいよ発効することとなりました。我が国では、例の六%の排出削減というのがいよいよ義務づけられたわけでありまして、二〇〇八年から二〇一二年の第一約束期間の達成に向けて、今、獅子奮迅の努力が関係方面についてなされているところであり、そうした流れのもとで、今般この法律の改正も行われようとしているところでございますし、さらには、三月には京都議定書目標達成計画案なるものが取りまとめられ、恐らく連休明けでございましょうか、近々に閣議決定がされることになっていると伺っております。

 そこで、我が国にとっての京都議定書の目標値を達成するに当たって、まず、我が国が国際的に見て、どのような評価といいますか、位置づけと申しますか、地球温暖化・排出ガス対策としてどういう位置にあるのかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私個人は、長年かつての通産省に在籍をいたしておりまして、昭和四十八年、九年の第一次石油危機、そして五十三年、五十四年の第二次石油危機も直接行政分野で担当し、いろいろな省エネ、新エネ等の開発促進のための業務にタッチしたことが思い出されるわけでございますが、今思い出してみますと、第一次石油ショック前の原油の価格というのは、バレル当たり一・二ドルでございました。これが第一次石油危機のときには約十倍になって、十二ドル・パー・バレルになりました。それから数年後の第二次石油ショック、五十三年から五十四年でございますけれども、このときには、最高三十ドルの後半、三十六、七ドルまでいったかと思います。世界で最も海外的なエネルギー依存度の高い我が国にとって、しかもその大半を中東諸国を中心とした石油輸入に依存していた我が国にとっては、これは大変な桎梏、ハードシップでございました。しかし、にもかかわらず、ありとあらゆる分野における努力によって、見事に我が国は、省エネなり新エネの導入促進に努め、世界に冠たる省エネ大国を実現したわけでございます。

 この我が国の持っている力、あるいはこれからも持ち続けるであろう潜在的な力こそ、環境の世紀と言われております二十一世紀において、いろいろな意味で、今、憲法論議も含めて我が国の目指すべき国家像というのが喧伝されておりますけれども、一つの確たる方向として、国際的な貢献の大きな方途として、環境立国で、環境面で国際的な平和と安全と諸国民のウエルフェアの向上に寄与するという意味でも、この我が国のかけがえのない大変な力の蓄積そしてその活用というのは、大事な大事な資産だろうと思います。

 そういうことを踏まえて、今日、我が国の省エネ対策、あるいは新エネ、あるいは地球温暖化対策等につきまして、主として欧米諸国と比較してどういう評価を国際的にされており、そして政府としては、我が国の力量と申しますか、我が国の現状をどう評価していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

 私の質問の問題意識は、ともすれば一部の学者なり専門家には、ヨーロッパの、主として規制的な地球温暖化対策についての取り組みの方が日本の取り組みよりはすばらしい、より進んでいるのではないか、こういう見方が間々なされている嫌いがあるわけでございますけれども、その点も含めて、日本の力というのをどう評価されていらっしゃるのか、まず第一点、お伺いさせていただきたいと思います。

能勢大臣政務官 ただいま松宮先生からお話がありましたとおり、京都議定書の約束期間が二〇〇八年から二〇一二年まであるわけでありまして、先進各国も、この期間に向けてさまざまな政策、措置を導入しまして、議定書の目標達成に向けて各国ともに今頑張っているところであります。

 その中で、京都議定書の目標と現在の排出量について見ますと、英国、フランスなどは、議定書の目標を既にもう達成する水準に来ている、一方、我が国と、それからカナダ、スペインなどにおきましては、目標達成に向けてさらに排出量の削減が必要な国という位置づけになっておるところであります。

 それで、我が国はこれまで、先生の御指摘にありましたように、省エネにつきましては、本当にその推進とかに積極的に取り組んできておりますから、例えば太陽光発電とかハイブリッド車、あるいは燃料電池、省エネ型の家電ですね、今御指摘のとおり、ヨーロッパのみならず、国際的に見ても、すぐれた温暖化対策の技術を有している国だというふうに自負もしておりますし、また、認められておると思います。

 さはさりながら、それでは六%、プラス七・六の削減がいくかといいますと、なかなかそれは厳しい状況でありまして、京都議定書の六%削減を達成するには、さらに温暖化対策の一層の推進をしなければこの目標達成にいかないというのが現状でございます。

 そこで、今回、対策の見直しの中にあります京都議定書目標達成計画案では、今回の法改正に、算定・報告・公表制度の導入を初めとします追加的な政策を盛り込みまして、これらの追加的な政策を通して、対策を通して、何としても我が国も六%削減を達成していきたいという形で、この新しい対策の改正に向けて取り組んでいるのが現状であります。

 そういう意味で、技術面におきましては、今おっしゃられたように、あらゆる技術は世界的に評価されているというふうに思っています。そういう意味ではやっていますが、なお厳しい状況ということが一方にありますので、両方あわせてこれからも取り組んでいく決意でありますので、どうかよろしく御支援をお願い申し上げたいと思います。

 以上であります。

松宮委員 後ほどまたポスト京都メカニズムで御質問をさせていただきたいと思いますけれども、確かに、今お答えのように、我が国は、依然として六%という大変なハードルを克服するために、万難を排してこの壁を克服しなければいけないということでございます。

 ただ、個人的に申しますと、私は、京都議定書自体の目標値というのが、それぞれの国民にとって、公平性から見て至当であるかどうかということについては、これは経緯があっての数値でございますから、我が国としては、これは国際的な公約であり、条約も発効した以上は守らなければいけませんですけれども、京都議定書メカニズム自体がはらむ非常に大きな構造的な問題である、そしてそれが、後ほども御質問させていただくポスト京都議定書対策としてつくられるであろう国際的な枠組みの中では、ぜひともこれは、政府を挙げて、国を挙げてその見直しを図っていただきたいということを強調させていただきたいと存じます。

 GDP一単位当たりの我が国のパフォーマンスが、圧倒的に、ヨーロッパを三割ほど上回っており、アメリカに対しては二倍以上上回っており、まして、中国を初めとする多くの発展途上国に対してはけた違いであるということをしっかり踏まえた上で、我が国の国益も考えながら、そして、冒頭申し上げましたような環境面での国際的な貢献という意味でも、我が国のポテンシャリティーというものを大いに発揮していくべきだというふうに考えておる次第であります。

 ところで、この六%の目標を達成していくためには、排出源削減あるいは吸収源対策と同時に、いわゆる京都メカニズムの活用というのが非常に大事でございまして、あくまでも補完的な位置づけでありますけれども、六%のうち一・六%というのがこの京都メカニズムの活用で期待されている数値であります。京都メカニズムは、御承知のように、共同実施とか、あるいはクリーン開発メカニズムとか、あるいは国際排出量取引という、三種類から成るわけでありますけれども、いずれもまだ緒についたばかりと申しますか、本格的にはこれは二〇〇八年からでございますけれども、私個人としては、何としてもこの一・六%は京都メカニズムを活用しなければ、やはり日本の六%の達成というのは非常に容易ではないというふうに考えている次第でございます。

 しかし、例えば発展途上国との間の大きな柱になるべきCDMにつきましても、国連で認められたものはたしかまだ一件だろうと。後でちょっとお答えいただきたいと思いますけれども、一件にすぎないと思いますし、CDM理事会自体についても、やはりその審査に大変時間がかかるであろう。あるいは、その前の大前提として、プロジェクトの発掘、展開、そしてCDM理事会等での一連の手続で最終的にオーソライズされるまでというのが大変な時間とコストも要するであろうと。その辺、正式に二〇〇八年、第一約束期間がスタートするまでに詰めなければいけない問題点というのは、やはり非常に多々あるだろうという感じもいたしております。

 その辺についての国としての取り組みなりあるいは見通しについて、ぜひお伺いをさせていただきたいと思います。

小池国務大臣 御指摘のとおり、この京都メカニズムというのは、補足性の原則を踏まえつつも、京都メカニズムの活用ということは重要な観点でございます。

 京都議定書の約束の達成に向けましては、まずは国内対策を基本として最大限努力する、これは言うまでもないと思いますけれども、一方で、この不足する差分となるであろう基準年の総排出量比の一・六%分ということが注目されるわけでございます。排出削減事業の発掘であるとか実施に対する支援といったような従来の取り組みに加えまして、削減量を政府が円滑に取得するための仕組みの導入が必要である、このように考えております。

 今御指摘ありましたように、CDM理事会の方も、どのようにしてそれを測定するのかから始まりまして、どういう形でというのがまだまだ決まっていないという状況であるということは、私どももよく承知もしているところですけれども、であるならば、その仕組みについてしっかりと検討していかなければならないことも多々ある。二〇〇六年度からの実施を目指しまして検討を行って、そして必要な措置が速やかに講じられるようにしておくということで、京都メカニズムの活用をしっかり図れるように取り組んでまいりたいと考えております。

 一・六%というのは、数字の上では小さいように聞こえるかもしれませんけれども、排出量という点では、五年間で約一億トンということで、大変大きな数字であります。プロジェクトをそこの中に幾つ入れるかとか、非常に具体的なところになりますとこれから大いに詰めていかなければならない部分がある、このように認識をいたしております。

松宮委員 近く閣議決定されます京都議定書目標達成計画案の中でも、私も非常に至当だと思いますけれども、京都メカニズムの本格的活用というのが明記されております。ぜひ、今大臣のお答えのような方向で、この一・六%、目標完遂のためにいろいろな努力をしていただきたいと思います。

 とりわけ私はCDMの重要性を強調させていただきたいと思うんですけれども、冒頭来申し上げておりますように、日本の省エネ努力、あるいは地球温暖化対策に対する各般の各分野の努力の成果というのは、まさに本当に誇るべき、世界に冠たる水準にございます。したがって、これからさらに六%削減ということになりますとやはり大変な経済的コストを必要とするということでございまして、いろいろな文献にも明記されておりますように、日本の場合には、CO2単位で一トン当たり削減するのに約百十ドル、たしかEUは八十二ドル、アメリカは約五十五ドルということでございますし、発展途上国、中国を含めての開発諸国においてはそのコストというのはもっと安いということであるならば、これは、宇宙船地球号の観点から、世界大の削減量対策としてCDMというのを大いに活用していただくということは、大変これは大事な課題だろうと思っております。

 その際、一つは、これは質問じゃございませんですけれども、やはりODAをできるだけ積極的に活用していく、そして、CDMの場合に、適切で効果的なプロジェクトというのを発掘し、それをしっかりとクレジットとして獲得していくということが、戦略的にも非常に大事な課題だろうというふうに考えております。最近の厳しい財政事情のもとでのODAの削減というのが、国際的に見ても日本の劣位というのが非常に顕著にあらわれているということで、残念なことでございますけれども、ぜひ、国際的な環境政策の観点からも、積極的に前向きに大臣以下ODAを活用していく、それが、ひとり日本のみならず、世界全体の地球環境の浄化、温暖化対策に非常に実効ある策であるということを強調して、かつ、実を上げていただきたいというふうに思っております。私も、その面については積極的に御支援をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 それから、京都議定書の第一約束期間は、もう当然のことながら二〇〇八年から二〇一二年の五年間でありますけれども、その後の次期のステージをどうするかということは、ことしから本格的に議論が始まるということになっているところであります。(発言する者あり)御指摘のように、非常にこの面が大事なことであります。

 当初は、京都議定書、アメリカの批准も期待され、世界全体で、エネルギー起源のCO2換算ベースでは、約七割ぐらいの国が参加し、カバレッジ七割ということが期待されたところでございますけれども、恐らくこれは三割程度に終わるだろうし、それから、年を追うごとに、例えばこの議定書で義務を負っていない中国やインド等の経済発展、最近の大変な高度成長、それに伴うエネルギー消費の増大、それに伴う排出量の増大等々を考えますと、この三割の数値さえ逐年低下することがほぼ確実視されているわけでございます。

 繰り返しですけれども、もう本当に、宇宙船地球号、その一つの例として、大きなきれいな池があって、日本なり欧州諸国、批准をして義務を負っている国だけが一つの共有する池の中できれいに自分のところを浄化していっても、周囲のアメリカなり中国なりインドなり、その他の非批准国が、それなりには努力はしていらっしゃるんですけれども、相変わらず相対として我々やヨーロッパ諸国並みの努力をしていないということになったら、これは何のための地球温暖化対策かということになるわけでございますので、その辺もしっかりと踏まえて、先ほど来も指摘させていただきましたように、公平で実効性のある枠組みというのをぜひ構築しなければいけないという気がいたしているわけでございます。

 その点、今般の京都議定書目標達成計画案の中でも、非常にすばらしい文章が入っているわけでございます。気候変動枠組み条約における共通だが差異ある責任及び各国の能力に従い気候系を保護すべきとの原則を踏まえつつ、米国や発展途上国を含むすべての国が参加する共通ルールとしての施策が重要であると。恐らく、これを確保していくためには、間違いなしに、現下の京都議定書が規定するようなメカニズムでは無理だろうという感じが私はいたしております。

 何といっても、この面でも、日本が得意とするような、例えば、アメリカもまた精力的に取り組んでおりますCO2の固定化技術のより一層の開発、あるいは水素燃料等の開発、普及促進等々、テクノロジーの開発促進による貢献面で今まで以上に力を尽くしていかねばいけないでしょうし、さらに、先ほども御指摘させていただきましたようなCDM等のいわゆる京都メカニズムを、より柔軟に、活用しやすいようなメカニズムというものを入れていくという努力も必要だろうと思います。

 とりわけ、何といっても大事なのは、先ほど触れさせていただきました、エネルギー起源のCO2、排出量ベースで世界全体の二四%を擁しておりますアメリカとか、あるいは一三%を擁しております中国、さらには、六%でございましたか、インド等々、それにロシアも足しますと、この四カ国で世界全体の排出量の半分を占めるわけでございますから、こういう国の参加、そして参加に伴う義務をしっかりと遵守していただくということがやはり必要でございます。

 ある意味ではトレードオフの関係にあるわけでございますけれども、しかし、ぜひその面に向けて、日本の、冒頭来申し上げております、世界に冠たる省エネなり環境関連の技術を擁しておる、そして、これをまた発展途上国を中心に世界に伝播するだけの力もあるということを踏まえて、我が国にとっても裨益するような、そして世界全体が参加しやすく、効果のある、コストパフォーマンスの高いポスト京都議定書の枠組みというのをぜひ打ち立てていただきたい。

 繰り返しでございますが、いよいよことしから本格的な議論が始まるということでございますが、その辺についての環境省、政府としての取り組みの決意と、そして、大体今の時点でどういう問題点が議論され、どう収束しようとしているのか、なかなか今の時点ではお答えするのは難しいかと思いますけれども、わかる限りで結構でございますから、その辺も踏まえてお答えいただきたいと思います。

小池国務大臣 御指摘のように、いわゆるポスト京都、次期枠組みというのが議論の中でも極めて重要であるということはよく認識をいたしております。認識するだけでなくて、そもそも京都議定書で、ことしじゅうに次期枠組みについての議論を開始するということも定められているわけでございます。

 ただ、昨年十二月に、COP10、私も出席をいたしましたけれども、次期枠組み交渉の開始につきましては、先進国と途上国の立場、かなり大きいものがある、また、議論を開始することはなかなか容易ではないというような状況でございました。そこで、ことしの五月でございますけれども、各国政府の専門家によりますセミナーを開催するということが合意されるにとどまったというのが率直なところではないかなと思っております。

 ただ、我が国といたしましては、次期枠組みに関して、すべての国が参加する実効あるルールを構築するということは、これは日本にとりましても基本的な方針としているわけでございまして、そのためには、まず先進国が京都議定書の削減約束を確実に達成することが重要である、もちろん我が国もをやということでございます。

 これからの流れでございますが、ことしの七月は、G8のサミットがイギリスが主催国となって開かれるわけでございますが、その際のテーマとして、イギリスがリーダーシップを払ったテーマの設定で、気候変動ということが取り上げられることになっております。これに関連して、せんだって、委員会の、国会の御承認も得て私も出席した会議でございますけれども、G8議長国のイギリスが三月に開催いたしましたエネルギー・環境閣僚円卓会合、ここで、G8に加えまして中国やインドも参会をいたしておりまして、参加二十カ国が一致協力して気候変動問題に取り組む必要がある、その共通認識が確認をされたところでございます。

 第一約束期間二〇〇八年、今が二〇〇五年でございますので、あと三年後ということは、あっという間だということだと思います。そしてまた、その第一約束期間が終わる一二年というのも、これもあっという間になるのではないかというふうに思います。今、この時点ではまだまだ先のようなことに思われるかもしれませんが、そのあたりはかなり早い。そんな認識もいたしながら、一方で、次期枠組みに向けての先進国と途上国との共通の認識を積み重ねていくというのは、急いでやらなくちゃいけないということだと認識いたしております。

 現在、環境省では、まず中央環境審議会でこの次期枠組みづくりのあり方について検討いただいているんですけれども、これらの検討結果も踏まえながら、また、国際的な動向も踏まえながら、世界各国が参加できる共通の枠組み構築に向けて、その国際交渉などで我が国もリーダーシップを発揮してまいりたいと思っております。

 ありとあらゆるチャンスをとらえましてそういった国々への働きかけなども続けていきたいですし、また、次なる、アンブレラグループというのに日本が入っているんですけれども、その中にも、アメリカも入っております、ロシアも入っております。そういったいろいろな会合などを通じまして、そうした理解を、少しでも縮めていくということに努力をしてまいりたい、このように思っております。

松宮委員 本当に実効ある、そしてコストパフォーマンスの高いポスト京都議定書、国際枠組みの構築というのは、なかなか容易なことではないと思います。特に、アメリカ、中国という世界のナンバーワン、ナンバーツーの排出国をビルトインして、彼らをして成果を上げるような、そういう枠組みの構築に向けて、大臣が先頭に立って御尽力をいただきたいと思っております。

 最後に、環境税について、この京都議定書計画案との絡みで御質問をさせていただきたいと思います。

 環境税については、昨年、政府税調あるいは私ども自民党の党税調等々、各方面でいろいろな論議がなされておりまして、一つの経済的手法としての地球温暖化対策としての必要性なりあるいは是非について各界から関心が持たれているところでございますが、このたびの京都議定書目標達成計画案については、私は、関係方面の現時点での最大公約数的な取りまとめになったんだろうなと感じているところでございます。

 時間の関係で速目に読ませていただきますと、

  環境税については、国民に広く負担を求めることになるため、関係審議会を始め各方面における地球温暖化対策に係る様々な政策的手法の検討に留意しつつ、地球温暖化対策全体の中での具体的な位置付け、その効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取組の現状などを踏まえて、国民、事業者などの理解と協力を得るように努めながら、真摯に総合的な検討を進めていくべき課題である。

ということで、これが、いわゆる横断的な施策のポリシーミックスの一環として位置づけられているわけであります。

 政府税調では既に検討が始まっているところでございますけれども、追っかけ自民党でも党税調の作業が本格的に秋から年末に向けてスタートするわけでございますけれども、こういう目標達成計画案における、今読み上げさせていただきました環境税の位置づけを踏まえた上で、環境省として、環境税についてどう取り組まれようとしているのかということを、ぜひお伺いさせていただきたいと思います。

 私、個人的には、念のため申し上げますと、文字どおり自民党の税調で議論され、そしてまとめられたあの取りまとめのとおりやはり取り組んでいって、その中で、環境税についても、ワン・オブ・ゼムの方策として、ラストリゾートという言葉が適当かどうかわかりませんが、一つの選択としてあり得るというのが関係者のコンセンサスで出てくるならともかくも、その前にステップ・バイ・ステップで講ずべきあるいは議論すべき課題というのは非常に多くあるという感触だけ申し述べさせていただいて、環境省としての考え方をお伺いさせていただきたいと思います。

小池国務大臣 京都議定書の約束達成のためには、今回の目標達成計画に盛り込まれました各種の対策を確実に実施していくということが何よりも重要でございます。

 環境省といたしましては、環境税について、価格インセンティブ効果、そして財源効果などでさまざまな対策の実効性が確保できるということで、有力な追加的な施策だと考えております。六%の削減約束を達成するための対策を確実に実施するために必要ということを考えているわけでございます。

 また、京都議定書の約束達成のための対策が確実に実施されますよう、環境税については、計画案において、「真摯に総合的な検討を進めていくべき課題である。」と位置づけられているということから、国民、事業者などの御理解、御協力を得るように努めつつ、早急に議論を進めてまいりたいと考えております。

 委員冒頭に、七〇年代の石油価格、バレル当たり平均一ドル二十セントというお話がございました。それから考えますと、今、五十ドル台で推移しているわけで、これは、アメリカWTIを基本に考えますとそういった価格になっている。ですから、当時のオイルショックのころから考えますと、途方もなく高くついているわけでございます。しかしながら、石油がほとんどない我が国にとりましては、その後、地球温暖化と絡めてエネルギー対策をどうするかというのは極めて重要な観点だと思っております。

 その意味でも、この環境税を考えるに当たっても、総合的に真摯に考えていく重要なテーマだと考えておりますので、これからも、環境税につきましては、広く国民皆様方の御理解を求めて、私どももしっかりと広報活動なども続けてまいりたいと考えておるところでございます。

松宮委員 ありがとうございました。これで終わります。

小沢委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。よろしくお願いします。

 本日議題となっています地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 まず、私が思っていること、それは、京都メカニズムだとか森林吸収というのはもともと補足的な施策だったはずなんです。本当にメーンになるのはCO2の排出量を減らすことだったはずなんですが、なぜかつじつま合わせの数字を合わせるために、CO2を削減させることがメーンのはずなのに、そうじゃない補足的な措置だった京都メカニズムだとか森林吸収とか、そういったことばかりで数字を合わせているような気がしてなりません。

 ちょうど京都議定書を採択したCOP3のとき、今から八年前、一九九七年、私もNPOの活動家の一人としていろいろな形で協力させていただきました。環境問題に取り組む学生の仲間たちといろいろなイベントを開催したり、列島縦断エコリレーを企画して、その事務局などとして参画させていただきました。

 そのときに、いや、京都議定書がこうやって採択されれば、きっとCO2の排出量を減らしてくれるだろう、そしてそのための具体的な政策がどんどんと盛り込まれるんだろうと思っていたら、実際はそうじゃない。あの採択をされた後も、CO2の排出量はどんどんどんどんふえる一方。こんなにふえてどうするのかな、そろそろCO2の排出量自身を減らすための政策を練るのかなと思っていました。

 ようやく発効してCO2の排出量を減らすのかと思ったら、そうじゃない。京都メカニズムだとかそういうのが中心になって、排出量を減らすんじゃなくて、補足的な措置が中心となった。本末転倒ということになっているんじゃないかというふうな気がしています。

 そして、ことし二〇〇五年二月十六日、京都議定書が発効したことに私は大きな感動と感激を持ちました。そう思ったうちの一人です。しかし、地球温暖化防止対策というのはまだまだこれからだと言わざるを得ません。

 京都という名前がついています。日本を代表する地名です。世界にはいろいろな条約があって、例えば、歴史的には、ベルサイユ条約、ポーツマス条約とか、地名をつけた条約が後世に残っています。最近でも、ラムサール条約、ワシントン条約などと地名がつけられています。何としても、この日本の地名がついた議定書をしっかりと立派なものに、そして、後世に誇れるものに仕上げていかなければならない、私はそう考えます。

 党利党略や思想、信条を超えて、全世界が共通して取り組む必要があると思います。この環境委員会として活動しているみんなで力を合わせて、どうやってCO2の排出量を減らしていくのかということに真剣に取り組んでいきたい、そういうふうに思っています。

 まず冒頭、小池大臣に何点かお聞きしたいと思います。

 二月十六日の京都議定書発効を記念して、各種の記念行事やイベントが行われました。読売新聞の一面にどおんと出ていたように、この国会でも、議定書の発効日、全政党の方々が集まって、そしていろいろな環境NPOの活動家が国会に集まって、大きな地球儀の前で手をつなぎ、CO2の排出量を減らそう、地球温暖化を防止しようというイベントが開かれました。大臣の方はなぜか参加いただけなかったんですが、後で聞けば、京都の方のNPOの、それからいろいろな集まりに出ておられたということで安心させていただきました。

 このキャラバンでは、京都から東京までCO2を出さない自転車で、何と自転車で、京都から東京まで学生たちが中心になって自転車で走りながら、沿線の市長さん、知事さんなどと懇談をしながらアピールをしてきたというふうになっています。そして、国会到着後、私も含めて超党派の全党の議員が一緒に、国会の中で市民集会が開催されました。こういった形で、政府や自治体が主催するものでなく、まず学生や市民グループが自発的な活動をどんどんしていますが、こういったものに対しての小池環境大臣の見解及び評価をお伺いいたします。

小池国務大臣 京都議定書の約束を達成するためには、政府のみならず、地方自治体もそうですし、それから企業、さらには国民一人一人が参加していただく、それによって目標達成が初めてなり得るものだと考えております。事業者、国民、そしてもちろんNGOの皆さんなど、あらゆる主体の参加と連携が極めて重要でございます。

 二月十六日の京都議定書発効のその日でございますけれども、全国で広く学生そして市民団体の方々が、それぞれボランタリーに京都議定書の重要性をアピールする行動を起こされたというふうに聞いているところでございます。全国各地で四十八カ所、四十八の数の皆さんがそういった運動をされたということでございまして、温暖化防止に向けました活動の広がりを示すものだなと私も評価しているところでございます。

 私が参りました二月十六日の京都の国際会館でも、セッションの一部で、NGOそして学生の代表から成りますリレートークを共催させていただいて、実施をいたしました。これからも、国民一人一人の地球温暖化防止のための行動を促すように、学生、市民グループと連携したイベントなどを通じて、より一層の推進をしてまいりたいと考えております。

 委員におかれましても、ますますそういった意味で、キャラバンなどを通じて、より多くの国民の皆さんにお呼びかけしていただくのは大変歓迎すべきことだと考えております。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 さて、京都議定書の発効を受けて、三月二十九日、政府の地球温暖化対策推進本部は、京都議定書目標達成計画の案を決定されたというふうに聞いております。しかし、今回の地球温暖化防止のこの法案自身は、この目標達成計画そのものとはまた別物です。この京都議定書の目標達成計画自身を私はちゃんと国会で議論する場が必要なんじゃないかな、そして、できればそれをきちんとみんなで決定する場が必要なんじゃないかなというふうに思っています。

 もちろん、それに関連する今回の法律案を審議するに当たって、その部分も質問していきたいと思うんですが、本当は、その達成計画、日本にとって非常に重要なものです。これ自身を国会のテーマに、そして環境委員会のテーマにすべきだという御意見だけ申し上げたいと思います。

 しかし、平成十七年の環境省の予算案についてちょっとお話ししたいと思うんですが、予算案は既に国会で成立し、動き出しています。昨年八月の概算要求の時点では二百十二億円だった地球温暖化防止対策関係予算は、最終的には百九十億円で成立しています。その中には、石油特別会計の地球温暖化防止大規模「国民運動」推進事業として三十億円、都道府県センター普及啓発・広報事業として一億円、あるいは地球温暖化に係る将来目標検討経費二千七百万円などが盛り込まれています。

 そこで、小池大臣にお伺いいたします。

 今申し上げたように、京都議定書目標達成計画の閣議決定がなされる前に、既に平成十七年の予算で、今、目標の達成を目指した諸政策のメニューがその予算額とともに示されているわけですが、今後、閣議決定された後、目標達成計画に対応した補正予算を組む考えはおありかどうかというのをお聞きしたいと思います。

 御承知のとおり、京都議定書の第一約束期間は二〇〇八年から二〇一二年です。来年度、平成十八年度予算要求を待つこともなく、一刻も早く、今回、決定後、京都議定書目標達成計画を含んだ予算をつくるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 今も御質問の中でもみずから御指摘があったと思いますが、この目標達成計画案は、京都議定書の第一約束期間であります二〇〇八年から一二年度を目標期間として、実施すべき対策、施策を盛り込んでおりまして、十七年度に実施すべきもののみを盛り込んだわけではございません。

 また、今回の目標達成計画案でございますけれども、過去一年間にわたって地球温暖化対策推進大綱の評価、見直しの作業をずっと行ってきたわけでございまして、大綱の評価、見直し作業の過程で編成をいたしました、今既に施行されております平成十七年予算案の方は、目標達成計画案との整合が図られたものとなっているわけでございます。

 ですから、結論を申し上げますと、目標達成計画の策定で平成十七年度補正予算を組む必要が生ずるものではないと考えているところでございます。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

村井(宗)委員 それでは、この京都議定書ですが、実際どれぐらいの国民がこの京都議定書について知っているんでしょうか。

 本来、この京都議定書は、日本の地名がついた非常に重要なものです。地球温暖化という言葉は皆さん知っていると思うんですが、京都議定書のために一生懸命頑張ろうという話、一体どれだけの人が知っているかということで、内閣府が平成十三年七月に地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査を実施しました。

 この調査の結果によれば、京都議定書を知っていると答えた人の割合は一九・八%、十人に二人もこの京都議定書を知らないということが明らかになっています。男女別で見ると、男性で二八・三、女性で一二・七。特に、本当の、家庭の方でCO2の排出量を減らそうという方、女性の方々に対して、きちんとまだその部分が徹底できていないのかなという気がします。最も高かったのが五十歳代の男性で三八・八%、最も低かったのは二十歳代の女性で五・八%だったと内閣府が報道をしております。

 私は、この京都議定書という言葉、そして地球温暖化防止対策という言葉が、例えば、今みんなが知っているようなマツケンサンバだとかホリエモンというぐらい、みんなが知っているような言葉に変えていかなきゃならない、そうしなければ、本当に国民的な運動として、京都議定書の目標を達成することができないというふうに私は思っています。このため、広報宣伝、メディアの分野にも大変精通しておられる小池環境大臣にはどんどんと活躍してほしいと思っています。

 そこで、大臣にお聞きします。

 地球温暖化問題及び京都議定書目標達成という課題について、国民全体に十分な理解が浸透しているとは言えないと思うんですが、大臣自身の見解と今後の広報及び普及啓発についての取り組みをお伺いいたします。

小池国務大臣 地球温暖化についてどう思うか、その問題について知っているかというと、大変高い方々が認識をされていると思います。また、環境税について尋ねましても、ほかの税の場合は非常に拒否反応が強いんですが、往々にして、環境税についてはかなり理解を進めるような、今ちょっと数字を持っておりませんけれども、そういった世論調査が多々ございます。国民の多くが地球温暖化に対して関心が高い、そしてまた京都議定書という、今数字を示されましたけれども、京都議定書に対しての認識も日々高まっているというふうに思っております。

 一方で、じゃ、何をすればいいのかということになりますと、行動参加までは至っていないというのが現状ではないかと思っております。温暖化防止の具体的な行動に結びつくような国民運動を広く展開する、そして国民の一人一人の意識を改革していくためのそういった施策が必要だということは御指摘のとおりだと思います。

 そんな流れから、毎年六月は環境月間でございますけれども、ことしの六月を中心に、経済界を初めとする各界各層と連携しまして、テレビ、新聞、ラジオなど有機的に用いて、温暖化の危機的な状況の周知徹底、そして具体的な温暖化防止行動の実践を促すような集中キャンペーンを実施しようとしております。

 経済界との連携というのは、よく各社が、例えば太陽光発電などのコマーシャルをされるときに、そのときに京都議定書というようなことも一緒にうたっていただくとか、一緒に温暖化防止をやっていきましょうという統一ロゴマーク、せんだって発表させていただきました。各社がそれを使って宣伝をしていただくといったようなことで進めてまいりたいと考えております。

 それから、これは国会でもぜひとも御協力いただきたいんですけれども、私、夏の軽装については徹底して展開をしていきたいと思っております。一番身近な問題であって、そして、ネクタイをとったら、では何を着ようかといって皆さんが考えていただくという、そこから意識改革が始まる。言ってみれば、明治維新の際のお侍さんから刀とちょんまげを取り上げるというようなショック療法でございまして、皆様方にもこの国会の場で、ではどうするのか。例えば、この環境委員会では率先してそれをやろうではないかという委員長の御提言ぐらいが出たらいいなというふうに思っているわけでございます。

 ですから、国会という極めて重い場で、ただ国民の代表であられる皆さん、議員が集まっている場でどういう対応をするかというのは、ある意味で大変な、それこそアナウンスメント効果があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 何を着ようかとお迷いになったときはどうぞ御相談いただければ、沖縄のかりゆしもございますし、いろいろな方法で、またそれはそれで一つのきっかけとなって、京都議定書もそれとともに広がっていく、そういった形で有機的に対応してまいりたいと考えております。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

村井(宗)委員 さすが、私の尊敬する小池環境大臣でございます。新進党時代は国民運動委員長として、自由党、保守党のときは広報委員長として活躍してこられた大臣ですから、国民的運動を盛り上げていただきたい。

 そして、今急におっしゃられたことですが、まず、マスコミ向けのパフォーマンスと映るかもしれませんが、大臣が今御提言されたことを私はやるべきじゃないかなと思うんです。一回でも二回でも結構です。環境委員会の中で、例えばある日を決めて、委員長に質問というのはルールはだめなのかもしれないんですが、今大臣がおっしゃられたように、例えば上着を脱いで半そでで、環境委員会の部屋だけは冷房をとめるなどといった、一回か二回だけでも結構ですので、マスコミを呼んで、そうやって挑戦することによって、国民に、国会議員も京都議定書目標達成のために本気で頑張るんだということ、私も大臣の意見に賛成したいと思います。理事の皆さん、ぜひ御企画ください。

 というわけで、大臣の今の提言について、済みません、言っていなかった話を急に言っちゃいましたけれども、話を戻します。

 この待ったなしの地球温暖化防止対策を国民運動にまで盛り上げていくためには、環境問題に取り組んでいる多くのNGO、NPOの皆さんを巻き込んで、その活動を支援していくことも有効だと考えますが、環境省の取り組み、NPO、NGOへの支援の内容などを御説明ください。

小島政府参考人 温暖化対策以外にも、環境省になりましてから、NGOあるいは一般の方々からの政策提言を受け、それを取り入れていくというような努力をしております。

 温暖化につきましても、従来より地球環境基金を活用しておりますけれども、平成十六年度からは、環境省とNGO、NPOとの間で何回も話し合いをした上で生まれてきたアイデアでございますが、地域協同実施排出抑制推進モデル事業、漢字がたくさん並んで申しわけないんですけれども、こういう事業を予算化して、各NGO、NPOと一緒になって温暖化の対策をしているものでございます。十六年度、十七年度、各一億円ということでございます。

 これで、十六年度の実績では全部で十七のプロジェクトを採択しておりますが、市民団体が地域住民などと一緒に行います事業でありますとか、あるいは温暖化防止活動センターと連携して行います事業ということで、例えば市民風車の立ち上げをするとか、いろいろなアイデアをこの予算を使って実現していただいているということでございます。

村井(宗)委員 冒頭でも触れましたが、目立たないところでこつこつと活動しているNPOが全国にたくさん存在いたします。国民の認知度を上げるためにも、十分な連携とバックアップをお願いしたいと思います。また、例えば環境省のホームページなんかでも、後援とか共催もしくは協力ということで名前を出したところは告知に協力するだとか、いろいろな手段があるんじゃないかと思っています。

 さて次に、公的部門のリーダーシップ、言ってみれば率先垂範について環境省にお伺いしたいと思います。

 国民向けのキャンペーンももちろん重要です。それと同時に、官公庁や公営の交通機関、公営の事業体や各種の公共施設、国公立の学校や病院など、すぐにでも取り組めるところから率先して始めようという姿勢が求められていると思いますが、環境省の見解をお伺いいたします。

小島政府参考人 民間に対策をお願いしているわけでございますから、政府あるいは公的部門が率先して行うということ、これも当然のことでございます。今回の京都議定書目標達成計画案におきましても、そのことについて具体的にまた触れております。

 現在、政府の実行計画がございますけれども、この新しい京都議定書目標達成計画の策定を機に、従来のものに加えまして、霞が関官庁街における省CO2化モデル事業を推進するとか、あるいはその実効性を高めるために省庁ごとの実施計画をつくるということで、さらに、プラン・ドゥー・チェック・アクションという評価システムを盛り込んでいくということで、範となる対策をやっていきたいと思っております。

 また、地方公共団体の実行計画につきましては、現在三千ほどの地方自治体がございます。都道府県は全部つくっておりますけれども、市町村については三千のうち千ぐらいしかまだつくっておりません。これは法律上の義務でございますが、実態は、大きな市から小さな市まで、あるいは町までいろいろございます。そういうところで、これまではまだ三分の一程度にとどまっておりますが、今後、市町村合併ということで市の規模も大きくなって、その対応も可能になるのではないかと思います。それを機に、環境省といたしましても、再度その機をとらえまして、地方自治体におきましても実行計画をつくっていただいて、これを実施していただくように御相談をしていきたいと思っております。

村井(宗)委員 今の小島さんの件でちょっとお聞きしたいなと思うのが、例えば環境省の中でも、夏場でもそのまま背広を着ておられますでしょうか、どうでしょうか。

小島政府参考人 環境省は、各省庁の中の率先垂範でございまして、昨年、大臣の強力な御指示によりまして、夏はノーネクタイ、ノー上着ということであります。

 官邸の会議に私もノーネクタイ、ノー上着で参りまして、総理以下ほかの大臣、背広を着ておられましたので、私としては、これは非常に失礼に当たるのではないかと思いましたが、大臣が、それで行けという御命令でございました。官邸の方にも、そういうことでことしは環境省は通すのでよろしくお願いしますということで、私は出席いたしましたが、その会議は非常に寒くて、風邪を引きそうでございました。そういうことがありまして、やはりスカートをはいている女性に合わせて部屋の温度を設定していただかないと、ノーネクタイ、ノー上着では寒いということを身をもって実感した次第でございます。

村井(宗)委員 今のそのお話を皆さんに聞いていただきたいと思って、あえて質問したんです。

 ノーネクタイ、ノー上着、そして弱冷房ということで、私らもやはり率先して取り組まなきゃならないんじゃないかなというふうに思うんです。少なくても、本会議全部というわけにはいかないにしても、環境委員会の中でも、ぜひ、先ほど大臣がおっしゃられたことですが、理事の皆さん、一回御協議ください。夏場、環境委員会の部屋だけ、弱冷房に挑戦、ノー上着、ノーネクタイ、きっとこれで、京都議定書に対して環境委員会の仲間たちが、国会議員たちが本気になって取り組もうとしているというアピール、そしてそこに対してのマスコミの報道などで、京都議定書というものの知名度が上がるんじゃないかなというふうに思っています。できればいろいろなところで、本当に夏場でも、思いっ切り冷房をつけながら上着を着たり、ネクタイをつけたりしているということが非常にばかげているんじゃないかなと私は思っています。ぜひ、私らから率先垂範したいというふうに思っています。

小沢委員長 一言いいですか。

 村井委員のその御提案、御提起に関しては、既に理事会で協議を始めております。一言御報告を申し上げます。

村井(宗)委員 ありがとうございます。では、ぜひそれでいきましょう。

 さて、国民向けのキャンペーンも重要ですが、次に、産業部門の対策の問題について移りたいと思います。

 現在の技術水準では、経済が成長すればするほど、言いかえれば、産業活動が活発になればなるほど温室効果ガスの増大につながるということは間違いありません。そこで、新技術の開発に積極的に取り組み、省エネ技術の導入にも力を入れながら、成長と地球温暖化対策の両立を目指さなければなりません。

 そこで、環境省にお伺いいたします。

 日本経団連が取り組んでいる産業分野の自主行動計画については、業種別、企業別に排出量の目標数値を明らかにして報告と公表を実施していく仕組みが必要であると考えますが、環境省の方針をお伺いいたします。

小島政府参考人 経団連の自主行動計画は、経団連全体の目標、いわゆるプラス・マイナス・ゼロ以下にするということと、各業種別、現在三十四の業種で自主行動計画を定めておられますけれども、その業種別の目標というものがございます。

 これらにつきましては、その透明性、信頼性、目標達成の蓋然性ということで関係審議会においてフォローアップを行っているわけでございますけれども、この自主行動計画自体については、このスキームを活用していきたいと思っております。昨年の目標達成計画の調整の中で、これまで中央環境審議会はそれにかかわっておりませんでしたけれども、そのフォローアップにかかわるべく、議論も始めております。

 他方、報告と公表ということにつきまして、今回御提案しております温室効果ガスの排出量の算定・報告・公表制度というものがございますけれども、こちらの方は、事業者の自主的な取り組みを促進していく、そのインセンティブを高めていくということでございますので、個々の事業場あるいは企業について目標の数値を明らかにした上で報告をとる、こういう仕組みではございません。まず、みずからのポジション、どれだけ出しているかということを御確認いただいて自主的な取り組みを進めたいということで、経団連全体としての対策と個々の事業場、企業の対策というのは、二つは分けながら、ともに補い合って温暖化対策が進むということを考えているわけでございます。

村井(宗)委員 次に、家庭部門の対策についてお聞きいたします。特に省エネ住宅について私はお話ししたいと思います。

 内閣府では、昨年十一月に住宅に関する意識調査を実施しています。その中で、今住んでいる住宅についてお聞きするところがあるのですね。敷地内や団地の緑化について、住宅の断熱化工事による省エネルギー対応など、地球温暖化への対策を講じることについてどのように考えているかというアンケートがあるんです。

 調査結果を見ますと、「自主的に取り組みたい」と答えた人は一四・六%、「行政からの支援(工事費の一部補助や低利融資、税の優遇など)があれば、前向きに考えたい」という人が三四・三%、「地球温暖化には関心はあるが、費用負担のことを考えればむずかしい」という人が三八・五%、「地球温暖化には関心がない」と答えた人は五・一%。

 興味深いところだなと思ったのが、「自主的に取り組みたい」と答えたのは六十歳代の人に多く、「行政からの支援があれば、前向きに考えたい」と答えたのは三十代、四十代に多かったというところなんですね。やはり地球温暖化防止対策の重要性、頭でわかっていても、なかなか自費で工事をしてまで自宅の省エネ化をしようという人は多くはありません。特に、三十歳代、四十歳代では、ただでさえ住宅ローンの負担、子供の教育費などで手いっぱいな状況だと思います。一方、六十歳代の人では、住宅のリフォームに際してバリアフリー化、耐震化などの関心も高く、地球温暖化対策にも自費で取り組む資金的な余裕がある人もおられます。

 そこで、環境省にお伺いいたします。

 家庭部門の排出削減対策として、住宅の新築及びリフォームの際に、耐震化やバリアフリー化と並んで省エネ化を強力に推進すべきではないかと考えます。例えば、今までの窓ガラスなんかで、アルミサッシプラス単体ガラスをもし樹脂サッシプラス二重ガラスに取りかえれば、年間CO2発生量で二・七トン、電気料金に換算して八万五千円と、それぞれ四〇%近く削減できるという研究結果も報告されています。仮に、日本全国で三千万戸の住宅がこれを実施すれば、CO2削減量は年間八千百万トン、集合住宅も加えれば、うまくいけば約一億トンの削減ができる計算で、京都議定書の目標をクリアできることになります。

 この住宅の省エネ化についての環境省の取り組みをお伺いいたします。

小島政府参考人 家庭部門の対策というのは、住んでいる家と、それからその中に入っている家電製品あるいは給湯器という二つの対策がございます。今委員御指摘のところはまず家の方だと思うんですけれども、新築のものだけでなくて、リフォームの場合、これもかなりの効果があるわけでございます。全体の窓の開口部、あるいは外断熱、屋根、床、これを全体で省エネ改修と仮に言いますと、大体五百万ぐらいかかるというふうに言われております。なかなか、それだけのために五百万程度のお金を使うかどうかというのは、かなりの出費になります。

 そこで、やはり何らかの支援が必要ではないかというふうに思いまして、実は去年は窓ガラスの開口部についての減税措置をお願いしたということでございますが、一つは、財源がないではないかというお話と、本体の住宅減税というのが去年は大きな問題でございましたので、私どもの要望というのは実現をしなかったという経緯がございます。

 事柄の効果というものは非常に理解をしておりますけれども、それを政府部内でどのように実現していくかということは、我々の課題だと思っております。

村井(宗)委員 次に移ります。

 京都議定書目標達成計画では、日本の目標である六%について、この六%を各対策分野別に割り振る計画がいつもつくられています。ですから、全部、一〇〇%うまくいって初めて六%減るという計算になるんです。でも、もし企業とかで戦略的に目標をつくって、何が何でもこれを達成せにゃならぬというふうになったら、多分それぞれの分野がもうちょっと上増しの目標をつける。全部うまくいけば、例えばこれだけいけるんだ、だけれども、何個かがうまくいかなかったとしても、これだけの目標、ぎりぎりで達成できるというふうにやっていくはずなんです。民間では、少なくてもそうするはずなんです。

 ところが、今回、全部うまくいってやっとぎりぎり六%達成できるという計画では、私は本当にこれで達成できるのかなというふうに疑問を持っています。まあ全部うまくはいかぬから、結局またCO2排出量は減らせられぬけれども、京都メカニズムを使ってお金でどうにかできるんだなと考えていたら、私はそれは違うと。京都議定書というだけあって、やはり日本の威信と誇りをかけて、私たち国会、そして行政が取り組まなければならない課題なんです。ですから、何が何でも六%減らすんだ、そのためには、各分野合わせて八%の目標をつくって、結局何個かうまくいかなくても六%減るという形にすべきじゃないかなというふうに思っています。

 国内の排出削減において、ある程度高目の数字を目標に計画すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

小島政府参考人 現行の温暖化対策推進大綱も、同じように足し合わせてマイナス六%という数字になっております。

 今回の京都議定書目標達成計画においては、そのガス別の目標を変更いたしました。現在の大綱もそうですが、目標に甘んずることなく、できるところはもっと削減をすべきだということを書いております。

 委員御指摘のように、エネルギー起源のCO2というのはなかなかうまくいっておりませんけれども、そのほかの五ガス、五・五ガスと申しましょうか、これはかなり対策がきいておりまして、当初の目標以上のパフォーマンスを示しております。逆に、そのパフォーマンスがうまくいっているところが、今回の計画ではエネルギー起源CO2が上方修正をしている、こういうことになっているわけでございますけれども、それでも基本的には、目標をそれぞれ設定しておりますけれども、この目標に甘んずることなく対策を進める。ただ、いろいろな状況の変化もございますので、絶えず点検をし、評価見直しを行って、適切な計画にしていく。また実施も、実現可能性を高めていくという不断のチェックが必要だというふうに考えております。

村井(宗)委員 国際的な問題に目を投じますと、何といっても、一般に京都議定書の課題で議論されるのが、アメリカさんにどうやって入っていただくかということだと思います。昨年十一月十日の経済産業委員会でこの問題を取り上げ、中川経済産業大臣に対して、アメリカへの強い働きかけの必要性を私は訴えさせていただきました。他方、ロシアの元環境・天然資源大臣のように、二〇一二年までにはアメリカも参加するだろうという発言もあります。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、アメリカに対しての呼びかけなどはどのように行っていますでしょうか。また、アメリカが仮に京都議定書に参加してもしなくても、日本とアメリカはCO2固定化技術などの技術面で積極的に協力し合い、結果として両国のCO2削減が促進されるように取り組むべきだと思います。

 また、京都議定書そのものは、先進国の中で目標が達成されなかった場合はどのようになるんでしょうか。その辺、環境省の見解をお聞きいたします。

小島政府参考人 まず、約束期間内に削減目標を達成できなかった場合の措置というのは、マラケシュの合意で定められております。まず第一に、排出超過分の一・三倍を第二約束期間の割り当て量から差し引くこと。それから、遵守行動計画を提出すること。それから、排出量取引による移転を禁止する。この三点でございます。

 アメリカへの働きかけというのは、ポスト京都を成功させる上でも非常に重要なことでございます。途上国と先進国との溝はかなりまだ深いものがあるということを先ほど大臣から申し上げましたけれども、途上国の参加を促すためにも、やはりアメリカが入っていただかないとなかなか実現できるものではない。その両にらみのものであります。

 もう一つ考慮しなければいけないのは、今回のG8のプロセスの中でありますけれども、一体、京都議定書のその先の温暖化対策というのは、いつまでにどのぐらいの温度上昇あるいは温室効果ガス濃度あるいは排出量の削減リミットというものを目指していくのかという、そのゴールに向かっての確かな一歩をどういうふうに踏み出していくか。そして、そのボトムアップの方法とトップダウンで来る部分のギャップが必ずあるわけですが、間に合うのかというような議論の中で、共通の認識をアメリカや中国やインドが持っていただいてこれはやらなければいけないと。やる方法も、それぞれ共通だけれども差異はある、能力に応じてという国際的な合意にどうやって持っていけるか、不断の呼びかけと共通の認識を一つ一つ積み重ねていくということが重要ではないかと思っております。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 それでは、最後の質問に入らせていただきたいと思います。

 京都議定書の次の段階である二〇一三年以降の枠組みに関する交渉が二〇〇五年にも開始されるわけですが、日本の目標達成が非常に厳しい現状では、環境省の言うところの、世界をリードする役割などはほど遠いのではないかと残念ながら私は思うわけです。小池環境大臣の強いリーダーシップで何とか京都議定書の目標を達成する、そして、単に数字だけを合わせればいいというのじゃない、CO2の排出量自身を削減するんだという強い御決意それから所見などをお伺いいたします。

小池国務大臣 まず、目標達成計画に盛り込まれました対策を確実に実施してまいる、そして、六%の削減を達成することで、それを背景として、我が国として、国際的な実効ある将来の枠組みづくりに向けて積極的な貢献を続けてまいりたいと考えております。

 まずは、我が国は足元をしっかりと固めるということ、これに必要な施策をしっかり取り組んでまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

村井(宗)委員 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島でございます。

 村井委員に引き続きまして、大臣以下関係の各位に質問をさせていただきたいと思います。先日の本会議でも代表質問の機会をちょうだいし、大臣以下、関係大臣からも答弁をいただきましたが、委員会の質疑でございますので、ちょっと深掘りをさせていただきたい、また、大臣答弁に関連した質問をさせていただきたいと思っております。

 やはり一番この法改正で気になっております部分、本会議でも申し上げたんですけれども、まずは企業秘密の扱いであります。

 世界各国の状況を大体見渡しますと、この企業秘密の扱いというのは、アメリカであるとかカナダなんかも、今回の提案と同じように、比較的非開示というのを求められているようでありますけれども、それでも、EUとしては原則すべての公開という、そういう姿勢を示していらっしゃいます。ある意味では、こうした強い姿勢で、地球温暖化に日本が対峙をしていくんだという姿勢を示していくべきだというふうに思うんですが、どうしてここまでに企業秘密というものを意識され、EUのような全面開示という強い姿勢をとられなかったのか、そのあたりの御回答をお願いできますか。

小島政府参考人 今回の算定・報告・公表制度というのは、委員御指摘のように、情報の開示ということを基本として、例外的に、企業秘密になる場合にその保護をするということにしております。

 今、EUの制度についての御指摘がありました。EUの制度につきまして、EUの類似の制度であります汚染物質排出登録制度、これを活用して、CO2についても、六ガスについても出しているわけでございますが、これ自体において、今御指摘のように、原則すべて公開、ただし個人情報に係るものは例外というふうに私ども聞いております。

 しからば、個人の秘密は保護されて企業の秘密は保護されないのかということを見てみますと、別のEUの指令がございまして、環境情報へのアクセスに関する理事会の指令という一九九〇年の別途の指令がございます。ここには、個人情報に関する秘密のほかに、知的所有権を含む商業、工業に関する秘密というものも挙げられております。我が国の行政情報公開法にありますような、第三者から入手した資料というのも保護されるというようなことでございますから、これが、環境に関するということでございますが、情報公開の一般法に該当するのではないかと思っております。

 実際の運用がどうなっているかということをあわせて判断をしていかなくてはならないわけでございますけれども、EUの対象が、CO2では十万トンという非常に大きなオーダーであります。今回の私どもの制度ではおおむね三千トンというようなことでございますので、ちょっとEUのすそ切りが多いので、全体の運用の実態を見ながら、その制度というものの動かし方というのを判断していかなきゃいけないと思っております。

 今後とも、EUとの会議の機会とかありますので、そこの調整なり情報の交換なりはしてまいりたいと思っております。

田島(一)委員 今の局長の御回答ですと、できるだけEUからも情報収集をしながら参考にしていきたいと。つまりは、原則すべて公開という姿勢も今後あり得るというふうに解釈してよろしいんでしょうか。

小島政府参考人 情報の公開は、EU、イギリス、アメリカ、カナダ、御指摘のように先進諸国でございます。行政情報の基本といたしましては、情報を公開することを原則として、特定の場合には秘密として保護するというのが一般的でございます。プライバシーのほか、企業秘密も通常は守られるということでございますので、EUの運用もそうではないかと私は思っておりまして、そのことの確認をEUの方にもしたいと思っている、こういうことでございます。

田島(一)委員 解釈によって、これを全面公開かどうか、確かにおっしゃるようなとらえ方もできます。しかしながら、私たちは一般的に、世界各国の状況を把握したときには、アメリカやカナダと比べると、EUというのはやはり原則公開だという前提で私たちは勉強してきたつもりであります。その辺の解釈のことも、また後々お調べいただいたらお示しいただきますようにぜひお願いをしたいというふうに思います。

 ただ、今回のこの一部改正法案の中で、企業秘密を認めるかどうかという決定についてのプロセスをちょっとお尋ねしたいんですけれども、企業秘密を認めるかどうかは、それぞれの事業所管大臣が判断するというふうになっていると思うんですけれども、果たして本当にこれでいいのかどうか、ここに私はちょっと疑問を持つわけであります。

 例えば、PRTR法に目を向けますと、主務大臣が判断基準を定めることができるというふうになっているんですけれども、本改正法案においても、普通このようなものを参考にした形で進めなきゃいけないんじゃないかなと思うんですが、今回のこの改正案においての判断、どのような基準と手続をとっていかれるおつもりなのか、その辺をお示しいただけますか。

小島政府参考人 PRTR法の秘密の審査基準は、各大臣連名で今決まっているわけでございますけれども、これは行政手続法の第五条第一項の許認可を行うという場合に、その判断をするために必要とされる基準、審査基準というものを定めるということになっております。その審査基準はできる限り具体的なものにしなければならないということでございますし、また、その審査基準は公にしておかなければならない、これが行政手続法の定めでございます。

 情報の公開ということでございますから、その一般法は行政情報公開法、こういうことになるわけでございますから、内容的には、行政情報公開法の基準というものを行政手続法に基づいて具体化、明確にする、こういう手順になるわけでございます。PRTR法の審査基準同様、この算定・報告・公表制度におきましても同じ手続をとって、情報に関する、秘密かどうかの審査基準を定めるということになると考えております。

田島(一)委員 わかりました。

 それでは、例えば排出量についての情報、これが企業秘密としてもし認められたとした場合、この事業所管大臣というのは、環境大臣、それから経済産業大臣に対して、事業所ごとの合計量を通知するということになっていますよね。

 では、具体的に、この個別の六つのガスそれぞれの排出量データについては、環境大臣、それから経済産業大臣の方には全然入ってこないということになっているかと思うんですが、ちょっとまず確認からお願いできますか。

小島政府参考人 今回の改正案で、事業者が秘密であるというふうに考えますものは申請をする、事業所管大臣がそれを判断する。判断したものにつきまして、経済産業大臣、環境大臣におきましては、最終的に、公表するプロセスを自分でとっていくわけでございますから、秘密に関する事項は通知をされない。公表をする事項について両大臣に通知をする。そこから、経済産業大臣、環境大臣の公表に係る事務が始まる、こういうことになっております。

田島(一)委員 企業秘密だからといって、排出量の全体だけを知っていて果たして本当にいいのかな。環境大臣ともあろう主務大臣が、そういった全容を御存じなくて果たして本当にいいんだろうか、私は、そういう点に非常に疑問を持つんです。

 大臣が企業秘密を漏らしかねないという、何か疑われているような、非常に、大変失礼なような法の内容のように私は受けとめるんですけれども、大臣、その辺に対しては、非常にプライドを傷つけられているように私は思うんですが、どうですか。

小池国務大臣 今、国際競争の中で、地球温暖化も、これも競争ではございますけれども、一方で、何銭のたぐいでもって国際競争で戦っている企業というのもあるわけでございます。

 それを判断する所管の大臣のところにその数値が行くわけでございますので、そういったことで、なおかつ、全体の合計量とすれば、それは把握するわけでございまして、適正に、法の趣旨に合った形で全体量もつかめるということかな、このように考えているところでございます。

田島(一)委員 何かよくわからない逃げ方をされたように私は思うんですけれども、主務大臣としては、地球温暖化ガスの排出量をそれぞれのガス別、種別に的確な数字をきちんと把握する。企業秘密であっても事業所管大臣の方には届けなきゃいけないわけですから、主務大臣として知っておく必要が私はあるんじゃないかと思うんですが、知る必要はないとお考えなのか、その辺をはっきりと、イエスかノーかでお答えください。

小池国務大臣 今お答えしたとおりでございますけれども、環境省としても、地球温暖化対策を推進していくということに当たって必要な情報をちょうだいできる、このように考えております。

田島(一)委員 環境大臣が御存じなくてもいいんだ、そのような姿勢であるというふうに今受けとめさせていただきました。

 では、次の質問に入らせていただきますね。

 目標達成計画案についてなんですけれども、この実効性をどのように担保していくのか。

 本会議の方でも質問させていただいたんですけれども、大臣は、大規模な国民運動を展開し、あらゆる施策を講じていきたいというふうにお答えになられました。あらゆる施策、答弁の時間も限られていた中ですから、具体的なふうに答えてはいただけなかったんですけれども、この具体的な部分についてちょっとお尋ねをしていきたいんですが、まず、この計画の中に挙げられている対策、それから施策、これを確実に実施していくために、予算の確保というのが何よりも重要になってくるかというふうにも考えます。

 ひもときますと、平成十六年でも一兆二千五百億円、それから十七年度でも、減額はされたものの、一兆一千四百億円を超える予算が使われてきました。しかしながら、残念なことに実効性が上がってこなかった。一体幾らを使っていけば、この六%削減というものが達成できるのか。示せるものならば、具体的な金額を本当はお示しいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

小島政府参考人 地球温暖化対策推進大綱関係予算というのは、平成十六年度一兆二千六百億円、ことし二月中旬に集計いたしましたものは、十七年度で一兆一千四百億円ということで、約九%の減でございます。これは、特殊法人の独立行政法人化に伴って、その運営交付金の事業というものが集計対象外になったという見かけ上の減額のほかに、公共事業の縮減、三位一体の改革による減少が主な要因であります。環境省でいえば、ごみ関係の予算が縮減をしたということが大きく響いているわけでございます。

 それでは、一体どのくらいのものかということでございますけれども、大綱関係予算というのは、現在の温暖化対策推進大綱に掲げられている施策に関する予算を全部掲げたものでございます。この中には、六%削減約束に直接効果があるもの、例えば省エネ対策でありますとか、あるいは森林や原子力もそういうようなものにカウントできるかもしれません。原子力は中長期的なものもあると思います。私どもの廃棄物、リサイクルあるいは治山治水というようなもので、もともと違う対策のものも、例えばメタンの削減対策に役立つとかいうことで入れているものがございます。

 そういう意味で、いろいろな分類の仕方がありますが、六%削減約束に直接効果がある森林と原子力というようなものも入れても、それの半分がそれに区分できる、こういうことでございます。

 それぞれの効果というものは、もちろん、直接的な省エネというのは費用対効果という格好で見れば大きいわけですが、例えば廃棄物対策、治山治水事業というのは、もともとは違う目的でありますから、これを温暖化対策から見れば何万円というような計算になる、だからリサイクルはやらなくていいということにはならないと思うもので、この金額がどれだけ必要かというものを、現在の段階で全体を見通すことは難しいと思います。

 追加予算の議論も、私ども、追加的にどのくらいのお金が必要かということもやっておりますが、現在の予算ベースも、これは毎年毎年各省が考えて要求し、努力をしなければ、それは確保できないというものだと思いますので、各省において毎年の努力をしていった結果が一兆円になんなんとする額になっているというのが現実の認識かと思います。

田島(一)委員 多分、わからないというふうにお答えになられるのかなというふうに思ったんですけれども。

 どこかでこの目標達成の追加財源というのを環境省ではお示しになっていらっしゃらないのかなといろいろと調べさせてもらったら、これは三月三十日の産経新聞なんですが、ちょっと読ませていただきます。「環境省は石油など化石燃料へ課税する環境税の導入を目指し、「目標達成への追加財源は四千億―七千億円必要で、財源は環境税が適当」と主張してきた。」というふうに、幅はあるものの具体的な金額というのが出てきているんですね。これは全く間違いですか、それをお答えください。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘になりました四千から七千億円の数字でございますけれども、これは先月取りまとめました中央環境審議会の第二次答申にもはっきりと盛り込まれている数字でございますが、京都議定書の削減約束を達成するためにさまざまな対策があります。その必要な対策のうち経済的支援が必要と見込まれるもの、そういうものを抽出いたしまして、しかも計算可能で、ある程度一定の定量的な分析ができるものというものを環境省として試算をしたものでございます。

 試算をいたしますと、その結果でおよそ四千から七千億円という数字が盛り込まれたわけでございますが、この数字は、申し上げましたように、京都議定書の目標を達成するために必要となる対策、それを実現するために一定の前提を設けて行った試算の数値でございまして、政府における既存のいわば経済的支援額に対して追加的に必要と見込まれる、今御主張された点ですが、その支援の一つの参考といいますか、一つの規模を示すものとして試算をしたものでありまして、政府全体の温暖化対策予算、先ほどお話しになった予算の規模をそれで直ちに示したということではなくて、今後必要となる追加的な財源を考える際の一つのめどとしての試算の数字である、こういうことでございます。

田島(一)委員 試算というキーワードは確かに根拠がないかもしれないので、あいまいにこうやって済まされてきたんですけれども、実際に、具体的に追加措置として幾らぐらい必要なのかというものが示されないと、環境税の導入という議論にはなかなか到達できないんですよね。そのことを承知の上で、今回、こういう環境省としての目安としての金額を、大きな範囲がありながらも示してこられた。でも、ここを確実に、環境省としては追加的な財源措置としてこれだけ必要なんですよというものを本当に早くまとめていかないと、いつまでたっても環境税の議論には到底追いつかない、そうじゃないんですかね。

 先ほどもそうでしたけれども、大臣も、広く国民の意見を求めてと非常にまだまだ悠長なことをおっしゃっている。かと思えば、早急に議論を進めてまいりたいとお考えはおっしゃるんですけれども、一向にこの動きというのが見えてきません。本気で環境税導入というものをやるのかやらないのか、国民にもっと広く地球温暖化を理解させていきたい、PRしていきたいとおっしゃるものの、この伴う財源の確保というものが何も追いついてきていない、その辺に私は非常に矛盾を感じるんですね。

 いいかげんに、そろそろ環境省としての環境税の具体的な中身、位置づけであるとか取り組み方をもうまとめていかないといけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、いつもおっしゃる、早急に取り組みたい、議論を進めていきたいというこの早急というのは、一体どれぐらいの期間のことを大臣は想定していらっしゃるんですか。この辺のことをもうちょっと詳しくおっしゃってください。

小池国務大臣 今回の計画案でも「真摯に総合的な検討を進めていくべき課題」ということで位置づけられております。お答えは、早急に議論を進めていきたいということに尽きるわけでございます。

 早急というのはまさに早急そのものでございまして、具体的に、今後、環境税の効果などに関しましての経済分析などについての検討、それから産業界、国民各層との意見交換ということ、そしてまたタウンミーティングなども行っておりますが、こういった御理解、御協力なしにはやはり税というのはなかなか難しいということもございます。

 ということで、文字どおり早急に議論を進めてまいりたいというのが私の今とっている態度といったらあれですけれども、その言葉にすべて集約させていただきたいと考えております。

田島(一)委員 もう一度同じ質問をさせていただきますね。

 大臣の考える早急とは何カ月ぐらいを想定されているのですか、このように私通告させてもらったつもりなんですけれども、もう一度御答弁ください。

小池国務大臣 私の通告にはそのようにないんですけれども、早急に議論を進めていくということは早急に議論を進めていく、もうそれ以上でもそれ以下でもないということでございます。

田島(一)委員 国民に対して本当に冒涜しているとしか言えませんよ、そういう答弁では。

 大臣が本当に環境省のトップとして、これからこの地球温暖化を真剣に日本が世界をリードしていくんだという、その気概に燃えているならば、あいまいなことでは本当に済まされない。恐らくその気持ちはお持ちだと思うんですね。だけれども、本当のリーダーシップというのはそこで私は発揮するべきだと思うんですよ。だから、いつまでも経済産業省だとか他の省庁からの圧力で環境省がひとり立ちできないというような嫌みも言われるんじゃないか、私はそのように思います。本当の意味で環境省が省としてひとり立ちするためには、この環境税を何があってもやり抜くんだ、それぐらいの決意を、早急になんというようなあいまいな言葉で逃げるのではなく、具体的な案を早く出すべきだと思います。

 多分、これ以上お話を申し上げても、大臣も御答弁を御用意されていないと思いますからもう言いませんけれども、ぜひその辺はしっかりと、またいつの機会になるのかわかりませんけれども、この法案審議とあわせて議論をまた重ねていきたいと思います。

 最後、京都議定書の目標達成に向けての決意ということでお話ししたいんですけれども、実はこれはきのうネット配信で飛び込んできたニュースなんですけれども、アメリカのエネルギー省が、CO2の規制は経済に影響がない、温室効果ガスの排出規制をアメリカで義務づけても、向こう二十年間の経済成長に深刻な影響を与えないとする試算をアメリカのエネルギー省がまとめていたということが明らかになった、こんな報道が上がってまいりました。

 私はこれを見たときに、ああ、もうこれでアメリカは、京都議定書、いわゆる国際的枠組みへの復帰を考えているのかな、そんなふうに考えたんですけれども、大臣、突然で申しわけないんですが、このアメリカの動き、御存じでしたか。それとあわせて、これについてどのように御判断をされるのか、環境省として、アメリカに対して、このエネルギー省の動きをどう受けとめていらっしゃるか、お答えください。

小池国務大臣 けさの朝刊にも載っておりました。現在、内容を確認しているところでございます。アメリカについては、さまざまな動きがございます。今回もEPAというふうに出ておりますけれども、EPAのどこなのかなどもこれから調べていきたいと思っております。

 さまざまな考え方があるわけでございますが、いずれにせよ、アメリカの政府の姿勢が今後どうなるのかというのは何よりも重要なことでございますので、京都議定書の批准についても、私自身も何度か呼びかけをしてきたところでございます。また、日米ワークショップなども開催をしてまいったわけでございます。

 今回の動きというのも一つでございますけれども、これからもさまざまな動きがあると思います。そしてまた、アメリカの参加を促すということについては、これはもう当然必要なことでございますので、これからもさまざまなケース、さまざまなチャンスをつかまえて、アメリカの、京都議定書に戻る、またこの後の枠組みづくりなどについての協議を重ねていきたい、このように考えているところでございます。

田島(一)委員 ぜひ、こうしたアメリカの動き、この辺の調査はもちろん進めていただくんでしょうけれども、日本だけが頑張ってもこれはどうしようもない、先進国として最大排出国であるアメリカがこの京都議定書を批准するかしないか。これは、先ほど質問で村井委員からもありましたけれども、途上国と発展国とのギャップを埋めるのに一番大きなかぎを握っているのがアメリカの姿勢なんですね。ですから、あいまいなことではなく、日本として言うべきことは言う、そんな強い日本としての姿勢をぜひお示しいただきたい。

 ここでぜひ、環境大臣の腕の見せどころだ、私はそう思いますので、小池大臣がアメリカを批准させた、そんなニュースが近いうちに入ってくることを強く要望したい、願いたいと思っております。――それはない。ぜひ思うんですけれども、その辺のことも含めて、お決まりの答弁しか期待ができないかもしれませんけれども、時間も参りましたので、二〇一〇年に基準年比の六%、絶対削減するという決意、意気込みを込めて断言をできるのかどうか、その辺、もう一度最後にお願いいたします。

小池国務大臣 アメリカへの働きかけというのは、これはもう不断の動きとしてやってまいりたいと思っております。

 ただ、今のブッシュ政権は極めてかたいですね。そういった中で、私として、例えば人類としてどうなのかというような大きな話から、科学的な研究というのも一緒にやっていきましょうという形で、いろいろと硬軟取りまぜてアメリカとも話をしているところでございます。また、外交というのはそういったものであろうというふうに思っております。

 それから、これからの目標達成はどうかということでございますけれども、今回の目標達成計画ということにしっかり盛り込ませていただきました施策を一つ一つきっちりと進めていくということ、これを実行することが最大のかぎだと考えておりますので、計画の実行、これに邁進をしてまいりたいと思っております。

田島(一)委員 ありがとうございました。これで終わらせていただきます。

 ぜひ強い環境省をつくっていただいて、地球温暖化対策をしっかりと進めていただくことを強く要望をし、質問を終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 質問をさせていただきたいと思います。

 私は、時間が限られておりますので、端的に御質問を申し上げたいと思います。

 まず、京都議定書目標達成計画案についてお伺いをいたしたいと思います。

 この案が決められましてパブリックコメントにかけられたわけでありますけれども、期間が三月三十日から四月十三日ということで、十五日間と、私は少々短いんじゃないかというふうに思うんですけれども、パブリックコメントのこの十五日間という期間で大事な問題の国民からの御意見が十二分に集まったのかどうか、この期間の十五日ということについてどういう判断をされているか、内閣官房にまずお聞きをします。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 本計画のパブリックコメント期間は、十五日ということにさせていただいています。パブリックコメントの期間につきましては、規制の設定とか改廃につきまして閣議決定で一カ月を目安というものがございますけれども、本計画のようなものにつきましては定めがございませんので、個々に判断するという形になってございます。

 本計画につきましては、中央環境審議会、総合資源エネルギー調査会あるいは産業構造審議会の各審議会で一年間にわたってずっと審議され、その過程で国民の多様な意見も受けとめて答申をまとめられております。それを受けてこの計画をつくっておるのでございますが、例えば中央環境審議会では、中間取りまとめをされる段階でパブリックコメントにかけられまして、そこで出された意見も踏まえて答申が出されています。そういうものも踏まえて計画がつくられているということでございます。

 それともう一つは、この計画は大綱を受けたものでございます。二〇〇五年からステップ・バイ・ステップの第二ステップが始まりますので、できるだけ早くこの計画を決定して実行に移すということが大事かということで急いだものでございます。

 他の計画と比較しますと、内閣官房では、例えば知的財産推進計画であるとかあるいは都市再生基本方針であるとか、そういうものをパブリックコメントにかけてございますが、それについては、例えば知的財産推進計画では十一日、都市再生基本方針では十日ということでございます。本計画、十五日としておりますけれども、特に短いということはないと思います。皆さん方からも非常にたくさんの意見をいただいてございます。

石田(祝)委員 私は十五日は短かったんじゃないかというふうに正直思いますが、いろいろとあるんだ、こういうお答えでした。

 二月の十六日に京都議定書が発効して、はっきり言えばそこらあたりから、国民の皆さんから見ても、今までは、発効するかどうかわからない、そういう段階が、もう明確に発効して法律上の義務ができる、そこからがある意味では議論のスタートではなかったかな、こういうふうに私は思うわけです。

 当委員会の関係する特定外来生物も大事な問題ですけれども、どちらかといったら、こちらの京都議定書の方が、もっと大きく大事な問題ではないかなと思うんです。特定外来生物は一カ月やったわけですね。それで、十万ぐらい来た。十一万を超えましたね。

 それで、今回のパブリックコメントは、大体、件数と概要、寄せられた意見の賛否を含めて、簡単にちょっと説明してください。

森本政府参考人 お答えいたします。

 意見の件数は、まだ集計中ですけれども、最終的には約千九百件になりました。メールで約千四百件、それからファクスで約五百件というところでございます。

 意見の内容は非常に多岐にわたってございます。貴重な多くの意見をいただいております。項目で挙げさせていただきますと、やはり環境税、原子力発電所、それから京都メカニズムという関係の意見が非常に多かったということでございます。特に環境税あるいは原子力発電所につきましては、その中にももちろん多様な意見はあるんですけれども、賛成の意見あるいは反対の意見、双方ともそれぞれ多数あったようでございます。

 数についてはちょっと今集計中でございます。そういう状況でございます。

石田(祝)委員 この件で最後にちょっとお聞きします。

 パブリックコメントを求められて、多くの意見が寄せられた。そして、これから閣議決定をされると思いますけれども、この意見の取り扱いですよね。結局、これは言葉は悪いですけれども、聞いたという一種のアリバイづくりというんですかね、聞きおいたと。こういうことでは、これは何のためにやっているかわからない。

 ですから、これが具体的に反映をされるのかどうか、ここは大変大事な点だろうと思いますので、この意見が今後どういうふうに取り扱われるのか、また、寄せられた意見に対して、もう既に計画案の中で取り込まれておりますよとか、いろいろな整理の仕方があると思うんですけれども、これを今後どういうふうに扱われるのか、お答えをお願いしたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 寄せられた意見につきましては、今現在、関係省庁協力して分析し、検討をしているところでございます。主な意見につきましては政府の考え方をまとめ、特に必要なものについては、計画案の修正も含めた考え方をまとめまして、さらにそれを公表するということにしてございます。

 それから、お出しいただいたすべての意見については、かなり大部なものになりますけれども、それを整理しまして、あわせて公表することにしたいと思っています。これは、計画の実施の段階、推進の段階で参考にしていきたいというふうに考えてございます。

石田(祝)委員 続いて、この中の環境税についてお伺いをしたいんですが、今回の計画案の中では、環境税については、「真摯に総合的な検討を進めていくべき課題である。」こういうまとめ方がされております。

 それで、これは昨年も、いわゆる税という観点から我が党も税調の中で議論をし、そして与党の中で一定の結論も出したわけであります。言葉としては、与党の税制改正大綱では、「あるべき姿について早急に検討する。」そして政府税調でも、早急に検討しなきゃならぬ、こういう言葉でまとめられておりまして、私は、この目標達成計画をまとめるに際してお願いをしたのは、去年の議論より後退しないようにしてもらいたい、こういうことを申し上げたわけでありますけれども、「真摯に総合的な検討を進めていく」と。これは、真摯にやるのは当たり前でございまして、何であえて書いたのか。書いたことによってある程度担保されたんだ、こういうエクスキューズをされるかもしれませんけれども、私は、少々違うんじゃないかな、こういうふうに思います。

 それで、この環境税については、はっきり言って、それぞれの省のお考えが違うのではないか、必ずしも一致をしていない、それを最大公約数的にまとめた文章だというふうに私は受けとめておりますけれども、各省、この計画案における環境税の記述について、簡単に、お考えを少々お示しいただきたいと思います。経産省、国土交通省、農水省、環境省、この順番でお願いします。

深野政府参考人 お尋ねの目標達成計画案におきます環境税の記述についてでございますけれども、当省といたしましては、環境税について、これは、国民に広く負担を求めることとなる、そういうものでございますので、初めに導入ありきということではなくて、省エネルギー対策、あるいは代替フロンの抑制、京都メカニズムの活用、そういったさまざまな対策がある中で、こういった対策全体の中での具体的な位置づけ、あるいはどういう効果をこういうものが持っているのか、それから、中国、韓国を初めとして非常に厳しい国際競争にさらされております日本の産業の競争力への影響、そういった点も踏まえて総合的に検討を行っていくべきである、そのように考えてきたところでございます。

 今回の目標達成計画案では、そうした当省の考え方についても適切に反映をしていただいたものではないかと考えております。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 環境税につきましてのお尋ねでございますが、私ども国土交通省といたしましては、今般の目標達成計画案の策定に当たりまして、直ちに新税の創設を前提に検討するのではなくて、さまざまな対策を幅広く評価、検討することが重要である、必要であると考えてまいりました。

 具体的に申し上げますと、目標達成計画案の中には、私どものいろいろな政策でございますが、クリーンエネルギー自動車を含む低公害車の普及促進でありますとか、トップランナー基準によります自動車の燃費改善、エコドライブの普及促進などの、自動車の単体対策でありますとか走行の形態の環境配慮化を図っていくとか、渋滞の緩和、解消によります自動車走行速度の向上を通じましてCO2の排出を削減する交通流対策、こういったものの取り組み、さらには、鉄道、海運へのモーダルシフトを初めといたします物流の効率化でございますとか公共交通の利用促進、民生部門でまいりますと、住宅・建築物の省エネ性能の向上でありますとか、下水道から発生いたします汚泥の燃焼の高度化、都市緑化等の推進などの対策を盛り込んだところでございまして、国土交通省といたしましては、これを積極的に推進してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、環境税につきましては、税を導入した場合に、税の排出抑制効果は一体どうなのか、国民経済や産業界への影響、税収の使途をどうするのか、使途が重複しております石油石炭税との調整などのさまざまな論点につきまして、京都議定書目標達成計画案の記述の中にございますように、真摯に総合的な検討を進めていくべき課題であると考えております。

岡島政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の目標達成計画では、各施策にまたがる横断的施策として「環境税」という具体的な名称で項目が設けられ、その中で、森林吸収源対策などを実施するための財源としての役割などにも言及され、真摯に総合的に検討すべき課題であるとして適切に位置づけられたものと考えております。

 農林水産省といたしましては、削減目標であります六%を達成するためには、森林による二酸化炭素の吸収量三・九%を確保することが重要であると考えております。

 森林吸収源対策を着実に進めるための安定的な財源としての環境税について、引き続き実現に向けて取り組んでいく所存であります。

高野副大臣 環境省としましては、環境税が、さまざまな場でいろいろな議論がされてきましたけれども、今回、計画案の中に環境税という言葉が明確に入ったということ、そして価格インセンティブとか、財源としての役割等について言及がされているということで、去年の税調の表現から後退しているとは必ずしもとらえておりませんし、今回は、地球温暖化対策の体系の中で環境税が適切に位置づけられたという評価をしております。

 早急にという言葉がないことについて、若干御不満かもしれませんが、真摯に検討の中に、早急にという意味は当然入っていると私は理解しております。

石田(祝)委員 今、主な省、四省からお聞きをいたしましたが、私の率直な感想は、真っ二つに分かれているな、こういう印象は受けました、どちらがどうとは申しませんけれども。

 それと、副大臣、真摯という中に早急が含まれているというのは、これはちょっと無理筋じゃないでしょうか。(発言する者あり)日本語は難しいという御意見も今出ましたけれども。まあ、それぞれが受けとめ方はあって結構だと思うんですけれども。

 ですから、それぞれの省が頑張っていただくということは、当然期待をしたいと思うんですけれども、ややもすると、やはりそれぞれの省が政策として掲げてきたものもあるし、また、税という性格上も、取りまとめのところが出てこないとなかなかこれは難しい、こういうふうに思うんです。

 それで、今回、達成計画を内閣官房がやるということになったわけですから、これはぜひ、内閣官房として政府としてまとめる、こういうことで取り組んでいただかなきゃ一歩も進まないと私は思うんですね。計画案はできて、パブリックコメントもかけて、閣議決定もしたんだけれども一歩も進まなかった、こういうことではいけないと思いますので、政府として取りまとめて、一定の方向に、いい方向に踏み出せるようにやっていただくことができるかどうか、これは内閣官房の方からお答えをいただきたいと思います。

森本政府参考人 京都議定書目標達成計画につきましては、内閣官房として、つくるだけではなくて、地球温暖化対策推進本部の事務局が中心になりまして、その推進にはさらに努力したいというふうに考えてございます。

 それから、環境税につきましては、今各省からお答えがありましたとおり、さまざまな観点から検討が行われておるというふうに承知しておりますが、内閣官房としては、計画案にあるとおり、政府全体として各省協力して、いろいろな課題はございますけれども、まさに国民、事業者などの理解と協力を得るように努めながら、それこそ真摯に検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 恐縮でございます。

石田(祝)委員 これは、ぜひ文字どおり真摯に取り組んでいただきたいというふうに思います。真摯にはいろいろな意味が含まれているということ、きょうはよくわかりました。

 それで、ちょっと時間の関係もありますので、企業秘密についてお聞きしたかったんですが、これはまた機会を譲らせていただきまして、今後の課題として、私は、米国の存在、また、削減義務のない中国、インドの存在、大変大きいものがあると思います。これにロシアを加えたら、例えば米国、中国、ロシアだったら、これは国連の安保理の常任理事国だ。インドだって、入っていいじゃないかと中国は言っている。世界で責任を持つそういう国が、事環境に関して、これは本当に責任をとっているのか、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。

 まず、外務省の方からごく簡単に現状と、そして最後に環境大臣から、今後の御決意を対外的なものも含めてお答えいただければと思います。

小井沼政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、温暖化対策の実効性確保のためには、主要排出国を含めたすべての国が参加する国際的なルールづくりがどうしても必要でございます。

 そういった目標に対しまして、我が国といたしましても、例えばアメリカに対しましても、ハイレベル協議というものを定期的にやっております。また、事務レベルにおきましてもさまざまな機会をとらえて協議をして、引き続き、京都議定書へアメリカが参加するようにということを働きかけているところでございます。同じく中国に対しましても、日中の気候変動対話という枠組みをつくって協議をしているところでございます。

 そのほか、もう一つ特筆すべきものといたしまして、世界の主要排出国十八カ国を日本が招待いたしまして、今まで三回、非公式会合を日本で開催しております。ことしも、適当な時期を見計らいまして、この会議を開催する予定でございます。

 こういったことを通じまして、粘り強く国際的なルールづくりに向けて努力をしていくということでございます。

小池国務大臣 御指摘のように、人類共通の問題であります地球温暖化問題、アメリカ、中国、インド、そして先ほどはロシアも加えておられたと思いますけれども、すべての国が対策に取り組んでこそ地球規模での温室効果ガスの削減が実現できる、これは基本中の基本でございます。

 こちらから出向く、そしてそれも、二国間であったり、それから国際会議の場もございます。逆に、今度のスリーRにしても、エコ・アジアにしても、日中韓の三カ国環境大臣会合にいたしましても、いろいろな場があるわけでございます。また、そのためにも設けるわけでございまして、そういったありとあらゆるチャンスを活用いたしまして、説得の努力を続けてまいりたいと考えているところでございます。

石田(祝)委員 時間になりましたけれども、最後に。

 先ほども申し上げましたけれども、国連ということを考えた場合、拒否権を持つ大きな三つの国が本当に環境に対しての責任を持っているのか。中国と日本が今難しい問題を抱えて、中国からも日本の国連の安保理入りについていろいろ言われておりますけれども、事環境に関しては、私は、もっともっとそういう常任理事国も世界に対して責任を持つべきだと。こういうことも、環境の観点からも、大臣にも、また外務省にも、そういう点の主張もぜひしていただきたいと最後にお願いをいたしまして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本でございます。

 最初に、京都議定書目標達成計画案というのが策定をされましたので、この計画についてまずお伺いをいたします。

 温暖化ガス削減のために、環境省として、この計画達成のために、追加財源ということで四千億から七千億円の財源が必要だというようなことは先ほど来言われております。ところが、今回の計画にはそうした財源の具体的な裏づけがないというふうなこと、さらには、企業あるいは業界の自主的取り組みにゆだねる部分が多いということで、マスコミとか環境団体の評価は、この計画については実効性に大きな疑問があるというふうな評価がされておるようでございます。

 こうした評価について、環境省はどのようにお考えでしょうか。

小池国務大臣 目標達成計画において、環境省が必要な対策の費用として四千から七千億という試算をしたのに盛られていないではないか、そういった趣旨の御質問だと思います。

 確かに、中央環境審議会の第二次答申で、必要な対策としての、経済的支援が必要と見込まれるものを抽出して、試算可能な一定のものについて試算したところ、四千億から七千億程度という数値が出てきたわけでございます。この数字は、京都議定書の目標達成に必要となる対策の実現のために、一定の前提を設けて行いました、まさに追加的な支援の規模を示す参考として理解すべきものと考えております。

 また一方で、この京都議定書の目標達成計画案には、国のほかの計画と同じように、国が行います施策について必要な費用額については盛り込んでおりませんけれども、これは、必要な予算額については毎年の予算編成過程で検討する課題である、このように考えております。

 具体的には、排出者みずからが排出量を算定することで自主的な温暖化対策への取り組みの基盤づくりを進めるであるとか、排出量情報の公表で、まさにこれを御議論いただいているわけでございますけれども、国民、事業者全般の自主的取り組みの促進へのインセンティブや機運を高めるために計画案に算定・報告・公表制度を盛り込むといったこと、このほか、計画案には、省エネ法の強化であるとか、流通業務の総合化、効率化の促進法案などの提出、そして省エネ法に基づくトップランナー基準の強化など、具体的な施策を盛り込んだところでございます。

 また、毎年政府が行います施策がどのような進捗状況にあるかといったような点検を行って、その上で、その結果を踏まえて、必要に応じてまた施策を強化するとか、二〇〇七年度には計画の評価、見直しを行う、このようなことをしっかり盛り込ませていただきました。よって、目標であります六%削減約束が達成できる、このように考えているところでございます。

 具体的な施策についてもしっかりと書かせていただいた、このように考えております。

山本(喜)委員 排出者の自主的な取り組みということで、それぞれ報告をさせていくんだというふうなことのようでございますけれども、今回の計画も、結局大綱と同じレベルでしかないのではないか。九〇年比六%削減ということですが、ほとんどが森林吸収そして京都メカニズム、これだけでもう五・五%というふうなことでございます。

 エネルギー起源のCO2の目標はプラス〇・六%というふうなことになっているわけでございまして、国内の排出量を減らしていくんだというふうな気概が政府として見られないというふうに思うんです。これからすると後ろ向きというふうにとらえられかねないわけですが、この点の評価はいかがでしょうか。

小島政府参考人 今回の大綱の評価、見直しに当たりましては、これは、第二ステップに入るということでございます。次の大幅な見直しは二〇〇七年になります。二〇〇七年はもう第一約束期間の直前ということでございますから、今回、実現可能性の高い対策、実現可能性の高い目標というものを設定しませんと、次の段階ではかなり厳しいことも考えなきゃいけない、こういうのが今回の第二ステップに当たっての見直しだったと思います。

 そこで、今回の見直しでは、現大綱にも書かれておりますけれども、京都議定書の六%削減約束を確実に達成するため、必要に応じて温室効果ガス別その他の区分ごとの目標、個々の対策についての我が国全体における導入目標量・排出削減見込み量及び対策を推進するための施策等を総合的に見直す、その結果であります。したがいまして、目標そのものも、この間の対策の効果も踏まえまして、実現可能な目標、あるいは、さらに深掘りが可能なものについては深掘りをさせていただきました。エネルギー起源CO2以外のガスにつきましては、業界の努力等もございまして、かなりの目標の深掘りというものが可能な対策が見込めるということでございます。

 他方、エネルギー起源CO2につきましては、この間の伸びというものを考えますと、それぞれ、民生においても家庭においても産業においてもしかるべき量の削減をしていただくということで、そういうものを見込んで九〇年比でプラス〇・六ということになったわけでございます。

 吸収源のマイナス三・九と京都メカニズムのマイナス一・六、この達成も六%削減を実現するための一つの重要な要素でございますので、ここの努力も引き続きやっていかなければいけないわけでございますけれども、このガスのマイナス〇・五の中の内訳をそのような観点から見直しをしたものでございまして、これに、あわせてPDCAサイクル見直しのプロセスをビルトインすることによって、マイナス六%削減目標の確実性というものをさらに高めることができるというふうに考えております。

山本(喜)委員 確かに、非エネルギー部門の削減ということではマイナス一・二%というふうな数字は出ているのでございますが、我が国の温室効果ガスの排出量の九割、これがエネルギー起源のCO2ということでございます。ですから、ほとんどがこのCO2の部分なわけでございまして、ところが、これにはほとんど切り込まないで、依然として森林吸収源、それから京都メカニズムというふうなことは、変わっていないわけですよ。

 今回、エネルギー起源のCO2の排出量というふうなことでどういうふうなことを前提にしているかというと、我が国が現在想定されている経済成長を遂げつつ、エネルギーの供給側における対策が所期の効果を上げるということを前提にしているわけですね。それは、原発の設備利用率を八七から八八%にするというふうに理解をしているわけでございますが、原子力保安院の発表によると昨年の原発稼働率は六八・九%ということでありますから、これを二割も上げていくということは、極めて非現実的ではないのかというふうに思うわけであります。

 ですから、六%の削減ということであれば、排出量を減らすということにやはりどうしても切り込んでいく必要があるんではないかというふうに思うんですが、この点、いかがでしょうか。

小島政府参考人 今回の計画で使用いたしました、まず経済成長率でございますけれども、これは、ことしの一月に政府として閣議決定をいたしました「構造改革と経済財政の中期展望」を踏まえたものでございます。現時点における推計として最新のものを考慮いたしました。

 また、原子力発電の設備利用率。昨今の温室効果ガスの増加というのは、東京電力等の原子力発電所の停止というのがかなりきいているということでございます。二〇〇八年から二〇一二年の間におきまして原子力発電所は正常に稼働しているという前提で計算をしておりました。その上で、点検のため施設が長期停止する以前は稼働率が八〇%を超えていたこと、あるいは過去の実績で最も高い値は八四・二%であったこと、あるいはアメリカ、韓国では九〇%を超えて推移しているということにかんがみまして、確実な見込みの数値として八七%から八八%というふうに設定をしたものでございます。

 もちろん今後も、今回の計画もそうでありますけれども、経済成長率等将来起こり得る状況の変化に対応いたしまして、必要に応じて計画を見直していくということも重要でございますので、毎年の点検、あるいは二〇〇七年度の評価、見直しということも行って、六%約束の確実な達成を図っていきたいと考えております。

山本(喜)委員 この六%のうちの大きな分野を占めるのが森林吸収であります。三・九%ということでございますが、しかし、達成計画の中では、「現状程度の水準で森林整備、木材供給、利用等が推移した場合について推計すると、確保できる吸収量は基準年総排出量比三・九%を大幅に下回ると見込まれる。」「森林経営による獲得吸収量の上限値を確保するためには、森林整備等を一層推進することが重要である。」というふうに指摘をされています。

 現状のままで推移すると、吸収目標はどの程度になるでしょうか。

梶谷政府参考人 京都議定書におきまして、森林による吸収量として三・九%が計上できるということになっておりますので、こういうことを踏まえまして、林野庁といたしましては、平成十四年に策定いたしました地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策、こういうものに基づきまして、健全な森林の整備保全、木材、木質バイオマスの利用の推進、こういったことを、ステップ・バイ・ステップの考え方に基づきまして、総合的に取り組みを進めているという状況であります。

 しかしながら、現状の森林整備水準で今後とも推移した場合には、森林の吸収量は二・六%程度と見込まれておりまして、目標とする三・九%の吸収量の達成は難しいというふうに考えております。

 林野庁といたしましては、平成十七年度から始まります森林吸収源対策の第二ステップにおきまして、団地的な取り組みを強化する間伐等推進三カ年対策、こういったことなど、必要な追加的対策を積極的に推進することとしているところでありますけれども、本対策の着実な推進を図るためには、一般財源はもとより、環境税などの安定的な財源の確保が必要というふうに考えておりまして、その実現に向け取り組んでまいりたいというふうに考えているところであります。

山本(喜)委員 現状のままで推移すると二・六%にしかならないというふうなお話でございました。三・九%という森林の部分が占める割合は、大変大きいわけでございます。

 林野庁関係の森林整備事業というふうなことで見ると、一般公共事業予算の状況ですね、林野庁関係だと、平成十年度を一〇〇とすると今年度で五五・五というふうな状況でございまして、年々減っているわけでございます。

 そうした状況を見たときに、二・六から三・九に近づけていくということのためにはどれだけの予算規模が必要かというと、二千億円程度必要というふうな試算があるようでございますが、これを林野庁はどのように達成しようとしているのか。

梶谷政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、現状の水準でいきますと二・六%しか見込まれないということでありますので、今後、森林整備水準を一層上げていくということが必要だというふうに考えております。

 それで、今後、三・九%の確保に必要な事業量というものと、それから、現状程度で推移した場合どうなるかというところで、その差が当然あるわけでありまして、その辺を埋めるためには、一定の追加的な財源が必要だというふうに考えているところであります。

山本(喜)委員 人の手を入れないと森林はよくならないわけでございます。下刈りとかあるいは植栽とか間伐、大変大きな人手がかかるわけでございますね。この三・九%に向けた事業量の確保なり財政措置ということで考えれば、どうしても環境省としても、環境税ということで踏み込んでいかなきゃならない。真摯にということで先ほど来お話はありますが、やはりこの真摯をさらに実効性を持ったものにしていかないと、これはどうしてもだめなわけでございます。

 環境税というふうなことのほかに、既存エネルギー税の見直しによる温暖化対策費の捻出ということも話題になっているようでございます。例えば、自動車重量税を環境対策に使おうとか、そういうふうな話もあるようでございますが、環境省とすれば、環境税ということでいくのか、それとも既存エネルギー税の見直しということでいくのか、その点のスタンスはどうなっているんでしょうか。

高野副大臣 環境税については、今の森林吸収源あるいは新エネ等の技術開発等に財源効果としてこれを使っていくということでありまして、環境税と今既存のエネルギー税については、これは別個の議論をする必要がある。というのは、他のエネルギー税についてはアナウンスメント効果とかあるいは価格効果というのは期待されていないということもありますので、環境省としては、別個の議論が必要だというスタンスであります。

山本(喜)委員 ということは、環境税ということで環境省としては考えていくということですね。

高野副大臣 そのとおりでございます。

山本(喜)委員 国際的な約束事でございますから、六%達成のためには、先ほど来林野庁の方からもありましたとおり、財源がどうしても必要なわけでございます。そうした意味で、真摯にぜひ省庁間で議論していただいて、この環境税に向けて頑張っていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十六日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十五分散会


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