衆議院

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第10号 平成17年5月10日(火曜日)

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平成十七年五月十日(火曜日)

    午後二時十四分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 近藤 昭一君

   理事 肥田美代子君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    城内  実君

      小坂 憲次君    鈴木 淳司君

      砂田 圭佑君    根本  匠君

      能勢 和子君    鳩山 邦夫君

      船田  元君    松宮  勲君

      荒井  聰君    佐藤謙一郎君

      鮫島 宗明君    田島 一成君

      長浜 博行君    松本  龍君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    山本喜代宏君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        高野 博師君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           染  英昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            岩井 良行君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  荒井  聰君     鮫島 宗明君

  土井たか子君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  鮫島 宗明君     荒井  聰君

  山本喜代宏君     土井たか子君

    ―――――――――――――

四月二十七日

 動物の愛護及び管理に関する法律の改正に関する請願(今野東君紹介)(第一〇一三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一〇二八号)

 同(川上義博君紹介)(第一〇三八号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一〇三九号)

 同(城島正光君紹介)(第一〇六五号)

 同(樋高剛君紹介)(第一〇六六号)

 同(松本龍君紹介)(第一〇八九号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一二四号)

 同(大出彰君紹介)(第一一二五号)

 同(長浜博行君紹介)(第一一二六号)

 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一一六五号)

は本委員会に付託された。

四月二十八日

 動物の愛護及び管理に関する法律の改正に関する請願(第一〇一三号)は「今野東君紹介」を「石毛えい子君紹介」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房審議官染英昭君、経済産業省大臣官房審議官深野弘行君、資源エネルギー庁次長細野哲弘君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長岩井良行君、環境省総合環境政策局長田村義雄君及び環境省地球環境局長小島敏郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鮫島宗明君。

鮫島委員 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案がきょうの主要議題だと思いますが、四月二十八日に発行された京都議定書目標達成計画、この中身との関連で幾つか質問させていただきます。

 連休の前の日に配られたので、恐らく多くの方々はまだ入手していないんじゃないかと思います。もうちょっと早く配っていただければよかったなと思いますが。

 今度の法律は、事業者に温暖化ガスの排出量の発表、報告を義務づけるという法律ですが、この法律の効果と京都議定書目標達成計画、これとの関係がちょっとわからないところがありまして。

 かつて、昭和五十四年にできた省エネ法で、使用エネルギーの量を全部報告させるように企業に義務づけて省エネを図ってきたという歴史がありますが、それと同じような考え方で、企業に集計、公表をすることを義務づけると思いますが、これをやるとどうして温暖化対策に有効になってくるのかという、この法律のねらいを教えていただきたい。

小池国務大臣 御質問の件ですが、今回、おっしゃるように、事業者に対して算定・報告・公表制度を取り入れるということでございます。それは、今回の京都議定書の目標達成計画にも位置づけられたところでございます。

 これを導入することによって、まず第一に、公的な部門を含めた排出者みずからがまず排出量を算定いたします。それをすることによって、国民の各層にわたっての自主的な温暖化対策への取り組みの基盤づくりが進められると考えております。

 それから、第二に、排出量情報を公表などするわけでございますけれども、これによって国民、事業者全般の自主的な取り組みを促進する、そのインセンティブ、機運を高めることになると考えているところでございます。

 ですから、計画におきましては、この制度で直接何%削減するという形では位置づけられてはおりませんけれども、計画に定められました事業者、そして国民の自主的取り組みを促進するということを通じて、京都議定書に定められた六%の排出量削減を達成するという、この目標に貢献するものである、このように考えております。

鮫島委員 確かに「情報の公表・可視化による国民・事業者全般の自主的取組の促進へのインセンティブ・気運を高める」というのがうたわれていますが、いずれにせよ間接的な効果でして。エネルギー起源CO2の半分近くはやはりまだ産業活動から出ているわけですから、そこに対して具体的にどういう有効性を働かせるかということで新しい立法が考えられていると思います。

 客観的に見れば、特にEUの流れと対比して見れば、これは、この先にキャップ・アンド・トレード、いわゆる事業所ごとに排出権、あなたはこれだけ温暖化ガスを出してもいいですよと、つまり、これまでの実績からいって、大体このぐらい出していたからここまではいいですよ、しかし五年かかって二%減らしてくださいというような、ある種の事業所別の指示、ガイドライン、要望というふうにつなげていくんだったら、これはEUで効果を奏しているのと同じような具体的な有効性を持つと思いますが、したがって、こういう法律を出す以上は当然そういうことが視野に入っているんだろう。

 前の省エネ法がやや空回りしたのは、それぞれ努力はしていますが、例えば、非常に効率のよいボイラーをつくりました、このボイラーによって五%省エネの効果がありますといってNEDOから補助金をもらっても、本当にそうだったかどうか、だれもチェックしないんですよね。だから補助金の返還命令というようなことは省エネ法の中で多分一件も出ていないと思いますが。こういうふうに、自主的取り組みだけに頼っていても具体的な成果が上がらないと私は思います。

 ただ、これが、キャップ・アンド・トレードということを視野に入れて、各事業所ごとにインセンティブをかけていくという方向性があれば、大変有効な法律だと思って評価できますが。

 この法律はキャップ・アンド・トレードが視野に入っているのか、あるいはキャップ・アンド・トレードの有効性というのをどういうふうに考えるのか、経済産業省、環境省、それぞれ御答弁をいただきたい。

小島政府参考人 第二ステップに入りますけれども、京都議定書目標達成計画、ここにおきましては、事業者あるいは国民の自主的な取り組みを最大限発揮していただくということでございまして、排出量取引につきましても、今年度から自主参加型の排出量取引を実施するということにしております。

 キャップ・アンド・トレード方式の国内排出量取引制度につきましては、これは市場メカニズムを活用して一定の削減量を実現するためのコストを最小化するという費用効果的な制度でありますし、また、排出枠の交付総量によって効果的に目標とする排出削減を実現することができる。

 御指摘のように、EUにおいて既にその制度が動いておりますけれども、カナダにおいてもこれが検討をされております。さらに、こういう国内制度が各国でリンクをしていくと、将来的には、排出量取引の国際市場というものが形成をされて、世界規模での費用効果的な削減が図られる仕組みができる、そういう可能性も有しているものであります。

 日本におきましては、このキャップ・アンド・トレード型の排出量取引につきまして、まだいろいろな御懸念がございます。そういうことで、京都議定書目標達成計画におきましては、他の手法との比較やその効果等の幅広い論点について総合的に検討していくべき課題と位置づけられております。今後、この議論を深めていく必要があるというふうに考えております。

深野政府参考人 キャップ・アンド・トレード、いわゆる国内排出量取引制度につきましては、排出枠を個々の主体に配分し削減を図る、この割り当てられた主体の間での枠の取引などを認めることによりまして、温室効果ガスの削減について費用対効果を改善することができる、そういう見方がございます。その一方で、各主体に国が排出量の割り当てをするわけでございますから、経済活動に対する政府の介入として過度なものとならないか、それから、個々の主体、これにつきましては、新規参入者とかいろいろなものもございまして、そういったものについての初期割り当ての合理的な割り当てが可能かどうか、あるいは割り当ての内容によっては経済活動に悪影響を与える、そういった面もあるかと思います。

 こういったことも踏まえまして、今回の目標達成計画におきましても、国内排出量取引制度につきましては、「総合的に検討していくべき課題」、そのように取り上げられていると理解をしております。

鮫島委員 ニュアンスだけわかりました。環境省の方がやや強く視野に入れていて、経済産業省の方としては、やはり経済活動に対する政府の介入というおそれを心配して、やや及び腰という印象を受けました。

 ちょっと連休明けで調子が出ないんですが。私、京都議定書目標達成計画、今度新しく出たのを読んで、一番強い印象は、前の大綱と余り変わっていない、それほどできがよくない、一体これで本当に六%の達成ができるのかということを大変強く感じました。

 まず、いつも言っている森林吸収の三・九%ですが、これは全然科学的な吸収ではなくて、交渉上日本に与えられた政治的な吸収枠ということで、これは地球の神様から見たら、プラスでもマイナスでもない、何も貢献していない内容です。

 それから、一・六%を、CDMというか、排出権取引によって国際的に調達するというふうにされていますが、ここも具体的には多分何も見えていない。それから、あと、国民各界各層にインセンティブをつけたり、努力してくださいみたいなことはたくさんありますけれども、細かい項目はたくさんあっても、肝心のところの大きな数字が前の大綱に比べて余り進歩したとも思えない。

 ただ、ある意味では、景気の低迷というのが環境省にややプラスになっているというか、つまり、前の大綱のとき、二〇〇一年レベルではエネルギー供給サイドについてかなり強い組み立てがあって、川口大臣は事あるごとに、原子力発電所をあと十三基つくることによってかなり大幅な削減を図るというのを視野に入れていたはずですが、結果的には、二〇一〇年に実際に新規に稼働を開始するのは三基というふうに、予定より十基へこんだんですが。では、ここの部分のCO2の減らすはずだった枠はどこへ行ったんだというのが疑問として残るんですが。

 ただ、二〇〇一年のころは、バブルの延長上でこれだけいくだろうと思っていたのが、景気が後退して、いかなかったものだから、ちょうど原発十基分偶然減りましたみたいなことで帳じりが合っているんだろうというふうに思います。したがって、一番政策的に働かせる供給サイドのところの排出量をどうするのかという、その構造をどうするのかという話と、それからCDMをどうやって確固たる見通しのものに練り上げていくかというあたりがなくて、細かいところだけ具体的で、大きなところが抽象的というのが率直な印象です。

 キャップ・アンド・トレードについて、今、私は、もうちょっとしっかり視野に入れて取り組まないと、ただ数字の算定・報告・公表だけを義務づけていても、一体これは何のためだということが、効果と結びついてこないんじゃないかという懸念を持ちます。

 CDMについてちょっとお伺いいたしますが、CDMはもともと、国際的な取り組みの中では、あらゆる国内努力をしてください、国内対策でどうしても充足できない部分があれば、補足的にこのCDMを活用することもできますというふうに規定されていると思いますが、これはどういう条件を満たせば国内対策の補足的条件というふうにみなされるのか、その見解を教えていただきたい。

小島政府参考人 CDMをどれだけ使えるかというのは、京都議定書とマラケシュ合意におきまして定性的に書いてあります。京メカの活用というのは国内対策に対して補足的で、国内対策が数値目標達成のための努力の重要な部分でなければならないということであります。

 目標達成計画もその国内対策を基本としておりまして、もちろん吸収源も入っておりますけれども、国内対策をした上でなおかつ足りない部分、これは計画によりますと一・六%分ということになりますけれども、先行している他の国と比べましてもこれは十分に補足性の原則を満たしているものというふうに考えております。

 オランダの例でいきますと、ちょっと甚だしいわけでありますが、いわゆるBAUで伸ばした削減量の半分をCDMでやろうというような例もございます。それが補足性の原則に合っているかどうかは別にいたしまして、我が国自身は、国内対策を基本として、残りの一・六%というのは、そういう観点からしても補足性の原則を満たしているのではないかと思っております。

鮫島委員 では、今、日本政府が具体的に資金を提供して既に動き始めているCDMとかJIの案件というのは何件ぐらいあるんでしょうか。

小島政府参考人 CDM、JIにつきましては、フィージビリティースタディーあるいは設備の補助等の対策をしているわけでありますが、これまで日本政府として承認をしておりますプロジェクトは、一件ふえまして、今十七件になっております。その十七件の合計、排出削減の予測量は、全部で八百四十万トンでございます。このうち日本政府の補助金が交付されているプロジェクトは三件であります。

 そのほか、平成十六年度から始めましたプロジェクトの設備導入補助というものがございますが、これは、その補助金を交付して、プロジェクトから出る排出削減クレジットの一部を政府に移転する、そういう約束事で補助をしているものでございますが、これが一件あります。まだ政府承認という段階には至っておりませんけれども、プロジェクトレベルでいきますと、計四件ということになります。

鮫島委員 十七件あって、そのうち日本の公的資金が入っているのがプロジェクトレベルで四件ということですが、では、その十七件のうち日本政府にクレジットを移転することが決まっている量は。これは国際的なパネル、CDM理事会というところで承認、評価される話だと思いますが。これだけ十七件走らせていて、この中でどれだけ日本政府のクレジットとして有効になるのか。

 この辺の話はなかなか難しくて、私もよくわかっていないところがありますが。これは、それほど単純な話ではないなと。つまり、CDM、JIという温暖化ガスを減らすのに有効だと思われるプロジェクトをやったとしても、その結果減ったCO2がそのまま日本政府に権利として与えられるわけではなくて、国際的な委員会で評価されて、そこでどれだけ日本に与えるかが決まってくる、あるいは国際的な排出枠取引の市場に投げ込まれるということだと思いますが、今、十七件走らせていることをベースにして、では、日本政府にクレジットの移転が決まっている量というのは、この八百四十万トンのうちどのぐらいでしょうか。

小島政府参考人 今御指摘のあったように、CDM、JIプロジェクトが一・六%にカウントするまでにはいろいろな手続がございます。

 申し上げましたように、十七件のうちCDM理事会を通っているのは現在二件であります。フロン関係でありまして、四百数十万トンのものがございます。これはクレジットとしてこれから可能性があるということではございますが、ホスト国と日本との分担でありますとか、あるいは企業が獲得しているクレジットを日本政府の口座に移していくプロセスでありますとか、まだまだ手続が残っております。一番厄介なのはCDM理事会がまだ円滑に機能していないということでございまして、日本政府としては、日本政府が承認した案件を理事会で早急に審議をいただきまして、その手続を進めていきたいと思っております。

 ただ、いわゆる一・六%、年間にして二千万トン、五年間で一億トンでございますけれども、これを確保するためには日本政府の口座に移すための手続がございまして、そのための手当てを早急にしなければならないということも今回の計画に書かせていただいております。その措置を早急に政府部内で検討して実現していきたいと思っております。

鮫島委員 三月十一日に出された中央環境審議会第二次答申の中では、今局長がおっしゃったようなことがいろいろ書いてあって、したがって、現段階では一・六%分、年間約二千万トン、五年間で約一億トンのCO2のクレジットを政府が確保できる見通しは立っていないというふうに書かれておりまして、今度新しく出されたこの報告書を読むと、ほとんど日本語として、意味が通じないというか、大変難しい書き方になっていてよくわからないんですが、何だかいろいろな手続とか国際的な調整とかがまだあって、どうも時間が大分かかるんじゃないかという印象を抱きます。したがって、どのぐらいのタイムテーブルで実際この一・六%が射程に入ってくるのかという資料をぜひ追加としてお出しいただきたいというふうに思います。これは余り深入りしません。ただ、全体の目標達成計画を立てる中で非常に不確定性の強い部分というのが、この一・六%のところにあるんじゃないかと。

 それから、国内対策を十分やっていればCDMが一定量認められると言いますが、例えば三・九%の森林吸収というのは、これは努力でも何でもなくて、政治的にかち取った枠だと。では、本当に技術的に苦労して、日本人が知恵を出して減らした分は何ですかと国際的に聞かれたときに、私は、この達成計画を読む限り、世界に向けて、これだけのことを具体的にやったんだからCDMが使えるという説得力を持たないのではないかという危惧を抱きます。

 そのことに関係して、前の大綱の反省点として、前回は、エネルギーの供給側と消費側の役割が明確でない、そういう指摘があって、その反省を受けて今回つくられているはずですが、今回もエネルギー供給側の削減計画については定量性が著しく欠けているというふうに思います。

 これはだれに聞けばいいのかな。経済産業省の方は、この目標達成計画、後ろに具体的なメニューがずっとついていますが、例えば航空のエネルギー消費効率の向上とか、飛行機のエネルギーにかえると百九十万トン減りますとか、省エネナビの導入等による省エネ効果で四百二十万トンとか、具体的にいろいろ書いてありますが。供給側のところでは一つだけあって、原子力の推進等による電力分野における二酸化炭素排出原単位の低減で千七百万トン、これだけがあって、全然内訳がわからない。

 私は、前の大綱の特徴は、エネルギー供給側のところで、今電力のうち三二%ぐらいのシェアを持っている原子力を四一%ぐらいまで膨らませる、これによって大幅にCO2を減らしますという特徴が一つあったと思いますが、今度のエネルギー供給側のところについては、原子力発電はどうも三基で目いっぱいだし、なかなか核燃サイクルも、先ほど経済産業省の人は、経済活動に対する政府の介入はすべきではないと言いましたが、幾ら政府が介入しても核燃サイクルはなかなか順調に回りそうもないという環境の中で、ここのところは打つ手なしみたいな形になって、何も具体的に書いていないんですが、どうしてエネルギー供給側について定量的な検討がなされなかったんでしょうか。

細野政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のCO2を全体でどう減らしていくかという議論の中で、需要面とそれから供給面、両方重要であることは論をまたないところでございます。

 それで、今先生御指摘になりました原子力発電の着実な推進ということで、千七百万トンぐらいの二酸化炭素を減らすということはもちろん書いてございますが、このほかに、新エネルギーの導入というのと、それから天然ガスシフトの推進というようなことを全部合わせまして、全体的な定量的な積み上げをさせていただいております。

 後者二つにつきまして少し内容を御案内申し上げますと、まず新エネルギーの導入でございますけれども、バイオマスの利用、それからRPS法の施行を着実にするというようなことを通じまして、二〇一〇年に千九百十万キロリットル分の導入を見込んでおりまして、これをCO2で換算いたしますと、現行ケースに比べまして二〇一〇年で四千七百万トンのCO2を削減することが期待されております。

 それから、天然ガスシフトでございますけれども、これは天然ガスコジェネが二〇一〇年には約五百万キロワット導入されるということを我々は見込んでおりまして、天然ガスコジェネの導入だけで現行ケースと比較いたしまして千百四十万トンのCO2の削減ということが期待されております。

 このほかに、産業用ボイラーの天然ガス転換等々を含めまして、原油換算で九千百万キロリットルの天然ガスを導入いたしまして、天然ガスにつきましては、この結果、一次エネルギーの国内供給に占める割合を一四%まで引き上げる、こういうことで想定をいたしておりまして、以上申し上げたことを全部ひっくるめまして、積み上げをさせていただいております。

鮫島委員 これも前の中央環境審議会の第二次答申の中に脱温暖化社会を形成する技術の四つの柱というのが書き込まれていて、ここでは非常に天然ガスを高く評価していて、四つの柱のうち一番目は、少ないエネルギーで最大効果を得る省エネルギーの徹底。二番目が、廃熱などのエネルギーの徹底的な利用。これは熱電同時供給、コージェネレーションの推進という、今答弁されたことだと思います。三番目に、二酸化炭素排出原単位の小さい天然ガスの利用拡大。これは、エネルギー供給のところでもうちょっと天然ガスにシフトしなさいということだと思います。それから、四番目が、再生可能エネルギーの導入拡大。この四つの柱が中央環境審議会の三月の答申では出ていたのですが、今度の目標達成計画ではそのようなことが全然うたわれていないのですけれども、この四つの柱というのは今でも生きているのでしょうか。

高野副大臣 先生御指摘の四つの柱につきましては、脱温暖化社会の実現のためには欠かせない技術であるということで、この答申を受けまして、政府としては、これまでどおり、中長期的な観点から、重要な柱となる技術であると考えていることには変わりありません。

鮫島委員 ついでと言っては申しわけないのですが、それと関係してバイオマスの分野で、前の第二次答申の方では食品の廃棄物とか家畜の排せつ物などのエネルギー転換を進める、そういうバイオマスエネルギーの活用も大事だということがうたい込まれていますが、この点については、農林水産省は変わらないのですか。

染政府参考人 再生可能な有機性資源でありますバイオマスにつきましては、平成十四年の十二月に閣議決定されましたバイオマス・ニッポン総合戦略に基づきまして推進を図っているところでございます。

 今回の京都議定書の目標達成計画の第二の地球温暖化対策及び施策の事項におきましても、具体的には、地域に賦存するさまざまなバイオマス資源を熱、電力、燃料等に効率的かつ総合的に利活用するシステムを有するバイオマスタウンの構築に向けた取り組みを進めることとしておりまして、その一環といたしまして、農林水産省といたしましては、食品廃棄物あるいは家畜排せつ物などのバイオマス資源の有効活用に向けた取り組みを推進してまいりたいというふうに考えております。

 このバイオマスタウンの構想を初めといたしまして、地域の実情に即しました取り組みが進みますよう、今後も関係府庁と十分な連携をとりながら推進してまいりたいというふうに考えておるところであります。

鮫島委員 いいんですね。当然、食品廃棄物、家畜排せつ物等を含むバイオマス利用ということで、用語的にもいいですね。

 では、最後に、私はもっとこの目標達成計画を本腰を入れて政策的につくるなら、やはり、エネルギー供給の構造をどうするか、二十世紀型のエネルギーから二十一世紀型の新しいエネルギー社会をどうつくるかという、そこの理念がないと、なかなか、うそとごまかしみたいな感じの計画しかできないんじゃないかという気がします。

 きょうは、二枚紙を理事会の許可を得てお配りさせていただきましたが、これは、きょう鳩山邦夫先生もおられますが、私ども、一年半以上、国土幹線ガスパイプライン建設推進議員連盟ということで、いかに天然ガスシフトが具体的に地球温暖化にきくかという勉強を続けてきたものの一部、炭酸ガスのところだけを抜粋したものです。全体の数字、枠組みは政府の数字そのものを使っています。

 政府の見通しによると、省エネ等の努力で八百三十億キロワットぐらい、これから減ってきますよ、さらなる努力をすると二〇一〇年にはそこまで減らしますという数字が出ていますが、その減らすときに、石炭火発を天然ガス火発にかえていく、ここでその減らすところをやると、それだけで実は三千五十万トンのCO2が浮いてくる。それはなぜかというと、同じ一キロワットの電気を起こすのに、石炭に比べて天然ガスは約半分のCO2の排出。本当は、所内率というのを換算すると、半分以下になるんですが、石油に比べても六五%ぐらいのCO2の排出で済む。したがって、一キロワットの電気をつくるのにCO2を一番たくさん出す石炭の火発を天然ガスに置きかえていくというところにこの節約分を当てはめていくだけで、三千万トン減ります。

 それから、先ほど経済産業省の方がおっしゃったように、こういう天然ガス社会の浸透によって、多様な小規模分散型の熱電同時供給の装置が普及していく、これは家庭の定置型の燃料電池まで視野に入れて普及していくことを入れると、これは政府の二倍ぐらいになっていますから、そんなに無理な数字ではありません。それだけでちょうど千八百万トン入りますよと。

 これを両方合わせると、別に数字を操作したわけではないんですが、ちょうど四千八百七十万トン、二枚目の上に「試算結果の整理」と書いてありますが、四千八百七十万トンになって、偶然三・九%の森林吸収量と大体同じになる。したがって、これと政府に書いてあるようなCDM等々を組み合わせれば、森林吸収を使わなくてもちょうど六%は達成できる。条約によって森林吸収が使えるなら、六プラス三・九で約一〇%ぐらいポテンシャルとしては日本はありますよということが、はっきりと全体のエネルギー計画を日本の国としてデザインすれば、もっと確固たる目標達成計画がつくれるのではないか。

 我々国会議員も、ない知恵を絞りながらこういうプランをつくっていますので、ひとつ、役所の方も、政府の方も、我々の努力に謙虚に耳を傾けていただきたいと思いますが、最後に大臣に、御意見がありましたら。

小池国務大臣 天然ガスへもっとシフトをすべきではないかということで、大変活発に議員活動、議員連盟の活動をしておられることを私も承知をいたしております。五対六対七対九、ゴロナク、天然ガス対LPガス、石油、石炭で今の比率になるわけでございまして、その意味から、天然ガスに転換して比率を高めるということは、基本的に有力な温暖化対策であるということを認識いたしておりますし、また環境省としても、天然ガスシフトは応援してまいりたいと考えております。

 具体的に、ではパイプラインを含めてどのようにしていくかということについては、中環審の答申にもございますように、中長期的な視点を含めてエネルギーの安定供給、そして温暖化対策の両面から広く議論を深めていくことが必要だ、このように感じておりまして、今の御指摘、よくとめておきたいと思っております。

鮫島委員 今度の法律の中には、中長期的視点に立った環境政策の総合調整というのも新たな所管になるそうですので、ぜひ大臣に頑張っていただきたいと思います。

 以上です。どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 本法改正については、再三にわたって質問させていただいてまいりましたが、きょうは最後でございますので、どうぞ、大臣以下皆さんのわかりやすい御答弁を、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 五月の六日でしたか、大臣の事務所からわざわざ御著書をちょうだいいたしました。こちら、「環境ビジネスウィメン」、私の方から宣伝するのもいかがなものかと思いますけれども、大臣以下、環境ビジネスに取り組んでいらっしゃる女性方の活躍ぶり、拝見をして大変参考になり、またエネルギーをいただいたところでもありますし、また、大臣が今日に至るまで、いろいろな意味で、人間として大変御苦労いただいてきたことも勉強させていただきました。カイロに行かれた経緯だとかそんな話も聞くと、本当に勉強させていただいたんですけれども、この中にちょうど、地球温暖化対策のことも触れていらっしゃいます。この中身で、ちょっともう一度確認も含めてお尋ねをしたいと思うんです。

 今回のこの地球温暖化対策という途方もない規模の大きなテーマ、一四%も削減しなければならないということを例えて、「ピラミッドの大きな山が立ちはだかっている感じですね。しかし、一つ一つの段階を確実に踏んで行くと、できないことはない山です。それにはカイロ時代に身に付けた私の「わざ」を役立てたいと思っています。」こんなふうにあります。

 わざというのを後ろから拝見すると、実現のために目標を小分けにしていこうというようなことをおっしゃっているのかなというふうに思うんですけれども、小分けをされていくのには、今回はやはりタイムリミットという一つの目標があります。目標を小分けにしていって、いつそのピラミッドの頂上に上がっていけるのか。いわゆる京都議定書の目標を削減し、さらにその上へと上り詰めようとしている場合は、目標がどこにあるのか本当にわからないようになってきている、今そんな状況にあるのではないかなというふうに思うんです。

 大臣がこの御著書の中でも表現されている「一つ一つの段階を確実に踏んで行く」、その考え方に照らし合わせたとき、今回の法改正、そして京都議定書の目標達成計画はどのような段階にあるというふうにお考えなのか、ちょっと抽象的な質問かもしれませんけれども、お答えいただけませんでしょうか。

小池国務大臣 京都議定書は、実際に、第一約束期間二〇〇八年から一二年ということで、これはもう明確に決まっているわけでございます。そしてまた、今目標とすべき数値はというと、現時点に立てば、一番最新の数字とそれから目標のマイナス六%とを足し合わせると、明らかにマイナス一四が目標ということになるわけでございます。

 今回の目標達成計画というのは、まさにそれをどのような形で、どこの部分を、どうやって減らしていくかという、文字どおり目標を達成する計画でございますので、まずは二〇〇八年、第一約束期間に向けてその目標を達成すること、それを一つ一つの分野でしっかりとやっていただく、それを後押しするさまざまな政策をこれから運用していくということにほかならない、このように思っております。

 ああ一四%かと思うと、これは大変だと。できないと言うのは簡単なんですけれども、ではどのようにしたらできるかというので小分けにしたのが、まさにこの目標達成計画でありますし、そもそも地球温暖化対策というのも、政府のこれまでの政策としても、ステップ・バイ・ステップ方式というのをとってきております。その意味では、まず二〇〇八年の京都議定書の第一約束期間が始まるまで、そして始まってから、さらには始まった後、そして第二約束期間でどうするか、それぞれステップ・バイ・ステップの段階において、これまでも申し上げてきていますように、PDCAサイクルというものを一つ一つきっちりとやっていく。

 急にぽんと飛ぶというのは、よほど不景気になるとか何かがないと、またそんなことを期待するのは大間違いでございますので、みずからでできること、やらなくてはならないこと、それをうまく組み合わせたというのが今回のまさに目標達成計画ではないかと思っております。一つずつ確実に前に進める、これが正道だと思っております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 段階的にとおっしゃると、人によっては段階の一つ一つのとらえ方が随分違ってくるのかなというふうにも思うんです。ある意味では、前回の大綱から今回の目標達成計画、これも大きな一つの段階を越えてきた結果だというふうに思うんですね。そうでなければならないというふうに思うんですが、どうも、中身を見ていると、先ほど鮫島委員の方からもお話があったとおり、余り前の大綱と中身が変わっていない。内容としても、もう一歩、本当に上がったというような強いメッセージみたいなものが余り感じられない。鮫島委員や私だけではなく多くの、ついこの間お越しいただいた参考人の方々からもそんな意見をいただいたところでありました。

 なぜ今回の目標達成計画が弱過ぎる内容になってしまったのか、これを考えると、やはりひとえに環境省の主体性みたいなものが読み取れないな、そんな力不足みたいなことを私は感じざるを得ないのであります。カイロ時代に身につけていただいたわざだけではなくて、いろいろな積極的な姿勢を、環境省の中だけではなく、関係する経産省等々政府の中でぜひもっと力を発揮していただきたい、そんな思いを非常に強くするところであります。

 もう一歩進もう。できないことまで進むのはいかがなものかという先ほど大臣のお話は、私理解をさせてもらいますが、もうそろそろ、もう一歩上へ進んでもいいんじゃないか、そういう時期ではないのか。それにもかかわらず、何か、進めていないと思う箇所が、幾つかやはり見受けられるんですね。例えば、排出量が相当多い事業者に対しては、本来であるならば温室効果ガスの排出の削減を求めていってもいい段階に来ているのに、なぜ企業にだけは抑制で、結局ブレーキをかけてしまったのか。本当ならば、企業のことですから、もう一歩上へと上るだけの段階に今来ている、差しかかっているだろうというふうに思うんですけれども、どうしてこんな遠慮をされたのか、我慢をされたのか、このあたりがちょっと理解できないんですね。

 大臣、その辺、なぜ企業に対しては削減を担保するというようなことを今回のこの中身に盛り込まれなかったのか。国であるとか地方公共団体には削減というものをきっちり明記されたんですけれども、その辺がちょっとトーンが弱いと私も思いますけれども、大臣もそう思われませんか。いかがでしょう。

小池国務大臣 産業界の方も今それぞれ削減計画を、これまでも自主的に取り組んでこられて、そしてまた、運輸であるとか民生の部分に比べますと、それはよくやっていただいてきているというふうに思っております。それをさらに産業の分野で、既に削減の努力はしておられますけれども、それでもまだまだ十分やっていただける、そういう力があるということで、今回は産業界の部分も、当初よりもむしろ幅をふやして、お願いをするということでございます。

 これからも産業界の方とも積極的にコミュニケーションをとりながら、そして、実質的に削減の努力が実るように、私たちもそのバックアップをしていきたい、このように考えているところでございまして、今後の産業界の、今回の報告制度もそうでございますけれども、こういった形をよく活用していただいて、そして、しっかり取り組んでいただいている企業というものが、環境に積極的に取り組んでいただいている企業が、むしろ利益をより拡大するであるとか、環境の技術をしっかりと伸ばしてくれている企業が、それによって世界市場へのシェアの拡大をしていくとか、そういった形につながるような、そういう後押しをすることによって結果として我が国の産業界からの排出量の削減にもつながる、そういったことを念頭に置きながら、これからもこの目標達成を実現あらしめるようなそういった形での連携をとっていきたい、このように考えているわけでありまして、決して遠慮をしたということではございません。

田島(一)委員 私は、本当にもっと踏み込めばよかったなというふうに思います。結果として遠慮のように映ってしまった、そういうふうにとらえております。良好な関係を維持するのはとても大切だと思いますけれども、何があってもやはりこの環境問題、また温室効果ガス削減を最優先していくべきだということを強い姿勢でこれからも訴えていただきたい、このことだけをぜひ要望として申し上げておきたいと思います。

 さて、この法案の中で、目標達成計画も含めてなんですけれども、今回一番重要視されてきたのが温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度の運用についてであろうかというふうに思います。

 局長にお越しいただきましたので質問させていただきたいんですが、まずは情報開示の運用についてであります。

 本来でありましたならば、ただ単に排出量を公表するだけではなくて、多くの国民に対して、事業者の排出削減計画であるとかその結果、もしくは企業単位、事業単位もしくは都道府県単位での排出量というものが計算一つで簡単にデータベース化できるんじゃないかなというふうに思うんですね。

 しかしながら、こうしたデータベースの開示については、わざわざ開示請求をしなければならない。ある意味では、企業のこうした削減努力が情報として国民の目に触れることによってさらに地球温暖化対策へのインセンティブを高めていこうという大きな効果も、この情報開示には意義としてあると思うんですけれども、求める者にはわざわざ手続をさせて、出しますよ、求めない人はクローズですよ。これではせっかくのデータが有効に生きてこない、本当の温室効果ガス削減につながっていかない、そんなふうに思うんですけれども、この内容、つまり事業所単位のデータ開示等と、それから開示請求をもう少し簡素化して、ウエブ上でどなたでも見られるようにする、こういったことをなぜ盛り込もうとしなかったのか、理由と、またその考え方についてお聞かせをいただけますでしょうか。

小島政府参考人 行政情報につきましては、行政機関の持っている情報の開示の一般法がございます。それから、部分的には化学物質に関するPRTR法というものが先例としてございます。

 今回の温室効果ガスの算定・報告・公表制度におきましても、公表するものと、請求に基づいて開示をするもの、この整理をどういうふうにするかということについて法制的な検討も行ったわけでございます。

 今回の趣旨が、まず算定をしていただく、そしてそれを公表することにより自主的な取り組みを促進するという制度趣旨でございますので、一般国民あるいは事業者の関心に対応する公表としては、事業所単位でその膨大なデータを公表するよりも、むしろ企業単位で名寄せをした形で公表するということが適切であるというふうに考えたわけであります。

 しかしながら、行政情報の一般法でありますと、逐一、請求に基づいてそれをコピーし提出する、これは非常にお金もかさみますし手間もかかるということで、これを電子情報で請求に対応するという方法によりますと非常に簡便にできるというような御指摘もあります。実際の経験上そういうことでございますので、国民の利便性を考慮いたしまして、事業所単位の情報についても電子情報で提出をできる、その際の手数料等についてもできるだけ、先例を見ていく必要がありますけれども、低額でできるのではないかというふうに思っております。

田島(一)委員 で、やられるんですか、それ。その辺、何か、できますという非常に客観的な御答弁のように思いまして。

 やるならやる、検討していくなら検討していくと、やはりもうここの段階、議論している今の段階ですから、ぜひお示しをいただきたいんですね。結論から申し上げたら、電子化していけば、行政側としても非常に負担が軽くなるわけですよね。そのことはおわかりだと思うんですけれども、もう少し強いその辺の思いをきちっとお話しいただけないでしょうか。

小島政府参考人 今回の制度では、法律の中にも、電子情報でファイル化するということでやりとりをすることとしておりますので、そのような形で運用をしていくということでございます。

田島(一)委員 わかりました。

 情報開示請求というハードルを国民に課したところで、例えば費用負担を求めたところで、これは本来の目的達成には何にもつながらないということは、多分局長も御存じのことだと思います。何のために情報開示をしていくのか、私たちが求めている究極の目標は何なのか、ここのところにポイントを置いて、多くの皆さんに御理解をいただく、多くの企業に努力をしていただく、その姿勢に立った情報開示のあり方をぜひこれからも検討をしていっていただきたいとお願いしたいと思います。

 今の件、公表制度についてもう一点、ちょっと局長にお伺いをしたいんですけれども。

 今回法改正の中では対象とならなかった事業者、いわゆる中小企業者なんですけれども、この削減をしていくためには、将来的にはやはりどうしてもこの中小企業者にも一定の努力、また削減に協力をしていただかなければ、今のところでは五〇%カバーということで進んできていますけれども、ある程度のやはり努力をしていただかなければならないだろうと考えます。先ほどの大臣のお話でいくならば、これを次の段階で求めていこうと考えるのか、その辺の、順序としてどうお考えか、お聞かせいただけないでしょうか。

小島政府参考人 算定・公表制度、どのような制度でもすそ切りがございます。それは、事業者の負担とどれだけのカバー率かということの兼ね合いになってくると思います。

 現在の算定・公表制度でカバーするのは、おおよそ半分でございます。残りの部分について、自主的な取り組みを進めるためにそれぞれの中小企業者がどの程度の努力をしているのか、これはサンプリング調査等によって示していきたいというふうに思っております。したがって、現在の段階では、まず今回提案をしております公表制度というものを着実に実行した上で、そのすそ切り以下のものについてはサンプリングで努力の状況というものを示していきたい、これが現在の考えでございます。

田島(一)委員 そのサンプリングなんですけれども、これから定期的にその状況を御報告いただけるというふうに踏んでよろしいですね。

小島政府参考人 これは家庭もございますし、中小企業もございます。そういう調査の実施、それからその結果というのは当然公表をさせていただきます。

田島(一)委員 わかりました。次の段階をぜひ期待していきたいというふうに思います。

 さて、目標達成における森林吸収源と京都メカニズムへの依存についての確認をさせていただきたいと思っています。

 やはり、依存度の高い森林吸収源と京都メカニズム。本来ならば、この京都メカニズムや森林吸収源には頼らずに、いわゆる国内削減でもっともっとふやしていく、そんな計画が出てくるのではないかと私は当初、実は期待をしておりました。しかしながら、実態としては従来の大綱と変わらず、わずか〇・五%減でしかないこの国内削減分。

 現状を考えてみますと、名目上の削減だけではもう済まされない、実質的な、この〇・五%をどうやって大きくしていくかというところに手をつけていかないと、私たち国民生活の大きな責任がとんざしてしまって、当てになるのやらわからないこの森林吸収源だとか京都メカニズムに頼ってしまうようでは、本来のこの法律はもちろんのこと、COP3の前提としたものが達成できないような、そんな不安に私は駆られます。

 これから先、国内削減分のウエートをいかにして大きくしていこうとするのか。多分また次の段階に持ち越されるのだろうと思うんですけれども、将来的な展望として、〇・五%のウエートをやはり大きくしていこうという、そのお考えについてお聞かせいただけませんでしょうか。

小島政府参考人 今回の見直しは、京都議定書の第一約束期間、あと三年という段階での見直しでございます。したがいまして、実現可能性ということにかなりこだわって、いろいろなデータも今回の京都議定書目標達成計画の参考資料としてもお出しをさせていただいたわけでございます。

 このフレームにつきましては、京都会議で我が国がマイナス六%を引き受けたときのフレームでございまして、ガスで〇・五、それから森林吸収源で三・六。当時は三・六でございました。マラケシュで三・九となりました。それから、京都メカニズムで一・六%。

 こういう大枠の中でそれぞれの対策を、先ほど御議論がありましたように、京都メカニズムもコンビニで買ってくるようなわけにはいきません。いろいろな手続をしなければならない、森林吸収源も努力をしなければいけないという中で、ガスの方につきましては、エネルギー起源の二酸化炭素はまだふえているということでございますが、ほかの五・五ガスは着実に減少をしております。そういう中で、ガスの中での目標の区分を変更して、そういう意味では現実的な数値に変更したということでございます。

 それでも、二〇〇二年の排出量に比べますと、パーセントは少ないんですが、産業部分はもともとの分母が大きいので、産業部門、家庭部門あるいは業務その他部門、それぞれ三千万トンずつの削減が必要という、そういうことでございまして、今後ともエネルギー起源CO2の削減対策は手を緩めることなくしていかないと、マイナス六%は達成できないというふうに考えております。

田島(一)委員 分母をどこに見るのかによっては、今局長がおっしゃったとおり、確かに産業部門でも相当努力をしなければ達成できない数字だ、そう考えます。

 ただ、今回の達成計画の中身を見ても、例えば、代替フロン等の三つのガスの使用抑制であるとか、民生部門だとか、本当はメスを入れなきゃいけない、もうメスを入れてもいい段階に来ているにもかかわらず、何かこの辺は結局先送りになってしまっている、検討課題として申し送られてしまった。そう考えると、私は、まだまだ道はあったのにな、そんな気がするんですね。これからの努力に、それは一定、期待をしているんですけれども、せっかくやるんだったら、今回なぜそういうことも一緒に政策的な課題として手を打たなかったのか、これが悔やまれてならないんですけれども、もう一度おさらいとしてお答えをいただけませんでしょうか。

小島政府参考人 同じようなお答えになるかと思いますけれども、問題は、エネルギー起源CO2をどういうふうに削減していくかということでございます。この点につきましては、トップランナー方式等の規制措置もございますが、基本的な部分は、第二ステップにおきまして、自主的な取り組みということを最大限やっていただこうと思っております。

 ただ、CO2の部分がプラス〇・六になっているというのは、ほかの部分をかなり努力しなければいけないということでございまして、フロンにおきまして、一・九分深掘りをしておりますが、これとても、必要な追加的な措置を行うという前提でございますので、そういう一つ一つの対策を着実にこなすということが今後必要だと思っております。

田島(一)委員 ぜひ、一つ一つこなしていく、その姿勢を高めていただきたいと思います。

 そう考えますと、これから先、温室効果ガスの排出量の検証、毎年報告をされてくるわけなんですけれども、三年後の平成十九年の見直しという段階を待たずして、検証や点検を進められる中でまた新しい政策的な措置というものも当然必要になってこようかと思います。もうここに来ては後戻りもできませんし、前に向かって進むしかない。大臣の言葉をかりるならば、本当に段階を経て一つ一つ上っていかなきゃならないステップに今来ています。そういう中では、平成十九年の見直しを待たず、積極的にこの施策の強化、また点検作業に取り組んでいかなきゃいけないと思うんですけれども、最後に大臣、この姿勢をぜひお聞かせいただきたいと思います。

小池国務大臣 今回、対策を推進するための施策として、目標達成計画におきましても、「地球温暖化対策推進本部は、毎年、個々の対策について政府が講じた施策の進捗状況等を、対策ごとに設定する対策評価指標も参考にしつつ点検することにより、必要に応じ施策の強化を図る。」この一文が入っているところでございます。もとより、目標達成計画は、つくること自体を目的とはしておりませんで、それを実行して効果を上げていく、そのことによって初めて意味をなすわけでございます。

 こういった見直し、そして施策の強化を図っていく、そういった段階を踏まえて、そして、二〇〇七年度の総合的な見直しは、本計画策定時における前提条件や温室効果ガスの排出量見通し、対策、施策などについて評価し、総合的に見直しを行う、こういった一文もございます。

 いずれにいたしましても、このような評価、見直しプロセスを通じまして六%の削減の約束を確実に達成してまいりたい、このように決意をしているところでございます。

田島(一)委員 もう時間となりました。この中身にもありました、政策手法の総動員。本当に総動員をするのであるならば、例えば炭素税、環境税の問題であるとか、先ほども申し上げた代替フロンの使用規制、こうしたものも本当はしっかりとした政策課題として措置をしていかなければならない、そんな段階だというふうに思います。まだまだ足りなかった、抜けている部分、先送りされたものがあるということもしっかりと御認識をいただいた上で、ぜひ実効性の高い施策の取り組みを心からお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 地球温暖化対策について、今回で三回目の質問となります。またよろしくお願いします。

 私は、過去二回を通じて同じことを一個言い続けました。京都議定書の目標自身を達成することが本当に一番大事なことなんかじゃないんだ、温室効果ガスの排出量を削減することが一番大事なんだというふうに言い続けました。そうなんです。お金を出して形式上目標を達成するということはそれほど大事じゃない。本当に美しい地球を未来の子供たちに残すことを考えれば、一番大事なのは、やはり温室効果ガスをしっかりと削減することなんです。

 そういった観点から、どうやって日本の国民のライフスタイルを転換して温室効果ガスの排出量を減らすのか、そして、そのための国民運動をどうやってやっていくのかということでお話をさせていただきたいと思っています。

 地球温暖化対策に国を挙げて、国民全員参加で取り組む必要性は、今さら繰り返すまでもありません。政府や国会、産業界、特に運輸業界、エネルギー産業を初め、ありとあらゆる業界、そして一人一人の家庭生活、個人のライフスタイル、さらには子供たちや学校生活など、暮らしのすべての場面で、この地球温暖化防止を国民運動として展開していく必要があると思います。

 そこで、まず小池環境大臣にお伺いいたします。

 政府は、四月二十八日に、京都議定書目標達成計画を閣議決定されました。これを受ける形で環境省は、大規模な国民運動としてチーム・マイナス六%を発表しましたが、この具体的な内容をお聞きいたします。

小池国務大臣 今回、チーム・マイナス六%という名前をつけまして、京都議定書による日本の温室効果ガス削減の約束、マイナス六%を達成しようという一つのキャッチフレーズとして、チーム・マイナス六%ということを打ち出させていただきました。これはすなわち、この言葉が示しますように、個々人がばらばらに行動するのではなくて、チームのように力を合わせて、そして一丸となってこの地球温暖化防止に立ち向かっていきましょうという、まさに今回の国民運動のコンセプトとしているわけでございます。

 その国民運動を広く展開していくために地球温暖化対策推進本部でロゴマークを決定いたしました。今後、各府省を初め、地方公共団体や経済界、労働界、それからNPOなどの各団体が地球温暖化についての情報提供そして普及啓発を行うときに、ポスターとかパンフレット、社内報、CMとか、それから、環境省の職員が持っております名刺のところにも今そのロゴマークも入れております。

 ちょうど今、愛知万博で、モリゾー、キッコロのをつけていただいておりますけれども、その次は、今度はチーム・マイナス六%のそういったものを皆さんにもおつけいただけるように、また御協力もお願いをしたいと。そして、このマークを見れば、ああ、温暖化対策だということが即座に認識されるような、それぐらいの大規模な国民運動を広げていきたいと思っております。

 ちなみに、チーム・マイナス六%のホームページも立ち上げております。そこからクリックさえしていただければ、メンバーにお入りいただけますので。

 連休がきのう明けたばかりでございます。これからまさに本格的にその展開を図っていきたいと思っておりますので、環境委員会の委員の皆様におかれましては、どうぞチーム・マイナス六%、経済の方はプラスになればいいと思いますけれども、温暖化、CO2の排出ということについてはマイナス六%をしっかり目指す、その一員になっていただきたい、このように考えております。

村井(宗)委員 環境省の平成十七年度予算を見ますと、「脱温暖化社会の構築 京都議定書の約束の達成を目指して」で百九十億がトップに計上されています。予算規模の小さい環境省としては大変な規模かもしれません。環境省の十七年度当初の予算総額二千三百四十三億円の実に八・一%に当たります。

 この百九十億円の中には、地球温暖化対策のための新規事業が幾つか入っています。例えば、学校への燃料電池導入事業一億円、再生可能エネルギー高度導入地域整備事業七億五千万円、省エネ型低温用自然冷媒冷凍装置の普及二億円、二酸化炭素排出量削減モデル住宅整備事業四億円などなどです。そして、地球温暖化防止大規模「国民運動」推進事業に三十億円が計上されています。

 そこで、環境省と経済産業省にお伺いいたします。この地球温暖化防止大規模「国民運動」推進事業の当初予算三十億円(石油特会)の具体的な使い道を御説明ください。

小島政府参考人 今の三十億円は環境省の予算でございますので、お答えをさせていただきたいと思いますが、今年度始まったばかりでございますので、まだ現段階で、それぞれの相手方と交渉をしていることもあって、その使い道を確定させてはおりません。

 しかし、使い道については基本的なコンセプトがございますので、申し上げますと、まず各種イベントによる情報発信、あるいは政府みずからが、新聞、電波、ウエブなどのメディアを利用して国民に対する情報を提供する、こういうことを中心にしております。

 昨今は、昔のように、国民的な歌手であるとか国民的な俳優であるとか、だれもが知っている人というのは余りいないわけで、それぞれの年代、それぞれの地域というような方々に非常に周波数がもう決まっていて、この人の話なら聞くけれどもこの人が来ると全然聞かないとか、そういうことでございますので、情報が相手に届くということを非常に考えて、いろいろなイベント、子供向きでありますとか、あるいはサラリーマン向きでありますとか、そういう多様な手段を使っていかなきゃいけない。イベントにつきましては、そのイベントをメディアに載っけていただくということで費用効果的な対応をしたいと思っております。

 それから、政府の行う活動だけですとそれで終わってしまいますので、統一ロゴマークを使って独自に企業が広告を出します。企業の広告というのは、政府予算も及びもつかないぐらいたくさん使っておられますけれども、その広告の中に温暖化対策のPRも自主的にしていただく、そういうような働きかけも行っております。これによってその効果を倍増したいというふうに思っております。

 そして、最も肝要なところが、この活動が個々の行動に結びつくということが一つの柱でございますので、アンケートなどを用いたり、あるいはウエブサイトに参加していただく方々の登録をしたりというようなことを通じまして、行動にどれだけ結びついているかということを評価する仕組みを中に入れていきたい。

 こういうような基本的な組み立てに従いまして、何分にも国の予算を使っての事業でございますので、効果的に展開をしていきたいと思っております。

村井(宗)委員 今、三十億円はイベントに使う、メディアの広告費用に使う、そしてウエブに使うという話をいただいたんですが、具体的な使い道を私はお聞きしました。大体、イベントには三十億円のうち何割ぐらい充てられるのか、メディアの広告には何割ぐらい充てられるのか、そしてインターネットには何割ぐらい充てられるんでしょうか。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

小島政府参考人 実際のテレビ、新聞、ラジオ、ウエブ、こういうようなところは、相手との交渉事でございます。実際の額はそういうことによって決まってくるので、我々としては、できるだけ経済的なといいますか安いお値段でと、こういうことを考えております。しかし、広告媒体費用が、テレビ、新聞、ラジオ、ウエブ、そういうことでかなりかかることは間違いございません。そのかなりの部分を占めるということだけを現在は申し上げたいと思います。

 大体幾らと言うと、ああ、大体そこら辺のお金があるんだなという格好で交渉になってしまうので、それだけお金があるんだったらこの値段でどうですかということにもなりかねないので、一つずつ今交渉をしているところでございます。

 最初に使った部分は、四月の二十九日に総理が出ての全国紙、地方紙での、さあ、これから始まるぞということでございますけれども、これも単なる広告のお金ということだけではなくて、この広告を載っけるということについて、それぞれの社でまた独自に企画をしていただきたいというようなことも、それぞれの新聞社と相談をしておりますので、そういうことも含めての値段ということになってまいります。できるだけ効果的に使っていきたいということでございます。

村井(宗)委員 特に政府が出すようなイベントなんかは、非常に経済効率が悪いという話はよくされています。一般のNPOなどが行う規模と比較して投入額が非常に大きい。広告代理店なんかも、こんなにもうかる話がないなどとよく言われます。問題になった例のタウンミーティング、普通に考えたら信じられないような値段が広告代理店に払われていたなどの問題もあります。やはり、もちろん予算三十億円というふうに決まっているわけですから、ちょっとしたものでぼんと取られるんじゃなくて、その値段を使ってより効果的に、より大きな運動をつくっていくべきだと思っています。

 ホームページなんかについてもそう言われています。一般に、企業が発注するホームページの額に比べて、政府それから公的機関が出す金額というのは、もう異常なぐらいの値段、あってないような値段がインターネットの世界なんですが、政府系とかそういうところは非常に、めちゃめちゃ大きな値段を使って相場を崩してくれる、そういう話をよく聞きます。やはり、より多くそういった運動を展開するために、経済効果、投資効果というものを見ていただければと思っています。

 それでは、その国民運動の中身について詳しくお聞きしたいと思います。

 六月の環境月間に予定されている大々的な地球温暖化防止キャンペーンの具体的な内容についてお聞かせください。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

小池国務大臣 国民運動でございますが、毎年六月は環境月間として、特にこの期間、キャンペーンを行って集中させているところでございます。ことしは、特に地球温暖化、そしてチーム・マイナス六%ということをてこにして、六月、集中的に、徹底的にやっていきたいというふうに考えているところでございます。

 そのうちの一つが、以前から申し上げておりますけれども、今回、クールビズという言葉でロゴを決めさせていただきました。かつて省エネルックと言われていた夏の軽装でございますけれども、クールビズ、ビジネスのビズでございまして、さわやかに、そして格好もよくて、スタイリッシュで、かつ地球温暖化対策に資するというすべての意味を込めて、このクールビズという形にさせていただいたんですが、六月五日の日に愛知万博の会場で行いますクール・ビズ・コレクションとして、財界の皆さん方にモデルをお願いをいたしましてこれを大々的にやっていきたい。そしてまた、これからもメディアなどに呼びかけまして、じゃ、どんな洋服、どんな服装がいいのか、それはもうそれぞれで進めていただければ、これは広告費が要らないで、それぞれのメディア持ちで勝手に進むわけでございますから、そういった火をつけていくということをやっていきたい。

 それからまた、家電製品の買いかえ需要というのは意外と六月に多いそうでございまして、その意味で、できる限り省エネの家電を選択していただくように、経済界とも連携したキャンペーンを行いたいと思っております。

 また、六月十一、十二日の土日ですけれども、エコライフ・フェアを東京で、そして横浜では、これは毎年やっておりますけれども、エコカーワールドということを開催いたす予定にいたしております。できるだけわかりやすい取り組みを国民の皆さんに紹介し、協力していただく。そのわかりやすい取り組みというのは、冷房は二十八度に設定しましょう、蛇口は小まめに閉めましょう、アイドリングをなくしましょう、エコ製品を選んで買いましょう、過剰包装を断りましょう、コンセントは小まめに抜きましょう、こういうだれでもが心がけさえしていただければできる、そういった六つをこの間にPRをしてまいりたいと思っております。

 それからもう一つは、六月十九日でございますけれども、これは企業やNGOと一緒にやっているものでございますけれども、夏至の直前の日曜日の六月十九日にライトダウンキャンペーンを行って、そこで明かりの大切さを考えて、電気をむだに使わない、その行動のきっかけといたしたい、これは毎年やっているものでございます。

 いずれにいたしましても、六月、環境月間ということ、これを背景にいたしまして、さまざまな皆様方の注意を引くような形で、なおかつ費用対効果がいい形で、この環境月間に集中的に国民運動の活動をしていきたいと考えているところでございます。どうぞ皆様方も、そういった意味でもまた、六月はいろいろなイベントもございますので、御協力を賜れば大変うれしく存ずるところでございます。

村井(宗)委員 今大臣がおっしゃったように、企業、NGOと連携してやる、私は特にその部分を申し上げたいと思います。

 どうしても、やはり、我々政治関係者、そして行政だけでやる場合、コスト感覚の面で非常に効果が悪い部分が多くなってきます。企業、NGOなどとも連携し、そしてそういったところの民間活力を使いながら一緒にやることによって、非常に効果的な地球温暖化防止対策というもの、そしてそのための国民運動ができるものと思っています。その中で、やはり私がお伺いしたかったのは、そういったところに補助をするとかそういう方がはるかに経済効率がよく温暖化防止対策ができるのではないかと思います。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 私が生まれた年、一九七三年なんですが、オイルショックがありました。このオイルショックのときに、いろいろな形で電力の節約、石油の節約ができたというふうに聞いていますが、そのとき、どのぐらい予算を投入したんでしょうか。そしてその後、石油危機の前と後で比較して、省エネの実績はどのぐらいだったんでしょうか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 一九七三年十月以降のいわゆるオイルショックを受けまして、石油等エネルギーに関する節約運動の一環といたしまして、国民に対し省エネルギーの必要性を訴えますために、一九七四年度の一般会計の新規要求として、省資源、省エネルギーに関する広報活動ということで約九千二百万円の予算が認められております。これに基づきまして、一九七四年度に、省エネルギーに関する広報活動として、全国主要都市におきまして講演会、エネルギー事情をわかりやすく解説したパンフレットを作成して配布する、あるいは省エネルギーの必要性等を周知させるためのテレビ放送が行われたということでございます。

 お尋ねのオイルショックの前後のエネルギーの使用でございますけれども、一九七三年度と七四年度というところで比べてみますと、国内向けの燃料油、これはガソリンですとかナフサですとか灯油、軽油、重油、すべて含んだ総額でございますけれども、なおかつ、発電用の用途も含めた数字で見てみますと、一九七三年度におきまして約二億三千四百万キロリットルでございましたものが翌一九七四年度には約二億二千万キロリットルと、前年度に比べて六・二%減っておるという数字になってございます。

 また、使用電力量について見ますと、一九七三年度において約四千二百十八億キロワットアワーでございましたけれども、翌一九七四年度には四千百五十九億キロワットアワーということで、約一・四%程度減少してございます。

 こうした燃料の使用量や電気使用量の短期的な減少が起きましたのは、先ほど申し上げましたような国を挙げての緊急的な節約運動の展開でございますとか、エネルギー価格が急激で大幅な上昇をしてエネルギー需要に影響を与えたということや、また経済活動の低迷といった要因があったかと思いますけれども、数字の面では、先ほど申し上げましたように、一貫して増勢を示しておりましたものが、オイルショックの直後には、短期的ではございますけれども減少したという実績が残ってございます。

村井(宗)委員 それでは、時間が来ましたので、最後に一言だけお願いしたいと思います。

 形式上の地球温暖化防止のための京都議定書の達成は、私はそれほど必要がないと思います。むしろそれよりも、温室効果ガスの排出量を削減すること、本当に、議定書を達成するかどうかじゃなくて地球温暖化を防ぐかどうか、そこのために取り組んでいただきたい。そして、そのために来年度予算をさらに考えていただきたいと大臣にお願いし、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、肥田美代子さん。

肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。

 地球温暖化対策推進法改正案に関連いたしまして質問いたしたいと思います。

 この二月十六日に京都議定書が発効し、削減対象期間の初年度となる二〇〇八年ももう間近に迫っております。森と川と湖のある惑星は、私たちの住むこの星だけであります。そのような美しい地球を次世代に残すためにも、地球温暖化対策はぜひとも推進しなければならないと思っております。私は、そういう思いを込めて質問させていただきたいと思います。

 まず、政府のこれまでの地球温暖化対策に関連いたしまして質問申し上げます。

 政府は、九〇年十月に地球温暖化防止行動計画を策定されました。この中では、二酸化炭素の排出量を二〇〇〇年以降九〇年レベルで安定化させるとして、二酸化炭素の排出抑制を初め、森林吸収源の対策などたくさんの施策を挙げられました。また、九八年六月には、二〇一〇年を目途にした地球温暖化対策として、地球温暖化対策推進大綱を決定されました。この中では、京都議定書における日本の削減目標六%の削減内訳が明示されております。しかし、残念ながら、いずれも効果を上げることはできませんでした。また、二〇〇二年三月には、実に百種類を超える施策、対策を追加した現在の地球温暖化対策推進大綱が決定されております。

 こうして次々と追加策を積み上げてはみたものの、十分な効果を上げることができないまま現在に至っております。そして、これまでの施策や対策では京都議定書の達成は難しいということで、今回の京都議定書目標達成計画案を策定するに至ったというふうに私は理解しております。

 大臣は、この十五年間の地球温暖化防止対策を振り返りまして、どのような評価をお持ちでしょうか。

小池国務大臣 九〇年の地球温暖化防止行動計画以来の流れを的確に今御説明といいましょうか、お述べいただいたわけでございます。改めて思いますのは、その時々の状況に応じた対策を強化がされてきたなというところでございます。

 一方で、温室効果ガスの排出量は、九〇年以降も伸びているということも事実でございまして、九七年をピークにして最近は横ばい傾向ということでございます。また、二〇〇二年度という時点で見ますと、九〇年と比較すれば七・六%増。依然として六%削減目標とのギャップは大きいものがあるわけでございます。

 この背景として考えられることでございますけれども、トップランナー規制などで、家電であるとかOA機器など、個々の機器の性能は大変上がっているわけでございますし、また今は、アメリカ市場も席巻するほどの勢いで、日本のハイブリッド自動車、こちらの方の燃費などの性能も向上しているということで、これらは、こういった対策、大綱、そして施策、それと企業の努力と、それらが相まって一定の成果が上がってきているものというふうに考えます。

 一方で、世帯数が、毎月の経済状況がどうなっているかということでも、何戸住宅が建設されたかというのは、経済指標の一番基本的な数字になっていたり、それから、事業所の面積がふえております。六本木ヒルズの、あの分の面積はふえているわけでございまして、それは再開発であるということで、一つの経済活動と考えられ、そしてまた一方で、交通量も増加しているということも事実でございまして、こういった社会経済活動量の伸びの大きさに伴って、こういった温室効果ガスの排出量もふえてきているわけでございます。

 こういった背景を考えますと、政府において、昨年度、こういった社会の経済活動の変化であるとか、大綱に掲げました対策や施策について評価を行い、そしてその評価を踏まえまして、目標達成計画を策定させていただいたわけでございます。

 先ほど来、山は非常に高いということでございますけれども、私は、決して高い、登り切れない山ではない、そのための目標達成計画を一つ一つこなしていく、確実なものにしていくということで、マイナス六%という目標が達成できるもの、このように考えているところでございます。

肥田委員 今大臣の御答弁を聞いておりますと、事業所の床面積、それから核家族がふえた、それから情報機器とか交通量の伸びなどといろいろとおっしゃってくださいましたけれども、ある意味で、これはやはり見通しが甘かったんじゃないかというふうに私たちは思わざるを得ないわけでございます。

 結果として、二酸化炭素の排出量は削減できずに、逆に増加傾向をたどることになった、私はこういうことだと思っております。京都議定書において、日本は、二〇〇八年から二〇一二年までの五年間で温室効果ガスを六%削減するということを約束されました。しかし、その後、今大臣がおっしゃいましたように、排出量が七%以上もふえております。これを九〇年の基準年排出量レベルに戻すには、一三%以上も削減しなければならない事態でございます。

 こうしたことから、二〇一二年までに達成することは到底困難だという意見もございます。しかし同時に、削減目標が達成されなければ、農林水産業初め、経済全体が大きな影響を受けまして、国民生活の基盤が損なわれるのは事実でございます。経済面でも、国民生活の面でも、大きな損失が出るという危機感を持つことが必要だと思っております。

 そこで改めてお伺いしますが、当時、マイナス六%、これは削減事業をきちんと準備した上で引き受けたものでしょうか。事前の準備が不足したために、場当たり的な印象を与え、施策の実効性を上げることができなかったのではないかという思いがいたします。次期削減枠組み交渉でぜひ教訓にしなければいけないことでございますので、改めてお尋ねをしたいと思います。

 マイナス六%の根拠、それから、これを引き受けるに至った事情について率直にお答えいただきたいと思います。

小島政府参考人 一九九七年のCOP3におきまして、非常に各国、交渉をしたわけであります。そのときの日本政府のポジションは、対象とするガスは三ガス、それから、基本的にマイナス五%を基準にするけれども、日本についてはマイナス二・五%の削減。ただ、このマイナス二・五%と申しますのは、三ガスで〇・五%と、国民のさらなる努力というような部分がこれはございますので、二%は柔軟性部分というふうに言っておりました。そういう意味では、計算をしていた部分というのは、三ガスでマイナス〇・五ということであります。

 当時の交渉は、日本は差異化ということを第一の目標にいたしました。これに対してEUやアメリカは一律の基準を持つべきだという主張でございましたし、EUはEUバブルを認めさせるということを第一義に交渉しました。アメリカは京メカあるいは吸収源ということを最大の交渉課題としてやってまいりました。

 すなわち、COP3における議論というのは、最終的にはこれらの要素をパッケージで妥協案をつくって、認めるか認めないかということでございまして、単純に、数字の六%にしようとか七%にしようとか、そういうことではございませんで、これらの事柄を踏まえてのマイナス六%であります。

 先ほど申しましたが、日本政府は、三ガスで、確実なところが〇・五%の削減ということでございました。これが六ガスに広がったということと、そのマイナス六という数字になったというこの段階におきまして、京都メカニズムそれから吸収源というものが合意されるということもパッケージで受けとめたということでございます。そのかわり、六、七、八ということでございますが、一律を主張していたEU、アメリカは、差異化を引き受けたというような事柄でございまして、このCOP3におきます政治的な結論というものは、数字だけでない部分がございます。

 そういう意味では、今回の京都議定書の目標達成計画もそうでございますけれども、ガスで確実なところがマイナス〇・五というのは、京都会議のときのポジションと同じでございます。その部分をどういうふうに実現していくかという対策について、これまで大綱、大綱の改定ということを含めて、精緻化をしてきたとともに、吸収源と京メカという部分に対しても、その実現をするための手だてというものを具体化しつつあるということでございます。

肥田委員 政治的な解決をされたということで伺っておきます。

 私の仄聞したところによりますと、EU諸国などは、削減の数値目標が変わるたびに、同行した専門家が、コンピューターで必要な予算を計算して交渉に臨んだというふうに聞いております。数値目標は国益にかかわる大きな問題ですから、各国とも数値目標には敏感に反応したのだと思います。EUの対応が事実だとすれば、国際交渉に対する用意周到な姿勢を見るような気がいたします。また、教訓にすべきものであろうかと私は思っております。日本もそれなりの努力はなさいましたが、国内の意見調整に多くのエネルギーを使ったという印象があります。

 しかし、事の経緯がどうであれ、マイナス六%実現を約束したわけでございます。この国際的な約束を実現するためには、分野別の広範な事業と予算措置が必要になります。地球温暖化対策推進大綱の関係では、追加予算が四千億円から七千億円、これが必要だと言われておりますし、事業総体では単年度で総額二兆円が必要だというふうにお聞きしておりますが、この理解でいいですか。

田村政府参考人 地球温暖化対策推進大綱関係予算についてのお尋ねでございますが、私ども、本年二月中旬に集計をいたしまして、十七年度は約一兆一千四百億円という数字でございます。

 これは、地球温暖化対策に直接効果があるもの及び中長期的に効果があるもの、さらには、直接の目的とはしないけれども結果として温室効果ガスの削減になるもの、これらを整理、集計して一兆一千四百億円ということでございます。

 ここでお尋ねの、六%削減約束を達成するために、京都議定書目標達成計画に掲げられた施策、さまざまな施策に必要な予算額でございますが、これは、まさにこの計画に沿って適切に予算要求をして、毎年の予算編成過程で検討する課題であるというふうに位置づけられておりまして、私どももそのように考えております。何か事前に、五年間トータルで幾らというような額が、あるいは単年度幾らという額が確定して計画に明示されているわけではございません。

 一方、今御質問にございました、四千から七千億円あるいは二兆円という数字についてお触れになりました。

 これは、私ども環境省独自に、環境省として試算をいたしまして、経済的支援が追加的にさらに必要と見込まれるもの、定量的にそれが計算可能なものを私どもなりの仮定を置いて試算をいたしまして、追加的に必要と見込まれる額として毎年四千から七千億円程度、さらには社会的費用という、全体としては二兆円程度という試算をしている、これは事実でございますが、それが計画そのものに盛り込まれているというわけではございません。

肥田委員 年間二兆円で、五年間で十兆円ですから相当大きな金額であるなというふうに伺いました。

 林野庁などの試算でも、三・九%の吸収源となる森林整備費用として、二〇〇〇年から十年間で約一兆一千億円分の上積みが必要だと言われております。また、地球温暖化対策大綱に基づく全体予算は、平成十五年度、十六年度、十七年度の三年間で、毎年一兆円を超えているわけですね。温室効果ガス削減の予算は、地球環境保全に向けた未来への投資という見方もありますから、それが巨額な予算と見るかどうか、これは意見の分かれるところだと思います。

 ですが、やはり私は大きな額だなというふうに実感をいたします。六%削減を受け入れたときに、正直言ってこんなにお金がかかると思っておられたかどうか。これから二次、三次とポスト京都議定書の枠組み交渉が継続されると思われますので、今後の教訓のために伺っておきたいと思います。

小島政府参考人 京都会議の段階では、吸収源の部分あるいは京都メカニズムがどういうふうになっていくかということについて、まだ何も決まっていないという段階でございました。吸収源も、京都会議のときは三・六ということでございましたけれども、マラケシュ合意までの間に三・九に合意をされたというようなことですし、CDM、JIのルールもようやく固まってきたということでございます。そういう部分において、当初、これはEUもそうでないかと思いますけれども、その部分についてのコストというのは、京都会議の段階ではまだルールが決まっていないわけですから、積算のしようもなかったということだろうと思います。

 それから、ガスの部分についてでございますけれども、その後、終わった後にまず第一の大綱をつくりました。大綱予算というのも初めていわゆる積算をしてきたわけでございますが、これは、直接に温室効果ガスの対策というもののほかに、従来ほかのもの、例えば廃棄物の予算であるとかそういうもの、いろいろと役立つもの、大綱に掲げてある対策のもの、そういうものを計上したということで一兆円を超える額になったということが実際の経緯でございます。

肥田委員 ぜひ、この部分につきましては、今後の教訓のためにも、削減コストという表現が適当かどうかわかりませんけれども、やはり公表しながら、しっかりと計算できるような形を我々にも示していただきたいなと思っております。

 次に、次期削減枠組み交渉に臨む環境省の基本姿勢についてお尋ねをしたいと思います。

 京都議定書で定められている目標達成期間は二〇〇八年から二〇一二年までの五年間でございます。ですから、京都議定書が定めていない二〇一三年以降の地球温暖化対策をどのように進めるかということが差し迫った課題となるわけでございます。特に次期削減枠組みと京都議定書の関係はどうなるのか。日本の環境外交の基本にかかわる問題だと思っております。

 ことし秋の会合にかかわらず、今後の国際交渉におきまして、環境省は、京都議定書の延長線上で議論を進められるのか、それとも京都議定書と切り離して交渉されるのか、あるいは第三の道を選択されるのか、見解を伺っておきたいと思います。

小池国務大臣 次期枠組みにつきましては大変重要なポイントだと思います。そして、昨年十二月のCOP10の場におきましても、その交渉を始めようとする先進国と途上国の立場、これがなかなか開きが大きいということも重要であるという認識と同時に、その乖離の大きさということも認識をしたということでございます。結果として、今月、五月十六日から十七日にかけまして、各国政府の専門家によるセミナーをボンで開く予定になっておりまして、ここへ合意するのが精いっぱいといった感じが率直な現場報告でございます。

 したがって、現状では、次期枠組みの具体案について、日本はこうです、アメリカはこうです、ドイツはこうですといったような状況には、現時点ではまだ至っていないというところかと存じます。

 また、次期枠組みですけれども、国際交渉の経緯を振り返ってみますと、やはりこれまでに積み重ねられてきた国際的な合意の上に立脚して、そして構築するということが必要ですし、また現実的ではなかろうか。また、気候変動枠組み条約そして京都議定書の仕組みが、次期枠組みを構築していく上での基盤になるもの、このように考えるところでございます。

 また、次期枠組みですけれども、温室効果ガスの削減に加えまして、気候変動による影響への適応ということについても考慮する必要があるのではないか。

 こういった点を踏まえまして、すべての国が参加して、地球規模で温室効果ガス削減を実現できる枠組みを目指すというのが我が国としても一番大きなポイントになってきますし、また、それを踏まえて国際交渉を進めてまいりたい、このように考えております。

肥田委員 大臣の今の御答弁ですと、京都議定書の延長線で話し合う、そういうふうに受けとめさせていただきます。そうでないとやはり議長国としての信頼が揺らぎますから、そこのところはその方向でよろしいんじゃないかと思います。

 環境立国を目指す日本は、地球環境保全という点から、すべての大口排出国を含めて多くの国の参加を求める立場にございます。それが京都会議議長国の責任であろうかと思います。

 なぜならば、京都議定書締約国が第一約束期間中の五年間で義務づけられた削減目標を達成したとしても、世界全体の温室効果ガス排出量はわずかに二%程度削減されるにすぎないということでございます。それだけに、世界全体の排出量の二〇%を占める米国の参加は不可欠だと思います。その米国は京都議定書から離脱をいたしました。

 改めてお尋ねしますが、米国の離脱理由を簡単に説明していただきます。そして、京都議定書への米国の復帰を求めてどのような働きかけを今なさっているか、その辺についてもお尋ねしたいと思います。

小島政府参考人 ブッシュ政権は、政権について間もない二〇〇一年に、京都議定書について、二つの理由を挙げて議定書を批准をしないという方針を明らかにしました。一つが、議定書の目標達成がアメリカの経済や雇用に悪影響を与えるということ、二つ目は、中国やインドなどの途上国に削減義務が課せられていないということであります。

 我が国は、その直後、国会でも御決議をいただきましたし、党あるいは政府からもそれぞれの相手に対して復帰の呼びかけを今日まで続けておりますし、直近では、先日のスリーRイニシアチブの会合で、小池大臣からコノートン議長に対しましてもお話をしているというようなところでございます。

肥田委員 二つの理由が挙げられておりましたけれども、これをクリアしないと米国の京都議定書への復帰は難しいということになります。アメリカはアメリカでそれなりの努力をしているわけですね。ですから、友好国である日本は、離脱理由をクリアするために、どのような協力を行われるつもりかということをさらに詰めてお尋ねしたかったんですが、途上国の参加問題についてお尋ねをしておきます。

 京都議定書に加わっていない中国やインドなどの人口の多い国では、二酸化炭素の排出量が増加しております。二〇一〇年には途上国全体の排出量が先進国の排出量を上回ることが予測され、途上国の温暖化防止への働きかけは不可欠となっておると。途上国の参加問題については、どのようなアクションをしていらっしゃいますか。

小池国務大臣 先にアメリカの件がございました。それももしよろしければ加えさせていただきたいんですが、せんだって東京でスリーRの閣僚会合を開きました際に、アメリカの方はホワイトハウスのコノートンという担当者が来られまして、そこでも昼食を挟みながら、京都議定書の話、それからスリーRの話など率直にさせていただきました。非常に人間関係もそこでできたのかなというふうに思っております。なかなか今のブッシュ政権の中で京都議定書に戻るという明確な表示はございませんけれども、日本からのメッセージとして受けとめていただいているものと考えております。

 それから、途上国の問題も大変重要でございまして、また、京都議定書のキーワードでもあります、もしくは原則と言った方がいいんですけれども、共通だが差違のある責任ということで、先進国の排出量にのみ数値目標を課す内容になっておるのが京都議定書でございます。しかし、中国、インド、特に排出量が大きいわけでございまして、地球温暖化防止のための対策を求めていくことは極めて重要と考えております。

 これまでの日中韓三カ国大臣会合、これをレギュラーで開いております。それから、もちろんCOPといった環境関係の大臣会合などもございます。こういったところを活用いたしまして、地球温暖化問題に対しての共通認識の醸成に努めてまいりたいと思っておりますし、それから、先ほども御質問ありましたけれども、クリーン開発メカニズム、CDMなどを通じました排出抑制対策の支援、キャパシティー・ビルディング・セミナーの開催といったような形で、特に私は、やはりお隣ということもありまして、また、今いろいろな、別の意味の環境問題もあるようでございます、そういった意味では、中国に対して、例えば省エネ支援、これは経済産業省などときっちりと連携をしていくことによって、あの国が地球温暖化でエネルギーの使用を抑制するということは、石油のマーケットそのものの需給の関係も変えていくということにもつながってくるわけですから、これは地球温暖化及びエネルギーの確保という両面から重要なことだと思っておりますので、あらゆる機会をとらえまして中国ともいろいろな連携をとっていきたい、このように考えているところでございます。

肥田委員 米国の京都議定書復帰、それから途上国の参加、これを促すには、まず国内の意見調整も必要なんですね。

 六%削減とか地球温暖化防止とかの総論では、国民も、そして事業体もおおむね意見一致はあるんですけれども、しかし、具体論に踏み込みますと、見解の相違が出てまいります。例えば、米国や途上国の参加を促すためには、削減義務を廃止すべきだという意見がございます。環境省のように、京都議定書が定めた削減の義務づけを一部途上国にも拡大するという意見もございます。

 これは、京都議定書の基本にかかわる問題だと思います。意見の違いを放置したままで国際会議で具体論に踏み込むとなると、環境外交の足かせになるんだろうと思います。大臣は、この点をどのように考えておられるか、また、次からの削減枠の交渉にどのような基本方針で臨まれるか、そのことを伺っておきたいと思います。

小池国務大臣 委員みずからおっしゃいました、人類共通の問題であります地球温暖化対策でございますけれども、すべての国が対策に取り組む必要がある、これがまず基本的な考え方であります。そして、我が国として、二〇一三年以降の国際的な枠組みをつくっていくという際、すべての国が参加して、そして地球規模で温室効果ガスの削減が実現できる、そういった枠組みを目指すということ、これを基本方針としているところでございます。

 今、今後どうするのだ、そういった途上国にも削減の責務を課してというようなお話ございました。

 ただ、私は、これまでずっと国際交渉に携わってきた現場の担当者、現場を担当した者から聞きますと、途上国は、その話が出ると、それだけで話がもう暗礁に乗り上げてしまうというようなことでございます。そういった交渉の積み上げの中から、各国の考え方などを細かに察知をしながら、今申し上げましたような基本的な方針にのっとって次なる枠組みをつくっていきたい。そしてまた、各国政府専門家によるセミナーなど、さまざまな機会を活用して対話を重ねていく、そして先進国と途上国の間で信頼関係を築くことがまず何よりも必要だと考えております。

 また、環境省の方では、中央環境審議会で、長期的な観点からの気温上昇の抑制幅、そしてそれを実現するための温室効果ガス濃度を含みます気候変動枠組み条約の究極目標の具体化などについて検討していただいているところでございまして、この検討結果も踏まえて、また、今るる申し上げました国際的な動向も踏まえまして、世界各国が参加できる共通の枠組み構築に向けて貢献をしてまいりたい、このように考えております。

肥田委員 終わります。ありがとうございます。

小沢委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本でございます。

 地球温暖化対策について質問させていただきますが、環境税の問題についてお伺いをいたします。

 京都議定書の六%削減の約束、このうち三・九%を森林吸収で達成するということでございますが、前回の質疑の中で林野庁の方からお話を伺いましたが、現状ですと二・六%にとどまるということで、追加財源がどうしても必要だということが言われておりました。

 特に日本の場合は、森林吸収目標を、京都議定書のときにこれを日本として強く要求して、三・九%といいますか、最初はもっと少なかったわけですが、森林吸収源ということを京都議定書の中に盛り込ませるということで、日本の主張が認められた経緯があるわけでございます。

 そういう意味で、この三・九%を削減する、実現するということのための財政的裏づけですね。そうすると、環境税ということで、再三、環境省としてはこの実現に向けていろいろ苦慮しているようですが、環境税を実現するための今後のタイムテーブルといいますか、どのように議論を進めていくのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。

小池国務大臣 環境税の導入に向けて、どのようなタイムテーブルなのかという御質問でございます。

 環境税については、先月、目標達成計画の中にも「真摯に総合的な検討を進めていくべき課題」と位置づけられたところでございまして、これを踏まえまして、実は、きょうでございますけれども、きょうの午前中、中央環境審議会の中に専門委員会を設置いたしまして、その第一回の会合を開いたばかりでございます。そして、その専門委員会の場において、環境税の効果などについてさらに検討を深めるということといたしております。

 まさに、真摯に総合的な検討を進めていく、それも早急に議論を進めてまいりたい。特に、国民、事業者などの御理解、御協力を得るように努めながら、そういった形で早急に進めてまいりたいと考えております。

山本(喜)委員 環境省とすれば、早急に進めていく、しかしながら、今なお検討の段階というふうなことでございますね。

 九〇年に比べて六%削減ということですが、現実のところはもう八%もふえていて、合わせて一四%という話もあります。そうすると、先ほど来の質疑の中で、四千億円から七千億円ですか、そういうふうな財政措置も必要だということが言われておりますから、この点、早急にはわかりますが、どう具体化させていくのかというふうなことが非常に大事になっているというふうに思います。

 そこで、地球温暖化の対策に向けた各省庁間の連携、あるいは情報公開と市民参加ということについてお伺いしていきたいんですが、環境税をめぐってだけでも、経済産業省とはいろいろあるようでございます。この間の国会審議の中で、経済産業省の職員の方が、業界とか国会議員の方々に、環境税はやめるようにというふうなことで根回しをしていたというふうなことも審議の中で明らかになって、中川大臣が陳謝をするというふうな経過もございました。

 この環境税をめぐっても、省庁間でかなりの議論があるし、さらには各省庁の中で、例えば、環境省は、中央環境審議会地球環境部会というのがありますし、経産省では、産業構造審議会環境部会地球環境小委員会、国交省だと、交通政策審議会交通体系分科会環境部会とか社会資本整備審議会、さまざまありまして、それぞれに環境問題について議論はしているわけですが、これをどのようにすり合わせてやってきたのかということが、情報公開が極めて少ないんじゃないかということ、省庁のすり合わせをどのように今後やっていくのかということ。

 もう一つは、情報公開をした上で、やはり市民参加の取り組みが必要ではないかと。

 この計画をつくる段階では、パブリックコメントを求めたということは確かにありますが、できたものに対して市民の意見を求めるというよりも、やはり国民含めてこの計画づくりに参加をしていくという国民運動が大事になっているわけでございます。特に民生部門の排出が大変ふえているわけでございますから、今後、計画の検証も進められていく中で、国民参加というものをどういうふうにやろうとしているのか、この点についてもお伺いをしたいと思います。

高野副大臣 委員御指摘の各省庁間の調整でありますが、各省が持っています関係審議会の合同の会議、これも開催をしておりますし、総理を本部長とする地球温暖化対策推進本部による計画案の作成、閣議での決定というプロセスも経ております。また、局長レベルでの幹事会あるいは課長レベルでの会議を随時開催するということもやって、連携をとっているところであります。

 市民参加については、議員御指摘のとおり、パブリックコメント等を各審議会において受けている、それから、目標達成計画案についても、若干短いという批判がありましたけれども、これもパブリックコメントを実施しておりますし、これまで二度ほどタウンミーティングも実施をして、国民の皆さんからの御意見を踏まえまして、十五カ所ほどの修正を行った上で計画は閣議決定をしたという経緯がございます。

 目標達成計画の中でも「国民の参画が実質的に確保されるような場を設けること」という記述がありまして、これを踏まえて国民参加の確保に努めていきたいと思っております。

山本(喜)委員 今回の法案でも、事業所ごとの排出量、これを公表すると。しかし、例えば企業秘密に関するものについては全体でしか公表されないというような、法案の趣旨にもあるとおり、やはり情報公開ということが非常に大事だと思いますし、その上での国民参加という作風がどうしても地球温暖化対策には必要になってくるんじゃないかというふうに思いますので、そうした情報公開と国民参加ということについてもぜひ留意をしていただきたいというふうに思います。

 次に、今後の、京都議定書以後の取り組みになると思います。

 二〇一二年の満了の年から少なくとも七年前にはポスト京都議定書の議論を進めるというふうになっているわけですが、先ほどの質疑ですと、京都議定書の枠組みを踏まえた上で進めていくというふうになっていますが、アメリカの参加あるいは途上国の参加ということを踏まえると、果たしてこの数値目標ということがどうなっていくのか。数値目標も含めた日本のポスト京都議定書に対するスタンス、そうしたことについてどのように考えているのか、このことを最後にお伺いしたいと思います。

小島政府参考人 ポスト京都の議論というのは非常に複雑な交渉になるんだと思っております。先ほどCOP3のときの、最後の段階のことについて申し上げましたけれども、各国からいろいろな主張が出てまいりまして、それぞれのところについての妥協案をつくり、パッケージで最終的にどうするか、こういう経過をたどるのがマルチの国際会議でございます。

 ただ、現在の段階は、大臣が申し上げましたように、途上国と先進国の立場の乖離が非常に大きくて、すべての国で対応しようじゃないかということも、アジェンダにのっけることがまず第一の課題になっているというのが現状でございますので、主催国になっておりますカナダにおきましても、今いろいろな国の意見を聞いているという段階でございます。

 五月の半ばからのセミナー、あるいは補助機関会合、さらにG8の会合、こういうことを重ねながら、それぞれの国の考え方というものが徐々に出てくると思いますけれども、現在の段階では、EUでも、こういう方向でいこうじゃないかということは、今その段階ではないというふうにお考えのようでございまして、途上国、先進国の信頼関係を醸成しながら一歩一歩進んでいくというのが今の交渉の状況だと思っております。

山本(喜)委員 国際交渉、大変難しいと思いますが、ただ、日本のスタンスが問われているというふうに思うわけでございます。

 例えばEUでは、産業革命以前の地表温度、二度以内に抑えるというような長期的な方針を持っているわけでございますから、そうした日本としての中長期の方針を持ちながら国際交渉に臨んでいただきたいということを申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

小沢委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、西野あきら君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。村井宗明君。

村井(宗)委員 私は、ただいま議決されました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 温室効果ガスの排出量の算定・報告・公表制度の運用に当たっては、企業秘密の取扱いについて事業所管大臣によってその判断が異なることのないように明確な基準を作成・公表し、可能な限り個別事業所ごとの排出量等の情報も開示の対象とするよう努めること。

 二 京都議定書目標達成計画の実効性を高めるため、目標や対策の評価・見直しを平成十九年を待つことなく、毎年点検を行うこと。その際、森林吸収源や京都メカニズムの活用に配慮しつつ、必要に応じて国内排出削減のための施策を強化すること。

 三 温室効果ガスの排出量の削減に向け、国民各界各層それぞれの主体の参加と取組みを推進するための啓発・支援活動を積極的に展開すること。特に、業務その他部門及び家庭部門からの排出量が急増していることにかんがみ、ワークスタイルやライフスタイルの転換を促すための施策を検討し、可能なものから順次実施すること。

 四 我が国は、省エネルギー等の分野で世界最高水準の技術を有しており、これらの技術を一層強化し、国内における温室効果ガスの削減に最大限努力し、世界に対してその技術の普及を図るとともに、燃料電池等の新しい技術の開発や実用化に向けた取組みを積極的に支援すること。

 五 世界最大の温室効果ガス排出国である米国等の先進国に対し、同議定書への復帰・参加を強く働きかけるとともに、中国、インド、その他の途上国を含むすべての国が参加できる将来枠組みの構築に向け、国際的なリーダーシップを発揮すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

小沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小池環境大臣。

小池国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十三分散会


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