衆議院

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第4号 平成18年2月24日(金曜日)

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平成十八年二月二十四日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      井脇ノブ子君    岩屋  毅君

      宇野  治君    小杉  隆君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    篠田 陽介君

      竹下  亘君  とかしきなおみ君

      並木 正芳君    丹羽 秀樹君

      根本  匠君    馬渡 龍治君

      篠原  孝君    高井 美穂君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    野田 聖子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        江田 康幸君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           泉 紳一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  馬渡 龍治君     丹羽 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     馬渡 龍治君

    ―――――――――――――

二月二十一日

 アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三九六号)

 同(石井郁子君紹介)(第三九七号)

 同(笠井亮君紹介)(第三九八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三九九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四〇〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第四〇一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四〇三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四〇四号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第四八六号)

 同(志位和夫君紹介)(第五一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房国際社会協力部長神余隆博君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、文部科学省大臣官房審議官泉紳一郎君、環境省大臣官房長西尾哲茂君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局長田村義雄君及び環境省地球環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井脇ノブ子さん。

井脇委員 おはようございます。自由民主党の井脇ノブ子でございます。環境委員会での質問は初めてでございますので、よろしくお願いします。

 まず初めに、地球温暖化問題について質問させていただきます。

 先般、気候変動枠組み条約第十一回締約国会議COP11、京都議定書第一回締約国会合COP/moP1が平成十七年十一月二十八日から十二月九日までカナダのモントリオールで開催されました。この会議には小池大臣も出席されていましたが、この二つの各会合の成果について、小池大臣に御説明いただけませんでしょうか。

小池国務大臣 御質問の会議でございますけれども、昨年の二月十六日、京都議定書が発効いたしました。それ以来初めての会議ということで、極めて重要な、かつ歴史的な会議でありました。

 中身でありますけれども、京都議定書の実施ルールでありますマラケシュ合意などが採択されまして、議定書を運用する基盤、インフラが整ったということ、それからもう一つ、ここも重要でございますけれども、すべての国が参加する、そして長期的な行動に関しての対話の開始が合意されたというところが一番大きなポイントでございます。

 今回合意されました対話の場などを活用いたしまして、京都議定書を批准しておりませんアメリカ、オーストラリアなど、そして、京都議定書上削減約束がない中国やインド、こういった国々、途上国に対しましての一層の働きかけを行っていくこと、そして、すべての国が参加する実効ある枠組みの実現に向けまして、さらに我が国として主導的な役割を果たしてまいりたいと考えております。

井脇委員 ありがとうございました。

 そこで、京都議定書から離脱しているアメリカへの働きかけについて、国会においても盛んに議論されてきましたが、昨年三月十日の本会議における京都議定書発効に伴う地球温暖化対策推進の強化に関する決議、また、昨年五月十日の衆議院環境委員会における地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議では、世界最大の温室効果ガス排出国でありますアメリカに対し、京都議定書への復帰、参加を働きかけること等が決議されました。

 今回の両会合においては、京都議定書への復帰に関し、アメリカにどのような働きかけを行いましたか、お伺いしたいと思います。また、会合におけるアメリカの見解、アメリカの対応はどのようなものであったのか、あわせてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

小林政府参考人 事実関係でございます。地球環境局長の方から答弁をさせていただきます。

 御指摘のとおり、米国の参加は大変重要でございます。今御指摘のございましたCOP11、そしてCOP/moP1の会期中におきましても、小池環境大臣から、先方、米国の代表でございますドブリアンスキー国務次官にお会いをいたしまして、その会談におきまして、米国政府の議定書締結を働きかける、そして、二〇一三年以降の次期枠組みの議論、国際的な議論へも積極的に参加をするようにということをきっちりと働きかけたところでございます。

 そして、そうした働きかけの結果、結論的には、先ほど大臣の方から答弁を申し上げましたように、米国を含むすべての国による長期的な協力に関する対話というものが合意をされたということでございます。米国もそういう態度であったということでございます。

 また、今後、こうした機会、あるいは昨年七月に、これは別途、米国等も主導的な役割を発揮してでき上がりましたクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップといったような国際的な場がございます。こうしたような場を活用して、先ほど国会決議の御紹介もございましたけれども、米国への働きかけを引き続き続けてまいりたいというふうに考えてございます。

井脇委員 ありがとうございました。

 小池大臣は、去る十七日の本委員会での所信表明の中で、

 脱温暖化社会の構築と循環型社会の構築を目指して、経済や地域コミュニティーの活力を向上させながら環境を保全するための道筋を示す第三次環境基本計画を策定します。さらに、これも踏まえて、二〇五〇年ごろの日本、アジア及び地球の環境を見通した上で、あるべき社会の姿を提示し、その実現を目指す環境政策の超長期ビジョンの策定に取り組みます。また、環境ビジネスの振興、環境配慮型の契約の活用などを通じた経済のグリーン化の推進や、環境研究、環境技術の戦略的推進、我が家の環境大臣事業などによる家庭、学校、地域における環境教育の推進、地域のパートナーシップの促進を図ってまいります。

と強い決意を表明されています。

 環境の世紀である二十一世紀の今、先ほどからるる述べてきましたが、地球環境問題という人類に課せられた大変大きな課題に、真正面から立ち向かっていかなければならないわけでありますが、私も小池大臣のお考えには全く同感でございます。そのような中で、私は、特に環境教育というものが一層大切な事柄になってくると考えています。

 そこで、まず、小池大臣が考えている環境教育とはそもそもどうなのか、小池大臣、少し具体的に説明をしてください。

小池国務大臣 一貫して青少年の教育に当たってこられました井脇委員から、環境教育についての御質問を賜りました。この環境教育というのは、二十一世紀の日本人として、また地球に生きる人間として極めて重要な基礎になるものと考えております。

 リオ宣言というのがございますが、最初にリオで行われましたサミットでその宣言がなされたわけでございますけれども、そこでも、そのベースとなる考え方に、アメリカのネーティブアメリカンの言葉として、この地球というのは、これまで先祖から譲り受けてきたものではなく、将来の子孫、子供たちから借りたものであるというような、そういった思想の紹介などが行われたことは大変有名な話でございます。私は、まさしくそのとおりで、この地球というのは、たまたま今私たちが暮らしておりますけれども、しかしながら、これをどのようにして持続して慈しんでいくのかというのが私たちの責任である、それを大人も子供もよく理解をしていくというのが、まず環境教育の基本中の基本ではないかと思っております。

 そこで、環境保全の知識であるとか理解を国民の皆様に年齢を問わず広く共有していただく、それから特に、みずから進んで環境保全に取り組む人を育てるということこそが環境教育のポイントではないかと思っております。

 特に、今申し上げましたように、次の世代を担う子供たちに対する環境教育というのは極めて重要である、と同時に、二〇〇二年にヨハネスブルクで開かれました、国連・持続可能な開発のための教育の十年ということをヨハネスブルク・サミットで小泉総理が提案をされておられまして、それをベースにした国連・持続可能な開発のための教育の十年が、昨年、二〇〇五年から十年間、スタートをしているということで、この環境教育の重要性については、我が国は世界にも発信をしているということでございます。

 国内的には、平成十六年に、環境保全活動・環境教育推進法に基づき、これは議員立法でおつくりいただいたものでございますけれども、この基本方針を閣議決定して、環境教育の推進方策などを定めたところでございます。

 その中身のポイントだけ申し上げますと、まず、人と環境のかかわり、環境に関連する人間と人間とのかかわり、そして、その両方を学ぶことが大切だというポイント。二番目には、環境にかかわる問題を客観的かつ公平な態度でとらえるということ。三番目には、豊かな環境とその恵みを大切に思う心をはぐくむこと。そして、命の大切さを学ぶこと。こういったことがポイントになっているわけでございます。

 環境教育を進めるに当たりましては、文部科学省など関係府省とも連携をしながら環境教育の推進に努めてまいりたい、このように考えております。

井脇委員 ありがとうございました。

 ポイントを三つ、人と人、公平な態度や豊かな環境、命の大切さ、たくさんのこういうすばらしい教育を聞いて大変うれしく思います。

 地球環境問題を考える際に、環境教育は重要な施策の一つであると、先ほど先生からも指摘がありました。私もとても大切なことだと思っております。

 私の考える教育というのは、学習者みずからが行動、調査することにより行われる教育を含むことであり、そのような内容を含んでいるグローブ計画というものをとても評価しております。今、二十校の小学校、中学校、高等学校が指定されて、グローブ計画を十年ほど行っております。

 さて、そのグローブ計画は、平成七年の実施から十年間を経ましたが、その成果としては具体的にどのようなものがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。文部科学省と環境省にお願いしたいと思います。

布村政府参考人 グローブ計画につきましてお答え申し上げます。

 日本におきましては、二年間に二十校程度の指定をさせていただいておりまして、これまで小中高で百二十二校の指定をなしてきております。

 各グローブ校の指定校におきましては、気温、降水量といった観測したデータを米国のデータ処理センターの方に報告をし、米国において分析、処理され、最新の地球環境イメージということで、提供いただいたデータを活用するという取り組みを進めております。

 日本側の事務局になります東京学芸大学によりますと、子供たちが報告したデータは各学校で御活用いただく、また、世界では千二百万件という正確なデータが得られておりますので、科学者が活用する事例もあると。また、各学校で観測したデータを分析して、例えば川の上流と下流をずっと継続的に観測をして、溶存の酸素量がふえる理由が藻にある、光合成によるというようなデータを発表して、学会で発表された学校もあり、あるいはまた、町の遊水地の整備事業に貢献する、そういうデータを提供された学校もあると聞いております。

 このようなグローブ計画に引き続き取り組みながら、子供たちが科学的に分析して、みずから調べ、行動する、そういう態度がはぐくまれるように努力してまいりたいと思っております。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省といたしましては、地域におきます小中学校の環境保全活動を支援いたしますこどもエコクラブ事業、大変力を入れている事業でございますが、この事業の一環として、今御指摘ございましたグローブプログラムに参加をしているところでございます。自治体や地域の環境学習センター等の協力を得まして、全国各地で、当初七つで今三十三でございますが、三十三のこどもエコクラブがこのグローブプログラムに参加をしておりまして、気象観測あるいは環境観測に取り組んでいるわけでございます。

 これらのデータは、先生御承知のように、世界じゅうから集められ、地球環境の状況を把握するために活用されているわけでございまして、このプログラムによりまして、子供たちが、世界とのつながり、あるいは地球規模での環境学習に参画をして、地球環境の状況や世界の国々の環境問題について学ぶ等、大きな成果を上げている、かように存じております。

井脇委員 ありがとうございました。

 グローブ校に指定されている今の百二十二校、その活動の中心となるグローブティーチャーとして登録された教員について伺いたいと思います。

 グローブティーチャーのような教員は、その所属する学校だけでなくて、地域社会においても環境教育に貢献すべきであると考えますが、その実情についてお答え願いたいと思います。文部科学省にお願いします。

布村政府参考人 グローブティーチャーについてお答え申し上げます。

 グローブ校におきましては、観測活動の中心として、このグローブティーチャーが活動をしていただいております。この仕組みは、本来、当該グローブ校における多様な観測活動、調査活動の円滑な実施を念頭に置いたものではございますけれども、グローブ校は、環境教育の推進に当たりまして一つの中心的な役割を担うということでございますので、このグローブティーチャーにつきましても、地域で活動しております子供たちのエコクラブに観測手法を指導していただくなど、地域における環境教育の実践に貢献していく、そういったことも極めて重要なことと考えてございます。

井脇委員 そこで、グローブ学校では世界規模の環境についての学習へ発展させることができるとされていますが、その発展の成果についてお伺いしたいと思います。文部科学省にお願いします。

布村政府参考人 お答えいたします。

 グローブ校におきましての世界的な規模での環境教育の取り組みということでございましたけれども、実際、各学校において調査をするのは、みずからの地域の、身近な地域のデータでございますけれども、それは、アメリカの、全世界のデータを通じて、地球規模のデータが子供たちの手に戻ってくるということが可能な事業になっております。

 各グローブ校におきましては、このような貴重なデータを活用しまして、みずからの学校のデータと地球の各地のデータを比較することを通じまして、温暖化の問題あるいは酸性雨の問題について調査をしたり、それらを通じてみずから発表したり、そういう取り組みを積極的に行っているところでございまして、これら身近な活動が、地球規模での環境問題への意識の広がり、興味、関心の高まりにつながるという、いい成果が上がっていると承知しております。

井脇委員 そのような成果がたくさん上がっておるということで、大変うれしく思います。今後とも、世界規模的な環境教育、学習が、百二十二校だけでなくて、もっともっと日本じゅうに広がるようにお願いしたいと思っております。ありがとうございました。

 私の地元である大阪府では、大阪府環境教育等推進方針をつくっており、六つの今後の取り組み方針が示されております。一番、環境教育の推進体制の整備、二番、そのための人材育成と人材活用、三番、環境教育の場の提供、学習機会の提供、四番、環境教育プログラム、教材の整備、五番、民間団体等への支援、そして環境教育の普及啓発であります。

 このような取り組みは、全国の他の自治体でも行われていると思われますが、国として、これら自治体による環境教育への取り組みに対して、どのような支援や指導を行っているでしょうか、また、今後行おうとしているでしょうか、お答えいただきたいと思いますが、竹下政務官と文科省にお願いします。

竹下大臣政務官 井脇さん、けさ、オリンピック、よかったですよね。テレビの前で万歳してしまいました。本当に、井脇さんがいつもおっしゃっている、教育とは魂の伝承である、ああいう感動を与えることがすばらしいことじゃないかなと思いながらテレビを見ておりました。

 御質問にお答えをさせていただきます。

 持続可能な社会を築くためには、国民一人一人が環境問題をみずからの問題としてとらえて、環境保全活動に取り組むことが重要であります。そうした意味で、おっしゃったように、自治体を含めたさまざまな主体による環境教育の推進が不可欠である、こう認識をいたしております。

 平成十五年七月には、環境保全活動・環境教育推進法が成立をいたしまして、都道府県及び市町村は、政府の基本方針を勘案した上で、環境教育等の推進に関する方針または計画を作成するよう努めることと定められているところでございまして、現時点で二十三都道府県が既に方針を定めた、あるいは作成中であるというふうに伺っております。

 環境省といたしましては、各自治体において環境教育が積極的に取り組まれるように、自治体の環境教育担当者を対象とした会議やワークショップを既に数回開催いたしておりますが、先駆的事例の紹介等を含めまして情報提供を行っておるところでございます。

 今後とも、学校、家庭、地域等あらゆる場所において環境教育が進展していくように、自治体と協力をいたしまして、人材の育成、情報提供等に一生懸命努めていかなければならない、こう思っておるところでございます。

布村政府参考人 お答えいたします。

 国民の方々が一人一人、環境保全について意識を高めて、また責任ある行動がとれるということに資するために、国はもとより、各自治体においても、環境教育、環境学習を推進いただくことが重要な課題と認識しております。

 文部科学省におきましても、学習指導要領を通じまして、社会科、理科などの教科を通じまして環境教育の内容の充実を図ってきているところでございますけれども、各自治体がおつくりになる基本的な方針にも基づいて、環境省を初めとした関係省庁との連携を図りながら、例えば、教職員と地域の環境学習リーダーが一緒に受講される研修の実施、また全国環境学習フェアの実施、それから、児童生徒が体験を通じて環境について学びます豊かな体験活動推進事業、省庁連携子ども体験型環境学習推進事業などに取り組んでいるところでございます。

 今後とも、学校、家庭、地域のあらゆる場を通じて、環境教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えてございます。

井脇委員 ありがとうございました。

 人間としての基本を教えるべき義務教育課程において、現在どのような形で環境教育を行っているでしょうか。私といたしましては、環境教育をきちんと正規の義務教育カリキュラムの中に入れて、学習指導要領にきちんと定めてほしい。いわば、今、個別科目の寄せ集め、先ほども文科省からも発表がありましたが、寄せ集めのような、理科と社会の中にぽんぽんとあるわけでありますが、環境という名前の新規科目を新設して、学童生徒に対して体系的に教えていくことは国の責務である、環境という科目をつくってほしいと考えていますが、この点についていかがでしょうか。もう力が入ります。今後の方針、見通しも含めお答え願いたいと思います。文科省と環境省にお願いします。

布村政府参考人 お答えいたします。

 環境教育につきましては、特定の教科という枠組みを設ける形ではなくて、社会科、理科、家庭科などの教科の内容として環境に関する内容を幅広く盛り込むという形で取り組んでいるところでございまして、また、道徳特別活動においても取り上げているところでございます。

 近年は総合的な学習の時間が設定されておりますけれども、環境を課題に取り組んでいる学校も非常に多くなっており、平成十六年度では、公立小学校の七五%の学校で、また中学校では五三%の学校で、総合学習の中で環境教育に取り組まれているところでございます。教科の中ではない枠でありますので、地域の里山の下草刈り、あるいは樹木の間伐、炭焼き体験、木炭を利用した水の浄化活動と、幅広い体験と連携しながら環境教育に取り組める、そういうメリットを生かしているところでございます。

 また、参考までに、アメリカ、イギリス、フランスなどの諸外国の多くも、我が国と同様に、関連教科等の学習を通じまして環境教育が実施されていると承知しているところでございます。

 今後とも、学校教育全体を通じましての環境教育の充実に努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 義務教育カリキュラムの中に環境という科目を設けるかどうかということ、それ自体につきましては、やはり文部科学省の所管する事項であるとは存じますけれども、環境省といたしましては、ただいま御説明がるるございましたように、各学校において関係する理科、社会科あるいは家庭科、あるいは近年の総合的な学習の時間、こういうことを通じて行われているわけでございますが、環境教育の充実がより一層図られるように強く期待をいたしたい、そのように思っております。

 もちろん、環境省自体といたしましても、環境教育指導資料の作成とか、あるいは教員研修等を協力して行っているところでございますし、今後とも、文部科学省等と連携しながら、各種の環境に関する普及啓発活動や環境教育施策を一層積極的に推進してまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、環境教育の充実ということが図られることを強く期待をいたしたい、そのように思う次第であります。

井脇委員 ありがとうございました。

 私は、環境教育をリーダーとして行うことができる環境教育の専門家や教師の育成、確保が最も大切なことだと思います。人材なくして環境なしと言っても決して過言ではないと考えています。

 そこで、全国の大学の中で環境学部を持った専門コースの大学は幾つありますか。また、そのうち環境専門の大学はありますか。地球環境大学、環境大学はありますか。

 このたび、上智が大学院を、環境学部を創立いたしましたが、主たる履修分野、地域的分布及び総学生数、卒業者数、在校者数を含め、お願いしたいと思います。また、卒業生の進路状況や活躍分野も、環境学部を出てどのような分野で活躍しているか把握していますか、お聞かせ願いたいと思います。文部科学省にお願いします。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 環境問題への社会的な関心の高まりを反映いたしまして、環境に関する学部、学科等を置く大学は、平成十七年度現在で全国で百七十九大学ございます。全体の大学数は七百十六大学でございます。

 その中で、大学の名前に環境の言葉を含む、いわば環境専科の大学と言えるものが二大学ございます。一つは、私立でございますけれども、愛知県にございます人間環境大学、それからもう一つは、鳥取県にございます、これも私立でございますけれども、鳥取環境大学、この二つが大学の名前に環境の言葉を含む大学でございます。そのほかに、大学の学部そのものの名称あるいは学部の中の学科あるいは課程の中に環境という言葉を含む大学が百七十七大学ありまして、この百七十七と二、合わせて百七十九大学ということでございます。学部の数といたしましては、二百二十一学部でございます。

 環境という概念は非常に幅広いわけでございますので、これらの学部、課程等で履修されております分野といたしましては、地球環境、自然環境、都市環境といったものから、環境デザイン、環境情報あるいは環境ビジネスといったものまで多種多様でございます。教育学部におきましても、十四の大学で環境教育課程あるいは地球環境教育課程といった課程も置かれているところでございます。

 それから、これらの学部、学科におきます学生の数でございますけれども、入学定数といたしまして、全体で二万四千五百人ほどでございまして、これは一学年の数ということになりますので、全体の在学者数としましては十万人程度ということになろうかと思います。

 この学生の分布でございますけれども、今の二万四千五百ほどの入学定数、これは全国では五十五万ほどになりますけれども、そうしますと、平均しまして四・五%ぐらいがこの環境に関する入学定員ということになるわけですけれども、地域的な分布を見ますと、北陸あるいは中国地域が、先ほどの四・五%というものに対しまして九%近い数字になってございまして、これらの地域では、大学の入学定数全体の中で環境にかかわる部分がほかの地域よりもやや多いということが言えるかと思います。

 それから、卒業者の進路でございますけれども、これを全体的に把握することはなかなか難しいわけでございまして、環境という大変幅広い概念の勉学を修めた人たちでございますので、大変広範な分野で活躍しているというふうに考えております。

 例えば、先ほど申し上げました鳥取環境大学におきます卒業生の進路状況、昨年の三月の卒業者の状況でございますけれども、サービス業、流通業、製造業あるいは通信、さらに地域の自治体等々、あるいは金融等、非常にさまざまな分野に活躍をしております。

 それから、これらの環境等の学部・学科の中には教職課程として認定を受けている学科もございまして、卒業生の中で教職の道に行って環境教育あるいは理科教育の担い手になっているというような者もおるということでございます。

 以上でございます。

井脇委員 時間が来ましたが、ちょっと最後に小池環境大臣に一言言って終わりたいと思います。

 この環境教育にかかわる人材育成、確保の件についても、文部科学省と関係閣僚が連携をして、一層強化して取り組んでいく決意を改めてお願いしたいと思います。

 時間となりまして、大変ありがとうございました。小池大臣、一言お願いします。

小池国務大臣 先生の環境教育にかける御熱心さに胸打たれたところでございます。

 学校における教育ということに関しては、人材の育成、確保、極めて重要なことでございますので、先ほどから御答弁もいただいております文部科学省、関係府省と連携してまいりたいと考えておりますが、私は、学校だけじゃないと思うんですね。

 せんだって、ワンガリ・マータイさん、ノーベル平和賞を受賞された方がまた来日されまして、もったいないの心をずっとまた説いていかれました。私もやはりおばあちゃんに、それはもったいないといって、何度しかられたことでしょうか。そういった、学校教育もさることながら、家庭教育の場こそ環境教育ではないか、むしろ子供から大人が学ぶというようなことがしばしば起こっているのではないか。そんなことを含めまして、環境教育にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

木村委員長 次に、長浜博行君。

長浜委員 民主党の長浜でございます。

 井脇さんの迫力につられて、つい井脇さんの方へ行ってしまいました。

 こういう円卓での委員会質疑というのもふだんとは風景が違ってまたいいものだなと思いながら、お話を拝聴しておりました。

 大臣所信に対する質疑ということで、基本的に、大臣がお使いになった所信の中のお考えを私自身伺うということをさせていただければと思います。

 他国のモデルとなる環境先進国を目指すというようなお話がございました。

 今ちょうどお話があったマータイさんと、先週、もちろん大臣ともお会いをされたんだと思いますけれども、自民党に次ぐ二番目の政党と言ったらいいのか、野党第一党の民主党の環境問題に関する認識を伺いたいということで、ノーベル平和賞の方とお話しするのもとても恐縮だったんですが、御依頼でありますので、一時間ほどお話をしました。何かふろしきを大変喜んでおられましたよ。再生された材料でこんなきれいなものがつくれるなんて、これだけをもって日本はすごい、これだけで日本の実力はわかるということで、大変喜んでおられました。

 そのときのお話もそうなんですけれども、日本はすごいと言われたときに、でも、ふと、ケニアのマータイさんから見られて何がすごいのかなと。豊かな生活を営める経済先進国となって、しかし、その裏に隠れた部分というのが、隠れてはいないんですが、随分あるんではないかなという、負の遺産の問題です。はやりの言葉で言えば、光と影の影の部分でありますが、やはり、さまざまな公害等々、経済発展の裏に日本がこうむってきた問題、今でも苦しんでおられる方々の存在というものがあるわけですね。ですから、必ずしも日本を目指して、一時日本に学べという形の運動論も一部地域ではあったようでありますが、それが正しい成果を導き出すかどうかというのは、ちょっと疑問ではないかなということもあえて申し上げたわけでございます。

 お隣の中国などにおいても、さまざまな環境被害が報じられているわけでございます。これも、去年香港に行ったときに行政長官にお会いしたら、もう大気汚染がひどいと。香港というのは、大臣も御承知のように、ビクトリアピークから見る夜景が非常にきれいなんですが、それがスモッグで見られない。これは大陸から来ている大気汚染の影響で、香港人は被害をこうむっているというようなことを言われておりました。

 日本も同じですね。偏西風に乗って酸性雨等の影響も受けている。

 こういう状況の中で、本当に他国のモデルとなる環境先進国を目指すということを言った場合に、どういったものを日本の、過去克服してきた悲劇、まだ継続中の問題も含めて、国づくりの中での環境先進国というイメージを持っておられるのかをちょっと伺います。

小池国務大臣 今、地球環境の保全ということで、テーマとすれば、やはり地球温暖化の問題、循環型社会の構築の問題、こういった二本柱とともに、今御指摘のように、水、大気環境をどうやって守っていくのか、そしてまた自然を守っていくのか、幾つかの大きな項目があろうと思います。

 その中で、例えば京都議定書、我が国は批准をし、そしてこれから六%達成のためにみんなが努力をしていこうということで、そこの裏づけとすれば、まず一つには技術力でございますね、それから、マータイさんがおっしゃったような、もったいないというような伝統的な日本の心、この二つが相まって日本のこれからの環境保全ということを進めていく、そしてそれが相まって好循環をつくっていく、こういったことを目指すのが、まさに環境先進国ではないかと思っております。

 今、幾つかの負の遺産があるとおっしゃいました。ことし、この問題についてはしっかりと対応をし、そしてまた、その負の遺産という部分の反省をもとに、さらに今後、環境先進国のモデルとして世界にもそういったことについては伝えていく、こういったことを総合的に含めまして環境先進国というものが成り立つのではないのか、このように考えているところでございます。

 ヨーロッパなどでも、とても環境先進的な国々は多々あるわけでございますけれども、やはりこの日本という国を考えますと、例えば、技術立国、物づくりの中で、石油という資源がないがために、逆に大変な技術力を有している。自動車産業などを見れば、それは明確に環境先進国の担う分野が既にあるということを証明しているのではないのかなと思っております。

 そういったプラスの部分と、そしてマイナスのこれまでの反省とを兼ねまして、総合的に環境先進国となれるように努力をしていこう、このように考えているところでございます。

長浜委員 そういった進んだ技術とか、あるいは環境に関する法整備ということはもちろん大事なんですが、私は常々、環境というのは心の問題だということから出発をしないと物事は解決しないと思っておりますが、その環境教育ということで、今、井脇さんがさまざまな観点から質問をされました。

 たまたま昨日、「北の国から」で有名な倉本聰さんとお昼を一緒にしたんですね。これは自然体験活動推進議員連盟ということで、山本さんも幹事か何かをされていますが、そのときに倉本さんからお話を受けました。環境教育なるものは、いろいろ難しく考える必要は余りないんじゃないかと。ドイツという国が、今ヨーロッパのお話をされましたが、環境大国として転換をするときに、倉本さんは、三十年はかかっていると思うと。三十年というのは多分一世代なんでしょうね。生まれてから、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、それから大人になって、結婚するかどうか、その三十歳、三十年というタームの中で何を考えているのかというと、環境重視をしたような教育というのは国づくりをすべて変えていくんだと。

 例えば算数の教科書だと。五引く三をどういうふうに教えるのかというと、ドイツでは、五個の生ごみの袋が家の前に置かれていました、ごみ収集車が来て三個の生ごみを収集しました、幾つ残っているでしょうか、こういう算数をやるんだそうですよ。日本はどういうふうになっているのかというと、銀行に五万円の預金がありました、三万円をATMから引き出すとあとは幾らでしょうか、こういうことです。

 私が言うと何か笑われちゃうんですけれども、倉本さんのお話はそういうことで、あらゆる分野の中において、教育の現場ですね、幼稚園から、多分今のは小学校レベルかな、中学、高校を含めて、あらゆる物の考え方の中に環境という概念を入れていくんだと。そんな話をきのうの昼飯のときにされたことが非常に印象的でならなかったわけでございます。

 次に、環境税について伺います。

 一昨年導入を図ろうとして、そしてまた昨年導入を図ろうとしてなかなかうまくいかない。一昨年のときは、これは多分五千億円ぐらいの規模だったと思いますが、昨年になると三千七百億円ぐらいに規模が縮小していたように思います。それでもなかなか通らない。

 一昨年は、温暖化対策だけではなくて、社会保険料の軽減をするというような、私どもがよく指導を受ける千葉大の廣井教授のような考え方の一部が見られるようなところもありましたが、去年の段階においては、この部分もすべて温暖化対策というようなことで規模も縮小しているという状況であります。

 しかし、現実に言えば、もう何回も議論をしているように、九〇年対比の中におけるCO2というのは削減どころか増加の一途をたどっているわけでございますので、この環境税というものについて、本気でやるつもりがあるかという失礼な質問はするつもりはありませんが、一体どうしようと。二回、過去、失敗と言ったらいいんでしょうか、熱意はよくわかるんですが、本当に小池大臣としてはどうされようとしているのか、簡潔にお答えいただければと思います。

小池国務大臣 消費税一つとりましても、新しい税を導入するというのは、いろいろな紆余曲折、反対、賛成、それぞれ入りまじって、そして理解を広く得ていくものだ、このように考えております。

 環境税はこれまで、今御指摘ありましたように、二度具体的な案を出させてお諮りをしていったわけでございます。

 まず、本気かどうかというと、本気でございます。というのも、京都議定書が既に発効をし、そしてその第一約束期間である二〇〇八年がもう目前に迫っているということ、そしてまた一方で、現実には、目標がマイナス六%であるにもかかわらず、逆に七・四%増となっているような現実があるわけでございます。

 この環境税というのは、基本的にその排出量に応じて公平な形で負担を求めるということで有効な政策手法である、このように考えておりますし、先ほど環境教育のお話をされましたけれども、たしか某国では、五人兵士がいて、うち三人を殺しまして、あと何人残るでしょうかというような教育をやっている国もあると聞いたことがありますけれども、その国の考え方によって、そういう教育そのものが変わっていくという例ではないかと思って聞いておりましたが、いずれにしましても、この環境税というのも非常にアナウンスメント効果もある、人々の考え方、意識を変えていく、そして、結果としてライフスタイル、そして社会経済システムを脱温暖化へと転換する推進力にもなってくるわけでございます。

 その意味で、二度にわたって環境税の具体案を公表させていただいたところでございますが、環境税への理解は着実に歩みを進めているものと考えておりますし、また、広く理解を広げていくためにも、今後ともパブリックコメントであるとか、産業界、NGOの方々が参加していただいております中環審施策総合企画小委員会におきましても、これまでも二十三回にわたって議論を重ねていただいております。また、草の根対話と題しまして地方ヒアリングなども行ってまいったところでございます。引き続き、国民の皆様方、そして関係の方々、お一人お一人にこの環境税の意味ということをしっかりと御理解いただいて、そしてこの京都議定書が達成できる体制というのをつくってまいりたい、このように考えているところでございます。

長浜委員 すべての水俣病被害者が地域社会で安心して暮らしていけるような対策ということも所信の中で述べられているわけであります。

 一昨日、水俣病不知火患者会の第四陣百八十六人が、総額十五億八千百万円の損害賠償請求訴訟というのを起こされて、これで、原告はこの部分においても八百七十六人ということになっています。

 御承知のように、症例として認知をされて五十年という、こういった大事な年を迎えているわけでありますが、二〇〇四年の関西訴訟の最高裁判決で国と熊本県の責任は確定をしている、その国が、認定基準を見直さないところによってこういった悲劇が続いているわけでございます。もちろん、体の苦しみも被害者の方々はそうでありますが、あの閉鎖社会の中における偏見とか、こういった状況の中において非常に苦しんでいる。この議論というのは、さまざまな理由の中においてなかなか質疑時間がとれませんでしたが、アスベスト問題のときの補償と救済の問題にもつながる部分でありますが、国は過ちを起こさないという、ある種の誤解と言ったらいいんでしょうか、そういったものの呪縛から解かれて、司法の場でも認定をされている責任、こういったものを感じながら、これら苦しみの中で毎日生きておられる皆様方の補償、救済をしていくということが一番大切なことではないかなというふうに思いますが、時間もなくなったようでありますので細かく述べることは避けますが、すべての水俣病被害者が地域社会で安心して暮らしていけるような対策とあなたがおっしゃった意味というのは、一体どういうことなんでございますか。

小池国務大臣 御承知のように、ことしは水俣病の公式確認から五十年という節目の年でございます。これまで平成七年に政治解決、そして一昨年は最高裁判所の判決が出ております。すべての水俣病の被害者が地域社会で安心して暮らしていけるようにするため、昨年の四月には今後の水俣病対策ということで発表をいたしております。この対策を着実に実施していくように、関係地方公共団体と協力して全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 昨年十月から保健手帳という制度をさらに拡充して行っているわけでございますけれども、これまで千二百人余りの方が保健手帳の資格に当てはまる、該当するということになっておりまして、引き続き、その普及に努めて利便性を図っていきたいと思っております。

 そのほか、水俣病被害者そして家族の方々、高齢化されておられます。そういったことから、健康管理事業を充実する、それから、胎児性の水俣病患者の方々の日常生活そして社会活動などを支援していくという体制、そのほか幾つかの項目がございますけれども、総合的に、文字どおりすべての水俣病の被害者の方々が、地域社会で安心して暮らしていける対策を着実に実行してまいりたいと考えております。

長浜委員 終わります。

木村委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 大臣の所信に対しまして質問させていただきます。

 所信のところから入らせていただきますが、ふろしきというのが今話題になっております。私もふろしきの愛好者でございまして、どういうときに一番使ったかというと、二十数年前アメリカに留学させていただいているときに、やたらリーディングアサインメントというのをいただきまして、山ほどあってわけがわからない、ふろしきに包んで持ってまいりました。

 もったいないふろしきと言っておられますけれども、そのころは私はミラクルバッグと言っていまして、これはアメリカ人がつけた名前でして、教えてやりました、持っていましたので。ところが、こんなことを言っちゃ悪いんですけれども、結構不器用で、ちょうちょう結びができないんですね。ほどけなかったりして、やはりあれは日本人しか使えないかなと思っております。

 今そこでも使っておられますけれども、役所でもまじめな人は、そんなに役立たないと思いますけれども、重い書類を持ってきては一生懸命役立っているふりをしているのによく使っていましたけれども、今はバッグになったりして、しゃれたバッグで、皆さん、若い人たちはバッグで、ふろしきを持っている人は一人もおりませんけれども、私はふろしきが大好きで、使いたいと思っております。中でも一番大好きなのは大ぶろしきでございまして、きょうはそういった話もさせていただきたいと思っております。

 質問に入る前に、環境問題についての基本的認識ですけれども、ちょっと申し述べさせていただきたいと思います。

 私は、環境問題、非常に大事な問題だと思っております。政治家になりますと、結構気がでかくなりまして、外交、安全保障とか金融財政とか、それで天下、国家を動かしているという気になって、そっちにばかり走る人がおられますけれども、私は、今世界で一番大事な問題、一番、二番というのはつけられませんけれども、環境問題というのは非常に大事だと思っております。地球全体の生命の危機に瀕しているということがあるんじゃないかと思います。

 ペンタゴンですら、テロに対する闘い、闘いと言っていますけれども、今後十年、二十年のことを考えたら、テロなんかよりもずっとグローバルウオーミング、地球温暖化が大問題になるんだと言っております。そういった意味では、非常に大事なことなんじゃないかと思います。

 そういうことを考えますと、日本の政治家の皆さんもやはりそういうことを考えておられている。歴代総理の中では、施政方針演説なんかを見直してみますと、福田総理は、三分の一ぐらい、一番最初、総理になられてすぐの施政方針演説の中に環境問題を使っておられます。小池大臣がクールビズですっかり有名にされましたけれども、大平さんも、余り似合わないのに半袖シャツを着ていらしたのを覚えておられると思います。なかなかあれは熱心だったんです。それは竹下さんも、晩年は、晩年なんて言ったら悪いんですけれども、環境問題に非常に熱心でした。橋本総理もそうでした。それから、小池大臣がかつて慕われておられた細川総理、細川総理も有機農業とかいうので非常に環境に走っておられた。

 それから、官房長官、大臣をやられましたけれども、さきがけの武村さんは最近本を書かれました。「私はニッポンを洗濯したかった」、これは環境問題と日本の政界の浄化とかけておられるんだろうと思いますけれども、私は、心ある政治家は皆、環境問題に関心を持ってこられるんじゃないかと思っております。そういうことからいいますと、ここに座っている方々は最も政治家らしい政治家たちの集団ではないかと、私自身も含めて自負しております。

 私は、ですから、ここで質問いたしますけれども、これは、ほかの委員会はよくわかりません、しかし、ここの委員の皆さんはすべて私は応援団ではないかと思います。やたら揚げ足をとったりするとかいうのがはびこったりしますけれども、僕は、ここの委員会はもう応援団ばかりじゃないかと思っております。私の質問も、そういう意味では応援でございます。

 きょうは一枚だけ資料を用意いたしました。もっと用意したかったんですが、この間、資料をどさっと片面コピーで持ってまいりましたら、大臣から、なぜ両面コピーにしないのかというのがありました。きょうはまことに済みませんけれどもリサイクル紙で、後ろは読まないでいただきたい、表だけを見ていただきたいと思います。これをちょっと使わせていただきます。

 質問に入らせていただきます。

 環境省の仕事というのはいろいろあります。かつては、今、長浜委員が触れられましたけれども、公害問題、ここから始まったと思います。しかし、今一番大事なのは何か。これまた一番、二番というのをつけるのはよくないかと思いますけれども、やはり地球環境問題、そこから発している問題、これが大きな問題ではないかと思います。

 こういうことを考えますと、環境省は一体どういうふうに取り組んでおられるのかと。取り組みで、政策のことは私はきょうはそんなに触れるつもりはありません。ロジスティクスというか後方支援体制が一体どうなっているのかということ、これが心配なわけです。

 例えば、この表で説明いたしますけれども、若手の留学とか、国際機関がありますが、そういったところへの出向等、それから、あちこちの大使館、情報交換しなければいけない、大使館への出向等、国際的な問題に対応する体制というのは一体どのようになっておりますでしょうか。

西尾政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省の取り組む方向でございます。

 今先生御指摘のように、私どもが入りましたころは、公害病とかそういうことが非常に中心だったと思いますが、最近環境省を志望してくる人、学生時代に京都議定書を勉強したとか、国際環境協力を修めた、そうした人がほとんど大部分でございます。

 そういう面では、地球環境問題そのものもそうでございますけれども、例えば大気汚染、水質汚濁の問題でも、有害情報をどうやって交換するかということがございます。廃棄物もスリーRをどうやって国際化するか、自然の世界でも、世界自然遺産だとか、あるいは渡り鳥でありますとか、国際的な文脈抜きにできないものがほとんどだというふうに思っております。

 それに向けての体制ということは、いろいろ強化をしていかなきゃいけないということではあるわけでございますけれども、今の現状を申し上げますと、国際機関等への派遣は在外公館を含めまして十二カ所になっております。また、若手職員の留学生、これは最近ふやしまして、十七年、十八年四名ずつということで、今合計八名というようなことで順次充実を図ってきておりますけれども、さらにさらに充実していくべきものだというふうに考えております。

篠原委員 気持ちはわかるんですが、非常にやっておられるというのはわかるんですが、この数字、私が特別つくりましたので、ちょっと見ていただきたいんです。これが資料でございます。「各省庁の留学派遣者数の比較」、人事院の長期在外研究員派遣というので、簡単にいいますと留学ですけれども、私もこれで二年間、アメリカのワシントン大学に留学させていただきました。

 これは、一番左はその年の1種の採用者数、十五年度の数字を掲げてあります。それから1種の在職者数。それから最近五年間、ちょっと数字がこれしか手に入らなかったので基礎となる年次がばらついちゃうんですが、大体の比較ということでこれで十分だと思います。平成十三年から十七年の五年間の総計。それで、派遣者数を五年間のものを平均するとどれだけか、これで見てみるんです。

 ちょっと見ていただきたいんですが、金融庁が一番簡単です。九人採用してそのうちの三人が、Dですけれども、留学できる。三人に一人が留学のチャンスが与えられる。ばあっと見ていきますと、一番多いのは経済産業省。インターナショナルなのが多いわけですが、五五・一%になっております。

 これで見てみますと、A分のDです。これはびりからいきますと一番下が環境省になってしまうんですね。一四・四%。AとDで比べますと、十八人採用して二・六人しか海外に留学させてもらえないということ。あと厚生労働省が一五%。それから文部科学省が一六・三%。やはりこれは国際的な問題があるかどうかというのが一つの基準になっているわけですけれども、環境省はどんどんどんどん国際問題が多くなっているのにもかかわらず、ちょっとタイムラグがあり過ぎるような気がするんです。

 この点、一体どういう努力をされておられるのか。例えばこれは、1種の若手の留学については人事院が取り仕切っておりまして、どこの省庁に何人というふうに割り振っているはずなんですが、そういったことに対して、環境省はどんどんインターナショナルな仕事がふえているので、もっと留学させてくれというような要求はされておられるんでしょうか。

西尾政府参考人 資料をおまとめいただきました。人数が少ないものですから、平均値を出しますとえらくばらつくんですけれども、私の大体の印象といいますか感想といたしましては、環境庁時代は、この人事院のきちんとした長期研修制度に行かせていただく人が毎年一人か多くて二人、こうだったと思っています。

 これでは全然足りませんので、環境省になってからは人事院にもいろいろお願いをして、それから、適材ということもございますから試験もございますけれども、ふやしてきている。その結果が、十七年、十八年は四人ずつになっている。前のペースより倍ぐらいになったからといってもまだ少ないじゃないかということはそうだと思いますが、そこはこれからも努力しなきゃいけないと思っています。

 ただ、他方で、実は採用数も、これは2、3種の人、1種もそうでありますけれども、環境庁時代十人ぐらいだったものを、それではとても回らないということで二十人ぐらいにふやしましたので、ちょっと率としてはおくれてしまったかなという感はございます。

 さらにいろいろと調整の努力といいますか、お願いの努力をしていきたいというふうに思っております。

篠原委員 引き続き努力して、足りないことがあったら、パワフルな大臣もおられますし、我々も応援団ですから、言ってください。

 私は、環境問題というのは本当に国際問題から発していると。私は農林水産省に三十年いたんですけれども、だめなんですね、役人というのは。クイックレスポンスということができないわけです。ちょっといい例になるのか悪い例になるのかわからないんですが、申し上げますと、昭和三十一年から三十六年の入省者に対して農林水産省は、うんと大昔ですけれども、信じられないんですけれども、農林水産省に入ってから半年以上、日米会話学院に通わせたんだそうです、ほとんどの行政官を。それは、将来、国際問題が大問題になるだろうということを見越した人がいたわけです。ところが、何で打ち切られたかというと、遊んでいてさっぱり勉強しなくて役に立たない、そういう不謹慎な人たちがいたからだめになった。

 ところが、ちょうどその三十二年の人が、真木さんという、私もお仕えしたんですが、この人が農林水産省の初代の審議官になりました。バイスミニスター・フォー・インターナショナル・アフェアーズですね。牛肉、かんきつとか米とか、もうどんちゃかどんちゃかしたとき、この人たちが局長になっているときなんです。そのときに勉強された方だけしか出世できなかったんじゃないかと僕は思いますけれども、先見の明があったわけですね。

 そういった先行投資は、私は絶対必要なんじゃないかと思います。どうも役所は後手後手になって、下手すると十年、二十年おくれてしまうということ。それで、今農林水産省はいっぱい留学をしていますけれども、このまま行ったら、これはよくないことですけれども、みんな片づいちゃって、全部自由化して、もう外国に頼りっ切りで国際問題はなくなっちゃっているかもしれないわけですね。そのようにちょっとタイムラグがあるので、僕は、環境省は今こそ国際関係のところを充実しなくちゃいけないということを痛切に感じております。

 それで、留学は人事院にちゃんと言って要求しているということでしょうけれども、では、国際機関への出向、それから大使館への出向等もどのように努力されていて、どのような成果を生んでいるのか。あるいは、障害があって、ふやそうと思っている分をさっぱりふやせないのか、その点はいかがでしょうか。

西尾政府参考人 国際機関への派遣の関係でございますけれども、これにつきましては、一番最初は環境庁時代に、四十八年にOECDの日本代表部にアタッシェを置いたということだったと思います。それ以後、アメリカでありますとかジュネーブの国連機関代表部でございますとか、在中国の在外公館に職員を派遣してきておりまして、アタッシェで派遣しておりますのは六カ所でございます。

 それから、国際機関そのものへ職員を送り込む、こういうことでございますが、それにつきましても、OECDでございますとか、あるいは北京にございます日中友好環境保護センター、こういったような国際機関に職員を送っております。昨年も、バンコクにございますUNEPの機関の副局長ということで、国際機関への職員の送り出しということもふやす努力をしてきているところでございます。

 そういうものの拡大につきましても、今後、日ごろからでございますが、外務省と、公館につきましては外務省であろうかと思いますが、政府内でいろいろ御相談をさせていただくということでございますし、国際機関につきましても、できるだけいろいろなチャンネルをふやして、送り込むチャンスあるいは人脈をふやしていくという努力を不断に行っていきたいというふうに思っております。

篠原委員 努力されているということですけれども、環境省は今六人ですか、在外公館。OECDが一番最初というのはわかる気がします。リオの環境サミットも結局OECDの閣僚理事会等でさんざんやってきて、それがリオの環境サミットにつながっている。先進国のルールというのはOECDで決まっていますから当然だろうと思います。

 しかし、私の経験で恐縮ですけれども、OECD代表部に私は勤務したことがあるんですよ。大変でした。私は、英語もそれほどできないし、能率が悪いので夜中までよく仕事をしていましたけれども、私以上に夜中まで仕事をしていたのは環境省から出向してきていた方です。名前は、こういうところで言ってもいいのか、高橋康夫さんという立派な方です。もう、霞が関でやっているよりよっぽど夜中まで仕事をしておりました。それで、僕は、そういうところはしつこいですから、行ってから、こんなんじゃやってられぬ、何かほかの省庁は三人も来ている、大したことをしていなくて飯ばかり食べているな、こっちは言っちゃいけないな、罰が当たって痛風になったりした人もいましたけれども、食べ過ぎて。これはいかぬということで、私は、大使館にいながら農林水産省からもう一人若いのを、私は参事官で行っていたんですが、一人よこさなくちゃいけないということで本省に成りかわって一生懸命やりまして、本省にいたときもそういうことをしていたんですけれども、最後にやっと二等書記官が来るようになりました。二人体制になりました。

 農業も、農政は補助金が多過ぎるということで、OECDから、ああでもないこうでもないと文句を言われているわけです。そういうのは大変なんですね、英語で議論したりするのは。環境問題も、どうすべきかというのはOECDの場でいっぱい議論されています。貿易と環境、税制と環境、経済と環境とか、みんな環境に絡んでいる。それを一人だけでやっている。何で要求しないんだと。これはもう十年たっても変わっていないわけです、一人だけでやっているのは。よっぽど優秀な人を送らない限り、それは体力ある方を送らない限り、僕はやっていけないんじゃないかと思います。十年たってもまだ一人だというのはよくないので、こういうのはぜひ全力を挙げてやっていただきたい。

 なぜかといいますと、国際的なルールが先に決められちゃうんですね。それはいいことなんでしょうが、そのところに日本の意向とかを埋め込むにはインターナショナル・デシジョンメーキングの中に参加しないことにはやっていけないんですね。後からああでもないこうでもないと言ったって仕方がない。その部分の努力がちょっと欠けているんじゃないかという気がするんですけれども、私はこの点も非常に欠けているんじゃないかと思います。

 それで、外務省にお伺いしたいんですけれども、外務省もお金を節約しなくちゃならないので、日本はお金だけ出す人、国際機関に。それで、人も採用しろとか余り言わないという非常にいいメンバー国になっているわけですけれども、色分けして、環境問題等については日本は責任を持っていく、先ほどの話じゃないですけれども、軍事だとかあっちの面では日本はそんなに貢献できない、しかし、環境問題については技術もある、人もいる、お金もそこそこある、だからいっぱい拠出をする、そのかわり日本の若手をどんどん採用してくれというようなことを言ってもいいんじゃないかと思いますけれども、環境関係の国際機関への日本の拠出、それから日本人の割合等、ほかの国際機関等と比べてどうなっておりますでしょうか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 環境関係の国際機関への拠出と、それから邦人職員の割合でございますけれども、日本の拠出額の昨年度の実績と、国際機関の収入額の二〇〇四年度の実績から見ますと、次のとおりになっております。

 まず、国連の内外で環境関連の活動を総合調整しております国連環境計画、UNEPでございますけれども、これにつきましては、その主要活動経費の約五・九七%、六%に近い金の三千四百万ドルでございますけれども、拠出をしております。

 それから、UNEPの下部機関でございますけれども、これは日本にございます、滋賀と大阪にございますけれども、国際環境技術センター、IETCでございますけれども、これの収入の一〇〇%に当たる部分が百九十万ドルになっておりますけれども、一〇〇%日本が拠出をしているということでございます。

 同じく、北西太平洋地域海行動計画、富山にございますけれども、NOWPAPという機関がございますけれども、これには三九・七%に当たる十二万五千ドルを拠出しております。

 また、環境ということでございますと、木材関係で、熱帯木材につきまして、横浜にございます国際熱帯木材機関、ITTOというのがございますけれども、これにつきましては、この機関の収入の二二・七%に当たる百九十万ドル強を拠出しておるところでございます。

 これらの機関に所属する邦人職員でございますけれども、この割合は、先ほど申しましたUNEP、ケニアにございますけれども、これが二・三%、四百七十四人中十一名ということになっております。また、IETC、これは大阪と滋賀でございますけれども、これは、職員数は四二・九%ということで、七名中三名が日本人職員ということになっております。それから、富山にございますNOWPAPでございますけれども、これは二五%、すなわち四名中一名が日本人であると。それから、ITTO、横浜にございますけれども、三%、すなわち三十三名中一名ということになっております。

 環境関係、日本にも割と機関が多うございますから、そういうことになっております。

    〔委員長退席、加藤(勝)委員長代理着席〕

篠原委員 日本にあるのは当然だろうと思いますけれども、今おっしゃった中では、UNEPなんかに相当お金を出している、六%近くですね。どこの国際機関もそうなんでしょうけれども、国際機関のルールというのは、お金の拠出割合に応じてその国の人を採用する。日本は、完全に相互、パラレルになっているところなんかほとんどないだろうと思いますけれども。

 項目というか問題によっては、人材がいて、送り込む余地がいっぱいあるもの、例えば通商問題とかああいう非常にぎすぎすしたもの、あるいはゼネラルなもの、例えばWTOですけれども、ああいうところは、日本人をいきなり採用せよといっても、だから無理なんだろうと思います。

 しかし、技術問題、テクニカルな問題については、いっぱい立派な人たちがいる。言葉のハンディもそれほどない。つまり、もうわかっている、非常に狭い分野で、その道のプロだったら、もうちょっと言ったらわかるというのですね。だから、日本人が働ける機会が多いんだろうと思いますけれども、そういう点、特に環境については出そうとかいうことをされておられるんでしょうか。

 それで、ついでにもう一つお伺いしたいんですけれども、これだけ国際的な問題になっているというときに、外務省は、地球環境問題について一体どの程度真剣に取り組んでいるか。

 外務省の仕事というのは多岐にわたります。通商問題もやります、外交、防衛もやります。しかし、新しく起きている問題として地球環境問題があるわけです。こういった問題には、外務省が非常に力を入れて取り組まなければいけない。例えば、いい例が水産問題をちょっと考えていただきたい。

 かつて、世界をまたにかけて魚をとって歩いていた、漁業交渉があちこちで行われていた。ですから、水産庁には、インターナショナルな問題をずっと扱うというかやってくれる立派な人たちが育っているわけです。ほかの省庁では、財務省の国際金融の分野ですね。

 それで、これは外務省の方は御存じだと思いますけれども、ですから、外務省は、水産については特別なプロを養成しているんですね、水産職の人を採用して。今は、世界じゅうで二百海里が設定され、締め出されてきている。そういう仕事は、捕鯨とか特殊なものを除けばなくなってきているはずなんです。しかし、まだおられる。

 ところが、環境問題は物すごい勢いでふえてきた。地球環境問題担当大使は、最後には立派なポストにあります。しかし、そこに至るまで、その方は地球環境問題にどの程度携わってこられたのか。僕は、外務省の重要な仕事として、地球環境問題を担当するプロを育成してしかるべきだと思うんです。

 アメリカのプロ、フランスのプロ、ドイツのプロというのは、語学もあります、つくっています。項目別のプロもつくらなければいけない。その中で一番最初に今つくらなければならないものの一つは地球環境問題のプロだと思うんですが、その点もどうなっておりますでしょうか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 地球環境問題は、まさに先生御指摘のとおり、我が国にとっての、外交にとっても最重要課題の一つであるというふうに認識をしております。かつまた、日本が最も貢献できる分野の一つでございますので、マルチの外交を推進する上で必要な人材の育成にこれ努めてきておるところでございます。

 もちろん、これが十分かということでございましたら、その点につきましては、必ずしも十分にやってきていないという面もなきにしもあらずでございますけれども、しかしながら、そういう枠の中で外務省も随分人材を養成してまいっております。

 いろいろな交渉がございます。その交渉に参加をするということで、環境大使、あるいは、その下で支える課長、審議官あるいは部長クラス、こういうことでございますが、外務省の中にも国際社会協力部というのがありまして、そこで、そういう地球環境課あるいは気候変動室というのをつくっておりまして、取り組んできておるところでございます。

 もちろん、外務省だけでできるわけでございませんので、環境省、その他関係省庁の御協力を得ながら、全日本、オール・ジャパンということでこの環境問題に取り組んできているところでございます。

 大きな国際会議にはもちろんのこと、小池大臣初め出ていただいておりますし、これはもう本当にたくさんございます。そういう中で、外務省におきましても、だんだん、徐々に専門家が育ってきているというふうに思っておりますが、なお、さらに努力をしてまいりたいというふうに思っております

篠原委員 抽象的なお答えなんですが、では、具体的なことを聞かせていただきます。

 環境省は、そんなにぱっとすぐ国際機関に行ける人材が多くないということです。それでも、先ほど御答弁いただきましたけれども、いろいろな国際機関に七、八名出しているということですけれども、では、一体、外務省は国際機関にそういう人を出していますか。言葉が一番最初に問題になりますから、地球環境問題を担当した、そこそこの中堅の人を国際機関に送り込んで、そこでもっていろいろやってもらう、これが一番いい方法なんだろうと思います。

 それからもう一つ。今、各省庁との人事交流というのを盛んにやるようになってきておりますけれども、環境省とはちゃんと人事交流をやっておられるでしょうか。外務省のしかるべき有望な若手を環境省に送り込んで、逆に、環境省から外務省には絶対行っているだろうと思います、大使館に行っているのがそうですからね。逆はあるんでしょうか。

神余政府参考人 環境省から外務省の方には、現在も一名来ておられます。大変戦力になっていただいているわけでございます。環境省本省でございます。アタッシェは別ですけれども。

 外務省から環境省にどうかということでございますけれども、ちょっと私、今急に、数字、統計を持ち合わせておりませんけれども、記憶する限りにおきましては、外務省からは環境省には出向はたしかなかったと思います。ただ、ちょっと資料を持ち合わせておりませんので、正確なことは答えられませんけれども、そういう印象でございます。

 国際機関につきましては、いろいろと出ておるわけでございますけれども、外務省出身者で、UNEPの大阪、滋賀というところで一名、外務省の方から出しております。

西尾政府参考人 一点補足させていただきます。

 私どもの方から外務省に今一名行かせていただいております。それから、今の瞬間に外務省からお迎えしている方はいらっしゃらないのですけれども、数年前には地球環境局に外務省からお願いしておりました。これは、やめたということではなくて、その時々の年次とか組み合わせがございますので、今後とも、外務省と環境省で、よりどうやったら連携していくかということについて、よく相談していきたいと思っております。

篠原委員 ぜひ相互連携してください。足りないところを補い合うというか、外務省の方は環境問題をちゃんと勉強していただく、逆に、環境省の方は外務省に行って、外交の場で環境問題をどうするかというのをちゃんとやっていただくということだろうと思います。

 それで、ネックになっているのは、私は役人をやっていましたのでそこそこわかっている部分があるので、これは環境省を応援するために外務省にお伺いしたいわけですけれども、ここの大使館へ出したいといっても、へんちくりんなルールがあるのですね、わからないでもないのですけれども。外務省は、人員を多く確保するために、一人受け入れるときに、あと五、六人あるいは七、八人、定員をよこせということをやるわけです。それは、たくさん人がいる省庁、例えば厚生労働省とか、これは八万人もいる、農林水産省も三、四万人います、財務省も国税庁の中に五万人、六万人います。こういった役所なら出せるのですけれども、環境省は全体で千五十八人しか職員がいない。ここに、大使館へ一人出すと、例えば、ケニア、UNEPの対応でもう一人必要だから、OECDでもう一人必要だから、パリなんかいいところだから五人もよこせ、こういうことが行われているわけです。

 私は、これはやはりよくないのじゃないかと。本省で一対一で交流するのと同じように、OECD代表部にもう一人環境省から出したいと言ったら、すぐ受け入れて、その分、では外務省から環境省にというふうに軽やかにやっていただくのが一番いいと思うのですが、いかがでしょうか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省も、在外三千人、本省二千数百人ということで、五千三、四百人ぐらいの小さな世帯でございます。

 それはともかく、いわゆるアタッシェを受け入れる際の人事交流の形態につきましては、外務省改革の一環として見直しを行っておるところでございます。アタッシェを受け入れるに際しましては、あわせて、会計、通信という官房要員の定員枠及びその実員をアタッシェの派遣元官庁から派遣していただいておりましたいわゆる伝馬船方式というのがございましたけれども、しかし、これは平成十四年度をもって基本的に廃止をしております。

 外務省としましては、アタッシェを受け入れることは、もちろん各省庁の高い見識、専門知識を有する人材を外交の場において活用できるという意味で非常に有益なことというふうに認識をしております。したがいまして、我が国の外交が、先生御指摘のとおり、複雑かつ多様化してきておる状況でございますので、アタッシェの適正配置に意を用いながら、今後とも他省庁との人事交流、アタッシェの交流を進めてまいりたいというふうに思っております。

    〔加藤(勝)委員長代理退席、委員長着席〕

篠原委員 それはいい答弁だと思います。外務省も、人数が少ない、五千人ちょっとの体制というのはよく言われています。ほかの国と比べたら少ない少ないと。その気持ちはよくわかるのですが、それよりもさらに少ないのが環境省ですから、五分の一しかないわけですから、そういった省庁に、人を出さなかったら受け入れないなんというけちなことを言わずに、ちゃんと受け入れていただきたいと思います。

 最後に、この件に関してですけれども、大臣にお伺いしたいと思います。

 私は、人材は相当育っているとは思うのですが、意識的に育てなかったら育たないのだろうと思います。大臣もインターナショナルな方で、語学も堪能だし、国際関係の会議にも行っておられる。私は、日本が世界の環境問題の解決に貢献しているという、お金の面だけではやはりだめだろうと思います。人も出す、立派な人を育成して、例えばUNEPのトップクラスの中に送り込むというようなことを長期的な視点に立ってやらなければいけないのじゃないか。そうすることによって、日本のプレゼンスが高まり、そして日本の意向も反映される、世界からも評価されるということになるのじゃないかと思いますけれども、その点について、環境省の今後の取り組みについての考えをお聞かせください。

小池国務大臣 環境委員会のメンバーは皆さん応援団であるという認識からスタートしていただきました。本日の御質問の柱というのは、極めてポイントをついており、まさしく応援団のエールだなと思って今まで質疑を聞かせていただいたところでございます。

 先ほど来、各国における日本の大使館等に対しての人の派遣ということでございますけれども、例えば、私どもは、EUの代表部に環境省から一人送っていきたい。と申しますのも、最近では、RoHS指令などを含めましてEUで決めることが、日本の環境の、例えば産業の部分でも、またルールの部分でも、極めて大きな意味を持っているわけですね。

 その観点からも、例えば、EUの動きが今どうなっているのかということを、EU代表部をベースにして我が環境省の職員がさまざまな情報やこれからの風向きなどを察知するということは重要なことだということで、既に二年前からお願いをしてまいっているところでございます。

 私は、当時の川口大臣に直接お願いをして、川口大臣はそのことはよくおわかりでございますので、大臣は御理解いただいていた。なかなか大臣の言うことを聞いてくれる役所とそうでない役所があるのかもしれませんけれども、先ほどの、人を出す、出さない、その分こちらへというような、いろいろな霞が関のおきてみたいなこともあるのでしょうが。

 先ほどからおっしゃっているのは、二十世紀のパターンと二十一世紀のパターンでは違うじゃないか、日本は環境で世界にももっと発信をしていくべきである、そして、ゲームをセットする際に、そこにまずメンバーにいろということだと思うのです。私は、そのとおりだと思っております。

 であるならば、私もかつて総務庁で政務次官をやりまして、例の総定員の、こっちへ何人あっちへ何人という、こちらがマイナス十だったらこっちは何人というようなのを目の前で見ておりましたけれども、やはり、こういう行政改革もしくは今進められている公務員改革を、まないたの上にのっているコイであるはずのコイさんがなかなか包丁でさばけないと思うのですね。それで、毎年の定員数のやりくりを公務員みずからがやっているというのは、これはなかなか進むはずがないとかねてから私は思っております。

 ただ、現実は、なかなかそのおきてというのが今の時点でも破られている節はない。であるならば、今大きな公務員改革、行政改革という中で、二十一世紀の日本はどうあるべきなのか、公務員には何をしてもらうのかというような、政治からやはり提言をしていかなければ、それぞれの役所を背負った方々がみずからを減らしますということは絶対にあり得ない、そういう算数はもうやめて、化学変化を起こすべきではないかな、このように思っております。

 差し当たり、EUにぜひとも人を送っていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。これはすなわち、やはり日本の環境政策が加速度的にその中身を濃くし、そして間口を広くしていくためには必要不可欠なことだと思います。

 それからもう一点、例えばUNEPのトップに日本から送ったらどうだということでございますが、きょうの朝日新聞の投稿の部分に、国連事務総長に日本から人を送るべきだというような、そんな記事がございました。

 国際機関、もうさまざまございますけれども、例えば、さきにOECDの事務総長の選挙がございました。その際に各国から出してきたのが、首相経験であるとか、みんな閣僚経験というのが、だんだんそういうハードルになってきている。と同時に、英語とフランス語が普通にしゃべれなければだめである、それからマネジメントの能力が必要であると。さて、では日本でそういう人材が一体どれぐらいいるのかね、そういう人材をこれまでどう育ててきたのかねと。

 それから、国際機関になりますと、私の知る範囲では、修士課程は当たり前で、博士課程はごろごろいる。日本の学校で学んでいると、技術系は別ですけれども、人文系の博士課程を持っている人はどれほどいるのかということを考えますと、これからの国際発信力を持っていくために、そしてまた日本が世界で尊敬される国であり続けるためには、そういった人材の育て方というものを一から考え直した方が早いんじゃないかというふうに思ったりしているところでございます。

 いずれにいたしましても、今どうするかということでありますと、人材の養成ということは緊急の課題であり、また、国際機関そして海外における出先の箇所にできるだけ環境省としても人を送りつつ、人を育てて、そして、発信力のある人材を、また深みのある人材を今後とも養成をし、そして、実際に彼らがとてもやりがいを感じて、日本を世界にアピールするという、その一翼を担っているという責任感を持って仕事をしていただくのが必要だ、そんな認識を持ちながら、これからも環境行政を進めてまいりたいと考えております。

篠原委員 それでは、国際問題はこれで解決して、来年はEU代表部は絶対一人ちゃんとつくことはもう確実になったんじゃないかと思っております。

 次ですけれども、もう一つ、資料の下のところを見ていただきたいんですが、農林水産省と環境省の地方支分部局の比較というものですね。

 僕は、霞が関は非常に、あたふたしながらちゃんとやらざるを得ないし、やっているんじゃないかと思います。それで、地方における環境行政のあり方というのもちょっとてこ入れが必要なんじゃないかと思っておりました。地方事務所というのがやっとできまして、七カ所に三百六十九人設置されたそうですけれども、私は手っ取り早い道はあるんじゃないかと思います。

 これを見ていただくとわかると思います。農林水産省、地方支分部局にこれだけいるんです。食糧事務所と統計事務所というのがあったのは御存じだと思います。合計二万三千人もいます。林野庁森林管理局というのは、営林局から森林管理局になりました。

 この間、予算委員会で松岡委員が何か環境食料省にすべきだという質問をされておられましたけれども、あの考え方はずっとあるんだろうと思います。農林水産省は嫌がります、やっとこさ統合しなくて済んだのにと。環境省の皆さんはどう思っておられるか、私は存じ上げませんけれども。

 この地方支分部局のことを考えたりしたら、大局的な見地に立つならば、今、環境省があちこちから定員をかき集めて地方支分部局をつくっていくよりは、定員削減、定員削減、先ほど総務省でも出されたと大臣おっしゃっていましたが、あの関係があるわけですね。そうしたら、最もスムーズにいくのは、二つは結婚してしまえばいい、こういうことじゃないかと思います。

 農林水産省は嫌がるかとは思いますけれども、前大臣もおられますけれども、わかりませんけれども、こっちから強烈に申し出て、こっちからというのは、環境省から申し出て統合していくというような大胆なことを考えていただいてもいいんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

小池国務大臣 環境省の考えはどうかということでございますけれども、平成十三年の省庁再編で、農林水産業だけでなくて経済全体と環境を統合して、地球全体の環境保全を図るという観点から、政府全体の先頭に立ってリーダーシップを発揮する独立の官庁として設置されたことは、御承知のとおりでございます。

 環境保全を担う専門官庁として、機動性、そして先見性を発揮して、その使命を十分果たせるように全力で取り組んでまいらなければならない、このように考えておるところでございます。

 また、地方環境事務所、各地方における支分部局の充実をこれからちょこちょこやるよりは、もう一緒になっちゃってやった方が手っ取り早いじゃないかということかと思いますけれども、今までも林野庁とかそれから食糧庁の方々に環境省の方に移っていただいて、実際にもう既に地方支分部局の方で活動していただいているところでございます。

 今いろいろな案が出ましたけれども、それは今後の環境行政を担うためにはどうしたらいいのかという中で結論を導き出していく必要がある、このように考えております。

篠原委員 時間が参ったのですけれども、もう一つだけ、ちょっと井脇さんの質問に啓発されまして質問をさせていただきたいと思います。

 私は、大臣が先頭に立ってやられたクールビスとかいうのは、あれは非常に結構なことだと思います。今、ウオームビズというのもやっていると。もったいないふろしきもありますが。しかし、これはもっと大々的に教育ということでやる必要があるんじゃないかと思います。

 そうすると、さっきEUの情報とおっしゃいましたけれども、やはりEUはそういう点では先進国なんですね。イギリスも先進国です。非常に熱心に環境問題に取り組んでおります。ナショナルトラスト運動なんというのもイギリスから生まれた。

 それで、フランス、フランスも今もう真剣になっているわけです。フランスは、エコロジー・持続的開発可能省というのを特別に持っていまして、そこでもって環境を考える月とか週間というのをつくりまして、それで、ことし、ちょっと情報を入手しましたら、持続的な開発と運輸と気候変動、生物多様性、ごみ処理、この五つの問題についていろいろなイベントをしていく、そして、環境問題をみんなにわかってもらってライフスタイルを変えていくんだというような、もっと大々的な、環境省だけの取り組みじゃなくて、文部科学省、それから経済産業省、農林水産省、みんな取り込んでの大運動をやっておるんです。

 そういった省庁横断的な大運動もぜひやっていっていただきたいと思いますが、これを最後に質問を終わりたいと思います。大臣の見解をお伺いいたします。

小池国務大臣 先ほどからEU代表部が話題になっておりますけれども、ぜひ、農水省の方から枠を一つ譲っていただければすぐできる話でございますので、よろしく御協力いただければと思っております。

 それから、大々的にやったらどうかということですが、チーム・マイナス六%というのは、まさに横断的にやっているわけでございまして、政府全体、そして、そこに国民の皆さん、事業者の皆さんを巻き込んで、この数、インターネットを通じての御参加が約十九万弱でございますけれども、各事業所でこのチーム・マイナス六%という形で進めさせていただいておりまして、まさに国民的な活動として世界の方でも注目をいただいているということでございます。

 冬の間、どうぞ皆様方もウオームビズ、クールビスは非常にわかりやすかったけれどもと言いますけれども、どうぞ一枚中に暖かいラクダのシャツでも着ていただいて、実行していただければと。また、ウオームビズの方もクールビズ以上に各事業所が参加していただいておりまして、見た目と、それから参加の広がりというのは、むしろウオームビズの方がふえているということだけつけ加えておきたいと思っております。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 きょうは、この問題についてお話ししたいと思います。容器包装リサイクル法の改正です。ことしの環境委員会の中心テーマになると思うんですが、きょうはまだ法案が出ていない段階で、野球でいえばいわばオープン戦のような形で大まかなことをまず話をする、そして、本番は、環境省そして大臣の方から本格的な法案が出てからしっかりと詰めていきたいと思います。

 まず最初に、理念の方からちょっとお話ししたいと思うんです。

 我々が目指す目的は何なのか。リサイクルをふやすことなのか、それとも環境負荷を減らすことなのか。そうですよね。環境負荷を減らすということがこの法案の目的のはずなんです。ところが、リサイクルをすればいいという発想、これは間違いだと思うんです。リサイクルをするよりも、リユースとかリデュースの方がはるかに環境負荷が低い。その環境負荷を減らすにはどうしたらいいかということで、この法案を議論しなければならない。まず、その哲学を一つ明らかにしておきたいと思います。

 その上で、法案は出ていないですが、まず審議会の方の話をしたいと思うんです。

 審議会の資料、中間取りまとめでは「費用の一部を事業者が負担する」という文言がありました。その文言について、多くの環境団体、市民、それからマスコミの皆さんが期待しました。ところが、大臣も御存じのとおり、最終取りまとめでは、その「費用の一部を事業者が負担する」という文言はなぜか削除されて消えてしまいました。

 この削除されたいきさつなどをお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

由田政府参考人 お答えさせていただきます。

 今月二十二日に公表されました意見具申につきましては、昨年六月の中間取りまとめをもとにさせていただきまして、パブリックコメントによります国民の意見も取り入れながら、関係者でさらに議論を重ねた上で取りまとめていただいたものでございます。特に、事業者が市町村に資金を拠出する仕組みにつきましては、関係者の熱心な御議論を経て合意に至ったものであるというふうに認識をいたしております。

 この仕組みにつきましては、事業者が単に費用の一部を負担するということだけではなく、質の高い分別収集を行った市町村に対しまして一定の資金を支払うことによりまして、市町村による分別収集と事業者によります再商品化の質を一体的に向上させまして、容器包装廃棄物のリサイクルに係る社会的コストの効率化を図ろうというものでございます。

 このように、事業者が市町村に資金を拠出する仕組みにつきましては、市町村と事業者が連携いたしまして分別収集と再商品化の質的向上に取り組むものでありますので、拡大生産者責任の考え方に逆行するものではないというふうに考えております。

村井委員 大臣、拡大生産者責任とは何でしょうか。OECDの定義によれば、廃棄物の処理費用を製品価格に内部化すること、これが拡大生産者責任ですよね。それと全く違うことをやろうとして、それで拡大生産者責任の考え方とは逆行しないという説明、大臣はどのようにお考えでしょうか。

小池国務大臣 まず、今回の意見具申でございますけれども、中央環境審議会の委員の方々、そして関係者の皆様に容器包装リサイクル制度の見直しに関係しての意見具申を取りまとめいただく、そこは一年半にわたって、二十九回にわたる審議会を開いていただいた、今回の意見具申の取りまとめに当たりましては格別の御尽力をいただいたもの、このように認識をいたしております。

 中でも、事業者が市町村に資金を拠出するという仕組みについては、熱心な御議論が集中したわけでもございますけれども、この中で、事業者と市町村が連携して容器包装廃棄物を分別収集する、また、再商品化のための質的な向上を図るという仕組みが今回できたものと考えております。今、拡大生産者責任ということで、その言葉についての御説明もございましたけれども、それをさらに止揚した結果、こういった表現でまとまったということだと考えております。

 この意見具申を踏まえまして、容器包装リサイクル法の改正案をこれから国会に提出させていただくわけでございますけれども、国、地方自治体、そして事業者、国民、NPO、すべての関係者の連携を強化することで、先ほど来、むしろリデュースを先にやるべきではないかという御発言だと思いますけれども、容器包装廃棄物のリデュースを含みますスリーRを一層推進していきたい、このように考えているところでございます。

村井委員 まさに今、廃棄物の処理費用を内部化するかどうか、これがこの容器包装リサイクル法の改正案をめぐっての最大の争点になるはずなんです。

 そこについて、大臣はどう考えておられますでしょうか。

小池国務大臣 今お話をさせていただいたとおりでございまして、拡大生産者責任という観点をさらに止揚させて、アウフヘーベンさせて、結果としてこの取りまとめに至ったわけでございます。それぞれが連携をしながら、一層のスリーR推進ということに向けまして、これからの法案作成にも当たってまいりたいと考えております。

村井委員 アウフヘーベンという言葉が出ました。ただ、実際、事業者がこれについて支払う金額というのは大きく減ることになると思います。これがアウフヘーベンになるのかどうなのか、そして、実際この処理費用をどうするべきなのかというのは、法案が出てからしっかりと双方で審議をしていきたいと思っています。

 さて次に、この最終まとめ案、マスコミに出たときに、皆さんも見られたと思うんですが、見出しのほとんどは、ごみ袋の有料化、レジ袋の有料化ということで出ていました。実際それは、環境省の方々の説明を聞くと、法案の中身には盛り込まれていないというふうに聞きました。その法的措置、どのように考えておられますでしょうか。

 大臣、お願いします。

小池国務大臣 レジ袋でありますが、今、現状がどうなっているかからお話しした方がいいのかもしれません。レジ袋の使用量は年間三百五億枚となっておりまして、国民一人当たり毎年三百枚近く使われているというふうに推計されております。それはすなわち、もっと細かくすれば、一人一人が、一人一日一枚ずつ使っているという計算になるわけでございます。

 そのレジ袋ですけれども、家庭から出るプラスチックごみに占める割合というのは、重量であるとか容積比から割り出しますと約一五%を占めているということでございます。このレジ袋の使用抑制というのは、廃棄物の排出を抑制するという観点からも大きな課題であるという認識でございます。

 この二十二日に出されました中環審の意見具申におきましても、この点について書いてありまして、レジ袋などについて、その使用量を大きく削減できるよう、小売店における無料配布の抑制のため、法制的な観点も含め妥当な方策を検討すべきという御意見が盛り込まれたところでございます。

 なお、この改正に当たりまして、これまで既に一部事業者におきまして自主的にレジ袋の有料化などの排出抑制のための取り組みが進められているという実態もございますので、これらの取り組みをさらに促進する実効性ある制度を設けるということから、ただいま検討中ということでございます。

村井委員 検討中という中身なんですが、法案の中に盛り込むつもりでしょうか、それとも、環境省に任せて政省令で定めるというふうにされるつもりでしょうか。

 大臣、どのようにお考えでしょうか。

小池国務大臣 ただいま、それを含めまして検討を進めているところでございます。

村井委員 できるだけ、ちゃんと国会で審議できるように法案の中身で出していただいて、審議できればというふうに思っております。それも法案が出てからに、一たん先送りしたいと思います。

 さて次に、ペットボトルは、本来三つの物質がまざっています。もちろん、この本体、それからキャップの部分、それからラベルの部分というふうに分かれています。ところが、たとえキャップを外したところで、この部分、全く物質の違うこの部分があるせいで、そのままボトルからボトルへのリサイクルが非常にしづらい。だから、ボトルからボトルへのリサイクルじゃなくて、環境への負荷が高いマテリアルリサイクルがされてしまうわけです。

 そこで、例えば、ここからここまで同一の物質にした方が、さらに環境負荷の低いリサイクルができるんじゃないかという意見。そして、もう一つお聞きしたいのが、このキャップなどを回収していって、ここの部分だけちぎってリサイクルしやすいように進めようとしているNPOなどもあります。

 そういったところについての考え、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

江田副大臣 事前にいただいていた質問とちょっと違うかと思うんですが、先生御指摘のように、ペットボトルは違う種類の材質からできておるわけです。PET本体はポリエチレンテレフタレート、またキャップ等においてはポリプロピレン、これを分別する方がペットボトルの再生においては非常に質の高いものができるわけでございますので、そのように分離回収を推進していく取り組み、また、NPOがそれをやっておられれば、それに対しては非常によい取り組みだと考えます。

小池国務大臣 私も結構PETにはこだわりがございまして、実際にどのように処理されているのかというので見に行ってまいりました。

 三種類、違う性質のものであるということで、私も、最後に残る輪の部分を取ろうとして、ナイフとかフォークとかでやって、フォークは曲がってしまいましたし、手はけがをしましたし、なかなかあれは難しいなということで気になっていたんですが、もうそれは技術力でかなり、分別の次のところで、重力が違うもので、水に浮かせるだけですぐできてしまうというので、実際には、処理の現場では、外側の、ラベルもそうですけれども、その分別というのは素人が考えるよりは比較的、技術的にももうクリアできているのではないかと思います。

 ただ、ベストは、さらに技術的に一体的な物質を使うのがよりコスト削減にもつながっていくのではないかなと思っております。

村井委員 次のお話をしたいと思うんですが、このペットボトル自身よりもリユースができるリターナブル瓶などの方がはるかに環境負荷が低いと思うんです。そっちの方へ我々は向かっていかなければならない。リサイクルをさらに促進するべきという法律をつくるよりも、環境負荷を減らすという本来の趣旨に合わせることを考えれば、例えばこのリサイクルのPETのマークなんかも、より環境に優しいリターナブルやリユースのものにはもっと明確化できるようなマークをつけたり、それを支援するための制度などをつくらなければならないと思います。

 副大臣、どのようにお考えでしょうか。

江田副大臣 お答えいたします。

 まず、現行法では、一定の回収率の基準を満たしながら、先生御指摘のリターナブル容器の回収を行うものとして主務大臣の認定を受けた事業者につきまして、再商品化義務を免除して、その一部が例えば市町村に排出されたとしても、その再商品化費用を負担する必要がないものとして、一方のワンウエー容器に比べてこのリターナブル容器に有利な位置づけをしているところでございます。

 また、これまで、循環型社会の形成に向けて取り組んでいらっしゃる事業者等におきましては、例えば、私の選挙区でございますけれども、南九州地域で、今しょうちゅうブームでございますけれども、主にしょうちゅうに利用されている瓶を統一してリユースを進めようとする取り組みに対する支援も行っているところでございます。

 さらに十八年度からは、この容器包装に係るスリーRの推進に資するモデル事業を実施することとしておりますけれども、この中で、共通マーク、Rマークというんですが、リターナブルのR、リユースのRでもあると思いますが、このRを付したリターナブル瓶を市町村が分別収集する実証事業を実施するなど、リユースの普及のための施策につきまして積極的に検討を進めてきているところでございます。

村井委員 さらに言うならば、これは日本のペットボトルなんですけれども、外国のペットボトルでは、もっとつぶしやすい、もっと薄い、もっとリサイクルしやすいものなんかもあるんです。私は、どんどんどんどんそっちの方へ変えていくべき、もしくはより環境に優しいものがよりわかりやすく表示されるべきだと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

江田副大臣 先生御指摘のとおり、ごみの分別区分というものが非常に重要でございます。このごみの分別区分というものに関しましては、基本的に地域の事情に応じて各市町村が判断していただくべきものでございまして、各市町村がこれを明確に定めて住民に周知徹底をしていくことが必要と考えております。

 ペットボトルやプラスチックのような容器包装につける識別表示につきましては、消費者による分別排出を容易にして市町村による分別収集を促進するために、資源有効利用促進法に基づいて義務づけられているところでございます。先生もよく御存じのとおり、プラマークとかPETマークというのがこの識別表示に使われております。

 これについては、今後とも、先生の御指摘のとおり、消費者にわかりやすいという観点から、さらに徹底を図っていくべきものと考えておりまして、例えばその字の大きさにしても大きく、また読みやすい位置にそれを表示するとか、そのような検討を図っていっているところでございます。

村井委員 次に、再商品化委託料金について、ただ乗りをしている事業者も数多くあると思うんです。それに対しての監視する制度や機関の設置など、どのように考えておられますでしょうか。

由田政府参考人 お答えさせていただきます。

 再商品化の義務があるにもかかわりませず、これを果たさない特定事業者、いわゆるただ乗り事業者に対しましては、制度の公平性、信頼性の確保という観点から厳格に対処することが必要でありまして、まず、それぞれの所管省庁が厳格に対処することが肝要と考えております。

 例えば、経済産業省におきましては、昨年からただ乗り事業者に対しまして指導、勧告を行いまして、さらに、勧告に従わない事業者の公表を行ってきております。ことしの一月には、さらに、なおそれでも義務を履行しない事業者に対しまして、法に基づきます再商品化義務履行命令を発したところであります。

 今後とも、関係省庁やその地方支分部局あるいは指定法人などの関係機関の一層の連携によりまして、ただ乗り事業者の把握や法律に基づく勧告等の措置を適切に実施してまいりたいというふうに考えております。

 加えまして、今回の容器包装リサイクル法の見直しにおきましては、罰金額の上限の引き上げを検討しているほか、改正法の施行のタイミングをとらえまして、消費者から事業者まで幅広く、制度そのものや制度改正の趣旨の周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

村井委員 次に、分別収集、選別保管費用などについて、市町村間でばらつきが出ていると思うんです。その辺については、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

江田副大臣 先生御指摘のとおり、市町村における分別収集等の費用の分析手法等においては、ばらつきがあるという現状もあるかと思います。ですから、この分別収集等の費用の分析手法を共通化するということは大変重要なことで、各市町村の今後の費用の透明化や効率化に大きく貢献するものと考えております。

 このため、環境省におきましては、各市町村が活用できるような標準的な費用分析の手法について検討しているところでございまして、これによりまして、市町村が、ごみ処理事業を実施する主体として、住民に対する説明責任を十分果たしながら事業運営ができるように支援してまいる所存でございます。

村井委員 最後に、見直し時期についてのお話をしたいと思います。

 処理費用の内部化、つまり拡大生産者責任を入れるか入れないか、いろいろな議論が今後出てくると思うんですが、今議論されている、そして言われているとおりの法律が出てきて、事業者の自主的な取り組みにより排出量を減らすとか、事業者の自主的な取り組みによりうまくいくという説明では、私は、今までのまま、うまくいかないのではないかと思うんです。

 そうなれば、当然、今度こそ処理費用の内部化、つまり拡大生産者責任を盛り込んだ法案への見直しを進めなければならなくなると思うんです。五年後に見直すといったところで、そういうわけにはいかない、うまくいかなければより早く見直す必要があると思うんです。

 大臣は、どのようにお考えでしょうか。

小池国務大臣 今回改正をいたします容器包装リサイクル法、これは十年の実施を経まして今見直しということ、その時期を迎えたわけでございます。

 中央環境審議会からの意見具申におきまして、本当にたくさんの、またさまざまで、貴重な御意見をいただいたわけでございますけれども、中でも、次回の見直しの時期については、「当面、今回の見直し後の制度の施行後五年を目途に、その実施状況を踏まえた見直しを行うことが適切」という御意見をちょうだいしております。

 今、この法改正の検討作業を進めているところでありますけれども、私どもといたしましては、新たな制度に関しても、消費者であるとか市町村、事業者、それぞれの取り組みの進捗状況を踏まえながら適切な時期に見直しを行うということが必要だと考えております。

 これがベースでありますけれども、その時期を、より具体的な考え方として、今回の制度は非常に見直しが広範囲にわたっておりますし、また事業者による自主的な取り組みも含めて、関係者が取り組んでいただいたその成果をしっかりと検証していく、そのためには、まず周知徹底、そして実行していく、では、その結果がどうなったのかということについては、ある程度の期間をまず実施して、そしてその実績を踏まえて見る必要があるのではないか、基本的にはこのような考え方を持っているところでございます。

 今回、容リ法は十年、そしてその後のリサイクル法などは五年という見直し規定が入っているということでございますけれども、その意味では、この五年後、アスベストのときは五年、ちょっと事態が違いましたから、見直しの時期については必要な時期にということを申し上げましたけれども、これは、まずやってみて、広くそれが実施をされた中でのことを図るには、やはり五年というのは適当な時期ではないのかな、このように考えております。

村井委員 どうもありがとうございました。

 私たちは、処理費用を内部化する、そして本当の意味で環境負荷の低い法案をつくっていきたいと思っています。今後またしっかりとことしの国会で議論したいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。大臣の所信表明につきまして、質疑をさせていただきたいと思っております。

 今回、所信表明を拝見させていただきまして、大臣の長期展望に立たれたメッセージ、このことを大変強く実感いたしました。

 この所信表明の中に、第三次環境基本計画を策定、また、二〇五〇年ごろの日本、アジア及び地球の環境を見通した上で、あるべき社会の姿を提示し、その実現を目指す環境政策の超長期ビジョンの策定に取り組みます、このようにもございます。当然、これはもう全部大臣のお考えの中では関連するというふうに思っておりますけれども、終わりの方には、子や孫に自信を持って引き継げる国土環境・都市環境づくりに向けた考え方を、「自然資本 百年の国づくり」として取りまとめられ、発表された、このようにございます。

 こうした将来展望、五十年、百年後、これは大変環境行政の上で大事な点であると高く評価をさせていただきたいと思っております。

 ここに込められました大臣の御決意、そしてまたメッセージのポイントを簡潔に教えていただければと思います。

小池国務大臣 環境問題で必要なことは、一、二年差し当たってどうするかということではなくて、キーワードでサステーナブル、持続可能なという表現がありますけれども、長期にわたってどうするかということを考えるのが極めて重要だと考えております。

 持続可能な社会を形成していくためには、例えば、アジア地域の経済成長であるとか、それから我が国については人口の減少ということが課題となっております、これらの長期的な展望を踏まえて、脱温暖化などの取り組みを進めていく必要があるというわけでございます。

 そこで、二〇五〇年ごろの我が国、そしてアジアそれから地球の環境を見通しまして超長期のビジョンの策定に取り組むということで、御質問にございましたように、第三次環境基本計画の素案に位置づけをしたところでございます。

 来年度からこの超長期ビジョンの検討を開始するということで、その中で、二〇五〇年ごろのあるべき将来像を示して、その将来像を実現するためには何をすべきかというような具体的な筋道を提示したい。これまでバックキャスティング方式ということで、この環境委員会でもお答えしたことがあるかと思いますけれども、将来から逆算して何をするのか、そのためには、では、その超長期の将来は一体どういうことになっているのかというような見通し、これらを総合的に進めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 その際には、よくEU等で、例えばCO2の排出量を半減するとか具体的な数値目標を提示して、その上で国を挙げて取り組んでいく、こうした方式もなされておりますけれども、数値目標の制定といいますのは、大臣はどのようにお考えでしょうか。

小池国務大臣 今お尋ねの件は、ついせんだって発表させていただきましたけれども、日本と英国がそういった観点に立って、両国が協力してバックキャスティングして超長期のビジョンを描いていこうということでございます。こういった数値目標を含めまして、さまざまなシナリオを描いていくことによって、現在のなすべきことということが見えてくる、このように考えているところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 私も、この「自然資本 百年の国づくり」、拝見させていただきました。この中に、都市、また水、緑等々書かれております。これは我が国でも、大変すばらしい動きだと思っているのですが、いろいろな動きが今始まっております。

 例えば、日本橋の上にかかる首都高速の移転を検討する日本橋川に空を取り戻す会とか、これは日本橋みち会議とも言われておりますけれども、小泉総理の指示で発足になりまして、経団連の方であるとか地元の方たちであるとか、そういう方たちが入られて、品格あふれる町をつくり上げるプロジェクト、このようにスタートしたところでございます。

 今まで日本は、公共工事を推進してきた方でございます。むしろそれを、象徴であるこの高速道路を移設させながら、まさに日本橋といいますのは東海道の出発点でもあり、日本の一番の中心でもございますので、そこを環境と人間との調和のとれた中心の町へというこの取り組み、高く評価したいと思っております。

 また、これは渋谷の話でございますけれども、ここは、唱歌で「春の小川」と歌われたこの川が二〇一二年には百年を迎えます。今、この川は道路でふたをされておりまして暗渠の川になっております。このふたをあけていこう、再生をさせていこう、こうしたプロジェクトの取り組みも始まっているようでございます。

 もう皆様御承知のとおり、ソウルでは、国を挙げて清渓川の再生を目的に都市再開発に取り組まれて、高速道の高架も取り壊されて、皆様おっしゃっていたのは、開発の時代が終わった、いよいよ歴史、文化、環境の時代が来た、このように胸を張っておっしゃっていらっしゃる。また、パリでも、川を太陽の下に返そうとビエーブル川のふたあけが始まった、こうした世界的な動きも伺っております。

 今まで道路を軸に経済優先で利潤を求めてきた二十世紀でございましたけれども、それを大きく変えて、川を軸に潤いを与える二十一世紀の町づくりへというこの流れは、人間優先、そしてまた環境共生型の町へという価値観の転換の波と受けとめているところでございます。

 このようなプロジェクトがあちらこちらで始まっております中で、ぜひとも環境省におかれましても、また大臣におかれましても、都会に川や緑を取り戻すことを検討する必要性が高まっていると私は思っております。国土交通と合同で検討会を立ち上げるとか、また、こういう予算の使い道があるとか、こういうことをすれば、また皆様のそうした取り組みが予算的にも保障されるとか、何かしらそうした提示といいますのも、政策でバックアップする意味で必要ではないかと思っております。

 このことにつきまして、大臣の御見解を伺いたいと思います。

小池国務大臣 昨年は愛知で万博が開かれました。万国博覧会というのはどういう存在かと改めて見直してみたら、結局、産業革命でその成果を展示して、こういうのができましたと各国が競い合うということからスタートしたのが、第一回の一八五一年、ロンドン万国博が開かれたということでございました。

 考えてみますと、愛・地球博というのは、そうやって産業革命からずっと続いてきた万国博覧会のテーマに、環境、愛・地球ということをテーマに掲げたというのは、既にパラダイムが変わってきているということを象徴しているのではないか、このようにも思うところでございます。

 今御質問の中にありました、町づくりも発想を変えるべきではないかという内容であったかと思いますけれども、我が国の都市を見てみますと、明治以来、殖産興業政策がとられてまいりました、それから人口が増加してまいりました、地方から都市へ集中で、人口の増加といったことも行われた時期もございました、今もまだその傾向は続いているわけでございますが、こういったことで都市化をしていった。その結果、水辺であるとか緑が失われてしまった、また、自動車への依存ということと相まって、大気汚染であるとかヒートアイランド、そして地球温暖化というような現象が生じているわけでございます。

 今回、先ほどの御質問にもありました、超長期的な話でのビジョンということで考えますと、今後は人口が減少していくということが我が国の大きな課題でもあるわけでございますけれども、であるならば、これまでのような大量生産、大量廃棄による経済成長ではなくて、むしろストックを重視した経済への移行が必要なのではないか。そして、水、緑、空気、生き物といった自然資本を再生させて、うまく社会資本と組み合わせた都市・町づくりが必要だと思うところでございます。

 こういった骨太の発想のもとで、環境に配慮した都市づくりについて、都市内の風の通り道を確保する、それから、都市緑地の冷熱を活用する、これは新宿御苑の方で研究を進めております、それから、渋谷で川の流れを取り戻すといったような活動も具体的な課題でございますし、そういったこと全体を含めまして、ヒートアイランド対策、地球温暖化対策の観点からのコンパクトな町づくりなど、審議会、検討会で考えを進めているところでございます。

 関係各省庁ともしっかり連携をとりながら、二十一世紀の町づくりということを進めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 大変力強い御決意を伺いまして、うれしく思っております。しっかりとまた取り組ませていただきたいと思います。

 次に、日中韓の環境政策につきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 これは先般、本国会の代表質問におきまして、我が党の神崎代表が小泉総理に質問をさせていただきました。それは、我が国が得意とする環境技術を駆使すればということでございますけれども、御存じのとおり、大変今中国は環境汚染が進んでいるという背景がございます。

 中国のこうした汚染につきましては、大気汚染は、発電所から排出される硫黄酸化物であるとか粉じん、また、ばいじん等が主因となっているようでございますけれども、それは川崎の最悪期に匹敵するとか、川の水質汚濁につきましても、これもまた、かつて隅田川の最悪だったときに匹敵をするとか、廃棄物についても同様でございます。こうした中国の環境汚染、これはまさに日本と中国は一衣帯水でございますので、例えば中国の化学工場が爆発をすれば、その化学物質がアムール川の水を伝って、それが氷となって網走に接岸する流氷になるわけでございまして、これはまさに循環の中で、私ども、言わずとも東アジア共同体の中で生きているわけでございます。

 そうした背景を踏まえまして、神崎代表の方から、我が国が得意とする環境技術を駆使していけば、むしろ中国に対して大きな貢献ができるのではないか、また、中国の一部にも日本の公害対策を手本にしたいという機運も生まれている、このことをお話しさせていただきながら、循環経済の推進への協力であるとか、地球の環境汚染への対処であるとか、そうしたことをむしろ日本がイニシアチブをとって進めていくべきではないか、そういう質問をさせていただきました。

 それに対しまして、小泉総理からは、中国、韓国との関係を踏まえた上で、特に日中間の環境分野での協力は、「我が国の経験を生かしつつ、民間も交え、環境分野の種々の日中協力を推進し、日中関係を発展させていきたい」、このような答弁をいただいたわけでございます。

 日中間の環境の政策の連携につきまして、一番早いのは日中韓の環境大臣サミットであるとか、そうしたものを開催していただくのが一番近道かとも思いますけれども、それぞれに、日本と中国、日本と韓国、この環境政策につきまして進めていくことも大事であるかと思っております。

 このことにつきまして、環境大臣としてのお取り組みを伺いたいと思います。

小池国務大臣 御指摘のように、中国は、近年目覚ましい経済成長を続ける傍らで、深刻な環境負荷の増大、そして環境問題なども生じている。そしてそれは、一衣帯水ということは、すなわち我が国など東アジア地域全体への問題にもなってきている。水の部分はそうですけれども、あと空気、大気でいいますと、黄砂の問題なども共通した課題である、このように思っております。

 先日、私、エチゼンクラゲの話の論文なども読んでおりまして、富栄養化、地球温暖化相まって、エチゼンクラゲが日本海を中心として、むしろ日本全体がもう取り囲まれているというのが現状らしいんですけれども、これなども一種の環境問題ではないのかなと感じるところでございます。

 今お話がありました、日中韓の三カ国環境大臣のサミットをしたらどうかという御指摘でございましたが、これはもう既に長い歴史がございまして、日中韓三カ国の環境大臣が地域の共通の課題を話し合うということで毎年開かれておりまして、昨年はソウルで開き、そしてその際に、先ほど御質問にありました清渓川の修復、再生ということも、韓国の環境大臣に御案内いただいて、実際に現地の方を見てまいった次第でございます。

 そういった会合での政策対話、そしてまた、日中友好環境保全センターが北京にございますが、ちょうど私どもの政務官の竹下政務官にゆかりのある竹下先生が、中国・北京で大変熱心におつくりになった保全センターということもございます、これらを通じまして、対中協力をこれまでも実施してまいりました。

 さらに、今後の環境協力についての御指摘、神崎代表の方からも御指摘があったところでございますが、昨年の十月に、例えば外交評論家の森本敏さんなどを含めました有識者によりまして、日中における日中間の環境協力という的を絞った検討会を設置したところでありまして、今後、日中環境協力のあり方はどうあるべきなのかということで、現在も御議論を行っていただいているところでございます。

 環境省としても、民間の一層の参加も含めたさまざまなチャンネルを活用して、例えば中国のニーズであるとか、それから我が国の国益、そして環境先進国としての我が国のこれまでのさまざまなノウハウ、これを十分に踏まえまして、日中両国にとって真に役立つ環境協力ということを積極的に進めていきたい、このように思っているところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 恐らくまた、その推進に当たりましては、経済産業省であるとか、さまざまな連携も必要であるかと思っております。総合的な日本の取り組みとしまして、環境大臣にイニシアチブをおとりいただき、ぜひとも推進をお願いいたします。

 次に、今国会に提出されます容器包装リサイクル法につきましてお伺いをさせていただきます。

 我が党も改正検討チームを立ち上げまして、ヒアリング等を開催させていただきました。これは、多くの省庁にまたがる大変な改正であることも承知しております。昨年暮れ、担当者の皆様が大変な御苦労をされながら、また長い間取り組んでくださいまして、さまざまなところの調整が終わり、やっと今法案提出にこぎつけたということも、本当に心からねぎらいたい思いでいっぱいでございますし、お礼を申し上げたいと思っております。

 この最終的なまとめの結論につきまして、私どももヒアリングを重ねてまいりまして、消費者の方たちにもまた御説明をする責任もありますもので、あえて質問をさせていただきたいと思っております。

 当初、この審議会の中間取りまとめの中では、事業者が収集費用の、これは自治体が負担しておりますが、その一部を負担する、こういうことが望ましいというような中間取りまとめではなかったかと認識をしております。今回出ました結論は、分別基準を厳しくすることで、余った再商品化費用、これは事業者負担でございますけれども、これを自治体に振り分ける、二分の一、二分の一ということでここを分ける、ここで最後の折り合いをつけていただいたわけでございます。

 先ほど質問にもございましたが、これは拡大生産者責任を強めるのではなくて、むしろ消費者と自治体の負担をふやす形で終わってしまったのではないか、こういう御批判も届いております。しかも、これから恐らく、レジ袋の有料化につきましても、今回、この法案の中ではございませんけれども、努力をしていただきながら、またその費用も、環境等に使っていくような方向性も示されるやに伺っております。

 そうしますと、やはり消費者の負担という観点から見ますと、どうしても、消費者が分別を厳しくする、そしてまたレジ袋を負担する、こういう結論になりますと、少し消費者の負担のところで終わってしまっている感もぬぐえないものがあります。

 今回の結論につきまして、御見解を伺いたいと思います。

小池国務大臣 今回、中央環境審議会からお寄せいただきました意見具申でございますが、そのポイントは、容器包装廃棄物のスリーRの推進に向けまして、国、地方自治体、事業者、そして国民、すべての関係者がみずから率先してできる限りの取り組みを推進し、また相互に連携することが必要である、この部分が一番の肝の部分だと思っております。

 具体的に、より効果的にこのスリーRを進めるという観点から、地方自治体には、質の高い分別収集、そして費用の透明化と効率化、事業者には、発生を抑制するということを促進していただき、再商品化の質の向上を図っていただく、消費者には、レジ袋を削減するために、マイバッグであるとかふろしきを持参していただくというような工夫をお願いする、それぞれの主体が今後進めるべき取り組みを御提言いただいたのが今回の意見具申、このように受けとめているところでございます。これらを進めることによりまして、我が国における循環型社会づくりを大きく前進させることができると考えております。

 また、先ほど来申し上げておりますように、今回の意見具申でございますけれども、それぞれの関係主体の方々、その代表の方々、そして有識者の方々に御参画いただきまして、一年半にわたって、二十九回にわたる熱心な御審議をいただきました。結局、結果として年をまたがってということでございましたけれども、その分、非常に内容の濃いと申しましょうか、議論を闘わせ、そして今回の結論を導いていただいたもの、このように思っているわけでございます。

 そういった御苦労とともに、そこで話し合われましたさまざまなポイント、これらを盛り込みまして、容器包装リサイクル法の改正に取り組んでまいりたく、また提出されました暁には、皆様方の熱心な御審議を経まして速やかに成立させていただきたいもの、このように考えているところでございます。

高木(美)委員 どうぞよろしくお願いいたします。また具体的には、法案審議の中でさせていただきたいと思っております。

 最後に、地球の温暖化ということで、ずっと環境省を挙げて、また委員会としましても全力で取り組ませていただいておりますが、特に今、砂漠化ということが懸念されているところでございます。国連も、ことしを砂漠と砂漠化に関する国際年、このようにうたっております。やはり、先日のレイテ島の地すべりの被害等もございました。多くの児童が犠牲になるという大変痛ましい事故でございまして、この原因についてはまだ今精査されているようでございますけれども、いずれにしても、違法伐採であるとか、こうした森林をどのように保全していくか、この対策の不備である、このようにとらえることはできるかと思っております。

 先日もマータイさんがお見えになりまして、木を植えようというすばらしい旋風を日本じゅうに巻き起こしてお帰りになりました。やはり今、この森林につきましては、地球温暖化の京都議定書等の目標につきましても、当然、先進国においては吸収源として認められている。日本はまだ目標に対しまして、森林整備が若干おくれていて、少し本来吸収源と言われている数値に届いていない現状もございますけれども、いずれにしましても、先進国はそのような形で認められております。

 したがいまして、今、CDM、いよいよ日本もその取得に向けましてスタートいたしましたけれども、こうしたクリーン開発メカニズムの対象に、ぜひ森林保全をこの中の事業として加えてほしい、こういう御提案も途上国からはありました。私は、これは大変注目に値する提案ではないかと思っております。むしろこのことを前向きに検討していただきながら、途上国の排出量削減のための取り組みであるとか、また温暖化のための対策であるとか、こうした枠組みを途上国にも御努力をいただく、当然それは経済的には多くの限界があるかと思いますけれども、マータイさんのように、木を植えよう、こういう運動をまた途上国でも頑張っていただく等々、できる運動は数多くあるのではないかというふうに思われます。しかも、今、世界の温室効果ガス排出の増加分のうちで、約一、二割は森林の減少が原因ではないか、こういう分析もあります。

 また一方、日本でもそうでございますけれども、この温暖化の進行によりまして、災害がだんだん激しさを増しているという嫌いがございます。昨年一年間でも、例えば旭川の最低気温であるとか、またそれぞれの地域の降雨量であるとか、こういう気象庁発表の記録というものを塗りかえた地域が二百五十五個もあった。このことを考えますと、まさに冬は寒く夏は暑い、その寒い中で、環境省の皆様には一週間暖房をおとめになるという努力を、私は本当に尊敬申し上げながら痛ましく思っている一人でございます。

 その御努力、高く評価を申し上げますが、今、こうした気候に対する配慮等々を含めましても、先ほどから大臣のお話にありました、五十年、百年先、この地球をどのように保全していくか、これを考えますと、やはりその一番の大もとは、森林をどのように保全していくか、砂漠化をどう防いでいくか、ここに行き着くのではないかと思われます。

 このことにつきまして、江田副大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

江田副大臣 先生御指摘のとおり、森林整備また保全というのは大変重要なものでございます。

 もう先生も御承知のとおり、森林というのは、二酸化炭素の吸収源であるということで、これは地球温暖化防止に大いに役立つわけでございます。また、多様な生物の生息地となるというようなこともございますし、先ほどの防災の観点もございます。さらには、木材を供給する、産業上も非常に重要で、地域の人々の生活を支えている、こういう役割を果たしているのが森林であるかと思っております。

 しかし、先ほども先生御指摘のとおり、近年は森林が世界的に大きく減少しておりまして、今や重要な地球環境問題となってきております。

 先生も御指摘されたことでございますけれども、今は、二〇〇〇年から二〇〇五年の間に世界の森林は、年平均で我が国の国土の約二割に相当する七百三十万ヘクタールが減少している。その原因としましては、いろいろな原因がございますけれども、開発から商業伐採、また違法伐採等がその原因として考えられておるところでございます。

 環境省としましては、関係省庁と連携をとりまして、これまでも国際的には国連の森林フォーラムとかG8サミットの場で森林保全の働きかけを行ってきているところであります。また、この森林も含めて、自然保全、自然保護の観点からのODAプロジェクト等の国際協力も進めてきているところでございます。

 国内におきましては、先ほども出ておりましたけれども、違法伐採対策を進めるという観点から、グリーン購入法で、合法性が証明された木材、また製品の政府調達を推進する措置を導入する準備を行っているところでございます。

 先生が先ほど来御指摘されております、途上国の方から今回出た京都メカニズムのCDMにこの森林整備を加えてはどうかという御意見、私もこれは大変に注目すべきことであるかと思います。何しろ世界の温室効果ガス排出の増加分のうちの一割から二割は森林の減少が原因とされているだけに、これらの提案に関しては、私どもも、日本政府もしっかりととらえていく必要があるかと思っておりますが、これはまた関係府省庁との連携もございますので、十分連携を図りながら日本としてもイニシアチブをとっていくべきではないか。個人的な意見も含んでおりますので、申し添えておきます。

 しっかりとこのCDMの方を、また森林整備を、協力、貢献していくようにしていくべきではないかと考えます。

高木(美)委員 以上で、質問時間も終了いたしましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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