衆議院

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第11号 平成18年5月12日(金曜日)

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平成十八年五月十二日(金曜日)

    午前九時三十四分開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      宇野  治君    川条 志嘉君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君    竹下  亘君

      とかしきなおみ君    並木 正芳君

      根本  匠君    馬渡 龍治君

      山本ともひろ君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    高井 美穂君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房参事官)           藤井  充君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         齋藤 晴美君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           金井 道夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           桝野 龍二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        奥田 修一君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           平山 芳昭君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局次長)          松尾 庄一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     川条 志嘉君

  宇野  治君     山本ともひろ君

同日

 辞任         補欠選任

  川条 志嘉君     井脇ノブ子君

  山本ともひろ君    宇野  治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長竹花豊君、厚生労働省大臣官房参事官藤井充君、農林水産省農村振興局整備部長齋藤晴美君、国土交通省大臣官房審議官金井道夫君、国土交通省大臣官房審議官桝野龍二君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長奥田修一君、国土交通省総合政策局次長平山芳昭君、国土交通省自動車交通局次長松尾庄一君、環境省大臣官房長西尾哲茂君、環境省総合環境政策局長田村義雄君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小林光君及び環境省水・大気環境局長竹本和彦君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。並木正芳君。

並木委員 おはようございます。自由民主党の並木でございます。

 小池大臣には、御退院、心からお喜び申し上げたいと思います。

 一般質疑ということなんですけれども、我が自由民主党の機関紙もただいま発行中ですけれども、こうして大々的にCO2排出問題というのを取り上げさせていただいています。このCO2排出問題、地球温暖化問題についてお聞きしたいと思います。

 COP3、いわゆる京都会議にも、私もオブザーバーとして参加させていただいて、当時の大木大臣が大変御苦労なさって、条約の締結に徹夜でぎりぎりのところまで取り組んだ。環境問題というのは、総論賛成だけれども各論は反対というか、そういう難しさをまざまざと見聞きしたわけですけれども、そのときの問題がそのまま後を引きずってというか、その後、地球温暖化防止の実効性を上げるためには、アメリカ、これは世界第一位の排出国で世界の二三%のCO2を排出していると言われるわけです、この条約批准の問題、あるいは、そのときには開発途上国として扱われたわけですけれども、その後、大変発展著しいといいますか、世界第二位の一四%のCO2を排出するまでになった中国、インド、ブラジル、こうしたいわゆる途上国の削減問題というのがどうしても必要であるというような中で、日本の役割というのが大変大きな役割を負ったわけです。

 その後、去年、COP11あるいはmoP1、こういったところまで大変粘り強い交渉の結果、その成果があらわれたというふうにお聞きしているわけですけれども、小池大臣に、まずその辺の御苦労と成果、あるいは諸国の動向についてお聞かせをいただければと思います。

小池国務大臣 まずは、お励ましありがとうございます。

 そして、並木委員が京都会議の方にも御出席になったということでございますが、このCOPの会議は、何やら徹夜がもう当たり前のようになってしまっているようでございまして、昨年末のモントリオールでのCOP11、COP/moP1でございますけれども、こちらの方も、結果としてほぼ徹夜状態が続きまして、そのまま一睡もせずに帰りの飛行機に飛び乗ったというようなことを今思い出したところでございます。

 御質問ございましたように、地球温暖化防止の実効性を上げるためには、さらに大幅な温室効果ガスの排出削減が、これは必要でございます。そのためにも、京都議定書第一約束期間、これはもう二〇〇八年からに迫っているわけでございますが、第一期間は一二年まで、そして、終了後の二〇一三年以降も、これまでの共通基盤と経験を踏まえて、京都議定書のさらなる充実発展が必要であるということを、モントリオールの会議で実効ある枠組みの構築ということで世界各国の結束を呼びかけたわけであります。また、各国とも、我が国として積極的に交渉を行ってまいりました。まさに粘り強い交渉を行っているところでございます。

 そして、御指摘ありましたように、例えば京都議定書を批准しておりませんアメリカ、それから、議定書は批准しているけれども削減約束のない中国やインド、こういった主要途上国を含むすべての国が参加する、長期的な行動に関する対話の開始ということが合意をされました。そして、一三年以降の枠組みの構築に向けてさまざまな成果を得ることができた、このように考えているところでございます。

 また、もう一つの仕掛けといたしまして、いわゆるアジア太平洋パートナーシップという、条約の枠組みの外で進められているさまざまな補完的な取り組みもございます。

 ですから、京都議定書に関係しての対話プロセスに加えて、こういった枠組み以外のチャネルということも活用して、今申し上げたアジア太平洋パートナーシップの方にはアメリカ、豪州、そしてインド、中国も参加しているところでございまして、そういったルートも通じまして、すべての国がその能力に応じて排出削減に取り組むことを可能とし、そして主要排出国によります最大限の削減努力を促すという、文字どおり、実効ある枠組みの構築に向けて、さらに我が国として主導的な役割を果たしてまいりたい、このように考えている次第でございます。

並木委員 ありがとうございます。

 実力派大臣として、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 地球温暖化問題というのは、一般的には、大気温が温室効果ガスによって上昇して、その影響で海水が膨張するとか、あるいは氷河、南極の氷が解ける、こういうことで海水面が上昇して島嶼国が水没しかねない、あるいは干ばつや暴風、こうした異常気象が影響しているのではないか、そういうようなことが一般的に知られて話題になっているわけですけれども、私としては、これに連鎖的に関連しております海水そのものの温度上昇、そしてまた二酸化炭素そのものの毒性、こうしたものにも真剣に着目していかなければならないんじゃないか、そのように考えているわけであります。

 海水の温度上昇というのは、ラニーニャ現象とかあるいはエルニーニョ現象とか、こういうことでプランクトンが死滅したりして漁業にも大きな影響があるとか、あるいは先ほどの異常気象にこれは深く関係しているんじゃないか、こういうところまでは知られているんですけれども、以前にも質問をさせていただいたことがあるんですけれども、いわゆる深層海流のベルトコンベヤー式な大循環というか、これが非常に地球のバランスを保っていて温暖な気候をもたらしている、そのように言われているわけです。しかし、海水温が上昇することによってこの辺のメカニズムが狂ってしまう。現実に、これは一部といえば一部なんですけれども、いろいろな観測のデータが出ているようであります。

 グリーンランドの周辺で、先ほど言った循環の一番どこが初めというのはなかなか難しいんですけれども、プリュームと呼ばれる、煙突状の重い冷たい海水が沈み込んで押し出して、それが赤道の方に行って温かくなってまた上へ上がってくる、そういうところですけれども、そこの沈み込みが、普通四千メートルぐらいあるのが、今数百メートルになってしまっている。

 あるいは、NASAの海洋観測衛星によると、ベーリング海に、円石藻という珪藻類ですか、それが地球の酸素を供給してバランスが保たれているんですけれども、この円石藻というのが大量に繁茂してホワイトウオーター現象、こういうことが生まれている。

 こういうものを考えてシミュレーションしていきますと、二一〇〇年には今の二酸化炭素濃度値というのが八五〇ppmから一二〇〇ppmへまで増大するんじゃないか、そういうようなことも考えられます。そうしますと、この深層海流が停止してしまって大きな気候変動への影響があらわれてくる。

 さらには、皆さんもよく御存じかと思いますけれども、メタンハイドレートというような、これはエネルギー源として考えますと大変大きなエネルギーを得られる。埋蔵量というのは、炭素換算しますと何と十兆トンということで、石油、石炭、天然ガス、今の化石燃料の量の二倍相当の埋蔵量がある。日本近海にも百兆立方メートルの埋蔵量があって、日本の天然ガス使用量の何と約千六百年分に相当するものがあると言われているわけです。これはエネルギー源として考えると大変すばらしいものなんですけれども、一定の低温あるいは高圧、それによってこの状況が保たれている。

 そういうようなことによって保たれているものが、先ほどの海水温の上昇、これは二度ぐらい上がると、これはほかの化学物質やいろいろな核実験なんかでも影響するということですけれども、ここが、安定的なところが、逆に言うと今度は非常に壊れやすい、崩壊しやすいようなものでございますので、これが一気に崩壊する。そして大気中に放出されると、何と二酸化炭素の四十四倍の温室効果があるというようなことが言われて、まさに危機的な状況になりかねないというふうに考えるわけです。

 それで、この本をちょっと読ませていただいたんですけれども、文化勲章受章者の西澤潤一さんという科学者、あるいは地球科学システムの学者であります上野さんという方ですね、この方の本は大変ショッキングな、「人類は八十年で滅亡する」、こういうような本なんですけれども、今のようなお話の中で、メタンハイドレートが崩壊する、そういうことによって空気中に出た、この二酸化炭素が、今〇・〇三六ぐらいのパーセントで大気中にあるということなんですけれども、これが三%までいくと、地球全部がそうなりますから、脱出不可能ということになって窒息死してしまう、そういうことも考えられるので、そういう相乗的な効果があらわれると人類は百年もたないんじゃないかという警鐘を鳴らしている本なんです。

 それで、これが机上論で終われば何よりでございますけれども、やはりこうした点も今後ますます真剣に取り組んでいかなければならないというふうに考えるわけですけれども、現状の所見と現況のそういう研究の取り組み、その辺について、小林局長ですか、お願いします。

小林政府参考人 いろいろ御指摘を賜りました。

 私ども環境省、国立環境研究所を置かせていただきまして、そういった気候モデルによるシミュレーション等々をしてございます。また、地球規模ということでございますので、国際的な研究も進んでございます。

 個々の御指摘について申し上げるとなかなか時間がかかってしまいますけれども、一つは、深層海流の地球規模の熱循環、これが地球の気候を安定化させている、これはそのとおりでございます。これがとまったら大変だというのもそのとおりでございまして、御案内の政府間の気候変動に関する科学者のパネル、IPCCでございますが、こちらの最新の報告書によりますと、こういう心配はございますけれども、今世紀末までにこういった海洋大循環がとまるということは、可能性はないんじゃないか、しかし、来世紀になりますとそれが弱まってくる可能性は否定できないという可能性も指摘をされておりまして、そうしたことが起きた場合には、先ほど御指摘の特に北大西洋を中心に大きな被害があるということが言われてございます。

 それから、メタンが増加する、あるいはCO2が増加することによりまして、いろいろな相乗的な悪循環が起こって、例えばCO2濃度すらも加速度的に上がってくるのではないか、そうなると、場合によっては窒息といったようなことも考えられるのではないかということも言われておりました。

 しかしながら、現在の予想では、二一〇〇年に一番上がった場合でも、CO2の濃度は〇・一%というのが先ほどのIPCCの予測でございまして、労働環境等では一・五%程度にとどめたい、これは労働環境で、すぐ死ぬということではございませんが、言われておりますが、まだ、けたとしては相当あるというふうに考えてございます。

 しかし、いろいろな安全側の予測もございますけれども、現在予測をされておりますことですら、相当大規模な経済ダメージあるいは生活へのダメージ、そういうことがあるわけでございまして、私ども、十分慎重に、地球を実験に供するわけにはいかないわけでございますので、将来を見て大規模な削減ということをやっていかなければいけないというふうに考えて、いろいろな研究、そして対策の準備も進めてまいりたいというふうに考えてございます。

並木委員 ぜひ今後ともしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 時間があと五分ということで、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 環境問題というのは、環境関連の国際条約、あるいは中国などを中心とした環境ODA、またリーディング産業になるであろうと思われる環境産業あるいは原子力発電、こういうような振興、あるいは国土保全という要素を考えた農業、林業の問題、環境税の問題、あらゆる分野に及んでいるわけであります。

 省庁の壁というのがあるわけですけれども、私としては、ぜひ環境省は省庁の壁を越えたリーダーシップを持っていただきたいというふうに考えているわけであります。一府十二省庁という、かつて行革が行われたわけですけれども、この中でも環境庁が環境省へと昇格したわけであります。それはまさに、今後環境問題というのが大変重要性を増すということ、それを考えてのことであるということであろうかというふうに認識しております。

 経済分野では、グローバルスタンダードというのはアメリカンスタンダードと言われているわけですけれども、ぜひ環境分野におきましてはグローバルスタンダードはジャパニーズスタンダード、こういうふうにあってほしいというふうに考えております。

 日本は環境技術大国あるいは環境産業立国として大いにこれから成長していくべきであろうというふうに考えるわけですけれども、そうしたものを担っていると考えられます環境省、全人類的あるいは地球的な課題を担っているとも言えるわけですけれども、その辺の気概について、竹下政務官からお聞かせをいただければと思います。

竹下大臣政務官 小池大臣をごらんいただければ、気概はあふれているということは御理解をいただけると思います。

 環境省というのは、地球規模の環境保全という問題から、国民一人一人の安全の確保に至るまで、環境政策全般を総括し、将来にわたって安全で安心な社会づくりを担う官庁ということで、お話にありましたように、二〇〇一年に省になって設置をされたものでございます。

 御指摘のとおり、環境問題は関係省庁も多岐にわたっておりますし、政府を挙げて取り組むべき問題であると認識をいたしております。

 具体的な業務の中で、廃棄物対策等の事務の拡大というのが省になったときにふえたものでございますが、もちろんそれだけではありませんで、環境省というのは、ほかの省と対等とかというのではなくて、環境保全に関する政府全体の基本的な政策の立案、企画、推進、関係行政機関との事務の調整等の機能を持つこととされております。

 先月、四月でございますが、事業活動やライフスタイルのあり方を根本から見直しまして、環境と経済社会が一体となって発展していけるような社会の仕組みづくりを進めるために、第三次環境基本計画を取りまとめたところでもあります。

 また、これはおとといでございますが、経済財政諮問会議に小池環境大臣が出席をされまして、アジア規模で環境と経済の好循環の実現を目指した政策パッケージを提案されたところでございまして、こうしたいわば国内問題じゃなくて踏み込んだ主張というものも環境省としてさせていただいておるところでございます。

 おっしゃるとおり、二十一世紀は環境の世紀であります。しかも、日本は環境立国として世界に貢献をしていかなければならない、これは強く認識をいたしております。

 今後とも、国民の意識の高まりというものを、日本国民というのはある意味で世界一環境意識の高い国民である、そして環境技術の面でも世界を大きくリードしておるというふうに認識をいたしておりますので、さらに世界をリードする国になるべく、大臣のリーダーシップのもと、政府全体の先頭に立って取り組んでまいりたい、このように考えております。

並木委員 ありがとうございました。

 百聞は一見にしかずということで、大臣を見ていただければわかるということでございますので、よくわかりました。有力な大臣あるいは有力な政務官を擁する環境省でございますので、今後ともぜひ頑張っていただければと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 いよいよ容器リサイクル法についての審議も始まりますが、二十一世紀は環境の時代と言われる中で、しっかりと環境問題に力を合わせて取り組んでまいりたいと思います。しかしながら、環境を考える上において、本当に大きな問題がまだ未解決で、残念ながら全面的な解決に至っていない。水俣の問題であります。きょうはそのことについて幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 私も五月一日、公式発見五十年を迎えた水俣病犠牲者慰霊式典に参加をさせていただきました。私どもとしましては、長浜次の内閣のネクスト環境大臣、松野頼久、川内、地元の議員でありますが、地元議員、またこの問題にずっと一生懸命取り組んでおられた、弁護士として、また前国会では衆議院議員として取り組まれた松野信夫前衆議院議員らとともに、私は、実は民主党の環境部門の水俣病対策の小委員会の座長を務めさせていただいておりまして、その立場で出席をさせていただいたわけであります。

 午後に式典がございまして、午前中には実は地元の患者、被害者の皆さんと懇談会を、意見交換の場を持たせていただきまして、改めて、本当に多くの皆さんが、また地域としてこの問題で大変な苦悩を持ってみえた、国会に身を置く者としてきちっと全面的な解決に取り組まなくてはならないという思いを固めたわけであります。

 さて、この問題、式典に先立つ四月二十八日には、水俣病公式確認五十年に当たっての内閣総理大臣の談話というものが発表されました。私は、その文章を読んで、必ずしも釈然としたものを感じることができなかった。不十分な談話ではないか、そんな思いを持ったわけであります。

 また、そんな中で、五月一日、慰霊式典に参加をしました。小池大臣の退院を心からお祝い申し上げたいと思いますし、これからぜひ頑張っていただきたいと思うわけでありますが、私は、残念でありますが、五月一日の慰霊式典での大臣の祈りの言葉を聞いていて、本当にこれからはどういうふうに取り組んでいかれるのか、必ずしも十分な決意を、大変失礼ではありますが、感じることができなかった。一方で、そういう中で地元の熊本県知事の言葉もありまして、やはりその言葉の中に、大変に強い思いと痛み、そしてまた責任を感じるそういう気持ち、そしてこれから何としてもこれを全面的な解決に向けて頑張っていかなくてはならない、そういうものを感じたわけであります。

 そこで、しかしながら、大臣は祈りの言葉でもおっしゃっているわけでありますから、その言葉で、大変失礼ではありますが、感じることができなかったことを、やはりきちっと施策の場で、具体的なところでやってくださるというふうに確信をしておるわけであります。そして、そのために幾つか質問をさせていただきたいというふうに思うわけであります。

 まず最初に、いわゆる水俣病政治決着の際、平成七年十二月十五日、水俣病問題の解決に当たっての村山内閣総理大臣談話というものがあったわけでありますが、これは閣議決定であった、こういうふうに聞いております。ところで、今回の水俣病公式確認五十年に当たっての小泉内閣総理大臣の談話、これはどういう扱いであったのか、そのことについて、そしてまたその違いを承りたいというふうに思うわけであります。

竹下大臣政務官 近藤先生おっしゃるとおり、四月二十八日に発表されました水俣病公式確認五十年に当たっての小泉内閣総理大臣の談話というものは、閣議決定されたものではございません。

 といいますのは、平成七年の政治解決の際に、当時、村山内閣、自社さ政権のときでございますが、このときは確かに閣議決定をして総理大臣談話というものを発表いたしておりますが、これは、高度の政治的判断のもとで解決策がまとめられ、関係当事者間の合意が調ったことを政府として確認して発表するという性格がございましたので、このときは閣議決定をした上で総理大臣談話という形になったというふうに承知をいたしております。

近藤(昭)委員 閣議決定することの意味合いというのがどういうふうにあるのか、私も十分に理解をしていないわけでありますが、ただ、別の言い方をすると、今竹下政務官に御答弁いただいた中でいうと、自社さ政権の中で政治的な解決をした、その解決の方法を政府として了解した、そういう中で閣議でもこの談話を了解した、そういうある種の重み、政府として、内閣としてそういうふうにやっていくことを決めた、その中での談話だ、そういう重みなのかなというふうに思うわけであります。

 ですから、それぞれの談話をすべて閣議了解するわけではないんだというふうに思いますが、しかしながら、私は、いずれにしても総理としての談話を閣議で了解するということは非常に重いんだというふうに思いますね。だからこそ、政治的解決の中で解決法もやったから、そういう閣議了解をして談話だったと思うんです。

 そういう中で、どういう御認識を持っていらっしゃるかと思うわけでありますが、五十年に当たって、例えば、そのときに政治的な解決をしていた、解決策を持った、そしてその解決策の中で、順調にといいましょうか、進んできた、解決策を粛々と実行してきた中で五十年を迎えたという、この状況ではないというふうに思うんですね。

 政府が最高裁の判決で敗訴をした、そして多くの方が今なお苦しんでいらっしゃるという中での五十年ということを考えると、私は、それは重みとしては、中身としては一緒なんだ、そういう、政策としての、政府としての了解がなかったので閣議了解ではないとおっしゃるのかもしれませんが、私は、認識としては非常に重くとらえていただきたいというふうに思うわけであります。

 そこで、さらに質問をしたいというふうに思うんですが、私は、今申し上げたように、この水俣の問題というのは、いわゆる患者の方が今なお苦しんでいらっしゃるという意味だけではなくて、きちっとした全面的な救済の方法が、救済策がとられていないという意味で、いまだ解決になっていないというふうに思うんです。そして、その長期化をした理由には大きく言って二つあるというふうに私は思います。

 それは、一つは、小池大臣も祈りの言葉の中でも触れられておると思うんですが、やはり、発生をした当初、きちっとした対応をとることができなかった、とられていなかった、政府として、発生を、あるいはその被害の拡大を十分にとめることができなかったということ。

 そして、その後、残念ながら、裁判で国が負けた、以前にも私が質問させていただきましたときに、いわゆる患者の方の認定の基準を最高裁で否定されたわけではない、こういう御答弁もありましたが、しかしながら、その判定基準の、いわゆる政府が御自身でつくられた判定基準の中で認められた患者と、そして裁判の判決の中で水俣病として認められた患者と、ある意味でダブルスタンダードができた。つまり、政府の審査の中で認められた方、認められなかった方が裁判を起こすことによって水俣病として認められた、そういうある種のずれがやはり患者の方の中に不信と不満を抱かせる、これが非常にこの問題を長引かせる、こういうことになっているというふうに思うわけであります。

 そこで、大臣にお伺いをしたいわけでありますが、長期化している最大の原因について、どういうふうに御認識をなさっているか、お伺いをしたいと思います。

小池国務大臣 先ほど来、総理の談話についてもお触れになりました。この認識は一体どうなっているのかということでございますけれども、長期化して半世紀に及んでいるということに対する認識は政府としてもしっかりといたしているところでございます。

 それは、総理の談話におきまして、長期間にわたって適切な対応をなすことができず、水俣病の被害の拡大を防止できなかったことについて、政府としてその責任を痛感し、率直におわびをいたすということで、総理の談話でも触れておりますし、また、最高裁の判決が出ましたのが平成十六年の十月でございますけれども、そのときに私は環境大臣談話としてそこで発表させていただいておりますが、そこにおきましても、多年にわたり筆舌に尽くしがたい苦悩を強いられてこられた多くの方々に対し、まことに申しわけないという気持ちでいっぱいであるという旨を表明しているところでございます。

 今申し上げました談話以上でもなく以下でもなく、まさにこの気持ちで私自身いっぱいであるということから、長期にわたってこの問題が起こっているということについて、政府として認識をし、またそれに対応しての策を講じているところでございます。

近藤(昭)委員 この談話で政府が責任を認めたというのは、ある意味で画期的なところもあると思うんですが、しかしながら、やはりそれは、今後の施策にきちっとつなげていただくということが非常に大事だと思いますし、私は、先ほど申し上げましたように、五十年という節目を迎えた、しかしながらそこで全面解決に至っていない、やはりこれを何としても全面的な解決に向けていきたいと思うわけでありますが、そこで、おさらいと言うと失礼かもしれませんが、以前の問題について少し振り返ってみたいというふうに思うわけです。

 それで、ちょっとお伺いをしたいのは、先ほど私自身が申し上げました、この問題が長引いてきた、それは、初期といいましょうか、最初のころに問題があったんではないか、国の対応が後手後手になってきたんではないか、こういうことを思うわけでありますけれども、一九五七年だったと思います。先ほど熊本県知事の祈りの言葉もちょっと触れさせていただきましたが、熊本県は、やはり地元として大変にこのことについて危惧を持った。そこで、熊本県としては、当時、食品衛生法、まだまだ一九五七年でありますから十分な法律が整っていない、そういう中でもこの食品衛生法で対応できないかということで厚生省に照会を行っていると思います。

 しかしながら、このときの厚生省の返答は、水俣病の魚介類すべてが有害化しているという明らかな根拠はないので適用できないということであった。しかしながら、その結果、残念ながらやはり被害が拡大したのではないかというふうに思うんですね。

 そしてまた、一九五九年十一月、厚生省の食品衛生調査会は、水俣病の原因を有機水銀化合物であると。一方で、食品衛生調査会では五九年には有機水銀化合物であると厚生大臣にも答申をしている、しかしながら、突然、その翌日にその水俣食中毒部会、いわゆる食品衛生調査会の中の水俣食中毒部会は解散をされている。これは当時どういう状況だったのか、そして、今現在、五十年たってこうしていまだに全面解決に至っていない中で、これらの当時の動きについてどういうふうに認識をなさっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

藤井政府参考人 御指摘の点についてお答えをさせていただきたいと思います。

 食品衛生調査会の水俣食中毒部会でございますが、これは、委員御指摘のとおり、旧厚生省が水俣病の原因究明を図る目的で、昭和三十四年の一月、厚生大臣の諮問機関であります食品衛生調査会に臨時的な部会として設置をしたものでございます。同部会は、昭和三十四年の十月にその原因について報告を行いまして、同年十一月にはその報告をもとに食品衛生調査会が厚生大臣に最終答申を行ったことをもってその目的を達したということから、解散をしたところでございます。

 その後、政府全体といたしましては、総合的な見地から水俣病のさらなる原因究明と対策を検討するため、経済企画庁に水俣病総合対策協議会を設け、検討が続けられたものと承知をしております。

 平成十六年の水俣病関西訴訟の最高裁判決におきまして、食品衛生法等厚生労働省関係の法律に基づく国の責任につきましては、司法上、否定されたところでございます。

 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、国民の健康の保護を図る観点から、食品安全の確保につきまして今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 一九五七年のことでありますし、現在とはいろいろと状況が違ったのかもしれません。しかしながら、やはり先ほど申し上げました、患者の方の中に、なぜもっときちっと、せめて食品衛生法の中で魚介類を食べること等の規制をしてくれなかったのか、こういう思いはあると思いますし、そういう答申をした、そこでその部会は役割を一つ果たしたということで解散をしたというお答えでありますが、最後に局長がおっしゃったことで申し上げますと、国民の生命、食の安全を守るということをこれからも頑張っていくということでいうと、どうなんでしょうか、当時、そのことに対して十分な対応がとれたと、今どういうふうに御認識なさっているのか。

 これは局長の言葉ではないですけれども、小池大臣も、水俣病を拡大させてしまったことに対する反省のというか言葉をおっしゃっているわけですし、やはり被害を拡大させた、十分な対応がとれなかったということがやはり最高裁の判決の中に出ていると思うんですね。いかがでありましょうか。

藤井政府参考人 当時の厚生省といたしましては、その当時の知見等に基づいてできるだけの措置、対策等をとってきたのではないかというふうに現時点では考えております。

近藤(昭)委員 では一言、小池大臣はどういうふうに思われるか。大臣も、とにかくこれからこういうようなことがないようにこの水俣から学ばなくてはならないとおっしゃっているわけでありますから、五七年、随分前のことでありますが、この水俣ということで言うと、一つの流れの中で、どういうふうにこれからこのことを生かしていこうと思われるのか、一言伺わせていただければと思います。

小池国務大臣 水俣病の問題につきましては、これまでも数多くの検証がされてきたところであります。また、今回の談話などを通じましても、また国会決議におきましても、高度経済成長というその背景があったということなども書かれているところでございます。それをさらにブレークダウンした検証が必要ではないのかということで、今、懇談会にそういった検証をお願いしているところでございます。

 そういった過去の反省に基づいて、今後そういったことを繰り返さないということを心に刻み込んでいく必要があるのではないか、また、そのためにも予防的な措置というのをこれからしっかりと根づかせていくというのがそこから学ぶ大きな学習材料ではないのか、このように思っているところでございます。

近藤(昭)委員 予防的措置というお言葉が出ましたけれども、そのことについてはまたお伺いをしたいと思いますけれども、当時の厚生省の対応は、当時できる限りのことをしたとおっしゃるかもしれませんが、やはり被害者の方からすると、じくじたる残念な思いがあったというのは、これは間違いないと私は思うんです。

 もう一つお伺いをしたい。それは、この問題をずっと長引かせていることの、先ほど触れました認定基準のことであります。

 認定基準が厳し過ぎるという言い方は語弊があるかもしれません。いずれにせよ、患者の方とそうでない方はきちっと判断をする、これは当たり前であるわけでありますけれども、しかし、これが、国といいましょうか審査会で認められた水俣病の患者の方と裁判によって結果的に判断された方と違う、この差がやはり大きな問題になってきたと思いますし、もう一つは、そういう意味では、私は、あの認定基準というのはやはり見直さなくてはならない、こういうときに来ていると思うんです。

 もう一方で、この認定基準、一九七一年の環境事務次官の通知と、七七年の企画調整局環境保健部長通知のそれぞれの通知が出ています。私も資料の中で読みましたけれども、随分とこれは厳しくなっているような気がいたします。そのことによって、本来救済されるべき、患者として認定されるべき方が認定されなくなってきた、そしてその方々が裁判によって認定されることも出てきた、こういう問題が出てきていると思うんですけれども、この違いはどういうことから出てきているのか、お伺いをしたいと思います。

滝澤政府参考人 御指摘の七七年の部長通知でございますが、これは、七一年の事務次官通知の考え方を前提といたしまして、実際に審査に当たっている水俣病審査会の委員が、それまでの審査に係る医学的知見でありますとか経験を持ち寄りまして、さらに認定の要件を明確化したものであるというふうに認識しております。

 したがいまして、七七年の部長通知とそれから七一年の事務次官通知の考え方は、部長通知はその考え方を変更したものではないというふうに私どもは考えております。

近藤(昭)委員 そうでありますならば、変更したということでないというならば、なぜ保健部長通知ということで新たに出されているのか、その辺が釈然としないわけでありますが、その辺はいかがでありましょうか。

滝澤政府参考人 先ほど申し上げましたように、実際に審査に当たっている先生方の医学的知見でありますとか蓄積された経験等を踏まえまして、より具体的に判断条件を整理したということでございまして、事務次官通知を前提としてさらに明確化したというふうに私どもは認識しております。

近藤(昭)委員 部長のお言葉をかりるなら、より明確化してきた、蓄積された経験をということで、ある意味で、より精度を高めたということなのかもしれませんが、そうでありますならば、なぜこんなに問題が長引いているのか。蓄積された経験をもって、認定基準の中でどういうふうに運用するかという通知を出したならば、本来ならばもっと解決に向かってこなくてはならないのではないかと思うわけであります。それが、逆にそうでないという状況を生んでいるのではないかと私は思うわけであります。

 そして、それは環境省のお立場でいえば、そうではなくて、あらぬ誤解だということになるのかもしれませんが、しかし、そうであるならば、なぜ最高裁で負けるのか、なぜこんなに問題が長引いているのかということになると私は思うんですね。経験を生かしていただくならば、よりきちっとした解決に向かっての経験を生かしていただかなくてはならないと思うわけですし、今の部長の話で、蓄積された経験を生かしていくということならば、もっとちゃんとやっていただかなくちゃならない。

 それは前回の質問のときにも聞かせていただきました。やはり、被害の実態の全容を把握するための健康調査、環境調査がなされていない。今お話しになった、蓄積された経験等々によってこの基準をより具体的に通知したというならば、きちっとした健康調査、環境調査をやる、そのことの方がきちっとした蓄積ができるのではないかと思うわけです。

 そして、冒頭触れさせていただきました熊本県知事の祈りの言葉、そこにやはり地元の患者の皆さんの苦しみ、痛みに対する思いを深く感じたということをお話しさせていただきました。そして、私は現場で聞いておりまして、知事がおっしゃった言葉の中で非常に気になった点があります。それは、熊本県知事の言葉の中で、「熊本県としましては、最高裁判決で問われた行政責任を踏まえ、健康調査や環境調査にも取り組み、被害の実態把握に努めてまいりたいと考えております。」こういうふうに熊本の知事はおっしゃっているわけでありますが、国はどうなんですか、その点については。改めて聞きたいと思います。

滝澤政府参考人 国の取り組みといたしましては、平成四年にさかのぼりますが、地域住民の健康状況を把握するために、健康管理事業という形で実施してきております。地域における健康上の不安の解消でありますとか健康増進を図る保健対策の充実という趣旨でございます。また、従前より、水質の監視等も行ってきておるわけでございます。

 県との調整の話でございますが、昨年来、その知事の言葉にもありますような御提案を県からいただいておりますが、当面、十八年度は、せっかくいろいろ実施した過去の調査データがございます、それを分析、解析して、どういう問題点があるかということをきちっと評価してみようというふうに県と話し合いをさせていただいております。

 そうしたことを踏まえまして、十九年度以降、どのような分析、解析を進めるべきか、あるいはどのような調査が必要か、あるいはできるのかできないのかも含めて、さらに県と調整していきたいと考えておるところでございまして、当初の県の提案がいわば悉皆調査的な提案でございましたが、そうしたことにつきましては、医学、疫学の専門家にも、同時に私ども、十分御相談もさせていただいております。そういう調査の意味合い、設計ができるのかできないのか、そういう基礎的な、あるいは専門的な評価もきちっと踏まえて、その調査をするのであれば、意味合いをきちっと吟味していかなければいかぬというふうに考えておりまして、十九年度に向けての県との調整になろうかと考えております。

近藤(昭)委員 最初に患者の方が発見されて五十年もたっているわけでありまして、なぜいまだに十九年度に向けて検討というふうにおっしゃるのか、私は本当に残念に思うわけであります。

 やはり、この間の歴史を見ていても、結局、水俣、チッソという会社が地元の税収のたしか五〇%以上を占めていたと思いますが、そういう中、また、当初はその原因がなかなかはっきりしない中で、伝染病ではないか等々ということも言われて大変に地域での差別も生んできた。つまり、水俣病というその症状を言いにくいという中で来た。自分はその患者だということを言いにくい、言い出しにくい、言えば差別を受ける、就職差別もあったでしょう、結婚の差別もあったでしょう、そういうものが出てくる。こういう中で、なかなか言い出せない患者の方がたくさんいらっしゃった。だからこそ、裁判が何回も起こされて、政治的解決で、先ほどのお話でいえば、これで全面解決だと自信を持って政府も了承して、閣議決定までして、当時、総理が談話まで出された。ところが、その後でもまだまだだと訴訟が続いてきて問題が出ている。それは、私が今申し上げた、地域の中で、私はそういう患者だと言い出せない人たちがいた。だからこそ、私は、本人が言い出して、それを判断する、こういう根本的なところも間違っていると思うんですね。不十分だと思うんです。やはりきちっと健康調査をする、環境調査をする、そのことによって、どういう症状があるのか、どういう症状の患者の人たちがいるのか、そういうことをきちっと調査すべきだというふうに思うんです。

 ところで、さきの水俣病関西訴訟最高裁判決では、国の不作為の責任、こういうふうに不作為の責任が認められたわけでありますが、そのほかに、今までのさまざまな公害事件、最高裁の判決、裁判の判決によって、環境省に限らず、国の責任が認められた、こういう案件があるのか、大臣が謝罪をした案件はあるのか、お伺いをしたいと思います。

竹本政府参考人 今お尋ねのありました点につきましてでございますが、まず、いわゆる四大公害訴訟ということに限って申し上げますと、水俣病訴訟以外のものにつきましては、新潟水俣病訴訟では国の責任は認められていないところでございます。また、四日市ぜんそく訴訟、またイタイイタイ病訴訟では国は被告となってございません。

 また、環境省が被告となっている道路公害訴訟につきましては、いずれも原告との間で和解が成立をしているか、もしくは訴訟がまだ係争中の状況にございます。

 いずれにしましても、水俣病関西訴訟以外で環境省が被告となった公害訴訟につきましては、最高裁判決によりまして国の責任が認められた例はございません。

近藤(昭)委員 ほかに認められたことがないということでありますと、逆に非常に重いということだと思うんですね。初めて国の責任が認められた。

 そこでお伺いをしたいと思うんですが、つまり、最高裁の判決で国の責任を認めた、これは唯一だということであります。そして、そういう中で環境大臣も総理も国の責任を認めている。さきの国会決議でも不法行為責任を認めたということである。そうすると大変に重いわけでありまして、その重みの中でやはりこの問題を解決に向けていかなくてはならない。

 そうですと、やはり私は先ほどのこと、健康調査や環境調査、もう随分時間がたちましたが、やはり解決のためにこのことをやらなくちゃいけない、こういうふうに改めて思うわけでありますが、小池大臣、いかがでありましょうか。

小池国務大臣 そのことにつきましては、先ほど保健部長が既にお答えしたとおりでございます。

 熊本県の御主張、これは承知をいたしますけれども、これまでも国としてこの調査につきましては、水質も含めてこれまで実際に行ってきたものでございます。

近藤(昭)委員 それは、先ほど滝澤部長がおっしゃった、十九年に向けて検討していく。検討していくということは、実施の方向に向けて検討していく、こういうことでしょうか。

滝澤政府参考人 先ほどの答弁の最後にちょっと専門的なコメントをさせていただきましたが、この調査を実施すること自体そのものに、やはり専門家がかなり異を唱える要素もございます。

 そこは、やってみて意味のない調査ということですとこれは問題ですので、きちっと予算もいただくわけですから。そこは十分に県と調整して吟味して、どのような形が有効なのか、やる意味があるのかということは慎重に検討したいということでございまして、今の時点で私ども前向きに県の御提案をとらえているわけではございません。

近藤(昭)委員 済みません、ちょっと最後のところがよく聞こえなかったんですが、前向きにとらえているということですか。

滝澤政府参考人 私どもとしては、県の提案を前向きにとらえているわけではございません。

近藤(昭)委員 十九年度に向けて検討して、検討はしているけれども前向きにとらえていないという御答弁は、私には理解しがたいわけでありますけれども。

滝澤政府参考人 調査設計という熟語で簡単にコメントしているものですから、申しわけございません。

 本当に調査の内容をどのようなものにするか、疫学的にいろいろなデザインをしなければいけません。そういう調査をするのであれば、どういう内容が有効かということをきちっと専門家の意見も聞いて設計しないといけないということを申し上げているわけでございまして、私も多少専門家の端くれとして、私自身という意味では、やや消極的に考えているということでございます。

近藤(昭)委員 つまり、御提案はあるけれども、専門家の意見を聞いていけば、多分、そんなことは今さら五十年もたってやってもしようがない、こういう意味ですか。

滝澤政府参考人 四十年、五十年前の暴露との関係、それから今どういう病像かというようなことの、平たく言いますと因果関係のようなものの意味合いを把握しなければ、基本的に意味はないのではないかという専門家のコメントもございます。そういう意味でございます。

近藤(昭)委員 大変失礼ですけれども、そういうような態度がこの問題を長引かせてきたんじゃないかと思うわけであります。

 では、翻って、もう随分時間がたってしまった、因果関係がなかなかその調査ではわからないというようなニュアンスで私はとらえるわけでありますが、そうであると、では、なぜもっと早くやらなかったのか。このことについてはいかがお考えでしょうか。

滝澤政府参考人 先ほどの答弁で、平成四年から健康管理事業という形で、市町村の健診に上乗せする事業をずっと、十数年になりますが続けてきております。

 ただ、これは率直に私ども反省しなきゃいけないんですが、健康管理事業のデータといいますか、そういうものをきちっと、分析、評価については余り労力を費やしてこなかったということがございます。

 十八年度、県と連携して、この過去の部分についてきちっともう一回評価しようということを今年度やりたいというふうに考えておりまして、もともとのこの十数年の調査はデータがございますので、その評価から何らかのものが出てくるのか、あるいは、もっとこうすべきだというようなコメントを専門家にいただけるのか、そういうことを十分我々としては検討していきたいということでございまして、何も過去においてしてこなかったということではございません。

近藤(昭)委員 もう質疑時間が終わりましたので、これで最後にしたいと思いますが、そうしますと、この過去の分も、分析をした、分析の中で出てくるものがある、その分析して出てくるものがあった中では、前向きにとらえているわけではないとおっしゃいましたが、可能性としては、調査をした方がいいという決断が出てくるかもしれない、あるいは、その結果、認定基準も見直した方がいいということが出てくるかもしれないということで理解してよろしいでしょうか。

滝澤政府参考人 調査の結果を、今の時点でどういうふうになったらどうするというのはなかなかお答えしづらい話でございますし、また、認定基準云々ということと直接結びつく問題かどうかということも、ちょっと私、今の時点で答弁はできないという状況でございます。

近藤(昭)委員 とにかく、まだ全面解決に至っていないということで、きちっとこの間の経験等々を生かしていっていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 午前十一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時三十二分開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 小池環境大臣がおられませんが、始めさせていただきます。いていただいた方がいいんです。なぜかといいますと、地球温暖化対策をきちんとやっていくには、一環境省だけでは無理だ、関係省庁、皆一体となってやってもらわなくちゃ困るんだと私がいろいろ質問しますと、小池大臣は、もう二、三回言われていますけれども、それはほかの省庁に言ってくださいというのを何回も言われておりますので、きょうは、本当にまことに済みませんけれども、桜井総務大臣政務官それから片山経済産業大臣政務官にもおいでいただきまして、環境行政について、いかにきちんとやっていく決意ができているかという所信をぜひ述べていただきたいと思います。

 まず、本家本元の環境省ですけれども、この京都議定書目標達成計画、ここのところにいろいろなことが書いてあります。美辞麗句が並んでおります。その中で非常に大事なフレーズがあるんですね。どこかといいますと、真の循環社会を実現するためにはというところで、基本方向の環境と経済の両立というところですけれども、広範な社会経済システムの転換を伴う地球温暖化対策が重要と思われると書いてあるんです。つまり、社会経済構造を根本的に変えていくんだ、これが目標として掲げられているんです。

 クールビズだとか、ウオームビズだとか、ふろしきだとか、午後八時で消灯とか、私なんか非常に悪いことしているな、きのう、実は、質問通告、いつも早いんですけれども、農林水産委員会で提案者としてずっと答弁していた関係上、遅くなりまして、十一時ごろになってしまって、皆さんには非常に迷惑をおかけして、じくじたる思いがあるわけです。

 こういったことをいろいろ努力されているのはわかるんですが、この広範な社会経済システムの転換というのはしなければいけないことだと思うんです。そうじゃないと、今苦労していますけれども、アスベストの問題、それから水俣、五十年前に起きた問題です、五十年前から取りざたされている問題です。この環境の世紀と言われる二十一世紀に突入したんですから、我々は、相当心を入れかえて、性根を入れかえて、環境に優しい社会をつくっていかなければならないんだろうと思います。

 それについて、この広範な社会経済システムの転換というのは、私は、素直に理解するには、非常に発想の大転換が必要だと思うんですが、そういった政策は何か今までされたことがあるんでしょうか。

竹下大臣政務官 おっしゃるとおり、社会経済システムそのものを変えていかないことにはこの地球が大変だという基本認識、私たちは、そこに基づきまして、さまざまな仕事をやらなければならない。

 特に、地球温暖化対策の推進に当たりましては、おっしゃいましたように、個々のいろいろな対策、あるいは省エネ機器の開発等々といった問題ももちろん大事でありますが、一番基本になりますのは、国民一人一人の意識、一人一人の気持ちの持ち方ではないか。あるいは、地域ですとか、都市構造ですとか、交通体系ですとか、いろいろな製品の生産、消費に至るそのプロセスといったようなもの、そういうものを含めた社会経済システムの省CO2化、それを社会の構造の中に組み込むという脱温暖化社会をつくり上げることが一番大事だというふうに認識をいたしております。

 その中で、いろいろなことを実は日本はやってきております。

 もちろん、環境省もその中で、例えば、太陽光発電、バイオマスといったエネルギーの地産地消という問題。あるいは、荷主と物流業者が提携をした新たな物流システムの構築。あるいは、もう一回路面電車を活用しよう。あるいは、パーク・アンド・ライドといったようなことも含めました持続可能な交通システム。さらには、スリーR、リデュース、リユース、リサイクルというものによります大量生産、大量廃棄からの脱却。さらには、生産者、販売者の消費者への情報提供も含めましたグリーン購入システム。この仕組みなんですが、政府としてはグリーン購入法というものでやっておるんですが、実は、政府だけではなくて、民間にもその意識をしっかりと持ってもらうということが脱温暖化社会をつくり上げるのに重要である。

 いろいろ進んではいるんですが、では、十分に広がりを見せているかということになりますと、いや、これで大丈夫ですとまだまだとても言えない状況にあります。

 それから、もう一つ、環境省が提案をしております環境税という考え方がございます。これは、今、CO2の排出というのは野放しなんです。排出しても一銭も負担しなくてもいいんですが、環境税というのは、やはりCO2の排出にはコストがかかりますよということを、まさにCO2の排出を社会構造の中、経済構造の中にきちっと入れ込むためには非常に有効な手段である、そういう思いも込めて環境税というものも提案をさせていただいておるところでございます。

 今後とも、このような取り組みをさらに拡大するための施策をどんどん推進していきまして、我が国が脱温暖化社会をつくるだけではなくて、世界のモデルになる、そういう思い込みも含めましてこれからも努力していこう、こう考えております。

篠原委員 同じページに、今、竹下政務官がお答えになった大事なフレーズも入っているわけですね。世界をリードする環境立国を目指すんだと。私は、それが非常に大事なんじゃないかと思います。

 そういった意味では、今の社会経済システムを変えるということの一つの典型的な例が環境税だと思いますけれども、ちょっと表をお配りしていますので見ていただきたいんです。それで、追加ということで、それほど違わないんですけれども、もう一枚表をお配りしておりますので見ていただきたいんです。「環境行政と関係省庁」、これは、一体ほかの省庁がどれだけ環境行政に貢献しているかというか、法律だけなんですが、ちょっと引っ張り出して表をつくってみたわけです。Sと書いてあるのは昭和で、年次も私のところは書いてあるんですが、ちょっと細かくなるのでやめましたけれども、環境行政の所掌事務、こんなものがあるんだろうと思います。地球環境の保全、公害の防止、自然環境の保護、野生生物の保護、廃棄物の処理。

 それで、よく見ますと、いろいろ流れがありまして、二番目の公害の防止は、四十年代の前半、水質汚濁防止法というのは昭和四十五年とか、大気汚染防止法も四十五年とか、大体昭和四十年代の前半にこういった法律ができているんです。自然環境の保護の方はちょっとおくれて、国土交通省の方ですけれども、都市緑地法とか生産緑地法とか、景観とか、景観法は平成十六年ですけれども、それを除きますと昭和四十年代の後半なんです。野生生物の保護とかになりますと、もう平成に入ってから、平成四、五年、六年。廃棄物の処理というと、平成七、八年以降、十年以降になってきている。この流れが見られるんじゃないかと思うんです。

 それで、環境行政は着実に進んでいるんです。ですけれども、公害の防止というのは、問題が起きたのを後から解決する、それから廃棄物の処理も、ほかの産業界が、あるいは家庭がいろいろごみを出してしまったものを処理する、そこで終わっているんじゃないかと思います。これだけ言われているわけですから、もっと各省の行政の中に環境というのをずばっと入れ込む。

 今、税として織り込むわけなんですが、その一つの例として、一番下に環境に優しい産業というのが書いてあります。持続的農業促進法というのが農林水産省でできているんですけれども、これは、環境に優しいということだけをいったわけじゃなくて、食べ物の安全性というのが大事になってきた、だから安全な食べ物をつくらなくちゃいけないんじゃないかというので、本当は、環境保全型農業促進法なんです。

 内実を言いますと、私、ちょっと携わっていたので、余りこういうことを言うのはよくないのかもしれませんけれども、環境保全型農業促進法というと、環境庁から共管にしろと言われるからわざわざ持続的農業にするとかというばかなことをやっているわけですよ。信じがたいんですよ。

 環境に優しい農業に変えていきましょうということは非常に大事です。我が国には産業振興法というのが山ほどあるんです。何でも産業振興法。しかし、徐々に変わってきて、消費者保護とかいうのもだんだんできているんですよね。

 こういったことで、各省の産業法のところに環境のことを、大事だから、加味してちゃんと法律をつくって誘導してくれというような働きかけを、今までされたものがありますでしょうか。ありましたら教えていただきたいんですが。

竹下大臣政務官 環境省としましては、産業活動から環境負荷を軽減するという観点、先ほど御指摘ありましたように、大気汚染防止法や水質汚濁防止法等規制法の整備、強化は順次進めてきたところであります。

 公害というのは、昭和四十六年でしたか、佐藤内閣のときに、公害国会と銘打って国会が開催されたことがございますが、よくあのときに公害国会という名前をつけたものだな、私自身はそういう思いがないわけではありませんけれども、まさにあのころから、さまざまな考え方が議論の中に組み込まれてくるようになった。

 近年では、間違いなく、循環型社会の構築を目指すということで、循環型社会形成推進基本法、あるいは各種のリサイクル法の制定にも努力をしてまいりました。

 また、そのことによって、では何か経済でいい方向が出てきたのか、あるいはそれを後押ししているのかという観点でございますが、一つはグリーン購入法なんです。これは議員立法ではございますけれども、環境省としても全面的に議員立法の際に支援をさせていただいた法律でございまして、環境に優しい製品を買う、そのことによって環境に優しい製品がよりマーケットに出回りやすくなるというメリットがあったのではないか、これはもっともっと推進していかなければなりません。

 また、企業の環境への積極的な取り組みが市場で評価されるという仕組みをつくっていかなきゃならぬ。環境報告書といったようなものの普及促進を通じまして、これは環境配慮促進法の制定という中に環境報告書という項目が入っておりますが、そういったことにも努めてまいりました。

 例えば、グリーン購入法の効果を一つお話しさせていただきますと、コピー用紙があるんですが、一〇〇%古紙でつくったいわゆるグリーン購入法に適合するものというのは、平成十二年度にはそのシェアが一一・六%でありましたものが、平成十六年度には三三・五%、ほぼ三倍になっておるということで、まさに環境に優しい産業への転換というのは、十分ではありませんが、堅実に、確実に進展をしてきている。先ほど先生がおっしゃいましたように、これは日本国内だけではなくて、世界をリードする水準にまで、これからもっともっと努力をしていかなければならない、こう考えております。

 車も一つのいい例。日本の車があれだけ世界じゅうで圧倒的に売れている。何が評価されているか。いろいろな評価がありますが、間違いなく、燃費を含めて環境に優しいという点が世界をリードしておる一つの大きな要因である。つまり、環境に優しいということが大きなビジネスチャンスにつながっていることを示しておる一つの例であると思いますし、もっともっと広く産業界にそういった認識を共有してもらいまして、環境と経済の両立ということが進展するように積極的に取り組んでいかなければならない、このように考えております。

篠原委員 いろいろ具体的に取り組んでおられるというのはわかりました。ですけれども、今、日本の場合は、コストが関係してくると安い方にというので進むんですけれども、そうじゃないとなかなか進まないような気がするんです。

 今、産業振興法的なのは大分なくなりました。それは、アメリカから日米構造協議なんかで、振興というのはよくない、日本株式会社的なのでやめろというので、ですから、その後、軒並みできたのは構造調整の法律だと思うんです。調整しなくちゃ、みんな過剰設備を抱えて困っているからと。そこのところに、例えば独禁法の例外措置というのがみんな書かれたんですね、何とか組合法とかいうのが。しかし、数年前に、独禁法はもっときちんと適用しなくちゃいけないと、これもまた嫌なんですが、アメリカからぎゃあぎゃあ言われたりしたのでしようがないという面もあったんだと思います、全法律から独禁法の例外規定をなくすという逆の例があったんです。

 これと同じように、これから立法する産業振興法とか構造調整、いろいろなのがあるんでしょうけれども、そういった法律の場合には必ず環境のものを加える。例えば、この間の委員会に出した資料をまた出してありますけれども、各企業にCO2の排出量の上限を割り当てる、それをちゃんと報告するんだ、業界法があったら必ずそれを加えるというのを常に環境省が各省協議で要求するとかいうことをぜひやっていっていただきたいんです。そんなのは簡単なんですよ。

 私、今、住みかが三つありまして、九段の議員宿舎と、長野のわびしいワンルームマンションと、行っても疎外感を味わうだけの我が家と。それで、全然住まないワンルームマンションですね。みんな全然使わない、ゼロなんですよ、ガスも電気もほとんど、寝るだけですから。それでもちゃんと基本料金、三千幾らとか四千幾らとか取られているわけです。ちゃんとメーターがついている。そうしたら、工場ごとの排出のメーターなんてつけるのは当たり前ですよ、我々国民一人一人だって計器があるわけですから。だから、そういうことをちゃんとやっていただきたいということを、この前もお願いしたので、ぜひやっていただきたいと思います。

 それで、環境に優しい産業の一つの提案で、なぜこんなところに警察庁の方に来ていただいているかということですけれども、パチンコ業界。私は、パチンコ業界をなぜ例に出すかというと、こんなことを言っては悪いんですが、それなりにいかがわしい産業だと思います。余り役に立っているとかいうのはない、ただ、我々一般庶民の精神の安定にはなっていると思います。

 恥ずかしながら、長野県は娯楽が余りないので、ないというか、本当のもっと過激な娯楽があるんですが、そういうのはみんな禁止されているので、それでパチンコが物すごいのです。その庶民の楽しみを奪ってはならないと思いますけれども、パチンコ店は郊外にもうばんばんできているわけです。広い農地をつぶして、電気がこうこうとついて、広い駐車場というのがあるんですね。

 だから、パチンコ業界に少しは環境に優しいことでも考えてくださいということで、提案ですけれども、パチンコは風俗営業ということで、警察庁は規制という面からだけ取り組んでおられると思いますけれども、そこに例えば環境に優しいというのを入れるんですよ。

 どうするのかというと、こういうのは許可制にしてもいいんだろうと思います。風俗営業の許可だけじゃなくて環境上の問題もあるので、立地も制限する。ちゃんと余り優良農地じゃないところ、建てるんだったら屋根は全部ソーラーパネルにする、そして電気代は全部自分でやれ、その電気が消えたらもう営業をやめろ、これはちょっと極端過ぎますけれども。降った雨は全部トイレで流す、それから何ホン以下にするとか何ルクス以下にするとか、そういうことをぜひやってもらいたいんです。

 だけれども、これは不思議なことに、私が法令検索で調べたら、資源の有効な利用の促進に関する法律の中にパチンコのことが書いてあるんです。どういうふうに書いてあるかというと、やはり平成に入ってからの流れで、廃棄物の処理なんです。皆さん御存じかどうか、栃木県にパチンコ台が山のように廃棄物になっているところがあるんだそうです。いかがわしい人たちなんて言っちゃ悪いんですけれども、でたらめなわけです。

 だから、これは省令であるんです。ぱちんこ遊技機の製造の事業を行う者の使用済物品等の発生の抑制に関する判断の基準となるべき事項を定めるというものです。何かというと、もっと長く使え、修理して使え、これはなぜかわかりますね。いつも、一カ月に二回ぐらい、新規台購入で玉がいっぱい出るぞという誇大広告をしているわけです。だから、台を次々にかえている。これはよくないと言っているんです。

 ですから、廃棄物の処理という観点に気がつかれたのなら、もう一歩進んで、立地や建物のところまでちゃんと警察庁は面倒を見る、そういうふうにしてくれと環境省が要請してやるというような連携があってしかるべきだと思うんですが、警察庁、いかがでしょうか。

竹花政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、パチンコ業は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づきまして、都道府県公安委員会の許可に係らしめているところでございます。

 同じような遊技場営業、あるいは接待飲食等営業も、この法律に基づいて、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持するという観点で規制をしているところでございますが、この中に騒音等に係る規制もございまして、この点は環境にかかわる規制にも効果を有するものであろうと思います。

 御指摘の温暖化の問題等について、環境の問題については、警察といたしましても大変大事な問題であると考えておるわけでございまして、環境基本法によりまして、パチンコ営業者を含めた事業者が同法の基本理念にのっとり事業活動を行う責務を負うているわけでございますので、警察といたしましても、この法律の基本理念について機会をとらえて業界に指導してまいりたいというふうに存じております。

 御指摘の、パチンコ営業の開設に当たっての土地の獲得あるいは建物の建て方等について、環境の観点から警察サイドにおいて規制を行うべきではないかという御指摘につきましては、これは他の風俗営業あるいは他の事業者等とのバランスもあろうかと思います。今後の検討課題にさせていただきたいと存じます。

篠原委員 今非常に優しい声で優しく答弁していただいていますけれども、いつものとおりびしばしやっていただきたいと思いますね、警察は。

 なぜパチンコと言ったかというと、ほかの業界というのがありました、しかし、そういうことを考えないパチンコ業界ですら環境にこれだけ配慮したことをしている、だからほかの業界はもっときちんとすべきだと。似たような業界でコンビニ業界がありますね。コンビニも、あちこち郊外にいっぱいできて、こうこうと電気を照らしているわけです。

 資料の三にありますけれども、長野県は、この前もちょっと触れましたけれども、二十四時間営業をやらなくていいんじゃないかということを言い出しています。これは長野県だけじゃなくて、コンビニ全体についてこういうことを言ってもいいんじゃないかと思いますけれども、片山経済産業大臣政務官、この点についてはいかがお考えでしょうか。

片山大臣政務官 まず、コンビニエンスストアの温暖化防止対策についてのこれまでの取り組みでございますが、業界が環境自主行動計画というものをつくっておりまして、配送の合理化ですとか空調の省エネ化、低公害車導入等をやりまして、エネルギーの消費基準値は、九〇年を一とすると二〇〇四年には〇・七三まで下げてきております。

 ですから、業界単位でいけば決してふまじめな業界ではないんですが、さらにこの業界の取り組みを促すために、毎年、産業構造審議会と総合エネルギー調査会の合同小委員会においてフォローアップを行っております。

 このように自主的な取り組みも進んでおりますし、利便性もありますので、現時点において、営業時間規制ということまでを考えるような業界ではないんじゃないかと我々思っておるわけです。

 また、最近、コンビニにつきましては別のとらえ方もございまして、犯罪の温床になっているんではないかという御質問もあったんですが、逆にフランチャイズチェーン協会の実施した調査によりますと、消費者の七六・一%が、周りに明かりのないところで、二十四時間営業のコンビニに駆け込んだりして防犯に役立っていて安心だと思うという回答もしておる次第で、両面いろいろな考え方がございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、きちっと対応してまいりたいと考えております。

篠原委員 両面あるというのは非常によくわかります。そのとおりだと思いますけれども、今まで余り環境という配慮がこういったときになされてきていないはずなんです。ですから、常に環境に優しいということを考えていく。

 例えば、ほかの法律案が、今国会にかかっているのでは金融商品取引法があります。あの関係で、消費者保護ということで次から次に法律ができるわけです。ゴルフ場なんかについても、会員権の契約なんかでごちゃごちゃありますから同じようにできる。それと同じように、環境に優しいということを考えて、立法化するときにそれを一言入れていただいてやっていけばうまくいくんじゃないかと私は思っております。ですから、それをちゃんとやっていただきたいということ。

 次に、国土交通省でございますけれども、先ほど竹下政務官からエネルギーの地産地消ということが出てまいりました。これは手前みそになりますけれども、食べ物について、私が地産地消それから旬産旬消というのを何度も言っていますのでほとんど覚えていただいていると思いますけれども、そこでできたものをそこで食べる、そのときできたものをそのとき食べる、これが一番環境に優しいし健康にもいいんだ、日本農業の振興にもなるんだ、こういう観点を住宅についてもぜひやっていただきたいということなんです。

 どういうことかというと、まず国が率先して、霞が関でみんな木造住宅は無理ですけれども、地方の田舎の支分部局の建物は地元の材を使う、これはいろいろな意味で有効なわけです。一つは、三・九%を担ってもらう森林を助けることになる、CO2の吸収の。それから、材木をカナダから運んできたりすれば、そのときCO2をいっぱい出すわけですよ。それを地元の材木を使えば、輸送に伴うCO2の排出量がずっと少なくなるわけです。

 ですから、地方支分部局の建設には必ず、少々お金がかかってもいい、地元の材を使う。ほかの省庁にも別に聞かなくちゃいけない。では、まずは国土交通省にこの点についてお答えいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 木材につきましては、サステーナブルな資源ということでありますし、建築的には温かみのある素材という特徴を持っておりますので、私どもの国土交通省官庁営繕部におきましては、国の地方支分部局等の官庁施設の整備に当たりまして、この特徴が生かされる箇所にその使用を推進しております。

 その際、特に木材の産地に近い地域等におきましては、地域の特性を生かした施設ということもございますので、地元産材の積極的活用に努めておりまして、最近の例ですと、例えば高知の須崎の合同庁舎において高知県産の杉を、池田町の労働基準監督署においては徳島県産の杉、これも間伐材でございますけれども、そういうものを使用しているという状況でございます。

 今後とも、木材の特徴を生かしまして、地元産材を初めとする木材の使用の推進を図ってまいりたいというふうに考えてございます。以上でございます。

篠原委員 そういう点では、総務省の役割も大事だと思います。総務省は、今の環境に優しい行政というのもありますけれども、最近、都市と農村の格差ということも言われています。地方の活性化をしなければいけない。

 田舎の市町村、まあ町村はだんだんなくなっています。しかし、町や村なんというのは、ほとんど林野率が平均八割か九割を超えているはずなんです。その木がほったらかしになっている。外国では誤解されているんですよ。高いから使わないだけなのに、日本はずるい、自分のところに緑を温存して、ほかの国の緑をはげ山にしているけしからぬ国だと言われているわけです。それだけ戦略を持ってやっているんだったらいいんですけれども、全然そうじゃないですからね。

 そういうことを考えたら、近くにあるものを使わないというのは、ほかの国の人たちからすれば信じられないわけです。だけれども、地方もちゃんとしていませんから、やはり国がそういうところはリードしなくちゃいけないので、都道府県にも地元の材、県産材を使うんだと、それから、一般の人たちが地元の材を使ってうちを建てたり、まきストーブを使ったりしているというようなことをしていた場合は税制上の優遇措置を与えるとかいうことで奨励していただくと、環境にも優しいですし、地方の振興にもなりますし、いろいろな面で一石二鳥だと思うんですが、桜井総務大臣政務官、いかがでしょうか。

桜井大臣政務官 今の御質問について、やはり環境から考えると、国産の材料をどう使っていくのか、大変重要なことだというふうに思っております。特に、人に優しい、そういうような資材でございますので、その利用を推進することは、地域経済の発展と森林の整備、地球環境の保全のために重要であると考えておるところであります。

 総務省といたしましては、平成八年度から、関係省庁と連携しながら、地方公共団体に対し、地域材の利用促進を働きかけてきているところであります。この結果、過疎や辺地市町村における地方債充当事業においては、十七年度は施設数で八割に近い施設が木造となっているところであり、今後も御指摘の庁舎を含めた公共施設等において地域材の利用を進めていくよう働きかけていく所存であります。

篠原委員 それから、次は国土交通省でございます。

 これも似たような問題なんですが、過疎問題と環境問題といろいろかかわっているのに、地方における公共交通機関の撤退というのがあります。これはもう典型的な悪循環だと思いますよ。竹下政務官の地元もそうだと思いますけれども、車はもう一人一台になっているんですね。日本に車は八千万台もあるわけです。これではトヨタや日産やホンダがもうかるわけですよ。こんな狭い国に一体これだけ車が必要か。これはみんなやすきに流れて、ほったらかしになっているからじゃないかと私は思うんです。

 ですから、環境に優しい社会をつくるためにも、田舎で車が、さっき一人一台と言いましたけれども、もう車を運転できなくなったお年寄りだけ、高齢者だけになると車もなくなる。近くに病院はない。病院に行けないという状態になっているわけです、公共交通機関がなくなって。これはやはりよくないので、厚生労働省の関係からしてもよくないし、だから、地方の人たちはいろいろ考えています。私の長野県も同じですけれども、年寄りのじいちゃん、ばあちゃんたちが結託して、病院に行く時間は決まっているわけです。電話をかけ合って、そしてマイクロバス、旅館のあいているバスを頼んで、病院に行って帰ってきてもらう。これがタクシー業法の違反だとかなんとかでまたごちゃごちゃ言うのがいたりしてよくないんですが、こういったことまでして自衛策を講じているわけです。

 しかし、もう一つ考えて、公共交通機関を使うようにしましょうと。車は一台というのは、それは便利だけれども、便利さをちょっと抑えて、公共交通機関を復活しましょうというモデル事業をやってみて、うまくいくようなことがあるんじゃないかと思いますけれども、せっかく国土交通省というので道路局と、道路局は建設省にあった、鉄道局は運輸省にあった、それが国土交通省として一体になったわけですから、一体的な交通体系というのを本当に考えていただきたいんですが、その点、いかがでしょうか。

平山政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、高齢化社会、過疎化、人口減少時代、こういう中で、やはり地方の足である公共交通をどう維持して、あるいはどう活性化していくか、非常に大きな課題だということは私たちは十分認識をしております。今先生おっしゃいましたように、なかなかそれがうまくいっていないというのも事実でございまして、そこで、やはり一番大事なのは、不便な公共交通を利用してくださいと申し上げてもなかなか転換していただけない、一つは、やはり供給側である公共交通をいかに使いやすいものにするかということが大事だと思っております。

 そういう意味で、先生の地元でも、十七年度に、長野鉄道とか信濃鉄道、JR、あるいは自動車関係みんな集めまして、いわゆる公共交通活性化プログラムという形でいろいろな実験を今行っております。その成果はまだちょっと結果が出ていないんですが、そういう連携を高めること、利便性を高めることによって、やはり利用しやすい公共交通を確保しなきゃいけない。

 一方、なかなかそうはいってもマイカーというのは非常に便利でありまして、利便性だけからいうとついマイカーに流れてしまうというのもあるものですから、今度は利用される方に意識の改革、今先生おっしゃいました、少し我慢していただけないだろうか、そうしないと将来にわたって持続可能性のある交通機関というのが維持できなくなってしまいます、そういうことも訴えていくという考え方から、実はモビリティーマネジメントと呼んでいますが、いろいろな方にアンケートを、地域の利用している方に一々アンケートをとって、どういう条件だったら使っていただけますか、それを受けて、逆にこういう条件で今度設定します、それでいかがですか、こういうことを繰り返すことによって意識の改革をお願いする。そうすると、確かにふえる地区もあるんです。そういう実験もやっております。

 こういう先進的なものも含めて、供給側あるいは利用者側、両方から真ん中に持っていく。これでやはりこれからの時代、持続的にやはり公共交通を維持していくことを皆さんで頑張っていきたいと思っていますし、国も積極的に支援していきたいというふうに考えております。

篠原委員 今、アンケート調査というのはそのとおりです。やりようによっては幾らでもできるんです。私なんかの身近な困ったことで言いますと、街宣をちゃんとしろとか言う先輩たちがいるんですけれども、長野で街宣しても人が集まっているところはないわけです、みんな車で。もう長野電鉄なんか寂れ切っていますね。

 それも一つの例として聞いていただきたいんですけれども、環境に優しい生き方をするには、もう今まで電車に乗って、バスに乗ってきていたんですから、それでそんなに不便はないはずなんです。それをやすきに流れているからなんです。それをちゃんとやっていただきたいということが一つ。

 それから、やはり地球温暖化対策、循環社会というのを考えたら、やはりエネルギーなんですね。CO2の発生源の九割が化石燃料ということなんですよ。そういう点で、やはり経済産業省の役割は非常に大事なんです。

 先ほど、私、済みません、外務委員会の委員でもありまして、片山政務官が答弁されているとき、テレビで見ていまして、最終だけ駆けつけたんですが、ブラジルとの関係で津村啓介同僚委員が質問していました。ブラジルからエタノールを輸入してというので、三井物産と向こうの国策会社のペトロブラスですか、それとの連携とかいうのがありました。しかし、私が見るに、再生エネルギーについての取り組み、日本はもっとまじめに取り組んでもいいと思うんです。余りやっていないような気がするんですが、その点、いかがでしょうか。

 そして、小水力発電、ローカルクリーンエネルギーというのが絶対日本は有利なので、それを経済産業省も真剣になって取り組んでいただきたいんですが、どうなっておりますでしょうか。

片山大臣政務官 再生可能エネルギーの導入というのは、当然、地球温暖化対策として非常に有効であるということは私どもも認識しておりまして、太陽光発電、風力発電、バイオマスエネルギーとさまざまございまして、各国において、それぞれの実情に応じて導入を進めておるわけで、森林資源が非常に豊富な北欧においては木の由来のバイオマス発電等が多いということを聞いておりますし、トウモロコシの生産量が多いアメリカ、サトウキビの生産量が多いブラジルにおきましては、先ほど外務委員会でも御同僚の委員から御質問がありましたように、バイオエタノール燃料の導入が進んでおりますし、我が国の場合は太陽光発電の技術開発が進んだということもございまして、太陽光発電につきましては導入量は世界一となっております。

 海外でいろいろ行われていることの統計でございますが、実は、再生可能エネルギーという形で統計をとっておりまして、日本の場合は、新エネ、省エネ、代エネでそういう形をつくっているんですが、再生可能ということだと水力が入りまして、これを入れますと、二〇〇二年では、アメリカが五・九%、イギリスが一・二%、ドイツが三・七%に対して、日本は五・〇%でございます。

 また、二〇一〇年においての導入の目標におきましては、アメリカは六・四まで上げる、イギリスは一・二を五・四まで上げるのでかなりきついと思いますが、ドイツは四・二まで上げる、我が国は今のものを七まで上げるということで、かなり頑張ろうという目標は設定しております。

 何を用いるかというのは、政策の目標は社会情勢の違いですとかエネルギー事情の違いがありますので、各国一律である必要はないとも思いますが、我が国の目標の数値は、再生可能エネルギー全部ということでとりますと、必ずしも欧米に遜色ないのではないかと思っております。

 いずれにいたしましても、御指摘も十分に踏まえつつ、再生可能エネルギーの導入に向けては全力で取り組んでまいりたいと考えております。

篠原委員 今の答弁を聞いてよくわかるんですが、水力発電が相当重きを占めているんですね。

 そういう点からすると、私が感銘を受けた本、いっぱいあるんですけれども、この件でいうと、「ソフト・エネルギー・パス」、エモリー・ロビンスが書いた本が一九八〇年代の前半にありました。日本のソフト・エネルギー・パスというので槌屋治紀さんとかがああいうのを書かれて、室田泰弘、室田武といった人たちが似たような本を一九八〇年代の前半から後半にかけていっぱい書いています。

 雨が降る、坂があると位置のエネルギーがある、小水力発電は絶対重要だ。それは、農林水産省の土地改良事業でこれは本当に一生懸命取り組んでいただかなくちゃならないことなんですけれども、農林水産省はそういう姿勢を持っておられるのでしょうか。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 再生可能なエネルギーである小水力発電につきましては、農業用水路等の利活用の観点からも意義があるものと考えております。

 具体的には、かんがい排水事業等により、農業用水利施設の整備と一体的に、土地改良施設に電力を供給する発電施設、それから、農村振興総合整備事業により、地域の農業生産基盤の整備等総合的に整備するものとして、農業用の施設や市町村における公共施設に電力を供給する発電施設を整備する場合に助成を行ってきているところでございます。これらの事業によりまして、総発電出力二万二千キロワット相当の発電施設が整備されているところであります。

 今後とも、事業の普及啓発を図り、小水力発電の一層の推進に努めてまいりたい、このように考えております。

篠原委員 最後に一言だけ。

 小池環境大臣の要請に基づきまして、各省に地球温暖化防止対策に全面協力するようにきょうは質問させていただきました。

 この精神ですけれども、スリーRというのがよく言われていますけれども、もう一つ大事なことをぜひ考えていただきたいと思います。

 ドラスチックに変えるというので、新聞記事、小さなものをごらんになりましたでしょうか。ディズニーが、中でマクドナルドを売らない、子供たちが太り過ぎると。この辺にも、そういう悩みを持っている人もおられるだろうと思いますけれども。やはりよくないことは拒否する。スリーRと言っていますけれども、四つ目、五つ目のR、リフューズ、リジェクトというのをぜひやっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 二十分ほどお時間をいただきましたので、きょうは、水俣病対策について、一点だけ絞って御質問をしたいと思います。

 午前中、民主党の近藤委員の方から、いろいろな側面について水俣病に関する御質問がありました。質問された意図と全く同じ思いであります。近藤委員の思いに至るような答弁が環境省の方からなかなかありませんでした。与党だからというわけではありませんが、もう少し積極的な答弁をいただければなというふうに思います。

 民主党の皆さんも本当にこの問題は熱心に取り組まれて、先ほど近藤委員の方からお話がありましたが、現在落選中ですけれども松野前議員が法案をまとめられたというのも、私ども勉強させていただきました。自民党の皆さんと一緒になって、できるだけの対策をしていきたいということでその法案も勉強しましたし、また、公明党の水俣病問題小委員会の方でも、自民党の同じような小委員会といろいろお話をさせていただいて、何とか五十年をめどにもう一歩踏み込んだ対策ができないのかということでやってまいりましたが、これまでの経緯もいろいろありますので、一緒にまとまった対策ということをなかなか打ち出せませんでした。

 四月二十八日になりますが、参議院議員の木庭健太郎さんを委員長とします公明党の水俣病問題小委員会の方で、小池大臣に申し入れをさせていただきました。ちょっと長くなりますが、「今後の水俣病対策の在り方について」ということで、公明党としてはこういうふうに考えているというところを御紹介させていただきたいと思います。

  水俣病問題においては、公健法および平成七年の政治解決等に基づき、対策が講じられてきたところであるが、平成十六年十月の関西訴訟最高裁判決は、規制権限の不行使により水俣病の被害の拡大を防止できなかった国及び熊本県の不作為責任を認定した。

  政府は、平成十七年四月、この最高裁判決を受け、新保健手帳の支給再開を含む総合対策医療事業の拡充や今後の取組をまとめた「今後の水俣病対策について」を発表し、実施してきたところである。しかしながら、最高裁判決を機に、公健法への新たな認定申請者が急増し、最高裁判決後の認定申請者は三千七百人以上にも達し、また認定審査会については、依然再開ができない状態が続いている。昨年十月には国・県・チッソに損害賠償を求める新たな訴訟も起こっている。このような閉塞した状況が続けば、被害者救済が遅れ、地域が再び混乱するという危機的な状況に陥ることが懸念される。

  水俣病の深刻さは、半世紀たっても病気を完治する手段がなく、被害者の病気との闘いが続いていることと、偏見や差別の中で今も埋もれた被害者が数多くいることである。最高裁判決を受けて今、政治や行政がなすべきことはすべての被害者の救済であり、必要なときに必要な医療を受けられる保障と、被害に応じた生活保障の確立である。

このように公明党は考えまして、何点か大臣の方に申し入れをさせていただきました。

 きょうは、その中で特に三点ほど、今後どう取り組まれるのかをお伺いしたいんです。

 まず、「保健手帳の拡充」をすべきじゃないか。

 「公健法および平成七年政治解決を前提とした上で、昨年十月に再開した新保健手帳を拡充し、療養手当を加える。平成七年政治解決の意義を踏まえ、一時金はないが、現在の医療手帳の水準と同等となることから、名称を「医療手帳」として一本化する。従来の保健手帳所持者についても同様に拡充」したらどうかというのを一点目として出させていただきました。

 二点目として、「離島在住の水俣病被害者への「離島手当」の新設」、これを考えてもらいたい。

 三点目として、「介護保険制度および医療保健制度の調整に伴う新たな食費・居住費の自己負担等に対する支援」が必要ではないかというふうに要望させていただきました。

 この三点目ですが、現在の七千五百円を上限とした、はり、きゅう、温泉療養のメニューに加えて、マッサージ、介護保険の食事・居住費の自己負担支援等を追加する、将来の医療ニーズや各種の制度調整等に柔軟に対応できるものとし、上限の七千五百円を倍額程度に引き上げ、その範囲内でどのメニューを選んでもよい制度にしたらどうだろうかという提案をさせていただきました。

 連休前の提案でしたが、連休を経て、またこういうふうに委員会が始まりました。小池大臣として、このような我が党の要望をどのように受けとめて、今後どのように取り組んでいかれるのか、御決意をお聞かせ願えればと思います。

    〔委員長退席、松浪(健太)委員長代理着席〕

小池国務大臣 公明党の方からは、五月一日の公式確認五十年の式典の直前、四月二十八日に御提言を直接受け取らせていただきました。

 今後の水俣病の対策のあり方ということでございますが、これまでも水俣病問題小委員会におかれまして熱心に御議論を重ねてまとめてこられたものと思います。また、現在ニューヨークの方に行っております江田副大臣、熊本ということからも長年取り組んでこられた。そういったいろいろな情報などをベースにおまとめになったもの、このように認識をしているところでございます。

 この御提言の内容については、しっかりと環境省として受けとめまして、また、それぞれの御要望の趣旨を十分吟味しながら多角的に検討してまいりたいというのがまず一点でございます。

 それから、個々の御要望の点でございますけれども、まず保健手帳の拡充ということですが、地元からも同趣旨の御要望を受けているところなんですが、この保健手帳は、昨年の十月の申請受け付けをいたしましてから現時点で既に二千人を超える方々に交付されている状況がございます。そしてまた、これまでの救済策に加えて、いろいろと使い勝手がよくなるようにということを工夫させていただいて、現在この二千人の方々に交付してお使いいただくということをしているところでございまして、今さまざまな体調などの問題を抱えておられる方々にとっても、この保健手帳、今ある保健手帳の普及をまずは最優先に対応してまいりたいということを進めてまいりたいと考えております。

 それから、二番目の離島の手当に関する御要望でございます。

 私も離島である御所浦には参りましたし、ことしは江田副大臣みずからも訪問をさせていただいたところでございます。こういったみずからの経験も生かしながら、これも今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。

 それから、三番目の介護保険制度と医療保険制度の調整に伴っての新たな食費、居住費の自己負担に対しての支援でございますけれども、御承知のように、今、医療制度改革を進めるということで、いろいろな動きがあるわけでございます。そういったところとの調整であるとか、きっちりと全体像を見ながら、そしてまた、水俣病という大変特殊な事情を抱えておられる地域の問題にも配慮した形で、検討課題として認識をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

    〔松浪(健太)委員長代理退席、委員長着席〕

富田委員 現在の保健手帳の普及というのも最優先だと思いますが、公明党からの要望もぜひもう一歩踏み込んで検討していただきたいと思いますし、離島手当については、大臣も去年行かれたということで、地元からの要望も強かったと思うんですね。

 ことし、今いませんけれども、江田副大臣、離島に行かれて具体的に要望を伺ってきたという話を聞きました。一カ月に一回市内の病院に行くのに、やはり水上タクシー、海上タクシーを使わなきゃならない。片道八千円かかる。市内に行けばタクシーで移動しなきゃならない。一回病院に行くのにどうしても二万円かかる。この二万円が捻出できないから、結局痛くても病院にも行かない。こういう方々が大勢いらっしゃる。

 今回、五十年ということで、いろいろなマスコミが取り上げていました。そういう中で、去年新たにまた水俣病の申請をされたという方、小さいころから症状が出ていて学校にも行かなかった、そういう重症患者の方が改めて発見される。この方も離島に住んでいます。離島にいるということで、なかなか表に出なかった。こういう方たちの思いを考えると、せめて治療に行く交通費ぐらいは何とかならないのかなというのが地元の思いだと思いますので、ぜひ真剣に検討していただきたいというふうに思います。

 次に、先ほども近藤委員の方からちょっと質問が出ておりましたが、大臣の方で、水俣病問題に係る懇談会を昨年からやっていただいています。包括的な検証を行って、これからの取り組みについて助言を得るんだというふうなことでしたが、毎回の会議がネットに出てきます。

 見せてもらいましたが、最初のこの会合の、懇談会の趣旨として、こんなふうに書いてありました。

 本問題に対するこれまでの行政のあり方やその責任を含め、水俣病問題が持つ社会的、歴史的意味について総括する必要がある、このことは、いまだ現在進行形の問題である水俣病問題への対応にとって重要であることはもとより、行政としての過去の反省を含めた水俣病の経験と教訓を後世に引き継ぎ、国内そして世界に発信していく上で大きな意義があるということでこの懇談会を開かれて、今もう十一回行われたというふうに承知しています。

 どうも、新聞報道等を見ますと、もともと大臣が、きちんと検証してもらって、今後どういう取り組みをすればいいんだということでお願いしていたこの審議会が、認定基準がおかしいんじゃないかというようなところに議論が集中したり、今までの環境省の取り組みについてちょっと疑念があるというような形で、かなり懇談会自体の中の議論が錯綜しているんじゃないか。

 新聞報道等でもそういったことがかなり出てきているということを考えると、これは多分五月一日までにそれなりの提言をしていただいて、それをもって大臣としては今後の取り組みをしたかったと思うんですが、もともとどういう目的でこの懇談会を開かれて、どんな審議状況になっていて、いつまでに提言なりを取りまとめるというふうな状況になっているんでしょうか。そのあたりをちょっと教えてもらえればと思います。

滝澤政府参考人 懇談会の設置の趣旨については、今委員から御披露があったとおりでございまして、当初、そのような形で公表もさせていただいております。

 これまでの行政の取り組みのあり方や、あるいはその責任も含め、水俣病問題が持つ社会的、歴史的意味について総括するということ、それから、そうした教訓を後世に引き継ぎ、国内そして世界に発信していく上でこういった議論が大きな意義があるということで、大臣の私的懇談会として設置されたわけでございます。

 その後、四月二十一日まで十一回開催してきておりまして、主として、水俣病の発生拡大と責任の問題、それから被害救済と地域再生の問題、こうした点に重点を置いて審議が進められているところでございます。

 目下、これまでの議論における論点のまとめを進めつつあるところでございまして、当面の予定といたしましては、今後、今月五月、六月とそれぞれ月一回開催することが予定されております。それから、懇談会の取りまとめ方法等についてどのようにしたらいいかという、座長提案も含めて議論があわせて進められている状況にあるところでございます。

富田委員 実は、新聞報道の中に、これは日本経済新聞だったと思うんですが、こんなふうな記事がありました。

 現実にダブルスタンダードが生じている、その状況を何とかするのが行政の責任、それは間違いない、四月二十一日、環境省であった水俣病問題に係る懇談会、委員の亀山元最高裁判事は諭すように同省を批判したというふうな記事がありました。

 ネットでこれが載っているのかなと思って見たんですが、残念ながら、この亀山委員の発言は私はちょっと見ることができませんでした。見方が悪かったのかもしれませんけれども。

 こういった懇談会の中で、環境省にとってもしかしたら都合が悪いのかもしれないけれども、こういう真摯な意見というのをきちんと残すようにして、何が本当に問題だったのか、環境省としてはこれはダブルスタンダードじゃないとずっと答弁されていますから、それはそれとして理解しますけれども、委員の方たちがこういった認識で議論している以上、そこはやはりもっとオープンにしていいんじゃないかなというふうに思うんですが、そこはどうですか。

滝澤政府参考人 この懇談会は、まさに公開審議をしておりますし、それから、その次の回になりますが、委員の了解を得て議事録についてはホームページにということになっているはずでございまして、今の亀山委員の発言が特段表に出ないような形になっているというふうにはとても私は思えません。実際に、毎回五十人程度の方が傍聴に来ていらっしゃいますし、それから、事実、そういう議論、御指摘が複数の委員からもございました。

 そういうことで、ただ、その都度、座長の指示もございまして、ここ一、二回でございますが、いろいろな議論の範囲について、環境省としての基本的なスタンスも教えてくれというようなこともありまして、事務次官から説明申し上げたり、あるいは副大臣から御発言したり、あるいは大臣からも再度趣旨について説明したりという機会も与えていただいておりまして、特に認定基準について、それそのものを見直す場ではないんだということは、懇談会の先生方にも御理解はいただきつつあると思っております。

富田委員 この亀山委員の発言は、少なくとも私が見た範囲ではネットでは載っていなかったのです。公開されているというのはわかっていますので、ただ、問題になるようなところは後から見てもわかるような形で残してもらいたいし、委員の発言も委員に配られるというような形に書いてあったんですが、そのあたりも後でまた教えていただければというふうに思います。

 もう時間もありませんので、最後にもう一点確認しておきたいんですが、平成十七年四月七日付の「今後の水俣病対策について」ということで、環境省の方としては最高裁判決を受けてかなり具体的な対策に取り組んでいます。

 その中で、「水俣病問題に関する今後の取組」というところに、1として、「高齢化対応のための保健福祉施策の充実」として、「水俣病被害者やその家族の高齢化に対応するため、介護予防の観点も含めた健康管理事業の充実といった施策の実施等。」と書いてありました。2として、「水俣病被害者に対する社会活動支援等」と表題を打たれて、「胎児性患者や水俣病被害者の生活改善・社会活動の促進を図るため、それらに関連する活動や事業に対する支援、それらを行うボランティア団体等への支援、国立水俣病研究センターによる胎児性水俣病に関する社会的研究といった施策の実施等。」というふうに記載されておりまして、予算もついているというふうに伺っています。

 懇談会のメンバーである加藤委員の方が、マスコミの取材に応じて言われたんだと思うんですが、四十歳代くらいから胎児性患者の身体機能の低下が目立ってきた、家族もほとんどが患者で高齢化しており、支援対策の充実は急務だと言われたというふうに報道がされていまして、五十歳になる胎児性水俣病患者の方が、環境省を訪ねて、対応した担当者の方に、一言一言を絞り出すようにして、グループホームがほしい、お母さんが生きているうちにというふうに訴えたという記事がありました。

 本当に、胎児性の患者の方がもう五十になり、当然そのお母さんはもっと上ですから、御自分が亡くなっていった後、子供たちがどうなるんだという思いが物すごい段階に来ていると思うんですね。

 そういう意味で、環境省の方で取り組まれているこの高齢者対策、また胎児性の被害者に対する対策というのがこれから本当に大事になると思うんですが、具体的にどういったところを重点的にやられようとしているのか、最後に教えていただきたいと思います。

小池国務大臣 済みません、ちょっとさっきの懇談会のことで一言。

 私が始めた会ですので、責任を持ってお答えしておいた方がいいかなと思って、ちょっとお時間いただきたいんです。

 水俣病の問題に関しての懇談会、お願いしたのは、どちらかというと水俣病にどっぷりつかってきた方、そういう方もいらっしゃいますけれども、また新しいメンバーにも入っていただいたというのは、病像論とか基準の問題とか、いつもそこにくるんですけれども、社会的にどうであったのかということをきちんと検証しておく必要が今あるのではないか、そのように考えたからなんですね。

 例えば、マスコミにしましても、熊本の地方局からこの水俣病の問題が上がってきても、全国紙で経済面でそれを扱うとなったら落とされちゃったというんですね。そんなことをやっていたら経済は進まないといってネグられてしまうとか、マスコミが水俣病の扱いをちゃんと全国的な規模でやってこなかったとか、そういったいろいろな問題点があるわけですね。

 ですから、水俣病の病像論そして基準の議論、ここにいつも集約されてはしまうんですけれども、それよりも、社会的なそういったことを生み出してきた、ただ単に高度経済成長という背景の中でとその一言に終わらせるのではなくて、何があって、何を優先して、どうして、何が問題だったのかということを、例えば柳田さんなども、本当にそういう道のプロでいらっしゃいますし、実際に、自分がそういった環境の問題、公害の問題について記事を書いても、それを上のデスクにネグられたとか、そういったことの方をきっちりと検証していくということが私は極めて重要なのではないかということでお願いをした懇談会であるということを明らかにしておきたいと思っております。

滝澤政府参考人 高齢者に対する福祉保健対策、さらには胎児性水俣病への御支援のお話がございました。

 十八年度からそれぞれ予算もいただいておりまして、特に一、二申し上げますと、高齢化対応につきましては、介護予防や症状の悪化防止手法の検討でありますとか、そういったことも含めて、各福祉団体、地方自治体を通じていろいろと具体的にお願いをしていきたいと思っております。予算額としては四千三百万円程度でありますけれども、今年度から執行してまいりたいと考えております。

 それから、胎児性水俣病に関する支援でございますが、これは九千九百万ほど十八年度予算はいただいておりますが、先ほどお話しになりましたグループホームの整備、運営でありますとか、あるいは胎児性の方々が社会活動するためのさまざまな支援体制でありますとか、そういったことについて、地元で既に活躍されているほっとはうす等の施設がございますけれども、そのほかの施設も含めて、確実にこの予算が執行できるように、注意深く我々としても地元と協議してまいりたいと考えております。

富田委員 今の小池大臣の思いが懇談会の皆様に理解されて、すばらしい提言が出ることを期待しております。

 これで終わります。

     ――――◇―――――

木村委員長 次に、内閣提出、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小池環境大臣。

    ―――――――――――――

 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小池国務大臣 ただいま議題となりました容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現行法が施行されてから十年が経過し、ペットボトルの回収率が大きく伸びるなど、容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化は着実に進展し、一般廃棄物のリサイクル率の上昇に資すると同時に、一般廃棄物の最終処分量の減少及び最終処分場の残余年数の改善に資するなど、循環型社会の形成に寄与してまいりました。

 こうした成果を踏まえ、今後、国、地方公共団体、事業者、消費者等すべての関係者の協働のもと、容器包装廃棄物のリデュース、リユース、リサイクルのいわゆるスリーRを効果的に推進し、かつ、分別基準適合物の再商品化の合理化を図るため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、容器包装廃棄物の排出抑制を促進するため、目的及び基本方針等に排出抑制の促進に係る規定を追加することとし、また、レジ袋対策等における消費者の意識向上と事業者による取り組みとの連携の促進を図るため、環境大臣が容器包装廃棄物排出抑制推進員を委嘱することとしています。さらに、容器包装廃棄物の排出抑制に向けた社会全般の活動の基盤づくりのため、環境大臣が容器包装廃棄物の排出抑制に資する情報の提供や排出量等の調査を行うこととしています。

 あわせて、小売業者等容器包装を用いる事業者について、レジ袋対策等を内容とする事業者の判断の基準となるべき事項を主務大臣が定めることとするほか、容器包装を多量に用いる事業者に対し、取り組み状況の報告を義務づけ、取り組みが著しく不十分な場合は勧告、公表、命令等を行う措置を導入することとしています。

 第二に、市町村による容器包装廃棄物の分別収集の質を高め、再商品化の合理化を促進するため、再商品化の合理化が図られた場合、これに寄与した市町村に対して特定事業者が金銭を支払う仕組みを創設することとしています。

 第三に、再商品化の義務が課せられているにもかかわらず、その義務を履行しない特定事業者に対する抑止効果を高めるため、罰則の強化を行います。

 このほか、基本方針に定める事項に分別収集された容器包装廃棄物の再商品化のための円滑な引き渡しその他の適正な処理に関する事項を加えるなど所要の規定の整備を図ることとしています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

木村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十六日火曜日午前十時十分理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十一分散会


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