衆議院

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第13号 平成18年5月19日(金曜日)

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平成十八年五月十九日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      井澤 京子君    井脇ノブ子君

      宇野  治君    大塚  拓君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君    竹下  亘君

      とかしきなおみ君    並木 正芳君

      馬渡 龍治君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    高井 美穂君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    野田 聖子君

    …………………………………

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   参考人

   (社団法人全国都市清掃会議専務理事)       石井 和男君

   参考人

   (容器包装リサイクル法の改正を求める全国ネットワーク事務局)       山本 義美君

   参考人

   (ジャーナリスト)

   (環境カウンセラー)   崎田 裕子君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  根本  匠君     井澤 京子君

同日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     大塚  拓君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     根本  匠君

    ―――――――――――――

五月十七日

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の改正においてとらばさみ・くくりわなの全面禁止を求めることに関する請願(寺田学君紹介)(第二〇二四号)

 同(西村智奈美君紹介)(第二〇二五号)

 同(鳩山邦夫君紹介)(第二〇二六号)

 同(村井宗明君紹介)(第二〇二七号)

 同(泉健太君紹介)(第二〇六四号)

 同(篠原孝君紹介)(第二〇六五号)

 同(吉田泉君紹介)(第二〇六六号)

 同(金田誠一君紹介)(第二一三〇号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第二一三一号)

 同(長浜博行君紹介)(第二一三二号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第二一八八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、社団法人全国都市清掃会議専務理事石井和男君、容器包装リサイクル法の改正を求める全国ネットワーク事務局山本義美君、ジャーナリスト・環境カウンセラー崎田裕子さん、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず石井参考人にお願いいたします。

石井参考人 おはようございます。石井でございます。

 私は、一般廃棄物の処理に携わる市区町村の全国組織でございます全国都市清掃会議の専務理事を務めておりまして、容器包装リサイクル制度の推進の一翼を担う立場から、私どもから見た今回の制度見直しをめぐる経緯と、本改正案に対する私どもの考え方につきまして述べさせていただきたいと思っております。

 委員の皆様方も御案内のとおり、容器包装リサイクル法制定前夜の平成五、六年ごろといいますのは、経済発展に伴う生産、消費の拡大でございますとか、生活様式の多様化、それから消費意識の変化等に伴い、廃棄物の排出量が増加するとともに、その種類も多様化が進み、また、最終処分場を初めとする廃棄物処理施設の確保が困難となり、不法投棄等の不適正な処理が大きな社会問題となるなど、廃棄物の処理を取り巻く状況には極めて深刻なものがございました。

 このような中で、市町村においてはかねては有価物として集団回収等が行われておりました資源ごみが、幾つかの品目の取引で逆有償化が生じ、市町村がコストを負担しなければ引き取りあるいは再生利用に結びつかないどころか、瓶に見られますように、お金を払っても再生資源市場において買い取られるということもなく、最終処分場へ逆戻りし、埋立処分されてしまうといった事態が生じまして、リサイクルの進展を図る上で大きな障害となっておりました。

 このため、市町村の中から、容器包装廃棄物の回収、リサイクルのシステム構築が必要であるとの声が高まりまして、こうした状況に対応するため、平成七年に容器包装リサイクル法が制定されたのでございます。

 容器包装リサイクル法では、それまで市町村に偏っていた廃棄物の処理責任や費用負担のあり方を転換し、容器包装の利用事業者や容器の製造等事業者、消費者等に一定の役割を担わせることといたしまして、具体的には、家庭から排出される容器包装廃棄物を分別収集して、異物を取り除くなど一定の基準に適合する状態とするよう選別し、事業者に引き渡すために保管するまでを市町村が実施することといたしまして、これらの基準に適合したものを事業者が引き取り、再商品化を行うという役割分担をされました。

 このようにして容器包装リサイクル法は、市町村、消費者、事業者がリサイクルの役割を共有する新しい社会システムを構築するためのいわゆる嚆矢になるものとして平成七年十二月に施行され、平成九年四月からペットボトル及びガラス製容器を対象といたしまして、平成十二年四月からはプラスチック製容器包装及び紙製容器包装に対象を拡大し、分別収集と再商品化を実施されてまいりました。

 そして、現行法の施行から十年が経過いたしまして、この間、リデュース、リユース、リサイクルの優先順位を示す循環型社会形成推進基本法が平成十二年に制定されますとともに、容器包装廃棄物の分別収集は着実な進展を見せてまいりました。

 この間、例えば市町村によるペットボトルの回収率を見てみますと、ペットボトルの分別収集が開始されました平成九年度には九・八%だったものが、平成十六年度には四六・四%にも伸びてきております。また、プラスチック製容器包装の分別収集にしてみましても、現行制度制定時にはほとんど実施されていませんでしたが、今や約六割の市町村が分別収集を行うようになってきているなど、循環型社会の構築に向け、市町村は大いなる努力を重ねてまいりました。

 その結果といたしまして、一般廃棄物の最終処分量は年々減少するとともに、最終処分量の残余年数も一定の改善が見られております。

 こういった成果が上がる一方で、課題も指摘されるようになりました。すなわち、容器包装廃棄物の排出量そのものについては十分な減量効果があらわれていない状況でございまして、循環型社会形成推進基本法においてリサイクルより優先されるべきとされておりますリデュース、リユースの取り組みは不十分ではないかということでございます。また、容器包装のリサイクルは進展してきているものの、より効果的、効率的な推進、質的な向上を図る必要性が指摘をされております。

 こうした状況を踏まえまして、国においては、法に定める見直し時期を翌年に控えた平成十六年七月から、環境省の中央環境審議会と経済産業省の産業構造審議会において、それぞれの容器包装リサイクル法の評価検討の審議が開始され、私はいずれの審議会にも委員として参加をし、現行の容器包装リサイクルシステムの中で費用負担の重い分別収集、選別保管を担う市町村の立場から意見を述べてまいりました。

 中央環境審議会、産業構造審議会の両審議会ではさまざまな議論がありましたが、主として次の三点が議論の焦点となりました。

 第一に、現行制度は事業者にとって容器包装の使用量を抑制しようというインセンティブが弱いのではないかと考えられ、例えば、消費者の日常の暮らしに非常に身近な存在であるレジ袋等を対象として容器包装廃棄物についてスリーRを徹底することによりまして、容器包装廃棄物の排出抑制を促進すべきではないかという点でありました。

 第二に、特にプラスチック製容器包装につきましては、財政的な負担がネックとなりまして、分別収集を実施する市町村数がいまだ低水準であるという問題がございます。こうした問題等を背景といたしまして、厳しさを増す地方自治体の財政状況も考慮し、市町村が行う分別収集、選別保管についてまで事業者が役割を拡大すべきではないかという点であります。

 第三に、市町村が住民に対しリサイクルするとして分別収集したプラスチック製容器包装について、異物やマテリアルリサイクルに適さないプラスチックが多く含まれ、場合によっては、約半分が残渣となって産業廃棄物として処分されておりまして、容器包装のリサイクルシステムを住民の協力により発展させていくためには、リサイクルするとして分別収集されたものが資源として確実に利用されることが必要であるという点でございます。

 両審議会では、昨年七月に中間取りまとめが公表され、それぞれパブリックコメントを実施した後、昨年九月から審議が再開されました。再開後の審議会では、各検討課題について議論が深められました。

 排出抑制の促進につきましては、市町村分別収集計画等に基づく取り組みの推進、レジ袋等無料配布される容器包装に対する対策、事業者の自主的な取り組みの促進等が提言されました。また、市町村と事業者の役割分担については、現在膨大なコストをかけて市町村が分別収集を行っていることや、拡大生産者責任の徹底等の観点から見直しを行うべきではないかとの意見や、さらに、これによって容器包装のリサイクルに係るコストが適切に商品価格に内部化されること等により、発生抑制に向けた消費者の行動が促進されるのではないかとの意見がある一方で、経済情勢が厳しさを増している状況下におきまして、各主体が取り組みを深化させることが必要であり、現行制度の枠組みを変える必要はないとの意見が強く主張されたところでございます。

 そのような中で提案されたのが、再商品化の合理化の程度等を勘案して事業者が市町村に資金を拠出する仕組みという新たな制度であり、特にプラスチック製容器包装につきましては、その他の容器包装に比べ再商品化コストが高どまりになっているという問題にもかんがみ、市町村が質の高い分別収集、選別保管を行い、再商品化費用が合理化された場合に、市町村の寄与の度合いを勘案して、事業者が市町村に資金を拠出するという考え方であります。

 この制度により、市町村が分別収集した容器包装廃棄物について質の高い分別収集、選別保管が実施されれば、再商品化の質の向上に資するものと考えております。

 この案につきましては、本年一月に開催されました中央環境審議会と産業構造審議会の合同会議におきまして、最終取りまとめとして了承が得られ、これを忠実に反映する形で今回の改正案が取りまとめられたものと考えております。

 私ども、市町村に対する御意見として、容器包装廃棄物を含めた一般廃棄物の処理事業に係るコストが不透明ではないかとか非効率なのではないかとの御指摘があることは十分に承知しております。私どもも、これを真摯に受けとめまして、一般廃棄物の処理に係るコストの透明化を強力に推し進めますとともに、これらの処理を効率化するためにできる限り努力を行ってまいる所存でございます。

 今回の改正案は、排出抑制の促進など、真の循環型社会を構築する上で必要な方向に沿ったものと考えております。また、真の循環型社会の構築は、一気に、あるいは一度の制度改正で完成するものではないと思います。今回の法案の施行状況を十分に見きわめつつ、関係者として不断の努力を続けてまいる所存でございますので、委員の皆様方におかれましても、不断の議論をお願いいたしまして、私の意見とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

木村委員長 ありがとうございました。

 次に、山本参考人にお願いいたします。

山本参考人 皆さん、おはようございます。容器包装リサイクル法の改正を求める全国ネットワークの事務局をしております山本義美と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は、大変貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。

 容器包装リサイクル法の全国ネットワークには、二百を超える全国の団体、二百を超える市民が参加をしておりますので、全国の市民を代理して、本日はお話をさせていただきたいというふうに思います。

 本日は、お手元に、参考人の意見陳述資料ということで、レジュメの方を用意させていただきました。あわせて、オレンジ色の改正市民案のパンフレットとグリーンの条文・市民案を用意させていただいておりますが、陳述の方はこちらのレジュメの方に沿ってお話をさせていただきたいというふうに思います。

 そもそも、容器包装リサイクル法の全国ネットワークというのは平成十五年に発足をいたしました。これは、ごみ問題の解決を目指す市民が平成十五年十月に集まりまして発足した全国的なネットワークです。

 取り組んできた内容は、容器包装リサイクル法の改正を求めるということで、請願署名の取り組みを進めてまいりました。そのときの請願事項は、資料にありますとおり、税負担でリサイクル収集を進める容器包装リサイクル法を改正して、収集、分別、保管の費用を製品の価格に含めよう、もう一つは、リデュース、リユース、リサイクルの優先順位で推進する、さまざまな手法を盛り込むといったこと、この二点を請願事項として取り組んでまいりました。

 私たちの呼びかけに対して全国からおよそ百万の署名をいただきまして、第百五十九回の国会に超党派で二百十名の紹介議員の方々から提出をいただきました。この場をおかりしまして、改めて御礼を申し上げたいというふうに思います。

 そもそも、容器包装になぜこれだけ私たちがこだわっているのかと申しますと、戦後の高度成長を踏まえて、私たちは、物質的には豊かさを享受しているわけなんですけれども、その過程でいろいろな環境問題を発生させてきたのではないか。水の問題ですとか大気の問題ですとか、いろいろな課題が新たに生まれてきました。このため、私たちは、大量消費のこれまでの社会は持続しないという危機感を強く持っております。

 とりわけ、大量廃棄がもたらしたごみの問題というのは、全国の市民団体が取り組んでいる大きなテーマだというふうに思っています。全国で取り組んでいる市民団体は十万団体ぐらいあるんじゃないかというふうに言われています。

 このごみの問題を象徴するのが、中身を消費してしまえばすぐごみになる容器包装ではないか。いにしえより、縄文式土器ですとか弥生式土器ですとか、どういう容器を使っているのかというのはその国の民族の文化ではないかということで、私たちはこの容器包装というのに注目をしております。この容器包装というのが、消費者のライフスタイルと環境問題を考える接点ではないかというふうに考えております。

 私たちは、この請願署名の成果を踏まえまして、単に請願の項目だけではなくて具体的な改正案に実らせようということで、オレンジ色のこちらのパンフレットの方ですけれども、改正市民案というものを作成いたしました。法律にふなれな市民が知恵を出し合ってまとめた内容ですけれども、単に言いっ放しの内容ではなくて、実現可能性のある、中身のある案になったのではないかというふうに考えております。

 この改正市民案で目指した内容は三点ありまして、ごみになってからの後始末を役割分担するのではなくて、そもそもつくる段階からスリーRが配慮されるような仕組みに変えていただきたい、将来的には、この仕組みを容器だけではなくて製品にも適用をして、長寿命の製品や再使用が優先されるような、そういう社会を取り戻そう、そして、使い終わった容器包装や製品については素材別に、私たちは容器包装に限定していますけれども、今百円均一ショップなどでは、いわゆる百均では、ほとんど使い捨ての、容器包装に近いようなものがたくさん売られています。そういったものは、容器包装と同じようにリサイクルできるような仕組みにしていきたい。リサイクルする場合でも、大きく循環させるのではなくて小さく循環させる、効率的に、環境負荷が少ないように循環させて、最終的に処分しなければならないごみをゼロに近づける、そういう社会を目指したいということで、改正市民案を作成して、提案をさせていただいてきました。

 この容器包装リサイクル法の改正につきましては、私たちの考えた改正の視点というのは三点あります。

 一つは、環境負荷が減るということ。このためには、リサイクル中心ではなくて、発生抑制や再使用を優先する。リサイクルの場合でも、マテリアルリサイクルがいいのかケミカルリサイクルがいいのかということは、単にコストだけの問題ではなくて、環境負荷の少ない手法を優先するような、そういう仕組みを目指したいというのが第一の視点です。

 第二の視点は、負担のあり方が公平で納得できるようにすることということで、税負担でリサイクル収集するのではなくて、その商品を買って利便性を享受した消費者とそれを販売して利益を得た事業者がともに負担するような、受益者が負担するような、そういう仕組みに変えていきたい。

 三点目が、リサイクルのコストについても効率化を図って、費用が安くなるような、環境負荷を下げながら社会的なコストも下げる、そういった仕組みに変えていきたい。具体的な仕組みとしては、容器包装がリサイクルしやすいようなものに変わっていくことですとか自治体単位の収集から広域的な収集、あるいは収集から再商品化の一貫事業が進むような、そういう仕組みに転換を目指してまいりました。

 この点、先日の環境委員会の質疑を傍聴しておりまして、やはり高木議員の方からも、容器包装リサイクル法で成果はあったけれども、社会的なコストがふえたということは課題ではないかという御提言をいただきました。

 これについて私たちは参考2として一貫事業がトータルコストを減らすという提案をさせていただいておりますが、これは昨年の夏にペットボトルのリサイクル事業者にヒアリングした状況です。容リ法の役割分担で分別収集、選別保管、再商品化をいたしますと、分別収集におよそ百五十円、選別保管に五十円、再商品化にキロ二十円、トータルで二百二十円ぐらいのコストがかかる。これが、民間事業者が自治体が集めたものを選別保管から再商品化まで一貫してやったら二十三・五円でできますよというふうに聞いております。この事業者が収集から再商品化まで一貫してやったら百三十円ぐらいでできますよというふうにおっしゃっております。

 ですから、今の分別収集、選別保管、再商品化というふうに役割分担を切ってしまうのではなくて、一貫してリサイクルが、分別収集から再商品化まで効率的にできるような、トータルでの社会的なコストが減るような仕組みを私たちは目指してまいりました。この仕組みがもし実現できましたら、現在、自治体が三千億、事業者が四百億、三千四百億の費用負担が半分の一千七百億円ぐらいまで減る可能性があったのではないかというふうに私たちは考えております。

 見直しが一年半にわたってされた審議会ですけれども、昨年の夏に取りまとめられました中間取りまとめには、私たちが願ってきた事業者による収集費用の一部負担という方向が盛り込まれました。私たちの願いが不十分ながらも、一〇〇%ではないにしても実現するのではないかという期待を全国の市民が持ちました。

 ところが、その後、事業者団体からスリーRについては自主的な行動計画で行うという強い意見が出されまして、最終的には一部負担という考え方はなくなってしまった。これに対して、私たちは、市民の願いがなくなってしまったということを残念に思うだけではなくて、本当にこれでごみが減るのだろうかといったことを心配しております。

 それでも、最終的な答申の中には再使用あるいは発生抑制を優先するということが明記されていましたので、まだ望みがあるのではないかということで改正法案に期待をしたんですけれども、私たちの評価としては、最終答申よりもこの改正法案というのは後退してしまったのではないかということで大変失望をしております。

 なぜなら、発生抑制というのは、単に排出抑制と文字が違うだけではなくて、リサイクル法を踏まえて進化してきた法概念ではないかというふうに思います。

 素人ながらも調べましたら、昭和四十五年の廃棄物処理法で初めて排出の抑制が定められました。それまで、廃棄物というものがなくて、汚物と表現されていたんですけれども、その汚物から廃棄物に変わって、目指すべき概念としては排出の抑制というのが定められました。その後、平成三年の旧リサイクル法によって、発生抑制というのが初めて定められました。その後の個別リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法等では、基本方針は排出の抑制ですけれども、発生抑制については事業者の責務とするというふうに二本立てで書かれるようになりました。そうしますと、今回の個別リサイクル法である容器包装リサイクル法も同じような法構造になるのではないかというふうに期待をしております。

 もう一点は、再使用につきましては循環基本法で最も優先される循環的な利用だというふうに定められていましたので、これについてももっと強い具体的な内容になるのではないかという期待をしておりました。

 改正法案の中ではレジ袋の対策など評価すべき点がありますので、その点はあるんですけれども、本当の問題解決、ごみ問題を解決するためには先送りになってしまった部分があるのではないかということに大変失望をしております。

 これに対して、全国の市民はいろいろな声を国会議員の皆様にお送りさせていただいているんですけれども、改正法案は成立、施行の五年後に見直すというふうになっていますが、そのとき、また現在と同じような議論が国会で行われていることを想像すると暗い気持ちになってしまいますというような柏市の方もいらっしゃいます。柏市は、人口三十万人を超える町ですけれども、資源化率、リサイクル率四〇%を超える、日本でもトップランナーの自治体です。

 あるいは、日野市。自治体収集を有料収集に変えまして、あるいは有料化するだけではなくて戸別収集、一軒一軒集めるというような大転換を図った日野市の方からは、「貴重な天然資源である石油を使い捨て容器に浪費して、熱回収の悪いごみ焼却炉で燃やして、循環型社会を推進できるのでしょうか。」といった意見が寄せられています。

 あるいは、リサイクル貧乏という言葉を生み出した名古屋市、政令指定都市では、トップランナーで取り組まれていますけれども、名古屋市の市民からは、「名古屋市は市民が本当に頑張って全品目を分別しています。私自身、意識的にずっと減量につとめてもこれ以上容器資源ごみを減らすことが出来ずにこの数年同じ量を排出しております。これはいまの法律に限界があるということであり、市民意見が「発生抑制・リユースの促進・負担の公平性」を求めているのは本当に私共の実感でもあります。」といった声を寄せています。

 こういった市民の声を私たちはまとめまして、「全国ネットワークの主張」ということで、この間、御提言をさせていただいているんですけれども、事業者の自主的な行動計画だけではスリーRの効果に疑問がある。この容リ法の改正に当たりまして、ぜひ盛り込んでいただきたいという点が五点あります。

 その一つが、やはり法概念の進化を踏まえた発生抑制、事業者の発生抑制という責務をきちんと定めていただきたい。

 二点目は、最も優先される循環的な利用ということで、再使用を独立したものとして定めていただきたい。

 三点目は、使用の合理化に取り組む事業者、単に利用事業者だけではなくて、製造事業者の頑張れるところもあると思いますので、ぜひ盛り込んでいただきたい。

 さらに、今回の審議の中では事業者の自主的な行動計画という形が大きく打ち出されておりますが、この事業者の取り組みでスリーRの推進効果が弱い場合には、次は、一たんは合意した収集費用の事業者負担ということをはっきりと盛り込んでいただきたい。

 さらには、レジ袋につきましても、削減効果が十分でなければ、この次は、レジ袋税を導入するだとか、そういういった重い抑えが必要なのではないかということを提案させていただいております。

 最後に、「ごみ減量六%の提案」ということを書かせていただいておるんですが、前回の審議の中でも、ごみ問題、環境問題の解決のポイントはマインドにあるということを松浪議員がおっしゃっておりました。私も全く同感です。

 ただし、みんなが目標に向かって頑張れるようにするためには、数値目標というのがはっきりないとなかなか頑張りにくい。目標がないと、いいかげんにやっても怒られることはないんでしょうけれども、一生懸命頑張っても褒められることもない。これでは、なかなかみんなが一つになってまとまらないんじゃないかというふうに思います。

 ただ、容器包装の目標数値を出すのは難しいというのはわかります。例えば重さで考えた場合には、重いガラス瓶が減って全部プラスチック容器に変われば、重量としては削減効果があった、発生抑制があったと単純に出せてしまいます。今がその状況だと思うんです。でも、それで本当にいいのか。容器包装のごみはかさばるから問題なわけですから、リターナブルできる瓶が減ってかさばるペットボトルがふえれば、それは結果として環境負荷がふえるということです。

 あるいは、リサイクル率を上げていこう、それも大事なことなんですけれども、それは分別収集量をふやしていくということですから、なかなか発生抑制という考え方を盛り込みにくい。

 というふうに考えていきましたときに、消費者の環境マインドの成果を判断するためには、やはり一般廃棄物の総排出量の削減ということに注目すべきではないかというふうに思います。この目標をスリーRの目標にしたらどうでしょうかというのが最後の提案にさせていただいております。

 これは、平成十一年九月二十八日のダイオキシン対策関係閣僚会議を踏まえて環境省告示が平成十三年五月に出されておりますが、そのときに廃棄物の減量化の目標というものが出されております。この中には、平成二十二年度を目標に一般廃棄物の排出量を五%削減するというふうにはっきりと目標がうたわれております。この目標に基づいて、既に、いろいろな自治体では一般廃棄物の削減計画が出され、実行されております。さきにレジ袋のところで由田部長からおっしゃられました京都市では、平成二十二年度までに五・五%減らすという目標が出されています。あるいは先ほどのトップランナーの柏市では五%減らすということが目標として出されております。

 これは改正容リ法のなかった段階で五%ですから、今回の改正容リ法による目標数値としては、少なくともこれを上回る六%以上、たまたまCO2と同じような六%になっておりますが、六%を下回らないというのが最低ラインの目標として考えられるのではないでしょうか。

 これを単純に計算してみたんですけれども、五千三百万トン、一般廃棄物の総排出量がありますが、これを五%減らすと大体五千万トンで、ちょうど平成元年のころ、バブルの始まる前の安定した経済状況のころの数字なのではないかなというふうに思いました。

 まずは、このラインを最低の抑えとして、私たち市民団体としては、あの循環基本計画にある二〇%減らすという高い目標をぜひ掲げていきたいなというふうには思うんですけれども、ただ、全員がそれを下回らないというような目標数値としては、やはりこの一般廃棄物の総排出量が六%以上削減するんだといったことをぜひ改正容リ法の大きな数値目標として掲げていただきたいというふうに思っております。

 済みません、ちょっと早口で大変わかりにくい部分があったかと思いますが、私の方からは一たん以上で終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

木村委員長 ありがとうございました。

 次に、崎田参考人にお願いいたします。

崎田参考人 皆さん、おはようございます。

 私は、ジャーナリストの崎田裕子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、環境分野を中心に歩んでおりますけれども、地球環境問題、最近のこういう動きに真っ正面から向き合いますと、やはり、こういう大きな視野を持ちながら、私たち市民一人一人が暮らしの中で、そしてみずからの仕事の中で、きちんとライフスタイルを見直していくということが大変重要だということを痛感するようになりました。そしてもう一つ、その個々の役割、個々の取り組みをきちんと定着させるには、社会の中で市民、事業者、行政、多くの人たちがきちんと連携し、協働し、その取り組みを定着させていくことが重要だというふうに強く感じるようになりました。

 そこで、私は、取材、執筆に携わるとともに、環境カウンセラーという立場に登録いたしまして、環境学習や地域環境活動を推進するという活動を始めました。現在、自治体の環境学習情報センターの指定管理者として運営する地域団体の代表と、もう一つ、全国各地の協働による循環型地域づくりに取り組もうというような団体を応援する全国ネットワーク、この二つのNPO法人の代表者も務めております。

 私は、きょうはこの二つの立場も込めまして、一人の生活者として、この審議にかかわらせていただいたすべての経験を通してお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 私は、中央環境審議会の廃棄物・リサイクル部会で実施されました容器包装リサイクル制度に関する拡大審議に生活者の一人として参加いたしました。この審議は、平成十六年の七月から何とことしの一月まで、一年半にわたり二十九回という数を積み重ねてまいりました。私は、多くの立場の方々と本当に真剣に意見交換し、議論を続けることができたというふうに思っております。

 この容器包装リサイクル法の後に制定された循環型社会形成推進基本法、これでは、限りある資源を大切に使い、廃棄物の発生を極力抑えようという、いわゆるスリーRを徹底しようという将来ビジョンがきちんと描かれました。けれども、その道筋については、立場によってさまざまな考えがあるということを痛感いたしました。その違いを一年半かけて意見交換してきたというふうに考えております。そして、理解し合い、ようやく前向きな気持ちを持って合意できた、それが今回の改正案の内容だと思っております。それぞれにとって一歩前進と思える貴重な内容にまとまったと思っております今回のこの改正案を、これから社会の中でしっかり取り組んでいくということが、今、国民すべて、そして事業者にも行政にも課せられていることではないかというふうに感じております。

 では、審議の中で、循環型社会の構築に向けて重視した視点について御報告をさせていただきたいというふうに思っております。

 今回は、御存じのように、容器包装リサイクル法施行後十年たった初めての見直しです。その間、家庭ごみの容積の六割を占める容器包装材、このリサイクルは進みました。そして、最終処分場の逼迫も若干改善されました。ただし、家庭から排出される一般廃棄物の総量、これは依然として横ばいです。そして、リターナブル容器も減少してしまうなど、やはり、発生抑制のさらなる推進の重要性、そしてリサイクルコストが増大しているという明確な課題も見えてきております。

 そこで、今回の見直しで重要な視点は三つあるというふうに考えております。

 一番目は、循環型社会形成推進基本法できちんと徹底しましたスリーR、リデュース、リユース、リサイクル、これの優先順位を徹底すること、二番目は、社会全体のリサイクルコストの低減化、そして三番目は、市民、事業者、行政の役割分担と連携の推進、この三点だったというふうに思っております。

 私自身は、生活者の立場で、具体的に言いますと発生抑制、リデュースをより強く反映したいと考え、拡大生産者責任と排出者責任の徹底を目指し、リサイクルコストを内部化し、事業者と消費者がともに責任を担う仕組みをつくろうというふうに提案してまいりました。けれども、議論の中で、単価が安く価格競争の激しい飲料容器の場合、現実的にはなかなか無理であるということ、そして、現行制度のもとでもさらに事業者の負担はふえていくという現実があるという理由で、今回は産業界の方々の賛同を得られませんでした。

 今回合意した、排出抑制を促進するための事業者に対する措置、もう一つ、事業者が市町村に資金を拠出する仕組み、この新たに合意した二つの仕組みを徹底的に活用しながら、まずスリーRの前進を目指していきたいと考えております。

 また、回収資源の汚れが再商品化のコストの増大を引き起こしているという指摘が大変強くありました。市民のごみ減量、リサイクルの役割が問われたということも大変大きなポイントでした。特に、リサイクルが急増している廃プラスチックでは、全国平均で四九%が残渣として処分されるというデータが公表され、全国的に見ると、消費者のごみ減量や資源分別への協力の徹底が産業界の方々の強い関心事だということを目の当たりにしてしまいました。

 また、今回の容器包装リサイクル法の見直しの対象ではありませんでしたけれども、家庭ごみ有料化など、経済的手法の重要性が話し合われました。ごみ減量への意識づけ、費用負担の公平性、発生抑制効果を生む点などを評価し、生活者、市民として参加している多くの委員も同感いたしました。

 ただし、これは、有料化方針は環境省も既に示しておりますが、各自治体が決めることでありますので、特にこの法改正の中には含まれておりません。私も今いろいろな自治体で参加しておりますが、検討、導入は進んでおります。

 また、もう一点、市民が役割を担うために、普及啓発、環境学習の推進、この重要性も大変問われました。環境学習の推進を仕事の一つにしている者として、非常にこういう意見が強かったのは残念なんですが、今全国各地で子供たちの環境活動というのも大変広がっております。そして、大人たち、消費者と販売店が連携し、地域で環境活動を広げようというような動きも大変広がってきております。そういうことがごみ減量という効果的な結果をきちんと生み出す、あるいは、もちろんごみだけではなく地球温暖化とかすべてのことが関係してきますけれども、こういう効果をきちんと出していくということが問われているんだというふうに感じます。そういう意味でも、効果的な情報提供などの重要性というのが問われたなというふうに感じております。

 なお、この改正案では、容器包装廃棄物排出抑制推進員制度というのが提案されました。消費者の意識向上と、事業者との連携を促進する必要性を重視した内容だというふうに感じております。これをきちんと機能させていくということも重要なことだと感じております。

 それでは、今回の議論の中でかなり争点になったことについて、幾つか私の意見をきちんと申し上げたいと思います。

 まず、やはり発生抑制のところなんですが、容器包装廃棄物の発生抑制の推進を目指す、この法律の中では、排出抑制を促進するための事業者に対する措置についてです。

 やはり、スリーRの促進について、リデュース、リユースを実践する社会的な、実践できる仕組みをふやしていくということが大変重要だというふうに思っております。

 今回議論になりました、特にレジ袋の対策などを進めることは、今回創設される排出抑制を促進するための事業者に対する措置、こういうところでも大変重要なポイントだと思っておりますが、取り組みが不十分な事業者に対して勧告、公表、命令、そして罰則を科すことができるというふうになっております。これは、今回の改正案の中では大変重要な部分だと感じております。

 ただし、この制度を生かすも殺すも、この措置の主務省庁となる事業所管省庁のやる気次第ということも言えると思います。ここにもしっかりと期待したいと考えております。

 私もいろいろ普及啓発、取材活動などしておりますが、このレジ袋、三十年ほど前から定着してきましたが、日本ポリオレフィンフィルム工業組合のホームページなどで使用枚数が公表されておりますが、年間三百五億枚、国民一人当たりに換算すると、年間約三百枚にもなります。ほぼ一人一日一枚、家族でいうと一日に二枚から三枚ずつたまっていくという数です。

 資源を大切にしてごみを減らす、この効果はもちろんなんですけれども、私たちが安易な使い捨て型のライフスタイルを見直すというきっかけにもなります。まず、買い物行動から変えるということは大変重要なことだと感じております。

 レジ袋を断りマイバッグを持参した人にスタンプを押すというようなスーパーの取り組みも多くなりましたが、販売店がレジ袋をサービスとして無償で配るのをやめるように法律でもきちんと定めてほしいと、いわゆるレジ袋有料化に対して私も強く提案した一人です。地域の中で一店舗だけレジ袋を有料にしてしまうと、サービスが悪いと足を運ばなくなる消費者もいます。そういう懸念を払拭するためにも、社会全体で経済的な仕組みとして実施すれば、レジ袋が必要な人には有料で渡し、要らない人は断るという公平な仕組みが定着するはずです。

 ともあれ、このレジ袋削減策を徹底するということは、消費者のマイバッグ持参やライフスタイルの見直しということとともに、メーカーや販売店の簡易包装の定着、ばら売りやはかり売りの広がりなど、その波及効果は大変高いと考えており、循環型社会づくりの重要性を全国民あるいは事業者に伝える重要な意義があると考えております。

 排出抑制を促進するための事業者に対する措置、このせっかくの制度に魂をしっかり入れ、実効ある運営となるように心から期待しております。そして、市民の一人として審議にかかわらせていただいた者としても、この運用の今後を注目していきたいと思っております。

 また、このレジ袋対策に関しては、改正法に基づく措置だけでは不十分だと思っております。レジ袋を日々使用する消費者に対する意識向上、意識啓発、それと、消費者と販売店とがきちんと連携をしていく、そういう場をつくっていくためのコーディネート、そういうようなことも必要になってきます。こうした取り組みを広げて社会全体のコーディネートをしていくということは大変重要な役割ですので、私は、環境省にも今まで以上にしっかりとその役割を担っていただきたいと考えております。

 今、大臣も、もったいないふろしきなど、一生懸命いろいろなところで広げてPRしていらっしゃいますが、非常に多くの市民があれと思って気づいてくれますので、すばらしい取り組みをしていらっしゃるなと思いますが、環境省だけでなく各省庁も今後いろいろな取り組みをともにしていただければありがたいというふうに思っております。

 次に、やはり発生抑制の中にありますが、事業者の方が自主行動計画を発表されたことについて一言意見を申し上げたいと思っております。

 この排出抑制に関して、産業界の皆さんが排出抑制をさらに進めるための自主行動計画を策定され、PDCAサイクルにより着実な実施を図るというふうに計画を発表されたと伺っております。追加的な費用負担がなくともこのように排出抑制に向けた努力を自主的に進めてくださるというのは、大変ありがたいと思っております。ぜひ、その成果を国民にわかりやすく、定期的に情報公開、公表していただきたいと思っております。

 また、容器の軽量化やリサイクルしやすい設計、素材選択の取り組みは、一部の商品には既に取り入れられていますけれども、スリーRに対する国民の関心が大変高まる中、今後、商品の訴求効果を高める要因としても期待できると思っております。トップランナーとして、企業の経営戦略にこの容器包装のスリーR化をぜひ多くの企業が取り込んでいただきたいと考えております。

 なお、目標設定においては、余りにハードルが低いと、努力された企業、業界が報われないという事態も起こりかねません。環境配慮製品やサービスを高く評価する消費市場や投資市場を創造し、環境と経済の好循環を起こそうという社会の支援も、そういう社会全体の応援する気持ちも得にくい状況となりかねません。産業界の積極的な取り組みを期待しております。

 最後に、質の高い分別収集、再商品化の推進を目指して、事業者が市町村に資金を拠出する仕組みについてお話をさせていただきます。

 審議会において議論に最も多くの時間を費やしたのが、この分別収集、選別保管に関する市町村と事業者の役割分担のあり方に関してでした。特に、事業者による市町村の分別収集費用の一部負担をめぐっては、対立的な意見も大変多くありました。市民としては、新たな議論の展開を目指して、税金を一律に使っていくのではなく、事業者と消費者の受益者負担でリサイクルコストを内部化して払う方向への転換ということを私は提案してまいりましたが、結果としては、そのままの形では受け入れられませんでした。

 昨年末からことしにかけて延々審議が続く中で、これではまとまらないというような状況になったときに、部会長がすべての主体が納得できる仕組みの検討を事務局に要請いたしました。その結果、容器包装廃棄物のより効果的なスリーRを進める策として、みんなでチャレンジしようということでまとめたのが現在の改正案の仕組みだというふうに考えております。スリーRを進める第一歩として、これを前向きにとらえていきたいと考えております。

 拡大生産者責任の観点からは、さまざまな議論があります。事業者が、自治体の効率化、合理化の程度に応じて資金を拠出するというこの前向きな第一歩、これをまず私たち市民と事業者、行政の連携で実践してみたいというふうに思っております。もちろん、今後はこの仕組みの実効性についてきちんと検証を行い、公表し、私たち市民もきちんとその検討に参加をさせていただきながら、次の見直しにつなげるべきと考えております。

 次の見直しは、他のリサイクル関連法と同様五年後としております。新たな五年、各主体の連携で、実効ある取り組みと各主体の取り組みの信頼の醸成を一層深めていきたいと心から願っております。

 ありがとうございました。(拍手)

木村委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。

小杉委員 自由民主党の小杉隆です。

 きょうは、三人の参考人の皆様には早朝から御出席をいただき、ありがとうございます。そして、今、大変貴重な御意見あるいは新しいいろいろな示唆を与えていただいたと思います。

 時間が限られておりますので、私も、今拝聴した三人の御意見の中で、かなり共通している部分とやや異なっている部分があったと思います。

 私は、三人のお話を総括して私なりに問題点として掲げたいのは、今この三Rのうち、もう少しこのリデュース、リユースの部分に力を入れるべきではないかという部分、それから、リサイクルとかリユース、リデュースに要するコストの低減とそのコストの負担、コストシェアリングをどう考えていくべきか、あるいは拡大生産者責任ということ、さらには行政とか自治体の負担の問題、あるいは事業者の責任とか取り組み、それと消費者の理解、協力、さらにはレジ袋の対策、そういったようなことがほぼ私なりに総括した問題点だったと思います。

 循環型社会をつくっていくためには、やはり私は、行政と事業者と消費者のそれぞれの責任分担、役割分担が大事だと思います。そこで、三人の皆様にそれぞれお答えをいただきたいんですけれども、時間がありますから、特に私が印象に残ったところで一つずつ伺いたいと思います。

 まず石井さんには、自治体の負担が非常に重い、特に、分別とか選別に本当にお金がかかるし手間もかかる、そして、かなりの部分が残渣として残ってしまって産業廃棄物になってしまう、この部分の実態をもう少し付言していただければありがたいなと思っております。

 それと、これは三人共通ですけれども、コストの内部化という問題。これは次の山本参考人に伺いたいと思うのですが、特に山本さんので私がちょっと注目したのは、コストの観点から広域収集とか再商品化のプロセスを一貫事業、こうすることによってかなりコストの削減ができるというお話がありました。確かに、私はこの部分はまだまだ未成熟な部分だと思うので、この辺についてもう少し何か付言することがありましたらおっしゃっていただきたいなと思います。

 それから、崎田さんには、いろいろな点に触れられて本当によかったんですけれども、レジ袋の有料化ということを強く主張されたと思うのですが、私もコンビニで買い物をするたびに非常に割り切れない気持ちで、恐らく私のみならずほとんどの人がそういう思いを抱いていると思うのですよ。ここのところを何とかしなきゃいけないなと思っているんですが、有料化もその一つの手段だと思います。これはもう少し掘り下げてお話をいただきたいと思います。

 特に三人のお話の中で私の印象に残った一点ずつぐらいを今申し上げましたけれども、もちろんお三人の御回答はそのほかの部分に触れられても結構ですから、ひとつ順次お答えをいただきたいと思います。

石井参考人 今、先生の方から御指摘がございました。自治体の分別収集、選別保管の費用が非常に膨大だというようなことでございます。

 御案内のように、衆議院の調査局の環境の調査室でつくられているこれをごらんいただければ、この中にもちょっと入ってございます。先ほどの参考人の中からもいろいろお話があったかと思いますが、大ざっぱな言い方でいきますと、分別収集、選別保管の経費については自治体が三千億というようなことになっているわけですね。それから、事業者が再商品化の責任を負うというようなことで、特定事業者がどのくらいを負担しているかといいますと、この資料にございますように、四百億ということになっております。

 先生方も御案内のとおり、特にごみを集めるということは、人海戦術といいましょうか、手で集めるということですので、効率的に集めるということの難しさも率直に言ってございます。

 それで、各自治体のやり方でございますが、最近は、この近辺でいきますと、有料化した日野市なんかの例でいきますと、有料化に変えて市民にサービスをしていかなきゃいかぬというようなことと、それから自分の出すごみに対して責任を持たせるというようなことで、いわゆるドア・ツー・ドアといいましょうか、戸別収集というんでしょうか、今まではコンテナの中にほうり込んでそれを集めていたということなんですが、それが有料化でドア・ツー・ドアになって、その結果として、自分が出すごみの責任を持つというようなことがあっていわゆる減量化につながっているということは事実でございまして、実施後二年足らずで約三〇%ぐらいの減量が行われているわけでございますが、それぞれの自治体でやり方が違って、結局、ドア・ツー・ドアにしますと、戸別に集めるということですので、相当また収集コストがかさんでいく。

 大都市なんかの場合ですとどういうことでやっているかというと、一般的な例でいいますと、先生方御案内のように、今、ステーション収集といいましょうか、大体五十世帯とか二十世帯とか、一定の地域の中のコーナーに集めて、それを収集車が来て持っていくといういろいろなやり方がございます。

 そういった意味で、また清掃工場というようなのは、先生方、我々も年じゅう市民といろいろな御相談をしながら、あつれきを感じながら進めているわけでございますが、本来ですと、やはり町の市街地の中に清掃工場があるのが一番よろしいわけでございますが、住民の反対等もあって、結局郊外に、外れたところに清掃工場もつくらなきゃいかぬというようなことの現実があるわけですね。そうしますと、収集したものを工場に運ぶのにいわゆる輸送コストが非常に高くかかるという、いろいろな条件がございます、率直に言いまして。

 そんなことがあって一概には言えないわけですが、ただ、自治体として、手で集めるということで効率化されないということの中でも、最近では、自治体、財政が非常に厳しい状況にございますので、できるだけ費用負担を軽減していくというようなことで、直営でやっていたものを委託にするとか、そういったことの方向が少しずつ出ております。全体の収集作業員の、我々全都清の会員を大ざっぱに見てみますと、二年ぐらい前までは六、四ぐらいで直営の職員数が多かったかなという感じがしますが、最近はそれが逆転をしております。

 そのように、各自治体でもいろいろな、直営から委託ということにし、全体の費用の削減、軽減に努めているというようなことでございます。(小杉委員「時間がありますので」と呼ぶ)はい。

 それで、先ほども先生から、半分がいわゆる残渣で産業廃棄物というようなお話がちょっとございました。多分、その他プラスチックの関係のことをお話しされていらっしゃるのかなというふうに思っております。

 いろいろな議論がありまして、非常に汚いものは、集めたものをすぐ焼却にしていいのではないかというような、サーマルリカバリーとかいうんですが、そういうような方向の考え方もございます。ただ、容器包装リサイクル法を含めて、できるだけ資源を循環していく、還元していく、資源としてもとに戻していくということを考えると、できるだけリサイクルにしていくという方向で今進めておりますので、そういった意味で、その他プラの扱いについて、なかなか自治体が収集の実施が進んでいかない部分について、素材別だとかそういうことがございますので、住民の協力を得ながら進めていくということの難しさがございます。

 以上でございます。済みません。

木村委員長 次、山本参考人ですが、二点、コストの内部化と再商品化等一貫体制の件について、二件ありましたので、ポイントをまとめて御答弁いただけるようにお願いしたいと思います。

山本参考人 御指摘いただいた内部化の点ですけれども、例えば、拡大生産者責任を徹底して、収集費用を製品価格に含めた場合には、ペットボトルであれば、日本製のペットボトルの場合には、今一本四十グラムぐらいかかっています。その場合に、収集費用を内部化した場合には、三円から四円程度の収集費用の内部化費用になります。ところが、アメリカ製などのように軽いペットボトルの場合にはそれが、ペットボトルが一本二十グラムぐらいですと一円から二円ぐらいの内部化費用になりますので、一本当たりで二円から三円ぐらいの差が出てくる。これが、一本当たりですとそうですけれども、その容器を選択する事業者としてみれば、年間一千万本販売をしていれば、掛ける二円なり三円なりということで、その事業者がどっちの方に努力したらいいのかという答えがおのずと出てくると思いますので、ぜひその費用を内部化していくという方向性が望ましいのではないかというふうに思います。

 二点目の一貫事業なんですけれども、私のレジュメの、先ほどの参考2というのをごらんいただきたいんです。

 自治体の収集の実態につきましては石井専務の方が大変お詳しいとは思うんですが、一般的に、収集車両の体制をとって、リサイクル体制をとっていくと、最も効率的には、人口規模として三十万人ぐらいが効率的ではないかというふうに伺っております。

 そうしますと、これより小さな自治体がそれぞれ単独で収集車両を持って、選別施設を持ってというふうになっていきますと、容リ法では十トン、集めたペットボトルですとかその他プラ、十トン単位でまとめないと引き取ってもらえないということがありますから、小さな町で集めても、十トンはなかなか集まりませんので、やはり効率が悪くなってくる。そうすると、やはり自治体単位、衛生性が求められるごみとは違います、資源ですから、やはり自治体を超えて収集体制が進めばリサイクルコストが減っていくのではないかというふうに思います。

 一貫事業なんですけれども、容リ法では、分別収集をして、その後、選別保管施設、大体リサイクルセンターというところが多いですけれども、そこで選別をしてベールに縛られます。それで、一回それを十トンで保管するわけですが、それを再商品化事業者が引き取りに行って、自分のところでベールをほどいてもう一回選別をしてリサイクルするという工程になっています。このためにキロ二百二十円かかるんですけれども、これを事業者が集めてから再商品化まで一気にやれば、選別した後もすぐ再商品化までいきますから、もう一回そこでベールにして引き取りに行ってという二つの工程が省ける。あるいは、収集から選別するところまでの、どこに持っていってリサイクルしたらいいか、一番効率のいいところを選べますから、ですから半分ぐらいのコストでリサイクルができるようになる。

 これは、ペットボトルの例ですからすべての事例に当てはまるわけではないと思いますけれども、やはり一貫事業をした方がはっきりとリサイクルコストは下げられるのではないかというふうに思います。

崎田参考人 ありがとうございます。

 レジ袋有料化についての御質問と、それに関連しての事業者の排出抑制の措置に関してのことをお答えさせていただきたいと思っております。

 先ほどレジ袋のことをいろいろと私も言わせていただきましたが、実は、レジ袋というのは、そのものを減らすということももちろん重要なんですけれども、レジ袋が持っている消費者にとっての象徴的な意味があります。やはり、まず買い物に行くときに、きちんと自分のマイバッグを持っていくという行動をする、そして、お店の方にきちんとそういう行動を示して、ちゃんとマイバッグで買い物をしてくる、あるいはふろしきで買い物をするとか、そういう消費行動をとる市民がふえていくということが多くの方にはっきり目でわかる行動になっていく、そういうことでレジ袋の有料化あるいは明確なレジ袋削減策を打つということが大変重要だと思っております。そういうような市民の消費行動プラスそれを支える事業者の販売行動が変わるというような意味を持っています。

 なぜそれを有料化というシステムでと申し上げたかというと、ノーレジ袋デーとか、そういうような普及啓発の取り組みというのはいろいろ先進的な自治体でふえてきてはいるんですけれども、やはり多くの事業者の方が、何か消費者の方にサービスが悪いと思われてしまうんじゃないかという危機感があって、なかなかその日になってそれができないというような方が多い。そういう意味で、多くの消費者がこれを応援しているんだ、サービスが悪いなんて言いませんということを示す、そういう社会全体がこのことに信頼を持って取り組むんだという大きなきっかけに必要なんじゃないかというふうに考えております。

 有料化は望んでおりますが、こういう削減策を明確に打つということに関しては、実際には事業所所管省庁がそれにきちんと当たられると思いますので、ぜひそこをきちんとやっていただきたいと思いますし、市民としてもそれを見守っていきたいというふうに考えております。

 そういうことの普及啓発などに関しては、やはり環境省も積極的にかかわってほしいというふうに思っております。環境省がそういうふうにかかわってくだされば、全国の自治体とかそういうところもやはりいろいろと動きが大変よくなるのではないかなと思いますので、私はそういうふうに願っております。

 よろしくお願いいたします。

小杉委員 残り時間がわずかになりました。再質問をそれぞれの方々に申し上げたいんですが、次の質問者に譲ります。

 一つ石井さんのところで私が感じたのは、清掃工場ですね。あるいは、何でもかんでも全部清掃工場に持っていって燃やす。それから、前は自分の家で出したごみを自分の庭で焼いたりできたんですけれども、ダイオキシン問題以来、もう一切だめということになったんですね。ところが、最近、技術開発が進みまして、清掃工場の焼却炉、これもかなり高温でやってダイオキシンを出さない。あるいは、個別の家庭の小型焼却炉もダイオキシンを出さないような新しい技術開発ができているようですね。

 この点は、私は、再考すべき点じゃないのか、何でもかんでも集めて燃やすというのはどうなのかなという、これは私見ですけれども、もし時間があれば感想を聞かせてもらいたいんです。

 それから、山本さんの、一貫事業でやる、これは確かに私は一理あると思うんですね。やはりプロセスがまだ複雑化しておりまして、これがもうちょっと合理化されれば、もっと効率化されればコストも低減できると思うので、これは私もいろいろな意見がありますけれども、時間がありませんから申しません。

 この間、自転車のリサイクルの現場を見てきたんですけれども、本当にあれでうまく事業化できればいいなというふうに思うんですね。これはちょっと別にします。

 それから、崎田さん、例えば、ちょっと事例は違いますけれども、交通事故の罰金が三十万になった途端に飲酒運転ががたっと減ったんですよね。人間の性善説を信じたいんですけれども、やはり痛みを感じないと、人間というのは、口では意識改革だとかライフスタイルの変更だと言っても、痛みがないとなかなかそうならないと思うんですね。

 そういう点で、私は、有料化は賛成なんです。あんなに本当に一つ一つ全部包装、プラスチックの容器に入れてやるというのはもったいない話なので、これは私見だけ申し上げて、時間が来ましたからやめます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、高井美穂さん。

高井委員 民主党の高井美穂と申します。

 きょうは、参考人の皆様、お忙しい中、本当にありがとうございます。貴重な御意見をいただきました。

 早速ですが、質問にどんどん移らせていただきたいというふうに思います。

 市民団体の皆さんのこの条文等も本当によくできているなと、立法府にいる者としても大変勉強になる、いろいろな団体の方々、調査能力等もすばらしくつけておられるなというふうに感心をいたしました。

 そして、お三方とも一つ共通しているというふうに感じたのは、やはり拡大生産者責任の必要性という考え方、私たち民主党ももちろんそれは必要だというふうに強く強く思っておりまして、トーンこそ違え、その点では同じであろうかというふうに感じました。今回の法案に対しても、やはり懸念はあっても一歩前進であるというところでも、トーンの差こそあれ、同じような感じだったというふうに感じております。

 まずは山本参考人にお伺いしたいんですが、本法案は、環境省と経済産業省との共管となっています。経産省は比較的業界サイドと言われる省で、環境省が遠慮している部分が常にあるのではないかというふうに、私もさまざまなところで感じてまいりました。

 この法律の中にもやはりこの再商品化の促進というふうな言葉はありますけれども、この容器包装の発生、生産そのものを抑えていこうという名前ではない。

 そして、事業者団体のこの自主行動計画についてまずはどう思われるか。自主的な行動では限界があるということも述べられておりました。崎田参考人におかれましては、期待したいというようなお話でございました。少しトーンの中に差があったと思いますが、お二人にまずはお伺いしたいと思います。

山本参考人 事業者が自主的な行動計画を立ててどんどん進めていただくのは私たちも歓迎いたしますし、私たち市民にお手伝いすること、できることがあれば、どんどん教えていただきたいというふうに思います。

 ただし、先日発表された行動計画の内容を一つ一つ見てみますと、ちょっと不十分ではないかなというふうに思います。

 一点目は、瓶、缶、PETなど、一%から三%ぐらいの軽量化という目標が出されています。それは容器一本当たりですので、現在、少量化、高齢化社会ということもありますけれども、容器はどんどん小さくなっています。かつての二リットルから一リットル、五百、今は主流は三百五十ぐらいです。

 そうしますと、ペットボトル一本、五百ミリリットルだと大体三十五グラムぐらいあります。これが三百五十ミリリットルのペットボトルになると三十グラムぐらいです。消費が減るのであればごみは減る可能性はあるんですが、もし中身の消費量が変わらないとすると、五百ミリリットルのペットボトル二本ですと、三十五掛ける二で七十グラムです。三百五十ミリリットル掛ける三本で、三十掛ける三で九十グラムです。結果として、二十グラムごみがふえる、二〇%のごみがふえるということになります。にもかかわらず、一%から三%の軽量化では、はっきりわかりませんけれども、ごみがふえてしまうのではないか、そういう心配があります。

 もう一つは、リユースの部分では、瓶とペットボトルについて五年間リユースシステムを研究していくというふうに発表されているんですが、既に日本では、もったいないというものを象徴するようなリターナブル瓶がまだまだ何とか生きています。あるいは、ヨーロッパではプラスチックのリターナブル容器がありますので、やはりもう研究あるいは実証、モデル事業とかそういったことは卒業していただいて、どうやって導入していくんだ、どうやってふやしていくんだという、リターナブル容器の使用割合といったものを目標として出していただきたいな、そういったところにぜひ期待をしたいというふうに思っています。

 崎田さんの方からも、余りにもハードルが低いと、頑張った人が報われないんじゃないのという心配も出されています。それは、私たちと同じように市民の心配ですので、ぜひもう一度、もっと一段高いものにしていただきたいなというふうに思います。

崎田参考人 ありがとうございます。

 先ほどの拡大生産者責任についての私の考え方についてもう一度再確認の意味と、あと自主行動計画についての期待に対してのもう少しコメントということでお答えをさせていただきたいと思うんです。

 今回、私もお話をさせていただいたんですが、自分はいろいろと主張いたしましたけれども、一年半という話し合いの中でかなりそれは話し合った結果というふうにしっかり受けとめております。

 拡大生産者責任という観点からいいますと、必ずしも十分とは言えないかもしれないと思っております。ただし、やはり今これを一歩前進ときちんと受けとめて、多くの方と取り組んで、その結果がどう出るかというのをちゃんと見ることが大事なんだというふうに思っています。その結果を見て、その五年後の見直しというのに、ここをもう一回きちんと俎上にのせてやるべきなのかどうなのか、やはりそれが、これからの五年間みんなでごみ減量あるいは発生抑制の社会をつくっていくという、その辺にかかっているんだと思っております。

 事業者の行動計画についても、もう再度申しませんが、私は、やはり環境を評価する消費市場や投資市場をつくっていくというのが今環境分野のキーワードだというふうに思っております。もっと多くの事業者の方が意識高く容器のスリーRに取り組んでいただきたいし、販売事業者も取り組んでいただきたい、そして、それを応援する社会であるという、そこをつくっていきたいというふうに思っています。

 よろしくお願いいたします。

高井委員 ありがとうございます。

 先ほど小杉先生からもお話がありましたけれども、罰則か、それとも前向きなインセンティブか、どちらかで促していくというような中では、私もできることならば前向きなインセンティブを与えられるようなさまざまな援助という方がいいのではないかというふうにも感じています。

 次に、石井参考人と山本参考人にもう一度お伺いしたいんですが、自治体のリサイクル貧乏という話が山本参考人の御発言の中からもございました。今回、政府は、事業者負担の四百億円は額としてすごく大きいというふうに言っておられますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

石井参考人 今回は、この点が一番の大きな議論の中心だったかと思います。今振り返ってみると、いろいろございますが、今回の法改正の中でそれが拠出金にもかわるというような格好になっているわけですが、いろいろな議論がある中で、一つの拡大生産者責任を徹底する観点からは、ややそういった意味で十分でないかもしれませんけれども、議論の一つの到達点といいましょうかそういうことから、現行制度に比べれば一歩前進したものというふうに判断をしております。

 したがいまして、今後も、その分別収集、選別保管費用の一部を事業者が負担する道といいましょうか、今回のこの拠出金制度といいましょうか、それが一つの道を開く一歩とも受けとめることができるかと思いますので、今後の五年間の中で、検証、確認をした上で、また十分に議論をし、検討していきたいというふうに思っております。

山本参考人 私たちは、先ほどの一貫事業で提案させていただきましたとおり、自治体の三千億、事業者の四百億、ともに重いので、半分にするような仕組みの転換というのを提案させていただいております。

 今回、事業者の四百億というのもやはり重いのではないかというふうに思うわけなんですけれども、ただ、それは容器包装全体でそうであって、例えばペットボトルで見ますと、一番ピークだった負担は平成十三年と十四年の九十一億円です、ペットボトル事業者の負担。これが、最近では、集めれば有価物として販売できるようになりましたから、再商品化の費用の負担というのはどんどん減ってきています。このままいけば、恐らく事業者の再商品化費用の負担はゼロになるのではないか。

 そうしますと、今回の改正容リ法で、ペットボトルの事業者に対しては再商品化費用の負担がない、減量化のインセンティブがゼロになるということになってしまいますので、やはりリサイクルが成熟した瓶、缶、PETと、費用負担がこれからふえる可能性があるその他のプラスチックというのを分けて考えていただいて、ぜひ、リサイクルの成熟した瓶、缶、PETについては、これまでよりも一歩重い事業者の責任に踏み込んでいただきたいというふうに思います。

高井委員 その他プラスチック製容器の包装の焼却に対して、現在でも多くの市民団体等がダイオキシン等の環境汚染を懸念しているというふうにお聞きしたんですが、もう一度、市民団体の立場として、山本参考人に、この点いかが思うか、御意見をいただけますでしょうか。

山本参考人 プラスチックの焼却に対しては、多くの市民団体が心配の声を上げております。それは、やはりプラスチックを燃やすことに対して、ダイオキシンの発生ですとか、あるいは水銀の発生ですとかそういう重金属、あるいは有害化学物質の気散に対して心配をしております。

 今回、新たな仕組みということで、事業者が市区町村に大体三十億から六十億の拠出金を出すということが前回報告されましたけれども、これを約二千の自治体で案分しますと、大体、一自治体二百万円ぐらいになります。これで自治体の分別収集費用の負担に歯どめになっていくのかという疑問があります。

 そうしますと、既に、廃プラスチック、容器包装ではないプラスチックですね、廃プラスチックの焼却の準備を始めている自治体が多々あるというふうに聞いておりますので、その他プラスチックを燃やすという方向に行ってしまうのではないか。あるいは、現在、分別収集を行っている自治体がそれをやめてしまうというのは、市民の監視がありますから、目がありますから、ないと思いますけれども、これまで集めてきたその他プラスチック、例えば一手間かければリサイクルできるものを、そのまま、ちょっとでも汚れていたらこれはごみにしましょうといった形で消費者に誘導してしまう、そういったことに対しても心配をしています。

 この廃プラ焼却に対しては、私たちの市民団体の中でも二つの点で心配がありまして、一つは、そういう有害化学物質のダイオキシンなどの発生につながってしまうのではないかという心配。もう一つは、せっかく分ければ資源という形でいい習慣が根づいてきたものが、まとめて燃やしちゃおうというような、後戻りしてしまうのではないか、この二点で市民団体は心配をしております。

高井委員 ありがとうございます。

 私どもも、その懸念は大変共有するものであります。

 どんどん質問に参りまして大変恐縮なんですが、今月十六日にございました委員会の質疑の中で、政府は、リターナブルの普及のために自主回収認定の弾力的な運用や自治体収集の実証事業を行うということを述べられておりますが、これで十分と思うかどうか、御意見をちょうだいしたいと思います。山本参考人に再度お願いします。

山本参考人 リターナブルの自主回収認定の弾力的な運用というのは、私たち全国ネットワークも提案をさせていただきました。ぜひ進めていただきたいというふうに思っております。

 ただ、総務省が指摘しているように、リターナブル容器を使っている事業者は経済的な不利益をこうむっておりますので、その解消になるかといいますと全く不十分ではないかというふうに思います。

 それは、自主回収認定による経済的なメリットは、リターナブル容器の場合、一本当たり大体〇・〇六円とかそのぐらいの金額です。一方、リサイクルしているペットボトルやガラス瓶は、一本五円から十円の税負担で経済的な利益を得ています。これでは、事業者が自主回収で費用負担のかかるリターナブル容器を使おうというインセンティブが働かないというふうに思います。

 ぜひ、総務省が指摘しているような経済的な不利益を解消していただけるような具体的な施策をお願いしたいというふうに思います。

高井委員 ありがとうございます。

 まさに、その点、指摘のとおりで、私どもも、そういうふうな方向に変えなければ今のままではなかなか難しいなというふうに感じておる次第であります。

 この容器等によるごみ削減に対しては、やはり行政とか事業者に対する責任強化だけでなく、国民の意識を高めることが何よりも大事だという御発言がお三方ともあったというふうに思います。

 そのためのインセンティブとして、あらかじめこの容器代を消費者から徴収し、持参した場合それを返すというふうなデポジット制度をかつてやっていたところもありますし、今でもやっているところがあるのかもしれませんが、この制度に対していかが思われますでしょうか。崎田参考人と山本参考人にお願いいたします。

崎田参考人 デポジット制度の質問です。

 デポジット制度は、皆さん御存じのように、やるならば全国的なレベルでやはりやるというような状況をつくっていくことで、きちんとすべての地域の方が参加できるというふうに大変強く言われております。

 そういう意味があって、やはりこのデポジットに対する議論は私も大変重要だと思っておりますし、常にそういうことを投げかけていくことが大変重要だというふうに思っておりますが、やはりそういう全国的なレベルでデポジットを議論するというところまで今回の改正審議ではいかなかったというふうに感じております。

 ただ、現在の社会の中では、できるところはそういうことをちゃんとやっていく、そういう考え方を知る人たちがふえていく、そういう努力を社会の中で続けていくということはやはり大変重要だというふうに思っております。

山本参考人 デポジット制度につきましては、回収促進のための大変重要な手段だというふうに思います。

 ただ、実際にそれを導入するかどうかにつきましては、やはり社会的なコストが大きくかかわってきますので、十分な検討が必要かとは思うんですが、以前、流通事業者の皆さんと話し合いをさせていただいたときに、かつてデポジット制度に対して事業者の皆さんの反対が強かったんですが、もう私たちのところではレジをきちんと対応しているのでいつでもデポジットに対応できますよというようなことをおっしゃっていただいた流通事業者さんがいらっしゃいます。そのときに私たちは、やはりトップメーカーさんは違うんだなというふうに、物すごく感動した覚えを今でも鮮やかに覚えております。

 ただ、準備はされていましても、やはり社会的なコストというのがかかってきますので、私の、私案というか個人的なところもありますけれども、一律に強制してデポジットを導入するというよりは、かつてのドイツのように、ある目標を設定して、例えばごみが減らないですとか回収率が上がらないですとかといった場合にはデポジットをやりましょうねという抑えとして導入するということが、デポジット制度の有効な使い方なのかなというふうに思っております。

高井委員 なるほど、確かに抑えとして導入する、目標設定として、抑えとして導入するという考え方は大変おもしろいなというふうに聞きました。

 私もたしか小さいころには、家の前が小さな商店だったんですが、瓶を持っていって十円もらったのがうれしかったようなことを覚えていますが、今はもうやっていない。デポジット制度が広がらない理由としてもいろいろなことがあるんだろう、私もさまざまな本や審議会等のものを拝見してもそう思うんですが、できるだけいろいろな方が努力して、経済的なインセンティブを与える何かの方向性をつけていくということで、今回の法案が一歩の前進である、これからより一層充実させていかなくてはならないという点におきましては、本当に与野党問わず、外の方、市民団体の方も、皆さん同じような感覚をお持ちでないかというふうに思っています。

 最後、感想めいたことになるんですが、昔はやはり、例えば野菜とかでもばら売り等が基本だったというふうに思い出します。豆腐を買いに行くのでも、私、お皿というかボールを持って買いに行ったのを覚えております。だんだんそういうことが最近見られなくなって、本当に便利になった反面、ついつい必要以上のものまで買ってしまう、そういう感じもいたしまして、袋に入っている方が楽だし、持っていくとまた持って帰るのが大変だったり、洗わなきゃいけないとか、いろいろな手間があったりとかもするもので、なかなか経済全体の理屈としては、やはり便利な方に便利な方に流れていってしまうというふうなことは本当に自分自身でも感じているのであります。

 しかしながら、だからこそ、そういうやり方よりももっと環境負荷に優しいものにしようじゃないかということをいろいろなところで広めていかなくてはいけない、それがマインドを変えるということにつながるんだろうと思いますが、こういうふうに、すぐにごみになる容器を使わないという買い物のスタイルについて、それを導入していく、進めていくためにはどういう方策があるか、私も悩ましいんですが、この点について、では最後に山本参考人に、御意見があったら教えていただきたいと思います。

山本参考人 現在でも、マイバッグの持参だけではなくて、先進的な流通メーカーさんは、マイバスケットということで、スーパーで、かごのまままとめて買って、レジで精算してもらってそのまま持って帰れるというような消費スタイルが進められたりしています。それは、まさしく事業者と消費者の連携というか、そういうタイアップで進められている取り組みかなというふうに思います。あるいは、お酒関係になりますけれども、お酒とかワインとかしょうちゅうのはかり売りを進めている事業者の皆さんもいらっしゃいます。やはり、それを支持する消費者がいるからそれが続いていくんだと思いますし、最近では、スーパーなんかで、家庭からポリタンクの容器を持ってきて、水をそこで買って帰る、ペットボトルに入った水を買わないでそういうものをはかり売りで買うといった消費スタイルも進んできています。

 その部分は、やはり消費者と事業者が連携をしながら進めていくといったことで乗り越えていけるんじゃないか、費用負担ですとか社会の仕組みとかありますけれども、やはり消費者と事業者の連携というのが大変重要なことではないかなというふうに思います。

高井委員 本当に貴重な御意見、お三方とも、ありがとうございました。感謝を申し上げて、質問を終わります。

木村委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 三人の先生方、それぞれのお立場から貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 まず、石井参考人と崎田参考人に。

 中央環境審議会のメンバーであられたということで、審議会、一年半にわたってやられていた、中間取りまとめがあって、その後随分それまでの流れと変わってしまったんじゃないかというふうに山本さんたちは随分思われて、私の議員会館にも来られていろいろ御意見をいただきました。お二人はメンバーで参加されていたということで、今回の中央環境審議会の審議の進め方、あるいはその中でお二人の意見がどういうふうに取り入れられていったのか、いろいろ思いがあると思うんですが、全体的に見て、どういう形で審議が進んで、それぞれの立場の方の意見をきちんと取り入れることができた、あるいはできなかった、また、今回の改正法もまた五年後の見直し規定を入れていますので、今後に向けて、審議会のあり方について御意見がありましたらまず伺いたいと思うんですが。

石井参考人 もちろん、委員会の立場で、発言する技量といいましょうか、説得力だとかそういったことにも影響するのかなと思いますが、中央環境審議会それから産業構造審議会はそれぞれ構成メンバーが違うわけで、私は両方出ていましたが、率直に申しますと、やはりそれぞれの分野からの選定といいましょうか、もう少しそれぞれの立場の意見が反映できるような委員構成といいましょうか、そういったことがあっていいかなというふうには思いました。

 ただ、私は自治体の立場で御発言させていただいていたわけですが、自治体の立場の反省の一つとして、先ほども申し上げましたけれども、一番の争点になりました、いわゆる事業者負担、自治体との役割分担のあり方が相当集中して意見があったわけですが、事業者側から求められた、いわゆる自治体の費用が非常にかかっていることに対する、効率化、透明性、能率化といいましょうか、そういったことが意見として相当厳しく問いただされました。

 ただ、率直に言って、ごみに対する理解がなかなか十分に理解いただけなかったかなという思いと、私自身、自治体の立場の意見が、十分に納得させるほどの論理構成ができなかったのかなということもございますが、やはり一番の難点は、事業者から御指摘されました効率化、能率化だとか、いわゆるコストの透明性、そういったことが具体的な資料としてお示しできなかったということを強く反省として思っております。

 そういったことが今後一つの課題として残りましたので、私どもの方としては、今後、次の見直しに向けてその辺の整理をして、もう少し具体的に事業者あるいは自治体の役割分担の議論が深まるような、そういった方向で自治体としても準備なり資料をそろえてまいりたいというふうに考えております。

崎田参考人 御質問ありがとうございます。

 今、審議会のあり方とその過程について御質問がありました。

 私、先ほどのお話の中で随分込めさせていただいたんですけれども、一年半という期間にわたって二十九回きちんと話し合いを実施した、これは中央環境審議会の方なんですが、それだけの時間をきちんと使ったということで多くの方がきちんと御自分たちの意見を発信することができた、やはりそれだけの場は確保できたというふうに思っております。

 ただし、結果的に、私自身も、今全国ネットワークの方がお示しされているいろいろな改正案がありますけれども、個人的にはかなり近い案を発言しておりました、そういうことがきちんと産業界の方に理解していただけるのではないかとずっと発言しておりましたけれども、やはり一年以上たってだんだん無理だというのがわかってきました。それがどうしてかというのは、今、全国の中での本当に現場で携わっていらっしゃる方の実感、あるいはそれを受け取って再商品化していらっしゃる方たちの実感として、もっと市民がきちんと分けてくれたらいいんじゃないかとか、やはりそういうような思いが非常にあるんだなということがわかりました。そういう意味で、市民側がもっともっと環境教育、普及啓発、私自身はやっておりますし、多くの方が一生懸命やっていますが、それがもっときちんと定着するような情報の定着の仕方をしていく、そういう新たな展開が必要なんだというふうに思っております。

 あと、審議会のあり方に関しては、今回、環境省と経済産業省と別々に始まったんですが、私は、願わくは一緒に始めていただきたかったなと思っています。時々すり合わせというよりは、やはり一緒の方がそれなりに市民のきちんとした気持ちも産業界の方に伝わり、お互いにコミュニケーションがもっと成り立つんじゃないかと思っておりますので、次のときにはそういう形でできればいいなというふうに思っております。お知恵とお力をいただければうれしいなと思っております。

 よろしくお願いいたします。

富田委員 ありがとうございました。

 環境省の方も聞いていると思いますので、次の機会に本当に今のお二方の意見が生かせるように私たちもバックアップしたいと思います。

 今、崎田参考人から、やはり市民の方でもっとちゃんと分別してくれという思いが強いんじゃないかというお話がありました。実は私は、今、習志野市というところで四百五十世帯ぐらいの一戸建ての住宅の団地にいるんですが、その団地の中に六十歳で定年を迎えた方たちがさくらグループというのをつくっていまして、私のところは毎週月曜日が資源ごみなんですけれども、この人たちがさくらグループというジャンパーを着て資源ごみの回収所に朝から来ているんですね。この方たちがいるので、いいかげんな資源ごみの出し方ができないんですね。月曜の朝ですから、資源ごみは私の役割でして、私は毎週月曜日の朝に持っていくんですが、ペットボトルは洗っていないと全部チェックしますし、アルミ缶とスチール缶がちゃんと分けられているかどうか、そのさくらグループの方たちがチェックしているんですね。

 これはだんだん浸透してきて絶対間違いのないように持っていくというふうになってきたので、本当に、崎田参考人おっしゃるように、市民の力が、やはり無駄な回収費用もかけないようになるし、そういう意味での本当のリサイクルになっていくんじゃないかなというのを実際に実感しております。

 今回、法案の中で、法文の説明を聞いてもなかなか理解できない部分がございます。それは、再商品化の合理化の程度等を勘案して事業者が市町村に資金を拠出する仕組みというふうなことでお三方からお話ありましたけれども、この仕組みは、崎田参考人の最初の意見陳述の中では、容器包装廃棄物のより効果的なスリーRを進める第一歩としてみんなでチャレンジしようとしてまとめたんだと。先ほど、石井参考人は、これまでの拡大生産者責任をもう一歩進めるような形で、今までの制度から比べれば一歩前進ではないかというお話がありました。

 ただ、今の制度というのは、指定法人の資金が不足して追加徴収する事態にならないように余裕を持ってまず集めていますよね。ある程度剰余金が出てくる。二〇〇四年度ですと、総負担額五百六十三億で、再商品化の委託費として活用されたのが四百五十一億だ。百十二億が特定事業者に還元されている。今度の新しい制度だと、省令がどうなるかまだわかりませんので、恐らく半々だろうというように言われていて、これが半分ずつ分配される。先ほど山本参考人が答弁の中で答えられていましたけれども、一自治体でせいぜい二百万円ぐらいにしかならないんじゃないかというようなお話がありました。ここの部分、どこを基準年度にするかによって余剰がどう出てくるかというのがわからないわけですよね。先ほど、ずっと制度が進んでいくとゼロになっちゃうんじゃないかと山本参考人の方からもお話がありました。

 このあたり、審議会の中でそういったところまで踏み込んで議論があったのかどうか。どういうふうに一生懸命取り組んでいた自治体を判断するんだ。自治体によって一生懸命頑張ったところにできるだけ手厚くというふうにやらないとインセンティブは働かないわけですから、そのあたりどんな議論があったのか、石井参考人と崎田参考人にお伺いしたい。

 また、山本参考人は、先ほど、多分この制度では全然だめになっちゃうんだということでしたけれども、法律としてはこういう法文になっていますので、このままの法文だとして、もう少し何か運用面でいじれる部分があるのかどうか、その点御意見をいただければと思います。

石井参考人 なかなか難しい質問かなというふうに思います。特に、拡大生産者責任、相当議論をさせていただきました。

 我々の主張は、何も金を事業者からいただくということ以前の問題として、発生抑制、排出抑制をやはり第一義的にしていくにはどうしていったらいいのかということから議論をしていったつもりなんですが、結果的に、いろいろ議論されていく中で、費用の配分の問題といいましょうか、そういった方向にどうしても意見がいってしまった。そういうことになりますと、今こういう経済情勢、社会情勢の中で、事業者のお立場からすると率直に言って相当な抵抗が、御意見がございました。それがもうぎりぎりのところで、率直に言ってこういう言い方をしていいのかどうかわかりませんが、空中戦みたいな形でずっとやっておりました。

 ただ、私も、審議会の中で、やはりまとめる方向で何か一つの考え方があるのであれば、それを受けていきたいということも含めてお話をいたしました。具体的な例も挙げながらお話をいたしましたが、結果としてこういう形になったというふうに、私は、非常にいろいろな議論が喧騒する中で出てきた一つの制度だというふうに理解はしております。

崎田参考人 この新しい拠出金の仕組みの議論についてなんですが、先ほどお話ししたように、いろいろな意見が出て非常にそれが平行線をたどったときに、やはり、事業者の方が今までは分別収集、選別保管には全く費用を出さなかったという状態を一歩改善する策として、きちんとどういうふうな状態で費用を負担してもらったらそれが可能なのか、そういう話になったときに、事務局の方に何か提案がないかということで出てきたのがこの仕組みだというふうに私は感じております。

 それで、その中で私、この議論をやりながらずっと思っていたのは、役割分担の話のときに、やはり産業界の方が、本当に廃プラスチックの回収量が上がってきて、非常に費用負担がふえる、それで、その回収資源がもう少しきれいな状態で集まってほしいという切実な思いが大変強いというふうに強く感じました。そういう意味で、その費用をどこに使うかというときに、やはりきれいに集まるという、そこにちゃんとお金をかけてほしいということを願っていた、それが産業界にとってプラスになる要因だというふうにこの制度は思っております。

 それで、検討の中でも、どういうふうに配るのかというときに出た意見では、やはり自治体の中で、それなりに集まってきた品質、それによって、きちんと集まったらきちんと費用がたくさん行くというようなインセンティブがきちんとつかなければいけないのではないかということは盛んに議論されました。ただし、そのインセンティブをどういうふうに判断し、何を基準にするかというところまでは、細かい議論は出ませんでした。実は、それがこれからとても大切なことだと私も思っております。

 よろしくお願いします。

山本参考人 今のこの改正法案の条文を前提にしてという御質問でしたので、ない頭を絞ったんですけれども、まずは情報公開だと思います。それは、私たち市民団体が心配しているのは、この仕組みによって、その他プラを燃やしちゃうのではないかという心配を一番しておりますので、自治体の分別収集した量、あるいはそれを可燃ごみ、不燃ごみとして収集、処理した量、それを事細かく明らかにしていただくということが大前提になると思います。

 できればそのときのコストというのも明らかにしていただきたいと思うんですが、市民団体の中では、そういったことを自発的に廃棄物会計ということで調査を進めているところもありますけれども、ぜひ国がそういったところを、廃棄物会計基準をつくって進めていただきたいと思います。

 そうすれば、自治体もいいかげんなことはできなくなってくると思いますから、きちんと消費者に、市民に呼びかけて、市民もそれに協力をして、本当にいいリサイクルが進むようになるのではないか。もしこれができれば、一対一、半分、折半ではなくて、全額自治体に上げてもいいよと事業者の方も言っていただけるんじゃないかなというふうに思います。

富田委員 ありがとうございました。

 残りあと三分ですので、最後に一問。

 レジ袋の有料化が進まない場合に、山本さんたちの全国ネットではレジ袋税を導入すべきだというふうに先ほど最後に御提言いただきました。

 レジ袋の有料化については、崎田参考人から周辺も含めてかなり詳しい意見陳述をしていただいたんですが、今回の制度の中でも、やはり事業者にきちんと取り組んでもらいたいということで、指導助言、社名の公表、そして罰則というような形で、担保措置はある程度整備されたと思うんですね。

 また、レジ袋税というふうに考えた場合に、レジ袋だけを対象とするということが本当に公平なのかどうか、また、その徴税コストが見合うのかどうかというような問題があると思うんですが、そういう問題も踏まえた上で、あえてレジ袋税ということを多分全国ネットの皆さんは提案していると思いますので、今の私の考え方に対してどう思われるか。

 また、崎田参考人の方でも、レジ袋税までいくべきかどうかということについて最後に御意見をいただいて、終わりたいと思います。

山本参考人 おっしゃる、課税のコストもかかってくるのではないかといったところまでは、残念ながら、私たちの調査能力も不十分ですから、不十分な点があるかもしれません。ただ、レジ袋をもし有料化した場合に、年間三百億枚使われているとされていますが、それを一枚五円で有料化すれば一千五百億円、これは一たんは事業者の収入になってしまいます。これが、発生抑制が進んで五〇%減った場合には、百五十億枚の一枚五円ですから、七百五十億円、これが事業者の収入になってしまいます。一たんはこういうふうに事業者の収入になっていってしまう場合に、本当にレジ袋の有料化というのが進むのかどうかということに不安があります。

 これまでのいろいろな事業者の取り組みで見ますと、例えば、生協さんですとかあるいはスーパーさんで、有料化した場合に、組合員に限定してですとか地域を限定して先進的にやっているところは八割から九割のレジ袋の削減効果があるそうですけれども、ほかの手段として、例えばポイント制ですとか幾つか還元方法がありますけれども、その場合の発生抑制効果というのは本当にあるのだろうかといったことは、少し疑問があります。

 このレジ袋税というのも、先ほどのデポジットと同じように強い規定ですから、すぐ導入すべきだというような提案ではなくて、やはりもっともっと事業者の取り組みをきちんと押さえるような、そういうところとして、今回、私たちとしては提案をさせていただいています。ですから、レジ袋税を導入するというのが目的ではなくて、有料化をきちんとしていただいて、発生抑制をしていただきたい。これが、三百億枚が八割九割減って十分の一になるのであれば、その環境負荷の削減効果は物すごく大きいですので、ぜひそういう取り組みをしていただきたいということで提案をさせていただいております。

崎田参考人 ありがとうございます。

 レジ袋税までいくべきかというお話なんですけれども、私は、レジ袋有料化、この仕組みがきちんと定着すれば、税までいく必要はないというふうに思っております。

 一点。私、杉並区の税の状況を、一年ほど前なんですけれども、取材したことがあります。そのときには、このままでいったら税にしますということをきちんとうたって仕組みはつくっているんですけれども、それをもとに市民の、住民やお店のきちんとした取り組みを起こそう、そういうようなきっかけに使っていらっしゃるというような感じに見受けられました。そして今、杉並区の皆さんも、税にいくのではなくて、やはり有料化あるいはもうちょっとそこに向けたきちんとした仕組みで、もっとお店の方と市民がきちんとした取り組みをやっていきたいと思っていらっしゃるというふうに私のインタビューにはお答えになりました。

 よろしくお願いいたします。

富田委員 ありがとうございました。終わります。

木村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会


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