衆議院

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第4号 平成18年12月19日(火曜日)

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平成十八年十二月十九日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 西野あきら君

   理事 石崎  岳君 理事 宇野  治君

   理事 桜井 郁三君 理事 鈴木 俊一君

   理事 竹下  亘君 理事 末松 義規君

   理事 田島 一成君 理事 江田 康幸君

      上野賢一郎君    北川 知克君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君  とかしきなおみ君

      中川 泰宏君    並木 正芳君

      野田 聖子君    橋本  岳君

      藤野真紀子君    馬渡 龍治君

      山本ともひろ君    寺田  学君

      長浜 博行君    松野 頼久君

      村井 宗明君    山田 正彦君

      吉田  泉君    赤松 正雄君

      江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         若林 正俊君

   環境副大臣        土屋 品子君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       小野  晃君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           伊藤  元君

   政府参考人

   (国土交通省航空局飛行場部長)          小野 芳清君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十九日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     橋本  岳君

  加藤 公一君     寺田  学君

  近藤 昭一君     松野 頼久君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     篠田 陽介君

  寺田  学君     加藤 公一君

  松野 頼久君     山田 正彦君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 正彦君     近藤 昭一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 閉会中審査に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西野委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長竹花豊君、法務省刑事局長小津博司君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長小野晃君、経済産業省大臣官房審議官伊藤元君、国土交通省航空局飛行場部長小野芳清君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局長西尾哲茂君、環境省地球環境局長南川秀樹君及び環境省水・大気環境局長竹本和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。

とかしき委員 国会最終日の環境委員会に質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 私は、国会議員になる前に地方議員をしておりましたけれども、そのころから環境問題には興味を持っておりまして、国内外、百都市以上の町を訪れまして、視察マニアというふうに言われておりました。そのときに、ドイツを訪れましたときに、環境運動をなさっている市民の方に直接こんな言葉をいただきました。人が生きるのにふさわしい未来をつくるには、ただ環境の被害におびえていただけでは不十分です、どのように生きたいのかという問いに積極的な答えを私たち自身が出していかなくてはいけない、こういうふうに言われたわけです。

 今や当たり前になった環境問題、この環境対策、最初は一つの自治体や一人の個人あるいは企業の小さなアイデアから始まったものが、それが積み重なって大きな行動になっていくわけです。ということで、私たちは国政に携わる者として、いかに小さなアイデアを吸い取って大きな制度にしていくか、法律をつくっていくべきか、その姿勢が問われていると思います。

 本日は、地球の温暖化を抑えるためには、環境税とか環境ビジネスの育成を今後どういうふうにしていったらいいのか、その点について質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、環境税の導入を環境省は三年連続で訴えていらっしゃいますけれども、その導入の本来の目的は何なんでしょうか。あと、免税などのインセンティブを与える方式よりも、環境税のように、一見ちょっとペナルティーを科すような方法の方がCO2の削減には効果的だ、京都議定書が厳守できるのではないかと環境省が判断なさったその根拠をお示しくださいませ。

西尾政府参考人 環境税に関するお尋ねでございます。

 二〇〇八年から京都議定書の第一約束期間が始まるということで、二〇〇八年は指呼の間でございます。地球温暖化対策は待ったなしの状況にあるわけでございますけれども、我が国の温室効果ガスの排出量、二〇〇五年の速報値で見ましても、一九九〇年比で八・一%増加をしているということでございますので、あらゆる施策を総動員して対策を加速化させていく必要があるわけでございます。

 環境税は、二酸化炭素の排出量に応じて広く公平に負担を求めて、国民、事業者の行動を環境負荷の小さなものへ変えていく、これが基本的な目的でございます。そういうことで、地球温暖化対策を加速するために有効な施策であるというふうに考えているところであります。

 負担を課していくという方向のインセンティブよりは負担を軽減するというインセンティブ、その双方を見てなぜこういう方式がいいのか、こういうお尋ねでございましたが、私どものここまで考えておりました環境税、基本が排出量に応じて公平な負担を求める仕組みでありますけれども、そこにはこういう負担を課すことによって価格のインセンティブ効果が出てくる、それから得られたお金をもちましてこれを対策に有効に使っていく財源の効果、それから国民にこういうことをアピールしていくアナウンスメント効果、三つの効果を通じて、排出削減を進める有効な政策手法だと思っているところでございます。

 いずれにしても、環境税をめぐってはさまざまな議論があるところでありますので、先般まとめられました与党税制大綱でも、総合的に検討するということになっているところでございます。今後とも、十分な検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

若林国務大臣 ただいま局長が御答弁申し上げましたけれども、局長も申し上げていますが、環境税という形で公平な負担を求める仕組み、これはそれなりに有効なものと考えておりますが、そのことと、CO2削減に関して言えば、減税方式というようなものはねらいがちょっと別ですが、効果は別の効果としてそれはそれで非常に有効だと考えておりまして、個別の税の減免によるインセンティブを与える施策として、例えば自動車のグリーン税制が大きな効果を上げていますし、今回実現はできませんでしたけれども、バイオ燃料優遇税制、これは引き続き検討するということになっておりまして、こういう形で、CO2削減に効果のある個別の対策というのはそれなりにまた有効なものと考えております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 環境税は、今検討されているのは、CO2の削減量に課税していくというよりはむしろ今の既存の税の体系の上に上乗せしていくということなので、国民の方からすると非常にわかりにくい。ですから、環境税というのが、CO2をどうしても削減させたいんだというメッセージが国民の方になかなか伝わりにくいのではないかということが言えます。

 ですから、方向性を明確にしていくということと、やはり政策として、人が楽しく参加したくなるような、そしてある程度頑張った人にはメリットがあるような政策にしていった方が、皆さんの協力が得られて前向きにCO2が削減できるのではないか。今回の環境税は、何も税収を上げることが目的ではなくてCO2をどれだけ削減できるかですから、やはり人の心理をうまく使ってやっていく方法の方が前向きでいいのではないかというふうに私は考えております。

 あと、日本が将来どの産業で今後食べていくのかといいますと、多分間違いなく環境産業、世界じゅうが環境政策に取り組んでいかなくてはいけない状況にあるわけです。ですから、経済を犠牲にすることなく環境立国を実現してみせる、これこそが日本の生きる道ではないかというふうに私は考えております。

 ということで、ちょっと時間も危なさそうなので一つ飛ばして、環境ビジネスのことについてお伺いしたいんですけれども、環境ビジネスの市場規模、ここ数年の成長性、今後の将来性、CO2削減の効果がどれだけあったのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

西尾政府参考人 環境省におきましては、環境ビジネスということで、従来の公害防止装置の製造といったような従来型の環境ビジネスだけではなくて、省エネ型の家電製品とかエコファンドなど、環境保全を意識した消費者によって需要が誘発される、そういう意味での環境誘発型のビジネス、そういう広い範囲のものにつきましても市場規模を計算して把握に努めております。

 平成十七年度の試算結果でございますが、二〇〇〇年においては、そういう面での環境ビジネス、四十一兆円であった市場規模でございますが、二〇〇四年で五十一兆円、二〇二五年には百三兆円に上ると見込んでおります。雇用の規模につきましても、二〇〇〇年で百六万人でございましたのが、二〇二五年には二百二十二万人に上るというふうに、将来大きなものというふうに考えております。

 ただ、このビジネスの中身は、今申し上げましたような広い範囲の環境誘発型ビジネスを統計にとったり、あるいはISOの取得とか環境会計といったようなソフトのものとか、あるいは汚染土壌の浄化みたいな過去のものといったようなさまざまなものを統計処理して出しましたので、これを直接、CO2の削減効果に直結して評価することは困難でございます。

 いずれにしても、環境対策の進展と環境ビジネスの発展は相互に強く複雑に関連しておりますので、今後とも相互の関係を分析する方法につきましてはよく研究してまいりたいというふうに考えております。

とかしき委員 環境ビジネスの現状、非常に今市場規模が大きくなっているということがわかりました。ありがとうございました。

 ということで、しかし、日本の環境ビジネスはどうしても官公需に偏重したような事業内容が多くて、純粋な民間ビジネスとしてはなかなか成立しにくい、さらに、環境に優しいとかいう言葉で、どの程度、どれぐらい優しいのかというのが非常にわかりにくいということで、なかなか一般国民の方が評価しにくい、そういう状況にあるわけです。

 では、この環境ビジネスの育成のために実際国が行っている施策はどんなものなのか、そしてその効果をどのように評価なさっているのか、お願いします。

北川大臣政務官 とかしき委員の、環境ビジネスの育成のために国が行っている施策等々についてお答えをさせていただきます。

 まず、環境ビジネスが発展をしていく前提といたしましては、経済、社会のさまざまな面で環境ビジネスを取り巻く状況が熟していくことが必要であると考えております。環境省の方では、環境と経済と社会の統合ということを言っておりますけれども、行政としては、先駆的な取り組みを誘導、拡大することや、企業の環境対応能力や環境マインドを高めることが効果的であると考えておりまして、このため、低公害車やリサイクル施設に対する財政上の支援や税制優遇措置を講じてきたところであります。

 その結果、例えば低公害車についていえば、平成十二年度のシェアが〇・九%であったものが、平成十六年度におきましては六七・六%となる結果を得ております。また、グリーン購入の促進をいたしておりますけれども、これは環境保全に配慮した商品のシェア拡大に役立っており、例えばコピー用紙等々につきましては、古紙パルプ一〇〇%のものの市場における割合が平成十二年度の一一・六%から平成十六年度の三三・五%に伸びているなど、着実な成果を上げております。さらに、環境マネジメント効果を上げる点からは、環境会計や環境報告書のガイドラインが環境ビジネス発展、強化のために着実な基盤を与えるものとなっております。

 いずれにいたしましても、企業や国民各層の理解と協力を求めながら、脱温暖化、省エネルギー社会を目指して環境負荷の少ない産業を応援していくというか、目指していくことが重要であると思っておりますので、そういう施策を今後進めていきたいと考えております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 最近、民間の方でも、こういった環境ビジネスをサポートしていこうという、今お話しいただきましたけれども、出てまいりまして、例えば東京商工会議所の環境社会検定、eco検定、第一回がついこの間、十月十五日に行われまして、一万三千人が受験をいたしました。これは、この合格者が自分の企業の過半数を超えると企業の融資を受けられる、企業の融資条件の一つになるというようなことなんですけれども、こういった民間の力で環境ビジネスを育成していこう、環境に取り組んでいる企業を応援していこう、そういう動きが今徐々に出てきているんですけれども、国としてこういう動きをどういうふうにバックアップなさっていこうとお考えなのか、お示しください。

土屋副大臣 今御紹介あったeco検定ですけれども、本当に大勢の方に参加していただいて、第一回目が成功したと思っております。これは、もとより環境省としても、準備段階から相談を受けながら、一緒にイベント協力をしてまいりました。今後、このeco検定のようなものが順調に進むようにまたさらなるバックアップをしていきたいと思います。

 そのほか、環境省としては、人材育成のために、環境カウンセラーなど、環境に取り組む事業者にアドバイスを与えることができる人材を登録とか公表して、事業者への支援を促進する等の事業、また環境分野でのベンチャービジネスを育成するための表彰やアイデアの募集、それから、今回予算要求をしております中にありますけれども、環境ビジネスに対する投融資を行うコミュニティーファンドの支援を加えまして、今後、環境ビジネスの育成、促進をしていきたいと考えております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 こういった民間の動きが出てきているんですけれども、環境ビジネスの現状を見ますと、普通の企業の例えば基礎研究、開発、そして製造、販売、PR、大体大きくこの五段階で事業を進めていくんですけれども、特に環境ビジネスで弱いのが後半の販売促進とPR、ここがすごく力が弱くて、結局事業として収益性が成り立たないということが多いわけです。ということで、販促、PRを今後どういうふうに育成していくのか、サポートしていくのか、これもぜひ民間とともに国としても研究していただきたいなというふうに思います。

 そこで最後に、そろそろ時間もあれですので、お伺いしたいんですけれども、環境ビジネスを今後育成していくために方向性と評価基準を明確にしていく必要があるのではないかというふうに考えております。私自身は、その方向性、先ほどから言いましたように、地球温暖化をいかに抑えていくのか、そして評価基準とすればCO2がどれだけ削減できたのか、これをいかに明確化していくかが大切だというふうに思っております。

 環境省は、今お話しいただきましたように、環境ビジネス、いろいろな形で直接サポートしていただいているわけですけれども、むしろそのサポートを今度ステップアップするために、CO2が一体どれだけ削減できたのか、それをきっちりと数値化してあげる、例えば四季報の中に自分の会社のプロフィールを出したときに、自分の会社の技術でどれぐらいCO2が削減できたのか、もしくは自分たちの事業努力によってどれだけ削減したのか、その数値がはっきりわかるようにしていく、CO2削減を数値化する、これをぜひ方向として示していく必要があるのではないかというふうに考えております。

 ですから、企業活動の評価基準をつくる方にこれから予算を割いていただいて、そして民間の力をしっかりと評価して、そして環境ビジネスを育成していく。従来の形のように小さな事業に一つ一つ補助金をつけていく、そういうやり方ではなくて、むしろ評価基準をしっかりしていくことが環境ビジネスを育てる上では有効ではないかというふうに考えております。

 さらに、世界の中で、CO2削減、みんな言っているんですけれども、どうやって削減していいのかわからないということと、評価基準がまだ全然世界じゅうどこの国もしっかりと出ていないわけですから、逆に日本国として、国としてここをしっかり評価軸をつくればここにもビジネスチャンスが生まれてくるのではないかな、そして環境ビジネスを育てることによって日本が世界に貢献できる、そういったことが今後期待できるのではないかなというふうに私は考えております。

 ということで、最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、評価軸、CO2をどれだけ削減できたのか、これを数値化するということを私は提案させていただいておりますけれども、大臣に最後に御所見をお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 環境と経済との好循環を推進していく、そして持続可能な社会を実現していくということのためには、おっしゃるように環境ビジネスというものを前面に押し立てた振興、発展は重要な要素だと考えております。

 環境ビジネスの振興、発展の方向というのは、その方向性として幾つかのことが考えられますが、補助金を出すとかというような御指摘がございまして、それよりも評価基準というようなことを明確にするというお話がございました。

 ただ、全体としていえば、行政がその方向性を明らかにして、初期的な段階には初期的支援を行うというようなことも必要な場合があるだろうと思っておりますし、民間の創意や工夫、技術や資金による積極的な取り組みを進めていくための金融上の措置だとか、あるいはまた環境に配慮した財やサービスを市民が選択可能なような、そういう意識を高めるための措置だとか、そんなことを総合的に考えていく必要があると私は思います。

 御指摘がありましたように、企業活動が環境に及ぼす影響の評価基準をつくるということは、今申し上げたような、どの面の取り組みにも基本となるわけでありまして、前提になる重要な事項だと考えております。

 国会の方の御了解をいただき、御同意をいただいて、特にCO2については、地球温暖化対策の推進に関する法律の改正を認めていただきました。この中で、温室効果ガスの算定・報告・公表制度が導入をされました。来年度から温室効果ガスを多量に排出する事業者には温室効果ガスの排出量の報告を義務づけておりまして、これによって事業者による温室効果ガスの削減に関する取り組みが社会的に評価されることになると思いますし、その報告に当たっての報告の基準というようなものを明らかにすることにしております。

 また、CO2排出の指標以外にも、例えば環境報告書ガイドラインといったようなものにおいては、廃棄物などの総排出量や総排水量を指標化できるようにしているところでもあります。

 今後とも、こうした企業の取り組みを評価する手法をさらに開発普及することによりまして、この動きを積極的に進めるよう取り組んでまいりたいと考えております。

とかしき委員 ありがとうございました。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 ただ、産業を育てていくときには、やはり国というのは、私は旗振りが必要だと思うんですね、こちらの方向に走っていくべきだと。ただ単に、環境ビジネス頑張ってください、応援していますという形よりは、どういうビジネス、環境ビジネスの中でどの部分を一番強化してほしいのか、それをやはり明確に国として示していく必要があるのではないかなと私は思っております。

 CO2を削減するのが大変喫緊の問題になっておりまして、これを世界じゅうでどう取り組んでいくのかということが今後問題になってまいりますので、国としてぜひCO2削減をという明確なメッセージを国民に発していけば、より一層環境ビジネスが大きく育っていくのではないかなと私は思っております。ぜひ御検討をお願いいたしたいと思います。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょうは、国会の最終日にこうして環境委員会で質問させていただきますこと、委員長並びに各党理事、委員の皆さんに心から感謝を申し上げる次第でございます。

 さて、大臣、昨今、四十一万匹とも三十九万匹とも言われていますけれども、ペットを含む犬や猫が殺処分されている、こういう記事が随分出ております。私は、この記事を見まして非常に心を痛める、何とも言いがたいような気持ちになるわけでございます。ぜひ、この三十九万匹、四十一万匹と言われている犬や猫を一匹でも助けていきたいという思いで今おるんです。そこで、環境省の取り組みについて、きょうは幾つか質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 資料の三枚目をちょっとごらんいただけますでしょうか。資料三と書いてあります。

 たまたま私の地元の熊本の話であります。熊本県は、実は全国で殺処分率ワーストファイブに入ると言われている自治体であります。そして逆に、ごく近くにあります熊本市、これは全国でトップレベルの生存率を誇る自治体なんです。この熊本市と熊本県のシステム、何で違うんだろうかということを実は考えておりましたらば、熊本市は、この資料にあるような形で、少しでも里親を探そうということでやっております。熊本県は、収容したらば、二日の告示後に、三日目に処分をしている。何でこういう形になるのかなと思って法律を調べました。

 まず、環境省としても、資料の一枚目に出ているように、この殺処分、大臣が示された基本指針の中で、まず、四十二万匹のうちの九四%が殺処分されていることから、さらなる改善が必要とされている。一番最初のアンダーラインのところです。この現状に対して講ずべき施策として、次の下のアンダーラインが引いてある、「安易な飼養の抑制等による終生飼養の徹底等により、都道府県、指定都市及び中核市における犬及びねこの引取り数を半減するとともに、元の所有者等への返還又は飼養を希望する者への譲渡等を進めることによりその殺処分率の減少を図ること。」というのがあります。

 もう一枚めくっていただければ大変ありがたいと思いますが、動物の愛護及び管理に関する法律によって、第三十五条、地方自治体は、その犬や猫を引き取らなければならない、ここから落とし込んだ措置、告示ですね。

 右側に行きますと、「第一 犬及びねこの引取り」というところの四、都道府県は、引き取った犬または猫について、所管する市町村長に対して、狂犬病予防法六条八項の規定に準ずる措置をとるように協力を求めること。ここでは、狂犬病予防法の措置で対処しろということが書いてあるんです。

 その同じペーパーの下の段、「第三 保管、返還及び譲渡し」には、三に、「所有者がいないと推測される保管動物、所有者から引取りを求められた保管動物及び所有者の発見ができない保管動物について、」「適性があると認められるものについては、その飼養を希望する者を募集する等により、できるだけ生存の機会を与えるように努めること。」そして次に、「施設における保管の期間は、できる限り、保管動物の所有者、飼養を希望する者等の便宜等を考慮して定めるように努めること。」

 要は、動愛法の規定では、できるだけ生存率を高めて、そして、希望する者に対して返却できるような状況にしなさいと言っているにもかかわらず、その同じ告示の中で、狂犬病予防法の措置に準ずるということで、その下に狂犬病予防法がついておりますけれども、抑留に関しては二日間の公示をしなければならない。一つは狂犬病予防法であり、一つは動愛法の中でやる。この二重の解釈が熊本市と熊本県の運用の仕方に違いが出ているわけです。

 大臣、このことについて、いかが思われますでしょうか。

若林国務大臣 委員は、動物、とりわけ愛玩動物について大変な関心をお持ちでございまして、動物愛護を広く徹底しようという御努力をいただいていることに敬意を表したいと思います。

 私も、個人的には、小さいときから犬を飼育してきておりまして、今、議員宿舎に入ってしまいましたし、地元に置いておくわけにいかないので、孫に預けてきているところであります。

 やはり動物を飼育するということは、教育的にもまた社会全体のいやしのためにも非常に大事なことでありまして、そのような動物が、今おっしゃられたような経過を経て大量に殺処分を受けるというのは痛ましいことでありますし、このようなことは社会的にも教育的にも望ましいことではないという基本の理念は共有していると思います。

 引用されました狂犬病予防法の規定の読み方につきまして、確かに、ここに書かれたように出ているために、狂犬病予防法の中の、いただいた資料の八項にあります、「市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、その旨を二日間公示しなければならない。」ここにあるこの二日間というのが、二日間すれば殺処分してもいいんだというふうに理解されるおそれがあるんですね、この書き方は確かに。

 しかし、実際の施設で保管をして、保管動物の飼養を希望する者を探すというような便宜を考慮することについては、その期間はできるだけそういう便宜を考慮して定めるというふうになっておりますから、全国的に見ると、熊本市と熊本県の違いがありますように、理解しているところでは、一週間とか十日とか、そういう期間をとっているところがかなりあるんですね。しかし、全体で見れば、三日、四日というのが半分を超えているというのが全国的な傾向でもあります。

 このことは、熊本県など、この狂犬病予防法の二日間公示しろというのは公示に意味があったということをもう少し徹底する必要がある、そのことがわかるように、このことは二日でいいんだということを言っている意味ではないということを周知するように努力しなきゃいかぬと私は思っております。

松野(頼)委員 もう一回、資料三を見ていただきたいと思うんです。

 例えば、保管期間の公示、熊本市は毎日しているんです、熊本県は保管期間の公示をしておりません、ホームページも、熊本市は出しています、熊本県はありません、譲渡の有無、これは熊本はしております、熊本県はしておりません等々、動愛法で規定されているものをやっているところとやっていないところがあるんですね。

 これは、明らかに政府として、一つの犬を捕獲したというところで動愛法と狂犬病予防法と二つの法律が同時にかかっているわけですよね。ですから、その法律を一回ちょっと整備していただいて、動愛法で対処するのか、狂犬病予防法で対処するのかというまず線引きをぜひきちっとしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

若林国務大臣 法の趣旨、目的が違いますので、どういうふうに整理をしたらいいかということについて、今お尋ねにちゃんとお答えはできませんけれども、少なくとも、動物愛護及び管理のこの法律の方は、先ほどお話ししましたように、管理基本指針にありますように、その動物の飼育を希望する者への譲渡を進めるということに十分配慮してやらなきゃいけない、そういうことが基本ですから、狂犬病予防法を引いているこの部分というのは、むしろ公示をするということ、準じてというのは、二日間ということに意味があるのではなくて、公示をするということに意味があると私どもは理解しておりますので、その点についての理解が十分でないという御指摘につきましては、狂犬病予防法の運用と動愛法の運用との関係の整理をしまして、趣旨を徹底させなきゃいけないと思っております。

松野(頼)委員 どうもありがとうございました。自治体に対して、そこは政府内で少し整理をして、ぜひ徹底をしていただきたいと思います。

 そして、きょうは菅原政務官いらっしゃっているんですけれども、例えば狂犬病予防法では、生後三カ月以内、要は九十日までの犬に関しては、狂犬病予防の接種義務はありませんね。ということは、狂犬病予防法の世界では、九十日に満たない犬を捕獲はしなくてもいいわけですね。それをちょっとお答えください。

菅原大臣政務官 今、松野先生御指摘のように、三カ月未満の犬については抑留の対象となっておりません。

松野(頼)委員 そうすると、生後三カ月未満のペットがそこを歩いていたというときには、環境大臣、どのように対処したらいいんでしょうか。

若林国務大臣 率直に申し上げて、今の御質問にお答えする準備ができておりません。

松野(頼)委員 ですから、その辺の線引きがはっきりしていないんですよ。

 例えば、熊本市の動物愛護センター、私も先週の土曜日に見てまいりましたけれども、約三十匹いる中の二十匹は今子犬なんです。多分、生後三カ月に満たない子犬なんですね。それが、例えば狂犬病予防法の世界で抑留をされて、もし三日以内に処分をされているとしたらば、これは動物愛護法の精神とは相反するものなんですね。そこのところをちゃんと自治体に周知徹底をしていただきますことをちょっとお答えいただけますでしょうか。

若林国務大臣 生後三カ月以内で狂犬病予防法上の規制でないものは、当然動物愛護の法律の趣旨に従って取り扱われなければならないということだと思いますので、それらについて趣旨を徹底して、保護をしていく、あるいは新しい飼育者を探すというような対象であることを明らかにする必要があると思います。

松野(頼)委員 どうもありがとうございます。

 それともう一つ、動物愛護法の中で、例えば次の資料の四をごらんいただければと思うんですが、「保管動物の飼養を希望する者の募集は、近隣の都道府県知事等との連携を図りつつ、できる限り広域的に行うように努めること、この際、保管動物に関する情報の提供については、インターネット等の活用により広域的かつ迅速に行われるように努めること。」とあります。

 まず、そのインターネットというのを環境省では約八カ月前につくったと言われていますけれども、その対象である各都道府県及び政令指定都市及び中核都市という、この対象である自治体に対して何自治体接続されているんでしょうか。

若林国務大臣 対象となる自治体九十九のうち、十三自治体というふうに承知しております。

松野(頼)委員 この自治体の数で動物愛護法を一生懸命やっているんだ、基本指針に対して頑張っているんだということが言えるのかという、このことは私は少し疑問ではないかというふうに思うのと同時に、資料四の次のページをごらんください。

 これが十三の自治体につながっているホームページ、環境省がつくっているホームページですけれども、今読み上げた、各知事、都道府県は連携をとって広域的かつ迅速にと書いてあるんですが、このホームページのちっちゃいところに「当該自治体在住者以外への譲渡は行っていません。」と、全く逆のことをされているんですね。これをごらんになっていかがでしょうか。

若林国務大臣 こちらがこう決めているわけではありませんけれども、それぞれの自治体の方の事情でこのような取り扱いになっているということを注で明らかにしたものであります。

松野(頼)委員 いや、これは違いますよ、大臣。これは環境省の問題ですよ。犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置では広域的にインターネットで募集をしなさいと書いていながら、環境省のホームページでは当該自治体以外への譲渡は行っていませんという注意書きが書いてあることを今伺っているんです。

若林国務大臣 これは、環境省がこのように決めて行わないというのではなくて、事実関係として、その自治体がそれ以外のものへの譲渡は行っていないという事実をここで表示したということでございます。

松野(頼)委員 ただ、その自治体が当該自治体以外に譲渡することは行っていないというふうに決めている、これは法の精神と自治体の運用がずれているんじゃないですか。もう一回、伺います。

若林国務大臣 おっしゃること、精神がずれているんじゃないかということについては、私もそう思います。

松野(頼)委員 きのう、実はヒアリングをしていたときに、動物愛護法に関して、自治体さんの判断で自治体さんの判断でということを非常に強くおっしゃっていたので、この資料の最後のページ、十二というのをつけております。

 これは動愛法というよりも地方自治法の一般論の話ですけれども、「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。」これはあり得ない話なんですよ。法が上なんです。その範囲内で地方の行政事務というのは行われるというのが、これはもう当然のことでありまして、どうもその説明を受けていたときに、動愛法は議員立法ですからみたいな話もあって、非常に自治体に対しての周知徹底が行われていないというか、自治体の判断で、自治体の判断でという対処をされているんです。

 ですから、政令指定都市及び都道府県及び中核都市という同等の流れの中で、熊本市の対応と熊本県の対応がばらばらになっているということも行われているわけでありますし、インターネットの接続に関しての対応に関してもばらばらになっているということであります。ぜひそこのところは改善をしていただきたいのと同時に、各自治体に対してこの動愛法の精神を周知徹底していただきたい、このことをお願いするところでございますが、大臣、一言お願いします。

若林国務大臣 おっしゃるように周知徹底しなければならないと思います。ただ、これは、御承知のように、地方の固有事務というふうに地方分権のときに整理をしていますから、指示、命令はできないんです。ただ、法律に従って適正な措置をしてもらえるようにということの指導的な行政措置は必要だと思います。

松野(頼)委員 いや、そんなことはないと思いますよ。当然、地方自治の各自治体がつくる条例というのは法律の範囲内で運用をしなければいけない、これはもう当たり前の話なんです。動愛法というのは国がつくった法律でありますから、この法律と違う自治事務をしている場合には、それは国からちゃんと指導しなければいけない、これはもうこの動愛法に限らず当然のことだと思います。ぜひそこのところは周知徹底をしていただきたいということ。

 もう一度、資料の二を見ていただきたいと思います。動物の愛護及び管理に関する法律の第三十五条の六番目、「国は、都道府県等に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、第一項の引取りに関し、」星印がついているところです、「費用の一部を補助することができる。」というふうにあります。きょうが予算の原案公示でありますけれども、今年度、幾らの予算を計上されましたか。

若林国務大臣 昭和五十九年度からこの国の直接的補助制度は行っておりません。したがって、来年度も計上しておりません。

松野(頼)委員 大臣、環境省として告示されたこの基本指針、殺処分率を低下させる、そして引き取り数を半減させるという大目標のために、その政策実行のために予算が伴わないで政策実行できるんでしょうか。本当に、これはぜひ予算を要求して、各自治体に対して予算を出すかわりにきちっとこの法律を守るような指導をぜひ私はするべきだと思うんですけれども、大臣、その辺の所見はいかがでしょうか。

若林国務大臣 直接的な補助制度を復活させるかどうかということについてはなお検討はしていかなきゃいけないと思いますが、少なくとも、地方自治体全体に及ぶ動物愛護の仕組みの運用に関することでもありますから、地方交付税の中の明確な算定基準の中にこれを盛り込んでいくような措置を講ずるなど、総務省の方と十分協議していきたいと思います。

松野(頼)委員 大臣、これは環境省としての覚悟の問題なんですよ。この四十一万匹と言われている犬、猫の殺処分を本気でこの基本指針にのっとって半減をさせる、また減少させるというお気持ちがもしあるのであれば、きちっと予算を計上して、この政策の実現に対して本気で取り組んでいただきたい。もう一回答弁をお願いします。

若林国務大臣 委員の方から強いそのような御要請があり、御指摘があったということを踏まえて検討していきたいと思います。

松野(頼)委員 まだ若干時間があるので質問を続けさせていただきますが、菅原政務官にちょっと伺います。

 資料の十、狂犬病予防法の第四条で、犬の登録について、手数料が以前あったんです、最後幾らかわかりませんが、二千円程度だったかというふうに思いますけれども、この手数料が、この資料の十の左側、狂犬病予防法百七十三条で、平成十一年に二十二条は削除されているんですね、犬の登録手数料が削除されて、この手数料は今でも取っているんですけれども、一般財源に組み込まれております。これは、創設された当初は、狂犬病予防法について、この目的達成のために用いられなければならないという非常に使い方を限定したお金だったんですけれども、これが一般財源に組み込まれていて、財源が非常になくなっているという状況。ぜひ、なぜこれを削除されたのかというのをお答えいただければと思います。

菅原大臣政務官 ただいま松野先生の御指摘、御説明がございましたように、狂犬病予防法第四条に基づいて、犬の登録に要する手数料につきましては、法制定当時は、同法に基づいて、都道府県等が徴収した手数料はすべてこの法律の目的達成のために用いると規定をされておりました。そして今、十一年の、いわゆる地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の制定に伴いまして、翌十二年から、この犬の登録事務が市町村の自治事務とされました。当該規定については削除されたわけでございまして、この手数料の具体的な内容については、その後、各市町村の条例によって規定をされております。

 したがいまして、各市町村における登録手数料の使途につきましても同様に各市町村の判断にゆだねておるところでございまして、基本的には登録事務のための経費についても厚生労働省としてはそこに使われていると認識をいたしております。

松野(頼)委員 もう時間になりましたので質問を終わらせていただきますが、本当にきょうはこういう機会を与えていただいてありがとうございました。また来年の通常国会でもこの話題は引き続き行いたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 きょうはありがとうございました。

西野委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 民主党の吉田泉です。よろしくお願いします。

 私の方からは、産業廃棄物の不法投棄、特に、その後始末の問題についてお伺いをいたします。

 平成十年のころがピークでありましたが、豊島、それから青森、岩手の県境、さらには岐阜と、大変大きな不法投棄が発覚をいたしました。法制上もそれなりの対応がとられてきたわけでありますけれども、現実は一体どの程度その後始末がなされたのか、環境の汚染の心配はないのか、そういう問題意識でございます。

 最初に、現在の状況についてですが、お手元に一枚資料を配付してもらいました。これはことしの十一月末に出た環境省の資料ですが、日本全国で不法投棄、これは十トン以上の案件だそうですが、どのぐらいあるのかという数字が出ております。件数でいいますと二千六百七十件、残存量でいきますと千五百六十七万トン、こういうのが十七年度末の数字であります。十六年度末の数字と比べると、十六年度末が残存量千五百八十万トンでしたので、ほぼ横ばい、ほとんど変わらずという数字が出ました。

 そこで、もう少し長期的に見て、十年ぐらいの単位で見て、一体この日本の不法投棄の残高というのはどういう傾向になっているのか、お伺いします。

由田政府参考人 お答えさせていただきます。

 産業廃棄物の不法投棄などの残存量の統計につきましては、平成十四年度分からとり始めたものでありまして、過去四年の推移は、平成十四年度末の一千九十六万トンに対しまして、先ほど御指摘のありました平成十七年度末には一千五百七十万トンとなっております。

 統計をとり始めて四カ年でありまして、この四カ年を見ると増加をしておりますが、統計データも少なく、このデータのみで長期的な推移を分析することはなかなか困難ではないかというふうに考えております。

吉田(泉)委員 この二千六百七十件の中身も資料を要求いたしました。そうしたところ、大型の案件、十万トン以上なんですが、大変大型の案件表というのをいただきました。二十四件載っておりました。その中で、平成十七年度中に少しでも撤去が進んだということになっているのが八件なんですね。残り十六件は撤去進まずという資料をいただきました。

 それから、別の資料で、昔のといいますか、平成十年以前、産廃特措法の対象になるような古い案件について後始末の状況を聞いたところ、その資料によると、累計の撤去率、今までやってきた撤去率は七%だ、九三%がまだ撤去されずに残っている、こういう数字をいただきました。

 そこで、その数字だけ見ると非常に撤去が進んでいないというふうに見えるわけですけれども、実態はどういうものなのか、お伺いします。

由田政府参考人 廃棄物処理法におけます支障除去等の事業につきましては、生活環境保全上の支障の除去を目的として行われるものでありまして、廃棄物の種類、性状や現地の状況などに応じまして、都道府県が、撤去、あるいは原位置での浄化、あるいは覆土などの各種の方法から合理的なものを選択いたしまして、実施することになっております。

 御指摘の、大規模案件二十四件ということであります。これは、平成十年六月以前、いわゆる新しい措置命令、それから原状回復制度が始まる以前に不法投棄などされた事案が二十四件中二十一件でありまして、平成十年六月以降に不法投棄などの不適正処理が実行されましたものが三件ということであります。

 このうち、生活環境保全上支障がないとされております四件を除く二十件について見てみますと、御指摘の、撤去による事業の実施中のものは、一部撤去も含めまして八件ということでございます。それから、覆土、水処理等によります事業実施、あるいはその検討中のものが三件でございます。それから、措置命令などを実施中のものが五件ということであります。調査中でありますとか行政指導中であるものが四件となっておりまして、いずれの事案につきましても対応が進められている状況であります。

吉田(泉)委員 いずれの案件、二十四件についても進められているということなんですが、環境省の資料を見ただけでは、どの程度その後始末が進んでいるのかがなかなかわからないということだと思います。税金も入っています。それから産業界の基金出捐も使って代執行をやっているわけですから、一体どのぐらい毎年進められているんだというデータ、もう少しわかりやすいデータを私は国民に示す必要がある、説明責任がある、そういうふうに思います。ぜひ、データの整備をもう少し工夫していただきたいということであります。

 そこで、ちょっとこれは追加質問なんですが、考え方だけお聞きしておきます。

 この二千六百七十件、不法投棄があるんですが、具体的な案件名が公表されません。都道府県等と公表しない約束になっているというのが理由だそうですけれども、情報公開がここまで進んできて、これはいつまでも果てしないというのはいかがなものか、その後始末を促進するためにも情報公開の方向で見直すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

由田政府参考人 行政処分あるいは措置命令等に関しましては、私どもとしましては、都道府県に対しましてはできるだけ速やかに公表するようにという指導はいたしておりますが、都道府県にさまざまな事情がございまして、中には、行政指導中であるということで、まさに原状が回復しそうだということで公表を避けようとするような場合も見受けられます。

 私どもとしましては、都道府県に対して、やはり、行政処分を速やかにやり、それを公表すべきという立場をとっておりますので、今委員の方の御指摘のありました方向で検討してまいりたいと思います。

吉田(泉)委員 不法投棄は犯罪行為ですので、行政指導でまあまあというわけにはいかないと思います。ぜひ公開の方向で検討していただきたい。

 少し飛ばします。次に、環境省から出た通知の件であります。

 不法投棄の後始末は地方自治体の自治事務ということであります。そして、国はそれを財政的、技術的に支援するという位置づけになっているわけですが、去年、十七年の八月、環境省から都道府県等に対して通知が出されました。行政処分の指針についてという四十ページ余りの大変分厚い通知であります。中身は、地方自治体の不法投棄の後始末の姿勢が生ぬるい、もっと積極的かつ厳正な行政処分をせよ、すなわち、原状回復命令を早く的確に出せ、そういう趣旨だと思うんですが、そういう通知が去年の夏に出された背景についてお伺いします。

由田政府参考人 お答えさせていただきます。

 一部の自治体におきましては、かつて、不適切な廃棄物の処理を行った悪質な業者に対しまして、厳格な対応をとらず、いたずらに行政指導を繰り返すにとどまっているなどの運用が見受けられました。その結果、悪質な業者の営業継続を看過することになりまして、断固たる姿勢で行政処分を講じなかったことが大規模な不法投棄あるいは不適正処理事案を発生させ、廃棄物処理行政に対する国民の不信を招いた大きな原因となっていたのではないかというふうに当時も考えておりました。

 そこで、環境省といたしましては、都道府県などが悪質な業者に対しまして、廃棄物処理法に基づき徹底した厳格な行政処分を行うことを確保するために、平成十二年の廃棄物処理法の改正を機としまして、平成十三年五月十五日に行政処分の指針について示したわけであります。先ほど委員の御指摘されたこの行政処分の指針を出した背景というのは、まずこれにございます。

 その後、平成十三年以降、規制の強化を図るため、何度かこの廃棄物処理法の改正が行われました。特に、例えば、取り消し処分の規則化というふうなことも十五年改正でやらせていただきました。あるいは、十七年改正では、不適正な手段による処理業の許可を受けた場合の対応も講じさせていただきました。このような廃棄物処理法の改正を踏まえまして、より具体的かつ適正な運用を確保するために、十七年八月に行政処分の指針を改正させていただきました。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。

 今までのお話ですと、後始末の現状について、私は、一つは進捗状況がよくわからないという問題を先ほど申し上げました。それから、どうもやはり地方自治体の姿勢が消極的であるというのが現状だろうと言わざるを得ません。

 ところで、この法律によりますと、都道府県知事が措置命令、支障を除去せよという命令を出すことができる場合は、生活環境の保全上の支障またはそれが生ずるおそれがある場合ということになっております。

 そこで、これが支障があるのかないのか、それを判断する実際の基準というのはどういうことになっているものか、そして、支障がないと判断された場合はその不法投棄されたものは結局どうなるものか、教えていただきます。

由田政府参考人 生活環境保全上の支障といたしましては、例えば廃棄物の飛散、流出、水質汚濁、土壌汚染、大気汚染、悪臭、害虫発生のほか、火災や崩落など、さまざまなものが考えられます。その判断は、当該土地の利用形態でありますとか周辺環境など、個別具体的な事情に大きく左右されますことから、国による一律の基準設定にはなじみにくく、一律の基準を設けた場合、かえって都道府県の積極的、柔軟な対応が妨げられるおそれがあると思われます。

 一方、支障がないと判断された場合におきましては、都道府県等は、廃棄物処理法に基づきまして措置命令等の特段の措置を講ずることはございませんが、土地の所有者等の要請を受けて、実行者等に対して撤去等を行うような行政指導をする場合があるものと承知をいたしております。

吉田(泉)委員 そうしますと、全国一律の具体的な基準はないと。自治体が支障がないと判断した場合は、その不法投棄されたものが場合によっては永久にそこに放置されるということだろうと思うんですね。結局、廃棄物ですから、本来ですと処分場で処理されなければならぬものが、不法投棄されたことによって、ごく普通の土地に永久に置かれっ放しになるという心配があるわけです。望ましくない状態が続くということになりますので、支障があるという範囲を極力広く考えて代執行の対象にしていくというのが、私は本来の姿勢でないかなというふうに思います。

 それから、続いて、お配りした資料の中で、ちょっと一点、二点お伺いします。

 この二千六百七十件、不法投棄の案件が残っているわけですが、このうち、その上に書いてありますが、二千百四十二件、大体八〇%です、全体の八〇%が支障等が不明確であるということになっておりますが、これはどういうことなんでしょうか。調査がまだ済んでいないということなんでしょうか。

由田政府参考人 平成十八年三月末におけます残存事案のうちで支障等不明確とされている事案二千百四十二件につきましては、そのすべてにつきまして何らかの調査が行われております。また、二千百四十二件のうち、行政指導中であるものが千二百七十八件、残りの八百六十四件につきましては、原因者が不明であるもの、あるいは新規が優先されるもの、あるいは支障なしと判断されたものがございます。

吉田(泉)委員 もう少し実態に合った表示、全体が不明確じゃないということなら、何かそういう表示の工夫があってしかるべきじゃないかなというふうに思います。

 それから今度は、支障がある方、五百二十八件、このうち措置命令が出たのは八十七件ですが、そうしますと残りが四百四十一件になります。大体八割方は支障があるとわかったんだけれども、まだ措置命令が出ていないということだと思いますが、その実態をお伺いします。

    〔委員長退席、竹下委員長代理着席〕

由田政府参考人 平成十七年度末におけます残存件数のうち、環境保全上の支障などがあると判断されました五百二十八件から措置命令発出済みである八十七件を差し引きました四百四十一件につきましては、行政指導あるいは立入検査中であるものが三百七十七件、八五%を占めております。原因などにつきまして調査中のものが六十四件、一五%となっておりまして、すべての事案につきまして、都道府県などにおきまして何らかの対応が進められているところであります。

吉田(泉)委員 よくわかりませんでした。調査中もある。いずれにしても、支障があることがはっきりしたわけですから、余り余計な理由を考えずに、即刻命令を出すというのが本来の姿勢じゃないかなと思います。

 それから、次の質問は、国が財政支援している事業が六十八件あります。産廃特措法それから廃棄物の処理法、この二つの法律にのっとってお金を出している事業が六十八件あります。

 そこで、ちょっと全体像がわからないものですから教えていただきますが、六十八件全体で事業費というのはどのぐらい見ているものなのか。そこで国はそのうちどのぐらいのお金を支援することになっているのか。そして、その財源は適正処理推進基金というものから出すことになっているわけなんですが、その残高はどのぐらいあるものなのか、教えていただきます。

由田政府参考人 御指摘の、国の支援対象となっております六十八件の事業のうち、平成十年六月以前の事案八件につきましては産業廃棄物特別措置法に基づきまして、それから、平成十年六月以降の事案六十件につきましては廃棄物処理法に基づきまして、適正処理推進基金よりそれぞれ支援が実施されております。

 その事業費につきましては、平成十七年度末までの累計といたしまして、産業廃棄物特別措置法関係で約百四十八億円、廃棄物処理法関係で三十二億円、合計約百八十億円となっております。そのうち、国などが造成いたしました適正処理推進基金からの支援額といたしましては、産業廃棄物特別措置法関係で約七十億円、廃棄物処理法関係で約二十四億円、合計の九十四億円であります。

 基金残高としましては、平成十七年度末で、産業廃棄物特別措置法の関係で約六十七億円、廃棄物処理法関係で約十二億円、合計の約七十九億円となっております。

吉田(泉)委員 今の数字は、これまでに使われた事業費、支援費ということですね。私がお伺いしたかったのは、これからも含めて全体で一千億円とちまたでは言われておりますが、もしくはそういう計画だったそうなんですが、その数字を確認したかったわけなんです。

 もう時間もないので、最後の質問に、大臣にお伺いしたいと思いますが、不法投棄の後始末、多くの国民、住民が心配しているんですね、随分ほったらかしになっているんじゃないか、いずれこの汚染が生活に影響してくるんじゃないかと。ところが、なかなか地方自治体が積極的な姿勢を示しているとは言いがたい状況が続いている。理由は、結局、財政上の負担が一部、地方自治体にあるということが大きいんじゃないかなというふうに私は思います。

 それから、国が補助する基金も今七十九億円ということですが、全体一千億とか、そういう事業規模に比べると極めて少ない。ここも何か補強する必要があるんじゃないかというふうに思っておるんですが、そんなことも含めて、今後の国の支援姿勢について、大臣の所見をお伺いします。

若林国務大臣 不法投棄対策につきましては、これまで数次にわたって廃棄物処理法の改正をお願いし、罰則の強化、排出事業者の責任強化の対策を進めてまいりました。同時に、電子マニフェストの普及、優良事業者の育成や監視体制の充実強化等を鋭意進めているところでございまして、十六年六月十五日に不法投棄撲滅アクションプランというものを掲げました。そのアクションプランにおきまして、五千トンを超える大規模事案を平成二十一年までにゼロにするという目標を掲げまして、対策を強力に進めているところでございます。

 また、発生してしまった不法投棄等について、都道府県などが支障の除去を行う場合には、廃棄物処理法に基づいて、御指摘がございましたように、基金を通じた財政的支援、現場の調査や関係法令等に精通した専門家集団の派遣などの技術的支援を行っているところでございます。

 今後とも、都道府県などから支援要請がありました場合に的確にこれにこたえられるように、引き続き、財政的、技術的支援に努めてまいりたいと考えております。

    〔竹下委員長代理退席、委員長着席〕

吉田(泉)委員 都道府県から支援要請があれば積極的に支援したいというお話でしたが、確かに、この後始末の仕事は地方の自治事務ではあるんですが、法律改正によって環境大臣に指示権限が付与されているわけであります。権限があるということは、責任と裏返しになるということだと思いますので、ぜひともしっかり支援をしていただきたいとお願いいたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、長浜博行君。

長浜委員 長浜博行でございます。

 きょうの朝のNHKなどを見てみますと、きょうは臨時国会の最終日ということで、閉中審査をして終了などというふうに流れていましたが、こうやって十分質疑をしている委員会もあるということで、委員長を初め、与党、野党の大変意識の高い理事に感謝を申し上げる次第でございます。

 また、自民党さんももっと質問もされたいんでしょうけれども、お一人ということで、うちも、大変人気の高い委員会で、しかし、質問の時間をいただけたことはこれまた感謝をするわけでございます。

 ただ、十五日にやろうと思っていた羽田空港の拡張事業にかかわる環境影響評価の部分なんですが、きのう、千葉県知事も東京都知事も埋め立てを認めるということを出されていますので、ちょっと時期がずれたなという感じがしているわけです。別に、これはどうこう言う筋合いでもありません。

 それと、何か時間がちょっと短くなったということでございますので、若干質問が入れかわりますが、それはこういった事情でありますので、御理解をいただければというふうに思います。

 羽田は、ここにおられる皆様も御利用されている方が多いところでありますけれども、二千五百メートルの滑走路の新設に伴って、九十七ヘクタールの公有水面の埋め立てを行うということでございます。環境影響評価法の第二条第四項に基づく対象事業として、国土交通省から環境影響評価のあらましがもう既に発表されているところであります。

 きょうも国土交通省航空局飛行場部長にも来ていただいておりますが、今申し上げた観点から、特に細かい質問というのはいたしませんけれども、ここが多分クリアしたから、東京都も千葉県の知事もオーケーということをされたようでありますけれども、まだ漁民の方々との個別交渉ということが残っておるようであります。

 農水行政に大変お詳しい大臣でありますから、こういったものも含めて、今後の環境影響の評価の中において御考慮をいただければと思うんですが、きょうは漁獲高がどうこうという問題ではなくて、漁民の方々が心配をされているということは、多分、魚がとれるとかとれなくなるということは生態系の変化が当然予想されるんだというふうに思いますね。

 思い浮かべていただければわかりますように、東京湾の西側水面を埋めていくわけですね。それで、多摩川から流れてくる川の水がどうせきとめられて、どういう影響を与えるのか。こんなことも、一日半ぐらいあれば、東京湾を横切って、千葉の富津の方、浜田靖一さんのところですが、あの辺まで流れてくる、この水流がどう影響してくるのか、こういった問題もあります。

 それから発着回数も、現在は二十八・五万回ということの発着回数から、今度は四十・七万回ということで発着容量が増強するということは、ディズニーランド等に行かれた方はおわかりになるように、上を飛行機がどんどん飛んでいるわけですね。もちろん、飛行制限区域とか飛行の航路とかを細かく決めてこの計画はスタートするわけですが、飛行機はやはり天候によって飛ぶ高度とか角度も変わってまいりますから、当然のことながら、二十八万から四十万ということは、それだけの回数が多くなるということで騒音公害等も予想されるわけでありますから、こういった問題についてもぜひ十分な検討を加えていただきたいというふうに思うわけでございます。

 そして、後で産業廃棄物の不法投棄、今、吉田さんに大変細かいトータルの議論をしていただきましたけれども、これまたこの委員会室におられる方もそうでありましょうが、大体、ゴルフに行かれる場合は千葉県あたりが一番多いのではないかなというふうに思います。千葉県もなだらかな丘陵地帯がずっと続いていて、飛行機からごらんになれば、その丘陵地帯が削られたところにゴルフ場があるわけですね。では、その削った土砂はどこに行っているのかといえば、これが何と羽田の埋め立てに使われているわけでございます。

 山砂という言葉があるようでありますが、飛行場をつくるための山砂と言ったらいいんでしょうか、ゴルフ場をつくったときの山砂によって東京のビルも整備されたということで、随分土壌というか山砂という資源を千葉県というのは東京、首都圏に供給しているわけであります。

 そこで何が起きているかというと、削ったときのダンプカーによるところの排気ガス公害が起きているわけでございます。土砂を運ぶ、運んだトラックは空では帰ってきません。空で帰ってきてくれれば一番いいんでしょうけれども、何を積んで帰ってくるかというと、産業廃棄物とか建築廃材を積んできて、それが千葉県にもたらされるというような状況になっています。

 これは後で産廃の問題で御質問いたしますけれども、とりあえず、質問の通告もしてありますから、国土交通省の航空局の方に、この羽田の拡張について、今申し上げた観点から千葉県の一県民として危惧している部分があるんですが、コメントをいただければと思います。

小野(芳)政府参考人 お答え申し上げます。

 羽田空港の再拡張事業に関しましては、今先生御指摘のとおり、騒音それから山砂の問題、それから海の環境問題、いろいろ懸念が示されてございます。環境アセスメントでこれらを総合的に評価いたしまして、もちろん、現在の知見では完全に影響を予測し切れない部分もございますけれども、おおむね影響は小さいものというふうな評価をしてございます。

 騒音それから山砂、海洋環境の問題、それぞれについて、地元の千葉県あるいは関係市、町から懸念が示されております。我々といたしましては、その懸念に十分配慮しまして、例えば、地元の市、町の方々と今後のより詳細な、例えば飛行ルートの問題でありますとか、それから山砂の運搬ルートの問題でありますとか、今後具体的なものが決まってまいりますので、その都度皆様にお示しをしまして、御意見を伺いながら、御相談をしながら、問題が起こらないようにやっていきたいというのが基本的な姿勢でございます。

長浜委員 今おっしゃった、その山砂の運搬ルート、実は、十五日に質問をしてという前提で、きょうは千葉県の堂本知事も国会に来ているんですね。それで、私、質問したことでお答えをしようというふうに思っておったんです。この人も環境問題には大変識見のある方でございますので、それで御説明をしようと思っておりましたけれども、同時並行になっちゃったものですから、それは申し上げられませんが。

 先ほどの吉田さんの議論にも出てきましたけれども、山砂を掘った後の廃棄物というものですね、不法投棄の問題。

 平成十七年度に新たに発覚した不法投棄の件数は五百五十八件、前年が六百七十三件ということで、百十五件減った。効果があったのかな、さまざまな法規制もこの環境委員会でやりましたから。そして不法投棄量は十七・二万トン、これも、前年は二十・七万トンでしたから、三・五万トンあたり減りましたので、すばらしい状況なのかなと思うところでありますけれども、その千葉県絡みでいいますと、千葉県の不法投棄件数は七十三件、そして不法投棄量は二万六千二百九十四トン。これは、環境省からいただいた産業廃棄物の不法投棄等の状況について、平成十七年度というところでございます。

 ちなみに、土屋さんは埼玉県ですから埼玉県のことを。この資料によると、千葉県は七十三件、二万六千二百九十四、今言いましたよね。埼玉県は、不法投棄は一件、量は二十七トン。千葉県は二万六千ですね。せっかくですから、委員長は大阪でしたね。大阪は一件、いいですね、重量は七百トンということです。面積のことを言っちゃいけませんが、北海道の理事もおられたようでありますから、北海道で二十三件で一万四千トンですね。

 ですから、決して自分のところを卑下して言いたくはないんですが、この七十三件、二万六千トンという量は、ばあっと上から環境省の資料を見ているんですが、この量はほかでは見られませんね。先ほど吉田さんからも豊島とか岐阜の不法投棄の話がありましたけれども、実は、首都圏における千葉県というのがごみの集積場みたいな形になってしまっているのは事実なわけでございます。これは去年の話ですね。

 それから、不法投棄の残存件数及び残存量ですね。残っている件数。だから、早く撤去してもらわなきゃいけないと言われている部分ですけれども、もう数字を言うのも嫌になりますが、千葉県は八百七件で三百九十二万トンであります。さっきの北海道は、あの広い北海道、四十二件で十六万トンです。だからもう単位が違う。東京都は二十五件で八万トン。川を一本越すと千葉県ですが、八百件で三百九十万トン。こういった状況でございます。神奈川はどうだ。神奈川は五十件で二十四万トンです。ですから、千葉県の四百万トンの不法投棄の残存量というのは尋常一様じゃないということはおわかりいただけるというふうに思います。

 不法投棄ですから、一体何があるのかわからない。一番最後に御質問をしますけれども、管理をしなければいけないアスベスト、それから医療廃棄物とかあるいはPCB等が含まれる、それが土壌で、かつ、千葉県というのは大臣も御承知かもしれませんが農業県なんですね。牛乳、野菜、こういったものがとれる。

 東京境に住んでいる私はよくわかりませんが、このごろ千葉県全域を回る機会が多いものですから、全域などを回ってみますと、本当に農業県の実態がわかります。この水はどこから流れてくるんだろう。この水というのは畑ですね、低地にあるところの畑。それは、不法投棄されたものが埋まっている丘陵地帯から、当然高いところから低いところに水は流れるということで地下水が流れてきているわけでありますから、この千葉県の不法投棄の現状、昨年もそうでありますが、今申し上げた残存量との関係についていかがお考えですか。

由田政府参考人 御指摘のように、千葉県に関しましては、不法投棄の平成十七年度の結果を見ましても件数で全国第二位ということでありますし、いわゆる投棄量に関しましても二位ということで、高いわけであります。

 それから、残存量に関しましても八百七件ということで、量も先ほど御指摘のあったとおりで大変多いという状況でありまして、環境省としましては、千葉県に対しましてこの原状回復問題に関しては過去何度も声をかけてきておりますが、千葉県側は、特段、環境保全上の支障がないというふうな判断をしておりまして、国に対して支援の要請をしてきていないということが現状でございます。

長浜委員 さっきも申し上げたように、それは認識がちょっと違いますね。千葉県の知事は環境問題に大変お詳しい方でもありますし、それから環境事務所、今の御答弁だと、基本的には都道府県の中で処理できるんじゃないか、あるいは助けが要らないのではないかということですが、この数値を見られて、先ほど時間を使って説明をしましたけれども、それでは、仮に百歩譲って、千葉県側から言ってきていないとしたら、何もやらないという判断をされている根拠は何ですか。

由田政府参考人 先ほど、いわゆる不法投棄されている現状のものについて申し上げましたが、現在、関東地方環境事務所におきましては、千葉県も含めまして、管内の都県市と定期的な協議の場も設けまして、昨年の十月以降九回この協議をやっておりますが、この不法投棄対策に関します成功事例などの情報交換を行っているほか、警察、海上保安部などとも連携をとっておりまして、高速インターチェンジでの検問、これも二回やっておりまして、こういう管内におけます広域的な不法投棄の監視を行っているところであります。

 また、この関東地方環境事務所におきましては、管内の都県市の職員を対象といたしまして、不法投棄現場の調査方法でありますとか、原因者に対します求償のための資産調査の方法でありますとか、支障の判断の方法などの不法投棄対策業務のノウハウに関する研修会、これも二回やっております。こういうものを定期的に開催しておる状況でございます。

長浜委員 今、警察の話が出ました。廃掃法等何回か改正をして、いわゆる捨てた現場を見なくても、いわゆる捨てると思われるものに関しては摘発できるみたいな形での廃掃法の強化もやりましたけれども、現実に、県の職員とかあるいは環境省の方に聞いても、そういった業を営むといったらいいんでしょうか、不法投棄をされるような方々を摘発するということはなまじっかな正義心だけではできない、つまり、命の保証がどこにあるのかというような場面に出くわすということも随分現場では聞くわけであります。

 この逮捕あるいは検挙という問題に関して、警察庁、来ておられると思いますが、実態はどうなっておりますか。

竹花政府参考人 お答え申し上げます。

 千葉県における不法投棄事案に対する摘発状況でございます。

 まず、千葉県警察本部におきましては、平成十四年の四月に、廃棄物事犯等の取り締まりを担当する三十数名体制の環境犯罪課を独立して設置しております。これは全国でも珍しいことでございまして、この種事犯の取り締まりの体制強化を図るとともに、県の担当部局に十数名の警察官を出向させておりまして、行政当局との連携にも努めて、この種事案の摘発を鋭意行っているところでございます。

 その結果、平成十五年については、年間に八十一事件三百四十一人を検挙する、同様に、平成十六年は、九十五事件四百四十一人、平成十七年、百十三事件三百三十八人の検挙となっておりまして、全国の中でも有数の取り締まり実績を上げているものと承知いたしております。

 今後も、全国警察もそうでありますけれども、千葉県警におきましても、引き続きこの種の取り締まりを強化してまいりたいと考えておるところでございます。

長浜委員 成果が上がっているということでありますけれども、先ほど述べましたような現状が千葉県の現状でありますから、これに満足をしないでぜひ厳しい取り締まりをしていただかないと、なかなか、ここで議論するような状態では現場はありませんので、そういう意味では、表現が難しいのですが、警察の力をよく発揮していただければというふうに思うわけでございます。

 それでは、冒頭、自民党の方もやっておられましたが、温暖化の問題についてちょっとお話ができればと思います。

 いずれにしましても、大変時間が短いので、通常国会の中において、特に、来年度は二〇〇七年度、御承知のように、二〇〇八年度から一二年までの期間の中での六%削減という宿命を負っているところでありますし、質問通告をした、質問日前日、十四日に載っていた日経のシンポジウムのところで拝見をした若林大臣の特別講演には、私は正直申し上げて感銘をしたわけであります。

 こういった方向での気候変動に、日本がとにかくまずは六%を達成するということでありますけれども、先ほどの質問にあるように、現実には八%強ふえているわけですから、そういったものをどう吸収していくのかということが、現実問題として、二〇〇七年度の議論を経て、二〇〇八年度からポスト京都議定書の問題を、指導力を日本国が発揮していくためにも、まず言ったことをやらないことには多分世界各国で説得力を持ちませんので、その点について注意をしなければいけないのですが、きょうは経産省から環境問題担当の審議官にわざわざお越しをいただいております。

 このシンポジウムの、興味がおありになる方は十二月十四日の日経に載っておりますのでごらんいただければと思いますが、伊藤審議官の御発言の中で、九〇年時点の排出量と比べて現在は八・一%の排出増となっているが、二・三%は原子力発電所の稼働率を高めることで削減できる、森林吸収で三・八%、排出権取引などの京都メカニズムで一・六%削減できる、計算上では省エネに取り組むのは六%強だ、必要があれば追加的な措置を講ずる、排出権取引は、ここがかなり強烈ですが、排出権取引は勉強はしているが、今は導入する段階ではない、それ以外の対策によって六%の排出削減を達成できるのではないかというふうに経産省の環境担当の審議官は述べておられますが、この真意はどこにあるのか。

 まず、原子力発電所の稼働状況を上げるという、さっきも申し上げましたように、二〇〇七年度、来年の議論を経て、二〇〇八年から一二年の中で、既に今八・一%ふえている部分を六%さらにマイナスする、その状況の中でのCDMの問題を環境委員会では割と重点的に議論している場がありますが、積極的に取り組まれる要素があるのかないのか、こういった問題についてコメントをいただければと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力についての御質問でございますが、長期停止等の影響を受けていない二〇〇二年度計画における我が国の原子力発電所の稼働率は八四・一%となっておりました。仮に二〇〇五年度においてこの水準で運転されたとすると、我が国全体の温室効果ガスが二・三%引き下げられると電気事業連合会により試算されております。

 経済産業省といたしましては、今後とも、安全の確保を大前提に、地元を初めとする国民の理解を得つつ、原子力発電の着実な推進に全力で取り組んでまいる所存であります。

長浜委員 時間がないので、これはまた経産委員会あるいは環境委員会での来年度の課題にさせていただきたいと思います。本当にそういう状況で数字上合うのかどうかというのを詰めなければいけないと思いますが、きょうはちょっと時間がありません。

 アスベスト、この問題も、この国会もそうでありましたが、あるいは通常国会もそうですね、アスベストで始まった。補正でアスベスト対策をやって、あのとき私は、大変僣越ながら、アスベストを環境省担当とすべきではないということで、本会議においても、小池環境大臣に質問することはなく、安倍官房長官、現総理にアスベストの問題の認識をたしか問うた記憶があります。そのアスベストの問題で、今回、最高裁から企業責任を認定する初の判定が出たというふうに思います。

 企業からすれば、一連の環境委員会での質疑でもあったように、諸外国に比べて対策はおくれていない、十分な対策が打ててきたんだという論拠の中でやってきたところでありますが、企業の監督責任ということで最高裁判決が出ました。この問題についてどうお考えになるのか、お答えを願いたいと思います。

小野(晃)政府参考人 お答えを申し上げたいと思います。

 今御指摘の最高裁における判決につきましては報道等で承知をいたしておりますけれども、この判決自体については、民間の個別の訴訟にかかわる問題でありまして、厚生労働省として、訴訟の当事者ではございませんので、この判決についてのコメントは差し控えたいと思いますけれども、一般的に、私ども厚生労働省としての石綿に対する健康障害防止対策については、これまでもそれぞれの時点において、当時の知見に応じて必要な対応は行っておりますし、この九月にも、石綿の製造等についての全面禁止を行い、また、建築物等の解体等に関します石綿障害防止対策の充実を図るための規則の改正等も行いました。

 今後とも、事業者が関係法令を遵守するよう指導等をしっかり行いまして、石綿による健康障害防止対策の徹底を図っていきたい、こういうふうに考えております。

長浜委員 これも時間がありませんので、多分、来年度の大きな課題になってまいりますが、水俣病のときと同じような形で、国の責任、企業の責任、こういった問題について議論を深めずに、逃げるとは言いませんが、言葉は悪いですが、議論を深めることがなく、アスベストのとりあえず対策法案だけで済ませていると、この問題は被害がどんどん大きくなるということを年初に申し上げたとおり、これからもさまざまな判断が民事においても起こってくると思います。この問題について、私どもの党の中でも専門にやっているチームもございますから、引き続き環境委員会あるいは厚生労働委員会等で議論になってくると思いますので、今後とも対応の方、よろしくお願いします。

 これで終わります。ありがとうございました。

西野委員長 次に、山田正彦君。

山田委員 長崎県の大村市というところに私はいるわけですが、そこで、実は去年の夏でした、住民からちょっと見に来てくれと言われて、行ってみました。ところが、その閑静な住宅地の、山の上の方の住宅地ですが、そこに行きますと、いわゆる安定五品目の最終処分場というんですか、谷を掘って、素掘りなんですが、掘って、トラックでどんどん産業廃棄物を埋め立てているところなんです。

 行ってみますと、私の資料の中にも写真が載っていますが、白い煙が上がっています。住宅のすぐそばなんですが、物すごい臭気で、三十分そこにいると頭が痛くなってくるわけですね。そこで、すぐ横にカラオケ教室があったんですが、そこの営業もやめてしまいました。そこに住んでいる方々、今四人の方が病院に通っております。

 そして、新築の家がそばにあって、もう半年以上そこに入れないで、行ってみましたが、水道の管が新築なのにさびています。いわゆる硫化水素なんですね。硫化水素がどんどんどんどん上がってきているわけです。

 住民は大変困っているわけですが、どういうふうにしてそういう状況になっているのか、私もいろいろお聞きしてみました。住民の方から聞いてみましたら、きょうこれは資料で出せばよかったんですが、平成十七年十月二十五日と書いています。入ってくるトラック、二十トントラック、トレーラーが次々に来るんですが、それを朝八時五分からずっと記録しておりました。その日一日だけで何と二十トントラックが六十台、産業廃棄物をそこに捨てに来ております。

 そのナンバーなんですが、それこそいろいろなところから来ておりました。京都、川崎、それから福井、北九州も多いんですが、滋賀県、それこそあらゆる、九州の西の果てまでトラックがどんどんやってきて、産業廃棄物をどんどん積み上げていっているわけです。

 私は最初何にも知らずにそこに行ったわけですが、行ってみますと、カラスが百羽から二百羽、わあっと来ているわけです。一体何が捨てられているんだろう、そう思って見てみました。そうすると、安定五品目型ですから、それこそ廃プラスチック、金属くず、ガラスくず、ゴムくず、それから瓦れき、大臣も御承知のように、この五品目だけなんですが、何でこんなに百羽も二百羽もカラスがぱあっと舞いおりてくるかというと、どうやらそれだけじゃない、いろいろな有機物が捨てられているというわけですね。

 一体本当に何が捨てられているかというので、調べてみたらどうだということになりました。調べて、そのテープがこれなんです。一度大臣に見ていただきたいんですが、例えば、私が見た限りでも、布袋から紙類から布団から、あらゆるものがその中に含まれています。

 これは私のこのテープの中では見ることができなかったんですが、住民の話だと、冷蔵庫も、そして、車もタイヤも捨てられている、あるときは犬の死骸まで捨てられておったというんです。本当に犬の死骸まで捨てられておったのかと言ったら、住民の人が一人笑いながら言っていましたが、人間の死体以外のものならあらゆるものが捨てられているんじゃないか、二十万トンというわけです。ひどい話なんですね。

 ところが、私はちょっと調べてみましたが、県の方からの説明によりますと、住民側からの話ですが、あるいは市会議員の先生方が言っていましたが、いわゆる安定型の、例えばプラスチックとか金属くずにしても、五%は有機物が付着してもいいんだ、だから、二十万トンのうち五%、一千トンの有機物があるんだから、当然これだけの悪臭がし、そしてカラスが舞いおりてくるのは当たり前なんだ、そういう説明が県側からあったというわけなんですが、大臣、これについてはどう思われますか。そういうことが、本当にこの安定五品目型では許されていいものでしょうか。

若林国務大臣 安定型処分場については、有機物が五%まで入ってもいいというような解釈、指導があるかのように言われておりましたが、安定処分型一般について有機物が五%まで混入していいという考え方をとっているわけではありません。

 一方、建築物の解体などにおいては、現場での分別が容易ではなくて、瓦れき類、木くずなど、さまざまな廃棄物が混合してしまうという場合がありますので、廃棄物処理法の処理基準では、このようにやむなく混合している建設系の廃棄物については、厳密な条件のもとで、有機物等が五%以下であれば安定型処分を認めるというふうにしているところでございます。

 このように、建設系廃棄物の特殊性を考慮して、五%以下を認めるということでありますが、お話のような、建設系廃棄物以外も含めた安定型処分場一般が五%以下を認めているということはございません。

 このことについては、長崎県に対して、改めてこのような考え方を伝えて、適正な運用を促しているところでございます。

山田委員 省令によりますと、最終処分場に搬入した産業廃棄物は、展開して当該産業廃棄物への安定型産業廃棄物以外の廃棄物の付着または混入の有無について目視による検査を行い、それで認められるもの以外を埋め立ててはならないとなっていますね、大臣。

 ところが、実際の現場、このビデオテープを見てもらえばよくわかりますが、二十トントラックが一日何せ六十台来るんですから、それをたった五、六人の監視員で展開して、一点一点について有機物が付着しているか付着していないかということを調べられるわけがない、これは実際。

 そうすると、これは当然のことながら放任状態で、そして、同じような事例で、筑紫野市においては硫化水素で作業員が三人死亡している。大臣も副大臣も御存じでしょうが。

 こういった不法投棄が行われている。これは当然罪に当たる、刑罰に当たると思われるわけですが、安定五品目以外のものが捨てられているという事実がありながら、これは実際にどういう取り締まりが行われているのか、どうなっているのか、きょうは刑事局長に来ていただいていると思いますが、ひとつお答えいただければと思います。

小津政府参考人 お答え申し上げます。

 法務当局の立場での御説明でございますけれども、犯罪の成否というのは捜査機関が収集した証拠に基づいて判断する、こういうことになるわけでございます。多くの場合、この種の事件でございますので、警察御当局の方で捜査をされるということが多かろうとは思いますけれども、検察当局も含めまして、捜査当局として収集した証拠により犯罪が成立するという場合には、いかなる場合でも厳正、公平に対処しているところでございます。

山田委員 どうも、何だか非常にあいまいなんですが、私も住民に、これは法律違反じゃないか、私も弁護士でもありますから、当然のことながら、警察に行って話しなさいよ、刑事告訴しなさいよ、そういう言い方をしたわけなんです。

 ところが、実際は住民は大変なんですね。こういう事件というのは、どこかの課長さんだったか担当者が殺されたという例もありましたけれども、必ずやくざとか、いろいろなところからいろいろな関係が出てくるわけですね。その中で、実は、私が一緒に連れていった者まで、すぐにその日の夜電話がかかってきて、そんなことをやっていると、おまえ、命がないと思え、そういう話なんです。

 それで、住民の方々に、もう既に営業も、カラオケ教室も廃止して病院に通っておるわけですから、これは裁判したらいいんじゃないかと言ったわけなんです。その方じゃないんですが、ある住民の方が、先生、実は、迷惑料だといってお菓子を持ってきたんですが、お菓子をあけてみたら、下にお金が入っていましたと言うんです。そのお金を使ってしまったんですが、裁判できるんでしょうか、もう笑えない、非常に深刻な話なわけです。

 当然のことながら、悪臭防止条例とか公害とかいろいろありますけれども、公害防止協定を結んでおります、市との間に。立入検査及び、公害防止協定をここに持ってきておりますが、ちゃんとその中に措置指示も出せるようになっております。市に行って、それはまず対策を打ってもらいなさいと言いました。

 ところが、市の方は、公害防止協定は結んでいるけれども、これは一つの紳士協定みたいなものだから強制力がない、強制力がないから我々には何もできない、県の責任だと言うんです。大臣、このことはどう思われますか。

若林国務大臣 委員から、るる現状の深刻な状況のお話がございました。

 実は、このことについて、当方、環境省の方から長崎県に問い合わせて、どのような状況になっているかということを聞きましたところ、ことしの七月七日、長崎県は、施設の使用を停止させた、浸透水の水質改善を内容とする改善勧告を、ウイックという業者ですが、この業者に対して行っております。

 これを受けて、ウイックは、廃棄物の搬入を既に停止しております。雨水の場内への流入を防止するために、埋立物の上に覆土を実施するなどの対策を行っております。また、そこに水を注入して処分場内を浄化し、生じた汚水について、これは処理委託して処理をしているというふうに県の方からは報告を受けております。

 このような県の行政指導、改善勧告に従って改善措置を講じており、それなりの改善の効果があり、周辺地域における被害の発生が防止されているということであれば、それは一つの処理の方法だというふうに認識しております。そういう指導に従わないというような場合には、改善命令等の行政処分を行っていくという段取りで進んでいくのではないかと思います。

 委員が御指摘になりました、そのビデオ、そしてその後の状況というのが、この七月七日時点で、県からの報告がありましたような形でもう既に搬入がとめられ、また水質改善上の改善措置も行われているということとの関係がどうなっていますか、そこは承知いたしておりませんけれども、その以後のことであれば、今のように環境省は理解をしているということでございます。

山田委員 当然に、県としては改善勧告を、本当は、私は五、六回そこまで行ったんですが、もう昨年のうちにやらなきゃいけないと私は思っていましたが、なかなかやってくれない。環境省の担当者も呼んで何度も話をして、環境省からも県の方に言ってもらったけれども、ようやくことしの七月ですか、そういうことができたわけです。

 それまで水質についても、いわゆる業者に水質の検査をさせておった。本来なら環境省が、例えば国立公園とかいろいろなところでは木を一本切っちゃいけないとか、環境省の出先にもあるわけですから、そうであれば、こういう産業廃棄物、人の命とか健康にかかわるような場合には、当然、環境省としても絶えずそういったものを監視、監視といったものに対して配慮しなければおかしいのじゃないか。水も、県も市も国も業者に水質検査させるというのはおかしいのじゃないか。

 環境基準からしますと、ああいう環境値ですから、CODの量、規制が四十ミリグラムとなっています。本当は、すぐ横に小さなきれいな川があったんですが、そこのBOD、普通だったら、一リットル当たり有機物の量が五ミリグラム、そうなるはずですけれども。それが、ことしの七月、五百十ミリグラムもあった。しかも、悪臭については、ようやくとめた後、八月の終わりになって、三点比較式臭袋法というんですか、これをやってみて、本来ならば、住居地域だったら、指数が一三でなきゃいけないのに一八もある。

 いまだにあの中のもの、汚泥というのは続いているんじゃないか。理学博士で弁護士の梶山弁護士に来てもらったら、山田さん、これから五十年、百年続きますよと。私の資料の中に写真が載っておりますが、黒い水が泡を吹いて流れてきて、石が白く変色してしまっている、いろいろな化学物質が入っているかもしれない、こういった状況がこれから続くというわけですから、私は、本当にこれからが大変じゃないか。

 きょうは二十五分しか時間がなくて、実は随分いろいろ資料を持ってきたんですが、このほかに、実は、すぐ近くに、大村の西部というところでやはり汚泥その他の処理場が、堺市で全く同じようなシステムが、十八年の三月、ことしの三月に営業を開始して、そして八月には停止処分になったんですが、その三倍もの規模のものがこの十二月の三日に許可がおり、さらに、すぐそばに今富町というのがあるんですが、そこで、いわゆる許可の十倍を超える二千百トンの古いタイヤを集められたものが、会社が逃げていって、そのまま放置されてしまっている。

 さらに、長崎県に壱岐という小さな島があります。そこで安定五品目型の最終処分場を今申請しようとしておりますが、何とそこにおいては、株式会社地球というところが申請しておりますけれども、壱岐日々新聞というのを私は持ってきておりますが、それの報道によりますと、住民だけで三万ちょっとぐらいのところに、二万三千人の反対署名が集まっているわけですね。水道水源保護条例までつくって一生懸命反対しているんですが、それでもなお、どんどんどんどんこういう産業廃棄物というものをまだ申請しようとしているわけです。

 ここで大臣に、私、ぜひお伺いしたいんですけれども、いわゆる一般廃棄物というのは国の責任、自治体の責任でやっている。産業廃棄物は事業者の責任でしている。ところが、この産業廃棄物の不法廃棄こそ、まさに大変大事なことであって、これを全く国とか自治体じゃなく業者に任せているからこんなことになってしまう。

 例えば、滋賀県とか京都とか福井県とか、いろいろなところからどんどん長崎県の大村まで二十トントラックで運んでくる。聞くところによると、一台三十万とか云々とかというんですから、一日六十台だと、それだけで千八百万円、素掘りしたところに入れるだけで業者は金をもらうわけです。ところが、住民はたまったものじゃない。

 そういったものに対して、私の方で調べてみましたら、国の予算はわずかに三十億しかことしもついていない。こういったものこそ国が、自治体が、責任を持って産業廃棄物はやらなきゃいけない。私の持ち時間は、本当に時間がないので、もうしゃべれるだけしゃべらせてもらいますが、企業のいわゆる減価償却の減税だけで一兆円とか七千億とか、企業減税だけで大変なことをやりながら、企業にだけ、この産業廃棄物を負わせるんだといいながら、そういう実態が行われておるわけで、そこにこそ、それこそ一般廃棄物並みに四百三十億ぐらいの予算を産業廃棄物にも国が持って、いわゆる最終処分場の施設、管理、これは当然国がやるべきじゃないか。

 大臣、私の時間も来ましたので、この点について明確にお答えいただきたい。

若林国務大臣 産業廃棄物に関して言えば、廃棄するその企業の責任である、原因者である企業の責任であるということは、御承知のとおり明確にされているところでございます。そのことが、不法に廃棄された場合の廃棄の扱いについては、廃棄物処理場の仕事は原則的に地方、国、地方公共団体とおっしゃいましたが、地方公共団体の仕事として位置づけておりまして、その地方公共団体が的確にそれを行わないときには、種々の手続をしながら改善命令を発し、その命令に従わないときには国として告発などの措置を講ずる、こういう段取りで組み立てているところでございます。

 ちなみに、お話にありました廃タイヤの事件についてでございますが、大村市内の業者に対しましては、改善勧告を県が指導しましたけれども、十分な履行がなされないということでありましたので、ことしの八月には措置命令を発出しまして、撤去及び適正処理を求めました。しかし、それも履行しないという状況でありましたので、ことしの十二月十八日付で措置命令違反で県警に刑事告発をしているというふうに承知いたしておりまして、県自身が厳格な対応をするということがなければ、全国的にこのように発生している、またおそれのある産業廃棄物について、これを防止するということは難しい、こういうふうに考えておりますので、長崎県が、このウイックの事案について、このような状況になるまで委員がおっしゃられるように放置していたとすると、どういう事情で放置していたのか、私は承知していませんけれども、それは遺憾なことだと思います。県は、現時点では、今古タイヤに見られるごとく、直ちに措置を講じ、刑事上の告発も行っているというふうに承知しております。

山田委員 私が言っているのは、長崎県の責任、大村市の責任を言っているわけじゃないんです、大臣。私が言っているのは、国は、産業廃棄物は事業者の責任にして、事業者の責任だからそれをあとは県と市が適正な監督管理を行っていないからこうなっているんだ、そんなことでいいのかと言っているんですよ。

 国が責任を持って、それこそ法律もつくり、法律で最終処分場の施設と管理は、公費、税金で、もちろんその事業者が持ってくるものについては一台三十万でも金を取っていいですよ、それは事業者の責任でいいんです、ただ、管理と施設については国が責任を持つべきじゃないか。それは自治体にやらせてもいいですよ。公の機関でやらなきゃいけないんじゃないんですかと言っているわけです。それに対してお答えいただきたい。

若林国務大臣 委員のそういう御意見は御意見として承りますが、今の法制の立場というものを政府として、環境省として維持していきたいと思っております。

西野委員長 山田君、時間が参りました。

山田委員 済みません、時間が来ましたけれども、法律を変えてでも、あるいは行政処分としてでも国として管理、施設をつくり、最終処分場は産業廃棄物をきちんとさせる、そういう気持ちはないのかと私はお聞きしたんですが、そういう気持ちはないということですので、きょうはその点でお聞きして、質問は終わらせていただきます。

 きょうは、環境委員会に出張ってきて、時間をとっていただき、ありがとうございました。

     ――――◇―――――

西野委員長 この際、御報告申し上げます。

 お手元に配付してありますとおり、本会期中、当委員会に参考送付されました陳情書は七件、また、地方自治法第九十九条の規定に基づく意見書は三十二件であります。

     ――――◇―――――

西野委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 環境保全の基本施策に関する件

 循環型社会の形成に関する件

 公害の防止に関する件

 自然環境の保護及び整備に関する件

 快適環境の創造に関する件

 公害健康被害救済に関する件

 公害紛争の処理に関する件

以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。

 まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中、委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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