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第4号 平成19年4月3日(火曜日)

会議録本文へ
平成十九年四月三日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 西野あきら君

   理事 石崎  岳君 理事 宇野  治君

   理事 桜井 郁三君 理事 鈴木 俊一君

   理事 並木 正芳君 理事 末松 義規君

   理事 田島 一成君 理事 江田 康幸君

      上野賢一郎君    北川 知克君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      杉村 太蔵君  とかしきなおみ君

      中川 泰宏君    西本 勝子君

      藤野真紀子君    馬渡 龍治君

      御法川信英君    森山  裕君

      安井潤一郎君    山本 明彦君

      山本ともひろ君    石川 知裕君

      川内 博史君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    村井 宗明君

      吉田  泉君    田端 正広君

      江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         若林 正俊君

   環境副大臣        土屋 品子君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   鵜瀞 恵子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 榮畑  潤君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           御園慎一郎君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           佐藤 和彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  冨岡  悟君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

            補欠選任

             石川 知裕君

四月三日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     御法川信英君

  近藤三津枝君     杉村 太蔵君

  篠田 陽介君     西本 勝子君

  竹下  亘君     山本 明彦君

  中川 泰宏君     安井潤一郎君

  野田 聖子君     森山  裕君

  長浜 博行君     川内 博史君

  村井 宗明君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  杉村 太蔵君     近藤三津枝君

  西本 勝子君     篠田 陽介君

  御法川信英君     石崎  岳君

  森山  裕君     野田 聖子君

  安井潤一郎君     中川 泰宏君

  山本 明彦君     竹下  亘君

  川内 博史君     長浜 博行君

  篠原  孝君     村井 宗明君

    ―――――――――――――

四月三日

 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 温泉法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――

西野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、温泉法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長鵜瀞恵子君、総務省大臣官房総括審議官久保信保君、総務省大臣官房審議官榮畑潤君、総務省大臣官房審議官岡崎浩巳君、厚生労働省大臣官房審議官宮坂亘君、厚生労働省大臣官房審議官御園慎一郎君、農林水産省総合食料局次長佐藤和彦君、環境省大臣官房審議官寺田達志君及び環境省自然環境局長冨岡悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野賢一郎君。

上野委員 自由民主党の上野賢一郎でございます。

 きょうは温泉法の審議ということでございます。温泉は、言うまでもございませんが、国民の皆さんに非常に昔からなれ親しんでいただいておりまして、また観光の面でも、地域経済の活性化、地域の経済の中心として頑張っていただいている地域も多いかと思います。私の地元の大津市でも、雄琴温泉という古くからの温泉がございまして、地域経済の核として皆さんに頑張っていただいているところであります。

 そこでお伺いをしたいことでございますが、新聞報道等によりますと、温泉資源の枯渇化ということが言われております。実際に、源泉の数というのは、昭和三十年代に比べますと約二倍になっているわけですが、噴出量、特に自然に噴出する量というのは、年々、特に近年は減少傾向にあるということであります。

 そうした温泉資源の枯渇化ということが懸念されますけれども、その現状と今回の法律改正案のかかわりにつきまして御教示をお願いしたいと思います。

土屋副大臣 上野委員がおっしゃるように、温泉の利用が拡大している中で、自噴している温泉の湧出量の総量が徐々に減少傾向にあることは事実であります。平成十五年の八月六日に、新聞報道にもありましたけれども、愛知県の吉良温泉のように、枯渇ということで報道されましたけれども、温泉の枯渇と見られる現象が発生していることは事実であり、温泉資源の枯渇の懸念が増大している状況にあります。

 今回の法律案は、そのような状況を踏まえ、温泉の掘削等の許可に当たり、例えば温泉の採取量の上限など温泉資源保護等のための条件を付すことができるとし、地域の実情に応じた温泉の持続可能な利用を進めようとするものであります。

上野委員 掘削等について、今後この法律が成立し施行されましたら条件が付されるということであります。その条件、これは具体的にはどういった内容を想定されていらっしゃるのか。あるいは、恣意的な条件設定がなされる、そういったおそれはないのか。またさらには、現在もう既に許可を得ている事業者の皆さんと新しく入られる方との均衡というのはどのように考えられるのか。以上につきまして、お願いします。

冨岡政府参考人 お答え申し上げます。

 温泉法の改正案におきましては、温泉の掘削等の許可に付する条件は、温泉の保護その他公益上必要なものとされておりますが、具体的には、この条件といたしましては、温泉井戸の大きさ、深さ、温泉の採取量の上限、それから、仮設ポンプで温泉をくみ上げ、近隣の温泉への影響を調査する揚湯試験の実施、掘削の際の有毒物質の噴出などの事故時の対策、こういったものを想定しております。

 それから、環境省におきましては、温泉の掘削等の許可を都道府県知事が運用するに当たりまして参考となるよう、温泉資源保護に関するガイドラインを定めることとしております。

 このガイドラインにおきまして適切な条件の範囲を定めることによりまして、科学的判断に基づかない恣意的な条件や、既存事業者との均衡を失する、いわば既得権保護のための条件のような不適切な条件が付されることのないようにしていきたい、このように考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 現在も、周辺事業者の同意が必要であったりなかったり、地域によってばらつきがあるというふうに聞いておりますので、その点、恣意的な運用がなされないように、きちんとしたガイドラインを環境省さんの方でぜひ示していただいて、適正に対応していただくことが必要かというふうに考えます。

 今お話がありました、土地の掘削については公益ということが一つの判断基準となっているわけでありますけれども、これは、県知事等が判断する場合に、公益は何かということについて判断を迷うケースが多々あるというふうに聞いています。環境省としても、一定の判断を示すべきではないでしょうか。

冨岡政府参考人 温泉法におきまして、温泉の掘削が公益を害するおそれがあるときは、掘削を不許可とできることとなっております。

 この公益を害するおそれの判断につきましては、先生御指摘のとおり、都道府県が判断に苦慮している例もあると承知しております。このような事例といたしましては、温泉の掘削が周辺の自然環境に与える影響、それから住宅密集地特有の問題の取り扱い、こういった事例の取り扱いに当たりまして、都道府県が判断に苦慮する例がある、このように承知いたしております。

 環境省といたしましては、この公益を害するおそれの判断の考え方も含めまして、先ほど御説明申し上げました温泉資源保護に関するガイドラインを定めることによりまして、都道府県が公益を害するおそれの判断を的確に行うことができるよう、支援してまいりたいと考えておるところでございます。

上野委員 よろしくお願いいたします。

 ガイドラインの策定につきましては、法律が今後成立をいたしました場合には、ぜひ早期に手当てをしていただけるようにお願いをしたいと思います。

 それでは次に、今の公益という話に少しかかわりがあるわけですが、今、地方に行けば、第三セクターなどが公営の温泉施設を運営している場合があります。これにつきましては、一部の民間事業者の間で、不公正な競争ではないかというような指摘があるというふうに聞いています。

 例えば、鹿児島県の例ですが、いこいの村いむた池という施設があるそうでありまして、これは旧労働省の施設を県と市の出資の法人が買収して今営業しているということであります。昭和五十三年当時、この藺牟田池周辺には二つの温泉地で二十軒余りの民間の温泉があったということでありますけれども、これができたことによって、約十年で半減をし、現在ではわずか二軒になったというようなことが報告をされています。

 こうした観点からお伺いをしたいわけでございますけれども、こういった公営の温泉施設が民間事業者を圧迫するというようなことについては、これからやはりしっかりと是正をしていくことが必要ではないかと私は考えています。

 ちなみに、国あるいは国の特殊法人が設置主体となる公的施設については、平成十二年五月二十六日の閣議決定によって、施設の廃止や民営化の方針等が閣議決定されておりまして、地方団体についても、これに準じて措置するよう要請するというようなことが閣議決定されているわけであります。

 こうした観点から見て、今後、不公正な競争によって民業圧迫が生じているような場合につきましては、これを是正していくべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

榮畑政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生御指摘の平成十二年の閣議決定でございますが、ここで、国または特殊法人等が設置する総合保養施設、会館、宿泊施設等につきましては、不特定の人が利用し得る施設の新設及び増築は禁止する等の決定がなされているところでございます。

 これを受けまして、私ども総務省といたしましても、地方公共団体に対しまして、この閣議決定の趣旨を踏まえて適切に対応されるように、通知によりまして繰り返し要請、指導してきているところでございます。

 平成十五年十二月に、総務省といたしまして、第三セクターに関する指針というものを定めたところでございます。この指針におきましても、第三セクター以外の事業者の活用について、積極的に検討すべしということを定めているところでございます。

 総務省といたしましても、今後とも引き続き、地方公共団体に対しましてこのような趣旨を重ねて要請してまいるところでございます。

上野委員 今のお話ですと、指針を示して要請をしているということでありまして、今後も引き続きお願いをしたいと思いますけれども、きょうは温泉法の審議で、他委員会の関係になりますので、要望だけさせていただきたいと思います。

 やはり、これは、平成十二年にこうした閣議決定がされて、要請をするということになっておりますので、その後しっかり状況をフォローアップしていただくことが必要だろうと思いますし、フォローアップの中で、もし不適正な例というものが散見されるようであれば、それについては何らかの対応を国、政府としてもやっていくべきだと思います。これはまた機会を改めて議論をさせていただきたいと思いますが、その点、お願いをさせていただきたいと思います。

 もう一つ、これに関連いたしまして、環境省サイドの方にお伺いをしたいと思いますが、こういった場合、温泉施設の掘削や利用に関しまして一定の制限を行う、公営温泉施設に利用する場合等につきまして一定の制限を行うというようなことは、温泉法の体系の中では考えられるんでしょうか。

冨岡政府参考人 温泉法に基づく許可手続は、温泉が天然の資源であることに着目しまして、資源を自然から採取する行為や、温泉に含まれている化学物質が人に悪影響を及ぼすことを防止するために設けられているものでございます。

 したがいまして、第三セクター等による民業圧迫など、温泉を利用した事業の経営にかかわる問題につきましては、温泉法に基づく許可手続に反映させることとはなじみにくいものと考えております。

 なお、温泉法を施行していきます過程で、事業の経営にかかわる問題につきましてさまざまな情報といったものを私どもが入手した場合には、その問題を担当するさまざまな機関、関係省庁とも連携をとって、情報提供等を適切に行っていきたい、かように考えております。

上野委員 今、情報提供というお話がありました。過去にそうした情報提供をされた例というのはございますでしょうか。

冨岡政府参考人 今のところ、具体的にこういった事案でという点については、現在のところ、ちょっと手持ちで確認できませんので、申しわけございません。

上野委員 温泉法の中でそうした対応が可能であるのであれば、前広にまた総務省等にその情報提供をお願いしたいと思いますし、先ほど申し上げました閣議決定の趣旨を踏まえて、今後さらなる対応につきましてもお願いをしたいと考えているところであります。

 それでは次に、今回の法律の改正によりまして、成分を定期的に分析するということが義務づけられるわけでございますけれども、この改正の背景と期待される効果につきましてお伺いをいたします。

土屋副大臣 温泉成分は、年月の経過によりまして徐々に変化するということがあります。それで、今まではおおむね十年ごとに再分析を行うようにということで指導してきたわけですけれども、実際は、温泉施設の約四割、三八%が十年以上経過しても最初のときの表示のままを情報提供しているという状況でございます。

 それで、そういう背景から、法律によって分析、掲示内容の更新を義務づけて、我が国の温泉への信頼の確保を図ることにしたものでございます。これを着実に進めることによって、温泉地の活性化にもつながると考えております。

上野委員 定期的な分析、十年ということであります。中には、相当昔から放置されたままということもあると思いますし、その後の状況の変化で泉質や温度が変わるということも十分あると思いますので、その点に対しては本当に意義のある改正内容だと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、大深度掘削泉につきましてお伺いをしたいと思います。

 最近、都心部でもいろいろな入浴施設がオープンいたしまして、非常に国民の皆さんに便利に、利便性が高くなっていると思いますけれども、例えば、千メートル以上の深さを掘って許可申請を受けるというものが全体の約半分ぐらい今あるということであります。

 この大深度掘削泉、これは年々増加傾向にあるわけでございますが、温泉源への影響あるいは地盤環境への影響、そうしたものにつきまして調査研究をしたり、あるいは、これは大深度ですよというようなことを利用者に情報提供したりというようなこと、今までの、従来型の昔ながらの温泉とはちょっと違う対応をしないといけないような感じを受けるわけですが、その点につきましてはどのようにお考えでしょうか。

北川(知)大臣政務官 今、上野委員から御指摘のありました大深度温泉でありますけれども、私の選挙区というか地元へ帰りましても、車で十五分、二十分、東西南北に行けばどこにでもあるようなぐらい大変たくさんふえてきております。

 そういう増加をしている大深度温泉の掘削について、今、調査等々をしているところもありますが、もともとこの大深度掘削泉というものは、流動性の低い化石水から成り立っているところが多いわけであります。そして、火山地帯ではない平野部にも幅広く存在をしているわけでありまして、これらのことから、古来からの温泉とは成り立ちが異なるものが多いと承知をいたしております。

 この点を踏まえ、入浴者の方々が、成り立ちの違いやそういうものを理解した上で、好みの温泉、消費者の方々がどういう温泉を利用されるか、片方ではスーパー銭湯等々もあるわけでありますから、こういうものを消費者の選択の中でできるようにし、そして温泉の成り立ちと掘削深度の関係や、個々の温泉の掘削深度についての情報提供を進めていきたいと考えております。ただ、これは法律的に義務づけというのは難しいものでありますから、あくまで自主的な形で表示をしていただければなと思っておりますが、今後の検討であると思っております。

 また、大深度掘削泉による温泉資源や地盤環境への影響につきましては今後調査研究を行っていきたいと考えておりまして、さらに、今回の法律案につきましては施行五年後の検討規定を置いております。社会情勢がやはり変化をしてくる中で、地球環境問題等々も大変重要な課題になってきておりますので、大深度掘削泉の取り扱いにつきましては、ただいま申し上げました調査研究の成果を踏まえ、その際に必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

上野委員 北川政務官は大変な温泉好きだと聞いておりますが、ぜひそうした方針でお願いをしたいと思います。

 次に、入湯税の関係につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず、入湯税の課税根拠は何かにつきましてお伺いいたします。

岡崎政府参考人 入湯税の課税根拠についての御質問でございますが、入湯税は、入湯施設の利用と市町村の行政サービスとの関連に着目いたしまして、鉱泉浴場所在の市町村が課する目的税とされております。

上野委員 これは昭和三十二年からある古い税制だと思いますが、今お話がありましたように、行政サービスとの関連性ということが非常に重要なポイントだろうと思います。

 私がいろいろ調べた事例によりますと、同じ市町村内で使われるのはもちろんでありますが、温泉地とは相当離れた、五十キロも六十キロも離れたようなところで、これが目的税として環境施設等に使われるというような例があるというふうに聞いております。

 これにつきましては、本来的には、今お話がありました行政サービスとの関連性ということでありますので、利用者に還元をされるということが非常に重要ではないかと思います。私としては、その使途につきまして、その使い道については、温泉地あるいは温泉地周辺での使途、使用に限定をしたり、あるいは、今幾つか、四つほど使途が限られているわけですが、その中でも特に温泉にかかわりのある観光振興や観光施設整備、あるいは温泉源保護等に使い道をより限定するべきではないかというふうに考えておりますが、この点につきましてはいかがでしょうか。

岡崎政府参考人 入湯税の使途についての御質問でございます。

 御指摘のとおり、昭和三十二年に目的税化されまして、その使途につきましては、現在法律では、環境衛生施設、鉱泉源の保護管理施設、消防施設、観光の振興等に要する費用に充てることとされておりまして、具体的な施設整備の内容、あるいはその市町村の中でどこで事業を実施するのかというようなものの判断につきましては、課税している団体に任されているということでございます。

 そういう制度下で、各課税団体におきまして、定められた使途の範囲内で当該団体の実情に応じた施設整備を行っているところでありますが、御指摘ありましたように、その使途について現行よりも限定することにつきましては、一つには、対象外となった施設について新たにほかの財源を求める必要があるということ、また、課税団体の裁量の範囲を結果的に狭めることになりまして、地方分権の流れに反するのではないかというような問題点があるのではないかと考えております。

 私どもとしましては、むしろ、入湯税を課税している各市町村におきまして、入湯税の意義を踏まえつつ、議会での議論あるいは住民の意見も十分聞いた上で、事業者や住民が納得できるような適切な使途ということで対応していくということを期待しているところでございます。

上野委員 対象外になったものについての財源手当て等につきましては、それはそれで十分検討しなければいけないと思いますけれども、繰り返しになりますが、利用者への還元ということがまず重要だと思いますので、その点を勘案して、制度についても、古い制度ですから、見直すべき点は見直すことが必要ではないかというふうに考えます。

 いずれにいたしましても、これにつきましては、また私ども自由民主党の中の税制調査会等の場でも改めて議論をさせていただきたいと思いますので、その点をお含みおきいただきたいと思います。

 それから、次に、魅力ある温泉地づくりにつきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 現在、国民保養温泉地という指定が古くからなされているわけでありますけれども、これにつきましては現在政府としてはどのような支援を行っていらっしゃるのか。あるいは、今後、この法律の改正等を契機といたしまして、新たな支援措置等についても検討されているのかにつきましてお伺いしたいと思います。

冨岡政府参考人 温泉法改正に当たりましての中央環境審議会答申におきまして、魅力ある温泉地づくりは一つの議論の中心となった点でございます。ここにおきましては、温泉事業者、地域住民、地方自治体が一体となって、地域ぐるみでそれぞれの温泉地の魅力を高めるための創意工夫がなされることがまず重要である、このような考え方に基づいて振興が言われております。

 現行の国民保養温泉地につきましては、法律第二十五条に基づきまして、適切な温泉利用のモデルとなる地域といたしまして、現在、全国で九十一カ所の温泉地を指定しております。このうち国立公園内に位置するものにつきましては、自然公園整備事業として遊歩道それから休憩所などの整備を進めてきております。

 今後につきましては、こういった整備を引き続き進めるほかに、新たに、温泉地におきますエコツーリズムの推進などの特徴ある取り組みにつきまして広く全国に紹介していくことや、それから温泉の廃熱利用など環境保全型の温泉地づくりの支援、こういったことにつきまして現在検討を進めているところでございます。

上野委員 この国民保養温泉地という制度も古くからの制度だというふうに聞いておりますけれども、今お話がありましたように、ぜひ積極的なPR活動や支援措置によりまして温泉地の魅力づくりを進めていただくことによって、それがまた地域の住民あるいは地域の経済にとってもプラスになってまいりますので、その点につきまして今後とも十分御留意をいただいて、対応をお願いしたいと思います。

 ということで、スムーズに御答弁をいただきまして、ちょっと時間は早いんですが、これで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございます。

西野委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 民主党の吉田泉でございます。おはようございます。

 私の方からも、温泉法の一部を改正する法律案について何点か御質問をさせていただきます。

 技術の発展に伴って、いろいろな温泉が今出てきているということだと思います。昔からある自噴式の温泉に加えて、千メーター以上ある大掘削の温泉とか、それからお湯を繰り返し使う循環式の温泉とか、いろいろなタイプの温泉が出てまいりました。

 それに対して、どれがいいとか悪いとか、私は、なかなか一概に言えない、やはりさまざまな需要があるというふうに受けとめておるところでございます。そして、その多様な需要にこたえながら、我が国の古来からある伝統的な温泉のあり方、温泉文化、これをどうやって守っていくかというのが温泉法なり温泉行政の目標じゃないか、こんなことでございます。

 そういう視点から、まず最初に、温泉の定義について何点かお伺いしたいと思います。

 昭和二十三年、温泉法制定以来、日本は、どちらかというと私は緩い定義でこれまでやってきたというふうに思います。要するに、二十五度C以上、または温泉成分がある、どちらかでよいという定義でやってまいりました。その結果、温泉成分がなくても二十五度あれば温泉である、それから一%の温泉に九九%水を加えても温泉である、それから入浴剤、塩素、こういう化学物質を加えても温泉法上は温泉であるということになっているわけでございます。

 一方で、需要の多様化といいますか、人によっては本来の、狭義の温泉にこだわるといいますか、それを求める人も私はふえているというふうに思います。そうしますと、この従来の緩い定義では、そういういわば本物志向の国民の要求にはちょっとこたえられなくなっているんじゃないか。温泉法の定義をこれからもう一回見直したらいいのかどうか。ただ、六十年やってきたという重みもありますので、非常に慎重な検討が必要だと思いますが、そういう時期にあるんじゃないかなと思います。

 それで、最初の質問は、世界で温泉先進国と言われているのがドイツでありますけれども、ドイツにおいて温泉の定義はどうなっているのか、日本と比べてどこが違うのか、お伺いします。

冨岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ドイツにおきます温泉の定義につきましては、鉱物の溶存量が一定量以上であり、硫黄等の特別な成分が一定量以上含有されているもの、あるいは、温度が二十度以上のものを療養効果のある水として定義づけている、そのように私どもは聞いております。

 なお、ドイツでは日本とは少し利用形態が異なるということもあるようでございまして、日本の温泉の定義と単純に比較することはできないと思われますが、日本とドイツとを比べますと次のような相違点があると見られます。

 日本の定義とドイツの定義が同じような点につきましては、まず、一定量以上の成分の含有を必要としている点、それから、一定の温度以上であれば定義に含めることができるという点、この点についてはほぼ同じと考えてよろしいかと思います。

 異なる点としては、日本では温度につきまして二十五度以上としておりますが、ドイツでは二十度以上のようでございます。なお、それぞれの成分につきましては、日本では水素イオンや重炭酸ソーダ等の物質が含まれている、こういうものが定義に含まれておりますが、こういった含まれている物質については、必ずしも両国で全く同じということではない。

 大体、以上が概要でございます。

吉田(泉)委員 私も事前にそのドイツの定義を見たんですけれども、私が見たところでは、日本と大いに違う。温泉を二つに分ける、それで単に二十度以上、成分はないけれども温度はあるというものを温浴泉と称している、成分がきちんとあるものについては天然温泉と称する、この二つをはっきり分けている、そこが私は日本とは違うんじゃないかなと思うんですが、この考えでよろしいのかどうかだけ、ちょっと確認しておきたい。

冨岡政府参考人 ドイツにおきます定義と申しましょうか、その点につきましては、先生御指摘のように、天然温泉という定義と申しましょうか、そういう考え方があるというふうな最近の研究報告があることは、私ども確認しております。

 このドイツにおきます天然温泉とは、鉱物の溶存量が一定以上であり、かつ、硫黄等の特別な成分が一定以上あるものを天然温泉と呼称している、このように定義と申しましょうか、呼んでいるということがあるようでございます。

吉田(泉)委員 私は、日本にとっても大変参考になる考え方じゃないかなと思っているんですが、後でまたこの問題は触れたいと思います。

 さて、日本では、法令上、温泉という言葉以外に、鉱泉という言葉も出てまいります。その定義はどうでしょうか。

冨岡政府参考人 先生お尋ねの鉱泉の定義につきましては、これは環境省が定めております鉱泉分析法指針の中に鉱泉の定義がございます。これによりますと、「地中から湧出する温水および鉱水の泉水で、多量の固形物質、またはガス状物質、もしくは特殊な物質を含むか、あるいは泉温が、源泉周囲の年平均気温より常に著しく高いもの」と定義されております。

 なお、温泉法に言います温泉との定義の違いでございますが、温泉法に言う温泉は、ただいま申し上げました鉱泉のほかに、地中より湧出する水蒸気及びその他のガスを包含するものでございまして、温泉法の定義の方が少し広くなっております。

吉田(泉)委員 温泉の方が少し広いということです。

 今お触れになった鉱泉分析法指針という局長通知がありますが、今度は、そこにおいて療養泉という言葉が出てきます。これは、「鉱泉のうち、特に治療の目的に供しうるもの」ということであります。

 先ほど、最初に私、温泉法は緩い定義であって、成分がなくても温泉であるという場合があると申し上げたんですが、この療養泉についても、成分がなくても、治療に供し得る療養泉であるという可能性があるのかどうか、お伺いします。

冨岡政府参考人 鉱泉分析法指針における定義におきましては、療養泉とは、特に治療の目的に供し得る、これは適応症の掲示が可能となるということでございますが、温泉であり、具体的には、硫黄等七成分を一定量以上含有するもの、溶存物質が一リットル当たり一グラム以上であるもの、温度が二十五度以上であるもののいずれかに該当するものをいうとされておりまして、先生お尋ねのように、温度が二十五度以上で、成分が温泉法や指針に規定された物質の量に達しない場合も含まれるものでございます。これを通称、単純温泉と言っております。

吉田(泉)委員 そうしますと、治療に供し得ると称される療養泉においても、今の定義からいうと、温度は二十五度あるけれども、実は成分が入っていないという場合もあり得るという答弁だったと解釈します。

 私は、これはちょっと疑問を感じるところでございます。成分のないものまで療養泉に含めていいのか、もう少しここは厳密に定義した方がいいんじゃないかというふうに感じたところでございます。

 もう一つ、塩素殺菌の問題に移ります。

 大きいおふろ、たくさんの人が入るということもあって、塩素殺菌をしているところが多いわけですが、学説によっては、塩素殺菌というのは温泉の効用を著しく下げるという説を唱える先生がいます。いわば、本来は還元系である温泉が、そういう化学物質を入れると酸化系に変わってしまう、マイナスイオンがプラスイオンに変わる、こういうことだそうです。

 そうしますと、療養泉と言っておきながら、塩素殺菌をするということは、非常に治療効果を下げることになるんじゃないか。私は、少なくとも療養泉においては塩素殺菌というのは制限されるべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

冨岡政府参考人 鉱泉分析法におきます指針では、地中から湧出した加工がされていない状態の温泉を分析する手法を定めているものであります。この指針の中で定めている療養泉につきましても、このような状態における分析を想定しております。加工していないものを想定しております。

 ただし、温泉が湧出した後に、浴槽等において塩素殺菌などの人為的な加工が加わることで温泉の成分が変化するという指摘も、先生御指摘のようにあるところでございます。そういうことで、塩素殺菌等の加工を行っている旨を掲示し、消費者、利用者に正しくお知らせして、その利用の御判断をいただく、このような考え方で対応しているところでございます。

吉田(泉)委員 確かに表示が大事ではありますけれども、表示だけじゃなくて、治療の目的の温泉だと言っておきながら、治療効果を下げるような添加を許しているというのは、私はちょっと疑問に感じるところでございます。

 そこで、私の意見は、少なくとも療養泉という定義があるわけですから、療養泉については、含まれなくちゃいけない温泉の成分とか、それから塩素殺菌のあり方、こういうことをもう少し厳密に定義し直して、一番最初に申し上げました、ドイツはそういうものを天然温泉と定義づけていると私は解釈しているんですが、ドイツの天然温泉に匹敵するようなものとして日本の療養泉を温泉法上に位置づけられないかなというふうに思っておるんですが、いかがでしょうか。

北川(知)大臣政務官 吉田委員御指摘のように、現行の温泉法、緩やかな定義といいますか、幅広い観点からの定義があると思います。これは、温泉がさまざまな成分を含有しており、人体に害を与える場合もあり得ることから、我が国の温泉法は、温泉を幅広く定義し、また幅広く許可制の対象とすることによって、利用者への健康上の悪影響を未然に防止するという考え方に立っているものであります。

 また、温泉の保護と適正な利用の確保という温泉法の目的を踏まえれば、こうした考え方で設けられた温泉の定義とは別に、新たに温泉の療養効果に着目した定義を設ける必要はないと考えております。

 環境省といたしましては、温泉の禁忌症、適応症及び利用上の注意事項に関する最新の医学的知見を収集するための調査を実施しているところでありまして、法律上の位置づけとは別に、この調査の結果を踏まえ、利用者に対するより適切な情報提供が進められるよう努めてまいりたいと思っております。

 先ほど委員からもお話がありました、六十年の重みといいますか、日本の国土、独自性の温泉というものもあるわけでありますから、今後は、この法律に関しましても、五年ごとにといいますか五年後に見直す、こういう方向性も位置づけておりますので、この点については、今後、先ほど申し上げましたような方向で努めてまいりたいと考えております。

吉田(泉)委員 私も、六十年使ってきた温泉という定義を見直すというのは、現実問題として非常に大変だと思うんです。私が申し上げているのは、療養泉というもの、温泉の中の療養泉という定義をもう少し厳密にしたらいいのではないか、こういう意見でございます。

 それで、質問通告を一つ飛ばしますが、今度は逆に、鉱泉宿の問題をちょっと申し上げたいと思います。

 私の地元にもたくさんの昔からある鉱泉宿というものがあります。独特の湯質を持つ鉱泉宿が、それぞれ百年、二百年という歴史のある宿なんですが、温泉成分を分析しなければならないということで、保健所が分析したところ、実は、温泉法で言う温泉成分が入っていないということになってしまった鉱泉宿がたくさん出てきたわけであります。百年も二百年も、薬効があるということで遠方からわざわざ湯治に来たり、そういう鉱泉宿が実は温泉成分がなかった、つまりは、そういう意味では薬効成分がなかったのか、一体どうしたことかと疑問に思うところでございます。

 それで、質問は、今の温泉基準、十八種類等の成分が基準として出されておりますが、昭和二十三年に決められたこの温泉基準というのは、どうなんでしょうか、学問的に完成された基準と言い切れるんでしょうか。つまり、古来から、何百年も人体実験をしてきて、みんな薬効があると言っているような鉱泉宿が、ひょっとしたら、また別な何か成分を持っていた、そういう意味では、温泉の神秘というのを本当に我々は解明し尽くしたのかという疑問があるんですが、いかがでしょうか。

冨岡政府参考人 温泉の効用と申しましょうか、健康に対する影響というのは、必ずしも含まれている成分によってというものだけではなくて、一般的に、例えば、温度とか、温泉による体に対する刺激、今申した成分、それからあと周りの環境が与える人に対する効果、そういったものが総合的に影響して効果があるんではないか、そのように言われているところでございます。

 そういった中で、温泉の定義につきましては、先ほど来お答えしておりますような中身で、また政務官が申し上げましたように、六十年の運用ということでかなり定着してきておるところでございます。

 こういった中で、温泉の要件となる成分につきまして検討するということにつきましては、健康によいと言われるそういったこと、学術的に健康によいと言えるかどうかといった観点だけからではなくて、やはり総合的な観点が必要かなという点でもあろうかと思っております。

 また、こういった点につきましては、日本温泉気候学会といった、こういった分野に関心の高い医師等から成る学会もありますので、そういったところにも研究をお願いしているところでございます。

 ただ、一つつけ加えますと、温泉法上の温泉でないものにつきまして、事業者が健康に着目して自主的な情報提供などをすること自体、温泉法が禁止しているというわけではございません。ただ、それを温泉として効能を言うと、それは、温泉でないものを温泉と言うのはできませんけれども、温泉と言わなければ、特にそれが根拠のないといったものでなければ、それを情報提供してはならないといったものではないということでございます。

吉田(泉)委員 いずれにしても、伝統的な鉱泉宿が法律上非常にあいまいな立場に今置かれているわけであります。私は、いずれこの鉱泉宿なんかも何か一つのグループとして位置づけた方がいいんじゃないか、そういう気持ちも持っているわけでございます。

 ところで、この鉱泉宿、鉱泉浴場、温泉成分がないと分析が出た場合については、温泉と名乗ってはいけません、それから、ほぼ同義である鉱泉としても名乗ってはいけません、こういう指導を地元で受けているということであります。

 ところが、温泉と名乗っちゃだめ、鉱泉も名乗っちゃだめというにもかかわらず、入湯税は支払ってもらいたい、こういう状況があるようですが、温泉成分なしと分析された鉱泉宿の入湯税の支払い、どうあるべきか、お伺いします。

岡崎政府参考人 お答え申し上げます。

 入湯税は、鉱泉浴場所在の市町村が鉱泉浴場における入湯行為に対して課す税とされております。

 ここで言う鉱泉浴場とは、原則として、温泉法に言う温泉を利用する浴場をいうものでありますが、同法の温泉に類するもので鉱泉と認められるものを利用する浴場など、社会通念上鉱泉浴場として認識されるものも含まれるということとされております。

 したがいまして、こうした温泉法に言う温泉を利用する浴場または社会通念上の鉱泉浴場と認識されるものに該当すれば課税は可能でございますし、そうでなくて、単に温泉を自称するだけでは入湯税の課税対象にならないという整理をいたしております。

吉田(泉)委員 社会通念上鉱泉浴場ということであれば入湯税がかかってくる、しかし、温泉法上は成分も温度も足りないということで温泉ないし鉱泉ではない。私は、これは理屈としてはやはり矛盾じゃないかというふうに思います。もう少し整理が必要じゃないかと申し上げたいと思います。

 それから次に、今度は情報公開の問題をお伺いします。

 二年前になりますが、平成十七年二月、施行規則改正ということで四つの掲示義務が課されました。加水、加温、循環それから添加、この四つの事象がある場合については温泉宿に掲示をする義務があるということでありますが、二年たって、その遵守の状況はいかがでしょうか。

    〔委員長退席、並木委員長代理着席〕

冨岡政府参考人 先生のお話のように、平成十七年二月の施行規則改正によりまして、加水、加温、循環ろ過及び入浴剤の添加等が行われている場合にはその旨とその理由を掲示することを事業者に義務づけたところでございます。

 これらの追加項目に該当し届け出がなされた事業者数は約一万五千でありまして、全事業者約二万二千の約七割に当たります。

 これまでのところ、都道府県等におきまして、違法事業者に対する行政処分や告発といった報告はございません。届け出を行っていない事業者は、新たに義務づけた項目に該当しないもの、それから現在休業中のもの、こういったものもあるのじゃないかと見られます。

 こうしたことを勘案しますと、追加項目に対する掲示は、施行後それほど経過しているわけではございませんけれども、都道府県等による周知、立入検査に際しての指導などを通じまして、適切に実施されているものと認識いたしております。

吉田(泉)委員 そういうルールをつくった以上は、やはり適切なチェックを随時する必要があると思います。正直者がばかを見ないようにといいますか、まじめな業者が不利益にならないような配慮をしていただきたいと思います。

 それから、ことしの平成十九年二月、中央環境審議会が答申を出したわけですが、答申の中で、温泉利用事業者の自主的な取り組みとして、加水、加温、循環、消毒の程度、それから加水をするときは水の種類、それから温泉の源泉の状況、入れかえの頻度、こういうことについて業者に自主的に情報提供をするようにということを求めたわけであります。そして、それに対して国、県は支援をすべきである、こういう答申を出したわけですが、政府はこの答申に対してどういうふうに対応されるのか、お伺いします。

冨岡政府参考人 温泉は、宿泊の温泉だけで年間延べ一億人以上が利用する国民に身近な存在でございます。こういうことで、利用者に対する情報提供の一層の充実が求められているものと認識しております。

 御指摘の中環審の答申におきましても、事業者の自主的な情報提供と、国及び都道府県の支援が提言されているところでありまして、適切な情報を提供することが温泉への信頼の確保、ひいてはイメージアップにつながる、こういった意義の周知、それから、利用者にとってわかりやすい掲示内容や掲示方法の提示などを行い、温泉の成分はもとより、源泉の掘削深度や加水の程度なども含めまして、自主的な情報提供を促してまいりたいと考えております。

 また、国及び都道府県みずからによる情報提供も提言されておりまして、温泉に関する科学的な知見などの情報提供を進めてまいりたいと考えているところでございます。

吉田(泉)委員 実は、平成十七年の答申、ですから二年前の答申でも同じようなことが求められていたわけですが、結局実行できなかったということで、再度答申がされたということだと思います。なかなか業者の自主的な取り組みというものを待っていても期待できないのかもしれない、そんな気持ちもあります。行政の支援を強めるときではないかなというふうに思います。

 最後の質問ですけれども、以上、いろいろお伺いしましたが、私は、今の国民のいろいろな要求、温泉に対するいろいろな需要にこたえるためには、温泉の再定義も、もしくは区分定義といいますか、療養泉とか鉱泉宿なんかも含めた区分定義なども含めて、温泉法並びに温泉行政を一度総合的に見直したらどうか、今そういう時期にもうあるのではないかというふうに思っているのですが、大臣、いかがでしょうか。

若林国務大臣 吉田委員から、温泉の定義あるいは温泉の概念をめぐって、なかなか知見の深い御質問をいただきました。療養泉でありますとかあるいは温泉ならざる鉱泉の取り扱いの問題とか、いろいろと問題提起をいただいたところでございます。

 政府委員の答弁にもございますように、長年にわたって国民に親しまれてきた温泉というのは、湯治場でありますとか、あるいは治療を目的とした温泉、何とかの隠し湯などというようなものが古来ございます。そういうようなものが衛生上いろいろ問題を起こしてはならないという視点から規制が加わり、戦後はむしろ積極的に、できるだけ広い範囲で温泉としてこれを概念した上で許可制に持っていくというような経過をたどっております。

 委員もおっしゃっておられますように、六十年からの経緯の中で、国民のニーズの方がいろいろ多様化してまいりましたから、今、国民が、温泉といっても、いろいろなものを求めるようになってきております。これは、かなり温泉に対する需要の変化が進行中であるというようなこともこれありますので、やはり当面は、私は、温泉側がしっかりとした情報提供をして、ユーザーの方が選択しやすいような、わかりやすく正確な情報を提供していくということがまずは大事ではないか。

 そういう意味で、十七年に改正をし、省令でさらに委員がおっしゃられました加温、加水等の項目を加えたというところでありまして、それをまず徹底して、温泉事業者がそういう正しい情報を常に提供していくということが信頼を高め、いろいろな新しいニーズをさらに開発することにもつながっていく、そういう認識に立っていただきたいという思いがございます。

 今は、今回の改正の趣旨も含めまして、正しい情報をわかりやすく提供して、ユーザーが利用していくという視点に立ってこれを推進していくことにまず重点を置いてまいりたいというふうに思うのでございます。

 温泉法及び温泉行政全体については、今後とも必要に応じて見直しを行いまして、温泉の保護と適正利用の確保を図ってまいりたいと思います。

吉田(泉)委員 日本は世界に冠たる温泉資源国でございます。今大臣がおっしゃったように、ユーザーの視点に立った世界一の温泉法、世界一の温泉行政を目指したいと申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

並木委員長代理 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。三十分の時間をちょうだいして、この温泉法について質疑をさせていただきたいと思います。

 大臣は、長野の御出身というふうにお伺いをしております。温泉地でもあり、ある意味では随分思い入れを持っていただいての今回の改正ではないか、そんなふうに実は拝見をしながら、この法案の中身、審議をさせていただいたところであります。

 私が言うまでもありませんが、今回のこの改正の発端は、温泉の成分であるとか、井戸水を加水したといった、いわゆる温泉偽装事件が発端であったことは皆さんも御承知いただいていることだと思います。

 この経緯については改めて申し上げませんけれども、平成十八年十月に温泉行政の諸課題に関する懇談会が報告書を提出されたり、また、十九年の二月には中環審からも「温泉資源の保護対策及び温泉の成分に係る情報提供の在り方等について」という答申が出されたところであります。

 最近の温泉の問題、温泉をめぐる状況は、言ってみれば、温泉資源に関する状況とそれから利用に関する状況についての議論が随分中心的に行われてきたのではないか、そんなふうに理解をしているところでもあります。

 今回の改正の中身においても、幾つかの問題点を私自身も洗い出してみました。掘削などの許可制度のあり方、温泉枯渇の未然防止の状況把握の必要性、温泉成分の情報提供のあり方、そして、先ほども質問がありましたけれども、温泉の定義であるとか、今回の法案とはまた若干色が違いますけれども、レジオネラ菌対策のあり方など、論点が相当あろうかというふうに思います。

 残念ながら、三十分という時間ですのでなかなかすべてを網羅することはできませんけれども、何点か、こうしたポイントの中を絞りながら質問させていただきたいと思っております。

 まず、今回の、定期分析の妥当性というものについて尋ねたいと思います。参考人で結構であります。

 これまでに政府の方でも答弁、先ほどの質問にも触れられていた部分でもありますけれども、温泉の成分の変化についてですが、急激な湧水量の減少であるとか、季節的な変化というものが非常に短いスパンで出てくるというふうに私も聞き及んでいるんですけれども、冒頭、この事実関係はどのように掌握をされているのか、温泉成分の変化についてお答えをいただけませんでしょうか。

冨岡政府参考人 温泉の成分の変化につきましては、地下の水脈と申しましょうか、温泉のそういった流れが変わったりするということから生ずると考えられますので、温泉成分の変化は急激ではなくて徐々に進行する場合が多いというふうに考えております。

 そういうことで、温泉につきましては、新たな事実が発覚と申しましょうか、出た場合には、比較的突然、報道とかそういうことになりますけれども、こういった事実の進行は、それほど短い期間ではなくて、比較的、十年とかそういった期間で変化が起きるものと承知しております。

田島(一)委員 今の御答弁だと、どうも十年というのを随分強調されたいような答弁でございますけれども、実際に温泉の経営者等が、例えばこの間の偽装事件等々を考えたとき、もうここは温泉のもとを入れなきゃいけないぞと踏み切るタイミング、もしくは井戸水を加水しないとだめだと思うタイミング、これは個人の判断、経営者の判断だとは思うんですが、確かに、じわじわと枯渇したり、また成分変化が起こってくると御答弁いただきましたけれども、果たして、本当に今答弁をいただいた十年というスパンでほぼ出てくるものなのかどうなのか。この辺の科学的知見というのは整理されていらっしゃいますか。

    〔並木委員長代理退席、委員長着席〕

冨岡政府参考人 温泉それぞれ、成り立ちとか出てくる構造とか、そういう地下の構造が違いますので、一概には言えないし、中にはそれほど変化のしない温泉もありますし、比較的変化する温泉もある、それぞれ、さまざまだと思います。

 それで、科学的な知見と申しましょうか、そういったものとして、何年ならかなり間違いなく変化するとか、いや、何年という、数字を区切ったそのような調査といったものは見当たらないと思います。

田島(一)委員 温泉と地下水という因果関係、これはさておきまして、実は、我が家でもかつては井戸を掘っておりまして、地下水を生活用水に使っておりました。地方へ行けば井戸水を上水道のかわりに生活水として使っているところもまだあるんですが、残念なことに、我が家の井戸水というのは、実は十年ほど前に枯渇をしてしまいました。近隣に工業団地ができたことであるとか、保養施設、これも温泉の関係なのでしょうか、そういったものができたことが原因ではないかと個人的には思っておるわけですけれども、これも確かに、おっしゃったとおり、急激に枯渇したわけではありません。しかし、ある日突然異物がまじるようになったり出方が悪くなったりということで、違いは明らかにわかったわけであります。

 そこで、我が家も結果的には上水道に切りかえました。この切りかえたタイミングというのは、なかなか難しいところでもあります。当然、我が家の都合でかえたことかもしれませんが、温泉地において、もう温泉が枯渇してきたぞ、そろそろこれは何とか手を打たなきゃ、井戸水なり違う水を入れましょう、もしくは、温泉の白濁が薄くなってきたから温泉のもとでも入れて白く濁らせましょうという結果、こういう偽装事件が起こったわけですよね。

 つまりは、いつ起こるかわからないし、十年もつかどうかもわからない、三年でもひょっとしたら湧水量が減少するといったこともあり得る、そんなふうに私も聞き及んでいるわけでありますが、今回、この改正案の中で、十八条の第三項、温泉を公共の浴用または飲用に供する者は、政令で定める期間ごとに前項の温泉成分分析を受けるというふうに書いてあります。これは、政令で定める期間というのは、十年ですよね。確認します。

冨岡政府参考人 この政令で定める期間につきましては、先ほど申し上げましたように、急激に変化するのではなくて徐々に進行する場合が多い、従来からおおむね十年ごとの再分析を指導としては行ってきている、それから、温泉利用事業者の分析に要する費用負担に対する配慮、こういったさまざまな事情を考えまして、十年ごとに行うことが適当ではないかと考えておりまして、これを政令に定めることを想定しております。

田島(一)委員 今回、定期的な成分分析を義務づけると上がっています。義務づけることに実は私も全く異論はありません。しかし、この十年というスパンが適切なのかどうかという点に実は疑問を感じるわけであります。

 例えば、これまで事件として発覚をしてきた温泉偽装の事例、この問題が、じわじわと成分の変化が起こってきたわけではありますけれども、十年のスパンの中で行われていたのか、十年以上もかけて行われていたのか、このあたりの事実関係というのはまだ掌握できていないのではないかというふうに思うわけであります。

 それと、例えば駆け込み的に成分検査を受けた、そしてそれでオーケーが出たとなったところで、次に成分分析をするのは向こう十年先であります。つまりは、枯渇しかけたり成分が変化しかけているさなかに、ぎりぎりこの成分分析のオーケーが出たとしたならば、次の十年の間に、成分分析のせっかくおとりになられた分析結果がこの十年の間に役に立たないことも十分に考えられるわけですね。

 私が申し上げたいのは、これまでの十年間の成分の分析はきちんとこのような数字でしたよという証明にはなり得ますが、向こうこの先十年間、この成分で必ず温泉は大丈夫ですよという証明にはならないのではないかと思うわけであります。利用される消費者は、これまでの十年間の成分分析をその結果で理解をできるけれども、この先どうするんだろうか、今自分がつかろうとしている温泉は大丈夫なのか、その証明にはなっていないんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、その点、環境省はどうお考えですか。

冨岡政府参考人 成分分析につきましては、これまでの法律では期限の定めはないということでありましたが、今回の法改正の過程で、先生お話がございました懇談会で専門家の意見を聞いたり関係者の意見を聞いたり、中環審の答申をいただく段階で、この問題に関しまして関係者なり専門家の関心というのは非常に高まったのではないかと考えております。そういうことで、これからは、源泉の水位とか量とかそれから温度とかに対します監視というものは、事業者も含めまして高まってくるものと思われます。

 こういったことが予想される中で、今後、成分の変化につきましても、新たな知見が得られた場合と申しますよりも、こういう知見の集積に努めまして、この定期分析の期間につきましても、それに応じた必要な検討を行うこととしたいと考えております。

田島(一)委員 これから必要な検討をしていくというふうにおっしゃるわけですけれども、もう今回、改正案を出していらっしゃるわけなんですね。

 では、現段階で十年と定められた根拠は何なのですか、それをお示しいただきたいと思います。

若林国務大臣 委員が十年という期間に疑問を持たれて、今いろいろと御意見を賜っております。局長の方からも苦しい答弁をいたしておりますが、科学的な根拠といいますか、十年なら間違いないといったようなことは、私はそういうものはないんじゃないかと思っております。

 今まで全く期限を定めておりませんでした。そこで、十八年に調査をいたしましたところ、五年以内、あるいは五年から十年、十年以上、二十年以上、こういろいろな調査の結果を見ますと、十年以上成分分析表をそのままかえていないというのが四割に及んでいるんですね。ですから、まずここに一つの温泉事業者の意識といいますか、やはり正しい情報を提供していかなきゃいけないんだ、これがサービス業なんだという意識をしっかり徹底していくということからスタートを切るために、今まで期限を設けていなかったものに期限を設けるということで制度改正に踏み切ったわけであります。

 そのときに、期限をどう設けるかということは、局長が答弁いたしましたように、かねて行政指導として、十年でひとつ分析表示を見直してもらいたいという行政指導をしてきたことでありますが、その行政指導に応じていないのが四割もあったということでございますので、ここはひとつ、かなり定着をしてきました、六割の方が守っているという十年というものからスタートを切る。この年限は政令で決めることになっておりますので、まずこの十年というものを徹底させて、むしろ、温泉のサービス提供者が正しい情報をきちっと出さなければ、結局温泉自身の信用を失っていくんだということを自覚してもらうことから始まらなきゃいけないんじゃないかというふうに私は思うわけです。

 そういう意味で、従来の行政指導が十年であったということを一応のメルクマールといたしまして、十年からスタートを切って、その徹底を図っていくのが妥当ではないかという判断を今しているところでございます。

田島(一)委員 十年にこだわり出すと、これはもう本当に何時間あったって切りがない話ですね。それは私も承知しています。ですから、それに難癖をつけるつもりも毛頭ないんですね。

 ただ、今回の枯渇状況、成分の変化の状況というものに対して、科学的知見がないままに、まあ十年ぐらいだろうみたいなふうに一般の方々にとらえられるとすると、これは、温泉とは何ぞや、温泉の定義も含めて、ますます疑念の声がやはり上がってくるんだと思うんですね。

 ある意味では、まだこれから先検討もするという御答弁もいただきました。ひょっとしたら、この十年というスパンはやはり長過ぎるという検討の結果になるかもしれません。

 その点については、これ以上長い方がいいということはまず現状からすればあり得ないと思いますから、十年というのを一つの目安にして、いかに短いスパンで成分分析をやっていくか、この点についてぜひ前向きに検討いただきたいと思いますが、その決意だけ、大臣聞かせていただけますか。

若林国務大臣 委員おっしゃるとおりだと思います。私は、温泉事業者がサービス業として、そのユーザーに対して的確な、そしてまたわかりやすい情報を出すことによって信用をかち得ないと、温泉としての競争にたえていけなくなる、そういう時代に入ってきている。しかも、先ほども申しましたけれども、需要が多様化しているんですね。多様化した需要に対応するための情報の出し方というのは、業者自身も工夫をしていかなければならない、そういう時代になっているのではないかというふうに思います。

 このきっかけになりましたのが我が長野県の中で起こった偽装事件がきっかけでありますので、深刻に私自身も受けとめ、県下各地、非常に多数の温泉地がございます。温泉地の皆さん方ともいろいろなお話をしてまいったところでございますけれども、やはりそういうことをサービス業者として意識を徹底させるということが基本中の基本だ、こんなふうに思っておりますので、この十年からスタートを切らせていただきたい。それは、その状況によって、いろいろな多様な区分あるいは多様な決め方というのは今後あり得ることではないかと思っております。

田島(一)委員 ぜひ期待をしたいと思います。やはり常に情報公開をきちっとしていくということ、これが何よりの温泉に対する信頼を回復することだと思います。この点はぜひ要望としてお伝えをしておきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 きょうは、公正取引委員会の取引部長にもお越しをいただきました。

 平成十五年の三月から六月にかけて温泉表示に関する実態調査を行われていらっしゃいます。この実態調査の趣旨、目的、時間もありませんので簡単に紹介をいただきますとともに、今回のこの調査の対象はだれになるのか、要はサービスを提供する側に対してなのか、サービスを受ける側、消費者なのか、この辺も含めて、どういう趣旨での実施だったのか、教えてください。

鵜瀞政府参考人 公正取引委員会は、一般消費者の適正な商品選択に資するという観点から、商品、サービスに係る表示の実態調査を行い、景品表示法上の考え方を整理し、公表しているところでございます。

 御質問のありました温泉表示の実態調査につきましては、旅館、ホテル等の顧客獲得競争が活発になるとともに、旅行業者のパンフレット等における温泉表示についても、温泉の内容について強調した表示がふえていたことから、温泉表示の実態を把握し、適正化に資することを目的として実施したものでございます。

 調査の対象についてのお尋ねでございますけれども、旅行業者のパンフレット、旅館等のホームページにおける表示につきまして一般消費者の認識を把握するという方法で、消費者モニターに対するアンケート調査等を行ったところでございます。

田島(一)委員 今回、消費者にとって温泉表示は現状適正な情報が提供されていなかったという結論に至られたのかというふうに思うんですけれども、公正取引委員会として、これにどのような対応をされてきたのか。そして、今後、今回のこの調査結果を受けてどういうふうに対応を考えていくのか、そちらをお示しいただきたいと思います。

鵜瀞政府参考人 調査の結果、源泉に加温、加水、循環ろ過等を行っているにもかかわらず、パンフレット等の表示において、消費者に対して必ずしも十分な情報が提供されていないという問題点がわかったところでございます。

 このため、関係事業者団体等に対しまして、温泉に関する情報提供をより積極的に行うように、傘下会員への周知を要請いたしました。また、その後、不当な表示、景品表示法上の不当表示でございますけれども、不当表示を行っている事業者に対しては、排除命令を行ったところでございます。

 また、旅行業者の自主規制でございます主催旅行の表示に関する公正競争規約がございますけれども、その温泉表示に関する規定の変更につきまして指導いたしまして、規約の一部変更の認定をいたしました。

田島(一)委員 今回、今御紹介いただいたとおり、公正取引委員会に実態調査、指摘がなされるということは、環境省としても本当に恥ずかしかった事実ではないかというふうに思うわけですね。事前に、やはり温泉表示の徹底と定期的な調査を早くから取り組んでいれば、各地での不祥事というものは防げたというふうに思います。

 折しも、さきの国会では観光立国基本法なるものを制定し、今ではビジット・ジャパンのキャンペーンも国土交通省が中心となって展開をされています。

 あるところで聞いた話ですけれども、台湾の観光客が最近日本に随分ふえてきた。とりわけ温泉好きの国民性であるがゆえに、日本の温泉地めぐりのツアーが爆発的に売れているらしいです。しかしながら、この不当表示等の不祥事が起こった温泉地に対しては徹底的に旅行会社がチェックをして、観光客はその不祥事のあった温泉地には入れない、そういうツアー会社もあるやに聞きました。

 もちろんこれは当然のことであります。ある意味では、この一つの不祥事が日本全国の温泉地にまでやはり影響するということですから、もっと早くに手を打っておくべきだった。言ってみれば、今回の改正に対しての総意としての異論はないわけですけれども、もっと早くから何らかの手を打つ必要があったのではないかと思うんですけれども、なぜここまで遅くなってしまったのかな、そんな気がするんです。

 その点、改めて問いはいたしませんけれども、少なくとも、今回、公取のこの調査、指摘がありましたけれども、これがなくても、サービス提供者側の管理と指導を怠らないように、ぜひ環境省の方からは徹底した指導をお願いしておきたいと思っております。

 それともう一点、時間もなくなってまいりましたけれども、登録分析機関の現状について尋ねたいと思います。

 今回、温泉成分の分析を行う機関、これはこの温泉の所在地を所管する都道府県知事が所定要件に適合すると認めた登録分析機関が行うというふうになっております。

 こちらの方で調べますと、全国で約百七機関あるようでありますけれども、どうも所管する都道府県内の温泉の数と分析機関の数が必ずしもマッチしていないのではないか、そんなふうに思うわけであります。北海道のように温泉地のたくさんあるところでも、わずか三件の機関しかない。果たしてこれで本当に今回目指そうとしていらっしゃる検査が十分にできるのかな、不都合が生じてこないのだろうかというふうに考えますし、この所定要件というものがどういう形で定められて登録分析機関が定められたのか、このあたりにすごく疑問を感じるんですけれども、お答えをいただけませんでしょうか。

冨岡政府参考人 登録分析機関の登録につきましては、現行法第十五条におきまして、要件の一つは、温泉成分分析に使用する器具、機械または装置の性能が分析を適正に実施するに足りるものとして環境省令で定める基準に合致するものを保有していること、もう一つは、登録申請をした者が温泉成分分析を適正かつ確実に実施するのに十分な経理的基礎を有していること、この二つを要件にしております。

 それで、現在、全国で百十七機関が登録されておりますが、先生御指摘のとおり、一部の都道府県におきましては、温泉利用施設の数に比べまして登録分析機関の数が少ないといった事実がございます。

田島(一)委員 登録分析機関、都道府県によって、随分、いろいろな団体であるとか民間会社が入っていらっしゃいます。薬剤師会が請け負っていらっしゃるケースもあれば、産業廃棄物の処理を主業とする民間会社もあったり、ある意味では、全国共通の成分分析をやらなければならないはずですけれども、その主体たる分析機関が随分まちまちであるな、そんな感じが私はしているわけであります。

 このあたりの検査の能力と申しますか分析能力が全国的にきちっと担保できるのかどうか、このあたりにも一定の不安を感じるわけですけれども、この登録分析機関、百七の機関がありますけれども、その検査能力、分析能力の担保についてはどのようにお考えか。ちょっとこれは通告に入っていないかもしれませんけれども、どのようにお考えか、よかったらお聞かせください。

冨岡政府参考人 登録分析機関は、必ずしも温泉の成分分析のみを業として登録している機関ではございませんで、化学分析が主体でございますので、そういった能力を持つ機関が要件を満たしていれば都道府県知事に申請して登録できる、このような仕組みでございます。

 その場合の基準として、先ほど申し上げましたように、環境省令で、保有する機材とかそういったことについて要件を定めておりまして、それを満たす必要があるわけでございますが、そのやり方につきましても、鉱泉分析につきましてのガイドラインを私どもの方で示しまして、かなり詳細なガイドラインでございまして、それにのっとって実施する、そういうふうな仕組みにしておりまして、また、この業務につきましては、都道府県の立入検査とかそれから報告徴収とかそういった規定もございまして、そういった能力が担保されるよう努めているところでございます。

田島(一)委員 かつて、耐震偽装問題が全国を席巻したときに、実は検査機関もぐるになって一緒に偽装工作に加担をしていたという事件がありました。

 温泉と耐震偽装を一緒にするなとおっしゃる方がいるかもしれませんけれども、私もそんなことはあってはならないというふうに信じますが、いわゆる温泉の経営者とこの検査機関、分析機関が、またぞろこのデータ、成分分析でぐるになって偽装するなんてことが起こらないような公平公正な責任というものをきちっとやはり担保しておかなければならないと思います。まさかあってはならないと思いますけれども、こういった点については十分にチェックをしていただきたい、このことだけは強く要望しておきたいと思います。

 さて、時間もなくなってまいりました。最後に、温泉資源の保護に対する考え方、それと今後の方針について、お考えを聞かせてください。

 今回の温泉法、もともとの立法の目的というのは、温泉を保護することが第一の目的、そして第二には、利用の適正を図って公共の福祉の増進に寄与することであります。

 これはもう私が言うまでもありませんけれども、温泉を保護することと利用の適正というのは、よくよく考えてみると、これはちょっと相反する部分もあろうかと思います。

 もちろん、温泉を保護しながらきちんと利用をしていきましょうと省の方はおっしゃるかと思うんですが、枯渇をしてでも利用を促すのか、利用をとめてでも温泉を保護していこうと考えるのか、私、これは選択を迫られる時期がやがてやってくるのではないかと思うわけであります。

 ネームバリューのある温泉地であればあるほど、その温泉の保護を訴えるのか、それとも、観光資源という位置づけで、利用の適正をするために、さらに枯渇するまでとことん利用させるのか、こういうような二者選択が迫られるかというふうに思うんですけれども、大臣としては、この先、いわゆる自噴の湧水量が減少傾向にもありますし、それこそ資源自体が枯渇化している現状とかを考えると、こういう選択に迫られたとき、基本的にどのようなお考えに立って温泉をとらえていこうとお考えなのか、この最終的な部分だけちょっと聞かせてください。

若林国務大臣 温泉そのものを保護するというよりも、法は、温泉資源を保護するという趣旨で、新たな温泉の掘削などにつきまして条件を付して、その地域の温泉資源というものが守られていくような、そういうことをまずは第一義的に考えて今回の改正をいたしているというふうに御理解をいただければと思うわけでございます。

 そしてまた、そういう温泉資源というものをいかに有効に利用していくかということがあって初めて温泉業というものが成り立つわけでございますので、先ほど来申し上げましたような多様なユーザー側のニーズの変化というようなものに的確に対応して、今後、限られた温泉資源が国民にとって有効に利用されていくというのを進めていくということもまた大きな目的の一つだ、こういうふうに理解をいたしております。

 委員御指摘のように、そのためには、ユーザーに対しては適正かつわかりやすいきめ細かな情報を提供していく。それでユーザーが選択しやすいようにすると同時に、まさに温泉自身が枯渇してしまえば地域としてやっていけなくなるわけですから、それはやはり地域の温泉供給をしている人たちが、組合をつくるあるいはお互いの研究、検討をするなどしながら、その地域の温泉としての活用を図っていくという努力が必要なんだ、こういうふうに私は考えているんです。

田島(一)委員 御存じのとおり、流動性の低い化石水のくみ上げが原因で周辺地盤の影響を懸念する、そんなことも環境省の方では認識をいただいているところであります。

 後の祭りとならないように、資源が無尽蔵ではないという認識に立った上で、温泉のあり方、もちろん利用の適正もそうですし、福祉の増進に寄与するということも大切な目的ではありますが、資源あっての温泉である、このことを肝に銘じていただいて、この先またいろいろな問題が恐らく出てくるのではないかというふうに予想いたしますので、スピーディーな対応をぜひ環境省がおとりいただきますことをお願いして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原でございます。環境委員会では久しぶりに、若林環境大臣には初めて質問させていただきます。

 まず、温泉ですけれども、先ほどから皆さん触れておられますけれども、日本は温泉大国、こんなに温泉好きな国民はいないんじゃないかと思います。

 若林大臣と私しかわからない話を先に申し上げますと、私は小さいころは温泉なんか余り好きではありませんでした。ただ、私の祖父が、じいさんが好きでして、農作業の合間に、中野の松川に温泉があったんです、湯田中から引いてきて。済みません、ローカルな話で。それで、温泉なんか嫌だったんですが、じいさんが帰りにどこか食堂に寄って一杯ひっかける、そのときに私にうどんとかラーメンとかのおこぼれが来る、これが楽しみで、じいさんについて温泉に行っておりました。それで、気がついてみたら、四十代後半ぐらいになりますと、これはパリに行っていたときで、絵とか音楽とか何とか、そんなものに興味は全くありませんでして、ヨーロッパに勤務させていただいたときも、最後に、何とかめぐりに何したかというと、温泉めぐりをいたしました。すっかり温泉好きになってしまったわけです。

 ですから、きょうは、温泉がちゃんとしてほしいという願いを込めて、二点に絞りまして質問させていただきたいと思います。

 主要な問題に入る前に、資料をお配りいただいておりますのでちょっとだけ見ていただきたいのですが、四ページほどの資料でございます。一ページ目のところの「食品表示と温泉掲示の比較」というのを見ていただきたいんです。私、食べ物の問題をずっと追ってまいりまして、食べ物の安全性というのを、非常に大事だと考えまして、有機農業とか、それから、ちょっと手前みそになりますけれども、環境保全型農業とかいう言葉は私がつくり出した言葉でございます。ちゃんといいものをつくっていかなければいけない、消費者にはちゃんと表示したりして食べてもらわなければいけないということでやってまいりまして、だんだんそういう方向に来ているんじゃないかと思っております。

 その私が二十数年、三十年手がけてまいりました食品の表示と温泉の関係をざっと比べてみたんです。これは私がつくったわけでして、環境省や厚生労働省の事務方がきちんと調べてつくったのではなくて、雑な対比表ですけれども、見ていただきたいんです。

 これを見てみますと、温泉は非常にルーズなんですね。食べ物は物すごくきちんとしてきております。法律も、食べ物の表示の方はいっぱいあります。表示事項もきちんとしていまして、例えば原産地なんというのは、昔は表示する必要はなかったんですけれども、食品はしてきている。僕は温泉法の経緯をきちんとトレースしてありませんけれども、多分、それほどきちんと表示事項なんか決まっていないんじゃないかと思うんです。有効期限になりますと、先ほど田島委員が指摘されておりましたけれども、十年ごとというんですね。変わってきたりする、枯渇したりしてきているのに、十年ごとだと。それから、罰則なんかも大分違う。

 これは、食べ物で直接命にかかわるのと、そうじゃないのがあるのかもしれませんけれども、下に出てきますけれども、レジオネラ菌の問題なんかがあったりしまして、温泉もきちんとしなくちゃいけないというのがあるんじゃないかと思います。ですから、国民の関心も、食べ物と温泉の違いで、表示についてそれほどうるさくないんじゃないかと思いますけれども、これはきちんとしていっていただきたいなというのが私の願いでございます。これは私の希望でございます。

 それで、質問ですけれども、二点に絞ってさせていただきたいと思います。

 二つ共通なんですが、食べ物も安全でなければならない、温泉もきちんとしたものでなければならないというのは同じなんですが、それと産業の振興とかいうものとの兼ね合いというのが難しくなってきているんですけれども、排水基準、水質汚濁防止法の関連でずっと問題になっておるのがあるかと思います。

 この温泉法の改正に関しましても、週刊ポストの二月二十三日号にいろいろ書かれておりました。それをじっくり読ませていただきました。硼素、メタ硼酸が多い、これをWHOの基準でやると、一リットル当たり十ミリグラムぐらいしか許さないというので、それで六年前に法律ができて、三年間延長してまた来ているということです。

 これは皆さんも問題はおわかりになっておられると思いますけれども、そもそも、昔からある温泉に工場と同じような基準を適用するというのはもともとおかしいんじゃないかと思いますけれども、その根源的な問題については一体どのようにお考えでしょうか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御指摘は、温泉排水というのがそもそも自然由来であって、産業排水と同等に扱うのはおかしいのではないかという御指摘と考えておりますけれども、実際は、もともとの自然由来の温泉に加えまして、近年では、動力を用いまして人為的にくみ上げている温泉というのが非常にふえております。その割合は自然に湧出するものよりも多いぐらいだと考えておりまして、それによる公共用水域への負荷というのも懸念されるということでございます。

 また、それらの自然由来の、自然に噴出するものと動力によってくみ上げているものが、実際には、それぞれの温泉地あるいはそれぞれの旅館において混在しているというものだと考えております。

 こういった点から、公共用水域の環境保全の観点から、今後とも状況把握に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。

篠原委員 ちゃんとした答えになっていないんですけれども、昔からあるのがあると。

 それを今は人為的に掘ったりしているというのがありましたけれども、では、こういう場合を想定してみてください。自然湧出している、そしてメタ硼酸なり弗素がいっぱい入っている、それで自然界にどんどん出ている、これは危険だということだったら、地方自治体なり国がそれを薄めて出さなけりゃいけなくなるんじゃないんですか。その点はどうなんでしょうか。

寺田政府参考人 環境問題におきましても、自然由来の毒物、害物というものはあるわけでございますけれども、それが自然由来である限りにおいては、従来より、それを前提にしたさまざまな利用というのが図られている。そういうものと、人為的に新しくそういったものを自然界あるいは公共用水域に排出するというのはおのずと異なるというふうに考えております。

篠原委員 いい答えが出てきているんだかよくわかりませんけれども、もしそうだとしたら、掘ってやる温泉じゃなくて、自然湧出して、それをかけ流しで使っている温泉などは、その基準を全く守らなくたっていいということになるんじゃないですか、今の論議でいったら。

寺田政府参考人 実際には、今御指摘の問題というのは、それを用いて営業をしているという点において、純粋の自然とはまた違ったところがあるかと思います。

 ただ、冒頭お答え申し上げましたように、そうした自然由来のものと、動力を用いてくみ上げているものというのが実態としては混在をしているというのが現実でございますので、今後とも、そういった点につきましては、さらに実態把握に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

篠原委員 僕が申し上げたいのは、もう皆さんおわかりいただいていると思います。法律ができて相当たっているわけです。なるべくきちんとしていきたいというのはわかるんですが、今まで手をこまねいておられたんじゃないでしょうか。

 環境省のホームページを見てみましたら、三月二十九日、これは非常につけ焼き刃だと思いますけれども、こういうのが出てくるわけです。「ほう素・ふっ素・硝酸性窒素に係る水質汚濁防止法に基づく暫定排水基準の平成十九年七月以降の取扱いについて」ということで、これは、パブリックコメントを求めていますよ、そんなにきちんと適用しなくていいですよということを書いてあるわけです。

 しかし、この間、この問題は前のときにあって、三年間延長とかになっていたんです。これまでの期間、技術開発とかしてこられたんでしょうか。僕はこれを見ていると、かわいそうなんです。若林さんも私も、同じ長野の温泉にいっぱい入っていますけれども、そこから苦情が出てくるわけです。こんな厳しい基準をやられたら、三千万とか五千万円とか言われています、そんな除去装置をつけられるか、小さな旅館はやっていけない、何とかしてくれと。また延長しなくちゃならないんですよ。もしきちんとやるんだったら、そういう技術開発なんかをして、安くできるようにしてからやるべきだと思いますけれども、その技術開発とかそういうことについて、この間、きちんと取り組んでこられたんでしょうか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今回で二度目の延長ということになるわけでございます。最初の、平成十三年からの三年間においては、業界の自主的な取り組みをお願いいたしまして、ただ、残念ながら、その三年間ではほとんど技術の進展がなかったということでございます。平成十六年、再度の延長をした際には、都道府県等を通じまして、温泉業界に一律排水基準の達成に向けた努力を促すとともに、温泉を利用する旅館等からの排水実態等の調査を実施した。

 またあわせて、ただいまの御指摘は技術開発についてでございますけれども、この平成十三年からの三年間に技術開発が進まなかったということでございますので、環境省といたしましても、民間において開発途上の弗素、硼素に係ります排水処理技術を用いた実証試験を実際の温泉排水において実施し、民間の技術を検証するということを実際環境省の方でやってまいりました。ただ、残念ながら、その結果におきましてもさまざまな技術的な問題点というのが解決されなかったということで、今回、暫定の延長やむなしという結論に至ったものでございます。

篠原委員 地域間格差の問題がいろいろありますけれども、観光地も疲弊しているんです、東京だけにぎやかですけれどもね。長野のひなびた、中山間地域にあるんですよ、そういうところの温泉、温泉街、細々とやっているわけです。

 やはり環境行政というものは、環境も大事です、安全も大事ですけれども、地域振興という観点も考えていただかなくちゃいけない。これは私は、鳥獣保護法の問題でもって、予算委員会でも若林大臣に答弁いただきましたけれども、同じなんです。そこが、事情はわかるんですけれども、ビジネスとしてやっていけるように、その中間点を考えていただきたいということ、ぜひそれを頭の中に入れておいていただきたいと思います。

 それから二番目の、同じような問題なんですけれども、先ほど吉田委員が温泉の定義の問題でちょっと触れられました塩素消毒です。

 天然のものがいいんだと。例えば、食べ物の世界では、先ほどの表示のところをじっくり見ていただきたいんですが、有機農産物というのは、定義がきちんとしてきたりしているんです。ところが、温泉のところでは、でたらめで、源泉一〇〇%でも、一%であと水が入っていたりなんかしていろいろなものを入れても、何でも天然温泉というので、定義がないんですね。食べ物については、有機農産物はこういうものだというふうに定義がきちんとしてきているわけです、世界でも日本でも。それは、築地市場に四割ぐらいが有機農産物が入ってきて、有機農産物という表示があるところが有機、それが問題だというふうになったりして、そういうプロセスを経てできているんですが、温泉の方はでたらめこの上ない表示、でたらめなんて言っちゃ悪いんですけれども、相当ルーズな表示になっている。

 そこへもってきて、せっかく温泉がいろいろな成分が含まれていいというのに、塩素消毒しなくちゃいけない。多分これは、私が思うに、病気になったりして亡くなった人、レジオネラ症の人たちがいっぱいふえて何人か亡くなっている、これを何とかしなくちゃということからです。

 二ページ目を見ていただきたいんです。この長野県野沢温泉というのは、PRになるような感じで済みませんけれども、「入浴で若返り効果」。これを見ていくと、還元力とか還元水とか出てきて、今余り言うとよくないような感じのものですけれども、酸化還元で、活力がある水を還元水という、温泉もそういうものがいっぱい含まれている。ところが、還元水であればあるほど、塩素を入れると化合して、その成分がなくなってしまう。それを何でもかんでも塩素消毒を義務づけているんですね。これもやはり行き過ぎているんじゃないかと思うんです。

 そういうところをもっと柔軟に対応していただかないといけないんじゃないかという気がするんですけれども、その点はどうなっておりますでしょうか。

宮坂政府参考人 温泉も対象となります公衆浴場法におきましては、衛生基準につきまして都道府県が条例で定めることとされております。厚生労働省におきましては、従来から、各地方公共団体の参考といたしまして、公衆浴場における衛生管理要領というものを定めているところでございます。

 この衛生管理要領では、委員も御指摘ございましたが、公衆浴場等におきますレジオネラ症の発生防止を図るため、浴槽水の消毒につきましては、レジオネラ対策に有効で、かつ、安価で利便性が高いなどの利点から塩素系薬剤を使用することを基本とすることを盛り込んでいるところでございます。

 しかしながら、温泉等の性質から塩素系薬剤が使用できない場合などには他の適切な衛生措置を行うということも認めているところでございまして、他の方法による場合というのも、委員の御配付になった資料の中にもございますが、各県におきましていろいろと工夫を凝らしておられるということだと思っております。

 以上です。

篠原委員 端的に言いますと、今厚生労働省の方からお答えいただきましたけれども、温泉についても衛生管理についても、みんなばらばらなんですね。温泉法は環境省なんですが、公衆浴場法は厚生労働省なんですね。それで、旅館にも温泉があるが、旅館は国交省なんです。ばらばらなんです。だから、今の衛生基準についても、どういうのがあるかというと、公衆浴場法は、条例で定めるというふうに県に義務づけている。そうすると、衛生管理について、浴槽を何回かえる、一週間でかえるとか、換水をどれぐらいするとか、塩素消毒しろとかあるんですね。各県まちまちなんですね。

 長野県の場合は、立派というか、自然派が多いのかどうか知りませんけれども、厚生労働省が法律でもってちゃんと条例をつくれと言っていても、塩素消毒を義務づけていない、抵抗している数少ない県の一つなんですね。長野県と群馬県、僕は立派だと思います。塩素消毒なんてやっていられない、そんなのをやっていたら温泉の効能をなくしてしまう、こういうことを考えている人たちがいるんだろうと思います。この点も、今のメタ硼酸のことについても同じなんですが、絶対、両方を考えていただきたいと思うんです。

 三ページを見てください。まちまちなんです。「塩素消毒条例マップ」、これは温泉関係の雑誌に載っていたのを引っ張り出してきたんですが、ちょっとにじんでいて読みにくいかもしれませんけれども、塩素系による消毒の義務づけなし、白い県と、原則、塩素消毒だが個別状況で異なる、先ほども宮坂審議官がお答えになったように、何か、塩素消毒やれと言いつつやらなくてもいいとかいう、なまくらな通達になっております。どうでもいい通達です。いいかげんな通達だと思いますけれども、義務づけありという律儀な県もあってと、まちまちなんですね、同じ温泉についても。

 これでは、先ほど、台湾からいっぱい観光客が来ると田島委員が言っておられましたけれども、温泉大国日本として恥ずかしい話だと思います。食品のいろいろなルールと比べてみてください、こんなにまちまちなのはないと私は思いますよ。そして、現実を考えていただきたいんです。

 四ページを見ていただきたい。私の近所の温泉、近所というか、長野県全体ですけれども、長野県の温泉の硼素含有量。これは、環境省にこういう資料と言ったら、環境省にはない、松代温泉が高いと聞いておりますという答えしか返ってこなかったんです。だけれども、こんなのは、私が温泉協会の資料を慌ててホームページや何かで調べたんです。調べると出てくるんですよ。そういうのすら把握していない。見てください。一リットル当たり十ミリグラムなんて言ったって、何百倍ですか。

 松代温泉というのは、これは若林さんと私しかわからないんですが、行くと、真っ茶色なんです。非常にいい温泉だという評判の温泉なんです。物すごくいろいろなものが含まれているんですよ。効能があるんです。

 こういうのをダブルで規制する。外へ出すときはウン百万かけて流せと言うのですね、それから塩素消毒をしろと。長野県の場合は幸いにして塩素消毒の義務はないですけれども、そんなことをして温泉の効能を下げていたら、還元力を利用して若返りを図ろうとしている全女性の敵になったりするんじゃないかと私は思いますよ。ですから、規制と、温泉のよさを楽しむ、こういうのを真剣に考えていただきたいと思います。

 行政をやるときに、BSEのとき、また食べ物の話ばかりで恐縮ですけれども、食べ物と比べてみるとよくわかるんですよ。BSEについての基準はどうかというと、アメリカから牛肉を輸入するかどうか科学的知見に基づいて判断する、科学的知見に基づいて判断すると。ところが、温泉については余り科学的知見ということが出てこないんじゃないんでしょうか。WHOがこう言ったからこうするとかいうようなことばかりやっている。

 私は両方のことを考えていただきたい。安全というのもあるでしょう。しかしビジネスもある。そこの両立を図るにはどうしたらいいかという中間点をよく考えて温泉行政をきちんとやっていっていただきたいと思います。

 環境省は、地球環境問題とかいろいろ大事な問題もありますけれども、温泉法というのを所管されておられるわけです。環境省に欠けているのは、環境行政という規制的なことばかり考えてこられた。しかし、それと同時に、うまく温泉街が栄えていくようにという観点をやはり持っていただきたいと思います。

 そういう観点から温泉行政をきちんとやっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わりますけれども、若林大臣にお答えいただこうと思っていたんですが一度も答えていただいていないので、今の私の意見について、最後に御答弁いただきたいと思います。

若林国務大臣 篠原委員が長野県各地におきます温泉の状況のお話をなさりながら、いろいろと御意見を賜りました。

 私は、温泉に対する利用者のニーズというのは非常に多様化してきたと思うんです。かつては湯治場であったりあるいは治療効果を考えての療養温泉であったりしたものが、だんだんいろいろな形で需要が変化して、多様化してきております。ですから、そういう変化を受けとめて、その地域の温泉のよさというのをどこを主張してどういうふうにアピールしていくかというのは、やはり温泉業者も工夫を要することだと私は思います。

 そういう意味で、今回の改正で、成分について、正確にわかりやすく、そして一定期間経過しましたら必ず表示をするようにというふうに改正するわけですが、業者側がそういう情報を的確に出すことによって信用を高めていく、効用もアピールしていく、そういう姿勢になっていくことによって温泉の利用というものがさらに高まっていくのではないかというふうに私は期待をいたしているわけでございます。ただ規制によって温泉の信用が保たれているということではなくて、規制は最低限のものである、それぞれの温泉のサービス提供者側がサービス業者としての努力を高めていく、信用を高めるということが大事だ、こんなふうに考えておりまして、委員のお話を伺いながら、その思いを深くしたところでございます。

    〔委員長退席、並木委員長代理着席〕

並木委員長代理 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。早速質問をさせていただきます。

 まず、温泉法の一部を改正する法律案について聞かせていただきます。

 先ほどから再三話題になっているわけでございますが、温泉法上の温泉とは何ですかということをまずお答えいただきたいと存じます。

若林国務大臣 委員御承知のとおりでございます温泉法第二条に規定をいたしておりまして、「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス」で、温泉源から採取されたときの温度が摂氏二十五度以上であるか、または、法律に掲げられている硫黄や鉄分など十九物質のうちいずれか一つが一定量以上含まれているもの、これを温泉と定義いたしております。

川内委員 今、温泉法上温泉とは、地中から湧出する温水等で、温泉源から採取されるときの温度が摂氏二十五度以上か、他の所定の物質のうち一つ以上を有するものであるという趣旨の御答弁をいただいたわけでございますが、それでは、温泉法上の温泉の定義が、国民一般が、ああ、これが温泉だと思っている温泉と乖離をしているというふうには環境大臣は思われないかということについてはいかがですか。

若林国務大臣 温泉は、古来から我が国で国民、地域の人たちに親しまれてまいったものでございます。衛生上いろいろ問題があるというわけにまいりませんので、明治に入ってこれを規制したということはございますけれども、やはり地域の人たちがそれぞれの思いを込めて、なじみがあって、これが温泉だ、お湯に行くというような、そんな観念で普及をしてきたものだと思います。戦後、これを温泉法という形で定義する際にも、できるだけ幅広く、国民の長い間なじんできたお湯、温泉についての理解を包含しまして、包含しておいた上で、それに一定のルールを守って温泉利用をしてもらうという趣旨でなされたものであります。

 ですから、大変幅の広い概念でこれを包含しておりますから、委員おっしゃるように、中には、そのことと自分の期待と違うというようなことがあるかもしれません。しかしそれは、今度の法改正で十年で見直すというふうにいたしますが、今までも成分を必ず表示するように義務づけておりましたから、ユーザー側が選択してもらう、そういう中で評価が定まってくる、こういうふうに理解をした上で制度を組み立ててきた、このように思っております。

    〔並木委員長代理退席、委員長着席〕

川内委員 ユーザー側が選択をする、温泉に入る側が温泉を選択していけばよいのだという御趣旨の御答弁なわけですが、しかし、私自身は、この温泉法の温泉の定義というものは、国民があるいは私などが温泉と考えているものとはかけ離れているなということを感じるわけでございます。

 大臣は先ほど、幅広く温泉の定義を当初考えたというふうにいみじくも御答弁されたわけでございますけれども、国民的には、温泉というのは、熱いお湯がわき出るというか、掘り出すのかわき出るのかは別にして、ともかく、熱いお湯がある、それで、健康上も何らかの効能があるのではないかということが想定される、まさしく、温かいお湯、熱いお湯のことを温泉というふうに考えているであろうと思うんですね。しかし、法律上は、二十五度以上、もしくは一つでも物質が含まれていれば温度は問わないということになっているわけで、これは国民一般の意識からしたら相当かけ離れた定義ではないかというふうに思うんですね。

 これは要するに、いわば業者サイドに立った、何でもかんでも掘れば大体水は出るわけですから、それを温めれば温泉だ、ここは温泉です、温泉が出ますということで、さまざまな資料でも、最近はスーパー銭湯なるものが大はやりでございますけれども、公衆浴場は物すごい勢いで最近はふえているということになっているわけで、そういう意味では、銭湯は銭湯でいいんですよ、それとまた温泉とは別個のものとして区分けをしていく必要が私はあるのではないかというふうに思うんです。

 そういう意味では、温泉の定義というものをもう一度見直すべきではないか。先ほど吉田委員も大臣にお尋ねになられたようでありますが、温泉の定義というものをもう一度見直して、国民の温泉に対する意識あるいは認識に近いところに温泉の定義を持ってくるべきではないのかというふうに思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

若林国務大臣 先ほども申し上げたところでございますけれども、温泉というものが、二十五度以上であるということと、または一定の成分を含んだものであるというふうに定義することによって、温度がないものについて、加温をしてこれを温泉と言ってきた。これは初めからそういうふうに定義づけてやってきているんですね。最近そうしたわけではありません。

 そういう意味で、国民が、各地域でさまざまな利用の仕方をしてきて、なじんできているわけでありますから、そういうものを温泉と称して、何ら疑問を持たないで地域で利用されてきているものを、土から出てくるときに一定の温度以上でなければならないもので、それは温泉と言ってはならないというふうにしなきゃいけないというふうなことまで今考えるべきかどうかということになりますと、私は、そういうことではなくて、いわばリピーターが支えていくということが温泉の、基本的にはそういうものだと思うんですよ。

 そういう意味で、先ほど来申し上げていますように、表示をきちっとして、うちのこの温泉はこういう特徴があってこういうものなんですということをはっきりと表示し、それをアピールするということによって、ユーザーが選択をするということで、多様な泉質、温度の温泉、そういうものを入浴者の方が好みで選択できるようにするということが趣旨でいいのではないか、こう考えております。

川内委員 最初からそうであったということでございますけれども、では、国民の皆さんに、二十五度以上の水であれば温泉と言っていいんですよと。これは水ですよ、二十五度なんというのは、水。(若林国務大臣「成分がちょっと入っていないと」と呼ぶ)いやいや、成分が入っているか否かは関係ないんです、またはですから。二十五度以上の何の成分も入っていない水も温泉と言っていい、または、何か一つでも入っていれば二十五度以下でも温泉と言っていい、温泉法上の温泉ですと言っていいんだということを国民にアンケート調査でもしてみてください。こういうものを温泉と言っているんですよ、皆さん、それを知っていますかと聞いたら、びっくりしますよ、みんな。多分、環境省はそういう調査はしていないんじゃないかなと思います。

 そういうことを、何かあたかも国民があるいは消費者が選択するのだという理屈のもとに、広く業者を助けるというか、温泉の名前を使って商売しようとする人たちを、表示をすればいいんだということで助けるのは、私は、環境省のとるべき態度としては極めて不適切ではないかというふうなことを思うわけでございまして、大臣は定義を見直すおつもりはないということをおっしゃられるので、また今後、この議論は続けてさせていただきたいというふうに思います。

 そもそも、私は、環境省の役所としての体質そのものにこの温泉法を通じて疑問を持つわけでございまして、例えば、ちょっと関連しますけれども、きょう、お手元に資料を配付させていただいておりますけれども、これは、最近非常に話題になっている、中央卸売市場である築地市場が豊洲に移転する、その豊洲の一九六五年時代の写真でございまして、このような工場が立地をしていたわけでございます。

 こんな大コンビナートですけれども、ここに中央卸売市場を移転する計画があるということでございまして、これらに対して環境省としてどういう対応をしていくのかということを見たときに、何か、環境を守るというか環境を保護するというか、それだけではなくて、しっかりとした規制をし、そしてまたその規制をすることが安倍内閣がおっしゃるイノベーションにもつながるわけでございますけれども、しかし、環境省としては、今現在、この豊洲については、何らの法的な権限を環境大臣として具体的には持ち得ていない。

 一般的な行政指導とか指導助言をする権限は持っているが、法的に、豊洲に東京の築地卸売市場が移転することに関する規制する法律を環境省は持っていないということについて、私は甚だ不思議だなというふうに思いまして、いろいろ調べてみましたらば、土壌汚染対策法が平成十四年に成立をしておりますね。その平成十四年に成立した土壌汚染対策法附則三条にわざわざ、法律の施行前に使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場または事業場の敷地であった土地については、この法律を適用しない、土壌汚染対策法を適用しないと書いてある。だから、豊洲のこの対象地が土壌汚染対策法の対象にならないことになってしまったわけでございます。

 しかし、この土壌汚染対策法の法律のたたき台になった中央環境審議会の「今後の土壌環境保全対策の在り方について」という平成十四年一月に取りまとめられた文書の三ページを見ると、「調査の契機」というところに、調査をするのは「工場・事業場の廃止時や用途の変更時に調査を行うこと。」というふうに出ております。工場、事業場の廃止時やまたは用途の変更時に調査を行うこととなっています。

 私は、この答申に沿って法律を起案するのであれば、この土壌汚染対策法附則三条というのは必要なかったのではないか。この附則三条がなければ、この豊洲の土地は土壌汚染対策法の対象になるわけです。わざわざ附則三条を入れているというのは、これは答申には書いていないことですよ。

 なぜこんなことをされたのか、わざわざ附則三条を入れられているということについての御説明をまずいただきたいと思います。

若林国務大臣 国家あるいは公共団体が公的権力関係によって一般の私的な権利関係にかかわっていくという場合には規制裁量であるべきだ、さかのぼってこれを適用するというのは、よほどの事情がなければさかのぼって適用することはしない、そういう法の原則に基づいてこういう附則が設けられているものと私は理解をしているんですけれども、おかしいんでしょうか。

川内委員 よほどの事情があればさかのぼっていいわけでしょう、大臣の今の御答弁でいえば。では、よほどの事情があればさかのぼれるというふうに書けばいいじゃないですか。

若林国務大臣 そういう具体の事情が、これは立法ですから、立法時ですから、国会の審議を経たわけで、立法時において、具体的にそういうものにさかのぼって適用することを妥当とするような、そういう課題として論議がなされ、検討の結果、そう決められるというものでありまして、当時、そういうことが議論をされておりませんし、予測されていないということでございまして、このような法律になっていると理解をしております。

川内委員 私が聞いているのは、附則三条を入れたのはなぜですか、答申には書かれていませんねということを言っているんですよ。答申には、今大臣が御発言になられたようなことは一切書かれていない。まずそこを確認させてください。答申には、中央環境審議会の「今後の土壌環境保全対策の在り方について」という中には、この附則三条、法施行前の土地についてはこれを対象としないというようなことは一切書かれていないということをまず確認してください。(発言する者あり)

西野委員長 不規則発言はやめてください。

 若林大臣。

若林国務大臣 答申の中にはそのようなことは書かれておりません。

川内委員 答申の中にはそのようなことは書かれていないということを確認させていただきました。

 それでは、平成十四年の三月の時点で、環境省はこの豊洲の土地について問題があるということを既に知っていたということも確認させてください。

若林国務大臣 十四年三月時点で、豊洲の土地、これがガスを製造する事業の土地であり、それが既に事業の廃止をされているということは承知いたしておりました。

川内委員 ちょうど法律が議論をされているときに、環境省も知っているにもかかわらず、わざわざ附則三条を設けた、適用対象外にするということを設けた。しかも、それは答申には全く書かれていない。だれが、いつ、どこで、この附則三条を入れるということをお決めになられたんですか。(発言する者あり)

西野委員長 不規則発言はやめてください。(発言する者あり)お互いに不規則発言はやめてください。(発言する者あり)そういう言葉が不規則であります。不規則発言はやめてください。(発言する者あり)答弁。若林大臣。

若林国務大臣 繰り返しになりますけれども、法施行前の有害物質使用施設が廃止された工場、事業場について、これを調査義務を発生させるということになりますと、それは、施行前に廃止というのはいつまで、ずっと昔の場合もあり得るわけで、これを過去にさかのぼって一律に調査を義務づけるということになりますと、廃止の施設の把握が困難で、公平な対応が法的には実施、確保しにくい、円滑な法施行が確保できなくなるおそれがあるというようなことから、これはもうこの新法、この法律をつくったわけで、その法律をつくった以降の廃止に限定してしっかり適用する、こういうふうに定めたものと理解をいたしております。

川内委員 いや、大臣、私が聞いているのは、そういうふうに定めたのは、だれが、いつ、どの場でお決めになられたんですかということをお聞きしております。

若林国務大臣 これは政府が提案いたしましたが、この国会の審議を通じて、十分な審議の結果、そのように最終的に決まったものと理解しております。

川内委員 最終的に決めたのは国会ですが、内閣法でございますから、当時、内閣法として提案をされて修正されなかったという御答弁だったと思うんですが。

 いいですか、環境省のホームページには、「土壌汚染対策法について」ということが出ております。この土壌汚染対策法の「背景及び経緯」には、「環境大臣から中央環境審議会に対して「今後の土壌環境保全対策の在り方について」を諮問し、六回にわたる小委員会における調査審議及びパブリックコメント手続を経て、本年一月二十五日に同審議会から答申がなされたところである。この答申を踏まえ法案を取りまとめ、」と書いてあります。

 土壌汚染対策法は答申を踏まえて取りまとめられたんです。答申には附則三条のことを書くということは書かれていないということは、さっき環境大臣お認めになられました。では、附則三条を入れるということはだれが決めたんですかということをお聞きしているんです。

若林国務大臣 それは、政府部内における検討の結果、そのように決めて提案をしたものでございます。

川内委員 土壌汚染対策法の附則三条は、答申には書かれていなかったが、環境省が入れることを決めて内閣法として提出したと。

 それでは、土壌汚染対策法の適用を豊洲のこの土地がもし受けるとすれば、附則三条がないとすれば、この土壌汚染対策法は豊洲を対象とするわけです。とすれば、豊洲を対象とすれば、この豊洲の土地は、今、東京ガスあるいは東京都が行っているような対策をとったとしても、土壌汚染対策法上の指定区域、いわゆる土壌汚染が残っている、土壌汚染が続いている、土壌が汚染されている土地として、指定区域としてずっと残るということを大臣から御答弁をいただきたいと思います。

若林国務大臣 仮に、豊洲市場の予定地、ここが市場として利用されるような事態になったということを前提といたしまして、そういう意味で、その土地に不特定多数の人が出入りをするというような状況になった場合には、これは土壌汚染対策法の対象ということになりますので、指定区域がその限りにおいて解除はされていないというふうに理解しています。

川内委員 土壌汚染対策法上の対象になる土地であれば、指定区域にこの豊洲はなるわけでございまして、これは、今行われている対策がとられたとしても指定区域の解除はされないということが今大臣から御答弁があった。

 私はやはり、この附則三条を環境省がわざわざ独自の判断で入れた。大臣、その当時は大臣は環境大臣ではないわけですから、政治家として不思議にお思いになられるだろうと思うんですね。この土壌汚染対策法をずっと議論してきて、そこが非常に問題になるということがわかっていながら、そこを外す法律をわざわざ環境省は、独自の判断で、だれにも言われていないのに、もしかしたら産業界から言われたかもしれませんが、わざわざ入れている、附則三条をですよ。附則三条を入れる必要は、なくても法律はきちっと動くわけですし、これも私はもうちょっと議論をしなければならない論点であるというふうに思っております。

 今からでも私は遅くないと思うんですね。今からでも遅くない。この土壌汚染対策法が対象とする土地、土壌というものの対象範囲を広げて、環境省としてもしっかりそれにコミットしていくということをしていかなければならないのではないかというふうに思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

若林国務大臣 その前に、当時どういうような論議があり、どういうような検討の結果、附則三条を設けたかということについて、私はつまびらかにしておりません。先ほど答弁をいたしましたのは、一般論として、法律の、私もいろいろな形で立法にもかかわってきました、その私の体験、経験からしますと、さかのぼって不利益処分をかけるというような場合というのは、やはり慎重でなければならないという意味で、慎重な検討の結果として、さらに言えば公平の原則からして、このような規定を設けたのではないかというふうに申し上げたところでございまして、事実、当時そういう検討であったかどうかは承知いたしておりません。

 さて、そこで、今の時点で法律改正をしまして、過去にさかのぼって、そういう法規制下になかったものについてこのような法を適用するかどうかということについては、私は、非常に困難ではないか、困難である、こう思っております。

川内委員 大臣は冒頭、特別な事情がある場合にはというような御発言をされましたよね。特別な事情がある場合には、あるいは、特にその汚染の状況がひどいというか、相当程度汚染されていると想定されるような土壌については、その特別な事情があるのではないかという趣旨の御発言をされた。私は、そういうものについては、そういう一団の土壌については、本法の対象となるような改正に向けて環境省としても検討を始めるべきであるというふうに思います。今の大臣の御答弁は、冒頭の御発言と若干矛盾されると思いますよ。

若林国務大臣 いや、立法時点で、この法律をどう適用するかというような場合に、どこまでさかのぼって適用するのか、その当否の判断のことを申し上げたわけでありますが、法制としてもうスタートを切っておりますし、それを前提に世の中が動いているわけですから、そういう状況になったときに、過去のその部分を規制することをねらいとしてそういう不利益立法を講ずることができるか、その場合の特別の事情というのは、今委員がおっしゃられたようなことが特別な事情に当たるかどうかということについて私はコミットしたわけではございません。

 実は、この地を、もし生鮮食料品の卸売市場として利活用するということで、そのことによって危険があるというようなものであるとすれば、これは、御承知のように、卸売市場の開設者は東京都知事でございます。と同時に、この卸売市場の開設の認可は、農林水産大臣が認可権者でございます。その認可に当たっては、食料品としての特殊性、それを取り扱う特殊性というようなことから、安全の上にも安全を期して判断をするというような仕組みになっているわけでございますので、土壌がそういう状態に、汚染された状態がある、これについて今、東京都及びそれを卸売市場として認可をする場合の農林水産省が安全な土壌改良を行おうとしているわけでございますので、それが行われればそういう心配はないわけでございます。

 その意味で、生鮮食料品を取り扱う卸売市場としてこれを利用するという前提で、どこまで土壌の対策が行われるか。これは、土壌対策を行うということを、東京都知事もそのことをアセスで言っているわけですから、それが十分であるかどうかというのは、農林水産大臣が第一義的にそこで判断される。もちろん、農林水産大臣の方から、土壌の立場でどうだ、こういう意見を求められれば、当然我々も農林水産省と一緒に、この土壌の安全性について調査、検討、結論を出すということになると思います。

川内委員 大臣、この審議会の答申が出たときのパブリックコメントなんかには、工場として使用を停止して更地になっているところであっても本法の対象となるということを、パブリックコメントに対する回答できちんと環境省はその当時出しているんです、審議会のパブリックコメントには。法律にするときにわざわざ附則三条を設けて、操業が停止された法施行前のものについては対象としないということをわざわざやっている。これはもう豊洲を外したとしか思えないですよ。法律をつくるときにわざわざそうしているわけです。豊洲を対象としないために附則三条を設けた。

 さらに、先ほど、きょうの議論の中で確認してきたとおり、もし豊洲が対象であれば指定区域なんですよ。汚染された土壌の上に市場を持ってくるということになるわけです。それは余りにも格好悪いから、法律の対象から外したということなんじゃないかなというふうに思います。これは、さらにちょっと議論して詰めていかなければなりません。

 最後に、大臣に確認しておきたいのは、安全、安心を確保するというふうに大臣はおっしゃられたが、土壌汚染対策法は、食料品の安心、安全までをも、要するに、中央卸売市場に集積する食料品の安心、安全を担保する法律ではない、現在の土壌汚染対策法では、中央卸売市場に集積する生鮮食料品の安全、安心までをも担保するものではないということを、明確に環境大臣として答弁をしていただきたいと存じます。

若林国務大臣 委員のおっしゃるとおりでございます。

川内委員 ありがとうございます。

 私は、大臣、環境省が、環境を守るあるいは環境を保護する、国民の健康に影響を与えるようなものについてはしっかりと規制をしていくということが必要であるというふうに思っているんですね。

 温泉法についても、国民の温泉に対する意識と乖離しているのではないかということを最初に御指摘申し上げた。さらに、それに関連をして、最近大きな話題になっているこの豊洲の移転問題に関して、法改正のときあるいは審議会の結論が出たときに、環境省が国民から見てちょっとおかしいんじゃないのと思われるようなことをしていたのではないかということを御指摘申し上げさせていただきました。

 また、今後、この議論についてはさらに本委員会で議論を続けてまいりたいというふうに思っておりますので、どうぞまた、環境大臣におかれましては、よろしくお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、温泉法の改正について質問をさせていただきます。

 今、議論も続いているところでございますけれども、温泉といえば、やはり古くから国民に親しまれ、そして人々に安らぎを与えながら、疾病予防とか病気の治療等に、国民の健康増進に広く利用されてきたところでございます。我が国にとっては非常に大事な自然資源であり、また観光や地域経済という観点からも重要な役割を果たしている観光資源でもございます。

 こうした貴重な自然資源、観光資源である温泉でありながらも、平成十六年には、利用者に黙って温泉に入浴剤を入れていた事例が発覚するということなど、国民の不信を招くような出来事が生じたことは残念なことでございます。

 しかしながら、こういうような出来事があったにもかかわらず、調査によれば、行ってみたい旅行のタイプとして温泉旅行を選んだ人が調査対象の六割にも上る、そして、ほかのグルメ旅行とか自然観光などを抑えて、平成十二年の調査から一貫して第一位という、温泉に対する国民の関心は大変高いものがあるわけでございます。

 こうした状況の中で、国民的な関心の高さにふさわしい正確な情報提供を行うべく、温泉成分の定期的な分析及びその結果の掲示を義務づけることを柱とした温泉法の改正が行われるということは、まさに時宜を得たものと考えます。

 ここで、環境省にお尋ねをさせていただきます。

 まず、定期的な温泉成分の分析及びその結果に基づく掲示の更新を義務づけることとなった背景とその目的について伺わせていただきます。また、十年ごとの定期分析に関する妥当性と、約十万円と言われる費用負担のあり方についても、あわせて環境省のお考えを確認しておきたいと思います。

土屋副大臣 お答えいたします。

 温泉は、年月を経過することによって徐々に成分や温度が変化すると言われております。入浴者に正確な情報を提供するためには、成分等を定期的に分析することが必要でありまして、今までも指導してきたわけですけれども、これがなかなか進まない状況でございまして、十年以上経過しても再分析していない事業者が約四割、三八%に達しているという現状から、この法律により義務づけることとしたものでございます。

 また、定期分析の期間を十年とする理由といたしましては、温泉成分の変化は通常は穏やかに進行するということ、それから、従来も十年ごとの再分析を指導してきたということ、それから、事業者の費用負担にも配慮したということでございます。

 先ほど、ほかの委員の方からの質問の中で大臣からも御答弁しましたけれども、今まで三八%、四割の事業者がしてこなかったということでは、まずはこの数字を下げるということが大事であろうと思います。皆様が十年ごとに分析していただくことを、まず法律をつくっていくことによって進めるということが大事ということの考えもございます。

 それから、再分析の義務づけは、温泉に対する国民の信頼を確保して、温泉地のイメージアップにもつながるということで重要でございまして、また、一回約十万円ということでございますけれども、十年にしますと一年当たり一万円という程度の負担になるわけでございますので、理解はいただけるものと考えております。

江田(康)委員 きょうは時間がございませんので、特に私は関心の高い情報提供ということに関連して質問をさせていただきます。

 これは大臣にお聞きをさせていただきますが、私は、今の温泉成分だけではなくて、温泉の成り立ちとか地域における特徴など、温泉に関する情報を広く国民に提供することが温泉地の活性化にもつながると考えておりまして、温泉に関する情報の提供の充実ということに関して、今般、温泉法の改正でも一歩踏み込んで改正されることになりますが、今後どのように取り組んでいく方針であるか、そこをお聞きしたいと思います。

若林国務大臣 委員が御指摘のように、やはりユーザー、利用者の皆さん方に広く情報を提供する。それも、正しい情報をわかりやすく、そして的確に、適時に情報が提供できる体制を整えていくということが非常に大事だと思います。

 それは、やはり温泉へのニーズが多様化してきておりますから、その多様化したニーズにこたえるためにも、それぞれ持っている温泉の特徴というものをしっかりと表示していくことが選択肢を広げていくためにも大事だというふうに思いますし、そのことがやはり温泉の信用を高めていくことにもなる、このように思いますので、温泉に関する科学的な知見のみならず、さまざまな情報について国民への情報提供を積極的に進めていく必要がある、このように考えております。

江田(康)委員 情報提供の中でも、一つには温泉の適応症、一般に効能、効果と呼ばれるものについて質問をさせていただきたいのでございます。

 この適応症、効能、効果ということに関しましては、環境省が一九八二年に通知した温泉の適応症決定基準では、成分によって温泉を十一種類の泉質に分類して、それぞれについて、入浴と飲泉によって改善が見込まれる病気や症状を示しているわけでございます。この基準に従って県知事に申請して認定されるということでございます。温泉地を訪れる人たちというのは、塩化物泉は切り傷に、またやけどに効くとか、そして硫黄泉は婦人病に効くとか、こういうようなことを温泉に対して国民は大変大きく期待しているわけでございます。

 一方で、例えば、日本温泉気候物理医学会が文献調査を行っていますけれども、温泉の効果というのは、泉質だけではなくて、掲示している泉質にはあらわれないような微量成分の作用とか、温熱、水圧などの物理的な作用とか、気候、生活リズム、景観などの環境作用が総合的に働いていると指摘しております。したがって、今後も、泉質効果だけではなくて、温泉療法の一般的適応症や禁忌症、注意事項等について調査研究を推進して、そのエビデンスに基づいた、利用者にわかりやすい温泉療法の指針作成のための研究を継続することが重要であるということを日本温泉気候物理医学会は指摘しているところでございます。

 国民に対する温泉の正しい知識を普及させることは大変重要でございますし、また、その温泉の有効性とか効能、効果というものが正しく研究されて評価をされるということが、やはり温泉地の活性化においても今後大変重要と思いますので、私は、温泉療法の効果に関する研究の推進というのが大変重要かと考えます。

 そこで、環境省では、こうした適応症について、日本温泉気候物理医学会に依頼して調査研究を実施していると聞いておりますけれども、この調査研究の内容、その成果をどのように活用する予定なのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 またあわせて、厚生労働省の皆さんには、温泉療法の指針作成のための研究とか、温泉と健康に関する研究の推進等について、見解をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

冨岡政府参考人 環境省におきましては、現在、先生御指摘がございましたように、温泉の禁忌症、適応症及び利用上の注意事項に関する最新の医学的知見を収集するために、日本温泉気候物理医学会に対しまして、温泉と医療に関する研究論文等の文献調査を幅広く実施いたしているところでございます。

 このような調査の結果を踏まえまして、禁忌症や適応症の表示のあり方について必要に応じ見直しを行うとともに、利用者にわかりやすい温泉療法というものを含めまして、より適切な情報提供が進められるよう、今後とも努力を継続してまいりたいと考えております。

宮坂政府参考人 厚生労働省といたしましては、健康づくりに活用できる場としての温泉と健康づくりについての研究を行っているところでございます。

 具体的には、厚生労働科学研究費補助金におきまして、平成十八年度からでございますが、「温泉利用と生活・運動・食事指導を組み合わせた職種別の健康支援プログラムの有効性に関する研究」というものを実施いたしまして、運動指導と食事指導と温泉入浴、これによります生活習慣病予防効果についての検証を行っているところでございます。

 今後とも、このような研究等、温泉を利用した健康づくりの取り組みに活用してまいりたいと考えております。

 以上です。

江田(康)委員 先ほども申しましたように、温泉の適応症それから禁忌症という情報の掲示というのは大変重要で、今後もこれを充実していくということで、こういうような調査研究が行われるということでございますが、国民に対する適切な情報の提供、さらには、温泉が効果を有するということについて、これは大きな期待もあるところでございますので、その調査研究を両省ともにしっかりとやった上で、掲示を、情報提供を行える環境づくりを整えていっていただきたいと思うわけでございます。

 続いて、温泉を健康づくりに取り入れるということの重要性でございますけれども、きょうは厚生労働委員会ではなく環境委員会の温泉法の改正でございますが、この点について、もう一つお聞きをさせていただきます。

 温泉を健康づくりに取り入れて、うまく有効活用しているところがここ数年大変多くございまして、ある自治体では、温泉利用をして、お年寄りが温泉につかって、運動して、食事をとる。温泉だけではないんですね、運動も兼ねて、そして食事もとるという総合的なプログラムですが、また、保健所や医療機関から健康診断にも来ている。そうすることによって、利用者は、森林浴、自然浴を楽しみながら元気になっていくわけです。

 自治体が利用費を一部補助しているということによって大変にぎわっていて、かつては病院が老人のサロン化していたということがございましたけれども、今は温泉が高齢者の集まる場所になってきているということでございます。これによりまして、七十歳以上の医療費が一七・八%も削減をされたという報告もあるわけでございます。

 国の高齢者医療費というのは現在三十一兆円で、そして毎年一兆円ずつふえ続ける。二十数年後にはこれが八十兆円ということになるんでしょうか、これでは医療制度はもたないわけでありまして、このため、国民健康保険、国保の方が、温泉が医療費削減に大変に効果があると期待しているところでございます。

 このような観点から、やはり温泉を健康づくりに取り入れていく、そういう環境づくりがまた大変重要かと思っておるわけでございますが、厚生労働省が、温泉を健康づくりに取り入れている施設として、温泉利用型の健康増進施設及び普及型の温泉利用プログラム型健康増進施設というものの大臣認定制度をつくっています。この認定状況について、今後の認定見込みも含めて、今後の取り組みについて厚生労働省にお伺いしたいと思います。介護予防への取り組みとか、そういうようなところも含めてお願いしたい。

宮坂政府参考人 ただいま委員御指摘の温泉を活用いたしました健康増進施設として、平成十八年度末時点で、健康増進のための温泉利用と運動を安全かつ適切に行うことのできる温泉利用型健康増進施設は全国で三十カ所、それから、温泉を利用した健康増進のためのプログラムを提供する温泉利用プログラム型健康増進施設は全国で二十カ所、それぞれ認定を行っているところでございます。

 また、現在、温泉利用プログラム型健康増進施設として四カ所からの申請を受けておりまして、現在審査を行っているという状況でございます。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、温泉の利用を組み込んだ健康増進施設の普及を図ることに努めてまいりたいと考えております。

御園政府参考人 介護予防に関連したことに関してお答えさせていただきたいと思います。

 御指摘のように、高齢者の方が活動的で生きがいのある生活を送っていただくということは大変大事なことでありますので、介護が必要な状態にならないということを我々は大変大切に考えておりまして、介護予防事業というのを創設して、市町村で取り組んでいただくことにしたところでございます。

 この介護予防事業の中身は、市町村のそれぞれの創意工夫でやっていただくということにしておりますが、今御指摘がありましたように、例えば、熊本県の山鹿市なんかでは温泉わくわくクラブなどというのをつくって、お年寄りたちに来ていただいているというような状況があるようでございますので、政府としても、このような温泉を利用したような活動についても情報収集しながら、また、全国の市町村に広報、情報提供をしていきたいというふうに考えております。

江田(康)委員 きょう私は温泉法の改正について質問をさせていただいておるんですが、温泉法は、温泉の保護と適正利用を二本柱にしているわけでございまして、この温泉の適正利用ということに関して、先ほど来私が質問している温泉の適応症とか効能、効果、これに関する科学的な研究も大いに進めながら、また、実際に健康づくりにこのように利用できる施設の整備を進めていくことが、温泉を保護し、また温泉を適正利用していく、そういう温泉法の趣旨にも沿うことかと思っております。

 特に、温泉地は、しにせと言われるところほど大変疲弊しておりまして、これまでの宴会型というかそういうものではなくて、健康増進型で温泉を利用していくことが地域の経済的な活性化にもつながる、私はそのような確信を持ちながらこの活動を続けてきておりまして、その中で、この普及型の温泉利用プログラム型健康増進施設というのは、厚生労働省にも強く働きかけさせていただきまして、つくらせていただいた制度でございます。

 しかし、それがなかなか進んでいないということも今御報告がございましたので、やはり環境整備は、健康増進法にも位置づけられている温泉利用型健康増進施設でございますので、それにしっかりと取り組んでいっていただきたいことを申し上げて、次の質問に入らせていただきます。

 温泉法のもう一つの柱でございます温泉資源の保護に関して質問をさせていただきます。

 我が国の温泉の湧出量は、平成十七年度現在で毎分約二百七十六万リットルとなっておりまして、統計がとり始められた昭和三十八年当時と比較すると約三倍でございます。また、そのうちの約七割、毎分約百九十三万リットルが動力によってくみ上げられているということで、このままでは我が国の貴重な資源である温泉の枯渇が心配されるということでございます。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきますが、今回の改正案では温泉の掘削などの許可の際に条件をつけることとしているわけでございますけれども、こうした規定も活用して、温泉資源保護にどのように環境省は取り組んでいくのか、その方針をここで明らかにしておいていただきたいと思います。

 また、その際に、大深度掘削泉、一千メーター級の地下から掘り出してくるという温泉の掘削のあり方、対応のあり方、また、未利用源泉の有効利用、未利用源泉というのは全体の約三割を占めているということで、あるところでは長期間利用されずに放置されたままの源泉も多いと聞いております。この未利用源泉の有効利用につきましても、環境省の考え方、また今後の対応方針を大臣にお伺いさせていただきます。

若林国務大臣 このたびの改正によりまして、温泉の許可に当たりまして、法的に条件を付して許可することができるというふうにしていただきたい、このような改正でございます。この条件を付するということを活用いたしまして、温泉の掘削等の許可に当たりまして、例えば採取量の上限を定めるなど的確な条件が設定されるように、必要な助言を都道府県に対して行ってまいりたいと思います。

 また、その許可や条件付与の運用の参考になりますように、科学的知見の収集と整理を進めて、温泉資源保護に関するガイドラインを定めたい、このように考えておりまして、地域の実情に応じた温泉資源の保護対策が進められるようにしてまいりたい、このように考えております。

 また、大深度掘削泉及び未利用源泉についてのお尋ねでございますけれども、実は、大深度掘削泉は、その実態だとかあるいは温泉資源への影響というのはまだ不明な点が非常にあるんですね。千五百メートルとか掘れば大体出てくるんだ、こう言われるわけでございますけれども、そういうようなことの実態が十分把握できておりませんので、今後、その実態把握に鋭意努めまして、調査研究を進めてまいりたいと思います。

 また、未利用源泉は、一度事業を休止しているというような形の未利用源泉も中に含まれているんですね。その未利用源泉が、自噴をしながらそのまま使っていないという未利用源泉と、あるいは動力で上げているのとあるわけですが、まだ営業をしないけれども権利としてそれを保持していたいということのために細々と湧出を続けているというような形のものがあるんですが、できれば、これをもっと公開しながら、せっかくの資源ですから、有効に使えるような形の地域の取り組みというようなことも進めてまいらなきゃいけない、こう思っております。

江田(康)委員 大臣、ありがとうございました。

 国としても、資源保護に関するガイドラインを早急につくるということでございますので、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

 時間になりましたので、最後の質問でございますけれども、温泉旅館等からの温泉排水対策について、最後に伺っておきます。

 水質汚濁防止法による温泉旅館からの排水規制につきましては、硼素、弗素が対象物質とされておるわけでございまして、平成十三年の七月の改正で、硼素は十ミリグラム・パー・リッター以下、弗素は八ミリグラム・パー・リッター以下という一律排水基準が設定されていたわけでございます。しかし、これらの基準に直ちに移行することは困難として、三年ごとに暫定排水基準を延長してきたところでございます。

 ことし六月にその期限を迎えることから検討が進められてきたところでございますが、今般、実態調査や処理技術の開発状況等を勘案して、この暫定基準の再延長が決定されたとの報告をいただきました。

 公明党は、温泉所在都市協議会からの延長に関する要望、またヒアリングの結果として、やはり排水処理技術が進んでいない状況、そういうことを踏まえて、暫定排水基準の再延長を強く申し上げてきたところでございますけれども、今般の環境省の判断というのは大変妥当であると評価しているところでございます。

 そこで、質問をさせていただきますが、温泉を利用する旅館からの排水規制につきましては、さまざまな意見があります。

 例えば、温泉は本来、自然由来のものであるわけで、昔から何ら問題は生じていないことから、そもそも規制すること自体おかしいのではないか、さらに、宿泊を伴う温泉旅館は規制の対象となって、日帰り温泉入浴施設は規制の対象外となるというのは不公平ではないかといった意見がございました。

 環境省では、これらの意見に対してどのように考え、今後の排水規制についてどのように取り組んでいくのかをお伺いさせていただきます。

 また、その際、低廉な、安価な排水処理技術の実用化に向けた取り組みや、温泉利用施設に対する財政支援がこの三年間重要な課題と私は思いますけれども、環境省の取り組みについてお伺いをさせていただきます。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ただいま委員から御指摘ございました幾つかの議論、自然由来ではないかという話、あるいは日帰り温泉との均衡の問題でございますけれども、これにつきましては、さらなる実態把握が必要だろうと思っております。

 まず、自然由来ではないかという問題につきましては、これは先ほど来質問の中で委員からも御指摘ございますように、実態としては、動力によるくみ上げという温泉がふえつつございまして、それが大体七割を超えるという状況になっているという実態がございます。

 また、日帰り温泉についての実態の方からまいりますと、日帰り温泉の中には、実際に硼素、弗素等を多く含むような温泉地帯の日帰り温泉もありますけれども、最近ふえているのは、これもまた委員御指摘ございましたけれども、一千メートル以上の深度からくみ上げる、全く鉱物等を含まないような温泉というのが都会においてふえているというような実態もございまして、これからの議論につきましては、こうした実態を十分把握してまいりたい、かように考えているところでございます。

 さて、その上で、これからの進め方でございますけれども、排水規制、排水基準につきましては、これまで暫定排水基準を三回、四回と繰り返していく中で、各業界が努力をされて、一律排水基準に移行していくというような姿形で進めてまいりました。そういう意味では、今後とも一律排水基準に向けての技術開発の努力をお願いしたいと考えております。

 ただ、その際に、では、業界任せでそういう技術開発ができるのか、こういう御指摘かと存じます。

 実は、環境省におきましても、平成十三年から二回延長してくるということの中で、平成十六年からは、環境省みずからも、民間で開発されております排水処理技術を用いた実証試験などを行ってまいりました。今後三年間におきましては、さらに、今回課題となったさまざまな事象がございますので、その開発については、業界と一緒に精いっぱい取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、そういった技術開発が進んだ上で、では、それを取り入れていただくという場合には、さまざまな支援が必要ではないかという御指摘でございます。

 これまでも、暫定排水基準から一律排水基準に移行するような場合にあっては、それぞれの業界の実態にかんがみまして、例えば税制上の優遇措置でありますとか低利融資でありますとか、そういった手だてを講じてきたということもございますので、そういうような場合には、やはりこのようなことを検討していくべきものであろうと考えております。

江田(康)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

西野委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、温泉法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

西野委員長 次回は、来る十日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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