衆議院

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第5号 平成19年4月10日(火曜日)

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平成十九年四月十日(火曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 西野あきら君

   理事 石崎  岳君 理事 宇野  治君

   理事 桜井 郁三君 理事 鈴木 俊一君

   理事 並木 正芳君 理事 末松 義規君

   理事 田島 一成君 理事 江田 康幸君

      井脇ノブ子君    上野賢一郎君

      小川 友一君    北川 知克君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君    中川 泰宏君

      野田 聖子君    馬渡 龍治君

      松本 洋平君   山本ともひろ君

      石川 知裕君    川内 博史君

      近藤 昭一君    松野 頼久君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      田端 正広君    江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         若林 正俊君

   環境副大臣        土屋 品子君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   農林水産大臣政務官    永岡 桂子君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           吉田 岳志君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           佐藤 和彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   稲垣 嘉彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  冨岡  悟君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   松本 洋平君

  中川 泰宏君     小川 友一君

  藤野真紀子君     井脇ノブ子君

  長浜 博行君     川内 博史君

  吉田  泉君     松野 頼久君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     藤野真紀子君

  小川 友一君     中川 泰宏君

  松本 洋平君     とかしきなおみ君

  川内 博史君     長浜 博行君

  松野 頼久君     吉田  泉君

同日

 理事石崎岳君同月三日委員辞任につき、その補欠として石崎岳君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西野委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に石崎岳君を指名いたします。

     ――――◇―――――

西野委員長 次に、環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、農林水産省大臣官房審議官吉田岳志君、農林水産省総合食料局次長佐藤和彦君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官稲垣嘉彦君、環境省大臣官房審議官寺田達志君、環境省総合環境政策局長西尾哲茂君、環境省地球環境局長南川秀樹君及び環境省自然環境局長冨岡悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木挽司君。

木挽委員 おはようございます。自民党の木挽司でございます。

 統一地方選挙が前半戦が終了いたしまして、いつもこうした選挙のときに思うんですが、町中で紙をばらまく、大きな声で叫ぶ、私たち政治家がひょっとしたら一番環境に悪いことをしているんじゃないかなと思う時期を過ごしてまいりました。

 先ごろも、新聞報道ではIPCCの評価報告書の記事が一面を飾る動きがございました。地方、全国を回っておりますと、そこここで、最近異常気象があるんじゃないか、身近なところで国民の皆さんも感じておられるところは多いとは思うんですが、そんな中で、IPCC、気候変動に関する政府間パネル第四次評価報告書の策定作業が鋭意続けられているというふうに伺っております。

 とりあえず、今回まとまったIPCCの第四次評価報告書第二作業部会の報告書の概要、それについてどのようなものか、説明いただきたいと思います。副大臣、お願いできますでしょうか。

土屋副大臣 IPCCの第二作業部会は、四月六日に終了し、報告書が採択されました。

 本年二月に行われました第一作業部会は、温暖化は加速的に進行しており、さらに進行するとの警鐘を鳴らしたわけでございますけれども、今回の第二作業部会は、温暖化の影響が自然環境と人間環境にとって重大なものになる可能性が非常に高いことをデータに基づいて科学的な結論として報告しているわけでございます。

 ポイントといたしましては、膨大な実測データに基づきまして、自然環境及び人間社会に対する温暖化の影響は今まさに生じていることが明らかであるということ、それから、将来の影響については、今世紀中に水資源、生態系、食料、洪水など、さまざまな分野で影響が深刻化することが予測されております。そして、長期的には、温暖化の影響は自然と人間の適応力を超えることが予測されており、適応策と緩和策を組み合わせて実施することが必要であります。約二度から三度C以上の気温上昇によって生じる影響は、世界じゅうのすべての地域にとって経済的にマイナスになるという報告で、第三次評価報告書の四度Cの気温上昇で世界全体のGDPの一から五%の損失という結論が再確認されたということであります。

 今後、地球全体の安全保障問題として、気候変動問題に優先的に取り組む必要性を大変痛感しているところでございます。低炭素社会の実現は、我々人類にとって最大の課題となると思います。

木挽委員 ありがとうございます。

 どちらにしましても、科学的データを検証する中で、非常に私たちに切迫した問題なんだなということが言われているんだと思います。確かにその中で、データによる科学的分析を重ねていくというふうなことで、非常に理論的な話が進められているかなというふうには推測するわけですが、実際、伝えられているところによりますと、各国の国益なども絡んで、非常に会議自体が難航したというふうに伺っております。

 その第二作業部会の内容について、クローズで展開されているということは私も存じてはおりますが、その内容、進行状況について御紹介、御披瀝いただけるところがありましたら、ここで若干お聞かせいただきたいと思います。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の第二作業部会でございますが、当初、四日間の予定で行われました。実は、最終日は二十四時間以上の徹夜で行われまして、その中で活発な議論と説得が行われてようやくまとまったわけでございます。今般、四日以上でございますけれども、その会合におきまして、政策決定者向けの要約文書につきましては一文ごとに綿密に審査と議論が行われました。結果的には全会一致で承諾をしたということでございます。

 今回の議論でございますが、大変な長い議論がございました。その中では、全体としましては、科学者グループがつくった結論の正しさを議論するというよりは、科学的な結論をよりわかりやすく、バランスよく、誤解のない形で表現するということが主たる目的だったわけでございます。我が国は、こうした観点に立って積極的に発言をしてまいりました。

 ただ、中には、具体的な数字や事例よりも定性的で抽象的な表現を求める国、影響回避のための削減対策を示唆する表現を拒む国、そういった国もございまして、大変議論が紛糾したというふうに聞いております。例えば、温室効果ガスの急増しております中国、ブラジル、あるいは化石燃料の大生産国でございますサウジアラビア、ロシア、そういった国とヨーロッパ諸国あるいは日本などのグループが対立をする場面があったというふうに聞いております。

 また、アメリカにつきましては、客観的で手がたい内容とすべく強力に議論が展開されまして、結果的には中国、サウジなどと同じ主張を行う場合も多かったというふうに聞いておるところでございます。

 そういった中におきまして、議長団は、ある意味で妥協せず、科学者が納得しない修正は行わないということでさまざまな議論と説得を行いまして、結果的に全会一致で承諾がされたというふうに承知しております。

木挽委員 今後五月に向けてまとめられる第三次報告書、いわゆる対策の部分で、またそういったところで強く日本のリーダーシップといいますか、世界の主張は違う中であっても科学的に検証された共通の理解のもとで進められる、そういった方向でまとめていただきたいと思っております。特に、中国、ブラジル、今名前が挙がりましたサウジアラビア、ロシアなどの国々との調整は、非常に難航が予想されますけれども、環境というテーマのもとに日本がいかに世界をリードしていくかという姿勢を強く強く示していただきたいと私は思っております。

 その中で、当然、私どもの隣国の中国が大きな環境問題を抱えているというのはもう周知の事実でございますが、つい先日も黄砂が舞いおり、真っ黄色になる空気の状況の中で私たちも過ごしたわけです。本当に喫緊の課題として、中国に対するアプローチというものをこれから日本がどういうふうにしていくのか、非常に注目されるところでございますが、地球レベルの環境問題への対応ということを視野に入れながら、中国に果たしてもらわなきゃいけない役割というものは非常に大きいです。

 中国の環境対策について、これから日本は、今当然アプローチはかけておりますが、今後どのようにしてアプローチをしていくのか、どのように中国というものをとらえているのか、できましたら大臣政務官にお答えいただきたいと思います。

北川(知)大臣政務官 木挽委員の、中国との関係の中での御質問でありますけれども、委員御指摘のように、たしか四月の二日だったと思うんですが、大変な黄砂も確認をされておりまして、黄砂問題だけではなく、まだまだ中国との関係の中で、この環境問題、取り組まなければならない課題は多いと思います。

 その中で、明日、温家宝首相も来日をされて、首脳レベルでの環境問題についての話し合い、対話が持たれるとは思いますが、今委員御指摘の中国の取り組み、そしてこれから日本政府として中国にどのように対応していくのか、こういうことであろうと思います。

 中国におきましては、昨年策定をされた第十一次五カ年計画の中で、資源節約型、環境友好型社会の建設を掲げており、政府の責任として達成しなければならない約束性の目標として、GDP当たりのエネルギー使用量を二〇%削減する、そして主要汚染物排出総量を一〇%削減するといった数値目標を明示いたしております。

 このように、中国政府も環境問題に対処することの必要性、重要性は十分認識をされておると思いますが、環境問題に本気で取り組まなければ自身の経済成長も阻害されるとの危機感もあわせ持っておるところであります。そういう中での環境政策を中国政府も進めておると我々は認識をいたしております。

 ただし、一方で、昨年ナイロビで開催されたCOP12での中国の対応は、温暖化ガス排出に係る将来の削減目標の設定を拒み続けている、こういう事実もあります。そして、国内においても、まだまだ中国政府が取り組まなければならないごみの問題や廃棄物の問題、たくさんあると思います。ダイオキシン等々には非常に関心を示しておられますけれども、アスベスト等々についてはまだ取り組みに至っていないような状況もあるわけでありまして、こういう国内の課題というものも中国においては多いと思っております。

 この中で、今後、中国が汚染物質の大量排出国であるという責任を自覚していただき、環境保全に前向きに取り組んでいただけるよう、引き続き我が国も働きかけをしていきたいと考えております。

木挽委員 その働きかけの中で、やはり日本が有効に中国に働きかけていくというものの中に、日本の物づくりなどの、またそういう分野に関連する環境技術というものがあると思います。

 環境技術をいかに中国に普及させるかというのは一つのテーマだと私は思っておりまして、昨年の秋、私は中国の青島に日本の環境型の企業を十三社連れていきまして、向こうでフォーラム、そして向こうのニーズに合った環境要望の企業の商談会を開かせていただきまして、そこで七社、成約いたしました。非常に率の高いところであるし、青島政府としても非常に積極的にそういった取り組みをしてほしいという態度が見受けられる中ではございました。

 ちょっと話はずれるんですが、私自身が物づくりの会社を経営しておりました。今このマイクでしゃべっておりますが、このマイクロホンコードですとか、携帯に使われる細い通信線、シールド線、メタルコード、あるいは医療に使われる、カテーテルなんかにも使われる、そういった線をつくる機械を製造する会社を私自身は経営しております。

 そういった中で、ちょっと環境からずれるんですけれども、例えば中国のあるお得意先の企業があります。そこのオーナーがいらっしゃいます。そこに私とともに機械を売り込みに行くわけですけれども、そのときライバルになるのが例えばアメリカの企業であったりドイツの企業であったりするわけなんですね。そうすると、そのオーナーの会社に、私の企業も機械としては非常に自信を持っていますし、環境にも優しいというところで売り込みに行くわけなんですけれども、競争相手のアメリカがそのオーナーの住まいの横にいきなり家を建てちゃう、隣近所づき合いを始めちゃうわけですね。しかもそれが、個人の企業といいますか企業単位でやっているんですが、明らかにアメリカの政府の意図が感じられるんです。

 それがなぜ私はわかったかというと、おつき合いの中で、私たちは相変わらず企業として、この製品をどうか買ってもらえませんか、非常に環境に優しいですよなんということをする。こっち側の企業の方は、アメリカの方の企業も同じようにアプローチしていくわけなんですけれども、そのオーナーの社長さんの娘さんがアメリカに留学したいなんという意向がある。どこかへ留学したい。そうしたら、もうそれをすかさずつかんで、アメリカの方の企業は、ではハーバード大学なんかに留学させますよという話をするわけですよね。そういうバックボーンがありますと、当然成約はアメリカの企業に決まっちゃうわけなんですね。

 この話は別にどうこう言うわけじゃないんですけれども、そういう動きを見ておりますと、アメリカの政府なんかは国策としてそういう企業体を自分の国益を考える中で応援しているという姿勢をよく感じるわけなんです。

 そのことを別に日本政府に求めるわけでもございませんし、一企業に対してそういうアプローチをするということは私もいかがなものかとは思っておりますが、事環境ということに的を絞ってアプローチをかけていく場合、やはり日本の環境省としても何らかの方策を考えなきゃいけないんじゃないかな。こんな話を環境省の方とすると、いや、それは経済産業省さんの部分であるし、また、あるいは外務省さんの部分であって、JICAだとかそういったものを通してと。それはそのとおりかもしれないんですけれども、事ここに至って、大きな環境というテーマ、グローバルなテーマを考えますと、やはり環境省としても、そういった企業群、いろいろあるわけです、ベンチャーの企業でもグループを組んでやっている。ただ、もちろん、市場経済というものがありますから、それぞれの企業の動きを応援するというわけにはいかないんでしょうけれども、いざ中国に乗り込んで話をするという場合、非常にリスクも抱えながら、困っている実態というのは、私はそこここで見受けるわけなんですね。

 そういったことを踏まえて、特に経済と環境、日本にとってもこの環境技術というのは、これから日本が生き残っていく上でも非常に重要なものだと思います。日ごろから政務官とはそういうお話もいろいろしておりますし、環境というものと経済というものが融合していかなきゃいけないという御持論もお持ちだと思いますので、その辺で一言ちょっとお答えいただければと思います。

北川(知)大臣政務官 政務官という立場と、個人的な議員としての木挽議員との話の中での意見というのもまた違うところもありますので。

 ただ、政府として、やはり中国との関係において、まさしく今委員のおっしゃられたように、企業という、自由競争といいますか、こういう市場経済の中での問題点、政府がどのようにバックアップをしていくか、大変難しい問題もあると思います。

 そういう中で、今、私ども環境省としてできる限りということの範囲の中で、やはり役所レベルといいますか、国レベルで日中韓の三カ国の環境大臣会合等々が毎年定期的に行われておりますが、そういう中で、こういう我が国にとって先進的に取り組んでいただいている企業なんかを御紹介するとか、そういう形での対話を進めていくことは重要であると考えております。

 いずれにしても、日本が、今までの石油ショック等々を経験もしてきておりますし、世界的にも高度な省エネルギー技術を開発、普及してきた経緯もあります。さまざまな公害も克服をしてきておるわけでありまして、こういう技術開発等々についても、中国側へ情報も提供していかなければならないと思っております。

 ただ、一企業等々になると、先ほど申し上げましたけれども、難しい点もあると思っておりますので、中国との関係の中においては、環境協力については、経済成長に伴う環境への影響の増大など、中国政府の環境対策の姿勢、我が国の姿勢も含めて、日中二カ国間の協力を今後ともとっていきたい、重要であると考えておりますので、そういう方向で今後も進んでいきたいと考えております。

木挽委員 答弁いただきました中で、私も、今後どういうふうに進めていくのか。自分の地域、特に関西の方で、地元の自治体の方で、最近そういう環境型の企業を応援してやろうじゃないか、バックアップしてやろうじゃないかという窓口を設けた役所がございます。ただし、その役所も、アプローチをしていく、応援していくといっても、ノウハウの積み上げが全然ないんですね。ですから、リスクを抱えながらも乗り込んでいった企業とそういった自治体が、情報交換をしながらノウハウを蓄積していくということが非常に大事だと思う。そういうものをやはり環境省としても把握して、フォローしていく、バックアップしていくというような動きは今後ぜひとも欲しいなというふうに私は思っております。

 それでは、次に、ちょっと国内の方に話を転じたいと思うんですけれども、マイボトルというんですか、最近水筒がはやっておりまして、若い女性なんかがマイボトル、本当に携帯用に小さい水筒、昔は行楽だとかキャンプにいつも持っていった水筒なんですが、これを自分が携帯するようにして、自分の好きなお茶を入れてそれぞれの職場に持っていって飲むというようなことが非常に広まっているというふうに聞いております。その中で、表参道で六日、好みの日本茶を日本茶カフェで選んで、マイボトルに入れてもらって持っていってもらうというようなことを商売にするというのがオープンしたそうでございます。

 そういった消費者の動きというのは非常に敏感ではあるというふうに伺っておるんですが、特に六%削減約束というのを、達成が求められて非常に困難だという状況の中で、国内のそうした消費者の動き、敏感にはなってきているんだけれども、では、実際の家電量販店なんかを見ると、エコ商品が売れていないというような実態もあります。

 特に、省エネの冷蔵庫だとか省エネエアコン、それから省エネ家電への買いかえ促進が非常に重要だと考えているわけなんですけれども、そういった量販店などのその普及に向けて、大変努力しているとは伺ってはおりますが、環境省として省エネ家電の普及促進について今どのように進められているのかということについてお聞かせいただきたいと思います。

南川政府参考人 委員御指摘のとおり、特に家庭におきまして、これからはCO2削減を図っていく上で省エネ家電の加速的な普及ということは不可欠でございます。

 御指摘のとおり、冷蔵庫ですと十年前に比べて五割以上効率がアップしておりますし、エアコンにつきましても四割程度のアップがございます。また、白熱電球を電球型の蛍光ランプにかえるだけで電力消費が五分の一に減るということもございます。私ども、ぜひこれを進めたいと思っております。

 全体的に見ますと、今家電製品の冷蔵庫、エアコン等でございますけれども、平均使用年数が約九年から十一年でございまして、ぜひこれを前倒しで買いかえをしていただくということを促進したいと思っております。これがひとつ家庭のCO2削減に大きな役に立ちます。実際に家計もそれで電力消費が減りますので、試算では年三万程度電気代も得するということもございます。現在、省エネのラベリング等におきまして、量販店さらに実際のさまざまな小売店で促進をいただいています。

 ただ、私ども、これではなかなか進捗が不十分というふうに考えておりまして、税制の問題、補助金の問題、あるいはより強い国民運動の中でこういった買いかえを促進していくということをぜひ考えていきたい。これなくして、家庭部門の大幅な削減はなかなか難しいというふうに考えておりますので、委員の御指摘を受けて、ぜひその方向をより明確に政策として打ち出していきたいと考えております。

木挽委員 そうですね。やはり省エネとエコだけ、非常に大事だとは皆さんわかっているし、そういう気候変動の報告書なんかを聞いていても、びんびん感じるものはあるとは思うんですけれども、実際の消費行動に結びつかないその実態を何とか促進していただきたいと私も思っております。

 そんな中で、ちょっと話は横道にそれるかと思いますが、そういう消費者と一番密接に絡んで省エネ商品を売るということになってくると、家電量販店というものがクローズアップされてきます。そんな中で、最近、企業倫理だとかコンプライアンスが言われる中で、家電量販店においては、いうところの就労実態をめぐってさまざまな問題が今論議されておるところでございます。

 そのところで、ちょっと経済産業省さんに聞きたいんですけれども、この間、私、ある地元の新聞を見ておりましたら、小さな囲み記事で十行から十五行ぐらいで、とある家電量販店の企業が、電気工事士の資格を持っていない人にエアコンなどの設置工事をさせていたということで事件となって、記事が載っていたわけですね。

 それを受けてこの家電量販店さんは社告を出されまして、「電気工事の点検に関するお知らせ」として、平素は当社各店を御愛顧いただき、まことにありがとうございます。この度、弊社子会社において、エアコン、照明等の設置工事とは別に、コンセント延長、専用回路増設等、電気工事士資格等が必要な電気工事を、電気工事士法に定める資格を持たずに施工を行っていたことが、業務委託先からの報告で判明いたしました。中飛ばしまして、今回の電気工事士資格を持たずに施工した工事により、ふぐあいが発生したという報告は現在までございませんが、該当のお客様宅への訪問を実施、点検、安全確認を行っております。今後、お客様の信頼の回復に向けて、管理、指導を徹底し、再発防止に努めてまいりますとなっているわけなんですよね。

 この電気工事士の資格、確かに資格を持った方がこういう作業をしなければいけないということなんですが、実際、家電で販売されて一般家庭につけられるエアコンなんかは、線をはわせる作業ですよね。こんなものは一般の私たちでもできることでもありますし、現状を見ておりますと、電気工事士資格を持っていない人がしているというのは、この会社に限らず、実態としては、散見していることだし、よく見受けられることだと私は思うんです。

 特に、この電気工事士の資格について、要件として、やはりこの作業には絶対持っておいてもらわなきゃいけないというふうになっているわけですが、その実態について、今経済産業省としてはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

稲垣政府参考人 お答えいたします。

 エアコンの設置工事において、電気工事とされておりますものは、コンセントの新設、内外接続電線の設置、アースの取りつけ等でございます。

 これらは、電気工事士法に基づいて、電気工事士の資格が必要な工事というふうにされております。

 このうち、エアコンの内外接続電線の設置につきましては、無資格者でもできるように規制緩和をしてほしいという要望があることは承知をしております。

 当省としましては、事故の発生状況等を踏まえて、電気工事による災害の防止を確保するということを前提に、必要な検討を進めてまいります。

木挽委員 現状では、そういう緩和の要望もあるということでございますが、実態として、やはり法律として決まっていて、持っていなきゃこの作業はできないといいながらも、持っていない人がやっているというのが世間一般にあるわけなんですね。

 この電気工事士資格をずっと追っていきますと、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官ということで稲垣さんにお答えいただいたんですが、法律が、一般家庭の配線をやるのと原子力の配電のところと、同じところにあるんですよね。だから、一般家庭の実態とまた原子力を管理するところが同じところにある、法律でございますから、その所在についてはなんなんですけれども、やはり実態に即した対応というものが今後も望まれてくると私は思います。

 今言われるように、要件として緩和を進めていくのか、あるいは絶対取らなきゃいけないのか。特に、今回問題になっている企業さんというのは、みずから、コンプライアンスを大事にしなきゃいけないということで、全員にこの資格を取らせるような方向でいっておりますが、反対に、やはりそうでない企業もたくさんあるわけですよね、実態として。だから、経済産業省として、取らせる方向に持っていくのか、緩和を受け入れて要件を変えていくのか、その辺が今後論議されてくることだと私は思います。

 現状で一番問題点になっているのは、こういうクーラーの設置で電気工事士資格を取らなきゃいけないとなっているんですけれども、この試験自体が、特に二種なんかは、六月に筆記があって七月に実技があるんですよ。六月、七月といったら、クーラーの取りつけは一番忙しいときなんですよね。しかも、年一回しかない。要件を緩和するんだったら、こういう試験の制度自体も、では、年何回にするかとか、時期をずらすかということも考えなきゃいけない。

 ましてや、第二種にしてこの状況である中で、第一種、今高層のマンションなんかどんどんどんどんふえてまいります。そういった中で、キュービクルというのを屋上に設置していますよね。設置するときは簡単に、部屋に行って、穴があいていますから、そのままクーラーなんか設置したらいいんだけれども、このキュービクルを持っている建物ということになると、これは第一種の資格が必要なんですね。さらに、電気工事士の資格としても、この第一種というのは数が限られているわけですよ。だから、こういった現実から乖離した問題については、早急に要件を変えるなり、あるいは、第一種、第二種のほかに別の、第三種ではないですけれども、設けるようなことも考える、柔軟な対応が今後望まれてくると思います。

 話はそれたようですが、やはり環境全体を考える中で、こうした直接大衆の方々と触れ合うような企業、そういったものの矛盾した点についても今後改善しながら、環境に対する普及により努めていただきたいと私は思います。

 時間となりましたので、これで質問を終わります。

西野委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょうは、またこの環境委員会におきましてお時間をいただきましたこと、両党の理事の皆さんに心から御礼を申し上げます。

 まず、実は昨年十二月に大臣と質疑をさせていただいて、動物愛護、犬、猫の殺処分の件で、またきょうも引き続き質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 これは前回も申し上げたんですが、資料の一をどうかごらんになっていただければと思います。この資料に書かれていますように、毎年四十二万匹、その中の九四%が全国で殺処分をされている、大体三十数万匹という犬や猫が殺処分をされているということ。環境省としましても、お示しをいただいた基本指針の中で、これをなるべく半減させていこうということで、今取り組まれていらっしゃるということも存じ上げております。

 その中で、きょうは幾つか質問をさせていただきたいというふうに思うんです。

 まず、昨年、この問題で指摘をさせていただきましたのは、犬や猫ということに対して、狂犬病予防法という法律が一つ、そして動物愛護法という法律が一つ。これによって、捕獲、抑留をされたり、動物愛護センターなり管理センターなり、全国のそういう保健所等の施設に持ち込まれるということ。その二つの法律によって、抑留をされ、そして処分をされているという現実があります。

 考えますと、狂犬病予防法の考え方、これは、狂犬病が蔓延をしては困るから、表を鑑札もつけずに歩いている犬、ひとつ犬で例を挙げますと、犬を捕獲して抑留をするというのが狂犬病予防法の理念であります。動物愛護法の理念は、持ち込まれた犬に関しては、施設によって、できるだけ生存の機会を与えるように努めることという、ある意味では逆の立場の法律が一つの犬というものに対してかかっているということ、これをどうか整理していただきたいということで、去年の十二月にお願いをしたところでございます。

 資料の二をどうかごらんになってください。

 動物愛護法におきましては、まず、三十五条、犬、猫の引き取りを所有者から求められたときは、これを自治体は引き取らなければならない、こういう規定のもとに引き取りを行っているわけです。それから落とし込んだ、「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」という中で、下の「第三 保管、返還及び譲渡し」というところで、所有者がいないと推測される保管動物、所有者から引き取りを求められた保管動物及び所有者の発見できない保管動物について、家庭用または展示動物としての適性を評価して、適性があると認められるものについては、その飼養を希望する者に、できるだけ生存の機会を与えるように努力をする、これが動物愛護法のもとにおける引き取り及び譲渡の基本的な考え方になっているわけです。

 狂犬病予防法においては、捕獲、抑留をした、その下に狂犬病予防法の条文がついていますけれども、二日間公示をしなければならない、その後にこれを処分することができるというふうになっています。

 この二つの法律によって、今三十九万匹とも言われる犬や猫が殺処分をされているというところが基本的なものでございます。

 そこで、きょうは狂犬病予防法を所管する厚生労働省から来ていただいているんですけれども、狂犬病予防法の六条の九、「これを処分することができる。」というふうにあるんですけれども、この処分の意味について答弁をいただけますでしょうか。

菅原大臣政務官 幾つか御指摘がございましたが、厚生労働省の方からは、この狂犬病予防法におきまして、我が国で、密輸やあるいは不法犬の上陸などによりまして、狂犬病に感染した犬が国内に侵入する可能性があることから、犬の所有者に対しまして、登録、鑑札の装着等を義務づける一方で、これらを行わない犬については、抑留をしているということでございます。

 当該の抑留された犬につきましては、当該犬の飼い主の所有権をむやみに侵害しないようにするため、二日間公示した後に処分することといたしておりますが、公示期間の後における処分の方法は今御指摘の殺処分に限定するものではなくて、この六条の九項の部分に関しましては、新たな飼い主に譲渡することも差し支えない、このようにいたしているところでございます。

松野(頼)委員 これは、今までの認識と違う、大変踏み込んだ答弁をいただいたということであります。

 この処分は殺処分を示すわけではないんですね。それだけではないということをもう一回答弁いただければありがたいと思います。

菅原大臣政務官 今答弁申し上げましたとおり、殺処分のみならず、いわば新しい飼い主に対する譲渡、これも含まれております。

松野(頼)委員 実は、全国の自治体で運用されている現状を見ていただくと、二日間の公示の後に三日目には処分をするということ。その処分は、狂犬病予防法で運用しているほとんどの自治体が殺処分だということで、抑留をしてから二日間公示をして飼い主が見つからない場合は、殺す処分をするものだというふうな運用をしている自治体が全国に実はたくさんあるんです。多分、ほとんどの自治体が、処分は殺処分であるというふうに理解をして運用しているところがたくさんあるんです。

 どうか、そこのところを、ぜひ全国の自治体に告知をしていただいて、決して殺処分だけが処分ではないんですよということを厚労省の方から言っていただきたいというふうに思いますが、もう一回御答弁ください。

菅原大臣政務官 御指摘のお話の以前に、既に通知をいたしておりますので、そのように御認識をいただいても構わないと思います。

松野(頼)委員 済みません。その次のページの資料……

菅原大臣政務官 訂正いたします。

 これから通知を出すというふうに御認識をいただきたいと思います。

松野(頼)委員 では、これから通知を出していただけるということですね。よろしくお願いいたします。

 それで、次の資料三を見ていただきたいと思いますが、「動物の処分方法に関する指針」というのが総理府の告示第四十号で実はあるんです。きのう夜中にちょっと発見をいたしました。ここの定義、上の方の「第2 定義」の(3)、線を引いてありますけれども、「処分 処分動物を致死させることをいう。」というふうに実は定義をされているんです。

 これに関してぜひ一回整理をしていただきたいというふうに思うんですが、このペーパーに関して御答弁いただけますでしょうか。

若林国務大臣 今、資料三、私はこの場において実は拝見をしたわけでございますが、局長からのアドバイスがありまして、この「動物の処分方法に関する指針」は、この指針において、次の各号に掲げる用語の意義というものが定められ、その中で、処分については、「処分動物を致死させることをいう。」と決められている。その意味で、この「動物の処分方法に関する指針」の中において、ここにいう処分とは、こういう致死であるということを定めているものであるというアドバイスを今受けたところでございます。

 なお、委員が先ほど来御指摘になっております狂犬病予防法と動物愛護法との考え方の違いが、明らかに違いがあるわけでございますが、狂犬病予防法は、申すまでもなく、そのことによって、狂犬病に罹患した動物が、人間に狂犬病が広がっていくことを絶対認めるわけにいかないという視点でできている。動物愛護は、もう委員御承知のとおり、議員立法で定められているわけでございまして、できるだけ生存の機会を与えていくということでございます。

 その間、運用の面で、その精神をどう生かしていくか。狂犬病に罹患したものが広がらないということが達せられるならば、それに罹患していないというものについては、やはり動物愛護の考え方に従って、これができるだけ生存の機会を与えられるようにしていかなきゃいけない。

 その間、行政の組織が違い、趣旨が違っていることから、十分連絡がとれていないということが委員御指摘のようにあるのかなという意味で問題を感じておりますので、厚生労働省の方で、改めて、これからこのことについて趣旨を徹底するというお話でございますので、環境省としても、厚生労働省とよく打ち合わせをさせていただいて、その趣旨が生きていくようにしていきたい、こう思っております。

松野(頼)委員 これはポイントを絞って指摘をさせていただきたいと思うんですけれども、この処分の定義というのは、三十九万匹の殺処分を半減させるという大変大切なところであります。

 狂犬病予防法を所管する厚生労働省は、処分が殺処分だけではないというふうにおっしゃって、動物愛護法を所管する環境省が、処分は処分動物を致死させることをいうというふうにおっしゃっている。非常にここのところが大きなポイントになるんですよね。

 ですから、ここは大臣、どうかこのペーパーは変更していただいて、動物愛護法を所管する立場からは、処分は殺処分だけではないということを出していただけますね。

若林国務大臣 御趣旨に沿って検討をしていきたいと思います。

松野(頼)委員 どうもその役所の検討というのが怪しいので、ぜひ前向きに、変更すると。狂犬病予防法を所管する厚生労働省でさえ、処分は殺処分だけではないというふうに言い切っているわけですから、動物愛護法を所管する環境省であれば、きっちりそこは、まずこの文書を削除していただいて、処分は殺処分ではなくて、逆に、動物愛護法のもとでの処分は、少しでも生存の機会を与えるんだということを、どうか明確に御答弁いただければありがたいと思います。

若林国務大臣 動物愛護法の精神に即した形で指導を徹底するように見直したいと思います。

松野(頼)委員 どうもありがとうございます。よろしくお願いをいたします。

 次に、資料四、五をどうかごらんになっていただきたいと思うんですが、昨年の委員会で私が指摘させていただいたことで、環境省は早速、ことしの三月に、各自治体の動物愛護の関連の人を集めていただいて、そこでこの資料四と資料五のペーパーを出していただきました。大変前向きな対応に感謝を申し上げます。

 昨年指摘をさせていただいた生後九十日以内の犬の取り扱い、これは、九十日以内は狂犬病がいない、基本的には、現行法の中で国内に狂犬病の犬はいないとなっているんですけれども、特に九十日以内は感染のおそれもないということでありますので、動物愛護法に基づく引き取りは収容の対象である。

 ですから、二日間の公示の後に三日目に殺してしまってはいけないということを周知していただいたというふうに受け取らせていただいてよろしいんでしょうか。

若林国務大臣 そのように理解していただいて結構でございます。

松野(頼)委員 どうもありがとうございます。

 それと、この次のペーパーを見ていただければありがたいと思うんですが、資料の五、チャート図ですね、このチャート図も非常にわかりやすくつくっていただきました。左が狂犬病予防法であります。捕獲、抑留をする、その後、市町村長による二日間の公示をする、この間に所有者が引き取りに来たときには引き渡しをする。そして、引き取りがないと処分前の評価をして処分をする、これが殺処分をするというふうになっているんですけれども、先ほどの菅原政務官のお話ですと、狂犬病予防法の中での処分は殺処分だけではないんですというふうにおっしゃっていただきました。

 この右、動物愛護法の中では、拾得者から引き取り、収容した犬、所有者から引き取った犬、これを公報、インターネット等で譲渡を希望する人がいないかということを探して、また所有者に返還をして、譲渡の機会を探して、譲渡される犬に関しては譲渡をされる、それでもどうしても引き取り手がない犬に関しては殺処分をされるということになっています。

 これは一つの提案なんですけれども、狂犬病予防法のもとで捕獲、抑留をした犬、猫もそうかもしれませんが、犬、猫、狂犬病で猫はいませんから犬ですね、二日間の公示をして三日目に、先ほどおっしゃっていただいた、処分は殺処分だけじゃないんですよということでありますから、二日間の公示の後には、そこから今度は動物愛護法の世界に入れていただいて、所有者がいない犬ということにして、そこから譲渡の機会を一回与えて、それから、どうしても引き取り手がいない場合に関しては処分をする。そこで、できるだけ長い間譲渡をするチャンスを与えて公報をすることによって、大きく殺処分は減るのではないかというふうに私は思うんですけれども、そういう整理でよろしいんでしょうか。というか、逆に、そういう整理をしていただけないでしょうか。

若林国務大臣 委員のおっしゃるような方向で、できるだけ生存の機会を与えるという趣旨で動物愛護法の方で引き取ってやっていくという考え方で整理をすべきだと考えております。

 これはガイドラインではありますが、目安としていいますと、第一次的な判断で今病気でないということが決まった場合、その処分前に、これをできるだけ生存の機会を与えるという意味で、いろいろな病気にかかっているかどうかというようなことをチェックした上で、そういう選定をして、そして、これが譲渡されても飼育していくのに適当だというような判断を加えた上で、譲渡の方に進めていくというような手順をやはりはっきりさせて指導していかないと、今のままだと非常にわかりにくいかなという気がいたします。

松野(頼)委員 厚労政務官、いかがでしょうか。

菅原大臣政務官 動物愛護法の方は、動物を愛して守っていくという環境省の中での管轄、狂犬病予防法につきましては、犬を通じて人間の生命にかかわるような事態をいかにして予防していくかという、人の命にかかわることでございます。一つの委員の御指摘の事象に関しまして二つの法律があって、そこにグレー部分があるとするならば、大臣も今御答弁されたように、スキームをしっかり確立していくという考え方、私も同様に賛成でございます。

松野(頼)委員 大変前進をしたのではないかと思うんですけれども、もう一回整理をさせていただくと、狂犬病予防法のもとで捕獲、抑留、二日間の公示が終わった後には、もちろん、そこで病気だとか飼養に適さないとか、それは動物愛護法のもとのガイドラインにおいても、家庭用動物として飼養に適するものに関しては、できるだけ生存の機会を与えるようにというふうになっていますので、そこからは、二日間の公示の後、三日目からは動物愛護法の世界に入れていただいて、一度そこで譲渡の機会をなるべく与えて生存をさせて、ですから三日目に殺してしまうということではなく、一度、三日目からは譲渡のチャンスを与えて、そこから生存の機会を与えるというふうに整理をしていただきたいということを重ねて一言答弁をしていただいて、次に行きたいと思います。

若林国務大臣 委員のおっしゃるような趣旨で整理をしていきたいと思います。

松野(頼)委員 もう一つ、昨年から指摘をさせていただいているのは、これは自治事務でありますので、いつも環境省の事務方に聞くと、いや、自治体さんの判断で、自治体さんの判断でというふうに言うんです。

 今九十九、都道府県及び政令指定都市並びに中核都市、また保健所が設置されている自治体、この九十九の事業をしている自治体の運用が全くばらばらなんですね。これは去年も指摘をさせていただきました。二日間の公示の後に三日目に殺処分をしている自治体、それとも、逆に、十日なり二週間なり、要はえさ代がかかるものですから、あと保護するスペース、広さが関係あるものですから、無尽蔵にとはいかないんですけれども、ここでなるべく少しでも長い間保護していれば、生存の機会は少しでも上がっていくんです、もちろん、この限られた資源とその期間をいかに延ばすかというところのせめぎ合いだと思うんですけれども。

 そういう中で、保護する期間をやはりできるだけ長くとっていただくということが殺処分数を減らす大きなポイントになりますので、ぜひ、その周知徹底ということを各自治体にしていただきたい、このことも、厚生労働、環境、両省から一言ずつ答弁をいただければと思います。

菅原大臣政務官 きょうの御議論の趣旨を踏まえてしっかり考えてまいりたいと思います。

 現在、法で定めております公示期間の延長につきましては、抑留施設における飼育管理にかかわる自治体における負担が大変増加することも考えられますので、よく今の御議論の趣旨は踏まえて認識はいたしたいところでございますが、なかなか現実問題難しいということもございまして、この鑑札の装着義務の遵守等を徹底させることで所有者への返還率を高める、このことについて努力をしていきたい、こんなふうに考えております。

若林国務大臣 委員がおっしゃいますように、これは自治事務でございますので、国がこれを強制するような形のものはできませんが、動物愛護法を所管する役所として、そういう立場において、このような趣旨で運用してもらいたいということを、各関係の自治体の方に考え方を示すということはできると思いますので、この趣旨といたしまして、生存の機会を与えるように努めなきゃいけないんだということが、今言われたような、二日で、三日で処分をするということが適当であるとは、機械的にそのようにするのが適当であるとは言えないわけですから、そういう趣旨を体して努力をしてもらいたいという指導はしなきゃいけない、こう思っております。

松野(頼)委員 そうすると、今度は抑留の施設の問題があるんですね。今、九十九の抑留の施設というのは、ほとんど狂犬病予防法のもとに設置をされた施設だというふうに理解をしているんです。

 何でこんなことを言い出すかというと、施設の性格によって、処分をするための施設なのか、一時保護をするための施設なのか、保護をして譲渡、譲り渡しを主たる目的として設置をされた施設なのかというところが大きく変わってくるんです。

 例えばアメリカなんかですと、シェルターというのがあるんです。それは一時保護をして譲り渡しを主な目的とした施設だというふうに私は理解をしているんですが、どうか日本の施設も、例えば狂犬病予防法、九十九の自治体が行っている収容施設の中には、とても譲り渡しを目的としたり譲渡を目的としたり生存をさせることを目的とした施設ではない施設がたくさんあります。そこのところも、やはり二つの法律が今までかかっていた名残ではないかというふうに思うんです。

 これは、資料の六を見ていただければ、狂犬病予防法二十一条、抑留した犬を収容するために施設、抑留所を設け、予防員にこれを管理させねばならないということ、これが狂犬病予防法における施設の考え方です。その下、動物愛護法のもとの施設は、「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」、この第三、保管、返還、譲り渡し、そこに線が引いてある、その健康及び安全の保持を図る観点から、構造等が適切な施設及び方法によって保管をすると。ですから、狂犬病予防法では施設の定義というのは全くないんです、抑留をするだけのもの。しかし、動物愛護法のもとにおいては、健康及び安全の保持を図る観点というのが施設の定義に入っているわけです。これもぜひ整理をしていただきたいと思うんですけれども、その辺、大臣いかがでしょうか。

 もう一点、きのう環境省に聞きましたらば、この施設整備に関して補助金を出した記憶は六十年以降はないということでありますけれども、その下、第二条、国庫補助もつけられるんです。環境大臣が定める基準に基づいて算定した額の二分の一の額について行えるんですね、この収容施設、殺処分施設、焼却施設に関して。

 ですから、これも、やはり三十九万匹の殺処分を減らすという観点であれば、譲り渡しを目的とした保護施設を国庫補助もつけていただいて、やる気のある自治体に関しては増設をしていただきたいというふうに思うんですが、御答弁いただけますでしょうか。

若林国務大臣 御指摘の第一の課題につきましては、厚生労働省と十分協議をいたしまして、調整をした上で、適切な指導をしていきたいと思います。

 二番目の補助の点でございます。

 委員御指摘のように、昭和五十年から十年間、施設整備について補助をしたということがございます。年間で、その年によって違いますが、三千五百万円から八千三百万円ぐらいの年があるんですが、これは、財政事情が厳しくなってきた中で、行財政改革の一環として整理合理化の対象ということになりまして、昭和五十九年度限りで打ち切られてそのままになっているというのが現状でございます。

 これを再開するということにつきましては、先ほど委員がおっしゃられましたように、基本的にはこれが自治事務であるということでございますので、国がそういう形で補助をするということが大変難しいということがございます。できないわけではありません。それは、法律で補助することができる、こう書いてありますから、補助することはできるんですけれども、財政当局との折衝の中でいいますと、基本的な自治事務について補助はできるけれども、自治事務なんだからやはり自治体の自治の責任においてやってもらいたい、こういうことになりがちでありますのと、一方で、地方分権をどんどん進めているということで、こういう国の補助制度というものはできるだけ整理していくんだという方針は基本的な方針としてございます。そういう中で、財政事情も厳しいということでございますので、今せっかくの委員のお話でございますが、この補助の復活は、私は困難だというふうに残念ながら申し上げなければならないと思っております。

松野(頼)委員 ちょっと今の答弁は、この動物愛護法を所管して、三十九万匹の犬や猫の殺処分を減らしたいという大方針を掲げている大臣の答弁とはとても思えないんです。大臣、これはやる気の問題なんですよ、やる気の。全国のこういう施設においても殺処分率が全く違うんです。九〇パー以上を殺処分している自治体と一けたの殺処分しかしていない自治体と、同じ法律、同じ運用の中で、こんなに数字が違ってくるというのは、やはり現場の方のやる気の問題なんです。

 たまたま、昨年も申し上げたように、私の地元の熊本市の自治体、全国でトップレベルの返還率を誇っておりまして、先週また行ってまいりました。十八年度の数字は、何と殺処分率八・数%、生存率七四%。その差はどうしても病気だったりとか家庭用動物になじまないと判断した部分なんですけれども、それでも殺処分率が一けたなんですよ。その自治体と九〇%近く殺処分している自治体と、やはりやる気の問題なんです。

 そこの職員の人に話を聞くと、もう目を輝かせて、一匹でも助けるんですと言ってやっている。ぜひその姿勢を国の方の動物愛護を所管する環境省に持っていただきたいというふうに思うんですが、ぜひそこをもう一回、大臣、御答弁いただけないでしょうか。

若林国務大臣 まさに委員がおっしゃるように、そのような意識でやる気を起こすということが基本的にインセンティブだと思います。我が環境省の、これを所管しております職員は大変やる気を持って取り組んでおりますし、自治体に対してもそのような気持ちを伝えております。

 問題は、先ほどの補助との関係でいえば、補助しなければやれないんだといったような意識の改革というものをやはり環境省はもっと積極的に各自治体に働きかけて認識をしてもらうように、今、熊本の例がございました、そういう例のお話をしながら、そういう意識の変革を自治体の方に強く求めてまいりたいと思いますし、さらに言えば、それぞれの地域で動物愛護団体というのがございます。その動物愛護の諸団体との連携を密にして、法律にもございますけれども、協議会を積極的に活用するとか、そういうことを通じ、また、これに協力してくれる推進員を協議会とよく相談して決めていく、そういう民間を含めた体制づくりの中でやる気を起こしてもらっていくということが大事だと私は思っております。

松野(頼)委員 では、大臣、伺いますが、この施設だけに限らず、ことしの動物愛護関連の予算要求は幾らですか。

若林国務大臣 約九千万円と承知しております。

松野(頼)委員 あれっ、きのうちょっと事務方に伺った数字とは違いますけれども、その九千万円は何にお使いになっているんですか。

若林国務大臣 突然のお話でございますので、ここで詳細を御説明できませんが、また事務方の方から説明をさせます。

松野(頼)委員 きのうの夜伺ったときには、予算計上はゼロだというふうに言って、私も突然のお話なんですけれども、まあいいや、それは。

 いずれにしても、この細かい話を聞くあれはないんですが、少なくとも予算計上をまずしっかりして、本気でこの殺処分数に取り組むという姿勢が私は必要ではないかというふうに思っております。

 それと今、大臣、くしくも協議会のお話をいただきました。資料八をごらんください。全国の九十九の中で、協議会が立ち上がっている自治体はまだ三十なんです、三十。その後をごらんください。資料の十二。インターネットの広報も、つないでいるところはまだ十三なんです、十三。本当にこれでやる気があると言い切れるんでしょうか。

 これからスタートだというふうにおっしゃいますけれども、どうも自治体任せのところが私は多いと思いますし、本当の意味で殺処分数を減らしていくという、この基本指針に大臣が書かれたこと、大臣が、環境省のこの考え方に関して、やはりもう少しやる気を出していただいてもいいんじゃないでしょうかということを、ぜひここは申し上げておきます。もし異論があれば御答弁ください。

若林国務大臣 異論はございません。

 これまた告示を決めてから一年有余でございます。やる気を起こしてこういうような告示を決め、一年経過したわけであります。まだそれが十分徹底していないということについては御指摘のとおりでありますので、さらに一層強力に推進してまいりたい、このように思います。

松野(頼)委員 一個御提案を事務方にさせていただいているんですが、きょうは農林から来ていただいています。最後に、ちょっと提案をさせていただきたいと思うんです。

 ペットフードを所管するのは農林省だというふうに伺っていますけれども、とにかく自治体の施設において、えさがあれば一日でも長く生かしておけるんですと。先週行った、うちの地元の自治体でも、ことしはいろいろなことがテレビで報道されたおかげでペットフードをたくさん寄附していただいた、だから、おかげでことしは、その八・数%という数字が出たおかげは、これは本当に皆さんの御協力のおかげで、いろいろなところからペットフードの寄附をいただいたので、二週間、三週間とことしは生かしておくことができたので、譲渡する機会がふえたんですと。その結果の数字が、殺処分率一けたという大変脅威的な数字なんです。

 そこで、もちろん犬を嫌いな方もたくさんいらっしゃるでしょうから、税金をそういうものに投入するというのはなかなかいかがなものかというふうに私も思います。

 それで、例えばペットフードの中に、ではこれは環境大臣感謝商品だとか農林大臣感謝商品だとかということで、その収益金の一部が、こういう処分をされてしまう犬に譲渡の機会を少しでも多く与えるために、その売上金の一部が、例えばそういうえさ代に回るんですよみたいなシールなりマークなりをつけることによって、もしかしたら業界が自主的にそういう基金を集めて、またペットを飼っている買い主の皆さんが、どうせ買うならば自分はそういうところに回る商品を買って、寄附をしようというようなフレームがつくれないかということで環境省にもお話をさせていただいたんですが、農林省の立場としてはいかがでしょうか。

永岡大臣政務官 松野先生にお答えいたします。

 動物愛護の観点から申し上げますと、殺処分となりますペットの数を減らすということは、本当に重要であると思っております。

 この場合、仮に引き取り手を探すための間のえさ代の負担ということになると思うんですけれども、その負担のあり方につきましては、殺処分の対象となりますペットの発生原因などを考えますと、幅の広い観点から検討すべきであると考えております。

 なお、現時点におきましては、農林水産省といたしましては、ペットフード業界にのみ負担をさせることは適切でないと考えておりますので、御了承をお願いいたします。

松野(頼)委員 どうもありがとうございました。

 きょうは、この質疑の中で、狂犬病予防法の処分が殺処分だけではないという大変有意義な答弁もいただきました。こうやって厳しいことを指摘させていただくことが、一匹でも犬や猫が助かることだというふうに思っていろいろなことを言わせていただいておりますので、どうかそこのところはお許しをいただければありがたいと思います。

 どうも、時間をいただきまして、ありがとうございました。

西野委員長 次に、石川知裕君。

石川委員 御質問の機会をいただきました民主党の石川知裕と申します。

 まず、自己紹介からなんですが、せんだって、荒井聰衆議院議員が辞職をしたことによりまして、繰り上がり当選を受けて、三月二十七日に初登院をしたばかりでございます。北海道の十勝という、日本一広い町なんですが、足寄町というところの出身でございます。大先輩には鈴木宗男先生、歌手では松山千春さん、そういうところから参りました。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 きょうは、環境問題について、一般的に御質問させていただきたいと思います。

 最近、アル・ゴアさん、「不都合な真実」という本を出されて、また映画等でも大変話題になっております。日本は環境先進国を目指そうということで京都議定書を発効いたしましたが、目標達成は大変厳しい現状だというのは、御案内のとおりでございます。CO2の排出量の内訳を見ますと、企業が三五%、家庭が一三%、運輸部門が一九%。そして、排出量の伸び率、九〇年から二〇〇五年の伸び率を見ますと、企業側は大変努力をされてマイナス三・二%、しかしながら、家庭では三七・四%のプラスとなっております。

 そこで、家庭部門で今後どうこれを減らしていくかということで、私は環境教育について具体的に御質問させていただきたいと思っています。もちろん、家庭でこれを削減するということは、大幅なライフスタイルの転換が必要なのは言うまでもないと思います。

 せんだって、我が党の環境部会の勉強会に講師の先生をお招きしたときに、家庭の電化製品の待機電力、これを全部やめたら北陸電力の発電量の六〇%が不要になるのではないか、また、ドイツでは原子力発電機の二基分が不要になるのではないか、こういう御報告がございました。ただ、便利さになれてしまって、私の田舎は、ふるさと銀河線という地元の鉄道も、去年なくなってしまいました。これは、マイカーを規制するというのは私の田舎では大変無理でありまして、また、食生活でも大変便利さになれてしまって、全世界が地産地消であれば、化石燃料を使ってそれぞれ行ったり来たりしなくてもいいわけでありますけれども、当然、そういうことは無理であります。一人一人の個々人がどう努力していくか、家庭がどう努力していくかということになると思うんです。

 そこで、まず最初に御質問させていただきたいんですが、地球環境問題の解決には当然、長期的な視野に立った取り組みが必要だと思います。そこで、国民全体に対する啓蒙活動、とりわけ児童の時期からの環境教育、こういったものが大変大事だと思うのでありますけれども、この環境教育に対して、現在は社会や理科、総合学習などで断片的に行われているだけにすぎないと思うんですけれども、現状で、どれだけ費用をかけて、またきちんと検証しているかどうか、御質問させていただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 児童生徒が環境についての正しい理解を深めて、責任を持って環境を守るための行動がとれるようにすることは、重要な課題であると認識しております。学校における環境教育を通じて、先生御指摘のとおり、物の豊かな時代において、例えば家庭において省エネですとかごみの減量という行動につながるような環境教育ができればというふうに考えております。

 具体的には、社会科や理科を初め、学校の環境教育全体を通じて環境教育に取り組んでいるところでございまして、教育課程の基準になります学習指導要領におきましては、地球温暖化を含む環境問題についての学習内容の充実を図っているところでございます。

 小学校六年生の理科ですと、自然環境を大切にする心やよりよい環境をつくろうとする態度の育成、あるいは、中学校の社会科では、地球環境、資源・エネルギー問題について調べるという取り組みも行っているところでございます。また、新しく創設をした総合的な学習の時間におきましては、各教科で学んだ知識を実際の行動、体験に生かそうという取り組みを行っておりまして、その中でも環境教育は重要な課題として位置づけてございます。地球温暖化を含む環境問題について、教科の枠を超えました横断的な学習が展開できるように取り組んでいるところでございます。

 この総合的な学習の時間において、環境に関する学習の実施状況でございますが、公立の小学校で七五%の学校が、また、公立の中学校では五三%の学校が環境問題に取り組んでいるところでございます。

 国として、このような取り組みを支援するための政策として、環境教育推進グリーンプランというものに取り組んでおります。環境教育に関するモデル地域、学校の指定ですとか、アメリカの提唱するグローブ計画に参加をして、世界の気象データをお互いに交換し合うという取り組みの学校に対する支援も行っております。また、環境教育の実践の発表の場という全国大会も開催しているところでございます。

 引き続き、環境教育は重要な課題でございますので、環境省とも連携をしながら、環境教育の充実を通じて、持続可能な社会の構築が求められていること、あるいは、さらなる環境教育の充実が必要であるという教育基本法、あるいは環境教育に関する基本的な法律の趣旨を踏まえまして、よりその充実に努めてまいりたいと考えております。

石川委員 ありがとうございました。

 今、小中学校の教員の先生方に副読本を配布されているようなことも行われていると思うんですが、ただ、積まれているだけという現状もあるかもしれません。

 当然、何をなすのも人でありますので、子供のころからの教育が大変重要だと思うんですけれども、例えば環境教育といった科目なりを、今後、環境省、農林水産省と相談をして設置していくようなお考えがあるのかどうか、御質問させていただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、この三月に小学校の教員に向けました環境教育指導資料というものを作成いたしまして、全国の学校に配布をさせていただきました。こちらは、すぐれた環境教育の取り組みの実践事例を紹介するという形で、各学校の取り組みの参考になるようにお配りしてございます。また、教員に向けまして、全国の七ブロックで、環境教育の指導者たり得る教員の養成に向けた研修も行っているところでございます。

 それで、環境教育をどう取り組むかでございますが、現在は、環境教育は学校教育全体を通じて取り組もうということで、総合的な学習の時間で、理科で学んだ知識、社会で学んだ知識を総合化して取り組むという実施状況でございますけれども、一つの教科に限定して特定の時間だけ行うよりは、学校教育全体を通じて、例えば体験的な活動と連携させながら、それから調べ学習と連携させながらと、そういう幅広い取り組みができるような環境教育が重要であろうと考えておりますので、現在の形で、また環境省とも連携をさせていただきながら、より一層の充実に努めていきたいというふうに考えております。

石川委員 ぜひ、今後も一生懸命取り組んでいただきたい、そうお願いするところでございます。

 時間がないので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 最初に、企業部門、また家庭部門、運輸部門、それぞれ伸び率のお話をさせていただきました。当然、家庭部門では長期的な取り組みが必要でありますけれども、運輸部門に関して、御案内のとおり、温室効果ガスの削減に対して、乗用車が排出する排気ガス等も含めて、バイオエタノールの普及についてということが大変喫緊の課題になってくると思います。

 特に、CO2の削減効果が期待できるバイオエタノールの早期普及が必要だというのは御案内のとおりでございます。米国、カナダなど先進各国において、地球環境対策としてガソリンにエタノールを混合して走行するエタノール混合車、E5並びにE10等がもう既に実施済みでありますけれども、また、京都議定書不参加の米国においては、車社会でこれ以上のCO2排出増加防止対策として、エタノール混合に対するガソリン税減免措置を実施しております。また、アメリカの大統領は、本年一月、今後十年間でガソリン使用量は二割減らして、そして、エタノールなど代替燃料の供給を六倍に拡大するエネルギー政策を発表いたしました。

 しかしながら、京都議定書の発効国日本では、車社会での温暖化、排気ガス、CO2対策のE3実施政策など、若干おくれをとっているのが現状だと思います。

 そこで、国産のバイオエタノールに関して、今、E3でいくのかETBEでいくのか、さまざま議論があるところでありますけれども、企業側にとっても、今後、二重投資になる危険性、この先行きが不安な中で、いろいろな自動車のエンジン開発等も含めて、結果的に、生産をどうしようかと投資に対して二の足を踏むところがあると思うんです。

 今後、規格の統一等についてどのようなお考えなのか、御質問させていただきたいと思います。

若林国務大臣 地球温暖化対策の中で、新エネルギー、とりわけ石油依存から脱出してバイオエタノールを自動車燃料として活用するというのは世界的な重大関心事でありまして、それぞれの国で積極的な取り組みをしているわけでございます。

 もう今さらいろいろ申し上げるまでもありませんけれども、一番これが普及をしていますのはブラジルでございます。これはサトウキビからエタノールをつくっておりますが、二〇%から二五%の混合は制度的にこれを義務づけている、さらにもっと高い割合のエタノール混入ガソリンを使用している。

 アメリカが次いで非常に普及しておりますが、アメリカはトウモロコシ、コーンからエタノールをつくっておりまして、先般、ブッシュ大統領も、年頭教書におきまして、ガソリンを二〇%減らしてエタノールに代替していくんだという方向を強く打ち出してきたところであります。

 そのほか、小麦からでありますとか、あるいは、アジアの方ではコプラからエタノールをつくるというような実証的な事業も進んでいるところでございます。

 我が国は、さはさりながら、その原料となる農産物そのものを使いますと食料生産と競合していくというようなことがございますから、農場残渣でありますとか、あるいは、今実験的にやっておりますのは、沖縄の宮古でサトウキビを搾って、砂糖、黒糖をつくり出した後残った残渣をエタノール化するという実証実験をいたしておりまして、既にエタノールを生産して実用に供し始めているところであります。これは宮古島全島にわたってE3、三%混入のエタノールのガソリンを使うということで、今、これを普及、拡大しているところでございます。

 また、大阪堺市におきまして、建築の廃材を利用して、廃木材からエタノールをつくるという事業に実験的には成功いたしておりまして、これもガソリンに三%混入して、そのE3ガソリンを大都市地域において、ことし、実証的に実験するということを環境省の方で助成しながら進めているところでございます。

 京都議定書の中では、これを、二〇一〇年度に原油換算で五十万キロリットルのバイオ燃料の導入を目標に掲げて、そのために努力をいたしているところでございます。

 お話のありましたETBEとの関係でありますと、石油の元売、石油業界の方は、石油精製の過程で出てきますものとバイオエタノールとを混入しまして、それをガソリンにまぜるというETBE方式を導入したいということで、先般、新聞によりますと、フランスからもうでき上がったETBEを輸入して、首都圏などで展開しようとしているところでございます。

 私どもは、このETBEで普及をしていくということも結構だ、しかし、エタノールをそのまま混入したE3方式も特に問題はないということを確認いたしているわけでありますから、両方をそれぞれが利用されるということによって、当然、京都議定書で目標としている五十万キロリットルを達成しなきゃいかぬ。ETBEだけですと、国内生産のETBEでは二十一万キロリットルを一応目標にしていますから、五十万キロリットルは難しいんですね。ですから、当面両建てでいくことは一向に差し支えないというふうに考えております。

 なお、エンジン等の開発につきましては、実はブラジルやアメリカで二〇%、三〇%混入のエタノール混入ガソリンを走らせている車はほとんど日本の車でありまして、日本も車の生産自身は、メーカーの方はそのことで混乱をしたり困ったりしているということはないと私は承知しております。

    〔委員長退席、並木委員長代理着席〕

石川委員 御答弁ありがとうございました。

 二〇一〇年に五十万キロリットル、二〇三〇年にバイオ燃料を含めて六百万という数字が報道等で出されております。全部国産で賄うのが当然だと思いますけれども、今後、見通しとして、どれぐらいを国産で、またどれぐらいが輸入になるのか、お答えをいただきたいと思います。

南川政府参考人 E3の方式につきましては、さらに今後E10あるいはE20ということを目指すという観点から、私どもとしては、内外問わず、エタノールの確保ということが必要と考えております。

石川委員 エタノールそのものを輸入するということに対して、それでは結局、化石燃料を使って、同じことになってしまうのではないかという議論もあるわけであります。

 地域の中で、きょうちょうど資料を配付させていただいたんですけれども、私の地元の十勝地域というところでも、トウモロコシの値段が倍に上がって、酪農家や畜産家の方が大変経営的に先行きが厳しい、本当に厳しい状況に追い込まれているというところもございます。特に地方は過疎化と地域経済の落ち込みが激しくて、特に北海道は大変格差社会というものの中で苦しめられているわけですけれども、ちょうど地域の中で、投資済みの重要港湾を利活用した中で循環型社会を形成しようという取り組みがありまして、今の酪農業維持に必要な配合飼料の主原料である輸入コーンを使いまして、年間千六百万トンほど飼料用コーンが輸入されているわけでありますけれども、資源争奪と変化の時代を迎えた昨今、二年前に比較して価格が倍以上上がっているというのは御案内のとおりでございます。メキシコでも、トルティーヤというんですか、食べるパンの値段が上がって何か暴動まで起きたなんという報道等がございましたけれども、同時に輸入エタノールも値上がりをしていると伺っております。

 現況では、日本国内の酪農、牛乳、牛肉生産を維持するためには、仮に輸入コーンの価格が二年前の三倍に値上がりしたとしても、配合飼料の主原料は、価格的にも量的にも輸入コーンに頼らざるを得ないという現状だと伺っております。しかしながら、現在は補給金等で対応しているのが実態で、今後は、先ほど申しましたように、酪農経営も地域も大変先行きが不安なところでございます。

 そこで、化石燃料と違って持続可能で、毎年生産できる穀物資源としてエタノールを生産して、その残渣、残液を配合飼料へ利活用する、輸入コーンをエタノールとまた配合飼料、輸入コーンから二つつくるということで、配合飼料代のコスト削減とともに、牛そのものに対しても、二年、三年の長寿化、健全化が実現をして、また、良質で安価な生産率向上が期待される。また、肉用牛生産についても同様の成果が期待される。参考資料の方をごらんいただきたいわけであります。

 生産者と消費者の共生というものは、地域の中で循環型社会をつくるということが大変重要になってくると思うんです。もちろんえさをつくるときに電気を使えば、また同じように無駄になってしまうわけですけれども、ふん尿から出たバイオガスプラントによってそのまま循環型社会を形成していく。また、港湾。直接、酪農地帯にコーンを輸入することによって、輸送コストも軽減される。またそこに大きな牧場をつくって、循環型のものを形成していく、こういう計画を地域の方でされている期成同盟会の方々がおられるんですけれども、これについて、輸入コーンを今後使ってこういう取り組み、また、循環型社会を形成していく中で、製造工場の実現、企業化について、国策的に多くの支援企業の株主になっております公庫等を含めて、国の金融機関とか、こういう取り組みをする方々に対して支援策があるかどうか、ちょっとお伺いをしたいと思います。

吉田政府参考人 飼料として輸入したトウモロコシの一部をエタノールの生産の原料に使う、そういうような取り組みに対しての支援ということについてのお尋ねだと思いますが、まず、昨年十一月に安倍総理から御指示をいただきました国産バイオ燃料の大幅な生産拡大、これにつきまして関係府省で検討いたしまして、実現に向けた工程表をこの二月二十七日に総理に報告したところでございます。

 その工程表におきましては、食料や飼料の供給と競合しない未利用の稲わら、間伐材などのセルロース系原料あるいは資源作物、これを原料として、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を実現することというふうにしてございます。

 また、このような国内のバイオマスの利活用を行うことは、地球温暖化の防止だけではなくて、地域の活性化ですとか新たな産業の育成にもつながるものというふうに考えておりまして、農林水産省といたしましては、食料や飼料と競合しない国産原料の活用を基本として、バイオエタノールの生産拡大を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 したがいまして、支援策につきましても、国産原料を基本としてエタノール生産をすることに対する支援策を考えております。

 ただ、立ち上げ当初、国産原料が十分集まらないという場合も想定されます。そういう場合には、一部にそういった外国産のものを使うということはあり得ると思いますが、基本は、あくまで国産原料というふうに考えてございます。

石川委員 ありがとうございました。

 最後の御答弁の中で、立ち上げ当初はそういう輸入も検討されるという御答弁がございましたけれども、その二〇一〇年への目標、二〇三〇年への目標の中で、どれぐらいまでにという年次的な、また、量的なものについてちょっと具体的に、何年までにもう国産で賄うけれどもというところをちょっとお答えいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました、あくまで国産原料でのエタノール生産というものを基本に考えておりまして、今の段階からどの程度輸入、それが調達できないから、例えば一割だとか二割だとか、そういう輸入原料に頼るものを想定しておるということはございません。今のところは、あくまで国産と。

 それで、本当に足りない場合に、その場合に、臨時的に調達できない部分を輸入に頼った場合には、それもやむを得ないかなというような、あくまで補完的な考えでございます。

石川委員 この輸入コーンに関しては、エタノールそのものを、いずれ飼料としてトウモロコシを輸入してくるわけですから、結果的に、ここからつくられるえさも高たんぱくで、牛にいいということなんですけれども、それについて、今後、検討課題としてあるかどうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

吉田政府参考人 委員、先ほどおっしゃいました、エタノール生産をした後の、DDGSと言っておりますけれども、これを畜産飼料として活用する、そういうことについては、技術の発達なりそういうものに応じて、我々も積極的に対応していきたいというふうに考えております。

石川委員 どうもありがとうございました。

 次に、もう一度、バイオエタノールの生産者への具体的支援策について、お尋ねを申し上げたいと思います。

 現在、例えば北海道の清水町ですとか広尾町、また全国でも、先ほど大臣お答えありましたように、宮古島等、たくさんのところでいろいろなバイオエタノールの取り組み、大阪では木質廃材を使った、たしか年産千四百キロだったと思いますけれども、さまざま工場をつくられて、政府の工程表に沿って実現をできるように取り組みがなされていると思います。

 バイオエタノールの実用化に百億円程度の予算がつけられている現状ですけれども、政府系の支援がないとなかなか実施ということが難しいところだと思いますけれども、例えばバイオエタノールの工場をつくって生産をしたいとなったときに、具体的にどういった金融機関等が対応をしていただけるのか、ちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 国産バイオ燃料の本格的な実用プラントの整備、これに対しましては、まず、私ども、バイオ燃料地域利用モデル実証事業というものを用意してございます。これは、先生おっしゃいましたように、そういうハード事業、それから実証事業でございますので、その後の当面の、実証するためのランニングコスト、そういったものに対する支援措置を考えております。

 あと、これ以外に、補助残ということにつきましては、他の農業関係の事業と同じく公庫融資等が想定されると思います。

 以上でございます。

石川委員 今、それぞれの地域おこしというお話がありました。宮古島ではサトウキビ、私の地元の十勝地方ではてん菜、ビート、そういうものを利用して、今、十勝清水ということで、二〇〇九年操業予定で年産一万五千キロリットルのものをやっていこうという取り組みをしているわけであります。

 もう一度、ちょっと質問は戻るんですけれども、今後、宮古島だとなかなかETBEをやっていくのは難しいというような新聞記事等も拝見をしているんですけれども、それぞれ地域ごとにある程度分けて、この最初の規格、E3、ETBEについて、それぞれの地域おこしになるような形でやっていくことはお考えでありますでしょうか。

若林国務大臣 E3とETBEで、地域で分けるということの意味合いというのはよく理解できないんですけれども、エタノールにさらに石油の精製によって出てくる副生物をまぜたものがETBEになるわけで、このETBEをつくる原料のエタノールというのは同じものなんですね。

 ですから、農産物由来のE3をつくっていく、エタノールをつくるという面においては、別にそれを地域に分けるという必要はないわけで、できたエタノールをガソリンと直接まぜるのか、ETBEにしておいてガソリンとまぜるのか、そういう過程の差にすぎないと理解しております。

石川委員 ありがとうございました。

 今後、地域おこし等を含めて、それぞれの地域でバイオエタノールの工場の設置を希望して、頑張る地域もありますので、どうかそういった支援策等含めて応援をいただきたい、こうお願い申し上げまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

並木委員長代理 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。おはようございます。

 前回、温泉法に関連して、築地の中央卸売市場豊洲移転問題に関して質疑をさせていただきましたが、きょうはその続きということで、豊洲の土壌汚染について集中的にまたお話を伺わせていただきたいというふうに思います。

 今、資料としてお配りをさせていただきましたが、前回もお配りをさせていただいたわけでございますが、このような東京ガスの都市ガス製造工場であった土地の跡地に中央卸売市場を移転する計画があるということでございます。

 食の安心、安全という面に関して十分な検討がなされているのかということに関して、私は、国民の皆さんとともに、大きい疑問を感じております。

 そこで、まず聞かせていただきますが、本年、平成十九年四月二日に、サンデー毎日でこのような記事が出ております。現地を、日本環境学会の会長さんを初めとする方々が豊洲の土地をごらんになられた、そして、土壌からしみ出す水を海に流す排水管を発見した、排水を測定したところ、pH値が一一・三五という強アルカリ性を示した、pH値は七が中性で、強アルカリ性である、水道水はpH六から八に保たれているということでございます。導電率も異常に高い。CODなども異常な数値を示したということでございます。

 この記事に関して、まず、環境省としてどのように対応をされるのかということを教えてください。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ただいま御指摘の週刊誌の記事でございますけれども、これについて、当省といたしましては、現在のところ事実関係を特に把握しておりませんので、御指摘の記事が事実であればという仮定のお話になろうかと存じます。

 まず、お尋ねの内容でございますけれども、pH値、水素イオン濃度でございます。それからもう一つ、導電率。これはいずれも一般的な水の性状を示す指標でございまして、例えば土壌汚染対策法上の特定有害物質というものでもございませんし、水質汚濁防止法上の健康項目というものでもございません。

 その上で、ただいまお尋ねの記事が事実だとすればということになりますけれども、まずpHの方で申し上げますと、近傍において東京都が水質の測定を行っております。近傍の水質の測定結果によれば、東京湾全体のpH値とほとんど変わらない数値というものが検出されておりますので、周辺海域において何かpHで異常が起こっているというようなことはないというふうに認識をしております。

 また、導電率につきましては、ただいま御指摘の記事においては、おおむね、約の数字でございますけれども、二千マイクロジーメンスという程度の数字かと存じ上げておりますけれども、海域においては一般的な海水の導電度は四万マイクロジーメンスという程度でございまして、これについても特段異常を生じるようなものではないというふうに考えているところでございます。

川内委員 特に問題はないということですか。もし事実であったとしても問題はないということですか。

寺田政府参考人 周辺海域の状況から申し上げまして、特段の問題を生ずるようなレベルのものではないというふうに考えております。

川内委員 いや、周辺海域の状況を私はお尋ねしているわけではない。海は流れているわけですから、海流があるんですから、それは海に流れた後はそこの水質を測定したって変わらないでしょう。

 問題の土地からこういう排水が、もし出ているとすれば、しみ出しているとすれば、問題はないのかということを聞いているんですよ。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 法令上の取り扱いにつきましては、先ほど申し上げましたように、水素イオン濃度にいたしましても、導電率につきましても、特定有害物質あるいは健康項目という取り扱いではございません。唯一、pHにつきましては、水質汚濁防止法上のいわゆる生活環境項目として排水基準が設けられております。ただし、これは水質汚濁防止法上は特定施設からの排水について適用される基準でございまして、先ほど先生御指摘ございましたように、一般的な土からしみ出している水についての法令上の適用はございませんし、また、私どもも、現在豊洲予定市場には何ら水質汚濁防止法上の特定施設がないというふうに承知しておりますので、特段法令上の措置ということはないと思っております。

川内委員 水質汚濁防止法上は施設から排水される水の排水基準を定めているということなんでしょうが、それでは、一般的な事例として排水基準だけを取り上げた場合、pH値一一・三五というのは、排水基準に照らし合わせればどのぐらいの排水基準をオーバーする基準になりますか。

寺田政府参考人 特定施設に適用される排水基準、この場合にはもちろん適用がないわけでございますけれども、仮定の話として御紹介いたしますと、現在の排水基準は、海域に排出される場合に、pHについては五・〇から九・〇、先ほど委員御指摘の、中性が七・〇ですから、七・〇のプラス・マイナス二の範囲というふうに定まっておるところでございます。

川内委員 いや、私が聞いているのは、では、その排水基準に照らし合わせた場合にどのぐらいの、排水基準を何倍ぐらいオーバーしている排水基準になるんですかということを聞いております。

寺田政府参考人 恐れ入ります。

 水素イオン濃度、pHについて何倍というような表現の仕方が適当かどうかちょっと自信が持てないところでございますけれども、先ほど申しましたように、一律排水基準値がアルカリ側でいいますと九・〇でございますので、それを一一・三五といたしますれば、二・三五だけオーバーしているということになります。

川内委員 二・三五だけオーバーしていると。何か割と軽いことのようにおっしゃるわけでございますが、いやしくも環境学会の学者の先生がpH値が異常な値を示す排水が、排水というか地中からしみ出している水が土管から流れ出しているということを、週刊誌の記事でありますが、指摘しているわけであります。

 環境省というのは、環境省設置法の中では、「地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全を図ることを任務とする。」とそもそも環境省設置法で書いてあって、環境基本法などもあるわけですよね。個別の法律に当てはまらないから、たとえ異常な排水があったとしても、それは我々には関係ありません。そんなことを言うことが環境省の仕事なんですか。環境省の言う答弁として、それは私は極めて不適切な答弁であるというふうに思いますよ。事実関係をすぐさま調査し、対処いたしますと言うことが環境省としての仕事なんじゃないですか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま環境省の任務について御指摘を賜ったところでございますけれども、環境の保全、この場合には、まず第一義的に考えるべきは、公共用水域の水質の保全であろうかと存じます。そこについて申し上げますと、先ほど若干答弁申し上げましたけれども、周辺海域の水質の状況からして特段問題になるような事態ではないというふうに承知しておるというところでございます。

川内委員 いや、あなた方は築地が豊洲に移転することに関して重大な関心を持つということを、大臣だって再三にわたって答弁しているわけですよ、この間、予算委員会を初めとして。それにもかかわらず、その対象地で異常なpH値を示す水がわき出ているということに関して、いや、個別の法律に当てはまらないので我々には関係ありませんと。重大な関心を持っていないじゃないですか。一体何なんですか。

    〔並木委員長代理退席、委員長着席〕

寺田政府参考人 ただいま公共用水域の水質の保全という観点でお答え申し上げましたけれども、委員の御指摘はまさに豊洲の土壌汚染についてのことと承りました。

 豊洲の土壌汚染の状況につきましては、これまた再三委員会で御答弁申し上げておりますけれども、現在、東京都並びに現在の土地所有者である東京ガスにおいてさまざまな調査も行われ、対策も実施されており、まずはそれを見守るべきだと思っております。

川内委員 見守るというのは何もしないということですよ。環境省というのは一体何のための役所かということをこの前からずっと指摘をさせていただいているわけでございます。

 それでは、異常な排水があるということに関して、見守る、何もしないということを環境省として今御答弁されたわけでございますが、私は、このことを国民の皆さんがお知りになると、ますます、豊洲の移転に関して国民の皆さんはそんなことで大丈夫なのかというふうにお思いになられると思います。

 この前も御指摘を申し上げましたが、そもそも、この豊洲の土地が土壌汚染対策法の適用があるとすれば、土壌汚染対策法上は豊洲の土地は指定区域になる、そして覆土するだけではその指定区域の解除にはならない、汚染土壌をすべて取り除かない限り指定解除にはならないわけでありまして、指定区域、要するに汚染された土壌の上に、今やっている対策では汚染された土壌の上に築地の市場が移ってくるということになるわけでございます。

 しかも、この指定区域を逃れたというのは、土壌汚染対策法附則の三条にある、「第三条の規定は、この法律の施行前に使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地については、適用しない。」という、この附則の三条があるために、この適用を逃れることができているわけであります。

 そして、前回、委員会で大臣も御答弁になられたとおり、附則三条を設けるというようなことは、審議会では一切議論されていない、法律をつくる段階で環境省として入れたものであるというふうに御答弁になっていらっしゃいます。

 私は、この附則三条を入れたことに関して甚だ疑問を持っているわけでございますが、まず、この豊洲の土壌汚染について環境省が知ったのはいつかということに関して、事実関係を確認させていただきたいと思います。

寺田政府参考人 豊洲の土壌汚染問題につきましては、平成十三年の一月に東京ガスが豊洲における土壌汚染の存在を公表し、新聞報道もなされております。環境省は、その時点においては、豊洲における土壌汚染問題を認識したというふうに考えております。

川内委員 認識したと考えているとはどういうことですか。認識したと考えているとはどういうことなんですか。

寺田政府参考人 私どもが確実に確認できるのは、実は平成十四年に入りましてから、国会審議におきまして豊洲問題についての御質疑が行われ、その時点では、当然のことながら、確実に豊洲問題を認識したということは私ども確認できますけれども、それ以前のこととなりますと、担当者のファイル等々から考えまして、そういった新聞報道があったので、当然にその時点では認識はあったものだというふうに考えているということでございます。

川内委員 平成八年の水質汚濁防止法の改正を国会で議論したときに、このような附帯決議がついています。衆議院環境委員会、平成八年五月二十四日、水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、「六 土壌汚染は蓄積性の汚染であり、ひいては地下水汚染等を通じて人への健康影響が懸念されることにかんがみ、その実態把握に努めるとともに、浄化対策の制度の確立に向けて検討を推進すること。」土壌汚染の実態把握に努めなさいということを国会は行政に要請をしているわけでありまして、当然に、それ以降、土壌汚染の具体の事例について、行政として、環境省として、その実態把握に努めていらっしゃったものというふうに思います。

 平成十三年の一月に、東京ガスが豊洲の土壌汚染について、記者発表、公表をされた時点で、環境省としては、この土壌汚染を認識していたと考えられるのではなく、認識していたというふうに答弁しなきゃだめでしょう。

寺田政府参考人 御質問は平成十三年一月時点の認識の問題でございますが、確かに平成十三年一月には新聞報道もなされておりますので、環境省として認識をしていたと考えていただいて結構でございます。

川内委員 考えていただいて結構だじゃないんですよ。認識していたと言わなきゃだめでしょう。認識していたと言いなさいよ。

寺田政府参考人 失礼いたしました。

 認識しておりました。

川内委員 平成十三年の一月に豊洲の土壌汚染を認識していた。土壌汚染対策法は、平成十四年二月十五日に閣議決定をされ、国会に提出をされています。その間の間で、内閣法制局などと法令協議をし、法案の作成というものがなされているわけであります。審議会の議論も当然になされている。

 私はここで改めてお伺いいたしますが、附則三条を設けるということについて、審議会へ説明をしていますか。

寺田政府参考人 附則三条につきましては、施行前後の適用関係の法制上の整理として政府部内において検討されたものであり、審議会でそのことについてのみ審議をいただいたということはございません。

川内委員 うそをついちゃだめですよ、私は内閣法制局に確認しているんだから。

 法制上の技術的なことではなくて、附則三条というのは政策的に設けられているものですというふうに、内閣法制局の環境省担当の参事官ははっきり私に言いましたよ。政策的なものなんですよ、附則三条というのは。法令上の、技術上のことじゃないですよ。政策的に設けられているものなんですよ。それを設けるのか設けないのかと。別に附則三条がなくたって、土壌汚染対策法は成立するわけですよ。なければならないというものではない。政策的に設けられているものである。それは内閣法制局に私は確認していますからね、大臣。私は、うそを言いませんから。政策的に設けられているんです。それを、附則三条を設けるというようなことをきちんと審議会に説明しているのか、説明していないと。

 さらには、この審議会の答申に対するパブリックコメントでも、大臣、いいですか、経過措置を設けてくださいという意見に対して、「経過措置は必要ないと考えます。」と政府は言っているんですよ、コメントに対する回答で。それにもかかわらず附則三条が入った。これはなぜか。

 法案を作成する段階で、環境省と東京都の間で何らかのやりとりがありましたか。

寺田政府参考人 特にございません。

川内委員 特にございませんなんて、うそを言っちゃだめですよ。

 東京都は、土壌汚染対策法をつくってくれという要望を再三再四にわたって環境省に対して要望していますでしょう。これは、環境省が検討会に出した資料ですよ、私が勝手に言っているわけじゃないですからね。環境省が検討会に事務局として提出した資料の中に、当時は環境庁ですが、都は、国に対し、汚染土壌処理の実施主体や費用分担の明確化などを定める法制度をつくることを要望してきたというようなことがきちんと書いてあるんですよ。

 そうすると、平成十三年の一月に豊洲の土壌のことについて認識をし、土壌汚染対策法案を作成する過程の中で東京都とのやりとりはあったと。あるんですよ。あるでしょう。

寺田政府参考人 失礼いたしました。

 先ほどのお尋ねは、附則三条についてということかと誤解しておりましたので、特段ございませんとお答え申し上げました。

 もちろん、土壌汚染対策法の立法に当たりましては、土壌汚染対策に取り組んでいらっしゃるさまざまな地方公共団体とさまざまな意見交換をしたということは事実でございますし、東京都とも綿密な連絡をとっていたものと考えております。

川内委員 綿密なやりとりをしていたと。

 ここで私は、環境省に対して、あるいは環境大臣に対して、平成十三年の一月から平成十四年の二月十五日まで、要するに、法案が閣議決定をされて国会に提出されるまでの間、東京都と環境省がやりとりをした文書を本委員会に提出していただくことを求めたいというふうに思いますが、環境大臣、いかがでしょうか。

若林国務大臣 今委員が御指摘になりました、十三年から十四年、環境庁と東京都との間で土壌汚染防止法に関して文書でやりとりがあったかどうか、この点を含め調査をした上で、もしそのような文書でのやりとりがございましたら、それは委員の方に提出いたしたいと思います。

川内委員 さらに、寺田さん、東京ガスのこの豊洲の土地のことを環境省は認識していて、土壌汚染のことを知っていて、審議会にも説明せず法案を作成し、附則三条を設けて、この豊洲の土地を法律の対象から外したということですよね。結果として外れてしまったということを認めてください。

寺田政府参考人 附則三条の立法趣旨については、この法律の施行前に廃止された施設を含めて過去にさかのぼって一律に調査を義務づけようといたしますと、過去に施設が廃止された土地をすべて把握できず、どこの土地に調査義務が生ずるのか不明確である。あるいは、施設廃止後にマンションやビルが建てられた場合には、事実上調査の実施はできないというような事案を考慮いたしまして立法したものでございます。

 ただし、ただいま委員御指摘のように、立法時点と環境省として豊洲の土壌汚染を承知し得た時点というものの関係からすれば、豊洲の土壌汚染の実態というものを把握した中で立法が行われたということは事実と考えております。

川内委員 それは、今になって思えば、極めて不適切であったというふうにお思いにはなられないですか。

寺田政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、過去にさかのぼって、過去に特定施設が存在した土地すべてに調査義務をかけるということは、法の実施上、適用上、極めて困難が生ずるところであり、やむを得ない措置であったと考えております。

川内委員 いや、やむを得ない措置というが、これは土壌汚染対策法のコンメンタールですけれども、附則三条について、経過措置、政策的に設けられたんだということをコンメンタールも言っているわけですよ。法技術上の問題ではない、政策的に設けられたと。その政策的に設けるというのを、国会にも説明せず、審議会にも説明せず、環境省は勝手にやっているんですよ。それを、いたし方のないことだったと思いますと言うのは、私は極めて問題が多いというふうに思いますね。

 大臣、今からでも遅くないですから、この土壌汚染対策法の対象範囲については、速やかに対象範囲の見直しの検討に着手をして、こういう大変に国民的に関心の高い問題について環境省としてきちっと対処できるような、本来環境省設置法に書いてある任務をしっかり遂行できるように、法改正に向けて踏み出された方がいいのではないかというふうに思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

若林国務大臣 当該豊洲の土地への法適用の問題と切り離しまして、さかのぼって適用することを立法的にどうするかという検討とは別に、私は、委員が御指摘の土壌汚染対策法の対象範囲を含めまして、土壌汚染対策法を見直すべきではないかということに関しては、我が国で初めてこのような市街地土壌汚染の立法として土壌汚染対策法を制定し、施行して、委員御承知のように、ようやく四年が経過したところでございます。

 これは非常に難しい法律でございましたので、いろいろな立法上の検討事項というのはなお残っていることが想定をされるわけであります。この四年間の間にいろいろな対策事例も各地で出てまいりました。さまざまなデータも蓄積されてきております。そして、国民の間からも、土壌汚染という問題の存在が浸透し、それに伴って種々御意見も出ていることでございますので、土壌汚染対策の技術レベルも向上してきたことも念頭に置きながら、土壌汚染対策法制定時に議論されたさまざまな問題が当初の設定どおりになっているのか、あるいは新しい問題が生じているのか、いないのかといったようなことについて、ある程度検証できるだけの蓄積が出てきたのじゃないか、そういう時期に来ているのではないかという認識を持っております。

 委員の御指摘も踏まえまして、まずは問題意識を持って、土壌汚染対策法の施行の状況や土壌汚染一般についての現状をさらに把握した上で、同法の課題について委員がおっしゃられましたような視点で、土壌汚染対策法の課題を検討してまいりたい、こう思います。

川内委員 土壌汚染対策法の課題を検討していくということでございますので、いつから検討するということを明示的におっしゃいませんでしたので、それは直ちにやられるものというふうに私としては理解をしておきたいというふうに思います。

 それでは、大臣、冒頭、さかのぼってというふうに答弁であったんですが、この中央環境審議会の答申の中には、「用途の変更時に調査を行うこと。」ということがきちっと出ておりまして、この附則の三条がなければ、東京ガスが、工場の操業は停止している、しかし、まだ用途の変更はされていないわけですから、「用途の変更時に調査を行う」というこの審議会の答申どおりであれば、さかのぼってやるんじゃない、今、現にできるんです。だから、私は、この答申に沿って法律をしっかりとした形にすべきであるということを申し上げておきたいと思います。

 ただし、前回も質疑の最後の部分で確認をさせていただきましたが、土壌汚染対策法の適用があったとすれば豊洲の土地は指定区域であり、さらに、土壌汚染対策法上きちんと処理されているとしても、それは中央卸売市場に集積をする生鮮食料品に対する食の安心、安全という面を担保するものではないということは、前回私がお聞きをしたことに対して、若林環境大臣が「委員のおっしゃるとおりでございます。」という形で、食の安心、安全は担保しないということをはっきりと御答弁されていらっしゃいます。

 それでは、中央卸売市場に集積する生鮮食料品の食の安心、安全を担保するのは何法なのか、どこなのかというと、農水省にきょうは来ていただいておりますが、農水省からちょっと御答弁をいただきたいわけでございます。

 中央卸売市場というのは中央卸売市場整備計画というものに基づいて設置される。中央卸売市場整備計画は卸売市場法に基づいている。では、中央卸売市場整備計画を定めるのはだれですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 中央卸売市場整備計画は、まさに委員御指摘の法律、卸売市場法に基づきまして、農林水産大臣が定めることになっております。

川内委員 それでは、農水大臣が定めた中央卸売市場整備計画の中で、築地の豊洲移転計画というものを決定したのはいつですか。

佐藤政府参考人 東京都の卸売市場が築地から豊洲に移転する、そういう中身を盛り込みました中央卸売市場整備計画、私ども、第八次中央卸売市場整備計画と言っておりますけれども、平成十七年三月に、卸売市場法に基づきまして定めております。

川内委員 その整備計画を議論した場、どのようにしてその整備計画を大臣が決定するに至ったのかということについて、御説明をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 卸売市場法に基づきまして、この整備計画を定める際には、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞くことになっておりますので、ただいま申し上げました第八次中央卸売市場整備計画を定める際にも、卸売市場法に基づき、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いております。

川内委員 食料・農業・農村政策審議会で議論をされたと。食料・農業・農村政策審議会の、例えば何とか分科会とか、そういうのがあると思うんですけれども、もうちょっと具体的に御説明いただけますか。

佐藤政府参考人 食料・農業・農村政策審議会、農林水産省に置かれる審議会でございまして、その中に幾つかの分科会がございますが、本件に関しましては総合食料分科会がございます。総合食料分科会での議論をもってその審議会の議論にするというルールに基づきまして、この第八次中央卸売市場整備計画の審議でございますが、十七年三月当時、その総合食料分科会において議論がなされております。

川内委員 総合食料分科会で、築地の豊洲移転について、何回議論をされましたか。

佐藤政府参考人 このときには、十七年三月、一回の分科会でございます。

川内委員 平成十七年三月に一回だけ議論をしたということでございますね。

 卸売市場法には、第五条に、中央卸売市場整備計画は整備基本方針にのっとって作成をされるというふうに書いてありますね。確認してください。

佐藤政府参考人 ただいま御指摘の卸売市場法第五条でございますが、該当部分だけ読み上げた方がよろしいかと思います。

 第五条第二項で、中央卸売市場整備計画の内容は「卸売市場整備基本方針に即するものでなければならない。」という規定がございます。

川内委員 「卸売市場整備基本方針に即するものでなければならない。」と。

 そうすると、整備基本方針の中には食の安心、安全という観点が入っていますね。

佐藤政府参考人 文言としての安全、安心といいますか、具体的には、卸売市場整備基本方針において、物品の品質管理の高度化に関する基本的な事項を定めるということで、当然にその扱われるものは安全でなくてはならず、それについてやはり国民、要するに住民の安心感というのは当然の前提としての定めであると思っております。

川内委員 食の安心、安全という観点が整備基本方針の中に入っていますかとお聞きしたわけでございますが、それは入っているという理解でいいんですよね。もう一回、ちゃんと答弁してください。

佐藤政府参考人 中央卸売市場を定める場合に扱われるものについての安全、そして安心、これは大前提として入っているということでございます。

川内委員 確かにこの平成十七年三月十七日の食料・農業・農村政策審議会総合食料分科会議事録には、農水省の方の御説明として、「卸売市場を通ったものは非常に安全だというようなことが胸を張って言えるような、そういうものにそれぞれの市場で考えていただきたい。」というようなことが、もう威張って言っているわけですね。威張って言っている、平成十七年三月十七日の総合食料分科会。

 では、この総合食料分科会で築地の豊洲移転について一回だけ議論をした、議論した内容はどういうことを議論されましたか。

佐藤政府参考人 この十七年三月の総合食料分科会の中での議論の中で築地市場の移転に関することにつきましては、立地として、その移転先が生鮮食料品等の卸売の中核的拠点としてふさわしいか、そういう議論がございました。

川内委員 結局、立地としてどうかという議論であって、汚染土壌と食の安心、安全ということに関する議論はなされていないということでよろしいですね。

佐藤政府参考人 十七年三月の総合食料分科会におきましては、汚染土壌との関係というのは、議論はなされておりません。

川内委員 総合食料分科会の委員の中に、汚染土壌と生鮮食料品の安心、安全というものに関して科学的知見を有する委員が、そもそもメンバーとして入っていないということも確認してください。

佐藤政府参考人 この総合食料分科会の委員でございます。これは、この審議会の分科会に課された課題を審議するという観点から委員が任命されておりまして、ただいま委員御指摘の、土壌汚染の関係の専門家というのは入っておりません。

川内委員 私は今までずっと確認してきましたけれども、卸売市場法では、卸売市場整備基本方針を定める、基本方針にのっとって整備計画を定める、基本方針には食の安心、安全という観点が入っている、あると。

 整備計画を議論する総合食料分科会で、食の安心、安全と土壌汚染との関係について議論がされていないし、そもそもそういうことに関して科学的知見を有する委員がメンバーの中にいないということに関して、農水省として、そもそも平成十七年の三月十七日の審議会の議論というものは私は不十分であるというふうに思いますが、農水省としては不十分であるというふうにお認めになられますか。

佐藤政府参考人 十七年三月に議題になりました、第八次中央卸売市場整備計画の中の、築地を豊洲に移転するという部分でございますけれども、これは、東京都からは、移転したいということとともに、都の条例によります環境規制を十分にクリアした対策を実施するのだという説明を聞いておりまして、したがって、それを前提にして、この第八次の整備計画に盛り込み、議論をいただくということでございました。

 基本的な考え方でございますけれども、移転先の市場の安全、安心ということでございますけれども、これは、まずは開設者でもございますし、地方公共団体でもある東京都が、まず第一義的に責任を持ってしっかり処理をするということが、まず第一ではないかというふうに認識しているところでございます。

川内委員 農水省さん、きょうの議論の中で私が明らかにしましたでしょう。今、都の条例できちんと処理しているからという説明を聞いて審議会を開いたという御答弁でしたけれども、都の条例にしても、この土壌汚染対策法にしても、汚染土壌と食の安心、安全というもののつながりに関して言えば、食の安心、安全を担保するものではないということなんですね。だから、都の条例に則して処理しているから大丈夫ですという説明は、実は間違いなんです。東京都も多分そのことはわかってないと思うんですよ。

 だから、農水大臣が決定をする卸売市場整備計画について、今まで議論をしてきたことから、議論が不十分ということが明らかですね、それはお認めになられないと。

 では、しっかりと申し上げておきたいと思います。

 これも環境省が審議会に提出した資料ですよ。この中に、チャート図で、食の安心、水産物とか農畜産物、食品に対しては環境基準の設定は関係していない、食の安心、安全を担保するものではないということをきちっと書いてあるんです、この説明の中に。

 だから、東京都の条例に則していても、汚染土壌との関係でいえば、それは食の安心、安全を担保していないんですよ。したがって、審議会をもう一度開くべきなんです。どうですか。

佐藤政府参考人 先ほど、東京都からは、環境規制を十分にクリアした対策を実施するという説明を受けて、対策が終わったという意味ではなくて、対策を実施するという説明を聞いて、手続を十七年三月に進めたという意味でございまして、現在、東京都が、土壌汚染対策を進めるとともに、いわゆる環境アセスメントによって、その土壌汚染の問題も含めた都民の意見を聞く、そういう手続を踏んでいるという段階でございます。

 さらに、これは事務的にですけれども、東京都からはこういうことも聞いております。予定している土壌汚染対策は環境規制を十分にクリアするものであるけれども、念には念を入れて、豊洲の新しい市場で取り扱われる生鮮食料品の安全、安心の観点からこの土壌汚染対策について専門家の意見を聞くこととしているというふうな説明も最近聞いているところでございます。

 こういった、開設者であり自治体でもある東京都が今いろいろと動いている、そういったこともございます。

 それから、もちろん築地なり卸売市場、その上で扱われる食料品の安全というのもそうですし、また、そこで働く人々、それからそこに出入りする人々の健康被害ということも含めまして、仮に土壌汚染による、そういった人の健康被害、これは大変でございますので、そのあたりを、担当はもちろんこれは環境省でございますので、農水省といたしましては、そういった今やられている東京都の動きを踏まえ、また環境省とも連携して取り組んでまいる所存でございます。

川内委員 終わっておりますので、十秒だけ。

 大臣、私は、本委員会に求めたいと思います、委員長にも申し上げておきたいと思いますが。

 東京都は豊洲移転を目指しているわけです。しかし、これには重大な疑義がある。したがって、私は、本委員会に、東京都知事、石原都知事をお招きし、農水大臣もお招きし、これは国民的課題ですから、しっかりとした議論をしなければならぬというふうに思います。理事会で御協議をいただきたいというふうに思います。

西野委員長 別途、理事会で協議します。

川内委員 終わります。

西野委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 質問に入る前に、きょうは実は午後から、公明党と自由民主党、与党で、カネミ油症患者の救済についての与党PTを行いまして、最終的な救済の枠組みについて結論を出し、そして、カネミ油症患者は実はダイオキシン汚染でもあったということで、五年前にこのことがはっきりいたしまして、今日に至るまで五年間、いろいろな形で議論してまいりましたが、ここに来て、ようやくその方向が見えてまいりましたので、これは大変前向きにいいことができたな、こう思っております。きょう、与党で合意した後、野党の皆さんにもお諮りして、できれば超党派で救済策をきちっと法案化していきたい、こう思っておりますので、またよろしくお願いしたいと思います。

 ダイオキシンについては、七年前になりますか、ダイオキシン対策特別措置法ということで、当委員会で議員立法という形で環境省所管のダイオキシン対策というものができました。しかし、それが人体に直接かかわるような被害が現実にあったということについては、これはカネミ油症患者が大変な苦労をなさってきたわけでありまして、その救済に今後とも全力で取り組みたいということを申し上げて、質問に入りたいと思います。

 今回、暖冬については、非常に我々も切実な思いといいますか実感して、地球がおかしくなっているという意味で、本当に国民の皆さんもしみじみと今感じているわけであります。まさしく温暖化対策というものはもう待ったなしのところに来ているなということは実感だと思うわけであります。

 まず、大臣、いろいろな現象が起こっておりますけれども、この温暖化対策、もう本当にこれは放置できない、こういうせっぱ詰まった感じになっていると思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 委員御承知のとおり、地球温暖化問題というのは世界じゅうの最重要課題にまでなってきております。それらを受けて、先般、国連のIPCCが、第四次でありますが、どのような予測であるか気候変動の予測をすると同時に、第二作業部会で、どんな影響があるかというのを、世界の学者が集まり、政府間レベルの協議の結果、決定したわけでありまして、それによりますと、全く猶予できない事態に立ち至っているということを、数字を挙げながら、地球の各地域ごとにどんな影響が出るかということも挙げながら、危機が切迫しているということをあらわしているわけでございまして、委員のおっしゃるとおりであると認識いたしております。

田端委員 今お話がありましたように、IPCCの第一作業部会の第四次報告書を見ましても、二十一世紀末には世界の平均気温が最大六・四度上昇する。それからまた、先日六日でしたか、第二作業部会で温暖化が世界に与える影響を予測した報告書が採択されていますが、ヒマラヤ等の氷河の融解あるいは永久凍土の融解等、そういったことで洪水被害が百万人に及ぶだろうとか、途上国を中心に二〇二〇年には農業生産が一割減るのではないか、二〇五〇年には三割減になるであろう、そうしますと一億三千万人が飢餓状態に陥ってしまう、こういうことが正式に報告書として出されたわけでございまして、まさにここは世界的危機に今後どう立ち向かうかということであります。

 今、大臣に御説明いただきましたが、いよいよ二〇〇八年、第一約束期間が来年から始まるわけでありまして、温暖化対策に対しての六%達成ということは、実質的には一四%を達成しなければなりませんから、この達成は日本としても大変なことでありまして、これに対して大臣の御決意をまずお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 京都議定書第一約束期間がいよいよ来年から始まるわけでございまして、この約束期間において、日本は六%の削減をすることを国際公約として明確にいたしているところであります。委員の御指摘のとおりであります。

 同時に、実は来年のG8サミットは日本が議長国、ホスト国になるわけでございます。この来年の日本のG8サミットにおきまして、実は並行して二十カ国が集まって、地球温暖化の諸対応について、これからの、京都議定書が二〇一二年に終わるんですが、その後どうするかという問題について検討をいたしておりまして、このG20の結果は来年の日本のサミットに報告されるということになっております。

 そうしますと、来年の日本のG8サミットの大きな課題は温暖化ということになりますし、また、ここで次の、次期枠組みについての基本的な方向、方針というものが合意がなされないと実は二〇〇九年中に条約案ができない、そして、そこで条約の基本的な枠組みができないと二〇一三年から間を置かずに次期対策を組み立てるということが難しくなってくるという意味で、今、日本が大変大きな責任を負っているわけでございます。

 そういう意味で、日本が、第一約束期間のマイナス六%は何が何でも達成しなければならない、そういう立場に置かれているというふうに認識いたしております。

田端委員 まさに二〇一三年以降の大きな枠組みをどうするかということが大変な国際的なテーマになろうかと思いますが、一番問題であるアメリカの対応も少し変わってきた。ブッシュ大統領も、既に一般教書演説で、十年後のガソリン消費を今の予想消費量から二〇%削減するとか、石油依存を軽減して、その技術は地球規模の気候変動に向かう力になるであろう、こういうことを発言したりして変わってきました。そういう意味では大変いい流れだと私は思います。

 実は先ほど、アメリカの下院議員で、下院エネルギー・大気環境小委員会委員長のリック・バウチャー議員と懇談をしたのでありますが、バウチャーさんも、大きく流れは変わったということを実感を込めていろいろな形で御説明いただきました。

 アメリカの方も、下院、上院ではいろいろな温暖化防止に対する法案が今用意されていまして、いずれの形になるかはともかく、法案の成立はそう遠いことではないだろう、こういう見通しであります。ついては、それでは二〇一三年以降どういうふうに考えているんだということをただしたところ、これは非常に国民世論も産業界もアメリカの議会も、今回は参加すべきだという大きな流れに今なりつつある。

 そこで大事なことは、今月末に安倍総理がワシントンに行かれてブッシュ大統領に会う、その日米首脳会談でもぜひ日本からもそういうことで大統領に言ってもらいたい、一三年以降の枠組みにアメリカがぜひ積極的に入るべきだということを、日本が環境問題のリーダーシップをとる意味でも言っていただいたらどうだろうか、こういうお話でございましたが、この点について、大臣、また閣議か何かで機会があったら言っていただきたいと思いますけれども、御感想、御所見をお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 実は、総理の方から、温暖化対策にどういう形で取り組むか、そして、その取り組みを現実に成功させていくためには、認識としては、今離脱しておりますアメリカと、そして同時に、今義務を負っておりません中国、さらにインド、こういう国々も次期枠組みにはどうしても参加してもらって、地球全体として各国が努力をしていく体制をつくらなきゃならない、この認識を総理も持っていらっしゃいまして、そのために、私を中心にしまして、官房長官、外務大臣、経済産業大臣、四大臣で実務的にこの問題点を詰めてもらいたい、整理してもらいたいという指示がありまして、四大臣で詰めてまいりました。そして、この詰めてまいりました状況を、先般、総理にも中間報告をいたしたところでございます。

 あしたから始まります日中の首脳会談、さらにその後、委員がおっしゃいました日米の首脳会談において、どのような話し合いをしていくのが効果的であるかということについて今協議をしているところでございますが、何らかの形で日本の置かれている立場、責任というものを明確にした上で、中国及び米国に対しまして首脳会談でそれぞれ協力を要請するということが必要だ、こんな認識でおります。今委員の御意見も総理に伝えてまいりたいと思います。

田端委員 総理から大臣の方に二十一世紀環境立国戦略についての御指示があって、今具体的な方向を検討されているということで、それはそれで大変大事なことなのでぜひお進めいただきたいと思います。

 今お話があった、あす中国の温家宝首相が日本にお見えになるという、これはまた日中首脳会談という意味では非常に大事な会議だと思いますが、これもまた、今おっしゃられたように、この問題は、中国、インドという大きな国が枠組みに今後参加していくという意味では大事なことでもありますし、もうまさに待ったなしの地球温暖化対策ということになれば、日本としていろいろな意味で協力、提言もあるんではないか、こう思います。

 きょうの新聞等を見ますと、温家宝首相と安倍総理との首脳会談で、環境分野における環境技術協力の何らかの共同声明等のようなものが用意されているんではないかという予測記事も出ておりますが、これはもう非常に国際的にも注目されることだと思います。ぜひその方向を目指していただきたいなと思っておりますけれども、大臣の方で、日中環境技術協力等についてのまたいろいろな思いがおありかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

若林国務大臣 日中の環境問題に対するお互いの協議の場、さらに、その協議の中から環境政策についてお互いに共同研究あるいは共同事業、いろいろなことはかねてもやってまいっておりますが、中国側が経済成長が進むにつれまして、環境問題は、空気、土壌、水などに非常に深刻な状況もその後発生していることも事実でございまして、中国側も経済発展を進めるに当たって、これら環境問題に対して、何としてもこれを解決していかなければ経済の発展が難しくなるという認識を持っております。

 その限りで、いろいろな部門で、水の問題あるいは大気の問題などについて、実務者レベル、局長レベルの協議も進めてまいっておりますが、この首脳会談を契機に、かなり幅広い中で、さらに一層環境対策の技術協力を進めるということが議題になり、そのようなことの合意が得られることを我々は期待いたしているところでございます。

田端委員 この二十一世紀環境立国戦略について、六月までに方向を決めるということで、五月中にまとめる段階に今はなっているのかと思います。

 そういう意味で、中環審の中に設置された特別部会で今議論がずっとされていると思いますけれども、基本的な枠組みということで、持続可能な社会に向けた取り組みということで三つの基本的なお考えをお示しになっています。地球温暖化の危機ということで低炭素社会を築くんだということ、それから、生態系の危機ということで自然共生社会を築こうということ、それから、資源浪費の危機ということで循環型社会ということで、この三つの座標軸といいますか、そういうものを示しながら、今後の日本の方向を固め、そしてそれを世界に、特に東アジアに訴えていこう、日中韓を軸にしてやっていこう、こういうお考えだと思います。これはすばらしい考え方だと思いますが、しかし、これをまとめるのは正直言ってなかなか難しい。

 温暖化ということは、つまり、そういう意味では、ある種スリーR、循環型をしっかりやって、そして、技術開発をやってうまくやっていく、温暖化対策をできるだけやっていく。しかし、温暖化になれば生態系も変わってくるわけでありまして、今、もう既に日本でも亜熱帯地方の動植物がどんどん入ってきたりして、このままいけばお米の生産も全然変わってくるんではないかと言われているわけでありまして、生態系と温暖化というのはサイクルのように動いているわけでありますから、この温暖化対策、そして自然生態系の問題、そして、今の日本の先進国的技術を生かしてどう資源を大切に循環させるかという、この三つは本当に相関連しているだけにすばらしいことなんですが、しかし、これをどういうまとめ方をするのかというのが非常に難しい問題ではないかと思っております。

 そこで、実は、五月中にそういうことをまとめられるということを、先ほどお話のあった官房長官を軸にした四大臣会議、これは外務大臣も入っているんですよね、この中に、経産大臣、外務大臣、環境大臣と官房長官だと思いますが。そうすると、この四大臣会議と、今二十一世紀環境立国戦略でやろうとしていることとの関連性というのはどういうふうになっているのか、そこのところがもう一つ、私たちから見ていてよく見えてこない。この四大臣会議の上には、温暖化対策推進本部というのが総理のもとにあろうかと思うんです。そういう政府の、一番の温暖化対策推進本部というものとの関係の上で、どういう形でどういうふうに進んでいくのかというのがいま一つ見えてこないので、その辺、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、環境問題を取り巻く諸情勢というのは大変困難な問題に直面しておりますが、それらを大きく柱立てしますと、まさに一つは、温暖化にどう取り組んでいくかという問題、もう一つは、それとの関連が非常に深いわけですが、生物多様性の保全といいますか生態系の問題、そして、資源有限の時代におきます資源の有効な利活用、また、そのことを通じて実は温暖化にも深くかかわっていく、こういう三者のかかわり合いでございまして、それらすべてをしっかりとした形で組み立てるには相当時間がかかるわけであります。

 今度、総理からの指示で、環境立国戦略を六月までにつくるべきであるという指示が出ておりますように、要は戦略でございますので、大きないわば海図とでもいいますか、大きな方向を示す指針を決めていこうということであります。その指針の中でその三者の関連をどうつけていくかというのはもちろん必要になってまいりますので、ただいまこの審議会の方では、今までの議論をいただいた、非常に幅広い議論を、論点整理という形で論点を挙げてもらいまして、その論点を今絞っている最中でございます。

 このような作業と、いわゆる四大臣会合、そして四大臣会合の上位にあります温暖化対策本部でございます。これはまさに委員がおっしゃられた第一課題の低炭素社会を我が国でつくると同時に、世界でも炭素を削減して、石油起源の炭素をできるだけ使わないような形で経済成長ができるような社会をつくっていく、そういう問題としてそこに焦点を当てているわけでございますから、直接、今中央環境審議会で論議をいたしております戦略そのものではないわけでありますが、その戦略の中で組み立てていきます世界の枠組みづくりに我が国がどういう貢献ができるかという意味合いで、その戦略を、中央環境審議会の意見を聞きながら反映させていきたい、そんなことであろうかと思っております。

田端委員 いずれにしても、この夏のG8では環境問題が大きなテーマになろうかと思いますし、今度、来年は日本が議長国で、それらを仕上げなきゃならないという大きな責任が課せられるだろう、こう思います。したがって、それらのことも前提にしてしっかりとした具体的なステップを踏んでいかなきゃならないんだろう、今こう思っております。

 日中首脳会談がそういう中で行われるということ、そしてまた日米首脳会談が近々開かれるということ等々を踏まえて、まず私が提案したいことは、東アジア、日中韓も含めて東アジアのスリーR、リデュース、リユース、リサイクル、スリーRの会議、会議体といいますか推進体といいますか、そういうスリーRイニシアチブという形で何らかのものができないだろうか。

 例えば、東アジア循環型社会ビジョンみたいなものをつくって、そして日本がその策定に対してリーダーシップをとって進めていく、そして実際に東アジア会議というものを開催していく、そういう第一歩をまず踏み出して、特に中国を含む東アジアにおける温暖化対策というのは一番大事だ、私はこう思っておるわけで、中国が二〇一三年以降に入ってくるかどうかにも大きくかかわることでありますから、そこに焦点を絞ったもう少し具体的なことを、第一歩を踏み出せないだろうかということを今しみじみ感じているんですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

若林国務大臣 大変大事な御提案だ、重要な提案だと受けとめております。

 実は、この環境問題につきまして、日中、さらに日韓、日中韓の三大臣会合というのをかねて定期的に開いてまいっておりまして、この三大臣の認識も、やはり足元のアジア、東アジア及び、さらに広げていけばASEANに通ずるわけですけれども、アジア地域というのは共通の風土といいますか共通の課題を抱えているわけですから、このアジア地域における環境問題でのしっかりとした協力関係というものをつくっていくことが大事だということで認識は一致いたしております。

 そのためにも、日中韓がまず核となってやろうじゃないかという話し合いをしておりまして、やはり日本がこの問題についてイニシアチブをとるというよりも、日中韓の協力関係で、この三つの国が一緒に協力して一つのビジョンをつくっていくというような関係をつくることによって、東アジアあるいはアジア地域の諸国の皆さんを糾合してさらに大きな枠組みにしていくポイントだろう、こう考えておりまして、今、非常に密接な連携をとりながら、日中韓、進めているところでございます。

田端委員 そういう意味でも、日本の国内においてもまた新たなこともやはり検討、考えていく段階に来ているのではないかと思いますが、今欧米で行われているこの排出権取引、こういったこともぜひ日本でも必要ではないか。キャップ・アンド・トレード方式といいますか、そういう形で、これは今後いかにして六%削減を目指すかということになれば、大変大事な一つのポイントだと思いますが、こういったこと。

 それから、我々の生活のライフスタイルに対しても、今までクールビズとかそういうことをやっていただいて、環境省がいろいろな形でやっていただいたことが非常に功を奏しているとは思いますが、しかしまだまだだと思いますが、そういうこと。

 それから、最近大きなニュースになっていましたが、今回、バイオ燃料の市販ということで、ガソリン混合の、ETBEのバイオガソリンがいよいよ二十七日から実験販売といいますか市販されるということでありまして、これは石油連盟がやっておられることですが、これもまた非常に大事なことだと思います。

 ところが、これはちょっと、私は、地元大阪の堺市に廃木材からのエタノールの、この前も視察に行ってまいりまして、環境省がいろいろとバックアップしていただいていますが、これらもなかなか技術がたくさん、あるいは輸入するとか、こういうのが何かちょっとばらばらになっていて、もう一つはっきりしていないなというような感じもしているわけであります。

 これら、いろいろなことをやらなきゃならない個々のテーマがたくさんあると思いますが、どういうことを今後お進めになるのか、お考えになっているか、その辺のところをぜひお聞かせいただきたいと思います。

若林国務大臣 委員が今御指摘になりました諸問題、それぞれもう重要な課題でございまして、それをどう結びつけていくかということ一つとっても大変なことでありますので、今御指摘になられましたような諸課題を、総合的に、全力を挙げて、効果が出るような取り組みをしなければならないという決意でおります。

 一つ一つについてお話を申し上げますと、ちょっと時間的に大変だと思いますね。キャップ・アンド・トレード一つとりましても大変な課題がございます。一言だけ申し上げれば、今月には環境省、経済産業省など関係省の実務者をヨーロッパに派遣いたしまして、EU及び英国が実際キャップ・アンド・トレードを実施しているわけですけれども、その実施過程における諸問題、いろいろな課題が出てきていると聞いておりますので、そういうものを勉強してきてもらうとか、一つ一つについて、ETBEとE3との関係については、経済産業省が石油連盟の方と話をしまして、E3についての協力を確実にするといったような働きかけをしているなど、それぞれについて課題を持っております。

 それぞれについて取り組んでいるということを申し上げて、そのすべてについて、しっかりとした効果的な対策がとれなければ目的が達成できないというふうに、ずっしりとその責任を感じております。

田端委員 環境大臣の役割、使命が今大変大事な段階になっていると思いますので、ぜひ政府の中でも頑張っていただきたいということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

西野委員長 次に、内閣提出、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。若林環境大臣。

    ―――――――――――――

 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

若林国務大臣 ただいま議題となりました自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 大都市地域を中心とする二酸化窒素及び浮遊粒子状物質による大気汚染については、自動車排出ガスに対する累次の規制に加え、本法に基づいた特別の排出基準の設定等、各般の対策を実施してきており、その結果、大気環境基準の達成状況については、改善傾向が見られております。

 しかしながら一方で、大都市地域において自動車交通量が多い道路が交差している一部の地区等においては、大気環境基準の非達成の状況が長期間にわたり継続しております。このような地区においては、大型車両の混入率が高いことや道路の構造上の問題等により、大気環境の改善が妨げられている状況にあります。また、窒素酸化物対策地域等の外から流入する排出基準を満たしていない自動車が大気環境に悪影響を与えており、このような地区における大気環境の改善が十分に進展しないおそれがあります。

 このため、新たに、このような地区の大気環境の改善を図るための重点的な対策を講ずることとし、大気環境基準が達成されていない地域について、できる限り早期の達成を図るとともに、既に達成されている地域については、その状況を維持するため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の概要を御説明申し上げます。

 第一に、大気汚染が特に著しい特定の地区に関する計画策定等についてであります。

 都道府県知事は、窒素酸化物対策地域内において大気汚染が特に著しい地区を、窒素酸化物重点対策地区として指定することができることとし、指定された地区について、窒素酸化物重点対策計画を定めなければならないこととしております。また、窒素酸化物重点対策地区内において特定の用途に供される建物を新設する者に対して、事業活動に伴い自動車から排出される窒素酸化物の排出の抑制のための配慮事項等に関する届け出を義務づけ、当該届け出に係る勧告等の制度を設けることとしております。なお、粒子状物質についても同様の制度を設けることとしております。

 第二に、事業活動に伴い自動車から排出される窒素酸化物等の排出の抑制のための措置の拡充についてであります。

 窒素酸化物重点対策地区等のうち指定された地区において、窒素酸化物対策地域等の周辺の地域内に使用の本拠の位置を有する自動車を運行する一定の事業者に対して、自動車から排出される窒素酸化物等の排出の抑制に関する計画の作成等を義務づけることとしております。また、窒素酸化物対策地域等において、窒素酸化物対策地域等の周辺の地域内に使用の本拠の位置を有する自動車を運行する事業者等について、自動車から排出される窒素酸化物等の排出の抑制等に努めることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

西野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十三日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十三日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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