衆議院

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第14号 平成19年6月12日(火曜日)

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平成十九年六月十二日(火曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 西野あきら君

   理事 石崎  岳君 理事 宇野  治君

   理事 桜井 郁三君 理事 鈴木 俊一君

   理事 竹下  亘君 理事 末松 義規君

   理事 田島 一成君 理事 江田 康幸君

      上野賢一郎君    北川 知克君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君  とかしきなおみ君

      中川 泰宏君    並木 正芳君

      野田 聖子君    平口  洋君

      藤野真紀子君    馬渡 龍治君

      山本ともひろ君    石川 知裕君

      近藤 昭一君    村井 宗明君

      柚木 道義君    吉田  泉君

      田端 正広君    江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         若林 正俊君

   環境副大臣        土屋 品子君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  笠井 俊彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 齋藤  潤君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   玉木林太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           伊藤  元君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           川本正一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  冨岡  悟君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  藤野真紀子君     平口  洋君

  長浜 博行君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     藤野真紀子君

  柚木 道義君     長浜 博行君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西野委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、G8ハイリゲンダム・サミットにおける気候変動に関する結果について政府から報告を聴取いたします。若林環境大臣。

若林国務大臣 G8ハイリゲンダム・サミットが、六月六日から八日までドイツのハイリゲンダムで開催されました。

 本会合は、主要先進国の首脳らが一堂に会し、国際社会が直面するさまざまな問題につき意見交換を行うものです。今回は主要途上国である中国やインドなどの五カ国、また、アフリカ各国からも首脳が参加いたしました。今回の会合では、議長国ドイツは、「成長と責任」をテーマとして、「世界経済」「アフリカ」を主要議題として提示しました。そのうち「世界経済」の分野では、特に気候変動問題が主要議題となりました。

 本日は、気候変動に関する結果について、簡潔に御報告いたします。

 サミットにおいて、安倍総理は、さきに発表した日本提案、美しい星50を各国首脳に紹介し、世界全体の排出量を現状に比して二〇五〇年までに半減することを全世界の共通の目標とすること、また、次期枠組みを構築するに当たっての三原則を提案されました。

 その結果、主要排出国を含む新たなプロセスを立ち上げ、二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも半減させることを含む、EU、カナダ及び我が国による決定を真剣に検討することでG8首脳の合意が得られました。安倍総理が世界に向けて理解と協力を呼びかけてきた長期目標が、サミットの場でこのような形で合意された意義は大変大きいものであると考えております。また、今回、国連のもとで次期枠組みを交渉するとの合意が得られたことも重要な成果であると思います。

 この間、安倍総理は、ドイツ、米国、フランス、ロシア、中国の首脳及び国連事務総長と会談し、二〇一三年以降の次期枠組みに関し、実効性のある国際的枠組みの実現に向けた協力などについて率直な意見交換を行いました。

 今回のサミットの結果を受け、我が国がG8議長国となる来年は、二〇一三年以降の次期枠組みに向けた議論が一層活発になると思われます。安倍総理は、北海道洞爺湖サミットにおいて気候変動問題を中心議題とする意向を示されており、我が国としては、安倍総理の提案に基づき、本年後半に米国が開催する主要排出国の会合を初め、バリで開催される第十三回気候変動枠組み条約締約国会合、COP13でありますが、などの会合において、主要排出国の実効ある参加を一層呼びかけてまいります。また、来年のサミットに先立ち、三月に開催される気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する閣僚級対話、G20対話といいます、及び五月に開催されるG8環境大臣会合において、最大限のリーダーシップを発揮してまいりたいと考えております。

西野委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西野委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官笠井俊彦君、内閣府大臣官房審議官齋藤潤君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、財務省国際局次長玉木林太郎君、経済産業省大臣官房審議官伊藤元君、国土交通省大臣官房審議官川本正一郎君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局長西尾哲茂君、環境省地球環境局長南川秀樹君、環境省水・大気環境局長竹本和彦君及び環境省自然環境局長冨岡悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬渡龍治君。

馬渡委員 自民党の馬渡龍治でございます。

 今、大臣からG8サミットの報告をいただいて、最後のところで、今後の種々の会合においてリーダーシップを最大限発揮していきたいとの御決意をお聞かせいただきましたが、まず、これについて質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 地球温暖化対策の議論がなされて、特に今回注目すべきところは、温室効果ガス排出量の削減目標が、数値として二〇五〇年までの半減を真剣に検討するという合意がなされたことは大変な成果が得られたと思います。当初、数値の盛り込みに反対をしていましたアメリカをも巻き込んで、しかも、二〇〇九年までにポスト京都の枠組みを固めることで合意して、二〇一三年以降のポスト京都議定書の国際的な温暖化対策の枠組みづくりに向けて将来の目標を立てたということは、地球全体の温暖化対策の取り組みにとって一歩大きな前進を見たのかな、そう思います。

 とりわけ、我が国の総理が、このことについて二度にわたって発言をなされて、アメリカと欧州との隔たりを念頭に、今回のG8では共通点を見出すことに集中すべきだと述べられました。二〇五〇年までに世界の排出量を現状から半減させる日本の温暖化対策を説明して、ポスト京都への提言、特にアメリカ、中国、インドなどの主要排出国を含めた枠組みを構築する必要性を強調したと聞いています。

 今まで、我が国の総理が国際会議において環境の問題を取り上げて発信されたのは、二〇〇二年のヨハネスブルクのサミットで、小泉総理が国連持続可能な開発のための教育の十年というものを提言されたことがあると思いますけれども、それ以上にメッセージとしては強いものがあったのかな、私なりに本当にうれしく受けとめているんです。

 そして、今月一日には、二十一世紀環境立国戦略を閣議決定なされました。

 今、私たちの国のトップが環境問題に対して大変熱心に取り組んでおられる、これが国際的にも今回のサミットを通じて発信できたのかなと思いますが、これを受けて、若林環境大臣として、今後どのように取り組んでいかれるのか。今回のサミットの感想や、また、その御決意をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

若林国務大臣 委員がおっしゃいましたように、このたびのハイリゲンダム・サミットにおきまして、我が国、安倍総理が全体を取りまとめるに当たりまして非常に大きな役割を果たしたということにつきまして御評価をいただきました。国際社会におきましても、日本がサミットに先立ちまして美しい星50という提言をいたしました。そのことが軸になりまして、最終的な取りまとめに当たって大変大きな役割を果たすことができたというふうに考えているわけでございます。

 冒頭御報告申し上げましたように、今回のG8サミットにおいて、安倍総理が世界に向けて理解と協力を呼びかけてまいりました長期目標が、サミットの場においても合意されたという意義は大変大きいと考えております。

 また、今回の結果を受けて、従来の気候変動枠組み条約のもとでの国際交渉やG20の対話、気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する閣僚級対話でございますが、これらに加えて、新たに米国が主催する主要国の会合が開催されることとなり、二〇一三年以降の次期枠組みに向けた議論が一層活発になると思われるのでございます。

 我が国は、来年のG8議長国としての役割を適切に果たすべく、安倍総理の提案に基づいて、一連の会合において積極的に取り組んでいく必要があると思います。

 私としては、ことしの十二月にバリで開催されますCOP13に出席をし、二〇一三年以降の次期枠組み交渉において、主要排出国の実効ある参加の確保を一層呼びかけたいと思います。また、来年、我が国がG8議長国として主催するG20対話やG8環境大臣会合は、洞爺湖サミットを控えまして、交渉の極めて重要な局面になると考えております。議長役として最大限のリーダーシップを発揮していきたいと考えております。

馬渡委員 ありがとうございました。

 このG8で我が国のトップである安倍総理が発言されたことによって、今までちょっと控え目なところも一緒になっていただいて本当に大きな前進を見たということは、逆に日本の国がこれからますます注目されるところであろうかと思いますので、そこのところはぜひとも強力なリーダーシップをとってやっていただきたいと思います。

 温暖化問題と並んで待ったなしの対策を求められているのが生物多様性の保全の問題であろうかと思います。

 先月二十一日にベルギーで日・EU環境高級事務レベル会合が行われて、その中で一つ、目にとまったものがあるんです。

 これは外務省のプレスリリースなんですけれども、「生物多様性に関し、我が国が二〇一〇年の生物多様性条約第十回締約国会議の日本開催を誘致していることについて、EU側より歓迎の意が表されるとともに、EU側より、日本が議長国となる明年の」、来年のですね、「G8プロセスにおいて、気候変動問題と並び、優先課題の一つとして生物多様性を取り上げるよう要望があった。」と言われております。それぐらい、世界じゅうで多くの種がどんどん消えていっていると聞いております。

 例えば、私たちが今把握している生物種というのが大体二百万種あると言われていて、知らない生物種も含めると五千万種から一億種いるのではないかと言われています。そして、実に恐ろしいことに、十五分間に一つの生物種が絶滅していって、そうなると一年間に三万五千種が消えていっている。これを単純に計算していくと、千四百年たてば地球上からすべての生物種が消えていくという勘定になるんです。そこまでいく前にいろいろな、食物連鎖の関係もあって、生態系が崩れればもちろん私たち人類の生存の可能性が薄くなっていくということになろうかと思いますが、年々これが加速している、消えていく率が加速しているということをよく聞きます。

 今こそ、温暖化対策と同時に、私たちの国でもここのところを対策を立てていかなければなりませんが、先ほどもお話ししたように、二〇一〇年に、まだ正式決定じゃないですけれども、私の地元でもあります名古屋でCOP10を開催していただける可能性が十分高まってまいりましたので、これに向けていろいろ作業を急がなければならないところがあろうかと思います。

 ところが、残念なことに、この生物多様性ということの、聞いたことはあるけれども中身はわからないとか、何をするんだということをよく聞きます。実際に、平成十六年の生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議のアンケートによると、生物多様性という言葉を知っている、聞いたことがあるという回答をした人は約三〇%。しかしながら、それをどうするのかという国家戦略という言葉を聞いたことがある、知っているという方は六・五%であったと教えていただきました。これでは、幾ら国が頑張っても、それぞれの国民の方の意識が高まらなければ、生物多様性の保全というのは到底なし得ないものだと思っています。

 そして、今回の二十一世紀環境立国戦略の中には、今後重点的に着手すべき八項目の二番目に「生物多様性の保全による自然の恵みの享受と継承」というものを挙げていて、その中に、百年を見通した我が国の生物多様性の保全という項目がありました。百年先の生物多様性の将来像をグランドデザインとして提示して、自然と共存する国づくりを進めると記されています。

 私の個人的な意見ですけれども、どうも私たちの国の環境行政というものが、何か起きてからそれに対処していくようなところが多かったと思うんです。ところが、この文章を読むと、これから先のことを、グランドデザインを描いて、それを目標に進めていこうという本当に積極的なことが書かれているので、これは頼もしいな、そう感じています。

 そこで質問なんですけれども、環境省として、これからどうやって広く国民に向けて生物多様性の保全の重要性と国が行おうとしている戦略について知らしめていこうとしているのか、これを教えていただきたいと思います。

土屋副大臣 馬渡先生の御心配は本当にもっともだと思っております。生物多様性の問題というのは、むしろ地球環境の問題はこの数年大変国民の一人一人に理解していただいておりますけれども、その陰に隠れてというか、生物多様性については、今数字を先生の方から言っていただきましたけれども、本当に低い数字でございます。

 環境省といたしましても、COP10の開催に手を挙げているわけでございますので、このCOP10をチャンスとして、さらにいろいろな施策をしていきたいと思っております。

 ことし初めてでございましたけれども、本年五月二十二日、国際生物多様性の日には、東京都内また名古屋市においてもしていただきましたけれども、記念イベントを主催して、普及広報の推進に努めてまいりました。

 それから、二十一世紀環境立国戦略の中でも、生物多様性の重要性について国民の理解を得るための取り組みや市民参加型調査の実施などを「いきものにぎわいプロジェクト」として重点戦略の中に位置づけているところでございます。

 これでもまだまだだと思いますけれども、さらには地方公共団体や民間とも連携を図りながら、積極的な普及広報に取り組んでまいりたいと思っております。

 特に、私自身重要だと思うのは、子供のときから生物多様性というものを理解する必要があろうと思いますので、学校教育の中にも積極的に取り入れていただくように文科省にも働きかけていきたいと思いますし、さまざまな面で各省にまたがっている問題でございますので、頑張って普及させていきたいと思います。

馬渡委員 まさに、COP10が本当に絶好のチャンスだと思います。さっき述べた小泉総理の環境教育に対する提言、教育の十年というのが、今、エコスクールパイロットモデル事業の後押しをしていただいているように思うんですけれども、やはりそういうふうに何かをきっかけに、目標に向けて国として全員で取り組んでいくというのが大切だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 これに関連してなんですけれども、第三次生物多様性国家戦略の策定が今行われているところだと思います。過去二回と比べてどこが違うのか、特に力を入れていくのはどこなのか、ここのところを教えていただきたいと思います。

冨岡政府参考人 生物多様性に関しまして、現行の国家戦略策定以降の大きな動きといたしましては二つあると考えております。

 一つは、生物多様性が、せんだってのG8サミットの首脳宣言に盛り込まれるなど国際的に関心が非常に高まっているものと承知しております。もう一つは、我が国が人口減少に向かい始めている中で、中山間地における人口減少に伴いまして里地里山管理の担い手不足の問題が出てきており、人と自然の関係の再構築が求められていること、この二つが非常に大きな動きではないかと考えております。

 このため、第三次国家戦略の策定に当たりましては、例えば、世界に向けた自然共生社会づくりの発信など、COP10開催を視野に入れた国際的なリーダーシップの発揮、それから、御指摘ありました生物多様性の観点から見た百年先の国土のあり方、さらには、生物多様性の重要性に対する普及広報、地方や民間の参画の促進、こういったものが論点として考えられるところでありますが、こうした点を含めまして審議会で幅広く御審議いただきまして、本年中に策定いたしたいと考えているところでございます。

馬渡委員 ありがとうございました。

 人間のわがままによって今まで絶滅をさせた種というのはかなりあって、近くでは、馬や牛に危害を与えるということでニホンオオカミなんかは絶滅しました。一度絶滅してしまったものは二度と戻らないし、密接にいろいろなものとつながっているので、やがてほかの動物、続いて人間にも、結局、人類のためにも、この生物多様性というのは、生存できる期限を進めていく、延ばしていくためにも重要なんだ、さっき副大臣おっしゃっていただいた、お子さんのときからそういう意識を持っていただければ今後明るい希望が持てるのかな、そう思いますので、お子さんにもわかりやすいような発信を何かしていただければと、よろしくお願いいたします。

 続いて、これに関連してなんですけれども、以前質問させていただきましたツボカビ症について質問させていただきます。

 生物多様性を減退させる要因は幾つかあると思うんですけれども、この中に外来生物または菌類の問題もあると思います。

 以前申し上げましたけれども、これは物すごい脅威で、水によって感染をしますので、ひょっとしたら、すごいスピードでその一帯の両生類が絶滅に追いやられるということも考えられるし、そうなると、カエルが捕食していた虫などが異常に発生して農作物に甚大な被害を与えたり、生態系というのは本当につながっていますから、カエルがいなくなることによって猛禽類なんかも減少していったりするのかなと。

 実は専門家によると、カエルツボカビ症が、個人で飼っている施設、それから飼育しているだけじゃなくて、もう既に野生の、要するに外の環境で感染が広がっているんじゃないかという話が以前ありました。

 そして、きのうの新聞で、国立環境研究所と麻布大学のチームが神奈川県内で捕まえた野生のウシガエル四匹からカエルツボカビ症の感染を確認したという、私としてみれば大変ショッキングな報道がありました。加えて、千葉、茨城、埼玉、沖縄の各県で捕獲した野生のカエルとイモリ計三十八匹、そこからツボカビ遺伝子を検出したとあります。今の三十八匹に関しては、もともと感染していたものなのか、一時飼育をしていたときにうつったのかどうか、今まだはっきりしていないんですけれども、野外で感染した可能性もあるということなんです。

 そこで、これは全国的にしっかりとした実態把握をしなければいけないと思うんですけれども、現在、環境省はそのための体制づくりと財源確保のための対応をしているんでしょうか。

 これはツボカビの専門家の北川大臣政務官に、ぜひ御答弁をお願いします。

北川(知)大臣政務官 ただいま馬渡委員の方から、ツボカビの専門家というお話がありましたが、これは馬渡委員、二月に質問をしていただいて、私よりも馬渡委員の方が専門家であります。

 その二月のときにも、法整備等の必要性、委員の方から御指摘がありましたけれども、その前にやはり調査研究、ツボカビがカエルを初めとする両生類に及ぼす影響や、水に起因をする感染等々が果たしてどれぐらい感染をしていくのか、そして、このツボカビ自体が三十八度以上の温度があれば死滅をするとか、いろいろな調査研究を今されているところでありまして、今委員御指摘のフォーラムを、この六月の十日にカエルツボカビフォーラム二〇〇七ということで銘打って麻布大学の方で行われました。

 その中で、今回国内で採取された両生類を調査したところ、カエルツボカビと同じDNA断片が、調査個体百三十二匹、九都県にわたってのサンプルを抽出したところ、四十二匹、約三割から検出をされたということでありまして、我が国の野外にカエルツボカビが存在をしている可能性が高い、こういうフォーラムでの報告でありました。

 検査をした個体においては、いずれもカエルツボカビ症を発症しておりませんでして、不幸中の幸いといいますか、この検出をされたものが海外のカエルツボカビと同一であるか、そして国内の両生類がカエルツボカビに感染をして発症するのかなど、もともと国内のカエルにもこのツボカビを有しているカエル、海外から流入をしてきたDNAと違う種類のツボカビもあるようでありますので、そのあたりの調査研究がさらに必要であるという報告、議論があったところであります。

 こういうものを受けて、環境省といたしましても、国内でカエルツボカビが疑われる今回のDNAが検出をされたこともあり、今後、国内にどの程度のカエルツボカビが存在をしているのか、その分布に地域差があるのかなどの現況、概況の調査を早期に行う必要があると認識をいたしております。

 ただ、調査をするに当たりましても、この調査をしていただく研究者の方々の人員の配置も必要であります。全国にわたって、それぞれの都道府県においても、調査をできる方々に限りがございますので、その全国にわたる調査等についても、今後、研究機関や自治体、NGO等の方々と連携もしながら、協力もいたしながら、調査体制、調査内容の検討を行い、外来生物関係の今あります調査予算を用いて必要な調査を行ってまいりたいと考えているところであります。

馬渡委員 ぜひさらに進めていただいて、これは質問しようと思ったんですけれども、ペットを飼っている皆さんに、疑いがある場合には飼っている水を安易に近くの川とか池とかに放さないようにとか、そういった情報を、前にしていただいているということだったので、それをさらに強化していただきますように、これはもう御答弁は結構です。

 私の提言としては、実は特定外来生物法では、人の目に見えない微生物はその対象となっていないところがあるので、これは生態系を壊していく脅威ですから、こういったたぐいの場合、どうしたら防げるのかという検討を今後進めていただきたい、これは質問しようと思ったんですけれども、次のがあるので、お願いとさせていただきます。

 最後に、改正動物愛護管理法ができましてから、動物取扱業者の広告について、この六月一日から完全施行となったわけなんですが、要するに、登録制に関しての猶予期間が今まで一年あって、この一日から始まったということですよね。

 インターネットを調べていただくと、ここの販売広告で登録業者に義務づけられている標識というものがまだ徹底していないところがあって、本来ならば、業者の氏名または名称、事業所の名称、事業所の所在地、業の種、販売、保管、展示など、登録番号、登録年月日、その有効期間の末日とか取扱責任者名とかを記載しなければならないのに、それをしていないところが結構ある。この状況について、環境省は把握をされておられますでしょうか。

冨岡政府参考人 御質問の点につきましては、特に、インターネットのオークション等の通信販売におきまして適正な動物販売等が行われるよう、この法律の施行時にペット関係団体や関係プロバイダーに対しまして登録規制の説明会を開催するなどの適正化の周知を図ってきたところでございます。

 しかしながら、最近におきましても、インターネット販売において、先生御指摘のような、表示すべき事項について、動物取扱業者としての基準が遵守されていない事例があることは、同業者の指摘などによって、あるということを承知しているところでございます。

馬渡委員 せっかく法律をつくっても、これがしっかりと周知徹底されなければ本当に意味がないことで、しかも広島のドッグぱーくとか大阪のブルセラ症なんかは業者のずさんな管理によって悲劇が起きたわけでありますから、こういったところはぜひ厳しく指導していただきまして、対策を講じていただきたいんですけれども、今後そのようなお考えはどうなんでしょうか。

冨岡政府参考人 インターネットの取り扱いに関しましては、広告の場を提供する事業者に対しまして、規制の周知につきまして再度周知を行うべく準備を進めているところでございます。早急に実施したいと思っております。

 一方で、国民の皆様に対しても、動物の購入に際しまして、動物愛護管理法を遵守する業者を選ぶよう呼びかけることが必要と考えております。このために、今年度の動物愛護週間などの機会を活用しまして、動物愛護管理法による動物取扱業者に対する規制について周知を図りましたが、今後とも、こういったことにつきまして、適正な動物管理事業者からの購入について普及啓発を強めてまいりたいと考えております。

馬渡委員 もう時間が来ましたのでこれでやめますけれども、ここ最近、とにかくやたら子犬を産ませて、本当にぼろぼろになった母犬がいて、そこから生まれた子がペットショップで売られて、買ってきてすぐに心臓疾患にかかって死んでしまったとか、そういう事例が結構あると思うんです。ですから、取扱業者に対してはぜひ徹底的に、やらなきゃならないことは守るように引き続き御指導いただきますようにお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、石川知裕君。

石川委員 民主党の石川知裕でございます。

 G8、ハイリゲンダム・サミットでも、地球環境問題について大変多くのことが議論されたことと思います。また、私は北海道でありますけれども、来年の洞爺湖サミットというのはまさに環境サミット、こういう様相を呈していると思います。

 先週日曜日夜九時から、NHKスペシャルで、中国の水問題について、大臣もごらんになられたでしょうか。まさにこういった状況が世界各地で、また日本の近隣国の中国でも、まさに水のとり合いによって、そして政府の指示によって、田舎で農作物をつくりたくても農作物がつくれない、まさに国家の統制によってそういうことが行われている。大変、今本当に地球環境問題というのは真剣に国家として取り組まなければいけないところだと思います。

 今、この「G8ハイリゲンダム・サミットにおける気候変動に関する結果について」というものを拝見させていただきました。文章の中で、「安倍総理が世界に向けて理解と協力を呼びかけてきた長期目標が、サミットの場でこのような形で合意された意義は大変大きいものであると考えております。」と書かれております。

 安倍総理が環境問題に対して一生懸命やられている、こう環境省としては評価をされているところだと思いますけれども、きょうの朝日新聞の世論調査を見ますと、「ドイツで開かれた主要国首脳会議での安倍首相について、「存在感を示した」は三四%で、「そうは思わない」の四九%を下回った。」となっておりますけれども、これらについて、環境問題で一生懸命安倍総理はやっているけれどもサミットで国民の評価が低いということについて、大臣、どうお感じになられていますでしょうか。

若林国務大臣 このたびのハイリゲンダム・サミットが終わった後、各国の代表がいろいろな形でその考え方を述べておられます。私もそういう情報を見ながら、主要な国の代表の方々が、通じて、我が国が非常に大きな役割を果たしたんだ、我が国がイニシアチブをとってこのハイリゲンダム・サミットの結論に貢献をしたんだというようなことを口々におっしゃっておられるんですね。私はそれは非常にいいことだと思うんです。そして、それぞれの参加した主要国が、自分たちが積極的に発言をし、リードしたからこんなようないいまとまりができたんだということを言ってくれるということは、次に議長国になります我が国としましては、そういう積極的な取り組みというようなことができていくそのあらわれの一つじゃないかという意味で、私は大変歓迎をしているところでございます。

 しかし、現実の問題として、皆さん方も美しい星50を既に御承知だと思いますけれども、着地として結局決まったのが、この美しい星50で安倍総理が提起しました長期目標、あるいは、中期については三原則、すべての主要排出国が少なくともみんなが参加できるようなものでなきゃならない、あるいはそれぞれの国の事情に応じて柔軟かつ多様なものでなければならない、また経済の成長と両立できるような環境保全でなければならないといったような基本的な考え方が基軸になって生かされているということは、それぞれ委員もお感じいただいているんじゃないかと思うんです。

 私は、おれがやった、おれがやったじゃなくて、そういうみんなが参加してまとめたんだということに非常に高い評価を与えられているんじゃないかなというのが私の印象でございまして、これから日本が議長国として責任を果たしていくということをさらに国民の皆さんにも御理解いただけるように努力をするとともに、少なくとも京都議定書の国際的な約束はきちっと果たしていかないと、日本が議長国としてイニシアチブをとるわけにはいかないですよということを、再度その点を明確にしながら、ことし見直しをしておりますが、いよいよ来年から始まる京都議定書の目標の達成のために全力を挙げていかなきゃいかぬ、こんなふうに思っているところでございます。

石川委員 今の大臣の御答弁ですと、美徳の精神でもって、おれがやった、おれがやった、そういうことを言うのは大人げない、大人げないとまでは言いませんけれども、そういう答弁のように私には聞こえました。

 今、国民の間でも、この環境問題、気候の変動によって、身近なところではマヨネーズが上がっただとか、またガソリンでバイオガソリンが出ただとか、本当にたくさんの変動があります。国民は敏感に、この環境問題、政府に真剣に取り組んでもらいたいと厳しい目で見ていると思います。

 私は、このサミットで存在感が示せなかった等の部分があるというのは、首相が真剣に環境問題に取り組んでいるというのが映っていないからではないか、むしろ党利党略によってこの環境問題を利用しようとしているのではないかということが国民の目に映っているからではないかと思います。

 六月五日の広告、「電球から、日本を明るくしよう。」安倍首相と御夫人が、このように大きく広告で載せられております。また、きょうの新聞でも、このように二面を使って、これは大臣もにこやかに写られていますね。クールビズエグゼクティブズ、こういうことで広告をされております。

 このことについて、こちらの六月五日火曜日の方は、五つの全国紙と三つの地方紙で、多くの環境広報の税金を使って、安倍総理夫妻をモデルとして全面広告が掲載されましたけれども、参議院選挙直前にこのように環境広報の予算が使われたことは、環境省の予算を政治的に流用したのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

若林国務大臣 委員も御承知のとおり、地球温暖化の問題は、人類が直面しております最も重大な環境問題でございます。

 そのために、地球温暖化の防止のために、温室効果ガス削減のための規制とか助成などの措置を講じておりますとともに、国民一人一人に行動していただくということが肝要でございます。

 政府としても、京都議定書目標達成計画や二十一世紀環境立国戦略、そしてこの戦略の中で、その中核を占めております美しい星50においても、国民運動の展開を重要な位置づけとして明確にしているところでございます。

 六月は環境月間でございます。特に六月の五日は環境の日でございまして、国民運動として実施しているチーム・マイナス六%のチームリーダー、これは総理がリーダーをお務めでございます。また、温暖化防止のために一人一人にできることを直接国民に訴えかけていくということが大切なもの、こう考えているわけでございます。

 なお、これまでも環境月間を中心に、総理や環境大臣から、新聞広告などを通じて国民に訴えていただいているところでございまして、委員の御指摘のように、これが政治的な中立性を害するというふうに考えているわけではございません。

石川委員 政治的中立性を害しているわけではないというお答えでありましたけれども、衆議院選挙は、確かにいつ解散があるかわかりません。しかしながら、参議院選挙はもうほぼ日程が決まっている中で、これを政治的流用でないと言うのは、これは国民は私は納得しないと思います。

 そしてもう一つは、普通、一般企業が商品をつくるときに、商品開発にお金をかける、そしてもう一つは販路を確保する、そしてもう一つ重要なのが、どういうキャラクターをその商品の広告に使うのかというのは、本当に全社挙げて考えるような問題ですよ。そして、できるだけ政治だとか宗教だとかそういうものにかかわっていない方を選ぶ、そういうことがあると思います。以前、年金の問題で、とある女優さんを使ったら、年金の未納が発覚してしまったなんということもありました。本当にキャラクターの選定というのは大事なことです。

 有名人好感度ランキングというものを私は持ってきました。男性の一位、木村拓哉、二位、福山雅治、三位、阿部寛、全部読んでいったら時間がないので、あと女性に……(発言する者あり)安倍晋三ではないですね。女性は、仲間由紀恵、長澤まさみ、天海祐希となっております。

 大臣も大変涼しいお顔で写られていますけれども、こうしたほかの方々を起用するよりも、なぜ安倍総理、若林環境大臣の方が効果があるとお考えになられたのか。先ほどの答弁は私は絶対に国民は納得しないと思います。先ほども言ったように、企業だって商品をつくるときに、どういう層をターゲットにするのか。例えば啓蒙活動もそうですよね、不良少年を更生させようというときに、恐らく考えることは、昔は不良だったけれども、今まじめに働いて頑張っている、そういう芸能人を選んだ方が絶対に効果があるわけですよ。

 そう考えると、今回、本当に地球温暖化に取り組もうということになると、これはなぜこういうことがもたらされたか。人類が利便性を追求しているからですよ。そうしたら、そういうことに反して生きている人を使っている方がまだいいんじゃないんでしょうか。ちょっと大臣、お答えをいただきたいと思います。

若林国務大臣 いろいろな御意見はあろうかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、国民運動の頂点に立つ者として、チーム・マイナス六%のチームリーダーは安倍総理大臣でございます、私はそのサブリーダーとして、国民運動を展開しているところでございます。このような場合に、やはりトップが本気でこれに取り組んでいるんだということを陣頭指揮をもって示していくということが非常に大事だという考え方に立ちまして、三年前からこのチーム・マイナス六%を政府の、環境省の重要な施策として進めて、今日に至っているわけでございます。

 その効果は、従来の各種の政府広報に比して、私はかなり高い効果を上げてきているというふうに考えておりますが、その最も効果を上げてきているもとのところに、やはりトップが先頭に立ってこれを推進している、進めているという姿勢を示していることがそれぞれの立場の人たちに共感を呼び、そしてそれぞれの立場でその人たちが行動に入っていることが、これだけ広い支持を今得つつあるというふうに考えているところでございます。(発言する者あり)

石川委員 トップが本気でこれを示すということが大事であるというお考えがありました。

 今、末松議員からそういう資料があるのかということでお尋ねがありましたけれども、そういう資料が実はあります。

 スポーツ報知と日刊ゲンダイで報道された、安倍総理が多摩川の河川敷にごみ拾いに行ったときの記事、ちょっと時間がかかりますけれども、引用させていただきたいと思います。

  「安倍がゴミ拾い」のためにゴミ戻す

  小学生に関係者が注意

  アララ、安倍首相のゴミ拾いパフォーマンスのために、小学生らがしかられちゃった――安倍首相は三日午前、地元小学生らに交じり、

 世田谷区の多摩川河川敷でゴミ拾いの清掃活動に参加した。

  冒頭、「美しい日本をつくっていくため、きれいな日本をつくっていくことが大切だ」と得意満面で挨拶した首相だが、安倍首相が作業を始めるとゴミがない……。河川敷は先日も清掃したばかりで、しかも先に作業した人たちがゴミを拾ってしまっていた。それに気付いた関係者が「ダメだよ拾っちゃ!ここは総理が拾うところだ!」と絶叫。拾った人は渋々ゴミを袋から地面に戻した。

  安倍首相の当日の姿はシャツと革靴。参加者の中には首相のやる気を疑問視する声もあった。ゴミ拾いに挑戦してゴミをまいてきた小学生たちは、首相が叫ぶ「美しい国」をどうとらえるのだろうか。

もちろん、それぞれ正確かどうかはわかりません。二つの新聞記事がこういう報道を載せておりました。細部には違う記事もあるかもしれません。

 私も、先週の日曜日、地元の北海道議会議員で池本さんという人が初当選以来ずっと八年間地元のごみの清掃活動をしているということで、一緒に伺ってまいりました。当然長靴と普通の作業の格好で行きましたけれども、毎年毎年やることによって、やはりその活動が地域に広まって、ごみが減ってきている、そういう現状だということでございました。

 この河川敷のごみ拾いというのは、これは効果があったとお考えでしょうか。大臣、よろしくお願いします。

若林国務大臣 御指摘のような、報道された事実があったかどうかについては、私は承知しておりません。

 ただ、地域の環境を美しく保つために、地域の住民の方々が常日ごろから清掃活動などに積極的に取り組んでおられるというのは全国各地でございます。それも、一日だけやるというのではなくて、常日ごろの住民の行動というものがこのような美化活動、清掃活動につながっている、こう思うのでございます。

 そこで、総理が出かけられましたのは、そういう人たちにとって励みになるように、激励に行くという趣旨であったのではないか、こういうふうに思うわけでございまして、全国各地で行われているこのような地道な活動に総理自身も重大な関心を持ち、同時にまた、激励をするんだというような趣旨で行ったものと理解をしておりまして、それなりに意味があるものと思っております。

石川委員 今回のこの件は、これから環境予算の問題は、末松議員、村井議員、それぞれ御質問あると思いますけれども、私どもからすると、ただのパフォーマンスではないかと。また、日程上あいた時間を、その後街頭演説ということで予定があったそうでありますけれども、そのあいた時間を使って、環境に力を入れているということをただパフォーマンスで演出するためだけにやったのではないかと思います。

 私は、パフォーマンスをするのであれば、例えば札幌の清田区でも、今ごみロードというものが問題になっております。ほかでも全国で、本当にごみの不法投棄で苦しんでいる場所があると思います。そうしたところに行って、取り上げてもらえれば、環境省の予算を使わなくても、マスコミが報道してくれるわけですよね。私はその方がずっと効果があったのではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

若林国務大臣 さまざまな活動があるわけでございまして、環境問題の解決のためには、多くの人たちが、それぞれ置かれた状況の中で努力をいただいていることでありますから、そういうような多くの方々の努力を理解し、激励し、そしてまたそれの輪が広がるように、それなりの指導者としての行動をしていくということを常に心がけていることが望ましいと思います。

 総理が行かれたのは、ここだけでほかのことをやらないというわけではありませんで、時間が許せば、そういういろいろな諸活動についても、私としては激励をしていただきたいなという思いがございます。

石川委員 ぜひこれからも、総理には、環境の問題で、全国各地で本当に頑張っておられる方々に激励を続けていただきたいと思います。

 次に、この環境問題は、先ほど来申しておりますように、日本全体で考えなければいけない、政府が、首相が先頭になって各関係と連絡をとりながら取り組んでいかなければいけない問題だというのは年々高まってきていると思います。

 五月十五日における経済財政諮問会議において、議題としている地球環境問題について、議事録の公表が、外交交渉への影響等にかんがみ、審議の内容及び配付資料、すべて非公表とされております。今回、この非公表に際して、どういった決定を経て非公表となったのか、お答えをいただきたいと思います。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 政策決定プロセスの透明性を高めることの重要性にかんがみまして、経済財政諮問会議におきましては、会議終了後直ちに記者会見で審議の内容等を公表し、また、議事の詳細を記載した議事要旨を速やかに公表するなど、会議の透明性の確保に努めているところでございます。

 しかしながら、諮問会議の運営規則で定めておりますように、公表することにより我が国の利益に重大な支障を及ぼすおそれがある場合には非公表扱いとすることができるものとされておりまして、今回の地球環境問題に関する議論につきましても、今後の外交交渉への影響に配慮する必要があることなどから、非公表扱いとすべき旨諮問会議において判断されたものと承知しております。

石川委員 二〇〇一年に経済財政諮問会議が発足をしてから、計二百十六回の開催の中で、二回しか今まで非公開にされていないと承知をしております。

 諮問会議の運営規則では、我が国の利益に重大な支障を及ぼすおそれがある場合に限り非公開となっておりますけれども、この審議の中で、サミットに及ぼす影響があるのではないか、外交に及ぼす影響があるのではないかということが理由として書かれておりましたけれども、地球温暖化阻止に向けて前向きな議論が活発に行われたのであれば、隠す必要が全くないのではないかと思いますけれども、大臣も出席されていたと聞いておりますが、大臣、いかがでございますでしょうか。

若林国務大臣 私は経済財政諮問会議の常任の議員ではございません。そのときの議題に応じて、臨時議員として招聘を受けまして、それに参加をするという形でございます。

 参加をして議論をしたわけでございますが、その議論をされましたやりとりについては、これはどう扱うかというのは私のところで決めることではございませんで、経済財政諮問会議自身でお決めになることでありますが、そのやりとり、内容は公表をしないでいくんだという、その方が国益に即するんだという決定をされたわけですから、私は、その決定に従っていくのがそのメンバーの一員として当然のことと受けとめております。

石川委員 経済財政諮問会議のホームページを拝見しますと、オープンな舞台でさまざまな政策課題が議論されることで、政策形成プロセスは格段に透明になり、国民から見えるようになりましたとあります。しかしながら、今回、この地球環境に関する問題について、経済財政諮問会議の議事録が非公開とされた。このことは、国民から見ると、環境行政に対して前向きな議論がなされなかったのではないかという疑念がわいてくるのではないかと思います。

 この財政諮問会議のメンバーの中にも、経団連の会長さん初めさまざまな方がいらっしゃいますけれども、今、日本とオーストラリアとのEPAの交渉においても、財界にどうしても押されてしまって農業が切り捨てられてしまうのではないか、こういう懸念を抱いておられる農家の方々が全国にたくさんいらっしゃいます。同じように、この環境問題でも、どうしても財界に押されてしまって、後ろ向きになってしまうのではないかと懸念をされている方もたくさんいらっしゃると思います。

 そこで、これを拝見いたしますと、四年後に公開をすることをもう一回検討するということでありますけれども、今サミットが終わったわけですけれども、この公開が早まるということは、検討の余地というのはないものでしょうか。内閣府、お願いいたします。

齋藤政府参考人 議事録につきましては、諮問会議があった後、四年後に公表するということが原則となっておりますので、その時点で判断するということであろうと思います。

石川委員 本当に日本の将来の国益に大きくかかわることでありますので、国民もオープンな形でその会議の議事録を拝見したいと思っていると思います。一日でも早く、どういう議論が行われたのか、これをぜひきちんとした形で公表していただきたいと思います。

 次に、質問をかえたいと思います。

 ここ数年、テレビ、新聞等で、ごみの処理の問題、特にそのごみの処理の問題でも、ごみ屋敷、ごみロード、ごみ街道と言われる問題がテレビでも多く取り扱われてきていると思います。

 たしかこれは郡山市だったと思いますけれども、郡山市で、ごみをためにためたごみ屋敷の方が、以前は四軒の家ともごみ屋敷になってしまって、生ごみの家、家電の家、廃材の家、無分別の家と分別をしていた。テレビ等で結構皆さんごらんになられたかと思います。

 先ほど申しましたように、北海道の札幌市でも、今ごみロードと言われるところが清田区にあって、行政代執行をしてしまうと多額の税金がかかってしまう。しかしながら、近隣住民が、火災のおそれがあるのではないか、また、子供たちに危険があるのではないか、こういうことが全国で幾つか、徐々に徐々に起き始めているわけでありますけれども、今、このように、これは不法投棄の問題になると思うんですけれども、政府として全国で不法投棄の実態について把握している数字、状況というものを教えていただきたいと思います。

由田政府参考人 環境省では、毎年度、産業廃棄物、自動車及び家電などにつきまして、不法投棄の状況を把握いたしまして、公表を行っているところであります。

 産業廃棄物につきましては十トン以上、あるいは特別管理産業廃棄物はすべてでありますが、平成九年から十二年ごろにかけましては、千百件前後で四十万トン強の不法投棄があったわけですが、平成十七年度に発覚しています不法投棄の件数は五百五十八件、不法投棄量は十七万二千トンとなっておりまして、先ほど申し上げましたピーク時の十一年ごろと比べますと、件数、投棄量とも約二分の一に減少いたしております。

 それから、家電リサイクル法の対象となります廃家電につきましては、平成十七年度におきます不法投棄台数は約十六万台でありまして、家電リサイクル法施行前の平成十二年の十二万台から約三〇%増加しているわけでありますが、平成十六年度から十七年度にかけましては約一割減少するなど、近年、全体的には減少してきている状況にございます。

 また、自動車につきましては、不法投棄、不適正保管の車両は、自動車リサイクル法の施行後の平成十八年三月には約六万台でありまして、自動車リサイクル法施行前の平成十六年九月の約二十二万台から約七割強、大幅に減少しているところでございます。

 また、百台以上の大規模不法投棄案件につきましても、平成十六年の四百五十件から平成十八年の九十一件に減少いたしているところでございます。

石川委員 先ほど御報告ありました、全国で粗大ごみの有料化も進んでいると思いますけれども、先ほどのいわゆる不法投棄の数も含めて、ごみの有料化と不法投棄との相関関係、わかる数字等があればお答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、石崎委員長代理着席〕

由田政府参考人 粗大ごみの有料化と不法投棄の相関関係につきましては、個別の事例を解析した報文等を見ますと、有料化によって不法投棄が増加するという相関関係は明確ではございませんが、粗大ごみや家庭ごみ、事業系ごみのいずれかを有料化した市町村におきましては、不法投棄や不適正排出対策が課題と認識をいたしておる市町村が約三分の一程度ございました。

 環境省としましては、一般廃棄物処理有料化の手引きを現在取りまとめているところでございまして、この中で、不法投棄されやすい場所の管理を行うなど効果的な不法投棄対策の紹介などを取り上げることにいたしておりまして、これらを示すことによりまして、市町村におけます不法投棄対策を支援してまいりたいというふうに考えております。

石川委員 全国で、自動車の方は随分減ったということでありましたけれども、家電リサイクル法によって、やはり、今までただで引き取ってもらってくれたものが、お金がかかることによって捨ててきている方が多くなったということもあろうかと思います。

 そこで、今、冒頭に申しましたように、全国でごみ屋敷、ごみロード、また、ごみ街道と言われているところがテレビやマスコミ等で多く取り上げられるようになりました。幾つか事例を挙げさせていただきますと、福島県のは先ほど申しましたとおりでございます。四つの家の所有者がそれぞれ名前をつけて、それぞれ自分の持ち家が全部ごみ屋敷と化してしまった。東京都の中野区でも、大変悪臭が漂ったために、いよいよ刑事告発となって逮捕されたと昨年の新聞記事にもございました。

 問題は、土地家屋の所有者本人がみずからの所有地内にごみをため込むケースですとか、また、市街化調整区域や山林にそういったものを少しずつ少しずつ個人が不法投棄を繰り返していくケースなどがあると思います。札幌市では、数年前から清田区にそのような問題が発覚をして、行政や地域住民が苦慮しているということが最近大きく報道されておりました。

 質問なんですが、環境省では、このようなごみ屋敷等の問題というものが昔からあった問題なのか、それとも最近たまたま顕著に出てきた問題なのか、どういう見識を持っておられるか、所見を持っておられるか、お答えをいただきたいと思います。

由田政府参考人 家庭ごみを排出者である住民が自宅に大量にため込む、いわゆるごみ屋敷の問題につきましては、先ほどお話のございました福島県郡山市あるいは東京の中野区など幾つかの事例については承知しておるところであります。

 いつごろからあったということは、必ずしも明確ではございませんが、かつて、ちょうど十年少し前に容器包装リサイクル法が制定される直前のときに、これは川崎市でありますが、いわゆる牛乳パックをきれいにしたものを家じゅうにため込まれた方というのがいらっしゃいまして、そのときにごみ屋敷というふうに報道されておったことを記憶いたしております。

石川委員 このごみ屋敷等の問題について、過去の新聞、報道等をいろいろ調べてみますと、それぞれの自治体がそれぞれの判断で、地域住民と向き合いながら問題を解決してきているようであります。郡山市でも、たび重なる説得になかなか本人が応じてくれなかった。問題は、結局は所有財産、財産権の問題だというものを主張されると、どうしても行政側はなかなか手が出せない。

 もちろん、そういう悪質な場合以外にも、独居老人の方が足が悪くなって、生活がなかなか、歩行が困難な状況になって、ごみをためざるを得なくなってしまったというケースもありますけれども、きょうはそういうケースについての質問ではなくて、あくまでも故意に、もちろん、故意にといっても、性格的に、そういうのが、孤独からためてしまったみたいな人も、かわいそうなケースも、大臣、私は当然あると思うんです。ただ、やっている本人としては悪気がなくても、地域の周りの人たちにとっては早くスピード解決をしてほしいということも出てくると思います。

 また、もう一つは、本人の財産権の問題以上に、その近くに住んでいる方、また、新しくその近くで物件を買おうとされている方についても影響が及んでくると思うんです。不動産を購入する場合に、大体、重要事項説明書というものを読み、聞かせられるわけであります。この場合、ちょっと御質問させていただきたいんですけれども、本人が周りのことをよく調べるのが当然ではありますけれども、たまたま知らないで買ってしまった場合に、告知をしなかった不動産業者というものに罪が発生するでしょうか、しないでしょうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 お話しのように、不動産の売買を初めとします取引の場におきましては、消費者側の判断というものが非常に大事でございまして、適切な判断ができるような情報を消費者に提供するということが重要だというふうに認識をいたしております。

 したがいまして、宅地建物取引業法では、今委員御指摘のいわゆる重要事項説明書という格好で、類型的に整理できるものについては文書でこれをお渡しする、それで説明するというほかに、四十七条におきまして、消費者の判断に重要な影響を及ぼす事項、これは法律上具体事例がございますが、例えば、現在または将来の利用の制限でありますとか、環境でありますとか、交通の利便ですとか、こういった事項につきましては、不動産業者、宅地建物取引業者が故意に事実を告げない、あるいは不実のことを告げるという行為については禁止をいたしておりまして、これらにつきましては、行政処分のほか罰則も科すという仕組みになっております。

 実態的にも、全国組織であります宅地建物取引業連合会におきまして、マニュアルなどでも、嫌悪施設等につきましてはちゃんと告知をするというような指導をしておるという状況でございます。

石崎委員長代理 何連合会。

川本政府参考人 失礼しました。全国宅地建物取引業協会連合会でございます。

石川委員 新しく不動産を買うという方は、よほど悪質なごみ問題が顕在化している場合には、守られる可能性があるということになると思いますけれども、現在たまたま住んでいた方々が、近所にそういう家が発生をしてしまった、今、全国でこういうケースが幾つもあると思われます。そうした中で、当然、地域住民とのコミュニケーションがどんどんどんどん離れていって、近所づき合いがなくなってしまったという方がこういう問題を起こしているケースが多いんだと思います。

 また、ほかにも、地域の問題というのは、ピアノの騒音がうるさいだとか、また、この間まで騒音おばさんなんというのもございました。もちろん、ほかの迷惑行為、騒音問題もありますけれども、ただ環境問題の場合は、心身、心に対する影響と同時に、人体に対する影響というのも考えられるわけでございます。著しい悪臭で店舗を移さざるを得なくなったり、体調を壊したりするケースもあると思います。

 環境省として、今、私も記録を見せてもらいました、各自治体から問い合わせがあった場合にこういうお答えをしていますよという記録は、郡山市の部分できのう拝見をさせていただきましたけれども、全国で、もしかしたら地域住民がどうしたらいいか知らなくて、そして地方自治体に言っても、自治体が、いや、これは財産権だからどうしようもないんだよと言って、却下されているケースが私は少なからずあると思うんですね。そうした人たちに対して、環境省として、こういうケースにはこういう対応が考えられますみたいなガイドラインの策定のようなものはお考えでありますでしょうか。

由田政府参考人 ごみの不法投棄、あるいは不適切な保管等、不適正処理が原因となりまして悪臭を発したりいたしまして不法投棄の疑いがあるというふうな場合には、不法投棄一一〇番というのを環境省もやっておりまして、電話をいただきますとしかるべき対応をしていこうということで、現在も取り組んでいるところでございます。

    〔石崎委員長代理退席、委員長着席〕

石川委員 今不動産を新しく買う方、そして今住んでいる方について質問させていただきました。これから転居でもし売ろうとする方が出てきたときに、やはり大変不利益をこうむることになると思うんです。

 これらの問題というのは、たくさんの事例を見ていますと、結局、きちんと法整備が整っていないから問題がなかなかスピード解決しないというところがあると思いますので、ぜひ環境省でも、この問題に対して地域の自治体と相談をしながら取り組んでいただきたいということをお願いして、時間も参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 衆議院議員の村井宗明です。

 私はこれまで、安倍内閣が環境問題に本気で取り組むものだと信じて期待してきました。しかし、その期待は残念ながら大きく裏切られました。環境問題に取り組む政治家は二通りしかいません。まじめに環境政策に取り組む政治家と、環境予算を政治的に利用する、そういったパフォーマンスだけの政治家、この二択しかないんです。

 さて、残念ながら、きょうは多くの国民ががっかりしてしまいました。これだけマスコミなどで問題となった環境省の予算の政治的流用、あれだけマスコミなどに取り上げられ抗議が殺到した問題、六月五日のこの広告が出た以上、さすがに、きょう、もう一回、こんな参議院選挙の直前に政治的利用と言われるような広告を打って、そうして地球温暖化問題にまじめに取り組もうと思っている国民の思いを踏みにじるようなことをするなんて、だれが思ったでしょうか。

 ここにいるんです。がっかりしました。何でしょう、これ。これはきっと自民党のお金を使って広告を出したはずです。でも、違うんです。実際は環境省の予算を使って、しかも参議院選挙の直前に、国民運動とかいう名目で、あえて政治的中立性を侵すようなモデルを使って、環境省の予算が食い物にされてしまった。

 もし、広辞苑で言葉の定義を自由に私たちにさせてもらえるとしたら、国民はこう言うでしょう、環境予算を食い物にして選挙に利用した内閣のことを安倍内閣という。まさに今、そういった、私たちの環境予算が政治的中立性を害する利用のされ方をされたことに大きく国民が反感を持っていることを、まずもってここに抗議を申し上げます。

 さて、大臣に質問させていただきます。

 公開質問状についてきちんとした回答をいただけませんでした。参議院選挙直前に国民の税金を使って広告を出す場合は、政治的中立性に配慮をすべきだと思いますか、どう思いますか。

若林国務大臣 委員は頭から、この広告は政治的な中立性を害する、しかも、政府、総理及び環境大臣があたかも環境問題についてパフォーマンス優位で、環境問題に対する取り組みが熱心でないという前提でお話をされました。

 そういう意味では、この間のサミットの例を考えていただけばおわかりですけれども、安倍総理がG8、さらにプラス5の皆さん方の中にあって、美しい星50を基軸として、世界の環境、地球環境問題を、合意に至るまでの努力、並み並みならぬ努力をしたことについては世界各国の皆さん方も評価をしておられるわけでありますし、そういう姿勢をいささかの評価もなく、この広告についてだけそういうふうに、先ほど二分類をして決めつけられたということについては、甚だ残念でございます。

 そこで、この広報についてあえて申し上げますと、今さら申し上げるまでもなく、地球の温暖化問題は、まさに人類が直面している最も重要な環境問題でございます。

 そのためにいろいろな対策を講じておりますが、総理や私、環境大臣はその国民運動の先頭に立つということで、チーム・マイナス六%の、総理がチームリーダーをし、私がサブリーダーとして先頭に立って国民に理解を呼びかけてまいったわけでありまして、これまでも、広告を通じて地球温暖化対策について直接の呼びかけをいたしてまいりました。

 そういう姿勢が国民に受けとめられ、国民が一緒になって取り組んでいこうという気持ちになってきているものと理解をいたしておりまして、そういう意味で、このたびの、六月五日の明かりの広告も、また本日のクールビズのアピールも、そういう意味合いにおいて、全体の中で非常に大きな効果があるものと期待をいたしておりまして、そういうことを申し上げたわけでございます。

 委員が質問されました中に、政治的中立性について配慮すべきだという意見を出し、抗議もあったということで、これに対してちゃんと答えていないではないかということでありますが、政府の広報は、国の政策の遂行のために広報を行っているわけでございます。特に選挙期間中という場合には、その政党や候補者を支持し、あるいはこれらに反対することを目的としているという誤解を与えないようにすることが適当だと思いますけれども、このたびは別に選挙期間中ではございませんので、そういう政治的中立を害することにならないと判断をしたものでございます。

村井委員 そもそも、まず、今回のサミットでも、日本国はみずからの国の長期的削減目標を打ち出さず、世界各国だけ減らすようになったということで批判の声も上がっているし、いやいや、日本国としてはよかったんだという強弁もある。それは物の見方によって違うわけです。

 さて、その上で、今、この問題について大臣は質問に答えられませんでした。もう一度ちゃんと答えてください。参議院選挙直前において税金を使って広告を出す場合は、政治的中立性を配慮する必要があると思いますか。イエスですかノーですか。

若林国務大臣 選挙の公示がありまして、選挙に入りました選挙期間中については配慮していかなければならないものと受けとめておりますけれども、直前と言われましても何が直前であるのか、そういう意味での概念が明確でございませんし、私は、今のこの六月の環境月間中に、しかも前半でございます、国民に対する直接の訴えをしたことは、政治的中立性を損なうようなことにはならないと考えております。

村井委員 一応大臣に言っておきますが、前回の衆議院選挙のときは、六月が環境月間だったにもかかわらず、七月選挙だったから七月も使ったということは、大臣も御存じのとおりだと思います。

 その上で、さて、では選挙直前というもの、例えばどのマスコミも、今各紙、選挙区の候補者を取り上げるときは、均等な枠で取り上げるのが当たり前です。半年ぐらい前だったら当然そんなことはしません。一人の候補者がどんと出ることもある。でも、常識的に、今一カ月、二カ月前になって、それぞれのマスコミですら、またいろいろなところですら選挙の中立性を配慮しているにもかかわらず、何で一番中立性の求められる環境省の予算だけは政治的中立性を求めないんですか。大臣、どうですか。

若林国務大臣 政策を的確に遂行し、その効果を発揮するために政策の責任者がそのことを国民に訴えるということ、そしてまた、責任者としてのトップリーダーである、チーム・マイナス六%のリーダーである安倍総理、そしてサブリーダーである私が先頭に立ってこのような訴えをするということは、決して政策遂行という意味で中立性を害するとは考えておりませんし、選挙に関して言えば、選挙期間に入りますれば、それはやはり配慮しなきゃならないことと理解しておりますが、選挙が近くなったということで、非常にいろいろな関心が高まっているということは承知いたしておりますけれども、しかし一方で、政策を執行していくという立場、この立場は、やはり責任を果たすという意味で、それを実行することは中立性を害するとは考えておりません。

村井委員 まずもって、政治的中立性を害するモデルを使わなくたって十分政策宣伝効果はあるのに、あえて政治的中立性を害したんです。だからこそ、大臣、今の答弁は答えになっていないんです。それが必要かどうか。環境問題が大事だという話は、私たちは全く否定するつもりがない。何であえて政治的中立性を害するモデルを使ったかが問題になっているわけです。

 その上で、大臣がそこまでおっしゃられるんだったら、立場を変えて、数年後、私たちが政権をとったとします。とります。とった後で、では、私たちが選挙直前にどんどんどんどん税金を使ってコマーシャルを打って、その下に、環境頑張ろうだとか、福祉頑張ろうとか使った場合、当然自民党としてクレームをつけますよね。それとも、自民党はそれを、いや、政府として必要だったら、いいよというふうに容認されますか。どうですか、大臣。

若林国務大臣 それはそのときのテーマとか、政策的な、政府としての政策の位置づけなどによって決まってくると思いますけれども、少なくとも、国民運動の核としてチーム・マイナス六%というチームを編成して、国民に訴えているという状況のもとにおいては、私どもは、これが政治的中立性を害すると考えておりませんし、もしそのような状況の中で、今、村井委員がおっしゃられたような状況、同じような状況であれば、私どもは抗議をすることはないと思います。

村井委員 では、また、今の言葉をちゃんと議事録にとっておいて、政権交代後、しっかりと使わせていただきたいと思います。ただ、私たちは、余りにもそんなひどいことは正直しません。

 さて、その上で、では、チーム・マイナス六%だったからと言いますが、この自民党総裁夫人は、チーム・マイナス六%の公式的な役割は何という役割でしょうか、お答えください。

若林国務大臣 安倍総理夫人は、チーム・マイナス六%の中で特段の位置づけがあるわけではございません。しかし、六月五日の明かりのアピールは、やはり身近な電化製品について、白熱電球から電球形蛍光ランプに切りかえていこうということをアピールするものでございます。そういう中で、家庭の中におきます電球の選択あるいはその他の電化製品の選択について言いますと、やはり御家庭での主婦の判断というのは非常に大きな役割を果たしているというふうに考えておりまして、家庭におきますエコを訴えるために、チームリーダーである総理に加えて、総理夫人にもお力をいただく意味でお願いをしたわけでございます。

村井委員 少なくとも、ここの隣は、政治的中立性、常識的だったら普通のモデルさんにしますよ。家庭だからどうこうなんておかしい話で、女性だったらいいという話であれば、あえて自民党総裁夫人を使うはずはないですよ。なぜこんなふうにおかしなことをして、堂々とやるのか。

 今まで、例えば内閣府の場合、竹中直人さんを使ったり、今JAROの関係、その他それぞれちゃんとモデルを使っているのに、なぜこういった政治的中立性を一切害する人を使ってしまうのか。やはりだれも、国民が地球温暖化問題でがっかりしてしまったのは当然だと思います。

 その上で、では大臣は、きょう、もちろん自民党の予算だったらだれも問題は言いません、みずからがこうやって広告をして使われたことについてどのように思いましたか、心境を伺わせてください。

若林国務大臣 先ほど来お話し申し上げてきていますが、総理がチームリーダーであり、私がチームのサブリーダーとして国民運動を展開しているわけでございます。

 特にクールビズのことにつきましては、温度管理として二十八度温度で快適に生活するためにクールビズを推奨し、そしてクールビズを広げようということでございまして、それぞれの企業内におきます、特に業務用の温度管理というのが大事であるという判断でこのようなアピールをしたわけでございますから、委員がおっしゃるような形で私はモデルになったという思いではございませんで、その責任ある立場において、実際の運動の先頭に立ってお願いをすることにしたということでございます。

村井委員 では、大臣が適切であったかどうかの質問にちょっとかえさせてください。

 マスコミが言っていることだから、どこまで本当かどうかは大臣に今から確認させていただきますが、松岡農水大臣の死は本当に痛ましかったと思うんです。その上で、初めは農水大臣に若林大臣が横滑りするはずだったにもかかわらず、緑資源談合に関係のあったその任意団体、特定森林地域協議会からの献金もしくはパーティー券があったから農水大臣に滑られなかったんだというふうに報道されていましたが、本当にそういった緑資源機構の関係、談合の関係のところから献金もしくはパーティー券は受け取られましたか。どうですか。

若林国務大臣 まず、私が農林水産大臣に横滑りをしなかったということに関して言えば、これは任命権者の判断でございますから、私からとかく申し上げることはありませんが、私の気持ちとしては、今まさにハイリゲンダム・サミットで、世界じゅうが協力し合って、新しい体制、システムをつくっていこうという努力をしている最中でございますし、私がその我が国における責任者を果たしております。この問題は、今後とも、なお引き続き、スタート台に立ったというようなことでありますから、私の気持ちとしては、環境の責任者を引き続き続けていくことが私の気持ちに合う、こう考えておりました。

 なお、今、突然のお話でございますから、詳細わかりませんけれども、少なくとも政治献金を受けたというようなことはございません。

村井委員 パーティー券十二万円という報道がありますが、真実かどうかわからない上で聞いているんですが、真偽はどうでしょうか、大臣。

若林国務大臣 今、突然のお話でございますので、私自身は承知しておりません。

村井委員 では、まず、その辺は一たんおいておきまして、この報道が正しいかどうかも私も自信を持っていないもので、ここは一たんやめます。

 日歯連の献金で大臣が十万円という報道もありますが、大臣はどうでしょうか、実際のところ。

若林国務大臣 日歯連とは何ですか。

村井委員 これは、橋本内閣のときに、日本歯科医師政治連盟からの献金の問題もあったというふうにあるんですが、どうですか。ありましたか、なかったですか。

若林国務大臣 少なくとも政治献金は受け取っておりません。

村井委員 では、消費者金融業界からのパーティー券の購入はありましたか、なかったですか。

若林国務大臣 これも突然のお話でございますので、調べてみなければわかりません。

村井委員 それぞれパーティー券の購入の話が、まあ、どこまでこういったメディアの報道が正しいかどうか私もわからない上で、今、質問だけさせていただきました。

 さて、本当に、そういった中で大臣がこうやって出てくることが正しいかどうか。今、何が問題になっているかといえば、大きな税金がこうやって政治的に流用されていることが問題になっているんです。例えば、いろいろな天下り団体を通じて一たん税金が回っていく。そういったお金を使って、結局、天下り団体がさまざまな選挙活動、それから献金やパーティー券をしていく、そういったこと、これが問題になっている。

 しかも、それは大体間接的にやるんですが、今回のこの場合は、税金そのものを使って、直接選挙に影響を与えるような広告が出される。私はおかしいと思うんですが、結果的に、客観的に見て、どう思ったかじゃなくて、選挙に影響を与えると思いますか、思いませんか。どうですか、大臣。

若林国務大臣 全くわかりません。

村井委員 副大臣はどう思いますか。こういったもので安倍さんや若林さん、もしくは、では逆に、私たち民主党が税金を使ってどんどんこういう広告を出すと選挙に影響を与えると思いますか。どうですか。

土屋副大臣 全くわかりません。

村井委員 本当にそうでしょうか。だれが見ても客観的に、では、自民党は何でこうやって広告を打つのか。民主党も広告を打つのは何ででしょうか。それが影響を与えられると思っているからやるわけです。全く、それなのに、今こうやって環境問題という名目で「日本を明るくしよう。」これはきっと自民党の予算だとみんなが思っているにもかかわらず、こういうひどいことをした。

 さて、その上で、私は、大臣にお聞きします。

 こうやって参議院選挙の投票日が終わるまでに、これ以上、税金を使って、こういった広告もしくは活動をされるおつもりはありますか。どうでしょうか。

若林国務大臣 政府が広告面において、この六月五日あるいは本日のような形で国民に直接訴えるというような計画は今持っておりません。

村井委員 計画を持っていないということは、参議院選挙投票日が終わった後はもちろん自由にしていただいて結構だと思うんですが、参議院選挙投票日が終わるまではもうやらないという認識でよろしいですか。どうですか。

若林国務大臣 予算執行上の責任は私が責任を負っているわけでございまして、予算の執行としてこのような政府広報を、本日以後、今やる計画は持っていないということでございます。計画はございませんから、積極的にこれを今やろうという意思はないというふうに御理解いただいて結構です。

村井委員 やる意思はないじゃなくて、やりませんと断言していただけますか。どうですか。

若林国務大臣 やる意思がないということで御理解いただきたいと思います。

村井委員 どうしてこれは明言できないんでしょうか。今、多くの国民は、環境予算がこうやって選挙に利用されて、客観的に利用されて食い物にされた。もちろん主体的には、自分らは利用じゃないと私らが同じ政権側でも言うかもしれませんが、客観的に選挙に利用された今の現状、私たちは大きな問題だと確信をしています。

 その上で、国民の税金を使った政府広報にあえて選挙直前に一党に偏った政治家を使う意味、効果について教えていただきたいんです。その上で、今まで出した地球温暖化に関しての広告の中で、自民党の政治家を使わなかった例は何件ですか。

南川政府参考人 私ども、チーム・マイナス六%ができましてから、政府広報、環境省の広報といたしまして、リーダーである総理、またサブリーダーである環境大臣が数回登場しております。なお、新聞広告におきまして、私の記憶では、二回ほど総理あるいは環境大臣が登場しなかった広告がございます。

村井委員 今、ペーパーであります。総理や自民党議員が出た全面広告は七回。出なかったのが、自民党議員を使わなかったのは二回です。使わなかった二回は、これは中央一紙だけ。つまり、中央五紙に載っけているものは全部自民党の議員を入れていた。

 さて、こういった偏向的な決定、モデル選定をしたのはどなたですか。環境省ですか、それとも広告代理店ですか。

若林国務大臣 環境省が決定をいたしました。

村井委員 環境省のどの部局でどういうふうにこのモデル、政治的中立性を害するモデルを決定されたんですか。

若林国務大臣 政治的中立性を害するモデルということでお答えをするわけにはまいりませんが、この一連の広告、今委員がおっしゃられたように、ことしだけではありません。三年前から続けて、チームリーダーとしての総理あるいはサブリーダーとしての環境大臣が前面に出て国民に訴えている、こういう広告につきましては、担当部局は、契約担当者は環境省の中の地球環境局でございますけれども、これを決めるのは環境大臣でございます。

村井委員 では、最初の全面広告の部分は、これだけ問題になることは承知していなかったと、もちろん環境省が言っておられるので、それでいいですが、今回の、きょうの日経新聞については、政治的問題が起こっているということをわかった上であえて強行されたのは、大臣でしょうか、どなたでしょうか。

若林国務大臣 政治的な問題が起こっているというのは、委員の方でそういうふうに取り上げておられるわけでありますが、私どもは、これは政治的中立性を害するような問題広告だと思っておりませんので、そういう視点に立って私が決めたものでございます。

村井委員 先ほどの私の質問を一点訂正しなければなりません。百五十九紙に取り上げて、何とそのうち二紙だけが自民党の政治家が載らなかったということでした。地方紙を入れて百五十九回も載っけて、なぜ二回以外は自民党の政治家が毎回毎回載るのか。こんなばかな話はやはりありません。特に、参議院選挙前は当然配慮すべきです。

 さて、小池さんの答弁のときの話を戻したいと思うんですが、当時の答弁書を見れば、衆議院選挙のときはいつ選挙があるかわからなかったという答弁に引き続き、今後も選挙中は配慮しなければならないという話でした。選挙期間中という前に、いつ選挙があるかわからないと言っている時点で、当然その選挙中というのは、公示後だけじゃなくてその前も含めて入られるわけです。

 大臣は、そうやって、選挙直前についても、当然国民の常識で政治的中立性が求められるということは思いませんでしたか、どうでしょうか。

若林国務大臣 そのようには考えておりませんでした。

村井委員 今まさに、そういった大臣の答弁が何回も何回もされるたびに、まじめに環境問題に取り組もうと思っている多くの市民をがっかりさせる。ああ、何だ、安倍内閣というのは結局環境予算を選挙に利用しただけの内閣なんじゃないかというふうに思ってしまうわけです。

 さて、その上で、今の、さっき大臣がおっしゃられた、ハイリゲンダム・サミットの中で、市場メカニズムを拡大、強化するというふうにあるんですが、例えば日本は具体的にどのように市場メカニズムを拡大、強化するんでしょうか。日本だけがそういった動きに反対しているんじゃないですか。どうですか、大臣。

若林国務大臣 我が国の対応については、美しい星50の中でも明らかにしておりますけれども、排出権取引、経済的なインセンティブの問題についてはなお検討するという姿勢になっているわけでございまして、このことを積極的に進める、あるいはこれを否定するというようなことではなく、内外ともどもいろいろな御意見を伺いながら、その費用対効果、実際上の状況をこれから検討して判断するということでございます。

村井委員 今世界各国もどんどん国内排出権取引をやっているし、民主党もやるというふうにマニフェストに明記した。それなのに、今まさに安倍政権だけが後ろ向きになっていて、なぜそれで、環境問題に熱心に取り組めている、美しい星50か何かよくわからないものがいい、いいなんと言えるのか、全くもって恥ずかしい内容です。

 その上で、さて、世界全体で半減ということなんですが、私たち民主党は、日本国内で二〇五〇年までに国内も半減すると明記しました。では、今の安倍政権はどのように考えておられますか。国内の長期的な削減目標についてお答えください。

若林国務大臣 まずは、世界が共通の認識を持つということがスタート台でございます。世界が共通の認識を持った状況、枠組みをつくり出した中で、日本がその中でどのような貢献をしていくことができるかということを検討するということでございます。

 今の時点で、日本としてどのような数値目標のもとにこれを進めるかというのは、決めているわけではございません。

村井委員 私たち民主党は、今、国内排出権取引、カーボンディスクロージャー制度、地球温暖化対策税、多少国民に負担があるようなことでも、堂々と地球温暖化を防ぐための政策を明記しました。しかし、残念ながら、世界各国は減らしてくれ、日本国内は議論します、何もない。それで本当に環境問題に対策しているかどうか。していないではないですか。やっていることは環境予算を選挙に利用したことだけで、では、ぜひ大臣、今まさに大臣の方で、もし選挙利用だけではなくて本気で環境問題に取り組むんだとしたら、カーボンディスクロージャーでもいい、地球温暖化対策税でもいい、国内排出権取引制度でもいい、どれか具体的に実効性のある方策、民主党の言っている方策でも世界各国の言っている方策でもいい、どれか一つ、しっかりとできるものはありますか。どうですか。

若林国務大臣 私は、我が国は、地球環境問題、さらに言えば、国内の環境政策につきまして、他の国に比して決して劣らない、進んだ対策を打ってきているというふうに認識いたしております。

 今委員がおっしゃられた、民主党がいろいろな提案をしておられることは私も承知いたしております。それはいろいろな主張があっていいと思います。

 ただ、我々は、全体を総合的な中で位置づけて、かつ、そのことが世界の関係諸国の皆さんとの合意の中で形成されていく、それはまさにこれからの、この秋のG20あるいは国連の潘基文事務総長が招集をかけております主要な排出国のトップの皆さん方、また、今度ハイリゲンダム・サミットで決まりましたが、アメリカが声をかけます十五カ国の協議、さらにそれらを受けて、この十二月に予定されておりますインドネシア・バリ島におきますCOP13、そういった国際的な協議、検討の過程で、それぞれの国がどのような役割、どのような負担を負っていくかということの検討をする中で決めていくべきものだと考えておりまして、特に、我が国はドイツからバトンタッチを受けまして、これから議長国としての責任を果たしていくわけでありますから、議長国が先立って自分はこうだというふうに決めていくことが、全体を進めていく上でプラスになるのかどうかということについては、慎重に検討をしなければならない問題だと考えております。

村井委員 まずもって、常識的に、自分がやらずして、人にやれ、やれ、みんなでだけやってくれ、こういうことで話が通じるはずはないんです。

 今回のサミットでも、日本が批判された理由、マスコミの方もみんなよくわかっていますが、日本だけがちゃんとした国内の削減目標がないのに、世界各国だけ減らせと言ったことが問題なんです。

 その上で、大臣にお聞きします。

 次回のサミットまでにはちゃんと日本も国内の削減目標を発表するつもりはありますか。ないですか。どうでしょうか。

若林国務大臣 今委員のおっしゃられました削減目標というのは、長期の目標でございましょうか、それとも中期のことでありますか。(村井委員「長期です」と呼ぶ)長期ですか。

 長期については、長期の目標を示すのが適当であるかどうかというのは、なお慎重に検討を要するものと考えております。

村井委員 なぜ世界各国には具体的に長期に減らせと言っていて、国内だけは、長期の目標を出すかどうか慎重だと言うんですか。それは世界各国が納得しなかったのは当たり前で、なぜ出せないのか、なぜ日本国内だけ削減目標が出せないかについてお答えください。

若林国務大臣 世界が納得していないのは当たり前とおっしゃいますが、これで合意が形成されましたその過程で日本の提案が基軸となって決まっていったわけでありまして、日本が自分自身の削減目標を示していないことについての批判というのは、私は承知いたしておりません。

村井委員 これはみんな、だれも知っていますよ。IPCCの報告を見れば、二〇五〇年までに半減というのは世界各国の常識だったにもかかわらず、あたかも日本が提案したかのように誤解するようにわざと発言されるのは非常におかしい。大臣もそのぐらいのことは当然わかっておられると思うんです。

 その上で、では、なぜ日本国内が長期の目標を出さないことが正解なのかについてお答えください。

若林国務大臣 IPCCのは、科学者が科学者の立場において、世界全体として濃度の点でいって半減というのが一つの、とめるためには、温暖化をストップするためにはそれが必要だという認識を示しているということでありまして、それぞれの国がG8サミットでどのような長期目標を持つかということについては、実は、世界の中で日本が初めて五〇%ということを明らかにしたわけであります。

 そういう意味で、日本がそのようなことを、五月二十四日でありますが、明らかにしたということが、大変、関係諸国が事柄を決めるに当たって、有効にこれが貢献できたという認識でおりまして、そこがもし違うとすれば、認識の違いでございます。

村井委員 もちろん、このサミットの前から世界各国で二〇五〇年で半減というのは報道されていたし、それが世界の流れだというのはとっくに報道されていたことは、ちょっと環境を勉強している方だったらみんなわかるはずです。当然わかっています。その上で、質問に答えていただきたいんです。

 例えば、今、一人一日一キログラムなどと家庭の人には目標を出しているのに、なぜ日本だけが全体の削減目標を出していないのか。出すべきではないのかについてお答えください。

若林国務大臣 ちょっと事柄が違うと思うんですね。一人一日一キロというのは、京都議定書の目標を達成するために、二〇一二年までの間、業務用あるいは家庭用というものをしっかりと実行して、効果を上げるために設けられたものでありまして、そのことと二〇五〇年の長期目標を国としてどうするかを示すこととは別の次元の問題だと思います。

村井委員 その上で、では最後に、何度もはぐらかされているんですが、どうして日本だけが国内の削減目標を打ち出すことに慎重なのか、それで本当に世界のリーダーシップをとれると考えておられるのかどうかについてお答えください。

若林国務大臣 ここに至る過程で、一番排出量の多い米国が、このような長期といえども数値目標を出すことに反対をしてきたわけでございます。その姿勢は今なお全く変わっていないんです。

 しかし、G8、八カ国のいろいろな議論の中で、日本とEU、カナダが提起しました、少なくとも五〇%を目標にしようということについては、アメリカも含めて検討しよう、真剣に検討するという結論にようやく達しているところでございまして、アメリカがこの五〇%に納得しているということではございません。

 さらに言えば、アメリカは、中国が、あるいはインドもそうでありましょう、中国、インドが参加しないような枠組みというものであれば、アメリカは参加できないということを常に言ってきたわけでございます。そういう意味で、中国やインドがどういう形でどの程度の負担を負って参加してくるかというようなことは、これからのお互いの協議の中で決まってくることでございまして、議長国である日本があらかじめこういう数字だということで数字を示すことは、国際交渉あるいは合意を得るためのプロセスとして、議長国である日本は、それらのいろいろな意見をよく聞くという立場、そして調整をするという立場であることを私は重視しているわけでございます。

村井委員 時間が終わったので、最後の質問にさせていただきます。

 聞いているのは、世界各国がどうかじゃないんです。日本国内も、自分たちの国の削減目標を打ち出すということは、自分たちの国でやればいいんです。

 最後に、大臣に質問します。日本国内自身の長期的削減目標を出す大臣になられますか、それとも環境予算を政治的に利用するだけの大臣になられますか、どちらかでお答えください。

若林国務大臣 そのような二者択一の形での問題提起にお答えするわけにはいきませんけれども、少なくとも、政治的な利用をしている、中立性を害しているとは思っておりませんので、環境行政をしっかりと展開していくため、そして、日本の国民の皆さんに御理解をいただき、世界に貢献できる環境立国日本としての責任が果たせるように努力していきたいと思います。

村井委員 以上です。

西野委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松でございます。

 先ほどからずっと議論をお聞きしていて、私自身、今のG8のところからちょっとお聞きをしますが、どうも納得のできないところが何カ所かございます。そこを中心にお話をさせていただきたいと思います。

 まず、G8について先ほどから大臣が、二〇五〇年までに、中長期目標、五〇%削減する、これは日本だけが言い出して、それでもって何かすべて、EUもアメリカもカナダもみんな合意をしたんだという印象を与えるようなおっしゃり方をされていますけれども、二〇五〇年に五〇%、半減するというのは、先ほど村井議員も言われていましたけれども、それはいろいろなところで、いろいろな形で言われていまして、私も最初に環境を勉強するときに、そういったことは長期目標としてやるんだということを言っているので、どうもそこは、日本だけが言ってきたかのような、そして、それが基軸になってすべてサミットがまとまっているという言い方はおかしいんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

若林国務大臣 舌足らずであったかもしれません。G8参加の国々の首脳として、代表者として、長期目標を決め、五〇%削減するということを公式な立場で表明をしたのは日本がスタートだったということを申し上げたかったわけでございます。

末松委員 首脳じゃないさまざまな責任者、環境大臣も含めて、それぞれの国が、EUもカナダも主張してきたわけですよ。それはいかがですか。それは、日本が言う前に彼らは主張してこなかったというんですか。

若林国務大臣 そこで舌足らずであったかもしれないと申し上げましたのは、代表が公式に発信したというのは日本が初めであったということを申し上げているわけでございます。

末松委員 では、EUは、首脳という方々、イギリスとかフランスとかいろいろとありますね。そういった方々は一切、これについて過去触れなかったということですか。カナダも一切触れなかった。ドイツの取りまとめ役のメルケル首相が言ったことを私も記憶していますけれども、それは一切言わなかったんですか、安倍さんの前は。おかしいよ、それは言い方として。

若林国務大臣 このG8サミットの取りまとめとして長期目標を決めるということについて、参加首脳として発言をしたのは初めてだと理解をしています。

 ただ、EUはかねて、ほかの国がどうあろうとEUはこれでいくんだということを言っておられるわけで、これは、ほかの国もそれに同調をして、ほかの国と一緒の合意を得ようという立場で申し上げていたわけじゃない、EU独自の立場で言っていたということは私も承知しております。

末松委員 そういうことは確かにサミットで、日本のマスコミには総理から説明があった、そういう言い方をしたかもしれぬ、私が言ったのが初めてだと。でも、それを言うと、日本国民が少し誤解をしますよ。そこはしっかりと、きちんと言ってくださいね。

 といいますのは、私は、余りに政府がそこを誇張して言うので、国際紙、ニューヨーク・タイムズを含めて、インターネットも含めて調べてみたんですよ。

 そうしたら、例えば六月八日のニューヨーク・タイムズの例を引けば、ブッシュ大統領はヨーロピアンの提案をかなりの程度受け入れたと書いてあるんですよ。ヨーロピアンですよ。でも、日本のマスコミにいったら、なぜか安倍総理がやって、安倍総理が、結局その提案になって、それで全部決まったみたいな言い方をされるので、おかしいよと。

 ほかの新聞、いろいろと、あとは報道で、BBCもCNNも、みんな見てみましたよ。そうしたら彼らは、一番丁寧に書いてあるところで、EUとカナダと日本の提案、こういうふうに書いてあるんですよ。だから、日本だけがやったやったというのは、ちょっと世界から笑い物になるよということをまず指摘しておきます。

 それから第二点目でございますけれども、先ほどからいろいろと話題になってきました環境予算の政治利用ということで、村井議員の方からやってきました。

 そこで、ちょっと大臣の答弁を聞いていておかしいなと思ったのは、ここはちょっと答えてください、大臣は今までずっと広報について、総理あるいは大臣がチーム・マイナス六ということでやってきたことは政治的中立性を害していない、これはずっとそれでやってきている話であって全く問題ない、そういうふうに答えられましたよね。

 一方で、選挙期間中は政治的中立性の関係から控えるべきだという小池環境大臣の去年の答弁で、控えるべきだという見解をあわせて先ほどおっしゃられましたよね。

 ということは、どういうことなんですか、選挙期間中にやるということは政治的中立性を害するというふうに思っているんですか。そこをお答えください。

若林国務大臣 そのように受けとめられるようなおそれがあるだろう、そういう意味でございます。

末松委員 受け取られるおそれがあると。そのおそれがある、つまり、選挙期間中はおそれがあるからやめるんだということですね。もう一回、答えてください。

若林国務大臣 そのように認識しております。

末松委員 私ども民主党は、チーム・マイナス六ですか、この活動に対して別に異議を唱えたこともなければ、環境省頑張れ、あるいは環境で温暖化防止のために頑張れ、いろいろと広報をして国民の皆さんに啓蒙あるいは広報しなきゃいけないということを一生懸命言ってきたんですよ。だから、私どもはそういった広報について全くけちをつけていないし、頑張れと言ってきた立場なんです。

 ただし、本当に、参議院選がことし七月二十二日にあります、それの前だけは、そこはしっかりとした配慮をしてくださいと。先ほど大臣が言われた、そういった政治的中立性を害するというおそれがある。おそれがあると受けとめられるならばやめた方がいいでしょうということなんですよね。そう言われました。

 ということは、私ども民主党から見たら、七月五日の参議院選挙の公示日、これからだけ選挙期間中と受け取られるんではなくて、私たち政治家として、選挙の事前活動というのがよくあるじゃないですか、事前活動に当たっちゃいけない、事前運動しちゃいけないというのは政界の常識ですよ。

 となるならば、その選挙、参議院選が公示される前の一カ月とか二カ月とか、この辺は配慮すべきじゃないですか、ただそれだけを申し上げているんですよ。それがおかしいですかね、私たち。どうですか。

若林国務大臣 受けとめ方だと思いますね。そのような御意見が委員初め皆さん方、民主党の中から意見が出てきているということは受けとめておりますけれども、私は、まず基本的に、これはチーム・マイナス六%のチームリーダーとしての総理大臣が陣頭指揮をとってやっているんだという認識でありますから、そのこと自身、かなりの浸透度を持って国民の間にも理解されてきているというふうに思いますけれども、そういう姿勢というものが決して中立性を害するといったような問題ではないと思っております。

 ただ、選挙に入りますと、このことについてのいろいろな見解がありますでしょう。そして、そういう中で、そのような疑いがある、おそれがあるというふうに指摘を受けることになると考えられますので、その点は配慮していかなければならない、こう考えているわけでございます。

末松委員 大臣がおっしゃるように、そこまで国民にチーム・マイナス六が受け入れられているんであったら、それは選挙期間中だってやってもいいじゃないですか、それはやるべきでしょう。それは大臣の、あなたの論理でいけばですよ、いいですか。

 それを、やはり選挙期間中は控えなきゃいけないと思っている、そう受け取られる、政治的中立性を害するおそれがあると受け取られるとあなたも考えているわけだ。ということは、それは当然しっかりと総合的にきちんと、選挙の直前も受け取られるおそれがある、たくさんあるということを認識しなきゃいけませんということなんですよ。

 環境省のお役人さんに聞いても、いや、僕たちはいいことしているんですからそこはもう全然問題ないじゃないですかと。そこは、こういう単純な発想をたしなめるのが大臣の役割じゃないですか。それは、私たちだって与党になったら当然そこは配慮しますよ。そこを言っているんです。

 ちょっと具体的に言いましょう。

 今、参考資料で出ています。一枚目でございます。これは私が自分で写真を撮ったんですよ。外務委員会でもこれは出しました。これは新宿駅近くの地下街なんですね。ここで、私もびっくりしたんですよ、急に安倍総理の姿がばっと柱じゅう並んでいる。大手町でもやっているし、日本五カ所で今やっているというんですね。

 これは何だろうと思ったら、クールビズエグゼクティブズと書いてあるんですね。読みにくいですね、エグゼクティブズ。英語ですよ。国民がどれだけこの言葉を知っているかわかりませんよ。おばあちゃんとかお子さんとかはわからない。

 これを外務委員会で地球環境局長が説明していました、これはメーンに企業人に対して言ったんですと。だったら、企業に張ってくださいよ。ここは公衆ですよ。子供からおばあちゃん、おじいちゃんまでいる。みんながいるところでほとんど英語の、見てください、この柱に日本語がないですよ、ただ単にばんと安倍総理の実物大の写真が出てくるんですよ。こういうことがあるから、これは何だ、地球温暖化防止とも一切書いていない、ただ単に英語が並んでいる、これは全く政治利用として何というんですかということにならざるを得ないでしょう。

 その横を見たら側面に、ここでばっと出された、まさしくきょう、民主党がこういう形で出すべきじゃない、中止すべきだと要求したことを全部はねつけて、こういうものを載せている。

 これは見る人が言っていましたよ、これだといかにも何か、安倍総理と、このほとんどが一流企業の社長さんですね、これがみんな安倍総理を応援しているように見えるじゃないか。こういうのが大臣が言われる、見方が分かれる、そういうふうに受け取られる、中立性を害するおそれがあるという受け取り方になるということなんですよ。だから、そういうのはやめなさいよ、私たちはそれを言っているだけなんです。

 それを強行して、やめろと言っているのに対して、あるいはモデルをかえろと言っているのに対して強行したことに対して、私ども民主党が抗議をしているわけです。

 では、これを見て、二枚目、これはこの前の六月五日の新聞、これを写真に撮ってコピーにしたものです。これが大体制作費はどのくらいかかるんだろうねと。これは単に制作するだけですよ。写真を撮って文言を書く、これは幾らぐらいするんだろうなというのに関心があったわけですね。

 そこで三枚目に行きます。過去、どのような新聞広告をなされましたかということで、これが九回ですね。みんな書いてある。これは意外とシンプルですよ、単に、写真を撮って、そして地球環境を守りましょうというメッセージが書かれてあるだけ。モデルの総理とかあるいは環境大臣にはギャラは払われていないという話を私は聞きましたけれども、今南川局長もうなずいているので、そうですよね。

 それで、ではこれは安いんじゃないのと思って、実は、実際に予定価格調書というのを環境省から出させました。そして、見てみて、四番目を見たら、4の資料を見てみると「五月八日 小泉首相新聞原稿制作」、新聞の原稿の制作ですよ、これは一式で八百四十三万九千百十七円、八百五十万近くこれに使われているというんですよ、費用で。では、六月五日の小池大臣の新聞の原稿制作で見たら、六百八十七万円使われている。こんなに高いのか、おかしいよなという話をしていて、では、この3に書いてある、この新聞全面広告出演、みんなどのくらいかかったんだというのを出させました。

 そうしたら、平成十七年四月二十八日のあの小泉総理、何人か一緒に並んでいますけれども、これに千百四十九万円。そして、六月一日の小池大臣、これは小池大臣が単に写真で撮られて、そしてワーディングがあるだけですよ、これで一千十万円なんですよ。平成十七年七月十三日、これはブレア首相と一緒に撮った、ブレア首相にもギャラは行っていないはずです、これが九百六十万円。そして今言った小泉総理が官邸の前でただ手を広げているこの写真、これで八百四十四万円。小池大臣は、単にこのプレートか何かを示している、これで六百八十七万円。さらに、若林大臣、あなたが写っている、この何か地方のお宅の前で皆さんと撮っている、これは千五百二十九万円ですよ。それから、ことしに入って一月九日、これは安倍総理と、あとこれは奥様じゃないですね、モデルさんですよね、モデルさんを使っている、これで千四百三十三万円ですよ。

 何でこんなにかかるんですか、これは。大体同じようなポスターですよ。これは大臣に内訳を聞こうとは思わない。そこは、大臣は直接は関与していないでしょう。あなたは被写体となっただけでしょう。

 どうなんですか、地球環境局長、これは何でこんなにかかるんですか。

南川政府参考人 専門的な事項でございますが、私どもが契約しています博報堂の方で専門家を動員して、さまざまな検討をした結果でデザインを決め、写真を撮り、制作をした、そのトータル費用でございます。

末松委員 内訳を示してくださいよ。これは別に、私が個人で単におかしいと思っているだけじゃなくて、私も広告業界の方にいろいろな友人がいますから、いろいろな友人に聞き回って、そして、これはどうですかと聞いたら、こんなのはとんでもない額だというんですよ。普通は数十万から、そんなものじゃない、これは特別に、全くわからない……(発言する者あり)今委員がおっしゃいましたけれども、ぼられたんじゃないかとみんな思っちゃうわけですよ、それは。

 内訳でどうなってどういうふうに、本当にそこは説明してほしいんだよ、質問予告しているんだから。

南川政府参考人 内訳はございません。この分野の専門家が御検討されてつくっていただいたものでございます。

末松委員 説明をしたくたって内訳はありません、ただ、専門家がいてやったんでしょう、それでこの国会の場で済むと思いますか。おかしいんじゃないですか、それは。これはきちんとただしてくださいよ。そういうことじゃない、本当は知っているんでしょう。言ってくださいよ。

南川政府参考人 済みません、ちょっと今手に入ったことだけで申しますと、例えば、これは小池大臣が昨年六月に撮ったものでございますけれども、全部で……(末松委員「どれだ、どれだ」と呼ぶ)小池大臣の昨年六月五日のものでございます。

 小池大臣のものでございますけれども、例えば、撮影費が百二十六万、それから画像処理関係が五十一万、あとコピー料が十二万、それから新聞制作のデザイン費が二百九十六万、それから転写シート、これはふろしきの転写をしておりますけれども、これが六万七千円、それからコピー料が八十万円、あるいは、あとは版下を組む費用が百十五万、そういった内訳をいただいております。

末松委員 これで全部、この額になるんですか。合わないんじゃないの。

南川政府参考人 今のが平成十八年六月五日の小池大臣のものでございまして、先ほど私が言いましたことでおおよそ六百八十七万円少々になるということで考えております。

末松委員 正直言って、物すごく手の込んだデザインとかなんとかであればまた別だけれども、ただ小池さんが持って、モデルをやっているだけじゃない。そういったところはきちんと見ていてくださいよ、実際に。何かすべてクリエーティブだから全く、これではちょっとおかしい。これはちょっと納得できない。では、その数字を全部理事会に出してください。

 それから二番目、あとこの博報堂の、資料五番目なんですけれども、ここで、事務所を博報堂さんの方で要求しているんですけれども、事務所費用ということで、運営事務局、戦略ルーム、プロジェクトルーム、それぞれ三百四十万、三百一万、三百一万ということで、九百四十二万円要求しているんですね、内訳書の中で。

 そこで、ちょっと私が一瞬思ったのは、博報堂内、これは確かにグランパークタワーに博報堂がある、そこの博報堂内という中で、ここで事務所費用というのが書いてある。

 環境省が明らかにしましたよ、これは博報堂が受けたと。そして、私は、博報堂の資料、この三百九十ページの資料を読みましたよ。これはなかなかいいことが書いてある、立派なものです。ここで一番最後に、三年で約九十億円を投資した事業の最終年として、つまり、博報堂が約九十億円、三年間で、これを請け負ったわけですよ。だから、年間大体三十億円ですね。

 こういった何かどんぶり勘定の中で、こういう博報堂内にあるところの会議室を何で、これは半年間ですよ、年間じゃないですよ、半年間、六カ月で九百四十二万円も借りるんだ。やはりだれが考えてみてもおかしい。これは広告業界の方に聞いても、これはおかしい、普通は自分の社屋でやるんでしょうということだったんです。そこはいかがなんですか。

南川政府参考人 まず、博報堂自身は、ビルを借りているということでテナントでございます。今回のチーム六%の運営事務局の場所だというふうに理解しておりまして、これにつきましては、私は詳細に人数を把握しておりませんけれども、チーム員への登録とか、あるいはチーム登録の方についてのいろいろな御案内とか、そういった方のオペレーターの方々を外部から雇って入れております。これは博報堂の職員ではございませんが、そういった方々が実際に作業をするスペースというものを借りているということで聞いております。

 したがいまして、博報堂自身もビルを借りておりますので、この関係のスペースを使わなければほかに使えるということで、その部分の間借りを計上しているというふうに聞いております。

末松委員 それは、博報堂外でそれを借りるんだったら、それはいいでしょう。やればいいんですよ。ただ、これは博報堂内ということなんですよ。そこはチェックしましたか。

南川政府参考人 博報堂外で借りた場合にはもっと値段が高かったということで、その内で特別のスペースを間借りするという形をとったというふうに聞いております。

末松委員 では、博報堂は三十億円近く毎年やっていて、そして自分の社屋を、そこを提供するときは、それはその費用から全部、自分のところでやるんじゃなくて全部その費用に乗せているということですか。

南川政府参考人 これは、あくまでチーム・マイナス六%の作業をする方を外部から雇っているということで、そのための、外部の方の、オペレーターをする方等のスペースを別途確保しているということだと思います。(末松委員「答えてよ、乗せているのかというのを、費用を。自分の」と呼ぶ)費用としては、博報堂の賃料自身については、私は全体の、どういう形であのタワーを借りているかは承知をしておりません。ただ、このスペースについては、そのために間借りをしているというふうに聞いております。

末松委員 南川局長、ちょっと私の質問をちゃんと聞いて答えてください、正確に。

 それをきちんと、博報堂の中の、博報堂が借りているところを、さらにそれを貸すのに金を取っているのかと。そこをあなたは今知らないと言ったけれども、それを知ってから答えてくれよ。それをあなたは知らずに、私の質問に答えようとしないでくださいよ。知っているんですか、知らないんですか、そこを。さっき言ったけれども。

南川政府参考人 博報堂がそのグランパークタワーとどういう形で契約しているかは承知しておりません。

末松委員 そこもきちんと理事会に資料を提出してくださいよ。それを全く知らないで何かしゃあしゃあと答えているけれども、それは無責任きわまりないよ。基本的にこれは、環境省の予算というのは税金でしょう。税金はしっかり、やはりそこはチェックするということになるじゃないですか。無駄遣いということになりますよ、そこは。

 あと、それから資料6ですけれども、この金額に全く黒塗りしてあるんですけれども、こういった金額というのは、どうしてこれは黒塗りしているんですか。かかった費用としてきちんと、それはプライバシーとか、あるいは特別の契約とか、そういったものは当然配慮されてしかるべきというのはよくわかります。何か、そこで突然黒塗りが何十カ所かあるんですよね。そこはどういう理由なのか、教えてください。

南川政府参考人 政府広報の一環でございますので、いろいろな形でお願いをして値段の交渉等をやっていただいているところでございます。

 したがいまして、広告掲載の個々の料金とかタレントの契約料金とか、そういったことにつきまして、それが逐一公表されますと、その他の、その方々の別の価格交渉に影響があるということもございます。そういったことからそこは黒塗りにさせて出させていただいております。(末松委員「この場合は」と呼ぶ)この場合につきましては、その掲載料等について開示することによりまして、そこで出ました値段がベースになって別の方が交渉するということになっては、私どもの今回の行事に応じていただいた方々に迷惑がかかるということで、黒塗りにしたものでございます。

末松委員 ほかに、これはきちっと明示されている場合があるんですよ。何か、その原則がちょっとよくわからないんですね。そこはまた後で聞きますから、答えてくださいね。

 では、資料7ですけれども、人件費であります。これに九千六百四十万円かかっているんですけれども、プロジェクトリーダーというのがございまして、これが単価で七万六千三百円。やはりこれは非常に、リーダーというから特別のまた手当が加わるというのはわかりますけれども、それにしても主任で六万四千四百円、主任Bというのがまたあって五万五千三百円、これもちょっと非常に高いと思うんですけれども、この点についてはチェックされましたか。

南川政府参考人 これにつきましては、プロジェクトリーダーからアシスタントまでさまざまな段階がございまして、そのおのおの人件費がおおよそ決まっております。そういう中で、私ども、その能力等を判断しまして、私どもとしては、この七万幾ら、個人的に高いとは思いますけれども、能力を考えれば妥当なものだというふうに考えております。

末松委員 スタッフも、スタッフAで一日四万四千百円、スタッフBも三万二千九百円、アシスタントが二万三千八百円。とにかく、例えばプロジェクトリーダーの方が十日勤めれば七十六万円のお金が入るわけですよ。月に二十日働けば、当然百五十万円近くになるわけなんですね。

 私どもの人件費の基準ではと言っていましたけれども、それはだれがどう決めているんですか。

南川政府参考人 これにつきましては、決めているというのはちょっと間違いでございますけれども、各広告会社、おおよその目安を持っているところでございまして、ある程度の広範な活動をしておる、評価されておるところについては、こういったレートというのは比較的一般的だろうというふうに考えております。

末松委員 時間がないので、最後のポイントをつきますけれども、資料8に、入札で企画競争説明書というのがあるわけなんですね。それでもって入札をするということなんですけれども、ここでちょっと私の方で広告業界の方々と話していて感じましたのは、この四百ページ近くの資料、これは読むだけでも大変です。これは企画書なんですよ。非常に盛りだくさんで、非常にこれはすばらしいことが書いてある。確かに非常に学びました。

 これを二〇〇五年から博報堂が三年間で九十億円近くのお金で毎年毎年契約をしているということなんですけれども、この入札は、例えばことし、平成十九年、いつこれはそういう応募をされたんですか。応募という形で、入札を公示し、そしてどういう日程で落札されたんですか。

南川政府参考人 十九年度分の選定でございますけれども、昨年の十二月二十七日に公募を公示いたしました。その中で、具体的に企画書等を出してほしいということをいたしましたし、また、審査基準あるいは採点の仕方についても公表したところでございます。

 そして、ことしになりましてから、説明会等を行いまして……(末松委員「いつ」と呼ぶ)一月九日に説明会を行いました。それで、十七日に三社から応募がございました。そして、その三社につきまして、一月二十四日でございますけれども、ここで企画審査委員会を行っております。

 これには、複数の外部の識者の方、これは固有名詞は避けますけれども、だれもが比較的知っておる全く外部の方でございまして、環境省OB等ではございません、また広告業界の方でもございませんけれども、そういった方も加わっていただいて、そこで採点をいたしまして、最も高い採点を得たのが博報堂の企画だったということで、二月に契約をしたわけでございます。(末松委員「締め切りはいつだったの。言っていないよね」と呼ぶ)

西野委員長 ちょっと、個人的には発言しないで。

南川政府参考人 締め切りが一月の十七日でございました。

末松委員 そこで、私はちょっとここを疑問に思うんですよ。というのは、なぜ疑問に思うかというと、十二月二十七日に公示をしたって、だれが仕事できるんですか。御用納めの日でしょう、基本的には。そして、新年を迎えるために、みんないろいろと忙しい時期ですよ。そして、新年始まってから、やはりいろいろと新年のごあいさつを含めて忙しい時期ですよね。

 そうして、一月九日に説明会があったと言われる。通常であれば、企業は、応募の会社というのは、そこの説明を聞いて、そして自分なりにいろいろと企画、持っていたものを出し合う。そして、やるんですけれども、それが今度、一月十七日にもう既に締め切りなんですよ。それから、十日が質問期間で、十一日までに質問を受け付けるというのが、実際に入札のときの紙で環境省が出されているわけです。

 ということは、自分が質問したいことを聞いて、そして回答が来たのが十一日ですから、本当にぎりぎりまじめにやっている人は、十一日が、きちんとやろうということで、あと、十七日にもう締め切りになって、大体六日間、六日間ですよ。六日間でどれだけ、年間のスケジュールとパーフェクトな位置づけのいろいろなプロジェクト、これに物すごく盛りだくさんに書いていますよ、これができるんですかということなんです。

 何が言いたいかというと、これは、南川局長御自身も知っているんじゃないですか、広告業界の関係の方に聞くと、あれはもう博報堂さんしかだめなんだ、ほかの人は書けない、いきなり言われて、そしていきなり締め切りが来て、そして落札されているんだからしようがないんだ、こういう声が、やはり不満が渦巻いているんですよ。

 だったら、一カ月、二カ月前からしっかりとこれを、きちんと発表して、そして、つくってくれと。つくる期間を与えてくれよとかなりの方が言っているんですよ、これは。六日間でこんな四百ページ近くのものがあって、これが一番充実しているから。それはずっと、博報堂さんだけが予定の日にちを知っていて、そしてこれをつくったとしか、思われても仕方がないんじゃないですか。いかがですか。

南川政府参考人 御指摘のようなせわしない日程ということについては、私どももぜひ検討したいと思います。

 ただし、ことしについて言いますと、私も企画審査委員会に出ましたが、全部で三社の応募がございまして、他の二社も非常に立派な企画を出されました。そういう意味では、実際に得点を開くまでどこが落ちるかわからなかったというふうに私自身は考えておりまして、前々から、毎年こういう日程だということを知っておった業者からすれば、あらかじめ用意をして出していただいたというふうに承知をしております。

 ただし、御指摘のとおり、もう少し日時があってもいいじゃないかということについては検討したいと思います。

末松委員 これも実は広告業界の方からお聞きした話では、二〇〇五年、第一回目ですよ、おととしのときに、何かこの博報堂さんの方で過って紙を配って、三年間、自分のところがこの案件についてはとったんだ、そういう紙を配ったという話があって、非常に不評を買ったという、これは私が自分で確認したものじゃないですから、そういう話があったということで紹介させていただきますけれども。

 そうなると、何か長期的に最初から決まっていたんじゃないか、三十億、三十億、三十億、そういうのが決まっていたんじゃないかという憶測を呼びますよね、そこは。だから、自分たちで幾らやったって、どうせ博報堂じゃないですかという話になるんじゃないですか。

 本当に入札が適正に行われるような形を、やはり形式上もとっていかないと、これじゃいかにも、何か随意契約をやっているんじゃないかと言われても仕方がないんじゃないか、私はその方々の話を聞いてそういうふうに感じたわけですけれども、そこはどうですか。そういったことをきちんとやるというようなことは、意思はありますか。

南川政府参考人 私ども、まず、博報堂とは何の約束もございません。その上で、公正な手続をしておりますし、外部の方にも複数名入っていただいて、全く利害関係のない方に審査をしていただいております。

 ただし、御指摘のとおり、疑問を持たれること自身は大変不本意でございますので、日数の問題等を含めて必要な検討はしたいと思います。

末松委員 やはりどんぶり勘定的に、はい、三十億ですよという話が本当にいいのか、そこも含めて、これからが、また広報ということで続いていくわけですよ。

 私は、博報堂さんについて、この資料はすごいと思う、これは大したものだと思います。私が見てもすばらしい資料ですよ。

 この中に、準備期間の三年間、これが終わる、平成十七年、十八年、十九年、これは準備期間だと位置づけしてあって、これが、立ち上げして継続して仕上げの年だ、ことしは仕上げの年と書いてある。そして次に、国民運動の自走化、今度はまた、そういうところの広報が必要になってくると書いてある。

 そういった意味で、博報堂は、これはビジネスとしては当然のことなんでしょうけれども、来年からも、一生懸命に頑張って、これはまた入札という話を、もうける努力をしようとするんでしょうけれども、とにかく、先ほど言った、ちょっとこの計上、わからないなと疑問に思うことはしっかりと理事会に提出をしていただいて、そして、国民の税金なので、ただやればいい、ただ一生懸命にやればいいという話じゃない。そこには、さっきからずっと出ていますように、政治的な配慮とかそういったものもできなくて、国民に対して配慮できますか、私はそう思うんですよ。そこはしっかりやった上で、だれからも批判されないようなことをやっていただきたいと思います。

 最後に、ちょっと大臣の決意を、今聞いた中で、感想及び決意をお願いします。

若林国務大臣 大変高額な広報費でございます。そしてまた、総理がチームリーダーになって国民運動を展開するための予算でございますから、今委員がいろいろと御指摘になられましたことをお聞きしながら、やはり透明性が大事だ、そして客観性も大事だということを思いましたので、それら御意見も踏まえながら、的確な、適正な契約ができますように努力をしてまいりたいと思います。

末松委員 時間が来たので終わりますが、とにかく、くれぐれも政治的配慮はしっかりやってもらいたい。政治的中立性を害さないようにお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、環境大臣からG8サミットにおける結果報告を受けて、地球温暖化対策を中心として私の方から質問をさせていただきます。

 大臣からG8サミットについて御報告を受けました。今や、地球温暖化問題は、首脳間レベルで議論をして、世界の潮流をつくっていくべき大変重要な課題となっておるわけでございます。

 そういうような中で、今回、安倍総理がサミット参加に先立って、長期目標を初めとした美しい星50を提案し、その主張が今回のサミットの成果において、いわば主要排出国を含むプロセスにおいて、二〇五〇年までに地球規模での排出量を少なくとも半減させることを含むEU、カナダ及び日本の決定を真剣に検討するといった形で反映され、いわば安倍総理のリーダーシップが発揮されたということは、大変心強く感じる次第でございます。

 公明党も、二〇五〇年までに世界の温室効果ガスを五〇%削減すること、また、そのために国際的なリーダーシップを日本がとっていくことについて、かねてより主張してきたことでもございまして、また、今回の公明党の参院選の重点公約で発表したところでもございます。

 大変大きな前進であると評価しているわけでございますが、本日は、このような認識をもとに、地球温暖化問題における世界の議論において焦点となっております次期枠組みについて質問をしたいと思っております。

 そこで、まず、サミット参加に先立って総理が世界に向けて発信した美しい星50に対する主要各国の反応はどういうものであったか、これについて大臣にお伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、竹下委員長代理着席〕

若林国務大臣 美しい星50のこと自身について、それぞれがどうであったかというものを調査しているわけではありませんけれども、首脳との対談の中で、あるいは向こうでのEUその他のグループとの対談の中でも、総理は必ずこの美しい星50を、英文あるいは仏文などででき上がっておりますそれを配付した上で、説明をしておられたというふうに承知いたしております。

 ただ単に長期目標を明らかにした、あるいは三つの原則を示したということのみならず、途上国の皆さん方につきましても、資金メカニズムを提案している、あるいは技術についての、技術移転というようなものもその中で重視しているといったような幅広い提案でございまして、そういう意味で、途上国も含めまして、この美しい星50の提案については評価をいただいていたというふうに承知いたしております。

江田(康)委員 今回の美しい星50に対する反応ということで、今大臣からもお伺いしたわけでございますけれども、今回のサミットにおきましては、気候変動問題に関して、我が国の建設的かつ積極的な姿勢が評価されたものと私も高く評価しているわけでございます。

 そこで、改めて、今回のサミットの成果を踏まえて、二〇一三年以降の次期枠組み、大変重要な、実効性ある新たな枠組みでございますが、これを構築すべく、さらにこの分野で我が国のリーダーシップを発揮していくことが大変強く求められていると思うわけでございますけれども、そのための具体的な道筋についてお伺いをしたいと思います。

若林国務大臣 実は、私、過日、インドネシアを訪問しまして、バリ島におきますCOP13の議長国になりますインドネシアの環境大臣ともお会いをいたしました。

 日本の基本的なスタンス、そして私の知る限り、世界の状況、とりわけ中国の意向また米国の考え方、こういうようなものとEUとの間の非常に大きな格差がある、認識に差があるというようなことも御説明を申し上げた上で、COP13というのは大変重要な意味合いを持っている、それは、やはり国連のもとで、世界の主要国はもとより締約国のすべてが集まる場でございますから、みんなが協力し合って、その国々の事情及びその能力、責任において協力し合っていくことをつくり上げていく重要な会議になりますので、日本としても、今後、情報を提供するなど協力を申し上げたいというようなことをお話し合いをしてきたところでございます。

 今後は、この十二月のバリで開催されるCOP13における次期枠組み交渉を通じて、主要排出国の実効ある参加の確保を一層呼びかけていくとともに、来年の我が国がG8議長国として主催をいたしますG20の対話、これはプロセスの中に入っているわけでありますが、来年三月に予定されておりますG20の対話、さらに五月に予定されておりますG8の環境大臣会合といったようなものが、北海道の洞爺湖サミットを控えて、交渉の極めて重要な局面になると考えておりまして、議長役として最大限のリーダーシップを発揮してまいりたい、こう考えております。

 また、米国は、次期枠組みづくりへの参加を実は初めてここで明らかにしたのでございます。大変意義あることでございます。高く評価いたしておりますが、中国、インドを含めた主要排出国間の対話の場を設けることをアメリカは提案し、各国から歓迎されたというところまで踏み込んでまいりまして、我が国としても、このようなプロセスに積極的に貢献をしてまいりたいと考えております。

    〔竹下委員長代理退席、委員長着席〕

江田(康)委員 今、大臣からも御答弁がございましたように、世界最大の排出国であるあの米国が、次期枠組みづくりへの参加を初めて表明したということで、これまで京都議定書の拒否、その一辺倒だけではなくて、次期枠組みもにらんで新たな局面を迎えているなと私も強く感じております。

 サミットにおいては、アメリカが、初めてこの次期枠組みづくりへの参加を表明するとともに、中国やインドを含めた主要排出国を巻き込んだ次期枠組みづくりのためのプロセスの重要性を強調したところであるわけでございます。

 こうなると、現在、京都議定書のもとでは削減の法的な義務を負っていない新興諸国の動向が大変重要になってくるかと思います。

 共通であるが差異のある責任という原則を踏まえるならば、もちろん我が国を含む先進国が率先して温室効果ガスの排出削減に努力をしなければならないのは、これは当然でございますけれども、今後、世界の排出量の過半を占めるであろう途上国、とりわけ、世界第二位の排出国である中国、第五位のインドから、世界の排出量の半減という長期目標に向けて、どのような貢献を引き出していくかが決定的に重要な課題になってくると思っております。

 そこで、質問でございますけれども、ハイリゲンダム・サミットの最終日には、G8諸国と中国やインドなど新興諸国との会合が設けられたと伺っております。主要排出国を含むプロセスにおいて、二〇五〇年までに地球規模での排出量を少なくとも半減させるという長期目標に関する検討課題を初めとしたG8サミットの成果に対するこれらの途上国のスタンスはどのようなものか、それを教えていただきたい。

若林国務大臣 委員がまさにおっしゃられましたように、これからの焦点は、米国が参加を表明し、しかしまた、長期目標として国別のキャップを設けることについて今なお同意したわけではございませんけれども、その米国が、中国やインドなどを含みます主要排出国十五カ国に呼びかけて、会合をこの秋にも開く、そして、それは国連を中心としたプロセスに有効な形で結論を導き出したい、そういう姿勢を示しているところからしますと、もう大変な米国の積極的な変化だ、こう受けとめているわけでございます。

 それに引きかえまして、途上国につきましては、委員がお話しになりましたように、サミットの最終日に、新興の途上国、いわゆるG5と言われております中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカが参加をする形で議論が行われたわけでございます。

 この議論は、全体として申し上げますれば、これら新興諸国は、先進国の過去の排出責任と対応能力から、委員がおっしゃられた、共通だが差異のある原則に基づいて、先進国が削減の義務を負うべきであるという立場を改めて表明しているところでございます。また、途上国は経済発展と貧困撲滅が優先課題であるので、これを阻害する可能性のある排出削減義務に対しては反対であるという立場を示していたところでございます。

 その結果、発出されましたG8議長国と新興諸国との共同声明というのがございますが、このような途上国の立場が反映されておりまして、特に踏み込んだ記述は盛り込むことができなかったというふうに理解をいたしております。

 今後の問題としましては、ことしの十二月のインドネシアのバリで開催されるCOP13におきます次期枠組み交渉を通じて、主要排出国の実効ある参加の確保を一層呼びかけていきたいと思います。また、来年、我が国がG8議長国として主催するG20対話、またG8環境大臣会合、これは北海道の洞爺湖サミットを控えまして、交渉の極めて重要な局面になると考えておりまして、議長国として最大限のリーダーシップを発揮してまいりたい、このように考えております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 今大臣が申されましたが、新興諸国のスタンスというのは従来と変わらずかもしれませんが、これだけサミットの場で先進国を中心とした対話が前進をしてきたわけでございます。しかし、それに比べて、やはり途上国のスタンスというのは、先進国が削減の義務を負うべきであり、また、途上国に対して排出削減義務が課されることに対しては反対の立場を貫いているということで、特に踏み込んだ記述は盛り込まれなかったということでございますが、それらに対して、今大臣も、今後の対応というところで、さらにG20の対話や、また今回決まった主要排出国による検討の場を最大限利用して中国、インド等に呼びかけていくということが私も大変重要であるかと思います。

 やはり、これらの国々を巻き込んでいくようなことができなければ、それはいわば世界の温室効果ガスを二〇五〇年に半減するという大目標は達成し得ないわけでありまして、であるがゆえに、来年のG8議長国は、日本がこの議長を務めるわけでございますので、途上国への働きかけを、強いリーダーシップを持って取り組んでいかなければならない、そのように思います。日本のリーダーシップが問われる、そういう時期に来ていると、私自身、大変強く感じるところでございます。

 これらの国際交渉を通じた日本としての国際貢献とかリーダーシップの発揮の重要性については、今大臣御説明をしていただきましたので、よく理解はできておるつもりでございますが、それをしっかりと内外に示すためには、日本として、京都議定書の削減目標である九〇年比でマイナス六%の目標を、確実にこれを達成するということが前提になるわけであります。

 そのためには、排出量の伸びが大きいのは、特に業務・家庭部門の排出抑制策、この展開が必要不可欠でございます。具体的には、新エネ、省エネの導入を強力に促進して、また、政府が一丸となって国民に働きかけるという国民運動の強力な展開が必要であると思います。

 そこで質問でございますけれども、まず、新エネ、省エネの導入促進に当たっては、まずは、例えば太陽光発電、風力発電、燃料電池、こういった自然エネルギーの加速的な普及、二点目は、環境配慮型のエコハウスとかエコビルの新築及びエコ改修を促進していくこと、三点目は、オフィスビルなどの省エネ管理によって事業費を生み出すESCO事業の民間への普及、これは一例かもしれませんけれども、こういう民生、業務・家庭部門等において効果的な対策を大胆に進めなければならないと思うわけでございます。そのための補助金の拡充、また減税措置というのが図られなければ、その目標は達成できないわけでございます。

 さらに、本年中に京都議定書の目標達成計画を見直して、二〇〇八年度予算から追加施策を中心とする相当規模の特別枠を創設していくべきと私はかねてより強く主張しているところでございます。これは環境省だけの問題ではございませんけれども、今後の政府の考えを伺いたいと思います。

土屋副大臣 江田委員がおっしゃるように、まさに国際的な場でリーダーシップをとるためには、まず自国の京都議定書の約束をしっかりと果たさなければならないと考えておりますけれども、そのためにも、まさにおっしゃるように、今後の施策が重要になってくると思います。自然エネルギーの導入加速化、エコハウス、エコビルの新築、改修の促進などを初め、目標達成計画に掲げられた対策の加速化の一層の強化が必要と認識をしております。

 このために必要な対策、施策の追加や強化を行うことによりまして、本年度中に京都議定書目標達成計画を見直すこととしておりますけれども、この見直し後の計画に基づきまして、今御指摘のありました施策の実現のために、政府一体となって、あらゆる施策を充実してまいりたいと考えておりますけれども、また公明党さんの方からも力強い御支援をお願いしたいと思います。

江田(康)委員 副大臣から、公明党からの力強い御支援ということでございましたが、それはもう当然でございまして、それこそ京都議定書の目標達成計画は見直すというところまでは決まっておりますけれども、やはりそこで必要な追加施策というものに対して財源が必要なわけで、この財源を明らかにせずして京都議定書の目標達成は不可能な状況にあるということを共通認識していかなければならないと思うんです。

 まさに、来年G8サミットを迎えるに当たって、この一年、大変重要な時期を迎えているという認識は、そういうことでございますので、例えば太陽光発電等においても、導入促進のためのあの補助金が二〇〇五年で切られている、そういうものの再開というのは大変重要であろうし、また、エコハウスやエコビル等においては、やはり減税措置等がとられていかなければ、また加速的な普及というのはできないわけでございます。

 そういった意味で、国土交通省も、経済産業省も、また環境省も、総合して、京都議定書の達成を可能とするために、やはり、そういうような必要な補助金の拡充や減税措置、これについては今後大きな動きになるかと思いますので、来年度の予算編成に向けても強くこれは進めていかなければならない、そのように思っております。

 もう一つの国民運動の展開に当たってお聞きをいたします。

 政府の施策だけで、この京都議定書の計画目標が達成できるか。やはり国民運動になるぐらいの、そういう国民一人一人の取り組みがなされなければ、それは不可能ではないか。五〇%の削減に向かうという上においてはなおさらのことだと私は思っております。

 そういう意味で、もったいないという日本の精神を生かして、温室効果ガス排出削減のための、例えば、これまでも進めてきた、夏はクールビズ、冬はウオームビズ、さらには、スイッチは小まめに消そうとか、車をやめてできるだけ電車やバスにと、そういった、わかりやすく、しかも実行しやすいエコライフの生活行動モデルを提示して、一人一人の国民をいわば主人公にした温暖化防止の国民運動を全国展開すべきだということを公明党もかねてより主張してまいっておりますが、私もまた大変重要であると思っております。

 先ほど来、議論がこの点についてもございます。温室効果ガスの京都議定書の目標達成を皆でやらなければ本当に達成できないような状況にあること、また、G8サミットで大きく前進した、二〇五〇年に五〇%の削減を目標に国際社会は向かっていること、そういうような現状からするならば、本当に喫緊の課題であって、これは本当に全国的な国民運動を展開しなければならない。そういう状況からすると、これは国が責任を持って、その国は時の総理であり、その総理大臣がまた環境大臣が前面に立って国民の皆様にわかりやすく訴えていく。

 そういうような意味で、あのような広告で、総理がその先頭に立って国民運動を喚起される、クールビズ、ウオームビズ等、わかりやすく皆さんに語りかける、これは私は大変重要なことであると思っておるところでございます。

 総理の掲げられた美しい星50では、一人一日一キログラムの削減を目指すとありますけれども、これはちょっとわかりにくい、一キログラムというのはどれだけか大抵わかりませんから。CO2一キログラムというのがどのくらいの感覚になるか、ここで答えられる方もいらっしゃらないと思いますが、それを展開して、もっとわかりやすく、国民の行動を喚起させるような具体的な取り組みが求められているわけでございます。この点について、政府の今後の取り組みを伺いたいと思います。

北川(知)大臣政務官 ただいま江田委員の方から御指摘のありました、一人一日一キログラムの削減ということでありますけれども、体積でいいますとサッカーボール百個分であるそうであります。

 それで、先ほど来から取り上げられておりました、今回の新聞広告でもありますように、わかりやすく言えば、白熱電球を蛍光灯の電球にかえる、これだけで一日四十五グラムの削減につながるということであります。

 こういう数字を具体的に示しながら、国民の皆様方にわかりやすく、一つ一つ協力をしていただくということで、先日の委員会でも示しましたけれども、こういう表を我々環境省のホームページや官邸のホームページに取り上げさせていただいて、温度の調節で二酸化炭素の削減につながる、二十八度の設定にすれば一人一日で三十五グラムを削減とか、こういう具体的な方向を載せさせていただいております。

 私も二月に環境教育で横須賀の小学校へ参りましたときに、子供たちに、省エネといいますか、わかりやすい形で言ったら何かなと思って、食料品の無駄をなくす、そして、家庭においてそれぞれの会話を重要視するということであれば、朝昼夜の食事、昼間は給食になりますから朝とか夜、一日一食一家団らんということで、ちょっとでも早起きをして家族一緒に食事をするとか、夜は極力みんなで一緒に食事をするとか、こういうことを心がければ、食料品の無駄やエネルギーの無駄をなくしていくのにつながるのではないか、こういうことを申し述べたわけであります。

 そういうことを、一つ一つわかりやすい数字を示しながら、国民の皆様方に訴えていくことが重要であろうと思っております。

 今回、こういうそれぞれの数字を示しながら、やはり国民の皆様方一人一人にできる取り組みをわかりやすく提示していく、そして今後は、国民の皆様方にCO2排出削減の新たなアイデアを広く募集していきたいと考えております。その中でいいアイデアがあればどんどん取り上げさせていただいて、これを政府の一つの目標として示しながら、国民の皆様方の理解と協力をいただいて、二酸化炭素の削減にぜひともつなげていきたいと考えております。

江田(康)委員 時間も限られておりますので、最後ではございますけれども、やはり今言った、国際社会が大きく前進している中で、日本が特に京都議定書目標を達成しなければならない。そのことに関して、やはり新エネ、省エネ等の導入等も大変重要で、環境にいいことをしようと国民が意識を高めてきた場合において、それを支えてあげる、この負担を軽くしてあげる、またそういうような政策が大変重要であるわけでございます。わかりやすい、国民への行動を喚起する具体的な取り組みと、そういう政策と相まってこれを達成していかなければならない、これは当然だと思います。

 最後に、さきに策定されました二十一世紀環境立国戦略、また今回のサミットの成果を踏まえまして、大臣の強い御決意をお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 ハイリゲンダム・サミットの成果が明らかにされたわけでありまして、新しいスタートを切った、事態は新しい状況になってきたというふうにまず受けとめております。我が国におきましても、先般、二十一世紀環境立国戦略を閣議決定いたしました。

 そういう国際的な状況の変化を踏まえて、新たな視点に立って、国民運動の展開、さらには、施策の拡充強化といったようなものを取り組んでいかなきゃならない状況になってきているというふうに認識いたしておりまして、中国あるいはインドまた米国などとEUとをしっかりつないでいく、また、このためには、資金メカニズムといったような手法も、さらに途上国の皆さんの合意を得るためにも必要になってまいりましょう。

 この時点で、幅広く環境政策の進め方について見直しを行いながら、拡充強化を図ってまいりたいと思っております。

江田(康)委員 時間でございます。ありがとうございました。

 終わります。

西野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十九分散会


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