衆議院

メインへスキップ



第6号 平成19年12月7日(金曜日)

会議録本文へ
平成十九年十二月七日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    大塚 高司君

      亀岡 偉民君    小杉  隆君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    清水清一朗君

      鈴木 俊一君    土屋 品子君

      とかしきなおみ君    冨岡  勉君

      並木 正芳君    広津 素子君

      藤野真紀子君    安井潤一郎君

      山本ともひろ君    川内 博史君

      末松 義規君    田島 一成君

      田名部匡代君    松野 頼久君

      村井 宗明君    高木美智代君

      江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         鴨下 一郎君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   環境大臣政務官      並木 正芳君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 明裕君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    島田 泰助君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           伊藤  元君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   小林  光君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 順一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       石塚 正敏君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  櫻井 康好君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月七日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     冨岡  勉君

  中川 泰宏君     安井潤一郎君

  渡部  篤君     大塚 高司君

  田名部匡代君     松野 頼久君

  吉田  泉君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     亀岡 偉民君

  冨岡  勉君     上野賢一郎君

  安井潤一郎君     清水清一朗君

  川内 博史君     吉田  泉君

  松野 頼久君     田名部匡代君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     広津 素子君

  清水清一朗君     中川 泰宏君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     渡部  篤君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、第九回日中韓三カ国環境大臣会合の結果について政府から報告を聴取いたします。鴨下環境大臣。

鴨下国務大臣 おはようございます。

 私は、十二月四日から六日まで富山県を訪れ、第九回日中韓三カ国環境大臣会合に出席してまいりました。

 本会合は、北東アジアの中核である日本、中国、韓国の三カ国の環境大臣が一堂に会し、本地域及び地球規模の環境問題に関する対話を行い、協力関係を強化するため、平成十一年から毎年各国持ち回りで開催しているもので、日本での開催となった今回、初めて地方都市で開催しました。

 会議では、北東アジア地域の環境協力における本会合の重要性について再確認するとともに、本会合がASEANを含めた東アジア地域の環境保全にも貢献していくことで一致しました。

 個別分野では、地球温暖化対策について活発な意見交換を行ったほか、さまざまな分野の環境協力について議論を行いました。

 特に、近年我が国でも問題となっている黄砂については、特別セッションを設けて議論し、黄砂のモニタリングと早期警報ネットワークを確立し黄砂の影響低減策を推進するため、共同研究を開始することに合意しました。

 また、光化学スモッグの問題について、発生メカニズムの解明に向けて、三カ国が協力して研究を進めることに合意しました。

 その他、化学物質管理やEウエーストに関する一層の協力の実施、生物多様性やラムサール条約に関する協力などについても合意しました。

 そして、これらの結果を共同コミュニケとして取りまとめました。

 また、韓国の環境部長官及び中国の国家環境保護総局副局長と、それぞれ個別に会談を行い、両国との協力を一層進展させることで一致しました。

 最終日には、富山市内の環境関連施設を視察し、地方における環境保全の取り組みの重要性について、三大臣で再確認しました。

 今回の会合を通じて、私は、隣国である中国及び韓国との環境分野での協力が非常に重要であると改めて認識したところであり、引き続き、両国との対話を推進してまいりたいと考えております。

小島委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

小島委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長鈴木明裕君、厚生労働省労働基準局労災補償部長石井淳子君、農林水産省総合食料局次長中尾昭弘君、林野庁林政部長島田泰助君、経済産業省大臣官房審議官伊藤元君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、環境省大臣官房長小林光君、環境省大臣官房審議官白石順一君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局環境保健部長石塚正敏君、環境省地球環境局長南川秀樹君及び環境省自然環境局長櫻井康好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木挽司君。

木挽委員 おはようございます。自民党の木挽司でございます。

 先ほど、鴨下大臣の東アジアでの報告をお聞きしておりまして、先般、バリ島での、京都議定書以降これからどうするんだというような話し合いが行われたときに、日本が進歩的な発言ができなかったということで、たしか化石賞というのをいただいたというのを小さな囲みでいただきまして、非常に喜ばしくないことだなと私も受けとめております。これからもどんどん、世界にやはり日本が環境立国として、そしてリーダーシップをとるような発言をできる限り大臣中心にやっていただきたいなというような感想を抱いて、お話を伺っておりました。

 さて、きょう私は、容器包装リサイクル法における材料リサイクルへの優先権の制限について、またそれにかかわるところでまず何点か質問をさせていただきたいと考えております。

 容器包装リサイクル法のプラスチックリサイクルについては、技術革新や市況等により見直しをしていくことは、私もあるべき姿ではあると思います。しかしながら、その運用方法に問題があるのではないかというふうに私は今とらえております。

 特に、中小企業が多いとされています材料リサイクルでありますけれども、事業者数が増加しているという理由で、過去にも入札価格の上限を材料リサイクルにのみ与えられ、指定法人である財団法人容器包装リサイクル協会を通じて平成十七年十二月十二日に発表されて、翌十八年の一月二十四日に入札が実行されております。本来、拡大するはずの材料リサイクルのシェアが抑えられているというのではないかと思います。

 今年度も、審議会の取りまとめ状況等々、私もずっと拝聴しておりました。また調べさせていただきましたが、平成十九年六月二十八日に行われて、材料マテリアル優先のための基準が財団法人容器包装リサイクル協会を通じて平成十九年七月十八日に発表され、同年七月末ごろ、同協会は、材料リサイクルの施設に品質検査のための立入検査を行い、ただここ、ちょっといろいろ聞いておりますと、環境省とまた事業者側との受けとめ方が違うようなんでございますが、彼らのお話を聞いておりますと、立入検査が行われたというふうに私承っております。その中で、満たしていない事業者の優先権をなくすことが喧伝されています。

 さらに、新規参入事業者についても、平成二十年の四月以降、サンプル採取して、基準以下であれば優先契約取り消しとなるなど、そういった状況については私非常に乱暴ではないかと思うのですが、ひとつ、この点について見解をお聞かせいただきたいと思います。

由田政府参考人 プラスチック製容器包装の再商品化のあり方につきまして、指定法人が行います再商品化事業者の入札選定方法におきましては、これまで、白色トレーのリサイクルに見られますようなプラスチックの原材料等としての利用がなるべく望ましいというふうなことから、材料リサイクル手法を優先的に取り扱うことといたしまして、特に、従来基準を設けずに実施してきたところであります。

 しかしながら、近年、事業参入の急速な拡大に伴いまして、材料リサイクルの落札量が予想を超えて急激に拡大するなど、施行当時の予想と異なる状況が生じてきたわけであります。また一方、リサイクルコストがより安価ないわゆるケミカルリサイクルが撤退せざるを得ないかもしれないというふうな状況も生じてきたわけであります。

 このため、本年二月、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合を設置いたしまして、特定事業者、再商品化事業者、自治体、消費者等の代表によりまして、再商品化製品利用事業者からのヒアリングを含めまして、七回にわたり幅広く意見を聞いて審議をいただきまして、六月に取りまとめをいただいたところであります。

 その結果、再商品化の入札に当たりましては、可能な限りプラスチック製品の原材料を代替するような資源性の高い再商品化製品が得られるよう、再商品化製品が塩素、水分などの品質基準を満たす場合に限りまして、材料リサイクル手法を優先的に取り扱うこととされたわけであります。

 実施時期につきましても、事業者が対応するための猶予期間への要請と急激な市場環境の変化に対応するための緊急性にかんがみまして、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合におきまして、平成二十年度から実施することとされたものであります。この取りまとめを尊重させていただきたいというふうに考えております。

木挽委員 急激な環境変化にかんがみて、平成二十年度から実施するという方向で動いていらっしゃる。ただし、これは事業者側から見ると、そういった経緯、いろいろ審議会で検討がなされた経緯も、私なんかからすれば十分はかり得るところなんですが、やはり、事業者の立場からすると、急激だ、何とか事業を続けていくに関しましても非常に支障が出てくるというような印象を持っている方が少なくないように私は受けとめています。

 それと、日本ではケミカルに優位性を認めるというようなデータが出ておりますけれども、例えばドイツでは、容器包装プラスチックにおいてはマテリアルリサイクルをできる限り実施していくというスタンスは過去からもそうですし、現在、過去にも増してそういうことを、特にマテリアルの方に優位性があるというようなデータが出ていると私は拝聴しておりますし、また、そういったデータを手元にいただいてもおります。

 我が国では、二〇〇〇年を循環型元年と位置づけて、循環型社会形成推進基本法を二〇〇〇年六月二月に公布、優先順位を発生抑制それから再生利用、熱回収、適正処分と位置づけておられますね。

 これは我が国の循環型社会形成に向けての基本的な考え方でありますし、再生利用をする事業者を育成して循環ビジネスとしても発展させていかなければならない。特にプラスチックについては、現在検討会等でマテリアルリサイクル優先の見直しなどが議論されているように伺っておりますが、循環型社会形成推進基本法の基本方針に基づいて引き続き優先させていくべきだという意見もありますが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

由田政府参考人 先生御指摘のとおり、循環型社会推進基本法では、リデュース、リユース、リサイクル、特にリサイクルのためのマテリアルリサイクルの方が優先されるということであります。その次にサーマルリサイクル、適正処分ということになっております。

 実は、材料リサイクル、ケミカルリサイクルを含めてマテリアルリサイクルという範疇に入っておるものでありまして、同じマテリアルリサイクルの中で何を優先するかということにつきまして、大変難しい状況にあるわけであります。

 実は、当初、プラスチックのリサイクル技術というものが、最初容器包装リサイクル法が施行されました当時、なかなか技術が世の中で多くなかったという時代がございます。その中で、いわゆるマテリアルリサイクル、材料リサイクルを何とか我が国で技術開発させていきたいということで、材料リサイクルの優先という原則をとったわけであります。これに対応しまして、急速にマテリアルリサイクルの業者の方が伸びてきたという、かなり急激なものがございます。

 一方、ケミカルリサイクルの方もかなり大型のものが出てきておりまして、こちらの方がコストも安くつくというふうなこともありまして、どのような優先原則をやっていくのかということになるわけですが、いずれにいたしましても、マテリアルリサイクル、少し高目の水準で、高いレベルのことをやっていくことが望ましいのではないか、このような立場から検討をさせていただいております。

 特に、ドイツのお話が出ましたが、ドイツにおきましては、いわゆるマテリアルリサイクルを事業者として優先しているということでありますし、この中でも、PP、PEなどのところを優先的にやるようなところを少し考慮しているというお話も伺っております。

 我が国でも、このあたりに関しましても、さきの容器包装リサイクル法の見直しのときの中央環境審議会におきましても、PP、PE等の単一素材の形状により容易に判別できるもので構成された容器包装とすることの実行可能性につきまして検討するということになっておりますので、来年度の予算要求におきまして、プラスチック製容器包装リサイクルの高度化推進調査ということで現在も予算要求をいたしておるところでございます。

 今後も、より質の高いリサイクルに向けまして、プラスチック製容器包装のリサイクルの高度化について実態調査を進めるなど、さらに検討を進めていく所存でございます。

木挽委員 そうはいっても、ケミカル優位とマテリアル優位と、外国、日本と、ドイツと日本と、余りにも違うというような現状について、そのロジックは、私もよくよく、まだまだ探求しておりませんので、また後日そういったところについては教えていただきたい、この場においては控えさせていただきたいと思うんです。

 ただ、今、ずっとお話もお伺いしておりまして、より高度なものをつくっていかなきゃいけない、特に技術革新だとか、それから市況にも配慮して見直しを図っていくことが私もあるべき姿だとは思います。

 とはいえ、当初、運用方法に問題があるというのは、冒頭にも申し上げましたが、やはりその考えは変わりませんでして、例えば容器包装リサイクル法によるプラスチックを再生処理することができる企業は、材料リサイクルでは九十八社、それから油化が二社でしたか、それとガス化が五社、それで高炉還元とコークス炉が三社となっております。

 確かに材料リサイクルが非常にふえていることは歓迎すべき点ではあると思いますが、落札したのが、市場の約半数が高炉還元とコークス炉の二社になっておる。これは実際、新日鉄とJFEですか、ほとんどを占めておられますが、ここに逆に私は違和感を覚えるんです。

 特に中小企業が多いとされています材料リサイクルがありますが、事業者数が増加しているという理由で、過去にも入札価格の上限を材料リサイクルに特化してといいますか、比重を置いて与えられております。指定法人であります財団法人容器包装リサイクル協会を通じて、平成十七年十二月十二日に発表され、これも翌平成十八年の一月二十四日に入札が実行されております。本来拡大するはずの材料リサイクルのシェアがやはり抑えられている、そういう感を私は強く抱いております。

 そこで、今年度も審議会の取りまとめが平成十九年の六月二十八日に行われて、材料マテリアル優先のための基準が財団法人容器包装リサイクル協会を通じて平成十九年七月十八日に発表されて、平成十九年七月末ごろ、先ほども申しましたがサンプルを提出、そして、同協会が材料リサイクルの施設に品質検査のための立入検査を行い、満たしていない事業者の優先権をなくすことを伝え伺っております。さらに、新規参入事業者についても、平成二十年の四月以降、サンプル採取して、基準以下であれば優先契約取り消しとなるなど、やはりこれは非常に乱暴と言わざるを得ないんじゃないかと私は感じております。

 特に中小企業、いや、大企業にとってもそうですね、いきなり優先権がなくなったり、大幅に減ったりするということは、当初の事業計画から大きく乖離します。出資している企業は減損処理しなければならなくなる、これは企業経営には大きな打撃を与えます。中小企業に至っては、場合によっては倒産することも十分あり得る。これは循環ビジネスの育成から大きく逆行する動きではないかと私は思っております。

 ただ、いろいろと御説明を伺っておりますその政策の中身についても、理解をするところもあるんですが、やはり、政策を変更する際には、これまでも他の法律でもそのような運用をしてきたかと思います。容器包装リサイクル法では、指定法人が一方的に登録事業者に出すだけであって、運用に問題がある。やむを得ず変える場合は、一年あるいは二年程度の猶予期間を設けて政策を運用すべきだと思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

由田政府参考人 御指摘のとおり、今般の品質基準は質の向上を目指したものでありまして、実際の運用に当たります日本容器包装リサイクル協会におきましては、基準を満たすか否かのより確実な品質調査を確保し、事業者の対応可能性や事業者間の公平性等を考慮して、品質基準を満たすか否かの確認を行っているものと承知をいたしております。

 この七月、八月にサンプル調査を自己申告としてやっておりますし、十月にはサンプルの品質調査結果が従来と大きく異なるなどの事業者に対しての抜き打ちの立入調査もやっているところであります。

 それから、新規事業者の点でありますが、新規事業者の場合には、事業をやる場合にサンプルというものはございませんので、最初に確認するすべが基本的にはございません。したがいまして、初年度は試行的にやっていただこうということで、一定の枠をつくりまして実施していただく、その結果、基準に合っているかどうかということを調べさせていただく、このような立場をとっております。それで、合格すれば次は同じように参入していただく、こういう立場でございます。

 いずれにしましても、円滑な運用が確保されることが重要であるというふうに考えておりまして、質の向上を目指した品質基準につきまして理解に努めてまいりたいというふうに思っております。

木挽委員 質の向上、高技術というような話が先ほどから何回か聞かれましたが、ドイツばかり出して申しわけないんですが、ドイツでは、容器包装プラスチックから自動車部品などの製造をしていると聞いております。

 日本では、高付加価値リサイクルに向けて、そうした技術、そうした事業者への支援などは現在実施されているんでしょうか。

由田政府参考人 ドイツにおきましては、複数年の契約を認める入札を行っていることや、それから高付加価値マテリアルリサイクルが進捗していることは承知をいたしております。

 我が国におきましては、マテリアルリサイクルにおきまして、材料別処理や高品質のプラスチック製品への用途拡大は大きく進展している状況にはございませんので、より質の高いリサイクルのために、先般の中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合の取りまとめにおきましても、一定の品質基準を満たす場合に限り、引き続きマテリアルリサイクル手法を優先的に扱うというふうにいたしたところであります。

 先ほども申し上げましたように、この法改正に関連しました中央環境審議会などでの審議におきましても、PP、PEなどの単一素材の形状によりまして容易に判別できるようなもので構成された容器包装とすることの実現可能性について検討をするということにいたしておりまして、来年度の予算要求におきまして、素材に応じました適切な分別排出、素材ごとのきめ細かい分別収集、残渣の有効利用、リサイクル製品の市場拡大のための調査につきまして、現在、予算要求をいたしておるところであります。

 繰り返しになりますが、今後とも質の高いリサイクルに向けまして、プラスチック製容器包装のリサイクルの高度化につきまして、実態調査を進めるなど、さらに検討を進めていく所存であります。

木挽委員 支援についてはさまざまな方法が考えられると思うんですけれども、ドイツでは、DSDのように、処理能力の半分ずつを三カ年にわたって入札する、あるいは事業者の育成の観点から政策誘導するということも重要であるという動きがあるというふうに伺っております。こんな形での育成により、マテリアルリサイクルの技術革新が行われて、単体の自動選別により高付加価値リサイクルが一般化している。ぜひとも、我が国においても単体選別化などの施策を誘導してみてはいかがかと私は考えております。

 それで、先ほどから運用の話をずっとさせていただいておるんですが、例えば、書類が不備だからもうあしたから認めないというようなことだけはぜひともやめていただきたいと考えておりますし、もう一つ言うなら、こういった交渉の中で、事業者と環境省、あるいはそれぞれの関係機関の話し合いの中で、こうした設備投資をした、政策に従って事業の先行きを見越して設備投資をしたわけですけれども、これはやはりかなりの金額がかかるわけですから、産廃利用したらいいじゃないか、産廃処理の方に回したらいいじゃないか、転用したらいいじゃないかということも聞かれるんですが、もともと、高付加価値のものを想像して投入した処理施設でございます。設備投資でございますから、転用するといっても、それで利益が出るわけでもない。ましてや、産廃ならトン当たり三万円ほどですかね、現状。容器リサイクル法にかんがみて設置した設備投資ですと、トン当たりの処理費用を計算しても、大体七万円ぐらいで考えるわけで、産廃転用といっても、とてもコスト競争に勝てるような状況でないということもあります。

 ぜひとも、そうした政策にのっとって参入してきた、あるいは事業を展開してきた企業に対して配慮した運用あるいは対応を心がけていただきたいと私の方から要望させていただきたいと思います。

 続いて、私は事業をずっと経営してきた人間でございますので、どうしても事業者側に立ったような意見が続くかもわかりませんが、よく東南アジア、中国、そういったところにも、ものづくりの企業を経営しておりましたので伺うことが多うございます。

 先般、レアメタル外交という形で甘利大臣がアフリカの方に行かれました。現状、レアメタル外交というものにおいては、我が国は中国だとかその他の諸国に比べますとやはり劣っているというふうに受けとめざるを得ない状況にあると私は思っておりますが、そんな中にあって、バーゼル条約の運用におけるレアメタルスクラップの輸入について少しばかり質問をしたいと思います。

 これは、環境省並びに経産省、それぞれにわたる問題でもありますので、両者からお話を伺いたいと考えております。

 当然、我が国では、希少金属でありますレアメタルの需要量は世界で最も多い部類に属している、これはだれしも御存じの話でありますが、昨今のレアメタルの高騰によって、資源外交はもとより、スクラップからレアメタルを取り出すために、レアメタル含有スクラップの輸入を積極的に行っていかなければならないというふうになっています。

 このような背景の中、我が国の商社や精錬企業などは積極的にレアメタルスクラップを輸入するニーズはあるようではありますが、バーゼル条約の手続により、相手国との交渉も含めて現在半年ほどかかる。例によっては、昨年の九月に始めて、やっとおりたのがことしの九月というような話も伺っておりますが、欧米の商社や中国企業と比べて不利になっております。レアメタルの確保に出おくれてしまっているというのが現状です。

 これまで環境省においても検討してきていると思いますが、我が国が積極的にレアメタル資源を輸入できるように、バーゼル条約の運用改善を積極的に行って、経済産業省と環境省の両省にまたがる手続を他国のように一本化し、手続時間を短くするような取り組みを実施する、そして我が国の資源戦略を強化してはどうかと思います。先般からそうした取り組みが危機感を持ってなされているとは伺っておりますが、遅々として、現状はやはりまだまだ厳しい状況があると伺っております。

 この辺の進捗状況、そしてこれからの取り組みについて、経済産業省並びに環境省、それぞれの担当部課よりお話を聞かせていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、いわゆるレアメタル、希少金属というものは、産業分野のあらゆるところで必要な部材になっているところでございまして、これにつきましては、まさに鉱石から輸入をするというだけではなくて、既に一度使われたものをリサイクルという形で活用していくということが大変大きな課題になっていると承知しております。

 そういう観点でございますが、御指摘のバーゼル条約についてでございます。若干詳しくなりますが、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律、バーゼル法と申しておるわけでございますけれども、こうした特定有害廃棄物等の輸入に当たりましては、経済産業大臣が外国為替及び外国貿易法に基づき輸入の承認を行うということになっております。そして、環境大臣が汚染防止の観点から必要と認めるときは、経済産業大臣の承認に際し、事前に経済産業大臣に説明を求め、意見を述べることができるという構造になっております。

 レアメタルの重要性は当然でございますけれども、同時に、国内における環境保全という観点も大変重要であり、こうした制度になっているというふうに思っております。

 ただ、手続についての迅速化ということは当然の御要請でございまして、これにつきまして一点御理解いただきたいのは、この手続というのは、国内における手続だけではなくて、海外にいらっしゃる輸出国あるいは輸出企業とのやりとりということも絡んでいるということが一つの要因になっております。

 その中でも、輸出国から日本国の方に、環境省さんの方に、これは輸出してもいいよねということについてのプロセス、それから日本における輸入される方と経産省とのプロセスにつきましては、環境省、経産省で緊密に連絡をとり合って、こういう同意が出るだろうからすぐ対応できるように輸入サイドの手続も進めてほしいという形で緊密な連携を図っているところでございます。

 同時に、我が省におきましても、環境省におきましても、省内における手続の迅速化ということを不断に努力しているところでございます。

 今後、当省といたしましても、環境省と協力をして、特定有害廃棄物等の輸入承認に係る手続の迅速化に努めてまいりたいと考えております。

由田政府参考人 御指摘のとおり、環境保全上適切であることを前提に、我が国が有する高度な技術を用いて、諸外国においてリサイクルが困難な重金属やレアメタルを含む廃棄物をリサイクルすることは、環境的にも経済的にも有意義なものであるというふうに考えております。

 実際に相当件数の輸入実績がありまして、昨年度で見ますと、百二十七件、四千三百十四トンございます。主な輸入品目としてはニカド電池スクラップ、電子部品スクラップ、亜鉛スラッジ、基板くず、銀スラッジ、金属スクラップなどでありまして、主な相手国は中国、タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどであります。

 このようなものに対しまして、今申し上げましたような意義があると考えておる方針につきましては、本年六月に閣議決定されました二十一世紀環境立国戦略におきましても推進すべきものとされておるところであります。

 輸入に関するバーゼル条約の手続につきましては、先ほど経済産業省の方からも説明がありましたように、バーゼル法それから外国為替及び外国貿易法のそれぞれの手続が必要でありますが、両省で協力しまして手続の迅速化に向けて取り組んでいるところであります。

 具体的には、国内手続につきましては、迅速に行われるよう経済産業省との情報共有等を進めるとともに、相手国との間では、担当者間の情報交換による連携強化や情報収集を通じまして、手続の円滑化に取り組んでいるところであります。

 今後とも、迅速化についてさらに取り組んでまいりたいというふうに考えております。

木挽委員 現地に行きますと、そうした基板などを生産している工場の横に倉庫がありまして、そこにたくさんそうした宝の山が眠っているわけなんですね。あれを見ると、本当にもったいないという気持ちになります。

 いろいろとお話を伺っている中で、特に省庁の担当部課の方々とお話をさせていただきました。大体、対策を両省またがってやり出して、動き出してから平均で日数が七十四日ぐらいかかっているというような回答もいただいております。その中で気になりましたのは、書面でのやりとりという話があったんですよ。

 フィリピンなんかだと当然一カ月ぐらいかかるというのは私もよくわかるんですけれども、目を移してみますと、EUなんかでは、これは電子取引、電子署名なんかで全部やられているわけですね。あと、判こでぽんと押していくような、共通化、標準化がされているということなんですが、せめて、日本もリーダーシップをとって、東アジアで標準化して、さらに、バーゼル条約のもとではありますけれども、手続の短縮化、あるいはもっとスムーズに移行するというようなものを考えていただけないかなと思います。

 それと、先ほど経済産業省の方からも伺いましたけれども、そうした標準化を進めるに当たって、東アジア、中国などを含めまして、他国との連携で特に支障があるというような点があれば、またちょっとお聞かせいただければと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 行政手続のまさにIT化、電子化を進めていくということは、これは政府全体の方針でございますので、そうした大きな流れの中で、本手続についても、どういうことができるのか検討してまいりたいというふうに思っております。

 それから、本バーゼル法に限らず、やはりこうしたリサイクルあるいは廃棄物処理ということは地域内で行っていく必要があると思います。そうした観点から、いろいろアジアにおける枠組みというのが形成されつつありますけれども、その中で日本としてしっかりしたリーダーシップをとって対応してまいりたいと考えております。

由田政府参考人 バーゼル条約の手続では、相手国において円滑にバーゼル条約が運用されることが手続時間の短縮を図る上で有効だというふうに考えております。

 このため、我が国は、アジア各国からの参加を得まして、我が国のリーダーシップをもちまして、有害廃棄物の不法輸出入防止に関するアジアネットワークを主宰いたしまして、バーゼル条約の円滑な運用に向けた情報交換等を推進しているところであります。

 既に三回を開催いたしておりまして、二〇〇四年、二〇〇五年と東京で開催をいたしたところでありますし、本年は三月に、バーゼル条約の地域事務所と一緒に中国の環境保護総局と環境省とが後援をいたしまして、北京で開いたところであります。

 本年も年明けに開催をする予定で準備をいたしているところでありますが、具体的には、各国の担当官を集めましたワークショップを開催しまして、各国の輸出入管理の基準等の情報収集や不適正輸出入の事例の情報交換などの取り組みを行っております。

 今の御指摘も踏まえまして、今後ともこれらの活動を一層強化しまして、相手国でのバーゼル条約の円滑な運用を促進するよう、できる限りの支援の取り組みに努めてまいりたいと思っております。

木挽委員 ありがとうございました。

 ぜひとも、産業のビタミンとも言われておりますレアメタル外交をスムーズに運用できますように、これからも皆さんの積極的な活動を願っております。

 何といっても、日本が世界をリードするためには、環境というものが大きなキーワードになってきます。リーダーシップをとる上でも、これから世界の中でも、政府も環境というものをキーに掲げております。皆さんの動き、そして私たちも積極的にこれから応援することを誓って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。

 本日は、先ほど大臣から御報告ございました日中韓三カ国環境大臣会合につきまして質疑と、そしてまた環境と経済の両立につきまして、さらには再生可能エネルギーの促進につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、きょうは時間変更をお願いいたしました。御配慮いただきました諸先輩の皆様に感謝をさせていただきたいと思っております。

 まず、今回、第九回日中韓三カ国環境大臣会合、TEMMを終わられまして、先ほど大臣より多大な成果につきまして御報告をちょうだいいたしました。大臣、本当にお疲れさまでございました。

 また、この成果、課題につきましても報告があったわけでございますが、私も、先般佐賀県に伺いましたときに、佐賀県はやはり光化学スモッグが多い、また黄砂も昔よりずっと多い。私も北九州出身でございますので、こうした黄砂の実感につきましては、小学校のころからずっと持っている一人でございます。そういう意味でも、国民の皆様も今後の取り組みを注目されております。

 こういうことにつきまして、大臣の今回の会合につきましての御感想及び今後の決意を伺いたいと思います。

 また、重ねまして、福田総理は、日米同盟を強化しつつ、積極的アジア外交ということを所信表明でも明確に打ち出しておられます。

 当然、地域連携から見ましても、例えばアフリカといえばEUが長い歴史の上から責任を持っているというのもありますし、南アメリカはアメリカとかEUが責任を持っております。長い歴史を踏まえたそうした支援する主体があるわけですが、日本はどうしましてもやはりアジアを重視して、アジア諸国とともに発展をし、またアジアの課題も日本がリーダーシップをとって解決をしていくべきと考えております。

 こうしたアジアの中におきまして、先進国と言えます日中韓の重要性があるわけでございますが、この重要性を踏まえまして、環境問題において今後果たすべき役割につきまして、大臣の御認識をお伺いさせていただきます。

鴨下国務大臣 先生おっしゃるように、昨日まで富山で開催されました日中韓三カ国環境大臣会合、TEMMといいますが、それにおいて、韓国の環境部の李長官及び中国国家環境保護総局の李副局長と、初めての会合でありましたけれども、大変忌憚のない意見交換ができまして、信頼関係を醸成できたというふうに確信をしております。

 また、初めて地方都市で開催する、こういうようなことでありましたので、富山県も、北東アジア環境パートナーシップとやま宣言を採択なさったわけでありまして、それに基づきまして、北東アジア地域の地方自治体間の協力形成など、国、地方それぞれが連携しまして、北東アジアの環境保全を進展させる、こういうような機運が非常に高まったということでございます。

 またさらに、今先生おっしゃるように、ASEAN諸国を含む東アジア地域において、先月福田総理が出席されました東アジア・サミットでも、気候変動、エネルギー及び環境に関するシンガポール宣言がまとめられたわけでありますが、それを受けまして、TEMMでは、日中韓が中心となって、このシンガポール宣言のフォローアップなど東アジア地域の環境問題に取り組んでいく、こういうようなことが合意をされました。

 また加えまして、黄砂の問題、今おっしゃっていましたけれども、黄砂あるいは光化学オキシダント、こういうような問題に関しての協力事業、あるいはシンガポール宣言に盛り込まれた東アジアにおけるコベネフィットアプローチにつきまして取り組もう、こういうようなことになりました。

 ある意味で、第九回で富山という地方都市でさせていただいた、初めての試みでございますけれども、この三カ国の協議が確実に成果が上がっている、こういうようなことを認識して帰ってまいりました。

高木(美)委員 ありがとうございました。大変重要なステップを着実に踏まれているということに心強い思いがいたします。

 TEMMにおきまして検討されました課題につきましては、恐らく今大臣が列挙された問題、東アジアに共通の課題であると思っております。既に、TEMMプロジェクトとかまた環境教育ネットワーク、そうしたことにつきましても情報交換を開始するなど、そうした環境意識の啓発のための意見交換もなされた、これも大変意義深いと思っております。

 例えば、その中におきまして、東アジア酸性雨モニタリングネットワークが確立をされているとも聞いております。酸性雨とか黄砂また水環境など、多様な問題がこの東アジアにはございます。

 現在はこうしたことをテーマごとに扱っているという状況でございますが、私は、将来的には、実態調査であるとかまた研究であるとかそのための対応策であるとか、当然各国とも取り組んでいる内容もあるかと思いますけれども、そうしたことを総合しながら、細かいジャンル別の縦割りではなくて、やはり、緊急の場合にはこうしたレベルでぱっと集まれるとか、また大臣級の会合を軸にしながらステップを重ねていくとか、その上に総合的な何かしら東アジアのネットワークを推進する仕組みづくりが必要なのではないかと思っております。

 今、東アジアといいますと、先ほども経済とまたこうした環境の課題についてもお話がありましたけれども、やはり、緊急課題であります環境・エネルギー、こういう分野に特化いたしまして、例えば東アジア環境開発ネットワークとか、また東アジア開発機構というような、何かしらこういう地域連携を目指すシステムを考えていくべきではないかと思っております。この答弁をお願いいたします。

南川政府参考人 お答えいたします。

 まず、東アジア地域の環境問題、ネットワーク化が徐々に進んできております。先ほど申し上げました三カ国大臣会合、TEMM、もう九回目になりました。したがいまして、かなり議論が成熟してまいりまして、例えば、黄砂問題については事実上モンゴルも含めた四カ国で共同研究をしようとか、それから、酸性雨につきましては東アジア十三カ国全体でのモニタリングネットワークをさらに充実していこう、そういったことなども話し合われ合意されたところでございます。

 また、御指摘のとおり、東アジア全体の問題でございますけれども、今お話し申し上げたものに加えまして、アジア全体の廃棄物のスリーRの研究・情報ネットワークをつくろうとか、あるいは環境分野での東アジアの大学院間のネットワークをつくろう、そういったことも先般の福田総理が出席された東アジア・サミットで合意をされたところでございます。

 また、その中で、高木先生御指摘のとおり、シンガポール宣言が出まして、そして環境問題、エネルギー問題をしっかり環境大臣が中心になって話し合おうということで、東アジア環境大臣会合というものをつくるんだということも決まったわけでございます。

 したがいまして、従来から個々に対応しておりました実務レベルの議論がどんどん発展しまして、大臣あるいは場合によれば首脳というレベルで東アジア地域の多様な環境問題に連携して当たっていく、そういった体制ができつつございますし、ぜひそのように努力をしていきたいと考えております。

高木(美)委員 今、経済の上ではもう事実上の生産拠点ネットワークができ上がっていると認識をしております。ベトナムで物をつくって、そして違う部品はオーストラリアでつくって、タイで組み立てるとか、そうしたシステムができ上がっておりまして、それを踏まえて東アジア共同体という実態上のものができ上がっている。またそこを、今回シンガポール宣言でも総理がおっしゃっていらっしゃいましたが、日・ASEAN経済連携協定、ちょっと名称は申しわけありません、不備でございますが、そうしたところに向けまして大きく踏み出している。今回はこうした環境大臣の会合を積み重ねながらというお話でございました。

 やはり、この東アジアにおきましてイニシアチブをとる、日本があくまでもリードをしていく、こういう観点から考えますと、どういうところを目指して、そして仕組みをつくっていくのか、これは大変重要なポイントであると思います。

 今、南川局長から、推進をしていくという力強い答弁をいただきました。重ねまして恐縮でございますが、大臣におかれましては、政治家として、また大臣というお立場、両面からで結構でございますが、大臣の御決意を伺わせていただきたいと思います。

鴨下国務大臣 今局長の方から答弁をさせましたが、この日中韓の連携というのはまことに重要だろうというふうに、今回のTEMMでもお互いにそういう認識を共有できたと思っております。

 特に、これは日本海を中心にそれぞれが、海も、そして黄砂、あるいは光化学オキシダント、こういうような問題については、ある意味で大気も、すべて共通の問題でありますので、そういう中で、先生おっしゃるように個別の、例えば黄砂の問題、光化学オキシダントの問題、それから海洋の漂流物の問題、こういうような問題についてそれぞれのレベル、例えば閣僚級あるいは事務レベル、それぞれの部分でお互いに連携しよう、特に、加えて行政同士の連携ももっと深めようじゃないかということで、例えばそれぞれの職員の交流だとか、こういうようなことまで踏み込んで議論をさせていただきました。

 先生おっしゃるように、この地域における環境問題、これはもう三カ国で連携をするということが不可欠でございますので、ぜひそういう方向で我々もさらに深めてまいりたい、こういうふうに考えております。

高木(美)委員 ぜひそのネットワークを東アジアに大きく広げていただきまして、リーダーシップの上でお願いをしたいと思います。やはり、これは宣言をしたところがリーダーシップをとることができる、こういう政治的な面もあるかと思いますので、ぜひ強いリーダーシップを期待するものでございます。

 先ほど大臣の御報告にもありましたコベネフィットアプローチ、アジアは、先ほど申し上げましたように、実に多様でございます。先進国もあれば、途上国、そして最貧国もある、また、インド、中国のような新興国も抱えている。そういう中で、経済成長とともに深刻な環境問題に直面している、そういう国々もございます。

 途上国、最貧国での環境問題に対応するためにも、またポスト京都議定書の参加を呼びかけるためにも、これらの途上国、最貧国の国々にコベネフィットアプローチが大変重要である、こういう御認識であると思っております。

 総理も、また大臣も、かねてより、ポスト京都議定書は全員参加が望ましいと何度も答弁されていることを伺っております。このコベネフィットアプローチの重要性につきまして、大臣の御認識を伺いたいと思います。

鴨下国務大臣 先生から、コベネフィットアプローチについて注目をしていただいて、本当にありがたいというふうに思います。

 特に、途上国における優先課題というのは、経済発展を実現することがある意味で第一の眼目であるわけでありますけれども、近年、中国あるいはインドなどの新興国においては、我々が数十年前に経験したような開発に伴って生じるさまざまな公害問題、こういうようなことが深刻化しているわけでありまして、経済発展と環境保護の両立が喫緊の課題になっていることは事実でございます。

 その一方で、私たちは、バリでもそうですが、すべての国が参加をしていただく次期枠組みについても日本はリーダーシップをとりたい、こういうふうに考えているわけでありますけれども、この温暖化対策ということと、新興国の経済発展あるいは公害問題、こういうようなものをさまざまな部分で結びつけて、そして取り組むためには、公害問題に対応することと同時に、気候変動対策も進められる、このいわば一石二鳥のアプローチ、これをコベネフィットアプローチというふうに言っているわけでありますけれども、途上国において、さまざまな気候変動についての問題を、いわば世界の中に参画してもらうというようなことにおいては、足元の公害問題とともにそれをやるということが極めて重要な視点だろうと思っておりまして、そういうようなことから、我々は、途上国あるいは新興国に、コベネフィットアプローチというものがございます、こういうことを申し上げてきたわけであります。

 なお、コベネフィットアプローチや、それに協力していく重要性につきましては、これは折々に日本は申し上げているんですが、本年九月のAPECの首脳宣言や十一月の東アジア・サミットのシンガポール宣言にも盛り込まれたということで、国際的にも認識が高まっているところでありまして、こういうアプローチで、世界の途上国あるいは新興国の皆さんにも、ぜひ地球温暖化にもこういうような形から参画していただきたい、こういうふうに申し上げているわけであります。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 ともすれば、ただいま大臣から答弁がございました気候変動対策、先進国が勝手にCO2を大量に排出して今の地球温暖化をもたらしたのではないか、途上国は犠牲者であるというような、こういう論が多く見受けられるわけでございますが、今大臣のお話がございましたとおり、コベネフィットアプローチは大変重要である、このように私も認識をさせていただいております。

 また、重ねまして、このコベネフィットアプローチにつきまして、具体的な取り組みを環境省としてどのようにお考えか、具体的な内容につきましてお示しをいただきたいと思います。

南川政府参考人 コベネアプローチでございますけれども、例えば、大気汚染で申しますと、燃焼の改善によって硫黄酸化物などを減らすということによってCO2の排出が減るわけでございます。また、水でございますと、河川のヘドロなどを掃除することによって水質改善しますけれども、それによってメタンが大幅に減るということもできます。それから、廃棄物につきましても、生ごみの埋め立ての改善などによりましてメタンが減るということで、公害対策をねらってやるわけですけれども、その際の手法に注意すれば十分温暖化対策としても意味があるということでございます。

 これにつきまして、私ども十二月一日付で、中国とは、鴨下大臣と中国の周大臣の間で協力の合意文書を結んだところでございます。

 その文書の中で、協力の実施体制、これは具体的には、北京にございます日中友好環境センターを事務局に使うとかいうことも決めました。また、今後の進め方あるいは実施期間などを決めておりますけれども、私ども、早急に具体的なモデル事業の候補地というものの選定を急ぎたいということで、中国との間で準備を開始したところでございます。

 また、これは中国のみならず、例えばインドネシアにつきましても、ぜひ具体的な協力を行いたいということで、これから働きかけをしてまいる所存でございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 続きまして、環境と経済の両立につきましてお伺いをいたします。

 この点につきましては、今、COP13におきまして大きなポイントとなっていると認識しております。昨日も、国連の潘基文事務総長が、新聞寄稿ですが、「バリ会議を超えて 新しい緑の経済を」、このようなテーマの論評を寄せていらっしゃいます。

 中身的には、我が政府におかれましても既に経済と環境の両立についてということで進めていらしたわけでございますが、この潘基文総長の原稿の中でも、「温暖化に正しく対処できれば、各国指導者が恐れるように成長や発展を損なう事態にはならず、むしろ促進し、環境に優しい経済システムへと変化させていく第一歩となる可能性がある。」むしろ、「世界のビジネスマンは、」「気候変動についての明確な政策を求めている。」と、さまざまなデータを挙げられての論評でございます。「バリで、そしてバリ後において、私たちの仕事は「緑の経済」と「緑の開発」の時代への扉を開き、世界の転換を方向付けることにある。」「科学者は仕事をした。今は政治家が役目を果たす時だ。」という、大変強烈な私どもに対しましてのメッセージであるわけでございますが、我が国におきましても、さらにこの環境と経済の両立、むしろ表裏一体、どちらが表でどちらが裏というのではなく進める段階に入ったと認識しております。

 東アジアにおきましても、総理が、さまざま外交等を含めた上でございますが、東アジアに安定と成長が根づくようにという文言もございました。

 日本がリーダーシップをとりまして、気候変動を初めとする環境問題の解決に取り組むことが重要と考えておりますが、重ねて大臣のお考えを伺わせていただきます。

鴨下国務大臣 潘基文国連事務総長の寄稿につきましては、これは、温暖化対策を行うことが成長や発展を損なうのではなくて、むしろ促進して、環境に優しい経済システムをつくるべき、こういうようなことの主張でありまして、COP13が行われているこの時期にこういう寄稿をしていただくということは、私たちにとっては極めてありがたいことであります。

 日本においても、ことしの六月に閣議決定しました二十一世紀環境立国戦略においても、日本が有する高い環境・エネルギー技術、あるいは公害を克服した経験、知恵を経済発展の原動力としていく、こういうような考え方で方針が決定されたわけでありまして、まさに同じ方向を向いているなというふうに思うわけであります。

 経済発展に伴う公害と温室ガスの排出増大、こういうようなことを両方抱えているアジアにおいても、このような社会経済システムを構築していくことがある意味で持続可能な発展につながっていくんだ、こういうようなことでありますので、先ほど先生からもコベネフィットアプローチについて御指摘をいただきましたが、足元の問題を克服していくと同時に、潘基文国連事務総長がおっしゃっているように、最終的には、環境に取り組むということは次のいわば経済を促進していくばねになるんだ、こういうような認識は我々共有して、これからCOP13に向けてもそういう姿勢で取り組みたい、こういうふうに考えているところであります。

高木(美)委員 まさしく、環境問題を進めることは経済のばねとしてもまたさらにステップを高めることになる、全くそのとおりと認識をしております。

 そこで、昨今の原油高騰の問題でございますが、これもまた化石燃料の商品におきまして多大な影響をもたらしております。国民生活等への影響は深刻なものがあります。

 日本は、第一次、第二次オイルショックで省エネ技術が大変大きく進展をいたしました。そのおかげで、第三次ともいうべき今回でございますが、随分クッションの役割を果たしてくれたと思っております。しかしながら、その高騰ぶりといいますのは想像をはるかに超え、また、OPEC産油国等が、増産しない、据え置きである、これを発表した今日におきましては、これから年末に向けてどこまで高騰するかわからない、こういう事態もございます。

 私は、今このときに、もう一段、地球温暖化対策に資する再生可能エネルギーに転換するときではないか、その強いメッセージを出していくときではないか、このように認識をしております。

 新エネルギーの導入目標等も経産省ではございますけれども、大きく進んでいるかといいますと、目標達成も危ぶまれているという状況も伺っております。例えば、京都議定書の目標達成のためにも、また、これは次期枠組みに向けての内容になるかもしれませんが、再生可能エネルギー促進の十年とか、何かしらもう一段強いメッセージを発することが必要なのではないか。

 当然、経産省とも協議されることも必要かと思いますが、ぜひともこうしたことにつきまして大臣のもとで進めていただければと考えますが、お考えを伺わせていただきます。

鴨下国務大臣 先生おっしゃるように、今まさに、原油が高騰してレギュラーガソリンが一リッター百五十円を超える、こういうような事態になっているわけでありまして、それは一般の経済にとっては大変大きな問題でありますけれども、他方、環境というようなことで考えると、こういう時期に、エネルギー効率を上げ、なおかつ再生可能エネルギーのより積極的な導入、こういうようなことのいわば一つのきっかけにもなるということでもあるんだろうというふうに思っております。

 再生可能エネルギーの導入につきましては、京都議定書目標達成計画においては、二〇一〇年度までに、原油換算で千九百十万キロリットルの削減を行う、こういうことに向けまして今全力で取り組んでいるところでありますが、現状のペースでは、二〇一〇年に約千五百万キロリットルの導入が見込まれる、こういうようなことが試算されておりまして、なかなか厳しい状況であることは間違いないわけであります。

 このため、第一約束期間終了までの今後数年間で目標を達成する、こういうことのために、今般の原油高騰対策を緊急に進める上でも、本格的な再生可能エネルギーの導入拡大、こういうようなことは不可欠な問題だろうというふうに思っております。

 したがいまして、再生可能エネルギーの一層の普及拡大に向けまして、新たな技術開発、設備整備、こういうようなものに対する支援あるいは税制改正要望ということも今行っているところでありますけれども、先生が今御指摘いただきましたように、もう一度作戦を組み直せ、こういうようなことでございますので、御指摘を受けまして、今の状況、特に原油高騰という状況を受けまして、さらに我々は何ができるのかということをもう一度しっかりと見直してまいりたいというふうに思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、ピンチをチャンスに変える積極的なお取り組みを心よりお願いいたします。

 最後に、農水省に伺わせていただきます。

 再生可能エネルギーの中におきましても、特に、バイオマス利用の原料といたしまして林地残材がほとんど利用されていない、こういう現状を伺っております。この利用促進のための課題と解決の道筋につきまして、最後で恐縮でございますが、御答弁をお願いいたします。

島田政府参考人 木質資源のバイオマスとしての利活用につきましては、化石燃料への依存を減らしまして、地球温暖化防止に寄与するとともに、地域の活性化ですとか雇用の場の確保にも役立つものというふうにして考えているところでございます。

 しかしながら、木質バイオマスのうち林地残材につきましては、収集運搬コストが高いためにほとんど利用されておらず、いかにこのコストの縮減を図るかということが課題となっていると考えております。

 このため、これまでも、路網の整備と高性能林業機械の導入の促進を図るとともに、素材生産現場で発生した枝ですとか小さな丸太といったようなものをその現場で粉砕して活用できるようにする移動式のチッパーの試作などの技術開発に取り組んできたところでございます。

 平成十九年度からは、さらに、傾斜地が多いなどの森林の条件に対応した低コスト、効率的なバイオマス収集運搬システム、またそれに必要な収集運搬機の開発等にも取り組んでいるところでございます。

 今後とも、関係府省の皆様方とも連携を図りながら、川上から川下まで一体となった取り組みによりまして木質バイオマスの利用を積極的に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 木質バイオマスをバイオエタノール製造新技術、そこまで開発できますまで、またぜひともお願いをしたいと思います。

 以上をもちまして終了させていただきます。ありがとうございました。

小島委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 鴨下大臣、新大臣御就任おめでとうございます。

 実は、私は、昨年から、今回が四回目になるんですけれども、この環境委員会におきまして時間をいただいて、毎年四十万匹の犬や猫の殺処分が行われている、何とかこの殺処分を減らせないか、半減したい、できればゼロにしたいという思いを持って何回か質問をさせていただいているんです。

 まず、新大臣とは初めての議論なんですけれども、きょう資料を二つ配らせていただきました。このカラー刷りの方の第一ページ、二ページを、大臣、ごらんいただきたいと思います。

 これは、全国の自治体に収容された犬や猫がガス室に送られまして、こういう形で毎年四十万匹殺処分されている、ちょっと衝撃的な写真ですけれども、こういう現状が今全国で起こっております。

 一枚めくっていただけると、これは、ことしの七月、茨城県のセンターを私が視察をしてきたときの写真でございます。

 これもやはりこういう形で、下の写真は、現場の方が、いきなり殺すのはかわいそうだということで、一度睡眠薬を飲ませて眠った状態でこれからガス室に入るという直前の写真であります。

 そういう問題点をまず共有させていただいて、質問に入らせていただきたいと思うんです。

 実は、昨年からの私の質問におきまして、資料の十五をごらんください、犬に対して、狂犬病予防法という法律、動物愛護法という法律、これは環境省さんが所管でございます、この二つの法律が犬にかかっておりました。

 狂犬病予防法という法律は、昔からある法律で、日本も以前は狂犬病が危ないという状況の中でできた法律なんですけれども、注射を打ったという証明の鑑札及び首輪をつけていないでその辺をうろうろとしている犬は全部捕まえてきて、二日間公示をした後に、三日目に処分。昨年の質問で、その処分は殺すことだけではないという御答弁をいただいて、全国に通知を出していただきました。三日目からは、動物愛護法の中に入れて、譲渡をしたり、できるだけ生存の機会を与えるように。

 片や、動物愛護法におきましては、全く意味合いが逆でございまして、自治体は犬、猫を引き取らなければいけないという条文が実はあります。その条文に基づいて、犬や猫を持ち込んだ人が終生飼養を放棄した場合、飼養に適した犬に関してはできるだけ生存の機会を与えるように努めることというのが動物愛護法の精神でございます。

 ですから、ある意味では、以前は、狂犬病予防法の理念と動物愛護法の理念と、逆の理念だったんですね。片や、捕まえてきて殺す、処分する法律。片や、譲渡の機会を与えたりしてできるだけ生存の機会を与えるように。それを実は、昨年からの質問で、きちっとチャート図で線引きをしていただきました。それがこの資料十五です。

 ですから、狂犬病予防法のもとにおいて捕まえてきた犬でも、二日間公示をしたら、三日目からはちゃんと飼える飼い主を見つけて、飼養に適した犬であるということが判断できれば、三日目からは、譲渡先を見つけたりインターネットで公示したり、もらい手を探して生存の機会を与えるようにというような整理を実はしていただきました。

 ただ、こういうふうに整理をしていただくのは大変ありがたいことなんですけれども、実際に行政の現場では、今まで三日目に殺していた自治体が、少し長い間生存をさせよう、また、譲渡の機会を与えるように、もらい手を探したりする時間をしようということになりますと、今の施設では足りない。また、預かる期間のえさ代がかかる。飼養に適した犬と判断されたものは、もしそこでワクチンを打たなければいけない、処置をしなければいけないものに関しては、その費用がかかるというのが現実なんです。

 ですから、各自治体の皆さんも、それはだれもが、かわいい犬や猫を殺したくはありません。ただ、費用がかかるから今の運用を変えることができませんというような状況が全国で起こっているということが今の大前提であります。

 そこで、大臣、御質問させていただきたいんですが、まず、この動愛法の四章三十五条の六、資料の第一ページにつけてございます。この犬、猫の引き取りに対して、「国は、」「予算の範囲内において、政令で定めるところにより、第一項の引取りに関し、費用の一部を補助することができる。」こういう条文がきちんと動物愛護法の中にございます。

 そして、その下に政令もつけてございます。政令の第二条、「収容施設、殺処分施設又は焼却施設の設置に要する費用の額のうち、環境大臣が定める基準に基づいて算定した額の二分の一以内の額について」国庫補助ができる、こういうふうに法律、政令で定めてあります。

 そこで、大臣にお伺いをしたいんですけれども、まず、この国庫補助に対して予算を要求されたか、そして今後される予定はあるかということをお答えいただきたいと思います。

鴨下国務大臣 先生おっしゃるように、動物愛護管理法において、国は、予算の範囲内において、犬、猫の引き取りに関し、費用の一部を補助することができる、こういうようなことになっているわけでありまして、かつては、犬、猫の収容施設等の整備を対象にしまして、これは昭和五十年から五十九年までの十年間、三十自治体で毎年度四千万から八千万を補助していたわけであります。

 ただ、昨今の厳しい財政事情の中で、行財政改革の一環、こういうようなことで整理合理化の対象になってしまいまして、昭和五十九年度限りで打ち切られてしまったわけであります。

 この国庫補助の再開等につきましては、当該事務が都道府県等の行う自治事務であるということが一つ、それから、政府として地方分権を今推進している立場であるということ、あるいは、財政事情は決してそのときから好転しているということではないということ、こういうようなことで、現在のところは、極めて厳しい状況だということを申し上げざるを得ないわけであります。

 先生のおっしゃっている問題意識については私もまことに共有をさせていただきたいと思いますが、財政というようなことにおいては、今はなかなか厳しいというようなことでございます。

松野(頼)委員 ちょうどことし、若林環境大臣の時代に私も質問させていただいて、大臣も、何とか今年度交付税の対象にならないかということで折衝をしていただいております。私も総務省とお話をさせていただいて、一般交付税の中で、犬、猫、動物愛護にかかわる施設及びその運営費という形で交付税の対象になるというようなことが今見込まれております。

 そうすると、今度は国庫補助の部分で、何とか国庫が補助できないだろうか。やる気のある自治体が、今まで殺処分数が物すごく多く心を痛めていた自治体が、今この動物愛護の機運が大変盛り上がっております中で、方針転換をして、何とか預かり期間を長くしよう、もらい手、譲渡先を探そう、または動物愛護協議会の中で、ボランティア、愛護団体の皆さんと提携をして何とか一匹でももらい手を探そうというふうにやる気を持って変えた場合に、やはり国庫補助がつくことによって大きな呼び水になってくるのではないかというふうに思うんです。大した金額ではありません、正直言って。人間が住むような建物を建てるわけではありません。

 そして、諸外国では、シェルターという形で、例えば、アメリカに行くと、犬を飼おうと思った方、もちろん物すごい大金持ちの人とかは別ですけれども、一般の人が犬を飼おうと思ったらば、そういう捨てられた犬たちを保護しているシェルターにまずもらいに行って、そこで五十ドルとか六十ドルとか安い価格で引き取って、そして家族同様に過ごすというような文化が実は根づいているんです。

 日本は大変これがおくれていまして、殺処分率は九割を超えているという状況でありますので、ぜひここの施設の改善及び意識の改善というものを、動愛法を所管する環境大臣みずから持っていただきたい、このように思っております。

 では、もう一つ伺いますけれども、この「環境大臣が定める基準に基づいて算定した額」、この基準は算定されましたでしょうか。

鴨下国務大臣 そういう意味では、かつては算定をすることはありましたが、現在のところは、そういうようなことはしておりません。

松野(頼)委員 いや、大臣、これは法律違反じゃないですか、定めていないならば。法律から落とし込んだ政令に「環境大臣が定める基準に基づいて」と書いてあるわけですから、これはやはり厳粛に守っていただかなくてはいけないのではないでしょうか。

 もう一回御答弁ください。

鴨下国務大臣 一番最初に申し上げましたけれども、これは、例えば補助をするということを前提に算定をするわけでございますので、補助というようなことの前提が残念ながら打ち切られている、こういうような現状においては、算定をするということが今のところはできないわけでございます。

松野(頼)委員 そういう法律の読み方ではないと思うんですけれども。法律にちゃんと、国庫補助をすることができる、それは環境大臣の定める基準に基づいて国庫補助をすることができると書いてあるわけです。その基準がないというのは、明らかにこれは法律、政省令違反をしているというふうに言わざるを得ないんですが、もう一度御答弁いただけますか。

鴨下国務大臣 補助を前提に算定をするというようなことでございますので、法律的な根拠という意味においては、この前提が整っていない、こういうような解釈でございます。

松野(頼)委員 先ほど自治事務と大臣おっしゃいましたけれども、法律にちゃんと載っているわけです。国庫補助をすることができる、その補助は、環境大臣が定める基準に基づいて算定した額の二分の一以内の額について行うものであるときちんと法律及び法律施行令に書いてあるわけですから、この基準がないというのは少し行政的な怠慢じゃないんでしょうか。

 そしてまた、動愛法を所管する大臣として、いや、財政が厳しいから。財務省が言うならわかりますよ、財務省が言うなら。環境大臣がそれをおっしゃったらば、前に進まないんじゃないですか。

 去年、基本指針というのを大臣がお定めになられて、殺処分半減を目指すということも、これは省としての合意事項として、きちっと法律に基づいた基本指針でお示しになっているわけです。そして、現実に、各自治体が財政的に厳しい、なかなか今の現状では、殺処分半減に向けて、やりたいけれども、それだけのお金がないという自治体が多々出ているわけです。

 にもかかわらず、環境大臣の御答弁として、財政が厳しいから、とても国庫補助に向けてできる環境ではない、また、法律に書いてある基準も、国庫補助が前提だから基準は定めていないという御答弁は、ちょっとこれは大臣、おかしいんではないかと思うんですが、もう一回御答弁いただけますでしょうか。

鴨下国務大臣 前提のことについては先ほど申し上げたとおりでありますけれども、先生の意図していることについては、私も全く共感をしているところであります。

 ですから、この今の状況の中でどういう方途があるのかということについては、もう一度検討もさせていただくし、加えてその半減に向けて何かさらにあらゆる方法を探る、こういうようなことについては、先生の今の御意見を受けとめまして、しっかりと検討をさせていただきたいと思います。

松野(頼)委員 では、算定はいつからやめたんですか。以前は基準があったと思うんですね、五十九年以前は。この基準をやめたのはいつからですか。

鴨下国務大臣 これは、かつては総理府の時代の基準でありまして、現在の環境省にはそういう基準はないわけでありますから、その辺のところを、またどういうような形で何ができるのかということについては、先生の御指摘を受けてまた検討させていただきたいと思います。

松野(頼)委員 ぜひ、来年度に向けて、来年度はもう締め切っていますから、再来年度に向けて、私たちもしっかり財務省と折衝したいというふうに思っておりますので、折衝したけれどもだめでしたという答弁ならわかるんです。ただ、折衝する前から、いや、それは財政が厳しいから無理なんですよというお答えは、財務大臣じゃないわけですから、ぜひ、動愛法を所管する大臣としては、来年度、この折衝に向けて頑張っていただきたい。一言、その決意を伺いたいと思います。

鴨下国務大臣 私自身は、松野先生がお考えになっている殺処分のことについては全く同じ問題意識を持っております。現に東京の方の愛護センターを見てまいりまして、そして、本当にかわいそうな、殺処分を受けるような犬、あるいは猫が多数でありましたけれども、そういうことができるだけないようにするために動物愛護法を所管する大臣として何ができるのか、こういうようなことについては全く心を痛めているわけでありますので、今お話しになったように、今後の話としては何らかの形で財務省とも折衝をさせていただく、こういうことについて早速検討に入らせていただきます。

松野(頼)委員 ぜひよろしくお願いをいたします。私も、立場は違えど全力で応援をさせていただきたいというふうに思っております。

 大臣、なぜ私がそんなことを言うかというと、二枚めくって、こういう施設の写真がございます。施設の写真が二枚つけてあります。

 要は、こういう状況の自治体が多々あるんですよ。とても譲渡を目的とした建物ではないというふうに思っておりますし、また、動物愛護法の中ではきちっと、こっちの資料の四をごらんください、例えば、動物の占有者に対しては、その種類、習性等に応じて適正に飼養し、保管をすること。

 また、飼養及び保管に関する基準というのでは、この真ん中、共通基準というところで、自治体も含む。その下の方に、設置に当たっては適切な日当たり、通風等の確保を図り、施設内における適切な温度や湿度の維持、適切な飼養環境を確保するとともに、衛生状況に配慮する。

 また、その下にも書いてあります。犬、猫の引き取り、収容に関する措置では、健康及び安全の保持を図る観点から、構造等が適正な施設及びその方法によって保管をすること。

 これだけの基準がちゃんと定めてあるにもかかわらず、現実にはこういう施設が多々ある。とてもこれは殺処分を半減するために譲渡をするような目的の施設にはどう見ても見えないんです。これを改善しなければ殺処分数は減らないというふうに思っておりますので、それでお金のことを申し上げているわけです。

 ぜひこういう劣悪施設を改善したいと自治体が思っていても、今非常にお金がない。多分これは狂犬病予防法に基づいた抑留施設という位置づけなんでしょうけれども、これはあくまで昔の狂犬病予防法を運用している状態の中で、二日間公示をして、三日目に殺す目的のためにつくられた施設なんです。

 ですから、新たに、アメリカでは先ほど申し上げたようにシェルター、そこまで行かずとも、まず第一歩、譲渡を目的とした動物愛護法に基づく保護施設をぜひ設置していただきたい。そのために国庫補助金の要求をしていただきたいし、できれば交付税の対象にもしていただきたい。こういうことを訴えさせていただいているわけであります。ぜひ、前向きに考えていただければありがたいと思います。

 次に行きたいと思います。

 資料の十ページをごらんください。犬、猫の引き取り、所有者が持ち込む等々の引き取りがあった場合に、犬、猫の引き取り措置の中では、緊急避難として位置づけられたものであり、要は自治体が犬、猫を引き取らなければならないという条文の解釈です。

 犬、猫の引き取り及び負傷動物の収容に関する措置、ここでは、緊急避難として位置づけられたものであり、今後の終生飼養、みだりな繁殖の防止等の所有者または占有者の責任の徹底につれて減少していくべきものであるとの観点に立って引き取りを行うものであるというふうな条文、措置をちゃんと動物愛護法で示しているんです。

 それで、この引き取り、実際にこれはどこかの自治体の引き取りの用紙なんですけれども、要は、全く、やむを得ない措置であるとか、終生飼養の責任が書いていない。繁殖に関しても、何ら飼い主の責任は確認をしていないどころか、身分証明書の提示もない。ひどいところでは、名前も聞けないというような自治体があるんです。

 やはりきちっとこれは様式を定めていただいて、ここにも書いてあるんですけれども、新しい飼い主が見つからないからといって子犬を七頭、二枚目の資料十一では、子犬は余り育てられないので、子犬を六頭引き取っております。

 ですから、きちっと飼い主の義務というもの、そして、これはあくまで緊急避難的な措置なんだ、何度も来られるようだったらばそれは対処できませんよ等々のきちっとしたフォーマットを国でつくって、各自治体に示す必要があるんではないかというふうに思うんですが、大臣、その辺いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 今のこの先生の資料十、十一で、飼養をきちんとできないというようなことの中に、ある意味で飼い主側のいろいろな大きな問題があるんだろう、こういうふうに思うわけでありまして、特に、何度も動物の引き取りを求める方々の中には、動物愛護の精神に沿わない、こういうような人も中にはいるんだろうというふうに思います。

 そういうようなことについて、ある意味で、これはフォーマットを整えるということだけで果たして解決できるのかというようなこともございますけれども、今お話しになったように、ある程度きちんと責任を持てる書式に整えるということは重要なことでもあるわけであります。

 これは、自治体においては、いわゆるリピーター対策というようなこととして、犬、猫の引き取りの有料化とか、引き取り依頼者の本人確認の徹底、あるいは適正飼養の指導書等による指導、こういうようなことを実際にやっているところはあるわけでありまして、環境省としても、飼養保管基準において、こういうようなことの中には、不妊、去勢、そういうようなことを含めて普及啓発をしているということであります。

 ただ、先進的な取り組みをしている自治体もあるわけであります。ですから、それを全国的に普遍化するためのいろいろな方法については、環境省としても努力をしたいと思います。

松野(頼)委員 今大臣おっしゃったように、本当に自治体のやる気で随分違っております。たまたま私の地元の熊本市では、譲渡率七五%、殺処分率は八%。その差はどうしても飼養に適さない犬ということですけれども、全国的に言うと譲渡率八%ぐらいなんですね。ですから、本当に自治体のやる気で変わるんですけれども、ただ、国があくまできちっとした動物愛護法に基づいた指針というものを示してあげないと、やる気のある自治体が出てきても、なかなかこれが基準がないとやりづらいということでありますので、大臣、ぜひ基準を定めていただきたいと思います。

 そしてもう一点、この資料十一の紙を見てください。

 子犬に関しては、五月一日に出していただいた通知によって、九十日以内の子犬に関しては狂犬病というリスクがないわけです、狂犬病予防法に基づいても。ですから、二日間公示をした後に、三日目に殺してはいけないわけですね。譲渡の可能性を必ず探らなければいけないということなんです。この判こを見るとちょっと驚くんですが、七日に預かって九日に安楽死と書いてあるんです。

 それともう一点、この写真の方の資料をごらんください。

 これは、私がことし七月、茨城県の動物指導センターに視察に行ったときの写真ですけれども、これも明らかに子犬なんです。それで、もらい手を見つけようとした形跡もない。そして、こうやって睡眠薬で眠らせて、ガス室に送っていく。

 環境省なり厚生労働省の皆さんが全国に通知を送っていただいて、九十日以内の子犬に関しては狂犬病のリスクはないので狂犬病予防法の対象ではない、だからきちっと、できるだけ飼養に適する犬に関しては生存の機会を与えるようにという通知をせっかく送っていただいているんですが、その通知の徹底がまだまだ全国で図られておりません。ですから、ぜひもう一度そこのところの徹底をしていただきたいというふうに思うんですが、大臣、御答弁ください。

鴨下国務大臣 特に子犬に関しては、今そこの写真にあるように、ある意味できちんとした引き取り手がいれば本当に元気にいられる、こういうような犬だろうというふうに思います。

 これは私ごとですけれども、うちにもシェルターから預かったミックス犬が庭を駆けずり回っていますけれども、そういう意味でいうと、そういう譲渡の可能性がある犬については、あっという間に殺処分するというようなことは、これは本当に我々控えないといけないことの第一だというふうに思っております。

 これは環境省としても、先生御指摘いただいた後なのかもわかりませんが、犬、猫の引き取り数の半減や、それから殺処分の減少を全国の目標に定めているところでありまして、全国の自治体や関係自治体と連携をしまして、これは終生飼養の普及啓発の徹底、あるいはマイクロチップ等の個体識別措置の推進、それから犬、猫の譲渡の推進、こういうようなことを総合的に進めていきたいというふうに思っておりまして、ぜひ、子犬に関して言えば、特にそういうような観点をしっかり持ちたいというふうに思います。

松野(頼)委員 今大臣おっしゃっていただいて、環境省でもこういうすばらしいパンフレットをつくられて、ただ、いかんせん数が少ない。終生飼養の徹底等を努力され始めてきているという状況ですけれども、数が少ないのと同時に、要は、資金的に余りにも乏しいんですね。ですから、さっきの国庫補助にしても、交付税措置にしても、大臣にお願いをしているのは、余りにも資金的に乏しいというふうに思っております。

 岩國筆頭理事がさっき私に耳打ちをしてくれました。出雲市長さんの時代に、自分は、こういう犬を一度引き取って、自分が名前をつけて、もらいたい人に上げたり、新聞広告に個人名で出して、上げたりしていた。市長さんがくれるとその犬を大事にしてくれるんじゃないか。物すごく、自治体の首長さんの判断でばらつきがございます。

 ぜひ、法律を所管する大臣、環境省として、全国にこのばらつきがなくなって、改善されるような努力を最後にお願い申し上げまして、きょう、この場でお時間をいただいた各党の理事の方に感謝を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 先ほどの質疑応答を拝見し、大臣も同じようにシェルターからミックスを引き取って飼っていらっしゃるというお話を聞き、私も実は同じように家で、滋賀県の愛護センターからいただいてきた、抽せんに勝ち抜いていただいてきた犬を飼っております。そういう意味では大変共感を覚え、命あるものに対するその姿勢というものを大変高く評価し、聞かせていただいたところであります。小さな命でも一つの命、その命を守り抜いていく、そんな崇高な精神のもとに環境行政を引っ張っていかれるよう、心から念じてやみません。

 そんな中で、きょうはアスベスト救済の状況についてお伺いをしていきたいと思っております。

 小池大臣のときでした、すき間のない補償、救済を目指していくと大変力強くアスベスト救済対策に取り組んでいかれたわけでありましたけれども、御承知のように、ついせんだって、三日でしたか、毎日新聞の記事で、石綿の事業所名については全く黒塗りで、情報開示されなかった、すべての労働基準監督署から、事業所名が黒塗りになっていたというふうなニュースが、大臣もまた皆さんもごらんになられたと思います。

 今回、各都道府県の労働局から厚生労働省に対して、今回の情報開示請求の取り扱いについて事前に照会があったのかどうか、もしくは、厚生労働省から、あってはならないと思いますけれども、各都道府県の労働局に対して、事業所名を開示しないように事前に指示があったのか、このあたり、実際どうだったのか、担当である厚労省の方、きょう来ていただいておりますので、お答えいただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の石綿による労災認定事業所名に関する開示請求につきましては、複数の労働局から本省に対して照会がなされたところから、労働局に対して助言を行っております。これは、情報公開法の規定に基づいて、不開示情報に該当するか否か、そういう観点から助言を行ったということでございます。

田島(一)委員 その助言の中身なんですけれども、開示をするなということはやはり指示がされたわけですね。事業所名は情報公開法に照らし合わせて開示するなというふうに厚労省からおっしゃったわけですね。回りくどくなく、はっきり言ってください。

石井政府参考人 情報公開法の第五条に不開示情報についていろいろ規定がございますが、これに該当するか否かという観点から助言を行いました。

田島(一)委員 二〇〇五年の夏、それこそクボタ・ショックのときは、厚生労働省、速やかに事業所名も全部開示をされました。ところが、今回も含めて、それ以降は事業所名を非公開というふうにしてきて、一体何の利益を守ろうとされているのか。

 どこの事業所でいわゆる発病者があったのか、このことを公開することによって、近隣の住民であるとか元従業員、そういった方々が健康被害で苦しんでいるわけですけれども、身の回りにアスベストの被害が、事前にわかっていればこれ以上被害に遭わなくても済んだというような声もやはり上がっていますし、より速やかに救済も受けられたであろうというような嘆きの声も大変上がっております。

 こういう事態を考えていくと、企業名を公表することによって、そうした周辺住民であるとか元従業員の利益が守られると私は考えるんですけれども、非公開にすることによって何の利益を守ろうとされているのか、お答えください。

石井政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、いわゆる情報公開法の第五条各号で、不開示情報のいずれかが記録されている場合を除き、文書を開示しなければならないとされているところでございます。

 でありまして、私ども、いろいろ検討したわけでございますが、認定事業所名を不開示といたしましたのは、当該情報が同法第五条第一号に規定する「個人に関する情報」に該当することによるものでございまして、当該個人の権利利益の保護を図るための取り扱いということでございます。これは、個人識別性のある情報は不開示情報に該当するということでございまして、そのように考えたものでございます。

田島(一)委員 情報公開法のいわゆる個人の情報、権利利益を守るというような理由で非公開とされた、今そんな御答弁をいただいたわけですが、十二月四日の参議院の厚生労働委員会で、我が党の足立委員の方から大臣に対して、事業所名を早く公開するべきじゃないかというような質問をしたところ、大臣は、早急に調べてできるだけ早くこれは公開したいというふうにお答えになっていらっしゃいますね。もう既にその指示は出ているのか、一体いつごろまでにこの結論をお出しになる予定なのか、検討の状況等々も含めて、ぜひお答えいただきたいんです。

 続いての答弁の中では、何とか来年の春くらいまでには公表したいというふうにおっしゃっておりますけれども、そんなに時間がかかるものなのか、私は非常に疑問に思います。具体的な時期、やはりできる限り早めていかないと、今でも苦しんでいらっしゃる方がいる、その事実は御理解をいただいていると思いますので、具体的な時期をお示しいただけますか。

石井政府参考人 端的に申し上げます。

 大臣から公表についての指示がございまして、既にそういうことで私ども作業をいたしているところでございます。

 ただ、平成十七年度以降、石綿の関係の認定件数が大変急増いたしております。労災認定件数等が相当な数に上っていることがございまして、公表するとなりますと、間違ってはいけませんので、これにつきまして情報の確認、精査を個々に実施しなければならないということがございます。そういうことで公表まで一定の期間を要するということでございます。

 現在、大臣が御指示されましたとおり、来年の春の公表に向け、とにかくそこには何とか間に合わせたいということで努力をいたしているところでございまして、公表対象事業所の精査、そして、前回公表いたしました内容に石綿暴露作業状況あるいは石綿の取り扱い状況等についても記載をいたしております。これらの正確な情報を公表するための調査方法も含めまして、とにかくできる限り早く公表するための検討を行っているところでございます。

田島(一)委員 御承知のように、今回の情報公開等で明らかになった点、これまで認定者が多いとされていた業種だけではなく、製紙、印刷、それから家具製造や金融機関にまで被害の状況が及んでいるということが明らかになってまいりました。

 こうなってきますと、本当に、まさか自分は関係ないだろうと思っていた方々までもが該当のおそれがあるわけでありますから、今おっしゃってくださいました、精査に時間を要するという事実を決して否定する気はありませんけれども、それでも、やはり苦しんでいらっしゃる方がいるということをきちっと理解していただきたい。そして、被害に遭われた皆さん、また、遭っているかもしれないが御存じない皆さんの利益を優先するということをぜひ肝に銘じていただきたい、そのことを強く要望しておきたいと思います。

 さて、環境省の方にお尋ねをしたいんですが、今回の石綿関係の疾患の認定率が非常に低い問題であります。

 これまでも私、この委員会でも何度か取り上げてきたところでありますけれども、中皮腫はもちろん、肺がんも非常に低い認定率になっております。アスベストが原因である中皮腫、これは医学関係者では常識のように知られているわけでありますけれども、政府の方も、中皮腫はすべて認定するというふうにこれまでもお答えになっていらっしゃいました。肺がんについても、それこそ専門家の間では中皮腫の約二倍程度の人が発症するというような見解も出てきているわけでありますけれども、なかなか認定率は上がってこない。

 すき間のない救済と言いながら、現状、どうしてこの認定率の低さにあるのか、この点についての認識が今どのように環境省の中では変わってきているのか、また検討されてきているのか、そのあたりの詳しいことをぜひお聞かせいただきたいと思うんですが、検討状況について、ぜひお答えをいただきたいと思います。

石塚政府参考人 救済制度における認定率の御質問でございます。

 認定または不認定の決定がなされました方のうちで認定された方の割合というものにつきまして、平成十九年十月末現在においての数でございますが、中皮腫では約九四%、肺がんの方では約五二%という認定率になっております。不認定とされた事例につきましては、指定疾病である石綿による中皮腫、肺がんと医学的に認められないということが主な理由となっているところでございます。

 中皮腫に比べまして肺がんの方では認定率が低いというのは、数字の上でも事実でございます。その理由といたしましては、御案内のように、中皮腫に比べまして、中皮腫の場合には石綿との特異な関係にある、疾病特異性が高いというのが中皮腫でございますが、一方、肺がんの方では、喫煙を初めとしまして石綿以外にも発症原因が多く存在するという疾患でございます。そのため、どうしても認定率が低くなるという傾向にあるものと私どもは考えております。

 なお、救済制度におきましては、幅広い救済のために、少しでも石綿による健康被害という可能性がある場合には、できるだけ広く申請していただくということを広報しております。

 そういった背景もございまして、やはり認定率というものは低くなってしまうんじゃないかというように考えているところでございますが、一方では、臨床医の肺がんに対する認識、石綿が原因の肺がんの認識というものを高めていただくため、これまでの症例の分析等の情報、どういう場合に石綿に由来する肺がんであるかを疑うべきかといったような情報についても、できる限り、臨床医に対し情報を提供していきたい、また啓発を進めていきたいと考えているところでございます。

田島(一)委員 非常に発見が難しいということも、専門の方々からも随分聞いております。しかし、発見が難しいということで、やはり医師の知見、それから認識によって、この認定がされるかされないかという大きな分かれ道にもなりますので、その点についての情報を、できる限り速やかに、そしてまた漏れなくお伝えをいただきたい。

 そのためにも、先ほど申し上げたように、どこの事業所で起こっているのか、暴露した人が出てきたのかというような情報開示というのはやはり非常に大事だと私は思うんですね。漠然とした地域や業種だけを伝えるのではなく、ひょっとしたらその近隣の方にも暴露しているおそれがあるかもしれない、まさか自分はアスベストなど取り扱ったことがないんだけれども、ようやく、その情報公開をされることによって自分とアスベストとの因果関係が結びつく、そういうケースもやはりあるわけですから、厚生労働省にも、先ほど申し上げた、その辺もすべてかかわってくる。ましてや、近隣の医師に対してもその認識を深めるきっかけにもなると私は思いますので、ぜひ、その点を深く御理解いただいて、情報開示に努めていただきたいとも思っております。

 さて、順序がちょっと前後して大変申しわけないんですけれども、この被害の実態把握の必要性について、もう一度厚生労働省の方にお尋ねをしたいと思っております。

 この石綿被害の被害者の数、これが非常に不明なまま、実態が明らかになってきていないという問題、私ども、やはり大きな問題だというふうに思っております。

 発病した方の数、そして亡くなられた方の数、一体幾らぐらいいらっしゃるのか。そして、今後想定される被害者の見込み、中皮腫だけではなく、その他の石綿関連疾病全体の内訳をぜひ明らかにしていただきたいんですが、お願いいたします。

石井政府参考人 お答え申します。

 平成十八年度におけます石綿による肺がんに係る労災支給決定件数は七百九十件でございまして、中皮腫に係る労災支給決定件数は千六件ということでございます。そのほか石綿救済法の関係がございまして、この施行日であります平成十八年三月二十七日以降、平成十九年三月三十一日までの間における石綿救済法に基づく特別遺族給付金に係る肺がんの支給決定件数は二百七十二件、中皮腫は五百六十九件、石綿肺は四十一件でございます。

 今後の状況でございますが、我が国の石綿の輸入実績、これは一九七〇年から九〇年がピークでございましたこと、そして、その石綿による疾病の潜伏期間、これが非常に長うございまして三十年から四十年と言われていること、そして、近年、中皮腫による死亡者数が増加をしているということから見ますと、少なくとも当面は、石綿による健康被害を受けた方の数は増加をしていくものというふうに考えております。

田島(一)委員 中皮腫で一体何人亡くなられたのか、これは今、人口動態統計から推測するしかありませんよね。私の手元の資料で、二〇〇六年ですと、中皮腫で亡くなられた方が千五十人いらっしゃる。この数字、多分間違いないと思うんですけれども。

 例えば、この中皮腫で亡くなられた千五十人のうち、一体何人の方が労災補償で救済されたのか、また一方、石綿新法で救済されたのか、明らかにしていただきたいと私は思うんです。石綿新法についてはこの二〇〇六年の三月二十九日からということになりますけれども、労災制度についての救済実績、これはことしだけではなく、去年もおととしも明らかになっていないんですけれども、これはお示しいただけませんか。

石井政府参考人 まず、人口動態調査の数字の推移、過去三年ほど申し上げたいと存じます。

 平成十六年が九百五十三人の方が中皮腫でお亡くなりになられまして、十七年が九百十一名、十八年が千五十名、先ほど先生がおっしゃられたとおりでございます。

 私ども、労災認定で、中皮腫の関係の労災補償状況という形でしか数字が把握できませんで、これは年次的にどうしてもずれが生ずるものでございますけれども、中皮腫として労災補償を行った方の人数が、十六年は百二十八件、十七年が五百三件、十八年が千六件。このところ非常に伸びているという状況でございます。(田島(一)委員「石綿新法による救済は」と呼ぶ)石綿救済法につきましては、中皮腫、先ほどお答え申し上げたと思ったのですが、失礼いたしました、これは十八年しかございませんで、五百六十九件でございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 もう一つ、続いてぜひお聞かせいただきたいんですけれども、このアスベストによる健康被害についての労災保険、そして石綿新法での申請者、それと、認定された方、これの数は明らかになっているわけですが、現在、この認定された方のうち、何人生存していらっしゃるのか、何人亡くなっていらっしゃるのか、これは掌握されていらっしゃいますか。できれば、その亡くなられた方の死因は何だったのか、その分類も教えていただきたいんですが。今ここでわかりますか。

石井政府参考人 そのような数字が手元にございませんので、ちょっと、きょうのところはお許しいただきたいと存じます。

田島(一)委員 済みません。後日でも結構です。一度これは数字を示していただけますか。全体の傾向をぜひ把握したいと思いますので、資料提出をぜひお願いしたいと思います。

石井政府参考人 努力はしたいと思いますが、今確認をしたところ、どうも、死因については把握をしておりませんので、なかなかそのような数字をお示しすることが難しいようでございます。

田島(一)委員 やはりこれは死因を突きとめていかないと、原因究明等々にも大変大きな影響を私は及ぼすと思います。難しいと今おっしゃいましたけれども、ぜひこちらの方は明らかにする努力を重ねてください。お願いをします。

 あと、私、問題に感じておりますのは、アスベストの健康被害対策ということで、二〇〇五年以来、政府で関係閣僚会合を開催して、その対策を検討されてきたわけですが、残念なことに、二〇〇六年九月、第六回の会合を最後に、このアスベスト問題に関する関係閣僚会合は開催されてはおりません。関係省庁ということで、総務省と環境省だけが相互に連携していればいいというふうにお考えなのかもしれませんが、それこそ来年度の概算要求であるとかいろいろな課題を突き合わせていかないと、この省庁の連携というものは深まらないというふうに私は思っております。

 この関係閣僚会合、今後どのようにとらえていらっしゃるのか、やはり環境省がリーダーシップをとるべきだというふうに私は思うんですけれども、大臣、このアスベストの閣僚会合の再開についてお考えがあるのかどうか、ぜひお聞かせください。

鴨下国務大臣 先生御指摘のように、平成十七年六月のいわゆるクボタ・ショック、こういうようなことが発生した後には、政府において関係閣僚会合を集中的に行われているわけであります。同年の十二月にはアスベスト問題に係る総合対策を取りまとめ、その後に本総合対策に基づき関係省庁が対策を講じておりまして、その進捗状況については関係省庁の会議の場において情報共有が行われているところであります。

 アスベスト対策については、今御指摘いただきましたように、いろいろと問題があるんだろうというふうに思いますが、これについては内閣官房を初めとして関係各省と緊密な連携をとることが必要でありまして、この関係閣僚会合についてもその都度必要に応じて招集される、こういうようなことなんだろうというふうに思っております。

田島(一)委員 その都度必要に応じてといいながら、一年以上開かれていない。これは、必要ないというふうに認識されていると言われても仕方がないと思います。

 もう来年度のアスベストに関する概算要求等々、出てきているはずなんですけれども、その辺を閣僚間できちっと共有し合っていく、そのことがこのアスベストの被害に対する政府の姿勢だというふうに思います。誤解をされないように、ぜひ、そのあたりのことも踏まえていただいて、対応していただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。

 時間が迫ってまいりましたので、あと、生物多様性についてお尋ねをしていきたいと思います。

 御承知のように、ことし三月のG8環境大臣会合、そして六月のハイリゲンダム・サミット、ここでは、地球温暖化対策と肩を並べるようにして生物多様性問題が大きな柱として取り上げられてまいりました。世界的に見ても、生物多様性の保全の重要性に対する認識は非常に深まってきているわけでありますし、前回の質問に対しても、大臣もその前向きな姿勢をお答えいただいたところでもありました。

 ところが、今回、自民党の方から有害鳥獣被害防止特別措置法なるものが法案として提出をされてきたところであります。農林水産業に対する鳥獣被害の深刻さは、私たちも非常に重く受けとめておりますし、これまでこの環境委員会の中でも、鳥獣保護法の改正案の審議の中で十分にその問題も指摘をしてまいりました。しかしながら、今回、与党が提出をされてきたこの特措法の中身には、この生物多様性の保全といったような認識は残念ながら読み取ることはできませんでした。

 もちろん、今、修正協議等々で議論を重ねている経過ではありますけれども、大臣として、この生物多様性の保全の重要性、もうこれまで聞いておりますが、今回のこの鳥獣被害対策について、特措法をつくらないと本当にだめだったのかどうか。私は、ある意味、鳥獣保護法で十分に、その徹底をしていけば対応ができたのではないかというふうに考えるんですけれども、大臣として、この特措法の受けとめをどのようにされているのか、お聞かせいただけますか。

鴨下国務大臣 もう時間がないですからストレートにお答えいたしますけれども、この問題については私がいろいろな評価を加えるというようなことではないんだろうと思います。

 ただ、先生おっしゃるように、我々は生物多様性について推進していく、こういうようなことについては環境省が所管するわけでありますから、ぜひそういう観点に立って有害鳥獣に対しての対応をしていただきたい、こういうようなことだけ申し上げておきます。

田島(一)委員 ついせんだって閣議決定もされた第三次の生物多様性国家戦略、こちらの中でも、農村の鳥獣被害を予防する対策の強化等々が盛り込まれて、それが認められたところであります。法案の中身が、鳥獣駆除に力を入れ過ぎる余り、この第三次国家戦略と大きなそごを来すようでは、私は、これはまた省庁間のわけのわからない対立のような構造が頭の中に浮かんできてしまいます。

 鳥獣保護法が、しっかりと法にのっとって被害対策等々がやられていたら本当に問題がなかったなというふうにも改めて思うわけでありますが、私たちは、実はこの修正案の中に、人材を育成することがやはり重要なかぎだというふうに申し上げております。

 鳥獣被害の実態、それから野生生物の生態等々の専門家を養成していく、そういう認識を環境省の方も持っていただきたいなというふうに思うんですが、残念ながら、環境省の中で、今、例えば国家公務員の採用試験の状況を見ますと、環境省の1種の自然系技官についての採用の試験区分については、農学3という試験区分の中で合格をする必要があるわけであります。

 野生生物というのは、もうごく小さな範疇でしかないというふうにお考えになられるかもしれませんけれども、実は、かつて日本獣医畜産大学という名称の大学が日本獣医生命科学大学というふうに名称を変えて、ことしの秋から野生動物教育の研究機構なるものを文科省の支援を受けてスタートしています。非常に多岐にわたるこの野生生物をめぐった諸課題に、専門職をぜひ育成していこうというような、こういう取り組みが大学レベルで、研究機関でもなされており、将来的には、野生動物管理士であるとか野生動物対策専門技官というような、社会的に通用する人材を育成していこうというふうな取り組みを私自身は高く評価しているわけでありますが、こうした大学等々で研究をされた方が今、環境省のいわゆるトップマネジメントの分野に採用される枠があるのかどうか、これを考えてみますと、この農学3という分類の中では、試験科目等々で非常に厳しいのではないかというふうに私は想像をするわけであります。

 きょう、ちょっと人事院の方からもお越しいただいたんですけれども、この試験科目の中身については柔軟に対応することができるのかどうか、関係省庁からのそういった要請等々を受けて柔軟に対応することができるようになっているのかどうか、その辺、ちょっと事実関係を教えていただけますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 現在も、生物学や自然環境の分野の専門性を有する方につきましては、1種試験の理工の4という区分、生物学を含みます理工の4という区分、あるいは、先生おっしゃった農学の3という区分から採用することが可能となっておりまして、出題分野につきましてもその点を考慮したものとなっているところでございます。

 採用区分のあり方とか出題分野につきましては、採用府省のニーズも踏まえながら、先生おっしゃったような学問分野の動向等も含めて、大学関係者や関係各方面の御意見も聞きながら、今後とも人事院としても適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。

田島(一)委員 農学という範疇と環境学という範疇、やはり違うんですけれども、やはりこのあたりはずっと古いまま踏襲されているんですね。

 例えば、今申し上げた鳥獣保護法を担当していらっしゃる課はどこなのか、担当はどこなのかというと、自然環境局のもとにある鳥獣保護業務室というところが担当しているんですが、環境省の中でも、鳥獣保護業務室のトップ、室長は、ずっと林野庁から来ていらっしゃる方なんですね。もう定位置でずっと決まっている。環境省の中には担当する能力を持ち合わせた方がいらっしゃらないのかわかりませんけれども、今の室長さんも前の室長さんもずっと林野庁から来ているんですね。

 林野庁から来られた方でないとこの鳥獣被害対策はできないのかどうか、そのあたりの事実関係を教えてください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 人事交流は大事ではございますけれども、今御指摘の鳥獣保護業務室、これは六十一年にできまして、それ以来、室長は今まで十二人を数えております。そのうち、林野庁からの出向者は九人でございます。環境省の出身者が三人ということでございまして、特定省庁の固定ポストというふうにはなってございません。また、野生生物課長との……(田島(一)委員「特定省庁のポストとしては」と呼ぶ)固定ポストとはなっておりません。それで、上司であります野生生物課長が九人かわっておりますけれども、ここでも林野庁からの御出向者三人、環境省の職員が六人。

 それから、ちなみに、ちょっと先回りしていろいろ申しわけないんですけれども、そういった人材が環境省にいないのか、こういう御指摘もさっきあったわけでございますけれども、例えば狩猟担当補佐につきましては生物の環境省の採用、それから狩猟係長につきましては、農学3で採用されました、生産環境科学科のある京都大学でございますが、生物の専門でございます。また、鳥獣専門官は、今御指摘がありました、名前が変わったようではございますが、日本獣医畜産大学の御出身ということでございまして、そういった人材の育成も引き続き、まだ足らない、こういう御指摘であろうと思いますけれども、図っていきたいというふうに考えてございます。

田島(一)委員 時間が参りました。

 私、人事交流を否定するつもりは毛頭ありません。ただ、今回のこの特措法をめぐって、なぜ鳥獣保護法がありながらというような思いもあって、それを担当しているところがずっと林野庁から来ているぞ、何かそんなふうに思うとやはり余計なせんさくもせざるを得ない、この事実もぜひ受けとめていただきたいと思いますし、万が一固定的なポストのように今後も考えていくようであるならば、それはやはり環境省として、三十年、まだ浅い省ではありますけれども、自立をしていくという意味からすると、ぜひ適正な人材を育成していただきたいということを心からお願いしておきたいというふうに思います。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

小島委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。委員長初め理事の先生方にお許しをいただいて、発言をさせていただく機会をいただきました。ありがとうございます。

 きょう、私は築地中央卸売市場の豊洲移転問題を取り上げさせていただきたいと思います。

 大臣も東京都の御選出でいらっしゃいますし、この問題に関しては大変関心をお持ちでいらっしゃろうと思いますし、もしかしたら危惧を覚えていらっしゃるのではないかというふうに思います。

 話はちょっとかわるんですが、昨日、参議院の清水谷宿舎の問題に関して石原東京都知事が、物事の本質をわきまえていないから、ちゃちな、ばかなことを考えるんですよとコメントをしていらっしゃいました。さらに、この中央卸売市場の東京都の御担当である猪瀬副知事は、清水谷宿舎の話を全部ゼロにしなければならないというようなことをおっしゃっていらっしゃって、私は、清水谷宿舎のことについてはあえてコメントいたしませんが、この石原知事のコメントや猪瀬副知事のコメントをそのまま豊洲問題に当てはめて言い返してやりたいというふうに思っているぐらいなんです。

 というのは、平成十三年の一月に東京ガスが、東京都の環境確保条例という当時の基準に基づいて、豊洲の東京ガス工場跡地について大変な土壌汚染があるということを発表された。シアン、ベンゼン、水銀、鉛、六価クロムなど、環境基準を大幅に超える、はるかに超える汚染が発見をされた。それに対して東京都は十分な対策をとると繰り返しおっしゃって、東京都議会などでは、絶対に安全だ、絶対に安心だというふうな答弁を繰り返していらっしゃったんですね。

 ところが、都知事選挙で築地の豊洲移転問題というのが争点になったらば、石原東京都知事は、ちょっと弱気になられたのか、専門家会議を組織して、追加調査が必要であれば追加調査をするというふうにおっしゃられて、そして幾つかの地点で追加調査をこの東京都の専門家会議が行われたわけでありますけれども、この追加調査でさえ、東京都の中央卸売市場長という方は、東京都議会の答弁では、追加調査の必要などないと言い切っていらっしゃったんですね。これは都議会の議事録を御確認いただければはっきりとそのようにおっしゃっていらっしゃる言葉が出ていますが、追加調査の必要などないんだというようなことをおっしゃっていらっしゃった。しかし、追加調査をしたらばまた大変な汚染が発見された。それは、そもそも汚染が想定されていないところで高濃度の汚染が発見をされたということで、今再び大きな問題になっているわけです。

 まず、この十月六日の東京都の第四回専門家会議で発表をされた追加調査の汚染の状況の概要について、環境省の方から簡単に御報告をいただきたいと思います。

白石政府参考人 お尋ねの調査でございますが、東京都は、御案内のように、平成十九年八月から十月にかけまして豊洲新市場建設予定地で調査を実施したわけでございまして、それが第四回の専門家会議で報告された。

 概要は、次のとおりでございます。

 地下水につきましては五十六カ所で調査を実施し、そのうち二十五カ所で環境基準を超過した。個々の汚染物質について見ると、ベンゼンが環境基準を超過したのが十四カ所、そのうち最大値は基準値の千倍。それから、シアン化合物が環境基準を超過いたしましたのが十八カ所、そのうち最大値は基準値の八十倍。それから、砒素でございますけれども、環境基準を超過したのは三カ所でございまして、そのうち最大値は基準値の四倍。それから、鉛でございますが、環境基準を超過したのは四カ所、そのうち最大値は基準値の一倍でございます。

 若干長くなりますが、次に土壌についてでございますが、土壌は二十九カ所で調査を実施いたしまして、そのうち十カ所で環境基準の超過があった。個々の汚染物質について見ますと、ベンゼンが環境基準を超過したのが三カ所、そのうち最大値は基準値の千六百倍。それから、シアン化合物が環境基準を超過いたしましたのが四カ所、そのうち最大値は基準値の三十三倍。砒素が環境基準を超過いたしましたのが八カ所、そのうち最大値は基準値の八・三倍。それから、鉛でございますが、環境基準を超過したのが一カ所、最大値は一・七倍ということでありました。

 それから、表層土壌ガス調査、二百四十三カ所で調査を実施いたしまして、十一カ所でガスが検出された、このような発表をされたと承知しております。

川内委員 ベンゼンという発がん性の物質が地下水で環境基準の一千倍、土壌では千六百倍。シアン化合物、シアンというのは環境の中にあってはならない青酸カリのもとになる物質で、あってはならない物質が何十倍という、環境基準を超えて検出をされたということで、そんなところに卸売市場を移そうなどというのは、どう考えても、都民の皆さんの、あるいは国民の皆さんの、今、食の安心、安全という観点について大変な興味と関心が持たれている中で、これは信じられないという思いがするわけです。

 では、ちょっとお尋ねいたしますが、そもそも東京都が設けている専門家会議なるものの中に、土壌汚染と食の安心、安全のかかわりについて知見を持たれていらっしゃる方、専門家というのはいらっしゃるんですか。土壌汚染の専門家はいらっしゃると思いますよ。しかし、汚染された土壌とその土壌の上に置かれる、毎日置かれる大量の生鮮食料品とのかかわりについて知見を有する方たちというのはいらっしゃるんですか。

白石政府参考人 お答えする前に一つ、申しわけございません、数字の訂正でございます。私、地下水の鉛の基準、最大値、基準の一倍と申し上げましたが、一・九倍でございます。恐れ入ります。

 お尋ねでございます、土壌汚染と食の安全、安心との関連について知見を有する専門家というお尋ねでございましたので、東京都の方にも確認をさせていただきました。

 そのお答えは、生鮮食料品を扱う豊洲市場におきまして、この専門家会議の設置目的というのが、食の安全、安心を確保する観点から、土壌汚染対策について専門家による検証、提言を行うという目的のために、まず第一に、土壌、地下水の汚染の原因となる有害物質の分野の方、それから第二に、地下水の分布や水位の変化を把握するための水質の分野の方、それから第三に、埋立地の土壌を分析するための土質の分野の方、それから第四に、人体への健康影響を評価するための環境保健の分野の方、この四つの分野からの専門的な検討が必要という観点から、それぞれの分野に精通した専門家の中から実際の研究分野あるいは過去に土壌汚染に取り組んだ実績などを考慮して選定したというふうに私どもは伺っております。

川内委員 私が聞いているのは、土壌中にある有害物質と食の安心、安全、食料品とのかかわりについての専門家はいらっしゃいますかということをお聞きしておりますが、今の御説明ではどうやらいないというふうに聞こえますけれども。

白石政府参考人 繰り返しになりますが、東京都によれば、そういう生鮮食料品を扱うというところの食の安全、安心を確保する観点からの人選を行ったということでございまして、個々の人選につきましては、やはりそれぞれの自治体の判断、それぞれの自治体が責任を持ってお願いした方々でございますので、その判断を尊重するという立場でございます。

川内委員 それでは、環境省としては、東京都の追加調査で高濃度の汚染が発見された、しかも汚染が想定されていない地点から発見されたということをどうお考えになられますか。

白石政府参考人 ただいま御指摘がありましたように、東京都によりますれば、この専門家会議の指摘を踏まえまして、豊洲新市場の予定地の全域におきまして、十メートルメッシュで合計約四千百カ所の土壌と地下水の調査を実施するということでございます。

 さらに、調査におきまして高濃度の有害物質が検出された場合には、東京ガス株式会社の操業時の地盤面から不透水層の上端まで一メートル単位で土壌の採取を行い、分析を行うことにしているということでございます。

 このように、東京都が、追加調査で高濃度の汚染が確認されたということで、さらに詳細な調査を行うこととしたわけでございまして、この調査で把握した事実によって対策が決まっていくものだというふうに考えております。

川内委員 今の、東京都が詳細な調査を行う方針を示しているということでございますが、十メートルメッシュで四千百カ所、十メートルメッシュというのは土壌汚染対策法の水平方向での基準であるというふうに思われるわけです。

 そこで、もうちょっと正確に東京都の方針を教えていただきたいわけでございますけれども、東京都が今後行う予定である詳細な調査とは、土壌汚染対策法上の土壌汚染状況調査と全く同等の調査をやる、水平方向でも垂直方向でも同等の調査をやるという理解でよろしいかということを教えていただきたいと思います。

白石政府参考人 その点につきましても、東京都によりますれば、専門家会議の指摘を踏まえ、詳細な調査を行うということでありまして、それは土壌汚染対策法に基づく調査と同等の調査を行う方針であるというふうに私どもは聞いております。

川内委員 土壌汚染対策法と同等の調査とは、土壌汚染対策法第三条に規定をされている土壌汚染状況調査と同等という理解でよろしいでしょうか。

白石政府参考人 そのような方針であると承知しております。

川内委員 今の白石審議官の御答弁を大臣に御確認をいただきたいと思います。

鴨下国務大臣 今審議官が答弁したとおりでございまして、東京都は、さらに詳細な調査を行う、こういうようなこととしているわけでありまして、土壌汚染対策法に基づく調査と同等の調査を行う方針であるというふうに聞いております。

川内委員 大臣、これは、土壌汚染対策法と同等の調査をすればさらに汚染が発見をされるであろうというふうに私は予想をいたします。

 私たち民主党は、参議院に土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を提出しています。これはどういう内容かというと、そもそも大変な汚染があるかもしれない土地が、たまたま土壌汚染対策法の適用前に工場の操業が停止されていたから、土壌汚染対策法の適用を受けずに今日に至っている。しかし、本来はきちんとどういう汚染の状況であるかということを調査して、まずその実態を明らかにした上で対策を立てましょうねというのが本来あるべき姿だというふうに考えたので、本来、特定有害物質を使用する施設がそこにあって、そして今何も使用されていない土地で、これから公共的、公益的施設をそこにつくりますよという場合においては、その土壌を調査してくださいね、しっかり調査してくださいねという内容の法案でございまして、これは与党の先生方にも御賛同をいただける法案ではないかというふうに思っておるのです。

 今現在、豊洲は土壌汚染対策法の適用は受けていない、しかし、調査は同等のものをやらざるを得ませんねということになりましたということですが、この土壌汚染対策法の適用を受けるとすれば、今東京都がやっている土壌汚染対策では未来永劫、豊洲は、土壌汚染対策法の第五条の指定区域、土壌汚染指定区域ということになるわけです。その土壌汚染指定区域に市場をつくるというのは、やはりなかなか理解を得られないんじゃないかなというふうに思うわけでございます。

 そういう意味でも、世界的にブランフィールドの問題というのが大きな問題になっていますから、その辺のことをしっかりと国会としては、まずしっかり調査してくださいね、調査した後は、汚染された土壌がそこにあるのであれば管理していきましょうねということをしていかなければならないというふうに思っております。ぜひぜひ、これから与野党の協議をさせていただこうというふうに思っておりますので、委員長初め環境委員会の理事の先生方には御指導をいただきたいということをお願い申し上げさせていただきたいと思います。

 きょうは農水省にも来ていただいておりますので、ちょっとお尋ねをさせていただきます。

 なぜ農水省かというと、この中央卸売市場を所管するのは農水省だからなんですけれども、農水省と東京都の間で豊洲の土壌汚染に関するやりとりというのは、卸売市場法の中では、地方公共団体と協議するということになっていますが、協議した内容の中に土壌汚染のことは入っていましたか。

中尾政府参考人 築地市場の移転予定地におきます土壌汚染の状況でありますとか、その対策につきましては、第八次中央卸売市場整備計画の策定までの間におきまして、土壌汚染の状況、土壌汚染対策の内容について東京都から説明を受けておるところでございます。

川内委員 内容の説明を受けていると。私は、協議の中に土壌汚染のことが入っていますかということを聞いているんですけれども。

中尾政府参考人 卸売市場法に基づきまして、卸売市場の整備計画を定める際には関係の地方公共団体と協議をすることになっておりまして、農林水産省から東京都に対しても協議を行っております。

 これにつきましては公文でやりとりを行っておりますけれども、具体的にその文書の中に御指摘のような事柄が記述されているところではございません。

川内委員 東京都と農水省との協議の中には、正式には土壌汚染のことは入っていなかったんですね。しかし、卸売市場整備基本方針、国が定める、中央卸売市場というのはこういう卸売市場にしましょうねという基本方針の中には、食の安心、安全というのは重要な柱としてあるわけです。その重要な柱としてある食の安心、安全に関して、関連する土壌汚染の問題について正式な協議はなされていなかったということなわけでございます。

 これは、そもそも東京都が築地を豊洲に移転しますよということを決めて、それを国は追認したというか、農水大臣も決めたわけでございますけれども、そもそも農水大臣の中央卸売市場整備計画の決定というのはそういう意味で瑕疵がある。食の安心、安全ということに関して、土壌汚染についての正式な協議はなかった。食の安心、安全というのは重要な柱なんですから、手続に瑕疵があるということで、この中央卸売市場整備計画、築地を豊洲に移してもいいですよ、移しますよという整備計画を凍結する、あるいは、もう一度審議会に、食料・農業・農村政策審議会の総合食料分科会に差し戻して、もう一度食の安心、安全という観点からこの土壌汚染の問題を議論した上で整備計画を決定すべきというふうに思いますが、農水省としての御見解を教えていただきたいと思います。

中尾政府参考人 中央卸売市場整備計画の策定につきましては、農林水産大臣から東京都知事に対しまして計画の協議をかけまして、これにつきましては、東京都の方からは、その計画については了承いたします、こういう返事が来ておるというのが協議のやりとりでございます。

 この協議に先立ちまして、先ほども申しましたけれども、農林水産省は東京都の方から、土壌汚染の状況でございますとか、土壌汚染対策の内容について説明を受けた上でこのようなやりとりを行っているということでございますので、御指摘のように、その手続に問題があるのではないかということにつきましては、私どもは、法に基づく手続を行い、その前提としてこの土壌汚染の問題についてもやりとりをしている、こういうことで、問題はないだろうというふうに考えております。

川内委員 法的な手続としては問題ないかもしれないですが、十分であったのかということを私は問題にしているわけですね。当時の協議が十分な協議であったのか。食の安心、安全という観点から十分な協議であったのかということを問題にしているわけで、農林水産委員会の御答弁では、当時としては十分な協議であったと思っているというふうに御答弁になられているわけで、今日、新たな汚染の状況が発覚をしている、そして東京都はついに土壌汚染対策法にのっとった、準じた調査をしなければならないというところにまで追い込まれているわけです。東京都の中央卸売市場長は、追加調査の必要などないと都議会で言い切っていたんですよ、つい最近まで。追加調査の必要などない、絶対に安全だとか、絶対にという言葉を使って答弁していたんですよ。ところが、今日のような事態を招いているということに関して、当時の国の協議が十分なものであったのかというと、手続的には瑕疵はないでしょう、法的な。しかし、十分なものであったのかというと、それは、今となってみれば十分であったとは言えないかもしれないぐらいは言わないとおかしいんじゃないですか、農水省として。食の安心、安全を所管する役所として責任持てますか。

中尾政府参考人 まず、基本的なものの考え方といたしまして、築地市場の移転予定地に係る土壌汚染対策につきましては、自治体として土壌汚染対策法に基づく環境施策を担い、かつ市場の開設者でもある東京都がまず第一義的に責任を持って行うものと認識をしております。

 その認識の上で、先ほど申しましたように、築地市場の豊洲移転を盛り込んだ第八次中央卸売市場整備計画を議論いたしました食料・農業・農村審議会総合食料分科会におきましては、東京都がしっかりとした対策を行うことを前提として諮問をしたということでございます。

 先ほど来お話ございますように、先般行われました東京都の土壌調査の結果、東京ガスが行った以前の土壌汚染調査と異なる結果が一部出ておるわけでございまして、これを、東京都は、また専門家会議を開催いたしまして、土壌汚染の状況の詳細な調査、また対策の内容の検討を行っているところでございます。

 農林水産省といたしましては、環境省とも連携しながら、この結果を確認するとともに、開設者の見解も踏まえた上で、整備計画の取り扱いについて適切に判断をしてまいりたいという考え方でございます。

川内委員 ぜひ、整備計画の取り扱いについて適切に御判断をしていっていただきたいというふうに思います。

 では、その適切に御判断をいただくということに当たって、つい最近閣議決定された質問主意書に対する答弁書で、農林水産省より、築地市場の移転を計画している東京都に対し、食の安全性や信頼が確保されるよう科学的見地に基づき万全の対策を講じるとともに、消費者等に対して対策の内容等について十分な説明を行い、その理解を得るよう求めているところであるという答弁がございます。その求めているところであるというのは、だれがだれにどういう形で求めているのかということを教えていただきたいと思います。

中尾政府参考人 築地市場の移転予定地における土壌汚染対策につきましては、農林水産省としても、国民の食生活はもとより、市場関係者の健康にも重大なかかわりを持つことから、農林水産省の卸売市場を担当している者から東京都の卸売市場担当者に対しまして、これまで口頭で、食の安全性や信頼が確保されるよう万全の対策を講じるとともに、科学的見地に基づく対策の内容等について十分な説明を行い、消費者や国民の方々の理解を得るよう強く求めているところでございます。

川内委員 いや、政府が閣議決定した答弁なんですから、担当者から担当者に口頭で求めていますというのは、余りにちょっと、軽過ぎるというか、私はせめて、担当の局長が担当の副知事に対して、国としては、農水省としてはこういうふうに考えていますよということを文書でやはりしっかりと申し入れをするということが、卸売市場法の精神などからいっても、食の安心、安全を守っていく所管の役所としてとるべき態度なのではないかというふうに思います。

 さらに、消費者等に対して対策の内容等について十分な説明を行いというくだりですが、消費者等の等には恐らく市場関係者も入るのであろうというふうに思います。私は、卸売市場法の中にも、認可に当たっては卸売業者や仲卸業者の意見を聞くことという定めが条文にありますから、十分に市場関係者の意見もこれから聞き、その理解を得るよう求めるという趣旨だと思いますが、この市場関係者というのは大部分が反対をしている。なぜならば、食の安心、安全が守れない、そんな有害物質があるところに行けないんだということをおっしゃっているわけですね。

 その市場関係者、なかんずく、特にこの問題に関して非常に慎重な態度をとっている市場関係者の意見をきちんと聞きなさい、その人たちに十分理解を得られるようにしなさいというふうに農水省として東京都におっしゃっていただきたい。その市場関係者の中には、この問題に対して、食の安心、安全の観点から非常に慎重な市場関係者がいるから、その人たちのことを指すのだということを言っていただきたいと思います。

中尾政府参考人 卸売市場の関係者と言う場合に、中央卸売市場におきます卸売業者、仲卸業者それから売買参加者、関連事業者といういろいろな方々がおられますので、市場関係者と言う場合にはこういったいろいろな方々を想定しているわけでございますけれども、先ほども申しましたように、私どもとしては、そういう市場関係者も含めまして、十分説明をし、理解を求めることが重要であるというふうにこれまでもあらゆる機会に申し上げてきたところでございますけれども、今後とも、東京都に対しまして、市場関係者の理解を得ることについて求めてまいりたいと考えております。

川内委員 時間が過ぎてしまいました。済みません。

 大臣、この問題は本当に大変な問題に発展いたしますので、また今後とも引き続き注意と関心を持って見ていただきたいというふうに思いますし、私もまた機会をいただいて質疑をさせていただこうと思います。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、北川知克君。

北川委員 自由民主党の北川知克でございます。

 お昼も過ぎまして、委員長初め各委員の皆さん方、そして鴨下大臣初め政府の皆様方も大変お疲れのところでありますけれども、あとしばらく御辛抱をいただければと思っております。

 私は実は環境委員会で初めての質問になるものですから、さきの国会まではそちらの方で答弁をさせていただきましたけれども、きょうは、ちょうど今インドネシア・バリで行われております、この十二月の三日から来週の十四日まで、COP13、COP/moP3、鴨下大臣、来週いよいよ閣僚級のセッションに入る中で、そちらへ向かわれると思いますけれども、私は、大臣に、COP/moP3、COP13で我が国の環境に対する思いというものをぜひ述べていただいて、世界の中でリーダーシップをとっていただきたい、そういう思いも込めて質問をさせていただきたいと存じます。

 当委員会でも、私どもの小野委員や民主党の岩國委員の方からも、この地球環境問題についてさまざまな御意見がありました。宇宙という話もありました。太陽系という一つの大きな生命体の中の、地球というのはその一つの生命体であろうと思いますし、この地球という一つの生命体の病が地球温暖化問題かもしれませんし、それを治していくというか治療していくためには医師という観点で取り組むことも岩國先生の方からもお話がありました。

 ちょうど鴨下大臣も医師という立場でありますので、ぜひ、この地球環境問題、温暖化というのはある意味地球が病んでいるということであろうと思っておりますので、その病を治療していく処方せんの一つが、京都議定書であり、ことし六月に我が国が閣議決定をした環境立国戦略であろうと思っております。

 そういう中で、環境立国戦略等々について、三つの社会の方向性を示されております。一つ目は低炭素社会、そして循環型社会、自然との共生社会、こういう三つの方向性を示されているわけでありまして、こういう三つの点について、順次御質問をしていきたいと思っております。

 昨今のこの京都議定書の目標達成計画の見直しの中でもまだまだ厳しい数値が出てきているわけであります。この厳しい数値をどのようにクリアしていくのかということが私どもの日本の国に突きつけられている課題であろうと思います。やはり世界の中で発言をしていくためにも、足元の我が国がきちっとこの約束事を守っていくこと、このことが重要であろうとも思います。

 そういう点について、基本的な質問、そして中長期的にわたる我が国の施策の方向性について、きょうは経済産業省にもお越しをいただいておりますが、二十一世紀の大きな課題は、エネルギーと食料と水、この三点にあると思いますので、環境省、経済産業省、政府の見解というものを聞かせていただければありがたいなと思っております。

 まず、第一点目でありますけれども、低炭素社会についてであります。

 今申し上げました、エネルギー、食料、水、こういう中での低炭素というもの、これは、このことすべてがエネルギーに通ずるとは思いませんけれども、大きな部分がエネルギーということであろうと思います。まず、この低炭素社会の実現について、今二酸化炭素の大幅な削減のためには化石エネルギーから二酸化炭素を排出しないエネルギーへの大胆なシフトが不可欠であります。

 環境立国戦略におきましても、第一次エネルギーの需要等もありますが、発電過程で二酸化炭素を排出しないエネルギー源として、安全で平和的な原子力発電の利用を拡大していくこととされておりますが、この原子力発電の拡大という点について、中長期的には電力全体に占める割合をどれぐらいまで拡大していくのか、このことについて経済産業省にお聞きをいたしたいと思います。

西山政府参考人 お答えいたします。

 エネルギー自給率の低い我が国にとりまして、先生御指摘のように、原子力の推進というのは、エネルギー安全保障と地球温暖化問題という課題の一体的な解決を図るためにかなめとなるものでございます。

 政府としては、二〇〇五年に閣議決定されました原子力政策大綱におきまして、原子力を基幹電源と位置づけております。そして、二〇三〇年以降も総発電電力量の三〇から四〇%程度以上を目指すという目標を設定しております。

 昨年八月に、この目標の実現に向けまして、政策枠組みと具体的なプランとして、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の原子力部会というところにおきまして原子力立国計画が策定されて、現在その着実な推進に取り組んでいるところでございます。

北川委員 ありがとうございます。

 今、その中長期計画においても、将来三〇%から四〇%を目指すということをおっしゃっていただきましたけれども、ことしちょうど、中越沖地震で刈羽の原発も自然災害に遭ったわけであります。今後、我が国の将来、二〇五〇年というものを一つの目標年次、五〇%の削減の方向で掲げておられますけれども、二〇五〇年前後には我が国のエネルギーの供給源の主たる部分として三〇%から四〇%、原子力によるものの方向であろうと思っております。

 私は、拡大という言葉が環境立国戦略の中に入っておりまして、懸念を抱いておりまして、フランスのように八〇%あたりまで原子力によるエネルギーの供給というものを拡大していってしまうのではないかなという危惧も抱いておりましたので、今三〇%から四〇%ということを聞いて一安心をしたわけであります。

 しかし、原発というものを考えたときに、放射性廃棄物という人類にとっても大変大きな課題があるわけでありまして、過度に頼り過ぎることもあってはならないと思っております。

 一つの、地球の過去の誤りであったオゾン層の破壊を見たときに、当時のフロンを規制するために、代替フロンとしてハイドロフルオロカーボンに転換をされたわけでありますけれども、これは自然界にない物質でもあります。この代替フロンが二酸化炭素の百四十倍から一万一千七百倍もの温室効果を持つ物質であるわけでありまして、一つの症状には効くけれども、片方においては副作用というか、こういう問題も出てくるわけであります。

 原発一つを見ても、今の温暖化対策にとっては大変有効なエネルギー源でありますけれども、将来においての核廃棄物ということを考えたときにまた大きな課題になるのではないかなという危惧も抱いておりまして、そういう点を考えたときに、私は、このエネルギーの供給源というものを、原発によるエネルギーの供給が三割、そして今、石炭、石油が大きなエネルギー源、これが温暖化のまた非常に大きな部分を占めておりますが、これを三割、そして再生可能エネルギーを三割、将来、二〇五〇年前後にはこういう形でつくっていくことが我が国にとって重要な課題ではないかなと思っております。

 そういう点について、今後の我が国の再生可能エネルギー、現に今RPS法の対象として追加をされた小水力発電のほか、太陽光発電、風力発電など、クリーンで、資源の制約もなく、国産のエネルギー源である再生可能エネルギーの導入を強力に進めていく必要があると考えております。

 特に、太陽光発電等につきましては、日本が非常に優秀な技術を持っているわけでありますけれども、昨今、ヨーロッパや中国、台湾等々のメーカーも参加をしてきておりまして、対外的な企業の展開だけではなく、いま一度、日本国内においても、太陽光発電等々についての積極的な支援というものも求められると思っております。

 こういう点につきまして、再生可能エネルギー等々について、経済産業省の御意見を賜れればと思います。

上田政府参考人 先生よく御承知のとおりでございます再生可能エネルギー、太陽光、風力それから小水力、これらに代表される再生可能エネルギーというものは、温暖化対策あるいはエネルギー政策の面からも非常に重要なエネルギー源であるということでございます。これらについて、日本は相当な力を持っているということをまず申し上げさせていただきたいと思います。

 太陽光につきましても、導入当初、約十年以上前でありますが、例えば、一戸当たりの太陽光のパネルというのは七百万円ぐらいしていたわけであります。現在ではそれが二百二十万円になっております。

 世界の生産量の四割は日本のメーカーが出しております。もちろん、ほかの国々も一生懸命進んではおりますけれども、その技術力、生産力、今後の市場、どれを見ても日本はまだまだ世界の最先端にあるわけであります。

 さらに、燃料電池、水素といった技術におきましても、私どもは非常に大きな期待をしているところであります。

 このように、非常に期待が高い再生可能エネルギーではありますけれども、我々も何とかこれを推進していきたい、同じ気持ちでおりますが、しかし、そこにはやはりまだ課題というのがございまして、特に、コストの面、それから出力が非常に不安定である、どうしてもこの二つがネックになっているわけでありまして、現状において、先ほど電力分野の話がございましたけれども、電力分野のみに限ってみますと、再生可能エネルギーの利用というものの割合は約一割ぐらいにとどまっているわけであります。

 御指摘のRPS法では、電気事業者に再生可能エネルギーの買い取りを義務づけているわけでありますが、この制度施行が平成十五年からでありますけれども、その前と比べますと、再生可能エネルギーの供給実績は倍以上に膨らんでおります。また、二〇一四年度目標というのを設定いたしまして、百六十億キロワットアワーということでございますけれども、これは二〇〇五年度実績の約三倍弱に当たる数字であります。

 こういったRPS制度に加えまして、例えば、風力、太陽光といったものの導入を行う事業者に対しまして、私ども、導入支援事業費の約三分の一を助成する制度であるとか、あるいはバイオエタノール、燃料電池等に見られる実証実験であるとか、こういったことにも取り組んでおります。

 さらに、先ほど申し上げました技術開発ということが重要でございまして、太陽光、燃料電池、さらに水素関連技術という事柄に積極的に取り組んでいるところでございます。

 二〇五〇年に向けて再生可能エネルギーは非常に重要なエネルギーである。我々は、その導入支援策、それから実証実験、技術開発、こういうものをバランスのとれた形で積極的に推進してまいりたいと考えております。

北川委員 ありがとうございます。

 コスト、安定性、さまざまな問題があろうと思いますけれども、やはりこういう問題を克服するためにも政府が積極的に支援をしていっていただきたいなと思っておりますので、そのことをお願いしておきたいと思います。

 そして、もう一点。低炭素社会の実現について、重要な課題といいますか、国の方もコンパクトシティー等々打ち出されておりますけれども、やはり、炭素をいかに少なく、低炭素の社会を実現するかということにおいては、大きな課題としてまちづくりが挙げられると思います。

 今までのまちづくりにおいても、ヒートアイランド現象等々を抑えるために環境省も積極的に取り組んでいるところもありますけれども、核になるのはやはり国土交通省でもあるわけでありまして、こういう点においても、まちづくり等々に環境省も積極的に国交省等々関係機関と連携をとり合っていただいて、低炭素社会そのもののまちづくりを構築していただきたいなと思っておりますので、この点について、鴨下大臣の方から御答弁をいただければと思います。

鴨下国務大臣 低炭素社会の基本となるのは、やはり私も先生御指摘のように、コンパクトシティーというのはまさに基本だろうというふうに思っております。

 特に今、日本の地方都市は、郊外への拡大で、車に乗っていろいろな買い物をしていく、こういうようなことが進んでしまっているわけでありまして、ある意味で、環境負荷という意味においては、逆行している部分もございます。加えて、今中心市街地の活性化、こういうようなことを推進する機運が高まっているわけでありますから、そういう意味でいうと、歩いて暮らせる、あるいは高齢者も安心して買い物ができる、ある意味で町の機能が集積している、こういうような町をつくるということは極めて重要なことの一つだろうというふうに思っております。そういう意味で、我々環境省が提案している低炭素社会づくりとコンパクトシティーというのは、まさにお互いが車の両輪になって進めていく、こういうような意味で非常に重要だろうと思います。

 私は、昨日、一昨日と、富山市に行ってまいりまして、ライトレールを軸にしたまちづくりを見てまいりました、きょうはここに村井委員もおいででありますけれども。それから、あとは地熱、地域の熱供給システムを十分に使ったコペンハーゲン市のまちづくりなど、コンパクトに町の機能が集積している、こういうようなことが重要なんだろうと思います。

 今バリで行われているCOP13の中でも、日本としましては、この低炭素社会というようなものの具体的な例示について世界に訴えていきたい、こういうふうなことで今準備しているところでございますけれども、ぜひ、ライフスタイルあるいは町の構造も含めて、コンパクトシティーを推進するというような意味で、環境省としてもそれを推進してまいりたいというふうに思っております。

北川委員 ありがとうございます。

 今、大臣の方からもお話がありましたけれども、社会全体を見回したときに、日本の国が現状において低炭素社会になっているかなということを見たときに、都市部においては特にそうかもしれませんが、二十四時間社会が動いている、こういう現実を見たときに、果たしてそうかなという思いもいたしますので、今後とも、ぜひこういう低炭素社会のまちづくり、そして社会づくりに取り組んでいただきたいなと思っております。これは我々一人一人の国民も考えなければならないことであると思います。

 続きまして、もう一点の循環型社会という点についてでありますけれども、けさほど我が党の木挽議員の方からも循環型社会のお話がありました。平成十五年に策定された循環型社会形成推進基本計画の中、今見直しが行われておりますが、大量生産、大量消費、大量廃棄、こういう社会からの脱却ということをうたわれているわけでありまして、現実には、それぞれのリサイクル法、成立をいたしておりますけれども、逆に、リサイクルループがしっかりするために大量生産、大量消費、大量廃棄、こういう点につながっているという御意見もあります。

 そういう点を考えたときに、もう一度原点に立ち返りながら、大量生産、まずここの排出抑制というものをどのようにしていくのか、そして必要なものは再生利用をしていく、こういう循環型社会を形成するという原点に立ち返るべきときが来ているのではないかなと思っております。やはり、エネルギーすべての消費を抑制すること、大量消費を抑制しながら技術革新をしていくという点にもつながると思っておりますので、こういう点についての、基本的なことになるかもしれませんけれども、循環型社会の形成について、大臣から御意見をちょうだいできればと思います。

鴨下国務大臣 循環型社会形成というようなことは、環境負荷という意味においては決め手の一つなんだろうというふうに思っております。

 特にリサイクル、こういうようなことを優先する取り組みとして、第一にはやはりリデュースが必要で、発生抑制をしていく、こういうようなことに続いて再使用、リユース、そして最後にリサイクル、こういうようなことで全体的な循環型社会をつくっていくというようなことでありまして、今、北川委員からのお話の中にも資源を再資源化していく、こういうようなことで、先ほどもその議論がございました。

 特に、例えばITの基板だとか何かの中にはレアメタル等もありますから、そういうことも十分に活用しながらやっていかないといけないわけでありますけれども、これは国内だけに限らず、むしろ我々は、このスリーRにつきましてはアジア諸国との連携もとらないといけない、こういうふうに考えておりまして、先ほどバーゼル条約の問題も御議論いただいたわけでありますけれども、そういう中で、有効な資源を各国が連携して使い回していく、こういうような発想というのは今後重要なことだろうというふうに思っております。

 環境省も、発生抑制、再使用、こういうようなことを中心に、ぜひ資源を活用して、もったいない、こういうような精神を生かしてまいりたいと思います。

北川委員 ありがとうございます。

 一つ、この循環型社会という点において、廃棄物の問題もあります。廃棄物の一つである廃タイヤ等々、今大臣の方からもアジアの国々と連携をとり合ってという話がございましたが、ことしの八月の九日にバンコクで開かれました第一回目のアジアの環境保健大臣会合というのがありまして、私は出させていただいて、その中で、こういう廃タイヤ等々がボウフラのすみかになって、蚊等々の大量発生につながり、それがマラリアや日本脳炎を介在していく。こういう感染症というものが、温暖化による影響で、今後、アジア等々で大きな問題になるのではないかという提起がなされたわけでありますけれども、この感染症について、廃棄物行政とも非常に大きく関係をしてくると思うのであります。

 この感染症対策については、地球温暖化の今後の進展も踏まえながら、日ごろから生活環境の保全という視点で取り組むことが重要であると考えております。しかし、この廃棄物行政は、平成十三年の一月に省庁再編成で厚労省から環境省の方に移ったわけでありますが、廃棄物に関連する衛生問題に関する責任の所在、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等では規定をされておるのでありますけれども、地域においては、このような責任の所在というものが明確になっていないというようなお話も聞くところもあります。保健所等々は、今までのごみであれば関与しやすかったのが、この廃棄物という問題になったがために保健所がなかなか関与をしない、こういう現実も聞き及んでいるところであります。

 こういう点を考えたときに、今後、厚生労働省等々との連携、そして地方との連携をとりながら、温暖化からといいますか、常日ごろからそうでありましょうけれども、この感染症に対する施策というか取り組みというものをしっかりやっていただきたいと思っておりますので、この点について御意見をいただければと思います。

由田政府参考人 御指摘のとおり、廃棄物の不法投棄対策、廃棄物処理施設におけます害虫駆除等の衛生管理につきましては、生活環境の保全上の観点から重要な課題であると認識をいたしております。

 廃棄物処理施設の設置者は、廃棄物処理法に基づく廃棄物の処理基準、施設の構造基準や維持管理基準に従い、廃棄物の飛散及び悪臭の発生防止、ネズミの生息及び蚊、ハエ、その他の害虫の発生の防止に努め、構内の清潔を保持することとされておるところであります。これによりまして、害虫等の発生は防ぐことができるというふうに考えております。

 一方、不法投棄につきましては、衛生上の問題もあることから、早期の対応が重要でありまして、不法投棄に伴う生活環境保全上の支障などに対しまして、都道府県等がその除去を原因者に命ずる措置を早期に行うよう指導しているところであります。

 例えば、今お話のございました廃タイヤの不法投棄につきましては、蚊、ハエ、その他の害虫の発生源となるなど、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に支障が生ずるおそれがあることから、おおむね百八十日以上の長期にわたり乱雑に放置されている状態で特段の事情がない場合には、原状回復を行わせる措置命令で厳正に対処することといたしておるところであります。

 環境省としましては、今後とも、地球温暖化の進展に伴い予想される蚊などの媒介生物の増加にも留意しつつ、廃棄物の適正な処理、施設の適切な設置や維持管理がなされるよう、地方公共団体、あるいは厚生労働省や関係機関とも連携を図りながら、廃棄物処理施設の衛生的な管理に努めてまいりたいと考えております。

北川委員 ありがとうございます。今後とも、廃棄物処理等々もかんがみながら、衛生管理についてしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、自然共生社会についてでありますけれども、自然と共生をしていく。これは、我々人間一人一人が生きとし生けるものと同時に生活をしているわけでありますが、大自然の中で生きていく上において一人一人がどのような意識を持っていくかということでありまして、そういう点において、やはり小さいときからの環境教育というのが重要な課題になってくると思っております。

 私も、政務官のときに環境教育、小学校の現場を見せていただいて、そこの教師の方々から聞くと、子供たちがみずからビオトープをつくって自然に接することによって生き生きしてきたということも聞いておりました。ぜひ環境省も、文科省と手を組みながら、環境教育というものの充実に向けて、予算等も含めて積極的に取り組んでいただきたいなと思っておりまして、この点についても政務官の方からお答えをいただければと思います。

並木大臣政務官 環境教育は、北川先生がかねてから提唱し進めてこられたわけでございますけれども、まさに今、時代とともに、子供たちが外で遊ばなくなった、人が自然に触れ合う機会というのが減ってきたとも言えるわけです。そういう中で、五感が失われる。もちろん、体力の低下はもとよりですけれども、あるいは情緒に問題が出てくる、こういうことも言われているわけでございますので、環境省としましても、子供たちが特に自然に触れて、五感で自然を感じる原体験、そういう機会を通じて、感性をはぐくみ人として豊かな成長をしていただく、そうした中で国民の理解を求めつつ自然との共生社会をつくっていく、これが重要であるというふうに認識しております。

 今お話に出ましたとおり、ビオトープ等の環境教育、あるいは子供たちが自然環境保全活動を体験する子どもパークレンジャー事業、あるいは、これは大人の方もそうですけれども、地域の自然環境を学ぶ自然観察会。また、環境問題への作文の顕彰とか、自然保護あるいは野生動物保護、こういうものへの顕彰等も行ってきたわけであります。

 来年度予算には、「五感で学ぼう!」子ども自然体験プロジェクト、こういう長期宿泊体験活動を農山漁村等で行う、こういうものを推進する予算も要求しているところでありますので、ぜひ先生にも御支援いただいて、今後とも、自然共生社会の構築に向けて他省庁との連携を含めて自然環境教育の積極的な取り組みを進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

北川委員 この後、生物多様性等々について副大臣の方にも御決意なり御意見を賜ろうと思っておりましたけれども、時間が来たようでありますので失礼いたします。

 いずれにしても、政治や行政において考えなければならないのは、やはり国民の不安感や不信感、不満感、こういうものを余りあおり過ぎてはならないわけでありまして、特に地球環境問題というのは国民の皆さんの不安感に通ずるものがありますので、そういうことにならないように注意をいたしながら、しっかりとしたメッセージを発信していっていただきたいと思います。

 それと同時に、鴨下大臣には来週から閣僚セッションに出向いていただきますけれども、日本国政府としてぜひ頑張っていただいて、我が国が今後とも世界の中で環境に対するリーダーシップを発揮できるようにお願いをいたしたいと思います。

 最後に決意だけお聞かせいただいて、終わりたいと思います。

鴨下国務大臣 きょうの昼の議運でどうやら私の出張を認めていただいたようでございますので、今御指摘いただいたさまざまな問題、特に地球環境の問題あるいはスリーRの問題、こういうような問題も含めまして、日本がリーダーシップをとってしっかりと枠組みづくりに貢献できますように私も汗を流してまいりたいというふうに思っております。

 ありがとうございます。

北川委員 ありがとうございました。

小島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.